P「北斗、時間あるか?」北斗「ありますよ」 (61)

【ある日、事務所】

P「あー、やっと終わったー」

北斗「お疲れ様。お茶飲みます?」

P「あ、悪いな」

北斗「いえいえ」

伊織「……って、何で961の男爵が事務所に居るのよ!帰りなさいよ!」

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北斗「え?男爵って俺の事かい?いやぁ、嬉しいね」

P「伊織。いくらほくほくだからって男爵呼ばわりはないだろう。謝りなさい」

北斗「あ、そういう意味だったんですか?ショックですね……」

P「見ろ。コイツのどこが芋臭いって言うんだ」

北斗「チャオ☆」

伊織「いいから早く出ていきなさいよ!アンタ達がした事、忘れたとは言わせないわよ!」

北斗「俺達がした事……?プロデューサーさん、何かしましたっけ?」

P「さぁ?」

伊織「アンタ曲がりなりにもウチのプロデューサーでしょうが!」

伊織「こいつらはいつも言いがかりを……!」

P「言いがかりなぁ……俺が憶えてる限りだと――」

――――――――――――――――――――
【回想】

冬馬「お前たちみたいな仲良しごっこしてる奴ら、目障りなんだよ!」

北斗「チャオ☆」


冬馬「そんな低レベルで、よくこの番組に出られたもんだな」

北斗「チャオ☆」


冬馬「裏で汚い事してる癖に、しらを切るとはいい度胸じゃねぇか」

北斗「チャオ☆」


冬馬「一人じゃ何もできない雑魚が調子乗ってんじゃねぇよ!」

北斗「チャオ☆」

――――――――――――――――――――

P「……北斗って、『チャオ☆』しか言ってなくね?」

北斗「あ、本当ですね」

伊織「ぐっ……!た、確かに『チャオ☆』しか言ってないとかもしれないけど!」

P「しれないけど?」

伊織「よりにもよって961プロと関わらなくてもいいじゃない!」

P「それは違うぞ、伊織」

伊織「何がよ!」

P「北斗は961プロに所属する人間である前に、ただの一個人である伊集院北斗なんだ」

P「その北斗を敵視する事なんて、俺にはできない」

北斗「プロデューサーさん……」

P「今、俺っていい事言ったよな?」

北斗「その一言で台無しですけどね」

P「違いない!」

P・北斗「はっはっは!」

伊織「意気投合してんじゃないわよ!」

伊織「大体、ジュピターってそんなに暇なの?事務所に遊びに来るなんて余裕ね」

北斗「いや、それほどスケジュールに余裕がある訳じゃないよ」

伊織「じゃあ何でここに居るのよ!」

北斗「暇ができるようにスケジュール調整したからに決まってるじゃないか。嫌だなぁ」

伊織「嫌なのはこっちよ!」

P「そうカリカリするなよ伊織。俺と北斗が友達、ただそれだけなんだからさ」

伊織「ただそれだけにしてはショック大きすぎるのよ!」

北斗「そこまで言われると俺もショックですね……」

P「俺もショックだ……」

伊織「ショックショックうるさい!」

P「何でこんなにご機嫌斜めなんだ……もしかしてアレか?」

北斗「プロデューサーさん。それはいくらなんでも女の子の前で言う事じゃないですよ」

伊織「言外に何を言おうとしてるか分かるから止めなさい」

北斗「おっと、ごめんよ」

P「北斗。伊織はどうやらブルーらしいから外に行こうか」

伊織「アンタは友達の気遣いを何だと思ってるのよ!」

北斗「そうですね」

伊織「聞きなさいよ!」

P「伊織、いくら『効きなさい』と願っても、鎮痛剤の効能は変わらないぞ?」

伊織「やかましい!」

北斗「デリカシーないですねぇ……」


北斗と伊織とプロデューサー編――END

【また別の日、ファミレス】

貴音「ふむ……これは真に美味ですね……」

響「ねぇ貴音。もうサイドメニュー制覇しかけなんだけど……」

貴音「そうですね。では、次はでざぁとに――」

カランコロン

店員「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

???「二人で」

店員「お煙草は吸われますか?」

???「吸うんですか?」

???「俺は吸わないぞ」

???「じゃあ禁煙席で」

店員「では、あちらのお好きな席へどうぞ」

響「あれ?何か聞いた事ある声がする……」

P「お、響と貴音じゃないか。奇遇だな」

響「プロデューサーか!それと……」

北斗「響ちゃん、チャオ☆」

響「何で961の男爵が!?」

P「響、それはもう伊織がやったぞ」

貴音「そうですよ響。謝りなさい」

響「え?ご、ごめんなさ――って、何で自分が謝らなきゃいけないの!?」

貴音「ふふ、冗談ですよ」

北斗「貴音ちゃんはいつもどおりだね」

貴音「そういう貴方こそ」

P「うむ。仲良き事は美しきかな、だな」

貴音「ええ、真に……」

貴音・北斗・P「ふふふ……」

響「え?何これ?これって自分がおかしいの?」

貴音「折角ですから、ここに座ってはいかがですか?」

P「そうだな。北斗もいいか?」

北斗「断る理由はないですね」

P「それじゃあ――」

響「ちょっと待った!自分はいいなんて一言も――」

貴音「では多数決をしましょう」

響「貴音はどっちの味方なの!?」

貴音「無論、楽しい方の味方ですよ」

響「そんな笑顔で言われても……大体、961プロは自分達に酷い事を――」

P「響、それも伊織がやったぞ」

北斗「やりましたね」

貴音「響、謝りなさい」

響「ご、ごめんなさ――って、だから何で自分が謝らなきゃならないの!?」

北斗「765プロはいつもこんなに賑やかなんですか?」

P「そうだな。いつもこんな感じだ」

貴音「ええ、いつもこんな感じですね」

響「話を聞け―!」

北斗「はい、どうぞ」

コトッ

P「水か、すまないな」

貴音「ありがとうございます」

北斗「はい、響ちゃんも」

響「うっ……何で無駄に気が利くんだ……」

貴音「響、お礼を」

響「わ、分かってるってば!」

響「あ、あの……ありが――」

北斗「プロデューサーさん、メニューどうぞ」

P「ありがとう」

響「だから話を聞け―!」

北斗「あ、そうだ。響ちゃん、さっき何か言おうとしてなかった?」

響「うぐっ……それは忘れててよかったぞ……」

貴音「はぁ……たいみんぐを逃すから、お礼が言いづらくなるのですよ?」

響「分かってるってば!あ、あの……さっきは――」

北斗「水の事?どういたしまして」

響「先回りするな―!」

P「響、あまり騒ぐといくら変装しててもばれるぞ」

響「うぅ……ごめんなさい……」

貴音「ちゃんと謝れましたね。偉いですよ」

響「頭を撫でるなー!」

P「響、声大きいぞ」

響「ご、ごめんなさい……」

貴音「謝れましたね、偉い偉い」

響「だから撫でるなー!」

北斗「愉快ですね」

P「だろう?」

P「料理が来たか」

北斗「プロデューサーさん。そのハンバーグを半分、俺のエビフライと交換しませんか?」

P「いいぞ。あ、タルタルソースよろしく」

北斗「勿論ですよ」

響「何これ……ホント何これ……」

貴音「おや?響もああいった事がしたいのですか?」

響「いや、別にそういう訳じゃ――」

