○このスレは京太郎を主人公とする18禁SSのスレです。
○某ヒロインと似たような事は言っていますが、学園都市とは関係ありません。
○割りとご都合主義です。エロネタ書きたいから仕方ないね。
○能力の自己解釈どころかオリジナル能力まで出てきます。
○エロはファンタジーと割りきって、気楽にお楽しみください。
○雑談はウェルカムです。不愉快な方はNGや抽出で対応してください。
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うあー久しぶりすぎてトリミスって泣きたい
書いてくれるならなんでもいいよ
荒れようがなんだろうが
とりあえずメゲないで書いていきます
21時から漫ちゃんのLV3から再開します
期待
マジかよ待ってた
荒らしは気にせず頑張って欲しい
雑談スレは無視で
お帰りなさい>>1
荒れるかもしれないし無責任かもしれないけど完結まで頑張って下さい
待ってました
お帰りなさいっ!!
正直もう会えないかと・・・
スレタイ二度見しちまったぜ
エタらないって言葉を信じて良かったよ
野暮な横槍はNGと焼き依頼して相手にしないようにな
九時になったけどスレタイミスってるので那珂ちゃんのファンを止めます
―― デートってのは特別なもんや。
好きな人とのお出かけ。
それだけでも胸躍るものやのに、それは恋人と言う絆をより深める為のものなんやから。
ただ一緒にいるだけやなくて、色んなことを共有し、思い出にするそれはとても素晴らしいものや。
だからこそ、世のカップルたちはこぞってそれをするのだと…まだその入口にも立っていないうちがそう思うくらいに。
漫「(だ、だって…今からドキドキしてるし…♪)」
それは決して今だけの事やない。
それこそ一週間前からうちはそわそわし続け、友達に心配されてたくらいなんやから。
その上、期待で胸が一杯になり過ぎて、今日の事を何度も夢に見とる。
昨夜なんかは楽しみすぎて逆に眠れなくて、ぶっちゃけ寝不足気味やった。
漫「(それでも…嫌じゃないってのは…まぁ…思ったより乙女チックって事なんやろう)」
そんな自分の変調さえもプラスに感じ、今日と言う日の原動力にする事が出来る。
それは何もかも…うちが京太郎君の事が好きだからやろう。
自分で自分の感情の大きさを思い知れるそれらをうちは嫌う事が出来ひん。
寧ろ、それら一つ一つに恋する気持ちを深めていく感覚は心地ええと言っても良いくらいやった。
漫「(とは言え…寝不足はちょっと…なぁ…)」
そう思ってうちはそっと手に持った藤色のトートバッグから携帯を取り出す。
昼過ぎちょいの時刻が表示されるその表面を弄って、うちはアプリを起動した。
そのままそれを顔に向ければ、鏡面のようになった画面がうちの姿を映し出す。
普通の手鏡サイズのそれを微かに傾けながら、うちは自分の姿を確認した。
漫「(クマとか…ないやんな?)」
若い所為か微かに塗ったファンデーションの所為か、うちの素肌にはそれらしいものはない。
それをもう朝から何度も確認しているけれど、やっぱりどうしても気になってしまう。
それはやっぱり久しぶりに会う京太郎君に変な顔を見せたくないっていう乙女心の所為なんやろう。
そう自覚していても、うちはそれを止められず…こうして十何度目かの確認をしてしまう。
漫「(服装も…バッチリ。悪ぅはないはずや)」
そう思いながら携帯を傾ければ、そこには灰色のカーディガンが映った。
中に白地のパフスリーブTシャツを羽織ったそれは、童顔らしいうちの雰囲気を損ねるようなものやない。
下に履いているデニムのショートパンツやそこから覗くチェック柄の黒タイツ、そして薄ピンクのミュールも似合っとらへん訳やないやろう。
漫「(麻雀一筋やったから…こういうのよぉ分からへん…)」
友達たちにからかわれながらも、ファッション誌と睨めっこして作った自分なりのコーデ。
チェックしてくれた友達から太鼓判を貰えたそれは、多分…現状のうちの中では最高のものやろう。
せやけど…そう分かってても、やっぱり土壇場になるともっとええのがあったんちゃうやろうかって…どうしてもそう思ってしまう。
そんな弱い自分に肩を落としながら、うちは携帯をそっとトートバッグへと仕舞った。
漫「(普段はこんな事ないんやけどなぁ…)」
あの合宿以来、うちの中で色々と吹っ切れたんやろうか。
後輩の面倒もちゃんと見てあげられるようになったし、実力そのものも安定してきた。
お陰で、末原先輩や代行に贔屓されてる…なんて陰口も収まり、部内でも少しずつ認められてきたんが分かる。
出来れば末原先輩たちが引退するインターハイ前にこうなりたかったと思うほど、今のうちは成長し始めていた。
漫「(それが…今はこんなに弱々しくなって…もう…恋したら女はダメやね)」
そう自嘲気味に胸中で呟きながらも、うちはそれが決して嫌やなかった。
自分が恋と言う感情に振り回され、こんなにも不安になっているのに…それもまた嬉しいんやから。
そんな弱々しい自分が何処か誇らしく思えるくらいに…うちはもうダメになっとる。
そして…もっとダメにして欲しいと言う気持ちがうちの中にはあった。
漫「(でも…遅いなぁ…)」
さっき携帯に映った時刻は、待ち人の到着予定時刻の数分前だった。
うちをもっとダメにしてくれる人が告げたそれを確認しようと、うちは再び携帯を取り出す。
そのままメールを確認したが、やっぱりもう予定時刻はオーバーしていた。
それはまだ数分でしかないものの、しかし、うちをソワソワさせるのに十分過ぎる。
漫「(事故とか…そういうのないやんな…?)」
勿論…そんな事は殆どないってうちにも分かっとる。
でも、京太郎君が乗っているのは高速バスなんや。
年間、数回は事故を起こしとるその一回が京太郎君を襲わへんなんて誰が言い切れるやろうか。
そう思うと居てもたっても居られなくなり、うちはニュースサイトに飛ぼうと携帯を操作しようとして… ――
―― ブロロロロロ
漫「あ…」
そこまで考えた瞬間、うちの目の前に大型バスが通っていった。
大阪駅にある巨大バスターミナルに脇を寄せるようなそれには確かに長野の文字が書いてある。
それに思わずベンチから立ち上がったうちは…もう我慢出来へんかった。
手にとった携帯を乱暴にトートバッグの中へと突っ込みながら、うちはバスへと駈け出してしまう。
漫「京太郎君っ♪」
京太郎「あ、漫さ…ってぬぉあ!」
そんなバスから運転手さんに次いで降りてきたのは金髪の男の子だった。
別れたのはそれほど昔じゃないはずなのに、もう会いたくて仕方がなかった彼に…うちは勢い良く飛び込む。
決して行儀がええとは言われへんうちの仕草に京太郎君がぐっと足を踏みしめて、堪えるのが分かった。
そんな仕草さえ逞しく思えるうちはその胸にグリグリと顔を押し付け、その所在を確かめようとしてしまう。
漫「(あぁ…♪京太郎君や…っ♥京太郎君…っ♥)」
もう何度、夢見たかさえも曖昧なくらいうちの心を縛り付ける愛しい人。
それが本当に目の前に居るというのが…うちには信じきる事が出来へんかった。
だって、うちは今日のデートが決まってから、もう何度も同じシチュエーションの夢を見ていたのだから。
これもまたうちが見ている夢なんやないやろうか。
そう思うと京太郎君から離れがたく、うちはぐっと腕に力を込めて、その身体を抱きしめてしまう。
京太郎「す、漫さん…ちょ…離れて…」
漫「嫌やぁ…っ♪離さへん…っ♪離さへんもん…っ♪」
そんなうちに焦ったような声を向けながら、京太郎君は身動ぎする。
格好良くうちを抱きとめてくれた夢とは違うその気恥ずかしそうな反応は、これがきっと妄想でも夢でもなくて現実なんやからやろう。
しかし、それを納得しても、うちの身体はどうしても離れない。
京太郎君と会えなかった間に…ずっとずっと寂しがっていたうちの身体は本物の京太郎君を感じて…止められへんかった。
京太郎「…すみません」
運転手「はは…まぁ、こういう仕事してるとまったくない訳じゃないですし」
そうこうしている間に、京太郎君はうちを引き離すのを諦めたんやろう。
一つ謝罪の言葉を紡ぎながら、その腕を動かすのが伝わってきた。
その仕草一つにさえ、目の前の京太郎君が嘘ではないという実感が湧き上がり、ドキドキさせられてしまう。
運転手「はい、確かに」
京太郎「ありがとうございました」
漫「んぁ…♪」
そう言葉を交わしながら、京太郎君はうちの背中にそっと手を回した。
そのままうちを抱きかかえるような姿勢になった彼はぎこちない足取りでその場を離れる。
抱き合ったまま移動するバカップルそのものなうちらの姿に暖かな視線と敵意が向けられた。
でも、それを感じながらも、うちは京太郎君から離れる気には到底なれず…彼が導くままに足を動かした。
京太郎「ふぅ…まったく…いきなり過ぎですって」
京太郎君がそう言った頃にはうちらはバスターミナル脇のベンチに腰掛けていた。
けれど、うちの腕は未だ京太郎君を離さず、その胸の中に顔を埋めている。
勿論、もうコレ以上無く、これが現実である事を理解したが、うちは未だ彼から離れる気にはなれない。
ベージュ色のコートから微かに香る京太郎君の匂いとその身体の逞しさは、強がりながらも寂しがっていたうちの心に入り込み、胸の中に強い歓喜の熱を灯す。
漫「(本当は…ずっと…ずっと会いたかったんやから…っ♪)」
無論、それを京太郎君に伝えた事はない。
そんな事を伝えても、忙しい彼の邪魔になり、鬱陶しがられるのは目に見えているのだから。
一種のNGワードにも近いそれを…うちはずっと心の中に浮かび上がらせる事さえも禁じてきた。
しかし、こうして京太郎君にあって…心のタガも緩んでしまったのだろう。
会いたいと言う欲求が充足し、満たされる感覚に思わずジワリと涙が滲み出てしまう。
京太郎「髪の毛も崩れちゃってますよ…ほら」
そう言いながら、京太郎君はうちの髪をそっとセットしなおしてくれる。
何処か手慣れたその仕草はうち以外の誰かにもそうやっているからなんやろう。
それに嫉妬心がズキリと疼くけど、それを表に出す気にはなれへん。
折角、自腹を切って会いに来てくれた京太郎君と会ったばかりでそれは失礼やし、何より今はそれ以上に嬉しいんやから。
その手慣れた手つきを京太郎君の優しさと受け取っておくのが一番なんやろう。
京太郎「いい加減、顔見せて下さいよ」
漫「ん…♪」
そんなうちに告げられる言葉に、うちはそっと顔をあげる。
胸の中から見上げるそれは、いっそキスを強請っているようにも見えるかもしれへん。
…いや…本当は…京太郎君がそう見えるように…意識してしとる。
本当は京太郎君がキスしてくれへんかなって思いながら…そうやって上目遣いしとるんや。
京太郎「ん…やっぱり可愛い漫さんだ」
漫「い、今、そういうのあかんって…ぇ♪」
多分、それは京太郎君にとって冗談の一環なんやろう。
うちらは合宿でもメールでもそういうやり取りをし続けてきたんやから。
だけど、メールでさえもベッドで転げまわるくらいに嬉しいのに…こうして面と向かって言われると正直ヤバイ。
それだけで身体が熱くなって、京太郎君と一つに融け合いたいという欲求が…お腹の奥から沸き上がってくるんやから。
漫「(でも…それはあかん。あかんで…漫)」
それをぐっと理性で抑えこむのは、これがデートやからや。
折角、こうして大阪まで足を運んでくれた彼を一番に連れて行くのがラブホと言うのは情緒がなさ過ぎる。
能力の副作用の事もあるので軽蔑されたりはしないと思うが、幻滅されないとまでは言い切れないのだ。
それに何より…うちのトートバッグの中には友達と練りに練ったデートプランが入っているのである。
友達に○ックを奢ってまで協力してもらったそれを、京太郎君と一緒に楽しみたいという気持ちは欲情の中でも強かった。
漫「…はぅ…♪」
しかし、それが何時、自分の中で逆転するかは分からない。
そう自分に言い聞かせながらも、うちはやっぱり京太郎君から離れる事が出来ひん。
そんな自分に肩を落として、ふと京太郎君の後ろにある柱時計に目を向ければ、そこは既に14時を遥かに過ぎ去っている。
どうやらうちが夢中になっている間に、結構な時間が経ってしまったみたいや。
京太郎「満足出来ました?」
漫「…全然…ん…♪」
悪戯っぽくそう尋ねる京太郎君にうちはそっとその首を振った。
数十分ほどこうして抱きつき続けたとは言え、ずっと京太郎君と会えなかったうちの身体はまったく満足していない。
けれど、うちの所為で貴重な時間を無駄にしてしまったのは紛れもない事実や。
それを思うとシュンと肩が落ち、申し訳ない気持ちが胸の奥から湧き上がる。
漫「ごめんな…折角、来てくれたのに…」
京太郎「良いですよ。予想してた事ですし」
そんなうちを励ますように言いながら、京太郎君はうちの髪にそっと触れた。
セットした髪を崩さないようにポンポンと上から抑えるようなそれはとても優しい。
京太郎君の暖かさを伝えるようなそれに落ち込んでいたはずのうちから笑みが漏れる。
それに京太郎君も笑みを返してくれたお陰で、うちらの間に穏やかな空気が流れた。
京太郎「それより待たせてごめんなさい。雪が振っちゃった所為で途中にチェーンの準備とか色々あって…」
そう謝罪する京太郎君に対して、うちは首を左右に振った。
うちは長野に行った事はないけれど、もう今の時期から雪が降り始めている事くらい知っているんやから。
日本でも有数の豪雪地帯を抜ける為にあんまり速度を出せないのは、小学生でも分かる。
勿論、高速バスのダイヤはそう云うのを含めて考えられているとは言え、数分の遅れくらいは許容範囲やろう。
漫「それより…会いに来てくれた方が嬉しい…♪」
勿論、遅れた事に関して、うちがソワソワしていたのは確かや。
でも、それ以上に今のうちは京太郎君と会えた事が嬉しかった。
今やったら代行の罰ゲームだって耐えられると思うくらいに胸の中が嬉しさで満ち溢れている。
その気持ちを少しでも伝えようと手に力を込めた瞬間、うちは自分の持っているトートバッグの存在を思い出した。
漫「そう言えば…ご飯食べた?」
京太郎「いや、実はまだなんですよ」
途中で何度か休憩を挟むとは言え、バスの目的は観光ではなく移動や。
サービスエリアに止まる回数だって必要最低限やろう。
到着時刻はちょうど、昼過ぎちょっとになるし、昼ご飯はまだなんじゃないやろうか。
そう思ったうちの予想は、見事に的中していたらしい。
漫「じゃあ…移動する前にここで食べへん?実は…ちょっと作って来たんよ」
京太郎「えっマジですか!?」
そんなうちの言葉に京太郎君は驚きながらも、嬉しそうに返してくれる。
それだけであまり眠れなかった身体に鞭を打って、色々と仕込んでおいた甲斐があると思えた。
うちは案外、尽くす事に喜びを見いだせるタイプやったらしい。
今まで自分ではそんなつもりはなかったものの、新しい自分の発見は嫌なものやなかった。
漫「まぁ、サンドイッチやけどね」
とは言え、それはあんまり手の込んだものやない。
手作りなのでまったく手間がかかっていないとは言えんけど、お弁当ほど手が混んだものって訳でもなかった。
まぁ、サンドイッチやったら外しても後で摘めるし、お弁当よりは気持ちも軽く映る。
外した時の痛々しさもお弁当よりもマシなはずやし…ベターなチョイスだったはず。
京太郎「いや、夕飯も近いですし、そっちの方が良いですよ」
そう言ってくれる京太郎君がうちの気持ちをどれだけ汲み取ってくれとるかは分からへん。
けど、その表情には嘘はなく、心底、喜んでくれとるのがはっきりと伝わってくる。
それにうちも嬉しくなって、今度こそ身体を離した。
瞬間、京太郎君に触れていた肌を秋空の冷たい空気撫でるものの、それに怯む事はない。
それよりも今はそんなに喜んでくれている京太郎君にご褒美をあげたいと、うちはトートバッグの中からランチケースを取り出した。
漫「はい。どうぞ♪」
京太郎「うす。やばい…匂いだけでも美味しそうだ…」
うちの手からランチケースを受け取った京太郎君はクンクンと鼻を動かす。
そのままランチケースを開いていくその顔は今にもヨダレが出そうなものになっていた。
一体、どれくらいの間、休憩しなかったのかは分からんけど、お腹が空いとるのは事実なんやろう。
そんな京太郎君の顔にうちは一つ笑みを漏らしながら、そっと口を開いた。
漫「もう…♪相変わらずお世辞が上手いんやから」
京太郎「お世辞じゃないですよ…って…うぉぉ…」
瞬間、京太郎君の口から感嘆の声が漏れるのは蓋を外したからやろう。
その視線は中身へと釘付けになり、その目は驚きに見開かれていた。
まるでうちのサンドイッチに感動しているようなそれにうちの笑みが深くなる。
京太郎「…卵サンドだけじゃなくて…カツサンドやコロッケサンドまである…だと」
漫「男の子ってそういうの好きやろ?」
うち一人だけなら別に卵サンドやハムサンド程度で十分や。
けれど、男の子の京太郎君にとって、それだけやったら味気ないやろう。
そう思ったうちが挟んだのはカツやコロッケと言ったサンドイッチの花型ばかり。
勿論、栄養のバランスを考えて野菜も挟んでいるけれど、その割合は決して多いものやなかった。
漫「一応、中身も一から作ったんやで?」
京太郎「つまりこの野菜も漫さんが愛情込めて栽培した特製の…」
漫「それに愛情込めてくれたんは名も知らぬ農家のおじいさんや」
ゴクリと生唾を飲み込む京太郎君の言葉が冗談ってのは気づいとった。
それにツッコミめいた言葉を放ちながら、うちはクスリと笑い声をあげる。
久しくなかった冗談の応酬に、うちは思ったより飢えとったんやろう。
心の中が妙に浮かれて、ウキウキとしてしまう。
京太郎「いや、ここまでしてくれるなんて思ってなかったですから、マジ嬉しいですよ」
漫「ふふ…嬉しいけど、そういうのは食べてからにしてぇな」
そこでふと真顔になって告げる京太郎君の言葉は嬉しかった。
せやけど、どうせならそういうのは一口食べてからにして欲しい。
そう思うのは…さっきから京太郎君の感想が気になって仕方ないからなんやろう。
匂いは褒めて貰えたけれど…ちゃんと京太郎君の口に合うやろうか。
その思考がさっきからうちの脳裏にチラチラと映り込み、どうしても気になってしまう。
京太郎「じゃあ、カツサンドから頂きますね」
漫「いきなり大物やね」
京太郎「マジで腹減ってるんで…それじゃ…」
そう言いながら、京太郎君はランチケースから取り出したカツサンドにかぶりつく。
うちが朝から油と格闘しながら揚げたそれはケチャップベースのポピュラーなタイプや。
しっかり衣をつけてカリカリに揚げてからそれほど時間も経ってないし、食感だって悪くない…と思う。
せやけど、うちが味見してからそれは少し時間も経過し、どうなっとるかうちにも分からへん。
それをモグモグと口にする京太郎君にうちはついつい口を開いてしもうた。
漫「ど…どう?」
京太郎「…美味いっす」
伺うようなうちの言葉に、一つ頷いてから京太郎君はムシャムシャとカツサンドを食べ始める。
そこには嘘も冗談もないどころか、寧ろ夢中になっているような感情さえ感じ取る事が出来た。
どうやら…うちのサンドイッチはかなり京太郎君に好評を頂いているらしい。
それに胸を撫で下ろすうちの前で京太郎君は最初の一つを完食した。
京太郎「いや…本当に美味しかったですよ。もう一個貰って良いですか?」
漫「どんどん食べてええよ。ただ、あんまり焦ると喉に詰まらせるから気ぃつけてな」
そう言ううちの言葉に頷きながら、京太郎君はまた一つサンドイッチを口へと運ぶ。
その勢いはさっきよりも早く、味わうと言う気持ちがあまり感じられなかった。
しかし、それでも嬉しそうに食べる京太郎君が可愛くて仕方がない。
まるで外で元気いっぱい遊んできた後の子どものようなその姿に、母性を刺激されてるなんて思うくらいや。
漫「(まぁ、一応、準備だけしとこうか)」
クスリと笑みを浮かべながら、うちがそう思うのは京太郎君の勢いがあまりにも早すぎるからや。
バクバクと勢い良くかぶりつくその姿は、何時、サンドイッチを喉に詰まらせてもおかしくはなかった。
特にパンは水を吸ったら膨れるのもあって、比較的、喉に詰まりやすい食材や。
そうでなくても、パンの後は口の中が乾くものだし、お茶の準備をしておこう。
京太郎「んぐ…っ!」
漫「もう言ったのに…」
そう思ったうちがトートバッグから水筒を取り出した瞬間、京太郎君が苦しそうに喉を叩く。
ドンドンと必死になって流し込もうとする京太郎君を見ながら、うちは水筒のキャップ兼コップを外し、そこへとお茶を流し込む。
それを焦る京太郎君へと手渡した瞬間、彼はそれを一気に呷った。
その数秒後、大きく息を吐いた京太郎君にはさっきまでの苦しそうな様子はなく、安心をその顔に浮かばせていた。
京太郎「…助かりました」
漫「別にええよ。でも、あんまりパンの時は焦ったらあかんで」
元々、唾液で膨れていたのもあって、今回はお茶で流しこむ事が出来た。
しかし、パンの性質上、水で流し込もうとするのは逆効果になってしまう場合もあるんや。
勿論、そんな事は滅多にないとは言え、絶対にそうならへんとは言い切れへん。
それを思えば最初から詰まらないように気をつけるのが一番やろう。
漫「ちゃんと噛んで食べる癖つけへんかったら健康にも悪いんやからな」
京太郎「次から気をつけます…」
うちの言葉にシュンと肩を落とすのは、それが叱るような口調になったからやろう。
それに心の奥が申し訳なさで疼くが、かと言って甘やかすと京太郎君の為にならへん。
多少、落ち込んでも健康の為にもちゃんと噛む癖をつけさせておいた方が後々、彼の為になるんやから。
漫「まぁ…それくらい美味しいっていうのは伝わってきたから…嬉しいけどね」
そう言い聞かせながらも、そうフォローの言葉を紡いでしまうのは…結局、うちが甘い所為なんやろう。
落ち込む京太郎君に母性を擽られたうちは何かしたくて仕方なかったんや。
結局、それがさっきの京太郎君を僅かにでも肯定してしまうのは自分でも良くないと思うが、それでもその言葉は嘘やない。
そうやって嬉しそうに食べてくれる彼が嬉しくて、頑張った甲斐があったと心から思ったんやから。
漫「でも…本当に危ないんやから、気をつけて」
京太郎「はい」
最後にそう釘を指しながら、うちもまたランチケースに手を伸ばす。
京太郎君と一緒に食べたいと言うのもあって、うちもまだ昼食は済ませてなかった。
味見もしていたので流石にお腹がペコペコだって言うほどじゃないけれど、このまま夕飯まで持つほどじゃない。
そう思いながら口に運んだハムサンドは思ったより味も劣化しておらず、意外といい出来だと自画自賛出来た。
京太郎「でも、さっきの漫さん、まるで母親か姉みたいでしたね」
漫「えー…流石に母親は嫌やなぁ…」
勿論、小言っぽくなったのは自分でも自覚してるけど、母親扱いは流石に凹む。
それほど年齢差がある訳じゃないし、何よりうちは京太郎君をそういう対象に見とらんのやから。
それよりはもっと艶っぽくてドロドロとした感情を向けている相手に、母親と思われたくない。
漫「でも、おねーちゃんやったら別に構わへんかも」
そう思うのはうちが意外と、京太郎君に頼られるシチュエーションが嫌いじゃないからやろう。
母親は流石に嫌だけれど、年の近いおねーちゃんなら、そんなに拒否感は出えへんかった。
レディコミにもそういう話が少なからずあって、うちもそういう禁断の恋とやらに憧れが…い、いや、それはともかく。
い、色々な理由があって嫌じゃないのは、確かなんや。
京太郎「じゃあ、今日の漫さんは漫姉ですね」
漫「だったら敬語止めへんとなぁ」
そんなうちに乗ってくれる京太郎君にクスリと笑いながら、うちは一つ目を完食した。
勿論、それは絶品って程じゃないけれど、市販のそれよりはボリュームがあって美味しいと思う。
本格的に料理の勉強を始めたのは合宿後からって事を加味すれば、そこそこ上出来なんじゃないやろうか。
そう思ううちに京太郎君はそっと顔を近づけてきた。
京太郎「…エロいスイッチ入りません?」
