美緒「れっっぷぅぅざぁぁん!!!!」ブゥン!!!
美緒「はぁ……はぁ……」
ミーナ「美緒」
美緒「……ミーナか」
ミーナ「少し休んだら?」
美緒「もうこれしかないんだ」
ミーナ「美緒!」
美緒「もう少し、やらせてくれ……ミーナ……」
ミーナ「ダメよ……」
美緒「頼む」
ミーナ「……」
芳佳「坂本さん……。私が……私ががんばらなきゃ……」
翌日 ミーティングルーム
芳佳「みなさん!!」バンッ!!
シャーリー「うわっ。どうした、宮藤?」
芳佳「お願いがあります」
バルクホルン「なんだ。言ってみろ」
エーリカ「宮藤の頼みなら二つ返事でトゥルーデが叶えてくれるもんね」
バルクホルン「黙っていろ、ハルトマン」
リーネ「それで、頼みって?」
芳佳「坂本さんが毎日烈風斬の練習をしているのはしっていますか?」
ペリーヌ「ええ。勿論ですわ。技を洗練させているのでしょう? 全く、敬服してもし足りませんわね」
エイラ「言ってろ」
芳佳「ちょっと違うんです。坂本さんは更に上の真・烈風斬を使いたいみたいです」
バルクホルン「しんれっぷうざん?」
エーリカ「なんだそれ。すごそーじゃん」
芳佳「それさえあればどんなネウロイも一撃らしいんです」
ルッキーニ「わおっ! それって最強の技ってやつ!? すごいすごい!!」
芳佳「だけど、その分習得するのは難しいみたいで……」
バルクホルン「だろうな。そんな技が完成すれば戦局は覆るんだ。並大抵の努力では手に入らないだろう」
芳佳「だから、みなさんにお願いしたいんです」
シャーリー「習得の手伝いか?」
芳佳「はい」
バルクホルン「私たちは協力したいが、少佐はその申し出を受け入れてくれるとは思えない」
エーリカ「頑固だもんねー」
芳佳「でも……」
ペリーヌ「宮藤さん。坂本少佐のことを想うのなら、少佐が納得のいく方法でやっていただくべきではなくて?」
芳佳「坂本さん、ずごく辛そうなんですよ!?」
シャーリー「いや、少佐は頼りたくなったら頼ってくるよ。それまで待つってことはできないのか?」
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……」
翌日 海岸
美緒「ふぅー……」
美緒「れっっぷぅぅざぁぁぁん!!!!」ブゥン!!!!
美緒「……っ!?」
美緒(ダメだ……威力が確実に落ちている……。こんな出力では小型ネウロイすら……倒すことは……)
ミーナ「美緒! またこんなことを!!」
美緒「大丈夫だ」
ミーナ「そんなわけないでしょう!? あなた、今どんな顔をしているかわかってるの!? とても生きている人間とは思えないほど真っ青なのよ!?」
美緒「はっはっはっは。言い過ぎだな、ミーナ。私はこの通り、生きている」
ミーナ「美緒、もうやめて!!」
美緒「……それは命令か?」
ミーナ「……そうよ」
美緒「わかった。今日の鍛練は終わろう」
ミーナ「もうやめて……あなたにそんな力は……」
美緒「諦めたくないんだ。これは宮藤から移った病気だな。すまない、ミーナ」
芳佳「坂本さん……今日もやってる……」
芳佳(私にできることってないのかな……)
リーネ「芳佳ちゃん」
芳佳「リーネちゃん。どうしたの?」
リーネ「探そうよ」
芳佳「え?」
リーネ「私たちでもお手伝いできること、絶対にあるはずだよ」
芳佳「リーネちゃん……!!」
リーネ「みんなでストライクウィッチーズだもんね」
芳佳「リーネちゃん、ありがとう!!」ギュッ
リーネ「でも、何ができるのかな……? 私には想像もつかないんだけど……」
芳佳「うーん……。あ! そうだ! 坂本さんやバルクホルンさんがいつも言ってた!! ウィッチは体が資本だって!!」
リーネ「それって……」
芳佳「リーネちゃん、私たちにできることはあるよ」
リーネ「どう、するの?」
食堂
美緒(飯にするか)
芳佳「リーネちゃん!! そっちはどう!?」
リーネ「できたよ!」
美緒「なんだ。今日は二人が当番だったのか?」
芳佳「いえ。本当はシャーリーさんとルッキーニちゃんだったんですけど」
リーネ「代わってもらいました」
美緒「どうしてまた」
芳佳「坂本さんに美味しいご飯をいっぱい食べて欲しいからです」
美緒「え?」
リーネ「納豆もどんぶりに一杯、ありますからっ」
芳佳「あはは。流石にすごいにおいだね」
リーネ「だね」
美緒「……」
芳佳「どうぞ!! 坂本さん!! 今日の朝食は納豆丼にお味噌汁、それからルッキーニちゃんが捕ってきてくれたマンボウの姿焼きです!! えへへっ」
医療室
ミーナ「どいて!! 急患よ!!!」
美緒「うぅ……ぅぅ……」
ペリーヌ「坂本少佐!! 坂本少佐!! しっかりしてください!!! 坂本少佐!!!」
美緒「ぐ……私も……衰えたな……これしきのことで……食あたりとは……」
芳佳「坂本さん!! 必ず助けますから!!!」パァァ
美緒「あぁ……」
ペリーヌ「坂本少佐ぁ!!」
美緒「ペリーヌ……私に顔を近づけるな……」
ペリーヌ「そんな!! どうし――うっ!?」
美緒「……臭いんだ」
ペリーヌ「だ、だいじょ……ぶ……しょ、さ……のにお、いは……す、べて……ラベン、ダー……てきな……」
美緒「ミーナ……」
ミーナ「喋らないで!!」
美緒「……すまん」
ミーティングルーム
ミーナ「宮藤さん、リーネさん。どういうことなのか説明してもらえるかしら?」
芳佳「いっぱい食べたら、それだけエネルギーもつくし……その……烈風斬の手助けができればなって……」
ミーナ「それであんな大量に食べさせたの?」
リーネ「いえ!! 坂本少佐は何故か、その用意した分を全部食べてくれて……。私たち、そこまでは考えてなかったんです……なのに……」
ミーナ「貴方達の気持ちが余程嬉しかったのね」
芳佳「すいません……」
ミーナ「気持ちはわかったわ。だけど、食事でどうにかなることでもないのよ」
リーネ「やっぱり……」
ミーナ「真・烈風斬の習得なんて不可能なの。坂本少佐の魔法力ではね」
芳佳「……そんなことないです」
ミーナ「宮藤さん?」
芳佳「坂本さんはウィッチに不可能はないって言ってました!!!」
リーネ「芳佳ちゃん……」
ミーナ「……もうこの話は忘れなさい。いいですね?」
海岸
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……」
芳佳「無理なのかな……」
リーネ「ごめんね。どうしていいか分からない……」
芳佳「坂本さんのためにできることは、ないのかな……」
リーネ「……」
シャーリー「みーやふじ」
芳佳「シャーリーさん……?」
ルッキーニ「元気ないぞ、よっしか」
芳佳「ごめんね……」
シャーリー「もう諦めたのか?」
芳佳「違います!! 諦めてませんっ!!!」
シャーリー「なら、どうして泣きそうになってるんだよ」
芳佳「それは……だって……諦めたくないのに……どうしたらいいのかわからないんです……」
ルッキーニ「芳佳らしくないなぁー」
芳佳「自分でもわかってるけど……」
シャーリー「れっぷうざんの威力は凄かったよなぁ。あれよりも更に高威力となると、凄まじい魔法力が必要になってくるわけだ」
芳佳「はい。だから、今の坂本少佐には無理だって、ミーナ隊長が」
シャーリー「坂本少佐だけなら、なんだろ?」
リーネ「え?」
芳佳「それってどういうことですか?」
シャーリー「あたしとルッキーニだって、戦闘ではよく協力してるだろ?」
ルッキーニ「シャーリーカタパルトぉ!!」
シャーリー「そうそれだ」
芳佳「あの、よく分からないんですけど」
シャーリー「つまりだ。みんなで魔法力を分け合えば、しんれっぷうざんっていうのも余裕で撃てちゃうんじゃないかってこと」
リーネ「ああ!! なるほど!!」
シャーリー「な、いい方法だろ?」
芳佳「それで行きましょう!! それなら真・烈風斬も絶対に撃てます!!」
翌日 海岸
美緒「すぅー……」
芳佳「坂本さん」ギュッ
美緒「ん? なんだ!? なにを――」
リーネ「坂本少佐!! 私の力を使ってください!!」ギュッ
美緒「おい!! 離せ!! 烈風丸が触れん!!!」
ルッキーニ「しょうさぁー。あたしの力、わけたげるぅー」ギュゥゥ
美緒「バカモノ!!! 抱きつくな!!! 危ないだろうが!!」
シャーリー「まぁまぁ、少佐」ギュッ
美緒「シャーリーまで!! 鍛練の邪魔をするな!!」
芳佳「邪魔はしてません!!! 協力してるんです!!!」
美緒「何を言っている!?」
芳佳「私たちの魔法力を使って、真・烈風斬を撃って下さい!!!」
美緒「だが……!!」
芳佳「では、いきますよ!! せーのっ!! れっぷうざぁぁん!!!!」ブゥン!!!
格納庫
バルクホルン「ん?」
芳佳「うぅぅ……ぅ……」
リーネ「あぅぅ……」
ルッキーニ「うにゃぁぁ……ちきゃらがでにゃいよぉ……」
シャーリー「もう……しぬぅ……」
バルクホルン「お前たち!! こんなところで寝るな!!! 何をやっている!!!」
シャーリー「あまりうるさくするな……やすんでるんだから……」
バルクホルン「はぁ? どんな訓練をすればそのようになる?」
ミーナ「訓練じゃないのよ、トゥルーデ」
バルクホルン「なに?」
ミーナ「みんなで協力して真・烈風斬を撃とうとしたらしいわ」
バルクホルン「結果は?」
ミーナ「撃つことには成功したけど、撃ったと同時に魔法力を使い果たしたみたい」
バルクホルン「なるほど。では、現状ではやはり打つ手がないということか」
シャーリー「あぁー。バルクホルンも何かいい案はないのか?」
バルクホルン「リベリアン。坂本少佐が頼ってくるまでは待とうという話ではなかったのか?」
シャーリー「いやぁ。あの少佐を見てたら、ちょっと無視できなくてさ」
バルクホルン「……」
ミーナ「みんな。坂本少佐は確かにオーバーワーク気味ではあるし、誰かが止めないといけないわ」
