京介「記憶喪失?」 (6)
・俺妹SSです。本編最終回後の話ではありません
・別のSSと背景設定を共有してます。が特に続き物ではありません。
・オリキャラ要素あり。比重は高い(メイン)です。
・基本的に鬱ストーリーです。
あとは…
・1は書き貯め派ではありません
では、さしあたり導入部だけですが投下します
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378626296
〓○○○○〓
窓の外をぼんやりと眺める。いい天気。
とはいえ、快晴だから心が軽いとか、雨が降って気が重いとか、そういうのはない。
出かける予定もないし、そもそもそんな余裕もない。
だからこれは現実逃避。
漏れ聞こえてくる蝉の声に(今日も暑いのかなぁ)なんて心の中で呟く
それすらも虚ろだった
夏。
『私』は事故に遭い、損なわれ……
そして私はここにいる。
記憶喪失だなんてドラマや漫画の中のものとしか思えなかった。
現に、早々に見舞いに来てくれた家族も友人も
…私からしたら見知らぬ人ばかりで戸惑ったけれど…
ピンと来ない感が先だったみたいで。
それでも私と向き合い会話すると、衝撃、悲しみ、そして同情や励ましをくれる。
中には感極まって抱きしめられたりもあった。
ああ……人並みには愛されてたんだ、私
違う。
そうじゃない。
感情の向く先は前の私だ。
ここにはいない、失われた『私』
『私』の無事に安堵する人たちに対して
「あなたたちの目の前にいる私は、違います、彼女じゃない」
と言うには忍びなく…
居たたまれない思いを抱える日々がしばらく続いた。
これまで生きてきた15年間の記憶をなくし、
もしかしたら形成された人格すら失った私だけれど、
不幸中の幸い、脳の機能が緊急避難的に今の私を形成したようで、
それに伴って一般的に常識とされるような知識や
十代女子としての自覚、社会通念みたいなものは持っていた。
ちゃんと仕事したんだ、脳。
ただ前の私のパーソナリティを除いて。
いくら周りの人から「こういう子だった、何か思い出さないか」と聞かされても
その部分だけは穴が開いたように掴み所なく、過ごした記憶の痕跡も感じられない。
急にこの世に生まれて、わずか数日。
「15歳女子」の人格をあつらえられたとはいえ、
そんな人生経験の貧弱な私が
周囲からの心配や期待(それらは実際は私を素通りしていく!)を重圧と感じるのに、そう時間はかからなかった
…違う
違う違う違うっ
上辺を繕うのはやめて、泣いてわめいて否定したい
そうすれば、ひょっとして皆諦めてくれるんじゃ……
誰ががその憐れみを今の私に向けてくれるんじゃ……
そう思いかけていた時だった
彼女に、
高坂キリノに会ったのは。
※
とりあえずここまで。
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