やよい「『弓と矢』と765プロ」 (408)


春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342373584/)

伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352727299/)

真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」
真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360068979/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379527373

乙乙
次回も楽しみにしてますん

定助「閉じろッ! 閉じろッ!!」

運転手『はい?』

定助「すぐにドアを閉じろッ!」

定助「そのドアを さっさと閉じろォーッ」

運転手『だが断る』

定助「ナニッ!!」

運転手『この「杜王タクシー」が最も好きな事のひとつは 自分でドアを開けさせたやつに「NO」と断ってやることだ…』



始めます。

真「………」チラ…

真美「はぁ、はぁ」タタタタ

春香「真美達がそんなに気になる?」

春香「心配しなくても逃がさないよ、誰も。真美も雪歩も、真も…伊織達もね」

真(『硬化散弾銃』は…無理か、二人に当たる危険がある)

真(近付いて、直接殴るしかない!)

真「オラオラオラオラ」ズバババ

スゥ…

真「!」

真「春香の姿が消えた…これは『五感支配』、いや『六感支配』か!」

春香「真相手になんて『ジ・アイドルマスター』の能力を使うまでもないでしょう?」ヒュッ

真「ぐ…!」ゴシュ

ビキッ

真(背後から殴られた…『ストレイング・マインド』にヒビが入ったか)

真「オラァッ」グルン

シン…

真「う…」

真(まずいな…『アイ・ウォント』の能力を攻略できないようじゃ話にならない)

真(『視覚支配』をしているのなら、耳を研ぎすませば…)

………

真(何も聞こえない…)

ミシ…

真「ぐあ…っ!?」

ギリリリ

真「オラァ!」

ブオンッ

真「く…」

真(そ、そうだ…今の春香は『二つ』の感覚を『支配』できるんだった…)

真(じゃあ…どうするんだ? 伊織がいれば『動体センサー』が使えるけど、ボク一人じゃあ感覚を研ぎすませても限界がある…)

真「………」グッ

スゥ…

真「やめた。無闇に突っ込んでも自分の首を絞めるだけだ」

春香「やめた? それって…」

ズズ…

春香「負けを認める…『降参』ってこと? 真」

真「いいや、自分から突っ込むのをやめるってことさ」

真「どうせ当たらないんだ、自分から動いても無駄だと思ってね」

春香「カウンター狙いでもするの?」

春香「『ストレイング・マインド』の防御力とパワーを考えれば、飛び込んでいくなんて自殺行為でしかないよ…」

真「ふーん? なるほどね。春香の『アイドルマスター』はボクのスタンド相手に正面から挑めるほど強くないのか」

春香「………」ピク…

真「自分のスタンドに随分と自信を持ってるようだけどさ…」

真「『ストレイング・マインド』にビビって攻撃も出来ないなら、そんなもの最強でも無敵でもなんでもないんじゃない?」

春香「…なるほどね。そう来るのか…」

春香「いいよ、乗ってあげる。どうせ先に雪歩と真美を片付けても真と戦うしかないし」フッ…

シィーン

真(『集中』しろ…春香が攻撃した瞬間を見極めるんだ…)

真(正面からぶつかれば、ボクの『ストレイング・マインド』は誰にも負けない!!)

ドッ

・ ・ ・

真(正面…)

ピキ ピキピキ

真「ぐっ!? 『ストレイング・マインド』の鎧が…」

ガシャァ!!

真「割れた…」

春香「『ジ・アイドルマスター』のパワーは『フラワーガール』を上回るんだよ…ブチ抜けないとでも思った?」

春香「そして、一瞬の隙があれば『ジ・アイドルマスター』は射程距離の外に…」

真「ブチ抜けないだなんて思ってないさ…」

真「春香がボクの鎧を抜くにはその『スタンド』の腕を叩き込むしかないとは思っていたけど…ね」

春香「うっ!」

ギッ ギギ

春香「『ジ・アイドルマスター』の拳が…割れた鎧に引っかかってる…!」

真「ブチ抜かせたんだよボクは。春香、キミを捕まえるためにね」

真「オラァッ!!」

春香「ち…!」バッ

バッギャァァァン

春香「あがっ…!!」ブシャァ

真(肩をブチ抜いた!)

春香「は…はは…! そうこなくちゃ…!」

春香「これほどの力…これほどの強さを持つみんなを倒してこそ、この『弓と矢』の力を証明できる…!!」

真(『ジ・アイドルマスター』に変化がない…)

真(やっぱり、あの『矢』を直接狙わなきゃ駄目か…)

ドォ……ーン

真「………」

春香「これで…ダメージもなくなった」

春香「続けていれば、先に倒れるのは真の方かな」

真「いや、今のでわかった」

春香「ん? 何が?」

真「妙だと思ったんだよ。やよいと響と貴音さんを倒した後、ボクを無視して上に登ったのがさ」

真「春香、今『アイドルマスター』の能力を使ったよね」

春香「うん。治ったのを見れば隠しようがないし…隠す意味もないから言うけど、使ったよ。それが何?」

真「そう、能力は使った…なのに、どうしてボクは無傷でいられるんだ?」

春香「…? そんなの、私が攻撃しなかったからに決まって…」

真「どうして攻撃しなかったんだい?」

春香「………」

真「今の攻撃をなかったことにして、逆にボクにダメージを与える…絶好のチャンスだったじゃないか」

真「ボクが『矢』を狙ってるのはわかってるはずだろ? 長引けばそれだけボクにもチャンスは増える…」

真「それなのに、今のタイミングで攻撃しないってのはどういうことだ?」

春香「別に、なんでもいいじゃない。今言った通り、真にとってはチャンスでしょう?」

真「ボクが思うに…春香、キミは攻撃しなかったんじゃあない、できなかったんだ」

春香「………」

真「ボクが『ストレイング・マインド』を纏っているのは春香にとって不都合…そうだろ?」

春香「不都合? なんで?」

真「それはわからないけど…理由なんて必要ないよ。実際にそうなってる、そうじゃないならボクはもう倒れてるはずだ」

真「これがあれば不意打ちで倒されることはない…それだけわかれば充分さ」

春香「へぇ…そう」

真(春香が何度『過去』を変えようと…何度でも食らいついてやる!)

春香「まぁ、確かに…真の『ストレイング・マインド』は私にとってちょっと不都合かもね」

真「あれ、認めるのか?」

春香「だからと言って…勝つのは私だけど」ス…

シン…

真(静かだ…)

真(どこから来ても関係ない…春香の攻撃が来た瞬間、腕の『矢』に向かって『ストレイング・マインド』を叩き込む! それだけだ!)

春香「無駄ァッ!!」ヒュッ

ドゴ! バキィッ!!

真「うお…!(背中が…)」

真「両腕か! でもこれだけじゃあ致命傷にはならないよ」

春香「そう。それで、真はどうやって背中の方にいる私に攻撃を…」

真「オラッ…」クッ

ガン!

パリィィィン

春香「!」

ドス ドス

春香「痛っ!」

真「足下の床を砕いてぶつけた。一瞬の隙があれば『ストレイング・マインド』は…」グルン

春香「うわっ…」パッ

真「キミに攻撃できる!!」

春香「………」

真「オラァーッ」ドバ

ス…

・ ・ ・ ・

真「え…」ァァ

真「は…ちょっ…」ァァァアッ

ガッシャァァァアアァ…

真「あ…!!」

ガシャ! ガシャン!

真美「え!?」ザッ

雪歩「あ…」

雪歩「あた…あたま…春香ちゃんの頭が…『地面に落として踏みつけられたトマト』みたいに!!」

ピュー プピュー

真美「ひ…血…!」

真(今…)

真美「こんな終わり方って…ないよ…」

雪歩「うぅ…」

真(今、春香は自分から飛び込んできた…)

真(なんで…? いや、そんなのは関係ない…ボクはこの手で春香を…)

真「………」

ゴゴ

真(いや、ちょっと待て…)

ゴゴゴ

真(春香の頭はコナゴナにフッ飛んだんだよな…)

ゴゴゴゴゴゴ

真(じゃあ、どうして春香のスタンドの頭はフッ飛んでいないんだ…?)

ドォ………ーン

雪歩「へ…」

パリ…

真「ぅぁ…」パラ…

真「あああ…ああああ…!!」パラパラパラ

ズズ…

春香「これが…」

春香「これが『ジ・アイドルマスター』」

春香「仮に私の体が一瞬でバラバラにされたとしても…いや、『ジ・アイドルマスター』ごと『消滅』させられたとしても」

春香「私の『精神』だけはそこに残り、自動的に能力が発動する」

春香「そして、『ジ・アイドルマスター』の能力により…私の頭がフッ飛ばされたという『過去』は消え去る」

真「『ストレイング・マインド』が…」

真「ぐぁ…」ブシュ

春香「わかる? 例え私をコナゴナにしようが、眠らせようが、焼き尽くそうが…」

春香「全部無駄。どんな『スタンド』でも、私を倒す事はもうできないの」

真「う…」クラッ

真(この傷、春香はボクを攻撃できないんじゃ…なかったのか…?)

春香「全身の鎧を壊したんだよ、無理せず倒れちゃった方がいいんじゃない?」

真「だ…れが…」

雪歩「真ちゃん…!」

真美「くっ…ゆきぴょん、早く逃げ…」

ゴン!!

真美「いたっ!?」

雪歩「え、これ…こっち、階段じゃないよ…!!」ペタペタ

ス…

真美「嘘っしょ…『視覚支配』…」

真「なん…だと…」

春香「そこで待ってなよ。真が倒れたらすぐに相手してあげるからさ」

真「はぁー、はぁーっ、はぁー…」

真(怖い…)

春香「ん? もしかして、もう終わりかな?」

真(春香自身もだが…そうじゃあない…)

真(ボクの手には、春香を殴り殺した感触がまだ残っているんだッ!! こんなに恐ろしいことがあるか!?)

春香「さっさと片付けてあげるよ。これ以上戦わせるのも可哀想だし」

真(いや、ビビってどうする! 雪歩と真美のためにも、春香にやられたみんなのためにも…)

真「『ストレイング・マインド』…」ギギギギギギ

春香「おっと、砕かれた鎧を補うために…残った部分を集中してるのかな?」

真「『チアリングレター』ァァァァァァァ!!」ゴォォォォ

春香「無駄無駄無駄無駄」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ドォ………ーン

ヒュォォォォ…

春香「これで、終わり」

真「う…」ボコッ

ボゴォ

真「あ…! ……!!」

ドサァ

春香「真で、六人…これで半分か」

真美「まこちんまで…」

雪歩「春香ちゃんが、こんな…」

春香「さぁーて…」クル!

春香「もう戦えるのはいないよね。」

雪歩「うぅ…」バッ

真美「はぁ、はぁ…」ダラダラ

春香「さて、どうしようか…」

春香「向かってくるならそのまま倒せばいいけど…向かってこないんじゃあ一方的にやるしかないかな」

春香「かと言って…何も出来ないまま倒しても、『何か出来れば対抗できる』と希望を与えることになるしなぁ」

ズ…

FS「………」

真美「!」

真美(『ファースト・ステージ』が…そっか、今ゆきぴょんが見てないから…)

真美(ゆきぴょんの目を隠さないと)ギュッ

雪歩「え、真美ちゃん…?」

春香「仲いいね。それなら仲良く二人一緒に倒してあげよっか」

FS(双海真美…)

真美(今のうちに一発! 打ち込んでやっちゃえ!)

春香「…?」コツ コツ

FS「………」ビュゴ

真美(はるるんは気づいてない! そのまま行け…!)

春香「ああ、後ろか」ヒュン

FS「…グッ…!」ガギャン

グバガァーッ

真美「え…」

春香「なに…いたの? 『ファースト・ステージ』」

春香「真がまた立ち上がってきたのかと思ったけど」

FS「私ナド眼中ニナイ…ト言ウコトカ」

真美「そ、そんな…どうして…」

春香「ん?」

真美「どうして後ろにいるってわかったのさ…」

春香「それは、真美のお陰でわかったんだよ。私を見てなかったから何かと思って」

真美「嘘…」

FS「シャァッ」ブンッ

春香「無駄ァッ」グゴォォ

FS「オブッ」ギリギリギリ

春香「遅すぎる…」ググッ

ブチン!!

ゴロン

真美「あ、頭が!」

グギャ!!

FS「ウグォ!? ォォォォ…貴様、天海春香 私ヲ踏ミツケ…」

春香「ほら、そのまま消えちゃいなよ」グリグリ

FS「双海…真美…」

真美「はぇ!?」

FS「萩原雪歩ヲ…頼ム」

スゥ…

真美「う…う…」ギュッ

雪歩「ま、真美ちゃん…」

春香「もうここには助けに入る人は誰もいない」

………

響「あぐ…」

貴音「………」

やよい「……うぅ…」ブルブル

………

真「…く…」

春香「さぁ…どうする? 真美、雪歩」

真美「うわああああああああああああああああああああ」

本日分はこれで終了です。
次回は金曜くらい?

ぐあ忘れてた、支援ありがとうございました

春香「無駄無駄無駄無駄」ゴォッ

伊織「そこっ!」ピキピキ

パリィィン

春香「なに…『氷』!?」

春香「うっ!」ドス ドス

伊織「『氷の壁』を作った…割れば破片が突き刺さるわよ」

春香「伊織のスタンドは『煙』のはず! こんなこと、できるはずが…」

伊織「『スモーキー・スリル』は私のスタンドの能力のうちの一つでしかないわ」

伊織「これが私の真のスタンド、『セブンカラーズ・ボタン』よ!」

春香「七彩(セブンカラーズ)…『煙』に『氷』、あと5つの形態があるというの!?」

伊織「さぁ、覚悟しなさい春…」

春香「『ジ・アイドルマスター』」ドォーン

伊織「ぐああああああああああ」バリバリバリバリ

真「伊織ィーッ!!」

※この内容は本編と全く関係ありません



すみませんーねてましたー
始めます

真美「うああああああああああああ…」

春香「………」ザッ ザッ

雪歩「うっ、はぁっ」

真美(やられる…何も出来ないまま…)

春香「………」ピタ…

真美「ん!?」

春香「うーん…やっぱり駄目だなぁ」

真美「だ、駄目って何が…」

春香「10秒」

真美「へ?」

春香「私はこれから10秒間『なにもしない』」

春香「その間に攻撃してもいいし逃げてもいい」

雪歩「それって…」

真美「そ、そんなの意味ないじゃん! はるるんのスタンドで全部戻せるんだから!」

春香「そう? やるだけやった方が後悔を残さずに済むんじゃない」

春香「いち」

真美「!」

春香「に、さん」

雪歩「ま、真美ちゃん、どうしよう…」

真美(本当に、何もする気がないんだ)

真美(例えこんな無防備になっても、『それでも真美達は何も出来ない』って認めさせるために…)

真美「………」スッ

雪歩「真美ちゃん…?」

真美「『スタートスター』…」ズ

春香「そのスタンドで攻撃してくる? いいよ、来なよ」

真美「………」

雪歩「………」

春香「………」

シィーン…

春香「…10秒」

春香「何もしないってことは…諦めたってことでいいのかな。なら…」

真美「!」ピクッ

真美「来た…!」

春香「来た? 何が」

真美(亜美が『スタートスター』の射程距離の中に入った! これで『ワープ』できる!)

真美「真美は諦めたんじゃない、『何もしないこと』を選んだんだよ!」

真美(あっちにはいおりんやあずさお姉ちゃん…りっちゃんがいるし、真美だって亜美と一緒なら戦える!)

真美(まずはこの場から脱出して、はるるんの『スタンド』の対策をしないと…)

真美「ゆきぴょん、掴まって!」

雪歩「う、うん…」

真美「『スタートスター』!!」

パッ

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ドォ………ーン

・ ・ ・

真美「へ…」

春香「本気で逃げられると思った? 無駄無駄」

真美(戻された…『ワープ』しても逃げられない…?)

真美(いや、戻されたとしても…こんな能力、そんな何回も使えるワケないじゃん!)

真美「もう一回『ワープ』するよ、ゆきぴょ…」

真美「…!!」

雪歩「え…」

ドドドド

真美「う…」

真美「動かされてる…!!」

真美(ゆきぴょんがはるるんを挟んで反対側に…!)

ドドド

春香「ほら…一人なら逃げられるかもよ? どうするの、まーみー?」

雪歩「ひっ…」

真美「ううう、うあああああ…!!」ダダッ

春香「突っ込んで来るか…あまり賢いとは言えないかな」

真美「『スタートスター』ッ!!」ビュン

春香「フン」

パシィ

春香「無駄ァッ」ドス

真美「ぉ…」ミシ…

雪歩「真美ちゃん…!」

真美「げほ、がほっ」

春香「無駄無駄無駄無駄」ゴ ゴ ゴォッ

真美(あ…駄目だ、これ…やられる…真美も、まこちんみたいに…)

グイッ

真美「あたっ!?」ドン!

春香「…ん?」ピタッ

真美「誰!? 真美のこと引っ張ったの!?」

真美「って…あ…」

亜美「そう、亜美です」バァーン

真美「亜美、どうしてこっちに…」

亜美「真美とゆきぴょんが出てきたと思ったらすぐ消えるんだもん、ビクったYOー」

亜美「でも、なんか凄くヤバそうってのはわかった。だから飛んで来た」

春香「『スタートスター』でこっちに飛んできたのか…」

亜美「これは、はるるんもなかったことにはできないっしょ」

春香「なかったことにする?」

春香「なんでなかったことにするの? これを待ってたんだよ、私は」

亜美「は? どゆこと?」

春香「だってさ、『スタートスター』って二人揃って真価を発揮するスタンドなんだよね?」

春香「つまり、二人まとめて倒さないと…納得しないってことでしょう?」

真美「…っ!!」

春香「そして…もう遠くには逃げられないよ」

亜美「それはそーかもね」

春香「さぁ、抵抗しなよ! すればするほど自分の無力を思い知る…!」

春香「『ジ・アイドルマスター』!」

グォォォォ

真美(『ワープ』で下の階に逃げ…)チラッ

雪歩「真美ちゃん…!」

真美(や、駄目だ…ゆきぴょんを置いていったら何をされるかわかんない!)

亜美「………」

真美「亜美、なにボーっとしてんのさ!? このまんまじゃ…」

亜美「大丈夫」

真美「へ?」

グッ!

春香「ん!?」

ググッ…

春香「お…」

春香「押し戻…される…?」

?「亜美と真美をまとめて片付ける…ね。すんなり行くと思ったの?」

ドドド

春香「これは…」

ドドドド

?「アンタのいるようなところに、亜美一人で行かせるわけないでしょうが」

春香「この…『煙』のスタンドは…」

ドドドドドドドド

モクモクモク

伊織「『スモーキー・スリル』ッ!!」ブワァ

春香「伊織かッ!」

ブオン

ドッギャアアアア

春香「ぐっ!!」グシャ

伊織「くたばりやがれッ! HARUKAAAAAAッ!!」

ドォ

……

………

春香「『ジ・アイドルマスター』…」

春香「ふー…脳天カチ割られるかと思ったよもう」

春香「『スタートスター』で一緒に飛んできたのか…」

真美「『スタートスター』ッ!!」

春香「!」

ビュン

春香「…と、これは違うか。真美が闇雲に攻撃してきただけだっけ」スッ

真美「ぉ…」クラ…

雪歩「真美ちゃん…!」

真美「げほ、がほっ」

春香「さてと…そろそろかな。この辺に…」ギュ

ヒュン

春香「無駄ァッ!!」グアン

伊織「ぐっ!?」ドグォ

ドヒュゥン

ボフゥ!!

伊織「は!? な…何!?」

亜美「亜美です」バァーン

春香「ふぅーむ…ブッ飛ばしても『煙』で自分の体を受け止められるか…」

伊織「ま、まるでわかってたみたいに…」

春香「説明してあげたいけど…時間がないからねぇ」

春香「駄目押しにもう一発」タッ

伊織「ぐ…『スモーキー…」

春香「ヴァイッ!!」ブンッ

………

……



ーン

伊織「へ!?」

グワオッ

伊織「ちょっ…!」モクモク

ブワァ!!

春香「『煙』が腕にまとわりついて…」ギュゥゥゥゥ…

春香「でも…無駄ァ!!」ビン!

バスゥ

伊織「とっ…」ポンッ

ドサァ

伊織「ち…やっぱり駄目か!」ムクッ

伊織(今こっちが攻撃したのに、いつの間にか攻撃されていた…)

春香「『スモーキー・スリル』を腕だけに集中しても、完全には止められないみたいだね。勢いを殺すならこれで充分だけど」

伊織(そして春香にダメージはなし…か。やれやれだわ)

真美「ゆきぴょん!」

亜美「大丈夫?」

雪歩「う、うん…私は大丈夫…だけど」

真美「下に逃げるよ! 今度こそ捕まって!」

雪歩「…うん」

ヒュン

春香「あ」

伊織「あーあ、逃がしちゃってやんの。まとめて倒すとか息巻いてたクセにね」

伊織「別に追いかけてもいいわよ? この伊織ちゃん相手だもの、逃げても仕方ないわ」

春香「まさか」クルッ

春香「じっくりとやることにするよ、伊織を料理した後に…ね」

伊織「はっ! できるもんならやってみなさいよこのマヌケッ!」

春香「思えば、伊織を『スタンド使い』にした時からおかしくなったんだよね…」

伊織「私が『スタンド使い』になった時?」

春香「『弓と矢』…そして『スタンド』の素晴らしさ! 私をアイドルとして成功させてくれたこの力…!」

伊織「………」

春香「反対したのは美希と貴音さんと…あとは千早ちゃんくらいで、他はみんなわかってくれてたのに」

春香「伊織を取り逃して…まず真に裏切られ、そこから一人、もう一人とどんどん離れていって…」

春香「千早ちゃんも何故か『スタンド』を使えるようになってるし、気づいたらもう私だけ…どうして、こうなっちゃったんだろ」

伊織「おかしくなった、ですって? どうしてこうなっちゃった、ですって?」

伊織「何もおかしくなんてない、恐怖で押さえつけたかりそめの『団結』なんて簡単に崩れさるわ」

伊織「そんでもって春香、おかしいのはこうなったことじゃない」

伊織「おかしいのはアンタよ…最初からアンタ一人だけがおかしいのよッ!」

春香「おかしい? それは違うよ。ただ新しいものだから受け入れられないだけ…」

春香「最初は戸惑っても、ちゃんと知れば素晴らしいものだってわかってくれるはずだよ」

伊織「まだ言うか…」

伊織「アンタさ…自分が成功できたのは『弓と矢』のお陰だって本気でそう思ってるわけ?」

春香「当たり前だよ。これのお陰で私は自分の『才能』に気づけたんだから」

伊織「…そう。だったら、やっぱりアンタに屈してやることなんてできないわね」

春香「私と戦う気? わからないの?」

伊織「何がよ…?」

春香「周りを見なよ。もう伊織しか残っていない…他はみんな『ジ・アイドルマスター』に敗れていった」

春香「やよいに貴音さんに響ちゃん…真の『ストレイング・マインド』だってそう。私に傷一つ残すことすらできなかった」

伊織「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ」

春香「だからさぁ…伊織の『スモーキー・スリル』なんかじゃ私の『矢』の力には絶対に勝てないってことだよ」

伊織「やる前から諦めるくらいなら…」スゥ…

伊織「最初からこんなところに来ないわよ!」

ドムン ドシュ バシュゥゥ

ゴォオォ

春香「今の会話の中で床に落ちてた破片とか石ころを集めてたのか…抜け目ないなぁ」

春香「守って、『ジ・アイドルマスター』」

キン ガキィ

タッタッタッ

春香「なるほど、つかず離れず…私の射程距離の外から戦うつもりか」

春香「私と戦うなら何か策があるかと思ったけど…この程度? ガッカリだよ伊織」

モクモクモク

伊織「叩き付けろ『スモーキー…」

春香「無駄ァッ!!」

バフォ!!

伊織「ちょっ…」

春香「無駄無駄ァ! そんな貧弱な『煙』のスタンドで私の『ジ・アイドルマスター』とやりあえるわけがないでしょう!」

伊織「う…」

クルッ

春香「んん?」

タタタ

春香「ちょっとどうしたの伊織。私と戦うんじゃなかったの?」

春香「真っすぐ窓に向かって…逃げる気?」

伊織(やっぱり私の『スモーキー・スリル』で春香相手に正面からやりあうのは無理だわ…なら…)

タン!

伊織「よし、壁の方まで来た…これで…」サッ

ガッ

春香「ま…わかってたけどね。遅かれ早かれそうすることは」

伊織「! この感触…」

春香「窓を開けて…そこから逃げようと思った?」

ズズズ…

春香「ブッブ~ハズレ。そっちは窓じゃありませ~ん」

春香「千早ちゃん達はまだ対抗できてたのに、みんな『六感支配』に引っかかりすぎだよ」

春香「こっちは案外『ジ・アイドルマスター』がなくてもなんとかなったかもね」

伊織「ねぇ、春香…」

春香「ん? 何?」

伊織「私の『スモーキー・スリル』は微量でも大気中に残しておけばその場所の状態を感知してくれるわ」

伊織「目で見なくても、こっちが窓じゃあない…ただの壁だなんて知ってるのよ」

春香「は? なら自分から追いつめられに来たってこと? マゾなの?」

伊織「わからないの?」

春香「だから何が? 会話になってないよ。どうせハッタリ…」

?「オラァッ!!」ギュオン!

春香「!?」バッ

ゴロゴロ

春香「今の攻撃は…」

ドドド

伊織「ちっ、肝心なところで外してるんじゃあないわよ」

?「人を使っておいて…」

伊織「真」

真「なんて言い草だよ、伊織」

ドド

春香「真…? さっき全身の鎧を砕いて『再起不能』したはずなのに…」

真「傷なら…」

ギギギ ギギギ ギギ

真「『チアリングレター』…これで見えるか? ボクの体から出た血を『固めて』塞いだ」

春香「…!」

真「それに伊織一人に任せてなんておけないからね。眠ってなんていられないさ」

伊織「なんか引っかかるけどそういうことよ」

春香「真はもっと後ろの方にいたはず…どうやって音もなく私の後ろまで来た…?」

伊織「はぁ? アンタまだわかってないのね」

モクモクモク

春香「! 『スモーキー・スリル』…そっか、真が動いてきたんじゃあなく…」

真「そう。伊織が倒れてたボクを『スモーキー・スリル』引っ張ってきて…本当、人使い荒いよ」

春香「何かと思えば…」

春香「一人じゃあ勝てないから、真に頼ろうってことか」

伊織「は? アンタがそれを言うの? 『矢』に頼り切ってるアンタが!」

春香「フン…」

春香「そうだね…何人集まってこようが、私にはこの『矢』がある」

スゥ…

春香「『視覚支配』そして『聴覚支配』! 一度私に敗れた真が復活した程度じゃあ…」

伊織「………」モクモクモク

春香「どうにもならないよ!」

伊織「そっちよ、真!」

真「わかってるって!」ギギ

春香「なに…?」

真「オラァッ!!」バッ

春香「っ!」タッ

真「後ろに飛んだか…!」ダッ

春香(そこはさっき真が空けた穴だよ…落ちるか、足を引っかける!)

伊織「飛べッ!」

真「おおッ!」ガッ

春香「は!?」

真「オラオラオラオラ」ズン ダン ダン ダン

春香「うお…」

パシィ!

春香「腕が…」カチコチ

春香「真の動きが全然違う…!?」

春香「まさか…」ピタ…

真「オラァ!!」ヒュッ

・ ・ ・

春香(『触覚支配』…)

伊織「これって…春香の反応が消えたわ。目にも見えない、音も聞こえないってことは…」

真「動きを…止めたのか?」

春香(『スモーキー・スリル』が私の動きを感知しているのか…単体では大したことはないけど、サポートに回るとちょっと厄介かもね)

春香(動けば音を出して気づかれる…『ジ・アイドルマスター』で…)

春香(いや、伊織に『ジ・アイドルマスター』を使うのはまだ早いか…)

春香(使う必要もない。この距離なら、直接…)

伊織「そっちね! 息づかいが聞こえるわッ!」

春香「そんな音まで拾えるのか…」タッ

春香「でも、気づくのが一瞬遅かったね」ド ド ド ド

真「! 伊織の方に向かって行った…!」

伊織「『スモーキー・スリル』…」スゥゥーッ

春香「遅い! 『煙』が集まる前にこっちの方が…」

ビタァ!

春香「ム!?」グラッ

ビターン!!

伊織「え!?」ビクッ

ピタッ

伊織「…え?」グッ

スゥ…

真「なんだ!? 春香がうつ伏せで倒れてる!?」スッ

ピタ…

真「…あれ? 足が…」ググッ

春香「これは…私の体が床に『くっつく』この能力は…!」

?「春香さんが何しようとしても…」

やよい「動けないなら関係ないかなーって」

真「やよい!?」

春香「今度はやよいか…」

春香「『視覚支配』を解いたつもりはないんだけど…この短時間で克服したとでも…?」

やよい「いえ、高いところはやっぱり怖いかもです…けど」

チ…

伊織「やよい、その目元についてる『カウント』は…」

?「見えているのが恐怖ならば、いっそ見えなくすればいい」

あずさ「『ミスメイカー』。やよいちゃんの『視覚』を『眠らせ』たわ」

伊織「あずさ! アンタも着いたのね!」

春香「…なにそれ」

あずさ「さぁ、伊織ちゃん! 動きを止めれば、あなたの『スモーキー・スリル』は反撃を受けない…一方的に攻撃できるわ!」

やよい「伊織ちゃん! 今だよっ、春香さんを!!」

伊織「ええ、わかったわ!」

シュゥゥゥゥ…

真「伊織! このコンクリートの破片を!」ヒュッ

伊織「ナイス!」パシッ

春香「うおお! 動けない!!」モゾモゾ

伊織「そこよ!!」ブオッ

ガッ!

あずさ「『矢』を捉えた…!」

伊織「う…おおおおおおおおおお!!」ギリリリリリ

春香「ま、まずい…! やめて…!!」

バリィィ

春香「あ…」

真「や…」

カラァァァン

春香「あああああああああああああああああ」

春香「私の…私の『矢』が…ッ!」

真「やったぞッ! 春香が『矢』を落とした!!」

伊織「よし、これで…」

あずさ「…………」

やよい「? あずささん、寒いんですか? ちょっと震えてます」

伊織「やよい、それは武者震いと言うか…喜びの震えと言うか」

あずさ「…違う」

伊織「もう、なによあずさ…仕方ないじゃない、上手い言葉が見つからなくて…」

あずさ「ねぇ、春香ちゃん…」

春香「………」

あずさ「『矢』を落としたのに…どうしてそのスタンドは『アイ・ウォント』に戻らないのかしら」

真「……………は?」

春香「あー…やっぱ気づいちゃいますよねぇ…」

ゴゴゴゴゴゴ

伊織「え…なに? …え? 冗談…よね…」

やよい「私、見えないからよくわかんないけど…春香さんの『スタンド』の感じ、あんまり変わってない気がするかも…」

真「ちょ、ちょっと待ってくれ…どういうことだ…」

春香「この『矢』は私の『ジ・アイドルマスター』の一部となっている」

春香「『ジ・アイドルマスター』自体が『スタンド』であり、『矢』でもあるってこと」

伊織「は、はぁ? だから何なのよ…」

春香「だから…無駄なんだよ。こんなこと、私の爪を剥がすのと何も変わらない。これを叩き落としても、何の意味もない」

真「『矢』を狙っても何の意味もない…だって…?」

真「馬鹿な、それじゃあ…本当に『無敵』じゃあないか…!」

伊織「あずさ! 『ミスメイカー』で『矢』に触れて『眠らせる』ことは…」

春香「やってみる? いいよ。どうぞ、あずささん」

あずさ「………」スッ

スカッ

あずさ「素手で触れない…本当に、『スタンド』なのね…これ」

伊織「ス、スタンドでもなんでも…それが『ジ・アイドルマスター』を作ったんでしょ? なら、それを『眠らせ』れば…」

真「無理だよ…」

真「それを『眠らせ』たとしても、壊したとしても…きっと『アイドルマスター』の能力が自動的に発動してしまう。無意味だ…」

伊織「な…何を諦めムードになってんのよ! まだ手はあるはず…!!」

伊織「そうだわ、射程距離の外まで動かせば…」

やよい「多分…できないと思うよ。春香さんの言うのがほんとうなら、その『矢』がもう春香さんの『スタンド』だから」

あずさ「能力なら消すことはできる。けど、『スタンド』自体を射程距離の外に持っていってもどうにかすることはできないわ…」

伊織「そんな…」

春香「『矢』さえ剥がせば…本当に勝てると、少しでも思ったの?」

春香「無駄なんだよ無駄無駄」

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

伊織「く…」

伊織(本当に…無駄なの? もう、どうにもならないの…?)

春香「さてと…もういいよね? もうどうしようもないってことを身を持って知ったよね」

ゴゴゴゴゴゴ

春香「私もこのまんまじゃ何もできないし…」モゾモゾ

春香「全部終わらせてあげる。これ以上無駄なことをさせるのも可哀想だし」

ゴゴゴ

伊織「『ジ・アイドルマスター』の能力を使うつもり…!?」

あずさ「今、春香ちゃんに能力を使わせたら…」

やよい「はわっ、なんとかして止めないと…」

真「止めるったって…」

ゴゴゴゴゴゴ

真「…どうやって?」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ドォ



……

………

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

春香「………」

春香「ここは『私だけの世界』…」

春香「この中なら全てが私の思い通りになる。もう『伏目がちな昨日』なんていらない」

真「春香がうつ伏せで倒れてる!?」スッ

ピタ…

真「…あれ? 足が…」

春香「一人ずつ、順番に…『再起不能』させてあげるよ」

春香「その後は逃げていった真美と亜美と雪歩も倒し…」

春香「外に律子さんもいるでしょう。全滅、これで終わり」

やよい「春香さんが何しようとしても…」

やよい「動けないなら関係ないかなーって」

真「やよい!?」

春香「『ゲンキトリッパー』…地面いっぱいに仕掛けてるみたいだけど…」

ヒョイッ

春香「この空間の中じゃそもそも当たらないんだよねぇ」ツカツカ

あずさ「さぁ、伊織ちゃん! 動きを止めれば、あなたの『スモーキー・スリル』は反撃を受けない…一方的に攻撃できるわ!」

やよい「伊織ちゃん! 今だよっ、春香さんを!!」

伊織「え…ええ!」

真「伊織! このコンクリートの破片を!」ヒュッ

伊織「…ナイスよ真!」パシッ

春香「ほら、伊織の攻撃も…」

伊織「そこよ!!」ブオッ

春香「こうして見当違いの方向に」

ググッ

・ ・ ・ ・

フォン

バキャァ!!

春香「……… …………」フラッ

春香「…は?」

ドク ドク

伊織「行け、『スモーキー・スリル』ッ!!」ブオッ

バキッ!!

春香「え? ………」

ブシュ

春香「な…」フラッ

春香「…なに?」

春香(殴られた…? 伊織に…『スモーキー・スリル』に?)

伊織「これが…」

ドドドド ドド

伊織「あんたの能力ってわけ」

ドドドド

春香「い…おり…?」

伊織「なるほど、言われてみれば真もやよいも…みんな妙な動きをしているわ。『一度起こっている』ってことか」

春香「なんで…?」

伊織「ん?」

春香「どうして動けるの…? どうして私に攻撃できる…?」

伊織「さぁ…アンタの能力のことなんて大して知らないわよ。出来るんなら、出来るんでしょ」

春香「できるわけがないッ! この『過去の世界』…私の『ジ・アイドルマスター』が触れたもの以外は、決して変わらない行動をするはず!!」

春香「なんで自由に動けるの、伊織!?」

伊織「触れたもの以外…か。なるほどね」

伊織「それだったら…触れてるわよ、春香」

春香「は…?」

スゥ…

春香「あ…」

春香「ああ…ああああ…!!」

春香(『スモーキー・スリル』は『煙』のスタンド…空気中に漂っていた、それに…)

伊織「あんたの『ジ・アイドルマスター』は触れた」

伊織「だから、アンタの言う…『過去』が変わったんじゃない? アンタが私に触ったから」

おっと…
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
次は…月曜?

定助「それじゃあ…」

定助「勝ったのはオレです」バンッ

サッ!

定助「あ…もう一度 たっぷり言わせていただきます」

警官「2度 同じ事を言わないでくださいよ…1度でいい事を2度 言わなけりゃあ いけないってのは…そいつが頭が悪いって事だからです」

警官「勝ったのは…オレです! と言ったんですよね… 3度目は言わないでくださいよ」

定助「このガキャアァァァーッ!!」



始めます。

………

……



ーン…

伊織「………」

春香「………」

ブシュ!

真「え!?」

あずさ「あっ!」

春香「う…」フラ…

春香「………」ドクドク

ガク

あずさ「『ジ・アイドルマスター』に…」

やよい「!」パチッ

やよい「春香さんに…」

真「ダメージが、あった…」

春香「ありえない…」

あずさ「春香ちゃん」

春香「『ジ・アイドルマスター』は最強のスタンド…誰にも破れはしない…なのに…」

伊織(よくわかんないけど、春香のヤツ動揺してるわ。今のうちに畳み掛ける!)グッ

真「!」

伊織「喰らえ春…」ヒュッ

真「違う、伊織! 春香に攻撃するな!」

伊織「え?」ピタッ

春香「チ…」

やよい「えっと…どうしたんですか?」

あずさ「『スモーキー・スリル』がいつの間にか集まっているわ…」

あずさ「伊織ちゃん、春香ちゃんのダメージは…あなたの攻撃によるものよ」

伊織「わ、私…?」

伊織「確かに、能力の前と後で状態が変わっているのは春香と私と『スモーキー・スリル』だけ…」

伊織「でも…どうやって? 能力を使われても攻撃できるなら、千早達がとっくに倒してるはずだわ」

真「わかった…」

伊織「真…? 何がわかったの…?」

真「春香の『アイドルマスター』で変わるのは傷や場所だけじゃない。千早の行動だって変わっていた」

真「『過去』の世界でみんなが自由に動けるのなら、いくらやり直せても伊織が言ったように千早達を倒すのは困難…逆にやられているはずだ」

真「それに今、ボク達の行動も変わっていないしね。『過去』の世界では自由に動けない…恐らく、一度行った行動と同じように動いている」

真「そして春香、キミが攻撃した…いや、恐らくスタンドが触れたものは『過去』の世界でも動けるようになる…だろう?」

春香「………」

真「触れても状態が変わらないのなら、『過去』に戻っても何もできない。人を動かす事もできなければ、攻撃することもできない。無意味だ」

真「『過去』の世界で触れたものは『過去』を離れ動き出す…だから春香、キミは…ボクに攻撃できなかったんだ」

真「ボクが動揺して、キミを殴れない状態になるまで…『ストレイング・マインド』を一撃で破れなければ、逆にやられる可能性があったから!」

春香「フン…」

あずさ「触れれば、動く…」

やよい「あ…そっか、だから伊織ちゃんの『スタンド』は…」

伊織「『スモーキー・スリル』は気体…空気中に広がったうちの一部分が、春香のスタンドに触れた…?」

真「『ジ・アイドルマスター』は『過去』を変える能力…」

真「だったら、その『過去』の中で攻撃を受ければ、それが現実となる」

やよい「これなら、いけるかも!」

春香「残念だけど、一つ見落としてるよ…」

真「…なに?」

春香「確かに真が説明した通り、『スモーキー・スリル』は私の『過去』の世界でも動ける」

伊織「!?」

伊織(肯定した…? 『公正さは力』…スタンドパワーはこっちの方が上がるけど、わざわざバラすほどのことなの…?)

春香「まさか、そんな方法で『ジ・アイドルマスター』の世界に踏み込んでくるなんて…」

春香「だけどね…無駄なんだよ、無駄。伊織が『ジ・アイドルマスター』の世界に足を踏み入れようが…ね」

春香「それに、『ジ・アイドルマスター』の能力に対抗できるのは私の『スモーキー・スリル』だけ。だったら…」

ゴゴゴ

伊織「…!」

春香「伊織さえ倒せば…もう怖いものは何もない」

ゴゴゴゴゴ

春香「『ジ・アイドルマスター』は正真正銘、無敵のスタンドになるってことだよ」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ

伊織「…やれやれだわ」

真「伊織、下がってて」ギギギギ

あずさ「春香ちゃんが伊織ちゃんを狙ってくるっていうなら、こっちもやりやすいわ」

春香「うーん、そっかそっか…」

ピタ…

春香「あれ?」

やよい「『くっつけ』ました。伊織ちゃんにはぜったい、近付かせません」

春香「そっか、『視覚支配』が解けちゃったんだね。だったら…」

パチン

やよい「う…!」ギュッ

春香「無駄無駄、目を閉じようが耳を閉じようが『六感支配』からは逃れられない」

あずさ「やよいちゃん、今『ミスメイカー』で…」

春香「それじゃ遅いよ」

ググ…

春香「…『くっつく』力が衰えない…?」

伊織「や、やよい…大丈夫なの?」

やよい「大丈夫じゃないかも…けど…」

やよい「伊織ちゃん達がみんな頑張ってるのに、私だけ怖がって何もしないのは…駄目かなって」

あずさ「やよいちゃん」

やよい「あずささん、私の目は『眠らせ』なくてもいいです」

やよい「響さんも貴音さんも、私がもっとしっかりしてれば…」

真「やよい…」

春香「フー…」

伊織「…っ」ゾワッ

やよい「ひっ…」ビクゥ

春香「伊織を守れば、どうにかなると…そう思ってる?」

真「そんなこと、思ってないさ」タッ

真(まずは『ジ・アイドルマスター』を使わせる! 『過去』の世界でなければ春香にはダメージを与えられない!)

春香「『過去』の世界でなら、私に攻撃できると…本当にそう思ってるの?」

真「え…?」

春香「それが見落としだって言ってるんだよ」

伊織(来る…)

春香「今からわからせてあげる」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ドォ



……

………

やよい「『くっつけ』ました。伊織ちゃんにはぜったい、近付かせません」

春香「…さて」ザッ

伊織「っ! 『過去』の世界に…入ったようね」

春香「え? あ、そっか。『ゲンキトリッパー』が目印になるんだね」

伊織(春香の傷が治ってない…この世界で与えた攻撃は、『なかったこと』にはできないようね)

ヒョイ

伊織(今なら、春香を倒せる…)

伊織「よし、『スモーキー・スリル』ッ!」グワゥン!

春香「無駄ァッ!!」

キィン!

伊織「なっ!?」

伊織(迷わず『スモーキー・スリル』が持ってるコンクリートの破片を弾いた…)

春香「さっきは伊織が違う行動を起こすと思っていなかっただけ…」

春香「わかっていればもう間違えたりはしない」

伊織「ち…!」

春香「さて…ここで問題です」

春香「私の『ジ・アイドルマスター』と伊織に『スモーキー・スリル』…正面から戦ったらどっちが勝つでしょうかッ!?」

伊織「『スモーキー…」モクモク

春香「無駄ァッ!!」ブオン

ボフゥ!!

伊織「く…!!」

モクモク

伊織(いくらフッ飛ばされてもこっちにはダメージなんてない、何度でも叩き込んでやる…!)

伊織「喰らえッ!」ビシュ

パシッ

伊織「え…」

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

ブオゥン!

伊織「きゃ…!」ブワァァッ!!

伊織(パワーが…違いすぎる)

春香「こういうことだよ。例え伊織が動けても、私に攻撃は届かない」

春香「わざわざ私に倒されるためにこの世界に来たんだね」

伊織「ス、『スモーキー・スリル』…私を守…」スゥゥーッ

春香「ヴァイ!!」ブオン

ボフゥ!!

伊織「…っ…!!」

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」ドゴ ドォ バオ ドギャ

伊織「きゃあああっ!!」ボコ

ドッシャァァーン

………

……



ーン

ドサァ!!

伊織「っが…」

真「伊織!」

やよい「伊織ちゃん…!」

伊織「は…? え…」

春香「ほら、無駄…」

伊織(は、春香のヤツ…ピンピンしてるわ…)

春香「例え『ジ・アイドルマスター』の世界に足を踏み入れてきても、伊織では私には勝てない」

春香「近接戦闘では伊織の『スモーキー・スリル』は私の『ジ・アイドルマスター』には遠く及ばない」

伊織(私の『スモーキー・スリル』じゃ…どうしようもない…?)

真「伊織! 何ボーっとしてるんだ!」

伊織「はっ!?」

春香「無駄ァッ」ヒュ

真「オラァッ!!」グン

スカッ

真「く…『視覚支配』か…春香の場所がわからない…!」

伊織「え…あ…」

やよい「『ゲンキトリッパー』!」

ワラワラ

ウッウー ウッウー ウー

真「うわっと」ピタァ

伊織「やよい…」

やよい「ぜんぶ『くっつけ』ました!」

あずさ「伊織ちゃん! 早く! 早く『スモーキー・スリル』を!」

伊織「え、ええ…」モクモクモク

スゥーッ

伊織(こんなことで立ち止まっては駄目だわ…何か…ないの…?)

ドォ



……

………

春香「『ジ・アイドルマスター』」

真「伊織! 何ボーっとしてるんだ!」

伊織「はっ!?」

春香「スキを見せたね、伊織。『ジ・アイドルマスター』の前じゃそれは命取りだよ」

真「オラァッ!!」グン

スカッ

真「く…『視覚支配』か…春香の場所がわからない…!」

伊織「え…あ…」

春香「伊織も『スモーキー・スリル』を広げてなければ、この世界で動く事すら出来ない」

やよい「『ゲンキトリッパー』!」

ワラワラ

ウッウー ウッウー ウー

春香「『過去』の世界で捕まった場所…『そこ以外』は全部安全地帯、絶対に攻撃を受けることはない」

スタスタ

真「うわっと」ピタァ

伊織「やよい…」

やよい「ぜんぶ『くっつけ』ました!」

あずさ「伊織ちゃん! 早く! 早く『スモーキー・スリル』を!」

春香「さて、『スモーキー・スリル』を出す前に片付けないと…ね」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ギュゥゥ…

春香「ヴァイッ!!」ドォッ

グバ…

ドサァ!

春香「はい、終わり」クルッ

モクモクモク…

春香「少し遅かったね伊織」

春香「腹に『ジ・アイドルマスター』の一撃を叩き込んだ、『スモーキー・スリル』を出した所で立てるわけがない」

春香「ここは私の世界…自由に動けるスタンドはこの一体でいい」

ガン!!

春香「…はい?」フラッ

バタン!

伊織「何を勝ち誇ってんのよ、アンタは」

春香「え、嘘でしょ…千早ちゃんくらい腹筋鍛えてても、耐えられないと思うんだけど」ムク…

伊織「はぁ? 何の話よ」

春香「だったらもっと徹底的に痛めつけてあげる…『ジ・アイドルマスター』!!」ドン

伊織「『ス…』」

バヒュゥ!!

ボギャアァァ

伊織「うぷ…!!」

春香「入った… ………」

春香「あれ…?」

伊織「え…? 全然痛くない…」

春香「何、今の手応えは…」

伊織「わ、私の腹の所になんかいる…? 気持ち悪いわ…」

?「セッカク助ケテヤッタノニ…気持チ悪イトハ随分ナ言葉ダナ、水瀬伊織」

伊織「ア、アンタは…!」

春香「『ファースト・ステージ』…」

FS「クタバレ、天海春香!」ヒュッ

グオン!

春香「くっ!」バッ

FS「チ…当タラナイカ、クソッタレメ」

伊織「な、なんでアンタそんなところにいんのよ…」

ニュルン

FS「萩原雪歩ノ願イダ。水瀬伊織、君ヲ守ッテクレトナ」

伊織「私を? 真とかじゃあなくて?」

FS「『ろっと・あ・ろっと』ガ天井ニ浮カンデイル。コノ煙デハ見エニクイ ダロウガ」

FS「萩原雪歩ハ コイツデ君達ノ様子ヲズット見守ッテイル。君ガ重要ダト言ウコトモ ワカッテイル」

伊織「そう…」

春香「ち…まさか『ファースト・ステージ』まで入ってくるとは…」

伊織(この好機を逃がすわけにはいかない、ここで…!)

伊織「『ファースト・ステージ』、ちょっと手出して」

FS「何ダ?」スッ

スバァ!!

FS「オオオオオオ!?」

伊織「こんなコンクリートの破片で簡単に切断できるのね。アンタにとってはその方がいいんでしょうけど」ガシッ

FS「オイ、何ヲ…」

伊織「『スモーキー・スリル』、発射しなさい!」

ドヒュゥゥゥゥン

FS「モ…『モノ』ミテーニ…」

春香「触れたらまずい…けど、こんなもの避ければ…」スッ

グググッ!

春香「! 『煙』で押さえつける気か…」

春香「せあっ!」グオッ

ヒュン

ポトン

春香「ふぅ、危ない危ない…なんとか避けられた。そして…」

スゥ…

春香「これで終わりじゃないんでしょ? 伊織…」

伊織「『スモーキー・スリル』」

ヒュン!

春香「無駄無駄無駄無駄」

ブオン

バファォ!!

伊織「きゃ…!」

コロン

春香「無駄無駄ァ…」

春香「逃しちゃったね、千載一遇のチャンスを。もしも当てられれば…」

春香「私に攻撃を『返し』て、大きなダメージを与えられたのかもしれないのにね」

伊織「春香、この世界がアンタのものだって言うなら…」

春香「ん?」

伊織「この空間全ては私の物よ」

トス…

・ ・ ・

春香「あ…?」

FS「上カラ…羽ヲ空気ニ舞ワセルヨウニ、一度避ケラレタ腕ヲ…落トシタ」

伊織「アンタの攻撃…」

伊織「返させて、もらった」

バリバリバリ

春香「うああっ!!」

本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
次回は一週間以内には(以内とは言ってない)

(Z出るまで)引退します

始めます。

………

……



ーン

春香「く…」

伊織「え!? は、何!?」

春香「ごほっ、げほっ!」

やよい「な、何が起こったんですか…?」

FS「コウシテ 天海春香ガフラツイテイルト イウコトハ…上手クイッタヨウダナ」

伊織「ん?」

真「あっ!? 『ファースト・ステージ』、お前なんでここにいるんだよ!?」

FS「ナンデトハ随分ナ言葉ダナ…セッカク水瀬伊織ヘノ攻撃ヲ 防イデヤッタノニ」

あずさ「そうなの? それはえらいわねェ~」

伊織「ちょっと待ちなさい…私への攻撃を防いだ? アンタ今までどこにいた!?」

春香「なんで…!」ダンッ

伊織「あん?」

春香「『弓と矢』があれば…『矢』の力なら、何でもできるはず…!」

春香「なんで思い通りにいかないの…? 私は全て思い通りにできる力を手に入れたのに…!」

あずさ「全て思い通りにできる? そんなもの、ありはしないわ」

やよい「自分でなんとかしないと駄目かなーって」

真「だからトップアイドルになるため…ずっと頑張ってきたんだろう、春香!」

春香「そうだよ…」

春香「だけど、いくら頑張っても私は芽を出せなかった…アイドルにはなれなかった…」

春香「それを『矢』の力で! 私は変わった、トップアイドルになった!」

春香「だからみんなにも同じ力を与えた! そしてこれからも! それの何が悪い!? 何が間違っているっていうの!?」

ハァ

伊織「アンタ、本当に何もわかってないのね」

春香「何…?」

伊織「何が間違ってる、ですって? そんなちっぽけで薄汚い『矢』なんかを拠り所にしてるのがそもそも間違ってんのよ」

春香「く…」

伊織「私達はそんなものよりももっと強く、固い! そんな力で戦っている!」

春香「私の『矢』で得た『スタンド』で戦ってるくせに…」

伊織「うぐっ…! それは…」

春香「伊織だ…」

伊織「は…?」

ゴゴゴ

春香「伊織さえ、倒れれば…『ジ・アイドルマスター』に勝てるスタンドはない…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

真「お、おい…なんか雰囲気がヤバくないか…?」

春香「伊織さえ倒せば…私の『矢』は無敵なんだ…!!」

ゴオッ

伊織「え?」

あずさ「!」バッ

伊織「あず…」

あずさ「『ミスメイ…」

春香「無駄ァッ!!」ヒュゴッ

ギャァァァァン

ドサッ

あずさ「………」ピク…

真「あ…あずささん…!?」

やよい「そんな…」

伊織(あずさ、私をかばって…?)

春香「伊織ィィ…」

ゴゴゴゴ

伊織「…!」ブルッ

伊織「も、もうこの際どうでもいいわ! 盾になりなさい『ファースト・ステージ』!」

FS「心得…」

ガシィ!!

FS「タ…」

春香「邪魔だから…こっちから先に片付けておくよ…」

FS(頭ヲ捕マレタ…)

FS(コレハ…マズイナ)

春香「消えなさい『ファースト・ステージ』」グググ…

FS「ガァァァ…ォォォ…」ギリギリギリ

伊織(あら? 春香の頭…)

チ…

伊織(何かついてる…?)

伊織(いや、それよりも5mは離れてるのに…怒りで、『ジ・アイドルマスター』の射程距離が伸びた…?)

真「伊織ィィィッ! 早く逃げろッ!!」

伊織「ッ!」ダッ

伊織(なんか知らないけど空いてる穴…ここから飛び降りる!)

春香「逃がさない…伊織だけは…」ポイッ

FS「ウグ…」

春香「あれ、消えてない…もうちょっと痛めつけなきゃ駄目だったか」

真「くそっ…春香を止めるぞやよい!」

やよい「はいっ! 『ゲンキトリッパー』!!」

ピタァ

春香「邪魔しないでよ、やよいィッ!!」ゴバァ

真「オラァッ!!」ヒュッ

キィィン!!

春香「チッ…」ビリビリ

やよい「真さん!」

真「大丈夫だ! やよい、ボクの後ろから離れないで!」

ピョン

ボフッ

伊織(やよいと真が足止めしてるけど…大丈夫かしら)

伊織(それにしても春香の奴、相当プッツン来てるわね…どうする…?)

真美「いおりん!」

伊織「あら、真美。アンタまだここにいたの?」

真美「ひびきんとお姫ちんをりっちゃんの車に送らないといけなかったからね」

伊織「そう…」

真美「いおりんも逃げようよ! 上から聞こえてきたよ、はるるんが追いかけてくるんでしょ?」

伊織「逃げ…られるの?」

真美「それは…」

伊織「そもそも、やよいと真…そしてあずさも残っている。見捨てて逃げるなんて…出来ないわ」

真美「…だけど、今のはるるん相手じゃどうしようも…」

伊織(………)

伊織「真美。ちょっといい?」

真美「ほぇ?」

………

真「どうした春香? 伊織を追いかけて捕まえるんじゃなかったのか?」

春香「こんなところで…いつまでも遊んではいられない」スッ

真(来るか…!)バッ

春香「『ジ・アイドルマスター』ッ!!」ヒュッ

真「え?」

ゴガン グガン!

やよい「はわっ!?」

真「地面を…殴って砕いた!?」

ヒュゥゥゥゥゥ

ドス

春香「これで、『ゲンキトリッパー』から逃れられた」

春香「破片が足にくっついて歩きにくいけど…」

春香「さて、伊織は…」

・ ・ ・ ・

キュル

キュル キュル キュル

春香「これは…律子さんの『ロット・ア・ロット』! 一階の部屋中に大量に配置して…」

春香「…でも、それが何?」スッ

パチン

キュル キュル

春香(『映像』と『音』…二つを遮断すればいくらあっても無意味)

春香(まぁ、触ったら気づかれるかもしれない。少しは足止めにはなるけど)

春香「伊織はどこにいる…?」キョロキョロ

春香「ん!?」

春香(どこか外へでも逃げて行ったと思ったら…)

モクモクモクモク

春香(部屋の隅に、『煙』が集まっている…)

春香「そこか、伊織…!!」ダッ

ドォ



……

………

春香「はっ!?」

春香「え!? あ、え…何!?」

あずさ「『ミスメイ…」グン

春香「!」

スッ

・ ・ ・

春香「ここか…」

ヒュオッ

ドサッ

あずさ「………」ピク…

春香「あずささん…『ミスメイカー』を私の頭にかすらせていたんだ…」ギリッ

春香「それでカウントが『ゼロ』になって、私の意識が落ちて…『ジ・アイドルマスター』が発動した」

真「あ…あずささん…!?」

やよい「そんな…」

春香「あと一歩のところで…」

伊織「春香…」

春香「とうとう会えたね、伊織」

伊織「なんかヤバい雰囲気…」

ダッ

春香「今度こそ逃がさない…と言いたいけど…」

FS「心得…」

春香「伊織がどこに行くのかはもうわかってる。まずはこっちを確実に仕留めておかないと」

FS「タ…」

春香「さっきみたいに、伊織の攻撃をかばわれるかもしれない。不安要素は消しておかないとね」

グシャ

FS「ウブッ!?」

春香「消えるまで踏んであげるよ」ギリギリギリ

FS「グ…コノ…」

スゥ…

春香「これでよし」

真「どうした春香? 伊織を追いかけて捕まえるんじゃなかったのか?」

春香「この世界では…私にはこれから何が起こるのか、誰がどう動くのか全てわかる」ヒョイ

スタッ

春香「こうして下に降りて…」

キュル

キュル キュル キュル

春香「…これは少し厄介かな。『ジ・アイドルマスター』で触れるとこの世界に入ってくるから」

春香「まぁ…入って来ても、大したことはできないだろうけど」

モクモクモク

伊織「げっ、春香…」

春香「伊織…なに、それ? 自分の体を『スモーキー・スリル』で覆ったりして…」

春香「そんなので隠れてるつもり? 逆に目立ってるよ」

春香「それとも、そんなので私の攻撃を防げるとでも思ってる?」

伊織「………」

春香「『過去』の世界に入って来ても…やっぱり、変わらないね。伊織はここに行き着く」

春香「なんでここなの? こんな部屋の隅っこ…自分から追いつめられてるようなものじゃない」

伊織「………」

春香「答える気はないか…ま、いいよ。『ファースト・ステージ』も潰した、何を企んでるのか知らないけど、こうなったら伊織にはもうどうしようもない」

春香「『ジ・アイドルマスター』…やはりこの能力は『完璧』」

春香「そう…伊織さえ…『スモーキー・スリル』さえいなければ…」

伊織「………」

モクモクモク

春香「この距離なら避けられない! 死ねッ、伊織ッ!!」ズォッ

ガキィィン

・ ・ ・ ・

春香「え」

春香(…これは…)

春香(この手応えは…)

?「やっぱり…」

春香「!?」クルッ

春香(この『声』…そんな、どうして…どうして『上』の方から…!?)

?「アンタは追いつめられたらきっと私を狙ってくると思ってたわ…」ス…

ズズ…

ドドドドドドドドド

伊織「この、伊織ちゃんをね」

春香「い…伊織…ッ!?」

ドドドドドドドドドドド

春香「な…なんで伊織がそんなところにいるの…!?」

ズ…

春香(いや…それよりも…伊織が上の階にいるってことは…)

春香(私の目の前にいるのは…)

ズズズ…

春香(私が触れたのは…!!)

真「………」

春香「ま、真…」

春香「なんで真が…ハッ!?」

春香(いや、真だけじゃない…『煙』の中にもう一人、誰かいる…!?)

真美「………」

春香「真美…!!」

春香(『スモーキー・スリル』で姿を隠して、『スタートスター』で伊織と真の位置を入れ替えていた…!?)

スタッ

伊織「こんな単純な手、正直不安しかなかったけど…アンタなら引っかかってくれると思ったわ、春香」

春香「ぐ…っ…!」

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ

真「これで…」

春香「あ…」

真「『ジ・アイドルマスター』はボクに触れた。こうして動けるってわけだ」

ゴゴゴゴゴ

春香(逃げ…)

グイッ

春香「おっ!?」ビタッ

真「っと…」

春香「腕が…鎧に『くっついて』離れない…!?」

ピョコ ピョコッ

・ ・ ・ ・

ウー ウッウー

春香(ゲ…『ゲンキトリッパー』…)

やよい「捕まえました!」タタタッ

春香「や…やよいまで…」

やよい「真さんのすとら…すとれぅ…」

伊織「『ストレイング・マインド』に『ゲンキトリッパー』の一部をくっつけておいたわ。一応、私の体にもくっつけてあるけど」

ウッウー ウゥー

春香(腕から『アイドルマスター』の体に這い昇ってくる…!)

ピタ…

春香「あ、足も…『くっつい』て…」

伊織「確かに…私の『スモーキー・スリル』じゃあ…悔しいけど、アンタの『ジ・アイドルマスター』には勝てない」

真「ボクだけじゃあ、『ストレイング・マインド』では春香と戦うことすらできない。例えこの世界に踏み入れたとしても、取り逃がしてしまう」

やよい「私が『ゲンキトリッパー』で捕まえても…何も出来ないかもです」

伊織「だけど、私一人じゃあ敵わなくても…二人なら」

ドドド

真「二人でも駄目だとしても…」

ドドドドド

やよい「三人なら!」

春香「あ…ああ…」

伊織「みんなとなら、勝てる」

真「さぁ、覚悟しろ春香。キミを倒す」

春香「倒す…? ありえないよ、『ジ・アイドルマスター』は無敵なんだ、倒すだなんてできるわけがないんだ…」

伊織「確かにアンタの『ジ・アイドルマスター』は無敵かもしれないわ…事務所の中では最強、誰も敵わないでしょうね」

伊織「けどね、それでも…私達は勝てる」

伊織「どんなに無敵の『スタンド』だって! 真の『団結』の前には! 無意味なのよッ!!」ドッヤァァァァ

春香(まだ…まだ終わってない、私はまだ負けてはいない!)

春香(逃げられないのなら、目の前の真をどうにかすれば…!)

春香「『ジ・アイドルマスター』!」グワッ

真「!」

春香「無駄ァッ!」

ガキィ!!

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

ビキ! ピシッ

パリィィィン

春香(モロに入った! これで、倒れ…!!)

ガシャ ガシャン

真「………」ブシュッ

ドドド ドド

・ ・ ・ ・

春香(倒れ…)

真「『ストレイング・マインド…」ギギギギ

春香「う…」

ドドド

真「『チアリングレター』!!」ギッ

春香「うあ…」

春香(倒れ…ない)

真「終わりだ、春香」

春香「うおおおおおおおお」

真「オラァッ!!」ギュァァァアアア

春香「ああああああああああああああああ!!」

パッキィィ!!

本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
本当はもうちょっと響と貴音に見せ場あるはずだったけど諸事情でカットされました。ごめんなさい
来週月曜に行けるかどうかわからんですけどとりあえず月曜で

社長→プロローグでお亡くなりに
P→千早「見えるか?この腕が」→見えませんでした
小鳥→「生皮剥いでやるッ!」

大人組ェ

結構重要なことですが、やよいの「ゲンキトリッパー」は小さく分ければ分けるほど精密動作性が上がるという設定をどこかで出すつもりでしたが忘れてましたてへぺろ

完結は無理だったよ…
残りの半分くらい終わったのでもう投下します。

春香「はっ…?」

真「………」

シュゥゥゥゥ…

春香「は…外した…?」

伊織「真…!!」

春香「あ…あはは! そうだよ…真が私に直接攻撃できるわけが…」

ビキ…

春香「え…」

ピキピキピキ

春香「あ、あれ…?」

伊織「『ジ・アイドルマスター』の左手が…」

パリン

春香「は…」

春香「あああああああああ!?」

カラン

伊織「真! 『矢』のついてる部分だけ叩き落としても意味はないわ!」

真「わかってる」

春香「な、なんてことを…これじゃ私の腕も…」

春香「…ありゃ?」プラプラ

やよい「春香さんの左手、割れてないかも」

真「ボクが春香の頭を砕いた時、『ジ・アイドルマスター』は無事だった」

真「だったら、逆でもそうだってことだ」

春香「は…」

伊織「よし、真! 『ジ・アイドルマスター』を…」

真「…ああ」

ギリッ

真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」ギ ギ ギ ギ

春香「う…」

やよい「あっ、真さん! まだ来ます!」

春香「うおおおお…!!」

グオン!!

真「オラァッ!!」ビジュッ

春香「くおっ…」

ピキィィィン

パラパラ

春香「つ、強…すぎる…」

伊織「行け…」

やよい「真さん!!」

伊織「行け、真ッ!!」

春香「やめ…」

真「オラァッ!!」

ダバァ!!

ヂヂヂヂ

バキィ!!

春香「あ…」

バリバリバリ

春香「『ジ・アイドルマスター』…が」

真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」

バキャッ! ドギャァ!!

ガシャ ガシャ

春香「あああああああああああああああああああ」

真「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

ド ド ド ド ド ド ド ド ド

春香「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

真「オラァーッオラオラオラオラオラオラ」

バキ ベキ ボキ メキ ガシャ グシャ グギャ ベギャ

春香「あああああああああああああああああああ」

メキョ

真「オラァッ!!」

ズッギャァァーン

春香「あああああああああああああああああああああああッ!!!!」

ドッパァーッ!!

春香「あ…ああ…あああああ…」

春香「私の…『ジ・アイドルマスター』が…私の、『矢』が…!!」

パラ パラパラ

ガシャン!!

伊織「終わった…わね」

真「そうだね」

やよい「春香さん…」

ドォ



……

………

春香「んっ!!」

キュルキュル

春香「へっ!?」

モクモクモク

春香「こ、これは…? 『戻って』いる!?」

春香「そ、そっか…『ジ・アイドルマスター』が粉々にされたから戻ったのか…」

春香「『過去の世界』では自分からは能力を使えなかったけど、『自動発動』なら別ってこと…?」

伊織「やっぱり…」

春香「! 伊織のこの台詞は…」

伊織「アンタは追いつめられたらきっと私を狙ってくると思ってたわ…」ス…

ズズ…

伊織「この、伊織ちゃんをね」

春香「『この世界』では、私は真に触れていない…いや、伊織にもやよいにも…」

春香「ふ…」

春香「ふふ、ふ…」

春香「あはははははははははは」

春香「やっぱり、『ジ・アイドルマスター』は無敵だ! 誰にも倒せはしない!」

スゥ…

春香「もう、何かに怯える必要なんてない! 私が正真正銘の『頂点』なんだ!!」

真「さぁ、覚悟しろ春香。キミを倒す」

春香「真は待っていれば自分からガードを開ける! モグラ叩きのように、じっくりと待ってそこを叩けばいい!」

真「『ストレイング・マインド・チアリングレター』!!」ギッ

春香「ここだッ! 『ジ・アイドル…」

ピシ!

・ ・ ・ ・

春香「え?」

メキ

メキ メキ メキ

春香「『ジ・アイドルマスター』にヒビが…?」

真「オラァッ!!」ギュァァァアアア

スカッ

春香「こ、攻撃は受けてないはずなのに…まさか…」

パリパリパリパリ

春香「ダメージは…治っていないの!?」

ガシャァァン

ドォ



……

………

春香「はっ!?」

千早「わからないでしょうね。今の貴女には」

春香「ち…千早ちゃん…!? ここは…」

千早「やはり、わかってないわね。私は…強くなんてないわ」

春香「私は事務所にいるの!? また『戻って』いる…!?」

ピシッ!

春香「は…」

ピシピシピシピシ

春香「こ、これは…『ジ・アイドルマスター』が勝手に壊れていく…」

ドォ



……

………

春香「!」

律子『え!? 貴音を追いつめろって…ちょっと、はる…』

ブツッ!

電話『つー、つー、つー』

パリン

春香「うお…」

ガシャァァン

ドォ



……

………

伊織「嫌よ」

春香「はぁ、はぁ…」

伊織「私の体…ボロボロよね」

春香「い、伊織…」

伊織「あんたがやったのよ」

伊織「相手を思いやれないヤツに、本当の『仲間』なんてできるわけがない」

春香「う…」

伊織「以前のあんたはそれができる奴だった…でも今のあんたは違う! 相手を恐怖で『支配』して、それが『仲間』であると思い込んでいるだけよッ!!」

伊織「アイドルとして…人として、あんたの仲間になんて絶対にならないわ…!」

春香「うわあああああああ!!」

パキッ!

ドォ



……

………

パリン

ピキピキピキ

春香(私は…どこまで『戻る』の…?)

春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」

春香(私が喋っている…)

春香「これ、プロデューサーさんの?」

春香(だんだんと、過去の私と現在の私の精神が解離していく…)

P「いや、社長の私物だよ。社長室に飾っておくんだとさ」

春香(意識だけが、どんどん『過去』へ…)

……

………

千早『inferno』

春香「あ、千早ちゃんがテレビに出てる」

順二朗「おっと、録画録画…」バタバタ

小鳥「社長、録画ならしてありますから落ち着いて見てください」

千早『全て燃える愛になれ 赤裸に今焦がして』

春香「………」

真「どうしたの、春香?」

春香「ううん、なんでもない。私も、頑張らないと!」

…………

……………

順一朗「合格は2番の君!」

真「くぁーっ…やっぱダメかー…」

雪歩「へっ!? わ、私が合格…? あの…」

春香「あ…」

順一朗「うーむ、いや、しかし…1番の娘も元気があったし、3番の娘も一生懸命さが…」

順一朗「そもそもオーディション開いたのに3人しか来ないし…しかもそのうち1人は飛び入り参加…」

律子「社長?」

順一朗「ええい、君達全員合格だ!」バンッ!

春香「ええーっ!?」

……………………

…………………………

春香(どこまで遡っていくんだろう…)

春香(私が生まれる前まで…? それとも、もっと前に…)

春香(戻りきったら、私は…どうなる?)

~♪

春香「…?」

春香(なにか、聞こえる)

「~♪」

春香(公園の滑り台の上で、女の子が一人で歌っている)

「~♪ ~~♪」

春香「………」

春香(なんだろう…目が離せない)

春香「………」

「おねえちゃん!」

春香「………」

「ねぇ、おねえちゃんってば!」

春香「え? …私?」

春香(歌ってた女の子だ。ぼーっとしてたら、いつの間にか終わってたみたい)

「おねえちゃん、どうしたの? おなかいたいの?」

春香「ううん、別に痛くないけど…あれ?」

「そっか、よかった!」

春香(まぁ、いいか…なんでも)

春香「歌、上手だね」

「ありがとう! おねえちゃん、きいてくれてたんだ!」

「だれもきいてくれてないかとおもってたのに」

春香「?」

「わたし、いつもここでうたのおねえさんやともだちとうたってるんだけど…」

「きょう…ともだちとケンカしちゃって」

「うたのおねえさんといっしょにうたおうかとおもったけど、おねえさんもいないからひとりでうたってたの」

春香「そう…なんだ」

「おねえちゃんは?」

春香「私も…かな。友達とケンカしたの」

「そうなんだ。いっしょだね」

春香「うん。一緒…」

春香「…ねぇ、歌が好きなの?」

「うん! わたし、うたうのだいすき!」

春香「だれも聞いてくれなくても?」

「へ?」

春香「自分一人だけで歌ってても、虚しいだけじゃなんじゃないかな…」

「よく、わかんないけど…だいじょうぶだよ」

春香「なんでそんなことが言えるの?」

「だって、いまだっておねえちゃんがきいててくれたじゃない!」

春香「私が…?」

「だから、だいじょうぶだよ!」

春香「………」

春香「ねぇ、なんで歌が好きなの?」

「えっと、みんなによろこんでほしいから…」

春香「それだけ?」

「ううん、それより…わたしのうたでみんながわらってくれると、うれしいから!」

春香(………あ)

カラン

春香「…………『矢』が」

……………………………………………………………

……………………………………………………………

………………………………………………………

………………………………………………………

…………………………………………………

……………………………………………

………………………………………

…………………………………

……………………………

………………………

…………………

……………

………

春香「はっ」

キョロキョロ

真「春香にダメージがない…?」

伊織「まさか、失敗…?」

春香「戻っ…てきた…」

………

やよい「あっ、春香さんのスタンドが戻ってます!」

春香「『アイ・ウォント』…『ジ・アイドルマスター』じゃあない」

キョロキョロ

春香「『矢』もない…あそこに置いてきた…?」

伊織「『矢』が消滅した…?」

真「よし、やった!」

トタタタ

亜美「真美!」

あずさ「あ、亜美ちゃん…ちょっと待って…」

亜美「あっ! はるるんのスタンドが『アイ・ウォント』に戻ってる!」

あずさ「やったのね、みんな…」

真美「うん。真美達、はるるんに勝ったんだ」

春香(嬉しかった…)

春香(私はアイドルになりたかった。けど、私はどこまで行っても平凡で…)

春香(皆にも喜んでもらえると思ってた、歌だって…)

春香(トップアイドルとして舞台に立つ千早ちゃんの歌を聴いた時…)

春香(わかっちゃったんだ。私は本物にはなれないんだって)

春香(けど、『弓と矢』に出会って…変わった。そして思ったんだ)

春香(私には、才能があるんだって)

春香(私は…小さい頃から憧れていたアイドルに…ちゃんと、なれるんだって)グッ

春香「『アイ・ウォント』…」ドォン!!

真美「へ?」

真「おいおい…」

春香「まだ終わりじゃない。まだ、終わりたくない…!」

やよい「春香さん、こーさん…してください。誰も、春香さんにケガとかさせたいって思ってないです」

春香「降参なんてしないよ。この『アイ・ウォント』がある限り…」

伊織「…いいわ、この際はっきりと白黒つけましょう…春香ッ!」

春香「この『スタンド』がある限り、私は!」

伊織「『スモーキー・スリル』!!」

春香「私に力を貸して、『アイ・ウォント』!!」

シィン…

・ ・ ・

春香「え? ア…『アイ・ウォント』?」

………

春香「う、動いてよ…なんで、動かないの…?」

スゥ…

春香「あ…」

真「『アイ・ウォント』が…消えた…?」

ツカツカツカ

あずさ「伊織ちゃん…?」

伊織「『スタンド』が使えない? こうなったらアンタもただの人ね…春香」

春香「う…! ま、待って…」

伊織「『降参なんてしない』…アンタが言ったのよッ! 誰が待つかッ!」

伊織「春香ッ…」

ドドドド ドド

春香(もう駄目だ…)

春香(『スタンド』がなくなってしまった…もう、私には『才能』なんて残っていない)

春香(もう誰も、私のことを見てくれない。誰も私のことを認めてくれないんだ)

伊織「春香ァァァァッ!!」

春香「………いいよ…」

春香「もう、どうでも…全部失ってしまった」

春香「好きにすればいいじゃない! 『スタンド』も『矢』もない私なんて…」

伊織「いい加減…」モクモクモク

スゥ…

伊織「目を覚ませッ!!」ドォッ

ガン!!

春香「うがっ…!!」

やよい「はわっ、頭ぶつけちゃった…」

あずさ「あら…」

真美「なんでいおりん、『スモーキー・スリル』で叩かなかったの?」

亜美「だって、『煙』だからそのままじゃ殴れないじゃん」

真「いや…」

バタバタバタ

響「これは…」

貴音「どうやら…決着がついたようですね」

雪歩「四条さん…響ちゃん…まだそんな動いちゃ…」

律子「…伊織?」

伊織「春香、アンタいつか言ってたわね! 私が怯えてると! ビクビクしてると!」ビリビリ

伊織「ええ、確かにアンタの言う通りよ! いつファンのみんなに見放されやしないかと、いっつも不安になるわ! でもね!」

伊織「こんな、『スタンド』なんてなくたってね…」

伊織「『自信』なんてちゃんと持ってるわよ…!! この伊織ちゃんはッ!」

伊織「アンタのは『自信』なんかじゃない! 自分の『不安』を全部、『スタンド』に押し付けて目を逸らしていただけよッ!」

春香「……………」

遅くなりましたが…始めます。

伊織「そもそも…最初から疑問だったんだけど」

伊織「春香。アンタ、自分が成功したのは『スタンド』のお陰だと…本当に、そう思ってる?」

春香「だって、今までずっと芽が出なかったのに、『スタンド』を身につけたら急に上手くいくようになったんだもん」

春香「そりゃ…『スタンド』以外に考えられないでしょう。みんなだって…」

伊織「はぁ…どう思う? 雪歩」

雪歩「春香ちゃん、それは違うと思うよ…?」

春香「何が? 雪歩だって、『スタンド使い』になってから仕事を取れるようになったじゃない」

雪歩「だって私、『スタンド』のことなんて全然知らなかったから」

春香「あ」

やよい「私、春香さんがすごくがんばってたから、私もがんばらなきゃって…」

真美「いつまでも亜美に置いてかれるわけにはいかなかったからね」

春香「え」

響「自分は最初から、すぐに舞台に立てるって思ってたぞ!」

貴音「社長がいなくなり、事務所があのようなことになってしまい…私達でなんとかしなければ、という気持はありました」

春香「嘘だ…」

あずさ「春香ちゃん?」

春香「嘘だよ…」

伊織「まだ強情張るつもり?」

春香「だって、だったら…私が今までやってきたことは…」

美希「間違いだよ。最初からそう言ってる」

伊織「って、美希?」

千早「私もいるわ」

伊織「アンタ達、いつの間に…」

千早「徒歩で来た。どうやら、既に終わっていたようね」

やよい「ち、千早さん、その腕…! すぐ『くっつけ』ます!」

千早「ええ…ありがとう、高槻さん」

伊織「アンタ…その腕でここまで歩いてきたの…?」

千早「ええ、こんな状態でタクシーを使うわけにもいかないでしょう」

伊織「そういうことじゃないんだけど…」

美希「ねぇ春香。春香はさ、テレビにも出てるし、歌も歌ってるよね? みんな、春香のコト知ってるよね?」

春香「うん…」

美希「それが、全部スタンドのおかげでした? 私は本当は何もできない人間なんです? なにそれ」

春香「だって…」

美希「春香が言ってるコトは、春香のコトが好きで応援してくれてるファンのみんなを裏切ってるの。わかる?」

春香「それは…」

真「ボク達は、ずっと頑張ってきたじゃないか。レッスンだって真面目に受けてきたし、オーディションにはいつも気合いを入れて臨んでいった」

真「それが全部『スタンド』のお陰だって? 自分の努力を、そんなもので汚されたくないよ」

千早「春香。貴女がトップアイドルに上り詰めたのは『スタンド使い』になったからじゃあない」

千早「貴女の日々の積み重ねが、貴女の頑張りが実を結んだ…ただ、それだけのことなのよ」

律子「偽りでも、自信が出た…ってのは理由のうちだと思うけど。それだけで自分の番組貰えるほど甘い世界じゃないわね」

春香「みんなを『スタンド使い』にしたのは…」

春香「それがアイドルとしての『才能』を証明できるものだと思ったから。けど、そうでないなら…」

伊織「ま、全部が全部間違いってわけじゃあないわよ。ねぇ真?」

真「え? ボクに振らないでくれよ」

亜美「亜美は『スタートスター』大好きだよ!」

真美「うんうん、面白いしね!」

律子「そうね。私だって『ロット・ア・ロット』でこいつらを監視できるようになったわけだし」

亜美真美「「うげ…」」

伊織「中には雪歩の『ファースト・ステージ』のようにはた迷惑な奴もいるけど」

雪歩「あぅ…」

FS(失礼ナ…)

あずさ「『スタンド使い』になることが幸か不幸か、それはわからないけど」

あずさ「今回の事件に限って言えば…よかったのかも、ね。私達が、『スタンド使い』になって」

貴音「春香が私達を『スタンド使い』にしなければ…春香が一人だけ『スタンド』を独占していたなら…」

伊織「きっと、誰もアンタを止めることはできなかったでしょうね」

千早「………」

春香「ねぇ、みんな…私は『スタンド』でみんなを…」

真「………」チラ

伊織「………」チラッ

真「ああーっ! そうだったね、酷い目に遭わされたよね!!」

伊織「そうね! とても許せることじゃないわ!」

春香「うっ…」

律子「さ! 終わったんだし、みんなで帰りましょう」クルッ

ゾロゾロ

春香「あ…」

美希「何やってんの? 春香」

春香「え?」

亜美「ほらほら! はるるんも一緒に帰ろうよ!」

春香「え? え?」

真美「もう、はるるんが笑ってないとみんな暗くなっちゃうじゃーん」

春香「許して…くれるの? こんなことした私を」

やよい「許すとか許さないとか、そういう話じゃないかなって」

伊織「私達は…仲間でしょうが」ドン!!

春香「仲間」

あずさ「『スタンド』なんてなくても、私たちはずっと…でしょう?」

響「春香は自分のライバルだ! 今はまだまだだけど、すぐ追いつくからな!」

響「だから、しょぼくれて自滅なんてしないでくれよ!」

春香「響ちゃん…」

真「みんないるから頑張れるんだ、ボク達…765プロは」

春香「765プロ…みんな…」

貴音「そう。私達は皆で競い合い…支えあってやってきたのではありませんか」

雪歩「春香ちゃんも、その一人だよ」

春香「私も…」

千早「春香、手を」スッ

春香「…あ」ス…

キュッ

春香「ご…」トサッ

春香「…ごめんなさい、みんな…」

春香「………ただいま…みんな…」

千早「おかえりなさい、春香」

律子「一件落着…ってとこかしら」

あずさ「そうですね。これで…やっと、全部終わった」

雪歩「………はい、そうですね。よかったです」

美希「春香は、世話が焼けるの」

伊織「まったくね。やれやれ…」フラ…

伊織「だわ…」

パタン

真「伊織!?」

やよい「伊織ちゃん!?」

真美「いおりーん!!」

伊織「静かにして、疲れた…」

To Be Continued→

小鳥「千早ちゃん! 美希ちゃん!」

美希(ああ…すっかり忘れてたの…)

千早(事務所に帰ってくるなり、これ…)

P「春香! どうしたんだ、急にいなくなったりして!」

春香「プ、プロデューサーさん…戻ってきてたんですね」

P「あれ…? なんだ、みんな一緒だったのか…?」

小鳥「もしかして、私達に秘密で集まってたの…!? ショック…!」

律子「はは…まぁ、当たらずも遠からずですかね…」

小鳥「あっ、そんなことより! 千早ちゃん、美希ちゃん!」

千早「はい。なんでしょうか」

小鳥「なんでしょうかって…どうして、あんなケガを…」

千早「ケガ? なんのことですか?」

美希「小鳥、ワケわかんないの」

P「…二人とも、ケガなんてしてないみたいだな」

小鳥「あれ? え? でも…」

小鳥「お、おかしいわね…確かにひどいケガを負っている二人を見たような…」

伊織「夢でも見てたんじゃないの?」

やよい「えへへ…そーだね!」

P「いやいや、ちょっと待った!」

春香「プロデューサーさん?」

P「待合室のあの状態! テレビも壊れてたし…あれって、小鳥さんの言っていたことと何か関係があるんじゃないのか!?」

春香「あっ…」

貴音「それは、大変ですね…我々はずっと一緒に別の場所にいたので、初耳です」

P「へ?」

真「あ、うん。そうなんですよ。ボク達、真美達の秘密基地に集まってたんです。ねぇ、真美?」

P「ひ、秘密基地…?」

真美「そーそー、近くのちょっとしたとこに…ね、亜美?」

亜美「うんうん、そこでジュース飲んだり、お菓子食べたり。ね、ゆきぴょん?」

雪歩「う、うん。そうですぅ。私達、ずっと一緒にいました」

P「あ、あのー…あずささん…何かあったんですか?」

あずさ「あらあら、プロデューサーさんったらそんなこと聞いちゃいます?」

P「え!? 俺、何か変なこと聞きました!?」

小鳥「みんな、何か隠してない…?」

春香「え、えーと…その…」

千早「なんでもないんです」

小鳥「へ?」

P「ち、千早?」

響「そうだな。なんでもないぞ」

美希「なんでもないの」

P「り、律子…?」クルッ

律子「はい、そう! なんでもないんです!」

P「お、おう…?」

小鳥「り、律子さんがそう言うなら…」

春香(こうして…)

春香(『弓と矢』と765プロをめぐる事件は、幕を閉じました)

春香(私、天海春香は…なんと言うか、戻ってきました。『弓と矢』と出会う前まで…色々な意味で…)

春香「乙女よー大志をいだっけー♪」

「なぁ、最近の天海春香…なんか、前と違くね?」

「あの冷たい感じがよかったんだよなー。ああ、春香様カムバーック…」

春香(人気は、若干落ちました。番組の視聴率も…)

春香(うーん、やっぱり『スタンド』は何か関係あったんじゃ…?)

春香(なんて、ね)

春香「乙女よー大志をいだっけー♪」

「春香ー! こっち向いてくれー!!」

「こっちの春香ちゃんも年頃の女の子って感じでいいよな!」

春香(それでも。私に会いにきてくれるファンの人達はたくさんいてくれました)

春香(そんな人達のために、私は今日も歌います。みんなに喜んでほしいから)

春香(そして私も、みんなと一緒に…喜びたいから)

春香「立ーちー上がれ、女諸君♪ ハイ!!」

春香『もうすぐ仲間と君にー♪ 会えー♪ るよー♪』

ワァァァァ…

伊織「春香の単独ライブ、盛り上がってるわね。生放送の熱気がこっちまで伝わってくるわ」

千早「最近の春香、前よりも活き活きしてるように見えるわ」

千早「不安から解放されたような…そんな感じ」

伊織「結局の所…春香は『スタンド使い』になってからも、ずっと不安だったのね。自分が必要とされてないんじゃないかって」

伊織「だからみんなを同じ『仲間』にしようとした。みんなを『スタンド使い』にして…そうすることで、不安から逃れようとした」

ヒュン

真美「んっふっふ~、やったぜ…盗ってきてやったぜ、りっちゃんのメガネ!」

亜美「でかした、真美二等兵!」

キュルキュル

亜美「って、これ…見られてるじゃん!!」

バタン!!

律子「亜美! 真美! まーたあんた達はイタズラばっかして!」

真美「ゲッ…! もう来た!」

亜美「逃げろッ!」

ヒュン

律子「ふふふ…眼鏡がなくたって、私から逃げられるわけがないでしょう…?」カタカタカタカタ

スタスタスタ…

伊織「そういや春香のヤツ、あれ以来、『アイ・ウォント』を出せなくなったみたいね。『スタンド』は見えるらしいけど」

千早「水瀬さん、春香の『アイ・ウォント』は勝手に消えてしまったのよね?」

伊織「ええ。この伊織ちゃんに恐れをなして消えたのね、きっと」

千早「私、『アイ・ウォント』は…春香の戦いを止めるために、自らいなくなったんじゃないかと思うの」

千早「春香も、心のどこかでわかっていたんじゃないかしら。あれ以上戦う意味なんてないって」

伊織「そうかしら? それはちょっと都合よく考えすぎなんじゃあないの?」

春香『いーつーもーありがとう♪ 頑張ーってー♪ 胸がー♪ 詰まって言えーないー♪』

伊織「でも、ま…そうかもね」

春香「何故かな、あなたをー♪ 想うと満ーたーされるからー♪ 頑張ろう、今をー♪」

春香「………」

シン…

パチパチパチパチパチパチパチパチ…

春香「みなさーん! そろそろ、終わりの時間が近付いてきました!」

エェー…

春香「最後の曲に移るその前に、ちょっと話したいことがあります」

ザワ…

春香「すぅーっ…」

春香「はぁーっ…」

春香「私、結構前から友達とケンカしていました」

ムゥン…?

春香「あっ、それはもう仲直りしたんですけど…」

春香「私は友達に酷いことをしたのに、友達は、私のことを思って色々なことをしてくれていたんです」

春香「それに気づいた時にはなんだか自分が恥ずかしくなったけど…」

春香「それよりも、その…嬉しかったんです! みんなが、私のために何かをしてくれていたのが…」

春香(このライブのように、私のアイドル人生にもいつかは終わりが来る)

春香「その時、気づいたんです。私は、色んな人に支えられて、ここにいるんだって」

春香「事務所の仲間達、プロデューサーさん、歌や衣装を作ってくれる人達、会場設営をしてくれる皆さん、そして、ファンのみんな!」

春香(いつまで、こうしていられるのかはわからないけど…)

春香「いっぱい、ドジしたり間違ったりするかもしれませんけど…」

春香「それでも、みんなが応援してくれるから、私は頑張れるんです!」

春香「これからもずっとずっと、天海春香を見ていてください!」

オォォォォォ!

春香(でも、大丈夫。もう、道を見失ったりはしない。だって私は…)

春香「さぁ、最後の曲はもちろんこれ! 行っくよー!!」

春香「『THE IDOLM@STER』!!」

ワァァァァァァ…

春香(だって私は、765プロの、アイドルだから!)



『弓と矢』第一部

春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」



これで完結です。
ここまで読んでくださったみなさん、支援してくださった方々、ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月17日 (水) 21:39:26   ID: LFrkI1PS

めちゃクソ長いし作者のコメントがうざすぎるけれど面白かったわ

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom