魔王「間違えた…」(1000)


魔王「ほんとは姫をさらうつもりだったのに」

魔王「何か間違えて町娘をさらって来てしまった」

魔王「どうしよう…」



誰か続き頼む

町娘「離せよカスコラブチ殺すぞコラ」

魔王「いたい痛い!痛いってマジヤバいこの娘!」

町娘「おいここから出せよカスおいこらハゲ」

魔王「は、ハゲてないよ……ていうか下手な魔族より口悪いよこの娘」

町娘「てめえ何者だこらカス、オイシカトしてんじゃねえハゲ」

魔王「あー、あー、聞こえなーい」

町娘「オイハゲ!」ガンッ

魔王「うひいっ!?」


町娘「たばこ」

魔王「は・・・?」

町娘「たばこだよハゲッ!さっさと買って来いッ!!」

魔王「ひぃっ!ちょちょちょ、待ってよ!僕魔王なんだけど!!」

町娘「はぁ?知らねぇよ、こっちはニコチン切れてんだ」

魔王「それに、若い娘がたばことかやめようよ。肌が・・・」

町娘「うっせぇハゲ!早くしろっつの!!」ゲシッ

魔王「痛っ!?痛い痛い分かった分かったって!!」


魔王「・・・じゃ、この部屋から出ないでね」

町娘「知るか。てめぇの働き次第だろ」

魔王「下手に逃げられて下級魔物に殺されたら目も当てられないし・・・」

町娘「はぁ?」

魔王「分かったね!」

バタン

部下「・・・魔王様、良いんですか。こんな横暴・・・」

魔王「あー・・・。殺しちゃったら意味無いしさ。ちゃんと見張っといてよ?」


部下「ちょ・・・!ほんとにたばこ買いに行かれるんですか!?」

魔王「え?ああ、うん。一応人違いとはいえ、お客さんだからね」

部下「それなら・・・、もっと下の者に・・・」

魔王「頼まれたの僕だから。みんな仕事あるでしょ?」

部下「しかし・・・」

魔王「まー、僕もめんどいけど、みんなにとってもめんどいことだろうからさ」

魔王「ひとっ走りだし、いいよ。じゃ、頼んだよー」タッタッタッ

部下「・・・優しいんだか、甘いんだか・・・」


―――監禁部屋。

町娘「・・・たばこッ!」

魔王「はいはい買ってきたって」

町娘「てめっ・・・、マイルドセブン!?厨房じゃねーんだからよぉ!」

魔王「銘柄聞いてなかったからテキトーに・・・」

町娘「・・・ちっ、しゃーねーな」

魔王「あれ?怒んないんだね?」

町娘「あぁ?怒られてーのかよてめーはよ」

魔王「なんでもないなんでもない」

もっとアグレッシヴに!


町娘「はぁー・・・、染みる・・・」

魔王「・・・それで、これからのことだけど」

町娘「んー・・・」スパー

魔王「どうしようかなぁ、やっぱ帰りたいよね?」

町娘「ったりめーだろ」

魔王「んー、でも今回の計画って結構大変だったし・・・」

魔王「こっちも簡単に返したりさらったりできないし・・・」

町娘「・・・・・・・・・」スパー

魔王「・・・あ、僕も一本もらって良い?」

町娘「いいよ」スッ


魔王「・・・んんん~・・・」スパー

町娘「・・・つーかよ」

魔王「ん?」

町娘「元々、姫様をさらうつもりだったんだろ?」

魔王「うん」

町娘「はっ。一国の姫と『こんなの』を間違うなんて、相当阿呆だなぁ、お前ら」

魔王「う・・・、言い返せないけど・・・」

町娘「ったくよぉ、ご本人様達が聞いたら呆れるぜ・・・」スパー


町娘「んでさぁ、結局今、姫様の代わりがあたしってこったろ?」

魔王「そういうこと、だねぇ。どうしたもんか」

町娘「・・・どうしたもこうしたもねぇよ、意味ねーだろーが」スパー

魔王「へ?」

町娘「『こんなの』じゃあ変わりになんかなんねーってんだよ」

町娘「てめーらが何してーのかはしらねーけどよ、デカい計画だったわけだ」

町娘「なんでさっさと殺さねーんだよ、あたしを」

魔王「んー・・・」スパー

町娘「そんなこともわかんねーくらい馬鹿なのか?お前らって」


魔王「・・・あ、そういえばカップ麺とか結構買ってきたよ」

町娘「はぁ?」

魔王「こっちの料理、口に合わないかも知れないし」

町娘「話そらしてんじゃねーよハゲ」ゲシッ

魔王「痛っ、足癖悪いな!」

町娘「てめーが唐突にわけわかんねーこと言うからだろーが!」

魔王「殺す殺さないの話でしょ?まぁ、それも考えたんだけど」

町娘「あん?」

魔王「やっぱさぁ、殺して達成したいことじゃないんだよねぇ」


町娘「はぁ?人攫いしといて何言ってんだお前」

魔王「うっ・・・、それはまぁそうなんだけど・・・」

魔王「・・・いつかはそりゃ、争うのは間違いないんだけど・・・」

魔王「やっぱり、そういうのって少ないほうがいいと思うんだよね」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「それが、ましてや巻き込まれただけの君なんか殺せないって」

町娘「・・・はぁ、んだそれ」

魔王「甘いかな?」

町娘「激甘。お前、部下に背中刺されるぜー、それ。あたしなら刺す」

魔王「手厳しいな」

コンコン

部下「・・・魔王様。食事の用意が・・・って、何締め切った部屋でふかしてるんですか!?」

魔王「あ、いけね」

町娘「あー、通りで空気悪いと思ったわ。窓開けろや」

部下「監禁部屋に窓なんかあるわけ無いでしょうが!」

魔王「あー、どうしよ。扇風機?扇風機でいける?」

部下「何やってるんですかまったく!とりあえず出てください!」

町娘「おいハゲ、ファブリーズ買ってこいよ」

部下「魔王様はお前のパシりじゃない!!」

魔王「ああ、多分僕の部屋にあると思ったから」

部下「魔王様ー!!」


部下「お食事です、魔王様!捕虜を連れて、早く着てくださいよ!!」

タッタッタ

魔王「そうそう、ご飯ご飯」

魔王「どうする?買っといたカップ麺食べるなら、お湯持ってこさせるけど」

町娘「ん~・・・」トントン

町娘「・・・もう一本、吸ったら行くわ。先行ってろ」

魔王「味は保障しないけど?」

町娘「お前らには旨いんだろ?」

魔王「そりゃ、まぁ」

町娘「んじゃ、あたしもそれでいいよ。火ぃ貸せ」

魔王「ん」パチン


町娘「・・・便利だなぁ」フー

魔王「人間でもできるって」

町娘「ああそう」スパー

魔王「じゃあ、食堂は階段上った突き当たりだから」

町娘「んー・・・」ヒラヒラ

スタスタ

町娘「・・・ぶっ。いくら手錠してるからって、普通捕虜を一人にするかよ」

町娘「阿呆な奴だなぁ。なんであんなんが魔王なんだろ」

町娘「・・・ま。逃げねぇあたしも、相当阿呆だけどなー」スパー・・・

―――某城。

勇者「・・・んで、俺になんの用だって」

王様「よくきたな、勇者。実は頼みごとがあってな」

勇者「面倒ごとはごめんだぜ」

王様「む・・・。うーん、面倒というかなんというか」

勇者「歯切れ悪いな。俺も暇じゃねぇんだ。寝たり、寝たりしたいんだよ」

王様「・・・おい、入りなさい」

姫様「失礼しますよーっと」

勇者「おっす、姫」

姫様「おっす、勇者」

王様「お前らな、お互いに礼儀をわきまえろよ」

勇者「話が進んでねーけど」

姫様「はいはい、これは私からの依頼なんだけどね?」

勇者「あ?姫からの?」

姫様「依頼っていうか、お願い?」

勇者「変わんねーよタコ」

王様「・・・こないだのパレードの時、魔物が現れたろ」

勇者「ああ。確か、町の娘が攫われたってやつ?」

王様「そうだ」

勇者「よくわかんねーけど、不真面目なやつだったんだろ?」

勇者「捜索依頼もおざなりだし、親の顔が見てみたいもんだけどな」


勇者「今更探しに行けってんじゃねーだろーな」

姫様「・・・心痛いけど、もう生きてないだろうし」

王様「わしの耳に入ってくれば良かったんだがな」

勇者「・・・んじゃ、なんだよ。魔物を倒してこいっか?どーせ野良だろ」

王様「いや、違うらしい」

勇者「・・・まーた別の『魔王』が現れたって?」

姫様「突然といっても、計画的なんだよ。魔物にしてはね」

王様「そして、報告だと、その攫われた娘は当日、コレの近くに居たらしい」

姫様「実の娘をコレ扱い?」

勇者「じゃあ奴らの狙いは、もともと姫ってことか?」

王様「おそらくな」


勇者「間違って、まったく関係ない市民を攫っちまったってか」

勇者「爪の甘い連中だな」

姫様「まったく。私って姫だよ、姫。普通間違うかな?」

勇者「んなもん、魔物に求めてどーすんだよ」

王様「・・・とにかくだ」

王様「勇者。お前には、その新たな『魔王』について調べて欲しいんだ」

勇者「調べる?殺すんじゃなくてか?」

王様「建前だ。危険分子かどうかの調査、危険分子と判断したら、抹殺」

勇者「ったく相変わらず汚ぇな」

王様「策士と呼べ。ばんばん魔物狩ってたら、それこそ国は総攻撃食らうっての」


勇者「わーったよ。んじゃちょっくら行ってくら」

勇者「ついでに、攫われた女も捜しとく。こっちは期待すんな」

王様「悪いな。骨だけでも見つけてやれば、少しは慰めになるだろ」

勇者「・・・んじゃいつもの財務からテキトーに前借してくからよ、もう出るわ」

王様「ああ、待て待て」

勇者「あん?」

王様「コレ、連れてけ」

勇者「・・・はぁ?」

姫様「二人旅、ってな。そんなに照れんなよ」

勇者「寝言は寝て言え、タコ」


王様「聞かねーんだ、コレが」

勇者「なんでお荷物背負っていかなきゃなんねーんだよ」

姫様「攫ってったそいつの顔、拝んでやらないとね」

勇者「は?」

姫様「だって姫だよ?おかしいでしょ、町の娘と間違えられるのは」

勇者「まさかの私利私欲か」

姫様「この世の美しいものがわかんない野郎に、ぶち込まないと気がすまない」

王様「そういうわけだ、手当てはつけっから」

勇者「はぁ・・・、ついてねーよな、ほんと」

王様「苦労かけるな」

勇者「苦労しかかけねぇんだよ、タコ」

―――城門前

勇者「・・・準備できたかよ」

姫様「なんでその日に出発なの。明日まで待ってもいいじゃん」

勇者「てめーがペースを決めんなよ」

姫様「・・・さいですか」

勇者「一応、顔だしはまずいからな、しばらく帽子深く被ってろよ」

姫様「隠れてる?私の美しさ、隠れてる?」

勇者「誰も見向きもしてねーから、隠れてんだろ」

姫様「はぁ!?気づけよ!!!」バッ

勇者「ばっ・・・!タコがッ!!帽子取んな騒ぐなッ!!」


勇者「・・・とんでもねーお姫様だよ」

姫様「美しいもんは、コソコソしないの」

勇者「そーですかー」

姫様「・・・ね、一番美しいものってなんだか分かる?」

勇者「『私』、とか抜かしたら目潰しくれるからな」

姫様「命だよ」

勇者「・・・・・・・・・」


姫様「・・・ほんとなら、私が死んでたかも知れない」

姫様「私を殺したくて殺すなら、まだ分かる」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「・・・でも、『勘違い』で人殺してんじゃねぇよ・・・」

姫様「殺してから、『違う人だった』じゃ遅ぇよ・・・」

姫様「そんな終わりかたってねぇよ。美しいものへの冒涜でしょ?」

姫様「善意とかじゃない。偽善と呼ばれたって仕方ない」

姫様「それで・・・、誰が得するかも、下手すりゃ損しかしないかもだけど・・・」

姫様「私は『ソイツ』にぶち込んでやらねぇと、気がすまない」

姫様「それが、私のやるべきことでしょ」


勇者「・・・そういうワケか」

勇者「んじゃ、景気よくさっさとぶっ飛ばしにいこうぜ」

勇者「・・・んで、彼女の骨、また返してやろう」

姫様「・・・うん、よろしく頼むわ」

勇者「俺を誰だと思ってんだよ」

姫様「・・・あ~、それにしても」

勇者「んだよ」

姫様「命について語る熱い私、美しくない?」

姫様「オーラ出てない?バレちゃう?」

勇者「目ぇ見開けよ」

姫様「ノット暴力・・・、痛いっ!!なにすんの姫だよっ!?」

勇者「うるせぇよタコ」

風呂に入ってきますおすし

おお伸びている…!
ほっしゅ

眠気でいつやめるか分からんけどただいま!


―――魔王城

町娘「・・・あー、なんというか・・・。お前らって、信じらんねぇ・・・」

魔王「えー?ちゃんと注意したでしょ?」

町娘「味じゃねぇんだよ・・・、いや味もあるけど・・・」

町娘「あんなものを、旨そうに喰うお前らに気持ち悪ぃよ・・・」

魔王「せっかくご馳走用意してんのに!」

町娘「・・・あ、でもあのスープは喰えたな、何とか」

魔王「ああ、昨日の残りのカレー?」

町娘「カレー!?お前、アレ、カレーだったのか!?」

魔王「え?違った?」

町娘「ちげぇよ、全然ちげぇよ・・・、なんで冷たいんだよ・・・、カレー舐めんな・・・」


魔王「・・・うーん、やっぱここはしんどいね」

町娘「煙、もっくもくじゃねーか。よくここに居られたもんだ」

魔王「一応、ファブリーズ持って来たけど」

町娘「あー、意味ねーよ意味ねー。ニオイだけじゃねーんだ」

魔王「うーん・・・」

町娘「・・・おい」

魔王「なに?」

町娘「お前、まさかここに寝ろとか言うんじゃねーだろーな」

魔王「・・・自分でたばこ吸ったくせに、このふてぶてしさは痛ッ!!」


町娘「てめーも吸っただろーが!同罪だ!」

魔王「そりゃ吸ったけど・・・!一本だけじゃん!」

町娘「知るかバーカ!五十歩百歩だ!」

魔王「くっ・・・!なんか小賢しく理詰めしてきてるけど・・・!?」

町娘「どーすんだよ、おい。脱走すんぞ」

魔王「それだと君が死ぬんだって・・・。うーん・・・」

部下「・・・ちなみに、他に開きはありませんよ」

町娘「あん?こんなにでっけーのにか?」

部下「元々、古い城に身をおいているだけです」

部下「空き部屋はあれど、そこはネズミとクモの部屋ですよ」


町娘「はぁ?んじゃ、どーすんだよ。廊下に寝ろってか」

魔王「流石にそれは・・・」

町娘「おめーはどこに寝んだよ」

魔王「僕?僕は一応、色々指示を出してるからほとんど居ないけど・・・」

魔王「部屋はあるよ、夜はそこで寝てる」

町娘「よし、そこで寝るわ」

魔王「えぇぇぇーーー!?何言ってんの!?」

町娘「勘違いすんな、ちゃんと考えてるっての」

魔王「何を・・・」

町娘「おめーは、空き部屋で寝ろ」

魔王「とんでもない考えてた!」


町娘「はぁ?んじゃお前、どーすりゃいーんだよ」

町娘「こんな煙モクモクのところよぉ、居られるわけねーだろ?」

魔王「そりゃそうだけどさぁ・・・」

町娘「決まりだっつーの。てめーの部屋貸せや。そこで待機してりゃいーんだろ」

魔王「ちょ・・・!夜はどうすんの?」

町娘「知るかんなもん」

町娘「ま、おめーが理性保ってられるってんなら、おんなじ部屋で寝てやってもいーよ」

魔王「年頃の女の子がそういうこと言わないでって!」

町娘「んだよかわいー反応だなぁ、おい」

魔王「・・・はぁ」

町娘「んじゃ、さっさと案内しろや」

―――魔王部屋

町娘「はーん。でけーベッドだな」

魔王「まぁ一応、魔王だからね」

町娘「意味わかんねー、偉ぇとベッドがデカくなんのかよ?」

魔王「そういうわけじゃないけど。身の回りに上等なもの置かないと、下がうるさいんだ」

町娘「はっ。てめー、貧乏性くせーもんな」

魔王「ただ勿体無いって思うだけだよ・・・」

町娘「けっ、威厳もへったくれもねーなハゲ」

町娘「部下共に同情するわ」

魔王「手厳しいな」


町娘「さぁて、夜はどうすっかね」トントン

魔王「あ、禁煙だから」

町娘「はぁ?」

魔王「僕も吸うけど、たばこの煙のニオイがつくのは嫌なんだ」

町娘「ファブリーズしろ」

魔王「そういう問題じゃないって!」

町娘「知らねーよ・・・、早くほら、火」

魔王「ふふふ。僕が火を出さなければ、君はたばこを吸えないだろう?」

町娘「ちっ、ハゲが。つーかフツーにライターくらい常備してるっての」シュボッ

魔王「あっ!火持ってたくせに僕につけさせてたのかよ!って吸うなってば!!」

町娘「あー・・・、うめー・・・」プカー

やさぐれてんなぁ
こんな町娘は大好きだ


町娘「あー・・・」スパー

魔王「うう、やっぱりこんな子攫うんじゃなかったよ・・・」

町娘「まぁまぁ、吸えよ」

魔王「ありがとう」スッ

町娘「ん」シュボッ

魔王「お、悪いね・・・」

町娘「結局吸ってんじゃねーかよ」

魔王「もう、一本も二本も一緒だって」スパー

町娘「へんなとこで思い切りいーよなー」スパー


町娘「あー、結局寝るのどーすっかな」

魔王「ん?いいよ、好きに寝ちゃって」

町娘「は?おめーどーすんだよ」

魔王「寝るよ?」

町娘「どこで」

魔王「ここで」

町娘「あたしは?」

魔王「ん?寝るんじゃないの?」プカー

町娘「どこで」

魔王「ここで?」

町娘「・・・・・・・・・」スパー

魔王「?」

町娘「・・・ばっ、て、てめーわけわかんねーこと言ってんじゃねーぞハゲがッ!!

魔王「痛ったぁッ!?痛い痛い多い!蹴り多い!あぅ!」ゲシゲシゲシッ!!!


町娘「少しは考えやがれっ!」

魔王「な、なにを・・・」

町娘「いっ、いろいろだよハゲっ!!!」

魔王「えー、もう、ワケわかんない怖・・・」

町娘「とーにーかーくーこらぁっ!もうアレだ、寝ねぇっ!!」

魔王「え!?マズくない!?」

町娘「酒もってこいや!」

魔王「しかも呑むの!?」

町娘「素面でやってられっか!買って来い!ひとっ走り!!」

魔王「もうなんだんだよ、もう。痛い、分かった買ってくるから!」

町娘「つまみにチータラも買ってこいや!!」

魔王「地味に出費がかさむな・・・」トボトボ

ごめんぬ、ねますん・・・、今日早いねん・・・

何時になるかわかんないけど、もし万が一残ってたら
「地獄の酒盛り編」から書きます!
つか、俺の立てたスレじゃないから他の人が書いても構わんのだけどな・・・

読んでくれた人ありがとう、おやすみ・・・

魔王「お前は調子に乗り過ぎた」

町娘「あ!?それはおめぇだろうがよ!急に連れ出しやがってこのショボクレキンタマアボカド野郎ッッ!」

魔王「口数の減らない奴だな。私を怒らせたことを後悔させてやる」

魔王はラリホーマを唱えた!

町娘「ぁ……ぁぅ…?」

町娘は眠ってしまった!

魔王「ククク…力の無いくせに粋がりおってからに……」

魔王「おい」

魔王が人差し指を振るとワラワラと雑魚が沸き出した

雑魚達「へい!!お呼びでしょうか魔王様!」

魔王「その小娘を好きにして構わん。私は王を殺し姫を奪う…」

雑魚達「ヒャッハァー!!流石魔王様!仰る事が違いますだ!ではイタダキマスダ!」じゅるり

魔王「愉快だ。さて、宴の準備だ………ククク………クハハハ!ハーハッハッハッ!」


とかいう有りがち魔王想像してた

雑魚A「>>72という展開を期待していたのだが」

雑魚B「これはこれで」

雑魚A&B「「 あ ぁ 願 っ た り 叶 っ た り 」」

雑魚A「魔王さま、城の勝手口から財布握り締めて飛び出してったな」

雑魚B「目元に光る液体を見たぞ」

雑魚A「何かと忙しいお方だからな、それは汗だろう」

雑魚B「そうか」

村娘「料理上手は床上手だべ」

魔王「…うっ!」

町娘はランチさんじゃね……?

帰って来れたぜやっほう


魔王「ただいま、・・・やっぱたばこ臭うなぁ・・・」

町娘「遅ぇっ!」ビュン!

魔王「へぶっ!」ビターン!

町娘「なぁにちんたらしてんだよ!」

魔王「この部屋唯一の枕を投げるなんて・・・」

町娘「で、買ってきたのかよ?」

魔王「ビール高いからチューハイだけど。あ、あとツマミ適当に」

町娘「あぁ、いーよチューハイくらいで。チータラは?」

魔王「言われたとおり、ちゃんと入ってるよ」

町娘「おっ、よしよし。よこせハゲ」


町娘「んー、やっぱチータラだよな」モグモグ

魔王「適当に食べて」

町娘「んじゃ、乾杯といくか」

魔王「まさかこんなことになるなんてなぁ・・・」

町娘「元はといえばテメーらのミスのせいだろ」

魔王「まぁそうだけど。・・・まさか、人質と呑むとは」

町娘「煮えきらねーなぁ。ほら、カンパーイ!」

魔王「か、かんぱーい」カツン


町娘「んぐっ」

魔王「・・・・・・・・・」ゴクゴク

町娘「・・・っはー、うめー」

魔王「言ってくれればワインとかもあったけど」

町娘「あぁん?んな洒落たもんあんのか」

魔王「僕はどっちかといえば、そーいうほうが好きなんだよね。カッコいいし」

町娘「はっ!カッコよさで酒なんて飲んでんじゃねーよハゲ」グビッ

魔王「っていうかもともとそんな飲まないし」

町娘「あたしは、酒の味なんてよくわからねーからなぁ」

町娘「旨い不味いもわかんねーのに、高ぇのなんか飲んでらんねーよ」

町娘「安酒でじゅーぶん楽しめるっての」

魔王「・・・そういうもんかなぁ」


町娘「まっ、チーカマもあるし」ヒョイパク

魔王「・・・そういえば、どっか怪我とかしてない?」

町娘「あん?なんだ今更」

魔王「いや・・・。間違いとはいえ、手荒なことしちゃったし」

町娘「あー・・・、パレードに通りかかったらいきなり眠らされたしな」

町娘「気づいたらここだ、わかんねーよ」

魔王「そう」グビッ

町娘「あー、でも起きてすぐ壁とか蹴っ飛ばしてたからなー」

魔王「何でそんな無茶を・・・。見せてみて」

町娘「なっ・・・」


ヒョイッ

魔王「んー、やっぱ怪我してるよね。小さいけど、消毒しなきゃなー」

町娘「なっ・・・、な、な」

魔王「ん?膝の裏の・・・、運んでくるとき、木で切ったやつかなへぶぅッ!?」

町娘「い、いいいいきなり足持ち上げんなハゲッ!!」

魔王「・・・あ、あごはいはいっへ・・・」

町娘「このやろーてめーっ!何なれなれしく触ってきやがったっ!?」

魔王「いや、傷の具合がげふっ!」

町娘「変態かクソハゲ!こんだけ動けばへーきだっつのボケッ!!」ゲシッ!ゲシッ!

魔王「痛い痛い!なんで僕が蹴られなきゃいけないんだよ!?」


町娘「はぁ・・・!はぁ・・・!」

魔王「な、なんだかわかんないけどごめん・・・」

町娘「・・・み、みたのか」ボソッ

魔王「へ?」

町娘「その・・・、ぱ、ぱ・・・」

魔王「なにがなんだって?」

町娘「・・・なんでもねーよエロハゲッ!」スパーン

魔王「いてっ!なんなんだよもー!なにを見たって!?」

町娘「うるせーうるせーっ!飲むんだよこらっ!」グビグビ

魔王「あっ、一気飲みはやめときなって!」


町娘「・・・あー、ったくよぉ、とんだ災難だよ」

魔王「・・・他、どっか痛むとかないよね?」

町娘「ねぇよ。つーか怪我の心配するくらいならコレ!この手錠とれや」

魔王「流石にそれは・・・、建前だけどさぁ。一応、人質なわけだし・・・」

町娘「けっ、今更手ぇ広げられたくらいで、逃げよーなんて思わないっての・・・」

魔王「手、痛む?」

町娘「そこまでじゃねーけど、やっぱがちゃがちゃ擦れるしな」

魔王「どれどれ」

ヒョイ
町娘「・・・てめっ」

魔王「あー、ほんとだ。赤くなっちゃってるね」


町娘「・・・おめー、それ天然でやってんのか?」

魔王「え?なんかしたかな」

町娘「・・・ちっ」

魔王「やっぱり手錠ってのはよくないよね」

町娘「・・・知るか」

魔王「でも縄だともっと痛いし・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・やっぱ、うん。今更だけど、謝っとくよ。ごめんね」

町娘「・・・き、急になんだよ」

魔王「いや・・・、こんなことに巻き込んでさ」

町娘「・・・んっとに、ナヨナヨしたやつだなー、お前」

魔王「はは・・・、言い返せない」


町娘「・・・手、いつまで握ってるつもりだよ」

魔王「え?あ、ごめん。・・・あとで、薬持ってくるからね」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・あれ?なんか顔赤くない?」

町娘「ばっ・・・!そ、そんなことねーよ!」

魔王「やっぱり一気飲みはよくないって」

町娘「・・・っ!ううううるせーよばーか!」ゲシッ

魔王「いっ、すぐ蹴るのはよくないと思うな!」

町娘「うっせー!飲ませろや!」


町娘「お、切れた」

魔王「ゆっくり飲みなよ」

町娘「辛気臭ぇやつがいるから、酔うに酔えねーんだよ」カシュッ

魔王「あーそーですか」

町娘「おら、お前もぐいっと行けよ、ぐいっと」

魔王「えー、ゆっくり楽しみたいじゃん」

町娘「いーからいーから!」

魔王「・・・酔ってるよね?」

町娘「酔ってねーよ!いーから飲めや!」

魔王「ちょ、うぐっ!?」グビグビ


・・・・・二時間後

町娘「おいこら魔王!飲んでるか!?飲んでるかぁ!?」

魔王「飲んでる飲んでる~!ひっく、うぇーい!!」

町娘「さっすが魔王!底なしだな!」

魔王「まだまだ飲めるぜ!酒もってこーい!!」

町娘「居酒屋じゃねーんだから!酔っ払ってんのかぁ!?ひっく!」

魔王「酔っ払うかって~!お!飲んでないんじゃない!?」

町娘「おめーより飲んでるよハーゲ!あっはっはっはっは!!」

部下「・・・五月蝿いと思ったら・・・。なにこのカオス」

魔王「おっ!いいところに!」

町娘「おらおら、飲めよ飲めよ!!」

部下「えー!?チューハイでこんなに出来上がってんのこの二人!?」

―――朝

チュンチュン

魔王「・・・んがっ」

魔王「・・・あれー、いつの間に寝て・・・」

魔王「あたまいたいー・・・」

魔王「・・・ん?あれ、動けない・・・」

魔王「・・・そういえば彼女は・・・」

町娘「・・・zzz」スースー

魔王「・・・・・・・・・」

魔王「・・・おかしいな、なんで僕の腕に寝てるんだ・・・」


町娘「・・・zzz」スースー

魔王「・・・服は着てるから、セーフ・・・?」

魔王「あー、でも・・・。魔王としては、コレはやばいな・・・」

部下「・・・おはようございます」

魔王「げっ!?ちちち違うんだ!誤解だよこれは・・・!!」

部下「・・・知ってますよそんなの」

部下「あなたが一番最初に飲み潰れて、その横に彼女が潰れました」

魔王「・・・そ、そうなんだ」

部下「まったく。チューハイごときで酔っ払うんじゃ、酒盛りなんてしないでくださいよ」

魔王「面目ないです」


部下「朝食が・・・、もう昼過ぎですけどこの野郎。さっさと来てくださいね」

魔王「え?でも今動けなくて・・・」

部下「じゃ」

バタン

魔王「・・・どうしようかな、起きないかな・・・」

町娘「・・・zzz」スースー

魔王「・・・こうしてみると、やっぱり整った顔なのかもしれない・・・」

町娘「・・・zzz」スースー

魔王「・・・あれ、コレって、起きたときに・・・」

町娘「・・・ん」


魔王「・・・あ」

町娘「・・・んー・・・?」パチ

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・あ、おはようございます」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「ちょっと待って!コレは誤解でその!蹴りは待って」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「ひぃ・・・」

町娘「・・・う」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・うぅうぅぅうぅぅ」ポロポロ

魔王「な・・・、泣かれたーーー!!??」


町娘「・・・って、あたし・・・、これ・・・覚えて・・・」ヒック

魔王「誤解!多分君の考えてることは間違ってる!誤解!」

町娘「・・・?」

魔王「服見て服服!昨日のまんま!大丈夫!」

町娘「昨日の・・・まんま・・・?」グス

魔王「そうそう!だから誤解!」

町娘「・・・ごかい・・・?」

魔王「うん!大丈夫!」

町娘「・・・あー・・・」グス

魔王「ほ、ほらティッシュ使って」

町娘「・・・ん」


魔王「お、落ち着いた・・・?」

町娘「・・・ふろ・・・」

魔王「お風呂ね!たぶん沸いてるから入ってきて!」

町娘「・・・ん・・・」フラフラ

魔王「すぐ右だから!」

町娘「・・・・・・・・・」フラフラ

魔王「・・・ふぅー。せ、セーフ・・・」

部下「・・・若い娘を泣かせるとは・・・」

魔王「そもそも君が別のところに寝かしてくれればよかったんだ!」


町娘「・・・あー・・・」

魔王「お、お帰り。さっぱりした?」

町娘「んー、でも頭痛ぇ・・・」

魔王「そ、それは僕も痛い・・・」

町娘「・・・なんか、よそよそしくねぇ?」

魔王「そそそそんなことないけど」

町娘「はぁん?ま、いーけどよ・・・、あー頭痛ぇ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・つーか、気づいたら風呂入ってたんだけど、あたし、どこで寝てた?」

魔王「っ!べ、ベッドだけど」

町娘「お前は?どーしたん」

魔王「ゆ、床ー」

町娘「んー、わりぃことしたなぁ、そりゃ」

魔王「・・・・・・・・」ドキドキ


町娘「・・・腹減った」

魔王「あ、そういえばご飯が・・・」

町娘「あたし、カレーだけでいーから」

魔王「え?せっかく作ったのに」

町娘「食えねーんだよ・・・、アレだけでいいっつの」

魔王「それじゃ食堂行こうか」

町娘「んー・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「あたし、なんか寝言かなんかいってたか?」

魔王「い、言ってないと思うよ」

町娘「んー・・・、まぁいーか・・・」

―――森

勇者「・・・おい、起きろや」

姫様「むにゃむにゃ、もう食べられないよ」

勇者「そんな寝言ねぇだろ・・・、さっさと出発するぞ」

姫様「んー。野宿ってのもたまにはいいな」

勇者「そりゃいーだろな。勝手にグースカ寝やがって」

姫様「まさかずっと見張りしてたのか?」

勇者「おめーが交代の時間に起きねーからだろ」

姫様「起こしてくれればよかったのに」

勇者「起こしても起きねーんだろおめーは」

姫様「あ!私の寝顔が美しすぎて起こせなかったんだろ?そうだろ?」

勇者「目ぇ覚めてねぇなら、起こしてやろうか?」

姫様「もう起きてます、結構です」

ちょ、用事できた・・・
すんませんちょいと出てきます

保守どうも!ただいま!!


姫様「・・・ってか、一晩明かすなんて聞いてないんだけど」

勇者「あ?それくらい考慮しとけよ」

姫様「朝から出なかったから、すぐ着くと思って・・・」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「・・・図星?」

勇者「・・・迷ったわけじゃねぇよ」

姫様「ほんと?」

勇者「・・・魔力が読めない」

姫様「は?」

勇者「やつらの魔力が読めねぇんだよ。・・・巧妙なやつらだぜ、これ」


姫様「な、なんで早く言わないんだよ!」

勇者「言ったところで解決しねーだろーが」

姫様「はー!?じゃあ当ても無く闇雲に探すってこと!?」

勇者「そうなるな」

姫様「はー・・・。ぶち込むのは相当先か」

勇者「ま、今日の動きは決まってんだけどな」

姫様「・・・なんか考えがあんの?」

勇者「知能の高い魔物を探す」

勇者「この辺で喋れる位の魔物は、絶対にその魔王の部下だろ」

勇者「そいつに吐かせりゃいーんだ」


雑魚A「―――買出し、買出し」

雑魚B「さっさと買出し」

雑魚A「夜に行かないとまずかったな?」

雑魚B「夜は眠いだろうが」

雑魚A「だよなー」

雑魚B「まだ冷蔵庫に余裕はあるし、大丈夫・・・ん?」

雑魚A「どうした兄弟」

雑魚B「おい、あれ見てみろ」

女「・・・・・・・・・」


雑魚A「こんなところに女が倒れているぞ?」

雑魚B「女が倒れているといったら、やることは一つだろ?」

雑魚A「どういうことだ兄弟」

雑魚B「ヒント:俺達は魔物」

雑魚A「よっしよっし!いいねいいね!」

雑魚B「丁度エロの需要もあるみたいだし、ここらで壮絶なエロスィィィンを・・・」

雑魚A「お顔拝借」

雑魚B「なかなかの上玉」

雑魚A「・・・んー?」

雑魚B「どうした兄弟」

雑魚A「この顔、どっかでみたことあ・・・」

ポン

勇者「おっす、おつかれ」

雑魚B「・・・お、おーっす」


女「・・・私を出しにするとは、良い度胸だなー・・・」

勇者「まーまー。こうやって捕まえたわけだし」

雑魚A「・・・えーと、どういうことでせうか」

勇者「ヒント:俺は勇者」

雑魚B「終わった・・・、中途半端にムラムラしたばっかりに俺の命終わった・・・」

女「・・・ったく、私姫だよ?一国の姫だよ?それをこんな地味な・・・」

雑魚A「・・・あー!姫様だった!やっぱどっかで見たことあると思った!」

姫様「そんなミーハーな感想要らねぇんだよ!!」

勇者「姫が美しかったから、二匹も捕まえられたなー」

姫様「・・・え?」

勇者「ほんとは一匹でよかったのに、得したなー」


姫様「・・・マジ?姫美しい?」

勇者「マジマジ。姫居なかったらどーにもならんかった」

姫様「・・・おい魔物!」

雑魚A&B「「は、はいっ!!」」

姫様「お前ら、私が美しかったから立ち止まったのか!?」

雑魚A「え?いや、顔なんてみてなかっへぶぇっ!?」

雑魚B「もちろんそーです!はい!なんか、美しいオーラみたいな!」

雑魚A「兄弟・・・、今の一撃には愛が無かった」

勇者「ほらほら。こーいってんだから」

姫様「・・・ふふふふふ、やはり私の美しさは留まるところを知らないということだな・・・!」

姫様「さっすが私!美しい!美しすぎて魔物すらも虜にするとは恐ろしい!あっはっはっはっは!!」

勇者「・・・単純だろ?コレが、一国の姫なんだなー」

雑魚B「・・・夢が一つ壊れた気がする・・・」

雑魚A「そういうあんたも、十分勇者としてはどうかと思う・・・」


姫様「おい勇者!」

勇者「んだよ」

姫様「私はこいつらを殺すのは忍びないぞ!」

雑魚A「へっ・・・?」

雑魚B「た、助かった・・・!」

姫様「美しいものを分かっているとは、なかなか見所のあるやつらだ」

雑魚A「ひゅー!姫サイコー!!」

雑魚B「美しすぎてもはや罪ー!!」

姫様「やめろよ照れんだろー!!あっはっはっは!!」

勇者「・・・ん、まぁ元から殺す几なんてねーんだけどな」

勇者「死にたいとは思うかも知んねーけど」

雑魚A&B「「えっ」」


雑魚A&B「「―――じんだほうがよがっば・・・」」

勇者「あらかた吐いたな」

姫様「別に暴力振るう必要は無かったんじゃないん?」

勇者「テメェの上を売るんだ、そう簡単にはいかねーんだよ」

姫様「・・・わかんないなぁ」

勇者「あー、男のなんたらってやつか?俺もよくわかんねーけどよ」

勇者「・・・ま、ボコられて吐いたって前提があったほうが、救われるんじゃねーの」

姫様「・・・ふーん、そういうもんか」

勇者「おら、少し歩く距離だぞ」

姫様「ちょっと待って」

勇者「あん?」


姫様「おーい、起きてる?」

雑魚A「・・・もうすぐオチる・・・」

姫様「まー、後遺症が残んないくらいには治癒魔法かけといてやるからさー」

雑魚B「・・・な、なべそごまで・・・」

姫様「は?美しいからに決まってんだろ」

姫様「別に私ちゃ虐殺しに来てるわけじゃねーんだ、美しくないでしょ」

雑魚A「・・・こんな姫なら、安泰かも・・・」

姫様「そりゃどーも。んじゃ、寝てろ」ポワッ

雑魚B「ぐ・・・」ガクッ

勇者「なにしてんだ、行くぞ」

姫様「あーい」ヒラヒラ


勇者「やっぱ奴さん、魔力を隠してやがった」

姫様「んじゃ、結構手ごわい野郎だね」

勇者「魔力ごと、城まで隠してるって感じか。それじゃ見つからねーわけだ」

姫様「頭使う魔物ほど、厄介なもんはないなー・・・」

勇者「・・・結構苦戦すっかも。着いて来れるか?」

姫様「何言ってんの、私姫だよ。ヤツには一発ぶち込んでやらねーと」

勇者「心強い限りなこって」

姫様「・・・そういえば、あの子のことは何か言ってなかった?」

勇者「あの子?」

姫様「連れ去られた・・・」

勇者「・・・あー、それがどーもな・・・」


姫様「・・・生きてる?本当かっ!?」

勇者「嘘ついてる感じじゃねーけど、どうも嘘くせぇ」

姫様「嘘?」

勇者「魔王をたばこ買わせに行ったり、魔王に酒買いに行かせたり・・・」

姫様「・・・その娘のほうがラスボスじゃん・・・」

勇者「ふざけたこと抜かすなって、蹴り飛ばしても言うこと変えねーし」

勇者「ラチあかねーからそれっきりだけどよ。どう思う?」

姫様「どう思うったって・・・。そんなん、嘘にしか」

勇者「だよなぁ」

姫様「・・・でも、生きてるとしたら、それが一番いいな」

勇者「・・・だよなぁ」


姫様「・・・もう、結構歩いた?」

勇者「森はどんどん入り組んでく一方だけどな」

姫様「まさか、だまされたとか」

勇者「ここでだましてきたら、相当肝っ玉のあるやつらだよなー」

姫様「んな呑気な・・・、お?」

勇者「どした」

姫様「前・・・、開けてるんじゃない?」

勇者「おっ。・・・いよいよ、か」

姫様「は、早く!勇者早く!!」ダッ

勇者「てめっ、待てっての」ダッダッダ


姫様「・・・わっ、落ち・・・!?」

勇者「!危ねっ!!」ガシッ

姫様「うぉ・・・!さ、さんきゅー」

勇者「急に走んなタコッ!!」

姫様「まさか、崖になってるなんて・・・」

勇者「ったく・・・。でもま、目的地には来れたみたいだぜ」

姫様「古い洋館だなぁ」

勇者「ほっとかれた城を拠点にしてんだろ」

姫様「んじゃ、ちょっくらぶち込みに行ってくるか」

勇者「そうだな。・・・んじゃ、この崖下る道探さねぇと・・・」


姫様「必要ねぇよ」グッグッ


勇者「・・・は?お前、なにおもむろに屈伸してんの」

姫様「やっぱ伸ばしとかないとね、うん」

勇者「意味わかんねーけど」

姫様「見つけたから、叩く。そういうこと」

姫様「回り道なんかするか、上等じゃねーか」

勇者「おまっ・・・!おい!」

姫様「じゃっ、お先に」タッ

勇者「馬鹿かお前!!死ぬぞ!!」

姫様「死なねーよ、姫だもん」ニヤリ

勇者「意味わかんね・・・っておい、待て、跳ぶなタコおぉぉぉぉい!!!???」

―――魔王城

町娘「・・・ったく。暇だよな」

魔王「まぁ、やることも無いしね」

町娘「つーかお前、あたしとグダグダしてていーのかよ」

魔王「見張りのつもりなんだけど・・・。というか、人質は身近に置いておかないと」

町娘「はぁ?エロいことでもすんのか?」

魔王「しっ・・・、しないよ!」

町娘「はっ!冗談だ、てめーにはできねーよなハゲ」

魔王「そ、そんなに言うなら欲しいわけ?」

町娘「は・・・」

魔王「散々馬鹿にして!なんならしてやってもいいけど!僕魔王だし!」

町娘「・・・・・・・・・」


魔王「・・・なーんて、冗談冗談」

町娘「えっ・・・」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・あ、あぁ~、冗談な、冗談」

魔王「ん?え?そ、それって?」

町娘「なっ、なんでもねーよ」

魔王「そ、そう」

町娘「でも、ず、ずっと居るから、てっきり、そういう、なぁ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「いや、うん、なぁ。なんか、そういう、間違いが・・・」

魔王「ま、間違い・・・?」

町娘「な、なんでもねーよ・・・」

魔王「ま、間違っちゃったり?みたいな・・・?」


町娘「・・・さ、酒抜けてねーのかな?あはは」

魔王「そ、そうかもしんない、心なしか、なんか、ふわふわした・・・」

町娘「えー、えー・・・。なんか、ち、ちけーけど・・・」

魔王「考えてみれば、僕、魔王だし・・・」

町娘「ま、魔王らしくねーけどなぁ」

魔王「・・・もっと、魔王らしくしたほうがいいのかな」

町娘「そ、それってどういう」

魔王「え?ん、いや、その・・・」

町娘「ま、間違ってるぞー」

魔王「そ、そのほうが魔王らしい?」

町娘「ら、・・・らし、い」

魔王「・・・!」


魔王「それって、どういう・・・」

町娘「・・・か、顔赤いぞ、まおう」

魔王「き、君こそ真っ赤だけど・・・」

町娘「き、気のせーだろ、気のせー」

魔王「ぼ、僕も気のせいなの、かなぁ」

町娘「ん、んん、ど、どーだろ、しんねー・・・」

魔王「・・・勘違い、しちゃっても、い、いいのでしょうか」

町娘「・・・ばっ、お、おめー、そんなの・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・か、勝手にしろや・・・。しったこっちゃ、ねー・・・」


魔王「それって・・・」

町娘「・・・~~ッ」

魔王「じゃ、じゃあ、ま、魔王らしく・・・」

町娘「ま、魔王らしく・・・?」

魔王「魔王らしく・・・」

魔王「君を―――」



姫様「―――プリンセス・キィィィィィック!!!!」



ドンガラガッシャーン!

町娘「ひゃっ・・・」

魔王「ふべっ・・・!」

ゴロゴロゴロゴロズガシャーン!!!


姫様「・・・ふっ!転がって着地の衝撃を和らげたけど華麗すぎて美しい!」

姫様「んで、ここどこの部屋?」

姫様「上から攻めてったほうが効果的だと思うんだよね、どうよこの姫戦法」

町娘「・・・?」

姫様「ってかなんか踏んだような・・・」

魔王「―――」

姫様「あり?大丈夫?もしかして踏んだ?わーお、ごめんね」

姫様「・・・ん?んん?なんだろうねこのピンクい空気」

姫様「思いっきり突っ込んできたけど、んん~?なんか、憎悪を感じるぞ?」

姫様「なんか知んないけどごめん、許して!美しいから!」

台風来る前にお風呂はいってくる!
ごめん、許して!美しいから!

俺、牛乳大好きなんだけど、
牛乳飲むとお腹痛くなるん。理不尽じゃね?

おうふ、おうふ


町娘「あ・・・?姫・・・さま?」

姫様「ん?なんで人間がこんなとこに・・・」

町娘「・・・えーっと、いろいろ・・・」

姫様「あっ・・・!も、ももももしかして、攫われた子!?」

町娘「は、はぁ。そんなとこだけど、って」

姫様「良かったぁ!生きてたぁ!!!」ダキッ!!

町娘「ひっ!な、なにすんっ・・・!」

姫様「なんもされてない!?怪我は無い!?あっ、手錠とかされて・・・」ギュウッ

町娘「だ、大丈夫、です」

姫様「良かった生きてた・・・、死んでなかった・・・」ギュウゥゥ


姫様「気が気じゃなかったんだ!ほんっっとうにすまなかった!」

町娘「い、いえ・・・。一人でここまできたんすか?」

姫様「いや、勇者とね。私の変わりに攫われたとか、私が動かないと話になんないじゃん」

町娘「はぁ・・・」

姫様「あなたを攫ってった魔王とやらにも一発ぶち込まないと・・・と、」

姫様「あーそーだ!そいつだよそいつ!顔、分かるか!?連れてって!ぶち込むから!!」

町娘「いや、ぶち込むっていうか・・・」

町娘「もう、済んでるっていうか・・・」

姫様「へ?」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「―――」

姫様「・・・え?もしかして、コレ?」


姫様「マジかよ・・・、私、流石の命中率・・・」

町娘「っていうか、どこから・・・」

姫様「そこの崖。・・・おい、起きんしゃい」ゲシッ

魔王「えうっ!・・・な、なにが起こって・・・」

姫様「よう、魔王」

魔王「げぇ!?姫!?」

姫様「直々に来てやったよ?え?お礼の一言でもいただきたいところなんだけど?」

魔王「ど、どういうこと・・・?」

町娘「さぁ・・・、あたしもさっぱりわかんねー・・・」

姫様「市民を巻き込んだのも許さねぇし、私のパレード中にコソコソしたのも許さねぇし・・・」

姫様「・・・この美しい私と、一市民を間違えるなんて許さねぇぞ小悪党ッ!!」

町娘「うぇ!?ほとんど自分のことじゃねーか!?」

魔王「まさかその執念であの崖から飛び降りたの!?」

姫様「・・・ま、私もこの子は美しいと思うから、なかなか見所はあるんだろうけど」
町娘「ほ、褒められたのか今」
姫様「それにしても!殺すなら私を殺せよっ!!」
姫様「関係ねぇ女勘違いで殺そうとしてんじゃねぇよっ!!」
魔王「え!べ、別に殺そうとした訳じゃ・・・」
姫様「問答無用だ!美しいものをないがしろにするんじゃねぇ!!」ヒュッ
魔王「ちょ、話聞いて―――

ごめんミス

姫様「・・・ま、私もこの子は美しいと思うから、なかなか見所はあるんだろうけど」

町娘「ほ、褒められたのか今」

姫様「それにしても!殺すなら私を殺せよっ!!」

姫様「関係ねぇ女勘違いで殺そうとしてんじゃねぇよっ!!」

魔王「え!べ、別に殺そうとした訳じゃ・・・」

姫様「問答無用だ!美しいものをないがしろにするんじゃねぇ!!」ヒュッ

魔王「ちょ、話聞いて―――!」

姫様「プリンセス・パンチッ!!」ドゴン!

魔王「おぐぁっ!?」

ズガシャーン!!

姫様「・・・決まった、確実に今のは美しかった・・・」

町娘「本当に人の話を聞かない人だな・・・」


姫様「よっしゃ!この意気で城ぶっ潰して帰るかー!」

町娘「ちょ、ちょっと待ってよ姫様」

姫様「あん?あ、あんたもこいつにぶち込んどく?」

町娘「いや、もう結構ぶち込んだし・・・。じゃなくて」

町娘「確かにあたしは攫われたけど、こいつ、そんなに悪いやつじゃなくて・・・」

姫様「は?」

町娘「なんつーか、うん、たぶん、誤解してっから・・・」

姫様「誤解?」

町娘「だって、人質のあたしがほぼ無傷でこんな部屋に居るとかおかしいっしょ」

姫様「・・・襲われかけてたとか・・・」

町娘「うっ・・・!ち、違う、アレはその・・・。とにかく!違うんだって!」


姫様「・・・んじゃ、手錠だけされててほぼ自由だったってこと?」

町娘「そーいうこと・・・。人質間違い云々は知らねーけど」

町娘「とにかく、姫様が怒ってくれたみたいにあたしのこと殺そーとしたわけじゃないから」

姫様「うぇー。じゃあ悪いことしたかな・・・」

姫様「・・・いや、姫を攫うのミスるようなやつだし、いっか」

町娘「いっか、って・・・」

魔王「・・・誤解は、解けたのかな・・・」

姫様「おーう。なんか、彼女のこと殺そうとしなかったって?」

姫様「なかなか見所のあるやつだなぁ、殴って悪かったよ」

魔王「天井に関しても謝罪が欲しいけど・・・」


姫様「あ、手錠」

町娘「ん?」

姫様「えいや」ベキッ

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「悪趣味だなー、美しくないぞ?」

魔王「一応人質だから。縄で縛るよりはいいかなーって」

姫様「ふーん。結構考えてんじゃん・・・、ん?」

姫様「別に、襲われたりしたんじゃないんでしょ?」

町娘「え?あ、うん」

姫様「じゃあ、私がぶっ壊したピンクい空気は一体?」

町娘「!!」

魔王「!!」


町娘「ちがっ・・・!元はといえばこいつが・・・!」

魔王「ちょ!違う、絶対君からだった!」

町娘「な、あ、あたしがんなことすっかぁ!適当いうなぁ!」ゲシッ

魔王「いったい!違う!絶対あの空気は違う!」

町娘「あ、あれは暇すぎて・・・!で、でもあたしはかんけーねぇ!!」

魔王「関係なくはないでしょ!?だってあんなこと言われたら」

町娘「聞こえねぇ!なんも聞こえねぇぞ!うっせぇんだよハゲ!エロハゲ!」ゲシッゲシッ

魔王「痛、痛い痛い!足癖悪いんだよ本当に!!」

姫様「・・・雑魚どもが言ってたパシリ疑惑って・・・」


町娘「と、とにかく!違うんすからね!」

魔王「そう!違う!違う!」

姫様「あー、もう分かったよ。・・・酒の缶とか落ちてっし・・・」

町娘「うっ・・・、い、いろいろあってなー」

姫様「・・・で、この子連れ帰って構わないんでしょ?」

魔王「そりゃあもう、願ったり叶ったりで・・・」

町娘「え・・・」

魔王「・・・え?」

姫様「・・・・・・・・」

魔王「・・・ほ、ほらそういうの!なんなの!?何がお望みなの!?」

町娘「・・・ば、なんでもねーよ・・・、あーあー!やっと帰れるなー!わーい!!」


魔王「わーい、とか使う人だったっけ!?」

町娘「うるせぇ!う、うれしいから、言っちまったんだろー」

魔王「じ、じゃあ、帰れるのが、うれしいんだね」

町娘「う・・・、う、う、うれしいさ、当たり前だろ・・・」

魔王「そうだね、そりゃ、当たり前だね」

町娘「・・・っ!さ、さっさと帰りましょー・・・」

姫様「なんだかなぁ」

魔王「に、二度とくんなよー!」

町娘「・・・だ、だれが来るかハゲ!た、頼まれても、来てやんねーから・・・」


姫様「おい、引き止めたほうがいーんじゃないん?」

魔王「そ、そんなわけないでしょうに」

町娘「ひ、姫様。早く行こーぜ」

魔王「そ、その!」

町娘「な、なんだよ。まだなんかあんのかよ、魔王」

魔王「もう少し、待―――」



勇者「―――はい到着」



ドンガラガッシャーン!

町娘「ひぇっ!?」

魔王「べふぅっ・・・!」

姫様「おー」

ゴロゴロゴロズガシャーン!!!


