魔王「お前の負けだ勇者~!」
勇者「はいはい、とりあえずお家に帰ろうね」
魔王「私は魔王だぞー!」
勇者「お家どこなの?」
魔王「このお城だ!」
勇者「ああ…小さい時からここに監禁されていたのか…かわいそうに」
魔王「だから違うって!」
勇者「よし、俺がお前を育てる。だから、俺の家にこい」
魔王「え…」
勇者「こんな薄暗い城にいてもいいことなんてないぞ?」
魔王(…ふふ、バカめ! お前の家をぶっ壊してやるっ)
勇者「魔王も見当たらないし、帰ろう。ほら、行くぞ」
魔王(ちょっと腹が立つが、まあいいだろう)
王の城
勇者「というわけで王倒しましたよ」
王「おお! さすがは勇者だ! む、その少女は誰じゃ?」
魔王「私はまお…」
勇者「どうやら魔王の城に監禁されていたようだったので、連れてきました」
王「ふむ…そうか。それで、その子はどうするのだ? よければ私が引きとっても良いぞ」
勇者「いや、いいです。俺がちゃんと世話しますから」
魔王「なんでお前の世話にならなきゃならないんだ!」
勇者「そう怒るなよ」
魔王「私は帰る!」
勇者「どこに?」
魔王「城に!」
勇者「おいおい、さっき出たばっかりだぞ?」
魔王「違う! 私の城にだ!」
勇者「あんなところがいいのか?」
魔王「うるさい! かまうな」
勇者「なんでだよ」
魔王「勇者のくせに、なまいきだぞ!」
勇者「お前もガキのくせに生意気だ」
魔王「…ほほう…私の本気を知らないな?」
勇者「え?」
魔王「しょうがない…それなら私のとっておきを見せてやろう…」
勇者「…?」
魔王「はぁぁぁぁ…」
勇者(! 手が光って…)
魔王「どりゃ~!」
MPが足りません。
魔王「あれ?」
勇者「おいおい、MP0のお前が何をするかと思えば…」
魔王「えええええ!? MPはたくさんあったはず…」
勇者「ほら、とっとと俺の家に帰るぞ。もう疲れた」
魔王「おまえなんかー!」ボコッ
勇者「あたっ、いきなり何すんだ!」
魔王「お前の家なんかに行きたくない!」
勇者「なんでだよ!」
魔王「お前が勇者だからだ!」
勇者「俺だって、なりたくてなったわけじゃねぇよ」
魔王「え?」
勇者「勇者の血を受け継いだ家系かなんかって、いきなり王様に呼び出されて…」
勇者「そのせいで小さい頃に両親が魔物に襲われて、死んじまって…」
勇者「正直、なりたくなかった」
魔王「…」
勇者「悪かったな。お前にはまだこんな話は早すぎたかもしれないな。意味わかんねえよな」
魔王「…」
勇者「じゃあな」
魔王「まて」
勇者「あん?」
魔王「お前の家、案内しろ」
勇者「なんで?」
魔王「ゆ、勇者の家がどんな感じなのか、調べたい」
勇者「え…」
魔王「勘違いするな! 私はいずれ世界を滅ぼす! お前も、この国もな」
勇者(何を言ってるのかわからんが…)「じゃあ、ついてこい」
ガチャ
勇者「あれ? なんでお前がいるんだ?」
女戦士(以下、戦士)「やっほー勇者。魔王討伐お疲れ様」
勇者「あ、ああ。ありがとう」
魔王「ここがお前の家か?」ヒョコ
戦士「ん? 誰、その子」
勇者「ああ、こいつは…」
魔王「私は泣く子も黙る魔王さまだー!」
戦士「クスクス…、可愛らしい子ね」
魔王「可愛いとかいうなー!」
魔王「それと、女!」
戦士「ん、なあに?」
魔王「魔王はまだ殺されてないからな!」
戦士「えっ」
勇者「実はさ、城にはこの子しかいなかったんだ」
戦士「あら、そうなの」
勇者「魔王はこんな小さな子をひとり残してどこか行っちまったのか…許せん!」
魔王「だから私が魔王だってばー!」
勇者「はいはい、魔王様な」
魔王「え」
勇者「女戦士、こいつは俺が世話することにした」
戦士「へえ」
魔王「世話になるつもりはない!」
勇者「お腹すいてるだろ? 何食べたい?」
魔王「無視するなー! 全然すいてない!」
勇者「それは腹の虫を抑えてから言え」
魔王「…うぅ」
戦士「それじゃあ、私は帰るわ」
勇者「え? もっとゆっくりしていけよ」
戦士「いろいろ話を聞こうかと思ったけど、また今度にするわ」
勇者「そうか、じゃあな」
戦士「じゃあね、勇者、魔王ちゃん♪」
魔王(絶対にバカにされてる…)
勇者「ほい」
魔王「…これは?」
勇者「野菜炒め。近所のじいさんからもらったとれたての野菜で作った」
魔王「ふん、こんな飯、いらんわ!」
勇者「いいから食べてみろって。栄養もあって、おいしいぞ?」
魔王「…」パクッ
勇者「どうだ?」
魔王「ふん、やはりたいしたことないではないか」パクパクパクパク
勇者「おお、見事完食だな」
魔王「はっ! 体が勝手に!」
勇者「よく野菜食べれたな、偉い偉い」
魔王「こら! 撫でるな」
勇者「照れるな照れるな~」
魔王「うぅ…」
勇者「さて、俺も食べようかな。もう少しいるか?」
魔王「いらん」グゥ
勇者「わかった」
魔王「こら! いらんと言っただろう!」グゥ
勇者「よだれを垂らすな」
魔王「垂らしてない!」
勇者「ははは、嘘つくなって」
魔王「うぅ! むかつく! 家ごと吹き飛ばしてやる!」
勇者「おお、やってみろ」
魔王「やってやる! うおりゃー!」
MPが足りません。
魔王「ぬわー!」
勇者「ははは! 面白いやつだな~」
>>1はこれの人?
魔王「なにがおかしい!」
勇者「いやあ、こんな賑やかな食事久しぶりだなって」
魔王「え?」
勇者「両親が死んでから、俺、ずっとひとりだったからさ」
勇者「それに、昨日まではずっと野宿とか繰り返してたからきつかったぜ」
魔王「…」
勇者「それに魔王もいなかったから相当落ち込んだぜ」
魔王(こいつ、馬鹿か? 私が魔王だと言っておるのに!)
勇者「でもま、お前に会えたから、プラスマイナスゼロだな」
魔王「え」カァァ
>>36
違うよ。
勇者「お前がいれば、俺は寂しい思いをしなくてすむ」
魔王「な、なにをいっておる!」
勇者「お前もあの城で一人ぼっちだったんだろ?」
魔王「…まあ、そうだが…」
勇者「これからは二人だ。よろしくな」
魔王「まだ私はお前の家に世話になるとは一言も言っておらんぞ?」
勇者「…」
魔王「ふはは、言葉も出ないか!」
勇者「スースー…」
魔王「こ、こいつ…私が話しているというのに寝るとは、なんというやつ!」
勇者「…むにゃ」
魔王「…ふん、この隙に逃げてやる、ふはははははは!!」
勇者「…」
魔王「…」
魔王「風邪引いちゃうぞ、まったく」
魔王(まさか、勇者がこのような職業だったとは…)
魔王(みなに愛され、みなに信頼され、みなに心配されるものだと思っていた)
魔王(しかし、その分ひとりでいる時間が多い…)
魔王(私とおなじではないか)
勇者「おーい、起きろー」
魔王「ふにゃ! 敵か!?」
勇者「は? なに寝ぼけてんだよ」
魔王「なんだ、勇者か…」
勇者「とりあえず、起きろって」
魔王「ふん、指図するな」
勇者「動けないから」
魔王「え?」
勇者「お前が俺の上に乗ってるから、動けない」
魔王「うわわわ!? 一体何をした!」
勇者「知るかよ、起きたらこうなってたんだから」
魔王「変態!」
勇者「なんでだよ!」
魔王「ふん、お前がやったんだろう!」
勇者「記憶にねえよ!」
魔王「まったく、勇者のくせに…」
勇者「悪かったな」
魔王「ふん」
勇者「どこ行くんだよ?」
魔王「帰る」
勇者「ええ! なんでだよ」
魔王「こんな変態と一緒にいたくないわ!」
勇者「なんだと! ああ、わかったよ! どこにでも行けばいいじゃねえか!」
魔王「言われなくてもそうするわ! バーカバーカ、ベーだ!」
勇者「っち、なんだよあいつ…」
魔王「うわー、外の世界はこうなっているのか!」
魔王「太陽がまぶしいっ! 人が多い!」
魔王(ふふふ…ここにいるやつらを一人残らず殺してやる…ひひひひひひ)
戦士「あら、魔王ちゃん」
魔王「!」ビクッ
戦士「やっぱり魔王ちゃんだ。おはよー」
魔王「お、お前は…」
戦士「女戦士よ。こんなとこで会えるなんてね」
魔王「…」
戦士「ちょっとちょっと、無視しないでしょ」
魔王「気安く話しかけるな。殺すぞ」
戦士「え…」
魔王(私はこやつらと仲よくなるわけにはいかんのだ)
戦士「魔王ちゃんに殺されるんだったら私とっても嬉しいわ~」
魔王「ふぎゃ!」
戦士「そんなつれないこと言わずに、ほら、一緒にいろんなところ回りましょ?」
魔王「しょうがない…女戦士よ、貴様に私の全てを見せてやる」
戦士「?」
魔王「うおぉぉぉぉぉぉ…くらえぇぇぇぇぇ!」
MPが足りません。
魔王「もういやーーーーー!」
戦士「うふふ、元々MP0じゃダメね」
魔王「うう、その励ましの目で私を見るなぁ…」
戦士「ふふ、お話はたくさん聞くから、とりあえず行きましょ?」
魔王「ど、どこに?」
戦士「い・ろ・ん・な・と・こ。ジュースもおごってあげるから♪」
魔王「…ふん、まあ、別に行ってやらんこともない…」
戦士「それじゃあ決定♪」
魔王「ぬおっ、いきなり抱きつくなっ!」
魔王「お、おい…」
戦士「なに?」
魔王「この服装はなんだ?」
戦士「バニーガールよ?」
魔王「なぜ私はこんな服を着ているんだ!?」
戦士「魔王ちゃん」
魔王「な、なんだ?」
戦士「お金は働かないと手にいれることはできないのよ?」
魔王「…むぅ、だからなぜ私が働かなければならないのだ」
戦士「ジュース代よ」
魔王(おごってくれるんじゃなかったのか?)
「嬢ちゃん、注文いい?」
魔王「私のことか?」
「そうそう、可愛いねぇ」
魔王「か、可愛いって言うな!」
「へへへ…小さい尻してんなぁ」サワッ
魔王「ひゃ!?」
「おお、可愛い声出しちゃってぇ」
魔王「貴様ぁ…死んで詫びろ!」ピシャアアン!
「ひぃ!」
戦士「ちょ、ちょっと魔王ちゃん!?」
魔王「女戦士…よくも私にこんなことを…!」ビリビリ
戦士(で、電気発してる…!?)
魔王「お前も死ねぇ!」ガラゴラピシャーン!
戦士「きゃあ!」
「なんだなんだ!?」
「なにがあったんだぁ!?」
魔王「…ふふふ…これが私の望んでいたモノだ…」
魔王「恐怖に顔を染め、逃げ惑う人間の顔…」
魔王「やはり、いつみても、素晴らしい…」
勇者「おい!」
魔王「む、勇者か…」
勇者「なにやってんだよ!」
魔王「ふん、貴様には関係ない」
勇者「…」
魔王「邪魔だ、そこをどけ」
勇者「…わるかった」
魔王「…え?」
勇者「俺が変態で悪かった」
魔王「な、なにを言っているのだ?」
勇者「俺は実際、今のオマエのバニーガール姿に、正直そそられるものがある」
魔王「な、なぁ!?」カァァ
勇者「もう、暴れるのはやめてくれ、頼む。な?」
魔王「…」
戦士(あ、止まった?)
勇者「…」
魔王「…ずるい」
勇者「へ?」
魔王「そんなこと言うのは、ずるいと言ってる」
勇者「なにが?」
魔王「ふんっ!」
勇者「許して、くれるのか?」
魔王「そのかわり、私がして欲しいことはしてもらうからな!」
勇者「ああ、わかった」
魔王「よし、それならいいぞっ」ニコッ
勇者「おお、お前笑ったりするんだな」
魔王「え?」
勇者「毎回怒ってたからさ。安心した」
魔王「そ、そうか?」
勇者「ああ、可愛いぞ」
魔王「…そんなことを平然と言うな!」カァァ
勇者「ああ、すまん。それより、なんでそんな格好を?」
魔王「女戦士が…」
勇者「はぁ、やっぱりな」
戦士「それじゃあ私はこれで…」
勇者「まてい、レズ女」
戦士「ひっ」
勇者「いいかげんにしろよ、これで何回目だよ!」
戦士「だ、だってぇー魔王ちゃんが可愛いからぁ…」
勇者「語尾を伸ばすな! そして、ちゃんとあいつに謝れ!」
戦士「ふえーん…ごめんね、魔王ちゃん」
魔王「ふふ…ジュースをおごってくれたらな♪」
戦士「わかったぁちゃんとおごりますー!」
勇者(…一件落着か)
城下町で起こったこの事件は、瞬く間にうわさになった…。
姫「むむ、許せません! 勇者さまに頭を下げさせるなんて!」
兵「さらに、勇者様はそれを止めるためにその女を抱きしめた(うわさ1)そうです」
姫「まぁ! 私には何もしてくださらないのに! その女、許せませんわ!」
兵「どういたしますか?」
姫「今すぐ庶民の服を持ってきて! 明日、勇者さまの家に行きますわ!」
姫(待っていてくださいね…勇者様!)
勇者「…寒気がする」
魔王「ふん、どうせ気のせいだ」
勇者「軽いな…お前」
魔王「勇者なんだから大丈夫だろう? それくらい」
勇者「確かに、子供の頃からあまり大きな病気とかにはかかったことなかったなぁ」
魔王「ほほう、元気なのはいいことだ」
勇者「お前はなんか、逆に病弱な感じがするな」
魔王「なにおう! 私はピンピンだ!」
風呂行ってきます。
gdgd進行ですまん。
勇者「本当か? 体ちっこいからすっごく心配なんだけどな」
魔王「し、心配されなくて結構! 私は魔王だからな!」
勇者「お前、なんで魔王なんか名乗ってんだ?」
魔王「魔王だからだ」
勇者「ふーん。そうか」
魔王「信じてないな?」
勇者「いや、まぁ、なぁ…」(こんな小さい女の子が魔王だとは誰も思わないだろ)
魔王「さっきの力を見れば、本物だとわかったであろう?」
勇者「あの雷か? びっくりしたぜ。MP0のお前が、あんなのを出せるなんて」
魔王「ほ、ほっとけ!」
勇者「さ、家に着いたぞ。先に風呂に入っとけ」
魔王「風呂? なんだそれは?」
勇者「知らないのか?」
魔王「?」
勇者「まぁ、無理に入れなくてもいいか」
魔王「教えろ」
勇者「え?」
魔王「風呂とはどういうものなのだ!?」キラキラ
勇者「お湯に浸かって、体を温めるんだよ。…入ってみるか?」
魔王「うむ! おもしろそー!」
勇者「それじゃあとりあえず」
魔王「うむ!」
勇者「服を脱いでくれ」
魔王「…やっぱり、変態だったのか」
勇者「違う! 裸で入るんだ。服が濡れても困るんだろう? お前の服、それしかないんだから」
魔王「うむ、確かにそうだが…」
勇者「大丈夫だ、俺はみないから」
魔王「そ、そうか」
勇者「服脱いだら湯船に浸かっておしまい」
魔王「わかった」
勇者「…はぁ」
勇者「なんでドキドキしてんだろ…」
勇者「…」
勇者「それにしても、長いな…」
勇者「おーい、大丈夫か~?」
魔王「…」シーン
勇者「? おーい」
魔王「…」
勇者「大丈夫か?」
魔王「…頭が、ボーっとしてきたぞぉ…」
勇者「! お前、のぼせてんじゃねえか!」
魔王「ほえ? 勇者ぁ」
勇者「うお! 前を隠せバカ!」
魔王「きょうこそけっちゃくだぁ」
勇者「はいはい! わかったわかった!」
魔王「ふぁ…すずしー」
勇者「ったく、なにやってんだよお前は…」
魔王「…すぅ…すぅ…」
勇者「…はぁ」
勇者「可愛い寝顔、しやがって」
数分後
魔王「はっ!」
勇者「お、お目覚めかい? お姫様」
魔王「うぅ…頭がクラクラする…って、なんだこれは!?」
勇者「お前のぼせてたんだぞ」
魔王「なぜ私がタオル一枚で横になっているのだ!?」
勇者「服を着せるのも忍びなかったからさ」
魔王「むむ…つまり、お前は私がのぼせてる事をいいことに、私の体を見たな!?」
勇者「見てないって!」
魔王「許さん!」バチバチ
勇者「バカ! まだ濡れてる…」
魔王「あわわわわわわわわっ…」バチバチ
勇者「はぁ…世話焼かせるなよ…」
次の日
賢者「うむ、もう大丈夫じゃろう。お前さんがちゃんと見ておけば大事には至らん」
勇者「は、はい! ありがとうございます」
賢者「にしても、勇者よ。お前さん、見ないうちに勇ましくなったのう」
勇者「そ、そうですか…? け、賢者さんもとても美しいですよ!」
賢者「そうか。とても嬉しいぞよ」ニコッ
勇者(か、可愛い)
賢者「それじゃあ、また何かあったら言ってくれ。では」
勇者「は、はい!」
勇者「久しぶりに賢者さんにあった…嬉しい!」
魔王「ずいぶんと嬉しそうではないか」
勇者「うおうっ! 起きてたのか…」
魔王「…なんでニヤけておるのだ?」
勇者「か、関係ないだろ?」
魔王「…」ムスッ
勇者「…なんだよ」
魔王「ふん、べっつにぃ」
勇者「なんだよ、その態度は!」
魔王「べつになんでもないと言っておるだろう!」
勇者「…まぁ、とりあえず。二日連続で喧嘩はやめよう」
魔王「…」プイッ
勇者「何か食べるか?」
魔王「ふん、いらんわ」
勇者「そうか」
魔王「…やっぱり、いる」
勇者「はっきりしろよ、素直じゃねぇなあ」
魔王「うるさい、うるさい!」
勇者「へいへい、すみませんね、お姫様」
コンコン
勇者「ん? こんな朝っぱらに…誰だ?」
コンコン
勇者「はいはーい。どなたですかー」ガチャ
姫「勇者様ー!」ギュッ
勇者「ぬおっ! 姫様!?」
姫「勇者様! 帰っているのでしたら、私に一言おっしゃってくださればよかったのに!」
勇者「いや、あなたのお綺麗なその耳に雑音を入れたくなかったので…というより離れてください…」
姫「あら! 勇者様の帰還を一番私が待ち望んでいたことですわ! 雑音だなんて、とんでもない!」
魔王「…」イライラ
魔王「ちょっと、出かけてくる」
勇者「え!? お、おいちょっと…!」
姫「誰ですか? あの方は」
勇者「ああ、王様は教えてくださらなかったのですか?」
姫「? はい」
勇者「魔王の城で監禁されていたみたいで、俺が世話してるんです」
姫「ほう…」
勇者「申し訳ございません、ちょっとあいつを追うので、そろそろ離れていただけませんか?」
姫「いやですわ! 勇者様の体から、離れたくないですっ!」
勇者(胸が当たってるから、ドキドキするんだが…しかし、この人、めんどくさい!)
勇者「今日は、どういったご用件ですか?」
姫「はい、えっと、今日は…その…」
勇者「はい」
姫「昨日のことについてお伺いしたいのですが…」
勇者「き、昨日?」
姫「はい。酒場であったあのことなのですが…」
勇者「ああ、あれですか。大丈夫です。壊したものとかはきちんと払うことにしましたから」
姫「そうではなくて…その…昨日の、バニーガール…」
勇者「ああ、さっきのあいつですか?」
姫「ふむ…やはり…」
勇者「?」
勇者「姫様、お腹は空いておられますか?」
姫「あ、大丈夫ですわ。今日は早起きして早めにとりましたから」
勇者「そ、そうですか」
姫「それでは、そろそろ…」
勇者(ほっ)「はい」
姫「今日は一日中余韻を楽しむことにしますっ」
勇者「は、はあ…」
姫「それでは、ごきげんよう…」
勇者「さようならー」
勇者(ふぅ、すこししたら、追いかけよう)
姫「じい」
執事「はっ」
姫「さっきの小娘の事を、調べて」
執事「かしこまりました」
姫「ふふふ…必ず正体を暴いてみせますわ…」
魔王「まったく…勇者というやつは…」
魔王「あんな胸に脂肪があるやつが好きなのか…」
魔王「…」ペタペタ
魔王「って、なんで気にしているんだ! 私は!」
賢者「む、お前は…」
魔王「ん?」
賢者「おお、お前は勇者の…」
魔王「む、貴様は…」
賢者「もう体調は良いのか?」ボイーン
魔王「う、うむ」(許せん、その胸!)
賢者「それはよかった。とりあえず、お大事にな」
魔王「…何をしておるのだ?」
賢者「ああ、今、募金を募っていたのだ」
魔王「む? 募金?」
賢者「最近、魔物が群れになって村を攻撃するらしくてな。その復旧のための資金にしようと思っての」
魔王「それはお前になにかいいことはあるのか?」
賢者「むう、それは、正直に言うと、ないのう」
魔王「なら、なんで…」
賢者「私は人が大好きなのじゃ。だから人のために動きたいと、強く願っておるのじゃ」
魔王「…」(私には理解できん)
賢者「どうじゃ、お前さんもやってみんか?」
魔王「いや、いい」
賢者「そうか、では、また今度気が向いたら参加してくれ」
魔王「うむ…」
勇者「あっ、いたいた!」
魔王「むっ!」
勇者「ったく、探したぞこのやろう」
魔王「ゆ、勇者…まさか、私を追って…?」
勇者「当たり前だろ。お前体調崩してたんだから一人で出歩くなよ」
魔王「ふ、ふん! お前に心配される筋合いなどないわ!」
賢者「おお、勇者ではないか」
勇者「あ、け、賢者さん!」
魔王「…」ムッ
勇者「きょ、今日はここで何を?」
賢者「募金を募っておるのじゃ」
勇者「そ、そうですか、いいですね、募金」
賢者「おお、そうかそうか。なら、どうじゃ? 一緒に募金を募ってくれないか?」
勇者「も、もちろんです!」
魔王「!」
賢者「ありがとう、助かる」
魔王「お、おい!」
勇者「ん?」
魔王「わ、私も…する!」
勇者「い、いいよ、家でゆっくりしとけよ」
魔王「いやだ!」
賢者「はっはっは。仲がいいのう」
勇者「い、いやそんなことはないんですよ!?」
魔王「な、なにおう!」
賢者「それでは、張り切って行こうではないか」
勇者「は、はい!」
魔王「…」(デレデレしおって…)
勇者「募金にご協力くださーい」
「おや、勇者様じゃないですか!」
「魔王討伐、おめでようございます」
勇者「いやいや、それほどでもないですよ」
魔王「…ふんっ」
「それじゃあすこしだけ」
チャリン
勇者「ありがとうございまーす!」
賢者「そういえば、討伐したのだったな、勇者よ」
勇者「は、はい! そうなんですよ。あはははは」
賢者「すまんかったな、私もお供できればよかったのだが…」
勇者「いえいえ、賢者さんの手を煩わす事なんてできませんよ」
賢者「しかし、ひとりで魔王討伐とは、なかなかの大役を一人でこなすとは、すごいのう」
勇者「お褒めに預り、光栄です」
魔王「…」バチッ
勇者「気を取り直して…募金にご協力おねがいしまーす!」
そして…
賢者「そろそろ、おしまいにしよう、どうじゃ? お昼をご馳走しよう」
勇者「え、本当ですか?」
賢者「うむ、あまり上手くないが、料理でも…」
勇者(手料理…!)「はい、いただきます!」
魔王「…」バチッバチッ
勇者「おい、行くぞ」
魔王「私はいい」
勇者「は? なんで」
魔王「そんなことを言いながら、お前は私のことを邪魔者だと思っているのだろう?」
勇者「は、はぁ?」
魔王「ふん、私はいい。まずい飯など食べたくもないわ」
勇者「お、おい! 賢者さんに謝れ!」
魔王「ふんだっ! バーカバーカ!」
賢者「勇者よ、あいつの言うとおりじゃ。私の飯は決して美味くはない」
勇者「それでも許せませんよ…」
賢者「あの子はまだ未熟じゃ。おまえさんがやつを熟成しないといけないのに、お前さんが未熟でどうする?」
勇者「は、はい…すいませんでした」
そして
勇者「ただいま」
魔王「…」プイッ
勇者「…賢者さんの飯、普通に美味かったぞ」
魔王「そんなこと聞いとらんわ」
勇者「…」イラッ
勇者「あのな…お前そろそろいいかげんにしろよ?」
魔王「…」
勇者「なにが気にくわないのか知らないけどな、このさいはっきりさせろよ」
魔王「…」プイッ
勇者「おい! 目をそらすなよ!」
魔王「…」
勇者「…お前…泣いてるのか?」
魔王「な、泣くわけがなかろう!」
勇者「で、でも…」
魔王「目にゴミが入っただけだ!」
勇者「そんなに涙でたらとりあえず病院行かねえとダメだろ」
魔王「…」ダッ
勇者「お、おい!」
勇者「…ったく、もうあたり真っ暗だぞ?」
勇者「くそ、追いかけるかっ」
勇者「おーい!」
勇者「くそ、あいつ早すぎるだろ…もうどこにもいねえじゃねぇか…」
遊び人「あら、勇者じゃんやほー」
勇者「おお、遊び人。また今日も朝までお遊びかい?」
遊び人「まぁね。伝説の勇者様がこんな時間にどうしたんだい?」
勇者「いや、実はな、さっき…」
遊び人「ああ、あの子か」
勇者「知ってるのか?」
遊び人「たりめぇよ、もう街では相当有名だぜ?」
遊び人「さっき、あっちの森に突っ走ってったけどあの森、夜は相当危険だぜ?」
勇者「そうか、ありがとう」
遊び人「どーいたましてー」
勇者「あとな、遊び人」
遊び人「あん?」
勇者「お前は可愛いんだから、口調を改めた方がいいと思うぞ。絶対損してるからな」
遊び人「な、なにいってんだよ…」カァァ
勇者「じゃあな!」
遊び人「…イメチェン、してみよっかな…」
勇者「はぁ、はぁ…」
勇者(あの森は、凶暴なやつが多い。夜行性の魔物ばかりだから、この時間帯は本当に危険だ)
勇者「恩に着るぜ、遊び人!」
魔王「…はぁ…はぁ…」
魔王「ここなら、あいつもこれまい」
魔王「…いつまで、涙を流している」
魔王「流す必要がどこにある…」
「グルルルル…」
魔王「!」
「グアウゥ!」
魔王「…やれやれ、仕方がない…」
魔王「今の私は加減ができんぞ?」
勇者「! いた! おい…」
勇者「…!?」
勇者(魔物を…食っている?)
魔王「ふぅ…ひさしぶりにまとも飯を食べた」
勇者「…」
魔王「…む、まだたくさんいうようだな…」
魔王「一匹残らず食ってやる!」
勇者「…帰ろう」
勇者「俺がここで出ていっても、何も起こらないだろうし」
勇者「…」
魔物は魔王を襲うのか
魔王は魔物を食べるのか
魔物は魔王の手先じゃないのか
>>117
自然繁殖した魔物たくさんいるわけで…ってことで考えておいてくれ。
勇者「…はぁ」
勇者「やなもん見ちまったな…」
勇者「くそ、俺の予定では、襲われそうなあいつを俺の剣でぶった斬る…だったのに!」
勇者「…あいつ、このまま帰ってこないのか?」
勇者「…もういっかい、森に行こう」
魔王「…」
勇者「おい!」
魔王「む、勇者…」
勇者(う、口が血まみれ…)
魔王「ふむ…見ていたのか」
勇者「…ああ」
魔王「見られては仕方がない」
魔王「死んでもらう」
勇者「!」
シュン
勇者(んな!? 早いっ!)
勇者(やべえ、殺られる…!)
魔王「…」
勇者「…え?」(寸止め…?)
魔王「おかしいな…まったく、笑わせる」
勇者「?」
魔王「これ以上、体が動かない。動くのを拒否する」
勇者「…」
魔王「なぜだろうな、私はいったいどうしたのだろうな…」
勇者「…」ギュッ
魔王「にゃ!? なにをする!」
勇者「もういい、何も言うな」
魔王「は、離せ! 離せよう!」
勇者「ええい、離さん! 絶対に離さないからな!」
魔王「私は…あの女みたいに、胸は柔らかくないぞ…?」
勇者(姫のことか?)「そんなこと、関係ないだろ…」
魔王「まあ、お前が、そ、そこまでそうしたいのなら…少しの間は、このままで、…いいぞ」
勇者「俺はお前と出会えてよかった!」
魔王「そ、そうか?」
勇者「俺は魔王を倒したあと、どれほど面白くない人生が続くんだろうってずっと考えてた」
勇者「でも、お前に会って、この先も面白い人生になるって、思えたんだ」
魔王「ふ、ふんっ」
勇者「だから、どっかに行こうなってしないでくれよ」
魔王「…」
勇者「な?」
魔王「…」コクリ
勇者「よし、それじゃあ帰ろうか」
魔王「…」コクリ
魔王(でも、それは無理だ…。私とお前は対の存在…なのだから)
勇者「もう、だいぶ遅くなっちまったな」
魔王「そうだな」
勇者「お前はそのベッドで寝な」
魔王「お前はどうするんだ?」
勇者「俺はテーブルに突っ伏して寝るからいい」
魔王「…」
勇者「じゃあ、おやす…」
ギュッ
勇者「ん?」
魔王「…私にはあのベッドは、大きすぎる」
勇者「そうだろうな」
魔王「だから、二人で寝ても、支障はないはずだ」
勇者「え」
魔王「か、勘違いするなよ、私はベッドをただもっと有効活用したいだけだ!」
勇者「…そうか、じゃあ、一緒に寝るか」
魔王「う、うむ…」
勇者「なんてな。お前は嫌だろ?」
魔王「え?」
勇者「好きでもないやつと一緒に寝るなんてできないだろ」
魔王「そ、そんな…」
勇者「ん?」
魔王「そ、そ、その通りだ! お前となぞ一緒に寝とうないわ!」
勇者「そうだよな、それじゃあ、おやすみぃ」
魔王「…うぅ……ふえぇん…」
次の日
魔王(寝顔が見れなくなるのは悲しいが…)「おい、起きろ!」
勇者「ん? おお、おはよう」
魔王「うむ」
勇者「今朝は早いな」
魔王「うむ」
勇者「うむ以外言えないのか?」
魔王「う、うるさい!」
勇者「どうして起こしたんだよ?」
魔王「その…なんだ。散歩にでも行かないかと…思って」
勇者「散歩? ああ、いいぜ」
勇者「でも、いきなりどうしたんだよ、散歩なんて」
魔王「べ、別に、理由はない」
勇者「? そうか」
魔王「…」
勇者「ん?」
魔王「こっちを、見るな! バカ!」
勇者「え、あ、すまん」
魔王(照れるだろう…まったく!)