漫「そ、それくらいやったら大丈夫やと思う。…多分」
まるでうちの耳元にキスするようなその仕草にドキドキしたのもつかの間。
声を潜めて尋ねる京太郎君にうちは自信なさげにそう返す。
勿論、その程度で発情しちゃうほど自制心がない訳じゃないと思うものの…うちはまだまだ経験不足や。
こうして初めてのデートが終わるまでは、正直、どんな事で発情スイッチが入るか分からない。
『京君』『漫』と言う特別な呼び方さえしなければ大丈夫…と言う予測が正しいかさえ分からず、うちはそうやって曖昧に返すしかなかった。
京太郎「じゃあ…漫姉、これからどうする?」
漫「ふふ♪その辺はちゃあんと考えとるで」
そんなうちから顔を離しての京太郎君の言葉にうちが我慢出来ひんようになる事はなかった。
勿論、心の中は擽ったくて、ムズムズするけど、それは決して欲情に結びつくものやない。
それに一つ安堵しながら、うちは微かに胸を逸らし、自慢するようにその口を開いた。
漫「デートコースは万全。最初から最後までしっかりとうちに抜かりはないで」
京太郎「ごめんな。本当はそういうのは俺が考えなきゃいけないんだけど…」
胸を張るうちとは対照的に、謝罪する京太郎君の肩は下がっていく。
恐らく、その頭の中では男がデートをリードするもの、という意識が強いんやろう。
勿論、うちだってそうして欲しいという気持ちがまったくないとは言えへん。
漫「しゃあないやん。京太郎君はこっちの事知らへんのやし。それにこういうのは地元民に任しといた方がええねんて」
これが京太郎君の地元である長野であれば、うちは遠慮なく彼に全てを任せていたやろう。
しかし、ここは京太郎君にとっては未知の土地であり、うちの地元なんや。
他所の人間が付け焼刃の知識でデートコースを考えるよりは地元の人間が導いてあげた方が遥かに効率が良く、何より安全なんやから。
他所からは楽しそうに見えてもその詳細を知る地元民には微妙なスポットと言うのはどの県にも少なからずあるんや。
漫「その代わり、何時か長野に行く時は案内して貰うからその時は凄いの頼むで」
京太郎「何か凄いハードルが上がった気がする…!!」
漫「うちの期待を損ねたら後でお仕置きやからね」
勿論、それは冗談であり、本当に何かをするつもりはない。
うちにとっては京太郎君と思い出を共有出来るだけで嬉しい事なんやから。
ましてや彼が案内してくれるというだけで、きっと何処でも楽しめるやろう。
それに何より…うちはお仕置きするよりも、される方が好みなんや。
そんなうちにとって、それはあくまでも京太郎君との掛け合いを楽しむ為のものでしかなかった。
京太郎「じゃあ、俺も今日のデートが気に入らなかったら、漫姉にお仕置きしても良いんだな?」
漫「ぅ…そ、それは…♥」
それを見抜いたんやろう。
京太郎君がにやりと笑いながら紡いだ言葉は、そんなうちの心を突き刺す。
ジクリと心の中に染みこんでくる言葉に、胸の奥が強い疼きを走らせた。
肌の内側が甘い炎で炙られているようなチリチリとした感覚にうちの言葉は遮られる。
漫「え…えぇよ。そんなん…出来るんやったら…やけど…♪」
そんなうちの口からポツリポツリと漏れ出るそれは強がり混じりのものやった。
何せ、ここでそれを疼きのままに受け入れてしもうたら、折角のデートがおじゃんになるんやから。
それこそうちはこのまま京太郎君をラブホに連れ込んで、彼が帰る明日までずっと繋がりっぱなしになるやろう。
それに心惹かれへんって言うたら嘘になるけど、でも、初デートがラブホ直行なんて流石に嫌や。
とは言え、京太郎君に慣らされた身体は、それを完全に拒絶する事は出来ず、こうして微妙な言葉を放ってしまう。
京太郎「よし。その言葉忘れんなよ」
漫「ん…♪」
そう言って京太郎君はうちの頭をそっと撫でてくれた。
まるでギリギリのところで我慢したうちを褒めるようなそれに思わず目も細まる。
その胸中には愛しさ混じりの歓喜が浮かび、欲情を押しのけていった。
勿論、うちの中に根強く残るそれは完全に駆逐なんて出来ひん。
けれど、意識から少しずつ深層へと下っていくその感情にうちは安堵を覚えた。
京太郎「まぁ、俺もデートなんて初めてですし、気軽に行きましょう」
いきなり素に戻っての言葉は、うちがプレッシャーを感じているんじゃないかと心配してのものなんやろう。
何だかんだでこれがうちの初デートなのは、京太郎君も知っている事なんやから。
それを胸の中がさらに暖かくなるのを感じながらも、うちはその言葉を見過ごす事は出来ひんかった。
漫「て言うか…初めてなん?」
京太郎「そりゃそうですよ。そんな暇ないですし」
うちはてっきり原村さんや神代さんととうの昔にデートしているものやと思っとったんや。
いや、そうでなくても、メールや電話で仲良さげに出てくる宮永咲と一回くらいはこうしたお出かけをしているもんやと思い込んどった。
けれど、あっけらかんと返す京太郎君には嘘は見えず…だからこそ、うちの胸は大きく跳ね、ドクドクと鼓動の音を大きくしてしまう。
漫「じゃあ、うちが京太郎君の初めての女なんやね」
京太郎「逆に俺も漫さんにとって初めての男な訳で」
漫「つまり…お揃いやね」
京太郎「お揃いですね」
そんなバカップル丸出しな会話をしながら、うちらはサンドイッチを咀嚼していく。
その勢いは決して遅くはなく、また二人で食べているという事もあって、あっという間に減っていった。
時折、会話を挟みながらの食事の時間は楽しいが、サンドイッチがなくなればそれを維持する事は出来ない。
その侘しさに一つ肩を落としながら、うちは京太郎君にそっと水筒のコップを差し出した。
漫「諸行無常やなぁ…」
京太郎「いきなり何を言ってるんですか」
そんなうちの手からコップを受け取りながら、呆れたように突っ込む京太郎君。
そのままグイっとコップを呷った彼はうちにそれを返してくれた。
勿論、そこには京太郎君の唾液が残っておるはずや。
そう思うと唐突に喉の奥が乾いて、さっき補給したはずのお茶が何故か唐突に飲みたくなる。
京太郎「美味しいもの食べるのも、楽しいのもこっからでしょうに」
漫「せ、せやね!」
そう言って、京太郎君はうちにほっとするような暖かな笑みを向けてくれる。
まるで心からうちとのデートを楽しみにしてくれているのが伝わってくるその笑みに、良心がズキリと疼いた。
何せ、今のうちは完全に上の空で、京太郎君の言葉を聴き逃しそうになっていたんやから。
意識の半分以上をコップに引っ張られていたんうちに、そうやって素敵な笑顔を向けられるとなんとなく申し訳なくなる。
京太郎「それで…今日は何処に行くんですか?」
漫「それは秘密や」
そんなうちの気持ちに気づいとるのか気づいとらへんのか。
京太郎君はその話題を大きく変えて、うちへと尋ねてくる。
それに釣れなく返しながら、うちはそっと水筒とランチケースをトートバッグへとしまっていった。
最後にその口をきゅっと紐で縛ってから、うちはベンチから立ち上がる。
漫「現地に着くまでワクワクドキドキのサプライズデートやで」
京太郎「俺はもう久しぶりに会った漫さんにドキドキしっぱなしなんですけど」
漫「えっ…?」
そんなうちに次いでベンチから立ち上がった京太郎君の言葉に、ついつい振り返ってしまう。
どうせ、それも京太郎君の冗談やって、うちには分かっとる。
こんなタイミングでドキドキなんて言い出すんやから、それ以外にはありえへん。
でも…まるでうちの身体は抑えきれへん衝動に流されるように振り向いてしまう。
京太郎「…私服すげー可愛いです」
漫「あぅ…」
瞬間、うちの視界に入ったのはその頬を赤く染めた京太郎君の姿やった。
まるで自分の言葉に恥ずかしがっているようなその姿にうちの顔も赤くなる。
だって、それは京太郎君が冗談でもお世辞でもなく、本気で言ってくれている証なんやから。
それだけでうちの肌は熱くなって、身体に喜びが行き渡っていくのを感じる。
漫「も、もうちょっと早めに褒めへんかったらあかんで…?」
でも、それを表に出来ないのは、そうしたらうちが暴発しかねないからや。
本当はそんな意地っ張りな言葉は言いたくないけど、ここで素直に嬉しがるとうちはきっと止まれへん。
もっともっと京太郎君に褒めてもらいたくて…色々とアピールしてしまうやろう。
そうなったら、京太郎君もきっとタガが外れて…二人でラブホ直行ルートや。
段々、自分の中でそれでも良いかという気持ちが強くなってきているけど、でも、やっぱり初デートくらいちゃんとやりきりたい。
京太郎「実はずっとタイミング伺ってましてですね…」
漫「そう言うのは多少、強引でもええよ」
気まずそうに目を背ける京太郎君にうちはそっと腕を絡める。
それだけで頭の中がカァァと熱くなって、鼓動が激しくなるのを強引に意識から追い出した。
そのまま大きく息を吸い込むうちの横で京太郎君が心配そうな目を向ける。
いきなり横で深呼吸しだしたんやから、それも当然やろう。
漫「罰として、当分はうちの抱きつき攻撃を受けるんやな」
京太郎「寧ろ、ご褒美なんですけど…」
漫「知っとるよ、そんなの」
だって、京太郎君は本当に筋金入りのおっぱい好きなんやから。
能力の対象にもなるくらい洗練されたその欲望は、到底、我慢出来るものやない。
例え、それが冬服に近い厚手のコーデ越しでも、京太郎君は喜んでくれるやろう。
そして、それこそが目的なうちにとって、罰なんて言うのは名目以外の何者でもあらへん。
漫「…だから、察してぇな」
だけど、それを流石に表には出せない。
そんなうちが歩き出しながらの言葉に、後ろの京太郎君はクスリと笑った。
どうやらうちに腕を引っ張られていると言うのに…京太郎君はうちに微笑ましさを感じているらしい。
京太郎「漫さんは甘えん坊ですね」
漫「せ、先輩に対して生意気よ?」
それが生意気だと思うものの、うちの言葉は喜色を滲ませていた。
何だかんだ言って…京太郎君はそんな甘えん坊なうちを受け止めてくれるって分かっているからやろうか。
その生意気な口ぶりにもドキドキするだけで、決して嫌なものを感じない。
まるで飼い慣らされているような自分の姿に悔しく思えるくらい…うちはもう京太郎君にぞっこんやった。
京太郎「生意気なのはそれだけ漫さんが気易くて良い先輩だからですよ」
漫「むぅぅ…」
その上、そんなうちを持ち上げるような言葉を言われたら、拗ねてはいられない。
勿論、卑怯な言い方だと言うのは分かっているものの…悔しいかな、あんまり悪い気はせんかった。
うちは末原先輩みたいな皆に尊敬されるようなタイプじゃないのはここ最近で良く分かっとるんやから。
実際、京太郎君に恭しくされる自分なんていうのはまったく想像出来ひんし、それよりはこうした気安い関係の方が居心地が良い。
漫「何か最近、京太郎君が口が上手くなりすぎて不安やわ…」
京太郎「日頃から漫さんにメールなんかで鍛えられてますから」
そう京太郎君はあっけらかんと言うものの…多分、それだけやない。
そうであって欲しいとは思うものの、うちと京太郎君の普段の接点はメールや電話だけなんやから。
それよりは普段、京太郎君の周りにいる皆から受ける影響の方が遥かに大きいはずや。
漫「(実際…ここ最近は二人の話題が多いし…)」
勿論、それは京太郎君自身は意識してへんものなんやろう。
だけど、そのメールを一日の間に何度も読み返し、寝る前に録音した京太郎君の声を聞いているうちにはよぉ分かる。
京太郎君は少しずつ…でも、確実に原村さんと神代さんとの話題が増えていっとるんや。
二人が何をした、どうなった…そんな風な言葉が増えるのは、間違いなく京太郎君が二人を意識しとるからやろう。
漫「(前は…宮永咲の事が一番、多かったのに…)」
しかし、今やその関係は完全に逆転している。
今の彼にとって、不安で中々、目を離せないと称した宮永咲よりも二人の事が気になっているんやろう。
そして…それが今のうちにはかなり…心にクる。
一人だけ大阪という離れた土地に居て、置いてけぼりを喰らっているうちにとって、着実に距離を縮めているだろう三人の姿は胸が痛むものやった。
漫「(うちだって…能力の影響を受けとるのに…)」
勿論、それは距離や生活の問題もあって、仕方のない事やと分かっとる。
だけど、一人だけ蚊帳の外に置かれとるという疎外感は…やっぱりどうしても胸へと突き刺さるんや。
そして…そこから湧き上がる何とも自分勝手な不公平感。
自分から志願して能力の実験台になったうちだけ、どうして仲間はずれにするんやって。
うちだって副作用で…京太郎君に会いたくて仕方ないのに…どうして一人ぼっちにするんやって。
二人とだけ毎日会って…優しい言葉を向けるなんてズルいって。
仕方ないって分かっているのに、そんな感情が溢れて…どうしても止まらへんかった。
漫「(だから…絶対にこのデートで…もっと仲良くなってみせるんや…!)」
そんな不公平感を解消する為にも…うちはこのデート、絶対に失敗は出来ひん。
他の二人に対して、どうしても環境が悪いのを否めないうちは一回で大きく稼がへんかったら負けてしまうんやから。
それは…正直、考えたくもない未来だからこそ…うちは… ――
………
……
…
大阪が誇るデートスポットと言えば、殆どの人がU○Jを思い浮かべるんやないやろうか。
実際、そこは日本でも有数の遊園地やし、人気なのは間違いない。
けれど、付き合いたてのカップルが行くのに適しているかと言えば、答えはNOや。
何せ、人気過ぎて休日は殆どのアトラクションが時間単位で待たへんかったらあかん。
平日だって修学旅行生が多く立ち寄り、人気アトラクションで待ち時間が発生するのも珍しゅうはない。
そんな場所に付き合いたてのぎこちないカップルが行けば、話題が途切れて、気まずいまま別れてしまうやろう。
漫「(まぁ、うちと京太郎君はそういう仲やないけれど…)」
でも、お互いがこれが初デートだと理解している以上、そんな危険牌は打てない。
それよりももっと安全で、かつ思い出が残りやすい場所で仲を深めていくのが一番や。
そして、幸いにも大阪にはそれにとても適した場所がある。
それは… ――
京太郎「おぉ…」
大阪港駅から降りて、少し歩いたうちらの前にあったのは特徴的な建物やった。
まるで角ばったキノコのような形をするその壁には海に泳ぐ様々な魚たちが描かれている。
中央の壁に水面へと登ろうとしているようなイルカが二匹描かれたそこは… ――
京太郎「これが噂の海遊○…」
漫「ふふん」ドヤァ
感嘆したような京太郎君の声に、うちはついつい胸を張ってしまう。
勿論、うちは何も偉くはないんやけれど、他県の子にそうやって感心されるのは悪い気分やない。
生まれも育ちも大阪な所為か、結構、うちも郷土愛っていうのが強い方なんやろう。
京太郎「確かジンベエザメがいるんですよね?」
漫「海○館はそれだけやないで」
勿論、全国的にそれが有名なのは事実やろう。
だけど、うちがわざわざ初デートの場所にここを選んだのはそんなミーハーな理由だからやない。
ここが普通の水族館よりもアミューズメントとしての部分に力を入れて、色々と楽しめるからや。
近くには対岸の○FJにも負けない立派な大観覧車があるし、遊覧船だって出とる。
その代わり他の水族館にはありがちなショーとかはないけれど、一日中時間を潰すのはそう難しくはない。
漫「(まぁ、かく言ううちもここに足を運んだのは確か中学校くらいの遠足以来やけれど)」
身近過ぎてあんまり行かないってのは大阪でも同じや。
でも、デートコースの定番を色々と調べた結果、たどり着いたその考えはあんまり間違ってないと思う。
友達もそんなうちの判断に賛成してくれたし、きっと大丈夫。
そう自分を奮い立たせながら、うちはそっと足を動かし、京太郎君を引っ張る。
漫「まぁ、あんまりネタバレするのも面白くないやろ?」
京太郎「確かに…その通りですね」
まぁ、実際はうちが行った頃とはまた色々と違っているみたいで説明しきれへんのが本音やった。
勿論、ここを選ぶにあたって雑誌やネットの評判なんかにはひと通り目を通したけれど、ちゃんと説明出来るほどやない。
その辺を突っ込まれて、しどろもどろになるのは面白くないし、ここは誤魔化すのが一番や。
先輩って言うのは基本的に後輩に対して、意地っ張りで見栄っ張り生き物なんやから。
京太郎「それじゃ一杯、楽しみましょうか」
漫「うんっ♪」
そんなうちに京太郎君が告げる言葉に首肯と共に返事を返す。
その瞬間、うちらは入り口を潜り、その不可思議な建物へと飲み込まれた。
そんなうちらをまず真っ先に迎えてくれたのは、勿論、チケット売り場。
修学旅行生も一段落ついた所為か、心なし暇そうにしているお姉ちゃんにうちらは近づいていく。
漫「大人二枚お願いします」
京太郎「いや、ちょ、漫さん!?」
京太郎君がそう焦った声を出すものの、もう遅い。
その利き腕はうちの胸が抑えているし、利き腕が使えるうちの方が財布を出すのは早い。
まさかうちがお金を出そうとするなんて想像もしていなかった事もあり、うちはスルスルと精算へと進んでいく。
その最後にチケットを受け取ったうちは、横の京太郎君に勝ち誇ったようにニコリと笑った。
京太郎「ズルいっすよ」
漫「言ったやろ。諸経費は割り勘やって」
このデートを決めた際、必要経費は常に割り勘で、という話やった。
うちは校則や部活の都合でバイト出来ひんし、お小遣いもあんまり高くない。
その辺の事を気遣って、京太郎君は全額出すと言ってくれたけど、うちが必死でねじ込んで妥協させたんや。
でも、だからと言って、高速バスに乗って大阪まで来てくれた京太郎君にホイホイと割り勘させるのも心苦しい。
漫「これで行きのバス代くらいにはなったやろ」
京太郎「そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ」
漫「うちが気にすんの」
結果、うちが選んだのは、せめてバス代分くらいは強引に奢るというものやった。
そんなのメールでも電話でも一言も伝えていなかったから、京太郎君にとっては条約違反も良い所だろう。
それでもやっぱりうちにも先輩としての意地があるし、何より… ――
漫「それに…そうやって浮いたお金で京太郎君の方がまた会いに来てくれるだけでうちは幸せよ」
そう。
そうやって浮いたお金で京太郎君がまた大阪に来る気になってくれれば、お金を出した甲斐は十二分にある。
勿論、京太郎君だって今の時期は大会やら何やらで忙しいから、期待するのはいけん事やろう。
しかし、やっぱり一ヶ月に一回か二回…って言うのはやっぱり寂しい。
それを口に出したら京太郎君が困る事くらい分かるから口には出さへんけれど…冗談めかしたそれは決して嘘やなかった。
京太郎「漫さん…」
漫「ふふん♪うち結構、殊勝な女やろ?」ドヤァ
京太郎「漫さんは最初から優しくて気遣いの出来る人ですよ」
それを隠したくてドヤ顔するうちに京太郎君はクスリと笑って、頭をそっと撫でてくれた。
優しくて暖かいその手つきに思わず胸の奥が熱くなる。
身体の内側にも心地好さが満たされ、緩やかに脱力していく感覚が湧き上がるくらいや。
だけど、まだ入り口にも立っとらへん状態でふにゃふにゃになる訳にはいかへん。
そう自分に言い聞かせながらぐっと足に力を込め、しゃんと自分の足で歩き続ける。
京太郎「でも、俺は今日、漫さんに男を見せる為にバイト頑張ったんですから、もうちょっと頼って下さい」
漫「んー…善処するって事で」
勿論、うちはバイトしてへんから、どうしても京太郎君に頼らざるを得ない立場や。
何もかんもうちが出してあげるなんて不可能やし、今日だっておかんから貰ったデート代特別手当にかなり頼っとる。
だけど、それでもギリギリまでは京太郎君の面倒を見てあげたい。
デートなんて初めてだし、どんな風にお金が飛んでいくかは分からないけれど、やれる分はやってあげたいのが本音や。
京太郎「漫さぁん…」
漫「ほら、情けない事言ってないで…そろそろ見えてくるで」
そんな話題を誤魔化す為にうちが指さしたのは青い世界やった。
天井から降り注ぐ青い光に染まったそこは色とりどりの魚が泳いどる。
丸いチューブ状のそれはまるで海底トンネルさながらの光景を演出していた。
10mちょっとしかない、けれど、とても神秘的なそれにうちらの目は惹きつけられていく。
【アクアゲート】
京太郎「お、おぉ…アクアゲートだ…」
漫「何時も思うけど、これ考えた人、凄いよね」
京太郎「三方が水で囲まれて、普通の水槽とはかなり違いますからね」
漫「…でも、コレ見ると何時も思うんやけど」
京太郎「?」
漫「何で下までガラスにせんのやろうね?」
京太郎「あー…ここまで来るならいっそ全部ガラスにしちゃえ的な?」
漫「そうそう。折角やし、足元を泳ぐ魚とかも見てみたいやん?」
京太郎「多分、小さい子どもとかが怯えちゃうんじゃないでしょうか」
漫「なるほど。水族館って確かに小さい子どもも来るもんね」
京太郎「後はコストの問題とか」
漫「ちょ!そんな世知辛い事言わんといてぇな!」
京太郎「はは、すみません。折角の水族館で言うセリフじゃなかったですね」
漫「お、エイ泳いどる」
京太郎「何であれで泳げるんでしょうね」
漫「そう言えば…横の羽動かしとるだけやんな」
京太郎「可愛らしい仕草なのは確かなんですけどね」
漫「でも、顔は中々、迫力あるんよねぇ…」
京太郎「硬派な職人って感じに見えますからね」
京太郎「ただ…俺は子どもの頃、必死になってエイとにらめっこしてましたけど」
漫「何でにらめっこなん?」
京太郎「いやぁ…あの下の口が何故かツボに入ってですね」
京太郎「悔しいから必死になって、笑わせてやろうと変顔してました」
京太郎「気づいた時には集合時間過ぎてて、先生が慌てて探しに来ていましたね」
漫「子どもの頃から負けず嫌いやったんやね」
京太郎「まぁ、エイが笑うはずないから負け続けだったんですけどね」
漫「いや、実は内心、馬鹿な奴って笑われてたかもしれへんよ?」
京太郎「もし、そうだったとしたら勝った喜びよりもショックの方がでかいですね…」
京太郎「にしても、此処は全体的に黄色い感じですね」
漫「あざとい枠やな」
京太郎「あざとい?」
漫「いや、ごめん。何でもあらへん」
漫「(…今時、日曜朝のアニメ見てるとか知られたくないのに…迂闊やった…)」
京太郎「あ、ここ熱帯魚が中心なのか」
漫「だから、色々とカラフルなんかもしれへんね」
京太郎「泳いでる魚を見てるとなんかサンゴ礁とかそんなイメージが強いですし」
漫「こういうのも意外と日本の周りに住んどるんやなぁ…」
京太郎「かなり意外ですよね。このキイロハギとか言うのももう完全に真っ黄色ですし」
漫「ヒフキアイゴってのも負けず劣らず黄色いけど、こっちは時間で色が変わるみたいやね」
京太郎「それはそれで見てみたいですけど…」
漫「今日一日は何回でも入れるし、後で見に来る?」
京太郎「んーでも、流石にコイツだけの為にもっかいってのは悩みますね」
漫「んじゃ、他の所見てから色々と考えてみよっか」
京太郎「ですね」
【エスカレーター】
京太郎「エスカレーター長っ!!」
漫「ふふふ…やっぱりそこは突っ込むよね」
京太郎「いや、だって、マジ長いですよ。これ何階分くらいあるんですか…」
漫「あー、ごめん。うちもそれは分からへん」
漫「えーっと…パンフパンフっと…」
京太郎「あ、ズルい。いつの間に」
漫「チケット売り場のおねーさんに貰ったんよ。京太郎君の分もあるで」
京太郎「良かった。…でも、パンフ読みながらエスカレーターとか怖くないです?」
京太郎「特にこれ信じられないくらい長いですし」
漫「まぁ、京太郎君がしっかりとうちの事を抱いてくれるって信じとるからな」ニコッ
京太郎「あー…もう。そんなの言われたらダメだって言えないじゃないですか」
漫「ふふ…♪まぁ、三半規管も弱くないし、大丈夫やって」
漫「うちあんまり車とかでも酔った事あらへんしね」
京太郎「羨ましい…」
漫「あー…これ八階まであがるみたいやね」
京太郎「八階って…スケールが違いますね」
漫「普通のデパートとかだったら一階ずつやからねぇ」
京太郎「そもそも八階建てのデパートとかあんまりないんじゃないですよ」
京太郎「俺の知ってる一番大きなところで七階、地下含めてギリ八階って感じですし」
漫「阪急とか大丸とかその辺やったら、結構、八階とか十階建てあるで」
京太郎「阪急?大丸?」
漫「あぁ…そうか。そっちには出店してへんのか」
漫「こっちじゃ有名な大手百貨店の事やで」
京太郎「あぁ、なるほど」
漫「そっちにはそういうのないん?」
京太郎「長野だけって訳じゃないけど東急系列の百貨店はありますね」
漫「うちは東急言うたらハンズが真っ先に出てくるなぁ」
京太郎「あんまりそういうのを利用しない俺は駅ですね」
漫「あぁ、そっか。東急も阪急と同じ鉄道会社が元なんか」
京太郎「えぇ。だから、あんまりデパートの東急ってイメージ湧き辛いんですよね」
漫「あ、でも、これ一階から八階にあがるんじゃないみたい」
京太郎「えっ…マジですか?」
漫「うん。さっきのところが三階扱いやねんて」
京太郎「またややこしい…」
漫「こういうの困るよねー」
京太郎「これがまだ水族館で順路があるから良いんですけど…」
京太郎「そういうのなかったら迷った時、困りますよね」
漫「あれ?京太郎君って結構、迷子になるタイプ?」
京太郎「いや、咲…知り合いが、そういうタイプでして…」
漫「あの子が?」
京太郎「えぇ。アレで結構なポンコツなんですよ、アイツ」
京太郎「公衆電話から携帯に掛けてきて三階にいるって言ったから走ったら、本当は五階だったとか…」
京太郎「探してる間に俺らしい人を見つけて移動しちゃって、公衆電話から離れるとか…」トオイメ
漫「苦労しとるんやね…」
京太郎「まぁ、もう慣れちゃいましたけどね」ハハッ
【日本の森】
漫「っと…着いたみたいやな」
京太郎「ここは…えっと森みたいですけど」
漫「うん。森やね。えっと…確か日本の森を再現しとるんやなかったっけ
京太郎「おぉ…カワウソがいる」
漫「ホンマや。かわええなぁ」
京太郎「漫さんの方が可愛いですよ」
漫「ふふ…京太郎君は口が上手…くあらへんよ!」
漫「カワウソと比べられてもちょっとなぁ…」
京太郎「はは、すみません」
京太郎「でも、意外と雰囲気似てると思いますよ?」
漫「そう?」
京太郎「えぇ。愛嬌のある顔立ちって感じです」
漫「んー…そう言われると悪い気はせんねぇ…」テレテレ
京太郎「(ちょろい)」
漫「カワウソって小魚だけじゃなくってカエル取るんやね」パネルジー
京太郎「っていうかカワウソってラッコの仲間だったんですか…知らなかった…」
漫「言われてみれば体毛のもしゃもしゃっぷりとか似てるけどね」
京太郎「ラッコってどうしても仰向けで泳いでるイメージがありますから、普通に泳ぐカワウソとはあんまり結びつかなかったです」
漫「うちはラッコと言えば、青くてピンクの貝持ってる奴やな」
京太郎「あー、アレですか。子どもの頃、良く見てましたよ」
漫「アレ確かN○Kやったしねぇ。全国放送は偉大」
京太郎「…でも、アレ、結構、怖い話あったような」
漫「あかんで」
京太郎「えっ」
漫「ピンク色のアレの事言うたらあかん」
京太郎「…」
漫「…」
京太郎「しまっちゃ」
漫「やめーや!やめーや!!」
帰ってきたのは嬉しいけどとりあえずもうアレなあとがきとか名前欄の無駄な主張とかやめてね、荒れるから
漫「うちアレ、子どもの頃、ガチ泣きしたんやからな!!」
漫「怖すぎて一ヶ月くらい親と一緒に寝てもらったトラウマを掘り返すのは止めて!」
京太郎「そこまで怖がってる単語を口にしたのは悪かったですけど…」
京太郎「でも、アレ、そんなに怖かったですかね?俺も見てましたけど、結構、ケロッとしてたような…」
漫「…うち、暗くて狭いところ苦手やねん…」
京太郎「あー…」
漫「どっちか片一方だけなら全然、我慢出来るんやけどね。両方ともなるとホンマ無理で…」ブルッ
京太郎「何て言うか…ごめんなさい」
漫「許さへん」
漫「だから…今日はずっとうちの事離したらあかんで」ギュッ
京太郎「…最初っからそのつもりですよ」グッ
漫「じゃあ、ちょっと女子トイレまで行くから着いてきてくれるやんな?」
京太郎「すみません。本気で反省してるんで、それだけは勘弁してください…」
【七階】
漫「そんな訳で日本の森を降りて来た訳やけど…」
京太郎「水槽が一杯でようやく水族館っぽくなって来ましたね」
漫「まぁ…勿論、ここの目玉は…ってラッコやぁ♥」
京太郎「ラッコですねー。あ、こっち見た」
漫「えへへ、ちゃんと分かってくれとるんやね」
京太郎「私生活ジロジロ見てんじゃねぇよ的な視線だったり…」
漫「そ、そういう夢が壊れるような事言わんといてぇな…」
京太郎「でも、ラッコって結構、アグレッシブですよ」
漫「えー…ホンマなん?」
京太郎「元々、動物食ですし、水槽のガラスに貝を叩きつけたりする事もあるみたいですよ」
漫「いきなりそんなんされたらびっくりしすぎて泣きそうになる自信があるわ…」
京太郎「はは。まぁ、稀なケースらしいですし、きっと大丈夫ですよ」
漫「それやったらええねんけど…ねぇ、そんな事せえへん?」フリフリ
ラッコ「?」クビカシゲ
漫「かーわーいいーっ♪」パァァ
京太郎「(ラッコに夢中になってる漫さんの方が可愛いと思ったけど、さっき駄目だしされたし黙っておこう)」
漫「京太郎君!写メ取って写メ!!」
京太郎「あれ?ここって良いんですか?」
漫「フラッシュ使わんかったら大丈夫みたい」イジイジ
漫「うし。フラッシュ切ったで」テワタシ
京太郎「じゃあ、失礼して…」スッ
京太郎「それじゃ…3、2、1…」
漫「」ニコー
京太郎「はい。取れましたよー」
漫「見して見して!わぁ…♪」
京太郎「さっきのラッコに後ろからガン見されてますね」
漫「せやねー。ふふ…気に入られたんかも」
京太郎「だとしたら、ちょっと悔しいかもしれませんね」
漫「ふふ…じゃあ、うちが京太郎君のものやって教えてあげへんかったらあかんね♪」
京太郎「……さ、流石にそこそこ人通りがある中でそんな事やりませんよ?」
漫「でも、今ちょっと迷ったやんな?」
京太郎「…つ、次行きましょう。次」
漫「ふふ♪せやね」
漫「今度はアシカとアザラシやね」
京太郎「ラッコ見た後だと凄い大きく見えますね」
漫「えっと…アシカは2m超える事みたいやからねぇ…」パネルジー
京太郎「でけぇ…」
京太郎「っておぉ…潜ってる潜ってる」
漫「アシカの潜りっぷりは力強くて格好ええなぁ」
京太郎「シャチとかそういうのとはまた違ったものがありますね」
漫「陸上でも生活してる姿を見れる所為やろか」
京太郎「あぁ、確かにギャップがあるのかもしれませんね」
京太郎「トテトテ動いてる姿は格好良いより可愛い感じですし」
漫「…京太郎君もベッドの上では格好ええけどな」クスッ
京太郎「ぅ…い、いや…その…」カァァ
京太郎「って言うか、それって普段の俺が可愛いって事ですか?」
漫「さぁ、どうやろうなぁ♪」
漫「でも、そうやって照れとる京太郎君は可愛ええと思うよ♪」
京太郎「ぬぐぐ」
京太郎「そ、それよりゴマフアザラシは陸の方で横になってますね」
漫「昼寝中なんかな?」
京太郎「えっと…あ、そうか。餌やりが終わった後だからお腹いっぱいなんですね」パンフジー
漫「あー、そりゃ失敗やったなぁ…」
京太郎「すみません。俺の所為で…」
漫「いや、ちゃんとそういう時間の確認しとらんかったうちが悪いから気にせんとって」
漫「それにうちはああやって横になってるアザラシ見てるだけでも満足やし」
京太郎「確かにああいうのも中々、見れない姿かもしれませんね」
漫「そうそう。あぁ…リラックスしとるのがここまで伝わってくるわぁ…」デレデレ
京太郎「ガラス越しとは言え、すぐそこに人が歩いてると思えないくらいのリラックスしっぷりだなぁ…」
漫「アレだけ大きいって事はそこそこ大人やろうし、もう慣れたんやろうね」
京太郎「ある意味、見られるのが仕事な訳ですから、そうなのかもしれません」
漫「まぁ、カチコチになって警戒されるよりはリラックスされてた方が嬉しいけどな」
京太郎「とは言え、あんなに幸せそうに眠っていられると…」
漫「…悪戯したくなるわなぁ…」
アザラシ「」スピー
漫「おぉ…何かおるでー」
京太郎「えっと…アカハナグマって言う奴らしいですね」
京太郎「アライグマの仲間みたいです」
漫「でも、あんまりアライグマっぽい顔はしとらんなぁ…」
京太郎「鼻が長いですし、アリクイに近い感じですからね」
漫「それに鼻が赤いって言えるほどじゃないような気もする…」
京太郎「…こういうのって一体、どうして着けられるんでしょうね?」
漫「最初に見つけた時の仮称がそのまま正式名称になるんちゃうやろうか」
京太郎「って事はコイツも一番最初に見つけたのは赤い鼻だったからなんでしょうか」
漫「…あかん。今、脳裏で真っ赤な鼻のトナカイの歌が…」
京太郎「や、止めて下さいよ!このタイミングでそれ言われたら、最初に見つかった奴がまるで除け者だったみたいじゃないですか!」
漫「ご、ごめん。でも…もし、そうやったとしたら保護されとるんちゃうやろうか…」
京太郎「そうだと良いんですけど…」
アカハナグマ「(体毛が赤くて鼻の長いクマだからなんだけどなぁ…)」
漫「えっと次は…エクアドル熱帯雨林やね」
京太郎「熱帯雨林…」ピクッ
漫「あれ?どうしたん?」
京太郎「あ、いえ、すみません。何でもないです」
漫「それやったらええねんけど…って色々おるなー」
漫「魚から鳥から哺乳類からトカゲまで…って、京太郎君?」
京太郎「か…」
漫「か?」
京太郎「カピバラァァッ!」
漫「」ビクンッ
京太郎「はっ…す、すみません…」
漫「いや…べ、別にええけど…どうしたん?」
京太郎「いや、実は俺の家、あそこにいるカピバラ飼ってるんで…」
漫「え…それホンマ?」
京太郎「マジですって。何なら後で写真もお見せしましょうか?」
漫「見る見る!って言うか、飼ってるって事は…」
京太郎「勿論、触りたい放題ですよ」ドヤァ
漫「…今度、京太郎君の家に遊びに行ってええ?」
京太郎「漫さんなら何時でもオッケーですよ」
漫「(よ、よし…!親御さんに顔を覚えてもらう機会やし…しっかりおめかしして行こう…!!)」グッ
漫「しっかし、まさか京太郎君がこんな珍しいもん飼っとるなんてなぁ」
京太郎「まぁ、飼ってるって言っても、親のいない間に餌やったり、遊んでやったりする程度ですけどね」
漫「それでも羨ましいわぁ…うちペットおらへんし」
漫「…ホンマは猫飼いたいねんけどなぁ…」
京太郎「猫も良いですね。猫暖房とかは俺も憧れます」
漫「なー。羨ましいわぁ」
京太郎「でも、うちにはカピーがいるんで猫はちょっと…」
漫「あーそう言えばカピバラもネズミやっけ」
京太郎「です。まぁ、猫が取るのは別にネズミだけじゃないらしいですけど」
京太郎「ネズミを追いかけるのも好物だからじゃなくって、狩猟本能だかららしいですしね」
漫「でも、カピバラ狩ろうとするのはかなり難しいやろうなぁ」
京太郎「1mを軽く超えますし、そこらの猫より大きいですからね」
漫「あんなネズミ追い詰めた時には大怪我じゃ済まなさそうやね」
カピバラ「キュー?」
漫「って…ピラニアおるでここ!」
京太郎「えっマジですか!?」ガタッ
漫「ほら」ユビサシ
京太郎「うわ…本当だ…」ユビサシ
京太郎「カピバラ落ちたりしないかな…心配だな」
京太郎「アレで結構ドン臭いからなぁ…それでいて人懐っこいし、こっちが落ち込んでる時は傍に寄ってきてくれるし…」
漫「(途中から惚気みたいになっとる…)」
漫「あ、でも、大丈夫みたいやで」
京太郎「えっ」
漫「ほら、ピラニアの説明」
京太郎「え…あ…ピラニアって群れ作って身を守るくらい臆病なんですね」
漫「しかも、血の匂いや水面を叩く音に敏感なだけやって」
京太郎「水槽の中じゃそれほど大きな群れも作れませんし、大丈夫かな…」
漫「大丈夫やって。水を飲みに来た程度じゃ反応せんやろうし」
漫「一々、反応しとったらアマゾンの周りには動物おらへんようになるよ」
京太郎「言われてみればそうですね。しかし…凶暴で獰猛ってイメージは映画とかで作られたものなんだろうなぁ…」
漫「実際、遊んでた奴がピラニアに襲われて…って話はあったかもしれんけど、その辺を人が膨らませていったのは事実やろうな」
京太郎「お前も今、流行りの風評被害って奴を受けてたんだな…」
京太郎「まぁ、そのピラニアよりも遥かに存在感があるのは…やっぱりコイツですね」
漫「世界最大級の淡水魚…ピラルクさんやー♪」
京太郎「いやーやっぱでかいですね。周りの魚の数倍はある」
漫「えーっと…3m近いの個体も見つかった事もあるんやって」
京太郎「え?俺、4m級もいるって聞きましたよ」
漫「そんなんおったら最早、化け物の領域やろなぁ…」
京太郎「海じゃなく淡水で4mですからねー。肉体維持だけでも大変そうだ」
漫「しかも、肉食やしね。周りの魚としたら生きた心地がせんやろうなぁ…」
京太郎「でも、この水槽だと周りの魚を襲う様子はないですね」
漫「でかい魚ばっかりやからちゃうかな」
京太郎「あぁ、確かに…説明にも80cmとか1mとか書いてありますもんね」
漫「お腹が減っていたらまたちゃうんかもしれんけど、とりあえずそのつもりはないんやろ」
京太郎「でも、こっちのアイスポットシクリッドって魚に凄い不穏な説明が…」
漫「どれどれ…二ヶ月おきに産卵…約9000から15000粒…」
京太郎「……」
漫「……」
漫「だ、大丈夫やって!流石に産卵期くらい係の人が把握しとるやろ!」
京太郎「で、ですよね!その時が来たらきっと隔離しますよね!」
漫「うちとしてはコイツも気になるんやけどなぁ…」
京太郎「どれです?って、あー…」
漫「レッドテールはまぁ、分かる。背びれも尾ひれも赤いしな」
漫「でも…なんでキャットフィッシュなん?」
京太郎「ヒゲじゃないですか?」
漫「あー…なるほど。でも、この子、ナマズっぽい顔しとるなぁ」
京太郎「っていうか確かナマズの英名がキャットフィッシュなんじゃなかったですっけ」
漫「え?そうなん?ナマズって日本だけじゃないのん?」
京太郎「いや、俺も詳しくは知らないですけど、仲間は結構、色んな所にいるみたいですよ」
漫「あんなドン臭い見た目しとる割りに結構、手広くやっとるんやなぁ…」
京太郎「でも、ほら、こっち向いてるレッドテールキャットフィッシュいますけど…」
漫「おぉぅ…何か迫力を感じるな」
京太郎「馬鹿にするなとか思ってるのかもしれませんね」
漫「馬鹿にする気はなかってん…ごめんな?」
京太郎「さて、次はラッコと並ぶ水族館のアイドルですね」
漫「ペンギン~♪」
京太郎「えっと…オウサマ、アデリー、ジェンツーと三種いるみたいですね」
漫「なんでもええ!ともかく、ペンギンと戯れるチャンスや!」
京太郎「まぁ、ガラス越しなんですけど」
漫「まぁ、その辺はしゃあないわなぁ…ペンギンって結構、繊細みたいやし」
京太郎「でも、確か、むかーし、水族館の中を歩いてショーエリアまで引率されてくペンギン見た事ありますよ」
漫「えっ、なにそれ!?」
京太郎「何処だったっけ…確か家族旅行で行った小さな水族館なんですけど…」
漫「ちょっ!が、頑張って思い出して!うちも行きたい!」
京太郎「すみません。幼稚園児かそれくらいの時の記憶なんで…」
漫「うぅぅ…携帯で調べたら出てくるかな…」
京太郎「後で調べてみましょうか。それより、ほら」
漫「子ペンギンやぁ♪」
京太郎「まだ体毛も灰色な感じですね」
漫「この子誰やろ…」
京太郎「えっと…パネル見る限り、オウサマですね」
漫「あー…子どもの体毛が違うんはオウサマだけなんや」
漫「って事は昔見たあのペンギンアニメもオウサマがモチーフなんかな」
京太郎「あー…アレですか」
漫「アレやアレ」
京太郎「…名前、出て来ませんね」
漫「何分、昔の事やからなぁ…」
漫「しかし、アレやなぁ…」
漫「オウサマもジェンツーも方向性は違えど可愛いって感じやねんけど…」
京太郎「アデリーはもうちょっと何とかならなかったんですかね…」
漫「目の周りが白いから、凄いこう睨まれている感があるわぁ…」
京太郎「『クワッ』って感じですよね」
漫「小さな子どもが見たら夢に出てくるんちゃうやろうか…」
京太郎「まぁ、自然界で生きていく為にはそうやって威嚇する術の一つや二つ覚えておいた方が良いのかもしれませんし」
漫「厳しい世の中なんやなぁ…」
京太郎「特にペンギンの子育てってかなり厳しいらしいですしね」
京太郎「餌が取れない期間とかもあるので、半ば絶食しながら過ごす事も珍しくないとか」
漫「あー魚もずっと同じ場所にいる訳やないもんね」
京太郎「これが淡水とかならまだ何とかなるのかもしれませんけど…海、しかも、北極ですしね」
漫「シャチとか外敵も多いみたいやし…数とか大丈夫なんかなぁ…」
京太郎「まぁ、その辺は一朝一夕で過ごしてきた訳じゃないから大丈夫だと思いますよ」
漫「イルカやー♪」
京太郎「さっきのペンギンとラッコがアイドルだとしたら、イルカはヒーローですね」
漫「ショーもこなすイケメンさんやからなぁ」
京太郎「漫さんの隣にもイケメンがいると思いますよ」キリリッ
漫「はいはい。うちにとって京太郎君は最高のイケメンさんよ」クスッ
漫「でも、楽しそうに泳ぐなぁ…」
京太郎「その辺がイルカの魅力って奴なのかもしれませんね」
漫「せやねぇ…。実際、小さい子どもの頃はイルカの群れに混じって泳いでみたいとか思ってたわぁ…」
京太郎「はは。俺もそうでしたよ」
京太郎「でも、ダイビングの免許とか必要だって聞いて挫折しました…」
漫「アレってやっぱり結構、難しいんやろうなぁ…」
京太郎「自分の命だけじゃなく、他の人の命にも関わる事ですしね」
漫「まぁ、それ以前にうちあんまり泳げないから無理やねんけどな!」
京太郎「ちなみにどれくらい…?」
漫「25が限界って感じ…」
京太郎「それ水泳の授業とかきつくないです?」
漫「ふふん、女子は25どころか15くらいでええねんで?」
京太郎「男子とか普通に50やらされたりするんですけど…」
漫「京太郎君もそれくらいいけるん?」
京太郎「今なら50どころか100くらいは軽くいけるんじゃないっすかね」
漫「さりげない体力自慢来たわぁ」
京太郎「ドヤァ」
漫「ふふ…♪そこドヤ顔するとこやないで」
京太郎「七階最後は…グレートバリアリーフですね」
漫「世界最大級のサンゴ礁やったっけ」
京太郎「ですね。まぁ、お陰で色んな生き物がいるとか」
漫「実際、こうして説明のパネルだけ見ても、かなりの数やしなぁ」
京太郎「間違いなく今までで最大ですね」
漫「でも…正直…」
京太郎「…コメントに困りますね」
漫「鮮やかさで言えば、最初のアクアゲートの方が凄かったしなぁ…」
京太郎「ここまで来ると魚の種類とか、分かんないですしね」
漫「あ、でも、うちオジサンは生物でやったし、分かるで!」
京太郎「俺も、ニシキエビくらいは名前も知ってますね」
漫「へぇ…ってこの子、伊勢海老の仲間では最大級なんや」
京太郎「美味しいんですかね」
漫「京太郎君…水族館で味の話をするのはタブーやで…」
京太郎「すみません…つい…」
漫「まぁ、食用にされてない時点で、味はお察しって感じなんやろな」チラッ
京太郎「(あ、これ実は漫さんも気になってたな)」
漫「後はハギやタイが殆どって感じ?」
京太郎「三種ずつ入ってますしね」
京太郎「ただ、このデバスズメダイってタイって感じはしないんですけど」
漫「うちらの俺らの知る身近なタイって赤くて大きな奴やからなぁ」
京太郎「7cmで白いってのはちょっとイメージから離れてますよね」
漫「…でも、こっちのロクセンスズメダイって何が6000なんやろ…?」
京太郎「卵の数とかじゃないですかね」
漫「じゃあ、デバスズメダイは?」
京太郎「む、群れを作ったら、デバって出てくるからとか…」
漫「…20点やね」ニコー
京太郎「くそっ!ムチャぶりだったのに凄い悔しい…!!」
漫「後はウツボがおるって事かなぁ」
京太郎「ウツボって言うと…俺は凄い獰猛なイメージがあるんですけど」
漫「でも、実際は大人しくて臆病らしいんよ」
京太郎「分かってるんですけどねー…でも…」
漫「ん?」
京太郎「昔…マリ○64ってゲームがありまして…」
京太郎「そこの海のステージに海賊船が沈んでるんですが、その海賊船から○リオの十倍くらいあるウツボが出てくるんですよね」
京太郎「当時、子どもで水中の操作方法が分かっていなかったのもあって、そいつにボッコボコにされました…」
漫「あー…トラウマなんか」
京太郎「えぇ…途中からもう怖すぎて海賊船に近寄らなくなったくらいですし…」
京太郎「お陰で友達がそこをクリアしてくれるまで完全に詰んで進めなかったですよ…」
漫「良く分からんけど、大変やったんやなぁ…」
京太郎「うぅ…前作まで普通に水中余裕だったじゃん…何で今回は体力が危なくなってくるとそんな焦らせて来るんだよ…」
漫「で、でも、ほら!ウツボ見当たらへんやん!」
京太郎「いや、実は四匹居ますよ」
漫「えっ嘘…そんなにおるん?」
京太郎「俺のウツボセンサーにビンビン来てますからね…!」
京太郎「多分、あそことあそこと…後、あそこの岩陰に二匹隠れてます」
漫「お、おぉ…よく見ると岩陰からちょこんって顔出しとるのが分かるわ…」
漫「言われるまで全然、気づかへんかったわ」
京太郎「まぁ、その為の体色でしょうし、仕方ないですよ」
漫「…でも、まったく動かへんなぁ…」
京太郎「ウツボは基本的に動かないですからね」
京太郎「動かない奴は一時間経っても岩陰から出て来ませんし」
漫「エンターテイメント性が足らへん奴やなぁ…」
京太郎「まぁ、その分、動くと迫力があるんですけどね…あ、ほら、あそこ」
漫「動いとる…ってでかいなぁ…」
京太郎「長いって言うよりは太いって感じですね」
漫「その上、ゆったりと体動かして泳いどるねぇ」
京太郎「あんなに悠々と泳いでおいて、臆病とか絶対ウソですよ」
漫「どうどう。落ち着くんや、京太郎君」
京太郎「ぬぐぐぐぐぐ」
【六階】
漫「さて…それじゃあ六階に来た訳やけれど…」
京太郎「デカカァァァァァいッ説明不要!! 12m!! ジンベエザメだ!!」
漫「これだけでかいチューブの中でも真っ先に存在が分かるくらいやなぁ」
京太郎「いや、ホント、マジデカすぎですって。これ鯨じゃないんですか」
漫「12mあるだけのただのサメやで」
京太郎「すげー…すげー」キラキラ
漫「ふふ…♪写メとってあげよっか?」
京太郎「あ、お願い出来ますか!?」イソイソ
漫「そんな焦らんでええよ」クスッ
漫「ゆったりと回遊しとるんやから、すぐにこっち戻ってくるやろうしな」
京太郎「いやぁ、でも、こう絶妙なチャンスで撮りたいじゃないですか」ウズウズ
漫「せやね。写メに収まらんくらい大きいし出来るだけ良いアングルで…って、京太郎君!来たで!」
京太郎「え、マジっすか!?え、えっと…じゃあ」ピース
漫「撮るでーはい、撮ったー」
京太郎「ど、どんな風になりました?」
漫「丁度、京太郎君の横を通り抜けていく顔を撮れたよ」
京太郎「おぉ…なんという絶妙なアングル…!ありがとうございます!」
漫「ふふ…気にせんでええよ、うちもさっき撮ってもろたしな」
漫「にしても…やっぱりジンベエザメはインパクトあるなぁ…」
京太郎「顔は結構、優しそうなんですけれどね」
漫「実際、殆どプランクトンで肉体維持しとるみたいやけど…あんまり人を襲うところとか想像出来ひんなぁ」
京太郎「あそこまで大きいとサメってより鯨ってイメージの方が強い所為かもしれません」
漫「あー確かにそれはあるかも。表面の斑模様もそれっぽいし」
京太郎「後、水槽の関係か、周りにちょこちょこって魚がついて行ってるように見えるからでしょうか」
漫「もしかしたら気が優しくて強い親分さんなんかもしれへんね」
京太郎「ああやって周遊してるのも、俺達の挙動に目を光らせてるのかもしれません」
漫「…」
京太郎「…」
