男「人を食べる少女?」祖父「そうじゃ」 (597)

男「爺ちゃん、そんなの居るわけないじゃん」

祖父「いやいや、居たんじゃよ」

男「嘘言うなって」

祖父「嘘か真か、あれは夢だったのか、ワシは若い頃に確かに見たんじゃ。丁度、今日のような夏祭りの日だったかのう」

男「ふーん」

祖父「最初ワシは身売りの少女かと思ってのう、金に困っているなら、少しだけ銭を投げてやろうかと思って
   後をつけたんじゃ。男の手を引いて少女はどこまでもどこまでも行っておった」

祖父「そして、あばら屋の裏まで行った時かのう、少女は大の大人の首をひねり曲げて、ばくばく食べ始めたのじゃ」

男「またまたwwwん?」

少女「おーにさんこちら、手のなるほうへ、新芽のお花、摘んでみてくーださい……」

祖父「どうかしたのか?」

男「いや、そこでお花がどうのと言う着物姿の少女もとい幼女が……」

祖父「ふむ? どこじゃ?」

男「あれ? どこ行ったかな……」

祖父「……その少女は、花がどうしたと言うておったのじゃ?」

男「いや、新芽の花を摘んでみて、とかなんとか」

祖父「……帰るぞい」

男「え? まだ夏祭りの途中じゃん」

祖父「そいつはもしかすると、ワシの見た人食い少女かも知れん……」

男「だからそんな事あるわけwwww」

祖父「少女は着物じゃったのだろう?」

男「え? まぁでも祭りだし着物姿なんて珍しくも」

祖父「夏なんじゃぞ? なぜ浴衣ではないのじゃ?」

男「言われて見ると……までも寒がりとか?」

祖父「祭りは人ごみに紛れるのに苦にならんのじゃ」

男「えーでも花火くらい見ないと」

祖父「花火は二日続けてやるじゃろう。明日の夜にでも来ればええ」

男「はー、しょうがないな……。じゃあ爺ちゃん先帰ってて、俺たこ焼き買ったら帰るよ」

祖父「うむ、早く帰ってくるんじゃぞ」

男(なんてなwwww帰るわけないだろwwwwJkの浴衣姿目に焼きつきてオカズにする予定なんだからwww)

男「さーてと、どの子を目に焼き付けようかなっと」テクテク

少女「おーにさんこちら、」

男「ん? さっきの少女だ」

男「どもwwww」

少女「……おにいさん、新芽のお花、摘んで見たい?」

男「花、花ねぇ、どんな花?」

男(少し相手してやるかwwww)

少女「んーとね、凄く綺麗で、儚くて、一瞬で散ってしまうお花」

男「そいつはスゲェwwww」

少女「うん、きっとね、人生が終わってしまうよ」

男「どんだけスゲェんだよwwww」

少女「どう? 摘んで見たい?」

男「うーん、で、いくらすんの?wwww」

俺「俺そんなに金もってないんだけどもだっけどもwwww」

少女「お金はいらないよ」

俺「マジで?」

少女「うん、お金「は」いらないよ」

俺「うーん、でもタダより高いものはないって言うしなぁ」

少女「大丈夫、高くはないよ。だって、いっぱいあるから」

俺「いっぱい?」

少女「そう、お金の代わりにね、別のものを貰うの」

俺「ほーん」

少女「それはね、大丈夫。そこらへんにいっぱいあるから、今日は特にたくさん」

俺「……ん?」

俺(今日はたくさん?)

何でお前が出てきたんだよwww

>>12
ごめん
変換ミスったは
おで変換したら俺のほうが出てきてた

男「うーん、で、いくらすんの?wwww」

男「俺そんなに金もってないんだけどもだっけどもwwww」

少女「お金はいらないよ」

男「マジで?」

少女「うん、お金「は」いらないよ」

男「うーん、でもタダより高いものはないって言うしなぁ」

少女「大丈夫、高くはないよ。だって、いっぱいあるから」

男「いっぱい?」

少女「そう、お金の代わりにね、別のものを貰うの」

男「ほーん」

少女「それはね、大丈夫。そこらへんにいっぱいあるから、今日は特にたくさん」

男「……ん?」

男(今日はたくさん?)

とりま訂正した

男(爺ちゃんの言ってた言葉、もしかして……)

男「ちなみに、今日その花を買った人居るの?」

少女「いるよ」

男「どんな人だったの?」

少女「うーんとね、凄く太ってた」

少女「はぁ、はぁ、って、凄い息を荒くして、覆いかぶさってきたの」

男「……」

少女「『もういい? もういい? ぼく、限界なんだ、早くお花を散らしたいんだ』って」

男(……花ってまさか、そういう意味なのか?)

男(そういえば、爺ちゃんも身売りの少女かと思ったって言ってたっけ)

俺登場わろた

俺も登場していい?

少女「その人はね、いきなりお洋服の猿股を脱いだの」

男「……」

少女「おっきなおっきな物を取り出して」

男「……いいよ、もう言わなくて」

少女「……おにいさん、優しいのね」

男「……」

少女「でも、私は大丈夫」

少女「綺麗なまま」

少女「太った男の人は、お花を散らす前に居なくなってしまったの」

男「……」

>>23
しょうがないだろ
なぜか予測変換の順番が


から


になってたんだから

俺「新芽のきのこ、摘んでみたい?」

男「どんなきのこ?」

俺「んーとね、短くて、皮を被ってて、一瞬で萎えてしまうきのこ」

少女「おにいさんは、どう?」

男「どうって……」

少女「お花、摘んでみる?」

男「いや、俺は……」

少女「私、可愛くない?」

男「そんな事はないけども……」

少女「それじゃあ、お花、摘んでくださいな」

男「いや、でも」

少女「……おにいさん、本当に良い人ね、どうして私が見えたのかな」

男「どういう意味?」

少女「おにいさんは知らなくてもいい事」

書き溜めてないの?

>>1
俺を登場させてはくれないか?
名前は、アルベルトで頼む
無理ならスルーしてくれ

男「……」

少女「そういえば、前にも同じような人が居たかな」

男「前にも?」

少女「そうなの。私の大事な大事なお花、摘んでしまわれる寸前に」

少女「その人は出てきたの」

少女「おててにお金を持っていたから、きっと恵んでくれようとしていたのかな」

少女「きっと、お花の声かけで心を痛めてくれたの」

少女「でも、もう会えないの」

男「……どうして?」

少女「見られてしまったの」

男「なに、を?」

少女「……それは秘密」

男「……」ゴクリ

少女「……おにいさん、おにいさん、私はね、おにいさんになら、お花をあげてもいいよ」

男「……いや、いいよ……俺は」

少女「おにいさんから、おにいさんの匂いがする」

男「え?」

少女「同じ匂い、柔らかくてまっすぐな匂い」

男「匂い?」

少女「そう、桔梗のような、匂い」

>>1
俺を登場させてはくれないか?
名前は、ルクサスで頼む
無理ならスルーしてくれ

少女「人には、匂いがあるから」

男「……臭いって事?」

少女「いいえ、心にあるの」

少女「さっきの太った男は、栗の花の匂いがした」

少女「鼻をつんざいてしまう」

少女「とても、嫌な匂い」

少女「でも、栗は食べれば美味しいから……」

男(今何か背筋に悪寒が……)

少女「んふふ……」

少女「おにいさん、私の目をようく見てみて」

>>1
俺を登場させてはくれないか?
名前は、ころたんで頼む
無理ならスルーしてくれ

男「目、を?」

少女「そう、ようく見て」

男「綺麗、な、目……」

少女「そうでしょう」

男「赤黒くて、まるで……」

男(なんだか、じっと見ていると、何も考えられなくなって来る……)

少女「どう?」

男「……」

少女「お花、摘みたくなった?」

男「うん……」

少女「それじゃあ、ついて来て」

>>1
俺を登場させてはくれないか?
名前は、おちんぽざむらいでで頼む
無理ならスルーしてくれ

>>1
俺を登場させてはくれないか?
名前は、闇夜の帝王たかしで頼む
無理ならスルーしてくれ

桔梗の花言葉
「変わらぬ愛」「気品」「誠実」「おちんぽざむらい」「従順」

男「うん……」

男(なんだか、ついていかなくちゃ駄目なような気がする)

男(なんだか、目の前の少女をどうにかしたくなってくる)

男(なんだか……)