勇者「着地もばっちり。流石俺、勇者の名は伊達じゃない」スタン

勇者「コレが俺とお前の差だな、姫。後先考えねーで突っ込んでんじゃねーよタコ」

姫様「結局お前も飛び込んでんじゃん」

勇者「あー?探したんだけどいい道無くてなー」

勇者「紐もないし、ツタ使って下るのめんどくさいし、仕方なくだっつーの」

町娘「つ、次から次へと・・・」

勇者「人間・・・?おー、お前もしかして攫われた娘?生きてんじゃん、ラッキー」

姫様「さっき確認した。怪我とかもしてないっぽい」

勇者「おーおー、良かったじゃねーか。さーて、んじゃ本命の・・・」

勇者「・・・魔王ってのは、どこだよ」

魔王「―――」

姫様「・・・そこだ、勇者殿」クイッ

勇者「・・・はぁ?嘘だろ?コレ?」


勇者「マジで?流石俺、すごい命中率」

町娘「凄いデジャヴ・・・」

勇者「んー、おいこら魔王、起きろや」ゲシッ

魔王「ぐはっ・・・!もうなにがなんだか・・・!」

勇者「関係ねーやつ巻き込んで・・・、えー、なんだったか」

勇者「・・・とにかく、ぶっ飛ばすぜ」

魔王「ちゃんと言おうよ!かっこよくない、ってげぇ!?今度は勇者か!!」

姫様「もうそれ私やったから大丈夫」

勇者「マジで?でもここまできたらしっかり・・・」

姫様「どうやら殺す必要もないっぽい」

勇者「あん?危険じゃねーって?」

町娘「危険かどうかはわかんねーけど、少なくともあたしは殺そうとしないし・・・」

勇者「ふーん」


姫様「これから帰ろうとしてたとこだし」

勇者「とんでもなくユルな・・・。んでもやっぱ、間に合ってよかった」

町娘「間に合う?」

勇者「てめーらだけじゃ、話が中途半端に終わっちまうってことだよ」

勇者「・・・おい魔王。てめーの目的はなんだ」

魔王「!」

勇者「若い娘攫って、乳くりあうのが目的じゃねーんだろ?そもそもの的は姫だしな」

勇者「じゃあ、一体なんだよ。そこがわかんねーと、いつまでたってもてめーは危険だ」

勇者「危険分子は抹殺。それが俺の、仕事だからな。めんどくせーけど」

姫様「・・・・・・・・・」

町娘「そういや・・・、聞いてなかったな・・・」

魔王「・・・・・・・・・」


勇者「答えろよ、魔王。この場で叩き切っても構わねーんだぜ」

町娘「ちょ・・・、待てよ!」

勇者「あん?」

町娘「あ、あたしが死んでねーんだから別にいーだろ!解決じゃねーか!!」

勇者「ああそーだ。解決だ、この事件は」

勇者「『不幸な町娘が攫われた事件』は、コレで解決、めでたしめでたし」

町娘「なっ・・・!」

勇者「じゃあ、その後は?おめーは巻き込まれただけだ」

勇者「その後・・・、『本命』のほうは、これからどーなんだよ」

勇者「帰って、おめーの知らねーとこで姫が攫われねーって保障がどこにあんだよ」

町娘「・・・ッ」


姫様「おい勇者。私なら別に構わないんだぞ。負ける気もしないし」

勇者「んだからおめーはノーテンキなんだよタコ」

勇者「また起こったらどうする。おめーじゃねーやつが巻き込まれたらどうする」

姫様「それは・・・」

勇者「今回がたまたまラッキーで、次は違うかも知んねー」

勇者「もしかしたら、今回以上にひでぇかもな。人が死なねー今回が、極上のラッキーだ」

姫様「・・・・・・・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

勇者「『たまたま』、『もしかしたら』。んな不確実なもん求めてどーすんだよ」

勇者「これからめんどくせーことが増えんなら、ここらでサックリ終わしておこうぜ」

勇者「どーすんだよ、あ?」

勇者「魔王」


魔王「・・・どこから説明すればいいのか」

勇者「全部だ、一から十まで。零つけてもバチあたんねーぞ」

魔王「それじゃ、結構長い話になると思うけど」

勇者「出し惜しみすんな。焦らしなんざ求めちゃいねーんだよ」

魔王「手厳しいな」

町娘「お、おい、てめぇ・・・」

魔王「・・・今回は、本当に悪かったね、巻き込んで」

町娘「っ!んなこといってる場合じゃねーだろ!?」

魔王「そうだけど・・・、でもやっぱり、一番の被害者は君なんだから」

町娘「てめ・・・」

魔王「本当に、ごめん」

町娘「・・・・・・!」


勇者「へぇ、らしくねー魔王だな」

勇者「今まで『魔王』を名乗ってたやつらは、クソみてーに自分勝手なやつらだったのに」

魔王「はは、自分でもそう思うよ」

魔王「そもそも僕は、『魔王』なんて名乗るほどのもんじゃないから」

町娘「・・・・・・・・・」

勇者「ふーん?で?そこから話すか?」

魔王「そうだな・・・。それより、今回のことだけど」

魔王「そこの姫様を攫おうとした理由」

勇者「おう」

魔王「それは・・・、君たちの国に、交渉をしようと思ったからだよ」

姫様「交渉?私を攫ってか?」

魔王「他にも方法はあったんだろうけど、僕らにはそれしかなかったってこと」


勇者「姫を拉致って、対等になるようにしたってか?けっ、コソコソしやがって」

魔王「本当に、そう思う」

魔王「あの日、数人の部下を連れて国に入った」

魔王「事前に調べてたから、あの日パレードがあることは分かってたんだ」

姫様「国外からも大勢人が来る日だ、警備も手薄。考えたじゃないか」

魔王「僕らはほら・・・、少しがんばれば、人間と変わらないから」

勇者「んで、潜入して、姫を襲おうとした?」

魔王「単純に攫うのは難しいからね。人込みから機会を伺ってた」

姫様「私は個人的に国民に挨拶をするよう心がけているからな」

姫様「高台から大勢に挨拶したってしょうがない。やはり挨拶とは、個人にしなけりゃ」

勇者「そこを狙われるんだよタコ。警備はついてなかったのか?」

姫様「もともと平和な国だ、警備隊も油断してたんだろ」

勇者「国の警備体制を見直す必要があるだろ・・・」

はじめてIDにvip入ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


姫様「そういうわけで、私は路地裏に目を向けたわけだ」

町娘「・・・そこに、たばこをふかしたあたしが居た」

魔王「僕が動く前に、部下の一人が動いてた」

姫様「そんなに深い路地裏じゃなかったから、誰からも見えないとこだ」

町娘「あたしは、気恥ずかしくて、すぐ追い返した。しっしってな」

姫様「それで私は踵を返して・・・、それっきり、だ」

勇者「接点は一瞬。でも、魔物の頭でなら的を間違えるだけ十分」

町娘「・・・眠らされたな。なんだありゃ、魔法か?」

魔王「一人が捕獲に成功したと分かった瞬間、僕らはいっせいに逃げ出した」

魔王「・・・城に戻ってきてやっと、人質を確認した」

勇者「・・・爪の甘い犯行ってこった」

魔王「めんぼくないよ、まったく」

>>269
おめwwwwww


勇者「なんですぐに、彼女を解放しなかった?」

魔王「森に放せば、すぐにその辺の魔物に襲われると思った」

魔王「国に連れて行くしかない。でも、もう一度入るのは簡単じゃない」

勇者「じゃあ、それがベストだったってわけか」

魔王「僕にとっては、ね」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「ほう」カシュッ

勇者「・・・なんとなく話してて、やっぱお前は人攫うようなやつじゃねぇと思うよ」

魔王「そんなことないよ。実際、攫ってきてる」

勇者「しかも間違ってるしな。そんなお前が、人攫いしてまでする、交渉の内容は?」

勇者「んで、その理由は?」

魔王「それは・・・」


町娘「・・・ちょっと待て。今、何あけた?」

勇者「は?」

魔王「え?」

姫様「んー?」ゴクゴク

勇者「ばっ・・・!お前何飲んでんだ!!??」

姫様「ぷはぁ。まだ入ってるの見つけたからつい」

勇者「つい、じゃねぇよタコ!今なんの話してっかわかってんのか!?」

姫様「大丈夫大丈夫、私、酔わない人だから」ゴクゴク

勇者「そーいうやつが最初に潰れんだよ・・・、つかなんで監禁部屋に酒?」

魔王「いや、ここ監禁部屋じゃなくて僕の部屋」

町娘「たばこの煙で部屋いっぱいんなっちまってなー。煙いからこっちにきた」

勇者「・・・お前ら、なんだその余裕・・・。てか雑魚どもの言ってたのはほんとのことかよ・・・」


姫様「ほーれ、一本」ヒュッ

勇者「おわっと」パシッ

姫様「お、ツマミもあるじゃん。気が利くな、カルパス、カルパス♪」

町娘「・・・マジ飲みじゃねーか・・・」

魔王「さっき結構シリアスムードだった気がするんだけど・・・」

勇者「んだよ、しゃーねーな」カシュ

町娘「おめーも飲むのかよ!?」

勇者「ああん?悪ぃのかよ」

町娘「悪ぃ悪くねーじゃねーよ!さっきまでクソ真面目だったじゃねーか!」

勇者「いーよいーよ、もう。こいつ悪いやつじゃねーよ」

魔王「ちょ・・・、そんな軽く」

勇者「これから積もる話が始まんだろ?素面じゃねーほーがいーだろ」ゴクゴク

町娘「・・・それって・・・」

勇者「はー?なんで柿ピーじゃねーんだよ。ピーナッツ入ってねーと意味ねーだろ」


姫様「おい、もうないのか?」

町娘「ペース早っ」

魔王「あー、彼ので最後かも

勇者「じゃあお前らの分ないじゃん」

魔王「買ってくる・・・、わけにも行かないか」

町娘「いーよ、お前買って来い」

魔王「えぇ!?また僕!?」

町娘「あ?あたしに買いに行けってか?」

魔王「そういう意味じゃなくて!僕が行ったら明らかに不審でしょ」

勇者「おっ、ついでに柿ピー買って来い。ピーナッツが重要だぞ」

姫様「チューハイじゃなくて、ビールがいいなビール!」

魔王「君たち僕のこと信用しすぎじゃない!?」


魔王「しかもビールって・・・、高いよ」

姫様「なんだよシケてんな・・・、ほら!」ピッ

町娘「うぉ・・・!万札だ・・・!」

魔王「太っ腹・・・!」

姫様「買えるだけ買って来て。飽きないように、チューハイも挟めよ」

魔王「い、いいのこんなに?」

勇者「いーよいーよ、金なんて腐るほどあんだからこいつ」ゴクゴク

姫様「金に糸目をつけないところが美しいだろう!」

魔王「えー、なんだっけ?忘れそう」

町娘「メモってけ。えーと、ビールにチューハイ、ツマミが・・・」

勇者「柿ピー。ピーナッツ入ってるやつだかんな。無かったら叩き斬るぞ」

姫様「甘味ー」

町娘「あと、たばことライター。ほれ」

魔王「ありがとう。って、結局僕が行くんだね・・・」


姫様「あー、色々飲みたくなってきた。ワインとか買えたっけ?」

魔王「あ、ワインなら少し上等なのが城にあるよ」

姫様「おー!じゃあ帰りに持って来い!」

魔王「了解。・・・じゃ、行ってくるから」

町娘「おう、走っていけ」ヒラヒラ

勇者「早くなー」ゴクゴク

魔王「とほほ・・・」トボトボ


勇者「・・・これで逃げたら、面白れーんだけど」

町娘「ないない、絶対無いな」

勇者「だよなー」

姫様「真面目そうだからなー」

町娘「・・・ただ臆病なだけじゃねーっすか?」


姫様「でも、そんなところがいーんだろ?」

町娘「なっ・・・!」

勇者「なになに、何の話」

姫様「とんでもねーのよこいつら」

町娘「ちょ、ご、誤解してる!ぜってー誤解してる!」

姫様「ごにょごにょ」

勇者「へー(笑)」

町娘「あっ!尾ひれつけたな!それは違ぇ話だかんな!」

姫様「まぁまぁ」

勇者「ずいぶんとまぁ」

町娘「そろって絡み酒か!アイツ帰ってこないと二人相手はしんどい・・・!」


勇者「この部屋、アイツの部屋だっけ?んじゃ、二人きりだったん?」

姫様「んー、やっぱ崖から飛び降りたのは失敗だったかな、って」

勇者「だから俺は止めたんだよ」

町娘「・・・っとにあることないことテキトーに喋りやがって!!」

姫様「でも壊されたくなかったっしょ?ピンクい空気」

町娘「だからありゃ・・・、ちょっと、気の迷いっていうか・・・」

勇者「ピンクい空気は否定しないのね」

町娘「てめ・・・!」

姫様「やっぱそーじゃん、けってーじゃん!美しいな!」

町娘「違う!今のは誘導尋問だ!ち、違うんだからな!?」


勇者「でも、攫われたほうと、攫ったほうだろ?」

姫様「どうかしたん」

勇者「つり橋効果とか」

町娘「え?」

勇者「極限状態のドキドキが、相手へのドキドキだと勘違いするってやつ」

勇者「ん?違ぇか。なんだろ、なんか他にもそんな話あったよな」

姫様「それも極端じゃないか?」

勇者「可能性として」

姫様「冷静なご意見だな」

町娘「じゃ、じゃあ・・・、あたしが、攫われて無意識に緊張してたときに」

町娘「アイツに優しくされたから~、ってことか?」

勇者「だって普通、ありえないんじゃねーの。否定はしないけどな」


町娘「・・・・・・・・・」

姫様「あ」

勇者「ん、あ、あぁ?た、例えばの話だ、例えば」

町娘「・・・じゃあ、例えばさぁ」

姫様「うん?」

町娘「状況は別になんでもいーんだけど・・・、その、くっついたとするじゃん」

勇者「誰と誰がが」

町娘「・・・誰かと誰かがだよ」

姫様「うんうん」

町娘「んで、そいつらがその、つり橋なんちゃらが原因でくっついたとすんじゃん」

勇者「・・・・・・・・・」

町娘「それって、嘘なんかな」

町娘「つり橋効果でくっついたやつらの間の恋心は、全部嘘っぱちなんかな」


勇者「どっちでもいーじゃねーか」

町娘「は?」

勇者「んだからよ。要するに、そいつらの『好き』は嘘かどうか、ってんだろ?」

町娘「・・・うん」

勇者「また例えばだけど、その男女のどっちかが相手を騙そうとしてるとすんだろ?」

勇者「そしたらそれは、嘘だ。『好き』なんて嘘っぱちだ。恋心なんて、ねぇよ」

姫様「遊びってやつ?」

勇者「遊びは遊びでいーんだけど・・・。んで、その、お前の例え話のやつら」

勇者「結局、どっちもだまされてるわけだろ?つり橋効果で」

町娘「うん」

勇者「じゃあ、嘘じゃねーじゃん。嘘じゃねーなら、それはちゃんと『好き』だ」

勇者「周りに何言われるかは知らねーけど、そいつらの間では、嘘じゃねーだろ」

町娘「・・・・・・・・・」


姫様「ま、君らはまた別だと思うよ」

勇者「そーそー、おめーらはつり橋効果とか考えなくていいだろ」

町娘「うん・・・、ん?」

姫様「しっかし魔王遅いねー」

勇者「どこまで買いに行ってんだ?」

町娘「お前らっつった?お前らっつったよな?」

勇者「だって今のはもう・・・、なぁ?」

姫様「もうストライクだったぞ。例え話持ってきちゃった時点で、ど真ん中直球ストライク」

町娘「いつあたしの話だっつった!しかも『ら』って誰だよ!あたしと誰だよ!?」

姫様「またまた(笑)」

町娘「なに笑ってんだ!あーもー!姫だからって敬語使ってたあたしが馬鹿だった!」

勇者「変なとこ律儀なんな」

町娘「無礼講だこのやろー!!」

姫様「おっ、いいね、臨む所だ!!」


魔王「ただいま。騒ぎ過ぎ・・・」

勇者「おせーよ」

姫様「お帰り、遅かったけど?」

町娘「まーたちんたらしたたろハゲっ!」ゲシッ

魔王「痛ぅ、パシらされてこの仕打ちだよ・・・」

姫様「まぁまぁ、彼女のは照れ隠しだからへぶっ!」

町娘「いーかげんにしろこのバカ姫が!」ゲシッ

勇者「おーおー、一国の姫を蹴るか・・・」

魔王「なんかあったの?」

勇者「仲良くなったんだろ。・・・柿ピーは?」

魔王「買ってきたよ、はい。・・・ていうかコレだけに二軒周ったんだけど」

勇者「知らねーよ、店に文句言え」


魔王「はい、ビール」

姫様「さんきゅー。あっ、ワインは?」

魔王「赤か白か聞き忘れたから、どっちも持ってきた」

姫様「気が利くねー、グラスは?」

魔王「後で取り入ってくるよ。・・・はい、ビール?」

町娘「・・・おう」

魔王「ん?顔赤くない?もう飲んでたの?」

町娘「ばっ・・・、赤くねーよ!さっさとよこせ!」

勇者「俺にもよこせ」

魔王「ほんと、ペース早いな。・・・僕もビールっと」

勇者「ま、味わうほど洒落たもんじゃねーからな」カシュ

姫様「乾杯しよーぜ!」カシュッ

魔王「あ、ごちそー様です。お釣りとレシート」

姫様「たらふく飲めよー」ヒラヒラ


町娘「・・・ん」カシュッ

姫様「ほい、かんぱーい!」

勇者「乾杯」

魔王「カンパーイ」

町娘「かんぱーい」

姫様「んぐっんぐっんぐっ・・・ぷはぁー!やっぱうめーな!」

勇者「そういや酒なんて久しぶりだな」ゴクゴク

町娘「あー、連日二日酔いかよ・・・」

魔王「あ、あんまり飲み過ぎないようにしないとまた・・・」

町娘「また?」

魔王「な、なんでもない」


勇者「つーか・・・、お前、話すことあんの忘れんなよ?」

魔王「あー、うん。それは大丈夫」

勇者「こうしといてなんだけどよ、まだ完全に許したわけじゃねーんだ」

勇者「・・・まぁ、許す許さないの話じゃねーけど、内容によっては叩き斬るからな」

魔王「うん・・・、肝に銘じておくよ」

姫様「勇者てめー、酒が不味くなんだろー」グリグリ

勇者「くすぐってーよ。・・・ん、まぁなんだ、とにかく飲もーぜ」

町娘「飲んでて平気なのか?魔王のこと斬るんだろ?」

勇者「はっ、酔っ払っても剣くらい振れるっての。勇者だからな」

町娘「へー、そいつは楽しみだな」

魔王「ちょ・・・!僕を斬ること前提で話が進んでる・・・!」

そろそろ眠いぜ・・・、テンション的には高いのに・・・。
一回寝ます。やっぱ直書き難しいな、みんなどんくらいかけるんだろ?
とりあえず今はここまで。自分でも終わりがよく見えないぜ。
ありがとうございましたーノシ

スーパー習字タイム

保守どーもでした
ぼちぼち再開して行きます!


勇者「んで・・・、何だっけ?ああそう、理由理由」

魔王「とんでもなくおざなりになってきたな」

姫様「えっと、私を攫って交渉しようとしたんだよな?」グビグビ

魔王「・・・うん、そう」

姫様「交渉って、父上にだよな?なんだ、金か?」

魔王「ち、違うよ。お金なんかじゃない」

勇者「そもそも交渉ってのが、なぁ。人間臭ぇぞ」

姫様「もっと魔王らしく、ずがーんとばごーんと下品に解決できなかったのか?」

魔王「そんなことしたって、勝ち目無いでしょ」

勇者「へぇ、やっぱ相当知恵あんだな。上から目線で申し訳ねーけどよ」

姫様「そうだなー、戦ってたら苦戦してたかも」パクパク

なんで>>1は昼からPCさわれるん?


町娘「・・・こいつに苦戦?どーいうこと?」グビグビ

勇者「あー、こっちとしては、単純に突っ込んでこられたほうが、倒しやすいんだ」

姫様「そもそも魔物ってのはな、凶暴なだけで、その思考回路は単純なんだ」

町娘「へぇ」

勇者「喋れる位の知恵を持った魔物。・・・『魔人』、ってとこか」

勇者「こっちの魔物対策としてはぶん殴って黙らせるだけだが、魔人はそこを掻い潜ってく」

町娘「掻い潜る?」

勇者「作戦を立ててくんだよ。わざわざ『待ち』の状態作ったり、人攫ったり」

姫様「そうすると、単純に殴って終わんないからさ。面倒なん」グビグビ

町娘「それじゃ、コイツが『魔物にしては頭いい』、ってことなのか?」

魔王「その評価はずいぶんだなぁ」ゴクゴク

勇者「まぁ、そーいうこった。人間様はどーしても上から目線でしか評価できねーけどよ」

勇者「コイツは、相当頭がよくできてる。ドンパチやらねーあたりがな」

>>364
名誉のために木曜日だからと言っておこう・・・!


姫様「んじゃ、いい加減交渉の内容だけど」

魔王「ああ、うん」

勇者「もともと戦いが好かねーんだろーけど、そんなやつらが人攫いだ」

勇者「結構な理由なんか」

魔王「ん、どうだろ。僕にもそのあたりはよくわかんないんだけど」

町娘「・・・・・・・・・」ゴクゴク

魔王「・・・そうだなぁ。ここから北に歩いたところに、小さな村があるんだ」

姫様「村?そんなもんあんの?」

魔王「あるんだよ。意図的に隠してあるんだけど」

勇者「お前、それって・・・」


魔王「うん、そう」

魔王「その村には、魔物―――君らが言う、魔人しか住んでない」

姫様「なっ、聞いてないぞ?魔人が、村を作るなんて・・・」

魔王「僕らが始めてなのかな?村ってほどでもないんだけど・・・」

魔王「とにかく、一箇所に集まって、暮らしてる」

勇者「・・・はぁ、んなことあんのか・・・」

町娘「・・・そんなに、めずらしいことなんか?」ゴクゴク

勇者「あん?」

町娘「こいつらも生きてんだから、集まって暮らすようになんのはフツーだと思うけど・・・」

勇者「・・・魔物、魔人ってのは、本来仲間意識が低いんだ」

姫様「だから仲間が殺されたところで泣かないし、そもそも『仲間』なんて意識、ないんだよ」

勇者「一箇所に集まって暮らすなんて、結構すげーことだ」


町娘「ふーん・・・」ゴクゴク

魔王「僕らは、意図的に魔力を隠すことが出来るんだ」

魔王「僕なんかは、他人のも隠せる位だからねー」グビグビ

町娘「・・・お前、結構優秀なんだなー」

魔王「仮にも魔王だからね。っていうか君がないがしろに扱いすぎるんじゃないかな!?」

姫様「そんなもん、コソコソ暮らさなきゃいーのに」

魔王「・・・魔人がかたまってるところだからさ、そういうわけにもいかないんだよ」

勇者「そりゃそーだ。ハンターなんかも居やがるからな」

魔王「・・・そうやって僕らは隠れながら暮らしてるんだけど、それでも・・・」

魔王「・・・それでも、たまに村の住人が殺されてるんだよね」


町娘「っ・・・」

姫様「なっ・・・!?」

勇者「・・・・・・・・・」

魔王「どっちが悪いかは、分かんない」

魔王「とにかく、『魔人が人間に殺されてる』」

魔王「これはマズいなぁ、って。隠れながら暮らすのも、時間の問題だなって」

姫様「阿呆っ!!そんな悠長な問題じゃねーだろ!?」

姫様「仲間殺されて、ヘラヘラしてんのかてめーはッ!?」バンッ

勇者「落ち着け、姫。言ったろ、こいつらは仲間って概念がねーんだ」

魔王「うん。魔人は自分のことしか考えてないから、君みたいに憤らなかった」

勇者「でも、立ち上がったのか?」

姫様「・・・っ」

魔王「・・・うん。そうしないと、『仲間が死んでく』からね」


町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・・・・・・・」ギリッ

勇者「・・・んで、お前はどうした」

魔王「とにかく、認めてもらおうと思った」

魔王「僕らの中には、確かに人間を殺すやつらも居るし、これから殺すかも知れない」

魔王「・・・でも、村に関しては別。バレたら、村が潰されるのは時間の問題だし」

魔王「個人については文句言えないけど・・・」

魔王「少なくとも、何もしてないやつが死ぬのは、嫌だった」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「だから、まずは認めてもらおうと思ったんだ」

魔王「村がそこにあることの、無害さを」

木曜日だからって言ってんだろぉぉぉぉぉ!!!
遅お昼食べてくるぜぇぇぇぇぇ!!!

チョコパイアイスおいしいです


魔王「・・・っていっても、それこそ村がバレたら元も子もないし」

魔王「色々考えたんだけど・・・」

勇者「それで、誘拐か?」

魔王「・・・人間の魔人差別は、相当なものでしょ?」

魔王「ま、差別されるだけのことはしてるし、これからもするかもだけど」

姫様「・・・・・・・・・」ゴクゴク

魔王「だから、姫を攫おうと思った。君の国は治安も良いし、雰囲気もいいから」

勇者「・・・ちょっとまて、意味分からん。差別をなくすために、攫った?」

勇者「それって逆効果だろ?そもそもお前らの誘拐の理由は、交渉じゃねーのか?」

魔王「それもあるけど・・・、もう一つ。姫に、魔人のことを知ってもらおうと思った」

姫様「・・・私に?」

ヤバい、いま書き貯めてるSSと内容が被ってるwww


魔王「・・・交渉の内容は、僕らの村を、『国』だと認めてもらうこと」

魔王「流石に、村として引き込んでもらうのは虫が良すぎるからね」

勇者「・・・・・・・・・」

魔王「・・・そして、誘拐してきた姫様に、魔人の良さを知ってもらおうと思ってた」

魔王「そうすれば、少しは交渉が緩くなるかなぁ、って」

町娘「・・・相変わらず、甘ったるいな」

魔王「え、そう?かなり考えたんだけど・・・」

勇者「・・・魔人がやることじゃねぇよ、なぁ」

姫様「あくまで平和的に、ってこと?」

魔王「そ、そうだけど・・・」

勇者「はぁ。なーんか、拍子抜けした」

魔王「え?なんでそんなにテンション下がってんの?」

>>391
気にしないで書こうぜ!


