ドォォッォォオォオォオオン
勇者「戦いは終わった・・・」
勇者「これで・・・これでやっと取り貯めておいたドラマが見られる・・・」
勇者「ついでに勇者もやーめた!」
魔王「まっ待ってくれえええ!」
魔王「お前が勇者をやめたら俺はどうなるんだよ!」
魔王「一人じゃ寂しいじゃないか!」
勇者「一人だって?」
魔王「そうだ・・・周りの部下は次々に死んで行くのに・・・」
勇者「お前はなかなか死ねないってか」
魔王「だから勇者、お前は勇者をやめるな!」
勇者「結構ダルい仕事なんだぜ?」
魔王「ウッ・・・そうなのか?」
勇者「ああ」
魔王「そうか・・・」
勇者「良かったらお前、勇者になるか?」
魔王「俺が勇者なんて・・・な、なれない」
勇者「この最強武器と大量のアイテムがあれば誰でもなれるって」
魔王「最強武器にアイテム!?こっちは素手で戦ってたって言うのに!」
勇者「まあいわゆるイジメというやつだな」
勇者「それが勇者の仕事だ」
魔王「あの・・・」
勇者「じゃあな」
魔王「俺が勇者になったところで一体どこを目指せばいいんだ?」
勇者「どういう意味だ?」
魔王「だから、奪われた何かを取り戻すために旅をしたりとか・・・」
勇者「それはお前が決めることだよ」
勇者「俺は行く先々で出会った目障りな奴を容赦なく斬殺したり」
勇者「自分を英雄と呼ばせるために偽善行為を繰り返してきた・・・」
魔王「じゃあ俺もそうしようかな」
勇者「ぜひそうするといい」
魔王「よし、行くぞ!」
勇者「魔王城の乗っ取り成功!」
勇者「俺ずっと野宿生活だったけどようやく家が手に入ったぞ」
勇者「この城を勇者城と名付けよう」
男「ハッ・・・朝か・・・」
男「今日も勇者を尾行しないとな・・・」
男「ありがとう、妹よ!おかげで今夜も魔物に襲われなかったぜ!」
男「そう・・・このお守りは妹のカタミだ・・・」
男「1ヶ月前・・・勇者が寝ているスキに・・・」
男「彼のおしりにGPSを埋め込んだんだ・・・」
男「俺はずっとその信号を追いかけてきた・・・」
男「途中、激戦によって橋が崩落している場所があったから・・・」
男「俺はわざわざ谷底をたどって来たのだ・・・あれはくたびれた」
魔王「勇者って勇ましい者って書くんだよな…」
魔王「だったらもう少し勇ましく胸を張って歩かないとな」
魔王「イッチニサーンシ!」グニュ
魔王「へ」
魔王「何か踏んだ!」
● プーン
魔王「何だタダのウンコか」
魔王「こんな物はなめとってしまえばいい」
少女「勇者さん」
魔王「えっ呼んだ?」
少女「良かった…無事に帰って来られたんですね…」
魔王「いや俺は勇者じゃないよ」
少女(あっ…コスプレかな…)
魔王「何か用か?」
少女「あっ…別に大した事では…これから忘年会なんですよね…」
魔王「まぁ君は可愛いから特別に頼みを聞いてやろう」
少女「はい、じゃあ頼みなんですけど」
少女「勇者さんはご存じないかと思いますが、この北には村があります」
魔王(そう・・・あれは確か・・・)
少女「5年前、村中の井戸が岩で塞がれて村は荒廃しました」
魔王「あれは少しやりすぎたと思ってるよ」
少女「えっ何のことですか」
魔王「いやいや独り言だ」
少女「で、その村を救って頂くことは・・・」
魔王「もちろん出来るとも」
魔王「俺は魔王・・・いや、勇者だからな」
魔王「とは言ったものの・・・」
魔王「村民が逃げ出せないように村に通じる道を全部断ち切ってしまったから・・・」
魔王「また道を造らないといけないんだ・・・」
魔王「これが自業自得というものなのか・・・」
勇者魔王はナタを片手に雑草のジャングルを突き進んだ
途中、数えたくなるほど多くの獣のフンをフン付けつつも
なかなかどうしてその村にたどり着くことができた
魔王「おい、誰かいないのか?」
魔王「誰もいない・・・!?」
魔王「ん?あの立て札は・・・」
【 ハ ズ レ 】
魔王「チィィィッ苦笑ォォォオォォッ!!!」
魔王「騙されたあああぁぁああぁ!」
魔王「もう帰る!あっ」
魔王「みっ道が消えてるぅぅうぅぅう!」
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