少女「ふらふらふらふら、あっちこっちに足取りが」

少女「でも大丈夫、私がちゃんとおててを繋いでてあげる」

少女「私は見つけたの」

少女「あの人を」

少女「今度は見られないように」

少女「今度は逃げられないように」

少女「んふふ……」

少女「これはきっと、めぐり合わせ」

少女「また会えるなんて、思いもしなかった」

少女「似た匂い」

男「うん……」

少女「大丈夫、おにいさんはおにいさんの代わりじゃないから」

男「うん……」

少女「ようやく見つけた、私のお花を散らしてくれる人」

男「うん……」


祖父「こりゃ! 何フラフラ歩いとるか!」

男「んん……あっ! じ、爺ちゃん」

祖父「まぁったく、全く帰ってこんから心配して様子を見に来れば、なんじゃそのちどり足は」

男「いや、違うんだよ! 今、少女が……あれ?」

祖父「なんじゃ、幼子が趣味じゃったのか?」

男「ち、違うんだよ、爺ちゃんの言ってた人食い少女、多分、それに会ったんだ……」

祖父「なに!?」

男「なんだか、赤黒いを目を見たら、ぼーっとしてきて」

祖父「……とにかく、食われんで良かったわい。もう帰るぞい」

男「うん、なんか疲れたよ……」


少女「……そうなのね、同じ匂いなのは、同じ血だから」

少女「……きっと、めぐり合わせ。諦めない」


祖父「んん? なんじゃ、誰かに見られているような……」

男「……少女がどこかで俺たちを見ているのかも……」

祖父「そうかも知れんのう……」

祖父「ぐっもーにんじゃ孫よ」

男「あぁ、おはよ爺ちゃん」

祖父「昨日は災難だったのう」

男「まぁね……。今もなんか頭ボーっとしてるよ」

祖父「ワシも人の事は言えんが、お祓いにでも行ったほうがええんじゃなかろうか」

男「……そういえば爺ちゃんは、人食い少女からどうやって逃げたの?」

祖父「ううむ、ワシも詳しくはよう覚えておらんのじゃ。何せもう、60年以上も昔の事じゃからのう」

祖父「ただ、必死だった」

祖父「お前の言うとおりに、赤黒い目をしておった。月に照らされ、不気味に映えておった」

男「結構覚えてるじゃん……」ボソ

祖父「何か言うたか?」

男「いや、何も、それで?」

祖父「うむ、少女の着物が食われた男の血に染まっておってのう」

祖父「ワシは驚いて、一度腰を抜かしたんじゃ。そうしたら、少女は近づいてきおった」

祖父「ワシはもう駄目だと思った。しかし、少女はワシを食わなんだ」

祖父「ただ、優しげな笑みを浮かべたんじゃ」

祖父「確か、その時何か会話をした記憶があるんじゃが……何を話したのか覚えておらん」

祖父「ただ、逃げるためにテキトーな事を言うたような……」

男「テキトーって……」

祖父「それから、ワシは隙を見て走って逃げたんじゃ。去り際にちらりと少女を見たが、
   なんとなく泣いておったような、そうでないような……」

男「なんで大事そうな所だけボケてるんだよ」

祖父「年じゃからのう……」シュン

………
……


男「そんで取り合えず寺まで来たはいいけど、これ効果あんの?」

祖父「あるんじゃよ。多分」

坊主「はい、精神集中、私語は慎みなさい」バシンバシン

男「いたっ」

祖父「ワシまでっ」

坊主「ううむ、しかし驚きましたなぁ。まさか鬼にとりつかれておりますとは」

坊主「今時珍しいですよ、悪い意味で」

男「悪い意味でって……」

祖父「ううむ、人食い少女は人食い鬼じゃったか」

坊主「鬼は元来人を食らうものですからね。しかし、今回の鬼は少々毛色が違うと見えますが」

男「毛色が違う?」

坊主「えぇ、恐らく今回君を連れて行こうとした鬼は、願女鬼の類でしょうな」

男「願女鬼?」

坊主「昔昔、なん百年も前の話ですが、この国の結婚年齢などが低かったというのはご存知で?」

男「え、えぇ、確か12歳とかで結婚したとか」

坊主「数えで、ですから、今にしたら11歳やそこらでしょうな。場合によっては今で言えば
    9歳なんかと言う事もあったことでしょう」

男「は、早いなぁ……」

坊主「それはつまり、男側の女を見る目にも繋がっていたのです」

祖父「結論から言わんかいクソ坊主が」

坊主「……」バシーン

祖父「オウフッ……」

男「続きをどうぞ……」

坊主「宜しい。それはつまりですね、小さな女の子が暴漢に襲われ、強姦や輪姦された
   後に殺される、という事件も多かったということです」

坊主「勿論、遊郭なんかにも、それ専用のものがあった事でしょう」

坊主「小さな女の子と言うのは、かくも無力です。体を売るしか術が無かったのです」

祖父「そういえば昔は男色も流行ったらしいのう」

男「ショタの鬼も居るのか……」

坊主「……」バシンバシーン

祖父「アウッ」

男「アウアウッ」

祖父「ううむ、人食い少女は人食い鬼じゃったか」

坊主「鬼は元来人を食らうものですからね。しかし、今回の鬼は少々毛色が違うと見えますが」

男「毛色が違う?」

坊主「えぇ、恐らく今回君を連れて行こうとした鬼は、おちんぽざむらいの類でしょうな」

男「おちんぽざむらい?」

坊主「昔昔、なん百年も前の話ですが、この国の結婚年齢などが低かったというのはご存知で?」

男「え、えぇ、確か12歳とかで結婚したとか」

坊主「数えで、ですから、今にしたら11歳やそこらでしょうな。場合によっては今で言えば
    9歳なんかと言う事もあったことでしょう」

男「は、早いなぁ……」

なんだかんだいって読んでる

坊主「そして、その女の子たちの皆々がこう思っていたのです」

坊主「『優しく、実直な殿方と出会えていたのなら』、と」

祖父「そんなの探して出会えばいいじゃろう」

男「ねぇ?」

坊主「……」バシンバシンバシシーン

祖父「オウッ!」

男「オウオウッ!」

坊主「そういうことを出来る時代ではなかったのですよ」

坊主「彼女たちは、犯されながらも、殺されながら、復讐心とその思いだけを心に描いていたのです」

坊主「いつしかその思いは一つの鬼を作り出しました」

坊主「身売りに粉し、幼なき少女を狙う男を食べ、一方で思い描いた殿方と出会う為の、鬼を」

祖父「ふんふん、それで、どうすれば解決するんじゃ?」

俺「オウオウッ!」ドピュドピュ

坊主「拙僧は仏さま専門なものでして、妖怪みたいな類の事分かるワケないじゃないですか」

祖父「使えんヤツじゃ」

坊主「オホン、しかし、伝承に寄れば解決方法はあると聞きます」

男「それは一体……」

坊主「君を連れて行こうとしたと言う事は、君の事を思い描いた殿方と見ていたからでしょう」

坊主「伝承によれば、その者が鬼と永遠を生きる事を誓えば、鬼は人を食らうことはしなくなると」

男「えっ、ちょっと待ってください」

坊主「はい?」

男「それ人は食われなくなるかも知れないですけど、俺助からないじゃないですか」

祖父「なんかあるじゃろ。陰陽師的な何かとかないのか?」

坊主「いや、だから拙僧は坊主であって陰陽師違いますしおすし」

祖父「そんな事言わんと、何かあるじゃろ?」

祖父「孫の一大事なんじゃ……」

男「爺ちゃん……」

坊主「……では、もう一つの方法ですかね」

祖父「なんじゃあるのではないか」

坊主「えぇ、菩提樹の枝を少女の首に突き刺すのです」

男「え?」

坊主「菩提樹の下で仏陀が悟りを開いたと言われています」

坊主「その時から、菩提樹には霊的な力が存在する、と信じられています」

坊主「人として最高の位となった仏陀のお力があり、それは人により現れてこそ居ますが人知の
   範疇の超えてしまった存在を善悪の区別なく、無に帰す事が出来る、と」

坊主「人として人を超えた仏陀のお力が、あるのです」


祖父「しかし、首にって」

男「ざ、残酷」

祖父「こいつのほうがよっぽど鬼じゃな……」

坊主「ですから! あくまでもう一つの方法と言うだけです」

坊主「まぁそもそも、こういった方法を取らない人物を見初めているという側面もあるでしょうし」

坊主「その優しさこそが仇となるのです」

祖父「他には方法は無いのかのう?」

坊主「今の所拙僧の知る解決方法はこの二つだけです」

男「なるほど……」

坊主「まぁ、嫌なら陰陽師にでも頼んだらいいと思いますよ」

坊主「もっとも、鬼少女の悲惨な姿を見る事になると思いますが」

祖父「どういうことじゃ?」

坊主「彼らは抹殺が目的ですから、それはもう苦しませます」

坊主「まず手足をもぎ取り、霊的は力を切断面から漏らし」

坊主「その穴に札を張り、あらん限りの苦痛を与え」

坊主「顔の皮を剥ぎ、そこに御神水を流し込み、鬼の悲鳴を一通り聞きまして」

祖父「もうええ……」

男「酷すぎる……」

御神水はお寺にはないンゴ・・・

ごめん寝る
オヤスミ

ええー…

おちんぽざむらい「興奮しません?」

男「!?」

祖父「誰じゃ貴様!?」

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

へいこう

>1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49>50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,
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>550,551,552,553,554,555,556,557,558,559,560,561,562,563,564,565,566,567,568,569,570,571,572,573,574,575,576,577,578,579,580,581,582,583,584,585,586,587,588,589,590,591,592,593,594,595,596,597,598,599
>600,601,602,603,604,605,606,607,608,609,610,611,612,613,614,615,616,617,618,619,620,621,622,623,624,625,626,627,628,629,630,631,632,633,634,635,636,637,638,639,640,641,642,643,644,645,646,647,648,649
>650,651,652,653,654,655,656,657,658,659,660,661,662,663,664,665,666,667,668,669,670,671,672,673,674,675,676,677,678,679,680,681,682,683,684,685,686,687,688,689,690,691,692,693,694,695,696,697,698,699
>700,701,702,703,704,705,706,707,708,709,710,711,712,713,714,715,716,717,718,719,720,721,722,723,724,725,726,727,728,729,730,731,732,733,734,735,736,737,738,739,740,741,742,743,744,745,746,747,748,749
>750,751,752,753,754,755,756,757,758,759,760,761,762,763,764,765,766,767,768,769,770,771,772,773,774,775,776,777,778,779,780,781,782,783,784,785,786,787,788,789,790,791,792,793,794,795,796,797,798,799
>800,801,802,803,804,805,806,807,808,809,810,811,812,813,814,815,816,817,818,819,820,821,822,823,824,825,826,827,828,829,830,831,832,833,834,835,836,837,838,839,840,841,842,843,844,845,846,847,848,849
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>950,951,952,953,954,955,956,957,958,959,960,961,962,963,964,965,966,967,968,969,970,971,972,973,974,975,976,977,978,979,980,981,982,983,984,985,986,987,988,989,990,991,992,993,994,995,996,997,998,999,1000

男(爺ちゃんの言ってた言葉、もしかして……)

男「ちなみに、今日その花を買った人居るの?」

少女「いるよ」

男「どんな人だったの?」

少女「うーんとね、凄く太ってた」

少女「はぁ、はぁ、って、凄い息を荒くして、覆いかぶさってきたの」

男「……」

少女「『もういい? もういい? ぼく、限界なんだ、早くお花を散らしたいんだ』って」

男(……花ってまさか、そういう意味なのか?)

男(そういえば、爺ちゃんも身売りの少女かと思ったって言ってたっけ)

坊主「菩提樹の下で仏陀が悟りを開いたと言われています」

坊主「その時から、菩提樹には霊的な力が存在する、と信じられています」

坊主「人として最高の位となった仏陀のお力があり、それは人により現れてこそ居ますが人知の
   範疇の超えてしまった存在を善悪の区別なく、無に帰す事が出来る、と」

坊主「人として人を超えた仏陀のお力が、あるのです」


祖父「しかし、首にって」

男「ざ、残酷」

祖父「こいつのほうがよっぽど鬼じゃな……」

坊主「ですから! あくまでもう一つの方法と言うだけです」

坊主「まぁそもそも、こういった方法を取らない人物を見初めているという側面もあるでしょうし」

坊主「その優しさこそが仇となるのです」

男(爺ちゃんの言ってた言葉、もしかして……)

男「ちなみに、今日その花を買った人居るの?」

少女「いるよ」

男「どんな人だったの?」

少女「うーんとね、凄く太ってた」

少女「はぁ、はぁ、って、凄い息を荒くして、覆いかぶさってきたの」

男「……」

少女「『もういい? もういい? ぼく、限界なんだ、早くお花を散らしたいんだ』って」

男(……花ってまさか、そういう意味なのか?)

男(そういえば、爺ちゃんも身売りの少女かと思ったって言ってたっけ)

男「そういえば、爺ちゃんも昔少女と会ったとか言ってたよな」

坊主「ふむ?」

男「なんかテキトーな事言って逃げたとか言ってなかった?」

祖父「そうじゃよ。口八丁はワシの得意技じゃからの」

坊主「もしかたら、別の解決口の手がかりがそこにあるかも知れませんね」

男「でも覚えてないとか」

祖父「そうなんじゃよ。どうしても思い出せなんだ」

坊主「……ではこれをかいで見て下さい」スッ

祖父「なんじゃこれ?」

坊主「これは、醒眠香と呼ばれる特殊なお香です」

坊主「かいだ者の忘れた記憶を取り戻してくれるお力があります」

じゃあ寝るお休み

坊主「かいだ瞬間、強烈な眠気に襲われ、そのまま眠りにつきますので、ご注意下さい」

男「永眠しないといいけどね」

祖父「ワシも年じゃからのう……」

坊主「……準備はいいですか? 火をつけますよ」

祖父「どんとこいじゃ」

坊主「では男くんはかがないようにご注意下さい」シュバ

モクモクモク

祖父「フンフン、なんか甘い香りじゃのう……おおう?」グラグラ

祖父「あうふ」バタン

男「じ、爺ちゃん! あっ……」クラクラ

坊主「全く、だからかがないように、と言った……って、あっ、風向きが」

坊主「あっ、ヤバイ、これ私も……」クラクラ

坊主「キュー」バタン

………
……

男「ん? なんだここ」

男「夏祭り? やたら目に映る人たちが古風だけど」

坊主「……どうやらお爺さんの記憶の中のようですね」

坊主「原理は良く分からないですが、どうやら拙僧たちは迷い込んでしまった様子」

坊主「まぁ、見てみますか。話を聞くより、見たほうが早いでしょうし」

男「……俺は間違ってかいだからまだ分かるんですが」

坊主「はい?」

男「坊主さんはどうしてここに?」

坊主「なんの手違いか、拙僧もかいでしまったのですよ」

男(うわぁ……なんか自分は大丈夫だけど?見たいな面しててそれはねぇわ)

祖父「へへへ、夏祭りは女をひっかけ安いって相場は決まってらーな」

坊主「どうやらアレっぽいですねぇ」

男「う~ん、自分の祖父だと思いたくない」


祖父「ねぇ、お姉ちゃん、俺と遊ばない?」

女「あらあらお兄さん嫌ですわぁ、わたくしそんなに安い女ではなくてよ」

祖父「え~またまた~」

女「あらひつこいのね」

祖父「男らしいと言うてほしいね」

女「随分と自信がおありのようで」

祖父「まぁね。俺ぁ女に優しく自分と野郎には厳しく、という心根持ってるんで」

女「それで男らしいと? 面白い方ですわぁ」クスクス

女「ええでしょう。それでは短い間、遊びましょうか」

祖父「えっ?」

女「どうかしましたか?」

祖父「いや、駄目だよ」

女「はい?」

祖父「いやいや、男の誘いをそんな簡単に受けたら、お姉さん駄目よ」

祖父「こういう時は逃げないと後で怖い目にあうかも知れないよ」

女「お兄さんはそんな方ではないのでしょう?」

祖父「まぁそりゃそうだけど」

女「お兄さんよう分からん人ですなぁ」

祖父「良く言われますね、それ」

坊主「スケベなんだか誠実なんだか良く分からない方ですねぇ」

男「今とそんな変わってないなぁ」


少女「おーにさんこちら、手のなるほうへ、新芽のお花、摘んでみてくーださい……」

祖父「おう?」

少女「……おにいさん、新芽のお花、摘んで見たい?」

祖父「残念」

少女「?」

祖父「俺はね、新芽より咲き誇ってる花のほうが好きなんだ」

少女「新芽のお花は、お嫌い?」

祖父「う~ん、嫌いじゃないけど、好きでもないかな」

祖父「見てる分にはいいけど、摘むかと言われればどうだろうか」

少女「……きっと冥土の土産話くらいにはなるよ」

祖父「死ぬ頃には忘れてそう」

坊主「どうやらくだんの鬼と接触した様ですね」

男「おお、俺の見た少女と全く同じだ」

坊主「どうやら間違いないと」


祖父「まぁいいよ、お嬢ちゃんの話相手くらいならしてやろう」

祖父「それで、ちなみにどんなお花なんだい?」

少女「……んーとね、凄く綺麗で、儚くて、一瞬で散ってしまうお花」

祖父「新芽なのにすぐに散ってしまうとはこれいかにwwwww」

祖父「なんかスゲェwwwww」


男「なんか凄いデジャヴ」


少女「どう? 摘んで見たい?」

祖父「うーん、ちなみにいくらすんの?」

少女「お金はいらないよ」

祖父「お金はいらないって、せっかくその綺麗なお花を売ろうっていうのに?」

少女「うん、お金『は』ね」

祖父「うーん……」


男「なんか悩んでますね」

坊主「身売りかと思ったら、お金は要らない、と言われてナンダコレ状態ですね」

男「なるほど」


少女「悩む必要があるの?」

少女「新芽のお花がただで摘めるのに」

祖父「いや、なんと言うか、その、お嬢ちゃんは大変なんだね」


男「なぜそうなるのか意味分からん」

坊主「きっと、少女が体を売る事に抵抗を感じなくなったと勘違いしてるんでしょう」

坊主「抱かれ過ぎて、もうお金よりも、そうしていないと心が保てないだろう、かわいそうに、
    とか考えたのでは?」

男「真面目に見えて頭の中は桃色か」

坊主「ですねぇ」

祖父「お嬢ちゃん、大変かも知れないが、真面目に生きるんだ」

少女「真面目に?」

祖父「そうだ。お兄さんはもう行かなくちゃ行けないけれど」

祖父「それだけは伝えておこう」

少女「私は真面目なの」

祖父「いいや、真面目ではない。花をただで売るなんてしちゃあいけない」

祖父「君の心は擦り切れてしまっている」

祖父「どういった事情があったのか、それは俺には分からない」

祖父「けれど、自暴自棄になっては行けないよ。信じていれば、必ず大切な何かが見つかる」

少女「……信じていたけれど、何も無かったの」

祖父「そんな事は無い。信じる力は、自分を裏切らない」

少女「……」

祖父「いいね、もうこんな事は辞めるんだよ」

坊主「おや、なにやら急いでどこかに行きますね」

男「本当だ」

坊主「何やら財布をごそごそ弄ってますねぇ」


祖父「えーと、俺いまどんぐらい金持ってたっけ」

祖父「三千円か……」


男「俺の小遣いより少ねぇ」

坊主「いや、この時代だと、一円がいまの十円くらいの価値だったハズですよ」

男「と言うと、大体三万円くらいですか」

坊主「ですね」

祖父「……」

祖父「……まぁ、なんとかなるだろ」

祖父「三千円もあれば、少女も二ヶ月は生きていける、と、思う」

祖父「その場しのぎにかならないだろうが、それでも俺には見捨てられない……」


坊主「なんだかんだで優しい人ですねぇ」

男「さすが爺ちゃんだぜ」


祖父「……やっぱり二千円でいいかな」


坊主「ヘタれましたね」

男「さすが爺ちゃんだぜ……」


ごめんちょっと出かけてくる

一時間か二時間で戻ってくる

ただいま
頑張って続き書くは

祖父「いや、俺の財布の金と少女どっちが大事かって考えれば、少女の方が大切だ」

祖父「全部だ、全部渡そう」

祖父「また家賃を滞納することになりそうだが、仕方ない」

祖父「大家の憤怒した顔も怖いが、何より少女の未来のほうが大事だ……」


坊主「おお、どうやら覚悟を決められたようで」

男「爺ちゃん……男前だぜ」

坊主「家賃を滞納するのは褒められた事ではないですがね……」


祖父「さて、少女はどこだ……ん?」


細い男「お、お、お嬢ちゃん? ほほほ、本当に良いのかい!?」

少女「うん、おにいさん、お花」

細い男「うんうん詰んであげるよ。丁寧にじっくりゆっくりね……」

祖父「助けないとな……この金があればしばらくはそんな事しなくても……」

少女「あっ……」

細い男「ど、どうしたんだい?」

少女「……」

細い男「あ、あっちの男が、ど、どど、どうかしたのかい?」

少女「優しい、おにいさん」

細い男「ん、んん? ち、違うだろ? 優しいお兄さんは、僕だろ?」

少女「……桔梗の匂いがしたの。柔らかくて、良い匂い……」

細い男「い、いいから、あんな男はいいから、ぼ、僕と、だろ?」グイ

少女「……うん」

祖父「あっ、クソッ、屋台の隙間に……追いかけないと」

細い男「く、くそっ、追いかけてくる」

少女「……」

細い男「そ、そこのあばら屋のうう、裏でいい。も、もう構うもんか」

少女「……」

細い男「へ、へへへ、ほ、細くていい太ももだねぇ。触ってるだけで、ぼ、ぼくいきそうだよぉ……」

少女「……そう」


祖父「あークソ、どこ行きやがった……」


細い男「ど、どうだい、ぼぼ、僕の一物、見てみたいだろ?」

細い男「ち、小さなお花を摘むのに、ちょうど良い大きさの、は、鋏なんだよ……」

少女「……おにいさんは、新芽のお花が好みなのね」

細い男「そ、そりゃあそうさ、し、新芽のお花を摘む瞬間に、ぼぼ、僕は最高に興奮するんだよ」

少女「……いままで、どれくらいの新芽を摘んでしまったの?」

細い男「かか、数えてるワケ、なな、ないじゃないか」

少女「……そう、やっぱり、栗の花」

細い男「え、えっ?」

少女「……私はね、栗が好きなの」

細い男「ど、どどど、どういう事かな? ん? んん?」

少女「ううん、栗は美味しいから」

少女「匂いは嫌いだけれど、とても美味しいの」


祖父「ここらへんの裏通りに行ったと思ったが……」

祖父「不気味だな……あばら屋ばかりなのは見慣れた光景だけれど」

祖父「夜になるとどうにも怖い」

祖父「ひとつ道を違えば夏祭り、人通りも多いから、なお更……」ブルル

祖父「でもまぁ、見てしまったからに、どうにも体が勝手に、悪い癖だな」


坊主「へらず口の割りに、なんとも綺麗なお心をお持ちのようで」

男「まぁ、今と変わりないといえば無いですが……」

祖父「ん、あれは……」

坊主「どうやら、少女を見つけたようですね」

男「えぇ……」


細い男「く、栗? 栗が食べたいなら、ぼ、ぼくの栗を食べるといいよ、か、噛んだら痛いから、
     や、優しく、舐めて、ね? ね?」

少女「……ううん、そんな汚い栗はいらない」

細い男「え? えっ?」

少女「私の言う栗はね……」


ポタ……ポタ……

坊主「……少女の言う栗とは、心臓と脳みその事だったんですね……」

男「う、うえぇええ……」ゲロゲロ


少女「おいしい、おいしい……」

ピチャ……ピチャ……

少女「今日は、とても良い日……おいしいご飯と、やさしいお兄さん」ピチャ

少女「両方見つかったの」ピチャ

少女「向日葵の日」ピチャ

少女「花火も大きくて、向日葵の花」ピチャ


祖父「ひっ……あ、あっ……」ペタン


男「あーマジで腰抜かしてたのか爺ちゃん……」

坊主「そりゃまぁこんな光景見たら腰抜かしますよ」

少女「お月さまも出ているから」

少女「とても綺麗」

少女「とても……とても……」

少女「……おにいさん、来てくれたのね……」

少女「大事な大事な、私と一緒に生きてくれる人……」

祖父「あっ、あっ……」

少女「……私は、ただ、探していただけなの……」

少女「そんなに、こわがらないで……」

少女「どうしたらいいか、私、わからなくなってしまうの」


坊主「……しかし、凄い目ですね」

男「えぇ……赤黒くて、まるで……」

坊主「人の生き血の様だ、と」

坊主「……長く手入れされた髪に、整った顔立ちが、なお更不気味に感じさせますね……」

坊主「綺麗で居たかった、きちんと手入れされた髪でありたかった、そういう少女たちの願いをも
   汲んでいるのでしょう……」

祖父「こ、これ、は……」

ポタ……ポタ

少女「おにいさん……私と一緒に……」

少女「永劫に……」

少女「……」

少女「……生きて?」


祖父「……」ゴクリ

祖父「い、いや……俺は……」


少女「見ていてくれるだけでいいの」

少女「見ているだけなら、いいと言ってくれた」

少女「だから、ずっと傍で……」

少女「桔梗の花、私、好きなの……」

少女「とても良い匂い、暖かい匂い……」

祖父「あっ、いや、その、き、着物……」

少女「それが、どうかした?」

祖父「い、いや、夏なのに、な、なんで、着物かなって、は、はは……」


坊主「どうにかして逃げる隙を伺ってるんでしょうか」

男「つーかどこが口八丁だよ。ビビりまくりじゃん……」


少女「……寒いの」

祖父「……え?」

少女「ずっとずっと、寒いの」

少女「だから、暖かい人が居てくれるだけで」

少女「私はそれを望んで、いた……」

少女「おにいさんみたいな人」

少女「暖かい、暖かみが、欲しくて」

少女「それがあれば、きっとおなかは空かなくて……」

終わりまで後どれくらいかかる予定なん?

>>231
今日中に終わる

と、思う

祖父「……」

少女「ねぇ、一緒に……」

祖父「お、俺は、違う」

少女「……?」

祖父「お、俺は、君の、その、求めている人では、ない」

少女「違わなくない……」

祖父「い、いや、違う。きっと、必ず、い、いつか、現れる」

少女「そんな事はないの……」

祖父「だ、だから」

少女「違う違う違う」

祖父「ち、違わなくない」

少女「なんで? ……なんで? なんで? ……なんで?」

祖父「俺はっ……」

少女「見たから? 私が、栗を食べちゃうのを見たから? だから?」

坊主「……」

男「……」


祖父「……ごめんっ」

祖父「夢なんだ……俺は、きっと、夢を見ている」

祖父「逃げなきゃ……逃げなきゃ……」ダッ

少女「どうしてぇ……」グスン

祖父「逃げなきゃ……お、俺も食われるっ……」ダダダダッ

少女「なんでぇ……一緒に、ずっと一緒に……」

祖父「……泣いて、る?」

少女「いやだぁ……行かないでぇ……」

少女「やっと、いっしょけんめい探して、やっと……見つけたのに……」

少女「おいて、いかないで……」

少女「きょうは、向日葵の日なのにぃ……」

祖父「はぁ、はぁ……ここまで来ればもう……」

女「あら、さっきの男らしい人」クスクス

女「どうしました? 随分と息きれぎれのご様子ですが」

祖父「い、いやね、何、ちょいと、ね」

女「お楽しみでしたか?」クスクス

祖父「そ、そうだね、別の意味でお楽しみだったね……」

女「あらあら、ではでは、おじさん、噴出水ひとつくださいな」

屋台のおじさん「あいよ。5円ね」

女「ほら、お飲みなさいな」

祖父「い、いや、女に何か買ってもらうのは……」

女「ええからさっさと飲みなさいな」グイ

祖父「お、オウフ……」

女「ほらほら、腰掛け見えますでしょ? ここに座りなすって」

祖父「は、はぁ……」

女「それで、どういったお楽しみでしたか?」

女「なんだか、面白そうに見えたのですが」

祖父「いや、全然楽しくなかったよ」

祖父「肝が冷えたね」

女「あらあら、肝試しでもしてなすったんですか?」

女「夏の暑さも飛んでゆきますねぇ」

祖父「そういう意味じゃお楽しみだったかもだけどね……」

坊主「平常時になると口が元に戻るようですねぇ」

男「ですねぇ……」


女「ところで、お名前教えて貰えます?」

祖父「え?」

女「いつまでもアナタ、とかおにいさんではお近づきになれんでしょう?」

女「少しばかりお兄さんに興味出てきてしまいましたわ」

祖父「え? いや……」

女「なぁに、減るもんじゃないでしょう。それともなんですか、女に優しいというのは嘘で?」

祖父「あ、あぁ、いや、俺は××って名前だけど……」

女「あらら、素敵なお名前、ちなみに私は○○と申します」


男「ん?」

坊主「どうかしました?」

男「いや、この女の人、死んだ婆ちゃんと同じ名前だなって思いまして……」

………
……


女「ははぁ、それはきっと、願女鬼でしょうなぁ」

祖父「願女鬼?」

女「はい、実は、今はもう亡くなっておりますが、私の大叔母、何をどう曲がり曲がったのか、
  娼妓をしておりまして」

女「その類のお話を聞いた事があります」

女「とり付かれたら最後、永遠を誓うか、もしくは、思いの通りにならぬのなら、と食ってしまうとか」

祖父「えっ……」

女「ただ、解決方法が、そうですなぁ、確か二つあると」

祖父「お、教えて……頼んます……」

女「ひとつは、今言うた通りです、永遠を誓う事ですな」

祖父「も、もうひとつは?」


男「もう一つはアレですかね、坊主さんの言った菩提樹の枝とかなんとかですかね」

坊主「いやぁ、尼さんならいざしらず、普通の女性がその方法を知っているとは思えませんが……」

女「そうですなぁ、ただで教えるのは、気が進みませんなぁ……」

祖父「え?」

女「タダほど怖いもんはありませんでしょう?」

女「タダより、何かしらの戻りがあったほうが、より大事だと考えられるもんです」

祖父「俺にできることならなんでもしますんで……本当お願いします……」

女「う~ん、なんだかその困った顔を見ると、もっと困らせたくなりますねぇ」

祖父「えぇ……」

………
……



祖父「ほう……目が覚めてしまったわい……」

男「んんん……あれ? もう一つの方法は?」

坊主「まったく、良い所で目を覚ますとは……」

祖父「懐かしいのう……そうじゃった。あの日、ワシは婆さんと出合ったんじゃ」

男(あれ婆ちゃんだったんだやっぱり……)