勇者「だって・・・、なぁ?」

町娘「魔王なんだから、もっとバーッと、力で解決するもんじゃねーの?」

魔王「むむむ無理無理!そんなん、無理だって!」

勇者「お前、結構魔力は強いほうなんじゃねーの?」

魔王「そ、そうだけど・・・。殺すのも殺されるのも、嫌だし・・・」

町娘「・・・んでそんなにナヨナヨしてんだよ!びしっとしろびしっと!!」バンバン

魔王「痛い!そ、そんなこと・・・」

勇者「そもそも、誘拐ミスった時点で計画お釈迦になってんじゃねーか」

魔王「うっ・・・!それは面目ない・・・」

sssp://img.2ch.net/ico/yakimochi.gif
追いついた
良スレage

おいさっさと書け










夜勤だからそろそろ寝ときたいんだよ…


勇者「・・・んじゃ、これからどうすんだよ」グビグビ

魔王「どうしようかなぁ・・・」

姫様「村のことはあきらめんのか?」

魔王「あきらめないよ。・・・そうだなぁ」

魔王「このまま姫様に残って貰うのが理想的なんだけど・・・」

勇者「はぁ?置いてけってのか?」

魔王「やっぱり無理かな」

姫様「私は構わないぞ。面白そうだし」

勇者「黙ってろタコ。・・・このまま姫が攫われたほうが大問題だろ?」

町娘「なんで?」

勇者「あのなぁ。俺とお前でのこのこ帰って、『姫が攫われた』なんて言ったらどうなる」

>>397
頼むから寝てくれw
多分夜まではかかるからさー


町娘「?どーなんだ?」

勇者「この城に、国の兵がワラワラ集まってくんだろーが」

姫様「でも、コイツらは魔力消してるから、平気なんじゃないか?」

勇者「甘ぇよ。城から帰った俺達が、城の場所をゲロっちまう」

姫様「はー?んだよ勇者、酒の友を売ろうってのか?グビグビ

勇者「俺はともかく、問題はコイツだタコ」

町娘「あたし?」

勇者「拷問にでもかけられたら、どうする。吐く吐かねーじゃねーぞ」

勇者「そんなもん、お前に耐えられんのかよ、魔王」

魔王「!」


町娘「はぁ?お前、あたしを見くびってんのか?」

勇者「だから、そうじゃねーって・・・」

魔王「そ、それは駄目だ!」

町娘「・・・は?」

魔王「そ、そんなのよくないよ!駄目!帰っちゃ駄目!」

町娘「・・・じゃあ、村はどーすんだよ」

魔王「それは・・・」

町娘「村のことはあきらめんのか!?それこそ駄目じゃねーか!!」

魔王「でも・・・」

町娘「でもじゃねーよ!成功させたかったら、黙ってあたしを帰して、姫様をもてなせ」

町娘「何されっか分かんねーけど、ま、大丈夫だろ」

魔王「!」

町娘「お前のことは、死んでも黙っといてやっから」


魔王「そんなの・・・、駄目だって!」

町娘「はぁ?ったく聞き分けのねーやつだな!」

魔王「駄目ったら駄目だ!認めない!君は返さないからな!」

町娘「てめ・・・、じゃあ、どうすんだよ!?村は!?」

魔王「そ、それは・・・。なんとかする」

町娘「なんとかって、どーすんだよ!?」

魔王「とにかく!君は返さないよ!」

町娘「はっ!ぜってー帰ってやるからな!!」

勇者「・・・はーい」ピン

姫様「はい、勇者くん」

勇者「俺は帰ったらゲロりまーす」

町娘「あ・・・?んだと、てめぇ・・・」


勇者「だって痛いの嫌だからなー」グビグビ

町娘「てめ・・・!それでも勇者か!!」

勇者「んじゃ、魔王は俺を殺すか、この城に留めるしかねーよな」

魔王「そ、そうなるけど」

勇者「姫はこのまま人質だし、っとなるとお前は一人で帰るしかねーわけだが・・・」

町娘「・・・て、てめぇ・・・」

勇者「・・・気をつけてなー」ヒラヒラ

町娘「お前・・・!じゃあどーすんだよ?こいつらの村は・・・!」

勇者「どーしたって、今すぐなんか出来る状況じゃねーんだよ」

勇者「なんか、あるだろ。なんか」

町娘「んな悠長な・・・」

姫様「・・・・・・・・・」


魔王「・・・あれ?」

町娘「あぁ?どうかし・・・姫、顔青くね?」

姫様「・・・ぎもぢわるい・・・」

町娘「うぇぇ!?ばっ、んなガバガバ飲むからだっ!!」

魔王「え!?が、我慢できる!?ど、どうしよ、洗面器・・・」

姫様「・・・さすが私・・・、青い顔も美し・・・、うぇ、吐きそう・・・」

町娘「ちょ・・・!もー少し我慢しろ!魔王!洗面器!!」

魔王「と、トイレのほが早いかも!!動かせる!?」

町娘「おい勇者!てめーも手伝え!!」

勇者「・・・悪ぃが俺は・・・、そろそろ眠気が・・・、限界・・・」

町娘「保護者ー!!」

魔王「揃いも揃って下戸!?」

姫様「・・・あ、姫限界」

町娘「待て、もう少しで、ちょ、おぃぃぃぃぃぃいい!!??」


部下「―――で、この状況ですが」

町娘「面目ねぇ・・・」チョコン

魔王「申し訳ない」チョコン

部下「・・・屋根に穴は開いてるわ・・・、天敵である勇者には進入されてるわ・・・」

部下「・・・酒盛りは始まってるわ・・・、挙句潰れてるわ吐くわ・・・」

魔王「もうほんと・・・、なにから謝ったらいいのか・・・」

町娘「でも、部下さんのお陰でソッコー事態が片付いたっていうか・・・」

部下「そんなこと言って私の気が治まるとでもッ!?」

町娘「ひぃぃぃ!!」

魔王「の、ノット暴力!!平和主義平和主義!!」

部下「はぁ・・・、はぁ・・・、あんたらは・・・!」

町娘「お、お、落ち着け!ほ、ほら客人も寝てるわけだし!」

魔王「そ、そうそうそう!起こしたら悪いし!ね!」

部下「・・・んっとに・・・、あんたらは・・・!!」


部下「・・・とにかく、おとなしくしててくださいよ・・・」

町娘「了解」

魔王「了解」

部下「・・・あーもう・・・、一本貰って行きますから・・・」

町娘「あ、あ~、部下さんもどう?一緒に」

部下「すぐ潰れるひと達と一緒に飲んでも面白くないっ!!」

魔王「ひっ!どどどどうぞお持ちください!!」

町娘「ほ、ほらほらチータラも持ってってください!」

部下「はぁ・・・、じゃあ、二本ほど貰って行きますから・・・、では・・・」

ガチャン

町娘「・・・はー、怖かった。なんか久しぶりに他人に怒られた」

魔王「僕も・・・。そういえば昨日も彼女、一緒に飲んだよね・・・」

町娘「やっぱそうか・・・。昨日は全然記憶ないからな・・・」

魔王「・・・ザルなんだね・・・、彼女・・・」


勇者「・・・zzz」

姫様「・・・ぐがー」

町娘「・・・これが我が国の姫と、勇者かよ・・・」

魔王「とてもそうは見えないよね・・・。人の部屋のベッド占領してるし・・・」

町娘「あー、飲みなおすか」

魔王「もう、やめといたら?」

町娘「いーんだよ、どーせ。酔いも覚めちまったし・・・」カシュ

魔王「そう?ほどほどにしておこうね」

町娘「・・・飲まねーと、眠れねーし」ボソッ

魔王「ん?なんか言った?」

町娘「なっ、なんでもねーよ・・・。おら、飲むだろ?」

魔王「あ、ああうん。乾杯」

町娘「カンパイ」

・・・カンッ


魔王「・・・・・・・・・」ゴクゴク

町娘「・・・おい」

魔王「ん?」

町娘「・・・本当なのか、その・・・、お前の」

魔王「うん?村の話?」

町娘「・・・ん」ゴクゴク

魔王「うん、本当だよ。早く認めてもらわないと、仲間の数がどんどん減っちゃうねー」

町娘「お前、仲間が死んでもなんとも思わんの」

魔王「・・・どうなんだろ。僕も最近芽生えてきた感情だし、よく分かんない」

魔王「頭のどっかで、あきらめちゃってんのかなー。『魔人だから仕方ない』って」

町娘「・・・・・・・・・」ゴクゴク

魔王「・・・でも、何も思ってなかったら、こんな計画立ててなかったと思うんだよね」

町娘「・・・ん」


魔王「失敗してるから、カッコつかないんだけどねー」

町娘「・・・そもそも、お前が魔王だってのがおかしーんだよ」

魔王「ぼ、僕だってそりゃ、そう思うけどさ・・・」ゴクゴク

町娘「ぷっ。『魔王様ー』だとよ、似合わねー」

魔王「・・・僕が、一番頭が良かったってこと」

町娘「あー?なんだそりゃ、自慢か?」

魔王「逆。・・・中途半端だ、なんでも」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・ん」グビグビ

魔王「はぁ。・・・このままじゃいけない、と思って、僕が指揮した」

町娘「おう」

魔王「だから、みんな期待してるんだ。さっきの彼女だって、あれでも信頼はしてくれてる」

町娘「・・・・・・・・・」


魔王「・・・でも僕は、中途半端だ」

魔王「みんなの期待に、答えられてるのかなぁ・・・」

町娘「・・・ん」グビグビ

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・ぷはぁ。なーにウジウジしてんだよ、ハゲ」

魔王「ん・・・」

町娘「カッコつけよーとすんなよ。おめーはおめーだから、みんなついてきてんだろ」

魔王「でも・・・」

町娘「だーもう!シャキっとしろ、誰もカッコいいおめーなんかにつきたきゃねーよ」

町娘「いまのお前が、あいつらの『魔王様』なんだ。それでいーんだよ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・っかー、らしくね。やめろよ、あたしにゃ似合わねー」ヒラヒラ

魔王「・・・うん、ごめん。ありがと」


町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」グビグビ

町娘「・・・あたしってさ、こんなだろ」

魔王「え?」

町娘「言動は悪ぃし、たばこは吸うし、酒は飲むし・・・」

魔王「あはは、自覚してるんだ」

町娘「・・・うっせ」グビッ

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「ぷはぁ。・・・本当なら、あたしを探しに来るはずじゃん」

魔王「・・・え?」

町娘「攫われたら、助けに来るはずじゃん。勇者でも、兵士でも、なんでも」

魔王「・・・うん」

町娘「でも、来ない。愛想つかされてんだよ、あたしは」


魔王「・・・そんなこと」

町娘「・・・うちの親、クズなんだよ。すげークズ」

町娘「家事もしねー、ガキはほったらかし。互いに浮気しあって、喧嘩しまくってる」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・まっ、今のあたしも人のこと言えるような真面目じゃねーけどなー・・・」

町娘「・・・勇者も兵士も、依頼が来なけりゃ動かない」

町娘「そーいうこった。あたしのことなんざ、心配するやつなんか、いねーんだよ」

魔王「・・・・・・・・・」グビグビ

町娘「・・・だから」

町娘「・・・だから、おめーに心配されたとき」

町娘「ちょっと・・・、ちょびっとだけ、嬉しかった」

魔王「ぶっ!?げほ、げっほ!!」


町娘「んだよ、汚ねーな・・・。大丈夫か?」

魔王「う、ん、げほっ、器官に入っちゃったえほっ、げほげほ!」

町娘「あーあー、しゃーねーな・・・、おら」トントン

魔王「げほっ・・・、はぁ、はぁ・・・」

町娘「落ち着いたかー?」

魔王「う、うん。もう大丈夫」

町娘「・・・なんでおめーは、あたしにそーやって接してくんだ」

魔王「・・・え」

町娘「・・・・・・・・・」ピトッ

魔王「・・・!?」

町娘「・・・なんとか言えよ、へたれ」

魔王「な、なんのことかなぁ・・・」


町娘「・・・あたしじゃなくても」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・あたしじゃなくても、おんなじようにしたか」

魔王「・・・ど、どーだろ」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」ダラダラ

町娘「・・・知ってるよ、そんなの。かっこつけんな」

魔王「で、でも」

町娘「今更こんなこというの、自分でも虫が良すぎると思うよ」

町娘「でもよ・・・、お前は、あたしと居てくれただろ・・・?」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「散々蹴って、パシりにしてさ、悪かったよ、でもよ・・・」

魔王「え・・・」

町娘「・・・ほんと、嬉しかったんだ。ありがとな」

             /l
    ___       〉 〉           /l
    ヽ ゙i_       〉 __ヽ,_    r‐'" ノ
     l、__ `l_,.-'く く_コ `'l ,ヘ、,ヘノ  l~
       l  /ー-、ヽ─‐'"/.__\ /
       `/l ̄V''ーv l_ し'"V   / ヽ
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          |       rニヽ,       |
        |     lニニニl      /
         \           /
            `ーァ---──'''"ヽ,
           / / l,  i ヽ ` \
           /            ,.-、
         lニ‐-- .,,__,. -‐‐-、_ノ /

          `ー- .,,_,,. -‐‐--‐'"


魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

町娘「・・・なんか、言えよ」

魔王「・・・な、なんか、って?」

町娘「そりゃ・・・、・・・なんかだよ、なんか」

魔王「ん、ん~・・・」

町娘「・・・はぁ、お前ってほんと、そーだよな」

魔王「・・・え」

町娘「・・・もう、寝る」

魔王「ど、どこで・・・。ベッドは勇者と姫様が占領しちゃってるし・・・」

町娘「あ?おめーがいんだろ」

魔王「は・・・」

ゴロン

魔王「いっ・・・!?」

sssp://img.2ch.net/ico/yakimochi.gif
>>445
懐かし過ぎてびっくりした


町娘「・・・おー、いいじゃん、膝枕」

魔王「こ、この体制だと、僕はずっと座ってなきゃならないんじゃ・・・」

町娘「・・・ずっと座ってろー、ハーゲ・・・」

魔王「え・・・、そんな・・・」

町娘「・・・あー、初めてだな、こういうの・・・」

魔王「・・・ちょ、本当に寝る・・・」

町娘「・・・zzz」スースー

魔王「寝ちゃったし・・・」

姫様「むにゃむにゃ、もう食べられないよ痛っ」ビシッ

魔王「!?」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「・・・・・・・・・」

魔王「・・・振り向けねぇ・・・!畜生終わった・・・!僕終わった・・・!」

町娘「・・・zzz」スースー

もやもやしたやつは外の空気吸いにいこうぜ!!
犬の散歩に行ってきます。

犬可愛いよ犬

ちょ・・・、雑用を押し付けられた。
申しわけねぇ・・・出てきます、どんくらいかかるかな・・・

sssp://img.2ch.net/ico/yakimochi.gif
犬の散歩って一体何キロ歩いてるんだ

sssp://img.2ch.net/ico/yakimochi.gif
風にのるID:drur1Yid0と犬
飛ばされた先は例の古城


ドンガラガッシャーン!

町娘「ひぇっ!?」

魔王「べふぅっ・・・!」

姫様「おー」

ゴロゴロゴロズガシャーン!!!


犬「流石俺、すごい命中率」

ttp://x.upup.be/?BptFSJhR6L

ほす
まちむすめ


俺「ゆで卵おいしい」

犬「卵の黄身くれ」

俺「白身ならいいよ」

犬「くちゃくちゃ。味しない」

そんなこんなでただいまっす。
保守ありがとうございます!今夜中に終わんのかな・・・。
まったりお付き合いください。

>>501
可愛い!ありがとう!!

sssp://img.2ch.net/ico/yakimochi.gif
クソ…これからだってのに俺は仕事だと…
5時くらいまで残っててくれ…!!

―――朝

魔王「・・・んぐ、・・・ん」カクッ、カクッ

町娘「・・・んー・・・」

魔王「・・・・・・・・・」カクッ、カクッ

町娘「・・・あー、コイツ、律儀に寝なかったんか・・・」

魔王「・・・ぐー」カクンッ

町娘「・・・つーか、あたしのせいか。ごめん」

魔王「・・・・・・・・・」カクンッ

町娘「・・・寝ていいよ」

魔王「・・・zzz」グー

町娘「ちょ、待て、倒れ―――」

ドシーン

魔王「・・・zzz」グーグー

町娘「・・・動けね・・・」


町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・zzz」グースー

町娘「あー・・・、ったく・・・」

町娘「・・・でもま、いーか」ポンポン

姫様「・・・ゆうべは、おたのしみでしたね」ムクリ

町娘「!?」

姫様「―――ってお楽しみ真っ最中じゃん!?なにこれすげぇ!だいたーん!!!」

町娘「ちょ・・・!まてお前、これ、違・・・!」

姫様「おい勇者おいおい勇者おい!起きてみ起きてみ!?カメラ買って来いよひとっ走り!」

町娘「止めろっ!!」

勇者「・・・んー・・・あー、うっせーな・・・、頭に響・・・ぐー」

姫様「あー、こいつ朝弱いんだった。んだよー、損してるぜー」

町娘「だから・・・、これはその、違うんだっつのぉ・・・」


姫様「ふーん・・・、へー・・・」

町娘「・・・よからぬこと考えてんだろ」

姫様「んー?いいじゃん、密着できて。いいっしょ?」

町娘「ばっ・・・!エロい言い方すんな!!」

姫様「照れんなよ、いーじゃねーか」

町娘「~~~くぅっ!!」

姫様「なんだかなぁ、こう見せつけられっと、逆にイライラしてくるな・・・」

町娘「・・・お、お前こそ、勇者と一緒にね、ね、ねちゃ、寝ちゃったりして・・・?」

町娘「あ、あたしよりヤベーんじゃねーの?はは、は、やらしー・・・」

姫様「ん?ああ、あたしらはいーんだよ。婚約者だし」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・ん?あれ?言ってなかったっけ?」

町娘「聞いてねーよ!なんだそれ!?婚約者!?」

だが正解は
「さくばんは おたのしみでしたね」


姫様「んだよ子供じゃあるめーし。婚約くらいで四の五の抜かすなってー」ヒラヒラ

町娘「だってお前、そんなの・・・。あたしと、たいして歳かわんねーのに・・・」

姫様「普通だって、フツー。結婚もできりゃ子供も産めるよん?」

町娘「・・・だっから、おめー、なんでそーあけすけなんだよ・・・!」

姫様「あら、純情ちゃんにはまだ早かったかしらねー」

町娘「・・・お前とはもう、口聞かねー・・・」

姫様「あり?すねちゃった?」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・うらやましいんだよ、私も勇者も」

町娘「・・・は?」

姫様「お互い認めてるからって、婚約だよ、婚約。一目ぼれとか、運命的な出会いとか・・・」

姫様「そーじゃなくて、婚約。決められたんだ、決めたんじゃ無くてね」

町娘「・・・・・・・・・」

>>522
やっぱそっち?結構迷ったんだけど・・・w


姫様「もちろん、私はコイツのこと、結構気に入ってるし・・・」クイッ

姫様「外政の道具として、金に飢えた豚みてーな野郎と結婚させられるよか、マシだよ」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・でもさ、時々、考えちゃう」

姫様「一目ぼれするくらいの人が現れたらなー、とか」

姫様「もしも、恋ができたらなー、とか・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・たぶん、コイツもそうだ」

姫様「だからお前達は、私らの理想の関係ってこった」

姫様「照れんなよ、胸張れ。じゃないと、私らの立つ瀬がねーよ」

町娘「・・・・・・・・・」


町娘「・・・後悔、してんのか?」

姫様「・・・まさか」

姫様「私にゃ勿体ねーくらい、男前なやつだよ」

姫様「きっかけはどーあれ、たぶん、お互いにちゃんと好きあえる」

町娘「・・・そっか」

姫様「・・・おとなげねーところあるけどなー」

町娘「お前がほっとけねーんだろ」

姫様「え?なになに?フォローしてくれんの?」

町娘「・・・だーもー、うっせ!そーゆーとこがお前にゃ無駄なんだよ!」

姫様「・・・・・・・・・」


町娘「・・・ん?どうした?」

姫様「・・・うっぷ、また気持ち悪い・・・」

町娘「はぁ!?ちょっ、ま・・・」

町娘「・・・あっ!あたし動けねぇ!お、おい!勇者!!」

勇者「・・・zzz」グースカ

姫様「・・・おぅふ」

町娘「が、我慢しろ、我慢!できるか!?」

姫様「むりぽ」

町娘「おい!おい勇者!起きろ!おめーの女がやべーぞ!!」

勇者「・・・zzz」グースカピー

姫様「おろろろろろろろ」

町娘「おい!勇者おい!起きろおいこらぁぁぁぁぁぁあああ!!?」


部下「―――言いたいことは」

町娘「いや、なんていうかその、あたしに非はないな、みたいな」

勇者「起こされたと思ったら大惨事だったんで出来ればずっと寝ていたかったです」

姫様「いやー。昨日で出し切ったと思って油断してました。まだ出るんだなぁ、と思いました」

魔王「幸せな夢を見ていた気がするんだけど・・・、ってなんで僕も正座させられてるの?」

部下「・・・ったく揃いもそろってどいつもこいつも・・・!!」ゴゴゴゴゴ

町娘「ちょ・・・!部下さん!なんか出てる!すっげー黒い、なんか出てる!!」

勇者「そ、そんな顔に合わないぜハニー・・・!」

姫様「お、怒った顔もたいそう美しいが、ででで出来れば笑っていただきたいなぁと!!」

魔王「待って落ち着いて!その顔はヤバいよギリギリ映せないよ!!」


部下「再三注意しましたよね・・・?何度目ですか・・・?」

部下「・・・魔王さまぁぁぁぁぁ!!!!」

魔王「ひ、ひいぃぃぃぃ!!何故僕!?一番関係ない!!」

部下「元はといえば、あなたがしっかりしてくださらないからぁぁぁぁ!!!」

魔王「だってこのことに関係な熱ぅぅぅぅぅううう!!!」

町娘(た、助かった)

