照「虎姫前夜」淡「みんなの旅行記っ!」 (189)
とくにヤマもオチもないですが
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照「誠子」
誠子「はいっ」
照「牌譜整理手伝って」
誠子「了解です。うわー、随分ありますね」
照「インハイ対策用に先輩達が色々広げてたから」
誠子「そういえば3年のレギュラー陣がいませんね」
照「監督と隣の部屋にいる。多分、夏までの練習メニューを組んでるんじゃないかな」
誠子「宮永先輩は今年の夏も不動のエースですね」
照「頑張ります」
誠子「ところで来週から夏休み代わりの連休ですけど、先輩はどうされるんですか?」
照「んー、特に予定は立ててないけど。誠子は何か予定あるの?」
誠子「私はちょっと遠出してアウトドアを満喫してこようかな、と」
照「アウトドア?」
誠子「ええ。テントで寝起きして森林浴したり、釣り糸垂らしたり、あと夜は星空を見上げたり」
照「一人で?」
誠子「の予定ですけど」
照「危ないよ、女の子が一人で野外生活だなんて」
誠子「ちゃんとキャンプ場を使いますよ? ダメですかね」
照「それ、監督や顧問に言ったらまず許可は下りないと思う」
誠子「う~ん、それは困りました」
照「誰か誘ったら?」
誠子「ふむ.....じゃあ先輩、一緒にどうですか?」
照「え?」
尭深「♪~」フキフキ
菫「ご機嫌だな、尭深」
尭深「! っ//////」アセアセ
菫「掃除ご苦労様。もう十分綺麗になったみたいだし、そろそろあがらないか」
尭深「は、はい」
菫「バケツと雑巾は私が片付けておくから、尭深は鞄を取って来るといい」
尭深「あ、す、すみません。ありがとうございます」ペコッ テテテ
菫「さて、と」
ガチャ
菫「お、なんだ二人ともまだいたのか」
誠子「弘世先輩お疲れ様です」
照「菫、何してたの?」
菫「何してたのはご挨拶だな。掃除だよ掃除。やっと終わってみんなをあがらせたところだ」
照「ふーん」
菫「雑なリアクションをありがとう」
尭深「お待たせしました。あ、宮永先輩お疲れ様です」ペコッ
照「お疲れ様。じゃあ帰ろうか」
菫「照は寮までいつも歩きだったな」
照「歩くの好きだから。みんなはバス?」
尭深「はい」
誠子「私はマウンテンバイクで」
菫「じゃあ駐輪場寄って、今日はのんびり歩いて帰るか」
照「そうだね」
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照「そういえば菫」
菫「ん?」
照「去年のGWって何してたっけ?」
菫「なんだ突然。私は山中湖の別荘で過ごしてたな。うちの恒例行事みたいなものなんだけど」
誠子「弘世先輩のお宅は別荘なんて持ってるんですか?」
菫「父親が兄弟でシェアしてる別荘があるんだよ」
尭深「富士五湖、いいですね」
照「そっか、そんなこと言ってたね。私は図書館巡りしてたけど」
菫「で? そんな事を聞いて来るってことは今年の予定でも決まったのか?」
照「うん、誠子とキャンプに行ってみようかなと」
菫「キャンプ!? おまえが?」
照「言い方」
菫「いやすまん。素で驚いた。しかしおまえ+キャンプは想像つかないだろ」
照「もういい。菫は誘わない。尭深、一緒に行く?」
尭深「私ですか? 場所はどちらへ?」
誠子「近場なら奥多摩とかかなぁ。旅費は節約できるに越したことないだろうし」
照「たまには自然の中で過ごすのもいいかも知れない。ね?」
尭深「そうですね。弘世先輩は?」チラッ
菫「さてどうしたものか」
照「別に来なくていい」
菫「拗ねるなよ。悪かったって」
誠子「一緒に行きましょう」
照「仕方ないなぁ」クスッ
菫「何笑ってるんだよ」
照「笑ってない」キリッ
尭深「仲いいんですね」
菫「腐れ縁だよ」
照「腐ってるのは菫だけ」
菫「酷い言い草だな」
照「ところで誠子」
誠子「なんですか?」
照「もう一人誘ってもいい?」
誠子「いいですよ。誰ですか?」
照「んー、誠子と尭深は会った事ない娘なんだけど」
尭深「先輩のクラスメイトさんですか?」
照「ううん、白糸台の娘じゃなくて、まだ中学生なんだけど」
菫「あー、春に麻布で会った娘か?」
照「うん」
誠子「私はOKですよ」
尭深「私も」
照「ありがとう。その娘、大星淡って言うんだけれど、来年は二人の後輩になるから、宜しくね」
誠子「そうなんですか?」
尭深「あ....特待生でしょうか?」
照「そゆこと。取材撮影で行った麻布の麻雀スクールで会ってね、監督に面白い娘がいるって話したら」
菫「そのまま特待生候補、っても今年の成績如何によるだろうが。あれから連絡取り合ってたのか?」
照「うん。なんだか懐いてくれてるし、淡の麻雀はただ事じゃないからね」
誠子「そんなに強いんですか?」
照「まぁユニークかな」
尭深「それは会うのが楽しみですね」
照「うん。それじゃあちょっと電話してみる」ピポパッ
ガチャ
淡『わっほーい、テルー♪』
照「元気そうだね」
淡『もっちろん! で、なーにー?』
照「ゴールデンウィーク、淡は予定空いてる?」
淡『空いてる! どっか行くの!?』
照「麻雀部の仲間とキャンプしようかって話になってるんだけど、淡も来るかなと思って」
淡『行く行く行く! 行きまーすっ!』ハイハイッ
照「それなら良かった。じゃあ、これから予定詰めて、改めて連絡するね」
淡『うん♪ やったぁ、テルとお出かけ~♪』
照「ふふ、じゃあまた後で」
淡『は~い』
ピッ
誠子「どうでした?」
照「大喜びしてた」
菫「ならこれで決まりかな」
尭深「キャンプとかは初めてで、準備の仕方が分かりません」
誠子「その辺は私が色々教えるから」
菫「取りあえず明日にでも監督と顧問、あと部長にも許可取っておこうか」
照「そうだね」
翌日
顧問「キャンプ? この4人で?」
照「はい。あと、南日ヶ窪中の大星さんを入れて5人になります」
顧問「テントで寝起き?」
菫「の予定です」
顧問「場所は?」
誠子「奥多摩です。玉川か水根沢、あるいは湖畔公園のキャンプ場で」
顧問「んー、他校のしかも中学生まで一緒となると引率は必要ね。誰かしら親御さんは来られないかしら?」
照「うちは無理です」
菫「うちもちょっと。毎年山中湖の方へ行ってしまうので」
顧問「そっか」
誠子「あの、バンガローとか借りれば良いのでしょうか?」
顧問「んー、まぁテント泊よりはそうだけど.......あ、奥多摩ならうちの渓青寮使ったらどうかしら?」
尭深「渓青寮?」
顧問「一年生の野外学習や、運動部の合宿で使われる我が校の施設よ」
菫「そういえば去年の秋に行きましたね」
照「あー、あれ奥多摩だったんだ」
菫「をい」
顧問「連休中はテニス部と自転車部から使用申請出ているから寮監も常駐するし、使用に問題はないわ」
照「どうする?」
尭深「私は良いと思いますけど」
菫「落とし所だろう」
誠子「ですね。許可が下りなきゃ元も子もないですから」
顧問「意見はまとまった?」
照「はい。それでは寮を使用という事で宜しくお願いします」ペコッ
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照「キャンプできないのは残念だったね」
誠子「はい。けど、私たち学生の懐事情としては大分出費が抑えられて助かりますよ」
菫「確かに。何しろ無料の宿泊施設だからな」
尭深「渓青寮ってどんな感じの建物ですか?」
照「あんまり記憶にない」
菫「2階建ての木造校舎だったな。確かダム湖の正面だったと思うが」
誠子「奥多摩湖ですね。小河内ダムだと思います」
尭深「誠子ちゃんがキャンプしようって言ってた場所とは近いの?」
誠子「小河内ダムなら水根沢が一番近いね。1km程度の距離だったと思う。湖畔公園もそう遠くないかな」
照「野外教室の時、自炊したよね。バーベキューの器具とかあった筈だから借りられるんじゃないかな」
菫「さすが照。食の記憶だけは鮮やかなもんだな」
照「だから言い方」
菫「おまえ、何もしないで食べるだけだったじゃないか」
照「そんなことないっ、ちゃんと後片付けとか手伝ってたでしょ」
誠子「まぁまぁ」
尭深「弘世先輩はお料理とか得意なんですか?」
菫「.......いや?」
照「ナイスブーメラン」ホラミタコトカ
菫「こいつ」
部長「おーい、宮永~」
照「はい、なんでしょうか」スタスタ
部長「キャンプの許可下りた?」
照「渓青寮を利用することになりました」
部長「そっかそっか、はい、じゃあこれ」バサッ
照「?」
部長「休みの間に弘世にやらせといて。夏、うちのチームで使うつもりだから」
照「あ、はい。分かりました」
部長「じゃーまぁ休暇を楽しんでらっしゃいな」バーイ♪
照「はい、ありがとうございます」
菫「なんか私の名前が出てなかったか?」
照「これ、菫用の課題だって」バサッ
菫「問題集? 分厚いな」ウヘェ
照「あと夏に向けてうちのチームに来て貰うって言ってた」
菫「! 本当か!?」
誠子「主力チームに抜擢ですねっ」
尭深「おめでとうございます」
菫「ちょっと部長に挨拶してくるっ」タタタッ
照「風のようだ」
誠子「そりゃ嬉しいでしょう」
尭深「頑張って欲しいですね」
照「誠子たちも連休明けたら新人戦があるからね」
誠子「はい、頑張りますっ」
尭深「わ、私もっ」
白糸台学生寮
菫「ほー、ここが亦野と尭深の部屋か。綺麗にしてるじゃないか」
誠子「お互い綺麗好きなもので」
尭深「お茶淹れますね」
菫「ルンバが黙々と掃除してるヤツの部屋とは大違いだな」
照「菫うるさい」
誠子「先輩ルンバ持ってるんですか?」
照「可愛いよ」
誠子「そこポイントですよね」イイナー
菫「ロボット虐待だよ。行き場がなくてもがいてる様にしか見えないね」
照「右往左往してるところが可愛いのっ」
菫「いずれ反旗を翻されるな」マチガイナイ
尭深「お待たせしました」
照「わ、硝子の器に緑茶?」キレイ
尭深「今日は暑いので、冷製緑茶にしてみました」ドウゾ
菫「亦野は良い嫁さんを貰ったな」
誠子「またまた、何言ってるんですか」
尭深「/////」
照「ん、美味しい。とろ~りとして甘い」
菫「アイスのグリーンティーなんて初めて飲んだよ」イケルナ
誠子「さて、それでは今日は連休のプランを詰めましょう。尭深も座って」
尭深「うん」
菫「先ず出発は3日だな。寮までの移動経路をどうするか」
照「奥多摩って電車だと何線で行くの?」
誠子「地図を広げますねー」バサッ
誠子「まず白糸台の駅がここで、目的地の奥多摩駅が、ずーーーっと来てここになります」
尭深「立川から青梅線だね」
菫「さすがに奥地だな」
照「白糸台から武蔵境に出てJRで立川?」
誠子「この寮からだと武蔵野台も近いんで、京王線で分倍河原まで行って南武線で立川もアリですね」
照「あ、だったら南武線乗った事ないし、そっちにしよう」
菫「良いんじゃないか」
誠子「で、立川からは青梅線で一本なんですけど、宮永先輩」
照「なに?」
誠子「二俣尾で寄り道して行かれます?」
照「何かあるの?」
誠子「吉川英治記念館があります。興味がおありかと」
照「行く」
菫「好きだねおまえも」
尭深「私も寄りたいです」
菫「尭深、おまえもか」
誠子「せっかくの機会ですし、ぶらり途中下車もいいかなと」
照「誠子ナイス」
菫「時間的にはどうなるんだ? 出発は?」
誠子「そこなんですけど、大星さんとは立川で待ち合わせが分かりやすいと思うんですよね」
照「確かに私鉄乗り換えとかさせるより良いと思う」
誠子「で、立川の改札で9時に待ち合わせはどうでしょう? 逆算してここを出るのは8時頃になります」
菫「早すぎず、遅すぎず。まぁ頃合いだな」
尭深「そうすると二俣尾には何時くらい?」
誠子「立川から青梅まで快速で30分だから、10時前後には到着すると思うよ」
照「じゃあ記念館をゆっくり見て回って、お昼も近間で済ませる感じ?」
誠子「ですかね。二俣尾から奥多摩までは30分程ですから、色々ひっくるめて奥多摩着が1時頃でしょうか」
尭深「そこから寮までは徒歩?」
誠子「徒歩だと大変だよ。ここが駅で、ここが寮」
尭深「遠い」
菫「バスは通っていたよな?」
誠子「はい。西東京バスで片道15分340円ですね」
照「えーと、交通費の合計は?」
誠子「二俣尾までが670円で、そこから奥多摩まで210円です。帰りは途中下車なしだと820円だから」
尭深「しめて2380円になります」
菫「記念館の入館料も足すと?」
誠子「高校生は400円ですから、交通費と入館料で一人2780円ですね」
照「これで宿泊費無しなら随分安上がり」
菫「後は食費と行楽費用か」
尭深「何をしましょう?」
照「当初はキャンプの予定だったんだから、誠子は何かプランあるでしょ?」
誠子「そうですね。水根沢が近いですから沢登りと渓流釣りはしたいですね」
菫「釣りか」
誠子「楽しいですよ。釣った魚で料理したり。あ、沢登りは長袖長ズボンですよ。ジャージでOKですけど」
尭深「ジャージ」
照「川遊びとか懐かしい」
菫「照は長野だもんな。向こうはそういう場所山ほどあるだろう」
尭深「ねぇ誠子ちゃん、奥多摩湖って遊覧船とかはあるの?」
誠子「遊覧船はないかな。浮橋って言ってドラム缶を浮かべた上に通した橋があるけど」
菫「まぁ湖周辺の散策も悪くはない」
照「自炊の食材は何処で調達?」
誠子「えっと、調べてみたら奥多摩駅の側にスーパーがあるので、そこで買い揃えようかと」
菫「初日は買い物してから行けばいいわけだ」
尭深「日持ちするものは前もって揃えてしまってもいいですね」
照「だったらある程度メニューも考えておかないと」
誠子「そうですね。水根沢に行く日は釣果に期待して魚料理ですけど」
菫「その場でさばくのか?」
誠子「ある程度のキャンプ用品は私が持って行きますから、その場でできますよ」
照「釣り具は?」
誠子「ベッドの下の収納に」グイッ
菫「おお~、色々あるんだな」
尭深「週末になるとよく手入れしてるんですよ」
照「へー、竿の数は足りる?」
誠子「長物が3本あって、他に携帯用のが2本あるんで大丈夫です」
菫「そんなに持っているのか。趣味とは言っても本格的なんだな」
照「淡、釣りなんてできるかな。ちょっと落ち着きのない娘だから」
誠子「釣り以外にも楽しみはありますから、きっと大丈夫ですよ」
JR立川駅 7・8番線ホーム
タチカワー タチカワー シュウテントナリマース
誠子「9時10分前ですね」
照「淡は中央線だから何番線だったっけ?」
菫「5・6番線だな」
尭深「あの、向こうですごい手振ってる娘がいます」
淡「テールー♪ テルテル、テールー♪♪」ブンブン
誠子「早速見つかりましたね」
照「恥ずかしい////」
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ダダダッ
淡「テルー!」トビツキッ
照「わっ、あ、あぶない」ダキトメッ
淡「えへへ、ほとんど同時に着いたねー」
照「タイミング良かったね。はい、じゃあみんなに挨拶して」
淡「はーい。はじめましてっ、南日ヶ窪中学3年、大星淡ですっ」ペッコリン
菫「私とは二度目だな。弘世菫だ。よろしく」
誠子「亦野誠子、高1。よろしく」
尭深「渋谷尭深です。私も1年生でひとつしか違わないから、仲よくしてね」
淡「スミレさん、せーこさん、たかみーさん。おぼえたっ」
菫・誠・尭(たかみーさん?)
淡「あれ? みんな荷物は?」
照「手ぶら~♪」ヒラヒラ
淡「なんで!?」
菫「実はGWに寮を使う自転車部に頼んで運んで貰ったんだ。釣り具とか嵩張る物も多かったのでね」
尭深「弘世先輩が交渉してくれたおかげで本当に助かりました」
淡「へー、そなんだー」
誠子「淡ちゃんの荷物は私が持ってあげるよ。二俣尾とか結構歩くと思うし、疲れたら言ってね」
淡「ありがとー♪ せーこっ」
菫「とりあえず青梅線のホームに移動しよう。1・2番線だったよな」
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プシュー
淡「先頭車両に乗り込め~♪」
照「走らないの」メッ
菫「始発駅だからガラガラだな」
照「車両も都心を走るタイプと変わらないよね」
尭深「青梅で乗り換えるの?」
誠子「そのまま乗って行けるよ。青梅奥多摩間は4両編成に切り離して運行するんだ」
淡「線路見える! これが奥多摩までずっと続いてるんだねー」
マモナクハッシャイタシマース
照「ほら、淡、こっち座って」
淡「えー、動くの見てたい」
誠子「青梅までは立川までの景色とそんなに変わらないよ」
淡「そーなんですか?」
誠子「うん。青梅から先は観光路線っぽく見所もあるけどね」
淡「へー♪」
菫「ま、電車に揺られながらのんびり行こう」
プシュー........ガタンゴトン ガタンゴトン
淡「動き出したっ」
尭深「淡ちゃんは電車でお出かけはあんまりしないの?」
淡「うん、旅行とかはパパが車で連れてってくれるから、電車で行くのは初めてっ」
照「今年は修学旅行で新幹線乗れるんじゃない?」
淡「修学旅行は海外だよっ」
菫「中学の修学旅行でか。私は普通に国内だったな」
誠子「さて、二俣尾までしばらくありますし、トランプでもしますか?」
淡「やるー。ババ抜きっ」
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オウメー オウメー
淡「青梅に着いたっ」テテテッ
誠子「ここからの景色は運転席越しに見る価値ありますよ。私も行こっと」
菫「せっかくだし少し見ておくか」
照「ババ抜き全敗って....」ズーン
尭深「どんまいです宮永先輩」
シュッパツシンコウ セイゲンヨンジュウ
淡「運転士さんの声聞こえるー♪」
ガタンゴトン
誠子「さぁ、単線になるよ」
淡「わぁ~、狭い狭い」
菫「緑が多いな」
誠子「青梅を過ぎれば一気に山になってきますからね」
ホンセンジョウナイシンコウ セイゲンゴジュウ
照「あ、もう駅?」
誠子「宮ノ平ですね。ここからは無人駅が続きますよ」
尭深「もう私たちの知っている東京の景色ではないですね」
淡「しゅっぱつしんこー♪ せいげんよんじゅう!」
ニジュウゴダヨー
ガタンゴトン
菫「運転士さん笑ってるぞ」ツッコマレタシ
照「こっちの声も筒抜けだね」ツッコマレタネ
尭深「あ、トンネルですね。赤煉瓦の入り口が素敵」
淡「まっくら~♪」
菫「横に付いてるの普通の蛍光灯だよな。暗いわけだよ」
照「田舎のトンネルなんてこんなもんでしょ。電車の照明だけで走るのも当たり前」
淡「でぐちっ」
尭深「ひゅうがわだ(日向和田)駅? 丸太の駅舎が可愛いね」 ← 2010から新駅舎に....
誠子「ひなたわだだね」
菫「ところで亦野、この辺の駅ってSuica使えるのか?」
誠子「はい、平気ですよ」
照「良かった。私もそれ心配になってたとこだった」
フレッツ 2キロ ヨシ ヒナタワダ テイシャイチ ヨシ
淡「よしよし~♪」
菫「結構駅間短いよな。すぐ駅がある」
誠子「ですね。山間で移動の便が悪いからかな?」
ガタンゴトン
淡「わー、片側トンネル~」
誠子「これは落石避けだね。山の中を走る路線だとこういうのがしょっちゅうあるよ」
照「また駅。本当に区間短いね」
淡「ふれっつ 2きろ よーっし!」
クスクス フレッツ 2キロ ヨシッ
菫「先に言われて苦笑してるぞ」
尭深「淡ちゃんが運転士さんみたいだね」
淡「えへへ~♪」
照「正面にある小さい踏み切りとか、田舎に来たって感じする」
誠子「歩行者横断用ですね。右手に伸びてる道も草分け道だし、なんだか歩いてみたい気分になりません?」
菫「確かにな」
ガタンゴトン
誠子「さぁ、次が二俣尾ですよ」
淡「二股男~♪」
照「変なこと言わないの」
菫「お、気持ち良いくらいのストレートだな」
尭深「真っ直ぐの単線って絵になりますよね」
淡「次の駅見えてきたっ」
照「ここは久々の両面ホーム」
プシュー
誠子「降りますよー」
照「淡、行くよ」
淡「はーい」
菫「んー、空気が美味いっ」ノビー
尭深「天気も良いですし、行楽日和ですね」
淡「運転士さん、ばいばーい♪」テーフリフリ
バイバイ
菫「気のいい運転士さんだったな」
尭深「淡ちゃん可愛いですから」
照「思い出した。二俣尾ってなんだか覚えのある響きだと思ってたんだけど、ここってIQ84だ」
誠子「IQってあのIQですか?」
照「うん。尭深も知ってるかな?」
尭深「IQ84、村上春樹ですよね.....あ、二俣尾!」
照「さすが尭深」
淡「ねぇねぇ何の話~?」
尭深「えっと、村上春樹の小説の舞台にここが使われていたよねっていうお話」
淡「へー、知らなーい」
菫「文学少女にしか分からない会話だな」サッパリワカラン
誠子「はい、改札です。この機械で清算して下さいね」
照「へー、カード―リーダーだけなんだ。自動改札があるのかと思った」
誠子「自動改札は人の流れを制御する目的もありますから、この辺だと必要ないでしょう?」
照「言われてみればその通りだね」
淡「見て見て、ボロッちー案内図があるー」
菫「どれどれ、吉川英治記念館は........んー? ないな」
尭深「ありますよ。ここです」スッ
菫「あ、ここか。ど真ん中なのにここだけ文字が消えかかってて見落としたよ」
照「多分、来る人来る人みんなそこを指で触れたんだろうね」
誠子「ですね。この辺りだと先ずは吉川英治記念館でしょうから」
淡「橋を渡って直ぐみたいだねー。行こう行こう!」
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菫「ふう、結構歩くな」
淡「地図だとすぐだったのにぃ」
誠子「あくまでも略図ですからね。事前に調べた所では駅から15分程だそうですよ」
照「略図だと橋渡って直ぐ左折だったけど、さすがにここは曲がらないよね?」
尭深「多分、あの正面に見える信号まで行くんじゃないでしょうか」
誠子「そうだね、行こう」
テクテクテク
照「誠子、つり具の看板出てる」
誠子「本当だ。でも閉まってますね」
菫「連休だし、こういった普通の感じの店はお休みだろうな」
淡「交差点に着きましたっ」
照「左手に菫の家発見」
菫「はぁ?」
尭深「ふふ、ひろせ歯科クリニックですね」
菫「いやいや関係ないから」
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淡「まだぁ?」
照「もうすぐもうすぐ」
誠子「あ、あの駐車場そうじゃないですか?」
菫「吉川英治記念館って書いてあるな」
尭深「つ、着きました」ハァハァ
照「尭深、体力なさすぎ」
菫「中学生以下とはたまげたな」
誠子「沢登り大丈夫かなぁ」
尭深「うう.....」
淡「たかみーさんをいじめちゃダメでしょ」カバイー
尭深「ありがとう、淡ちゃん」ニコッ
照「記念館に入る前に、そこのおみやげ屋さんで一息入れてから行こうか」
誠子「そうですね」
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淡「ぷはーっ、生き返った~♪」
尭深「まさに一服の清涼剤」
誠子「大袈裟だなぁ」
淡「テルーと弘世さんは?」
誠子「お店の中見てくるって」
ガラッ
誠子「あ、戻ってきた。何かありました」
菫「いや、冷やかしだよ。さすが青梅と言うだけあってこの辺りは梅が売りなんだな」
照「吉川英治もこの地で紅梅を愛でて過ごしたって言うくらいだから」
淡「私、宮本武蔵なら読んだ事ある~」
尭深「私は色々読みましたけど、お気に入りは私本太平記でしょうか」
誠子「吉川英治の作品って歴史ものばかりですよね」
照「お堅いイメージの文学ではなくてあくまで大衆小説。誰にでも読みやすく記憶に残る名作が多い作家」
菫「読まないまでもタイトルは知っているな。さて、では行くとしようか」
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淡「テルとたかみーさんまだ来ないねー」
菫「どんだけ好きなんだよあいつら」
誠子「展示されてた原稿を、目を皿の様にして読んでいましたからね」
菫「まぁ好きな人にはたまらないんだろうが」
淡「でも建物は立派ですよねー」
誠子「ここで晴耕雨読の暮らしをしてたなんて、ちょっと羨ましい気もするなぁ」
菫「しかしあれだな。ここまで来る途中、食事できるような店は見かけなかったぞ?」
誠子「そう言われればそうですね。お昼どうしましょうか?」
淡「お腹減ってきたー」
菫「ふむ、まだ二人とも来そうにないし、ちょっと記念館の人に尋ねて来るよ」
誠子「すみません、お願いします」
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照「お待たせ」
尭深「お待たせしました」
淡「おそーい」ンモー
誠子「熱心に見てらしたみたいですね」
照「うん、読み出したら止まらないのが吉川英治」
淡「かっぱえびせんみたーい」アハハ
尭深「あれ? 弘世先輩は?」
誠子「今、記念館の人にお昼しに行くお店を聞きに行ってるよ」
照「そうなんだ。この辺お店なかったもんね」
菫「お、ようやく戻って来たな文学シスターズめ」
照「そうそう、尭深と私は仲の良い姉妹なの」ダキヨセッ
尭深「/////」
淡「スミレさんお店見つかりましたー?」
菫「目の前の通りを梅郷まで行くと紅梅苑っていう店があるらしい。バス待ちするより歩いた方が早いと言っていたが」
照「どのくらい?」
菫「15分程だというから、おおよそ駅からここまでと同じ距離だな」
淡「えー、戻るの30分かかるってことですか?」
菫「いや、その店から日向和田の駅が10分もかからない距離らしい」
尭深「二駅戻るという事ですね」
誠子「じゃあ行きましょうか。今11:45ですから、時間的には丁度いいくらいですよ」
紅梅苑
照「ここはお菓子屋さんなんだね。後で何か買って行こう」
淡「メニューが栗おこわ膳しかないよー?」
誠子「レストランというより喫茶コーナーですよね。ちょっとした食事も出せますよ、みたいな」
菫「1550円か、そこそこするんだな」
誠子「ひとまず全員栗おこわ膳ということで、デザートは何か頼みます?」
尭深「私、梅の露にしようかな」
淡「なーにそれ?」
尭深「青梅のジュースだって」
淡「じゃー私もそれー」
菫「私はアイスコーヒーを頼む」
照「おしるこ」
誠子「え、この陽気にお汁粉ですか?」
照「小豆の王者「大納言」に、こうばしい餅を取り合せ、黒糖風味に仕上げた美味な一椀です」
菫「何で読み上げた」
照「お汁粉の魅力を伝えたかったから?」
淡「疑問形w」
誠子「わかりました。それじゃあ私は水ようかんで。すみませーん」
ハーイ タダイマー
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JR日向和田駅
尭深「丸太の駅舎♪」
菫「そんなにお気に入りなら1枚撮っておこうか」
照「デジカメなんて持って来たんだ」
菫「実際、携帯で十分なんだが折角の遠出だからと思ってね。ほら、みんなその辺に並んで」
淡「はーい」
誠子「OKです」
菫「よーし、撮るぞー。 ぴっ、ぴかちゅー」
淡・照・尭・誠「ぴかちゅ~♪」
パシャッ
照「出た、ぴかちゅーw」
誠子「なんでぴかちゅーなんですかw」
菫「え? 普通だろう?」キョトン
尭深「可愛いですよねピカチュウ」クスクス
淡「ぴかぴー、ぴかぴかー?」
菫「ほらみろ、ぴかちゅーだって普通だよって言ってる」
照「言ってないから」オナカイタイ
誠子「面白すぎます」クルシイ
淡「スミレさんはポケモン好きなんですかー?」
菫「いや、そーじゃないけど、写真撮るとき普通に言うだろう?」
誠子「初耳です」
照「どこのオーキド博士かと」
菫「なっ、うちでは昔っからぴかちゅーなんだよっ///」
尭深「あの、電車来たみたいすよ」
淡「わー、急がなきゃー」
照「菫のせいで危うく乗り遅れる所だった」
菫「なんでだよっ」
---------
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ガタンゴトン
淡「さー、もっかい二俣尾駅に来てここからまた知らない世界ですっ」
菫「かじりつきだな」
誠子「でも見ていると楽しいじゃないですか」
尭深「お客さんも少ないですし、恥ずかしくないです」
照「なにこれ、ぐんばた(軍畑)って読むのかな?」
誠子「いくさばたですね。古戦場だったとか何とか」
ガタンゴトン
菫「山間を切り通すような緑の壁になってきたな」
尭深「こういう雰囲気すごく好きです」
淡「ぐねぐね~」
誠子「で、まただんだんと開けて来る」
照「そしてー、今度の駅はー?」
淡「沢井っ!」
2フンテイシャシマス
菫「単線だから時間調整かな?」
誠子「ですかね」
尭深「ちょっと座席に戻りますね」
菫「私も戻ろう」
誠子「宮永先輩は良いんですか?」
照「うん。結構見てて飽きないから」
淡「ねー♪」
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菫「おっ、御嶽駅だって。おんたけ山か?」
尭深「みたけ山ですね。信仰の山です。法螺貝を持った山伏姿の人たちがいるらしいですよ」
菫「それは見てみたいな」
ガタンゴトン
淡「せーこっ、奥多摩まであと駅いくつー?」
誠子「えっと、5つ位かな? 次が川井で、古里、鳩ノ巣、白丸、奥多摩だったと思う」
照「またトンネル」
淡「トンルネから落石避けのコンボでーす♪」
誠子「で、弘世先輩曰く緑の壁」
照「んー、本当に飽きない」
淡「のどかだね~」
誠子「またトンネルですね」
照「照明の間隔が広くなっててさらに暗い。出る瞬間の眩しさっ」
淡「あー、貨物列車が停まってるー」
誠子「単線ならではの信号待ちだね。すれ違い用の退避線路だ」
照「で、川井駅に到着」
淡「わー、すごいすごい! ねーねー、たかみーさんもスミレさんも見て見て! おっきな橋が見えるー」
菫「んー?」
尭深「あ、ホームの反対側、近代的な吊り橋がありますね。大きい」
照「後背の山並みと相まって絶景」
誠子「ここはちょっとした撮影スポットかも知れませんね」
淡「あの橋が掛かってるのが多摩川?」
誠子「そうだね。で、この線路がこれから跨いで行くのが大丹波川って言って、国際マス釣場があるんだよ」
照「さすがに詳しい」
ガタンゴトン
淡「トンネルばっかりになって来たねー」
誠子「それだけ山深くなってきたってことさ」
照「奥多摩ーって感じになって来た」
淡「あっ! なんか線路を横切ってったよ!」
誠子「動物?」
照「分からない。見逃した」
淡「なんだろう?」
誠子「この辺だと狸とかはいそうだけれど」
照「分かった。ぴかちゅーだ」
淡「それだっ!」
誠子「現れちゃいましたか。野生のぴかちゅーが」
ドッ wwww
菫「聞こえてるぞー」
---------
------
---
淡「白丸駅だって。面白い名前~」
照「停車位置の目の前にトンネルとか珍しい」
誠子「この次が終点の奥多摩だよ」
淡「長い旅路でしたっ」
照「30分そこそこだけどね」
尭深「弘世先輩」
菫「ん?」
尭深「駅舎の所に熊注意のポスターがありましたけど....」
菫「熊!?」
誠子「あ、この辺はたまーに出るらしいですよ」
照「クマとかムリ過ぎるでしょ」
淡「死んだふりー♪」
ガタンゴトン
淡「トンネル~、おんも~、またトンネル~」
照「ふたつ目はちょっと長いね」
淡「そだねー。そろそろおんもかなー?」
照「.........」
淡「.........」
照「長い」
淡「暗い」
照「ん? あの正面の光は出口?」
淡「遠いねー」
誠子「このトンネルは都内では一番長いらしいですよ。他県に続いちゃうトンネルは別としてですけど」
照「そうなんだ。通りでね」
淡「抜けた~」
誠子「そして終点の奥多摩駅です。お疲れ様でした」
淡「ばってんマークで線路が終わってるー」
JR奥多摩駅 駅前ターミナル
淡「正面にバスが沢山!」
照「振り返れば駅舎も立派」
菫「山小屋というかロッジ風の駅舎だな」
尭深「西東京バスサービスステーション。ここからバス?」
誠子「うん。でもその前に買い出しして行くから、まずはこっち」
淡「おっかいっものー♪」
照「初日のメニューは何だっけ?」
菫「カレーだろ」
尭深「定番で安心のカレーですね」
淡「カレー大好きっ♪ 誰が作るの?」
照「私サラダ担当」
尭深「スープ担当です」
誠子「私は炊飯とテーブル等の準備を。屋外での予定なので」
淡「じゃあカレーはスミレさんね。私はみんなの手伝いする~」
菫「私か」
照「ギブ?」
菫「ハッ、カレーくらい何の事はない」
誠子「宜しくお願いします」
スーパー小川
照「わ、結構、学校近辺のスーパーと変わらない」
菫「いや、むしろ広くないか? キャンプ・バーベキュー用品他、雑貨も充実だってさ」
淡「それじゃあ買い物開始~。最初は何処からいこーかー?」
誠子「担当ごとに分かれる前にルーだけ選びに行こうか」
尭深「そうだね。ルーはあっちみたい」
スタスタスタ
淡「わー、色々あるねー」
照「これとか?」
誠子「レトルトです」
菫「これは?」
尭深「レトルトです」
淡「テルーとスミレさんは失格なのでカゴを持つ係になりました」
照・菫「」
誠子「ジャワカレーとか、野趣溢れる感じで良くない?」
尭深「うん、ルーにはそれほど違いはないと思うしフィーリングで決めて良いんじゃないかな」
誠子「辛口、甘口、中辛、どれにします?」
照「甘口」
菫「どれでも」
淡「中辛!」
尭深「辛口」
誠子「え? どっち?」
菫「間を取って中辛だな」
淡「いえーい!」
尭深「ルーが決まったら次は具材選び」
誠子「先ず主役を決めないと。肉か野菜か魚介で行くか。肉系ならビーフ、ポーク、チキンどれにするか」
淡「ビーフ!」
尭深「牛肉はコクが出て美味しいよね」
照「じゃがいもと人参はゴロゴロしてるべき」
菫「マッシュルームとか合うんじゃないか?」
誠子「淡ちゃん人参は平気?」
淡「カレーの人参は平気! 野菜スティックとか生系は苦手~」
照「あと林檎と蜂蜜に恋をさせると良いらしい」
尭深「バーモントカレーですよね?」
菫「お前、さり気なく甘口に持って行こうとしてるだろ」
照「そんなことないアルヨ」
誠子「どっちなんですかw」
淡「隠し味ってヤツだよねー」
照「それそれ。隠し味は大事」
尭深「素人が嵌る罠とも言いますけど」ボソッ
照「ん? なんて?」
尭深「いいえ」
誠子「せっかくの機会ですから、一人一種類ずつ隠し味になるものを持ち寄りましょうか?」
淡「それいいっ! で、で、食べてみて何が入ってるか当てるの!」
照「楽しそう」
尭深「いいかも知れませんね」
菫「余興だな。レギュレーションは?」
誠子「んー、まぁ当然カレーの隠し味として余りにも論外なのはナシですね」
尭深「美味しくするためのチョイスなら何でも良いと思います」
照「それじゃあサラダの材料を見ながら何かないか探してみる」
菫「ベビーリーフを洗うだけとかはサラダとは言わないからな?」
照「あのね、菫は私を何だと思ってるの? 私だって目玉焼きやサラダくらいは作れるのっ」
菫「はいはい、期待してるよ」
照「」ムゥ
淡「テルー、私もサラダの野菜選びするー♪」
照「じゃあ一緒に回ろうか」
淡「うん!」
尭深「あ、私も一緒に。サイコロスープ作ろうと思うので、野菜が被らないように」
誠子「ならカレー用の玉ねぎ、人参、ジャガイモは私が買っておきますんで」
照「了解」
菫「そうなると私は何をすれば?」
誠子「それじゃあデザート用にフルーツを何種類か見繕って頂けますか?」
菫「了解した」
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照「尭深はスープに何使うの?」
尭深「えっとですね、大根とトマトとパプリカと、後はカレー用の野菜を兼用で肉っ気にはベーコンですね」
淡「私ベーコン大好き~♪」
尭深「美味しいよね。宮永先輩は何サラダを作られるんですか?」
照「何にしようかな。あんまりおんなじ野菜ばっかりだとアレだし......あ、シシリアンルージュがある」
淡「イタリアントマト~♪」
照「よし決めた。シーザーサラダにしよう」
尭深「パルメザンチーズたっぷりのサラダですね」
照「そ、チーズとロメインレタスが主役。でシシリアンルージュを添える。二人ともチーズは平気?」
淡「うん!」
尭深「むしろ好きです」
照「菫はどーでもいいとして、誠子はチーズ平気かな?」
尭深「どうでもってw 誠子ちゃんは好き嫌いないって言ってましたから、大丈夫だと思いますよ」
淡「そうだっ、テルー、私ちょっと隠し味買ってくるねっ」スタスタッ
照「あ、そうだった。隠し味何にしよう。一種類だから林檎と蜂蜜は無理だし....」
尭深「私は決まっていますし、野菜選びも一段落つきましたから、先輩色々見て回ってきていいですよ」
照「そう? じゃあロメインレタスだけ葉物のコーナーで探しておくね」
尭深「はい」
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誠子「よし、カレーの材料はお肉以外OKだ。隠し味も定番のにんにくに決めたし」
淡「せーこ発見!」
誠子「お、淡ちゃん一人?」
淡「ちょっと隠し味をゲットしてきたの」
誠子「じゃあまた戻るところ?」
淡「うん」
誠子「なら先輩たちに、私はお肉買ってレジに行くからって伝えておいてくれるかな?」
淡「ラジャー!」ケーレー
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菫「フルーツは値が張るな。苺とかは手が出ない.......これはもう缶詰コースか? お? 尭深っ」
尭深「あ、弘世先輩。フルーツですか?」
菫「ああ、亦野に食後のデザートにフルーツをと言われてな。しかしまぁお高い。今のところバナナだけだ」
尭深「こっちの方にパックじゃなくてバラ売りのフルーツが並んでいましたよ」テクテクテク
菫「そんなコーナーがあったか」テクテクテク
尭深「これです」
菫「お、キウイいいな。ゴールドと2種類買おう。あとは林檎に」
尭深「あ、プレーンヨーグルトを買ったので、それと合うフルーツとかも良いですね」
菫「なるほど。何があるかな....と、こっちは別コーナーか」
尭深「ベリー系ですね。ラズベリーとかブルーベリーなんて良くないですか?」
菫「このレッドカラントってのいうも透明感があって綺麗だな」
尭深「赤すぐりですね。飾り系なので美味しいかどうかは人によると思います」
菫「そうなのか」
尭深「X'masとかお菓子のトナカイさんの鼻なんかに使われます。黒すぐりはカシスで馴染み深いですよね」
菫「カシスか、へー知らなかったな。取りあえずラズベリーとブルーベリーを買って切り上げるとしよう」
尭深「あの、隠し味は買いましたか?」
菫「ああ。フルーツコーナーに来て目に付いたものがあったから、それを買っておいた」
---------
------
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照「よし、決まり。カレーに入れるならビターチョコでいいよね」
淡「あー、テルー発見!」ズルッ
スッテンコロリン
照「ちょっと、大丈夫?」
淡「すべった~」イテテ
照「お店の中で走るから。はい、立って」グイッ
淡「ありがとー」
照「? なんか床に散らばってるけど」
淡「!? あーっ」
照「何これ? アーモンド?」
淡「袋破けちゃったぁ、え~ん」
照「とにかく拾っちゃお」ヒョイヒョイ
淡「うん」
照「でも何でアーモンド?」
淡「....おやつ」
照「珍しいものが好きなんだね。アーモンドチョコとかじゃなくて、アーモンドそのものなんだ」
淡「うん」クスン
照「?」
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みんなの隠し味チョイス
誠子:にんにく
尭深:ヨーグルト
淡:アーモンド
照:チョコレート
菫:???
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西東京バス 奥多摩湖停留所
シュッタッ
淡「着きましたー♪」
照「誠子、今何時?」
誠子「なんやかやで14:30ですね」
尭深「寮はどちらでしょう?」
菫「少し戻って湖沿いを歩いて行けば....あ、あそこにダムが見えるだろう。あの辺りの筈だ」
淡「ん~、風が気持ちいいねー♪」
照「湖面に光が乱反射して綺麗」
---------
------
---
ザッザッザッ
菫「ここだ」
照「こんなだったっけ?」キオクニナイ
誠子「結構いいじゃないですか。木造の白い建物に赤い屋根」
尭深「少し古びた感じも味わい深いです」
淡「向こうで何かやってるみたいだよー」
菫「あそこはテニスコートだから、テニス部が練習しているんだろう」
照「先ずは寮監さんに挨拶」
誠子「ですね。自転車部が荷物を下ろしてくれてると思いますし、受け取りに行きましょう」
淡「れっつごー!」
2F角部屋
菫「ここだな」
照「荷物運んどいてくれたって言ってたし、後で自転車部にお礼言いに行かないと」
誠子「ですね」ガラッ
淡「わー、湖が全部見渡せる~♪」タタタッ
尭深「2段ベッドが3つ、6人部屋ですね。あ、隅に荷物がまとめられています」
菫「真ん中のベッドを片側に寄せてスペースを作らないか?」
照「動かせるかな?」オモソウ
誠子「女子でも5人いれば何とかなりますよ」
尭深「え....」
淡「はーい、みんな位置についくださ~い♪」
菫「両端は私と亦野かな」
誠子「OKです」
照「押すよー?」
淡「合図するね。いちにぃの~、さん!」
グッ ズズーッ
尭深「はいっ、あっ」スカッ ドテン
照「ちょっ、尭深が転んでるw」アリエナイ
誠子「スカッて音がしたしw」コロビカタ
菫「みんないちにのさんで押してるのに一人だけいちにのさん、はい、で押そうとしたなw」マルッキリコントダヨ
淡「いざ押そうとしたらベッド動いてましたみたいなw」カワイイ
尭深「す、すみません/////」ハズカシイ
照「だめっ、笑いすぎて押せないww」
誠子「これはちょっとインターバルが必要ですねw」フッキンガ
菫「あんまり笑うなよ、可哀想だろうw」
淡「スミレさん堪えきれてないしw」
尭深「えーん、やだもー/////」カオカクシッ
---------
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---
菫「ふぅ、これで中央のスペースを広々使えるな」
照「ベッドずらすだけで大騒ぎだったよね」チラッ
誠子「いい土産話が出来たじゃないですか」チラッ
尭深「も、もう良いじゃないですか///」ミナイデッ
淡「たかみーさんの真似~」ドテン ゴロゴロ
ドッ wwww
尭深「そんなに転がってないもんっ!」ンモー
照「淡、せっかく人が我慢してたのに」
誠子「あー、笑いすぎて喉乾いちゃったよ」
菫「正に笑い疲れだな」
尭深「あ、荷物の中に冷たいお番茶を用意してあるので、今出しますね」ハナシカエナキャ
淡「ありがとー、ちょうどノド渇いてたんだー♪」
照「そうだ。紅梅苑で買ってきた紅梅饅頭を出そう」ガサガサッ
菫「ほう、あれだな。広島の紅葉饅頭っぽいんだな」
誠子「あ、私、先に寮監さんの所へ行って貸し出して貰える機材とか確認してきますね」
照「なら私も行く。誠子に任せきりは悪い」スクッ
誠子「そうですか。では行きましょうか」
ガラッ
スタスタスタ
照「誠子」ハイオマンジュウ
誠子「何ですか?」アリガトウゴザイマス
照「今日やるから」
誠子「! 初日から行きますか」モグ
照「楽しんだ後にやるよりやってから楽しんだ方が良いでしょ?」
誠子「それは確かにそうですね」
照「監督からはボコボコにしろって言われてるから、掛け値なしの全力で」
誠子「もちろん手は抜きませんけど、初顔合わせですからどう転ぶかは分かりませんよ」
--- 回 想 ---
監督「そう、大星さんを誘って寮泊ね。まぁ良いんじゃない?」
照「はい」
誠子「こちらに向こうでの予定をまとめておきました。あと全員の緊急連絡先も」スッ
監督「ふむふむ」
照「よろしいですか?」
監督「我が麻雀部は年間通じてまともに休めるのは年末年始とこの連休位だ。よろしいに決まってるけど」
誠子「?」
照「何か?」
監督「率直に言うと、大星淡の鼻っ柱をへし折って欲しいのよね」
誠子「え?」
照「向こうで対局をしろと?」
監督「うん。何局かでいいよ。但し、その何局かで力の差を理解させること」
誠子「中学生相手にちょっと可哀想じゃないですか?」
監督「特待枠に引っ掛かってる娘だよ? 下手すりゃ宮永以外は負け越してもおかしくはない」
監督「私たちのいる世界で麻雀が強いってのは絶対よ。亦野、あんた先輩(笑)でやっていけるの?」
誠子「......」
監督「私はね、今度の話を聞いた時、軽く電気が走ったわよ」
誠子「電気....ですか?」
監督「ぶっちゃけ、亦野と渋谷には先々トップチームに加わるだけのポテンシャルがあると思っている」
監督「そして、部長から話があったと思うけど、弘世も夏に向けて休み明けから使って行く」
監督「そこへ加えて鬼が笑う話ではあるけれど、来年は大星淡が入ってくる。となれば見えてこない?」
照「今夏を勝って、来年この面子で三連覇」
誠子「!」
監督「そう。夢ではあるけれど、人生夢を追ってナンボでしょ? 私もその夢にあやかりたい」
誠子「その為に大星さんを凹ませるという事ですか?」
監督「言ったでしょ、麻雀が強いってのは絶対。貴女たちにはしっかりと彼女の信頼を得て欲しいの」
-----------------
誠子「淡ちゃん、そんなに強いんですか?」
照「打てばわかるよ」
誠子「アドバイス無しですか」
照「監督は私たち全員を試してるんだから」
誠子「仲良くなりたいんですけどね」
照「もう仲良くしてるでしょ」
誠子「行きはよいよい帰りは恐いじゃ困りますよ」
照「誠子は心配し過ぎ。卓に着いたら勝つことだけを考えればいい」
誠子「分かりました」
ガラッ
照「戻った」
淡「おかえりテルー」
菫「遅かったな。貸し出しの件はどうだった?」
誠子「はい、バーベキュー用の機材も貸してもらえるそうなので、明日の晩はそれで」
尭深「楽しみだね」
照「あと、寮のお風呂もう入れるって」
菫「お、有難いな。今日は暑かったし、汗を流してサッパリしたいと思っていたんだ」
淡「じゃー、お夕飯前にみんなでお風呂だね~」
誠子「テニス部と自転車部はまだ練習から戻ってないみたいですから、今の内ですね」
菫「よし、サブッと入って来よう」スクッ
---------
------
---
カポーン
菫「ふ~っ、汗を吸った髪からようやく解放された」
尭深「ロングはお手入れ大変じゃないですか?」
菫「んー、昔からこうだから別段どうという事もないんだが、サッパリ短くするのも悪くはないな」
尭深「だ、だめですっ」モッタイナイ
菫「? そうか」
照「菫のナイトキャップ姿は可愛いよ」
淡「あはっ、見て見たい~」
菫「可愛いとかいうな////」
誠子「私も以前は伸ばしてたんですけどねー」カタクライマデ
照「それが何でベリショ?」
誠子「釣りをしてると日除けに帽子をかぶるんですけど、髪が長いと通気性の良い帽子でも蒸れちゃって」
菫「それはそれで亦野らしい理由だな」
淡「釣り>女の命、だね♪」
照「げふんげふん」
菫「なんだそれ?」イブカシイ
尭深「宮永先輩どうかしたんですか?」
照「さっき寮監さんと話してて、寮の設備の事とか聞いてたんだけど」
淡「なーに?」
照「屋上に上がる3階部分に一室だけ私たちが泊まってるくらいの部屋があるんだって」
菫「ほう、それで?」
照「うん。そこが遊戯室になってて、卓球台やビリヤード台、おと麻雀卓なんかも置いてあるらしい」
淡「麻雀!」
誠子「それじゃあ夕食を済ませた後にでも行ってみますか」
尭深「そうだね」
---------
------
---
トイレ
菫「で、さっきの無理やりな話の切り出し方は何の前振りなんだ?」
照「別に無理やりじゃない」
尭深「気になります。何かあるんですか?」
照「今晩、監督命令で淡をボコボコにする」
菫・尭「は!?」
照「今晩、監督命令で淡をボコボコにする」
菫「オウムかおまえはっ」
尭深「聞いてませんそんな話....」
照「うん、今言ったから」
菫「意味が分からん」
カクカクシカジーカ
菫「いや、いやいや、話は分かったが何故それを今言った?」
照「サプライズ?」
尭深「必要ないですよね、そのサプライズ」
菫「まったくだ」
照「誠子から聞いてなかった?」
尭深「聞いてません」
照「...........あ」
菫「なんだよ?」
照「そう言えば誠子には私から話すって言ったんだった」ワスレテタ
尭深「忘れちゃダメですそこっ」ダイジダイジ
菫「おちょくられてる気がするんだが」
照「とにかく喫緊の課題ということで、よろしく」
菫・尭「」
調理室
淡「みんなおそーい! 私とせーこで準備してたよ~」
菫「すまんすまん、照が長くてな」
照「ちょっと」コラッ
尭深「長かったです」
照「えっ」タカミマデ
誠子「材料は各所に分けておきました。宮永先輩はあちらでサラダを。尭深はそっちでスープね」
照「了解」
尭深「うん」
菫「で、私はカレーか」
誠子「あ、最初の炒めるとこは私がやりますので、そこのテーブル淡ちゃんと外に運んで貰えますか」
菫「そうか。淡ちゃん」
淡「はーい♪」
誠子「あと、カレーの隠し味をどの段階で入れるか教えといて下さい。私のは玉ねぎを炒める段階です」
淡「あー、私もおんなじかもー」
照「私は煮込み始めてからかな」
尭深「私もです」
菫「私もかな」
誠子「了解です。それじゃあ順次入れに来て下さい。その間私は鍋から離れますので」
トントントン クツクツクツ
照「尭深は手際良いね」
尭深「母が忙しい時に良く作るんです。何でも賽の目に切ってお鍋に放り込むだけなんですよ」
照「へー。私も週末帰っても母親居ないこと多いから、多少はできるようになったけど」
尭深「実は得意料理は別にあるんです」
照「そうなの? 何作るの?」
尭深「そうですね。例えば豆腐の煮しめですとか」
照「渋い」
尭深「あとは茶飯にけんちん汁」
照「和食派だ」
尭深「鮒飯や泥鰌鍋なんかも」
照「どじょうって.........あ」
尭深「わかりました?」
照「だったら私も根深汁くらいは作れる」
尭深「さすがです」
照「池波正太郎は読むとお腹がすくよね」
尭深「はい。映像化も盛んで、見るたびに食べてみたいって、それが高じて」
ガラッ
菫「おーい亦野、灯りはどうするんだ?」
誠子「あ、ここにキャンプ用のLEDランタンがあるんで持って行って下さい」
菫「用意周到だな」
淡「スイッチこれー?」パチッ
菫「まぶしっ」
誠子「レベル調整できますから」
淡「ほーい」ポチポチッ
菫「世の中便利になったものだな」
誠子「淡ちゃんはそろそろ隠し味入れに来て」
淡「おっけー♪」
菫「それが済んだら交替かな?」
誠子「そうですね。外の準備は私が代わります」
---------
------
---
ピピッ
淡「ご飯が炊けましたー♪」
照「サラダOK」
尭深「スープOKです」
淡「炊飯器、コンセント抜いて外持ってっちゃっていーの?」
誠子「うん、いいよ。あとはカレーですけど、先輩どうですか?」
菫「ちょっと待ってくれ」カチャカチャ
照「掻き混ぜすぎ」
菫「いや、煮込み具合が良く分からなくてだな」
尭・誠「.......(大丈夫かな)」
菫「よしっ、まぁこんなものだろう」
---------
------
---
誠子「食器も並んで準備完了ですかね?」
照「サラダは各自取り皿に取ってね」
尭深「スープはよそってありますので、お代わりの時は言って下さい」
誠子「それでは弘世先輩」
菫「うむ、各自ご飯をよそって順番に皿を持って来なさい」
淡「私いっちばーん!」ハイッ
菫「一番乗りにはビーフをたっぷりサービスしてやろう」ヨソイー
淡「わーい♪」ヤッター
尭深「お願いします」スッ
菫「ご飯の量少なくないか? ちゃんと食べないと持たないぞ」ヨソイー
尭深「お、お代わりしますので」
誠子「私は大盛りでっ」
菫「おまえは盛りすぎだろう。普通によそってお代わりしろと」ヨソイー
誠子「山盛りが良いんじゃないですか」
照「ふつーで」
菫「照にはサプライズのお礼をしなくちゃな」ヨソイー
ゴロン
照「え?」ナニコレ
誠子「はい、それじゃあみんな席に着きましょう」
照「」ナンダロコレ
淡「たかみーさんのサイコロスープおいしそう♪」
誠子「具沢山だね」
尭深「食べるスープだよ」
菫「照のサラダもチーズてんこ盛りで美味そうだな。意外とやるもんだ。これはレタス?」
照「ロメインレタス。シーザーサラダの主役」
誠子「確かに美味しそうですね。....さて、問題のカレーですけど」
菫「何だどうかしたのか?」
淡「まだ何も言ってないよー」
照「私と尭深が面取りしたジャガイモが見当たらないんだけど?」
菫「ああ、なんか知らんが溶けた」
尭深「煮崩れしたんですね」
誠子「最初、しばらく水にさらしておかないと」
菫「心配するな。入ってることに違いはないんだ」
尭深「? 葉っぱが入ってます」
菫「当たりだ。お代わりしていいぞ」ヨカッタナ
照「月桂樹の葉っぱはよそう前に取り除こうよ」
淡「ねーねー、さっきから気になってるんだけど、テルのお皿に入ってるデッカイの。それなぁに?」
菫「隠し味だ」
誠子「いや隠れてないですよね?」
尭深「すごく、大きいです」
淡「えー、なんだろ? わかんない」
照「果物系なんだろうけど」ツンツン
尭深「林檎でしょうか?」
誠子「カレーに果物と言えば林檎くらいしか思いつかないなぁ」
菫「なんだ降参か?」フフン
淡「こーさーん! 教えて~」
菫「桃だ」ドヤァ
照・誠・尭「桃っ!!?」
菫「昔桃が入ったカレーを食べた気がするんだよ。美味しかったんだそれが」シミジミ
照「気がするって.....」
淡「まるごと入れちゃうとかおもしろいw」
照「桃はちょっと...」チラッ
誠子「あ、あはは、まぁ特別で良かったじゃないですか」アハハ....
照(完全に引き笑いだ........尭深は)チラッ
尭深「むりです」メーソラシー
照(コンマ1秒の差で視線を外された!?)
照「誠子お願い」ウルウル
誠子「何とかしたいのは山々ですが、私にも限界はあります。それがカレーにブチ込まれた桃なんです」
照「........」エグエグ
菫「もういーだろうおまえたち。文句があるなら食べてから言え! さぁ頂きますの時間だっ!!」
イタダキマスッ!!!
尭深「!!?!」
淡「こっ、これは」ヤクイッ
誠子「ルーを口に含んだ途端、嗅いだだけでは感じられなかった桃の香りが広がってくる、だと!?」
照「これ桃すぎる....」
淡「口の中を縦横無尽に行き交うカレーと桃の芳香バトル! スパイシーなカレーが何故か桃と互角っ!」
尭深「桃は桃のままに食後のデザートにするという選択肢に何故思い至らなかったのかが謎すぎます」
淡「てゆーか、テルがスプーンで桃の死骸をツンツンしてる姿が圧倒的にシュールなんだけどww」
照「死骸とか言わないで」ナミダメ
菫「なるほど、概ね不評だな」
誠・尭「当たり前ですよね」
淡「どーすんのこれ? どーすんのよ、みたいなw」
菫「別に不味くはないだろう」パクパク
照「確かに舌で感じる不味さではないけど、桃の香りがカレーとマッチしないにも程がある」
菫「桃も林檎も変わらないだろ。食べろって」
誠子「しかし桃1個でここまでの破壊力とは」
菫「いや、2個パックだったから、1個は果汁だけ絞って入れたんだ。照が甘口好きだって言うし」
照「人のせいにするのやめようね?」
淡「他の隠し味なんて当てられっこないレベル。全部桃に持ってかれたw」パクパク
照(仕方ないサラダで口直しを)ハムッ
照(!! しまった。桃の香りが充満した口内にパルメザンチーズは厳しすぎる! ス、スープ!)ゴクッ
照「!!?! 辛いっ!」
尭深「あ、辛いの好きなので鷹の爪を3本ほど入れちゃいました」テヘ
誠子「3本!? 1本で十分だよね?」
照「はひっ、はひひっ」← 甘党
淡「テルー、お水~」ハイッ
照「あひはとっ」ゴクゴクッ
菫「大変だな」
照「誰のせいだと?」ギロッ
菫「おお、こわいこわい」
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誠子「いやー、桃カレーには参りましたねー」
照「このまま永遠に食休みしていたい」
淡「けっこー美味しかったよ~?」
尭深「最初は戸惑いましたけど、食べられました」
菫「そうだろうそうだろう。照は味覚が子供なんだよ。お菓子ばっかり食べてるから」
照「何で私が叩かれる流れなの」シャクゼントシナイ
誠子「まだ19時前ですし少しのんびりしますか?」
尭深「お茶注ぎますね」
照「誠子、明日は何時起き?」
誠子「そうですね、6時くらいに起きて、軽く朝食を取ったら出発の予定です」
淡「残り物は厨房の冷蔵庫に入れてあるもんね」
菫「昼食は釣果次第だったな」
尭深「釣れるかな....」
誠子「ビギナーズラックに期待だね」
照「明日6時なら、19時になったら遊戯室に行こうか」
淡「麻雀!」
菫「そうだったな。お茶飲んで一息ついたら行くとしようか」
小腹が空いたのでちょっと休憩します
再開~
3F遊戯室
ガチャ
淡「真っ暗。だれもいないねー。電気はここかな?」ポチッ
チカチカ パッ
誠子「ベッドがない分私たちの部屋より広く感じますね」
尭深「雀卓は......あ、あの隅っこのがそうですね」
菫「これは年代物だな。当然自動卓でもないか」
照「牌も象牙と竹だね。手掘りみたいだし、結構価値ありそう」
淡「へー、私自動卓じゃないのって初めてかも♪」
尭深「あ、こっちにも予備の牌ケースがありますよ」カタッ
菫「これまた年季の入ったケースだな」パカッ
誠子「うわ、木牌だ。初めて見た」
淡「ほんとだ~、白くない牌なんて見た事なーい」
照「何だろ」サワサワ 「鉄刀木かな? すごく硬い」
淡「たがやさん?」
照「紫檀や黒檀よりも固い木質の木。でも私もこんな牌は初めて見た」
菫「象牙の牌は竹の背に割れが入ってる物のもあるようだし、こちらの牌を使おうか」
尭深「ですね。木牌で打ってみたいです」
誠子「象牙牌の方は赤ドラありますけど、こっちはないんですね」
淡「テルー、打つ順番はどーするー?」
照「私たちはいつでも打てるから、淡は打ち続けでいいよ」
誠子「こっちは一人ずつ代わりながらですね」
菫「明日は早いし、東風戦でいいよな?」
照「そうだね」
尭深「東風戦なら4回戦しても時間は充分にありますね」
淡「やろーやろー♪」
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1回戦 起家:誠子 南家:淡 西家:菫 北家:尭深
淡「牌積むのって結構むつかしいねー」
誠子(のっけから宮永先輩が抜けるのか。タチ親だし、様子見より和了りを目指すべきだけど....)
菫(ターゲットの下家か。鳴くタイプの亦野が上家だと淡ちゃんのツモが増える訳だが....)
尭深(東風戦だとオーラスまではあっという間。緒戦は落としたくないけど、どうしよう)
淡「? どーしたのー?」
誠子「あ、ごめん。それじゃあ一打目を」トン
淡「いきなりそこw 手が早そー」トン
菫(誠子は東切りか。行けそうなら行って貰ってもいいな。局数が増えれば機会も増える)トン
尭深(字牌がありません。老頭牌も浮いてるのはドラ表示の9萬だけ)トン
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東一局 7巡目
照(誠子は2・3巡目の無駄自摸から何とか流れをつかんで一向聴。選択肢は萬子か索子の両面)
誠子(弘世先輩が2巡目にドラの1萬を切って萬子が安い流れだし、黙で萬子の両面待ちかな)チャッ
誠子(いや待て。鳴きを抑えてるとは言っても萬子で待つならいつもの打ち筋だ。ここは枚数で索子?)
淡「悩み事なら聞きますよー?」ナンテネー
誠子「おっと、ごめんごめん。じゃあこれで」トン
菫「ポン」
淡「とばされた~」
菫「済まないな。手が重いものでね(実際は自摸を飛ばす機会を狙っていたんだが)」トン
尭深(ドラ.....1123萬、4萬待ちの苦しい聴牌形だけどドラの打点上昇がないなら牽制してみようかな)
尭深「リーチ」チャラン
照(他家にドラがないから探りを入れるリーチか。せっかく最初に私が抜けたのにみんな硬いな)
誠子「リーチ」チャラン
淡「わー、親の追っ掛け、たかみーさんピンチだぁ♪」トン
菫(誠子に合わせたなら淡ちゃんはオリか。私ももう無理はできないな)トン
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尭深「自摸です。立直自摸ドラドラ、2000,3900」
淡「逃げ切ったねー」
誠子「流されちゃったか」
尭深「何とかなりました」
菫「次は頂くとしよう」スッ
照「あ、待って」
淡「?」
照「牌譜代わりに写真撮りたいから、みんな一旦手を開いて」
菫「私のデジカメいつの間に」
誠子「OKですよ」
照「ぴっ、ぴかちゅ~♪」パシャッ
淡「出たw」
菫「まだ言われるのかよ」
ドッ wwww
東二局 10巡目
淡「今、絶好のっリーチッ!!」タンッ
菫「ロン!」パララッ
淡「うきゃー!?」
菫「悪いな。平和一盃口は2000だよ」
淡「その待ちって.....狙われてた?」
菫「ふっふっふ」ニヤリ
淡「あー、ちょーくやしい!」ワラワレタッ
オーラス 1巡目 尭深35900 菫24000 淡20000 誠子19100 場供託1000(尭深)
尭深(流れ1本場のラス親。和了りトップならここはスピード勝負です)トン
誠子(3確2確でもここはひとまず淡ちゃんを捲るのを優先で行くべきなのかな)トン
淡(トップまでは届かないかぁ。でもドラ含みだし原点戻しで2位なら肩慣らしには丁度いいよね)チャッ
淡「リーチ!」
尭・誠・菫(ダブリー!?)
誠子「ポンッ」
淡・尭・菫(!!?)
誠子(あっ、しまった。席次忘れて反射的に一発消しの鳴きをしてしまった)トン
淡「きませんでしたー」トン
照(今の鳴き、むしろ良かったんじゃないかな)
菫(ダブリー相手に即座に自摸増やすとかやめてくれよ、まったく)トン
尭深(ダブリー相手の序盤はもう運。喰い下がり期待で誠子ちゃん支援かな。でも南入はしたくない)トン
誠子「チー」トン
淡「えー、なんか猛追されてるんですけどー」トン
菫(亦野は開き直って鳴き散らす気か? 都合よく淡ちゃんの自摸が荒れてくれれば御の字だが)トン
尭深(喰い断でドラ1。あってドラドラくらいかな? この辺でどうだろう)トン
誠子「チー」トン
淡「あわわ、本当に追いついてきそう」トン
照(3副露か)
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誠子「自摸、断幺混一ドラ1は2000,3900」
尭深32000 誠子29000 菫22000 淡17000
淡「びっけになっちゃったぁ!」
菫「私まで捲られたわけだが」
誠子「さすがに尭深には届きませんでしたけど、あと2戦、トータルでの勝ちを狙います」
尭深「負けない」
淡「んもー、たかみーさん鳴かせすぎぃ」
尭深「ご、ごめんね?」
照「菫、交替」
菫「ああ、分かった」
照「写真係お願いね」
菫「了解」
2回戦 起家:尭深 南家:照 西家:淡 北家:誠子
東一局 11巡目
尭深(この手ならそろそろ聴牌したい。宮永先輩に危ない牌だけど、今ならまだ通るかな)トン
菫(お? それは照の和了り牌じゃないか?)
照「」トン
淡(へー、そこ通るんだ。じゃあ合わせとこっ)トン
照「ロン」
淡「へ?」
照「純全三色一盃口、12000」
淡「山越し!? 同じ高目の牌たかみーさん切ってんじゃん!」ガタッ
照「誰から和了るかは私の自由」
菫(連荘パターンとは違う事してるなと思ったが、こいつ露骨に凹ませに行ったな)タラーリ
淡「なにそれずっこい!」ムスッ
誠・尭(く、空気が....)
