【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」巴「その9ね」 (1000)

○このスレは京太郎を主人公とする18禁SSのスレです。

○某ヒロインと似たような事は言っていますが、学園都市とは関係ありません。

○割りとご都合主義です。エロネタ書きたいから仕方ないね。

○能力の自己解釈どころかオリジナル能力まで出てきます。

○エロはファンタジーと割りきって、気楽にお楽しみください。

○雑談はウェルカムです。不愉快な方はNGや抽出で対応してください。




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【R18】京太郎「おもち少女から上がると発情させる能力かぁ」咲「その5?」 - SSまとめ速報
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【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」霞「その8かしら」
【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」霞「その8かしら」 - SSまとめ速報
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ハギヨシ「原村様の親っかぶりもあって逆転…ですね」

京太郎「…えぇ。思ったより早かったです」

ハギヨシ「…という事は…これも計算の内だと?」

京太郎「いや、そんな訳ないですよ」

京太郎「多分、今の和は冷や汗ダラダラなはずです」

京太郎「ただ…和の能力の都合上、天江選手にリードを維持出来るはずがありません」

京太郎「逆転されるまでは織り込み済みってだけですよ」

ハギヨシ「…ですが…そろそろ動き出さなければ…まずいですね」

ハギヨシ「原村様が他家に振り込んでいるお陰で…もう半荘の後半戦に差し掛かっていますし」

京太郎「その辺りは和も分かってるんで大丈夫だと思いますよ」

京太郎「それに…和の目つきも変わりましたから」

京太郎「そろそろ…『待ち』から打って出るつもりでしょう」

京太郎「だから、そろそろ見えるんじゃないですかね。和の『世界』が」



和「(…不思議ですね)」

和「(保っていたリードを溶かされ…内心…恐ろしいはずなのに…)」

和「(頭の中は冷えきって…とても冷静です)」

和「(まるで…心と身体が切り離されたようなその感覚は…けれど、決してイヤじゃなくって)」

和「(寧ろ…本来の自分に戻っていくような…そんな錯覚さえ覚えます)」

和「(今ならきっと…衣さんにも追いつく事が出来る)」

和「(彼女が作ったリードを…今度は逆に追い越してしまえるっていう自信さえ…あるのです)」

和「(魔物と呼ばれた衣さんに…そんな事言えるほど…私は強くはないはずなのに)」

和「(オカルトを防げた以前の私であっても…互角であったはずなのに)」

和「(それより弱くなってしまった私がそう思うのは…きっと自信過剰なのでしょう)」

和「(ですが…それでも…今の私は負ける気がしません)」

和「(皆が作ってくれた時間が、そして…須賀君と築き上げた…能力が…私にはあるんですから)」カァァァ



ハギヨシ「顔が赤く…アレは確か…」

京太郎「のどっちモード…でしたっけ」

京太郎「原理はそれと同じです。思考に因る体温上昇が抑えきれなくなったが故の紅潮」

京太郎「ただし…今回のそれは以前のものとは比べ物になりませんよ」

京太郎「ああなった和は…鬼のように強いですからね」

京太郎「何せ…ああなった和は限定的状況であるとは言え…咲を破ったんですから」

ハギヨシ「宮永様を…ですか?」

京太郎「えぇ。それはもうコテンパンに」

京太郎「あの咲が半泣きになるくらいまで凹ませていました」

京太郎「もしアレが半荘でなければ飛んでいてもおかしくはありませんでしたね」

京太郎「だから…勝負はここからです」

京太郎「新生原村和は…こうなってからが怖いんですよ」


衣「(…どうやら…ようやく本気になったようだな)」

衣「(しかし…今更過ぎる)」

衣「(他家にわざと振り込んでいなければ、まだ勝機はあったかもしれないが…)」

衣「(ここから逆転するのはかつてのノノカでも難しいだろう)」

衣「(つまらない…あぁ…本当につまらない)」トン

衣「(咲以来の好敵手と認めたののかとの対局がこんな形で終わるだなんて…まったくもって)」ジジッ

衣「…!?」

衣「(今のは…なんだ…?)」

衣「(衣の腕が…一瞬…変わって…)」

衣「(まるでデフォルメされた…人形のように…)」ジジッ

衣「(いや…違う…!腕だけじゃない…!)」

衣「(世界が…少しずつ…デフォルメされて…オモチャみたいに…安っぽく…)」

衣「(これは…これは…まさか…衣の支配が…上書きされている!?)」


ハギヨシ「衣様が…動揺されている…?」

京太郎「どうやら…天江選手はもう気づいたみたいですね」

ハギヨシ「一体…何が起こっていると言うんです?」

京太郎「原理的には…咲や天江選手がやっている事と同じですよ」

京太郎「卓上に並ぶ牌の支配。それだけです」

京太郎「ただし…それそのものには大したメリットはありません」

京太郎「下手をしたら…逆に敵を利する事にもなりかねないんですから」

ハギヨシ「…確かに…他の方は動揺していませんね」

京太郎「当然ですよ。あそこは今、彼女たちにとっては何時もの場所で、そして天江選手には猛烈なアウェイなんですから」

京太郎「あそこは今…天江選手が知らず…そして和が良く知る世界」

京太郎「つまり…オカルトがまったくなしの…ネット麻雀の世界になってるんですよ」




衣「(なん…だここは…?)」

衣「(衣の能力が…まったく通用しない…!?)」

衣「(それなのに…どうしてこいつらは平然と打っていられる…?)」

衣「(まさか…これが見えているのは…衣だけ…?)」

衣「(衣だけが…おかしくなったって言うのか…?)」

衣「(分からない…一体…一体…何が起こっていると言うんだ…?)」

衣「(そもそも…衣が今、やっているこれは…本当に麻雀なのか?)」

衣「(ツモ牌も…他家の役も分からない…)」

衣「(いや、それどころか…さっきまで分かっていたはずの聴牌具合すら…霞に掛かったように見えなくて…)」

衣「(一体…これは何なんだ…?)」

衣「(衣は…一体、何をやってる…?)」



京太郎「きっと今の天江選手にとっては訳が分からないでしょうね」

京太郎「普段、何気なく使えていたものが一切、なくなるんですから」

京太郎「その動揺は打ち筋にも現れてくれれば…和にとっては…狙い撃ちです」

和「ロン。8000です」

衣「あ…」

京太郎「勿論…普段からオカルトに頼っている人にしか…これは大きな効果を得られません」

京太郎「ですが、その比重が大きければ大きいほど今の天江選手のように崩れていく」

京太郎「さながら…天江選手たち魔物に出会い…自身の経験がまったく役立たずである事を悟った雀士たちのように」

京太郎「勿論、分かっていれば…対処の仕様は幾らでもあるでしょう」

京太郎「ですが…初見でアレに完全に対応出来るオカルト打ちはいないと俺は思います」

京太郎「その能力を理解しているはずの咲でさえ、アレは未だに攻略しきれていない訳ですし」

京太郎「それほどまでに頑なにオカルトを排除するあの能力は…オカルト殺しの為のオカルトと言っても良いくらいでしょう」


京太郎「勿論…一部の人に強力なメタとして働く能力と言っても、デメリットは多数あります」

京太郎「…今、天江選手の顔が和らいだのが分かりますか?」

ハギヨシ「えぇ…何処か安堵しているみたいですね」

京太郎「アレは恐らく和の『世界』が一度、終わったからです」

ハギヨシ「一局ごとにしか使えないんですか…?」

京太郎「より正確に言えば…一局ごとにリセットされるんですよ」

京太郎「そして再び和がその『世界』を展開するのには時間が掛かる」

ハギヨシ「それは一体…」

京太郎「他家の河や打ち方なんかを見て手牌や目指している役なんかを推察してるんですよ」

京太郎「それが正解に近づけば近づくほど…和の『世界』は強固になる」

ハギヨシ「まさか最初に他家へと振り込んでいたのは…」

京太郎「はい。河や役を見てどんなタイプの雀士か推察していた訳です」

京太郎「どういう時にどういうものを切るタイプなのか、既に和の中にはインプットされているはずですよ」

ハギヨシ「…まるで高性能な演算器か何かのようですね」

京太郎「あながち間違いじゃありませんね。実際、今の和の洞察力はずば抜けています」

京太郎「風越の福路選手ほどではありませんが…読みもかなりのものですよ」

京太郎「…ほら、数巡なのに…また来ましたしね」

衣「っ!?」ジジッ


ハギヨシ「つまり…さっき衣様の能力が幸いだと言っていたのは…」

京太郎「えぇ。和が再び『世界』を発動するまでの時間を、他でもない天江選手が稼いでくれるからです」

京太郎「その上、和の能力がメタとして突き刺さるんですから、天江選手からすれば相性が最悪もいい所でしょう」

ハギヨシ「…ですが、衣様は能力を殆ど封じられたとしても、あの直感めいた打ち筋と強運があるはずです」

ハギヨシ「それなのにこうも一方的にされるのは…」

京太郎「言ったでしょう?あそこはネット麻雀の世界なんです」

京太郎「限られた牌を奪い合い、競い合う偏ったランダムの世界。その配牌もまた『その時点で最も来やすいもの』が来るようになっています」

ハギヨシ「…それはつまり…直感も強運も…まるで意味が無いと…?」

京太郎「えぇ。その代わり必要なのは…確率論と無数の対局を経て至った経験です」

京太郎「勿論、今の和だって完璧ではありませんが…それでもあの中では飛び抜けているでしょう」

京太郎「お陰で和は他家の手牌予想をどんどんと正解へと近づけ、その支配を強固にし…さらに正解へと近づく事が出来る」

京太郎「一巡ごとに支配を強め、なおかつ、その上で最短を進む和に…普通は勝てるはずがありません」

京太郎「オカルトの領域にまで入り込んだ…データ雀士としての極地。そこに今…和はいるんです」


和「ロン。11600です」

衣「…あ…ぅ…」

京太郎「…終局…ですね」

ハギヨシ「まさか…ここまで衣様が良いようにされるとは…」

京太郎「相性が良かった上に、和の能力は初見殺しですから。それに何より…運が良かったんですよ」

京太郎「清澄皆で作っていたリードがなければ、和だってあんなにのびのびと打つ事は出来なかったでしょう」

京太郎「そもそも満月の天江選手であれば、和の支配力が上回るには時間が掛かったはずです」

京太郎「その場合、ここまで圧勝できたとは到底、思えません。下手をすれば序盤のリードを維持されて負けていた事だってあり得たと思いますよ」

ハギヨシ「でも…宜しいのですか?」

京太郎「ん…何がですか?」

ハギヨシ「私は須賀君の友人ではありますが、龍門渕側の人間です」

ハギヨシ「原村さんの能力をこうも教えてしまったら…その情報はそのまま透華お嬢様たちの耳に入るかもしれませんよ」

京太郎「ハギヨシさんはそういう事をしません」

ハギヨシ「…どうしてそう思われますか?」

京太郎「ハギヨシさんにとって龍門渕選手たちが楽しむ事が一番ですから」

京太郎「今頃、和の能力を考察してどう破ってやろうかと息巻いている龍門渕選手の邪魔はしないでしょう?」

ハギヨシ「…はは。これはお恥ずかしい」

ハギヨシ「完全に…思考を読まれると…どうして良いか分からないものですね」

京太郎「普段、そうやって人の思考を読んでるんですからたまには恥ずかしがれば良いんですよ」

京太郎「それより…天江選手の所に行ってあげて下さい」

京太郎「きっと…天江選手は今、泣きたい気持ちで一杯なはずですから」

京太郎「それを受け止めてあげるのも…執事の仕事でしょう?」

ハギヨシ「これは…また須賀君に一本取られてしまいましたね」

京太郎「前回のお返しですよ」

ハギヨシ「では…次回は色々と私の方がお返し出来るよう考えておきましょう。…ではまた後ほど」ダッ

京太郎「…えぇ。また」


衣「…ののか…強く…なったな…」

衣「衣は…衣はこれだけ良いように翻弄されたのは…初めてかもしれない…」

和「衣さん…私…」

衣「いや…いや、何も言うな。勝者が敗者に掛ける言葉なぞ無粋も良い所だ」

衣「それに…衣は嬉しい」

衣「衣もまったく知らない打ち方があって…しかも、それが友人である和が到達したものなんだからな」

衣「だから…衣は…全然…全然…悔しく…」ジワッ

ハギヨシ「衣様…!」バンッ

衣「う…う…ぅ…ハギ…ヨシ…」

ハギヨシ「…」ギュッ

ハギヨシ「…すみません。原村様。今の衣様は少し情緒不安定なようなので…」

和「…えぇ。分かりました…」

和「その…申し訳…ありません」

ハギヨシ「いえ、気にしないで下さい。衣様もきっと…本当に喜んでおられるのです」

ハギヨシ「今はただ慣れぬ敗北に心を荒れさせておられるだけ」

ハギヨシ「ですから…そう申し訳無さそうな顔をしないで下さい」

ハギヨシ「それよりも…胸を張って、須賀君たちの所へ帰ってあげた方が…皆も喜びます」

和「…はい」


和「(…衣さんを…泣かせてしまいました…)」

和「(咲さんの時も…涙目にさせてしまいましたし…私の力はよっぽどああいった人たちにとって辛いんでしょう…)」

和「(あんな風に…対局者を泣かせてまで麻雀を打っていて良いのかって…思う事はない訳じゃありません)」

和「(でも…私は…)」ガチャ

咲「和ちゃん、お帰り!」

優希「のどちゃん!とっても凄かったじぇ!!」

小蒔「とっても…格好良かったです」

まこ「はは。まさかここまでたぁ思っとらんかったわ」

春「やっぱり…黒糖食べてる人は違う…」グッ

和「…ただいま戻りました」

和「(こうやって迎えてくれる…皆の為に勝ちたい)」

和「(そう…心から思えるから…)」

和「(だから…衣さん…ごめんなさい。私…勝った事に…後悔なんてしていないんです)」

和「(衣さんを泣かせるような打ち方をして…でも…私、嬉しいって思っているんです)」

和「(そして…そして…何より…)」


京太郎「よ。和」

和「…須賀君…」

京太郎「…良く頑張ったな。モニター越しだったけど…凄かったぞ」

和「…は…い」ジワッ

京太郎「ってな、なんで泣くんだよ…」

和「ど、どうして…でしょう…須賀君の顔を見ると…今…凄い安心して…」

和「み、見ないで下さい…」グスッ

小蒔「……」

小蒔「…えい」ドンッ

和「わっ」

京太郎「おわっ」ギュッ

和「…あ…」カァァァ

小蒔「…今日の主役は原村さんでしたから…ちょっとだけ貸してあげます」

和「神代…さん…」

小蒔「だから…思いっきり…京太郎様の胸で泣いて良いと思いますよ」ニコッ


和「あ…わ…私…」ポロポロ

京太郎「……うん。そうだな。思いっきり…泣いていいぞ」ギュッ

京太郎「今まで…辛かったもんな」

京太郎「それだけ…辛くて…歯がゆい思いをしてきたんだもんな」

京太郎「だから…その分、思いっきり…泣いてしまって良いんだよ」

京太郎「それくらい受け止める器量はあるつもりだから…さ」ナデナデ

和「う…あ…うあ…ぁぁ…」ギュゥゥッ

京太郎「…和は…頑張ったよ。凄い頑張ったから…ここまで来れたんだ」

京太郎「それは…俺も…皆も良く知ってる」

京太郎「だから…お疲れ様、和」

京太郎「俺は今…すげー誇らしい気持ちで一杯だよ」




和「(そう須賀君に慰めてもらう度に…私は今までの事が脳裏に浮かんでいました)」

和「(オカルトという存在を認めはじめたその時から…今までの事が走馬灯のように頭をよぎっていたのです)」

和「(それは勿論、楽しい思い出ばかりという訳ではありません)」

和「(いえ、寧ろ…自分を騙すのに四苦八苦したり、成果の出ない特訓に落ち込んだりと暗い感情が真っ先に浮かんできました)」

和「(けれど…それらが今…全部、報われたのです)」

和「(衣さんから…全国でも有数の打ち手からもぎ取った勝利という形で…私はそれらを全て肯定する事が出来るようになりました)」

和「(その喜びが一体…どれだけのものか…私には筆舌に尽くし難いです)」

和「(思わず胸の中から涙として溢れるくらいのそれは…さっきから止まりませんでした)」

和「(これまで…頑張ってきて良かったって…諦めなくてよかったって…そう思う度に…幾らでも湧き上がるのですから)」

和「(そしてそれは…皆に対する…感謝の気持ちも一緒です)」

和「(こんな私を見捨てずに…そして信じてくれた…皆に幾らお礼を言っても…言い尽くせません)」

和「(そもそも…今の私は泣く事に精一杯で…ろくに言葉を紡げるような状態じゃなくって…)」

和「(結局…誰よりも支え続けた人の胸の中で…何分間も泣き続けたのでした)」



和「…お、お騒がせ…しました」カァァ

まこ「何、そがぁななぁ小蒔で慣れとるからな」

小蒔「べ、別に私そこまで泣き虫じゃないですよ!」

春「人騒がせという意味では…間違いじゃない?」

小蒔「あぅぅ…」

優希「まぁ…それだけのどちゃんが頑張ったって証だじぇ!」

咲「そうだよ。誰もそれくらいで悪く思ったりはしないって」

和「…皆…ありがとう…ございます」

春「…寧ろ…それを言うのはこっちのセリフ」

まこ「そうだな。和…勝ってくれて有難う」

優希「お陰でリベンジ達成だじぇ!」

咲「私じゃ…今の衣さんに勝てるか分からなかったし…本当に凄かった…」

春「宮永さんは自分を低く見積もり過ぎ…」

まこ「相性差こそあるが未だにうちのトップは咲なんじゃからな」

咲「そ、そうなの…?」


和「ふふ…っ♪」

京太郎「ついさっきまで一局進む毎に息を呑んだり悲痛な声をあげたりしてたって思えないくらい元気だろ?」

咲「う…そ、それは…」

まこ「まぁ…相手が相手じゃったしな」

春「不安になるのも当然の事…」

優希「そ、そもそも京太郎がハギヨシさんとイチャついてるのが悪い!」

京太郎「いや、普通に話してただけだろ」

春「…その割には私達との会話はなかった」

小蒔「とっても楽しそうでしたねー…」ジトー

京太郎「いや…そりゃリアルで会って話をするのは久しぶりだし…ハギヨシさん相手に何かを教えるってめったにある事じゃないし…」

京太郎「って、な、なんで俺がホモ疑惑受けてるんだよ!俺はノーマルだ!!」

小蒔「それは…勿論、理解していますけど…」

優希「何か二人で並んでいるとこう…入り込めないオーラが…」

京太郎「風評被害も良いところだ…」


京太郎「まぁ…ともかく…だ」

京太郎「リベンジ達成、おめでとう、和」

和「ありがとうございます。私が衣さんに勝てたのは…皆がリードを作ってくれたお陰です」

優希「まぁ…得点稼いだのは殆ど咲ちゃんだけどな」

春「私たちは…もうちょっと練習が必要」

まこ「そうじゃの。このまんま咲や和に頼りっきりじゃまた龍門渕に勝てるかどうか分からん」

まこ「来年のインターハイまでに…また強くならんとな」

まこ「その為にも…次は…」

小蒔「龍門渕さんたちとの交流戦ですね」グッ

優希「ふっふっふ…腕が鳴るじぇ」

春「こっちでの交流戦は初めてだから…楽しみ」

まこ「さっきのリベンジしたい子もいるじゃろうし…何より一部の人にゃぁフラストレーション溜めさせとったけぇなぁ」

まこ「わしの我侭の所為ですまんな」

小蒔「いえ…そんな…」

和「お陰で私は…胸を張れる強みを手に入れたんです。感謝してるくらいです」

まこ「…有難うの。そう言ぅてくれるとわしも嬉しい」


ハギヨシ「清澄の皆様、遊戯室の準備が整いました」

優希「来たか!」ガタッ

春「待ってた…」グッ

小蒔「め、珍しく春ちゃんが燃えてます…」

まこ「まぁ、あがぁな戦いを見せられたら誰だって燃えるじゃろ」

まこ「わしだって一局打ちたくてウズウズしとるくらいじゃけぇな」

和「あの…衣さんは…」

ハギヨシ「大丈夫ですよ。もう泣き止まれました」

ハギヨシ「それに…今はとても嬉しそうにしていらっしゃいます」

ハギヨシ「衣様にとって手も足も出ないくらいの大敗は初心者の頃でもほぼなかったので」クスッ

ハギヨシ「まるで自慢するように透華お嬢様たちに話してられましたよ」

和「そう…ですか」ホッ

ハギヨシ「安心して下さい。衣様はそんなに弱くなんてありません」

ハギヨシ「寧ろこれからの交流戦でリベンジすると息巻いてられましたよ」

和「う…お、お手柔らかにお願いしますとお伝え下さい」

ハギヨシ「えぇ。承りました」





まこ「じゃ…わしらは先に行っとるけれど…」

優希「のどちゃんは終わったばかりだし、ゆっくりしておくと良いじぇ」

京太郎「あー…んじゃ、俺も…」

小蒔「京太郎様は原村さんの傍についていてあげてください」

京太郎「…良いのか?」

小蒔「勝利の立役者に嫉妬するほど私は狭量ではありませんよ」クスッ

小蒔「それに私は京太郎様の事を信じておりますから」グッ

まこ「…成長したなぁ」ホロリ

春「以前の姫様とは別物…」

咲「石戸さんが見たらきっと喜ぶだろうなぁ…」

小蒔「そ、そんなに私ダメでしたか?」

優希「ダメって言うか…」

まこ「京太郎以外眼中にない感じじゃったけぇなぁ…」

小蒔「う…ま、まぁ…昔はそうだったかもしれませんけど…」

小蒔「い、今は違いますよ!ちゃんと皆の事も大事に思ってます!」アセアセ

春「大丈夫…姫様の気持ちは皆に伝わってる」

まこ「そうそう。じゃけぇ…まぁ、ちぃとだけ二人っきりにしちゃろう」

咲「…うん。そうだね」

優希「のどちゃんの事また泣かせたら承知しないじぇ!」

京太郎「分かってるって」



京太郎「まったく…心配症な奴らめ…」

和「それだけ須賀君が信頼されているんですよ」クスッ

京太郎「信頼…されてるのかなぁ…」

和「じゃなかったら、あんな風に軽口を叩いてりしません」

和「須賀君なら大丈夫だって…そう思っているから…ゆーきもあんな事言ったんですよ」

京太郎「そう…なんだろうか」

和「…須賀君?」

京太郎「いや…俺が小蒔以外に和にも手を出してるのはもう完全にバレてるだろアレ」

和「ま、まぁ…そうじゃないと二人っきりにしようとはしないと思いますけど…」

京太郎「だから…部長たちの変わらない態度が若干、怖くてなぁ…」

京太郎「ある程度、俺の能力やらを知ってくれている春はともかく…ぶっちゃけ俺、女の敵以外の何者でもないし」

京太郎「改めるつもりはないにせよ…シカトされてもおかしくない事をしてるって自覚はあるんだ」

京太郎「それなのに…態度が変わらないってのは…どう思われてるのか不安でな」

和「…ふふっ」

京太郎「ん…?」

和「あ、ごめんなさい…別にバカにした訳じゃなくって…」

和「須賀君でも…そうやって不安に思う事があるんだなって…そう思って」





京太郎「そりゃ…俺だってそこまで脳天気じゃないぞ」

和「えぇ。分かってます。私たちの事で色々と須賀君が悩んでくれている事も」

和「でも…須賀君は今までそれを私に見せてくれなかったじゃないですか」

京太郎「そう…だったっけ?」

和「えぇ。何時でも…格好つけて弱みを見せるのは私の方でした」

和「だから…ちょっと嬉しかったんです」

和「そうやって須賀君が…弱みを見せてくれるくらいに私の事を信頼してくれているんだって…そう思えましたから」ニコッ

京太郎「あー…いや、別に…信頼してなかった訳じゃないんだ」

京太郎「ただ…俺は和の前でだけは格好付けたくて…さ」

京太郎「一番…好きな女の子だし…その…何て言うか…」

和「ふふ…っ♪分かっていますよ」

和「私だって…神代さんに負けないくらい須賀君の事を信じているんですから」

和「須賀君が私の事を思ってくれているっていうのを疑った事はありません」

和「でも…やっぱり…寂しかったのは…事実ですよ」ギュッ

京太郎「和…」




和「私が…須賀君に身を委ねているのは…別に須賀君が立派な人物だからじゃありません」

和「ましてや…能力の所為でもなくて…あの…その…」カァ

和「す、須賀君が…とっ、とても暖かで優しい人だからです!」

和「だ、だから…えっと…無理に私達の前で格好つけたりしなくても大丈夫…です」

和「いえ…寧ろ…もっと…そういう須賀君を見せて下さい」

和「だって…ふ、不公平じゃ…ないですか」

和「私だって…須賀君の事が…~…なのに…」

京太郎「え…?」

和「~~っ!で、ですから…あの…」カァァァ

和「わ、私だって…須賀君の事が好きなのに…そういう弱い須賀君を上重さんに独り占めされるのはイヤなんです!!」

京太郎「…はい…?」


和「な、何ですか、その反応!」

和「わ、私が普通の時に好きって言ったらダメなんですか!?」

京太郎「い、いや、そんな事ないよ。まったくない」

京太郎「つか…嬉しすぎて夢じゃないかって思ってるくらいで…」

和「う…そ、それは…その…」

和「い、今まで…ちゃんと言わなかったのは…わ、悪いと…思ってます…けど」ウツムキ

和「わ、私が勇気を出せなかった所為で…不安にさせていたのは…ごめん…なさい…」シュン

京太郎「い、いや、和は悪くないって!」

京太郎「そもそも俺がそうやって素直に好意を示してもらえるような男だったら…」

和「いえ…違うんです。私が…ずっと言えなかったのは…怖かったからです」

和「それを口にしてしまう事で…今までの心地良い関係が崩れてしまうんじゃないかって…そう怯えていたんです」

和「でも…私…今日…衣さんに勝てて…ようやく勇気を持てました」ギュッ

和「私は…もう逃げません」

和「自分の感情からも…ゆーき達からも…そして…神代さんや上重さんからも」

和「だから…私は改めて言います」

















和「私は…須賀君の事が…大好きです」
















和「最初は…能力の所為だったのかもしれません」

和「いえ、キッカケは間違いなく…須賀君の持つ不思議な力だったんでしょう」

和「でも…私が須賀君に惹かれていったのは…決してそれだけじゃありません」

和「須賀君が私たちの事に一生懸命になって…手を尽くそうとしてくれたからです」

和「駆けずり回ってでも…私たちの事を助けようとしてくれたからです」

和「その気持ちは…他の誰にも負けるつもりはありません」

和「何度だって言えます」

和「私は…原村和は須賀京太郎君の事を愛しています」

京太郎「…和…」

和「今まで…伝えられなくてごめんなさい」

和「意地を張ってしまって…すみません」

和「でも…その分…尽くしますから」

和「今までの分をお返し出来るように…尽くしますから…だから…」



京太郎「…それ以上は言わなくて良い」ギュッ

和「あ…♥」

京太郎「言っただろ。俺は和を見捨てないし…絶対に幸せにして見せるって」

京太郎「だから…そんな風に言わなくて良いんだよ」

京太郎「俺が和の事を好きな気持ちは…今だってまったく色褪せていないんだからさ」

京太郎「だから…無理しなくても良いんだ」

京太郎「何時もの…意地っ張りな和の事も俺は大好きなんだからさ」ナデナデ

和「…本当…ですか?」

京太郎「あぁ。こんな事で嘘吐かないって」

京太郎「…俺も…何度だって言えるよ」

京太郎「俺は和の事を誰よりも愛してる」

京太郎「絶対に手放したくないくらい…好きなんだ」

和「須賀…君…ぅ♥」


京太郎「…どうせだしさ。京太郎って呼んでくれないか?」

和「え…?そ、それは…」

京太郎「ダメ…かな?」

和「……もう…須賀君は…ううん…京太郎君は…仕方ないんですから」

和「…こんな風にぎゅっとされたら…断れないです…♪」

京太郎「あー…ごめんな」

和「でも…手放すつもりは…ないんですよね?」

京太郎「あぁ。もうちょっと…こうしてたい」

京太郎「俺の事を好きだって言ってくれた女の子の身体を…強く感じてたい」

和「本当に…もう…京太郎君はスケベなんですから…っ♪」

和「仕方ないから…もうちょっとだけ…こうしておいてあげます…♥」ギュッ

京太郎「…ありがとうな」ナデナデ

和「は…ぅ…ぅ♪」


和「気は…済みました?」

京太郎「…もうちょっと」

和「もう…いきなり甘えん坊になりすぎですよ…ぉ♥」

京太郎「いや、だって…無理だって」

京太郎「和が俺の事好きだって言ってくれただけでも嬉しいのに…」

和「…そんな事言いましたっけ?」

京太郎「え、えぇぇ!?」

和「ふふ…♪冗談ですよ♪」

和「でも…流石にこうしてずっと…ギュッてされるとですね…♪」

和「そろそろ…本格的に我慢出来なくなるというか…」

和「す、スイッチが入っちゃうというか…」モジモジ

京太郎「あー…それは流石にまずいな…」

和「そ、そうですよ。だから…その…早く…」

京太郎「…そう言いながら和の腕も離れないんだけど」

和「そ、それは…その…」

和「べ、別に…このままなし崩し的にエッチ出来ないかなーとかそういうの期待してる訳じゃなくってですね…!」

和「た、ただ…そ、そう!て、手持ち無沙汰でちょうどいい所に京太郎君の腰があるからついつい抱いちゃうだけで…!!」



京太郎「はは。じゃあ…ほら」スッ

和「あ……ぅ…」モジモジ

京太郎「…和?」

和「わ、分かってます!分かってます…から」スッ

京太郎「ごめんな。これが抜けだしてどうこう出来る状況なら構わないんだけど…」

和「べ、別に…京太郎君が謝るような事じゃ…」

和「そ、そもそも…悪いのはこんなところで発情しちゃってる私ですし…」モジモジ

和「明日までは…その…ちゃんともたせてみせますから」

京太郎「って事は…?」

和「わ、分かってる癖に…言わせないで下さいよ…もぉ…っ♥」

京太郎「それでも俺は和の口から聞きたいな」

和「う…ぅ……そ、その…うぅ…」モジモジ

和「ひ、昼から両親は打ち合わせに出かけるんで…その…京太郎君の都合さえ良ければ…」

和「う…家に…来ませんか?」カァァ

京太郎「うん。是非とも」ナデナデ


京太郎「んじゃ…そろそろ出るか?」

和「そうですね…あんまり長居すると神代さんが怖いですし」

京太郎「前科がある以上、疑われると言い訳しか出来ないからなぁ…」

和「その辺りは…京太郎君の腕の見せ所ですね」

京太郎「まったくもってその通り過ぎて何も言えねぇ…」

和「まぁ…その時は少しくらい釈明に付き合ってあげますから」クスッ

京太郎「少しだけかよ」

和「あんまり私が出しゃばると神代さんとしても面白く無いでしょうしね」

京太郎「ま…そりゃそうか。ああは言ったけど…やっぱり寂しそうにしてたし」

和「…結構、見てるんですね」

京太郎「そりゃ…まぁ…な。なんだかんだで俺にべったりなのはそう変わっていないし」

京太郎「小蒔は小蒔で変なところで遠慮しいだから…出来るだけこっちが察してやらないと」

和「…ふふ…♪」

京太郎「ん…?どうした?」

和「多分…京太郎君が皆に根本的な部分で嫌われていない理由って…そういう事だと思いますよ」


和「以前、京太郎君が言ってくれたのと同じです」

和「皆、今までの事で京太郎君の良さを知ってるんですよ」

和「どれだけ優しい人かとか…進んで二股する人じゃないかとか…そういう信頼があるんです」

和「…まぁ、そんな度胸がないと思われているかもしれないですけど」クスッ

京太郎「いや…実際、俺ヘタレだからなんとも言えないけどさ…」

和「それでも…肝心な時はちゃんと決めてくれる人だって言うのは皆知っています」

和「だからこそ…下手に触らず解決を私達に委ねてくれているんでしょう」

和「いざと言う時が来たら京太郎君が何とかしてくれるってそう思っているからこそ…皆はこの関係を保っていられるんだとそう思います」

京太郎「あー…なら…それに応えないと…いけないな」

和「…えぇ。でも…結論は急がなくても良いですよ」

京太郎「…いや、でも…」

和「今の状況がそういったものが出せるものではないというのは分かっていますし」

和「それに…まぁ…何て言うか…ですね」

和「…ちょっと神代さんに対抗心を抱いているのもあったりして…」

京太郎「…え?」

和「だ、だから…ですね。彼女と京太郎君を巡って消極的に対立している私としては…あんまり…面白くないんです」

和「あんな風に余裕を見せつけられると…自分の器が小さいようで…京太郎君の事も先んじられているようで…むっとしてしまうんです」カァァ


和「だから…私も…早く結論を出して欲しいとは言いません」

和「京太郎君が望む限り…保留のままで結構です」

和「そして…私はそれを…ずっと信じて待ち続けるだけです」

和「京太郎君が…私の事を選んでくれるって…そう…信じて」ギュッ

京太郎「…和…」スッ

和「い、今は…ダメですよ」

和「今、ぎゅってされたら…私…ほ、本当にスイッチが入っちゃいますから」

和「ぜ、絶対に…ダメですからね!」

京太郎「…分かった」

和「…本当に?」

京太郎「あぁ。仕方ないけど…我慢する」

和「本当の本当にですか?」

京太郎「勿論だ。俺だって和に迷惑を掛けるのは本意じゃないし」

和「…そう…ですか」シュン

京太郎「…もしかしてして欲しかった?」

和「な、何を言うんですか!?」

和「そ、そんなの…ちょっと…いえ…半分くらい思っただけです!」

和「そこまで我慢が効かない訳じゃありません!!」

京太郎「でも、半分は本気だったのか」

和「あっ…」カァァァ


和「う…ば、馬鹿な事行ってないで…も、もう本当に行きますよ!」

和「こ、このままじゃ…本当に我慢出来なくなっちゃいそうですし…」

京太郎「まぁ…最近は特訓やらで忙しくて…こういう真剣な話する機会なんてあんまりなかったからな」

京太郎「なんてーか、ごめん」

和「べ、別に…京太郎君が悪くありませんよ」

和「そもそも…こうして話している事そのものは…その悪く無いと言いますか…」

和「寧ろ…良すぎて…私のタガが緩みがちになっちゃうと言うかですね…」ボソボソ

京太郎「ん?もう一度言ってくれないか?」ニヤニヤ

和「ぅー…き、聞こえてた癖に…」

京太郎「いやーここ最近、難聴が酷くてさー」ボウヨミ

和「すっごい棒読みなんですけど…」ジトー

京太郎「はは。恥ずかしがる和が可愛くてつい…な」

和「むぅ…ぅ……人のこと良いように弄んだ挙句…か、可愛いだなんて…」

和「それだけで…許してあげたくなるじゃないですか…」ポソッ

京太郎「って事はもっとやって良いんだな」

和「やっぱり聞こえてるじゃないですかああ!」



京太郎「悪かった。悪かったから…ほら」スッ

和「…え?」

京太郎「遊戯室の前くらいまで…手を繋いでいかないか?」

京太郎「…なんだかんだ言って…こういう事してなかったし」

京太郎「まぁ…なんつーか…その…な」

京太郎「図々しいけど…恋人らしい事したくて」

和「…」クスッ

和「もう…最初からそのつもりだったのなら…言ってくれれば良いのに」

京太郎「いや…だって…素で繋いで行こうって…中々、言えないぞ」

京太郎「なあなあで繋ぐならともかく…俺からってのは…あ…」

和「…ふふ…♪どうかしました?」

京太郎「…何か柔らかいもので俺の腕が包まれてるんですけど」

和「包んであげてるんですよ…♥こういうの…好きでしょう?」

京太郎「いや…好きだけどね!好きだからこそ…こう…リビドーや諸々の問題が…」

和「私だって我慢してるんですから、京太郎君も我慢してください」キッパリ

京太郎「ひでぇ…」

和「それに…ですね。こうやって腕を組んだ方が…その…」

和「こ、恋人っぽい…じゃないですか」カァァ

京太郎「…実は憧れてた?」

和「う、うるさいですよ。それよりも…ほら!」グイグイッ

京太郎「わっ!こら、急ぎすぎだって」

京太郎「そんなに急いだら、すぐ遊戯室に着いちまうぞ」

和「う…」

和「…し、仕方ないですし…ゆっくり行きましょう」

京太郎「あぁ。その方が良い」クスッ

京太郎「俺も…もうちょっと和とこうして…恋人らしい事楽しんでいたいしさ」ギュッ

和「…はいっ♥」


そろそろ眠気がやばいので寝ます…
また今日も同じくらいの時間からエロシーン投下始めます

あ、後、前スレ1000取ってくれたら何か書くかも
以前みたいな小ネタは無理だけど1レスちょっとくらいの形式で良ければ書くよー

>>1
誰もツッコんで無かったけど前スレ>>683でまた漫ちゃんがインターセプトしてたでー

ところで500万円ぽっちでアタッシュケースって大袈裟じゃね?桁ミス?

>>50>>53
うぎゃあああ!?ちゃんと他人にも見てもらってチェックしてたはずなのに…。
漫ちゃんはすみません、また無意識の内に書いてました…。
500万は5000万の桁違いです、申し訳ありません

E-2突破したのでそろそろ投下します


~和~

―― その日の京太郎君は大きなバッグを担いで現れました。

昼食も終わり、両親ともに出かけた事を彼にメールして数十分。
その後、現れた京太郎君の姿に私は正直、期待を隠す事が出来ませんでした。
だって、今日は久しぶりに京太郎君と…ううん、ご主人様とエッチする日なのです。
一緒に下校したあの日から今までずっとお預けを食らっていた私は、今日という日を待ち望んでいたと言っても過言ではありません。

和「(何より…そのバッグの中身はきっとエッチなオモチャで一杯で…ぇ♥)」

あの日、京太郎君は…私と約束してくれたのです。
最後までちゃんと頑張れたらご褒美をくれるって…私の事を愛してくれるだけじゃなくて…縛り付けてくれるって…そう言ってくれました。
そんな彼が約束の日に持ってきた荷物の中に…エッチな道具が入っていない訳がありません。
きっと欲求不満気味の私をおかしくするくらいに…京太郎君はその道具で気持ち良く縛り付けてくれる。
そう思っただけで…私の中の女は疼き、甘い汁を滴らせてしまうのです。

和「(そんな私に…京太郎君は遠慮しませんでした)」

めっきり冷え込んだ寒空の下を大きな荷物を抱えて歩いてくれた京太郎君を労おうと、私は熱いお茶を出しました。
しかし、彼はそれを一口二口で飲みきり…私の事をじっと見つめたのです。
普段の穏やかな彼のものとは違う冷たいその視線に私の中の愛玩奴隷が…『和』が目を覚ますのを感じました。
ご主人様に愛して欲しくて…一人でオナニーばっかりしてた淫らなメスが…和の子宮でまたも蠢き始めたのです。


和「(だから…和は…ぁ…♥)」

ご主人様の視線一つで…我慢出来なくなってしまった和は、すぐさまご主人様を自分の部屋へと連れ込みました。
そこは普段よりも殺風景で、何処か味気のないものになっています。
それはベッドに並べられたぬいぐるみが雀卓が今は撤去されているからでしょう。
ご主人様が何をするのかは分かりませんが…スペースがあって困る事はない。
そう思った和は朝から部屋の掃除を始め、何をされても構わないように備えていたのです。

京太郎「和…」
和「は…ぁ…♪」

そんな和の苦労に気づいてくれたのでしょう。
ご主人様の手は労るように和の頬へと触れ、そのまま優しく包み込んでくれるのでした。
その優しくも甘い体温に和の口はついつい甘い吐息を漏らしてしまいます。
ご主人様によって調教されたこの身体にとって、それはもう快感と言っても良いほどのものだったのでした。

京太郎「今日はどういう日だ?」
和「はい…♥和が…心も…身体も…ご主人様のものになる日です…♥」

その言葉の響きだけで和の頭の中は甘く蕩けてしまいそうになりました。
だって…それはあんまりにもエッチでそして幸せな事なのですから。
自分の人生を捧げるに足ると思った唯一無二の人に…和は一生、逆らえなくなってしまうのです。
この後の未来全てまでご主人様に捧げるその行為に和の胸はキュンキュンと疼いて止まりません。
それは子宮もまた同じで…さっきからジュクジュクと愛液を滴らせ…内股にまで漏れ出し初めていました。


京太郎「あぁ。そうだ。今日は…和が俺だけのものになる日なんだ」

和の言葉に頷きながら、ご主人様はそっと担いだバッグを降ろしました。
そのままジィィとジッパーを開けば、そこには色とりどりのオモチャが顔を出します。
性的知識に疎い和でもはっきりと分かるその淫らな道具に思わず生唾を飲み込んでしまいました。
一体、こんなに沢山のオモチャで…どんな風にイかされてしまうのか。
そう思っただけで和のメス穴は疼き、早く奥までご主人様に犯して欲しくなるのです。

京太郎「だから…こんなのを用意してみた」

そんな和にもったいぶるように、ご主人様はゆっくりと『それ』を取り出しました。
黒くて角ばったそれはご主人様の手の中にすっぽりと収まるサイズでした。
表面に沢山のボタンがついているその一つ一つが何を示しているのかは、機械的知識に疎い和には分かりません。
しかし、それでも…それが何をする機械かくらいは和でも分かるのです。

京太郎「今日はこれで和のビデオを撮るぞ」
和「はぁ…っ♪」

それは…ビデオカメラです。
映像を動画として記録し…後に再生する為の道具なのです。
それを使ってする淫らな事なんて一つしかありません。
ご主人様は…和のエロい姿を…未来永劫記録して残して下さるつもりなのです。
AV…つまりアダルトビデオとして…和の痴態を色褪せないものにして下さるのでしょう。


京太郎「それも…何かの手違いで流出したら一生生きてけないような激しい奴を…な」

そう言いながらご主人様が和へと向けるレンズはとても無機質なものでした。
しかし、それがギラギラとした欲望を灯しているように見えたのです。
それはきっとその奥にあるご主人様の視線が、とても熱く、そしてドロドロとしているからでしょう。
今にも襲いかかって来そうなその興奮に和の背筋はブルリと震えました。

和「撮って下さい…♥和の…エッチな姿を…ぉ♥ご主人様にしか見せない…エロ和を全部…残して下さい…っ♪♪」

その言葉は本心からのものでした。
元々、和はご主人様に未来まで捧げる為に『弱み』を握って欲しいと自分から言い出したのです。
勿論、気恥ずかしさは和の胸にもありますが、それ以上に…これから先にどんな事をされるのか楽しみで仕方ありません。
ずっと焦らされて来た和にとってビデオに撮られながらするセックスは忌避するものなどではなく、寧ろ興奮するものだったのです。

京太郎「じゃ、まずは自己紹介からしようぜ」

そう言ってご主人様はビデオの側面を開け、幾つかのボタンを操作しました。
瞬間、和に向けられるレンズに変化があった辺り、恐らくもう録画は始まっているのでしょう。
それだけで和の背筋はゾクゾクしたものを感じ、内股を擦れ合わせてしまいました。
自然、太ももにまで染みだした愛液がニチャニチャと言ういやらしい音を立て、部屋の中に響きます。


和「(それすらも…記録されてしまっているんですね…♥)」

言い訳が効かないくらい興奮し、発情している今の和を撮られているのです。
音も身動ぎも…息遣いさえも記録され…後でそれをご主人様に見られてしまうのでしょう。
そう思うと羞恥と興奮が背筋を這い上がり、頭の中に突き刺さります。
そして、それに突き動かされるようにして…和はゆっくりと口を開くのでした。

和「清澄高校一年…原村和です…♥」
京太郎「他にも好きなものとか趣味とかも聞かせてくれよ」
和「好きなものは…え、エトピリカになりたかったペンギンっていう絵本のキャラクターで…趣味は…麻雀…です」
京太郎「何せインターミドルで優勝するくらい麻雀好きなんだもんな」
和「は…はい…♪」

意地悪なご主人様のその補足に和は嘘偽りどころか情報の不足さえ許されないのを悟りました。
ご主人様は本当に和という個人を…そこに記録するつもりなのです。
後で見た人が和の人となりを理解出来るように…しっかりと。
そして和にはそれに抗う事は出来ず…ただご主人様が求めるように…言葉を紡ぐしかありません。

和「他にも…家事は…人並み程度には出来る…と思います…」
京太郎「和の料理は特に美味しいからな。下手なレストランなんか足元にも及ばないくらいだ」
和「はぅ…ぅ♪」

勿論、そうやってご主人様が褒めてくれるのは今日が初めてではありません。
特訓を始めて、日常的にご主人様にも料理を振る舞うようになってから何度も褒めてくれるのです。
お陰で和もご主人様の好きな味付けを覚えられたのですが…まぁ、それは余談でしょう。
今の和にとって重要なのは…ただでさえ嬉しいその言葉を今、この瞬間に貰ったという事なのですから。


和「父は検事で…母は弁護士をしています」
京太郎「いい所のお嬢さんって訳だ」
和「いえ…そ、そんな…」

その嬉しさに背を押される和の言葉にご主人様はなんともこそばゆい補足をくれました。
ゆーきも時折、そうやって和をからかいますが、和にはそんなつもりは殆どありません。
そもそも本当にお嬢さんと呼ばれる人たちであれば、仕事の忙しい両親に代わって家事全般を任せられたりはしないでしょう。
一般的な家庭よりも裕福な事は認めますが、和自身はそんな風に言われるような立派な存在じゃありません。
それはこの後に何を言えば良いのか分からなくなった事が何より如実に示しているでしょう。
麻雀そのものに人生の大半を傾けた和は、あまり面白みのある人間であるとは言えず、人に語れるような何かをあまり持ってはいないのです。

和「後は…えっと…」
京太郎「最近、嬉しかった事とかどうだ?」
和「嬉しかった事…そうですね…」

ご主人様の言葉に和が真っ先に思い浮かべたのは龍門渕との試合の事でした。
あの後、和は透華さんや衣さんとも打ちましたが、二人共に僅差で負けてしまったのです。
透華さんに向けるにはあの力はまだ未完成で、衣さんには地力では及ばないのですから。
皆が作ってくれたリードなしであれ程の圧勝を繰り返す事なんて出来ません。
しかし、それでも…自分の中に芽生えたそれが大きな強みである事を悟った和にとって、あの日は大きな転機だったのです。

和「新しい麻雀へのアプローチを…大好きな皆のお陰で発見出来た事でしょうか」
京太郎「それくらい麻雀が好きなんだな」
和「…はい。麻雀と関わらなかった自分なんて…想像も出来ないくらいに」

少なくとも…麻雀がなければ、和はゆーきとも咲さんとも出会う事はなかったのです。
他にも部長や前部長…それに神代さんや滝見さんとも…道が交わる事はなかったでしょう。
何より…ご主人様とこうした関係になるだなんて想像も出来なかったに違いありません。
それほどまでに和の人生に深く食い込んだ麻雀の事が和は大好きで堪りませんでした。


和「でも…一番、大好きなのは…これを撮っている…和のご主人様です…♥」
京太郎「和…」

しかし、それだってご主人様には敵いません。
暖かで…優しくて、でも、時々、意地悪なご主人様は…和にとって掛け替えの無いものなのです。
和の身体も心も奪っていったその人に愛される為ならば、和はきっと何だってしてしまえるでしょう。

和「和は…ご主人様が止めろって言うなら…麻雀だって止めます…♥他の人に関わるなと言うなら…一生、外にだって出ません…♥」

例え、それが和から麻雀を奪うものでも…他の大事な人を遠ざけるものでも…和は構いません。
それでご主人様から一生、愛して貰えるならば、十二分に釣り合いがとれているのですから。
それくらい和にとってご主人様の存在というのは大きく、格別と言っても良いくらいでした。
それが依存に近く、決して健全ではないと理解していても…和はその感情をもう止められません。
止めようと言う気すら起こらず…寧ろ、一生、浸り続けていたいとさえ思っていたのでした。

京太郎「じゃあ、そんな相手と今から何をするんだ?」
和「それは…セックス…です…♥」

瞬間、ブルリと和の全身が震えたのはきっと期待の所為でしょう。
自分の言葉にさえ期待を浮かばせてしまうくらい和はもう発情しているのです。
身体はもうさっきから熱いくらい火照り、愛液だって止まりません。
そしてまた…感情に突き動かされる和の口も留まる事はなく…淫らな言葉をまた放とうとしていました。


和「和の未来まで…全部、ご主人様のものになる瞬間を記録する…セックスです…ぅ♪」
京太郎「じゃあ…そんな服…要らないよな?」
和「は…い…♪」

さっきよりも一段、声を低く落としたご主人様の声。
意地悪いそれに小さく頷きながら、和はそっと自分のカーディガンに手を掛けました。
その下から現れた桃色のワンピースも…今の和にとっては不要なものです。
だって…これから和は全部、ご主人様のものに…愛玩奴隷になるのですから。
奴隷にこんな立派な服は要らないのだと言わんばかりに和はそれを脱ぎ捨て…生まれたままの姿になるのです。

京太郎「なんだ。今日も下着をつけていなかったのか?」
和「はい…っ♥ご主人様に…すぐに愛していただけるように…ずっと準備してました…♥」

そう揶揄するように言うご主人様に和はギュッと胸を抱いてしまいます。
人並み以上に大きくて…ご主人様にも寵愛をいただけているそれを強調するように…左右から抱き寄せるのでした。
瞬間、和へと向けられるご主人様の視線は熱くなり、身体の中から燃えてしまいそうになります。
その衝動に任せ、ご主人様を誘いたくなる自分を和は何とか抑えこみました。
そうやって欲望に身を任せれるのは気持ち良く…そして素晴らしい幸福感を和にくれるでしょう。
けれど…その前に必ずやっておかなければいけない事があるのです。

和「だから…和に証を下さい…♥ご主人様のものだっていう…立派な証が欲しいんです…♪」
京太郎「そんなに…これが欲しいのか?」

そう言ってご主人様がカメラを脇に置きながら、バッグの中から取り出したのは厚い黒革の首輪でした。
見るからに高級そうなそこにはシルバープレートが着けられ、そこには和の名前が彫り込まれています。
まるで犬のようなその首輪に…けれど、和が惨めさを感じる事はありませんでした。
寧ろ、和の為にご主人様がわざわざ用意してくれたそれを早く欲しくて堪らなかったのです。


京太郎「でも、分かってるのか?これをつけたらもう和は後戻り出来ないんだぞ?一生、俺の愛玩奴隷になって性欲処理に使われる未来しかないんだ」

そんな和を試すようにご主人様はそう言いました。
チラリを視線を和に向けながらの言葉に…和のゾクゾクはさらに強くなりました。
だって…それは…いえ、それこそが和の望む未来なのですから。
ご主人様に縛り付けられ…一生、愛され続ける未来以外には…もう何も欲しくありません。
それ以外のものは全てご主人様が満たしてくださると…和はそう素直に信じる事が出来たのです。

和「はい…構いません…♥和は…一生…ご主人様の愛玩奴隷で…良いんです…♥」

だからこそ、頷いた和の前でご主人様は微かにその表情を綻ばせました。
その微妙な変化はきっと普段からご主人様に懸想している人でなければ分からない微妙な変化でしょう。
しかし、それを簡単に見てとる事が出来たという自分に…和は少なくない喜びを感じました。
けれど、それと同時に…和はご主人様が少なからず不安に思っていた事を悟るのです。

和「(それも…和の所為…ですよね…)」

和がもっと以前からご主人様に対して素直になっていれば、きっとこんな風に確認させることはなかったはずです。
もっとちゃんと…ご主人様に向き合っていれば…彼は自信満々に和にその首輪を着けてくれたはずでしょう。
けれど、実際はそうやって意地悪そうな表情に安堵を浮かばせるくらいにご主人様は追い詰められていました。
ならば、それを晴らしてあげるのが愛玩奴隷としての責任であり…義務でしょう。


和「それでも…不足ならば…幾らでもお誓いします…♥」
京太郎「例えば…どんな風に?」

和の言葉にご主人様は興味深そうにそう尋ねてくれました。
そこに交じる期待の色に和は思わず笑みを浮かばせてしまいそうになります。
けれど、それと同時に申し訳なるのは、それが和の不徳のなすところだからでしょう。
だからこそ、和は子供っぽさを覗かせるご主人様への笑みを抑えて…ゆっくりと口を開くのでした。

和「和は…原村和は…健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も…♥」
和「ご主人様を愛し、ご主人様を敬い、ご主人様を慰め、ご主人様を助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います…♥♥」

それは結婚式の時に使われる聖句を弄ったものです。
一生の伴侶を得た二人に神父が最終確認として尋ねるものなのですから。
どれだけ時代が変わったと言っても変わらず女の子の憧れであるそれを…和は自分から口にします。
自分がどれだけご主人様の事を愛しく、そして大事に思っているかを伝える為に…はっきりとそう誓うのでした。

京太郎「和は本当に良い子だな」
和「ふにゃ…ぁ♪」

そんな和の頭にご主人様は優しくその手を置いて下さいました。
そのままゆっくりと和を撫でるその手には愛しさと嬉しさが現れています。
きっと和の誓いはご主人様の不安を無事に晴らしてくれたのでしょう。
そう思うと誇らしさに胸を張りたくなりますが、それは出来ません。
何せ…ご主人様が和の頭を撫でてくれる度に和の身体は蕩け、力が抜けていってしまうのですから。


京太郎「そんな和を俺も手放したくない。だから…着けるぞ」
和「はい…お願いします…っ♥」

まるでご主人様に和の力が奪われていっているような不思議で幸せな感覚。
けれど、それも長い間、続きはしませんでした。
数秒もした頃にはご主人様は我慢出来なくなったようにその手を離し、両手で首輪を解きます。
そのままゆっくりと和の首へと近づき、そして巻き付くその感覚に和は甘い吐息を漏らしてしまうのでした。

京太郎「よし…っと。息苦しくはないか?」
和「大丈夫です…♪」

そんな和を気遣ってくれたのでしょう。
比較的緩めに締められたその首輪は和に息苦しさなんて齎しませんでした。
寧ろ、今の和は嬉しさで一杯で、胸が張り裂けてしまいそうだったのです。
これで…また一つ和の身体がご主人様のものになったと思ったら…もう肌が火照って堪りません。
今すぐ…ご主人様に和の使い心地を心ゆくまで楽しんで欲しくなってしまうのでした。

京太郎「似合ってるよ。やっぱり和にはそういう格好が似合うな」
和「は…ぁ♥」

それを何とか抑えこむ和の前でご主人様は嬉しそうに笑いながらそう言って下さいました。
優しげくも暖かなその笑みはきっと心からそう思ってくれているからでしょう。
実際、ご主人様のオチンポはもうズボンの上からはっきりと分かるくらいに膨れ上がっていました。
早くメスを…いえ、和を貪りたいと言うようなその逞しさに胸がキュンキュンと唸り、熱い吐息を漏らしてしまうのです。


京太郎「じゃあ…誓いのキスはこっちに…な」

そう言ってご主人様はカチャカチャとベルトを外し、ジーンズをズリ降ろしました。
瞬間、臙脂色に染まったトランクスが和の視界に飛び込んできたのです。
ズボン以上に膨れ上がり、今にもはち切れそうになっているそれに和は思わず生唾を飲み込んでしまいました。
今にもゴムの部分から先端が飛び出してしまいそうなその膨らみに和はあっという間に魅了されてしまったのです。

京太郎「手は使わずに…口だけで降ろすんだぞ」
和「ふぁい…ぃ…♪」

その言葉に和はそっと膝を降ろし、ご主人様の足元に跪きました。
そのままそっと顔を近づければ、トランクスからはかすかな性臭が感じられます。
オチンポから匂うその独特のニオイに和はもう耐えられません。
すぐさまそのトランクスを唇で食み、グイグイと下へと下ろしていくのです。

和「(でも…中々、上手くいかなくって…ぇ♪)」

ご主人様のオチンポは太さも大きさも波桁外れているのです。
それこそ下着がはち切れそうなほど勃起しているのにも関わらず…まだこれは本気ではないのですから。
そんな逞しすぎるオチンポが引っかかって、どうしてもご主人様の下着を一度で降ろす事は出来ません。
そのカリ首や肉竿の部分を一つ一つ越えていくようにゴムを引っ張り、そして降ろさなければいけないのですから。


和「(うふ…♪和…これ…大好きです…♥)」

そのもどかしさは決して少ないものではありません。
手を使えば数秒も掛からない事に和は数分も時間を掛けなければいけないのですから。
しかし、そうやって口で下着を降ろすのはそれだけ和にご主人様に支配されている実感を与えるのです。
ご主人様の言葉に逆らえず…従順に従ってしまう自分を強調され…ゾクゾクするのでした。
その上、トランクス越しにオチンポの匂いを感じるのですから…耐えられるはずがありません。
胸の鼓動をより激しくしながら、和は必死にトランクスをズリ降ろしていくのです。

和「ふぁ…あぁぁぁ…っ♥」

それが終わった瞬間、和の鼻孔を擽ったのはさっきよりも強い性臭でした。
まるで鼻の奥に絡みつくようなドロドロとしたその匂いは和にとって媚薬も同然です。
その匂いに何度も脳まで犯された和は、条件反射的に身体の疼きを強くしてしまうものでした。
それに和の身体はもう我慢出来なくなって…ついついご主人様のお許しもないままオチンポにむしゃぶりついてしまうのです。

京太郎「おいおい、まだ良いって言ってないぞ」

そう言いながらもご主人様は和の事を引き離そうとはしませんでした。
寧ろ、肉竿をペロペロと舐める和にいやらしい笑みを向けてくれるのです。
まるでそうやって我慢できなくなってしまった姿が淫らで堪らないと言うような表情に和の身体は興奮を強めました。


和「(ご主人様も受け入れてくれている…♥)」

そう思っただけで和の子宮はキュゥゥンと響き、疼きが一段と強くなってしまいます。
ドロドロとお腹の奥が蕩けていくようなその感覚に和はほぅと艶めいた吐息を漏らしました。
興奮混じりのそれは血管の浮き出たご主人様の肉竿へと絡みつきます。
浅黒く染まったご主人様の肌はまるでそれに悦ぶようにして微かに震えてくれました。
それがまた嬉しくなった和は舌の動きを早め、肉竿全体に唾液を塗りこむようにして動き出すのです。

京太郎「ほら、和。こっち向いて」
和「んひゅ…ぅ…?」

そんな和の耳に届いたご主人様の声。
それにふと視線を上にあげれば、いつの間にかご主人様はビデオカメラをその手に持っていました。
再び無機質なレンズが向けられるその感覚に和の身体に走るゾクゾクがまた強くなったのです。
火照った身体の中、そこだけがまるで冷水に浸されたような差は、しかし、決して嫌ではありません。
それが強い興奮が齎す快楽のさざなみである事を理解している和にとって、それは歓迎すべき事だったのです。

京太郎「綺麗に撮ってやるから…その分、エロく頼むぞ」
和「ふぁ…ぁい…♥」

そして…それ以上に和が歓迎するべきはご主人様が和に許しの言葉をくれた事でしょう。
さっきのような黙認ではなく、はっきりと和に「頼む」と言ってくださったご主人様には感謝の念が絶えません。
だからこそ、和はご主人様により気持ち良くなって貰おうと顔を動かし、首を傾け、オチンポの全身にねっとりと唾液を塗りこんで行きました。
それに合わせてご主人様のオチンポもピクピク震えて快感をアピールしてくれます。


和「(勿論…それはまだまだイケるほどではないんでしょう…♥)」

ご主人様の我慢強さは折り紙つきなのです。
ひどい時には和が数十回、下手をしたら百を超えるまでイき続け無ければ、射精してくれないのですから。
それはこうして口でご主人様にご奉仕する時だって、変わる訳ではありません。
しかし、それでもご主人様は舐める和の姿が気に入ったのか、そのオチンポはビキビキに張り詰め、完全に勃起しきってくれました。

和「(あぁ…♥なんて…逞しい…♥)」

その太さと大きさはさっきまでの比ではありません。
それこそ一回りから二回りくらい大きくなっているのですから。
密着している和にとってさらに大きく見え…それこそ高層ビルが目の前にそびえ立っているような迫力感じるのです。
勿論、それは錯覚に過ぎないと理解していますが…それでもその印象は決して揺らぎません。
和にとってご主人様のオチンポとはそれほどに偉大で、そして逞しいものなのです。

和「(何度見ても…凄すぎて…お腹の中とろけちゃいそうです…ぅ♪)」

勿論、ただ迫力を感じるだけならば和だってこんな風にはなりません。
しかし、それは和が世界で一番、愛おしい人の一部なのです。
友人たちだって投げ捨てても…独占したいと思うほど愛しい人の逞しさを感じて、発情した和が無事でいられるはずがありません。
ガチガチに勃起したご主人様のオチンポを見ているだけで和のお腹の奥はドロドロになってしまいます。


和「(でも…まだ…ダメなんですよね…♥)」

このまま一気に奥までオチンポに貫いて…そしてグチャグチャになったお腹をかき回して欲しい。
そう思う気持ちは和の中でドンドン強くなり、また愛液を滴らせます。
しかし、それに身を任せるにはご主人様の許可がないと出来ません。
こうやって勝手にむしゃぶりついてしまったとは言え…基本的に和はご主人様に従順な愛玩奴隷なのです。
どれだけセックスがしたくたって、勝手にする訳にはいきません。

和「(だから…まずはその気にしてあげないといけませんね…♥)」

ご主人様だって一度、イかせれば和にご褒美をくれる気になるはずです。
ご主人様はとても意地悪な人ではありますが、基本的には優しく暖かな京太郎君のままなのですから。
きっと頑張ってご奉仕した和をご褒美だと言ってベッドに押し倒してくださるでしょう。
その未来予想図だけでカァァと頭の中が赤くなり、和の腰がプルプルと震えてしまいそうになります。
まるで興奮だけでイキそうになっている自分を叱咤しながら、和は数分掛けてご主人様のオチンポをヌルヌルに染め上げました。

和「(これなら…もう大丈夫…です…♥)」

何処に触れてもクチュクチュと淫らな音が鳴ってしまいそうなくらい濡れたオチンポ。
反り返った肉刀の裏筋から今にも唾液が滴り落ちてきそうなその姿に和は内心で笑みを浮かべました。
ご主人様のオチンポがどれだけ大きくても、これだけ濡れていれば慣れた和にとってフェラするのは難しい事じゃありません。
逆に言えば…慣れていてもこれだけ濡らさないと口に入らないという事なのですが…まぁ、それは和にとって悦ばしい事なので問題ではないでしょう。
それよりもここで気にするべきは…ご主人様のさっきの言葉が今も有効かどうか確認する事です。


和「ご奉仕する時に…手は…使っても良いですか…?」
京太郎「ん…構わないぞ。その代わり…」
和「ひゃうっ♪」

「手を使うな」というご主人様の命令を再度、確認した和に、ご主人様は小さく頷きながらそう答えてくれました。
それに和が安堵を思い浮かべた瞬間、ご主人様の足がグッと和の太ももに押し当てられるのです。
そのままグイグイと足を押し付けるようなご主人様に逆らえず、和は後ろに倒れてしまいました。
まるで尻餅をつくようなそれも厚目のカーペットのお陰で痛くありません。
けれど、ご主人様に足で倒されたという事が和の被虐感をこれでもかと刺激して…堪らない気持ちにされるのです。

京太郎「こっちからでも見えるように股開けよ。じゃないと単調で詰まらないからな」
和「あぁ…っ♥ご、ごめんなさい…♪」

冷たいご主人様の言葉に、和はこれが普段と違うものだという事を思い出しました。
普段通りであれば…勿論、さっきのままご奉仕を続行してもご主人様は何も言わなかったでしょう。
しかし、今のご主人様は和の支配者であると同時に撮影者でもあるのです。
この淫らな交わりを記録し、残す作業をして下さっているご主人様に対して、さっきのそれはあまりにも単調過ぎたでしょう。
それを今更ながらに思い出した和は謝罪しながら股を開いたまま、そっとバランスを元に戻すのです。

和「これで…良いでしょうか…?」

所謂、M時開脚の状態でご主人様の足元に座る自分。
勿論、その格好は膝への負担が強く、あまり楽な姿勢とは言えません。
しかし、それを記録するご主人様が肯定し、そして興奮してくれるならば和は幾らでも頑張れる。
そう思いながら尋ねた和に…ご主人様は小さく首肯を返してくれました。


和「では…今度こそ…ご主人様のオチンポに…誓いのキスをしますね…♥」

言葉はなくとも頑張る自分を肯定してくれたご主人様に愛しさを湧きあがらせながら、和はそっとご主人様のオチンポに手を伸ばしました。
そのまま両手で包み込んだそれは血管がドクドクと脈打ち、和の肌にじっとりとした熱を伝えてきます。
火照った和の身体よりも数段熱いその肉棒は触れている手が汗を浮かべてしまいそうなくらいでした。
そんな手で作った筒からひょっこりと顔を出す亀頭に和はそっと唇を近づけるのです。

和「ちゅっ…♪」

そのまま亀頭に唇を触れさせた瞬間、真っ赤に腫れ上がった粘膜が微かに震えました。
まるで和のキスに感動したというようなその反応に和もついつい嬉しくなってしまいます。
そして、もっとご主人様に喜んで欲しくて…二度三度と鈴口に淫らなキスを繰り返してしまいました。
その度にチュッチュと甘いキスの音が部屋に広がり、和の興奮をさらに熱く滾らせるのです。

和「(それに…ご主人様も興奮して下さって…♥)」

亀頭に対して繰り返されるバードキスにご主人様は焦らされているように感じたのか、その先端から透明な粘液がプクリと漏れ出します。
所謂、先走りと言われるようなそれはキスを繰り返す和の唇にねっとりと絡みつき、糸を引きました。
それを反射的に舌で舐め取れば…和の脳に甘い感覚が突き刺さります。
勿論、本来ならば無味無臭のそれが甘いだなんてそんな事はありません。
しかし、それがご主人様が射精の準備を始めてくれたという証だと思うと…何の味気もないそれがまるでお菓子のように甘く思えてしまうのです。


和「(あぁ…♪もう…和は…我慢出来ません…っ♥)」

そのカウパーに和の我慢はまた一つ砕かれてしまいました。
もう少しご主人様とのキスを楽しんでいたかったのに、ついつい亀頭を咥え込んでしまうのです。
パクリと鈴口からカリ首までを唇の内側へと取り込むそれにご主人様の足が微かに震えました。
今までずっとキスされてきたのもあって、その口撃がいきなりに思えたのでしょう。
そんな愛しい人の素直な反応に和は胸中がまた蕩けるのを感じながら、ゆっくりと舌を動かし始めたのです。

和「(熱くて…ギンギンで…すっごく硬いです…ぅ♪)」

そうやってご主人様に触れる舌先からは堪らない熱が伝わって来ました。
皮という庇護膜に包まれていないむき出しになった粘膜はより強くご主人様の興奮を伝えてくるのです。
その上、血液が集まったそこは硬く張り詰め、和の舌を弾き返しているようにさえ錯覚するのでした。
そんなオチンポの逞しさに和は夢見心地に近い陶酔を覚えながら、ぴちゃぴちゃと舌を動かし、味わっていくのです。

和「(ご主人様のオチンポ…とっても美味しいです…♥)」

勿論、それは何か味がする訳ではありません。
しかし、そうやって口の中に含んでいるとご主人様にご奉仕している感が強くなっていくのです。
結果、和の胸中に強い陶酔が生まれ、それを『美味しい』と錯覚してしまうのでした。
偽りと言っても過言ではないその味に、和は分かっていながらも翻弄され、ついつい頬を緩ませてしまうのです。


京太郎「はは。チンポが美味くて仕方がないって顔だな」

そんな和を揶揄するようにご主人様はそう言葉をくれました。
からかうようなその言葉に、勿論、和のマゾヒスティックな部分がつい反応してしまいます。
その上…こうして美味しそうにご主人様のオチンポをしゃぶっている瞬間を今も記録されているのですから…堪りません。
M字に開いた足についつい疼きが絡みつき、何かを主張するようにモゾモゾと動いてしまいます。

京太郎「ほら、こっちにその視線を寄越せよ」
和「ふぁ…♥」

そうやって身動ぎする和にご主人様の声が突き刺さります。
興奮の所為か少しだけ暴力的になったその命令に従って、和はそっと上目遣いを送りました。
それにご主人様も興奮してくれたのでしょう。
和の口の中でオチンポがピクンと小さく反応するのが分かりました。
それについつい嬉しくなって舌の動きを早くすればご主人様の腰がほんの少し強張るのを感じます。

京太郎「あぁ…エロいぞ…」
和「はひゅぅ…♥」

ポツリと漏らすように、けれど、はっきりと和の事を褒めて下さるご主人様。
それに和のオマンコはキュゥゥゥと締まってしまうのです。
それに押し出されるようにして和の秘唇から愛液が染みだし、カーペットへとゆっくり落ちて行きました。
自分の恥ずかしい体液で家具を穢すというなんとも言えない背徳感に…和はまた胸を疼かせ、そして興奮を強めるのです。


和「はぷぅ…♥ちゅ…れろぉ…♪♪」

その興奮はまず真っ先に和の口へと伝わりました。
ご主人様のオチンポをしゃぶるその口は窄まり、口の粘膜をその逞しい肉棒へと這わせるのです。
今にもジュポジュポと音を立てそうなくらいに密着した口から淫らな音が漏れ出し始めました。
聞いているだけでも興奮してしまいそうなそれに和自身が我慢出来なくなっていくのです。

和「(もっと激しく…もっとエッチに…ぃ…♥)」

そうすればそうしただけご主人様も喜んでくれるのです。
一杯興奮して…そしてその分、後でご褒美をくれるのでしょう。
そう思っただけで和の身体は止まらず、舌をペロペロと這いずり回しました。
口の中一杯に頬張った亀頭全体をしゃぶるようなそれは…きっと何も知らなかった頃の和には出来ないものでしょう。

和「(でも…今はご主人様に一杯…エッチな事を教えてもらったんです…♥)」

こうして口に含んだままオチンポをしゃぶるやり方だってそうですし、その間に両手で肉竿を扱いているのもそう。
その力加減や上手な圧迫の仕方だって和はご主人様に教わったのです。
そのなんとも言えない陶酔感と幸福感に和の胸は思わずブルリと震えました。
特にその頂点で張った桃色の突起は激しく反応し、まるでオネダリをしているように動くのです。


京太郎「胸のほうが随分と物足りなさそうだな」

まるでその暖かな感情に我慢出来なかったかのようなそれにレンズを覗きこむご主人様も気づいてくれたのでしょう。
にやりとその頬を吊り上げながら、意地悪くそう言って下さいました。
けれど、ご主人様の手は一向に動かず、冷たく和を見下ろしているままです。
恐らくまだまだ和を焦らすつもりなのでしょう。
もしかしたら…和がご主人様を射精させるまで手を出さないつもりなのかもしれません。

和「(ご主人様の…意地悪…ぅ…♥)」

けれど、その意地悪さ加減が和にとって堪らないものでした。
本質的にはご主人様がとても優しく、和を気遣ってくれる人だと理解しているからでしょうか。
ギリギリのラインまで和を焦らすそのやり方に和は強い喜悦と屈服感を覚えます。
それらは胸の中で混ざり合い、本質的に負けず嫌いな和に何をされても良いとそう思わせるのでした。

和「(もう…和はご主人様に…征服されちゃったんです…♥♥)」

ただ、身体をマゾヒスティックに開発されただけではありません。
その心までもを和はご主人様に染め上げられてしまったからこそそう思えるのでしょう。
そんな自分に和の胸も熱くなり、もっとご主人様に悦んで欲しくなるのです。


和「(だから…そろそろ…本格的におしゃぶりしますね…♥)」

そう胸中で言葉を漏らしながら、和はゆっくりと顔をご主人様へと近づけていくのです。
自然、頬一杯に頬張ったその太くて逞しいものが和の中へと入って来ました。
舌の付け根を通り過ぎ、そのまま喉へと入り込むその感覚は紛れもなく苦しいものです。
普通であれば喉を通るはずのないそのサイズは和の気道を塞ぐのには十分過ぎるのですから。

和「(でも…その息苦しさが良いんです…♥)」

亀頭を咽頭へと通し、ご主人様の肉竿をそこで咥え込む和の胸からうっとりとした心地良さが湧き上がります。
それはきっとその息苦しさが、ご主人様のオチンポを飲み込んだ証だからなのでしょう。
和は今、本来であれば呼吸に使うはずの部分でさえも、ご主人様のオチンポを受け入れているのです。
もう身も心もご主人様に虜にされてしまった和にとって、それは気道を圧迫されているのではなく、ご主人様に気道まで満たされているというようにしか思えなかったのでした。

和「(だから…一杯…ご奉仕しますね…っ♪)」

こうしてオチンポをしゃぶっているだけでも和に堪らない心地良さをくれる愛しいご主人様。
それに胸中で言葉を浮かべながら、和はゆっくりと顔を前後させ始めました。
瞬間、和の唾液がオチンポへと絡みつき、ジュポジュポと淫らな音が響きます。
まるでセックスしているようなそれに和の子宮はブルリと震えますが、そこにはオチンポは届きません。
子宮が一番、大好きなオチンポはオマンコではなく、和の口に挿入されているのですから。


京太郎「良いぞ…随分、気分を出してきたじゃないか」

そう和の事を褒めるご主人様の目には明確な快楽が浮かんでいました。
本格的に始まったフェラチオに、ご主人様も強く感じてくれているのでしょう。
それは微かに乱れるご主人様の吐息からも良く分かりました。
それが堪らなく嬉しくなった和は太い肉竿部分に舌を這わせ、そのままレロレロと裏筋を舐めるのです。

和「(勿論…それだけじゃ…ありませんよぉ…♪)」

ゆっくりと喉から引き出された亀頭を和は決してそのままにはしません。
その舌先を尖らせて、カリ首の部分をじゅるると舐め上げるのです。
張り出した肉のエラをなぞるようなそれはご主人様の大好物でした。
そうやって和がご奉仕するだけで先端からカウパーを漏らすくらい感じてくれるのですから。

和「(それを…頬の粘膜に塗りたくって…♪)」

そのままカリ首を舐め上げようとすれば、顔を傾けなければいけません。
自然、和の頬の内側はご主人様の亀頭へと押し当てられ、その熱い先端をグチュグチュにするのです。
舌とはまた違った柔らかい粘膜の感触に、ご主人様も悦んでくれているのでしょう。
カリ首へのご奉仕も相まって、その腰はブルリと震え、和に快楽を伝えてくれるのでした。


和「(素敵です…とっても素敵…♥)」

美味しい先走り汁をご馳走してくれるだけでも嬉しいのに、素直に快楽を教えてくれるご主人様。
それを和は素敵と言う以外に表現する言葉を知りませんでした。
いえ…知っていたとしても、今の和はそれを胸に浮かばせる事は出来なかったでしょう。
そうやってご主人様にフェラしている間は呼吸が上手くいかず、自然と身体の中から酸素が薄れていくのですから。
頭も中もぼーっとし、思考が胡乱なものになっていくのが分かりました。

和「(でも…和は止めるつもりなんかありません…よ…♥)」

和にはもうそうやって胡乱になる思考と酸欠との違いが分からないのです。
だからこそ、和はそんな自分を厭う事はなく、ご主人様にご奉仕を続ける事が出来るのでした。
ですが、少しずつ息苦しささえ薄れていく中で、和の心に浮かぶのはさらなる奉仕への欲求でした。
ご主人様をさらに気持ち良くしてあげようとするそれを止める理由も和の中にはなく、口を窄めるようにして大きくバキュームを始めました。

和「ぢゅぅぅぅぅっ♪♪」
京太郎「くぅ…!」

頬の形が歪むのも構わない激しいバキュームにご主人様が微かに声を漏らしました。
その強張った腰も微かに前へと動きだし、和の咽頭をズンと突いたのです。
まるで和のバキュームに吸い寄せられたようなそれは、ご主人様がそれだけ興奮している証でしょう。
最早、自分の腰を押し留める事さえも難しいほどにご主人様は感じてくれているのです。


和「(あぁ…っ♪ご主人様…ぁ♥)」

身体が射精を求める動きをし始めた愛しい人の姿に和の胸はトクンと脈打ちます。
だって、それはそれだけご主人様が興奮してくれているだけではなく、和を求めてくれているものなのですから。
ご主人様専用愛玩奴隷の和を使って…射精しようとしてくれているのです。
その悦びはきっと…身も心も捧げるに足る人と出会えた女性にしか分からないでしょう。
まるで自分のレーゾンデートルが満たされるような堪らない感覚に、和は全てが報われたような気がするのでした。

和「(もっと…もっともっともっともっとぉぉ…っ♪♪)」

その感覚が欲しくて、和の口はさらに激しく蠢きます。
口全体を使ってご主人様にご奉仕するようにして、粘膜を密着させ、オチンポへと這わせるのでした。
無論、それが終われば再び咽頭を通過してのディープスロートです。
その長大なオスの証を半分以上飲み込むそれに和はさらなる酸欠へと追い込まれました。

和「(食道でいぃっぱい締め付けてあげますからね…♥)」

しかし、それでも身体はご奉仕を止めず、ご主人様のオチンポを食道で優しく締め付けます。
そのまま締め付けを楽しんでもらおうと微かに前後する和の動きに、ご主人様のオチンポは和の中でビクンと反応しました。
突然、喉の奥で暴れだすそれに変に神経が圧迫されたのか、反射的に微かな吐き気を覚えます。
ですが、それさえも今の和は陶酔の向こう側に投げ捨て、ご主人様への奉仕を続ける事が出来るのでした。


京太郎「和…次はパイズリだ」
和「(…え?)」

そんな和に届いたご主人様の言葉を和は最初、信じる事が出来ませんでした。
だって、それはこのフェラをもう止めろ、という事なのですから。
ご主人様のオチンポを…口全体で奉仕するような和のフェラに一体、何の不満があるのか和には分からなかったのです。
意地っ張りなご主人様がもうすぐ射精してしまいそうだと和に感じさせるほどその身体は昂ぶっているのに…気持ち良くないはずがありません。

和「…ぷぁ…ぁ…♪♪」

しかし、そう思いながらも、ご主人様のご命令に従わない訳にはいきません。
どれだけ意外で不満でも…それがご主人様の言葉であれば、和に抗う理由はないのです。
きっと…そうやって和のご奉仕を中断させたのも何か理由があるはず。
そう思いながらご主人様のオチンポから口を離した瞬間…和の頭はクラリとしました。

和「あ…れ…?」
京太郎「ほら、落ち着いて…こっちにもたれかかって良いからな」

微かに頭痛すら覚える和の身体は脱力感が染みだして、どうにもバランスが取りづらいものでした。
何処かふわふわとして力の入らないそれは絶頂感とも似ているかもしれません。
しかし、その気持ち良さはご主人様から与えられるアクメには到底、及びませんでした。
それに鈍い頭で疑問を覚える和をご主人様はそっと抱き寄せ、ベッドへと腰を掛けてくださったのです。


和「ひゃう…ぅん…♪♪」

そんなご主人様に向かって倒れこむ和の顔は自然と、その股間に近づいていくのです。
和の唾液で濡れた陰毛にべしゃりと頬が触れる感触がなんともこそばゆいですが、決して嫌ではありません。
それはきっと…和の視界の殆どを浅黒いオチンポが埋め尽くしているという事も無関係ではないのでしょう。
和の唾液でテラテラと光るそれは和にとって最高のご馳走であり、愛しい人の一部なのですから。

京太郎「夢中になりすぎ。もうちょっとで倒れそうだったぞ」
和「あ…ぅぅ…♪」

そう思った瞬間…その愛しい人は和の頭をそっと撫でてくれました。
労うようなその優しい手つきに和の口からは自然と声が漏れだしてしまいます。
まるで子どものように心から甘えるそれは妙に艶めいていました。
それはきっとこうして和を慈しんでくれるご主人様が嬉しくて…そして愛おしくて堪らないからでしょう。

京太郎「ま、それだけ夢中になってくれるのは男冥利に尽きる話だけどさ。でも、それで和が倒れたりしたら元も子もないし」
和「でも…♪」

そうやって奴隷である和の身を気遣って下さるのは勿論、嬉しいです。
それだけでさっきから胸が暴れっぱなしなくらい…ドキドキしているんですから。
ですが、和は普段からそうやってご主人様に与えられるばかりなのです。
こうしてその機会を与えられた時くらい、全身全霊でお返ししたいというのが偽りのない和の本音でした
特に今回はビデオカメラで撮影し、一生、残るものなのですから…普段より気合が入ってしまうのも致し方ないでしょう。


京太郎「和のフェラはすげー気持ち良いんだけどさ。頑張り過ぎてるのが分かるからそれに浸れないってのが課題かな」
和「ぅ…♪」

しかし、それでご主人様に心配させては元も子もない。
そんな簡単な事にさえ気づいていなかった和にご主人様は優しく言い聞かせてくれました。
そのままゆっくりと撫でるその手つきに和は何も反論する事が出来ません。
だって…結果的にはどうであろうと、和がやろうとしていたのはご主人様へのご奉仕だったのです。
それをご主人様が素直に受け取れなかった十分な理由がある以上、反論の余地などあろうはずがありません。
ですが、それでも申し訳なさは否定できず、和はご主人様の股間に顔を埋めながら、そっと目を伏せるのでした。

京太郎「それでも心苦しいって言うなら…呼吸が整った後で、パイズリしてくれると嬉しい」

そんな和を励ますようにご主人様は優しく言ってくれました。
何処か気恥ずかしそうにしながらも、しかし、はっきりと告げるそれに和の心臓はまたキュンキュンと唸り出します。
暴れる胸の奥で甘い疼きを走らせるその何とも言えない感覚に和は肩をブルリと震わせました。
自然、今すぐこの最愛のご主人様にご奉仕を再開したくなりますが、それはさっきと同じく自己満足の域を出ないものになってしまいます。
せめてもう少し呼吸が落ち着くまで待たなければ、またご主人様に心配を掛ける羽目になってしまうでしょう。

和「はい…♥和は…誠心誠意…ご主人様に…おっぱいでご奉仕します…♪」

それでもご主人様の言葉に肯定を返しながら、和は呼吸を整える事に専念しました。
今、こうしている間にもご主人様の興奮は冷め、一度はあがったはずの快楽のボルテージが下がっていくのです。
その逞しい肉の塊はまだまだ萎えはしていませんが、一秒ごとに射精が遠ざかっているのは事実でしょう。
文字通り一刻一秒を争う状態に焦燥感を感じながらも、さっきと同じ轍を踏みたくはない和は大きく胸を上下させて酸素を取り込んでいたのです。


和「では…そろそろ…再開させて頂きます…♥」

それから一分もした頃には大分、呼吸も落ち着きました。
勿論、まだそれは荒々しいものではありますが、興奮の所為だと誤魔化せなくはありません。
それにご主人様が望むパイズリの主体はあくまでも和のおっぱいであり、口は添え物に過ぎないのです。
最中に呼吸を整える事だって出来るのですから、コレ以上、ご主人様を放置なんて出来ません。

京太郎「あぁ…頼む」

そう思う和の前でご主人様は小さく頷きながら、その足を大きく広げてくれました。
さっきまで和の身体が崩れないようにしてくれていた支えが遠ざかるその感覚は少しだけ寂しいものです。
しかし、そうやって和が動きやすいように足を広げてくださったご主人様のご厚意を無駄になんてしたくありません。
それにご主人様が望むようにおっぱいでご奉仕をすれば…さっきよりももっとその身体を感じる事が出来る。
そう自分を励ましながら、和は自分の姿勢を正し、ご主人様の前で跪くのでした。

和「よいしょ…と…♪」

そのまま自分の胸を持ち上げれば、ズシンとした重さが手のひらに伝わってきます。
こんなに重いものが自分の身体に常にぶら下がっていると思うと不思議で仕方がありません。
その上、麻雀という座りっぱなしで肩が凝る競技をしているのですから、和の肩は常日頃からガチガチです。
しかも、男性にジロジロと見られた事は日常茶飯事で、女性に対しても変な嫉妬を呼び込むのですから、正直、あまり良い思い出はありません。


和「(でも…今の和はこれがあんまり嫌いではなくって…♥)」

ともすれば、コンプレックスにも近かった自分の一部。
それをここ最近、肯定する気になれたのはご主人様のお陰です。
『バストの大きな女性を発情させる』という奇妙にも程があるご主人様の能力に影響を受けたのが、全ての始まりなのですから。
今のこの関係を幸福感と愛しさを持ってして受け入れている和にとって、そこはもう厭う部位ではありません。
寧ろ、和の中でもとても誇らしい部位にランクアップし、今までの嫌な思い出も素直に受け止める事が出来るのでした。

和「ふふ…っ♪」
京太郎「ん…どうかしたのか?」
和「いえ…和はやっぱり…ご主人様の事を愛しているんだなって…そう思って…♥」

ご主人様と関わっただけで…コンプレックスも解消され、肯定的に受け止められる自分。
それは勿論、和がそれだけご主人様の事を愛しているからなのでしょう。
間違いなく最愛で唯一無二な人からの寵愛に身も心も蕩けてしまったからこそ…和はそれを受け入れる事が出来たのです。
つい一年前の和にとって…そうやって色恋沙汰で価値観すら変える自分なんて決して想像も出来なかったでしょう。
いえ、それどころか、主体性のない女性を情けなく思っていたはずです。

京太郎「…俺も和の事が大好きだぞ」
和「はい…♥とても嬉しいです…♪」

ですが…それでもご主人様に対する愛しさは一切、揺らぐ事はありません。
どれだけ無様でも、情けなくても、和はご主人様を心から愛しているのです。
それはきっと…永遠に揺らぐ事はなく、変わる事がありません。
最早、それほどまでに和はご主人様に、そしてご主人様の能力に絡め取られているのですから。


和「だから…和のエロおっぱいで…一杯、気持ち良くなってくださいね…♥」
京太郎「ぅ…」

瞬間、ご主人様が微かな声をあげたのはオチンポを谷間に差し込む和のおっぱいが気持ち良かったのか、或いは、和の淫語に興奮してくれたのか。
どちらかは和には分かりませんが…けれど、それが嬉しくて堪らないのは変わりません。
ご主人様の悦びはそのまま、和の喜びであり、そして悦びでもあるのですから。
そうやって和のバストに興奮してくれる様を見るだけで和の奥からまた愛液が染み出すのです。

和「どうですか…?和の胸…♪ご主人様にご奉仕する為に大きくなった…和のエロおっぱいの心地は…♥」

そんな愛液に負けないように和の口から飛び出す淫語は、決してご主人様を興奮させる為だけのものではありませんでした。
ご主人様に未来すら捧げようとしている和にとって、過去さえもご主人様の為にあるものなのですから。
きっと和のおっぱいが人並み以上に成長したのも、ご主人様とこうして結ばれる為だったのだと心から信じる事が出来るのです。
勿論、それは重苦しく、ともすれば、男性に引かれてしまう言葉なのでしょう。
しかし…きっとご主人様はそれを受け止め、悦んでくれる。
そう信じているからこそ、和はそうやってエッチな言葉を紡ぐ事が出来るのです。

京太郎「あぁ…こうして挟まれているだけで…蕩けそうだ。まるで…乳マンコだな」

そして、ご主人様はそんな和の信頼に応えてくれました。
何処かうっとりとしたものさえ感じさせるその姿に和の胸は強い喜悦を浮かばせます。
その言葉だけでも嬉しくて仕方がないのに、疑う余地すらないくらい心地良さそうにしてくれているのですから。
そんなご主人様にまた愛しさを強めた和は両脇から腕をバストへと寄せ、谷間のオチンポをぎゅっと締め付けるのです。


和「じゃあ…こうしたら…もっと蕩けそうになりますか…?」
京太郎「あぁ…柔らかくてむっちりした肌が張り付いて来て…気持ち良いよ」

左右からギュっと圧力を掛け、二つのバストを密着させるような和の仕草。
それを敏感なオチンポで受け止める感覚は気持ち良いのでしょう。
ご主人様は気持ち良さそうな声を出しながら、和の頭をそっと撫でてくれました。
それに和の頬が綻んだ瞬間、ご主人様は再び和にビデオカメラのレンズを向けるのです。

京太郎「それに何より…こうして見てると…寄せられた谷間がすっげぇエロくて堪らないな」
和「はぅ…ぅ…♪」

そうやって和を褒めるご主人様の言葉はきっと本心なのでしょう。
そのオチンポはピクピクと震えて、和に興奮を伝えてくれていました。
ご主人様曰くパイズリよりもフェラの方が気持ち良いらしいですが、さりとて決して今のこれが気持ち良くない訳じゃないのでしょう。
少なくとも和の谷間でオチンポが熱くなる程度にはご主人様も興奮してくれているのです。

和「(しかも…それをご主人様に撮られていて…ぇ…♥)」

今もこうして和に向けられている無機質なレンズは胸を寄せる和の姿も余すところなく記録しているのです。
寄せたおっぱいの先っぽで乳首がピクピクと反応しているのも、汗と唾液で谷間がネチャネチャといやらしい音を鳴らしているのも全て撮られているのでした。
そう思うだけで和の身体は撮られている事への興奮を浮かべ…ジュンと蕩けるように熱くなってしまうのです。
そしてその熱は和の身体をさらなる欲情へと追い立て、オチンポへのご奉仕をまたエスカレートさせるのでした。


和「じゃあ…もっとエッチな和を撮らせてあげますね…♥」

そう言いながら和はゆっくりと挟み込んだ腕を動かしました。
自然、腕によって寄せられ作られた谷間も動き、ニチュニチュといやらしい音を鳴らします。
その音に合わせて谷間に収まりきらなかった亀頭がゆっくりと顔へと近づいてくるその光景はとっても淫靡で堪りません。
こうして見ているだけでも思わず咥え込み、心ゆくまでその逞しさを味わいたくなるのです。

和「はぁ…♪ご主人様のやっぱり逞しいです…♥」

しかし、今の状態でそんな事をしてしまったらまた酸欠になりかねない。
そう自分を抑えこむ和の胸をご主人様のオチンポは跳ね除けていました。
どれだけ柔肉を寄せても怯むことのないその硬さと熱に和もドキドキしてしまいます。
口腔で感じるそれも素晴らしかったですが、こうして胸で感じる感触も決して見劣りするものではありません。
いえ、寧ろ、快感という意味ではこちらの方がよっぽど素晴らしく思えるのです。

和「和のエロ乳は一杯ご主人様に開発されちゃったから…ご奉仕しているのに…感じちゃってます…ぅ♥」

それは勿論、ビリリと微かに走る電流程度のものでしかありません。
その量も激しさも決して大きなものではないのです。
しかし、和の興奮を昂ぶらせるのには、それで十二分でした。
ご奉仕なのに、パイズリなのに…自分もまた気持ち良くなっている。
その淫らさに和の興奮は跳ね上がり、背筋をブルリと震わせてしまうのです。


京太郎「最初から和のおっぱいはエロエロだったと思うけどな」
和「そんな事ありません…っ♪」

そんな和に揶揄するように言いながらご主人様の手は和の頭を撫でて続けてくれるのです。
それに身体がふにゃりと蕩けそうになる自分を和は必死に押し留めました。
ここで脱力してしまえば、ご主人様に満足して頂く事なんて夢のまた夢なのですから。
さっき心配を掛けてしまった分、ご主人様に悦んでいただきたい和にとってそれは決して許容出来るものではなかったのです。

京太郎「その割りには最初から胸でイッてたじゃないか」
和「そ、それは…ご主人様の能力の所為で…ぇ♥」
京太郎「言い訳するなって」
和「あひぃっ♪」

そう言葉を返す和の乳首にご主人様の指が触れました。
そのままキュっと抓るその刺激に和の口から悲鳴めいた声が飛び出します。
それは勿論、ご主人様の愛撫が嗜虐的過ぎて痛かったなんて事はありません。
寧ろ、絶妙な力加減で摘まれたそこはビリリとした快楽と共に熱を撒き散らすのです。
欲情とはまた違ったそれは何とも言えない満たされた感覚が強いものでした。

和「(だって…そこは…和がずっと触って欲しかった部分なんです…っ♥)」

興奮を示すようにピンと張った和の乳首。
そこはもうさっきから疼きっぱなしで、刺激を求めるようにピクピクとしていたのです。
特にパイズリをし始めてからはその傾向がより顕著で、気を抜けば自分で摘んでしまいそうでした。
それほどまでに疼いた場所を愛撫される感覚に和の身体は簡単に反応し、満足感混じりの興奮を湧きあがらせるのです。


京太郎「今だって乳首摘んだだけで腰まで震えさせて思いっきり善がってるだろ」
和「ひぅ…ぅ…♪」

そんな和の反応をご主人様が見逃すはずがありません。
とっても意地悪な声でそう指摘してくれるのです。
さっきまでの優しい姿からは想像も出来ないその姿に、和の身体は被虐感と興奮を強めました。
ご主人様の方も和を求めるようにして再び興奮の『スイッチ』を入れてくれている。
そう思うだけで和の思考はうっとりと蕩け、このまま何もかも身を委ねたくなってしまいました。

京太郎「ほら、手が止まってる」
和「ひぐぅ…っ♪♪」

しかし、嗜虐的な本性を顕にし始めたご主人様がそれを許すはずがありません。
瞬間、ご主人様は和の乳首を強く摘みあげ、指の中で微かにひねるのです。
まるでオモチャか何かに対するような容赦と遠慮の無いそれに和の口から被虐感混じりの嬌声が漏れました。
それにご主人様も満足したのか、和の乳首から手を離し、再び記録へと専念してくれます。

和「(でも…こんな…乳首…中途半端に疼いて…ぇ…♥)」

ご主人様の愛撫はとても気持ちの良いものでした。
しかし、だからこそ、イく事もないまま途中で止められたのはとても辛くて苦しい事だったのです。
ジンと乳首の中で響くような熱はそのまま欲求不満へと変わり、乳首の中でグルグルと蠢くのですから。
そんな和にとって谷間から感じる快感はもう弱々し過ぎるものであり、欲求不満を掻き立てるだけのものでしかありません


和「ごめんなさい…♪ご主人様…ぁ♥」

そんな欲求不満に突き動かされるように和の胸は再び動き出しました。
けれど、それはさっきよりも数段強く、そして激しいものです。
まるで自分のおっぱいを性処理の道具のようにして扱うような遠慮も容赦もないものでした。
自然、谷間から感じる快感が強くなり、乳房の奥に突き刺さるのです。

和「(でも…これじゃ満足出来ない…ぃ…♪♪)」

勿論、それはさっきに比べれば遥かに気持ちの良いものでした。
しかし、和は一瞬ではあれど、これとは比べ物にならないほど気持ち良くされたのです。
その事実が和の身体に絡みつき、さっきまで我慢出来ていたはずの事が少しずつ出来なくなって行きました。
頭の中に巣食う快楽を求める思考を排除する事は出来ず、今にも口からオネダリの言葉が飛び出しそうになります。

京太郎「は…ぁ…やれば出来るじゃないか…」
和「は…ん…っ♥」

ですが、それを曲がりなしにも我慢出来たのはそんな和をご主人様が褒めてくださったからです。
和のパイズリに感じるように声を滾らせながら、短く、けれど、熱く褒めてくれたのです。
そんなご主人様の期待を和が裏切れるはずがありません。
せめてご主人様が射精して下さるまではその欲求を抑えこもう。
再びそう心に決めながら、和は腕を一生懸命に動かしてご主人様にご奉仕するのです。


和「(右に…左に…そして…前に…後ろに…ぃ…♥)」

おっぱいによる奉仕は口よりも単調なものになりがちです。
基本的に『扱く』や『押し付ける』と言った動作しか出来ないのですから当然でしょう。
口をすぼめたり、舌を動かしたり、歯を立ててみたりと様々な動作を組み合わせる事の出来るフェラにはどうしても一歩劣るのです。
しかし、それがバリエーションを作る事の出来ない事を意味するかと言えば決してそうではありません。
胸という広々とした部分でオチンポを挟み込むそれは多少、身体を動かしても問題ないのですから。
実際、和は右へ左へと姿勢を傾けながら、パイズリしていますが、ご主人様のオチンポが谷間から外れる事はありませんでした。

京太郎「随分と上手になったな…誰に仕込まれたんだ?」

そんな和にストレートな賛辞を送りながら、ご主人様がそう尋ねてくれました。
勿論、それは…ご主人様以外の誰でもありません。
和が身体を重ねたのはご主人様だけであり、そしてこれからもそうなのですから。
未来永劫、所有物になる事を誓った和にとって、ご主人様以外の誰かなんて有象無象に近いのですから。

和「ご主人様…です…♥和は…ご主人様に一杯、エッチな事を教えてもらって…エロ愛玩奴隷になったんです…ぅ♥」

けれど、それをわざわざこうして尋ねてきたという事は、和の返事を記録したいのでしょう。
本当に和が心からご主人様のものになったという証を残しておきたいのです。
そんなご主人様の企みに気づきながらも、和はそれに素直に従いました。
それは勿論、和もそれを望んでいたからです。
ご主人様に一杯エッチなアピールをする淫らな和を永遠に保存して欲しいという気持ちは和の胸にも…ううん、子宮にもあったのでした。


和「和は…おっぱいセックス…大好きです…♥おっぱいで…ご主人様にご奉仕するの…大好き…ぃ…♥」
京太郎「そう…か」

だからこそ、再び漏れ出す和の淫語にご主人様の声が微かに上擦りました。
こうして興奮を高めた今、和の淫語はご主人様に効果的なのでしょう。
実際、谷間に埋められたオチンポはビクンと跳ね、和に快楽を伝えます。
そんなご主人様の姿に和もついつい頬を緩め、蕩けた笑みを浮かべてしまうのでした。

和「ご主人様は…どうですか…?和とのおっぱいセックス…気持ち良いですか…?」
京太郎「あぁ…ニチャニチャっていやらしい音鳴らしながら扱かれるの…気持ち良い…」

再び尋ねた和に答える声は扱き始めた頃よりもうっとりとした心地が強いものでした。
衝動を我慢し続けた和の愛撫がご主人様の我慢を本格的に蕩けさせ始めているのでしょう。
その腰もピクピクと揺れて、先端からはカウパーが溢れっぱなしです。
可愛らしいと言っても過言ではないご主人様のその姿に和の口もゆっくりと開きました。

和「和も…和もぉ…♥気持ち良くって…もう胸が幸せになっちゃってるんです…ぅ♪」
京太郎「チンポを挟んでいるだけなのにか?」

瞬間、漏れだす和の声はご主人様に負けず劣らず陶酔を強めたものでした。
いえ、和を揶揄するように返すご主人様よりも、遥かにうっとりとしているのかもしれません。
しかし、それは決して和にとって情けなく感じるものではありません。
寧ろ、そうやって大きな興奮と少なくない快感を得られる自分の事を褒めてあげたくなるのです。
だって、それは愛玩奴隷として調教され、ご主人様に愛されるに足る淫らな奴隷に近づいている証なのですから。


和「はい…っ♥ご主人様のオチンポ挟んでいるだけで…和のオマンコはもう濡れ濡れで…ぇ♥」
京太郎「そんなの最初っからだろ」

そんな和の言葉にご主人様は意地悪くそう返してくれました。
何処か突き放すようなそれは、ご主人様に会う前からノーパンノーブラで…愛液垂れ流しであった和の事を知っているからなのでしょう。
実際、ご主人様の前で服を脱いだ時にはもう太ももに染み出すまで濡れ濡れだったのですから、否定なんて出来ません。
それに知られている事そのものは恥ずかしくても…そんな自分が誇らしくもあるのですから否定する必要なんてないのです。

和「そんな和は…愛してもらう前から発情してびしょ濡れになっちゃう和は…お嫌いですか…?」
京太郎「そんな訳ないだろ」

何より、ご主人様はそんな和を愛してくれている。
そう思いながらも尋ねた和に、ご主人様は思っていた通りの言葉をくれました。
そこには分かっているのにそんな風に確かめた和への鬱陶しさなんて欠片もありません。
ただただ和への愛情を伝えるように、短く、そしてはっきりと否定してくれるのです。

京太郎「大好きだから…こうして動画を撮ってるんだぞ」
和「ふふ…♪そう…ですね…♥」

とは言え、明確にそれを言葉にするのは恥ずかしいのでしょう。
ご主人様は和に向かってレンズを向けながら、そっとその視線を反らしました。
ほんの僅かに和の顔から逃げるようなそれに和はつい笑みを浮かべてしまいます。
それは嬉しさと…安堵と…そして…可愛らしいご主人様への愛しさが混ざり合ったもの。
今の和が浮かべられる中ではきっと最高のものであろう笑みを…ご主人様に向けていたのです。


京太郎「まったく…」
和「ひゃんっ♪」

しかし、ご主人様にとってそれは悔しい事だったのでしょう。
呆れるようにそう言いながら、ご主人様が微かに腰を動かし始めました。
ベッドのしなりを利用して腰を前後するその動きに従って、和の胸の中でもオチンポが動き出すのです。
その動きは決して激しくも素早い訳でもありません。
しかし、今まで受け身で在り続けたオチンポの突然の反抗に和はつい驚きの声をあげてしまったのです。

和「もぉ…暴れん坊なんですから…♥」
京太郎「いい加減…我慢出来なくなってきたからな…!

そう言いながら腰を揺らすご主人様に和は身体はビリリと快感を感じました。
今までの快感よりも数段強いそれはきっとご主人様が和のことを求めてくれているからなのでしょう。
勿論、お互いに動けばその刺激は単純に二倍になるという事も少なからず関係しているのは否定しません。
ですが…それ以上に和にとって重要であったのはご主人様が動いてくれているというその一点でした。

和「これ…本当にセックスです…♥おっぱいで…ご主人様とセックスしてます…ぅ♥」

そう。
そうやってお互いに求め合い、動き合うそれは和にセックスを彷彿とさせるのです。
さっきのような意味も良く理解していない淫語などではなく…心からそう思える行為に和は心を震わせました。
勿論、セックスというには和のおっぱいは性器でないなどの違いは少なからずありますが、今の和にとってそれは些細な違いです。
ご主人様が「乳マンコ」と褒めてくれた和の淫らな部位でお互いに気持ち良くなっているのですから、それはセックスなのでしょう。


京太郎「和は本当にセックスが大好きだな」
和「はい…っ♪和は…ご主人様とするセックスが大好きです…♥」

揶揄するように言うご主人様の言葉に和は小さく首肯を見せながら答えました。
その言葉は決して嘘偽りのない本心からのものです。
和にとってご主人様とのセックスは世界で一番、素晴らしく、そして尊い行為なのですから。
お互いに求め合い、満たし合い…そしてとても幸せで…蕩けてしまうそれは和の人生を歪め、そして正してくれたのです。
勿論、それが持つ『子孫を残す』という本来の意味は、まだお互いに社会的に未成熟な為に達成出来ません。
しかし、何れはそれも何れは視野に入ってくると信じられるセックスを和は厭うはずもなく、こうして素直に頷く事が出来たのです。

和「こうやっておっぱいで挟んでいる時も…ずっとご主人様とのセックスの事考えてます…ぅ♥ううん…今だけじゃありません…っ♪
和「学校でも…家でも…外でも…誰といる時でもずっとずっとご主人様にセックスしてもらう事を考えてる…淫乱メス奴隷なんです…ぅ♪♪」
京太郎「く…」

そんな和が漏らすのはご主人様を興奮させる為の淫語です。
何れ、ご主人様がこの動画を見た時にオチンポをシコシコ出来るように、頭で精一杯、考えたそれにご主人様は小さく声をあげてくれました。
それに子宮の奥が強く疼きながらも、肌が震えるほど嬉しいのは和の言葉には嘘偽りなんてないからです。
和は本当に何時だってご主人様とセックスする事を内心、考えて生活しているのでした。
咲さんやゆーきと居る時だって、部活で麻雀をしている時だって和は何時でも…ご主人様の事ばかり想っているのです。

和「一皮剥けば…ご主人様にラブラブレイプしてもらう事しか考えてないくらい…和は淫乱になったんですよ…ぉ♥」
京太郎「なら、その責任をとってやらなければいけないな」

何処か誇らしげにそう言う和の頭にご主人様は再び手を置いてくれました。
淫乱でどうしようもないメス奴隷の和を…ご主人様は変わらず愛玩奴隷として可愛がって下さるのです。
そんなご主人様への愛しさに和の顔はふにゃりと蕩けてしまいました。
きっとひだまりの猫のような幸せそうなその表情もまたカメラに撮られてしまっている。
そうは思いながらも和は表情を引き締める事なんて出来ず、ご主人様の前で強い陶酔に満たされていました。


京太郎「でも、その前に俺をイかさないと…ご褒美だってやれないぞ」
和「はい…っ♪」

けれど、何時までもそうやっている訳にはいかない。
それを感じさせるご主人様の言葉に和は緩みがちになっていたおっぱいのピストンをまた激しくしていきます。
しかし、それだけであればご主人様は気持ち良くなれても、射精するのにはまだ時間がかかってしまう事でしょう。
時折、身体がとろけた所為で緩みがちになりながらも動き続けたつもりですが、その程度ではご主人様がイけません。
実際、ご主人様が射精する予兆だってまだまだ現れてはおらず、和の中で頻繁に震える事だってないのですから。

和「(だったら…もっとエロくするまでです…っ♪)」

そう思いながら和は腕と背筋の角度を変えました。
それまでの前屈気味から後ろへと下がるそれにご主人様のオチンポが谷間の奥深くから前へと引きずり出されます。
そのまま乳輪近くにまで到達したそれに和は躊躇なく圧力を掛け、左右からぎゅっと押しつぶしました。
自然、乳輪の中央でピンと張る乳首がご主人様のオチンポに触れ、コリコリとその逞しい裏筋と擦れるのです。

和「どうですか…和のエロ乳首ズリ…ぃ…♥」

その声が微かに上擦っていたのは、それが和にとっても気持ちの良いものだったからです。
元々、さっき摘まれた事で、和のそこはとても疼き、そして敏感になっているのですから。
そんなもので熱いオスの塊を扱けば、それだけで和の腰がピクピクって反応してしまいます。
乳房の奥から一気に下半身へと降る快楽の波はそれほどまでに大きかったのでした。


京太郎「さっきよりはマシだな…良いぞ…」
和「んふ…ぅ…♪」

そんな和に答えるご主人様の声はさっきよりもご主人様然としたものでした。
それに被虐的な自分が震えるのを感じながら、和は自分の選択が間違っていなかった事を悟ります。
ならば、後はこのままの路線で突き進み、ご主人様を射精へと導く事が和にとっての最優先事項でしょう。
そうすれば…ご主人様のご褒美を頂けるのですから…躊躇なんてしている暇はありません。

京太郎「和が乳首を使ってまでパイズリする姿なんてきっと誰も想像していないだろうな」
和「やぁ…♪い、言わないでください…ぃ♥」

けれど、ご主人様は和を邪魔するようにそうやって意地悪な言葉をくれるのです。
和の弱い部分…特に恥ずかしい部分をグリグリと刺激するそれに和の動きが鈍りそうになりました。
それは決してご主人様の言葉が嫌だったからではありません。
そうやって羞恥心を刺激されると…必死になって押さえ込んでいるラブラブレイプへの欲求が止まらなくなりそうなのです。
結果、それを押さえ込む為に和は身体を強張らせ、ご主人様に付け入らせる隙を作ってしまうのでした。

京太郎「いや、学校の男連中は皆、そうやって妄想してるかもな。何せ、和は学校一のオナペットだし」
和「そんなの…そんなの…知りません…ぅっ♪」

揶揄するようなご主人様の言葉は正直、怖気を走らせるものでした。
ご主人様の脳裏で犯されるならばともかく、誰かのオナニーに自分が使われているだなんて嫌悪感以外の何者も抱けません。
つい快楽とは違う寒気が和の肩を包み、ブルリと身体が震えてしまうのです。
今にもご主人様に抱きしめて欲しくなるほどの空恐ろしさに和は反射的に口を開きました。


和「和は…ご主人様のものですから…ぁっ♥和の心に…身体に触れて良いのはご主人様だけなんです…っ♥」
和「他の誰の頭の中で乱れようと…それは所詮、偽物でしかありません…っ♪♪」
京太郎「う…」

そのまま言い逃げするように和はご主人様の亀頭に食いつきました。
もうそんな恐ろしい事は言わないで欲しいと訴えるように、和は舌を這わせるのです。
今までの柔らかなパイズリの刺激に慣れていたご主人様の亀頭はそれに耐え切れなかったのでしょう。
ビクンとその腰を跳ねさせ、亀頭までブルリと震えました。
タガが崩れ始めた事を感じさせるその反応に、和は内心、笑みを浮かべます。
後は…このまま一気に責めればご主人様があんな意地悪な事を言う余裕はなくなる。
それに背を押されるようにして、和はグイグイとオチンポを奥へと咥え込んでいくのでした。

和「(勿論…その間も…ちゃんとパイズリはし続けて…♪)」

クチュクチュと音を立てておっぱいを揺するその動きは、カリ首までを飲み込む和の顔にペチペチと柔肉がぶつかる事を意味していました。
しかし、和はそれに怯む事なく、おっぱいマンコとお口マンコという二つの性器を休みなく動かし続けるのです。
それにご主人様は断続的にオチンポを震わせ、和に追い詰められている事を教えてくれるのでした。

京太郎「和…ぁ」

瞬間、聞こえてきたご主人様の声はとても情けないものでした。
何処か和に対して縋っているようにも聞こえるその声は到底、さっきまでご主人様然としていたようには思えません。
しかし、和がそれに幻滅したりする理由なんて何処にもありませんでした。
だって、和は本当のご主人様が…京太郎君がとても優しくて穏やかな人であると知っているのですから。
そんな彼もまた大好きな和にとって、そちらが強く現れたところで幻滅などするはずないのです。
寧ろ、そうやって強い自分を維持できなくなるほど和のパイズリフェラで乱れてくれているご主人様に胸が高鳴り、一人でイってしまいそうになりました。


和「(でも…まだダメ…ぇ♥まだ…ダメですよ…ぉ♪)」

勿論、一人でイッたところで何のデメリットもありません。
心とおっぱいで至るオルガズムは気持ち良くはありますが、決して身体から力を奪うような暴力性はないのですから。
イッたところで和がこのおっぱいセックスを止める事はないでしょう。
しかし、ご主人様ももうすぐイキそうなくらいにまで追い詰められているのを見て、一人でイくだなんてあまりにも寂しすぎるのです。
どうせなら…ご主人様が射精する瞬間に合わせて…一緒に絶頂へと至りたい。
そう思う和はまたおっぱいを動かす速度を早め、口をぎゅっと窄めるのです。

京太郎「はぁ…はぁ…っ和…っ」

それにご主人様が熱い声で答えた瞬間、オチンポがビクンと跳ねました。
根本から跳ねるその動きに合わせるようにして、オチンポは一回り大きくなるのです。
元々、逞しくて堪らなかったオチンポが見せる突然の反応に、和の顎は外れてしまいそうになりました。
しかし、それでも和はフェラを止めるつもりはないどころか…寧ろより激しくご主人様にご奉仕し始めたのです。

和「(射精して下さい…♪♪一杯…一杯、射精してぇ…っ♥)」

和に一杯、気持ちの良いものを、愛しいものを、素晴らしいものをくれたご主人様。
その恩返しの一環として、その射精を気持ちの良いものにしようと動く和にオチンポはブルブルと震えてくれました。
まるで和のご奉仕に対して必死に我慢しようとするその姿は、凶悪な外見からは想像も出来ないくらいに可愛らしいです。
それに胸中でだけ蕩けた笑みを浮かべながら、和はエロおっぱいを激しく上下させるのでした。


和「(ブルンブルンって…パンパンって…一生懸命…おっぱいセックスしますから…ぁ♥)」

それはもうご主人様の腰と和の顔にぶつかるほどの勢いになっていました。
自然、柔肉はそれにパンパンと乾いた音を鳴らし、和の鼓膜を震わせるのです。
まるで本当にセックスしているような肉の弾けた音に…和ももう堪りません。
快楽を求めるようにカクカクと前後に動く腰の奥で…和の子宮はキュゥゥと締め付けられたのです。

和「(もう…和…和イキます…っ♥イッちゃい…ますよ…ぉ♪)」

不満混じりの子宮の律動はきっとおっぱいでだけイく事への抗議の意味を込めているのでしょう。
和の子宮はもうそれほどまでに疼き、強い欲求不満を感じているのです。
しかし、それは和にとって、おっぱいセックスを止めるような理由には決してなりませんでした。
いえ、寧ろ、そんなオマンコに早くご主人様のオチンポを突っ込んで貰う為に、和はご奉仕へと熱中していくのです。

京太郎「和…もう出るから…!最後は…顔に…っ」
和「んふぅ…っ♥」

そんな和の前でご主人様は切羽詰まった甘い声をあげてくださいました。
逞しい腰をブルブルと震えながらのそれは、今にも射精してしまいそうなくらいご主人様が追い込まれている事を和に教えてくれるのです。
それに甘い吐息を漏らしながらも、和の口はオチンポからは離れません。
勿論、ご主人様が和にザーメンをぶっかけたがっている事くらいちゃんと伝わってきています。
しかし、和はご主人様が我慢出来るギリギリのラインを理解しているのでした。


和「(だから…ギリギリまで…ジュポジュポしますね…♥)」

だって、そうした方がご主人様は気持ち良いはずなのです。
射精する限界までフェラされながらおっぱいセックスしていた方が幸せなのですから。
ご主人様に一杯、素晴らしいものを貰っている和にとって、それは決して軽視出来るものではありません。
ご主人様の命令を一時、無視する事になったとしても、最高の射精をして頂こうと舌を這わせ、バストを跳ねさせるのです。

和「(そろそろ…射精しますよね…っ♪ほらぁ…3…2…1…ぃぃ…っ♥)」
京太郎「うあ…ぁっ!」

そうカウントダウンした最中、ご主人様の口から声が漏れました。
それに合わせて和が口を離した瞬間、先端から白い粘液がビュルビュルと飛び出してくるのです。
まるで蜘蛛の糸のように切れ間のないその粘液の勢いは凄まじく、和の顔どころか髪にまで降りかかるくらいでした。

和「ふあ…ぁ…あったかい…ぃ…♪」

しかし、和はそうやって穢される感覚に強い幸福感を感じていました。
ベタベタと張り付く粘液は熱く、そしてゼリーのように濃厚で…張り付いた部分から中々、垂れて来ないのに。
鼻の奥に絡みつくようなイカ臭さを撒き散らしながら、和の大事な髪を穢しているのに。
和はまったくそれを厭う事はなく、寧ろ、白濁液に清められているという言葉さえ胸中に浮かんで来るのです。


和「(だって…これは…ご主人様のザーメンなんです…♥)」

それはご主人様が気持ち良くなってくれた証というだけではありません。
そうやって撒き散らされる精液は、ご主人様から放たれるオスの匂いをこれでもかとばかりに濃縮したものなのですから。
愛しい人の匂いの詰まったそれをマーキングのようにぶっかけられたら…きっとメスなら誰だって幸せになってしまうでしょう。
少なくとも、まるで他の有象無象の匂いを削ぎ落とし、自分だけのものにしようとしてくれているような濃厚な匂いに和は胸をときめかせ、そしてイッてしまいました。

和「もっと…ぉ…♪もっと射精…ますよね…♥」
京太郎「く…ぅぅ…!」

その濃厚で幸せな匂いがもっと欲しい。
そんな欲望に取り憑かれた和の胸はまた本格的に動き出し、ご主人様のオチンポを扱き上げるのです。
乳房で亀頭が隠れるのも構わずに左右別々の動きを見せるそれにご主人様は呻きながらまた射精の勢いを強めてくれました。
それに和は笑みを蕩けさせながら、何度も何度もおっぱいを揺すり、精液をオネダリするのです。

和「凄い…です…っ♥ご主人様…ぁ…ぁ♥」

そしてその度にご主人様は臭くて熱い精液を和にプレゼントしてくれました。
その勢いは衰える気配を見せず、扱けば扱いただけ飛び出してくるのです。
あの小さな陰嚢の中に詰まっていたとは思えないその勢いと量に和は思わずそう呟きました。
うっとりとした陶酔混じりのそれに合わせて絶頂感を這い上がらせる和の背筋も震え、快感が脳へと突き刺さります。


京太郎「はぁ…は…ぁ…ぁ」

しかし、一分もした頃には流石に精液の勢いも弱まり、先端から染み出すようなものになっていました。
それが不満だとばかりにおっぱいを押し付けても、ご主人様のオチンポは震えるだけで精液を放ってはくれません。
どうやら本当にここで打ち止めになってしまったのでしょう。
それは寂しいですが…和の顔はもう精液でベトベトになっているのです。
寂しさや疼きを訴えるよりも先に、それだけ射精してくださったご主人様の事を労うべきでしょう。

和「はむ…っ♪」

そう思いながら和が再びご主人様のオチンポに吸い付けば、微かに残ったザーメンの味が伝わって来ました。
微かに苦味を混じらせたそれは、しかし、和にとってはカウパー以上に甘ったるいものなのです。
まるで幸せという感情を煮詰めて作ったようなその甘さに和の胸はドロリと蕩けてしまいました。
胸の奥の空洞を幸福感で埋め尽くされるようにも思えるその感覚に和は後押しされるようにしてジュルリと舌を這わせるのです。

京太郎「あぁ…っ」

それにご主人様が可愛らしい声をあげるのは、そこが射精後の敏感な粘膜だからでしょう。
イッた直後に敏感になるのは別に女性だけの専売特許ではないのです。
ご主人様がどれだけ性豪と言っても男性である以上、イッた直後の亀頭を舐められれば反応するのが当然。
そして、和にとって可愛らしい声をあげるご主人様の姿は愛しいものでした。
結果、和はご主人様は辛いかもしれないと理解していながらも亀頭をペロペロと舐めてしまうのです。


和「(後は…その奥のも…吸い出してあげますからね…♪)」

それが終わった後は勿論、バキュームです。
精管に残った精液を一滴残らず吸い出すように和は思いっきり口を窄めるのでした。
それにヂュルルルルと何とも耳に絡む音が鳴り響きますが、和はもうそれに気恥ずかしさを感じる事はありません。
そうやって痴態を録画される事への気恥ずかしさを駆逐するくらいに胸の中の幸福感が大きかったのです。

和「はふ…ん…♪」

何より…ご主人様のへの感謝の意を示すお掃除フェラに手を抜きたくはない。
そう思いながら一生懸命、ご主人様の亀頭を綺麗にし終わった頃には和の顔からはゆっくりと精液が滴り落ちていました。
それらは白い膜を張るようにしてゆっくりと垂れ下がり、和の胸の谷間へと集まっていくのです。
それは折角、綺麗にしたオチンポがまた精液で汚れてしまった事を意味していました。
けれど、それに嫌なものばかりを感じる訳ではありません。
それは、亀頭から口を離した瞬間、和から漏れ出た吐息を聞けばすぐに分かるでしょう。
甘く幸福感混じりのそれは、再びご主人様のオチンポをお掃除できる悦びを浮かべていたのですから。

和「(だから…まずは…こっちを…すすっちゃいますね…♪)」

そう胸中で声を漏らしながら和が手を伸ばしたのは胸の谷間に溜まった白濁液です。
まるで濁ったカクテルのようなそれをそっと指で掬い取れば、ネバネバとした感触が絡みついてきました。
幾らか冷めたとは言っても、未だ生暖かさを残すそこから放たれる匂いは健在で嗅いでいるだけでもお腹が疼いてしまうくらいです。
そんなザーメンについつい我慢出来なくなった和は、それをそっと口へと運び、舌へと塗りつけるのでした。


和「(あぁ…っ♪さっきより濃厚で美味しいです…♥)」

それは亀頭に張り付いていた残りカスのような薄いものではありません。
射精されたままのプリップリで濃厚な子種汁なのです。
その濃さは和の胸に満ちる幸福感を頭がクラクラするくらいに強めてくれました。
しかも、それが和の胸に谷間に溜まるくらい沢山あるのですから…我慢なんて出来るはずがありません。
和はそれをご主人様のオチンポに塗りたくるようにおっぱいを動かしながら、再び亀頭を口に含むのです。

京太郎「相変わらず和は俺のチンポが大好きなんだな」

そんな和に揶揄するように言いながら、ご主人様はそっと頭を撫でてくれました。
優しくも暖かなその手つきは未だご奉仕を続ける和の事を慰撫しようとしてくれているのが分かります。
それが嬉しくて和はまた頑張ってエロおっぱいを揺らし、ご主人様のオチンポに精液を塗りたくりました。
そしてそれを一つ一滴足りとも逃がさないように熱心に舌を動かし、舐めとっていくのです。

和「(こうしてオチンポに張り付いていると…さらに素敵…ぃ…♥)」

元々、ご主人様のオチンポは和にとってとても美味しいものでした。
しかし、今のオチンポにはさらにザーメンまで張り付いているのです。
和が世界で一番美味しいと思う二つのものが混ざり合うその味は、文字通り筆舌に尽くし難いほどでした。
きっと言葉ではその幸福感を表現し切る事は出来ないと…そう思うほどの味に、和は夢中になってご主人様のオチンポを舐め続けたのです。


和「ちゅぅ…♥はぷぅ…♪」
京太郎「もう完全に虜って感じだな。まさか和がここまでなるとは思わなかったけど」

そう意地悪に言いながらもご主人様の手は止まりません。
自分の精液でベタベタになっている和の髪をそっと撫で続けてくれました。
その手にベタついた感覚が絡みつくのも構わないその仕草に和の胸はまた愛しさを湧きあがらせます。
そしてそれが和の幸福感を多幸感へと生まれ変わらせ、和の胸をジィィンと震わせるのでした。

和「(あは…ぁ♪和…またイッちゃいました…ぁ♥)」

それは大きな快感の波となり、和の身体へと押し寄せてくるのです。
しかし、和はさっきと同じく、それに揺らぐ事はありません。
ピンとその場に立ち続け、ご主人様へのご奉仕を続けるのです。
ですが、それはさっきのオルガズムが決して取るに足らないものだったからではありません。
寧ろ、さっきの波は和の疼きっぱなしであった和の子宮を悶えさせ、欲求不満を一気に膨れ上がらせるのですから。

和「(早くこのオチンポ欲しいです…っ♪和のメスマンコを…ご主人様のコレで思いっきりレイプして欲しい…ぃ♥)」

胸中に湧き上がるその感情は最初、多幸感によって押し込められていました。
しかし、ご主人様の精液を舐めれば舐めるほど和の中で欲求不満のほうが強くなっていくのです。
まるで口でだけ精液を味わうなんてズルいと言いたげな子宮の蠢きに和は徐々に追い詰められて行きました。
それでも和はご主人様へのご奉仕を疎かには出来ないと必死にそれに集中し続けたのです。


和「ちゅぱ…ぁ♪ご主人様…ぁ♥」
京太郎「ん?」

それから何分経ったのかは分かりません。
しかし、和の胸の谷間に溜まっていた真っ白なカクテルは消え、オチンポからは精液の味が遠ざかりました。
もうコレ以上、やっても意味はないとそう理解した和はご主人様のオチンポからそっと離れながら、口を開くのです。
そこから漏れる言葉は思いの外甘く、そして劣情でドロドロとしていました。
発情したメスがオスへと媚びるようなその声に、言った和自身の背筋がゾクゾクとするくらいです。

和「和は…和はもう…我慢出来なくなってしまいました…ぁ♥」
京太郎「何をだ?」

それでも構わずに漏れ出る言葉は、もう思考が紡いでいるものではないのでしょう。
和の本能が、魂が、ご主人様に種付けされる事を望んでいるのです。
しかし、そうやって紡いだ言葉にご主人様はとぼけた声を返して和の事を焦らすのでした。
ご主人様が分かっていないはずがないのに…ご褒美をくれるってそう言ったのに…愛しい人は和の頭を撫でながら、優しく、けれど、嗜虐的に尋ね返してくるのです。

和「セックス…です…ぅ♥」
京太郎「それならもうさっき思いっきりやっただろ」

それに短く紡いだ和の言葉にご主人様は冷たく返しました。
さっきの交わりとおっぱいセックスと称していたからこそ、ご主人様はそんな事を言っているのでしょう。
和が何を言いたいのか分かりながらも惚けようとするご主人様に、和の欲求不満はさらに昂ぶってしまいました。
結果、ギリギリのところで和を和たらしめていた理性がゴリゴリと削れていき、和の口から淫語が漏れ出すのです。


和「違うんです…っ♪和は…和は…もう堪んないんですぅっ♥オマンコにオチンポ突っ込んで子宮のお口までレイプして欲しいのっ♥」
和「ジュポジュポってご主人様に犯されて…一杯アクメしたいんです…ぅ♥♥」

もう絶対に誤解される余地なんて与えまいとするその言葉に未だ和の胸に挟まれているご主人様のオチンポがピクンと反応します。
和の顔が真っ白な乳液でドロドロになるくらいに射精したのに未だ萎える気配を見せないその逞しさに和の乳首も疼きました。
いえ、それだけではなくまるでオチンポに応えるようにしてピクピクと反応するのです。
そんな桃色の突起にご主人様の視線が突き刺さるのを感じますが、愛しい人はまだ和に手を出そうとはしてくれません。

和「アクメしまくって…馬鹿みたいなアヘ顔撮られても構いませんっ♪ううん…寧ろ、撮って欲しいんです…っ♥和のバカになった顔を…撮って…ご主人様のものにして下さい…ぃぃ♥♥」
京太郎「良い子だ」
和「ひゃうんっ♪」

ならば、もっと淫らにオネダリしよう。
そう思った和が甘くオネダリを続ければ、ご主人様はそっと和を抱き寄せてくれました。
そのままベッドへと倒れこんでいくようなご主人様に、和が抗う理由はありません。
寧ろ、ベッドに引きずり込んで欲しいとばかりに足に力を入れて、その動きを補助するのです。
そうやって二人で力を合わせた結果、和たちは転がるようにしてベッドに身を預ける事が出来ました。

和「あ…♥」

そして…気づいた頃にはいつの間にか和はご主人様に組み敷かれるような姿勢になっていました。
ベッドに背中を預け、ご主人様を見上げるその姿勢は…やっぱりドキドキとしてしまいます。
幾ら愛玩奴隷になったとは言え…和の心はご主人様の事を愛しているのですから。
こうやってベッドの上で見つめ合うような姿勢も決して嫌いではないのです。


和「(それに…何よりご主人様のオチンポが…ぁ♥)」

ご主人様の未だ滾ったままのオチンポは和の下腹部に押し当てられ、ドクドクと脈打っていました。
まるでその奥にある子宮に種付けしたいと訴えるような姿に和の身体はゾクゾクとした寒気混じりの興奮を覚えます。
思わず肩まで震えさせてしまうそれは…ご主人様に種付けしてもらえる事を和が心待ちにしているからでしょう。
さっきフェラし始めた時から…ご主人様とセックスしたくて堪らなかった身体はもう我慢の限界を超えていたのです。

和「(だから…ぁ…♪)」

そう心の中で言葉を浮かべながら、和はゆっくりとその足を広げました。
目の前のご主人様を受け入れるように足を左右へと開いていくのです。
そんな和の仕草にご主人様は興奮したのか下腹部に押し当てるオチンポをピクンと反応させてくれました。
そして、可愛らしくも素直なご主人様のその反応に和は蕩けた笑みを浮かべながら、和は自らの秘唇をくぱぁと開くのです。

和「ご主人様ぁ…♥早く…ぅ♪早く和を…和を…ぉ♪」

足を広げ、自らのオマンコまで晒したメスの姿。
誰が見たってセックスの催促だと分かるそれにご主人様は生唾を飲み込んでくれました。
こうして見つめ合う和にだってはっきりと分かるその音は、期待と興奮混じりのものなのでしょう。
それだけで和の頭の中はカァァと赤くなり、心から嬉しくなってしまいますが…さりとてもう自分の疼きを抑える事は出来ません。
愛玩奴隷としても女性としてもみっともないと分かっていても…ついオネダリをしてしまうくらいに和は発情しきっているのですから。


京太郎「…分かってる」
和「んぁ…ぁ♪」

そう言いながら、ご主人様は抱き合うような姿勢からほんの少し腰を移動させます。
ご主人様の腹筋についてしまいそうなくらい反り返ったその矛先を合わせるようなその動きはとてもスムーズでした。
結果、数秒もしない内に、部屋の中にクチュリと言う小さな音が鳴り、広げた粘膜から熱い感覚が伝わってくるのです。
まるで焼けた鉄のような激しいその熱に、和は苦痛を感じる事はなく、寧ろ、期待をより強めて… ――

和「ひぃぃぅぅぅぅう゛っ♪♪」

瞬間、何の前触れもなくご主人様のオチンポが和のオマンコを貫きました。
ズンっと言う衝撃が音となって聞こえてきそうなくらい激しいその挿入に和はつい声をあげてしまいます。
微かに反り返った背筋を震わせながらのそれは、勿論、悲鳴でも苦痛混じりのものでもありません。
それは望んでいたものをようやく与えられた喜悦と充実の声だったのですから。

和「(イくぅ…っ♪♪和もぉイくぅぅっ♥イッちゃいますぅううっ♪♪)」

それを証明するように和のオマンコで絶頂が弾け、興奮で真っ赤になった頭を白く染めていくのです。
ご奉仕するついでに至ったおっぱいのそれとは比べ物にならないその激しさに和の胸中は一瞬で陶酔によって支配されました。
期待がそのまま陶酔へと転じたようなその感覚に和の全身はブルブルと震えます。
それはきっと湧き上がるオルガズムが全身へと絡みつき、和の筋肉にぞわぞわとした感覚を与えているのも無関係ではないのでしょう。
無数の蟻が肌の内側を這いまわっているようなその感覚を振り払おうとするように和の身体は震えていたのです。


和「(ひゃぅ…ぅ…♪幸…せぇ…♥)」

それはきっと昔の和であれば厭うものとして捉えた事でしょう。
少なくとも、今の和のその感覚は決して心地良いものではないのですから。
怖気に似ていると言っても過言ではないそれは、気持ち悪いという言葉の方が相応しいのかもしれません。
けれど、和はもう知っているのです。
それもまた形こそ違えどもアクメのそれである事を。
まるで和をねじ伏せるように与えられる被虐的な絶頂である事を…和はもう刻み込まれてしまったのです。
そんな和にとってそれは陶酔を強めるものでしかなく、さらにうっとりとした感覚へと叩き落されるのでした。

和「気持ち…良いです…ぅ…♥和…挿入れられただけで…イッちゃいました…ぁ♪♪」

多分、それは普通で考えればあり得ない事なのでしょう。
そもそも挿入れただけでイッてしまうだなんて、ファンタジーの領域なのですから。
しかし、和の身体はご主人様のオチンポに容易く敗北し、従属しきっているのでした。
それを愛しい人に伝えながら、和のオマンコはぎちゅぎちゅと蠢きます。
まるで硬くて逞しいオチンポから必死に快楽を引き出そうとしているようなそれにご主人様も悦ぶような反応を返してくれました。

京太郎「そんなに俺のチンポは良いのか?」

しかし、和を正常位で犯すご主人様の顔には、それがまったく現れません。
それどころかその手に持ったビデオカメラのレンズを和へと向け、ズルズルと腰を進めてくれるのです。
挿入れられただけでイッてしまった和の痴態を記録しながらのそれは最初の勢いからは信じられないほど鈍いものでした。。
ですが、それでも一度、イッてしまった和の媚肉は敏感になり、昂ぶる道しか残されていないのです。
その上…和の姿を撮られていると思ったら…もうご主人様に犯されている限り、イき続けるしかありません。


和「はい…ぃ…♪ご主人様のオチンポ最高です…っ♥♥硬くて…熱くて大きくて…ぇ♪♪和のオマンコ…ゴリゴリしてくれます…ぅぅ♥♥」

そう言いながら、またも絶頂へと至る和の肉襞はご主人様のオチンポにこれでもかと虐げられていました。
鋼のように硬い肉竿が肉襞を弾きながら、愛液で満たされた肉穴を大きく広げるのです。
それだけでも気持ち良くって堪らないのに…ギチギチと音が聞こえてきそうなくらい押し広げたオマンコの中をオチンポがゆっくりと動くのでした。
まるで和の肉襞にその形を教え込もうとするような緩やかな動きに、被虐感と快感が混ざり合い、和は震える声を漏らしてしまうのです。

和「は…あぁっ♪またイく…ぅぅ…♪♪オマンコズリズリされて…イくぅ…んっ♪♪」
京太郎「おいおい、挿入れるだけで何回イくつもりだよ」

揶揄するように言うご主人様の言葉に、和ははっきりとした答えを返す事が出来ませんでした。
だって、そんなもの和にだって分からないのです。
完全にスイッチが入ってしまった身体は幾らだってイけそうなくらいに昂ぶっているのですから。
その上、焦らすようにゆっくりと動かれたら、片手の指で足りなくてもおかしくはありません。

和「な…何回だってイけます…ぅ♪和は…ご主人様の事が大好きだから…ぁ♥幾らでもイッてアヘアヘにいひぃぃいいっ♥♥」

だからこそ、そう答えとした和の瞼の裏でバチバチと何かが弾けたのが分かります。
まるで和の瞳に向かって強い光が放たれたようなそれは…きっとご主人様が一気に和の奥までオチンポを突っ込んだからでしょう。
瞬間、湧き上がる快楽の波もそれを肯定するように和へと襲いかかっていました。
さっきの無数の虫を彷彿とさせるようなそれではなく、電撃を彷彿とさせるほど激しいオルガズムが肌の内側を駆け抜けるのです。


和「あひ…ぃ♪ひゅぅ…ぅぅん…♥」

勿論、その間もさっきのゾワゾワするアクメは収まりません。
寧ろ、さっきの電撃は、それらを活性化させるように強く激しくしていたのです。
結果、和は二種類のまったく違うアクメに翻弄され、ご主人様の下でピクピクと震えました。
まるで降参するように情けない声をあげる自分の姿を撮られながら、和は被虐的な絶頂に浸っていたのです。

京太郎「で…結局、何回イッたんだ?」
和「二回…イきました…ぁ…♥ご主人様のオチンポが子宮に届くまで…和は…二回もアクメしましたぁぁ…♪♪」

そんな和を見下ろしながら尋ねるご主人様に、和は悦びの声を返しました。
それは勿論、ご主人様から与えられる絶頂が堪らなく甘美で気持ち良かったからです。
どれだけ被虐的な快楽であろうとも、それがご主人様から与えられるものであれば、和は悦んで享受するでしょう。
ましてや…和自身、そういうのが決して嫌いではないともなれば、厭う理由などありません。
その声に満足感や感謝を混じらせながら返事をするのも当然と言えるでしょう。

京太郎「まったく…俺の許しもなく二回もイくなんて和は本当にダメな奴隷だな」
和「はぅ…んん…♥」

そう言いながらもご主人様は空いた和の頬をそっと撫でてくれました。
まるでそうやって挿入だけで容易くイッてしまう和を労うようなその手つきに和はついつい甘い鳴き声をあげてしまいます。
自然、うっとりとした気持ちも強くなり、骨身に染みるような快楽の中で幸福感が湧き上がって来ました。
けれど、そうやって優しく和を撫でてくれても、ご主人様から許しの言葉を貰えた訳ではありません。
どれだけ幸せでも…いえ、それだからこそ、和は許可無くイッてしまった事を謝罪しなければいけないのです。


和「ごめん…なさい…ぃ♪でも…和…どうしても我慢出来なくって…ぇ♥」
京太郎「言い訳するなって」
和「あ゛あぁっ♪♪」

けれど、ご主人様はそんな和の反応が不満だったのでしょう。
言い訳混じりのそれを冷たく突き放しながら、グイッと腰をグラインドさせます。
自然、亀頭と擦れ合う子宮口から激しい快楽が這い上がり、和の脳髄を突き刺すのでした。
ジクジクと快楽を染み込ませるようなそれに和は再び絶頂へと突き上げられ、その口からメスの鳴き声を放つのです。

京太郎「しかし…そうなると下手に動く訳にはいかないよな」
和「そ…そんなぁ…ぁ♥」

それに嗜虐的な笑みを見せるご主人様から漏れだす言葉は…やっぱり意地悪で堪らないものでした。
それに媚の浮かんだ声を返すのは…このままずっと動かないままだなんて到底、我慢出来ないからです。
確かにさっきは満足感混じりの声を漏らしましたが、それはあくまでついさっきの事。
今も尚、身体を滾らせ、子宮を欲求不満で震わせる和の身体はこんなものでは収まりません。
こうしている間にも強まっていく欲情に身体はもう焦らされているように感じ始めているくらいなのですから。

和「反省…してます…♥次は…次は頑張りますから…ぁっ♪♪だから…動いて…ぇ♪和にお情けを下さい…っ♥♥」

勿論、ご主人様の許しもなく、何十回でも何百回でもイッてしまう和の方が悪いのは目に見えていました。
けれど、このままずっとろくに動く事もなければ、ご主人様だって満足する事が出来ないのです。
幾ら和のオマンコがご主人様に開発され、ご主人様の為だけ使われてきたとは言え、流石にピストンなしで射精に至る事は出来ないでしょう。
いえ、至れたとしても、それはきっと不満混じりの漏れるようなものでしかないのです。
そんな未来は…愛玩奴隷としても、ご主人様に焦がれるメスとしても許す事は出来ません。
折角、和とセックスしてくれるなら…やっぱり溺れそうになるくらい激しくて甘い射精をして欲しいとそう思ってしまうのです。


京太郎「でも…どうしても我慢出来ないんだろ?」
和「そ、それは…でも…ぉ♥」

けれど、そんな和の欺瞞なんてご主人様にはお見通しなのでしょう。
そう尋ねるご主人様の顔には確信めいたものがあり、反論を許しません。
実際、挿入だけで二度…いえ、下手をしたら三回アクメしていたかもしれない和にはそれを誤魔化す術を持ちません。
これがまだ冷静なら別だったのかもしれませんが…既に数回の絶頂を迎え、思考も蕩け始めた和に良いアイデアなど浮かぶはずがないのです。

京太郎「仕方ないな。じゃあ…一つ条件を出そう」

それに悩む和の頬からご主人様はそっと手を離しながら、そう言いました。
それが一体、何なのかは分かりませんが、和にとってそれは是非もないものです。
一回、イく度にお金を支払えと言われても、きっと和は首を縦に降っていた事でしょう。
それくらい和はご主人様に調教され…そして堕とされてしまったのです。
もうここにいるのはかつてのインターミドルチャンプなどではなく、ご主人様の愛玩奴隷になった一匹のメスなのですから。

京太郎「これからは幾らイッても良い。でも、それを一つ残らず、俺に伝えるんだ」
和「そ…れは…ぁ♥」

ご主人様の言葉に和の背筋はゾクゾクとしたものを走らせ、脳を甘く蕩けさせました。
だって、そうやって余すところなく快楽を伝えたら…それらは全て記録として残ってしまうのです。
記憶に留まる痴態ならまだしも、そうやって記録される被虐感というのは桁違いに大きなものでした。
それこそそれだけでイッてしまいそうになるくらいに和はドキドキとしていたのです。


和「や…やります…ぅ♪やらせて…下さい…っ♪」

勿論、そのドキドキは決して嫌なものではありませんでした。
確かに気恥ずかしさこそありますが、それよりも和は興奮していたのです。
それはさっきから和の身体が疼きっぱなしでもう我慢出来ないという事も無関係ではないのでしょう。
けれど…恐らくそれ以上に大きいのは…そうやって痴態を記録される事に和が少しずつハマり始めたからです。

京太郎「じゃ…最初はゆっくり動くからな」
和「ふぁ…あぁぁっ♪♪」

和の返事が気に入ったのでしょう。
ご主人様は一つ頷いてから、ゆっくりとその腰を和から離していきました。
瞬間、張った肉襞がまたカリ首にゴリゴリと押し潰され、堪らない快感が胸を突きます。
肉襞の一つ一つを引っ掻かれ、引き出されるように思える所為か、それはさっきよりも被虐的でした。
それに和の胸がブルリと震え、身体が昂ぶっていくのを感じます。
にちゃあと糸を引く音をさせながらの緩やかなピストンではありますが、きっと和はそう遠くない内にイッてしまうでしょう。

和「(あぁ…♪でも…感じてばっかりじゃ…ダメ…ぇ♥)」

それをちゃんと伝えなければ、ご主人様はきっとこのピストンさえ止めてしまいます。
変な所で頑固なご主人様は、とても嗜虐的で、そして理性的なのですから。
まだ始まったばかりのセックスを中断するくらいは簡単にして見せるでしょう。
けれど、そんなご主人様に対して…和はそれが我慢なりません。
ようやく始まったセックスをまた取り上げられる事を考えるだけで背筋に怖気が走るくらいに。


和「(…イくって言うだけじゃ…ご主人様だって物足りないですよね…♥)」

だからこそ、和にとって重要なのは、絶頂をどう誤魔化すかではなく、それをどう伝えるかでした。
愛しくも意地悪なご主人様にどれだけ淫らな言葉で報告するかが議論の焦点だったのです。
そして、それは程なくして…一つの結論へと至りました。
つまり…ご主人様が一体、どれほど淫らなものを求めているのか分からない以上、和が知る限りのはしたなくてエッチな言葉全てを使うのが一番だと言う結論を。

和「ご主人様…ぁ♥和…もぉ…イキそうです…ぅ…♪♪」
京太郎「なんだ。随分と早くないか?」

そうご主人様が返すのも無理は無い事でしょう。
だって、亀頭が子宮から離れて少ししか経っていないのですから。
まだ一回の抽送さえ終わりきっていない状態でギブアップ宣言をするのはあまりにも早すぎです。
けれど、和はもうご主人様に高められ、そして焦らされていたのでした。
コレ以上、我慢する事など出来るはずもなく、和はそうオルガズムを口にしたのです。

和「だって…生ハメセックス…良いんです…っ♪ズル剥けオチンポで…ピストン最高ぉ…♪♪」
京太郎「っ…!」

そして、ご主人様は和がこんなに淫らな事を口走るなんてまったく予想していなかったのでしょう。
和の中腹ほどで蠢く亀頭が一瞬、ピクンって反応したのが分かります。
微かに息を飲むその顔からもご主人様が今の言葉で興奮してくれたのが伝わって来ました。
それに自分の考えが間違っていなかった事に胸中で笑みを浮かべながら、和はそっと言葉を続けます。


和「最初からこんなの教えこまれたら…和はもうゴム越しじゃ満足出来ません…っ♥生オチンポじゃないと…ダメな愛玩奴隷にされちゃいましたぁ…♥♥」

そう告白するような言葉は決してご主人様を興奮させる為の方便ではありません。
実際、和は最初からずっとご主人様に生でハメて貰っているのです。
その滾りから硬さまで全部を教えこむセックスに和はもう虜にされているのでした。
そんな和が今からゴムを着けたセックスをしても満足出来るはずがありません。
あの中でびゅるびゅるって精液が跳ねるような激しい射精も受け止められないセックスだなんて想像すら出来ないのですから。

和「だから…もっとハメハメして下さい…♪和の事…一杯…いぃっぱい可愛がって…今日もラブラブレイプ…して欲しいんです…っ♥♥」
京太郎「…仕方ない…な!」
和「ひゃううぅぅんっ♪♪」

そんな和のオネダリにご主人様は答えるように腰を進めて下さいました。
瞬間、ジュブっと音が鳴り響き、和の最奥に亀頭が再び突き刺さります。
敏感な和のオマンコの中でも特に敏感なそこは、最早、弱点と言っても良いくらいでした。
そんな場所を強く叩かれるのですから、我慢出来るはずがありません。
和は声をあげながらオルガズムへと突き上げられ、その全身を震わせるのです。

和「イきました…ぁ♥和、今、イッちゃって…あひぃぃい♪♪」

けれど、ご主人様はそんな事、お構いなしなのでしょう。
まるで聞く必要はないとばかりにその腰をガンガン振るい、和の事を犯してくれるのです。
最初の焦らすようなピストンが嘘のような激しいその抽送に和は悲鳴にも似た嬌声を漏らしました。
それに合わせて、和の子宮もブルリと震え、また早くも次のアクメの準備を始めるのです。


和「はう…ぅん…っ♥♥しゅ…ごぃ…ぃ♪また…イキそぉです…っ♪♪」

勿論、未だ和の中でビリビリと暴れる快楽は、ついさっき始まったばかりのアクメは収まってはいません。
そんな時にイッてしまったら…もう自分の中の昂ぶりを抑える事なんて出来ないでしょう。
これから先には、きっと意識が帰ってくる事の出来ないような激しい絶頂地獄が待っているのです。
しかし、そうと分かっていても、和はそのオルガズムの予兆を止める気はありませんでした。
ご主人様にオチンポを突っ込まれた時から完全にタガが外れた思考は寧ろ、それを心待ちにしていたのです。

和「ご主人様…ぁ♥和…イきっぱなしになります…ぅ…♪♪ご主人様にハメハメされて…頭の中まで…メスになる…ぅぅ♥♥」

それを愛しい人に伝えた瞬間、お腹の奥でぎゅっと子宮が縮こまりました。
自然、そこに溜まっていた熱も圧縮され、その部分だけが焼けるような感覚が和を襲うのです。
それは入口をまたオチンポに叩かれた瞬間、一気に弾けて霧散し…そしてまたアクメが産声をあげるのでした。
快楽神経を伝って全身へと広がるそれに和はまた強く身体を震わせます。

和「あぁぁ…っ♪♪堪んないです…ぅ♪イくの堪んない…ぃ♥♥ビリビリクるぅぅんっ♪♪」

そうして流れる快楽は、ひとしきり暴れた後、和の身体を敏感にするのです。
特に欲情で火照った肉穴は酷く、オチンポの存在をより身近に、そして激しく感じられました。
それは勿論、和にとって快楽に繋がるもの以外の何者でもありません。
すぐさま次のオルガズムへの秒読みを開始するほど気持ちの良いそれに和が甘い声をあげた瞬間、ご主人様は嗜虐的な笑みを浮かべます。


京太郎「流石にイき過ぎじゃないか?まさか演技じゃないだろうな?」
和「だって…ぇ♪今日記念日なんですぅ♥♥ご主人様に撮られながらの記念日セックス…ぅ♪♪ドキドキしっぱなしでぇっ♥♥」

意地悪なご主人様の言葉に和は肩を震わせながらそう答えます。
微かに不満混じりのそれはご主人様が撮影しながらのセックスを軽く見ているからでしょう。
こうやってイッている姿も全部、記録する無機質なレンズは、和の興奮を煽るには十分過ぎるものなのですから。
和の言葉も乳首の震えもまるごと撮り続けるそのレンズを向けられ続ければ、何時もよりも早くイきっぱなしになったとしても全然、おかしくはありません。

京太郎「そんなに撮られるのが好きなのか?」
和「はい…ぃっ♥♥和は…撮られて興奮するマゾ女なんですぅっ♪♪撮影セックスでイきっぱなしになる…愛玩奴隷なんれしゅよ…ぉ♪♪」

ご主人様に答える声はもう微かに蕩け始めていました。
ご主人様に子宮口を突かれる度にイッているのですからそれも当然でしょう。
もう今の時点で十四回目のオルガズムを記録した和の身体はもう各所で意識と身体の齟齬が発生し始めているのです。
実際、さっきまで秘唇を開いていた両手も、いつの間にかご主人様の背中に回っていました。
そのままぎゅっと抱きしめるその腕は、決して和の心が命じたものではありません。
止まらないオルガズムの渦の中で大きくなっていく本能めいた何かに身体が突き動かされた結果なのです。

和「だから…もっと撮って下さい…ぃ♥♥和のエッチな姿をぉ…♪♪ご主人様に犯して貰って…悦んでる奴隷の姿を全部残して下さい…♪♪」
京太郎「じゃあ…もっと俺を興奮させないとな…!」
和「んひゅぅぅっ♪♪がんばりますぅっ♥♥ご主人様が発情するまで和頑張る…ぅぅ♪♪♪」

しかし、そうは言いながらも和には具体的な方策なんてありませんでした。
そもそもこうして正常位でセックスして頂いている以上、和は受け身にならざるを得ないのです。
動ける範囲というのは微々たるもので、精々がご主人様の補助をするくらいでしょう。
ですが、それでもしないよりはマシだと和は背中に力を込め、その腰をそっと動かすのです。


京太郎「はは。あの原村和がそんな風に腰を動かすなんてな」
和「はぅ…ぅぅ…んんっ♪♪」

きっとそれは堪らなく無様な姿なのでしょう。
意地悪く笑うご主人様の言葉からそれは嫌というほど伝わってくるのです。
実際、何度もイかされて力が入りづらい和の腰はカクカクとぎこちなく動いていました。
お世辞にもスムーズとは言えないその動きはご主人様の嘲笑を誘い、そして和の被虐感をジクジクと刺激するのです。

京太郎「自分の娘がこんな発情期のメス犬みたいに腰を動かしてチンポ欲しがってるって知ったら親父さんは卒倒するだろうなぁ」
和「や…ぁぁ…♥♥」

そして、ご主人様はそんな和をさらに追い込むように意地悪くそう言葉を掛けるのです。
それについつい想像力を刺激された和は…父にこの映像を見られている姿を浮かばせてしまいました。
きっと厳格で真面目な父は膝から崩れ落ち、心から悲しんでくれる事でしょう。
和と対立する事こそ少なくありませんでしたが、けれど、父なりに愛してくれている事は和にだって伝わっているのですから。
そんな父に…ここまで堕ちきった姿を見られると考えるだけで和の興奮は一気に昂ぶり、頭の中が真っ赤に染まるのです。

京太郎「ほら、これを見てる奴に一言言ってやれよ」
和「んひぃぃぃぃっ♥♥」

そう言いながらご主人様は和の奥をズンっと突き、そのままグラインドを始めます。
グリグリと子宮口にオチンポの味を教えこむようなその動きに和の背筋は浮き上がりました。
けれど、ご主人様の腰は離れず、和の弱点だけを重点的に抉ってくるのです。
恐らく和が何か言うまでご主人様は動くつもりはないのでしょう。
勿論、和はこのままでも十二分に気持ち良いですが、これではご主人様がイく事は出来ません。
それを許しがたい和にとって、どれだけ恥ずかしくても選べるのは一つだけしかなかったのです。


和「和の…ぉ…♪和の生ハメセックス…どうですかぁ…♥♥ご主人様にセックスされて…トロトロになってるセックス…ぅ…♥♥興奮…しますかぁぁ…♪♪」

そんな和の口から漏れるのは名も知れぬ誰かに呼びかけるものでした。
この映像を見せる人なんて決まっていないのですから、それも当然でしょう。
これはあくまでも和をご主人様に縛り付ける為のものであって、特定の誰かに見せる事を想定なんてしていません。
しかし、それでも…何かの拍子でこの映像が流出してしまうかもしれない。
そう思うと和は被虐感に肩を震わせながら、淫らな言葉を次々と思いついていくのです。

和「和は…最高ですぅ♥♥ご主人様にセックスして貰えて…とっても幸しぇ…ぇ♥♥イキ顔撮影されながら…セックス最高ぉ…ぉ♪♪♪」

実際、こうして撮影されながらのセックスはとても素晴らしいものでした。
以前、ご主人様に軽く縛って貰った時よりも数段、興奮するのです。
もっと本格的に、それこそ身動ぎ一つ出来ないくらいに縛って貰ったら話は別かもしれませんが、今はこちらの方が遥かに気持ちが良い。
少なくとも普段、ご主人様としているそれからは比べ物にならないくらい興奮していました。

和「もぉ和はご主人様なしじゃ生きてけないんですぅ…♥♥ご主人様のセックスなしじゃ…ダメになるように調教されちゃったからぁ…♪♪心も…身体も…じぇんぶ…ご主人様のものになりましたぁ…♥♥」

その言葉は決して嘘ではありません。
そもそもこうして撮影したがったのも、ご主人様ではなく和の方なのですから。
それは勿論、和がご主人様の事を信頼し、そして何より…愛しているからです。
和がご主人様のものである証拠を握っておいて欲しいと…そう思うくらいに…和はもうご主人様に溺れているのでした。


和「らから…ぁ…♥一杯、オナニーしてくださいっ…♥♥和はもぉ…ご主人様のものだから…ぁ♪♪」
和「和のイキ顔でぇ…っ♪♪マジイキしまくってる顔でぇぇ…っ♥♥エッチな声で一杯…一杯…オナニーしてください…ぃっ♥♥」

そんな自分の言葉に和はゾクゾクとしたものを感じました。
一体、これを見るのが誰かは分かりませんが、和の痴態を見て自慰を始めるかもしれない。
それを淫語を口にしてからようやく気づいた和にとって…それは堪らないものでした。
勿論、名も知れぬ誰かのオナペットになるだなんて、普通であれば怖気が走るし、気持ちの悪いものでしょう。
しかし、今の和はご主人様に犯され、ご主人様の所有物になるところを撮影されているのです。
それを誰かが見たところで、和がご主人様の所有物である事を思い知るだけ。
結局、その誰かはご主人様のように和に触れる事は出来ず…ただただ自慰をする事しか出来ません。

和「(あぁ…っ♪♪和…とっても…幸せ…ぇ…♥♥)」

未だこの世にいない閲覧者に対して、ご主人様のモノである事を示すセックス。
それは和に強い興奮を齎し、オマンコの肉をぐちゅぐちゅと蠢かせます。
動かないオチンポを奥へ奥へと誘おうとするそれは和に対しても強い快感を返すのでした。
こうして動かない間にもまた一つオルガズムへと突き上げられるそれに和は多幸感を強め、身体から力を抜きそうになってしまいます。

和「ご主人様ぁぁ…っ♥♥和…もぅ…っ♪♪」

けれど、ご主人様がまだ射精してもいないのに、そうやって和だけがだらける訳にもいきません。
ましてや、和自身…もう我慢出来なかったのです。
さっきの告白はとっても淫らで気持ちの良いものでしたが、さりとて、それで満足出来る領域なんて和はとうに踏み越えているのですから。
今の和にとっては地獄のような連続絶頂の中でしか満足する事は出来ませんし…それだって永遠に長続きする訳でもありません。
本当の意味で和が満足する時は…ご主人様に失神するまでラブラブレイプして貰った時だけなのでしょう。


京太郎「はは。まぁ…一杯、頑張ったからご褒美やらないとな」
和「ふきゅぅんっ♪♪♪」

そんな和の中をご主人様のオチンポが激しく動き出しました。
ジュプジュプと音を立てるほどの激しいピストンに和は思わずメスの鳴き声をあげてしまいます。
それにニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべるご主人様もきっとさっきの告白で興奮してくれていたのでしょう。
子宮をゴツゴツと突くオチンポは最初の頃よりもさらに一段熱くなり、肉襞を蕩けさせているのですから。
恐らくそう遠くない内に射精してくれるであろうその反応に、和の胸も歓喜の声をあげました。

和「ふああぁ…っ♪♪和はもぉ…もぉぉ…っ♥♥にゃんども…にゃんどもイッてますぅ…っ♥♥」

それにそのまま言葉へとするように、和の口はご主人様へと絶頂を伝えます。
実際、和はご主人様のオチンポがオマンコの奥を突くまでに、子宮で四回も五回もイッていました。
最早、全部で何回イッたのか数えるのも馬鹿らしくなるほどの快楽のうねりに和は逆らえません。
全身に激しい快楽を走らせながら、どんどんと昂ぶり続けるのです。

和「一突きで何度もイッてるぅっ♥♥ご主人様のオチンポに屈服させられちゃってまふぅ…ん♪♪和はもぉ…ご主人様のオチンポの虜なのぉ…♥♥」
京太郎「ようやくそれらしくなって来たじゃないか!」

そう言いながらご主人様はグッと片手で腰を掴みました。
まるで和の事を必死に逃がすまいとするその拘束は、ご主人様がこれから本気を出す合図なのでしょう。
衝撃やアクメで跳ねる和の腰を固定しながら…本格的にレイプしてくださるのです。
その想像に和の脳髄はドロドロになり、全身がさざなみのように震えました。
全身に期待混じりの陶酔を行き渡らせるようなそれに和の身体はさらに敏感になり…そしてまた和の意識が身体から離れていくのです。


和「ご主人様にオチンポハメハメして貰う為ならにゃんだってします…っ♥♥しょれくらい…好きぃ…っ♥♥ご主人様も…生ハメオチンポもらいしゅきぃ…♥♥」

ご主人様とセックスの事を大好きと言うその口調は今までよりもさらに蕩けたものになっていました。
本格的に舌足らずなものになったそれはもう和の思考がちゃんと働いていない証でしょう。
理性どころか思考すら投げ捨て始めた和にとって重要なのは本能めいた欲求とご主人様への愛しさだけ。
その二つを満たす為ならば…きっとどんな事だって躊躇いなく実行するでしょう。
今の和の中にはあらゆるタブーに対する忌避感すらなく、どんな禁忌だってご主人様の為ならば悦んで乗り越える事が出来るのです。

京太郎「だったら…一つ頼み事が…あるんだけどさ」
和「ふぁ…い…っ♪♪なんらって言ってくだしゃいっ♥♥和…一杯…頑張りますかりゃ…♥♥」

そんな和の腰にガンガンと腰を打ちつけながら、ご主人様は和にそう言ってくれました。
勿論、それを拒否する理由なんて和の中にはあろうはずもありません。
欲情と愛しさで一杯になっている和はそうやってご主人様に何かを求められるという事だけで幸せになってしまうのですから。
それに何より…思考を半ば投げ捨てた今だってご主人様に対する信頼や理解が和らいだ訳ではないのです。
このタイミングでご主人様が口にする言葉はきっと淫らで…和を辱める為のもの。
そう理解する和がご主人様を拒めるはずはなく、胸の中を期待で踊らせながら次の言葉を待つのです。

京太郎「両手でピースしてくれないか?」
和「…?」

しかし、そんな和の期待とは裏腹に、ご主人様の言葉は理解出来ないものでした。
少なくとも和にとってそれがどういう事を意図しているのかが伝わっては来ません。
ですが、どれだけ意図が理解出来なかったとしても、ご主人様の要求は要求です。
何でも言って欲しいとご主人様に伝えた以上、それを反故にする訳にはいきません。
そう思いながら、和はそっとご主人様の背中から手を離し、胸の横でピースサインを作るのです。


京太郎「ははは…。あの和が…こんな…」
和「んはぁぁああっ♥♥」

瞬間、ご主人様のオチンポがビクンと跳ね、和の子宮口を擦ります。
下から上へと突き上げるようなそれに一度はベッドに伏した和の背筋は再び浮き上がり、その口から嬌声が飛び出しました。
しかし、そんな反応を見せながらも和はやっぱり微かな不満を否めません。
勿論、そうやってご主人様が反応してくれるのは嬉しくて気持ちの良いものですが、やっぱり仲間外れ感があるのです。
出来れば、後学の為にもご主人様がどうしてこんなに興奮しているのか教えて欲しい。
そうは思いながらも、ご主人様のピストンは激しくなる一方で、和はそんなオネダリを漏らす余裕すらなかったのです。

京太郎「ほら、今の和がどんなものか見せてやるよ」

そんな和の思いにご主人様も気づいてくださったのでしょう。
興奮で赤く染まったその顔を嗜虐的に歪めながら、そっと和の腰から手を離します。
瞬間、ピストンの勢いは一段落ちてしまいますが、和はそれに対して不満を覚える事はありませんでした。
今の和にとって重要だったのは快楽そのものよりもご主人様と同じ価値観を共有する事だったのですから。

和「(そして…ご主人様はゆっくりとビデオカメラを開いて…♥)」

長時間の撮影でも疲れないようにする為か側面についている小型のモニター。
それを開けたご主人様は、そのままクルリと和に向けて反転させてくれます。
瞬間…和の白く濁った視界に映り込んだのは…堪らなく淫靡な光景でした。


和「あ…あぁぁ…ぁっ♪♪♪」

そこに居たのは一匹のメスでした。
鈍く光る首輪だけを身につけた肌に珠の汗を浮かべ、目尻から涙を漏らすくらいに善がりまくる…メス犬だったのです。
半開きになった口からは唾液が溢れ、その奥にある舌もピクピクと痙攣していました。
肌は全体的に紅潮し、張り付いた白濁液越しにも興奮が分かるくらいです。
全身もまた見る人に歓喜と快楽を伝えるようにブルブルと震えていましたが、特に酷いのはご主人様も大好きなバストでしょう。
そこは…ピストンに合わせてブルンブルンと円を描くように揺れ、まるでオスを誘っているような錯覚さえ与えてくるのです。

和「(でも…一番…エッチなのは…そのおっぱいに添えられた…ピースサインで…ぇ♥♥)」

理性の輝きをなくし、欲情で濁りきった色を見せる瞳。
それがモニターに映るメス犬に退廃的な雰囲気を与え、本当にレイプされているかのような印象を与えます。
しかし、それが心から悦んでいる証なのは、おっぱいに添えられたピースサインから伝わってきました。
こうしてセックスする事が愛しくて堪らないんだと言うようなそれは…決して淫らなものではないはずなのに、とてもエッチに思えるのです。
まるで心からご主人様に屈服した証のように思えて…和の胸がさらにドキドキしてしまうのでした。

和「(これが…和なんですか…ぁ♪♪)」

勿論、自分でも今の状態がとてもエッチな事くらい理解していました。
淫語を紡ぎ、撮られている興奮だけで何度もイキそうになっていたのですから。
しかし、それがこうして映像として目の前に晒されると…やっぱり格別です。
完全にメス犬に堕ちた姿を晒され、しかも、それがそのままご主人様にも見られていると思うと…心臓が壊れてしまいそうなくらいドキドキしてしまうのですから。


京太郎「アヘ顔だけでも堪んないって言うのに…その上…ピースまでとか…反則だろ…!」
和「きゅぅ…ぅぅぅんんっ♪♪♪」

それは引き出したご主人様にとっても計算外のものだったのでしょう。
その声に興奮を混じらわせながら、ご主人様は再び和の腰をガシっと掴みました。
そのまま乱暴に和を犯すピストンには、最早、躊躇はありません。
まるで今すぐ淫らなメス犬に種付けしたくて堪らないと言うような大きなストロークを見せるのです。

和「入り口までジュプジュプしゃれへぇっ♪♪奥まれ一気に…ぃぃっ♥♥オチンポしゅごいぃいっ♪♪生ハメピストン気持ち良ひぃぃっ♪♪♪」

入り口から奥まで余すところなくゴリゴリと削るご主人様のオチンポ。
それに中腹までのピストンでアレだけイきまくっていた和が耐えられるはずがありません。
文字通りイき狂うような声をあげ、その腰をビクビクと跳ねさせるのです。
しかし、片手ながらもガッチリと掴んだご主人様の手が決して逃げるのを許しません。
快楽で暴れるような和の中をジュプジュプとレイプし続けてくれるのです。

和「このまま射精しへくだしゃいぃっ♪♪生ハメセックスで…和に種付けしれ欲しいんれす…ぅぅ♥♥」

そんなご主人様に応えるように和の足が、ご主人様の腰へとそっと回りました。
そのままぎゅっと挟み込むそれは愛しいオスを逃がすまいとするメスの拘束です。
子宮まで屈服させられたメス独特のその仕草にご主人様も興奮してくださったのでしょう。
ガンガンと和の奥を突くオチンポがビクビクと震え、ご主人様がグッと歯を噛み締めるのが分かりました。


和「アクメマンコ待ってましゅからぁっ♥♥ご主人様にトロトロにされたオマンコぉっ♪♪子宮まで開発されたメスマンコじゅっとザーメン待ってまりゅんですううぅぅ♥♥」

こんなに激しく和をレイプして…今にも射精しそうなくらいビクビクと震えているのに、快楽を堪えようとするご主人様の姿。
それはきっとご主人様なりの意地が現れた結果なのでしょう。
意地っ張りなご主人様にとって、言われるがままに射精するだなんてきっと許せる事ではないのですから。
少なくともギリギリまで我慢しなければ、負けた気になってしまうのでしょう。

和「(けれど…そんなの和には関係ありませんよぉっ♥♥)」

そう。
和にとってご主人様のプライドよりも、愛しくて堪らないこの人に気持ちいい射精をしてもらう事の方が大事なのです。
それを妨げるもののであれば、ご主人様の意地だって、邪魔で仕方がありません。
だからこそ、ご主人様が激しく和を犯してくれる中でもさっきのように和の口から淫語が途切れる事はなく、ご主人様の興奮を煽るのです。
勿論、コレ以上無く淫らな肯定であるピースサインを崩さないまま、ご主人様を確かに射精へと追い詰めていくのでした。

京太郎「く…っうぅ…っ!」

そんな和の前でご主人様が微かなうめき声をあげました。
歯の間から漏れだすようなそれは決して大きなものではありません。
しかし、それはあくまでご主人様が必死に抑えたからであり、本来はもっと大きなものだったのでしょう。
だって、和の中で反り返るご主人様のオチンポはビクンと跳ね、その根本から一回り大きくなったのですから。


和「あはぁっ♥♥生チンポ大きくなっふぁ…ぁ♪♪♪」

瞬間、湧き上がる喜悦は今までのものよりも遥かに暖かく、そしてドロリとしたものでした。
何せ、それは今までのような経験から来る推察ではなく、目に見えて射精が間近に迫る事を和に知らせるものだったのですから。
愛しい人が和と同じく快楽の極みに到達しようとしているのを感じて、平静でなんていられるはずがありません。
和の中の陶酔と幸福感は一気に強まり、その口からも幸せそうな声が漏れるのです。

和「射精るんですねぇっ♪♪もうオスチンポからせぇえきビュルビュルしそぉなんれすねぇっ♥♥」
京太郎「あ…ぁ…!射精るぞ…!もう…限界だ…!」

和の声にご主人様も返事を返してくれます。
それは喉から声を漏らすような微かなもので、お互いの息遣いや嬌声で今にもかき消されそうでした。
しかし、その声ははっきりと和の耳に届き、和の脳を甘く揺らしてくれるのです。
もう限界なのか自分を取り繕う事も出来ないその声は、ご主人様の興奮と快楽を和にはっきりと伝えてくれるのですから。
今にも射精しそうなくらい和の身体で愛しい人が昂ぶってくれていると思うと、それだけで愛しさが胸から溢れてしまいそうでした。

和「種付け早くぅぅ…っ♥♥和のしきぅにざぁめん早くぅぅっ♪♪♪子宮一杯孕ませてぇぇ♥♥ご主人様のころも…ちゅくらせて下さいぃぃっ♥♥♥」

勿論、こうしてご主人様と身体を重ねるようになってから避妊にはとても気を遣っています。
どれだけご主人様に愛して貰って、心も身体も支配されていると言っても和たちはまだ高校生になったばかりなのですから。
まだ生まれてくる子どもに対して責任をとれない以上、避妊の準備はしっかりとする必要があるのは和にだって理解出来ていました。。
しかし、そう理解していても…こうして射精される前には…やっぱり思ってしまうのです。
もし、何かの間違いでご主人様の精液で孕めないかと、早く子宮の奥まで征服して欲しいと…そんな思考を脳裏に過ぎらせてしまうのでした。


京太郎「和…っ!和…ぁぁ!」
和「ひぅぅん゛ん゛んっ♪♪♪」

瞬間、ご主人様の腰の動きはさらに一段、強くなりました。
片手ではもう衝撃を殺しきれないくらい乱暴なその抽送は射精する為だけのものでしょう。
本能が命ずるままに激しく動くその腰に和の身体はガクガクと揺さぶられました。
頭の奥まで衝撃が伝わってくるような激しいピストンに和はもう全身でイき続け、淫らな鳴き声をあげ続けます。

和「(あぁ…♪♪和の顔…あんなに蕩けて…ぇっ♥♥)」

ご主人様のピストンで激しく揺れるのは別に和の身体だけではありません。
その手に持ったカメラのモニターもまたガクガクと揺れるのです。
ただでさえ白く弾け、涙を滲ませる和の瞳はそこに映っている自身の姿を捉えきる事は出来ないでしょう。
しかし、そこに映る断片からでも…和には十二分に分かってしまうのです。
ご主人様の射精を前にして、どれだけエッチで幸せそうな顔をしているかが…自分で自覚出来てしまうのでした。

京太郎「ぐ…ぅぅ…う!」

そんな和にご主人様も興奮したのでしょう。
その口からケダモノのような唸り声を漏らしながら、ぐっと歯を噛み締めました。
犬歯をむき出しにするその表情は、見上げる和に迫力すら感じさせる凄まじいものです。
そしてご主人様はその迫力に相応しい勢いで和からオチンポを引き抜くのでした。


和「ひぐ…ぅぅぅぅう゛っ♥♥」

ヂュルルルルとまるでバキュームフェラをしているような淫らな音。
それに負けないくらいエッチな嬌声をあげる和の中でご主人様のオチンポが肉襞をゴリゴリと引っ掻いていくのです。
張り出したカリ首をこれでもかとばかりに活かしたその動きに和は何度もイかされ、腰をビクンと跳ねさせてしまいました。
そんな腰を万力のような強い力で押さえ込みながら、そのカリ首まで和の中から引き出されるのです。

和「あ゛あ゛ぁあぁぁあああああぁぁぁぁっ♪♪♪」

そして、次の瞬間、それは和の中に再び埋め込まれていくのです。
まるでギリギリまで引き絞られた弓矢のような激しい勢いで…和の奥を貫くのでした。
さっきまでのピストンとは比べ物にならないそれにオマンコがブルブルと震えながら、幾度となくイってしまいます。
そんな和の奥をビキビキに張った亀頭が叩いた瞬間、子宮口に熱い奔流が流れこんできました。

和「う…゛ひゅぅぅ…ぅぅうう゛っ♥♥♥」

それを和が見間違うはずがありません。
ご主人様のザー汁が欲しくてポテポテに張った子宮口が溶けてしまいそうなほどの熱い粘液は間違いなく和が待ち望んだ精液です。
そう思った瞬間、和の胸で甘い波が湧き上がり、和の全身に広がって行きました。
まるで陶酔と多幸感をこれでもかと煮詰めたようなその感覚に和の全身は耐え切れず…くたりと脱力していくのです。


和「射精て…ふゅぅ…♥♥ご主人しゃまに…種付け…ぇぇ…♥♥♥」

頑張って維持していたピースサインも崩し、ご主人様の腰に回した足も今にも解けてしまいそうな和。
そんな和をがっちりと掴みながら、ご主人様はたっぷりと濃厚な精液を吐き出し続けてくれるのです。
密着した腰をブルブルと震わせながらのそれはとても気持ち良さそうで…種付けされる和も嬉しくて仕方がありません。
けれど、そうやって和に射精してくれる愛しい人の顔は見る事が出来ません。
まるで子宮に放たれる精液がそのまま瞳を覆うように視界が白く濁り、和はもう何も見えなくなっていたのですから。

和「めしゅの一番…大事でエッチなところにぃ…♪♪どぴゅどぴゅ…射精て…る…ぅぅん…♥♥♥」

しかし、そうやって何も見えないからこそ、きっと和はオマンコの滾りを強く感じる事が出来るのでしょう。
実際、和はこうしている間にも一番、敏感な部分に精液を叩きつけられ、何度も何度もイッていました。
途切れる間すらなく吐き出される精液に合わせるようにして和はずっとイき続けて意識が降りて来られません。
その全身にもビリビリと激しい快楽が駆け抜け、被虐感すら感じるくらいです。

和「のろかは…エッチなママになりましゅぅ…♥♥ご主人しゃまに種付けされへ…奴隷ママになりゅぅ…んん…♥♥♥」

けれど、和はそれが堪らなく幸せでした。
頭がおかしくなりそうなくらい気持ち良くて、被虐感を刺激されるほどイきまくっていても、和の一番はやっぱり多幸感だったのです。
それは和がご主人様の事を心から愛し、種付けセックスを悦んでいるからなのでしょう。
身体だけではなく心までイってしまうセックスなんて、そうでなければ決して出来るものではないのですから。


和「あ゛…ぁ…♥♥はぁ……ぅぅ…ぅう…ん…♥♥♥」

とは言え、その多幸感が和にとって素晴らしいものばかりをくれるかと言えば決してそうではありませんでした。
あまりにも気持ち良すぎて身体が蕩けた和のオマンコはもう制御のきかないものだったのですから。
和が気づいた時にはもうチョロチョロと何かが漏れだし、密着するご主人様に振りかかっていたのです。
それを抑えようと下半身にグッと力を込めようとしますが、蕩けきった身体はまったく言う事を聞いてくれません。
まるで意識の声よりも快楽の方が重要だとばかりに甘い媚毒を貪り、陶酔に浸り続けるのです。

和「まら射精てる…ぅぅ…♪♪ご主人様の精液…どぴゅどぴゅ…来てしきぅこー溺れりゅ…ぅ…♥♥♥」

そうしている間にもご主人様の射精は止まりません。
まるでこの射精で絶対に孕ませてやるというように和の中へと精液を注ぎこんでくれるのです。
しかし、一度、射精しているとは言え、その濃度はドロドロで肉壁にどうしても張り付くのでした。
結果、子宮口の奥で精液が詰まり、そこから粘液が逆流してしまうのです。
愛液よりも熱くてそしてドロドロの粘液にオマンコの最奥が満たされる感覚に和は声をあげながら悦びました。

京太郎「はぁ…!はぁ…!」
和「はふ…ぅぅ…♪♪♪は…ひあぁ…ぁ…♪♪」

しかし、ご主人様がそうやって大きく息を吐いた頃には射精の勢いも弱まっていました。
それが好機だとばかりにジュルジュルと精液を吸い上げる和の子宮口が、ご主人様の亀頭を甘く刺激します。
それに合わせて肉襞もギチュギチュと音を立てそうなほど強く絡みつきますが、ご主人様の射精は元の勢いを取り戻しません。
それにほんの少しの不満を覚えながら、和は荒く息を吐きながら、胸を激しく上下させました。


和「ひぃぃぃんんっ♪♪♪」

そんな和のおっぱいをご主人様はぐっと鷲掴みにしました。
今までずっと放置されていた場所への刺激に和は悲鳴のような声をあげてしまいます。
けれど、ご主人様はそんな和に一切、容赦しません。
まるでそれが本当は悦んでいるのだと分かっているようにグニグニと和の乳肉を弄び、乳腺を歪めてくるのです。

京太郎「今度は…俺目線じゃなく…枕元から撮ろうか」

そう言いながら、ご主人様はそっとベッドの枕元へとカメラを置くのが少しずつ晴れてきた視界でも分かりました。
それは勿論、まだまだご主人様が和の事を犯すつもりだからでしょう。
実際、二度も射精したというのにご主人様のオチンポはまだまだ硬く、和の中で滾っていました。
いえ、それどころか、まるでこんなの序の口だと言わんばかりに大きくなっているようにも思えるのです。

京太郎「それに…今日は色々と道具も持ってきたしさ。それを味わってもらわないと勿体無い」
和「あ…あ゛ぁぁ…っ♥♥♥」

そんな和に魅せつけるようにご主人様はバッグから道具を取り出しました。
所謂、オトナのオモチャと呼ばれるそれらに和は思わず声を漏らしてしまいます。
度重なるアクメの所為で微かに掠れたそれは、しかし、絶望によるものではありません。
寧ろ、それらを使ってご主人様に責め立てられた時、自分がどれだけおかしくなってしまうかを想像して…期待に胸を震わせていたのです。


和「オチンポらけで…こんなになりゅのに…♪♪オモチャまれ使われたら…ぁわらひ…ほんろーに…おかひくなりまふ…ぅぅ…♥♥♥」

しかし、それでもそうやって拒絶するような言葉を放つのはその方がご主人様も悦んでくれると知っているからです。
より嗜虐心を滾らせて…和の事を屈服させようと激しく責め立ててくれると理解しているからでした。
勿論、和が内心、それを望んでいる事をご主人様も分かってくれているのでしょう。
しかし、それでも愛しい人は和をニヤリと見下ろしながら、桃色のバイブのスイッチを入れるのでした。

京太郎「仕方ない。それじゃこれは小蒔に使うか」
和「ふぇ…ぇ…ぇ…♪♪」

その気持ち良さを和に教えるようにバストへグリグリと押し付けながら、ご主人様は冷たくそう言い放ちます。
しかし、その言葉は和にとって予想外もいい所でした。
意地悪に責め立てて貰える事を期待していたとは言え、こんな方向なんてまったく考えていなかったのです。
未だ細かいオルガズムを刻み、快楽に緩みっぱなしの頭は予想外の展開に理解を追いつかせる事が出来ず、間抜けな声を返しました。

京太郎「元々、これは小蒔の為に買ったもんだし、流石に和に使うのは失礼だもんな」
和「っ♥♥ら、らめ…れすぅうっ♪♪♪」

しかし、それでも和はその言葉を聞いた瞬間、我慢出来なくなってしまいました。
どれだけ訳が分からなくても、それだけは決して看過出来るものではなかったのです。
それは勿論、和が一番、ご主人様に愛してもらっているという自負があるからでしょう。
和が一番なはずなのに…除け者にされるだなんて許せるはずがありません。
ましてや、神代さんの為に買ったと聞いて我慢など出来るはずもなく、反射的にそう否定の言葉を口走るのです。


和「和に…ぃ♪♪ののかに…使ってくらさいぃ…♥♥ご主人様のエッチなオモチャで…和を虐めてぇ…♥♥♥」
京太郎「でも、おかしくなりたくないんだろ?」

そんな和を意地悪く見下ろすご主人様にはきっと全部、分かっているのでしょう。
和がどうしてあんな風に言ったのかも、全部、理解してくれているのです。
だからこそ、紡げるその意地悪な問いに和の背筋はブルブルと震えました。
快楽の濁りが張り付くようなそこに被虐感が駆け抜ける感覚はとても気持ち良く…そして心地の良いものです。

和「ごめんなしゃい…んっ♪♪和はうしょ吐きましたぁ…♥♥ほんろぉは…期待してらんです…っ♪♪オモチャみた時からずっと期待しれドキドキしてまひたぁ…♥♥オモチャでおかしくしゃれるの…ドキドキしてらんれふぅ…♥♥♥」

その感覚に背を押されるようにして、和の口からは淫らな告白が飛び出します。
甘い欲情でたっぷりとコーティングされたそれにご主人様のオチンポもピクピクと反応してくれました。
まるで正直な和にご褒美をあげたいと言わんばかりのその反応に、和の子宮はドロドロの愛液を滴らせてしまいます。
それに和が甘い吐息を漏らした瞬間、ご主人様は和の乳首をキュっと摘むのでした。

和「きゃぅぅんっ♪♪♪」
京太郎「そこまで言った以上…覚悟しろよ。手加減なんてしないからな」

冷たくそう言い放ちながら、ご主人様は和にオモチャを取り付けていきます。
乳首やクリトリスにたまご型のローターを、目元にはアイマスクを着けられるそれを和はドキドキしながら受け入れていました。
たった今、おかしくなりそうなほどイかされたのに、さらにオモチャ着きで続行だなんて…正直、怖くないとは言えません。
今までオモチャなんてろくに使われた事がない以上、一体、どれだけ昂ぶるのかまったく未知の領域なのですから。
しかし、それでも抵抗する気になれないのは和が本能を目覚めさせるまで欲情しているから…だけではないのでしょう。
幾ら壊れても、おかしくなっても、ご主人様はきっと和のことを愛してくれる。
そう信じているからこそ、和は期待に胸を疼かせ、オマンコでご主人様のオチンポをキュンキュンとむしゃぶりついてしまうのです。

和「あはぁ…♥♥ご主人様…わらひ…幸せれす…ぅ♪♪」
京太郎「じゃあ、もっと幸せにしてやるよ」
和「んひぃい゛いぃぃぃいっ♪♪♪

瞬間、動き出すローターに和の口から悲鳴のような声が漏れました。
ようやく絶頂の波が落ち着き始めた身体を再び強いアクメへと蹴落とすようなその振動に和の頭がまた真っ白に染まっていくのです。
そんな和のオマンコをグチュグチュとかき回しながら、ご主人様がとてもエッチな言葉を和に向けてくれました。
けれど、それに自分がどんな風に答えたかすら、和には分からず… ――




―― そしてその日もまた失神するまでご主人様に調教され、その経過を余す所なく録画されてしまったのでした。








………



……









和「(暖かい…♥♥♥)」

意識がゆっくりと浮上する和が最初に覚えたのは、身体の暖かさでした。
まるでぬるま湯に使っているようなその温かさはとても心地良く、つい何もかもを委ねたくなってしまいそうになります。
しかし、それは和の一方面から与えられるものでしかなく、和の全身を包み込んではくれません。
それに不満を覚えた和がそれをもっと強く感じようと身体を動かそうとしますが、それはあまり芳しいものではありませんでした。

和「(神経が…ピリピリして…凄い…身体が気怠くて…)」

まるでマラソンの後のように反応が鈍く、鉛を着けているかのように重いのです。
けれど、それは乳酸が溜まっている感覚とは少し違いました。
そういった直接的な疲労ではなく、もっとこう精神的にというか神経的な疲労なのです。
まるでついさっきまで思考以上に激しい何かに従い続けて、精魂尽き果てたようなそれは…和にとって始めてのものではありません。
いえ、寧ろ、それはまるで眠気に支配されたような胡乱な頭の中でも真っ先に出てくるくらいに身近なものだったのです。

和「(あぁ…♥そうだ…和は…ぁ♪♪)」

アレから訳が分からなくなるまで責め立てられ、二度も気絶した和。
絶頂の最中で意識を失い、再びオルガズムで意識を強引に覚醒させるのを繰り返したところまでは何とか覚えていました。
けれど、そこから先の記憶が無いという事は…恐らく三度目の失神で和はもう完全に壊れてしまったのでしょう。
頭の中を快楽で一杯にして…記憶を失うくらいにおかしくなっていたのでした。


和「(ご主人様…ぁ♥♥)」

そして、そうやっておかしくなった和を温めてくれるこの優しい熱は、きっとご主人様のものなのでしょう。
少しずつ浮上する意識が身体から受け取る感覚も、それを肯定していました。
引き締まった筋肉が齎す独特の硬さも、ゴツゴツとした感覚も、とても慣れ親しんだものなのですから。
和が失神する度に寄り添ってくれるそれらを、今更、間違うはずがありません。

和「(大好き…♥♥大好きぃぃ…♥♥)」

それを…好きだと言った事は今まで殆どありませんでした。
本当はそうやって和が起きるまで優しく寄り添ってくれるのが…愛しくて嬉しくて堪らなかったのに和は素直になれなかったのです。
それは…勿論、そうやって認めてしまったら、和がご主人様の事を心から愛している事まで目を向けざるを得なかったからでしょう。
ゆーきや咲さん、そして神代さんとの友情の板挟みになっていた和にとって、それは拒まなければいけないものだったのです。

和「(だからこそ…和はこれを感じた瞬間に…意識を切り替えようって…努力してきました…♥)」

愛玩奴隷としてご主人様に愛されていたメス犬ではなく、一個人として人権と意思を持つ『原村和』に戻ろうとしていたのです。
拒まなければいけないものを拒む為に、和は理性ある一人の女性として立ち上がろうとしていたのでした。
けれど、それはご主人様に調教されればされるほど…どんどんと先延ばしになるようになっていたのです。
まるで…その甘美さを知れば知るほど堕ちていくかのように…和は『原村和』に戻りにくくなっていました。


和「(そして…今は…ぁ…♥♥)」

自分の中の感情を和は未だ完全に肯定する事は出来ません。
ゆーきも咲さんも少しずつ吹っ切れ始めたとは言え…和は彼女たちに何も伝えていないのですから。
ろくに向き合う事もせず、ただ、流され続けるままの自分を肯定する事なんて出来るはずがありません。
しかし…そうやって流された結果でも…和は一つ…行き着く事が出来たのです。
ご主人様の事を絶対に譲りたくないって…一番であり続けたいって…淫らで独善的な答えに。
そんな和にとって最早、『原村和』はさほど重要なものではなく、それよりも甘美な陶酔の方がよほど大事なものでした。

和「(また…ご主人様に任せっきり…ぃ…♪)」

そんな和にとっての懸念はアレからの後始末をご主人様に任せっきりだった事です。
幾度となく失禁し、潮を吹き、涙とヨダレをまき散らした和。
さ、流石に大きい方までは漏らしていないと思いますが、その後処理は決して楽な作業ではなかったでしょう。
最早、恒例となっているとは言え…またご主人様一人に任せっきりな和に呆れたりしていないだろうか。
そんな風に思うと…なんとなくもの寂しくて、身体は優しい熱を求めるようにご主人様へと絡みつくのです。

和「ふぁ…あぁぁ…♥♥」

瞬間、それに応えるように和の頭を硬い手が撫でてくれました。
ちょっぴり角ばったそれは優しくも暖かな手つきで何度も和の髪を往復します。
まるで子どもをあやすようなそれには一片の敵意どころか呆れも見当たりません。
寧ろ、そこには目を閉じたままの和でもはっきりと分かるほどの愛しさが込められていたのです


和「(幸せ…ぇ…♥♥和…とっても幸せです…ぅ♥♥♥)」

それはセックスの最中のように激しいものではありません。
和が記憶を失ってからどれだけ経っているのかは分かりませんが、最早、オルガズムの残滓は和の中には残っていなかったのですから。
しかし、それが和にとって物足りないかと言えば、決してそんな事はないのです。
激しい快楽がない分、はっきりと感じられる多幸感に和の意識は喜び、甘く蕩けていました。

和「(このまま…また眠ってしまいそうなくらい…♥♥)」

まるで両親の傍に居ればそれで安心だと…そう心から思える小さな子どもに魂までもが戻ってしまったような心地良さと安堵感。
それに和は胸中でうっとりとした言葉を浮かばせながらも、それを否定しました。
勿論、気怠い身体は休息を求めていますし、意識だってまだまだはっきりとはしません。
しかし、それでもこうして和の事を受け止めてくれる愛しい人の事を、そのままには出来ません。

和「ご主人…しゃま…ぁ…♥♥」
京太郎「ん…起きたか?」

そう自分に言い聞かせながら、ゆっくりと瞼を開く和の声は舌足らずで甘えるようなものになっていました。
それは決して和が意図したからではなく、まだ身体があまり言う事を聞いてくれないからです。
特にさっきまで嬌声を漏らしていたであろう和の舌の感覚は胡乱で、未だにはっきりとはしません。
そんな場所を無理矢理、動かして言葉を紡いだのですから、そうやって舌足らずになるのも致し方ないことでしょう。
…まぁ、和自身がご主人様に甘えたがっているという事も無関係ではないかもしれませんが、決してそれだけではないのです。


京太郎「でも、疲れてるだろ?今日は傍にいてやるから…ゆっくり休んどけ」
和「はふぅ…ん…♥♥」

そう言うご主人様は裸で腕枕をしながら、横向きで和の顔を覗き込んでくれていました。
そのまま優しく和の背中を撫でてくれるその仕草に和は思わず甘い声をあげてしまいます。
まるでオスを誘うメスのようなそれにご主人様の身体が微かに強張るのが分かりました。
それはきっと火が点いてしまいそうな自分の欲情を抑える為だったのでしょう。
一体、どれほどご主人様が射精してくださったのかは分かりませんが、愛しいこの人はまだまだ満足してはいないのです。

和「ご主人様…はぁ…ぁ♥♥」
京太郎「流石に泊まりはやばいから、和が休んだのを確認してから帰るよ」

しかし、それでもご主人様は和を襲うつもりはないのでしょう。
疲れた和を労うようにそう言いながら、優しく微笑んでくれました。
それそのものは嬉しくて堪りませんが…さりとて、それを和が許容出来るかと言えば微妙なところです。
ご主人様が満足していないのに一人だけ満足するだなんて奴隷の風上にも置けないような行為なのですから。

和「(それに…ここで帰してしまったら…また神代さんと…)」

もしかしたら…和に飽きて帰ってから神代さんとセックスするつもりなのかもしれない。
そう思うと和はどうしてもご主人様を帰したくなくなります。
勿論、ご主人様がそんなに不誠実な人ではないと思っていますが、やっぱり不安なのは否定出来ません。
実際にご主人様の事を満足させられなかったのは事実なのですから…それはどうしても和の目にあり得る未来だと映るのです。


和「あの…ぉ…♪♪」
京太郎「うん?どうした?」

そんな和が選んだのは、どうしようもないくらい愚かな遅延作戦でした。
所謂、時間稼ぎを選択したところで…ご主人様が帰らなければいけないのは変わりません。
そもそも…そうやって口を開く和の頭は朧気なままで、何ははっきりとした話題があった訳ではないのですから。
しかし、それでも…それでも和はご主人様を容易く帰す事は出来ず、「あの…その…」と言った無意味な言葉を紡ぐのでした。

京太郎「大丈夫だから落ち着いて話せよ。俺は何処にも行かないからさ」
和「あ…ぁ…♥♥」

それにご主人様は焦っていると勘違いしたのでしょう。
優しく和の背中を撫でながら、そう言ってくれました。
エッチの最中からは想像も出来ないくらい暖かなその言葉に和は思わず声を震わせてしまいます。
陶酔を強く浮かべるその声は、まるでセックスしているかのように淫らなものでした。
それに和は一つ、ご主人様に聞きたい事を思いつき、そっと唇を開くのです。

和「ご主人様…和は…どうでした…?」
京太郎「エロくて気持ち良かったよ。和みたいな奴隷が傍に居てくれて俺は幸せもんだ」

そう言って和に微笑みかけてくれるご主人様の言葉には嘘は見当たりません。
ご主人様は間違いなく本心から和にそう言ってくれているのです。
それに和は…思わず感謝の言葉を紡いでしまいたくなりました。
有難うって…和の方こそご主人様に仕えられて幸せですって…そう言いたくなったのです。
けれど、それを口にしてしまったら、和が聞きたい事からは少しばかりズレてしまうでしょう。
朧気な思考でもそれを理解する和が自らの言葉にストップを掛け、ご主人様をじっと見つめました。


和「神代さんよりも…?」
京太郎「それは…」

虚偽を見抜こうとする和の視線に、ご主人様は逡巡を返しました。
その迷うような仕草に、和の胸の奥がカァァと熱くなってしまいます。
だって…それは和が一番ではないって言う事なのですから。
ご主人様は和を誰よりも愛してくれているはずなのに…少なくとも即答出来るほど飛び抜けている訳じゃない。
それに和は神代さんに対する抑えきれない嫉妬を抱えてしまいます。

和「(和に…何が足りないんでしょう…?)」

お互いに愛し愛されていれば、それだけでセックスは素晴らしいものになるのです。
どんな行為よりも甘くて、幸せで…そして気持ちの良い…最高の交歓になるのですから。
少なくとも和がご主人様に愛して貰う時は…他の何かとは比べ物にならないほど甘い心地良さの中へと引きずり降ろされるのでした。
けれど、のっぴきならない事情によって、他の女性とも身体を重ねるご主人様にとってはそうではありません。
それはきっと…ご主人様が悪いのではなく、和に何か至らぬ点があるからなのでしょう。

和「(やっぱり…和は…)」

きっと…和に足りないのは覚悟なのです。
今までなあなあで…逃げ続けていたが故に、和は覚悟という面で神代さんに劣っているのですから。
和がもし、神代さんと同じ立場であれば、長野にまで追いかけたり出来ませんし、人目も憚らず、ご主人様に甘える事も出来ないでしょう。
勿論、それが良いと言う訳ではありませんが、しかし、神代さんはそれを決して厭わないくらいご主人様に全てを捧げる覚悟を固めているのです。


京太郎「和が一番…」
和「いえ…良いん…です」

ご主人様の言葉に…和はそっと首を振るいながら答えました。
一体、ご主人様が何を言いたいのかは分かりませんが…それはきっと偽りの言葉なのですから。
無理に紡ぐようなその顔を見れば…わざわざ中身まで聞かなくても分かります。
けれど、それもまたご主人様の優しさなのですから、失望したりはしません。
悪いのは…そうやってご主人様に逡巡させるほどライバルに劣っている和なのです。

和「(考えても見れば…未来を捧げるなんて…神代さんはもうとっくの昔にやっているんですよね…)」

思いついた時は…なんてエッチで素晴らしい響きなのだと…和はそう思いました。
しかし、そうやってご主人様に未来を捧げるのは、既にもう神代さんがやっているのです。
長野にまでご主人様の事を追いかけている今、進路選択にも多大な影響を及ぼしているのですから。
きっと主人様に出会う前と今では人生設計だって大きく変わっている事でしょう。
それが良い方にか悪い方にかは分かりませんが、最近の幸せそうな神代さんの姿を見ると…ほんの少しばかり嫉妬を覚えました。

和「(ですから…和は『その先』にいかないといけません…)」

そんな和には…『その先』についての考えがありました。
今までずっと逃げ続けてきたものに立ち向かえば、きっと和も神代さんに並び立てる事でしょう。
しかし、そうするのは決して容易い事ではなく…事ここに至っても肌がブルブルと震えてしまいます。
もし、失敗した時には、和はとても大事なものを二つ取りこぼしてしまうのですから…それも当然でしょう。


和「ご主人様は…あの…和の事…愛してくれています…よね…?」
京太郎「あぁ。誰よりも和の事を愛してる」
和「ふきゅぅ…♥♥」

それに立ち向かう勇気が欲しい。
そう思った和が尋ねるのはご主人様の気持ちでした。
まるでご主人様が傍に居てくれればそれだけで安心出来ると言うようなそれに愛しい人は最高の言葉で応えてくれるのです。
さっきのように虚偽混じりのものではなく本心から紡がれるそれに、ついつい和がお腹の奥を蕩けさせてしまうほどに。

和「和も…ご主人様の事を愛しています…♥だから…ほんの少しだけ…我侭を許してもらって…良いですか…?」
京太郎「ん…?」

それを抑えながらの言葉にご主人様は小さく首を傾げました。
普段、我侭なんて滅多に言わない和の言葉を不思議がっているのでしょう。
しかし、和にとって…それは最大級の我侭なのです。
下手をすれば…ご主人様にとってもトラブルに繋がりかねないほどの…大きな大きな自己満足なのですから。

和「和…ゆーきと咲さんに…ちゃんと言います。ご主人様の事が好きだって…愛しているんだって…」
京太郎「それは…」

和の言葉にご主人様が言葉を詰まらせるのも無理は無い事でしょう。
ご主人様が二人にどんな説明の仕方をしているのかは分かりませんが、二人は能力の事なんて何も知らないのですから。
その上、神代さんという表向きの婚約者もいる事になっているのですから、和が告白しても困惑するだけでしょう。
けれど、和はそうやって理由をつけて、ずっと逃げ続けてきたのです。
もしかしたら和よりもずっとずっと先に…ご主人様に恋焦がれていたかもしれない二人に…不義理を続けているのでした。


京太郎「…本当に良いのか?俺なんかの事を好きなんて言ったら…色々と心配されると思うぞ」

そう心配そうに言うご主人様は、きっと二人の好意になんて気づいてはいないのでしょう。
ご主人様にとって見えているのは、『婚約者がいる男性の事を好きだと友人たちに告白する』という事だけなのです。
だからこそ紡がれたであろうその言葉を、和は一々、訂正するつもりはありませんでした。
二人の気持ちをはっきりと聞いた訳ではない和には分かりませんし、分かっていたとしてもそれらを代弁するほど偉くもないのです。
いえ…もしかしたら…内心、新しいライバルが出来る事を、和は恐れていただけなのかもしれません。

和「えぇ。でも…大丈夫です」

しかし、それでも和はその声を震わせる事はありませんでした。
はっきりとご主人様に向かって…頷きながら伝える事が出来たのです。
まるで決意表明のようなそれに和は本格的に胸の中で覚悟が固まっていくのが分かりました。
勿論、二人に嫌われたり呆れられるのではないかという恐怖はまだ和の中に残っています。
ご主人様という例外を除けば、二人は和の中で最も大事な人達であるのですから。

和「でも…もし、和が二人とギクシャクしてしまったら…慰めてくれますか?」
京太郎「ん…?まぁ…それくらいなら寧ろ、俺からお願いしたいくらいだけど…」

そんな二人を失う事になるかもいれないという未来に恐れを感じる和が漏らした弱音。
その真意にご主人様はまったく気づいてはいません。
普段は気遣いも出来て、和の事も優しく受け止めてくれるのに、この人は変なところで鈍いのですから。
しかし、和にとってはそんな姿もまた可愛らしく映り…ついつい笑みを浮かべてしまうのです。


和「…エッチな意味じゃありませんよ?」
京太郎「わ、分かってるって!それくらい空気読めてるから!」

和の言葉にご主人様は顔を赤く染めながら、強く答えました。
その反応を見る限り…もしかしたらちょっと期待してくれていたのかもしれません。
少なくともまったく期待していなければ、そんな風に強い反応を示す事はないでしょう。
エッチの時からはまったく違うその分かりやすい姿に和は笑みを深めながら、そっとご主人様の胸板に頬を当てました。

和「本当に…?まったく想像していませんでした?」
京太郎「う…いや…それは…」

瞬間、ご主人様の硬くて広い胸板に当てた和の耳にドクンという強い脈動が伝わって来ました。
それに合わせてその身体が熱くなるのは羞恥心か或いは興奮か。
どちらにせよ、和にとってそれが喜ばしい事である事に変わりはありません。
だって…ご主人様のオチンポは和の足の間で少しずつ大きくなってくれているのですから。

和「んふ…♪ご主人様のオチンポは…もうこぉんなになってますよ…ぉ♥」
京太郎「の、和…それ…やばいって…」

そんなオチンポを太ももでスリスリって可愛がってあげれば、ご主人様は小さく肩を震わせながらそう言いました。
きっと今のご主人様は必死に自分の中の欲望を抑えこもうとしてくれているのでしょう。
しかし、和にそんな遠慮は無用です。
和にとって重要なのはご主人様に満足して貰う事と、そして出来るだけご主人様が傍にいてくれるようにする事なのですから。
そもそもさっきの会話だって、ご主人様を引き止める事を目的としたものであり、ご主人様に約束を取り付けたのはあくまで副産物に過ぎません。


和「ほら…聞こえますか…?ニチャニチャって…和ももう…愛液垂れ流しになっちゃってるんです…♥」

そう言う和の股間はもう愛液でネトネトになってしまっていました。
こうしてご主人様と抱き合っているだけで興奮した身体が漏らした体液は既に太ももに染み出すほどになっていたのです。
そんな場所でご主人様のオチンポを扱けば、ニチャニチャとエッチな音が鳴ってしまうのは当然でしょう。
しかし、和はそんな淫らな音に更に興奮を掻き立てられ、子宮からトロトロになるまで熱くなった粘液を漏らしてしまうのです。

和「やらしいですよね…♪エッチですよね…♪だから…お仕置き…してくれませんか…?ご主人様のオチンポで…和の一番、大事な部分まで…また躾けて欲しいんです…♥」
京太郎「うあ…ぁ」

和の淫らなオネダリに、ご主人様は微かなうめき声をあげました。
それに応えるようにしてオチンポはピクンと跳ね、本格的に勃起を始めます。
きっとさっきの和の言葉で勃起を抑えこむ事が出来なくなってしまったのでしょう。
和の太ももに押し当てられる硬い感覚はぐんぐんと大きくなり、熱い感覚を撒き散らします。

京太郎「失神するまでされたのにまだ満足出来てないのか?」
和「はぅ…んっ♪」

しかし、それは和の事をとても気持ち良くしてくれるだけのものではありません。
それはご主人様の中でタガが一つ外れた事を意味するものでもあるのです。
ご主人様のゴツゴツとした男らしい手は和の背中から前面へと回り、和の胸をガシっと鷲掴みにしました。
手のひらで乳首を抑えこむようなそれはとても乱暴で、まったく遠慮がありません。
しかし、どれだけ乱暴であろうとそれがご主人様によるものであれば、和の身体は容易く悦び、乳首をムクムクと立たせてしまうのです。


和「だって…ご主人様が…まだ満足していないから…ぁ♥」
京太郎「言い訳すんなって言ってるだろ」
和「はひぃ…っ♪♪」

瞬間、ご主人様は和の乳首をキュっと摘み、そのままクリクリと指の間で転がします。
乳房全体ではなく、弱点である乳首だけを重点的に責めるそれに和は思わず声をあげてしまいました。
そんな和の前でご主人様はその顔に嗜虐性を浮かばせ始めます。
優しい『須賀京太郎』から意地悪な『ご主人様』へと変わっていくその様に和は思わず甘い吐息を漏らし、肩を震わせるのでした。

京太郎「本当は和の方がしたかったんだろ?正直に言えば…可愛がってやるよ」
和「そ…れは…ぁ♥」

嗜虐的なご主人様の言葉に、拒否権はありませんでした。
だって…それは決して間違いではなかったのですから。
どれだけ言い訳を並べても…和自身もまたセックスを望んでいたのです。
その上…正直になれば可愛がって貰えると聞いて、歯止めが掛かるほど和は理性的ではありません。
そもそも、そんなものをとっくに投げ捨てたのが今の和であり、愛玩奴隷としてあるべき姿なのですから。

和「はい…ぃ♪本当は…和の方がセックスしたかったんです…っ♥ご主人様に犯して欲しくて…さっきからオマンコビショビショなんですぅ…っ♥♥」
京太郎「はは。そんなに和がセックスしたいなら…時間一杯まで犯し続けてやるよ」

そんな和の口から漏れる言葉に、ご主人様は嗜虐的な笑みを強めます。
その上…そんな風にエッチな事言われたら、もう我慢なんて出来るはずがありません。
子宮をジュンと潤ませた和はご主人様にされるがままにうつ伏せの姿勢にされるのです。
そのままそっとあげた腰の中には未だ倦怠感が幅を利かせていました。
しかし、それでも和はご主人様に魅せつけるようにしっかりと腰をあげ、挿入しやすいように足を広げたのです。


京太郎「あぁ、ちょっと待てよ。面白いもの見せてやるからさ」
和「ぅぅ…ん…っ♪♪」

けれど、ご主人様はそんな和からそっと離れ、パソコンラックへと移動します。
そのままディスプレイの電源を入れたご主人様は何やらそこにコードを繋いで操作していました。
そんなご主人様をベッドに預けた顔で見上げながら、和はふりふりとお尻を揺らします。
早くご主人様に愛して欲しくて、犯して欲しくて堪らないメスの部分を強調するように、お尻をくねらせました。

京太郎「よし。出来た」
『清澄高校一年…原村和です…♥』
和「…ぇ…?」

そう言いながら、ご主人様はそっとパソコンラックから離れました。
瞬間、流れてきた声に視線をそちらへと向ければ、大きな画面に和の顔が映っているのです。
紅潮した頬を隠さず、もじもじと身体を揺らすそれは既に発情し始めているのが分かりました。
実際、抱き寄せるような胸の頂点ではもう桃色の突起が張り出し、太もももテラテラと光り濡れ始めているのが分かります。

京太郎「まだ編集も何もしてないからな。文字通り無編集のノーカット版だぜ」
和「あ…あぁ…ぁ♪♪」

それは…勿論、さっき撮ったばかりの和の動画です。
ご主人様に一杯、エッチな事をされて、イかされ続けてアヘ顔まで晒した和の記録なのです。
そう思うと和の身体がゾクリとし、お腹の奥がキュンと唸りました。
その先を知っているが故のその興奮に身体は一気に熱くなり、今すぐオチンポを突っ込んで欲しくて堪らなくなります。


京太郎「どうせだしこれ流しながらやろうぜ」
和「きゅぅんっ♪♪」

そんな和の顔がディスプレイへと向けやすいように姿勢を調整しながら、ご主人様は和の腰をそっと撫でてくれました。
それだけで興奮しきった和の身体は反応し、奥からトロリと粘っこい粘液を漏らしてしまうのです。
それにご主人様が一体、どんな反応を見せてくれるのかは和には分かりません。
だって…和の視線はもうディスプレイに釘付けになってしまって、後ろを振り返る余裕なんてないのですから。
はぁはぁと荒い吐息を漏らしながら…自分がどれだけ乱れたのかという記録に…目を奪われていたのです。

和「んおぉぉおおっ♪♪♪」

肌に何か硬いものが押し当てられたと思った瞬間、それはグイグイと和の中に入って来ました。
大陰唇すら開く事はないまま強引に犯そうとするそれに和はつい情けない声をあげてしまいます。
けれど、それを挿入した人 ―― ご主人様はそれで手を緩めてくれるような人ではありません。
寧ろ、それに興奮を掻き立てられたのか、最初から激しく腰を振るい、和の奥をガンガンと突いてくれるのです。

京太郎「ほら、和のフェラが始まったぞ。何時もあんな風にくわえ込んでくれてるんだぜ」
和「はぁ…ぁ♪♪んふぉぉ…ぉおおぉ♥♥」

それだけでも気持ち良くって堪らないのに、ご主人様は耳元で和に対して動画の内容を囁いてくるのです。
あの時はこんな風だって、あんな風に思ったと度々、補足するようなそれに和の興奮はもう止まりません。
まるで血が燃料になっているかのように内側がメラメラと燃え、蕩けるような感覚が広がるのです。
今までよりも数段強いそれに和の身体がクラクラとしますが、もう和はディスプレイから目を背ける事は出来ません。

和「(そして…ご主人様から囁きを受ける度に…和はイッてしまって…♥♥)」

胸の奥から湧き上がる興奮の極み。
オマンコで感じるそれよりも心地良さを強めたそれに和の思考はどんどんと流されていくのです。
そんな和に同調するように動画の中の和も蕩け、ご主人様に淫語を放ち始めました。
ご主人様を必死で興奮させようとするそれに…こうして聞いている和もドキドキが止まりません。
結果、和は何時もよりも敏感になり…そして… ――




―― 結局、その日は一時間も経たない内にノックアウトさせられ、またご主人様の手を煩わせてしまうのでした。








………



……








【清澄高校麻雀部室】

―― ガチャリ

和「…あ…」

咲「あ…和ちゃん」

和「え…えっと…こんにちは。ゆーきは…」

咲「まだ来てないみたい。でも…珍しいね。部室でお昼を食べたいだなんて」

和「あ…その…二人に…言わなければいけない事があって…」

咲「…言わなければいけない事?」

和「え、えっと…その…と、とりあえず…ゆーきが来てから…」

咲「…うん。それは良いけど…」チラッ

和「なな…何でしょう…?」カクカク

咲「…ううん。なんでもない」

咲「それより…今日は私がお茶淹れるね」

和「あ…それくらい私が…」

咲「良いから。和ちゃんは座ってて」

咲「(正直…今の和ちゃんギクシャクしっぱなしでお茶なんか任せたら火傷しちゃいそうだし…)」



優希「おまたせだじぇ」

和「あ…」

咲「優希ちゃんも、おかえり」

優希「ただいま。いやぁ、パチンコで思ったより出てなぁ」

咲「はいはい。どうせ学食混んでたんでしょ?」

優希「むぅ…咲ちゃんは相変わらず、付き合いが悪いじぇ」

咲「そう言うのは京ちゃんの担当だから。それより…三人揃ったし、そろそろお弁当広げよう?」

和「そ…そうですね」カクカク

咲「…ねぇ、優希ちゃん」ヒソヒソ

優希「言いたい事はなんとなく分かるけど、私もどうしてなのかは良く分かんない…」ヒソヒソ

咲「そっかぁ…じゃあ…何か言ってくれるのを待つしかないか…」ヒソヒソ

和「…あ…お、お箸忘れました…」

咲「…ほら、部室に割り箸あるから、それを使おう」

和「え、えぇ…ごめんなさい咲さん…」シュン

咲「(…これは重症だなぁ…)」

優希「(かなり深刻な状態だじぇ…)」




咲「……」モグモグ

優希「……」モグモグ

和「……」モグモグ

咲「(…か…会話が出てこない…!)」

優希「(空気が重い…!!)」

咲「(ほ、ほら、優希ちゃん…!何時もみたいに何かお話してよ!!)」チラッ

優希「(咲ちゃんが私の事見てる…こ、これは何か話題を振れという合図…?)」

優希「(で、でも、こんな重苦しい雰囲気を払拭できるようなネタはないじぇ…)」

優希「(だけど…こんな状態じゃ折角のタコスも美味しくないし、何よりギクシャクしてるのどちゃんはあまり見ていたくないじぇ)」

優希「(ここはやはり…話題を振るにしても出来るだけのどちゃんの事を元気づけるような話題を選ぶべき…!!)」

優希「(それでいて…全員が共感出来る話のネタとなれば…やっぱりこれしかないじぇ…!)」

優希「あ、そうそう。さっき京太郎と会ったんだけど」

和「え…?」ピクッ


優希「アイツまた神代さんと二人っきりで昼食食べてたじぇ」

咲「……へぇ、ここ最近、また多くなって来てるよね」ゴゴ

優希「そ、そうそう。まぁ、昔みたいにベッタリって雰囲気じゃないけれど…また増えてきたな」

咲「…どうせ一緒に食べるんなら私達も誘ってくれれば良いのに…」

優希「一応、婚約者だし色々とあるんだと思うじぇ」

優希「それにこの前の里帰りで親と大喧嘩して家出同然に別れたみたいだし…やっぱり寂しいんじゃないかな」

咲「それは…まぁ…分かってる…けど…また前みたいに…京ちゃんだけにベッタリになってないかなって…」

優希「うん…それは確かに私も不安ではあるけれど…」

優希「今はこっちに石戸さんたちもいるし、きっと大丈夫じゃないかな」

咲「そうかなぁ…」

優希「のどちゃんはどう思う?」

和「え……?…あのその…わ、私は…」アセアセ

優希「(あれ…?これ…地雷だった…?)」


和「わ、私は今の神代さんなら京太郎君と一緒でも大丈夫じゃないかと…思いますけれど…」

咲「そ、そう…なんだ」

優希「…のどちゃん大丈夫?」

和「え…?だ、大丈夫に決まってるじゃないですか。何を言っているんです?」

優希「(…自分で京太郎君って言った事にも気づいていない…)」

咲「(これは…本格的に不安になって来たかも…)

和「ほ、ほら、ご飯だってこんなに沢山、食べてるじゃないですか」パクパク

和「これだけ減ってるんですから、私が元気な証拠です」モグモグ

優希「…うん。まぁ…それはそうなんだけど…」

咲「そもそも…和ちゃんってもっとのんびりと食べる人だったような…」

和「き、今日はお腹が減っているんです」

優希「そ、そうなんだ」

咲「お、お腹が減ってるならしょうがないよね」

和「そ、そうです。お腹が減ってるから仕方がありましぇん」

優希「(…噛んだ)」

咲「(…噛んじゃった…)」

和「…」ジワッ

優希「の、のどちゃん大丈夫!?」

咲「ほ、ほら!お水!お水あるから!!」


優希「ふぅ…ご馳走様でした…」

咲「ご馳走様…」

優希「(…結局、殆ど味分かんなかったじぇ…)」

咲「(和ちゃんが普段と違いすぎてそれどころじゃなかった…)」

和「え、えっと…わ、私も…ご馳走様です…」パタン

優希「そ、それで…どうして今日は部室でお昼なんて言ったんだじぇ?」

和「それは…その…」

咲「私達に伝えたい事があるんだって」

優希「え…?もしかして愛の告白?」

和「あっ」カァァ

咲「え…?ほ、ホントに?」

和「あ、いや…ち、違うんです!そ、そうじゃなくって!そ、そうなんだけど、そうじゃなくって!!」アセアセ

和「た、ただ…その…二人に…決意表明と言うか…あの…そ、そういうのを…ですね…」ウツムキ

咲「決意表明?」

和「あ…え…えっと…その……わ、私は…私は…」グッ

和「…す、須賀君の事が…好きれしゅ!」

咲「……」

優希「……」

和「…す、好きです!」ハンナキ

咲「だ、大丈夫だよ!」アセアセ

優希「噛んだけど伝わってるから!だから、泣かなくて良いから!!」アセアセ


咲「…で…それがどうしたの?」

和「…え?」

優希「うん。そんなの傍目から見て丸わかりなんだけど…」

和「……う…嘘でしょう?」

優希「いや…本当に」

咲「和ちゃん分かりやすいんだもん。多分、気づいてないのは神代さんくらいじゃないかな」

優希「いや、咲ちゃんもかなり…」

咲「ナニカナ?」ニコッ

優希「…いや、何でもないじぇ」カクカク

和「そ、そんなに分かりやすかったですか…?」フラァッ

咲「あぁ!和ちゃんが!!」

優希「だ、大丈夫!?」

和「だ、大丈夫です…ちょっと目眩がしただけですから…」



和「それで…えっと…私は…」

咲「京ちゃんの事好きなんだよね?」

和「…は…はい…」カァァ

優希「まぁ…良いんじゃないか。正直、のどちゃんは京太郎には勿体無いと思うけど」

咲「そ、そんな事ないよ。京ちゃんだって…良い所も一杯あるし…まぁ…スケベなところは玉に瑕だけど…」

和「そ、それだけですか?」

優希「それだけって…京太郎のダメな所か?」

和「あ、いえ…そ、そっちじゃなくて…あの…私の事…怒ったり…嫌ったりしないんですか?」

優希「あー…つまりのどちゃんは私達が京太郎の事を好きだって勘違いしてたって事?」

和「う…あ、いや…その…」

優希「……」

優希「大丈夫だじぇ。私は別に京太郎の事なんて何とも思ってないし」

優希「京太郎はただの部活仲間で反応が面白いオモチャみたいなものだから」

優希「のどちゃんが京太郎の事が好きだって言うんなら精一杯、応援するじぇ」


咲「私は…私はちょっと悔しいかな」

和「咲さん…」

咲「私ね。まだ分からないの。京ちゃんの事…そういう風に好きなのか…ただのお友達として好きなのか」

咲「そういう事…決めるのはまだまだ先で良いって…そう思って…ずっと逃げてた」

咲「でも…そうじゃなかったんだって…神代さんが来て…初めて気づいたの」

咲「だけど…私…それでも向き合えなかった」

咲「自分の気持ちをはっきりとさせる事が出来なくって…ずっと逃げ続けてた」

咲「だって…もし、自分が京ちゃんの事、そういう意味で好きなんだって気づいたら…絶対、辛いもん」

咲「私のどんな部分でも…神代さんに勝てないんだから…絶対に失恋するって」

咲「婚約者もいる人の事を好きだって気づいても無意味なんだってそう言い聞かせて…ずっと…目を背けてた」

咲「結局、私はスタートラインに立てなくて…和ちゃんのライバルになる資格もなくて…」

咲「…ただ、神代さんに対して…モヤモヤとし続けてる私には…羨ましいんだ」

咲「そんな風に…自分に向き合える強さを…私は持てなかったから。そんな強さを持った和ちゃんが…羨ましくて…悔しいかな」

和「わ…私は…」


和「私は…そんな風に…羨ましいと言われるような…立派な人じゃありません…」

和「こうして二人に…話をするつもりだって…ほんのすこし前まではなかったんです」

咲「でも…今、和ちゃんはこうして私達に話をしてくれたじゃない」

優希「そうだじぇ。あんなに緊張していたのに…誤魔化さずにちゃんと言ってくれたのは間違いなくのどちゃんなんだから」

和「それだって…須賀君に…背を押されてようやく出来た事で…」

優希「…だったら、それは余計に誇るべき事だじぇ」

和「…え?」

咲「…そうだね。実際…私は京ちゃんにそうやって背中を押して貰えなかったんだもん」

咲「それだけ京ちゃんに気にかけて貰えて…傍に居て貰えるっていうのは…二人の仲が良い証拠だと思うよ」

優希「咲ちゃん…」

咲「だから…そんな風に緊張しないで大丈夫」

咲「私たちはそんな事じゃ和ちゃんの事嫌いになったりしないから…ね?」

和「…ありがとう…ございます…」グスッ



優希「はい。ハンカチ」スッ

和「…ごめんなさい」グシグシ

優希「まぁ、普段からのどちゃんには世話を焼いてもらえてるしな!正直、ちょっと新鮮で楽しんでる私もいる!」

和「た、楽しんでるってそんな…」

咲「んー…私もそうかも」

咲「まさか和ちゃんがこんなポンコツ気味になるなんて想像もしてなかったし」

和「さ、咲さんまで…」

和「それに…私…ポンコツなんかじゃ…ありません」カァァ

咲「緊張して舌噛んだのは?」

和「そ、それは…その…」モジモジ

優希「(咲ちゃん容赦ねぇ…)」

和「そ、それだけ二人が大事だったからです!」

和「べ、別に…私がポンコツとか…そ、そういうのは関係ありません」マッカ

咲「んー…優希ちゃん的にはどう?」

優希「可愛いからオールオッケーだじぇ!」

和「か…可愛いって…嬉しいですけど…な、なんの関係があるんですか…」モジモジ

咲「(可愛い)」

優希「(可愛い)」



優希「あー…こんなに可愛いのどちゃんが京太郎にあんな事やこんな事されるだなんて…」

和「い、いや…でも、一応…合意の上ですし…」カァァ

優希「…今、何か聞き捨てならないセリフがあった気がするじぇ」

咲「…もしかして…和ちゃん…」

和「い、いや、ち、違うんですよ!の、のっぴきならない事情があったと言うか…し、仕方がなかったというか…っ!」

咲「…これは京ちゃんギルティ確定だね」

優希「帰り道でタコス奢らせてやる…!」グッ

咲「私は駅前の喫茶店でパフェ頼んじゃおう」

和「あ、あんまり虐めないであげてくださいね…?そもそも…私が勝手にす…す…好き…になっただけですし…」モジモジ

咲「いや、別に和ちゃんは悪くないよ」

優希「そうそう。悪いのは女たらしの京太郎だじぇ」

咲「神代さんって婚約者がいるのに、和ちゃんまで手を出すなんて…最低だよっ」

優希「今の私たちは正義の代行者であり、京太郎に何をしても許されるじぇ」

咲「まぁ、それはあくまで京ちゃんに対してのものであって…」

優希「詳しい事情はのどちゃんからも聞きたいけどな!つーか、聞かせるまで帰さん!!」

和「あうぅ…」


咲「その辺りは長くなりそうだし、とりあえず部活が終わった後にでもするとして…」

優希「…うん。のどちゃんは可愛いし完璧だけど…でも、神代さんもかなりの強敵だからなぁ…」

咲「お嬢様属性がなくなったとは言え、あのおっとりした性格は手強いよ!」

和「ぞ、属性…?」

優希「大した意味は無いから気にしない方が良いじぇ」

咲「それにのどちゃんと胸のサイズはそう変わらないし…それなのにところ構わず京ちゃんに甘えるし…」

優希「お陰で一時期、京太郎のこと独占状態だったからなぁ…」

咲「だから、和ちゃんももっとガンガン行かないとダメだよ!」

咲「神代さんに負けないくらい思いっきりアピールしないと!!」

和「あ、アピールって…」カァァ

優希「私も…咲ちゃんに同意…かな」

優希「ただでさえ婚約者っていうアドバンテージがあるのに、手をこまねいてたら何も出来ないじぇ」

優希「今みたいに一歩引いてたら、そのまま持っていかれてもおかしくないと思う」

優希「ただ、神代さんと同じようなやり方じゃ相手に有利過ぎるし…お弁当作ってきたり、マッサージしてあげたり良妻方向のアピールが良いんじゃないかなぁ…」

和「良妻方向…ですか…」ムゥ

咲「…って言うか、優希ちゃんかなり指示が的確だよね」

優希「のどちゃんは私の嫁だからな!どんなキャラかは大体、把握してるじぇ!」


咲「よし。私、これから優希ちゃんと作戦会議する」

和「さ、作戦って…何をですか?」

優希「勿論、のどちゃんが神代さんから京太郎を略奪ラブする為のものだじぇ」

和「別に…略奪ラブ…って訳じゃ…京太郎君も…わ、私のことが一番だって…」ボソボソ

咲「そんな訳だから、悪いけど、和ちゃんは先に帰ってて」

優希「こっからは部外者厳禁の作戦司令本部の時間だじぇ」

和「私…当事者なんですけど…」

咲「当事者だからこそだよ!」

優希「先に聞かれてたら面白く無いしな!」

和「面白いってなんですか…」

咲「まぁ…私たちは和ちゃんの力になりたいって思っているのは本当だよ」

咲「だから、少しだけ任せてくれないかな?」

和「…分かりました。では…先に戻っていますね」

咲「うん。また放課後に」



咲「…で、どうして優希ちゃんは嘘吐いたの?」

優希「…何の事だかさっぱり分かんないじぇ」

咲「京ちゃんの事…かなり意識してたのは確かでしょ?」

優希「それは…オモチャとして優秀だったからで…」

咲「…本当にそれだけ?」

優希「……」

咲「私…誰にも言わないよ。和ちゃんにだって…絶対に口を割らない」

優希「……ちょっとだけ…好きだったかもしれない…」

優希「でも…仕方ないじぇ。のどちゃんも神代さんも…良い子だもん」

優希「私みたいなチンチクリンじゃなくて…可愛いし、おっぱいだって大きいし…」

優希「そんな二人に…私が勝てるはずないし…」

咲「で…諦めたの?」

優希「…うん。それに…下手に張り合ったりして…のどちゃんとギクシャクしたくなかったし…」

優希「結局…私も勇気が足りなくて…だから…本音では私ものどちゃんの事、羨ましかった…」



咲「…凄いよね。私はどれだけ背中を押されても…あんな風に好きだって言える自信はないなぁ…」

優希「きっと…昔ののどちゃんも無理だったと思う」

優希「のどちゃんはアレで結構、人に遠慮するタイプだから…」

咲「でも…」

優希「…うん。のどちゃんは…変わったんだと思う」

優希「実際…のどちゃんは最近、感情を顕にするようになったし…」

咲「それも…京ちゃんの影響なのかなぁ…」

優希「それだけじゃないと思うじぇ。きっと咲ちゃんの存在も大きいはず」

優希「でも…一番はやっぱり京太郎の事なんだろうなぁ…」

優希「…あーぁ…やっぱり…ちょっと悔しいじぇ」

優希「私…ずっとのどちゃんの親友だと思ってたのに…ポッと出の二人に負けちゃうなんて…」ハハッ

咲「…そんな事ないよ」

咲「優希ちゃんは今でも和ちゃんの中で親友なんだと思う」

咲「私のアピールって言葉には照れるだけだったのに、優希ちゃんの指示には考えこむような素振りを見せたし…」

咲「アレでいて恥ずかしがり屋で頑固な和ちゃんが恥ずかしがりもせず拒絶もしなかったのは優希ちゃんへの信頼感の表れだと思うよ」

優希「そう…かなぁ…」ジワッ

咲「そうそう。だから…ほら、涙拭いて…ね」

咲「二人で…和ちゃん達をくっつけるやり方を考えよう?」

優希「……うん」

















【System】
原村和の屈服刻印がLV4になりました。
原村和は自分の力を受け入れるようにしたようです。
原村和のアピール作戦が始まりました。





















【オマケ】

咲「それにしても…和ちゃん…京ちゃんに何をされたんだろうね」

優希「まぁ、貞操観念やら高いのどちゃんが婚前交渉するイメージは沸かないし」

咲「精々、キスとかハグ止まりって事?」

優希「或いは手を繋いだだけでもあんな反応をする可能性もあるじぇ」

咲「あー…確かに…そんな感じかも」

優希「まぁ、そもそも京太郎にそんな度胸はないだろうしな!!」

咲「京ちゃんヘタレだもんねー…」

優希「そうそう。そんな二人がいやんな事してるだなんてそれこそオカルトだじぇ」

咲「あはは。だよねー」











和編もこれにて終了です
まだジョージというラスボス残っていますがその辺りはエピローグにてー

それと明日はそのまま最後の漫ちゃん編投下しようと思っていたのですが出張が入ってしまいました
なので、申し訳ありませんが、一週間ちょっとお休み頂きたいです
エピローグも完結したので帰ってきたら2日連続投下でスレ〆たいと思います

【朝】
咲「ほら、京ちゃん起きて」

京太郎「んあー…」モゾモゾ

咲「まったく…寝坊助過ぎるよ」ハァ

京太郎「んー…ぅ」モゾモゾギュッ

咲「ぅ…」カァ

咲「そ、そんな風にしても甘やかさないんだから…」

咲「で、でも…あんまり早く起こすと…また寝ちゃって意味ないかもだし…」モジモジ

咲「も、もうちょっとだけ…ね、寝かせておいてあげる…」ボソボソ



【昼】

咲「…」ペラ

京太郎「…」

咲「…」ペラ

京太郎「…なぁ、咲」

咲「なぁに?」

京太郎「男の膝枕は楽しいか?」

咲「んー硬いし動くし…あんまり」

京太郎「だったらどいでくれないかなぁ…」

咲「仕方ないじゃない、手頃なのないんだから」

京太郎「探して来れば良いだろ…」

咲「えー面倒…」

京太郎「面倒って…お前なー」

咲「私には京ちゃんがいるし、別に良いかなーって」

京太郎「んな事言っても甘やかしたりしませんー」スッ

咲「きゃっ」ストン

咲「もう…京ちゃんの冷血漢ー」

京太郎「知るか。それよりそろそろ昼飯だけど…ナニ食べたい?」

咲「パスタ!」

京太郎「んじゃ和風な。ちょっと待ってろ」

咲「(ふふ…顔真っ赤な癖に…強がっちゃって)」



【昼食】

京太郎「どうよ?」

咲「んー…」

咲「京ちゃんって煮るのとか焼くのとかそういう単純なのは得意だよね」

京太郎「貶めてるのか褒めてるのかどっちなんだよ…」

咲「一応、褒めてるよ。一応だけど」

京太郎「くっそ…折角、昼飯作ってやったのになんて言い草だ…」

咲「作って欲しいなんて頼んでないもーん」クス

咲「…まぁ、晩ご飯のリクエストくらいは聞いてあげても良いけど?」

京太郎「んじゃハンバーグ」

咲「こっどもぉ…」

京太郎「うるさいなぁ…咲のハンバーグ美味いんだから仕方ないだろ」

咲「っ!い、いきなり何言ってるのもう…」

咲「別に…そんな事言われても嬉しくないし…」パクパク

京太郎「そう言いながら顔真っ赤だけどな」ケラケラ

咲「むぅぅぅ!!」カァ





【夕方】

京太郎「咲ーそろそろ買い物行くぞ」

咲「もうちょっと…」ペラ

京太郎「お前さっきからそればっかりじゃないか…」

咲「今いい所なんだもん…」ペラ

京太郎「はぁ…んじゃ俺一人で行ってくるぞ」

咲「それはダメ」

京太郎「…なんでだよ」

咲「だって、枕なくなっちゃうし、家に一人だと寂しいし…」

咲「それに一人置いてかれるって戦力外通告されたみたいじゃない」

京太郎「まぁ買い物における咲はあんまり戦力にならないけどって痛いっ!」

京太郎「分かった!ちゃんと待ってるから抓るなって!!」

【夕食】

咲「じゃーん。ほら、ご馳走だよ」

京太郎「そうだな。ご馳走だな」

京太郎「ハンバーグの予定が何故かスーパーの刺し身が並んでるけどご馳走だよな」

咲「う…そ、その…ごめんね…」

京太郎「…反省してるか?」

咲「…うん…ちょっと…」

京太郎「ちょっとかよ。まぁ…良いけど」

京太郎「刺し身も嫌いじゃないし…次からやらないなら許してやるよ」

咲「…ごめんね」

京太郎「…そのごめんねはまたやると思っているからだと判断して良いのかな?」

咲「え、えへへ…」

京太郎「笑っても誤魔化されないぞ…まったく…」

京太郎「ま、ともかくとっとと飯喰おうぜ、時間ももったいないし」

咲「うん…」




【お風呂】

京太郎「はー生き返るー…」

咲「……」

京太郎「なんだ?まだ落ち込んでるのか?」

咲「だって…こんなの…」

京太郎「俺が気にしてないって言ってるんだから別に良いんだって」

京太郎「それにまぁ…今まで咲の事見てたんだから、これくらい予想してるし」

咲「…本当、ごめんね」

京太郎「あー…」

京太郎「それならほら、もっとこっち来いよ」

京太郎「俺が安月給な所為であんまり風呂大きくないんだからさ」

咲「…京ちゃんのえっち」

京太郎「男は皆えっちなもんだっての」

京太郎「一緒に可愛い女の子が入ってりゃ尚更な」

【深夜】

咲「はふーぅ…」

京太郎「満足した?」

咲「んー…十分」

京太郎「そっか。それなら何よりですよ、お姫様」

咲「まだお姫様って言ってくれるんだ…?」

京太郎「少なくとも女王様じゃな痛っ!」

咲「ふーん…」

京太郎「はは。まぁ…可愛いと思ってるのは本当だって」

京太郎「会ってからどれくらい経ったかもう忘れたけど…咲はずっと可愛いよ」

咲「…シラフでそういうの言えるから京ちゃんは卑怯だよね」

京太郎「そりゃお前、これくらいのおべっか使わないと社会じゃ生きてけないし」

咲「ふふ…っ」

京太郎「ん?」

咲「いや…京ちゃんのそういう所、変わってないなって思って」

京太郎「何が?」

咲「本当の事言う時…冗談っぽく誤魔化そうとするトコロ」

京太郎「あー…」

咲「そういう意地っ張りなトコロ…可愛くて好き…♥」

京太郎「い、良いからもう寝ろよ」

咲「はーい…」

京太郎「ったく…」

咲「ねぇ、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「抱きまくら…いる?」

京太郎「その抱きまくら、夜中に襲ってこないだろうな…?」

咲「それは京ちゃん次第かなぁ…♥」

ヤンデレでも魔王でもない文学少女咲ちゃん書くの久しぶり過ぎてこれで大丈夫か不安だけどリク消化です
コレジャナイ感あったらごめん

春との絡みもっとみたいな、、、(チラッ

ただいま戻りました
しかし、今日はちょっと時差やら移動疲れやらでグロッキーなので投下は明日にさせて下さい
そして大変申し訳ないのですが…慌てて出て行った所為か、一週間ほどパソコンつけっぱでした
結果、HDDが見事にぶっ壊れて一部データをロストしてしまいました
一応バックアップは取っていたのですが、エピローグは半分くらい書き終わった時点のものしかありません
なので、漫ちゃんの分が終わったらまた数日ほどお休み下さい…
もう完結も間近なのにこんな体たらくで本当に申し訳ありません

>>213
春の出番はもうないんや…

うーん…ちょっと質問
前回の和編ってあんまり面白くなかった?
レスの殆どがオマケの京咲に触れてたからちょっと気になって
後、タコスはネタあるから小ネタで指定してくれたら幾らでも書くよ!!

良かった
和の評判は悪かった訳じゃなかったんだな
っていうか皆、本当、京咲好きだな!
私も京咲大好きです

何はともあれ自分で本編すぐにオマケ書き始めた癖に聞いてすまんかった
その分、エピローグで満足してもらえるよう頑張ってくる

ふくじさんとロッカーは梅ネタで使おっか
その他、続き見たい小ネタとかスレ終わった後で指定してくれればスレが残る限り書くかも
とりあえず完結してからなんで何とも言えないけど
勿論、新ネタでもオッケーなんで適当にネタ温めといて下さい

以前の阿知賀編の設定で長編が見てみたいです
ヒロイン達はレジェンド含む阿知賀ハーレムで

E4回してゴーヤ掘ってたらいつの間にかイムヤちゃんのレベルが70を超えちゃったので那珂ちゃんのファンを辞めます
あ、投下は22時からになる予定です

>>237
以前の設定は完璧ギャルゲーシナリオなんでハーレムは無理っぽいかも
シズルートでワンチャンある感じだけど、それだとシズとアコチャ―以外の掘り下げが微妙な事になりそう
ただ阿知賀編は書いてみたくはあるんで続編候補に入れとくね

ごめんちょっと電話来ちゃったので少し延期させてください

げふん…すみません
今度こそ投下します


京太郎「(大阪来訪も二回目になると色々慣れるわなぁ…)」

京太郎「(一回目は緊張して眠れなかったのに今回はぐっすりスヤスヤタイムだぜ)」

京太郎「(つっても…お陰で肩とか首とかがちょっと凝りを訴えてるんだけれど)」

京太郎「(でも、こればっかりは仕方ないよな)」

京太郎「(思ったより椅子も柔らかくって緊張さえしてなきゃ割りと簡単に眠れただけでも御の字だ)」

京太郎「(実は一回目は結構、眠かったからなぁ)」ハハッ

京太郎「(親父が言うにはそう言うのも慣れるみたいだし…)」

京太郎「(大阪訪問は別にこれからだってするんだから、別に急いでどうこうってのを考えなくて良いだろ)」

京太郎「(それより…今日はちょっと早めに着いたけど漫さんはもういるかな?)」

漫「京太郎君!」



京太郎「おわっと…もう。またいきなり飛びついたら危ないですよ」

漫「えへ…京太郎君なら受け止めてくれるっていう信頼の証?」

京太郎「そりゃ普通の時なら全然オッケーですけどね」ナデナデ

漫「はふん…♪」

京太郎「でも、腰痛めたりしちゃったら今日遊べなくなりますよ」

漫「そん時はホテルで一日中介護してあげるし、大丈夫♥」

京太郎「介護だけで済むのかなぁ…」

漫「下の世話まで完璧やで?」

京太郎「だからこそ怖いんですけど…っとまた忘れてた」

漫「ん?」

京太郎「今日も漫さんは可愛いですよ。そのジャケット似合ってます」

漫「えへへ…今日はちゃんと忘れずに言えたんやね。偉い偉い」

京太郎「ふふん。俺だって少しくらいは成長するんですよ」


京太郎「でも…そろそろハーフパンツは寒くないですか?」

漫「うーん…そうやねんけど…」

京太郎「何か理由でも?」

漫「…うちスカート似合わへんから…」

京太郎「そんな似合わないイメージはないんですけど…制服姿も可愛かったですし」

漫「そりゃ制服は誰にでも違和感ないようになっとるもんやし」

漫「ただ…うちが市販品のスカート履くとな…ロングだとコレじゃない感が凄い」

京太郎「い、いや…そんな事ないと思いますけど…」

漫「…無理してお嬢様ぶってるようにしか見えへんでも?」

京太郎「…だ、大丈夫ですよ」

漫「……」携帯パカッ

漫「」ピッピッスッ

京太郎「…」プルプル



漫「笑わへんかったのは評価するけど…あかんやん!震えとるやん!!」

京太郎「いや、それはもう色使いや形からして漫さんに合ってないものですし…」

京太郎「もうちょっと色々探せばもっと良いのありますって多分」

京太郎「つーか、なんでそんな写真携帯に保存してるんですか」

漫「…仕方ないやん。この時の写メ消したらあかんのが罰ゲームやねんし…」

京太郎「(あ、そういうところは真面目なんだな)」

漫「まぁ、こうして笑いが取れる事もあるからええねんけれど…」

京太郎「(やっぱり意外とちゃっかりしてる)」

漫「それにたまーにチェックされるから消した時が怖いんよね…」ブルッ

京太郎「俺は姫松の罰ゲームが怖くなって来ました」

漫「代行が嬉々として罰ゲームやるから…カオスな時は本当カオスやで…」トオイメ


漫「で、まぁ、スカートの話に戻るけど…ミニやと今度はより子どもっぽく見えてなぁ…」

京太郎「それってダメなんですか?」

漫「死ぬ」

京太郎「えっ」

漫「上も自然と子どもっぽいのにせえへんかったらあかんから…相乗効果で中学生っぽく見えるし」

漫「友達と一緒にいる写メ後で見返すと…一人だけ浮きまくってて死にそうになるんや…」

京太郎「い、いや、でも、若々しく見えるって良い事じゃないですか」

漫「うちまだそれに喜べるような年やないもん…」シュン

漫「それに…ほら、うち京太郎君が好きな部分がそこそこやし」

京太郎「(そこそこって言うかかなり大きいと思います)」デレデレ

漫「あ、またエッチな顔して…まだお預けやで」ムネカクシ

京太郎「そ、そこまで期待してないですってば!」



漫「まぁ…下手に若々しいファッションしようとすると違和感が凄いんよ」

京太郎「うちの優希はそんな事ないですけど…」

漫「片岡さんくらい突き抜けてたら、逆に似合うやろうけど…うちは童顔なだけやからね」

漫「身長はそれなりにあるし、どうにも違和感が残るファッションしか出来ひんしなぁ…」

漫「でも、パンツ系ならどっちでもないし、気軽に身につけられるやろ?」

京太郎「うーん…確かにそんな気も…」

漫「だから、うち基本的にパンツ系しか持ってへんの」

京太郎「でも…スカート姿の漫さんも見てみたいなぁ」チラッ

漫「制服やったらまた着てあげてもええよ?」

京太郎「くっ。ガードが硬い…!」

漫「ふふ。まぁ、そういう意味じゃうちに似てるのは神代さんやし、普段どんな格好しとるのか気にはなるけど」

京太郎「巫女服です」

漫「えっ」

京太郎「小蒔は制服以外には殆ど巫女服しか持ってません」

漫「…正直、それって反則臭いと思う」

京太郎「俺もそう思います…」

漫「巫女さんだからって巫女服オンリーとか…うちがどれだけ日頃苦労して服を選んでるか…!」

京太郎「どうどう」

漫「ぅ~…仲間意識持っとったのに裏切られた気分や…」



漫「まぁ、それは差し引いても、本職巫女ってのは憧れる話やね」

京太郎「やっぱりそういうのって女の子の憧れなんですか?」

漫「そりゃ紅白袴可愛いし…まぁ、それだけやないけど」

京太郎「??」

漫「…本職やったらコスプレエッチも興奮するやろ?」ポソッ

京太郎「う…ま、まだお預けじゃないんですか」

漫「お預けやでー♪」

漫「でも、その時の為に色々、溜めこんどいてほしいやろ?」ニコッ

京太郎「ぅ…この悪女…」

漫「焦れとるうちを放っといて他の女に手ぇ出しとる京太郎君の方がよっぽど悪いと思う」ニッコリ

京太郎「すみません…」

漫「ふふ…♪まぁ、怒っとる訳ちゃうし」

漫「ただ、うちは一ヶ月分溜まっとる訳やし、京太郎君にも溜めとて欲しいなぁって」チラッ

京太郎「ぜ、善処します…」



京太郎「それで…今日は何処に行くんですか?」

京太郎「水着持って来いって言われたんで一応、持って来ましたけど」

漫「ふふふ…まぁ、殆ど予想ついとるやろうから先に言うけど…今回のデートコースは世界の大温泉!スパワールドや!」ババーン

京太郎「え…?なんですそれ?」

漫「えっ」

京太郎「…こっちでは有名なんですか?」キョトン

漫「あ、あかん…これが地域差って奴か…」

漫「こっちでは割りと頻繁にTVCMやっとるんやけど…」

京太郎「海遊館は知ってましたけど…まったく知りません…」

漫「ま、まぁ…全国区じゃないかもしれへんけど、こっちじゃ比較的メジャーなんやで…」カァァ

京太郎「だ、大丈夫ですって。全然、恥ずかしくありませんから!」

漫「うぅ…でも、自信満々にドヤ顔しちゃったし…」

京太郎「い、いや、アレは分からない俺が悪いんですよ!!」


京太郎「そ、それで…そのスパワールドってのはどんな施設なんですか?」

漫「え、えっと…早い話が温水レジャー施設って奴やね

漫「屋内プールと温泉がメインって所やろうか」

京太郎「へぇ…温泉かー」

漫「勿論、混浴もあるで?」

京太郎「ぅ…」

漫「ふふ…♪合宿思い出しちゃった?」

京太郎「…思い出してムスコが疼いちゃいましたよ」

漫「でも、お預け~♪」

京太郎「ぬぐぐ…その分、後で思いっきり鳴かせてやりますからね」ダキッ

漫「ぅ…んっ…♥」ゾクゾクッ

漫「楽しみにしとる…よ…♪」



………



……







漫「そんな訳で到着やー」

京太郎「おぉ、結構門構えは立派な感じですね」

漫「それなりに昔からやっとるけど何度かリニューアルしとるしな」

漫「中は宿泊施設も兼ねとるのもあって、高さもそれなりのもんやで」

京太郎「じゃあ、今日の宿泊は…」

漫「勿論、ここやで!」

京太郎「大丈夫なんですか?」

京太郎「こういうのってかなり高いイメージがあるんですけど…」

漫「その辺は大丈夫。友達の親に株主がおって優待券もろうたから」

漫「流石にタダやないけどかなり安い値段で利用できるはずやで」ドヤァ

京太郎「なんという抜かりの無さ」

漫「ふふん。大阪人のちゃっかり具合をなめたらあかんでー♪」

漫「っと、それより早く入ろうか」

漫「実はうちも久しぶりやから楽しみなんよね」



京太郎「(そんな訳でお金払って中に入った訳だけれど…)」

京太郎「(結局、また幾つか漫さんに支払って貰っちまったぜ…)」

京太郎「(この前のこともあるし警戒してたんだけど…ちょっと気を抜いた間に…もう…)」

京太郎「(勿論、そうやってお金を出してくれるのは正直、有難いんだけどさ…)」

京太郎「(バイトしてるっつっても金銭的に余裕がある訳じゃないし)」

京太郎「(ただ…そうポンポンとお金出されてしまうと…なぁ)」

京太郎「(普段、一番、つらい思いをさせているだけに…色々やってあげたい)」

京太郎「(それは…贖罪…っつうよりは自己正当化の域なんだろうけれどさ)」

京太郎「(そうと分かっていても、お金を出してもらうのは心苦しい)」

京太郎「(金に余裕さえあればこっちが全額出してあげたいくらいなんだから)」

京太郎「(はぁ…本当、金がないってのは情けない話だな…)」

京太郎「(このままいけば俺は三人を養う事になるんだし…将来設計とか真面目に考えよう…)」

京太郎「(三人もの美少女独占しといてお金が足りないから働いて下さいなんて情けない事絶対言いたくねぇし…)」



京太郎「(にしても…漫さん遅いなぁ…)」

京太郎「(女性の着替えには時間がかかるって分かってるけど…もう俺が更衣室から出て20分近く経ってるんだよなぁ…)」

京太郎「(もう空気入れで浮き輪も膨らませたし準備万端なんだけど)」

京太郎「(咲たちと夏にプール行った時だってこんなに時間がかかったりはしなかったから…ちょっと心配だなぁ…)」

漫「ごめん。お待たせ」

京太郎「あぁ…漫さ…」

漫「どうかした?」キョトン

京太郎「いや…なんて言うか…」

漫「???」

京太郎「す、すっげーエロいんですけど…」

漫「ふふん。そうやろ?」ドヤァ

京太郎「つーか…エロ過ぎじゃないですか、それ」

京太郎「紐ビキニな上にフリルまでついてるとか…下着に見えるレベルなんですけど」

京太郎「しかも、布地少なくて…激しく動いたらすぐにポロリしちゃいそうですよ…」

漫「大丈夫。マイクロビキニほどやないし」

京太郎「そんなの着てきたらすぐに着替えさせますよ…まったく」



漫「ん?独占欲?」

京太郎「あ、当たり前じゃないですか」

京太郎「マイクロビキニなんて俺以外の誰かに見せちゃいけません」

京太郎「今のそれだってナンパされてもおかしくないくらい刺激的なんですからね」

漫「ふふ…♪だったら、ずっと須賀君に傍に居て、虫よけになって貰わへんかったらあかんね♥」

京太郎「ぅ…いや、それくらいだったら喜んでやりますけど…」

漫「けど?」

京太郎「俺が先にケダモノになりそうなんですけど」メソラシ

漫「そん時はそん時で、部屋にでも飛び込めばええんちゃう?」クスッ

漫「宿泊のオプションに一日入館無料の奴あったし、今日と明日は何度でも入れるで」

京太郎「それなら…いや、ダメですね」

漫「ん?」

京太郎「そう言うのは後でも出来るんで、今はデートです」

漫「ふふっ…せやね。こうして久しぶりに会えたんやし…今は親睦を深めよっか♪



漫「それで…他になにか言う事ないん?」

漫「エロいだけやったら女の子は喜ばへんで?」クスッ

京太郎「ぅ…その…可愛いし、似合ってます」

漫「それだけ?」

京太郎「…正直、押し倒したくなりました」

漫「…それだけ?」

京太郎「…あぁ!もう!世界で一番、可愛いですよ!ドキってしました!」カァァ

漫「ふふ…♪最初からそうやって素直になっておけばよかったのに…♥」

京太郎「うぅ…いや、でもやっぱ恥ずかしいじゃないですか…」

漫「そんな風に恥ずかしがる京太郎君を見えてうちはご満悦ですよ?」

京太郎「くぅ…後で覚えてて下さいね」

漫「んー…京太郎君の照れ顔やったら覚えとるかも」

京太郎「くそぅ…段々、漫さんが強くなって言ってる…」

漫「こういう掛け合いで鍛えられとるんは別に京太郎君だけやないんやで」クスッ


漫「まぁ…それはさておき、まずはプールや!」

京太郎「おぉ…スライダーが三種ありますね」

漫「オールフリーパス買っとるから2つは一日乗り放題や!」グッ

京太郎「後は流れるプールや普通の奴…後はアスレチックみたいな遊具と…ひと通り揃ってる感じですね」

漫「流石に波の出るプールとかはないけど、そう言うのはプールオンリーの施設でもあるトコとないトコあるしなぁ」

京太郎「まぁ、普通にレジャーとして遊ぶならこの程度で十分ですよね」

漫「そうそう。期待してくると期待ハズレなのは否定せんけど」

漫「あくまで要素の一つとして見たら、それなりのもんが揃うとる思うよ」

漫「ほぼ年がら年中キャンペーンやっててプールと温泉、ジム施設を1000円で利用出来る訳やしね」

京太郎「おっジムまであるんですか?」

漫「そうやで。後で行ってみる?」

京太郎「ちょっと興味あるんで…行きたいっす」

漫「じゃあ、うちはそんな京太郎君の格好ええところ見せてもらおうかな」

京太郎「は、ハードルあげないで下さいよ…」


京太郎「な、何はともあれまずは準備運動ですよ!」

漫「ふふ…せやね」

漫「屋内で温水や言うてもお風呂とはまたちゃう訳やし、ちゃんと準備運動せんと」

京太郎「ですね…っと」ヨイショ

漫「よいしょ」プルプル

京太郎「ど、どっこいしょー」グッグ

漫「ほいこらしょー」プルプル

京太郎「…」

漫「どしたん?」

京太郎「…目の前でプルプル震えるおもちに目が行ってしまって…」

漫「スケベー♪」

京太郎「仕方ないですって!だってそんな…すばらなおもちが…」

漫「ん?」ギュゥッ

京太郎「ぐぁ…!ちょ…だ、ダメですって!」マエカガミ

漫「何がダメなん~♪」ギュッ

京太郎「そ、そうやって胸を強調するのがダメなんです!!」



漫「もう飽きるほど揉んどるやろうに…本当、京太郎君はスケベやねー♪」クスクス

京太郎「し、仕方ないじゃないですか。おもちは別物なんです」

京太郎「それに漫さんの凄い揉み心地良いんで…全然、飽きる事なんてないですよ」キリリッ

漫「ぅ…♪」

京太郎「あ、もしかしてちょっと嬉しかったですか?」

漫「そ、そんな訳……ち、ちょっとはある…かも」カァ

京太郎「漫さんかーわーいーいー!」ニヤニヤ

漫「うぅぅ…ほ、ほら!ええから準備体操の続きするで!」

京太郎「からかってたのに反撃食らっちゃう漫さん可愛い!」

漫「うぅぅぅ…っ」

京太郎「照れながら誤魔化しちゃう漫さん可愛い!」

漫「きょぉくぅぅうん!?」

京太郎「怒った漫さんもかわ…うへぁ!?」


京太郎「流石にプールに突き落とすのはちょっとやり過ぎだと思います」ベター

漫「知らへんもーん」ツーン

京太郎「まぁ、そんな冷たくない感じだったんで全然だいじょうぶでしたけど…」

京太郎「もし、溺れたらどうしてくれるんですか」

漫「その時はまぁ…うちの愛の篭ったベーゼで人工呼吸をやね」キリッ

京太郎「漫さんやった事あるんですか?」

漫「ほ、保険の授業でやり方は習ったで!うろ覚えやけど」

京太郎「…その時が来たら別の人にお願いします」

漫「ちょっ!?な、何でなん!?」

京太郎「いや、アレって結構、難しいですから…ちゃんとした講習とか受けてないと逆に危なくする事もありますし」

漫「そうなんや…って…うちは京太郎君が溺れた時に見知らぬ人にキスされるのを見ぃひんかったらあかんの?」

京太郎「まぁ、そうなりますかね」

漫「…次にプールに行く前にちゃんと人工呼吸のやり方復習しとこう…」


漫「って随分と詳しいけど、京太郎君はやった事あるん?」

京太郎「えぇ。何度か」

漫「…嘘ぉ…」

京太郎「いや、友達と泳ぎに行くとですね…ほぼ必ずと言って良いほど溺れる奴がいるんで…」

京太郎「自然、人工呼吸のやり方も熟知するようになったというか…しないと命に関わったというか…」トオイメ

漫「…それってもしかして宮永さん?」

京太郎「あ、やっぱり分かりますか」

漫「まぁ、これまでも京太郎君に何度か宮永さんのポンコツ伝説聞いてるし…」

漫「(正直、京太郎君から聞いてへんかったら嘘か脚色入りすぎやと思うレベルのものやけど)」

京太郎「はは。まぁ、そんな訳で漫さんが溺れても、唇は俺が護りますんで安心してください

漫「…いや、安心したけど…別の意味でもやもやしてきたって言うか」

京太郎「え?」

漫「もうええもん…京太郎君のばーか…」


漫「(あんまりええ印象のない子と何度もキスしてるって聞いて面白いはずないやん…)」

漫「(幾ら京太郎君の中で、それがキスの範疇にないって分かっててもやっぱりもやもやするもんやって)」

京太郎「???」

漫「(でも…あの様子やとまったく分かっとらへんのやなぁ…)」

漫「(京太郎君からすれば宮永さんは手のかかる妹みたいなもんなんやってのはこれまでで良く分かっとるし…)」

漫「(人工呼吸だって気にならへんくらい意識しとらへんのやろうなぁ…)」ハァ

漫「(…とは言え…素直に『宮永さんに嫉妬してます』なんて言うのも格好悪いし…)」

漫「(何より宮永さんに負けたみたいでかなり癪や)」

漫「(だから…ここでうちが選ぶべきなのは…)」

京太郎「あの…漫さん?」

漫「ええから準備体操の続きしよか」ニコッ


京太郎「あ、あの…これって…」

漫「ほら、体育の時やるやろ?背中合わせにお互いの腕を絡ませて交互に相手を持ち上げる奴」

京太郎「…いや、確かにやりますけどね」

京太郎「でも、これ…漫さん逆じゃないですか?」

漫「だって、うちのひ弱な腕じゃ京太郎君持ちあげられへんし?」ムニュゥ

京太郎「だからって俺に後ろから抱きつくのは間違ってないですかね!?」

漫「間違っとらへんよ。これが普通」

京太郎「おかしい…俺の知ってる普通と違う…」

漫「それとも…京太郎君はうちに抱きつけれると…何か困る事でもあるんかなぁ…ぁ♥」サワッ

京太郎「ちょ…む、胸擽らないでくださいよ…!」

漫「ふふ…♪結構、京太郎君って胸も敏感さんやね…♥」

漫「可愛くて…ゾクゾクするわぁ…♪」

京太郎「そ、そう言うのはせめて部屋で人のいない所でやってくださいって!」

漫「…だって、人居らへんかったら京太郎君に反撃喰らうやん?」

京太郎「俺が我慢出来なくなったらどうするんですか…もう…」

漫「そん時は襲われるって叫ぶし」ス

京太郎「質悪いなぁもう…」

漫「お仕置きやもん…質悪いくらいでええの」ポソッ

京太郎「え?」

漫「何でもあらへんよー」スネー


京太郎「さて…それじゃまず流れるプールに行きますか」

漫「ぅー…」

京太郎「まったく…何拗ねてるんですか」

漫「別に…拗ねてへんもん」ムスー

京太郎「それだけ不機嫌そうな顔してちゃ説得力ないですって」

漫「それでも…拗ねてなんかおらへんしー」スネー

京太郎「…じゃあ…俺の手を取ってくれますか?」

漫「…え?」

京太郎「入る為の階段があるとは言え…エスコートはあった方が良いでしょう?」

漫「…まったく…しゃあないなぁ…」ソッ

京太郎「有難うございます」

漫「…いや、うちの方こそ…ごめんな。変な風に拗ねて…」

京太郎「いや、俺もちょっとデリカシー無さすぎでしたよ。デートの最中に他の子の名前出すべきじゃなかったです」

京太郎「お詫びとして…エスコート頑張るんで…許してください」

漫「ん…しゃあないから許してあげる」クスッ


漫「しかし…浮き輪で流れるプールってのはええもんやねー」プカー

京太郎「そうですね。なんて言うかリラックス出来る感じです」プカー

漫「…このまま仰向けになったらラッコの気分が味わえるやろか」

京太郎「貝が足りないから60点ってところですね」

漫「中々、厳し目な採点やね」

京太郎「これでも漫さんの可愛さに免じてかなり甘く点をつけてるんですよ?」

漫「えー…じゃあ後何が足りひんの?」

京太郎「毛深さとかヒゲとか?」

漫「う…そんな事言ったら、男の京太郎君しか味わえへんやん」

京太郎「まぁ、俺だってそんなに毛深い訳じゃないんですけどね」

漫「京太郎君、顔綺麗やもんねー。たまに女の子に見れるくらい」

京太郎「いや、流石にそれは良い過ぎでしょう」

漫「いやいや、ほんまやって。宮守の小瀬川選手とか姉妹って言われても信じられるくらいやで」

京太郎「流石にそれは小瀬川選手に失礼じゃないですかねー…」

漫「むー…じゃあ、今度、京太郎君、女装しよ」

京太郎「な、なんでそうなるんですか!?」

漫「だって、女装したら女顔かそうじゃないかって一発で分かるやん」

京太郎「分かったとしても女装なんてしたくないですって!」

漫「えー…ええやん一回くらい」

京太郎「絶対に嫌です!!」


京太郎「それよりほら、今はプールを楽しみましょうよ!」

漫「…そんなに嫌なん?」

京太郎「寧ろ、どうして嫌じゃないのかって思うのか不思議なくらいなんですけど」

京太郎「つーか、漫さんの方こそ彼氏に女装させるとか抵抗ないんですか?」

漫「んー…まぁ、これが明らかに似合わへんかったらちょっとって思うかもしれへんけれど…」

漫「京太郎君やったら絶対に似合うと思うし…」

京太郎「例え、似合っていても俺は絶対に嫌ですからね」

京太郎「こういうのは似合う似合わないの問題じゃなくって男のプライドに関わるんですから」

漫「むー…そこまで言うなら…諦める…けど…」

京太郎「ほっ…」

漫「今度、一緒に罰ゲームつきサシ麻雀でもやろっか」ニコッ

京太郎「全然、諦めてないじゃないですかーやだー!!」


漫「しかし、こうして流れてるとずっとこのままでいたくなるなぁ」プカー

京太郎「確かに…流されてるだけでも楽ですしね」

京太郎「それに、こうしていると海○館の動物たちもまた違う目で見れそうです」

漫「そやねー。また行ってみたいなぁ…」

京太郎「そうですね。今度は餌やりの時間に合わせていきましょう」

漫「うん」ニコッ

京太郎「まぁ、流れながら言うようなアレじゃないんですけどね」

漫「このまま○遊館まで流れていけたらええのになぁ…」

京太郎「そのままジンベエザメの水槽のドボンとか」

漫「んで、ジンベエザメと一緒に泳ぐんやね」

京太郎「そしてトラフザメに襲われると」

漫「じ、ジンベエザメ親分と一緒やったら大丈夫やし」

京太郎「実はジンベエザメ親分とトラフザメは黒いエサの流れで繋がっていまして」

漫「な、なんやって…!?」

京太郎「昔は同じカゴのエサを食べたこともあると言って懇意にしてるらしいですよ」

漫「く、黒い…黒いわぁ…」


漫「まぁ、現在進行形で同じカゴのエサ食っとるんやろうけど」

京太郎「水槽同じですからねー」

漫「でも、このまま海遊館まで流れていけたら中々、面白いんとちゃうやろうか」

漫「こうチューブみたいなのでずぅぅぅっと通せば、未来都市みたいでええやろ」

漫「人も来るし赤字も解消出来る!いける!!いけるでこれは!!」

京太郎「その代わり建設費用とメンテ代と許可を取るのに莫大なお金が掛かりそうですけどね」

漫「そういう夢壊すような事言うの禁止ー」ウリウリ

京太郎「わっ!ちょ!や、止めて下さいよ!浮いてるんですから!」

漫「先に人の夢をぶち壊しにした京太郎君が悪いんやでー」クスクス

京太郎「じゃあ、ほら、お返しです!」

漫「わきゃ!?ちょ、わ、脇は反則やって!!」

京太郎「先にやったのはそっちじゃないですか」

漫「ぬぐぐ…えいっ!」スッ

京太郎「なんのぉ!!」ビシィ



漫「…とりあえず無駄な事は止めへん?」

京太郎「…そうですね。争いなんて下らないです」

漫「それに気づくのに…うちらはとても大事なものを犠牲にしてしもうた…」

京太郎「アーニー…ジン…リチャード…すまない…」

漫「皆ええ人やったのに…どうしてこんな事に…」

京太郎「皆の為にも…俺達は前に進まないといけません…」

漫「そう…やね。俯いている暇なんかあらへん。流されるんやなく…うちらの意思で前に進むんや」

京太郎「まぁ、実際、五分程度の時間と係員の人に注意された事による羞恥心くらいなんですけど」

漫「アーニーさんが時間でジンさんが羞恥心やとしたら、リチャードさんはどっから来たんやろうね?」

京太郎「こうやってノリで会話している時に使ってる時間とかどうでしょ」

漫「という事はリチャードさんはこうしている今も犠牲になっとるんか…」

京太郎「リチャードェ…」


漫「でも、流れるプールって誰もおらへんかったら思いっきり泳ぎたくなるやんな」

京太郎「あぁ、分かります。なんか魚気分味わえそうですよね」

漫「うちは人魚気分だと主張したい」

京太郎「はは。まぁ、漫さんだったらセクシーで可愛い人魚になれそうですね」

漫「ふふ。そん時は京太郎君を歌で誘惑してあげるね♪」

京太郎「そういや漫さんはカラオケとか結構行くんですか?」

漫「あんま行かん方やねー。それより部活で忙しいし」

漫「うちは実力的にそれほど他の部員と差がある訳ちゃうしね。やっぱ負けたくあらへんから」

京太郎「強豪校もやっぱり大変なんですね…」

漫「そりゃそうやで。選抜やら部内対抗戦やらで色々あるんやから」

漫「まぁ、そういうのを含めて姫松選んでよかったってうちは思うとるけれど」

漫「…問題は代行のお遊びが…なぁ…」

漫「育成の腕は確かやねんけど…どうにもこう…おちゃらけとると言うか…」


京太郎「ノリの良い漫さんにそう言われるとかよっぽどなんですね…」

漫「うちとは格と言うか方向性が違うんよね…」

漫「あの人ホント突拍子もない人やから」

漫「今もこのプールの中からにょきっと生えてきてもうちは驚かんよ」

「もぉそんなん出来る訳ないやん~」

漫「」ビクッ

京太郎「ど、どうしました?」

漫「い、いや…何でも…」

漫「(さ、流石に気のせいやんな?)」

漫「(周りにいるカップルの会話が突然、クリアに聞こえただけやって)」ブルッ

京太郎「あ、寒くなって来ました?一旦、上がります?」

漫「だ、大丈夫!大丈夫やで!」

漫「(い、幾ら代行でも話題にしただけで湧いて出るような事はあらへんやろ)」

漫「(うん。物理的に考えてあり得へんし、ないない)」

漫「(…………そのはずやのにあの人ならやってもおかしくないって思えるのは何でなんやろうなぁ…)」

「うふふ~」


漫「ま、まぁ、話を戻すけど!競泳とか面白いと思わへん?」

京太郎「競泳ですか?」

漫「そうそう。この流れるプールで競馬みたいに泳いで貰ってやな」

漫「自治体が元締めになってそれにお金賭けて貰う訳や」

漫「水泳選手の受け皿や育成にもなるし、自治体も儲かる。ついでに言えば箱物の再利用も出来るで!」

京太郎「おぉ…そう聞くと中々に面白そうな企画に思えますね」

漫「S字クランクやら曲がりくねった特殊なコースとかあるからなー」

漫「それを利用せえへん手はないで!!」

京太郎「まぁ、問題は水中という動きが鈍るシチュエーションだと競馬や競艇なんかとはまた違うって事でしょうけど…」

漫「やっぱ難しい?」

京太郎「実際、やってみないと分かりませんけど、先行逃げ切り型が有利過ぎる気がしますね」

漫「まずはその辺のルール整備からかぁ…」

京太郎「(アレ?なんかマジになってる?)」


漫「うー…うちの頭じゃ面白そうなルールが思いつかへん…」

京太郎「はは。まぁ、その辺りの事が簡単に思いつくならもうどこかの自治体がやってると思いますよ」

京太郎「ただ…折角、流れるプールを利用してる訳ですし、水流で有利不利をつけるのも面白いかもしれませんね」

漫「そういうの出来るん?」

京太郎「いや…完全に思いつきで話してるんで、まったく分かんないです」

漫「えーちょっと感心したのに…」

京太郎「この流れるプールの原理も分かってないのにちゃんとしたアイデアなんか出せませんって」

漫「まぁ、それはうちも同じやなぁ…これ本当、どうなっとるんやろ」

京太郎「壁に穴が空いてるところから水流が出てきてるのかなぁって推測は出来るんですけどねー」

漫「でも、それだけやったらこんな流れにはならへんわなぁ…」

京太郎「その辺はプールの形とか人がいたりするから、色々あるんじゃないですかね」

漫「あーなるほど。そう思ったら流れるプールって殆ど普通の輪になっとらへんわな」

京太郎「緩やかなウェーブを描いてるのも水流維持の為なのかもしれませんね」


漫「って、目の前に洞窟が来たでー♪」

京太郎「あ…アレはまさか…」

漫「知っとるんか須賀君!」

京太郎「いや、知らないですけど」

漫「えー…今のは面白いこと言ってくれる流れちゃうん?」

京太郎「そういうのは基本的に漫さんに任せてるんで」

京太郎「と言う訳で漫さん、俺の代わりに何かどうぞ」

漫「えっえっ……えっと…」アタフタ

漫「あ、あれこそ世界の果て…とか?」

京太郎「おぉ…なんかそれっぽい」

漫「ふ、ふふーん!この程度の無茶ぶりに答えられへんかったら大阪人ちゃうで」ドヤァ

京太郎「じゃあ、あの中に入るとどうなっちゃうんですか」

漫「え…えっと…た、食べられる」

京太郎「何に?」

漫「こ、こうライオン的なアレ?」

京太郎「名前は?」

漫「え、エンド・オブ・ライオーンとか…」

京太郎「エンド・オブ・ライオーン…」ナマアタタカイメ

漫「もう!もう!!」カァァ


漫「幾ら何でも無茶ぶりしすぎ」ムスー

京太郎「はは。すみません。漫さんがあんまりにも弄り…いえ、可愛かったもので」

漫「今、弄りって言った?」

京太郎「気のせいじゃないですかね?」

漫「むむむ…さっきから京太郎君が生意気やわぁ…」

京太郎「さっき人のこと弄りまくってた人に言われたくないです」

漫「ぬぅ…でも、このままされっぱなしやと先輩の威厳が…」

京太郎「漫さんは俺にとって最初からずっと素敵な先輩ですよ」

漫「こ、このタイミングでそういう事言うの卑怯やで」

京太郎「まぁ、そろそろご機嫌とっとかないと後で怖いんで」

漫「そ、そう言われるとまた別の意味で微妙な気分になるわぁ…」

京太郎「はは。まぁ、俺にとって漫さんは最初から先輩らしい先輩だったってのは本当の事ですよ」

京太郎「ただ、先輩だからって何もかもを自分で解決しようとせず、たまには俺も頼って下さいとは思いますけど」

漫「うん…♪その時はよろしくね…♥」


漫「そう言えば…なんで京太郎君はさっきから浮き輪の外におるん?」

京太郎「いや、これかなり大きな浮き輪ですけど、二人はキツイじゃないですか」

漫「大丈夫。いけるって!」

京太郎「いや、まぁ、無理とは俺も思いませんけど…でも、かなり密着する事になりますし」

漫「あかんの?」

京太郎「えっ」

漫「密着したらあかんの?」

京太郎「…そりゃダメでしょ。マジで我慢出来なくなりますって」

漫「でも、ほら、そろそろ世界の果てが近づいとるで」

漫「二人で身を寄せて協力せえへんかったら食べられるかも…」

京太郎「エンド・オブ・ライオーンにですか?」

漫「…つ、次その名前出したら水ぶっかけるから」カァァ

京太郎「はいはい」クスッ


漫「と、とにかくやね。今のでうちは痛く傷つきましたー」

漫「だから謝罪と賠償ついでに京太郎君もこっちに来るのを要求しますー」

京太郎「えー…でも…漫さんと密着して自制出来る自信がマジでないんですってば」

漫「んー…それやったら…ペッティングくらいやったらオッケーやで♥」ポソッ

京太郎「…~っ!」ゾクッ

京太郎「ってやりませんよ!?やりませんからね!!」

京太郎「俺は浮き輪の外側にぶら下がって周囲を警戒する事にします」

漫「えー…つれへんなぁ…」

京太郎「仕方ないじゃないですか。俺ももうちょっとデートそのものを楽しみたいですし」

京太郎「それに浮き輪の外側に居たってイチャイチャくらい出来ますよ」

漫「でも、この状態やと京太郎君と触れられへんし…」

京太郎「だったら…ほら」ギュッ

漫「んぁ…♪」

京太郎「へ、変な声出さないで下さいよ」

漫「ご、ごめん。でも、いきなり後ろからお腹抱くのは卑怯…♥」

京太郎「横からだとこれくらいしか抱く場所ないですし、我慢してください」

漫「いや…別に嫌じゃないんやけど…寧ろ…今のでうちの方がキュンって来ちゃったって言うか…♪」

京太郎「…そっちの意味でも我慢してくださいよ…」


漫「ま、まぁ、とりあえず…洞窟まで来た訳やけど…」

京太郎「うぉ…!なんだ今のは!?」

漫「滝やねー。どばーと降りてるみたい」

京太郎「俺はエンド・オブ・ライオーンの唾液と思いましたよ」

漫「その名前禁止って言ったで?」ツネッ

京太郎「痛っ!」

京太郎「いや、でも、格好いいと思いますよ、エンド・オブ・ライオーン」

漫「嘘つき…あんな顔しとった癖に…」

京太郎「いや、アレは漫さんが微笑ましかっただけででしてね」

京太郎「(まぁ、ライオーンはないと思ったのは事実だけど)」

漫「…なーんか引っかかるんやけどぉ?」

京太郎「き、気のせいですってば…うひゃ!?」

漫「ふふーん。油断しとったな!」

京太郎「…今度はミストですか」

漫「そうそう。ただ流れてるだけやなくて楽しめるように色々と考えてくれとるんやな」

漫「まぁ、この滝とミストの所為でお化粧落とすのにちょっと時間掛かったんやけど…」ポソッ

京太郎「(あぁ…だから、遅かったのか)」


漫「まぁ、それはさておき、ようやく洞窟から抜けられたな」

京太郎「エンド・オブ…」

漫「京太郎君?」ジトー

京太郎「や、ヤツからの追手もないみたいですね」

漫「ふふん。うちらのコンビネーションに恐れをなしたんやな」

京太郎「洞窟内じゃ主に仲間割れしかしてなかった気がしますけど」

漫「それでも水面下で協力しとったんやって」ドヤァ

京太郎「…上手いこと言ったつもりですか?」

漫「え…あ、あかんかった?」

京太郎「いや、素直に感心しました」

漫「そ、それやったらそうと早く言ってぇや!」

京太郎「はは。漫さんが可愛いんでつい」




漫「むー…それじゃ罰ゲームとして京太郎君もあの洞窟に住む怪物の名前考える事な」

京太郎「え…マジですか」

漫「うちだけそのネタで弄られるの不公平やん」ムスー

京太郎「それ以前に山ほど人のこと弄ってた人に言われたくないんですけど!?」

漫「アレは弄りやないで。誘惑しとっただけや」クスッ

京太郎「尚更、質が悪いですよ…まったく…」

京太郎「しかし…名前…名前かぁ…」

漫「(あ、一応、真面目に考えてくれるんや)」

京太郎「黒き獅子の王…読みはケーニッヒシュヴァルツァーレーヴェとかどうでしょう?」

漫「く、黒き獅子…」

京太郎「違います。ケーニッヒシュヴァルツァーレーヴェです」キリッ

漫「……」

京太郎「……」

京太郎「…すみません。やっぱり忘れて下さい」カァァ


漫「京太郎君…そう言うのはせめて中学生までで卒業せえへんかったらあかんと思うよ」ナマアタタカイメ

京太郎「そ、卒業してましたよ!!た、多分!」

京太郎「で、でも、今の俺の語彙じゃ、エンド・オブ…」

漫「」グッ

京太郎「あ、アイツの名前に勝てるインパクトが思いつかなくてですね…!」

京太郎「だからこう…中学の頃の自分に戻れば、何かインパクトのある名前が出てくるんじゃないかとそう思って…」

漫「封印を解き放ってしまった訳やねんな…」

京太郎「出来れば永遠に封印しときたいものだったんですけれどね…」トオイメ

漫「でも、何でドイツ語なん?」

京太郎「ドイツ語、格好良いじゃないですか」

漫「いや、それはまぁ…なんとなく分かるけど」

京太郎「もし、大学進んだら第三言語はドイツ語にしようと思ってます」キラキラ

漫「(あ、これ途中でドイツ語の難しさに泣きを見るタイプやな。空気で分かる)」


京太郎「っていうか、なんで漫さんもすぐにあれがドイツ語だって分かったんですか?」

漫「う…そ、それは…その…」

京太郎「それは?」

漫「うちにもこう…尖ったナイフみたいな時期があってやね…」

京太郎「具体的には?」

漫「ちゅ、中学二年生くらい…」

京太郎「…」ナマアタタカイメ

漫「もうっ!しゃあないやん!アレは誰もがかかるハシカみたいなもんなんやしっ」

漫「ドイツ語やフランス語に憧れるのは誰だって一度はある経験やろ!!」

京太郎「いやーまさか漫さんにもそんな時期があったなんてー」ボウヨミ

漫「ぬぐぐ…自分だってケーニッヒなんちゃらな癖に…」

京太郎「そ、それは言わないで下さいよ…折角忘れかけてたのに」

漫「嫌や。これ絶対、一生言い続けたるし」ツーン


京太郎「結局、アレから結構流れてますねー」

漫「せやねー。ケーニッヒなんとかにも何度も飲まれたし」

京太郎「も、もうそれは良いじゃないですか」カァァ

漫「ふふ…まぁ、ちょっと身体も冷えてきたし、そろそろ上がろっか」

京太郎「って事は…」

漫「ふふ…そうやで!今からうちらが行くのはプールの花形!!」

漫「スライダーや!!」ババーン

京太郎「実はさっきからアレ気になってたんですよねー」

漫「真ん中にどどーんとあるからねー」

京太郎「です。結構、悲鳴めいたものも聞こえますしね」

漫「京太郎君はジェットコースターとか大丈夫なタイプ?」

京太郎「よっぽどヤバイのでない限り絶叫系は平気ですよ」

京太郎「あ、でも、夢の国のスペースマウンテンは大丈夫云々以前に思いっきり酔いました…」

漫「あーアレ辛いらしいなぁ…」

京太郎「他のマウンテン系は大丈夫だったんですけど、スペースだけは平衡感覚狂うんですよねー…」



京太郎「漫さんは夢の国経験は?」

漫「一応、一回だけ。まぁ、学校行事で行っただけやからあんま堪能しとらんけどね」

京太郎「マウンテン系はどうでした?」

漫「平日でも一時間待ちとかやったし、全スルーやったなぁ…」

京太郎「平日でも結構、人気あるんですね」

漫「大学生とか修学旅行中の学生とかだけやなく、見るからに私服の学生とかおるからなー」

京太郎「あー何か親が子どもに学校休ませて行ったりするらしいですね」

漫「結局、そういうの親が行きたいだけやと思うんやけどなぁ…」

京太郎「本当に子どもの事思ってたら学校休ませたりはしない訳ですしね」

漫「基礎勉強の遅れって一生、尾を引くかもしれへん問題やし…自分を誤魔化す為の言い訳以外の何者でもないやろ」

京太郎「夢の国にそれだけの魅力があるのは認めますけどね…かと言って子ども休ませたりするのは正直、やり過ぎだと俺も思います」


漫「まぁ、こっちはどれだけ人多い言うても20分待ちくらいやし安心やね!」

京太郎「フリーパスも安くないですからねー…」

京太郎「一回乗ったらそれで十分!って人も多いのかもしれません」

漫「それにまぁ子ども連れは大抵、キッズプールの方行っとるしな」

京太郎「あぁ、子ども用のもあるんでしたっけ?」

漫「そうそう。アスレチックとか色々あって楽しそうやったで」

漫「まぁ、子ども限定で同伴やないと小学生以上は入れへんから、今のうちらはまだ無理やけどね」クスッ

漫「何時か一緒に行ってみたい…って言うのはちょっと重いかな?」ジッ

京太郎「まさか。俺も…そうなりたいと思ってますよ」ギュッ

漫「えへへ…」

京太郎「ま…もうちょい待ってて下さい」

京太郎「胸張って挨拶…なんて無理ですけど…それでも漫さんを迎え入れたい気持ちに嘘はありませんから」

漫「うん…♪楽しみにしとるね…♥」


漫「そんな訳でやって来ました第一の刺客!」

京太郎「デスループ…でしたっけ。随分と大仰な名前ですけれど」

漫「ぶっちゃけうちはこれに関しては予備知識まったくないで!!」

漫「ここ数年前に出来たらしいけど、うちはその後来とらへんしね」

漫「そしてこれにはフリーパス使えへん!ぶっちゃけ高い!!」

京太郎「そんなトリに相応しい代物を最初に持ってきて大丈夫だったんですか?」

漫「ふふふ…!それもそうやねんけどな!!」

漫「でも、ほら…やっぱ気になるやん?」ウズウズ

京太郎「まぁ、さっきからバンッ!って音しまくりですからね」

漫「そうそう。噂には聞いとったけど…やっぱあんだけ自己主張されたら気になるやん」

京太郎「他のスライダーからも声はあがってますけど、こっちは段違いですしね」

漫「どんなんなんやろうなぁ…」ウズウズ

京太郎「楽しみですね…って、そろそろか」

漫「どっち先に行く?」

京太郎「最初は漫さんに譲りますよ」

漫「ふふ…♪じゃあ、すぐ降りてきてね」

京太郎「はいはい。でも、下で待ってちゃダメですよ。危ないですから」


漫「…どうやった?」

京太郎「まぁ…なんて言うか悪くはなかったですよ」

京太郎「箱の中からふっと落ちていく浮遊感は今までのスライダーにはなかったものですし」

京太郎「…ただ…良くも悪くもそれだけと言うか…」

漫「…うん。その後は特に何の変化もない普通のスライダーなんよね…」

京太郎「スピードそのものはあって迫力はあるんですけど…」

漫「それやって最初の落下感には負けるしなぁ」

京太郎「面白くない訳じゃないんですけど…いろんな意味で出オチと言うか何というか」

漫「もうちょっと乗ってみたい気はするけど、フリーパス使えへんアレにもう一回乗る為に20分待つのはちょっとなぁって気がする…」

京太郎「まぁ、先に別のスライダー楽しんでからにしましょう」

漫「そうやね。折角のオールフリーなんやし、ガンガン乗って行こうか!」


京太郎「次はうずうずバーンですか」

漫「こっちは二人一組で乗れるしね」

京太郎「あ、本当だ。浮き輪2つつなげたみたいなので滑ってますね」

漫「あ、それで前か後のどっちに乗る?」

京太郎「前後で何か違うんですか?」

漫「良ぉ知らんけど体重とか空気抵抗とかで結構ちゃうみたいやで」

京太郎「じゃあ、まずは俺が前で良いですか?」

漫「了解。それじゃその後、交代してみよっか」

京太郎「そうですね。どうせなら二回楽しんでみたいですし」

漫「ふふ…結構、ノリ気やん」

京太郎「まぁ、折角のオールフリーパスなんで色々楽しまないと損ですし」

漫「全部合わせて5回はすべらへんと元取れへんしね」

京太郎「5回くらいなら結構すぐな気もしますけど…」

漫「待ち時間考えると結構、長いもんやしなぁ…」

京太郎「そういうのを考えると5回乗るって結構、ハードル高いですよね」

漫「平日やったら簡単に元取れるんやろうけど…」

京太郎「その辺はお互いに学生故致し方ないですよ」



漫「っと…次みたいやね」

京太郎「それじゃそろそろ覚悟を決めますか」

漫「うちと一緒に…堕ちてくれる?」クスッ

京太郎「勿論。何処まででも一緒ですよ」

漫「ふふ…♪それやったら何処に堕ちても…うちは世界一の幸せものやね…♥」

係員「はーい。次の方、イチャついてないでこっち来て下さーい」

京太郎「あ、すみません」

漫「怒られちゃったなぁ」クスッ

京太郎「流石にちょっと馬鹿なやり取りしすぎでしたね…っと」ヨイショ

漫「はいっと…準備おっけー」

京太郎「こっちもおっけーです」

係員「じゃあ、流しますねー」



漫「きゃああっ♪」

京太郎「おぉぉぉおっ!」

漫「結構早いいいいぃぃ!」

京太郎「んでもって暗いいいいぃぃ!!」

漫「ってうひゃあんっ♪」

京太郎「うぉ…外か…」

漫「あー…暗いとやっぱりちょっと怖さが増すなぁ」グルングルン

京太郎「そうですねー。加速感も凄いありましたし」グルングルン

漫「ただ…まぁ…その…なぁ」

京太郎「…えぇ」

漫「このぐるぐるゾーンって…凄い…その…」

京太郎「まぁ、広いし開放的だしドンドン減速していくしでまったく怖くありませんね」

漫「ドーナツの中身をグルグル回っとるだけやし…加速なんて出来ひんしなぁ…」

京太郎「慣性で動いてると言っても良いくらいですし…」

漫「これはこれでメリーゴーランドみたいで楽しいけど…」

京太郎「スライダー的楽しさからはちょっとずれてますね…」

漫「逆にスライダー苦手な人はこっちの方がええかもしえへんね」



漫「…どうやった?」

京太郎「まさか最後、係員の人に流してもらう事になるとは思ってませんでした」

漫「まぁ、出口は入り口と同じくらいのサイズしかあらへんしねー」

京太郎「最後は渦潮みたいにずおっって落ちていくタイプでも良いと思ったんですけど…」

漫「その辺はやっぱり事故が怖いんちゃうかな?」

京太郎「スピード出たまま落ちちゃうとあちこちにぶつかっちゃいそうですしねー…」

漫「逆にスピードが出えへんと転覆して真っ逆さまになりかねへんし」

京太郎「ただ…今のままだと色々と惜しいのは確かですね…」

漫「そうやねんなぁ…スライダー苦手な人は最初の暗くて加速する部分がダメやろうし」

京太郎「逆にスライダー好きな人にとっては途中のぐるぐるゾーンは減速していくばかりで物足りないでしょうしね」

漫「何ともこう…どっちつかずなスライダーと言うか」

京太郎「面白くない訳じゃないんですけど、グルグルゾーンにもう一味欲しい感じでしたねー」


漫「さぁ、そんなグルグルに別れを告げて、今度はぞくぞくバーンや!」

京太郎「こっちはこっちで悲鳴も大きいですね」

漫「ぐるぐるとは打って変わったこの悲鳴…これこそがスライダーやで」ウットリ

京太郎「まぁ、実際、見てる限り、かなり怖そうですよねアレ」

漫「かなりの加速距離から70度の傾斜を一気に駆け上がり、そのままプールへGO!」

京太郎「こりゃあゾクゾクしますねー」

漫「まぁ、ゾクゾクしすぎて事故もあるみたいやねんけどな」

京太郎「えっ」

漫「まぁ、大丈夫。命に別状があるようなもんちゃうし」

京太郎「いや、それでも一気に不安になったんですけど…」

漫「ゾクゾクするやろ?」ニコッ

京太郎「そういうゾクゾクは要りませんでしたよ…」


漫「まぁ、精々が傾斜の途中で横転して身体打つくらいやし大丈夫大丈夫」

京太郎「うーん…大丈夫…なのかなぁ…」

漫「それにいざって時は京太郎君が護ってくれるやろ?」ニコッ

京太郎「そりゃ勿論、護りますけれどね」

漫「それなら大丈夫。ほら、今なら少しは空いとるみたいやし、早よ行こ?」

京太郎「分かりましたよ。その代わり安全第一ですからね」

京太郎「嫁入り前の身体を傷物にする訳にはいかないんですから」

漫「うちはもう会う度に傷物にされとるんやけれど?」クスッ

京太郎「そ、そういうのとはまた別物ですよ!」カァァ

京太郎「まぁ、そっちの意味でももうちょっと身体を大事にしてほしいと思うんですけどね!」

漫「ふふ…♪その辺は京太郎君次第やね♥」

漫「主導権握っとるんは京太郎君なんやし…京太郎君が大事にしてくれるなら問題あらへんのちゃう?」

京太郎「そりゃ…まぁ、そうなんですけど。だからって誘惑とかされるとですね…」

漫「さーて、とりあえず滑ろっかぁ」

京太郎「くっ…スルーするつもり満々なんですね…」


漫「うひゃあ!やっぱり怖かったぁ!!」

京太郎「あの後ろに重力引かれるのが堪りませんね」

京太郎「ある意味では一番、絶叫系に近いのかもしれません」

漫「そやねー。ここが一番人気なんも頷ける結果やったわ」

京太郎「デスループもぐるぐるゾーンもスライダーとしては物足りなかったですしね」

漫「うんうん。そういうのを求める人は、こっちのぞくぞくゾーンが一番、ええかもな」

京太郎「まぁ、スリルを求めすぎて横転しないように気をつけないといけませんけど」

漫「後二人の体重差が40以上離れとるとお断りされるのも気ぃつけへんとね」

京太郎「男女だと40差はあり得ない訳じゃないですしね」

京太郎「…ただ、デスループ前は測ってましたけど…ぐるぐるゾーン前は測っていなかった気が…」

漫「まぁ、最初に警告もされとるし自己責任言う奴やろ」

漫「流石に明らかな体重差ある場合は係員の人が警告もするやろうしね」


漫「んー…っ!とりあえずひと通りスライダー乗ってみたけどどうやった?」

京太郎「個人的に一番、面白かったのはぞくぞくゾーンでしたね。アレはもう一度、乗ってみたいです」

漫「うちはもっかいデスループも行ってみたいかなぁ…一回だけやと何か損した気分やし」

京太郎「じゃあ、後でまた一緒に行きましょうか」

漫「そうやね。でも…その前も先にプールで遊ばへん?」

京太郎「いいですね。今度は何処に行きます?」

漫「キッズプールはどうやろ?」クスッ

京太郎「行けませんって」

漫「実はうちの中には京太郎君の子どもが…!」

京太郎「それは別の意味でゾクってするんで止めて下さい」

漫「実は冗談や無いって言うたら?」

京太郎「今すぐプールから出て、もっと母体を大事にするように言い聞かせますよ」

漫「ふふ…♪それやったら許してあーげる♪」


漫「まぁ、ほら、ビーチボール持ってきたし、今度は水球で勝負なんてどうやろ?」

京太郎「お、良いですね」

漫「ちなみに負けたら一枚ずつ脱いでいくんやでー」

京太郎「え、えぇ!?」

漫「ふふ♪勿論、冗談やで」

京太郎「あ、当たり前じゃないですか…」

京太郎「そんなルールだったら勝てないし負けられない微妙なものにですね…」

漫「でも、スリルはあらへん?」

京太郎「ありすぎて気が気じゃなくなるんでそう言うのはせめて二人っきりの時にしてください」

漫「…先にイッた方が一枚脱いでいくとか?」

京太郎「…別に俺は構いませんけど、それ漫さんが不利過ぎません?」

漫「うん…うちも自分で言っててそう思った…」

漫「ま、まぁ、気を取り直して…とりあえず勝負な!」

漫「負けた方がどうとかは終わった後で考えよう!」

京太郎「ま、それが一番ですね。でも、負けませんよ!」

漫「それはこっちのセリフやでー!」


………



……








漫「あー…悔しいー…」

京太郎「身長も力も違うんですから仕方ないですって」

漫「そりゃそうやろうけど…殆ど勝てへんかったのはやっぱりなぁ…」シュン

京太郎「日頃から鍛えてますから」キリリッ

漫「ぬー…まぁ、手加減されるよりはマシかもしれへんけど」

京太郎「(実際、結構手加減してこの結果だったのは黙っておこう)」

京太郎「まぁ、彼氏の格好いいところが見れたって事で納得して下さい」

漫「確かに京太郎君凄い格好良かったんやけど…見惚れちゃったくらいなんやけど…」

京太郎「あー…まぁ、そうやって素直に頷かれると結構、気恥ずかしかったりもですね」ポリポリ

漫「…うちの勝ち?」

京太郎「えぇ。漫さんには負けましたよ」

漫「ふふ…♪それじゃ機嫌も直してあげる♪」

漫「んで…ついでやし、焼き鳥とかも買って小腹膨らませよっか」

京太郎「ですね。何だかんだで結構、動きましたし」


漫「うん。このちゃちい味が何とも言えへん安っぽさを演出しとるなー」

京太郎「海の家を思い出す安っぽさと値段の高さ…これこそプールって感じですね」

漫「そうやねー。でも、こんなので馬鹿にしとるんやなく喜んどるなんて日本人くらいなもんやろうなぁ」クスッ

京太郎「あー確かに外国人がファストフードの安っぽさに喜んでる印象はあんまりありませんね」

漫「ピザの大きさやハンバーガーの大きさに喜んどるイメージはすぐに湧いて出てくるけどね」

京太郎「後はバーベキューとかですかね」

漫「あー…豪快にトングで肉焼いてバーベキューソースにジューって感じ」

京太郎「ですです。で、コーラをがぶ飲みして野菜は殆どないとか」

漫「こんな事言ったら失礼やろうけど…凄い分かるわぁ」

京太郎「実際はこんな食生活してる外国人…と言うかアメリカ人なんて殆どいないらしいんですけどね」

漫「実際は冷食と宅配なんやったっけ?」

京太郎「一般家庭はそうらしいですよ。まぁ、テレビの情報なんで大げさに言ってるだけかもしれないですけど」


漫「う…でも、かき氷食べたらちょっと冷えてきたな…」ブルッ

京太郎「大丈夫ですか?ちょっと休憩します?」

漫「いや…それよりどうせやしお風呂入りに行こう」

京太郎「お風呂…ですか?」

漫「そうそう。プールと同じ階にそのまま入れる混浴エリアがあるから」

京太郎「あー良いですね」

京太郎「俺も結構、冷えてましたし、一回、芯まで温まりたいです」

漫「それじゃ決まりやね。これ食べ終わったらそっち行こっか」

京太郎「うす。まぁ…それまでがちょっと長い感じですけどね」

漫「焼き鳥にたこ焼きに唐揚げに焼きそば…それにかき氷と…」

京太郎「ちょっと調子に乗って買いすぎました…」

漫「これも全部、夏の日差しが悪いんや…」

京太郎「絶賛、秋から冬に片足突っ込んでる真っ最中ですけど」

漫「そういうツッコミは野暮ってもんやで京太郎君!」



………



……







京太郎「で、こっちが噂の混浴エリアですか」

漫「正確にはバーデゾーンって奴やね」

漫「ドイツかどっかの温泉地をイメージして作られたらしいで」

京太郎「確かに西洋風の立派なお風呂って感じですね」

漫「お金持ちが美女侍らして入りながらカクテル・グラス持っててもおかしくない感じやな」

京太郎「まぁ、俺の隣には漫さんがいるんで、足りないのは後、お金とカクテル・グラスだけですね」

漫「ふふ…♪シャッチョさん。お酌。する。ですか?」

京太郎「何で片言なんですか?」

漫「今のうちは東南アジアから家族を食べさせる為に京太郎君に端金で買われて来た奴隷なんや」キリッ

京太郎「いつの間にそんな設定作ったんですか…」

漫「その方が興奮するかなー思うて」クスッ

京太郎「いきなり過ぎて興奮も何もありませんでしたよ」

京太郎「と、言うか別に何時も通りで大丈夫ですって」

京太郎「そのままの漫さんが俺は一番、好きなんですから」

漫「ん…♪もう…またそんな女殺しな事言うて…♥」

京太郎「本心ですから仕方ないです」


京太郎「はぁ…あぁ…」ブルッ

漫「ふあ……ぁ」ブルルッ

京太郎「いやぁ…冷えた身体に温水は効きますねー」

漫「そやねー。一気に温まった感じ」

京太郎「何だかんだ言ってプールで遊びっぱなしだったから結構、身体も冷えてたんですね」

漫「うんうん。まぁ、その分、楽しかったからええけど」

京太郎「まぁ、まだスライダーとかは滑り足りない感じですけど…」

漫「その辺りはまた後か明日で構わへんやろ」

漫「今日は休日で10時までプール開いとるし」

京太郎「寧ろ、それくらいに行った方がスライダー楽しめて良いかもしれませんね」

漫「そうそう。折角の泊まりなんやし、ゆっくりしよ」ニコッ

京太郎「ですね」


京太郎「でも、温泉ってここだけなんですか?」

漫「ううん。また別の階に男湯と女湯があるよ」

漫「こっちはプールのついでに入れる混浴エリアってだけやから2つだけしかないし」

京太郎「2つ…?ってあ、展望風呂もあるんですか」

漫「そうそう。通天閣も見えて眺めもええ…らしいんやけどな」

京太郎「何かあるんですか?」

漫「いや…地元の人間からすれば通天閣見てもなぁって感じやし…」

漫「それに空かてそんなに綺麗ちゃうし…星が見れる事もそんなに多くないから…」

京太郎「漫さんからすればそんなに魅力を感じないと?」

漫「それだけやったらまだええねんけど…あっちはここよりさらに人多いからなぁ」

京太郎「あー…こっちも結構、人がいますもんね」

漫「スパワールドで唯一、混浴できるエリアやから仕方ないねんけどねー」

漫「ただ、ゆっくりお風呂入ってのんびりしたいんやったら展望よりもこっちの方が多少はマシかなぁ」


京太郎「漫さん的にはもうちょっとのんびりしたい感じですか?」

漫「と言うか…その…」モジモジ

京太郎「ん…?」

漫「京太郎君と一緒にお風呂入っとると…あの時の事思い出すって言うか…」

京太郎「…もしかしてスイッチ入ってます?」

漫「ま、まだ入っとらへんよ…た、多分やけど…」

漫「でも…何かお風呂とはまた違った熱で身体がポカポカして…京太郎君が何時もよりもイケメンに見えるん…♪」

京太郎「何時もはイケメンじゃないんですか?」

漫「イケメンやで…♥うちが大好きで大好きで堪らへん恋人なんやもん…♥」

漫「でも…今は…それよりももっと魅力的で格好ええ…旦那さんに見えて来るん…♪」ナデナデ

京太郎「ちょ…す、漫さん!そんなところ撫でたら…っ!」

漫「だ、大丈夫…まだうちは大丈夫やから…こ、こうさせて…?そ、そうしたら収まると思うし…」

京太郎「だ、だからって俺の内股撫でるのはやりすぎじゃ…」

漫「目の前にあるの従業員用の出入口しかあらへんし、バレへんって…♥」

漫「それより今は…京太郎君の事感じひんと…どうにかなっちゃいそうやし…♥」


京太郎「は…ぁ…す、漫さん…っ!」

漫「あは…♪京太郎君のチンポさん…もうおっきくなって来とるで…♥」

京太郎「そりゃ…そんな風にねちっこく撫でられたら誰だってそうなりますって…」

漫「その気に…なってくれとるんや…♪」スッ

京太郎「す、漫さん…っ!?」

漫「どうかしたん…?」

京太郎「い、いや…あの…胸が…胸がですね…?」

漫「胸が…なぁに?」クスッ

京太郎「俺の腕に当たってるどころか包み込んでるんですけど…っ」

漫「もっと京太郎君の事感じたいって思ったら…自然と…ね♥」

京太郎「う…い、いや、光栄な話ではあるんですけど…でも…」

漫「でも?」

京太郎「やばいですって…これ…一応、周りに人いるんですから…」

漫「誰もこっちなんて見とらへんし…声あげへんかったら分からへんってば♥」

京太郎「で、でも、誰かがこっちに気づいたら…」

漫「お風呂でおっきくしとるんがバレてしまうかもなぁ…♥」


漫「でも、それやったらチンポちっさくすればええだけやろ?」クスッ

京太郎「で、出来る訳ないじゃないですか…!」

漫「そう?普通の人やったら中々、萎えて勃たへんと思うで?」

漫「それでもこうやって大きくしとるんは京太郎君もそういう事期待しとったからちゃうの?」

京太郎「さ、流石の俺でもこれだけの前でするつもりはありませんでしたよ…!」

漫「じゃあ…どうするつもりやったん?」クスッ

漫「うちの事…今日はどんな風にレイプするつもりやったんか聞かせて…?」

京太郎「そんなつもりは最初からありませんってば…」

京太郎「普通にデートっぽいデートして…夜そういう雰囲気になったら…くらいしかですね」

漫「ふふ…♪そういうのもロマンチックでええね…♥」

漫「でも…うち…もう…そんなん無理みたい…♪」

漫「そんなデートする前に…身体が火照って堪らへんの…♥」


~漫~

うちにだってそれがあかん事やってくらい分かっとった。
今まで京太郎君が護ってくれていた一線を遥かに踏み越えるリスク溢れる行為なんやから。
それに理性は警鐘を鳴らし、今すぐやめろと告げとった。
けれど、それを理解していても、うちの手は止まらへん。
一ヶ月焦らされた身体はもううちの制御を緩やかに離れ、まるで痴女そのものの手つきで京太郎君へと迫っていた。

漫「ねぇ…♪京太郎君は…うちの事弄りとぉない…?」
京太郎「そ、それは…」

そう答える京太郎君の目には逡巡の色が浮かんでいた。
何だかんだ言って、京太郎君もうちとセックスするのを期待してくれとったんやろう。
その瞳に浮かぶ欲情はうちほどではなくとも強く、メラメラと燃え上がりつつあるのを感じた。
実際、その興奮の証である肉棒はさっきからうちの手にコツコツと当たるくらい大きくなってきとる。
まだ最高潮のモノには及ばへんけど、それでも京太郎君が興奮してくれるのをうちに教えてくれるくらいに。

漫「(ふふ…♪素直で可愛い子…♥)」

何時もならうちの事をアヘアヘにさせて、もう訳が分からんくらいに気持ち良くしてくれる逞しい逸物。
その素直で可愛らしい反応に、うちは思わず胸中でそう言葉を漏らし、笑みを浮かべる。
勿論、そんな事言うたら京太郎君が傷つくのは分かっとるし、口になんて出さへん。
けれど、心の中で思うのはどうやっても打ち消す事なんて出来ず、うちはそんな可愛い子にもっとご褒美をあげたくなってしまうんや。


漫「感じる…?うち…もうこんなにドキドキしとるんよ…♥」

瞬間、うちはそっと京太郎君のもう一つの手を取り、自分の胸へと導く。
ぶ厚めのパッドのお陰で分からへんけれど、そこはもう乳首が立って肌も敏感になり始めとった。
勿論、心臓の鼓動はもうドッキドキで、身体中に興奮の熱を送りつけとる。
さっき触れてたら収まるなんて言ったけど…正直、逆効果やったんやろう。
何せ、うちの興奮は収まるどころかドンドン強くなっているんやから。

漫「京太郎君に触って欲しくて…もう発情しとるん…♥」
京太郎「す、漫さん…まずいですって…!」

しかし、それを京太郎君に伝えても彼は理性的な立場を崩す事はあらへんかった。
その瞳は興奮に揺れとるけれど、未だ欲望には負けとらへんのやろう。
セックスの時も自分の興奮をコントロールし、ギリギリまでうちを追い立てる彼の自制心は多分、信じられへんほど強い。
けれど、それを持ってしても着実に興奮へと至りつつある京太郎君にうちはクスリと笑みを浮かべながら、さらに胸へと彼の手を押し付ける。

漫「それやったら…今すぐお風呂あがって…部屋に行く?」

勿論、そんなのは無理や。
何せ、京太郎君のチンポはただでさえ大きいのに、さらに勃起しはじめとるんやから。
もう緑色の水着をはちきれんばかりに押し上げているそれは支給された館内着で隠す事は出来ひんやろう。
部屋へと戻る間に膨れ上がった肉棒のシルエットを見て取られ、恥を掻いてしまうのは明白やった。


京太郎「それは…」
漫「即答出来ひんって事は…今の状況がええ言う事やね…」
京太郎「そ、そんな訳ないじゃないですか…!」

だからこそ、言葉を濁らせる京太郎君の意図をうちはわざと曲解する。
それに焦り混じりの声を向けながらも、京太郎君の腰は動かへん。
お湯の中でサワサワと動くうちの手を受け入れ、はぁはぁと吐息を漏らしている。
身体がお湯で温まったのとは違うその淫らなため息に、うちもまた興奮を掻き立てられ、お腹の奥がジュンと潤んだ。

漫「(実際…うちはどうしたいんやろうなぁ…)」

うちだってこのままセックスまで出来るなんて到底、思うとらへん。
流石に人前でそんなんするのは恥ずかしいし、何よりすぐさま係員に止められるやろう。
結果、二人で仲良くお縄…なんて笑い話にもならへん。
だからこそ、このまま進んでもうちが望むような展開にはならず、欲求不満が強くなるだけなのは目に見えとった。

漫「(でも…京太郎君が可愛くて仕方ないんやもん…♥)」

そう。
それでも先のない行為にうちが溺れるのは必死で自制しようとする京太郎君の姿が新鮮やからや。
普段、うちを冷徹に追い詰め、淫らなオネダリを山ほどさせる絶対的な支配者。
そんな彼の弱みにも似た今の姿にゾクゾクが止まらへん。
どうやらうちは責められるだけやなく責める方も案外、嫌いやないらしい。
そんな新しい発見に、胸中でクスリと笑みを浮かべながら、うちはゆっくりと撫でていた手を京太郎君の股間へと持っていく。


漫「でも…ここももう…キュンってしとるよ…♪」
京太郎「うあ…」

そう言ってうちが触れるのは京太郎君の金玉や。
何時もうちのお腹を一杯にするくらいに精液貯めこんでくれるそこを転がせば、京太郎君から喘ぎ声が漏れる。
普段は滅多に聞けへん艶っぽいその声にうちの胸はキュンと反応し、その場で彼を押し倒したくなった。
その衝動を何とか堪えながら、うちは出来るだけ優しく京太郎君の急所を弄ぶ。

漫「(格好良い上に可愛いとか…もう反則やって…ぇ♥)」

その度に喘ぎ声を漏らす京太郎君からはもう抵抗の声は出てこない。
急所をうちに握られている所為か、或いはもう諦めたのか。
京太郎君本人やないうちには分からへんけれど、そのどちらでもない気がする。
彼は今も虎視眈々と何かを狙い、機会を待っとるんやろう。
そして、そんな諦めない姿勢はうちの目に格好良く映り、そして時折、肩を震わす姿が可愛くて仕方がないんや。

漫「(だから…もっと…うちに可愛い顔見せて…♥)」

それにさらなる興奮を掻き立てられたうちは胸へと導いた京太郎君の手を動かす。
うちの胸に押し付けたまま円を描くようなそれは、京太郎君の手を使ってオナニーするのも同然なんやろう。
実際、水着の中で硬くしこった乳首が転がされ、ビリビリとした快感がうちの胸へと突き刺さとった。
けれど、それは決して強いものやなく、うちの肌を震わせる事もあらへん。
少なくとも、京太郎君に愛撫して貰えるそれとは比べ物にならず、うちの中に焦れったさが沸き上がってくる。


漫「ねぇ…♪京太郎君も…して…♥うちの事…気持ち良く…して…♥」

その焦れったさがうちにそんな自分勝手な言葉を紡がせた。
一人で勝手に興奮して、その上、愛撫まで強請るやなんて、もう痴女以外の何者でもあらへんやろう。
そうと理解しながらも…うちの衝動はもう止まらへん。
一ヶ月もの間、京太郎君に触れられる事もなかった身体は、彼から与えられる刺激に飢えとったんや。

漫「おっぱいでもオマンコでも…何処でもええから弄って…♥うちの身体…もう何処でも気持ち良くなるからぁ…♪」

その言葉は決して嘘やなかった。
身体を重ねた日数こそ少ないものの、濃厚な時間を過ごしたうちの身体はもう京太郎君に開発されまくっとるんやから。
京太郎君がうちの中で射精してくれた頃にはもう耳をペロペロされるだけでもイッてしまうくらい敏感になってしまっとる。
四肢や首筋など言わずもがなで、撫でられるだけでも安心感と快感で蕩けてしまいそうになるくらいや。
流石にそれほど敏感になっとる訳やないけれど、きっと京太郎君に飢えとる今のうちはすぐさまそうなってしまうやろう。

京太郎「…あぁ…もう…っ」
漫「ふぅんっ♪」

そんなうちに京太郎君は一つ諦めたんやろう。
呆れたように、けれど、興奮を滲ませてそう言いながら、彼の手はうちのおっぱいを鷲掴みにする。
ワイヤーレスの水着ごとぎゅっと包むようなそれに、うちの柔肉はビクンと反応して奥から甘い波を湧きあがらせた。
さっき自分で動かしていた時とは比べ物にならへんそれに、うちは思わず声をあげてその背筋を震わせてしまう。


京太郎「一度イッたら…もう触るのも触られるのもなしですよ…!」
漫「ぅん…分かっとる…ぅ♥」

言い聞かせるようなそれにうちは素直に頷いた。
うちだって今の状況が決して良いものじゃなく、また長続きせえへん事やというのも分かっとるんやから。
ここで下手に拒否して京太郎君を困らせるよりも後のセックスに期待した方が遥かにええはずや。
流石に一度イけば少しは痴女めいた仕草もなくなるやろうし、京太郎君のチンポが収まるのを待って動けば大丈夫。

漫「はぁ…ぅ…♪」

しかし、そう思ううちとは裏腹に、京太郎君の動きは焦れったいものやった。
勿論、それは彼が下手やからとか、この期に及んでうちの事を焦らしているとかそんな事はあらへん。
ただ、京太郎君の今の立ち位置がうちと肩を並べるようになっとるのが原因や。
右手をうちのおっぱいに包まれ、左手をおっぱいへと伸ばす今の彼の姿勢はかなり無茶のあるものやねんから。
そんな状態でいつも通りの愛撫を乞う方が間違いやろう。

漫「(そう分かっとるのに…もどかしい…よぉ♥)」

これが周囲に人がおらへんか、視界が遮らえる場所やったら向き合って思いっきりペッティング出来るんやろう。
しかし、何時、こっちに人の目が向くか分からへん以上、あんまり無茶な動きは出来ひん。
そもそもこうしておっぱいで腕を挟んどる姿は、後ろからだって丸わかりなんや。
かなりのバカップル全開のうちらの姿は周囲から注目を集めとるやろうし、これ以上、危ない橋は渡れへん。


漫「(でも…これだけやったら…ええやんな…♪)」
京太郎「あ…」

そう思ってうちが動かし始めたのは腕やなくて腰やった。
京太郎君の腕に股間を押し付けるようにユサユサを揺する。
それにお湯も反応してチャプチャプとゆるやかな音が鳴った。
プールの音がここまで入り込んでへんかったら、周りの誰かに気づかれてもおかしくないであろうその動き。
それにさらなるスリルを感じたうちの奥から熱い波が湧き出る。

漫「は…ぁ…♥これ…思ったより…ええ…かも…♥」

京太郎君の腕はそれなりに鍛えとる所為かゴツゴツしとって硬い。
そんな腕にオマンコを擦りつければ、水着の奥の粘膜が擦れて快感が湧き上がる。
敏感さの違いか、おっぱいのそれよりも数段強いその気持ち良さにうちの口は思わずそんな声を漏らしてしもうた。
瞬間、そんな自分に興奮したうちは興奮を強め、さらに敏感になってしまう。

漫「あかん…っ♪京太郎君でオナニーするの気持ちええ…っ♥癖に…なりそぉ…♪」

そうやって京太郎君の腕に擦りつける動きは紛れもなくオナニーや。
大事で愛しい恋人の身体を性具に使い、まったく顧みいひん独り善がりなんやろう。
けれど、その背徳感が今のうちの意識を追い詰め、そして気持ち良くしてくれる。
こんなのあかんって分かってるのに…止められへんくらいに。


漫「ゴツゴツがええ…の…ぉ…♪オマンコにグジュってクるぅ…♪」
京太郎「…う…」

そんな気持ち良さをストレートに京太郎君に囁けば、彼がブルリとその肩を震わせる。
抑えきれない興奮を表すようなその仕草にうちの胸の奥がキュンと反応した瞬間、京太郎君の腕にぐっと力が篭った。
まるでうちのおっぱいに指を埋めるようなその力強さに、肌がひりつくような痛みを訴える。
けれど、それ以上にうちのおっぱいが興奮で燃え上がり、奥の乳腺から快楽を走らせた。

漫「は…ぁ…♥京太郎君も…その気になったん…ぅ♪」
京太郎「このままじゃ見つかるリスクがあがるだけだって判断しただけですよ…」

うちの言葉につれない言葉を返しながらも、須賀君の吐息はさらに荒くなっとった。
何だかんだ言いつつもうちのオナニーに、うちの囁きに興奮してくれとるんやろう。
実際、その指先はどんどん嗜虐的になって、うちの柔肉を意地悪く弄んでくれとる。
ただ、うちを感じさせるだけが目的やったら、もっと上手いやり方が幾らでもあるはずや。
無理に腕を伸ばすような姿勢でさえなければ、京太郎君の技巧ならうちをイかせるのも難しくないんやから。

漫「(でも…そうじゃなくて…京太郎君はうちの胸を乱暴に揉みしだいてくれとる…♥)」

勿論、そうやって向き合うようになったら、幾らか不自然さも増すやろう。
けど、周囲の視線がうちらに向いていない今、それはただの不自然なカップル程度でしかあらへん。
うちが円形のジャグジー風呂の中心に背を向けたら、きっとうちがイくまでバレる事はないはずや。
それをセックスの度に冷徹にうちを責め立て、追い詰める京太郎君が分かっとらへんはずがない。
それでもそれをせえへんのは京太郎君に覚悟がないと言うよりは、それじゃ物足りひんからやろう。


漫「京太郎君も…根がスケベやからね…♥」
京太郎「そのスケベさをからかうようにして目覚めさせたのは誰だと思ってるんですか…」
漫「きゅん…っ♪」

そう言いながら、京太郎君の指先がキュッとうちの乳首を挟み込んだ。
指の関節部分で乳首が浮き上がらせる部分を正確に狙ったそれにうちの口から思わず嬌声が飛び出す。
パッドの奥で欲求不満に震えていた乳首にとって、パッドごと挟み込むそれはとても気持ち良く、ジリジリとした熱が湧き上がった。
胸の奥に染みこむようなその独特の熱にうちのおっぱいは微かに震える。

京太郎「言っときますけど…俺、結構、怒ってるんですからね」
漫「くぅぅ…♪」

そんなうちの胸を根本から揺らすように手を動かしながら、京太郎君は冷たくそう言った。
興奮とはまた違った冷たい熱を込めるようなそれは当然のものやろう。
京太郎君はいきなり真横で発情されて、一方的にリスクだけ背負わされとる被害者なんやから。
もし、こうやってペッティングしあっとるのが見つかった時に受ける屈辱を考えれば、そりゃ怒りたくもなるはずや。

京太郎「だから…今日は本気でお仕置きしますから」
漫「ふぁ…ぅ…ぅん…♪」

瞬間、うちの耳元でポソリと呟きながら、京太郎君は右腕を動かし始める。
今までうちに擦りつけられるだけであったそれはスルスルと上へとあがり、うちの股間をぐっと包み込んだ。
オマンコ周辺の盛り上がりごと押さえ込むようなそれはオナニーとはまったく違った快感をうちへと与え、吐息混じりの嬌声をあげる。
京太郎君でするオナニーも気持ち良いものやったけれど、今のコレは彼もまたその気になってくれていたが故のもの。
その陶酔とも幸福感とも言えへん感情に彩られた快楽にうちが声を漏らしてしまうんも当然の事やろう。


―― けれど、本当に凄いんはそれからやった。

漫「んくぅぅぅっ♪」

それにうちが声をあげたのもつかの間、彼の指はうちの股布を強引にずらして中へと入り込んでくる。
勿論、それが目指すのはもう愛液を漏らしていてもおかしくはないくらいに発情したうちのオマンコや。
興奮を抑えきれず、京太郎君にまで迷惑掛けとるうちのダメなメスマンコに彼の指が突き刺さった。
うちの指とは違う硬くて太いそれにうちは堪らず声をあげ、背筋をブルリと震わせてしまう。

漫「きょ…京太郎…く…んんっ♪」
京太郎「言ったでしょう?俺は…怒ってるんですよ」

震えながら彼の名前を呼ぶうちの言葉に京太郎君は取り合う様子を見せへんかった。
その目に冷たい興奮と怒りを混じらわせながら、突き放すようにそう言うだけ。
どうやらうちは調子に乗りすぎて、眠った獅子の尾を踏んづけてしまったらしい。
それに今更気づいて後悔を抱いたところで、どうにもならへん。
獅子はもう普段の穏やかな顔を脱ぎ捨て、うちに牙を剥いとるんやから。

京太郎「正直、失望しましたよ。発情するだけならまだしも襲うだなんてやりすぎです」

冷たく言い放つような彼の言葉には容赦なんてあらへんかった。
いや…そんなものあるはずなんてないんやろう。
だって、京太郎君は今、本気でうちに失望し、怒っとるんやから。
普段、うちを責めとる時よりもさらに冷たく、そして鋭いその視線からもそれははっきりと伝わってくる。


漫「あ…あぁ…っ♪ご、ごめ…ごめん…♪」
京太郎「謝罪なんて要りませんよ。俺の中で漫さんの評価はもう覆りませんから」

それに謝罪の言葉を返すうちの言葉すら京太郎君は取り合ってくれへん。
それどころか失望の色を強く浮かばせた冷たい言葉で、うちの事を切り捨てる。
その鋭さに嫌われる恐怖がうちの背筋を這い上がり、興奮で火照った身体を冷たくさせた。
今まで何だかんだ言って京太郎君が受け入れてくれていたが故に…まったく考慮しとらへんかったその恐怖。
命の危機にも近いそれに思わず泣きそうになるうちの前で京太郎君はゆっくりと唇を動かした。

京太郎「それに…ごめんって言いながら、漫さんの身体はさっきから動きっぱなしじゃないですか」
漫「それはぁ…♥」

情けないけど、京太郎君の言う通りやった
呆れるどころか失望までされてるって言うのに、うちの身体は京太郎君を求めるみたいに動いとる。
腕は京太郎君の手を強く押し付け、また腰も自分から指を飲み込もうとカクカクってしてしまうんや。
そんな自分を何とか言葉だけでも取り繕うとするけれど、それらしい言葉なんて出てこうへん。

京太郎「結局、漫さんは俺の事、肉バイブ程度にしか思ってないんですね」
漫「ち、違…違う……ぅ♪」

そっと肩を落としながら、自嘲混じりに呟く京太郎君の言葉。
それを否定する言葉はうちの本心やった。
確かに今のうちはまったく収まりつかへんケダモノみたいな状態やけど、それでも京太郎君が好きな事には変わらへん。
こうして彼を必要以上に求めてしまうんも、能力の影響というよりは京太郎君の事が好きって事の方が大きいやろう。


京太郎「違う?何が違うんですか?」
漫「ふきゅ…ぅ♪」

けれど、それを証明するものは今のうちにはない。
それを教えこむような鋭い言葉と共に京太郎君の指がうちの中を深く突き刺した。
その指の根元まで埋め込むような愛撫に、うちの身体はビクンと跳ねる。
それに合わせるようにして身体の内側に走る快感の波に、うちは胸の奥が疼くのを感じた。

京太郎「失望したって言ってるのに、漫さんの中は随分と情熱的に締め付けてくるんですね」
漫「あぁ…あぁ…ぁ…♪」

呆れを滲ませる冷たい言葉に、けれど、うちの身体は嫌というほど反応してしまう。
その硬い指先をキュンキュンと締め付けて、奥へ奥へと引きずりこもうとしとるんや。
それは勿論、うちの中に入ってきとるんが京太郎君の指やからって分かっとるからやろう。
でも、それが自分への言い訳に聞こえるくらい、今のうちの反応は貪欲で奥から熱い汁がこぼれだしてしまうんや。

京太郎「これ…奥から出てるのお湯じゃないですよね?どれだけ淫乱なんですか」
漫「や…や…ぁあ…♪」

勿論、普段からうちは京太郎君に淫乱だとかエッチだとか言われとる。
何時もはそれに頷いて、自分でも認める事が出来るんや。
でも、京太郎君がうちの事を嫌うかもしれへんって思ったら…そんな事は到底出来ひん。
今までうちがそれを気軽に受け入れられとったのは、そうやって淫乱な自分を京太郎君もまた悦んでくれとるっていう確証があったからなんやろう。


漫「(でも…今のうちにはそれがなくて…)」

いや、それどころか嫌われている一歩手前と言っても良いような状況。
さっきまで楽しいはずのデートだったものが一気に瓦解し、幸せが崩れていく感覚に心は怯え、どうすれば良いのか分からなくなる。
けれど、完全に発情した身体はそんなものおかまいなしに京太郎君を求め続けていた。
心と身体が乖離した自分の反応にうちの目が潤むけれど、京太郎君はまったく容赦してくれへん。

京太郎「こっちも随分と元気で…羨ましいくらいですよ」
漫「んあ…ぁっ♪♪」

嫌味のようにそう言いながら、京太郎君は手のひらでぐっとうちの恥丘を押し込む。
それに一番の抵抗を返すんは、勿論、うちのクリトリスや。
もうぷっくり膨れ上がった淫核は京太郎君の手でグリグリと押し込まれ、強い快感を脳へと伝える。
膣肉のそれと比べても劣らないその刺激にうちの腰はブルブルと震え、一気に身体が昂っていくのを感じた。

京太郎「まさか…もうイきそうなんですか?」
漫「やん…ぅ♪ちが…違う…ぅ…♥」

着実に昂ぶる身体は京太郎君にもその予兆を伝えたんやろう。
呆れるようなその言葉は、うちの変調を的確に言い当てるものやった。
それでもそうして否定したのは、イッてしまったら本当に京太郎君に嫌われるかもしれへんって思うたからや。
今更、遅いかもしれへんけれど…でも、これ以上、彼に失望されたくはない。
そう思って何とか身体を鎮めようとするけれど、うちを開発してくれたオスの手には敵わへんかった。


京太郎「でも、ここはそうは言ってないですよ」
漫「きゅぅ…ぅん…っ♥」

グチュリと言う音がお風呂の中から聞こえてきそうなくらいに潤んだ肉穴。
それをグリグリとかき回す動きにうちは背筋を跳ねさせてしまう。
ただでさえ、イキそうなうちの身体をさらに追い立てようとするその愛撫にうちの抵抗なんてまったくの無意味や。
完全に火が入った身体は快楽を貪欲に貪り、お腹の奥で本能がメラメラと燃え上がっとるんやから。

京太郎「さっきから俺の指に肉襞を抱きつかせるように締め付けてくるんですけど…これ漫さんがイく時の前兆ですよね?」
漫「ちゃうもん…っ♪うち…イかへん…っ♪まだ…イったりせえへん…から…ぁ♥」

それでも、そうやってうちは意地を張った言葉を京太郎君に返す。
勿論、うちはもう完全に我慢も砕かれ、イくのを先延ばしにするしか出来ひんような状態や。
そんな状態で何を言っても強がりにしかならへんのやろう。
しかし、そうと分かっていてもうちは意地を張るしかなかった。
それを止めてしまった時、京太郎君から嫌われるかもしれへんって思うたら、どれだけ辛くても意地を張るしかあらへん。

京太郎「へぇ…じゃあ…こことか弄られても…全然、大丈夫なんですよね?」
漫「ひゃあっぁぁあっ…っ♪♪」

瞬間、京太郎君はうちのお腹の側をグイッと押し込む。
丁度、京太郎君の指が届くそのザラザラとした部分は所謂、Gスポットって奴や。
女の性感帯の中でも飛び抜けて優秀なそれを京太郎君はグリグリと擦りあげる。
それだけでまるで凍えるようなゾクゾク感と、お腹の奥に突き刺さるような快楽がうちの身体を襲った。
その気持ち良さはさっきまでの比やなく…正直、叫び声をあげそうになる自分を律するのが精一杯や。


漫「あかん…っ♪そこあかん…よぉっ♪♪そこは…ぁ♥」

自然、その快楽はうちを急速に昂らせ、一気に絶頂へと近づけていく。
今にもオルガズムへのカウントダウンが始まりそうなその強烈な愛撫にうちの身体は逃れようとした。
けれど、うちをがっちりと掴んだ彼の手がそれを許さず、無慈悲に快楽だけが子宮へと注ぎ込まれていく。
乳首から、おっぱいから…そしてクリトリスとGスポットから。
無理矢理、イかされてしまうようなそれにうちの目尻から一粒の涙が零れた瞬間、お腹の奥がキュゥゥと収縮する。

漫「ダメ…ぇ♪もぉうちイく…っ♥京太郎君…ごめん…ごめん…ぅ…っ♪♪イく…っ♪イくイくイくイく…ぅぅぅぅぅ…っんっ♪♪」

もう自分すら誤魔化す事が出来ひん絶頂の予兆。
それに思わず押し殺した声をあげながら、うちのお腹は一気に弾けた。
瞬間、ドロリとした快楽が身体中へとへばりつき、そこに快楽を流しこんでいく。
思考もまた白く歪んでいくその気持ち良さにうちは悦ぶように全身を震わせて…イッてしもうた。

漫「(あかんのに…悦んだら…ダメやのに……ぃ♥)」

けれど、それは一ヶ月ぶりのマジイキなんや。
この一ヶ月もの間、ひたすら自分の指で慰め続けとったうちがようやく味わう本当の絶頂は…やっぱり凄かった。
京太郎君にべったりと汚して貰ったエロ下着を嗅ぎながら、オマンコ弄っとった時とは比べ物にならへん。
イッてもイッても寂しさだけが募るオナニーとは違って…今のうちには充足感すら感じられとるんやから。
まるで乾いた身体に水がしみ込むように、そのアクメはうちの身体を響かせ、満たしてくれた。


漫「ふあ…あぁ…ぁ…♪♪」

でも、それが気持ちよければ気持ち良いほど、うちは自分の情けなさに涙が溢れる。
だって、そんな風に悦んでしまったら、京太郎君に嫌われてしまうんやから。
衆人環視の元でも構わず、イッてしまう…馬鹿で淫乱なアホ女やって…軽蔑されてしまうやろう。
その恐ろしさにうちの心は確かに身震いしとるはずやのに…快感は収まらず、うちの目尻からまた涙を零させた。

漫「ごめん…京太郎君…うち…うちは…ぁ…♥」

未だ絶頂から帰ってこれへんうちの口が、それでも何とか嫌われたくないと口を開いた。
けれど、快感がジンジンと響く頭ではどう言い訳すれば良いのか分からず、うちの口から吐息だけが漏れる。
それに京太郎君が冷たい視線でうちを見下ろしながら、そっとオマンコからその指を抜いた。
その刺激だけで思わず嬌声を漏らしそうになったうちから、彼はそっと視線を背ける。

漫「お願い…ぃ♪何でも…何でもするから嫌わんといて…ぇ♥見捨てんといて…♪」

まるでもう用済みだと言うようなその仕草に…うちはもうなりふり構っていられへんかった。
声を荒上げる音はしなくても、身体全体で抱きつくようにしながら、そっと声を漏らす。
絶頂の所為か、それはとても弱々しく、また声も艶が強く残っとるものやった。
恐らく、そんなものではうちに失望した京太郎君の心には届かへんやろう。
しかし、それでも黙ってたら事態が好転する訳でもない。
そう感情が口にするままにうちは彼にしがみつき、懇願するように口を開いた。


漫「うち…京太郎君に見捨てられたら…生きてけへん…っ♥京太郎君に捨てられたらもう…あかんの…ぉ♥」

その言葉は決して大袈裟なものやない。
たった一ヶ月、触れ合いがなかっただけで、うちはもうこんなにエッチになっとるんやから。
それまで恋人らしいメールや電話のやり取りもしとるのに、ケダモノみたいに発情しとる自分。
そんなうちが京太郎君から完全に見放されてしまったら…きっともう生きていけへん。
こんな場所でも発情するくらいに開発された身体の疼きは京太郎君やないと収まらへんのやから。
生きていたとしてもきっと頭がおかしくなって、今の『上重漫』ではなくなくなっとるはずや。

漫「もう…もう絶対、こんな事せえへんから‥京太郎君に迷惑なんて掛けへんから…だから…ぁ…♥」
京太郎「…本当にそう誓えますね?」
漫「うん…っ♪うんっ♪絶対に…せえへん…っ♪約束するから…ぁ♪」

そこでようやく反応らしい反応を返してくれた京太郎君に、うちは何度も頷いた。
まるで幼い子どもがするようなそれも、致し方ないものやろう。
だって、うちにとってそれはようやく見えた希望の光も同然やねんから。
それを手放さへん為やったら必死にもなるし、幼児帰りだってする。
それで京太郎君が少しでもうちに情けを掛ける気になってくれるんやったら、寧ろ、うちは自分から子どもになる事やろう。

京太郎「じゃあ…ご褒美をあげないといけませんね」
漫「え…」

瞬間、京太郎君は抱きついたうちを抱き返してくれた。
ぎゅっと自分へと押し付けながら、立ち上がる彼に引っ張られるようにしてうちもまた風呂から立ち上がる。
瞬間、京太郎君はうちの身体を離し、代わりに腕をぎゅっと握りしめてくれた。
微かに痛みすら感じる力強いそれに、うちの胸がトクンと跳ねたのは、京太郎君もまたうちの事を求めてくれているんやとそう思えたからやろう。


漫「京太郎君…っ♥」

それにうっとりと彼の名前を呼ぶうちを京太郎君はグイグイと引っ張って進んでいく。
その先にあるのはパーデゾーンにある休憩エリアや。
そこの一番、端にある目立たない位置に置いてあったうちらの荷物を京太郎君はぐっと掴んだ。
何時もとは違う何処か焦ったようなそれは今も京太郎君のオチンポが腫れ上がったままやからやろう。
それに申し訳なく思った瞬間、京太郎君はうちにそっとタオルと桃色の館内着を差し出してくれた。

京太郎「それで身体拭いて…脱衣所の入り口で合流しましょう」

そう言う京太郎君の言葉にうちはそっと頷いた。
それを確認した彼はタオルで身体の水気を拭き取ってから館内着を乱暴に羽織る。
大型のそれを着こむのはエレベーターに降りた先で水着を脱げと係員に指示されるからやろう。
水色の男性用館内着は決して下まで覆い隠すほど大きなものやないけれど、それでも勃起してるのを誤魔化すくらいは出来るはずや。

京太郎「行きますよ」
漫「あっ…♥」

それが終わった途端、またうちの手を無造作に掴んでエレベーターまで引っ張る京太郎君。
けれど、うちは彼の目的が一体、何にあるんかなんてまったく分からへんかった。
さっきから言葉少なく、必要最低限の事しか言ってくれへんのやから。
今のうちに伝わっているのは後で合流してご褒美って事は多分、機嫌を治してくれたんやろうって事くらいや。
それ以外の事なんて殆ど分からず、うちは従順に京太郎君の後ろを着いていった。


京太郎「じゃ…また後で」
漫「…うん…♪」

そんな彼と別れるのは八階からはロッカールームにつながっとる直通エレベーター以外では降りられへんからや。
それを寂しく思いながらも、ここで我儘なんて言えへん。
何せ、館内着の上からでも微かに分かるくらいに京太郎君は勃起していて…そして、それに気づいた人も何人かいるみたいやねんから。
パーデゾーンからエレベーターまででの短い距離でもすれ違ったその人たちの軽蔑の視線や笑い声は明らかに京太郎君へと向けられとった。
それらは全部、うちが我慢出来ひんかった所為であり、本来なら被らんで良かった恥辱や。
幾らか冷静さを取り戻した心がそれに押しつぶされそうな申し訳なさを感じながら、うちはエレベーターを待ち続ける。

漫「(早く…早く…っ)」

そう思いながらも中々、エレベーターは来ない。
ここと脱衣所を前後するだけのはずやのに、中々、到着音が鳴らへんのや。
勿論、普段であれば、その程度の遅れくらいは気にならへんのやろう。
けれど、京太郎君に酷い恥辱を味あわせているうちにとって数秒の遅れは数分に思えるくらいやった。

―― ガラッ

漫「…っ!」

そんなうちの前でようやく開いたエレベーターの扉。
それに滑りこむように入りながら、うちは急いで扉を閉めるボタンを押した。
その操作に従ってゆっくり閉まっていく扉を見ながら、うちは大きく深呼吸する。
ここから先は係員の監視をすり抜けへんかったらあかんし、あまり焦ってはいられへん。
そう思いながらもジワジワと染みこむような焦燥感は消えず、うちの肌をチリチリと焦がす。


漫「(…良かった…)」

そんなうちにとって僥倖やったんはエレベーターが到着した瞬間、そこに係員がおらへんかった事やろう。
それに一つ安堵して足を踏み出したうちの前に、ロッカーの側にある箱を弄っている店員の姿が見えた。
どうやら丁度、入れ替えの時期に降りてこられたみたい。
それに胸中で安堵の溜息を漏らしながら、うちはロッカールームから駆け出し、階段を降りる。

漫「(確か男性用のロッカールームは…!)」

女性と男性で入浴するエリアが違うスパワールドはロッカールームも階で別れている。
お陰で合流するのが少し面倒な造りが今は少しだけ恨めしい。
けれど、それを言葉にする時間すらうちには惜しく、急いでその足を動かして… ――

漫「あっ…」

瞬間、うちの足がズルリと滑る。
プールからろくに拭いていなかった足は普段のものより滑りやすかったんや。
それをまったく考慮しておらんかったうちの身体は残り数段を頭から落ちる事になる。
妙に遅くなった世界でそれを認識したうちがぎゅっと目をつむった瞬間、身体が硬いものに抱きとめられるのを感じた。


京太郎「あんまり急ぐと危ないですよ」
漫「あ…っ♥♥」

それがついさっき別れた京太郎君やと認識した瞬間、うちの胸がドロリと蕩ける。
まるで漫画か何かのように絶妙なタイミングで助けに来てくれた彼は…うちの一番好きな人やねんから。
その胸板に抱きとめられた身体が一気に燃え上がり、うちはもう本当に我慢出来ひんようになってしまう。

京太郎「漫さん、こっちに」
漫「え…?」

その感覚にぎゅっと京太郎君の館内着を握りしめたうちに気づいてくれたんやろう。
うちがお礼を言うよりも先に、彼はそっとうちの手をとってエスコートしてくれる。
そのまま京太郎君が入ったのは施設内に2つある多目的トイレやった。
所謂、車椅子の人とかを対象に作られとるその中に、彼はスルリと滑りこむ。
そんな京太郎君の背中を追うのに少しだけ躊躇が浮かぶけど、迷惑ばっかり掛けとるうちに拒否権なんてない。
丁度、今は周りに人もおらへんし、迷ってないですぐに飛び込むべきやろう。

漫「(まぁ…しかし…結構広いもんやな…)」

車椅子と介助する人が一緒に入れるようになっとるからやろうか。
うちが足を踏み入れたそのトイレは二畳か三畳くらいのスペースがあった。
今までうちが利用してきたトイレとはまったく違ったそれは少しだけ新鮮に思える。
けれど、芳香剤の独特の匂いと白い洋式便所が否応なくここがトイレである事を感じさせた。
それに妙な興奮と背徳感を感じながら、うちは後ろ手でトイレの鍵を締め、京太郎君の元へと近寄った。


京太郎「言われなくても鍵を締めるなんて随分と期待してくれてるんですね」
漫「はぅ…♪」

そんなうちに一番最初に投げかけられたのは、揶揄するような恋人の言葉やった。
けれど、それはさっきのものよりも数段、暖かく、うちを辱める為の言葉である事を理解させてくれる。
失望も呆れもなく、愛と嗜虐性に満ちた言葉が一体、どれほど暖かく、そして嬉しいものか。
それをうちに再認識させてくれる京太郎君にうちは声をあげながら、その胸の中に飛び込んだ。

漫「ごめん…っ♪ごめんな…ぁ♥」
京太郎「もう良いですよ。俺も漫さんの事、もっと色々と気にしておくべきでした」
漫「そんな事…」

そううちが京太郎君の胸の中で謝罪するんは、さっき彼が大恥掻いたのがうちの所為やからや。
けれど、京太郎君はそれをまったく責めず、寧ろ、自分が悪かったのだとそう言ってくれる。
勿論、誰がどう見たって彼に責任はなく、悪いのはうちの方や。
でも、京太郎君はそうは思ってへんみたいで、うちの言葉に首を左右へと振った。

京太郎「漫さんだって好きであんな事した訳じゃないのは分かってますし、そもそも漫さんがそうなってしまったのは俺の所為なんですから」

「まぁ…怒ってたのは事実ですけど」と付け加える京太郎君にうちはどう答えればええのか分からへんかった。
実際、うちがこんなにも淫乱になったのは京太郎君の能力が影響を及ぼしとるのは目に見えとるんやから。
確かに今までオナニーしたりもしとったし、人並みよりちょっとエッチやったかもしれへんけれど、それだけや。
少なくとも人前であんな羞恥プレイスレスレの事をやりたいなんて一度も思った事なんてない。
それなのにあんな痴女めいた仕草で迫ってしもうたうちにとって、京太郎君の言葉は事実そのものであり、中々、否定出来ひんものやった。


京太郎「ただ…お仕置きそのものはしますからね」
漫「お仕置き…ぃ…♥」
京太郎「嬉しいでしょう?」

けれど、京太郎君はその自嘲的な響きをそっと欲情の後ろに隠し、そう言ってうちを抱き寄せてくれる。
勿論、まったく気にしてへん訳やないけれど、それに終始するほど気に病んでいる訳やない。
それを感じさせる姿にうちの身体からそっと力が抜けて、ふにゃりと京太郎君に寄りかかってしまう。
何処か熱っぽく聞く京太郎君の言葉に返事をするまでもない蕩けっぷり。
それにさえ嬉しさを湧きあがらせるうちの耳元で京太郎君はそっと口を近づけていく。

京太郎「今から漫さんは…いや、漫は俺専用の肉便器だ。俺の精液が大好物の…専用肉便器になるんだ」
漫「あ…あぁ…ぁ♪♪」

ねっとりと、耳の奥に絡みつきそうな淫らな囁き。
それに堪らなく興奮を掻き立てられたうちの全身はブルリと震えた。
だって…だって、それはこれから『京君』がうちの待ち望んでいたご褒美をくれるって事やねんから。
本当はこうして抱き合っている最中でも、お腹の奥を疼かせて…何時、お仕置きレイプして貰えるんやろうって期待してたうちを犯してくれるって事なんや。
それにうちの身体は抑えきれへん悦びを表現し、陶酔混じりの嬉しそうな声をあげてしまう。

漫「(多目的トイレなんかに連れ込んだのも…それが理由やったんや…ぁ♥)」

確かに肉便器としてうちを扱うのなら、こんなにも適した場所はあらへん。
だって、ここはうちらの荷物がある部屋でも、うちが発情した混浴でもなく、白い洋式便所が据えられたトイレやねんから。
そんな場所にうちを連れ込んだのは部屋に行く途中で色々と我慢出来ひんようになったんじゃなく、否応なく肉便器になる未来というものを想像させる為。
そう思った瞬間、うちのお腹がキュンと唸り、奥からトロトロの愛液を滴らせ始めた。


京太郎「まさか嬉しいのか?奥さんから肉便器になるんだぞ?」
漫「はん…ん…♪」

そんなうちの反応を正確に感じ取った京君の言葉に、うちは自分が今、さらに道を踏み外しかけているのを悟った。
つい一ヶ月前まで彼とラブラブな性生活を送っていたはずなのに…今日は肉便器として扱われる自分。
けれど、それが堪らなく興奮して…うちの中のメスを疼かせる。
まるで京君とセックス出来るなら肉便器でも構わへんって言うような自分の反応に…うちの脳髄はドロリと蕩け、甘い汁へと変わった。

漫「嬉しい…です…♥うち…京君の肉便器でもええの…ぉ♪♪ううん…京君に一杯迷惑掛けちゃった今日のうちは…肉便器が良いんです…ぅ♥」
京太郎「まったく…」

そう呆れるように言いながらも、京君はうちの言葉にかなり興奮してくれとるんやろう。
抱きついたうちの身体を引き離すその手にはかなり力が入っとった。
その上、その瞳は欲情に濡れて、興奮が艶となってはっきり見える。
一度、イッてしもうたうちとは違って、京君はずっと射精もせずに我慢してくれとったんやから当然や。

京太郎「じゃ…まずはこっちをしゃぶれよ」
漫「ふぁ…ぁぁ…♥」

そう思ううちの前で京君は一気にズボンと水着をズリ下ろし、オスの証を晒した。
館内着の上からでもはっきりと分かるその逞しい怒張はブルンとその切っ先を跳ね上げる。
浅黒い肉竿を張り詰めさせ、その頂点で真っ赤な粘膜を震えさせるそれはもう今にも射精しちゃいそうなくらいや。
その逞しさに思わず声をあげながら、うちの膝は自然と折れ曲がり、京君の足元へと跪く。


京太郎「上手に出来たらちゃんと下の方も使ってやるよ」
漫「んぅ…♪が、頑張る…ぅ♥」

そんなうちに冷たく言い放つ京君の言葉にズキリと膣肉の奥が強い疼きを覚える。
一度、イッたと言ってもうちの身体はまだ全然、満足なんてしとらへん。
一ヶ月ぶりのマジイキは気持ち良かったと言っても、うちはもう京君のチンポから一杯、熱いザー汁膣内射精して貰わへんかったら収まらへんのやから。
さっきの言葉はそんな身体が期待を抱き、胸ではなく子宮を疼かせるには十分過ぎるものやった。

漫「(でも…相変わらず…おっきい…ぃ♥)」

うちの鼻先に突きつけられるようなそのチンポは相変わらず凶器じみたサイズをしとった。
正直、こうして近くで見るとこんなものがうちの身体に本当に挿入っとったのが信じられへんくらいや。
けれど、その見慣れた…ううん、感じ慣れた形と大きさは決してそれが嘘やない事を伝えてくる。
その味を教えこまれた膣肉と本能は、それを前にして早く下のお口に突っ込んで欲しいって訴えてくるんやから。。

漫「(それに凄く京君の匂いがして…あぁ…♪これだけでイッちゃいそうや…♥)」

その疼きを押さえ込みながら、顔をさらに近づければ、うちの鼻孔を独特の匂いが擽った。
オス臭いとも汗臭いとも近いようで遠いその匂いは、京君の体臭をより濃厚に、そして淫らにしたものやろう。
そう思っただけでうちの身体は鼻の奥に絡みつくようなその淫臭さえも喜ばしく思い、また興奮の材料にしてしまう。
こんなにもエッチで、そして素敵な匂いを他に知らへんうちは、それに惹かれるようにしてチンポにむしゃぶりついてしまった。


漫「(もぉ…顎外れそうなくらい大きいんやから…♪)」

瞬間、うちが感じたのは桁外れな大きさや。
今までうちが口に入れてきたどんなものよりも大きくて逞しいそれにうちの顎が限界一杯まで広がった。
それでも口の粘膜が押し広げられる感覚を感じるんやから、京君のチンポがどれだけ大きいか分かるやろう。
実際、最初にうちがこれをフェラしようと思った時にはマトモに受け入れる事さえ難しかったくらいや。

漫「(でも…今ならこの熱を楽しむ余裕すら…うちにはあるで…♥)」

そんなうちが次に感じたのは張り切れんばかりの熱やった。
張り詰めた肉の内側からこれでもかとばかりに放たれるその熱量は、さっきうちが浸かっていたお風呂よりも数段、熱い。
こうやって受け入れた肉が火照りそうになるその淫らな熱にうちは否応なく興奮を強めさせられる。
だって、それは京君がうちの痴態を見て、興奮してくれとる何よりの証やねんから。
それを口全体で感じて興奮せえへんほど、うちはもう初心でも何でもなかった。

漫「(だから…まずはこれを冷ましてあげなあかんな…♪)」

そう思いながら、亀頭を銜えたうちの口がゆっくりと動き出す。
瞬間、チンポに絡んだ唾液がジュルリと音を立て、トイレの中を震わせた。
何処かセックスを彷彿とさせるその淫らな水音に、うちは興奮し、口の中にさらなる唾液を分泌する。
そして愛液と同じようにそれを潤滑油にしながら、うちはジュプジュプと顔を動かした。


京太郎「相変わらず漫の口マンコは具合が良いな…」
漫「んふ…ぅ♪」

そうやってうちを褒めてくれる言葉はお世辞でもなんでもなく本心なんやろう。
これまでお掃除フェラを含め、このチンポを咥え込んだ事は少なからずあるけれど、その度に京君はうちの事を褒めてくれるんやから。
男…ううん、オスやないうちには分からんけれど、きっとドロドログチョグチョで…すっごい気持ちええはずや。
時折、お掃除フェラの途中で我慢出来ひんで精液漏らす事もあるくらいやねんから。

京太郎「でも、その程度じゃ全然イけないぞ」

それに自尊心を擽られるうちの心を叩き落とすような言葉もまた嘘ではないはずや。
京君の自制心や我慢って言うのはまさに鉄壁に近いものがあんねんから。
普段、うちのおっぱいをチラチラ見るスケベな姿からは想像も出来ひんくらいのそれはこの程度じゃ打ち砕けへん。

漫「(でも…いきなり一気に行こうとしたらこの前、顎外れそうになったし…♪)」

幾ら慣れてきたと言っても、そのサイズはうちの口には大きすぎる。
以前、調子に乗って一気に飲み込もうとした時には、ガキンって嫌な音が骨から鳴り響いたんや。
その瞬間に止めたお陰か、大事には至らんかったけど、顎が外れそうになった経験は無視出来ひん。
ちゃんと慣らせば大丈夫だからこそ、ここで調子に乗って無茶をする訳にはいかへんかった。


漫「(だから…慣れるまでうちの手でシコシコしたげるね…♥)」

その代わりとばかりにうちの右手はそっと京君の根本へと触れ、そのまま輪っかを作る。
ふっとい肉竿に添えるようなその輪は三日月のように完全には閉じきってへん中途半端なものやった。
しかし、それでも感じるポイントをしっかり押さえてるうちの手は気持ちええんやろう。
シコシコと扱き出すうちの手に合わせて、京君のチンポはピクンと震えてくれた。

漫「(ふふ…♪もう…可愛ええ子…♥)」

普通は口一杯に広げんと受け入れられへんような逸物に対してそんな風には思わへんやろう。
それはもう凶悪と言っても良いくらいの代物なのは、それに何十回と鳴かされとるうちが良く分かってるんやから。
けれど、それでも…心まで調教され、オマンコを京君専用に改造されたうちにはその反応が可愛くて堪らへん。
オスの象徴とも言っても過言ではないその逞しさからは想像も出来ない素直な反応についつい胸の奥が蕩けて、もっと気持ち良くしてあげたくなるんや。

漫「(だから…裏筋締めてあげるね…♪)」

そう思いながら、うちがそっと親指の力を入れれば、丁度、チンポの裏筋がキュッと圧迫される。
他の場所よりも一杯ドクドクして熱いその場所は京君の身体の中でもかなりの弱点や。
射精間際になってきた頃にはちょっとそこをペロペロしてあげただけで奥からカウパーを漏らしてくれるくらいの。


漫「(勿論…指じゃ舌には及ばへんやろうけれど…♪)」

でも、シコシコと裏筋を重点的に押さえながらのうちの愛撫は気持ちええんやろう。
その太くて長い肉幹を扱く度に張った血管の中でドクドクって血流が激しくなるように感じるんやから。
海綿体であるチンポをより大きくして快楽を貪ろうとするようなその反応に、うちは内心でクスリと笑いながら、京君のチンポにそっと舌を這わせる。

京太郎「うっ…」

瞬間、京君が身体を強張らせるような反応を見せる。
ねっとりとした口の中でしゃぶられるだけでも京君はうちの事を褒めるくらいに善がってくれているんや。
その上に緩急つけるような舌の動きが加われば、我慢出来るはずがあらへん。
幾ら京君が我慢強い男の子やって言っても、本格的に始まったフェラの前ではその逞しい身体をプルプルってさせるしかあらへんのや。

漫「(まぁ…そんなに激しく舌が動かせる訳でもあらへんのやけれど…それでも…♪)」

京君の大きさはうちの口を限界まで広げへんかったら受け入れられへん規格外なものなんや。
それを頬張りながら舌を動かせる範囲というのは正直、あんまり広くはない。
例外は上下する口の終着点から再び往復が始まるまでの間くらいや。
でも、その短い間に口の中で血管浮き出た裏筋をペロペロしてあげれば、彼はそれだけで気持ち良さそうにしてくれる。
それにうちが胸を疼かせながら舌を動かせば、その先端からジワリと何かが漏れ出すのを感じた。


漫「(んふ…ぅ♪カウパー…漏れて来たで…♥)」

先走りとも呼ばれるそれは射精の際、激しい射精が自分の中を傷つけへん為の潤滑油や。
そして、それは京君が気持ち良くなければ出てくる事はない。
つまりうちのフェラが京君を射精へと近づけている証であり…うちはお腹の奥を掻き毟りたくなるような甘い疼きを覚える。
けれど、フェラしとる今の状態でそんな事をしとる余裕はない。
そう自分に言い聞かせながら、うちはジュルジュルと顔を離し、舌先を亀頭へと持っていく。

漫「(でも…なんでこんなに美味しいんやろう…♥)」

そのままねっとりと舐め回す亀頭は熱く、そして甘かった。
後味にさらりと残るようなその甘さにうちの背筋はゾクゾクして止まらへん。
まるでその美味しさが堪らなく淫らなものである事を知っているような反応に、うちの奥から愛液が滴り落ちる。
それが太ももに絡みつく何とも言えない気持ち悪さと…そして快感にうちの足がブルリと震えた。

京太郎「肉便器らしくもっと足を開けよ」
漫「ふぁ…ぁい♪」

そんなうちの変化に気づいたんやろう。
京君はうちを冷たく見下ろしながら、そう命令してくれた。
本気でうちを奥さんとしてではなく、肉便器として扱うその言葉に足だけではなく腰までブルブルするくらいや。
その奥の子宮まで震えてしまいそうな言葉に、肉襞がキュンキュンと反応し、疼きが再び肉穴の中で蠢くのを感じる。


漫「ん…くぅ…♪」

それから意図的に目を逸らしながら、うちはそっと京君の前で足を動かし、そして腰を降ろしていく。
その仕草がきっと京君にはとてもエロく見えるんやろう。
床に膝をつく姿勢から、M字を描くような淫らな姿勢へと変わりつつあるうちに京君の熱い視線が突き刺さった。
特にそれが激しいんはピンク色の館内着がはだけて露出したうちの太ももや。
染みだした愛液でまた濡れ始めとるそこに京君はいやらしくって…ねっとりする視線を向けながら、嬉しそうにその頬を釣り上げた。

漫「(も…ぉ…♪本当に変態でスケベなんやから…♥)」

それが京君以外から向けられとるものやったら、うちは嫌がっとったやろう。
そう思うくらいにその視線は遠慮がなく、また自分が興奮しとるのを隠そうともしないものやった。
でも、それが京君のものやと思うだけで、それはうちを堪らなく興奮させるものへと変わる。
京君にそうして見られていると思うだけで…うちはもう愛液が止まらへんで…オマンコの奥までトロトロになってしまうんや。

京太郎「なんだ?フェラしてるだけでもう濡れてきたのか?」
漫「んひゅぅ…♪」

そんなうちを揶揄するように言いながら、京君の手はそっとうちの頭に置かれる。
冷たさを感じさせるその言葉とは裏腹に、暖かなその手つきはまるで褒められているように感じるくらいや。
例え、それが錯覚かもしれへんと思っても…嬉しさと幸福感に満たされるうちの胸は決して揺るがへん。
思わず目元を細めて、鼻から嬉しそうな吐息を漏らしてしまうんや。


京太郎「本当に肉便器らしい淫乱さだな…」

そう言って京君はうちの頭をそっと撫でてくれる。
嗜虐的にも思えるその言葉からは想像も出来ひんそれにうちの身体からふっと力が抜けていった。
ついついフェラしている事も忘れて彼に身も心も委ねたくなってしまうくらいの心地好さ。
抗おうという気持ちすら覚えないその幸福感にうちがそっと舌の動きを緩めてしまった瞬間 ――

京太郎「ほら、一人だけで善がってないで俺の方も良くしてくれよ。でないと…ご褒美の話はなしにするぞ」
漫「っ!?」

うちの耳孔を打ったその言葉に、微睡みかけていた意識が一気に覚醒する。
そうやって幸福感に浸るのは勿論、堪らなく心地ええものや。
正直、許されるならずっとそれを感じていたいくらいやねんから。
でも、今のうちにとってそれより大事なのは、『ご褒美』の方や。
今、感じているものよりも遥かに素晴らしく、そして気持ち良いものをくれる『ご褒美』の為ならうちはそれを振り払う決意が出来た。

漫「(でも…まずは準備せえへんかったら…♥)」

これ以上に激しいフェラをどうすればええのかって事もうちには分かっとる。
でも、その為には念入りな準備をせえへんかったら大変な事になりかねへん。
逸る自分にそう言い聞かせながら、うちはそっと顔を傾ける。
チンポの切っ先を喉奥ではなく頬肉へと向けるようなそれにうちの頬がぐいっと内側から押され、その形を歪めた。


漫「(まずは…じっくり…♪ねっとり濡らして…ぇ…♥)

そのまま頬の粘膜を押し付けるようにうちは顔を傾ける。
右へ左へと首を揺らすようなそれにうちの口から唾液がドロドロと零れていった。
肉竿へと絡みつく透明なその潤滑油は肉竿を扱くうちの指先にまで届き、クチュクチュってやらしい音をかき鳴らす。
それに興奮を強めたうちの口からまた唾液が溢れ、京君のチンポを濡らしていった。

漫「(んふ…♪そろそろええかな…♪)」

うちがそう思った頃にはもう京君のチンポはベタベタになっとった。
亀頭から根本まで…ううん、その下にぶら下がってる陰嚢までうちの唾液で濡れとる。
浅黒い肉竿の部分をテラテラと光らせるその姿は凶悪で、そして同時に愛おしくて堪らへん。
そうやってチンポを光らせてるのはうちの唾液でまるでマーキングしたような感覚を与えてくれるんや。

漫「(これで…京君はうちのものやね…♥)」

勿論、そんな事はありえへんって事くらいうちにだって分かっとる。
京君はうちの事を好いてくれとるけれど、それは決して唯一無二やないんやから。
彼の心も身体もうちだけのものやなく、他の二人のものでもあるんや。
でも、今だけは…こうしてうちが奉仕しとる今だけは、京君はうちのもの。
他の誰でも無く…うちだけが独占してる…最高の恋人なんや。


漫「(だから…奥まで…飲み込んだげるね…♥)」

そう胸中で言葉を浮かばせながら、うちの口は角度を正し、チンポと真正面から向き直る。
そのままジュルルと音を立てながら、グイグイと奥へと飲み込んでいくんや。
舌の付け根を超えて、喉の奥まで届くようなディープスロート。
その進みは決して早いとは言えへんものの、けれど、京君のチンポはブルブルと震えて悦んでくれた。

漫「(もぉ…♥そんな風に震えたら…うちえづいちゃうやんか…♪)」

まるで抑えきれない悦びを表現するような聞かん棒。
それが喉の入り口を擦るのを感じながらも、うちはそれを吐き戻す事はあらへんかった。
寧ろ、もっとそれが欲しいと本能が求めるようにチンポをぐいぐいと飲み込んでいく。
その動きはゆっくりながらも止まる事はなく、ついにはその根本に口をつける事に成功する。

漫「(喉の奥まで一杯で…窒息しそぉ…♥)」

瞬間、うちが感じたのは途方もない悦びやった。
勿論、並桁外れた京君のチンポを根本まで飲み込むのは正直、苦しい。
喉の奥までグイグイと拡張されて、息苦しさを感じるくらいや。
けれど、それが苦しいだけかと言えば、勿論、そんな事はなかった。
そんな奥にまで京君のチンポを招き入れていると思うだけで嬉しさがうちの胸を焼き、頭を蕩けさせる。
酸素が足りひんからか、さっきよりも数段、甘いその感覚に、ずっとこうしていたいと思ってしまうくらいや。


漫「(でも…そういう訳にはいかへんよね…♪)」

勿論、こうして根本まで咥え込まれた京君のチンポはうちの喉で締め付けられながら悦んでくれとる。
でも、それだけでイッてくれるほど、京君は甘くない。
性豪と言ってもええくらいの我慢強さを誇る彼をイかせるにはもっと強い快感が必要や。
自分の喉を埋め尽くすチンポの逞しさにうっとりとしてしまいそうな自分をそう叱咤しながら、うちはそっと口を動かす。

漫「(この…引き抜かれる時も素敵…ぃ♥♥)」

凶悪なカリ首はオマンコ相手じゃなく、喉でも有効や。
その突き出た肉のエラがうちの喉穴を引っかき、必死に抜けまいとしている。
本来であれば受け入れるはずの場所から引き抜かれるそれは、うちに独特の気持ち良さをくれた。
何とも言えへんその快感はすぐさま興奮へと変わり、はしたなく足を開いたうちの股間からまた愛液を滴らせる。

漫「(あかん…もう我慢出来ひん…っ♪♪)」

ジュルジュルとチンポをしゃぶるように前後に頭を動かしながら、うちの両手はそっと自身の股間へと伸びる。
その根本までチンポを飲み込んだ所為でお役御免になった右手と共に左手は股布をずらし、クチュリとオマンコを弄り始めた。
表面を撫でるんやなく、最初から粘膜を広げて、直に撫で回すそれにうちの足がピクピクと震える。
けれど、チンポを銜えた身体は決してバランスを崩さず、京君のチンポをジュポジュポとしゃぶり続けていた。


漫「(オナニーしながらのフェラ…すっごく気持ちええ…っ♪♪)」

勿論、フェラだけでもうちはイッてしまいそうなほど気持ち良くなっとった。
でも、それはあくまで心で感じる快感であり、肉体的なものはやっぱり薄いんや。
逆に自分でオマンコを弄ってオナニーするんは肉体的な気持ち良さが強く、精神的なものは薄い。
丁度、お互いの長所と短所が噛み合うそれにうちの快感と陶酔は一気に膨れ上がっていく。

京太郎「ははっ。我慢出来なくなって自分で弄り始めるなんてな」

そんなうちの淫らな姿に京君が気づかへんはずがない。
オナニーまでし始めたうちの事を見下すようにそう言ってくれた。
その言葉はさっきよりも興奮の色が強く、また嗜虐的な響きが強い。
まるでうちの事を心底、見下しているようなその堪らない響きに、うちの指では届かへん奥がキュンと唸り、疼きが背筋を這い上がる。

京太郎「こんな肉便器女に愛を囁いていた俺が滑稽で仕方ねぇよ」

そう言いながらも京君の手はうちの頭から離れへん。。
まだ微かに水分が残るうちの髪を優しく撫でてくれとるんや
まるでそうやってうちを責め立てる言葉は本心ではないのだと教えるような仕草。
それにうちは安心して興奮を湧きあがらせ…そして被虐感に浸る事が出来る。


京太郎「何せ…漫は愛の言葉より…こうやって罵られた方が嬉しいんだからな…っ」
漫「ひゃぅ…ぅ…♪」

その言葉に…うちはもう我慢出来ひんかった。
腰をビクンと跳ねさせながら、子宮がキュっと縮こまり、周囲から熱を奪っていく。
一時的に身体は冷え、ゾクリとした感覚が腰から背筋を這い上がった瞬間、一気に子宮から甘い波が湧き出た。
さっきジャグジー風呂で味わったそれよりも数段強く、そしてゾクゾクするそれは、紛れもなく絶頂やろう。
罵られて、追い詰められて…見下されて感じる…肉便器に相応しいマゾイキやったんや。

京太郎「もしかして今のイッたのか?」

そんなうちの反応を京君は正確に感じ取ってくれる。
男の子とは違って、何か明確な基準がある訳でもないのに、外見からそれを理解するというのは至難の業やろう。
けれど、京君の言葉には確信めいた何かががあり、挿入もしてへんのにうちの絶頂を把握してくれた。
うちの事をちゃんと理解し、見ていてくれてへんかったら到底、無理なそれに胸はトクンと跳ね、愛しさで満たされる。

京太郎「肉便器の癖にまた一人でイッたのか。本当に漫は救いようのない淫乱女なんだな」

そして、今のうちが欲しがっとる嗜虐的な言葉をくれる京君。
そのチンポはピクンピクンと震え、京君が疼きと興奮を覚えてくれているのをうちに伝える。
何とも素直なその反応にうちは勝手にイッてしまった謝罪と欠片も覚める様子のない興奮を感じた。


京太郎「く…ぅ…。そうだ。やれば出来るじゃないか」

それを伝えるように唇を窄まらせたうちのご奉仕に京君の口から苦悶にも似た快楽の声が漏れる。
今のうちは喉の奥と唇という二つの場所でチンポを締め付けとるんやからそうやって善がるんも当然やろう。
けれど…そう思いながらも、うちは冷静さを保つことが出来ひんかった。
京君が気持ち良くなってくれるなら、うちの事なんてどうでもええ。
そう思考を弾けさせるうちが選んだのは後先考えへんフェラやった。

京太郎「は…はは…。それだけバキュームして…どんだけ俺の精液欲しがってんだよ…」

窄まらせた口をさらに吸い付かせるような強烈なバキューム。
ただでさえ酸素の供給が難しい状態なのに、そうやって吸い付くのは正直、キツイ。
こうしてジュルルと音を鳴らして頭を動かすだけでも、視界がチカチカとしそうなくらいや。

漫「(でも…精液欲しいん…っ♥京君にイッて貰って…白くて美味しいザー汁ぶっかけてほしいんっ♥♥)」

けれど、その視界すら明滅する息苦しさの中、うちは構わずディープスロートとバキュームを繰り返す。
どれだけ息苦しくっても止めへんそれは、勿論、京君に気持ち良くなって欲しいからや。
一杯、京君に迷惑掛けて…大恥かかせた肉便器女の口で…少しでも気持ち良くなって…お仕置きして欲しいんや。
その為やったら、これくらいの息苦しさなんて全然、気にならへんどころか、寧ろ、気持ち良く思える。


京太郎「肉便器に相応しい…最高に馬鹿っぽくて…は…ぁ…!情けなくて…っ!すっげぇエロい…漫っ!」

そして、京君はそんなうちに向かって全身で感じている事をアピールしてくれる。
逞しい太ももをピクピクと震わせて膝を揺らすその姿は、今にも崩れそうや。
その言葉も上擦って、吐息の音がはっきりとうちの耳に届くくらい。
その上、うちの髪を撫でていた手もぎゅっと力を込めて、微かに髪を引っ張られるように感じる。
そんな視界がチカチカしてても…はっきりと分かるほどの快楽の表現に、うちが再びイきそうになった瞬間、京君の手がうちの頭から後頭部へと回った。

京太郎「そんなに欲しいなら…出してやるよ!肉便器らしく…その口使って…思いっきり射精してやる…!」
漫「んっぐぅううううっ♪♪」

そのままうちの頭を無理矢理、前後に揺する京君に思わずそう声をあげてしまう。
喉の奥から鳴らすような苦しそうな声に、しかし、京君は容赦する事はなかった。
まるで我慢出来ひんと言わんばかりのその手を動かし、腰を揺する。
うちの事なんてまったく気にせず、ただ快楽だけを求めるその動きに喉にゴンゴンと亀頭をぶつけられた。

漫「(あぁ…っ♪それなのに…イくぅ…っ♥♥うち…また…イくぅぅぅっ♪♪)」

その苦しさはさっきの比やない。
さっきみたいに自分である程度、ペースを調整する事も出来ひんのやから当然やろう。
でも…それなのに、うちはそうやって強引に口マンコを犯される事に悦んどった。
亀頭を強引に喉の奥へと突き刺される度にうちの背筋は震えて、そして二度目の絶頂へと達するくらいに。


京太郎「もう少しだから…我慢してろよ…!俺も…もうイくから…っ!!」

まるでうちをオナホールか何かのように扱う強引で自分勝手なイマラチオ。
それを申し訳ないと思っとるんか、京君はそうやって自分の限界をストレートに伝えてくれる。
けれど、うちはそれを殆ど意識する余裕なんてなかった。
それよりも再び子宮で湧き上がるオルガズムの波や、京君のチンポがビクンって一回り大きくなった方が重要だったんやから。、

漫「(これで死んでも…構わへん…っ♪京君のチンポで殺されるなら…ぁ♥本望…やぁ♥♥)」

被虐の極地にも近いその思考が、今のうちの頭の中を埋め尽くす。
多分、さっきリミッターが弾け飛んでしまった時にうちは一緒に理性もどっかへ投げ捨てたんやろう。
今のうちには京君を射精させる事しか頭になく、自分の命まで含めて二の次やった。
そんな自分に危機感を感じる事すらなく、ただ、京君のオナホールに徹するように唇を窄ませ、バキュームを続ける。
それに京君はその腰を大きく震わせながら、グイッとうちの口を犯し…その奥で熱の塊を弾けさせてくれた。

漫「ぐっ…ふぐぅううぅぅっ♪♪♪」

口ではなく、喉の奥 ―― 食道の近くに注ぎ込まれる粘液はとっても熱かった。
お風呂からずっと滾り続けた不満を一気にぶちまけるようなその熱に、うちの思考は真っ白に染まる。
何も考えられず、何も見えず…ただただ、喉に吐き出される精液の勢いだけを感じるんや。
その心地好さは筆舌に尽くし難く…天国か何かやと本気で思うくらいやった。


漫「(京君のザー汁で溺れそうになって…幸せ…ぇ♥♥)」

ただでさえ、太いチンポでギリギリまで広げられたうちの喉。
そんな中に吐き出されるねばっこい精液は、そのまま壁にべったりと張り付くんや。
中々、下へと伝って行かないそれにうちの身体が覚えそうな錯覚を覚える。
けれど、それすらも今のうちにとっては心地良く、流し込まれるオス臭い粘液に何度も絶頂を迎えた。

漫「(イく…ぅ♪喉征服されて…イくぅぅ…っ♪♪肉便器口が…マゾイキするん…んんぅっ♥♥)」

そう心の中で嬌声をあげながら、うちの口は京君のチンポに絡みついとった。
今にも窒息してしまいそうな精液の勢いをより強めようとするようなそれに京君もまた応えてくれる。
うちが唇を、そして舌を動かす度に、射精中のチンポをビクンと跳ねさせて、その勢いを強くしてくれるんやから。
子宮に流しこむそれとまったく遜色ない勢いに、うちの喉は痙攣しながらも、張り付いたその熱い粘液を嚥下していく。

漫「ぷあ…ぁぁ…♪♪♪」

その勢いも弱まった頃、京君の手はうちの顔をゆっくり離して、チンポを引き抜いていく。
最後に唇に引っかかった瞬間にそう間抜けな声をあげながらも、うちの身体は指一本動かへんかった。
未だ身体に走る快感が、うちの口を半開きにさせ、口の端から唾液を零してしまう。
それをはしたないと思う程度の思考力は残っているものの、どうすればええのか分からず、うちはその場でゆっくりと崩れ落ちていった。


京太郎「よいしょ…と」

そんなうちを支えてくれたのは他でもない京君やった。
さっきうちの口マンコをレイプしていたとは思えへん優しい声を掛け声と共に、うちの身体を抱き上げてくれる。
真正面から自分へと抱き寄せるその腕は逞しく、脱力したうちの身体を軽々と運んでくれた。
そんな彼に緩んだ身体の奥でドロドロとした炎が持ち上がるのを感じながらも、うちは京君に身体を委ね続ける。

漫「ん…ふぅ…♪♪」

けれど、何時までも身体を弛緩させ、さっきの余韻に浸るうちを抱きかかえるのは疲れるんやろう。
彼はうちを抱きかかえたままそっと移動し、便座へと座った。
自然、彼に抱かれとるうちもまたそこへと引きずり込まれる。
普段やったらその力の動きに合わせて、適当に姿勢を変えてバランスを取れるやろう。
けれど、今のうちの身体は未だ回復しとらんままで、指先一つマトモに動かせへん。
結果、バランスを崩しそうになったうちの身体を京君が器用に導き、その膝の上に載せてくれた。

漫「(もぉ…♥うちの事…肉便器やって言うた癖に…♥♥)」

京君の足へと垂直に交わるようなうちの姿勢は、まるで大人が小さな子どもをあやすようなものやった。
勿論、うちと京君の体格差はそれなりにあるけれど、でも、もううちは成人近い女性なんや。
それを膝の上に載せるんは結構、きついものやろう。
けれど、京君は文句ひとつ漏らさず、うちの事を支え続けてくれる。
いや、それどころか、胸を激しく上下させ呼吸を繰り返すうちのお腹を気遣うようにゆっくりと撫でてくれるんや。
肉便器扱いされていた淫乱女には過ぎたその愛撫に、けれど、うちの目尻は潤み、涙を零しそうになってしまう。


漫「(京君…大好き…♥愛してる…ぅ…♥♥)」

自分にはもう京君しかおらへん。
そう思ったのは一度や二度どころの話やなかった。
けれど、それでも尚、こうしてうちの事を気遣ってくれる京君に、愛しさが止まらへん。
今にも胸の内側から溢れそうなそれは涙となって漏れだし、緩んだうちの頬をゆっくりと伝っていく。
それさえも京君は優しく拭い去ってくれながら、うちの回復を辛抱強く待ってくれていた。

漫「(それなのに…うちは…ぁ…♪♪)」

そうやってうちの事を優しく受け止めてくれる京君は未だチンポが萎える気配があらへん。
それは一度や二度どころか5回や6回は射精せえへんかったら萎えへん化け物チンポなんやから当然やろう。
勿論、このまま放置していたら、何時かは萎えていくやろうけれど、それはかなり先の話や。
そんなチンポをうちの太ももの間でピクピクさせながらも優しくしてくれる京君に応えたいという気持ちはうちにもあった。

漫「(喉の奥絡みついて…まだ帰ってこれへん…ぅ♥♥)」

喉の奥に念入りに射精された京君の大事な白濁液。
その匂いは今、うちの口の中を這い上がり、鼻孔をこれでもかと刺激する。
生臭さとオス臭さが妙な具合に合わさったその独特の匂いは離れず、うちの頭を陶酔へと引きずり込むんや。
匂いだけでイき続けるほど興奮した身体は中々、降りて来れへん。
結果、うちは京君の上で時折、ピクンと震えるくらいで、ろくに「有難う」すら言えへんままやった。


漫「は…ぁ…ぁ♥♥」

そんな状態が数分ほど続いたやろうか。
ようやく意識が元へと戻りつつあるのを感じたうちの口から熱いため息が漏れ出た。
それまで漏らしていた反射的呼吸とはまた違ったそれに身体がゆっくりと陶酔から目覚めていく。
それでもまだ指先やらに倦怠感が絡みついとるけれど、動かせへんほどやなかった。

漫「ん…♪ごめん…ね…♪♪」
京太郎「何を謝る必要があるんだ?」

それを確認したうちがまず真っ先に京君に詫びる。
それは勿論、色々な意味を込めての謝罪や。
こうしてトイレでなんてムードもへったくれもない場所でセックスするような羽目になったのもそうやし、一人で何度もイッてしまったのもそう。
今もこうして彼の膝の上から動けへんのも謝罪せえへんかったらあかん事やろう。
けれど、それらを一々、口に出しとったらキリがないし、何よりうちは未だそんな細かい事が出来るほど回復しとらへんかった。

漫「うち…肉便器なのに…♪♪京君に迷惑掛けて……♪」
京太郎「…良いんだよ。そういうメンテも俺の仕事だ」
漫「はう…ん♪♪」

だからこそ、それらを纏めて『迷惑』と一括りにするうちの言葉に京君は優しくうちの頬を撫でてくれた。
未だ火照りを残し、紅潮するその手つきはとても優しく、暖かい。
思わず安堵に目が閉じてしまいそうになるそれにうちが甘い声を漏らした瞬間、京君はそっと目を伏せた。


京太郎「って言うか…俺の方こそごめんな。正直…ちょっとやりすぎた」

申し訳無さそうなその言葉はきっとさっきの嗜虐的な自分を反省しとるんやろう。
確かにさっきの京君は今までよりも遥かに嗜虐的で、意地悪と言う言葉でカバーしうる領域から飛び出しとったんやから。
でも、それがうちにとって嫌やったかと言えば、決してそうやない。
寧ろ、そうやってオナホールみたいに扱われる事に、うちは堪らない幸せを感じて、何度もイッとったんや。

漫「そんな事ないよ…♥♥京君の…イマラチオ…窒息しそうで凄かったんやからぁ…♪♪」
京太郎「う…ごめん…」

それをフォローしようとしたうちの言葉に京君はそっと肩を縮まらせる。
どうやらうちの言葉は余計に彼を追い詰めるものやったらしい。
それに申し訳なく思いながらも、けれど、未だ酸欠が抜けきらへんうちの頭では何を言ってあげればええのか中々、思いつかへん。
そのもどかしさにうちが身動ぎした瞬間、京君のチンポがうちの太ももの間でピクンと震えた。

漫「んふ…ぅ♪京君のチンポ…まだあっついまんまぁ…♥♥…」
京太郎「あー…まぁ、放っとけば収まるし」

うちの言葉に気まずそうに返す京君は、もうここでコレ以上ヤるつもりはないんやろう。
実際、さっきのお風呂よりマシとは言え、ここも中々の危険スポットや。
ある程度、防音もされとるとは言え、あんまり大きな声を出せば外に漏れるし、何より今、うちらが使っとるのは本来の用途と違う。
本当にこのトイレを利用するべき人の為にもとっととここから出て、部屋にでも戻る方がええ。


漫「(でも…うちは…ぁ♥)」
京太郎「ちょ…っ!す、漫…?」

勿論、そんな事はうちだって分かっとる。
でも…うちはもう…我慢出来ひんのや。
一度は指でイかされて…その後はフェラで…イマラチオでイかされまくって。
動けへんくらい身体をトロトロにさせられたうちの奥ではもうメラメラと淫らな炎が燃え盛っとる。
欲情という言葉でさえ言い表す事の出来ないその本能の疼きにうちは堪らんようになって…京君のチンポに指を伸ばしてしまうんや。

漫「我慢なんてせんでええよ…ぉ♥♥うち…京君の肉便器やねんから…♪♪」
京太郎「いや…でも…」

まだ硬く張ったままの京君のチンポをゆっくりと撫で擦りながらのうちの誘惑。
それに京君が逡巡するように言いながら、その視線をうちへと下ろす。
そこには興奮の色が強くなり始めていたけれど、一番はやっぱりうちを気遣うものやった。
さっきのイマラチオからまだ完全に回復しきれとらへんうちの事を京君は心配してくれているんやろう。

漫「京君は…今からオシッコするん…♪♪うちの肉便器オマンコで…白いオシッコびゅうびゅうして…スッキリするだけ…ぇ♥♥」
京太郎「う…」

淫語混じりのその誘惑に京君は小さく唸りながら、その手の熱を強くした。
京君の中で冷め始めていた興奮が再び燃え上がり始めるのを感じるその熱に、うちの身体はブルリと震える。
京君の興奮にうちもまた昂ぶるのを示すようなそれに京君も我慢出来ひんようになったんやろう。
彼の身体はうちを抱き上げたままゆっくりと立ち上がった。


京太郎「ベッドでなら…思いっきりセックス出来るんだぞ?」
漫「えへ…知っとる…ぅ♥♥」
京太郎「こっちじゃ声を我慢しなきゃすぐにバレるんだぞ?」
漫「分かっとる…よぉ♪♪」
京太郎「本当に…肉便器みたいな扱いになるけど、それでも良いんだな?」
漫「勿論…やぁ♪♪」

念を押して確認するような京君の言葉にうちは何度も頷く。
勿論、うちだってそのリスクくらいは分かっとるし、何時もより制約が多いのも理解しとる。
でも、それ以上にうちにとって魅力なのは…一番最後のものやった。
どれだけリスクがあっても、何処でも発情しちゃう淫乱女を肉便器みたいに扱って…子種汁で思いっきり子宮を満たして欲しいって思ってしまうんや。

京太郎「分かった。その代わり…一回だけだからな。それ以上はどんな事されても言われても漫を部屋まで連れ込むから」
漫「はぅぅん…っ♪♪」

そんなうちの想いが伝わったのか、京君は頷きながら、力強い言葉をくれる。
きっとうちがどんな誘惑をしたところで揺らぐ事はないやろう、とうちに思わせる硬い意思と覚悟を込めた言葉。
その格好良さにうちが思わず甘い声を漏らした瞬間、彼はゆっくりと反転し、うちの身体を下ろしてくれた。
数秒後、優しく便座へと座らされたうちの背筋を背徳感と興奮が駆け上がり、反射的に口を動かしてしまう。

漫「あは…♪♪うち…本当の肉便器になってしもうた…ぁ…♥♥」

便座に腰掛ける今のうちの姿勢は普通よりもかなり浅く腰掛けるものやった。
便座の入り口にお尻を引っ掛け、背筋は浅い角度を描いている。
背もたれに首を預け、寝転ぶような姿勢になったうちにはもう逃げ場がない。
便器の上で…肉便器に堕ちたメスを…オナホールみたいに扱って…白くて美味しい子種汁でお腹が一杯になるくらいに犯されるを待つだけなんや。


漫「えへ…ぇ♥♥ほら…京君…ぅ♪♪京君専用の肉便器…見て…ぇ♪♪」

その想像だけでも軽くイきそうになったうちはダラリと垂れ下がった足をゆっくりと左右へと開いていく。
便座の上でM字を描くようになったうちの足の間はもう濡れ濡れや。
水着とちょっと擦れるだけでクチュクチュってやらしい音をかき鳴らす愛液は太ももまで広がっとるんやから。
お湯や汗とは比べ物にならんほどネバネバしとるそれは微かに暗い証明の下でテラテラと光り、京君の視線を惹きつけとった。

漫「もうさっきから水着の奥で…京君ずっと待ってるのぉ…♪♪京君の白いオシッコ欲しがってズキズキって…ぇ♥♥」
京太郎「まったく…本当に漫は堪え性がないんだな」

そう言いながら、京君はその足に絡んどった水着をそっと脱ぎ去った。
それを足を広げるうちのお腹の上に置きながら、京君はゆっくりとうちに近づいてくれる。
チンポをこれでもかと膨らませながらのそれは、何処か迫力的で、そしてとっても興奮するものやった。
今からうちはこの人に犯されるんやって事を否応なく伝えるその姿に…子宮がキュンキュンと唸りだすくらいに。

京太郎「最初から手加減なんてしないからな」

うちのそばに近寄った京君はそう言って、うちの下着をズラした。
薄ピンクの紐ビキニを脱がす時間さえ惜しいと言うようなそれにうちの奥から愛液がまた漏れだす。
まるで早くそうやって肉便器らしく扱って欲しいと言うような反応に、うちの腕は自然と彼の背中に腕へと回った。
うちのものよりも数段硬く、そして逞しいその背中にお腹が疼くほどのオスらしさと…そして熱い興奮を感じる。


漫「うんっ♥♥手加減なんて…いらへんよ…っ♪♪最初から全力で…うちが壊れるくらいに…レイプして…♥♥」

それに笑みを浮かべながら、うちはゆっくりと唇を動かし、京君を肯定する言葉を紡いだ。
勿論、それは京君がうちに酷い事をせえへんって言う絶対的な信頼感があるからや。
京君ならどれだけ興奮しても、うちを壊したりせえへんって信じとるからこそやろう。
でも…その一方で…うちの心に期待が一欠片もなかったとは言えへん。
もう二度と肉便器から戻ってこれへんくらい…グチャグチャに犯される事を。
京君が傍におらへんだけで気が狂うような淫乱女になる事を。
京君が一生責任取らへんかったらあかんって思うくらい…壊れる事を…心の何処かで期待しとったんや。

漫「肉便器女の漫を…ぉ♥♥肉便器らしく扱って…♪♪一杯しゃせぇえ゛ふゅぅぅ…っ♪♪♪」

その期待を身体から吐き出すように紡いだ淫語。
その途中で京君はぐっと腰を進め、うちの中へと一気に入ってくる。
まるでそんな御託なんて聞きたくないと言わんばかりの突然の挿入に、うちは思わず鳴き叫んでしまいそうになった。
それを何とか唇を噛むことで堪えながら、うちは背筋をブルブルと震わせる。

漫「(あぁぁ…っ♪♪一ヶ月ぶりのチンポ最高ぉぉっ♥♥)」

ゴリゴリって音を鳴らすくらいにうちの中を押し広げていく硬い肉の感触。
慣れ親しみ、そして、待ち望んでいたその大きさにうちはあっさりと頭の奥を弾けさせ、絶頂へと突き上げられる。
京君のオスチンポで味わうマジイキは快楽に飢えていた肉襞がゆっくりと充足を覚えるそれは気持ち良くって堪らへん。
その上、うちをあっさりイかせる京君のチンポからはドロリと焼けるような熱が伝わり、肉襞を蕩けさせるんや。


漫「(オマンコ蕩けて…ぇ♪♪イく…ぅっ♪♪またイくぅぅんっ♪♪♪)」

一ヶ月ぶりの大好きで大好きで…堪らへんチンポ。
それにアクメする肉襞はチンポを逃がすまいとするように絡みつき、浮き出た血管ごと締め付ける。
でも、チンポの硬さと熱にはどうしても勝てなくて、ついついふっと緩んでしまうんや。
それに合わせてうちの中をゴリゴリと進むチンポに、うちは何度もイかされ、開いた太ももを震わせてしまう。

漫「んぐううぅぅうっ♪♪♪」

瞬間、京君のチンポはうちの最奥へと到達し、分厚い唇を押し込んだ。
それにうちの背筋はくっと反り返り、便座から崩れ落ちそうになってしまう。
それを京君は優しく抱きとめながらも、その腰をグラインドさせ、うちの子宮口をグリグリと抉るんや。
クリトリスごとオマンコを刺激しようとするようなその動きに、うちの口から声が絶頂の声が漏れてしまう。

京太郎「ほら、あんまり声をあげると気付かれるぞ」
漫「ら、らって…ぇ♥♥」

京君の言葉に答えるうちの言葉はもう蕩けてしまっていた。
呂律すらはっきりとしていないその声も仕方のないものやろう。
だって、うちは挿入だけで片手の指じゃ足りひんくらいにイッとるんやから。
焦らされ、発情し、イかされた淫らな身体に待ち望んだチンポの快楽はあっさりと染みこみ、うちの思考を揺らしとった。


京太郎「今の漫は肉便器なんだから…肉便器らしく黙って俺を気持ち良くしろよ」
漫「ひぅぅっ♪♪」

そんなうちの前で京君はにやりと笑いながら、うちの奥をズンと突く。
ほんの僅かな隙間でピストンするようなそれは力強く、敏感な子宮口が微かに揺れた。
それだけでうちはう我慢出来ずにアクメし、声をあげてしまう。
それほどまでに昂った今のうちが声を我慢出来るはずなんてないやろう。

漫「しょ…しょんな事出来る訳…ぇ♥♥」
京太郎「出来なくてもするんだよ。じゃないと…肉便器にすらなれないぞ」

それを京君に伝えようとするうちに彼が冷たくそう言い放つ。
確かに京君をちゃんと射精にまで導けへんかったら奥さんどころか肉便器失格や。
そんな事になったら…京君の傍に置いてもらえるかどうか分からへん。
既にうちは沢山、京君に迷惑を掛けて、奥さんとして失格しとるんやから。
何より、京君の傍にはうちよりもよっぽど魅力的な子がおるんやから…うちがおらへんでも彼には何のデメリットもないやろう。

漫「や…ぁ♥♥そんなの…嫌やぁぁ♪♪」
京太郎「だったら少しくらい根性見せろよ。でないと…ここでチンポ抜くぞ」

その言葉にうちはゾクリとした寒気を覚える。
だって、それは今のうちにとっては死刑宣告にも近いものやねんから。
挿入途中で何度もマジイキしとるとは言え、うちの身体はまだまだ快楽を、そして精液を求めとるんや。
それなのに奥まで突っ込んだだけで中断やなんて、それこそ本気で頭がおかしくなりかねへんやろう。
その空恐ろしさに背筋をブルリと震わせながら、うちは必死に口に力を込め、歯を噛み締めた。


漫「く…ぅぅ…っ♪♪♪」

それを確認した京君がゆっくりとうちの前で腰を動かし、抽送を始める。
手加減なんてせえへんと言いながらも、その動きは緩やかで、慣れさせるのを第一に考えとるみたいやった。
けど、それでもチンポに飢え、アクメを繰り返すうちの口からはどうしても声が漏れてしまう。
ヌルヌルと最奥周辺を確かめるような抽送なのに…うちは何回もイッて、その腰を震えさせてしまった。

漫「(堪らへん…っ♪♪こんなん…我慢出来ひんよおぉっ♥♥)」

勿論、声を出さへん為にはイかへんのが一番や。
一度、イッてしもうたらどんどんうちの身体は敏感に、そして貪欲になっていくんやから。
でも、際限なく高まり続けるよう京君に改造されたうちの身体はどうしてもイくのを堪える事が出来ひん。
あかんって分かっているのにどうしても子宮から熱い波を湧きあがらせ、チンポを締め付けてしまうんや。

漫「(イく…ぅ♪♪チンポ負けてまたイぅぅぅっ♥♥勝てへん…ぅ♪♪こんなの勝てるはずないぃぃっ♪♪♪)」

まるで自分で自分を追い詰めているような惨めで情けない状態。
その元凶とも言える京君のチンポはあまりにも凶悪で…そして愛おしい。
自分を律する事さえも出来ないほどのその素晴らしさにうちは敗北感と、そして堪らない被虐感を感じる。
大好きな人のチンポで身も心も完全に支配され、負け続ける感覚はとても甘美で、そして気持ちのええものやった。


漫「(京君やったら…うち…ずっと負けたい…ぃ♥♥このチンポに負けっぱなしでもええのぉっ♪♪)」

そしてその気持ち良さにうちの心は蕩けていく。
京君のチンポでイく度にドンドンと緩んでいく自分のタガにうちの心は必死に警鐘を鳴らした。
けれど、それを取り合ってくれるところは何処にもなく、それはうちの被虐感と敗北感を高めるだけ。
そんなうちの足は自然と京君を求め、彼の腰へと回り始める。
四肢全部を使うようにして愛しい人に絡みつく自分の姿に、現在進行形でチンポへと絡みつく肉襞を重ねたうちの胸でさらなる興奮の波が湧き上がった。

京太郎「まったく…何回イくつもりなんだよ」

そんなうちに呆れるように言いながら、京君はうちの腰をガッチリとつかみ返してくれる。
その言葉とは裏腹に何回でもイカせてやると言わんばかりのその仕草に、思わず胸が震えた。
ブルブルとその肉の柔らかさを魅せつけるようなその仕草は館内着の上からでもはっきりと分かるんやろう。
おっぱい好きな京君の視線はうちの顔からそっちに惹きつけられ、チンポもビクと小さく反応した。

京太郎「俺はまだイけそうにないのにさ…っ!」
漫「ひゅくぅぅっ♥♥」

そう言いながら京君のピストンは移動距離を広げる。
うちの中腹近くからゴンゴンと子宮口を狙うその動きに、うちの意識がふわりと浮き上がった。
まるでチンポに意識ごと突き上げれるようなその感覚は勿論、子宮から湧き上がるオルガズムが原因なんやろう。
そうと分かりつつも意識と共に口元を緩めてしまったうちから、掠れた声が漏れてしまった。


京太郎「そんな風に声出されたら本気で犯せないだろ」
漫「ご、ごめんにゃ…っ♪♪ごめんな…しゃいぃ…っ♪♪♪」

京君の言葉にうちは半ば反射的にそう謝罪の言葉を返す。
けれど、それは改善の兆しが見えないほどに蕩け、オマンコもまたキュンキュンってチンポにしがみついたままや。
謝罪するその言葉が嘘のような自身の反応に、強い申し訳なさを感じる。
でも、今のうちはそれをそのまま背徳感と興奮へと変えて、快楽の材料にしてしまうんや。

京太郎「謝る前に…少しくらい声を抑える努力をしたらどうだ?そっちが誘ってきたんだからそれくらいやって当然だろ」
漫「らってるぅ…♪♪しゃっきからずっと…頑張ってるもん…ぅ♥♥」

嗜虐的な、けれど、至極真っ当なその言葉に、うちの背筋がブルリと震える。
それにまた頭の中が蕩けるのを感じながら、うちは京君にそう言葉を返した。
勿論、やっていますって言葉だけで、京君が言葉の棘を控えてくれるなんてまったく思っとらへん。
寧ろ、そうやって口答えする事で、彼はもっと意地悪に、うちの事を犯してくれるやろう。
そう思っているが故に、うちはそう言葉を返し…その内心を期待に疼かせてしまうんや。

京太郎「じゃあ…何でさっきから声あげてるんだよ…っ!」
漫「きゅふぅ…ぅぅっ♪♪♪」

そんなうちの期待に応えるように京君の腰がうちへと強く打ち据えられる。
広げた太ももをパンと軽く鳴らすほどのそれに子宮口もまた衝撃を感じた。
その上、さっきからイきっぱなしな子宮口をグリグリって亀頭で擦るように動かれたら…うちはもう堪らへん。
さっき口答えした口から嬌声と共に唾液を漏らし、その喉までを快楽で震わせてしまう。


漫「き、京君のチンポしゅごいから…ぁ♥♥うちのええとこ突いて…しゅぐアヘっちゃう…ぅ♥♥」

その悦びをストレートに言葉へと変える言葉は本心からのものやった。
京君のチンポで沢山、開発されたうちの肉穴は、もう彼のモノで一番、気持ち良くなれるようになっとるんやから。
その太い肉竿にGスポットはゴリゴリと擦られ、敏感な肉襞が潰されるように押し広げられるんや。
さらにうちの中で一番、気持ちええ子宮口にまでズンって突き刺さるんやから、我慢出来るはずがない。
一突きごとにもう何回もイかされとるんやから、アヘって声を出すのも仕方のない事やろう。

漫「こんにゃ風にしたの京君…ぅ♪♪うちがチンポに勝てへんようになったのぉっ♥♥京君の所為やもん…んっ♥♥」
京太郎「肉便器が一丁前に口答えしてるんじゃないっての…!」
漫「ひにゃあぁぁっ♪♪♪」

そんなうちの言葉に京君も我慢出来ひんようになったんやろう。
子宮口を擦り上げていた亀頭は再び、最奥から離れ、うちの中を掻きだしていく。
ドロドロになった愛液ごとカリ首で引き出されるようなその感覚に、うちの口から悲鳴めいた声が漏れた。
それに身体が硬直するものの、京君の抽送はもう止まらへん。
まるで声を出しても構わへんと言うようにズンズンってうちの奥を突いてくれるんや。

京太郎「大体…そうやって漫が感じるのは俺の所為じゃなくって、漫が元々、淫乱だったからだろ…っ」
漫「ちゃ…ぁ…ちゃう…もんんっ♪♪京君の所為で…うちはこんな淫乱肉便器ににゃったんんっ♥♥」

その上、そうやって嗜虐的に告げられる言葉にうちは首を振るいながらもそう答える。
実際、京君と出会う前のうちはこんな風に何処でも発情してチンポ突っ込まれるだけでイくような肉便器女やなかったんやから。
確かに人並み程度にはエロい事にも興味があって、時折、エロ動画見ながらオナニーしとったけれどそれだけや。
そんなうちがこうして淫乱肉便器になったのは、京君が念入りにうちの事を開発し、そして心までトロトロになるくらい愛してくれたかたやろう。


漫「うちはもう…京君のチンポ専用やから…ぁ♥♥しょれ以外はもう…要らへんから…♪♪しょの分…いっぴゃい感じるのぉっ♪♪♪」
京太郎「へぇ…じゃあ、試してみるか?」
漫「え…?」

それを蕩けた言葉に乗せながら、京君へと伝えようとするうちの前で、彼が冷たい笑みを浮かべた。
見ているうちの心まで強張ってしまいそうなその笑みに、うちは猛烈に嫌な予感を感じる。
京君の傍にいた時には決して感じひんから、それに心が焦燥感を訴えた。
オルガズムによる陶酔でも誤魔化せへんその落ち着かなさに、うちが呆然と京君を見上げる前で、彼はゆっくりと口を開いていく。

京太郎「もし、漫の声を聞いて入ってきたのが男だったら…俺の代わりに犯して貰おうぜ」
漫「そ、そんなん……い、嫌…や…」

その恐ろしさは正直、筆舌に尽くし難いものやった。
京君相手にならどんなに犯されても…意地悪されても、うちはきっと悦べる。
でも、その相手が京君以外やったら、どれだけ優しく抱かれるとしても嫌なんや。
考えただけで身体が強張り、興奮で滾った肌が冷え込むほどの恐怖は、例え京君からお願いされたとしても払拭する事は出来ひんやろう。

京太郎「だったら…もうちょっと声を抑えろよ。こんなんじゃ俺が何時まで経ってもイけないだろ」
漫「くっぅぅぅっ♪♪」

そう言いながらジュプジュプとピストンを繰り返す京君に、うちは必死になって歯を噛み締める。
でも、最初の頃ならともかく、うちはもう数え切れへんくらいにイきまくっとるんや。
それこそ絶え間なくアクメして、快感が雪だるま式に膨れ上がっとるのに声を抑えるなんて出来るはずあらへん。
噛み締めた歯の間から、苦悶にも似た声が漏れ、タイル張りのトイレの中に響いてしまう。


「あの…」
漫「ひゃぅ…ぅ♪♪♪」

そんなうちの声についに誰かが気づいたんやろう。
コンコンと小さなノックの音と共に呼びかけられるその声に、うちの全身が強張った。
扉越しな所為かくぐもって聞こえるその声は、恐らく女性なんやろう。
そう理解した瞬間、一つ安堵するけれど、でも、うちの危険が去った訳やない。
もしかしたら、トイレでセックスしとる事を勘付かれてるかもしれへんのやから油断なんて出来るはずがなかった。

「苦しそうですけど大丈夫ですか?」
京太郎「ほら…聞かれてるぞ…」
漫「ふぅ…ぅん♥♥」

瞬間、そう問いかけてくれる声は心配そうなものやった。
見るからに分厚く頑丈な扉越しな所為か、うちの声はくぐもって苦しそうなものに聞こえたんやろう。
そうやって気遣ってくれる誰かは、きっと優しい人なんや。
けれど、京君はそんな彼女に向かって、うちが答えるように耳元で囁く。
その意地悪な響きに胸を疼かせながら、うちの口はゆっくりと開いた。

漫「らいじょぶ…です…ぅ♪♪ちょっと…熱っぽい…だけれすから…ぁ♥♥」
「それなら…救護室からお医者さん呼びましょうか?」

震える言葉で何とかそう答えるうちに、名も知れぬ誰かは優しくしてくれようとする。
勿論、その優しさは美徳であり、本来であれば有難いものなんやろう。
けれど、今にも漏れだしてしまいそうな嬌声をギリギリのところで堪えとるうちにとってはその優しさは正直、辛い。
今はそうやって優しくされればされるほど、バレるリスクはどんどん上がっていくんやから。


漫「(あかんっ♪♪今、奥突いたらあかんってぇっ♥♥イくからぁっ♪♪)」

けれど、京君にとってはそんなのお構いなしなんやろう。
うちの腰をがっちり掴みながら、ジュプジュプとうちの中を犯し続けていた。
その勢いこそ微かに緩んだものの、その快楽は殆ど色褪せてへん。
京君のチンポが前後する度に、うちの中は痙攣して、どうしてもイッてしまうんや。

「あの…?」
漫「イく…ぅ♥♥後…で…後でイキましゅから…っ♪♪らいじょうぶ…ぅぅ…♥♥」

そう言いながらも、何度もイッてしまうのはやっぱりすぐ外に人がいるというスリルの所為やろうか。
そのピストンの動きはさっきよりも緩やかなはずなのに、気持ち良さは変わらへん。
いや、ドキドキと脈打つ心臓が全身に広げる興奮がさっきより激しい事を思えば、寧ろ、今の方が気持ちええと言っても良いくらいやろう。
けれど、その気持ち良さに負ける訳にはいかへんうちは必死になって、そう取り繕い、言葉を紡いだ。

「でも…かなり苦しそうですよ?迷惑なんかじゃないですし、もし、強がっているのなら…」
漫「ん゛ほぉっ♥♥♥」

そうやってスリルに興奮しとるのはうちだけやなくって京君も同じなんやろう。
瞬間、京君は腰をそっと沈めて、挿入する角度を変えた。
下からうちの下腹部を押し上げるようなそのピストンに快感が一気に様変わりする。
慣れる余裕さえなかったとは言え、まだ予測出来る余地があった快楽が反転するような感覚。
それに、うちの思考は追いつかず、ついついメスの鳴き声をあげてしまうんや。


漫「らいじょうぶでしゅからっ♪♪ちゅきそいがぁ…♥♥ちゅきそいがいるんれ…ぇ♪♪もう…気にしないれぇぇ…♥♥」
「付き添い…あっ…」

そこでようやくうちらが何をしとるんか気づいたんやろう。
得心したような声をあげた女性に、うちの羞恥心が一気に燃え上がった。
けれど、ここで何か取り繕おうとすれば、今度こそエロセリフが飛び出すかもしれへん。
そう思ったうちに出来る事と言えば、京君にボルチオを虐められる度に出そうになる声を少しでも抑える事だけやった。

「しっ、失礼しましたぁぁ」
京太郎「はは。バレちまったな」
漫「ぃひぃぃい゛っっ♥♥」

恥ずかしそうに立ち去る彼女に申し訳なさを感じる余裕さえ、京君は与えてくれへん。
意地悪い笑い声をあげながら、京君はピストンの動きを強めた。
下から上へと突き上げるその独特の動きに、自然とうちの腰が浮き上がる。
けれど、京君の激しさはそんなものでどうこうする事なんて出来ひん。
寧ろ、そうやって逃げた分を、助走距離に使うようにして、うちの中をゴツゴツって突いてくれるんや。

漫「京君がぁっ♪♪京君がチンポでジュプジュプしゅるかりゃぁ…♥♥」
京太郎「何言ってるんだ。今の漫は肉便器なんだから犯されるのが当然だろ」

その度にイってしまう身体で何とか抗議するんは、別に怒っとるからやない。
今のうちは肉便器であって、京君に犯されるのが一番、嬉しい事やねんから。
でも、だからと言って、コレ以上、激しくされたら本当にセックスしてしまうのがバレてしまう。
もうちょっとその勢いを抑えてくれへんかったら、またさっきみたいな事が… ――


京太郎「でも、まぁ…バレた以上…もう我慢する必要なんてないよな?」
漫「ふぇ……んあ゛あぁぁぁぁっ♥♥♥」

そう思って紡いだ言葉は、京君にはまったく届かへんかった。
いや、それどころか、彼はうちの腰を鷲掴みにしながら、ガンガンってその腰を叩きつけてくるんや。
さっきよりも数段強く、また抽送距離も長いそのピストンにうちが耐え切れるはずがない。
その全身をガクガクって揺らしながら、数えきれへんアクメにうちの意識がバチリと弾けた。

漫「無理いぃい゛ぃ♪♪こんにゃん無理ぃぃいっ♥♥じぇったいバレりゅぅっ♪♪肉便器セックスしとるんじぇったいバレう゛うぅ♪♪♪」

それはきっとうちの中のタガか何かやったんやろう。
そう漠然と思ううちの口からトロトロに蕩けた淫語が放たれる。
外に漏れるかも知れへんって言う自制がまったく聞いてへんそれはタイル張りの空間の中で反響する。
その恥ずかしさに耳まで赤くなるものの、うちはもう自身の声量を制御する事なんて出来ず、ケダモノ染みた嬌声を響かせてしまうんや。

京太郎「じゃあ…これでも噛んでろよ」
漫「んん゛っ♪♪♪」

そう言って京君がうちの口に突っ込んだのは、彼がさっきまで身につけとった水着やった。
まだ水分を残しとる分厚い布地は苦く、あんまり口に含んで良い気がするもんやない。
けれど、それがとても肉便器らしい気がして、うちの興奮が高まる。
自然、さらなる強さを見せる性感を突っ込まれた水着を噛みながら堪えれば、感じ慣れたオス臭さがうちの口に広がった。


漫「(それに…やっぱり京君…優しい…っ♥♥)」

京君はわざわざうちの口に突っ込む時に、裏返してくれたんや。
お陰で、うちの口に含まれとるのは、ついさっきまでチンポが押し上げていた部分。
勿論、うちの口を塞ぎたいだけやったらわざわざそんな事をする必要なんかないやろう。
それでもこうして裏返してくれたんは、多分、うちを少しでも興奮させる為や。
うちが京君の匂いで幾らでも発情できちゃう淫乱女やって理解してくれへんかったらそんな事せえへんし、出来ひんやろうから。

漫「(らから…一杯しゅう…っ♪♪京君の匂い汁一杯吸うぅぅ♥♥らいすきな人の…匂いぢるぅ…♪♪♪)」

吸えば吸うほどジュルジュルと溢れだす匂い汁。
それは勿論、精液なんかとは比べ物にならんくらい薄いものやった。
けれど、今のうちの胃の中にはさっき京君が吐き出してくれたドロドロの子種汁が残っとるんや。
その匂いと感触が、うちが吸っているその汁を、まるで精液のように錯覚させる。
まるで上下の口を同時に京君に犯されているような…倒錯した、けれど、幸せで堪らへん感覚。
それに胸に浮かぶ言葉さえ蕩けさせながら、うちは四肢に力を込めた。

漫「(らいしゅき…ぃ♥♥京君の事…らいしゅき…愛してる…ぅ♥♥♥)」

文字通り頭がおかしくなりそうな多幸感に、うちの胸はその言葉で埋め尽くされる。
こんなにも素晴らしい感覚をくれる人の事を、好きにならへんなんて無理に決まっとるんやから。
こうして京君に犯されて身体がイく度に、うちはドンドン彼のことが好きになり、のめりこんでいく。
もう二度と抜け出せへん砂地獄のさらに奥へと引きずり込まれるその感覚に、身体中が悦び続けた。


漫「ん゛ふゅぅぅっ♪♪♪」

そんなうちの中で京君のピストンはさらに一段、ギアをあげた。
絡みついたうちの四肢なんてお構いなしに腰を振るうその動きに、うちのオマンコから愛液が掻き出されるくらいや。
それが便器の周囲へと撒き散らされ、便座がうちの汗と愛液で汚れていく。
それらは便器の底にたまる水にも滴り下りてぴちゃぴちゃと音を立てるけれど、それよりも激しいお互いの吐息の音が、トイレの中を響かせていた。

京太郎「はぁ…漫…っ」

京君もまたそう切なげにうちを呼びながら、熱い吐息を漏らす。
興奮と欲情に彩られたそれは京君の限界がそろそろ近い事をうちに知らせた。
実際、そのチンポはさっきからうちの中でビクビクって跳ねて、必死に我慢しとるのを伝えるくらいやねんから。
肉襞が絡みつく肉竿からもじっとりとした熱が強く伝わり、焼けてしまいそうや。

漫「(あぁ…っ♪♪京君…っ♥♥熱いよぉ…♪♪うちの中…とってもあちゅい…ぃ♥♥)」

その熱を興奮と悦びに直結させるのは偏に、うちが京君の事を愛しとるからやろう。
愛しいオスが自分の中で感じて、そして射精しそうになっているのを間近に感じて興奮せえへんようなメスはおらへんのやから。
ましてやうちは今、京君専用の肉便器なんや。
オナホールみたいに京君の精液搾り取るのがアイデンティティと言っても過言ではないうちにとって、それは途方も無い満足感への入り口に他ならへん。


漫「(射精してぇ…っ♥♥京君のチンポから白いオシッコびゅるびゅるしてぇっ♥♥うちの肉便器オマンコ…ぉ♪♪京君の子種ぢるで満たひへ…ぇ♥♥♥)」

目に見えた快楽のゴール。
それに伴う満足感を欲したうちの腰は微かに浮き、自分から京君へと押し付けてしまう。
自身の体重の拠り所を便座ではなく、京君へと伸ばした四肢へと移動させるそれは決して激しいものやない。
どれだけ必死に四肢に力を入れても、ほんの数センチほど動くのが精一杯やねんから。
でも、そうやって生まれる新しい快楽に、うちの頭は弾け、背筋が壊れそうなくらいにブルブルと震えた。

京太郎「はは…。どれだけ射精して欲しいんだよ…っ」

そんなうちを見ながら、京君はその手をうちの腰からお尻へと移動させてくれた。
浮き上がったうちの身体を支えようとしてくれているそれはきっと京君なりの優しさなんやろう。
それに胸から愛しさが湧き上がるのと同時に、うちのお尻はぎゅっと京君に掴まれる。
その柔肉に指を食い込ませようとしているようなその手にさえ、今のうちは強い快感を感じてしまう。
ずっとイきっぱなしが続いとるうちの身体はもうそれだけで軽くイってしまうくらいに昂っとるんやから。

京太郎「そんなにチンポが好きなのか…?」
漫「くふぅぅぅっ♪♪♪」

それでも京君の言葉に必死に首を横に振るうんは、それが原因と結果を勘違いしとるものやからや。
うちが慣れてへんかったら本当に壊れてしまいそうなくらいイき続けとるんはチンポが好きやからやない。
京君が好きで好きで堪らへんから、そのチンポもまた大好きになってしまっとるだけ。
あくまで原因が京君やって言う大前提を、彼にだけは勘違いして欲しくないからこそ、うちは必死になって首を振るうんや。


京太郎「本当…漫は肉便器そのものだな…!」

けれど、それは京君には伝わってへんらしい。
いや、うちの仕草をまったくなかった事にしている辺り、分かっていてスルーしとるんやろう。
それは勿論、うちを辱め、そしてお互いに興奮する為。
そして、それを証明するように、京君のチンポは膨れ上がり、うちのオマンコをギチギチにする。

漫「(しゅごいぃっ♥♥射精前のオスチンポしゅっごいぃぃっ♪♪♪うちのオマンコ焼けて…ちゅぶれりゅぅ…ぅ♥♥)」

ただでさえ大きかった京君のオスチンポが見せる変化。
まさしく魔羅という言葉が相応しい姿への変貌に、うちの全身が歓喜に震える。
でも、それ以上に激しいのは、うちの神経に流し込まれる快楽や。
肉襞を押しつぶす肉竿も、愛液を掻きだすようなカリ首も、まるで鉄が入っとるような硬さも、肉襞が焼けそうなほどの熱も。
全部が全部、膨れ上がるその感覚はまるでうちを飲み込もうと押し寄せてくるんや。

漫「(あはぁっぁっ♪♪もっと…ぉ♥♥もっと犯しへぇっ♪♪ジュプジュプって肉便器オマンコでオナニーしへぇっ♥♥)」

それは多分、普通の人ならおかしくなるような快楽なんやろう。
だって、膨れ上がったチンポで貫かれるうちの身体では幾つものアクメがバチバチって弾けとるんやから。
一回イく度に幾重にもオルガズムが重なるそれは被虐感を覚えるほどに激しく、頭の中がグチャグチャになってしまうんや。
でも、うちはもうとっくの昔に何処か壊れてしまってるんやろう。
そうやっておかしくなりそうなほどのアクメを教えこまれても、飛ぶようなタガはもう残ってへん。
ただひたすら絶頂を繰り返しながら、全身を痙攣させるんや。


京太郎「漫…っ!漫…ぅ…!」

そんなうちの名前を京君は熱く呼んでくれる。
ギリギリ残った理性が働いとるのか、その声は何時もよりも低く抑えられとった。
でも、それでもしっかり京君の興奮と、そしてうちを大事に思ってくれとるのは伝わってくる。
それに気持ち良さすぎてバラバラになってしまいそうな胸の奥が全身に愛しさをまき散らした。
アクメにも負けへんその感覚にうちの身体がふっと弛緩し、しがみついた身体がそっと堕ちる。

漫「んぐう゛ぅぅぅうっ♪♪♪」

瞬間、ズンッとうちの奥へと突き刺さるその角度は…正直やばいものやった。
下腹部を内側から押し上げられとるのがはっきりと伝わるその感覚に、うちの視界が完全に真っ白に染まる。
もう目の前にいるはずの京君の顔すら見えへんようになりながら、けれど、懸命に緩んだ四肢に力を込めようとした。
でも、イき過ぎてドンドン力が抜けていったそこにはもう力は戻ってこず、うちは京君のチンポに鋭く突き上げられ続けた。

京太郎「ぐ…ぅぅ…!」

けど、それだってそう長くは続かへん。
元々、ギリギリまで我慢する質の京君がもう自分を取り繕う事も出来ひんくらい興奮してくれとるんやから。
数回もうちのオナホオマンコでオナニーした頃にはその腰がブルブルと震えて、腫れ上がった亀頭まで快楽を伝わせる。
今にも腰砕けになりそうなそれに、けれど、京君は抗うように声をあげながら、乱暴に腰を引き…そして一気にうちのボルチオを打ち据えた。


漫「ひゅんう゛ぅぅぅぅ♥♥♥」

入り口間近の部分から一気に最奥を叩く激しいピストン。
それに子宮がブルリと震えた瞬間、うちの奥で熱いものが吐き出される。
ビュルビュルという音さえ聞こえてきそうなほど粘っこく、そして勢いの強いそれにうちの四肢は耐えられへんかった。
何とか我慢しようとしていた場所からふっと力が抜け…そして感覚さえも消え失せる。

漫「(まりゅで…全身オマンコ…ぉ♥♥うち…もうオマンコしか分からへん…♪♪♪オマンコらけの…便器おんにゃになりゅぅ…♥♥)」

そんなうちにとって強く感じられるのは殆どオマンコの感覚だけやった。
ダラリと垂れ下がっているはずの四肢の感覚もないと言って良いほど薄く、視界も真っ白に染まっとるままやねんから。
今も京君のチンポから最高のご馳走を貰っとるオマンコだけが鮮烈で、その他は何がどうなっとるのかまったく分からへん。
まるでそれ以外のものを感じる事を、身体が拒否しているような異常な状態。
けれど、それでもうちは恐怖を感じる事はなく、寧ろ多幸感と快楽に満たされとった。

漫「(幸しぇ…♥♥肉便器しぇっくす…♪♪♪生射精しされるの…やっぱりしゅてきぃ…ぃ♥♥)」

その素晴らしさはさっきとはまったく違うものやった。
それまでうちの中が壊れそうなくらいに弾けとったアクメは一気に暖かで蕩けるようなものへと変わったんやから。
被虐的なものなんて欠片もなく、ただただ安堵と心地好さに沈んでいくその感覚に、うちの身体は埋め尽くされ、どんどん感覚が希薄になっていく。
その上、京君のチンポに種付けされる度に敏感になりすぎた肉襞が擦れ、快楽が脳を焼くんや。
溺れるほどの心地良さの中で走るその快感に、うちの身体から力が失せ、そして… ――


漫「んあ゛…ぁ…♪♪♪」

言葉にして表すならば、それはチョロチョロとそんな音やったんやろう。
決して勢いが強い訳やなく、でも、うちに密着しながら射精する京君に届くには十分過ぎる事を思わせるそれが一体、何なのか確信はあらへん。
でも…そうやってオマンコから何かを漏らしたのが今回が初めてやないうちには…それが何なのかが何となく分かる。
広げた太ももから微かに生暖かい感覚が伝わるそれはきっとうちの…オシッコなんやろう。

漫「(まら…おもらし…♥♥京君の前れ…おもらししてしもた…ぁ♥♥♥)」

しかも、今回もまた京君の身体に振りかかるような最悪のタイミングなんや。
正直、これだけで嫌われてもおかしくはない失態やろう。
そう思いながらも脱力したうちの身体からはおしっこが止まらへん。
チョロチョロと弱い勢いながらも、彼の身体を穢し続けてしまう。
でも、今のうちはそれにさえ羞恥心を掻き立てられる事はなく、ビクビクと身体を揺らしながら、絶頂を貪っとった。

漫「く…ひゅ…♪♪」

そんなうちの頭にそっと暖かな何かが触れる。
そのままゆっくりと左右に動くそれは、きっと京君の手なんやろう。
未だ射精の勢いを緩めないままに、うちの事を撫でてくれる彼の手が一体、何を示しているのかは分からへん。
でも、その優しさと暖かさは決して嘘やなくて、うちの心地好さをさらに強めてくれる。
結果、うちの意識は中々、帰ってくる事が出来ず、京君の射精が終わってしばらくしても、ろくに反応さえ返す事が出来ひんかった。
それでも京君の手は根気よく、うちの事を撫で続け、火照った身体を慰めてくれる。


漫「(京君…っ♥♥♥)」

そして、ようやく意識がはっきりとし始めたうちの視界に移ったのは穏やかな顔でうちを見る京君やった。
さっきまでの嗜虐的な姿が嘘のようなそれにうちの胸がトクンと跳ねて、愛しさを撒き散らす。
その感情に再び溺れそうになる意識を何とか引き戻した瞬間、うちは自分の視界が微かに歪んでいるのに気づいた。

京太郎「…大丈夫か?」
漫「ん…ふぅ…ぅ♪♪♪」

そう問いかけながら、うちの頬を優しく拭う京君の仕草にうちは自分が涙を流していた事を悟った。
どうやらあんまりにも幸せで、そして気持ち良すぎてうちは泣いてしまっていたらしい。
そんな自分に恥ずかしさを感じると同時に、誇らしさを得る辺り、うちはもうどうしようもないんやろう。
京君へと心酔している姿を誇らしいと思うほど、うちは彼に溺れているんやから。
きっと快楽よりも、心地好さよりも…うちは愛しいって感情に縛られとるんや。

京太郎「とりあえず…水着抜くぞ」
漫「ぷぁ…ぁっ♥♥」

それほどどまでにうちの事を惹きつける罪作りな恋人は優しく言いながら、うちの口から水着を引き抜いた。
瞬間、うちの口からダラリと唾液が溢れ、桃色の館内着を濡らす。
けれど、それはもううちの汗とオシッコでもうベタベタになって気持ち悪いくらいなんや。
多少、うちの唾で汚れてしまったところで、もう今更やろう。


漫「あ゛ぁ…♪♪あ……ぁ…ぁっ♪♪♪」

そう思ううちの口から漏れる声は不明瞭で言葉になっとらへんものやった。
赤ん坊の鳴き声にも近いそれはうちの口が半開きになったまま動かへんからやろう。
指先にはようやく意識が戻り始めたとは言っても、ダラリと脱力した舌には未だ力が入らへん。
お陰でうちの口は未だろくに言葉を紡ぐ事が出来ず、ハァハァと熱い吐息を漏らし続ける。

京太郎「ゆっくりでいいぞ。俺はずっと待ってるからさ」
漫「んあぁぁっ♪♪♪」

そんなうちの中からゆっくりとチンポを引き抜いていく。
それはきっとうちの中にチンポがあったらろくに安静に出来ひんって言う心遣いが故なんやろう。
でも、それは未だアクメの余韻を残すうちにとって、裏目に出とった。
ジンジンと疼く膣肉をカリ首でゴリゴリって引きずられ、太い肉竿が入り口を抉るんやから。
京君がその長大な逸物を引き抜くまでにうちは何度もイッて、再び陶酔の渦へと叩きこまれてしまう。

漫「(も…ぉぉ…っ♪♪京君のチンポ気持ち良すぎぃっ♥♥折角…ここまで来たのに…ぃ♪♪♪)」

胸中で惚気とも取れるような言葉を浮かべるうちの身体を京君は優しく支え続けてくれる。
今にも滑り落ちてしまいそうなギリギリのところで何とか踏みとどまっているうちを抱きとめるようなその仕草にうちの肌が悦びを表した。
それに滲んだ視界の向こうで優しい笑みを浮かべながら、京君はうちの事を撫で続け、身体がしっかりするまで支え続けてくれる。


漫「京君…っ♥♥」

それからどれくらいの時間が経ったのか、うちには分からへん。
京君に抱きとめられ、うっとりとした心地に浸るうちにとって時間の感覚なんてまったくなかったんやから。
ほんの数十秒程度なのか、或いは数分経ってしまったのかさえ曖昧な自分。
それでも、今、彼に一番、伝えなきゃいけない言葉があるのを知るうちはゆっくりと口を動かす。

漫「有難う…ね…♥♥♥」
京太郎「どういたしまして」

微かに震えながら、でも、はっきりと御礼の言葉を紡ぐうちの前で彼は綻ぶような微笑みを浮かべた。
もう涙も引いた視界の中でちゃんと把握出来るその笑みにうちもまた応えるように笑みを見せる。
それは京君の見せてくれた微笑みが、うちをさらに幸せに、そして虜にしてくれるものやったからだけやない。
彼がまた「やりすぎた」と自分を責めとらん事が伝わってくる暖かな表情やったからや。

漫「それで…ごめん…ね…♪♪うち…また…京君の事…ぉ…♪♪」
京太郎「良いんだよ。それくらい」

それに内心、安堵しながら告げる謝罪の言葉を京君は遮る。
まるでうちが何を言おうとしているのか分かっているような返事と共に、彼はうちの頭を再び撫でてくれた。
落ち込む子どもを慰めようとしてくれているようなその仕草に、うちの胸はトクンと脈打つ。
陶酔を全身へと広げるその鼓動によって、うちに僅かな隙に生まれた。
それを京君が見逃すはずがなく、先手を取るようにその唇を開く。


京太郎「それに俺はそれ以上に漫に酷い事してるんだからさ。これくらいは甘んじて受けるって」
漫「でも…ぉ♥♥」

確かにさっきの京君は何時も以上に嗜虐的で意地悪やった。
普段やったら絶対に言わへんような事だって平気な顔して言っとったんやから。
でも、それが京君の所為かって言えば、決してそうやない。
そもそも京君はさっき部屋に戻ろうとしていたのに、うちがそれを引き止めるように誘惑したのが始まりやねんから。
それに手痛いお仕置きをされただけで、京君は何も悪くないやろう。

漫「(それに…京君やったら…きっとうちの事かばってくれた…ぁ♥♥)」

あの時、京君は尋ねてきたのが男の人やったら、うちの事を代わりに犯してもらおうって言っとった。
でも、既にチンポの昂ぶりは抑えられるものやなく、うちの中を逞しく抉ってくれとった。
そんな彼がセックスを中断してまでうちの事を譲るとは到底、思えへん。
何より、京君は自分とエッチした三人を手放したくないって言うくらいに独占欲の強い男の子や。
うちが背中を押したとは言え、イバラの道を進もうとするその強さは、筋金入りやろう。

漫「うち…京君の事…信じとる…から…♥♥」
京太郎「漫…」

けれど、それを全て言葉にして表現するには、今のうちはボロボロやった。
まだ回復しとらへん舌はそんなに理路整然と言葉を並べ立てる事は出来ひん。
結果、うちが選んだのは要約しすぎて真意が伝わるかどうかさえ分からへんような言葉。
でも、京君はそれに胸を打たれたのか、うちの名前を優しく呼んで頭をそっと撫でてくれた。


京太郎「そんな事言っても…二回戦は部屋に戻ってからだからな」
漫「分かっとる…よお…♪♪」

冗談めかしたその言葉はきっと照れ隠しなんやろう。
その頬は興奮とは違うもので紅潮し、視線も落ち着く気配なく彷徨っとるんやから。
可愛らしいと言っても過言ではないその素直な反応に、ついついうちの頬が綻んでしまう。
『信じてる』って言葉だけでこんなにも狼狽するほどに京君はうちの事を好いてくれとるんやから、それも当然の反応や。

京太郎「ま…それより先にこの状態を何とかしないといけないんだけどさ」

そういう京君の視界にはきっと体液でグチョグチョになった館内着と便座が映っとるんやろう。
勿論、その体液の殆どはうちの身体から出てしもうたもんや。
でも、うちの身体はそれを拭き取れるほど回復してはおらず、精々が自分で身体を支えられるようになった程度。
そんなうちが彼の手助けをしようとしても邪魔になるだけやろう。

漫「ごめん…ね…ぇ♥♥」
京太郎「気にするなよ。寧ろ、これくらいは俺の仕事にさせといてくれ」

そう思ったうちの前で京君はトイレットペーパーを破り取り、うちの周囲を綺麗にしていく。
飛び散った愛液を綺麗にするその仕草は悲しいほど手慣れとった。
何だかんだ言いながら、こうやってうちが漏らした体液の処理をするのは初めてじゃないからやろう。
そんな京君に申し訳なさを感じながらも、蕩けた身体には力が入らへんままやった。


京太郎「よし…っと」

結局、うちが何かをするよりも先に京君の掃除が終わってしまう。
勿論、それはあくまで応急処置であり、本当に綺麗になった訳じゃない。
でも、少なくともトイレは次に使う人が分からん程度には誤魔化されとるし、館内着も傍から見る分には分からへんやろう。
ただ一つ問題があるとすれば… ――

漫「(匂い…やなぁ…)」

芳香剤があるとは言え、淫臭全部をかき消せるほど強力なものやない。
よっぽど注意深くなければ分からへんレベルやけれど、でも、微かにうちらの匂いはそこに残っとった。
順調に換気扇は回っとるし、何れは消えるやろうけれど、当分は分かる人には分かってしまうやろう。
出来れば分かる人が使いませんように、と心の中で祈りながら、うちはそっと立ち上がった。

京太郎「もう大丈夫なのか?」
漫「とりあえず…歩ける程度にはなった…と思う…」

そう言いながら足踏みするように動けば、痺れのような陶酔のような感覚が身体に残っとるのを感じる。
でも、それはさっきみたいに動けへんほどやなく、うちの手足は問題なく動いてくれた。
ちょっと違和感があるのは否めへんけれど、ゆっくり歩く程度ならまったく問題はあらへん。


京太郎「そりゃ良かった。じゃあ…問題は…やっぱり…」
漫「…一発でバレるこの匂いやろなぁ…」

だからこそ、問題はうちらの身体に染み付いた匂いをどうするかやった。
トイレの方は自然に散っていくのに任せればなんとかなるやろうけれど、身体の方はそういう訳にはいかへん。
時刻も夕方を過ぎ、人の数が増えてきた施設の中を歩けば絶対にバレてしまうやろう。
流石に表立ってアレコレ言われへんやろうけれど、やっぱり恥ずかしいのは恥ずかしい。

京太郎「このままお風呂に…ってのも難しいしな…」
漫「お風呂よりもうちらが取った部屋の方が近いしからなぁ…」

館内着と水着程度しか手持ちがないうちらにはどうすることも出来ひん。
そんな事はうちらもとっくの昔に理解しとる事やった。
それでも、こうして顔を突き合わせて頭を捻るんは、それでも諦めきれへんからやろう。
どうにかしてこの窮地を乗り越えようと、二人でうんうん唸り続けた。

京太郎「…ダメだ。やっぱり…強行突破しかないな」
漫「やっぱりそうかぁ…」

結局、そうやって結論づけたうちらの肩がそっと落ちる。
勿論、そうなるかもしれへんというリスクを飲み込んでのセックスやった。
けれど、やっぱりこうやって目の前にそれを突きつけられると失敗した感を強く感じる。
今更言うても仕方ないとは言え、あの時のうちはなんでもうちょっと我慢する事が出来ひんかったのかってため息を吐きたくなるくらいや。


漫「本当、ごめんね…」
京太郎「漫の誘惑に負けたのは俺なんだし、謝らなくて良いって」

それに何度目かの謝罪の言葉を紡ぐうちの頭を京君は優しく撫でてくれた。
その仕草はとても暖かく、彼が欠片も怒ってへん事をうちに伝える。
だからこそ、うちの胸が強く痛んで、キリキリと締め付けられるように感じた。
そんなうちの前で、京君はそっとその大きな手を離しながら、ぐっと握り拳を作った。

京太郎「まぁ、似たような事は合宿でもやってるんだし、きっと何とかなるって」
漫「京君…」

そう力強く言い放つ言葉はうちを元気づける為のものなんやろう。
京君かって今とあの時では周囲の人の数が圧倒的に違う事くらい分かっとるんやから。
あの時と同じように殆ど誰とも会わんと部屋に駆け込むなんて不可能や。
でも、京君はそれに立ち向かえるようにうちを元気づけてくれている。
そんな彼を前にして何時までも俯いている訳にもいかず、うちはそっと京君の名前を呼んだ。

京太郎「もうやっちゃった事は仕方ないんだし、開き直って楽しもうぜ」
漫「そう…やね」

ニコリと笑いながらの京君の言葉に、うちはそっと頷いた。
確かにうちが何度、京君に謝っても、彼がうちの事を責めてくれても、状況が改善する事はまったくない。
寧ろ、長時間専有しとるトイレに不審に思って、誰かが係員の人に連絡するかもしれへんのやから。
それを思えば、ここで立ち止まっている時間すら勿体無く、開き直ってでも、先に進むべきやろう。


京太郎「よっし…。それじゃ俺が前をチェックするから…」
漫「うちが後ろをチェックすればええんやね」
京太郎「頼むぞ。一つのミスも許されないミッションなんだからな」
漫「任せてぇや。こういうのは得意な方やで」

そんな冗談めかしたやり取りは強がりもええところなんやろう。
それでもうちらはいつも通りのそのやり取りに笑みを浮かべながら、そっとトイレから抜け出した。
そんなうちらから淫臭を嗅ぎとったのか歩くうちらを怪訝そうに、或いは軽蔑した目で見る。
それから逃げるように、でも、ほんのちょっぴり童心に帰って楽しみながら進むうちらは数分後、自室へと戻る事に成功した。

漫「(それからはもう…お互いに止まらへんかった)」

一回セックスした程度じゃ、うちらの淫欲は一時的に誤魔化す事は出来ても、沈静化せえへんのやから。
その上、トイレでのセックスは興奮こそすれ、京君が満足に射精しきる事は出来ひんかったんやろう。
部屋に戻って一緒にシャワーを浴びた頃にはまたチンポがバキバキになってうちのお腹や背中をグイグイ押してくるんや。、
それにうちはまた我慢出来ひんようになって…浴室の中でもう一戦初めてしもうた。
そのまま身体を適当に拭いてからベッドに入ったうちらは、そのまま二回二回とセックスを繰り返し…結局、その日一日を殆どセックスで潰してしまったんやった。




………




……









漫「どう?楽しかった?」
京太郎「えぇ。かなり」

そううちが尋ねるのは夜中のバスターミナルやった。
煌めくネオンで照らされるそこは色こそ違えど、昼とそれほど変わらへん明るさや。
しかし、どれだけ明るくても、そろそろ京太郎君が帰らへんかったらあかん時間ってのは変わらへん。
悲しいかな…また今月も別れの時間が来てしまったんや。

