妹「お兄ちゃんが妹になりますように」(10)

妹「お兄ちゃんが妹になりますように」

妹「お兄ちゃんが妹になりますように」パンパン

妹「どうか神様、よろしくお願いします」

妹「ふー、日課のお参りおわりっ」

妹「まあ、なるわきゃないんだけど」

妹「本当になったら良いのになー」

妹「ただいまー」

兄「おう、お帰り。……ん?」

妹「どうしたの、お兄ちゃん」

兄「お前、ちょっと背ぇ伸びた?」

妹「え? そんなはず無いけど。気のせいじゃない?」

兄「そうか? まあ良いや、俺先に学校行くからな」

妹「うん、行ってらっしゃーい」

妹(お兄ちゃんは中学生になって変わっちゃった)

妹(二年生になって、部活のレギュラーになったらなおさら)

妹(朝練とかで、私と一緒にごはん食べることもなくなっちゃった)

妹(私が毎朝、裏のお社にお参りに行ってても、どこ行ってたんだとも聞かないし)

妹(変わっちゃったよなあ)

妹(……私はまだ五年生だから、
お兄ちゃんと一緒に学校行くことも、もう出来ない……)

妹「はぁああぁぁ……」

父「妹、私が海苔トーストを食べるたびに
ため息をつくのはやめてくれないかな」

母「難しい年頃なんですよ、あなた」

兄友「お、兄おはよう」

兄「おう、おはよー」

兄友「調子どうよ」

兄「なんだその漠然とした質問」

兄友「いやいや、大事な事よ? 団体戦レギュラーの座を逃した兄友さんとしては」

兄「お前……いや、確かに剣道の腕はお前の方が上で……」

兄友「いや待て、兄。そういうつもりで言ったんじゃない」

兄「じゃあどういうつもりで」

兄友「純粋に雑談だよ。こういう、一言多い感じがチームの和を乱すってんで
レギュラー外されたの、自分で分かってっから」

兄「そうなのか? 別に一言多い感じはしないけど」

兄友「善人だなー」

兄「? 何がだ?」

カシーン カツーン
「メェエーン!!」
ダタンッ タンッ
「チェイ、アァーッ!」
「小手、メェエン!!」
ドンッ  バシンッ カッカッ  パシィイン
「ドォオーッ!!」
ガシンッ バァァン

ピピーッ

顧問「よし、そこまで! 」

兄友「一年生、整列、駆け足!」

部長「気を付け! 先生に向かって、礼!」

ザッ

顧問「あー、よし。今朝のお前らの稽古だがー、ウンタラカンタラ」

兄「んっ……」フラッ

兄友「どうした、兄」

兄「いや、少しふらついて……気合入れすぎたかな」

兄友「おいおい、しっかりしろよー」

兄(……おかしい、疲れが取れない)

兄(今朝の朝練はそんなキツい訳じゃなかったはずだ)

兄(どんなにキツい朝練の後も、今までは
一時間目と二時間目でぐっすり寝ればスッキリ回復したのに……)

教師「じゃあ次はここを……兄、読んでみろ」

兄「あ、はいっ!」

兄「日本の主な工業地帯には、
けーひん工業地帯、ちゅーきょー工業地帯、はんしん工業地ちゃ……」

プフッ クスクス

教師「こら、笑うなー。兄、続き読めー」

兄「はんしんこーぎょーちたい、の三つがあり、
これらを三大こーぎょーちたい、と呼ぶ!」

教師「よし、座れー」

兄(教科書読んでて舌がもつれるなんて……
……疲れが取れない、舌がもつれる……
何かそういう怖い病気あった気がする!!)

兄(……おかしい、疲れが取れない)

兄(今朝の朝練はそんなキツい訳じゃなかったはずだ)

兄(どんなにキツい朝練の後も、今までは
一時間目と二時間目でぐっすり寝ればスッキリ回復したのに……)

教師「じゃあ次はここを……兄、読んでみろ」

兄「あ、はいっ!」

兄「日本の主な工業地帯には、
けーひん工業地帯、ちゅーきょー工業地帯、はんしん工業地ちゃ……」

プフッ クスクス

教師「こら、笑うなー。兄、続き読めー」

兄「はんしんこーぎょーちたい、の三つがあり、
これらを三大こーぎょーちたい、と呼ぶ!」

教師「よし、座れー」

兄(教科書読んでて舌がもつれるなんて……
……疲れが取れない、舌がもつれる……
何かそういう怖い病気あった気がする……!)

兄(もしそうだったら……)

兄(大会には間違いなく出られないよな……
いや、それどころか入院、留年……)

兄(ひょっとしたら、死……)

兄「いやいや、そんな馬鹿な」

兄友「どーした、兄」

兄「え、何がだ?」

兄友「何がって事あるか。今日調子悪いだろ」

兄「いや、そんな事は……」

兄友「さてはアレだな、レギュラーになった事のプレッシャーとかのアレと見た」

兄「あー、それか!」

兄友「やっぱり調子悪かったんだな。でも、それなら話は早い
気分転換にあのアレだな」

兄「あのアレ?」

兄友「ふふふ、今日の部活の後、ちょっと付き合ってもらうぜ」

兄「……で、渡されたのがエロDVDか!!」

兄「ウチ妹いるっつーの! 明日も朝練だっつーの!!」

兄「……ま、でもまあ」

兄「妹が寝た後に、少しくらいなら……」

妹「お兄ちゃん、お帰り!」

兄「うぉっほう!?」

妹「どうしたの、そんな驚いて」

兄「い、いや、急に声掛けられたからな」

妹「ふーん……あれ?」

兄「どうした?」

妹「お兄ちゃん、ちょっと縮んだ?」

兄「縮むか!成長期だぞ! 朝言ったろ、お前の背が伸びてんの」

妹「うーん、そうなのかなあ……? 背伸びた感じしないけど」

兄「自分じゃそういうもんなんです」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom