恋査「禁書目録?」 (38)

注意

・禁書目録のSSです

・このSSは、恋査#28と禁書目録が出会った、という話です

・需要が無いかも

・遅筆



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377617903

恋査「何故ベランダに居るか、尋ねても宜しいですか」

インデックス「そういわれても、よく覚えてないんだよ」

恋査「そうですか」

インデックス「そんな事より、何か食べさせて欲しいかも!」

恋査「………家には来客用の、茶菓子しかありませんが」

インデックス「なんでもいいんだよ」

恋査「分かりました」

インデックス「おじゃまするんだよ」

インデックス「殺風景なんだね」

恋査「家を開けることが多いのです」

インデックス「! これ甘くて美味しいね!」

恋査「そうですか。私は食べたことがないので、あなたと感想を共有する事は出来ません」

インデックス「……食べる?」

恋査「いえ。私に尋ねて来る客人なんて、滅多と居ませんから。全部食べて頂いて結構です」

インデックス「……あなた、名前はなんていうの?」

恋査「……恋査……恋査#28です」

インデックス「変わった名前だね」

インデックス「私は、Index Librorum Prohibitorum。インデックスって呼んで欲しいかも」

チートすぎるわwwwwww
てか、六位の能力はどうなるんだ?

恋査「目次ですか。貴女も十分変わった名前です」

恋査「で、何故。あなたがベランダに引っ掛かっていたのか、説明して頂けますか?」

インデックス「あなたは、魔術って信じる?」

恋査「話だけは、聞いたことがあります。学園都市の超能力とはまた違うフォーマットの『異能』が存在すると」

インデックス「そう。魔術を扱う、魔術結社に追われていたんだよ」

恋査「その、魔術に何故貴女は追われているのですか」

インデックス「私は禁書目録、だから」

インデックス「私の持ってる、10万3000冊の魔導書を狙っているの」

恋査「その膨大な書物は一体何処にあるのですか」

インデックス「ここ、だよ」

恋査「頭?」

インデックス「私は、完全記憶能力を持ってるの」

恋査「完全記憶……能力」

インデックス「……私、そろそろここを出るね。迷惑になっちゃうから」

インデックス「それじゃあ! ありがと、れんさ!」



恋査「……魔術。これは報告する必要があるのでしょうか」

………

薬味久子は、恋査の書類上の上司であり、管理者であり、そして十二人しか居ない統括理事会の一人である。
普段は第三学区にある大学付属病院で医者をしているが、その病院も怪しげな『科学』を注文通りに振る舞う人体実験場と化している。
恋査もまた普通の看護師ではない。
『学園都市に七人いる超能力者が全て同時に統括理事会へ敵対行動を取った場合の対応策』として造られた、サイボーグだ。
学園都市を傾かせる程の維持費と製造費を使用して作る意味は、恋査が超能力者、第一位から第六位の能力全てを扱うことが出来るからだ。
つまりは、統括理事会の『お守り』的存在なのだろう。
そんな恋査に、食べるという事自体必要としない理由は視床下部以外が全て機械化されているからだ・
茶菓子を食べなかったのも、それが理由。

そんな恋査は、調整の為に足を運んでいた研究所から、帰宅しようと無人バスを降りて自宅への道を歩いていた。
恋査はサイボーグだ。作り物の身体に、作り物の心。だが、紛い物だとしても恋査に心はあった。


恋査「綺麗な夕日です」

と、ビルとビルの間に隠れていく朱色の太陽を見つめながら恋査は言った。
恋査が住むのは第七学区の、薬味久子が用意したとあるマンションの七階。
少し歩くと見えてくる自分のマンションを見て、ふと今朝の魔術少女、インデックスを思い出した。
彼女は無事だろうか、と考えるが、答えは出なかった。
久しぶりに、家具でも買いに行くかと家具屋へ向かおうと、止まっていた足を前へ動かした。

そんな時だった。ドンッ……と鈍い地響きが鳴った。
地震ではなく、能力者の攻撃で引き起こされたものだと恋査は一瞬で判断する。


恋査「近くでしょうか」

数十メートル離れた路地裏で、ごうっ、と火の手が上がった。
駆けつけると、妙な光景が広がっていた。神父のような格好をした赤髪の大男が、炎を見つめていたのだ。いや、炎を見つめているのではない。
その神父らしき格好をした男の右手には何かが刻まれたカードに握られており、火の手を挟んでその向こうには見知った顔、インデックスの姿があった。
その光景は、一目瞭然だった。インデックスに、危険が迫っている。
サイボーグで、人間ではない自分でも、目の前で困っている人くらいは助けことは出来るないかと、そう思い恋査は軽い息を吐いた。
ならば、人の為に戦ってみるのも悪く無い。

恋査は、無断で戦闘を開始するなと薬味久子から釘を刺されていたのも忘れて、自分のために背中の『編み棒』を展開する。
そして、赤髪の男の背後へ立って、それから事務的に呟いた。


恋査「重度の問題を確認。目の前の標的を排除するとともに、インデックスを回収」

ステイル「ん? 君は……」

恋査「インデックスは、私の『友達』です。悪いですが、ここであなたには死んでもらいます」

恋査「それと……私は幸運です。半径200メートル以内に『超能力者』が居ます」

ステイル「レベル……5?」


そう言うと、どこから取り出したか『コイン』を空中へと弾き飛ばした。
これは真似事だ。常盤台の電撃姫と呼ばれる、そして能力名の所以でもある『超電磁砲』。
御坂美琴が編み出した、音速の3倍以上で射出される最速の弾丸。

恋査がコインを指へと弾くと、そのコインはソニックブームを起こしながら神父らしき格好の男へと向かっていく。
だが、神父の右肩を衝撃波で抉るだけで直撃はしなかった。途中で軌道がズレたのかもしれないが、まあいいだろうと恋査は取り敢えずのところ妥協した。
血が吹き出す右肩を必死に押さえる男を横目に、半径200メートル圏外に移動したと思われる超電磁砲の能力を切り替え、適当な能力へと変更した。
水流操作系の強能力者の能力だ。相手は炎系の力を使ってきているのだから、妥当な判断だが……。
相手はインデックスが言っていた『魔術結社』の人間なのかもしれない。
炎も、普通の炎なのかどうかも分からない。水をかけても消えない炎の魔術、なんてものもあるかもしれない。
取り敢えず水塊攻撃で相手の様子を観察する方針に切り替えると、恋査は数歩後ろへと下がった。

ステイル「ぐっ……! まさか、超能力者に、遭遇するとは想定外、だったな」

恋査「そうですか」

ステイル「僕はこんな所で、死ぬわけにはいかないんだ……っ! ここは大人しく、退散させて、貰うよ」

そういって、男は路地裏の闇へと消える。
戦闘の余波を受けたのか、インデックスは気絶していた。外傷はないようだが、一応の所医者に見せる必要がある。
この少女は客人用のIDを発行して貰っているのだろうか。していないならば、普通の病院は使えない。
恋査は病院、というものに行ったことがなく外傷を受けてもスペアを置いてある研究所に行って取り換えてもらうだけだ。
闇医者との接点が無い以上、残るは薬味久子の病院なのだが、人体実験の温床であるあそこへ連れて行くのも気が引ける。
となれば、闇医者ではないが数々の闇の人間をも救ってきた『冥土帰し』がいいだろう。
接点はないが、なんとかなるか。
そう思い、編み棒をしまいインデックスをおぶって裏路地から出た。夕日は沈みかけており、東の空は既に暗くなっていた。

今日の所はここで終わりです。

>>4
第六位の能力は使わないことにしようかな、と思っています。



超能力者の能力はいつでも使えるんじゃないんだっけ?

中途半端ですが、投稿します。
文章力がアレですね……

>>21
そうでしたね。勘違いしてました。
ありがとうございました


………

冥土帰し、というのはとある名医の異名である。
様々な難病・怪我を治してきた、ブラックジャック顔負けの超優秀な医者。
そんな医者についた異名は、『冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)』
見た目は冴えないお爺ちゃんだと、恋査も聞いたことがあったが冴えないというよりはカエル顔のほうが相応しい気がする。
冥土帰しは、意識のないインデックスを軽く診察すると、机の上においてあったカルテに何かを書き込んでいく。


冥土帰し「特に異常はないようだね? 君の言う通り戦闘の余波を受けて気絶しているだけのようだね」

冥土帰し「帰ったら暖かい布団に入れてあげて、ゆっくりと療養させてあげるんだよ?」

恋査「わかりました」

恋査は重荷が下りたように軽い息を吐くと、すやすやと寝ているインデックスを背負って病室を出た。
診察代はそれ程高い訳ではなく、普段から金を使わない恋査にとっては端金だ。
恋査は口座を持っていないので、金は全て自分が持っている。財布の中には一万円札が三十枚程。
インデックスは客人用のIDすら持っていないが、恋査は一般用のIDは持っている。保険証や、診察券は持っていないが。
病院から出ると空は完全に暗くなっており、時間は既に八時前になっていた。

