苗木「江ノ島さんと結婚してもう1年か…」(317)
ダラダラ書いてきます
苗木「盾子さん。今日で結婚して1年だよ」
江ノ島「え?それは本当ですか?この私様が苗木なんかとそんなに長い時間過ごしてたとかマジ絶望!!正直ありえねーんだけど!!」
苗木「こら、また絶望って言ったね」
江ノ島「なぁにぃ~~?それじゃあまた私の身体にあの『おしおき』を刻み込んじゃうのぉ~?」
苗木「まったく…。君は本当に懲りないんだね。まるで『おしおき』されるのを望んでるみたいだ」
江ノ島「それはどうでしょうか?と言うよりおそらくあなたの勘違いでしょう」
江ノ島「でも仕方ないからさ、早く『おしおき』…してよ?」
苗木「わかったよ盾子さん」ダキッ
江ノ島「あっ…、苗……誠」
苗木「今日は久しぶりに君の好きな耳から行こうか」ハムッ
江ノ島「アン…。はっ、はぁん…。もっと、私のこと食べてぇ…」
朝ちゅん
苗木「んっ…、もう朝か。」
江ノ島「( ?ω? ) 」スヤァ…
苗木「昨晩はちょっと激しすぎたかな」
苗木「正直僕もまだ眠いし、あと少しだけ寝ようかな…」
バイク「ブロロロロー」アイドリングなう
ポスト「ガタン」
バイク「ブロロロロー」バイナラ
苗木「なんか届いたみたいだな。今はもう6時半だから新聞ではないな」
苗木「気になって眠れないから取りに行こう。あの学園生活以降どんな小さなことでも気になって仕方ない」
苗木「手紙?差出人は…、葉隠君?」
苗木「どうして手紙なんか…。携帯使えばいいのに」
手紙『今日で俺たちが卒業してから444日!なんか区切りいいからみんなで集まろうと思ってるんがどうだべ?都合つく日教えてほしいべ!』
苗木「同窓会ってやつか。そういえば卒業してから一回も顔見てない人もいたっけな…。久しぶりにみんなと会いたいな」
苗木「よし、そうと決まれば葉隠君にメールしよう!ケータイケータイっと」
モノクマ「はい誠のケータイ」
苗木「ああありがとうモノクマ」
苗木「『僕ならいつでも大丈夫だよ。いつにするか決まったらまた連絡下さい』っと」
モノクマ「じゃあケータイ戻してくるよ?」
苗木「いや、いいよ。僕もそっち戻るからさ」
モノクマ「そう?わかった」ヒョイ
苗木「さて、盾子さん?いちいちモノクマ使ってサボるなって言ったよね?」
江ノ島「( ?ω? ;) 」スヤァ…
苗木「起きてるのはわかってるんだよ?君の手に操作リモコンが握られているのはお見通しさ」
江ノ島「…………ふぁぁ、おはよう誠」
苗木「うんおはよう。だけどさっきから起きてたよね?」
江ノ島「えっ?わっからないなー…」
苗木「」プンスカ
江ノ島「はいはい起きてました。だから怒らないでよ」
苗木「」プンスカ
江ノ島「モノクマ使ったことも謝るからさー」
江ノ島「だってさ、このまま誠にケータイ渡しにいくの…、恥ずかしかったんだもん…」モジモジ
苗木「!!」ギュン!!
江ノ島「あっ…、誠くんが…」
苗木「ごめん盾子さん。僕ちょっと我慢できないかな」ガバッ
江ノ島「ちょっ!?いきなり飛びついてこないでよね!?」
苗木「また昨晩みたいに逝こうか?」
江ノ島「もう…、これも『おしおき』…?」
苗木「それは違うよ!」
江ノ島「」ビクッ
苗木「これは、言わなくてもわかるよね…?」
夜ちゅん
苗木「夜ちゅんってなんぞ」
江ノ島「なに?」
苗木「あぁいや、なんでもないよ!」
苗木「そういや葉隠君からケータイに連絡入ってるかもしれないな」
苗木「えっと、一斉送信で来てるな。『えー本日はお日柄もよく(略)とりあえずみんな再来週の日曜は都合つくらしいからその日にするべ!時間は10時からってことでよろしくだべ!』」
苗木「うん、その日は暇だから大丈夫だな!」
江ノ島「その日ってか毎日暇じゃん」クスクス
苗木「仕方ないじゃないか。宝くじ買ったら一等当たっちゃうし、それを消費するように株やったら三倍になって返って来ちゃったし」
江ノ島「さすがは超高校級の幸運であっただけのことはあるわね」
苗木「おまけに盾子さんのモデルでの収入もスゴいしさ」
江ノ島「だから働かないとか清々するくらいのクズですね」
江ノ島「ですがそのおかげで私もこの肉欲の日々に溺れていられるんですがね…」キノコ
苗木「肉欲の日々になっちゃってるのは誰のせいなのさ?」
江ノ島「さぁ、誰なんでしょうか?」
ガチャッ、バタン
戦刃「誠君。えっと、お腹すいた」
苗木「あっ、むくろさん。3日ぶりだね」
江ノ島「残姉ちゃんまたこもりきりでゲームしてたの?」
戦刃「うん」
江ノ島「よくお腹すかないね~。やっぱ元軍人て自分の欲を押さえる術身に付けてんの?」
戦刃「そんなことはないよ?私もちゃんとお腹すくの」
戦刃「昨日の晩にレーション食べ終わっちゃって、だから今朝はちゃんとご飯食べようと思ったの」
戦刃「でもリビング行ってもご飯置いてないし、冷蔵庫にもそれらしきものはなかったから誠君達にお願いしようとおもったんだけど、」
戦刃「二人とも、その…激しい…、の最中だったから言い出せなくて…」
苗木「そうだったのか…。ごめんねむくろさん。つい夢中になっちゃってて…」
江ノ島「おしおきとか言っときながら自分も楽しんでんじゃん?」プププ
苗木「それは違うよ!」
江ノ島・戦刃「」ビクッ
苗木「今君は自分『も』って言ったよね?とゆうことは君は『おしおき』中に楽しんでるってことになるよね?」
江ノ島「えっ、それは…だって…」
苗木「とゆうことはもっとキツ~イ『おしおき』にしなきゃダメなのかなー?聞いてる盾子さぁん?」
江ノ島「だって……、誠と繋がってって思うと、嬉しいから…だから…」
江ノ島「誠は…違うの?」
苗木「盾子さん。…………意地悪してごめんね」
江ノ島「誠…」トキメキ
戦刃「」
戦刃(いいな盾子ちゃん…。あんなに誠君とら~ぶら~ぶで)
江ノ島「羨ましい?」
戦刃「」ビクッ
戦刃「あれっ…声に出てた?」カァァーー
江ノ島「ううん?だって私達、双子の姉妹じゃん?なんとなくわかる」
苗木「そこはエスパーって言うとこじゃない?」
舞園「」ヘクチュ!
舞園(風邪かしら…?)
江ノ島「じゃあさじゃあさ、お姉ちゃんも混ざる!?三人で!」
戦刃「それはダメだよ…。だって盾子ちゃんたちは夫婦なんだから」
苗木(スルーされた)
戦刃「それにいまゲーム途中なの」
戦刃「どうしてもティーダの正体が気になるの」
江ノ島「そうなんだ。まぁ気が向いちゃったらそんときは誠やら私やらに夜這いかけてよね」ウインク
苗木「夜這いって…」
戦刃「わかった」
苗木「むくろさん!?」
戦刃「それじゃあ部屋に戻るね」
江ノ島「ばいば~い。とりあえず夜這いが夜襲なるのは勘弁してね~」
戦刃(大丈夫…。私はお姉ちゃんなんだから、盾子ちゃんのために我慢できる…。盾子ちゃんと誠君が幸せならそれでいい…。)
江ノ島「………ふーん」
そして同窓会の日
苗木「ん~…」
江ノ島「」スャァ
戦刃「」スャァ
苗木(右腕に盾子さん、左腕にはむくろさん。今僕って両手に元絶望を抱えてるのか)
苗木(結局むくろさんはあの次の日に夜這いを仕掛けてきた。むくろさんは意思の固い人だと思ってたのに…。)
苗木(まぁおそらく盾子さんに何か吹き込まれたのだろう。それとも媚薬?料理はたいてい盾子さんが作るからそこらへんはわかりかねる)
苗木「そういえばこの二人、同窓会行くのかな?」
苗木(今現在、世界は平和を取り戻してきている。もちろん1年ちょっとしか経ってない分、世界がかつてのように回復しているわけでもない)
苗木(だから僕はこの有り余る財産を寄付し、また平和な日常を送れる日を願って嫁たちと戯れている)
苗木(ん?江ノ島と戦場は未来機関に引き取られなかったのかって?最初は大変だったよ。僕たちの居場所がばれたときにはもうダメかと思った)
苗木(でもさ!上の人たちに札束放ったらみんな水を得た魚みたいな目して『もう帰っていいよ♪』って言ったんだよ。みんなお金がなくて大変なんだね)
苗木(へ?誰がゲスいって?)
話は戻る
苗木「そういえばこの二人、同窓会いくのかな?」
苗木「ちょっと、二人とも起きてよ」ユサユサ
江ノ島・戦刃「あぁん…」
苗木「」ヤァ!
苗木(まったくこの二人は…。誠君はもう起きたってのに)
苗木「二人とも~、僕8時くらいになったらもう家出るよぉ?」
江ノ島「私様をおいていこうなんてたいした度胸ですわね…」
苗木「そんな可愛い声で言われても…」
戦刃「誠君が…元気」ポッ
苗木「君は朝からモリモリだね」
苗木「もう、着いてくるなら早く起きなさい!」
江ノ島「着いていくも何も…」
戦刃「私達も78期生だし…」
江ノ島・戦刃「ねぇ?」
苗木「こんなときに双子らしさ出さなくていいから!早く支度する!」
江ノ島・戦刃「は~い」
苗木「まだ7時だってのが幸いだな」
江ノ島「いつもなら昼まで寝ておりますがね」
苗木「夜が長いから仕方ないよ」
戦刃「」
戦刃「私も長い夜はCODと一晩中…」
江ノ島「それってぇ~?はりあってるつもりなのぉ~?」
モノクマ「それだから君はいつもいじめられるんだよ。少しは強くなって見せろ」
戦刃「……おかしい。なんだか青いタヌキに怒られてるような気分」
モノクマ「まったく、君と言うやつは!」クマー
ふぁみれす
江ノ島「ちょっと私たちお花摘んでからいくね」
戦刃「えっ、私は別に大丈夫だけど…」
江ノ島「いいからさっさとついてくる」プププ
戦刃「ちょっと盾子ちゃん…」グイッ
苗木「?」
苗木「じゃあ僕は先に言ってるね」
江ノ島「は~い」
ふぁみれす
江ノ島「私達ちょっとお花摘んでから行くね」
苗木「うん、わかったよ」
戦刃「うん」
江ノ島「お姉ちゃんは私についてきてね」
戦刃「えっ、私は別に…」
江ノ島「いいから来るの!」プププ
戦刃「ちょっ、引っ張らないでよ~…」
苗木「どうしたんだろう盾子さん。あれは何か企んでる顔だったけど…」
>>18はミス
葉隠「おっ、苗木っちが来たべー!」
朝比奈「久しぶり!」
苗木「みんな久しぶり!もう一年以上会ってない人もいるよね」
苗木「桑田くんと舞園さんはテレビでよく見るよ!」
桑田「いやー、俺だって本当はミュージシャン目指してたんだけどよー、」
桑田「球団入ったらすぐに活躍させてもらえるって言われたから見事にスカウトされちまったわけよ!」
苗木「ほんとすごいよね。もうエースとして活躍してるんだもん!」
苗木「舞園さんもまたCD1位だったよね!」
舞園「ありがとうございます苗木君!そうゆう苗木君は今何のお仕事をしているんですか?」
苗木「僕は…、えっと、その、も、もうすぐでみんな揃うかなぁ~…」
朝比奈「そうだね~。今いるのは桑田、葉隠、舞園ちゃん、そして苗木だね」
苗木(んー、やっぱり無職してますとは言えないよね…)
舞園「なるほど、苗木君は夢を追求してる最中なんですね!」
苗木「あれ?口に出てた?」
舞園「いえ、出てませんよ。でもわかります、エスパーですから」フフッ
苗木「冗談、だよね?」
舞園「そうです。なんだか懐かしいですね」
苗木「もう一年以上も話してないもんね」
葉隠「それにしてもみんな何やってるんだべ。桑田っちでさえ時間通りに来たのに」
桑田「失礼だなおい。久しぶりにみんなの顔見たかったから早く来ちまったんだよ」
葉隠「まあ俺も同じ理由だべ」
苗木「でもまだ9時半だし仕方ないよ」
苗木(それからすぐに十神君、腐川さんが来た)
苗木(さらに10分して、セレスさん、山田君、霧切さんが来た)
苗木(さらに20分後には石丸君、大和田君、不二咲君が来た)
十神「フン。これで全員揃ったようだな」
葉隠「後から来たくせによく言うべ」
十神「DAMARE」
苗木「ちょっと待って、まだ来てない人が…」
霧切「何を言ってるの?これで全員のはずよ」
セレス「ええ、その通りですわ」
葉隠「じゃあ席に移動するべ」
苗木「さて、どこに座ろうかな」
舞園「苗木君。私の隣あいてますよ?」ポンポン
苗木「あぁありがとう。じゃあ失礼するね」
舞園「はい!」
霧切「ちょっと待ちなさい」
苗木「?どうしたの霧切さん?」
霧切「私の隣もあいてるわよ。これがどういう意味かわかるわよね?」
苗木「えっと…」
霧切「つまり、あなたはここに座らなくちゃいけないのよ」
舞園「ちょっと待ってください!それはおかしいです!苗木君は私の隣に座るんですよ!」
霧切「その理屈はおかしいのではないかしら」
舞園「あなたに言われたくありません!」
苗木「ちょっと二人とも…」
山田「苗木誠殿は相変わらずですなぁ」
大神「変わらぬのはあの二人も同じことだ…」
トイレの陰
江ノ島(うちのダンナはどうしてあんなに優柔不断なのでしょうか)
戦刃(まさか盾子ちゃん…、これが見たくて…?)
江ノ島(さぁどうだか?)プププ
十神「苗木。そんなやつらの隣よりここに座れ」
腐川「白夜様まで……!!ぐぬぬ…、苗木のくせに~~……!あとでアイツに切り刻ませてやるんだから…!」
苗木「なんで僕が…」
江ノ島(そろそろ戻ろうかお姉ちゃん)
戦刃(今戻るの?…雰囲気が怪しいよ?)
江ノ島(だからでしょ)
苗木(どうしてこうなった)
舞園・霧切「」
苗木(舞園さんと霧切さんが僕を挟んで睨みあってる…。すごく居心地悪いな…)
舞園「ごめんなさい苗木君。でも悪いのは霧切さんなんですよ?」
苗木(また心を読まれた…)
十神「なぜ俺の隣は苗木でなくお前らなんだ」
腐川「私ば白夜様以外の隣なんてありえません!」
山田「申し訳ございませぬ十神白夜殿。空いてる席がなくなってしまったもので」
苗木「ねぇ二人とも?それくらいにしとこうよ…」
霧切「それもそうね」
舞園「苗木君も居心地悪いですもんね」
苗木「そ、そうだね…。ありがとう霧切さん、舞園さん。」
苗木(盾子さんもむくろさんも遅いな…。かれこれ一時間もトイレにいるし。かと言って様子を見に行くわけにもいかないし)
江ノ島・戦刃「」スタスタ
苗木(あっ、戻ってきた)
不二咲「んっ?あ、あれって…!」
大和田「どうした不二咲…、!!お前ら…!」
セレス「あれは…、江ノ島さんに戦刃さん、ですわね」
葉隠「俺、アイツらには連絡してないはすだべ…。てゆうか連絡先知らないべ」
舞園「ではなぜここに…」
江ノ島「待たせたわねダーリン!!」
戦刃「ただいま誠君」
一同「!?!?!?」
舞園「いったい、どういう…」
霧切「江ノ島盾子、戦刃むくろ…」
江ノ島「江ノ島に戦刃、か。懐かしい名字ね」
霧切「何よ。まるで今はそうじゃないみたいに」
舞園「それにダーリンってどういう意味ですか!?」
江ノ島「ダーリンっていうのはねぇ、夫に向けての呼称なんだよぉ~?」
舞園「それくらい知ってます!なぜ苗木君に対してそう呼んでるのかを聞いてるんです!」
霧切(名字に対する反応…。それに苗木君に対してダーリンと呼ぶ江ノ島さん。ここから導き出される答えは…、まさか…)
江ノ島「霧切ぃ、やっと気づいたのかぁ?それとも気づきたくないふりしてるだけかぁオイ!?」
霧切「江ノ島盾子、戦刃むくろ。あなたのどちらかの名字は…」
江ノ島「どちらかじゃないよ!どっちもだよ!あたしら姉妹の名前は苗木盾子に苗木むくろなんだよ!」
舞園「え、ど、どういう…」
腐川「どうもこうもないじゃない…。苗木は江ノ島か戦刃のどっちかと入籍してるのよ…!」
霧切「」
舞園「いえ、まだわからないはずです…。もしかしたら名字が苗木なだけの赤の他人かもしれませんし…」
江ノ島「そんなわけねぇだろ!間違いなくこのあたしは苗木誠の嫁なんだよ!」
セレス「」
大神「なんと…、立ったまま気を失っているというのか…!」
朝比奈「セレスちゃーん、しっかりしてー!」
霧切「…苗木君、それは本当なの?」
苗木「うん、彼女の言ったことは正しいよ」
霧切「では江ノ島さんはともかく、なぜ戦刃さんまで名字が苗木になってるの?」
不二咲「まさか…、重婚…?」オロオロ
朝比奈「不潔だよ!」
十神「それはありえん。いくら世界が壊滅的なダメージを受けていたとはいえ、日本の法までは変わっていない」ブクブク
桑田「泡吹きながらしゃべってやがる…」
苗木「むくろさんはね、僕らの養子になったんだ」
江ノ島「だから名字も苗木なわけ!understand!?これ以上説明できることはなにもねえよ!」
霧切「ええ、よくわかったわ。それじゃああと1つだけ。…苗木君」
苗木「何かな?」
霧切「超高校級の希望と呼ばれていたあなたが、なぜ超高校級の絶望であるこの二人と…」
苗木「それは違うよ!」
霧切「」ビクッ
苗木「彼女はもう絶望なんかじゃない…。そもそも高校生じゃない。だが強いて言うならば、盾子さんは超高校級の嫁、むくろさんは超高校級の義妹さ!!」BREAK!
霧切「」
霧切「そう…。わかったわ」
江ノ島「わかったならさぁ、舞園と一緒に誠の隣あけてくれない?」
霧切「」サッ
舞園「霧切さん…」
霧切「…………このフォークで私の静脈切り裂けるかしら」
朝比奈「ちょっ、霧切ちゃん!?早まっちゃダメだよ!!」
舞園「あっ、こんなところに包丁が落ちてる…。うふふふふふふふ。これで苗木君を私だけのものに…」
葉隠「こんなとこに包丁置いといたの誰だべ!?このままじゃnice boat.だべ!?」
苗木宅
苗木(結局2時間もしないでお開きになってしまった…)
苗木(あのあと霧切さんはフォークを見つめながらうつむいたままだったし、舞園さんは…、ただひたすらに怖かった)
苗木(それからしばらくしないうちに、舞園さんが精神科に通いつめてることが世間に知れ渡ったのは言うまでもない)
苗木(セレスさんと十神くんは病院に搬送され、山田君と腐川さんはそれについていった)
苗木(とにかく同窓会どころではなくなってしまったのだ。……みんなごめん)
江ノ島「なかなか面白い催しだったぞ人間よ!あの霧切と舞園の表情ときたら、久しく忘れていたものを思い出させてくれるわ!」
戦刃「私はゲームしてくる」
苗木「ほどほどにしておきなよ」
戦刃「誠君…、まるでお父さんみたい」
苗木「まぁ似たようなものだからね」
戦刃「……それじゃあまた」バタン
苗木「うん、ちゃんとお腹すいたら出てくるんだよ」
江ノ島「誠ってさ、なんか残姉ちゃんにやたら優しいよね」ジトッ
苗木「そんなことないよ…。だって家族じゃないか」
江ノ島「だって私がしっかりしてなかったら『おしおき』してくるしさ」
苗木「でも喜んでるじゃないか?」
江ノ島「そ、それは…」モジモジ
苗木「なるほど。どうやらまだ躾が足りなかったのかな?」
江ノ島「あぁっ…、ちょっと、んっ、ここリビング…。部屋行こ…?」
苗木「それじゃあ意味ないよ。ここでするよ」
江ノ島「いゃ…。そんなとこらめぇ…。お姉ちゃんに聞こえちゃうよぉ…」
苗木「三人でしたこともあるんだし大丈夫じゃないか」
江ノ島「それでも恥ずかしいよ…」
戦刃(私の部屋も防音にしてほしい…)ムラムラ
一年前
苗木(この希望ヶ峰学園に閉じ込められてもう一ヶ月くらいか…)
苗木(今のところかろうじてコロシアイは起きていないけど、いつ起きても不思議ではない雰囲気だ)
苗木(僕は謝ってコロシアイを起こそうとした人たちを説得してきた)
苗木(舞園さんから始まって、大和田君、セレスさん、そして自殺を謀った大神さんたちを、だ)
苗木(だが正直言うと、僕もかなりこの学園生活に参っている。でもみんなでここから脱出するまでは諦めてはいけないんだ)
苗木「7時のアナウンスだ。みんな待ってる。食堂へいかなくちゃ…、!」
苗木(体が、重い…)
苗木「とりあえず食堂へ行こう…。なにか食べて今日は休もうかな…」ガチャ
苗木「くそ、廊下ってこんなに長かったかな…?」ドタン
苗木(あれ…?僕、倒れたのか…?)
同刻
戦刃(コロシアイが起きないから盾子ちゃんの機嫌が悪い…)
戦刃(昨晩もまた盾子ちゃんの性欲処理の道具にされたし…。でも悶える盾子ちゃんが可愛くて、どうしても断れない)
苗木「」ドタン
戦刃(あれって、苗木君?何かあったの?)タッタッタッ
戦刃「おい苗木!大丈夫か?」
苗木(視界がぼやける…。このシルエットは、)
苗木「江ノ島、さん…?」
戦刃「…ああそうだ、ってお前!すげぇ熱あるじゃねーかよ!」
苗木「なんか朝から体がダルくて、ははは…」
戦刃「いいから早く保健室行くぞ!歩けっか?…って歩けねーから倒れてたのか…。仕方ねぇ…」ヒョイ
苗木「えっ、ちょっ、江ノ島さん!?」
戦刃「いいから黙って掴まってろ!!落っこちるぞ!」
苗木(これ、いわゆるお姫様だっこじゃ…!?)
苗木「江ノ島さんてすごい力あるんだね。僕を抱えながら走れるなんて…」
戦刃「あぁー…。最近のモデルは筋肉もあった方がいいんだよ!」
苗木「じゃあ大神さんとかもモデルになれそうだね」
戦刃「それもそうだな!」ハハッ
モノクマ「」ジー
保健室
戦刃「これ食って薬飲んで寝てろ。私が見張っててやるからよ」
苗木「これ、レーションだよね?」
戦刃「そうだ。軽く食えるから丁度いいだろ」
苗木「ありがとう、江ノ島さん」
戦刃「あぁ気にすんなって…!」
食後
苗木(なんだか眠くなってきた…。でもホントに寝ちゃって大丈夫かな…)
戦刃「なんだ?私があんたを殺すんじゃないかって心配してんのか?」
苗木「いや、そんなことないよ…!」
戦刃「大丈夫だ!前に言っただろ?私が見張っててクロになってもあんたは殺さない、ってさ」
苗木「う、うん。江ノ島さんのことはもちろん信じてるよ!で、でも…」
戦刃「ん?」ノゾキコミ
苗木(うぁ…、江ノ島さん、いい匂いだな…。どうしよう…。最近処理してなかったから…)
戦刃(やっぱ苗木君、私のこと信じられないのかな…)
苗木(だ、だめだ…。もう我慢できない…。ごめん江ノ島さん…!)ムクムク
戦刃「苗木く……!?」
戦刃「なんか、おっきくなってる…」
苗木「ごめん、江ノ島さん…!その、我慢できなくって…」
戦刃(苗木君が私で興奮してくれたの…?)
戦刃「へ、へぇ~。苗木でも女子に迫られたらこうなるんだね」ニギッ
苗木「ちょっ、江ノ島さん!?」
戦刃(男の人のなんて初めてさわったけど、すごく…硬い)
戦刃「苗木、キスしよっか?」
戦刃(あれっ、私今なんて…)
苗木「えっ、ダ、ダメだよ!カゼ写っちゃ……んぅ!?」
戦刃「チュッ ジュル ピチャ チュル チュッ ん、プハァ…」
戦刃(ダメ…。もう我慢できない…)
戦刃「苗木、くん…」ハアハア
苗木「え、江ノ島さん…?」ハアハア
戦刃「もう我慢できない…。私を苗木君で満たして…?」
苗木「だめだよ…。誰が来るかもわからないのに…、それにカメラも…」
戦刃「それなら大丈夫。鍵かけてるし、布でレンズ隠してるから…、だから…」
苗木「そんな風に迫られたら、断れないよ…!」バサッ
戦刃(盾子ちゃん、ごめんなさい…)
戦刃「私ね、こう見えても処女なんだよ…?だから、優しくしてね…?」
モノクマ「」ジー
江ノ島「カメラ隠してもモノクマ通して見えるんだよお姉ちゃん」
戦刃「んっ、ちょっと寝すぎたかな…」
戦刃(今は6時か。随分寝ちゃったな)
苗木「」スヤァ
戦刃「」ピトッ
戦刃(よかった、熱下がってるみたい。汗いっぱいかいたお陰かな)
戦刃「…」
戦刃(やっぱり私、苗木君のこと好きなんだ…。恋、してるのかな…。苗木君の声を聞くだけでドキドキする。苗木君の笑顔を見るだけで幸せになる。苗木君と色んなところに行きたい。苗木君とずっと一緒にいたい。苗木君と…結婚したい。苗木君と一緒なら絶望に満たされたこの世界でも生きていける気がする)
戦刃(でもダメだ…。私は盾子ちゃんを守らなきゃいけない。盾子ちゃんを絶望させてあげなきゃいけない。私がもし苗木君のものになったら盾子ちゃんは絶望してくれるだろうか…?いや、きっとしてくれない)
戦刃(だめだ、悩んでても仕方ない。私は超高校級の軍人。盾子ちゃんと違って頭も良くない。だから動かなくちゃ。小さなことからでも始めてみるんだ。まずは盾子ちゃんに頼んでみよう。『この学園生活を終らせたい』って)
戦刃(そのためにはやっぱり…)
苗木「んっ、あっ江ノ島さん、おはよう…」
戦刃「おはよう苗木君」
苗木「どうかしたの…?」
戦刃「苗木君、これから言うことはすべて本当のこと。だから、私を信じて話を聞いてくれる?」
戦刃(あなたの力が必要だから…)
同刻
江ノ島(まずは盾子ちゃんに頼んでみよう。『この学園生活を終らせたい』って)
江ノ島「とか考えてるんだろうなぁ、あの残姉ちゃんは」プププ
江ノ島「わかる、わかるよ!私たちは双子だもん!そんな考えくらい1+1の答え出すよりもすぐにわかっちゃうよ!」
江ノ島「あぁ、共に作戦を練ったお姉ちゃんに裏切られるとかすっっっっごく絶望!あぁん濡れてきちゃったぁ…。溢れだして止まらないよぉ…!」
江ノ島「きっとお姉ちゃんは希望でも感じ取ってるのかな?でも残念!そんなのすぐに絶望に変えてあげる!だぁからお姉ちゃんはずっと私のそばにいなくちゃダメなんだよ?」
江ノ島「お姉ちゃん、むくろちゃん、早く来てよ…。早く来ないと私絶望で何回でも逝っちゃうから!だから気が変わっちゃう前に……早く来てね?」
保健室
苗木「まさか…じゃあ君の名前は江ノ島盾子じゃなくて、戦刃むくろ…なんだね?」
戦刃「そうだよ苗木君」
苗木「そして黒幕は君たち姉妹で、僕たちは学園生活の記憶をけされていただけで、本当は二年前から一緒いた…」
苗木「そとの世界は絶望に染まっていて、この学園はそれから守るシェルターの役割をしていた」
戦刃「でもね、盾子ちゃんは『希望』と呼ばれているみんなにコロシアイをさせてさらに絶望をばらまくことが目的なの」
戦刃「だからまだ一人も犠牲者が出ていない今なら、世界を戻すことができるかもしれない!」
苗木「そうとわかったら、することは1つだよね」
戦刃「うん」
苗木「江ノ島さんを、止めに行くんだ」
視聴覚室
苗木「まさかここに黒幕のいる部屋へ行ける通路があったなんて…」
戦刃「普通なら気づかないよ。通路を開くためのパスを打てるパソコンは、この一台だけ。だからこのパソコンを使わない限りは不二咲君でもハッキングは無理」
苗木「なるほど……って、んっ?不二咲、くん?」
戦刃「そういえば覚えてないんだよね。不二咲君は見た目は女の子なんだけど、ちゃんとした男の子なんだよ?」
苗木「な、なんだってぇー!?!?」
苗木(僕初日に不二咲さんをオカズにしちゃったよ…。なんてことだ…)
戦刃「」カタカタ ウィーン
苗木「うわ、天井に穴が!?ご丁寧にはしごまで」
戦刃「このはしごは4階の盾子ちゃんがいるモノクマ操作室まで繋がってるの。3分経ったら無くなっちゃうから早くのぼらないと」
苗木「3分!?」
苗木(戦刃さんが言うにはこの学園は五階建てらしい。てことはあのバカデカイ校舎の4階、つまり…)
苗木「相当急がないと、ヤバイよね…?」
戦刃「そう。だから急いで!もし間に合わなかったらミンチになっちゃうから」カンカン
苗木「」ダラー
モノクマ操作室
苗木「危ない…。足がミンチになるとこだった…」
苗木(んっ?あそこにいるのって…)
戦刃「盾子ちゃん」
江ノ島「やっと来たの?遅いよお姉ちゃん」
苗木(あれが本当の江ノ島さんか…。やっぱり双子なだけあって変装してたときの戦刃さんと見た目の判別がつきにくい)
苗木(むしろ、変装時の戦刃さんとはそばかすと胸の大きさくらいしか違いがわからない)
江ノ島「まったく、ダメじゃない。部外者…しかもよりによって苗木なんて厄介者をつれてくるなんて」
苗木(僕が厄介?それなら格闘家の大神さんや天才の十神くんのほうがよっぽど厄介だと思うけど…)
戦刃「盾子ちゃん、実は話があって…」
江ノ島「はいはい、わかってるよ、お姉ちゃんの言いたいことくらい。」
戦刃「じゃあお願い。私たちをここから出して」
江ノ島「いいよ」
戦刃「そう…。それなら実力行使で……って、えっ…?」
江ノ島「何?聞こえなかったの?いいよって言ったんだよオイ!」
江ノ島「あんま難聴気取ってると切り刻むぞコラ!」
戦刃「」
江ノ島「」
戦刃「」
江ノ島「長いです。何かあってもらえませんか。私は沈黙も大嫌いなんです」
江ノ島「ホラッ、ポチっとな!」
ゴゴゴゴゴ!!
苗木「い、今の音って…」
江ノ島「そうです。入り口があいたんですよ」
戦刃「まだ世界の絶望が薄いから、今あそこをあけたところで、みんなを窒息死させることはできないよ?」
江ノ島「それくらい残姉ちゃんに言われなくても知ってます」
戦刃「じゃあなんで…?」
江ノ島「簡単に言っちゃうと、飽きたんです。絶望したんです。誰かさんがチョロチョロ動き回るせいで動機を与えても誰も殺し合わないこの現状に」
苗木「えっ、僕のせい?」
江ノ島「だからもういいんです。みんなを外に解放します。どうぞ自由に暮らしてください。記憶も全て戻してあげます」
戦刃「……」
江ノ島「あやしい、って思ってるんでしょ?ひどいなお姉ちゃんは」
戦刃「そうじゃないけど…」
江ノ島「お姉ちゃんさ、私の特性忘れてるわけじゃないよね?」
江ノ島「私、絶望的に飽きっぽいんだよ?」
食堂
江ノ島「…というわけで、黒幕は私とそこの地味姉ちゃんだったのでしたぁ!!はい拍手!」
大和田「てんめぇ…!ふざけてんのか…!」
江ノ島「いいえ、いたって真面目ですが。性分なんです。多目に見てください」
大和田「やっぱり気に食わねぇ…。おい山田!代わりに一発殴らせろ!」
山田「えっ!?なぜ拙者に矛先が…!」
朝比奈「あんなのほうっておいていいよ」
セレス「それより本当に出口は開いていたのですね?」
大神「ああ、間違いない。先ほど我が石丸とともに見に行った。確かに開いていたぞ」
石丸「あぁ!!まちがいないぞ!!」
舞園「それでは、本当に出られるんですね!?」
霧切「どうやらそのようね」
桑田「それじゃ話は後にしてとりあえず外でねぇ?」
葉隠「俺っちもそれに賛成だべ」
玄関ホール
舞園「どうしたんですか苗木君?一緒に行きましょうよ」
不二咲「そういえば黒幕の姿も見えないね」オロオロ
葉隠「きっと先に出てったんだべ」
十神「では帰るぞ」
腐川「はい白夜様…!参りましょうか!」
十神「お前はついてくるな。臭いが移るだろ」
苗木(みんな、ごめん)
苗木「ちょっとごめん!緊張して、その、トイレに…」
十神「ふん愚民め…。早く行ってこい」
舞園「付き添いましょうか?」
苗木「いや、大丈夫!みんな
、先に歩いててよ。すぐに追い付くからさ!校門前で待ってて!」
朝比奈「うーん、わかったよ!それじゃあ行こうか!スッキリしたら走って来なよ、苗木!」
苗木「う、うん!また、あとで…」タッタッタッ
石丸「こらっ苗木君!廊下を走ってはいけないぞ!」
大和田「仕方ねぇじゃねぇか。きっとでかいほう我慢してたんだよ」
石丸「それならば仕方ないな!ハッハッハッ」
校門前
葉隠「さて、俺っちの家はどっちだったべ?」
桑田「家の方向くらい流石に忘れないだろ」
ゴゴゴコゴ…
大神「ぬ?今の音はなんだ?」
舞園「さっきもこんな音聞きましたよね…」
霧切「…!もしかして…!」
朝比奈「どうしたの霧切ちゃん…って、…扉が、閉まってる…」
舞園「えっ!?なっ、苗木君!苗木君はどこです!?」
セレス「姿は見えませんが…。まさか、まだ中に…?」
舞園「そんな…!苗木君!?聞こえてますか!?苗木君!?」ドンドン
山田「んっ、おや?なんか変な臭いがしませんかな?」
大和田「本当だな…っ…!」バタン
不二咲「大和田君…!うっ…」パタッ
大神「み、皆…大丈夫か…!」
朝比奈「もう息止めてらんない…。ごめん…さくらちゃん…」ドサッ
大神「ぬぅ…、朝比奈まで…。せめて我だけでも生き残らねば………」
大神「ぐ…。ダメだ、もうもたない…。すまぬ、朝比奈…」ズサッ
情報処理室
江ノ島「やっと大神も倒れてくれたか。肉体だけじゃなくて臓器も頑丈なのね」
江ノ島「まぁこれで作戦は終わり。まさか今度は君が黒幕側になるなんてね?今どんな気分?」プププ
苗木「…」
江ノ島「よし、そろそろかな」
校門
一同「」ムクッ
葉隠「な、なんだったんだべ今の」
大神「わからぬ…。だが毒ガスではなかったようだな」
桑田「体に影響なかったんなら特に気にする必要ないんじゃね?」
朝比奈「それもそうだよね!じゃあさっそく帰ろっか!」
舞園「フフフ。苗木君たら、『外が楽しみですぐに走ってっちゃうんですもん』まあそうゆうとこも
可愛いですよね」
霧切「まったくね。しかも『この幸運があればなんでもできそうな気がする。だから僕は夢を追い続けるよ!』なんて言っちゃって」
十神「まぁそこが超高校級の幸運兼超高校級の希望といったところか。俺も十神の再建のために力を振るわなくてはな」
腐川「苗木に倣ってるみたいで釈ですけどね…!」
葉隠「それじゃあ苗木に続いて、みんなで世界に希望を取り戻すべ」
一同「」オー
情報処理室
江ノ島「なんだかいい雰囲気ですね。あの希望に満ち溢れた顔を見ていたら吐き気を催してきました」
江ノ島「希望に満ち溢れたことを言ったらしい苗木君はぁ~、その実トイレに行きたいとしかいってないのでしたぁ~!」キャピ
江ノ島「わけわかんねぇし!あいつら苗木の便所のどこに希望もったんだかな!!」
苗木「…ああやって、僕たちの記憶を奪ってたのか」
江ノ島「なぁにその目?それがこれから一緒に過ごす人に対して向ける目?」
戦刃「……」
江ノ島「むくろちゃんからも何か言ってあげてよぉ~?」
戦刃「盾子ちゃん、やっぱり私たちも外に…」
江ノ島「お姉ちゃんはそれでいい?」
戦刃「え?」
江ノ島「だってよぉ、よく考えてみろよ!外に苗木を放ったところであの枕と探偵(笑)とギャンブラーに勝てる自信あんのかオイ!」
江ノ島「お前があたしに意見するなんてあり得ねぇんだよ!『この学校に三人だけ』にしてやったことをありがたく思え!」
戦刃(確かにこんな地味な私じゃ、あの人たちに勝てない…。じゃあやっぱり盾子ちゃんは私のためを思って…?それなら…)
戦刃「ありがとう、盾子ちゃん」
江ノ島「いえいえ…、どんなに残念だろうとたった一人のお姉ちゃんのためですから…」
江ノ島「だから感謝し倒せぇー!!」
先刻
江ノ島「私、絶望的に飽きっぽいんだよ?」
江ノ島「あっ、でもやっぱり1つだけ条件つけちゃうか」ダキッ
戦刃「…盾子ちゃん、なにを」
江ノ島「お姉ちゃん、可愛い…」ハムッ
戦刃「~~~!!?」
戦刃「盾子ちゃん…み、耳は、…ふぁ」
苗木「!?」
江ノ島「んっ、お姉ちゃんの匂い…。ほんと堪らない…」
戦刃「ちょっ、そこは…苗木君か見て…んっ…る、の…に…」
江ノ島「とまぁこんな感じに、」パッ
戦刃「あっ…」
江ノ島「ちょっとぉ、そんな切なげな顔しないでくれる?」
苗木「」ドキドキ
江ノ島「条件はね、みんな出してあげるかわりに、苗木だけ残ること!」
苗木「……え?」
江ノ島「もし呑めないっていうなら、皆さんにはこのままコロシアイ学園生活を続けてもらいます!」ウププ
江ノ島「あっ、もちろんむくろちゃんも残るんだからね?実際ここに残るのは私とお姉ちゃんと苗木ね」
江ノ島「じゃあ三分間待ってやる。選択をしろ」
苗木「……そんなの決まってるじゃないか」
江ノ島「あら10秒できまったね?どうするの?」
苗木「……僕が…ここに残る」
江ノ島「アハッ!まさか性にまみれた生活を送りたいからそっちを選んだんじゃないよね!?」
苗木「勘違いするな。僕はみんなを信じてるんだ。ここを出た後できっと、僕を助けに来てくれるって」
時は戻る
江ノ島「それにしてもごめんね苗木君?」
江ノ島「みんなの記憶改竄しちゃった!」テヘッ
江ノ島「だからぁ~、もうみんなはここに戻ってこないのぉ。わかったぁ?」
苗木「……部屋に帰らせてもらうよ」
江ノ島「……」
苗木「」ガチャ バタン
江ノ島「なんだよつまんねぇな!」
江ノ島「むくろちゃん、こっちきて……?」
戦刃「……」
江ノ島「私ね…?いっつもお姉ちゃんにひどいこと言ってるけどね…?でも本当はお姉ちゃんのこと大好きなの…」
戦刃「」ピクッ
江ノ島「今日は一緒に寝てくれる…?」
戦刃「盾子ちゃん……」
江ノ島(チョロすぎ)
江ノ島「お姉ちゃんはもうどこにも行かないよね?ずっと一緒だよ?」
戦刃「大丈夫、もうどこにもいかないから」
江ノ島「……じゃあもう寝よっか?」
戦刃「もう夜遅いし、そうしよう」
ベッド
戦刃「それじゃあ盾子ちゃん、電機消すよ?」
江ノ島「……うん」パチ
戦刃「おやすみ盾子ちゃ……んっ!?」
江ノ島「ンチュチュパチュージュルジュルチュー……んっ…はぁ…!」
戦刃「ん~~…!んはっ、ハァハァ、もう寝るんじゃなかったの…?」
戦刃「あっ、服が…」
江ノ島「てか思ったんだけどさぁ、もうこの学園には三人しかいないわけでしょ?しかもむくろちゃんはどっちとも身体の関係を持ってる」
江ノ島「ならさぁ、もうむくろちゃんに服は要らないんじゃないかなぁ?」
戦刃「そ、そん…な…ぁん、恥ずかしくて、んっ!な、えぎ…君に、ひゃん!…会えない、よ…」
江ノ島「苗木の野郎も案外猿だしよぉ、裸でむくろちゃん歩いてたら襲われること間違いなし!!」
江ノ島「そんでさぁ、思いきって孕んじゃいなよ?……んっ、むくろちゃんなめるの上手…」
江ノ島「それでみんなで育てよっか!んぁ…もう逝っちゃいそ…」
江ノ島「名前はもちろん糸色のぞ…あぁぁぁん!」ビクビク
戦刃「盾子ちゃんでもそれは言わせない」
1ヶ月後
苗木「もう7時か…。昨日までは6時半には起きてたのに」
苗木「早く食堂に行かなきゃまた石丸くんに怒られるな…」
苗木「今日も舞園さんがご飯作ってくれるのかな。舞園の料理美味しいんだよな…」
苗木「ご飯食べるときは必ず隣に霧切さん、舞園さん、そして向かえにセレスさんが座って、よく言い争ってたっけ」
苗木「そして食後には朝比奈さんがドーナツたくさん持ってきて、そのあとに朝比奈さん、大神さん、葉隠くんとプールで泳ぐ。そのあとに桑田君と体育館で全力キャッチボール」
苗木「そういえば十神くんと腐川さんはずっと図書館に籠りっぱなしだったな。」
苗木「山田くんはセレスさんに紅茶をいれる度に不味いと怒鳴られて、その横で大和田くんは不二咲さ…君に男らしさを語ってたな」
苗木「この食堂の向こうに今日も賑やかなみんながいる」
バタン
苗木(昨晩そんな夢をみたんだ)
苗木(だから夢は夢であって…)
シーン
苗木「現実、では…な、い」ウウッ
苗木(どうして僕だけこんな目に会うんだ…?やっぱり僕はモノクマがいつか言ったように不幸なだけなんじゃないか)
苗木(だれでもいいからそばにいてくれよ…)
苗木「1人に、しないでよ……!!!」
???「そんなとこに座ってたら邪魔よ」
苗木「……えっ?」
???「愚民は場を弁えないから困る」
???「そうよ……!はやくどきなさいよ…。白夜様が困ってるでしょ…!」
苗木「えっ、あっ、ごめん…」
???「大丈夫~苗木?ドーナツいる?」
???「わかったべ苗木っちは今寂しがってるんだべ!俺の占いは三割当たる!」
苗木「ハハハ…。みんな、やっぱり来てくれたんだね……。信じてたよ…!これで僕は一人じゃないんだ…!」
情報処理室
江ノ島「あらま、どうするお姉ちゃん?苗木の奴、幻覚見始めちゃったよ?」
戦刃「ーー!!ーー!!」バタバタ
江ノ島「あぁ、しゃべれないのか」
江ノ島「じゃあさ、助けに行きたい?」
戦刃「!」コクコク
江ノ島「じゃあいま縄ほどいてあげるね」
戦刃(これで苗木君を助けに行ける…!)
江ノ島「んっ…」
戦刃「……?」
江ノ島「ごめんねむくろちゃん。……ほどくの飽きちゃった(笑)」
戦刃「……!!?」
江ノ島「というわけでさ、ちょっと苗木のとこいってくるわ。こんな絶望しきったなかで優しくされたらさぁ……、」
江ノ島「あいつはどんなケモノになるんだろうね?」ニコッ
江ノ島「第3者の意見も聞きたいからちゃんとモニターで確認しといてよ?……じゃあね」
戦刃「~~!……!」
食堂
江ノ島「……」
苗木「…………この中に黒幕の内通者がいるって!?」
苗木「…………それは違うよ!あの焼死体の致命傷はナイフじゃなくて…」
苗木「…………正体をあらわせ江ノ島盾子!もうわかってるんだぞ!」ビシッ
江ノ島「なんかあの人、私と違う世界にいる」
苗木「…………希望を捨てちゃダメだ!」
江ノ島「あれが俗に言うレイプ目ってやつかー」
江ノ島「可愛そうだから現実に戻してあげるか…」
江ノ島(あれ、今私苗木のこと憐れんだ…?)
江ノ島「苗木ーもどってこーい」カタポン
江ノ島(うわ…こいつの目、ヤバイな…。死んださかなの方が鮮やかな目してる)
江ノ島「私おしおきなんてされてないしー。かえってこーい」
江ノ島(どうして同じ絶望仲間ができたのに、こいつを元に戻そうとしてるの?)
苗木「…………僕は絶望に屈しない!」
江ノ島「もうだいぶイカれちゃってるけどねー」
江ノ島(この1ヶ月間こいつはひとりで過ごしてきた。弱い人間が長い時間誰とも接さずに生活してきたらそりゃメンタルが参る。)
江ノ島(こいつは今でもどこかで希望を信じてるようだけど、私にはちゃんとわかる。こいつはもうドス黒い絶望に埋め尽くされてる)
江ノ島(自我が保てなくなるほどの絶望。どんな気分なんだろ。羨ましい羨ましい羨ましいウラヤマシイウラヤマシイウラヤマしいウらやマしい)
江ノ島「……そうか、わかっちゃった。アタシ、アンタに嫉妬しちゃってるんだね」
江ノ島(ごめんむくろちゃん。ちょっと早いけど最終段階に入っちゃうね)
江ノ島「お姉ちゃんのたったひとつの希望……壊させてね!」
江ノ島「……私ね、大大大大大大大大大大大だーい好きなお姉ちゃんが、何もかもに絶望する顔がみたいんだ?」
江ノ島「ついでに、苗木が見ているその絶望……私でも感じたことがないそのとてつもない絶望、少しでも味わってみたいの!!」
江ノ島「だから、ちょっと眠っててね。すっごい絶望的な場所にアンタを導くから」ストッ
苗木「……」ガクッ
江ノ島「って重いし…。お姉ちゃんてばよくこんなのお姫様だっこできたなー…。軍人の名はやっぱダテじゃないのね…」
情報処理室
江ノ島「来ちゃった☆」
戦刃「……」
江ノ島「やっぱりー、お姉ちゃんの大好きな苗木きゅんをー、お姉ちゃんの目の前で壊すことにしたの!」
江ノ島「その方がお姉ちゃんの絶望に染まった顔も見れるからね!」
戦刃「……」
江ノ島「あっ、もう猿轡とってあげる。……あっ、お姉ちゃんのよだれ…」チュパ
戦刃「ーーーー。……ん、盾子ちゃ…」
江ノ島「ごちそうさまでした」
江ノ島「ではすぐに始めてしまいましょうか。私の下のお口ももう我慢できないみたいですし」
戦刃「盾子ちゃん、教えて…。どうして…私から苗木君を、奪うの……?」
江ノ島「愚問ですね。そんなの決まってるじゃないですか。……アタシが『超高校級の絶望』だからだよ」
江ノ島「つーか第一、苗木はお姉ちゃんのじゃないんだよ?」
苗木「…」ムクッ
苗木「みんな、いなくなった……。僕を、置いて。僕一人だけ残して」
戦刃(苗木くん……、泣いてる…)
苗木「僕1ヶ月間どうやって過ごしてきたかわかるかい?部屋と食堂を行き来するだけの生活。つまり食事と睡眠しかすることができなかった。……いや、させてもらえなかった。開始3日目になぜか開いてた二階への階段も、これまたなぜか鉄格子が降りてた」
苗木「それだけならまだいい。一階にある食堂以外のすべての部屋にも鍵がかけられてた。つまり僕が行くことができたのは、食堂、部屋、そして扉のない大浴場……それだけ。まだコロシアイ学園生活中の方が自由度高かったね」
江ノ島「久しぶり、って今は言っとくべきなのかな、苗木。もう幻覚は見えないの?」
苗木「幻覚ってなんだい?君は何を言ってるんだ。まったく、理解に苦しむよ」
苗木「それよりさ、江ノ島さんに聞きたいんだよ。僕はなんでまだ生きてるの?」
苗木「君は人を射殺するなり毒殺するなりして苦痛に顔を歪める姿をみるのが好きなんじゃなかったかな」
江ノ島「まぁそうするのも良かったかもね。でもさ、それじゃ一度っきりしか楽しめないじゃん?それにアンタが孤独に喘いで絶望に染まるのをみてる方がよっぽど楽しかったよー」
苗木「それじゃあ僕は、少しは君を満足させられたのかな」
江ノ島「少しどころじゃないよ。アンタが絶望に染まる姿は私の部下がそうなったときよりもよっぽど見応えがあった」
江ノ島「苗木君のことずっとみてたよ…?……まるで恋する乙女のような眼でね!」
苗木「そうか。君を悦ばせるための糧となれて光栄だよ」
江ノ島「ふふふ、今のアンタ、アタシの部下と同じ目してるよ。……そうだ、彼も確か『超高校級の幸運』だったね。そっかー、珍しいこともあるもんだね!」
苗木「へー…。同じ能力同士、一度会ってみたいものだね。」
江ノ島「やめときな。アタシとこんなに長い時間話をできたやつなんて多くない。彼も例外じゃないさ。確実に嫉妬で殺されるよ」
苗木「それは恐い。なら彼と会うわけにはいけないね。僕はまだ死ねわけにはいかないんだ」
江ノ島「……驚いた。そんな凄まじい絶望を身体中から発しておきながら、まだ生きたいと願ってるんだ」
苗木「その通りさ。だって僕は復讐したいんだ。僕をこんな目に遭わせた君に、…ね」
江ノ島「へぇ、それじゃあ今ここでクチャグチャにアタシを殺す?なんならこのボタンを押すだけでなんとアタシ自身の処刑ショーが見れるのです!」
江ノ島「まぁ仮にアタシが死んだらー、アンタはここから出られないけどね!脱出スイッチは生きたアタシにしか反応しない仕様になってるからさ!」
苗木「いや、そうしたところで復讐にはならないんだよ。」
江ノ島「じゃあどうするつもりさ?拷問でもする?それとも性奴隷にしちゃう?まぁどっちにしても私からすればご褒美なんだけどな!!?」
苗木「ちがうちがう、ぜんぜん違うよ。僕の復讐はね、」
江ノ島「…あっ、待った待った、わかっちゃったわ。『超高校級の絶望』と自負するアタシに一矢報いるにはやっぱり希望を与えるくらいしかないよね」
江ノ島「でも残念、アタシは筋金入りの絶望だからね。アンタごときが私に希望を与えることなんて不可能だよ」
苗木「…たしかにそうかもしれない。でもね、今君とこうやって話していてわかったんだ。僕も君と同じだったんだってね」
江ノ島(ちっ、コイツの絶望がどんどん小さくなってく…。無断話が過ぎて、喰らい損ねたな)
苗木「僕は見てみたいんだよ。最上級の絶望を抱えた君が希望に染まっていく姿をね」
江ノ島「そんなの…、鶏の卵から鮪が生まれるくらいありえないです…」
苗木「だから僕は決めたよ。君を……殺すって」
江ノ島「は?………………はぁ。やっぱりそこに落ち着いちゃったんだ……。つまんねぇ、つまんなねぇよ苗木ぃ!!だがオマエみたいな愚図がアタシを殺せるわけねぇんだけどな!」
苗木「それはどうかな。僕は1ヶ月で君を殺してみせる」
江ノ島「1ヶ月ぅ!?何すかした顔でんなことこいてんだ!ただのチキン野郎じゃねぇかよぉオィ!今殺す気で来ないとおもしろくねぇだろがぁ!」
江ノ島「こんな展開になるだろうと予想し、予めそこの机に包丁が置いてあります。……はぁ、なんでも予想通りになるのは本当につまらないですね…。」
苗木「…残念だけど、それは違うよ」
江ノ島「ぁん?なにがだよ?」
苗木「君を殺す…。とは言っても君を肉体的に殺すわけじゃあない。君の内側に燻る絶望という半身を殺すんだ」
江ノ島「はっ!!何臭いことヌかしてやがんだよ!虫酸が走るぜ!!あぁ痒すぎる!」
苗木「いや、できるさ。僕ならやれる」
江ノ島「ムリムリ。残姉ちゃんでも私を更正できなかったのにアンタができるわけ………」
戦刃「それは違う……」
苗木「あれ、戦刃さん……いたんだね」
江ノ島「えっ、なんで縄が…。手錠もしてたのに」
戦刃「拘束具からの脱出は軍人にとって基本中の基本」
江ノ島「24日間もそのまんまだったくせによく言うよ」
戦刃「たしかに私だけじゃ盾子ちゃんに届かなかった。でも、きっと二人なら、苗木君と一緒ならきっと届く」
江ノ島「いやいや、苗木だけならともかく、お姉ちゃん加わっちゃったらむしろマイナスだよ……」
苗木「!」ピクッ
苗木「その矛盾、撃ち抜く!」
戦刃(それ苗木くんのキメ台詞じゃない)
苗木「江ノ島さん、君はいま『苗木だけならともかく』と言ったよね?それはいったいどういう意味?」
江ノ島「は、はぁ……?そんなの言葉の綾だって」アセアセ
戦刃(あれ、盾子ちゃんの様子が……変?)
苗木「本当にそうなのかな。じゃあひとつ教えてほしい。」
江ノ島「な、なにさ……!」
苗木「僕はね、数日前モノクマを壊したんだよ。事故じゃなく、故意で。もちろんモニターで確認できるはずの君はそれを知ってるよね?」
江ノ島「……知らない。」
苗木「それは違うよ!」
江ノ島「」ビクッ
苗木「僕はモノクマを壊したんだよ?執拗に話しかけてくるモノクマがうるさくて、さ。それに君が気づいてないはずがないんだ…!」
江ノ島「だ、だから知らないんだっつーの!そんときはたまたま目を離してたんじゃねぇのか!?」
戦刃「それはありえないよ。モノクマは完全にマニュアル操作だし、盾子ちゃんがしゃべらないとモノクマも話せない」
戦刃「それに盾子ちゃん、壊れたモノクマ回収しに行かなきゃ、って言ってたよね」
江ノ島「ちょっ、!残姉だまれ!」
苗木「じゃあ仮に君の主張を通すとしよう。でもモノクマを破壊するようなやつなんて僕だけに限られる!だから校則違反を犯した僕はおしおきをうけなくてはならない!」
苗木「だけど僕は今、こうして生きているんだ…」
苗木(みんなは学園から解放したのに僕だけここに残されている)
苗木(しかも僕は校則違反を犯したというの処罰されない)
苗木(あと戦刃さんの証言)
苗木(それに執拗に話しかけてくるモノクマ=江ノ島盾子)
苗木(これらから導き出される答えは……。あれ?これはまるで………)
僕を孤独死させたい
⇒僕のことが好き
実は三つ子のきょうだい
苗木「そうかわかったぞ!」
苗木「江ノ島さん。僕は君の行動を見返して、あるひとつの結論にたどり着いた。」
苗木「そう、まるで君の行動は好きになった異性をいじめたい思春期の女子の行動、そのものなんだ!」
戦刃「だ、だからお姉ちゃんは私から苗木君を奪おうと…」
江ノ島(だからお姉ちゃんのじゃないって)
苗木「そうか…、みんながいなくなってから僕の部屋のシャワールームにもカメラが設置されたのは、そういうことだったからか…!」
江ノ島「……」
苗木「もう逃げられないぞ、江ノ島盾子!!」
江ノ島「はぁ………。呆れを通り越して絶望だよ…。そんな疑惑かけられちゃったら、すごく感じちゃう…。」
江ノ島「……」
江ノ島「…………絶対、バレないと思ったのに」
戦刃(逆によくそんな露骨でバレないと思ったね)
苗木「どうなんだ江ノ島盾子!認めるのか!!?」
江ノ島「」スタスタスタスタ
苗木「えっ、ちょっ、江ノ島さん…、ち…か………っ!」
江ノ島「んっ…」チュッ
苗木「……」
江ノ島「これが、事件の全貌…だよ…?」
苗木(上目使い谷間チラリキタコレ)
苗木「え、江ノ島さん…」
江ノ島「これでわ、わかったかぁ、苗木ぃ!?実は私様はお前のことがす…………」
苗木「戦刃さん。江ノ島さんをホールド」
戦刃「Yes, sir」
江ノ島「ちょ、お姉ちゃん!何すんのさ!」
苗木「ごめんね江ノ島さん。絶望絶望言ってた君がまさか僕を好きだったとは思わなくてさ」
江ノ島「ちょっ、おい!なに調子乗ってんだ!?くそっ、離せ残姉!」
戦刃「ごめんね。……それはできない」
江ノ島「ア、アタシに逆らったらどうなるかわかって………んむぅっ…!」
苗木「……江ノ島さん、ぷはっ、可愛いよ…………」
江ノ島「……!」
戦刃(うわぁ…。苗木君のキス、すごい激しい…)
江ノ島「……」ハァハァ
苗木「……。いきなりごめんね。でもやっぱりさ、やられたらやり返さなきゃいけない気がしたんだよ」
江ノ島「…………んはぁ……。らめぇ…、もう…立ってられにゃい…」トローン
苗木「へぇ、江ノ島さんもそんな表情するんだ…。ヨダレブリュブリュ垂らしちゃって…。」
江ノ島「苗木ぃ…。アタシ、男の人は初めてだから…、血まみれになるくらい激しくしてね…」
苗木「うん、いやだ」ニコッ
江ノ島「あぁ、初体験でお願いを聞いてもらえない絶望……。もう意識が……」
苗木「それは大変だね。戦刃さん、ベッドに移動しようか」
戦刃「うん、任せて」
江ノ島「アヘ、ァァ~~…。なえぎぃ…」
事後
苗木「江ノ島さんって、その……すごく感じやすいんだね」
江ノ島「悪かったわね…すぐに逝っちゃって…。し、仕方ないじゃない…ああいうの初めてだったし…」
戦刃「……」
江ノ島「もー!バカー!逝かせたのはそっちのクセにー!」
苗木「……」
江ノ島「いや、なんか言わなきゃいけない気がしたんだしたんだよ」
苗木「なんだそれ」
江ノ島「それにしても、苗木ってかわいい顔にあわず案外肉食だったんだね。けっこう良かったよ」
戦刃「うん。喧嘩殺法だけで一個師団を沈黙させたときよりずっと快感だった」
江ノ島「いやいや、比較対象がおかしいから」
苗木「いや、おかしいのはそこじゃないと思うよ!?」
江ノ島「だってそこはさ?」
戦刃「『超高校級の軍人』だから…」
苗木「それで納得できた僕を誉めてよ」
戦刃「それより盾子ちゃん、これからどうするの?」
江ノ島「どうするって何さ。今までと何も変わらないよー?身体を重ねたくらいで外に出れると思ったの?」
戦刃「そんな…」
江ノ島「…………と思ってたんだけどさ、アタシどうやら自分でも考えられないくらい……絶望的に苗木のこと好きなみたいなんだよね」
江ノ島「てゆうかさ、なんか絶望だとか希望だとかどうでも良くなってきちゃったみたいな?もう飽きちゃったんだー」
江ノ島「だから今はさ……、ただこの感情に身を委ねていたいんだ…」
苗木「江ノ島さん……」
江ノ島「だ、だからせいぜいアタシを楽しませてよね!?そうじゃないとまたいつここに戻ってくるか分からないよ?」
苗木「わかったよ。それじゃあこれからもよろしくね、江ノ島さん」
江ノ島「……って………んでよ…」
苗木「え?なんだって?」
江ノ島「だから、アタシのことは下で呼んでよって言ったの!」
苗木「え、あっ、うん。じゃあ僕のことも下で呼んでよ」
江ノ島「…………ま、誠…」
苗木「……じゅ、盾子さん」
戦刃さん「……」プクゥ
江ノ島「どうしたのお姉ちゃん、ほっぺたなんか膨らましちゃってさ?ただでさえ残念な顔がもっと惨めだよ」ウププ
苗木「き、君もむくろさんって呼んでいいかな?」
戦刃「うん、私もこれからは誠君って呼ぶね…」
苗木「う、うん。むくろさんもよろしくね」
玄関ホール
苗木「とうとう僕も希望ヶ峰ともおさらばか…」
江ノ島「いやぁ、どのくらいの時間籠ってたんだっけ?途中から日記つけるのやめちゃったからわからないやー」
苗木「そういえば僕だけ記憶ないままなんだよな…。戻してもらえないのかな…?」
江ノ島「ダメ…。絶対」
苗木「そんなぁ…」
戦刃「大丈夫。学園生活の記憶くらいなくても楽しく生きていける」
苗木「そういえば僕たちの学歴ってどうなるの?ちゃんと三年間勉強してきたわけじゃないからやっぱり中卒?」
江ノ島「なにー?この期に及んでそんなちっぽけなこと気にしてんの?マジヘタレすぎて絶望的なんですけどー!!」
苗木「そ、それもそうだよね…。学歴がどうだろうとがむしゃらに生きていくしかないよね!」
江ノ島「そうそう。それにもし誠が就職できなくても、アタシがモデルで稼いであげるからさ!」
苗木「それじゃあいくらなんでも僕が甲斐性なしすぎるよ……」
江ノ島「まぁ仮にアタシがダメだったとしても、お姉ちゃんがなんとかしてくれるよ」
戦刃「えっ、私……?頼りにしてくれるのは嬉しいけど、私に社交的な力なんて…」
江ノ島「『超高校級の軍人』の力をフル活用して、銀行強盗しちゃえばいいんだよ!」
苗木「よし僕が頑張らないとな」
戦刃「……モノクマ、持ってくんだ」
江ノ島「うん…。なんだかんだでこの子にはお世話になったからさ」
苗木「そういえばここの扉どうするの?まさか開けたままにしとくわけにはいかないよね?」
江ノ島「それなら大丈夫。お馴染みの脱出スイッチ君押したらちゃんと閉まってくれるからさー」
苗木「名前に合わず開閉機能ついてたんだ…」
江ノ島「じゃ、行こっか」
20分後 ふぁみれす
江ノ島「てかさぁ、住む場所どうすんのー?家ないとか絶望的にヤバイよね」
戦刃「お金なら学園にたくさんなかったっけ?」
江ノ島「あぁ、ひゃっくおっくえ~んのこと?あれ全部おもちゃ」
戦刃「えっ」
江ノ島「おもちゃでコロシアイさせるのも面白いと思ったのでつい」
戦刃「……コホン、私の武器を全部売り払えば、あらゆる支出込みでも高級と呼ばれるマンションに5年は暮らせる金額になる」
江ノ島「じゃあアタシの貯金も合わせたらかなりの額になりそうだね」
苗木「…………えっと、僕はー、そのぉ…」
江ノ島「あぁ大丈夫大丈夫」
戦刃「誠君にそうゆうのは期待してないから」
苗木「うぐぅ…………………。」
苗木(同じ顔が公園に捨てられた子犬を見るような目で僕を見てる…)
江ノ島「まぁ当分はなんとかなるってわかったんだし、とりあえず不動産行こっか」
戦刃「やっぱり一戸建て?それともマンション?」
江ノ島「ん~……、マンションでいっか。家族が増えて狭くなってきたら引っ越せばいいし」
戦刃「それもそうだね」
苗木「……!」
江ノ島「あー、あとアタシ新しくて広くてキレイなとこじゃないとヤだからねー」
江ノ島「っと口調以外にも今時のギャルっぽさを出してみたり」
戦刃「わかったから行こうか」
江ノ島「なんか残念の反応がイマイチ…」
カランカラン
店員「またお越しくださいませ~」
>>99
残念⇒残姉
戦刃「……みんなありがとう。あなたたちのことは忘れない」
江ノ島「あぁ、そのバカデカイケースに武器入ってたんだ」
江ノ島「でもアタシの貯金使いきるまでは売らなくてもいいからね」
江ノ島「まだ銀行強盗する可能性は残ってるんだし」
戦刃「……あれ冗談じゃなかったんだ」
戦刃「それなら銀行なんかじゃヌルイ。どうせなら政府とか連盟とか………」
苗木「君は何と戦いたいんだ」
江ノ島「まぁ悪い冗談ですませるためにも、誠には頑張ってもらわなきゃねー」
苗木「が、頑張るよ…!」
江ノ島「もぉ…、これから始まるってのにそんな暗い顔しててどうすんのさ!」
苗木「そ、そうだよね…。はは…」
戦刃「……」チラッ
戦刃「誠君、あそこに宝くじあるから計気づけに一回やってかない?」
苗木「宝くじかぁ…。僕一回もやったことないな」
江ノ島「六桁の数字書くだけだからすぐにできるしょ。それに誠だったらなんらかの賞当たりそうだよね!」
戦刃「『超高校級の幸運』だもんね」
苗木「じ、じゃあやってみるよ。五千円でも当たれば嬉しいな」
2週間後
三人「……」
江ノ島「……これってさぁ、やっぱりそうゆうことなのかな」
戦刃「……そうゆうことだと思う。新聞も間違いなく今日の日付」
三人「……」
苗木「…………まさか一等当たるなんて」
戦刃「これが、『超高校級の幸運』……」
苗木「……高校生じゃないけどね」
江ノ島「多分、あれじゃない?誠が全企業で見事に散ったのは多分このための布石だったんだよ」
江ノ島「だからさ、現役復帰したアタシはともかく、誠は働かなくていいんじゃない?」
苗木「…………」
江ノ島「せ、専業主夫ってやつ?それでいいんじゃないかな?お金の心配もないわけだし」
江ノ島「だからさ、働こうとすらないお姉ちゃんの面倒見ててよ?」
戦刃「盾子ちゃんは失礼。私にもちゃんと働く気はある。ただまだ本気だしてないだけ」
江ノ島「それってニートやフリーターのキメ台詞なんですけど…」
1週間後
苗木(結局僕は専業主婦に定職してしまった…。主な仕事は家事と、募金を催促する業者からの電話・訪問をあしらうことだ)
苗木(最近よく思ってしまう。『いや待てよ…。やることがあるだけ無職じゃないのか…?』、と)
苗木(だがやはり僕も男なので働くべきなんじゃないかと思うわけだ。2日に一度くらい)
苗木(……貯蓄がたんまりあるがゆえに、僕はこの体たらくにも甘んじてしまっているのだ)
苗木(だから僕は考えた。『このお金がなくなれば、僕も危機感を覚えれるのではないか』と)
苗木(今盾子さんは、撮影のために2週間ほど家を留守にしている)
苗木(むくろさんはコミュニケーション能力をつけるとか言って、部屋で恋愛シュミレーションゲームに興じている)
苗木(だから僕は今日から始めてみようと思ったのだ)
苗木「株、をね」ニヤリ
苗木(前に江ノ島さんが言ってたことから察するに、おそらく不幸を経験したあと、それに見あうだけの幸福が訪れるのだ、と)
苗木(……見合ってるか?)
苗木(と、ともかく僕のここ数日は不幸とは縁もゆかりもないものだった。つまり、幸福だったのだ)
苗木(つまり、だ。株を行うことで、この幸福の裏返しか出来るんじゃないかと思っている)
苗木「ではさっそく、三億使って聞いたこともない小会社の株式を買ってみた」
苗木(ふふふ……、結果が楽しみだ…。よくて五千円帰ってくればいい方だな)
数週間後
戦刃「ねえねえ誠君」
苗木「どうしたのむくろさん?」
戦刃「新しいゲームが出たの。だから買いたいな……」
苗木「仕方ないなー…。ひとりで買いに行ける?」
戦刃「……」
苗木「うん、聞いた僕が悪かった。じゃ、行こうか」
戦刃「うん」
ゲーム屋
苗木「へぇ、時代もここまで進化したんだ。それよりこの会社名どっかで聞いたことあるような…」
戦刃「この会社すごいの。一ヶ月くらい前に大型投資があったおかげで、今まで考えてたアイデアをすごい早さで実物にすることができたんだって」
戦刃「雑誌にも『販売が待ちきれない注目のハード!』で1位だったんだよ」
1週間後
苗木「へぇ、あのハードの売上そんなに伸びてたんだ」
戦刃「そう。発売から三週間、世界中で爆発的に売れてるの」
苗木「まぁたしかに楽しそうなゲームだったよね」
戦刃「楽しいなんてレベルじゃない。あそこはもう私の世界になりつつある。クオリティーがすごく高くて、昨日なんてまるでそこに女の子がいるかのような感覚でプレイしてた」
苗木「女の子のゲームなんだ。どんなストーリーなの?」
戦刃「プレイするゲーム」
苗木「えっ?」
戦刃「ただひたすらプレイするゲーム」
苗木「あっ…………(察し)」
翌日
江ノ島「誠さー、今日ひま?てかひまじゃないわけないよね?」
苗木「…………ごめん、今日ちょっと用事があるんだ」
江ノ島「えっ、うそ。……そうなんだ。じゃあ明日でいいや」
苗木「……?それじゃあ出掛けてくるね!夕方には帰るから!」
江ノ島「いってらっしゃい…」
苗木(なんか盾子さん様子がおかしかったな…。妙に顔が赤かったし)
苗木(それよりめんどくさいな、総会。小会社でもちゃんとあるもんなんだね)
苗木(てゆうかこれまでにまた面接全部落ちたしさ…。ほんと僕って社会に必要ないのかな…)
苗木(なんて考えてる間に着いた。へー、ここってゲーム作ってる会社だったんだ。あのときはテキトーに株買っちゃったから内容まで見てなかったし)
苗木(……あれっ?場所ここで合ってるよな?誰もいないぞ…?)
???「あなた、株主の方ですか」
苗木「うわっ、は、はい!」
???「……うっ、うぐぅ…」
苗木「えっ!?あ、あの、どうしました!?」
???「うっ……、あ、あなたが投資してくれた三億…」
苗木(あぁ、ムダにしちゃったから申し訳なく思ってるのか)
苗木「大丈夫ですよ、気にしなくても………」
???「あのお金のおかげでわが社はここまでの成長を遂げることができたのです!!」
苗木「………………はっ?」
自宅
苗木「……ただいま」
江ノ島「あーおかえり、ってどうした?なんかやつれてるけど」
苗木「いや、なんか疲れちゃってさ…」
江ノ島「……まさか、…………女?」
苗木「へぁっ!?な、なんでそうなるの!?」
江ノ島「同様するとか怪しいんですけど!身体を許すのはアタシかお姉ちゃんだけって何回も言ってたのに………!」
江ノ島「誰………?舞園?霧切?安広?それとも……」
苗木「ちょっと待ってよ盾子さん!僕の話を聞いて!」
江ノ島「やだ……。他の女の締まりがどうだったかなんて聞きたくない……!」タッタッタッ
苗木「な、何を言ってるんだ!?」
江ノ島「びえええええええええええええええええええええん!」タッタッタッ
江ノ島「もう誠のことなんて知らない!」バタン!
江ノ島「この部屋は今からアタシの城です!誰も入ってこれません!」
江ノ島「……」キィ… チラッ
苗木(ちょっとだけ開けてこっち見てる…。かわいい……)
苗木「聞いてよ盾子さん!!君より締まりのいい娘なんているわけないじゃないか!」
江ノ島「私は今真面目な話ししてるの!」壁ガンッ!
江ノ島「やっぱりアタシたちは誠のおもちゃでしかなかったんだ……」ヒリヒリ
苗木(しまった……。盾子さんからの印象が悪くなってしまった!)
苗木「お、お願いだよ盾子さん…。そこから出てきて話を聞いて」
江ノ島「はぁ…。少しでも信頼してた誠に裏切られるなんてほんと絶望的………」
苗木(まずい…。このままじゃ盾子さんがまたあのころに戻ってしまう)
江ノ島「でもこの絶望………ちっともきもちくない…」
苗木(えっ…?)
江ノ島「こんなの、ただ不安で怖くて涙がでるだけ……。気持ちわるい…」
苗木「盾子さん…」
江ノ島「こんな感覚始めて………。やだ…暗い…怖いよ……」
苗木「……ねぇ盾子さん、ちょっとここ開けてもらえないかな」
江ノ島「……いやだ」
苗木「お願いだよ。渡したいものがあるんだ」
江ノ島「……」ガチャ
江ノ島「……なに?」
苗木「えっと、こ、これなんだ」
江ノ島「…っ…!……指輪…」
苗木「諸事情であんまり高いの買えなかったんだけどさ…」
江ノ島「これ、アタシに…?」
苗木「受け取ってもらえると、嬉しいな」
江ノ島「うん…」
苗木「そして、僕と結婚してほしい。たしかに今は無職だけど、絶対に君を守ってみせるから」
江ノ島「……」
苗木「盾子さん…?」
江ノ島「やっぱり、ダメだよ………」
苗木「そ、そんな……」
江ノ島「今まではよかった。でも結婚なんてしちゃったら………お姉ちゃんが可哀そ……」
戦刃「私を理由にしないで」
苗木「む、むくろさん…」
江ノ島「お姉ちゃん……」
戦刃「私は、大丈夫だから。盾子ちゃんは自分の気持ちと向き合って?」
江ノ島「……うん、ありがとう…」
苗木「盾子さん…」
江ノ島「誠、アンタ言ったよね?アタシが希望に染まるのが見たいって」
苗木「う、うん…」
江ノ島「アタシね、誠の子供産みたい。そして一緒に育ててみんなで幸せに暮らしたい。死ぬときまで、ずっと。アタシを変えてくれたアンタと、ずっと」
苗木「それって…」
江ノ島「不束者ですが、これからも何とぞよろしくお願いします…」
苗木「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」
戦刃「よかったね、盾子ちゃん」グスン
江ノ島「何泣いてんのさ残姉ってばー…。」グスン
事後
苗木「あれ、なんであの流れからこうなる?もっといい感じのトークが続くハズじゃ…」
江ノ島「逝き顔のおねえちゃんもかわい………」ンッ
戦刃「んっ、盾子ちゃんもかわいいよ……」ンッ
苗木(てゆーか僕まだ誤解解いてないよな…)
苗木「ねえ盾子さん、帰ってきたときのことなんだけど…」
江ノ島「あぁ、それ?もうそんなのどうでもいいってゆーかー」
苗木(いや、家計的にもあんまりどうでもいいことじゃないんだけどな…)
江ノ島「誠が誰としてたとしても、もうアタシたちだけって決めてくれたしー」ポッ
戦刃「なに誠君、他の女とナニをしていたの?」
苗木「それは違うよ!」
江ノ島・戦刃「」ビクッ
苗木「僕は今日、女の人と会いに行ってたんじゃないんだよ」
江ノ島「じゃあどこ行ってたの?アタシを断っといて」
苗木「それはね、株主総会だよ」
戦刃「株…?」
苗木「かくかくしかじか……というわけなんだよ」
江ノ島「なるほど、そうして3億が7億になって帰ってきたってわけね。どんなバブルだって」
戦刃「さらに誠君が投資した会社もたまたまあのゲームの会社だったんだね」
戦刃「とゆうことは、すなわち誠君があのゲームを作ったことになるね。つまり誠君は神だったんだね」
江ノ島「アタシの旦那が神になった」
苗木「働く魔王さまじゃなくて、無職の神様ってやつ?やかましいよ」
江ノ島「自虐ネタ楽しい?」
苗木「泣きたい」
江ノ島「まぁ、さ。誠が浮気するような節操なしじゃないってことはちゃーんとわかってたよ。……あぁアタシたちは二人で一つだから気にしない」
江ノ島「それにもし今日までに誠から言ってこなかったら、明日アタシから言うつもりだったし」
苗木「あぁ、それで暇か聞いてきたんだ……」
戦刃「……それより、私も指輪もらってよかったの…?」
苗木「と、当然だよ!君も僕にとって大切な人なんだから!」
戦刃「ありがとう………。嬉しい、誠君……。大切にするね」
数週間後
苗木「本当に誰も知り合い呼ばなくてよかったの?」
江ノ島「うん。お姉ちゃんにだけ見ててもらえればいいし…」
江ノ島「それに苗木の知り合いとアタシの知り合い(部下)呼んだらどうなるかわかってる?」
戦刃「希望(現役)と絶望(残党)の全面戦争になる」
江ノ島「でしょ?だからこうやって静かな山奥で静かに幸せを誓いあうの。…………でもやっぱ納得いかないな……。今からでも遅くないし、ちょっくら日本の法律変えてこようかな…」
戦刃「だめ、盾子ちゃん」
江ノ島「でも重婚が認められればアタシたちは……!」
戦刃「ありがと、そんなに私のこと想ってくれて……。お姉ちゃんすごい嬉しいよ。でもね、盾子ちゃんが誠君と私で幸せになってくれるように、私も二人がいてくれるだけで幸せなの」
江ノ島「お姉ちゃん……」
戦刃「だから……、結婚おめでとう、盾子ちゃん。ドレス、すごくキレイだよ」
神父「では、誓いのキスを」
戦刃(盾子ちゃん、今までで一番綺麗な顔してる。やっぱり嬉しいんだろうな、好きな人と結婚できて。)
戦刃(確かに私は今すごい幸せ。働いてないという現状は気にしてるけど、毎日がすごく楽しい)
戦刃(誠君や盾子ちゃんに求められるときも拒む理由なんてどこにもない。だって二人と交わえるのは幸せだから)
戦刃(盾子ちゃんは二人で子供を作ろうって言ってくれた。あれは同情で言ってるんじゃないって断言できる)
戦刃(実際に私も誠君から授かりたい。だから少し考えた)
戦刃(先に盾子ちゃんの子供を見てから、私にも幸せを分けてもらおうって)
戦刃(どっちも女の子だったらいいな。そしたら今度は私の娘が『お姉ちゃん』って呼ぶのかな。でもその方がいいよね)
戦刃(しっかり者の盾子ちゃんに似てその子もきっとちゃんとした子になる。だから今度の姉妹は間違ったりしない)
戦刃(私はしっかりしていなかったから盾子ちゃんの道を正してあげることができなかった)
戦刃(でもこれからもしまた間違えてしまったといても大丈夫だよ。私と誠君が必ず止めてあげるから)
戦刃(あーぁ…、結局誠君には言えなかったな)
戦刃「…………愛してるよ」
式後 自宅
苗木「あのー、二人とも?」
江ノ島「なに?」
戦刃「どうしたの?」
苗木「やっぱりさ、僕の記憶戻してくれないかなぁ…?」
江ノ島「今ごろになってどうしたの?」
苗木「いや、やっぱり気になるんだよね…、僕やみんな、そして君たちがどんな感じだったのか」
戦刃「うーん…」
江ノ島「……」
苗木「ダメなら、諦めるよ……」
戦刃「今がいい時期なのかも」
江ノ島「むしろ、今戻さないでいつ戻すかって感じだしね」
苗木「えっ、じゃあ戻してくれるの?」
江ノ島「うん、いいよ。戻したげる。じゃあ学園行こっか」
希望ヶ峰学園
江ノ島「はい、これ飲んで」
苗木「これで記憶が戻るの?」
戦刃「いや、これは酔い止めみたいなもの」
苗木「酔い止め?」
江ノ島「急に記憶が返ってきちゃったらさ、能も驚いちゃうわけ。そしたら強烈な吐き気を催すんだって」
苗木「へ、へぇ…」
江ノ島「まあこれもほんの気休めでしかないからね。ほかの連中の記憶戻すときも同じことやったのよ」
江ノ島「そしたらあの十神や大神でさえもゲェしてたからさ」
苗木「あの二人でも耐えきれないのか…。僕大丈夫なのかな…」
苗木「それより記憶を戻しても、今の僕のままでいられるのか不安だ…」
江ノ島「そんなこと心配しなくていいよ。アンタみたいなのが記憶戻したくらいで変わるわけないし」
苗木「それもそうだよね…。んっ、安心した」
江ノ島「じゃあ、最後にこれを被ってね」
苗木「うぁ…。なんかありがちな金属ヘルだな…」スポッ
戦刃「それじゃあ始めるよ」
苗木「ちょ、ちょっと待って!」
戦刃「……?」
苗木「なんか怖くなってきたから言っとくね」
江ノ島・戦刃「?」
苗木「二人とも…、大好きだよ。ずっと一緒にいようね」
江ノ島「はは、バッカみたい」
戦刃「確かに」
苗木「むくろさんまで、ひどいや…」
苗木(でもこの二人のこんな眩しい笑顔、始めて見たな…)
江ノ島「じゃ、はやく行ってきな!手握っててやるからさ!」ギュッ
戦刃「私も」ギュッ
苗木「ありがとう、二人とも。じゃちょっと行ってくるよ!」
戦刃「じゃあボタン押すね」
苗木「……うん」
ポチッ
苗木「な、なんか眠気が…。うぅ、緊張するや…」
戦刃「……………………大丈夫だよ」
江ノ島「……………………アナタは何も、変わってないから」
苗木「え、二人とも…、今何か言……っ、……。」
苗木(うっ…、なんだろうこの感覚。頭のなかに何かが流れ込んでくるような…、いや、逆に何かを吐き出してるような、変な感覚)
苗木(…………。あぁ思いだしてきた……。みんないる。むくろさんも盾子さんも……)
苗木(天才の集う希望ヶ峰学園に入学してから、記憶を失うまでを完璧に思い出せる)
苗木(あぁ、暖かい…。確かに僕は何も変わっていないな。なのにどうして盾子さんたちは記憶を戻すのを渋ったりしたんだろう…)
苗木(………………あれ、この記憶は…。……あぁそっか…。そういうことだったんだね……)
苗木(みんなにはなく、僕にだけ与えられた、記憶をなくさなくてはならなかった真の意味。……そうか、君たちは…………)
>>1 です
昨晩は途中でオチてしまって、中途半端な投稿になってしまいました。もうしわけございません。
まだ書き終わってませんが、このssもあと1回の大型投稿で終わりになると思います。
今日中には終わりたいと思ってるので、気長に待っていてもらえれば幸いです。
苗木誠 希望ヶ峰学園1年
時期・冬
屋上
苗木「それで、伝えたいことって何かな?……舞園さん?」
舞園「……」
苗木「あ、えっと、何か怒らせるようなことしたかな…?」
舞園「……」
苗木「あ、あのー…舞園さ………」
舞園「苗木君!!」
苗木「は、はい!?」
舞園「屋上で男子と女子が二人きり……。いくら苗木君でもこれからどうなるかはさすがにわかりますよね?」
苗木「えっ、あ、えっと……」
舞園「では言いますね?…………私、苗木君のこと好きです。多分、中学生のときにあなたが気になってからずっと……」
舞園「私、来週から全国ツアーで学校来れないので…、それまでに苗木君の気持ちが知りたくて……。……迷惑でしたか?」
苗木「…………。いや…、すごく嬉しいよ舞園さん。まさか君みたいなトップアイドルに好かれてるなんて……、思いもしなかったよ」
舞園「で、ではお返事は…!」
苗木「その……、少し、考えさせてほしいんだ」
舞園「えっ、あっ……はい。で、できれば今週中に聞かせてもらえると嬉しいです!」
苗木「……ありがとう、舞園さん」
舞園「そ、それじゃあ私、先に帰りますね!なんだかまた冷えてきたみたいですし!」
苗木「う、うん、そうした方がいいよ!風邪引いたら困るもんね」
舞園「はい!で、ではまた明日、苗木君!…………」タッタッタッ
苗木「ま、舞園さん……」
苗木(舞園さん、泣いてた…)
苗木(くそっ、……僕は本当にダメなクソ野郎だ…)
苗木(僕にはもう好きな人がいるのに…、それなのに舞園さんのことを先伸ばしにして)
苗木(しかも霧切さんにもちゃんとした返事してないじゃないか…)
苗木(なんで断ってやれなかったんだよ…。僕は彼女らのことをどう思ってるんだ…?)
苗木(わからない…。僕には決定的な何かが大きく欠けてる気がする)
狛枝「おっ、これは偶然だね、苗木君」
苗木「あっ、狛枝さん。こんにちは……」
狛枝「どうしたんだい?こんなところで座り込んで。それにそんな辛気臭い顔してたら幸運も逃げ出すよ?」
苗木「そうですよね…」
狛枝「もしかして女の子にでもフラれたのかい?」
苗木「……」
狛枝「どうやら図星のようだね?僕に何か力になれるようなことはあるかい?お互い『超高校級の幸運』同士の仲だ。遠慮はしないでいいよ」
苗木「ありがとうございます…。でもこれは自分で解決しなくてはならない問題ですので」
狛枝「そうなんだ。まぁムリには聞かないから、話そうって気になったら言ってね」
苗木「頼りになります。それより狛枝さんはどうして屋上に?」
狛枝「ちょっと人と待ち合わせしててね。でも、この様子だとまだ来てないみたいだね」
苗木「はい、僕が来たときはここに誰もいませんでしたよ」
狛枝「まったく…、自分から呼び出しておいて待たせるなんてヒドイ人だよね」
???「あっ、もう来てたんだ。ごめん、待ったかな?」
狛枝「お、やっと来たね。大丈夫、そんなに待ってないよ。詐欺師さん」
???「ひどいな、人をそんなふうに呼ぶなんて。僕にもちゃんと名前があるんだよ。学園にも戸籍にも記されてないけどね」
狛枝「別にいいじゃないか、君の名前はちょくちょく変わるんだし。それに第一、君の名前を僕は知らない。だから詐欺師って呼ばれたくなかったらさっさと変装して名を持ってくれないかな?」
???「そのことで君に相談があったんだよ。次に変装する人のことでさ。君の幸運の力も借りれれば、他人を騙すのもより簡単になりそうだ」
狛枝「……まあいいさ。それじゃあちゃっちゃとすませようか。こんなところに長時間いたら凍え死んじゃうよ」
???「仕方ないじゃないか。こういう話は他人がいる場所でできないからさ」
狛枝「僕はその他人に含まれないのかな?」
???「君は別だよ。君なら誰にもしゃべらないって信用してるからね」
苗木「あ、あの……。それじゃあ僕はこれで帰りますね?」
狛枝「あぁ、放置しちゃってごめんね。それじゃ、あんま思い詰めないで頑張って」
苗木「はい…、さようなら」スタスタスタスタ
狛枝「さて、じゃあ今度は一年生のセレスさんなんてどうだい?」
???「いや、さすがに女子はキツくないかな…。できれば男子でお願いしたい」
狛枝「それなら不二咲さんなんてどう?」
???「何を言ってるんだ狛枝君。君は人の話を聞いてなかったのか」
狛枝「いや、だって彼は男じゃないか」
???「ふっ、そんなこと僕は認めてない。だから却下だ」
狛枝「あっ、なんか今の口調……ちょっと十神君に似てなかった?」
???「ほぉ、なるほど。十神君か……。うん、それでいこう。相談に乗ってくれたこと感謝するよ」
狛枝「ハハハ。幸運なんてクソみたいな才能しかない僕が、君みたいな本物の希望の力になれて光栄だよ。もしろこっちが相談してくれたことに感謝したいね」
???「いいや、運もれっきとした力だと思うよ。僕は仕事柄、つくづくそう思うときがある」
狛枝「……そうかい?お世辞が上手いんだね、ありがとう」
???「お世辞だと思うんならそれでいいよ。それじゃあ帰ろうか、雪も降ってきたし」
狛枝「そうしようか。この制服は寒いから嫌なんだよな。やっぱパーカーの方が暖かいし、落ち着くよ」
???「では、明日から俺のことは『超高校級の御曹司』、十神白夜と呼んでくれ。わかったか、狛枝」
狛枝「わかったよ。じゃあね、……十神君」
二日前 教室
霧切「アナタのことが好きよ」
苗木「……えっ?」
霧切「聞こえなかったのかしら?ならもう一度言うわ。私はね苗木君、アナタのことが好きなの」
苗木「……」
霧切「驚きで声も出ないって顔してるわね」
苗木「う、うん」
霧切「それで、苗木君はどうなのかしら」
苗木「……え?」
霧切「え?じゃないわよ。私はアナタに告白したのよ?だからその答えを聞かせてちょうだいと言ってるの」
苗木「そ、その……。今じゃないとダメかな?」
霧切「今答えられないの?そんなの、好きじゃないって言ってるようなもんじゃない」
苗木「いやっ、そんなわけないよ!霧切さんが好きじゃないなんてそんなことあるはずないよ!」
霧切「じゃあどうして今じゃダメなの?」
苗木「……ケリを、着けておきたいんだ」
霧切「もしかして、ほかに好きな人がいたの?」
苗木「……」
霧切「そうなのね。いったい誰なのかしら?と言っても心当たりは3つほどあるのだけど」
苗木「……」
霧切「舞園さんかしら?あの子、アイドルやってるし可愛いものね。それともセレスさんかしら?それとも朝比奈さん?」
苗木「……いや、違うんだ」
霧切「なんですって…。それならもう私の心当たりなんてないわよ」
苗木「……ごめん」
霧切「……そう、わかったわ。苗木君がそのつもりなら私にも考えがあるわ。じゃあ、さよなら」ガラッ バタン
苗木(まさか霧切さんに告白されるなんて…。いっつも僕に厳しいからそんな可能性なんて微塵もないと思ってたのに)
苗木(それより断りきれなかったな……。やっぱり悪いよね。好きな人がいるのに、彼女に期待させたままでいるのは)
苗木(よし…!明日ちゃんと断るんだ。そして、心置きなくあの娘に告白できるようにするんだ)
霧切(緊張しすぎて身体が暑いわ。ちょっと雪に埋まってこようかしら)
同時刻 教室前廊下
戦刃(盾子ちゃん…。覗き見なんてよくないよ)
江ノ島(なんでさ、おもしろいからいいじゃん。それにお姉ちゃんも気になってるんじゃないの?アタシよりもドアにひっついてるクセに)
戦刃(ハッ!……ち、違うの。別に苗木君が霧切さんと付き合うことになろうと私は……クスン)
江ノ島(ちょっ、何泣いてんのさ!まだ付き合うって決まったわけじゃないでしょ)
戦刃(付き合うに決まってるよ…。霧切さんキレイだし、苗木君といつも一緒にいるし……舞園さん込みで)
戦刃(だから絶対……)
苗木『そ、その……。今じゃないとダメかな?』
戦刃(えっ……?)
苗木『……ケリを、着けておきたいんだ』
戦刃(ケリ、か……。やっぱり舞園さんに告白するのかなぁ……)
江ノ島(まー舞園はお姉ちゃんと違って明るいし料理もできるし運動もできるからね。何よりアイドルだし)
戦刃(……運動は私の方ができる)
江ノ島(100mを10秒弱で走る女の子を、男の子は可愛いと思う?)
戦刃(……盾子ちゃんヒドイ)
江ノ島(まぁもし舞園が苗木にこくられたら、まず間違いなくOKするだろうね)
戦刃(だよね…)
翌日
苗木(霧切さん、風邪で休みか…。お見舞いでも行ってこようかな)
舞園「それならやめておいた方がいいですよ?」
苗木「わっ、舞園さん!?今の声に出てた?」
舞園「いいえ、出てませんよ?でもわかります」
苗木「エスパーだから?」
舞園「はいっ!」ニコッ
戦刃「……」
江ノ島「ちょっ、お姉ちゃん。なんで自分の手噛もうとしてるの?」
苗木「そ、それで、なんで行かない方がいいのかな?」
舞園「それはですね、霧切さんは風邪なんて引いてないからです」
苗木「えっ、それは本当なの?」
舞園「モチのロンです。彼女は仮病使ってるだけなんで、当然お見舞いも必要ないです」
苗木「まぁ仮病は悪いことなんだろうけど、とにかく体調崩してないならそれでよかったかな。それじゃあ僕は帰ろうかな」
舞園「はい!さようなら、苗木君。また明日です」ニコッ
苗木「うん。また明日ね」ガラッ
舞園(……ごめんなさい、霧切さん。お見舞いなんて大きなイベント、私が明日しようとしてることの手前では起こすわけにいかないんですよ)
舞園(だから今日はおとなしくお父さんに見舞われていてくださいね)
霧切「うっ……、悪寒と悪感が止まらないわ」
翌日 昼
舞園「苗木君、お昼一緒してもいいですか?」
苗木「うん、いいよ。桑田くんたちも一緒でいいなら」
石丸「苗木君、早く食堂へ行かないか!」
桑田「置いてっちまうぞ!」
舞園「……」ギロリ
石丸「ひっ……!」
葉隠「ヤバイベ……!あれは寿司好きな子が干瓢を見るときと同じ目つきしてるべ!」
桑田「お、俺ら先行ってっからよ、あとからでも……」
舞園「……」ギロッ!