芳佳「だから、私は……!!」
ミーナ「でも、彼女は止められない。いいえ、止まらない。それは知っているでしょう?」
芳佳「はい……」
ミーナ「しばらく好きにさせてあげて」
芳佳「……」
バルクホルン「宮藤……」
リーネ「はぁ……やっぱり、ダメなんでしょうか」
シャーリー「撃てたのはいいけど。全員が力を合わせて一発だけじゃな」
ルッキーニ「さいきょーのわざだから、それでもいいんだろうけどさー。みんなで一発じゃ割りにあわないよぉー」
芳佳「そうですね……。戦闘ではみんなが坂本さんに抱きつくなんてことできませんし……」
バルクホルン・ハルトマンの部屋
バルクホルン「……ハルトマン!!」
エーリカ「あと80分……」
バルクホルン「医学書、借りるぞ」
エーリカ「うん……いいよぉ……」
バルクホルン「助かる」
エーリカ「……すぅ……すぅ……」
バルクホルン「……」ペラッ
エーリカ「え!?」ガバッ
バルクホルン「どうした?」
エーリカ「なんで?」
バルクホルン「……意味はない」
エーリカ「ねえねえ、何で? なんでなの?」
バルクホルン「ええい。80分でも90分でも寝ていろ!!」
エーリカ「なになに? トゥルーデも医者になるの!?」
食堂
美緒「疲れたな」
芳佳「坂本さん!!」
リーネ「今、昼食を用意しますね」
美緒「ああ、頼む」
ペリーヌ「あの、坂本少佐? ご無理はされていませんか?」
美緒「心配ない。自分のことは自分が良く分かっている」
美緒(もう殆ど力がないことは痛いほどにな……)
ペリーヌ「さ、坂本少佐……」
リーネ「お待たせしました」
美緒「ありがとう、リーネ」
ペリーヌ「ちょっと、宮藤さん、リーネさん」
芳佳「なんですか?」
ペリーヌ「その……どうなのですか? 特訓のほうは……」
リーネ「それが……まだ足がかりすらない状態で……」
ペリーヌ「そう……ですか……」
芳佳「ペリーヌさんも力を貸して」
ペリーヌ「だけど……少佐のお気持ちを考えれば……」
芳佳「このままじゃ坂本さんは死んじゃうかもしれないよ!!」
ペリーヌ「……!!」
美緒「私は死なんぞ」
リーネ「ペリーヌさん。お願いします」
芳佳「ペリーヌさんの力も絶対に必要なの!!」
ペリーヌ「で、ですが……」
美緒「おい。宮藤。おかわりをくれ」
芳佳「ペリーヌさん……!」
ペリーヌ「分かりました。分かりましたわ。……全くもう」
芳佳「ありがとう!!」ギュッ
リーネ「ペリーヌさんが居てくれたら百人力だね!!」
美緒「……おかわり」
ミーティングルーム
ペリーヌ「そう。みなさんの力を分け合えば1度のみ可能ということですか」
シャーリー「でも、実戦には使えないだろ? だから、この方法は却下される」
ペリーヌ「……」
芳佳「紐か何かでみんなが坂本さんと常に繋がっているっていうのはどうでしょうか!?」
シャーリー「あー。でも、戦闘に支障が出るだろ」
芳佳「すんごい長い紐なら!!」
リーネ「芳佳ちゃん、絡まったら危ないよ?」
芳佳「あぁ……そうだよね……」
ルッキーニ「じゃあ、どうするのー!?」
芳佳「わかんないよー」
ペリーヌ「……方法はありますわ」
シャーリー「え? マジ?」
リーネ「本当ですか!?」
ペリーヌ「だけど……坂本少佐がこれで納得するかどうかは……賭けですわね」
翌日 海岸
美緒「ふぅー……」
美緒「ふっ!!」
美緒「れっっぷぅぅぅざぁぁぁぁぁん!!!!!」ブゥン!!!!!
ペリーヌ「(トネール!!!!)」バリバリバリ!!!!
美緒「……!?」
美緒「な、なんだ……電撃が……」
ペリーヌ「(ふぅ。成功ですわ)」
芳佳「(なるほど!! 烈風斬の掛け声にあわせてペリーヌさんがトネールを放てば!!)」
ペリーヌ「(ええ。わたくしのトネールは坂本少佐のれっぷうざんになると言うことですわ)」
芳佳「(さっすがペリーヌさん、頭いいですね!!)」
ペリーヌ「(おほほほほ。これぐらいはできて当然ですわ)」
美緒「……ペリーヌ」
ペリーヌ「……!!」
美緒「こっちにこい」
格納庫
ペリーヌ「うっく……うぅ……ぐすっ……」
芳佳「……」パァァ
シャーリー「なんだ、どうした。でかいタンコブを頭につくって」
ルッキーニ「おこられたの、ペリーヌ?」
ペリーヌ「名誉の負傷ですわ」
芳佳「あはは」
シャーリー「やっぱり、ペリーヌの作戦は無理があるな」
ルッキーニ「だよねー」
ペリーヌ「なにをみなさん!! 最初はイケるイケると煽ったくせにぃ!!!」
芳佳「はい、ペリーヌさん。治療は済みました」
ペリーヌ「あ、ありがと」
リーネ「あの、紅茶を入れました。休憩にしませんか?」
ルッキーニ「わぁ! ありがとー」
シャーリー「いただきまーす」
露天風呂
美緒「……はぁ」
ミーナ「美緒」
美緒「書類整理は片付いたのか」
ミーナ「ええ、まぁ」
美緒「最近、どうにも様子がおかしいな」