勇者「あのさ」
魔王「…うむ」
勇者「ずっと気になってるんだけど」
魔王「うむ」
勇者「魔王は、どこに行っちまったんだろうな」
魔王「…は?」
勇者「ほら、お前だけを残して、どこに行っちまっただろうって」
魔王「お前の馬鹿さにはほとほと呆れた」
勇者「え? 何がだ?」
魔王「なんでもないっ」
魔王「それと、勇者よ」
勇者「あん?」
魔王「私はまだお前をすべて認めていないからな」
勇者「そうか。それならよかった」
魔王「な、なぜじゃ?」
勇者「そういうのはゆっくりでいいからさ。じっくりと考えて、結果を出してくれよ」
魔王「そうか…まあ、お前もそうであろう?」
勇者「ああ、俺はすでにお前のことを全部受け止める覚悟だ」
魔王「えっ」カァァ
勇者「俺はこらから二人で暮らしていくって、お前に言っただろ」
魔王「…そうだな」
勇者「ま、お前が嫌になったらどこに行ってもいい。俺はその時もちゃんと覚悟しとくからさ」
勇者「でも、何も言わずに消えるのはやめてくれよ?」
魔王「…」コクリ
勇者「っと、歩いてるうちにこんなところに着いちまったな」
魔王「うわぁ…すごい…綺麗な湖だな」
勇者「だろ? 俺はこの湖を見て、旅することにしたんだ」
魔王「なんで?」
勇者「俺が行くか行かないか迷ってた頃、ちょうど今日の今頃ぐらいの時間にとぼとぼ歩いてたんだ」
勇者「そしたら、ここに着いてさ。この、大きな湖を見たんだ。それで世界にはこれ以上の何かが存在するんだって、あの時、思っただろうな」
魔王(じゃあ、これがなかったら、私はこいつと出会わなかったのか…)
魔王「うふふ…」
勇者「なんだ? 不気味な笑い声出して」
魔王「ぶ、不気味とは失礼な!! ふんっ! …ただ」
勇者「ただ?」
魔王「湖サマサマ、だな」
勇者「…そうだな」
すまん、脇腹の激痛に耐えられない…。
朝には戻ります。すんません…。
>>124
勇者鬼畜wwww
あー、7時には起きるつもりだったのに…すいませんした。
またすぐ出かける用事できてしまったけど、書けるとこまで。
>>162
すまんw日本語がなってなかった。
アイツを襲っている魔物をぶった斬る…。
がいいのかも
でかけるのか…帰るのはいつになりそうだ?それまで保守しとくぞ
勇者「あれ? あそこにいるのは…」
魔王「む?」
勇者「…魔物の子供だな」
魔王「ほう、可愛いな!」
勇者「おまえもな」
魔王「だからそういうことを平気で言うでない!」カァァ
勇者「親がいないのかな?」
魔王「そのようだな。一人で大丈夫かな…」
勇者「なんだ、心配なのか?」
魔王「べ、別に!」
>>171
夕方頃になりそう。
飯を食いに行くだけではないと思うから。
「キャンキャン」
勇者「おーよしよし。こいつ、可愛いな」
魔王「…」ソワソワ
勇者「お前も、抱くか?」
魔王「うん!」
「キャンキャン!」
魔王「! なぜ逃げるのだ!」
勇者「はははっ、お前もしかして、動物に嫌われるタイプなのかもな!」
魔王「うー…」(この魔物…どこかで見たことがあるなぁ…)
勇者「俺にはもう懐いちまったぞよしよし~」
魔王「私まだ触れてないぞぉ!」
勇者「嫌われてるんだから仕方ないだろ?」
魔王「うぅ…」グスッ
勇者「泣くなよ…」
魔王「な、泣いてないっ」
勇者「泣いてるじゃねえか。ったく」
魔王「う…撫でるなぁ!」
勇者「ん? お前、体冷たくないか?」
魔王「ん? そうか?」
勇者「ああ、なんかヒンヤリしてる」
魔王「むぅ…もしかして、これが原因なのかな?」
勇者「いや、お前自体が嫌われてるんだろ」
魔王「ひどいっ!」
勇者「いや、そういうやつは本当にいるんだって。動物に嫌われるやつ」
魔王「私はそれだと言うのか…うぅ」
勇者「ま、そういうことだな」
魔王「あ! 思い出したぞ!」
勇者「ん?」
魔王「…こいつ、昨日私が食った魔物と似てる!」
勇者「…へ?」
魔王「いきなり襲いかかってきたんだった」
勇者「お前…それは嫌われるとかそういうもんじゃないぞ」
魔王「? なぜだ? 襲いかかってきたのだから、殺すのが礼儀だ」
勇者「いや、その、俺だったら親を殺したやつを許さないし、怖いと思うから」
魔王「? つまり、そやつは、私を怖がっているのか?」
勇者「ああ。きっとお前から微妙ににおいがするんだろ」
魔王「むぅ、それは悪いことをしてしまったな。すまない」
「キャンキャン!」ガブッ
魔王「いたっ! 勇者~! こいつ噛んだ~! 謝ったのに!」
勇者「魔物に謝っても、意味ないぞ…」
魔王「私は全知全能の魔王なのにぃ…」
勇者「ま、これからは魔物を殺さないことだな」
魔王「…むぅ」
魔王(それはできない。私のカラダは、魔物を摂取しないと、栄養がきっちり取れんのだ…)
魔王(しかし…勇者に言われたのだ…我慢、しよう)
勇者「よしよし、これから一人で頑張って生きろよ、じゃな~」
「キャンキャン!」ダッ
それじゃあ、出かけてくる。
アラームがきっちり作動すればさっさと話進めたのに…申し訳ない。
勇者「さて、そろそろ朝食時だな、帰って食べよう」
魔王「私はいい」
勇者「なんで?」
魔王「昨日の夜食べ過ぎたから…あまり食べれそうにない」グゥ
勇者「俺には腹の虫が元気よく鳴ってる気がするんだが…」
魔王「ぐ、ぐぅ!」グゥ
勇者(自分で言ってもバレバレだって…。こいつ、かわいいなぁ)
魔王「おいしい!」パクパク
勇者「それはよかった。にしてもお前、けっこう食べるんだな」
魔王「そうか? これぐらい普通だろう」ムシャムシャ
勇者「いや、子供はこんなに食わねぇよ。特に、女はな」
魔王「…勇者は、よく食べる女は、嫌いか?」
勇者「いんや。元気があっていいと思うぞ。それに、お前は線が細いんだから、もっと食べた方がいいぜ」
魔王「それは胸のことか!?」
勇者「ちげえよ!」
魔王「私だって、不思議なんだぞ! こんなに食べてるのになぜこっちに栄養がこないのかわからん!」
勇者「だから、そのことじゃねえって言ってんだろ!」
魔王「じゃあどういうことだ!」
勇者「体全体のことだ。お前、見るからに病弱そうだからな」
魔王「むむぅ、そうか?」
勇者「昨日、魔物食ってるときはびっくりしたけどな」
魔王「そ、そうか?」
勇者「ああ、ちょっと…怖かった」
魔王「ふ、ふはははは! 私を誰だと思っているのだ! 私は全知全能の魔王だぞ! ふははははは!」
勇者「こんな可愛い魔王がいたら困るぞ」
魔王「!」カァァ
魔王「な、なぜだ?」
勇者「殺せないだろ」
魔王「…ふんっ」
勇者「昼から、隣町まで作物を届けることになってるんだが、お前も行くか?」
魔王「なぜ私が行かなければならない? めんどくさい」
勇者「いや、なら別にいいんだけどさ。そうなると、俺、明日まで帰ってこれないから」
魔王「えっ…それは…いやだ」
勇者「お前の飯も作らなきゃならないから、お前も来てくれたら嬉しいんだけど」
魔王「ふ、ふん! お前の飯はまずいが、腹を膨らせることはできるからな、ま、まあ、行ってやらんでもない、ぞ?」
勇者「そうか、よかった」
魔王「でも、なぜお前が行くのだ?」
勇者「男手が足りないことと、護衛をするためにさ」
魔王「護衛ねぇ…」
勇者「そうだ、この前食った野菜くれたじいさんも来るから、お礼言っとけよ」
魔王「なんでこの私が!」
勇者「じゃあ、もう飯は作ってやらん」
魔王「いいもん! 私はまもの……」
勇者「ん?」
魔王「…なんでも、ない…」
魔王(魔物は食べない! 魔物は食べない!)
勇者「とりあえず、もう用意はできてるから、そろそろ行くぞ」
魔王「む? まだ昼ではないぞ?」
勇者「作物を荷台に置く仕事があるんだ」
魔王「私も手伝うのか?」
勇者「いんや、それは俺とか、男でなんとかするよ」
魔王「私も手伝う」
勇者「え? さっきめんどくさいとか言ってたじゃないか。それに、お前が持てるようなもんはねぇよ」
魔王「なにおう! ならば、絶対に運んでやる!」
魔王「うう…重いぃ」
「嬢ちゃん、もういいよ、手伝ってくれてありがとさん」
魔王「うるさい! 私はなにがなんでも運ぶ! うぬぅう!」
勇者「邪魔になるからそろそろやめとけ!」
魔王「くそうぅ! なんでだぁ!」
勇者「お前の体重より何倍も重いんだ。無理に決まってるだろ」
魔王「勇者よ…私を甘く見ているようだな…」
勇者「ほう?」
魔王「私はまだ本当の力をみせていない! 見ておけ! ふおおおおおお!」
MPが足りません。
魔王「うわぁぁん!」
勇者「はいはい、ごくろうさん。隣町に着いたらアイスでもおごってやるよ」
魔王「え! アイス? アイスとはなんだ?」
勇者「アイスは、アイスとしか言えないだろ」
魔王「むう、もったいぶるな!」
勇者「町に着いたらな」
魔王「うむ、楽しみにしているぞ」
勇者(…こいつも、最近やっと素直になってきたな)
「そうだ、勇者さん、お城に外出許可を取りに行ってくれませんかね?」
勇者「ああ、わかりました」
魔王「私も行く!」
勇者「おう」
勇者(どうか、姫に会いませんように…!)
勇者「すいません、王様に会わせていただけませんか?」
兵「少々お待ちを」
勇者(ふう、これなら会わずにすむな)
姫「勇者様!」
勇者「げっ!」
魔王(! あやつは…)
姫「勇者様、会いとうございましたぁ!」
勇者「ひ、姫様…元気で何よりです…」
姫「昨日は余韻に浸って、何も手がつけられませんでしたわ!」
勇者「そ、そうですか…」
魔王「おい」
姫「? はい?」
魔王「勇者が嫌がってるだろ。やめろ」
姫「あら?」
魔王「勇者から離れろ」
姫「あらあら、怒っていますの?」
魔王「離れろという言葉が聞こえないのか?」バチバチ
勇者(バカ! ここで問題起こしたら洒落になんねーぞっ)
兵「王様の準備が整いました。どうぞこちらへ」
勇者(おっ! ラッキー)
勇者「はい、すぐに行きます」
姫「あら、父上に何を?」
勇者「外出許可を頂きに来たんですよ」
姫「そうでしたか…。なら、私はお邪魔ですわね。それでは…」
勇者「はい、さいならー」
勇者「…ったく、おい! こんなところで問題起こしてどうすんだよ!」
魔王「だって…お前が…嫌そうだったから…」
勇者「ま、まさか、心配してくれたのか?」
魔王「し、してない! お前の心配なんて、誰がするか!」
勇者「そうか、ちょっと残念」
魔王「え?」
勇者「お前が俺のこと、気にかけてくれたのかと思った」
魔王「そ、そそそ、そんなこと、あるわけないだろう!?」
勇者「ま、それでも、助かったよ。ありがとな」
魔王「ふん、礼を言われる筋合いはないわ」
勇者「そうですかい」
勇者「とってきましたよ、ほら、許可書も」
「はい、ありがとさん」
魔王「こ、この荷馬車に乗るのか?」
勇者「俺は護衛だから馬だけどな」
魔王「私も馬がいい!」
勇者「なんでだよ」
魔王「馬、かっこいいから」
勇者「つっても、馬は一頭しかないんだぞ。それ以外は荷台用の馬だし」
魔王「やだやだ! 乗りたい!」
勇者「やれやれ…わかったよ」
魔王「やったー!」
勇者「よいしょっと」
魔王「む、なんでお前も乗るんだ」
勇者「お前一人じゃ心配だからな」
魔王「むぅ…前が見えないではないか」
勇者「我慢しろ。ちゃんと、俺の体につかまっとけよ?」
魔王(あれ? これって、もしかして…勇者と二人?)
魔王「はわわ…」カァァ
勇者「あ? どうした?」
魔王「な、なんでもないわ! バカ!」
勇者(いきなり貶された…)
勇者「よっし、それじゃあ出発しましょう」
「あいよー!」
パカラパカラ
魔王「…」ムッスー
勇者「ん? どした、機嫌悪いな」
魔王「ふんっ、眺めが悪すぎる、それに、鈍い」
勇者「仕方ないだろ。護衛が仕事なんだから。護衛だけ先走ったら意味ねぇだろ」
魔王「ならばこの眺めだけでもどうにかしろ」
勇者「それなら、できるけど、お前がいいのか?」
魔王「どういうことだ?」
勇者「俺の前に行けば、眺めは良くなるけど…」
魔王「…けど?」
勇者「俺に抱かれるみたいなことになる」
魔王「…」ボンッ!
勇者「うお!? 顔がなんかすごい真っ赤!?」
魔王「な、なな、ながめが良くなるなら、そお、そんなこっ、こと、どーでもいいっ!」
魔王(む、むしろ…そっちの方が…嬉しい)
勇者「いいのか?」
魔王「いいと言っているだろうが! は、はははははあ、はやくしりょ!」
勇者「わかった…よいっしょっと」
魔王「はわわわわわ…」カァァァァァ
勇者「どうだ? ちょっと馬の頭が邪魔かもしれないけど、いい眺めだろ?」
魔王「ま、まあ、じぇっけいだな…」
勇者「はは、絶景、な?」
魔王「噛んだだけだ!」
勇者「わりーわりー」
これ漫画にしようぜ!
売れると思う!
>>246
そういってくれると嬉しい。
ちょっと休憩します。
すぐに再開するけど。
姫「それにしても、高いな…」
勇者「お前の身長から見えるものなんかたかが知れてるもんな」
魔王「お前なんかだいっきらいだ!」
勇者「あはは、冗談だよ」
魔王「ふんっ! 冗談であろうがなんであろうが、だいっきらいだ!」
勇者「…」
魔王「…?」
勇者「…」
魔王「ど、どうしたんだ?」
勇者「いや…普通に傷ついた」
姫?
>>262-263
すまん、ミス。
姫でなく、魔王です。
なんというミスをおかしてしまったんだ…。
魔王「そ、そこまで落ち込まなくてもいいだろう!?」
勇者「俺もひどいこと言っちまったから…嫌われても仕方ないよな。悪かった」
魔王「うぅ…」
魔王「そ、そうだ! 勇者! あれは冗談だ! ははは! だまされよってー!」
勇者「え? そうだったのか?」
魔王「はっはっはー! バカめー」
勇者「じゃあお前は俺のことが好きなのか!?」
魔王「へ…」カァァァ
魔王「そ、そんなこと言っておらんだろう!」
勇者「俺は好きだぞ」
魔王「!」ボーンッ
勇者「お、おい!? 気を失ってる!?」
「どうしやした? 勇者さん?」
勇者「あ、こいつが、気絶しちゃって…」
「ありゃ、そうですか」
勇者「すみません、ちょっと先に隣町まで走りますね」
「はい、そろそろですし、大丈夫ですよ」
勇者「ありがとうございます。それじゃあ。はいっ!」
パカラパカラ
魔王「むぅ…」
勇者「お、目が覚めたか?」
魔王「む、ここは?」
勇者「宿だ。ったく、びっくりしたぞ、いきなり気ィ失うから」
魔王「…え? 私は、気を失ったのか?」
勇者「おう、それにしても、まだ、体調は万全じゃないのか?」
魔王「いや、そんなことはないはずだが…」
魔王「というかお前があんなこと…!」
勇者「あんなこと?」
魔王「…な、なんでもないっ」プイッ
「勇者さん、作物無事に届けましたよ」
勇者「あ、すいません、手伝えなくって」
魔王「?」
「お、嬢ちゃん、大丈夫かい?」
魔王「う、うむ」
勇者「はい、安心してくださって、ありがとうございます」
「いいよいいよ、またおじさんの野菜、食べてね」
魔王「う、うむ! …礼を言う、ありがとう」
「ははは、嬉しいよ! それじゃあ」
勇者「はい、さよなら~」
勇者「よくお礼言ったな。偉いぞ」
魔王「…それより、勇者よ」
勇者「あん?」
魔王「…お前は、作物を届けに行かなかったのか?」
勇者「え? ああ、そのことか。そうだけど」
魔王「なんでだ?」
勇者「そりゃ、お前が心配だからに決まってるだろ。それ以外に理由はないよ」
魔王「そうか…」
勇者「?」
魔王「あ、ありが、と」
勇者「…どういたしまして」
勇者「体調はもういいのか?」
魔王「ま、まあな」
勇者「それじゃあ、ちょっと連れて行きたいところがあるんだが」
魔王「…ついていってやっても、いいぞ?」
勇者「そうか、それじゃあ行こう」
魔王「うむ」
魔王「どこに行くつもりだ?」
勇者「ついてくればわかる」
魔王「…お前はいつもそうだ」
勇者「?」
魔王「私になにも教えてくれない」
勇者「教えてるだろ? お前こそ、何も教えてくれないじゃないか」
魔王「ふん」プイッ
勇者「…ほら、ついたぞ」
魔王「……ここは…」
勇者「夜になると、光を放つ花だ、綺麗だろ?」
魔王「すごいな…とても、綺麗だ」
勇者「そうだろ? お前に見せてやりたかったんだ」
魔王「そ、そうか」
勇者「女の子って、こういうところ、好きだろ?」
魔王「そ、そうかもな」
勇者「…」
魔王「…」
勇者「…」
魔王「ど、どした? 勇者…」
勇者「…」ガバッ
魔王「ひゃあぁ!? な、何をするっ!」
勇者「…」
魔王「…や、やめろ! いきなり押し倒したりして、気が狂ったか!?」
勇者「黙れ」
魔王「むぐぅ…んむふむっ!?」
勇者「静かにしろって」
魔王「…」
飯食ってきます。
少々お待ちを。
勇者「…」
魔王(…勇者…私は…)ドキドキ
勇者「…」
魔王「…ん」
勇者「ふう、危なかった…」
魔王「?」
勇者「盗賊だ、見つかってたらまずかったぜ」
魔王「と、盗賊がこんなところに一体?」
勇者「たぶん、この花を摘んでいったんだろう」
魔王「!」
勇者「お、おい!」
魔王「おい! そこの貴様ら!」
「ああ?」
魔王「その花を返せ!」
盗賊A「なんだこのカワイコちゃんは?」
盗賊B「へへ、やっちまうか?」
魔王「ほう? 私に勝てると思っているのか?」
盗賊A「おお、気が強いねぇ!」
魔王「ふん…くらえぇ!」
MPが足りません。
魔王「え?」
盗賊A「ふはははは! 可愛いねぇ!」
魔王「ひっ! さ、触るな! ゲテモノ!」
盗賊B「ゲテモノなんてひどいなぁ、ぐひひっ」
魔王(な、なんで、魔法が使えない!?)
盗賊A「可愛いお尻だねぇ!」
魔王「や、やめろぉ...!」
勇者「くっそ!」
勇者「あいつ、いきなり走りだしやがって…」
勇者「…ん?」
?「…」
勇者「おい、こんなところで、どうしたんだ?」
?「…」ヒュン
勇者「うおっ!」
?「死んでもらう」
勇者「はぁ!?」
勇者「ぐおっ! やめ、ろ!」
?「…」ヒュッヒュッ
勇者「やめろっつってんだろ!」キィン
?「…!」
勇者「お前…何もんだ…?」
?「…」ダッ
勇者「…! 畜生、なんなんだったんだ?」
勇者(顔も隠してたし…。んなことより、あいつを探さねぇと!)
魔王「うぅう…」
盗賊A「さて、まずは何をして遊ぼうか~?」
盗賊B「よしよし、とりあえず、一発いくか?」
?「おい、待て」
盗賊A「ん? お前は、女盗賊じゃねぇか」
女盗賊(以下、盗賊)「女子供は狙うなと言っただろう」
盗賊B「でもよ、こいつからやってきたんだぞ? 一回痛い目にあわないとキリないぜ?」
魔王「この縄をほどけー!」
盗賊B「そう簡単に解くかよ!」
勇者「うおい!」
盗賊「! くっ、追いつかれたか」
盗賊A「なんだおめぇは?」
魔王「ゆ、ゆーしゃ!」
勇者「そいつをはなせ!」
盗賊「A、B、お前らは先に行け」
盗賊A・B「お、おう」
盗賊「…」チャキン
勇者「お前も盗賊だったのか。ゆるせねぇ」
盗賊「女子供は狙わん」
勇者「何いってやがる、現にそれはどういうことだ…?」
盗賊「これは…」
勇者「許さん!」
盗賊(す、すごい気迫…気圧される…!)
勇者「行くぞっ!」
盗賊「ま、待て」
勇者「あ?」
盗賊「私には、お前を倒すことは、できそうにない」
勇者「…」
盗賊「こいつを開放する。それで、いいか?」
勇者「いいや、ダメだ」
勇者「あの花も、返してもらう」
盗賊「それは…できない」
勇者「なら、ダメだ」
盗賊「…私の母が、病気なのだ」
勇者「…?」
盗賊「あの花は、高値で売れる。それで、薬を買えば…」
勇者「…そんな金で買った薬で、お前の母さんがよろこぶとでも思ってんのか?」
盗賊「うるさい…お前に何がわかる!」
ギィン
勇者「わかんねえよ。俺にはもう、看病する母親もいねぇんだから」
盗賊「!」
勇者「お前のそこ舐めきった根性、たたき直してやる!」
盗賊(くっ、強い…)
ギャン
盗賊「…殺せ」
勇者「…立て」
盗賊「?」
勇者「俺の言う事を聞けるか?」
盗賊「…私はすでにお前に負けを認めた身、なんでも言う事を聞こう」
勇者「じゃあ、まず、一つ目は、あいつを開放しろ」
盗賊「わかった」
勇者「二つ目、俺と一緒に町に行くこと」
盗賊「…わかった」
勇者「あと、三つ目。その口に巻いてる、バンダナを外せ」
盗賊「…何故だ?」
勇者「俺がオマエのことを知りたいからだ」
盗賊「…わかった。まず、一つ目の命令に従おう」
魔王「ゆーしゃー!」ギュッ
勇者「大丈夫か? ケガはないか?」
魔王「ああ、大丈夫だ…」
魔王「あ」カァァ
勇者「?」
魔王「は、離れろ、バカ!」
勇者「お前が抱きついたんだろうが!」
盗賊「…二つ目に従おう、それと、三つ目も…」
勇者「ああ」
盗賊「…」スルリ
勇者「なんだ、可愛いじゃねぇか、なんで隠してんだよ」
盗賊「なっ、な…!?」カァァ
魔王「…」ムッ
勇者「それじゃあ、ついてこい」
盗賊「…花は、いいのか?」
勇者「ああ、あの花は全部摘んでも、無くならないから」
盗賊「え?」
勇者「どんな環境でも生えるんだよあの花は。それに、あんまり高値で売れないしな」
盗賊「そ、そうなのか…」
魔王『おい、勇者!』
勇者『あん?』
魔王『なんであの女を連れて行くのだ?』
勇者『あとでわかるさ』
魔王(またそれか)ジロッ
盗賊「?」
勇者「女盗賊、お前はどこの生まれだ?」
盗賊「…砂漠地帯だ」
勇者「…そうか」(この褐色の肌…やっぱりそうか)
勇者「それじゃあ、お前の母さんの病気は、砂漠病か」
盗賊「…ああ」
魔王「さばくびょう?」
勇者「お前には関係ない話さ」
魔王「仲間はずれにするなー!」
勇者「そりゃ、大変だったな」
盗賊「…」
勇者「到着」
魔王「さばくびょうってなにー!?」
勇者「あとで教えてやる」
魔王「お前はそれしか言えんのか!」
盗賊「…私はどうすればいいのだ?」
勇者「ちょっと待ってろ」
盗賊「…わかった」
勇者「見張っとけ」
魔王「さ、指図するな!」
勇者「見張っといてください」
魔王「わ、わかった、見張ってやろう!」
盗賊「…」
魔王「…」
盗賊「…」
魔王「…」ジロッ
盗賊「?」ボイーン
魔王(くそうぅ…)
盗賊「お前は…」
魔王「む、なんだ?」
盗賊「あいつと、どういう関係だ?」
魔王「ふんっ、知るか。私だってわからんわ」
盗賊「…そうか」
勇者「おまたせ」
魔王「遅いぞ! む、何を持っておる?」
勇者「砂漠病の薬だ。これでお前の母さん、助けてやれよ」
盗賊「…私のために…?」
勇者「ああ、けっこう値段だったぜ、ほらよ」
勇者「俺の財布はもうスッカラカンだぜ」
盗賊「…」ポロポロ
勇者「はは、泣くことないだろ。早く、これで母さんに孝行しろよ」
盗賊「ちがう…」
勇者「え?」
盗賊「…あれは、嘘だ」
勇者「!」
盗賊「私は、お前に、嘘をついた」
勇者「…そうだったのか」
魔王「ふざけるな! 勇者が有り金全部を出して買った来たんだぞ!?」
魔王「それを、今更嘘でしたとは、どういうことだ!?」バチバチ
風呂行ってきます。
ちょっと遅くなるかも。
盗賊「…すまないと思っている」
勇者「もう、謝ってんだから許してやれ」
魔王「でも、お前は…」
勇者「いいよ、それより、俺はお前がムキになったことの方が嬉しい」
魔王「な、なに言って…!」カァァ
勇者「…わかった。でも、砂漠地帯生まれなのは本当だろう?」
盗賊「ああ」
勇者「なら、その薬で、砂漠病のやつらを、治してやってくれ、じゃあな」
盗賊「待ってくれ…」
勇者「あ?」
盗賊「…私は、お前に、礼をしたい」
勇者「されるようなこと、してないぞ」
盗賊「…こんな私を、お前は信じてくれた。助けようとしてくれた」
盗賊「だから、恩返しがしたい」
勇者「いいって。それに、さっきの盗賊達はいいのか?」
盗賊「あいつらは雇われ盗賊だ」
勇者「そ、そうか」
盗賊「しかし、私は今何も持っていない。だから…」
勇者「だから?」
盗賊「私を、私自身を、お前にやる」
勇者「…は?」
魔王「な、な、なに、い、意味分からないこと言ってるのだ!?」
魔王「付き合ってられないな! い、いこう、勇者!」
勇者「あ、ああ。とりあえず、俺はお礼なんていいから、さ」
盗賊「それはダメだ」
勇者「な、なんだよ」
盗賊「…」
チュッ
魔王「!!」
勇者「うおっ!?」
盗賊「私のことは、なんと呼んでもいい、今日から私はお前の『物』だ」
勇者「…」
魔王「な、な、な…」バチバチッ
勇者「え? あれ?」
盗賊「どうした?」
勇者「今、お前、俺になにした?」
盗賊「忘れてしまったか? ならもう一度…」
魔王「やめろーー!」ドンガラガッシャーン
勇者「! お、おい、どうした!?」
魔王「……殺す!」バチチ
勇者「おい、落ち着けって!」
魔王「そこをどけ、勇者!」
勇者「盗賊はお前になにも悪いことはしてないだろ?」
魔王「…私に悪いこと…?」
魔王(したではないか…お前にキスを、したではないか!)
魔王「そこをどかないと…お前も殺す!」バチバチ
勇者「だからやめろって!」
盗賊「勇者を傷つけるのは許さない」
勇者「盗賊! お前も入ってくるなって!」
盗賊「私は勇者を助ける身、ここで助けずいつ助ける?」
魔王「最初からお前が目的だ、殺してやる!」
盗賊「こい、小娘」
勇者(くっそ! 止めるしかない!)
盗賊「!」
盗賊(この雷は…なんだ!?)
魔王「お前はすぐに殺さない! 死にたくなるまで痛めつけてやる!」バチリリ
盗賊(まずい…!)
勇者「うおおおおお!」
魔王「!!」ガッシャーン
勇者「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
盗賊「! 勇者!」
魔王「勇者!!!」
魔王「勇者! 勇者!」
盗賊「勇者…! 貴様、よくも勇者を!」
魔王「うそだ…うそだ…」
勇者「」
魔王「いやあああああああああああああああああああああああああああ!!! ゆーしゃああああああ!!!!!! しんじゃやだーーー!!」
盗賊「…」
魔王「ごめんなさい! ごめんなさいぃ…!!」
勇者「」
魔王「ゆうしゃあああああ…」
魔王「うっ…うわあああああああああああああ!!!」ダッ
盗賊「お、おい、どこに…!」
魔王「…」
魔王(もう、ゆーしゃには会えない…)
魔王「…」
魔王(どうして、ゆーしゃはあの間に入ってきたんだ…?)
魔王(盗賊が、そんなに大事なのか?)
魔王(私の方が、あんなやつよりゆーしゃのことを知っているのに…)
魔王(…私が、嫌いなのか?)
魔王(…そうだ、きっとそうだ…だから、何も教えてくれないんだ)
魔王(結局…こうなるんだったら…)
魔王「あんなやつに、会いたくなかった…」
魔王(ふふふ…何を言っているんだ、私は…)
魔王「私は勇者を倒したのだ! これで誰も私を止めることはできない!」
魔王「そうだ! 私は全知全能の魔王様だーーーーーーー!」
魔王「ふははははははは! あっーはははははははははは!!」
魔王「はははははははははははは…」
魔王「…ゆーしゃぁ…」
勇者「…ここでやられてたまるか!! 座布団一枚!」
盗賊「!」ビクッ
勇者「…あれ?」
盗賊「…よかった…」ギュッ
勇者「ぬお、盗賊…!」
盗賊「死んでしまったかと思ったぞ…」
勇者「…ここは?」
盗賊「宿だぞ」
勇者「そ、そうか…あいつは?」
盗賊「…あの小娘か…?」
勇者「ああ」
盗賊「走って、どこかに行ってしまったぞ…」
勇者「! どこに?」
盗賊「…森の方に」
勇者「くそ、また追いかけないといけないのか」
盗賊「…追うのか?」
勇者「ああ、当たり前だ」
盗賊「なら、私も手伝う」
勇者「ん? ああ、ありがとう…いてっ!」ビクビク
盗賊「大丈夫か!?」
勇者「か、体が…シビれやがる…」
盗賊「まだ、体は万全の状態ではない! もうすこし休め!」
勇者「あいつは…俺がいないと、ダメなんだ…」
盗賊「…私が、探しだすから」
勇者「それじゃあ、ダメなんだ」
勇者「俺が、あいつを見つけ出さないと、ダメなんだ」
盗賊「…」
勇者「くっそぉ…体を引きずってでも…」ズリズリ
盗賊「ゆ、勇者…!」
勇者「盗賊、お前はやっぱり待っていてくれ」
盗賊「でも…」
勇者「もうすぐ良くなるはずだから…つぅ!」ビリッ
盗賊「…勇者…」
勇者「…くっそ、なんで動かねぇんだ! くそ! くそ!」
盗賊「そんなことをしても脚は動かない! やめろ!」
勇者「俺がもっと強ければ…あいつの手加減した雷なんかで気絶なんてしなかったんだ」
盗賊「勇者…」
勇者「…やっぱ、無理だ…盗賊、肩貸してくれねぇか?」
盗賊「…ああ」
?「はぁ、まったく、世話が焼けるやつよのう」
勇者「そ、その声は…」
賢者「こんな、ある町の宿の廊下で這いつくばっている勇者がどこにいるんじゃ?」
勇者「賢者さん!」
賢者「本当におまえさんは、もっと勇者としてのプライドを持て!」
勇者「か、かたじけないです…でも、俺は…」
勇者「俺は、あいつを探さないと…」
賢者「…はぁ、やはり、おまえさんはいい度胸をしている…私が初めて好きになった男がお前だと言うのも頷ける」
勇者「え? …あれ…なんだか、体が軽い」
賢者「…行ってこい。そして、あやつと一緒に帰ってこい」
勇者「…はい!」
賢者「ふぅ…まったく…本当にあいつは」
勇者「あ、賢者さん! 盗賊のこと、よろしくお願いします!」
賢者「…!」カァァ
賢者「は、早く行け! 馬鹿者!」
俺「は、早く書け!馬鹿者!」
勇者「…」
勇者(本当に、あいつは世話が焼けるぜ!)
勇者「おーい!」
勇者「どこだー!?」
勇者(くそ、どこにも見当たらない!)
勇者(この森はあまり広くないからな…大丈夫だとは思うんだが…)
勇者(この前の盗賊達にあったら…! それはまずい!)
賢者「ふむ…おまえさんが勇者にであったのは五日前…か」
盗賊「はい…気を失ってから、四日間、気を失ったままで…」
賢者「むう、それはすごいのう…」
盗賊「正直、あの雷をうけて、生きている方がすごいと思います…」
賢者「それほどにすごかったのか?」
盗賊「…はい」
賢者「…おまえさんは、あいつとはどういう関係なんじゃ?」
盗賊「…私は勇者、『物』です」
賢者「…ほう、面白いことを言うのう」
>>修正、
×
盗賊「…私は勇者、『物』です」
○
盗賊「…私は勇者の、『物』です」
勇者「はぁはぁ…」
勇者「! 魔物の死体…!」
勇者「あいつ、食べ物が無いから…!」
勇者「どこだ!?」
勇者(無事でいてくれ!)
勇者「! いた!!!!」
勇者「お~い!」
魔王「…」
勇者「…おい、なんで倒れてんだよ!?」
魔王「…ゆー…しゃ?」
勇者「大丈夫か!? しっかりしろ!」
魔王「ゆーしゃ…生きて…たんだな…」
勇者「どうしたんだ!? 何があったんだ!」
勇者(衣服には血がついてるだけ、どうしたってんだ!?)
魔王「あのね…ゆーしゃ……」
勇者「もーいい! 喋らなくていい!」
魔王「ゆーしゃ…私、守ったよ」
勇者「え?」
魔王「ゆーしゃが…殺すなって…言ったから…」
勇者「じゃあ、あの死体の群れは!?」
魔王「私は…何も、してないよ…私はただ、逃げただけ」
勇者「お前…殺してないってことは…」
魔王「うん、食べてないよ…。だって、食べたら」
魔王「あの動物に、懐かれないでしょ?」
勇者「待ってろ! 今すぐ町に戻って、うまいもんたくさん食わせてやる!」
魔王「…ゆーしゃ、ごめんね」
魔王が死んだら>>1を殺して私も死ぬ
>>444
禿同
魔王「ずっと、いってなかったけど…」
勇者「な、なんだ?」
魔王「私、普通のご飯じゃ、まともな栄養、取れないんだ」
勇者「!?」
魔王「だから、いっぱい…たべ…ても………全然、た…りない…んだ…」
勇者「そんな…!」
魔王「ゆーしゃのごはん、おいしかったよ…」
勇者「死ぬな!」
魔王「…ふふっ……泣かないでよ…」
勇者「お前は死なないんだから、泣くわけねぇだろ」ポタポタ
魔王「…ゆー………し……ゃ…」
魔王「…さ…………い………ごに………」
勇者「…」
魔王「ほん…とのこと…………いわな……くて……ごめん……ね」
勇者「俺を食え!」
魔王「…へ?」
勇者「俺を食って、少しでも腹を膨らせろ!」
魔王「それは………で…きないよ…」
勇者「なんで!?」
魔王「わた…し………は……ぜんちぜんの…うの……まお…うなんだ…から」
勇者(俺は…最低だ……!)
勇者(こんな小さな……こいつすら助けることができないのか!?)
勇者「…神よ…」
勇者「我の身体、そして精神を捧げん…」
勇者「この者に新しき命を与え給え……!」
パァァァァ
魔王「…」
勇者(…これで大丈夫か…?)
勇者「! ガハッ!」ビチャ
勇者「っへ、やっぱり……俺は死ぬのか…」
勇者「…楽しかったぜ、お前との、生活…」
勇者「ちょっとだけだったけど…本当に、楽しかったぜ…! ガフッ!」
勇者「また…今度……俺の………まずい飯…食わせ…てやっからな…」
シュウウウウウウウ
勇者(んだよ…体ごと…消えるのかよ…)
魔王「…ぬ?」
魔王「ゆーしゃ!」
魔王「何故だ? 生きてる!」
魔王「やったぞゆーしゃ! 私、生きてるぞー!!!」
魔王「ん? どこに隠れておる?」
魔王「…勇者?」
魔王「まったく、私をおいてどこにいったんだあいつは…」
魔王「会ったらぶん殴ってやる!」
魔王「…それにしても、見あたらないなぁ」
魔王「町に帰ってしまったのか? 薄情なやつめ」
魔王「…本当に、早く出てこいよぅ…」
魔王「結局、町まで着いてしまったではないか…」
賢者「!」
魔王「む、賢者ではないか」
賢者「無事でなによりじゃ! 大丈夫だったか?」
魔王「うむ、この通りピンピンしているぞ。それより、勇者は?」
賢者「? 会ってないのか?」
魔王「いや、私が目が覚めたときにはもう、いなかったぞ」
賢者「!!」
魔王「?」
賢者「あいつ…やってしまったのか…」
魔王「むむ? なんのことじゃ?」
賢者「おまえさん、どこか悪いところはあるか?」
魔王「む? 不満な部位ならあるが…」
賢者「どこじゃ?」
魔王「は、恥ずかしいが、強いて言うなら、胸」
賢者「そういうことではない!」
賢者「おまえさんが勇者に会ったときに、どこかに致死量のダメージを受けていなかったか?」
魔王「? そういえば、餓死寸前だったぞ」
賢者「…そうか」
魔王「だから、なんなんだ?」
賢者「勇者は、お前を助けたのじゃ」
魔王「ふむ」
賢者「…その時、やつは体を犠牲にして、お前を助けたのじゃ」
魔王「…? な、なにを言っている! 私は…」
魔王(私は…あいつを…食べてないぞ?)
賢者「やつは、呪文を唱えたのだろう。完全治癒呪文に」
魔王「…?」
賢者「その呪文を唱えれば、体ごと存在の代わりに、誰か一人を、どんな状況であろうと、完全治癒することができるのじゃ」
魔王「え? じゃあ、あいつは…?」
賢者「…もう、帰ってこない」
魔王「な、ならば、私の体を使って…」
賢者「無理だ…できるのは、選ばれし勇者のみなのじゃ」
魔王「…嘘だ」
賢者「…」
魔王「そんな…こんなことって…」
賢者「…」
魔王「あいつは、私に、何も言わずに、どこかに行こうとするなって…言ったではないか」
魔王「なのに、約束を破るなんて…最低だ!!」
賢者「…」
魔王「……うぅ…」
魔王「もう一度、探してくる!」
賢者「やめておけ…惨めになるだけじゃ」
魔王「うるさい! お前の考えが正しいとは、私は思わん!」ダッ
盗賊「…おい」
魔王「む、なんだ?」
盗賊「…私も探す」
魔王「わかった、私はこっちを探す、お前はあっちだ」
賢者「…やれやれ、私も手伝おう」
メガザルロック「呼んだ?」
魔王「はぁはぁ…」
魔王「ゆーしゃー! 返事しろー!」
魔王「…ゆーしゃー! へんたいー!!」
魔王「むぅ…一体どこへ行ったんじゃ?」
?「お、いたいた」
魔王「む?」
?「おや、忘れましたか? 私ですよ、私!」
魔王「? 覚えとらん。誰じゃ?」
?「死を食らう男です。いや~お久し振りですねぇ」
魔王「…?」
死を喰らう男「おや、その顔、誰だお前? という顔ですね?」
魔王「私は今忙しいんだ、消えろ」
死を喰らう男「いえいえ、時間はとりませんよ。ただ、魔王様を祝いにきたのですよ」
魔王「私を、祝いに?」
死を喰らう男「そうでございます! どうやら勇者を倒したそうではないですか!」
魔王「…え?」
死を喰らう男「もう魔界ではその話題で持ち切りですよ! いやーさすが魔王様!」
魔王「…どういうことだ!? なぜ、勇者が死んだのか知っている!?」
死を喰らう男「そりゃあ、私のところに魂が飛んできたからですよ」
魔王「!」
死を喰らう男「というわけで、今度魔界で祝勝パーティーなんてどうでしょう!?」
魔王「おい」
死を喰らう男「はい?」
魔王「勇者の魂は、今どうなってる?」
死を喰らう男「はい? 大切に保管していますよ? とても力強い魂でね、すぐにでも逃げ出しそうですよ」
魔王「返せ」
死を喰らう男「はい?」
魔王「勇者の魂を返せ」
死を喰らう男「はは、何をおっしゃっているんですか? 魔王様」
魔王「早くしろ」バチバチ
死を喰らう男「ほう…あなたは、勇者の魂をどうするおつもりで?」
魔王「決まっているだろう、生き返られるんだ」
死を喰らう男「!? 正気ですか?」
魔王「当たり前だ、早くしろ」
死を喰らう男「むぅ、そうですか…ならば、すこしだけ時間をください。上の方と検討しますので」
魔王「…返さなきゃ、ぶっ殺す」
死を喰らう男「ひぃい! やめてくださいよ~」
魔王「―――――というわけなのだ」
賢者「あ、あの死を喰らう男あったのか!?」
魔王「うむ」
賢者「わ、私もあってみたいのう!」
魔王「消して人の良さそうなやつではなかったぞ」
賢者「そんなことはどうでもいいのじゃ。やつは死んだ者の魂は死を喰らう男にすべてやってくるそうじゃ」
魔王「そうなのか」
賢者「しかし、よく、殺されなかったな」
魔王「私は全知全能の魔王だからな。殺されるわけがない」
すまん、また脇腹が…。
アラームがちゃんと作動したら、また6時ごろに来る。
本当に申し訳ない!
寂しいが・・・
勉強するか・・・
さぁ6時だ!
起きて続きを書くんだ!
俺の時計のアラームは絶対にいや、今日中に修理に出した方がいいのかもしれない。
すまんかった!
とりあえず、昼ごろに戻ります! 本当に待たせてスマン
次の日
魔王(待ち合わせはあの光る花がたくさん咲いている場所…)
魔王(ゆーしゃ、絶対助けてやるからな!)
魔王「…」
死を喰らう男「おお、待っていましたよ! 魔王様」
魔王「…返せ」
死を喰らう男「はい! 上の方と話をしたんですがね…ちょっと、条件がありまして」
魔王「条件?」
死を喰らう男「はい、たった一つです」
魔王「早く言え」
死を喰らう男「それがですね、『魔界の出入を禁ずる』です」
魔王「!!…それって…」
死を喰らう男「はい…正直、これは結構まずいと思いますよ?」
魔王「…わかった。条件をのもう」
死を喰らう男「え? 本当にいいんですか? 考え直した方がいいのでは?」
魔王「…早くしてくれ…」
死を喰らう男「…わかりました。本当に、後悔しませんね?」
魔王「うむ」
死を喰らう男「それにしても、あなた様は変な人ですねぇ」
魔王「む? なぜだ?」
死を喰らう男「彼は我々の敵ですよ? なんで生き返らせるんですか?」
魔王「お前は関係ない」
死を喰らう男「…わかりました…それでは、少し離れてくださいな」
死を喰らう男「―――――――」
魔王「…!」
勇者「…んあ?」
魔王「! ゆーしゃ!!」
勇者「…ここは?」
魔王「ゆーしゃ!」ギュッ
勇者「うわっ! なんだ!?」
魔王「会いたかったぞ、バカ!」
勇者「ちょっと待て!」
魔王「なんだ! 感動の再会だというのに、うるさいやつだ!」
勇者「お ま え は だ れ だ ?」
続きを早くー!!
もうすぐ面接の時間なのに気になって集中できん!
すまん、すこし席外します。
迷惑かけてごめん。
>>568
特にごめん
魔王「な、何を言っている! 私だ! 魔王だ?」
勇者「魔王? やだなぁ、何いってんだよ。こんな可愛い魔王がいるわけないだろ」
魔王「…!」
死を喰らう男「それでは、私はこれで…」
魔王「待て」
死を喰らう男「? はい?」
魔王「これはどういうことだ?」
死を喰らう男「いや、この通り、元に戻しましたが?」
魔王「なぜ、私を知らない?」
死を喰らう男「え?」
魔王「勇者は、なぜ私のことを知らないのだ?」
死を喰らう男「いやいや、そんなこと、私に言われましても…」
勇者「おい、お前」
魔王「?」
勇者「名前は、なんていうんだ?」
魔王「…ゆーしゃ、本当に、おぼえてないのか?」
勇者「覚えてない? 俺たちはさっきはじめてあっただろ?」
魔王「…!!」
勇者「?」
魔王「…私は、ぎ、吟遊詩人だ!」
勇者「吟遊詩人か…歌を歌ってみてくれよ」
魔王「…すまん、嘘だ」
勇者「じゃあ、なんなんだ?」
魔王「私は…全知全能の、魔王様だ!!」
勇者「…ははは!」
魔王「…何がおかしい」
勇者「いやあ、面白い子だなっと思って」
魔王「…うぅ」
勇者「うおっ、どうして泣いてんだよ?」
魔王「目を覚ませ、ゆーしゃ!」
勇者「はぁ?」
魔王「私の事を、早く、思い出せ!」
勇者「思い出すも何も、初対面だろ?」
魔王「そんなことはない! 私はオマエのことを知っている!」
勇者「え? そうなのか?」
魔王「あ、ああ!」
勇者「いやーこんなところまで俺の噂が広まってたのかー」
魔王「! 違う! そうではない!」
勇者「いやあ、勇者になって本当によかったぜ」
魔王「…?」
勇者「ん、どうした?」
魔王「いや、なんでもないぞ…」
勇者「そうか」
魔王「…」グスッ
勇者「ん? 泣いてるのか?」
魔王「…泣いてなど、おらんわ」
勇者「そうか」
魔王「…勇者…」
魔王「…お前は、本当に、覚えていないのか?」
勇者「ああ、まったく」
魔王「……そうか…」
魔王(何を落ち込んでるんだ私! ゆーしゃが帰って来てくれただけで、嬉しいではないか)
勇者「お前、家どこだ?」
魔王「…私はお前と一緒に住んでいるんだぞ」
勇者「はあ? 嘘つくなよー」
魔王「! 嘘ではない! ほんとーだ!」
勇者「なんだよ、お前、新手の詐欺師か? 悪いけど俺は大したもの持ってねーぞ?」
魔王「だ、誰が詐欺師だ! 勝手に決めつけるな!」
勇者「どうもうさんくさい。お前、本当に何もんだよ?」
魔王「う、うるさい! 私はお前の…」
魔王(…私は、こいつの…なんだ? 一体、なんなんだ?)
魔王「…私は…お前の…」
勇者「ほら、言えないじゃねぇか」
魔王「で、でも、私は…!」
勇者「…あれ? 財布の中身が無くなってる…」
魔王「…」
勇者「おい、返せよ」
魔王「私は、とっとらん!」
勇者「うそつくなよ! あそこにはお前しかいなかっただろう!?」
魔王「私は、なにもしてない!! うわぁぁんっ!」
勇者「…本当に、お前じゃないんだな?」
魔王「…グスッ…うん…」
勇者「…なら、信じるよ」
魔王「…信じて、くれるのか?」
勇者「お前の目を見れば、嘘をついてないことぐらいわかるさ」
魔王「…やはり、お前は、勇者だな…」
勇者「そうか?」
魔王「私の…知ってる勇者だ」
勇者「ははは、そうか。いつもの俺だけどな」
魔王「そうだな」
勇者「で? 俺達は何をしてたんだ?」
魔王「隣町に作物を届けたのだ。でも、お前が倒れて…」
勇者「え? 俺が?」
魔王「うむ…私が悪いのだ…すまない」
勇者「そうか。もう、作物は届けたのか?」
魔王「うむ。とても美味しい野菜をな!」
勇者「え、お前、野菜好きなのか?」
魔王「え?」
魔王「だって、勇者が、作ってくれたではないか」
勇者「うえーあんなまずいもんよく食えるな。すごいよ、お前」
魔王「…」
勇者「ん? どうした?」
魔王「なんだそれは!?」
勇者「はぁ? どうしたんだよ」
魔王「今すぐ謝れ! 私にじゃなく、じいさんに謝れ!」
勇者「はあ? じいさんって誰だよ?」
魔王「ふざけるな! お前が言っていたのだろう? 丹精込めて作った野菜だって、言ってたではないか!」
勇者「誰が作っても一緒だろ? そんなもん」
魔王「…」バチバチ
魔王「お前は、勇者じゃない」
勇者「はぁ? どう見たって、勇者だろ?」
魔王「お前は、勇者じゃない、そんなこと、私の知ってる勇者は言わない!」
勇者「おいおい、俺は勇者さまだぜ? お前が叶うとでも思ってるのか?」
魔王「勇者は…そんなこと、言わないと、言っている!!」ビリビリッ
勇者「やれやれ、核の違いを見せてやるよ!」
魔王(こいつは勇者の体をした、偽物だ!)
魔王(こんな勇者なら、いなくてもいい!)
魔王(私の知っている勇者がいない世界なんて…)
ゴロゴロゴロ…
勇者「ん!? なんだこの雷っ!?」
魔王「世界ごとぶっ壊してやる!」
勇者「う、うわわっ!」
魔王「…勇者、本当にお前には世話になったな」
魔王「…まあ、すでに私の知る勇者ではないがな…」
勇者「」
魔王「ふん、気絶するとは、情けない…」
魔王(魔界にはもう、帰れない。ならば、このまま果てよう。私もろとも…)
勇者「…ん?」
魔王「…さよなら、勇者」ゴロゴロゴロ…
勇者「!」
魔王「…」
勇者「おい、何やってんだ?」
魔王「…やれやれ、まだ気を失っていなかったのか…」
勇者「はあ? お前、何言ってんだよ」
勇者「それと、その雷なんだ?」
魔王「…?」
勇者「感動の再会、じゃねぇか」
魔王「!! …ゆーしゃ?」
勇者「えっと、あのな…」
魔王「会いたかったぞ~!」
死を喰らう男(なぜだ!? 魂は違う者の魂を入れたんだぞ!?)
死を喰らう男(なぜ、なぜやつの魂が…!)
勇者「あのさ、その物騒な電気のほとばしった大きな球をどうにかしてくれ。あぶなすぎる」
魔王「む? ああ、そうだった」
死を喰らう男「待て!」
死を喰らう男「契約違反だ!」
魔王「む? 何をバカなことを言っている?」
勇者「だれだ? このピエロ」
死を喰らう男「ぴ、ピエロではない! 死を喰らう男だ!」
勇者「あーあーそうかい。で、なんのようだ?」
死を喰らう男「お前の魂は確かにここに…ってあれ?」
勇者「魂? 意味分からんことを言うピエロ界を巣食う男だ」
死を喰らう男「男しかあってないぞ! …仕方ない、契約は契約だ。違反した罰、きっちりとつけてやる!」
魔王「ほほう…? 私にかなうとでも? 笑わせるな!」
MPが足りません。
魔王「ぬなー!?」
勇者「ったく、下がってろ」
魔王「し、しかし。ゆーしゃ!」
勇者「俺のカッコいいところ、まだお前見てないだろ?」
魔王「…ふ、ふん! お、お前はずっと…カッコよくないわ!」
勇者「ははっ! そりゃ残念だ!」
死を喰らう男「あはは、普通の人間が私に勝てるとでも思ってるのか?」
勇者「俺だって、お前に勝てるかどうかなんて、全然考えちゃいねえよ」
勇者「俺は、こいつを守りたい、それだけだ」
魔王「!」カァァ
魔王「そ、そんなこと、どうでもいいわ! はやくやれい!」
死を喰らう男「ふむ…笑えない冗談ですね」
勇者「そうか? お前はピエロなんだから笑わせるのが仕事だろ?」
死を喰らう男「はぁ…あなたと言う人は…」
勇者「!」ギィン
勇者(なんつースピードだ…! あいつにも劣らねぇぞ!)
魔王「ゆーしゃ!」
勇者「離れてろ! こいつは、俺がやる!」
勇者(くそ、ちょっとばかり動いてないからって、ここまで体って鈍るもんなのか?)
死を喰らう男「それそれそれい!」
ズバッ
勇者「のわっ! いってーな!」
死を喰らう男「遅いですよっ」ヒョイ
魔王「ゆーしゃをいじめるなー!」
勇者「! ばか! 出てくるなって!」
魔王「大丈夫、今の私は…!」バチッ
バチ…シュン
MPが足りません。
魔王「ありゃ?」
勇者「言わんこっちゃねぇ!!」
死を喰らう男「ふふっ!」
魔王「ふぐっ! こらっ! 離せっ…」
勇者「おい、相手は俺だろう!」
死を喰らう男「契約を犯したのは彼女ですよ? あなたはただの邪魔者です」
魔王「ふむーむー!」
死を喰らう男「おっと、ジタバタしないでください」ゴスッ
魔王「んぐっ…」
勇者「! おい、女の子殴るなんて、てめぇどういう神経してんだ!」
死を喰らう男「おや? 悪いですか?」
死を喰らう男「私は子供が嫌いなんですよ。魂も小さいし、栄養も少ないですから」
勇者「…」
死を喰らう男「でもまあ、この方は大きな存在…栄養満点かもしれませんが…」
勇者(大きな存在?)
死を喰らう男「私はこの女を殺せば、あなたには危害を加えません。とてもよい条件だと思いますよ?」
勇者「…どこがだよ」
死を喰らう男「あなたは傷つかずに…いや、死なずにすむのですよ?」
勇者「そいつが死んだら、俺は死ぬことよりつらい」
勇者「だから、やめてくれ…」
死を喰らう男「おやおや、これが人間の『繋がり』というものですか?」
死を喰らう男「面白いですねー! くだらないことこの上ない!」
死を喰らう男「人のために傷つくなんて、考えただけでも身の毛がよだちますよ!」
勇者「早く、そいつを離せ」
死を喰らう男「…代わりは? 代わりに何を、私はいただけるんですか?」
勇者「…俺の命でも、なんでももらっていけ」
死を喰らう男「それは割りに合わないですよ! あなたとこの方ではレベルが違いすぎる!」
死を喰らう男「そうですね…対等にするのでしたら…」ドスッ
魔王「かふっ…」
勇者「! おい!」
死を喰らう男「体をめちゃくちゃにしないと、ダメですねぇ」ドゴッ
勇者「やめろ!」
死を喰らう男「あなたの決めた交換ですよ? なにか問題がありますか?」
勇者(おおありだ…)
魔王「うう、ゆーしゃぁ…」
死を喰らう男「黙ってください」ゴスッ
勇者「やめろぉ!!」
死を喰らう男「だから、あなたが決めたことなのです。私はそれを遂行しているだけですよ…?」
勇者(なんで、こういう時に限ってこいつは…)
勇者(力を発揮しねぇんだ!?)
勇者(…って、あいつに頼っちゃダメだろ)
勇者(俺はこんなんでも、勇者だろ? 嫌がっていても、勇者だろ?)
勇者「うおおお!」
死を喰らう男「血迷いましたか!? ならば、こちらはこいつを…」
勇者「うおおお!」
死を喰らう男「…逃げた?」
死を喰らう男「ふふふ…ふはははははははははははははは!!!」
死を喰らう男「あんな逃げ腰の男が勇者だって!? この世界は平和なものだな…!!」
魔王(…ゆうしゃ…?)
さるよけ
死を喰らう男「魔王様…あなたは見捨てられたのです」
魔王「そ、そんな…」
死を喰らう男「やはり、意味がなかったのですよ…魔王と勇者が、通じ合うことなんて…」
魔王「う、嘘だ…」
死を喰らう男「真実はいつも残酷なものです…それでは、契約を破った罰を、うけてもらいます」
魔王「うわぁぁぁぁぁ!!! ゆーしゃぁぁぁー!!」
勇者「誰が逃げ腰だって?」
死を喰らう男「む!?」
勇者「どりゃあ!」
ズバァ
死を喰らう男「ぬぅっ! うしろからとは…考えましたね」
勇者「っへ、人間は頭を使わねぇとな!」
死を喰らう男「ふむ…でも、それがどうしたと言うんです?」
勇者「俺は、勇者だぜ? 他の人より、ちょっとばかし必殺技ってもんがあるんだよ」
死を喰らう男「…? なんだ!? 体が…溶けて…!」
勇者「俺はあんまし、魔物は殺さない主義なんだけどな…お前は、魔物でも何でもない」
勇者「ただの、糞野郎だ」
死を喰らう男「あ、ぐぅ……くそぅ……これで…勝ったと…オボヴナヨ…!?」
勇者「勝ったとは思ってねーよ」
勇者「俺は、こいつを守ることができた…ただ、それだけだ」
死を喰らう男「ぐぅ…貴様…本当に、この方と一緒にいるづぼりが…!?」
勇者「…たりめーだ」
死を喰らう男「ぐふふ…きざばは…ごうがいずるごどに…な……」シュウウウ…
魔王「ゆーしゃー!」
勇者「血だらけじゃねぇか! 早く村に行こう」
魔王「大丈夫!」ギュッ
勇者「うおっと…」
魔王「しばらく、このままがいい」
勇者「…わかったよ、お姫様」
風呂行ってきます。
だいぶ過疎ってきたな…。
勇者「そこで俺がズバッと斬ったってわけだ!」
賢者「ふむ…さすがは勇者じゃ」
盗賊「…勇者、素敵…」
魔王「…」ムッスー
勇者「どした? 魔王」
魔王「別に…」ムッスー
勇者「肩車してやるよ」
魔王「なんでそうなる!」
勇者「というか、これは俺の欲望だな。させてくれ」
魔王「だ、誰がお前に肩車され…うわわ! や、やめろって!」
勇者「んー? 何も聞こえないぞー」
魔王「うわわわ! 高いよぅ!」
盗賊(…羨ましい)
賢者「はっはっはっ。仲がいいのう」
>>1かと思ったら誰だよw
帰って来ないかな(′・ω・)
そのころ…
執事「姫様、彼女についての資料をまとめてきました」
姫「ご苦労…ふむ…」
姫「!!」
姫「くふふ…これであの子は勇者様とさよならだわ…ごくろう、じい」
執事「…」
姫(勇者様、今すぐあなたを自由にして差し上げますわ!)
>>665
鯖落ちたからID変わった。
すまんかった・・・orz
そして言わせてくれ
「おかえりなさい」
勇者「ふう、俺はあんましそう思わねえけど、久々の家だー!」
魔王「…」
勇者「おーいついたぞー?」
魔王「すぅすぅ…」
勇者「…寝ちまったか。無理もない」
勇者「…よいしょっと…」
勇者「…おやすみ…」
チュッ
勇者「…って、俺はなにしてるんだか…」
盗賊「私にも、お願い」
勇者「ぬおわっ!?」
>>668
ただいま。
鯖落ちたときに、一度SSが落ちたことがあって、今回もそうなるかと思った。
勇者「と、盗賊! お前、なんでここに…!」
盗賊「私は、あなたの『物』だもの」
勇者「…そういうのさ、やめないか」
盗賊「…?」
勇者「俺は人を物として認識できないし、もう盗賊は仲間みたいなもんだ」
勇者「だから、対等の立場で、話をしないか?」
盗賊「…クスクス」
勇者「ん?」
盗賊「お前は、優しいから、好きだ」
勇者「そ、そうか?」
>>671この物語とは違うやつ?
シエンタhttp://beebee2see.appspot.com/i/agpiZWViZWUyc2VlchQLEgxJbWFnZUFuZFRleHQYuvgdDA.jpg
盗賊「なあ、勇者」
勇者「な、なに?」
盗賊「私は、勇者のことがもっと知りたい」
勇者「俺もだ」
盗賊「嬉しい…私は勇者に知ってもらいたい、勇者は私を知りたい…」
勇者「ん、ああ…」
盗賊「私は我慢できない」
勇者「? 盗賊、冷えるからそれ以上服を脱ぐなよ」
盗賊「勇者……」
勇者「まあ、盗賊、俺たちは毎日、すこしずつ、わかっていけばいいと思うんだ」
盗賊「…」
勇者「だから、今日はもう寝ようぜ。俺、疲れちまったぜ」
盗賊「そうか…」
勇者「ベッドは空いてないから、椅子を合体させて、簡易的ベッドの完成」
盗賊「…勇者は?」
勇者「俺はテーブルに突っ伏して寝るから大丈夫」
盗賊「私も、そうする?」
勇者「けっこう肩とかに来るぞ? 大丈夫か?」
盗賊「平気、勇者と一緒なら…平気」
勇者「そうか」
ん?本人?
>>686
すまん、仮眠とってたらこの様だ。
本人です
魔王「勇者…次はあっちに行く~…むにゃむにゃ…」
魔王「…む、もう、朝か…」
魔王「それにしても、とても良い目覚めだな…」
魔王「勇者~…」
勇者「……グーグー」
盗賊「……スゥスゥ」
魔王「な、な、な…!!!!」
魔王「最悪の目覚めだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
魔王「お、おい! 起きろ!」
盗賊「む…」
魔王「なぜお前がいる!?」
盗賊「…おはよう」
魔王「おはようではない! なぜここにいるかと聞いているんだ!」
盗賊「…? なぜそのような当たり前のことをきく?」
魔王「当たり前ではない!」
盗賊「…勇者の寝顔…可愛い…」ポッ
魔王「話を聞けーーーーーー!」
>>679
遅レスですまん。
昔書いてたSSだから違うよ
処女作だったはず。
勇者「ん、うるさいぞ…むにゃむにゃ」
魔王「ゆーしゃ!」
勇者「んあ?」
魔王「なんで盗賊がいるんだ!?」
勇者「んー…さぁ?」
魔王「さぁ? じゃないだろう!」
勇者「拒むこともねぇだろ…こいつも一人ぼっちなんだから、仲間はずれは良くないぜ」
魔王「…むぅ…そ、そうかもしれないが…」
盗賊「勇者、お前は、優しい、好き」
勇者「あー、俺も好きだぞー…むにゃむにゃ」
魔王「!! うわーん! 勇者のバカー! ドジ! マヌケー!」ダッ
魔王「まったく…勇者め…なんであんなに節操がないのだ…」
魔王「確かに胸は…私のボロ負けだが…」
戦士「あれ? 魔王ちゃん。おはよう」
魔王「…げ」
戦士「げ、とは何よ~久しぶりね、こんな朝早く、どうしたのよ?」
魔王「む…ま、まあ、散歩だ」
戦士「あら、それじゃあ私も一緒にいいかしら?」
魔王「変なことをしなければな」
戦士「了解☆」
戦士「それにしても、魔王ちゃんはそんな勇者の服ばっかり着て、色気が無いわねー」
魔王「む、ほっとけ」
魔王(もしかして、これも原因なのか?)
戦士「ちゃんと身だしなみはきっちりしとかなきゃね、でも今のそのブカブカな服も可愛いわよ~」
魔王「…ふん」
戦士「そうだ、ちょっと衣料店行かない? きっと可愛い服、たくさんあるわよ!」
魔王「…ほんとーか?」
戦士「うん。それに、魔王ちゃんはきっと似合うだろうし! ね?」
魔王「ど、どうだ?」
戦士「きゃー! 可愛い! 可愛い! こんなにワンピースが似合う子初めて!」
魔王「そ、そうか?」
戦士「あと、これも着てみて!」
魔王「う、うむ」シャー
魔王「どうだ?」シャッ
戦士「きゃー! かわいい! メイドさん! くぁわいい!!!」
魔王「むう、動きづらい」
戦士「魔王ちゃん、私、鼻血が出そう! もうこれは購入決定ね!」
魔王「そ、そうか」
戦士「他にもいろいろと着てみよう!」
魔王「う、うむ」
戦士「チャイナ服、ウェイトレス、ウェディングドレス、体操服、セーラー服、スクール水着…素晴らしいわ!」
魔王「最後の三つはちょっと違うような気もするのだが…」
戦士「普通の服もたくさんあるからいいじゃない。じゃあ、これが最後の服」
魔王「これは、なんだ?」
戦士「ん? 勇者がとっても好きな服よ。たしか、『女の子にはこんな服を着ていて欲しい』とかなんとか言っていたわ」
魔王「…そうなのか」
戦士「これで勇者にアタックしちゃいなよ!」
魔王「な、何を言っている!?」
戦士「うふふ、強がっちゃって、可愛い!」
魔王「う、うるさい、とにかく試着だ」シャー
?「あら、誰かと思えば戦士さんではないですか」
戦士「? あ! 姫様」
姫「おはようございます」
戦士「今日も美しいですねぇ~その服も、とてもお似合いですよ!」
姫「あなたも綺麗な服を着ればとても綺麗になるわよ…うふふ」
戦士「あ、そ、そうですか?」テレテレ
姫「うふふ…」
戦士「あはは…」
魔王「戦士! どうだ?」シャッ
姫「…あら」
魔王「…」
姫「みずぼらしい服ですわね…庶民にはこのような服が流行っているんですの?」
魔王「…ふんっ」
戦士「姫様、今日は一体こんなところに?」
姫「ええ、庶民の事をもっと知るために、下見をしに来たんですわよ」
魔王「お前には一生わからん」ボソッ
姫「あら、何かいいまして? 大魔王?」
魔王「! 貴様…」
戦士「…?」
戦士「いや、これはですね、勇者がとても気に入っていた服で…」
魔王(ば、バカ! そんなこと言ったら…)
姫「あら! 勇者様が!?」
戦士「はい、あまり服に関心の無い勇者がすごく気に入ったものなんです」
姫「あら、そう…」
姫「そこの方、この服をいただけないかしら?」
「あーすいません、こちらの着ているのが最後の品でございます」
姫「あら…そうなの」
魔王(やった!)
姫「…いくら払えば譲っていただけるかしら?」
魔王「は?」
魔王「金なんていらん。私はこの服が欲しい」
姫「金以外が欲しいのですか? ならば…」
魔王「何度も言わせるな。私は服が欲しいから、何かと交換する気はない」
姫「あら、そう…」
姫「なら、大魔王様に、その服をお譲りいたしますわ」
魔王「貴様…その名で呼ぶな」
姫「あら? いけません? あなたは大魔王でしょう?」
魔王「やめろ!」
戦士「? さっきからなんの話をしているんですか?」
姫「ああ、実は…」
魔王「! 待て!」
姫「はい? なんですか?」
魔王「…この服、渡すから…」
姫「あら♪ そうですかっ」
魔王「…だから、やめてくれ」
姫「わかりましたわ。まあ、一体何をやめるのかはわかりませんが…ねえ?」
戦士「?」
姫「それではおふたり方、ごきげんよう♪」
戦士「ねえ、なんで渡しちゃったの?」
魔王「…別に、理由はない」
戦士「ま、まぁ、たくさん服あるし、どれ着る?」
魔王「…これ」
戦士「ん、了解。って、そんなに落ち込まないでよ」
魔王「…くやしい……」グスッ
戦士「…」
魔王(うう、からかわれたりしないだろうか…)
魔王(戦士には『自信を持って』と言われたが…)
魔王「た、ただいま」
勇者「おーおかえりー」
魔王「…」
勇者「どこ行ってたんだ?」
魔王「ちょ、ちょっとな…」
勇者「そうか」
魔王「…」(あれ?)
勇者「? どした?」
魔王「いや、なんでもない」
勇者「いーや、何か隠してるだろ~」
魔王(気づいてない?)
脇腹は大丈夫?
しえん
盗賊「おい、勇者」
勇者「ん? なんだ?」
盗賊「とても可愛い服を着ているぞ」
勇者「え? あ、ほんとだ」
魔王「! そ、そうなんだ! 服を買ってきたんだよ」
勇者「可愛いじゃないか、よく似合ってるぞ」
魔王「ふ、ふん! 似合うのは当たり前だ…!」
勇者「いやあ、すまん、お前はなんでも似合うから、あんましわからんかった」
魔王(こ、これは褒めていると考えていいのか?)
勇者「マジマジと見ると、俺の服ってお前の体にはブカブカだったんだな」
勇者「ちゃんと服買ってやればよかったな、悪かった」
魔王「そ、そんなこと、気にすることは無いぞ…」
盗賊「な、ならば私の服を買いに行こう」
魔王「…」ムッ
>>717
今のところ大丈夫。
さっき仮眠とったからもうすこしいけるはず。
勇者「そうだな、盗賊も俺の服着るのはいやだろ」
盗賊「あ、いや…一度、袖を通してみたい」
勇者「え?」
盗賊「…勇者のぬくもりを、感じたい」
魔王「…」イライラ
魔王「ふん! どうせ勇者は私より盗賊の方がいいんだろう!」
勇者「え?」
魔王「このおっぱい好き! 変態!」
勇者「…なんだと!」
魔王「やーいやーい! お尻ペンペン!」
勇者「可愛いケツを向けるな!」
魔王「か、可愛い…」カァァ
魔王「そんなところばっかり見るな! えっち!」
コンコン
勇者「ん? 誰だ…?」
勇者「ほーい」
ガチャ
姫「勇者様ー! お久しぶりです!」
勇者「げ、姫さ……。 !!」
魔王「!!」
魔王(そ、その服は…)
姫「あ、あの、勇者様…この服、さっきあちらのお店で買ってきたんですが…どうでしょうか?」
勇者「…」
魔王「…」
勇者「すっごく、似合ってます」
姫「そ、そうですか!?」カァァ
勇者「…はい、こんなこと言っちゃ駄目かもしれないですが…これまで見てきた服の中で、断然素敵です」
魔王(ほ、本当に好きなんだ…あの、服)
姫「勇者様に喜んでいただけて、嬉しいですわ!」ニンマリ
勇者「姫様は、そんな自然な笑顔、できたんですね」
姫「え?」
勇者「こんなこと、やっぱり姫様に言っちゃダメだと思うんですけど、いつもの笑顔とは違って、とても可愛いですよ」
姫「ま、まあ…!」
魔王(…)グスッ
姫(ふふ…もう勇者様私に釘付け! ふふふ…)
勇者「そういえば、ほら、こいつの服も」ズイッ
魔王「む!?」
勇者「とっても可愛いですよね」
魔王「ゆ、ゆーしゃ…!」
姫「…チッ」
魔王「!」
姫「…ほんと…素敵ですわねぇ…」
勇者「でしょう? そうだ、盗賊も今度買いに行こうな」
盗賊「う、うむ」
姫「…大魔王のくせに」ボソッ
勇者「姫様、あんまりそういうこと言うもんじゃないですよ」
魔王「…!」
勇者「その言葉を聞いただけで、俺は今でも本当に、頭に来るんです」
魔王「…」ズキン
勇者「…大魔王は…大魔王だけは、絶対に許さない」
魔王「!!」
姫「あら、ごめんなさぁい…」ニヤリ
魔王「…」ダッ
勇者「お、おい!」
姫「ふふふ…」
勇者「あいつはなんかい飛び出したら気がすむんだ…」
姫「追いかけるのですか?」
勇者「え、そりゃ、まあ」
姫「彼女の正体を…あなたは知っていますか?」
勇者「? なんですか?」
姫「かつてこの村を魔物に襲わせ、あなたの両親を奪った…」
姫「その、大魔王なんですよ」
勇者「…? 何言ってるんですか? あんなちっこくて、わがままで、優しいやつが…しかもあいつ、女の子ですよ?」
姫「そのまさかなのです、勇者様…」
勇者「…しょ、証拠は、あるんですか?」
姫「…彼女は、何か特殊な能力はありますか?」
勇者「特殊な…? ……」
勇者「! …雷」
姫「この村の一番の大きな災害は、大きな雷なのです…」
勇者「……そんな…」
姫「信じたくはないですが…これは本当です…もしかしたら、あなたを殺すために近づいていたのかも…」
勇者「…」
ダッ
姫「…」(ふふふ…これであの子は終わりね…)
盗賊「…勇者……」
頭痛くなってきた。
ここで落ちます。すんません。
そろそろ終りも近づいてきました。
ほんとうに、申し訳ない。
____
____ ..::/ \ おはようございますw
/ \ ─ ─\ ___
今沖田w / ─ ─\ ⌒ ⌒ ヽ / \
/ ⌒ ⌒ ヽノ(、_, )ヽ | / ― ― \ これからお仕事ですか?ごくろうさまですw
| ,ノ(、_, )ヽ |-=ニ=- / / ⌒ ⌒ ヽ
\ -=ニ=- /:. < | ,ノ(、_, )ヽ |
ノ \⌒ ̄ ⌒⌒~ \ -=ニ=- /
~⌒ ⌒ ̄⌒ ⌒ ̄ ⌒⌒~ > <
―― l ‐┼― ‐┼― _l_ヾ
ー― ト― | ⌒ rー、 | |
―‐― l / ー _ノ / J
| ̄ ̄| ーヽ-〃 ヽ_ノ ‐┼―
|__| (_ , lノ ヽ_ノ / ー‐
魔王「…! ゆーしゃ」
勇者「おい! なんで逃げるんだ!」
魔王「やめろ! 来るな!」
勇者「いやだ! お前に聞きたいことがある!」
魔王「どうせ私が大魔王かと聞きたいのだろう!?」
勇者「それもそうだけど…それ以上に、俺はお前に聞かないといけないことがある!」
魔王「…なんだ?」
勇者「ふぅ…やっと止まったか…」
魔王「は、早く言え…」
勇者「お前が…過去の大事件を起こした本人なのか?」
魔王「…そうだ」
勇者「…そうか」
魔王「ふふ…私のこと、嫌いになったか?」
勇者「…」
魔王「お前の両親の命を奪い、世界を恐怖に染めた私に…」
魔王「正直、嫌になっただろう?」
勇者「次の質問だ」
魔王「ふん、お前の気がすむまで聞けば良い」
勇者「お前は、何か理由を持って俺に近づいたのか?」
魔王「…」
魔王「当たり前だ。お前をいずれ殺すために、近くで観察していたのだよ」
勇者「…そうか」
魔王「ふふ…どうだ? 私の罠にかかって、踊らされていた気持ちは?」
勇者「お前の気持ちはわかった」
魔王「ふん…それじゃあ、そろそろ殺し合うか?」
勇者「…帰るぞ」
魔王「は?」
勇者「俺の家に、一緒に帰るぞって、言ってるんだよ」
魔王「何を考えているんだ?」
魔王「私はお前を騙していたんだぞ!? それなのに、なぜ…」
勇者「そんなこと、昔のことだろ?」
勇者「今のお前は昔のお前じゃない」
魔王「…どうやら、お前は相当なバカみたいだな…」
勇者「ほら、早く行くぞ」
魔王「私は今でも昔でも、最強という面では変わっていないぞ!!」
勇者「お前は俺を倒すことはできない」
魔王「ふん! 強がるな若造が!」
勇者「お前もガキだろうが」
魔王「うるさいうるさいうるさい!!! 私はお前に負けることなどない!!」
勇者「…俺は、お前を倒せねぇよ」
魔王「…ほう?」
勇者「…お前と戦うことが、できねぇよ」
魔王「…!」
勇者「それでも、お前がしたいって言うんなら、俺は何もしない。俺を殺せばいい」
魔王「ふん、そうか…」
魔王「ならばお前の言う通り、私がお前を葬ってやる!」
勇者「…」
魔王「はぁぁぁぁ……」バチバチバチバチ…
勇者「最後に、一言言っておく」
魔王「ふん、なんだ?」バチバチバチバチ
勇者「姫様が着てた服、お前に着て欲しかったって、俺は思ってた」
魔王「……!」バチッチ
勇者「お前に一番、似合うと思ってた」
魔王「…それが、最後の言葉か?」バチバチバチバチ
勇者「…ああ」
魔王「………そうか…それじゃあ、さようならだ!!」
MPが足りません。
魔王「……」
勇者「…」
魔王「…」グスッ
勇者「さ、帰ろうぜ」ニコリ
魔王「うわぁぁぁぁん!」ボコボコ
勇者「ははは! 痛いって!」
魔王「なんで、なんでぇ! うわーーん!!」
勇者「お前は本当に、俺を楽しませてくれる!」
魔王「…うぅ」
勇者「…俺は、お前を許すことはできない」
勇者「でも、俺はお前が、好きになった」
魔王「…!」カァァ
勇者「今のお前には、昔みたいなひどいこと、できないと思う。ていうか、信じてる」
勇者「だから、これからも一緒に、暮らしていこうぜ?」
魔王「…うぅ……ゆーしゃのバカ!」ドゴッ
勇者「ぐはっ!?」
魔王「……大好き」
勇者「ふふ、そうか。よーし、それじゃあ、帰ろうぜ」
魔王「…うん」
勇者「…っと、手、繋いでいいよな?」ギュッ
魔王「うわっ!」カァァ
勇者「あ、ダメだったか?」
魔王「いや…いい…嬉しい…」
勇者「はは、そうか」
そろそろ最後に差し掛かって参りました。
しかし、用事を済ませてきます。誠に申し訳ない!
もし、ここまでで何か疑問や質問があれば、どうぞお尋ねください。
支援
姫が横取りした、勇者が魔王に着せたかった服ってどんなやつだったの?
ドレス?
勇者と魔王のなんとなくの年齢設定とかあったら教えてほしいなぁ
>>801
まったく考えてなかったw ただの普通の服ですよ。
ただ、勇者がとても気に入ったってだけです。
>>812
勇者は19歳くらい、魔王は何百年も生きているって感じ。
ただ、見た目が小学生って感じかな。
姫「あら、おかえりなさいませ勇者様……」
姫「!? なぜ、大魔王まで…?」(しかも手をつないで!?)
勇者「姫様、どうやら姫様の勘違いだったみたいですよ」
姫「そ、そうなんですか…おほ、おほほ…」
魔王「べーだ!」
姫「んまぁ!!」
勇者「おいおい、魔王、そんなことするもんじゃないぞ」
魔王「ふんっ!」
姫「…帰りますわよ、じい!」
執事「はっ」
盗賊(ずっといたのか…)
夜
勇者「よし! 魔王! お前に本を読んでやろう!」
魔王「子供扱いするなー!」
勇者「あ…悪かった…」シュン
魔王「な、なんでそんな悲しい顔するんだ!?」
勇者「いや…お前に…読んでやりたくって…」
魔王「しょ、しょうがないな! す、すこしなら聞いてやる」
勇者「ようし、それじゃあ…」
盗賊「…」ススス
勇者「ん? 盗賊も聞くか?」
盗賊「…」コクコク
勇者「―――――でした。めでたしめでたし」
魔王「…ふむ、白雪姫…か」
勇者「魔王は、本当に童話とか聞いたことないのか?」
魔王「む? 童話という言葉すら知らんかったわ」
盗賊「…王子様がキスをして目覚める…素敵」
魔王「…私にとっての、王子は、勇者、お前だ」
勇者「今度もまた、何か読んでやるからな……って、今なんかすっごく嬉しいこと言わなかったか?」
魔王「なんでもないよバカ!」
盗賊「…頑張って、魔王」
魔王(うぅ…ついに盗賊にまで応援されてしまった)
魔王「…盗賊、お前も、勇者が好きなのではないのか?」
盗賊「好き。とっても好き」
魔王「なら、私のことなんか…」
盗賊「あなたとは、違う『好き』。私は、家族の愛。あなたは、恋人の愛」
魔王「ふむ…よくわからん」
盗賊「そのうち、わかる」
勇者「おーっし、そろそろ寝るぞー」
魔王「あ、あの…ゆーしゃ……」
勇者「ん?」
魔王「…ん」
勇者「…? なに唇尖らせてんだよ?」
魔王「…おやすみのちゅー」
勇者「へ?」
魔王「もうなんでもない! おやすみ!」
勇者「あ、ああ…おやすみ」
真夜中
魔王「…」
勇者「…グーグー」
魔王「まったく、口の周りヨダレまみれではないか…」
勇者「…ムニャムニャ」
魔王「…ゆーしゃ、楽しかったぞ」
魔王「これで、本当のさよならだ」
魔王「…最後に、ちゅー、したかったな…」
魔王「じゃあな、ゆーしゃ」
ガチャ
ギィ~
バタン
勇者「…まおう……ムニャムニャ」
盗賊「起きろ、勇者!」
勇者「あっ…んん?」
盗賊「あいつが、いなくなってる」
勇者「…どっかそのへん散歩してるだろう…」
盗賊「いや、これを見てくれ」
勇者「…?」
だいすきなゆうしゃえ。
やつぱりわたしわおまえといつしよにはいられそうにありません。
だいまおうとゆうしゃわいつしょにいることだけでもおかしいことなのです。
とうぞくとなかよくしてください。とうぞくにもおいしいやさいをたべさせてあげてください。
ほんをよんでくれてありがとお。
わたしのためにいつもがんばつてくれてありがとお。
だいすきです。とおくにいつてもだいすきです。
さよおなら。
勇者「…」ダッ
勇者(なんで…いなくなるんだよ?)
勇者(なにが、悪かったんだよ?)
勇者(俺にもお前にも、なにもおかしいことなんてなかったじゃないか!)
勇者(俺たちは魔王と勇者で…なにが悪い?)
勇者「魔王! 魔王ー!!」
勇者(あれが書かれたのが夜中だったとしたら…相当遠くまで行ける…!)
勇者(あいつのスピードは、とてつもない速さだ…!)
勇者「魔王! どこにいるんだ!? 魔王~!!」
魔王「はぁ…はぁ…」
魔王「ここまで…つらいとは…ガハッ!」
魔王「…」
魔王(魔界に戻らんと、生命エネルギーを吸収できない…)
魔王(結局、あの時に私とあいつの関係は、切れていたんだ…)
魔王「ゆーしゃ…ゴホッゴホッ」
魔王「…はぁ、はぁ……」
魔王「…すこし、休憩しよう」
魔王「…はぁはぁ……」
魔王「お腹、空いたなぁ…」
魔王「……残りはこれだけ…」
魔王「…我慢しろ、我慢だ」
魔王「…うぷっ…おえぇぇ…」ビチャ…
魔王「…ふふ」
魔王(ついに、血を吐いてしまったか…)
魔王「…」
魔王(すこしだけ、眠ろう)
魔王(歩いてばかりで、疲れてしまった…)
魔王「…」
魔王(……ふふ…勇者は今頃どうしてるんだろうな…)
魔王(私の手紙、ちゃんと読めたかな?)
魔王(仕方ないだろう。字を書くのは下手なんだから)
魔王「……はぁはぁ…ゴホッ」
魔王「…そろそろ、限界か…」
魔王(ここ最近、魔界には行けてなかったからな…生命エネルギーが無くて、もうダメだ)
魔王「死ぬ…のか」
魔王(私はいろんな人に、迷惑をかけた…死んで当然。当然だ…)
魔王「…ゆーしゃ…」
勇者「呼んだか?」
魔王「…」
勇者「ったく、お前、まだこんな近くにいたのかよ」
魔王「…なんで、追いかけてきた?」
勇者「こっちのセリフだ。お前、なんで勝手にいなくなった」
魔王「お前には関係ない」
勇者「とりあえず、帰るぞ」
魔王「嫌だ」
勇者「はぁ?」
魔王「もう…無理だ…ガハッ」ビチャ
勇者「おい! 大丈夫か!?」
魔王「…もう、近寄るな」
勇者「何言ってんだよ!」
魔王「もう、私は長くない。生命エネルギーがそこを尽きかけている」
勇者「生命エネルギー?」
魔王「…魔界でしかとることのできないエネルギーだ」
勇者「それじゃあ、早く魔界に…」
魔王「…それは、できない…はぁ、はぁ」
勇者「なんで!?」
魔王「私はお前を助ける時に、魔界の出入を禁じられてしまった」
勇者「!!」
魔王「…」
勇者「…なんで、なんでそんなことしちまったんだよ!?」
魔王「仕方ないだろう。あの時はお前を助けることだけで精一杯だったんだ…」
勇者「…」
魔王「お前とは、最後の最後に、本当に仲良く……なれたと思う」
勇者「…」
魔王「…………本当に、ありがとう」
勇者「そんなこと、言うなよ」
魔王「………あり………………が、と ガフッ」
勇者「魔王!」
魔王「最後…に…………さ……」
勇者「最後なんて言うな! 最後なんて…!」
魔王「……ちゅーして……欲…しい…………な」
勇者「キスか? 今はふざけてる場合じゃない!!」
魔王「ふざけて……など、いな………………い……」
魔王「ふざけ……て……な、……んか…………」
勇者「魔王!?」
勇者「おい、魔王!?」
勇者「返事しろよ!! おい!!」
勇者「…そんな…」
魔王「」
勇者「…おい、実は生きてるんだろ? 冗談だろ? 驚かそうとしてる、だけなんだろ?」
勇者「なんとか言ってくれよ! なあ!!」
勇者「魔王!!!!!」
勇者「…ああ、わかったよ、お前、白雪姫に憧れてるんだな?」
勇者「可愛いやつじゃねえか! よし、なら俺が王子様役を買って出るぜ!」
勇者「…」
チュッ
勇者「…なあ、キスしたぜ? なあ?」
勇者「ここで、白雪姫はゆっくりと起き上がるんだぞ?」
勇者「ちゃんと、白雪姫の役を、やり通せよ…!?」
勇者「なぁ…頼むから…」
勇者「……」
勇者「魔王…」
魔王「ゆーしゃ…?」
勇者「!」
勇者「魔王…!」
魔王「…ゆーしゃ」
勇者「魔王!!」ギュッ
魔王「……」
勇者「魔王! 魔王!」
魔王「いたた…あんまり、強く抱きしめるな…息苦しい…」
勇者「いや、無理だ…もう、俺、お前から離れたくない…」
魔王「…まったく、勇者は甘えん坊だな…」
勇者「…」
魔王「ゆーしゃ…さっき、私になにをしたんだ?」
勇者「な、なにもしてねぇよ…」
魔王「本当かぁ?」ニヤニヤ
勇者「あーもう!」
チュッ
魔王「!!」カァァァ
ボッカーン
勇者「うお! おい!? 魔王!?」
バチン
勇者「いてっ!!?」
魔王「い、いきなり、しゅ、することはないだ、だろ!?」
魔王「まだ、心の準備がで、できてにゃい…んだから」
勇者「…じゃあ、もう一度」
魔王「…どうぞ」
勇者「…」
チュッ
勇者:
とまあ、こんな感じで、俺は魔王を救ったわけなのだが…。
一体、なにが起こったのだろうか?
まさか、俺の勇者の血で…!? なんて、自意識過剰か。
魔王はそれからというもの、魔物を食うこともなくなり、魔界に行かなくても死ななくなった。
もしかしたら、普通の人間になったんじゃないか!?
って、こともなく、怒れば雷を発し、ありえない力で村をぶっこわした。
まったく、何回壊せば気が済むんだ?
まあ、それがこいつのいいところなんだけどな。
俺はもうこいつから離れない。どんなことがあっても、だ。
勇者「よおし! できたー!」
盗賊「うむ、素晴らしい出来だと思うぞ、勇者」
勇者「そうか?」
魔王「ふわ~…おはよう…。む、それはなんだ?」
勇者「おお、魔王。ちょっとこい」
魔王「む? なんだ?」
勇者「これ、着てみてくれ」
魔王「…? わかった」
勇者「俺が作った、俺好みの、服だ」
盗賊「まさかこんな才能を持っているとは思わなかったぞ」
勇者「ありがとさん」
勇者「まあ、結局こんなに怪我しちまったけどな…」
盗賊「その傷で作った服だ。とても素晴らしいと、私は思う」
勇者「…そうか?」
盗賊「うむ」
魔王「…着てみたけど…どうだ?」
勇者「ん……」
魔王「な、なんじゃその微妙な感想は!?」
勇者「いや、言葉にならんほど…綺麗だ。可愛いぞ」
魔王「…」カァァ
勇者「よっし、魔王。それは俺からの、プレゼントだ」
魔王「ま、まあ、着やすいし…悪くないかもな…」
勇者「なあ、魔王。結婚しようぜ」
魔王「…!」
勇者「…なんてな、お前さんにはまだ早いさ」
魔王「な ん だ と ~ ?」バリバリバリ
勇者「うわぁ!? それはさすがに死ぬ! 死ぬって!」
魔王「大きくなるまで、待っていてくれるのか?」
勇者「…ああ。もちろん」
魔王「ふん…バカ」
魔王「…大好き」
-THE END-
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____( )) z
∧_∧ /__ o、 |、 お湯を沸かしているけれど
( ´・ω・) | ・ \ノ べ、別に>>1の為じゃないんだからね
旦 o) | ・ |
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,.- 、
(⌒ヾ::)) ((⌒:::Y⌒::⌒::Y⌒'::))⌒´ ⌒)、_
_ノ ::: ) )) (( ::;ノ ::人 :ノ:: ::⌒) ((_,: `))
((__ノ( ::: )::) (⌒ー--‐'^ー' "ー~'⌒)Y⌒ :_)'⌒
( ::: )) ( )) __) _,(⌒ `ソ´
( )ニ~' _ノ( :::ノー' ( ⌒)
( ⌒) (⌒:::)⌒ ー'⌒) ((⌒::: `ー ))
ー--ニニニ( ⌒)) (⌒こノ :::)´ _ノ
( )) ,(⌒Y´` :rー' ̄ ノ(
( :::) (:: )) ノ :::ノ _ノ ((´ ))
_ノ⌒:::))、_ ( ((-、_,.~^ー-、(⌒' Y⌒)
____(⌒:::::⌒ ⌒:)) `ー-( :::(⌒ :::ー' :::: _ノ
∧_∧ /__ o、 |、ー-‐'⌒ー' -ー' ´ー~'⌒ー-、_)-ー'⌒ー'´
( *・ω・) | ・ \ノ
旦 o) | ・ |
最後まで見ていただき、ありがとうございました。
こんなに長く続いたのに、飽きもせず、見てくださった方。
私がいない間、保守をしてくださった方。
脇腹を心配してくださった方(笑)。
本当にありがとうございました。
初めての魔王SSで、とても緊張しましたが、ノビノビとやることができました。
今後も、またこういうRPGキャラのSSを書くかもしれません。
その時は、またあたたかい目で見守ってやってください。
では、本当に、ありがとうございました!
それでは、そろそろおいとまします。
また、どこかで会いましょう。
ってか、また変な長編SS書いてたら俺だと思ってくれw
それじゃあ、さよならー
【 html化されたこのスレを読んでいるお前らへ 】
おい、お前。どこ見てんだよ。そう、お前だよ。
「このスレおもろいから見てみ」「2ちゃんの歴史に残る名スレだぜ」「これは泣いた」
とか言われてホイホイとこのhtml化されたスレを見にきた、お前のことだよ。
どうだ?このスレおもしれーだろ。
でもな、お前にできることはこのスレを読むだけで、参加することはできねーんだよ。
可愛そうにな。m9。゚(゚^Д^゚)゚。プギャーッハハハハヒャヒャヒャヒャ
俺はたった今、ライブでこのスレに参加してるんだぜ。
すっげー貴重な経験したよ。この先いつまでも自慢できる。
まあ、お前みたいな出遅れ君は、html化されたこのスレを指くわえて眺めてろってこった
>>971
くやしいのぅwくやしいのぅw
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