貴音「では、わたくしのぱふぇを一口あげましょう。はい、あ―ん」

響「あ、あーん……」

貴音「あぁっ!わたくしのぱふぇが……!」

響「あーん……」

貴音「し、しかし……一度あげると誓ったのです。ここは断腸の思いで――!」

響「あー……」

貴音「堪えるのです、四条貴音!」

響「あーもう!食べづらい!」

北斗「貴音ちゃん。ここは俺が持つから、好きなだけ食べてもいいよ」

P「待て北斗っ!それは自殺行為――!」

貴音「真ですかっ!?それでは、まずでざぁとを一通り――」

店員「畏まりました」

P「終わった……」

北斗「……あの、聞き間違えじゃなかったら、さっき『まず』って言いませんでした?」

P「言ったよ……お前の鼓膜は正常だよ……」

北斗「……足りますかね?」

P「足りないだろうな……仕方ない、俺も出すか……」

北斗「ありがとうございます……」

貴音「美しい友情ですね」

モグモグ

響「貴音はちゃんと謝ろうな?」

店員「ありがとうございましたー」

P「わーお……財布が驚きの薄さを実現してるよ……」

北斗「すみません、俺の所為で……」

P「いや、どっちかって言うと……」

貴音「何か?」

響「何かじゃないでしょ!?さあ貴音、ちゃんとお礼を!」

貴音「そうでした」

貴音「本日はありがとうございました。またよろしくお願いしますね」

響「一言多いよ!」

貴音「そうそう、払って頂いた分には響が食べた物もありましたね。ささ、響も」

響「うっ……そうだった……あの、ありがと」

北斗「どういたしまして。また今度、一緒に食事できたらいいね」

響「……何かいい奴すぎてムカつくぞ」

P「北斗はいい奴だぞ、ほくほくだしな」

貴音「ええ。ほくほくですからね」

北斗「無論、ほくほくですから」

響「ほくほくって何なの!?」


北斗とファミレス編――END

【更に別の日、カラオケボックス】

P「いやー、こう忙しいと半休ってだけで嬉しいな」

北斗「ですねー。カラオケにはよく来るんですか?」

P「アイドル達とならたまに。一人で来る事はあんまりないな」

北斗「俺も一人では来ないですね。それにしても、あの子達と一緒とは羨ましい」

P「そうでもないぞ?」

北斗「あれ?どうしてです?」

P「だって、皆が皆、自分の曲を歌って欲しがるから……」

北斗「あぁ……分かりますよ。それ」

P「え?分かるのか?」

北斗「俺もエンジェルちゃん達と遊びにカラオケに来ると、こう言われるんですよ」

北斗「『キャー!北斗君、ギルティしてぇー!』って」

北斗「結局、俺は『ギルティ』としか言わせて貰えない状態に……」

P「それは何と言うか……ご愁傷さまだな……」

北斗「ええ……ですから、今日は何気に楽しみだったりするんですよ」

P「成程ね。なら、思う存分楽しむとするか」

北斗「勿論です」

店員「プランはどうなさいますか?」

P「フリータイムで」

店員「はい、フリータイムで。機種はどれになさいますか?」

P「どれがいい?」

北斗「じゃあこれで」

店員「畏まりました。それでは、こちらの番号の部屋に――」

カランカラン

春香「あれ?プロデューサーさん?」

千早「それと……伊集院さん?」

P「お、凄い偶然だな」

北斗「チャオ☆よかったら一緒にどう?」

春香「私はいいですけど、千早ちゃんは?」

千早「たまにはいいかもしれないわね」

春香「という訳で、後からそっち行きますね」

P「了解」

春香「来ましたよー!」

P「君を見失う……♪」

北斗「ギルティ……♪」

千早「もう始めてるみたいね」

春香「そうだね、楽しそう」

P・北斗「こ・え・のー♪届かない迷路をこーえーてー♪」

春香「というか、何故にデュエット……?」

千早「何をしているの春香?早速歌うわよ」

春香「千早ちゃん、ぶれないね……」

P「いやぁ、二人で歌うと新鮮だな!」

北斗「ええ。これしか歌わせて貰えないカラオケよりも100倍楽しいですよ」

春香「北斗さん、どんだけ悲しいカラオケしてるんですか……」

千早「春香、少し黙って。集中したいから」

春香「あ、はい……」

北斗「春香ちゃん、どれだけ悲しいカラオケを――」

春香「言わないでください!」

P「春香も苦労してるなぁ……」

千早「ねぇぇぇむりぃぃぃ姫ぇぇぇ♪」

春香「あ、なんか眠くなってきた」

P「早くね!?」

春香「あ、すみません……千早ちゃん、ある程度するとこれしか歌わなくなるんですよ」

春香「だから『眠り姫』を聞くと、何だか眠く……ふあぁ」

北斗「春香ちゃん……それ怒っていいよ……」

P「目覚める筈なのに眠くなるとは……」

春香「でも、千早ちゃん楽しそうですし……北斗さんも、女の子には怒れないでしょう?」

北斗「いや、そうだけどね?けど、俺の場合は女の子が笑顔になってくれるし――」

千早「あの空、見あーげてー♪……見て見て春香!98点だって!やったぁ!」

春香「……笑顔でしょう?」

北斗「笑顔だね……一点の曇りもなく……」

P「成程、これは怒れないか……」

千早「春香は何を歌うの?」

春香「じゃあ『START!!』で」

北斗「『START!!』ですか。春香ちゃんらしい曲ですよね」

P「ああ。実に春香らしい曲だぞ」

春香「ルルル、歌おうよ♪好きな歌でも♪」

春香「だけど♪ムズイOH MY GOD!!♪」

P「な?」

北斗「それは流石に失礼ですよ」

P「すまん……」

千早「伊集院さんって、思ったよりも気配り上手ですね」

P「まあ、コイツは961の男爵だからな」

千早「はい?」

北斗「自爆はフォローできませんよ?」

P「ごめんなさい……」

春香「あー……92点かぁ。次はプロデューサーさんですよ」

P「ああ。マイク貸してくれ」

春香「はい――」

千早「どうぞ」

P「う、うん……ありが――って、近い近い!マイクを口元に近付けるな!」

千早「プロデューサーは何を歌うんですか?私が入れましょうか?」

P「分かった!分かったからマイクを近付けるのは止めろ!」

千早「やった♪それじゃあ、何にしようかな……」

P「……なぁ春香、千早っていつもこんな感じなのか?」

春香「今日はテンション高めですね。いつもと違うからじゃないでしょうか?」

北斗「慕われてますね。大変そうですが」

P「嬉しいけどな。ただ、話を聞く限り北斗も大変そうだが」

北斗「俺ですか?俺はそんなに……」

P「本当に?」

北斗「多分――」

――――――――――――――――――――
【回想】

女の子A「キャー!伊集院さん、ギルティ歌ってぇー!」

北斗「オッケー!」


女の子B「キャー!北斗君、ギルティお願いー!」

北斗「任せといて!」


女の子C「キャー!ほくほくのギルティ最高ー!」

北斗「うん……勿論だよ」


女の子D「キャー!ほっくんのギルティマジ見失いやすい!」

北斗「そ、そうだね……」

――――――――――――――――――――

北斗「すいません、嘘でした」

P「最後の子、自分を見失ってないか?」

千早「そういえば、ギルティで思い出したんですけど」

P「どうした?」

千早「いえその、『恋をはじめよう』って歌われないんですか?」

春香「あ、それ私も気になります」

P「言われてみればそうだな。どうしてなんだ?」

北斗「うぅ……ぐすっ……」

P「ほ、北斗!?どうしたんだ!?」

北斗「いえ、すみません……ちょっと嬉しくて……」

千早「嬉しい、ですか?」

北斗「うん……『恋をはじめよう』って言われたの、久し振りだからね……」

春香「え?どういう事ですか?」

北斗「ファンの女の子の中では、あれはこう呼ばれてるんだよ――」

北斗「『ドヤ顔ダブルピースの曲』ってね……」

P「ど、ドヤ顔……」

千早「ダブルピースの曲……ですか……」

春香「そ、それは……ちょっと悲し――」

P「く、くく……ははははは!ドヤ顔ダブルピースって何だそれ!」

春香「プロデューサーさん!?」

千早「プロデューサー、笑っては失礼ですよ」

千早「なので私は歌っていますね」

春香「千早ちゃん、実は笑ってるの誤魔化そうとしてるでしょ?」

千早「……そんな事ないわよ?」

春香「今の間は!?」

P「それにしても、ドヤ顔ダブルピースって……!ふふふ……駄目だ、笑いが止まらん……!」

北斗「俺だって傷付いてるんですからね。そろそろ笑うの止めてくださいよ」

P「す、すまん……!もうちょっと待って……くくっ」

北斗「プロデューサーさん」

ポンポン

P「な、何だ北斗?まだ笑ってるから後に――」

北斗「はい、ドヤ顔ダブルピース。イェ―イ♪」

P「――――」

P「あはははははっ!や、やめっ!あはは――ごほ、げほっ!」

北斗「むせちゃいましたか。はい、水です」

P「あ、ありがとう……」

千早「あおいぃいぃいぃとりぃいぃいぃいぃ!」

春香「千早ちゃん笑ってるよね!?その変なビブラートは笑ってるからだよね!?」

千早「ふぅ……96点か。まあまあね」

春香「ビブラートの時間が凄い事になってるのは突っ込んだら負けなのかな……」

P「というか、ほぼ最初から最後まで震えてたよな」

北斗「俺はいい歌だったと思いますよ。掛け値なしに」

千早「ありがとうございます」

P「本当にお前はいい奴だなぁ……」

北斗「正直、もう気にしてないようなものですからね」

春香「千早ちゃん、飲み物どうぞ」

千早「ありがとう」

P「吹っ切れたって事か」

北斗「ええ。なのでこんな事もできますよ」

北斗「はい、恋をはじめようのポーズ。シェー☆」

千早「ぶはぁっ!」

ビチャッ……

春香「…………」

千早「ああっ春香!?ごめんなさい!」

春香「いいよ……何となく、こうなる気がしてたから……」


北斗とカラオケ編――END

【またもや別の日、事務所】

伊織「全く……最近のアイツときたら……」

小鳥「伊織ちゃん、どうしたの?」

伊織「どうしたもこうしたもないわよ。プロデューサーが伊集院北斗と交友関係にあるのは知ってるわよね?」

小鳥「ええ、何度か事務所に遊びに来てるから知ってるけど……それが?」

伊織「『それが?』じゃないわよ!」

伊織「どう考えたって怪しいでしょうが!961プロの人間なんて信用できる訳――」

P「ただいま戻りましたー」

北斗「お邪魔します。あ、伊織ちゃん。チャオ☆」

伊織「言ってるそばから何で連れてきてんのよあんたは!」

P「おおう……何故か伊織が怒ってる……」

小鳥「難しい年頃なんですよ」

北斗「成程、反抗期ですか」

伊織「納得するなー!」

伊織「大体、私はまだアンタの事を信用した訳じゃないんだから!」

北斗「そうだ。これ差し入れです。お口に合えばいいのですけど」

伊織「あ、これはどうもご丁寧に――って、何やってくれてるのよ!」

P「伊織、仮にも北斗はお客様だぞ」