ミーナ「みんなの、でしょ?」
美緒「そうだ。ミーナ、何か話したんじゃないだろうな?」
ミーナ「いいえ。ただ、感付いている人は多いわ」
美緒「……私も甘いな」
ミーナ「やめる気はないのね」
美緒「私は戦うことしかできん。だから……」
ミーナ「死ぬまで飛ぶの? そんなの許さないわよ」
美緒「……わかってくれ」
ミーナ「そんなの……無理よ……」
ミーティングルーム
シャーリー「だったら、同じだろ。やってみる価値はある」
ペリーヌ「いいえ。シャーリーさんの考えは野蛮すぎます」
芳佳「あの、ケンカしないでください」
リーネ「そうですよ……」
シャーリー「打つ手はないもんか……」
エーリカ「ふっふっふっふっふ。話はトゥルーデから聞いたよ」
芳佳「ハルトマンさん!!」
エーリカ「まだやってたんだね、宮藤」
芳佳「だって、やっぱり坂本さんのために何かしてあげたいですから!!」
エーリカ「問題は坂本少佐にしんれっぷうざんを撃つだけの魔法力がないことでしょ?」
ペリーヌ「勿論ですわ。そこさえクリアできれば……」
エーリカ「私にいい考えがあるけど、のる?」
芳佳「いい考えですか?」
エーリカ「ふふん。ウルスラに頼んでみようか。少佐のためだもんね」
数日後 格納庫
ウルスラ「姉様。約束の品をお届けに来ました」
エーリカ「ありがと。悪いね。無理いって」
ウルスラ「いえ。それでは」
エーリカ「うん」
芳佳「あ、ああの!!」
ウルスラ「はい?」
芳佳「これって……」
ウルスラ「姉様の要望通りに製作した、ウィッチ専用の近接特化兵器です」
シャーリー「すげーでかい剣だな……」
ルッキーニ「こういうの持ってる人、コロッセオにいたみたいだよー。なんかでみたことあるー」
ウルスラ「出力のことを考えれば、これ以上の小型化は困難です」
リーネ「だけど、これ烈風丸にはみえないよぉ……」
芳佳「でも、やるだけやってみようよ!!」
エーリカ「おぉー。重すぎて全然、もてなーい」
翌日 海岸
美緒(今日もやっておくか……)
美緒「よし……」
バルクホルン「坂本少佐。私もいいだろうか?」
美緒「バルクホ――!?」
バルクホルン「どうした?」
美緒「なんだ、その身の丈以上もある大剣は……」
バルクホルン「しん・れっぷうまるだ」
美緒「真・烈風丸だと!?」
バルクホルン「ああ。少ない魔法力で高威力の烈風斬……つまり、真・烈風斬を放つことができる」
美緒「ほ、本当なのか……?」
バルクホルン「私が振ってみよう。見ててくれ。――ふぉぉぉぉ!!!!!」グググッ
美緒「こ、これは……」
バルクホルン「しん!! れっぷうざぁぁぁん!!!!!」ゴォォォォ!!!!!!
美緒「す、すごい!!! なんだこの威力は!!! 私にも振らせてくれ!!!」
バルクホルン「勿論だ。使ってくれ」
美緒「ありが――!?」ズンッ
美緒(こ、これは……!!)プルプル
バルクホルン「どうした、少佐? そんなに震えて」
美緒「ぐっ……うぅっ……」ググッ
バルクホルン「少佐、がんばれ。少佐なら使いこなせるはずだ」
美緒(この重量……どうなっている……!! 構えることはおろか……地面につかないようにするのがやっとだと……!!)
バルクホルン「少佐!! もう少しだ!!」
美緒「うぅぅ……!!! おぉぉぉぉぉ!!!!!」グググッ
バルクホルン「おぉ……持ち上がった……」
美緒「ぎ……ぎぎ……」
バルクホルン「さあ、しんれっぷうざんを放つときだ」
美緒「む、り……むりだ……」プルプル
バルクホルン「諦めるな!! ウィッチに不可能はない!!」
美緒「こ、こんな、こんなのは無理だ!!! 私は帰る!!!」ポイッ
ミーティングルーム
シャーリー「ハルトマンの案もダメだったか」
エーリカ「えー? まだこれ試作品だもん。改良したらいけるって」
バルクホルン「そんな時間はないだろう。それよりも少し気になることが医学書に書いてあった」
芳佳「なんですか?」
バルクホルン「ウィッチが他のウィッチに魔法力を与えることができる可能性を記したものだ」
リーネ「そんなことができるんですか!?」
バルクホルン「ああ。このページだ」
シャーリー「ふんふん……。確かにできるみたいだな」
ルッキーニ「どうやるのー?」
シャーリー「口付けするんだって」
芳佳「えぇぇぇぇー!!!!!」
ペリーヌ「そんなの!!! そんなの!!! ああでも、少佐のためならわたくしがぁぁ!!!」
エーリカ「トゥルーデ、それ迷信だよ。よく読んだ?」
バルクホルン「なんだと!?」
シャーリー「ああ、ホントだな。実際の効果はないって注釈に書いてる」
バルクホルン「何故そんな項目が載っているんだ」
エーリカ「いや、過去に何度かそれで魔法力を供給できた例はあるみたい。だけど、原因がわかってない上に、現代ではその方法で供給できたって報告は一つもないんだよ」
バルクホルン「そういうことか……」
シャーリー「んじゃ、試すだけ無駄か」
エーリカ「うん。まぁ、可能性が0ってわけじゃないけど」
ルッキーニ「なら、チューしちゃおうよ。誰か一人ぐらい、当たるかも」
バルクホルン「私は断る」
シャーリー「発案者がそれじゃあ誰もやらないだろ」
リーネ「あれ? 芳佳ちゃん? ペリーヌさん?」
エーリカ「その二人は今、出て行ったよ」
バルクホルン「なんのために――」
美緒『なんだ!? やめろ!!! こら!!!』
ペリーヌ『わ、わわ、わたくしのエキスを!!!』
芳佳『坂本さん!! これで真・烈風斬が撃てるんです!!! だから!!! 私とキスしてください!!!』
食堂
芳佳「いったぁい……」
ペリーヌ「うぅ……頭がヒリヒリしますわ……」
バルクホルン「きちんと人の話をきかずに出て行くからそうなるんだ」
芳佳「はぁい……」
エーリカ「トゥルーデだって、さも「名案だ」って顔で来たくせに」
バルクホルン「ハルトマン!!」
ミーナ「みんな。何をやっているの?」
バルクホルン「ミーナ……」
ミーナ「坂本少佐が困惑していたわよ」
エーリカ「少佐のためなんだってば」
ミーナ「……宮藤さん」
芳佳「は、はい」
ミーナ「まだ、諦めてないの?」
芳佳「だって、あきらめるなんてできませんよ!! 私が諦めるときは、坂本さんも諦めたときだけです!!」
ミーナ「宮藤さん、そこまで美緒のことを……」
芳佳「私、諦めないことには自信があります」
リーネ「わ、私も。芳佳ちゃんがやり続けるなら、協力したいです」
ミーナ「……」
バルクホルン「少佐は必要な人だ。このまま無理をされ、潰れてしまっても困る」
シャーリー「あたしたちでフォローすれば、負担を減らせるだろ?」
ルッキーニ「なんとかならない?」
ペリーヌ「わ、わたくしだって、坂本少佐のお体を考えればこそ、こうして身を窶しています」
ミーナ「……わかりました。みんなは隊長の命令に従えないということね」
芳佳「はい!! ごめんなさい!! 従えません!!」
シャーリー「もう命令違反は宮藤の専売特許だな」
エーリカ「えー? 私も結構見所あると思うけどなぁ」
バルクホルン「そんなことで張り合うな!!! 恥ずかしい!!」
ミーナ「ありがとう……」
芳佳「え……?」
ミーナ「隊長権限で、伝令します。今より、坂本美緒少佐の真・烈風斬習得会議を行います」
芳佳「いいんですか!?」
ミーナ「私も坂本少佐が無理をしないですむ方法があるなら、それを選択したいもの」
シャーリー「ですよね」
ルッキーニ「にひひ」
ミーナ「宮藤さん、リーネさん。エイラさんとサーニャさんを呼んできてもらえるかしら?」
芳佳「はい!!」
リーネ「わかりました!!」
バルクホルン「全体会議にするのか」
ミーナ「仲間はずれは坂本少佐だけってことね」
エーリカ「結構悪いなぁ、ミーナは」
ミーナ「そうかもね」
シャーリー「でも、これでなんとかなるかも」
ルッキーニ「うんうん!!! いっしょうけんめい、かんがえよー!!」
ミーナ(ごめんなさい、美緒。だけど、私も貴方を救えるならなんだってするわ……あなたのように藁に縋ってでもね)
ミーティングルーム
エイラ「事情はわかったけど、解決策なんてあるのか、それ」
サーニャ「エイラ。今から考えるんだからそんなこと言っちゃダメ」
エイラ「ごめん……」
ミーナ「まず、このみんなに配った資料を見て欲しいの」
芳佳「これって烈風丸の資料ですか?」
ミーナ「ええ。様々なことが詳細に記載しているわ」
エーリカ「ん? ミーナ、この魔法力を吸い尽くすって……」
バルクホルン「こんなのウィッチとしての寿命を悪戯に減らすだけではないか」
ミーナ「そういうことになるわね」
リーネ「そんなもので毎朝訓練を……」
ペリーヌ「そんな!! それじゃあ坂本少佐はもう……」
ミーナ「もう戦うだけの力はないといってもいいわね」
シャーリー「少佐……何もそこまで……」
ミーナ「彼女なりに考えた結果よ。今の状態でネウロイと対峙するにはどうするのかを考えた、ね」
サーニャ「撃てば撃つほど坂本少佐は……」
エイラ「弱ってるわけか」
芳佳「……こんなの本末転倒じゃないですか!!」バンッ!!!
ルッキーニ「ひっ」ビクッ
リーネ「私も芳佳ちゃんの意見に賛成です。ウィッチでありたいがためにウィッチの命を削るなんて、おかしいです」
エイラ「まぁ、このれっぷうざんとかいうのを使わないなら、まだまだ飛べたよな、少佐は」
シャーリー「だけど、活躍もできない」
芳佳「魔眼があります!! 坂本さんがコアをいち早く見つけてくれるから、みんなスムーズに戦えるんですよ!?」
バルクホルン「一理ある。あの能力があるのとないのでは生存率に開きが出る」
エーリカ「うん。だよねー。少佐の魔法に頼ること、多かったもんね」
芳佳「だから、これからもできるだけ長く坂本さんには活躍してほしいんです!!」
ルッキーニ「あたしもそうおもうなー」
シャーリー「そんなの501の全員が思ってるって」
サーニャ「うん。みんな、同じ。坂本少佐には色々と教えて欲しい」
ミーナ「……そうね。そうよね。家族だものね、私たち」
バルクホルン「では、前提条件として少佐にれっぷうざんを使わせないということになるが」
エーリカ「お、ウルスラのしんれっぷうまるの出番かな?」
シャーリー「あれはバルクホルンの魔法じゃないと持ち上がらないだろ」
エイラ「というか、れっぷうざんを使わせないで撃たせるって矛盾してるぞ」
ペリーヌ「似たような方法は既に試しましたわ」
ルッキーニ「ペリーヌが頭叩かれたやつだ」
ペリーヌ「そんなこといちいち言わなくてもよろしいでしょ!?」
ミーナ「……待って。ペリーヌさん。試したというのは?」
ペリーヌ「ああ、えっと……」
リーネ「坂本少佐の「れっぷうざん」って掛け声と同時にペリーヌさんが雷撃を放つんです」
芳佳「それってつまりペリーヌさんのトネールが、坂本さんの烈風斬になるってことですから」
シャーリー「ま、失敗したけど」
エイラ「なんだそれ、バカじゃないのか」
ペリーヌ「あのときはいけると思いましたの!!!」
ミーナ「……いえ。その方法、悪くないわ」
バルクホルン「どういうことだ、ミーナ?」
ミーナ「要するにしんれっぷうざんという技名だけを残し、その攻撃方法を全く別のモノに変えてしまうのよ」
リーネ「例えばどんなのですか?」
ミーナ「坂本少佐が技名を叫んだときに、ハルトマン中尉のシュトゥルムやトネールを放つ」
シャーリー「結局、一緒じゃないか」
ミーナ「他にもあるわ。例えば、シャーリーさんがルッキーニさんを投げ飛ばしたり……」
リーネ「題名だけをそのままに、内容を変えちゃうんですか」
芳佳「それ、いいかも!!」
ペリーヌ「しかし。それは坂本少佐の許可がいりますわ。勝手にやっても二の舞になるだけです」
シャーリー「それにもう一つ、重要なものがある」
ルッキーニ「なに? なんかあったっけ?」
シャーリー「しんれっぷうざんはネウロイを一撃で倒す技なんだろ? だったら、あたしたちが用意する技か戦術もそうでないとダメだろ」
芳佳「あ、そっか」
リーネ「一撃で倒せなきゃ、少佐はきっと不機嫌になっちゃうね」
バルクホルン「どんなネウロイでも確実に撃破できなければならない……か。まさに必殺技というわけか」
ミーナ「そうね。どんなネウロイも一撃で倒すという条件なら、やはりこの場にいる全員が協力しないといけないわね」
バルクホルン「それも最大火力を放たねばならないか」
ミーナ「今のところ、ネウロイの装甲を簡単に破壊できる術をもっているのは……」
エーリカ「私のシュトゥルムと、ルッキーニの魔法アタック、あとはトゥルーデの怪力かな」
エイラ「はいはいはい。サーニャのフリーガーハマーだってすごい強力だからな」
サーニャ「でも、他のよりは見劣りするかも」
エイラ「そんなことないって。サーニャのは強いぞ」
サーニャ「ありがとう」
ミーナ「わかりました。直接的な攻撃はハルトマン中尉、バルクホルン大尉、リトヴャク中尉、ルッキーニ少尉に任せます」
シャーリー「残りはサポート役ってことか」
エイラ「というより、起爆剤ってところだな」
シャーリー「いいねえ。肩がなるよ」
ミーナ「そうね。シャーリー大尉の魔法なら、加速させることができるし、更に攻撃力がますことになるわ」
芳佳「あの!! 私とリーネちゃん、ペリーヌさんはどうしたらいいですか!?」
ミーナ「初撃をリーネ曹長が務め、クロステルマン中尉はれっぷうざん着弾まで雷撃を用いて周囲の小型ネウロイを一掃、宮藤軍曹はれっぷうざんが当たるまでシールド展開し――」
翌日 海岸
美緒「いくぞ!! れっっぷぅぅぅざぁぁぁん!!!!!」ブゥン!!!!
リーネ「行きます!!」ドォン!!!
美緒「!?」
ミーナ「初弾命中を確認!! シャーリー大尉!!」
シャーリー「ぅおりゃぁぁぁ!!!!!」ブゥン!!!
芳佳「であぁぁぁ!!!! 私がみんなの盾になるんだからぁぁぁ!!!!」ゴォォォ
シャーリー「次弾装填!!!」
エーリカ「いっつでも!!」
ペリーヌ「お願いします!!」
シャーリー「いっけぇぇ!!! ハルトマン!!! ペリーヌ!!!」ブゥン!!!!
エーリカ「いっくよぉー!!! シュトゥルム!!!」ゴォォォ
ペリーヌ「トネール!!!」バリバリバリ
ミーナ「次、トゥルーデ、ルッキーニさん、急いで!!」
美緒「……」
シャーリー「はぁぁぁ!! バルクホルン!! ルッキーニ!! いっけぇぇ!!!」ブゥン!!!
バルクホルン「うおぉぉぉ!!!!」ゴォォォ
ルッキーニ「うりゃぁぁぁ!!!」ゴォォ
エイラ「最後だな。私が全力でサポートする」
サーニャ「うん、お願い」
シャーリー「これで……ラストだぁぁ!!!」ブゥン!!!
エイラ「サーニャ!! やるぞ!!」ゴォォ
サーニャ「うん、がんばるよ。一斉掃射っ」バシュッ!!!
ミーナ「……うん」
シャーリー「ふぅ。これならどんなネウロイも一撃だな」
ミーナ「ええ。宮藤さんがシールド張りつつ先行し、そのあとを追いかけるようにみんながネウロイに向かって高速で飛んでいく。完璧だわ」
美緒「……」
シャーリー「少佐。これでしんれっぷうざんは完成したね」
ミーナ「おめでとう、美緒」
美緒「……」
ミーナ「美緒、どうしたの?」
シャーリー「気分でも悪いとか?」
美緒「……何の真似だ?」
ミーナ「私たちなりに考えてみたの、しんれっぷうざんをね。高威力、高出力であなたの言う条件に当てはまっているはずだわ」
シャーリー「それにこれなら遠距離からでも攻撃ができるっていうメリットもあるし」
美緒「私を馬鹿にしているのか?」
ミーナ「違うわ!! 私はただ貴方のことを思って!!」
美緒「私は、私の力でネウロイと戦いたいんだ!!」
ミーナ「そんなことは分かっているわ!!」
美緒「ならばなんだ!? この光景は!!!」
ミーナ「何が不満なの!? みんな一生懸命に考えてやってくれているのよ!?」
美緒「私が出撃するたびに、全員が出撃するのか!?」
ミーナ「必殺技を乱発するなんて体に悪いので、許可しないわ」
美緒「ならばいつ使わせてくれる!? この真・烈風斬を!!!」
ミーナ「ここぞというときまでとっておくものでしょ!?」
リーネ「さ、坂本少佐……?」
シャーリー「まぁまぁ、二人とも」
美緒「自力でネウロイと互角に戦いたいんだ!! ミーナ!!! 私の気持ちを汲めないのか!?」
ミーナ「貴方の力よ!! 貴方がしんれっぷうざんと叫ばない限りは誰もこんな攻撃フォーメーションを組まないわ!!!」
美緒「元から組む必要などない!!」
ミーナ「これは貴方の技なのよ!? 組まなければならないでしょ!?」
美緒「どうしてそうなる!? こんなのは技じゃない!! 戦術だ!!!」
ミーナ「そうです! しんれぷうざんは戦術フォーメーションです!」
美緒「技だ!! ネウロイを屠る技だ!!」
ミーナ「いいえ!! 戦術です!!」
美緒「この技は扶桑に伝わる技なのだぞ!? 教えただろう!?」
ミーナ「501の中では戦術です!!」
美緒「ぐぅぅ……!!!」
ミーナ「……」
芳佳「あー、つかれたー。どうでしたかー? 私の……あれ? なにか、あったんですか?」
美緒「宮藤ぃ!!」
芳佳「あ、はい!!」
美緒「これは真・烈風斬なのか!? 今のが私の求めていた真・烈風斬なのか!? 言ってみろ!!」
芳佳「はい!! 真・烈風斬です!!」
美緒「嘘をつくなぁ!!!」
芳佳「ひっ」
美緒「アレはただ私の号令で全員が突撃しているだけだろうが!! あんなものでネウロイが一撃で倒せると思っているのか!?」
ミーナ「当然よ。あとの戦闘を全く考慮しない戦術。最大火力のみを追及したフォーメーションですもの」
美緒「それは……」
シャーリー「少佐。あたしたちが少佐のしんれっぷうざんになるから、安心してほしい」
リーネ「そうです! 坂本少佐はただ叫んでくれるだけでいいんです!!」
ミーナ「そうよ、美緒。烈風斬と言うだけで、みんなが飛んでいくわ」
美緒「……」
芳佳「坂本さん!! 私たちのことを信用してください!! ちゃんと烈風斬しますから!!」
美緒「違う……」
芳佳「坂本さん? 何が違うんですか?」
美緒「ちがう……」
ミーナ「違わないわ。だって、これだけの威力があるんですもの」
シャーリー「そうそう。どんなネウロイも怖くないって」
リーネ「ええ。これだけのれっぷうざんならへっちゃらです」
美緒「ち、がうぅ……うぅ……」
芳佳「え……坂本さ……」
美緒「ちっ……がう……これは……れっぷ、う……ざんじゃない……うぅっ」
芳佳「さ、坂本さん!?」
ミーナ「美緒!?」
美緒「わ、たしも……たたか、い……たぃ……んだ……み、んなと……たたか、い、たいんだぁ……」
シャーリー「あらら……泣いちゃった……」
リーネ「ハンカチ、ハンカチ!!」
美緒「わたしが、なにも、で、きなっいって……みんな……バカにっ……して……たのしいの……かぁ……ばかものぉ……うぇぇん……」
芳佳「ああ、えっと……あの……」オロオロ
美緒「わたしだって、11人の中にいたいのにぃぃ……うぇぇぇん……」
ミーナ「よしよし……」ギュッ
美緒「ばかにするなぁ……わたしだって……がんばって……がんばって……うっくっ……ぐすっ……」
ペリーヌ「ふぅ。髪が乱れてしまいましたわ。まぁ、これも坂本少佐の剣になれるというのでしたら構いませんが」
エーリカ「おーい。宮藤。少佐は絶賛してくれたぁ?」
芳佳「ああ!! ここから先は行かないでください!!」
ペリーヌ「どうしてですの?」
エーリカ「通してよぉ」
芳佳「ダメです!!」
シャーリー「今はそっとしておこう」
ペリーヌ「なにかありまして?」
リーネ「私たち、やってはいけないことをしてしまったみたいで」
エーリカ「なんだそれ?」
芳佳「とにかく今はダメです!!」
ペリーヌ「ちょっと!! 説明を求めますわ!! 坂本少佐になりがありましたの!?」
美緒「……」
ミーナ「落ち着いた?」
美緒「……見苦しいところを見せてしまったな」
ミーナ「ごめんなさい。そうよね。考えてみれば貴方のプライドをズタズタにするような行為だったわ」
美緒「いや。皆が私のためにしてくれたのに、感情を制御できなかった。私もまだまだ修行が足りないということだ」
美緒「違うな。修行する余地はない。これが私の限界だったんだ」
ミーナ「そんなことはないわ」
美緒「宮藤たちにああしてもらうことでしか、私は戦えない。今の私は足手まといに過ぎない。ずっと見ないようにしてきた現実を突きつけられてしまったようだ」
ミーナ「美緒……」
美緒「……新人教育を続けていれば、こんな惨めな想いをしなくてすんだのにな。はっはっはっは」
