兄「早く起きないと……チューしちゃうぞ?」
妹(!?)
兄「10,9,8,7…」
妹「………」ドキドキドキ
兄「3,2,1…0!」
チュッ
妹「……」
兄「……」
妹「……」
弟「……ぷはーっ!何すんだよ、兄ちゃん!」
兄「だってー、弟が起きないんだもん」
弟「起きないんだもんじゃねーだろ!呼吸できなくなるまで口塞ぐとか何考えてんだよ!」
兄「弟君の寝顔がかわいくてつい」
弟「ついじゃねーよ!ついじゃ!」
妹「……おはよう」
兄「あ、妹ちゃん。おはよう」
兄「もうご飯できてるから顔洗って食べてきなよ」
妹「うん……」
弟「朝からベタベタすんなよ!いい加減抱きしめるのやめろ!」
兄「えー、弟からチューしてくれれば考えなくもないけど」
妹「……」
……
兄「弟は午後から部活?」
弟「うん、そうだけど」
兄「じゃあ、兄ちゃんが送っていってあげるよ」
弟「いーよ。もう子どもじゃないんだし」
兄「俺から見ればまだ子どもだよ」
妹「お兄ちゃん。このお味噌汁おいしいです」
兄「あ、そう?それはよかった……」
妹「……」
……
弟「……まさか本当についてくるとは」
兄「だって弟が心配だし」
弟「俺にばっかり構ってないでさ、もっと妹ちゃんのことも構ってあげなよ」
弟「妹ちゃんだってまだ子どもだし年上に甘えたい年頃なんだし」
兄「あれ?さっき弟は自分はもう子どもじゃないって言ってたよね?で、弟と妹って同い年だよね?」
弟「俺と妹ちゃんじゃ色々事情が違うだろ」
……
兄「ただいまー」
妹「あ、お兄ちゃん。お帰りなさい。お昼頃に帰ってくると思ってお昼ご飯作っておきましたよ」
兄「そうなの?そんな無理しなくていいのに……。火とか大丈夫だった?」
妹「大丈夫ですよ。小学生じゃあるまいし火ぐらい使えます」
兄「怪我とか火傷してないならいいけど……」
妹「そんなに心配しなくてもいいですよ。さすがにそこまで子どもじゃありません」
妹「おいしいですか?」
兄「あ、うん。おいしいよ」
妹「そうですか?よかったです」
兄「………」
妹「………」
妹「あ、そうだ!お兄ちゃん今夜はバイトでしょ?私が夕ご飯も作っておいてあげますよ」
兄「いやそれは悪いって。俺がつくっておくから夕ご飯はそれをレンジであっためて食べてて。俺はバイト先で食べて帰ってくるから」
妹「あ、はい……」
兄「……」
兄「じゃあ、バイト行くから」
妹「はい、いってらっしゃい」
バタン!
妹「……」
妹「寂しいなあ。弟君早く帰ってこないかな」
……
弟「ただいまー」
妹「あ。お帰りなさい」
弟「兄ちゃんは?」
妹「バイトだって」
弟「ふーん」
妹「……一緒にご飯食べよ?」
弟「うん」
弟「ごちそうさまー」
妹「あ、お皿は向こう置いといて。私が洗っておくから」
弟「いや、それは悪いよ。自分の分ぐらい自分で洗っておくよ」
妹「そう?」
弟「……妹ちゃん。そんなに俺たちに気を使わなくていいよ」
妹「でも、私……」
弟「兄ちゃんにもさ、もっと甘えちゃっていいんだよ」
妹「それはお兄ちゃんに悪いし……」
弟「とりあえず何度も言ってるけど俺には気を使わなくていいよ」
妹「あ、はい……」
弟「……」
……
兄「ただいまー」
弟「……お帰り」
兄「あれ?まだ起きてたんだ。夜遅くなるから寝ててよかったのに」
弟「兄ちゃんと話がしたくて」
兄「え、何何?恋の相談とか?」ギュー
弟「……その抱きしめるのとかやめてよ」
弟「兄ちゃんさ、あんまり俺と妹ちゃんで差をつけるのやめてよ」
弟「ただでさえ、寂しいだろうにそうやって俺との間で差をつけられちゃったら……」
兄「でも、妹ちゃんは……」
弟「それが余計な気遣いなんだよ」
兄「んなこと言っても……」
弟「……とにかくやめてよね」
兄「でも俺、かわいい弟へのスキンシップなんてやめられないよ」
弟「いいからやめて!伝えたからね!」
……翌朝
兄「……」モグモグ
弟「……」モグモグ
妹「……」モグモグ
弟「あ、俺部活あるから早く出てくな」
兄「あ、うん。行ってらっしゃい」
妹「……行ってらっしゃい」
弟「行ってきまーす」
……
弟「……」テクテク
弟(兄ちゃんに妹ちゃんと差をつけるのやめろって言ってやめたのはいいけど……)テクテク
弟(家が前より静かになっただけだな。これじゃ意味がないか)テクテク
……
(Trrr!Trrr!)
妹(あ、電話だ)
妹「はい、もしもし」ガチャ
妹「……え、お父さん?!帰ってくるの!いつ?」
妹「うん…。うん、そうなんだ。わかった」
妹「じゃあ、みんなで待ってるから!」ガチャ
兄「電話……お父さんから?」
妹「はい!今夜帰ってくるんですって!」
兄「そうか……」
……
父「ただいまー」
妹「お帰りなさい!」
弟「お帰りなさい」
兄「お帰りなさい……」
父「お、妹。大きくなったね。弟君も」
弟「お世話になってます」
妹「お父さん、今度はこっちにどれくらいいるの?」
父「そうだな、一週間くらいかな。それからしたらまた海外だな」
妹「そうなんだー」
父「久しぶりに一緒にお風呂でも入るか?」
妹「えー!それはだめだよー!」
兄「……」
……
妹「それでね、中学校では新しい友達が……」
父「うんうん、楽しそうだね。よかったよかった」
妹「学校の勉強が……」
父「うんうん」
兄「……」
父「あ、兄くん。兄君は大学どうだい?」
兄「あ、はい。友達もいるし成績も問題ないです」
父「そうか。弟君は?」
弟「中学では部活に入って毎日頑張ってます」
父「そっか、そっか。うん、2人も頑張ってるみたいだね」
……
妹「Zzz……」
父「妹、すっかり寝ちゃったみたいだね」
兄「お父さんが来てからずっとはしゃいでましたからね」
父「僕はたまにしか家に帰ってやれないからね」
父「寂しい思いをさせてしまってるなあ」
兄「……」
父「……弟君から前に聞いたんだけどさ」
兄「……」
父「君と妹の間では壁を感じるとか」
兄「それは……」
兄「俺と弟はお父さんや妹ちゃんとは血が繋がってるわけではないし」
兄「それなのに俺の学費や生活費を出してもらってるし」
兄「そのうえで妹ちゃんにいろいろしてもらうのは……」
父「それは別に構わないと言ってただろ。その代わり君には僕の代わりにまだ幼い2人の世話をしてもらってるんだから」
兄「でも……」
父「君のお母さんが亡くなったとき僕は今の仕事をやめて日本に残るべきかとも思った」
父「だが君は家のことは自分に任せていいから僕に仕事を続けてくれと言った」
兄「それは……俺たち兄弟のためにこれ以上無理をしてもらうわけにはいけなかったからですし」
兄「他人のはずの俺達のために既に色々してもらってるのに仕事までやめてもらうなんてできるわけないじゃないですか」
父「君達兄弟は僕とも妹とも他人じゃないよ。君達兄弟は僕の息子で妹は君達の妹だ」
父「妹とも僕とも本当の家族のように接していいんだ。余計な気遣いはいらない」
父「というか、そういう気遣いこそが妹を寂しくさせてるんだ」
兄「それは……」
父「……妹と本当の家族のように接して欲しい。これは僕の君への気遣いじゃない。僕から君へのお願いなんだ」
父「これ以上、妹に寂しい思いをさせないでくれ」
兄「いいんですか……?本当に……?」
父「だから言ってるだろ。これは君へのお願いだって」
兄「俺にとって本当の家族のように接するって朝からチューしたり帰ってきた兄弟を抱きしめることですよ?」
父「……は?」
……一週間後
兄「おい、いい加減に起きろ。もう昼になるぞ」
妹「……」
弟「……」
兄「早く起きないと……チューしちゃうぞ?」
妹(……)
兄「10,9,8,7…」
妹「………」
兄「3,2,1…0!」
チュッ
妹(!?)
妹「……」ガバッ
兄「あ、おはよう。妹ちゃん」
妹「い、いいい、今!」
兄「あ、嫌だった?ごめん」
妹「い、いえ!そんなことないです!」
兄「そ、そう?」
妹「はい……」
兄「そ、そっか。……弟も起きろ-。10,9,8,7…」
妹「……」
妹(ほっぺただったけど……まぁ、いっか!)
弟「……ぷはーっ!何すんだよ、兄ちゃん!」
兄「だってー、弟が起きないんだもん」
弟「起きないんだもんじゃねーだろ!呼吸できなくなるまで口塞ぐとか何考えてんだよ!」
兄「弟の寝顔がかわいくてつい」
弟「ついじゃねーよ!ついじゃ!」
兄「妹ちゃん、もうご飯できてるから顔洗って食べてきなよ」
弟「朝からベタベタすんなよ!いい加減抱きしめるのやめろ!」
妹「……」フフッ
妹「はい、お兄ちゃん!」
おわり
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