春香「プロデューサーさんが、春香はもうダメだって言ってた」 (27)

某日 午前6時 たるき亭前

美希「ねえハニー、早起きは3クローナの得って本当だね。朝からタクシーでこうやってハニーとドライブできたなんて」

P「三文な。ていうかいくらなんでもわざとだろ、スウェーデン通貨と間違えるなんて。
  あ、運転手さん、このまましばらく待っていてください。すぐ戻ります」

美希「美希知ってるよ、こういうの同伴出勤って言うんだよね」

P「それ誰に教わった?!」

美希「小鳥さん」

P「あのノーサウンドリトルバードめ、あとで説教が必要だな」

美希「今日も元気に事務所に到着なの!おはようなのー!」ガチャ

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律子「プロデューサ殿」

P「おは…どうしたんだ律子、怖い顔して」

美希(この顔は…もしかして昨日テレビ局の偉い人のヅラをうっかりひっぺがしちゃったのがバレた?!)

律子「Sit down here」

P「なぜ英語?」

律子「I say again, sit down here!」

P「はい」

美希(私じゃなかった…。あれ、春香?泣いてるの?)

律子「プロデューサー殿、はっきりと答えてほしいんですが、春香のことをどう思っているんですか?」

P「え、どうって言われても困るけどどういう意味だ?」

律子「アイドルとしての評価です。」

P「アイドルとして正直な評価か、本人の前だけどいいのか?」

律子「かまいません、はっきりさせてください。これからもプロデュースを続けるつもりがあるのかどうかも、はっきりと」

P「そりゃ続けるさ、プロデュースを始めてすぐの頃は歌唱力がひどいものだったが最近の上達は目覚ましいものがある。
  ダンススキルもビジュアルも十分高評価だ、何より場の雰囲気を柔らかくする天性のスキルがある。
  これは他のアイドルたちにはない、春香の最大の武器だと思う。今さらプロデュースをやめようなんて思うはずがない」

律子「それは本心ですか?」

P「当たり前だ、こんなことで嘘をついてどうする。それより春香はどうしたんだ?」

美希「春香、だいじょうぶ?怪我でもしたの?」

春香(フルフル)

律子「さっきまでひどい泣きようだったんですよ。昨日事務所に帰ってきてからずっと泣き続けて眠ってしまったらしくて。
   家にも帰らずにいたようで春香の家から私に連絡があったので今朝早くに事務所に来てみたら、プロデューサー殿の机に突っ伏してました」

P「一晩中って、いったい何があったんだ?」

律子「プロデューサー殿に、春香はもうだめだ、これ以上プロデュースしてもだめだからあきらめようと言われたそうです」

P「えっ?!俺?!」

美希「ハ、ハニー?何なの?何なのなのー?!」

P「落ち着け美希、それは何かの間違いだ!」

律子「私もそう信じたいです、でも春香が一晩中泣くほどですから念のために確認させてもらいました」

P「春香、どういうことなんだ?なんで俺がそんなことを言ったと思ったんだ?」

春香「えぐっ、わだし昨日、事務所に帰ってきて、えっく、プロヂューサーさんがいで、後ろがら、だーれだってやろうとしたら、プロヂューサーさんがぁ」

美希(ひどい声なの…。そりゃ一晩中泣いてたらこうなるかなの…)

春香「春香はだめだ、あきらめようって、そうつぶやいだんでず…。ぞのあと、プロヂューサーさんが帰っるまでトイレにいて、えくっ」

P「そのまま一晩中か…。でも俺、本当に心あたりがないんだが…」

美希「ハニー、見てみてこっちっちなの」

P「ん?」

美希「美希の目を見てはっきり言って欲しいの。ハニーは春香にそんなひどいこと言ったの?」

P「言ってない、絶対に言ってない!