桑田「ひっ……!じ、じゃあな!」ダッダッダッ
石丸「こ、こら桑田くん!廊下を走ってはいけないぞ!」ダッダッダッ
葉隠「お前も走ってるべー」ダッダッダッ
舞園「いいえ、こちらの話です!純真無垢な苗木きゅ……、君は知らなくていいんです」
苗木「はは、今噛んだでしょ?」
舞園「は、はい。いつも滑舌とかは念入りに練習してるんですけどね」フフフ
舞園(危うくいつもの妄想の癖で苗木きゅんと呼んじゃうところでした)
戦刃「……あっ、スプーン落としちゃった。拾わなきゃ」
江ノ島「それ拾ってもお姉ちゃんは大きくならないからね?」
苗木「そういえば、今日も霧切さん休みだったね」
舞園「そうですね。仮病こじらせちゃったのでしょうか……」
苗木「仮病はこじれないと思うけど……」
舞園「と、まあ霧切さんのことはどうでもいいんですよ!」
苗木「よくはないと思うけど……。聞いちゃなんだけど、舞園さんと霧切さんて仲悪いのかな?」
舞園「そんなことはありませんよ?誰かさんのことになると喧嘩しちゃうだけです」ニコッ
舞園「って、また話しが逸れそうなんで戻します。苗木君今日の放課後空いてますか?」
苗木「えっと、今日は朝比奈さんとドーナツ食べに行くんだよね……」
舞園「そうなんですか。ですけど朝比奈さん、なんだかお腹痛くなる予定らしいですよ?」
苗木「えっ、お腹痛いんじゃ今日はムリじゃ……って、予定?」
舞園「はい、予定です」ニコッ
苗木「舞園さんって未来予知もできたんだ…。すごいね」
舞園「それで、朝比奈さんとの予定も無くなったようなものですし、放課後空いてますよね?」
苗木「それなら大丈夫かな。またどこかに買い物へ行く?」
舞園「それも非常に捨てがたいのですが、今日は屋上に来てください。伝えたいことがありますので」
苗木「伝えたいこと?今ここでは言えないの?」
舞園「そんなの、当然ですよ……」テレッ
苗木「?とりあえずわかったよ。舞園さんは掃除の当番じゃないよね?だったら少し待たせちゃうかも知れないけど、ごめんね?」
舞園「はい、承知の上です。それでは、失礼しますね!また放課後に!」
苗木「えっ、ちょっ、舞園さん!?ご飯なにも食べてないじゃないか!」
舞園(さて、朝比奈さんのところに行きますか。この、たまたま持ち合わせたドーナツ[下剤風味]をプレゼントしてきましょう)
翌日 朝
苗木「今日は土曜日か……。休日だってのに全然気分が優れないな……。そりゃそうだよな、あんなことがあった後だし」
霧切『私はね苗木君、アナタのことが好きなの』
舞園『…………私、苗木君のこと好きです。多分、中学生のときにあなたが気になってからずっと……』
苗木「彼女たちは勇気を振り絞って僕に想いを伝えてくれたんだ。なら僕も頑張らないでどうする……!」
♪~
苗木「こんなときに電話か……、誰からだろう」
苗木「……!」
同時刻 舞園
舞園「はぁ……、モヤモヤして全然眠れませんでした。一応覚悟はできていたとはいえ、先伸ばしにされるのはけっこう堪えますね」
舞園「むしろキッパリとフッてくれた方が気が楽だったかもしれませんね…」
舞園「はぁ。どこがダメだったのかな……?」
舞園「私はこんなに苗木君のこと好きなのに……」
舞園「やっぱりほかに好きな人がいたのかな……。それってやっぱり……」
同時刻 霧切
霧切「37.6……。やっと治ったみたいね」
霧切「それにしても告白の返事を待たせるなんて、苗木君のくせに生意気なのよ」
霧切「……って、こうゆうところがダメだったのかもしれないわよね」
霧切「いままで苗木君に冷たく当たってきたんだもの……、好かれてなくても当然よね」
霧切「でも苗木君のあの様子だと、ほかに好きな人がいたように見えた……。ならそれはつまり……」
舞園「霧切さん?」
霧切「舞園さん?」
再び、苗木
苗木「いや、やっぱダメだ……!だっておかしいよなぁ……」
苗木「……二人の女の子を好きになっちゃうなんて」
同時刻 姉妹
江ノ島「で、どうするのさお姉ちゃん。霧切も舞園もちゃんと伝えたみたいだよ」
戦刃「……」
江ノ島「いいの?お姉ちゃんみたいな地味なのがあっちから告白してくれるの待ってても、マジでありえないからね?」
戦刃「……うん、わかってる。わかってるんだけど、怖いの……。もし想いを伝えて届かなかったとき、もう私には苗木君を見ていることさえ許されないんじゃないかって……」
江ノ島「へー、今のお姉ちゃん超乙女じゃん。心配しなくても大丈夫だって。もしフラれても同じ空気を吸うことくらいは許してくれるハズだからさ」
戦刃「なんかヒドくなってるよ……」ズーン
戦刃「でもやらなきゃダメだよね……!私みたいな内気な人ほど、想いはちゃんと伝えなきゃ届かない!」
戦刃(って盾子ちゃんが写真が載ってる雑誌に書いてあった)
江ノ島「おー、なんか二流のギャルゲーヒロインみたいでマジウケルわ!」
戦刃「……盾子ちゃんなんて嫌い」
戦刃(雑誌には『江ノ島盾子からのワンポイントアドバイス!』って書いてあったのに……)
江ノ島「貶してるんじゃないって。やっとバトルモノの女性キャラから、恋愛モノのヒロインキャラになれたんだよ?むしろ誉めてるんだよ?」
戦刃「じゃあ私にも攻略されるチャンスが……!」
江ノ島「いやいや、お姉ちゃんみたいな地味キャラは自分からグイグイいかないと、選択肢の出るヒロインどころかしゃべるだけのモブキャラで終わるっての」
戦刃「……やっぱそうだよね」
江ノ島「明日日曜日だしさ、思いきってデート誘ってみたら?」
戦刃「デ、デート……!」デデドン
戦刃「うっ、でも今頑張らないでいつ頑張るのか……」
江ノ島「……」
戦刃「……」
江ノ島「何、ノッてくれるの待ってるの?言わないよ?」
戦刃「……じゃあちょっと苗木君に電話してみるね」トゥルルルルルル
江ノ島(出ろよ苗木…。そうじゃなきゃせっかく勇気振り絞ったお姉ちゃんが可哀想だ)
戦刃「……もう2コールなのに出ない」グスン
江ノ島「いやいや、泣くの早すぎ」
戦刃「あぁ、もう5コー……」
苗木『も、もしもし。戦刃さん?』
戦刃(……!)パァ
江ノ島(よし苗木、ナイスだ)
苗木『あれ、もしもし?』
戦刃「……!あっ、もしもし……」
苗木『戦刃さんだよね?珍しいね、君から電話してくるなんて』
戦刃「ご、ごめんね。今忙しかったかな?」
苗木『いや!な、何もしてなかったよ!』
戦刃「よかった……。えっと、ね。今日は用事があって電話したの……」
苗木『用事?』
戦刃「え、えと……」
江ノ島(がんばれ!)
戦刃(ありがとう……)
戦刃「えっと、明日は、その……予定があったりするのかな……?」
苗木『いいや、僕はひまだよ!山田君の同人誌書く手伝いなんて元からないさ!』
戦刃「そう、よかった……。あの、よかったら明日、あの、わ、私と……おでかけしませんか!?」
苗木『えっ、戦刃さんと二人で!?』
戦刃「えっ!い、いや……盾子ちゃんもいるよ!」
江ノ島「ちょっ、何言ってんの!」
苗木『わ、わかったよ!じゃあどこで待ちあわせにする?』
戦刃「こ、校門前で!」
苗木『うん、了解!それじゃあ明日ね』
戦刃「うん、明日ね、苗木君」ピッ
江ノ島「……」
戦刃「ふー……。や、やったよ盾子ちゃん!私でもデートくらいなら……」
江ノ島「ナ゛ン゛デアタシも巻き込んでんだこのヘタレ!意気地無し!」
戦刃「だって……。盾子ちゃんも苗木君のこと好きなのに、私だけいい思いするわけにはいかないよ……」
江ノ島「はっ…?な、何言ってんのさお姉ちゃん。アタシが苗木なんかのこと好きなわけ……」
戦刃「嘘ついてもわかるよ?これでも双子でお姉さんなんだから!」エッヘン
江ノ島「……やっぱりわかっちゃうんだ。ま、お姉ちゃんのことをアタシも感じれるんだし、当然か」
戦刃「うん。だから明日は、一緒に楽しも?」
江ノ島「わかった。……でも、お姉ちゃんのその偉そうな態度マジ腹立つ!」
戦刃「あっ、ごめんね……」
江ノ島「やだ。許さない!」モニュ
戦刃「ひゃっ……!?ちょっと盾子ちゃん!?」
江ノ島「まったく、他に人がいるのに下着だけで過ごしてるとは何事だ」
戦刃「やっ…!盾子ちゃんも同じ、んんっ!格好じゃ…あっ、中に手入れちゃ…」
江ノ島「やっぱお姉ちゃんのっていまいちボリューム足りないよね。体育祭のときは盛ってもあんなもんだったし。でも肌はスベスベでいい感じ」
戦刃「それは盾子ちゃんと同……んっ、んっ!……じボディーソープ使うように……あっ、撫でるの速くしないで……なったからで…あっ、先っぽは触らないで!ふぁぁぁああああぁ!」
江ノ島「なんだか同じ声で喘がれると、自分が喘ぎ声あげてるみたいで興奮しちゃう」
戦刃「盾子ちゃん…ダメだよこんなの…。私たち女の子同士だし、姉妹なんだし……」
江ノ島「だからいいんでしょ。お互い気持ちいいとこも同じなんだろうから、効率的に攻められるし」
戦刃「あん…。うなじ舐めないで。くすぐったいよぉ…んっ」
江ノ島「お姉ちゃん可愛い……。キスしてもいい?」
戦刃「えっ……?私まだしたことないからダ……んんっ!」
江ノ島「んっ…。もう、そんな受け身でされるがままだったら仮に苗木と付き合えでも幻滅されるよ? 戦刃さんはマグロだったのか…、って」
戦刃「うう……」
江ノ島「落ち込むお姉ちゃんも可愛い。てゆーか地味だけどこんな可愛いからフラれるわけないわ!」
戦刃「……ほんと?」
江ノ島「現役モデルのアタシが言うんだから間違いないって!だからアタシのここ舐めてよ」
戦刃「どうしてそこに繋がるのかがわからな……って、ひゃっ…、盾子ちゃんの…、すごく湿ってる…」
江ノ島「興奮しちゃったらこうなんの。だからキレイにしてよ、犬なんでしょ?」
戦刃「狼だよぉ…」
同時刻
ピッ
苗木「……」
苗木「や、やったぞ…! 戦刃さんたちとデートできるなんて…、こ、これは夢じゃないだろうか……!」
苗木「そうだ。 この機会を利用しないわけにはいかない! でもどう伝えればいいのか……」
苗木「うーん…。 非常に悩ましい。 あぁ悩ましい……」
翌日
大和田「本当に苗木のやつ、今日はデートって言ってたのか?」
葉隠「間違いないべ! 寮は寄宿舎と違って防音仕様じゃないから、隣の俺には苗木の声が丸聞こえだったべ!」
十神「逆となりの俺も保証できるぞ。間違いなく『デート』と浮かれていたぞ」
不二咲「やっぱり良くないよぉ…。 他人のデートを覗き見するなんて…、とっても悪いことなんだよ…?」
山田「苗木誠殿……吾が輩との約束を破ってデートなどというものに行くとは……!それにしても、ムッハァー! 不二咲千尋殿にそう言われると、なんだか興奮いたしますなぁ。」
大和田「オイコラ! 不二咲に少しでも触れてみろ? お前をタイヤの溝に埋めてやるからな!」
葉隠「スケールは小さいのに、想像したらおぞましいべ……」
葉隠「それにしても、まさか十神までついてくるとは意外中の意外だったべ」
十神「ふっ、俺だって苗木の挙動が気にならないわけじゃない。 それにアイツの行動全ては俺に見られる義務があるからな」
葉隠「なんて理屈だべ…」
舞園「あっ、苗木君が来たみたいです!」
霧切「予定より30分も早いわ。 さすが苗木君、誰かさんたちのおかげで女の子と出歩くのは慣れてるようね」
セレス「それって誰のことです?」
霧切「それはもちろん舞園さんやセレスさ……えっと、どちら様?」
セレス「失礼ですわね! セレスですわよセレス! 変装に邪魔だからウィッグをつけてないだけです! お風呂ではいつも外しておりますわよね!?」
霧切「あらごめんなさい。 いつも先輩だと思ってたわ」
セレス「だから私いつもぼっちだったのですね…」
葉隠「てかなんで女子もいるんだべ…。 俺は男子にしか連絡してないべ」
霧切「あら、盗聴や電波ジャックは基本よ? 迂闊に電話なんて使うのが悪いのよ」
山田「それはむしろ犯人がすることのような…」
舞園「私は女の勘で来ました」
セレス「同じくです」
大和田「女ってこわい」
十神「下らん話をしてるうちに戦刃と江ノ島も来たみたいだぞ」
霧切「……」
舞園「えっ!? よりによってあの人たちなんですか!?」
セレス「私はてっきり朝比奈さんかと思ってました…」
不二咲「朝比奈さんは大会近いらしいから今頃練習に打ち込んでるはずだよ」
同時刻 苗木
苗木(なんだか早く来すぎちゃったな。 舞園さんやセレスたちなら多少遅刻しても許してくれるけど、霧切さんは厳しいからな…)
苗木(だから知らないうちに30分前に来るクセがついちゃって……はっ! 知らないうちに霧切さんに調教されてる……!?)
江ノ島「おっす苗木。 なんだよ、メッチャ早いじゃん」
戦刃「おはよう…。 私たちも早く来たつもりだったんだけど、待たせちゃった?」
苗木「まさか、少しも待ってなんかないよ! 僕もちょうど今来たところなんだ! ……それより戦刃さん、なんだか疲れてるみたいだけど、大丈夫?」
江ノ島「そうなんだよ苗木ー。 お姉ちゃんったら昨日一日中アタシのこと……」
戦刃「あっ! 言っちゃダメだよ盾子ちゃん!」
苗木(……なんだろう。一日中ゲームでもしてたのかな?)
苗木「まあいっか。それじゃあ最初はどこ行こっか?」
江ノ島「まさかなんも考えてきてないカンジ? まさか男がノープランとかありえないっしょ」
戦刃(盾子ちゃん、気づいてる?)
江ノ島(うん。何人か見てるね)
戦刃(どうする? 苗木君に教える?)
江ノ島(いや、これはこれで面白そうだし泳がしとこうか)
戦刃(了解)
苗木「いや、一応考えてきてはいるんだけど……」
戦刃「私は苗木君が考えてきたとこならどこへ行ってもいいし、何をしてもいい」
苗木「じゃあとりあえず移動しよっか」
江ノ島「おっとその前に。 苗木よー、なんか言うことあるんじゃねーか?」
苗木(何か言うこと? それって……)
トイレに行っとかなくて大丈夫?
朝ごはんは何食べた?
⇒私服も可愛いね
苗木(これだ……!)
苗木「その、私服もすごい似合ってるね! すごく……、かわいい」
江ノ島「はぁ!? あ、当たり前じゃん! アタシが『超高校級のギャル』もといファッションモデルだってこと忘れてんの?」
苗木「江ノ島さんもすごく似合ってるけど、戦刃さんはなんていうか……、華やかだね」
戦刃「盾子ちゃんが選んでくれたの…。黒しか着ないから根暗になるんだって…」
苗木「明るい色の服もすごく似合うんだね。 ……僕はかなり好きかな」
江ノ島「馬子にも衣装」
戦刃「スタンガンくらいなら常備してるんだよ?」
江ノ島「ごめんなさい御姉様」
苗木「じ、じゃあ今度こそ行こっか」スタスタスタ
戦刃「うん」スタスタスタ
江ノ島(本当はデートに誘ったお姉ちゃんに感謝してほしかったんだけど……、この天然ジゴロめ。 さては相当女慣れしてるな)
江ノ島(でも、顔がやたら暑い…。 お姉ちゃんじゃあるまいし、苗木なんかに誉められて嬉しいわけ……、ないはずなのに……)
戦刃「盾子ちゃん、置いてっちゃうよ?」
江ノ島「今行くって!つか苗木さー、立ち止まってる女の手も引けないわけ?」クスクス
同時刻
葉隠「おっ、移動するみたいだべ!」
霧切「では私たちも……、!」
舞園「苗木君、江ノ島さんの手を握って……!?羨ましいです!私ですら握ってもらったことないのに……」
十神「フン、女の嫉妬は見ていて見苦しいな……」
葉隠「血の涙流してるやつがよく言うべ」
大和田「それにしてもあの江ノ島が赤くなってるぞ。 珍しいこともあるもんだな」
不二咲「なんだか戦刃さんと言い争いになってるみたいだね」
セレス「あらっ。 苗木君、戦刃さんの手も握りましたね」
山田「あれがまさに両手に花ってやつですな。 ハーレム王は爆死しろ」
不二咲「なんだか苗木君、すごく幸せそうな顔してるね。見てるこっちまで嬉しくなっちゃう」
葉隠「ただ鼻の下が伸びてるだけだべ」
舞園・霧切(私が一緒のときはあんな顔一度もしなかった……)
セレス「お二人とも、グズグズしてたら彼らを見失ってしまいますわよ?」
夕方
葉隠「やっと帰ってきたべ。やっぱ冬だからこの時間はかなり暗いべ…」
舞園・霧切「」ニコッ
葉隠「でもこの二人の笑顔は暗闇でもハッキリと見えるべ。ホラーだべ」
不二咲「途中から何にも反応しなくなったと思ったら、最後の方はずっと仏のような笑顔が固まりついちゃってたね……。 すごく怖かった」
大和田「あの十神や山田も途中で逃げ出したくれーだし…、お前はもう十分つえーよ、不二咲」
不二咲「ほんと…!? じゃあ明日からは男子の制服で……」
大和田「それには反対だ」
セレス「なかなかハードな一日でしたわね…。まさかあの苗木君にあそこまでの行動力があったとは…」
舞園「これでやっと長かった一日も終わってくれるんですね…」
葉隠「あっ、戻ったべ」
霧切「私はこんなに辛い目にあったんだもの…。もうなにも怖くない」
大和田「それはフラグだぞ霧切」
霧切「……えっ?」
苗木『僕は君たちのことが好きなんだ!!』
葉隠「あっ、告ったべ」
不二咲「それも二人同時になんて……。苗木君、君はなんてかっこいいんだ……」
舞園・霧切「」
セレス「私のナイトが私のナイトが私のナイトが私のナイトが私のナイトが私のナイトが私のナイトが私のナイトが私の」
葉隠「さすがにポーカーフェイスも限界みたいだべ。むしろよくここまでもったべ」
舞園「霧切さん」
霧切「何かしら舞園さん」
舞園「あのギャルのくせに天才の江ノ島盾子と軍人の戦刃むくろを葬るにはどうしたらいいでしょうか」
霧切「ムリよ。彼女ら貶めることなんて、殺し屋ならともかくアイドルや探偵なんかにできるはずないわ」
舞園「では屋上に参りましょうか」
霧切「ええ。そうしましょう」
セレス「私もお供いたしますわ」
不二咲「さ、三人とも……早まっちゃダメだよ!」
葉隠「真面目な顔して自殺相談するんじゃないべ!」
大和田「おっ、アイツらもう解散するみたいだぞ?まだ返事してねーはずなのに」
葉隠「きっと苗木っちのやつ、愛想尽かされたんだべ」
同時刻
戦刃「今日はすごく楽しかった…。 ありがとう」
江ノ島「苗木のくせにやればできんじゃん。 少しだけ見直したかも」
苗木「はは、よろこんでもらえてよかったよ」
戦刃「それじゃあ私たちはこれで……。 また明日ね、苗木君」
江ノ島「えっ、ちょっお姉ちゃん!?」
戦刃(どうしたの盾子ちゃん?)
江ノ島(どうしたのじゃないし! 告白だよ、コ・ク・ハ・ク! 今日しないでいつするのさ!)
戦刃(もう盾子ちゃんったら、ノッてほしいの?)
江ノ島()ムカッ
戦刃(……怖いの)
江ノ島(は? そんなの今更じゃん)
戦刃(今日はすごくすごーく楽しかったんだ…。 だから告白して断られて、そしたら今日のことも全てなくなっちゃうような気がして…)
江ノ島(お姉ちゃん……)
戦刃(でも告白を諦めたわけじゃないよ? 覚悟が決まったらそのときに必ず……)
苗木「待って!」
戦刃・江ノ島「……!」
苗木「ちょっと、待って…」
苗木「ぼ、僕は……」
苗木「僕は君たちのことが好きなんだ!!」
戦刃「……」
江ノ島(…………あっちゃー)
戦刃「じ、盾子ちゃん……?何を書いて……」
江ノ島「これ」
苗木「えっ、これは…?」
江ノ島「いいからこれ持ってて! じゃっ、行くよお姉ちゃん!」
戦刃「えっ、盾子ちゃん!?そんな手引っ張らないでよ…!」
江ノ島「ふぅ、着いた」
戦刃「な、なんで体育館裏なんかに…?」
江ノ島「苗木にここに来るように指示しといたから」
戦刃「どうして…?」
江ノ島「もう、なんでわからないかな!さすがに告白までじゃじゃ馬に見せるわけにはいかないでしょ!」
戦刃「そうだね…」
江ノ島「あと、さ……、覚悟しといて。『あの計画』、ちょっと早めるかも」
戦刃「……え」
江ノ島「ごめんね……」
戦刃「ううん……。あっ、そうだ。ひとつだけ聞いていいかな?」
江ノ島「なに?」
戦刃「盾子ちゃんがその準備を進めて来てたのは私も近くで手伝ってきたからよくわかってる。でも盾子ちゃん、夏頃からあまり絶望って言葉使わなくなったよね。……ちょうど席が苗木君の隣になった頃辺りから、かな」
戦刃「それってやっぱり……」
江ノ島「……」
戦刃「そう……だったんだ。やっぱり盾子ちゃんはその頃から苗木君のことが……」
同時刻
苗木「行っちゃった…」ポカン
苗木「と、そうだそうだ紙切れ!えっと…」
『体育館裏まで来て。すぐ』
苗木「な、なぜ体育館裏……?」
苗木「まあとりあえず行ってみようかな…」
体育館裏
苗木「江ノ島さーん、戦刃さーん」
江ノ島「はいはい。呼ばなくてもちゃんといるって」
苗木「あ、あの……さっきのことなんだけど……」
江ノ島「さっきのことって?」
苗木「……え、えっと告白のこと……」
江ノ島「あれって本当に告白なの」
苗木「え……?」
江ノ島「アンタさぁ、君たちって言ったよね。つまり、アタシ江ノ島盾子と、そのお姉ちゃんの戦刃むくろってことで間違いない?」
苗木「う、うん…」
江ノ島「はぁ…。アンタがそんなやつだったなんて知らなかったよ。女子二人に、しかも一勢に告白するなんてさ」
苗木「……」
江ノ島「アンタなら告白するとしてももっとまともになると思ってた。でも今かなり幻滅してるよ。正直ありえない」
戦刃「盾子ちゃ……」
江ノ島「お姉ちゃんは黙っててよね」
江ノ島「なんで二人に告白するなんてさ愚行に出ようと思ったわけ?」
苗木「そ、それは……」
江ノ島「じゃあ仮に、アタシたちがどっちもOKしたとします。それで周りからは冷たい目で見られてはいましたが、お付き合いは順当に進んでいきました」
江ノ島「そしてとうとう結婚というところまで来ました。そこでアンタは気づくの。日本では妻を一人しか持てない。だからどちらかを捨てなければならない、って」
江ノ島「そんときにアンタはどっちを切り捨てる?ねえ、どっちを捨てるの!?」
苗木「そ、そんなの…。決められないよ…」
江ノ島「そんなの認めない。もし選べないって言うならこの告白もなかったことにする」
戦刃「盾子ちゃん……」
戦刃(盾子ちゃんは嫌われ役を自分で買って出てくれたんだ……。臆病な私とは違って……)
江ノ島「さぁ、選んでよ…!」
戦刃(声、震えてる……)
苗木「……」
苗木「……そんなの、ムリだ」
戦刃「……」
江ノ島「……はぁ、呆れた。帰ろうかお姉ちゃん」
戦刃「あっ、じゅん……」
苗木「僕には!!!」
江ノ島「……」
苗木「僕にはどっちかを選ぶことなんてできないよ!!だって、僕にとって二人とも大切な存在なんだ!」
苗木「江ノ島さんはいつもテキトーっぽいけど、仕事にも一生懸命で実はとてもしっかりしてるし、何より戦刃さんのことを大事に思ってる。僕が落ち込んでいたときもおもしろいことを言って慰めてくれた。僕が困ってた時も真剣に相談に乗ってくれた」
戦刃(えっ、そうなの?あの盾子ちゃんが……)
江ノ島(……)
苗木「僕はそんな江ノ島さんが好きだ」
苗木「戦刃さんは普段あまり喋らないけど、たまに食堂で一緒にご飯を食べてるときにテレビで軍事問題のニュースが流れたときに急に饒舌になる。そんなギャップにひかれた。それにいつも僕を見ていてくれたことも知ってる。目が合ったときに赤くなって俯く仕草もとても可愛かった」
江ノ島(見てたのバレバレだったじゃん)
戦刃(……)
苗木「僕はそんな戦刃さんが好きだ」
苗木「だから選べないんだよ…。どっちも好きだから、どっちも捨てれないと思う……」
江ノ島「じゃあさ、もしアンタが記憶を全て無くしたとしても……、アタシたちのこ好きでいられると思う……?」
戦刃「盾子ちゃん…!」
江ノ島「アンタが全てを忘れても……、アタシとお姉ちゃんのこと好きになる?」
苗木「それは……」
江ノ島「……」
苗木「うん、なるよ」
戦刃「苗木君……」
江ノ島「じゃあ証明してよ。私たちはこれから世界中を巻き込んだ『ある計画』を実行する」
戦刃「……」
江ノ島「もしそれを乗り越えて、またアタシたちのこと好きって言ってくれるなら……」
江ノ島「そんときはアタシとお姉ちゃんを幸せにしてね」
苗木「え、江ノ島……さん……?」
江ノ島「今度こそ帰るよ、お姉ちゃん」
戦刃「……うん」
苗木(それから数ヶ月間、彼女らは学校に来なかった。噂によれば二年生でも十数人、同じく欠席が続いているらしい)
苗木(そしてある日、江ノ島さんが言っていた『それ』は唐突に起こったのだ。人が何万と死に、世界中が絶望に包まれた)
苗木(僕たちは学園に籠城。そうして数ヵ月後に学園長…霧切さんのお父さんが処刑され、その横で嘲笑うモノクマ。そして『誰か』の手によって気絶させられるみんな)
苗木(そして最後に大神さんが麻酔銃撃たれ、立ってるのが僕だけになったとき。『誰か』……は人間とは思えないスピードで僕の目の前まで近づき、)
『ごめんね……』
苗木(思い出せるのは、意識が飛びそうなほどの強烈なパンチによる嘔吐感、涙で顔がくしゃくしゃになった戦刃さん、モノクマを抱きしめ僕を見つめる江ノ島さん)
苗木(そこで僕の記憶は終わり、コロシアイ学園生活へと続く)
苗木「…………ぁあ」
江ノ島「誠……?」
戦刃「誠君……?」
苗木「……ただいま。どのくらい、経ったのかな?」
江ノ島「そんなに経ってないよ。たったの14時間くらい……」
苗木「かなり経ってるじゃないか……。それなのにずっと手を繋いでくれてたの?」
戦刃「うん……」
江ノ島「ホント、はね…。ひっく…。ちょっとだけ泣いちゃったんだよ……?ううっ…。ほかの人たちは二時間くらいで終わったのに…」
戦刃「誠君だけ…、二時間経っても四時間経っても十時間経っても全然起きないから…、失敗して誠君に何かあったんじゃないかって……。ひっく…」
苗木「……それは、ずいぶんと心配かけちゃったね。でも、おかげで全部思い出せたよ。君たちとの約束……」
苗木(これが僕の……いや、僕たちの物語)
苗木(でもこれは始まりでしかない。だって僕たちの人生はまだ希望で満ち溢れてるから。この先、苦難もたくさんあると思う。でもこの人たちと一緒なら必ず乗り越えられる)
苗木(だからずっとそばで僕を支えていてほしい)
苗木「ただいま、今帰ったよ。愛してるよ。世界で一番大切な、盾子さん、むくろさん」
江ノ島「おかえり、誠。アタシたちも…」
江ノ島・戦刃「あなたのこと、愛してます……」
希望ヶ峰学園1年 夏
『これから3ヶ月間、隣よろしくね』
『はぁ…。話しかけないでくれる? 相手すんの絶望的にめんどくさいんだよね』
『ご、ごめん……。あの、江ノ島さんっていつも戦刃さんと一緒にいるよね。仲いいの?』
『だから話しかけんなって言ってんじゃん。……お姉ちゃんなの、双子の』
『えっ、でも苗字が……。あっ、深くは聞かない方がいいのかな』
『あぁ。めんどくさいから勝手に推測してよ。よくあることだからすぐわかるって』
『じゃあさ、江ノ島さん、』
『あぁもう、しつこいんだよ! アンタなんか残姉の相手してろ! おい、目の前でボーッとしてんな!』
『わっ……。えっと、わ、私……?』
『僕、まだあんまりこの学園に馴染めてないんだ……。うまく話せるのは舞園さんや山田君しかいなくて…。だから仲良くしてくれると嬉しいな……』
『どうせムシしても話しかけてくんだろ。仕方ないねーなー』
『う、うん』
『ま、よろしく』
『よろしく……』
苗木「ふぅ……、長い闘いだったなぁ…」
江ノ島「トイレでナニしてたの?イヤラシイ」
苗木「ちが……!いろいろあったなって思い返してたんだよ!」
江ノ島「確かに色々あったねー。気づいたらお姉ちゃんはニートになってるし、誠は完全に就職諦めてるし」
苗木「それは違うよ…!」
江ノ島「ずいぶん弱々しい論破だこと。半年過ぎてからハローワーク行かなくなったじゃん?」
苗木「そ、それは……」
江ノ島「でもね、アタシはそれでもいいんだよ…?」
苗木「えっ……?」
江ノ島「だってさ…、仕事から疲れて帰ってきたら誠とむくろちゃんが出迎えててくれて、ご飯が作ってあってお風呂も焚いてあって、夜には…もう言わせないでよ!」キャッ
苗木「盾子さん…!」
戦刃(考えることを止めないで…!それはどう考えても一般の夫婦と逆!)pcカタカタ
苗木「わかったよ盾子さん……。ボクは決めた」
苗木「グダグダ働くだの働かないだの言わないよ…!ボクは無職で生きていくよ!」ガバッ!