坊主「それで、もう一つの解決方法とは?」

男「それ聞かないとね」

祖父「ううむ……こう、喉まで出掛かってるんじゃが……」

祖父「枝を首に刺すとか物騒なアレではなかったのだけは確かじゃ」

坊主「……こうして今も無事な事を考えると、マトモな方法のように思えますね」

坊主「しかし、ある所にはあるのですね、解決方法が」

祖父「まぁ、思い出せなきゃ意味ないんじゃがのう……」

男「早く思い出してくれ爺ちゃん……」

祖父「あともうちょびっとなんじゃ……」

祖父「ううむ……ふむ……」

坊主「早く思い出してください」バシンバシーン

祖父「いたっ、いたっ」

坊主「衝撃を与えると思い出す、とも言いますから」

祖父「なんじゃ……なんならさっきのお香をまたかがせてくれればえんじゃ」

坊主「連続服用は厳禁となっております。本当に永眠しますよ」

男「こわっ……」

祖父「怖いのう……」

祖父「気分転換にでも外に出てみようかのう。今日は良い天気じゃて」

男「確かに、凄い晴れてる」

祖父「うむ、なんだか眠ってたせいか、体が重くてのう。お日様の光浴びんとな」

……


男「爺ちゃん、なんかここに変な実があるんだけど」

祖父「ほほう、これはヘビイチゴじゃな……」

祖父「しかし8月になってとは、季節ハズレじゃのう……」

坊主「これは四季成りなので夏イチゴですから……」

祖父「……ん?」

祖父「んんん?」

男「どうしたんだよ爺ちゃん……」

祖父「……これじゃ」

坊主「はい?」

祖父「思い出したわい、これじゃこれ」

男「え?」

祖父「確か、そうじゃ」

男「な、なんだよ、一人で納得してないで説明してくれよ」

祖父「うむ、確かのう」

祖父「ヘビイチゴは、味がしないんじゃ」

坊主「よく無味である、とは言われますね」

祖父「うむ、そして、昔は毒があると信じられておったとか」

坊主「誰も食べたがらなかった、と言う話は良く聞きますが……」

祖父「毒は実はない、けれど、毒がある様に見える」

祖父「これが大事だと婆さんは言うとったのう」

男「結局それがどうなるんだよ」

祖父「うむ、だから、騙すのじゃ」

坊主「……騙す?」

祖父「へびいちごで作った酒を三日間、食事の代わりにとり続ける、だったかのう」

祖父「そういえば婆さんが作ったのを飲ませられたわい……」

祖父「酒の匂いとへびいちごのありもしない毒気で、匂いを忘れさせる、と」

坊主「……なるほど」

祖父「確か、願女鬼はとりついた相手の匂い覚えるとも言うとった」

祖父「じゃから、その匂いを存在していないことにしてしまうと」

祖父「効果はどれぐらいあるのかは分からんが、少なくともワシはその後、
    人食い少女と出会うことは無かったのう」

男「なるほど……」

坊主「昔の人は考えたものですね……」

男「全然意味が分からない……」

坊主「」

祖父「」

祖父「じゃからのう、とりあえずへびいちごの酒飲めばえんじゃよ」

男「それで駄目ならどうするんだよ」

祖父「そんときは仕方ないのう。諦めろ」

坊主「その時は菩提樹の枝で首に一突きしかないですね」

祖父「かわいそうじゃが、それしかないのかのう……」

坊主「もしくは永遠に鬼と一緒に過ごすかですね」

男「……でも、なんだかなんで鬼になってしまったのかを思うと、何かしてやりたくなるなぁ……」

祖父「そんな事は飲んでから考えればいいんじゃよ」

ポツ、ポツポツ

祖父「ん? 雨じゃな……」

坊主「さっきまで晴れてたのに、急に曇るとは……」

男「ちょっ、だんだん強くなってきとるがな。中に入らんと」

ザァアアアア ザァアアアア

坊主「これは二日目の祭りは延期ですかねぇ……」

祖父「じゃのう、ニュースでもそう言うとるわい」ピッ

坊主「ちょっ、勝手に人の家のテレビつけないで下さいよ」

祖父「別にええじゃろ。無駄にこんなでかいテレビ買いおって、檀家から巻き上げる商売は儲かるのだのぅ」

坊主「人聞きの悪い事を……」

ザァアアアア ザアアアア


少女「どこにいるの……」

少女「忘れない匂い……桔梗の匂い……」

少女「あぁ、なんとなく、こっちからする……」

男「ったく、そんなテレビとか坊主さんの財布事情とかどうでもいいから
   ヘビイチゴの酒とやらを用意しないと……」

男「どこで売ってるの?」

祖父「売っとらんよ」

男「へ?」

祖父「いちご酒なら売っとるようじゃが、ヘビイチゴの酒なんぞ聞いた事ないわい」

坊主「ですねぇ。自分で作らないと」

男「いやいやじゃあ爺ちゃんどうやって用意したんだよ」

祖父「だから婆さんが作ってくれたんじゃよ。じゃが婆さんはもう三年も前に先を行ってしまったからのう……」

坊主「しょうがないですねぇ、拙僧が作りますか……」

男「大体俺未成年なんだけどそこらへん大丈夫なのか」

祖父「自分の人生と比べてどっちがええか考えてみるんじゃな」

男「飲みます」

……


坊主「とりあえずヘビイチゴ採ってきましたよ」

祖父「雨臭いからさっさと風呂入らんかい」

坊主「全く……父もなんでこんな人と親交を持ったのやら……」

祖父「ええんじゃよ。ワシが檀家の取りまとめをやめても」

坊主「うっ……」

祖父「親父に似てかたっ苦しいお前で檀家の取りまとめが出来るのかのう……」

男「脅してる……」

祖父「孫の一大事じゃからな」

坊主「一大事も何もいつもこうじゃないですか……」

坊主「ヨイショ、ヨイショ」

坊主「ふぅ……」

祖父「出来たかのう?」

坊主「まぁ、大体はですけれど」

祖父「ふむ、では今晩から三日間ずっとこれを飲むんじゃぞ」

男「うっ……」

祖父「どうしたんじゃ?」

男「色が凄い……」

祖父「我慢じゃ我慢。味は大体酒じゃから、多分」

祖父「ワシもよう覚えておらんが、そんな辛くはなかったような気がするのう、多分」

祖父「くさやなり青汁よりはマシじゃ、多分」

男「うう、酷いんだかそうじゃないんだか全然分からないよその例え……」

坊主「色が酷いのは仕方ないですよ……」

坊主「なんせ、いいちこにヘビチイゴ混ぜただけですから」

祖父「うむ、即席麺も真っ青じゃな」

坊主「まぁ同じようなもんですし大丈夫でしょう」

男「おふた方はオレの事真剣に考えてくれてます?」

祖父「大丈夫じゃよ」

坊主「えぇ、一応本格的にも後で作るので、効果なかったらそっち飲みましょう」

男「手遅れになったらどうすんだよ……」

祖父「この寺に泊まってればひとまず安心じゃろ」

坊主「え、えぇ……ここに泊まるんですか?」

祖父「そりゃあのう、解決するまでは」

少女「……ここかな」

少女「でも、入れない……」

少女「栗の匂いが、たくさん」

少女「食べれないのに、匂いだけ……」

少女「私のお鼻が、おかしくなりそう……」

少女「でも、多分ここから、桔梗の匂い……」


坊主「えぇ、はい、すいません、ヘビイチゴもとい野イチゴはこちらから持って行きますので」

坊主「はい、すいませんお願いします」

祖父「なんじゃどこに電話しておったんじゃ」

坊主「いや、知人に酒造をしている人が居まして、へびいちごの酒を造るよう頼んでいたんですよ」

坊主「拙僧、言っておいてなんですが本格的なのは作れませので」

祖父「ええのう、ついでに芋焼酎も頼んでおいてくれんかのう」

坊主「スーパーで買えばいいじゃないですか……」

男「しかし、これを飲まなければ行けないと言うのか……」ゴクリ

祖父「はよせんかい」グイ

男「アフゥ」ゴクゴクゴク

男「ゲフッ、ゲフッ……」

祖父「よう飲んだのう……」

男「爺ちゃん、飲ませておいて……」

男「凄い、独特の味がするんだけど……」

祖父「はじめてのアルコールデビューじゃな」

男「まさかこんな意味不明な酒がはじめての酒だと思わなかったよ……」

祖父「はじめてなんてのは何もかもが大抵そんなもんじゃ」

坊主「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、とも言いますからね」

祖父「そうじゃよ、こういった事はのう、生きていれば誰でも起きるものじゃよ」

男「いや普通起きないでしょ……」

坊主「ま、まぁ気にしてもしょうがないですから」

………
……


少女「お鼻がおかしくなったのかな」

少女「桔梗の匂い、ちょっと薄れて」

少女「ううん、前のようには行かないの……」

少女「私はやっとね、またね、見つけたから」

少女「今度は絶対、信じていれば……」

男「……」

祖父「どうしたんじゃ、急に黙りおって」

祖父「はじめてのお酒で酔ってしもうたか?」

男「いや……ただ、その、少女はどういう思いをしていたのかなって」

祖父「ふむ?」

男「何百年も、ただずっとああして生きてきたんだろ?」

坊主「鬼ですから、生きている、と言う解釈はどうかと思いますが」

男「それでも、なんだか、あの目は……」

坊主「人の臓物をすすってああなったんでしょうかね……」

男「いや、それだけじゃない気がするんです」

祖父「うむ?」

男「なんだか、当時の少女たちが、力なく倒れていって、血の涙とか流して、そういう
  色にも、見えたような気がして……」

坊主「……」

祖父「……」

男「……良かったら、どういう子たちの思いがああいう鬼を作ってしまったのか
  教えて貰えないでしょうか」

坊主「まぁ、拙僧に分かる範囲で良いのなら」

………
……


少女「昨日より、もっと匂いがうすくなってる」

少女「私のお鼻がおかしいのかな」

少女「また、居なくなるの?」

少女「今度は、見られてないよ……」

少女「なんにも、してないよ……」

少女「どうして……?」

坊主「とまぁ、詳しく言えば、そういう子も居たりしたそうです」

男「……」

坊主「他は……そうですね、成り立ちとしては基本は前に言った通りで間違いはありません」

坊主「時代の荒波に飲まれて、息をする事ですら苦痛を伴わなければ行けない子達だったのです」

祖父「可愛そうな想いが元の鬼なんじゃな……」

男「うん……」

祖父「話を聞いて、孫も少々面食らって大人しくなってしもうたわ」

男(半分は酒だけ飲んで過ごしてるせいだけどね……)

男(おなか減った)