インデックス「ん……っん……」

恋査「目が、覚めましたか」

インデックス「あなたは……今朝の……」

恋査「そうです」

インデックス「あの人から、助けてくれたのも……あなた?」

恋査「はい」

突然、インデックスの腹からぐぅぅぅぅぅう、と音がした。
普段ポーカーフェイスな恋査も豆鉄砲をくらったような表情になり、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
この近くにコンビニエンスストアがあったな。と恋査は思い出すと早速そこへ向かった。
恋査は料理ができない。そもそも食べた、という事をした経験がないので当たり前なのだが。
当然、コンビニエンスストアで買うものは惣菜。今の惣菜は割りと豊富で、薬味久子曰く「普通に料理するより美味しい」とか。
惣菜コーナーには、確かにファミレスで置いてあるようなスパゲティや、ゲテモノのゴーヤハンバーグ弁当などがある。


恋査「なんでもあるのですね」

インデックス「ねえ! どれにしよう?」

恋査「なんでもいいですよ」

インデックス「本当!? じゃあこれとこれとー」

選んだのは、何の変哲もないただのミートスパゲティと、ゲテモノの胡瓜炒飯と、ちょっとお高い感じのカップラーメンだった。
食べたことがない恋査にでもわかる。この小さな身体のどこにこれだけの料理が入るのだというのか、と。
そんな恋査とは裏腹に、インデックスは『ただいま本日限定パフェ発売中!』と大きく書かれた垂れ幕の中の、甘ったるそうなジャンボチョコレートパフェを指さして、「あれ!」と言った。
様子を見ていた店員さんも顔を真っ青にし、ただただ「すげえ」と感嘆するばかりだ。

恋査「食べれるのですか?」

インデックス「ふふーん。これでも大食いシスターとして名を馳せたんだよ」

恋査「そうなのですか」

納得したように、財布を取り出した。インデックスは腕の中にあった弁当とカップラーメンをレジへと置くと、「あれが欲しいかも」と再びジャンボチョコレートパフェを指さした。
店員は、髪が少し茶色がかった高校生くらいの男だった。奥にいる先輩らしき人に、パフェの注文があったと伝える。
合計金額は2000円くらいだ。ジャンボチョコレートパフェが1000円、少し高いラーメンや惣菜弁当を合わせて1000円を越えるか、越えないかくらい。
店員は、恋査の財布から顔をだした大量の1万円札をみて、再び「すげえ」と感嘆した。

店員「あ、ありがとうごさいましたー……」

………

七月二十四日、世間一般では『夏休み』と呼ばれる長期休暇が始まった頃だ。
幻想御手により昏睡した使用者が次々と回復したという知らせをききながら、恋査は入院患者のカルテをまとめていた。
情報源が統括理事会のメンバーである薬味久子なのだから、間違いはないだろう。

薬味「どーやら、幻想御手を作りだしたのって、木山春生なんだって」

恋査「木山春生……確か、暴走能力の法則解析用誘爆実験においての教師役でしたか」

薬味「そうそう。まあ木原幻生のやる実験はいつもながらマッドよね」

恋査「そういえば、やっぱりポテトはメリケン産ちゃんによる第五位のファイブオーバー、ブルーフィアー07の臨床実験は失敗したとの事です」

薬味「そう。木原乱数が怒り狂ってたんじゃない?」

恋査「いえ、許容範囲だと」

薬味「ふーん。まあ、出来るだけ連中とは関わりたくないし……レッドヒューリー03の臨床実験もはやくして頂戴って、先方へ伝えといてね」

恋査「わかりました」


ファイブオーバー、超能力者の力を純粋な科学で越えるというもので、実用化の域に達しているのは第三位のファイブオーバー、FIVE_Over.Modelcase_”RAILGUN”。
しかし搭載兵器である『ガトリングレールガン』が未完成だったり電気回路の異常などの問題が発生するため、実用化とは言い難い所もある。
恋査は、職員用の情報端末の電源を切りナースステーションの奥へと姿を消した。時間は午後八時過ぎ。
件のインデックスとは同居しており、いつもなら病院が閉まるまでナースステーションでボーっとしているのだが、どうも最近は足早になってしまう。
様子を見ていた薬味は、やれやれといった感じで溜息を吐いた。

恋査「では、お先に失礼します」

薬味「……ねえ。あなたは、恋査#28。前回の件もあるし、他の理事員共に目を付けられる前に、大人しくしておいたほうがいいわ」

恋査「……」

薬味「既に一部では、恋査#28の記憶データのフォーマットを提案しているヤツもいるの。極論でいえば、破壊して稼働している#29を使わせるべきだと」

恋査「心得ています」

薬味「そう……まあ、私としては#29は好きじゃないし、来月に行われる予定の『計画』にもあなたが必要だしね」

恋査「計画……?」

薬味「統括理事長は、第一計画の主軸であるcode:000001を使って何かをしようとしている」

薬味「統括理事会的にも、重要な計画である絶対能力者進化計画に関わる何か……を」

薬味「私の言っている計画は、もしもの場合に起こりうるケースを想定した予備プラン」

薬味「いずれ、あなたにも言う時がくるでしょうね」

薬味はそう言って、自室へと戻っていった。
恋査は怪訝な表情をしながら、自宅へ向かうために病院を飛び出した。飛び出した瞬間に、違和感を感じ取った。
時間的にも、それほど遅い時間ではない。夜中でも人は居るものだ。警備員なりスキルアウトなり。
人っ子一人居ない、なんていうのはあり得ないのだ。こんな時間に、それもこんなバスターミナル前で。

突然カツン、と靴の音がした。恋査の目の前に現れたのは、黒い日本刀を腰にさした女だった。
右足のジーンズは破かれており、白いTシャツは左側で括られていた。
腰まである長い髪の毛を揺らしながらその奇妙な格好をした女は徐々に近付いて来る。
恋査は、同じ女としてもこの格好は凄いと、自分の胸と見比べて溜息をつきながら思う。

神裂「あなたが、ステイルをやった犯人ですか」

恋査「ステイル?」

神裂「赤髪の長身の男です」

恋査「……件の魔術結社ですか。インデックスをこれ以上、つけ狙うなら容赦はしませんよ」

神裂「……成程。ならば、聖人としてあなたと戦いましょう。インデックスを助けるために」

神裂「ですが、私は貴女に「魔法名」を名乗りたくない。できれば、降参して欲しいのですが」


ガシャッ、と恋査の背中から巨大な花は展開した。編み棒が数本飛び出し、機械音を鳴らしながら編み棒は動いていく。
女は、地面を蹴ると人間とは思えない速さで恋査へと接触してきた。右足が目の前に現れるが、恋査の使っている能力は『未元物質』。衝撃をカバーすることなど容易い。
右足を受け止めれると、巨大な花の上から天使の羽のような六枚羽を展開する。羽の一枚で女を薙ぎ払うと、再び編み棒を動かし始める。
体勢を整え始めた女に、緑色にも近い色のレーザーをぶつける。しかし、かわされてしまい、女は空中へと飛び上がると黒い日本刀を少しだけ抜刀した。

神裂「七閃!」

技名のようなものをさけぶと、目にも留まらぬ速さで『何か』は地面を抉りながらそのまま恋査のボディに傷をつけた。
編み棒には、傷が無かったらしく問題なく編み棒は動かせる。相手はスピードタイプか、と判断すると次は第一位の能力、『一方通行』へと切り替える。
再び『何か』は恋査へと攻撃したが、デフォルトの『反射』が作用したのかバチバチッと音を立てながらそれは消えた。
地面には、月の光に綺羅びやかに反射する透明の糸が数本落ちている。糸の強度はピアノ線のようにしなやかかつ、硬かった。

恋査「糸……」

神裂「気付かれましたか。それよりも、あなたは一体……」

女が言い終わる前に、恋査は足元の地面をつま先でコツンと蹴った。
次の瞬間、地面はゴウン!という轟音を鳴らして抉り取られた。足元にあった石を蹴り飛ばすと、その石は音速程の速さで飛び、女へと向かっていった。
しかし、女はそんな石をいとも簡単に受け止め、放り投げた。

神裂「その力。あなたが超能力者ですか」

恋査「私は超能力者ではありません」

恋査「学園都市に七人いる超能力者が全て同時に統括理事会へ敵対行動を取った場合の対応策」

恋査「そういう目的で作られた、『サイボーグ』、改造人間です」

神裂「改造人間……!?」

今日はここで終わりです。

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