苗木「ポケモン?」 (61)

不二咲「うん。知ってる?」

苗木「そりゃあ、知ってるけど。小学生の頃に遊んだことはあるかな」

不二咲「これはバーチャルゲームの先駆けで、『ポケットモンスター アース』っていうんだけど、テストプレイヤーを希望ヶ峰学園内で探してほしいって依頼されちゃったんだ。苗木クンもよかったら今からやってみない?」

苗木「バーチャルって……ゲームの中に入るの?」

不二咲「危険はないから大丈夫だよ」

苗木「うーん……わかった。じゃあ、ちょっとだけやってみようかな」

不二咲「ありがとう」パァ

苗木「(かわいい)」

七海「どもー。案内役ゲームマスターの七海千秋です」

ウサミ「同じくウサミでちゅ」

苗木「本当に入れちゃった」

七海「それじゃあ、まずはこれやってくださーい」

苗木「ガチャガチャ?」

七海「なんと、ポケモンをランダムで一匹だけあげちゃいます」

ウサミ「頑張ってくだちゃーい」

苗木「よし、いいの当たれ!」

ガチャコン

ボン!

キャタピー「ぴーきゃん!」

苗木「……」

七海「オープンワールドなので、あとは自由に遊んでください」

ウサミ「モンスターボール二つとポケフォンでちゅ」

苗木「どうも」

七海「あ、回復はこっちに戻らないとできないから気を付けて」

ウサミ「また来てくだちゃーい。らーぶらーぶ」

苗木「自由にしろって言われてもなぁ……」

キャタピー「ぴぃ」

苗木「ま、せっかくだし楽しまなきゃな」

苗木「現在地は……と。って、森と海と草原くらいしかないじゃん」

ガサガサ

苗木「!?」

戦刃「苗木クン……?」

苗木「戦刃さん? へぇ、意外だなぁ。戦刃さんもこういうゲームとかやるんだ」

戦刃「頼まれたから……」

ピカチュウ「ぴっかちゅう!」

苗木「あ、ピカチュウだ! 可愛いな。戦刃にぴったりだね」

戦刃「///」カァ

苗木「このゲーム、どんな風に遊んだらいいんだろ。あくまでバーチャルゲームのテストだからそんなに頑張らなくてもいいらしいけど」

戦刃「私も、さっき来たとこだから……」

苗木「なんでもしていいって言われると逆に困っちゃうよね」

戦刃「まず……ポケモンがよくわからない……」

苗木「そうなんだ。ポケモンはね、こういうモンスターたちを捕まえて闘わせたりするゲームなんだよ」

ピカチュウ「ちゅう」

キャタピー「ぴ」

戦刃「……かわいそう」

苗木「そ、そんなこと言われてもなあ……」

ガサガサ

戦刃「!?」サッ

苗木「あ、さっそく野生のポケモンかな。よし、捕まえてみよう」

戦刃「(苗木クンのため……!)」ブンッ

ゴン!

「かはっ」

苗木「あ」

バタリ

狛枝「」シーン

苗木「大変だ! 人に当たっちゃった!」

戦刃「ご、ごごめんなさい……苗木クン……」

苗木「大丈夫ですか!?」

狛枝「うーん……」

戦刃「(嫌われる嫌われる嫌われる嫌われる)」

苗木「あ、起きた。打ち所が良かったみたいだね」

狛枝「……苗木クン? 苗木クンじゃないか!」

苗木「え、あ……狛枝先輩……」

狛枝「いやあ、まさかこんなところで会うとはね。うん、やっぱりボクはツイてるよ!」

狛枝「二人はだいぶ後発だね。なんか今はみんなで誰が一番多く珍しいポケモンを捕まえられるのか勝負してるみたいだよ」

苗木「そうなんだ」

狛枝「……相変わらずいい目をしているね」

苗木「うっ」

狛枝「その瞳の奥には力強い『希望』を感じるよ。はぁ……それなのにボクみたいな屑がキミと同じ『超高校級の幸運』だなんて、ホント、おこがましい話だよね」

苗木「そ、そんなことないですよ。ボクなんて……(この人、苦手なんだよなぁ。会う度いつも執拗に絡んでくるし)」

メタモン「ぷるるん」

苗木「!?」

狛枝「ああ、ごめんね。キミがとても愛おしくて彼に擬態してもらっていたんだ。……気持ち悪いよね」

苗木「(もう嫌だ)」

戦刃「!? ポケモン!」

ガサガサ

ミュウ「みゅー」

苗木「ああ! ボク知ってる! ミュウだよ、幻のポケモン!」

狛枝「そうなんだ。ま、ボクみたいな奴が頑張っているみんなを差し置いて珍しいポケモン捕まえるだなんてできないし、
そもそもこんな最先端の技術と才能に満ち溢れた空間にいること自体が不相応というか、不二咲さんの頼みだから快く請けたんだけど、断ればよかったかな……」

苗木「いいから捕まえようよ!」

狛枝「苗木クンのためなら!」

戦刃「!」

狛枝「シッ」ブンッ

ミュウ「みゅ!?」

ボン!

ミュウ「みゅう」

メタモン「ぷるるん!」

狛枝「ああ……凄いよ……苗木クンが三人もいる」ハァハァ

苗木「それやめてください。本当に


戦刃「(コイツずるい)」

『うぷぷぷぷ』

戦刃「!」

苗木「な、なんだ? 急にウィンドウが浮かび上がって……」

『オマエラ、楽しいゲームはもうおしまいだよ! ここからはコロシアイバーチャルゲームを開始します!』

苗木「え、どういうことだ」

『そんじゃ、グッドラック』

プツ

苗木「消えた……」

戦刃「……」

狛枝「なにか様子が変だね。ゲームマスターのNPCとも連絡が取れないよ」

ケンロウス「ぶふぉ!!」

ダッダッダッ

戦刃「!? 苗木クン、危ない!」

苗木「わ」


ドッシーン!!


苗木「いてててて……」

戦刃「大丈夫!?」

苗木「うん、なんとか」

狛枝「あ……駄目だよ。苗木クン、そこは……」ハァハァ

苗木「うわあ!?」

戦刃「……ふざけている場合じゃない」

狛枝「あれ、なんで怒ってるの? とりあえず、ごめんね」

ケンロウス「フンフン……!」

苗木「ポケモンがプレイヤーに襲ってきた……?」

狛枝「よくわからないけど、今のが当たったらただでは済まない気がするね」

戦刃「二人とも逃げて。ここは私が」

苗木「だ、ダメだよ戦刃さん! いくら戦刃さんでも危ないって!」

ピカチュウ「ぴ~か~」ジジジ

戦刃「ピカチュウ……?」

狛枝「『超高校級の軍人』であるキミの才能を侮辱するわけではないけど、ここはポケモンを使って闘った方がいいんじゃないかな」

ダッダッダッ

ケンロウス「ぶふぉ!!」

狛枝「ミュウ、バリアー」

ミュウ「みゅう!」

ドン!

ケンロウス「ふんぶ!」

狛枝「いまだよ、苗木クン」

苗木「キャタピー、いとをはくだ!」

キャタピー「ぴー!」

シュルシュル

ケンロウス「ぼ!」

戦刃「ピカチュウ、10まんボルト」

ピカチュウ「ぴーかー……ぢゅぅぅううう!!」ビリビリ

ケンロウス「もおおおおおお!!」

狛枝「さて、これからどうしようか。外との連絡が取れない以上、安全な場所を確保してほとぼりが冷めるまで身を隠すのが適切な判断だと思うけど」

苗木「それは違うよ!」ロンパー

狛枝「え。もしかして、苗木クン」

苗木「だって、ボクたち以外にも閉じ込められた生徒がたくさんいるんでしょ? だったら助けなくちゃ。こんな危険な状況でみんなを放ってはおけないよ」

狛枝「ああ……いいよ……キミの希望に満ちた優しい心……」ハァハァ

戦刃「私も……協力する」

狛枝「こんな役立たずでよければボクも付き合っていいかな……?」ハァハァ

苗木「ありがとう、二人とも。よし、はやく他の生徒を探し出そう」

モノクマ「うぷぷぷぷ……」

モノクマ「残姉をからかいに来ただけのつもりだったけど、思った以上に色々楽しめそうだね」


モノクマ「さーて、他の連中は、と」


葉隠「やばいべ、左右田っち! 蜂の大群がきたっぺ!!」

左右田「ああああああ!! レアコイル、でんじは!!」


山田「あのー……お嬢様方、本気で言ってるのでしょうか」

ソニア「ええい、おだまりなさーい! 日本男児たる者、やる時は余裕のよし子ちゃんなのです!」

セレス「もっと強い仲間が欲しいと言ったのは貴方でしょう。さあ、はやくのあのドラゴンを連れて帰りなさい」


田中眼蛇夢「フハッハッハッハッ!! 次元の狭間に存在し魔獣共よ!! 俺様の手で踊り狂うがいいわ!!」ナデナデ


モノクマ「あんま緊張感ねーな、おい」

罪木「うっうっ、うぅぅぅ……」

罪木「ここどこですかぁ……もうお家に帰してくださあい」メソメソ

ガサガサ

罪木「ひゃあ!?」

コラッタ「じゃ!」

罪木「ま、まままたですかぁ……」

罪木「え、えーい!」ブンッ

ボン!

コイキング「ぼっぼっ」

コラッタ「かっかっかっかっ!」コリコリリ

コイキング「ぼっ……ぼっ……」ピクピク

罪木「あーん! やっぱり無理ですよー!」

「みずのはどう」

ズ……

コラッタ「かっ」

罪木「え」

ペルシアン「にゃいん」

十神「フン。命拾いしたな、愚民め」

罪木「……あ、その、ありがとうござ」

腐川「くぉらあ!! だあほが!! 白夜さまが助けてくださったんだからもっと誠意を込めて感謝しろや、メスブタ!!」

罪木「め、メスブタですすすすいません!!」




罪木「とりあえず、応急処置だけなんとか」

コイキング「ぼっぼっ」

十神「おい」

罪木「は、はぁい」ビクッ

十神「お前の手持ちを全て寄越せ」

罪木「え……」

十神「なんだ? 助けてやったんだ。それくらい当然だろう」

腐川「さっさと出せや、コラ」

十神「お前はいつまで追いてくるつもりだ」

腐川「白夜さまが行くとこなら地獄の果てまでもぉん!」

罪木「えっと、わたし、この子しかいなくてぇ」

コイキング「ぼっぼっ」

十神「チッ。なら捕獲用のボールがまだ余っているだろ」

罪木「あ、はい。ひゃ!?」ステン

ドスーン

十神「……ふざけているのか」

腐川「なっ!? 天然の色仕掛けとはこのクソ女!」

コロコロ……


ジャボン!

腐川「あ」

罪木「ひゃあ! ボールが! ……よかった。なんとか拾えて。あれ……なんだか重い」

ボン!

ボン!

コイキングB「ぼっぼっ」
コイキングC「ぼっぼっ」

罪木「う、うえ~ん」

バンギラス「ギャオーン」

戦刃「あれが強いの?」

苗木「うん。捕まえられたらだいぶ心強いんだけど」

狛枝「いやあ、我ながら引きがいいね。それともボクたち二人分の幸運かな? ねぇ、苗木クン」

苗木「作戦通り行くよ!」

狛枝「聞いてる? まあ、ボクみたいな能無しがキミと同列に語るだなんて(ry」

戦刃「ゴウ」

ダッ

狛枝「やあ、こっちだよ」

バンギラス「ごあああああ!!」

狛枝「(とけたミュウを粘着性のある液体に変えて)」

ビタビタッ

バンギラス「が!?」

狛枝「次はメタモンをロープに変身させてっと」ビシッ

グルン

狛枝「巻き付けたとこでワイヤーに……。戦刃さん」

戦刃「ピカチュウ、くさむすび」

ピカチュウ「ぴか!」

ドォン!!

バンギラス「ごあ……」

戦刃「」ブンッ

トランセル「イヤンセル」


ゴンッ

狛枝「苦もなく仕留められたね」

苗木「でも、まだ他の人たちを一人も見かけてないね……無事だといいんだけど」

戦刃「動き回りすぎるのも危険」

狛枝「それもそうだね。かと言って、苗木クンの思いやりを無下にするわけにはいかないでしょ。たった今、進化したキミのポケモン、少し借りるよ。みんな、手分けして捜索をお願いね」


バタフリー「ふりー!」
バタフリー(メ)「ふりー!」
バタフリー(ミュ)「ふりー!」

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