東二局 照37000 尭深25000 誠子25000 淡13000
尭深(淡ちゃんご機嫌ナナメ。ちゃんと説明してから始めた方が良かったのでは?)チラッ トン
照「リーチ」チャラン
誠子「う、今度は先輩のダブリーですか」トン
淡「追っかけるし」チャラン
尭・誠(2軒ダブリーとか、キツイ....)
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菫(ダブリー2つで良くここまで続いたものだな。もう最後の角へ来たか)
淡(んー? 客風4枚揃っちゃった。どうしよ? 槓したら綾が付きそうだし止めとこっか)トン
誠子(安牌がソールドアウト! 淡ちゃんの河にある牌で何とか凌げるか?)トン
照「ロン。両立直アオ、9600」
菫「照の連荘だな。写真撮るぞー」
パララッ
淡「!? ちょっと! せーこの手牌、テルの安牌あるじゃん! 何で私の方の安牌切ってんの!?」
誠子「あー、どっちかというと両方躱せそうな牌を選んだつもりなんだけど」
淡「振り込んだじゃん!」キッ
誠子「そうだね。ごめんね」
照「淡」
淡「なにさ!?」
照「言葉遣い荒れてる」
淡「だっておかしいもん!」
照「淡は来年うちに来るんでしょ」
淡「そーだけど?」
照「来年身内になる淡がどんな打ち手か、どこまで打てるか知りたいと思うのは当然でしょ」
淡「なにそれ? 試してるってこと!?」
照「解釈は任せるけど、白糸台の麻雀部は身内相手に接待麻雀なんてしないから」
淡「.....分かった本気でやる。100倍返しだかんね!!」
-ゴッ-
東二局一本場 照47600 尭深25000 誠子15400 淡12000
照(空気が変わった。この局は様子を見る)照魔鏡発動!
誠子(あ、この感じ前にもあった気がする。確か新歓で宮永先輩と初めて打った時だったな)トン
淡「リーチ!」タンッ
尭深(また? このダブル立直率は異常。これが淡ちゃんの特性なんだね....)トン
照(配牌5向聴。しかも淡以外全員に圧し掛かってる感じ。支配系.....淡の新しい特性か)トン
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誠子(終盤に差し掛かってやっと1向聴か。淡ちゃんの上家でもやっぱり鳴きたいなぁ)トン
淡(ちょっとまた槓材? んー.....いやいや、しないってばもう!)トンッ
尭深(あ、張った。先輩から怖い感じがしないし、全ツ前提の黙でいいのかな)トン
照(淡の自摸の時何だか変な感じがしたけど、まだ何かありそう?)トン
淡「ロン! ダブリー赤1、5200ね」
照「はい」チャラン
オーラス10巡目 照41800 尭深27100 誠子15100 淡16000
誠子「ポン」トン
菫(ここで鳴いたか。重い手を何とか萬子の混一。嵌張に取らず双ポンにして9萬自摸和了り期待か)
淡(また槓材........さっきはたかみーさんに7巡目でツモられちゃったし、ええいっ槓しちゃえ!)チャッ
淡「カンッ!」
尭深(ドラチャンス増やされた。役牌バックでスタートしたのに和了りが遠くて届きそうにない)トン
照(これだ。さっきの違和感は淡の手に槓材が入ったからな気がする。淡、和了るかな?)トン
誠子(ドラは増えなかったけど、山残読みが大外れでなければ引ける筈っ)チャッ
誠子「ツモッ! 中混一は4000allです」
淡「あーっ! んもぅ! やっぱり槓なんかしなきゃよかったぁ!」ブーブー
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照「ツモ。平和の一本付は500,800」
誠子「軽く躱されてしまいましたか」ザンネン
淡「残り2戦、絶対勝つんだからっ!」
照39600 誠子26300 尭深22600 淡11500
菫「さて、それでは」
誠子「あ、私代わります」
菫「じゃあデジカメを渡しておく」ハイ
淡「ねー、今何時?」
尭深「20:30になるところだよ」
淡「じゃあまだ時間あるし、ちょっと休憩!」
照「うん、そうしようか。淡は居続けで休みなしだからね」
尭深「それでは飲み物を取ってきますね」スクッ
淡「あー、お星さまが良く見えるよー」
菫「ほう、どれどれ」
誠子「都会とはまた違った夜空ですからね」
照「長野の夜みたい」
淡「こんな良い夜に中学生をいじめる高校生がいるなんてねー?」
菫「う.....言われてしまったな」
誠子「ガツンと来ましたね」
照「高校生は中学生を千尋の谷に
菫「やめろ」
照「」
淡「やーい、しかられテルー♪」
照「淡」
淡「ん?」
照「100倍返しはまだ?」
淡「ぎゃーー! んもーっ! んもーっ!」ジダンダッ
菫「おまえ煽るなよっ」ナンテヤツダ
誠子「いじめすぎですよ」カワイソウ
尭深「お待たせしましたー」
3回戦 起家:菫 南家:淡 西家:尭深 北家:照
誠子「では、休憩終了という事で再開して下さい」
菫「うむ、まずは」トン
淡「ポン」
菫「おっと、いきなり鳴いて来たか。攻め手を変える気かな?」
淡「勝つ為なら何でもしますよ~」ヘヘン
尭深(ダブリーなしで門風牌の特急券かぁ。さっきから手が重いし、浮き牌が上手く使えればいいけど)トン
照(対子みっつ。中張牌の対子は崩して間口を広げようかな。あ、やっぱり)トン
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淡(んー、生牌だけど聴牌したいし)トン
照「カン」
淡「へ? 大明槓?」
照「淡、これぞ槓」チャッ
パララッ
照「自摸、ソフトインワン・サラサラタイプは2000」
菫「何だその役名は...」
照「全帯嶺上開花でチャンリンシャンでしょ。あと大明槓で喰い下がりの晒晒タイプ、みたいな?」
尭深「なるほど」ナットク
菫「尭深、感心する所じゃないぞ」アキレルトコダ
淡「いーもん、2000くらいくれてやるぅ」チャラン
照「毎度あり」ムシリー
東二局 照27000 菫25000 尭深25000 淡23000
淡(ソフトインワン・サラサラタイプとか、遊ばれてるし、くやしい)チャッ
淡(嶺上開花なんて偶然だもん。あーでも今日はダブリー嶺上ツモとか出来る流れなのかな)トン
淡(槓か.....。ダブリーのみは打点的には弱いし、テンパネできるのは美味しいっちゃ美味しいよね)チャッ
淡(追加ドローもあるし、槓ドラは全員に平等に乗るわけで)トン
淡(槓裏は怖いけど、それって立直、和了、裏乗せって他家にはみっつもハードルがあるんだし)チャッ
淡(やっぱり次はダブリーしよ。で、槓材来たら槓して和了りまで持ってく)トン
淡(ん? あ、聴牌した)チャッ
淡「リーチ」タンッ
菫「静かになったと思ったら親リーか」
淡「むっふっふ」
尭深「安牌で」トン
照「リーチ」タン
菫「む、苦しくなってしまったな」トン
淡「オリたかー。でもツモッ! 立直一発自摸、一盃口。3900allだよっ」
東二局一本場 淡35700 照22100 菫21100 尭深21100
淡「リーチ!」タンッ
尭深(今度はダブリー。鳴いて行きたい配牌なのに.......七対子意識して行こう)トン
照(ここでダブリーは何か変化が有った筈。ダブリーでプレッシャー掛けての槓は悪くはない)チャッ
照(オカルト思考にデジタル思考が混じって来たかな?)トン
菫(ここからダブリー路線に復帰なら2局あった寄せるチャンスをみすみす逃がしたことになる)チャッ
菫(山読みだけでの狙撃は不可能。ダブリー相手に棒聴キックも放銃率が高まる。我慢の闘牌だな)トン
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淡「よっし、槓!」メクリー
淡(槓ドラ乗っかんないかー)トン
尭深(あ、聴牌。どっちを切ろう? どっちも一枚切れ.......これかな)トン
照「ロン」
パララッ
淡・菫・尭「!!」
照「スッタン一本付で32300」
尭深「はい。トビ終了です」
淡「ぎゃー、なんてことするの~!」
菫「まぁまぁ、連続ラスからプラスの2位なら大躍進だろう。他家の振り込みだしな」
照「次でまたラス転落かも知れない」
淡「テルーってばうるちゃい!」ンモー
照54400 淡35700 菫21100 尭深-11200
横槍入れるけど虎姫シリーズの人かな?
4回戦 起家:照 南家:菫 西家:誠子 北家:淡
菫「さて、最終戦だな」
尭深「私のトビで終わったのでまだ21:00です」
誠子「明日は早いし、早目に休めばいいよ」
照「始めよう」
淡「よろしくお願いしますっ」
菫「ああ、よろしく」
誠子「よろしくね。さて、トップを取って尭深を捲らないとね」
尭深「宮永先輩ファイトです」
照「任せて」
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>>74 ちがいますよー^^
東一局五本場 6巡目 照54100 菫15300 誠子15300 淡15300
尭深(宮永先輩容赦ないです)ステキ
照「リーチ」チャラン
菫(おい誰か止めろよ)トン
誠子(トップとか夢見すぎでした)トン
淡(狙い撃ちのスミレさんマークが一番有効だと思ったのにダブリー止めてもテルが強すぎて和了れない)トン
照(誰が止めに来るかな?)トン
菫(照は竹の上待ちに見える。789辺りの根っこを抑えれば和了り阻止出来るか?)トン
誠子(今から索子の浮き牌を使って手を伸ばせるとは思えない。またも戦線離脱だな)トン
淡(テルの連続和了。エアポケットに放り込まれたかのような時間帯。何とか抜け出したいけど)トン
照(誠子は限界っぽい? 淡はちょっとリスキーになって来たし、出和了りもあるかな)トン
菫(6索切り? ひょっとして木元竹裏か? 何にせよここが境目だな。筋の9索.....間に合うか?)トンッ
誠子(生牌の9索通した? 索子の上とかよく出せるなぁ)トン
淡(ここで索子の上。スミレさん勝負だー。やっぱり白糸台は凄いっ)トン
照(竹は先端から裂けば綺麗に破竹する。菫には気付かれちゃったみたい。先端を握られたか)トン
菫(危うく1索から処分するところだったが、竹の先っ穂は渡せない。9索処分で追わせて貰うぞ)タンッ
菫「リーチだ」チャラン
誠子(正直差し込みたいけど、弘世先輩はクセがあるから今一つ読みきれないのが辛い)トン
淡(スミレさんに先越されるのは悔しいけど、とにかくテルの安牌切って連続和了阻止だねー)トン
照「ツモッ.......てない」トン
菫「おまえなぁ」フザケルナッ
誠子「勘弁して下さい」シンゾウニワルイ
淡「さいてーだよっ」プンスコ
菫「お、よしっ、ツモったぞ」パララッ
菫「立直一発自摸の五本場は1800,3100」
照「ちぇっ」
菫「をぃ」
誠子「ふぅ、ようやく東二局ですね」
尭深「お疲れ様です」
淡「よーっし、こっからだよー!」
東二局 6巡目 照51000 菫22000 誠子13500 淡13500
尭深(淡ちゃんのダブリーから、事故回避で緩慢な序盤が終わって中盤か)
誠子(ひたすら淡ちゃんの上家とか席に恵まれないなぁ。まぁ今回は鳴ける牌も出ないけど)トン
淡(今局は最後の角が目一杯浅い位置にあるし、今までの槓材揃うタイミングが角手前なら....)トン
照(淡にダブリーからの槓で和了らせてみたいけど、真剣勝負ならそれはご法度)トン
菫(テンパったが.....照がいるし淡ちゃんとノーガードの打ち合いは避けるべきだろうな)トン
誠子「ポン」チャッ
誠子(ラス併走中だし、安くていいから一度弾みをつける和了りが欲しい)トン
淡(うわ生牌のおとーふ。んでも鳴かれたらすぐツモれるしいいかぁ)トン
照(ふーん。誠子は發を鳴いたし白は菫だったのか。なら、ここだろうけど)トン
淡(! テルーったらわざと出した!? でも何で.......ひょっとして私の槓狙い警戒されてる?)
淡(ラスだし、見逃しとかしてる場合じゃない。今回は踊っといてあげるっ)パララッ
淡「ロン! ダブリーのみ2600」
照「はい」シハライー
東三局 照48400 菫22000 淡16100 誠子13500
淡(もっかい最後の角、浅い所に来ないかな? 一天地六の骰子にこの願いとどけっ)ムーン
誠子「出目7です」
淡「っしゃ!」
菫・誠・尭「?」
照(最後の角が一番浅い。淡も自分の力に気付き始めたかな? さて、どうなるか)
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9巡目
誠子(このままラスという訳には行かないけど、どうも弘世先輩にマークされてる気がするな)トン
淡(槓材きたー! 今度こそ和了るよー)チャッ
淡「カンッ」メクリー
淡(ん? 今まではダブリーでも役牌やドラ混じりな事あったけど、槓する時って何もないなぁ)トン
照(やはり嶺上開花ではない。当然だけど咲とは違うか。となると槓ドラ、槓裏のドラ攻勢?)チャッ
照(いずれにせよ菫も誠子もようやく手の重さから抜け出そうとする頃合い。今局は来るかも)トン
菫(一向聴まで来たが、下自摸から上自摸になって引いたのがどこにも嵌らない生牌。回すしかないが)トン
淡「それロン! 槓裏はー」メクリッ
照・誠「!!」
菫「なん.....だと」
淡「うっは♪ 4枚丸乗り~♪ しめて12000円ですっ」
菫「円とか言わない」シハライー
照(なるほどね。あの槓は槓裏丸乗せに繋がるんだ。親ならインパチ。驚異のダブリー率でこれは大きい)
オーラス 2巡目 照48400 淡28100 誠子13500 菫10000
尭深(淡ちゃん、ダブリー捨てて一向聴に戻しての断幺狙い? どうして? 嵌張嫌った?)
菫(対子よっつか。ラス目で勝負しかない局面なら、両面塔子割って七対決め打ちコースだろっ)タンッ
誠子(初手7筒切り? 何だろう。弘世先輩タテヅモかも知れないな)トン
淡(最後の角がいっちゃん深いとテル相手じゃ絶対届かないもんねー。先ずは両面以上に張り直す)トン
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6巡目
尭深(淡ちゃん一向聴継続、弘世先輩も5巡で一向聴。その時捨てた門風を誠子ちゃんはスルー)
誠子(ダブリーしないまでも親の手が早いのは感じる。守りを考えると鳴くに鳴けない)トン
淡(2344索で一応両面聴牌か。ここから中盤だし、親リー牽制は効果ある筈。連荘で上へ行くっ)タンッ
淡「リーチッ!」チャラン
照(んー。誠子はブラフ? まだそこまでは行ってないのかな。守ってるならちょっと脇が甘い)トン
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11巡目
菫(一向聴からが長い。しかしドラドラ。裏期待で立直して行きたい。ここは強行して無筋の自摸切り)トン
尭深(弘世先輩心臓だなぁ。2巡前も親リー相手に無筋。もう一直線に勝負ですね)
誠子(宮永先輩相手に攻め手を残しつつオリるってのも相当キツイなぁ)トン
淡(そろそろ来て下さい。お願いします)トン
照(いーしゃんてーん)トン
菫(よしっ! さて6萬と4索のどちらを落とすか。親の河には879萬238899筒9索。まぁこっちか)チャッ
菫「リーチだ」タンッ
尭深(親リーと追っかけで4索の引き合い。でもまだ山に1索3枚で淡ちゃん有利かな)
誠子(まさかの追っ掛け。これを和了られたらラス転落か。しかしここから和了りに持ってくのは至難)トン
淡(うわぁ、狙い撃ちされた記憶がよみがえってきたー。こわいこわい)トン
照(はいテンパイ。3筒単騎だけど山に残ってるかなぁ? 菫辺りに使われてそう)トン
菫(休み明けから照のいるトップチームに行くんだ。こんな所で無様は見せられないっ)ツモッ
菫(来いっ)モーパイー
菫「ツモッ!」
淡「えーっ!?」
菫「立直一発自摸、七対子ドラドラの」メクリー 「ウラウラ! 4000,8000」
照「はい終了」
誠子「敗けました~」
淡「あーあ、そっち4索単騎なのに1筒は何処で何してたのかとっ」
照「尭深、戦績発表して」
尭深「はい。こちらに書き出しておきました」ピラッ
1回戦 b1尭32000 +誠29000 -菫22000 -淡17000
2回戦 b1照39600 +誠26300 -尭22600 -淡11500
3回戦 b1照54400 +淡35700 -菫21100 -尭11200-
4回戦 b1照40400 +菫27000 -淡11100 -誠 5500
total 3b照134400 b尭43400 +2誠60800 +1菫70100 +1淡64200(4回戦除外)
尭深「トップはbトップ3回の宮永先輩で総得点134400ですね」
誠子「さすがです」
菫「化物め」
淡「私やっぱりビリ~?」
尭深「淡ちゃんはワースト除外でプラス収支1回の64200。ラスだけど総得点なら3位だね」
淡「そっかー」
菫「3位は亦野か。総得点では勝ったが、プラス収支2回で先行されたな」
誠子「辛勝でした」
照「私にaトップ取らせなかっただけでもみんな健闘した方」
菫「この上から目線さんめ」
尭深「淡ちゃん、私たちと打ってみてどうだった?」
淡「んー、敗けちゃったけど......うん。楽しかったです」ニコッ
照・菫・誠・尭(なにこの天使、かわいい)
照「前に打った時より一辺倒じゃなくて色々試行錯誤してたよね」
淡「頑張ったんだけどねー」エヘヘ
尭深「負けてもいいと思う。逃げなければ。立ち向かう気持ちがあれば次に繋がって行くから」
淡「はい」
菫「そうだな。それに槓裏の乗ったダブリーは目が覚めるようだったぞ」
淡「あれは気持ちよかった!」
誠子「ダブリーだけでも辛いのに、2回戦辺りからずっと手が重たくって苦労しましたよ」
尭深「それは私も思った」
菫「確かに私も手が重かったな」
照「何にせよ、次に打つ時が楽しみだね」
誠子「ですね。うかうかしてられないや」
淡「次は絶対勝ちますよっ」フンスッ
一日目終了です。二日目はまた来週にでも
>>20 1Q84じゃね?
乙
赤無しって言ってたのに使ってるぞ
乙 このまったり感が好き
あと断幺混一という幻の役を発見したww
>>83
いちQはちよんでした。ほんとうにありがとうございました
駅名検索でネタ拾いしてただけなので読んだ事ないんですよ^^;
>>86
ただのドラってことにしておきましょー>< スマヌスマヌ
>>88
幻にちがいないよ!