戦刃(あぁ…。誠君が胸を張って堕ちていく……。私も人のこと言えないけど)カタカタ
江ノ島「あっ……。誠に抱きしめられてると、暖かいな」
苗木「僕もだよ。盾子さんの豊満な胸が押し付けられてて、主にもう一人のボクが暖かくなってるよ」
江ノ島「もうっ。誠のえっち!知らないっ!」
苗木「ご、ごめんね盾子さん…!つい下半身でモノを考えてしまって…」
戦刃(それ誠君が言う?)カタカタ
苗木「だから、そう!ボクは今欲望に忠実となってしまったただの犬なんだよ!」
江ノ島「お姉ちゃんと同じだね…!」
戦刃(なんか喜んでるけど、私のは狼だからね?)カチカチ
苗木「だから一度興奮してしまうと繁殖のための本能を抑えられないからたとえボクが一人でナニしようが所詮はただの排出に過ぎなくて君と交わることが」
江ノ島「はいはいわかったって…」
苗木「じ、じゃあ早速ベッドに行こうか…!」
江ノ島「もう……。まだお昼過ぎなんだよ?」
苗木「そ、それは……。だって……だって!君のその、裸エプロンが全ての元凶じゃないか!」モミモミ
江ノ島「ゃん…ホントえっちすぎるよー。そんなに急かさなくてもアタシは逃げないし、この身体は誠とむくろちゃん専用だよ…?」
江ノ島「だからちゃんとベッド行って、誠で慣らされたこの身体……、じっくりと堪能してよね?」
苗木「盾子さーん!」
江ノ島「アー」
戦刃(昨日も同窓会[?]から帰ってきてすぐしてたのに、なんであんなに元気なんだろう……)チュドーン
戦刃(これじゃまるであなたたちの方が犬じゃない)~♪
戦刃(……って私、今大切な二人に対して何を…!?)デデドン
戦刃(……なんてひどい子なんだろう。あんなこと考えてしまった私を……、神よ、どうかお許しください……)
戦刃(そんなことよりこれで個人ワールドランク4位か。この調子で1位もオトして、私がこの世界で頂点に輝くんだ……!)
翌朝
戦刃「誠君。ゲームの世界ってキビシイんだね……」
苗木「あ、朝からどうしたの?なんだか疲れてるみたいだけど、もしかして寝てないの?」
戦刃「うん。3位の中国の人は22時勝ったんだけど、アメリカの人は2時に、ブラジルの人は4時にやっと戦えて……」
苗木「そ、そうなんだ……」
戦刃「でもやっぱり1位2位は別格だった。武器のあんな使い方、初めて知った。でも現実でやったら確実にオダブツ」
苗木「楽しいのはわかるけど、ゲームはほどほどにね?」
戦刃「うん」
戦刃「それより、ちょっと眠いかも。誠君……一緒に寝てほしいな……?」
苗木「えっ、これから!?まあ例によって今日も暇だからなあ……。よし、二度寝しちゃおっかな」
戦刃「盾子ちゃんが仕事から帰ってくるまで寝」スヤァ
苗木「って寝るの早いよっ!……仕方ない、ベッドまで運ぶか」
苗木(よいしょ……って軽いな。あのころは確か45ないくらいだったと思うけど、今は全然それよりも軽く感じるぞ)
苗木「……それにしても」
戦刃「」スヤァ
苗木(可愛い寝顔だな)チュッ
戦刃「んっ……。まことくん、だいすき……」
苗木(はは。寝言なんて可愛いな)
江ノ島「ただいまー。ふぅ疲れたー」
江ノ島「あれ、誰もいないの?」スタスタ
江ノ島「……」
江ノ島(なんでこの子たち、もう2時なのにまだ寝てるんだろう。アタシなんて朝から地元で撮影だったって言うのに……)
江ノ島「ま、いっか。アタシも寝よっと」
苗木(んっ、寝すぎたかな。もう夕方だ……)
江ノ島「あっ、おはよ誠」
苗木「おはよ盾子さ……、なんで裸なの?」
江ノ島「お姉ちゃんが寝てる隣で……なんて興奮すると思わない?」
苗木「」ムクムク
江ノ島「あはっ!正直者はアタシのおクチの餌食となりまーす」
苗木「うあっ……!?相変わらず上手すぎだよ盾子さん……ぐっ、もう……」
江ノ島「えー。まだ5秒だよ?もう少し頑張れないの?」
苗木「む、むり……だ。もう出、る……!うっ、あ…あぁ!」
江ノ島「んっく……んっ、んんー!……ぷはぁ。誠の全部飲めたよ」アーン
苗木「はあはあ……、偉いね。それじゃあボクも盾子さんのジュース飲ませてもらおうかな」ジュル
江ノ島「やん!いきなりがっつきすぎだよー。……ああ、気持ちよすぎ!今日はすぐにトンじゃいそ……!あっ、舌が中で暴れてるー!やっ、らめっ!切ない……!」
江ノ島「あっ、ダメっっ!いく、いっちゃう~~~!ああぁぁあぁぁん!!」プシャ
苗木「ゴクゴク……。ふぅ、そっちこそ10秒もモッてないじゃないか?」
江ノ島「だって、あん……、興奮するんだも……んっ」ビクビク
苗木「それじゃあ最後までいっちゃおうか」
江ノ島「……はい」
戦刃(起きるに起きられない)
数週間後
苗木「…………………えー、これから家族会議を行います」
江ノ島「……」
苗木「」
江ノ島「」
苗木「…………議題はとうにお分かりのように、むくろさんの件です」
江ノ島「……」
苗木「むくろさんが1週間も部屋から出てきません」
江ノ島「……」
苗木「えっと……、盾子さん?」
江ノ島「……ぐすっ」
苗木「わっ!な、泣かないでよ盾子さん!」
江ノ島「お姉ちゃんが、とうとう不良になっちゃったよー……」
苗木「そ、そんなことあるもんか…!と、とりあえず状況を確認しようか」
苗木「むくろさんはちょうど1週間前、確かにボクらと夕食をとりその後盾子さんとお風呂に入ってた。ついでに二人はそこでシテたんだよね。声が聞こえたからわかるよ。女の子同士ってどんな感じなのかな?」
江ノ島「…………おい。大事なのはそこじゃねぇだろ苗木。潰されてえのか…?」
苗木「……!」ブルッ
苗木(しまった…!盾子さんとの心の距離が少し開いてしまったようだ…!ついでにボクの膀胱も少し開いてしまったようだ……!)
苗木「お、お風呂から上がったむくろさんはその後部屋に引きこもり、そして現在に至る……と」
江ノ島「お姉ちゃん……。ご飯も食べないで何してるの……?お姉ちゃんがいなかったらアタシ寂しいんだけど……」
苗木「盾子さん……」
江ノ島「もしこれから先も出てこなかったら左右田のやつにダイナマイトつくらせてこの家を破壊しお姉ちゃんを救いだしそして今度はリビングしかない家を作り……」ブツブツ
苗木(なんか不吉なワードが聞こえてきたけど気にしない)
苗木「むくろさんはノックしても呼び掛けても反応がなかった。ならもうこの際突入もやむを得ないと思うんだ」
江ノ島「……ダメだよ。女子の部屋に男子が入るときはちゃんと返事を聞いてからはいらないと。……そんなだったらダメパパへの未来に一直線だよ」
苗木「うっ……。で、でも女の子同士でなおかつ双子の盾子さんが行くなら大丈夫なんじゃないかな?」
苗木(いや、そんなことまで頭の回らない盾子さんじゃない。おそらく盾子さんにもむくろさんの部屋に強行できない理由があるんだ……。まずはそれを明らかにしないと……!)
江ノ島「あぁ。アタシが行けばいいのか」
苗木(理由なんてなかった……!きっとショックで頭がいっぱいになってたんだな。……そうだよな?)
江ノ島「じゃあちょっと見てくるね」
苗木「う、うん。ならボクはリビングで待ってるよ」
江ノ島「……お姉ちゃん?ちょっと入るからね?」
バタン
苗木(ノックもせずに入ってったよ……)
苗木「」
苗木「」ソワソワ
苗木「……き、聞くだけなら大丈夫だよね」
江ノ島「――――、~~~~~」
戦刃「~~~。…………」
苗木(二人とも何話してるんだろう…)
苗木「ちょとだけ、ちょっと覗くだけだから大丈夫……!」
苗木(んっ?あれは……)
戦刃「誠君の反応、どうだった…?」
江ノ島「んー……、イマヒトツってところかな。強行突破してでもお姉ちゃんに会いたいって意志も感じなかったし」
戦刃「やっぱり誠君にとって私は……、ただの義姉でしかないのかなぁ……」チラ
苗木(……!)
江ノ島「確かにね。最近あからさまにお姉ちゃんへの態度が軽いよね」
戦刃「うん……。この前誠君とお風呂入ったときも、全然反応してくれなかったの……」チラ
江ノ島「そんな……!アタシなんてお姉ちゃんの、風呂上がりの蒸気した顔、湿った髪、ヤラシイ部屋着……これらを見るだけで逝きそうになるってのに!」
戦刃「あの部屋着選んだのは盾子ちゃんだよぉ……」
戦刃「誠君はやっぱり盾子ちゃんの身体にしか興味ないのかな……。誠君で汚されたこの身体も、もう使われる日はきっと来ない……」チラ
江ノ島「もしそうなっちゃっても、アタシは絶対にお姉ちゃんを見捨てないからね……!」ダキッ
戦刃「ありがとう。誠君に飽きられた身体だけど、盾子ちゃんが使ってくれるなら嬉しいな……」チラ
苗木(さっきからむくろさんがチラチラこっちを
見てるのが気になるけど……、どうやら苗木家の一大事ってことは確かみたいだな。このままではドキドキ姉妹丼を食べることができなく―――って、こんなときにボクはナニを考えているんだ!)
苗木(とにかくこのまま二人がおっ始めてしまう前に、なんとか誤解を解かなくては……!)
戦刃「んっ、盾子ちゃん。キス上手になってる。いつもより頭ポーっするよ……」
江ノ島「そうゆうむくろちゃんは本当に上達しないね?でもそこが可愛いくて、好きだな」
戦刃「盾子ちゃ、ん……。あぁぁん…」
苗木(最早手遅れだった……!)
苗木(と、とにかくアクションを起こさなくては……!)
苗木「ふ、二人とも!」
戦刃「誠君……?」
苗木(よし、反応してくれた!とにかくさっきのむくろさんの思い込みを否定しなくては!)
苗木「むくろさん、えっと……」
戦刃「……?」
苗木「ボ、ボクもまぜてほしいんだ!」
苗木(……ってあれ?ボクはなんてことを!?これじゃあまた盾子さんに怒られ―――)
江ノ島「……だって、さ。よかったねお姉ちゃん」
苗木(……あれ?)
戦刃「うん、本当によかった……」
苗木「……えっと、どういうこと?」
江ノ島「誠さー、ここ1ヶ月くらいお姉ちゃんとしてないっしょ?」
苗木「えっ、そうだっけ……?」
江ノ島「最後にしたのいつか思い出せる?」
苗木「たしか、三人でホテル行ったときだから……、えっと……うん、1ヶ月くらい前だね」
江ノ島「お姉ちゃんはね、誠とのセックスレスで悩んでたの。1週間前に相談されてそうとう苦しんでたみたいだったから、じゃあ誠の本心確かめてみよっか、ってことになって」
苗木「そ、そうだったんだ……」
江ノ島「いやー大変だったよー。お姉ちゃんが部屋にこもってる間は、アタシが4時起きでお姉ちゃんの部屋に三食分届けてたんだから」
戦刃「仕事もあるのに迷惑かけてごめんね……」
苗木「それじゃあ飲まず食わずってわけじゃなかったんだ。安心した」
江ノ島「そして今日、ここでそなたが部屋へ侵入してくるところまで全て私様の計画通りだったというわけじゃ!」
江ノ島「まあお姉ちゃんの演技があまりにもヘタすぎて心配だったけどね」
戦刃「だって、演技とかそうゆうのすごくニガテで……」
江ノ島「うん、アタシの姿でレーションが好物とか言い出すくらいだもんね。よく知ってる」
江ノ島「まあそうゆくことで……、よかったじゃんお姉ちゃん。あの通り、ちゃんと誠はお姉ちゃんで反応してるよ?」ウププ
苗木「……うっ」
戦刃「えっ、私たちキスしか――――って……あれ?なんで私だけ裸になってるの?いつの間に脱がされたの!?」
江ノ島「おねえちゃんったらキスしてるときすごい無防備なんだもん。でも無意識で万歳してたってのには驚きだよ」
戦刃「……は、はずかしいよぉ。服はどこにいったの……?」
江ノ島「どっか翔んでったよ」
戦刃「イジワルしないでおしえてよぉ……。そんなに見ないで、誠君……」
苗木「む、むくろさん……」ゴクッ
江ノ島「べつに何回も見られてるんだから今更っしょ?アタシもすぐ脱ぐから、さ」ヌギヌギ
戦刃「そうゆう問題じゃないの……!何回見られてもこんなの慣れれるわけないよぉ……」
江ノ島「大丈夫。そんなのすぐに気にならなくなるから」ペロッ
戦刃「あっ……!首ぃ……」
江ノ島「お姉ちゃんずいぶん髪伸びたよね。あんな短かったのがもう鎖骨くらいまで――って半年も切ってなかったら当たり前か。むしろ遅い?」
戦刃「盾子ちゃんが早すぎるんだよ…!んっ――!何ヵ月か放置してたら膝まで伸びてるし……んんぅぁ!」
江ノ島「そうなんだよ。仕事だからこの髪形維持してるんだけどさー、本当のところお姉ちゃんくらい短くしたいんだよね。いちいち縛るのってメンドクサイったらありゃしない!」グイ
戦刃「ひっ…!?先っぽ引っ張らないで!んぁぁああぁ……、きもちーよー盾子ちゃん……。もっとしてー…」
江ノ島「そうしたいのもやまやまなんだけどさ、あそこでふたつの意味でつっ立ってる誠とが苦しそうだからさ、なんとかしてあげなよ?」
戦刃「……はい」ジー↓
苗木「むくろさん……」
戦刃「いつも通り全然上手にできないけど、私頑張るから……。だからそのあとは――」
江ノ島「ちゃんとアタシたち二人を失神するくらい気持ちよくしてね?」
事後
戦刃「ねえ誠君?私気づいたことがあるの」
苗木「どうしたのかな?」
戦刃「なんだかやたらとセ、……SEXオチが、多いと思うの」
江ノ島「あー、それアタシも思ってた」
苗木「そ、それは仕方がないんだよ!今まで幾度となく苦悩し続けてきた結果、このオチが一番楽だと達観してしまったんだ!!」
江ノ島「なんのこと?」
苗木「さあ?」
ONE DAY
苗木「……」
舞園「言っておきますけど、私は苗木君とあなたが結婚したことも認めていませんからね!」バンッ!
江ノ島「へー、そうなの」
苗木(全然聞く気ないな……。こんなときでもケータイいじってられる度胸の秘訣、少しでも教えてほしい……)
江ノ島「それならおしえてあげようか?」
苗木「えっ……、ボク口に出してたかな?」
江ノ島「出してないけどわかるって。エスパー……いや、夫婦ですから」ニコッ
舞園「ちょっ……!それは私の唯一のアイデンティティなんですから横取りしないでください!!苗木君の心読んでいいのは私だけなんですからね!?」
苗木(できれば誰にも読まないでいただきたい……)
江ノ島「それはムリだって。もはや意識しなくても聞こえてくるレベルだし」
舞園「ま、またですか!?そこまでして私から不思議系キャラ奪いたいんですか!?」
江ノ島「それキャラだったんだ」
舞園「あっ……」
苗木(あぁ……。ボクにはもう思考することさえ許されないのか。これじゃあもう心の中でむくろさんにあんなことやこんなこともできなく――)
舞園「……苗木君、不潔です。戦刃さんをこんなメチャクチャにして……」
江ノ島「さすがにアタシでもそんなプレーはちょっと……。お姉ちゃんなら相手してくれるかもしれないけどさ」
苗木(……うん決めた。心を無にし、適切な発言だけをする。それしかボクに社会的にも生き残れる術はない……!)
)
2時間前
苗木「へぇ。やっとこのマンションの4階にも僕たち以外の住人が来るんだね」
戦刃「うん。だから今朝から隣が騒がしい」
戦刃「私は銃の発砲の音だけで、武器の種類、打つ人の心拍数、弾丸の速度、距離、その他諸々を正確に読み取ることができる。今隣がどうなっているのかくらい蟻の足音を聞くより簡単にわかる」
苗木「おー、さすがは軍人だね!」
江ノ島「軍人どころじゃないと思う。それよりちゃんと外行って確認したほうが確実だと思うのはアタシだけなの?」
苗木「どんな人が来るんだろうなぁ。怖くない人だったらいいな」
江ノ島「そしてもし女だったらボクのハーレムに加えようかな」
苗木「ボクの部屋で下の処理をさせ、一日中ミルクを飲ませるだけの生活を――って何を言ってるんだ盾子さん!!」
江ノ島「……いや、ノリツッコミもそこまで来たら引くレベル」
苗木「あ、……あぁ……」
戦刃「大丈夫。盾子ちゃんに嫌われても私がいるから」
苗木「むくろさん……!」
戦刃「だから、ここに来て」ポンポン
苗木「あ、あの……。むくろさん?」
戦刃「……来てくれないの?」ウルッ…
苗木「い、行くから泣かないで!」
江ノ島「苗木さんや。最近よくお姉ちゃんの膝の上にいるよね。なに?そうゆうプレイに目覚めちゃったの?」
苗木「うぅ……」
戦刃「あぁ誠君の髪イイニオイ……」クンカクンカ
戦刃「誠君ちっちゃくて可愛い……。誠君を膝に乗せて後ろから抱き締める、こんなことができるようになるなんて高1の時には夢にも思っていなかった。でも今現実に誠君はこうして私の目の前に……。あっ、もしかしてこれも全部夢なの?そうなの?……まぁそんなことどうでもいい。あぁ誠君誠君誠くーーーん!!」スリスリ
苗木「ねぇ、盾子さん」
江ノ島「なに?……いや、言いたいことはわかる。最近のお姉ちゃん確実にリミッター外れてるよね」
戦刃「そんなことはどうでもいいの。今大事なのは、ここで恥ずかしそうにもじもじしてる私の大好きな誠君がとても愛おしいということだけ」
江ノ島「全然理由になってないんですけど……。それにこっから見たら中学生の息子がかわいくて仕方ないただの親バカの図」
戦刃「何言ってるの盾子ちゃん?誠君は私たちの大事な夫なんだよ?それに誠君にはこんなに立派な息子がいるんだし……」
苗木「……」
江ノ島「この状況で興奮できるアンタもけっこうツワモノだと思う」
苗木「し、仕方ないじゃないか……!むくろさんからいい匂いするし、さっきからヤらしく身体中撫で回されてて……」
戦刃「真っ赤になってる誠君も可愛い……。わかるよ、誠君が何を望んでるのか。今から楽にしてあげるからね」ジー
コスコス
苗木「うわっ!!ちょっと、むくろさん!?こ、こんな格好でなんて……、恥ずかしいよ……」
戦刃「ほらっ、盾子ちゃんにこんな恥ずかしい格好見られちゃってるよ?」
江ノ島「……っ」
戦刃「どうしたの盾子ちゃん。そんなに太股擦り合わせちゃって。おトイレに行きたいのかな?……そうじゃないよね。誠君がナニされてるの見て濡れちゃったんだよね。いいよ?盾子ちゃんのも手伝ってあげるからね」
江ノ島「あっ、お姉ちゃん………んっ」
戦刃「右手に誠君、左手に盾子ちゃん。……今なら私、なんだってできる気がする」
苗木「くぅ……、むくろさん、そろそろヤバイかも……!」
江ノ島「あっ、あっ、んんっ…!アタシも…きちゃいそ……」
戦刃「いいよ二人とも。おもいきり逝っちゃって?」
苗木「……あっ、う、うぅぅ……!!」
江ノ島「アッ、お姉ちゃ……ん、はあぁぁああぁん!!」
戦刃「ふぅ、誠君……いっぱい出たね。手ベトベトだよ……。盾子ちゃんも、ね。ソファも床ビチャビチャ……」
苗木「……む、むくろさん。ボク、まだ……」
戦刃「あんなに出したのにまだ元気……。じゃあ次は、私のなかで出してほしいな……?」
江ノ島「アタシも……、はあはあ、まだ、したい……」
戦刃「じゃあ三人でベッド行こっか……」
ピンポーン
苗木「あっ!?ど、どうしよう、誰か来ちゃった!!」
江ノ島「ちょ、家のなかのニオイやばいって!ホテルよりエッチすぎ!!誠ファズリーブして!」
苗木「う、うん!」シュッシュッ
戦刃「うん、これでいつも通り。さすがにナニしてたとはバレない」
ピンポーン
苗木「うわっ、早くでないと!」ピッ
苗木「はい、どちらさまで……って、えっ?」
???「あ、あの……。苗木君のお家で間違いありませんよね?」
???「私を待たせるなんて何様のつもりなのかしら」
苗木「うわ、ごめん!?ち、ちょっと待ってね!今ドア開けるから!」
???「はい」
江ノ島「誰?」
苗木「……舞園さんと霧切さんだよ」
江ノ島「はあ?なんであの二人が?」
戦刃「……誰にも私たちの住所は教えてないはず」
苗木「と、とにかく出てくるね!」
ガチャ
苗木「や、やぁ。久しぶりだね」
舞園「はい。苗木君、元気そうですね」ニコッ
苗木「よくここに住んでるってわかったね」
霧切「あなたの居場所くらい私の手にかかれば丸分かりよ。隠しそうったってムダなの」
苗木「別に隠してたわけじゃないんだけど……」
霧切「それにしても、無職の割にずいぶんといいところに住んでるのね」
苗木「ま、まあね……」
霧切「立ち話もなんだし、中にいれてもらえるかしら?」
苗木「う、うん。入ってよ」
舞園「も、もう霧切さんたら強引なんですから!……ではお邪魔させていただきますね」
霧切「……おじゃまするわ」
舞園「わー、綺麗な部屋ですね。まるで女の子の部屋みたいな――」
江ノ島「よっ、舞園に霧切。久しぶりじゃん」
戦刃「……久しぶり」
舞園「…………あら、先客がいたんですか?」
江ノ島「先客?何言ってんのさ。ここはアタシらの家なんですけど」
舞園「いえいえ、ありえませんよ。だって表札にちゃんと『苗木』って書いてありましたもん。だからあなた方の家ってゆうのは嘘です!」
江ノ島「いや、だからアタシらの苗字は『苗木』だってこの前も――」
舞園「ひ、百歩……いや、万歩ほど譲ってあなた方の関係を認めたとして、同棲は認めた覚えありませんよ!?」
江ノ島「なんでアンタの許可が必要なのさ!?」
舞園「うぐぐぐぐ……」
霧切「やめなさい舞園さん。いい加減見苦しいわ」
舞園「み、認めない……。認めませんよ……」
戦刃「なんだか腐川さんみたい」
江ノ島「アタシも思った」
苗木「と、ところで二人は今日どうしたのかな?」
舞園「そんなの決まってます!苗木君に会いに来たんです!……ですけど、今目的が変わりました!苗木君を助けに来ました!」
江ノ島「霧切」
舞園「ちょっと!無視しないでください!」
霧切「簡単なことよ。お隣さんにご挨拶に来たの」
苗木「えっ、お隣さん?」
霧切「そうよ。私と舞園さんでルームシェアすることに決めたの。そして引っ越した先が偶然このマンションで偶然この階で偶然苗木君の部屋の隣だったの」
江ノ島「嘘だべ。さっき苗木っちの住所調べたって言ってたべ。ちゃんと聞こえてたべ」
霧切「そのしゃべり方やめなさい」
舞園「変な人を思い出します」
葉隠「へっくしっ!」
葉隠「なんかいい噂されてる気がするべ!俺の占いは三割当たる!これはおそらく……商売のことだべ!」
苗木「ま、まあとりあえずこれからよろしくね」
舞園「はいっ!ここが嫌になったらすぐこちらに来ていいですからね?とゆうか今すぐ来てもいいですよ?」
苗木「いや、遠慮しておくよ……」
江ノ島「じゃあとりあえずお祝いでもするか。……これからなにかと賑やかになりそうだし」
苗木「ああ、いいね。そうしようか」
霧切「迷惑じゃないのかしら?」
苗木「そんなことないよ!一緒に夜ご飯食べようか」
霧切「ではお言葉に甘えさせていただくわ」
舞園(……ちょっと霧切さん!)コソコソ
霧切(何かしら)
舞園(なんでさりげなくいい子アピールしてるんですか!これじゃあ私が未練タラタラなイヤな女じゃないですか!)
霧切(あら、自分のことを知るのっていいことだと思うけれど。とりあえずあなたは私に対する苗木君の好感度アップのエサになってくれたわ。ありがとう)
舞園(ひ、ひどいです……)
江ノ島「何コソコソしてんのさ」
霧切「いえ、なんでもないわ」
苗木「そういえばもう冷蔵庫の中カラだったよね。ちょうどいいから買い物に行ってこようかな」
江ノ島「誠は行かなくていいって。最近日の光浴びてないお姉ちゃんに行かせなよ」
戦刃「……えっ?」
苗木「それもそうだね。でも一人だけだったら心配だからボクもついて――」
霧切「いえ、その必要はないわ。私が戦刃さんと行く」
苗木「そ、そう?ありがとう」
霧切(これでまたひとつ好感度が――)
江ノ島「もうすぐ二十歳なのに一人で買い物いけないお姉ちゃんを持ってホント絶望だわー!」
苗木「あっ、今絶望って言ったね?」
江ノ島「あっ……。そんな、もしかして今『おしおき』するの……?」
苗木「いいや、さすがに今はムリだよ。後からのお楽しみってことで」
江ノ島「期待させて落とすなんて……。あぁヤバイ!アタシは別に他人の目なんか気にしないのに!」
霧切「……何かしら今の」
舞園「なんだか無性に包丁を振り回したい気分になりました」
苗木「じゃあむくろさん。買ってくるものはここに書いてあるからお願いね」
戦刃「……うん。がんばる」
苗木「霧切さんもよろしくね」
霧切「ええ、任せなさい」
ガチャ
苗木「…………霧切さんがついているとは言え、やっぱり心配だ。こっそり後ろから――」
江ノ島「アンタも親バカか」
ONE DAY
苗木「……」
舞園「言っておきますけど、私は苗木君とあなたが結婚したことも認めていませんからね!」バンッ!
江ノ島「へー、そうなの」
苗木(全然聞く気ないな……。こんなときでもケータイいじってられる度胸の秘訣、少しでも教えてほしい……)
江ノ島「それならおしえてあげようか?」
苗木「えっ……、ボク口に出してたかな?」
江ノ島「出してないけどわかるって。エスパー……いや、夫婦ですから」ニコッ
舞園「ちょっ……!それは私の唯一のアイデンティティなんですから横取りしないでください!!苗木君の心読んでいいのは私だけなんですからね!?」
苗木(できれば誰にも読まないでいただきたい……)
江ノ島「それはムリだって。もはや意識しなくても聞こえてくるレベルだし」
舞園「ま、またですか!?そこまでして私から不思議系キャラ奪いたいんですか!?」
江ノ島「それキャラだったんだ」
舞園「あっ……」
苗木(あぁ……。ボクにはもう思考することさえ許されないのか。これじゃあもう心の中でむくろさんにあんなことやこんなこともできなく――)
舞園「……苗木君、不潔です。戦刃さんをこんなメチャクチャにして……」
江ノ島「さすがにアタシでもそんなプレーはちょっと……。お姉ちゃんなら相手してくれるかもしれないけどさ」
苗木(……うん決めた。心を無にし、適切な発言だけをする。それしかボクに社会的にも生き残れる術はない……!)
2時間前
苗木「へぇ。やっとこのマンションの4階にも僕たち以外の住人が来るんだね」
戦刃「うん。だから今朝から隣が騒がしい」
戦刃「私は銃の発砲の音だけで、武器の種類、打つ人の心拍数、弾丸の速度、距離、その他諸々を正確に読み取ることができる。今隣がどうなっているのかくらい蟻の足音を聞くより簡単にわかる」
苗木「おー、さすがは軍人だね!」
江ノ島「軍人どころじゃないと思う。それよりちゃんと外行って確認したほうが確実だと思うのはアタシだけなの?」
苗木「どんな人が来るんだろうなぁ。怖くない人だったらいいな」
江ノ島「そしてもし女だったらボクのハーレムに加えようかな」
苗木「ボクの部屋で下の処理をさせ、一日中ミルクを飲ませるだけの生活を――って何を言ってるんだ盾子さん!!」
江ノ島「……いや、ノリツッコミもそこまで来たら引くレベル」
苗木「あ、……あぁ……」
戦刃「大丈夫。盾子ちゃんに嫌われても私がいるから」
苗木「むくろさん……!」
戦刃「だから、ここに来て」ポンポン
苗木「あ、あの……。むくろさん?」
戦刃「……来てくれないの?」ウルッ…
苗木「い、行くから泣かないで!」
江ノ島「苗木さんや。最近よくお姉ちゃんの膝の上にいるよね。なに?そうゆうプレイに目覚めちゃったの?」
苗木「うぅ……」
戦刃「あぁ誠君の髪イイニオイ……」クンカクンカ
戦刃「誠君ちっちゃくて可愛い……。誠君を膝に乗せて後ろから抱き締める、こんなことができるようになるなんて高1の時には夢にも思っていなかった。でも今現実に誠君はこうして私の目の前に……。あっ、もしかしてこれも全部夢なの?そうなの?……まぁそんなことどうでもいい。あぁ誠君誠君誠くーーーん!!」スリスリ
苗木「ねぇ、盾子さん」
江ノ島「なに?……いや、言いたいことはわかる。最近のお姉ちゃん確実にリミッター外れてるよね」
戦刃「そんなことはどうでもいいの。今大事なのは、ここで恥ずかしそうにもじもじしてる私の大好きな誠君がとても愛おしいということだけ」
江ノ島「全然理由になってないんですけど……。それにこっから見たら中学生の息子がかわいくて仕方ないただの親バカの図」
戦刃「何言ってるの盾子ちゃん?誠君は私たちの大事な夫なんだよ?それに誠君にはこんなに立派な息子がいるんだし……」
苗木「……」
江ノ島「この状況で興奮できるアンタもけっこうツワモノだと思う」
苗木「し、仕方ないじゃないか……!むくろさんからいい匂いするし、さっきからヤらしく身体中撫で回されてて……」
戦刃「真っ赤になってる誠君も可愛い……。わかるよ、誠君が何を望んでるのか。今から楽にしてあげるからね」ジー
コスコス
苗木「うわっ!!ちょっと、むくろさん!?こ、こんな格好でなんて……、恥ずかしいよ……」
戦刃「ほらっ、盾子ちゃんにこんな恥ずかしい格好見られちゃってるよ?」
江ノ島「……っ」
戦刃「どうしたの盾子ちゃん。そんなに太股擦り合わせちゃって。おトイレに行きたいのかな?……そうじゃないよね。誠君がナニされてるの見て濡れちゃったんだよね。いいよ?盾子ちゃんのも手伝ってあげるからね」
江ノ島「あっ、お姉ちゃん………んっ」
戦刃「右手に誠君、左手に盾子ちゃん。……今なら私、なんだってできる気がする」
>>1 です
寝ぼけて誤投してしまいました。
すいません…
次から続きです
苗木(……そして今に至るわけだ)
舞園「その……、私でもそうゆうことしたいと思うんですか……?」
苗木「そ、そうゆうことって?」
舞園「言わせないでください……」
江ノ島「ま、アタシとお姉ちゃんはほぼ毎日誠とシテるんだけどねー」
苗木「な、何言ってるんだよ盾子さん……!」
舞園「そうですよ!信じません!」
江ノ島「てかさー、舞園もそんなこと言っときながら、ホントは裏でヤりまくりなんでしょ?」
苗木「えっ、そうなの……?」
江ノ島「ほら、枕営業って言葉くらい知ってるしょ?」
苗木「あぁ……ショックだ」
舞園「……江ノ島さん。世の中には言っていいことと悪いことがあるんですよ?」
江ノ島「だから江ノ島じゃないって。『苗木』だよ。な・え・ぎ!」
舞園「そ、そんな煽りになんて乗りませんからね……!」
江ノ島「ねえねえ、枕してるときってどんな気分?やっぱり屈辱的なの?でもそれがまた興奮するとか!?それにさー、アタシに誠とられたときどんな気分だった?ねえねえ?舞園ー?聞いてるー?」
舞園「…………もう怒りましたよ。まくらまくらってさっきから何なんですか!泣きますよ!」
江ノ島(うっわ、煽り耐性ゼロ)
舞園「枕営業なんてしてません!そうゆうあなたこそどうなんですか!?あなたも私と似たようなものなんですからありえますよ!」
江ノ島「アタシにはそこに証人がいるし。ちゃんと血出てたもんね誠」
苗木「うん、たくさん出てた……」
舞園「そんな……。苗木君の初めてが、江ノ島さんに……」
江ノ島「ああ、誠の初めてはアタシじゃないよ」
苗木「そ、そうなんだよね……。そのまえにギャルコスのむくろさんと―――」
江ノ島「妹さんだよ」
舞園・苗木「……!?」
苗木「ナ、ナナナナナ何ヲ言ッテルノカナジュンコサン?」
江ノ島「うぷぷぷぷ。僕はなんでも知ってるんだよ?」
江ノ島「ちなみに誠の家族はまだ生きてるからね。そのうち会うことになるかもね?」
苗木「やめて、それ以上フラグを建てないで!(切実)」
舞園「苗木君の初めてが妹さんだなんて……。うふ、うふふふふ。まあ可愛いですもんね。手出したくなるのも仕方ないですよね……。うふふふふふ」
江ノ島「襲われたのは兄の方だけどね。まあ元気出しなよ枕園。じゃなくて舞園」
舞園「枕じゃないですって!!……もういいです!苗木君!ニンジンかキュウリありませんか!?」
苗木「あ、あるけど何に使うの?」
舞園「私がそんな卑怯な手を使ってトップに昇ったのではないということ、そして私のこの身はまだ純潔であることを証明してみせます!」
江ノ島「やめなよ。誰もアンタの黒ずんでビラビラでカパカパなの見たくないし。それになにより野菜が可哀想」
舞園「じゃあどうすればいいんですか!?」
江ノ島「……ああメンドイ。わかったわかった。舞園ちゃんはウブデシタ。これでいい?」
舞園「……納得行きませんけど、わかっていただけたのなら結構です」
江ノ島「はぁやっと終わった」
苗木「そ、そろそろむくろさんたち帰ってくかなー……」
江ノ島「そういやあの二人ってさー、」
その頃
霧切「……」
戦刃「……」
霧切「……」
戦刃「……」
霧切「……ここら辺初めてだったからいろいろ道とか建物とか覚えることができたわ。ありがとう」
戦刃「……うん」
霧切「……」
戦刃「……」
霧切(気まずいわ……)
霧切(一応買い物を終えれたのはいいのだけど、全然トピックがないわ)
霧切(向かう途中に苗木君の話をしたらお店に着くまで延々とノロケを語っていたし……。この子は愛だけで生きてるのかしら……?だからもう苗木君の話題はナシよ)
戦刃「……」
霧切(さっきから少し気になるのは、なんだか戦刃さんの顔がやたらと蒸気していること。……もう秋なわけだし、暑いというわけではないのでしょうけど――)
戦刃(……)
戦刃(どうしよう……。こんなところで濡れてきちゃった……)
戦刃(霧切さんをprprしたくて仕方ない……。でも私は盾子ちゃんと誠君にしかこの身体を許すわけにはいかない――)
戦刃(ああダメだ……、頭がうまく回らない。ええと、盾子ちゃんと誠君にしか許しちゃダメで、……あれっ?襲う分には問題ないのかな……?んっ?わからなくなってきた……)
戦刃(……もうムリ。霧切さん食べちゃお)
戦刃「……霧切さん」
霧切「何かしら?」
戦刃「……えっと、ちょっとお手洗いによってもいいかな?」
霧切(なるほど、トイレをガマンしてたから顔が赤かったのね)
霧切「ええ。ならそこの公園に寄っていきましょうか」
戦刃(ごめんね霧切さんハァハァ……!)ストッ
霧切「えっ……?戦刃さ――」ガクッ
霧切(……うっ、ここはいったい……。確か戦刃さんにヤられて気絶して――)
霧切(私が座っているのが便器であることから察して、ここはトイレのようね。そして……)
霧切(私の手にはロープ……これじゃ身動きできないわね)
戦刃「あっ、霧切さん。おはよう」
霧切「……戦刃さんどういうつもりなの?」
戦刃「そんなの、自分の姿をもう一度確認してみたらすぐわかると思うよ?」
霧切「そんなの、手が縛られてるってことが――っ!?えっ!?……なんで私、全裸なの……?」
戦刃「……やっと気づいた?霧切さんには本当に申し訳ないと思ってる……」
霧切「あなた……、私に何を――ってあなたも全裸……!?」
戦刃「ごめんね。我慢できなくて先にしちゃってたの。霧切さんの胸すごく柔らかかった。太股もスベスベですごく気持ち良かった」
霧切「……えっ?じゃあ私の太股が濡れてるのって……、もしかして、あなたの……?」
戦刃「今ロープほどくから……、急いで帰らなきゃ」
霧切「えっ、ええ……」
霧切(まさか、あの戦刃さんにこんな性癖があったなんて……)
戦刃「……ただいま」
苗木「あ、おかえり」
戦刃「遅くなっちゃってごめんなさい」
苗木「全然遅くないよ?1時間も経ってないじゃないか?」
江ノ島「……」
戦刃「……どうしたの盾子ちゃん?」
江ノ島「……霧切とシテきたでしょ」
戦刃「…………シテナイ」
江ノ島「……うそ。アタシには全部わかるんだからね」
戦刃「……だって、霧切さんが美味しそうで……」
江ノ島「はぁ……。この前まで大人しかったのに、今じゃただの性犯罪者だよ。まさかお姉ちゃん、他にも誰かと――」
戦刃「それは断じてナイ。ずっと霧切さんといた。それ以前の期間で言うと、私は家から出てないから犯行不可能だし、それは誠君が証明してくれる」
江ノ島「……あとで霧切に謝っときなよ」
戦刃「……もう謝ったよ?」
江ノ島「い・い・か・ら!」
戦刃「うぅ……。怒らないでよお……」
食事中
舞園「ふー、お腹一杯です」
江ノ島「こりゃアタシらダイエットしなきゃヤバイな」
舞園「そうですね……、はぁ」
苗木(なんだかんだで二人ともそこまで仲悪いわけじゃないんだな。よかった)
苗木(……それにしても)
霧切「」チラ
戦刃「……」モキュモキュ
霧切「」チラチラ
戦刃「……」モキュモキュ
苗木(さっきからむくろさんをチラチラ見てる霧切さんが気になるな)
苗木(…………はっ!?も、もしかして―――)
苗木(ねえ、舞園さん!)コソコソ
舞園(はい、なんでしょう!)ニヘラッ
江ノ島(……なんか舞園がすごく幸せそうな顔になった)
舞園(ちょっと!私と苗木君だけの空間に入ってこないでください!)
江ノ島(いや、アタシがオマエラの間に居ちゃうわけだから聞こえても仕方ないじゃん)
舞園(……ま、まぁ入ってくるのは構いませんけど、邪魔しないでくださいね!)
江ノ島(……アンタよく人のモノにそこまでちょっかい出せるね)
苗木(あ、あのさ。ルームシェアしたいってどっちから言い出したの?)
舞園(ルームシェアですか?それは霧切さんの提案ですよ?)
苗木(……やっぱりそうだったのか!)
苗木(霧切さんの挙動不審な動作、ルームシェアの提案、そして過去にボクに告白したこと――――このことから導き出される答えは、)
女性が好き
軍オタ
⇒バイ
黒髪フェチ
苗木(そうかわかったぞ!)
舞園(な、何がですか?)
苗木(今までの行動には霧切さんらしくないところがいっぱいあったんだ。舞園さんと霧切さんはおそらくボクのことがまだ好きなんだよね?)
舞園(おそらくじゃありません!少なくとも私は本気で好きです!!)
苗木(ま、舞園さん……)
江ノ島(おい誠)
苗木(イタタタタ!!???耳が千切れちゃうよ!!)
苗木(ふぅ……。そ、それでだよ。あからさまにボクに会いたかったアピールしてきたのはキミだけだったんだよ舞園さん)
舞園(えへへ……、そうです。だから頭撫でてくれてもいいんですよ?)
苗木(う、うん)ナデナデ
舞園(……あっ、私もう死んでもいいかも)
江ノ島(……あ、頭くらいならいいか。あとでアタシは『おしおき』してもらえるんだし。…………えへへ)
舞園(あなたもお口が緩くなってますよ
苗木(で、霧切さんはと言うと清楚アピールをして盾子さんやむくろさんの気を引こうとしていた。その後むくろさんとの買い物に自らを推薦、そして現在の霧切さんの動作、極めつけは舞園さんの証言だ)
苗木(つまり霧切さんは……キミやむくろさんを含めた、女の子も好きなんだよ!)