勇者「助かった」

姫様「・・・水欲しいな」


魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・わ、悪かったよ。んなスネんなって」

魔王「・・・みんなして僕を売ったんだ」

町娘「そ、そんなこと無ぇって!」

勇者「・・・つーか、めちゃくちゃ頭痛ぇんだけど」

町娘「一番最初に寝たくせに・・・」

部下「・・・では、朝食・・・、案の定昼過ぎだけどもこの馬鹿ども・・・」

姫様「あ、先にお水貰え・・・、うぶ、まだ気持ち悪いかも」

部下「トイレに参りましょう。着いてきてください」

姫様「・・・か、かたじけない・・・」

バタン

勇者「・・・ったく、しょうがねぇやつだな」

魔王「僕らは食堂に行こうか、せっかく用意してくたし」


町娘「・・・おい」

勇者「んー?」

町娘「その・・・、聞いたんだけどよ。こ、婚約のこと」

勇者「あー?んなこと喋っちまったのか、あいつ」

町娘「・・・やっぱ、隠してたんか?」

勇者「隠すようなことじゃねーけどよ。あんま、知られたくねーことだよな」

魔王「・・・何の話?」

町娘「それって・・・、好きじゃねーからか?やっぱ」

勇者「・・・はぁ?」

町娘「だって・・・、隠してたろ」

町娘「アイツは・・・、姫様は、お前のこと、好きだっつってたけど・・・」

魔王「・・・?」


勇者「けっ、いらねー心配してんじゃねーよ」

町娘「だって・・・」

勇者「・・・んな心配しなくたって、俺の方がゾッコンだっての」

町娘「・・・は?」

勇者「婚約だなんだ言うと、そーいう目でしか見られなくなんだろ」

勇者「・・・俺らはぱっと見、『そう』は見えねーからな」

勇者「そーすっと、今度は非難されるじゃねーか。そーいうの、アイツは傷つく」

町娘「・・・じゃあ、お前って・・・」

勇者「へっ、よけーな気ぃ回さなくたって、俺らはちゃんとなってんだよ」ヒラヒラ

勇者「・・・おめーは、自分のこと気にしてりゃいーんだ」ボソッ

町娘「なっ・・・!てめっ・・・!」

勇者「一本取った気になってんじゃねーよターコ。おら、飯行くぞ、腹減った」


魔王「ね、ねぇ。何の話?婚約がどーとか・・・」

勇者「・・・教えてやんねーよ」

魔王「えー?秘密にすること?」

勇者「・・・さくばんは、おたのしみでしたね」ボソッ

魔王「あっ・・・!」

勇者「かっかっか、あそこまでさせて、ありゃあねーわなー」

魔王「!だ、だって・・・!君らが居たし・・・!」

勇者「結構結構、言い訳にしか聞こえねーんだぜ?え?」

魔王「・・・ど、どうすれば良かったのかなぁ」

勇者「あん?んなもん、こー、押し倒してだな・・・」

町娘「あっ、てめぇ!なんの話してやがる!」

勇者「大人の話だ純情っ娘が!」ダッ

町娘「んだとこの不良勇者!蹴り飛ばすぞ!待てや・・・!」ダッ

魔王「・・・とりあえず、食堂、その階段下りてまっすぐだからー・・・」


勇者「―――想像を絶する・・・」

町娘「・・・だよな、やっぱそうだよな・・・」

姫様「・・・私、またリバースしそうになったんだけど・・・」

魔王「おかしいなぁ、なんでだろ。ご馳走なのにな・・・」

勇者「食材的には普通なんだろ?変な虫とか葉っぱとか入れてないんだろ?」

魔王「う、うん、たぶん。そういうの嫌かと思って言ってあるし」

姫様「・・・それだったら確実にお茶の間大パニックだったぞ・・・」

町娘「なぁ、食生活見直せ・・・?ありゃまずいよ、二重の意味で・・・」

魔王「え、う、うん・・・。ん?そこまで言われる筋合いなくない?」

勇者「・・・あのスープはまだいけたけどな」

姫様「私、そればっかり飲んでた」

魔王「ああ、カレー?やっぱカレーが一番ウケいいね」


勇者「カレー!?お前、アレカレーだったのか!?」

姫様「嘘だろ!?大概にしろよ!!」

魔王「え、えー?違うの?僕らにとってはアレがカレーなんだけど・・・」

勇者「おい、カレー舐めんなよ、おい」

姫様「カレーに謝れ!なんで冷たいんだっつの!」

魔王「え、あ、ごめんなさい」

町娘「あー、お前、やっぱ本物のカレー食ったほうがいいよ」

魔王「でも、作り方わかんないし・・・」

姫様「・・・作ってやりゃあいいじゃん」

町娘「なっ・・・」

勇者「おー、作ったれ作ったれ」

町娘「な・・・、なんでそうなんだよ!」


姫様「いーじゃん、作ってやんなよ」

町娘「誰がっ・・・!」

魔王「え?作ってくれないの?」

町娘「~~ッ!!」

勇者「お、固まった」

姫様「葛藤してる葛藤してる」

魔王「なんだ・・・、君たちの言うカレーも、食べて見たかったんだけどな・・・」

町娘「・・・とで」

魔王「え?」

町娘「・・・後で、な」ボソッ

魔王「やった、楽しみにしてるよ」

姫様「・・・なぁ、私も作ってやろうか、後で」

勇者「お前、チョコ入れすぎっから嫌だ。自分で作ったほうが旨い」


姫様「・・・さぁて、コレからどーしよっか」

町娘「うーん・・・」

勇者「・・・とりあえず、状況の整理だな」

魔王「え?帰るんじゃないの?」

町娘「は?」

魔王「あ、いや・・・、このまま、帰るのかなぁ、って」

魔王「三人で帰ってくれれば、それでいいし。僕のことは、喋っても喋んなくても」

魔王「・・・できれば、殺しちゃったことにしてもらったほうが、楽だけど」

勇者「・・・村はどうすんだよ」

魔王「・・・なんとかするよ。おんなじ作戦を、別の国に仕掛けてもいいんだし」

町娘「ばっ・・・、じゃあ、あたしらは後味悪ぃまま帰れってのか!?」

魔王「いや、だって・・・、村のことは、君たちには関係ないことだからさ」

町娘「てめ・・・」


姫様「・・・水臭いこと言ってんじゃねーよ、バーカ」

魔王「は・・・?」

姫様「今更カンケーねーもなにも、ねーよ。どーにかしよう」

勇者「・・・んじゃ、まずは状況の整理だな。椅子テキトーに持ってこれるか?」

魔王「な、なんでそんな・・・」

勇者「・・・魔人が死んでんだろ?そりゃ、俺もどっちかって言えば殺す方だけどよ・・・」

勇者「・・・でも、無抵抗なやつを殺すようなことがあっちゃなんねー」

勇者「そこに、魔人も人間もねーよ。文句なんか言わせねーよタコ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「どーせ、おめーまたミスるだろ?いつまでたっても成功しねーよ」

町娘「あたしに出来ることなんて、ねーかも知んねーけどさ、やっぱ」

町娘「ここまで巻き込まれたら、さ。最後まで。居させてくれよ。な?」

魔王「・・・みんな」


部下「・・・椅子の用意とのことでしたが」

勇者「ん、ああ、悪ぃな。俺らで入れっからそこ置いといて」

魔王「ご苦労様。ごめんね、雑用ばっかり押し付けて」

部下「いえ、それはいいんですが・・・」

部下「・・・・・・・・・」

魔王「・・・?どうかしたかい?」

部下「・・・私は、やはり、反対です。人間と強力するなど・・・」

部下「・・・信頼するに足るとは、思えません。何故、そんなことを・・・」

姫様「・・・かったいこというなよ、ねーちゃん!!」ダキッ

部下「ひぁっ・・・!?」

姫様「お、お・・・?これはなかなか・・・、ふむ。ふむふむふむ」モミモミ

部下「な、なにして、ちょ、やめ、あ、やめなさ・・・!」

勇者「・・・姫、お戯れが過ぎます」ヒョイ

姫様「なんだお前改まって・・・」


部下「ま、魔王様・・・」

魔王「な、なにかな・・・」

部下「・・・燃やしても・・・、構いませんか・・・」

魔王「何を!?ちょ、ちょっと待って、落ち着いて!」

部下「ご、ごほん。・・・とにかく」

部下「なんのメリットも無いあなた達が、協力してくれるなど・・・」

姫様「なに言ってんだ、メリットなら、十分あるだろ」

部下「・・・なんですか?」

姫様「ねーちゃんが死なねーって、保障が出来んだろーが」

姫様「私らはそれで、十分だっつの。得だっつーの」

部下「・・・・・・・・・」

勇者「・・・勇者なんて職業、命救ってなんぼなんだよ」

勇者「怪しむのはごもっともだけどよ。ま、そんなわけだ。勝手にやらせてもらうぜ」

部下「・・・そう、ですか」


町娘「・・・これから作戦練り直すんだけど、部下さんもどーだ?」

部下「私は・・・、まだ、他の仕事がありますので」

町娘「そーかい」

部下「・・・それに、まだ完全に、信じたわけではありませんから・・・」

勇者「へいへい」

部下「では、魔王様。・・・決まりましたら、ご連絡ください」

魔王「うん、必ず」

部下「・・・では」

バタン

勇者「・・・あったまかてーなぁ、魔人ってのはどいつも」

魔王「仕方ないよ。・・・他人を救うなんて、魔人の中じゃありえないことだったからさ」

姫様「・・・なかなかの揉み応えだったぞ、あのねーちゃん」

町娘「もう、絶対あんなことするなよ。次は炭にされるぞ」


勇者「・・・んじゃ、会議っと」

姫様「おー、こーやってテーブル囲むと、それっぽいな」

町娘「・・・で、結局どうすんだよ?何をクリアすればいーんだ?」

勇者「第一に、魔王の目的の達成だろ?なんだっけ?」

魔王「『村を、国として認めてもらう』」

町娘「結構な内容だなぁ」

魔王「別に、国じゃなくてもいいんだよ。安全が保障されれば」

勇者「その、安全ってのは・・・」

魔王「うん。・・・村が不用意に襲われないようにしてほしい」

魔王「守ってくれ、って訳じゃない。不可侵の条約を認めて欲しいんだ」

勇者「その前にまず、村の存在を明かさなきゃなんねーのか・・・。けっ、綱渡りだな」

姫様「そのための保健が、私のはずだった。その保健もおじゃん」

町娘「・・・ったく、どーすんだよ・・・」


勇者「・・・第二に、俺ら三人が安全に国に帰らないといけねー」

町娘「このままノコノコ帰ったら、村は救うことにはなんねーな」

姫様「かといって私を交渉の保健にするために置いていくと・・・」

勇者「俺達二人は詰問。最悪、拷問」

魔王「それは・・・、駄目だ」

勇者「わーってるっての。姫無しで俺が帰ったら、俺はゲロっちまうからなー」

町娘「・・・おめーが黙っててくれれば、丸く収まんじゃねーか・・・」

勇者「はっ、これだから女ってのは甘ぇんだよ」

町娘「なっ・・・!女だってことはカンケーねぇだろ!?」

勇者「おめーは良くても、おめーの周りは嫌なんだよ。言わせんなターコ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「う・・・」


勇者「そーいうわけで、この二つを上手くクリアしなきゃなんねー」

勇者「・・・ま、交渉が成功するかは別問題だ。まずは、そこに漕ぎ着かねーと」

町娘「ちなみに、なんだけどさ。丸腰で交渉に行くってのは、駄目なのか?」

勇者「駄目だろうな。その場で撃ち殺されるのがオチだ」

町娘「・・・!」

勇者「それだけ、魔人差別ってのはデカい。『村作ったから認めてくれ』なんて、嘘臭ぇ」

勇者「・・・俺らだって半信半疑なくらいだ。お偉い方は、迷わず撃たせるだろーな」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「んじゃ、『交渉の道具』を用意できれば解決か?」

勇者「んー、そーだな。この場では、それでいいと思う。どっちにしろ、確立は低いけどな」

姫様「元々の道具が、私だったわけだから・・・」

魔王「うーん・・・、やっぱりソレを用意するのって、難しいかもな・・・」


姫様「・・・あれ?」

勇者「どうした」

姫様「確か、交渉の保険って二つあったよな?」

勇者「あん?んと・・・」

町娘「・・・『人質』だろ?それと・・・」

魔王「・・・『姫様に、魔人の良さを知ってもらう』・・・」

勇者「あー、あったな。そんな腑抜けた作戦・・・」

魔王「い、一生懸命考えたんだけど!」

姫様「ソレって要するに、『保険の保険』だろ?つまり・・・」

姫様「私が解放されたとき、『魔人って良い奴だから認めてやってよ!』っていう」

魔王「う、うん。そのつもりだったけど・・・」

姫様「それって、もうクリアしてるんじゃねーの?」

勇者「・・・あ」


町娘「ど・・・、どーいうことだ?」

勇者「つまりだな・・・」

勇者「姫を攫うことによって『要求を呑まなきゃ姫を殺すぞ!』って脅しが使えるだろ?」

町娘「うん」

勇者「国から見たら、『姫が攫われたどうしよう!』ってなる。あくまで理想だけど」

勇者「・・・国は、人質の様子は絶対に見えない。その間に、姫に媚を売る」

町娘「・・・『無害だ』ってか?」

勇者「そうだ。そうすると人質である姫は、『魔人は良い奴だな』ってなる。これも理想だが」

町娘「・・・うん」

勇者「まず脅しで、国と対等に立つ。国の『されたくないこと』をちらつかせて、交渉する」

勇者「そして、交渉になったところで、『人質本人の感想』を聞かせる」

町娘「・・・魔人は、良い奴ら・・・」

勇者「そうだ。極端だが、それで『魔人は良いやつらなんだ』って思わせれば、勝ち」

町娘「なんか・・・、甘くねぇか?そんな上手くいかないだろ・・・」


姫様「そこで、今回の状況」

町娘「あん?」

姫様「私はもう、『魔人は良い奴らだ』と、思ってる」

姫様「・・・いや、全部理解したつもりはねーけどな。少なくとも、一緒に飲んだくらいだ」ヒラヒラ

町娘「でも・・・、まだ、国と対等じゃねぇだろ?」

姫様「ところがどっこい、そうじゃない」

勇者「当初の予定と、今。違うのは、どこだ?」

町娘「だから・・・、人質が居るか、居ないか、だろ?」

勇者「ビンゴだ。つまり、『姫は捕らわれちゃいない』。つまり・・・」

姫様「・・・私が直接、交渉の場に立てんだよ」ニヤリ

町娘「あっ・・・?」

魔人「あ・・・」

ところがどっこい、風呂に入る。
今日はそろそろ書けないかも知れない。明日は木曜日じゃないからな・・・。
また保守タイムになったらほんと、すいません。

インフルエンザが流行ってるからマスクは常備しとけよ!

誤字に関してはほんと申し訳ない・・・
でも、変換ミスなだけだから。俺が間違ってるわけじゃないんだから。
本当なんだから!


町娘「で、でも・・・!それで対等になれんのか?」

姫様「私、姫だよ?法律を曲げることは出来なくても、法律に口出しくらいは出来る」

魔王「ってことは・・・」

勇者「ああ。姫が直接、交渉に行けばいい。理由はそうだな、『友人だから』でいいだろ」

町娘「そんなわがままみてーので、ほんとに通るのかよ・・・」

姫様「まさか。流石にそこまで甘くはねーよ?でも、身内にならわがまま言える」

町娘「・・・まさか」

姫様「直接、父上に話そう。『個人的に』、な。そこで交渉すればいい」

姫様「材料は、そうだな。私自身の体験。昨日の飲み会でいーっしょ」

魔王「そんなんで、材料になるかな・・・?」

姫様「酒の友は、無二の友。一晩でこんだけ気心知れてんだ。十分だよ」


町娘「・・・なんとかなりそーじゃねーか!良かったなぁ、おい!」

魔王「うん・・・」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「ん?どーした?なんかマズイか?」

勇者「・・・っとに、強情というかなんというか・・・」

姫様「え?」

魔王「・・・やっぱり、僕も、行く」

町娘「は・・・」

魔王「そこまで頼りっきりには、出来ない。出来ないけど、やっぱり、頼っちゃう・・・」

魔王「・・・僕も、その『個人的な交渉』に、参加させて貰えないかな」

魔王「参加というより、うん、やっぱり、僕が交渉しないと、駄目だと思う」

町娘「お前・・・」


姫様「・・・交渉の成功率が激減するとしたら?」

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「私個人で言ったほうが、無難だ思うんだがな?」

姫様「そうすれば、村が助かる確率があがるなら、私は・・・」

魔王「・・・それでも、駄目だ。これは、僕らの問題だから」

姫様「お前、今はそーいう・・・」

勇者「まぁ、待てよ。『村』の代表は、コイツなんだ。筋は通ってる」

姫様「でも・・・!」

勇者「村での生活の話は、住人の発言のほうが確実」

勇者「もっと先を見るなら、外交の話もあるだろ」

姫様「・・・・・・・・・」

勇者「・・・交渉の基本はな、話し合いか、多数決か、殴り合いだ」

勇者「どれが出るかわかんねーなら、多く取ったほうがいい」

勇者「いっそ、全員で行くか」


町娘「全員・・・って、あたしもか?」

勇者「おめーも、『もてなし』を受けた一人だろ?」

勇者「良さをアピールするには、良さを知った奴が多いほうがいーんだよ」

魔王「・・・交渉の席は、姫様に用意してもらう」

魔王「君たちに発言してもらって、僕が、交渉する」

魔王「・・・ほんと、なにから何まで、君たちに頼りっぱなしだ」

勇者「俺らはお膳立てだ。相手は個人とはいえ、国。こんくらいしねーと割りにあわねぇ」

勇者「・・・しかも、重要なのはお前の交渉だ。しっかりやれや」

魔王「・・・うん」

町娘「・・・誘拐犯が出張って、印象悪くはならねーかなぁ」

姫様「人質は生きてるし、元々殺すつもりは無かった」

姫様「攫った理由を包み隠さず話せば、むしろ笑い話だ。大丈夫だろー」


魔王「・・・僕が、交渉・・・」

魔王「やっと、安心して皆が暮らせるようになるのか・・・」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「・・・・・・・・・」

魔王「・・・絶対、僕ら魔人だけじゃ、こんなことは出来なかった」

魔王「ありがとう」

町娘「・・・けっ。それは、成功した後言っていい言葉だろ、ハゲ」

魔王「あっ・・・、ご、ごめん。そーだね」

勇者「へっ、しっかりやれよ、魔王」

姫様「ここまできたら、後はハッピーエンドだけだ。それが一番美しい!」

魔王「うん、がんばるよ」

魔王「ありがとう」


勇者「んじゃ、そうと決まったら出発しようぜ。風呂でも入ってさっぱりしてこうぜ――・・・」

―――女湯

カポーン・・・

姫様「―――っとに、アイツ、せっかちだよなー。もっとのんびり出来ねーのかと」

町娘「早く村を救いたいんじゃねーの?」

姫様「違うな、アレは絶対、考えなしなんだ。さっさと済ませてー性質なんだよ」ブクブク

町娘「・・・でも、そんなところが好きなんだろー?」

姫様「ぶくっ!?げっほ、げほげほ!な、なんだ急に・・・」

町娘「今朝のお礼だ。で、どうだ、図星?」

姫様「ああ、そうかもな、うん。そーいうとこも含めて、好きかも知れない」

町娘「だっ・・・!?な、なんでお前らこっ恥ずかしいこと平気で言えんだよ!?」


姫様「純情っ娘がソレくらいで、一本とった気になんなっての!甘いよ」

町娘「・・・お前ら、ぜってー良い夫婦になるよ・・・。あたしのお墨付き・・・」

姫様「あったりめーだろ?そーじゃなきゃやってらんねーよ?」

町娘「・・・・・・・・・」

カポーン・・・

姫様「・・・浮かない顔してんね」

町娘「あー?そーか?」

姫様「せっかく姫の美しい裸体が間近にあるというのに、その態度はいただけないなぁ~」

町娘「けっ・・・、自分で言うほど、価値が落ちんだよ、そーいうのは」

姫様「私のは価値が落ちるくらいで丁度いいんだよ。美しすぎるのは、罪だろ」

町娘「さいですか・・・」

姫様「・・・そしてお前の裸体もなかなかの美しさだがなぁ!!」ダキッ!!

町娘「ひあっ・・・!ど、どこ触ってんだてめぇ!放れろや!!」バシャバシャ!!