祖父「さ、焼き鳥でも食うかの」

男「ひ、ひどい……。俺が食えない状態だって知ってて……」

坊主「う~ん、この緊張感の無さ」

坊主「良いのか悪いのか……」

男「俺はまたお酒か……」

祖父「のんべぇの素質でも開花しそうじゃな」

男「そんなのなりたくねぇ……」

祖父「どれ、ニュースでも見るかのう」ピッ

坊主「だから勝手にテレビを……」

アナウンサー「延期となっておりました後期日程の夏祭りですが、明日の再開となっております」

祖父「ほう、孫が酒を飲み始めて丁度三日目に再開とな」

男「……」

男「……行ってみようかな」

坊主「危ないですよ、もしもお酒の効果が無かったとしたら、今度はそのまま連れて行かれるかも知れない」

男「いや、効果の有無を確かめるには、実際に行って会って見ないと……それに、伝えたい事もありますし」

祖父「……ふむ」

坊主「……」

祖父「まぁええんじゃなかろうかの」

坊主「……しょうがないですね……では一応拙僧も後をつけますか」

祖父「ええんかい」

坊主「錫杖も久しぶりに出しますか……遊行以来です……」

祖父「あぁ、アレかのう。あのうるさい杖じゃな」

坊主「害獣や妖怪の類を寄せ付けない、と言う意味もあるんですけどね、あの音」

少女「もう、ちょっとしか……」

少女「明日になったら、匂い、無くなっちゃう……」

少女「がんばって待ったのに……」

少女「いっしょけんめいだったのに……」

少女「どうしたらいいの……?」

少女「……おなか、減ったなぁ……」

少女「あしたは、お祭り……」

少女「きっと……」

………
……


男「ぷふぁあ、最後の一杯飲んだぞう」

祖父「これで三日間のへびいちご酒の業は終わったのう」

坊主「うっすらと夕焼け色の空が……そろそろ夜ですね」

祖父「うむ、夏祭りもこれからが本番じゃな」

シャンシャン

男「……」

祖父「……」

坊主「……」

シャン、シャン

俺「あのー……」

坊主「どうかしましたか?」

俺「出来ればもう少し離れて歩いて頂けたらなぁと」

坊主「なぜです?」

俺「いや、周りの視線が……」

オ坊サンヨー

ナニアノ団体-

祖父「結構注目浴びとるのう」

俺「そりゃあ、なんか修行中みたいなお坊さんが音鳴らしながら歩いてたら、ねぇ……」

ごめん、また変換ミスった
訂正

シャンシャン

男「……」

祖父「……」

坊主「……」

シャン、シャン

男「あのー……」

坊主「どうかしましたか?」

男「出来ればもう少し離れて歩いて頂けたらなぁと」

坊主「なぜです?」

男「いや、周りの視線が……」

オ坊サンヨー

ナニアノ団体-

祖父「結構注目浴びとるのう」

男「そりゃあ、なんか修行中みたいなお坊さんが音鳴らしながら歩いてたら、ねぇ……」

予測変換使うのやめようかな……

なんかたまに順番ずれる

坊主「そうですね……たしかにこれは目立ちますね……」

祖父「だいたいそんなにシャンシャンシャンシャン鳴らしてたら鬼も出てこんじゃろうに」

男「その通りですよ……」

坊主「では少々離れますか……」

祖父「ワシも離れるかのう」

男「……」

少女「おーにさんこちら、手のなるほうへ、新芽のお花、摘んでみてくーださい……」

少女「おーにさん……」

少女「……こちら……」

坊主「どうやら、へびいちご酒の効果はあった様ですね」

祖父「うむ、孫が目の前に居るのに、気づいとらなんだ」

坊主「……」

祖父「……」

ナニアノヒトタチ

アヤシイヒトタチハッケーン

ケイサツニツウホウシタホウガイイノカナ?

坊主「……なんだか、不審者を見る目で見られてますね、拙僧たち」

祖父「じゃのう……ショボくれたジジイと本格的な坊主の二人組みなんぞ
   どう見ても怪しいからのう」

ほほほ

坊主「なんですかその言い方、大体怪しいのはそっちの方じゃないですか」

祖父「なんじゃと?」

坊主「なんですかそのスーツのテンガロハットは」

坊主「今夏ですよ? 西部劇の見すぎなんじゃないですか」

祖父「何を言うとるか、精一杯の年寄りのお洒落を馬鹿にするとは、罰当たりもんが」

祖父「大体お前こそなんじゃその格好。葬式でもあるのだか?」

坊主「こういう格好しないと様にならんでしょう、大体、拙僧はきちんとイザという時の準備もしてます、ほら」

祖父「ひ、ひぃ、なんじゃその鋭利な枝は」

坊主「もしもの事があればこれで首をブスっと、ですよ」

キ、キャー!

祖父「おう?」

ア、アブナイモノモッテルヒトガイルー

ツウホウツウホウ!

坊主「……なんかヤバイ感じですかね、これ」

祖父「社会的にのう……逃げるぞい……」

この二人のやり取りが萌える

坊主「えっ、でも……」

祖父「孫なら大丈夫じゃろ、姿見えとらんようだったし」

坊主「……一抹の不安が残りますが、とりあえず今は衆目の視線から逃げる事が先決ですね」

祖父「それじゃあ行くぞい」

スタコラサッサ


少女「……」

男「四日ぶり、かな」

少女「っ……どこっ?」

少女「おにいさんの声、聞こえる」

男「良かった、声は届くんだね」

少女「でも、匂いがしないの……」

男(どうやら、酒の効果はあった見たいだな……)

少女「匂いがしないと、私、おにいさんを見つけられないの……」

男「いや、いいんだよ、それで」

少女「えっ……?」

男「俺は、君がどうして生まれてきたのかを、知ったよ」

少女「……私分からないの」

少女「気がついたら、生まれていたから」

少女「もうずっとずっと、探している人が居て」

少女「それは、おにいさん」

少女「でも、見つけられなくなったの」

少女「今も音が届く距離にいるのに、分からなくて」グスン

少女「いつも向日葵の日である事を考えてて……」

男「君は、向日葵が好きだったんだね」

少女「えっ……?」

男「聞いたんだ。向日葵が好きだった子の事」

男(坊主さんから色々聞いていて、良かった。知らなければ、こうして話をしようとも思わなかったかも知れない)

男「向日葵のような笑顔で、周りの人に幸せを与えていたんだね」

男「周りの人たちは、君の笑顔から、良い事が起こった日の事を、向日葵の日と呼んだらしいよ」

男「ただ、その、心ない人たちによって……」

男「君は……、いや、何人もの君の一人なんだろうけれど……」

男「ただ、より想いを残して置きたい、と思ったんだろうね」

男「他にも、そうだね」

男「桔梗の花にも、意味があったんだね」

少女「分からないの……」

少女「そんな事をいわれても、私には、分からないの……」

男「そうだね。分からないんだね」

少女「……ただ、探していただけで」

少女「ずっと一緒に居られる人を」

少女「そうすれば、きっとお腹も空かなくなるから」

少女「おにいさんが、その人だから……」

少女「私は、ただ、向日葵の毎日を送りたいの……」

少女「桔梗の匂いが近くにあって、ずっと寄り添って……」

少女「それは、駄目な事なの?」

男「……俺と永遠を生きたとしても、君はきっと向日葵の日を送ることは出来ないよ」

少女「そんな事、ない……」

少女「だって、今も、おにいさんの、桔梗のなびく音だけで、私の心には向日葵が咲いているんだもん」

男「分かった!お花を積むことにするよ」

少女「やった!お花を摘んでくれるの?」

男「いくよぉ」


ガッ!パコパコパコパコパコパコ!!!!


男「あぁああああああああああ!!!」

少女「ィャァァァァァ!ギモヂィ!」

祖父「よし!夢にまでみた3pじゃ!」

坊主「やれやれ」

THE END

男「……どうして、向日葵の日があると思う?」

少女「……」

男「それはね、毎日が向日葵ではないからだよ」

男「花と言うのは、必ず散る時が来るんだ」

男「散るからこそ、そしてまた咲くからこそ意味があって、特別になるんだよ」

男「君は、ずっと新芽のまま」

男「咲くことも散ることも出来ないまま、ただ、ずっと今を漂うだけ」

少女「そんなの、知らない……」

少女「知らないよ……」

男「いいや、知っているハズだよ。だから、君は向日葵の日が好きなんだろう……」

男「絶対に手に入らないから、なんで手に入らないかを、知っているから」

男「桔梗の匂いも、同じだね」

男「小さい君が、君の一人が、特に好きだった香り」

男「それも聞いたよ」

少女「やだっ、言わないで……」

少女「聞きたくないっ……」

男「君は、想いを寄せていた人が居たんだね」

男「三つ歳上の、元服を迎えてまだ幾年も経ってはいない反物屋の男の人だったと」

少女「やめ、て……」

男「彼は、飛び切りの笑顔で君と接していたんだってね」

男「いつも朗らかで、彼は桔梗の花が好きだった」

男「だから、彼の扱う反物には桔梗の匂いがしていて……」

男「時々、女性を相手にしては、だらしない顔をしたそうだけれど、反面、とても誠実でもあったと」

男「他の君を押しのけるくらいに、特に想いが強かったんだね」

男「……でも……」

男「起きてしまったんだね、あってはならない事が」

少女「……」

男「君はとても愛らしかったと」

男「当然、君を狙う男はたくさんいた。中には力ずくで君を自分のものにしようとした男も居て」

男「反物屋の男性はその時、君を護ろうとして……」

男「そして、君も……」

少女「もう、言わないでぇ……」

男(泣いて、る……)

少女「知らない、そんなお話知らないっ……」

少女「でも、でも……」

少女「とっても、悲しい気持ちになるの……」

少女「なんで……なんで……」

少女「知らないのに、分からないのにっ……」

俺が引き取るよ

男「当時、まだ十二歳だった君には辛かっただろうね」

男「好いた男が命を失って、横たわっている横で」

男「小さな、大事な花を、摘み取られてしまった……」

男「……」

少女「……」ヒックヒック

男「なん百年と月日が経っても、まだ涙が出るんだね」

男「君は、いや、君たちは、本当はとても優しい」

男「誰かの乱暴な、人としてあってはならない心が、君を産んでしまっただけ」

少女「やだっ、やだよ……」

少女「もう、やだよっ……」

少女「私はただ、ただ……」

男「……」

男「……涙が出るなら、枯れるまで泣けばいいんだ」

男「失ってしまった物を取り返すことは出来ないけれど」

少女「……」ヒックヒック

男「……君たちは、最後の最後も、ただ泣く事すら出来なかったんだよね」

男「恐怖の中で、表情を崩すことなく、ただ、顔を逸らして、ひっそりと、血の涙を流した」

男「だから、今、泣いていいと俺は思うんだ」


坊主「なんだかいい話になってますねぇ……」

祖父「うむ……」

坊主「とりあえず通報される前に撒けて良かったですねぇ」

祖父「うむ、しかしそこらへんに警察おるからのぅ、気をつけんとな」

少女「ヒック……おにいさんは……やっぱり、良い人……ヒックヒック」

少女「わからないけど、わからないけど、とても、暖かく感じるの……ヒック」

男「……」

少女「もし、私が、普通のお花だったら、おにいさんは、私の事を、詰んでくれた……?」

男「かも、知れないね……」

男「俺は、とても良い子だと君の事を思うよ」

少女「声だけなのに、見えないのに、匂いがないのに……ヒックヒック」

少女「今、とても、お腹がいっぱい……」

少女「胸も、いっぱい……」

男「……うん」

少女「ずっと、ずっと待ってた……」

少女「私は、私が、きっと、おにいさんを……」

祖父「ううん? 鬼が、消えて、行く?」

坊主「……彼は坊主にさせるべきですね……才能ありますよ……」

祖父「本人に聞かんかいそういうことは」


男「……もう、見えなくなった」

男「彼女の望むものは結局分からなかったけれど」

男「それでも、ただ泣く事だけでも出来て、良かったのかな」

男「……どうして彼女が産まれてしまったのか」

男「俺だけでも、覚えておこう……」

………
……

父「今日から学校じゃないのか?」

男「まぁね。もうちょいしたら行く。間に合うよ」

父「そうか。そういえば親父の所はどうだった」

男「爺ちゃん元気だったよ」

父「ならいいんだが」

男「まぁでも、口癖みたいに歳だからって言い訳がましくなってたけど」

父「ありゃ昔からだ。俺がガキの頃から自分は歳だ歳だと喚いてた」

父「その度にお袋がホウキでケツ叩いてたな」

男「婆ちゃん……」

男「おっと、俺もう学校行くわ」

父「おう、頑張れよ」

男「親父も仕事探せよ」

父「失業して二ヶ月目だから、まだ余裕がある。心のな」

友達A「おう男、久しぶりだな」

男「おう」

友達B「お前夏休み爺ちゃん家に行ってたんだっけ?」

男「まぁな」

友達C「いいねー実家が別んところにあるって。俺なんか爺ちゃん婆ちゃんここ住みだから
     夏休みもどっか行くとか無かったわー」

男「いや、あんまり楽しいこととか無かったよ。マジで」

友達B「じゃあ何してたんだよ」

男「坊主と一緒に走り回ったり幼女と話してたり酒飲んでたかな」

友達A「なんだよそれwwwww面白そうじゃねーかwwww」

友達B「マジかよwww楽しそうだなぁいいなぁ、俺なんか弟の相手ばっかしてたんだぜ」

友達C「弟小学生だっけ?」

友達B「そうそう、せめて中坊ならなー」

男「まぁいいじゃん」

友達A「つーか幼女ってお前そんな趣味だったのかよwww光源氏ってかやかましいwwww」

友達B「お前が一番やかましいよ……」

友達C「でも幼女って、幼稚園児とか? お前そういう趣味なんか」

男「いや、そこまでじゃないな。12歳くらい? よくわからんけど」

友達A「あーお前幼女の定義おかしいわ。それは少女」

担任「おいー席つけー二学期初日のホームルーム始めるぞー」

ナポリタン食べたい

担任「今日は転校生を紹介するぞー」

担任「高校生になって転校は珍しいと思うが、親御さんのお仕事の都合だそうだ」

担任「入ってきていいぞー女子」
ガラララ

友達A「お……ち、小さい」

友達B「でも可愛いな」

キャーカワイイー

友達C「俺惚れたかも知れない」

男「……ん?」

男「……んん?」

女子「よ、よろしくおねがいします」

担任「席は、そうだな……あいてる所が二つあるが……」

女子「あ、あの、じ、じゃあ、あそこで……」

友達A「おっ、男の隣だってさ」

友達C「ズルくね? オレの隣も空いてんだけど」

友達B「だってお前男よりカッコよくないし」

男「んんん?」

女子「よ、宜しくね」

男「あ、あぁ、うん……」

女子「……桔梗の匂いがするんだね、やっぱり」

男「……は?」

友達A「えっ、何か言った?」

女子「い、いえ……」

男「?」

この展開許せんわ
続き書いていい?

女子「ちょっと、耳貸して」

男「何?」

友達C「なんだよなんだよなんで初対面でそんな接近してんだよ」ギリギリギリ

友達B「諦めろって、もう席が隣じゃなかった時点でお前にフラグはたってないんだよ……」

………
……


女子「言ったよね?」

男「え?」

女子「もしも私が普通のお花だったら、摘んでくれるって……」

男「……ハッ」

男「君……」

女子「ふふふ」クスクス

じゃあお言葉に甘えて

男「ん?何言ってんだ坊z・・・」スゥスゥ

祖父「坊主!坊主何した!?」

坊主「心配しなくていいわ。ちょっと眠ってもらっただけ。祖父さんもおやすみなさい」クスッ

祖父「えっ!あっ・・・」スゥスゥ

坊主「ふふ。どうせ起きたころには全部忘れてるわ」

だれのお言葉に甘えたんだよ

元ネタこれね

じゃあお言葉に甘えて

ナナ「ん?何言ってんだモm・・・」スゥスゥ

美柑「ナナさん!モモさん何したの!?」

モモ「心配しなくていいわ。ちょっと眠ってもらっただけ。美柑さんもおやすみなさい」クスッ

美柑「えっ!あっ・・・」スゥスゥ

モモ「ふふ。どうせ起きたころには全部忘れてるわ」

ヤダこの人こわい

男と同い年の女の子の怨念もあってうんたらかんたら

男「えっ、でも……」

女子「結局ね、いっぱい考えたんだけど、あの子たちはあの子たちで、私は私」

女子「私は私で、あなたを好きになったの」

女子「私は、諦めないって、そう、決めたから」

女子「私はこれから、散っていくの。ずうっと新芽ではなくて」

女子「咲くし、散るし、そうして、”生きていく”って」

女子「あなたと一緒に、向日葵の日を求めて、一緒に散ってしまうまで」

女子「だから、宜しくね?」ニコッ

男「え、えぇ……?」

男(結局、これ憑かれたままって事……?)

男「どうすりゃええんだい……」ボソリ

女子 ニコニコ

友達C「許せんわぁ……これは許せんわぁ……」ギリギリギリギリ


続きはよ

………
……


男「そんで取り合えず寺まで来たはいいけど、これ効果あんの?」

祖父「あるんじゃよ。多分」

坊主「はい、精神集中、私語は慎みなさい」バシンバシン

男「いたっ」

祖父「ワシまでっ」

坊主「ううむ、しかし驚きましたなぁ。まさか鬼にとりつかれておりますとは」

坊主「今時珍しいですよ、悪い意味で」

男「悪い意味でって……」

正直最初スレ立てた時、なんも考えてなかった

>>553
良くやったよお前

他に何か書くかどうか分からないけど
一応トリップだけつけとく
所詮っていいかたアレだけど、ssだし暇になったら暇つぶしする程度で

>>592
くっさ死ね

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月14日 (金) 02:36:05   ID: 7x1md82-

なんか良かった

2 :  SS好きの774さん   2016年08月23日 (火) 23:55:18   ID: 61zkMrfV

うん、まあ良いと……思うよ

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