舞園(……あらら。霧切さんの行動が完全に裏目に出ちゃってますね。同性愛者扱いされるなんて同情しちゃいますよ、可哀想に。それに比べて私は……うふふふ)
江ノ島(アンタの方が怒ったり悲しんだりニヤけたりで、おもしろいわ)
苗木「とゆうわけだから気をつけてね舞園さん。身に危険を感じたらいつでもここに来ていいからね?」
舞園「本当ですか!?で、では今夜は一緒に――」
江ノ島「――寝るならアタシもいるけどいい?」ウププププ
舞園「な、なんですって!?」
江ノ島「そりゃそうでしょ。アタシと誠はずっと一緒に寝てるんだし。最近はお姉ちゃんとも毎日寝てるよね?」
舞園「そ、そんな!?夜はおやすみなさいから朝はおはようございますまでの間、下のご奉仕三昧なんですか……?」
江ノ島「……今更だけど舞園ってかなりエロいよな」
舞園「エ、ロ……!?いえ……、もうなんと言われようが構いません。ですが!今日は私も一緒に寝かせてもらいますからね!!」
舞園「あっ、勘違いしないでくださいよ!?これから苗木君に安心して快眠していただくために私がつきそうってだけですからね!?わかってます!?」
江ノ島「ああわかったわかった。てか毎日来るつもりかなのかよ。……てかほんとアンタの声って頭に響くからイヤだ……」
舞園「なんです?この聞き取りやすいし、よく通る声が羨ましいんですか?」
江ノ島「どう解釈したらそうなんのさ……。てか、アタシにかかればアンタの台詞を『ぽよ』だけにしてもらうのも簡単なんだからね。あんま調子に乗んない方がいいよ?」
舞園「はい?何を言ってるんです?」
江ノ島「いいや、なんでもない」
霧切「……ちょっとそこの三人。まだ戦刃さんがご飯を食べてるでしょ?静かにできないのかしら?」
苗木「えっ、ボクも含まれてるの!?(やっぱりむくろさんのこと……)」
舞園「ご、ごめんなさい……。(これじゃ間違われても仕方ない)」
江ノ島「いやー、ゴメンゴメン。(レズ特有の擁護www)」
>>1 です
今、苗木くんと何人で誰と寝かせようか悩んでいます。
①
1.二人(苗木含む)
2.三人(〃)
3.苗木ぼっち
1か2の場合、
②
1.盾子ちゃん
2.むくろちゃん
3.枕
4.コミュ症
で安価したいと思います。
今から1時間後に到達しなければ、こちらで勝手に決めさせてもらいますね
では、
>>278
むくろちゃん
食後
霧切「ごちそうさま。美味しかったわ」
江ノ島「お粗末様です」
霧切「ところで舞園さん。あなた今夜はここに泊まっていくとか言ってたわね」
舞園「ええ。聞こえてました?」
霧切「もちろんよ。探偵の耳をナメないでもらいたいわ」
江ノ島「えっ、ホントに泊まってく気だったの?」
舞園「私はそのつもりでしたけど?」
江ノ島「……そんな、これじゃアタシの今夜の『おしおき』が――」
苗木「それじゃあ今夜はボクの部屋で寝るといいよ。一番ベッドが大きいからね」
霧切「でも、このメンツだと頑張ってつめても4人が限界よ?」
苗木「ボク以外みんな大きいもんね……って、いつの間に部屋見てきたんだよ霧切さん」
霧切「あら、さっき見てきたわよ?3つの部屋すべて。気づかなかった?」
戦刃「そんな……、この私が完全に気配をつかむことができなかった……!?」
江ノ島「――――あまりにも影が薄すぎて」
霧切「あなたに言われたくないわね戦刃さん」
戦刃「ひどい……。最後のは私じゃないのに……」グスッ
霧切「…………お、同じ声で言われたからわからなかったのよ」
霧切「そして然り気無く苗木君に甘えないでちょうだい」
苗木「えっ?」ナデナデ
戦刃「……ちっ」
江ノ島「ま、どう考えてもダブルで5人はムリだから、何人かずつで部屋わけしよ。」
苗木「じゃあ、ボクを1として、部屋は三つあるから1:2:2にするか1:4にしてね」
霧切「……ふーん。誰か女子1人を独りにしなくてはならないのね」
苗木「えっ、ボクの話きいてた!?」
舞園「さすがにお客さんをひとりにするわけにはいかないんじゃないんですか?ねえ江ノ島さん?」
江ノ島(おっ、なんか面白くなってきたカンジ?)
モノクマ「なに言ってるのさ。ボクが同級生を客としての待遇で迎えるわけないじゃないか!!」
戦刃「……だからあなたたちがひとりになろうが、固まろうがそれは仕方ない」
苗木「ああもう!ボクは一緒に寝ないって言ってるじゃないか!」
モノクマ「なんだよ、連れないなー苗木クンは。よく考えてみなよ?モデルの妻と義姉、そしてアイドル、……あと探偵。と一緒に寝れるんだよ?これはチャンスだと思わないのかクマー!!」
苗木「てゆうか久々にモノクマ出してこないでよ!家族の盾子さんやむくろさんならまだしも、他の人とは寝れないって!」
江ノ島「……だってさ、舞園。誠はアタシら姉妹と寝るから、オマエラはテキトーに他の部屋使ってくれ、と」
苗木「ああもう!!お客さんを放置なんてダメにきまってるじゃないか!もうめんどくさいからキミたち4人で寝てください!」
舞園「…………私、苗木君になら……その、教われちゃっても構わないんですよ?」
苗木「ま、舞園さん!?な、何を……」
霧切「……私をおまけみたいな扱いするなんて許せないわね。これでもウラでは美少女探偵と言われていた身。一緒に寝られるなんて光栄でしょ?」
苗木「き、霧切さんまで……」
江ノ島「こうなったらさ、皆で実力勝負といきましょうか!」バンッ!
舞園「ま、まさか……!それはお泊まりや合宿、修学旅行での鉄板中の鉄板……」
霧切「……トランプね。いいわ。受けて立ってあげる」
苗木「ちょ、ちょっと……ボクは参加なんて――――」
モノクマ「もし参加しなかったら5人で一緒に寝ることになっちゃうけどいいのかな?」
苗木(くっ……!いや、待て。この幸運の能力を使えばトランプで勝つことくらい……!)
苗木(ならば完勝して自らを手で安息の地に踏み入ればいいじゃないか……!そうすれば誰にも口出しはできない!)
苗木「しかたない。それなら、勝負な以上結果に文句言うのはナシだからね!」
女子(よし、食いついた)
霧切(苗木君と一晩中、)
舞園(みんなに見せつけながら、)
戦刃(らーぶらーぶするのは、)
江ノ島(このアタシだ!!)
江ノ島「よし、じゃあまず一回戦目は部屋割りの人数から行こう」
舞園「どうやって決めるんですか?」
江ノ島「そうだなー……、じゃあ誠が勝ったら1:4。アタシら姉妹が勝ったら2:3、それ以外なら1:2:2でいこう」
苗木「……比率がおかしいんじゃないかな?」
江ノ島「なに?5も加えてほしいって?」
苗木「そっちの比率じゃないよ!なんで1:4権がボクにしかないんだ!」
江ノ島「よく考えてみなよ。仮に1:4が初戦突破したとして、2回戦でミスったら女の子3人に囲まれて寝ることになるんだよ?」
苗木「……そ、そうだった」
江ノ島「それならまだアタシかお姉ちゃんだけと一緒になれる可能性が出てくる方に人数をかけた方がいいんじゃないかな?」
苗木「そ、それもそうだね……」
(……うまく言いくるめられちゃったな。ボク的には女子のみなさんで寝てもらえるのがありがたいんだけど、こっちはあまりにもリスクが大きすぎる)
舞園「ではそれで決まりですね。種目は何にします?」
霧切「肩慣らし程度にババ抜きでいいんじゃないかしら」
江ノ島「よし、それでいこう」
苗木「じゃあ最初に上がった人が属する部屋割り方法で決まりでいいのかな?」
霧切「いえ、それだと先攻の人がほぼ勝ってしまうわ。なのでここは最後までババを持っていた人でいきましょう」
戦刃「……うん。賛成」
1回戦・ババ抜き
江ノ島「じゃあ配るよー」
シュッシュッ
苗木(さて、揃ってるの捨てるか)パッパッ
苗木(…………ん?やけに揃ってるの多いな。盾子さんはちゃんと山きってたし、こんな時もあるよね)パッパッ
霧切「さて始めましょうか。…………と言いたいところなのだけど、」
モノクマ「なんで苗木クンは1枚しか持ってないんですかねー?」
苗木「そ、それがさ、これ以外全部揃っちゃってて……」
霧切「この人数なのにそんなにそろってたなんてすごいわね。さすがは幸運と言ったとこかしら」
舞園「やっぱり苗木君はすごいですね!」
苗木「……はは。じゃあ誰からいく?」
霧切「あなたからでいいわよ?」
苗木「そう?じゃあ失礼するね舞園さん」
舞園「はい、どうぞ」ニコッ
霧切「ふっ、かかったわね!」
苗木「えっ、な、何にかな?」
霧切「あなたから始めることはつまり、苗木君からカードを引き始めるということなのよ!」
苗木「そ、それがどうかしたのかな?」
霧切「ここまで言ってまだわからないの?もしあなたが先手じゃなければ、」
モノクマ「苗木クンはただひかれるだけなので、ワンターンキルできちゃっていた、というわけなのです!」
霧切「……さっきから私のセリフを取らないでほしいのだけど」
苗木「あとその距離だったら盾子さんの声とドラvoiceが二重に聞こえてくるからやめてほしいな」
江ノ島「まっ、どっちみち霧切の言うことはムダになるんだけどね」
霧切「……どういうことよ」
苗木「あっ、揃ったからお先にアガるね」
霧切「……」
江ノ島「なっ?」
苗木(よし、これでとりあえず1:4権は消えたな)
10分後
舞園「はい、これでアガリです」
戦刃「……私が最下位だね」
江ノ島「とゆーことで、部屋割りは2:3で決定でーす!ぱちぱちー」
戦刃「……わーわー」
苗木(ぐっ……。これでボクがひとりになることはなくなってしまった。ならばここは『2』の方にボクが入り、そして相方に盾子さんかむくろさんが来ることを願う……!)
霧切「」
舞園「」
江ノ島「何さ、なんでそんなテンション下がってるのさ」
舞園「……いいえ、違いますよ。むしろその逆です」
霧切「……なんたって、これからが本番なのだから」
江ノ島「はあ……。なんでオマエラはそんなに他人の旦那と寝ることに必死になってんのさ。普通の人なら現実受け止めて萎えてるっての」
霧切「あら、希望ヶ峰学園に入学したときから私たちはもう普通じゃないのよ」
舞園「それに、うまくいけば苗木君をNTRできるかもしれないという希望がありますからね」
戦刃「盾子ちゃん。この人たち恐い」
江ノ島「うん。目だけ笑ってない」
霧切「それで、今度はどうやって配置を決めるのかしら?」
舞園「やっぱり勝ち抜けた人から決めていく感じですか?」
江ノ島「うーん。それじゃ確実に誠が『2』の方にいってしまうからおもしろくない」
苗木「ちょっと、おもしろがらないでよ!それにボクが勝ち抜けるかなんてわからないじゃないか?」
霧切「いや、それはないわね」
舞園「ないです」
舞園「苗木君なら絶対に、勝ってしまいますもん」
苗木「そんなに幸運が都合よく発動されるはずないじゃないか……」
霧切「では、1抜けの人が『3』にいき、その次の人は『2』、次は『3』……といったふうでどう?」
舞園「異論はありません!」
舞園(苗木君は確実に1抜けするので、『3』にいく……。二人きりになれないのは残念ですがそれでも1/2の確率で一緒に寝れる)
霧切(私もあと1ヶ月もしないうちに20歳になる……。天国にいるお父さんも、そろそろ婿を見つけてほしいと願っているはず。他人のものは奪ってはいけないと習ったけれど、きっと許してくれるはず……!)
江ノ島「では、2回戦をおこないたいと思いまーす!」
江ノ島(さて、本当にオマエラの思惑通りにいくかな?ウププ、ウププププ)
2回戦・ページワン
苗木(まったく……。ボクも人間なんだし負けることもあるって……)
舞園「あっ、一番強いの苗木君ですね」
苗木(実際高校生になるまではホントにそこら辺に転がってる普通の生活を営んできたわけだし……)
舞園「また苗木君からです」
苗木(じっさい幸運なんて目の当たりにしたのは高校生になってからの数回なわけだし……)
舞園「またですよ」
苗木(えっと、希望ヶ峰学園に選ばれたことだろ?あと、盾子さんは同じクラスだったから殺さなかったって言ってたし、一応幸運なのかな?)
舞園「どうぞ」
苗木(あと、宝くじや株で儲けられたこととか、なによりこんなかわいくて優しい二人に囲まれて生きてられることくらい)
江ノ島「ん?そんなアツい目で見られても許してあげないからね!」
苗木「あっ、ご、ごめん!?……って許す?」
戦刃「……手札1枚になったのに掛け声してないよ?」
苗木「あっ、そうだったね。五枚ひかなきゃ」
霧切・舞園「……えっ!?」
江ノ島「ま、そういうことですね。苗木君はあなた方が思っているほど賢い子ではなかったということです」
苗木「ひどいよ盾子さん……」
霧切(くっ……。トランプなら苗木君が勝つなんて先入観を持ってたから足元をすくわれた……)
舞園(こうなってしまえば、むしろ試されるのは私たちの運……!)
江ノ島「とゆーわけで、アタシあがりー」
霧切・舞園「えっ……!?」
江ノ島「誠とお姉ちゃんも頑張ってねー」
苗木(盾子さんは『3』にいったか……。そこにボクとむくろさんが入れば――――ってそれじゃ霧切さんと舞園さんが泊まっていく意味がなくなるじゃないか)
苗木(ならばここは盾子さんを犠牲にし、むくろさんと共に『2』をつかむ……!)
苗木「あっ、ボクもこれで今度こそアガリ」
江ノ島「えー、誠と別になっちゃった……」
苗木「はは、ごめんね。今日だけは我慢してね」ナデナデ
江ノ島「うん、わかった……。グヘヘ」
舞園「照れ笑いが下劣です」
霧切(さて、これで残るは戦刃さん、舞園さん、そして私。次にアガった人が『3』へいくことになる)
霧切(ならばここは誰かが上がってくれるまで待つのが普通ね)
舞園「……」
霧切「……」
戦刃「……」
舞園「…………」
霧切「…………」
戦刃「…………」
苗木「ち、ちょっと3人とも!?山が無くなっちゃったじゃないか!こんなに引いててスートが合わないなんておかしいよ!」
江ノ島(考えてることは皆同じってことか)
江ノ島「うーん、霧切が17枚、舞園が24枚、むくろちゃんが11枚か」
苗木「そして場にはむくろさんが出したスペ9」
舞園「ではこれを出しましょう。弱いですけど、このスートはこれしかなくって」ニコッ
江ノ島「スペ2って……。あからさますぎ」
霧切「じゃあ私はこれね」
苗木「あっ、霧切さんがいちばんだね」
霧切「ではいくわね。ハートのJよ」
舞園「なら私は5を――――」
戦刃「…………本当にそれでいいの?」
舞園「……えっ?」
苗木「むくろさん?」
舞園「ど、どういうことです?」
戦刃「……テレビで見るあなたはとても輝いて見えた……。何事にも本気な姿勢、カッコいいと思った」
舞園「い、いきなりなんです?」
戦刃「でも今のあなたは違う。わざと高みを目指そうとしていない。……えっと、つまり本物の舞園さんは全然カッコいいと思えない」
舞園「なっ……!こ、この私が八百長をしているとでも!?」
戦刃「違うって言うのなら、舞園さんの本気を見せてほしい。……私も全力で行くから。世界にも届くトップアイドルの本気を、底力を見たい」
舞園「そ、そこまで言われては仕方ないですね!いいでしょう、受けて立ちますよ!」
霧切「……」
苗木「まさかあのむくろさんがそんなふうに思ってたなんて意外だね、盾子さん」
江ノ島「……」
苗木「盾子さん?」
江ノ島「むくろちゃん…………恐ろしい子……!」
苗木「えっ?」
江ノ島(わからないの?お姉ちゃんはね、あんな無垢なこと言っときながら舞園のこと煽ってるんだよ!)コソコソ
苗木(えっ、あ、あのむくろさんが……?そんなふうにはまったく――――)
江ノ島(だから恐ろしいんだって!まさかあのお姉ちゃんがこんな技を持っていたなんて……!あんな純粋な期待をされてしまったら舞園はもう……!)
舞園「ほらほら!あっという間に手札は三枚ですよ!!それに比べて霧切さん!さっきから山を引いてばかりでなんなんですか!?勝つ気ないんですか!!」
江ノ島(もうダメだこの子)
舞園「これで……、私の上がりです!!」
戦刃「……」
舞園「ふっ、私の本気を目の当たりにして言葉もでないようですね!」
戦刃「……アガってくれてありがとう」
舞園「いいえ、どういたしまして……って、えっ?………………あアっっっ!?」
霧切「……やっと今の状況を理解したようね」
舞園「わ、私はまんまと戦刃さんに乗せられてしまったわけですか……。なんとゆうことでしょう……」
戦刃「期待を裏切らないところも好き」
舞園「嬉しくないですよ……」
霧切「同情だけはしておくわ。けれど、私の勝負もこれからなのよ」
苗木「最後に舞園さんが出したのはハートのQだね」
霧切「私は1を出すわ」
戦刃「……じゃあ私は、ジョーカー」
江ノ島「お姉ちゃんからだね」
戦刃「……ここでスペードのエース」
霧切(あら……、ジョーカーがないから勝ち目はないわね。ここは4を出して流し次のターンで――――)
戦刃「あと、ページワン」
霧切「………………はい?」
江ノ島「あっ、お姉ちゃん勝った」
戦刃「……やった」
霧切「私が…負けた?う、うそよ…こんなの……」
霧切(はっ……!?そうよ、舞園さんが煽られている間も戦刃さんはちゃんと出し続けてたじゃない……!私はそれを傍目に手札調節をしてただけ。……くっ、なんでそこを見落としてしまったの……!?)
江ノ島「んじゃー、もう遅いし寝るか」
苗木「うん。そうしようか」
舞園「……はい。おやすみなさい」
霧切「……おやスみナサい」
バタン
苗木(ふぅ、なんとかボクの願い通りにいってくれてよかった)
戦刃「……これで誠君に夜のご奉仕する権利は私がもらった」
苗木「ちがうちがう!?ただ同じ部屋で寝るだけだよ!?」
戦刃「……大丈夫。三人が寝る誠君の部屋は防音だから、私の部屋で大きな音を出してもバレないよ……?」
苗木「そ、そうなの?」
戦刃「……うん。たまにドアを閉め忘れてる時くらいしか、盾子ちゃんの喘ぎ声は聞こえてなかった」
苗木「……」
戦刃「……私、今日頑張ったよ?だから、ごほうびがほしいな……」
苗木「む、むくろさん……」ゴクッ
戦刃「ベッド、行こ……」
モノクマ「いいのかいオマエラ?これを読んでるオマエラだよ!!ここから先を読んだらオマエラは絶望するよ?使い古されたネタに絶望するよ?それでも見たいなら止めない。見たくないなら大人しく>>191で幸せに終わっておきな?
――――さて、ボクは止めたからね。後から何を喚こうがボクは責任取らないよ。それじゃあ、覚悟を決めたやつだけ、降りてくるんだ」
‐
“朝”
戦刃(……もう朝か)
戦刃(あれ、隣に……誠君がいない……?昨晩は一緒に寝たはずだったのに)
キョロキョロ
戦刃「……そ、そんな」
戦刃(窓を完全閉鎖する鉄板、天井から吊り下げられた監視カメラ、壁に備えられたモニター、……そして、机の上には変装用のウィッグ)
戦刃(これじゃまるで――――)
ドンドン
戦刃「……?」
ドンドン
戦刃「……?」
???「江ノ島さん、起きいらっしゃいます?」
戦刃「……!」
戦刃(……この声、セレスさん?)
戦刃(とりあえず、ウィッグをつけておこう……)
ガチャ
戦刃「……なに?」
セレス「なに?じゃありませんわ。もう9時ですわよ?」
戦刃「……ああ、いやー、ちょっと寝坊しちゃったカンジ?」
セレス「緊張感ありませんわね……。――――死体が発見されたと言うのに」
戦刃「…………は?」
戦刃(死体って、なんのこと……?)
セレス「舞園さんが苗木君の部屋で死体となって発見されたようです。それで、体育館に集合とモノクマからアナウンスがあったのですが……、その様子だとそれすらも聞いていないようですね」
戦刃「……はは、本当に今起きたもんだからさ。…………もうみんな体育館にいるんだろ?」
セレス「はい。それでは私たちも参りましょうか」
戦刃「うん……」
体育館
戦刃(あっ、苗木君が……)
セレス「苗木君はいつまで経っても食堂へやってこない舞園さんを迎えに行っていたのですが、一向に戻ってくる気配がないので捜しにいったところ、ご自身の部屋で気絶していているのを発見したのです」
戦刃「……へぇ、そりゃ不幸な場面に遭遇したなー。同情するよ」
セレス「そうですね。それに、もはや苗木君がクロと決まったようなものですしね」
戦刃「……ああ、そうだな」
戦刃(うそ……。苗木君が……、舞園さんを……?そんなはず、ない……)
・
・
・
モノクマ「それじゃあ学級裁判のルールも追加しておくから、各自確認しておくように!」チラッ
戦刃「……!」
戦刃(そ、そうだ。ここで私はモノクマにてを上げて、校則違反として処罰される……。そしてその後は盾子ちゃんと共に裏方につくのが段取りだった)
戦刃(とりあえずここは盾子ちゃんのもとに行っておくのが安全か)
戦刃「ち、ちょっと待てよ!」
モノクマ「およよ?」
戦刃「お前の言ってることって滅茶苦茶じゃん!あたしはそんなのに参加すんの嫌だからな!」
・
・
・
ムギュ
戦刃(よし、ここまでは全て完璧だ。後は床に穴が空いて――――)
モノクマ「助けて!グングニルの槍!」
戦刃(……えっ、グン……グニル?)
ザシュ グチャ ビチャ
戦刃「……!……う、そ」
戦刃(どうして……私が、こんな……?なんで……?何も間違ってはいなかった……。なのに――――)
苗木「……!」
戦刃(ま、こと……くん、すごいかおし、てる……)
戦刃(……あぁ、いたい……。いたいよ、盾子ちゃん……誠君。私、死んじゃうのかな……?うっ……、目が、霞んできた……)
戦刃「まこと……く、ん……」
苗木「え、江ノ島……さん?」
戦刃(……やだな、私、盾子ちゃんじゃないよ……?私は、むくろ……だ……よ?)
ドサッ
戦刃(あっ、倒れたのか……。もう痛みも、感じない……)
苗木「ボクが……、舞園さんを殺した犯人を見つけてやる!」
戦刃「……ぁ、ぅ」
戦刃(声が、出ない……)
戦刃(いかないで、誠君……)
キィー バタン!
モノクマ「さて、みんな行ったね」
江ノ島「ごめんねお姉ちゃん。殺すことにしちゃった!」
戦刃「……ぇっ?」
江ノ島「見せしめだよ見・せ・し・め!やっぱりそーゆーのがないと絞まらないでしょ?」
戦刃「そ……、んな……」
江ノ島「じゃ、後はアタシに任せてさ、――――死んじゃってよ?」
戦刃「ぁ……ぁぁ……」
江ノ島「あっ、そうそう!昨日はいい夢見れた?」
戦刃「……ぇ」
江ノ島「なんか苗木と話してるお姉ちゃんがあまりにも楽しそうだったからさ、ちょっとアタシもお手伝いしてあげたんだ」
江ノ島「お姉ちゃんが楽しい夢見れるように!」
戦刃「……ゅ、め……?」
江ノ島「そ!楽しかったでしょ!?アタシと苗木と三人で暮らせる素晴らしい夢!わざわざ高校入学後の記憶消してからこの夢見せてあげたんだから!」
江ノ島「アタシってばなんてお姉ちゃん思いのイイ妹なんだろう!!」
戦刃「……ぐぅ、ゲホッ」
戦刃(そんなのって……、ないよ……。せっかくみんなで幸せになれたと、思ったのに……。あぁ……、苗木君……。……あれ?……誠君?……まこと、苗木……?あれ……?)
戦刃(幸せだったな……。ありがとう、夢の中だけでも、幸せだったよ……苗木君)
戦刃「ほ……んと、に……、うっ、あり……が……。うっ、うぅぅぅ」
江ノ島「残念なお姉ちゃんが残念なほどいい夢に魅せられて残念な死を遂げる。それってさ?」
江ノ島「――――チョー絶望だよね?」
戦刃「……」
江ノ島「あらら、もう死んじゃってるや。」
江ノ島「まったく、ムダに希望なんかもっちゃってさ。ダメだよ。アタシたちは『超高校級の絶望』なんだから」
江ノ島「だからお姉ちゃんも全てに絶望して死ねばいいの」
江ノ島「うぷぷ。奇跡も希望もないんだよ?
――――ハッピーエンドなんて、ないんだから」
このSSまとめへのコメント
はぁ、そう終わるかぁ……
鬱やな、
どうしよう、本気でちくしょおおおお!
って気分になった
残姉···
痛い痛い胸がすごい痛い痛い
なんてこったい.....
・・・wasurerobi-mu・・・
303コメは191じゃなく190の間違い?
(;´д⊂)マジカヨ…
もっと、もっともっともっともっと良い結末は無かったのか················
なんこったい
糸色望した!!
夢オチに糸色望した!!
心が痛む…でもよかった!乙
最後まで見たことを後悔したわ