P「それに差し入れまで持ってきてくれたじゃないか。何をそんなに怒ってるんだ?」

伊織「この無駄に躾の行き届いた感じがイラつくのよ!」

伊織「何よ!『つまらないものですが』とか言いなさいよ!何でこんなに礼儀正しいのよ!」

小鳥「無茶苦茶ですね」

北斗「まあ、徐々に慣れていって貰うしかないですから」

小鳥「それもそうですね」

P「うむ。継続は力なりと言うからな」

小鳥「ふふ……」

北斗「あはは」

P「あっはっは!」

伊織「流れるように笑うんじゃないわよ!」

小鳥「美味しいですね、ひよこ饅頭」

P「俺も好きなんですよ」

北斗「それはよかった」

伊織「小鳥、共食いじゃないの……」

小鳥「あら、それは違うわよ」

伊織「え?」

小鳥「響ちゃんも言っていたでしょう?豚さんを飼う事と、豚肉を食べる事は別だと」

伊織「引用が生々しい!」

P「というか、饅頭が生きてる訳ないじゃないか」

P「それとも、伊織はひよこ饅頭さんが生きていると思っているのか?」

北斗「素敵じゃないですか」

小鳥「ええ、本当に」

小鳥・北斗・P「微笑ましいなぁ……」

伊織「どうしてここまで人を無視できるのかしらね!この人たちは!」

P「伊織は何に対して怒ってるんだろうな」

北斗「寂しいんじゃないですか?」

小鳥「ああ、そういう事ですか」

伊織「違うわよ!」

P「ほら伊織。こっちにおいで」

伊織「話を聞きなさいよ!」

小鳥「ひよこ饅頭さんもあるわよ?」

伊織「さんを付けるなー!」

北斗「反抗期ですねぇ……」

伊織「違うって言ってるでしょ!?」

伊織「会話が……まともな会話がしたい……」

P「まるで俺達が異常であるかのような言い草だな」

伊織「まるでじゃなくてそのまま異常よ!」

北斗「俺って嫌われてるんですかね」

小鳥「照れてるだけですよ」

北斗「ああ、納得です」

伊織「無駄にポジティブなの止めてくれない!?」

P「伊織」

伊織「な、何よ……」

P「北斗はな、ほくほくなんだ」

伊織「…………」

P「…………」

伊織「え!?それだけ!?」

小鳥「それだけで十分だと思うけど」

北斗「なかなか伝わらないものですね」

伊織「伝わる訳ないでしょ!?逆に何が伝わると思ったの!?ねぇ!?」

伊織「誰かこの状況を打開して……お願い……」

ガチャッ

伊織(誰か帰ってきた!?)

コツコツ

伊織(この際、誰でもいい……この状況に異を唱える誰か……)

伊織(雪歩?いや、律子もいいわね。最悪、美希でも何とかなる筈……)

貴音「ただいま戻りました」

伊織「確かに誰でもいいって言ったけど!言ったけどこれは酷いんじゃないの!?」

貴音「伊織が奇声を発していますが……大丈夫なのですか?」

P「ああ、反抗期だからな」

北斗「思春期でもありますからね」

小鳥「難しい年頃なんですよ」

貴音「ならば仕方ありませんね」

伊織「だから慈愛の目で見るなって言ってるでしょ!?」

貴音「北斗殿、その節はお世話になりました」

北斗「いやいや、構わないよ。それに、あの時はプロデューサーさんにも出して貰ったし」

小鳥「もしかして『奢る』とか言っちゃったんですか?」

P「ええまあ……貴音には限度というものを知って貰わないとな」

貴音「申し訳ありません……」

伊織「ああ……どんどん手に負えなくなっていく……」

ガチャッ

伊織(また誰か帰ってきた!?)

コツコツ

伊織(今度は誰?もう状況の打破とか贅沢は言わないから、せめてまともな人を……)

伊織(私の苦労が減るなら響とか春香でもいいから!お願い神様!)