漫「(こればっかりは…どうにもならんなぁ…)」

力強く頷いてくれる京太郎君に笑みを返しながら、うちの内心は寂しさに溢れとった。
この前もそうやったけれど…やっぱりこの別れる瞬間はどうにも胸が痛い。
また一ヶ月近く会う事が出来ひんようになるんやから、それも当然やろう。
勿論、その間も密に連絡を取りあっているけれども、だからと言ってこの寂しさは誤魔化せるものやない。
何とかして別れる時間を引き伸ばせへんやろうかって…どうしてもそう思ってしまうんや。

京太郎「お風呂の種類も色々ありましたし」
漫「種類が色々ある言うてもお湯に違いがある訳じゃないみたいやけれどね」
京太郎「その辺を差別化しようとするとコストが跳ね上がるんで仕方ないですよ」

それを胸の奥底に隠しながら、うちは京太郎君にそう言葉を返す。
だって、それを表に出しても、京太郎君が困るだけでどうにもならへんのやから。
どれだけ辛くても、寂しくても、うちらがただの学生でしかない以上、距離の差は埋められへん。
そんな現実に優しい京太郎君が心を痛めていないはずがなく…だからこそ、うちはそれを表へと出てこないように押し込める。


京太郎「後、休日な所為かやっぱり人は多かったですね」
漫「聞いた話によると駐車場も満車やったみたいやからなぁ…」
京太郎「家族連れの人も多かったですし、行くのなら平日にした方がストレスも少ないかもしれません」

だって、その家族連れの人たちの前で、うちは京太郎君に大恥をかかせてしまったんやから。
うちが堪え性がなかった所為で迷惑を被った彼の事をコレ以上、困らせたくはない。
もうちょっとしたらまた会えるのは一ヶ月後になるんやから、また来たいとそう思えるような別れにしたいんや。
いや、せめてそれくらいせえへんかったら…先輩としてあんまりにも格好悪いやろう。

漫「(まぁ、実際は金銭的負担を京太郎君にかけっぱなしな訳やけれど…)」

勿論、うちは名門姫松のレギュラーで、それなりに期待されとる身や。
バイトも禁止されとるし、そもそもそんな時間なんてあらへん。
周囲の期待に対して実力が伴わへんうちは努力せえへんかったらレギュラーであり続ける事は難しいやろう。
けれど、その結果、様々な負担を同じく部活をやっている京太郎君に強いている今の状況は苦しく、思わずため息を吐いてしまうんや。

漫「あーぁ…うちもバイトしよっかなぁ…」
京太郎「漫さん?」

ついポツリと漏らしてしまったうちの言葉に、京太郎君は不思議そうにそう尋ねた。
今までスパワー○ドの話をしてたのに、いきなりバイト云々に話題が吹っ飛んだんやから、それも当然やろう。
いくら察しの良い彼でも、異次元に近い思考の跳躍にはついていけへんのや。


漫「あ…いや…うちもバイトしとったら…月に二回会えるやん?」

勿論、そう単純な話になるとは思えへん。
幾らうちがバイトやろうとしても夜中までぶっ通しで打ち続ける部活の後には出来ひんのやから。
自然、うちが働くのは休日になるやろうけれど、そっちにも部活はちゃんと入っとる。
流石に平日と違って朝から晩までって訳じゃないけど、それでもそう長い間、バイト出来る訳じゃないやろう。
それを思えば月に一回長野に行くお金を捻出するのは中々に無謀であり、難しい話なんやから。

漫「(でも…もし増えるんなら…それに越した事はあらへん)」

例え、月に一回、長野に行くのが難しくても二ヶ月に一回くらいは十分、可能な領域やろう。
単純計算で1.5倍になるそれはうちにとって決して軽視出来るもんやなかった。
それだけ会えるようになったら、きっと今回みたいに暴走する事は少なくなるやろう。
まぁ…なくなると言い切れへん辺り、色々と業が深いんやけれど…その辺は京太郎君が魅力的過ぎるからしゃあない事や。

京太郎「止めた方が良いですよ。名門校のレギュラーがバイトしてるってなったら色々、やっかみも酷いでしょうし」
漫「…そう…かもしれへんけど…」

京太郎君のその言葉はうちの事を心配してくれてのものやろう。
実際、うちがレギュラーにいる事をあんまり快く思ってへん人ってのは少なからずいるんやから。
そんな人たちにとって、うちが隠れてバイトしとるって言うのは格好のネタになるやろう。
主将や末原先輩みたいに「それがどうした?」って跳ね除けられるほど飛び抜けた実力を持ってへんうちにとって、それは割りと重大なスキャンダルになるものや。
流石にその程度でレギュラー降ろされたりせえへんやろうけれど、こんなうちに目をかけてくれとる人らの期待を裏切る事になるやろう。


京太郎「その分、俺が会いに来ますよ」

そう言いながらうちの頭をそっと撫でてくれる京太郎君の言葉に…うちは素直に頷けへんかった。
だって、そうやって京太郎君がうちに会いに来てくれる為にどれだけの無茶をしてくれているのかうちは知っとるんやから。
部活終わった後、そのままバイトに行くのを日常的に行なっている彼にはかなりの負担を強いているやろう。
勿論、京太郎君から聞く分やと姫松と清澄の部活のスタンスは大分、違うし、男女の体力差ってもんもある。
だけど、うちが出来ひん事を彼にしてもらっているのは否定出来ず、うちはその言葉に素直に頷けへんかった。

京太郎「それに…姫松は今度のインターハイで清澄を破るんでしょう?」
漫「勿論や」

そんなうちを挑発するような言葉に、迷いなく頷く。
末原先輩たちの無念を晴らす為にも、うちは頑張らへんかったらあかんのや。
あの宮永咲を打ち破れるくらいに…強くならへんかったらあかん。
その決意は未だ揺るがず、寧ろ、日増しに強くなっとるものやった。
まぁ、その原動力が京太郎君の傍に日頃から居る原村さんや神代さんへの嫉妬に変わりつつあるのがちょっと情けないと自分でも思う。
しかし、それでもうちの目標は決して揺らいではおらず、今も尚、ふつふつと闘志を燃やしとるのは事実やった。

京太郎「清澄は強いですよ。まぁ…この前は龍門渕に負けてしまいましたけど」
漫「…アレは負けと言えるもんか、甚だ疑問やけれどなぁ…」

姫松も一度、敗れた清澄の事はとても意識しとって、その時の牌譜も既に入手しとる。
でも、それを見た時、うちは彼女らがやっているのが本当に麻雀なのか、理解出来ひんくらいやった。
少なくとも…うちの知る麻雀はほぼツモのみで役満を何回も完成させるようなゲームやない。
しかし、あの卓で…誰よりも追い詰められた神代さんはそれをやってのけたんや。
インターハイで戦った時よりも遥かにやばいそれはほぼ間違いなくオカルトによるものやろう。
序盤に追い詰められていなければ…或いは他家の点数がもうちょっとあれば、あの絶望的な状況から逆転してもおかしくなかった異形の打ち筋。
それを見て、清澄が弱くなったなんて言えるような雀士は、きっと三流かモグリやろう。


京太郎「はは。有難うございます。…まぁ、何はともあれ…俺は清澄だけじゃなくて…漫さんも応援してますから」
漫「…うちも?」
京太郎「当たり前じゃないですか。…俺の大事な恋人なんですから」

そう言って京太郎君はうちの頭をそっと撫でてくれる。
その髪の一本一本まで優しく撫でるその手つきに、うちの胸は暖かい感情で満ちてしまうんや。
色々な意味でチョロい自分の姿に、けれど、自嘲も湧き上がる事はあらへん。
それよりも恋人やってまたはっきりと口に出してくれる事の方が嬉しくて…ついつい緩んだ顔を晒してしまうんや。

京太郎「立場上、どっちかに肩入れなんて出来ないですけどね。でも、俺の為にバイト始めて…それで後悔なんてしてほしくないです」

そう言う京太郎君の視線には強い意思が宿っとった。
キッパリと断るその姿はうちが何を言うても意見を翻さない強い覚悟が伝わってくる。
そんな京太郎君の格好良さに単純なうちはついついキュンと胸を疼かせてしまった。
でも、今の状況が続けば、どの道、後悔が残るのは目に見えとるんや。
どうせ後悔するんやったら…京太郎君の為に後悔する方がええような気がする。

京太郎「会う時間が足りないなら俺がバイトの数増やします。だから、漫さんは麻雀に集中してください」
漫「…ええの?」
京太郎「俺を誰だと思ってるんですか。本気で三人娶ろうとしてる馬鹿ですよ」

何処か自嘲気味に笑いながら、でも、その意思は揺るがへん。
京太郎君は本気でうちの為にバイトを増やして、会う数を増やそうとしてくれているんや。
ただでさえ、他にも二人恋人をキープしとって忙しい京太郎君にとって、それはかなり厳しいものやろう。
でも、うちの前で胸を張る彼はうちにまったくそれを見せへんかった。


京太郎「それに…これくらいやりきらなきゃ三人を幸せにするなんて不可能でしょう」
漫「…馬鹿」

笑いながらそう口にする京太郎君の言葉に、うちはそれ以外に返す言葉を持たへんかった。
確かに彼がやろうとしている事を思えば、これくらいはやれて当然なのかもしれへん。
でも、そうやって何もかも自分で背負おうとするんは馬鹿以外の何者でもないやろう。
人は一人の力で幸せになれるほど単純な生き物じゃないんや。
満たし満たされて…それでようやく幸せになれるのが人間なんやから。
少なくともうちは、そうやって一方的に幸せにされるだけの関係なんて不健全やと思うし…何より心苦しくて幸せに浸れへんやろう。
漫「(実際…うちが一番、幸せで堪らへんようになるんは…京君が射精してくれる時やねんから…♥)」

勿論、それはセックスまでの間にうちの身体が否応なく高められ、アヘってるっていうのも大きな理由やろう。
でも、快楽を上回り、溺れそうになるほどの多幸感はどれだけ一人でどれだけイッても味わう事は出来ひん。
それはきっと京太郎君も気持ち良くなってくれているって実感があるからこそ、至れる幸福感の極地やからや。
そうじゃなければきっとあんなに幸せなアクメに突き上げられる事はないやろう。

漫「うちは…幸せにされるだけの女なんて嫌やで。そんなん…ただ京太郎君が自己満足したいだけのお人形やん」
京太郎「それは…」

それを伝えようとするうちの言葉に京太郎君が言葉を詰まらせる。
普段よりも静かな、けれど、強い意思を込めたうちの言葉に、京太郎君も驚いとるんやろう。
意外そうな色すら浮かべるその表情からは、さっきの言葉でうちが感動してなあなあに流せるとでも考えてた事が伝わってくる。
実際、さっきまで胸をときめかせて感動してたんやから何も言えへん。
でも…うちは単純であんまり頭も良くないけれど…やられっぱなしは趣味とちゃうんや。


漫「うちも京太郎君の事、一杯、幸せにしてあげたい。滅茶苦茶な関係かもしれへんけれど…京太郎君も幸せやって思うくらいに満たしてあげたい」

そう言いながら、うちがそっと近づきながら、京太郎君の身体をそっと抱きしめる。
その大きくて逞しい身体は、うちの腕の中にすっぽりとは収まってくれへん。
でも、その奥底にある心が悩んでいるのは今もはっきりと伝わってくるんや。
迷いを振り切り、覚悟を決めたものの…自嘲までは振り払えず、空回り気味になっとる彼の心。
そんな弱い心を抱きしめるように小さく力を、そして大きく愛情を込めながら、うちは京太郎君の背中を撫で続ける。

漫「そういう女は…嫌?」
京太郎「…はは。本当…肝心なところじゃ漫さんには敵わないな…」
漫「当たり前やん。うち先輩やねんから」

ポツリと漏らされた敗北宣言に、うちはニヤリと笑いながらそう返した。
勿論、うちは京太郎君にそう言えるほど年が離れとる訳やない。
人生経験なんて殆ど変わらず、彼の方が優れとるところも一杯あるやろう。
でも…それでもうちは先輩で、京太郎君は後輩なんや。
そうやって先輩に甘えるんもまた後輩の重大な仕事やろう。

漫「それに…多分、そう思っとるんはうちだけやないよ」
京太郎「えっ」

うちの言葉に京太郎君は驚くように返すけれど、それは殆ど確信に近い言葉やった。
勿論、うちは原村さんは雑誌でしか知らへんし、神代さんはそれに一回対局した程度の関係でしかない。
でも、雑誌を見る限り、どちらもうちに負けず劣らず我が強く、そして京太郎君のメールから彼が好きなのが伝わってくるんやから。
そんな彼女らがただ一方的に幸せにされるような関係に甘んじるとは到底、思えず、うちはそうポツリと漏らしてしもうた。


漫「(でも…それを伝えるのは癪やなぁ…)」

勿論、そうやってうちが躊躇するんは、恋敵への助けになりすぎるからや。
うちは三人で京太郎君の事を共有するのを認めたけれど、でも、積極的に二人のフォローするほどの義理はないんやから。
正直、今だってうちが独占出来るならそうしたいとそう思っとるのに、殆ど知らへん二人の世話までしてられへん。
身も蓋も無い言い方をすれば…自分の分の点数は稼いだんやから、二人にはそのままで居て欲しい。
離れとる分、普段の点数稼ぎが出来ひんのやから、これくらいはええやろう。

―― ブロロロロロ

そう思った瞬間、夜のバスターミナルに大型バスが止まった。
既に見慣れた2階建てのそこから運転手さんが降りてきた瞬間、人が続々とそこへと近づいていく。
休日、しかも、月曜日の朝に到着予定のそのバスには地元へと帰ろうとするお客さんが沢山なんや。
そんな中に京君もまた混ざらへんかったらあかんと思うと否応なく、別れの事を意識してしまう。

漫「…」ギュッ

勿論、それは何回も経験したし、覚悟もしとる事やった。
仕方のない事やって理解しとるし、ここで駄々をこねたら彼の迷惑になるだけやって分かっとる。
でも、この腕の中にある温もりが消えてしまうのをそう簡単に認める事なんて出来ひん。
ついつい抱きついた両腕に力を込めて、京太郎君を離すまいとしてしまうんや。


京太郎「…漫…」
漫「え…?んんっ♪」

瞬間、うちを呼んだ京太郎君に顔をあげれば、唇に柔らかなもんが触れた。
ちょっぴり荒れて、でもプルプルしとるそれはうちにとってはとても馴染みの深い…京太郎君の唇や。
つまり…今、うちは衆人環視の状況で京太郎君にキスされとるって事で…うちの中からぶわっと喜悦が湧き上がる。
それと同時に身体からゆっくりと力が抜けていく感覚に、うちはそっと彼に身を寄せ、身体を預けた。

漫「ひゅんっ♪」

けれど、京太郎君はその程度で許してくれへんかった。
その舌はあっという間にうちの唇を割って、その内部へと侵入してくるんや。
ネチャネチャという音と共に入り込むその粘膜をうちの口はすぐさま受け入れの態勢を見せる。
歯の根を開き、その奥から舌を出して、京太郎とエッチなキスを始めるんや。

漫「(あぁ…♥すっごい見られとる…ぅ♪)」

人通りの減らないバスターミナルでいきなり熱烈なキスを始めるカップル。
それは視界に収めまいとしても、ついつい見てしまう光景なんやろう。
それに恥ずかしさは感じるけれど、でも、うちは今更、キスを止めるつもりなんて毛頭なかった。
うちが京太郎君のモノであることを示すようなそのキスを拒めるはずなんてあらへんやろう。


漫「(だから…もっとして…ぇ♪エッチなキス…もっと欲しい…っ♥)」

いきなりうちにキスを始めた京太郎君が何をしたいのかはうちには分からへん。
でも、人前でもこうしてキスをしてくれる事が嬉しくて、そして何よりも気持ちええんや。
胸の奥底からうっとりとした心地が湧き上がるその気持ち良さにうちの舌は京太郎君と激しく絡み合う。
クチュクチュって音が聞こえるくらいのやらしくて…そしてエッチなキスにうちのお腹の奥がジュンって熱くなり、また彼が欲しくなってしまうんや。

漫「(出る前にも…一杯、愛して貰ったのに…っ♥)」

勿論、うちはホテルを出る前にも京太郎君に一杯、エッチしてもらっとる。
それこそ意識飛ばして気絶するくらい激しく犯して貰っとるんや。
しかし、それでもうちの身体は京太郎君から求められるだけですぐさまスイッチを入れてしまうんやろう。
そんな淫らな自分に自嘲とそして誇らしさを感じながら、うちはキスに没頭し、周囲の事を思考から切り離していった。

漫「はむ…ぅ…♪ちゅる…♪」

熱い吐息が京太郎君に降り掛かってしまうのも構わずに繰り返される激しいキス。
でも、うちの身体はもうその程度じゃ満足出来ひんかった。
欲情という火が入り始めた身体は全体で京太郎君の事を求め、そして愛しているんやから。
こうしてキスをしている間にも彼から離れたくないと足を絡め、腕にキュッと力を込めてしまう。


漫「(あぁ…っ♪でも…ダメ…ぇ♥)」

しかし、それも一分ほど経った頃にはおぼつかないものになり始めた。
だって、京太郎君のキスは最初っから本気で…そしてとってもエッチなんやから。
興奮している時にはそれだけでイッちゃうくらいエロエロなベーゼを受けて、うちが平気でいられるはずがない。
絡みつかせた四肢まで行き渡った心地よさが筋肉を弛緩させ、脱力感が急速に強くなっていった。

漫「(勿論…京太郎君はうちの事を受け止めてくれるやろうけれど…ぉ♥)」

そもそも、今のうちは既に京太郎君に寄りかかるような姿勢になっとるんや。
そんなうちを京太郎君は決して手放さず、寧ろ、背中に回したその両手でゆっくりと撫でてくれとる。
彼の愛しさを伝えるようなその仕草に、身体が安堵して…ついつい甘えてしまう。
でも、そうやって甘えれば甘えるほどに彼の負担が大きくなり…そしてうちが抵抗出来ひんようになるんや。

漫「(そんなん…嫌なのに…でも…うち…♥)」

そう思いながらも京太郎君の手で開発されたエロい身体は従ってくれへん。
まるでこの人に従っておけば大丈夫だと言わんばかりにドンドン彼に依存していく。
そんな状況に脳が警鐘を鳴らすけれど、明後日に吹っ飛んでいったうちの力は帰ってこうへん。
結果、うちの身体は京太郎君に支えて貰わへんかったらあかんくらいにトロトロになって…オマンコもまた濡れまくってしまった。


京太郎「ふぅ」
漫「あぅ…ぅ…♥」

そんなうちからふっと口を離しながら、京太郎君は一息ついた。
その瞬間、お互いの口からふっと唾液のアーチがこぼれ落ちるけれど、うちはそれを避ける余裕すらあらへん。
その足元が覚束なるほどの激しいキスを受けたうちは身体の殆どを彼に委ねとるんやから。
お気に入りの服に二人の唾液の混合液がこぼれ落ちるのを避けられるはずがなく…また避けたいとも思わへんかった。

京太郎「よいしょっと…」
漫「は…ぁ…♪」

それは京太郎君も同じやったんやろう。
うちを抱きかかえたままの姿勢で、彼はそっと移動し、バスターミナルに備え付けられたベンチへと移動した。
そこにうちを座らせながら、京太郎君は頭をそっと撫でてくれるんや。
まるで小さな子どもをあやすようなそれに…うちはさっきのキスがうちを慰めるものであったと確信を得る。
アレはこの期に及んで離れたくないって身体で駄々をこねとったうちを引き離す為の…優しくてエッチなキスやったんや。

漫「京太郎君…♥」
京太郎「次もまた…すぐ会えるようにするからさ。だから…今日は離してくれないか?」

甘えるように口にするうちの言葉に京太郎君はそっと別れの言葉を口にする。
それに胸がズキリと痛むけれど…でも、このまま駄々をこねても彼を困らせるだけや。
そもうちにはもう京太郎君を引き止める力なんてさっきのキスで根こそぎ奪われて残っとらへん。
だから、今のうちに出来るのは…そっとベンチから立ち上がる京太郎君を見送る事だけやった。


京太郎「毎日…メールするし、電話もする。だから…」
漫「…うん…」

そのままうちの顔を覗き込む京太郎君にうちは小さく頷く。
勿論、胸の痛みは欠片も収まってへんけれど、それでも…見送る決意だけは出来たんや。
そんな自分を心の中で少しだけ褒めた瞬間、呆れた顔の運転手さんに京太郎君がそっと近づいていく。
そのままチケットの確認と荷物の収納を済ませた彼は、うちへとそっと振り返って… ――

京太郎「漫!愛してるからな!!」
漫「ば…っ!!」

そう大声で叫ぶ彼にうちの顔が一気に真っ赤へと染まった。
それが一体、羞恥心によるものなのか、或いは興奮や嬉しさによるものなのかは自分でも分からへん。
ただただ、顔が熱く、そして動悸が激しくなって堪らへん。
ドクドクって胸の奥が疼くようなその熱にうちが思わず声をあげた瞬間、彼は逃げるようにバスの中へと入っていき…うちの視界から消えた。

漫「もう…アホな子やねんから…♥」

結局、最後の最後までうちの事を引っ掻き回していった憎たらしい恋人。
けれど、その憎たらしさがうちにはとても嬉しく…そして愛おしく思えるんや。
勿論、一人残されたうちにだけ周囲からニヤついた視線が向けられるのは腹立たしいし、拗ねたくなる。
しかし、それは京太郎君なりにうちを励まそうとした結果なんや。
それを思えばどうにも頬がにやけ、目尻も垂れ下がってしまう。


漫「(でも…うちはこのままじゃ終わらへんよ)」

そうやって蕩けた表情を見せる自分の頬を両手で抑えれば、微かに熱が伝わってくる。
もう冬に片足突っ込んだ今の時期でもはっきりと感じられるその熱に、うちは一つ覚悟を固めた。
何だかんだでうちは結構、負けず嫌いな方なんや。
宮永咲を中核とする清澄へのリベンジを心に強く誓うくらいのその気性は、今回の屈辱をそのままにしておけへんってそう告げとる。

漫「(次は…うちが絶対、長野に行くからね)」

勿論、京太郎君にあそこまで言わせといて、バイトするほどうちは強情な女やない。
でも、これまでコソコソと貯めこんどった貯金を切り崩せば、一回くらいは不可能やないやろう。
その為には親に頭を下げて色々とやらへんったらあかんけど…まぁ、それは正直、今も変わらへん。
今だってデート費用を特別会計に含んでもらえるように、うちは親 ―― 特におかんには絶対服従の立場やねんから。

漫「(それで…今度は…うちが愛してるって言うんやから…っ♥)」

それで…うちと同じ屈辱と…そして嬉しさを京太郎君に与える。
そんな未来予想図にうちはさらに緩んだ頬から手を離し、ぐっと握り拳を作った。
瞬間、うちの前でゆっくりとバスが発進を始め、緩やかにバスターミナルから出て行く。
それをじっと見送りながらも、さっきほどの寂しさは感じひん。
それはきっと今、うちの中ではっきりとした次の目標が定まったからやろう。


漫「(そ、それに…まぁ…ご、ご両親にも挨拶くらいしとかへんかったらあかんし…)」

勿論、うちだって京太郎君が、神代さんを婚約者やって紹介しとる事くらい知っとる。
その上でうちを紹介なんかしたら、即家族会議もんやろう。
けれど、何れはいろいろな意味でお世話になる人なんやから、早い内に顔見せくらいはしときたい。
うちの事情を説明する訳にはいかんけど…まぁ、先輩として紹介して貰うくらいやったらええやろう。

漫「(あはは…今更やけど…うち…凄く重い女になっとるなぁ…)」

まだ何も本決まりになっとらへんのに、ご両親への挨拶まで視野に入れ始めとる自分。
それに自嘲めいた感情と共にため息を吐きながら、うちはそっと握り拳を解いた。
けれど…現実、うちが京太郎君以外と結婚する気がまったくあらへん。
それが若さや恋愛初心者故の盲目さなんかは、うちには判別がつかんかった。
でも、京太郎君から見捨てられた時点で、うちの人生はもう終わったも同然。
そう思う気持ちは弱くなるどころか、こうして彼を見送った今、より強くなっとった。

漫「(代行の言うてた事…笑えへん…けど…)」

まるで自分の全てを恋に注ぎこむような重苦しい女。
恋愛に憧れこそすれ、特定の誰かを好きになった経験のなかった一年前のうちからは、今の姿は信じられへんものやろう。
でも、それを改めるつもりがあるかと言えば、答えは否やった。
だって…一年前のうちは京太郎君に出会った事もないただの小娘なんやから。
京太郎君によって恋の甘さも、そしてセックスの気持ち良さも教えこまれたうちはもうその頃には戻れへん。
京太郎君と出会ってからうちが得たものはどれもこれも宝物で、決して手放したくはないものやねんから。


漫「(まぁ…何はともあれ…)」

そう心の中で一区切りしてから、うちはベンチからゆっくりと立ち上がった。
ネオンで明るく照らされるそこにはもう次のバスを待つ人達が現れ、各々に会話を始めている。
その中にはうちと同じく遠距離恋愛中のカップルもおるんか、とても寂しそうな雰囲気が伝わってきた。
そんな彼、或いは彼女らに共感をしながらも、うちはその場からそっと歩き出す。
京太郎君がおらへんようになった今、そこはうちのいる場所やないんや。

漫「(とりあえず…京太郎君にメール出しながら…)」

家に帰ってオナニーして…キスの後、放置されて疼く身体を慰めよう。
そう考えながら歩く足取りは軽く、また気分も高揚しとった。
勿論、また京太郎君と会えへん日々が続くのは寂しいけれど、でも、それ以上にうちは次が楽しみなんやろう。
京太郎君の驚く顔や拗ねる顔を想像するだけで胸の中がウキウキで満たされるくらいに。

漫「(本当…罪作りな子やね…京太郎君…♥)」

寂しさも、ウキウキも、愛しさも、小憎たらしさも。
うちの中の感情全部を奪っていくような愛しい人にうちは一つ心の中で言葉を浮かべる。
けれど、それも何処か艶っぽいものになってしまったんは、その中で一番、強いのは愛情やからやろう。
始まりこそ異常やったけれど…今はもううちは本気で京太郎君の事を愛してる。
その実感にうちは頬を再び緩めながら、長野襲撃の計画をゆっくりと練り始めるんやった。
































【System】
上重漫の屈服刻印がLv4になりました。
上重漫は完全に虜になっているようです。
上重漫の長野襲撃まで後 ―― 




























注意:このスレに出てくるデートスポットは全て架空のものです。現実の施設とはまったく関係ありません

あ、でも、スパ○ールドは近くに動物園とかお寺とかもあってデートする場所には事欠かないので割りとオススメです
ただ、人の多さだけはマジで半端ないのでそこだけお気をつけ下さい
場合によっては精算だけで30分待たされたりもするしな!!!

という訳で漫ちゃん編も終わりです
次のエピローグですがまだどれくらいに投下出来るかは分かりません
出来るだけ早めにお届け出来るよう頑張っておりますが、また少しお待ち下さい

後、続編候補は今のところ前ウソ予告で書いた京子ちゃんネタと上の阿知賀編になると思います
二周目やると言っていましたが諸事情につきなしにさせて下さい


やっぱり3人の中だと漫さんが一番恋人っぽい描き方されてる気がする

乙牌
心配してトイレに来てくれた女の人は末原先輩だったらいいな

>>410
漫ちゃんは他の二人と違ってとっくの昔に攻略終わって後はイチャイチャするだけのヒロインだからなぁ
一応、和と小蒔も描写外では恋っぽい事してますしてますったら

>>418
その発想は正直なかった
その場合、最近、漫の様子が変だと後輩に聞いて心配した末原先輩が二人の後をつけて
デートする二人に悲しくなってそろそろ帰ろうかって時に漫ちゃんが発情して
けれど、追いかけようにも一緒のエレベーターに乗ると気づかれそうで乗れなくて
そうやって距離が開いた内に見失っちゃって、トイレから聞こえてきたくぐもった声に心配して
ついつい声をかけたらセクロス中の漫ちゃんで、顔真っ赤にしながら逃げた末原先輩がいた事に…
そしてその後は漫ちゃんにそんな事する男なんか認められるかと京太郎に突っかかった挙句、
漫ちゃんの罠にかかった挙句、能力の餌食にあう末原先輩の姿を幻視出来ました

後、そろそろ即興勘も取り戻したいので>>427くらいで小ネタ安価出しておきます
書くのは何時頃になるか分かりませんが、本編書き終わるまでの手慰み程度にやってきます
最近、即興やってないからどんなものになるか未知数ですが、それでもよければ気軽にとってください

まこ

まこかー
エロありの方が良い?

ちょっとエロ書けるかは自信ないけど頑張るよ
ただ、もしかしたら普通のほのぼのイチャイチャで終わるかもしれん

イベント期間中にE4で加賀陸奥衣笠阿武隈58がドロップしたので那珂ちゃんのファンを止めてまこの小ネタ投下し始めます

なんかいきなり専ブラ吹っ飛んだと思ったらお気に入りやら開いてたタブやら全部吹っ飛んだんですけど…どういう事なんですかねぇ…(涙目)
とりあえず復旧諦めてまこ書いていきます


―― 雀荘のアルバイトと言うのは意外に重労働だ。

その根幹にあるのが麻雀という対戦競技である以上、客の挙動には気を配らなければいけない。
全自動麻雀卓であるが故に積み込みなどは出来ないが、牌の切り替えなどイカサマは決して不可能ではないのだから。
イカサマを使う客がいるとなれば、雀荘そのものの評判も悪くなるし、下手をすればトラブルにも繋がりかねない。
その上、代打ちとして呼ばれた時には勝ちすぎず負けすぎない事を求められるのだから、精神的に疲れるのが普通だろう。

京太郎「あー…」

そして、その精神的疲労は雀荘でアルバイトを始めてまだ一ヶ月の少年 ―― 須賀京太郎には重い。
そもそも彼は基本的に肉体労働派であり、頭脳労働と言うのは不得手なのだ。
気配りそのものは決して苦手ではないが、慣れないバイトでのプレッシャーというものは存外に大きい。
ましてやそれが部活の先輩から誘われたアルバイトであれば尚更だった。

京太郎「(失敗しちゃいけない…なんて思ってガチガチになるのは間違っているんだろうなぁ…)」

そうは思いながらも、それを止める事が出来ないのは彼がこうしてアルバイトをするのが始めてだからだろう。
気の抜きどころがまだ把握出来ていない彼は一日中、気を張っているしかない。
その上、バイト先が先輩の実家だとなれば緊張も一入だ。
結果、この一ヶ月の間、彼はバイト中に気が休まる事はなく、こうして休憩室で一人ため息を漏らすのが日課になっている。


まこ「や。お疲れ様」
京太郎「うっす。お疲れ様です」

そんな京太郎の視界の端に地味なエプロンドレスを身にまとった少女が映り込む。
少しばかり癖を残す髪や大きなメガネをつけるその顔は、格好に負けず劣らず地味だ。
しかし、良く良く見れば、その顔立ちは人並み以上に整っている事が分かるだろう。
京太郎も良く知る原村和のように決して華のあるタイプではないが何処か人を落ち着かせる雰囲気を持つ優しい少女。
それが京太郎の先輩であり、この雀荘の一人娘でもある ―― 染谷まこに抱いた彼の印象だった。

京太郎「(実際、この人に何度、助けられた事か)」

まだ不慣れな京太郎をバイトとして誘ったのはまこだ。
そして、失敗しそうな自分に誰よりもフォローしてくれたのもまた彼女である。
それは彼女にしてみれば、後輩を誘ったがゆえの責任をとっただけなのかもしれない。
しかし、京太郎にとって彼女の存在はとても有り難く、そしてその好意は感謝を抱くに足るものだった。

まこ「…なんじゃ。人の顔をじっと見て」
京太郎「あー…すみません」

そんな彼の視線にまこはクスリと笑いながら、手を振った。
まるで京太郎の視線を散らそうとするようなそれに彼はそっと肩を落とす。
どうやら考え事をしている間に、まこの事をじっと見つめすぎていたらしい。
そんな事にも気づかないほど疲れが溜まっている自分に一つため息を漏らしながら、そっと背もたれに身体を預ける。


まこ「大分、疲れとるみたいじゃな」
京太郎「はは…手間掛けてばっかですみません」

まこの心配そうな言葉に京太郎が自嘲混じりの笑い声を返すのは、条件的にはまこの方が辛いからだ。
自分の事で手一杯な京太郎とは違い、彼女はさらにバイト初心者の後輩にも注意しなければいけないのだから。
その上、キッチンで簡単な軽食まで作ってみせる彼女の方がよほど疲れているだろう。
そんな彼女の前で疲労を見せる訳にはいかないと思いつつも、張り詰めた緊張はそろそろ疲労を隠しきれないほどになっていた。

まこ「(まぁ…ようやってくれとるしなぁ…)」

そんな自嘲を覚える京太郎とは裏腹に、まこの中で京太郎の評価はそれなりに高いものであった。
勿論、新人故に失敗する事はあれど、同じミスは繰り返さない。
その上、気配りも上手く、常連からの評判も決して悪くはなかった。
物覚えも良く次々に仕事を覚えていった彼は一ヶ月で即戦力として数えられる程度にはなっている。

まこ「(実際、疲れとるんもそがぁなくらいバイトに真剣なんじゃし…)」

そう思えばダレる彼の姿も悪い気がしない。
寧ろ、それだけ頑張ってくれて有難うと労いの言葉ひとつ掛けたくなるくらいだ。
とは言え、まことてそれを京太郎が望んでいない事くらい分かっている。
彼が望んでいるのはそういった言葉ではなく、自身が足手まといの状態から一秒でも早く脱却する事なのだから。


まこ「…じゃ、今日の特訓は中止にするか?」

代わりにまこが漏らした言葉は彼女たちの日課に言及するものだった。
それにもたれかかる京太郎の身体がピクリと反応するのは、それを決して彼が望んでいないからである。
勿論、身体に影響が出てしまうくらいに疲れているのは確かだが、中止だなんて冗談じゃない。
そう思うのは彼がその『特訓』の事を心から楽しみにしているからだ。

京太郎「いや…やりますよ。それが楽しみでバイトしてるようなものですし」
まこ「じゃあ、バイト代は要らんのじゃの?」
京太郎「それとこれとは話は別です」キリリッ

そう言いながら背もたれから身体を離す京太郎にまこはクスリと笑みを浮かべた。
疲れているのは確かではあるが、楽しみにしている事を餌にされればまだまだ動けるらしい。
ならば、遠慮なんてしてやる必要はないと、胸中で言葉を漏らしながら、まこはそっと京太郎へ口を開いた。

まこ「それじゃもうちぃとしゃきっとせんか。じゃないとわしの部屋は拝めんぞ」
京太郎「それは困りますね…っと」

冗談めかしたその言葉に京太郎は一つ笑いながら立ち上がった。
そのまま大きく背伸びをして身体を回せば、グキグキという音が筋肉から鳴り響く。
何処か不快なそれに一つ息を吐いた頃には、疲労感が多少は抜けていた。
それを確認した彼はそっとまこに頷いて、自身が大丈夫である事を知らせる。


まこ「それじゃ行くか。荷物は持ったな?」
京太郎「うっす。大丈夫です」

まこの言葉に学校指定のカバンを持ち上げながら、京太郎は小さく頷いた。
それを確認してから歩き出す京太郎たちは裏口からそっと雀荘を抜け出す。
そのまま一分も歩いた頃にはこじんまりとした民家が二人の視界に入ってきた。
そして、年季の入った、けれど、くたびれている訳ではないその家の扉を二人はそっとくぐる。

まこ「ただいま」
京太郎「お邪魔します」

二人別々の挨拶をしながらも、その返事はない。
まこの住むこの家にはまだ両親ともに帰ってきていないのだ。
二人が勤める雀荘は昼ごろから夜遅くまで開いているのだから。
時間的にはまだピークを抜けた頃くらいである以上、主戦力である二人が抜ける事は出来ない。

まこ「京太郎は部屋に上がっといてくれ」
京太郎「…良いんですか?」

勿論、そんな事はまこも京太郎も分かっている。
だからこそ、尋ねる京太郎の言葉は当然のものだろう。
本人にそのつもりはないとは言え、その気になれば幾らでも犯罪行為だって出来るのだから。
警戒されすぎるのは悲しいが、後輩とは言え、男なのだからもう少し気をつけた方が良いのではないか。
無防備と言っても良いまこの言葉にどうしてもそう思ってしまう。


まこ「今更、京太郎が何かするたぁ思うとらんわ」

「ヘタレじゃしな」と笑いながら付け加えるその言葉は、彼女の本心だった。
幼い頃から雀荘に出入りしているまこは多少は男慣れしている。
とは言え、本当に信用していなければ、部屋にあげるような事はしないのだ。
ましてや、彼女が先に上がれと言う男なんて京太郎か父くらいしかいない。

まこ「(まぁ…あんまり交友関係が広い訳じゃないしの…)」

学年を超えた親友でもある竹井久とは違い、まこは狭く深く交友するタイプだ。
そして、そのこじんまりとした交友関係の中に収まる異性と言うのは殆どいない。
男性とも気兼ねなく話せるタイプとは言え、彼女自身はあまり友人作りという事に積極的ではないのだ。
結果、彼女が最も親しい異性となると父か京太郎くらいしかいなかった。

まこ「それにまぁ…今更じゃろうに」

これが始めて部屋にあがるというのであれば京太郎の躊躇いも分かる。
しかし、こうしてバイト上がってからの『特訓』は既に二人の中で日課になっているのだ。
それなのに部屋にあがるのを躊躇われても彼女には今更としか思えない。
そんな風に警戒するような相手であれば、最初から自分の部屋には上げたりしないとまこは思うのだ。


京太郎「それじゃ…上がらせて貰いますけれど…」

そんなまこに何を言っても無駄だと悟ったのだろう。
その瞳に諦観を混じらせながら、京太郎はそそくさと二階へと上がった。
そのまま右へと曲がった彼の視界に、木のプレートが下げられた扉が目に入る。
「まこの部屋」と書かれたその扉をゆっくりと開き、脇のスイッチを押せば、そこには綺麗に整理整頓させられた部屋があった。

京太郎「(相変わらず…片付き過ぎてるよなぁ…)」

京太郎がそう思うのはそこには何ら人の気配を感じないからだろう。
勿論、戸棚に並んだ本や部屋の脇に片付けられた雀卓など生活臭は感じる。
しかし、それは彼が今まで感じてきたどんなものよりも薄いものだった。
異物めいた雀卓を除けば、本当にここに人が住んでいるのか疑問になるくらいその空間は綺麗に整頓されている。

京太郎「(染谷先輩らしいと言えばらしいんだろうけれどさ)」

京太郎の知る染谷まこは地味ながらもしっかりとした女性だ。
おおよそ全ての事を人並み以上にこなす彼女はオールラウンダーという言葉はよく似合う。
そんな彼女が部屋の片付けを疎かにするタイプだとは到底、思えない。
こうして自分を上げる事を簡単に選ぶ事が出来るのも普段から整理整頓しているからだろう。


京太郎「(でも…毎回、何か違和感を覚えるんだよなぁ…)」

勿論、客人としては片付いているに越した事はない。
これが彼の幼なじみの部屋のように時折、下着が落ちているとかになると居心地が悪くなってしまうのだから。
しかし、それを肯定的に捉える事が出来ないのは、微かに感じる違和感の所為だろう。
そもそも彼の知る染谷まこは地味であるとは言え、決して暗いタイプではないのだから。
ある種、無味乾燥と言っても良いようなこの部屋が彼女の自室とはあまり思えなかった。

京太郎「(ま…あんま踏み込む事じゃないか)」

これが気心の知れた同性ならば、京太郎とて家探ししようという悪戯心を浮かばせたかもしれない。
しかし、相手は異性で、そして部活の先輩であり、バイト先の一人娘でもあるのだ。
幾ら無謀と勇敢を履き違えやすい年頃とは言え、無茶は出来ない。
結果、京太郎に許されたのは来客用の座布団に腰掛けて、まこの帰りを待つ事だった。

まこ「っと…ちぃと開けてくれんか?」

そんな京太郎の耳に届いたのはまこの声だった。
扉越しに聞こえたそれに彼が後ろに目を向ければ、いつの間にか扉が閉まっている。
それに腰を上げた京太郎がそっと扉を開けば、その向こうから両手で盆を持ったまこの顔が現れた。


まこ「お待たせ。何かいなげなところ弄っとらんか?」
京太郎「んな事したら怒られるじゃすまないんでやりませんよ」
まこ「って事は怒られんかったらやるんじゃな?」
京太郎「まぁ…考えるくらいはやるかもしれませんね」

そんな風に軽口を交わしながら入ってきたまこの盆にはサンドイッチが幾つか並んでいた。
軽食として雀荘で売りに出しているそれをそのまま運んで来たの二人ともお腹が空いているからだ。
雀荘のピークと言うのは遅く、今はもう夕食には遅めの時間帯となっている。
その間、殆ど食べずにバイトを続けていた二人にとって、空腹とは無視出来ないものだったのだ。

まこ「正直、引いたわ。これは通報じゃろなぁ…」
京太郎「ちょ…っ!?信じてるって言ったじゃないですか!?」

そう言いながらまこは部屋にそっと盆を下ろし、彼にガラス製の冷水筒を渡す。
それを受け取りながらも焦った声を出すのはまこの言葉に妙な真実味があったからだ。
冗談と分かっていても無視出来ないそれは思わず頬を引き攣らせてしまう。

まこ「はは。それより時間もないし、食べながらで良いからそろそろやるぞ」
京太郎「うっす」

そんな彼にクスリと笑いながらの言葉に京太郎は冷水筒からコップへとお茶を入れながら頷いた。
こうしてまこと話している時間は楽しいが、こうして彼女の部屋にお呼ばれしているのはそれが目的ではないのだから。
こうして無為に時間を過ごしている余裕は自分はともかく、まこにはない。
それを誰よりも知る京太郎はそっと腰をあげ、部屋の隅においてある雀卓を組み上げる。
その間に本棚と一緒になった小物いれに仕舞いこんである雀牌をまこが取り出せば、もう準備は完了だ。


京太郎「んじゃ…やりましょうか」
まこ「ん」

そう言いながら二人が始めるのは決してサシ麻雀ではない。
京太郎がまこ以外の他家を兼任するという変則的なものではあれど、それは普通の麻雀であった。
とは言え、三人分の打牌を行う京太郎とまこでは決して対等な条件ではない。
故に二人の勝利条件はお互いに異なるものだった。

京太郎「(さて…と…今日こそは振り込まないようにしないとな)」

京太郎の勝利条件はまこに振り込まない事だった。
勿論、口で言うのとは裏腹に、それは決して簡単な事ではない。
三人分の打牌を繰り返す彼にとって、当たる確率は単純で三倍になるのだから。
勿論、情報量も三倍である以上、まこの待ちの推察は容易い。
しかし、それでどうにかなるような領域に、京太郎はまだ達する事が出来ていなかった。

京太郎「(染め手好きだからって他で和了らない訳じゃないしなぁ…)」

まだ京太郎は麻雀の全ての役をようやく覚えられたという段階だ。
点数計算だってまだ危うい彼にとって、三人分の手牌は氾濫する情報も同じである。
それに翻弄されている彼は未だ初心者の領域から抜け出せてはいない。
しかし、その出口がそう遠くない事を、まこはその打牌から感じ取っていた。


まこ「(ん…二筒捨ててこっちを探りに来たか…)」

こうして二人きりの『特訓』を始めた頃、京太郎はひたすらまこの河しか見ていなかった。
勿論、それが彼の勝利条件から考えれば、安全策なのは確かである。
だが、そうやって現物ばかり捨てて逃げられるほど麻雀というのは甘くはない。
特に清澄の中でも飛び抜けて経験値が高いまこを相手にそんな打ち方が通用するはずがなかった。

まこ「(なんじゃ、ちぃとずつ分かってきとるじゃないか)」

まこを相手に逃げ切ろうとすれば、手探りながらも前に進むしかない。
三倍の情報量に負けず、山を読み取りらなければ勝機はないのだ。
河を見るのはそのさらに後だという基本を、京太郎は少しずつ抑え始めている。
その変化に人知れず笑みを浮かべながら、まこはそっと一索を打ち出した。

まこ「(…ちぃとだけ…感慨深いもんがあるの…)」

そう思うのは最初の頃の京太郎があまりにも酷いものだったからだろう。
麻雀初心者という事をさておいても、最初の頃の京太郎は酷いものだった。
頭脳労働を不得手とする彼はすぐさま思考を放棄し、感性に頼る癖があったのだから。
勿論、始めたばかりの初心者に感性だけでどうにか出来るはずがない。
結果、それを狙い撃ちにされてボロボロになっていた頃から考えれば、今の彼は別人と言っても良いくらいだった。


まこ「(あんまり…構ってやれんのになぁ…)」

最初の頃はまだ完全に初心者であった京太郎に構ってやる事が出来た。
清澄の麻雀部は四人で、団体戦に出るのには一人足りなかったのだから。
勿論、各々が個人戦に向けて努力はしていたものの、それは今のように真剣なものではない。
それが変わったのは、京太郎が連れてきた宮永咲が麻雀部に入部してくれたからだ。

まこ「(お陰で団体戦出場が見えて…)」

まこにとって、それは念願と言っても良いものだった。
親友である竹井久は三年で、もう今年しか団体戦出場のチャンスがないのだから。
出来れば彼女の引退までに一勝でも二勝でも良いから団体戦で勝たせてやりたい。
そう思って挑んだ県予選で、清澄は優勝候補であった龍門渕と風越を破り、インターハイ出場を決めたのだ。

まこ「(それは間違いなく嬉しい。嬉しい…けれども…)」

だが、その結果、京太郎の指導に裂ける時間というのはさらに大きく減ってしまった。
全国にひしめき合う魑魅魍魎たちに何の準備もなく勝てるほど清澄と言うのは強い訳ではない。
そもそも龍門渕に勝利したのもギリギリで、一歩間違えば負けていてもおかしくはないくらいだったのだから。
結果、インターハイに向けての練習に追われる彼女たちにとって京太郎の指導と言うのは二の次どころか三の次四の次になっていたのである。


まこ「(けれど…京太郎は文句を言わん)」

それどころか、率先して雑用として動き、データの収集や整理を手伝ってくれている。
それが有難いと思うものの、同時に申し訳なさをまこは感じていた。
まだ麻雀に興味を持ったばかりの初心者に必要な仕事を全て押し付けているのだから。
本来であれば彼が抱いた興味を趣味へと変えられるようにサポートするのが部活として正しい姿だろう。

まこ「(でも、その時間がないゆぅて思うてバイトに誘ってみた訳じゃが)」

インターハイに向けての練習の為に麻雀に参加する事さえ出来ない京太郎。
そんな彼を不憫に思ったまこは両親が経営している雀荘に京太郎を誘ってみたのだ。
結果、彼の負担は増えはしたものの、こうして喜々として麻雀へと向かう彼の姿が見れる。
それが嬉しくて、ついつい頬を緩ませてしまう彼女は、京太郎の打ち出した5索に対して、そっと牌を傾ける。

まこ「ロン」
京太郎「ぐあー…そこかよぉ…」

短いその宣告に京太郎が悔しそうな声をあげる。
だが、すぐさま河の確認に入るその目には麻雀に対する興味が溢れていた。
もっと強くなりたいもっと上手くなりたい。
そんな意思が透けて見える彼の仕草にまこはバイトに誘ってよかったと心からそう思えるのだ。


まこ「(それに…京太郎との特訓はわしにもメリットがある)」

まこは自らの経験を頼りに場を自分に対して有利なものへと変えていくタイプの雀士だ。
自然、その能力が発揮出来るか否かは似たような打ち手と出会えているかどうかに掛かっている。
それは彼女自身も理解していたものの、県予選決勝でただ豪運なだけの初心者に負けてしまったのだ。
それを克服する為にもまだ初心者に近い京太郎と打てるのはかなり有難い。
その経験一つ一つが経験となり、そして雀士としてのまこの血肉へと変わるのだから。

まこ「(まぁ…それは決して飛躍的なものではないんじゃが…)」

雀士としてのまこは既に完成されている。
原村和や片岡優希とは違って、その拡張性を殆ど残してはいない。
勿論、それは彼女の伸び代がない事を意味しないとは言え、劇的な成長が望めない事をまこ自身が良く理解していた。
どれだけ経験を積んだところで、大きく伸びる事はない。
ただ不得手な相手が減るだけで、地力で負ける相手には太刀打ち出来ないままであろうという事も。

まこ「(それでも…わしは…)」

俗にいう悪待ちを得意とする久。
南場での高火力を誇る優希。
どんな相手にもポテンシャルを最大限発揮できる和。
支配とも言うべき豪運で全てをねじ伏せる咲。
そんな中で自分が一歩劣っているのをまこは自覚していた。
恐らく来年、優秀な一年生が入って来れば抜けるのは自分であろう事もまた。
しかし、だからと言って、まこは腐らない。
自分に出来る最大の結果を引き出そうと様々な打ち手が集まる実家でバイトを続け、終わった後も京太郎と共に特訓を続ける。


京太郎「ふぅ…」

軽食として用意したサンドイッチがなくなり、そろそろ日付が変わりそうになった頃。
京太郎が漏らした吐息にまこは申し訳なさを感じる。
京太郎がバイトでまだ疲れている事くらい彼女にだって分かっていたのだ。
それなのに少しずつ成長する京太郎の姿が嬉しくて、そして少しずつ不得手な分野がなくなっていく感覚が嬉しくてついつい続けすぎてしまったのだから。

まこ「…すまんな」
京太郎「何謝ってるんですか」

それについ謝罪の声を漏らすまこに京太郎が困惑しながらそう返した。
実際、彼からすればまこは忙しい時間の合間を縫って自分の指導をしてくれている先輩なのである。
その上、自分が上手くなれるようにバイトまで斡旋してくれたのだから、感謝以外に抱くものがない。
そんな彼女にいきなり謝られたのだから、彼としては驚愕を通り越して困惑を覚えてしまう。

まこ「いや、バイトでもこっちでもこき使っている訳だしなぁ…」
京太郎「俺にとっても嬉しい事なんですから謝らなくて良いんですよ」

勿論、京太郎とて、自分との対局がまこの訓練にもなる事を知っている。
しかし、だからと言って、それは決して彼女の優しさを否定するような事にはならない。
寧ろ、そうやって自分にも返せるものがなければ、申し訳なさ過ぎて萎縮してしまう。
そう思う彼にとって感謝する先輩の役に立てているという事は嬉しい事だったのだ。


京太郎「それより俺の方こそダラダラ居続けてすみません。そろそろ帰りますね」
まこ「あ…」

そう言って雀卓の片付けを始める京太郎にまこは何を言えば良いのか分からなかった。
代わりに片付けに慣れたその手はスルスルと動き、あっという間に箱へと牌を片付ける。
それを確認した京太郎が雀卓を同じ場所にしまい直した頃には、まこはもう立ち上がり、その手に盆を抱えていた。

京太郎「んじゃ…降りましょうか」
まこ「そうじゃな…」

京太郎の言葉に頷いてかまこはそっと部屋を出て、階段を降りていく。
その間、まこは京太郎に何と言えば良いのか迷っていたままだった。
謝るのも感謝するのもズレているような気がしたまま二人が玄関へと辿り着く。
そのままスリッパを脱いで靴を履き替える京太郎にまこはふと手渡さなければいけないものがあるのを思い出した。

まこ「あっ!ち、ちぃと待っておれ!!」
京太郎「え?」

そう言ってリビングへと飛び込んでいくまこの背中を京太郎は呆然としつつ見送る。
その胸中にはいきなり大声をあげた先輩を心配するもので溢れていた。
けれど、待っていろと言われて追いかける訳にはいかず、京太郎は一分ほどそこで立ち尽くす。
そんな彼の元にまこが戻ってきた時には、その手に小さな茶封筒が握られていた。


まこ「ほれ、今月の給料じゃ」
京太郎「え…い、いや、でも…」

そう言って手渡されるその封筒に京太郎は躊躇いを見せる。
勿論、バイト代は欲しいものの、彼が働き出したのはつい一ヶ月前なのだ。
今日が給料日である事は理解していたものの、自分とは無縁であると思っていたのである。

まこ「構わん構わん。正当な報酬なんじゃから遠慮無く受け取れ」
京太郎「あー…分かりました」

そんな彼に押し付けるようにしてまこはその封筒を手渡した。
それに諦めながら受け取った瞬間、ズシリと重い感覚が指へとのしかかる。
思っていたよりも遥かに強いそれは一瞬、手から滑り落ちてしまいそうになった。

京太郎「って結構、重いんですけど…」
まこ「まぁ、ほぼ毎日、働いてる訳じゃしの」

勿論、毎日と言っても、学生であるし、雑用の仕事もこなしているのだ。
一日に換算するとその時間は決して長いものではない。
しかし、それが一ヶ月も続けば、それなりの金額にはなる。
今の京太郎の手の中には二桁にギリギリ及ばない数の諭吉さんが詰まっていた。


京太郎「俺、こんなに貰って良いんですか…?」
まこ「つか、バイトじゃし、受け取って貰わんとうちが困る」

勿論、自分の手の中にある額がどれほどのものなのか京太郎には分からない。
しかし、彼はバイトでも麻雀でも初心者で、足手まといのままだと思い込んでいるのである。
麻雀してお金まで貰えるってだけでも凄いのに、こんなに貰えるだなんて本当に良いのだろうか。
そう思う彼にまこはクスリと笑いながら、手を振った。

まこ「まぁ、悪いと思うなら、今度、わしに何か買ってくれ」
京太郎「あー…んじゃ、今度、一緒に出かけますか」
まこ「え?」

その言葉はまこにとって冗談に過ぎないものだった。
しかし、それは本気で悪いと思っている京太郎にとって冗談に聞こえないものだったのである。
こんなに貰って悪いのだから、少しくらいは世話になった先輩に還元しなければいけない。
そう思った彼の言葉にまこが驚きの声を返すものの、全てはもう遅かった。

京太郎「あ、やべ。もうこんな時間だ。流石にこれ以上はやばいんでそろそろ帰りますね」
まこ「ちょ…まっ!?」
京太郎「あ、出かける日はまた今度、メールで送ります。それじゃ!」
まこ「え…ちょ・・え、えぇぇ!?」

そう言って染谷邸から去っていく京太郎はもうまこの声なんて殆ど聞いてはいなかった。
バイトを始めて門限を多少、緩くなったものの、それでも長期でオーバーすれば説教が待っているのだから。
その門限もそろそろ危険域に近づいている以上、あまりのんびりと話してはいられない。
そう思った彼の走りは止まらずにあっという間に夜の闇へと消えていった。


まこ「ど…どうしよう…」

結果、一人残されたまこはポツリと呟く。
まさかただの冗談でこんな風になるだなんて思っても見なかったのだ。
しかし、京太郎の顔は真剣そのもので、決してこっちをからかっていたようには思えない。
あの様子だと恐らく本気で自分を買い物に誘うつもりだろう。
そう思うと何故かこそばゆい感覚が湧き上がり、ムズムズと落ち着かなくなってしまった。

まこ「(これってデート…になるんじゃろか…)」

勿論、二人の関係はただの部活仲間であり、バイトの先輩後輩でしかない。
そのような艶っぽい感情はお互いに持ってはおらず、またそのような感情が入る余地は彼女から見てもなかった。
しかし、それでもデートと言う単語にドキドキしてしまうのは、まこもまた乙女だからだろう。
清澄の中では比較的サバサバしている方だとは言え、そういったものの対する憧れは彼女にもあるのだ。

まこ「(と、とりあえず…)」

女性誌の一つでも買って、出かける時の格好を決めよう。
そう思いながら部屋へと上がった彼女はその日、京太郎からのメールが来るのではと思って中々、寝付く事が出来ない。
結果、次の日をほぼ一睡もせずに迎えたまこは、その日、ろくに麻雀をする事が出来ず、当の本人である京太郎にも心配されたのだった。


Q.なんでエロシーン遠いところから書き始めてるん?
A.横須賀鎮守府のメンテ終わらないのが悪い


ていうか即興勘なくなり杉わろた
これだけ書くのに一体、どれくらいかかってるんだよ…
まこの口調云々以前に頭から言葉が出てこない
本編含めてもうちょっと色々頑張ります

一旦乙ですー
本編の書き溜めしなきゃいけませんし
後、Janeの復旧もしないと…あばばばば

おつー
jane復旧

1.Jane Styleでスレ欄板欄が消えたときは慌てず騒がずJaneを終了する。
2.session.datとsession.dat.bakXをテキストエディタで開く。
  (session.datはファイルサイズが極端に小さいはずで、
   session.dat.bakXはそれなりに大きいものを開くこと。)
3.session.datにsession.dat.bakXの中身をコピー。
4.Janeを再起動。

>>464
情報ありがとうー!
それもちょっと試してみたけれど直らないみたい…。
時間かかるけれどひとつずつ手作業で検索して開き直していきますorz
まぁお陰で面白そうな咲スレ幾つか見つけられたとポジティブに考えることにします…

>>453
優希は東場での火力特化じゃなかったか? ともあれ乙です。

>>467
この前からタコスには土下座しないといけない事ばっかりだな…!
本当にすみません、別に私はタコスが嫌いな訳ではないのです
ただミスをするだけなのです…

あ、それと今日も小ネタの続き投下します

今回のアプデで改造した58が置物になっただけじゃなく、完全後発組虐めになってるので那珂ちゃんのファンを止めて投下始めます
ブラ鎮対策するんだったら旗艦関連だけで良いじゃん…なんでレベリング場所の編成までイジるんだよ…お陰で3-2突破がまた遠く…(以下略


―― その日の染谷まこは最初から落ち着かなかった。

普段の彼女は比較的飄々としているタイプだ。
達観しているという訳ではないが、多少の事で動じるタイプではない。
しかし、初めてのデート ―― 異性と二人っきりで出かける ―― に幾ら彼女でも緊張を禁じ得なかったのだろう。
結局、昨夜は眠れず、その目の下に微かなクマを浮かべていた。

まこ「(これも全部、京太郎の所為じゃ)」

そう思いながらため息を吐くのは既に十数回目となっていた。
勿論、まことて京太郎に非がない事くらい分かっている。
彼はあくまでも善意で自分を誘ってくれているのだ。
だからこそ、何だかんだと言いながら今日まではっきりと断る事ができず、こうしてデートが実現してしまったのである。

まこ「(わしみとぉな女誘って何が楽しいんじゃろ…)」

それでも何処か自嘲気味にそう思うのはまこが自分に向ける評価が圧倒的に低いからだ。
彼女の周りにいるのは生徒からの信頼厚い生徒議会長やアイドル雀士並みの扱いをされているインターミドルチャンプ、そして快活なタコス娘なのだから。
そのどれと比べても地味な印象を拭えない自分にまこが自信を持てるはずがない。
それならばまだ彼と昔からの知り合いである咲を誘ったほうがいくらかマシではないか。
どうしてもそう思ってしまうのである。


まこ「(あー…いかんな。どうしてこうなるんじゃろ)」

自分の思考がどうにも悪い方向へと向きそうになっているのをまこは自覚した。
それは決して寝不足だけが原因という訳ではない。
和と優希が入部してからずっと内心にあったものだった。
それが今、自分の中で吹き出す不快感にまこはもう一度、ため息を吐いた。

まこ「(つーか…どう見ても場違いじゃろ…わし…)」

京太郎との待ち合わせ場所に指定されたのは昼下がりの広場だった。
駅前にあるその小さな広場に行き交うのは殆どがカップルである。
そんな場所で一人 ―― しかも、自分のような地味なタイプが ―― でいることに妙な疎外感を覚えてしまう。
しかし、根が真面目な彼女は待ち合わせ場所から動く事が出来ず、噴水の前で立ち尽くした。

まこ「(もうちぃと遅くでよかった…)」

待ち合わせの時間はまだ30分近く後だ。
それなのに早々に来てしまった自分にまこは自嘲混じりの吐息を漏らす。
とは言え、デートなんて今までした事がない彼女に、ぴったりの時間など分かるはずがない。
結果、眠れないのもあって、まこは一時間ほど前から一人広場に佇んでいた。


京太郎「あれ…?染谷先輩?」
まこ「あ…」

そんなまこの耳に届いた声に、彼女はそっとそちらに目を向ける。
そこに居たのは見慣れない服に身を包んだ、見慣れた顔の男だった。
普通よりも幾分、整った顔立ちを不思議そうに傾けるその男は彼女の待ち人である須賀京太郎である。
しかし、そんな彼がまこに与える印象は普段とは違うものだった。

まこ「(…なんか新鮮じゃなぁ…)」

もう夏に片足を突っ込んでいる時期である事もあって、彼の私服はジーパンとシャツという大分、ラフなものだ。
まったく気取ったところを感じさせないそれは京太郎らしいと思えるものである。
しかし、それだけではないのは、彼女の知る京太郎が制服しか身につけていないからだろう。
普段は制服という事で抑えられている独特の軽さがにじみ出るようなその格好にまこは妙な新鮮さを感じていた。

まこ「(それに対してわしは…)」

普段着そのままで出てきたような京太郎。
そんな彼とは違い、まこの格好はかなり気合の入ったものだった。
お気に入りのワンピースに袖を通したその格好は普段よりも数割増しで華やかなものである。
その上、軽く化粧までしてメガネもコンタクトに変えているのだから、かなりの重装備だ。
普段であれば決してしないそれはそれだけまこがデートという言葉に期待を寄せていた証である。


京太郎「随分と綺麗だったんで最初、気づきませんでしたよ」

京太郎がそう言うのも無理は無い事だろう。
勿論、普段のまこもまた美少女に類するのではあるが、どうにもその魅力を押さえ込んでいるのだ。
敢えて自分を控えめに見せているような彼女は、どうしても地味という印象を拭えない。
しかし、今のまこは華やかで決して見るものに地味さの欠片も感じさせないものだった。
まこ自身は知らなかったものの見慣れぬ美少女に声をかけようとした男は何人もいたのである。

まこ「そ、それは嫌味か…?」

しかし、そんな事も知らないまこはそれを素直に受け止める事が出来ない。
彼女にとって自分は地味な女で、こうしてお洒落をしても滑稽な印象を拭えなかったのだ。
それなのにこうして褒められてもひねくれた受け止め方しか出来ない。
勿論、京太郎がそういう事を進んで言うタイプではないと分かっていても、可愛げのない言葉を返してしまうのだ。

京太郎「まさか。本心ですよ。マジで可愛いです」
まこ「う…」

勿論、京太郎はそんなまこの感情など分からない。
彼にとって染谷まこという先輩は誰よりも頼りがいがあり信頼出来る先輩なのだから。
まさか本気で拗ねているとは欠片も思わず、そうストレートに可愛いと称す。
それにまこが言葉を失うのはそう言って褒められる事にまったく慣れていないからだ。
常連の冗談交じりのものとは違う本心からの賛辞に彼女の頬は赤くなり、その顔が小さくうつむく。


まこ「あ、あんまり先輩をからかうもんじゃない」
京太郎「本気なのになぁ…」

そのままぷいっと顔を背けるまこの反応が、京太郎にとっては新鮮だった。
何時だって彼は頼る側でこんなまこの姿なんて見た事がなかったのである。
とは言え、あんまりこの話題を引きずってもまこが拗ねるだけだろう。
長年、気難しい幼馴染に鍛えられた京太郎はそう判断し、ニンマリとした笑みを浮かべる。

京太郎「でも、そんな風に気合入れてるなんてもしかしてちょっと期待してくれてました?」
まこ「ばっ!馬鹿な事ゆうんじゃない!!」

勿論、それがからかっているだけだと言う事くらいまこにも分かっていた。
京太郎の表情はひと目で分かるくらいにニヤニヤとしているのだから。
しかし、それでもそうやってわかりやすい反応を返してしまうのは、それが一切なかったとは言えないからだろう。
初めて異性と二人っきりで出かけると言うシチュエーションにまこはただ緊張していただけではないのだ。

まこ「わ、わしはただお前に恥をかかさんようにと…」

その格好一つ選ぶのだって、まこは必死になって女性誌を読み込んで考えたのだ。
普段はしない化粧に手を出したのも、メガネをコンタクトに変えたのも全ては一緒に歩く京太郎に恥をかかさない為である。
もし、自分のような地味な女と歩いて、誤解されてしまったらどうしよう。
後輩想いの彼女はそんな予想を振り払う事が出来ず、自分にできる精一杯のコーディネートでやって来たのだ。


京太郎「そんなの気にしなくても良いですよ」
まこ「でも…」
京太郎「普段の染谷先輩で十分、魅力的ですし」

その言葉は決して嘘ではない。
確かに京太郎もまこに対して地味な印象を抱いているものの、彼女の顔立ちが整っている事は認めているのだ。
何より、随所に気配り出来る彼女の優しさは間違いなく魅力の一つであろう。
そんな優しさに数えきれないほど助けられている京太郎にとって、染谷まこという少女はとても魅力的な相手であったのだ。

まこ「…は?」

しかし、それをまこが信じられる訳がない。
女性としての自己評価がほぼ最低にも近い彼女にとって、それは寝耳に水もいいところなのだから。
まさか異性から魅力的だという言葉が飛び出すとは思わなかったまこはその顔を唖然とさせてしまう。

京太郎「あ、もう一度、言った方が良いですか?」
まこ「だ、誰もそんな事言っとらんわ!!」

そんなまこにクスリと笑いながらの言葉にまこは顔を真っ赤に染めた。
その紅潮を頬まで広げるその顔はとても可愛らしい。
しかし、それを言ってしまったら、まこはさらに拗ねてしまう事だろう。
故に京太郎はその言葉を胸中にしまいながら、そっと口を開いた。


京太郎「ま、片意地張らないで気軽に楽しみましょうよ。せっかくの休日なんですし」
まこ「む…ぅ…」

手慣れた京太郎の言葉にまこは小さく唸りながらも頷いた。
確かにこうして拗ねていては折角のお出かけが台無しである。
自分をからかっていた京太郎に言われたくはないが、ここは話題を逸らす為にも頷いておくべきだろう。
勿論、京太郎はからかってなどおらず本心から言っていただけなのだが、そんな事を知らないまこはそう判断したのである。

京太郎「それじゃまずは…」
まこ「とりあえずお前の教本じゃろ」

こうして二人で出かける大きな理由は京太郎用の麻雀用教本を買う事だった。
勿論、麻雀部にも幾つか置いてあるものの、未だ初心者である彼には少しハードルが高いものである。
故にもう少し易しい初心者向けのものを探そうとまこの方から提案したのだ。
結果、それは彼にも受け入れられ、こうしてデートの主目的の一つになったのである。

まこ「こういうのは時間が掛かるもんじゃし、早い方がええ」
京太郎「じゃあ、悪いんですけれど、俺の方を先にお願いします」
まこ「うん。構わん構わん」

そう言って歩き出した二人はそのまま駅ビルの中へと入っていく。
そのペースはしっかりと噛み合ったものであり、横に並んだ二人が離れる事はない。
それは勿論、部活だけではなくアルバイトでも一緒に過ごしているという事が無関係ではないのだろう。
知らず知らずのうちに相手の歩幅を感じ取った二人は意識せずにそれに合わせる事が出来るようになっていたのだ。


京太郎「しっかし、大分、熱くなって来ましたねー…」
まこ「もう夏じゃからなぁ…」
京太郎「インターハイも近いですね…」
まこ「ん…」

そう会話をしながら歩く二人はそっとエスカレーターに乗った。
そのままスルスルと上がっていく身体とは裏腹にまこは微かなプレッシャーを感じる。
それは勿論、インターハイという言葉が自分には遥か重いものだからだ。
ただ、経験が人並みより多いだけの自分が一体、どれだけ全国区の打ち手に対抗出来るのか。
それを不安に思う気持ちはどうしてもまこの中でなくならなかった。

京太郎「どうかしました?」
まこ「いや…なんでもない」

しかし、それを後輩の前で漏らす訳にはいかない。
そう思うのはまこが決して面子を大事にするタイプだからという訳ではなかった。
寧ろ、自己評価が他者のそれよりも著しく低い彼女にとって、面子などは殆どない。
それでもこうして不安を表に出せないのは、一番、不安なのが自分ではないと分かっているからだ。

まこ「(わしはまだ一年ある。じゃけん…久の奴は…)」

もう後がないという状況で奇跡的に手にした全国行きの切符。
それに誰よりも喜び、そして誰よりもプレッシャーを感じているのは親友である竹井久なのだ。
それを部員の誰よりも知るまこは自身の不安を京太郎に漏らす事が出来ない。
一番、辛いであろう彼女が漏らさないのだから、自分もまた我慢しなければ、と遠慮してしまうのだ。


京太郎「(さて…どうするべきかなぁ…)」

そこで京太郎が逡巡を覚えるのはまこの不安を京太郎も感じ取っているからだ。
自分と特訓している時にも時折顔を出すその感情をそのままにはしておけない。
京太郎がまこの事をこうしてデートに誘ったのもそういった感情があったからだ。
しかし、それを垣間見せた今、突っ込むべきなのか、彼には分からない。
未だ自分がまこから信頼を勝ち取れては居ないのは分かっている以上、ここで突っ込んでも藪蛇になってしまうかもしれないとそう尻込みしてしまうのだ。

京太郎「…きっと何とかなりますよ。だって、うちはあの龍門渕すら破ったんですから」

結果、京太郎に選べるのはそんな何の保証もない言葉だった。
勿論、そんな事を言われてもまこの不安を晴らせる訳じゃない事くらい彼にだって分かっている。
そもそも京太郎はついこの間まで麻雀の事を殆ど知らなかった初心者なのだから。
そんな彼がハイエンドの集まりであるインターハイのことに言及したところで、何の気晴らしにもならない。

まこ「ふふ…そうじゃな」

しかし、そんな京太郎の心遣いがまこには嬉しい。
その言葉が何の根拠もない慰めに過ぎないと理解していても、後輩の優しさはまこにしっかりと届いていたのだ。
それに微かに笑みを漏らしながら、まこは少しだけ胸の中が楽になったのを感じる。
こんなにも自分たちの事を信頼してくれる後輩がいるならきっと大丈夫。
なんとなくそう思う事が出来たまこはそっと目的の階へと踏み出した。


まこ「えっと…本屋は…」
京太郎「あ、こっちですよ先輩」

そう言いながら京太郎が歩いていく横にまこは再び並んだ。
そんな彼女を先導する京太郎はこっちの歩幅と曲がるタイミングを完全に把握している。
まるで小さな子どもに対するようなそれはこそばゆいものの、悪い気分ではない。
そう思うのはそれが京太郎なりの気遣いであるとまこが分かっているからだろう。

まこ「慣れとるんじゃなぁ」
京太郎「まぁ、咲のお守りで良く来ますしね」

まこの言葉を駅ビルの案内の事だと勘違いした京太郎はそう返す。
勿論、それも含めての事なのだが、ほんのすこしだけピントがズレているのだ。
とは言え、それを一々、訂正するのは無粋な気がする。
何よりもう既に二人の前に大きな書店が見え始めているのだから、あまり無駄な話をしている暇はなかった。

まこ「えーっと…麻雀の教本は…っと」

そうして入り込んだ本屋の中で二人は数分ほど内部を回る。
そうやって訪れた麻雀のコーナーには多種多様な本が並んでいた。
中にはプロが書いた事を売りにしている本もあるが、それを読むには京太郎はまだまだ実力不足である。
そう思いながらまこはそっと教本を手に取り、ペラペラとめくっていった。


まこ「(うーん…これくらいのレベルなら…いや、ちょっと難し過ぎるか…)」

今日、選びに来たのは自分たちが自分の事で忙しい分、京太郎が頼る事になる教本なのだ。
自然、構ってやれない不甲斐ない先輩としてその中身を吟味する目も厳しくなる。
京太郎の成長に合わせて中身をレベルアップさせていくようなものがあれば良いのに。
そう思いながら本を流し読みする彼女の目は真剣そのものだった。

京太郎「んー…」

そんな彼女に対して京太郎はあまり深く考えてはいなかった。
何せ、彼の手元には数人の諭吉がスクラムを組んで立っているのだから。
気になった本を数冊纏めて買ってもまだまだお釣りは出るだろう。
そんな彼が選んだのはまこがレベルが高いと言って真っ先に切り捨てたプロ監修のものだった。

京太郎「(…ダメだ。さっぱり分からん)」

そこに書いてあるのは基本、京太郎が教わったものと変わりがないものだった。
しかし、鳴いた牌が光るだの天和を連発するだのと訳が分からない単語が並んでいるのである。
勿論、その言葉の意味は分かるものの、一体、この小鍛治健夜という人は何を言っているのか。
そう諦めながら肩を落とした瞬間、彼の視線はまこの横顔に向けられた。


京太郎「(やっぱ可愛いよなぁ…先輩)」

真剣な表情は普段よりも引き締まり、凛々しいと言っても良いものになっている。
しかし、それでも可愛いという印象からは外れないのは彼女の顔立ちが人に親しみを与える柔和なものだからだろう。
美しいという言葉は似合う和とはまた違ったそれは京太郎にとって魅力的に映るものだった。

京太郎「(その上、優しいし、会話だって面白いし、料理だって出来るし…良い人だと思うんだけどなぁ…)」

ちゃんとその魅力に気づく人が居れば、引っ張りだこでもおかしくはない逸材。
しかし、実際の彼女の自己評価は悲しくなるくらい低いものだった。
もう少し自信を持てば、きっと自分と一緒に出かける暇がないくらい忙しい人になるだろうに。
そう思いながらも、京太郎自身、彼女に性的な関心を向ける事はなかった。

京太郎「(なんつーか…俺にとっては先輩…なんだよなぁ)」

彼女の魅力を知っているとは言え、先輩を慕う後輩の域を出ない自分の感情。
それは勿論、まこが何か悪い訳ではない。
ただ、そういったものを意識するよりも先に、京太郎にとってまこは『頼れる先輩』としてインプットされてしまったのである。
結果、その魅力を知った今でも京太郎にとって彼女は真っ先に『先輩』という立ち位置に収まってしまうのだ。


まこ「よし」

まさかそんな事を思われているとは知らないまこは京太郎の前で小さく声をあげた。
そんな彼女が選んだのは初心者用と銘打たれた2つの教本である。
勿論、麻雀に接してきた時間で言えば清澄の誰よりも飛び抜けているまこが選んだのだから、それはただの初心者用ではない。
中盤からはかなり実践的なテクニックにまで踏み込むそれは中級者向けと言っても過言ではなかった。

京太郎「あ、決まりました?」
まこ「ん。これなら大丈夫じゃ」

まさか自分にとってまだまだレベルが高いものを選ばれたと思っては居ない彼は素直にそれを受け取った。
そのままレジに進もうとする彼にまこはそっと首を傾げる。
自分が本を探している間は結構、時間があったはずなのに一冊も気になるものがなかったのか。
まさかその時間の殆どを見つめられていたとは欠片も思わないまこはそっと口を開いた。

まこ「そっちはええんか?」
京太郎「えぇ。先輩が選んでくれたのならきっとそれが一番でしょうし」

聞く人によれば思考放棄にも受け取られかねないそれは京太郎の本心だ。
自分よりも遥かに上手く、そして強い先輩が選んでくれた本が間違っている訳がない。
きっと自分がフィーリングで選ぶよりも遥かに良い本だろう。
そう信頼している彼にとって、まこが選んでくれた二冊だけで十分だったのだ。


まこ「そ、そんな風にゆうても…京太郎に合うかは分からんぞ?」
京太郎「はは。その時は俺の努力が足りなかったって事ですよ」

それに擽ったいものを感じたまこの言葉を京太郎は軽く笑い飛ばす。
まこが言うのであればそのハードルを自分が乗り越えられないはずがない。
京太郎にとってまこへの信頼というのはそれほどまでに厚いものだった。

店員「二点で5900円になります」
京太郎「(高っ!!)」

しかし、その信頼の値段は決して安いものではない。
中級者にも向けられたその本の厚みはかなりのもので、また値段も相応に高かったのだ。
そんなものを2つもレジに通せば、軽く6000円を超えてもおかしくはない。
しかし、中身に対する信頼だけで値段をまったくチェックしていなかった彼にとってそれは驚きを与えるものだった。

京太郎「(ま…数年は確実に使えるものだと思ったら安い買い物かな)」

勿論、京太郎とて一生麻雀をやっているかは分からない。
しかし、高校三年間くらいは麻雀を続ける覚悟を固めているのだ。
それが咲を強引に麻雀部へと連れてきた自分なりの責任のとり方だろう。
そう思った彼はそっと財布から諭吉を取り出し、支払いを済ませる。


まこ「あ、領収書つかぁさい」
店員「はい。分かりました」
京太郎「…え?」

そんな京太郎の脇から顔を出したまこの言葉に、彼は驚きの声をあげる。
しかし、そうしている間にも店員の女性はさらさらと手慣れた様子で領収書へと書き込んでいく。
それを見ても尚、まこの意図を察する事が出来ない彼の前で店員とまこのやりとりが進んでいった。

店員「お名前はどうなさいますか?」
まこ「清澄高校麻雀部でお願いします」
京太郎「あっ」

そこでようやくまこの意図に気づいた京太郎が小さく声をあげた。
しかし、その頃にはもう遅く、領収書には大きく彼らの部活が書かれている。
それを受け取るまこに京太郎が何を言えば良いのか分からない。
そんな彼にクスリと笑いながら、まこはその領収書を京太郎へと手渡した。

まこ「これくらい部費で何とかするもんじゃ」
京太郎「いや…でも…」

勿論、これが他の皆も使えるものであれば、京太郎はここまでの躊躇いを覚えなかっただろう。
しかし、その本を今、必要としているのは部内唯一の初心者である京太郎なのだ。
そんな本の為に数少ない部費を使ってしまっていいのだろうか。
そう逡巡を覚える京太郎の背中をまこはそっと叩いた。


まこ「冷静に考えてみぃ。来年はまた一年生が入ってくるんじゃぞ」

「その中にはきっと初心者もおるはずじゃ」と言葉を繋げるまこに京太郎はどう言えば良いのか分からない。
確かにインターハイ出場を決めた清澄は来年の新入生が見込めるだろう。
しかし、インターハイ出場を見て入ってくるのは殆どが経験者なのだ。
そんな彼ら ―― 或いは彼女たちが自分の買った本を必要とするかは微妙なところだろう。

まこ「それにたまにゃあ久の奴にも仕返ししてやらにゃあな」
京太郎「はは。そうですね」

冗談めかしたまこの言葉に京太郎はつい頷いてしまう。
京太郎は普段、麻雀部部長である竹井久に細かい買い出しや雑用として使われているのだ。
勿論、それに関して、彼が不満を覚えている訳ではない。
寧ろ、練習相手にもなれない自分が役に立てて嬉しいくらいだ。
しかし、そうやって働いているのだから、少しくらいは仕返ししても良いのではないか。
そんなまこの言葉についつい頷きながら、京太郎は小さく笑った。

まこ「(まぁ、それに既に話は通してあるし…)」

京太郎から麻雀の教本が欲しいと言われた際、まこは真っ先に久へと連絡をした。
それくらい部活の経費として落としてやるのが何も構ってやれていない先輩としての責任だと彼女は思ったのである。
それに久も同意し、既に二人の間でその本を経費で落とす密約が交わされていた。
それを京太郎に言わなかったのは最初に彼に言ってしまえば絶対に遠慮すると分かっていたからである。


まこ「(まったく遠慮しいもほどほどにせんと…可愛げがなくなるぞ)」

そう思いながらも、まこにとって京太郎は可愛い後輩だった。
その見た目や口調こそ軽そうなものの、彼が真面目で麻雀に対しても真摯なのは知っているのだから。
自分が誘ったアルバイトでも一生懸命、戦力になろうと頑張っている彼が、まこにとっては可愛くて仕方がない。
他の一年生たちが手のかからなかったり、ちょっぴり生意気だったり、自分よりも強かったりで余計にそう思える。

まこ「(まぁ、恋愛対象には絶対にならんじゃろうが)」

可愛いとは言ってもそれはあくまでも後輩に対するものだ。
勿論、恋愛対象としては悪い相手ではないと分かっているものの、そう見る事は出来ない。
それは既にまこにとって京太郎の位置が後輩にカテゴライズされてしまったからだ。
まるで手のかかる弟のような相手に恋愛感情を抱くほど自分は夢見がちなタイプではない。
京太郎が自分に対して似たような事を思っているとはつゆ知らないまこはそう思いながら肩を落とした。

京太郎「じゃ、次は染谷先輩の買い物っすね」
まこ「う…」

そんな彼女の耳に届いた京太郎の声にまこは小さくうめき声をあげる。
正直、まことしてはこのまま家に帰るルートが一番、気が楽ではあったのだ。
麻雀の道具であればまだこっちも先輩風を吹かす事が出来るが、京太郎のそれは善意で言ってくれているものなのだから。
異性からのプレゼントなんて殆ど貰ったことがないまこにとってそれはむず痒さを覚えるものだったのである。

キリもいいところなので今日はここで終わりー
明日も出来れば頑張りまする

乙ー
量的に本編の一人分に相当する感じ?

>>494
流石にそこまで書くつもりはないけど…今のペースだとちょっと自信がない
後、京ちゃんが阿知賀編でプレイキャラになったって話が嬉しくて小ネタも進めたいのですが、ちょと今日は無理そうですごめんなさい…

動画でチラっと見た咲ぽ2の京ちゃんがイケメンすぎて生きるのが辛い
あ、多分、22時ちょっとくらいからやり始めます

ひぎぃ!また酉外れてるぅうう!
酉固定の設定何処だったっけ…


まこ「…本当に買うのか?わしはそういうの…」
京太郎「まぁ、良いじゃないですか」
まこ「む…ぅぅ」

それを何とか伝えようとしたものの、京太郎が聞き入れる様子はまったくなかった。
元々、京太郎にとってこの買物は自分の教本探しではなかったのである。
まこの言葉に乗っかって、じゃあ、お礼の一つでもしようと誘ったのが最初の目的だ。
そんな彼の教本探しを真剣に手伝ってくれたのだから、やっぱりどうしてもお礼はしたい。
そう気持ちを固める京太郎は、譲るつもりがまったくなかった。

京太郎「それに日頃、迷惑を掛けてる訳ですしね」
まこ「…わしは迷惑だなんて思っとりゃせんぞ」

まこはそう言うものの、京太郎はまこに対して負い目を拭い去る事が出来なかった。
バイトでも部活でも特訓でも自分はまこにおんぶ抱っこで殆ど手伝いが出来ていない。
実際はまこ自身、京太郎に手伝ってもらえてかなり楽になっているのではあるが、それ以前を知らない彼がまこの心に気づく事はない。
彼女の言葉もまた気遣いの結果なのだとそう判断しながら、そっと口を開く。

京太郎「まぁ、後輩がしたいって言ってる訳ですし…たまには甘えてくださいよ先輩」
まこ「…はぁ」

冗談めかしながらも譲る気配を見せない京太郎にまこはそっとため息を吐いた。
外見そのものは軽そうに見えるものの、彼が意外と頑固な性格であるのをまこは知っているのである。
こうと決めたら曲げずに一直線へと突き進むその生真面目な性格は今も発揮されているらしい。
それに一つ肩を落としながら、まこは諦めたように手を振った。


まこ「分かった分かった。…その代わり、高いもんはなしじゃ」
京太郎「えー…」
まこ「えーじゃない…まったく…」

不満そうな京太郎の言葉に、まこは呆れたようにそう返す。
勿論、京太郎のそれが冗談である事くらいまこにだって分かっていた。
しかし、だからと言って、不満そうなその態度はあまりにも気に入らない。
その外見の軽さもあって、まるで女をたぶらかすのに失敗したチャラ男のように見えるのだ。

まこ「そういう風に女をたぶらかしたいんじゃったら咲にやったれ」
京太郎「あー…それも良いですね」

ジト目を向けるまこの気持ちに気づかない京太郎はそっと首を傾げながらそう返す。
京太郎の幼馴染である彼女は、日頃から誰かの世話がないと生きていけないタイプである。
幼い頃から彼女の世話係を任命されていた彼にとって、彼女は改めて感謝するような相手ではなかった。
しかし、京太郎の誘いに乗るような形で、咲は嫌いだと言っていた麻雀部に入ったのである。
その事に関して、自分はまだお礼らしいお礼をしていない事を思い出した京太郎は後の予定にそれを差し込んだ。

まこ「ほんっと…お前はお人好しじゃな…」
京太郎「そうですか?」

そんな京太郎に向ける視線をさらに呆れさせるのは京太郎のそれが気遣いというレベルを遥かに超えているからだ。
勿論、初めてのバイト代という事もあって、金銭感覚が幾らか麻痺しているのもあるのだろう。
しかし、だからと言って、そうポンポン人にお礼をしていたら、自分の手元にお金が残らない。
それすらも理解できていない後輩の様子にそっとため息を漏らしながら、まこは口を開いた。


まこ「お前も若い訳だし、何か欲しいもんの一つでもあるじゃろうに」
京太郎「まぁ、あると言えばありますけれど…」

京太郎とて年頃の男の子だ。
物欲は人並み程度にはあるし、欲しいものは幾つも脳裏に浮かんでくる。
しかし、それらは決して危急という訳でもなく、また絶対に必要という訳でもない。
何より、今の彼にとって一番楽しいのは麻雀であり、あまり物欲そのものを満たす必要がなかったのだ。

京太郎「でも、そういうのは今時、ネットで拾えますし」
まこ「ばっ!!」

とは言え、それを口にしたところでまこに変な気遣いをさせるだけだ。
そう思った京太郎は努めて下衆な笑みを浮かべながら、そう漏らした。
それにまこが驚いた声をあげるのは、青少年特有のオカズが真っ先に脳裏に浮かんだからである。
飄々としているように見えて根が乙女なまこは一瞬で顔を真赤にし、きっと京太郎を睨んだ。

まこ「な、何を言っとるんじゃ!こ、こんな場所で…」
京太郎「んー俺はネットショッピング的な意味で言ったんですけど、先輩は何を想像したんですかねー?」
まこ「ぐっ…」

それが後輩の罠だと気づいた時にはもう遅い。
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるその表情にまこは悔しさ混じりに歯噛みするしかなかった。
そんなまこの姿が新鮮ではあるが、あんまり虐めすぎると後が怖い。
そう思った京太郎はその表情を引き締まらせながら、口を開いた。


京太郎「まぁ、そんな訳なんであんまり遠慮とかなしな方向で」
まこ「…先輩として一言忠告しておいてやるが…気遣いの仕方を間違えてるぞ」

先輩に対して遠慮無く弄ってくる京太郎の姿にまこは肩を落としながらそう返す。
確かに今ので遠慮する気が大分、失せたのは確かだが、何もからかうようなやり方ではなくても良いだろう。
ともすれば失礼にもなりかねないそれは決して肯定的にはなれない。
勿論、それはその程度で自分たちの信頼が崩れないという認識があるからこそだと思えども、やっぱりまことしては悔しい。
それが善意である以上、怒ってやる事が出来ないのもまた、彼女の悔しさに拍車を掛けていた。

まこ「まぁ、遠慮しないで良いというのであればわしの新しいパソコンでも勝って貰おうか」
京太郎「さ、流石にそれは…」
まこ「じゃあ、携帯とかどうじゃ?わしもそろそろ流行に乗って最新機種のスマートフォンに変えたいんじゃが…」
京太郎「そ、それもちょっと辛いかなって」

代わりに意気揚々と高いものを強請るまこに京太郎は冷や汗を浮かべた。
勿論、まこの言葉が冗談であると分かっているものの、それらは諭吉が数人単位で吹っ飛んでいくものなのである。
ともすれば、彼の予算を遥かにオーバーしかねないそれに決して頷く事が出来ない。
とは言え、遠慮しないで良いと言った反面、断るのはあまりにも格好悪く、その背筋に嫌な汗が流れていくのだ。

まこ「なんじゃ。案外、解消のない奴じゃな」
京太郎「ぬぐぐ…」

そんな京太郎に笑いながら、まこはそっと歩き出す。
その後ろから悔しそうに歯噛みするような声が聞こえてくるのに、彼女は少しだけ溜飲を下げた。
まぁ、これくらい仕返ししてやれば、当分は先輩の威厳も十分保たれるだろう。
そう思った彼女はエスカレーターにそっと乗り、ゆっくりと降りていく。


まこ「ま…甲斐性のない後輩に免じて適当な小物で勘弁してやる」
京太郎「むむむ…い、言い返せない…!」
まこ「何がむむむじゃ。まったく…」

そう言葉を交わしながら、二人は二階へと降り立った。
レディースの様々な服が並ぶそのエリアの一角に二人は足を踏み入れる。
そのまま適当に歩く彼女の視界にファンシーなキャラクターショップが飛び込んできた。

まこ「とりあえずここから見ていくか」
京太郎「うっす」

そう言いながら店へと入る二人に店員からの声が掛かる。
それを聞き流しながら商品を軽く見て回るまこの胸はあまり高鳴る事はなかった。
そもそも、まこはこういった小物類をあまり好まないタイプの人間である。
部屋の中もクローゼットの中身を除けば、常に整理整頓されている方なのだから。
余計なものを置く事のない彼女の部屋は、ぬいぐるみが並ぶ和のそれよりも遥かに殺風景と言えるだろう。

まこ「(とは言え…何か欲しいものがある訳じゃないしなぁ…)」

京太郎にはああ言ったものの、まこが選べる範囲としては1000~2000円が限度だった。
それ以上となると流石に後輩に払ってもらうのは心苦しくなってしまう。
しかし、その値段の領域でまこが欲しいモノと言うのは中々、思いつかない。
そんなおもしろみのない自分に一つため息を漏らした瞬間、まこの耳に京太郎の声が届いた。


京太郎「うぉ…これ良いなー。可愛い」
まこ「…何をやっとるんじゃ」

楽しそうなその声に振り向いたまこが呆れた声を漏らすのは京太郎がガラスのマグカップを嬉しそうに持っていたからだ。
某ご当地キャラを象ったそれには一切の機能性がない。
寧ろ、飲みにくいと言っても過言ではないそれを京太郎は大事そうに抱えてはしゃいだ声をあげている。
ある意味では自分以上に楽しんでいる彼の姿に微かな羨望を覚えるまこの前で、京太郎は嬉しそうに口を開く。

京太郎「いや、ほら、ひこに○ん型ですよ!ひこにゃん!!」
まこ「それは分かっとるが…」

ニコニコと誇らしそうにも見える表情で彦根城のキャラクターグッズを魅せつける京太郎。
それに言葉を濁らせるのはまこ自身、それをどう京太郎に伝えていいか分からなかったからだ。
キャラ物で囲まれているのにはしゃぐのがみっともないと言えば、彼を傷つけるだろう。
また、せっかく、嬉しそうな京太郎に水をさしてしまうのはまことしても本意ではない。
そもそも最初に声を掛けたキッカケが女の子らしい空間に喜べない自分からの嫉妬めいたものだった彼女はどう言えば良いのか分からないのだ。

京太郎「いや、だってこの無駄な再現率のお陰でまったくコップとしての役割を果たしていない当たりが可愛いじゃないですか!」
まこ「まるで意味が分からんぞ!」

そんな彼女の逡巡を京太郎が感じ取った訳ではない。
だが、テンションの上がった彼はついつい口ごもる彼女に先んじて、酷評しながらの微妙な賛辞を放ってしまう。
それについツッコミを入れるまこの内心は、ほっとしていた。
これで少なくとも迷ったりしなくても良いと彼女は安堵していたのである。


京太郎「染谷先輩は何か好きなご当地キャラとかいないんですか?」
まこ「ぅ…」

しかし、そのマグカップを棚に戻りながらの京太郎の言葉にまこは言葉を詰まらせてしまう。
勿論、彼女とてご当地キャラの幾つか位は知っている。
とは言え、誰か特定のキャラに愛着を持てるほど、情報を得ている訳じゃない。
それは彼女の実家が雀荘で、まこが経費削減と人手の為にバイトしているという事も無関係ではなかった。

まこ「わしはあんまテレビとか見んしなぁ…」
京太郎「あー…」

ポツリと呟かれるまこの言葉に京太郎は言葉を詰まらせる。
まこの実家でアルバイト初めて分かったが、彼女の一日は決して楽なものではない。
部活がある時はまだましではあるが、実家の手伝いをしている時は夕食を食べる暇がないくらいなのだから。
終わるのも夜中と言っても良い時間で、それからは宿題や明日の準備もあるだろう。
最近はそれに加えて麻雀の特訓までやっているのだからテレビを見ている暇などあろうはずがなかった。

京太郎「んじゃ…別のところ行きますか」
まこ「え…?」

それを感じ取った京太郎はあくまで軽い調子でそう言った。
それにまこが驚きの声を返すものの、彼は軽い笑みを崩さない。
勿論、その内心はまったく配慮が足りていなかった自分への自嘲の感情がふつふつと沸き上がってきている。
しかし、そんなものを表に出したら余計、まこの居心地が悪くなってしまうのは目に見えているのだ。


京太郎「知らないキャラもの買っても置き場所に困るだけでしょうしね。それより先輩に欲しいもの買いましょうよ」
まこ「あー…」

軽い調子で、けれど、その言葉には真摯な意味を込めて。
そう告げる京太郎にまこは何と言えば良いのか分からなかった。
感謝を告げるのも少しズレている気がするし、謝るのはきっと京太郎が望まないだろう。
しかし、何か言わなければと思う彼女の前で京太郎がそっとショップから出て行く。
そんな彼の後ろ姿を追いかけながら、まこは必死に何を言うべきか考え続けていた。

京太郎「(さって…どうするべきかなぁ…)」

勿論、後ろのまこが何を悩んでいるのか京太郎には分からない。
だが、自分の『先輩への恩返しをしたい』という我儘で困らせている事くらい彼にも分かっていた。
しかし、今更、『やっぱりなしで』と言い出したりしたら、余計、まこを追い詰める事になるだろう。
つまり、彼が穏便にこの場を切り抜けるには、何とかまこがそれなりに喜んでくれるようなものを探すしかないのである。

京太郎「(咲相手なら…本安定なんだけどなぁ…)」

そんな彼の脳裏に浮かぶのは付き合いの長い幼馴染の姿だった。
大人しく、地味で、本を読むのが好きという彼女は、とりあえず本を送っておけば間違いはない。
よっぽどおかしなものでなけれな、本の虫である咲は喜んでそれを読み耽るだろう。
しかし、そうやって気心のしれた咲とは違い、自分はまこの趣味も何も知らない。
今更ながらにそれを思い知った京太郎は、まずはそこから切り込んでいこうと口を開いた。


京太郎「そう言えば…先輩って趣味とかないんですか?」
まこ「ぅっ…」

悩み事をしている最中に唐突に告げられた彼の声。
それに言葉を詰まらせるのは、まこのそれが決して人には言いがたいものだからだ。
幼い頃から雀荘の手伝いをし、テレビや雑誌を見る暇もなかった彼女にとって趣味と言えるものは麻雀を除けば、メイド服集めくらいなものである。
しかし、久ならばともかく、それを口に出せるほどまだまこは京太郎に対して心を許している訳ではなかった。

まこ「…ま、麻雀くらいかなぁ…」
京太郎「そうですかぁ…」

その返事が少しだけ遅れていた事に京太郎は勿論、気づいていた。
きっと麻雀以外にも何か言いづらい趣味が先輩にある事もまた。
しかし、それを言って貰えないのであれば、下手に突っ込むべきじゃない。
まだプライベートに踏み込めるまで親しく慣れていない自分が悪いのだと、そう胸の痛みをごまかしながら、京太郎は思考を切り替える。

京太郎「それじゃ何か麻雀関係で欲しいものあります?」
まこ「今のところは特に…じゃなぁ…」

そもそも麻雀はあまり金がかからない趣味だ。
賭け事に使わない分には、初期投資としてシートと牌を買うくらいだろう。
それらも昔であれば高級品であったかもしれないが、現代は廉価品が安く売っている。
他の必要なものとなれば京太郎が買ったような教本くらいであるが、まこは既にそんなものを必要とするレベルを遥かに超えていた。


京太郎「まぁ…ですよねー…」

勿論、それくらい京太郎にだって分かっている。
そもそもまこの実家は雀荘で必要なものは殆どそこから手に入るのだから。
わざわざ自分が贈らなくても余るほどあるだろうし、ましてや、まこが思いつかないはずがない。

京太郎「っと…」

そんな彼の目に入ってきたのは大きな垂れ幕だった。
数階上から下げられ、吹き抜けに大きく広がるそこには『全米が絶賛!』という文字が踊っている。
最早、手垢がついたという表現では物足りないそれに京太郎の視線が惹きつけられた。
それはその垂れ幕に麻雀越しに向き合う男女が描いてあったからである。

京太郎「じゃあ、映画とかどうですか?」
まこ「映画…?」
京太郎「ほら、あそこにある奴ですよ」

そう言って京太郎が指差したそれにまこもまた興味を惹かれた。
実家が雀荘ということもあって忙しい日々を送る彼女はそれが一体、どういう映画なのかまったく知らない。
しかし、そこには麻雀が関係している事を示唆するようなキーワードが幾つも踊っているのだ。
デザイナーの意図した通り、興味をソソられる自分を単純だと思いながらも、彼女はその映画が気になりだしている。


まこ「(それにまぁ…あまり高い買い物にはならんし…)」

休日の殆どを実家の手伝いで潰すまこは殆ど映画館で映画を見た事がない。
しかし、それでもその値段がさっき思い浮かべた限度額を超えないものである事くらい知っているのだ。
それに何よりまこはインターハイに向けて、一局でも多くの闘牌を観察しなければいけない。
そこまで思い浮かべた頃には反対する理由はなく、まこの首は自然と首肯を示していた。

まこ「うん。ええんじゃないか」
京太郎「じゃ、行きましょうか。上映時間だけでもチェックしたいですし」

そう言いながら歩き出した二人は再びエスカレーターへと乗った。
そのままスイスイと上がっていく感覚に二人は会話を続ける。
これからチケットを取るであろう映画の予想をお互いに口にしながらのそれはとてもほほえましいものだった。
いっそ本当のデートにも見えるであろうその仲の良さを二人は意識しないまま、共に最上階の映画館へと足を踏み入れる。

京太郎「お…これは…」
まこ「はは。中々に幸先がええみたいじゃな」

そのままチケット発券機へと足を進めた京太郎とまこの目に、一つの時刻が飛び込んでくる。
二人が話題にしていたその映画の開始時刻を示すそれは丁度、十分後を示していた。
しかも、その席はまだ空いているようで簡単に二人分を発見する事が出来た。
思いの外、順調なそれに二人は笑みを浮かべながら、ゲートへと近づいていく。


京太郎「あ、先輩。ポップコーンとかどうします?」
まこ「あー…」

その途中、足を止めた後輩の言葉に、まこは逡巡を覚える。
こうして映画館にやってくる事なんて数年ぶりの彼女にとって、それは正直、心惹かれる提案だった。
映画館で食べるポップコーンの味なんてまこはとうに忘れてしまったのだから。
時間はもうあまりないとは言え、それを買うくらいの時間はあるだろう。
そう思った彼女は京太郎に首肯を返しながら、そっと売店の方へと近づいていった。

まこ「(なん…じゃと…)」

しかし、彼女はそのカウンターに立った瞬間、カルチャーショックを感じた。
それはそこに並んでいたメニューがポップコーンだけではなかったからだろう。
片手で食べられる唐翌揚げやハンバーガーなどのメニューが並び、彼女の常識を覆したのだ。
勿論、ポップコーンもあるものの、それは塩だけではなく、キャラメルやバニラなど彼女の知らないものが並んでいる。
一気に氾濫する情報に彼女はついていく事が出来ず、ついついその場で固まってしまう。

京太郎「…俺が塩にするんで染谷先輩はキャラメルでどうですか?」
まこ「あ…うん。じゃあ、それで…」
京太郎「後、昼飯ついでにハンバーガーも買っちゃいましょう。これ、オススメなんですが、どうですか?」
まこ「う…うん…」

そんなまこに助け舟を出す京太郎に彼女は何度も頷いた。
それに合わせてサクサクと進んでいく状況に、彼女はまたもついていく事が出来ない。
結果、自分の分だけでも出そうと思って取り出していた財布の出番はなく、彼女の分まで京太郎に支払われてしまう。
それに彼女が気づいたのは二人でゲートを通り、指定された座席へと足を踏み入れた瞬間だった。

まこ「(…わしは何をやっとるんじゃ…)」

そこで大きく落ち込むのは完全に自分がされっぱなしの側であったからだ。
自分の知っていた映画館の頃とはまったく違っていたとは言え、あまりにも無様が過ぎる失態。
それに彼女は思わず顔を両手で覆い隠したくなってしまう。
しかし、そうやって落ち込んでいては、また京太郎が変に気遣いをしかねない。
そう思った彼女は自嘲気味に肩を落としながら、後輩に奢ってもらったポップコーンに手をつけ始める。

京太郎「(先輩も苦手なものってのはあるもんなんだなぁ…)」

その落ち込んだ姿を横目に見ながら、京太郎は気付かれないようにクスリと笑った。
彼の知る染谷まこという少女は何事も人並み以上にこなしてみせる人だったのである。
少なくとも、アルバイトではハキハキと指示を飛ばし、こちらのフォローをしてくれる。
麻雀だって打ちながら解説をしてくれているその姿は頼れる先輩という言葉がよく似合う。
そんなまこの戸惑った姿を可愛らしいと思いながら、京太郎は本編の始まったスクリーンに目を向けた。

―― その内容そのものはあまり飛び抜けたものではなかった。

あるところにプロを目指す青年が居て、それを支える少女がいた。
しかし、ある時、青年はその少女の才能に気づいてしまう。
最初はそれを祝福し、後押ししていたものの、自分とは違う栄光の道を歩いていく少女に気後れを覚えていた。
結果、二人は少しずつ疎遠になり、少女にも青年にも新しい出会いが訪れる。
しかし、二人はどうしてもお互いの事を忘れられず、紆余曲折や友人の助けもあって、再会。
最後に一つ勝負をしてエンディング…というのがおおまかな流れであった。


京太郎「(まぁ…奇をてらった訳じゃない王道展開は嫌いじゃないけれど…)」
まこ「(…なんでここで麻雀が関係してくるんじゃ…?)」

二人の予想とは違い、王道的ラブストーリーをひた走る展開。
だが、それを何処か明後日の方向へと飛ばしているのは青年が目指していたのがプロ雀士だったという事だろう。
勿論、二人とも麻雀そのものが、世界的に大人気な競技である事くらいは知っている。
しかし、このシチュエーションならばもっと他になにか最適なものがあったのではないか。
王道的ストーリーからは想像もつかないくらい奇をてらったその基本設定に二人はどうしてもそう思ってしまうのである。

京太郎「(しかも、なんであんなにラブシーンが濃厚なんだよおおおお!)」
まこ「(あ、あんな激しいキスして…き、気持ちええんじゃろうか…)」

何度も挫折しかける青年を励ます為に、自らの身体を捧げる少女。
その献身を表現する為だろうか、その濡れ場はとても激しいものだった。
それこそそのシーンだけで十数分は尺をとっている構成は正直、欠陥だと言わざるを得ない。
少なくとも、恋人でもなんでもない先輩後輩で見に来るような映画ではない事を京太郎は冒頭で悟っていた。

京太郎「(もっと深く考えるべきだった…周りがカップルだらけだという事を…!)」

最初に席へと座った時には急いでいた事もあって、気にならなかった男女比。
それが今、ようやく頭の中で繋がる感覚に、彼は思わず顔を抱えたくなった。
こんな映画カップルや夫婦以外で見に来るものじゃない。
完全に自分たちが場違いなのを感じた京太郎は今すぐその場から逃げ出したい衝動にかられていた。


「はぅ…ぅ♪」
「ちゅ…えへ…♥」
京太郎「(しかも、こんなところで発情してんじゃねぇよおおおおお!!!)」

そんな彼をさらに追い詰めるように後ろの席から妙な音が聞こえる。
何か柔らかなもの同士がちゅっちゅと吸い付くような音やはぁはぁと漏れる吐息。
時折、くぐもった声が漏れるその空間に、京太郎は胸中で大きく叫んだ。
しかし、その一片たりとも声にはならず、彼は一人悶々とする事しか出来ない。

京太郎「(先輩は…あぁ…まぁ、こうなるよな)」
まこ「う…ぅぅ…」

そんな気持ちから逃げるようにそっと視線を向けた先でまこは顔を真赤に染めていた。
そのさっぱりとした態度からはあまり想像つかないが、まこが乙女である事を京太郎は知っているのである。
そんな彼女が時折、挟まる濃厚な濡れ場や、周囲のいちゃつきに対して平静でいられるはずがない。
コンタクトをつけて露出した目は緊張で強張り、どうして良いか分からなくなっていた。

京太郎「(それを可愛い…って思うのはあまりにも失礼なんだろうなぁ…)」

しかし、普段の自分がまこに対して頼りっきりであると思うからだろうか。
今にも目を回して倒れてしまいそうな彼女に妙に庇護欲を擽られてしまう。
普段は決して思わないそれに引きずられているのか、今の京太郎はまこの事が可愛くて仕方がない。
しかし、ここでまこに対して何かしらのアクションを起こしてしまうと彼女の事をさらに追い詰める結果に繋がりかねないのだ。
結果、そんなまこを時折、見ながらも、京太郎は最後まで傍観する事しか出来ない。


「シェバ…」
「キョウ…」

最後には世界のトッププロに上り詰めた少女を、青年が打ち破り、二人は抱き合う。
そのまま濃厚なキスを始める二人を背景にスタッフロ―ルが流れ始めた。
それを確認した瞬間、京太郎の肩からどっと力が抜け、背もたれに倒れこむ。
たった二時間ちょっとの映画ではあったが、その疲労感は八時間ぶっ通しでバイトし続けた時と並び立つほどに激しい。

京太郎「…染谷先輩?」
まこ「うあ…ぁ…」

それにため息を漏らしそうになるのを堪えながら、京太郎はそっと隣のまこへと呼びかける。
しかし、帰ってきたのは何とも頼りない声ばかりで、その視線は未だにスクリーンに釘付けになっていた。
良く見れば、そのポップコーンもコーラも殆ど減ってはいない。
恐らく最初の濡れ場からずっとまこは固まっていたのだろう。

京太郎「(出来ればもうちょっとそっとしておいてあげたいけれど…)」

飄々としているように見えて実はかなり初心なまこ。
そんな彼女にとって先の映画はかなり刺激が強いものだったのだろう。
出来ればそれから復帰するまでは待っていてやりたいが、次の開場時間が迫っているのだ。
このままここに居てもトラブルになるだけだと思い、京太郎はまこの意識を引き戻そうとそっとその身体に手を伸ばす。

終わりー
どうでも良いけど、この前、甥っ子たちをエヴァQに連れて行って欲しいと言われて、映画館に行ったら
すっげー新しくなっていてジェネレーションギャップを感じました
今は端末でチケット予約とか出来る上に売店も充実してて凄いと思いました(小並感)

結局、京ちゃんのしおり手に入らなかったので再開します
あ、ここのワカメはアニメから五割マシくらいで乙女です


まこ「ひゃぅ!?」
京太郎「うぉ!」

しかし、そうやって不用意に触れたのがいけなかったのだろう。
まこの口から驚いたような声が漏れ出し、その体がビクンと震えた。
そのままじっと京太郎を見つめるその目には微かな怯えが浮かんでいる。
それを今更ながらに後悔しながら、京太郎は宥めるようにゆっくりと口を開いた。

京太郎「えっと…大丈夫ですか?」
まこ「な、なな…なんの事じゃ?」

尋ねる京太郎の言葉にまこは視線を明後日へと向けた。
あくまでも後輩に弱いところは見せまいとするその姿に、京太郎はそっと胸をなでおろす。
とりあえず強がる事が出来るくらいには復帰してくれているらしい。
それに安堵を覚えながら、京太郎はそっと彼女の分のトレイを持ち上げた。

京太郎「とりあえずもう入れ替えの時間ですし、先に外に出ましょうか」
まこ「あ…」

そのまま歩いていく京太郎にまこは小さく項垂れた。
ショッキングな内容の映画だったとは言え、こうまで後輩にリードして貰うのはやっぱり恥ずかしい。
とは言え、ヘタにトレイを奪ってしまうと大惨事になる予感しかせず、まこは大人しくその後ろについていくしかなかった。


京太郎「っし」

そんなまこと共にゲートを通った京太郎は自分の分のゴミをゴミ箱へと流しこむ。
そのまま、まこの分のトレイを両手に持ち替えた京太郎が振り返れば、落ち込んだ様子のまこが目に入った。
それがあまりにも後輩に格好わるいところを見せてしまった所為なのだろう。
さっきの声は強がりめいたものではあれど、既に映画のショックからは殆ど立ち直っていたのだから。

京太郎「(つっても…考えすぎだと思うんだけれどなぁ…)」

先輩と言っても、所詮は一年多く経験を積んでいるに過ぎない。
勿論、だからと言ってまったく敬意を持っていない訳ではないが、さりとて何もかもを完璧にこなせるはずがないのだ。
結局、自分たちはまだ子どもで社会というものを本格的に知らないひよっこである。
それなのに実家の手伝いや部活を両立させているだけまこが凄いと言えるだろう。

京太郎「(まぁ…んな事俺に言われても…って感じだろうけど…)」

そう思う京太郎の脳裏にさっきの怯えたまこの表情が浮かび上がる。
男女の濡れ場に無意味なくらい力を入れていた映画の後にするにはあまりにも迂闊すぎた自分の仕草。
しかし、それを差し引いても、彼女の表情には自分に対する不信感が感じられた。
勿論、まだ会って数ヶ月なのだから、そこまで信頼されていないのは当然である。
だが、部活やバイトなどで誰よりも接している先輩が見せたその反応に少なからず傷ついているのは事実だった。


まこ「(ぅ…わ、わしは…わしはなんて事を…)」

そして、そんな自分の反応にまこは後悔を抱いていた。
完全に思考を停止させていた自分を呼び起こす為に京太郎が触れてくれたのはまこにだって分かっているのである。
しかし、あの瞬間の彼女にはそんな状況判断が出来るはずもなく、突然触れた男の手に驚愕していた。
自分とは大きさも硬さも違うそれにまこの脳裏に映画の内容がフラッシュバックし、ついつい拒絶するような反応を示してしまったのである。

まこ「(そう…男の…男の…手…)」

まこにとって京太郎はあくまでも後輩であった。
男として意識した事は殆どなく、精々が弟程度のイメージでしかない。
しかし、あの一瞬の自分は明確に目の前の彼の事を男として認識し、受け止めていた。
それに恋に盛ったケダモノのようだと自嘲を浮かばせながら、まこはそっと肩を落とす。

京太郎「あー…とりあえず…さっきの映画のグッズでも見ます?」
まこ「ぅ…」

そんな彼女を現実へと引き戻したのは、京太郎の冗談めかした言葉だった。
勿論、それにまこがうなずけるかと言えば、決してそうではない。
そもそも最初の濡れ場で思考が半ばショートしていた彼女は、シナリオの殆どを覚えていないのだ。
全体的なストーリーが比較的王道ではある事くらい分かっているものの、細かい内容までは覚えていない。
彼女の中で最も鮮烈に残っているのは汗を浮かばせた男女が絡みあい、睦み合う濡れ場であったのだ。


まこ「い…要らん…!」
京太郎「そうですか?全体としてはそこそこ面白かったと思いますけれど」

にやつきながらの京太郎の言葉は、勿論、まこをからかう為のものである。
しかし、それが完全に嘘だと言う訳ではなかった。
それほど画面に集中出来ていた訳ではないが、役者の演技力は確かで、麻雀の描写も迫力のあるものだった事は覚えている。
すれ違う二人の姿も王道ではあるが感情移入を呼び覚ます良い脚本であった。
少なくとも全米で絶賛と書かれた宣伝文句は決して誇張し過ぎなものではない。
そう思える程度には京太郎は映画の事を楽しめていた。

京太郎「(まぁ、二度とごめんだけれどな)」

熱烈なラブシーンに周囲のカップルが合わせる喘ぎ声などもう聞きたくはない。
正直、それだけで一体、どれほど気まずさを覚えたか分からないくらいなのだから。
次からはどれだけ面白そうでもちゃんと前情報を仕入れてから映画を見る事にしよう。
そう固く心に近いながら、京太郎はそっと備え付けられた黒皮の椅子へと腰を下ろした。

京太郎「じゃ…とりあえず休憩しましょうか。染谷先輩の分もまだある訳ですし」
まこ「ぬぅぅ…」

何処か手慣れたその様子にまこは自分がからかわれている事を悟った。
それに小さく唸り声をあげながらも、今の彼女には逆らう余地はない。
折角、京太郎に買ってもらった食べ物はまだ残っているのは事実だし、気疲れに心が疲労を訴えているのだから。
ましてや、彼が冗談を言ってくれたお陰で、幾らか気分も楽になっているのだから、本気で仕返しをしようと思えるはずがなかった。


まこ「はぁ…お前は将来、タラシになれるぞ」
京太郎「はは。光栄です」
まこ「褒めとらんわ…まったく」

それでも悔しさ紛れにそう言いながら、まこはそっと京太郎の隣へと座った。
そのままポップコーンを口に運べば、甘いキャラメルの味が広がる。
何処か優しいその味は、ポップコーンのふわりとした食感と良く絡んでいた。
なるほど、こういう売店で売るだけの事はあると、まこは小さな関心を覚える。

まこ「ん…」
京太郎「どうですか?」
まこ「いや…悪くはない。悪くはないんじゃが…口の中が乾くな」

しかし、それを全肯定する気にはなれないのは、それがあまりにも甘すぎるからだろう。
甘ったるいと言っても過言ではないその感覚は数回食べただけで舌が水分を求めるくらいだ。
普通のポップコーンよりも数段強いその感覚に、まこはそっとコーラを口にする。
瞬間、気の抜けた炭酸が口の中に広がるのを感じながら、まこは小さく肩を落とした。

まこ「それにうちじゃちょっとこれは扱えそうにないなぁ…」

ポップコーンの味そのものは悪くはない。
しかし、まこの家は雀荘で頻繁に客が牌を握る環境なのだ。
そんな状況ですぐに指が汚れてしまうような軽食を出す訳にはいかない。
今更ながらその難しさに肩を落としながら、まこは再びポップコーンに手を伸ばす。


京太郎「…なんていうか…先輩って真面目ですよね」
まこ「いきなり何を言い出すんじゃ」

そんなまこにクスリと笑いながらの京太郎の言葉に、彼女は不思議そうにそう返す。
勿論、まこ自身、自分が不誠実だったり軽いタイプの人間ではないと自負していた。
しかし、いきなりしみじみと言われるほどに真面目なつもりもまたないのである。
そんな彼女にとって、京太郎の事はとても脈絡がなく、不思議なものであった。

京太郎「いや、普通、映画見に来てまで実家の事考えないですよ」
まこ「あー…」

しかし、続く京太郎の言葉に、まこは小さく自分の頬を掻いた。
確かに遊びに来ているのに、実家の事を口にするのは真面目であると映ってもおかしくはない。
しかし、彼女にとってそれは極自然で当たり前の事であった。
それ以外の定規を持ち出す事が難しいくらいに、染谷まこは雀荘『Rooftop』の一人娘が染み付いているのである。

まこ「すまん。あまり人気のない雀荘の一人娘をしてるとどうしても…な」

それに謝罪の言葉を繋げるのは、まこがそれを悪癖であると受け止めているからだ。
遊びに出ている時に実家の事ばかり考えられてはあまり面白くはないだろう。
勿論、まこと深い付き合いをしている友人達はそれを肯定的に捉えてくれているが、誰しもが決してそういう訳ではない。
寧ろ、遊びに来ている時くらいそういうしがらみは忘れろと思う人の方が多数である事くらいまこにだって分かっているのだ。


京太郎「どうして謝るんですか?」
まこ「いや…だって面白くないじゃろ」

首を傾げる京太郎にそう告げながら、まこは小さく自嘲を浮かべる。
そもそも自分が面白味のあるタイプかと言えば、決してそうではないのだ。
雀荘の一人娘として働く彼女はテレビも見れず、話題の引き出しは決して多くはない。
さっきの映画の感想だって、彼女は京太郎と話し合い、共有する事も出来ないのだ。
その上、容姿までも地味だとくれば呆れられてもおかしくはない。

京太郎「いや、俺は染谷先輩といると楽しいですよ」
まこ「ふぇ…?」

そんな予想を裏切るようにして京太郎は軽くそう言った。
努めて重い意味にならないようにと心づかったその言葉に、まこは子どものように問い返した。
瞬間、ぼっと顔が赤く染まるのは自分の失態を、遅れながらに自覚したからだろう。
そんなまこにクスリと笑いながら、京太郎はゆっくりと口を開いた。

京太郎「普段はしっかりしてるのにプライベートでは意外と抜けてるところも見れましたし」
まこ「うぐっ…」

冗談めかしたその言葉にまこがそう唸るのは、そこに反論する余地がないからだ。
実際、今日の彼女は緊張の所為か或いは男女で歩くのが不慣れな所為か、普段はしない失敗ばかりを繰り返しているのである。
それを反射的に取り繕いたくなるが、そうしたところで自分の失態がなくなる訳ではない。
寧ろ、それを取り繕おうとすると余計に格好悪くなるだけだ。
まだ何処か冷静さを残す自分がそういうのに従って、まこは口をつ噤むしかなかったのである。


京太郎「何より、俺は染谷先輩とは疲れないし、のんびり出来ますから」

「共通の話題も多いですしね」と付け加える彼の言葉は決して嘘ではなかった。
勿論、気心が知れていると言う意味では、彼の幼馴染である宮永咲に及ぶものはいない。
だが、彼女はその半面、色々と手がかかる子であり、文字通りの意味で放っておけないタイプなのだ。
そんな彼女と出かける事は決して少なくはないが、迷子にならないように常に見張っていなければいけない。
そんな彼女と比べて落ち着いた雰囲気で、話を合わせて、冗談にも乗ってくれる染谷まこと言う女性は、京太郎にとって一緒にいて安堵出来る対象であったのだ。

京太郎「だから、そんな風に自分を卑下しないで下さいよ。じゃないと、そっちの方が面白く無いです」
まこ「ぅ…っぅ…」

最後にニコリとそう笑って言葉を結ぶ京太郎にまこの頬が赤く染まった。
今までそう言われた事なんてなかった彼女にとって、それは羞恥心を擽られるものだった。
彼の信頼そのものをぶつける言葉はとても擽ったく、そして恥ずかしい。
周囲のニヤついた視線も相まって、顔を隠してしまいたくなるくらいだ。

まこ「…本当にわしはお前の将来が心配になって来たぞ…」
京太郎「あれー?俺、今、結構良い事言いませんでした?」
まこ「良いすぎなんじゃ…ばーか…」

しかし、そんな事をしたら余計からかわれるだけだと悟ったまこはぷいっと顔を背ける。
その拗ねるような口調は、しかし、少しだけ素直なものだった。
彼女が嬉しく思っている事を悔しさ混じりに伝えるそれに京太郎は微笑ましさを感じる。
日頃、頼りがいのある先輩もまた一人の少女である事を感じながら、京太郎もまたポップコーンに手を伸ばした。


まこ「あ…そうじゃ。ちゃんとこれの代金は返けぇの」
京太郎「え、いや、良いですよ」

そもそも京太郎からすれば、これは日ごろのお礼であるのだ。
そうやってお金を返してもらうなんて本末転倒もいいところである。
それよりもインターハイ前に張り詰めた緊張を少しでも解して欲しい。
そう思う京太郎の前でまこはそっと首を横に振った。

まこ「ダメじゃ。出すのは映画代まで。後は割り勘じゃ」

決して譲るつもりはないその強い言葉は、奇しくも京太郎と同じ感情から放たれたものだった。
まこだってさっきからフォローさせっぱなしの後輩に対して、幾らかお礼がしたくもあるのだから。
しかし、この強情な後輩が、こっちが奢ると言っても、決して譲らない事くらいは目に見えていた。
それでも何とか彼の金銭的負担を軽くしてあげたいまこにとって、それは絶対に譲れないラインである。

まこ「先輩が後輩に全部、奢ってもらうなんて恥ずかしい話。久にしたら一生からかわれるじゃろ」
京太郎「あー…確かに…」

勿論、竹井久は生徒議会長になっただけあって、普段はしっかりしている少女だ。
だが、気の知れた相手は気が済むまでいじり倒すという悪癖があるのである。
一年という間、その犠牲者になり続けたまこにはそれは決して見過ごせるものじゃない。
そして現在、その主な標的になっている彼は思わずそう同意を返してしまうのである。


京太郎「(つっても…一度、出したものを返してもらうのはなぁ…)」

これが恋人同士であるならば、京太郎とて躊躇いながらも受け取る事が出来ただろう。
しかし、相手は部活とバイトの先輩で、なおかつ多大な恩があるのだ。
ついついさっきは同意を返してしまったものの、それらを割り勘にするのはやっぱり抵抗感が強い。
それを何とか出来ないかと悩む彼に一つのアイデアが浮かんだ。

京太郎「あ…じゃあ、代わりに一つお願いしても良いですか?」
まこ「ん?」
京太郎「俺が一人じゃ入るづらい店があるんで、そこに付き合ってくれません?」
まこ「そりゃ構わんが…」

勿論、、まこは彼がどういう店に入りたがっているのかは知らない。
しかし、その程度ならば安いものだと首肯を返す。
だが、その程度でさっきの恩が帳消しにはならない。
そう言おうとしたまこの前で京太郎がそっとトレイごと立ち上がった。

京太郎「よし。じゃ、行きましょうか」
まこ「ち、ちょ!」

そのまま空になった容器をゴミ箱に捨てながら、京太郎は歩き出す。
まるで最後まで言わせるものかと言うようなそれにまこは慌てて後ろについていった。
元々、歩幅を緩めていたのか彼女はすぐに京太郎へと追いつき、その隣へと並ぶ。
瞬間、京太郎の顔がしてやったりと言わんばかりに歪んでいるのに気づいたまこは呆れるように口を開いた。


まこ「…あんまり強引なのは嫌われるぞ」
京太郎「と言っても、ガツガツいかないと草食系だの言われる時代でして」
まこ「お前がガツガツ行く方向は間違っとるんじゃ」

冗談めかした京太郎の切り返しにまこがそっと肩を落とした。
どうやら意地でも割り勘させる気がないらしい後輩にため息の一つでも吐いてやりたい気分である。
しかし、そうやってこれ見よがしにため息を漏らしたところで、この頑固な後輩が決意を曲げる事はないだろう。
そんな後輩にどうやって仕返しをしてやろうかと考えながら、まこはそっと握りこぶしを作った。

まこ「(まぁ…悪い気はせんのは確かじゃが…)」

そうやってちやほやされるのが完全に嫌と言えるほど、まこは女を捨てている訳でも、京太郎に心を許していない訳でもない。
寧ろ、一皮剥いた彼女はとても乙女で、そして京太郎は親を除けば一番親しい異性なのだから。
しかし、それを肯定的に受け止める訳にはいかないのは、先輩という立場が彼女の中で硬いものだからだろう。
今まで彼の面倒を誰よりも見てきただけに、そうやって返される事に違和感めいたものをどうしても感じてしまうのだ。

京太郎「あ、ここですよ」
まこ「…ここ?」

そんなまこが足を踏み入れたのは乳白色の壁にガラスケースが埋め込まれた店だった。
外から中が見えるようになっているそのケースの中には色とりどりのスイーツが並んでいる。
入り口から中を見れば、チョコが吹き出す噴水や、ケーキが並ぶ机の中で女性たちが談笑している。
中には男性一人も存在しないその空間は、所謂、スイーツパラダイスと呼ばえる店だった。


まこ「…ここに入りたいんか?」
京太郎「えぇ。前々から興味があって」

京太郎は意外と甘党だ。
女性向けに味を調整されたレディースランチを幼馴染に乞うくらいに、彼の嗜好はそちらへと傾いている。
とは言え、男一人でこういった店に入れるほど京太郎は男気がある訳ではなく、また幼馴染はこういう華やかな店があまり好きではない。
結果、今まで興味を持ちながらも足を踏み入れる事が出来なかったそこに京太郎の目はキラキラと輝いていた。

まこ「(…まぁ、嘘ではなさそうじゃが…どれだけ子どもなんじゃ)」

そんな京太郎の姿を見ながら、まこは小さく笑った。
傍目には軽いタイプの青少年にしか見えない彼がキラキラと子どものように瞳を輝かせているのだから。
まるでプレゼントを期待する子どものような無垢なその姿は微笑ましくて仕方がない。
それに軽く毒気を抜かれたまこは胸中でそう言葉を漏らしながら、そっと財布を取り出す。

まこ「んじゃ先に入っとれ。わしは二人分の料金を支払っとくから…」
京太郎「いや、良いですよ。誘ったのは俺の方ですし、俺が二人分出します」

まこの言葉に現実へと帰ってきた京太郎は同じように財布を取り出した。
そのまま首を振る京太郎の姿に、まこは微かな苛立ちを覚える。
ここまで来ても、まだ譲ろうとしない後輩に流石のまこも我慢出来なくなってきたのだ。
ぐっと財布を取り出した手に力を込めながら、彼女はにっこりと笑う。


まこ「わりゃぁちぃと頑固過ぎゃぁせんか?」
京太郎「ぅ…」

今までのものとは違う、ドスの効いた広島弁。
それに財布を取り出した手に冷や汗が浮かび、心が折れそうになってしまう。
普段から冗談は言うものの滅多に怒る事はないまこが本当に苛立っているその姿はそれほどまでに恐ろしかったのだ。

京太郎「じ…じゃあせめて割り勘で…」
まこ「ダメじゃ。こういうとこくらい先輩の顔を立てぇ」

それでも何とか譲歩して貰えないだろうか。
そう思って京太郎が声を出した時には、まこはもう店の中へと進んでいた。
そのまま会計を済ませる彼女の背中を見つめながら、京太郎は何とも言えない居心地の悪さを感じる。

京太郎「(なるほど…さっきの先輩もこういう気持ちだったのか…)」

今更ながら一方的に奢られる申し訳なさを知った京太郎は強引であった自分を恥じた。
確かにこれがずっと続けば、まこが怒るのも無理は無いとそう思う。
それを内心で反省する京太郎の前で説明が終わり、二人は本格的に店内へと足を踏み入れた。


まこ「さ。もう払ってしもうたんじゃし、好きなだけ食え」
京太郎「…うっす」

そう笑うまこに京太郎は謝罪したい気持ちで一杯だった。
しかし、ここで謝罪したところで、まこに変な気遣いをさせてしまうだけなのは目に見えている。
謝罪するのはまた後にして、今はさっきの経験を次に活かせるように心に留めておくだけにしよう。
そう思った京太郎はスタスタとテーブルへと近づき、皿に色取りどりのケーキを並べていく。

京太郎「おぉ…おぉぉぉ…おぉぉぉぉ…」

一つ一つを皿に並べる度に京太郎の口から感嘆の声が漏れる。
何せ、そこに並んでいるのは一口サイズの小さなものとはいえ、色とりどりのケーキなのだ。
基本のショートケーキを始め、季節のフルーツを使ったパイも並ぶその光景は甘党の彼にとって天国もいいところである。
自然、そのテンションはうなぎのぼりになり、ウキウキとそれらを取っていった。

まこ(おーぉー…また嬉しそうにしちゃって…)」

そんな京太郎の様子を近くの席から見つめながら、まこはクスリと笑った。
勿論、彼女とてスイーツそのものには興味があるが、ついさっきハンバーガーやポップコーンを食べたばかりでは色々と厳しい。
それに一口サイズとは言え、ケーキのカロリーそのものは決して馬鹿にならないのだ。
決して食べない訳ではないにせよ、もうちょっと時間が経ってからにしよう。
そう思う彼女の元へ京太郎が戻ってきた時にはその皿には色とりどりのケーキが並んでいた。


まこ「…本当にそれだけ喰えるんか?」
京太郎「いけますよ!スイーツは別腹です!!」

まこの疑問にその顔を緩ませながら、京太郎はそれらを口へと運んでいく。
その度に嬉しそうに顔を綻ばせる後輩の姿に、まこもまたついつい笑みを浮かべてしまう。
何とも幸せそうなその顔は見ているだけで、まこの気分を上向かせる不思議なものだった。

まこ「(たまに思うんじゃが…京太郎は生まれる性別間違っとらんかなぁ…)」

勿論、唯一の男手ということでまこもまた彼のことを便利に使わせて貰っている。
しかし、彼の嗜好はどちらかと言えば女性のものに近く、またその顔立ちも可愛らしいものだ。
時に自分よりも女性的に見える彼に、嫉妬めいたものを感じた事は少なからずある。
勿論、ゴツゴツとした手や高い身長など男の子をしている部分はしているのは分かっているものの、たまにそう思わせる雰囲気が京太郎にはあった。

京太郎「って染谷先輩は食べないんですか?」
まこ「わしはまだ休憩じゃ。後でお前のオススメを貰う事にする」
京太郎「了解っす!それじゃもっかい行ってきますね!」
まこ「…もう食ったんか…」

その疑問に応える事もなく、京太郎はウキウキとバイキングへと戻っていく。
その後姿を見つめながら、まこはそっと小さく胸が疼くのを感じる。
それは楽しそうにはしゃぐ京太郎の姿が、自分よりも遥かにスイーツパラダイスをエンジョイしてるからだろう。
何の面白味のない自分とは違い、華やかなその姿に彼女の胸が何とも言えない暗い感情を沸き上がらせた。


まこ「(ああいうタイプじゃったら…きっとモテるんじゃろうな…)」

それは京太郎にとってあまりにも失礼な思考だとまこにも分かっていた。
彼の嗜好はノーマルで ―― もっと言えば和のように女性的なタイプが好みなのだから。
ついつい彼女の姿を目で追っている京太郎を見れば、彼が和に恋している事くらいすぐに分かる。
しかし、こうしてはしゃいでいる姿は自分よりも華やかで、そして楽しそうなのだ。
見ている方も楽しくなってしまうようなタイプの方が一緒に居て喜ばれるだろう。

まこ「(あー…わしは何を考えとるんじゃろうな)」

男相手にさえもそういった劣等感を抱いてしまう自分。
それに自嘲を沸き上がらせながら、まこは背もたれにその身体を預ける。
勿論、彼女とてモテたい訳ではなく、また恋人というものを作りたい訳ではない。
そういったものに幻想がない訳ではないが、彼女の日常はとても忙しいのだから。
しかし、そうやって部活と実家の手伝いに明け暮れ、面白味のない自分を変えたいと思っていないと言えば、嘘になる。

まこ「…はぁ」

とは言え、後輩相手にまで敗北感を抱いてしまうのは自分がかなり疲れている証拠なのだろう。
今更ながらにそれに気づいたまこはそっとため息を漏らし、目頭を押さえる。
コンタクトがずれないようにと留意したそれにじゅっと疲労が溶け、瞼が痺れるのを感じた。


京太郎「はい。どうぞ」
まこ「あ…」

そんなまこの横から差し出されたのは湯気の立ち上るミルクティーだった。
乳白色のミルクが微かに渦巻くそこからは甘いにおいが立ち上っている。
それにふとまこが顔をあげれば、片手に大皿 ―― 勿論、スイーツ満載の ―― を持つ京太郎の笑顔が目に入る。
微かに気遣うようなそれにまた心配を掛けてしまったのだと理解した彼女は自分に苦笑を浮かばせながら、それを受け取った。

まこ「…京太郎、お前は良い嫁さんになるな」
京太郎「先輩は俺の将来を心配したり嫁さんにしたりどうしたいんですか」

まこの言葉に微かに頬を引き攣らせながら、京太郎は再びスイーツを平らげ始める。
その速度はさっきとは違い、かなり抑えられているものだった。
それは勿論、京太郎の胃袋が早くも限界に達した訳ではない。
寧ろ、彼の身体はさらなるスイーツを求め、時間一杯まで頑張れと唸っていた。

まこ「(ふふ…仕方のない奴じゃな)」

それでもこうして速度を押さえるのは手持ち無沙汰な自分に構う為。
それを感じたまこは小さく申し訳なさを感じながら、彼女は嬉しく思う。
この後輩の何気ない優しさというのは時折、ジィンと胸に来るところがあるのだ。
そういうところをもっとアピールすれば和だって振り向いてくれない訳ではないだろうに。
そうは思いながらもそれを口に出す事が出来ないのは、それをなんとなく面白くない自分がいるからだ。


まこ「(部内でいちゃつかれると流石に…なぁ)」

まことて健全な女子高生なのだ。
恋愛というものには人並みに憧れは持っているし、所謂、恋話というものも好きである。
しかし、それを大会前の部活内で見せつけられるのはあまり面白い事ではない。
その奥に秘めた別の理由に気づかないまま、まこはそう言葉を結んだ。

まこ「さて…それじゃわしもそろそろ取ってくるかな」
京太郎「お、先輩もそろそろ出陣ですか」
まこ「うん。フォンデュとかも気になるしな」

そう言いながら歩き出す京太郎と共にテーブルへと近づいていくまこ。
その内心には勿論、ケーキひとつ当たりのカロリーを警戒するものがあった。
しかし、一つまた一つと食べていく内に、少しずつまこの中でその意識が薄れていく。
備え付けのティーポッドから出てくるミルクティーもまた美味しいのも相まって、いつの間にかまこは自身のペースを忘れ… ――

―― 結局 そのまま満腹になってしまうほどスイーツに手を出してしまったのだった。


京ちゃん!京ちゃん!京ちゃん!京ちゃんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!京ちゃん京ちゃん京ちゃんぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!京ちゃんのブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
コミック11巻の京ちゃんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ全国編決定して良かったね京ちゃん!あぁあああああ!かわいい!京ちゃん!かわいい!あっああぁああ!
阿知賀ポータブルも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…ゲームもアニメもよく考えたら…
京 ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!清澄ぃぃぃいぃいいい!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?コミック一回の京ちゃんが見てる?
裏表紙の京ちゃんが僕を見てるぞ!京ちゃんが僕を見てるぞ!咲日和の京ちゃんが僕を見てるぞ!!
アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕には京ちゃんがいる!!やったよ和!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックの京ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ姫様ぁあ!!き、京タコー!!京和ぁああああああ!!!京憧ォおおおおお!!
ううっうぅうう!!俺の想いよ京ちゃんへ届け!!長野の京ちゃんへ届け






あ、終わりです

某TRPGスレを見てSWやってる清澄一年生とか面白そうだなーでも安価処理難しそうだなー

はっ逆にセッションでSWやってる清澄一年生をロールすれば良いんじゃね!?(錯乱)

ログ貼り付けでスレも進むし一石二鳥やでー!

って、俺、知り合いに咲知ってる人いないじゃん…(挫折)←今ココ

それはさておき、今日も小ネタ投下します
まこがやけに荒んでいたり、妙に京ちゃんの女子力が高い小ネタですが気軽にお付き合い下さい

本気でやるのだとしたら、こっちで人募集してオンセで進めてく感じになるかなー
マジでやりたいって人が四人いたら試しに部屋立ててみようかしら
まぁ、ロールしてる咲キャラをさらにロールするというかなり面倒な事をやってくれる人がいればの話だけれどな!!!
それにその前に本編終わらさなきゃダメだし、予定は未定な訳ですが

あ、小ネタは多分、今日も22時くらいから始めます

プレイヤー能力とか設定すると普通のTRPGと差別化出来るかなー

咲:自身のダイス目を記録し、期待値から外れている分を後の判定に加える(1セッション1回まで)
優希:自身が最初に参加する判定四回を+2する(上限まで)
和:自身がファンブルした場合、それを期待値へと変えられる(1セッション三回まで)
京太郎: な     し  

とか

あ、そろそろ始めます


―― 二人が帰路についた時、既に周囲は黄昏時となっていた。

夕暮れ時の独特のギラギラとする赤い日差し。
それを受ける二人の手には大きな袋が2つぶら下がっていた。
結局、アレから色々な店を回った彼らは細々としたものを買う事になったのである。
それは勿論、京太郎が期待していた通り、まこへと一方的に奢るようなものではない。
しかし、帰路につく彼の心はそれなりに満足していた。

京太郎「(少なくとも…気晴らしにはなったみたいだ)」

そう思いながらチラリと横目でまこを覗き見れば、そこには何時もと変わらない彼女の表情がある。
しかし、ここ最近の彼女はそこに緊張や、不安というものを滲ませる事が多かったのだ。
それは勿論、日頃から良く接している京太郎や親友である久でなければ気づかないくらいの薄いものである。
けれど、頼り甲斐のある先輩と言った態度を中々崩さないまこに浮かんでくるほどのそれは決して無視出来るものではなかった。

京太郎「(けれど…今はそれがない)」

勿論、まこが最初からひどく緊張している事くらい京太郎も分かっていた。
自分に恥をかかせたりしないように精一杯オシャレしてくれている事もまた理解していたのである。
しかし、今の彼の目の前を歩く彼女にはそれがない。
彼が最初に会ったばかりの、ごく自然体としての染谷まこがそこにいたのである。


まこ「ん?どうしたんじゃ?」
京太郎「いや、先輩はやっぱり可愛いと思いまして」
まこ「はぁ…またそれか」

そんな彼女を可愛いと思う気持ちは嘘ではない。
確かに華やかなものこそないが、まこもまた間違いなく美少女に入る逸材なのだから。
メガネをコンタクトに変えて、精一杯の化粧をしている今は特にそれが顕著に分かる。
自身の持つ美しさを地味というヴェールに遮らせない今の彼女は道行く人の何人かが振り返るくらいだ。

まこ「そういう冗談はやめぇと言うとるじゃろ」

しかし、それが彼女には分からない。
元々、自己評価が著しく低い彼女にとって、それは通行人のそれは奇異の視線であったのだ。
自然、最初は狼狽していた彼の言葉にも、そうやって擦れた反応を返してしまう。
彼女にとってそれはどうしてもたちの悪い冗談にしか聞こえないのだ。

京太郎「随分と擦れちゃって…お父さんは先輩をそんな反応をする子に育てたつもりはありませんよ」
まこ「育てられたつもりもありゃせんわ」

冗談めかしてそう応える京太郎にまこは呆れるようにそっと肩を落とした。
しかし、その表情は和らいだものから変わる事はなく、その唇は笑みを形作っている。
後輩にからかわれているのは悔しいが、さりとて、それに一々、怒るほどまこは狭量なタイプではない。
後輩の中では特に親しいという関係もあって、その程度の冗談は軽く受け止めてやれるのだ。


まこ「と言うか…そもそもお前はそうやって可愛いと言ってわしに何をさせたいんじゃ?」
京太郎「何をって…うーん…」

それでもそう尋ねるのは彼女が、京太郎の意図を察する事が出来ていないからだ。
自身を可愛いという京太郎の言葉を、冗談として受け止められていない彼女にとって、それは気味が悪いものである。
この後輩の事はなんとなく分かるようにはなって来たものの、その意図だけはどうしても読めないのだから。
それに尋ねる言葉に京太郎はそっと首を捻り、思考に耽った。

京太郎「ぶっちゃけ特に意味はないんですよね。思った事をそのまま口に出してる訳ですし」
まこ「またまた…そういうお世辞は良いって」
京太郎「お世辞じゃないんだけどなぁ…」

そう言う京太郎の言葉を、まこは聞き入れる事はなかった。
まこにとって自分は地味でかつ話題も少なく面白味のないタイプなのだから。
それを安心すると言ってくれた言葉は恥ずかしながらも受け入れられるものの、流石に可愛いと言う賛辞は信じられない。
事実はどうであれ、彼女は男である京太郎に敗北感を覚えるくらいに、自身の容姿に自身がなかった。

京太郎「まぁ、それでも強いて目的を言うとしたら…先輩にもうちょっと自信を持って欲しいって事ですかね」
まこ「え?」

しかし、瞬間、聞こえてきた声にまこは驚きの声を返してしまう。
そのまま横の京太郎に視線を向ければ、そこには真剣そうな彼の顔があった。
横を歩く自分をはっきりと見据えるその表情は、決して彼が冗談を言っている訳ではない事をまこに知らせる。
それと同時に自身が冗談で誤魔化す事も出来ない事を悟ったまこの前で、その唇はゆっくりと開いていった。


京太郎「先輩は凄い人ですよ。麻雀も勉強も仕事も、おおよそ何でもしっかりこなせているじゃないですか」
まこ「それは…わしが年季が入っとるだけで…続ければ誰にだって出来るもんじゃ」

そこから放たれる賛辞の言葉に、まこはそっと首を振った。
そうやって後輩が真剣に自分を持ち上げてくれるのは嬉しい。
しかし、それを素直に受け止められないのは彼女が決して才能溢れるタイプではないからだろう。
その麻雀の能力を見ても分かる通り、まこは経験や努力で自身の能力を磨き上げてきたのだから。
同じ条件であれば、自分はきっと他の誰かに劣ると彼女自身分かっているのである。

京太郎「確かに誰でも続ければそうかもしれません。でも、現実、俺は先輩ほど何でも出来る人を知りませんよ」

だが、現実、彼女と同じ事が出来るものは少ない。
それは勿論、彼女の経験や努力が並大抵のものではないからだ。
幼い頃からずっと培われてきたそれは、到底、同年代では追いつく事が出来ない。
そもそも彼女と同じ年頃の少女たちはまだまだ子どもで、まこと同じスタートラインにすらつけていないのである。
そんな青春真っ盛りの少女たちの中で、努力を積み重ねてきた彼女を京太郎は素直に凄いと思う。

まこ「でも…わしは別に…飛び抜けて何かがある訳でも…」
京太郎「そんなのなくても良いじゃないですか」

確かにそう言うものがあれば、自己のアイデンティティにも繋がるだろう。
だが、誰しもがそういうものに繋がるような才能を持っている訳ではないのだ。
そういう人々は本当に一握りで、そしてまこも京太郎もそれらの中には入れてはいない。
しかし、だからと言って、自分に自信を持ってはいけないなんて事はないと京太郎は思うのだ。


京太郎「それよりも誰かに優しく出来るとか、後輩を指導出来るとかそういう事の方が俺は大事だと思いますよ」

それが出来ない人がいる以上、それもまた一種の才能だ。
そう思いながらも口に出さないのは下手をすれば部長である竹井久の侮辱になりかねないからである。
確かに彼女は才能に溢れ、自信に満ち、人望もあるが、さりとて、京太郎の指導に積極的かと言えばそうではない。
彼女の目には今、インターハイの事しか映ってはおらず、自分は命じられるまま雑用にひた走っている。
勿論、雑用係を言い出したのは自分であり、また彼女にとって後がない事を理解しているので、後悔も文句もない。
だが、だからこそ、そんな自分にも目をかけてくれるまこの優しさは際立って感じられる。

京太郎「そして俺にとって染谷先輩は尊敬に値する人で…もっと言えばそう言う人間的魅力に溢れた人です」
まこ「ぅ…」

それを伝える京太郎の言葉にまこは言葉を詰まらせる。
まさかそんな風にはっきりと尊敬だの人間的魅力だの言われるだなんて彼女は思っていなかったのだ。
正直、今だってそれが冗談の類ではないかと疑っているくらいである。
しかし、それを口に出せないくらいに京太郎の表情は真剣なものだった。

京太郎「だから、そんな風に自分を卑下しないで下さい。じゃないと…俺も悲しいじゃないですか」
まこ「…」

そう言葉を結ぶ京太郎に何と言えば良いか分からない。
そうやって後輩が持ち上げてくれるのは嬉しいが、さりとて、その全てを受け止める事は出来ないのだから。
今まで自分の事を実像よりもかなり低く見積もっていたまこは彼の言葉は重すぎる。
有難いと思う反面、それに拒絶反応を示す自分さえまこは感じていた。


まこ「(でも…)」

そう。
でも、それは後輩の優しさだ。
そして、同時に本心なのである。
決して嘘や冗談ではなく、彼は本気で自分の事を魅力ある人間だと言ってくれているのだ。
それがどれだけ恥ずかしくても、応えてやらなければいけない。
そう思いながらも、まこの口はもごもごと動くばかりで、言葉を放つ事はなかった。

京太郎「(俺…何言ってるんだろ…)」

そんなまこの前でふと冷静になった京太郎の胸に羞恥心が沸き上がってくる。
勿論、彼が口にした言葉は決して嘘ではなく、心から思っていた事だ。
そして、まこがそうやって自分に自信が持てない事を痛々しく思っているのも何とかしたいと思ったのも事実である。
しかし、こんな説教めいた青臭いセリフを放つつもりがなかったのも事実であった。

京太郎「(あぁぁ…やっぱ先輩困ってるじゃねぇか…)」

そんな彼にとって、口ごもるまこの表情は困っているものにしか見えなかった。
突然言われた説教に、彼女は間違いなく戸惑っている。
そう思った京太郎は胸中で頭を抱えて、何とか場のフォローが出来る言葉を探す。
しかし、さっきとは別の意味で冷静さを失う彼の頭が的確な応えなど出せるはずもなかった。


京太郎「そ、それにですね!先輩がダメなら先輩の完全下位互換の俺はどうなるんですか!それこそゴミ呼ばわりされても文句が言えませんよ」

瞬間、放たれる言葉はさっきとは違って、軽い冗談めいたものであった。
真剣そのものであった雰囲気を自身から崩すそれに京太郎は逃げたのである。
勿論、その自虐も彼の本心ではあったものの、必死に返事をしようとしていたまこの前でそれはあまりにも不的確な言葉であった。

まこ「…」ジトー
京太郎「(…あ、これもしかして俺…やらかした?)」

それを不機嫌になったまこの視線から感じ取った京太郎は冷や汗を浮かべる。
スイーツパラダイスの前で自分へと向けられていたあの怒りにも負けないその不機嫌さに彼の表情筋が強張った。
しかし、まこはそんな彼に何も言わず、ただただ、じっと見つめ続ける。
それに京太郎の心が折れそうになった瞬間、彼女の頭がふいっとそれた。

まこ「はぁ…なんでお前はそう…もうちょっと落ち着けないんか?」
京太郎「す、すみません…」

そのまま呟かれる言葉に、京太郎は謝るしかない。
どれだけまこが困っていたとしても、その言葉が真剣なものである以上、自分は待つべきだったのだ。
少なくとも、さっきのやりとりそのものを冗談へと受け止められかねない言葉はあまりにも不的確だろう。
今更ながらそれを悟った京太郎はシュンと肩を落とした。


まこ「(あぁぁぁ!!わ、わしは何を言っておるんじゃああああ!?)」

申し訳なさを感じる京太郎の前で、まこは自分の態度に頭を抱えた。
確かに冗談めかした京太郎に呆れたのは事実であるが、それをそのまま表に出すよりもやる事は幾らでもある。
本来ならば、感謝の言葉の一つでも真っ先に返してやるべきだったのである。
そもそも有難うと、嬉しいとそう一言でも先に言っておけば、彼がこんな風に道化を演じようとする事はなかっただろう。

まこ「(ぬぐぐ…何とか…何とかしないと…)」

しかし、そうは思いながらも一旦、変わった空気は変わらない。
そもそも呆れるような態度を取ってしまった以上、このまま謝罪や感謝に告げるのは少し無理があり過ぎる。
しかし、それでもその難しいであろうミッションをこなさなければいけない。
それが京太郎に報いる方法だとそう思いながら、まこはそっと口を開いた。

まこ「あ…あ・・・あり…ありが…」

しかし、その言葉はポソポソと小さなもので、また最後まで言葉にはならない。
まるで乙女が告白された時のような自身の反応にまこは焦燥を強める。
結果、彼女の口はさらに空回りを始め、その言葉はどんどんと尻すぼみなものへと変わっていった。


京太郎「あ…」
まこ「え…?」

そんな自分が涙が出るほど情けなくなった頃、当然、まこの前で京太郎が上を見上げた。
それに釣られて彼女もまた天を見上げれば、そこにはいつの間にか分厚い雲が掛かっている。
埃を水で濡らしたような独特の嫌な色を放つそこからはポツポツと大粒の雨がこぼれ落ちていた。
それを肌で感じた瞬間、京太郎はハッと意識を現実へと引き戻す。

京太郎「やっば…!夕立ですよこれ!」
まこ「んな…っ!」

そうやって二人が驚きを顕にするのは、二人が傘の一つも持っていないからだ。
そもそも今日の天気は晴れであり、雨の予報など一つもなかったのである。
しかし、梅雨の天気は崩れやすく、にわか雨も振りやすい。
それが目の前で起こりつつあるのを感じた京太郎は周囲を見渡すが、辺りには雨宿り出来そうな場所など一つもなかった。

京太郎「(くっそ…住宅地だもんな…!)」

周囲に並ぶのは家ばかりで、また軒先を貸して貰えそうなスペースもない。
それに一つ胸中で毒づきながら、京太郎は脳裏でまこの家へのルートを計算する。
しかし、今から走って言っても、彼女の家にたどり着くにはまだまだ時間が掛かるだろう。
途中でコンビニに寄って傘を買うにせよ、それまでの間に二人ともびしょ濡れになってしまうのは目に見えていた。


京太郎「(俺はまだ良い…!でも…先輩は…!)」

京太郎に恥を掻かすまいと普段とは違うオシャレをしてきたまこ。
その身体にまとっているのは、彼女のお気に入りであるワンピースなのだ。
梅雨から夏をメインに考えられたそれは薄手で、雨に濡れてしまうと透けてしまうのは目に見えている。
それだけは何とか防がなければいけないと思った京太郎は、棒立ちになるまこの手をぐっと握った。

京太郎「先輩…!こっちへ!」
まこ「ひゃぅ!?」

そのまま駆け出す京太郎に引かれるようにしてまこの足も動き出す。
その速度はお互いに荷物を持っているとは思えないくらい早いものの、さりとて雨脚は二人を逃がさない。
すぐさま土砂降りへと変わったそれは二人の身体を打ち、その荷物ごと水滴の洗礼を受ける。
結果、二人が住宅地横のバス停留所に逃げ込んだ頃には、服だけではなく、袋から靴までぐっしょりと濡れてしまっていた。

京太郎「あー…」

その不快感に声をあげながら、京太郎はそっと肩を落とした。
自分があんなところで変な話をしなければ、まだ何とか雨に濡れずに済んだかもしれない。
少なくとも濡れていない場所を探すのが馬鹿らしいほどに濡れる事は恐らくなかっただろう。
つくづく間の悪い自分に一つ自嘲を覚えながら、京太郎は一つため息を吐いた。


まこ「あ…あの…き、京太郎…?」
京太郎「なん…あ、す、すみません…!」

そんな彼に呼びかけるまこの声に、京太郎はついつい振り向いてしまいそうになる。
それを途中で中断したのは、まこの服もまた濡れていると分かっていたからだ。
ここで振り返ってしまうと、まこの濡れた姿を見て、結果的に辱めてしまうかもしれない。
これ以上、自分の所為でまこに迷惑を掛けたくなかった彼にとって、それは決して選べるものではなかった。

まこ「や…あの…手…」
京太郎「…手?」

けれど、既のところで振り返るのを堪えた京太郎はその言葉の意味を理解出来ない。
そもそも彼は自責で頭の中が一杯で、思考能力の殆どもそちらに裂いていたのだから。
そんな彼が未だまこを先導するのに握った手がそのままであると気づけるはずがない。
まこの言葉に首を傾げるものの、彼は自分の手に意識を向ける事はなかった。

まこ「手…を…そろそろ離してくれると嬉しいんじゃが…」
京太郎「あ…っ!!」

そんな京太郎に答えを告げるまこに、彼はそっとその手を離した。
そのまま頭をバス停にぶつけたくなるのは、自分の失態がまたひとつ増えたからだろう。
これ以上、まこに迷惑を掛けたくないと言いながら、自分は一体、何をやっているのか。
そう思うと、自己嫌悪が湧き上がり、無性に雨の中を走りたくなる。


京太郎「…すみません。俺…気づけなくて…」

しかし、それをするよりも先にまずは謝らなければいけない。
そう思いながら放つ言葉は、後ろ向きなものであった。
勿論、そうやって先輩に接する事が、とても失礼である事くらい京太郎にも分かっている。
だが、今、まこの方に顔を向ければ、その肌が透ける姿を拝見してしまうかもしれないのだ。
それは最早、失礼などと言うレベルではない以上、京太郎に選ぶ事は出来ない。
結果、彼に出来るのは失礼だと理解しながらも背を向けながら、彼女に謝罪する事だけだった。

まこ「ま、まぁ…焦っていたし仕方がない」

そんな京太郎を許しながら、まこはそっと自身の胸を抑えた。
そこはドクドクと激しく脈打ち、雨で濡れた身体に何とも言えない火照りを与えている。
興奮とも恥辱とも言えないそれにまこは大きく息を吐く。
しかし、それでも彼女の熱が収まる気配を見せないのは、まこの手にいまだ京太郎が握っていた時の感触が残っているからだ。

まこ「(やっぱり…わしの手なんかよりも大きいし…その…温かい…)」

映画館で感じた時は余韻も何もないくらい一瞬の事であった。
しかし、今は数分の間、ぎゅっと握りしめ、その感覚を肌に残しているのである。
可愛い後輩が自分とは違うイキモノである事を否応なく知らせるそれにまこの胸がドキドキを止める事はない。
何とも落ち着かないそれにまこがどれだけ抗おうとしても、そこはずっとざわついたままであった。


京太郎「…」
まこ「…」

そんな二人の間で、会話らしい会話は途切れてしまう。
お互いに気まずさを抱く二人は、自分から会話をするキッカケをつかめなかったのだ。
その意識の殆どは自己の内部に向けられて、反省や驚愕に悶えている。
結果、その沈黙の帳はどんどんと分厚いものとなり、二人の鼓膜に届くのは水滴が鳴らすポツポツという音だけになった。

まこ「あ…あの…」
京太郎「ひ、ひゃい!?」

そんな帳を破ったのはまこの方だった。
気遣うようにおずおずと告げられるそれに京太郎がその声を跳ねさせてしまう。
それにクスリを笑うまこの心から、緊張と鼓動が収まっていった。
自分がドキドキしていた相手もまた緊張している。
そんな当然の事にようやく気づいたまこはそっとその唇を動かし、軽やかに言葉を放った。

まこ「…立ってるのは辛いじゃろ。ええからこっちに座れ
京太郎「いや…でも…」

まこがそう言うのは京太郎の身体が屋根のギリギリに立っているからだ。
出来るだけまこに近づかまいとするその姿は、正直に言えば有難い。
京太郎の予想通り、まこのワンピースは肌に張り付き、その可愛げのない下着を透けさせているのだから。
しかし、それくらいは別に荷物で隠す事が出来ない訳じゃない。
何より、そうやって端にいれば後輩の身体が濡れてしまいかねないのをまこはどうしても気にしてしまうのだ。


京太郎「お、俺は良いですから。染谷先輩だけ座っといて下さい」

京太郎がそれに断るのが万が一という事がありかねないからだ。
確かにその身体ははねた雨粒で微かに濡れているが、しかし、まこの痴態を見るよりはマシだ。
勿論、京太郎にそのつもりはないにせよ、近づけば近づくだけ見てしまう可能性は高まるのだから。
それをどうしても防ぎたい彼にとって、それは到底、従えない誘いであった。

まこ「ええから。先輩命令じゃ」
京太郎「ぅ…」

だが、そんなものはまこにはとっくの昔にお見通しである。
そして何だかんだで序列に厳しい京太郎がその命令に逆らえない事もまた分かっていた。
実際、京太郎の口からは迷うような言葉が漏れ、逡巡を強めるのが背中からでも伝わってくる。
そんな彼の姿に一つ笑いながら、まこはトドメの言葉を放った。

まこ「それともわしの裸はそんな風に後ろを向くくらい見とぉないもんか?」
京太郎「…卑怯っすよ」

さっき褒めちぎったが故に逆らえない先輩の言葉。
それを卑怯だと言いながら、京太郎はそっと肩を落とした。
どうやら自分は逆らえないらしいと諦めた彼は後ろ向きにそっと椅子へと近づく。


まこ「大丈夫じゃ。やばいところは隠しとるし、振り向いても何も見えんぞ」
京太郎「じ…じゃあ…」

とことんまで自分に気を遣って、見ないようにしてくれている後輩。
そんな彼がズルズルと足を引きずるようにして後退る姿を、まこがそのままにしておく事は出来ない。
その口からは振り向きを許可する言葉が放たれ、京太郎を誘う。
それにドキドキしながら振り向いた瞬間、彼の目に艶めいた美女の姿が飛び込んできた。

京太郎「ぅ…」
まこ「どうした?」

言葉を詰まらせる京太郎へそう尋ねるまこの癖っ毛は艷やかに輝いていた。
普段の輝きを数割増しに感じさせるそれは、彼女の印象を華やかなものへと変えている。
しかし、それだけで済まないのは、まこのきめ細やかな肌が、水滴を弾いているからだろう。
その瑞々しさを告げるような張りはついつい手を伸ばして触れたくなってしまう。
その上、ワンピースが肌に張り付く姿は妙な色気を感じさせ、京太郎をドキドキさせた。

京太郎「(な、何を考えてるんだ…!相手は染谷先輩だぞ…!)」

勿論、京太郎は世界で一番、彼女の可愛さを認識している男性である。
しかし、だからと言って、彼がそういう性的な対象としてまこを見た事は一度もなかった。
彼にとっては彼女は尊敬する先輩であり、異性というイメージは殆ど抱いていなかったのである。
だが、それが嘘のように京太郎は今、まこに対して色気と、そして興奮を感じていた。


まこ「ん…?」
京太郎「い、いえ!何でもないです!すみません!!」
まこ「いや…謝らなくてもええんじゃが…」

そんな彼に首を傾げるまこの前で、京太郎がその背筋をビシっと伸ばした。
そのままカクカクとぎこちない仕草で、京太郎はベンチへと腰を下ろす。
その姿を見ながら、まこはどうして彼がそんな風に突然、ぎこちなくなったのかを理解できない。
まさか自分に対して性的興奮を覚えているとは露ほどにも思いつかない彼女に、健全な青少年の衝動が思い至るはずがないのだ。

まこ「雨…あがらんなぁ…」
京太郎「そ…そうですね…」

結果、それを考える事を諦めたまこの言葉に、京太郎はぎこちなさの残った声を返す。
その視線は真正面へと向けられ、頑なに隣のまこを見まいとしていた。
しかし、それでも隣にあの艶めいた美少女がいると思うとその心臓の鼓動は激しくなる。
そんな自分に一つ自嘲混じりのため息を漏らしそうになった瞬間、京太郎はひとつ良いアイデアを思いついた。

京太郎「ちょっと俺コンビニまで雨具買って来ましょうか?」

そうやってコンビニに行けば、少なくともこの妙な興奮からは開放される。
何より、レインコートをまこに着せればそのワンピースが透けたりする事もないのだ。
そうすればきっと自分がまこに対して変な興奮を覚える事もなく、無事に彼女を家へと送り届ける事が出来る。
一石二鳥とも言えるそのアイデアを一も二もなく口に出した京太郎の前で、まこがそっと首を振った。


まこ「夕立なのは分かっとるし、もうちょっとしたら止むかもしれん。もうちょっと待ってもええじゃろ」
京太郎「そう…ですね」

今はまだバス停に避難して十分ちょっとしか経っていないのだ。
これが夕立だとしても止むまでにはまだ時間が掛かるだろう。
そんな状態で京太郎にコンビニへと走らせても、彼が身体を冷やすだけだ。
時間的にはまだ余裕がある訳だし、もうちょっと様子を見てからにしよう。
そんなまこの正論に反論する論拠を持たない京太郎はそっと肩を落とした。

まこ「それに…まぁ、こうして腰据えて話せる機会って言うのは正直、嬉しいし」
京太郎「え…?」

瞬間、聞こえてきた声に、彼はついまこの方へと視線を向けてしまう。
そんな彼の視界に飛び込んできたのは顔を微かに紅潮させた先輩の姿であった。
何処か恥ずかしそうなそれは彼女の仕草に艶っぽさを強め、青少年である京太郎をドキドキとさせる。
再び自分の中で復活するそのときめきに京太郎は目を背けようとするが、彼の視線はまこかた外れる事はなかった。

まこ「その…さっき…褒めてくれてありがとうな。…ちょっと…いや…かなり…嬉しかった」
京太郎「あ…」

それはおずおずと、さっきの感謝を告げるまこの姿があまりにも可愛らしかったからだ。
不器用ながらもしっかりと自分の気持ちを吐露する姿が、妙に庇護欲を擽られたからである。
普段の先輩らしい先輩というイメージからはかけ離れたそれに京太郎の胸がトクンと脈打つ。
さっきの興奮とはまた違ったそれに彼は戸惑いながら、声をあげ、そして小さく頷いた。

終わりー
本当にどうでも良い事ですが

まこ:自己評価が低い
和:理想が高い
優希:劣等感が強い
久:うっかりしやすい
咲さん:独占欲が強い

なんとなく私の中ではこんなイメージ

後、明日はちょっと用事があるので小ネタ投下出来ませぬ

興味あるならロールの練習だと思って気軽に立候補してくれると嬉しい
一応GMとして出来るだけのフォローはするし、これを気にTRPGの楽しさを知ってほしいし
何よりメビウスを読んでセッション欲が刺激されまくって、飢えてるんだよ!!!!

あ、後、本編のエピローグは来週中には投下出来そうです
お待たせしまくってすみません

>>581
でも箸を咥えてる(しかもおそらく早弁)ワイルドな1巻の様子をみると、あんまり乙女感ないんだよねぇ
自己評価が低いというよか悪い意味で男っぽいイメージ

(多分)男ばっかりの雀荘で育ったから女性意識が低いじゃないんかって思ってる

んーやっぱ咲キャラロールは敷居が高いかー
多少のキャラ崩壊は面白いし別にオッケーだと思うんだけど、自分で作ったキャラじゃないしなぁ…ぬぐぐ
かと言って一人でTRPGスレ作っても、まったくトラブルのない無難なものになっちゃいそうで何ともー…何か良いシステムないかしら…

>>588
言われてみれば確かにそうかも
少なくとも原作一巻には乙女っぽい描写はまったくないな!
アニメは少しマシだけどそれ以上に色物臭がやばいし
メガネ外したときは可愛いと思うのになぁわかm…まこ

一回、実験ついでに軽いセッションやってみようかなーと思ってましたがプレイしたいキャラかぶりとかまったく考慮してませんでした…
確かに清澄一年って縛りなら高確率で被りそうだ
もうここまで障害多いと咲とか関係なしにTRPG誘ったほうがいいか
あ、ちなみに菫さんは可変乳扱いなのできっちり対象内です
そもそも俺の中の菫さんのイメージはもう巨乳で固まっちゃったので普乳キャラで書けそうにない

後、明日は小ネタ投下します

最近酉外れてるのおおいが大丈夫か?
把握

了解

一年縛りじゃなくて適当に咲キャラ全般にして
各自能力を自分で提出してGMと相談……
とか思ったけどこれもこれで大変そうだしねぇ


まこ「まぁ、自信を持てゆうんはかなり難しい話やけど」
京太郎「ですよねー」

そもそも他人にそう言われてどうにか出来るような問題ならばとっくの昔にどうにかなっているだろう。
それくらいは京太郎にだって分かっているし、深く追求するつもりはない。
それでもああやって説教めいた事を言ったのは、あまりにも自己評価が低い彼女が痛々しかったからだ。
そんな偉そうな自分の姿に不快感を与えなかっただけでも上出来だと京太郎は思う。

まこ「でも…ちぃと頑張ってはみる…よ」
京太郎「え?」

瞬間、聞こえてきたその声に京太郎は驚きの声をあげた。
そのままチラリを見た彼女の顔にはさらに強くなった紅潮が浮かんでいる。
真っ赤と呼んでも差し支えのないその顔をモゴモゴと動かすそ彼女から続きの言葉は中々、出てこない。
しかし、京太郎はそんな彼女をからかう事も口を挟む事はなく、ずっと言葉を待ち続ける。

まこ「ほ、ほら…後輩に言われてそのままゆうんも癪やない」

数十秒ほど経った頃、まこの口から飛び出したのは言い訳めいたものだった。
本心と相反する訳ではないが、決して近い訳でもないそれに彼女は内心、肩を落とす。
本当はまこもそんな建前のような事を言いたかった訳じゃない。
そう言われるのは初めてで、嬉しかったからこそ、自分を見つめなおそうという気も沸き上がってきたのだん。
しかし、それを口にするのはなんとなくこそばゆく、どうしても言葉に出来ない。
そんな情けない自分に呆れながら、まこはぷいっと京太郎から顔を背けた。


まこ「じゃが、その代わり…お前もじゃ」
京太郎「え?」
まこ「お前もそうやって卑下するのはやめぇ言うとるんじゃ」

そうやってまこが言うのは、京太郎が自分の力不足ばかりを気にしているからだ。
勿論、彼はまだアルバイトも麻雀も初心者で、決して実力者とは言えないだろう。
だが、初心者は初心者なりに頑張っている事がまこには伝わっているのだ。
実際、雀荘での彼の評判は悪くはなく、そして麻雀に関してもメキメキと強くなっている。
経験上、多くのアルバイトや麻雀初心者と接してきたまこから見ても、その成長速度は上出来と言っても良いものだった。

まこ「(それなのに京太郎はお礼だのと言ってわしを連れだして…)」

ここまで来たら京太郎の思惑がただお礼をしたいだけではない事くらいまこにだって分かっていた。
この後輩は切羽詰まった自分の息抜きに、こうして外へと連れだしてくれた事になんとなく気づいていたのである。
だが、それが彼の理由の全てじゃないのもまた彼女には伝わってきていた。
執拗に自分に対して奢ったりしようとしていたのは、京太郎が日頃迷惑をかけていると本心から思っているからだろう。

まこ「お前はよぉやっとる。それはわしが保証するけぇ、もうちぃと自分を信じてやりゃええ」
京太郎「あ…」

まこの言葉に京太郎はなんと返せば良いのか分からなかった。
自分の言った言葉がそのまま返ってくる感覚は、何ともこそばゆく、そして恥ずかしい。
しかも、まこが先にそれを受け入れた以上、反論する事も出来なかった。
先輩が先輩らしいオトナの対応を見せた今、男である自分だけ嫌だなんて言う訳にはいかないのである。


京太郎「参ったな…まさかそう言われるとは思ってませんでした」
まこ「ふん。先輩舐めとるからじゃ」

結果、そうやって返すしかない京太郎の胸には特に悔しさなどはなかった。
確かにしてやられたと思う感覚はあれど、不快ではない。
それはそうやって返されるそれが先輩なりの優しさであると理解しているからだろう。
恥ずかしがりながらも、彼女は後輩である自分の事を考え、こうして言葉を返してくれている。
そんな彼女に見事と思う感心こそあれど、厭うようなものはなかった。

京太郎「んじゃ、競争ですね」
まこ「ん?」
京太郎「どっちが先に自分を変えられるか。勝負しましょうよ」

そんなまこに追い付きたい。
そう思った京太郎の口から出てきたのは『勝負』という二文字だった。
勿論、まこにあらゆる面で及ばない自分が、勝てると本気で思っている訳じゃない。
しかし、だからと言って、最初から何も挑戦しないような情けない男でありつづけるのは嫌だった。
少なくとも、自分に目を掛けてくれているこの先輩の前でだけは、その期待に添えるだけの男でありたかったのである。

まこ「勝負と言うには賞品が必要じゃな」

意地にも似た感情が背を押して放たれた京太郎の言葉。
それにまこが乗ったのは、彼女もまた似たような気持ちであったからだ。
勝てる自信はないものの、さりとて後輩から挑まれた勝負を逃げる訳にはいかない。
自分から頑張ると言った言葉を翻すような情けない真似を、過度な信頼と期待を寄せてくる後輩に見せたくなかったのだ。


まこ「負けた方が何でも言う事を聞くゆうんはどうじゃ?」
京太郎「良いですね、それ」

勿論、その勝負がどれだけ馬鹿らしいかくらいまこにだって分かっている。
そもそも自分を変えられた自覚なんて得られる方が稀なのだから。
きっとこの勝負はノーゲームになり、二人の記憶から忘れ去られる事だろう。
そう思っているからこそ、まこはそうやって無茶とも言える提案をする事が出来たのだ。

京太郎「ふふ…今からでも染谷先輩の泣き顔が楽しみですよ」
まこ「言っておれ。今更、吐いたつば飲み込めんぞ」

そうやって笑いあう二人にはさっきまでの緊張やぎこちなさはなかった。
そこにはもう普段通りの先輩後輩関係に戻った二人の姿があったのである。
恐らく二人にとっては適切なその距離に、彼らは安堵と居心地の良さを感じていた。
出来ればずっとこのままこうして馬鹿な話をしていたい。
そう思った瞬間、雲から晴れ間が覗き、二人の視界が一気に明るくなった。

京太郎「っと…大分、弱くなってきましたね」
まこ「そうじゃな」

勿論、未だに雨脚そのものはなくなってはいない。
しかし、最初の頃のようなどしゃぶりではなくなり、晴れ間も少しずつ広がっていく。
後もう少しすればこの夕立もなくなり、家へと帰れる事だろう。
それに安堵した瞬間、まこの視線が京太郎の肌へと吸い寄せられた。


まこ「(意外と…引き締まっとるんじゃな)」

そう思うのは張り付いたシャツから覗くその身体が存外、引き締まったものだからだ。
筋肉質と呼ばれるほどではないが、人並み以上に逞しさが見えるそれには男らしさを感じる。
一見して誰も文化系だとは思わないだろうその身体つきは、彼が雑用やアルバイトを頑張っている証だ。
時に雀卓やパソコンと言った重い物を運ばされる彼は、成長期という事もあってどんどん逞しくなっている。

まこ「(触れたら…どんな感じなんじゃろ)」

勿論、そんな京太郎の身体はずっとまこの視界の中に入っていた。
それを彼女が意識しなかったのはそんな余裕が欠片もなかったからである。
後輩へと感謝を告げる事で頭が一杯だった彼女にとって、それは思考の外にあるものだった。
しかし、こうして雨脚が弱くなり、落ち着きを取り戻した今、それをどうしても意識してしまうのである。

まこ「(わ、わしは何を考えとるんじゃ…!?)」

そんな自分を首を振るって追い出しながら、まこはそっと胸を押さえた。
勿論、今日一日だけで後輩を男であると意識した事は少なからずある。
だが、それらはあくまでも受動的なもので、決して自分から触れたりしようとは思っていなかった。
まこにだってそんな事ははしたないという意識はあったのだから。
だが、今の彼女はそれを忘れてしまったかのように男の身体へと興味を持ち、触れたいとそんな欲求を沸き上がらせていた。


まこ「(アレは後輩で弟みたいなもんなんじゃぞ…!)」

まるで自分の身体が目の前の後輩を、男だと認めるような感覚。
それにぞっとしないものを感じたまこは自分にそう言い聞かせる。
しかし、押さえた胸から伝わってくる鼓動は弱まる事はなく、トクンと甘く脈打っている。
まるで全身にこそばゆい感覚を広げるようなそれは、まこにとって初めての感覚であった。

京太郎「あの…先輩?」
まこ「うひゃあ!?」

突然、首を振ったかと思うと胸を抑え、だまり始めた先輩。
それに心配を抱いた京太郎は首を傾げながらその顔を覗き込む。
そのまま問いかけるその言葉に、まこは肩をビクンと跳ねさせ、意識を現実へと引き戻した。
しかし、彼女の中で甘い鼓動が止む事はなく、寧ろ、近づいた彼によりその強さを増しているように思える。

まこ「(う…なんか雨で濡れて…艶っぽいと言うか…)」

元々、京太郎は人並み以上に顔立ちが整っている方だ。
手放しに女子からもてはやされるほどではないが、決して悪いものじゃない。
そんな彼の顔は雨で濡れ、何とも言えない艶っぽさや色気のようなものを感じさせる。
元々、男っぽいと言うよりは女性寄りの綺麗な顔立ちをしているが故に、その感覚は素直にまこの心へと受け入れられ、その鼓動を強くした。


まこ「大丈夫じゃ!心配いらん!」
京太郎「そ、そうですか?」

そんな彼に強く言い放ちながら、まこは大きく首を振った。
オーバーなリアクションを返す彼女の姿に、京太郎は違和感を感じる。
しかし、まこと同じく自分の事を過小評価する傾向にある彼がほんの数センチ近づいただけで、意識されているだなんて答えにたどり着けるはずがない。
多分、考え事をしている最中に話しかけてびっくりさせてしまったんだろう。

まこ「(わ、わしはまたなんて事をお…っ!?)」

そんな風に結論付ける京太郎の前でまこはさらにドツボへとはまっていた。
折角、心配してくれた彼に対して、あまりにも強い語気で返してしまった自分に自己嫌悪が湧き上がる。
さりとて、まさか突然、男らしさを感じて意識しちゃいました、だなんて言えるはずもなく、まこの頭は困惑に悶た。
せめて何かしら納得出来る理由をでっちあげて、彼に伝えなければあまりにも可哀想過ぎる。
そう思った彼女の視線が彷徨い、一つのポスターに止まった。

まこ「ほ、ほら!アレの事を考えとったんじゃ!」
京太郎「あれ?」

そう言ってまこが指差した先にあったのは、夏祭りのお知らせであった。
もう開催まで二ヶ月を切ったそのお祭りはこの辺りではそこそこ大規模なものである。
花火も打ち上げられ、道路にまで出店が並ぶそれは付近の住人がこぞって集まるものだった。
京太郎も夏のこの時期になると幼馴染や友達を連れて、毎年参加している。


京太郎「あぁ、そう言えばそろそろでしたっけ」

そう言う自分を京太郎は意外に思った。
娯楽と呼べるものが少ないこの辺りにとって、それは珍しいイベントなのである。
毎年、彼はそれを心待ちにしていたし、軍資金を得る為にコツコツと貯金したりもした。
しかし、今年はそれをすっかり忘れ、こうしてまこに言われるまで気づかなかったのである。
去年までの自分からは想像もつかない自分の姿は、それだけ麻雀の事で頭が一杯だからだろう。
それが誇らしいような驚いたような微妙な気分になりながら、京太郎はふと思いついた。

京太郎「あ、じゃあ、今年は麻雀部の皆で行きません?」

そのお祭りは丁度、インターハイの後に予定されていた。
インターハイ前であればそんな余裕はないだろうが、後ならば余暇も作りやすい。
勿論、どんな結果になってもインターハイ後には打ち上げもするだろうが、リフレッシュにはいい機会になるだろう。
それにもしかしたら和の浴衣姿も見れるかもしれない。
そんな邪な考えを少しだけ抱きながら、京太郎はまこに対してそう提案した。

まこ「そ、そうじゃな。それもええ」

そんな彼の様子に訝しげられていない事を知ったまこは内心、安堵しながらそう返した。
日程的にも機会的にもその提案は決して悪いものではないのだから。
ここで京太郎が口にしなかったとしても、何れ久かまこが思いついたであろうそれに反対する理由はない。
寧ろ、まこは積極的にそれを推し進めたい理由すらあった。


まこ「(夏休みが終わったら久の奴はさらに忙しくなるし…)」

彼女の親友でもあり、現清澄高校麻雀部部長である竹井久。
彼女は清澄の学生議会長でもあり、普段から忙しい日々を送っている。
そんな彼女が最も忙しくなるのは、学園祭での準備が始まる夏休み明けからだ。
そのさらに先には受験という人生の大きな転機がある以上、彼女はもう以前のように麻雀部に顔を出す事が出来ない。
勿論、個人としては会う事はあるだろうが、現在、麻雀部に所属している全員で何かをするという事はまずなくなるだろう。

まこ「(なら…最後にはせめて良い思い出を作らせてやらんとな)」

今はインターハイの事で頭が一杯ではあるが、基本的に竹井久という少女は後輩想いの良い子だ。
そうでなければ学生議会長という面倒な役職にありながら、一般生徒に慕われたりはしない。
彼女は彼女なりに自分を全国に連れて行ってくれた一年生を大事に思っているし、特に進んで雑用をしている京太郎に感謝もしている。
しかし、そんな彼女と後輩たちの接点は、もうちょっとで途切れてしまうかもしれない。
その前に後に思い返せるような良い思い出を作ってやろう。
そう思うまこにとって、その提案は自分から進んでやりたいものだった。

京太郎「やった!じゃあ、浴衣とか期待していますね!」
まこ「まったく…調子のええ奴じゃな」

そう呆れるように言いながらも、、まこはそれほど悪い気分ではなかった。
それは京太郎なりに麻雀部を大切に思ってくれている事がさっきの言葉で伝わってきたからだろう。
雑用ばかりで不満を溜め込んでいるのかと心配していたが、どうやらそんな事はないらしい。
それに一つ安堵しながら、まこはそっと立ち上がり、その視線を空へと向けた。


まこ「雨も上がったみたいじゃな」
京太郎「みたいですね。これでようやく動けそうです」

まこの言葉に京太郎が意識を空へと向ければ、そこはもう大分、明るくなっていた。
雲が散り散りになっているその光景は、最早、晴れ間とは呼べないだろう。
赤く染まった空に微かに雲が残っているものへと変わったそれは何とも晴れやかなものだった。
ついさっきまでどしゃ降りであった事が信じられないほどのそれに京太郎はそっと肩を落としてから立ち上がる。

京太郎「んじゃ、とりあえずコンビニに行きましょうか」
まこ「そうじゃな。このままじゃと風邪を引くじゃろうし」

天気が一気に晴れへと傾いたとは言え、二人の身体はびしょ濡れのままだ。
多少、水気が落ちてきてはいるが、張り付いたそれは二人の体温を奪っている。
勿論、動けるようになった以上、急いで帰るつもりだが、まだまだまこの家には距離があった。
それならば先にコンビニに寄ってタオルの一つでも買いたいというのが二人の本音である。

まこ「(とは言え…それだけじゃなぁ…)」

勿論、まこはそんな応急処置でどうにかなるだろう。
しかし、京太郎の方もまたそれでどうにかなるというのはあまりにも楽観的だ。
ここから京太郎の家までは、彼女の家の二倍近い距離があるのだから。
幾ら応急処置をしたところで、家に帰る前に体温を奪われきって風邪を引きかねない。


まこ「(大事な後輩に風邪を引かせる訳にはいかんし…)」

まこにとって京太郎は大事な後輩であり、実家の大事な労働力であるのだ。
その体調の是非は決して軽視出来るものではない。
ましてや、彼は今日、まこの為に数多くの骨を折ってくれたのである。
その気遣いの方向は決して正しい訳ではなかったが、さりとてそれに助かったのは事実だ。
そう思う彼女にとって、このまま彼を家へと帰す選択というのは決して出来るものじゃない。

まこ「(…よし)」

ならば、どうするかを吟味し続けたまこの中で、数分後、答えが出た。
それは決して容易いものではないが、背に腹は代えられない。
幾ら京太郎が頻繁に家へとあがる客人とは言え、そこは未だ招いた事のないものだったのだから。
しかし、どれだけ考えてもそれ以上の答えはない。
そう思ったまこがゆっくりとその口を開いて… ――

まこ「京太郎。うちに入ったら、まず風呂に入れ」
京太郎「…はい?」




………



……




京太郎「(俺は何をやってるんだろ…)」

京太郎がそう思うのは、染谷邸の浴室の中だった。
薄紅色の上品なタイルで覆われたそこは決して綺麗にされている。
家の外観からは想像も出来ないくらいにしっかりとしているそれは、普段から掃除されている証だろう。
水垢一つ残っていないその空間の中で、京太郎は裸になりながら、身を縮こまらせていた。

京太郎「(いや…俺にだって分かってるんだ。これが一番だって事くらい)」

実家に帰れば着替えがあるまこと違い、彼に着替えはない。
その身体を多少拭いたところで服が吸い込んだ水分が体温を奪っていくだろう。
それを防ぐ為にもとっととそれを脱ぎ去って、風呂で身体を温めるべきなのは理解できていた。
しかし、異性である先輩が日常的に利用している浴室だと思うとどうにも場違い感は拭えない。
そうやって先を譲ってくれたまこに押し切られた事も含めて、どうしてこうなってしまったとついつい思ってしまうくらいに。

京太郎「(とりあえず…さっさと上がらないと)」

勿論、まこは既に身体を拭いて、着替えている事だろう。
だが、それで失った体温がすぐさま戻ってくるかというと決してそうではない。
彼女もまたびしょ濡れになっていた以上、出来るだけ早くシャワーを浴びたいだろう。
そう理解しながら京太郎はぎこちなく、シャワーコックをひねり、温水の雨を降らせた。


京太郎「(あー…温かい…)」

それに身体がジュッと熱くなっていくのを感じながら、京太郎は筋肉を緩ませる。
どうやら自分の身体は思っていた以上に冷え込み、温かさを求めていたらしい。
それが一気に充足へと傾く感覚に、ついついため息を漏らしてしまう。
出来れば、ずっとこのままで居たいと思うほどの心地良さに、しかし、何時までも浸っている訳にはいかない。
そう自分を戒めた京太郎はシャワーを止め、シャンプーで髪を洗い始める。

京太郎「(まぁ…髪は良いんだけれどさ…)」

程よく泡だった髪を再び温水で洗い流した京太郎。
その前に現れるのは青とオレンジの2つのスポンジであった。
明らかに別の用途に使われているであろうそれに京太郎は逡巡を覚える。
勿論、それは彼がどちらを使って良いかが分からなかったからだ。

京太郎「(…このどちらかを先輩が使っているんだよな…)」

恐らくその二つは女性と男性とで使い分けされているものなのだろう。
しかし、その色からはどちらがどちらなのかまったく想像がつかない。
一般的に青と言えば男性用のイメージではあるが、決して女性が使わないという訳ではないのだから。
オレンジもまた中性的な色で、男女どちらが使っていても決しておかしくはない。


京太郎「(い、いや…勿論、変な意味じゃない。意味じゃないんだけどさ!)」

しかし、普段はサバサバとした先輩に停留所でドキリとしてしまった所為だろうか。
そのどちらかをまこが日常的に使っていると思うと、妙にドキドキしてしまう。
それと同時に京太郎の脳裏に浮かんでくるのは、それで珠の肌を磨いているまこの姿だ。
まるで尊敬する先輩を自分で穢すようなその想像に自己嫌悪を浮かべながらも、京太郎の頭からそれが消える事はない。

まこ「湯加減はどうじゃ?」
京太郎「うわぁ!?」

だからこそ、唐突に扉越しに話しかけられたまこの言葉に、京太郎はオーバーなリアクションを返してしまう。
浴室内に響くそれはキンキンと京太郎の耳を慣らし、微かな不快感を沸き上がらせた。
しかし、それさえも気にならないくらい、今の京太郎は狼狽し、そして混乱している。
もしかして、自分の妄想のことがバレてしまったのではないだろうか。
そんなあり得ない想像すら沸き上がらせ、京太郎はその身を硬く強張らせる。

まこ「どうした?」
京太郎「い、いや、なんでもないです」

そんな京太郎の感情など露ほども知らないまこは曇りガラスがはめ込まれた扉の前でそっと首を傾げた。
幼い頃から雀荘にかようあけすけな年頃の男性 ―― 所謂、おっさんに接してきた彼女はある程度、シモネタに強い。
しかし、その半面、彼女は青少年と呼ばれる年頃の男性に対して、接した経験が殆どないのだ。
自然、思春期の男子特有のドキドキ感を理解する事は出来ず、その思考は虚しくから回る。


まこ「(まぁ、他人の家の風呂って言うのは緊張するもんじゃしな)」

そう結論づけながら、まこはそっと扉の横にパネルに目を向けた。
そこには彼女の父好みの高めの温度が設定されている。
まこもまたそれに慣れているとは言え、もしかしたら京太郎には辛い熱さかもしれない。

まこ「もうちょっと温めの方がええか?」
京太郎「いや…実はまだ浸かってなくて…」
まこ「なんじゃ。遠慮しとるんか?」
京太郎「ま…まぁ…それもあると言いますか…」

そう思ったまこの疑問に、京太郎は要領を得ない言葉で返す。
まさか二つのスポンジのどちらかをまこが使っているか分からないから手が止まっているだなんて言えないのだ。
しかし、ここでまこが来てくれたのは、千載一遇の好機である。
湧き上がる羞恥心にヘタレそうになる自分にそう言い聞かせながら、京太郎はゆっくりと口を開いた。

京太郎「えっと、つかぬ事をお聞きしますが…」
まこ「ん?」
京太郎「俺はどっちのスポンジを使えば良いんでしょう…?」
まこ「あっ」

京太郎の言葉にようやくまこは彼の躊躇いの理由を知った。
そう言えば伝えていなかったと今更ながらに思いながら、まこは肩を落とす。
それは勿論、性差に関してあまりにも疎い自分に対して、自嘲を覚えたからである。
結果、京太郎にかかさなくても良い恥までかかせてしまった。
そんな後悔に浸ろうとする心を感じながら、まこはそっと首を振るう。


まこ「(そういうのが自信がないってゆわれる所以なんじゃ)」

勿論、後悔を忘れてはいけない。
しかし、失敗に一々、自嘲を覚えていればその分、歩みは遅くなってしまう。
折角、変わるように頑張ると言ったばかりなのに、こんな事ではいけない。
そう自分を戒めながら自嘲を振り払ったまこは、彼に応えるべく口を開いた。

まこ「オレンジの方を使えばええ」
京太郎「うっす。了解です」

そう応える京太郎の声には安堵が強く現れていた。
本格的に分からなければ最終手段として自分の手を使うつもりだったが、それはいい気分ではない。
正直、ヌルヌルした自分の手が身体を這いまわると想像しただけで、妙な吐き気を覚えるくらいだ。
そんな彼にとって、スポンジの使用許可が降りた事はかなり有難い。

まこ「後、ぼちぼち浸かってええぞ」
京太郎「いや、でも…」
まこ「風邪でも引かれたら大変じゃしな」

しかし、次いで放たれたまこの言葉に京太郎はありがたすぎて遠慮を覚えてしまう。
勿論、シャワー程度では冷えた身体は温まり切らず、湯船にゆっくりと浸かりたいと思っているのは事実だ。
だが、自分の後ろにはまだまこが身体を冷やして待っているのである。
それを知りながらも、一人だけじっくりと浴槽に使っている訳にはいかない。
元々、ここはまこの家の浴室だという事もあって早めに明け渡したいというのが京太郎の本音であた。


まこ「後、着替えここに置いとくぞ」
京太郎「あ…ちょ…っ!」

そんな彼の返事を聞かず、まこはそっと脱衣所のカゴに着替えを置いた。
父のパジャマから拝借したそれは比較的がっちりとしている京太郎の体格でも大丈夫だろう。
まぁ、大丈夫でなければ、また次のヤツを見繕って来れば良い。
そう判断しながら、まこはそっと京太郎の服を掴み、洗濯機へと放り込む。

まこ「元の服は乾燥に回すしもうちょい待っとれ」
京太郎「え……?」

そのまま手慣れた様子で脱水を選択するまこの言葉に、京太郎は驚きの声を返す。
何せ、それは自分の服を、まこが手にとった証なのだから。
勿論、そこにはさっきまで自分が履いていたトランクスも入っているだろう。
異性の先輩に下着を見られたというショックは、健全な男子高校生にとってはあまりにも大きすぎるものだった。

まこ「じゃ、ゆっくりな」

そう言って脱衣所から出て行く彼女には狼狽はない。
忙しい両親に変わって洗濯をする事も多い彼女にとって、それはただの布なのだ。
父親のものと何も変わらず、普通に洗濯槽へと入れる事が出来たのである。
勿論、まったく意識していない訳ではないが、それは京太郎のものよりも遥かに弱いものであった。


京太郎「うあー…」

そんな彼女とは対照的に、ショックから立ち直った京太郎の心は羞恥心で一杯だった。
一体、これからどんな顔をしてまこに会えば良いのか分からないくらいである。
勿論、まこが平常運転であった以上、変に意識してしまう方がおかしいのだろう。
だが、胸に湧き上がるそれらはどうしても彼の意識をかき乱し、顔を赤く染めるのだ。

京太郎「(とりあえず…とっとと身体を洗おう…)」

このまま上がってしまったら、折角、用意してくれた着替えまで汚してしまう事になる。
そちらへと京太郎は意識を動かしながら、ゆっくりとスポンジで身体を洗っていく。
しかし、その最中も、下着を見られた恥ずかしさが胸をつき、時々、腕が止まってしまう。
結果、彼が身体を洗い終え、浴槽に身を浸した頃には普段の数倍もの時間が経過していた。

京太郎「はぁ…あぁ…」

そんな彼にとって幸いだったのは、熱めに沸かされた風呂が身体に良く効いた事だろう。
シャワーのそれとは比べ物にならないほど身体があたたまるその感覚に彼は羞恥心を忘れる事が出来た。
そのまま浴槽に背を預けながら、天井を見上げた彼は、ほぅと熱いため息を吐く。
倦怠感混じりのそれお湯の熱さに身体から疲労が抜けている証だろう。
それにまこに一つ感謝の感情を抱きながら、京太郎は内心で100を数え始めた。

中途半端なところだけどそろそろ眠気がマッハなので終わりー
やっぱり2日も空くとペース堕ちるな…どうにかしないと

>>592
Janeインストールしなおした時に設定の仕方幾つか忘れちゃってた
コテハン記憶の位置もようやくわかったのでこれから酉外れはないと思います
お騒がせしました

>>594
あー咲キャラ全般ならまだやりたい人が出てくるかな
咲キャラ全般でやりたいorやれそうなキャラがいるなら立候補してくれると嬉しい
後、能力に関しては特にバランス取るつもりはないんで原作らしければ何でも良いです
今考えてる天照とか

照:自身が行う最初の判定を放棄(失敗)する事で発動。理論値を超える度に、判定値に+1ずつされていく。判定値が理論値を超えなければ元に戻る。

小蒔:セッション開始前に数字を一つ宣言する。自身の判定前にGMがサイコロを振り、その数字が出れば自動的に判定がクリティカルになる(1セッション二回まで)

淡:マスターの判定に五回まで-1の補正をかけ、また発動した次の自身の判定値に+1する。

衣:マスターの判定時、クリティカルを無効にする。自身が15/30/45回目の判定に参加する際、自動的にクリティカルになる。

とか調整する気欠片もないようなものばっかりだし。

乙です 安価スレは>>1と読者が試行錯誤しながら進める面も
少しはあるしこれが終わったら是非やって欲しいです


まあ取れる要素を絞らないといけない部分が目立つよね

乙ー

衣はサイコロ回れぇ!と判定時いえる能力つけてください()

チュートリアルの戦闘でGMのクリ連打で死んだ思い出
そしてお腹に花が咲いた


京太郎「はぁ…さっぱりした」

風呂から上がった頃には、京太郎の身体はもう十分温まっていた。
ポカポカと熱が肌の下で蠢き、心地よさがジィンと広がっている。
ついさっきまで震えそうなほど冷えていたとは思えない温まった身体を、京太郎は丁寧に拭いていく。
勿論、下手に時間を掛けた以上、今すぐ出て行ってまこと後退してやりたいが、彼は着替えを貸してもらう側なのだ。
下手に濡らして汚す訳にはいかないと逸る気持ちを抑えながら、京太郎は身体から水気をタオルへと移す。

京太郎「(で…着替えは…多分、これか)」

そうやって身体を拭き終わった京太郎の視界に映ったのは群青色の甚平であった。
これからの時期にはぴったりなそれは見るからに涼しげで、どことなく情緒のようなものを感じさせる。
腕を通してみたが、体格もそれほど違いはなく、鏡の中の自分は特に違和感のないものであった。
これからの時期だと意外と部屋着として甚平を使うのも良いかもしれない。
そんな事を思いながら、京太郎はそっと脱衣所の扉を開き、まこが待ってくれているであろうリビングへと足を踏み入れた。

京太郎「すみません。お待たせしました」
まこ「おう。あがったか」

京太郎がリビングに入った時、彼女はキッチンで鍋をかき回している最中だった。
しかし、まだ夕食を作るのには時間が早く、まことて今すぐ風呂に入りたい状況のはずである。
料理の準備ならばまだしも、そうやって鍋をかき回すほど本格的なものは作れないはずだ。
一体、何をしているのだろうと首を傾げながら、京太郎がそちらへと近づく。


まこ「ん?なんじゃ。気になるんか」
京太郎「えぇ…まぁ…」
まこ「ふふ…じゃあ、好きな方を選ばええ」
京太郎「…選ぶ?」

そう言いながらまこの手元を覗きこんだ彼の視界に二つのパックが目に入る。
ぐつぐつと煮えたぎるお湯の中で微かに動くそこにはキノコ雑炊という文字と、卵雑炊という商品名が書いてあった。
どうやら、まこは夕食を作っていた訳ではなく、お互いの身体を温める為の間食を用意してくれていたらしい。
気遣いの仕方に隙がない彼女に京太郎は感心とも感謝とも言い切れない感情を抱いた瞬間、まこがそっと彼の脇を通り過ぎる。

まこ「時間も時間じゃし、腹も減っとるじゃろ」
京太郎「あ…はい」

実際、京太郎の身体はそれなりに食べ物に飢えていた。
スイーツパラダイスでお腹一杯にはなったものの、冷えた身体を温めるには新しくカロリーが必要であったのである。
勿論、夕食もあるので本格的に食べる訳にはいかないが、ちょっとだけ口寂しい。
それを満たすには目の前の雑炊のレトルトはまさに最適と言っても良いものだった。

まこ「それじゃわしゃぁ風呂に入ってくるが…覗くなよ?」
京太郎「覗きませんよ」

さっきはドキドキしたものの、京太郎にとってまこは異性である以前に先輩だ。
その上、先に風呂を譲ってもらったり、食事まで準備してもらったりと良くしてもらっているのである。
そんな彼女の入浴を覗くだなんて、恩をアダで返すような真似は出来ない。
それこそ不遜であるという感情さえ抱きながら、京太郎は首を横へと振った。


まこ「なんじゃ残念」
京太郎「えっ?」

しかし、そんな京太郎に帰ってきたのはまこの意外な言葉であった。
まるで自分が覗いて欲しいと言うようなそれに彼の胸はドキリと跳ねる。
彼の意識がどうであれば、既にその身体はまこの事を異性として認識し始めているのだ。
その艶やかな髪に水気を乗せて、唇を尖らせるその姿に妙な期待と興奮を覚えてしまう。

まこ「それを弱みに一生こき使ってやれると思うたのに」
京太郎「俺は今、絶対に染谷先輩が入浴してる場所には近づかないと心に決めました」

だが、その期待はまこの言葉であっさりと霧散し、散り散りになってしまう。
それを肌で感じながら、京太郎はそっと肩を落とした。
勿論、それが冗談であるという事くらい、意識は理解していたのである。
だが、それでも根が青少年である彼はほんの少しだけ期待していたのだ。
そんな純情を弄ぶようなまこのそれに徒労感めいたものを感じてしまう。

まこ「(ま…まぁ…そうなるわなぁ…)」

そんな彼にクスリと笑いながら、彼女の内心は複雑なものだった。
勿論、京太郎に覗いて欲しくてそんな事を言った訳じゃない。
それは単純にいつも通りのやりとりがしたくて放った言葉なのだ。
しかし、それでもまったく狼狽を浮かべない彼に肩すかしめいたものを感じてしまう。
それは何だかんだ言いながらも、自分が女性として意識されている事をまこが望んでいたからだ。


まこ「(仕方ない。だって、わしゃあ…こんなんじゃしな)」

その感情はまだ決して大きなものではない。
寧ろ、それ本来が持つイメージとは裏腹に、まこの感情は小さく、まだ根を張り始めたばかりだ。
しかし、今日一日で、京太郎という後輩のイメージを見つめなおした彼女にとって、それは決して無視出来るものではない。
彼もまた自分と同じように意識してくれたら良いと、まこはそんな風に思い始めていたのだ。

まこ「とにかく…行ってくる。雑炊は好きな方を適当に皿に移して食べてええ」
京太郎「分かりました。ありがとうございます」

そんな感情から逃げるように、まこはそう言いながら背を向ける。
その背に御礼の言葉を放つ後輩に手を振りながら、彼女は脱衣所へと逃げ込んだ。
瞬間、そっと肩を落とす理由に、まこは未だ気づいては居ない。
さっきの自分が胸中に浮かべたそれもからかいがいのない後輩に対するものだと思い込んでいる。
しかし、彼女の心は明確に変化し、その色を変え始めていた。

まこ「(意外と…甚平似合っとったなぁ…)」

その手で自分のパジャマを脱ぎながら、まこが脳裏に京太郎の姿を真っ先に思い浮かべるのもそれが理由だ。
金髪で軽そうな外見をしているのに、群青色のそれは意外なくらい彼の顔立ちに合っている。
彼自身の体格が良く、また肉付きもしっかりしているという事も無関係ではないのだろう。
薄布から見える引き締まった身体は、彼には希薄な男性的雰囲気を強めていた。
その上、普段よりも少しは真面目そうに見えるのだから、見慣れているまこの目から見ても格好良く思える。


まこ「(それに比べてわしは…)」

パジャマを脱ぎ去ったまこはそっと洗面台の鏡と向き合った。
そこに居たのはすっきりとした顔立ちの美少女である。
そのスタイルも細身でありながら、意外と出るところは出ていた。
勿論、巨乳というほどではないにせよ、標準くらいはあるだろう。
普段から実家の手伝いをして動き回っているそのウェストはキュっと括れ、腰に向けて緩やかなカーブを描いていた。
決して女性的ではないにせよ、女性らしい身体つき。
けれど、まこはそれを認める事がどうしても出来なかった。

まこ「(なーんも面白味のない…)」

女性としては間違いなく及第点をつけられる自身の身体。
だが、それを素直に受け止める事が出来ないのは身近に久や和と言った魅力あふれる同性がいるからだろう。
久のように蠱惑的な足や、和のように豊満なバストを持っていない自分がまこはどうにも劣って見えるのだ。
勿論、そんなものなどなくてもまこの身体は高いレベルで完成されており、男に欲情を与える事だろう。
だが、そうやって裸を見せる相手などいない彼女にとって、それはまったく未知のものであるのだ。

まこ「(とりあえず…入るか)」

何時までも自分とにらめっこしている訳にはいかない。
そうやって見つめ合っている間に自分の身体が魅力的になるならまだしもそんな事はないのだから。
それに飄々としているものの、まこの身体は未だ冷えているままなのだ。
べたついた感覚もまだ肌に残っているし、さっさとシャワーを浴びたい。
そんな欲求に従って、まこは浴室の扉を開き、中へと一歩踏み出した。


京太郎「んー…旨ぇ…」

そんなまこの様子など欠片も知らない京太郎は一人リビングで座り、雑炊へと舌鼓を打つ。
丁度良い感じに出汁が効いたそれは、温まった身体をさらに温めてくれるものだった。
お陰でじっとりと肌に汗が浮かぶが、それは決して不愉快ではない。
実際、彼はその感覚に怯む事はなく、一皿分の雑炊をあっという間に完食して見せた。

京太郎「(まぁ…問題は…だな)」

それをシンクへと運び、手慣れた様子で洗いながら京太郎は考える。
既に雑炊を平らげてしまった以上、彼にはもうやる事がないのだ。
勿論、リビングにはテレビがあり、それをつけていても、きっとまこは許してくれるだろう。
だが、先輩の実家で一人テレビをつけてそれに没頭出来ないくらいには、京太郎はまこに敬愛の感情を抱いていた。

京太郎「(つっても…何をやるよ)」

京太郎たちが走って抱えてきた荷物は、既にまこの手によって水気を拭き取られ、大事そうに置いてある。
コンビニで買ったレインコートも玄関に干され、きちんと処理されていた。
自分が風呂でゆっくりとしている間に、するべき事を終えてくれたその手際の良さに京太郎は幾度となく助けられている。
しかし、今だけはそれが恨めしくなるくらい、彼にはやる事がなかった。


京太郎「(つか…今、先輩が風呂に入っているんだよな…)」

とは言え、そうやってやる事がなくなると、京太郎はそんな邪な考えを浮かべてしまう。
幾ら彼が彼女に敬意を抱いていると言っても、それはあくまでも意識レベルでの事だ。
若い本能に忠実な身体は既にまこの事を異性として認識しているのである。
自然、美少女と言っても過言ではない先輩がすぐそこで風呂に入っているというシチュエーションにドキドキしたものを感じてしまうのだ。

京太郎「(だぁ~!そういうの止めろよ…!節操ねぇんだから!!)」

そんな自分に自己嫌悪を感じるのは、京太郎には既に特別な女性がいるからだろう。
原村和というこれまた一流の美少女に、彼は懸想をし続けていた。
勿論、そういったものに疎い和にはまったく気付かれず、また部活仲間以上には意識されていない。
だが、それでも京太郎にとって和の存在は特別で、不可侵であったのだ。
そんな彼女ならばともかく、自分に良くしてくれている先輩に邪な想像を向ける自分が何とも愚かで節操なしに思えて仕方がないのである。

京太郎「(まぁ…確かに先輩は可愛いけれどさ)」

まこが思っているよりも京太郎は遥かに彼女の事を意識している。
可憐と言う訳でもなく美しいという訳でもないが、それでもまこは魅力的だ。
気心の知れた気安い関係の中、時折、恥じらいを浮かべるその姿にはギャップさえも感じる。
正直、それに庇護欲を擽られた事は、今日だけで何回もあった。
普段が頼り甲斐のある先輩であるだけに余計に顕著に感じられるそれに京太郎がどれだけドギマギしていたかまこは知らない。


京太郎「(それに…さっきのパジャマ姿も可愛かったな…)」

まこが身につけていたのは薄桃色に無地のパジャマであった。
殆ど飾り気のないそれは、サバサバしている彼女らしいと思えるものである。
だが、薄桃色という女の子らしいその色は、まこの姿を数割増しで可愛らしく見せていた。
普段は奥底に鎮めている女の子らしさを引き出すそのチョイスに、京太郎はつい可愛いと言ってしまいそうになったくらいである。

京太郎「(だー!違う!違うんだからな!!)」

再び自分の意識がおかしな方向へと流れつつあるのを悟った京太郎は言い聞かせるようにして胸中でそう叫ぶ。
しかし、それは虚しく彼の中で響き渡り、なんら変革のキッカケにはならない。
どれだけ彼が認めまいとしても、彼は少しずつまこの事を意識し始めているのだ。
それはまだ和に対するそれよりも遥かに小さいものだが、着実に京太郎はまこの事を異性として認識し始めている。

まこ「あがったぞー」
京太郎「うへぇあ!?」

瞬間、聞こえてきた声に京太郎はビクリと肩を跳ねさせた。
そのままバッと脱衣所へと入り口を見れば、そこにはさっきと同じまこの姿がある。
しかし、その顔は何処かさっぱりと気持ち良さそうなものへと変わっていた。
何より、その肌は急速に温まった所為か紅潮を浮かべ、何とも言えない艶やかさを演出している。


まこ「なんじゃ。人気投票一位になれそうな声をあげて」
京太郎「な、何でもないです!!」

そのまま首を傾げるまこの首元は何とも緩い状態であった。
風呂で温まった所為か、数段開いているそこはもう少しで谷間が見えてしまいそうである。
肌が紅潮し、髪が濡れる湯上がりの状態だけでも青少年にとっては目に毒なのに、何とも緩いその胸元。
そこから急いで目を背けながらも、京太郎の記憶にその光景は既に記録されてしまっていた。

京太郎「(そ、それに…なんでブラつけてないんだよ…!!)」

勿論、ついさっきまでまこも一応、ブラはしていた。
しかし、風呂あがりの熱い状況に一々、そんなものはしていたらすぐに痒みを覚え、汗疹が出来てしまう。
それを防ぐ為に、まこは普段から風呂から上がってすぐにはブラをつけないようにしていた。
そんな習慣そのままに出てきてしまった彼女のパジャマには今、微かにその突起が浮かび上がっている。

まこ「ん?」

そんな京太郎の様子にまこはそっと首を傾げた。
ついさっきまでまったく自分を意識していなかったはずの後輩の姿が何となく引っかかるのである。
しかし、まさか自分がブラを忘れて乳首を浮かばせている所為で、京太郎が恥ずかしがっているだなんて彼女は露ほどにも思わない。
これまで異性の前で風呂から上がってきた事のない彼女にとってそれはあくまで何時もの事であったのだ。


京太郎「せ、先輩…その…」

まこが一体、どういう意図を持っているのか京太郎には分からなかった。
また自分をからかっているのかもしれないし、まったく意識されていないだけなのかもしれない。
しかし、それでも今の無防備すぎるまこの状態は決して看過して良いものではないだろう。
少なくとも自分にとってそれが刺激的過ぎる事くらいは伝えなければいけない。
そう思って京太郎は口を開くものの、そこから言葉が出てくる事は中々、なかった。

京太郎「う…あ…その…」
まこ「???」

そのまま口ごもる京太郎の前で、まこはそっと首を傾げた。
瞬間、京太郎の視界の端で、プルンと柔らかな何かが揺れるのが見える。
まこの細身な身体の胸元で自己主張をしたそれは、勿論、彼女の乳房だろう。
そう思っただけで顔を真っ赤に染めてしまう初心な京太郎は大きく深呼吸をしながら、ゆっくりと口を開いた。

京太郎「あ、あの…う、浮いてるんですけど…」
まこ「…え?」

その言葉に、まこがピシリと硬直するのは、彼女がそれを完全に誤解したからだ。
浮いているという言葉でまこが真っ先に連想するのは、自分の格好の事だったのである。
精一杯の少女趣味とオシャレを兼ねて、買ったそのパジャマが似合っていない。
恐らく京太郎はそう言いたいのだろうと判断したまこの顔が引きつり、気分が昏く落ち込んでいく。


まこ「そ、そんなに浮いとるんか…?」
京太郎「い、いや…そこまではっきりしてる訳じゃないですけど…でも、見れば分かるなって…」

そして勿論、そんなまこの誤解を京太郎は知らない。
自分が主語を抜いてしまった所為で、勘違いをさせてしまった可能性など彼には考える余裕などないのだ。
見た目は遊んでいるように見えて、その実、京太郎は初心で、性的な経験も一切ないのだから。
そんな彼にとって異性の乳首が浮き上がっていると伝えるだけで頭が一杯になってしまうのである。

まこ「そ、そうか…大丈夫だと思うとったんじゃが…」
京太郎「え…い、いや、それは(俺が)きついっすよ」
まこ「ぐっ…」

そんな遠慮のない後輩の言葉がまこの言葉に突き刺さる。
精一杯の趣味を満たそうとしたその格好を根本から否定するそれに思わずよろめいてしまいそうになった。
それを歯を食いしばる事で堪えながら、まこは大きく深呼吸する。
いきなりの新事実にショックを受けているのは確かだが、それはこのままにはしておけない。
どうせならば問題解決の為にもう一歩踏み込もうと、まこはゆっくりと口を開いた。

まこ「じゃあ…どういうのがええんじゃ?」
京太郎「え?」
まこ「…どういうんだったらわしに似合うと思う?」

そう京太郎に尋ねるまこは既に冷静ではなかった。
何とか狼狽を表に出す事は堪えているものの、その内心はショックと恥ずかしさで滅茶苦茶だったのである。
だからこそ、彼女は普段であれば、絶対に聞かないであろう言葉を口にしてしまう。
ともすれば八つ当たりにも取られかねない詰問であり、また論理的ではないものだと言う事に動揺した彼女は気づいていなかった。


京太郎「え、えぇっと…」

しかし、そんな彼女の問いを、京太郎はまた大きく取り違える。
頭の中がブラの有無で一杯になった彼にとって、彼女がブラの事を尋ねていると勘違いしたのだ。
とは言え、男である彼がまこに対して何かアドバイス出来るはずがない。
そう言ったものとは縁遠い人生を送ってきた彼にとって、オススメのブラなんて言えるはずがなかった。

京太郎「さ、サイズさえ合っていれば大丈夫なんじゃないですかね…?」
まこ「さ、サイズが合っとらんのか…?」
京太郎「合っていないどころか…無いっていうか…」
まこ「ぐふ…」

後輩のその言葉を自分のセンスを貶めている言葉だと理解したまこの口からついに苦悶の声が漏れる。
そのままガクリと崩れ落ちる膝が、彼女のダメージを何より如実に物語っている。
しかし、京太郎にはそれが一体、どういう事なのかまったく理解出来なかった。
彼からすれば、まこのブラがない事を指摘しただけなのだから。
恥ずかしがるならともかく、こんなにもショックを受ける姿を見るだなんて想像してもいなかったのである。

京太郎「だ、大丈夫ですか染谷先輩!?」
まこ「う、うん…大丈夫。大丈夫じゃ…」

そんな後輩の気遣うような言葉に、まこは何とか自分を取り繕う。
しかし、その内心は、最早、泣きそうなもので溢れていた。
もしかしたらさっきのワンピースも内心、似合っていないと思われていたのかもしれない。
いや、それ以前に久をはじめとする友人たちにも迷惑をかけ続けていたのではないだろうか。
過去に遡ってまで後悔を覚える彼女の目尻がじわっと滲み始めた。


京太郎「(え…えぇぇぇぇ!?)」

勿論、それに一番の困惑を覚えるのは京太郎だ。
まさかブラがないという事が泣くほどショックを受けるだなんて一体、どういう事なのだろう。
それに違和感を感じながらも、彼の意識は目の前で瞳を潤ませるまこの方へと引きずられていった。
今にも泣き出しそうな彼女に一体、何を言えば良ってあげれば良いのか。
混乱する頭の中で必死でその答えを求めた京太郎はある言葉へと辿り着く。

京太郎「だ、大丈夫ですよ!そういう趣味もありますよね!!」
まこ「ふ…ふぇぇ…」

結果、それがまこへのトドメとなった。
ギリギリであった涙腺を一気に爆破するそれにまこは子どものような声をあげながら涙を漏らす。
それを手の甲でグジグジと拭う彼女に、京太郎はさらなる困惑を驚きを覚えた。
そうやって露出する趣味まで肯定したのに一体、どうすればよかったのか。
胸を突くような良心の痛みと後悔にそう思いながら、京太郎は再び言葉を探す。

まこ「う…うぅぅ…」
京太郎「(どうすりゃ良いんだよおおおぉぉ!)」

けれど、何を言ってもまこを追い詰める言葉にしか今の京太郎には思えない。
そもそも彼女がどうしてそこまでショックを受けているのかさえ彼には理解出来ていないままなのだ。
そんな彼に出来る事と言えば、泣きじゃくるまこが落ち着くのを狼狽しながら待つ事だけ。
それに無力感を感じながらも、下手をすればまた追い詰めるだけなのかもしれないと思うと何も出来なかった。


まこ「ふ…ぅ…すまん…見苦しいところを見せた…」
京太郎「いえ…」

数分後、まこも落ち着きを取り戻し、そうやって言葉を紡ぐ事が出来た。
しかし、それで全てが元通りになるかと言えば、決してそうではない。
二人の間には気まずい雰囲気が流れ、何ともぎこちない状態になっている。
お互いに自分が悪いと思い込んでいる二人はチラチラと相手の事を伺いながらも何も言えない。
一体、どう話を切り出すべきなのか、それともさっきの事は完全に忘れてしまうべきなのか。
困惑の中、その選択さえ出来ない二人は、牽制するようにお互いに視線を贈り合う。

まこ「(う…ぅぅ…き、京太郎の前で泣いてしまうだなんて…)」

そんな中、まこが思い浮かべるのは、さっきの自分の失態の事だった。
自分のセンスを全否定されたとは言え、あそこで泣いてしまうのはあまりにも子どもっぽ過ぎる。
それは微かに芽生えた気になる異性としての意識がそうさせたのだが、彼女はまだそれには気づいていない。
それほど自分がショックを受けた理由に、余裕のない彼女が思い至る事は出来ないのだ。

まこ「(と、とりあえず…何とかリカバリーせんと…)」

勿論、泣き顔を見せた程度で、自分の事を舐めるような後輩ではないとまこは知っている。
こうして休日に時間を割いてまで尽くしてくれる彼の敬意はそんなものでは薄れないだろう。
だが、それは自分の中のプライドが無事であるという事は決して=ではないのだ。
このままでは自分はもう二度と先輩として京太郎に接する事が出来なくなってしまう。
それだけは防がなければいけないと、まこは必死に言葉を探した。


まこ「そ、その…な。さっきの事なんじゃが…」
京太郎「え、えぇ…」
まこ「えっと…ごめんな。わしはええと思うとったんじゃが…迷惑かけてたみたいで」

ポツリポツリと漏らすその言葉に、京太郎はズキリと胸が傷んだ。
確かに狼狽したのは事実ではあるが、迷惑だなんて事はない。
精々、驚きと気まずさを覚えただけで、何か傷ついた訳でもないのだから。
それよりも過剰に反応し、まこを泣かせてしまった自分の方が遥かに迷惑だっただろう。
そう思いながら、京太郎は首を横に振り、口を開いた。

京太郎「いや…良いんですよ。俺も意識し過ぎていました」

そうやってまこが下着で出てきたのも、全ては自分を異性として意識していない証拠だ。
それを何だかんだと真っ赤になって指摘し、意識してしまった自分がこの騒動の元凶なのである。
全ては自分がまこの趣味を許容出来る程度の器か、意識しないくらい強固な理性があれば済む話だった。
そう結論づける京太郎は自嘲気味に肩を落とし、まこをじっと見据える。

京太郎「考えても見ればここは染谷先輩の実家ですし…下着身につけないのくらい普通ですよね」
まこ「へ…?」

ようやく京太郎から漏れでた事の核心を突く言葉。
それにまこが間抜けな声をあげて、再びその身体を硬直させる。
まるで身体を動かす力全てを思考へと回すようなその身体の中で、彼女の脳がフル稼働した。
麻雀をしている時と大差ないほどにニューロンを活性化させるそれは数秒後、視線を下へと向けさせる。


まこ「~~~~~っ!!!!!」カァァァ

瞬間、首元から真っ赤に染まったまこはバッと自分の胸元を隠した。
今更、そんな事をしても遅いと理解しながらも、彼女の身体は反射的に動いていたのである。
しかし、それと同時に湧き上がる羞恥の波が、彼女の心へと打ち寄せ、ただでさえ少ない平静さを失わせた。
結果、理性という留め具を外した彼女を身悶えさせる羞恥心は誤解させた京太郎への怒りへと変わり、その左手を振り上げさせる。

まこ「さ…最初から…!」
京太郎「…え?」
まこ「最初からそう言わんか馬鹿ぁああっ!」
京太郎「たわばっ!」

そのままビタンと叩きつけられた一撃に京太郎の首がグルンと回る。
瞬間漏れ出す悲鳴のような声を聞いても、まこの心は収まらない。
怒りと羞恥心は未だ彼女の胸を突き、心を揺さぶり続けているままなのだ。

まこ「(あぁぁ!もう!もうっ!!)」

勿論、まことて分かっている。
確かに京太郎は言葉足らずではあったが、誤解した自分にも責任があるという事を。
寧ろ、事態をややこしくしたのが自分であるという認識も彼女の中にはあったのである。
だが、それでも泣き顔とパジャマから浮き上がる乳首を見られてしまったという羞恥心が、それらを全て遮っていた。


まこ「う…うぅぅ…」

しかし、それだって何時までも続かない。
時間が経つ毎に少しずつ冷静さを取り戻したまこは、ゆっくりとその唇からうめき声をあげる。
そのままチラチラと京太郎を見つめる目には自責と自戒のものが強く浮かんでいた。
そして、それは彼の頬にピッタリと張り付いた真っ赤なモミジを見る度に、さらに強くなっていく。

京太郎「あー…なんか…すみません」
まこ「い、いや…京太郎は何も悪ぅないじゃろ…わ、悪いのはわしじゃ」

そんな彼女に謝罪の言葉を漏らす京太郎にまこはそっと首を振った。
ようやく口に出来たその言葉に、彼女はほんの少しだけ心が軽くなったのを感じる。
しかし、そうやって非を認めたところで、自分のやった事が帳消しになる訳ではない。
そう思う彼女の中では未だ、自責の感情が湧き上がり、その表情を落ち込ませていた。

まこ「勝手に誤解して…泣いて…張り手まで…本当にすまん…」
京太郎「あー…」

そのままシュンと肩を落とすまこは再びその顔に泣きそうなものを浮かべ始めていた。
どうやら、先輩は本気でさっきの事を後悔しているらしい。
それを感じさせる姿に京太郎は必死になって言葉を探した。
今度こそ、まこを元気づけられるような…そんなものがどこかにあるはず。
そう必死に脳細胞を活性化させる彼に、一つの答えが見つかった。


京太郎「…それじゃお詫びとして麻雀教えてくれません?」
まこ「え?」

京太郎のその言葉に、まこがそっと顔をあげた。
それは勿論、この場には決して相応しくはない言葉だったからである。
そんなもの先輩として言われずともやるつもりだったのだから。
少なくともお詫びとして求められるそれは相応しくはない。
そう思う彼女の前で京太郎はそっとテーブルの上の袋を掴んだ。

京太郎「どうせ服が乾くまで暇ですし…それに丁度、教本もあるじゃないですか」
まこ「あ…」

そう言ってウィンクする彼に、まこはそれが気遣いである事を知った。
何とも不器用で遠回しなそれに彼女の表情も少しだけ綻ぶ。
勿論、気分そのものが上向いた訳ではないが、彼からお詫びを求められた事で幾らか気も楽になったのだろう。
そんな風に自己分析が出来た頃には、彼女は悩んでいた自分が馬鹿らしくなり、そっと笑みを浮かべた。

まこ「…はは。まったく…馬鹿」
京太郎「いやぁ…割りと常日頃から実感しております」

まこの言葉に後頭部を掻くのは、こうした失敗が初めてではないからだ。
幸いにもアルバイト中にやらかした事はないものの、日常から細かいケアレスミスと言うのは多い。
それが分かっているのに中々、直せない自分に自嘲を覚えながら、京太郎はそっと目を背ける。


まこ「まぁ…折角のお詫びなんじゃし…ビシバシ行くぞ」
京太郎「お、お手柔らかにおねがいしますね…?」

まこは先輩としてほぼ理想的な要素を兼ね備えたタイプだ。
物事は順序立てて教えるし、後輩の質問には嫌な顔一つせずに答えてくれる。
失敗した時のフォローも上手く、ただ叱るだけの後処理はしない。
だが、それは決して、彼女がスパルタでない事を意味しないのだ。
本気になったまこがどれだけ厳しいかとバイト中に嫌というほど知っている彼は思わず表情を強張らせる。

まこ「それじゃ…着替えてくるからちょっと待っとれ」
京太郎「うっす」

そのまま自分に背を向けるまこに京太郎はそっと肩を落とした。
その仕草には特に違和感はなく、彼女がそれほど深く自分を責めている訳ではない事が分かる。
少なくともさっきのように泣き出すような事はないようだ。
それに一つ安堵した瞬間、まこの顔がそっと振り向き、その唇をゆっくりと動かす。

まこ「あ…後…あ、有難う…な」
京太郎「え…あ…」

そのままポツリと言葉を漏らしながら去っていく先輩に京太郎は何も言えなかった。
それは勿論、逃げ去るように脱衣所へと戻るまこの動きがあまりにも早かったからではない。
微かに振り向いたまこの顔が気恥ずかしさで紅潮するそれにドキリとし、そして見惚れていたからである。

京太郎「(…やっばいよなぁ…)」

停留所で雨宿りしていた時とは明らかに毛色を変えつつある自分の感情。
それをここで自覚した京太郎はそっと肩を落とした。
しかし、やばいと思いながらも、彼の頬は明らかににやけている。
実際、去り際の彼女は良い物を見れたと思うくらいに可愛らしく、そして魅力的だったのだ。
未だ彼の脳裏に焼き付くその姿は彼の表情筋を緩ませ続け… ――


―― 数十分後、それを与えたまこ自身の手によって、それは苦悶のものへと変えられたのだった。

終わりー
この小ネタのまこが何処に行こうとしているのか
それは俺にも分かりません

>>615
次回作として予定してる京子ちゃんも阿知賀も安価スレなので安心して下さい
そもそもこのスレ自体が安価スレやりたくて勉強する為に作った奴だしな
TRPGの方は今、小ネタに割いてる時間を使ってポツポツ進めていくのを予定しております

>>616
実際にやるんだとしたら照と衣の能力はエラッタ必須ですよねー…
放棄なしでクリティカルをトリガーにした方が良いのかなー
でも、あんまり弱すぎると魔物っぽくないジレンマ

>>617
ついでにタコスに「誰にも賽は降らせない(キリッ」って言わせる能力もセットでどうぞ

>>618
さぁ早くキャラシートを書く作業に戻るんだ




後、エピローグ完成しました
明日明後日で推敲し、問題なければ金曜日の夜に投下します
本当にお待たせしました

ただいま戻りました
今から投下し始めます
全部で18万文字とか最初の漫編並の分量になったのでかなり長いです
気長にお付き合い下さい
では、始めます


―― 上重漫が長野に降り立った時、そこは既に雪景色だった。

漫「(クリスマスまで後一ヶ月もちょっとやもんなぁ…)」

12月25日。
日本では恋人の為のイベントと化しているそれを目前にした時期に、日本有数の豪雪地帯である長野は既に雪を降らし始めていた。
その勢いは決して激しくはないものの、まだそんな気配を感じさせない大阪在住の漫にとっては不思議な光景に映る。
周りの景色が自分のよく知る日本のものであるが故に、まるで時間を飛び越えてしまったようにも思えるのだ。

漫「(まぁ、勿論、錯覚やねんけれど)」

ところ変われば、気候も変わる。
例え狭い島国である日本の中でもそれは同じなのだろう。
そう漫は判断しながら、タラップから降りきった。
瞬間、雪を含んだ冷たい風がスルリと漫の身体を撫でていく。
その殆どを防寒具が防いでくれたものの、寒いものはやっぱり寒い。
特に彼女の心は今、寂しさに凍え、飢えているのだから尚更だ。

京太郎「漫さん、こっちです」
漫「あ…っ♪」

そんな彼女の視界に入ってきたのは見慣れた顔だった。
漫が毎日、携帯に入れて夜中に一人で見つめているそれは決して整っている訳じゃない。
不細工と呼ばれるほどではないが、しかし、所謂、『イケメン』の部類に入るかと言えば、首を傾げるものもいるだろう。
だが、それでもその顔は漫にとって、世界で最高の男に思えて仕方がないのだ。


漫「えへへ…♪」

それは男の元へと向かう彼女の足取りを見れば分かる。
数センチ積もった雪の中をスキップでもしそうな軽い足取りで男 ―― 須賀京太郎の元へと近づいていくのだから。
まるで子どものような無邪気な歩みは、それだけ漫が京太郎と会える日を楽しみにしていたからだ。
そして、それを京太郎も分かっているからこそ、そんな漫を受け入れるように腕を開く。

漫「ん~っ♪」

そこに迷いなく飛び込んだ漫が最初に感じたのは固い胸板だった。
自分のそれとは比べ物にならないほど逞しいそれは広く、そして力強い。
そんな場所で自分の身体を受け止められ、抱きしめられる感覚に漫の喉がゴロリと鳴った。
まるで猫になったような自分の反応に、しかし、漫は自嘲さえも覚えない。
それよりもこうして数週間ぶりに恋人と触れ合えた事の方が遥かに大きかったのだ。

京太郎「まったく…悪い子ですね」

そんな漫に京太郎が言うのは、今回の長野行きが急に決まった事だからだ。
実際は、漫の中でとっくの昔に決定事項だったのだが、京太郎がそれを聞かされたのは一週間前だったのである。
お陰で漫の事を説得する暇もなく、なし崩し的に自分の本拠地へと乗り込まれてしまった。
それほどまでに自分の事を愛してくれているのは嬉しいけれど、あんまり無茶をして欲しくないというのが彼の本音である。


漫「京太郎君がうちの事、こんなに悪い子にしたんやで…♪」

勿論、漫とてそんな京太郎の気持ちは分かっている。
その辺りの事は既に何度か彼と話し合った事なのだから。
誰より京太郎の事を理解する漫にとって、彼がそれを看過出来る訳がない分かっていた。
しかし、上重漫というのはされっぱなしを良しとする性格ではなく、また臆病な人間でもあるのである。
自分だけ大阪という遠距離にいて京太郎の事を待ち続ける生活に、彼女は少しずつ怯えを覚え始めていた。
さらには以前のデートで大恥をかかされた漫は、ついつい我慢出来ずに長野へと乗り込んできた訳である。

漫「(せめて家だけでも知っておきたい…って言うのは多分、重いやろうなぁ…)」

それがストーカー一歩手前の思考である事を漫はちゃんと理解している。
だが、それ以上に漫は自分が出遅れている事を理解しているのだ。
勿論、京太郎とのメールや電話で彼の家族構成などはおおまかに把握してはいるが、大阪にいる漫は一度も京太郎の両親に顔を合わせていない。
婚約者として受け入れ始めている神代小蒔たちとは違い、彼の家族に認識さえされていない自分。
未だスタートラインにさえ立てていないそれは、彼女にとって大きな壁として映ってしまうのだ。

漫「責任…取ってな?」

無論、漫とてこんな重い女になるつもりはなかった。
彼女の尊敬する末原恭子のように一人で自立する立派な女になるつもりだったのである。
しかし、その目標とする先輩像故に後輩を見捨てられなかった彼女は今や、京太郎の虜になっていた。
もう一人ではどうしようもないくらいの激情に飲まれ、独り立ちする事なんて不可能なくらいに。


京太郎「分かってますよ。俺に出来る限り…漫さんの望む結果にしますから」

そんな彼女の頭をそっと撫でながら、京太郎は力強く頷く。
既にその為の覚悟は彼の中で固まっていた。
勿論、それは漫を娶るという正式な覚悟の固め方ではない。
漫と同じく自身の能力によっておかしくなった二人の女性もまた手放さないという歪で自分勝手な覚悟だ。

京太郎「(そして…その為の方策も俺の中で出来ている)」

漫が長野にやってくるというのは突然で驚いた事だった。
けれど、驚いたばかりではいられないと京太郎は漫に説得を始めたのである。
しかし、結果的に彼女に押し込まれ、長野にやって来た漫を迎えた今、彼にはそれが天運に思える。
三人がこうして一堂に会する機会なんて、高校生でいる限りはまずないのだから。
それがクリスマス前という比較的、早い時期に訪れた幸運を利用しない手はないと京太郎は考えていた。

漫「ふふ…っ♪楽しみやわぁ」
京太郎「そんなに…楽しみですか?」

その考えは既に漫に伝えている。
他の二人はともかく、彼女は学生にとって少なくない額を支払って長野に来てくれているのだから。
そんな彼女に長野を案内する事は出来ないと最初に伝えておくのが礼儀だと京太郎が判断した為である。
勿論、そこには彼女が長野行きを取りやめてくれないかという期待もあった。
しかし、漫はそんな京太郎の考えに賛同し、こうして長野行きが実現したのである。


漫「そりゃそうやん。あの二人がどれだけショックを受けるか…楽しみ」

勿論、それは彼女なりのジョークである。
幾ら一人だけ仲間外れにされている時期が長かったと言っても、それほど漫は性格が悪くはない。
とは言え、その喜びが一片も心の中にないかと言えば、答えは否である。
漫はあくまで普通の人間であり、聖女でもなんでもないのだから。
嫉妬だってするし、不平等感だって覚える事は日常茶飯事だ。
そんな彼女にとって、京太郎の傍にいる二人が知らない事を、自分が知っているという事は自尊心を刺激される事だったのである。

漫「(それに何より…京太郎君はうちを頼ってくれた…♥)」

京太郎の企みを実現させる為に、漫には全てが話された。
そして京太郎は彼女の助力を求めたのである。
それが、漫にとっては堪らなく嬉しい事だった。
京太郎が一番、愛する原村和でもなく、一番、大事にしている神代小蒔でもなく。
一番、支えてきた上重漫を求めてくれた事が嬉しくてにやけてしまったのである。

京太郎「漫さんって意外とSだったんですね」
漫「んーそうかも」

とは言え、漫はそれを京太郎に素直に伝えるつもりはなかった。
自分が二人に対してこんなにも醜く嫉妬しているなんて大好きな人には思われたくなかったのである。
無論、その程度で京太郎が幻滅したり嫌いになったりしないという事はちゃんと漫も理解していた。
だが、それを知った京太郎が不出来だと彼自身を責めない訳ではない事を彼女はちゃんと知っているのである。


漫「うちがマゾ奴隷になっちゃうんは…京太郎君の前だけかもね♪」
京太郎「ぅ…」

だからこそ、話題を逸らす為のその言葉に京太郎が小さく呻く。
それは漫がそっと足を伸ばし、首元で囁きかけたからだ。
ふっと首筋に吐息を吹きかけるようなその甘い言葉に、彼の身体がゾクゾクとした寒気を覚える。
こんな可愛い事を言う子を早く抱きたいと本能が訴えるようなそれを京太郎の理性は投げ捨てた。

京太郎「(勿論…したくない訳じゃないけどさ)」

しかし、そうやって漫にばかり構っていたら折角の計画がぱぁになってしまうのである。
わざわざ長野にまで来てくれた漫には悪いとは思うものの、今日は彼女にだけ構ってはいられないのだから。
既に計画は動き出している以上、ここでホテルに直行…という訳にはいかない。
それよりも出来るだけ早く家へと戻り、準備を進めるべきなのだ。

京太郎「じゃ…行きましょうか」
漫「ぅー…相変わらずつれないんやからぁ…」

そう言いながらも漫は嬉しそうにその頬をにやけさせていた。
何だかんだ言いながら、容易く欲望に流されない京太郎が漫は好きなのだ。
頑固と言っても良いくらいに抑圧的な人だって分かっているからこそ、心も身体も預けられるのだから。
それがつれないと、辛いと思う事はあれど、そんな京太郎の事を漫は誰よりも信頼しているのだった。


京太郎「ちゃんと後で一杯、可愛がってあげますから…ね」
漫「うん…っ♥約束やで…♪」

それに何より…京太郎が自分を蔑ろにするつもりはない。
そう確信する漫の耳にそっと京太郎の言葉が吹きかけられる。
さっきのお返しだと言わんばかりに低く抑えられたそれに彼女の身体がブルリと震える。
そんな反応に合わせて絞り出されたその声は陶酔で甘く染まっていた。

漫「(本当は…今すぐセックスしたいけどぉ…♪)」

しかし、漫もまたそうしていられないという事は理解しているのだ。
今日という日は原村和や神代小蒔を含む四人の関係を一変させる記念日なのだから。
その為の仕掛け人に愛しい人が自分を選んでくれた以上、まずはそれを果たさなければいけない。
例え、もう既に愛液がショーツに染みだしそうになっていても…最優先はまず京太郎の依頼だ。
そう自分に言い聞かせながら、漫はそっと愛しい人から身体を離し、その腕に絡みつく。

京太郎「ふふ…」

そんな漫の様はまるで大好きな父親を迎えに来た子どものように愛らしかった。
それに思わず笑みを漏らした京太郎に、漫はその頬を微かに膨らませ、拗ねている事をアピールする。
勿論、それは漫が京太郎がどうして笑みを浮かべたのかを正確に感じ取ったが故だ。
自分がバカにされている訳ではないとは言え、子ども扱いされているのだと、彼女はそう理解したのである。


漫「京太郎くぅーん?」
京太郎「す、すみません…」

その何とも言えない悔しさに漫は頬を膨らませながら、じっと京太郎の顔を見上げた。
それはさっきと同じく可愛らしいものではあるが、さりとて笑う訳にはいかない。
京太郎とて本気で漫が怒っている訳ではない事は理解しているものの、からかいが過ぎると意固地になるのも分かっているのだ。
上重漫という先輩は基本的には大らかだが、負けず嫌いな性格をしているのだから。

漫「まったく…そんなナマイキな後輩は…こうやで!」
京太郎「わっ!」

そう言って漫は抱きついた京太郎の腕を谷間に挟んだ。
そのままスリスリと身体を寄せる漫に京太郎の中の興奮が高まっていく。
幾ら厚着しているとは言え、それらは女の子の柔からさ全てを阻むものではないのだから。
分厚いセーター越しにもしっかりと伝わっている感触の真髄を理解しているのもあって、それはもどかしい感覚だった。

京太郎「と言うか、これ…漫さんがやりたかっただけじゃないですか?」
漫「さぁ、どやろうね?」

しかし、それが罰になるかと言えば、決して否である。
確かにそうやって密着されると性的欲求こそ覚えるが、それだけだ。
度重なる誘惑を乗り越え、性的経験を積み重ねてきた京太郎にとってそれを抑えこむのは決して難しい事じゃない。
寧ろ、そうやって柔らかな双丘を感じるのはご褒美と言っても良いくらいのものだった。


漫「でも、虫よけはちゃんとしとかへんとあかんやろ?」
京太郎「俺そんなにモテないと思うんですけれど…」

そう悪戯っぽく言う漫にとって、それは決して嘘ではなかった。
それほど飛び抜けて優れているところがある訳ではないが、この須賀京太郎という少年は人に親しまれやすい性格をしているのである。
その上、婚姻関係によって家を維持し続けてきた家系に属する所為か、才能ある美少女たちに好かれやすい傾向にあるのだ。
それをよく知る漫にとって、虫よけは決して軽視出来るものじゃない。
京太郎は既に売約済みなのだと彼のホームである長野で主張する事は、寧ろ、大いに意味がある事だったのだ。

漫「…はぁ」
京太郎「えー…」

しかし、そんな漫の不安を京太郎がまったく分かっていない。
それに思わず彼女が吐いたため息に京太郎は不満そうな声を返した。
須賀京太郎という人間は三人の美少女に好かれるようになって尚、自己評価が低いままなのである。
まさか自分が能力絡み以外で人に好かれるはずがないと心の底から思い込んでいた。
恋する乙女というフィルターを介した上重漫と能力の発現によってさらに自己評価が落ち込んだ須賀京太郎。
そんな二人の認識をどれだけすりあわせたところで一致するはずがないだろう。

漫「まぁ…京太郎君はそのまんまでええと思うよ」
京太郎「どういう意味ですかそれ」

そう結論付ける漫の言葉は諦め混じりのものだった。
彼女はどれだけ言っても、京太郎の認識を変える事が出来ないと分かっていたのである。
漫自身、能力によって京太郎に絡め取られたのだから、何を言っても能力の所為と解釈されるだろう。
勿論、京太郎とてそんな二人のズレには何となく気づいているものの、しかし、呆れるように言われるのを聞いて、流せはしない。
流石に怒り出したりはしないものの、そんな言い方はないんじゃないかとそう思ってしまうのだ。


漫「うちらだけ見といてくれたら…それでええって事」
京太郎「…む…ぅ」

しかし、その気持ちは輝かんばかりの漫の笑顔にかき消されてしまう。
ニコニコと上機嫌なそれに怒っているのがバカらしくなってしまうのだ。
それが彼女の思い通りだと理解していても、萎えていく気持ちは否定出来ない。
元々、本気で怒っている訳でもないのもあって、京太郎が肩を落とした頃にはもう拗ねる気も失せていた。

京太郎「漫さんには敵いませんよ、ホント」
漫「そりゃ先輩やからね♪」

そう自慢げに言う漫の魅力的な笑顔に、京太郎も笑みを返した。
何だかんだ言いながらも、こうして先輩ぶる彼女の事が京太郎も好きなのである。
それは決してオンリーワンのそれではないが、決して他の二人にも見劣りしない。
だからこそ、京太郎はそっと抱きしめられた手で漫の指を求め、そのまま指を絡ませあった。

京太郎「んじゃ、行きましょうか」
漫「うんっ♥」

所謂、恋人繋ぎで歩き出す二人は街の中に溶け込んでいく。
それはクリスマス間近ともあって街中にカップルが溢れかえっているからなのだろう。
そんな中で二人の姿は特に目立つものではなく、有象無象の一部でしかない。
しかし、そう理解しながらも二人はそれを気にする事はない。
数週間ぶりに顔を合わせて話し合う二人にはお互いの姿しか見えていないのだから。
寧ろ、そうやって数多くカップルの中に埋没する事を楽しみながら、二人は須賀邸へと足を運ぶのだった。


………



……








―― かつの神代小蒔の部屋は基本的にものがなかった。

ぬいぐるみやクッションなど女の子らしい小物はあれど、あくまでそれだけだ。
私服の殆どを巫女服で済ます彼女にとって、収納棚すらあまり必要なものではない。
さらに彼女は何か目立った趣味を持つ事は出来ず、また本も自由に買う事を許されてはいなかった。
他の巫女が閲覧したものを借りるしかない彼女は、本棚もこじんまりとした小さなもので済んでいたのである。

小蒔「ふふ…っ♪」

けれど、今の彼女の部屋は大きく様変わりしていた。
ベッドの上のぬいぐるみとクッションはその数を膨れ上がらせ、本棚は壁際を埋め尽くすくらいに立ち並んでいる。
そこに並ぶのはレディコミや女性雑誌など霧島にいた頃には買う事も許されていなかったものばかりだ。
中には本来であれば小蒔がまだ買えないような本まで綺麗に整頓させられている。

―― また机の上には幾つもの写真立てが並んでいた。

そこに大事に収納されているのは清澄麻雀部の面々や京太郎と一緒に取ったプリクラの類である。
彼女はそれを写真として印刷し、一つ一つ写真立てに入れて大事にしていた。
それらは長野に来てから少しずつ増えていった友人たちとの大事な思い出の結晶なのだから。
宝物と言っても過言ではないそれに小さく笑みを浮かべながら、小蒔は手に持った木の棒を細かく動かす。


小蒔「んー…こうでしょうか?」

そう言いながら小蒔が見つめているのはある雑誌の1ページだ。
クリスマス特集と銘打たれたそのページには手編みのマフラーの作り方が書いてある。
それと睨めっこしながら小蒔が作っているのは勿論、京太郎へのクリスマスプレゼントだ。
実家との縁を切り、生活の事を真剣に考えなければいけなくなった彼女に出来る精一杯の贈り物だったのである。

小蒔「(京太郎様…喜んでくれるでしょうか…?)」

勿論、京太郎は小蒔が贈ってくれるのであれば、何でも喜んで受け取るだろう。
どんなプレゼントだってそこに篭った思いを感じ取れるのが須賀京太郎という少年なのだから。
だからこそ、小蒔が何度もそうやって何度もその言葉を思い浮かべるのは不安の為ではない。
これを受け取り、喜んでくれるであろう愛しい婚約者の姿を想像する為だ。

―― コンコン

小蒔「あら?」

その瞬間、小さくなったノックの音に小蒔は真っ赤なマフラーからそっと顔をあげた。
そのまま小蒔はベッドの脇に編みかけのマフラーを大事そうに置く。
クリスマスという一大イベントを前にして初めて編み始めたそれを何かの片手間に完成させられるほど小蒔は器用なタイプではない。
また何か別の作業をしながら相手と会話するのを良しとするような性格でもなかった。


小蒔「どうぞ」
霞「失礼します」

そんな彼女が告げる言葉に一つ断ってから入ってきたのは、小蒔に良く似た顔の女性であった。
少しだけ彼女を大人っぽくしたようなその顔立ちは姉妹と言っても十二分に通用するものであろう。
しかし、二人の間には直接的な血の繋がりはなく、少し遠い親戚程度でしかない。

小蒔「もう…そういうの良いって言うのに」

とは言え、彼女 ―― 石戸霞と小蒔の間に築かれた絆というものは決して遠い親戚という言葉で収まるものではない。
幼い頃から両親と別れ、小蒔の傍に支え続けていた霞にとって、小蒔は妹も同然なのだから。
それは会話した記憶も殆ど薄れた両親などよりもよほど身近で、大事なものである。
そして、それは小蒔にとっても同様だ。
物心ついてすぐからずっと自分の事を護ってきてくれた霞は、小蒔にとっては姉か母に近い存在だったのである。

霞「ごめんなさい。何か癖になっちゃって」

だからこその小蒔の訴えに霞は小さく笑みを浮かべた。
二人がどれだけ想い合っていたとしても、二人の関係は主従の枠を超える事はなかった。
その前提には家の格というものがあり、小蒔が主で霞が従者という関係は決して崩してはいけないものだったのである。
だからこそ、霞は時折、自分を戒めるように「姫様」と呼んでいたし、小蒔はそれに異を唱えたりはしなかった。
しかし、今の二人にはもうそんな堅苦しい主従は関係ない。
家から絶縁し、独り立ちを始めた二人は既に『家族』という新しい絆で結ばれるようになったのだ。


霞「(ううん…それだけじゃないわよね…)」

誰よりも小蒔の身近にいた霞には分かる。
小蒔は昔とは比べ物にならないくらいに明るい少女になった。
勿論、昔から暗い少女ではなかったものの、その身に背負った重圧や力の所為か、暗い表情を見せる事も少なくなかったのである。
けれど、今の小蒔は心から笑い、そして、同時に心から日々を楽しんでいた。
麻雀だけではなく、人生さえも楽しむような小蒔のその表情に、霞は小さな嫉妬を覚える。

霞「(私じゃ…これは引き出せなかったでしょうし…)」

小蒔がそうやって変わったのは他でもない須賀京太郎のお陰だ。
何処にでもいるような男子高校生に小蒔が恋をした結果、彼女の人生は大きく様変わりしたのである。
勿論、小蒔の姉や母代わりを長年続けていた霞にとって、それは心から喜ばしいものだ。
そんな小蒔の笑顔を曇らせようとする神代本家に離縁状を叩きつけるくらいに霞はその変化を喜んでいる。
だが、その一方で霞は自分でそれを引き出してやる事が出来なかった事に気づいていた。

霞「(まったく…本当、ズルいんだから…)」

恋をすると女は変わるという言葉を、霞も知っている。
だが、ついこの前まで彼女はその言葉を理解していても、その本当の意味に気づく事はなかったのだ。
周りに異性というものを極力排除した環境で生活してきた彼女たちにとって恋というのは無縁の存在だったのだから。
しかし、今、こうして京太郎に恋をして、大きく花開いていくような小蒔を間近で見ているとその言葉の意味が良く分かる。
長年、築き上げてきた関係を一足飛びに乗り越えて…小蒔を変えていくそれに霞が思わず胸中でズルいと言ってしまうくらいに。


小蒔「次やったら罰ゲームですからね」
霞「ば、罰ゲームって…」

とは言え、それは霞の中でとても小さなものだった。
彼女にとって重要なのは自分の中の小さな嫉妬よりも小蒔が良い方向へと変化していく事であったのだから。
何より、今の霞は実家の支援というものをまったく受けられない状態なのである。
そんな彼女の事情を知った周りは出来るだけの支援はしてくれているものの、霞はあまり迷惑を掛けるのを良しとするタイプではない。
結果、今の霞にとって日々の生活というものはとても重要で、あまり小さな心の動きに気を取られている訳にはいかなかったのだ。

小蒔「京太郎様と麻雀を打って貰うとか」
霞「それだけは止めて頂戴…」

勿論、霞とて須賀京太郎の事を嫌っている訳じゃない。
自分には出来なかった事を成し遂げた彼に嫉妬を感じるものの、それ以上に感謝している。
とは言え、京太郎の不思議な力を知っている霞にとって、それは恐怖を感じるものだった。
京太郎の事は憎からず思っているものの、それは決して異性に向けるそれではないし、何より小蒔のライバルになどなりたくはない。

小蒔「ふふ♪冗談ですよ。京太郎様は私だけのものなんですから」

そんな霞に小蒔は小さく笑いながら、ぎゅっとその大きな胸を抑えた。
その奥にある心臓の鼓動を確かめようとするような仕草に霞は小さく胸の痛みを覚える。
それは須賀京太郎という人物が決して小蒔だけのものではないと知っているからだ。
事情があるとは言え、京太郎は小蒔以外に二人の女性と身体を重ねている。
それを知って尚、小蒔の幸せを無条件に肯定出来るかと言えば答えは否だった。


霞「…小蒔ちゃんは今、幸せ?」
小蒔「えぇ。勿論です」

断言するようなその言葉は、まったく疑いのないものだった。
自分が幸せである事を何ら疑問に思わないそれに霞は理解する事が出来ない。
霞は未だ恋を知らないとは言え、それを題材に書かれた少女漫画というものを幾つも読んでいる。
だが、そこに描かれていた少女たちの葛藤と今の小蒔はあまりにもかけ離れているのだ。

霞「…どうして?」
小蒔「え?」
霞「どうしてそこまで須賀君の事を信じられるの?」

京太郎の能力に因るものなのか、或いは小蒔が人を疑う事を知らない所為か。
そのどちらかなのか霞には分からないものの、しかし、どちらであっても納得がいかない。
そう思うのは霞が小蒔の事を誰よりも大事に思っているからだ。
勿論、京太郎が小蒔を預けるに足る男であると思っているが、その盲信はあまりにも危うい。
他の家族たちが京太郎の事を信頼している以上、自分がそれを指摘しなければと霞は思ったのだ。

小蒔「京太郎様が私に一杯、素敵なものをくれたからです」
霞「…」

そんな霞の言葉に小蒔は小さく微笑みながらそう応える。
自身が幸せである事をはっきりと表現するそれに霞は何を言えば良いのか分からなくなる。
今までの実績に裏打ちされたそれを揺らがせるには、霞はあまりにも京太郎の事を知らないのだ。
婚約者の家族としての距離感を保ってきた霞の言葉は、それまでに苦しみながらも確立してきた小蒔の信頼を揺るがせるのにはあまりにも弱いのである。


霞「でも、須賀君の傍には一杯、女の子がいるのよ」
小蒔「知ってます。その人たちが私よりも素晴らしい人だって事も」

それでも、紡いだ言葉が負け惜しみなのか、霞自身にも分からなかった。
何せ、そんな事は小蒔自身が誰よりも良く分かっている話なのだから。
つい先日、その事実に死者が出てしまいそうな大騒ぎを起こした小蒔がそれを知らないはずがない。
それを今更、こうして指摘したところで小蒔の心の傷をほじくり返すだけなのは霞にもうっすらと理解出来ていたのだ。

小蒔「でも、京太郎様は私の事を愛してるって…幸せにしてくれるってそう言ってくれたんです」

だが、そんな言葉さえも小蒔にはもう届かない。
盲信と共に口にするそれははっきりと硬い意思を示している。
それに霞は小さな驚きを感じながらも、こうなって当然であると内心思っていた。
霞の知る小蒔はとても優しく、そして臆病で、何事にも真剣な少女なのである。
そんな子が躊躇いなく家を捨て、駆け落ちを選べるほど一人の男に入れ込んでいるのだ。
それほどまでに高まった信頼や愛情を、ただの言葉で崩せるほど小蒔という少女は容易くない。
最早、家族の言葉でさえ届かないほどに小蒔は京太郎に心酔しきっていた。

小蒔「京太郎様は約束を破るような人じゃありません。きっと私の事を選んでくれるはずですから」

それをさらに感じさせる小蒔の言葉に霞はそっと肩を落とす。
そこに何処か敗北感めいたものを感じるのは、誰よりも小蒔の傍にいた自負があるからだ。
つい半年までは小蒔に一番頼りにされるのは自分だったのに、あっという間に京太郎に追い抜かされている。
それに敗北感に似たものを感じるほど、霞は小蒔の事を大事にしてきたのだ。


霞「…そう。ごめんなさい。変な事言ってしまったわね」
小蒔「良いんですよ。私だって…今の状況が異常だって分かってるんですから」

霞の言葉に、小蒔はその笑みを崩さずにそう返した。
小蒔自身、自分が世間知らずであり、また自分と京太郎を取り巻く環境が特殊だと理解しているのである。
少なくとも、小蒔を心配して霞が京太郎の危険性を訴えるのも当然だと思うくらいに。
だが、そう思いながらも、小蒔は自身が京太郎へと向ける信頼を決して揺るがせる事はない。

小蒔「でも…私はとっても幸せです」
霞「それは…須賀君がいるから?」
小蒔「いいえ。皆がいるからです」

それは今の彼女の幸せを、京太郎がくれたからだ。
半年前からは想像も出来ないくらいに充実した日々は全て京太郎が起因とするものなのである。
勿論、小蒔とてそれが京太郎だけの手によって作られたものではない事くらい理解出来ていた。
だが、それでも京太郎が自分の為に駆けずり回り、手を尽くそうとしてくれていたのは変わらない。

小蒔「京太郎様は私に友達を作ってくれました。私の居場所を作ってくれました。私を誰よりも受け入れてくれました」

そう言葉を続ける小蒔の胸に様々な像が浮かびあがる。
長野に来てから友人になれた仲間たちの事。
孤立しかけていたクラスに馴染めている自分の事。
そして、あんなに嫌っていた能力を受け入れ…真の力を発揮した時の事。


小蒔「それに何より…私に霞ちゃんたちって言う…大事な家族を作ってくれたんです」

そして最後に浮かび上がってきたのは目の前の霞たちを筆頭とする家族の事だ。
土台こそ幼い頃から出来ていたとは言え、こうして家族と呼べるようになったのは最近である。
そしてその起因となり、小蒔にそう呼べるだけの勇気をくれたのも他でもない京太郎なのだ。
京太郎がいなければ、小蒔は今でも霞たちの事を何ら憚る事なく、家族と呼ぶ事は出来なかっただろう。

小蒔「だから…私は京太郎様と…この幸せを信じられるんです」
霞「そう…」

そう言葉を結ぶ小蒔に霞もまた笑みを返した。
それは諦観めいたものではなく、心から微笑ましげな優しいものである。
何だかんだ言いながらも、霞は心優しい少女であり、小蒔に甘いのだ。
小蒔がそう言うのであれば…出来るだけ望む結果を得られるようにサポートしよう。
微笑みの奥でそう決意を固めた瞬間、彼女はベッドに置かれたマフラーに気づいた。

霞「それは須賀君へのプレゼント?」
小蒔「はいっ」

尋ねる霞に小蒔はその顔を子ども染みたものへと変える。
まるで自分の宝物を褒められたようなその素直な反応に霞はクスリと笑みを漏らした。
けれど、小蒔がそれを自慢気に広げた時にその笑みはぎこちないものへと変わる。


小蒔「ここに『LOVE♥』って入れるんですよー」
霞「そ、そう…?」

そう言って小蒔が見せる真っ赤なマフラーに霞はその頬を引き攣らせた。
ニコニコと嬉しそうな小蒔には言い難いが今時、そのセンスはどうなのかと微かに思う。
しかし、それをはっきりと口に出せるほど霞もまた恋に詳しい訳じゃない。
恋人のプレゼントってそういうものなのかしら、と自分を納得させながら、じっとそのマフラーを見つめた。

霞「あ、そこ失敗してるわよ」
小蒔「え…?ど、何処ですか!?」
霞「ほら、ここよここ」

指摘する霞の声に小蒔はじっとマフラーを見つめる。
そんな彼女の視線を指で誘導しながら、霞は編み違えになっているそこを指さした。
そこは微かに盛り上がり、周囲に違和感を放っている。
まだ完成には程遠い今の状況ではそれほど目立たないが、完成した頃には一目で分かるものになっているだろう。

小蒔「あ、本当です…ちゃんと直さないと…」
霞「編み物大変だものね…」

それが一目で分かったのは霞もまたそうやって四苦八苦した時期があったからだ。
一時期、編み物を趣味にしていた彼女もまたそれに悩まされたのである。
今では慣れた所為か殆どそんなミスはしなくなったものの、今でもその時の苦労は簡単に胸に浮かんだ。
大作を完成させた後にミスを見つけた時など、一日中落ち込んだくらいである。


霞「(とは言え、手伝う訳にもいかないでしょうし…)」

そんな苦労も乗り越えてきた霞が手を貸せば、小蒔はきっとすぐさまそれを完成させる事が出来るだろう。
だが、そうやって手を貸せば、それは小蒔の望むものにならない事くらい霞にも良く分かっていた。
小蒔がプレゼントしたいのはあくまでも手作りマフラーであり、見栄えの良いマフラーなどではないのだから。

霞「…明日から一緒にやりましょうか?」
小蒔「え?」

だからこそ、それが霞に出来る最大限の小蒔のサポートだ。
手を貸せばそれが小蒔の望むものではなくなってしまうが、今のようにミスの指摘くらいは出来る。
近くに居れば小蒔だってわかりにくいところを霞に教えを乞う事だってしやすいだろう。
何よりここ最近は忙しくて出来なかった編み物がしたいという感情も霞の中にはあった。

霞「隣に居れば色々とアドバイスもしてあげられるでしょ?」
小蒔「はいっ!」

そう尋ねる霞に小蒔は輝かんばかりの笑みで頷いた。
実際、小蒔自身、本当は霞に色々と尋ねたかったのである。
彼女にとってはこれは初めての編み物で、そして霞が編み物上手なのを知っていたのだから。
しかし、それを簡単に口に出来なかったのは霞がバイトや進路の事などで忙しい事を小蒔も分かっていたからだ。
それでも、こうして霞から言い出してくれた今、小蒔は遠慮などしない。
最近、忙しくてあまりスキンシップを取れなかった妹に甘えられたいと、霞が思っているのが伝わってくるからだ。


小蒔「それで…何か用ですか?」
霞「あ、そうそう。忘れるところだったわ」

小蒔の言葉に霞はそっと手を打って、そう返した。
こうして小蒔の部屋に足を踏み入れたのは何も小言を言う為でも、編み物を手伝う為でもない。
バイトや家事の合間に伝手を頼って調べた情報を、家族に伝える為だったのだ。

霞「あの時…ご当主様が言っていた事が気になって調べていたのだけれど…」
小蒔「分かったんですか?」
霞「えぇ。お祖母様が話してくれたわ」

霞の言葉に小蒔はそっとベッドのスペースを空けた。
それは霞の話が立ったまま出来るようなものではないと理解したからである。
何せ、それは神代の巫女にも伏せられていた神代家の陰とも言うべき歴史なのだから。
その真偽を確かめるのに神代家にも近い祖母に接触した霞を労う為にもそうするべきだと判断したのだ。

霞「500年前の巫女が暴走したキッカケには…確かに須賀という名前の人が関わっていたそうよ」
小蒔「そう…ですか…」

そんな小蒔の隣に腰を下ろしながら霞はそう切り出した。
それに小さく頷く小蒔の胸中には、「やっぱり」という言葉が真っ先に浮かんでくる。
それは勿論、あの時、あの場所で神代家のトップである小蒔の父が嘘を吐く理由がなかったからだ。
どれだけ激昂していたとしても、彼は無駄な嘘を吐くタイプではない。
疎まれ離されていたとは言え、その程度の理解が出来る程度には小蒔は父の事を大事に思っていたのだ。


霞「当時の巫女は既に結婚していた。けれど、それは彼女にとって望まない結婚で…二人は駆け落ちしようとしていたみたい」
小蒔「駆け落ち…」

その言葉に小蒔はそっと胸を抑えた。
それは微かに胸の奥に走る同情と痛みを和らげる為である。
当時とは状況こそ違えども、小蒔もまた駆け落ち同然に家を飛び出しているのだから。
その二人の末路を知っているが故に、似た境遇の小蒔にとって、それは胸を痛めるものだったのだ。

霞「巫女を手助けしようとした人がいたのもあってそれは途中まで順調だった。けれど…結局、二人は捕まってしまって…」

そこで霞が言葉を濁すのは、そこから先の二人が悲惨であったからである。
巫女を連れ出した男は追手に殺され、巫女はそれを目の前で見せつけられた。
それは政略結婚とは言え、結婚したばかりの妻に逃げられた男の嫉妬もあったのだろう。
だが、結果として巫女はその身に怒りと絶望を満たし、降ろしてはいけないものを降ろしてしまった。

霞「その結果、起こった永禄噴火。そこで生き残った人々の中には…巫女の駆け落ちを手引きした人もいたの」
霞「その人は責任を追求されたわ。巫女を失う直接的な原因ではなかったとは言え、間違いなくその一因にはなっていたんだから」

続く霞の言葉も陰鬱なものだった。
今にもため息を漏らしてしまいそうなそれは仕えてきた家の暗部を知ってしまったからである。
勿論、霞とてもう子どもではなく、諸手を上げて称賛出来るほど神代家が素晴らしいものだと思っていた訳ではない。
しかし、小蒔の純朴さに少なからず助けられてきた彼女にとって、神代家とは護るべきものであったのだ。


霞「でも…殺したりは出来なかった。それは…その人が生き残った中では尤も神代の本流に近い人だったから」

それを覆すような事実を小蒔に伝えるのは霞とて辛い。
ある程度、世間慣れしている自分ならともかく、小蒔がそれに耐えられるかという不安はどうしてもあった。
だが、それは小蒔直々に調べて欲しいと頼まれていた事だったのである。
それを黙っている事は出来ないし、何より、小蒔には霞以外に頼れる人が沢山いるのだ。
霞はまだ認めきれてはいないものの、須賀京太郎という恋人はきっと小蒔の苦しみと悲しみを受け止めてくれる。
そう思いながら、霞はゆっくりと口を開き、神代家のタブーを口にした。

霞「老人たちは考えたわ。何とか巫女を…神代家を復興させなければいけないと。そして…もう二度と巫女が失われない為に予備の血統を作らなければいけないと」
小蒔「まさか…」

その言葉の意味するところを小蒔もまた気づいた。
一度、途絶した血筋を取り戻す事なんて不可能である。
そもそも人間というものは数えきれないほど交配を繰り返し、その多様性を得てきた種なのだから。
だが、それに近い血筋のものさえ残っていれば、それに出来るだけ近づける方法はある。
それは ――

霞「…えぇ。神代家は…近親婚を繰り返し…巫女を取り戻そうとしたの。その結果…生まれたのが今の神代家と六女仙」

500年も前とは言え、近親婚を繰り返す事の禁忌は知れ渡っていた。
そんな中でかつての栄華を取り戻す為に近親婚を続ける狂気がどれほどのものだったのか霞には分からない。
だが、その結果、生まれたのが自分たちだと思うと暗く、陰鬱な気分になる。
六女仙のルーツであり、巫女を逃した『責任』を取らされたであろう彼女の末路を思えば、尚更だ。


霞「六女仙が大事にされていたのも…有事の際には巫女になりうる存在だから。そして…神代家の男子に嫁ぎ、血を濃くする為の存在だったから」

そう自嘲気味に口にする霞の声は少しだけ疲れていた。
勿論、霞とて六女仙などと持ち上げられて、良い気になっていた訳ではない。
だが、誰よりも巫女の傍に居て、その心を導き、護る存在であると誇らしさを感じていたのである。
しかし、現実は巫女の予備や血を濃くする為の道具程度にしか思われていなかった。
その事実に霞はため息を吐きたくなるのを堪えながら、そっと小蒔の反応を待つ。

小蒔「きっと…その所為…なんですね」
霞「えっ」
小蒔「私達がそんな風に…家族を蔑ろにしてしまったから…だから、九面様たちは…あそこを男子禁制にしたんだと…そう思います」

数秒後、霞の耳に届いたのは漏らすような声だった。
それに驚きながらじっと見れば、そこには俯く彼女の顔がある。
悲しさとやるせなさを浮かべるそれは九面という神々に同情しているからだ。
『神代の巫女』の中でも、誰よりも九面という神々に近い彼女にとって、それは真っ先に浮かぶものだったのである。

霞「そう…ね」

500年前の一連の事件の中…一番、辛かったのは誰か霞には分からなかった。
あくまで霞は祖母から聞いただけであり、その時代に生きていた訳ではないのだから。
だが、身内を傷つけ、狂気に陥るような巫女の家系を見て、その家系へと加護を授け続けた神々が辛くなかったはずがない。


霞「(でも…私は自分の事で頭が一杯で…)」

これまで少なからず尽くそうとしてきた家の知りたくなかった『真実』。
それに霞が最初に覚えたのは強いショックであり、誰かに対する気遣いではなかった。
勿論、それは人として当然の反応であり、彼女が自己中心的な人物である事を意味しない。
寧ろ、そうやって真っ先に主祭神の辛さに思い至る小蒔の方が異常だと言っても良いだろう。

霞「(何だかんだ言いながらも…やっぱり小蒔ちゃんは神代の巫女なのね)」

そうやって真っ先に主祭神の事を思う小蒔のそれは優しさだ。
霞にこの子だけは辛い思いをさせないように護ってあげようと心に決めさせた小蒔の美徳である。
しかし、それだけとは思えないのは、彼女の特殊性を彼女は何度も目にしているからだろう。
これまでの巫女と比べても一線を画するその力は、器としてではなく、側に並び立つ『神々の花嫁』としての面が強い。
そんな彼女が真っ先に主祭神への優しさを見せたという事に、霞は彼女が未だに根本的な部分では『神代の巫女』であり続けているのを感じた。

小蒔「でも…私…少しだけ嬉しいです」
霞「えっ…?」

けれど、その瞬間、聞こえてきた小蒔の声を霞は理解する事が出来なかった。
何せ、今語ったそれはあまりにも陰鬱で、知りたくなかった事実なのである。
恐らくこうして神代の外に出なければ祖母だって教えてくれなかったものなのだ。
そんな暗い事実を伝えて、嬉しくなれる要素が何処にあるのか。
そう思う霞の前で小蒔は恥ずかしそうにはにかみながら、ゆっくりと口を開いた。


小蒔「だって…もし、本当にその須賀さんたちが京太郎様のご先祖様なら…私達は運命的な出会いをしたって事ですから」
霞「あ…」

一時は引き離され、無縁となったはずの二つの家系。
それが500年の時を経て、再び結ばれようとしている事に小蒔は運命を感じていた。
勿論、そうやって過去、災厄に見舞われた人たちに対する同情がない訳ではない。
だが、その一方で、小蒔は思うのだ。
そうまでして結ばれなかった二人の為にも、今度こそは結ばれなければいけないと。
愛する京太郎に選んで貰わなければいけないと、そう決意を新たにしたのである。

霞「まったく…小蒔ちゃんったら」
小蒔「えへへ…」

勿論、それが強がり混じりなのは霞も気づいていた。
小蒔は優しく、感受性の強いタイプなのだから。
そんな彼女がこんな苦しい話を聞いて、心から嬉しいと思えるはずがない。
だが、それを表に出さず、こうして前向きに捉えようとしている。
その成長が心から嬉しくなった霞はその髪を優しく撫でた。
まるで姉のような気安くも優しいそれに小蒔は嬉しそうな声をあげる。

―― ピリリリリ

小蒔「あっ」

そんな彼女の耳に届いたのは聞き慣れた時計のアラームだった。
それに小蒔が視線を机の上に向ければ、緑の光を放つ時計が目に入る。
そこに映しだされている数字はもうそろそろ家を出なければいけないものだった。
だからこそ、小蒔はそっとベッドから立ち上がり、霞に対して頭を下げる。


小蒔「ごめんなさい。そろそろ京太郎様のお家に行かないと…」
霞「あぁ、そう言えば今日はお泊りだったものね」
小蒔「はいっ♪」

そう嬉しそうに小蒔が応えるのは、今日の須賀邸には彼の父母がいないからだ。
お陰で思いっきり愛しい婚約者に甘えられると思うと、ついつい頬が緩んでしまう。
勿論、暖かな京太郎の両親の事は実の親以上に大切に思ってはいるが、あくまでそれだけだ。
思う存分、能力の影響もあって心酔している相手に愛してもらえる魅力にはどうしても敵わない。

霞「じゃあ、須賀君によろしくね」
小蒔「分かりました!」

そして、それは自分たちもまた同様だ。
それを理解する霞は小蒔の邪魔をしないようにベッドから立ち上がり、そっと部屋を去っていく。
その後姿を見ながら、小蒔は小さく鼻歌を歌い、準備を始めた。
愛用の性玩具をカバンへとそっとしまい込み、鏡に向かって髪や肌の張りをチェックする。
そうしている内に約束の時間は近づき… ―― 


―― 結局、小蒔は慌てて家を飛び出す事になったのだった。






………



……





―― 原村和という少女は努力家だ。

非の打ち所のない美少女のように言われている彼女だが、何も最初から全てを完璧にこなせた訳ではない。
今では得意と言える料理だって何度も失敗しているし、掃除や洗濯もまた同じだ。
特に麻雀という分野ではここ最近、負け続きで、あまり順調とは言えない。
しかし、それでも歩みを止めないのが、原村和が原村和たる所以だ。

和「(新妻作戦…順調ですね…)」

そんな彼女が今、最もその性質を強く発揮しているのが、親友たちから言い渡された『新妻作戦』だった。
子犬のように甘える小蒔に対抗する為に考えだされたそれは今のところそれなりの成果をあげている。
それは勿論、作戦司令本部でもある二人の親友が優秀なだけではない。
一度、失敗だと思ったところを書き出し、それを埋めるように行動する生真面目さと努力があってこそだ。

和「(ふふ…今日は何を作ってあげましょうか…♪)」

そう思いながら和が目を向けているのは、弁当を振る舞った時に京太郎が見せた反応を纏めたノートだ。
オカルトと呼ばれる領域にまで昇華したその集中力と記憶力を遺憾なく発揮して記録されたそれはいっそ病的にも映るかもしれない。
実際、和自身、そうやって全てを書き出す自分をストーカーのように思える時がある。
だが、そうやって京太郎との記録が増えていくのが嬉しくて、ついついそれらを書き出してしまうのだ。


和「(これはそこそこ好評でしたし…あ、でも、味付けはこっちの方が好みなんでしたっけ…?)」

そんなデータと睨めっこしながら、頭の中で料理を組み立てていく時間。
それは決して楽なものではないものの、とても楽しいものだった。
こうして記録と向き合っていると、その瞬間の出来事が脳裏に浮かび上がるという事も勿論ある。
だが、それ以上に和の心を浮かれさせているのは、それを振る舞った時に京太郎がどんな反応をしてくれるか楽しみだからだ。

和「(きっと…一杯、喜んでくれますよね…♥)」

頑張れば頑張っただけ京太郎は褒めてくれる。
失敗したら京太郎は慰めてくれるだろう。
そして、どちらにせよ、自分が頑張った事に京太郎は喜んでくれるはずだ。
そう信じているからこそ、和は素直に気分を浮かれさせる事が出来たのである。

和「(ちゃんと美味しいご飯を作れば…ご褒美も貰えるでしょうし…♥)」

その浮かれた心に欲情が差し込む自分を和は少しだけ恥じた。
まるでご褒美という言葉に反応するような自分がケダモノのように思えたのである。
けれど、それを完全に厭う事が出来ないのは、それ以上に期待する和がいる所為だ。
初めて須賀邸にお邪魔して夕食を作るという一大イベントを和は待ちわびていたのである。


和「(最近は…こういった事は少なかったですから…仕方ないですよね)」

龍門渕との練習試合も終わり、京太郎はまたバイトに精を出すようになった。
お陰で彼は原村邸で食事をする事がめっきり減ってしまったのである。
勿論、触れ合いの時間は今まで以上に確保して貰っているものの、やっぱり寂しい。
部活から終わった後、実家でそのまま特訓を続ける日々を懐かしく思う和にとって、今日のイベントは決して外せないものだった。

和「(勿論、学校でお弁当を食べさせてあげるのも楽しいんですけれど…♥)」

惚気のような言葉を紡ぐ和の脳裏に、昼休みの京太郎が浮かび上がる。
和が作った料理を美味しそうに頬張るその姿は、和にとってまるでハムスターのように愛らしく映った。
モグモグと精一杯咀嚼する様に笑みを浮かべそうになった回数は数え切れないほどである。
そんな和にとって昼休みでの逢瀬は決して軽視出来ないものであった。

和「(食べ終わった後には膝枕もありますし…♪)」

それが終わった後には自身の膝に京太郎を迎え入れての休憩である。
うららかな午後の日差しの中、愛しい男を膝に載せるその時間が和は大好きだ。
うとうとと眠そうにするその顔は子どもっぽく、そして愛らしいのだから。
それを引き出したのが自分だと思うと誇らしく、そして幸せな気分になる。


和「(その所為か…最近は少しずつ京太郎君も甘えてくれるようになりました…♥)」

その他、大小様々なアピールの結果、京太郎は少しずつそのタガを緩ませ始めていた。
それまでは和や小蒔の前では頼れる男でいなければ、と彼なりに自分を戒めていたのである。
しかし、和の努力に寄ってその戒めを少しずつ緩ませた彼は、二人に対して甘えるようになり始めていた。
勿論、それは漫に対するそれと比べれば、まだまだ微弱で遠慮の残るものだ。
しかし、そんな事を知らない和にとって、その信頼が嬉しいのには変わらない。

和「(二人には…感謝しないといけませんね)」

和が二人の親友に対して、そう思うのは何もアピールの仕方を考えてくれているからだけではない。
和もまた、二人があの決意表明の場で分かっていたのである。
そもそも、和は小蒔とは違い、自分の感情を除けば、それほど鈍い訳ではないのだ。
小蒔に対する初期の反応を思い返せば、二人がどんな風に京太郎を見ていたか良く分かる。
しかし、譲ってくれた二人の親友に感謝する和は、それを追求したりする事はなかった。

和「(きっと…やきもきさせていたでしょう…)」

和と京太郎の関係に気づいた時、二人がどう思ったのかは和には分からない。
だが、公然と二人っきりにするその行為は、和の背中を押してくれるものだった。
それに感謝する一方で申し訳なくなるのは、一人だけ幸せになる為か、和自身にも判別がつかない。
しかし、ふとした時にその感情は顔を出し、和の胸を曇らせる。


和「(もっと早くに素直になっていれば…もしかしたら…)」

小蒔が長野に転校してくる前に…和が二人に決意表明をしていればまだ話は違ったかもしれない。
二人は必要以上に和に遠慮する事はなく、きちんとした場で戦えたかもしれないのだ。
だが、それはあくまでIFの話であり、幾ら考えても意味のないものである。
和にもそれが分かっているものの、その仮定は根絶出来るものではなかった。

和「(私が二人に出来る一番の恩返しは…京太郎君に選んでもらう事です)」

その仮定を振り払うように頭を振りながら、和はそう考え直した。
二人が自分のサポートを決めた以上、落ち込んでいる暇などはない。
和と京太郎を奪い合う小蒔は強敵で、また遠方には上重漫というライバルも控えているのだから。
何より…和自身、もう京太郎の事に関して遠慮などしたくはない。
それほどまでに和は京太郎に惹かれ、そして支配されていた。

和「(その為にも…美味しい夕食を作ってあげないと…)」

そう決意を新たにしながら、和は再びノートと睨めっこを開始する。
その視線はさっきよりもさらに真剣で、空気も張り詰めたものになっていた。
話しかける事さえ躊躇うようなその真剣さは親友に対する後ろ暗さから逃避する為もあるのだろう。
だが、そんな自分を自覚する事がないくらい、今の和は集中していた。


「…和」
和「ひゃぅ!?」

天性の才能とまで言って良い、並桁外れた集中力。
それをかき乱したのは後ろから投げかけられた男性の声だった。
京太郎のそれとは比べ物にならないくらい低く、そして落ち着いたトーンのそれに和がビクンと肩を跳ねさせる。
そのままそっと声のした方に目を向ければ、そこには苦虫を噛み潰したような父の姿があった。

和「お、お父さん…」
「何をしているんだ?」

そう和に話しかけながら近寄ってくる彼はスーツ姿であった。
ついさっきまで仕事であった彼はようやく自宅へと戻る事が出来たのである。
しかし、玄関で帰宅を告げても、愛する妻はおろか娘からの返事もない。
不審に思った彼がリビングへと入った瞬間、そこには真剣な表情でノートを睨めつける和の姿があったのだ。

和「え、えっと…」

そんな彼にあけすけに事実を話すのを和は躊躇う。
彼女は彼女なりに父の事を尊敬してはいるが、それはあくまでも男親に対してのものだ。
何もかもを話せるようなベタベタとした関係ではなく、適度な距離を取って付き合っている。
そんな相手に親友相手にさえ言いづらかった報告を出来るはずがなく、和は口篭ってしまった。


和「(それに…お父さんは京太郎君の事を嫌っているみたいですし…)」

以前、京太郎が原村邸を尋ねた時、応対したのは彼だった。
その時から彼は口には出さないものの、京太郎の事を嫌っているのである。
そこに娘を渡したくはない男親独特の心理が働いているのだが、それに和は気づいてはいない。
彼女にとって事実なのは自身の父が京太郎の事を嫌っている事であり、そしてそれが自分の心情の吐露を阻んでいるという事だけだ。

和「き、今日の献立を考えていました」
「その割には大分、真剣だったようだが…」

和の言葉に彼はそう返しながらも、深く追求する事はなかった。
そもそも多少、不思議に思った程度で、愛する妻の仕事のように理論詰めて事実を求めるつもりなど最初からなかったのだから。
娘が何か自分に対して、心から後ろ暗い事をするような子ではないと彼は信頼しているのだ。

「(それでも…最近は色々とあるようだが…)」

勿論、それを和から聞いた事はない。
しかし、真実に携わる仕事をする彼にとって、娘の変化というものは容易く見て取れるものだった。
とは言え、それは深刻なものではなく、また男親である自分には話しづらい類のものだと理解もしていたのである。
だからこそ、彼は自分に対して隠し事をしている我が子の事を追求せず、これまであまり干渉しようとはしなかった。


和「あの…今日は早いんですね」
「あぁ…少し顔を合わせるだけだったからな」

そんな娘の言葉に彼は小さく頷きながら、ネクタイを緩める。
そのままキッチンの中へと入っていく彼の背中を和はドキドキしながら見送った。
今日も仕事だと聞いていたので、てっきり夜中まで帰ってこないものだと思い込んでいたのである。
だからこそ、彼女は堂々とリビングでノートを広げ、京太郎へと振る舞う料理に悩む事が出来たのだ。

「ん?」
和「あっ…」

本来ならその目論見が崩れ去ったところで和は自室へと撤退するべきだったのだろう。
だが、急な親の帰宅という予期せぬアクシデントに和は冷静さを失っていたのだ。
結果、机の上に広げっぱなしであったノートを父に見られてしまう。
それに和が自分の迂闊さを呪った時にはもう遅い。
ジワジワと漏れだすような父の不機嫌さに和は肩を縮こまらせ、その顔をそっと俯かせてしまう。

「…和」
和「は、はい…」

そんな娘に彼は何を言えば良いのか分からなかった。
勿論、ノートに細かく書いてあった内容は娘が誰かに懸想している証なのだと分かっている。
その文面や踊るような文字など、見ているだけでも娘の歓喜が伝わってくるくらいなのだから。
だが、それに対して、自分がどんなアクションを取るべきなのか、彼は自分でも良く分からなかった。


「(結局は…私も追求する事を恐れていただけなのかもしれないな)」

久方ぶりに感じる自分の狼狽に彼は自嘲気味にそう思った。
寛容で理解力のある父親…というポーズを取っていただけで、結局は自分に不都合な事実から逃げていただけなのだと。
実際、こうして予想もついていた事を目の当たりにして、彼はどう対応するべきか迷っていたのだから。
そんな自分が弁護士という仕事に就いている事に少なからず自嘲を覚えながらも、彼はゆっくりと口を開いた。

「…お前は母さんに似て、頭が良いのに思い込むと一直線なところがあるからな」

そう紡ぐ言葉には追求の意図はなかった。
しかし、それは彼が目の前の事実から逃げているという事を意味しない。
自身の弱さを自覚した今、それを是正する強さがこの男にはあるのだから。
その言葉は理解力のある父親を演じるものではなく、本心から紡がれるものだった。

「時には自分を思い返すクセをつけなさい」
和「え…」

それだけ言ってノートから自分から目を離す父親の姿が和は信じられなかった。
あれだけ京太郎に対して拒否反応を示していたのだから、てっきり深く追求されると思っていたのである。
しかし、彼は京太郎の名前すら出さず、アドバイス一つだけで済ませた。
そこにはかつて和と大喧嘩するほど京太郎を嫌っていた父の姿はなく…だからこそ、そう驚きの声を返してしまうのである。


「何だ?もっと言われたかったのか?」
和「そういう訳じゃ…ないですけれど…」

そんな娘に返される彼の声は少しだけ浮かれたものになっていた。
それが冗談の類であると娘である和には十二分に伝わっている。
しかし、それに安堵する事が出来ないのは、目の前の父の姿が彼女にとって違和感そのものだからだろう。
何か企んでいると思う訳ではないが、本当にこれで良いのだろうか。
どうしてもそう思って内心、首を傾げてしまうのである。

「…私とて無闇矢鱈と反対している訳じゃない」

そう言えるのは彼が京太郎の誠実さを内心、認める事が出来ていたからだろう。
あの日、娘に会う為だけに待ち続け、頭を下げた京太郎の事をそれなりに評価していたのだ。
流石に交際相手として手放しに喜べる相手ではないにせよ、悪い人間ではない。
そう思える程度には彼は京太郎の事を信頼していた。

「それにお前は聡い子だからな。惚れて良い相手とそうでない相手の区別くらいは出来るだろう」

そして、それ以上に彼が信頼していたのは娘の事だ。
彼の愛する妻の血を引く和は聡明で、悪い男には騙されないと思っていたのである。
ならば、ここで下手に反対して、娘の態度を頑なにさせるべきではない。
前回、京太郎の事で大喧嘩してしまった事を彼も少なからず反省していたのだ。


「そして…お前は私に似て頑固だからな。親に言われた程度で自分を曲げはしないのは…私が良く分かっている」

そう言いながら彼が自嘲気味に笑うのは、自身もまたそうやって親と衝突した経験が少なからずあったからだ。
特に恋愛関係では一度も譲った事はなく、今の妻との結婚も半ば強引に強行した経緯がある。
そんな彼の頑固さを受け継いでいるであろう娘の頑なさを言葉で変えられるはずがない。
ましてや、まだ相手のことを殆ど知らない自身の言葉で心変わりするような軽薄な人間に育てたようなつもりもないのだから、ここで論じても無駄である。

「以上の事から私はお前にとやかく言うつもりはない。好きにしなさい」

そう言葉を結ぶ彼に和はポカンとした表情を向ける。
その視線には納得と驚きが混じり、何とも言えない微妙な色を見せていた。
どうやら自分はよっぽど理解のない親だと思われていたらしい。
それに少しだけ悲しさを感じながら、彼はそっと口を開いた。

「…その代わり、今度、相手の男を連れて来い。じっくりと話をする必要がありそうだからな」
和「お、お手柔らかにお願いします…」

その言葉に和がぎこちなく返すのは、父の声が真剣そのものだったからだろう。
冗談の余地など欠片も許さないその鋭い声に和の表情が微かに引きつる。
とは言え、彼としてもそれは決して譲れないラインだ。
娘のことを信頼しているとは言え、相手の男を見極めるのは親の義務なのだから。
もし、自分の思い違いで信頼出来ない男だと思えば、すぐさま追い返してやろう。
そう心に決めながら、彼はそっと冷蔵庫を開き、中から牛乳を取り出した。


和「あの…」
「ん?」
和「…有難うございます」
「…別に…感謝されるような事じゃない」

それをコップに淹れる父に和はそう感謝の言葉を放った。
しかし、彼がそれを素直に受け取れないのは、娘に窮屈を強いているからだろう。
両親ともに法関係の仕事をしている都合上、和は家に一人でいる事が多いのだから。
それだけならまだしも幼い頃から優秀な和に家事まで任せっきりになっている。
生きていく為にそれも仕方がないとは言え、申し訳ないと思う気持ちは彼の中にはあったのだ。

―― ボーン

和「あっ」

瞬間、リビングに鳴り響いたその音は夕方の4時を告げるものだった。
それに和が声をあげるのはそろそろ京太郎と約束していた時間だからである。
まだ献立もしっかり決まっている訳ではないが、道中でスーパーに寄る都合上、そろそろ出かけなければいけない。

和「あの…お父さん、今日は…」
「出かけるのか?」
和「…はい。帰りも遅くなると思います」

そう思った和の言葉はほんの少しだけ嘘が混じっていた。
そもそも両親が仕事だと聞いていた彼女は、最初から須賀邸へ泊まるつもりだったのである。
しかし、この話の流れで泊まると言えば、折角、寛容な反応を見せた父を怒らせるかもしれない。
歩み寄ってくれた父に嘘を吐くのは心苦しいが、そうなるとまた喧嘩になり、遅刻するのは必至だ。
それだけは避けなければいけないと思った和は反射的に嘘を吐いてしまったのである。


「…そうか」

それを感じ取りながらも、父は何も言わなかった。
代わりにコップに入った牛乳を一気に口の中へと流し込む。
冷えた液体は身体の中をそっと通り抜け、娘に嘘を吐かせた男に対する小さな苛立ちを和らげてくれた。

「気をつけて行って来なさい」
和「はい」

そのまま娘から視線を外す父に和は小さく頷いてから歩き出す。
そのウキウキとした後ろ姿は久しく彼が見ていないものだった。
何処か子どもっぽくも見えるそれは目下、青春を謳歌している年頃としては当然のものだ。
しかし、彼が記憶を掘り返してもそうやって浮かれる和は十年以上前にしか出てこなかった。

「(いや…和もまだ子どもなんだな…)」

彼にとって和はとても物分かりの良い子であった。
最近は落ち着いてはいるものの、転勤ばかりでろくに友達が作れない事に文句を言われた事はない。
だが、それは決して彼女が何も感じていない事を意味してはいなかったのである。
きっと不満はあっただろうし、苦しませていた。
それを理解しながらも…成長する娘の姿と仕事を理由に意識の奥底へと追いやっていたのは事実である。


「(結局…私はちゃんと娘の事を理解できていなかったのか)」

東京の進学校を勧めたのも、それが娘の為になると思ったからだ。
しかし、それは決して学歴というステータスを得る為だけではない。
寮制がしっかりしているそこならばいざ転勤となっても和を連れて行かなくて良いと思ったからである。
そこでならきっと和は友達を作って、普通の子どものように過ごす事が出来る。
そう思ったからこそ、多少、強引ではあれど、彼は和をそこに入れようとしていた。
しかし、それが親のエゴでしかない事を彼が今、ようやく心から理解したのである。

「(和にはもう本当の意味で親など必要ないかもしれないな)」

親よりももっと大事で、そして護ってくれる人が和の周りにはいる。
自分たちにはもう見せなくなったその姿から、それを悟った彼は一人になったリビングで小さくため息を吐いた。
庇護下から巣立とうとしている娘の姿に彼は寂しさを覚えるものの、それを引き止める術は、親にはない。
あったとしても、大人の都合に和を巻き込み続けた自分にそんな資格がない事を彼は良く理解していた。

「(…アイツが帰ってきたら…久しぶりに外食にでも行ってみようか)」

その寂しさを共有出来るたった一人の伴侶。
その姿を脳裏に浮かばせながら、彼はそっと懐から携帯を取り出した。
そのままメールを打つ手は普段と違って、とても鈍い。
まるで久方ぶりにデートを誘うようなそれに、敏腕弁護士と謳われる判断力を発揮出来ないのだ。
結果、たった一つのメールを作るのに数十分ほど悪戦苦闘を繰り返し… ――



―― その間に飛び出していた娘を見送る事も出来なかったのだった。






………



……




―― 結局、和が須賀邸へとたどり着いたのは夕方の五時を過ぎた頃だった。

家を出た時刻こそ予定通りだったものの、思わぬアクシデントに献立は決まっていないままだったのだ。
結果、スーパーへと立ち寄った和は食材を前に悩み、中々、決める事が出来なかったのである。
普段なら即断即決出来るはずのそれを胸中で少しだけ楽しみながら、レジを通った頃には既に時間は危険域に達していた。
だが、両手いっぱいに買い物袋を掲げた和が走ったり出来る訳もなく、両手に掛かる重さに苦しみながら須賀邸へと到着したのである。

和「(こんな事ならもっと早く出ればよかったです…)」

父に見つかってテンパって居たとは言え、見通しの甘かった自分。
それに自嘲混じりの言葉を浮かばせながら、和はそっと肩を落とした。
既に肩にはコリと共に疲労感が浮かび上がり、冬の外気の中でもはっきりと分かるくらいの汗を見せている。
その不快感に大きく息を吐きながら、和はそっとインターフォンに手を伸ばし… ―― 

小蒔「あれ?」
和「えっ?」

瞬間、聞こえてきた声に和の指は固まった。
そのまま声の聞こえてきた方に視線を向ければ、そこには見慣れた黒髪の少女が目に入る。
紅白が目に映える巫女服を身に纏ったその少女は、和の部活仲間であり目下恋敵として対立中の神代小蒔だ。


小蒔「…」
和「…」

固まった二人の間に微妙な空気が流れるのは、二人ともその手にスーパーの袋を下げているからだろう。
普通のものよりも幾分大きなそこには所狭しと食材が並べられていた。
そんなものを掲げてこうして須賀邸の近くにやってくる恋敵の目的に気付かないほど二人共鈍くはない。
だからこそ、二人はけん制をしあうように沈黙を続け、じっとお互いの顔を見続けるのだ。

小蒔「(ど…どうしましょう…)」
和「(どうすれば良いんですかぁ…)」

そんな二人の内心は奇しくもまったく同じものだった。
共に師匠であり弟子でもあるという特殊な関係上、普段の二人は良好な関係を保っている。
少なくとも修羅場を見せる事などはなく、恋焦がれる相手を譲ったりする事もあるのだ。
そんなフェアな戦いを心がけている二人とは言え、こうして休日に ―― しかも、親がいないと知らされている須賀邸の前で ―― 会うのは気まずくて仕方がない。

小蒔「(も、勿論…そういう…事…ですよね?)」
和「(神代さんもその…京太郎君に愛されに…)」

それは勿論、自分たちがただ食事を作りに来た訳ではない事を理解しているからである。
婚約者として、そして愛玩奴隷として愛される為に二人はこうして貴重な休日を潰してやって来ているのだ。
相手もまた食事の先を期待していると分かっているだけに二人は見つめ合い、沈黙を貫く。


小蒔「あの…原村さんは…どうしてここに?」
和「そ、それは…」

それを破ったのは小蒔の方だった。
軽いジャブから入るその言葉に和は口篭る。
幾らか素直になり、感情をストレートに示すようになったとは言え、彼女の羞恥心は強いままなのだ。
恋のライバルに対して意中の相手に料理を作りに来たとは中々、言い難い。

和「き、京太郎君に…料理を作りに…」

それでもポツポツと言葉を漏らすのは、和が小蒔に負けたくないと思っているからだ。
今や二人の親友の期待までもその背に背負う和にとって、自身の敗北は親友の敗北でもあるのだから。
だからこそ、普段であれば中々口に出来ないであろうそれを戸惑いながらも口にし、小蒔の事を真正面から見返した。

小蒔「そう…ですか。私も…同じ…だったりして…」
和「そう…ですよね」

そんな和に返すのはその手に掲げたスーパーの袋を持つ小蒔の言葉だった。
彼女と同じ目的である事を告げるそれは途切れながらもはっきりとしている。
それは勿論、つい先ほど聞いた霞の話が彼女の背中を押しているからだ。
500年前に結ばれなかった先祖の為にも、ここは譲れない。
その覚悟で怯みそうになる心を支えながら、小蒔は和を見つめ続ける。


小蒔「……」
和「……」

とは言え、二人は二の次の言葉を紡げない。
二人共、譲るつもりはないにせよ、相手のことを無視して押し通れるタイプでもないのだ。
出来れば納得して帰って欲しいと思っているし、穏便に済ませたいのである。
しかし、その為の方策が浮かぶはずもなく、ただただ無為に時間だけが流れていった。
その間に食材が傷んでいくという事を理解しながらも二人は達人同士の試合のように一歩も動けなかったのである。

和「(このままじゃ…時間が…)」
小蒔「(ち…遅刻しちゃいます…っ)」

しかし、そうしている間にも京太郎と約束していた時間が迫る。
それに焦りを覚え始めながらも、二人とも恋敵を遠ざける良い案が浮かびあがったりはしない。
勿論、二人共、今日は譲る代わりにまた後日…というのが一番、角の立たない方法だと理解している。
だが、京太郎と今日のこの時間に会うと約束しているという事実がそれを選びがたいものにしていた。
約束を違えて京太郎に嫌われたくはないと思う二人にとって、今日は決して譲れないものだったのである。

和「(妥協…するしかありません)」
小蒔「(このままじゃ…時間を無駄にするだけ。だから…)」

和・小蒔「「あ、あのっ」」

だが、このまま我を張り続けていても時間を無駄にするだけ。
そう同時に判断した二人はほぼ同時に口を開く。
その後に気まずい表情を浮かべるタイミングさえ一致する二人はまるでコントのようだろう。
だが、夕方の住宅地でそんな二人を見ているものは誰もいなかった。


和「あ…じゃあ…神代さんから…」
小蒔「いえ…原村さんの方から…どうぞ」
和「いや…私はその…大したものじゃないので…」
小蒔「私も…あんまり重要な事じゃないですから…」

だからこそ、自分たちでギクシャクしている雰囲気を突破するしかない。
そう判断した二人は言葉の先制権を譲り合い、そしてお互いに辞退しあう。
それは妥協するのは相手の出方を見てからで良いという打算があったからである。
勿論、相手に遠慮する思考がない訳ではないが、それは打算に比べれば小さなものだった。

和「じゃあ…あの…い、一緒に…作りません…か?」
小蒔「え…」

そんなループを断ち切ったのは和の言葉だった。
それに小蒔が驚きの声を返すのは自分も同じ事を考えていたからである。
このままお互いにけん制を続けるよりは何かしらの方法で京太郎にジャッジを任せた方が良い。
能力によって自分たちを縛っている彼の言葉にはお互いに逆らえないだろうとそう思っていたのだ。

和「その後の事は…京太郎君に任せる…という事で」
小蒔「ふふ…そうですね」

そして、それは和もまた同じだった。
ただ、小蒔と違うのは京太郎が約束を違えたりはしないという打算があった事だろう。
ちゃんと前もって約束しているのだから、京太郎はきっと自分を選んでくれるはず。
そう判断を下す和の脳裏には京太郎が小蒔とも約束しているかもしれないという思考は欠片もない。
彼女にとって京太郎はそんな不誠実な事をするような相手ではなかったのだ。


和「じゃあ、押しますね」
小蒔「はい」

―― ピンポーン

結局、和が須賀邸にたどり着いてから十数分。
その間、ずっと宙に浮き続けていた指が今度こそインターフォンへと辿り着く。
それに反応して人の気配が扉へと近づいてくるのを二人はじっと待った。
数秒後、ゆっくりと開いていく扉の向こうから彼女たちが恋焦がれる金色が現れる。

京太郎「いらっしゃ…ぃ…」

京太郎の言葉が小さく窄んでいくのは、目の前の状況が意外なものだったからだ。
勿論、二人に指定した時刻が一緒だっただけにまったく予想していなかった訳ではない。
しかし、こうして二人一緒に須賀邸に顕れる確率なんて本来ならばかなり低いはずなのだ。
それをピンポイントで引き当てる自分の運の悪さに彼は顔を引き攣らせてしまう。

小蒔「京太郎様…」
和「京太郎君」

そんな彼の名前を呼びながら二人は笑みを浮かべて近づいていく。
それは勿論、京太郎の事を責める為のものではなく、彼と会えたのが嬉しかったからだ。
骨身どころか魂までも能力に支配されている彼女たちにとって、数時間の別離でも久しく感じられるのだから。
しかし、後ろ暗い感情を抱く京太郎にとってそんな彼女たちのにこやかな笑みが妙に迫力あるものに感じられた。
分かっていてダブルブッキングを仕組んだ彼にとって、それは責められているものにしか見えなかったのである。


小蒔「とりあえず…原村さんと一緒に料理を作りますね」
和「諸々の事は後で相談しましょう」
京太郎「あ、あぁ…それと袋持つよ」

しかし、彼の後ろ暗さなんて二人に分かる訳がない。
京太郎がぎこちないのも予期せぬイベントに驚いているだけだと思っていたのである。
だからこそ、二人はそう冗談めかして言いながら、玄関へと近づいていく。
そんな二人を招き入れながら微かに胃が痛くなるのを感じながら、京太郎はそっと二人に手を差し出した。

和「でも…」
小蒔「良いんですか?」

勿論、二人にとって、その優しさは嬉しい。
二人分とは言え、ご馳走を作ろうとしていたのだからその荷物はそれなりに重かったのである。
それを彼に預けてしまいたいという気持ちは二人の中にも間違いなくあった。
しかし、それを躊躇うのは京太郎の手が二つしかないからである。
お互いに2つずつ、合計4つの袋を彼に負担にならないか、二人は不安になっていたのだ。

和「(一つだけ渡して一緒に…って言うのが理想なんですけれど…)」
小蒔「(先にそれを選んだら…原村さんに同じことをされそうですし…)」

何より、自分の持つ袋を全て彼に渡したら相手にアピールさせる余地を作ってしまう。
さりとて、一つだけ手渡すのであれば、相手も同じ事をするだろう。
そうお互いに同じことを思った彼女たちは動く事が出来ない。
こうしてお互いの存在を認めるに至ったにせよ、二人は未だライバル同士なのだから。
普段は暗黙の了解で結ばれているものの、それを反故にしない領域では相手に先んじたいのが本音だったのである。


京太郎「いいから。4つくらいリビングまで運ぶくらいなら余裕だし」
小蒔「あ…っ」
和「…じゃあ、お願いします」

しかし、根が鈍感な京太郎が二人の逡巡に気づくはずもない。
迷う二人がただ遠慮しているだけだと判断した彼は、少しばかり強引に二人から袋を受け取った。
そのままスタスタとリビングへと歩いていく彼の背中を追いかけながら、二人は開け放された扉を潜る。

京太郎「よっと…」

そんな二人の前で京太郎は4つの袋をテーブルへと置いた。
四人がけのそれはそれなりに大きなサイズではあるものの、4つも袋があると狭苦しく見える。
まずはそれを片付けるべきか、或いは京太郎を労うべきか。
それをお互いの瞳から確認した二人はほぼ同時に口を開く。

小蒔「お疲れ様です。お礼に私がお茶、淹れますね」
和「じゃあ私は冷蔵庫開けさせてもらって良いですか?もう冬とは言え、このままじゃ落ち着きませんし」
京太郎「いや、良いよ。二人はお客さんな訳だし、俺が動くって」

ある意味では同じ相手に恋する同志だからか、一瞬でお互いの意思を確認してみせた二人。
そんな彼女らに京太郎が口を開くものの、彼は二人の手でそっと椅子へと移動させられてしまう。
優しく、けれど、有無を言わさないそのコンビネーションに京太郎そのままストンを腰を下ろすしか無い。


小蒔「いいから。座っててください」
和「そうですよ。京太郎君は主賓なんですから」

そのまま連れ立つようにキッチンの中へと入っていく二人の背中を京太郎は見送る事しか出来なかった。
そんな自分に小さく自嘲を浮かばせながらも、幸せを感じるのはキッチンの中で動く二人がとても魅力的だからだろう。
タイプこそ違えども、紛れも無く美少女と言っても良い二人が自宅のキッチンで、しかも、自分の為に動いてくれている。
それは世の男性諸君の顔に笑みを浮かばせるのには十分過ぎる光景だろう。

京太郎「(ホント…洒落にならない質の悪さだよなぁ…)」

だが、京太郎はそれに安易に浸る事が出来ない。
それは勿論、その光景を自分の手で作り出せたものではないからだ。
ある日突然、自分の身に宿った特殊な能力 ―― オカルトとも言われるそれを知らず知らずの内に振るってしまった結果なのだから。
勿論、自身の能力がなければ、どうであったかと仮定の未来は分からない。
だが、世の男性全てが羨むような目の前の光景を見る事が出来ない事くらいは彼にだって推測する事くらい出来た。

京太郎「(性的快感による相手への支配…或いは洗脳か…)」

鹿児島での神代家当主との話から、その能力の根源は分かっていた。
小蒔と同じく神から与えられたそれは零細神社が、霧島という他の神の支配下で生き残るには必要なものだったのだろう。
しかし、京太郎はその子孫であるとは言え、大国主を信仰していた訳でも、何か危機的状況にあった訳でもない。
それなのにこうして自分の中に能力が芽生えたのは一体、どういう事なのか。
それは彼にとってずっと悩みの種だったのである。


京太郎「(俺が…そういうの欲しいって…そう思っていたからなのか?)」

清澄が全国優勝を果たした瞬間、誰よりも傍にいて、けれど、部外者だった京太郎。
彼にとって宮永咲や片岡優希が持つような能力は眩しく、そして羨ましいものだった。
それに嫉妬を覚えた事はないにせよ、能力さえあれば皆の練習相手くらいにはなれるのに。
そう思った回数は京太郎自身、覚えてはいなかった。

京太郎「(結局…俺も小蒔に偉そうに言えるほど自分の事ちゃんと分かってなかったって事かなぁ…)」

それを自分の血筋を守護する大国主が聞き届けてくれたのか彼には分からない。
小蒔のように神を相手に対話をするような能力など京太郎にはないのだから。
しかし、もし、そうなら自分はこうまでお節介を焼いてくれている相手に恐ろしいまでの不義理を続けている事になる。
それを思うと何となく申し訳なくなり、最近は部屋に小さいながらも神棚を作ったりした。
そんな迷走する自分に彼が一つ苦笑を浮かべた瞬間、二人はキッチンからそっと抜け出し京太郎へと近づいてくる。

小蒔「はい。どうぞ」
和「熱いですから気をつけてくださいね」
京太郎「おう。ありがとうな」

そう言いながら差し出されたお茶に京太郎はそっと口をつけた。
瞬間、芳醇な緑茶の香りがそっと広がり、口の中を楽しませてくれる。
スーパーでパック詰めになっている安い茶葉のはずなのに一体、どうしてここまで美味しく出来るのか。
そう思うほど豊かで優しい風味に京太郎はつい頬を綻ばせてしまう。


京太郎「うん。美味しい。小蒔のお茶はやっぱり良いな」
小蒔「えへへ…」

そのまま口にした言葉に小蒔もまたその頬を緩ませた。
そう言われるのは初めてではないが、何度、言われても色褪せはしない。
京太郎から賛辞を貰う為に少なからず努力している彼女にとってそれは何時だって嬉しい言葉なのだから。
特に今はすぐそばに恋敵がいるのだから、尚更、嬉しいものである。

和「む…」

そして、逆にそれを見せつけられた和は面白く無い。
勿論、緑茶を淹れる技術や須賀邸に対する知識では劣っているという自覚はある。
だからこそ、お茶を淹れるのは譲った彼女にとって、それは仕方がないという思いはあった。
しかし、実際にこうして目の前でいちゃつかれると理不尽感は否めない。
自分だって不慣れな冷蔵庫と格闘していたのにどうして褒めて貰えないのか。
どうしてもそう思って頬を膨らませてしまうのだ。

京太郎「和もありがとな。お陰で助かったよ」
和「別に…お礼を言われるような事じゃありません」

勿論、京太郎はそんな和の気持ちも分かっている。
だからこそ、紡いだフォローの言葉に和は素っ気ない言葉を返した。
しかし、その表情が強張りから開放されたのは小蒔の目から見ても良く分かる。
何だかんだ言いながらもそうやってお礼を言われて、和もまた機嫌を直していたのだ。


小蒔「それで…どうします?今から夕食の準備をしましょうか?」

それにほんの少しばかりの嫉妬を感じながら小蒔が口にした言葉はこの場に置いては必要不可欠なものだった。
既に時刻は夕方から夜にさしかかろうとしているのだから。
京太郎と二人っきりという事もあり、お互いがご馳走を作ろうとしているのだから時間的猶予はあまりない。
どちらが何を作るかという話し合いもしなければいけないし、このままのんびりしていられなかったのだ。

小蒔「(勿論…そうしたいと思う気持ちは私の中にもあるんですけれど…)」

小蒔は基本的に京太郎との何気ない触れ合いが好きだ。
本来の彼女は無言で傍にいるだけでついつい幸せになってしまうくらいに純朴なのである。
だが、そんな彼女にとって再優先にするべきは常に愛しい婚約者の事なのだ。
彼に空腹など感じさせたくはない彼女にとって、今の安寧は後の不幸を呼ぶものである。
だからこそ、彼女はこのままのんびりするという誘惑を断ち切って、そう口にする事が出来たのだ。

京太郎「あー…その前にちょっと話があるんだけどさ」
小蒔「話…ですか?」
京太郎「あぁ。かなり重要な…これからの話」

そんな小蒔の決意を遮るような京太郎の真剣なに二人は緊張を走らせる。
そうやって重要な話と言われた二人の脳裏に、真っ先に出てくるのは京太郎の選択なのだから。
これから彼の隣に居続けられるたった一人を決めるそれを感じて、身体が強張らないはずがない。
これまで出来る事はやってきたものの、もし、自分が選ばれなかったらどうしよう、と思ってしまうのだ


和「(でも…大丈夫です。そんな事はありません)」

和がそう思うのは、今の状況があまりにもそれに適さないからだ。
その選択を伝えるのであれば、正直に「決めた」と二人に言えば良いだけなのだから。
それが二人に、いや、三人にとって重要だと京太郎も分かっているが故にこんな騙し討のような真似はすまい。
根が誠実な彼ならば自分たちが覚悟出来るように、ちゃんと前もって言ってくれるだろう。
和はそう京太郎の事を信じていたのだ。

京太郎「とりあえず…そろそろ出てきて良いぞ」

―― ガチャ

小蒔「えっ」
和「……っ!」

京太郎の声に従うようにリビングの扉が開く。
初めて須賀邸を訪れる和は知らないものの、そこは脱衣所に連なる扉であった。
そこからひょっこりと顔を出すその顔を、二人は覚えてる。
小蒔は対戦相手として、そして和にとっては映像越しでしか知らない彼女の名前は… ―― 

和「どう…して…上重さんが…?」
漫「や。神代さんは久しぶり。原村さんは…初めましてかな?」

上重漫。
この場にいるはずのない三人目の犠牲者で、二人にとっては紛れもない恋敵。
そんな彼女の登場に二人は目を丸くし、茫然とする。
ついさっきまで今日は京太郎とイチャイチャ出来ると思っていた彼女たちにとってそれはあまりにも急展開だったのだ。
息継ぎも許さないようなそれに思考が追いつかず、どうしたら良いのか分からなくなるくらいに。


京太郎「こうして皆を呼んだのは…他でもない。俺がこれからどうするかを伝える為だ」
和「え…?」

和にとって誤算だったのは、京太郎に覚悟をさせるつもりなどなかった事だろう。
つまり、彼にとっては二人が多少、混乱してくれていた方が有難い事だったのだ。
だからこそ、京太郎は二人を騙すような真似をして、こうして家へと呼び寄せた。
勢いのままに結論を口に出来るように、三人を間違いなく地獄へと引きずり込む言葉を紡ぐ為に。

和「(ど…どうする…べきなんですか…?)」
小蒔「(こ、心の準備がまだ…まだ出来ていないのに…)」

そしてそんな京太郎の目論見通り、二人は混乱していた。
最初から京太郎が自分たちを騙すつもりであった事さえ思い浮かばないくらいに。
それほどまでに冷静さを失った彼女たちは、半ば呆然と事の成り行きを見守った。。
それは勿論、彼女たち自身もまたその答えをずっと待ち続けたという事も無関係ではなかったのである。

京太郎「俺は…三人と一緒が良い。誰か一人なんて選べない」

そんな二人に告げられる言葉に部屋の中に沈黙の帳が降りた。
誰一人言葉を発さずに流れるそれは普段、彼女らの間にあるそれとは比べ物にならないほど息苦しい。
それはいきなり渦中へと落とされた二人が少しずつその顔を歪めていったからだろう。
一人は怒りに、そしてもう一人は悲しみに。
それぞれ心が命じるままに感情を浮かばせていったのである。


和「…本気…なんですか?」
京太郎「…あぁ。俺は本気だ」

数分ほどの沈黙の後、その片方 ―― 怒りを浮かばせる和は静かにそう京太郎へと尋ねた。
低く抑えられたその声は平坦ではあるものの、しかし、だからこそ京太郎には恐ろしく思える。
その感情を向けられる京太郎には、それがまるで荒れ狂う前の海のような静けさにしか見えないのだから。

京太郎「(でも…怒られるのも当然だ)」

京太郎とて自分の選択がどれだけ最悪なものか理解しているのだ。
理解して尚、彼はそれを選ばずにはいられなかったのである。
そして、そんな自分の背中を漫は押してくれた。
だからこそ、ここでヘタレる訳にはいかないと彼は必死に自分を叱咤し続ける。

和「本気で…そんな自分勝手な考えが通用するって…そう思ってるんですか!?」

そう声を荒上げるのは、和が京太郎の事を心から信じていたが故だ。
どんな形になろうとも絶対に京太郎は答えを出してくれると、自分を選ばないにしても納得だけはさせてくれるとそう信じていたのである。
しかし、現実は最低とも最悪とも言ってもまだ足りないような答えを出されるだけであった。
それは和の信頼を裏切るのには十分過ぎるもので、だからこそ、彼女は騙された悲しみよりも先に怒りを滲ませたのである。


和「分かってるんですか!?京太郎君は今、最低な事を言ってるんですよ!ただ答えを先延ばしにするよりも…酷い事を言っているんですよ!?」

それでもそうやって和が詰め寄るのは京太郎の事を信じたいという気持ちがまだ心の中にあるからだろう。
和が京太郎に恋い焦がれ、心まで任せるようになったのは何も彼の能力だけが原因ではない。
多少、性欲に弱い傾向こそあれど、京太郎が優しい人物だったから、和も心を許したのだ。
少なくとも…和にとって、京太郎はこんな全員を深く傷つけるような答えを出すような人物ではない。

京太郎「分かってる。その上で…俺は全員が欲しい。誰か一人を選ぶなんて出来ない」

だが、その信頼すらも京太郎は踏みにじる。
そんな自分の言葉に京太郎自身も傷ついていた。
そうなる覚悟はしていたとは言え、自分の言葉で目に見えて和が傷ついているのだから。
京太郎とて怒りを通り越して今にも泣きそうなその顔を見たくて、こんな答えを選んだ訳ではないのである。

和「ふざけないで…ふざけないでください!」
京太郎「ふざけてなんかいない。俺は本気だ」

しかし、それでも答えを揺るがせられない。
そう心に決めた芯を守るようにしながら、京太郎ははっきりとした言葉を返した。
それに和の目尻が一気に潤み、その頬に涙が零れていく。
しかし、和自身、そんな自身の涙が一体、どういうものなのかは分からなかった。
信頼を裏切られたが故の悲しみなのか、或いは一番だと言われていた事が嘘だったという痛みなのか。
もしくは…自分が捨てられなかった安堵の涙なのかさえも、今の和には判別つかなかった。


小蒔「冗談…ですよね?」

そんな和とは裏腹に、小蒔の表情は未だ信じられないものが強かった。
まるで自分の目の前の光景が夢だと、嘘なのだと思いこむようなそれに京太郎の胸が張り裂けそうな痛みを発する。
和よりもさらに純真な小蒔にとって、その答えはあまりにも残酷過ぎたのだ。
潤むのではなく濁っていくその瞳に京太郎は良心に押しつぶされそうになる。

小蒔「だって…言ったじゃないですか。私の事愛してるって…そう何度も…」
京太郎「…ごめん」

そんな京太郎を追い詰めるような小蒔の言葉に、彼は思わず謝罪を返してしまう。
勿論、その言葉は嘘ではなく、京太郎の本心だ。
しかし、それが自己満足の類である事くらい彼にも理解できていた。
何せ、京太郎は謝罪こそすれども考えを曲げるつもりなどないのだから。

小蒔「指輪だってほら…これ…覚えていますか?京太郎様に貰った…こ、婚約…指輪で…」

そう言いながら小蒔はそっと京太郎に右手を伸ばす。
その薬指についた白銀の指輪を魅せつけるようなその仕草は微かに震えていた。
そしてその声もまた震えさせる小蒔に京太郎は何と言って良いか分からない。
これ以上、何を言っても小蒔を傷つけるだけだとそう理解した彼はただ沈黙を守る事しか出来なかった。


小蒔「私のこと…婚約者だって…そう認めて…くれたんですよね?だから…これ…私に…」

それでも諦めず京太郎へと呼びかける小蒔の目尻からゆっくりと涙が流れ落ちていく。
つぅと一筋を描くように溢れるそれは止まる事がなかった。
まるで昂った感情が溢れ出るようなその涙を小蒔は拭わない。
そんな事をする時間すら惜しいとばかりに震える声を紡ぎ続ける。

小蒔「それなら…私が三人分…京太郎様の事を愛します…。絶対に満足させて見せますから…だから…」

その言葉に京太郎はそっと首を左右に振った。
勿論、小蒔の提案そのものに惹かれないと言えば嘘になる。
しかし、誰だって他の二人の代わりが出来る訳がないのだ。
既に三人は京太郎の心に深く突き刺さり、抜けないところにまで来ているのだから。
それを亡くした際に出来る隙間を埋めるのはどんな人だって不可能なのは目に見えていた。

小蒔「そんなの…そんなの酷いです…私…それなら…何の為に…」

勿論、小蒔とて自分が必ずしも選ばれると思っていた訳ではない。
彼女の知る和はとても素晴らしい女性で、そして漫もまた強敵であると理解していたのだから。
そのどちらを京太郎が選んでも、祝福しようと思うくらいには二人を認めていたのである。
しかし、京太郎の選択はそんな覚悟すら踏みにじる最低なものだった。
それに今まで尽くしていた日々を全て穢されたような気がした小蒔はそっと項垂れる。


京太郎「あぁ。俺は…最低だ。どれだけ罵って貰っても良い。だけど…俺は…それでも…皆が欲しいんだ」
小蒔「……」

再び紡がれる京太郎の言葉に小蒔は何の反応も返さない。
まるで打ちひしがれたように顔を俯かせ、目尻から涙を零している。
それは彼女の服に降り注ぎ、大きなシミを作るが、小蒔はそれを相変わらず拭うことはなかった。
そんな気力すらないとばかりに悲壮感を漂わせるその姿は京太郎の胸に強い痛みを走らせ、ぎゅっとその歯を噛み締めさせる。

和「…上重さんは?」
漫「うち?」
和「えぇ。何か…ないんですか?」

そんな悲痛な小蒔の様子に和はそっと涙を拭い、扉前に立ち尽くす漫へと問いかける。
そこに縋るような響きがあったのは、もうこの場でそれに否と唱えられるのが漫だけだからだ。
後はもう漫が京太郎の考えを変えてくれる事を期待するしかない。
それが望み薄なのを様々な感情が溢れる頭で理解しながらも、彼女はもうそれに縋るしかなかったのだ。

漫「うちは別にそれでええかなーって」
和「え…?」

けれど、そんな期待は軽い漫の返事によって打ち砕かれる。
まるで今夜の夕食を決めるような軽いそれを和は最初、信じる事が出来なかった。
真剣を超えて悲壮ですらある場の雰囲気にはあまりにもそぐわないのだから。
しかし、それはある意味、この状況の元凶でもある漫にとって嘘偽りのない言葉だった。


和「な、何を言っているんですか!京太郎君は最低な事を言ってるんですよ!!」
漫「うん。それくらい分かっとるよ」

そんな漫を責めるような強い語気に漫はそっと肩を落とす。
こうして落ち着き払っている漫も、一人の女性として和の怒りが分かるのだ。
誰も選べないから全員欲しいです、だなんて幾らなんでも相手を馬鹿にし過ぎている。
幾ら虜になるほど惚れているとは言え、そんな答えを聞かされたら激怒して当然だろう。

漫「でも、現実問題、二人とも京君無しで生きていけるん?」
和「それ…は…」

だけど、それはあくまでもこの状況が普通のものであれば、の話である。
実際、三人は三人とも京太郎の不可思議な能力の支配下にあるのだ。
物理的精神的問わず接触がなければ気が狂ってしまいそうになるその強力な力に和も小蒔も抗えない。
その心は既に京太郎に絡め取られ、彼以外の男に触れられる事すら嫌悪し始めていた。

漫「うちは京君から捨てられるくらいなら死ぬつもりやけど…二人はそうじゃないの?」
和「そんなの…詭弁です!」

まるで自分の愛の深さを見せつけるような言葉に、和は強い視線を返した。
勿論、彼女とて京太郎から選ばれなければ、生きていけるか分からないくらい彼の事を愛している。
しかし、だからと言って全員を選ぶという滅茶苦茶な彼の選択を肯定する気にはなれない。
こんな答えを出すくらいならずっと先送りか、或いは小蒔を選んで欲しかったと彼女の理性はそう告げる。


漫「まぁ、うちは二人が何を選ぼうとまったく関係ないけどね」
和「っ!」

そう言いながら漫はそっとテーブルへと近寄ってくる。
そのまま京太郎の後ろへと回った彼女は二人の前でそっと京太郎を抱きしめた。
後ろからその背中を包み込むようなそれを京太郎は拒まない。
いや、寧ろ、隠しきれない自責を滲ませていた顔を少しだけ緩ませ、漫の事を受け入れるのだ。

漫「どっちかって言えば、二人が京君から失望してどっか行ってくれた方がうちとしては嬉しいし?」
小蒔「あ…」

そんな京太郎の頬を優しく撫でながら漫は二人にニコリと笑う。
まるで二人はそこで座っているのがお似合いだと告げるような底意地の悪いそれに小蒔が微かに声をあげた。
しかし、彼女の身体は微かに身動ぎした程度で、京太郎の元へと駆け出したりはしない。
まるで迷いが鎖になるように、何時もなら考えずに出来るはずのそれを出来なくさせているのだ。

和「(落ち着いて…落ち着くんですよ、原村和…)」

聡明な和は漫の言葉がただの挑発であるという事に気づいていた。
この場で唯一、京太郎の言葉を肯定した漫は明らかに自分たちと同じかそれ以上に京太郎によって支配されている。
そんな彼女が三人の事が欲しいと言った京太郎に逆らえるはずがない。
漫はそれを第一に行動し、その為に自分たちを挑発しに来ている。
だからこそ、ここで和がするべきはその挑発に乗って、京太郎から距離を取るべきなのだろう。


和「(なのに…どうして…それが言えないんですか…)」

挑発に挑発で返すだけで良い。
そう思いながらも和はそれを選ぶ事が出来なかった。
まるで身体がそれを拒否するように、京太郎から離れたくないというように、言葉を紡ぐ事が出来ない。
理性で分かっているはずのそれに身体は従わず、ただただ沈黙だけが四人の中で流れていく。

小蒔「私…は…」

そんな中、ポツリと漏らされた小蒔の言葉に和は嫌な予感を感じた。
さっきまでの悲壮感は消えた代わりに諦観を強く感じさせるそれに和の背筋は冷ややかなものを感じ取ったのである。
しかし、その予感を言葉にする事が出来ないまま、小蒔の口は再び言葉を紡いでいった。

小蒔「どんな…どんな事でもします…エッチな事でも…恥ずかしい事でも…なんでもします…だから…だからぁ…」
和「(っ!いけません!神代さん…っ!)」

ポツリポツリと漏らされるそれがさっきの予感通りのものだと和は感じ取った。
けれど、彼女の口がそれを遮る言葉を放つ事さえ出来ないのは、それが一番、楽な道だと彼女も理解しているからだろう。
何もかもを受け入れて現状維持と割り切り、漫と共に京太郎の寵愛を求めるのが一番、安易なものだと分かっていたのだ。
しかし、それでは京太郎の意識なんて何も変わらず、彼にとって都合の良い関係だけが続いていくだけ。
それを良しとしない和は小蒔に釣られて漏らしそうになる言葉を堪え、ぎゅっと歯の根を噛み締めた。


小蒔「お妾さんでも良いですから…側に…京太郎様のお側に置いてください…」
京太郎「そっか」

最後には涙と共に崩れ落ちるようになった敗北宣言。
それに京太郎は短い言葉で返しながら、その顔に微かな安堵を浮かべた。
けれど、その内心が微かでは済まない安堵があった事を漫だけは知っている。
こうして二人を追い詰める事にどれだけ京太郎が苦悩し、そして今も押しつぶされそうになっているのを彼女だけは分かっているのだ。
だからこそ、漫はそんな京太郎を励ますようにそっと撫で、彼の上で小さく笑みを浮かべる。

京太郎「…おいで、小蒔」
小蒔「う…ぅぅぅっ…っ」

そんな漫にもう小蒔も我慢出来なくなったのだろう。
その口から子どものような泣き声を漏らしながら、小蒔は椅子から立ち上がり、京太郎に抱きついた。
そのまま泣きじゃくる小蒔を京太郎は慰めるように優しく撫でる。
何度も何度も飽きる事がないそれに小蒔はさらに涙を溢れさせ、泣き顔を隠すように京太郎を抱きしめた。

和「(羨ましい…)」

そうして慰めて貰う小蒔の姿に一番、動揺していたのは勿論、和であった。
小蒔ほど目に見える訳ではなくても、和もまた深く傷つき、そして悲しんでいたのである。
未だ涙の跡が残る頬を彼に優しく慰撫して欲しいという気持ちは彼女の中にも少なからずあった。
しかし、それに簡単に従う事が出来ない和はぎゅっと握り拳を震えさせ、三人から目を背けるように顔を俯かせる。


小蒔「あの…原村さん…」

そうして過ごす時間が一体、どれほどのものだったのか和には分からない。
確かな事はそれがきっと数分どころか数十分になりそうなものだったという事だけだ。
何せ、小蒔の声はまだ涙ぐんではいるものの、さっきのような諦観はまったくなかったのだから。
あれほど打ちひしがれていた小蒔が立ち直るまでにはかなりの時間が必要だろう。
しかし、心を閉ざしていた和には、その間にどれほどの時間が経過していたのか分からない。

小蒔「原村さんも…認めませんか?」
和「私…は…」

その言葉に和は言葉を濁らせる。
実際、和自身にも分かっていたのだ。
小蒔が屈してしまった時点で、京太郎の選択を受け入れるしかない事を。
彼に考えなおさせるには、自分たちが手を組んで、京太郎を拒み続けるしか道はなかったのだ。
しかし、二人がめまぐるしく変わる状況に混乱している間に、小蒔の陥落という形でその可能性は弾けて消えてしまったのである。
既に小蒔は京太郎の手先として和の説得に動いている以上、それを後悔してももう遅い。
後はただ押し切られるだけなのは和自身にも分かっていた。

小蒔「私達は…京太郎様に逆らえないんです。愛してしまったから…もう虜にされてしまったから…」

そう言う小蒔の言葉にはもう諦観すらなかった。
寧ろ、まるでそれほどまでに京太郎へと入れ込んでいる事を喜ぶように微かな喜悦すらある。
明らかに歪んだその喜びに、けれど、和は寒気を感じる事はない。
セックスの時には同じ事を思い浮かべる和にとって、彼女の気持ちはまったく理解出来ないものではなかったのだ。
何より、自分ももうすぐああなってしまうと思えば、寒気を感じるような余裕なんてまったくなかったのである。


小蒔「それに…二人も三人も…同じでしょう?それなら…私、原村さんも一緒が良いです」
小蒔「一緒に頑張ってきた原村さんと…どれだけ京太郎様の事を愛しているか知っている原村さんと一緒が…良いんです…」
和「神代さん…」

説得を続ける小蒔の言葉は完全に良心からのものだった。
小蒔とて自分が屈した以上、和に勝ち目などない事くらい分かっているのだから。
それならば師匠であり弟子でもあり、そしてライバルでもある和が意地を張って苦しまないようにしたい。
勿論、そこにはここまで来たら京太郎の思い通りにしようという自暴自棄に近い考えがなかった訳ではないが、一番大きなものはそれだったのである。

小蒔「京太郎様なら…きっと皆…幸せにしてくれますよ」
和「…」

そんな小蒔に和が沈黙を返すのは、それは彼女自身にも分かっている事だからだ。
和が知る須賀京太郎という少年は責任感が強く、誠実で、そして優しいのだから。
ここで自分が頷けば、傷ついた分だけ幸せにしようとしてくれるのは分かっていた。
それに心が強く惹かれる心は、キッカケさえあれば一気に屈してしまう。
そう自覚するが故に、和は小蒔の優しさに言葉を返す事が出来なかったのである。

和「(私にだって…分かっているんです…)」

このまま意地を張り続けても、ジリ貧ですらない。
結論を先延ばしにしているだけで、妥協点すら探る余地はないのだから。
しかし、そうと分かっていても彼女はどうしても首を縦に振る事は出来ない。
そんな和の心に共感するようにリビングは再び沈痛な沈黙が支配す始めた。


漫「よし。それじゃ麻雀しよう」
京太郎「いきなり何言ってるんですか」

その沈黙を破ったのは漫の明るい声だった。
相変わらず場の雰囲気にそぐわないそれに思わず京太郎がツッコミを入れてしまう。
こんな状況を作り出す主因である彼とは言え、追い詰めるような真似をして悪いとそう思っているのだ。
痛々しい沈黙が支配する中であくまでも遊戯でしかない麻雀をやろうだなんて、流石に失礼ではないだろうか。
漫の考えを見通す事など出来ない彼はそう思っていたのである。

漫「雀士が四人揃っとるんやで?そりゃやるのは麻雀しかないやろ」
京太郎「いや、だからって今のこの状況で…」
漫「能力全開のガチ麻雀や言うても?」
和「っ!」

その声は相変わらず明るいものだった。
けれど、そこに込められていた残酷な響きに和は思わず息を呑んでしまう。
この場にいる全員は一度は京太郎と対局し、その能力を受けているのだから。
その所為で京太郎の理不尽な選択に抗えない和にとって、それは死刑宣告にも近いものだったのである。

和「(もう一度…京太郎君からアレを受けてしまったら…)」

これまで自分の中に疼きを抑え、それと向き合ってきた和には多少の耐性がある。
しかし、京太郎が和了る時に受けたものは普段のそれとは比べ物にならないものだったのだ。
それまでただの部活仲間としか思っていなかった相手を求めてしまうほどのそれを支配されている状態で受ければどうなるのか。
今までそんな経験こそないので分からないものの、きっと自分の理性を打ち砕くのには十分過ぎるものだろう。
それに和はゴクリと生唾を飲み込み、その指先にぎゅっと力を込めた。


漫「とは言え、勝った負けたは時の運やし、三人敵扱いなのは不利やろ」
漫「だから、ちょっとルールを変えて…東風戦で原村さんが一回も京太郎に振り込まへんかったら原村さんの勝ちって事にせえへん?」

それが期待によるものか、或いは恐怖によるものかすら分からない和の前で漫がそう説明を始める。
普段やっている麻雀よりも幾分、勝利条件の緩いそれは確かに和に対して有利にするものだった。
東風戦は対戦形式の中では最も短く、最短で四回しか行わないのだから。
その間、京太郎からだけ逃げまわるのは決して難しい事ではない。

漫「それが出来たら、うちも京君に考え直すように言ってあげる」
京太郎「…いや、実際、考えなおすよ。そうしないと流石にフェアじゃないだろ」

そう漫の言葉に合わせる京太郎は、彼女の意図を察した訳じゃない。
二人が来る前に多少の打ち合わせこそしていたものの、こんな事を言い出すだなんてまったく聞いていなかったのだから。
しかし、それでも漫が自分の為に動いてくれている事だけははっきりと伝わってくるのである。
それならば、ここで自分がするべきは確実に勝負の場へと和を引き入れる事。
そう思った京太郎の言葉に和は小さく頷いた。

和「(どの道…このままじゃ私の負けは確実ですし…)」

圧倒的に自分の方が有利なその条件。
それに罠を感じ取らないほど和はお人好しではない。
しかし、それでも虎口に飛び込む他に和には道がなかったのだ。
このままではジリ貧にもならない以上、和は罠だと分かっていても一発逆転に賭けるしかなかったのである。


漫「じゃ、ちょっと待っててな」

和の首肯にニンマリと笑みを浮かべた漫はそっと京太郎の背から離れる。
そのまま再び洗面所へと戻った彼女は数秒後、小型のシートと箱を持って現れた。
小さなテーブルにも並べられそうなそれは勿論、麻雀の道具である。
暇潰しの道具としてバスへと持ち込みながらも、広げる場所がなくて断念したそれを漫は喜々としてテーブルへと広げていった。

小蒔「わぁ…可愛い」
漫「ええやろー?これ、ドン○で売っててん」
小蒔「ド○キ…ですか?」
京太郎「ドンキホーテって言う総合ディスカウントショップだな。長野にもあるし、今度、一緒に行ってみようか」
小蒔「はいっ。えへへ…デートですね」
和「…」

そう和やかな会話をする三人に対して、和は終始無言だった。
これから変則的なものであるとは言え、三人を相手にする事になるのだから、にこやかに会話をする気にはなれない。
しかし、それでも、どことなく疎外感めいたものを感じてしまうのは、和自身も其の中に入りたいと内心、思っているからだろう。
意地というごく一部の部分を除けば、和は既に負けを認め、一人仲間外れにされる事に寂しさを覚えていたのである。

漫「じゃ…そろそろやろうか」
小蒔「…はい」
京太郎「あぁ」

とは言え、そんな三人も麻雀の準備が終われば真剣な表情になる。
それはこの短い東風戦がお互いの未来を決めるものだと分かっているからだ。
この結果が一体、どうなるのかは分からない。
しかし、それでも後悔のないように一生懸命やろうと四人は簡易式の卓に着いた。


漫「……」トン
小蒔「……」トン
京太郎「……」トン
和「……」トン

それからの数分は無言の時間が続いた。
そして、まるで話す時間さえも惜しいと言うように全員が早打ちを繰り返す。
けれども、それは決して全員が何も考えていない訳ではない。
特に京太郎は能力込みで打つという経験に感慨深いものを感じていた。

京太郎「(能力ありで打って良い…なんてかなり久しぶりだよな)」

これまで特訓と称し二人と打っていた時には常に能力を封じるように立ちまわってきた。
出来ない時はわざと和了を見逃した事も、口にはした事はないが何回かある。
そんな彼にとって能力とは厄介者で、小蒔に当てて以来、使う事はなかったのだ。
しかし、今はそれを和に当てる事を求められ、その為に全力を尽くさなければいけない。
厄介者であったそれに頼らざるをえない自分に胸中で苦笑を向けながら、京太郎はそっと顔を引き締める。

京太郎「(ま…難しいだろうけれどな)」

和の実力は彼女の親友である片岡優希に負けないくらい京太郎自身が良く知っている。
元々、優れていた思考力に洞察力を身につけた和から放銃を誘うのは正直、かなり難しい。
実際に、今までの対局の中で京太郎が和から和了れた回数なんて両手の指を少し超える程度なのだから。
正攻法でその数少ない回数を引き寄せるのは難しいだろうと京太郎自身も理解出来ていた。


京太郎「(だからこそ…和をそのつもりにさせなきゃいけない)」

勿論、京太郎はツモ和了も狙っていくつもりではある。
しかし、それを東風四回の間に出来るかと言えば、正直、自信はなかった。
小蒔や漫は和了を半ば放棄しているとは言え、相手は牌効率を知り尽くしたデータ雀士、原村和なのだから。
速度という面で自分が真っ向から太刀打ち出来ない事を京太郎自身が良く知っている。
だからこそ、京太郎は和が自分から振り込んでも良いと、そう思えるような方法を脳裏で模索し始めていた。
そしてまた、彼を補助する彼女たちも普段以上に思考に耽り、特殊なルール内でどうやって勝つかを考えている。

漫「(恐らく京君の待ちは…)」
小蒔「(白か五筒周辺…が濃厚ですね)」

早和了を目指す為か、京太郎は最初から鳴いて小三元を作っていた。
けれど、その後、有効牌を引く事は出来ず、聴牌で固まっているのである。
そんな京太郎の河を見て、この場で誰よりも洞察力に優れている和が振り込むはずがない。
そしてまた他の二人が振り込んでも意味はなく、時間だけが流れていく。

小蒔「(でしたら…私が何とかしないといけません)」

小蒔の手牌の中には京太郎の本命である六筒が一つだけ入っていた。
このまま下手に抱えていても和了には繋がらない以上、それを打っても良いだろう。
どうせ京太郎は和了らないだろうが、和に対するブラフ程度にはなるかもしれないのだから。
勿論、一緒に特訓を続けた小蒔は其の程度で和の目を誤魔化せるとは思っていないが、しかし、何もしないよりはマシだろう。


小蒔「(だって…このままじゃ…皆、辛いままなんですから…)」

小蒔には和の気持ちも京太郎の気持ちも良く分かっている。
彼女がもう意地を張るしかない事も、彼が好き好んでこうやって自分たちを追い詰めている訳ではない事も悔しいけれど理解しているのだ。
そして、小蒔はそんな二人のすれ違いを見過ごし、ライバルの脱落を喜ぶようなタイプではない。
寧ろ、大好きな二人に早く仲直りして欲しいが故に小蒔はそれをそっと打ち出したのだ。

京太郎「(小蒔…)」

そんな小蒔の気持ちを京太郎は汲んでいた。
自分が傷つけた心優しい婚約者がどんなつもりでそれを打ったのか理解していたのである。
今、この場で自分に出来る事を精一杯しようとする彼女の気持ちは彼にとってはとても嬉しいものだった。

京太郎「…ロン。小三元」
小蒔「えっ…?」

しかし、京太郎はそれを裏切るようにして和了を宣言する。
それを小蒔は最初、信じる事が出来なかった。
既に待ちを看破されていたと言っても、待ち続ければツモで和に能力を当てる事が出来る可能性はあったのだから。
しかし、京太郎はそれをわざと見逃すように自分から和了って見せた。
その意図が理解出来ない小蒔の身体に強い電流が走り抜け、その身体にドロリとした熱を染み込ませていく。


小蒔「ん…っくぅ…♪」

その口から漏れる吐息はとても熱っぽいものだった。
まるで風邪にでもかかってしまったような熱いそれに力を込めるようにして小蒔の身体が縮こまっていく。
ぎゅっと身体を強張らせるその内側に一体、どんな感覚が走り抜けているのか隣の和には分からない。
しかし、見る見る内に目元を潤ませ、頬を緩ませるその顔は和も良く知るメスのものであった。

和「(神代さん…とってもエッチな顔をして…)」

何も知らない子どもでもエロティックなものを感じてしまうであろう小蒔の姿。
それは彼女が感じている感覚の一端を知る和にとって、羨ましく映るものだった。
何せ、そうやって発情した後には必ず京太郎が身体を鎮めてくれるのだから。
内心、それを期待しながら須賀邸を訪れた和にとって、それは羨望を向けるに足るものだったのだ。

漫「ええなぁ…神代さん」
和「…っ!」

そんな漫から漏らされた漫の言葉に、和が微かな反応を見せる。
それは勿論、彼女が和とまったく同じ事を考えていたからだ。
けれど、それを和が認める事が出来ないのは、彼女が漫の事をあまり好ましく思っていないからだろう。
自分たちの行く末を麻雀の結果に委ねるような提案をした漫と一緒の事なんて考えたくはないと彼女はそれを無理やり、思考から引き離したのだ。


漫「ね、京君。今度はうちに配牌教えて、それ当ててくれへん?」
京太郎「一応、真剣勝負なんですから八百長っぽいのなしですよ。つか、小蒔、大丈夫か?」
小蒔「ひゃんぅっ♪」ビクッ

軽い漫の言葉に京太郎は返事をしながら、京太郎は気遣うように小蒔に触れる。
瞬間、小蒔の身体の中を駆け巡る熱い電撃が勢いを増し、彼女の神経を蹂躙した。
絶頂にも劣らないその激しい感覚に小蒔は肌を震わせ、ぎゅっと歯の根を噛みしめる。
しかし、それでも触れられている部分から走る快楽は止まらず、小蒔の思考を大きく揺さぶった。

小蒔「京太郎様…ぁ…♥私…もぉ…ダメです…ぅ♪欲しい…の…っ♥京太郎様のオチンポ欲しい…ぃぃ♥」

けれど、それらは小蒔を決して満足させるものではなかった。
それらは間違いなく気持ち良いものではあれど、疼きを強める気持ち良さだったのだから。
まるで全身を焦らすように優しく撫でられている感覚を何十倍にも高めたようなそれに小蒔はもう抗えない。
京太郎に触れられた瞬間、彼女の頭の中からは麻雀や友人の事など消し飛び、ただの発情したケダモノへと変わってしまったのである。

小蒔「身体熱くて…お腹の中までドロドロになってぇぇ…っ♪♪私…もう発情しちゃい…ましたぁ♥スイッチ入って…淫乱妻になったんです…ぅっ♥」

甘いその訴えは小蒔が他の二人の事なんてまったく考えていない証だ。
今の彼女にとって最優先はおかしくなってしまいそうなほど強く、そして熱い疼きをどうにかする事だったのだから。
他人に見られていようがいまいが、小蒔の目にはもう京太郎しか映ってはいない。
今にも燃えてしまいそうなほど熱い身体を鎮めてくれる唯一のオスしか、全身が求める愛しい男しか、小蒔の世界には存在していないのだ。


小蒔「だから…っ♪京太郎様…ぁ♥セックス…ぅ♪責任とって蕩けるくらいあまぁいラブセックスください…っ♥」
和「ち、ちょっと…じ、神代さん!?」

そう言いながら何時もの巫女服に手を掛け、そっと脱いでいく小蒔。
それに和は声を掛けるものの、小蒔の行動は止まらない。
既に小蒔の耳も京太郎に向けられ、その他の音は雑音でしかないのだから。
誰かが何かを言っているという意識こそあれど、それは自身の行動を止める理由にはならない。
だからこそ、小蒔は同性である二人の前でその大きな胸をブルンと零し、京太郎へと擦り寄せるのである。

小蒔「京太郎様も大好きなおっぱいもこぉんなに疼いてぇ…♪♪だから…お情けを…ぉ♥♥お情けでも良いですから…小蒔にセックスしてください…っ♪♪」
京太郎「あ、あの…こ、小蒔…?」
和「神代さん!正気に戻って…」

勿論、京太郎にとってこうなる事を完全に予想していなかった訳ではない。
一応、それを目的として彼は小蒔を裏切るようにして和了ったのだから。
しかし、まさか麻雀すらまともに出来なくなるくらいにまで発情するとは思っていなかったのである。
これまで疼きに耐えてきた小蒔たちであれば東風戦くらいなら大丈夫。
そう思っていた自分の考えが甘かった事を知ったところで、もう遅い。
ブラすら身につけていないその豊満な胸をスリスリと腕にすり寄せてくる彼女を突き放せる訳がなかった。

漫「いやぁ…まさか神代さんがこんな風になるとはなぁ…」
和「っ!上重さんも止めてください!」

そんな小蒔を必死に正気に戻そうと呼びかける和の前でケラケラと漫が笑う。
何処か嬉しそうなそれに和は強い反発を覚えながら、そう語気を強めた。
明確な怒りすら見せるその声に、しかし、漫はその飄々とした態度を崩さない。
それどころか楽しむようなその笑みすら引っ込める事もないままにゆっくりと口を開いた


漫「無理無理。ああなったら止まらないのはうちらが一番、良く知っとるやん」
和「それは…」

漫の言葉に和は言い返す事が出来ない。
京太郎の能力の凄さは体感した和自身が良く分かっているのだから。
全身が京太郎を求めてしまう感覚は少女を女にするのは十分過ぎるものだった。
それをきっかけにして自身を恋に陥れた能力は決して軽視出来るものではない。
こうして小蒔が一瞬でおかしくなってしまったのも当然だと内心、和も認めていたのだ。

漫「とにかく神代さんは脱落って事で。次の局行こうや」
和「でも…」
漫「このまんまやと神代さんが辛いだけやで?」
小蒔「は…ぁっ♪京太郎様ぁ…♥京太郎…様ぁぁ♥」

瞬間、和がチラリと小蒔を見れば、そこには物足りなさそうに身体を揺する彼女の姿がある。
欲情で濁った瞳に京太郎だけを映すその様は平常とは程遠いものだった。
普段の小蒔は多少、甘えん坊ではあるものの、良く知らない同性の前で肌を晒して平気でいるタイプではないのだから。
いっそ痛々しささえ感じるその発情っぷりに和はぎゅっと歯を噛み締め、残った山を崩し、再び積み上げていく。

京太郎「あの…」
漫「あ、京君は大丈夫やから、神代さんの事構ったげて」

しかし、小蒔に抱きつかれ、片手を奪われた京太郎はそれを手伝う事が出来ない。
その申し訳なさから声をあげた彼に漫は軽く言葉を返した。
実際、彼女自身、そうやってスイッチが入った小蒔に何も思うところがない訳じゃない。
この状況を作った原因の一人であるとは言え、彼女とて本当は京太郎を独占したいのだから。
だが、それ以上に漫は今はそれを顕にするような時ではない事を理解している。
だからこそ、申し訳なさそうな京太郎にそう返しながら、彼女は手慣れた様子で山を積み上げていくのだ。


漫「(それに…まぁ、多分、京君のやっている事は間違いやない)」

漫は原村和の実力を知らない。
直接対局する機会は今まで恵まれず、伝聞や牌譜を見る事しかなかったのだから。
しかし、それだけでも彼女が全国でも有数の打ち手である事は伝わってくるのだ。
そんな和から和了るだけでも難しいのに、今回の彼女は和了を放棄して逃げるだけで良いのである。
普通よりもさらに難しさを跳ね上げさせるその勝利条件を満たす為に、和を揺さぶろうとした京太郎の選択。
それは決してベストではなくてもベターな選択であると漫は思った。

京太郎「…ごめんな」

返事をするように呟く京太郎の謝罪は一体、何に向けられているものか彼自身にも把握しきれていなかった。
彼にとってそうやって謝らなければいけない事はそれこそ両手の指では足りないくらいにあるのだから。
しかし、今はそれに押しつぶされたり、縛られたりしている場合ではない。
そう自分で自分の背中を押しながら、京太郎はそっと小蒔の肩を抱き、自分の足の上へと座らせる。
対面座位のような形で真正面から向き合うそれに小蒔の胸はトクンと跳ね、興奮だけでイッてしまいそうになった。

小蒔「京太郎様…ぁっ♥…私…これだけじゃ…ひぅぅっ♪♪」
京太郎「もうちょっとだけ我慢してくれよ」

瞬間、小蒔が声を跳ねさせるのは京太郎の指が彼女の乳房に触れたからだ。
巫女服からこぼれ出すようなそれは弾力に優れ、また張りも人並み以上にある。
けれど、それ以上に凄いのはその感度だ。
ただでさえ普段から京太郎に開発されてきたその肢体は、今、能力によってさらに鋭敏になっているのだから。
それこそそっと掴まれただけでイきそうになるくらい小蒔の身体は今、感じやすくなっている。


小蒔「もっと…ぉ♪♪もっと触ってください…っ♥私…もうこんなんじゃダメです…っ♥全然…我慢なんて出来ません…っ♪」
京太郎「小蒔は欲張りさんだな」
小蒔「はい…ぃ♥小蒔はエッチな事大好きな欲張りさんなんです…っ♪♪京太郎様に触れられるだけでダメになる…淫乱妻なのぉ…♥」
和「神代さん…」

京太郎の言葉に嬉しそうに返す小蒔は和の見たことがないものだった。
理性を失い、ただただ淫欲に溺れるその姿ははしたないを通り越して軽蔑されてもおかしくはないくらいである。
しかし、そんな感情が和の胸中に一片足りとも浮かんでこないのは、京太郎に愛される心地よさを彼女もまた知っているからだ。
頭どころか魂まで蕩けてしまいそうな甘い感覚を知る彼女にとって、それは軽蔑どころか自分も良く知る状態だったのである。
そして、だからこそ、和は人目も憚らず京太郎に愛してもらえる小蒔に対して羨望の念を強めるしかなかったのだ。

漫「ほら、原村さんの番やで」
和「あ…はい」

しかし、和がそうしている間にも卓の準備は済んでしまう。
既に漫や京太郎は最初の配牌を揃え始めていたのだ。
それを漫の言葉から知った和はおずおずと手を伸ばし、自分の手牌を揃えていく。
だが、その視線はチラチラと伺うように小蒔へと向けられ、明らかに集中出来ていないのが目に見えていた。

漫「(まぁ、さっきも集中出来ていたとは言えへん訳やけれど)」

漫の知る原村和は超人的な集中力を持つ雀士だ。
それこそ顔が発熱するくらいに思考を深め、加速させる彼女は、彼女の友人である愛宕絹恵を苦しめていた。
しかし、今の和にはそんな気配はまったくなく、恐ろしいまでに精彩を欠いている。
今ならばチョンボやミスの一つで京太郎に振り込んでしまいそうなくらいに和は麻雀に集中出来ていなかった。


漫「(さて…ここでうちがするべきは…果たしてどっちなんやろうなぁ)」

そんな和の前で牌を打ちながら、漫はそっと思考に耽る。
京太郎の揺さぶりのお陰で和はかなり追い詰められているのは事実だ。
しかし、今のままで京太郎に振り込んでしまう可能性というのはあまり高くない。
自然、京太郎が和了るのには漫の支援が必要ではあるが、それには二種類のものが考えられるのだ。

漫「(京君に振り込むべきか、或いは徹底的に支援に徹するべきか)」

さっきの小蒔のように京太郎に振り込む道とオーラスまで支援に徹する道。
そのどちらもそれなりに有効で、だからこそ漫は迷っていた。
こうして自分勝手に条件を設定して麻雀の場を設けた以上、失敗は許されない。
普段とは違ったそのプレッシャーに揺れ動きながら、漫は京太郎の当たり牌を掴んだ。

漫「(さて…正念場…やね)」

これを打てば、きっと京太郎は和了るだろう。
小蒔のように自分を発情させ、和を揺さぶる道具として扱うはずだ。
勿論、発案者である以上、勝つための道具になる事に何ら異論はない。
しかし、だからと言って、それが勝利の近道になるかどうか彼女には未だ判別がつかなかった。


漫「(まぁ…どうにかなるやろ)」トン

最終的にそう思考を投げたのは決して思考するのが面倒くさくなった訳ではない。
漫はあの合宿の際、自分がおかしくなるまでにタイムラグがあるのを思い出したのだ。
その時とは比べ物にならないほど開発されている身体が一体、どんな反応をするかは分からない。
しかし、小蒔のようにすぐさま我を忘れる事はないだろうと漫はそれを打ち出したのだ。

京太郎「ロン。三色同順」
漫「くぅ…ん…っ♪」

しかし、瞬間、走る激しい電流は合宿の時の比ではなかった。
あの日も微かに違和感めいたものを感じていたが、今のそれははっきりと快感だと分かる。
流石に小蒔のようにすぐさまスイッチが入るものではないにせよ、頬が紅潮するほどのそれに漫が声を漏らす。
艶めいたそれに和がじっと視線を向けるのが恥ずかしいが、漫はそれを抑える事が出来ない。
オナニーしている時の何倍にもなるような快感と興奮が身体の中を駆け巡って平静であり続けられるほど漫の理性は強固ではないのだ。

京太郎「…漫さん、大丈夫ですか?」
漫「ん…まだ…いけるよ…♪」

けれど、それは決して絶頂には至らない。
まるでイク寸前で寸止めされたようなそれに漫は強いもどかしさを感じる。
今すぐ京太郎に触れて欲しい、愛して欲しいと脳裏に言葉が浮かぶほどだ。
とは言え、それは理性を失うほど激しいものではなく、漫はそう頷いて見せる。


漫「(まだ爆発しとらんのに…こんな凄いなんて…ぇ♥)」

しかし、その胸中が余裕あるものかと言えば決してそうではない。
寧ろ、気を抜けばそのまま劣情に身を任せてしまいそうな感覚に彼女は身悶えしていた。
自分は効果が出るまでタイムラグがあるはずなのに、前兆だけでこんなに凄いなら本格的に効果が現れたらどうなってしまうのか。
何時、自分に襲いかかって来るか分からない発情の波に少しだけ後悔しながら、彼女はさっきと同じように卓を整え始める。

和「(上重さんまで…)」

そんな漫の様子は和の心を強く揺さぶった。
小蒔が一瞬で我を忘れてしまうほどの発情に漫は耐え、こうして麻雀を続けようとしているのだから。
実際は能力が発揮する効果は人それぞれ違うのだが、そんなもの和だけではなく京太郎さえ知らない事実である。
だからこそ、彼女は漫の姿から彼女が並々ならぬ決意を持ってこの場にいる事を感じさせ、その肩をそっと落とさせるのだ。

和「(私…誤解していたのかもしれません…)」

和にとって上重漫と言うのはあまり良い思い出のない相手であった。
京太郎からその名前が出る事は少なかったものの、彼が漫の事を頼りにしているのは強く伝わってくるのだから。
顔と名前しか知らない彼女に対抗心を抱いたのは一度や二度ではない。
そんな彼女が初顔合わせの時から妙に達観して飄々としているのを見て、好印象など抱けるはずがなかった。
つい数瞬前の和にとって漫は不真面目な人間で、京太郎にとって相応しくはない相手だったのだ。


和「(実際は…こんなにも京太郎君に尽くそうとする人だったのですね…)」

それにまた一つ意地を張る理由が消えていくのを感じた和はズキリと胸の痛みを感じる。
胸の奥に鋭い針が突き刺さるようなそれは不快で仕方のないものだった。
けれど、それを取り除く術を今の和は知らず、ただただ心を強く揺さぶられる。
京太郎に触れられて嬌声を漏らす小蒔と劣らないその激しい揺れに和は小さくため息を漏らしながら、山を積み上げていった。

和「(私…どうしたら良いんでしょう…)」

その言葉はさっきよりも弱々しいものになっていた。
勿論、和は京太郎の選択なんて認めたくはない。
出来れば、自分か小蒔のどちらかを選んで欲しいというのが本音だ。
しかし、それを誰よりも共感してくれた小蒔は堕ち、そして唯一、敵愾心を向けていた漫も悪い訳ではない。
そうした状況の変化に意地を張る理由が薄れ、和の迷いは本格的なものと化していく。

漫「あ、ちなみにうち…これからずっと京君に振り込むから」
和「え…?」

そんな和に告げられた漫の言葉を彼女は最初、信じる事が出来なかった。
最初に設定した勝利条件を反故にするものなのだから当然だろう。
勿論、次が京太郎の親である以上、それは決して勝ちを放棄するものではない。
しかし、一回早和了すれば勝利条件をほぼ満たせるその宣言は和を有利にするものだろう。


漫「その間に直撃かツモ和了してくれれば一番なんやけれどね」
京太郎「はは。まぁ、頑張…ってこら、小蒔…キスはダメだって」
小蒔「ふゅぅ…ん…っ♪ふあぁぁ…♪」

そうしている間に小蒔は本格的に我慢出来なくなってきたのだろう。
胸を優しく揉む京太郎の頬に幾つものキスを落とし、甘えた声をあげる。
そんな小蒔に注意こそすれど京太郎は彼女を突き放したりはしない。
寧ろ、下から大きな胸を持ち上げるようにしながらぎゅっと根本から力を込めるのだ。
それに彼女の身体はブルリと震え、その背筋に強い快楽を流し込む。

小蒔「ふくぅっ♪♪イきます…ぅ♥おっぱい絞られただけで…私もぉ…♥」
京太郎「まったく…小蒔は本当に可愛いな」

限界以上に感度が高まった小蒔にとって、それはもう耐えられないほどの快楽だった。
昂った身体が一気に絶頂へと押し上げられる感覚に彼女はあっさりとイッてしまう。
しかし、それでも小蒔はその目に宿る欲情を薄れさせず、寧ろ、ドロドロとした熱を強くしていた。
まるでこのままではろくに満足出来ないとそういうような瞳の輝きに嗜虐心と庇護欲を擽られた京太郎はそう言葉を漏らす。

漫「うちも能力受けたんやけどー?」
京太郎「後で一杯、可愛がってあげますからそれで許して下さい」

そんな京太郎に漫がジト目を向けるのは、いちゃつく二人が羨ましかったからだ。
発情期のメスもかくやと言うような小蒔の様子に、京太郎もまた引きこまれ、二人の世界を形成し始めている。
それを見過ごしてやるほど今の漫は理性的にも優しくもなれない。
その頬を微かに膨らませながらのそれは牽制であると同時に自分を忘れないでという自己主張でもあったのだ。


漫「しゃあないなぁ…その代わり…うちの奥で濃いぃの頼むで…♥」
京太郎「…あれ?実は結構、漫さんもやばい感じです?」
漫「ふふ…どうやろ…♪でも…あんまり神代さんばっかり構ってると…後で怖いかもやで♥」

そう言いながら漫がクスリと笑った瞬間、卓の準備が終わる。
それを察知した京太郎が積み上げられた山に手を伸ばし、手牌を作っていく。
そんな京太郎に小蒔が不満気な視線を向けるが、彼女は何も言わなかった。
代わりの自分の手を京太郎の手に沿わせ、ぎゅっと自分の胸へと押し付けさせる。
まるで自分だけを見て欲しいと言うような可愛らしい自己主張を見ながら、和は深呼吸を繰り返した。

和「(とりあえず…一回…一回だけ私が和了れば…それで良いんです)」

それで自分はこの卓から抜けられる。
その先で何をしたいのか分からないものの、麻雀を続けるには和はそう考えるしかなかった。
気を抜いた瞬間、自分の心が誘惑に負け、漫や小蒔のようになってしまうのは目に見えていたのだから。
これからどうするにせよ、せめて初志だけは貫こう。
欲情する二人にあてられてその吐息を微かに荒くした彼女がそう思った瞬間 ――

小蒔「いひぃっ♪♪」
和「あ…」
漫「あーあー…」

それは不幸な事故だった。
押し付けられる柔肉についつい反応してしまった京太郎の手が小蒔を再びイかせてしまったのだ。
結果、まるで脳天まで快楽が貫いたように背筋を反り返らせた小蒔に並べられた京太郎の手牌がバタバタと倒れていく。
普段の麻雀ならばチョンボとして罰符を取られかねないそれに和の目が惹きつけられる。


和「(この形なら…)」

観察力と集中力。
思考を支えるその二柱を強固にしつつある彼女にとって、それは一瞬で記憶出来るものだった。
そして同時にそこから派生するであろう和了の最終形まで計算した彼女はそっと小さく勝利の予感を感じる。
和のそれは典型的なタンピン型で待ちも広く、手を進めやすい。
けれど、京太郎のそれは待ちは狭く、また回避も容易だ。
その分、点数こそ高いものの、今回に限ってはそれは決して脅威ではない。
今回の麻雀は点数をやりとりするようなものではなく、あくまで和了るか和了らないかを目的としたものなのだから。

京太郎「よいしょっと…」

そう思う和の前で京太郎は見られたその手牌を元へと戻していく。
小蒔を愛撫している関係上、片手しか使えないその仕草は決して素早いものではない。
再びそれらが卓の上に直立したのは一分ちょっとが経った頃である。
その間にも欲情を強める小蒔は京太郎に抱きつき、その身体を揺すっていた。
手持ち無沙汰の間、その様を見せつけられた和の頬が紅潮し、身体の中に宿る興奮が強まっていくのを感じる。

京太郎「待たせて悪い。それじゃやろうか」

それを京太郎ははっきりと感じ取っていた。
入部した当初から和の事を見続け、そして幾度となく能力の餌食にした彼にとってそれは明白なものだったのだから。
きっと和もまた小蒔たちと同じように発情し始め、自分を求めてくれいる。
何時もの彼女であれば、きっと何ら遠慮する事なくその身体をすり寄せ、京太郎を誘惑した事だろう。
しかし、小蒔と漫がいる状態でそんな気にはどうしてもなれず、和はそれをぐっと押さえ込んでいた。


京太郎「……」

そんな和を横目に見ながら京太郎はそっと最初の牌を打ち出した。
勿論、その胸中には申し訳なさを感じるものの、それはもう今更である。
こうして小蒔を泣かせて引きずり込み、発情までさせた以上、後戻りは出来ない。
それならばせめて普段以上に可愛がり、その欲情をおもいっきり発散させてやろう。
そう思いながら無言で進む局は、和が想定した通りの流れになっていた。

和「(…よし。これで聴牌です)」

普段ならば和はそこでリーチの宣言をしていただろう。
典型的なタンピンを完成させた彼女の待ちは広く、ツモもロンも両方とも狙えるような形だったのだから。
しかし、今は点数ではなく和了を重視する場面であり、普段のセオリーは通用しない。
何よりリーチした後に京太郎の当たり牌を掴まされる事を思えば、リーチなど出来るはずもなかった。

和「(ただ…京太郎君も…そろそろ聴牌なんですよね)」

重い手ながらも集中出来ていなかったのが良かったのだろうか。
和が見ている限り、京太郎の手牌は頻繁に入れ替えられ、そろそろ聴牌が見え始めている。
欲情と迷いで鈍った集中力が能力の発動こそ阻害しているが、さっきのチョンボもあって当たり牌を察するのは和にとって容易い。
後はそれを手元に来なければ、この異常な状況から抜け出す事が出来る。


小蒔「きゅぅぅぅ…ん…っ♥京太郎様ぁ♪♪切ない…切ないですよぉ…♥」
和「っ…!」

そう思って和が気を抜いた瞬間、小蒔の甘い声が耳孔へと届く。
必死になってオスに媚を売るようなそれは彼女の背筋に微かに震わせた。
それは其の瞬間に、和の子宮もまたまったく同じ事を考えたからである。
何せ、今の和は小蒔や漫の痴態に発情しているのに、ろくに言葉を向けて貰えないのだから。
京太郎の事が好きで好きで堪らない彼女にとって、それは切ないと思うに十分過ぎるものだったのだ。

小蒔「京太郎様のオスチンポ…ぉ♥おっきくて硬いのでお情け下さい…っ♥♥京太郎様が好きすぎてドロドロになったメスマンコぐちょぐちょにかき回してぇぇ…っ♪♪」

そんな和の前で小蒔のオネダリが始まる。
さっきよりも幾分、切羽詰まったそれはハァハァと荒い吐息と共に紡がれた。
まるで興奮しきったメス犬のようなそれと合わせて、小蒔がカクカクと京太郎の上で腰を振るう。
その度に染みだした愛液がクチュクチュという音をかき鳴らし、小蒔に強い興奮と快楽を与えた。

京太郎「もう…我慢出来ないのか?」
小蒔「はい…ぃ…♪私…もう本当にダメなんです…っ♥このままじゃ京太郎様を襲っちゃいそうなくらい…エッチな事大好きになって…♪♪」
小蒔「もぉ…馬鹿なんです…ぅ♪♪セックス馬鹿ぁ…♥ラブラブセックスしたくて…私、馬鹿になっちゃったのぉ…♥♥」

しかし、そうやって女性器の表面を撫でるような刺激で、小蒔が満足出来るはずがない。
勿論、それは胸の愛撫と相まって、すぐさまイきそうになるほど気持ちの良いものだった。
だが、今の小蒔が求めているのはそんなものではなかったのである。
愛される喜びに心も身体も満たされるような甘い交わりでなければ、今の小蒔は癒せないのだ。


京太郎「…仕方ないな。じゃ…これで終わりにするか」
和「え…?」

その言葉に本格的に小蒔が限界に達している事を感じ取った京太郎はそう言葉を漏らした。
けれど、それは和にとって予想外も良いところだったのである。
何せ、京太郎は一度チョンボによって手牌を晒し、和がそれに振り込む事はほぼないと分かっているはずなのだから。
彼からすれば次こそがラストチャンスだったはずなのである。
しかし、京太郎はそんなチャンスを自分から潰すような言葉を放った。
それがどうしても理解出来ない和の前で京太郎はそっと小蒔の頭を撫でる。

京太郎「漫さんもそろそろやばそうだし…あんまり長引かせても二人が辛いだけだろうしな」
小蒔「ふぁぁ…ぁ…♥♥」

労るようなその手つきに小蒔が幸せそうな声をあげる。
まるで愛しさに身体が声さえも蕩けてしまったようなそれに和はゴクリと生唾を飲み込んだ。
それは勿論、小蒔のその声が和は何度も聞いた覚えがあるからである。
欲情で理性が緩み、感情をむき出しにする時にだけ聞こえるそれは記憶の中にある和自身の声と殆ど一致していたのだ。

漫「うちの事も可愛がってくれるん…?」
京太郎「そりゃ漫さんだって頑張ってくれたし、それに能力使った責任取らないとな」
漫「えへへ…嬉しい…♪」

それに小蒔の歓喜を知り、そして羨望を強める和の前で漫もまた綻んだ笑みを浮かべる。
目に見えて強くなっていく欲情の中ではっきりと浮かぶそれは朗らかなものだった。
彼女の持つ魅力をはっきりと見せつけるようなそれはそれだけ漫が嬉しいからだろう。
実際、彼女は自分を忘れないでいてくれた京太郎に愛しさを沸き上がらせ、欲情と興奮を数段飛ばしで強めた。


和「(私…は…私は……)」

それを見た和の胸の中は既に羨望を超えて、嫉妬の感情を沸き上がらせ始めていた。
しかし、それでも和はどうするか決めかねたのは、こうして終わりを宣告されると本当にこのままで良いのかと思ってしまうからだろう。
勿論、さっきまでの和はなんとかこの状況を打破する為に和了を目指していた。
しかし、この後に待ち受けている淫蕩の宴に自分だけ参加する事が出来ないと思うと、その手がどうしても鈍ってしまうのである。

和「(私だって本当は…京太郎君に愛して欲しいのに…)」

そう思う和の下着にはもう愛液が染みだしていた。
京太郎とセックスする為に買った勝負下着はぴっちりと濡れた肌に貼り付き、独特の不快感を与えている。
しかし、それ以上に和にとって不快なのは、その欲求不満を癒やす術が今の自分にはないという事だった。
既にスイッチが入ってしまった身体はオモチャを使った自慰でも発散する事が出来ず、京太郎に愛してもらう他ない。

和「あ…」

そう思った瞬間、和が引いたのは自身の和了牌だった。
普段であれば、そのまま和了をする事に何ら躊躇いを感じる事はなかっただろう。
和がやっているのは麻雀であり、そういった手心を加えるのは彼女の主義に反するのだから。
寧ろ、そうやって意図的に勝ちを見逃すような戦い方は和が最も嫌うものだった。


和「(これを宣言すれば…私は…開放されるんです)」

だからこそ、それで和了るべきだ。
これで開放されるべきだと和の理性は訴える。
しかし、彼女の腕は牌を倒す事はなく、その口もまた動き出す気配がなかった。
そんな自分をらしくないと思いながらも、和にはどうする事も出来ず、雁字搦めになった身体を動かす事が出来ない。

京太郎「和…大丈夫か??」
和「あ…」

それに京太郎が心配そうな声を紡ぐのは、和が普段とはかけ離れた様子を見せていたからだ。
彼の知る原村和という少女は麻雀という分野に対しては決断力に溢れた少女なのだから。
こうして躊躇いを見せる姿だなんて、殆ど見たことがないと言っても良いくらいだ。
勿論、そうやって躊躇わせる原因が自分にあると理解していても、京太郎にとってその言葉は止める事が出来ないものだったのである。

和「(嬉しい…)」

ともすれば「お前が言うな」と返されてしまいそうな京太郎の感情。
それを正確に感じ取った和が最初に浮かべたのは強い歓喜の波だった。
これまでの流れの中で京太郎と殆ど会話出来ていなかった彼女にとって、そうやって気にかけて貰えるのは嬉しくて堪らない事だったのである。


和「…いえ…なんでもありません」スッ

そんな和が選んだのは自分の和了牌を打ち出す事だった。
勿論、それは半ば反射的なものだったという事もある。
京太郎に仲間外れにされていなかったという事が嬉しくて、つい感情的に選んでしまった茨の道なのだ。
しかし、それが後悔を呼び起こしたりしないのは、和がもう京太郎の虜になっているからだろう。
どれだけ失望してもそれ以上に和は京太郎の事を愛しており、どれだけ最低でも軽蔑する事なんて出来なかったのだ。

和「(それに…まだ負けたと決まった訳ではありませんし…)」

その思考が詭弁であるという事に和自身気づいていた。
しかし、それは和自身愚かしいと思う選択を擁護する為にはどうしても必要な事だったのである。
決して負けたと決まった訳ではないのだから、自分は勝ちを放棄した訳じゃない。
主義を曲げた訳ではなく、ただ運を完全に天に任せただけ。
そう自分に言い聞かせながら進んだ局は… ――

京太郎「…流局…だな」

結局、京太郎はそれを和了る事が出来なかった。
聴牌にまでは手が届いていたものの、京太郎もそして和も和了牌を引く事が出来なかったのである。
それでも普段の麻雀であれば、親番を続ける事が出来ただろう。
しかし、これで終わりと宣言した以上、続きは出来ない。
何より、もどかしさに涙ぐみ始めている小蒔の事をこれ以上放置するなんて彼には選べなかった。


京太郎「…仕方ない。約束通り…さっきの宣言はなしにしてくれ」
和「…はい…」

その言葉に和はどんな感情を胸に浮かばせているのか自分でも良く分からなかった。
胸に沸き上がってくるのは自分でも判別がつかない複雑な感情ばかりで、どうとも定義する事が出来ない。
安堵と落胆が入り混じるそれは和の反応をどこかぎこちないものにしていた。

京太郎「ただ…今は小蒔や漫さんに責任取らなきゃいけないからさ」
小蒔「はぅぅ…ん…っ♪♪」

それに心配する気持ちは京太郎の中にはある。
しかし、これまで放置してきた小蒔や漫はそれ以上に切羽詰まった状況なのだ。
和に声を掛けるよりも先にまずは二人の事をどうにかしてやらなければいけない。
そう思った京太郎は和からそっと視線を外し、目の前に座る小蒔の身体をぎゅっと抱きしめる。

京太郎「ごめん、小蒔。待たせたな」
小蒔「は…ぁ…ぁっ♪オチンポ…くれるんですか…っ♥オチンポ…オチンポぉ…♪♪」

謝罪する京太郎に嬉しそうに答える小蒔の声には最早、理性の色など欠片もなかった。
淫語を嬉しそうに呟くその顔は欲求不満と喜色に彩られ、唇からは唾液がこぼれ落ちている。
まさにケダモノそのものと言ったその顔になっても、しかし、小蒔は京太郎の邪魔をする事はなかった。
それも全て小蒔が京太郎の事を愛しているからだと知っている彼は申し訳なさそうにその顔を歪める。


京太郎「あぁ。今、小蒔の大好きな奴をやるからな」
和「あ…」

そう言って自分でズボンのファスナーを下ろし、間から男根を取り出す京太郎。
その姿に和が声をあげるのはそこはもうガチガチになるまで張っていたからだ。
勃起という言葉を何より体現するようなその肉棒の姿に和の胸がトクンと跳ねる。
小蒔だけではなく和自身も大好きなそれに今すぐむしゃぶりつきたくなって仕方がなくなるのだ。

和「ぅ…」

しかし、それは出来ない。
そう理性が邪魔するのは、自身が能力の影響を受けていないからだ。
今にも壊れてしまいそうなほど昂った小蒔に比べれば、自分の状態が幾分マシなものだと彼女は理解していたのである。
それでも尚、京太郎の事を求められるほど原村和という少女は自分勝手にはなれない。
結果、彼女は小さく声をあげるだけで、その胸に抱いた嫉妬を行動に反映させられなかった。

小蒔「あぁ…っ♪♪嬉しい…ぃ♪オチンポ嬉しい…っ♥♥オチンポ早く…早くぅぅぅ…♪♪」
京太郎「分かってる。今、脱がすから…ちょっと待ってな」

そう言いながら小蒔の服を脱がしていく京太郎の手つきはとても手慣れたものだった。
甘えん坊な小蒔や和が求めるのに答えている内に他者の服を脱がせるという事に京太郎は慣れてしまったのである。
しかし、それを見た和が胸を苦しくさせるのは、それが今、自分に向けられているものではないからだろう。
胸焦がすほど愛している男が今から別の人間とセックスする為にそれを使っている。
そう思うだけで和の目尻から涙が浮かびそうになり、ぎゅっとその手を握りしめるのだ。


京太郎「ほら、足を広げて…そう良い子だな」
小蒔「くぅ…ん…っ♪♪良い子…ぉ♥私…良い子…ぉ♥」
京太郎「あぁ。だから、すぐにご褒美をやるからな」

そんな和を尻目に京太郎は小蒔の袴をそっと脱がせた。
瞬間、露出した飾り気のない下着はもうぐっしょり濡れて、肌に張り付いている。
お陰で向こうにある肌が透けるその姿は京太郎の興奮を擽るものだった。
淫靡という言葉を体現するようなそれに反り返った肉棒の切っ先がピクピクと揺れる。
それをぐっと握りしめた京太郎は小蒔の下着をズラしながらそっと入り口に矛先を向けた。

小蒔「(オチンポオチンポオチンポオチンポオチンポ…っ♪♪)」

もうすぐにまで迫ったセックスの瞬間。
そこで小蒔が思い浮かべるのは逞しい肉棒の感触だった。
喜悦と期待混じりのその言葉以外には何者も小蒔の胸に存在しない。
京太郎の邪魔をしないように必死に淫欲を押しとどめていた理性すらそこにはなく、ただ愛欲の虜となった一匹のメスがいるだけだ。

小蒔「ひぐぅぅ…ぅぅうううぅうっ♥♥♥」

そのメスの身体に京太郎の肉棒が埋め込まれた瞬間、叫び声をあげる。
何処か遠吠えにも聞こえるそれは陶酔と欲情混じりの甘いものだった。
周囲のライバルにセックスを知らしめようとしているようなそれに和と漫の胸が強い疼きを発する。
其の目に嫉妬と羨望を強める二人の前で、小蒔は身体を痙攣させ、ようやく与えられた肉棒の快楽に善がっていた。


小蒔「はんんんっ♪♪ひあぁ…っ♥♥あ゛ぁぁぁっぁっっ♪♪♪」

普段の小蒔の身体は能力の影響もあって、京太郎相手には信じられないほど敏感だ。
その手で撫でられるだけ、触れられるだけで身体が反応し、興奮と快楽を得てしまうくらいに。
勿論、その肉棒に貫かれれば、何度だってイキ狂い、何もかもを押し流すような快楽に失神と覚醒を繰り返すくらいだ。

小蒔「いぐぅうっ♪♪いくいくいくいくぅぅぅっ♥♥いひゅぅぅっっんんっ♪♪♪」

しかし、そんな何時もと比べても、今の小蒔の絶頂は凄まじいものだった。
硬く張り詰めた肉棒の先端が粘膜をこじ開けただけで幾つもの絶頂が連なり、小蒔に襲いかかるのだから。
まるでその肉襞一つ一つまでがイッているような感覚に小蒔の意識がふっと揺らぐ。
まだ入り口を擦られた程度で失神寸前にまで追い詰められる感覚に身体が戦慄き、その口からは激しい絶頂が伝えられた。

漫「ごくっ…」

それに一番の反応を示したのは和ではなく、漫だった。
小蒔と同じく京太郎の能力を受けた彼女にとって、それは決して他人事ではなかったのだから。
今はまだ平静を装えてはいるものの、数分後にはどうなるなるか分からない。
そんな彼女にとって今の小蒔の姿は未来の自分でもあり、興奮と嫉妬を強めるものだったのだから。


漫「(神代さん…あんな風に喘ぐんや…♪♪)」

そして同時に強い背徳感を覚えるのは、決して良く知っているとは言えない同性の乱れる姿を見せつけられているからだろう。
普通に生活していれば決してあり得ないであろうそれに漫はトクンと胸を疼かせ、暗い興奮を体中に広げた。
嫉妬混じりのそれに漫の身体は突き動かされ、そっと京太郎に近づいていく。

漫「ね…京君…♥うちのこと忘れとらへん…?」
京太郎「いや…別に忘れてる訳じゃ…」

そのままそっと京太郎に抱きつく漫の事を京太郎は忘れていた訳ではない。
しかし、今の小蒔をそのままにしていたら日常生活に復帰する事すら難しそうだったのだ。
まずはその欲情を解消してやらなければと思って、小蒔を優先しただけである。
結果、乱れる小蒔の姿に興奮を覚え、そっちに引きこまれはしたものの、決して忘れていた訳じゃない。

漫「じゃ…うちともキスしてくれるよね…♥」
京太郎「それ…ふくっ!?」

そんな京太郎の返事を待たずに漫はその唇を奪い去る。
ちゅっと言う音と共に自身の唇を押し付けた彼女は彼の唇をねっとりと舐め始めた。
京太郎の事を貪ろうとする意思をまるで隠そうとしないそのキスに彼の身体が興奮を強める。
結果、漫のキスを拒めなくなった京太郎は自分からそっと顔を押し付け、恋人との甘いキスに興じた。


小蒔「あ゛ぁ…っ♪♪あ…あぁぁぁぁっ♥♥」

そんな光景を目の前で見せつけられた小蒔の口から抗議するような声が漏れる。
その胸を欲情で満たし、ケダモノになったとは言え、小蒔は決して京太郎への愛情を忘れた訳ではないのだ。
寧ろ、欲情の源泉となっているそれは堅持されるどころか、大きく膨れ上がってさえいる。
そんな彼女の目の前で愛しいオスが別のメスとキスに興じているのだから、面白いはずがない。
身体が充足している感覚の中で不満を覚えた彼女は自分からそっと腰を下ろしていく。

小蒔「くぅ…ん…っ♪♪うあ…ぁ…あぁぁっ♥♥♥」

しかし、それが順調かと言えば、決してそうではなかった。
普段以上に敏感になった身体はほんの僅かに男根と擦れるだけで激しくイッてしまうのだから。
身動ぎ一つする度に身体の中で筋肉が跳ね、作業を中断せざる得ないのだから順調なはずがない。
それでも小蒔は愛しいオスを取り戻そうとゆっくり腰を下ろし、その肉棒を飲み込んでいく。

小蒔「んひぃい゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃっ♥♥♥」

瞬間、小蒔の口から悲鳴のような声が漏れたのは京太郎の肉棒が一気に奥まで貫いたからだ。
それは勿論、小蒔の意思で行われたものではない。
ほんの数センチ動くだけで身体がイキ狂いそうになる彼女がそんな事出来るはずがないのだから。
そしてその足は震えながらも未だ椅子を踏みしめているのだから、足を踏み外したという事もない。


小蒔「あ゛…ーっ♪♪あ゛ぁぁぁ…あぁ…♥♥♥」

そんな彼女の腰にはいつの間にか京太郎の手が添えられていた。
震える小蒔の身体を支えるようなそれは、しかし、つい数瞬ほど前に小蒔の身体を引きずりおろしたものである。
まるでその程度の挿入では物足りないとばかりに一気に自身の奥まで貫いたそれに小蒔が震える声をあげた。
その瞬間、ちょろちょろという音と共に小蒔の身体から黄色い液体が漏れだし、下の京太郎へと振りかかる。

漫「(うわ…ぁ…エゲツないぃ…♥♥)」

キスしながらもその一部始終を見ていた漫にとって、それは微かに同情を覚えるものだった。
今の小蒔がどれだけ敏感で、そして気が狂いそうになるくらい善がっている事くらい漫にも理解出来ているのだから。
その上、一気に奥まで愛しい夫の肉棒で貫かれたら、失禁してもおかしくはない。
寧ろ、その意識がなんとか飛ばずにいられている事を僥倖と思うべきなのだろう。

漫「(本当…意地悪なんやからぁ…ぁ♥)」

勿論、それを京太郎が分かっていないはずがない。
少なくとも、自分とキスをする彼の手は引きずり落とした瞬間とは裏腹に、小蒔の身体を優しく支えているのだから。
挿入から間髪入れず脱力した小蒔の身体を支えるそれは分かっていなければ不可能だろう。
その上、椅子やズボンを穢す小蒔の失禁に何も驚きも覚えずにキスを続けているのだから、分かっていてやったに違いない。


漫「(でも…その意地悪さが…ゾクゾクするぅ…♪♪)」

それは勿論、自分に向けられたものではない。
あくまで自分はサブであり、メインは寵愛を受けているのは小蒔の方なのだから。
しかし、そうと分かっていても、漫の身体は興奮を覚え、子宮をドロリと蕩けさせてしまう。
幾度となくその意地悪さにいじめられ、昂らされていた彼女にとって、それは羨ましささえ覚えるものだった。

小蒔「あひ…ぃ…ぅ♪♪あきゅ…ぅぅ…♥♥」

そして、それは吐息にさえ甘い響きを見せ始めた小蒔にとっても同様である。
嗜虐的なその一撃に小蒔は身体を痙攣させながら悦び、そして喜んでいた。
その証拠に彼女の両腕は京太郎の背中へと周り、その豊満な胸を押し付けている。
痙攣の度にプルプルと震えるそれはまるでもっといじめて欲しいと京太郎に訴えているようだった。

京太郎「ちゅ…漫…」
漫「ん…♥しゃあないなぁ…♪」

お互いの唇を舐め合うようなねっとりとしたキス。
その合間に漏らされた言葉の意味を漫は正確に読み取った。
それに仕方がないと言葉を漏らすのは、京太郎が望んでいる事が漫にとって利敵行為に等しいものだからである。
とは言え、このままろくに動けない状態では京太郎もろくにイけない上に、自分にだって構っては貰えない。
そう判断した漫はそっと彼から離れ、テーブルの上のシートを上に並んだ牌ごとそっとどかした。


京太郎「よいしょっと…」
小蒔「ひゃぅん…っ♪♪♪」

そうして出来たスペースに京太郎は小蒔の身体を横たえた。
脱力した人の身体はかなり重たいものの、小蒔自身が小柄な為にそれほど負担にはならない。
寧ろ、頼られているという事を感じるその重さにもう少し持っていたくなるくらいだ。
しかし、漫にまで手伝ってもらった以上、そうやって小蒔とだけいちゃつく訳にはいかない。
何より、小蒔自身がそれを望んでいないという事が、彼には十分、伝わってくるのだから。

和「(神代さんは…まだ…満足していない…)」

それは和もまた同じだった。
いきなり目の前に小蒔の身体を横たえられた彼女にはその顔が良く見えてしまうのだから。
もう目尻からポロポロと涙を零し、半開きになった口から唾液を漏らしながらも、小蒔はまだ満足していない。
その瞳には欲情が激しく燃え盛り、ピンと尖った桃色の乳首が我慢出来ないと言わんばかりにピクピクと揺れている。
何より、もぞもぞと動くその腰は奥に留まったままの肉棒に動いて欲しいと訴えるものだったのだ。

京太郎「本当に小蒔は可愛くて仕方がない…淫乱妻だな…っ!」
小蒔「あ゛ひぃぃぃぃい゛いいぃいっ♪♪♪」

そんな小蒔の膣肉を京太郎の肉棒がゴリゴリと引きずる。
何時もよりも興奮している所為で張ったカリ首は小蒔の肉襞をこれでもかとばかりに虐めてくるのだ。
その上、興奮した京太郎のピストンは最初から遠慮がなく、小蒔好みの激しいものである。
ズッチュズッチュと愛液を掻き出すようなそれに小蒔はケダモノじみた叫び声をあげ、全身を痙攣させた。


漫「ふふ…♪こうして見ると…凄いエッチやね…♥」

さっきとは違い、テーブルの上、しかも、正常位で犯されている小蒔に隠せるところなど殆どなかった。
局所だけを晒すようにズラされた下着も透けて、殆どその意味を成していない。
勿論、一突き毎に愛液を吹き出し、悶えるほどに喜ぶ肉穴の反応もまた漫には丸わかりだ。
その身体の中に駆け巡っている快楽をまるで隠そうとしないその反応に、漫は再び京太郎へと絡みつく。

漫「ね…神代さんの欲情盛りはどう?美味しい?」
京太郎「美味しすぎて…すぐ出ちゃいそうなくらいだ…」

そのまま耳元で囁く漫の声に京太郎は素直にそう返した。
他の二人の前で犯しているというシチュエーションの所為か、京太郎は何時もより興奮しているのである。
流石に小蒔ほどではなくとも、その感度は普段のそれよりも遥かに高くなっていた。
そんな肉棒で手加減なしでピストンを繰り返しているのだから、それほど遠くない内に射精してしまう。
そうは思いながらも抽送を緩める気が起こらないくらい、小蒔の中は気持ちの良いものだった。

漫「ふふ…♪じゃあ…うちもそのお手伝い…してあげるね…♥」
京太郎「うあ…っ」

そう言いながら漫が手を伸ばしたのは京太郎の胸だった。
未だ上着を羽織ったままのそこに漫はそっと手を差し込み、そのまま優しく肌を撫でる。
サワサワとしたそれは京太郎に独特のくすぐったさを与えた。
けれど、それだけで済まなかったのは興奮した京太郎の肌が普段よりも敏感になっていた所為だろう。


漫「京君、女の子みたい…♪可愛えぇよぉ…♥♥」
京太郎「ちょ…す、漫さん!?」

そのまま胸板を撫でる漫の手はとても滑らかだった。
まるで上質なシルクのような心地良い肌さわりに微かな快感を覚える。
しかし、それを容易く受け入れられないのが男という生き物だ。
自分が胸で感じている事に尊厳を穢されるような気がして京太郎はそう抗議の声をあげる

漫「だって、しゃあないやん…♥うち…手持ち無沙汰なんやもん…♪」

そう拗ねるように言うのは京太郎が本格的にセックスを開始した所為だ。
小蒔ではなく自分で動くそれにキスをするような余裕はあまりない。
故に再び京太郎にキスを強請ったら彼の邪魔になりかねない事を漫は理解しているのだ。
そんな彼女が自分勝手にキスを強請れるはずもなく、こうして拗ねるようにして京太郎を責めるしかない。

漫「それとも…うちの事も可愛がってくれる…?うちはそれでも構わへんよ…♪♪」

そう挑発するように言う漫の言葉は決して嘘ではなかった。
京太郎にされるのであれば何でも喜ばしく思える彼女にとって、彼の愛撫は堪らないものなのだから。
興奮で張り始めている乳首を少し抓られるだけで今の漫は容易くイく事が出来るだろう。
それを内心、求める漫にとって、それはどちらに転んでも構わない言葉だったのだ。


京太郎「く…ぅ…」

しかし、京太郎はその挑発に乗る事が出来ない。
それは何時も以上にきつく締まり、ジュルジュルと纏わりつく小蒔の肉襞が気持ち良いからだけではなかった。
横から京太郎へと寄り添う漫を愛撫しようとすれば、その手は彼女の方へと向けなければいけない。
だが、こうして正常位で小蒔を犯している今、そうやって手を横に伸ばす余地というものが京太郎にはないのだ。
身体の構造上仕方のないその問題に京太郎は悔しそうに歯噛みしながらも、ピストンを続ける。

小蒔「あひぃっ♪♪ひぅぅっ♥♥ふぁっ♥♥あ゛あぁぁぁっ♪♪♪」

まるで漫に対して反撃できない悔しさを発散するような激しいピストン。
それに小蒔が断続的な鳴き声をあげながらその背筋を浮かせた。
微かに弓なりになったその背筋をブルブルと震わせるその身体からぷしゃあと激しい勢いで透明な液体が漏れ出す。
俗に潮と呼ばれるそれは抽送を繰り返す京太郎の腰へと当たり、周囲へと飛び散っていった。

小蒔「あ゛ぅあぁぁ…っ♪♪ひぃ…ぃぃいぃぃぃっ♥♥」

しかし、小蒔はもう自分が潮吹きをした事さえも認識できていなかった。
彼女の中にあったのは途方も無い気持ち良さだけで、他は全て薄れさってしまっていたのである。
まるで他の何も要らないと言わんばかりに悦楽だけで満たされるその感覚に多幸感すら浮かび上がらない。
意識すら蕩けていくような凄まじい快楽の中で、彼女の中にあったのは自身の肉穴の感覚だけだったのだ。


小蒔「(あっひもこっちもぉ…グチョグチョに…ドロドロにしゃれへぇ…♥♥)」

容赦の無い京太郎のピストンは漫の介入によって時折、不規則な動きを見せた。
最短でボルチオを目指すのではなく、あちらこちらに擦れながら奥へと雪崩れ込んでくるその軌道を小蒔はまったく予測出来ない。
自然、それは快楽に対するガードを下げさせ、絶頂の波を幾つも起こさせる。
最早、休みなく小蒔の身体を揺さぶるほどになったそれに彼女は耐える事が出来ない。

小蒔「(ひもちよしゅぎるぅ…っ♥♥こんにゃの…しんらうぅ…♪♪こまき…ひんじゃいますよぉぉ…♥)」

文字通り頭がおかしくなってしまうほどの快楽の波。
一瞬たりとも途切れる事なくイき続けるその感覚に小蒔は息も絶え絶えになっていた。
このままでは頭の中が焼き切れて死んでしまうのではないかと本気で思ってしまうくらいである。
しかし、それでも小蒔の心にそれに対する拒絶は浮かびあがる事はない。
寧ろ、もっとして欲しいとばかりに痙攣する腰を動かし、京太郎の抽送を補助してしまうのだ。

漫「ふふ…神代さんの腰もカクカクって…これも京君の事好きやからやで…♥♥」

そんな小蒔を見ながら、漫はニンマリとした笑みを浮かべてしまう。
意地の悪いそれは京太郎を責める新しい材料を見つけたからだ。
勿論、普段であればそんな真似はしないが、今の漫は小蒔とのセックスを見せつけられている立場なのである。
少しくらい虐めても構わないと自分の良心を納得させながら、京太郎の耳元でそっと口を開いた。


漫「神代さんみたいな美少女にこんなに好かれてるなんて…京君は本当に果報者やなぁ…♥♥」
京太郎「っ…!」

そのまま吐息と共に甘く囁く漫の声に、京太郎が微かに歯を食いしばった。
それは漫の言葉に嫌な予感がしたというよりも、良心が咎めたからである。
実際、京太郎にだって自分が小蒔に釣り合っているだなんて欠片も思っていないのだから。
そんな小蒔を能力で無理やり従えているだけではなく、こうして二人の前で晒し者にしているのだから胸が傷んで当然だろう。

漫「で…そんな彼女の前で…おっぱい弄られて感じる気分は…どぉ…♪♪興奮する…ぅ♥♥」
京太郎「うくぅ…」

そんな京太郎を追い詰めるように漫は小さく爪を立て、彼の胸を引っ掻いた。
丁度、乳輪と呼ばれる位置への愛撫に噛み締めた歯の奥から声が漏れてしまう。
それに漫が嗜虐的な笑みを強めるものの、京太郎には何も出来ない。
それを悔しく思うだけで今の彼に小蒔を満足させながら反撃する手段なんて思いつかなかったのだ。

和「(あぁ…♥ご主人様…とっても気持ち良さそう…♪♪)」

その姿を見て、一番、胸をときめかせていたのは和だった。
淫蕩に耽るようにして絡み合う三人を唯一、外から見つめるその目はもう漫に負けないくらいトロンとしている。
胸中で京太郎の事を『ご主人様』とセックスの時限定の呼び方をするその心もまたその瞳に負けないほどに蕩けていた。


和「(ご奉仕したい…っ♥♥私も…ご主人様に…一杯、ご奉仕して…気持ち良くなって欲しい…っ♥♥)」

それをいけないと思いながらも和は自分の欲情をもう止める事が出来ない。
目の前で京太郎の寵愛を受ける二人が羨ましいを超えて、自分も混ざりたいと和はそう思い始めていたのだ。
理性はそちらを食い止めるので精一杯で、その身に宿る欲情を抑えるまで手が回らない。
結果、野放しになった淫欲は和の中で甘い言葉となって、その心を震わせるのだ。

和「(私の指で…口で…アソコで…ご主人様が喘ぐところが見たいのに…ぃ…♪♪)」

けれど、それだけはいけないと食い止める和の理性はその場から逃げる事を強く叫んでいた。
このままこの淫らな光景を見ていたら自分が我慢できなくなる事を彼女も理解していたのである。
しかし、その足が動くどころか、その目すら和は逸らす事が出来ない。
まるでそれを見ていない方が嫉妬で狂いそうになると言わんばかりに、彼女の熱視線はずっと三人に注がれ続けていた。

京太郎「くっそ…!漫…覚えてろよ…!」

そんな和の前で京太郎は悔しそうに言葉を漏らす。
さっきまでの敬語とは違い、はっきりと彼女を同列に扱うのは勿論、悔しいからだ。
一方的にされるがままになりながらも反撃の糸口すらつかめない状況が腹立たしいからである。
勿論、そんな事を言ったところで漫が怯えて手を緩める訳がない事くらい京太郎にだって分かっていた。
しかし、それでも言わないといけないくらいに、彼の心は恥辱を覚えていたのである。


漫「ふふ…♪って事は…うちも神代さんと同じくらいにおかしくなるくらいにレイプしてくれるんやね…♥楽しみやわぁ…♥♥」

そして京太郎の予想通り、漫はそれに怯える事はなかった。
寧ろ、その声に興奮と喜悦を強めるのは、本来の彼女が被虐的な性格をしているからだろう。
京太郎によって開発されたその性質は、中々、変わるものではない。
こうして京太郎を責めている今も尚、本当は嗜虐的に責められたくて仕方がなかったのだ。

漫「子宮の奥までオチンポ突っ込んでボルチオ責めにされて訳分からんくらいイかされるのもええし…子宮壊れそうなくらいピストンされまくるのも堪らへんなぁ…♥♥」
京太郎「ぅ…」
小蒔「んひゃうぅっ♪♪♪」

その期待をそのまま口にする漫に京太郎の興奮は高まってしまう。
そうやって期待混じりの淫語を囁かれるとついつい小蒔の中で肉棒が跳ねてしまうのだ。
自然、それに反応してしまう小蒔の膣穴がギュッと締まり、動き続けるカリ首を掴む。
興奮したところに注ぎ込まれるその快楽に思わず声をあげながらも、京太郎はその動きを緩める事はなかった。

小蒔「あ゛あぁぁっ♥♥ひあぁぁっ…♪♪ひ…ぃぃぃい゛っ♪♪♪」

その動きに小蒔はそろそろ限界を迎えつつあった。
脳が処理出来る限界一杯に達した快楽がオーバーフローを起こし始めていたのである。
お陰でチカチカと点滅し始めた意識を保てているのかそれとも気を失っているのかさえ分からなくなっていく。
ただ確かなのは気を失いそうになっている時も身体は信じられないほど気持ち良く、止めどなく昂っていく事だけ。


小蒔「お゛ふぉお゛ぉぉぉぉぉぉっっっ♥♥♥」

そんな小蒔のトドメになったのはズンッとボルチオを貫くような京太郎の一撃だった。
小蒔の腰を軽く持ち上げながら叩きつけるそれは彼女を一瞬で絶頂の彼方へと置き去りにする。
アレだけ激しかった悦楽の波さえも胡乱になる中で小蒔が感じていたのはうっとりとするような心地良さだけ。
苦痛と受け取られてもおかしくはない絶頂の果てにあるそれに小蒔の身体は眠気を覚えた瞬間、ブツリと意識が途切れた。

漫「あちゃぁ…♪小蒔ちゃん…これ失神しとるで…♪♪」
小蒔「あ゛…♪♪あ゛ぁぁ~ぁ……♥♥」

それでも快楽に反応する身体から、喘ぎ声は漏れ出している。
しかし、それはさっきまでとは比べ物にならないくらい弱々しいものだった。
そんな小蒔を見ながら、漫はブルリと背筋を震わせる。
漫とて失神するまで京太郎に犯された経験が少なからずあるのだから。
勿論、その間の自分の状態がどんなものなのか、把握する事は出来ない。
そして、今、彼女の眼の前にいるのは、自分と同じく京太郎に開発された小蒔が失神する姿なのだ。
そこに過去と未来の自分の姿を見て、興奮を覚えるのは当然の事だろう。

漫「ふふ…っ♪失神するまでレイプするなんて…ほんま京君は酷い人やね…ぇ♥」
京太郎「くぁ…」

その興奮を原動力にしながら漫はそっと京太郎の下腹部を撫でる。
そのまま愛液とカウパーで濡れた付け根の周りをスリスリと撫でる手はとても扇情的だった。
興奮した身体から思わず声が漏れてしまうほどのそれに小蒔の中で肉棒がビクンと跳ねる。
それに合わせてまたイッた肉穴がきつく締め付けてくるのを感じながら、京太郎はそっと口を開いた。


京太郎「し、仕方ないじゃないか。まだ俺だってイけてないんだからさ」
漫「ふふ…♪そうやね…♥」

勿論、失神するまで犯し続ける事に京太郎は申し訳ないと思っている。
しかし、自らの手によって開発され、能力の支配下にある彼女たちは信じられないほど敏感で貪欲なのだ。
京太郎が満足するまでの間に三桁を下らない絶頂を繰り返し、それでも、さらなるセックスをせがむ。
そうやってイき続ける恋人たちの姿が好きな京太郎も止まらず、ついつい気を失うまで責め続けてしまうのだ。
特に今回は小蒔が能力の影響もあって信じられないほど敏感になっており、まだ京太郎は一度も射精していない。
そんな状況で小蒔が気を失うだなんて京太郎もそして漫も予想外だったのだ。

漫「…マグロ状態の小蒔ちゃんレイプ出来る…?」
京太郎「それは…」

漫の言葉に逡巡を覚えるのは、漫の欲情がそろそろ限界近いのを感じ取ったからだ。
普段のセックスならば、恋人たちの意識が戻るまで適当にその身体を弄んで楽しむ事が出来る。
しかし、今、京太郎を待ち望んでいるのは決して小蒔だけではないのだ。
こうして彼女が失神してしまった以上、次は漫の身体を満足させてやるべきなのかもしれない。

京太郎「いや…やっぱり一度、小蒔で射精するよ」

そう思いながらも京太郎がそれに従えなかったのは、さっきの悪戯を忘れていなかった所為だ。
仕返しの出来ない状況で横槍を入れてきた漫に、多少は意地悪を仕返してやりたかったのである。
勿論、普段、それ以上の事をしている自覚はあれど、こればっかりはどうにもならない。
傷ついた彼のプライドと嗜虐心は漫にもまた同じだけの恥辱を味合わせる事を望んでいたのである。


漫「失神してからもレイプするなんて鬼畜…ぅ…♥」

しかし、それは漫にとって予想通りと言っても良いものだった。
京太郎がどんな風に考えるかをこの場で誰よりも把握しているのは漫なのだから。
触れ合った時間こそ短いけれども、その基本的な性質が似通っている彼女にとって、それは容易く想像出来るものだったのである。
それがもどかしくないかと言えば嘘にはなるが、けれど、嬉しくない訳じゃない。
そう思うのは漫もまたそうやって焦らされるのが好きだからだろう。

漫「ほら…神代さんの事もっとレイプして…寝てる間にどぴゅどぷしながら孕ませられたって思うくらい射精してあげて…ぇ♥♥」
京太郎「あ…あぁ」

その喜びを興奮へと繋げながら、漫はそうやって京太郎の背中を押す。
それに肩透かしめいたものを感じながら、京太郎は再びその腰を動かした。
気を失っているとは言え、オルガズムが続いている所為か、その中はきつく、そして熱い。
ドロドロとした熱に肉棒の芯まで暖められる感覚は心地よく、そして気持ちの良いものだった。
一片足りとも汚れは許さないと言わんばかりに絡みついてくる肉襞も相変わらずで一突き毎に射精へと近づくのが分かる。

和「あ…ぁ…♥」

そしてその光景を未だ部外者という立場で見せつけられている和にとって、それは胸が疼くものだった。
失神しながらも犯して貰える小蒔が、和にとっては羨ましく思えて仕方がないのである。
何せ、それは一生、京太郎とセックスし続けたいと言う和の夢を叶えるような淫らな光景なのだから。
それに和はついつい熱い吐息を漏らし、その内股を擦れ合わせる。
瞬間、クチュリとなった小さな音を聞いていなかった振りをしながらも、和の喉は小さく生唾を飲み込んだ。


和「(私も…私も欲しいです…っ♥ご主人様のオチンポ欲しい…っ♥愛玩奴隷の発情マンコに奥まで突っ込んで欲しいんです…ぅ♥♥)」

瞬間、湧き上がる言葉はもう喉元まで出かかったものだった。
気を抜けばそのまま言葉になってしまいそうなそれは勿論、和の欲情が限界近くにまで達しているからである。
目の前で繰り広げられる淫らな饗宴に一人だけ参加出来ないその身体はもう疼きを強めて子宮もキュンキュンと唸っているのだ。
普段であれば恥も外聞もなく京太郎へと飛びついてセックスを強請っているだろうその欲求不満に和は何とか踏みとどまっているのが現状である。

京太郎「うーん…」

そんな和の前で京太郎が何とも言えない声を漏らすのはあまり興が乗らないからだ。
流石に死体を犯しているというほどではないが、眠っている相手を強引に犯しているような気がしてならない。
勿論、気持ち良いのは気持ち良いのだが、さっきまでの内側から燃え上がるような興奮はまるで感じなかった。

漫「もう…手間のかかる子やねぇ…♥」

そう言いながらも漫の顔には嬉しそうなものが浮かんでいる。
それは勿論、恋敵の身体で恋人が満足出来ていないのが伝わってくるからだ。
幾ら二人をなし崩し的に京太郎のハーレムへと引きずり込む事を提案した漫とは言え、その内心は恋する乙女なのである。
ライバルとのセックスで満足出来ていないというそれは、例え錯覚であろうとも強いアドバンテージに思えて仕方がないのだ。


漫「(その上…それをうちが助けてあげるんやから…最高のシチュエーションやん…♥)」

自分だけが京太郎を興奮させてあげる事が出来る。
どんな形でも射精に導いてあげる事が出来る。
その独占欲めいた喜びを漫は拒む事が出来なかった。
胸の中に宿ったそれが錯覚であり、歪んでいると理解しながらも、その胸中は喜悦に満たされるのである。
そして、それに突き動かされた彼女はそっと京太郎から離れ、自らの椅子にそっと足を掛けた。

京太郎「…漫?」
漫「よいしょっと…♥」

そんな漫の姿に疑問を声にする京太郎。
それに答えないまま漫はテーブルへとあがった。
勿論、普段であれば漫だってそんなはしたない真似はしない。
ましてや、ここは彼女の実家ではなく、後に嫁ぐかもしれない須賀の家なのだから出来るはずがなかった。
しかし、彼女にとって独占欲混じりのその喜びはそんなものでは釣り合いが取れないのである。

漫「えへへ…♪」

そのまま四つん這いになって移動する漫は、小蒔の下腹部に膝立ちでまたがるような姿勢になった。
自然、真正面から京太郎へと向き直るその顔は心から嬉しそうな笑みを浮かべる。
それはそうやって京太郎と見つめ合うのが彼女にとって心地良く、そして嬉しいからだ。
愛しい夫の視線を自分一人が独占していると思うとそれだけで胸が蕩けてしまいそうになる。
その上、キスだって出来そうな距離まで近づいているのだから、我慢出来ずに顔を蕩けさせてしまうのも当然だ。


漫「ね…京君…♥見て…ぇ♪」

しかし、そんな距離にまで近づきながら漫が選んだのはキスではなくストリップだった。
その服にそっと手を掛けた彼女はそのまま京太郎の前でゆっくりとそれを脱ぎ去っていくのである。
焦らすように、けれど、勿体ぶる事はない絶妙なタイミングでゆっくりと脱ぎ去られていくそれに京太郎は思わず生唾を飲み込んでしまう。
さっきとはまた違った興奮ではあるが、身体にも強い熱が籠もり、肉棒から伝わってくる快感が強くなるのを感じた。

漫「(んふ…♪うちのストリップ…そんなにギラついた目で見て…ぇ♥)」

勿論、快楽を求めるその腰は未だに小蒔の事を犯し続けている。
けれど、愛しい夫の視線は今、小蒔ではなく、漫にだけ注がれているのだ。
しかも、その視線はギラギラと輝き、まるで視線で肌を穢されているようにも感じる。
他の男であれば今すぐ張り倒したくなる視線も、愛しい相手であれば気にならない。
寧ろ、もっと見て欲しいと欲望を沸き上がらせながら、漫はそっと最後の一枚を脱ぎ去った。

漫「ねぇ…どう…♪うちのエロ下着…ぃ…♪」

瞬間、顕になったのは黒く染まった下着だった。
アクセントにところどころ青のレースが混じっているそれは殆ど裸と言っても差支えがないものだろう。
その殆どをレースで構成されたそれはその向こうにある漫の豊満なバストをまるで隠してはいないのだから。
頂点でピンと張る乳首やその周りの乳輪などは、寧ろ、亀裂のように入ったレースの切れ目からちょこんと顔を出している。
人並みのものよりも大きいそれはまるで刺激を求めるようにピクピクと震え、何とも言えない淫靡さを演出していた。


京太郎「この前とは違う奴なんだな…」
漫「今日はお泊り出来るって聞いたから…また新しいの買ったんやで…♥♥」

京太郎の放った言葉そのものは冷静そうに聞こえるかもしれない。
しかし、さっきよりも強くなった視線は露出した漫の胸にじっと向けられ、その口からは興奮の吐息が漏れる。
肌をチリチリと焦がすようにも感じるそれに漫は笑みをさらに蕩けさせながら、そっとバストを下から持ち上げた。
自然、ワイヤーなど殆ど入っていないブラが歪み、彼女の大きな谷間をさらに強調する。

和「(な…なんて…淫らな…♪)」

そんな漫の様子に和は羨望の思いを強める。
バストを支えるのでも矯正するのでもなく、ただ異性を興奮させる為のそれは同性である和すら興奮させるものだった。
まさかそんな下着があるだなんて想像もしていなかった彼女にとって、それは衝撃的と言っても良い光景だったのである。
セックスで興奮し、オスへと変わりつつある京太郎にとって、それがどれだけ淫らでそして魅力的に映るのか和には想像も出来ない。
しかも、見せつけるように谷間を寄せたらどうなるのかなんて、想像したくもないくらいだった。

漫「どう…?うち…エロい?それとも…綺麗…かな…?」

何処か不安げにそう聞くのは、本来の彼女があまり自信のあるタイプではないからだ。
こうして興奮と勢いに任せて迫っているものの、内心は小蒔や和に対する劣等感で一杯なのである。
それはこうして京太郎の視線を独占している今も決して消え去りはしない。
いや、寧ろ、今も犯し続けている小蒔と比較され、失望さえないか不安で仕方なかったのだ。


京太郎「何時だって漫は俺にとってエロくて綺麗な恋人だよ」
漫「んふぅ…♥♥」

そんな不安を消し飛ばす言葉を京太郎は躊躇いなくくれる。
その喜びに声をあげながら、漫のその肩をブルリと震わせた。
そう言ってくれると分かっていたものの、やっぱりはっきり言われると嬉しくて堪らない。
何度、言われても色褪せないその喜びに漫はニコリと微笑んだ。

漫「まったく…本当に女殺しな言葉を言うのが得意なんやからぁ…♥」

悔しそうに言いながらもふにゃりと緩んだ微笑み。
誰が見ても漫が喜んでいる事が分かるそれに京太郎もまた笑みを浮かべた。
欲情に負けないそれは彼女の喜悦を我が事のように受け止めている事を漫に知らせる。
それがまた嬉しくなった漫は自身の両手をそっと下腹部へと下ろし、スカートのホックをそっと解いた。

漫「だから…こっちも京君にだけ…見せてあげるね…♥」

そう言って漫が晒したショーツはブラと対になっているものだった。
本来であればクロッチがあるはずの部分は勿論、大きく開いている。
ひくひくと蠢く大陰唇を見せつけるようなその隙間からは透明な愛液が滴り落ちている。
ねっとりと糸を引くようなそれが失神し続ける小蒔へと滴るその光景は京太郎の目に堪らなく淫靡に映った。


漫「ふふ…♪そんなにじっと見られたら…うちのオマンコまたトロトロになるやんかぁ…♥」

そう言いながら、漫はそっと自身の胸に手を当てる。
童顔な彼女からはアンバランスなくらい大きく膨らんだそこを漫はねっとりと撫で回す。
そこには未だブラで覆われているとは言え、殆どワイヤーが入ってお陰で簡単にその形を変える事が出来た。
そして、その奥にあるバストもまた自身の柔らかさを伝えるように歪み、京太郎の興奮を擽る。

漫「だから…オナニーする…ぅ♪京君に見られながらオナニー…ぃ♥京君の為に…うち一杯エロエロになるん…っ♪♪」

その言葉が少しずつ理性の響きを失うものになっていた。
自分の身体をいじり始めた所為か、或いは能力の影響が本格的に現れ始めたのか。
彼女の言葉は微かに震え、欲情の色を強めていった。
ハァハァとその熱い吐息の感覚を短くしながらのそれに京太郎の興奮は一気に弾ける。

漫「うちの事使って…ぇ♪京君も…うちでオナニーしてね…っ♥♥神代さんのオナホマンコで一杯オナニーぃ…ぃ♪♪」
京太郎「漫…っ!」

勿論、漫とて本当は自分とセックスして欲しい。
失神した小蒔の事なんて放っておいて、思う存分、さっきの仕返しをして欲しいのだ。
しかし、それが望めない以上、全力で京太郎が射精出来るようにサポートするしかない。
そう思っての淫らなオナニーショーに京太郎が我慢出来るはずなどなかった。
彼女の思惑通りにその視線を漫へと向けながら、腰を跳ねさせ、小蒔を激しく犯し始める。


小蒔「んん…っ♪♪ふあ…ぁぁ…♥♥」

ガクガクとテーブルが揺れてしまいそうなほど激しいピストン。
それに小蒔の声音が艶っぽさを増したように京太郎が思った瞬間、彼女の意識が覚醒する。
しかし、その意識はまるで眠気に満ちているように鈍いものであった。
自然、自分が置かれている状況など分かるはずもなく、彼女はその瞳でそっと周囲を見渡す。

小蒔「(あ…れ…私…何を…)」

だが、そうやって見渡したところで、彼女は今の状態が理解できなかった。
自分の目の前にあるのが天井である事くらい分かるのだが、ぼやけた視界はろくに情報をくれない。
少なくとも自分の上で踊るように揺れる黒と肌色の塊が何なのか彼女にはまったく判別がつかなかった。
それどころか、記憶が混濁した彼女はついさっきまでの出来事すら思い返す事が出来なかったのである。
目覚める前まで眠っていたのか、或いは気絶していなかったのかさえ定かではない彼女は数秒後、自身の下腹部でドロドロとした熱が弾けるのを感じた。

小蒔「ひあ…あぁぁっ♪♪♪」

それは決してさっきまでと比べられるものではなかった。
未だどんよりと濁った意識は身体としっかり結びついている訳ではないのだから。
今の小蒔が感じているのはその何十分の一かのもので、余波と言っても良いものだった。
しかし、それでも胡乱な意識が覚醒するのは、元の悦楽が信じられないほど高いからである。
一度、失神した後も休まず犯され続けた身体は一切、収まらず、敏感になったままだったのだ。


小蒔「にゃ…にゃにがぁぁ…♥♥♥」

それに困惑を覚えるのは、小蒔が未だそれがどういうものなのか分かっていないからだ。
勿論、感じ慣れたその気持ち良さから京太郎に犯して貰っているからなのだとなんとなく推測はついている。
意識を肉穴の方へと集中させれば硬くて熱くて大好きな肉棒が、激しく出し入れされる感覚が伝わってくるのだから。
しかし、それだけでは目の前にいる壁のようなものが説明が出来ず、小蒔は困惑を胸中に広げた。

漫「あ…神代さん…っ♪♪起きたみたい…やぁ…♥」
小蒔「ふぇ…ぇ…♪♪」

そんな小蒔の声に真っ先に気づいたのは漫だった。
三人の吐息の音や愛液が書き出される音、そして、嬌声が響く中でそれに気づけたのはまさに奇跡と言っても良いものだろう。
起きたばかりの小蒔の声は小さく掠れて、それらの雑音の中であっという間に紛れてしまいそうだったのだから。
漫がそれに気づけたのも真下にある小蒔の身体が身動ぎとは違う動きを見せたからで、決して声だけ分かった訳ではない。

小蒔「なんれ…上重しゃんが…ぁ…♪♪♪」」

その声で小蒔は目の前にのしかかっている壁のようなものが漫だと気づいた。
しかし、どうして漫がそんなところにいるのかまったく理解出来ない。
そもそも記憶が混濁し続けている小蒔にとって、漫は未だ大阪に居るのだから。
ついさっき顔を合わせた事さえも忘却の彼方に投げさってしまった彼女にとって、それは理解出来ないものだったのだ。


漫「ふふ…なんでもええやん♥♥それより今は…気持ち良く…なろ…♪♪」
小蒔「ひぐぅぅう゛ぅっ♥♥」

そう言いながら漫がそっと触れたのは小蒔のクリトリスだった。
グチュグチュと音をかき鳴らすくらいに激しく犯されている秘所から、ぷっくり膨れ上がった部分はとても敏感である。
しかも、今の小蒔の身体は燃え上がりそうなくらいに発情し続けているのだから、それだけでイッてしまう。
そのオルガズムでさらに意識の覚醒が進む小蒔の口から大きな嬌声が漏れた。
さっきまでとは違い、明らかに意思の篭った大きなそれに漫の心も興奮で燃え上がり、嗜虐心が再び顔を出す。

小蒔「ら、らめれすぅっ♪♪しょこは…しょこは京太郎しゃまのぉっ♥♥京太郎しゃまのものにゃのぉおっ♪♪♪」
漫「へぇ…そうなんやぁ…♪♪」

その上、そんな健気な事を言うのだから、我慢出来るはずがない。
勿論、漫とて起きてばかりでまだ状況も分からない小蒔にあまり意地悪をしては可哀想だと思っていない訳ではないのだ。
しかし、恋敵である小蒔のあまりにも可愛らしいセリフに、嗜虐心が止まらない。
結果、漫は左手で自分の胸を揉みしだきながら、右手でそのまま小蒔のクリトリスを剥いていくのだ。

小蒔「やっあ゛あぁぁぁぁぁっ♥♥♥」

それにケダモノ染みた叫び声をあげるのは、さらに刺激が強まったからだ。
元々、クリトリスは包皮に包まれていても尚、敏感で剥くのを嫌がる女性もいるくらいである。
そんな場所を同性の手で遠慮無く剥かれ、其の上、クリクリと指で転がされたらどうなるのかなんて想像に難くない。
幾ら、弄っているのが愛しい京太郎の手ではないとは言え、イかないはずがないだろう。


小蒔「やめへぇ…っ♪♪イきらくにゃいぃ…っ♥♥きょぉたろぉ様以外でイきたくにゃんかないのぉっ♪♪♪」

勿論、今も小蒔の中を京太郎の肉棒は激しく出入りを繰り返している。
そこから沸き上がる気持ち良さはクリトリスのそれとは比べ物にならないほど大きなものだった。
それが愛しい婚約者のものであるというだけで、小蒔の身体は過敏と言ってもいいくらいに反応してしまうのだから。
しかし、それは大きなものではあれど、クリトリスの快楽全てをかき消してくれるほど莫大な訳ではない。
結果、どうしても漫に陰核を弄られるのを意識してしまう小蒔にとって、それは拒絶の言葉を放つに足るものだったのだ。

小蒔「助けへぇっ♪♪京太郎様たしゅけてぇぇ…♥♥わらひイかしゃれるぅぅ…♪♪上重しゃんの指でイくぅぅっ♥♥まらイくぅぅぅん♥♥♥」

小蒔にとって自分の身体は京太郎のものだった。
あの日、京太郎に恋している事を自覚してから、自分の全ては彼に捧げる為のものだったのである。
そんな身体に京太郎以外の誰かが触れるだけでは飽きたらず、アクメにまで追い込むだなんて怖気しか覚えない。
例え、それが同性の手であっても一度、イく度に自分の身体が穢されているように思えるのだ。

小蒔「嫌いににゃらないで…ぇ♪♪こんにゃの…うしょらからぁ…♥♥わらひ…京太郎様らけぇ…京太郎しゃまだけ愛してるのにぃ…ぃ♥♥♥」

けれど、昂った身体はどれだけ快楽を拒絶しようとしてもイッてしまう。
その悲しさに小蒔は大粒の涙を零しながら、そう漏らした。
それに一番、良心の呵責を感じたのは京太郎である。
小蒔の反応があまりにも可愛かったので漫がするのを傍観しているだけだったのだから。
そんな自分に愛していると嫌いにならないでと告げる小蒔にズキリと胸が痛んだ。


京太郎「…漫」
漫「ぅ…分かっとる…ごめんな」

京太郎の短い言葉に漫は小さく呻きながらも頷いた。
そのままそっと小蒔から手を離した彼女はするすると小蒔の上から移動する。
最後に一つ謝罪する漫もまた良心の痛みを少なからず覚えていた。
京太郎が興奮すると思って小蒔に手を出したのだが、まさか本気で泣かれるとは思っていなかったのである。
まだ良く知りもしないのに調子に乗った自分を悔いながら、漫はテーブルの上から降りた。

京太郎「小蒔…」
小蒔「あ…あぁぁ…っ♪♪みにゃ…見にゃいでぇ…ぇ♥♥上重しゃんにイかしゃれた顔…見にゃいでっぇ…♪♪♪」

二人の間を遮っていた漫の身体がなくなれば、自然、京太郎と小蒔は顔を合わせる事が出来る。
しかし、小蒔はそれを心から喜ぶ事が出来なかった。
勿論、そうやって京太郎が自分を見てくれるのは嬉しいし、それだけで笑みが浮かびそうになる。
だが、今の小蒔は漫によってイかされ、そして穢された後なのだ。
そんな状況で顔を見合わせても申し訳なさと悲しさに押しつぶされそうになるだけ。
そう思った小蒔は快楽で震える手を何とか動かしながら、その顔をそっと覆い隠した。

京太郎「…小蒔の顔は何時だって可愛いから安心しろ」
小蒔「ふぇ…ぇ…♪♪」

そう言いながら京太郎の手がそっと伸びるのは小蒔の頭だった。
快楽と興奮で汗を浮かべるそこをゆっくりと撫でるその手つきはとても優しいものである。
まるで自身の言葉が本当なのだとそう言っているような仕草に不安で強張った小蒔の心が蕩けていく。
それに思わず甘い声をあげてしまいながら、小蒔は心でオルガズムを沸き上がらせ、その背筋をブルリを震わせた。


京太郎「ほら、もっと俺に小蒔の…可愛い婚約者の顔を見せてくれよ」

そんな小蒔の手を京太郎はそっと握る。
指と指を絡ませ合うようなそれは俗に恋人繋ぎと言われるものだ。
恋人でも滅多にやらないようなその握り方に小蒔は抗えない。
ついつい自分からもその指を絡ませ、そして開かれていく手に顔を見られてしまうのだ。

京太郎「うん。やっぱり俺の婚約者はとっても可愛い。何処も穢されてなんかいないよ」
小蒔「きょぉ…たろお様…ぁ♥♥♥」

そのままハッキリと断言するような京太郎の言葉に小蒔がその名を呼んだ。
それはさっきと同じく快楽に震え、そして微かに掠れたものである。
しかし、それを聞く三人にはそこに混じる喜悦の大きさがさっきと比べ物にならない事がはっきりと伝わってきていたのだ。
心から喜んでいる事を何より如実に示すそれに和だけではなく、漫もまた羨ましくなってしまう。

漫「(はぁ…♪♪もう…本当にタラシやねんから…ぁ♥♥)」

けれど、今の二人に手を出せない。
漫がそう思うのは、彼女なりにさっきの事を反省しているからだ。
ちょっと恥ずかしがってくれるだけで良かった彼女には泣かせるつもりなんてなかったのである。
それに少なからず後悔している彼女は二人の世界を作り出す彼らに介入する事が出来ず、そのまま指を銜えて見ているしかない。


京太郎「だから…そろそろ小蒔に射精したいんだけど、良いかな?」
小蒔「ひゃい…ぃ♪♪来れください…っ♥♥京太郎様のおせぇし…ぃ♪♪小蒔はじゅっと…待っれますからぁ…♥♥♥」
漫「(あー…あんなに嬉しそうにしちゃって…ぇ…♪♪)」

さっきまでの泣き顔は何処に言ったのかと言わんばかりの笑みで京太郎を求める小蒔。
その顔が再開されたピストンで快楽に歪むのを見ながら、漫はそう悔しそうに言葉を漏らす。
それは完全にスイッチが入ってしまった漫も京太郎の精液を求めているという事が無関係ではないのだろう。
子宮から全てを溶かすような熱くも粘ついたその液体は、小蒔だけではなく、漫もずっと待ち望んでいたものなのだから。

和「(あぁ…ぁ…♥あんなにジュポジュポされて…神代さん…とっても幸せそう…っ♥)」

そして、それは和も同じだ。
二人の痴態に完全にあてられてしまった和もまた発情しているのだから。
それを行動には移さないだけで、妬みと羨望混じりの視線はずっと小蒔へと向けられ続けている。
それは勿論、暴風のような快楽に晒されているのに幸せで蕩けてしまいそうになっている小蒔が魅力的というのもあるのだろう。
だが、和にとってそれ以上に重要だったのはそうやって乱れる小蒔の姿に容易く感情移入出来るという事だった。

小蒔「んひぃぃっ♪♪♪ジュポジュポいひぃぃっ♪♪♪射精しゅる為のぴしゅとんしゅごいですううぅぅっ♥♥♥」

京太郎のストロークは今やとても長いものになっていた。
小蒔の入り口近くから奥までをゴリゴリと行き来するそれは小蒔を感じさせる為のものではない。
自身が射精し、目の前のメスに種付けする事しか考えていないオスの抽送なのだ。
しかし、それが小蒔にとって気持ち良くないかという事は決してない。
寧ろ、そうやって必死で射精しようとする姿だけでもイッてしまいそうになるくらいに小蒔は昂っていた。


小蒔「(わらひ幸しぇ…ぇ…♥♥皆の前れ京太郎しゃまに種付けしゃれるの幸へで…蕩けりゅ…ぅんっ♪♪♪)」

ここまで来ると流石に小蒔も記憶の混濁から立ち直りつつあった。
勿論、この状況の全てを思い出した訳ではないにせよ、和と漫が周りにいる事を認識していたのである。
普段の彼女であれば、それは恥ずかしくて固まってしまうような状況だっただろう。
だが、能力の影響で尋常ならざる劣情を与えられた小蒔には二人がもう興奮剤にしか思えない。
対立する恋敵たちに見られながら愛しい婚約者に射精されると言う事に小蒔は堪らない興奮と多幸感を覚えていたのだ。

小蒔「愛してましゅぅっ♥♥京太郎しゃま愛してりゅぅっ♪♪♪しぇかいれ一番しゅきぃいっ♥♥らいしゅきぃぃ♥♥♥」

勿論、そうやって意識を覚醒へと近づければ近づけるほど小蒔の快楽は膨れ上がる。
一度、失神に追い込まれてしまったほどのそれが再び彼女へと近づいてきているのだ。
しかし、それ以上の感情で胸中を埋め尽くされた今の小蒔はそれに意識を失う事はなく、甘い告白を繰り返す。

京太郎「小蒔…っ!そろそろ…射精るぞ…!」

それに答えてやりたいという気持ちは京太郎の中にもあった。
しかし、それよりも遥かに射精への欲求の方が強かったのである。
今までの二人の痴態を見て興奮しているのは別に和だけではないのだ。
三人の中では最も膣肉の締め付けがきつい小蒔を犯しながらそれを見続けた彼はもう限界に達している。


小蒔「はいぃぃっ♪♪来てぇぇっ♥♥京太郎しゃまのお精子じゅっと待ってましゅからぁぁ♪♪♪何時でもどっぴゅんしへぇ…っ♥♥わらひに種付けしれくらしゃいぃいっ♥♥♥」

そして、それを厭う気持ちなど小蒔の中にはあろうはずもなかった。
元々、思い込みが激しい少女ではあった上に、小蒔は完全に能力の支配下にあるのだから。
何時いかなる時でも小蒔が京太郎の精液を拒むはずがなく、種付けされる喜びが身体に満ち溢れている。
あまりにも強いそれは再び彼女の目尻から涙となって溢れ、艶やかな黒髪へと落ちていく。
さっきの悲しみの涙とも快楽による涙とも違うそれに京太郎の目は惹きつけられてしまう。

京太郎「ぐ…ぅう」

瞬間、根本からビクンと肉棒を震わせた京太郎は自身の限界が近い事を悟った。
しかし、そのピストンはまだ半ばで小蒔の奥にはたどり着いてはいない。
それにぐっと歯を噛み締めた京太郎は歯茎をむき出しにしながらズルズルと腰を離す。
ケダモノ染みたその顔に小蒔が胸を疼かせた瞬間、跳ねるように帰ってきた腰がスパンと小蒔に打ち据えられた。
結果、硬く張った男根はボルチオを強く叩き、そしてその先端から射精を開始する。

小蒔「い゛ひゅぅぅぅううぅぅぅう゛うぅぅう゛ぅぅう♥♥♥」

後の事を考えず、メスの最奥をただ強く打ち据えるだけのピストン。
それだけでも意識がグラグラになってしまいそうになるのに、射精まで始めるのだ。
京太郎の中で熟成された燃えるように熱い精液が流し込まれる感覚。
それに小蒔の喉がブルブルと震え、ケダモノ染みた叫び声を放った。
だが、それはさっきまでのものに負けないくらい艷やかであり、彼女が今、射精され、そしてそれが堪らなく幸せなのだと恋敵たちに教える。


和「(あ…あんなに腰ビクビクって跳ねさせて…ぇ…♪)」

射精される小蒔の腰は今や痙攣していると言っても良いくらいにビクビクとしていた。
浮かせた背筋までブルブルと震えるそれは、気持ち良さに満たされているからだろう。
実際、小蒔の膣穴からぷしゃりと再び潮が吹き出し、テーブルの上をさらに穢しているのだから。
思わず潮吹きしてしまうくらい気持ち良い状態が和にも良く分かる。
彼女もまた京太郎に責められている時に潮を吹いてしまった経験がもう数え切れないくらいにあるのだ。

漫「(うわぁ…♪♪)」

それに対して漫が注目していたのは京太郎の腰の律動だった。
小蒔に密着した状態でブルブルと震えるそれは時折、ビクンと跳ねるのである。
恐らくその瞬間に精液を吐き出しているであろうその光景に漫の子宮がキュンと疼く。
こうして外側から見ているだけでも、それは逞しく、そして激しいものだった。
その射精をもうすぐ自分も受け止める事が出来ると思ったら、疼きが限度を突破していますぐ京太郎を押し倒したくなるくらいである。

小蒔「あちゅいぃぃっ♪♪おにゃか焼けるぅぅっ♥♥きょうたろうしゃまの精液で子宮燃える…ぅぅっ♥♥♥ドロドロになりゅぅぅぅ♪♪♪」

そんな二人の前で絶頂を続ける小蒔の口から甘い声が放たれる。
しかし、それは決して苦痛に満ちた感覚ではないのはその場に居る誰もが分かっていた。
京太郎の中で熟成されたその精液は能力の支配下にある三人にとっては麻薬も良いところなのだから。
身体の内側から甘さを広げ、脳を揺さぶる感覚を彼女たちが厭えるはずがない。
とっくの昔にその虜になっている三人にとって、それは最高に幸せな瞬間だと言っても差し付けないくらいだ。


小蒔「(れも…何時もよりこれしゅごいいぃぃっ♪♪♪いちゅもよりドロドロで…わらしの子宮ぅぅ…っ♥♥♥)」

しかし、それが小蒔にとっていつも通りのものかと言えば、決してそうではない。
調教によって敏感になった身体をさらに能力で補強された彼女にとって、それは普段以上に強く感じられるものだった。
奥で叩きつけられる勢いも、粘液に溢れた媚肉に絡みつく濃度も、触れた部分が爛れてしまいそうな熱さも、何もかもが何時もの二倍近くに感じられるのである。
その上、彼女を多幸感へと突き落とす独特の甘さまでも強まるのだから、我慢出来るはずがない。
小蒔の身体は何時しかふっと糸が切れたように脱力し、その感覚を味わうだけの受信機となっていた。

小蒔「あへ…ぇ…♥♥ふ…わ…あぁぁぁ…♪♪♪」

それが終わった頃には小蒔の口は半開きになったまま閉じる事はなかった。
その瞳にも理性の色は欠片もなく、陶酔と快楽で昏く濁っている。
時折、幸せそうな声を漏らす辺り、意識はまだあるのかもしれないが、当分、動けるような状態じゃない。
そう判断した京太郎はそっと小蒔の身体を抱きとめ、その頭をそっと撫でてやった。

京太郎「…良く頑張ったな」
小蒔「ひゃ…ぅ…ぅ…♥♥♥」

労うような京太郎の仕草を小蒔は意識の奥底で何とか感じる事が出来ていた。
しかし、それに対する感謝を示すような余裕は小蒔にはなかったのである。
完全に意識という糸が切れてしまった身体は動かず、ただ横たわるだけの肉の塊となっているのだから。
ましてや、今もそこから伝わってくる快楽は何もかもを押し流してしまいそうなくらいに激しく、堪えるだけで必死であったのだ。


小蒔「んああぁ…♪♪♪」

そんな小蒔を優しく抱きかかえながら、京太郎はそっと肉棒を引き抜いた。
瞬間、小蒔が不満そうな声をあげるが、それに構ってはやれない。
勿論、普段であればそんな小蒔に挿入れたままにするのは吝かじゃないが、今は周りに和と漫がいるのだ。
特に京太郎を見る漫の視線は熱に浮かされたようなドロドロとしたものに変わりつつある。
目の前で睦み合う二人を見てさらに強まった劣情を隠そうともしないそれは彼女がそろそろ限界である事を彼に知らせた。

京太郎「(でも…このままテーブルの上ってのはあまりにも可哀想だな…)」

勿論、京太郎とてそんな彼女に報いてやりたい気持ちはある。
少なくとも、こうして二人を追い詰めるのには漫の助けがかなりあったのだから。
その上、自身の能力で平静を失っているとなれば、本当は今すぐにでもその疼きを晴らしてやりたい。
しかし、痙攣するだけで意識があるのかさえも怪しい小蒔を見世物のようにしてテーブルの上に置いておくのはあまりにも偲びない。
そう思った京太郎はそっと小蒔の身体に手を伸ばし、お姫様抱っこのような形で抱き上げた。

京太郎「よいしょっと…」

そのまま京太郎が向かうのはリビングに置いてある大きめのソファーだ。
家族団らんに使われているそこに小蒔の身体をそっと横たえる。
それと同時に様々な体液でぐしょぐしょになった衣服を剥ぎ取れば、少しだけ小蒔の顔が安らいだような気がした。
それに小さな満足感を得た京太郎はそっとその顔を緩ませ… ――


漫「きょーぉくん…っ♥♥」
京太郎「うわっ!」

瞬間、後ろから襲いかかってきた衝撃に彼は驚きの声をあげる。
そのままぐっと足に力を入れて踏みとどまれば、胸の中に見慣れた漫の顔があった。
どうやら自分は我慢出来ずに漫に飛びかかられてしまったらしい。
そう判断しながら、京太郎はそっと彼女の背中に手を回し、その柔らかな肢体を抱きしめる。

漫「ふあ…あぁぁ…♥♥」

それだけで蕩けそうな声をあげてしまうくらいに、漫の身体は発情していた。
タガが外れた思考は能力の影響を本格的に受け始め、普段以上の敏感さで京太郎の事を感じている。
その素晴らしさについつい頬を緩ませてしまうものの、あまりそれに浸っていられないのは子宮が蠢いているからだ。
小蒔との激しくも甘いセックスを見て、嫉妬を覚えた漫の子宮はそれ以上の交わりを京太郎に対して求めているのである。

漫「ね…♪次は京君が横になって…♥♥うちが動いたげるから…♥♥」
京太郎「…良いのか?」

勿論、京太郎自身、騎乗位はかなり好きな方だ。
肉棒を銜え込みながらも嬉しそうに腰を振るう姿を見ると、それだけで支配欲が満たされるのだから。
しかし、それでもそう尋ねてしまうのは、それが決して長続きしないからだ。
能力と調教の影響もあって人並み以上に敏感になった彼女らはあっさりと腰砕けになり、それを持続させる事が出来ないのである。


漫「ダメやったら…京君がしたから突き上げて…うちの事壊して欲しいな…♪♪」
京太郎「ったく…この淫乱め」
漫「きゅぅん…♪♪」

とは言え、漫はそれもきちんと考えているらしい。
それを感じ取った京太郎は漫が言うままにそっと膝を折り曲げ、絨毯の上にそっと腰を下ろす。
そんな彼に抱かれながら同じように座る漫の口から甘い鳴き声が漏れだした。
何処か可愛らしいそれに京太郎がクスリと笑えば、漫は少しだけ頬を膨らませる。

漫「えへへ…♪これ…凄いドキドキするね…♥♥」
京太郎「今更、そんな殊勝な事言わなくても良いぞ」

しかし、それが長続きしないのは抱き合う身体が蕩けているからだ。
既に発情のスイッチが入っている彼女にとって、そうやって抱き合うのは物足りない。
とは言え、そこから感じる興奮やドキドキ感というものは決して和らいだりしないのだ。
結果、彼女は笑われた不機嫌ささえ維持する事が出来ず、そうやって嬉しそうな笑みを浮かべてしまうのだ。

漫「もう…っ♪うちがこういう純情な事言ったらあかんの…?」
京太郎「それ以上に発情してるのが目に見えてるし…な」
漫「ふぅ…うっ♪♪」

そんな漫をからかうように言いながら、京太郎の手はそっと彼女の臀部を撫でた。
むっちりとした安産型のそこは汗を浮かべ、微かに濡れている。
しかし、それだけではないのは、京太郎の指にニチャリとした感覚が絡みついてくるからだろう。
汗よりもずっと粘っこく、そしてドロドロのそれは間違いなく漫の愛液なのだ。


京太郎「ほら、漫が動いてくれるんだろ?」
漫「ん…ぅ…♪♪もう…本当に意地悪なんやから…ぁ♥♥」

それを既に全身を小蒔の体液で穢した京太郎が厭うはずがない。
寧ろ、指に絡むその感覚を楽しむようにして、谷間にぐっと指を突き入れる。
そのまま臀部を開いていくその指に、漫は拗ねるようにそう言った。
しかし、その身体は京太郎が言うように動き、彼の男根の根本をそっと摘む。

漫「ふふ…♪相変わらず大っきくて硬くて…そんで全然萎えへん子やね…♥♥」

それだけで抱き合った時以上に胸がドキドキしてしまうのは今までの漫が、その肉棒に責められ続けていたからだろう。
その逞しさから大きさまでを頭の中で思い描く事が出来る彼女にとって、それは興奮剤にも近いものだった。
触れただけで今までのセックスが脳裏に浮かび、今すぐ奥まで貫いて欲しいとばかりに粘膜がひくついてしまう。
そして理性などとうに投げ捨てた漫はそれに抗う気も起きない。
寧ろ、進んでその切っ先を補正した彼女は、穴の開いた下着に亀頭を通し、そして自分から美味しそうに飲み込んでいくのだ。

漫「んんっふぁああぁぁぁああぁっ♪♪♪」

ジュブリと言う独特の音と共に漫の中に入っていく肉棒。
その感覚は今まで彼女が知っていたものとは一線を画するものだった。
勿論、彼女自身、肉棒そのものが今までとはまったく変わっていない事は理解している。
その熱い滾りも、張り詰めた硬さも、そして容易く奥まで届きそうな大きさも、全て彼女が知る水準に収まっているのだ。


漫「(それなのに…これ…これ凄いぃぃぃぃっ♪♪♪)」

だが、それを受け止める彼女の身体は決していつも通りとは言えなかった。
普段よりも膣肉が敏感になっているだけではなく、その一つ一つまではっきりと意識出来るのだから。
膣肉に生える肉襞一つ一つがまるでクリトリスのように思えるその感覚は慣れていない者だと即失神してもおかしくはない。
能力によって人並み以上に快楽に耐性があるはずの漫でさえ、その背筋をそっと反らし、頭まで震えさせるのだから。

漫「(こんなん味わったら…そりゃ…おかしくなる…ぅぅ…♥♥」

まだ一突きも終わっていないのに脳天まで突き上げるような激しい絶頂。
それにもう息も絶え絶えになりながら、漫は胸中の中で小蒔に同情する。
こんなものを味わってしまったら、確かにあんな風に乱れてもおかしくはない。
気持ち良いのは確かではあるが、それ以上に正気を失いそうなくらいにその感覚は激しいのだから。

漫「(ダメ…これ…ちゃんと支えとかへんと本当におかしくなりそぉ…♪♪♪)」

勿論、それを望む気持ちは漫の中にもあった。
日常生活すら出来ないくらいのセックス狂いになって一生を彼と繋がりながら過ごすという退廃的な未来を内心、望んでいたのである。
しかし、漫はついさっき自分から動くと言って、京太郎の事を誘惑したのだ。
それなのにまだ挿入すら終わりきっていない状態でギブアップなどしたくはない。
流石にイかせるまでは無理でも、京太郎が次の射精の準備をし始めるまでは気持ち良くしてあげるべきだ。
意地混じりにそう思いながら漫はぐっと腰に力を入れて、少しずつ飲み込んでいく。


漫「くひゅぅぅっ♪♪♪」

だが、それだけそう思っても、漫の身体は快楽には抗えない。
まるでそんな意地など容易く打ち砕いてみせると言うように絶頂の奔流が漫の身体を駆け抜けるのだから。
今や膣肉全体ではなく、肉襞の一つ一つが独立した性感帯になった彼女にとって、それは決して抗えるものではない。
一つ一つだけでも決して小さい訳でもない絶頂がまるで怒涛のように押し寄せてくるのだから、身体を固めて耐えるのが精一杯なのだ。

漫「(足を立てて…しっかり踏ん張って…それで…それで…ぇぇ…♥♥)」

ともすれば、一種で脱力してしまいそうになる快楽の波。
しかし、騎乗位の形で挿入している今、それに押し流されてしまったら、完全に体重が腰へとかかってしまうのだ。
その瞬間、どうなってしまうのかなんて今の漫には想像も出来ない。
ただ、さっきの小蒔のように失神してもおかしくはないだろう。
そう思う彼女は必死に自分の足が崩れないように力を込めながら、少しずつ確かめるように挿入しようとし… ――

漫「ひぐぅう゛うぅぅううぅう゛ぅぅううう♥♥♥」

瞬間、まるで粘液でぐしょぐしょになったウレタンを思いっきり突き刺したような音が漫には聞こえたような気がした。
けれど、その感覚は一瞬で悦楽へと上書きされ、漫の口から悲鳴のような喘ぎ声が漏れだす。
全身を痙攣させながらのその声は京太郎の手が一気に漫の腰を引きずりおろしたからだ。
掴んだ場所こそ違えども、さっきの小蒔のように一気に奥まで貫くその感覚に漫の意識は一瞬で真っ白に染まる。


京太郎「あぁ、悪い悪い。あんまりのんびりしてるから手伝ってやろうと思ったんだけど手が滑った」

何が起こったのかさえ理解出来ず、ただ、全身を強張らせるしかない漫の耳にそんな白白しい声が届いた。
しかし、意識はそれを認識する事はなく、子宮口を叩かれた快楽を処理するので精一杯になっている。
その上、今も尚、痙攣を続ける肉襞が奥まで埋め尽くした男根と触れ合い、絶頂を続けるのだから堪らない。
正直、漫からすれば失神しなかったのが奇跡のように思えるくらいに、その身体は善がっていた。

漫「はひぃ…♪♪はふぅ…ぅぅ…♥♥」

そんな漫が意識の混濁から復帰したのは数分ほど経ってからの事だった。
とは言え、未だ絶頂を続けている身体は昂ぶり、気を抜けばまた意識が真っ白になってしまいそうになる。
それでも何とか彼女が踏み留まれたのは回復に専念する漫に京太郎が手を出さなかったからだろう。
彼が何か漫に対して悪戯をしていれば、彼女の快楽は意識の許容量を超え、挿入だけで失神に追い込まれていたはずだ。

漫「きひくぅ…♪♪あきゅまぁぁ…♥♥ど…どえしゅぅぅ…♪♪♪」
京太郎「そんな嬉しそうな顔で言っても説得力なんかないって」

敏感になっているのが分かっているのにいきなり奥まで突っ込んだ京太郎。
そんな彼を罵るように言いながらも漫の顔はドロドロに蕩けていた。
目元からは涙を零し、半開きになった口から唾液を漏らすその顔の表情筋はまったく機能していない。
だらりとだらしなく垂れ下がり、紅潮した頬は先ほどの小蒔に負けず劣らず淫らで、そして京太郎にとって魅力的なものだった。


京太郎「それよりほら…このままじゃ射精なんか出来ないぞ」
漫「このままじゅっとうちの中で閉じ込めりゅって手も…ぉぉ…♪♪」

拗ねるように言う漫の心にあったのはほんのちょっとの復讐心だった。
あまりにも酷すぎるさっきの仕打ちに復讐したいという感情は少なからず漫の中にもあったのである。
しかし、それ以上に大きいのはそうやって自分の事を嗜虐的に責める恋人への愛しさだ。
他人と共有する事を認めながらも内心、独占したいと思い続けている彼を自分の中に閉じ込めたくもあったのである。

京太郎「魅力的ではあるけれど、んな事されたら流石に我慢出来ないからな」
漫「ひゃぅぅ…♪♪♪」

そんな漫の感情を勿論、京太郎も知っている。
しかし、それを受け入れてやる訳にはいかないのは既に小蒔や和を巻き込んでしまったからである。
彼女たちに自身の我儘を押し付けてしまった以上、もう後戻りする事は出来ない。
その代わり出来るだけ気持ち良くしてやろうと思った彼の手はゆっくりと漫の臀部を撫で、ジリジリとした快感を彼女に注ぎ込む。

漫「らったら…退治しゅる…ぅ♪♪うちのオマンコで…意地悪チンポお仕置き…しゅるの…っ♥♥」

そう言いながら漫の腰はゆっくりと動き出す。
瞬間、ニチャアと糸を引く音がするのは密着した二人の腰に愛液が溜まっていたからだろう。
突然の挿入で失神する事はなかったものの、感じすぎた漫の身体は壊れたように愛液を漏らしていたのだ。
限界一杯まで広げられる膣穴に収まりきらなかったそれは肉棒を伝って外へと漏れだし、二人の間に小さな池を作っていたのである。


漫「ふぅ…ぅぅぅんっ♥♥」

その音をBGMに動き出す漫の腰は決して早いものではなかった。
たった一突きでボロボロになってしまったそこは中々、意識の声に従ってくれない場所だったのである。
そのもどかしさに声をあげながらも漫はその動きを止める事はない。
勿論、それが京太郎にとって物足りないものだと理解していても、自分からギブアップなんてしたくなかったのだ。

漫「(あぁぁ…っ♪♪でも…すぐに腰が砕けそぉぉ…♥♥)」

その弱音は何とか口に出さずに済んだものの、決して軽視出来るものじゃなかった。
何せ、彼女の身体は一突きでどうにかなってしまいそうなくらいに昂っているのだから。
騎乗位という事もあって、ある程度、自分で快楽をコントロール出来るものの、そんなアドバンテージ程度ではどうにもならない。
こうして動いている間にも幾度となくイき続け、子宮が燃え上がっていくのだから。

漫「(こんな状態で突かれたら…うちもう一突きで負ける…ぅ♥♥意地悪チンポにアヘらされちゃう…ぅ♪♪♪)」

そんな彼女にとって、それは京太郎に対するお仕置きというよりも苦行であった。
被虐的な彼女の本性は京太郎に敗北する事を望み、今もこうして胸中に嬉しそうな言葉を浮かべるのだから。
魅力的なその未来をまだ漫は拒む余裕こそあったものの、それだって何時まで続くか分かったものではない。
実際、一往復毎にその動きは鈍くなっていき、少しずつ腰も引けたものになっていったのだから。


漫「(こんなんじゃうち…京君の事全然、気持ち良く出来てへん…っ♪♪♪)」

勿論、漫とて一生懸命に動いている。
快楽を堪えるようにぎゅっと歯を食いしばって腰を動かしているのだ。
しかし、それではどうにもならないくらいに京太郎の肉棒というのは気持ち良いのである。
普段の数倍近いその快楽にどうしても身体は負けていってしまう。
お陰で京太郎をろくに感じさせる事が出来ないそのもどかしさに漫の心はゆっくりと被虐的な未来に傾き始めていた。

京太郎「(さて…どうしたものかな…)」

そんな漫を見ながら、京太郎は胸中で独りごちる。
早くも袋小路に追い詰められつつある漫とは違い、京太郎はさっきイッたばかりなのだから、まだまだ精神的には余裕があった。
今すぐイキたいという訳でもなく、また例えそうだとしても今の漫の腰使いでは当分、イく事が出来ない。
そんな彼にとって今は漫に仕返しをする絶好の機会であるのは確かなのだ。

京太郎「(でも…なぁ…)」

ここで嗜虐的に責めれば漫はすぐさま屈服する。
それくらいの事は彼女と何度も肌を重ねた京太郎には分かりきっている事だった。
しかし、それをすぐさま選ぶ事が出来ないのは、イき続けながらも何とか動こうとする漫の姿があまりにも健気だからである。
彼女の努力を摘み取るのは容易いが、それを躊躇いなしに選べないほど、彼女は健気にこの瞬間を待ち続け、そして京太郎は焦らし続けていたのだ。


和「(上重さんも…あんなに気持良さそうにして…っ♥)」

その感情が雁字搦めとなって京太郎は絨毯の上へと縛り付けられる。
そんな彼の上で腰を振るう漫の表情はテーブルに座ったままの和からは見えにくい。
妙な角度がついている上に、漫の髪は汗で横顔に張り付いてしまっているのだから。
しかし、それでもはっきりと分かるくらいに漫の表情は気持ち良さそうなものだった。
欲求不満が一気に充足へと変わっていくのがありありと分かるその表情に和はもう我慢出来なくなってしまう。

和「(逃げなきゃ…私…こんなところにいちゃ…おかしくなっちゃいます…♪)」

この場に留まっていたら、自分の欲求に負けてしまう。
勿論、そうなった和に待っているのは堪らない快楽であると彼女自身にも分かっていた。
だが、この期に及んでもまだ理性を残す彼女は、なし崩し的に淫蕩へと加わる事を善しとはしなかったのである。
結果、限界に達した身体を冷やす為についに和の足が椅子から離れ、ふらふらと歩き出す。
その歩みは決してしっかりとしたものではなかったものの、彼女の足は確かにリビングの入口へと向かっていった。
しかし、絡み合う二人の脇を通り過ぎる瞬間、その足はピタリと止まり、視線が二人へと引き寄せられていくのである。

和「(あ…あんなに美味しそうに…ご主人様のオチンポを銜えこんで…っ♪♪)」

彼女が最初、目を惹かれたのは結合する二人の陰部だった。
愛液でドロドロになり、テラテラとした妖しい光を放つそこは時折、ビクビクと震えているのである。
けれど、その2つが見せる震えが決して同じではない事が和にはすぐさま分かった。
口いっぱいになるまで広がった女陰は満足感と快楽に、そしてそこに押し込んだ肉棒は湧き上がった欲求不満に震えていたのである。


和「(あぁ…♥ご主人様…とても…我慢して…♪♪)」

それは二人の表情を見ればより顕著に分かる。
まるでここが天国だと言わんばかりに甘く蕩けた漫とは違い、京太郎のそれは逡巡するようなものを強く見せているのだから。
時折、ぐっと歯を噛みしめるのは、漫の肉穴を犯したいという自分の欲求をかみ殺しているからだろう。
そう思った瞬間、和の胸はトクンと高鳴り、心の中がざわめくのを感じた。

和「(和は…和…は…ぁ…♥♥)」

日頃は決して浮かべない子ども染みた一人称。
それを自覚しながらも正す事が出来ないのは彼女の心がもう完全に屈してしまったからだ。
愛しい人が歯を食いしばるほど欲情を我慢するのを見て、自分を律し続けられるほど和はもう冷静にはなれない。
微かに残った理性をその表情で消し飛ばされてしまった彼女はふらふらと京太郎へと近づき、彼の頭の近くでそっと膝を折った。

京太郎「ん…和?」

そんな彼女の姿を見て取った京太郎から疑問の声が漏れる。
勿論、彼とて何時かは和が我慢出来なくなって参戦すると分かっていた。
普段の知的な姿からは考えられないくらいに彼女は負けず嫌いで、そして嫉妬深いのだから。
そんな彼女の前で他の二人と絡み合っていれば、何時かは我慢出来なくなると思っていたものの、まさかこんなに早いとは思っていなかったのである。


和「は…あぁぁ…♪♪」

京太郎にとって一番の誤算は、彼が自覚している以上に和が彼の事を愛している事だろう。
京太郎の選択に一番の拒否反応を示したのも、和がそれだけ彼の事を愛しているが故のものだったのだ。
そんな彼女にとって、そうやって愛しい人から語りかけられる感覚というのは何時だって素晴らしいものである。
特にセックスの最中は自分を無視するように和以外の女性とみ合っていたのだから尚更だ。

和「ご主人…様…ぁ…♥♥」

思わずその口から吐息を漏らし、最後に残った心のタガを外してしまうくらいの喜悦。
それをもたらしてくれた愛しい人の名前を和は甘えるように呼んだ。
普段の彼女からは想像も出来ないくらい甘い声に京太郎の顔はついつい緩みそうになる。
それは自分の望む関係になるのに一番の強敵だと思っていた和が陥落した証なのだから、それも仕方のない事だろう。

和「和も…和も混ぜて下さい…♪♪一人ぼっちは…仲間外れは寂しいです…ぅ♪♪」

そう言う彼女の胸に浮かぶのは少なからずあった転校の記憶だった。
まったく新しい環境からのスタートを余儀なくされるそれは彼女に強い寂しさを覚えさせるものだったのである。
その上、両親は忙しく、一人で家にいる事も珍しくなかったのだから、まだ幼い彼女がそれをトラウマにするのも無理はない。
そんな彼女にとって愛しい京太郎が自分を放っておいて他の二人とだけ睦み合っているその光景は、彼女の暗い記憶を呼び覚ますには十分過ぎるものだった。


京太郎「当たり前だろ…ほら、こっち来いよ」

そんな彼女が一体、何を思い浮かべているのかは京太郎は知らない。
彼はずっと長野に住んでいた身であり、転校など経験した事はないのだから。
しかし、それでも今の和は心から寂しがり、そして傷ついている事が伝わってくる。
だからこそ、京太郎は半ば強引にその手を取り、自分の寝そべった自分の方へとぐっと引き寄せるのだ。

和「はふ…ぅぅ…♪♪」

それは決して優しいものではなく、寧ろ、強引と言えるようなものだった。
彼女の身体が自分へと倒れこむのも厭わないくらいに強いものだったのだから。
けれど、それに和が愛されている実感を覚えるのは、それが内心、求めていたものだったからだろう。
彼女の心を推し量り、望んだ反応を返してくれる愛しい主に、彼女の心は慰撫され、甘い吐息を漏らしてしまうのだ。

漫「(あぁ…っ♪♪ずる…いぃ…♥♥ずるい…よぉぉ…♥♥)」

そんな二人を見ながら、漫は強い嫉妬を覚えた。
勿論、京太郎にとって原村和という少女が飛び抜けて特別なのは彼女にも分かっている。
総合で見た時に三人に優越はないにせよ、彼が一番、愛しているのは間違いなく和なのだから。
だからこそ、そんな彼女が陥落したら、自分が脇に追いやられてしまうのを恐れながらも理解していたのである。


漫「(だけど…やっぱり嫌やぁぁ…♥♥そんなん…嫌…あぁぁっ♪♪)」

しかし、そう理解しても収まりがつかないのが女心というものだ。
特に、今の二人はまるで世界が自分たちだけになってしまったように見つめ合っているのだから。
自分を放っておいて幸せそうな二人の姿に漫の心はどうしてもざわつき、強い嫉妬を覚えてしまう。
小蒔の時よりも数段、強いそれは彼女の腰を動かす原動力となり、その動きを激しいものにしていった。

漫「(ど…ぉ…♪♪うち…頑張っとるよ…♥♥京君の為に…すっごい頑張ってるぅぅ…♥♥♥)」

カクカクと揺れる彼女の腰の動きは決してスムーズなものではない。
しかし、数センチ動くだけでも数秒掛けていた頃からは比べものにならないくらいに彼女は激しく腰を揺すっていた。
クチュクチュと絡んだ水音が休みなく鳴り響くその動きは本格的に京太郎へと快楽を与え始める。
その顔に浮かぶ興奮は一気に強まり、口から漏れる吐息はその熱っぽさを増した。
だが、そんな京太郎以上に漫の中の快楽はぐっとその勢いを強めたのである。

漫「(あかん…っ♪♪これ頭の中、真っ白になるぅ…ぅ♥♥オチンポの事しか分からへん…メスになるよぉぉ…♥♥♥)」

既に漫の身体はさっきの小蒔に負けないほどに敏感になっている
そんな中で愛しい夫の肉棒がゴリゴリと動けば、頭の中が一気に白く染まり、思考が振り落とされていくのも当然だ。
まるで無駄なものをそぎ落とすような激しい快楽の中で彼女に残るのは愛しさと肉棒の感覚だけ。
しかし、それでも嫉妬に突き動かされた漫は腰を止める訳にはいかず、ギリギリのところで踏みとどまりながら円を描くようにその腰を動かす。


漫「(いひゅぅぅ…っ♪♪♪これいひゅよぉぉ…っ♥♥オマンコのヒダヒダ全部ゴリゴリ来て…イくぅぅ…っ♥♥♥)」

まるで鉄の棒にも思えるような逞しい肉棒を周囲の肉襞へと押し付けるような抽送。
それに漫は思わずその顎をくっと上げ、絶頂に悶えそうになる。
今や肉襞一つ一つでイッてしまえるまでに昂った彼女の身体にとって、それはあまりにも気持ち良すぎるものだった。
ブツリと言う音と共に力が抜けた身体が、京太郎へと倒れこみそうになるくらいに。

漫「はう…ぅぅ…♪♪ひあ…ぅぅ…ぅぅ♪♪♪」

それを何とか堪える事が出来たのは反射的に両腕が京太郎の腹筋へと伸びたからだ。
微かに割れたその硬い部分でバランスを取らなければ、漫は京太郎へと寄りかかる和の背中に飛び込んでいただろう。
勿論、そうやって二人の邪魔をする事に心惹かれないかと言えば嘘になるが、それで勝ち誇るのはあまりにも情けない。
それよりも自分が京太郎とセックスをしているというアドバンテージを活かすべきだと漫はぐっと腰に力を込め、その激しさを増していく。

和「(上重さん…凄い…です…っ♪♪)」

そんな漫の様子を京太郎に横から覆いかぶさるようになった和からは見えない。
しかし、聞こえてくる水音の激しさや京太郎の身体の揺れから十分、その激しさが伝わってくるのだ。
そして、それが自身に対する嫉妬から繰り出されるものなのだと言う事もまた和には伝わってきている。


和「(でも…それは和も同じ…なんですよ…っ♥♥)」

彼女にとって愛しい主人は世界の全てだ。
彼の為であれば死んでも良いと半ば本気で思っている。
けれど、漫と同じ事が自分にも出来るかと言えば、彼女はすぐさま肯定する事が出来ない。
能力を受けて普段以上に敏感になった身体で騎乗位を続けられる自信が和にはどうしてもなかったのだ。

和「(それに…和にはきっと…あんな風に…ご主人様の背中を押す事なんて出来ません…)」

そう感情を濁らせるのは、彼の選択を全肯定した漫の姿が脳裏に浮かんできたからだ。
彼の全てを受け入れ、そしてその背中を押す彼女の強さは和には決してない。
少なくとも、逆の立場であった時、同じような選択が出来るとはどうしても思えなかったのだ。
勿論、漫がそこに至るまでに並々ならぬ苦しみや妥協があった事くらい和にも分かる。
だが、それでも尚、それを選べないであろう彼女にとって、それは羨ましく映るものだったのだ。

和「(だから…和は…容赦なんてしませんから…っ♪♪)」

勿論、不利なのは自分の方だ。
京太郎の身体で最も敏感な箇所は既に漫に握られているのだから。
彼女が京太郎のオカルトを受けて、本調子ではない事を差し引いても、勝ち目なんて殆どない。
ましてや、和自身、こうして三人で交わる事に対する抵抗感を捨てられなかった。
しかし、だからと言って尻込みしていたら、何もかもを漫に奪われてしまうかもしれない。
そう思った彼女はそっと自分のシャツに手をかけ、胸元のボタンを器用に外していくのだ。


和「ほら…ご主人様…ぁ♥♥和のおっぱいですよぉ…♥♥」

瞬間、和の胸からこぼれ落ちるのは大きな膨らみだった。
上品な象牙色のブラに包まれたそれはふるふると揺れて、その柔らかさを訴えている。
人並み以上にバストが大きい三人の中でも頭一つ抜けているそのサイズに京太郎は思わず生唾を飲み込んでしまった。
彼が一番、性的興奮を覚える部位がブラ越しとは言え、胸板に押し当てられているのだからそれも仕方のない事だろう。

和「脱がせて…下さいますか…?」

そう甘く囁く和に京太郎は反射的に頷いた。
そのまま和の胸元へと伸びるその手には一切の遠慮がない。
自身の愛玩奴隷がそれを望んでいるという事に疑いのないそれは器用に彼女のブラを外した。
瞬間、重力に惹かれるブラから離れるように和は少しだけその背筋を反らせる。
自然、彼女の上向きになった乳首や乳輪がブラから溢れだし、彼の視界に晒された。

和「ひゃぅん…っ♪♪」

彼が何か考えるよりも先にその手は和のバストをぐっと掴んでいた。
本能的と言っても良いそれは強い力で彼女の柔肉を歪める。
絞ると言っても良いほど激しいそれに和は真っ赤な唇から声を漏らした。
陶酔混じりの甘い声は彼女がそれを嫌がっていないという何よりの証である。
日頃から彼に強引な愛撫をされている彼女にとって、それは強い快楽として受け止められるものだった。


和「もう…♥♥ご主人様ったら…そんなに和のおっぱいが大好きなんですね…♥♥♥」

そんな彼に嬉しそうに言いながら、和はその頬を緩ませた。
愛しい人が激しく動き出す漫ではなく自分のバストに対して夢中になっているのだからそれも当然だろう。
その程度で勝っただなどと思いはしないが、優越感めいたものを感じるのは否定出来ない。
それに突き動かされるようにして和の手はそっと京太郎の首筋へと伸び、そのまま優しく抱き上げた。

和「もっと一杯…ご主人様の思うがままに…和の事を愛して下さい…♥♥」

そう言いながら和は再び京太郎へと身を寄せる。
そして、そのまま自身の柔らかさを教えるように胸板に身体を押し付けた。
まるで密着するようなそれに京太郎の手が動きづらくなったのは事実ではある。
だが、グニグニと柔肉を弄ぶ彼の動きは止まる事はない。
寧ろ、その窮屈さの中で和の肢体を出来る限り、味わおうとするようにその指先は激しく、そしてバラバラに動く。

漫「く…ぅぅ…♪♪京君…っ♥♥v京君…ぅぅっ♥♥♥」

二人が一体、どんな風に絡んでいるのかは漫には見えない。
しかし、京太郎の意識が和に向けられている事は悲しいくらいに分かってしまうのだ。
漫の膣肉で微かに震えるその反応もまた和の身体で興奮しているからだろう。
そう思った瞬間、湧き上がるもどかしさに漫は京太郎の名前を呼んでしまった。


京太郎「漫…」

その声に意識を漫へと戻しながらも、京太郎は彼女に何を言えば良いのか分からなかった。
彼女が嫉妬しているのも分かるし、自分の事を見て欲しがっているのも伝わってくる。
しかし、それは和の方もまた同じなのだ。
これまでずっと自分を律し続けていた和もまた漫に負けないくらいに京太郎にアピールしている。
そうやって見目麗しい美少女二人から求められる気分は決して悪いものじゃない。
けれど、公平性の為にそのどちらにも応えすぎる訳にはいかない彼にとって、彼女への返事はとても悩ましいものだった。

漫「好き…ぃ♥♥らいしゅきぃ…♥♥らから…もっと…もっとうちの事…感じへぇ…♪♪♪」
和「和もご主人様の事…愛していますよ…♥♥だから…ほら…もっと和のおっぱいに…溺れて下さい…♪♪」

そうやって悩んでいる間に二人の少女は京太郎への愛を囁く。
それぞれ別の場所から京太郎の意識だけでも独り占めしようとするそれに彼の気持ちがクラクラと揺れた。
間違いなく美少女と言っても良い二人が自分の事を取り合っているのだから、それも仕方のない事だろう。
しかし、だからと言って、その興奮に溺れて、何もしない訳にはいかない。
そう思った京太郎の左手がそっと和の胸から離れ、前屈気味になった漫のバストへと向けられた。

漫「きゅぅぅ…っ♪♪♪」
和「んあぁぁ…っあぁっ♪♪」

それに嬉しそうな声をあげる漫と、不満そうな甘い声を漏らす和。
それぞれの反応を見ながらも、京太郎にはこれ以上の答えを見つける事が出来なかった。
向ける感情こそ違えども京太郎は三人の事を平等に、そして大事に想っているのだから。
その扱いに出来るだけ二人が不平等感を覚えないようにする為には、自分から二人を求める事しか思いつかなかったのだ


和「ずるいです…っ♪上重さんはご主人様のオチンポ貰っているのに…ぃ…♥♥」

とは言え、そんな京太郎の選択に和が不満を覚えない訳ではない。
何せ、漫は既に京太郎から一本しかない肉棒を与えられているのだから。
欲情に屈し、京太郎を求め始めた和にとって、それは決して軽視出来るものではない。
その上で平等に扱われる事に思わず不満を口にしてしまうくらいに、彼の肉棒は和にとって大きなものだった。

京太郎「じゃあ、俺が早くイけるように和が手伝ってくれよ」
和「ぅ…ぅぅ…っ♪♪」

京太郎の言葉に和は子ども染みた声を漏らしながら、ぎゅっとその手を握りしめた。
正直な事を言えば、和は京太郎に射精して欲しくはない。
漫に射精するくらいならば、より多く自分の中で精液を放って欲しいと思っているのだ。
そんな彼女にとって京太郎がイケるように手伝う言うのは利敵行為にも等しい。
後々、自分を愛してもらえると分かっていても、どうしても逡巡を浮かべてしまうくらいに。

和「今回だけですからね…♥♥」

独占欲と欲情。
その2つがせめぎ合う和の中で、結局、後者が軍配を上げた。
何だかんだ言いながらも和はこうして3Pに混じるくらいに欲情しているのである。
タイトスカートを身につけた太ももはもうグショグショでその奥はひくつきながら強い疼きを訴えていた。
そんな彼女が愛する主人からの命令に逆らえるはずがなく、渋々と首肯を見せる。


和「(でも…どうすれば良いんでしょう…?)」

和は基本的に受け身なタイプだ。
勿論、フェラなどは進んでするものの、それ以外のやり方など知らない。
愛玩奴隷として育てられた和は肉棒以外で主人を気持ち良くするところなんて想像もしなかったのである。
結果、彼女が悩みながら選んだのは、さっき漫がやっていた事を模倣する事だった。

和「(こう…でしょうか…?)」
京太郎「ぅ…」

そう思いながら和の手は優しく京太郎の胸板を撫でる。
擽るような絶妙な距離でスルスルと撫でられるそれは彼にとって間違いなく快感であった。
興奮していない時であればただ擽ったいだけであろうが、今の京太郎は二人から求められるという状況にかなりの興奮を覚えているのだから。
例え、それが不慣れな和の手であっても思わず声を漏らしてしまうくらいに京太郎は昂っていた。

和「(あぁ…♪♪やっぱりここ…気持ち良いんですね…♥♥)」

それに和が一つ笑みを漏らすのは、愛しい主人を感じさせられた実感が湧き上がって来るからだ。
まだ不慣れな自分の手で愛しい人を感じさせられるその喜悦は決して薄いものではない。
自分は今、大好きな人に求められている事を返す事が出来ている、と思うだけで胸がドキドキしてしまう。


和「(なるほど…♪確かにこれは…可愛いです…♥♥)」

その興奮のままに和が見つめるのは快楽で歪んだ京太郎の顔だった。
微かに夢見心地になっているような気配を見せるその顔は和の胸をときめかせる。
そこにいるのは何時も自分を責めている時の格好良い『ご主人様』ではなく、可愛らしい『京太郎』なのだから。
そのどちらにも恋焦がれる和にとって、それを引き出したのが自分だと思うだけで胸の中が誇らしさで一杯になる。

和「ちゅ…れろぉ…っ♪」

その感情に背を押されるようにして和が選んだのは京太郎の首筋を舐める事だった。
まるで子犬が親愛の情を示すようにペロペロと舐めるそれは信じられないほど熱く、そして粘っこい。
一つ往復するだけで数秒ほどの時間をかけるそれは、京太郎に『味わわれている』と思わせるくらいだ。
しかし、それが決して不快ではないのは、和の仕草に収まりきらないほどの愛情が見えているからだろう。

京太郎「のど…か」

どんな形ではあれど必死になって自分に奉仕してくれている愛しい奴隷。
その名前を呼ぶ京太郎の声はさっきより大分、熱っぽいものになっていた。
自身の興奮を欠片も隠そうとしていないその声に和の胸はトクンと甘い鼓動を覚える。
ときめきほど激しくはないが、それとは比べ物にならないほど甘いそれに彼女はその笑みを強めた。
そのまま再び首筋にキスを落とし舐め始めるその顔は自信と愛しさに蕩け、幸せそうにも映りかねないものである


漫「んあぁ…ぁ♪♪ずる…ぃ…♥♥じゅるいぃぃ…っ♥♥」

勿論、そんな二人を見て、漫が我慢出来るはずがない。
その口からずるいと言葉を漏らしながら、彼女は必死に自分の腰を動かした。
一回毎にニチャニチャと鳴るその動きは普段、漫が受けている京太郎の抽送と比べても大差ないものになっている。
そうやって彼に与えられる快楽は決して小さいものではなかったが、京太郎の意識は漫へと独占される事はなかった。

漫「(うちがセックスしとるのにぃ…っ♪♪うちが京君とラブラブセックスするはずやったのにぃぃ…♥♥)」

それなのに、彼の意識の半分は原村和に向けられている。
いや、下手をしたら半分どころではないかもしれない。
そのもどかしさに彼女が腰を強めようとするが、それ以上、ギアは上がらなかった。
元々、今の速度でさえ、漫の身体は快楽の悲鳴をあげて、今にも崩れ落ちてしまいそうなのである。
そんな状態でさらに腰の動きを早めるなんて出来るはずがない。
そうと分かっていても、理性を飛ばした彼女の意識は納得などするはずがなく、もどかしさだけが募っていく。

漫「きゃんんんっ♪♪♪」

そんな彼女に応えたのはバストを掴んだ京太郎の手であった。
ぐっとそこを鷲掴みにした彼の指がブラの隙間からそっと中へと入り込んできたのである。
そのままクリクリと乳輪と引っ掻くその動きは普段であれば擽ったさが強いものだっただろう。
しかし、京太郎以上に発情した漫にはそれはビリリと乳腺に流れこむ甘い快楽でしかなかったのだ。


漫「あぁ…♪♪もっろぉぉ…♥♥もっとおっぱい虐めて…ぇ♥♥うちのエロちきゅび…ぃ♪♪ビクビクしゅるまで虐めてぇぇ…っ♪♪♪」

とは言え、それで満足出来るほど漫の身体は初心ではない。
既にそのような領域なんて一足飛びで飛び越えた彼女はさらなる快楽を求めて口を開く。
勿論、その身体は今もイき続けているものの、それは彼に愛されるものとはやっぱり別なのだ。
自分だけが腰を振るって奉仕する感覚は楽しいものの、和という乱入者のお陰でそれに浸る事が出来ない。
そんなもどかしさを解消する事が出来るのは京太郎から与えられる快楽だけだったのだ。

京太郎「仕方ないな…」
漫「ひぃぃぃんっっ♪♪♪」

そう言いながら、京太郎の指はぎゅっと漫の乳首を摘んだ。
親指と人差指が密着してしまいそうなそこには最初から遠慮などない。
漫が望んだ通り、乳首を虐めようとするような嗜虐的な愛撫に彼女の口から嬌声が吐き出される。
自身が京太郎の愛撫で被虐的な快感を得ている事を隠そうともしないそれと共に漫の意識がブツリと何かが途切れる音を感じた。

漫「ふあ…あぁぁ…あぁ…♪♪♪」

今まで張っていた糸が切れたようにその身体から力が抜ける。
激しく動き回っていたその腰はクタリと崩れ、一向に動く気配を見せない。
代わりにピクピクと痙攣を見せるものの、それは動き出す予兆ではなく、快楽の反応でしかなかった。
漫の身体はもう完全に意識から切り離され、彼女へと快楽の受信する肉の檻に成り下がってしまったのだ。


漫「んやぁ…♥♥動かにゃあかんのにぃ…♪♪動かにゃ…負けひゃうのにぃ…ぃぃ♥♥」

そうやって腰砕けになった漫の身体はある種の限界を突破し、今も昂ぶり続けている。
抽送していない今でさえ微かな身動ぎだけで肉襞がイッてしまうのだから。
最早、失神するまで降りる事は出来ない快楽の高みが嫌だと言えば、嘘になるだろう。
しかし、それでも彼女がそれを拒絶しようとするのは、その間に和にイニシアチブを取られかねないからだ。
セックスしているというアドバンテージくらい簡単にひっくり返すであろう強敵の前に休んでいる暇などはない。
一気呵成に責め続けなければ、自分の存在が京太郎から消えていってしまうのは目に見えていたのだ。

漫「(にゃのに…どうしてぇ…ぇ♪♪どうして動けへんのぉぉ…ぉ♥♥)」

しかし、そう思いながらも漫の身体は意識の声に従わない。
元々、三桁を超える数を絶頂した彼女の身体は既に限界だったのだ。
その腰を動かしていたのも意地と言うよりは貪欲な本能が顕れたと言った方が正しい。
そんな彼女の腰がここまで持った事の方が奇跡と言っても良いくらいだったのである。

小蒔「ふふ…♪じゃあ…もっと負けちゃいましょう…ね♥」
漫「ふぇ…ぇ♪♪♪」

瞬間、背後から聞こえてきた声に漫はマヌケな声を返した。
それはその声の主が、彼女の意識にまったくなかった相手だからである。
しかし、それを確かめようにも漫の身体は動けない。
ただの快楽の受信機となった彼女の身体は後ろへと向ける事さえも出来なかったのだ。


小蒔「えい…っ♪♪」
漫「ひあ゛ああぁっぁああぁぁっっ♥♥♥」

そんな彼女にとって後ろから近づけられた黒塗りのアナルプラグが見えなかったのか幸運だったのか不運だったのか。
ただ、漫にとって確かだったのは、それがまったく遠慮のないものだったという事だ。
ぐっしょりとローションで濡れていたとは言え、警告もなしに菊門へと差し込まれたそれに漫は悲鳴めいた嬌声をあげる。
しかし、脱力しきった身体はその悲鳴の源であるアナルプラグを抜く事が出来ず、その全身をピクピクと痙攣させた。

小蒔「気分はどうですか…?」
漫「じ、じんらい…しゃん…ぅぅ…♪♪」

顎を上げるようにして快楽に身悶えする漫の耳元で小蒔がそっと囁く。
それに答える漫の声はまさに息も絶え絶えと言ったものであった。
ただでさえ限界だった身体に新しくアナルプラグが埋め込まれたのだからそれも当然だろう。

小蒔「私のお気に入りのプラグなんです…♥♥とっても気持ち良いでしょう…?」

クスリと笑う小蒔の声は誇らしそうなものだった。
それは彼女が埋め込んだそのアナルプラグが京太郎にプレゼントして貰った愛用の一品だからだろう。
肛虐にハマった彼女の為に京太郎が選んだ黒塗りのそれは慣れた小蒔でも圧迫感を感じるほど太く、大きい。
その上、表面に細かい粒が浮かんでおり、決して抜けないようにくびれがいくつも出来ているのだ。
強く差し込まれただけでアナルでイッてしまうほどの小蒔はそれを気に入っている。


漫「も…もしかして…怒っへりゅ…ぅ…♪♪」
小蒔「怒ってなんていませんよ…♥♥えぇ…怒ってなんていないです…♪♪」

とは言え、それが漫相手にも同じ効果を発揮するだなんて小蒔は思っていない。
そもそも小蒔が最初、京太郎から与えられたのはもっと小ぶりで表面に何も浮かんでいないものだったのだから。
幾つものセックスを経てようやく受け入れられるようになったそれが漫にとっては大きすぎるくらい小蒔にも分かっていた。
しかし、それでもそれを漫のアナルへと遠慮無く押し込んだのは、京太郎が射精するまでにされた事を小蒔が覚えているからである。

小蒔「でも…私の時には上重さんが一杯、お節介してくれたみたいなので…その分はお返ししないといけませんよね♪♪」

ニコリという音が聞こえてきそうなくらい明るい声。
しかし、漫はその声に背筋を冷たくさせ、怖気を胸に纏わせる。
溺れそうなくらいの快楽の中でもはっきりと感じるそれは、漫の表情を強張らせた。
自分はもしかしたら一番、怒らせてはいけない相手を怒らせてしまったのかもしれない。
それに後悔を覚えてももう遅く、小蒔の手は再びアナルプラグへと伸びていた。

小蒔「ほら…一杯、出し入れしてあげますね…♥♥」
漫「や…やめっ…ひぃぃいいぃいぃいぃっ♪♪♪」

瞬間、グチュリという音と共にアナルプラグが引き抜かれる。
それに漫が再び悲鳴をあげるのは、彼女がアナルに対してまだ不慣れだからだ。
京太郎との逢瀬の時間が他の二人よりも少なかった彼女のそこはまだ殆ど開発されていない。
そんな部分で上級者向けのアナルプラグを出し入れされるのだから、彼女が悲鳴をあげるのも当然の事だろう。
その圧迫感だけでも呼吸が苦しくなってしまいそうなのに、ゴリゴリと中を抉られる感覚は激しく、漫の頭を焼くように感じるのだ。


小蒔「止めてって言いながら…上重さんのアナルピクピクして…悦んでるのが伝わってきますよ…♥♥」

勿論、漫のアナルはまだ拡張前で上級者向けのアナルプラグに悦べるはずがない。
しかし、彼女の身体は動けないほどに弛緩し、そして敏感になっているのだ。
グチュグチュと腸液を掻き出すようなプラグに、ドロリとした快楽を背筋へと押し上げる。
漫の知らないその被虐的な快楽は、まるで乾いた砂に水を落としたように発情した身体へと染みこんでいった。

小蒔「私が手を離してもそのままズルズルって飲み込んでしまいそう…♪♪本当にエッチな身体ですね…♥♥」
漫「ひぅぅ…ぅぅぅっ♪♪♪」

嫉妬混じりのその言葉と共に、小蒔が一気に奥までプラグを差し込む。
そのままグリグリと切っ先を周囲へと押し付けるように動かす小蒔に漫は嬌声で答えた。
勿論、ライバルでもある小蒔にそう言われるのは悪い気はしない。
しかし、賞賛めいた言葉と共に漫へと与えられるのは無慈悲とも言える快楽の波なのだ。
意識を踏みとどまらせるので精一杯な彼女を奈落の底へと突き落とそうとするようなそれに彼女は必死に耐えようとする。

小蒔「ほら…京太郎様も動いてあげて下さい…♥♥じゃないと…上重さんは何時までも辛いままですよ…♪♪」
漫「ふぇ…あ゛ぁぁ…っ♪♪♪」

しかし、それすらも打ち砕こうと小蒔はそっと京太郎に抽送を誘う。
それに漫が抗議するような声をあげるのは今の彼女が本当にギリギリだからだ。
身動ぎだけでイきそうなくらいに昂った身体のアナルまで責められているのだから。
その上、京太郎に下から突き上げられてしまったらあっという間に失神してもおかしくはない。


漫「ら、らめ…っ♪♪ひま…動いひゃ…らぁぁあ゛あ゛あぁぁぁぁぁっ♥♥♥」」

それを何とか思い止まって貰おうと必死になって漫が紡いだ言葉。
しかし、それは次の瞬間、始まった京太郎のピストンによって嬌声へと変えられてしまう。
勿論、その動きは漫の腰が砕けた所為で密着しているが故に、それほど激しい訳ではない。
精々、数センチの距離を動くのが精一杯なそれはピストンではなく揺さぶりと言っても良いくらいだろう。
だが、そんな僅かな動きでも、イき続けた彼女にとっては劇薬だ。
まるで快楽が津波となって押し寄せてくるように思える気持ち良さに彼女の意識は一気にホワイトアウトしていく。

漫「(あ…あぁぁ…っ♪♪今…いっひゃぁ…ぁ♥♥うち…意識トんじゃっらぁぁ…♥♥♥)」

それはほんの数秒程度の事だったのだろう。
だが、その間、漫の意識は確実に身体から離れ、完全に白く染まっていた。
何もかもを切り離し、ただ快楽だけで満たされるその感覚はいっそ幸せだと言っても良いくらいである。
しかし、それが長続きしないのはアナルに埋め込まれたプラグの存在感があまりにも大きかった所為だ。
不慣れな彼女の身体を変わらずにグチュグチュと出し入れされるそれは飛びそうになる漫の意識を縛り付け、肉の檻へと引き戻したのである。

漫「ひぐぅぅう゛ぅうぅぅ♥♥おかしふなりゅぅぅ…♪♪♪こんにゃんらめえぇぇぇ…♥♥♥」

意識が白く染まるほどの快楽の中で失神すら許されない。
しかも、その中で身体だけが際限なく敏感になっていくのだから、漫が悲鳴と共に訴えるのも無理はない事だろう。
幾ら調教され、快楽に慣れた漫とは言っても、それは今まで経験したことのない領域なのだ。
まるで魂さえも削りとり、自身を変質させていくような快楽に彼女は子どものように首を振りながら悶えている。


小蒔「ふふ…♪何を言ってるんですか…♪♪私達はもう…とっくの昔に京太郎様におかしくされているんですよ…♥♥」

そして、漫が感じているそれは既に小蒔が通ったものだった。
一番に能力を受け、最後の扉を開いた彼女の胸にはもう自身が正常であるという感覚は何処にもない。
少なくともこうして四人でセックスする状況を楽しみ、興奮しているだなんて普通ではあり得ないだろう。
勿論、彼女自身、未だに嫉妬を感じているのは事実だ。
しかし、それすらも自身の興奮剤として肯定的に受け止められるくらいに、小蒔の意識は変貌している。

小蒔「(まるで…頭の中にかかっていたモヤが晴れたように…すっきりしていて…♪♪)」

京太郎の選択を受け入れる事を表明したとは言え、小蒔はそれを肯定的に受け止める事は出来なかった。
やっぱり裏切られたという意識はどうしても彼女の中に残り続けていたのである。
しかし、今の小蒔にはそんな感情は一切なく、迷いさえも見えない。
寧ろ、こうして新しい興奮を知る切っ掛けになった京太郎の選択を肯定的に感じられるくらいに、彼女はもう完全に彼へ溺れていた。

小蒔「そんな私達を受け入れてくれるなんて…京太郎様しか居ません…♥♥だから…ほら…皆でもっとおかしくなっちゃいましょう…♥♥♥」
漫「んひぃぃぃい゛ぃぃぃぃい♪♪♪」

もう完全に後戻り出来ない領域にまで踏み込んでしまった自分。
そんな自分が世間で言う『変態』である事を小蒔は自覚していた。
そして、それを受け入れてくれる人が極少数である事もまた理解していたのである。
そんな彼女にとって、自分を開発し、そして受け止めてくれる京太郎とは唯一無二の存在であった。
最早、信仰の対象と言っても過言ではないほどのその愛情を燃え上がらせながら、小蒔は再びアナルプラグの抽送を再開する。


京太郎「う…くぅ…っ!」

その存在を漫の次に感じているのは、他でもない京太郎だった。
硬く大きなそのプラグは肉の壁越しでもはっきりとその存在を感じ取れるのだから。
それだけならまだしもリズミカルに動くそれが膣肉を押し上げて、微かとは言えその形を変形させるのだ。
それを敏感な肉棒で感じ取った京太郎は小さくうめき声をあげながら、その両手を漫の腰へと向かわせる。

和「あぁ…っ♪♪ご主人様ぁぁ…♥♥」

それに不満を訴えるのは勿論、和だ。
唯一、自分を求めてくれた京太郎の右手さえも漫へと向けられたのだからそれも当然だろう。
片手だけでも不満だったのに、何もなしだなんてあまりにも寂しすぎる。
しかし、それを声にしても京太郎の手が和に返ってくる事はなく、その両手で漫の腰をがっちりと掴んだ。

京太郎「っくぅぅ!」
漫「あ゛あぁぁぁぁ゛っっ♥♥♥」

瞬間、始めるピストンはさっきよりも遥かに強いものだった。
ゴンゴンと奥を叩くその動きに漫の口からケダモノ染みた嬌声が飛び出す。
子宮を微かに震わせるその突き上げに漫の身体に衝撃めいた快楽が駆け抜けていた。
まるで意識をひっぱたかれるようなそれに彼女の意識がグジュリと音を立てて崩れていく。


漫「あ゛…うあ…あぁぁ…あぁっ♪♪♪」

それは決して外れてはいけないタガが崩れていく音だ。
薄らいでいく意識の中で漫がそう思うものの、最早、それは元には戻らない。
また一歩奈落へと踏み出した漫の意識はもう堕ちていくしかないのだから。
その証拠だと言わんばかりに漫の身体はちょろちょろと尿を漏らし始めた。

和「きゃんっ!?」

それに驚きの声をあげるのは勿論、和だった。
京太郎に覆いかぶさるようになっている和の身体にも漫の尿は掛かっているのである。
それを不快だと言う気持ちはあるものの、和はそこから逃げ出したりはしない。
自分は何も束縛されていない故に逃げられるが、未だ漫を突き上げ続けている京太郎には逃げ場がないのだ。
それなのにここで自分だけ逃げてしまうと我が身可愛さで愛しい人を見捨てた事になるだろう。
そんな恥知らずな女にはなりたくないはないし、ましてやそれを許容出来るほど京太郎への愛情が薄いものではなかった。

和「(それに…ご主人様と一緒に汚れるのは…ちょっぴりドキドキします…♥♥)」

愛する主人と同じもので穢され、汚れを共有する感覚。
それは決して世間一般で共感されるものではない。
しかし、そう思いながらも和の胸中は興奮と陶酔で満たされていた。
まるでさらに深く京太郎と繋がれる感覚が良いと言わんばかりにその胸はときめいている。


和「ふふ…っ♪♪ご主人様…和はやっぱりご主人様の事とっても愛しているみたいです…♥♥」

本来なら忌避するものに塗れる事すら悦べるほどの自分。
それを愛する主人の耳元で囁きながら、和はそっと自身の腰に手をのばす。
そのままタイトスカートのホックを外し、脱ぎ去るのは和の興奮もまたかなりの昂ぶりを見せているからだ。
最早、自分で自分を慰めなければ、どうにかなってしまいそうな興奮に彼女の指はスルリと動き、白い勝負下着を脱ぎ去る。

京太郎「あ…くぅ…ぅっ」

今や一糸纏わない生まれたままの姿へと変わった和。
そんな彼女がまるで女豹のようなポーズでにじり寄ってくる事に京太郎はかなりの興奮を覚えた。
思わず漫の中で肉棒を跳ねさせてしまうほどのそれに和は嬉しそうな笑みを浮かべる。
一瞬ではあれど自身の裸は愛しい主人の意識を引き寄せるのに十分な働きをしてくれた。
その喜びに頬を緩ませた彼女はそっと自身の秘所に手を伸ばし、濡れそぼった粘膜をクチュクチュと弄り始める。

小蒔「あぁ…♪♪原村さんもあんなに乱れて嬉しそう…♥♥」

小蒔にとって和は恋敵でもあり、師匠でもあり、友人でもあり、そして何より仲間でもあるのだ。
そんな彼女に向ける感情は色々と複雑なものではあったものの、基本的には好意的なものである。
普段はクールでしっかり者な彼女には内心、憧れていたと言っても良いくらいだろう。
けれど、そうやって憧れていた彼女が今、子どものように顔を蕩けさせながら、自慰をしていた。
しかも、それはただ自分を慰める為のものではなく、愛しい婚約者に見せつける為。
そんな恥ずべき行為すら厭わない彼女の姿に小蒔の胸は強い興奮を覚える。


小蒔「ふふ…♪だから…上重さんも原村さんに負けないくらい…アヘアヘになっちゃいましょうねぇ…♪♪」
漫「お゛ほぉぉぉぉっ♪♪♪」

その興奮を胸に小蒔の手は一気にアナルプラグを奥へと差し込んだ。
ギリギリ抜けてしまいそうな距離から強引に押し込まれるその感覚に漫はマヌケな嬌声をあげる。
それにドキドキを強めながら、小蒔の両手はそっと漫のバストへと向けられた。
未だにブラを身につけたままのそこを小蒔の手は乱暴に掴み、そのままグニグニと弄び始める。

小蒔「ん…♪柔らかくて大っきくて…良い感じです…♪♪これで京太郎様の事を誘惑したんですね…♪♪」

始めて触る同性のバスト。
それは汗でグショグショになったブラ越しではあれど、小蒔に柔らかな感触を与える。
自分のものよりも幾分、柔らかなそれに嫉妬を覚えるのは、内心、自分のそれに自信があったからだろう。
京太郎と結ばれるキッカケになったそれは普段から念入りに手入れをするくらいに小蒔の中で誇らしい部位だ。
そんな自身のバストが一部とは言え、負けていると思うのはやっぱり悔しい。

小蒔「張りでは勝っていると思いますけれど…ここはどうでしょうか…っ♪♪」
漫「っくぅぅう゛ぅぅぅっ♪♪♪」

悔しさ混じりに小蒔が手を伸ばしたのは漫の乳首だった。
ピンと張ったその場所をぎゅっと閉じ込めるような彼女の指に漫の背筋がビクビクと跳ねる。
勿論、そうやって乳首を責められるのは京太郎の時とは比べ物にならないほど鈍い。
あの時のように乳腺に突き刺さるほどの強烈な快感を得られないのだ。
しかし、それでも今の漫にとって気持ち良いのは変わらない。
既にタガが幾つも外れるくらいに昂った漫はそれだけであっさりとイッてしまうくらいに敏感になっている。


漫「あ゛あぁぁ…♪♪ボルチオ良ひぃぃ…♥♥あにゃるも…グニグニしゅごいぃぃ…♥♥♥」

そんな漫から漏れだす声はさっきとは違い、快楽を肯定的に受け止めるものだった。
それは彼女の意識が完全に崩れ、許容出来る悦楽の範囲が跳ね上がったからである。
意識すら薄れ本能だけになった漫にとって、それらの快楽はとても気持ち良い事でしかないのだ。
頭の中がおかしくなりそうな激しささえも悦べる今の彼女にとって、それはとても幸せで堪らない事である。
自然、その口から漏れる声もまた甘く蕩けたもので、漫の陶酔を皆に伝えるものだった。

漫「もっろ突いてぇぇっ♥♥うひの弱いトコじぇんぶ虐めへぇっ♪♪うちの事壊ひてぇぇっ♥♥♥」
京太郎「っ!」

瞬間、漏れだす漫のオネダリに京太郎の腰にぐっと力が篭もる。
そのまま一気に突き上げるその仕草はさっきよりも幾分、力が入っているものだ。
漫の身体がガクガクと揺れる事にも構わずに繰り返されるそのピストンはまったく容赦がない。
彼女が倒れそうになるのも構わずに繰り返されるそれは京太郎が射精する為だけのものだった。

漫「ひぐぅぅうっ♪♪良いぃぃっ♪♪ゴンゴンしゃれるの好きぃぃっ♥♥♥子宮虐められるのらいしゅきぃぃっ♥♥♥」

そんなピストンを受ける漫の身体がガクガクと揺れる。
元々、既にその身体には殆ど力が入っていないに近い状態だったのだ。
唯一の例外と言えば、京太郎の男根を締め付けている肉穴くらいである。
その他はぐったりと緩んでいるのだから、不安定になるのも仕方のない事だ。


小蒔「んふ…♪♪上重さんは子宮のお口叩かれるのがそんなに好きなんですね…♥♥」

だからこそ、小蒔はそう言って漫の乳首を摘みながら、そっと彼女の背中を支える。
漫が決して京太郎の上から崩れ落ちたりしないようにしてから、小蒔は京太郎へと目配せした。
これで大丈夫だと彼に告げる為のその視線に、京太郎はそっと頷く。
彼女の意図を正確に理解した京太郎は、胸中でだけ小蒔への感謝を浮かべながら、漫の腰をズンズンと突き上げるのだ。

漫「あはぁっ♪♪あひぃっ♥♥あぁっ♥♥あぁぁぁぁっ♪♪♪」
和「あふぅ…っ♪♪くぅぅ…んっ♪♪あ…はぁぁ…っ♥♥あんんっっ♪♪」

そのリズムに合わせて嬌声を漏らす漫と、オナニーを続ける和の声がシンクロする。
それは勿論、和自身が秘所をイジる動きを京太郎のピストンと合わせているからだ。
少しでも自分の欲望を発散する為に、京太郎とのセックスを妄想しながら指を動かす和。
しかし、どれだけ秘所を指で激しくかき回しても、その欲求不満が和らぐ事はあっても消える事はなかった。

和「(やっぱり和は…ぁっ♥♥和はご主人様じゃないとダメです…ぅぅ♥♥♥)」

これが京太郎の指であれば話は別であったのかもしれない。
彼の指はどんな場所でも素晴らしい感覚をくれるのだから。
きっと今の昂った和であればすぐさまイく事が出来ただろう。
しかし、どれだけそう思っても和の女陰をかき回しているのは自分の指でしかない。
それがもどかしくて愛液が飛び散るくらいに激しくそこをかき回すが、彼女は自分一人でイく事すら出来なかった。


和「(あぁ…っ♪♪もう…っ♪♪もどかしい…っ♪もどかしいですよぉぉっ♥♥)」

まるで快楽に蓋をされてしまったように一定以上、昂ぶる事が出来ない自分の身体。
それに胸中で不満が強まるが、さりとて、京太郎の邪魔は出来ない。
今の京太郎は既に射精へと向けて、スパートをかけ始めているのだから。
そんな状態で愛撫を強請ったところで邪魔になるだけなのは目に見えている。
だからこそ、和はぐっと歯を噛みしめるようにしてそれを堪え、オナニーに集中しようとしていた。

京太郎「…俺の顔の上においで、和」
和「ふぇぇ…ぇ♪♪」

けれど、京太郎はそんな和の姿を見て、何もしないなんて選べない。
そうやって彼女を発情させたのは紛れも無く京太郎自身なのだから。
どれだけ欲望に流されたとしても、その責任だけは取らなければいけない。
射精一色に染まりそうになる思考にそう歯止めをかけながら、京太郎はそう和を誘った。

和「ご主人様…ぁ♥♥♥」

本来であれば、それを断るべきなのだと和は分かっていた。
そうやって2つも3つも別の事をしていては、京太郎は射精には集中出来ないのだから。
しかし、そうは思いながらも和の身体は甘く彼の事を呼び、いそいそと立ち上がる。
そのまま京太郎の顔の上に跨った彼女の陰唇からポトリと愛液が零れ落ち、京太郎の顔の上へと落ちた。


和「い…良いんですか…っ♪♪和のオマンコ…もうこんなにグショグショで…ぇ♥♥」
京太郎「良いから来い」
和「は…ぁい…ぅ♥♥♥」

自分の愛液で愛しい主人の顔を穢してしまう感覚。
それに思わず躊躇いの言葉を口にした和を京太郎は強引に誘う。
力強いその言葉に和が背筋にゾクゾクとしたものを走らせるのは、それが嬉しくて堪らないからだ。
躊躇いを覚える和の為に命令という形を持って齎されたそれは間違いなく彼女を慮ってのものだと分かるのだから。

和「(こんな状況でも…ご主人様はやっぱりご主人様なんですね…♥♥)」

射精するギリギリまで自分の事を気遣い、そして出来るだけ気持ち良くしようとしてくれる愛しい主人。
そんな彼が自分以外の女性と睦み合いながらも変わっていない事を再確認した和の胸がトクンと甘いモノを広げる。
陶酔とも愛情とも幸福感とも言えないそれは愛玩奴隷である彼女の胸を蕩けさせ、そして肉襞にまた強い疼きを走らせた。
まるで今すぐこの優しくも意地悪なご主人様の肉棒を咥え込みたいと訴えるようなそこを和はそっと京太郎の顔の上に置く。

京太郎「ぢゅるるるぅぅぅっ」
和「ひああぁぁっ♪♪♪」

瞬間、彼女に齎されたのは遠慮なく吸い付く京太郎の唇だった。
愛液で濡れそぼったそこをまるごとしゃぶるようなそれに和の口からつい嬌声が漏れだす。
それは彼女が自分自身で秘所を弄っていた時とは比べ物にならないほど甘いものだった。
自然、和の中を駆け巡るそれはまるで電流のように激しく、彼女の意識をゴリゴリと削っていくのである。


和「イくぅっ♪♪和イキますぅぅっ♥♥ご主人様に吸い付かれてイくぅぅんんっ♥♥♥」

ようやく絶頂へと至るメスの身体。
それを反射的に言葉にして彼に伝えるのは、ここ最近のセックスがそういったものばかりだったからだ。
あの日から痴態を撮影されるセックスにハマった和は、画面の向こうにいるまだ見ぬ誰かを誘惑するようにオルガズムを躊躇いなく口にするようになったのである。
勿論、それは彼女を責めている京太郎にも強い興奮を齎し、和とのセックスを甘く激しいものに彩るのだ。

京太郎「(そろそろ…やばい…!)」

しかし、今は何時もとは違い、和だけを愛している訳ではない。
そうやって耳から入ってくる甘い嬌声は、彼女だけではなく漫のものも混じっているのだ。
お互いに遠慮無く声を漏らし、ケダモノへと堕ちるような二人の声が頭の中で交じり合う。
共に京太郎へと甘えるような可愛らしいその嬌声に京太郎の胸はトクンと跳ね、全身へ強い興奮を広げた。
それに自身の限界を悟った彼はそれが来る前に何とか二人の事を満足させようと、大きく胸を膨らませ、全身の筋肉へ酸素を送り出した。

漫「うあ゛あぁっ♪♪♪あぁぁぁぁぁっ♥♥♥」

その意思が真っ先に顕れたのは漫を貫く腰の動きであった。
今までのものよりもさらに一段強いそれは、力尽きた漫の身体を押し上げるほどに強い。
最早、小蒔が押さえていなければ今すぐにでも崩れ落ちてしまいそうなその激しさに漫がケダモノ染みた嬌声をあげる。
それに合わせてビュシュウと潮が吹き出すが、京太郎は容赦しない。
まるで漫を壊そうとしているようにぐっと力を込め、その腰を力強く跳ねさせるのだ。


小蒔「あぁ…♪♪凄い…♥♥京太郎様のオチンポが…上重さんに種付けしたいって…♪♪動いているのが分かっちゃいます…ぅ♥♥」

そう言いながら小蒔は自身の胸が甘くときめいているのを感じる。
見ているだけの小蒔でさえドキドキとしてしまうほど、そのピストンは力強いものなのだ。
あんな勢いで自分も犯されてみたいと思わせるそれに小蒔はつい自分の腰を揺らしてしまう。
フリフリとオスを誘うその動きは、しかし、一番、見て欲しい人には見てもらえない。
その何とも言えないもどかしさに小蒔の指が秘所へと伸びそうになるが、彼女はそれをぐっと堪えた。

小蒔「ふふ…♪♪上重さん…とっても綺麗で…羨ましいです…♪♪」

興奮で理性を飛ばし、意識を書き換えられた小蒔にとっても、そこは未だに京太郎の為のものなのだ。
彼から与えられたオモチャで感じるならともかく、自身の指で自慰をするような場所ではない。
ましてや、今の小蒔には今にも崩れそうな漫の身体を支えるという大事な役目がある。
どれだけ漫が羨ましくてもそれだけは忘れてはいけないと、小蒔は自身を律した。

小蒔「だから…もっと綺麗にしてさしあげますね…♥♥」
漫「ひぐう゛う゛ぅぅぅぅううぅう♥♥♥」

とは言っても、やはり羨ましさというものはなくならない。
それを解消するように小蒔の指がギュッと漫の乳首を押しつぶす。
京太郎のそれと比べても何処か嗜虐的に思えるその愛撫は漫の口から悲鳴を漏らすのに十分過ぎるものだった。
嫉妬と羨望混じりの遠慮のないそれは最早、一線を飛び越えた彼女には強すぎるものである。
まるで乳首が快楽のスイッチになってしまったようにそこだけで連続して絶頂する感覚に、漫は全身を震わせた。


漫「(気持ち良い気持ち良い気持ち良いっ♪♪♪オチンポオチンポオチンポオマンコオマンコぉぉっ♥♥♥)」

その胸中に浮かんでいるのは完全にタガが外れた思考だった。
最早、理性らしいものは一欠片も見当たらないその心には快楽と多幸感だけで満たされている。
さっきの小蒔と大差ない状態にまで追い込まれた漫の意識はドロリと変容していく。
まるで無駄な理性や感情というものだけを洗い流し、本性を剥き出しにする感覚が今の漫にとってはとても心地良いものだった。
それはそうやってむき出しになっていく自分がより強く、そして激しく快楽を受け止められると本能的に分かっているからである。
だからこそ、彼女はその生まれ変わるような感覚を肯定的に受け止め、その口から唾液を垂れ流しにしながら悦びに浸る事が出来たのだ。

和「くぅぅぅぅぅぅんっ♥♥」

そんな漫の変質を知りようもない和は京太郎の上で甘えた子犬のような声をあげる。
それは彼女の膣肉の中に京太郎の舌が一気に入り込んできたからだ。
まるで前戯など必要ないとばかりに突き入れられたドロドロとした粘膜に和の身体が再びオルガズムへと堕ちていく。
しかし、彼の舌はそれでも容赦せず、和の膣肉をかき回すようにグチョグチョとそこを舐めまわすのだ。

和「良い…ですぅぅっ♪♪和のオマンコ舐められるの良いぃぃっ♪♪すぐイッちゃうくらい気持ち良い…ですうぅ♥♥」

その絶頂を愛しい主人に伝えながら、和の足はぎゅっと閉じる。
膝立ちになった足で京太郎の顔を閉じ込めようとするようなそれに和は胸を締め付けられた。
勿論、彼女とてそんな風に京太郎を束縛してはいけない事くらい分かっている。
何時もとは違い、今の自分は三人いる彼の恋人の一人でしかない事を自覚しているのだから。
しかし、後ろから聞こえてくる漫と小蒔の声に、やはり対抗心を感じるのは否定出来ない。
結果、二人ではなく少しは自分の事を気にして欲しいと訴えるようなその生理反応を和は抑える事が出来なかったのだ。


和「和…愛玩奴隷なのにっ♪♪ご主人様にオマンコ舐められてイッちゃうぅぅっ♥♥ご主人様に奉仕されて…イくっイクイクイクぅぅぅっ♥♥♥」

そう言いながらも和の腰はカクカクと前後に動く。
まるで本当に挿入されているように腰を揺するそれは彼の顔にべったりと愛液を広げた。
しかし、京太郎にとって、それは決して不快なものではない。
どんな形であれ、自分の身体で愛しい子が感じているのだから厭うはずもなかった。

京太郎「(寧ろ…甘くて熱くて…やばいよな…これ…)」

元々、愛液そのものは無味無臭だ。
秘所の匂いが混じる事はあれど、基本的にそれは変わらない。
しかし、そう分かっているはずなのに京太郎の舌に絡みつくその味はうっすらと甘いものだった。
何処か上品な甘さはねっとりと舌に絡みつき、彼の味覚を楽しませてくれている。
その上、口にした部分からじっとりと熱くなるようなそれは媚薬とも興奮剤とも思えるものだった。

京太郎「く…ぅぅうぅ!」

そんなものを大量に口の中に流し込まれれば、幾ら京太郎とてタガも緩む。
彼がそう苦悶の声をあげた時には肉棒はビクンと根本から震えた。
それと共に流し込まれる血液が海綿体を膨れ上がらせ、さらに凶悪な姿へと変貌させる。
まさしく魔羅という言葉が相応しいそれは漫の中をゴリゴリと引っかき、そして奥にズシンと重い衝撃を齎すのだ。


漫「おっきぃぃぃ♪♪♪大っきふなっらぁぁ♥♥♥オチンポビクンれぇぇぇ♪♪♪」

膨れ上がるその肉棒の蠢きを敏感な漫はすぐさま感じ取る。
肉襞一つ一つでイけるくらいに昂って久しい彼女にとって、それは目を瞑っていてもはっきりと分かる変化だ。
思わず嬌声を吐き出してしまうほどのそれに漫の背筋に氷のような冷たい塊が生まれる。
ゾクゾクとした快感を集めて作ったそれは彼女の肌をブルブルと震わせ、快楽神経を酷使するのだ。

漫「しゅごいぃぃっ♪♪♪しゅごいしゅごい凄い良いひぃいいぃぃいっ♥♥♥」

今にも神経がぶつりと途切れてしまいそうな激しい悦楽。
それに満たされる身体に漫は凄いと言う言葉を連呼する。
まるでそれ以外の言葉を失ってしまったようなその姿はまさにケダモノだ。
しかし、そんな漫を突き上げる京太郎にとっては、それは堪らなく魅力的に思えるものである。

京太郎「う…っぐぅぅう!」

それは漫の膣肉が京太郎へと貪欲に絡みついている事と無関係ではないのだろう。
三人の内で誰よりも情熱的なその膣内は、限界まで張った肉棒をしゃぶるように締め付けているのだ。
ねっとりじっくりと芯まで蕩けさすその貪欲さは、気を抜けば意識を持って行かれそうになるくらいである。
そんな中を激しく突き上げているのだから、和の秘所を舐めるその口からうめき声が漏れだすのも無理はない。


漫「射精してぇぇっ♪♪射精して射精してらしてらしてらひてぇぇ…っ♥♥♥」
京太郎「あぁぁっ!」

そんな京太郎に射精を強請りながら、漫の腰が動き出す。
さっきまで砕けていた腰が見せたいきなりのその動きは、漫の欲求が悦楽すら上回ったからだろう。
ケダモノになって尚、愛しい夫の射精を感じたいという漫の愛欲が、快楽の鎖を引きちぎり、自ら腰を動かすに至ったのだ。
それは勿論、激しいものではないものの、漫が動き出すなんてまったく予想していなかった京太郎は反応出来ない。
完全に不意打ちとなったそれは射精をギリギリまで堪えようとする彼の我慢を完全に砕き、京太郎の腰を大きく跳ねさせる。

漫「ひっぐぅううぅぅううううぅぅ゛っ♪♪♪」

そのまま奥へと突きこまれた魔羅に漫が何百回目かの絶頂を覚えた瞬間、彼女の中に熱いものが吐き出される。
まるで熱湯のように熱く、けれど、触れる部分を優しく蕩けさせてくれるそれを漫が間違うはずがない。
愛しい夫が快感を極めた証でもあるその精液を、彼女は子宮口をひくつかせながら飲み込む。
まるで砂漠を征く旅人がようやくオアシスに出会えた時のように彼女の身体はその精液を貪欲にすすり上げていた。

漫「あ゛ぁぁっ♪♪♪あ゛ぁ…♥♥♥あ゛あぁぁぁあ゛あぁぁ…♥♥♥」

その快楽は漫が今までに感じていたものとは一線を画するものだった。
精液をずっと求め、疼いていた子宮にそれを流し込まれる熱い感覚は『満たされる』という表現が最も相応しい。
今までのように快楽で身体が埋め尽くされ、それを意識へと伝えるだけの発信機とは違い、彼女の身体は愛しさと暖かさと多幸感で満たされていた。
おおよそ、心地良いと思えるその全てで身体が一杯になる感覚に漫の目尻からポロリと涙が溢れる。
それは今までのものとは違い、収まりきらない快楽を流し出すものではなく、満たされているその感覚につい漏らしてしまうものだった。


漫「あ゛ふぅぅ…っっ♪♪♪ん゛ひぅぅぅうぅっ♥♥♥」

しかも、その感覚は中々、終わらない。
京太郎の射精を元にするその感覚は、彼の精液が止まるまでずっとずっと続くのだから。
そして、彼の血筋に連なる加護の影響か、人並み外れた精力を誇る彼の射精は数分は止まらない。
その濃度もまた薄れる事はなく、最初に小蒔に対して放ったものとまったく変わらない濃さと勢いで、漫の最奥を叩いていた。

小蒔「(は…あぁ…♪♪上重さん…とっても美味しそう…♥♥)」

それに身悶えしながらも蕩ける彼女の顔に小蒔はうっとりとしながらそう言葉を浮かばせる。
何せ、それはついさっき小蒔自身も受け止めた気持良さなのだから。
自分の何もかもを書き換え、魂まで愛しい婚約者の奴隷にしたそれを彼女は羨ましいと思う。
しかし、それと同時に嬉しいのは、また一人、愛しい人の奴隷が、そして小蒔からすれば運命を共にする仲間が増えたからだろう。

小蒔「ふふ…♪分かりますよ…♥上重さんも…京太郎様に愛される事が世界の全てに変わるくらい…気持ち良くなっているんですね…♥」

そんな彼女を祝福するように小蒔の手が漫の身体をそっと撫でる。
未だ射精を受け止め続け、絶頂から降りて来られないその身体を慰撫するようなそれに漫がビクンと肩を震わせた。
性感帯でも何でもないただの肌を撫でられるだけで、漫はもう軽いオルガズムを覚えるほどに高まっているのである。
それは精液を叩きつけられるボルチオのそれとは比べ物にならないほど弱々しいものだ。
しかし、快楽に飢える漫の身体には高い効果を発揮し、ピンと上向きに張った乳首を震えさせてしまう。


小蒔「ここにびゅるびゅるって出されると…もう逆らえなくて…♥♥心まで奴隷に変えられちゃうんですよね…♥♥」
漫「くひゅぅぅう゛ぅぅ♪♪♪」

そう言いながら小蒔の手は、漫の下腹部をそっと押さえる。
蠢く子宮を上から確かめるようなその手に漫は甘い声をあげた。
そこは愛しい夫の精液に飢えた漫の中で今、最も敏感で熱い部分だったのだから。
幾らその間には肉の壁があるとは言っても、その遠慮のない刺激は漫の身体を揺さぶるのだ。

小蒔「さぁ…上重さんも…一緒に堕ちましょう…♥♥京太郎様の奴隷になって…何もかも…むしゃぶり尽くしてもらいましょう…♪♪♪」
漫「あ…ぁあ゛あぁぁぁ……っ♪♪♪」

小蒔のその言葉を皮切りに京太郎の射精は弱まっていく。
まるでもう漫が堕ちきってしまったのだと言うようなそれに漫の口から不満そうな声が漏れた。
しかし、精液の勢いはもう戻っては来ず、もう亀頭から漏れる程度でしかない。
流石に人外染みた精力をしている京太郎とは言え、次の射精までには時間が掛かるだろう。
それを認識した瞬間、漫の意識はブツリと言う音を鳴らし、ゆっくりとブラックアウトしていった。

漫「ふにゃ…あぁ…あぁぁぁ……ん…っ♪♪♪」

まるで今まで無茶をしたツケを払うかのように意識を混濁させる漫。
その口から漏れる甘い声は、とても幸せで満ち足りたものであった。
射精が弱まった時には幾らか不満を覚えたものの、射精そのものはとても心地良いものだったのだから。
平常時であればどれだけ失神していたか分からないほどイき続けた彼女は総括としてそれなりに満足していたのである。


小蒔「これで上重さんも…京太郎様のモノになっちゃいましたね…♥♥」

そんな漫の身体を支えながら、小蒔は嬉しそうにそう声を漏らした。
それは失神している今も蕩けたまま戻らない漫の表情を見ているからである。
今も尚、快楽で身体が一杯になっているようなその顔はもう京太郎なしでは生きていけないだろう。
ライバルは彼の寵愛を受ける為ならば、何でもするようなケダモノに堕ちた事に小蒔はそっと笑みを浮かべた。

小蒔「さ…次は原村さんの番ですよ…♪♪」
漫「はん…ぅぅ…♥♥」

そう言いながら、小蒔はそっと漫の身体を後ろへと倒す。
そのままズルリと彼女の膣肉から反り返った肉棒が引き出された。
漫の愛液でふやけてしまいそうなくらいにベトベトになったそれはまったく衰えてはいない。
寧ろ、射精したままの硬さと大きさを維持するその肉棒はまだ足りないとばかりにビクビクと震えていた。

和「は…あぁぁ…っ♪♪」

勿論、その蠢きを京太郎の顔に秘所を押し付けている和は分からない。
しかし、小蒔の言葉にようやく自分の番が回ってきた事を知った彼女の女陰がキュっと締まる。
まるで早くここにオチンポを咥え込みたいとそう訴えるようなそれに膣肉を泳ぐ京太郎の舌が窮屈さを訴えた。
だが、キュンキュンと唸るような彼女の締め付けはまったく収まる事がなく、柔らかな彼の舌を締め上げていく。


和「良い…ですか…?」
京太郎「ぷぁ…っ当たり前…だろ」

その気持ち良さにうっとりしながらも和がそう尋ねてしまうのは彼女だけが能力を受けていないからだ。
結局、アレから逃げ切ってしまえた彼女の欲情はもう激しく燃え盛っているものの、それはあくまでも普段の領域を超えないものである。
そんな自分よりも明らかに様子がおかしい小蒔の方を構ってあげた方が良いのではないだろうか。
遠慮しがちな彼女は理性を薄れさせる強い淫欲を沸き上がらせながらも、そう思ってしまうのだ。

京太郎「俺は三人とも幸せにするって決めたんだ。和だけ仲間外れになんてしないって」
和「んっくぅ…♪♪」

そんな和に答える京太郎の言葉はしっかりとしたものだった。
心から彼がそう思っている事を感じさせるその声に和の肩がブルリと震える。
胸中に収まりきらない喜悦を見せる和の姿に京太郎は小さく笑みを浮かべた。
そうやって喜ぶ和を好ましく思ってくれているのを伝えるその笑みに和の胸はジィンと感動を覚える。

和「じゃあ…あの…ぉ…♥♥」

モジモジと身じろぎをしながら和はそっと京太郎の上から腰をあげた。
瞬間、ニチャアと濡れた音が鳴りながら、透明な糸が二人の間で伸びる。
その淫靡な光景に肉襞がさらに疼くのを感じた和はもう我慢出来なかった。
そのまま京太郎へと臀部を向けるように四つん這いになり、頭をそっと倒す。


和「後ろからぁ…♪♪ご主人様に…後ろからレイプして欲しいんです…♥♥」
京太郎「ぅ…」

そう言って安産型のむっちりとしたお尻を和はフリフリと揺らす。
それだけでクチュクチュと音が鳴るのは彼女の太ももから膝までがもう愛液でぐっしょりと濡れていたからだろう。
普通ではあり得ないその濡れ方に愛液同士が触れ合って淫らな音をかき鳴らす。
その音だけでも興奮を掻き立てられているのに、クールな和が顔を劣情で赤く染めながら腰を揺すっているのだ。
それを見て一瞬で冷静さを投げ捨てた京太郎は体液でベトベトになった身体を起こし、後ろから和に近づいていく。

和「あぁ…あぁぁ…♪♪」

ニチャニチャと様々な体液がこすれ合う音をさせながら近づいてくる愛しい主人。
その存在に和は胸をときめかせ、震える声をあげてしまう。
それは勿論、彼女が自らの主人の事を内心、怖がっているからなどではない。
寧ろ、二人が犯されている姿をずっと見せつけられていた和の胸には期待と興奮で満ちていたのだ。

和「ひぐぅぅぅぅううぅぅう♥♥」

そんな彼女の期待に応えるように、京太郎の肉棒は一気に和の中へと埋め込まれる。
何時もよりも一回り大きく感じられるその大きさに和が甘い声をあげた。
普段のサイズでも、彼女の肉穴には少し大きく、押し広げられているのをはっきりと感じるくらいなのである。
その上、さらに一回り大きくなられてしまったら、強い圧迫感を感じてもおかしくはない。


和「はぁぁ…っ♪♪良い…ですぅっ♥♥オチンポ良ひぃぃ♪♪♪」

けれど、和がそれを厭う要素など欠片もなかった。
既に彼女の身体は発情し、その膣肉は愛液でドロドロになっているのだから。
その上、和はもうかなり調教され、膣内で幾度となくイく事が出来るようになっている。
そんな和にとって、普段よりも大きなその肉の塊はほんの小さな苦しさとそれとは比べ物にならない快楽を齎してくれる素晴らしいものだった。

和「イっくぅ…っ♪♪もうイきますぅうっ♥♥ゴリゴリオチンポで…っ♪♪ご主人様でイくぅぅぅ♪♪♪」

そして、その快楽に和は抗う事が出来ない。
苦しさがアクセントに思えるほどの莫大な快楽は和の身体をあっさりと絶頂へと突き上げるのだ。
まるで意識が快楽という激流に押し流される小枝になってしまったような感覚に彼女の身体が震える。
しかし、その間も容赦なく京太郎の挿入は続き、奥へ奥へとその亀頭が入ってくるのだ。

和「はぁ…あぁっ♪♪堪んない…ぃ♥♥オチンポセックスでまたイッちゃいますぅぅぅ♪♪♪」

普段よりも大きいサイズなのにも関わらず、強引にねじ込むようなその挿入。
それに被虐感を強めた和の胸で絶頂の波が沸き起こる。
二人のセックスを間近で見せられ、その熱気にあてられた身体はもうこれ以上なく準備出来ている状態だったのだ。
変則的4Pに何時もとは違う興奮を覚えていたのもあって、彼女の心はあっさりとイッてしまったのである。


和「メリメリってオマンコのお肉広げられるの好き…ぃぃ…♪♪神代さんに見られながらご主人様にレイプされるの…大好きですぅ…♥♥」

その上、彼女は愛する主人とのセックスをビデオにおさめて以来、そういう趣向にどんどんハマりつつあった。
そんな和にとって、こうして二人の前で魅せつけるように行うそれは、堪らなく興奮する事でもあったのである。
理性や道徳心などが邪魔しなければ、今のこの状況を最も楽しんでいたのは実は和だったのだ。
痴態を見られる気持ち良さを三人の中で最も深く刻み込まれた彼女の口から躊躇いなく好きだと漏れるのもそれが一つの理由である。

和「あぐぅぅぅう゛うぅぅぅ♪♪♪」

そんな和の口から苦悶にも似た声が絞り出される。
ぐっと歯を食いしばりながらのそれは、しかし、苦しみなど一切、宿してはいなかった。
寧ろ、彼女の身体は強い快楽を走らせ、その視界をバチバチと白く弾けさせている。
挿入された時よりも数段、強いそのオルガズムは京太郎の肉棒が和の最奥へとたどり着いたからだ。

和「奥…ぅぅ…♪♪やっぱり子宮口良い…ぃっ♥♥ご主人様のオチンポに…和のボルチオぴったりぃ…ぃぃ♥♥」
小蒔「あ…ぁ…♪♪」

そのままうっとりとしながら呟く声は快楽に震えていた。
今にも掠れてしまいそうなのに、快楽に満たされるそれに漫の身体を介抱する小蒔が羨ましさを覚える。
特に目立った性感帯を持たない小蒔にはドロリと蕩けるような和の言葉に共感出来ないのだ。
しかし、その気持ち良さだけははっきりと伝わってくるのだから、今すぐ愛しい婚約者にセックスして貰いたくて堪らなくなる。


小蒔「(でも…今は原村さんの番ですしね…♥♥)」

小蒔が漫に対して手を出したのは、小蒔が犯されている時に漫が色々と邪魔をしてくれたからだ。
勿論、その邪魔は決して二人の仲を引き裂こうとするものではなかった事は分かっているし、小蒔自身も幾らか気持ち良かったのは事実である。
しかし、だからと言って納得出来るほど、小蒔の中で京太郎という存在は決して弱いものではない。
二人っきりで愛し愛される時間に別の誰かの手でイかされたと言うのは彼女の中で耐え難い屈辱だったのだ。
それこそ意識の深層で結ばれた邪神と共に本気で怒るくらいに、それは小蒔の中では許しがたいものだったのである。

小蒔「(でも、原村さんはそうではありませんし…♪♪)」

勿論、小蒔が犯されている間、和が必死になって自分を律しようとしていた事を小蒔はうっすらとではあるが覚えている。
そんな彼女が睦み合っている時にわざわざ邪魔をするほど小蒔とて野暮は女ではない。
どうにも複雑な関係でありながらも大事な仲間である事に違いはない和の痴態を今は微笑ましく見ていられるのだ。

小蒔「(勿論…何時かは我慢出来なくなってしまうんでしょうけれど…ぉ♥♥)」

そうは思いながらも、小蒔の本能はそろそろ思考を上回るほどになりつつあった。
京太郎を求める愛情と結びつくそれはライバルなど押しのけてしまえとそう言い始めているのである。
勿論、人にされて嫌な事は絶対にするなと教えこまれた小蒔はそれに容易く屈したりはしない。
だが、それが何時までも続くかと言えば、正直、小蒔には保証しかねる事だった。


小蒔「(京太郎様が欲しい…っ♪♪私にも…ご褒美欲しいです…ぅ♥♥)」

漫とのセックスの際、京太郎が本気でピストン出来るように手伝ったのは他でもない小蒔だ。
彼の上に顔面騎乗し、善がっていただけの和ではなく、その前に京太郎におかしくされた小蒔なのである。
なのに、今の自分は放置され、愛しい婚約者は恋敵の身体を美味しそうに貪っているのだ。
その光景に不公平感を覚える小蒔は、まだ小さなものである。
だが、それがムクムクと大きくなり、子宮のムズムズ感もまた無視できないくらいに強まっているのを彼女は自覚していた。

京太郎「は…ぁぁ…」

しかし、そんな小蒔の状態を、京太郎は察してやる事が出来なかった。
それは後背位で犯している和の肉穴が小蒔とは別の方向に向いていたからである。
丁度、小蒔に対して背を向けるような形になった彼は自分の目の前にいるメスにだけ意識を集中させていた。
そんな彼が後方で休む漫とその介抱をする小蒔に意識を向けるはずがなく、ゆっくりと息を吐きながら、腰を揺する。

和「ひん゛んんんっ♪♪奥ぅぅっ♥♥奥コツンコツンって…ぇぇ♪♪オチンポでノックされてますぅぅ♥♥」

殆ど膣肉の中を動かず、奥だけを叩くピストン。
勿論、その加速距離が殆どない以上、その衝撃は弱々しいものだった。
しかし、肉棒の圧倒的存在感のお陰か、そこから生まれる快楽は弱々しいという形容詞からは程遠い。
寧ろ、硬く張った肉棒で奥を突かれる度に、和の子宮から軽いオルガズムが湧き上がり、伏せた頭に突き刺さるのだ。


和「あ゛ぅっ♪♪素敵…ぃぃ…♥♥やっぱりこれ好きですぅぅっ♥♥一杯、イかされるから大好き…ぃぃ♪♪♪」

それに思考がさらに欲情にまみれたドロドロとしたものへと変わっていくのを感じながら、和は甘い声をあげる。
元々の才能もあったのか、彼女のボルチオ部分の敏感さは人並みから遥かに飛び抜けているのだ。
そんな部分を小刻みに突かれる感覚が嫌いになれるはずがない。
寧ろ、彼女に肉棒の味を教えこむようなそのピストンは、射精前のケダモノ染みたそれに並んで、最も好きだと言っても良いくらいである。

和「これからセックス始まるって思うと…すごく興奮して…オマンコ蕩けちゃいますよぉ…ぉ♥♥」

そう言って和が幸せそうな笑みを浮かべるのは、それが必ず最初に行われる準備運動だからだ。
撮影しながらのセックスは堪らなく興奮するものの、京太郎は揺れる和の身体を片手で抑えなければいけないのだから。
自然、激しく和の身体を揺さぶるようなピストンを最初から繰り出すのは難しいだろう。
とは言え、まったく動かずに言葉責めでだけで体が昂っていくのを待つのはあまりにも勿体無い。
そんな問題点を回避する為に二人が考えだしたのが、そうして小刻みに奥を突くセックスだった。

和「一回イく度に…子宮ドロドロになっちゃって…ぇ…♪♪和の準備始まってます…ぅ♥♥メス犬になる準備…出来ちゃってるのぉ…♥♥」

しかし、今日はそうして撮影する機材など何も持ち込んではいない。
何より、その身体はもう睦み合いも終盤になった頃と比肩するくらいに燃え上がっていた。
そんな彼女がもう準備運動など必要とするはずがないだろう。
好きではあるが、どうにも快楽が足りないそれから早く本格的に犯すものへと移行して欲しい。
そう思った彼女の口から甘いオネダリが漏れだし、その腰をフリフリと揺すった。


京太郎「さて…どうしようかなぁ…」

そんな和に意地悪く返すのは、彼女がそれを望んでいる事を京太郎が知っているからだ。
勿論、このまま乱暴に犯しても、きっと和はそれを悦び、イき狂う事だろう。
だが、三人の中でも飛び抜けて被虐的に調教された和は焦らされれば焦らされただけ悶えるタイプなのだ。
結果的にそちらの方が彼女も気持ち良いと知る京太郎にとって、今はまだ本格的に動けない。
出来るのはその腰を軽く揺する事と、言葉を使って和を責める事くらいだった。

和「やぁあっ♪♪ご主人様の意地悪ぅぅ♥♥和はもうこんなに疼いてるのに…ぃぃ♪♪」

そのもどかしさに声をあげながらも、和の胸はドキドキと強く高鳴っていた。
他の二人がいるにも関わらず、自分を焦らそうとしてくれる愛しい主人に彼女の胸は強い興奮を覚えていたのである。
自分の事を理解してくれているが故のその静止に、愛しさ混じりの熱がブワリと身体中に広がった。
さっきの被虐的なものとは違い、蕩けるようなそれに彼女は頬を緩ませ、その声にも媚を浮かばせてしまう。

小蒔「(原村さん…あんな事言いながら…とっても嬉しそう…♪♪)」

それに小蒔が羨望と共にそう思うのは、艶の浮かんだその声が照れ隠しにしか聞こえなかったからだ。
勿論、和は本気でもどかしくて、身体が疼いている事は同性であり恋敵でもある小蒔には伝わってくる。
しかし、それ以上に焦らされる行為に彼女は悦び、そして興奮しているのだ。
何時かは京太郎がそれを発散してくれていると信じているが故のその声に小蒔の下腹部がジュンと潤みを強くする。


小蒔「(私も…京太郎様に意地悪されたい…っ♪♪おかしくなるまで焦らされて…オチンポでアヘアヘにされたいんです…ぅ♥♥)」

小蒔とて和ほどではなくても、被虐的な調教は受けている。
快楽で訳が分からなくなった頃に焦らされるのは日常茶飯事だし、射精をオネダリする小蒔を押さえつけ、泣き叫ぶまで動かれなかった回数も数知れない。
そんな小蒔にとって、そうやって京太郎に焦らされている和というのは羨望を覚えるものだった。
自分もあんな風に愛されたい、犯されたいと思う気持ちが興奮と共に胸中へと広がり、思わず熱い吐息を漏らしてしまう。

和「あぁ…ぁ♪♪ご主人様ぁ…♥♥まだ…ダメなんですかぁ…♪♪和のオマンコ…まだレイプしてくれないんですかぁぁ…っ♪♪♪」
京太郎「んー…さっきので流石に俺も疲れてきたし…ちょっと休憩が欲しいんだよなぁ」

焦れる和の声に京太郎が応えるのは、勿論、大嘘である。
興奮した時には射精しながら二度三度とセックスし続ける絶倫男がこの程度で休憩を求めるはずがない。
寧ろ、その腰には失神した漫から奪い取ったように活力に満ち溢れ、今すぐにでも和を犯す準備は出来ている。
それなのに白々しく休憩を求める京太郎に、和のもどかしさが一気に膨れ上がった。

和「後でマッサージしますから…ぁ♥♥だから…今は…ぁ♪♪お願いですから…っ♥和を犯してぇ…ぇっ♪♪」
和「グチョグチョになったメスマンコ…ぉ♥♥ボルチオだけじゃなく…全部ズボズボして欲しいんですぅ♥♥」
京太郎「マッサージかぁ…」

ここ最近、和は独学でマッサージを学ぶようになった。
それは所詮、素人がやるものではあるものの、彼女の愛情が一杯詰まった暖かなものである。
セックスで昂った身体から乳酸を追い出してくれるその優しいマッサージが京太郎はかなりのお気に入りだ。
ついつい和に身を委ねている間に睡魔に囚われていた…なんて事は日常茶飯事である。


京太郎「でも…それだけじゃなぁ…」

そうやってマッサージを学びだしたのは和なりに、後処理を京太郎に任せっきりになっている事を重く考えてくれているからだ。
それを良く知っている京太郎は、そうやって尽くしてくれる和に感謝しているし、また感動もしている。
しかし、さりとて、それはここで譲歩出来るだけのものかと言えば、決してそうではない。
終わった後にはほぼ必ずと言って良いほどしてくれるそれに屈してやるほど、京太郎の意思は弱くはなかった。
何より、そんなものを持ちだしている時点で、まだ和が焦らされたがっているのが京太郎には分かっている。

京太郎「もうちょっと…何か欲しいな。俺にメリットがあるような事…何かないのか?」
和「はぁ…うぅぅぅ…♥♥」

そう言いながら、京太郎は腰をすっと沈め、子宮口を擦る角度を変える。
下から上へと突くようになったそれに和の腰も自然と浮き上がった。
その中で駆け抜けるのはさっきとはまた毛色の異なった快楽である。
入り口を微かに圧迫するその角度は、和の中でジリジリと被虐感を強めていった。
さっきよりもゾクゾクと寒気を強くするそのオルガズムに、和は声を漏らしながら我慢出来なくなってしまう。

和「じゃあ…ぁっ♪♪何でもしますぅ♥♥ご主人様に何でも捧げますからぁっ♪♪♪だから…レイプぅぅ♥♥グチュグチュってレイプしてぇぇ♥♥」
京太郎「へぇ…」

最早、交換条件でも何でもなく全てを投げ出して抽送を乞う和の姿。
それに嗜虐的な笑みを浮かべながら、京太郎の右手はそっと彼女のふとももを持ち上げる。
腰をあげた姿勢から片足だけを持ち上げるそれはとても不安定で、今にも崩れ落ちてもおかしくはない。
しかし、自身の最奥まで貫いた肉の塊がそれを支えてくれている感覚に和の胸がトクンと脈打つのである。


京太郎「よいしょっと…」
和「ひぐぅぅっ♪♪♪」

だが、次の瞬間、襲いかかってきた快楽にその暖かな感覚も消し飛ばされてしまう。
唐突に左手で和の肩を掴んだ京太郎は少しだけ和の身体を浮き上がらせ、その向きを変えていくのだ。
小蒔に対して後ろ向きのそれではなく、顔を向けるようなそれに和は苦悶混じりの声をあげる。
しかし、京太郎は一切、容赦する事はなく、そのまま彼女の身体ごと方向変換を続けた。

和「ゴリゴリって来るぅぅっ♪♪オチンポジュプってぇぇ♥♥オマンコお肉押し込んで…グチュグチュアクメしちゃいますぅ♪♪♪」

それは勿論、和がそうした動きに快楽を感じると分かっているからだ。
実際、彼女の肉襞は肉棒へと押し込められ、普段とは違った被虐感にビクビクと震えている。
愛液を休まずに滴らせるその姿は、しかし、まだ足りないとばかりに肉棒へとむしゃぶりついた。
ジュルジュルと舐めしゃぶるようなその肉襞の蠢きに京太郎は思わず力が抜けそうになるのを堪えながら、方向転換を完了させる。

和「あ…あぁ…ぁっ♪♪♪」

自然、小蒔と向き合うようになった和は思わず、そう言葉を漏らしてしまう。
それは小蒔の視線がこれ以上ないくらいはっきりと自分へと向けられていたからだ。
刺すようにも感じるその視線は何処か微笑ましそうでありながらも、強い嫉妬と興奮の混じった独特のものである。
彼女の抱く複雑な感情を感じさせるそれに和はつい羞恥の声をあげてしまう。
だが、彼女は伏せた自身の顔を小蒔から隠す事はなく、その紅潮したメスの表情を魅せつけるように小蒔へと向き続けるのだ。


京太郎「…小蒔に対してちゃんと報告するなら…和が望む通りに犯してやっても良いぜ」
和「そ…そんな…事…ぉ♪♪♪」

そんな和の身体からそっと手を離しながら、京太郎は意地悪くそう言い放つ。
ようやく与えられたその条件に和の胸は悦びに走り、またイッてしまいそうになるくらいだ。
しかし、それでも彼女が躊躇するような言葉を放つのは『報告』という淫らな響きが素晴らし過ぎるからだろう。
今も欲求不満を感じながらも漫の介抱に務めてくれている彼女に全てを伝えるだなんて恥ずかし過ぎるのだから。
普段のように見えない相手に報告するのではなく、自身と仲の良い同性に対して伝える事を強要するそれにきゅっと胸が苦しくなった。

小蒔「(京太郎様は私まで使って…原村さんに意地悪しようとして…♥♥)」

和を責め立てる為の舞台装置の一種として扱われる自分。
しかし、小蒔はそれに腹をたてる事はなく、寧ろ、光栄だと思っていた。
何せ、それは自分が愛しい婚約者にとって、それだけの利用価値があるという証なのだから。
京太郎に与えられるものに対して返せるものが少ないと思い込んでいる小蒔にとって、それはとても喜ばしい事だったのだ。

小蒔「私も…聞きたいです…♪♪原村さんが…京太郎様のオチンポ欲しくてオネダリするところ…みたいです…♥♥」
和「神代さん…ぅ♪♪」

だからこそ、小蒔はそんな京太郎の言葉を後押しするように和へと求める。
その言葉に和が甘く声をあげながら、ブルリと背筋を震わせた。
それは快楽を覚えたと言うよりは、彼女の中に残った最後のタガが外れた証だろう。
今も我慢している小蒔に対して悪い、という言い訳が使えなくなった和はその唇を震わせながら、ゆっくりと開いていく。


和「和は…和は…ぁ♪♪ご主人様に…焦らされてるんです…ぅ♥♥グチョグチョになったメスマンコぉ…♪♪ガッチガチのオチンポで奥まで貫かれてるのに…ぃ…♥♥」
和「動いて貰えなくて…っ♪♪子宮キュンキュンしちゃてえぇ…♪♪もう…欲しいのっ♥♥ご主人様のレイプするようなピストン欲しいのぉぉっ♥♥」

瞬間、漏れ出す声はもう我慢や遠慮など一切、ないものだった。
さっきまでのそれと比べて、より本能的になったそれは最早、和が思考して紡いでいるものではない。
心が、そして子宮が想うがままに告げるそれには、ただの欲情しかなかった。
しかし、だからこそ、それは和がもう本当に限界である事を感じさせ、小蒔に小さな笑みを浮かべさせる。

小蒔「でも、焦らされるの好きなんですよね…?」
和「あぁ…ぁっ♪♪好き…ぃ♥本当は好きなのぉっ♥♥今も…本当はドキドキしちゃってるんですぅぅ♥♥」

そのまま尋ねる小蒔の声に和が甘い声で応える。
自身が興奮している事を隠そうともしないその声は小蒔に強い興奮を与えた。
それと同時に嗜虐心が沸き上がってくるのは、そんな和の事を小蒔が嫉妬しているからだろう。。
再び身体が我慢出来ない領域にまで燃え上がりつつあるのを感じる小蒔はそうやって挿入されながら焦らされてもいないのだから。
ただの舞台装置である事に誇らしさを感じるものの、やはり彼女の幸せそうな姿に嫉妬を禁じ得ない。

小蒔「じゃあ…そのままでも良いんじゃないんですか?京太郎様のオチンポ頂いているのにもっとだなんて…贅沢過ぎますよ…ぉ♪♪」

勿論、小蒔とてそれがどれだけ辛いかは分かっている。
彼女も和ほど顕著ではなくても京太郎に焦らされた事は少なからずあるのだから。
その時のもどかしさと恥ずかしさは興奮するものの、自身をおかしくし、追い詰めるものだった。
だが、だからと言って容赦してやるほど小蒔は優しくも、そして余裕がある訳でもない。
和に対して何も言わない京太郎もまたそれを望んでいると言う大義名分もある彼女はその意地悪い言葉を止められなかった。


和「やぁぁぁぁ♪♪嫌ですぅっ♥♥このままなんて…嫌ぁぁっ♪♪♪」

そんな彼女の言葉に和は子どものように首を振りながら、嫌とそう叫ぶ。
甘いその叫び声は、しかし、さっきとは違い、微かな恐怖が混じっていた。
勿論、彼女とて頭の中ではちゃんと京太郎が満足させてくれていると分かっている。
だが、その半面、意地悪な彼がこのままさらに放置するのではないかという暗い予想が鎌首をもたげ始めていた。
妄想に近いそれに、しかし、理性を失った和は強い影響を受けてしまう。
その考えを浮かばせただけで強張った身体を震わせながら、和は拒絶の言葉を放った。

和「このままなんて死んじゃうぅぅ♪♪和はもう準備出来てるのにぃぃ♥♥キュンキュンって何度もイッてるのにこのままなんて嫌ぁぁ…っ♪♪」
和「おかしくなる…ぅぅ♥♥焦らされて…ぇ和…ダメな奴隷になっちゃうぅ…♪♪ご主人様にオネダリするだけの…ダメな奴隷になっちゃいますよぉぉ…っ♥♥」

和にとって愛玩奴隷とは、手段を問わず、愛しい主人を気持ち良くさせるものだった。
主人が嗜虐的であればマゾヒスティックに、逆に被虐的であればサディスティックに接し、満足させる事が至上命題である。
そして、彼女の愛しい主人はとても嗜虐的なタイプであり、和に対する調教もそういったものが殆どだ。
そんな彼に対して快楽を強請るばかりでは身体を満足させる事は出来ても、心までは満足させてあげる事が出来ない。
羞恥心もまた多少は残しておかなかれば、愛しい主人の嗜虐性までもを満たす事は決して不可能なのだ。

和「だから…ぁ♪♪もう…下さいぃぃっ♥♥何でもしますぅぅ♥♥ご主人様の為なら何でもしますからぁ♪♪♪だから…ピストン…ぅぅっ♪♪ラブラブレイプ下さい…ぃぃっ♥♥」

さっきと同じく切羽詰まった艶めいた声。
だが、そこに混じっていた響きは、今にもおかしくなりそうなものだった。
そこから今にも欲情が思考を塗り替えてしまいそうなほど高まっているのを感じ取った小蒔はクスリと笑う。
そのまま、京太郎へとアイコンタクトを送った小蒔に、京太郎はゆっくりと頷いた。


和「お゛ほおおおぉぉぉぉおおおぉっ♥♥♥」

瞬間、和の中で動き出した肉の塊に彼女はマヌケな声をあげる。
その舌を突き出しながら顎を開けるその顔は、まさにケダモノと言っても良いものだろう。
だが、それを自覚しながらも、和は自身の顔を引き締める事が出来ない。
今までずっと焦らされ続けた和にとって、ようやく味わうピストンの快楽はそれほど大きいものだったのだ。

和「イ゛ぐぅぅぅぅうっ♪♪オチンポ動かれてイきますぅぅっ♥♥オマンコマジイキするぅぅっ♪♪♪ホントのアクメ来るぅぅぅん♪♪♪」

全身をブルブルと震わせながら、和はそう嬉しそうに告げる。
さっきとは違い、喜悦に溢れたその声は彼女が一度だけではなく何度もイッている事を小蒔に知らせた。
実際、京太郎の腰はさっきまで殆ど静止していたのが嘘のように激しく和に叩きつけられているのである。
パンパンと肉が弾ける音を鳴らすその激しさは京太郎がまったく和に対して容赦していない証だろう。

和「中くらいのトコから奥ぅぅう♪♪ボルチオコツンって来て…ぇ♥♥その度にイっくぅぅっ♪♪ボルチオアクメして…子宮トロトロにぃぃ♥♥」
小蒔「あぁぁ…っ♪♪」

中腹からボルチオまでのグジュグジュになった肉襞を亀頭がゴリゴリと抉っていく甘い感覚。
それを思わず声に出す和に、小蒔の身体がブルリと震えた。
あまりにも淫ら過ぎるその実況は、小蒔の身体にも本格的に火を着け始めていたのである。
自分もまたそうやって犯して欲しいと思う身体はモジモジと揺れ、ついつい下腹部に手が伸びそうになってしまった。


京太郎「小蒔、おいで」
小蒔「あっ…ぁっ♥♥」

そんな小蒔に京太郎はそっと手を伸ばした。
京太郎へと義理立てして自慰だけはすまいと欲情を抑えようとする彼女を受け入れるように。
そんな愛しい婚約者の姿に、小蒔は身を震わせながら、甘い声をあげた。
欲求不満を押さえる為のさっきとは違い、愛しさと興奮に彩られたそれに小蒔の身体は弾かれたように床を蹴る。
そのまま京太郎の腕の中へと飛び込んだ小蒔はスリスリと自分の顔を擦り付けた。

小蒔「京太郎様っ♥♥京太郎様ぁぁ♥♥」

まるで犬が主人に甘えながらもマーキングするような仕草。
そんな自分が浅ましいという気持ちは小蒔にもあった。
しかし、そう思いながらもどうにもならないくらいに小蒔は京太郎に惹かれてしまっている。
こうして自分を受け入れてくれるだけで、完全に自制が効かなくなってしまうくらいに小蒔はもう京太郎の事を愛してしまっているのだ。

京太郎「我慢させてごめんな」
小蒔「ふぁぁ…ぁ…♪♪」

そんな彼女に謝罪をしながら、京太郎はそっと頭を撫でてやる。
完全にタガが外れた和と並ぶほど甘えん坊な彼女はそれだけで幸せそうな声をあげた。
実際、意識を取り戻してからの小蒔は、ずっと京太郎と触れ合う余地がなかったのだから。
ようやく感じられた愛しい人の温もりに小蒔は目尻を潤ませ、涙を零しそうになってしまう。


京太郎「でも…その分、気持ち良くしてやるから」
小蒔「は…ぃぃ…♥♥」

勿論、京太郎は今も和に対して腰を振るい続けている。
そんな状態で小蒔を満足させてやるほど気持ち良く出来る自信など正直、なかった。
しかし、自信がないからと言ってヘタレていては、彼女たちの事を不安にさせてしまう。
仮にもハーレムを作ると決めたのだから、そんな風に不安に思わせないように自分がしっかりとしなければいけない。
そう自分を鼓舞しながら、京太郎はそっと小蒔の背中に手を回し、その唇にキスを落とした。

小蒔「はぅ…ん…♪♪」

そうして始まったキスは最初から激しいものであった。
唇同士が触れた瞬間、もう我慢出来ないとばかりに小蒔の舌が突き出されたのである。
愛しい婚約者との交歓に飢えたそれは京太郎の粘膜を甘えるように舐めまわし、キスを強請った。
それに京太郎も舌を突き出す事で答えながら、二人は淫らなキスを始める。

和「ん…ぅぅ…ぅう♪♪♪」

勿論、そんな二人の交歓は和の耳にも届く。
京太郎のピストンは気持ち良いとは言え、それは聴覚を遮断するレベルではないのだから。
四つん這いになった自分の後ろで二人がキスをする音が、和にはしっかりと聞こえているのである。
それに不満気な声を漏らしながらも、和はそれを言葉にするのを何とか差し控えた。


和「(勿論…今は和だけを愛して欲しいですけれど…ぉ♥♥)」

しかし、今はそういう状況ではない事くらいは和にも分かっている。
他の二人がそうであったように、自分もまた誰かと共に愛されなければいけないのだ。
それに不満を覚えないと言えば嘘になるが、しかし、それを嫌だと我儘を言うほど物分かりが悪い訳ではない。
そんな中途半端な自分に自嘲を感じた瞬間、彼女の最奥にぐっと肉棒が差し込まれる。

和「くぅぅ…んっ♪♪♪ご主人様の…何時もより硬くて大きいのが…ぁ♥♥とっても美味しい…ぃぃ♪♪♪」

ズンと子宮を叩かれるその感覚に和は腰を震わせながら、うっとりと言葉を漏らす。
刺激に飢えていた子宮を満足させるその激しいピストンは、愛しい主人の肉棒をジュポジュポと動かすものなのだから。
普段より張りに満ち溢れ、ビキビキになったそれはとても熱く、和の身体は快楽と心地よさを同時に覚えていた。
まさに美味しいと言う言葉が出てくるその感覚に、和は頬を緩ませ、自嘲を吹き飛ばしてしまう。

和「美味しいオチンポズンズンされて和幸せ…ぇぇ♥♥ご主人様の奴隷セックス…ぅ♪♪最高ですぅ…ぅ♥♥」

その言葉に一切の偽りはない。
確かに和は普段よりも愛される実感が少ない事に不満を覚えてはいる。
だが、そんなものが表に出てくる余地がないくらい、今の彼女は気持ち良く、そして幸せなのだ。
愛しい主人に犯されているという実感だけで思わずイッてしまいそうになるくらいに、その身体は心地よさで蕩けている。


小蒔「(あぁ…原村さんったら…あんなエッチな事ばっかり言って…♥♥)」

そんな和の声も小蒔の耳に届いていた。
自身が感じている事を率先して周囲にアピールするようなそれに聞いている彼女もまたドキドキとさせられて仕方がない。
ついつい目も和の方へと向けてしまいそうになるくらいに、その声はとても幸せそうで甘いものだったのだ。
それを防ぎ、また京太郎とのキスに没頭する為に小蒔はそっと瞳を閉じる。
だが、そうすると余計に感じている彼女の姿が脳裏に浮かび、興奮と欲情が高まってしまうのだ。

小蒔「(はぁ…♪良いです…ぅ♥京太郎様に愛してもらっているのは私も同じなんですから…ぁ♥♥)」

それに拗ねるような思考を浮かばせながら、小蒔の舌はねっとりと京太郎へと絡みつく。
和だけではなく自分もまた愛して欲しいとそう訴えかけるようなその動きに京太郎はしっかりと応えた。
彼女の舌に合わせて、彼の粘膜も円を描くように踊り始めている。
クチュクチュパンパンと二人の女性と愛し合う音をBGMにしながらのそれは小蒔にとても心地良いものを与えた。

小蒔「(やっぱり…私…接吻大好きです…♥♥京太郎様とキスするだけで…おっぱいトロンってしちゃう…♪♪♪)」

セックスとはまた違った交歓の形。
それに小蒔が胸を蕩けさせるのは、それが愛情を混じらわせる儀式のように思えるからだ。
ただ快楽だけが欲しいのであれば、決して必要のないその交わりに、彼女の胸が高鳴りを止めない。
トクントクンとキスから得た愛しさを全身に広げるようなそれに小蒔は誇らしさを感じる。
それは勿論、自身がそうやって快感に繋がるくらい婚約者の事を愛しく思っている事が、名誉に他ならないだからだ。


小蒔「(私…誰にも負けませんから…ぁ♥♥京太郎様に好きな気持ちだけは絶対…負けません…っ♥♥)」

確かに三人とも自分のものにするという自分勝手な京太郎の選択を受け入れると小蒔は決めた。
だが、その内心に宿る対抗心や嫉妬そのものが消えたかと言えば、決してそうではない。
いや、寧ろ、それはより激しく燃え上がり、小蒔の胸をメラメラと炙っていた。
以前のように切羽詰まった関係ではないにせよ、より身近になった恋敵たちの存在に小蒔は決して負けないと心の中で何度も呟く。

小蒔「(だから…もっと小蒔の事愛して下さいね…♥♥京太郎様の手で…一杯一杯…愛して下さい…♪♪♪)」

そう言葉を結びながら、小蒔の唇がパクリと京太郎の口へと吸いつく。
僅かな隙間さえも許さないとばかりに口を覆うそれは、ジュルジュルと彼の唇を撫で始めた。
唇の内側でねっとりとしゃぶるような粘膜の奉仕は、京太郎に何度もして貰ったキスである。
それを見様見真似であるとは言え、愛しい婚約者に返しているシチュエーションに、小蒔の胸が興奮をさらに高めた。

京太郎「(まったく…小蒔の奴…いつの間にか凄いキスが上手くなったな…)」

それに微かな驚愕を覚えるのは、今までの彼女が基本的に受け身なキスばかり好んでいたからだ。
勿論、舌を伸ばせば喜んで応えてくれるものの、こうして自分から攻め込んで来る事なんて滅多にない。
そんな彼女が初めて見せる強気なキスは、慣れていない所為か、まだ何処かぎこちないものだった。
けれど、それ故に一生懸命さが伝わってくるキスに京太郎は頬を緩ませながら、その舌を動かし続ける。


京太郎「(でも…あんまり無理して背伸びしなくても良いんだぞ)」

勿論、そうやって小蒔が背伸びしたがっている一番の原因は京太郎だ。
京太郎が三人とも欲しいと馬鹿げた事を言ってしまったからこそ、小蒔は必死に自己主張している。
それを分かりながらも、つい諭すような事を思い浮かべる自分に、彼は自己嫌悪を抱いた。
さりとて、最早、後戻りなんて出来るはずもなく、彼は代わりに小蒔を慰めるようにその舌を優しく抱きとめてやる。

小蒔「はぅ…ん…♪♪」

ピチャピチャと京太郎の口へと吸い付くようにしながらの情熱的なキス。
しかし、そうやって顔を動かし、何度もキスをするそれが結構な重労働である事を京太郎は自身の身を持って知っている。
舌を突き出している時には唇に吸い付く事は出来ず、逆に唇に密着している時には舌を引っ込めなければいけないのだから。
自然、舌が前後に酷使されるそれは普通のキスよりも付け根辺りが痺れるのが早いのである。
それを知らない小蒔が無理をしすぎないように京太郎は彼女の吸い付きに合わせて舌を突き出していた。

京太郎「ん…ふう…」
小蒔「(京太郎様の声…とっても甘くて…素敵です…ぅ♥♥)」

しかし、そうやって受け身になるキスが京太郎にとって新鮮だからだろうか。
その口から漏れる声は普段とは違ってはっきりとしたものだった。
自分のキスで興奮してくれている事を伝えるようなそれに小蒔の胸は陶酔を広げる。
女の子のように可愛らしいものではないとは言え、それは滅多に聞かない甘いものだったのだから。
射精する直前の興奮混じりの吐息を思い出すそれに小蒔の後頭部がジュンと蕩けてしまう。


小蒔「(もっと…もっと京太郎様の声…聞かせて下さい…っ♥♥私の心を蕩けさせる…甘い声…聞かせて…ぇ…♥♥)」

興奮とも欲情とも言えない感情に突き動かされた小蒔はその身体をそっと京太郎へと密着させた。
今まではピストンの邪魔にならないように離れていた身体をぎゅっと彼の腕に寄せるのである。
自然、むっちりと育ったバストが京太郎の腕に当たり、その形を微かに歪ませた。
しかし、小蒔は歪むバストに構わず、そのまま身体を小さく揺するのである。

小蒔「(京太郎様の身体…パイズリして差し上げますね…♥♥)」

所謂、後背位の形で繋がっている京太郎たちは今、膝立ちの姿勢になっていた。
幾ら、小蒔が京太郎から比べて小柄だとは言え、両足で立てば身長差は逆転する。
お陰でキスしながら動けるスペースも生まれるが、、それは決して大きなものではなかった。
だが、ほんのその数センチが京太郎にとって大きな効果がある事を小蒔は知っていたのである。

京太郎「ぅ…」
小蒔「(ふふ…京太郎様…私のおっぱい…大好きですものね…♪♪♪)」

自分の考えた新しい奉仕に素直な反応を返してくれる愛しい人。
それに内心で笑みを向けながら、小蒔は自身の成功を悟った。
そもそも京太郎はその能力の対象が、一定以上のバストに限られるほどの巨乳フェチだ。
そんな彼に対して、こうして自身の巨乳を押し付けながら、身体を揺すれば、きっと興奮してくれる。
そう思っての愛撫が殆ど成功すると分かっていたとは言え、思い通りのその反応に小蒔の胸の中では一気に充足が広がっていった。


和「や…ぁ♪♪ご主人様ぁっ♥ご主人様ぁぁ♥♥」

それに不満の声をあげるのは勿論、和だ。
小蒔の突然な愛撫に意識をそちらへと引っ張られた京太郎のピストンは少しずつ弱まり始めているのだから。
ようやく愛しい主人とセックス出来る順番が回ってきたのに、そんなおざなりなセックスでは嫌だ。
そう訴えるように和は甘く声をあげ、その腰をフリフリと揺する。

和「和の事も見て下さいっ♪♪神代さんだけじゃ…やぁぁ♥♥もっとパンパンしてぇっ♪♪奴隷オマンコイかせて下さい…ぃぃっ♥♥」
京太郎「っ…!」

そんな和のオネダリに京太郎の腰にぐっと力が入る。
そのまま再開されるピストンはさっきよりも激しいものであった。
まるでお詫びを伝えるようなそれに和の頭が一瞬、真っ白に染まりそうになる。
溢れ出る絶頂の波につい押し流されそうになった彼女を引き止めたのは自身の背筋を撫でる熱い手であった。

和「んああぁ…ぁっ♪♪ご主人様の手が…ねっとりって…ぇ♥♥」

幾度となくイッて汗を浮かばせ始めた和の背筋。
そこを撫でられる感覚は、和の不満を溶かしてくれるものだった。
今、空いている手で自身を愛そうとしてくれるそれは京太郎なりに精一杯のものだろう。
それを肌で感じた和の心が再び甘いオルガズムの波を沸き上がらせ、和の声をさらに蕩けさせた。


和「もっと…ナデナデして下さいぃ…♪♪和の全身…もう何処でも敏感ですからぁ…っ♥♥ご主人様の手ならきっと和…何処でもイッちゃいます…ぅ♪♪♪」

その言葉は決して嘘ではなかった。
挿入だけでも何度もイッてしまったその身体はもう全身を紅潮させるくらいに興奮しているのだから。
そんな状態で愛しい主人の優しさをはっきりと肌で感じさせられれば何処でも容易くイッてしまう。
背筋だけではなく、腕でも、肩でも、今の彼女にとっては強い性感帯になりつつあったのだ。

和「ひぃ…んんんんっ♪♪」

そんな彼女の肌を京太郎の手がねっとりと撫で回す。
背筋だけではなく腕や肩までを確かめるように撫でられるそれに和は肌がざわつくのを感じた。
しかし、それが決して嫌ではないのは、それがとても心地良いざわめきだからだろう。
肌の内側で騒いでいるのは全て京太郎への愛しさであり、そしてそこから生まれるのは甘いアクメなのだから。

和「あぁ…っ♪♪ダメ…ぇ♥♥和…躾けられちゃう…ぅ♪♪ご主人様にナデナデされるだけで…もう和…ご主人様のモノになっちゃいますよぉ…♥♥」

有言実行とばかりに甘いオルガズムを広げる自身の身体。
その淫らさに甘い声をあげる和は既に名実ともに京太郎のモノである。
その身体はもう京太郎に逆らえないし、そしてその心も快楽と愛しさを糾えて作った縄によって縛られていた。
それでも彼女がそうやって甘く声を漏らすのは、そうやって支配欲と擽られる言い回しが京太郎にとって強い効果を発揮すると知っているからである。


和「ひゃぅぅぅぅっ♪♪だ、ダメですぅっ♥♥その突き方ダメ…ぇぇっ♪♪」

そして彼女の思い通り、京太郎の腰はその角度を変える。
さっきとまた逆に上から下へと突き下ろすようなその角度に小蒔の下腹部が圧迫感を感じた。
突き破るというほどではなくとも確実にそこを押されているのを感じるのはそれだけ京太郎のピストンが激しいからだろう。
勿論、それだけであれば、和とてダメとは言わず、寧ろ、甘く声をあげながら悦んでいた事だろう。
しかし、それが出来ないのは、京太郎のピストンがただ激しいだけではなく、和の最も弱いボルチオを狙い撃ちにしているからだ。

和「ボルチオゴツゴツされると出ちゃいますぅっ♪♪お潮もおしっこも…出ちゃいますからぁぁ♥♥」

これが自宅であればまだ彼女は心から悦ぶ事が出来ただろう。
しかし、ここは京太郎の家であり、また自分の下には高級そうな絨毯が敷いてあるのである。
そんな場所で色々と漏らしてしまったら後処理にかなりの手間がかかってしまうだろう。
既に漫がその上に粗相をしている事を知っているとは言え、それは和にとって容易く選べる事ではない。
今はこうして劣情に飲まれているとは言え、元々の彼女は理性的で自分を強く律するタイプなのだから。

和「うきゅぅぅう゛ぅんっ♪♪♪」

しかし、京太郎の抽送は止まらない。
寧ろ、和の訴えにさらなる興奮を覚えたように執拗にそこを突き続ける。
その度にバチバチと瞼の奥で電流が走るのを感じながら、和がぐっと腕を伸ばした。
そのまま何とか漏らす事だけは堪えようと歯を食いしばり、足を強張らせる。


和「ふぐぅっ♪♪ひ…ぅぅぅぅ゛♥♥」

だが、それでどうにか出来るのであれば、最初から和は京太郎の虜になどなっていない。
そもそも、ビキビキに張った肉の塊が肉襞と擦れるだけでイッてしまうくらいに和はもう昂ぶっているのだ。
そんな状態で弱点である子宮口をしつこく刺激されれば、自然とその歯の根も緩むのが当然だろう。
結果、彼女の抵抗虚しく、その身体からは力が抜け、彼女の下腹部でムズムズとした感覚が大きくなっていった。

和「あ…ぁぁっ♪♪もぉ…ご主人様の意地悪…ぅぅ♥♥ご主人様は本当に意地悪ですぅぅ♥♥」

数秒後、快楽を堪える事を諦めた和の口から京太郎を罵るような言葉が飛び出す。
微かに涙ぐんでいるようにも聞こえるそれは、しかし、艶めいたものを色褪せないものだった。
何だかんだ言いながらも、和はそうしてボルチオを狙い撃ちにされる快楽を楽しみにしている。
それを感じさせる声に京太郎の腰は微かに跳ね、肉棒の熱を高めた。

和「も…ぉぉっ♪♪知りません…からねっ♥♥和…おもらししちゃいますからぁっ♪♪」
和「そんなセックスされると…おもらし…ぃぃ♪♪ご主人様のお家で…おもらし…しちゃうぅぅ♥♥♥」

それをドロドロになった肉襞で受け止めながら、和はそう言葉を漏らした。
一区切り毎に切羽詰まったものになるそれは彼女の限界が近い事を京太郎へと知らせる。
しかし、それを感じても尚、彼の腰は躊躇する気配すら見せない。
変わらぬ速度で、けれど、その熱だけはジワジワと高めて突かれるその感覚に和の意識がブワリと弾ける。


和「くぅ…っぅぅぅぅううぅぅうっ♪♪♪」

瞬間、彼女の下腹部で何とも言えない開放感が湧き上がる。
ムズムズとした感覚がそのまま外へと流れ出るそれは、恐らく失禁なのだろう。
まだ思考を紡ぐ余裕のある何処かがそう告げるのを感じながらも和はそれを止める事が出来ない。
膀胱に生まれたむず痒さをそのまま排出するような心地良い感覚を止められるほど和の身体にはもう理性は残っていないのだ。

和「出ちゃった…ぁ♥♥和…お漏らししちゃいましたぁ…ぁ♪♪♪」

代わりに彼女の口から漏れるのは幸せそうな報告であった。
被虐感でブルブルと震えながらのそれは陶酔と快楽で蕩けきっている。
羞恥の色など欠片も感じさせないそれは自分が心からそれを喜んでいる証だろう。
まるで他人ごとのように和がそれを受け止めた瞬間、震える腰から最後の黄金水が漏れだした。

和「お漏らし良い…です…っ♪♪お漏らしするくらいイくの好きぃ…♥♥ご主人様にイかされるの…大好きぃぃ♥♥」

膀胱に残る一滴までも漏らした和にはもうそれを躊躇う理由など何一つとしてなかった。
そもそも彼女は自宅やラブホテルで何度も失禁し、その快楽を教えこまれていたのである。
ある種の快楽の果てにあるそれを、淫欲に飲み込まれた今の彼女が厭えるはずがない。
そんな彼女を支えていたのは須賀邸での初めてのセックスというシチュエーションだけであった。
しかし、その禁忌を破ってしまった以上、それはもう歯止めにはならない。
今の和には体液を漏らす事への忌避感はなく、ただその気持ち良さを幸せそうに訴えるケダモノと化していた。


小蒔「(これで原村さんも…お漏らし仲間ですね…♥♥)」

幸せそうに失禁し、それを好きだと告げる恋敵の姿。
それに嫉妬を感じながらも、小蒔が喜ばしいと思えるのは和がいまだ遠慮を残していたからだろう。
折角、京太郎とセックス出来ているのにも関わらず、何処か身構えるその姿は小蒔には窮屈そうに見えたのだ。
しかし、失禁を経た和にはもうそんな感情はなく、理性の一片さえも快楽を得る為に投げ捨てている。
まさにメス奴隷という言葉が相応しい和に小蒔は胸中でクスリと笑みを浮かべながら、その胸をぎゅっと京太郎へと寄せた。

小蒔「(でも…負けませんよ…ぉ♥♥)」

元々、谷間に挟み込むような形であった小蒔の豊満なバスト。
その頂点にぷっくりと浮かぶ乳首を京太郎の腕へと沿わせる。
そのままスリスリと動く張り出た乳首の快感に、小蒔は思わず嬌声を漏らしてしまいそうになった。
一番、酷い時に比べれば落ち着いているとは言え、彼の能力の残滓は未だに彼女の中に残っているのである。
元から敏感な身体をさらに弱々しくさせるその不可思議な力の所為で、小蒔は胸を押し付けているだけでイッてしまいそうになっていた。

小蒔「(キスは…♪♪キスだけは…絶対にやめません…からぁ…♥♥)」

しかし、それを自分の胸の内に抑えこむのは、小蒔にとってそのキスが特別なものだからだ。
自分が主導して、愛しい婚約者を導くそれは快感こそ少ないものの、とても心地良いものなのである。
自分の愛をただ只管、彼へと訴えかけるようなそのキスを、小蒔は一瞬たりとて止められない。
それは小蒔が他の二人に対して対抗心と嫉妬を燃え上がらせている証なのだろう。


小蒔「ひゃう…ぅ…♪♪」

そんな彼女に応えるように京太郎の腕が動き出す。
小蒔に抑えこまれたその腕をそのまま反転させるような動きに、陰核が微かに擦れた。
乳首に負けないくらい充血し、張り詰めた性感帯への刺激に、ついつい小蒔は声を漏らしてしまう。
だが、次の瞬間、彼女はそれさえも忘れてしまうくらいの衝撃に身を震わせた。

小蒔「んふゅぅぅっ♥♥」

鼻の抜けた甘い嬌声と共に全身を震わせる小蒔。
その秘所には京太郎の指がグジュリと埋め込まれていた。
ひくつくそこを刺激する太くて硬い指に小蒔の身体は耐える事が出来ない。
本格的なその快楽は、彼女の身体をあっさりと高いオルガズムへと突き上げ、そのキスを中断させるのだ。

小蒔「(あぁ…♥♥ダメ…キスだけは…止めちゃいけないのに…ぃ♪♪)」

しかし、待ち望んだ快楽に敏感な身体はどうしても抗う事が出来ない。
自分の中へと入ってきた人差し指がクチュクチュと中をかき回すだけで小蒔の口からどうしても声が漏れてしまうのだ。
その間、愛情を彼へと伝えるキスが中断されてしまうという現実に、小蒔の肌がブルリと震える。
それが快楽に抗えない悔しさなのか、或いは嬉しさなのかさえ判断出来ないまま、小蒔は再び絶頂へと押し上げられた。


漫「んふふ…っ♪♪」

そんな二人の背中から、いつの間にか起きた漫が忍び寄る。
だが、その姿を彼ら三人は誰も認識しては居なかった。
京太郎と小蒔はお互いに顔を反らし、キスに没頭していたのだから。
唯一、彼女の方を向いていた和はボルチオ責めにイキ狂ってそれどころではない。
そんな三人の姿に笑みを漏らしながら、漫はそっと京太郎の背中に身を寄せた。

漫「なんか面白そうな事しとるやん…♥♥」
京太郎「くぅ…」

いきなり背中に押し付けられる柔らかな感覚。
それが漫のバストだと認識した瞬間、京太郎の身体がぼっと燃え上がった。
腕にも背中にも少しだけ違った感覚が寄せられているのである。
しかし、どちらも大好きなのは変わらないその豊満さと柔らかさを京太郎はどうしても強く意識してしまうのだ。
結果、まるで自分の身体の大半が豊満なバストに包まれているような錯覚に陥った彼は思わず甘い声をあげてしまう。

漫「うちも混ぜてくれるやんなぁ…ぁ♪♪」
京太郎「ふぅ…ぅ…っ」

そのまま自身の乳房を揺する漫の手で、その乳首が擦れていく。
柔らかな乳房の中でも特に張ったその感触は、後ろを振り返らなくても乳首だと分かるくらいに独特だ。
ピンと上向きになっているだけではなく、そこはジンジンと火照るような熱が乳房よりも強く蠢いているのだから。
そんなもので背中を撫でられる感覚に、興奮しきった京太郎の意識が揺らぎ、その腰にもぐっと力が入った。


漫「(もう…可愛らしいんやからぁ…♥♥)」

乳房を寄せるだけで分かりやすいくらいに興奮を浮かべてくれる愛しい夫。
その単純さを可愛いと称しながら、漫の笑みは快楽で蕩ける。
女性のものとは違う、硬く鍛えられたその背中に漫の乳首もまた感じさせられているのだ。
それは決して大きなものではないが、失神から立ち直り、ようやく動けるようになった彼女には十分過ぎる。

漫「(まったく…まさか一回であんなに壊されるとか…♪♪思っとらへんかったよぉ…ぉ♥♥)」

能力の影響もあったとは言え、一回の射精で失神するまで追い込まれた自分。
その中で漫は明らかに何かが壊れてしまったのを自覚していた。
それが倫理観なのか、或いは自分の中の歯止めであったのかは彼女には分からない。
確かなのは彼女がそれを悦び、そして未だに満足出来ていないという事だけ。
だからこそ、失神から復帰したばかりの震える身体を押してでも、漫は京太郎の事を求めていたのである。

和「ひぐぅう゛うぅぅっ♪♪ゴンゴン強いぃぃっ♥♥またピストン強くぅぅぅんっ♥♥」

そんな漫の愛撫に最も影響を受けていたのは和であった。
後ろを漫に取られた京太郎は自然とピストンの最中にその胸へと飛び込んでしまう形になる。
その瞬間、背中に弾ける柔らかな感触を求めて、彼の身体は抽送を早めてしまうのだ。
それを敏感なボルチオで受け止める和にとって、それは歓喜の声をあげるほど気持ちの良いものである。


和「イク…ぅぅっ♪♪もうイくの止まらないですぅぅっ♥♥ご主人様のオチンポでイきまくりぃぃ♪♪ラブラブレイプで…和もぉ…イキっぱなしですよぉぉ…♥♥」

しかも、それはどれだけ快楽を訴えても、弱まるどころか強まっていく一方でしかない。
勿論、それはそんな風に焦らす事が出来ないくらいに京太郎が小蒔と漫に興奮しているという証だ。
それに胸が疼いてしまう感覚は和の中で確かにあるものの、それもまた一瞬で薄れていく。
幾つもの絶頂が折り重なり、アクメから降りられない連続絶頂の快楽に最早、感情さえも逆らえない。
ただ、快楽とそれに連なる幸福感で身体を満たすような感覚に、和は全身を震わせて悦んだ。

和「二人ともこんなセックス…もっと前からしてたんですかぁぁっ♪♪ずるい…ぃぃ♥♥ずるいですよぉぉ♪♪♪」

二人をずるいと言う和にだって、二人ともしたくてそんなセックスをした訳ではない事くらい理解しているのである。
セックスするまでのケダモノ染みた小蒔の様子や、自分を律するのに必死な漫の様子を見て、心から羨ましいとは思えない。
だが、それでもずるいと言ってしまうのは、今、彼女が感じているそれが二人にとって入り口にしか過ぎない事が分かるからだ。
気持ち良くて堪らないそれすらも届かない快楽の極地に、どうしても嫉妬を禁じ得ない和の口から淫らな本音が飛び出す。

和「和も…ぉぉ♪♪和もご主人様に負けていれば良かったぁぁ♥♥意地なんか張らずに…ご主人様に負けてたら…和もぉぉ…ぉ♥♥きゅぅんっ♪♪♪」

あんな風に自分も蕩けたい。
あんな風にケダモノになりたい。
あんな風に壊して欲しい。
そんな欲求が止まらない和の中で京太郎のピストンがさらに激しくなった。
まるで彼なりにその欲求を満たしてやろうとするそれに和の身体がガクガクと揺さぶられる。
しっかりと踏ん張っていなければ、そのまま身体がズレてしまいそうなほどの激しさに彼女の意識も揺さぶられた。


和「ふわぁああぁっ♪♪あぁぁっ♥♥ご主人様ぁぁ♥♥ご主人様ぁぁ…っ♪♪♪」

そのまま脱力し、崩れ落ちてしまいそうになるほどの快楽の波。
敏感になった肉襞を削って押し寄せてくるそれはどんどんと高まっていく。
決して叶わない羨望を抱く自分を慰めるようなその快楽に和は甘く愛しい主人を呼んだ。
他の二人に密着されて尚、自分の事を気遣ってくれる彼の事が、和は愛しくて愛しくて仕方がなかったのである。

和「愛してますぅ…ぅ♥♥ご主人様ぁ…和は…一杯…愛してますぅ♥♥愛して…るぅ…ぅ♥♥」

それを必死になって伝えようとする和は同じようなフレーズを繰り返す。
しかし、どれだけ愛を囁いても、その胸に満ちる感情は決して薄まる事はない。
寧ろ、自分の感情の大きさを言葉には出来ないもどかしさに震え、より膨れ上がっていくようにも感じるのだ。
愛を言葉にする度に強くなっていくその感情は、京太郎の能力によって作られた偽物である。
だが、それでも和はその暖かな感覚を拒むなどはせず、胸の中が息苦しさを覚えるほどに高めていくのだ。

小蒔「(私もぉっ♪♪私も…愛してますっ♥♥京太郎様の事…一杯一杯愛してますよぉ…ぉ♥♥)」

そんな和の言葉に対抗心を覚えながら、小蒔はさっきよりも強く自身の胸に愛を浮かばせる。
元々あった感情を能力によって増幅されたそれは、三人の中で一番歪だ。
あまりにも強すぎて道を踏み外しかねないそれは、今までろくに恋を知らなかった少女には大きすぎるのである。
だが、ようやくそれを受け止める事が出来るようになり始めた彼女は、スリスリとその全身をすり寄せた。
京太郎の腕に乳首からクリトリスまでをすり寄せるようなそれは発情したメスがセックスをオネダリするものにしか見えない。


小蒔「はきゅぅ…んんっ♪♪♪」

明らかに我慢出来なくなりつつある小蒔の肉穴で京太郎の指がグッと奥へと入り込む。
そのまま彼の指が到達したのは陰核の裏側に浮かぶザラザラとした部分であった。
所謂、Gスポットと呼ばれるそこを京太郎は的確に、そして嗜虐的に撫で回す。
グリグリと圧迫するようなそれに小蒔の身体はブルブルと震え、彼へと寄りかかるようなものへとなりつつあった。

小蒔「(イク…ぅぅっ♥♥そこ擦られるとすぐイッちゃいますぅっ♪♪京太郎様の指で…フカイキする…んっ♪♪♪)」

そう思い浮かばせる小蒔の背筋にゾクゾクとした感覚が走り抜ける。
自分で身体をこすりつけるのとは比べ物にならないほど冷たく、激しく、そして大きなそれは脳へと突き刺さった。
能力の影響もあってか、最早、快楽の受信機でしかないそこは稲妻のような鋭いその快楽を悦び、脳内麻薬をぶちまける。
どれだけ高純度の麻薬や媚薬でさえ及ばないその甘さに小蒔の子宮は身悶えしながら、再びオルガズムを湧き上がらせた。

小蒔「はちゅ…♪♪ん…っひぅ…ぅぅ♥」

しかし、どれだけイッても小蒔は京太郎の口を離す事はない。
その顔を様々な角度に傾けながら、チュルチュルと唇へと吸いつかせるのだ。
そこだけは決して死守するのだと言わんばかりに必死なその姿は、いっそ健気に見えるほどである。
ともすれば、そのまま押し倒して犯してやりたくなるほどのそれを京太郎は堪えながら、その腰を突き入れた。


漫「ふふ…♥♥うちも…京君の事愛しとるで…ぇ♪♪」

そんな京太郎の背中にそっと寄り添い続ける漫はその耳元で甘く囁く。
決して彼のピストンを邪魔しない、けれど、触れ合わない訳でもない絶妙な距離。
京太郎の事を良く知る彼女でなければ決して実現し得ない距離からの囁きに彼の背筋がゾクゾクとする。
冷たい興奮混じりのそれは和の肉襞をかき分けて、愛液の沼を貫く肉棒をピクンと跳ねさせた。
瞬間、和の口から漏れ出す嬌声に、彼の反応を悟った漫はクスリと笑みを浮かべてみせる。

漫「あんな風にグチョグチョにされたんやもん…♪♪京君ラブになっちゃうのは…仕方のないものやんなぁ…♥♥」

そう言う漫のアナルはまだ半開きになり、クパクパと開閉している。
未だ拡張が未熟であった漫のアナルに、さっきのアナルプラグはあまりにも大きすぎたのだ。
介抱する小蒔がそれを外してやったものの、その余波は未だに彼女の中で渦巻いている。
いや、さっきのセックスでアナルへの興味をより強め、開いたそこに疼きを走らせるそれは、最早、余波では済まないのかもしれない。

漫「京君も…そのつもりやったんやろ…♪♪うちらの事調教して…独り占め…するつもりやったんやろ…♥♥」

元々、漫はそれを肯定的に受け止めるどころか、京太郎の背中を押した一因でもある。
その真意は彼から聞いているし、京太郎の目的を達成する為に手助けもしてきた。
しかし、だからと言って、その心の中に抵抗するものがなかったと言えば、決して否である。
もしかしたら将来芽吹いていたかもしれない感情を強制的に引きずり出された彼女もまた和や小蒔に負けないくらい彼の事を愛しているのだ。
独り占め出来るものならばしたいというのが彼女の偽らざる本音であった。


漫「ええよぉ…♪♪京君やったら…うちらの事独り占めして構わへんよ…っ♪♪♪でも…その代わり…今度はうちのアナル…いぃっぱい気持ち良くしてな…♥♥」
漫「神代さんに拡張されちゃったアナルに…今度は京君のオスチンポ…グリグリって突っ込んでぇ…♥♥プラグ届かんかった奥まで京君で開発してぇ…ぇ♪♪♪」

しかし、今の漫にはもうそんな感情は欠片もない。
勿論、恋敵たちに対する対抗心は未だに彼女の中に残ってはいる。
だが、漫はさっきのセックスでもう思い知ってしまったのだ。
自分だけでは決して京太郎の事を満足させられない事を。
たった一度の射精で壊れてしまう自分では性豪である京太郎についていけない事を。
心ではなく身体と本能で理解してしまったのだ。

漫「(それで浮気されるよりは…ある程度、知ってる子の方が…ええやんな…ぁ♥♥)」

そもそも自分は他の二人に対してどうしても一段劣っているのは否めないのだ。
そんな自分が彼の側に居られるだけで十二分に幸せだと思うべきである。
例え、それが性処理係としてのそれであったとしても、問題はない。
優しい彼であれば、きっと性処理係である自分も幸せにしてくれる。
いっそ依存にも近い信頼を隠す事なく、漫はそう胸中に言葉を浮かばせながら、その乳房を彼の背中に甘く擦らせた。

京太郎「ぐ…ぅぅ…!」

そんな三人の愛情を一身に受ける京太郎の口から苦悶にも似た声が漏れ出た。
思わず噛み締めそうになった歯の向こうから漏れ出すくぐもったそれは、しかし、快楽の彩りが強い。
実際、方向性こそ違えども、三人は共に美少女であり、また負けず劣らず、自分の事を愛してくれているのだ。
それを訴えるような奉仕に京太郎の身体はどうしても耐えられない。
タガが外れたように燃え上がる身体はより血液を求め、心臓をドクドクとうるさいくらいに鳴らすのだ。


和「んひぃぃぃいいぃぃっ♪♪♪」

心臓を酷使するような激しい鼓動。
それによって送り出された血液が最も集まるのは彼の下腹部にある海綿体であった。
強引に流れこむ血液を十分に吸ったそこはその身をブルリと震わせて、さらに膨れ上がる。
その肉幹を太く、カリ首をより反り返らせる魔羅の姿に和は悲鳴のような声をあげた。
元々、圧迫感を感じるほどに大きかったものがさらに膨れ上がったのだからそれも当然だろう。

和「あちゅいぃっ♪♪ご主人様のオチンポ大っきくて熱いです…ぅぅ♥♥和のオマンコ焼けそうなくらい…ぃっ♪♪ミチミチドロドロっへ…ぇ♥♥」

しかし、それは彼女が決して苦痛を感じている事を意味しない。
いや、寧ろ、次の瞬間にはそうやって舌足らずな報告を繰り出すくらいに、和は悦んでいた。
元々が射精直前の滾りを見せていた京太郎の肉棒はさらに膨れ上がった事で和ですら未体験なサイズを見せている。
だが、それに苦痛を覚えるような領域は、とっくの昔に過ぎ去ってしまっていたのだ。
既に京太郎の肉棒で開発され、拡張された肉穴が多少サイズを変えたところで苦しむはずがない。

和「イくんですね…ぇ♪♪ご主人様のオチンポびゅるびゅるしてくれるんでしゅねっ♥♥和の奴隷オマンコに子種汁ぅ♪♪♪お情けくださるんですねぇぇっ♥♥」

心底、嬉しそうなその声は、自身の悦びを京太郎にはっきりと伝える。
それは肉棒の滾りを肯定的に受け止め、射精を悦ぶメスの鳴き声であった。
愛玩奴隷である事さえも悦びに変えるそれを聞いて、彼女のことを心配する者は誰一人としていない。
寧ろ、そうやって悶える声を聞かされた小蒔と漫は、和に対する羨望を強め、自分も犯して欲しいという欲求を強めるのだ。


和「欲しい…ですぅ♥♥和のオマンコずっと待ってますぅぅっ♪♪ご主人様のザー汁で満たされるの期待してましたぁっ♪♪だから…ぁ精液…ぃ射精ぇぇ…♪♪」
京太郎「うぅ…ぅ」
小蒔「んあ…ぁ…♪♪」

理性どころか思考すら投げ捨てたメスの訴えに京太郎はついに我慢出来なくなる。
小蒔とキスをしていた唇をそっと離し、足りない酸素を求めるのだ。
それに小蒔が物足りなさそうな声をあげるが、目的達成の為には致し方ない。
代わりにGスポットを擦る動きを激しくしながら、京太郎は興奮混じりの声をあげた。

京太郎「じゃあ…和も俺のモノになってくれるか…?小蒔たちと一緒に…俺の事を愛してくれるか?」
和「あぁ…あぁぁっ♪♪卑怯…ですぅっ♥♥ご主人様ぁ卑怯ぅぅ…っ♪♪♪」

決して断れないタイミングでの言葉。
理性も思考も投げ捨てて、射精の事しか考えられない状況でのそれを和は卑怯と訴える。
だが、その場に同調する人は誰一人として存在しなかった。
そこにいるのは主犯と共犯者、そしてその二人に堕とされたメスしかいないのだから。
彼女の言葉に共感こそすれど、助け舟を出す者などいるはずがない。
寧ろ、そうやって責め立てられる彼女が羨ましくなった二人は、その柔らかな身体をアピールするようにモジモジと揺らしていた。

和「なりますぅ…♥♥ご主人様のモノになるぅっ♥♥一人ぼっちはもう…嫌だからぁぁっ♪♪和はずっとご主人様の愛玩奴隷で良いですぅ♪♪」
和「他の人が居ても…ずっとずっとご主人様だけのメス奴隷ぇ♥♥レイプされるのが仕事のセックス奴隷で良いですからぁっ♥♥お側に置いて下さいぃぃっ♪♪♪」

そんな二人の耳に一瞬で陥落した和の声が届く。
そもそも卑怯と京太郎を罵ったのは、それが決して断れない上に躊躇すら許さないものだと理解していたからだ。
射精前独特の滾りは最早弾けそうになっているが、京太郎ならば自身が射精する直前にピストンを止めかねない。
その想像だけでも薄ら寒いものを感じてしまうほど昂った和にとって、躊躇している余裕すらなかった。
愛しい人が最高のご褒美をくれるのであれば、その程度の事なんてどうでも良い。
そう思った彼女はその口から、既に心身まで愛玩奴隷である事を京太郎へと告げた。


京太郎「よ…し…っ」
和「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁっっ♪♪♪」

それに許しの言葉を漏らしながら、京太郎の左手は和の片手を掴みあげる。
そのままぐいっと自分の方へと引き寄せるそれに、崩れ落ちていた和の首が持ち上がった。
自然、脂汗が幾つも浮かんだその背筋も反り返させられ、その腰がぐいっと後ろへと下がる。
結果、京太郎の肉棒がより深く奥へと突き刺さるのを感じた和の口からケダモノのような叫び声が飛び出した。

和「奥ぅぅっ♪♪奥ばっかりちゅいてぇぇっ♥♥コンコンって奥いじめてぇぇぇっ♪♪」

そこから繰り出されるピストンは和にとって快楽地獄とも言って良いものだった。
クタリと脱力した身体を突き上げるほどに激しいピストンが奥へと叩き込まれるのだから。
それに浮き上がった身体が腰を下ろした時には再び次のピストンが待ち受けているのである。
重力のサポートをしっかりと受けたその激しさは決して今までの比ではない。
子宮口前後の短い距離しか動いていないはずなのに、その衝撃は脳天にまで突き刺さるようなものだったのだ。

和「イクイクぅぅっ♪♪和もぉ一杯アクメしてるぅぅっ♥♥イきまくってますからぁぁっ♪♪ご主人様もぉぉっ♪♪ご主人様も早くぅぅぅっ♥♥」

まるで一突き毎に意識が失神と言う名の死刑台に突き上げられているような気持ち良さ。
その中で和が必死にそう訴えるのは、京太郎が意地とプライドで必死に我慢しているのが分かっているからだ。
出来るだけ自分をギリギリまで感じさせようとしてくれるその気遣いは嬉しいし、有難い。
だが、それに心を蕩けさせられるほど和はもう思考というものを身体に残してはいないのだ。
その身体に残っていたのは収まりきらないほどの淫欲だけ。
それが射精に対する期待を何時までも昂らせていく感覚に、彼女の口から再び射精を乞う言葉が飛び出す。


京太郎「あ…ぎぃ…っ」

普段の和からは決して想像も出来ない淫らなオネダリに京太郎は最後のタガがバキリと音を立てて崩れたのを感じる。
瞬間、その腰にはぐっと力が込められ、射精寸前のその肉棒をグジュグジュになった肉襞に押し付け始めた。
暴走と言っても良いその動きは、ただ最高の射精を求めようとするケダモノ染みたものへと変わる。。
まさにラストスパートと呼ぶに相応しいそのピストンに和の背筋がブルリと震えた瞬間、京太郎の肉棒から熱い滾りが放たれた。

和「んひぃぃいい゛ぃいいぃっ♪♪♪」

興奮と欲情で火照った京太郎の中でずっと暖め続けられてきたドロドロの粘液。
それが子宮に染みこむ感覚に和は喉を震わせながら、声を張り上げる。
ある意味、苦悶の悲鳴にも聞こえかねないそれは、射精される感覚が気持ち良すぎるからだ。
ジュンっと潤んだ場所に張り付くベタベタとした感覚を、ずっと待ち望んでいた身体には、その熱い感覚は激しすぎるのである。

和「れてるぅぅ…っ♥♥ご主人様のざーぢるぅっ♪♪和の子宮に…染みこんで…ふわぁぁ…♥♥♥」

精液に飢えた身体に染みこんでくるドロドロとしたそれは既に二回射精しているとは思えないくらいに濃厚だった。
いっそそれを飲み込む子宮が溺れてしまいそうなくらいにこってりとしているそれに彼女のお腹がポカポカと暖かくなる。
充足とも幸福感ともつかないその暖かな感覚は、和の言葉を途中で蕩けさせるほど心地良いものだった。
思わず全身の力がふっと抜け、快楽を感じる事だけに全てを傾けてしまうほどのそれに和は抗う事が出来ない。


和「あはぁ…♪♪和…もぉオマンコ…ぉ♥♥身体中…全部オマンコになっへるぅ…ぅ♥♥♥」

そんな和の身体から四肢の感覚が一気に薄れていく。
指先は既に霧がかったものになり、どうなっているのかまったく理解出来ないのだ。
愛しい主人に掴まれている腕さえも胡乱で、どうにもはっきりとしない。
そんな彼女の中で唯一、はっきりしているのが肉棒をくわえ込む肉穴の感触だった。
そこだけは胡乱になっていく感覚の中でも、色褪せる事なく、頭がクラクラと揺れるほどのオルガズムを和へと流し込んでくる。

和「オチンポ甘くて幸しぇ…ぇ♪♪和…奴隷になって幸せれす…ぅ♥♥ご主人しゃまに射精されて…ポカポカぁぁ…♥♥♥」

寧ろ、快楽を得る為に無駄なものを切り落としたような自分の状態。
それに和が恐怖を感じる事がないのは、それを今までに何度も味わってきているからだけではない。
そうやって全身が肉襞に埋め尽くされるような感覚は、恐怖を感じる余地がないくらいに気持ち良く、そして甘美であったのだ。
彼女にとって最高の甘味料であり、そして媚薬でもある精液が全身に注がれているように感じるのだから。
その多幸感は留まるところを知らず、和の目尻から涙となって零れていく。

和「あふ…ぅ♪♪種付けさいこぉ…ぉ♥♥ご主人様の種付けセックスぅぅ…♪♪逆らえないぃぃ…ぃ♥♥♥」

本来であれば、四肢の感覚が薄れた時点で、その唇もまた嬌声をあげるだけのものになっていてもおかしくはない。
だが、涙となっても収まりきらない心地良さが、和に口から言葉となって放たれているのだ。
そうしなければおかしくなってしまいそうなその感覚に、彼女は幾度となく淫語を漏らす。
そしてその度に興奮した京太郎の肉棒から精液が吐き出され、和の中を白く染めていくのだ。


和「子宮キュンキュンしてぇ…♪♪オネダリしちゃってりゅ…ぅぅ♥♥ご主人しゃまが好き過ぎて…ぇ♪♪♪子宮ザー汁欲しいって…オネダリしちゃってます…ぅ♥♥♥」

それに和の子宮も応え、子宮口を亀頭へと思いっきり吸い付かせる。
その肉厚の唇で吸い上げるそれは上の口にも劣らないほどに淫らなものであった。
その上、肉襞がザワザワとオルガズムで戦慄き、膨れ上がった肉棒の快楽神経を撫でるのである。
魔羅と呼ぶに相応しいサイズになった京太郎の男根とは言え、射精最中の敏感になった時には耐え切れない。
結果、反り返った凶悪な肉塊を子どものようにブルブルと震わせながら、強請られるままに精液を吐き出してしまう。

和「はぁぁ……♪♪♪」

とは言え、京太郎の精液は無限に供給されている訳ではない。
人並みよりも遥かに精力が強いとは言え、彼のそれは有限であるのだ。
数分もした頃には勢いも弱まり、和の多幸感も急速に下降していく。
それと共に意識が身体に戻ってくる感覚に、和は甘い声をあげた。
そこには不満など欠片もなく、美味しい精液をたっぷりとご馳走してくれた愛しい主人への感謝に溢れている。

和「ご主人様…ぁ♥♥ありがとう…ございまふゅ…ぅ♪♪♪」

その気持ちをそのまま言葉にする和に、京太郎は小さく笑みを浮かべた。
そのままそっと彼が腕から力を抜けば、和の身体がゆっくりと絨毯へと崩れ落ちていく。
意識がある程度、戻ってきたとは言え、その身体はまだイき続けているのだ。
脱力感から復帰し、その身体を自由に動かすにはまだまだ時間が掛かるだろう。


和「はぅ…ぅぅん…♪♪♪」

そんな和の身体を京太郎の手がゆっくりと撫でる。
まるで労うようなその優しい手つきに顔を伏せた和の口から甘い声があがった。
オスを誘惑するようなメスの鳴き声に合わせて、未だに萎えない京太郎の肉棒がピクリと動く。
そのまま二回戦を始めろと訴えるそれを何とか理性でねじ伏せながら、京太郎はそっと和から腰を離していった。

和「やぁ…ぁ♥♥ご主人様ぁ…♪♪まだ…まだぁぁ…♥♥」

それに対して子どものようにだだをこねるのは和がまだ満足しきってはいないからだ。
勿論、気持ち良かったし幸せだったのは確かだが、一度で満足出来るほど愛玩奴隷の性欲は軽いものではない。
ましてや、こうして離れた後にはまた恋敵と睦み合うのが見えているのだから、そうやってだだをこねてもおかしくはないだろう。
しかし、京太郎にはこうして和の事をずっと構ってやる暇はなく、次は自分を待ってくれている小蒔を愛してやらなければいけない。
痛みを発する胸にそう言い聞かせながら、腰を離した瞬間、待ち構えていた小蒔がそれを口に含んだ。

小蒔「はむぅ…♪♪ちゅる…ぅぅ♥」
京太郎「うあ…ぁ」

ペロペロと美味しそうに愛液と精液のカクテルを舐めとる小蒔。
それは日頃から進んでお掃除フェラをしている所為か、とても手慣れたものだった。
性感帯を舌先で擽りながらも、しっかりと綺麗にするその仕草は健気と言っても良いものだろう。
だが、紅潮を浮かべたその頬は蕩け、瞳もまた淫欲に濁りきってしまっている。
丁寧なその仕草からは想像もつかないその顔は獣欲を強く感じさせ、小蒔の欲情を京太郎へと伝えた。


漫「あー…ええなぁ…神代さん…♪うちも京君のオチンポペロペロしたかったのに…ぃ♥♥」
小蒔「んふ…♪♪それじゃ…一緒に舐めますか…♥」

それでも小蒔が羨ましがる漫にそう言うのは、彼女の気持ちが良く分かるからだ。
小蒔もまたあんな風にご主人様と呼びながら射精に悶える和の痴態を見せつけられ、欲求不満を強めていたのである。
その内側で本能がざわめくその感覚がどれだけ辛いか、小蒔は自分の身体で良く知っているのだ。
それを強めているであろう恋敵に対して、特効薬である京太郎の男根を独り占め出来るほど彼女は独善的にはなれない。

漫「ええの?」
小蒔「えぇ…♪だって…これからはそういう事も増えてくる訳ですし…ね♥♥」

何より、小蒔はさっき漫にアナルプラグを押し込んだ事をほんの少しだけ反省していた。
勿論、仕返しそのものを後悔している訳ではないが、あまりにも酷い事をやり過ぎたのではないかと思っていたのである。
そんな彼女にとって、そうやって漫を呼ぶのは仲直りをしたいというポーズであった。
これから一緒に京太郎のモノになるであろう彼女と蟠りを残したくはないという、彼女なりのアピールだったのである。

小蒔「京太郎様も良い…ですよね…♥」
京太郎「いや…小蒔が良いんだったら俺も歓迎するところだけれど…」
漫「ふふ…♪じゃあ…失礼して……ぇ♥」

そんな小蒔の気持ちは漫へとはっきり伝わってきていた。
しかし、彼女は特に小蒔の事を恨んでなどいなかったのである。
そもそも漫は小蒔とは違い、そうやって全員で乱れる事に覚悟していたし、期待も覚えていたのだから。
まさかいきなりアナルプラグを押し込まれるとは思っていなかったものの、別に機嫌を損ねたりなどしていない。
とは言え、折角、招き入れてくれている彼女の前でそれを言うのはあまりにも空気が読めていない行為だろう。
ここはまずはご随伴に預かってから、後々改めて彼女にそれを伝えれば良い。
そう判断した漫もまた京太郎の股間へとそっと顔を近づけ、淫臭撒き散らすそこにキスをする。


漫「ちゅ…ぅ♪♪」
小蒔「はむぅ…♥♥」
京太郎「ぐぅ…ぅ」

見目麗しい美少女二人が自分の股間に跪きながら、奉仕している光景。
それだけでも興奮して堪らないのに、二人の愛撫はとても手馴れているものなのだ。
その弱い部分をそれぞれ譲り合いながら、位置を変えて奉仕されるその感覚に京太郎の背筋がブルブルと震える。
一度、イッて中身が空になったはずの精嚢が再び精液を貯めこむのをはっきりと感じるほどの快感と興奮に、京太郎は思わず二人の頭を引き寄せてしまう。

漫「やん…♥もぉ…乱暴なんやからぁぁ…♥♥」
小蒔「あぁ…♥♥顔までベッタリ…エッチな臭い擦り付けられてぇ…♪♪」

まるでもっと快楽を寄越せ、と訴えるようなオスの仕草に二人は甘い声で応える。
自分たちをモノのように扱っていると思ってもおかしくはないそれに、しかし、二人は堪らない興奮を覚えていた。
既にその心を書き換えられた二人にとって、京太郎の快楽は無上の喜びであり、どんな形であれ求められるのは幸せに他ならないのである。
例え、それがボロ雑巾のように犯し尽くすレイプであったとしても、今の二人は悦んで彼に身を捧げるだろう。

和「(あぁ…ぁ♥♥和も…和も…ご主人様にお掃除フェラしたいのに…ぃぃ♪♪)」

しかし、本来ならばそれに加わるべきもう一人はその身体を中々、動かす事が出来なかった。
他の二人とは違って能力を受けていない彼女は失神する事はなかったものの、絶頂感がいまだ止んでいないのである。
未だにジンジンを身体がイき続け、火照りを広げるその感覚に肉襞がグジュグジュと音を立てるように収縮した。
自然、その奥からは白濁した液体が漏れ出し、横たわる和の臀部と太ももへと流れ出ていく。


和「(いや…ぁ…♪♪ご主人様に貰った精液がぁ…♥♥美味しくて大事な…ザーメンがぁぁ…♪♪)」

嬉しそうにフェラする二人を見ているしかないというだけでももどかしいのに、折角、貰った白濁液が漏れ出してしまっている。
それに恐怖とも物足りなさとも言えない寒気を覚えた和の身体がブルリと震えた。
まるで自身の感じているもの寂しい感覚を伝えようとしているようなそれに、しかし、誰も気づく者はいない。
漫や小蒔は和に対して後ろを向き、そして何より京太郎の肉棒を味わう事に必死なのだから。
唯一、彼女と向き合っている京太郎も、早くもコンビネーションめいたものを見せる先輩二人に意識を向けていた。

和「はぅ…ぅん…♪♪」

まるで自分の事なんて蚊帳の外になったかのように乱れる三匹のケダモノ。
それに嫉妬を抱いた和の身体がふらふらと起き上がる。
勿論、そこには未だ倦怠感が絡みつき、身体の軸もはっきりしていない。
一歩歩くだけでバランスを崩して、倒れてしまいそうなくらいだ。
しかし、それでも仲間はずれにされる寂しさともどかしさが彼女の背を押す。

和「和も…ぉ♪和も…混ぜてくだしゃい…ぃ♥♥」
小蒔「ふふ…♪良いですよぉ…♪♪」
漫「これで全員集結…やなぁ…♥」
京太郎「ぅ…」

結果、三人揃った光景に京太郎は小さなうめき声をあげる。
勿論、そうやって美少女たちがかしずく姿はとても興奮するし、素晴らしいものだ。
だが、それだけで済まないのはさっきのフェラが少し気持ち良すぎたからだろう。
この上、和まで加わってしまったら一体、どうなるのか。
つい恐ろしさ混じりの期待を浮かべる彼にとって、それは生唾を飲み込むに足るシチュエーションであったのだ。


小蒔「それじゃ…覚悟して下さいね…♥♥」
漫「うちらが一杯…京君の事気持ち良くしてあげるからぁ…♥♥」
和「ご主人様も…♥♥和たちの事…一杯…可愛がってくらしゃいぃ…♥♥」
京太郎「うあ…あぁぁっ!」

そう言葉を漏らしながら始まる奉仕は京太郎の予想通り素晴らしいものであった。
その口を近づけ、全員で、京太郎の弱点を吸い上げ、舐め、転がし、しゃぶってくるのだから。
視覚的にも堪らないその愛撫に京太郎の腰はガクガクと震え、ついには倒れこんでしまう。
だが、それでも貪欲になった三人は容赦せず、代わる代わるその上にのしかかって来て… ――



―― その日、京太郎は初めて三人よりも先に意識を失い、その後片付けを彼女たちに任せる事になったのだった。








………



……





漫「よいしょっと…ここで良いん?」

小蒔「もうちょっと右…いえ…左でしょうか…」ウーン

和「とりあえず…下ろしませんか?」

小蒔「そうですね…では…んしょ…」ドサ

京太郎「うー…ん…」

漫「えへ…♪京君の寝顔可愛い…♥」

和「寝顔というより…失神してそのままなんですけれどね」ハァ

小蒔「あはは…や、やりすぎちゃいました…」

漫「幾ら京君でも三人相手はきつい言う事やねぇ…」

和「まぁ…もう八時間くらいぶっ通しでしたし…」メソラシ

小蒔「寧ろ、ここまで頑張ってくれた事を感謝するべきですよね…♥」ウンウン

漫「…そう言いながら神代さんの目が股間に向いとるんやけど…」

小蒔「う…だ、だって仕方ないじゃないですか…ぁ♪」

和「…なんでまだ勃ってるんでしょうね…」フゥ

小蒔「と言うか…最後まで硬さも濃さも全然落ちてませんでしたし…ぃ♥」ウットリ

漫「食事やらお風呂やらで休憩挟んでたとは言え、ほぼぶっ通しでうちらの相手しっぱなしやし…♪」ハァァ

和「…なんていうか存在そのものがオカルトに近くなってきましたよね…」トオイメ


漫「じゃあ、原村さんは添い寝せんでええの?」

和「ばっ馬鹿な事言わないでください。私だって…その…」モジモジ

小蒔「ダメですよ。上重さん。あんまり原村さんの事イジメちゃ」

小蒔「今日は折角の記念日ですし…皆一緒に添い寝するんです」

和「まぁ…添い寝というよりはその…全員裸な訳で…」マッパ

漫「何て言うか…うちらもそろそろ限界近い訳で…」

小蒔「一杯、イかされちゃいましたから…ぁ♥」

和「…とりあえず…寝ましょうか」

小蒔「そうですね。上重さんは明日も早い訳ですし」

漫「早い言うてもうちが帰るんは夜中のバスやで」

和「最低、それに間に合うようにするとは言え、それだけじゃあんまりでしょう?」

小蒔「折角、長野に来たんですから、色々とデートしていって下さい」

漫「まぁ…それは…有難い…けど…」

漫「そんなん…ええの?」

小蒔「何がですか?」

漫「いや…だって、そんなライバルに塩を送るような事をして…」


和「…お陰様でライバル以前に運命共同体に近い事になりましたし」ジトー

漫「あ、あはは…」

小蒔「私達…何だかんだで京太郎様と上重さんに誑かされちゃいましたしね」クスッ

漫「ま、まぁ…遅かれ早かれ、こうなっとったんちゃうやろうかって二人とも予想はしとったんちゃう?」

和「う…ま…まぁ…その…私は…ど、奴隷ですし…」メソラシ

小蒔「選ばれないくらいなら…お妾さんで良いから側において欲しいとは…思っていましたけど…」モジモジ

漫「せ、せやったら…ま、前向きに考えようや」

漫「京君は答えを出すんを放棄したんやなくって全員を選んでくれたって」

和「…詭弁ですね。言い回しを変えたところで京太郎君も上重さんも最低な事に変わりはありません」

漫「ぅっ」

和「…でも…その答えに安心してる自分がいるのは事実です。一番ではなかったけれど…側にいるのを許して貰えた事が…私はとても…幸せで…」ウットリ

漫「…ね、もしかして原村さんってかなりのロマンチスト?」

小蒔「実はかなりの乙女さんですよ。少女漫画も一杯持ってますし」

和「わ、私が少女漫画持ってたら悪いんですか!」カァァ

小蒔「いえ、悪くはないですけれど…」

漫「意外と可愛いところあるんやなぁって」

小蒔「雑誌の原村さんってシャンとして出来る女ってタイプですもん」

漫「意外な一面を見た気分」

和「ぅ…ぅぅ…」


和「わ、私のことより、神代さんの方はどうなんですか?」

小蒔「私ですか?うーん…」

小蒔「…とりあえず気持ち良かったから…別に良っかなって」

和「えー…本気…ですか?」

小蒔「はいっ♪だって…四人でするエッチって何時もより興奮しませんでした?」

和「ま、まぁ…確かに…」

漫「うん…気持ち良かったなぁ…♪」

小蒔「だから、私はそれで十分です。京太郎様ならきっと私達の事幸せにしてくれるでしょうし」

和「…もうちょっとないんですか?不安とか色々…」

小蒔「ありますよ?でも、それ以上に今の私は幸せです」

小蒔「私にとって京太郎様に捨てられないって言う事は自身の全てを引き換えにしても良いくらい価値のある事ですから」

小蒔「例え三人の中の一人であっても、私はそれで満足で…そして幸せです」

小蒔「その上、気持ち良いのであれば、もう何も言う事はありません」

漫「…何て言うか…全力投球やなぁ…」

和「色々な意味で神代さんの事が心配になって来ました…」

小蒔「えへへ…♪でも、大丈夫ですよ」

小蒔「私がそうやって恋をするのは一生でただ一人…京太郎様だけですから♥」

小蒔「そして京太郎様なら…絶対に私を不幸せにはしません」

小蒔「だから…私は全力でこの恋に自身の全てを賭けられるんです」



漫「はぁ…凄いなぁ」

小蒔「じゃあ、今度は上重さんの番ですね」

漫「う、うち!?」

和「まぁ、流れ的にはそうですよね」

漫「い、いや…うちのはほら…二人とも何だかんだ言って分かっとるやろ?」

和「まぁ…察していないと言えば嘘になりますけど」

小蒔「でも、私達の分を聞いておきながら自分だけ黙秘って言うのはズルくありません?」

漫「で、でも…正直、言いたくないかなって…」

小蒔「それとも今度はアナルバイブで奥まで壊して欲しいですか?」ニコッ

漫「ひゃう!?ご、ごめんなしゃい!!」

和「…完全に上下関係が出来上がっていますね」

漫「だって…お、怒った神代さん本気で怖いんやもん…」ブルブル

小蒔「ふふ…怖くなんかないですよ?漫さんだってあんなに喘いでたじゃないですか」

漫「あんなん京君に発情させて貰ってへんかったら絶対無理やって」フルフル

小蒔「私も最初は無理だって思いましたけれど拡張すればアレくらい普通ですよ」

漫「うちまだそっちの拡張されとらへんもんっ!」ビクビク

和「(一体、どれだけ大きかったんでしょう…)」


漫「まぁ…その…うちだって全部、肯定的に見とる訳ちゃうよ」

漫「本当はうちだけ見て欲しいって言うのはあるし…独り占めしたいって感覚はある」

漫「でも…うちだけ京君とは遠距離で…常日頃だって会える訳じゃないし…」

漫「容姿だって二人に比べると優れてる訳でもないから…絶対に負けるってそう思うたんよね」

和「だから、協力したんですか?」

漫「協力というか…うちが背を押したって言うか…」

小蒔「え?」

漫「いや…その大阪来た時にな?京君が皆に捨てられるんちゃうやろうかって落ち込んでて…つい三人とも調教したらええやんって…」

和「…」

小蒔「…」

漫「…」

和「あ、神代さん、一番、大きなアナルバイブありますか?」

小蒔「ありますよー。ついでにローターも突っ込んじゃいましょう」イソイソ

漫「だ、だから言いたくない言うたやん!言うたやん!」

漫「ちょ…や、やめ!そ、そのサイズは無理!絶対に無理やからぁぁ!!」


和「まぁ…冗談はさておき、上重さんが全ての元凶だったのですね」ハァ

漫「う…い、いや…しゃあないやん…」

漫「能力なくなったら嫌われるかもしれん言うて落ち込んでる彼になんて言えばよかった言うの?」

小蒔「自分だけは絶対に見捨てないって言うとか…?」

漫「多分、それじゃその場しのぎにはなっても根本的な解決にはなっとらへんし…」

漫「だって、そうやって言っとるうちは間違いなく京君の能力から影響を受け取る訳やしなぁ」

和「つまり…私達が何を言ってもジレンマにしかならない訳ですね」

漫「うん。だから、京君も二人の前でそれを出せへんかったんちゃうかなぁ…」

漫「んな事言うたら二人はきっと傷つくだけやって分かってたんやろ」

漫「そもそもあの時はうち相手にだって漏らすつもりはなかったみたいやし」

漫「大阪に移動してきた疲れもあって、ついつい表に出してしもうたんやろうなぁ…」

小蒔「…」

和「…」

漫「ん?どうしたん?」

和「いえ…神代さんは京太郎君の事を良く理解しているんだな…と」

小蒔「ちょっとだけ妬けちゃいました」クスッ

漫「ぅ…ま、まぁ…この中じゃ一番、性格的に近いしね」

漫「先輩言うのもあってそういうの漏らしやすいってのもあったんやろ」

小蒔「…一応、私も先輩なんですけれど…」

漫「神代さんはどっちかって言うと…寧ろ後輩ポジと言うか」

和「妹とかそういう枠組みですよね、多分」

小蒔「え、えぇぇ!そ、そんな事ないですよ!」

小蒔「私だって膝枕とかしてあげてますもん!」

漫「そりゃ…まぁ…それくらいはうちらもやっとるし…」

和「あんまり自慢するような事でも…」

小蒔「むぅ…ぅぅ」



小蒔「じゃあ、二人はどんな事してるんですかー」

和「どんな事って…それは…」

漫「え、エッチな事…とか?」

小蒔「そんなの私だってしてますもん」プクー

漫「後はお弁当作ったり…」

和「最近はマッサージしたりもしてますし」

小蒔「それもしてますー」スネスネ

漫「後は…ほら…何て言うか…」

和「そ、そう言うんじゃないんですよ」

漫「そうそう。何て言うかオーラとか性格とかな?」

和「実際、そんな神代さんが京太郎君に愛されている訳ですし別に良いじゃないですか」

小蒔「むぅぅ…納得いきません。私だってお姉さんなのに…」

漫「そんなら手のかかる先輩やったらどう?」

小蒔「手のかかる先輩…?」

漫「うん。どうにも放っとけなくてついつい手を貸しちゃう先輩キャラや」

小蒔「…」

漫「…」

小蒔「良いですね!」ニコー

和「(後輩キャラと一体、何が違うんでしょう…?)」クビカシゲ


小蒔「じゃあ、原村さんは同級生で、上重さんは頼りになる先輩って事ですか?」

漫「そうそう。これでうちらには死角はないで」

漫「どんな属性の子が新しく入って来ようとしてもうちらでばっちりフォロー可能や」グッ

小蒔「良く分かりませんけど、なんだか凄い感じです!」ヤッター

和「…あんまり神代さんに変な事を教えこむと後で後悔しますよ」

漫「大丈夫やって。うち明日には大阪に帰るし」

和「そう言う意味じゃないんですけど…まぁ、分からないなら別に良いです」

漫「なんや、つれへんなぁ。これから一緒に京君のモノになる言うんに」

和「そ…それは…その…」

小蒔「…原村さんってお友達作るのが苦手なので許してあげて下さい」

和「じ、神代さん!?」カァァ

小蒔「本当は今だってアドバイスしたいのに説教臭くなりそうでやめたんですよね?」

漫「え?そうなん?」

和「ぅ…そ…それ…はぁ…」マッカ

小蒔「ふふ。京太郎様が言っていましたよ。アレで原村さんは寂しがり屋だから、出来れば仲良くしてあげて欲しいって」

小蒔「最初は素直になれなくてきつい事も言うかもしれないけれど、それは原村さんなりの優しさか遠慮してるだけなんだって」ニコ

和「あうあう…」プシュー



漫「あー…それなら…ほら」

和「え…?」

漫「仲直りの握手って言うか…これからよろしくの握手?」

和「う…いや…でも…私は…」モジモジ

漫「…嫌?」

和「いえ…嫌じゃ…ないです。全然…まったく。でも…」

漫「…まぁ、嫌じゃないんやったら、そんなに深く考えんでええと思うよ」

漫「多分、一生モンの付き合いになるんやし、ギスギスするのもアレやん?」

漫「京君かて、うちらがずぅっとぎこちないまんまなのは望んでへんやろうし」

和「…そう…ですね」クスッ

和「京太郎君の為にも…仲良くしないといけないですもんね」

漫「そうそう。だから…」

和「…はい。これから…よろしくお願いします」ギュッ

小蒔「あ、私も握手したいです!」

漫「はいはい。じゃあ、こっちな」ギュッ

小蒔「えへへ…♪これで皆、仲良しですね」

漫「そうやね。まぁ、ライバルなのは変わらんけれど」

和「ある意味…皆、被害者仲間な訳ですしね」クスッ


小蒔「そうだ。仲良しになった記念に、呼び名も変えましょう!」

和「ふぇ!?」

漫「まぁ、確かに苗字呼びばっかってのもぎこちないなぁ」

小蒔「そうです。ここは起きた時、京太郎様をびっくりさせる為にもさらに仲良くなっちゃいましょう」グッ

和「あ…いや…」

漫「じゃあ、うちは小蒔ちゃんでええ?」

小蒔「同い年ですし、構いませんよ。私も漫ちゃんで良いですか?」

漫「うんうん。全然オッケー。これからよろしくな」

小蒔「はい。よろしくですよー!」

和「あの…だから…」

漫「じゃあ、次はそこの不服そうな原村さんやね」

小蒔「どんな呼び方にしましょうか…」

和「ふきゅ!?」ビクッ

漫「やっぱりここは素敵なアダ名が必要やろ」

小蒔「良いですね!可愛らしいの考えましょう!」

和「ちょっ!な、なんで私だけアダ名なんですか!?」

漫「そりゃうちらの中で唯一の年下やし」

和「な、なんて理不尽な…」

小蒔「まぁまぁ。ちゃんと可愛いの考えますし大丈夫ですよ」

和「何故か凄い不安なんですけれど…」

小蒔「そうですね…ここはやはりのどちゃんと言うのはどうでしょう?」

漫「いやいや、のどっちも捨てがたいで…!」

和「すみません。その2つはもう予約済みなんです…」


小蒔「厳粛なる審議の結果、原村さんのアダ名はラブリーエンジェルのどっちに決まりましたー」

漫「わー」パチパチ

和「最早、それアダ名ってレベルじゃないんですけれど!?」

漫「ふふ。甘いで原村さんもといラブリーエンジェルのどっち」

小蒔「そうですよ。アダ名なんて呼びにくくても可愛ければそれで良いんです。ラブリーエンジェルのどっち」

和「…うぅぅ…これならまだ普通の呼び方の方が遥かに良かった…」

漫「じゃあ、そうしよっか」ケロッ

和「え?」

小蒔「はい。じゃあ、原村さんはこれから和ちゃんですね」

和「…あの…もしかして…二人で騙しました?」

漫「騙したなんて人聞きが悪いなぁ」

小蒔「そうですよ。私はちゃんと本気でしたよ!」

漫「えっ…」

小蒔「えっ」

漫「…本気?」

小蒔「はい。…え?ダメですか?ラブリーエンジェルのどっち」

小蒔「ラブリーでエンジェルでのどっちですよ?可愛くて良いじゃないですか」

漫「あの…和ちゃん…?」

和「大丈夫です、神代さんはこれが平常運転ですから」トオイメ

小蒔「えー…そんなにダメですかね…?」クビカシゲ


小蒔「って言うか、和ちゃんも私達の事ちゃんと呼んでくれなきゃダメじゃないですか」

漫「これはお仕置きやろなぁ」

和「お仕置きってなんですか…まったく」

和「と言うか、さっきの年下理論で言えば私だけ苗字呼びでも別に…」

漫「よーし。小蒔ちゃん、もっと可愛いアダ名考えようか!」

小蒔「え?良いんですか?じゃあ、私、さっきはくどくなるからって黙ってたんですけどもっと良い名前が…」

和「すみませんお願いですやめてください」

漫「じゃあ、ほら、勇気を出して…な?」

和「う…ぅ…その…漫…さん」カァ

漫「うん」

和「小蒔…さん」

小蒔「えへへ…はいっ!」

和「はぅ…」カァァ

漫「まったく…名前呼ぶだけで緊張し過ぎやで」

和「う…だ、だって…断られたらって思うと…」

漫「和ちゃんみたいな美人さんに呼び捨てにされて嫌な気分になる子なんて殆どおらんって」

小蒔「それに私の場合、もう和ちゃんとの付き合いも長いですしね」

小蒔「本当は…ずっと別の名前で呼ぶ機会を待っていたりして…」テレテレ

和「小蒔さん…」

小蒔「だから、アダ名で呼んじゃダメですか?」

和「ごめんなさい。それだけは勘弁して下さい」

小蒔「えー…」



和「ま、まぁ…騒いでないでそろそろ本格的に寝ましょうか」

漫「そうやねー。…でも、寝る位置はどうするん?」

小蒔「寝られそうなスペースが京太郎様の右と左にしかないみたいなんですけれど…」

和「…一人は上に覆い被さるとかどうですか?」

漫「…これの上で?」

京太郎の京ちゃん「」ピーン

和「…えぇ」

漫「絶対に眠れへんと思う…」

小蒔「途中でオチンポ欲しくなっちゃって昏睡レイプ始めちゃいそうです…」

和「じゃあ、とりあえず漫さんは上はなしですね」

漫「え、えぇっ!?な、なんでなん!?」

和「明日は京太郎君とデートをするんでしょう?あまり体力を無駄遣いする訳にはいかないでしょうし」

小蒔「それに上に乗っちゃったら絶対に途中で起きちゃいますよ」

漫「いや…二人がオチンポ咥え込んどる姿を横で見てるのも辛そうなんやけれど」

和「……大丈夫。そんな事しませんよ」

漫「今、なんか凄い反応が遅かったんやけど…」

小蒔「えへへ…起こしちゃったらごめんなさいっ♥」

漫「こっちはこっちで最初っからするつもりやしもーっ!」


漫「仕方ない…じゃあ、うちはとりあえず右で」ヨイショ

和「…じゃあ、私は左で」モゾモゾ

小蒔「良いんですか?」

和「…正直、後始末なんかでもうクタクタなので早く寝たいんです」

和「でも、京太郎君に覆い被さるとそのまま発情しちゃうのが目に見えているので…」

小蒔「えへ…♥じゃあ、小蒔いっきまーす」タプン

小蒔「はぁ…ぁ♪京太郎様がいぃっぱぁい…♥」ウットリ

和「…」

漫「今、ちょっと失敗したなって思わへんかった?」

和「お、思ってませんよ!?」

漫「本当に?」

和「ち、ちょっとは思ったかも…しれないです…けど…」モジモジ

小蒔「えへへ…京太郎様のお肉布団するの暖かくて幸せ…ぇ…♥」

和「すみません。やっぱり代わってもらって良いですか?」

小蒔「だ、ダメですよ!ここは私に譲ってくれたじゃないですかぁ」

和「ち、ちょっとだけ!ちょっとだけで良いですから!」

小蒔「だーめ―でーすー!!」

漫「はいはい。遊んでないでそろそろ電気消すでー」


漫「…」

小蒔「はぅぅ…♪」

和「…」

小蒔「…んっちゅ…ぅ♪」

漫「…」

小蒔「れろぉ…♪」ピチャ

和「…」

小蒔「ふきゅうぅ…」クチュクチュ

漫「あの…小蒔ちゃん?」

小蒔「ふぇ…な、何ですか?」

漫「も、もうちょっと静かに出来ひん?」

小蒔「あ…ご、ごめんなさい…」シュン

漫「いや…うん。こっちこそ我儘でごめんな」

小蒔「いえ…次からが出来るだけ音を抑えるようにしますね…♥」

漫「いや、だから、なんでスるの前提なん!?」

小蒔「だって…私の下に京太郎様の身体があって…その上、オチンポが硬いままなんですよ…っ♪」

小蒔「婚約者として鎮めてあげなきゃダメじゃないですか…ぁ♥」

漫「いや、その気持ちは分かるけど、それはあかんって…」

小蒔「はぅ…ぅ♪でも…こんなに硬いの押し付けられたら…私、我慢なんて無理ですよぉ…♥」

漫「あー…本当に厄介なんやからぁ…」

漫「和ちゃんからも何か言うてぇな」

和「…え?」イソイソ

漫「って、何、乳首舐めようとしとるん!?」

和「だ、だって…ほら…こんなにぷっくり膨らんで美味しそうですし…♪」

漫「いや、その気持ちも良ぅ分かるで。分かるけど、今はそれどころじゃ…」

小蒔「ちゅぅ…っ♪」

漫「って人の話を聞いてーっ!」


和「…もう諦めましょうよ。結局、私達は京太郎君には逆らえない訳ですし」

漫「いや…そうやろうけど…でも…」

小蒔「ほら、漫ちゃんの分、残してますよぉ…♪」

漫「あー…ぅー…」

漫「し、仕方ないなぁ…そ、そこまで言うなら…うちも参加せえへん訳にはいかへんし?」イソイソ

漫「これも全部、京君の性欲処理の為に…仕方なくやね…」

小蒔「えへへ…♪まぁ…まだまだ萎える気配はないんですけれどね…♥」

漫「後、何回、射精して貰えれば収まるんやろ…」

和「いえ、そもそも、これ収まるんでしょうか…」

漫「ま、まぁ…うちらが頑張ればきっと何とかなるんちゃう?」

小蒔「私達は皆、京太郎様の弱いところを知っている訳ですしね」

漫「三人がかりで掛かればいかな京君と言えど一溜りもあらへんはずや…!」グッ

小蒔「今までだって一杯、射精していた訳ですし、きっと一時間も経たない内に何とかなりますっ」

漫「それが終わったら皆でぐっすり熟睡して明日に備える…完璧なスケジュールやな」ドヤァ

和「(あれ…?何かどんどん私達にとって形勢不利になって来ているような…気のせいですよね…?)」



小蒔「んひぃぃっ♪にゃんれぇっ♥♥にゃんで小さくならにゃいんですかぁぁ♥♥」

漫「大っきひぃっ♥♥おっきいのがゴリゴリ子宮こしゅるぅぅ♪♪じぇんじぇん萎えない硬いのがぁぁ♥♥」

和「あぁ…ぁっ♪♪嘘…ぉぉっ♥♥もう十回は射精してるのにぃっ♪♪にゃんでまだ出来るのぉっ♥♥」

小蒔「京太郎様の精力過ごすぎ…ぃぃっ♪♪私…もうだめ…ぇっ♥♥意識飛ぶ…ぅぅっ♥♥飛んじゃいまふゅうぅ…ぅ♪♪♪」

漫「なん…でぇっ♪♪三人でも…にゃんで負けるのぉぉっ♥♥射精してるはずにゃのにぃっ♪♪こっちが気持ち良すぎて…もたにゃいぃぃいっ♥♥」

和「らめぇ…ぇ♥♥無理らったんれすぅ…♪♪奴隷の和たちじゃ無理ぃぃっ♥♥例え寝てても…ご主人様のオチンポ勝てない…ぃぃ♥♥♥」





………



……




―― その日、目覚めた俺の意識が最初に感じたのは泥のようにねばついた倦怠感だった。

まるで眠気を視覚化したような暗い闇。
それは俺の意識を包み、そこから逃すまいと閉じ込めていた。
覚醒した意識を再び奥へ奥へと引きずり込もうとする感覚に、俺の意識は屈しそうになる。
だが、その瞬間、意識へと伝わってくる柔らかな感触が、それを引き止めさせた。

京太郎「(なんだ…?このふにふにって柔らかくて…温かいの…)」

まるでつきたてのおもちのような柔らかくも暖かな感触。
それがほぼ全身から押し寄せてくるのを感じて、俺の意識は覚醒へと向かう。
それは勿論、その独特の感触に俺の身体が興奮していたからだろう。
一体、何なのか分からないが、それは眠気で鈍っているはずのオスの本能を刺激して止まないものだったのだ。

京太郎「ぅ…」

それを確かめようと目を見開いた俺の頭は未だクラクラとしていた。
幾らか意識が覚醒したと言っても、眠気と倦怠感は身体の中に残っているのである。
その所為で鈍った思考では、ぼやけた視界からろくに情報を得る事が出来ない。
数秒後、自分が見ているのは自分の部屋の天井である事を理解した俺は、ゆっくりとその視線を周囲へと動かしていく。


京太郎「…あー…」

瞬間、俺の目に入ってきたのは、小蒔の顔だった。
俺の上に抱きつくようにして寝息を立てるその顔はとても安らかである。
いっそ庇護欲を擽られるほどに安心しきったその顔に思わず手が伸びようとした。
だが、その手が動く事はなく、何か柔らかいものに遮られてしまう。
今度はそれを確認しようと視線を右へと動かせば、そこには俺の腕を抱いた和の寝顔があった。

京太郎「……え?」

俺の毒牙に掛かり、その能力の犠牲者となった二人の姿。
そんな二人の寝顔に俺が冷や汗を浮かべるのは、状況がまるで理解出来なかったからだ。
二人が同じベッドで ―― しかも、俺と同衾する形で寝ているだなんて一体、何が起こったのか。
目の前の状況に驚きを禁じ得ない俺は急いで記憶を掘り返し、状況の確認に努めた。

京太郎「(あぁ…そう言えば…)」

そこで俺の脳裏に浮かんできたのは昨夜の出来事だった。
漫さんが長野に突然やってきたのを好機として、俺は二人に本心を話したのである。
三人とも自分のモノにしたいというそれは、勿論、俺だって最低なものだと分かっていた。
実際、和や小蒔には一度は拒絶されるどころか泣かせてしまったのだから。
しかし、それでも漫さんのフォローのお陰で、俺は三人に強引ではあるものの合意を取り付けることに成功したのだ。


京太郎「(まぁ…実際、反則ではあるんだけれどさ…)」

最後まで抵抗をし続けた和は、気丈な反面、とても寂しがり屋であるのだ。
普段はしっかりしているし、俺の世話も献身的にしてくれるが、二人っきりの時は彼女の方から甘えてくれる事は多々ある。
そんな彼女の前で他の二人とだけセックスして我慢など出来るはずがない。
例え、能力の影響などなくっても、彼女がなりふり構わず俺を求めてくれる事くらい分かっていた。

京太郎「(今更ながら…ひでぇ男だなぁ…俺)」

そもそも、三人をオカルト染みた力の毒牙に掛けただけでも、本来は許されるものじゃない。
しかし、俺は責任を取ろうとしている内に、三人共にのめり込み、こうして独占しようとした。
それだけでも後ろから刺されるに足る事であるのに、俺は和や小蒔の弱みにつけ込み、泣かせてしまったのである。
自分の目的の為に道具のように扱い、大事な人達を傷つけるそれは小蒔の親父さんと大差ない…いや、大義名分がない以上、さらに酷いものだろう。

京太郎「(頑張らないと…なぁ…)」

だけど、俺はずっとそのままでいるつもりはない。
確かに俺は三人ともを傷つけてしまったのは事実だ。
正直に言えば、そんな俺が皆に相応しいはずなどないと分かっている。
しかし、だからと言って、俺は彼女たちを幸せにする努力を怠るつもりはない。
自分がやってしまったことの責任と、そして償いをする為に、俺は人並み以上に頑張らなければいけないのだ。


京太郎「(その為にも…今は…)」

勿論、俺がすべき事は山ほどある。
三人を養えるだけの甲斐性を身につける事もそうだし、三人を満足させられるだけの体力づくりも平行して行わなければいけない。
だが、今はまず俺の周りにいる彼女たちが起きた時の為にも朝食の一つでも作ってやろう。
そう思って動かそうとした左手もまた何か柔らかいものに遮られてしまった。

京太郎「(やっぱこっちは漫さんか…)」

それに視界を反転させた俺の目に、和らいだ先輩の顔が目に入る。
その口からすうすうと定期的な寝息を漏らす彼女にも俺は沢山、辛い想いをさせていた。
一人だけ大阪という不利な条件に、どれだけ漫さんが傷つき、悩んでいたか、俺には分からない。
しかし、それでも最後まで俺の為に背を押し続けてくれた彼女の安らかな寝顔に、少しだけ俺の心は救われた。

漫「ふにゅぅ…♪京君のオチンポ…しゅごすぎる…ぅぅ♥」
京太郎「(一体、どんな夢を見てるんだろ…)」

瞬間、聞こえてきた声に俺はクスリと笑みを浮かべた。
夢の中まで俺とセックスしているような彼女の寝言は男として誇らしい。
それだけ俺の事を求めてくれていると思えば、愛しささえ沸き上がってくるくらいだ。
しかし、そんな漫さんを撫でようにも俺の腕は動かない。


京太郎「(…どうやって動けば良いんだ…これ…)」

まるで俺をベッドの上に拘束するように上と左右を囲んだ美少女たちの姿。
しかも、彼女たちは一糸纏わぬ裸のままで、その魅力的な肢体を押し付けているのである。
ぶっちゃけ、それだけでムスコが朝勃ちを超え、ガチガチに張り始めた。
そのまま上で眠る小蒔の太ももにこすりつけ、射精したくなるのを、俺の理性は必死で留めた。

京太郎「(起こすのは可哀想だしなぁ…)」

そのままチラリと時計に目を向ければ、そこには昼過ぎと言っても良い時刻が表示されていた。
勿論、普段であれば、小蒔も和もとっくの昔に起床し、既に色々と予定をこなしている頃である。
だが、それでもこうして眠っているのは昨夜の交わりがそれだけ激しいものだったからだろう。
実際、三人の性欲を受け止めなければいけない俺は、途中で意識をふっ飛ばしてしまった。
勿論、セックスの後片付けをやってくれているであろう彼女たちが何時に眠ったのかは俺には分からず、俺がどうしても起こすのを躊躇してしまう。

京太郎「(とりあえず…右腕だけ動かして…)」
和「あぅ…ふ…♪ご主人様…ぁ♥もっと…ぉぉ♪♪」

まずは利き腕である右腕を自由にしよう。
そう思った俺が腕を動かした瞬間、和の腕がぎゅっと俺の手を抱きかかえた。
その豊満な胸の谷間に俺の腕を引きずり込むようなそれに、俺の吐息が自然と激しくなる。
柔らかな肉で閉じ込められるその感覚は健全な男子高校生にはあまりにも刺激的過ぎるのだ。
その感触だけでもオナニー出来そうなほどの魅力的な肉の檻に俺は抗う事が出来ないまま、背筋にゾクリとした興奮を走らせた。


京太郎「(し、仕方がない…それじゃ…今度は左手を…)」
漫「(はぅ…ぅ♪行ったら嫌…ぁ♥今はまだうちの番…ぅぅ♪」
京太郎「おおぅ…」

しかし、その企みもまた和の時と同じように一瞬で打ち砕かれてしまう。
俺の愛玩奴隷と同じく離れる腕に反応した漫さんは俺の腕をぎゅっと抱き寄せたのだ。
和のものよりも小ぶりではあるものの、より柔らかなその感触に俺の手はやはり逆らえない。
魅力的なその感覚に本能が鎖をつけられ、ベッドの上へと繋がれてしまうのだ。
結果、逃げ道を完全に塞がれた自分に俺は思わず肩を落とし、落胆の声を漏らす。

小蒔「んふ…ぅ♪ふあ…ぁ♪」
京太郎「ぅ…」

それだけであれば俺はまだ救われていた事だろう。
だが、両脇の美少女たちから与えられる感覚は、その肉の味を知った俺にとってとても魅力的なのである。
自然、肉棒は今すぐ彼女たちを貪りたいとピクピクと震え、自己主張を開始した。
それを太ももの間で受け止める小蒔の口から甘い声が漏れた瞬間、その身体が小さく身動ぎを始め、俺のムスコを可愛がり始める。

小蒔「はぁ…んん…ぅ♪」

俗に言う素股プレイの形でしごかれる俺のムスコ。
その周囲がクチュクチュという水音を鳴らすのは決して俺の先走りではない。
俺が起きた頃からそこはもうヌルヌルで、肉棒へと絡みついてきていたのである。
恐らく愛液であろうそれを潤滑油にしながらの愛撫に、俺の身体は昂ぶりを止める事が出来ない。


京太郎「(やば…いんだけど…な)」

このままずっと素股をされ続けたら、本格的に我慢出来なくなってしまう。
しかし、そうと分かっていても、俺の身体は肉の檻から逃げ出す事が出来ない。
クチュクチュと言う音と共に少しずつ閉じていく太ももからもまた。
そして、そんな俺のムスコをもっと感じたいと言わんばかりに小蒔の身体はゆっくりと下り、その秘唇に密着させる。

小蒔「は…ぁ…ぁ♪」
京太郎「あの…小蒔…?」

そのままクチュクチュと動く小蒔の口から快楽混じりの声が漏れ出た。
彼女もまた感じている事を知らせるそれに俺は思わずそう声をあげる。
しかし、小蒔の目は閉じたまま、俺の上でユサユサと腰を振るい続けた。
明らかに不自然なそれに俺は一つ笑みを浮かべながら、そっと口を開く。

京太郎「実は起きてるだろ」
小蒔「えへ…ぇ♪バレちゃいましたぁ…♥」

その瞬間、小蒔はそっと目を見開いて、俺の前で舌を出す。
おどけた可愛らしいその仕草に俺は怒る気も起こらず、そっと肩を落とした。
そもそも怒るつもりはなかったとは言え、小蒔の可愛らしさはこういう時に得だと思う。
そんな事を思いながら俺は潜めた声で彼女に返事を返す。


京太郎「そりゃ…動きが身動ぎってレベルじゃなかったしなぁ…」
小蒔「ふふ…♪でも…京太郎様のオチンポ魅力的過ぎて…我慢出来なかったんです…♥」

そう言いながらも小蒔はその腰を止める事はない。
寧ろ、タヌキ寝入りをしなくても良くなった分、その腰を激しく揺さぶり始めていた。
どうやら我慢出来ないというのは決して嘘でも冗談でもないらしい。
実際、その瞳はテラテラと欲情の光を讃え、頬には早くも紅潮の色が見て取れるようになっていた。
その唇を艷やかに光らせながらのそれに俺は自身の興奮が自制出来る領域を超えつつあるのを悟る。

京太郎「とりあえず…起こしてごめんな」
小蒔「良いんですよぉ…♥京太郎様の朝勃ちで勝手に起きちゃった私が悪いんですから…♪」

それでも謝罪する俺の言葉に小蒔は蕩けた笑みを返してくれた。
しかし、それに胸が痛むのは、小蒔が起きてしまったのは俺の朝勃ちが原因だからである。
生理現象故にどうしようもないとは言え、それだけ小蒔が貪欲になったのは間違いなく俺の能力の所為だ。
だが、それを謝ったところで彼女は困るだけであり、俺の自己満足にしかならない。
そう思った俺は思考を切り替え、一つの疑問を口にした。

京太郎「ただ…どうして寝たふりをしながら素股なんて始めたんだ?
小蒔「だって…その方が興奮するじゃないですか…ぁ♪」

俺の疑問に帰ってきたその答えは、何とも単純で明快なものだった。
確かに気配を殺しながらのそれはスリル溢れるものになるだろう。
実際、こうして声を潜める俺だって、それに少なからず興奮を覚えているのは事実だ。
しかし、幾らなんでもそれは単純過ぎやしないだろうか。
そう思う俺の前で小蒔はそっと俺の胸を擽り、胸板にキスを落とした。


小蒔「ちゅぅ…♪周りに二人がいるのにセックスするなんて…とってもエッチで堪らないです…♥」
京太郎「小蒔…」

甘えるような仕草と共に紡がれた小蒔の言葉。
それにもう彼女が後戻り出来ない領域まで淫乱になっている事がありありと伝わってくる。
昨夜、再び能力を受けた所為か、小蒔はもう今まで超えなかったラインを容易く踏み越え、俺に溺れ始めていた。
それに微かに胸を傷ませながらも強い興奮を覚えてしまうのは、そんな彼女がとても淫らで美しいからだろう。
童顔気味なその顔をいやらしく歪めながら、嬉しそうに淫らな言葉を口にする小蒔に、俺は興奮を抑える事が出来ない。

小蒔「ね…♪もう挿入れて良いですか…♥声…出しませんからぁ…♪秘密の…エッチ…しても良いですか…ぁ♥」
京太郎「ぅ…あ…」

そう言いながら、小蒔の腰はグルンと大きく動き始める。
俺のムスコを太ももで締め付けながら、フリフリと尻肉を揺らすそれはさっきよりも遥かに気持ち良い。
自分が気持ち良くなる為ではなく、俺を気持ち良くする為のそれに、ついつい声を漏らしてしまった。
それに小蒔がその笑みを誇らしげなものにしながらも、からかう事はない。
ただ、俺に対してオネダリを続けながら、その腰を淫らに揺らし続けるのである。

小蒔「京太郎様も…このままじゃ辛いですよね…♥私ならオッケーですから…っ♪二人だけの内緒のセックスで…性欲処理…しましょぉ…♥」
京太郎「仕方ない…な」

このまま小蒔を拒み続けていても、何れ俺は彼女に挿入れたいと思う事だろう。
何より、小蒔は焦らせば焦らすほど身体を昂らせ、声をあげてしまうタイプなのだ。
これ以上、二人を起こさない為にも、出来るだけ早く彼女を受け入れた方がバレるリスクは少ない。
そんな言い訳を心の中で並べ立てながら、俺はそっと頷いた。


小蒔「えへへ…♥それじゃ挿入れますね…♪京太郎様のオチンポ…私の膣内…に…ぃ♪」

そんな俺に蕩けた笑みを浮かべながら、小蒔の手はそっと俺のムスコを摘んだ。
そのまま自分の粘膜を開き、位置を合わせる小蒔に俺は何も出来ない。
その両手は使えないし、また腰も小蒔が馬乗りになっているお陰で殆ど位置を動かせない。
精々がズラす程度の可動域しかない俺が下手に手伝おうとしても邪魔になるだけだろう。

小蒔「ひぅ…ぅぅぅっ♥♥」

何より、小蒔はもうそうやって自分で挿入するのに慣れ始めている。
そう思った頃には小蒔の口から抑えきれない声が漏れ、その身体をブルリと震わせた。
瞬間、熱い粘膜に亀頭が包まれたのを感じる辺り、小蒔はもう俺の肉棒を受け入れる事に成功したのだろう。
そこにはもう俺が手伝わなければ無理だと思うほど手間取っていた彼女の姿はなく、騎乗位にも慣れたメスの顔だけがあった。

小蒔「えへ…♥挿入れただけで…もうイッちゃいましたぁ…ぁ♪」

その唇をフルフルと震わせながら、小蒔が俺の耳元でそう囁く。
勿論、挿入れたと言っても、俺の亀頭がまだ半分程度飲み込まれただけで、まだまだ先は残っている。
それなのにイッてしまうだなんて、俺の能力の所為でおかしいくらいに敏感になっていた小蒔でも滅多にない。
今までの経験から泣き叫ぶまで焦らさなければ、そこまで快楽に対して貪欲になる事はなかったのだ。


京太郎「大丈夫か?」
小蒔「ダイジョブじゃない…かもです…♪だから…あの…キスして貰って…良いですか…♥声が出ないように私とちゅっちゅってラブラブなキス…ぅ♪♪」

そう漏らす小蒔の言葉にはもう理性めいたものがなかった。
心配する俺の耳元で興奮で蕩けた声をあげるその姿は可愛らしく、そして何より庇護欲を擽られる。
それについつい頷いてしまった瞬間、小蒔の唇が俺に襲いかかった。
そのまま起きたばかりの俺の口を舐めまわす彼女は、とても情熱的である。
最初から手加減なんてまったく考えていないと言うようにその舌は俺の口腔を舐めまわし、味わっていた。

小蒔「ひゃぅ…♪んふゅぅぅ…ぅ♥」

しかし、それでも声を漏らしながら、小蒔はゆっくりと俺のムスコを飲み込んでいく。
その度にブルブルと腰が震えているのは、細かくイッている証なのだろう。
亀頭を飲み込むだけでも、容易くイッてしまう彼女が、より深く肉棒を受け入れる感覚に達しないはずがないのだから。
けれど、そうやってイき続けるのにも慣れたのか、小蒔の腰は止まる事はなく、寧ろ少しずつエスカレートしていく。

小蒔「あふぁぁ…♪♪」

自然、俺達の結合部では体液同士が絡み合い、ズッチュズッチュと淫らな音を鳴らし始める。
その頃にはもう小蒔の腰はピストンを始め、俺の肉棒を滑らかに飲み込んでいた。
中腹から奥へと亀頭を前後させるそれは遠慮がなく、また気持ちの良いものである。
それは俺だけではなく小蒔もまた同じなのだろう。
その腰は休まずにプルプルと震え続けながらも、激しさを増していった。
しかし、そんな自身の抽送にイき続ける小蒔がずっと嬌声を我慢出来るはずがなく… ――



―― 結局、数分後、目覚めてしまった二人にも俺は襲われ、朝から精液を搾り取られたのだった。




















【System】
原村和の屈服刻印がLV5になりました。
上重漫の屈服刻印がLV5になりました。
神代小蒔の屈服刻印がLV5になりました。
三人は完全に須賀京太郎の虜になり、ハーレムを受け入れる事にしました。
おめでとうございます。

【最終ステータス】




     |   \ /ー/ ̄ ̄ ̄`¬: : : : : : : : : : :\

    r'   ー--イ  ト‐‐‐、   /: : /: : : : : : : : : \
    |     ,,,,ト-∧_     /:/: : : : : : : : : : : : : :\
    ト-┬‐‐'' / T\     「/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ゙、

     /     |  \    | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、
    ∠__    /    ヾ-イ: : : :/: : : :/|: : :i : : : : : : : : : ゙、
    Y : \  / ___    |: |: : : :/: : :/ / : /: : :| : : : : : i: i:゙、
    /: : : : : Y:::|_」:::::\_」:| : //: :/ ソ;,; /: : : / : : | : : :| :|: |
.   /: : : : : :/:/ :| : : :| : :| |: :/ | :/   /:/X; :/ /: :| : : :| :| :|
  /: : : : : :/: |:: :| : : : : : | ゙、/ .V _  '' /;;;;ノ  /: :/: : ::/:/: |
  /: : : : : :/ : |: : | : : :|: : |        ヾミ_〟   /: :/.: : :/レ レ'
.../: / : : : : :./:|: : : : : : | : |           イ  ̄/: :./

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: : : : :|: /     |: : : :゙; : : : : : : : : :゙,  | | し | .| |


■原村和(愛玩奴隷)のステータス
従順[*****]
欲望[*****]
技巧[***..]
M感覚[***..]
B感覚[****.]
C感覚[*****]
V感覚[*****]
A感覚[*....]
奉仕精神[****.]
露出癖[*****]
マゾっ気[****.]
サドっ気[,,,,,]
自慰中毒[***..]
精液中毒[****.]
屈服刻印[*****]

【恥じらい】【濡れやすい】【爆乳】【快感に素直】【C敏感】
【淫乱】【淫核】【淫壷】【恋慕】【初めての人】

           ,........::::::::::::::::::::......、

         ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、
       /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
   _.イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ

   `ー z::::::::::::::::>''´''´''⌒ヽ::::ミ、::::::::::::::::::::ハ
    /::::::::::::/        ヽ::',ヽ:::::::::::::::::::::l
   ィ/ :::/       .........._i::i ミ:::::::::::::::::::l

  /__::::〈 -=-、    '´  ̄  i::i ミ:::::::::::::γヽ
  ' ´  '⌒',  _ミ    ´ィ==.トl、ミ:::γ ヽ::..ノ≧:::....、
       iV f:::::ト   / .l_:i::::i::iヽ }:::ヽ._ノ:::::::::::::::::::::\
      .从 .r':j:l     .r'ー'lイノ レ⌒ヽ:i::::::\:::::::::::::/

      /::∧`ー-'       ̄,,l:l     j:l:::::::::::ト ::::::/
     i::::::::∧'' ′         リ    ノ:∧:::::::リ jハ/
     i从:::::::ヽ、  ..、     / .rー彳レ′  ̄
        ̄  .> .、  ,..:::≦'  l/レ′
             `´_}/ ./ ̄\

             / ノ  ./    / ヽ
         ,..-‐/ 入l /    /   \
        /   ー'  .l/  \ /      ヽ


■上重漫(恋人)のステータス
従順[*****]
欲望[*****]
技巧[****.]
M感覚[****.]
B感覚[***..]
C感覚[***..]
V感覚[****.]
A感覚[**...]
奉仕精神[*****]
露出癖[****.]
マゾっ気[***..]
サドっ気[**,,,]
自慰中毒[*****]
精液中毒[*****]
屈服刻印[*****]

【汚臭鈍感】【好色】【倒錯的】【巨乳】【回復早い】【V敏感】【鼓舞】
【淫乱】【淫壷】【恋慕】【お気に入り】

            . :::::::::::::::::::::::::::::::::::: .
          .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: .
        .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: .

       .:::::::::/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::.
       .::::::::::'..::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::. ヽ::::::::::::::.
      .::':::::::i::::::::::::::::〃.:::::::::::::::::: i:::::. l::::::::::::::::.

      .:::'::::::::|:::::::::::::i::|i :i:::::::::::::::::: }:l:::..l::: i::::::::::::
      |::l:::::::::l:::::i::::」|Ll::」L:::i::::::::::/」L:廴:}::::::::::::i
      |::l:::::::Λ::{T「}/ ヽ{ ‘.ハ::::::/  }/  }`:::::::::::|
      |:::::::::::rヘ:{  .ィ竿弐  |/ ィ竓ミx ':::::::::::|
      |:::::::::::l  `'. { ら-リ      .l::ーリ}}.'::::::::::: |
      |ト、::::::::: 、    ̄        `¨゚  ':::::::::/:/
       \{、::::`ヽ /i/i    '   /i/i':::::/}/

          >==>、    _ _    . イ/
     -= ニ::::::::::/ { ` .    . イ`'く::`ー=-_
   .ィ´:::::::::::_ イ {  ヾ 、`¨ァf´Y⌒T´\:::::::::-==-

  /::::::::-=     、  ヽ\ .//  |     \:::::::::::ミ、
. /:::::ィ´          、  \//   .l      \:::::::::::ヽ
// .ノ            \  ゙/   .l     /  \::::::::i
/  〈      、   -  \{   ./     { /  {ヽ::::|
 r--}、     ゙y       }  ./      丶_厶 '.:::|
 Y  ノト-、   /        l  .l        `く} Λ|
  `Z__j`ー ニ7        l   l、          Y{ /
   | 、  .′       /  .ハ           l{ /
   }  \ l        / /            ll
   '   \、       / /  ,,         八
   ノ   _ヾ、    /./  / 、        ィ .{
  〈  /   子`'' < ∠ イ'" ̄≧=---- 彡=ニ≧=-

■神代小蒔(婚約者)のステータス
従順[*****]
欲望[*****]
技巧[****,]
M感覚[*****]
B感覚[*****]
C感覚[****.]
V感覚[*****]
A感覚[****.]
奉仕精神[*****]
露出癖[*...,]
マゾっ気[***..]
サドっ気[***.,]
自慰中毒[.....]
精液中毒[***..]
屈服刻印[*****]

【好奇心】【好色】【濡れやすい】【巨乳】【M敏感】【A敏感】
【淫乱】【蕩唇】【尻穴狂い】【恋慕】【お気に入り】


―― 人生というのは数奇な巡り合わせの連続だと誰かが言った。

それを同意するのは、俺がまたその巡り合わせに翻弄されてきた側だからだろう。
元々、俺は多少、裕福なだけの家庭に生まれ育ち、ごくごく平凡に育ってきたのだから。
多少、中学2年生の頃の感覚を引きずってはいたものの、それも酷いものではなく、ただの許容範囲でしかない。
身体も貧相な訳ではないが特に鍛えてはおらず、勉強だってまったく出来ないって言うほどじゃない平凡な男。
高校一年生の秋までは俺はそんな男であった。

―― それが変わったのは、恐らくインターハイがキッカケだったんだろう。

好みの女性を追いかけて入った部活で、この世には確率では計り知れない異常な力がある事を俺は知った。
所謂、オカルトと呼ばれるそれが火花を散らし、ぶつかり合うところを俺は目撃したのである。
そして、俺もまたそんな能力が欲しいと、そんな風に戦ってみたいと、そう思った。
それは中学2年生の頃の特殊な自分に対する憧れを捨てきれなかったからなのかもしれないし、或いは、大舞台で闘う彼女たちがキラキラと輝く様が羨ましかったのかもしれない。
今の俺にはもう分かる由もないが…確かな事はただひとつ。
そんな俺の想いに答えてくれたのは、これまたお節介な縁結びの神様だったと言う事だろう。

―― お陰で俺の人生は大きく変わった。

『ある特定の特徴を持つ女性から和了ると発情させ、自分に依存させる能力』
俺が目覚めた能力を極簡潔に説明すれば、そうなってしまう。
勿論、そんなもの、最初から認められるはずもなく、俺は周りの協力を得て、試行錯誤を繰り返した。
だが、その結果、俺は三人もの犠牲者を出し、そして彼女たちの人生をねじ曲げてしまったのだ。


―― いや…それだけであればまだ幾らかマシだったんだろう。

俺の能力は、定期的に触れ合いを持たなければ、相手を発狂させかねない異常なものである。
お陰で俺は毒牙に掛けてしまった彼女たちと何度も肌を重ね合わせ、その疼きを満足させるしかなかった。
それだけならまだしも、そうやってセックスすればするほど彼女たちは俺に好意を抱き、そして何より魅力的になっていったのである。
結果、三人の誰とも離れがたくなった俺は最低な答えだと理解しながらも、彼女たち皆を自分のモノにするのを決めたのだ。

―― それから色んな事があった。

俗に牌に愛された子と呼ばれる雀士が複数集まった清澄高校。
その黄金期は陰りを見せる事もなく、三年連続インターハイ優勝を飾った。
その快進撃は並大抵のものではなく、麻雀雑誌の特集はほぼ清澄関係だと言う時期もあったくらいである。
お陰で一気に清澄は麻雀強豪校となり、県下から様々な雀士が集まるようになった。
今でも清澄は部員20以上を抱える強豪校として、風越としのぎを削り合っているらしい。

―― まぁ、男子麻雀部は結局、最後までパッとしなかった訳だが。

部員の急増に伴い、女子と男子で別れた麻雀部。
しかし、男子の方には殆ど入部希望者は現れず、団体戦に出られるのがやっとという有り様だった。
それでもそこそこ頑張ったが、やはり、県大会の壁は厚い。
三年の時、一度だけインターハイに出られた事もあるが、結局、一回戦で負けてしまうという散々なものだった。


―― それも今では良い思い出だけどな。

その後、俺は大学の法学部へと進んだ。
それは神代家での出来事が、俺の中で大きな影響を与えたからなのだろう。
護るだの幸せにするだの言っておきながら、あの時の俺は法という大きな障害の前で何も出来なかった。
存在こそ知っているものの良く理解していない論理を振りかざされ、歯噛みするだけの子どもでしかなかったのである。
あの時、霞さんたちが援護してくれなければ、俺は小蒔を奪われていたかもしれない。
そう思った俺はその進路を法学部へと向け、もう勉強を始めた訳だ。

―― そして…意外と法律関係は俺に合っていたらしい。

自分でも明らかに不適正だと思ってはいたが、在学中に特に困る事はなく、順調に卒業やインターンシップに進む事が出来た。
勿論、それは俺の事を気に入ってくれた和の親父さんが色々とバックアップしてくれたお陰でもあるのだろう。
厳しいながらも良き教師として俺の質問や勉強に付き合ってくれた親父さんは今でも俺の師匠だ。
こうして独立し、事務所を構えるようになった今でも、和の親父さんには頭があがらない。

―― まぁ…色々とあったからな。

そうやって俺に良くしてくれたのも俺が和の恋人であると思ってくれていたからだ。
しかし、それは正しくはあるものの、現実からはズレている思い込みである。
俺の恋人は和だけではなく、他に漫や小蒔という二人の恋人がいるのだから。
それを知った時には烈火の如く怒られ、文字通り半殺しの目にあった。
とは言え、正直、殺されないだけマシと思うのは、それだけ俺が最低な事をしているからだろう。
親として、そしてそれなりに俺に目を掛けてくれていた師として、親父さんが切れるのも当然だ。


―― それに今でも和経由で付き合いがない訳じゃないし…。

勿論、事実を知った親父さんは今でも俺の事を蛇蝎の如く嫌ってはいる。
今でも和に対して、「そんなクズはとっとと見捨てて戻って来い」と言って来ているらしい。
しかし、俺をかばって家出同然に飛び出し、未だ戻ってこない娘の事がやはりどうしても心配なのだろう。
独立した俺が安定して仕事を受けられるようになるまでは親父さんの事務所から和経由で少なくない量の仕事を回してもらっていた。
信頼に対して最低の裏切りで返した俺を助けるそれに俺がどれだけ感謝した事か。

―― お陰で今は大分、楽になった。

弁護士の仕事というのは一般的に思われているよりも遥かに忙しい。
一つの裁判を終わらせるまでに集めなければいけない資料は山のようにある。
正直、手間を費用が釣り合っていないと思う事は少なからずあった。
だが、それでも俺はようやく彼女たちを働かさせなくても養っていけるだけの甲斐性を手に入れたのである。

―― ここまで来るのにどれだけかかったんだろうなぁ…。

何処か自嘲気味に浮かべるその言葉が、俺はどれだけ贅沢なものか自覚していた。
未だ事務所すら構えられていない同期たちが殆どである中で、独立して右肩上がりの業績は上々と言っても良い結果だろう。
色んな人の手助けがあってようやく勝ち取る事が出来たそれに、同期たちが羨んでいるのは確かだ。
けれど、ここに来るまでずっと待たせ続けていた彼女たちの姿を思えば、どうしても申し訳なさに胸が疼く。


京太郎「ただいま」
漫「おっかえりー」

その感情を忘れるように、俺はそっと自宅の扉を開いた。
リフォーム代込みで両親から受け継いだそこには俺の大事な恋人である漫が待ってくれていた。
恐らく車を車庫に入れる音で、俺の帰宅に気づいたのだろう。
わざわざリビングからパタパタと迎えに来てくれる彼女に、俺はそっと笑みを浮かべた。
そのまま手を差し伸べる漫に俺は自分のカバンを手渡し、自宅へと足を踏み入れる。

京太郎「今日はなんだっけ?」
漫「ふふ♪秘密♥でも、ご馳走やで~♪」

そう自慢気に言う漫は高校の時から若々しさがまったく変わっていない。
あの日…リベンジを掲げ、清澄とぶつかったインターハイ決勝戦で敗北し…泣きじゃくっていた彼女のままだ。
とは言え、その能力が当時のままかと言えば、大違いである。
その頃は、俺達の中で最も家事を不得手としていた彼女だが、今や彼女は家で一番の家事上手であり、マルチプレイヤーだ。
独立した俺のところで朝から電話の受付や書類整理の仕事をし、夕方になったら料理を作る為に帰り、全員分の食事を作る彼女の存在は本当に有難い。
その上、小蒔や和の仕事まで積極的に手伝ってくれるのだから、彼女がいなければこの家は成り立たないと言っても良いくらいだろう。

漫「今日は特別な日やからね…♪」
京太郎「あぁ、そうだな」

そう言ってリビングへと足を踏み入れた漫の瞳は瞳は濡れていた。
早くも欲情を浮かべるそれに俺はそっと肩に手を回す。
そのまま抱き寄せてやれば、漫は甘い吐息を漏らした。
まるで俺を誘惑するようなそれに今すぐ押し倒したくなるが、それは出来ない。
そうやって抜け駆けするのは家庭内協定で禁止されているし、何より今日は本当に『特別』なのだから。


漫「そんなんされたら…うち我慢出来ひんようになるよ…ぉ♥」
京太郎「もうちょっとの我慢だ。後少しで小蒔も和も帰ってくるだろうしな」
漫「はぅん…♪」

それでもそうやってオネダリするような言葉を漏らしてしまうのは、漫がもう何度も俺の能力を受けているからだろう。
どうやら二回目の時に味を占めたらしく、俺は全員の休みが重なった時には麻雀を求められる事が多くなった。
俺自身そうやって乱れる彼女たちが可愛くて仕方がないので拒む事が出来ず…結果として漫たちの調教はさらに進む事になったのである。
今では俺がほんの少し触れるだけで、強く発情するようになっていた。

京太郎「普段は立派なオフィスレディなのに、俺に触れられただけで発情する変態なんだもんな」
漫「いや…ぁ♥言わんといてぇ…♥」

それを耳元で囁けば、漫の背筋がブルリと震える。
否応なく彼女の被虐敵興奮を伝えるそれについつい嗜虐心も疼いてしまった。
流石に押し倒したりする訳にはいかないが、少しくらい味見をしてもいいかもしれない。
そう思った俺の手がスルスルと漫の背中を撫で降りて、その美味しそうなお尻を鷲掴みに… ――

小蒔「ただいまですーっ!」
京太郎「あー…」

瞬間、玄関から聞こえてきた声に俺は思わず声をあげた。
それが少しばかり残念そうなものになったのは、幾ら何でも小蒔の前で漫に悪戯する訳にはいかないからだろう。
そんな事をすれば小蒔もまた俺の愛撫を求めるし、今度はそれを見て漫も俺にもっともっととオネダリを始めるのは目に見えているのだ。
結果、なし崩し的にセックスへと向かってしまうところまで容易く想像出来る以上、悪戯は自制しないといけない。


小蒔「京太郎様ぁっ♥」
京太郎「うわっ!」

そう思った瞬間、リビングに飛び込んできた小蒔が俺の胸へとダイブする。
まるで子犬のように遠慮を知らないそれに俺の身体がたたらを踏んだ。
それでも何とか踏みとどまりながら、俺はそっと小蒔の背中に手を伸ばす。
そのままゆっくりと背中を撫でてやれば、小蒔は落ち着いたように声をあげ、その身体をゆっくりと弛緩させた。

京太郎「おかえり」
小蒔「はぅ…♪」
漫「む~…」

俺の短い言葉に小蒔は満足そうな声をあげた。
それと同時に漫が不満気な声をあげるのは、二人っきりの時間を邪魔されたからだろう。
こうして長野の家で四人一緒に暮らすようになってもう長い事経つが、お互いに対する嫉妬や対抗心は未だ消えていない。
いや、寧ろ、最初とは比べ物にならないくらい仲良くなってきた彼女たちは、それを遠慮無く表に出すようになった。
とは言え、それらは決して喧嘩などに結びつく事はなく、精々が可愛らしい俺の奪い合いなどで済んでいる。

漫「ちょっと小蒔ちゃんくっつき過ぎちゃう?」
小蒔「だって…最近、ずっと外回りだったんですもん…ぅ♪」

漫のジト目に小蒔がそう言うのは、彼女がプロ雀士として引っ張りだこだからだろう。
高校卒業後、そのままプロの事業団へと入った彼女は、今や日本のトッププロの一人だ。
役満を連発するその豪快な打ち筋からは考えられないくらい、可愛らしい容姿をしている事も無関係ではないのだろう。
ネットでは彼女のファンクラブも出来上がり、さながらアイドルのような扱いを受けていた。
そんな小蒔は解説や撮影などで忙しく、長野県外に出る事も珍しい事ではない。


京太郎「(まぁ、流石に海外出張までは霞さんが弾いてくれているみたいだけれど)」

所謂、大和撫子的な容姿をし、正装として巫女服を纏う小蒔は海外でも受けが良い。
実際、小蒔の元には海外の大会に出場しないかという話も結構あるそうだ。
しかし、日帰りでどうにかなる範囲ならばともかく、海外ともなると小蒔はどうしても行きたがらない。
そして、彼女のマネージャーになった霞さんはどうしても小蒔に甘く、何だかんだ言いながらも小蒔の意思を優先するのだ。
お陰で、小蒔は日本のトッププロでありながら国際的な対抗戦や大会には縁がなく、国際ランクはぱっとしないものになっていた。

京太郎「(それが俺の所為だってのは分かってるんだけどなぁ…)」

そうやってプロとして働く彼女の年収は俺と同等かそれ以上にある。
そんな小蒔に働かなくても良いから自分の側にいて欲しいと言われた回数は決してゼロじゃない。
実際、そうやって俺が付き人として小蒔についてやれば、彼女は気軽に海外に出れるし国際ランクも跳ね上がるだろう。
結果、仕事もさらに増え、贅沢は出来ないながらも余裕のある生活が送れるようになるのは分かっていた。
だが、それに色良い返事を返してやれないのは、彼女がずっとその年収を維持できるか不安だからではない。
それ以上に俺にとって重要だったのは、自身の下らないプライドだったのである。

漫「だからってそうやってくっついとったら我慢出来ひんようになるやろ?」
小蒔「ぅ~…確かにそう…ですけど…」
漫「だったら、早く京君から離れて。代わりにお茶の一つでも淹れてあげようや」
小蒔「はーい…」

俺の気持ちを理解し、プロとして頑張りながら毎日、自宅に帰ってきてくれる小蒔。
そんな彼女に言い聞かせる漫の口調は、まるで母親か何かのようだった。
こうして一緒に過ごしている内に漫も小蒔の扱い方に慣れてきたのだろう。
…しかし、その背中に霞さんの影のようなものが見えるのは気のせいなの、はたまた何かしらの関係があるのか。
そう思いながら、小蒔の背中を手放した俺に、彼女は綻ぶような笑みを浮かべ、ぐっとガッツポーズをしてみせた。


小蒔「美味しいお茶を淹れてみせますから…京太郎様は座ってゆっくりしてて下さいね…っ♪」
京太郎「あぁ、期待してる」

そう言ってトテトテとキッチンへと走って行く小蒔は、高校時代から大分、髪が伸びた。
サラサラとした黒髪をロングにしたその姿は、童顔気味な印象を打ち消して、大人っぽく見せている。
しかし、その中身が高校の頃からあまり変わっていないのは、彼女の見せる素直な笑顔が何より如実に語っていた。
社会に出て色々と疲れる事もあるのか、俺に対して愚痴ったり相談する事も少なからずあるが、それでも彼女の純真さは未だ色褪せるものじゃない。
それを感じさせてくれる彼女に俺もまた笑みを漏らしながら、そっとリビングの椅子へと腰を下ろした。

漫「肩でも揉んであげようか?」
京太郎「はは。大丈夫だって」

瞬間、俺の側に近寄ってきてくれた漫に俺は笑いながらそう返した。
確かに身体は少なからず疲労を覚えているものの、それはマッサージして貰うほどの事じゃない。
その気になれば今から日課のジョギングだって出来そうなくらいなのだから。
最早、若いとは口が裂けても言えない年頃になったとは言え、肉体的な衰えは一切感じず、身体は活力に溢れている。
それが俺の血筋に目をかけてくれている神様のお陰なのかは霊的感覚の薄い俺には全く分からない。
しかし、そうやって俺が元気であり続けられているのは、日頃から皆の体調を気遣って、料理してくれる彼女の助力がとても大きい事くらい俺にだって分かっていた。

京太郎「それに…俺達は色々な意味でこれからだろ?」

ここまで来るのに色んな事があった。
トラブルの数は数え切れないくらいあったし、周囲の冷たい視線に晒されたのも一度や二度ではない。
けれど、俺達はそれらを乗り越え、絆を深めながらここまで来れた。
そしてまた、俺達はその絆をさらに強固にする為に今日、一歩踏み出そうとしているのだ。


漫「うん…♥そうやね…♪」

それを再確認する俺に漫はその笑みを蕩けさせ、嬉しそうに頷いた。
さっきの気遣うような表情をすぐさま投げ捨てるその変わり身の速さは流石と言うべきか。
三人の中でも色濃く羞恥プレイを受けてきた彼女は、自身を取り繕う術に長けているのだ。
そうやって俺を気遣ってくれていた時でさえ、漫の身体は発情し、俺を求めていたのだろう。
そんな自分とふと漏らすように顕にする彼女に、俺はそっと手を伸ばし、頬を優しく撫でてやった。

小蒔「むぅ…二人だけでラブラブなんてズルいです…」

そんな俺達を横目で見ながら、小蒔はキッチンで一人頬を膨らませた。
三人の中で最もスキンシップのしづらい仕事に就いている彼女にとって、それは不公平にも映る光景なのだろう。
子どもっぽいその仕草には本気で拗ねるような色が浮かび、漫に向ける嫉妬の感情を隠さない。
けれど、そんな仕草でさえ妙に似合っているように思えるのは、小蒔の顔は未だ幼さを残しているからだろう。
多少、雰囲気が大人っぽくなったとは言え、小蒔の顔は高校時代から変わってはおらず、童顔なままなのだ。

京太郎「お茶淹れてくれたら今度は小蒔の番な」
小蒔「本当ですかっ!?えへへ…♪嬉しいです…♪」
漫「えー…」

その顔を俺の言葉一つで喜色一杯なものに変えながら、小蒔はそっと沸かしたお湯をティーポットの中へと注ぎこむ。
そのままじっと茶葉を蒸らす白亜のティーポッドを真剣そうな眼差しで見つめるのは、それだけ俺に美味しいお茶を渡そうとしてくれているからだろう。
そんな彼女に笑みを浮かべた瞬間、目の前の漫がその顔に浮かべた不満気な色を強くした。
その瞳に拗ねるような色を浮かべてじっと見つめる彼女の頬に、俺は小蒔に見えないようにそっとキスを落とす。


和「ただいま戻りました」
小蒔「あ、ほら!和ちゃんが帰ってきましたよ!お出迎えしないと!」
漫「えー…でも、うち、今、京君に撫でられとるしぃ…♥」

瞬間、聞こえてきた和の声に、小蒔が俺達へと振り向いた頃には俺達の唇は離れていた。
俺が拗ねる漫へとしてやったのはその唇が触れるだけの淡いバードキスだったのだから。
しかし、そんな一瞬の交歓でも、漫は機嫌を直してくれたのだろう。
俺たちを引き離そうとする小蒔へ返すその声は、もう欲情を隠しきれないくらいに蕩けていた。

和「…何をやっているんですか?」

そんな漫の様子に俺が何かやったのだと気づいたのだろう。
リビングへと入ってきた和は俺へと真っ先にジト目を向けた。
何処か責めるようなその目は、法廷慣れしている俺を微かに怯ませるほど鋭い。
とは言え、そうやって責められるほど、俺は悪い事をしているつもりはなかった。
あくまで俺がやっていたのは恋人との交歓であり、悪事でも何でもない。
勿論、その恋人が三人いるという前提条件が大きく違うものの、それは決して責められる事ではないはずだ。

和「悪戯はほどほどにしないと小蒔さんがまた拗ねますよ」

そう言って肩を落とす和は小蒔とは違い、髪をばっさり切り落としていた。
ショートと言うほど短い訳ではないが、かつて三人の中で最も髪を伸ばしていた面影は何処にもない。
それは今現在の和が女教師という清潔感を求められる職業に就いているからだろう。
落ち着きを感じさせるチャコールブラックのレディーススーツに身を包んだ和は、今、清澄高校で麻雀部の顧問をしていた。


漫「何?和ちゃんも妬いとるん?」
和「ち、違います!」

そう顔を赤く染める彼女は、生徒からも保護者からも評判が良いそうだ。
実際、彼女は物事を教えるという事がとても上手く、また自分を頼る者に対してはとても真摯なのだから。
その分、相応の努力を相手に求めるが、それは決して和が何もしないという事を意味しない。
寧ろ、最適な結果へと辿り着く為に、彼女は頼ってきた相手の何倍もの努力をするタイプなのだ。
それは生徒たちにも伝わっているのか、彼女は清澄内部でとても慕われているらしい。
同じく清澄で教師となった元部長 ―― 竹井先輩からそんな話を良く聞かされる。

和「べ、別に…漫さんの事なんて羨ましくないんですから。京太郎君におかえりなさいってお出迎えして貰えなかったのが寂しいなんてもっとあり得ませんしっ」

けれど、目の前で壮絶に自爆する和にはそんな様子は見えない。
家へと帰ってきて気が抜けているのか、その口からは彼女の本音が飛び出す。
瞬間、その顔をさらに赤く染める彼女のうっかり癖は高校からまったく治ってはいない。
その雰囲気こそ一番、大人っぽく、そして頼りがいのあるものになったものの、その内面が一番、変わっていないのは彼女なのかもしれなかった。

京太郎「ごめんな。じゃあ…和も来るか?」
和「あ…っ♥」

その言葉に和はドサリとその手に持ったカバンを落とした。
そのままこっちへとふらふら近寄ってくるその顔にはさっきとは違う紅潮が浮かぶ。
羞恥のそれとは明らかに一線を画するその紅潮は、欲情だろう。
どれだけ世間ではしっかり者で通っていても、和の本質は小蒔に負けないくらい寂しがり屋なのだ。
俺にそう誘われるだけでその顔に甘えを浮かべ、子どものように擦り寄ってくる。


和「はわぁ…♪ご主人様ぁ…♥」
漫「いっつも思うけど…ギャップ凄いなぁ…」

そのまま俺をぎゅっと抱きしめる和を見ながら、漫はポツリとそう漏らした。
確かにさっきまで出来る女オーラ全開だった和が、今、俺を抱きしめながら頬を緩ませているのである。
ニヘラと言う音が聞こえてきそうなその破顔っぷりには、女教師という職業を連想する事は難しい。
少なくとも、安心しきったその顔にはついさっき俺を糾弾していた様子からはかけ離れていた。

小蒔「あぅぅ…お茶を蒸らしている間に出遅れちゃいました…」

そう言いながら、小蒔はその手にティーポッドとコップを運んで来てくれる。
出遅れたと言いながらも全員分のコップを盆に載せるその姿は、小蒔の優しさが故だろう。
どれだけ寂しくても、小蒔は子どもっぽい仕返しをするような子ではない。
時には俺の目から見てもえげつない仕返しをする時もあるが、それは本気で怒っている時だけだ。
普段の小蒔は俺に対して盲目的になる事が多々あるものの、とても心優しい子なのである。

京太郎「まだキスの方は空いてるし…来るか?」
小蒔「えへへ…♪それじゃ…ぁ♥」

そう言って小蒔はコップにお茶を注ぎ、その中の一つを手に持った。
そのままふーふーと息を吹きかけるその様は彼女なりにそれを覚まそうとしてくれているのだろう。
幾らか蒸らして時間を置いたとは言え、それはまだ少し熱いのだから。
どちらかと言えば猫舌よりの俺がそれをすぐさま飲めない事を小蒔は知ってくれているのだ。


小蒔「口移し…してあげますね…♪」
京太郎「ん…頼む」

そう言いながら、小蒔はそっと俺へと近づき、コップから緑茶を含む。
そのまま俺の首元に手を回す彼女の俺は唇を近づけてやった。
その唇が小蒔の艶やかなそれと触れ合った瞬間、緑茶の香ばしい薫りが一気に広がっていく。
けれど、それはただ香ばしいだけではなく、優しい甘さを感じさせる。
それは勿論、茶葉に気を遣ってそれなりに高いものを取り寄せているから…という事もあるのだろう。
だが、小蒔ともう数え切れないほど肌を合わせた俺にとって、それは彼女の唾液の味に思えるのだ。

京太郎「小蒔の淹れてくれたお茶はやっぱり絶品だな」
小蒔「んふぅ…♪そう言ってくれると嬉しいです…♥」

俺の賛辞に身体を震わせながら、小蒔はさらにコップを煽り、口に緑茶を含む。
そうやって繰り返される口移しは小蒔の愛情が未だ冷めてなどいない事を俺に感じさせた。
プロになって俺よりも良い男なんて多数見てきているだろうに、小蒔は未だその大きな愛を俺だけに向けてくれている。
それを感じさせる優しいキスに俺は笑みを浮かべながら、流し込まれた緑茶と共に何度もキスを繰り返した。
それに小蒔も感じているのか、時折、鼻の抜けた声をあげ、強請るように俺へと吸いついてくるのである。

和「は…ぁ…♪」
漫「んふ…ぅ♥」
京太郎「ちょ…っ!」

そんなキスに他の二人が満足出来なくなってきたのだろう。
抱きついたその二人の身体は俺の肌を這いまわり、スルスルと服を脱がせに掛かっていた。
無意味にコンビネーションのとれたそれに俺が声をあげるものの、欲求不満に瞳を潤ませる二人は止めてはくれない。
まるで小蒔だけではなくこっちも見て欲しいと言わんばかりに俺の興奮ごと肌をくすぐってくるのだ。


京太郎「しゅ、淑女協定第一条!」
漫「う…せ、セックスをする時は…日常生活に差支えのない範囲でなくてはならず」
和「ま…また…優先権は当日の性処理担当者にある…」

勿論、そうやって俺を求めてくれるのは正直、嬉しい。
お互いに仕事を始めるようになって、以前のように気軽にスキンシップが出来ていないのだから。
特にここ最近は様々な事情もあって、お互いに禁欲を続けていたのだから、彼女たちの気持ちは分からないでもない。
だが、今日は特別な日であり、そうやって欲望に負けてしまうにはまだもう少し早いのだ。

京太郎「今日は特別なんだから…また後で…な。それより今は漫が作ってくれたご馳走を食べようぜ」
漫「は…はぁい…」
和「…了解です…」

俺の言葉に二人はシュンと肩を落としながら、俺から離れた。
まるで全身で寂しさをアピールするようなそれにズキリと胸が傷んだのである。
勿論、俺だって出来るならば、今すぐ三人の身体を貪りたいと思っているのだ。
けれど、今日という記念日を出来るだけ素晴らしい思い出に変える為にはまだまだ自制が必要なのである。
疼く内心にそう言い訳を並べながら、俺は小蒔を抱きながらそと立ち上がり、キッチンへと足を進めた。

漫「和ちゃんはスープ、小蒔ちゃんは副菜頼むな」
京太郎「俺は?」
漫「京君はお箸とかお茶とか並べといて」

今や立派に家事のほとんどを引き受けてくれている漫。
そんな彼女の指示に従って、俺の恋人たちは動き出す。
手慣れた様子で皿を出し、それぞれに盛りつけていくのだ。
勿論、一線を漫に譲ったとは言え、小蒔も和も家事に関してはベテランである。
漫が指示するままにキッチンで動くその身体はとてもキビキビしていた。
しかし、普段よりも微かにその動きが早く見えるのは、恐らく、彼女たちが焦れているからなのだろう。


京太郎「(さっきの欲情は…本気だったからな)」

長年、俺に調教されてきた彼女は、文字通り俺専用の淫乱奴隷へと変わっていた。
ほんのちょっとしたキッカケでスイッチを入れてしまうその様はまさに淫乱という形容詞が相応しい。
しかし、彼女たちはそれと同時に、そんな淫らさをある程度、コントロールする術を身につけ始めていた。
今も仲良くキッチンで動く姿は、恐らく何も知らない相手であればごく自然なものに見えるだろう。
だが、それが三人が巧妙に覆い隠しているだけなのは、俺にははっきりと伝わってくる。

京太郎「(和は時折、気付かれないように乳首に触れて、小蒔はお尻をやらしく揺らして、漫は時折、俺に熱い視線を送ってくる)」

それはほんのちょっとの仕草でしかない。
彼女たちをよく知らない者からすれば違和感すら抱かないであろう自然な仕草。
しかし、こうして彼女たちと共同生活を初めてもう十年近くになる俺には、それが欲情のサインである事が分かる。
三人は三人とも何でもないような顔をしながら、『早く京太郎が欲しい』とそうボディランゲージで訴えてくれているのだ。

漫「出来たでー」
小蒔「お待たせしました~♪」
和「はい。どうぞ」

そう言ってそれぞれの食器を食卓へ運ぶ三人に、俺は感謝を抱きながら手伝った。
お陰で食卓の上には豪勢な食事が並び、今にもテーブルの端から零れ落ちてしまいそうになっている。
数日前から準備していたというそれは、間違いなく今の漫が全力を尽くしたものだろう。
そう思うとジュルリと涎が口腔の中に溢れ、今すぐむしゃぶりついてしまいそうになった。
けれど、仮にも一家の大黒柱である以上、そんな情けない真似は出来ない。
三人は既に座って、俺の言葉を待っている以上、まずは彼女たちを労うべきだろう。


京太郎「ご馳走を前にしてすまないが…まずは皆に言いたい事がある。ここまで俺に付いてきてくれて…有難う」

その言葉と共に俺はそっと頭を下げた。
しかし、そんな俺に対して、彼女たちは何の反応もしない。
それは決して俺の言葉に軽蔑していたり、失望している訳ではないのだろう。
俺へと送られる三人の視線はとても暖かで優しいままなのだから。
寧ろ、中には早くも涙ぐみ始めている子がいるくらい、俺の言葉に心震わせてくれている。
それでも、彼女たちが口を挟まないのは、俺の言葉がまだ終わっていないからだろう。

京太郎「お陰で…俺はようやく…事務所の経営を軌道に載せる事が出来た。皆を…養う準備が出来た」

当初の予定であれば、それはもっと早く達成するべき事だった。
しかし、夢見がちな高校生の頃に建てたその計画は社会人一年目から大きく破綻する事になったのである。
それでも和たちを始めとする周りの人のサポートもあり、俺はようやく三人ともを自分の甲斐性だけで養う下地を作る事が出来た。
そして、それは三人を幸せにすると宣言してからもう十年以上…その間、ずっと果たせなかった約束を果たせる事を意味している。

京太郎「だから…そろそろ子どもを作ろうか」

俺達は高校時代からずっと日常的に肌を重ねあわせていた。
副作用を鎮める為にはそれが一番効率が良かったし、また初心な彼女たちも俺もセックスの虜になっていたのである。
それは未だに変わってはおらず、どれだけ疲れていても一日に一人か二人を相手にするのが俺の日課になっていた。
だが、そうなっても尚、俺達はずっと避妊だけはしっかりと続けていたのである。


京太郎「(それは勿論、生まれてくる子の殆どが私生児になってしまうという事もある)」

勿論、俺が認知をすれば、殆ど他の子どもと変わりないように成長する事が出来るだろう。
だが、その一方でその子の戸籍欄には父親の名前が記入されていないのだ。
それを知った時、子どもがどれほどのショックを受けるかは俺には想像もつかない。
しかし、こうして歪な共同生活を送る俺達にとって、子どもというお互いを結びつける存在はどうしても欲しい存在だったのだ。

京太郎「勿論…皆が親のエゴを受け入れて…それ以上に子どもを愛せると…そう思えるのであれば…だけど」

愛する人との子どもが欲しい。
それは人間にとって原初とも言うべき本能であると俺は思う。
しかし、俺達がしようとしている事が現代日本の社会では明らかに異端な事なのだ。
それこそ事実を知った職場の仲間から爪弾きにされてもおかしくはない事であろう。
またそれだけならまだしも、子どもにも多くの苦労を掛けてしまうかもしれない。
それでも尚、子どもを欲しいと言うのは…恐らく俺達のエゴなのだろう。

和「そんなの…今更ですよ」
小蒔「えぇ。だって、私達…ずっと待っていたんですから」
漫「京君に孕ませて貰えるの…ずぅぅっと楽しみにしとったんやで」

けれど、そんな俺の言葉に三人は怯まない。
寧ろ、その顔を何処か誇らしそうに、そして嬉しそうにさせている。
ならば…その目尻に浮かんでるのはきっと嬉し涙なのだろう。
ようやく俺と子どもを作れるという感動に、彼女たちは心から喜んでくれているのだ。


京太郎「…ごめんな。俺の我儘でずっと待たしてて」

勿論、今までだって子どもを作る機会はあった。
そもそも現在の家の家計は三馬力で動き、貯蓄そのものもかなりあるのだ。
妊娠期間中に多少、働けなくなったとしても、家計が傾くような事はない。
それでもこうして先延ばしにしていたのは、彼女たちが動けない間くらい自分の甲斐性で養いたかったからだ。
男の意地にも近いそれに三人は呆れながらも受け入れて、ずっと俺を支え続けてくれた。

京太郎「だから…お詫びとして今日は避妊なしで一杯、気持ち良くしてやるからな」
和「は…ぁ…♪本当に…孕ませセックス…してくれるんですね…♥」
漫「あかん…ぅ♪それ聞いただけでもうち…堪らへん…ぅ♥」
小蒔「えへへ…♪私達…もうそれだけで発情しちゃってますよぉ…♪」

俺の宣言に三者三様の反応を返す愛しい恋人たち。
もうすぐ名実ともに俺の妻になるであろう彼女たちの淫らなそれに俺は肉棒がジクリと疼いた。
三人の休みが重なり、思う存分、セックス出来る今日まで、俺もまたずっと我慢し続けていたのである。
欲情の中に幸福感を浮かべ、期待に言葉を間延びさせる彼女たちの姿を見ると今すぐそのムスコをねじ込んでやりたくなるのだ。

京太郎「それじゃ夜の為にも精力をつけないといけないし…改めて…頂きます」
「「「頂きます」」」

それを何とか抑えながらの俺の言葉に、三人が合わせてくれる。
そうやって始まった食事は、普段よりも賑やかなものになっていた。
勿論、完全に打ち解けた三人は普段から良く会話をし、食卓は賑やかな方である。
だが、普段よりもさらに増して、ワイワイとしているのは少なからず彼女たちが浮かれているからだろう。
待ちに待った孕ませセックスを楽しみにしながら、きっと愛液を下着に漏らすまで発情しているに違いない。


小蒔「あ、そういえば結婚式はどうします?」
漫「お互いの家族だけ呼ぶって話やったけど…」
和「流石に三人同時って訳にはいかないでしょうしね…」
京太郎「それは俺が刺されるな、色んな意味で」

勿論、それぞれの家族にこうして事実婚する許可は貰っている。
半ば怒声や暴力と一緒であったとは言え、『好きにしろ』という言葉は頂けているのだ。
お陰でこうして気ままに事実婚生活を続けられているが、流石に三人同時の結婚式などに呼んだら激怒されるだろう。
俺だって逆の立場であれば新郎に明確な殺意を向け、ともすれば暴れ始めるかもしれない。

小蒔「という事は三人ずつ結婚式ですね」
漫「また費用が嵩むなぁ…」
和「まぁ、その分、私達が稼げば良いんですよ」
京太郎「…面目ない」

一応、身内限りのものであれば、三人分の結婚式をあげるだけの貯金はある。
だが、それは決して俺だけが稼いできたものではないのだ。
事務所を立ち上げてすぐは、寧ろ、俺が三人のヒモに近い状態だった事もあるのである。
ついついその時の事を思い出した俺は、彼女たちに向かって頭を下げてしまった。

小蒔「ふふ…私達としてはお仕事を辞めてもらっても良いんですけれどね♥」
和「大丈夫ですよ。公務員はしっかりしていますから。産休中もお手当が貰えますし」
漫「うちも内職やらバイトやらするし、家計の事なら心配あらへん」
京太郎「有難いけど…流石にそれはなぁ…」

男としてヒモ生活に憧れないかと言えば嘘になる。
しかし、それは俺の中で決してやってはいけない行為だった。
彼女たちに対してやってしまった事に対する責任を取ろうともしない最低な行いなのである。
勿論、彼女たちがそんな責任に取られ方を望んでいる訳ではないと理解していても、やっぱりそれは曲げられない。
俺が彼女たちの人生をねじ曲げてしまった分、幸せにしてやりたいという気持ちは俺の中にはどうしても強いのだ。


京太郎「それに少しずつ顧問にって言ってくれる人も増えてきたし」

特に和の親父さんから紹介されてきた人たちは、大抵、リピーターとして幾つか案件を持ち運んでくれていた。
恐らく日頃からトラブルの多い人たちを優先的にこちらへと回してくれているのだろう。
お陰で、彼らからの信頼を勝ち取れた今、固定客のような形で真っ先にこちらへと相談に来てくれるようになった。
そんな状態で事務所を閉めるような不義理は、紹介してくれた親父さんの顔に泥を塗り、お客さんの信頼を裏切る行為になる。
どれだけの人に支えられて今の状況があると理解している俺にとって、それは決して選べるものじゃない。

小蒔「はぅ…残念です…」
和「まぁ…あんまり強くは勧められません。実際、現状でもそれなりに満足していますし」
漫「欲を言えば、もうちょっとセックスじゃなくイチャイチャする時間取りたい感じやけれど…」
小蒔「やりすぎちゃうと京太郎様が欲しくなっちゃいますし…まぁ、それも焦らされてるみたいで…♥」
京太郎「そうだな…確かに…最近、そういうの少ないな」

事務所の経営が少しずつ上向いているのが楽しくて確かにそういう事は最近、あまり満たせてやれていなかっただろう。
ましてや、最近は今日の為にお互い禁欲を続けていたのである。
そのスキンシップも最低限に制限するそれに、彼女たちがどれだけ欲求不満を覚えている事か。
これからは妊娠し、今まで以上に不安にさせるのだから、スキンシップは過剰とも言えるくらいとってやった方が良いだろう。
そう自分の思考を切り替える俺の前で、恋人たちは既に別の話題に映っていた。

小蒔「それより…入籍は和ちゃんで良いですよね?」
和「え…?にゅうせ…え?」
漫「そうやね。先生が私生児産んだってなると洒落にならへんし」

結婚式の話から入籍の話題へ。
その変化についていけていないのは、いきなり渦中へと放り込まれた和であるらしい。
その可愛らしい表情に困惑を浮かべ、彼女は二人の顔を見渡している。
しかし、小蒔も漫の表情も真剣そのもので冗談を言っている訳ではないようだ。
それを遅れながら悟った和は焦りを顔に浮かべて、口を開く。


和「ま、待って下さい!べ、別に誰か一人が入籍する必要なんて…」
小蒔「でも、したいでしょう?」
和「それは…そうですけれど…」

瞬間、俺をチラリと見るその目には熱っぽいものであった。
そうやって否定する辺り、もしかしたら嫌われたのではないかと思ったが別にそんな事はないらしい。
寧ろ、そうやって普段は冷静な和がアピールしてしまうくらい、彼女はそれに感動を覚えている。
それに一つ安堵しながらも、俺は和の気持ちが何となく分かった。

和「でも…それはお二人も同じでしょう…?」

そう。
俺が入籍出来るのはたった一人だけなのだ。
日本では重婚が認められていない以上、結婚式は複数回挙げられても婚姻は一人しか結べない。
そんな特別な権利に二人が執着していないかと言えば、決して嘘になるだろう。
まだこうして共同生活を始めたばかりの頃はその権利を巡って口喧嘩をしていた事もあるくらいなのだから。

漫「うちは構わへんよ。そもそもうちは親から勘当されてる扱いやし、結婚したって連絡も出来ひんしな」
小蒔「私は未だ戸籍的には京太郎様の姉ですし…入籍すると色々も問題もありますから」

そう言う二人の言葉は思ったよりもサバサバしていた。
けれど、その瞳には隠しきれない嫉妬の念が浮かび上がっていたのである。
恐らく二人は俺の知らない間に二人で話し合い、その権利を和に譲ると決めたのだろう。
嫉妬が浮かんだその瞳は、しかし、迷いはなく、真剣そのもので覚悟を固めている事が伝わってきた。


漫「でも、和ちゃんはそういう訳にはいかへんやろ?教師って言う仕事もあるし」
小蒔「それにお父様には京太郎様も一杯、お世話になっていますものね」
和「あ…」

瞬間、和が声をあげるのは、勘当された漫と実家から縁を切った小蒔には家族らしい相手がいないからだろう。
特に漫は長野に友人らしい友人もおらず、俺達三人を除けば殆ど知り合いがいないのが現実だった。
小蒔は小蒔で霞さんたちという立派な家族がいるものの、実の父親に父親らしい事をしてもらった記憶など殆ど無い。
そんな事情を彼女たちと仲良くなっていく過程で知った和にとって、それはどう答えれば良いのか分からない事だったのだろう。

和「…ごめんなさい」
漫「謝らんでもええよ。和ちゃんは全然、悪い事なんてしとらへん訳やし」
小蒔「そうですよ。それに婚姻くらいじゃ愛の深さは測れませんし」

―― 小蒔の言葉に瞬間、ピシリと音を立てて世界が固まった。

まるで一瞬で空気に緊張が走るようなその感覚に、俺の背筋はそっと冷え込んだ。
猛烈に嫌な予感を沸き上がらせるそこは、この場から逃げ出せと俺に訴えているようである。
しかし、折角、漫が腕に縒りを掛けて作ってくれたご馳走を相手に逃げたくはない。
何より、本格的に対立を始めた彼女たちを止められるのは俺だけしかいないのだから、逃げられるはずがなかった。

和「…それどういう意味ですか?」
小蒔「ふふ、別に何でもありませんよ。ただ、べったりしていただけの二人とは違って私はさっきお茶を淹れましたし…」
漫「そんな事言うたら、うちだって今日はご馳走作ったで」
和「いえ、それ以前に…今日の朝食当番は私でしたよね?」

ゴゴゴと、そんな音すら聞こえてきそうなくらいに張り詰めた空気。
しかし、その中で三人はあくまでもにこやかな笑みを崩す事はなかった。
まるでごく自然に世間話をしているようなそれに、しかし、俺の嫌な予感は高まっていく。
それはそうやってにこやかな笑みの向こうでグングンと圧力が高まり、彼女たちの感情が膨れ上がっていくのを感じるからなのだろう。


和「ご主人様?」
漫「京君?」
小蒔「京太郎様?」
京太郎「あー…」

そして、そうやって膨れ上がった感情の矛先は、俺の方へと向けられる。
それぞれの呼び方で俺を呼ぶそれは、判定を俺に求めての事なのだろう。
とは言え、俺は彼女たちの行為に優劣をつけるつもりはない。
皆が皆、俺の事を思ってくれているのは変わらないのに一番だの二番だのと順位づけられるほど俺は偉くはないのだから。

京太郎「俺は和の事が一番、好きで」
和「はぅ…♥」
京太郎「漫の事を一番、頼りにしていて」
漫「はわ…ぁ♥」
京太郎「小蒔の事を一番、大事に思ってるよ」
小蒔「えへぇ…♥」

それでも何か言わなければこの空気は収まらない。
そう思った俺の口から飛び出すのは詭弁も良いところだった。
分野こそ違えども、全員を一番だとそう告げる言葉は怒られても仕方のない事だろう。
しかし、三人は自分が一番だと言われた事が嬉しいのか、頬を緩ませるだけで怒りを浮かばせる事はない。

京太郎「だから、仲良くご飯食べて…準備しような」
小蒔「はーいっ♪」
和「別に…喧嘩なんてしてませんものね?」
漫「うん。そうそう。うちらはずっと仲良しやし♪」

調子の良い三人の言葉に俺はクスリと笑いながら、一つ肩を落とした。
どうやら一触即発の状態そのものは回避出来たらしい。
再び機嫌よくご馳走に手を伸ばす三人の姿を見ながら、俺は内心でため息を漏らした。
普段からこうして仲良くし続けてくれていたら、こっちの心労も少なくなるのに。
そう思いながらも決して嫌ではないのは、それが三人の好意の証だからだろう。
未だ俺は失望される事はなく、三人の事を捕まえ続けられている。
不謹慎ながらそれを実感出来る姿に、俺は内心、喜んでさえいた。


京太郎「(まぁ…もしかしたらそれを汲み取ってくれているのかもな)」

共同生活が始まってもうかなりの年月が経つのに、お互いの対抗心を隠そうとしない恋人たち。
それはもしかしたら、俺に愛情を伝える為に口裏を合わせた八百長なのかもしれない。
実際、彼女たちはそうやって対立しながらも、本格的な喧嘩というものを一度もしたことがなかった。
精々がお互いを牽制しあう程度のそれは、ハーレム内部という事を考えれば、かなり上手くいっている方なのかもしれない。

和「…ごしゅ…いえ…京太郎君?」
京太郎「あ…悪い。何でもない」

そんな風に考えに耽った俺の手が止まってしまったからだろう。
テーブルを挟んだ向かい側で、和が心配そうに視線を送り、俺の名前を呼んだ。
それに何でもないように返しながら、俺は再びご馳走に手をつけ始める。
そんな俺に三人が心配そうに見てくるものの、何も言わない。
たださっきと同じく談笑に耽りながら、漫お手製の料理に舌鼓を打つのだ。

京太郎「ふぅ…ご馳走様でした」
漫「ふふ…お粗末さまでした」

俺がそう言った頃には、まだテーブルの上に料理が幾つも残っていた。
しかし、他の三人ももう箸を止め、食事を終えていたのである。
折角のご馳走なので名残惜しいが、味が堕ちる事を覚悟して冷蔵庫に保存しなければいけない。
そう思った俺が大皿の一つを持ち上げた瞬間、小蒔が口を開いた。


小蒔「あ、片付けは私達の方でやりますから」
京太郎「いや…でも…」
小蒔「その代わり、京太郎様はあっちの準備をしていて下さい」

そう言って小蒔が指差した方向には布がかかった正方形のテーブルがあった。
皿のように微かに外周が持ち上がる独特なフォルムはそれが普通の家具ではない事を教える。
実際、それが常備されている家庭というのは決して多くはないだろう。
だが、我が家にとってそれはある意味では必要不可欠な道具であったのである。

京太郎「あー…分かった。でも、こっちが終わったら手伝うからな」
和「えぇ。お待ちしております♪」

そう言いながらも、俺が彼女たちの手伝いが出来る確率とは言うのは殆ど0に近かった。
四人分の食器とは言え、あちらは三人がかりであるし、食器乾燥機まで味方にいるのである。
どれだけゆっくりしても、俺が終わる前にあちらの片付けが終わってしまうだろう。
それでもこうして手伝うと言ったのは、一人だけ仲間外れにされるのが何となく寂しいからだ。
勿論、彼女たちにそんなつもりはない事くらい知っているが、俺だって手伝える事くらいあるのだ、とどうしてもそう思ってしまう。

京太郎「さて…と」

そんな子どもっぽい自己主張を意識の奥底へと沈めながら、俺はそっとテーブルの上の布を取った。
瞬間、俺の視界に広がったのは緑色のマットと中央に埋め込まれた独特の機械である。
サイコロまでを中へと装備したそれは、染谷先輩から買わせて貰った新型の全自動麻雀卓だ。
まぁ、もっとも、それが新型であったのはもう十年近く前で、今は流石にロートルになりつつある。
実際、内部で故障が起こる事も珍しくはなく、起動する前にそのチェックから始めなければいけないのだ。


京太郎「(ん…特に問題はなさそうだな…)」

胴体にある太い幹のような部分をチェックしながら、俺はそう結論付ける。
最近はこうして麻雀をする余裕もなかったので心配だったが、特に問題はなさそうだ。
試しに電源を入れてみたが、挙動そのものにも問題らしいものは見当たらない。
ならば、後は牌を磨いて準備するだけだ。
そう思って俺が手元の布を取った瞬間、三人の恋人たちはその手に飲み物を持ちながら、こちらへと近づいてくる。

和「こっちは終わりましたよ」
京太郎「あぁ。お疲れ様」

結局、間に合わなかった自分に一つ胸中でため息を漏らしながら、俺は三人を労った。
そんな俺にクスリと笑いながら、小蒔は冷えたジンジャーエールを差し出してくれる。
俺のぎゅっと絞ったショウガの香りが優しいお手製のそれを俺はそのまま喉へと流し込んだ。
シュワシュワとした炭酸の感触と熱がジュっと胃の中で広がるのを感じながら、俺は牌を磨き始める。

和「では…そろそろ…」
京太郎「…そうだな」

そんな作業も四人でやればあっという間だ。
ここにいるのは全員、麻雀経験者で、高校時代は日常的に牌と触れ合っていたのだから。
小蒔を除いて、今はそれから遠ざかってはいるものの、しかし、当時、覚えた技術は未だ身体の中に残っている。


和「それでは今日もいつも通り…」
漫「一番、最初に京君へと振り込んだ人が」
小蒔「一番、最初に愛してもらえるんですね」

ただ、牌磨き以外の技術が今も活用されているかと言えば、正直、疑問であった。
それは磨いた牌を卓へと戻し、スイッチを入れる彼女たちが口にする言葉が明らかに麻雀のルールからかけ離れているからである。
そもそも麻雀は出来るだけ振り込まず、そして自分が和了る事を目指す遊戯なのだから。
しかし、真剣そのものな目で牌を取り分けていく彼女たちに映っているのは、最初に俺へと振り込むという事だけだ。

京太郎「(いや、まぁ…仕方ないっちゃ仕方ないんだけれどさ)」

俺の能力の都合上、直撃を受けた時点で相手は麻雀する事なんて出来ない状態になってしまう。
しかし、かと言って、普通のルールから真逆の道をひた走ろうとする彼女たちの姿にはどうしても違和感を覚えるのだ。
家族麻雀という言葉では物足りないその特別ルールが仕方ないと思いながらも、その気持ちはどうしても拭えない。
そうやって能力を活用出来る道があるのは嬉しいのだが、何か間違っている気がするのだ。

和「…ご主人様?」
京太郎「いや…なんでもない」

でも、幾ら間違っていたところで、それを正す気にはなれない。
それは彼女たちが歪な形であるとは言え、俺を求めてくれているからだろう。
今も尚、人生というリソースを無駄にさせている俺は、まず何より彼女たちの要求に応えてやらなければいけない。
それに…そもそも、俺達の関係自体が、世間様一般の常識から言えば、明らかに間違っているのだから今更だろう。
そう意識を切り替えながら、俺は自分の手を進める為に牌を入れ替えていく。
それに合わせて打ってくれる彼女たちの真剣な姿に、俺はふと笑みを浮かべた。

京太郎「(そう…おかしくなるのを分かっていても尚、真剣になるくらい俺は愛されているんだ)」

決して妥協せず、俺の手を読もうとする三人の姿。
そんな彼女たちは勿論、それが成就すれば淫らな事しか考えられない事を分かっている。
だが、三人はそれを求めて、危険な牌を自分から打ち出してくれているのだ。
普通の麻雀とはまったく違うその歪ささえ、愛の証であると俺が馬鹿な事を思った瞬間、和の手から、俺の求めた牌が飛び出して… ――
























「ロン。リーチ一発タンヤオ対々和三色同刻三暗刻…ドラ5で…数え役満だな」












―― そうして、和から始まった淫らな宴は朝方まで続き、そして2ヶ月後、三人の妊娠が判明したのだった。

今度こそ全部終わりー
半年間お疲れ様でございました
次回作についてはまた明日予告のような形で投下します
それではおやすみなさい


「ねぇ、マヨナカテレビって知ってる?」

                  「あぁ、深夜0時になると未来の結婚相手が映るって奴でしたっけ」

「え?私が聞いたのは気になる人の秘密が分かるって話だったけれど…」

                  「まぁ、よくある都市伝説だし、話がズレるのも仕方ないでしょ」

「…それがね。違うらしいよ」

                  「えっ」
                  
「後輩がね。本当に見たって言うの」
                  「見たって…マヨナカテレビを?」
                  
「うん」
                  「…見間違えじゃないんですか?もしくは寝ぼけてたとか」
                  
「本当だってばー。もう…疑り深いんだから」

                  「そりゃ都市伝説を信じろってのは無茶な話でしょうに」
                  
「むー…それじゃあ…確かめてみようよ」
                 
                  「確かめるって…どうやって?」
                  
「ほら、丁度、明日は雨じゃない?マヨナカテレビも映るでしょ。チェックしてみようよ」
                  
                  「…もしかして最初からそのつもりでした?」
                  
「ふふ、どうだろう」

                  「まぁ…明日はシフト入ってないですし、良いですよ」
                  
「有難う!だから、須賀君って大好き!」
                  
                  「公子先輩…んな事言われてもまったく嬉しくないですよ」

                  
                  


―― 結果から言えば、そんな何でもないやりとりが、俺を不可思議な事件へと巻き込むキッカケとなった。

奈良県阿知賀市で起こった不可解な連続殺人事件。
死体が電柱に吊るされ、死因すらはっきりしないという事件はまだ始まってすらいない。
だが、俺はあの時…あの瞬間から…間違いなくその事件に絡め取られていた。
そして…その奥に蠢く悪意と歪んだ願望の源にも。

―― けれど、俺は…本来ならば、ただのギャラリーに過ぎなかったのだろう。。

敢えてこの話の主役を挙げるのだとすれば、それはきっと公子先輩だった。
常識では決して解けないその難事件を解決するのは、俺のバイト先の先輩であり、俺がほのかな恋心を寄せる彼女であったはずなのである。
けれど…彼女はその役を果たす事なかった。
代わりに彼女に与えられたのは…幕開けの役目。
                   ワイルド 
つまり物語の主役であるべき『切り札』の死から…その事件は始まったのだ。



「ヒーローごっこは…楽しかったかぁおいぃ!」

「安っぽいヒロイズムに浸ってぇ、敵討を誓ってよぉ!」

「そうだよ!楽しかったよなぁ!!だって、『特別』になれたんだ!」

「平凡なお前が、ようやく復讐を誓うヒーローっていう『特別』を手に入れられたんだ!」

「楽しいよなぁ!素晴らしいよなぁ!!」

「こんな気持ちで何かするなんて初めてだ!何をしても肯定される!正義のためだ!」

「だから…そうだろ?お前も…本当は分かってるんだろ?」

「先輩が死んで、好きな人が死んでくれて良かったって…そう思ってるのを…自分で分かってるんだろぉぉ!?







「お…お前なんか…」


「男は皆…アコアコアコアコアコ…」

「誰も私を…女の子として見てくれない」

「ちょっぴり化粧だってしたのに…髪型だって女の子っぽく変えたのに」

「でも、皆はアコばっかり…アコしか見てない」

「だから…本当は妬ましかったんだよね…疎ましかったんだよねぇ?」

「アコを阿知賀に誘ったのだってその為でしょ?」

「アコの邪魔したかったから…本当は嫌いだったから!」

「優しいアコが断れないって分かってて…」

「だから、その人生を滅茶苦茶にしてやりたいって…本当はそう思ってたんでしょう?」







「アンタなんか…!」


「男なんて嫌い…」

「だって…あいつらは野蛮で馬鹿で…汚いもの」

「しかも、ギラギラした目で人の事を見てきて…怖い」

「きっと頭の中で私の事を滅茶苦茶にされてるんだって…そう思うと…吐き気がする」

「でも…女の子は違う。女の子は暖かくて…優しいもの」

「それに…その中でもシズは特別」

「シズはちゃんと私を守ってくれる」

「だから…私はシズだけで良い」

「怖いものなんて…汚いものなんて、私の世界には要らない」

「優しいもの…美しいものだけあれば良いの」






「あ…アンタなんかぁぁ…!」



「私は…この阿知賀からは出られない」

「私は跡取り娘で…これから松実館を支えていかなきゃいけないんだから」

「周りも…皆それを望んでる。私に期待してくれている」

「それが…重い…苦しい…辛い…」

「私が何かする前に…もうするべき事は決まっている」

「他の事はさせて貰えなくて…引かれたレールを走るだけ」

「そんな中で…玄ちゃんだけが心の支えだって…そう思ってた」

「でも…玄ちゃんはきっと外に出て行っちゃう」

「私と違って夢がある玄ちゃんは…私を置いて…出ていっちゃう」

「私は…私はここで…一人ぼっち…寂しい…寒いよ…」

「誰か…暖めて…私の事…ギュッとして…」

「誰でも良い…もう玄ちゃんじゃなくっても良いの」

「私を支えてくれる人なら…暖めてくれる人なら…誰だって…っ!」





「貴女は…」



「阿知賀のレジェンド…良い響きだよね」

「でも、私はそれに相応しい事を何かやれた?」

「インターハイで良いところまではいけたよね。うん…でも、それだけ」

「誘ってもらえた実業団での成績もパッとしないまま…こうして都落ち」

「でも、地元の皆は未だに私の事を阿知賀のレジェンドって呼ぶ」

「…正直、鬱陶しいよね?」

「何?あてつけなの?伝説になれなかった私を責めてるの?」

「私だって精一杯やったわよ。精一杯やったけど…でも、どうにもならないの!」

「それなのに…皆レジェンドレジェンドって…!!」

「腹立つ…だから、田舎って大っ嫌い!」

「本当は…戻ってきたくなんてなかった!」

「こんな辛気臭くて何もないような場所なんか大っ嫌いだもの!」

「住人だって…生徒だって皆、嫌い!」






「貴女なんか…!」


「で…どうだった?」

「王者王者と…そう言って必死に保って取り繕ってきた自分が崩れた姿は」

「所詮、お前は妾の子なんだ」

「どれだけ努力しても、王者にはなれない」

「既にその座に君臨するものが居て、お前はそれを見上げるだけだ」

「そんな事分かっているだろう?」

「どれだけ桐条グループに尽くしても…所詮、お前は捨て駒でしかない」

「それでもそうやって自分を取り繕うのは、お前には何もないからだ」

「夢?目標?違うな」

「お前のやっている事はただの子どもっぽいあてつけに過ぎない」

「お前が王を口にする度に、痛々しそうにする母の顔を知っているだろう?」

「お前が王を口にする度に気まずそうにする役員の顔を覚えているんだろう?」

「それなのに…どうして言うんだ?」

「産んでくれた母親を、媚びへつらわなければいけない役員たちを不快にさせる言葉を…どうして?」

「本当にそれを目指すつもりがあるのなら…もっとやり方はあるだろう?」

「それなのに…その言葉を軽々しく口にするのは、お前にとって、それが当てこすりの道具でしかない証だ」




「お…お前など…」











「「「 私じゃない!!!! 」」」


「…アレはアナタです」

「いえ、より正確に言うならばアナタの一部と言うべきでしょうか」

「アナタが目を背け、抑えこんできた自意識の一部」

「いわばアナタの影 ―― シャドウです」

「そして…シャドウの目的はアナタを排除する事」

「主従を逆転し…自らが陽の光を浴びる為に」

「それは勿論、長くは続きません」

「アレは所詮、影。あなたの一部に過ぎないのですから」

「けれど…それでもシャドウにとってはそれで良いのです」

「アナタがシャドウを憎むように、シャドウもまたアナタを憎んでいるのですから」

「アレはアナタの一部であると同時に鏡でもあるのです」

「…そっか。だったら…やる事は一つだけ…だよね」

「…行くのですか?」

「うん。それが…私のしなきゃいけない事だと思うから」

「世話になったね…えっと…エトピリカになりたかったペンギンちゃん?」

「…エトペンで構いません。でも…そのまま行けば…」

「そうだね。ペルソナを奪われた私は死ぬしかない」

「今までこき使ってきた所為か、アイツ滅茶苦茶だもんねー…はは」

「でも…このまま逃げまわってるだけじゃ、エトペンちゃんにも迷惑がかかっちゃうでしょ?」

「ですが…」

「良いの。きっと…何とかなるから」

「ううん。何とかしてくれる…かな。私の大事な後輩君なら…バッチリ…ね」








       ワイルド
「かくして、『主役』は舞台から退場なさいました」


「されど、物語は周り、時間は流水のように流れ行くものです」

      ワイルド
「その中で『切り札』を譲られた少年が、いかな結末を迎えるのか」


「それを決めるのは貴方方次第であります」





1.【安価】京太郎「マヨナカテレビの謎を解く」穏乃「阿知賀でね!」【咲×ペルソナ4】



―― 子どもの頃の俺は世界はずっと変わらないままだってそう信じていた。

穏乃「ほーら!早く早くぅ!」シュタタタ
憧「ちょ…は、早いってばぁ!」
京太郎「あんまのんびりしてると置いてくぞー!」
和「ま…待って…下さい…」ヘロヘロ

―― 少なくとも…俺達四人の仲は永遠に変わらないままだって…そう思っていたんだ。

穏乃「ふあー…やっぱり夏はチューペットだよね」ハムハム
京太郎「だな」チューチュー
憧「はぁ…あんたら…元気余り過ぎ…」
和「な…なんで全力疾走してすぐに…アイス食べられるんですか…」ハァハァ

―― それが幻想に過ぎないと思い知ったのは中学進学の時。

和「私…中学は阿知賀に行く事になりそうです」
京太郎「そっか…親父さん…厳しいもんな」
和「はい…ごめんなさい…」
穏乃「私も…中学は…阿知賀にしたいな」
京太郎「穏乃も?」
穏乃「…うん。だって、阿知賀の方が気心が知れているし…」
憧「…じゃあ…私達…別々になっちゃうね」
穏乃「…うん…」
京太郎「で、でも…別に離れ離れになる訳じゃないよな…?」
穏乃「あったりまえだよ!私達は何時でも何処でも友達だもん!」

―― そんな決意も虚しく、距離だけが開いていく幼馴染たち。

京太郎「(この前から…なんか四人でいるのがぎこちなくなっちまったなぁ…)」
京太郎「(いや…全員が全員…進学を前にして色々と忙しいって言うのはあるんだろうけれど…)」
京太郎「(なんでなんだろうな…この…何とも言えない不安は…)」
京太郎「(大丈夫だって…そう確認しあったはずなのに、少しずつ離れていくような…)」
京太郎「う゛ぁーい!」
京太郎「(畜生!俺がそんなウジウジするタイプかよ!!)」
京太郎「(とりあえず…散歩でもして気分を紛らわせよう)」

―― そんな中、俺は一人で待つ一人の女性を知る。

京太郎「阿知賀子ども麻雀教室…」
京太郎「(なんだろ…まだそんなに前じゃないはずなのに…すげー久しぶりな気がする)」
京太郎「(レジェンドの就職決まって…ここももう閉まっちゃって…)」
京太郎「(そもそも…阿知賀に来る事すら…なくなった所為かもな)」
京太郎「(…なんか…寂しいよな)」
京太郎「(まるで疎遠になってく俺らを象徴してるみたいで…何となくバツが悪い)」
京太郎「(…丁度暇だし…開いてたら久しぶりに掃除でも…)」ガラッ
玄「…え?」
京太郎「えっ?」

―― そして訪れる最初の決断の時。

京太郎「(もう少しで進路決定の締め切りか)」
京太郎「(俺は…どうすれば良いんだろうな…)」
京太郎「(玄さんが皆を待っている阿知賀か…或いはアコと約束した阿太峯中か…)」

―― その中で俺が選ぶのは…。





2.【咲】京太郎「阿知賀で過ごす9年間」【安価】

 ― それは一人の男の言葉から始まった。

京太郎「え?鹿児島に引越し?」
京太郎父「そうだ。急な話で悪いが…」

 ― 訪れる別れ

咲「…行かないでよ…京ちゃん…」
京太郎「咲…ごめんな…」

 ― そして出会い

小蒔「私が神代小蒔です!よろしくお願いします」
京太郎「俺は須賀京太郎です。よろしくおねがいします」

 ― 真実。

京太郎「…え?」
霞「だから…君は私達の代わりに呼ばれたのよ」
霞「今年で…卒業しちゃう私達の代わりに…姫様と一緒にインターハイに行く為に」


 ― 変異。

初美「これから京太郎君は京子ちゃんとなって、頑張るのですよー」
京太郎「い、いや!無理ですって!絶対無理ですって!!一発でバレますから」
巴「うーん…意外とお化粧ののりが良い…ちょっと悔しいわ…」

 ― 怒り。

京太郎「おいこら糞オヤジ!!てめぇどういう事だ!!」
京太郎父「おいおい嘘は言ってないぞ、神代さんとこが親戚なのは本当だし、引越するのも事実だっただろ?」
京太郎父「ただし、お前だけで、俺は謝礼金をがっぽり貰って母さんと世界一周旅行中だがな!」
京太郎「ほぼ身売りじゃねぇかくそがあああああ!」
京太郎父「大丈夫だって。何か最近、お前女顔っぽいからなんとかなるって」

 ― 諦観。

京太郎「…今日からお世話になります須賀京子です。よろしくおねがいします」ペコリ
モブ1「まぁ…なんて素敵なお方…」
モブ2「どことなく男性的で…私の胸もドキドキしてしまいますわ…」ウットリ
モブ3「お姉さま…いえ…京子姐様と言うのが良いかしら…」ドキドキ
京太郎(「うぅ…何言われてるんだろう)」

 ― 試練

京太郎「(目立つな…絶対に目立つんじゃない…!目立ったら終わりだ…!!)」
淡「(コイツ…さっきからまったく私に振り込まない…!?)」
淡「(完全に狙い撃ちにしているはずなのに…どういう事…!?)」

 ― そして審判の時

咲「京ちゃんもインターハイ出場決まったんだ!おめでとう!」
京太郎「あ、あぁ…」
咲「これでまた全国で会えるね!」
京太郎「そう…だな…」
咲「…京ちゃん?」
京太郎「いや…何でもない。…咲も頑張れよ」
京太郎「俺も…何とかやっていくからさ…」サメザメ





3.京太郎「明日から俺が須賀京子ちゃん…だって…?」

以上、次回作の予告でございまする
下10までの多数決で次回作を決めます
またどれも安価主体のスレになる予定なので目に止まったら参加していただければ幸いです
後、ふくじさんとロッカーなんかは、もしこっちに入りきらなかったら次回作の小ネタで投下します

やはり阿知賀は強かった(小並感)
では、次回作は2の阿知賀ギャルゲースレとなります
こっちで小ネタ終わって少しお休みを頂いた後、開始となります
恐らく10月までにはスレ立て出来ると思います

しかし、1まったく人気ないなーやはり設定の練り込み甘かったか…
精進します

皆ありがとう
現行でペルソナスレはあっても、ペルソナ4スレはないから大丈夫かなって思ってました
確かに戦闘はちょっと敷居は高いかなー…仲間はこっちで操作する形にすればまだ戦闘安価は楽にはなりそうだけど
その辺、阿知賀ギャルゲ書いてる間にどうにか出来るようなシステムを考えてみる

阿知賀ギャルゲは重要な選択以外はほぼコンマ判定にするつもりなんで、そこまで荒れるような事はないんじゃないだろうか
攻略可能ヒロインに勿論、宥姉はいます
それどころかルート次第ではこけs灼もニワカ先輩も攻略可能です
多分、攻略難易度的には
憧>>>穏乃>クロチャー>>ユウチャー>>>(超えられないレジェンドの壁)>>灼>>>ニワカ先輩
になるんじゃないかなーと

後、ロッカー投下すると言っていましたが、どう圧縮しても残り16レスじゃ最後まで書けません
中途半端に収めようとすると出来も微妙な事になっちゃいそうなので、こっちは適当に埋めて下さい
その際、好きなエピソードなんかを書いてくれると俺の復帰時間が短くなります

本編人気無さ過ぎワロタ
阿知賀では本編が一番おもしろいって言わせてやるからな…っ(´;ω;`)

んー確かに雑魚でまで一々判定してくと面倒だな
ペルソナは階層毎にコンマで判定し、出た数字分攻略度が上層
その後、さらに宝箱や敵なんかの判定を繰り返す感じ
で、敵ごとに消耗度が設定されていて、HPやSPが下がっていくとかにしようかな
戦闘非安価はちょっと惹かれるけど、俺の腕じゃ難しいと思う
戦闘シーンなんて殆ど書いた事ないしな!!

阿知賀でも好感度一定以上の子は全員エンディングとかじゃないと不満出そうだな
ハーレムは今のところ考えてないけど、特殊なイベントクリアすると迎えられるエンディングはありかなーと
例えば小ネタの松実姉妹丼とか、憧穏幼馴染丼とか
後、途中でキンクリ入りまくるとは言え、九年あるしコンマ判定でも攻略は大丈夫じゃないかなーと
重要なのは予告で言う進路決定なんかで、後のイベントを決定させるもの
例えば阿知賀に行けばイベントでクロチャーの好感度が上がったりシズの好感度が上がったりする予定
レジェンドの攻略はなー…どうしよっか
既にヒロイン六人(にわか先輩は実質隠しみたいなもんだけど)いるしこれ以上はきつい気がしなくもないんだけど…攻略したい人っている?

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