漫「…うん。やっぱりあの顔で親分さんはないわぁ」クスッ
京太郎「愛嬌がありすぎですもんね」
漫「海遊館のマスコットは伊達やないなぁ」
京太郎「全国的に有名なのも頷けますよ」
漫「しかし…この水槽はかなり偏っとるなぁ」
京太郎「サメが五種にエイが五種、アジが四種ですからね」
京太郎「…って、アカシュモクザメがいるんですけど…これ大丈夫なんですかね」
漫「え?凶暴な子なん?」
京太郎「シュモクザメって人を襲う数少ないサメだった気がします…」
漫「え…ホンマ?」
京太郎「数年前にもシュモクザメが出て来たから海水浴場が封鎖されたって話も聞いた事ありますし…多分、事実かと」
漫「…でも、ダイバーさんここに潜ったりしてるやんな」
京太郎「掃除や餌やりの都合上、どうしても必要になりますしねー…」
漫「やっぱりジンベエザメ親分が見張っとるから悪さ出来ひんのやろうか」
京太郎「あぁ、実際は大抵、お腹が膨れているからなんでしょうけど」
漫「夢がないなぁ、京太郎君」
京太郎「俺もそう思いますけど、そのネタもうさっきやっちゃったんで突っ込んだ方が良いかなって」
漫「ふふ♪まぁ、多分、そうなんやろうね」
漫「人を襲う言うたかって、人と見たらすぐさま襲い掛かるような性格はしとらんやろうし」
京太郎「もし、そんな事があればジンベエザメ親分が何とかしてくれますよ」
漫「この斑模様が目に入らんのかー的な活躍が見れたらええねぇ」フフッ
漫「後、上の方には結構、大きい魚多いね」
漫「ロウニンアジとかメガネモチノウオとか大きいのが我がもの顔で泳いどるからそう見えるだけかもしれへんけど」
京太郎「まぁ、勿論、下にもいるんでしょうけど、今は見えないですしね」
漫「早く下行ってみたい?」
京太郎「まぁ、気にはなりますけど、ゆっくりで良いですよ」
京太郎「折角のデートなんですし、色々見て、感じて、漫さんと一緒に色んなもの共有したいです」
漫「くっさいセリフやなぁ」
漫「うちが京太郎君にベタ惚れやなかったら、笑ってた所やで?」
京太郎「じゃあ、俺にベタ惚れな漫さんはどう思ったんですか?」
漫「そんなん…嬉しいに決まっとるやん…♪」ギュッ
漫「うちも…京太郎君と色んなものを感じて思い出作りたいと思っとるんやし…」
漫「嬉しくないはず…ないやん♥」
京太郎「漫さん…」
漫「あ…き…キスは軽いのやったら…」
京太郎「…しませんって」
漫「えー…今、その空気やったやん!」
京太郎「人通りあるのにそれは難易度高すぎですよ」
漫「京太郎君のヘタレぇ…」
京太郎「はいはい。後で一杯、してあげますから次、行きましょう、次」
漫「えっと…ここは瀬戸内海らしいなぁ」
京太郎「ここもかなり種類が多いですね」
漫「ひのふのみの…18種か」
京太郎「これだけ居て縄張り争いとか喧嘩とか大丈夫なんでしょうか」
漫「まぁ、その辺は多分、考えて水槽も作ってあるし、大丈夫やろ」
京太郎「…後、このラインナップ見て思うんですけど」
漫「食事の事以外やったら聞いてあげるで」
京太郎「…」
漫「…」
漫「京太郎君?」
京太郎「いや、その…食べられそうな魚多いなぁって」
漫「まぁ、瀬戸内海はそういうの豊富らしいしね」
漫「養殖産業発祥の地は伊達やない言う事なんやろう」
漫「…でも、タブーをまた破った京太郎君は後でお仕置きな?」ニコッ
京太郎「お、お手柔らかにお願いします…」
【五階】
京太郎「次は…えっと…チリの岩礁地帯ですね」
漫「まぁ…うん。ここはもう一言で言うしかあらへんな」
京太郎「…ですね」
漫・京太郎「「イワシ多すぎ」」
漫「勿論、イワシが群れ作る魚言うのは知っとるけど…でも、これはちょっとやりすぎちゃうやろうか」
京太郎「わざわざマイワシとカタクチイワシの為だけに1水槽貸切ですからねー」
漫「これはちょっと数がやばい。酸欠とか大丈夫なんって心配になるレベル」
京太郎「なんでイワシオンリーで水槽作ろうと思ったんでしょうか…」
漫「多分、うちらには分からんけど水族館的には凄い重要なんやろう」
京太郎「まぁ…確かに凄い迫力はありますけどね、これ」
漫「岩の周りをひたすらぐるぐるぐるぐる回っとるからなぁ」
京太郎「プランクトンを求めてってのは分かりますけど、これ一網打尽ですよね」
漫「それを防ぐ為にもこうやって群れをなしてやばそうやったら即逃げるんやろね」
京太郎「問題は人間の網からは逃げられなさそうって事ですけど…」
漫「そ、その辺は乱獲しすぎないように色々と条約とかあるやろ多分…」
京太郎「…最近、イワシの数が減っているって話があった気がするんですが」
漫「…そ、その辺はお偉いさんが考える事やし?つ、次行こう次!」
京太郎「お、ウミガメだ」
漫「クック海峡ん所やねー」
京太郎「ここもかなりカラフルな感じですね」
漫「赤いピンクマオマオに、青いブルーマオマオ、黄色いマドに、ピンクのバタフライパーチと色取り取りやからなぁ」
京太郎「そうやって並べられると何か戦隊ヒーローみたいですね」
漫「男の子ってそういうの好きやねぇ」
京太郎「はは、まぁ、そういうの見て育った訳ですし」
漫「ちなみに戦隊名を名付けるなら?」
京太郎「海峡戦隊クックンジャーとか…」
漫「語感が悪い。40点やな」
京太郎「くそぅ…また高得点取れなかった…」
漫「ふふ…♪まぁ…戦隊っぽいってのは分からんでもないよ」
漫「うちも子どもの頃はそういうの見てたしね」
漫「そんなうちからすれば…追加戦士枠はこの黒いディモイゼルって奴に決まりやな」
漫「顔も迫力あるし、ダークヒーローっぽいしね」
京太郎「いや、意外と白いポーキュパインフィッシュかもしれませんよ」
漫「あー確かにトゲトゲでハリセンボンっぽいから、追加戦士らしく見えるかも」
京太郎「で、合体ロボは間違いなく…」
漫「まぁ…この水槽の主であるアカウミガメやろなぁ」
京太郎「きっとアカウミガメもこの水槽の平和を護ってくれてるんでしょう」
漫「超限定的やなぁ」クスッ
【四階】
漫「日本海溝の水槽は本当、真っ赤って感じやなぁ」
京太郎「赤じゃないのはオオグソクムシとミズダコくらいなものですしね」
漫「後はタカアシガニにキンメダイ、アカザエビと赤ばっかりやからなぁ」
京太郎「これじゃ戦隊物は出来ませんね」
漫「いや…ゴレ○ジャイやったらワンチャンあるで…!」
京太郎「あーあのダウンタ○ンの」
漫「そうそう。って京太郎君も知っとるんか」
京太郎「当時のビデオがまだ残ってますしね」
漫「ええなぁ…うちアレ録画しとらんのよねぇ」
京太郎「まぁ、俺のところのもビデオテープなんでそろそろ怪しいんですけど」
京太郎「ただ、データにして残すってのもちょっと味気ない感じがするんですよね」
京太郎「ビデオテープってたまに予期しないものを録画してる場合があるじゃないですか」
京太郎「そういうのを通しで見ると色んな発見があったり思い出が浮かんできたりするんで」
漫「あー…分からんでもないわぁ」
漫「データのランダム再生とかとはまた違った趣があるんよね」
京太郎「えぇ。まぁ、思い出補正と言われれば、それまでかもしれないんですけど」
漫「…うちら高校生やのに、何でこんな会話しとるんやろな」ハハッ
京太郎「大人ぶって見たい年頃ですからね」クスッ
漫「さて、そんな訳でおまちかねの太平洋の底やでー」
京太郎「やっぱり上とは居る魚が違う感じですね」
漫「こっちにいるエイと上のエイはまた違うしね」
漫「でも、このジャイアントシャベルノーズレイって魚…」
京太郎「平べったくて、菱型してますけど、これアジみたいですよ」
漫「えー…何か騙された気分やわぁ…」
京太郎「まぁ、俺もちょっとこれがアジとは信じられないですけど」
漫「後…目につくのはネムリブカとかかな」
京太郎「ネムリブカは殆ど動かなくてこれがサメの仲間とは思えないくらいですねー…」
漫「パネルには夜になると活発に動くって書いてあるし…夜行性なんかな?」
京太郎「その割にはちょこちょこ動いてる感じはするんですけど…」
漫「すぐそこのオオテンジクザメもあんまり動かへんって書いてあるのに、たまーに動いとるな」
京太郎「ですねー。でも、殆ど底の方でじっとしてます」
漫「サメって凄い活発なイメージがあったんやけど、全然、そうやないんやなぁ…」
京太郎「何処の業界ものんびり屋ってのはいるもんなんですね」
【三階】
京太郎「次は…ってうぉ!?」
漫「ふふ…やっぱりこれはびっくりするやんな」
京太郎「円筒状の水槽にクラゲが一杯…」
漫「ライトアップされてロマンチックではあるけど、やっぱりビクってするやんな」クスッ
京太郎「いやぁ…でも、迫力ありますね、これ」
漫「特にビゼンクラゲがやばいなぁ…」
京太郎「…これ何センチあるんですか」
漫「えっと…傘の直径が50cmくらいやって」
京太郎「触手っぽい部分合わせたら1mちょっとになりそうなんですけど…」
漫「こんなん海の中で出会ったら速攻逃げるなぁ」
京太郎「下手な魚よりやばいのが伝わってきますもんね…」
漫「でも、こっちのカブトクラゲは綺麗ちゃう?」
京太郎「確かに虹色にキラキラ光ってて、ロマンチックですね」
京太郎「あ、しかも、コイツ、刺胞持ってない…」
漫「どうやって身を守るんやろう…」
京太郎「そりゃやっぱり全力で逃げるんじゃないでしょうか」
漫「海水浴場に湧くクラゲは嫌いやけど、それはそれで可哀想な気もすんなぁ…」
京太郎「クラゲってプランクトンですし、捕食者多数いますからね…」
京太郎「ところで…俺、長年の疑問なんですけど、クラゲってあんなにうようよ湧いて仲間同士で刺さないんでしょうか」
漫「反射で刺すタイプは刺すんちゃうかな。でも、基本、毒やし免疫を持っとるとか」
漫「ただ、クラゲ避けのクリームとか最近あるし、見分けてる奴は見分けてるんちゃう?」
京太郎「なるほど…」
京太郎「あれ?三階に戻ってきたのにまだ先があるんですか?」
漫「ふふふ…実はさっきのは全部…前座や!」
京太郎「なん…だと…!?」
漫「あのラッコも…ペンギンも…ジンベエザメの遊ちゃんも…全部、前座や」フフン
京太郎「じゃあ…この先にいるのは…」
漫「この海遊館に来た真の目的…いや…ラスボスやで…!」
京太郎「あんなにラッコやペンギンを喜んでたじゃないですか!」
漫「あの子らは勿論、かわええ。でも…所詮はうちにとっては過去の存在なんや」
漫「今のうちの目に映っとるのは、この先にある輝かしい未来だけ」
京太郎「そんな戯言信じられません…!」
漫「ふふふ…ならば、うちに着いて来るがええよ。そして…その目で真実を確かめれば…京太郎君もすぐに分かるわ」
京太郎「…」
漫「…」
京太郎「…俺ら何やってんでしょうね」
漫「…うん。ごめん」
京太郎「あ、いや、漫さんを責めてるんじゃないんですよ」
漫「いや…それでも変な風にテンション上がったうちが原因やし…ごめん」
漫「まぁ、ここから先が目的地ってのは間違いやないで」
漫「ある意味、これまでが前座ってのも、京太郎君にもすぐ分かると思う」
京太郎「そんな風にハードル上げて大丈夫ですか?」
漫「ふふん。もし、ダメやった時に傷つくのはうちやなくて○遊館やし?」ニヤリ
京太郎「そんな事言って本当にダメだったら凹む癖に」
漫「そ、その程度で凹んだりせえへんよ!うち強い女やし!!」
京太郎「さっき自分から振ったネタで落ち込みまくってた漫さんが言っても説得力ないですよ」
漫「むぅ…」
京太郎「はいはい。膨れてないで下さい……ってこれは…」
漫「ふふふふふ…」
京太郎「う、上に…水が…」
漫「えっと…ふ、ふふん!これが噂の天井ドーム型水槽って奴や…!」
京太郎「なるほど…このガラスから上を覗けるようになってるんですね」
京太郎「でも、中に何が泳いで…あ」
漫「ワモンアザラシやぁ♪」
京太郎「し、しかも、ガラス叩いてますよ!」
漫「小さなヒレでペシペシって叩いとるなぁ…」
京太郎「おぉ…人懐っこそうな目でこっち見て…おぉぉ…」
漫「首傾げて…あ、逃げてった」
京太郎「も、もっかい来ないですかね…!?」
漫「ふふ…もうちょい待ってみる?」
京太郎「はい!」