皆さんの読み込み具合に感動を禁じ得ない(吐血)>>1ノライフハ0ヨッ
他にも見つけたのでまとめて訂正です
>>20 3~6行目
照「思い出した。二俣尾ってなんだか覚えのある響きだと思ってたんだけど、ここって1Q84だ」
誠子「1Q84? なんだか暗号みたいですね」
照「尭深は知ってるよね?」
尭深「1Q84、村上春樹ですよね.....あ、二俣尾!」
>>46 下から4行目
照「うん。そこが遊戯室になってて、卓球台やビリヤード台、あと麻雀卓なんかも置いてあるらしい」
>>65 1行目
誠子「自摸、混一ドラドラは2000,3900」
>>68 下から2行目
淡「ロン! ダブリードラ1、5200ね」
>>80 下から3行目
淡「あーあ、そっち4索単騎なのに1索は何処で何してたのかとっ」
では気を取り直して二日目~
二日目 朝
照「淡、あーわーいー」ユサユサ
淡「んむ......テルー?」
照「6時だよ。早く起きて」
淡「ん、おはよーございます」ネムイ
菫「おはよう。洗面所へ行って洗顔と歯磨きをしておいで」
淡「はーい」テクテク
菫「さて、あと一人」
照「全然起きないよこの娘」
尭深「.......」zzzz
菫「尭深、朝だぞ。起きろー」
照「尭深ってば」ユサユサ
尭深「んん.....」モグリー
照「ほらね。どんだけおねむさんなのかと」
菫「手強いな。かくなる上は」グッ
照「ついにやっちゃうかーそれをー」
菫「一気に引っぺがすぞ。いっせーのっ」
菫・照「せっ!」ガバッ
尭深「.......」マルマリー
菫「猫かよ」
照「すごい寝癖。写真撮ろうか」
菫「休み明けに公開処刑だな」スッ
パシャッ
尭深「? ん、なんですかぁ?」ネボケー
照・菫「朝ですよ~」
尭深「........」マルマリー
照「ちょっと考えたね」
菫「そして丸まったな」
照「もういいや、勝手に着替えさせちゃおう」
菫「ついにやってしまうかーそれをー」
照「はーい、おねーさんがお着替えさせてあげましゅねー」ウエヌガシー
菫「ぬぎぬぎしようなー」シタヌガシー
尭深「!?」ビビクンッ 「なななっ、なにを?/////」トビオキッ
照・菫「おはよう♪」
尭深「あ、お、おはようございますぅ」ボサボサ
照「6時過ぎたよ。顔洗って歯磨きして寝癖直して来て」
菫「ほらほらっ、おめめを開けてちゃっちゃと行く」
尭深「は、はい~」フラフラ
照「ふぅ、朝一番の大仕事だったね」
菫「まったくだ。尭深があんなに寝起きが悪いとはな」
ガラッ
誠子「食堂の方に朝食の用意ができました」
照「ありがとう誠子。淡と尭深が戻ったら行こう」
誠子「尭深起こすの大変じゃなかったですか?」
菫「正直驚いたよ。朝とか早そうなイメージがあったんだがなぁ」
照「ほんとだよね。でも可愛かったじゃない」クスクス
誠子「普段はちゃんと起きてくるんですけど、ちょっと早起きが必要な時とか絶対起きてきませんからね」
菫「なるほど」
淡「あー、せーこおはよ~」
誠子「おはよう。良く眠れた?」
淡「うん」
照「尭深は?」
淡「寝癖とグラップリングなう」
菫「出かける準備もあるし、みんな先に食堂へ行って食べててくれ。私は尭深の様子見て連れて行くよ」
照「わかった」
誠子「ではお先に頂いてますね」
淡「あとでね~」
食堂
ワイワイガヤガヤ
淡「たくさん人がいる~」
照「テニス部と自転車部だね。どっちもこんな早くから練習始めるんだ」
誠子「昨日の残り物とサンドイッチのつもりだったんですけど、色々分けてくれたんですよ」
照「そーなんだ」クルッ「ありがとうございます」ペコッ
ドーイタシマシテー
淡「ありがとねー」
アラ カワイイ
誠子「先輩は頂いたコンソメスープをどうぞ。辛口サイコロスープの残りは私たちが」
照「助かります」
淡「ポテトサラダ~♪」
誠子「サンドイッチはハム、玉子、トマトと胡瓜の三種類です」
照「綺麗に出来てる。私なんかもっと不恰好になっちゃう」
誠子「アウトドアの趣味があるとサンドイッチやおにぎりみたいな携帯食は作り慣れてきますから」
淡「美味しい」ハムハム
照「あ、菫たち来た」
菫「お待たせ」
尭深「先程は失礼しました///」
照「寝癖、綺麗に取れたね」
尭深「幸い素直な髪質なので」
淡「私ぐねぐねー」
菫「淡は私みたいにナイトキャップ使った方が良いかもな」
淡「えー、おばちゃんみたいでヤダー」
菫「おまっ」
淡「ん? 淡?」
菫「ああ、昨晩の対局もあったし、もう後輩みたいなもんだからな。ちゃん付けのお客様扱いはお仕舞いだ」
誠子「なるほど、私もそうしようかな」
尭深「私はやっぱり淡ちゃんかなぁ。きっと本当の後輩になっても変わらないかも」
淡「じゃあじゃあ、私もスミレ先輩、たかみー先輩、せーこ先輩って呼びますね。あ、テルーはテルーね」
照「あれ?」ガクッ
ドッ wwww
淡「あ、そーだ。スミレ先輩は何でせーこ先輩だけ苗字呼びなんですかー?」
菫「ああ、それは部内に同じ名前の級友がいるから、それで呼び分けたのが始まりだな」
淡「なるほどねー」
水根沢
淡「わー、川の音が聞こえてきた~」
菫「結構勢いよく流れてる感じだな」
誠子「ここは本格的な沢登りもできますから、随所に落差があるんですよ」
尭深「はぁ、はぁ」
照「尭深がもう限界な件」
誠子「もうかぁ。寮からさっきのキャンプ場まで1km程度なんだけど....」
淡「休憩しますー?」
尭深「大丈夫。ちょっと坂で足並みがつかめなかったから」ハァハァ
菫「荷物持ってあげるから、沢に着くまでは頑張れ」ヒョイ
尭深「ありがとうございます」
照「あ、何か私も疲れてきた」
菫「行くぞー」ムシッ
照「」エー
誠子「とにかく、水根沢谷まで行って小休止しましょう。直ぐですから」
淡「おー♪」
---------
------
---
ザーザー
誠子「到着です」
淡「透明で綺麗な川だね~」
菫「青々と苔むした岩が良いな」
照「マイナスイオンが気持ちいい」ノビー
尭深「はぁ、はぁ」
誠子「.......取りあえず休憩で」
淡「釣り具の支度は~?」
誠子「釣りはもう少し沢を上ってからだね」
菫「先ずは沢登りか。どうなる事やら」チラッ
尭深「お、お茶出しますね」アセアセ
マッタリーノ
照「この沢沿いをずっと登って行くの?」
誠子「ですね。本格的な沢登りは防水装備で沢の中をジャバジャバ進んでいきますけど」
淡「面白そー」
誠子「ちゃんとした装備がないと危ないし、私も沢登りは経験浅いから今日は難所は沢沿いコースね」
菫「尭深が流されでもしたら洒落にならないからな」
照「監督に干されるね」
尭深「.......お茶です」
淡「イジメいくな~い」イタダキマス
誠子「あはは。さて再確認です。ちゃんと水に濡れた時の着替えは持ってきましたか?」
菫「万全だ。指示通りビニール袋に詰めて防水してある」
照「靴下は2足。あと、靴を濡らした時用に新聞紙も持った」
誠子「はい。バックパックは背中で揺れないようにしっかり締めて下さい」
淡「バッチシだよー」
尭深「大丈夫」
誠子「滝が幾つもあって、脇の岩場を登る事が多いので、その時は両手両足をしっかり使う事」
菫「うむ」
誠子「ゴルジュは沢を離れて迂回しますけど、他にも無理だなと思う場所は言って下さいね」
照「ゴルジュってなんだっけ?」
尭深「岩壁が狭ばまった所ですよ、確か」
誠子「そう。大抵滝になってて結構深い所です。慣れた人は両壁に手足を突っ張って登りますけどね」
淡「なんかワクワクしてきたー♪」
菫「まぁ何事も経験だな。ではそろそろ行くか」スクッ
照「うん」スクッ
誠子「それでは先導しますね。弘世先輩は最後尾に付いて頂けますか」
菫「了解だ。尭深は私の前でいいだろう」
尭深「は、はい」
淡「私2番手歩く~」
照「なら私は真ん中か」
誠子「それでは現在時刻 7:41 出発です」
ザッザッザッ
淡「みんなジャージだから遠足みたいだねー」
照「淡だけエンジで紅一点だね」
淡「白糸台のは白地に紺ラインでカッコイイ!」
尭深「でも汚れが目立って大変」
菫「ジャージなんて汚れるものじゃないか」
照「最近はファッションとして店頭に並んでたりもするよ?」
淡「そーそー、私たちのジャージだって高く売れるらしーですよー」
誠子「それはちょっと違う気がするけど....」
菫「明らかに違うな」
尭深「あ、滝」
淡「あはっ、かわいい滝さんだ~♪」
誠子「落差2m位ですかね。手掛かり足掛かりもある岩場だから、滑るのだけ気を付けましょう」
照「ん。誠子が登るのを手本にする」
尭深「気を付けてね」
誠子「それじゃあ行きます」ヒョイヒョイッ ピタッ
誠子「この手と足の位置参考にして下さい」
菫「了解。覚えた」
淡「せーこ先輩レギンズだから下から覗くとえっちぃね~////」
照「ほんとだ////」
誠子「変な視線向けないで下さいっ////」ヒョイヒョイッ
菫「二人ともセクハラだぞー」
誠子「まったくです。さぁ、次は淡の番」
淡「大星淡、行っきまーす!」キョシュー
ヒョイヒョイヒョイ
尭深「わぁ、上手」
誠子「宮永先輩どうぞ。急がなくて良いですからね」
照「らじゃ」
ヨジヨジヨジ ピタ
照「あ、手掛かり間違えたかも?」
淡「引っ張ってあげるー」
誠子「手伝うよ。せーのっ」グイッ
照「ありがとう」
菫「尭深の番だぞ」
尭深「は、はい」
モタッ モタモタモタ モタッ
淡「ずれてるずれてる」
照「横じゃなく上に進もうよ」
尭深「は、はぃ~」アセアセ
モタモタモタ
菫「よし、押し上げてやろう。それっ」グイッ
尭深「きゃあ!?」
誠子「ばっ、手を離したらっ」グイッ
照「あぶなっ」
淡「心臓に悪すぎ」ドキドキ
尭深「こ、怖かったぁ」ヘタリッ
---------
------
---
菫「のっけから転落者が出なくて良かったが.....ん、どうした?」
照「あれ」ユビサシー
淡「もう次の滝が見えてますよー。しかも今の何倍も手強そう」
尭深「あんなのムリ」カタカタ
誠子「一先ず浅瀬を渡って左手からアプローチしましょう」
菫「行けるのか? 尭深でなくても無理そうだが」
誠子「岩場に何本かロープが見えるでしょう?」
照「あれロープなんだ。蔦にしては変だなと思ったけど」
誠子「残置スリングって言ってマナー違反なんですけど、沢登りした人が残してったものなんです」
淡「あれを使えば行けるんですねっ」
誠子「うん。最初に私が強度を確かめるから、それで無理そうなら沢を離れて迂回だね」
菫「それにしても大きな岩で組み上がった滝だな」オッカナイ
尭深「こんなに大きな岩を押し流しちゃうんですから、水の力って凄いですね」
照「せーこー、大丈夫ー?」
誠子「ここまでの2本はOKです。次のが使えればさっきの滝よりスムーズに登れるでしょう」
淡「じゃー私も途中まで行ってみるー」スタスタッ
誠子「いいけど、中段の灌木の所で止まって待っててよー」
淡「はーい」
菫「私たちも手前まで移動しておこう」
尭深「はい」
テクテクテク
照「真下に立つと凄い迫力」
菫「これはロープなしじゃ初心者には無理だろうな」
尭深「むり」フルフル
照「尭深には太宰の言葉を贈る。何もしない先から僕は駄目だと決めてしまうのは、それあ怠惰だ」
尭深「が、がんばります」
菫「太宰は偉大だな」
誠子「オッケーでーす! 淡の所まで登って来られますかーっ?」
照「分かったー。行ってみるー!」
菫「さぁ、登攀開始だ」
尭深「は、はい」フンスッ
照「淡ー! 尭深から行くから、上からサポートしてあげてー!」
淡「淡ちゃんにお任せあれだよっ」
尭深「んしょ」ヨジッ
---------
------
---
照「ふぅ、全員無事に登り切ったね」
尭深「残置スリングに感謝感謝です」
菫「今の第二関門が最難関だと信じたいな」
淡「まだ進むんですかー?」
誠子「そうだね。この水根沢には半円の滝って言う名所があるんだ。今日はそこまで行く予定だよ」
菫「ほう、名所と言われては外せないな」
尭深「ですね」
照「尭深がやる気だ」
淡「前進再開っ!」ススメー
誠・照・尭・菫「おー!」
---------
------
---
ザザー ザババババーッ
菫「さすがにこれは無理だろう」
照「もっと熱くなれよ」
誠子「いや無理ですよ~。上に難しそうな形のチョックストーンがありますし、私程度じゃ登れません」
淡「むりかー」ザンネン
尭深「迂回ですね」ホッ
菫「ん? 今ホッとしたか?」
照「さっきのやる気は何処へ?」
尭深「過ぎた事は良いじゃないですか///」
半円の滝
誠子「いやー、随分迂回コースで来ちゃいましたけど、ほらっ、あれが半円の滝です」
照「あ~本当だ。半円を描くようななだらかなカーブになってる」
菫「滝と言うほど直下型じゃないんだな。あれだ何て言うんだっけ? ほら」
淡「ウォータースライダー?」
菫「そうそう、そんな感じだよな」
尭深「白い川筋が弧を描いて三日月みたいにも見えますね」キレイ
照「ほんと、弓張り月だね」ステキ
淡「じゃー休憩?」
誠子「そうだね。ここの上がちょっとした釣りのスポットだから、一休みしてお昼まで釣りかな」
照「お昼はここに戻って食べようよ」
尭深「そうしましょう」
菫「その為にもちゃんと獲物を釣り上げないとな」
誠子「そこ大事ですね」
淡「釣りなんて初めてー♪」タノシミッ
照「えーと、今10時を回った所だから、2時間くらいでどれだけ釣れるかな?」
誠子「釣りは勘と我慢の勝負ですから何とも言えませんね」
菫「ビギナーズラックで何とか乗り越えるとしようじゃないか」
尭深「一先ずお茶にしませんか」
淡「うん、のどカラカラッ」
---------
------
---
菫「川辺は涼しいからあったかいお茶で正解だな」ウマイ
尭深「お昼の時はちゃんとお湯を沸かして淹れますから」
誠子「うん、バーナー持ってきてるからね」
淡「ねーねー、餌はなに使うの?」
誠子「川虫とか、小型の昆虫や幼虫でもいいし。岩魚や山女は釣餌には拘らないよ」
照「ワーム系はちょっと苦手」
菫「得意なヤツなんていないだろう」
尭深「触れません」
誠子「一応、昨日スーパーで安売りのイクラを買っておいたのでそれでOKです」
照「なら安心だ」
淡「あっ」スタタタッ
菫「どうした?」
淡「虫捕まえたっ、ほら!」パッ
誠子「! それはっ」
尭深「く、くさい」
淡「わぁ、ほんとにくさい!」ポイッ
照「ちょっと、なんでこっちに投げるのよっ」ズサッ
菫「うわっ、こっちまで臭ってきた!」クッサ
誠子「カメムシはやばいって」ハナツマミー
淡「何それ知らない。手が凄いくさい!」ヤダー
尭深「川で洗って」ハヤクッ
照「ちょっと菫、服にカメムシ着いてないか見て」
菫「寄るなって」
照「ひどいっ」
淡「あーくさかったー」フキフキ
誠子「虫一匹でとんだ大騒ぎだよ」
照「まさかカメムシを投げつけられるとは」
淡「大変申し訳ございませんでした」ペッコリン
---------
------
---
照「段々と陽が高くなって暑くなって来た」ジッパーサゲー
淡「テルー、ジャージの下なにそれ?」
照「? 体育着だけど?」
淡「わー、やっぱりだー」
菫「おまえ、寮泊とはいえ学校行事じゃないんだからさぁ」
淡「ねー♪」アハハ
照「う、うるさいな//// みんなは違うの?」
淡「フツーにTシャツだよ~」
菫「まあ私服だよな」
尭深「沢登りの時は長袖って言われたので下もロンTにしました」
淡「テルー、上下とも学校指定の体育着?」
照「そうだよ」ベツニイイデショ
菫「完全に体育の時間じゃないか」ウケルーw
照「そー言う菫は何履いてるのよっ?」ムッ
菫「ムキになるなよ」コドモダナ
淡「えいっ」ガバ゙ッ
ズルッ
菫「おわぁぁああっ////」
ニャーン♪
菫「ぎゃー//// なにをするっ!!」ズリアゲッ
淡「あはは、じかにショーツだったー♪」
照「猫柄可愛い♪」ソシテ ザマーミロ
尭深(勢い余ってお尻が半分飛び出してた....////)
菫「大星貴様っ////」ギャオス
淡「わーん、ごめんなさい~」サッ テルーノウシロニカクレンボ
照「菫ってば大人げな~い」
菫「どけっ、照! 赤っ恥かかされた恨み晴らさでおくべきかっ! 大星、そこへなおれっ!」カオマッカ
淡「だか断るっ!」キャハハッ
誠子「何をジャレてるんですか。竿の準備できましたよ」
菫「貸せっ!」ウバイッ
照「こらっ、釣り竿かざして何するつもり?」
菫「決まってるだろ、狙った獲物を捕らえるっ!」シャープシュート!
誠子「あぶなっ」
淡「きゃ~♪」ドンッ
照「ちょ!?」ツキドバサレタッ
尭深(あ、宮永先輩の胸元にヒット)
照「ちょっとやだ、体操着に引っかかった!」
菫「チッ、外したか。しかし邪魔な照を排除してしまえば」マキマキマキ
照「きゃあっ、リール巻かないでよ! わっ、ちょ、あぶなっ」ホップ ステップ ジャンプ
菫「うわっ、来るなっ」
照「無茶言わないで!」マクナッ
淡「きゃ~♪ テルーがスミレの胸に飛び込んだ~♪」
菫「ばかっ、ひっつくな////」
照「引き寄せておいて何言ってるの!?////」バカッ
誠子「あ、宮永先輩足元っ」
照「え?」ガクン
菫「気を付けろって」ダキヨセッ
照「あ、うん、ごめん//// ありがと」チカイ...
菫「いや、別に////」チカイナ
照・菫「////////」キハズカシイ
淡「あははっ、テルーもスミレもまっかっか~♪」
尭深(なにこのラブ臭.....むせる)
誠子(ただのバカップルだった)
照「ほ、ほら、もう釣りを始める時間」ハナレテッ
菫「そ、そうだな」スマン
---------
------
---
尭深「宮永先輩はみんなと滝の上流に行かなくて良かったんですか?」
照「登るの大変そうだし、ここでも釣れるって言ってたから。それに尭深ひとりじゃ寂しいでしょ?」
尭深「済みません気を使って頂いて///」
照「何してるの?」
尭深「持って来た野菜を川の水で冷やしておこうと」
照「どれどれ」
尭深「茗荷に三つ葉、大葉とお葱。谷中生姜もあります」
照「お昼何作るの?」
尭深「岩魚ご飯を炊きたいなって」
照「おお~、池波っぽい。楽しみ」
尭深「でも釣りって言えば開高健ですよね」
照「あー、言われてみればそうだね。あと幸田露伴とか坂口安吾だとかも釣り好きだったかな」
尭深「誠子ちゃんの書架に山本素石さんていう人の本が並んでるんですけど先輩知ってますか?」
照「読んだ事ないなぁ。小説家?」
尭深「私も読んだ事ないので分かりませんけど。随筆とかかも知れませんね」
照「へー、東京に戻ったら誠子から借りてみよう」
尭深「ここも東京ですよ」クスッ
照「ああ、完全に忘れてた」アハハ
尭深「そろそろ釣り糸を垂らしてみませんか」
照「そうだね。頑張って滝壺の主を釣り上げよう。上流の三人に負けてはいられない」
尭深「駄目ですよ先輩。誠子ちゃんが釣りは頑張らない方が釣れるって言ってたじゃないですか」
照「そっか、釣るぞー的なオーラを消さないとね」
尭深「それでは二人して太公望を決め込みましょう」
上流組
淡「ちゃーしゅーめーーんっ♪」ヒュンッ
菫「お、亦野の言ったポイントに飛んだんじゃないか?」
誠子「やるなぁ。でも、魚は警戒心が強いからあんまり大声は出さない方が良いよ」
淡「はーい♪」
菫「よし、私も。それっ」ヒュンッ
誠子「あっ」
淡「ちょっ」
菫「しまった。淡の糸に絡まってしまったか」
淡「何してんですかもー」
菫「すまんすまん」
誠子「外しますから一旦巻き上げて下さい」
マキマキ
淡「スミレ先輩ってば、テルーの胸元にはシャープシュートしてたのに」
菫「忘れろ。そもそもあれは淡のせいだろーが」ジロッ
淡「やぶへびった」メーソラシー
誠子「あはは。はい、外れましたよ」
菫「ありがとう。では今度こそ」
淡「先輩は向こうのスポット狙って下さいねー」
菫「任せろ」ヒュンッ
誠子「なかなか良い感じじゃないですか?」
淡「負っけないよー」ヒュンッ
菫「上手いもんだな」
誠子「シャープシューター顔負けですね。さて、私も」ヒュンッ
淡「何が釣れるかなー?」
誠子「ここは岩魚か山女だね」
菫「鮎とか鱒も川魚だろ?」
誠子「ですね。でも水根沢はメインは岩魚か山女ですね。特に鮎は聞かないかな」
淡「鮎って鮎で釣るんでしょ?」
誠子「友釣りだね。鮎は縄張り意識が強いから、自分の縄張りに他の鮎が来ると追い払いに来るんだよ」
菫「その習性を逆手に取って釣り上げる訳か。なるほどな」
淡「! ピクッて来たっ」グイッ
誠子「少し待たないと」
淡「あれー? 餌だけ取られちゃてる~」
誠子「掛りが浅いとそうなるね」
菫「しかし今ので確実に獲物が潜んでいることは分かったな」
淡「誰が最初に釣り上げるか勝負っ」ヒュンッ
---------
------
---
淡「釣れにゃい」
誠子「まだまだ」
菫「お?」
淡「来ました?」
菫「一瞬浮きが沈んだ気がしたんだが。また餌だけ取られたかな?」
誠子「もう少し待ってみて下さい」
淡「あ、今沈んだよ」
菫「! おっと、引っ張られてるがリール巻いちゃってもいいのか?」
誠子「掛かりましたね。手応えが強いようなら巻いて戻してを何度か繰り返してみて下さい」
菫「よーし、逃がさんぞ」マキマキマキ スーッ マキマキマキ スーッ
淡「あーん、スミレ先輩に先越された~」
菫「こいつは.....相当引きが強いっ」グイーッ
誠子「魚って思った以上に力があるんですよ」
バシャッ
菫・誠・淡「!!?」
淡「何今の......鯉?」
菫「随分大きかったな」ビックリシタ
誠子「30cm以上はありましたね。山女でしょう。ここは45cm級が釣れた事もあるらしいですから」
淡「えっ、そんな大きいの!? 川魚なんて15cm位かと思ってたのに」
誠子「滅多にいないよ。体力ありそうですから糸が切れないようにもう少し泳がせてから釣り上げましょう」
菫「了解した」
誠子「! 淡の方も引いてない?」
淡「え? あ、ほんとだ」アワアワッ
誠子「少し待って引きが強かったら弘世先輩みたいに泳がせながらね」
淡「うん。あ、浮きが完全に沈んだ」
誠子「巻いてみて」
淡「えいっ」マキマキマキ
誠子「手応え軽かったらそのまま巻き上げていいよ」
淡「大物じゃないみたい。それっ」グイッ
ピチピチッ
淡「ちっこいけど釣れた~♪」ヤタッ
誠子「そっちは小振りの岩魚だね。10cmちょっとかな」
菫「こっちも釣り上げるぞー」マキマキマキマキ
淡「あー、来た来た。ほんとにおっきい!」
誠子「うわぁ、これ40cm近いですよ。正直羨ましいくらいの獲物です」イイナー
菫「ふっ、自分の才能が怖いな」アチポタポーズ
淡「うわー調子乗ってる~」ヘンナポーズw
誠子「せっかくの初の獲物ですから、針を外す前に写真を撮りましょう。先輩カメラは?」
菫「そこの上着のポケットにある」
誠子「お借りします」ゴソゴソ
淡「巨人と小人くらい大きさが違いますねー。でも釣り上げたのは私が先~♪」
菫「早くしてくれ。結構重い」
誠子「行きますよー。ぴっ、ぴかちゅ~」
菫・淡「ぴかちゅ~♪」
パシャッ
菫「って、それはもういーんだよっ」シツコイッ
誠子「一生モノのネタじゃないですか」ニヤッ
淡「ぴっかぴっかぁ♪」
滝壺組
照「..........」
尭深「........」
照「釣れない」
尭深「釣れませんね」
照「かぶった」
尭深「かぶりました」
照「またw」
尭深「息ぴったりでしたねw」
照「うん。その上坊主なとこまで一緒だしね」
尭深「全然太公望じゃなかったです」
照「まったくもって才能のさの字も見当たらない」
尭深「やっぱり本だけじゃダメですね。実践、これ大事です」
照「あー、悟っちゃったかー」
尭深「悟りましたねぇ」
照「さーて、どうしよう? もうちょっと頑張ってみる?」
尭深「そうですね。釣るのは上の人たちに任せてお昼御飯の支度をしていましょうか」
照「あ、そこはあっさり諦めるんだ」ジッセンハドーシタノ
尭深「だって釣れないじゃないですかぁ」ムダデスヨ
照「じゃあ私もやーめたっ」
尭深「あっさり」クスクス
照「何事も諦めが肝心なのです」キリッ
尭深「ですね」マチガイナイ
照「さて、と。何から始める?」
尭深「それじゃあ先輩はお米を研いで下さいますか?」
照「わかった。何処のお米?」
尭深「さぁ何処でしょう。お米と調味料は寮のものなのでちょっと分からないです」
照「そっか。ある分全部研いじゃっていいの?」
尭深「そうですね。お代わりする人の分も考えて4合はありますから。お願いします」
---------
------
---
照「研ぎ終わったよー」テガツカレタ
尭深「お疲れ様です。こっちもおみお付けの準備とお薬味類の用意が出来ました」
照「何のお味噌汁?」
尭深「具は余っていた玉葱とジャガイモですね」
照「根深汁じゃないんだ」
尭深「残念ながら。油揚げがあればそうしたんですけど」
照「あー、そーだよねー」
尭深「今何時です?」
照「12時10分前」
尭深「誠子ちゃんたちも釣れてればそろそろ降りて来る頃ですね」
ガサッ
尭深「?」
照「どうかした?」
尭深「あ、いえ別に」
照「食器類出しとくね。紙皿は誰の荷物に入れたっけ?」
尭深「あ、私のバックパックにあります」
照「りょーかい」
尭深「.......」ナニカイルノカナ?
照「あれー? 寮から借りてきたお箸とかどこー?」
照「? 尭深ー、お箸はー?」クルッ
尭深「.......」
照「尭深ー?」テクテク 「何してるの?」
尭深「」カタカタ ユビサシー
照「? 何かい......」カタカタ
尭深「どっかの駅のホームに出没注意のポスターがありました....」カタカタ
照「そーいえばそんな事言ってたね」カタカタ
クマ「」ナンダコノヤロー
尭深「どうしましょう?」カタカタ
照「野生動物と出会ったら目を合わせちゃいけないってばっちゃが...」カタカタ
尭深「もう遅いですぅ」ナミダメ
照「動いたらやられる。みたいな状況?」カタカタ
クマ「」ア? モンクアッカ?
ザッ
尭・照「!!」ビクッ
尭深「来ますぅ」カタカタ
照「待って、向こうも人間は怖いはず」カタカタ
ザッ
尭深「うぇぇぇん」
照「ゆっくり下がって。滝壺まで逃げよう。水の中までは来ないと思う」テーニギリー
尭深「は、はい」グスン
ザーザー
照「ここまでくれば大丈夫」ナハズ
尭深「水辺をウロウロしてますけど」
照「こっちが何もしないって分かればその内いなくなる」トオモウ
尭深「あ、荷物の方に」ドキドキ
チャクメローン♪
クマ「!? グォーッ!!」バシーン!
照「!!」ワタシノバックパックガ....
クマ「グォォォオオォォォン!!」バシャバシャ
尭深「きゃぁぁあぁぁあああ!」ダキツキッ
照「あ」オワタ
淡「ウォータースライダー!!!」バッシャーーーーン!!
ドゴォ!
クマ・照・尭「!!?!」
クマ「」イテーナバガヤロー オボエテロー ウワァァァン
ジャバジャバジャバ
淡「あれ? テルーにたかみー先輩? なんでこんなとこにいるの?」ナンカニブツカッター?
照・尭「.....」
菫「こらーっ、何を考えてるんだお前は! 危ないだろう」バカナノカッ
誠子「人に荷物預けて何するのかと思えば、まさか滝を滑って降りるとは」ヤレヤレ
淡「あはは、なんかの動物さんと事故っちゃいましたー」テヘヘ
菫「? 二人は滝壺で何してるんだ?」
照「生きてる」スブヌレー
尭深「助かった」スブヌレー
誠子「どうしたの?」
尭深「クマに襲われそうになってたの」コワカッタ
菫・誠・淡「クマッ!?」
淡「え? 私が今蹴っ飛ばしたのってクマさん?」アブラアセダラー
照「淡、お手柄」ナデナデ
尭深「淡ちゃんありがとう」ナデナデ
淡「へ? いや、えへへ///.....え?」マジデ?
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照「お着替え終了」
淡「さっぱりしたっ」
尭深「ですね」
誠子「クマももう戻っては来ないでしょう」
照「淡が蹴り入れたからね」
尭深「仰天したでしょうね」
淡「熊殺しの淡におまかせだよっ!」
菫「おーい」
照「? なに?」
菫「どうだっ、今日一番の獲物だぞ」ババーン!
尭深「わぁ、大きいっ」スゴイ
照「えっ、それ菫が釣ったの? 主クラスなんじゃない?」
淡「ねー♪ せーこ先輩もこんなに大きいのは釣った事ないみたいですよ」
誠子「私の記録は山女だと35cmですね。今回のは40.5cmで滅多に見られない大物ですよ」
菫「釣りって楽しいな♪」
照「ご機嫌だ」カワイイ
淡「でもでも、数では私の方が釣ったもーん」
尭深「頑張ったねー」ナデナデ
誠子「先輩も淡も筋が良いんですよ。ビギナーズラックだけじゃこうは行きませんから」
照「私と尭深は清々しく坊主だった件」
尭深「やってしまいましたね」
菫「まぁこっちは終始亦野のアドバイスを受けながらだったからな」
淡「ポイント見つけるのがすっごく上手いの!」
照「さすが誠子」
誠子「一日の長ってヤツですかね。お役にたてて何よりでした」
尭深「それで、何をどう料理しましょう。一応岩魚ご飯を炊くつもりで準備はしておきましたけど」
菫「そうだな。この大物はどうしようか?」
誠子「せっかくですからお刺身にしませんか? 私が捌きますよ」
菫「それは是非頼みたいな」
淡「やった~、お刺身お刺身~♪」
照「岩魚ご飯で使う分の余りは枝に刺して塩焼きにしようよ」
菫「それはやりたいな。定番って感じがするからむしろ無いと寂しい」
尭深「ですね。それじゃあ炊き込み用に小さめの岩魚を5匹貰うね」
誠子「オッケー。余りは岩魚と山女が4匹づつか。それぞれ2匹づつ塩焼きと味噌焼きでどうですか?」
照「いいね。それじゃあ手分けしてお昼の支度を始めよう。誠子はお刺身、尭深は炊き込みご飯ね」
尭深「宮永先輩はおみお付けをお願いできますか? おじゃがは切って川の水に晒してありますので」
照「了解」
淡「わたしたちはー?」
誠子「焼き魚用に木の枝を集めて来てくれる?」
菫「枯れ枝を拾ってて来ればいいのか?」
誠子「丁度いい枝が無ければ生木でも良いですよ」
尭深「その間に焼き魚用のお魚もわた抜きしておきますね」
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照「お味噌汁完成」
尭深「こっちもあと20分位で焚き上がりです。水加減がちょっと心配ですけど」
照「誠子はー?」
誠子「OKです。今ツマを用意しようと思って、それが済めば後は盛り付けて完成です」
尭深「あ、大根の余り持ってきてるから切るね」
誠子「ありがとう。あと大葉と古根生姜も分けてー」
照「取ってくる」スタスタ
菫「戻ったぞー」
誠子「お帰りなさい」
淡「おっきな葉っぱ取って来た~」
照「葉っぱ?」
菫「紙皿の代わりになるかと思ってな。あと山椒を見つけたので一枝頂いて来たぞ」
誠子「それは良いですね。早速お刺身用にいちばん大きいのを貰えますか」
尭深「あ、山椒分けてください」
淡「はいはーい」ドゾー
尭深「そういえば小学校の林間学校で、葉っぱのお皿や手作りしたお箸を使いました」
照「あー、やったやった。懐かしいね」
菫「お、焼き魚の下準備もできてるんだな」
尭深「はい。後はお味噌を塗るのと、塩を振るのと」
淡「わーい、それじゃーとってきた枝に刺すねー♪」
ワイワイ キャッキャッ
尭深「炊き上がりました~」
誠子「こっちも準備OK」
菫「焼き加減もそろそろ良さそうだ」
淡「火力絞るねー」
照「お味噌汁よそうから紙コップとって」
尭深「どうぞ」
菫「おお! 刺身の盛り付けが見事だなぁ」
誠子「沢の主に敬意を表して気合を入れました」
淡「ちゃんとお魚のかたちに揃ってる~♪」
照「誠子はもう板さんでやって行けるね」
誠子「調理師免許取ろうかな?」
アハハハ
尭深「蒸らしも済んだのでよそいますね」カパッ
淡「うわ~、美味しそう」
菫「良い匂いだ」
照「葉っぱによそっちゃう?」
誠子「その方が気分出ますね」
尭深「お薬味はお好みで乗せて下さい。茗荷、三つ葉、大葉、木の芽にお葱です」
誠子「お刺身は生姜醤油でどうぞ」
照「谷中生姜は焼き魚の付け合せかな」
菫「だな」
淡「ん~、よだれがでちゃう!」
尭深「お代わりもあるので、言って下さいね」
誠子「それじゃあ頂きましょうか」
照「うん、食べよう」
菫「頂きますっ」
イタダキマスッ!
誠子「うわっ、炊き込みの岩魚が美味しい。骨もやわらかいしこれは絶品だね」
尭深「水加減が心配だったけど、良かったぁ」
菫「私は刺身から」
淡「私もー♪」ヒョイパク
菫・淡「! うまいっ!」
照「自分たちで釣ったんだから味わいもひとしおだよね。私は味噌焼きっ」ハムッ
照「アッツ!」
ドッ wwww
誠子「大丈夫ですか?」
照「ん、へーき。熱いけど美味しい。香ばしさが最高かも」
尭深「塩焼きの方も美味しいですよ」
菫「さて岩魚飯か。山椒の葉を乗せて、と」
尭深「山椒の葉があると見栄えも香りも一段と良くなりますよね」
淡「さっき山椒の事、木の芽って言ってたよね?」
照「木の芽は先端の若葉の部分のこと。それ以外は地芽って呼ぶ」
誠子「和食に手を付けるとそう呼ぶようになりますね」
淡「へー。私も木の芽のっけよっと」
菫「美味しいなぁ」ジーン
照「そんなしみじみとw」
菫「いや、こうして自然に囲まれた中での手作りの食事ってのはやっぱり良いよ。最高だね」
誠子「ですねぇ」
尭深「これが幸せって感じがします」ウンウン
淡「二泊三日じゃもったいないですねっ」
照「うん。そのうちまた来たいね」
菫「だな」
誠子「でもなかなか時間が取れませんから」
尭深「三連覇したらそのご褒美にどうでしょう?」
照「それだ」
菫「なるほど。やり甲斐があるな」
淡「三連覇ー?」
誠子「今年の夏を勝って、来年、淡を加えた白糸台が史上初の三連覇を狙うって話」
淡「! それいいっ、やろう! 絶対やるっ」ガタッ
菫「休み明けから気合入れないとな」
誠子「私たちも、今年届かなかったとしても来年は絶対トップチームに加わります。ね?」
尭深「うん。私も頑張る」
淡「みんなでガンバロー!」
菫・誠・尭・照「おーーっ!」
渓青寮
照「さっぱりした~」
菫「お帰り」
照「菫はお風呂いいの?」
菫「夕飯前に入ったからな。今日はもういいや」
照「そ。あれ? 三人は」
菫「夕飯の買い出しに寄った時に淡が花火を買ってたろ。みんな屋上へ行ってるよ」
照「そう言えば買ってたね。で、菫は何してるの?」
菫「部長から頂いた有難ーい課題だよ」
照「ああ、例の問題集。捗ってる?」
菫「一通り終わったけど、幾つか難問があるな」
照「頑張って」
菫「照は読書でも始めるのか?」
照「ん、別に」
菫「ならちょっと上に行かないか。息抜きに付き合ってくれ」
照「いいよ」
遊戯室
菫「ほら」ガチャ
照「え? 花火じゃないの?」
菫「これこれ」スッ
照「ビリヤード?」ウケトリー
菫「やった事ないか?」
照「ない」
菫「ま、本格的にやるわけじゃないから。お遊び程度に楽しもう」
照「いいけど、この台って玉が落ちる穴がなくない?」
菫「フォーボールやスリーボール用の台だな」
照「?」
菫「赤玉2つとそれぞれ手玉1つずつでプレイする」
照「ふむ」
菫「細かいルールは省いて、とにかく手玉を打って赤玉か相手の手玉に当てればOK」
照「なるほど。じゃあ先に打ってみて」
菫「OK」スッ
クイックイッ トーン コロコロ......カチン
照「お~」
菫「打ってみて」
照「うん」スッ
クイックイッ トーン コロコロ......
照「手前で止まっちゃった」
菫「でもコースは良かったよ。後は力加減だな」
照「当てて得点を競うの?」
菫「そう。今回は照は当て続ける限り継続。私は2つ以上当てて継続。継続1回で1点の10点先取にしようか」
照「分かった。先攻後攻は?」
菫「バンキングだな。このラインから並んでショットしてより近くに球を戻した方が先攻だ」
照「OK。あ、シュープシュートはナシね」
菫「はいはい」
屋上
シュパパパパー....シュシュ....シュー
淡「あーん、終わっちゃった~」
誠子「あとの残りは......何だこれ? 蛇花火?」
淡「あは、うねうねするヤツー♪」
尭深「それと線香花火」
淡「ラストの定番だねー。ちょっとテルーとスミレ先輩呼んでくるー」スタタッ
誠子「もう一袋買ってくれば良かったね」
尭深「まだ5月だし、一種類しか売ってなかったから」
誠子「そうだね」
尭深「ねぇねぇ見て、星空が綺麗」
誠子「本当だ。今夜は雲一つない晴れ渡った夜空だね」
尭深「すごい数の星....」キレー
誠子「何処にいてもおんなじ空なのに、ちょっと田舎へ来るとこうも違うんだから不思議だよね」
尭深「流れ星降らないかなぁ」
誠子「尭深は何か願い事でもあるの?」
尭深「願い事のない女子高生なんているの?」
誠子「そりゃそうだ。欲の塊だよね」
尭深「またそんな変な言い方して」クスッ
誠子「えー? じゃあ何て言えばいいんだろう」
尭深「もっとロマンチックにお願いします」
誠子「んー.........だめだ、思い浮かばないや」
尭深「がんばって」フフッ
遊戯室
菫「シャープシュート!!」カチンカチンカチン
照「あーっ、ずるいっ! シャープシュートはナシだって言ったでしょ!?」
菫「ふぅ、逆転勝ちだな。三戦全勝だ」
照「無視!?」
菫「まぁ良いじゃないか。照も慣れてきて本気を出さざるを得なかったってことで」
照「むー......ちょっとお手洗いに行って来る」
菫「はいはい、ごゆっくり」
バンッ! ガンッ!
淡「テールー!」キョロキョロ 「あれ? スミレ先輩だけ?」
菫「お、おまえ.....」
照「~~~っ」イタイ
淡「あれ? テル、うずくまってどーしたの?」
菫「いやいや、思いっきり手応えあった筈だろ! それこそ仕留めたりって勢いだったろう!」
淡「へ? あたし?」
照「いたい.....」シクシク
淡「わわっ、おでことお鼻が真っ赤だよー。大丈夫?」
照「淡」
淡「ん?」
照「ドアはノックしてからゆっくり開けようね」アト カケコマナイ
淡「はーい。ごめんね? 痛いの痛いの飛んでけ~♪」ナデナデ
照「.....ありがと、もう平気」ヒリヒリ
菫「まったく。すわ流血の大参事かと思ったよ」ビックリシタ
淡「えへへ~」
照「それじゃトイレ行ってくる」
誠子「行ってらっしゃい」
淡「いてら~」
菫「亦野たちは?」
淡「屋上にいますよ。最後の線香花火はみんなでやろうと思って呼びに来たの」
菫「そうか。じゃあ行こうか」
洗面所
照「あー痛かった」マダヒリヒリスル
誠子「あ、先輩。丁度良かった。線香花火が残ってるので一緒にやりませんか」
照「うん、いいよ」
誠子「おでこぶつけたんですか?」
照「さっき淡が駆け込んできてドアに叩きつけられた」
誠子「あー、なるほど....」
照「本気で火花散ったよ」
誠子「それは一足早い花火でしたねぇ」
照「誰が上手いことを言えと」
誠子「あはは、すみません。じゃあ私ちょっとトイレなんで、先に上がってて下さい」
照「うん」
屋上
照「お待たせー」
淡「こっちこっちー」テーフリフリ
照「みんなして空見上げてどうしたの?」
菫「いやぁ、だって見てみろよ、ほらっ、満天の星が降り注ぐような夜空じゃないか」スゴイゾ
尭深「弘世先輩はロマンチックな表現なさいますね」ステキ
照「ほんと綺麗な星空」
菫「何だか別世界に迷い込んだような気がして来るよな」
尭深「わかります」
照「でも長野の夜空もこんな感じだよ」
淡「テルー、それ言っちゃ台無しっぽ~」ケラケラ
菫「まったくだ。ところで春の大三角ってどれだっけ?」
尭深「えっと、スピカとアークトゥールスと、あと一つが分かりません」
照「スピカはあれ」ユビサシー
淡「えー、どれー?」ワカンニャイ
菫「アークトゥールスって牛飼い座だっけ? どこだろう?」
尭深「北斗七星があるじゃないですか」
菫「うん」
尭深「その柄杓の柄の先端から線を引っ張って行った先でオレンジっぽく光ってるのがそうです」
菫「ああ、あれか」ミツケタッ
誠子「春の大曲線ですね」オマタセデスッ
淡「春の大曲線?」オカエリー
誠子「そう。小熊座のアルカイドから牛飼い座のアークトゥールスを通って乙女座のスピカまでの曲線」
淡「へー」アレカナ? アッチカナ?
照「さすがアウトドア派。星にも詳しい」
菫「じゃあ春の大三角は?」
誠子「アークトゥールスとスピカのラインを底辺にして獅子座のデネボラに結べば春の大三角です」
淡「獅子座ってどこー?」
誠子「スピカは分かった? そこからほとんど真っ直ぐ上に行くと獅子座」
菫「獅子座の形を分かってないと見つけられそうにないな」ドコダ?
照「私はもう分かった。土星のちょっと左上でしょ?」
誠子「そうですそうです」
尭深「土星が見えるんですか? 見たいです。どこですか?」キョロキョロ
照「スピカの真上やや右寄り。左寄りのもっと上がデネボラ。ここに立って」ダキヨセ
尭深「はい///」
照「私の指先、今スピカに合ってる?」ユビサシー
尭深「はい」
淡「あー、私にもしてー」
菫「私も頼む」
照「じゃあ淡は尭深と並んで菫は私の後ろ。みんな私の指とスピカの位置を把握して」
淡「おっけー」
菫「OKだ」
照「私の視点では指先とスピカは重なってて、土星に重ねたら止めるから、誤差を考えてね」イクヨッ
ツイー.....ピタ
照「はい土星」
誠子「ちょっと黄色っぽいのがそうですよ」
尭深「あ! わかりましたっ、あれが土星ですね♪」ミエタッ
淡「みつけたーっ♪」
菫「黄色っぽいってゆーと、あのすぐ脇に小さな星が一つだけ見えるやつかな?」
誠子「それです」
菫「おお、あれが土星かぁ」ハジメテミタ
照「はい。今度はデネボラまで行くよ~」
ツイー.....ピタ
淡「? どこ?」
誠子「デネボラは1等星のスピカやアークトゥールスよりちょっとだけ弱い光の2等星」
菫「分かった。あれだ」
尭深「私も見つけました♪」
淡「えー、どこー?」
照「大三角は正三角形になるから、底辺と私の指の辺りを結んでみて」
淡「うん........あ、あれかな?」
誠子「正三角になった?」
淡「多分」
照「じゃあそれだ」
淡「やったー♪」
菫「星が見えすぎて中々狙ったひとつを見つけ出すのが難しかったな」
誠子「それはありますね。見慣れていないと中々分かりませんよ」
照「かもね。私は小さい頃からこうゆう夜空の下で育ったから」
淡「じゃあ線香花火しよー♪」
---------
------
---
パパッ パッ ジッ シパパッ ジー
淡「あー、弱くなってきたー」ガンバレッ
尭深「線香花火の終わり際って不思議と胸に迫りますよね」
照「儚さがね。こうして屈んで眺める距離感とかも大きいよね」
菫「そーゆーものかな」ワカラン
照「KY」
尭深「KYですね今のは」
菫「そんな事ないよな亦野?」
誠子「え? 私に振るんですか」
照「あ、尭深の終わりそう」
淡「愛は地球を救うのだー」ピトッ
ジッ パパッ
尭深「わー、愛情で復活した~♪」
ポトッ
淡「あ、落ちちゃったぁ」ショボン
菫「破局したな。それとも心中か?」クスクス
照「最低」
尭深「最低ですね」
誠子「今のはちょっと」
菫「じょ、冗談じゃないか。何だよみんなして」
淡「えいっ」ツンッ
ポトッ
菫「あっ、まだ行けたのに!」
照「孤独死」
尭深「顧みる人もいません」
菫「なっ!」
誠子「じゃあ宮永先輩、私と結婚して下さい」
照「うん、幸せになろう」ピトッ
淡「ぷげらっ♪」
菫「うるさいっ////」
ドッ wwww
---------
------
---
菫「さて、花火もお仕舞か」
照「今何時?」
誠子「20:30ですね」
淡「まだ寝るには早いよ~。遊戯室行こっ」
菫「私は寝る前にもう少し問題集を解いておくよ」オサキッ
尭深「頑張って下さい」
菫「おー」ヒラヒラ
誠子「それでは後片付けしちゃいますね」
淡「手伝うよ~」
尭深「じゃあその間に厨房の冷蔵庫からジュース持ってきます」
照「私も行く」
淡「冷凍庫にアイスも入ってるよー」
誠子「弘世先輩にも届けてあげて下さい」
照「了解」
---------
------
---
遊戯室
クイックイッ トーン コロコロ......カチン
淡「やったぁ! これで10点っ」
照「おかしい。みんな何でそんなに上手いの?」
尭深「ビギナーズラック? でしょうか」
誠子「私はちょっとかじった事あるので」
照「むぅ」クヤシイ
淡「テルーの連敗~♪」
誠子「そういえば電車の中でやったババ抜きも全敗でしたね」クスッ
尭深「あー」
照「卓球! 卓球しよう」
誠子「お、敗けませんよ?」キラーン
尭深「卓球って球が速くて苦手です」
淡「じゃあダブルスにしよーよ」
誠子「いいね」
照「問題ない」
尭深「ダブルスなら」ガンバリマス
グーパージャスッ
淡「たかみー先輩、かんばりましょー!」
尭深「うん」
照「誠子とペア。これは勝った」フフフ
誠子「敗けられませんねー」
照「尭深のサーブからでいいよ」
淡「あー、余裕ぶっこいてますよ。ビシッとやっちゃってください」
尭深「うん、まかせて」スッ
スカッ コロコロ....
淡「えーー.....」
照「球が速いとか関係ないよね?」
誠子「これはひどい」
尭深「ち、違うの。今のは練習////」
照「面白い」
誠子「次で実力を見せつけられちゃいそうですね」
尭深「行きますっ」スッ
ペチッ コロコロ....ポトッ
淡「うわぁ」
照「ネット越える前に床に落ちたけど」
誠子「実力?」
尭深「えーん///// 淡ちゃん代わってぇ」
照「ルール的にはこっちのサーブじゃない?」
誠子「まぁいーじゃないですか」
淡「いっくよー!」スッ
スコーーン タン タン
誠子「速っ、先輩リターンしてっ」
照「おっけ」スッ
ペチ トーン トーン コロコロ....
淡「わぁ、そんなのむり~」
誠子「ふー、ギリギリネット越えましたね」
照「......./////」
誠子「どうしました?」
尭深「今ラケットに当たってなかったですよね?」
照「//////////」ウツムキー
誠子「え? じゃあ何で戻せたの?」
尭深「えっと、胸に当たって?」
淡「あ、やっぱし? 胸で返すのはナシだよテルー」
照「わ、わざとじゃない////」
淡「壁打ちじゃないんだからさー」
誠子「ぶはっww」
尭深「www」
淡「へ?」
照「/////////」プルプル
淡「あ、なんかごめんね?」
照「二人とも笑いすぎでしょっ////」
誠子「すいま、すいませんw」
尭深「わ、笑って....ませ....」クッ
淡「まぁまぁ、テルー怒んないでよー」ナデナデ
照「怒ってないもん////」ナミダメ
---------
------
---
誠子「ふぅ、まぁ卓球はこの辺にしておきますか」
尭深「ですね」ツカレタ
照「.........」
淡「じゃー何しよっか?」
誠子「ちょっと休憩だね」
尭深「うん」
淡「あ、そーだ」
照「なに?」
淡「バーベキューのお片ししてた時に、自転車部の人たちとちょっとお話ししたの」
誠子「そしたら?」
淡「うん、自転車部は早朝走ったら筋トレとランニングだから、午前中自転車貸してくれるって」
尭深「わー、それは嬉しいですね。サイクリング出来ますよ」
照「湖の周りをぐるっと周れるね」
淡「でしょ♪」
誠子「でも自転車部のってロードタイプだと慣れてない人には乗りづらいかも」
淡「小さいのもありましたよー? タイヤがギサギザしてるヤツ」
誠子「あ、マウンテンバイクもあるのか。なら良いかも」
尭深「マウンテンバイクって誠子ちゃんが通学に使ってるタイプの自転車だよね?」
誠子「そうそう。サスが付いてるから段差とか苦にならないし、乗りやすいと思うよ」
照「じゃあ自転車部が寝ちゃう前に顧問の先生と部長さんにお願いしておこうか」
淡「うん、いこー♪」
---------
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---
次回最終日です~ また来週~ ノシ
乙
面白いが淡水魚の刺身はどうなんだろ?
調べてみたけど養殖なら問題無いとか天然ものでも寒い時期ならとか色々情報が錯綜しててわからんかった
>>143、144
体験上は不調に見舞われずに済んでますね
まぁ生姜の殺菌効果でなんとかなるなる!
ではラストまでお付き合いくださいm(_ _)m
三日目 朝
菫「」シャカシャカシャカ
尭深「あ、先輩、おはようございます」
菫「」ペッ「おはよう。この位の時間だとちゃんと起きれるんだな」
尭深「はい、お蔭様で」ハブラシクワエー
菫「」ブクブクブク ペッ
尭深「」シャカシャカシャカ
淡「おっはよーございまーっす」
照「おはよー」
菫「ん、おはよう」
尭深「おはようございます」
照「誠子はー?」
菫「亦野ならとっくに食堂へ行ったみたいだぞ。私もお先に」スッ
淡「ほーい、すぐ行きまーす」
---------
------
---
パシャパシャ フキフキ
照「ふーっ、さっぱり♪」
淡「いっぱい寝れたしねー」
尭深「8時間ぐっすりでした」
照「沢登りで体力使ったから」
淡「今日は自転車いっぱいこぐよー」
照「尭深、自転車は平気なんだよね?」
尭深「はい。小学校の頃に乗った事ありますよ」
淡「最近は?」
尭深「.....ないかな」
照「私も最近は乗ってないなー。でも自転車って一度乗れちゃえば乗れなくなるって事なくない?」チラッ
淡「それもそーだねー」チラッ
尭深「大丈夫な筈です」タブン
食堂
淡「ごちそうさま~」
照「コーヒーお代わりする人いる?」
菫「あ、頼む」
誠子「私がやりますよ」
照「いいよ、これくらい。誠子は昨日も今日も朝食の支度してくれたんだし、座ってて」
誠子「はい。それじゃあお願いします」
尭深「誠子ちゃん、今日のサイクリングはどんなコースで回るの?」
誠子「時計と相談だけど湖の南側にある湖畔公園まで行って戻って来る感じかな」
菫「距離は?」
誠子「おそらく片道10km程度だと思います」
淡「片道? 往復するの? ぐるって回るんじゃなくて?」
誠子「奥多摩湖の南側は残念ながら途中で道が途切れてるんだよね」
淡「そーなんだー」ザンネン
照「はいコーヒー」オマタセ
菫「ありがとう」
誠子「すみません、いただきます」
照「大体決まった?」
尭深「はい。湖畔公園までの往復コースだそうです」
誠子「途中、ドラム缶橋にも寄りますし、奥多摩湖の全景を見ながら走れますよ」
菫「ドラム缶橋って自転車で渡れるのか?」
誠子「いえ、あそこは歩行者のみですね」
淡「ふ~ん、でも楽しそう♪」
照「いいね。ところで尭深」
尭深「はい?」
照「大丈夫だよね?」
尭深「何でそんなに念を押すんですかっ///」ダイジョブデスッ
ドッ wwww
駐輪場
淡「わー自転車いっぱい~♪」
菫「チェーンキー渡されてるから、一人一本ずつな」ハイ
照「自転車って東京に来てから乗ってないなー」
尭深「どれを借りていいのかな?」
誠子「どれでもいいってさ」
淡「私赤いのとっぴー!」
誠子「マウンテンバイクは全部フルサスか。凄いなぁ」
照「そうなの?」
誠子「ええ。これマラソン&オールマウンテンだから恐らく15万以上はすると思いますよ」
菫「15万? マジか」
淡「すっご~い♪」
尭深「転んだらどうしよう....」
照「大丈夫なんだよね?」
尭深「だ、大丈夫ですよ?」
淡「フレームが普通の自転車よりぶっといねー。ほら、こことか」
誠子「それがサスペンション。段差とかのショックを吸収してくれるんだ」
菫「うちの自転車部は本格的らしいからな。何て言ったかな、長野の有名な大会にも出てるらしいぞ」
照「へー、そーなんだ」
誠子「長野? セルフディスカバリー王滝ですか?」
菫「ああ、多分それだ。確か王滝って言ってたよ」
淡「有名なの?」
誠子「キング&クィーンofMTBはタフな大会だよ。今月末だから練習も追い込みの時期だろうね」
尭深「うちの自転車部がそんなに凄いなんて知らなかった」
誠子「そうなるとこれ、どれも2、30万はするかも」
照・菫・尭・淡「絶対転べない....」
小河内ダム
淡「あはははは♪ すごいすごい! ふわふわして気ん持ちいいっ」ユッサユッサ
誠子「サスが効いてるからね」
菫「本当に凄いな。衝撃を完全に吸収してくれてる」
照「さすが高級自転車。走りが軽快」
尭深「思ったよりちゃんと乗れました」ホッ
淡「こんな段差も楽々昇り降り~♪」
照「でもサドルが小さいから長く乗ってるとお尻が痛くなるかも?」
誠子「MTBは競技だとほぼ立ち漕ぎですからねぇ」
菫「普通の自転車とはそもそも運用目的が違うからな。チャリンコとは呼べない代物なわけだ」
誠子「ですね。さて、ならしはそろそろOKですか?」
照「OK」
淡「いつでもいけるよーっ」
菫「問題ない。尭深は?」
尭深「はい。あ、でもあんまり飛ばさないでね。誠子ちゃん」
誠子「分かってるって。それじゃあ沢登りの時の隊列で行くとしましょうか」
淡「ぃやっほー♪」
誠子「交通量は少ないですけど主に車道を走りますから追い越しは絶対禁止で」
菫「了解」
誠子「常に路側帯に寄せて中央に膨らまないようにして下さい。多少路面が悪くても大丈夫ですからね」
照「この自転車の性能なら安心だよね」
淡「だねー」
誠子「まぁ景色を見ながらゆっくり安全に走りましょう」
尭深「はい」
誠子「それじゃあ出発しますっ」
淡「つっづけー♪」
---------
------
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シャカシャカシャカ
誠子「この先、ダムエリアを出て一般道でーす!」
淡「くるまゼロ~」
照「遊歩道があるからちょっと湖が遠いね」
尭深「風が気持ち良いです」
菫「都会じゃ車道なんて怖くて走れないもんなぁ」
誠子「国道に出るまでは車も来ないと思うんで、リラックスして走りましょう」
淡「遊歩道終わったよー」
照「湖が近くなって来た」
尭深「陽がさして湖面が黄金色に輝いてます」キレー
---------
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---
シャカシャカシャカ
誠子「ここから国道に合流しますよー!」
淡「ルート411~」
菫「国道と言っても道幅は大して変わらないな」
照「ちょっと湖から離れちゃったね」
誠子「あの標識に出てる山のふるさと村がゴールになります」
尭深「ここから10km。ここまで何どのくらいだったのかな」
菫「1Kmそこそこじゃないか?」
淡「登り坂になってきた~」
誠子「対向車線車きまーす!」
照「軽トラだ。荷台に人が乗ってる」
菫「のどかだな~」
尭深「んしょんしょ」
誠子(尭深大丈夫かな?)チラッ
照(ペース落とす?)ジェスチャー
誠子(いえ、このままで)ジェスチャー(ペース落とすと却って疲れるし)
菫「頑張れ尭深ー」
尭深「はーい」コギコギ
淡「登りの後は下りがあるよ~」
照「あのヘアピンの先下りっぽいね」
誠子「あと少しだよー」
尭深「はぁはぁ」
菫「どうしたどうした~。そんな体力じゃ三連覇なんて夢のまた夢だぞー」
照「スポ根系麻雀部とか斬新じゃないw?」
淡「あはははは~♪」
尭深「が、頑張りますコーチ!」
誠子「余裕あるじゃんw さぁ下りだよ~」シャーー
淡「わー、湖がすっごく近い! ガードレール越えたらボッチャーン!」
照「対岸は本当に道がないんだ。山の斜面がそのまま湖に落ち込んでる」
尭深「はぁ~、下り坂最高♪」
菫「帰りは登るんだけどな」
尭深「あぁん、弘世先輩がイジメます~」
照「イジメ問題発生!」
淡「部活動停止待ったなし!」
菫「はいはい、うるさいうるさい」
誠子「道なりに進んでトンネルに入りますよー!」
淡「あはっ、冷やっとして気持ち良い!」
照「体あったまって来たからね」
淡「声が反響する~♪」オモシローイ
菫「淡の声はよく通るなー」
誠子「トンネル抜けまーす」
淡「わー、見て見て!」
尭深「すごいパノラマ」
照「トンネルの後にこうやって視界が開けるのって感動的」
菫「どっかで停めて写真撮りたいな」
誠子「了解。ちょっと待って下さいねー」
照「あ、そこ良いんじゃない? スペースある」
誠子「停車しまーす」キキーッ
淡「しょーきゅーし!」スタッ
尭深「ふぅ、お疲れ様です」
菫「もうゴールした気分か?」
尭深「えへ///」
照「バス停かと思ったけど違うみたい」
誠子「退避スペースですかね」
淡「みんなで守ろう水源地。ごみ、空き缶等の持ち帰りにご協力を、だって」
照「何かこの木一本だけ凄い紅葉してるんだけど」
菫「お、本当だ。狂い咲きの紅葉バージョンみたいなものかな」
淡「この木と湖をバックに写真撮ろっ」スタタッ
照「私が撮るから菫は入って」
菫「そうか? 悪いな」ハイ カメラ
照「いくよー?」
菫「あ、ぴかちゅーはナシな」
ドッ wwww
照「なんでよ、いーじゃないw」
菫「今だってほら、お前ら笑うだろっ」
淡「笑うからいーんじゃないですか~」
誠子「そうですよ」
尭深「ぴかちゅーで」
菫「むぅ、まぁいいか」
照「はい、では気を取り直して。ぴっ、ぴかちゅ~」
淡・尭・誠・菫「ぴかちゅ~♪」
パシャッ
ドラム缶橋
誠子「脇道に入って停まりまーす」スイーッ
淡「はーい」
照「結構走ったねー」
尭深「休憩?」ハァハァ
菫「ここは何かあるのか?」キキッ
誠子「眼下を覗いてみて下さい」
照「んー? あっ」
淡「あれがドラム缶橋?」
誠子「そうだよ。今は普通の浮きに取り換えてるけど昔は本当のドラム缶を使ってたんだってさ」
菫「本当だ。何か浮きの上に橋を通してあるな」
尭深「曲線を描いててっ、ハァハァ.....不思議なっ、ハァハァ.....橋ですね」
照「そんな無理にしゃべらなくてもw」オツカレッ
菫「まぁ取りあえず一息入れよう」キュポッ
淡「ひと口下さいっ」
菫「自分のはどうした?」
淡「飲み切っちゃった」
菫「そうか。ほら」
淡「ありがとーございますっ」コクコクッ
照「誠子」
誠子「はい」
照「橋まで下りる道は?」
誠子「左手に見える階段です」
尭深「随分急だね」
---------
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淡「思ったより揺れないねー」ピョンピョン
誠子「これだけの数の浮きが連結してると微動だにしないね」
菫「浮橋の突端に渡る渡し板はちょっと怖かったけどな」
尭深「あれは狭すぎましたよね。渡るのひやひやしました」
照「この湖でも何か釣れるの?」
誠子「ええ、ニジマスとか秋頃からはワカサギも狙い目ですよ」
菫「ワカサギって真冬じゃないのか?」
誠子「網走湖とか凍った湖面をくりぬいて釣る映像で知られてますけど、奥多摩湖は紅葉の季節ですね」
淡「へー、色々あるんだねー」
誠子「というわけで」スッ
尭深「携帯竿持って来たんだ」
誠子「水辺に行くとなれば手放せないからね」
菫「好きだねお前も」
照「じゃあ対岸まで行ってくるよ~」
誠子「どうぞー」ヒュンッ
淡「またお料理するの?」
誠子「いや、今回は短時間のお遊びだし釣れてもキャッチ&リリースだよ」
淡「魚心をもてあそぶ~♪」
誠子「なにそれw」
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菫「こっちの岸は林道っぽくなってるんだな」
照「新緑に光が透けて綺麗。ほら、手の平がグリーンになる」
菫「ほんとだ」
尭深「葉擦れのさやめきも耳に心地良いですね」
照「ねー。この情感に心が洗われる~」
菫「大袈裟だなぁ」
照「ほーら、KYはじまった」
尭深「星空の時は良いこと言ってましたけど今一つ感性にムラがありますよね」モッタイナイ
菫「そりゃ文学シスターズと比べられたらお手上げです」ハイ、コーサン
照「なんてゆーか、気質が少女なんだろうね」
菫「少女ってお前///」テレッ
照「はい照れない。残念ながら女っ気が少ないって意味の少女だからね」
菫「なっ」
尭深「やじきた学園のキタさんですね」ワカリマス
照「女子にモテるからねー」マチガイナイ
菫「何の話だよっ」
照・尭「さー何の話でしょーw?」
ピュリルリ ポピーリ ピールリピールラ チチッ
菫「おぉ、綺麗な鳴き声だな」
尭深「近かったですね」キョロキョロ
照「いない。どこだろ?」
菫「また鳴いてる。あの辺か?」
尭深「あ、あの枝の所」ユビサシー
照「日陰で見えない」
菫「隣の枝に移った。うわ、綺麗な鳥だな~」
尭深「幸せの青い鳥ですね」カワイイ
照「えー、どこどこ? 見えない」
バサッ
菫「あー、行っちゃったよ。もう少し待ってくれれば写真撮れたのに」ザンネン
照「見れなかった~」
尭深「残念でしたね。でもきっとまた見られますよ」
菫「さて、亦野たちの所へ戻るか」
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菫「戻ったぞー」
誠子「お帰りなさい」
淡「おかえり~」
照「何か釣れた?」
誠子「いえ、おけらです。途中でカワウが来ちゃったりして魚も逃げちゃったみたいで」
尭深「カワウ?」
淡「お魚ゴックンしてたよ~」
菫「こっちも珍しい鳥を見たんだが、写真を撮る前に逃げられたよ」
誠子「どんな鳥でした?」
照「私見てない」
尭深「幸せの青い鳥だったよ」
淡「いいな~」ワタシモミタイッ
誠子「青い鳥か。ルリビタキかな? どんな鳴き声?」
尭深「えっと、口で言うのは難しいんだけど」
照「こんな感じ。ピーリカピリララポポリカペーペルト!」
誠子「は?」
菫「うっわ、なっつかしーなぁ。それ私が幼稚園の頃だぞw」
照「私もだよw おジャ魔女ドレミね」
淡「え~、知らな~い」
菫「淡はプリキュア世代だもんな」
照「だね。でも鳴き方似てなくない?」
菫「まぁ確かにそれっぽい鳴き方と言えなくもなかったが」
誠子「んー、だとするとルリビタキじゃないですね。あ、ひょっとしてオオルリかも」
尭深「そんなに大きくはなかったよ」
誠子「名前ほど大きくはないよ。でもオオルリはレッドリストに入るくらいだから違うかなぁ」
菫「後で図鑑を見ればわかるさ」
照「私は見てないけどね」
淡「オオルリさんスマホで表示したよ~。これ?」
尭深「あ、これかも」
誠子「本当に? それはラッキーだなぁ」
照「えー、こんな綺麗な鳥だったの? うわー、見逃したのが悔やまれるっ」
菫「おー、これで間違いないな。あ、鳴き声を再生できるみたいじゃないか」
淡「ポチッとな」
ピュリルリ ポピーリ ピールリピールラ チチッ
誠子「全然違いますけどねw」
淡「まるっきり違うよ~」
照「おかしい。もっと似てたはずなのに。きっと新種だったんだ」
菫「それはないだろう」
淡「ないない」
誠子「さて、そろそろ出発しましょうか」
尭深「そうだね。あと少しで10時になるところ」
深山橋 ~ 都道206号 川野上川乗線
シャカシャカシャカ
淡「この橋からの眺めもいーねー」
尭深「浮橋とちがって高さがあるから眺望できるよね」
菫「あっちに見えてる橋も渡るのか?」
誠子「そうです。国道を外れて都道に入りますよ」
照「んー、良い風♪」
菫「太陽も中天に近付いて来て暑いくらいだよ」
淡「今日もいいお天気で良かったね~」
照「ほんと、初日から天気には恵まれたね」
誠子「さぁ次の橋から都道川野上川乗線です」
淡「のりせん? あはは、お煎餅みたーい♪」
誠子「奥多摩の川野と檜原村の上川乗を結んでる道路だからね」
菫「檜原村か。都内唯一の村ってやつだよな」
照「誠子は行った事あるの?」
誠子「ええ、秋川渓谷があるので何度か釣りをしに行きましたね」
シャカシャカシャカ
誠子「っと、ちょっとスピード落としまーす」
淡「どったのー?」
誠子「よし、車なし。ここ横断しますよー」
菫「なんだなんだ」
照「で、停めるの?」キキッ
尭深「誠子ちゃんどうかした?」
菫「何かあるのか?」
誠子「実はちょっと面白い場所がありまして」
淡「なになに~? どんなとこ~?」
誠子「スバリ、心霊スポットってヤツです」
尭・照・菫「!!?」
誠子「興味あります?」
淡「あるっ! 行きたいっ!」
尭深「怖いのはちょっと」ソワソワ
照「猟奇事件とかのいわく付きの場所?」
菫「おいおい物騒だな....」
誠子「そんな事ないですよ。心霊スポットというより昨今密かなブームになってる廃墟で有名な場所です」
照「あぁ、廃墟探報系なら学校の図書館にも写真集置いてるよね」
尭深「そんなのまで置いてるんですか」
照「ほら、軍艦島だっけ? 世界遺産登録に向けて広報活動してますって帯付の写真集」
尭深「なるほど。そーゆーのならちょっと見てみたい気がします」
菫「廃墟ね。まぁみんなが良いなら私は構わないが」
淡「どんなとこー?」
誠子「随分前に廃止されたロープウェイの駅だよ」
淡「よっし行こう! お化けやクマが出ても私が退治してあげるから!」
照「百人力だw」
菫「間違いないw」
尭深「安心ですね」フフッ
誠子「では自転車はここに寄せておきましょう」
菫「この階段を上って行くのか」
尭深「朽ち葉に埋もれて如何にもな感じの階段です」
照「なんかワクワクしてきた」
淡「ねー♪」
ザッザッザッ
菫「如何にも人の手を離れた場所って感じだな」
誠子「階段終わりましたね。この先は坂なんで、落ち葉で滑らないように気を付けて下さい」
照「了解」
尭深「あ」
淡「ん?」
尭深「枯れ枝の向こうに建物が.....」
菫「おお、あれがそうか。雰囲気あるなぁ」
照「本当になにか出たりして?」
淡「だったら面白いねー♪」
奥多摩湖ロープウェイ みとうさんぐち駅
ザッザッザッ
誠子「さぁ着きました。入口はこっちみたいですね」
照「わぁ、いかにもな廃墟。こういうのも結構いいね。ちょっとした冒険っぽくて」
淡「うんうん」
尭深「どこもかしこも板や落ち葉だらけですね」
菫「ここは券売所か。文字盤が風化した時計が年月を感じさせるな」
淡「こっちはー? あ、トイレだった」
誠子「夜に来たら怖そうですけど日中だと普通に廃墟ですね。ホームへ行ってみましょう」
淡「いこーいこー♪ さっきチラッとゴンドラ見えたし」
照「ホント? そのまま残ってるんだ」
菫「お、何か書いてあるぞ」
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奥多摩湖ロープウェイ
三線交走式普通索道
線路延長 621.45米
両端高低差 0.65米
乗車人員 最大36人
運転速度 最大3.0米/秒
輸送力 往復864人/時
支策 ロックドコイルC型 直径48粍
曳索及平衡索 フイラー型 直径18粍
支柱 2基
主動電力 交流三相整流子電動機55KW
竣工 昭和36年10月
設計製作(cable)日本ケーブル株式会社
--------------------------------------------
誠子「昭和36年というと+25だから1961年。50年以上前かぁ」
尭深「半世紀.....すごいね」
淡「むつかしー字。米へんに毛って何て読むの?」
照「ミリ」
淡「へー、初めて見たっ」
菫「1時間に864人運ぶってことは割る事の36人だから1時間で24往復してたのか」
誠子「ケーブルカーと同じ原理ですからゴンドラ2台で12往復じゃないですかね」
菫「ああ、そうか。それでも5分刻みの運転なんだな。盛況だったわけだ」
尭深「せっかく湖上を渡るのにゆっくりできませんね」
照「MAXでってことでしょ。もうちょっとゆっくり渡ったんじゃないの?」
誠子「かも知れませんね。たしか当時、湖上を横断する国内初のロープウェイだったみたいですから」
淡「そーなんだー」
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誠子「ここがホームですね」
淡「あっ、ゴンドラー」タタタッ
尭深「わぁ、蔦が絡まってて素敵な雰囲気ですね」
照「ちょっとファンタジーだよね。違う次元に踏み込んだみたいな」
菫「当時は賑わったんだろうなぁ」
誠子「さっき私たちが渡って来た橋が出来るまでの短い賑わいだったらしいですけどね」
尭深「そういう事だったんだね」
照「何かが出来て、何かが廃れて行く。当たり前でいてちょっと残酷な感じ」
菫「こうして目の当たりにするとな」
淡「ねーねー、ゴンドラ乗ってみても平気かなー?」
誠子「中でゆすったりしなければ平気だと思うよ」
淡「わーい♪」スタッ
照「私たちも行こう」
スタスタ
淡「湖がよく見えるよー」スゴイッ
尭深「蔦の絡まった窓越しに見える景色はとっても幻想的です」
菫「そうだな。プラットホームの下も苔生してて良い感じだし」
照「菫って苔に反応するよねw? 水根沢でもそんなこと言ってなかった?」
誠子「言ってましたね」
菫「だって苔って良いじゃないか。天然の絨毯みたいでさ」スキナンダヨ
尭深「わかります」イイデスヨネー
菫「そうだろ? 京都に行った時にさぁ」
尭深「あ、あそこですか? 鈴虫寺の近く?」
菫「そうそう! 尭深も行った事あるのか?」
尭深「勿論です」
照「何処の話?」
菫「苔寺!」
尭深「苔寺!」
淡「なに? びっくりした」
照「苔マニアのテンションがうなぎ登りな件」
菫「いや、良い所なんだって。世界遺産にもなってるし一見の価値はあるぞ」
尭深「お勧めですよ。正式には西芳寺っていうんですけど」
誠子「苔好きの女子高生って一体.....」
菫「あそこ最初写経させられるだろ?」
尭深「ありましたね」
菫「私は早く庭が見たくってさ、ほとんど走り書きになっちゃたんだよなぁ」
尭深「わかります。最初の人が席を立った瞬間から私も走り書きでした」ソワソワシチャウ
菫「だよなぁ~」ワカルワカル
照「ん、ちょっとこの二人はそっとしておこう」ハナシニコケガムシテル
誠子「ですね」
淡「あっち行ってみよーよ」スタタッ
ツカツカツカ
淡「わー、ひろいひろーい。機械室っぽい?」
照「随分と大がかりな仕掛けで動いてたんだね。滑車のスケールが大きい」
誠子「今と違って単純な機構なんですかね。その分小型化が効かないみたいな」
照「今は何でもコンピューター制御だもんね」
淡「これって電気が通ればまだ動くのかなぁ」
ウゴクヨ
淡「? テルー、今なにか言った?」
照「ん? 何にも言ってないけど」
誠子「他には特に何もありませんね。戻りましょうか」
照「うん。淡もおいで」
淡「はーい」
マッテ
淡「?」ピタッ
......
淡「..........誰かいるのー?」
カラーン....
淡「何か落ちた? あっちかな」テクテク
淡「あ、これ何だっけ。ペンチじゃなくてトンカチじゃなくて」
レンチダヨ
淡「それそれ! って、誰の声?」
ボルトシメテ
淡「ボルト? あ、これ? できるかなぁ.....せーのっ」ググッ
淡「..........かったーい!」ムリムリ
モウスコシ
淡「えー、手の皮ムケちゃうよ。あと一回だけね」グググーッ
ガチンッ
淡「やったぁ!」
アリガトウ
淡「いえいえ、どーいたしまして♪」
-ガコン、ゴウンゴウン-
ホーム
菫「うわっ!?」
尭深「え? 揺れてます?」
菫「地震か? いや、ちがうぞこれ」
尭深「ゴンドラ動いてますっ」
菫「やばいっ、降りるぞ」グイッ
尭深「きゃあ!」スタッ
照「どうしたの!?」タタタッ
誠子「うわ、ゴンドラ動いてる」
菫「奥で何かいじったのか!? いきなり動き出したぞ」
照「何にもしてないってば」
-ブチンッ-
誠子「あぶなっ!!」
-グラリッ ガコーーン-
尭深「ゴンドラが傾いてる」
菫「ケーブルが一本切れたな。斜めってホームの縁につっかえて停まったみたいだ」
照「なんなの?」コワイ
誠子「さすが洒落になりませんね」
尭深「淡ちゃんは!?」
照「え、一緒に......」
菫「淡っ!! どこだー!?」
淡「いるよー」ヒョコッ 「すごい音したけどなぁに今の?」キョトン
尭深「無事で良かった」ホッ
誠子「手に持ってるそれ、何?」
淡「あーこれ? レンチ」
照「何でそんなものを......」
淡「だって、このレンチでボルトしめてって言うから。もー固くって固くって手の平真っ赤っかだよ~」ミテホラ
照・誠・尭「..........」
菫「..........で、それは誰に言われたんだ?」ゴクリ
淡「それがわっかんないんですよ~。ホント誰だったんだろ?」ハテ?
アリガトウ
淡「あ、ほらっ、ありがとーって言ってる」
菫・照・誠・尭「!!」
尭深「で、出ましょう」
照「賛成」
誠子「右に同じ」
菫「てっ、撤収だ~~っ!!」ダダダッ
淡「えぇ~? 意味わかんない。ちょっとまってよ~」タタタッ
ウワーッ アリエナーイ! ヤッパシンレイスポットジャンカッ! シリマセンヨー ナンナノサー?
都道206号 川野上川乗線
淡「も~っ! なんで置いてくのぉ」プンスコッ
菫「まぁあれだ。もうどーでもいいよ」グッタリ
誠子「ドッと疲れが出ましたね」
照「な、何もなかったんだよっ」ネッ
尭深「ですですっ」ワスレマショー
淡「? へんなの。んで、どーするの?」
誠子「あー、今11時ですけど、どうします?」
菫「寮まで真っ直ぐ帰って40分かそこらか?」
尭深「ですね。戻ります?」
照「あんまりギリギリになっても悪いし。一息ついたら帰ろうか」
誠子「そうですね。ゆっくり安全第一で」
---------
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渓青寮 大浴場
カポーン
淡「ん~~っ、汗かいた後のお風呂は最高だねっ♪」
照「久しぶりの自転車で太股がパンパンに張ってしまった」
誠子「後で筋肉痛になりますよ」
照「いやだな~」
菫「ふー、結構髪に砂汚れが付いてた」チャポン
尭深「こーして足湯みたいにして浸かるのも気持ち良いですね」チャポチャポ
照「お~、二人とも立派な苔が生してるねー」
菫・尭「!!////////」ザブンッ
菫「おまっ、バカじゃないの!? バカだろ! バカッ!////////」
尭深「さ、最低です////////」
照「え~.....」
淡「スミレ先輩とたかみー先輩は濃いよね~♪」
菫「うるさいっ///////」
尭深「淡ちゃんまでひどい///////」
照「私たち三人は可憐な薄毛派」フフン
菫「黙れ洗濯板めっ」
照「はぁ!?」
淡「あはははは~♪」
誠子「そ、その辺にしときましょうよ」
照「はいはい。さて、これからどうする?」
誠子「そうですね。夕飯前の帰宅という事で立川には17:00頃までに戻ればいいですから」
誠子「乗り継ぎとかを考えて奥多摩駅に15:30って所ですかね」
菫「そうするとお風呂を上がったら帰り支度とお昼ご飯でまだ多少時間が余るか」
尭深「そうですね」
照「いよいよ旅も終わりかぁ」
淡「お昼は何~?」
誠子「んー、もう残り物もあらかた片付いたし、何だったら食べに出ますか?」
菫「それもいいな。荷物はまた自転車部にお願いするとして、早目に駅前まで出るか?」
照「そうだね、そうしよう」
淡「おっけー♪」
奥多摩駅前
プシュー
淡「着いた~」スタッ
菫「今12:50だな」
照「どっか良さそうなお店あるかな?」
誠子「そーですねー」キョロキョロ
尭深「あの」
菫「ん? どうした尭深」
尭深「提案なんですけど、御嶽神社へ行ってみませんか?」
淡「どこー?」
尭深「青梅線の駅に御嶽駅ってあったでしょ? あそこから行ける観光地」
照「つまりこのまま電車に乗るってこと?」
菫「私は構わないぞ。観光地ならお店も色々あるだろうし」
誠子「そうですね。そうしますか?」
淡「途中下車の旅第2弾だね~♪ いこーいこー」
尭深「それに」ボソッ
菫・照・誠「ん?」
尭深「さっきのお祓いも兼ねて」ヒソヒソ
菫・照・誠「なるほど」
淡「どしたのー?」キョトン
菫・照・誠・尭「な、なんでもないよ」アセアセ
御岳登山鉄道 滝本駅きっぷ売り場
菫「電車、バスと来て次はケーブルカーか」
照「切符いくら?」
誠子「490円ですね。あ、往復券が930円で割安です」
照「随分取るんだね」
淡「あーっ、ペット券なんてあるっ、ワンちゃんのマーク♪」
尭深「ほんとだ。ペットと一緒にお参りできるんだね」
---------
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淡「黄色いケーブルカー♪」
菫「ドアがみっもある。さっきのゴンドラの倍以上は乗れるな」
誠子「連休だから混むかと思いましたけど、そこそこの人出ですね」
照「お祭りとか初詣なんかのイベント時期はすごいんだろうね」
ポーン プルルルルルル
尭深「そろそろ出るみたいですよ」
ガコン ゴウンゴウン
淡「動いた~♪」
ホンジツハ ミタケサンケーブルカー ヒノデゴウニ ゴジョウシャイタダキマシテ マコトニアリガトウゴザイマス
淡「どーいたしまして~♪」
トウケーブルカーハ センロゼンチョウ1100メートル コウテイサ424メートル サイキュウコウバイ25ド ヘイキンコウバイ22ドノシャメンヲ~
誠子「25度って言ったら相当ですねー」
尭深「駅に関東で一番の勾配って書いてあったよ」
淡「ナンバーワーン♪」
菫「上まで何分だっけ?」
誠子「6分って言ってましたね」
照「あ、上から青い車両が下りて来た」
菫「複線になってるな。あそこがちょうど中間地点か」
淡「近付いてきた~♪」
尭深「向こうは青空号ですね」
照「えっ!?」
菫「なんだよ?」
照「向こうの車両、線路の中央にケーブルがない」
誠子「そりゃそうですよ」
菫「どういうこと?」
誠子「つるべ式ですから、上の駅から垂れてるケーブルの両端に車両がぶら下がってるんです」
照「あ、そっか。びっくりした」
淡「ちっちゃい娘が手ー振ってる」テーフリフリ
尭深「ばいばーい」テーフリフリ
淡「行っちゃったねー」
尭深「可愛かったねー」
御岳登山鉄道 御岳山駅
淡「案内図あるよ~」
尭深「秩父多摩甲斐 国立公園 御岳山。国立公園なんですね」
照「へー、本当だ。結構複雑に道が入り組んでて相当広い感じ」
菫「一先ずランチにしたいが、何処へ行けば....」
尭深「商店街にあるんじゃないでしょうか」
誠子「そうだね。行ってみよう」
淡「ごーごー♪」スタタッ
テクテクテク
照「山って言うより本当に公園って感じだよね」
菫「だな。思ったより整備が行き届いてる」
尭深「道も綺麗に掃き清められていますね」
照「それと犬連れが多い」
菫「そう言えば駅の所に愛犬祈願とかって書いてあったぞ」
尭深「何か犬にまつわる由来があるんでしょうか」
テクテクテク
淡「山の上なのに色々建物があるんだね~」
誠子「そうだね。初めて来たけど、ちょっと山って感じはしないね」
淡「駅前も建物いっぱいだったし、ちょっとした村? 町? そんな感じー」
照「せーこー。結構歩いたけどまだ?」
誠子「パンフだと縮尺がイマイチなんですよ。えーっと、あれが神代ケヤキだから....こっちかな」
テクテクテク
淡「行き止まりだよー? 旅館みたい」
誠子「一本間違えちゃったか」
尭深「あ」
菫「なに?」
尭深「浅田次郎先生所縁の宿ですって」
照「えっ? なになに、ここが? 山香荘、へー」
尭深「お母様のご実家なんですね」
照「ホントだ、書いてある。ここで執筆したんだ。ねぇねぇ菫。この旅館の前で写真撮って」
菫「ああ、いいよ」
淡「なになにー?」
誠子「写真ですか?」
照「並んで並んで」
菫「それではお馴染みのー、ぴっ、ぴかちゅ~」
照・尭・淡・誠「ぴかちゅ~♪」
パシャッ
御岳山神社参道 商店街
誠子「何処にします?」
菫「何処でも構わないが.....しかしここは本当にどこもかしこもペットフリーだな」
淡「さっき仔馬くらい大きい犬見かけたっ」
照「うっそだぁ」
淡「ほんとだってば!」
尭深「あ、このお店、広めで席も空いてます」
菫「よし、入ろう」
---------
------
---
照「みんなお蕎麦?」
菫「だな」
誠子「御岳そばですね」
尭深「私は月見そばで」
オマタセシマシター
照「あ、味噌おでん二皿下さい」
ハイ アリガトウゴザイマスー
淡「味噌おでん?」
照「なんか名物っぽいし。お蕎麦だけじゃ足りないでしょ?」イタダキマス
菫「確かにな」イタダキマス
誠子「いただきまーす」ズルッ
淡「たかみー先輩のも美味しそう」イッタダッキマース
尭深「御岳そばは茸と山菜のお蕎麦ですね」イタダキマス
照「うん、さっぱりしてて美味しい」
誠子「それにしてもさっきの旅館。偶然でしたね」
菫「怪我の功名だよな。道を間違えてなければ知らずに通り過ぎてたろう」
照「ほんと、まさかあんなところに浅田次郎ゆかりの宿があったなんて」
淡「映画になったぽっぽやの人でしょー? こないだテレビでやってたー」
尭深「そうそう。それで直木賞取ったんだよ」
淡「そーなんだー」
照「あれ? 地下鉄に乗ってで取ったのって何の賞だったっけ?」
尭深「地下鉄に乗っては確か....」
照「あ!」オモイダシタ
尭・照「吉川栄冶新人文学賞!」
淡「吉川栄冶さんなら記念館に行ったじゃん♪」
誠子「偶然に偶然が重なった感じですね」スゴイナー
菫「旅の始めと終わりが線で結ばれた感じだな。なんだか割符が合わせたみたいな小気味良さじゃないか」
照「うん、この先もずーっと記憶に残る旅になったよね」
誠子「ですね」
尭深「楽しかったです」
淡「わたしも~♪」
御岳山神社
菫「お、愛犬祈願やってる。すごい列だな」
誠子「何だかんだで結構人が来てましたね」
尭深「あの、私ちょっと御朱印帳に書いて貰って来ますね」
照「御朱印帳なんか持ち歩いてるの?」
尭深「はい。神社用とお寺用で二冊」
淡「なにそれ?」
尭深「えっと、神社やお寺に参詣しましてよっていう証明書みたいなものかな」
菫「尭深は信心深いね」
尭深「あ、ここ。西芳寺のもありますよ」パラッ
菫「本当だ。へー、他にも色々回ってるんだなぁ」
尭深「それじゃあちょっと行ってきます」
照「この辺にいるから、戻ってきたら一緒にお参りしよう」
尭深「はい」スタタッ
誠子「あ、向こうに厄除けって書いてありますよ」
菫「ほう、行ってみようか」
テクテクテク
淡「ここもペット用でしたー」
照「動物の型紙? へー、これに名前を書いて体をさするんだ」
菫「なになに、当神社は日本武尊が難を逃れるよう導いたとされる白狼、黒狼が祀られています」
菫「そういう由来で愛犬と一緒に参拝できるのか。なるほどな」
誠子「すみません。このお札、人間用のはありませんか?」
モウシワケアリマセン
照「残念」
ナンデシタラ キヨメノカミヲ オカイアゲイタダケレバ ヒトガタニキリヌイテ サシアゲマスヨ
菫「あ、それでお願いします」
カシコマリマシター
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尭深「お待たせしました」
誠子「丁度良かった。今、厄除けのお札を買ったところなんだ」
淡「はい、この紙に自分の名前書いてー」
尭深「うん」カキカキ
照「それじゃあ輪になって、前の人の紙を受け取ったら、背中に当ててさすろう」
菫「ちゃんと厄除けを念じるんだぞ」
淡「はーい♪」
サスサスサスッ
照・菫・尭・誠(どうか祟りがありませんように)
淡(みんなで三連覇できますよーに)
菫「よし、これで厄は落ちたかな」
照「後はお参りしておけば大丈夫でしょ」
誠子「それじゃあ早速お参りしましょうか」
ゴトッ
照「ん? 何の音?」
尭深「淡ちゃん、ナップザックから何か落ち......」
誠子「そ、そのレンチは.....」
淡「あれー? ちゃんと入れといたんだけど」
菫「おまっ、何でそんなもん持って来たんだ」
淡「えー? 記念に?」
照「.......奉納して行こう」
淡「なんで?」
誠子「いいからっ」ヤバイッテ
淡「?」
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菫「ふぅ、これで全てに片が付いたな」
誠子「ですね。お参りも済みましたし、後は無事に帰るだけです」
淡「ぶーぶー、せっかく今度の旅行の記念品にしようと思ったのにぃ」
照「おみやげ屋さんで何か買ってあげるから」
淡「ほんとー?」
尭深「何でも好きなもの買ってあげる」
淡「やったぁ♪」スタタッ 「はやくはやくー!」ピョンピョン
菫「元気だなぁ」
誠子「置いてかれますよ」スタタッ
照「お先っ」タタッ
尭深「待って下さい~」
菫「やれやれ、行くとするか」
------ 一週間後 ------
白糸台 麻雀部部室
ガラッ
菫「ん? 何だ三人隅っこに揃って、どうした?」
照「菫。淡からメール来てたでしょ」
菫「メール? 気付かなかったな」スマホトリダシー「あ、来てる来てる」ピッ
誠子「どういうことなんですかね」
尭深「わかりたくない」
菫「なになに何だって」
from:淡 title:じゃじゃーん
旅行楽しかったね!
お料理したり、釣りしたり、麻雀や花火もしたし、お星さま綺麗だったね!
スミレ先輩から転送して貰った写真も全部プリントアウトしてアルバムにしたよっ
それで、使ってないアルバム探してたら押し入れの中からこんなものが出てきました!
(写真)
ねー? ちょー不思議なんですけどー
でもでも、せっかくだから、これもアルバムと一緒に大事にとっておこうと思います
三連覇してまたみんなで旅行に行こうねー♪
なので、今年も絶対絶対勝って下さいっ、めっちゃ応援してるからねー!
ばいばい♪
菫「これは.....」
照「どう見てもあのレンチだよね」
尭深「厄除け効かなかったんでしょうか」
誠子「もうわけが分からないですよ」
菫「まぁな。しかし一緒に写ってる淡の満面の笑顔を見てると、何というか」
照「うん、何だか不安も吹き飛ぶよね」
尭深「悪いものではないんでしょうか?」
誠子「逆転の発想でいくなら、憑きはツキで雀力向上につながったりするんですかね」
照「淡にとってはお守りみたいな物なのかも知れないね」
菫「まぁ何かあればまたメールしてくるだろう」
尭深「そうですね。それまではそっとしておきましょう」
照「はいはい、それじゃあ」パンパン
照・菫・誠・尭「なかったということでっ!」
部長「さーっみんなー、対局始めるよー!」
ハーイ!
照「虎姫前夜」淡「みんなの旅行記っ!」 カン!
終りです
そのうちまたお会いしましょう
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