千早「ただいま戻りました」

伊織「ねぇ神様!?私が何かした!?ねぇってば!」

千早「水瀬さんが錯乱状態なんですけど……」

P「きっと錯乱期なんだよ」

伊織「ある訳ないでしょそんなもの!」

小鳥「それにしても、さっきからずっとこの状態というのは……」

貴音「ええ……何か深刻な原因があるのではないでしょうか」

北斗「心配ですね」

伊織「そう思うならさっさと帰りなさいよ!」

伊織「大体、961プロが私達にしてきた事を忘れたの!?」

千早「私達にしてきた事……それって」

貴音「ちゃお☆」

伊織「止めなさい!」

P「でも、北斗が『チャオ☆』しかしてないのは事実だし……」

貴音「ええ、北斗殿を恨むのは筋違いですね。奢って頂きましたし」

伊織「アンタそれが本音でしょ!?」

北斗「そんなに警戒しなくても、何もしないよ」

千早「伊集院さんもこう言っているし、そろそろ許してあげてもいいんじゃないかしら」

伊織「千早……アンタが一番961プロから酷い事をされてきた筈だけど?」

千早「それは黒井社長がやっていた事……彼を憎んでもシェ―☆がないから」

伊織「え?ちょっと待って。さっきなんて言った?」

千早「シェ―☆がない――」

伊織「シェ―がないって何!?」

P「北斗」

北斗「シェ―☆」

伊織「アンタが元凶か!」

小鳥「仲良しですね」

伊織「アンタは目ん玉腐ってるんじゃないの!?」

P「それにしても、さっきからイライラしっぱなしだな。伊織は」

伊織「誰の所為だと思ってんのよ?」

P「誰だ?」

小鳥「さぁ?」

貴音「はて?」

北斗「誰でしょう?」

千早「分かりませんね……」

伊織「何なのよこの連帯感は!」

千早「あ、もしかして……」

北斗「何か心当たりが?」

千早「はい。水瀬さんは、蒼い鳥の日かもしれません」

伊織「アンタ自分の曲に思い入れとかないの!?」

千早「勿論あるわ。その上で言っているのよ」

伊織「なお悪いわよ!」

貴音「そうですか……伊織は月に魅入られていましたか」

伊織「カッコよく言わなくていいから!どうせ意味は同じなんでしょ!?」

P「小鳥さん、鎮痛剤ありましたよね?」

伊織「変な気を利かすんじゃないわよ!ていうか利いてないわよ!」

小鳥「はい、伊織ちゃん。どれにする?」

伊織「……胃薬で」

伊織「はぁ……百歩譲って、961プロがしてきた事は水に流すわ」

伊織「けど、コイツがスパイじゃないって保証はないわよね?」

貴音「すぱい……とは、何の事ですか?」

伊織「言いかえるとしたら間者かしら」

伊織「こっちの情報を盗みかねない……獅子身中の虫もいいところだわ」

貴音「それはなりません!北斗殿――いえ、伊集院北斗……!」

貴音「貴方がわたくし達に害をなすと言うのなら、わたくしは――」

北斗「はい、貴音ちゃんの分のひよこ饅頭」

貴音「伊織。北斗殿はいい人ですよ」

伊織「瞬時に手のひら返してんじゃないわよ!」

伊織「何なの!?アンタの手のひらは忍者屋敷なの!?」

貴音「忍者屋敷?」

P「どういう事だ?」

北斗「さぁ?」

小鳥「私も分かりません」

千早「うーん……あ、分かりました」

P「何だ?」

千早「つまり、手のひらが返るところからどんでん返しを連想した高度なギャグで――」

伊織「謝るから!疑った事は謝るから解説は止めて!」

千早「水瀬さん」

伊織「何よ……」

千早「私は面白いと思うわ」

伊織「そのフォローが一番キツいわよ……」

伊織「何よ……コイツのどこが信用するに足るって言うのよ……」

P「うーん……あえて言うなら、ほくほくってところかな」

貴音「それと、食事を御馳走してくださるところですね」

小鳥「お茶菓子も持ってきてくるところもですね」

千早「シェー☆を教えてくれたところかしら」

伊織「どうやったらこんな参考にならない意見ばかり出てくるのかしら……」

P「あ、もう一つあった」

伊織「言ってみなさい」

P「何と言うか、憎めないだろ?」

北斗「チャオ☆」

P「な?」

伊織「……それで納得できる訳ないでしょおおぉぉぉ!」


北斗の再来編――END

以上で全編完結となります。お楽しみ頂ければ幸いです

北斗とPは遊ぶだけの作品にするつもりが、いつの間にやら変な方向に……
アイデアが足りなかった関係で出てこない人たちがいますが、そこはご容赦ください

以前に書いたシリアスでふと思ったんですが、Pには同年代の友達が欲しいところですね
周りは愚痴を言いづらい人たちばかりな気がします

すみません、最後誤字が酷いので修正をさせて頂きます

伊織「何よ……コイツのどこが信用するに足るって言うのよ……」

P「うーん……あえて言うなら、ほくほくってところかな」

貴音「それと、食事を御馳走してくださるところですね」

小鳥「お茶菓子を持ってきてくれるところもですね」

千早「シェー☆を教えてくれたところかしら」

伊織「どうやったらこんな参考にならない意見ばかり出てくるのよ……」

P「あ、もう一つあった」

伊織「言ってみなさい」

P「何と言うか、憎めないだろ?」

北斗「チャオ☆」

P「な?」

伊織「……それで納得できる訳ないでしょおおぉぉぉ!」


北斗の再来編――END

折角なので、暇潰しに作ったAAを(多分まともに表示されないでしょうけど)

          チャオ☆チャオ☆                    チャオ☆
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