美希「もう一回」

P「俺は、春香はもうだめだとか、プロデュースをあきらめようだとか、そんなことは思ってないし言うはずもない、信じてくれ!」

美希「…律子、ハニーは嘘をついてないの。美希にはわかるの。」

律子「さんをつけなさい。そりゃ私だって本当にプロデューサー殿のことを信じたいけど」

美希「信じるの。春香が嘘をついているとも思えないけれど…」

春香「…」

美希「春香、本当にハニーがそんなことを言ったの?」

春香「聞いたの…」

美希「律子、春香も嘘はついてないの。美希にはわかるの。」

律子「さんをつけなさい。なんだか同じ話の堂々めぐりね。そういえば美希、今日はずいぶん早いのね?」

美希「うん、今日はハニーと…あーっ!」

P「あーっ!しまった、あずさ1号に乗り遅れる!1本逃すとしなのに乗り換えるのが間に合わなくなるぞ!」

律子「そうだったわ、今日は朝一番で春香と美希を大阪に連れて行く予定だったのよね。でも春香がこの様子じゃ…」

春香「大丈夫です、わだし、行けます!」

律子「だいじょばないでしょ、そんな声でステージに出てどうする気?あめんぼあかいなあいうえおって言ってみなさい」

春香「ばめんもあがいなあえいうお!」

律子「まるでダメじゃない!」

春香「どうぎょうどっぎょぎょぎゃぎょぐ!どなりのぎゃぐわよぐがぎぐうぎゃぐだ!」

律子「あきらめなさい!たしか今日は響がピンチヒッターのために予定を空けてあったはずだわ。
   すぐに呼びだして新宿駅で合流してもらいましょう」

春香「わだし、行ぎまず!」

美希「律子、さん、美希からもお願いするの。今回の仕事はバラエティー番組のひな壇タレントなの。
   不本意だけどなるべく喋らないようにしておけばイメージダウンも少なくて済むの。」

P「待て美希、俺も律子に賛成…わっ!」

美希「ハニー、なにがどうなっているのか私にもよくわからないけど、今日春香を残して仕事に行ったら、
   春香は本当にハニーに見捨てられたと思って二度と仕事ができなくなるかもしれないの。そんな気がするの。
   今回は美希がカバーするの。だから、春香といっしょに大阪に行くの!」

律子「美希…言うほど簡単なことじゃないわよ?バラエティ番組でアイドルがトークレスだなんて」

美希「覚悟の上なの」

P「…よし、わかった。今から響を新宿に寄越しても時間が厳しい、間に合うかどうかギリギリだ。どっちにしても危ない橋を渡るなら
  美希と春香の意思を尊重しよう。」

美希「新幹線で行けばもっと余裕をもって行動できたの」

P「すまん…」

美希「春香、とりあえず顔を洗ってすぐ出発なの。昨日帰ってきてからそのままだから衣装は一応用意できてるし、なんとかなるの。
   美希はちょっと用意するものがあるの、ハニーは表のタクシーに荷物を積んでおいてなの」

P「わかった、音無さん手伝ってもらえますか?あれ?いない?」

律子「さっき殺気を感じるとか言って出ていきましたよ。…ギャグじゃないですよ!」



千早「へーちょ!」

特急あずさ1号車内

P「のどあめって結構効くもんだな…」

春香「すみまぜん、でもまだ本調子ぢゃないでず」

美希「北朝鮮の貨客船マンギョンボン号って言ってみるの」

春香「ぎたぢょうせんのがぎゃくせんマンビョンビョン号」

美希「惜しいの…」

P(春香、声はまだだが心は落ち着いてきたみたいだな。しかし、本当に心当たりがないんだよな。確かに昨日は夕方から事務所にずっといたし、
  途中で誰かが後ろを通った気配も感じたんだが。あのとき俺は何してたっけ、今日の番組のあと一泊するホテルを探してたころだったかな?)

美希「ハニー、車内販売が来たの。美希はおにぎりがほしいの!春香は?」

春香「えへへ、実はすごぐ喉ががわいぢゃっでで、ハチミツレモンがほじいです」

P「よし、わかった。すみません、おにぎり弁当とハチミツレモンと…うわ、なんですかこれ?」

売子「はい、こちらは期間限定販売のグッズで、携帯ストラップとキーホルダー、図書カード3種類がございます。
   また、車内販売限定の記念メダルは駅では買えない貴重なグッズとなっております。」

P「じゃあ全部3つずつください、あとウーロン茶を。」

美希(3つってことはハニーと美希と春香に1つずつなの?)

売子「申し訳ございません、図書カードAとCは残り2点ずつとなっております」

P「うーん、それじゃ仕方ないか。2つずつお願いします」

美希「(小声)ハニー、美希は図書カードなくてもいいよ?」

P「え?あー…?ん?ああ、そうか。すみません、ストラップとキーホルダーは5つにしてください」

美希(あれ?律子へのお土産だったの?でも、だとしたらあと1つは何なのなの?)

番組収録終了後 大阪あたりにあるホテル はるみき部屋

春香「なんだか今になって喉の調子が戻って来ちゃった…。えへへ、プロとしてダメダメだよね。」

美希「そんなことはないの、今日の春香の毒舌はいつも以上に鋭かったの。さすがの美希もかなり引いたの…」

春香「それってほめられてるのかな?でも、私は確かにプロデューサーさんの言ってることを聞いたんだよ?」

美希「その話はもうやめるの。また思いだし泣きして喉がすごいことになるの。歌手として致命的なの」

春香「かもしれないけど、でも本当に聞いたんだよ?春香はだめだ、って」

美希「やっぱり、気にしてるの?」

春香「しないわけがないよ…。絶対に聞き間違いじゃないもん。」

美希「だったら、これ使うの?」スッ

春香「これは?ヘッドホン?」

美希「ヘッドホン兼受信機なの。千早さんの私物をこっそり借りてきたの」

春香「千早ちゃんの?受信機って何を受信するの?」

美希「千早さんはハニーに盗聴器を仕掛けてるの」

春香「!」

美希「ネクタイピン、スーツの第2ボタン、ボールペン、腕時計の盗聴器は美希も気がついたの。千早さんに相談してみたら自分が仕掛けたってあっさり自白したの。
   他にもいくつも仕掛けてあるらしいんだけど、さすがの美希にも全部は見つけられなかったの。他の機械は苦手なのにこういう系だけはプロ級なの」

春香「千早ちゃん…」

美希「千早さんがいつも聞いてるのは音楽じゃなくてハニーの会話の盗聴なの。正直今日の春香の『ちんげんさい』発言の5倍どんびきなの」

春香「ち、ちょっとひどすぎるよ千早ちゃん…」

美希「美希は同じ周波数を自分のケータイで受信して聞けるようにしてあるの」

春香「美希も千早ちゃんと同じレベルだと思うよ…」

美希「といいつつヘッドホンを装着する春香であったの」

P『うーん、どれもいまいち…』

美希「受信状態良好なの」

春香「プロデューサーさん、今何してるんだろう?」

美希「しばらく聞いていればわかるの」

P『まあこんなもんか。損な取引ではなかったし良しとしよう』

美希「取引?」

春香「白い粉とかじゃないよね…?」

P『さて、ヤ○オクはこれでいいかな。明日の予定を組まないと』

美希「明日は帰るだけのはずなの?」

春香「私たちはそうだけど、プロデューサーさんは帰ってから別の仕事があるんだよきっと」

美希「あ、そういえば思いだしたの。確か明日は雪歩が」

P『うーん、何度見なおしてみてもやっぱり駄目か…』

春香「え?」

P『はるかはダメだな。もうあきらめよう。悩むのはやめだ、やめ!』

春香「」

美希「」

春香「」プッ

美希「は、春香?」

春香「うえ?」ダパー

美希「春香!ちょっ…すごい涙なの!」

春香「うえへ…やっぱりだよ、プロデューサーさんは私のことダメなアイドルだと思ってるんだよ」ダバダバ

美希「さっきのは涙腺が切れた音なの…?てっきり頭の血管がキレたのかと思ったの…ってそれどころじゃないの、ハンカチ!ティッシュ!」

春香「うぇうぇうぇ…ぷろ、ぢゅーさーさぁあん…」グズッ

美希「ハニー…信じてたのに!春香だけじゃなく私まで騙すなんて許せないの!突撃なの!ハニーの部屋はたしか635号室なの!」

ミキの一人称はミキなの

>>12 やっちまったZEなの



美希「ハァニィーッ!」バァン

P「うおっ!み、美希!びっくりした。どうしたんだ一体?」

美希「どうしたもこうしたもないの!よくも騙してくれたななの!」

P「落ち着け!何だ急に」

美希「落ち着けないの!春香のプロデュースをあきらめるなんてありえないとか言って、本当は今日の仕事を最後に見捨てるつもりだったくせになの!」

P「そんなことしないよ!」

美希「さっきはっきり聞いたの!春香はもうだめだあきらめようってハニーが言ってたの!」

P「はぃ?!」

美希「はいじゃないの!さいでもないの!」

P「いや待て、それは違う!誤解だ、意味が違う!」

美希「どう違うのなの!」

P「説明する!全部説明するから話を聞いてくれ!」

翌日 事務所

律子「つまり、こういうことですか。プロデューサー殿は世間でいうところのいわゆる鉄道オタクで」

美希「電車の写真を撮るのが趣味なの」

P「いや、電車に限らず機関車も好きで」

律子「プロデューサー殿」

P「はい」

律子「お口にチャック」

P「」

律子「よろしい。で、いつも仕事のついでに写真を撮っていて」

美希「今回の大阪出張のついでに、特急はるか号の写真を撮ろうと狙っていたけれど」

律子「うまくスケジュールがあわなくて悩んでいた、と」

美希「でもどう考えても撮影する時間が作れなくて」

律子「はるか(の撮影)はだめだ、あきらめよう。そう独り言を口にしたのをたまたま春香が耳にしたと。はぁー…」

美希「律子、元気を出すの」

律子「さんをつけろよデコ助野郎」

美希「…ごめんなさいなの」

律子「プロデューサー殿…今回はさすがに呆れましたよ。仕事はきっちりやっているから誰もプロデューサー殿が鉄道オタクだとは気づきませんでしたが
   今回は実際に春香がつらい思いをしていますから、無罪放免というわけにはいきませんよ」

P「ごめんなさい」

美希「そういえば電車の中でいっぱいグッズを買ってたの。あれはお土産やプレゼントじゃなくてコレクション用に予備を買ってたの?」

P「おっしゃるとおりでございます」

律子「大阪まで新幹線で直行するのではなく、わざわざ特急を乗り継いで行く予定を組んだのも」

P「わたくしめの欲のためにございます」

春香「プロヂューサーさんのゲータイの待ち受げ画面も電車でじたよね」

P「いえ、DD51は電車ではなくディーゼr」

律子「プロデューサー殿」

P「はい」

律子「お口にチャックノリス」

P「」

律子「よろしい」

美希「律子、さん、ハニーも悪意があったわけじゃないの。そのぐらいにしてあげてほしいの」

律子「だけど春香は喉が嗄れるほど泣いて苦しんだのよ、無罪放免ってわけにもいかないでしょう」

春香「いえ、もどもどわだしが勘違いしだのがわるがったんでず。プロヂューサーざんはほんどうにわだしのごどを心配じてぐれていまじたじ」

律子「うーん…春香がそう言うのなら、そうですね…。春香の気分転換のためにどこかに連れていってあげるというのはどうですか」

P「イエッサー」

律子「おしゃれだけどくつろげるレストランとか、あるいは自然がいっぱいの公園とか。気軽に休める場所がいいですね。プロデューサー殿、心当たりは?」

P「と急に言われても…。あ、そうだ、あった!梅小路公園がいいんじゃないかな」

春香「どごですが?」

P「京都にある公園だよ。芝生の広場に、水遊びができる河原やアスレチックもあるところだ。今度の休みにいっしょに行こう、春香」

春香「ヴぁい!ありがどうございまず、プロヂューサーざん!」

律子「やれやれ…。まあ春香も納得できているんだし、一件落着かしら」

美希「春香もハニーもうれしそうなの。…ん?」

律子「どうしたの、美希?」

美希「律子さん、美希なんだかティンときたの。ちょっと事務所のパソコン使って『梅小路 電車』でぐぐってほしいの」

P「!」

律子「え?どういうこと?」

美希「もしかするともしかするの」

P「ち、ちょっと待ってくれえ!」

エピローグ P自宅


P(本当の目的地が梅小路機関区だったことがバレて律子に鉄道禁止命令を出されてしまった)

P(だがしかし。俺の被写体は鉄道だけではないのだ)

P(さて、こないだ呉で撮った海上自衛隊の艦船写真を整理してケータイの待ち受け画像に加工するとしよう。
  パソコン起動!XDカードを挿入!ロード!)

P(新幹線よりも貨物列車が好きな俺は、軍艦も戦闘艦より特務艦のほうが好きなのだ)

P「おお、ひびき(音響測定艦)ははいい写真が撮れたな。PCの壁紙に採用!これは売り物としても通用するレベルだぞ」

P「さて、次は…」カチッ

P「うわ、なんだこれは、手ブレがひどくて見れたもんじゃないなちはや(潜水艦救難艦)は…」



次回
千早「プロデューサーの自宅を盗聴していたら、千早の手ブラ写真なんて見れたものじゃないって聞こえた」
に続きません 終われ

ここまで読んでくれてありがとう
通常形式の小説なら書いて投稿とかしてるんだがSSは今回が初なんだ
地の文で場面説明できないだけですごく難しくなるもんだと、書いてみて初めてわかった

はるるんの泣き顔が見たくて23話エンディングを何度も見返したのは自分以外にもいると信じてる

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