姫様「ふむふむふむ。細いね?栄養とってんの?」サワサワ

町娘「だーかーらー触んなって・・・!や、やらしー!なんか触り方がやらしー!!」

姫様「んーふー?ここ?ここが好きなん?この辺がこう・・・」サワサワ

町娘「ばっ、あっははっ、くすぐってーって!冗談じゃなくなってきたぞ!」

姫様「そして胸か!胸だけは着やせしやがって!!」モミモミ

町娘「揉むなこのっ・・・!エロ親父かおめー!?」

姫様「私、胸控えめだからなー。どーやったら育つんだ?」モミモミ

町娘「あたしも、んな、デカいほうじゃ、なっ・・・、揉むな!速度が、ん、あがってるぞ!」

姫様「わっはは結構結構!拙者美しいオナゴが大好物でござんす!」ギュウッ

町娘「わーっと、やめろってのハゲっ!抱きつくなこのっ・・・!」バシャバシャ


姫様「・・・・・・・・・」ギュウゥ

町娘「お前、キツいっての・・・」

姫様「・・・あんま先のことは、考えんなよ」

町娘「・・・は」

姫様「お前らなら大丈夫だろ」

町娘「・・・・・・・・・」

姫様「・・・隙あり!ていやっ!」バシャー!

町娘「ひゃうぅ!?てめっ、今のは・・・!」

姫様「なかなか可愛い声出すじゃないのん、本気になっちゃうよ?」

町娘「・・・あー、本気だ、本気でテメーをぶっ潰す・・・!!」

姫様「臨むところだへぶっ・・・!うおー!目に入ったー!!」

町娘「油断してっからだ淫乱!おらっ、おらおら!!」バシャバシャ!!

姫様「なっ、ちょっ、へべっ・・・。許さねー!沈めちゃるぞ!!」バッシャッバッシャ!!

バシャバシャ・・・キャッキャウフフ・・・

―――男湯

カポーン

勇者「・・・あいつら人んちの風呂で・・・」

魔王「ま、まぁいいよ。今は誰も入ってこないだろうし」

勇者「お前、部下何人くらいいんの?ねーちゃんしかみてねーけど」

魔王「彼女は秘書的なもので・・・。魔物は多いけど少ないよ、魔人は10人いるかいないか」

勇者「はぁ、ずいぶん少数だな。ドンパチなんなくて良かったじゃねーか」

魔王「それだけは避けたかったから。・・・やらなかったというよりかは、出来なかったのかも」

勇者「はっ、何人居たって、俺にかかりゃ数秒だ。妥当な判断だ」

魔王「・・・そう、君とは、本来敵同士なんだよね・・・」

勇者「あん?」

魔王「いや、なんとなく・・・。そういえば、って」


勇者「けっ、一緒に風呂まで入って何言ってやがる。裸の付き合いだぞ?」

魔王「そりゃそうだけど・・・」

勇者「くだらねーこと言ってんなよ。あのな、俺は魔物魔人を倒すのが仕事じゃねーんだ」

魔王「・・・っていうと?」

勇者「困ってる人が居たら救うのが仕事。世界がピンチなら、世界を救う」

魔王「・・・・・・・・・」

勇者「・・・ってのは建前でなぁ」

魔王「えっ・・・」

勇者「俺は、敵を斬る仕事だと思ってる。魔人も人間もカンケーねぇ」

勇者「敵なら、斬る。敵を斬る。そうすりゃ、おのずと世界は救われる」

魔王「・・・・・・・・・」

勇者「・・・魔王と勇者なんて、当たり前に本来、敵同士だ。『本来』な」

勇者「でも、お前は敵じゃない。そうだろ?それでいいんだよ」

魔王「・・・うん、分かったよ」


勇者「・・・さーて、男二人だしなぁ。覗きでもすっか」

魔王「ちょ、まずいよそれは!」

勇者「へーきへーき。ちょいと敷居を・・・、っておい。出っ張りもなにもねーじゃねーか」

魔王「あ、ほんとだ。・・・そういえば部下が、風呂だけは丹念に改造してたな・・・」

勇者「あん?クソ、立地条件的に外からは不可能・・・。だー、男の敵だなあのねーちゃん」

魔王「そ、そもそも覗きなんて駄目だって・・・」

勇者「そーだなー。エロい話でもすっか」

魔王「え!?いきなりなに!?」

勇者「だからさ、つまり・・・。コウだろ?」

魔王「なにが!?え、まさか、え?」

勇者「んだよ、知らねーのか。ココからな、コウ、そしてコウで、コウ・・・」

魔王「え、え、待って、え?ほんとに・・・?」

勇者「ったりめーだよ。んでコウして、ココをコウ・・・」

魔王「ちょ、ちょっと待って!え?そんな、えぇー・・・」

把握した
sageマターリ保守

―――廊下

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「ん?どしたん?」

魔王「逆上せた・・・」

姫様「おいおい大丈夫かよー、自分家だろ?」

勇者「そっとしといてやれー、だいぶ出来上がってるからなー」

町娘「・・・なにしたら風呂で逆上せさせることができんだ・・・?」

姫様「んだよ、取っておきのがあんのに・・・。あのなー、魔王。耳かせ」チョイチョイ

魔王「んー・・・?」

姫様『・・・美乳だった」ボソッ

魔王「・・・!!」ブッ

町娘「ちょ・・・!大丈夫か!?鼻血でてんぞ!?」タタッ

魔王「ぶふっ!だ、だいじょうぶでづ、近づかんでくだばい・・・!」ボタボタ

町娘「あー?んだよ、心配してんのに・・・。見せてみろって、ティッシュつめるか?」

魔王「だ、だいじょうぶでづ、ほんど、勘弁・・・」ボタボタ

┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄

  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

―――魔王城・入り口


勇者「―――うし。準備も出来たし、行くか」

姫様「風呂入ってさっぱりしたし!レッツらゴー!」

町娘「鼻血、止まったか?みっと、もねーからやめろよな、向こうで出すの」

魔王「う、うんうん大丈夫大丈夫、だ、大丈夫」

町娘「・・・なんか、余所余所しくね?あたし、なんかしたか?」ズイッ

魔王「な、なんもしてないしてない!ほんと!」

町娘「・・・なんだかなぁ」

勇者「・・・お前、なに吹き込んだんだ。アイツ相当初心だぞ」

姫様「ふっふーん。取っておきなのだよ

姫様「すべての美しいものは、愛されるべきだからな!!」

魔王「~~っ!!」サッ

町娘「あっ、目ぇそらした!なんだよ、言いたいことあんならはっきり言えよ!」

魔王「めめめ滅相も無い・・・」


町娘「・・・んだよ、ったく」プイッ

魔王「あっ・・・」

姫様「あー、泣かせたー」

勇者「いけないんだー」

町娘「な、泣いてねぇよっ・・・!」

姫様「まぁまぁ、男の子にはいろいろあるのだよ」

町娘「あー?意味分かんね・・・」

勇者「おめーもな、しゃきっとしろよ」

魔王「うっ・・・、ご、ごめん」

町娘「・・・何かしたなら、謝っけど・・・」

魔王「な、なにもしてない。大丈夫」

町娘「・・・ふーん」


魔王「・・・僕」

町娘「・・・ん?」

魔王「僕、がんばるから」

町娘「・・・おう、あたりめーだろ」

魔王「君が居れば、がんばれるから」

町娘「・・・!」

姫様「おっ・・・」

勇者「おぉ~・・・」

魔王「だからさ、その・・・、変だけどさ。応援、しててよ」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・お願い」

町娘「・・・いまさら・・・」

町娘「いまさら、んなこと、い、いうなよ・・・」


魔王「・・・いい?」

町娘「・・・そ、そんなもん・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・ん、あ、あたりめーだろ、はーげ・・・」

魔王「・・・良かった」

町娘「~~っ」

勇者「・・・んじゃ、お惚気はそのくらいでいーか」

姫様「十分でしょ、そろそろこっちが耐えられねーよ」

町娘「ん、んだよ、うるせーな・・・」

姫様「お?惚気は否定しないのか?」

町娘「てめっ・・・!け、蹴るぞこらぁ!」


魔王「・・・ごめん、もういいよ。行こう」

勇者「おう」

姫様「よっしゃあ!愛と美のために!!」

町娘「・・・一緒に」

魔王「うん?」

町娘「・・・一緒に、がんばろう、な」

魔王「・・・!うん、絶対」

勇者「んじゃ、出発」

姫様「しゅっぱーつ!」

町娘「・・・おーう」

魔王「・・・うん、一緒に」

・・・非情に残念なお話があります。

申し訳ありません
とても眠いので寝ます
明日の午後には来れると思いますので
保守のほうよろしくお願いします
残ってたら書きますので

やべ、忘れてた。
読んでくれたひとありがとうございました!
あと300で終わるかは分かんないけど、今日は寝ます!お疲れ様!

スレがつぶれる、sageて保守

け、喧嘩はやめようよ・・・!

正直後200強で終わるか分からんけど、マターリ始めます。
夜中の保守ホントありがとう!愛してるぜ!


―――某国・城門前

勇者「・・・しっかし、こんな抜け道隠してたとはなぁ・・・」

姫様「・・・初めて知った・・・。これ罪にはならんの?」

魔王「な、ならないんじゃないかな。魔物の多い道を、魔物にどいてもらってきただけだから」

町娘「人間様だけにゃ通れねーっつうわけか。それにしても・・・」

町娘「・・・んーっ!やっと帰ってきたなぁ」

姫様「ただいまー」

勇者「あー、密度の高ぇ旅だったなっとー」

魔王「・・僕、入って大丈夫なのかな・・・」

勇者「あん?魔力隠せてんだろ、大丈夫だろ」

姫様「へい!ようこそ我が国!」

魔王「そうじゃなくて・・・、まぁいいや。おじゃましまーす・・・」


勇者「んじゃ、どうすっか」

姫様「あ!こっちに旨いスパゲティ屋があんだけど・・・」

町娘「・・・遊びに来たわけじゃねーんだから・・・」

姫様「んー、残念だなぁ。今度四人で来よーぜ」

魔王「・・・今度、ね」

勇者「まっ、なんにしてもこっちの言い分通んねーと話になんねー」

勇者「おめーはもっと緊張感持て、な」

姫様「・・・わーったよ・・・。んじゃ、城までご案内しますー」

町娘「直接行っちまって大丈夫なのか・・・?」

姫様「直接行くからいーんだろ」

姫様「謁見の許可は要るけどまぁ、申請降りるまでは『個人的な友人』で城まで入れてやる」

町娘「・・・なんか、ところどころアバウトだよなぁ。大丈夫なのかこの国・・・」


女兵士「・・・ようこそ。身分の明かせるものを提示してくださいませ」

姫様「この美しい顔が目に入らぬか。きらりーん」

女兵士「なっ・・・!姫様!?なにしてらっしゃるんですか!?」

姫様「遊びに行って来た」

女兵士「遊・・・、困りますよ勝手なことされては!!」

姫様「まーまーいいじゃん。父上も知ってることだよー」

兵士「・・・どうかしたか?」

姫様「あ、おっす。お疲れ」

兵士「げぇ!?姫様!?どうしてこんなところにっ!?」

姫様「だーかーらー遊びに・・・、ああもうめんどくせーな私ん家だろー・・・」

町娘「・・・大丈夫なのか、これ・・・」

魔王「うん・・・、なんかすっごい緊張感そがれる・・・」

勇者「いっつもここはこうなんだよ。全体的にユルいっつーかなんつーか・・・」


兵士「とにかく困りますよ・・・、国の顔であるあなたがこんな自由奔放と・・・」グリグリ

女兵士「日ごろから危機感が足りません、胃がキリキリします・・・」グリグリ

姫様「あうっ、あうっ、どつきまわすな一国の姫をあうっ・・・」

勇者「・・・おーっす、お前ら」

兵士「あっ、勇者さん。ちぃーっす」

女兵士「え?あ、ほんとだ勇者さん。ちぃーっす」

勇者「お前ら俺をなんだと・・・、まぁいい。姫は俺と一緒だった。これでいーだろ」

兵士「何だ、勇者さんと一緒だったんじゃないですか。早く言ってくださいよ」グリグリ

女兵士「言いたくなかったんですか?言いたくなかったんですか?ねぇねぇ」グリグリ

姫様「おい、あうっ、どつくなっつの、姫だぞ、仕舞いには怒る・・・あうっ」

勇者「・・・んで、連れが居るんだ。だからこっちから来た」クイッ

町娘「・・・・・・・・・」ペコッ

魔王「・・・・・・・・・」ペコリ


兵士「あー、そういうことっすか。分かりました分かりました」

女兵士「では、身分の証明できるものをなにか・・・」

魔王「み、身分?」ドキリ

兵士「国民表ですとか、外国の方ならその国の国民表でも入国書でも構いませんが」

勇者「・・・おいおい、俺らの客人だぜ?身分明かせなんか、失礼だろ?」ポンポン

女兵士「しかし・・・」

姫様「私の友達にケチつけんなよー、いーだろ?」

女兵士「・・・姫様ってなんでこんな可愛いんでしょうね」ダキッ

姫様「あっ、ちょ・・・」

兵士「あー、ズルい!俺も俺も!」グリグリ

姫様「おいやめ・・・、おい!姫だぞ、無礼だろー!」

勇者「・・・はいおっけー。行きやしょ」スタスタ

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

―――城内

町娘「・・・なんっつーか・・・、我が国の将来が本当に心配だよ・・・」

勇者「あん?あれで結構強ぇ奴らなんだよ」

町娘「嘘だぁ・・・、警備だるっだるじゃねーか・・・」

魔王「いますんなり魔人が入ってますけど・・・」

勇者「皆、姫のこと大好きだかんなー。親馬鹿なんだよ、皆して」


姫様「―――おい、勇者てめぇ置いてく・・・。よぉ!お疲れ!え?ばっ、撫でんな!」

姫様「・・・ったく。おーい、置いてくな・・・、あん?ばっ、ちょ、肩車とかいーから高ぇ!?」


町娘「・・・ふーん。幸せそうだな」

勇者「あーいう人望あっからな、あいつは。皆に愛されてんだよ」

姫様「・・・ぜぇ、ぜぇ、てめぇ、勇者・・・」

勇者「お疲れさん」ポンポン


姫様「あー、んじゃ、とりあえず部屋、案内、すっから」

勇者「おう」グリグリ

姫様「それから、謁見許可、とって、父上に・・・撫でんなっつの!長ぇよ!」

勇者「悪ぃ悪ぃ」

町娘「・・・なんだかんだ妬いてんのか・・・」ボソッ

魔王「微笑ましいというかなんというか」

姫様「分かったな?んじゃ、ついてこーい!」

勇者「どーせ、謁見もなにもねーからな。すぐ会えんだろ」

魔王「・・・いよいよ、か」

町娘「・・・緊張してんのか?」

魔王「そりゃあね。でも・・・、うん。大丈夫、がんばる」

町娘「おう、がんばれ」

―――姫様の部屋

町娘「・・・おー、意外に片付けてんだな」

姫様「ふっふーん。部屋も美しくないとな!姫だから!!」

勇者「そいつの片付け方って、見えねーとこに押し込むだけだからクローゼットとか酷ぇぞ」

町娘「・・・うわ、マジだ」ガチャリ

姫様「うぉい!?開けんなバカ!!部屋漁んな!!」

町娘「えっ、うぇー?お前こんな下着履くの・・・?うおー」

勇者「結構阿呆な下着ばっかりでよ、油断するとその辺に脱ぎ捨てとくからなぁ」

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「おいこらバカ共!男居んのに下着なんか広げてんじゃねーよやめてっ!!」


姫様「・・・お前ら、私の居ない間になんかしたら、禁断のプリンセス・ナックル出るからな」

町娘「う~ぃ」

勇者「承知ー」

魔王「よ、よろしく」

姫様「前二人!ぜってーなんかするだろ!やめろよ!?漁んなよ!?」

町娘「しないしない」

勇者「めっそうもない」

姫様「くっ・・・。じゃあ、私は謁見許可取って父上んとこ行って来るから・・・」

・・・バタン

町娘「・・・いよーっし!!ベッド180度回転させよーぜーっ!!」

魔王「えーっ!?なんでいきなりそんな地味な嫌がらせすんの!?」

勇者「だってお前・・・、自分の部屋に帰ってきて北枕になってたら、ぷっ、おもしれーだろ」

魔王「なんで君もノリノリなの!?」

町娘「おら魔王早くそっちの脚持て!あんのエロ姫に仕返ししたるぜきゃっほぅ!!」


ガコガコガコン

町娘「これ・・・、リアクション楽しみだわ」

勇者「あれな、部屋に一人のときに気づくのが理想なんだが・・・」

魔王「・・・いや、いくらなんでもすぐ気づくんじゃ・・・」

勇者「だって、一人じゃベッド直せねーからどうしようもなくて、我慢してこのまま寝るとか・・・」

魔王「なんでこんなときだけ無邪気な顔するんだ君は!?」

町娘「これ・・・、枕の下に、父親の写真いれてやろーぜ」

勇者「ぶふっ・・・、おー、アルバム、確かこっちだから・・・」ガサゴソ

魔王「なんだその連帯感・・・」

町娘「だってお前、あの年頃の娘が、パパの写真枕の下にいれてんだぞ・・・?」

勇者「ベッドメイクしにきたメイドにバレて噂が・・・、ぶっ、面白すぎ・・・」

魔王「イタズラで君はそこまで無邪気に笑う人間になれるのか!」

ガチャ

姫様「ただいま~、なんかすぐ許可取れた・・・って私の枕が北向いてる!!!???」


町娘「―――なんか、羽目を外したかったっていうか・・・」

勇者「・・・先に言い出したのは、コイツでした」

町娘「なっ・・・!一番ノリノリだったのはおめーだろ!?」

勇者「そ・・・、そんなこと、ねぇよ」

町娘「はいはいはーい!コイツ姫様のアルバム漁ってましたー!!」

勇者「ばっ、お前!よけーなことチクんな!」

魔王「・・・醜い・・・。ぼ、僕は止めたんですけど・・・」

町娘「あーっ、そーやって一人だけ逃げんのかてめーは!」

勇者「自分だけ助かろーったってそうはいかねーぞ!おめーもベッド動かしただろーが!」

魔王「い、言われたことやっただけじゃん!」

姫様「・・・プリンセス・ナックル・・・!!」ヒュンッ

町娘「おぐぅ!?」ドゴォ

勇者「ぐはっ」ズドムッ

魔王「えべっ!!なんでぼぐまれ・・・」ゴトン


姫様「・・・とーにーかーくー!これから父上んとこそっこーで行けるから」

町娘「・・・りょ、了解です・・・」

姫様「ったく、人が働いてる隙に・・・」

勇者「・・・んで、どこ行きゃいいんだ、いつもんとこか?」

姫様「んー?いや、そこじゃなくて一つしたの広間で良いかって言われた」

勇者「ふーん、そんなとこあんのか」

姫様「あの部屋で五人は窮屈なんじゃね?まーいーっしょ、行くよー」

勇者「窮屈ってお前・・・、あんな広ぇ部屋・・・。金持ちの感覚は分かんね・・・」

魔王「・・・いよいよ、かぁ」

町娘「・・・おう、がんばろーぜ」

町娘「あたしも、たった二晩だけどよ、おめーと一緒に居たし、少しは・・・」

町娘「・・・うん。いいとこ、言えっと思うからよ」

魔王「・・・うん。よろしく頼むよ」

魔王「がんばろう、一緒に」

―――謁見部屋

王様「・・・おう、帰ったか。お帰り」

勇者「・・・うーっす」

姫様「ただいまー」

王様「どーだった?危険な魔王だったか?」

姫様「あー・・・、そこも含めて、ちっとお願いがあるんだけど・・・」

王様「どした、改まって。・・・んで、そちらの二人は始めまして」

町娘「は、始めまして・・・」

魔王「ははは始めまして」

王様「固くなんなよ。俺も、ただの人間だからな。王だけど」

町娘「・・・やっぱこう、なんかユルいんだよな・・・」ボソッ

魔王「ま、まぁ、予想はしてたけど・・・」ボソボソ

その
予感は当たらない


王様「んで、この二人がなんなんだ?新しい友達?」

姫様「ま、そんなとこ」

王様「そーか。友達が多いってのは、いいことだな。どこの子らだ」

町娘「えっと・・・」

勇者「・・・そっちの娘は、アレだ。例の・・・」

王様「・・・まさか、攫われた娘か?」

町娘「・・・ん」コクン

王様「おー、そーかそーか!良かった、生きてたのか!いやー、気の毒だったな今回は」

魔王「・・・・・・・・・」

王様「へぇ、そーか。ふーん・・・。んで、そっちが・・・」

勇者「・・・こいつは・・・」

王様「・・・今回の『魔王』、ってわけか」

町娘「―――ッ!?」


勇者「っ・・・」

姫様「なっ・・・、なんで・・・!」

勇者「バカッ・・・」

姫様「あ・・・」

王様「・・・ったく、ガキ共がコソコソコソコソなにしてやがるかと思ったら・・・」

魔王「・・・・・・・・・」グッ

王様「・・・始めまして、『魔王』。あんま王を舐めんな」

王様「『王』ってのは、こうでなくちゃならなぇよなぁ」

姫様「・・・待ってください、父上、これは・・・!」

王様「どうやったかわかんねぇけど、上手く魔力を隠してるみてぇだな・・・」

王様「・・・でも、俺には無意味。国の中のことなんて、全部丸分かりだ」

王様「・・・王だからな、俺は」

町娘「・・・てめぇ・・・」ギリッ


魔王「・・・今回は」

王様「あん?」

魔王「今回は、あなたにお願いがあって来ました」

姫様「魔王っ・・・」

勇者「・・・・・・・・・」

魔王「まず・・・、未遂とはいえ、あなたの娘さんの誘拐を企てていたことを、謝ります」

王様「・・・バーカ、結局『俺の国民』に手ぇ出してんだ、そっちも謝れ」

町娘「・・・っ」

魔王「・・・それも、謝ります。すみませんでした」スッ

王様「・・・ほぅ、なかなか殊勝なやつじゃねーか」

王様「んで?お願いってのは?金か、女か」

町娘「・・・違うっ!こいつは、そんな奴じゃ・・・!」

勇者「黙ってろ、お前が喋るところじゃねー」

王様「・・・そこで、被害者が憤るなんてなぁ。どーたらし込んだんだか、魔人が」

王様の一人称が「わし」から「俺」になっちゃったけど気にしないでね・・・!


町娘「・・・くっ」ギュウッ

勇者「・・・相手の動揺さそうのなんか、よくあることだ。我慢しとけ」ボソッ

町娘「分かってっけど・・・、そんなのって・・・!」

姫様「父上・・・」

魔王「・・・たらし込んだなんて、とんでもありません」

魔王「彼女には・・・、彼女達には、話を聞いてもらっただけです」

王様「へぇ、『どこまでが本当の話』を?」

魔王「・・・っ。・・・すべて、本当の、話です」

王様「・・・なるほど。んじゃ、その話ってのが、魔王様直々にしに来たお願いってか?」

魔王「その通りです」

王様「んー、なるほどなるほど。分かった、聞こうじゃねーか」

町娘「・・・魔王・・・」

魔王「・・・大丈夫」

ぼく、ポケモン


魔王「・・・この国から、少し進んだところに、『村』があります」

王様「ふーん?初耳だな」

魔王「とある理由で、存在を知らせることが出来なかったのです」

王様「理由?大層な理由なのか」

魔王「・・・その村に住む住人は、すべて、『魔人』なのです」

王様「・・・!魔人が、村を作った・・・?」

魔王「・・・ええ。僕・・・私は、そこの代表として、この場に来ました」

王様「魔人が村・・・。魔人ってのは、どいつもこいつもテメェのことしか考えないやつだが」

魔王「確かにそうですが・・・、でも、私を始めとした住人達は、少し違います」

王様「違う、ね」

魔王「はい。少しずつではありますが・・・」

魔王「・・・皆、他人を思いやる感情が、芽生えて来ているのです」

王様「・・・ほぅ、魔人が、ねぇ・・・」

今からバイトなので、保守お願いします(´;ω;`)


姫様「・・・ち、父上!」

王様「・・・んだよ」

姫様「私と勇者は、こいつや、他の魔人を見てきました!」

姫様「そいつらは、えーっと・・・、上手く、言えないけど・・・」

姫様「・・・私達と変わらない、フツーの、気のいい奴らでした!」

王様「・・・勇者、おめーの意見も、一緒か」

勇者「・・・ああ」

勇者「俺は今まで、そりゃもう阿呆みてーに、魔人も魔物も斬ってきた」

王様「・・・・・・・・・」

勇者「・・・そんな俺が言うんだ」

勇者「どんくらいこいつらが、『悪』じゃねーかってことぐらい、分かるだろ?」

勇者「自称、策士様よ」

王様「・・・っけ、相変わらず、口の減らねぇ奴だなぁ・・・」

鍵が見つからないぉ(`;ω;´)
遅刻しちゃうぉ。・゜・(ノД`)・゜・。


王様「・・・んで、そっちの、被害者」

町娘「・・・!お、おう」

王様「お前は、一番長くコイツら魔人と一緒にいたわけだが・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

王様「・・・どうだった、恨みはねーか。ひでーことされて、殺したくはなんなかったか?」

町娘「・・・あたしは・・・」

町娘「・・・あたしは、こんな悪ぃ育ちだから・・・、敬語なんて使えねぇし・・・」

町娘「・・・言うこと全部が、信じて貰えるなんて、思わねぇけどよぉ・・・」

勇者「・・・・・・・・・」

姫様「・・・お前・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「でも・・・、でも、こいつらは・・・」


町娘「・・・こいつらは、良い奴らなんだよぉ・・・」ポロポロ

大臣「そりゃ、俺の娘だからな」

王「おまえがゆうな」


―――あ、僕も一本もらって良い?

町娘「・・・コイツと吸ったたばこは旨かったし・・・」

―――ほら、カンパーイ!

     か、かんぱーい

     カツン

町娘「コイツと飲んだ酒は、旨かったよ・・・!」

―――せっかくご馳走用意してんのに!

町娘「・・・飯は不味ぃし、カレーはなぜか冷てぇけど・・・」

―――こ、この体制だと、僕はずっと座ってなきゃならないんじゃ・・・

町娘「・・・コイツの膝枕は・・・、とんでもなく、あったかかったよ・・・!」ポロポロ

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「一緒じゃねぇか・・・。あたしらと、なんも変わらねぇよ・・・」

町娘「・・・だから、だからそれを・・・」

町娘「・・・まるで、ツマむみてーに、扱うの、やめてくれよ・・・」グスッ


町娘「コイツらは・・・、コイツは、ヘタレでな・・・」

町娘「肝心なことなんもいわねーで、ウジウジしてる奴だよ・・・」グスッ

町娘「・・・でも、それだけなんだよ・・・」

町娘「あたしと、一緒なんだよ・・・」ポロポロ

町娘「・・・あたしは、そんな、コイツが―――」


―――君が居れば、がんばれるから


町娘「・・・大っ好きなんだよぉぉぉぉぉ・・・!!」


姫様「・・・っ」

勇者「・・・へっ」

魔王「・・・!!」

王様「・・・・・・・・・」

町娘「・・・認めてやって、くれよ、えぐっ、一緒なんだ、こいつらは・・・」ヒック

魔王「・・・お、落ち着いて、ね?な、泣かなくて大丈夫だから・・・」

町娘「・・・元はといえば、うぅ、てめーが、しっかり、しねー、から・・・」グスッ

魔王「え、あ、うん!そ、そうだね、ご、ごめん、本当、ごめん・・・」

町娘「謝んなばかぁぁぁ!魔王だろぉぉぉぉ・・・」グスグス

魔王「ご、ごめ・・・、あっ!違っ、うん、泣き止んで!ね?鼻かんで・・・」オロオロ


姫様「・・・あー、父上、女の子泣ーかした」

勇者「いーけないんだー、いけないんだー」

王様「・・・お、俺のせいか、これは・・・」


町娘「・・・っ!~~っ!!」バシンッ

魔王「えっと、痛っ!ど、どうすれば・・・、えっと!それで、痛、交渉というのはですね・・・!」

王様「・・・あー、なんか、いいよ、うん、もう。そっち介抱したれ」

魔王「えっ・・・」

王様「・・・腹の探りあいしてた俺がバカみてー・・・、あー、勇者、おめー酒買って来いよ」

勇者「あぁ・・・?んで俺が買ってこねーといけねーんだよ」

姫様「とりあえず父上、謝れよ」

王様「おめー、緊張が解けた瞬間強気になりやがって・・・」

魔王「な、なにがどーなって・・・」

王様「おい、娘さん」

町娘「えうっ・・・?」グスン

王様「なんか、すいませんでした」

魔王「頭下げたーっ!?な、なにしてんですか!?」

王様「あ?だって俺が泣かせちゃったし・・・」


王様「意地悪、しすぎちゃったな」

町娘「・・・?いじわりゅ・・・?」グスッ

王様「俺ぁ天邪鬼だからよ、コイツらがなんかしてこねーか、そこに兵集めてよぉ」

王様「んで、さっさとボロ出すように、おちょくってたんだが・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

王様「ところがどっこい、そうじゃなかった」

王様「村が出来たって?魔人が?そりゃ、すげーことだよ」

王様「まだ半信半疑だし、いろいろまだわけわかんねーけどな・・・」

王様「・・・とりあえず、さっきのは早とちりだ」

町娘「・・・・・・・・・」

王様「・・・誰もが許す、必殺のキング・謝罪・・・」

王様「・・・ごめんなちゃい☆」

町娘「・・・・・・・・・」ブチィ


勇者「あっ・・・」

姫様「あちゃー」

魔王「・・・!」

町娘「・・・・・・・・・」スクッ

王様「・・・あれ?足りねーかな?んーと後は・・・」

町娘「・・・テメーが・・・」ゴゴゴゴゴ

王様「ん?」

町娘「・・・テメーが酒買って来いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」バチーン!

王様「ぐっへぇっ!?良いキック持ってんじゃねーか・・・!」ゴロゴロズシャーン!

勇者「・・・うおーう、蹴ったよ。一国の王を・・・」

姫様「・・・いや、ありゃ父上が悪いよ、うん。私でも蹴ってるわ」

町娘「死にてぇのかぁぁぁぁ!!!」

王様「ひぃ!死にたくは無い!安心して老後を過ごしたい!!」


姫様「父上、ほら、財布。あとで返してね」ヒョイッ

王様「かたじけねぇ・・・!」パシッ

魔王「ほ、ほんとにいくんですか・・・!?」

王様「男にゃよぉ・・・、償わなけりゃならねぇ時があんだよ・・・!」

魔王「・・・。いや、かっこよくない。ちょっと考えたけどかっこよくない」

王様「全員チューハイでいいかっ!?」

町娘「ビールだッ!!」

姫様「ワインー」

勇者「芋焼酎」

王様「おめーら下戸の癖にシャレたもん飲もうとしてんじゃねーよ!」

町娘「・・・うるせぇ!!早く行って来い!!」

王様「ガッテン!」ダッダッダ・・・

魔王「・・・あ、嵐のような人だ・・・」

勇者「あんなんでも王様にゃなれんだよ」


女兵士「―――あれ?王様?こ、こんな時間にどこ行くんですか・・・!」

王様「罪滅ぼし!」

兵士「財布だけ持ってちょっとコンビニみたいに、ってえぇ!?コンビニ行くんすか!?」

王様「悪ぃかよ!」

兵士「悪ぃだろ!!あんた一国の王様ですよ!?」

女兵士「・・・つーか召集かかってましたけど・・・」

王様「そーだよ、集まっとけ。もう門閉めていいから・・・」

王様「あっ。俺が帰って来れねーから、鍵開けといてね」

兵士「んな無茶な・・・。っていうか、なんの召集なんすか?会議っすか?」

王様「あぁ?んなもん、決まってんだろ・・・」

王様「・・・酒盛りだよ」ニヤリッ

―――王の間

王様「・・・はっはっはっは!もっと飲めよ、おい!」

魔王「・・・は、はぁ」

勇者「うるせーだろ、絡み酒。すぐこーだからよ、めんどくせーんだ」

兵士「・・・いや、あんた人のこと言えないだろ・・・」

女兵士「・・・んー、姫様ほんっと可愛い・・・!部屋に連れ帰っていいですかぁ・・・?」

姫様「ちょ、ばっか、こぼれる・・・、な、で、ん、な、バカ!胸でけーんだよバーカ!!」

女兵士「照れちゃってもう・・・!やっぱつれてかえろー、いいですかぁ?」

王様「いいよ」

姫様「ちょ、許可んな!待て!連れていかれる・・・!」

町娘「・・・・・・・・・」ゴクゴク

町娘「・・・ぷはぁ~・・・」


王様「・・・お、そうそう。完全に出来上がる前に言っとくけどよ」

魔王「は、はい」

王様「・・・なんだっけ?『村を国として認めろ』だっけ?」

魔王「はい、一応・・・、それが、理想ですけど・・・」

王様「んーなぁ、やっぱさすがに、国は無理かなぁ」

姫様「・・・っ!父上っ!今更そんな・・・!」

王様「あーあー、話は最後まで聞けよ。『国』はな、『国』は」

魔王「・・・って、いうと・・・」

王様「・・・ああ、村として引き込んじまおうぜ。俺の国だ、構わねぇよ」

姫様「・・・ぃよしっ!!」

勇者「・・・おー」

魔王「・・・僕の村を・・・、この国に・・・?」

町娘「・・・!」


王様「・・・ただし、条件付だ」ピッ!

魔王「・・・!」

王様「・・・残念だけどよ、俺はまだ、魔人ってやつを、完全に信用しちゃいねぇ」

王様「年寄りの戯言程度に聞き流してくれていーけどよ」

王様「・・・俺も、魔人に殺された人間を、見てきたからな」

魔王「・・・っ」

王様「・・・そんな顔すんなよ。おめーを責めてるわけじゃねぇ。ただよ・・・」

姫様「・・・・・・・・・」

王様「・・・やっぱ、溝はそう簡単に埋まんねぇよ。そうだろ?」

魔王「・・・はい」

王様「んだからよ。お宅らにはちょっと窮屈かもしれねーが、条件をつけてさせてもらう」

王様「・・・いいか?」

魔王「・・・はい、もちろん」


王様「・・・そうだなぁ、まず、おいそれと住人通しを交流させるわけにも行かねぇな」

魔王「・・・僕も、そう思います」

王様「人間が狩られたら世話ねーし、魔人狩りやがったら元も子もねーし・・・」

王様「だから、異例だが、不可侵を作る。許可無く入ったらなんちゃらかんちゃら、だな」

魔王「・・・・・・・・・」

王様「・・・それから、『村』のことはバカ正直に公開しなくてもいいと思うんだが、どーだ?」

魔王「・・・は?」

王様「お前らにコソコソさせんのは忍びねぇが、やっぱ余計な混乱を招くだけだと思うんだな」

魔王「そんなことして、大丈夫なんですか?他の国とか・・・」

王様「・・・まぁ、大丈夫だろ。まさか許可無く突っつきにくるとは思えねーし」

王様「来るとしたら、まずは会議からだ。『そういえば』で誤魔化せるだろ、俺なら」

勇者「・・・こいつはなかなかの狸だからな、期待していーぜ」

王様「てめぇ、来るたび来るたび口が悪くなりやがってこの・・・」


魔王「・・・本当に、ありがとうございます」

王様「・・・大変なのは、これからだ」

王様「出来る限り守るつもりだが、それでもどっかに穴は出来る」

王様「耐えられっか?」

魔王「・・・今までより、何倍もマシです」

魔王「ここまでしてもらって、出来る出来ないじゃないと思うんです」

魔王「・・・やります。それだけです」

王様「・・・へっ。結構結構」

姫様「おい父上!辛気くせー話は終わったかよ!」

王様「なにが辛気くせーだバーカ!好きなだけテキトーやって、全部丸投げじゃねーか!」

姫様「いーんだよ、姫だから!わがままなくらいが丁度いーんだ!」

王様「調子いーよな、ったく・・・。あ、そうだ。もう一個あった」


魔人「・・・なんですか?」

王様「おめーじゃなくて・・・。おーい!なに隅っこで飲んでんだ娘さんよ!」

町娘「・・・あ?」

王様「顔怖っ!ちょ、ちょっちこっち来いよ、大切な話」

町娘「・・・んだよ、放って置いてくれよ畜生・・・」ズリズリ

王様「まーまー、そういわずに」

町娘「・・・んで、なんだよ、なんか用かよ」

王様「お前、追放」

魔人「・・・え?」

町娘「・・・は?」

王様「追放だよ追放。蹴っちゃったからなー、王様のこと。アウトー」グッ

町娘「・・・あ?ど、どーいうことだよ、追放・・・?」

魔人にしてしまった・・・間違えた・・・


魔王「え、ちょ、ちょっ、え?追放!?なんで!?」

王様「何でってお前、王様蹴ったらまずいだろー」

姫様「はい!はいっ!私も蹴られましたっ!」

王様「あちゃー、駄目だなー」

勇者「はい、俺も蹴られました」

王様「あちゃー、ますます駄目だなー」

町娘「・・・追放って、ど、どこだよ、それ・・・」

王様「怖ーいとこだよ、怖いとこ」

魔王「そ、そんなのって・・・」

王様「怖ーい怖い、魔人の村」

町娘「・・・えぅ?」

魔王「・・・は」

―――帰り道

魔王「・・・歩ける?」

町娘「・・・うん」

魔王「追放、ったって、ねぇ?」

町娘「・・・うん」

魔王「い、いいんだよ。ちゃんと言えば、こんな横暴なんて・・・」

町娘「・・・ううん」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・まだ」

町娘「・・・まだ、返事、きーてない・・・」


魔王「・・・な、なんのことでせうか・・・」

町娘「・・・ふん」プイッ

魔王「・・・あ・・・」

町娘「・・・ほら、さっさと案内しろー。新しい住人だぞ、あたしは」

魔王「・・・うん」

町娘「・・・どこに住むかなぁ。いい家がありゃいーんだけど・・・」

魔王「・・・っ」

町娘「・・・勇者と、姫も遊びに来るから、広いところが、いーなぁ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・なぁ、魔王」クルリ

町娘「どっかいい家、知らねーか?」

魔王「・・・ぼ」

魔王「・・・僕の家が、ありますけど・・・」


町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・そ、それなりに、広いところだし・・・」

魔王「こ、これから僕、村長だから、君が望めば・・・」

魔王「・・・も、もっと、広い家に引っ越しても、良いし・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・あっ、お酒もたくさんあるし・・・!」

魔王「勇者や、姫様が来ても、十分、飲めるくらい、たくさん・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「そ、そりゃ、周りは森ばっかりだから、不自由かも知れないけど・・・」

魔王「・・・き、君が望むんなら、貿易を盛んにして、それで・・・」

町娘「・・・いい」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・お前がいれば、いーよ。それで」ギュッ・・・!


魔王「・・・む、娘さん・・・?」ダラダラ

町娘「・・・ほんっと、ヘタレ。男らしくしろよ、ハーゲ」

魔王「よ、酔ってらっしゃるんですか・・・」

町娘「あー、酔ってるよ、酔ってっから、こんなこと、できんだよー・・・」ギュウ

魔王「・・・う、お・・・」

町娘「・・・ったく、ヘタレ。ヘタレ、ヘタレー」

町娘「・・・ヘタレハーゲ。根性なしー」ギュッ

魔王「・・・じゃ、じゃあ、男らしく、しても、いーんですか・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」ゴクリ

町娘「・・・んなもん」

町娘「・・・聞くなよ、はーげ・・・」


魔王「で、では・・・」

町娘「・・・おう」

魔王「・・・・・・・・・」ドキドキドキ

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・!」ドキドキドキ

町娘「・・・ん」

魔王「―――りゃ!」ギュウゥゥゥゥ!

町娘「・・・えっ!?ちょ、強っ・・・!」

魔王「ぼ、僕今、魔王だから・・・、ぜ、全力で、抱きつく・・・!」ギュゥゥゥゥ!

町娘「はぁ!?んなもん、おい、やめ、恥ずい・・・!」

魔王「え?だって、男らしく・・・」

町娘「・・・は、はは、違ぇよ・・・、ぷっ、ははは」


町娘「・・・あーっはっはっはっは!!」

魔王「え、ちょ・・・」

町娘「・・・だ、抱きつくくらいで、お前・・・!」

魔王「・・・ま」

魔王「間違えた・・・」

町娘「・・・おい、魔王」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・こっち向け」

魔王「え―――」


チュッ・・・


魔王「―――!?」

町娘「・・・っは。へへっ」

町娘「・・・次は、間違えんなよ?」

fin

おまえら加速しすぎだよバーカ!!
読んでくれてありがとう!保守してくれてありがとう!!
こんな感じだ!!ざまーみやがれはっはー!!
じゃあなアディオス!!またどっかで!!

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