ミーナ「これからどうするの?」
美緒「最後の作戦には参加するさ。まだ戦えるからな」
ミーナ「え……?」
美緒「私は真・烈風斬を会得した。だから、戦える」
ミーナ「ええ。そうね。貴方はまだ飛べるわ、美緒」
露天風呂
芳佳「私、駄目なことしちゃったのかな?」
リーネ「そんなことないよ」
芳佳「でも、あの坂本さんを泣かせちゃったんだよ!?」
リーネ「う、うん……」
バルクホルン「宮藤だけの所為ではない。ここに居る全員が同罪だ」
芳佳「バルクホルンさん……」
ルッキーニ「怒られるかなぁ……?」
シャーリー「さぁ、どうだろうなぁ」
ペリーヌ「まさか……そんなことになっているなんて……わたくしはなんてことを……」
エイラ「でも、ちょっと見たかったな。少佐の泣くところ」
サーニャ「エイラっ」
エイラ「あ、ごめん……」
美緒「――そうかエイラ。そんなに私の泣き顔が見たいのか?」
エイラ「ひっ!!」ビクッ
芳佳「坂本さん!!」
美緒「世話になったな。お前たち」
リーネ「えっと……」
ペリーヌ「少佐……あの……その……」
美緒「ところでバルクホルン」
バルクホルン「なんだ? 私は別に坂本少佐の泣き顔を見たいとは思っていない」
エーリカ「うそばっかり」
バルクホルン「なんだと!?」
美緒「真・烈風丸を何故、使わない?」
バルクホルン「……なに?」
美緒「あれを使わずして最大火力とは片腹痛いな」
バルクホルン「少佐……」
エーリカ「だって! あれを使おうよ! トゥルーデ!」
美緒「それから宮藤、リーネ。栄養ある食事も頼む。今日は何故かかなり腹がすいた。はっはっはっは。私もまだまだ若いな」
芳佳「坂本さん……。はいっ!! わかりました!!」
食堂
美緒「明日は真・烈風斬の精度を高めるために訓練を行う。それにともない夜間哨戒の頻度を落とす。サーニャ、あとでシフトを確認しておいてくれ」
サーニャ「はい」
エイラ「よかったな。サーニャ」
美緒「真・烈風丸についても巧く扱えるようにしなくてはな」
バルクホルン「そちらは任せてくれ。数日で仕上げてみせる」
美緒「うむ。各自、フォーメーションのイメージトレーニングを怠るな」
ペリーヌ「勿論ですわ」
リーネ「了解」
シャーリー「坂本少佐、いいんですか?」
美緒「何がだ? 不満でもあるのか?」
シャーリー「……いや、ない」
ルッキーニ「少佐ぁ!! あたし、一生懸命やるからぁ!!」
美緒「当然だ。期待しているぞ、ルッキーニ」
ルッキーニ「うんっ!!」
坂本の部屋
美緒「……」
ミーナ「美緒? いいかしら?」
美緒「ああ」
ミーナ「何をしていたの?」
美緒「烈風丸を封印しようと思ってな」
ミーナ「そうだったの……」
美緒「私には必要のないものになったからな」
ミーナ「そうね。だって、貴方の刀はそれではないもの」
美緒「ああ。私は最初から真の烈風斬を習得していたのだな」
ミーナ「美緒……」
美緒「ミーナ、もう少しだけ私を支えてくれるか?」
ミーナ「言われなくてもそうするつもりよ」
美緒「……迷惑をかける」
ミーナ「もう慣れたわ」
翌日 海岸
美緒「いくぞぉぉ!!! 真・烈風斬発動だぁ!!!」
リーネ「いきますっ!!」ドォン!!!
シャーリー「りょうかぁぁぁい!!!!! 宮藤ぃ!!! 飛んでけぇぇ!!!!」ブゥン!!!!
芳佳「ぅんほぉぉぉ!!!!」ゴォォォ
美緒「休むな!!! 絶え間なく撃ち続けろ!!! シャーリー!!!」
シャーリー「でやぁぁ!!! ペリーヌ!! ハルトマン!! つっこめぇぇ!!」ブゥン!!!
美緒「バルクホルン!! お前が頼りだ!!!」
バルクホルン「了解!!」
シャーリー「とべぇぇ!!!」ブゥン!!!
バルクホルン「はぁぁぁぁ!!!! しん!! れっぷうざぁぁぁぁん!!!!!」ドォォォン!!!!!
美緒「はっはっはっは!! いいぞ!!! もっとだ!!! もっと火力をあげろぉ!!!! はっはっはっはっはっは!!!! はーっはっはっはっはっは!!!」
ミーナ「……美緒。おいで」
美緒「……うぅ……ぅ……」ギュッ
ミーナ「やっぱり、悔しいわよね……。ごめんなさい」
END
面接官「特技は烈風斬とありますが?」
もっさん「はい。烈風斬です。」
面接官「烈風斬とは何のことですか?」
もっさん「必殺技です。」
面接官「え、必殺技?」
もっさん「はい。必殺技です。刀剣の切っ先に魔法力を一極集中させありとあらゆる物を斬り裂く古来より扶桑に伝わる秘剣です。」
面接官「…で、その烈風斬は当社において働く上で何のメリットがあるとお考えですか?」
もっさん「はい。ネウロイが襲ってきても守れます。」
面接官「いや、当社には襲ってくるような輩はいません、それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね。」
もっさん「でも、ネウロイは人じゃありませんよよ。」
面接官「いや、人じゃないとかそういう問題じゃなくてですね…」
もっさん「魔眼でコアを狙えばどんな大型ネウロイだって一撃で葬れるんですよ。」
面接官「ふざけないでください。それに魔眼って何ですか。だいたい…」
もっさん「私の持つ固有魔法です、固有魔法というのは…」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
もっさん「あれあれ?怒らせていいんですか?使っちゃいますよ。烈風斬。」
面接官「良いですよ。使って下さい。 烈風斬とやらを。それで満足したら帰って下さい。」
もっさん「運がよかったな。もう魔法力が足りないみたいだ。」
面接官「帰れよ。」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません