シャルル「いーむゎあぁ……」神官「えっ?」 (107)

■黄昏の間 ─────

カツ、カツ、カツ……

神官「……陛下、御遺体が到着いたしました」

シャルル「……いーむゎあぁ、クウゥロヴィスとおぉ……」
      「はぁぁなしておっとぅぁとぉおころぉどぅわぁ……」

神官「…………えっ?」
   (きっ、聞き取れなかった……)

シャルル「……いいいむぅゎあぁぁぁ……クウウゥゥゥルルオヴィスとおぉぉぉぉ……」
      「はぁぁなしておおぉっっとぅぁぁあとおおぉぉころぉぉドゥワアアァァ……」

神官「は……はいっ?」

   (今、陛下は一体何を言われたんだろうか!?)
   (どっ、どうすれば……聞こえたふりをして間違ってたら恐ろしいことになる、)
   (聞こえてないと言ったらギアスをかけられそうな……!)ブルブルブル

シャルル「……」ギロ
      「……いいいぃぃぃぃぃむわああああぁぁぁぁぁ」

神官(……いま……)コクコク

シャルル「クウゥゥゥルォオヴィイィィスとおおぉぉぉ」

神官(……クールビズと……?)コク…

シャルル「ファァァあああなスィておっっっっっっとぅぁ、」

神官(……アナスイ夫を……??)

シャルル「トゥゥゥウウこルルルルぉどぅぁぁあああぁぁぁぁぁぁ……」

神官(……つくるドアー…………???)

神官(……ど、どど、ど……陛下のおっしゃることが、さっぱりわからない!)
   (そんな、ようやっと陛下のお傍にお仕えする地位にまで出世したのに、)
   (私の人生こんなとこで終わってしまうのか!?マジか?マジなのか!?)タラタラ…

シャルル「……ぬうううううううっ!」ギロオッ!!
      「…………!!!」クワァ!!

神官(ひっ、ひぎいいいいいいいいい!)ガクガクガク

シャルル「……」プイ
      「急がなければな、計画を……」

神官「……はっ、はは!……おっしゃる通りでございますうぅ……!」ヘナヘナヘナ…

シャルル(そうか……ルルーシュの奴め、CCからギアスを得たか……!)
      (アレも一体、何を考えておるのか……)
      (我が下に来れば、全てが解決しように……)

      (……ふむ、まあよいクロヴィス、お前にしてはよくやったものよ)
      (うむ……そうだ、アレは、お前にどうこうできるものではなかったのだ)
      (……ほう、心残りか?……いずれ、奴も知れることよ……)

      (それが……宿命だとな……)ニヤリ


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■その約一週間ほど前 ─────

(ルルーシュの陽動作戦──租界内の同時多発テロ──により、)
(政庁は蜂の巣をつついたような騒ぎに陥った)

(租界全域および周辺ゲットーにまで警備網が広がった結果、政庁の警備は手薄になる)
(その隙をつき、兵士の変装で政庁に忍び込んだルルーシュとCCは、)
(ギアスの活用により首尾よくクロヴィスを拉致することに成功した……)

(そして、租界周辺ゲットー、扇たちのアジトにて……)

玉城「……本当に、さらってきちまッたのかよォ……!」

井上「本当に、本物なの……!?」

南「なんてこった……」

扇「……!」

クロヴィス「むぐっ……むぐうっ……!」ジタバタ

ルル「俺は、言ったことは必ず実現する……」
   「どうだ、俺を信頼する気になったか?」

CC「……」

カレン「ねえ……こいつ、どうするの、ルルーシュ……」

ルル「どうするかな……さて……君らは、どうしたい?」ニヤ
   「恨み骨髄の相手が、無抵抗で目の前に転がされている状況……」
   「やりたいことは大体判るが……」

玉城「おっ、おう……当然じゃねェか!まずはこいつの手足を」

扇「待て!」

玉城「おっ?」

ルル「……」

扇「オレたちはテロ組織じゃない……志を持つ同志だ」
  「残虐な報復をして、何が変わるというんだ!何もせず……生かして返そう」

玉城「扇ィ!おめェ、吉田たちの無念を忘れたのかよォ!?」

扇「忘れるわけがないッ!忘れなんかしない……」
  「だが、ここで殺せば、復讐の連鎖になる……」

カレン「扇さん……」

ルル「フッ……甘いな、扇」

扇「!?」

ルル「このエリア11に、なぜこいつが派遣されたと思う?」
   「この男……クロヴィスは、芸術方面には才能があるが政治はからっきしダメだ」
   「到底、政治家の器ではない……そんな男が、なぜ着任したのか?」

   「エリア11は、さしたる抵抗もなく、反抗心も欠如した民族だと判断されたからだ」
   「帝国からは、お前ら日本人は能無しだと思われてる、ということだ」

扇「なっ……!」

クロヴィス「ぐふっ!ぐふう!」バタバタ

ルル「そうではないことを……こいつの死をもって示してやろう」チャキ
   「日本人は、日本人たる誇りを内に秘めたる民族だということを……」

クロヴィス「!!!!!」ブンブン、ブンブン

ルル「……だが、」スッ
   「その前に、こいつを借りていいか?」

扇「……どういうことだ?」

ルル「因縁がある、と言っただろう」
   「こいつには、聞いておきたいことがあるんだ」

扇「……ああ、かまわない」
  「元々はお前の計画だったしな……」

C.C.「……」

(別室で、俺とC.C.はクロヴィスを柱に縛りつけ、猿轡をほどく)
(連中はドアの向こうで聞き耳をたてているだろうが、俺の身元はいずれはバレることだ)
(それよりも、ギアスを使う場面だけは絶対に見られたくない……)


クロヴィス「……私じゃない、私じゃないぞっ!」

ルル「なら、知っていることを話せ……俺の前では、誰も嘘をつくことはできない……」
   「誰だ……母さんを殺したのは!」キュィィィン!!

クロヴィス「…………第2皇子シュナイゼルと第2皇女コーネリア」
       「彼らが知っている……」

ルル「あいつらが首謀者か!?」

クロヴィス「…………」

ルル「……そこまでは知らないか……」

クロヴィス「…………!!」ハッ!!
       「ほ、本当に私じゃないっ!やってない!やらせてもいないっ!」

ルル「……わかった……」スッ…

クロヴィス「……」ホッ…

ルル「……しかし……」チャキッ

クロヴィス「!!」

C.C.「ルルーシュ!」

ルル「……何だ?」

C.C.「本当に殺すのか?」
   「今この瞬間がまさに分水嶺だぞ、後悔しないか?」

ルル「何をだ?俺は計画の実行前からすでに決めていた……」
   「クロヴィスには、死ぬことで俺に貢献してもらうとな」

クロヴィス「そっ、そんな!」
      「私は、マリアンヌ皇妃の死とは無関係なのに、助けてくれないのか!?」
      「ひっ、ひどい……!」ガクガク

ルル「……ひどい?ひどいだとッ!?」
   「日本が敗戦した日、夕焼けの中で俺たち兄弟が見た凄惨な光景を知っているか?」
   「命令ひとつでその地獄を生み出し続けた、元凶こそがお前らだろうッ!」

クロヴィス「でっ……でも……!」ブルブル

ルル「その贖い……今ここで償わせてやる……」

クロヴィス「やっ……やめろ……」
      「腹違いとはいえ、実の兄だぞおっ!?」ブルブルブルブル

ルル「そうだ!確かにそうだ、兄上!……しかし」

C.C.「キレイごとで、世界は変えられないから……か?」

ルル「!」ピク
   「……殺すな、と言いたいのか、C.C.?」

C.C.「…………」

ルル「……お前は、何か、知っているのか?」

C.C.「…………いや……済まなかった」フッ
   「お前は、お前がやりたいようにすればいい」プイ

ルル「…………」ジッ…

クロヴィス「な、なあ、ルルーシュ……」
      「アリエスの離宮で……いっしょに、遊んだ、仲じゃないか……」ポロ…

      「お前のチェスの腕前は素晴らしかった……」
      「そっ、それにお前も、私の描く絵が好きだと……言ってくれたじゃないか?」
      「あの頃は、た、楽しかった……なあ、そうじゃないか、ルルーシュ?」ポロ…ポロ…

      「なっ、なのに……なぜ……兄弟で殺し合わなくてはならないんだ……」
      「そんなの……ひどいじゃないか……」ポロポロ…

ルル「…………残念です、兄上」
   「その結論に達するのが、8年遅かった……」チャキ

クロヴィス「ひっ!!!」

ルル「お慕い申し上げておりました……」
   「……さらばです、兄上」…カチッ

■アッシュフォード学園 生徒会室 ─────

ミレイ「こらあーっ、シャーリー!」バチコーン!!

シャーリー「Zzz……あたっ!?」

ルル「……」チラッ

ミレイ「いま、居眠りしてたでしょ!?」

シャーリー「えっ、えっ?あたし、寝てました!?」

リヴァル「してたしてた、こっくりこっくりと……口元からよだれも……」ニヒヒ

シャーリー「ええっ、ちょっ、やだほんと!?」ゴシゴシ
       「……たれてないじゃん!リヴァルの嘘つき!」ムキー

ルル「珍しいな、シャーリーが居眠りなんて?」

ミレイ「夜中に本の読み過ぎじゃないー?」

シャーリー「えっ!?え、ええ……そうかも……///」

リヴァル「へええ……シャーリーが夢中になるほどの本かぁ……」
     「どんな話なんだ?推理物か?」

パラレルギアスの>>1だったか
こないだのルルカレエロSSは美味しくいただきました

支援

シャーリー「推理とはちょっと違うけど……恋愛もの、かな……///」

ミレイ「シャーリーらしいわねー」

ニーナ「……」ジ-

シャーリー(……ニーナから借りたボーイズラブ本だなんて、言えないよ……///)
      (しっ、しかも、ルルに似てる男の子の……///)チラッ

ルル「……?」

シャーリー「!!!///」プイッ

ルル「???」

>>21 大変恐縮です…


ニーナ「……」ジ-

シャーリー(……なんか、すごい視線を感じる?……ニーナっ!?)

ニーナ「……」ニコッ

シャーリー(うわっ、すごいプレッシャー!?)
      (だいじょうぶ、絶対誰にも言わないから……決して言いません……!)タラタラ…

ニーナ「……」ニコニコ

■周辺ゲットー 扇たちのアジト ─────

玉城「……しッかし、まさかまさかだぜェ……」
   「あのセイガク、とんでもねェタマだな……」

南「だな……まさか、本当に総督を誘拐してくるとは思わなかった……」
  「その上……あの話の流れだと、元皇族っぽいよな……」

玉城「よく聞こえなかったんだけどよォ、」
   「あいつ結局、自分の兄貴を殺したのか?」

南「らしいな……確かめたかったが、聞けなかった……」

扇「……」

■拉致当日 ─────

パンッ!

カレン&扇「銃声!?」

……ガチャッ

ルル「……民衆の敵は、俺が処刑した」カツカツ

玉城「おめェ……」

南「……お、おい……」

ルル「夜の間に死体を棺に入れて運び出し、放送局の前に放り出す」
   「総督府は、いなくなったクロヴィスの捜索で混乱しているはずだ」
   「このうちに事を済ませるぞ、それで作戦は完了だ」

扇「あ、ああ……」

ルル「それと、棺の中にこれを入れておけ」ヒョイ

カレン(パシッ)「…………ディスク?」

ルル「犯行声明文だ、事前に用意しておいた」
   「主義主張のある反政府団体は、事を起こせば必ず声明を出すと相場が決まっている」

ルル「カレン、運転はできるか?」

カレン「うん……できるよ」

ルル「よし、それではカレンとC.C.と俺で棺を投棄してくる」
   「それと、明日以降、各自生活の場を作れ、集団生活だと目につきやすい」
   「これで解散だ、次の集合はまた連絡を入れる」


─ ─ ─ ─


玉城「……だもんなァ……どういう神経してんだァ、あいつ?」
   「自分の兄貴を殺して、ああも冷静でいられるもンかねェ?」

扇「……それだけ、本気で復讐する気だということかもな」
  「そのために、オレたちのすぐ隣の部屋でやったんだと思う」

南「あぁ、なるほどな……聞いてもかまわない、ということか」

井上「……なんだか、怖い子ね……」

扇「どんな時でも冷静沈着でいられるというのは、すごいことだ」
  「あれこそが、生まれながらの指導者、ってやつかもしれないな……」

扇「……オレはさ、」

南「うん?」

扇「あいつが現れたおかげでよく分かったよ……オレは、本当に未熟だった……」
  「オレたちがみな死んでしまう前にそれが分かって、本当に良かった……」グスッ

玉城「扇ィ!オレは、おめェのそういう所が好きだから、ついてってンだからな!」
   「最後までバックレんなよォ!?」バシンバシン!!

南「……そういえば、カレンは?」

扇「ああ……落ち着くまで、自宅にいるように言っておいた」
  「母親の世話もあるしな」

■周辺ゲットー カレンの家 ─────

カレン(ガチャ)「……ただいま」

カレン母「あっ……おかえりなさい、何もなかった?」ニコッ

カレン「…………」ドスドス、バタン

カレン母「……」ショボン…

(私が扇さんたちの活動に参加してるのがシュタットフェルト家にバレた日、)
(私といっしょにあいつ(母親)も追い出された……)
(今まで何をされてもあれだけ従順だったあの女が、私が追い出されるとなった途端、)
(半狂乱で抵抗したので驚いた……でも結局、二人ともシュタットフェルト家から追放された)

(貴族のバックアップがなければ、私たちが租界にいることなどできない)
(その日のうちに私たちは、手荷物だけを抱えリムジンでゲットーまで運ばれ放り出された)
(まあ、逆に私はせいせいしたんだけど……これで、自分を偽る必要がなくなるから)

(意外だったのは、あの女……)
(あれだけ貴族の生活に執着していたくせに、ゲットーでの生活に不満を漏らさない)
(どうせすぐ泣き言を言って、シュタットフェルト家にすがりつくと思ってたのに……)

(……おかげで、私が二人分の生活費を稼がないとならない)
(しかも、今まではアジトに入り浸ることで顔を合わせずに済んでたのに……)

(ほんとに……どこまでも私に迷惑をかける女だ……!)

カレン「……ったく、ほんっとウザいわ!」ボスッ!!


(聞こえよがしに大声で言い、私はベッドに倒れ込む)
(唯一の、確実に私に安息を与えてくれる場所に……)


カレン「……ふう……」
    (…………あいつ、学校ではキザったらしい奴だと思ってたけど、)
    (ちょっと意外だったな、あれは……)

■クロヴィスの棺を運搬中 ─────

カレン「……」ゴトゴト

ルル「…………」ゴトゴト

C.C.「…………ルルーシュ、大丈夫か?」ゴトゴト

ルル「…………何がだ……」

C.C.「いや……大丈夫ならいい」

カレン「……?」

ルル「…………うっ……う、うげえっ!」ゲボ-!!

C.C.「!!!そらきたか!」

カレン「うわ、ちょっと!?大丈夫!?」キキィ-ッ!!

ルル「くっ、気にするな!いけ!止まるな!」
    「まだ作戦は終了していないぞ!」ハァハァハァ

C.C.「蒼ざめていたから、気にはなっていたが……乗り物酔いか?」
   「……いや、違うか?」

ルル「うるさい!少し気分が悪くなっただけだッ!」ハァハァ

C.C.「…………全く、虚弱に過ぎないか、坊や?身も心も……」
   「ほら、口元が汚れてるぞ……」フキフキ

ルル「くそッ!……俺を無神経な魔人とでも思ってたのか!?」ハアッハアッ

C.C.「いや……今にも泣き出しそうな坊やに見える……」ナデリナデリ
   「二人きりなら、抱きしめてやるところだ」

ルル「くだらんことを言うなッ!やめろ、大丈夫だ!」
   「……カレン、この事は扇たちには絶対に言うな!」

カレン「はっ、はい!」

.
─ ─ ─ ─

カレン(あの時は体調不良かと思ったけど……今はわかる、)
    (やっぱり、ショックだったんだ……自分の兄弟を殺したのが……)

    (……あの女とは、どういう関係なんだろ……)
    (まあ、どうでもいいけどさ……)

コンコン……

カレン母「カレン、ご飯ができたわよ……?」

カレン「うっさい!そのまんま置いといて!後で食べる!」

カレン母「早くしないと冷めるわよ……?」

カレン「いいから!ほっといてよ!」

カレン母「…………」

カレン「……」フゥ…

カレン母「…………お風呂沸かすからね?」

カレン「勝手に沸かしといてよ、勝手に入るから!うざいっての!」
    (あああもう!早く集合かからないかしらッ!)

■放送局 編集ルーム ─────

ディートハルト「……」

   『私は、ゼロ……』バッ
   『私は、力なき者の味方であり、力ある者への反逆者である……』
   『クロヴィス総督は、何の理由もなく、あるいは居もしないテロリストの殲滅という』
   『目的で、租界周辺ゲットーへ連日襲撃を行っては多数の民間人を虐殺した……』
   『よって、私が処刑した……』

ディートハルト「…………」

AD「……あれ、ディレクター、また見てるんですか?」
   「やばいですって、そのビデオは……」

ディートハルト「外に出さなければいいだろう……」
       「それよりも、お前はわからんのか、この映像のエロティズムが……」

AD「エロ……って、またわけわかんないことを……」ブツブツ


   『……撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ……』
   『覚悟なき者は、覚悟せよ……目前の我が銃口を見据えながら!』ババッ!!


ディートハルト(日々繰り返される大本営発表の退屈さに飽き飽きしていたが……)
      (ふふふ……ようやっと、面白そうな素材が現れたじゃないか……)
      (たまらんな……ふふ、興奮が収まらん……)ギンギン

■特派トレーラー内 ─────

『卑劣なテロリストにより、クロヴィス総督が命を奪われたという痛ましい事件の続報です』

『総督府は現在、トウキョウ租界および周辺域の全域に戒厳令を発しておりますが、』
『さらなる危険は除去されたとの見方から24時間中には解除される見通しです……』

『クロヴィス殿下のご遺体と一緒にあった犯行声明のビデオには、』
『ゼロと名乗る犯人らしき人物が映っており、犯罪行為を正当化する卑劣な声明が……』

ロイド「…………ふ~ん、仮面の男がねぇ……」

セシル「あら、声が入ってないですね?」

ロイド「犯行声明は、要するに宣伝だからねぇ……」
    「犯人が利する部分はカットするのが普通だよ」

スザク「なるほど……」

    (クロヴィス殿下が亡くなられるなんて……これで、反政府勢力も勢いづいてしまうだろう)
    (日本が、また戦場になってしまうのか……)

スザク(あっ、でも、これで例の子が知っている秘密というのがムダになるんじゃ……?)
    (殿下とバトレー将軍しか知らなかったのだったら、後はもうバトレー将軍しかいない)
    (でも、将軍は、本国へ護送された……)

    (…………まさか、あの子のために……)
    (ってことはないか、さすがにルルーシュ一人じゃこんなことはできない)
    (まあこれで、彼らを殺す命令が下されることはなくなっただろうな……)ホッ…

■ナリタ連山ふもと コードR研究所 ─────

研究員A「バトレー将軍が、本国へ連行されただって!?」

研究員B「ああ……とんでもないことになった」
      「ここナリタへは、後から来るとおっしゃられていたのに……」

研究員C「じゃあ、ここの研究は……」

研究員B「……まだ、将軍が戻らないと決まったわけじゃない」
      「それに、コードRそのものの素体はないが、その代わりはある……」チラッ

ヴィレッタ「…………」グッタリ

研究員A「確かに……」

研究員C「……これの脳を解体すれば、逆にコードRの秘密に迫れるかもしれん……」ゴクリ

研究員B「それは最終手段だ、まずは生体分析からしよう」

研究員C「そうだな、早速導電の抵抗値から見るか」カチャカチャ

研究員A「将軍が戻ってきて研究が進んでいたら、さぞかし驚かれるだろうな……」

■ナリタ連山 日本解放戦線アジト ─────

片瀬少将「……ゼロ、か……」

草壁中佐「これをやったのは、扇のグループだと聞いています」

片瀬少将「だが、扇の指揮ではないな?」

草壁中佐「でしょうな……今までと手際が違います、おそらく、この……」

片瀬少将「うむ……まるで、藤堂のような鮮やかなやり口だな?」

藤堂「……」

片瀬少将「フッ、そうとがるな……草壁、連中とは連絡がとれるか?」

草壁中佐「なにぶん、今は戒厳令下ですので……」
      「戒厳令が解除され次第、接触を試みます」

片瀬少将「うむ……身辺調査は念入りにしてくれ」
      「総督を暗殺した者だとしても、用心をするに越したことはないからな……」
      「あるいは、これ全てがブリタニアの罠ということも考え得る」

草壁中佐「はっ」

片瀬少将「それと藤堂、近々キョウトより"無頼改"を賜る予定だ」
      「その際にはお前たちが直々に受け取りにいってくれ」

藤堂「……承知」

■夜半 クラブハウス ルルーシュ自室 ─────

C.C.「そんな仮面やマントを作って、何かの仮装にでも出るのかと思っていたが……」
   「そういう用途だったとはな」

ルル「世間には、まだ顔をさらすわけにはいかないからな」ゴソゴソ
   「うむ……いい出来だ、さすがは一流の職人が作っただけはある」コンコン

C.C.「良かったのか、レジスタンスの連中には知られても……?」

ルル「俺が元皇族で学生だということか?ああ、かまわん」
   「連中とは今後行動を共にするし、後で説明するのも面倒だからな」ゴソゴソ

   「それに、今回の件で俺のリーダーシップは確立された、」
   「俺が消えればあのグループも解散する……誰もバラせないさ」パタリ

C.C.「リーダーといえば、あの男……扇、だったか?」
   「あれは、どうするんだ?」

ルル「都合の良いことに情に厚い男だった、あれはいいお飾りになる」
   「あれを先頭に立て、正義の熱弁を奮わせれば民衆はついてくる」
   「車椅子のレジスタンスリーダー……フフッ、いい宣伝になるだろう?」
   「そして俺は実を取るのさ、グループの支配は俺が行う」

C.C.「なるほど……ふふっ、とんだ悪党だな、お前は」

ルル「心外な評価だな、学生という身分を失わないための、必死の知恵だよ……」
   「……とりあえず、ベッドの下に入れておくか……」ゴソゴソ

ルル「……それと、C.C.、」スクッ

C.C.「なんだ?」

ルル「お前は、何を知っている?」クル

C.C.「…………何の話だ?」

ルル「お前、俺がクロヴィスを殺すのを止めたがっていたな?どうしてだ?」

C.C.「……坊やには、酷だと思ったんだよ」

ルル「違うな、それは嘘だ」カツカツ
   「親衛隊やヴィレッタを殺すのを止めもしなかったお前が、そんなことを思うわけがない」
   「分水嶺だと言ったな……殺したことで、何が変わった?」

C.C.「…………今は言えない」プイ

ルル「今は、だと!?ならいつ言うッ?」ガシッ

C.C.「つっ!……やめろ、腕を離せ!」キッ!!

ルル「…………お前!」ハッ!!
   「……まさか、俺に計画的に近づいたのか?」

C.C.「!!…………」

ルル「……そうか……なるほど、な…………」スッ…
   「ギアスも、最初から与えるつもりだったということか……」

C.C.「…………いや、計画的ではなかった、偶然だよ……」
   「ただ、お前みたいな男を探していたのは確かだ……」

ルル「……」ジロ
   「俺みたいな、男……?」

C.C.「ああ……お前みたいな男にしか、できないことがあるのさ」
   「私には、ひとつだけ"望み"がある」
   「今は言えないが、その時期がきたら言おう……」
   「それを叶えるのが、私とお前との契約条件だ」

ルル「なに?あの、わけのわからんのが契約ではなかったのか!?」
   「俺は絶対に死ぬとか何とか……」

C.C.「あっ……あれは、その……急いでいたので、適当に言っただけだ」
   「そのくらいの気概で臨め、という意味だと思え」

ルル「なんだそれは!俺の了承も得ずして勝手に契約内容を変えるのかお前は!」
   「好き勝手に契約を書き換えたら、信用が崩壊するのが分かってるか?」

C.C.「でも、あの状況だったらしようがないじゃないか……」
   「たしか……そう、緊急避難とかいうやつだ!な?な?」

ルル「……その分だと、立法の過去への遡及は認められんことも知らんのだろうな、」
   「お前は……数百年も生きているというのに……」フッ…

C.C.「この小僧……魔女たる私に法を講釈するか!」
   「ノブレス・オブレージュも理解できん連中が語る法治主義など、私の知ったことか!」
   「私には私の法があるんだ!C.C.法だ、国際条約のさらに上に君臨する法だぞ!」
   「試験に出るから覚えておけ!」

ルル「なんだその苦し紛れの嘘は!お前は子供かッ!」
   「ンなもんが試験に出たら、逆立ちしながら鼻からスパゲティを食ってやるわッ!」

C.C.「ほほーう、言ったなぁ?私がC.C.だと言うことを甘く見ているようだなあ?」
   「どうやってでも試験に出してやるぞ……後悔するんじゃないぞ……小僧?」

ルル「誰がするか!それよりも、試験に出なければどうするんだお前は、ええッ!?」

C.C.「そうだなあ……しようがない、お前の眼の前で衣類を脱いでやろう、」ニヤリ
   「青白い月明かりの下で、一枚一枚……艶めかしくな……ふふっ、興奮したか?」

ルル「いつも平気で下着姿でウロついてるだろうが!」


─ ─ ─ ─


咲世子「……あのお二人、またケンカをされてるようですねぇ……」

ナナリー「ええ……とても楽しそうで、羨ましいです……」ショボン

■中東地域 グロースター(コーネリア機)内─────

シュナイゼル『……というわけでね、エリア11の次の総督は、君にお願いしたいんだ』
     『コーネリア、中東の平定はいつ頃になりそうかな?』

コーネリア「来週中にはできる見込みですが……」
      「兄上、失礼ながら、私がエリア11の総督、ですか……?」

シュナイゼル『気が進まないかな?暇そうだからかな?』

コーネリア「いえ、そういう意味では……」
      「ただ、私は戦場(いくさば)でランスを振り回すしか能のない女です」

シュナイゼル『そこも見込んでの話だよ、』
     『少々きな臭い情報も入ってきている、荒事もこなせる総督が必要だ』

コーネリア「わかりました……平定を急ぎましょうか?」

シュナイゼル『いや、急がなくても大丈夫だよ、空席の時間は短く済みそうだからね、』
     『代理を立てる必要もないかな?』

コーネリア「はい……しかし、クロヴィスを殺した、あの男……」
      「今まで、我々のブラックリストには現れたことのない男だとか?」

シュナイゼル『うん、改めて調べてみたのだけどね、どこの組織にも該当しそうなのはいなかった』
     『最近、テロに参加した者かもしれないね』

コーネリア「よろしくない傾向ですね……主義者どもが調子づくのが目に見えます」

シュナイゼル『そう……だから、君にお願いする』
     『それでは、"ブリタニアの魔女"の凱旋を待っているよ』 ピピッ

コーネリア「……ギルフォード、ダールトン、聞いたな?」
      「兄上が首を長くしてお待ちかねだ、明後日までに首都を陥とすぞ!」ゴオオォォォ!!

ギルフォード「イエス、ユアハイネス!!」ドシャアァァ!!

ダールトン「イエス、ユアハイネス!!」ズシャアアァァ!!

■政庁内 総督執務室 ─────

ジェレミア「そうか……コーネリア殿下が次の総督にご着任あそばれるか」

キューエル「辺境伯、殿下は烈火のごときご性向……おそらく就任早々、」
       「ゼロを捕えるよう厳命されるのは必至かと」

ジェレミア「ああ、わかっている……しかし、非常に微妙な問題が残っている……」フゥ

      「我々が異変を感じ、執務室に駆けつけた時には、すでにもぬけの殻であった……」
      「あまりに鮮やかな手際……総督府内に裏切り者がいたとしか思えん」
      「だが、関係者と思しき者を全て尋問にかけたが、これといった成果もない……」

      「……このままご就任されるとなると、時限爆弾の上に座るようなものだ」
      「何としても、総督府内を"掃除"しておかねばならんが……」

キューエル「……特派にいる、枢木スザクを使うのはどうでしょうか?」

ジェレミア「うん?……あのイレヴンか?」

キューエル「奴が、総督府内でテロリストの手助けをしていた、として処刑するのです」
       「事実はどうであれ、対外的には示しがつくものかと」

ジェレミア「ふむ……まあ、イレヴンであれば不自然でもないな」
      「当日のアリバイはどうする?」

キューエル「捕えている容疑者たちに、我々の望む自白を迫ればよろしい」
       「軍事法廷であれば、それだけで決着がつきます」

ジェレミア「奴は特派の所属だ、証言だけで引っ張れるか?」

キューエル「シュナイゼル殿下は目下、中華連邦との交渉中……」
       「それに、ロイド伯の口添えで転属になったのであって、」
       「殿下のお目付けではありません……」
       「また、皇族暗殺の幇助容疑ともなれば、何も言われますまい」

ジェレミア「うむ……うまくいきそうだな」
      「……ゼロが捕まえられない代わりに、か……」

ジェレミア「しかしコーネリア殿下に綱紀粛正が為されたことを示すだけの価値はあるか」
      「……よし、殿下のご就任までに済ませよう」

キューエル「はっ、純血派だけで事を運びましょう」

ジェレミア「ふふっ……」
      「軍属のイレヴン一匹で帝国の面目が保てるなら、まこと易い損失だ」ニヤリ

■特派トレーラー内 ─────

ロイド「ええっ?スザクくんが、殿下暗殺の……?」

セシル「そんな……!嘘でしょう、」
    「だって当日は、さらなるテロ行為に備えて特派のトレーラで待機を……!」

兵士A「枢木スザクに脅され、幇助させられたという証言があるんだ!」
    「枢木一等兵、殿下暗殺を共謀、幇助した疑いで連行する!」ガシッ!!

スザク「そっ……そんな!何かの間違いです!」
    「僕はそんなことしていません!よく調べてください!お願いです……!」

兵士B「黙れえッ!」ドガ、ガツ!!

スザク「ぐ……ッ…………」ガクン…

セシル「スザクくんっ!?」

兵士A「現時点を以て、枢木スザクの職責は一時召し上げる!」
    「以降、軍事法廷での判決までは身柄は法廷預りとなる!」カツカツ……

ズルズル……ガチャン!

ロイド「……ふーん……こりゃぁ……彼も終わったねぇ~……」

セシル「終わったって、何がですかっ!?」

ロイド「今の連中、胸に純血派のバッジをつけてたよね、見なかったぁ?」
    「ジェレミア卿の仕業だよ……やれやれ」ポリポリ

セシル「仕業って……じゃあ、スザクくんが犯人ではないってわかってて……!?」

ロイド「ご名答~っ!スザクくん、もう帰ってこないよぉ~!」

セシル「そんな……ロイドさん、シュナイゼル殿下に……」

ロイド「お・め・で・と・お~!」
    「皇族暗殺の容疑じゃ、シュナイゼルちゃんも何も言わないよ~」
    「デバイサーを持ってかれたし、今日の仕事はおしまい!はい、解散~!」ハァ…

セシル「スザクくん……」

■アッシュフォード学園 生徒会室 ─────

ニーナ「……」カタカタカタ

ルル(珍しいな、ニーナと二人きりになるのは……)

ニーナ「……」カタカタカタ

ルル(……しかし、特に共通の話題もないから、お互い喋らない)
   (その分、気楽に過ごせるのは助かる)

ニーナ「……あっ?あ、そっか!そうなんだ!」カタ

ルル「……ん?」

ニーナ「あっ、ごめん……邪魔しちゃった?」

ルル「いや、大丈夫だよ、何かあったのか?」テクテク

ニーナ「うん、分子の励起状態の近似解を求めるのに、どうしたらいいのかなあって……」

ルル「????」

ニーナ「いいのがあったの、C.C.法って言ってね、」

ルル(───何イッ!?C.C.法だと!?)ガタッ!!

  連結クラスター法(れんけつクラスターほう、結合クラスター法、クラスター展開法、
  CC法:Coupled Cluster)は多体系を記述するために使われる数値手法である。
  最もよく使われるのは、量子化学(計算化学)におけるポスト-ハートリー-フォック
  第一原理計算がある。 CC法は、ハートリーフォック分子軌道法を…… (Wikipedia)

────────

ルル(……いや、これは違うぞ、絶対違う……奴の言ったのとは違うからな……)
   (しっ、しかしこれが万が一試験に出たら、形式的には奴の言うとおりに……!)
   (くそッ、鼻からスパゲティなんて絶対にやらないぞ俺は……そうだ、)
   (金輪際、量子学には関わらないことにしよう、うむ、それがいい……)ブルブル…

ルル「……ハ、ハハ……俺には専門的すぎて、わからないよ……」フラフラ

ニーナ「?」キョトン

(突然、生徒会室のドアが勢いよく開いた)
(ニーナと俺は、何事かとドアの方を振り向く)


シャーリー「……あっ、ルル!ちょっと、大変だよ!!!」アタフタ

ルル「ん?どうしたんだ、そんなに慌てて?」

シャーリー「この間の……ぉおっ!?」チラッ
      (……ニーナがいるし!)

      「……う、うん、とにかくTVを見よう!」ポチッ
      「それでわかるから、うん!」ピッピッ

『……暗殺の容疑者として、軍所属の枢木スザク一等兵を逮捕しました』
『軍の発表によると、枢木容疑者は容疑を否認しているとのことですが、』
『多数の証人がいるため、後日の軍事法廷では銃殺刑が下される見通しです』

『枢木容疑者は、クロヴィス殿下が暗殺された当時、政庁内にて内部からの手引きを』
『行い、テロリストが殿下の拉致を行いやすく……』


ニーナ「ああ、やっぱりそうなんだ……絶対、協力者がいると思ってたわ」
    「よかった、捕まって……」

ルル「…………」ギリッ

シャーリー「……ねえ、ルル……この男の子……」ボソボソ

ルル「…………」
   「何かと思ったよ、シャーリー……良かったじゃないか、」ニコ
   「これで殿下を殺した犯人を捕まえる手がかりができたってことだよ」

シャーリー「!!!???」

ルル「俺、ちょっと調べものがあるから……失礼するよ」テクテク、バタン

シャーリー「ちょ、ちょっと……ルル!?」ダダダッ、バタン!

■クラブハウス ホール2F ─────

ルル「……」カツカツカツ

シャーリー「ちょっ……ルル、待って!」トタタタッ

ルル「…………なんだ?」

シャーリー「ねえ、あの男の子、こないだの……」
       「まさかだよね!?あの子、そんな悪い子には見えなかったし……」

ルル「……シャーリー、君は秘密が守れない子なんだな!」

シャーリー「えっ!?」ビクッ

ルル「俺はお願いしたはずだぞ、秘密にしてくれって!」
   「ニーナがいる前で、殿下暗殺の容疑者が俺の知り合いだとバラす気だったのか!?」

シャーリー「だっ、だって……!」オロオロ
      「彼って、ルルの……大切な人、なんでしょ……?」

ルル「…………ああ、とても大事な奴だ……」グッ…

シャーリー(うっそおぉ!や、やっぱり、ルルって……ボーイズラブなんだ……)ガ-ン…
       (いやでも、そんなの関係ないよ……今は関係ない!)

       「そ、それで慌ててたの……」
       「だけど、ごめん……今度から気を付けるね……」ショボン
       「でもルル、どうするの?このままじゃ……!」

ルル「……どうしようもないさ…………」ギュッ…
   「ああいう発表をしたということは、結果はもう決まってるんだよ」
   「軍のメンツだってある、よほどのことでも起きない限り、奴は殺される……!」

シャーリー「そんな……そんなのひどいよ!」ウルッ…

ルル「それが軍であり、ブリタニアって国なんだ……」
   「たとえ、犯人でなくったって、そう決められたらおしまいないなのさ」

   「俺たちには、祈ることしかできない……力のない、俺たちには……」

シャーリー「うそお……かわいそうだよ……」ウルウル
       「何かできないのかな……わたしたち……」
       「証言とか、いくらでも立つよ、わたし……!」

ルル「…………」
   「シャーリー……ありがとう……」ギュッ…


C.C.(……ルルーシュの奴め、何をしてるんだ……)
   (この間の女と、昼間っからホールで抱き合って……)
   (もうじきピザが届くというのに、これじゃ出るに出られないじゃないか……)ブツブツ

■未明 クラブハウス ルルーシュ自室 ─────

ルル「……」カタカタ、カタカタカタカタ

C.C.(ガチャ)「……まだ眠っていなかったのか、ルルーシュ」
   「……ふむ、ネットの探索か……何を探しているんだ?」

ルル「…………スザクを助ける戦略だ……」カタカタカタカタカタカタ

C.C.「あの男か……無理だろう」
   「公開処刑なら警備も相当に厳重だ、それに軍の面子がかかっている」
   「近づいた瞬間に蜂の巣だよ」テクテク

ルル「…………必ず見つけ出す、最適のルートを……!」カタカタカタカタカタカタ

C.C.「ふむ……」ボスッ!
   「……むにゃむにゃ」

ルル「俺のソファーをベッドにするな、眠るなら自分のベッドで眠れ」カタッ

C.C.「ふふ……男の真剣な姿を眺めるのが好きなんだよ、私は……」

ルル「……勝手にしろ」カタカタカタカタカタカタ

C.C.「ふわあー……」
   「そのくらい、お前に真剣に考えて欲しそうだよなあ、あの娘も……」

ルル「…………見ていたのか、いやらしい女だ」カタカタカタカタカタカタ

C.C.「ピザの届く時間にホールで抱き合っているお前が悪い」ニヤ

ルル「……今は忙しいんだ、構ってられん」カタカタカタカタカタカタ

C.C.「はいはい……」ジ-…

   (……ふふ、本当に真剣に考えているようだな、ルルーシュ……)
   (困難であればあるほど、奮い立つ、というやつか)
   (楽しい男だ……見ていて飽きないよ……)

(先日のクロヴィス暗殺の時は完全に不意をついた形だったので、)
(少人数での攪乱でも十分に効果が得られた……)
(しかし今度は、襲撃を予想した陣形への突入になる……)
(今の俺の手勢では、攪乱も正面突破も絶対に不可能だ!)

(そもそも、今回の計画は誰が仕組んだものだ?なぜ奴に白羽の矢が立った?)
(なぜ今行う?何が目的だ?あるいは、何を避けようとしている?)
(計画そのものの規模はどれほどだ?場所はどこだ?どのような警備だ?手順は?)

(くそッ……スザクの命運はじきに尽きるというのに、)
(戦略を立案するための情報が少なすぎる!)
(情報だ……情報が必要だ……クソッ!)カタカタカタ…

■翌日 アッシュフォード学園 ルルーシュ達のクラス ─────

生徒A「ルルーシュくん、今日はきてないね……」

生徒B「身体の調子が悪いのかな?彼、最近はけっこう休みが多いよねー」

生徒C「ああん、寂しいわぁ……彼を見るのが唯一の楽しみなのにぃ……」ハア-ン

生徒A「ねえシャーリー、彼どうしたのか、知らない?」

シャーリー「えっ?うん……」
       「昨日から調子悪くて、今日も休むかもって言ってたよ?」

生徒C「うそ~ん……あたしもう帰ろっかなぁ……」トホホ…

シャーリー(……ほんとに、大丈夫かな……)
      (後でちょっと、様子を見に行ってみようかな……)


■クラブハウス ルルーシュ自室 ─────

シャーリー(この間は、返事も待たずに入ったらとんでもないことになったよね……)
       (……うん、とりあえずノックだ……)コンコン

シャーリー「……ルル?いる?」コンコン、コンコン

し~ん……

シャーリー(……出かけてるのかな……)
      「開けるよおー……?」カチャ…

      (あっ、開いてる……)キィ…


(私は、ドアをそろりそろりと、少しだけ開き、恐る恐る部屋の中を覗き込む……)
(カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で唯一、明かりがともっているPCの画面……)

(その前で、彼は机に向かったまま突っ伏していた)
(つい先ほどまでPCに向かい合っていて、そのまま寝てしまったかのようだ……)

シャーリー「……ルル……ルル?」
      「生きてますかー……もしもーし……?」


(抜き足差し足で、私は部屋の中に入ってゆく……)
(よく見ると、PCは何か作業をしているようで、内容がチラチラと目まぐるしく変化している)

(私が近づいても、彼は一向に目を覚ます気配がない……)
(机の上に伏せ、まぶたを閉じ規則正しい寝息をたてている)


シャーリー(……何をしてたんだろ?)

ん?
>>1、さるくらった?

カレン「ねえ……こいつ、どうするの、ルルーシュ……」

ルル「どうするかな……さて……君らは、どうしたい?」ニヤ
   「恨み骨髄の相手が、無抵抗で目の前に転がされている状況……」
   「やりたいことは大体判るが……」

玉城「おっ、おう……当然じゃねェか!まずはこいつの手足を」

扇「待て!」

玉城「おっ?」

ルル「……」

>>95 さる食らいました…ちょっとペース落とします


(薄暗い部屋に、だいぶ目が慣れてきた……)

(周囲の床をよく見ると、何かの図面やら地図やら、そして細かな文字で印刷された)
(リストらしきものやらが、所せましと散乱していた)
(それらには、事細かくチェックや走り書きが入っているようだ)

(彼は昨日、あれから今までの間で、これだけの調べものをしてたのだろうか……)
(その膨大な量……生徒会での、1期分の会計資料に匹敵するかもしれない)

シャーリー(すっごいなぁ……ルル、やっぱやればできる子じゃん……)
      (頭の使い方、絶対おかしいよ……)


(私はそう思いながら、いつの間にかルルーシュの寝顔に見入っていた……)

(いつもは教室や生徒会で、澄ましたような、冷めたような表情を作っている彼が、)
(今は何のてらいもない、無防備な素顔を私の前にさらけていた)
(カーテンの隙間から漏れる日の光が、彼の端正な顔立ちをより際立たせている)

(ふと、昨日、ホールで彼に抱きしめられたことを思い出す)

─ ─ ─ ─

ルル(…………シャーリー……ありがとう……)ギュッ…

シャーリー(ルル……?)

ルル(優しいな、君は…………その気持ちだけで、奴も救われるさ……)
   (……奴は俺の親友だ、後は俺が何とかしてみる……さあ、部屋へ戻るんだ)

シャーリー(ねえ……私もなにか手伝えないかな?何でも言ってよ?)

ルル(……ありがとう)ニコッ

.
─ ─ ─ ─

シャーリー(……よく考えたら、はっ、初めて……)
       (抱きしめてくれたんだ……///)ドキドキ


(そう思うと、私の鼓動が自動的に高鳴り始めた……私の悪い癖だ)
(彼との関係を考えると、勝手に動悸が激しくなったり考えがぐるんぐるん回り始める……)
(状況や、私の意思とは無関係に、身体が反応してしまう……)

シャーリー(ルル……もしも、ルルがホ……男好きだとしても……)
      (わたし、それでもやっぱり……ルルが嫌いに……なれない……)
      (ううん、ニーナの本を読んで、むしろずっと好きになった……なれたの!)

      (ルルが彼のことを好きでもいい……愛しててもいい……)
      (でも、昨日みたいに……ちょっとだけでも……)
      (わたしのことを……見てくれたら……)

(頭に血が上り、額から湯気がたっているような錯覚に陥る)
(彼の、少し開いたくちびるに、視線が釘付けになる……私のこころが暴走を始めた)
(ほんのちょっと、近づいて……もう少しだけ、近づけて……)


シャーリー(……卑怯だよね……こんなの、間違ってるよね……)
      (でも、ごめんなさい……わたし、なんだか……止まらないよ……)
      (誰かとめて……お父さん、お母さん……)プル…プル…

(恥ずかしいほどに震えている私のくちびるが、彼のくちびるにゆっくりと近づく……)
(目をつぶり、気づかれないように、息を止め……)
(必死の思いで、くちびるの震えを止めたとき……かすかに……触れた)


シャーリー(……!)


(彼のくちびるの、瑞々しい果物のような……ぷるりとした、柔らかな感触……!)
(それは、全くの予想外で、未経験の私にはあまりに甘美で……)
(まるで、触れたところが一瞬で融合したかのように感じ、私は驚いた)

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