漫「んじゃ…邪魔にならんように端に寄っとこうか。幸い、壁際にも展示はあるし」
京太郎「しかし…下から見上げるのと横から見るのとでは大分、違いますね」
漫「ワモンアザラシもこっちの事見てくれるしなぁ」
京太郎「見ているだけじゃなく、見つめ合っている感があるんですよね」
漫「そうそう。まぁ…その分、あっちから来てくれへんと見れへん訳やけど」
京太郎「でも、俺はこれ結構、面白い試みだと思いますよ」
漫「そうやねー。うちもこれは中々、ない発想やと思う」
漫「でも…本当に凄いんはこの上からやで?」ニヤリ
京太郎「なん…だと…?」
京太郎「寒っ…ここ何ですか?」
漫「こここそ○遊館に出来た新体感ゾーンって奴や!」
京太郎「新体感ゾーン…?」
漫「うん。そこの水槽見てみて」
京太郎「水槽…って、あ…これ完全に区切られてない」
漫「だから、寒さとか臭いとか音とかがはっきり伝わってくる訳やね」
京太郎「おぉぉ…なるほど。視覚だけじゃなく他の五感にもアプローチしようと」
漫「そうそう。どう?面白いやろ?」ドヤァ
京太郎「…えぇ。確かに面白い試みだと思います。正直、上に上がってすぐびっくりしましたし」
京太郎「…でも、何て言うか…獣臭くて寒いんであんまり長居は出来ない感じが…」
漫「まぁ…うん…そりゃしゃあないわな」
漫「あくま北極生物に最適化された空間やし、うちらにとって合わへんのは当然やろ」
漫「ここは『展示されとる生き物を見る』んやのうて『生き物の住んでる環境ごと感じる』のがコンセプトやし」
京太郎「じゃあ、存分にその環境を感じさせてもらいましょうか」
漫「せやね。ワモンアザラシもかわええし」
漫「でも、意外とワモンアザラシって結構鳴くもんやねんな」
京太郎「ガラスで聞こえてないだけで意外と小さく鳴いてるんですね」
京太郎「後、結構、アクティブですよね」
漫「氷とかにも突っ込んで遊んどるどころか、氷掘っとるしなぁ」
京太郎「俺、アザラシって言ったら基本、海中で遊んでるもんだと思ってました」
漫「うちもや…でも、よくよく考えてみれば、アザラシにとって氷って砂場みたいなもんかもしれへんね」
京太郎「でも、あの水かきみたいな手でどうやって掘ってるんでしょう…」
漫「そりゃ流石に爪か何かくらいあるんちゃうんやろうか」
京太郎「アザラシってペンギン以上に弱々しいイメージがあったんですけど…そうでもないんですね」
漫「一応、アレでも動物食やからなぁ…貝だけやなくて魚も食っとるらしいで」
京太郎「おぉ…アザラシのキュートなイメージが俺の中でボロボロと…」
漫「ふふ…♪まぁ、縞々模様でちっちゃいからかわええのは変わりないけどな」
京太郎「天敵いない所為か、凄いのんびり過ごしてますしね」
漫「でも、パネルに書いてある巣穴ってのが何処にあるんか分からんなぁ…」
京太郎「繁殖期じゃないでしょうし、まだそういうのはないんじゃないですかね」
漫「うーん…ちょっと勿体無い気もする…」
京太郎「まぁ、その時期が来たらまた一緒に来ましょう」
漫「ふふ…♪せやね♪」
京太郎「そしてまさかのペンギンリターンズ…」
漫「こっちはイワトビペンギンやけどね!」
漫「しかも、こっちはワモンアザラシよりもさらに敷居が低いという要素つきやで!」
京太郎「手を伸ばせば触れられちゃいそうなくらいですしね」
漫「おっと、お客さん。踊り子さんにタッチは厳禁やで?」
京太郎「げへへ、ねーちゃん、そういう事言わずにちょっとくらい…」
漫「…ないわぁ」
京太郎「そこで素に戻らないでくださいよ!」
漫「だって、そんなおっさん臭い京太郎君とか…」
漫「(…あ、今、一瞬、ベッドの上やったら、ねっとり責めて貰えるやろし、ええかなって思ってしもうた…)」
京太郎「…漫さん?」
漫「あ…い、いや!何でもあらへんよ!」
漫「う、うちそこまで変態や無いし…いや…京太郎君がしたいなら拒む理由はあらへんけど…」ブツブツ
京太郎「??」
漫「と、とにかく!一丸となって飛んでるイワトビペンギンかわええな!」
京太郎「そ、そうですね。あんな足でアレだけジャンプ出来るのが不思議ですけど」
漫「イワトビの名は伊達やないってくらいピョンピョン飛ぶもんなぁ」
京太郎「鳥類の面目躍如ですね」
漫「まぁ、飛ぶってよりは跳ねるに近いけどね」クスッ
京太郎「それは可愛いんですけど…こいつらって意外と気性荒いんですよね」
漫「あぁ、ペンギンの中でダントツ一位なんやったっけ」
京太郎「です。近くを移動してると攻撃してくる時もあるんだとか」
漫「顔もさっきのペンギンたちとは違う感じやもんね」
京太郎「黄色い飾り羽が目元にあってキリッとしてるイケメン揃いですから」
漫「その割には50cmくらいしかないんやったっけ?」
京太郎「えっと…そうみたいですね」パネルジー
漫「オウサマペンギンと比べるとオチビちゃんやなぁ」
京太郎「アレは世界で二番目に大きいペンギンですから仕方ないですよ」
漫「でも、小さな子がやんちゃしてる感があってかわええよ」
京太郎「実際、襲われたらそんな事言えないんでしょうけど、こうやって見てる分には和みますよね」クスッ
漫「でも…その…あんまり見てはいられへんな…」ウズウズ
京太郎「そうですね…これは…やばいですね」ウズウズ
漫「あかんって近いって…こっち来てくれるの嬉しいけど近いんやって…」
京太郎「や、止めろ俺の手…!お、お触りは禁止なんだ…触っちゃいけないんだ…!」
漫「小さな子どもでも我慢してるのに…うちらがそんな事したら…あぁ…でも…!」
京太郎「ふっくらしたあの毛並みは撫でてみたい…!く…ぅぅ…!」
漫「あ、あかん…!つ、次行こう次!」
京太郎「ですね…ここはちょっと誘惑が多すぎます…」
漫「なまじ間近まで見れる分、撫でてみたくなってしゃあないしな…」
京太郎「なんという魔性の生き物なんだ…」オズオズ
漫「あんなイケメンやのに…可愛くて結構、人懐っこいなんて反則やろ…」オズオズ
漫「まぁ、そんなうちらにカタルシスを与えてくれるのが…ここモルディブ諸島ゾーンや!!」
京太郎「ここ…中央にでっかい水槽があるだけですけど…その敷居は殆どないも同然ですね」
京太郎「それに…その…なんというか人が周囲から手を伸ばしてるんですけど…」
漫「お客さん…ここだけの話…ここはお触りオッケーなんやで」
京太郎「えっマジですか!?」
漫「マジマジ。大マジやでー」クスッ
漫「まぁ、泳いどるのは水槽の大きさもあって、小さな子ばっかりやけどね」
京太郎「トラフサメやエイとか50cmもないのばっかりだけど…でも、凄いですよ!」
漫「ふふーん!せやろ?せやろ!」ドヤァ
京太郎「やっべ…マジ楽しみだ」ヌギヌギ
漫「おっ、もうやる気やねー」クスッ
京太郎「いや…だって、気になるじゃないですか」
漫「まぁ、エイとかサメとか中々、触る機会はあらへんしね」
京太郎「特に鮫肌ってどんな感じなのか凄い気になります」
漫「ザラザラしとる言うけど、どれだけザラザラなんか分からんしなー」ヌギヌギ
京太郎「って言いながら漫さんもその気になってるじゃないですか」
漫「だって、こんな黒くて角ばったたくましいものを見たら誰だって…」
京太郎「…ちょっと無理やり過ぎですね。30点です」
漫「くっ…アプローチの方向間違えたか…!」
京太郎「おぉぉ…こっち来たこっち来た…!」
漫「トラフザメ君ちょっとごめんなー…って、ホンマにザラザラしとるねー」
京太郎「肌に引っかかる感じがあって結構、新鮮です」
漫「魚の鱗じゃこうはいかへんしなぁ…あぁ、ごめん。もう行ってええよー」
京太郎「後、エイは結構、ヌルヌルしてました」
漫「うちは最初、イカかって思うたわ…」
京太郎「あのヌルヌル感はそう思いますよね」
漫「後…結構、エイが水面近く泳いどるのも意外やったなぁ」
京太郎「ヒレが水面から出たりしたんですけど、アレって大丈夫なんでしょうか」
漫「まぁ、外敵なんておらへんし、きっと大丈夫やろ」
漫「そこのトラフザメ君も最終的には3m超えるみたいやけど、今は子どもで大人しいもんやしな」
京太郎「でも、かなりザラザラしてましたねー」
漫「あっちの方はもう大人なんやな…」
京太郎「…」
漫「…」
京太郎「あ、また来た。今度はイヌザメかー」
漫「ちょっ!せ、せめて点数くらい頂戴や!無視は凹むって!!」
京太郎「ふぅ…結構、堪能しましたね」
漫「せやねー…いやぁ、面白かった」
京太郎「何だかんだいって結構、壁際に寄ってきてくれるんですよね」
漫「周りにある装置から出る水流の都合かもしれへんけど…思ったより色々触れたのは良かったわ」
京太郎「そのほかの展示も見応えがあって、かなり楽しめたと思います」
漫「ちょっと残念だったのは餌やりとかそう言うのの時間が合わへんかった事やね」
京太郎「ジンベエザメの給餌シーンとか凄い気になるんですけど…」
漫「うちもや…まぁ、その辺りは次のお楽しみにしとこ」
京太郎「ですね…って、もう出口ですか」
漫「もうって言うけど…既に2時間以上おるで?」
京太郎「え…あ、本当だ…」
漫「かなり熱中しとって時間の感覚も忘れてもうたんやな」クスッ
京太郎「まったくもって、その通りです…」ハハッ
漫「まぁ、うちも同じやで。正直…うちもこれの事忘れとったしな」
京太郎「コレ?」
漫「ちょい待ってね…後、少しやと思うし…」
京太郎「…え…?あ…っ」フッ
漫「ふふ…♪どう?これが夜の海遊○やで?」
京太郎「ライトが抑えられて…随分、イメージが変わりますね」
漫「今までの海○館とはちょっと違った雰囲気やろ?」
漫「でも…展示の中身も結構変わるんやで?」
京太郎「そんな事言われたら凄い気になりますね…。…もう一周って出来ましたっけ?」
漫「○遊館は一日に何回でも再入館可能やで!」キリリッ
京太郎「それじゃ漫さんさえ良ければもう一周しません?」
漫「しゃあないなぁ…そこまで言うなら付き合ってたげる♪」
漫「(あぁ…でも、こうして暗いところで見ると…京太郎君、普段の三割増しくらいイケメンに見えるわ…♥)」
漫「(勿論、普段の京太郎君でも十分、格好ええんやけど…これが雰囲気補正って奴やろうか…)」
漫「(さっきから…その横顔に…ちょっとした仕草にドキッとしてしまう…♥)」
漫「(その上、その表情がコロコロ変わって…ちょっとした事で感動して、喜んで、笑って…)」
漫「(うちの下らない話にも反応して、冗談にも乗ってくれる優しい人…♥)」
漫「(こんな暗くてロマンチックな場所で…そんな風に色んな京太郎君を見せられたら…うち…もうあかんようになるよ…♪)」
漫「(一周目は目新しさもあって水槽に意識を向けるのは難しくなかったけど…)」
漫「(それでも…京太郎君と腕を組んで歩いとるってだけで…胸の奥が熱くなって堪らなかったんや…っ♪)」
漫「(京太郎君が…ううん…っ♪『京君』が欲しい…っ♥エッチしたい…っ♪セックスしたいぃ…♪)」
漫「(一ヶ月以上放置されて疼いとるうちの中を…満たして欲しい…っ♥京君のモノで…張り裂けるくらいお腹一杯にして欲しい…っ♥)」
漫「(でも…でも…せめて…二周目終わるまで我慢せぇへんと…ぉ…♪)」
漫「(京太郎君は楽しんでくれてるし…それにうちだって夜の海遊館は初めてで色々、新鮮なんや…)」
漫「(せっかくの初デートってだけじゃなく…楽しいからこそもっと色々見たいし…京太郎君とその気持ちを共有したい…っ♥)」
漫「(なのに…うちの中のジリジリとした熱はドンドン強くなってく一方で…♥)」
漫「(うちは……うち…は…ぁぁ…っ♪♪)」
【海遊館前広場】
京太郎「いやぁ…海遊○凄かったですね」
京太郎「所詮、水族館だって侮ってた認識が完全に覆りました」
漫「ふふーん。世界最大級の水族館は伊達やないって事やで」ドヤァ
京太郎「2300円は割高かと思いましたけど、夜の展示もかなり楽しめましたし、損した気にはあまりならなかったです」
漫「暗くてよう見えへんかったけど眠るアシカとか可愛かったなぁ…」
京太郎「ペンギンの寝方にはびっくりしましたよ…」
漫「まさかアレがあんな風になるなんて…まったく予想しとらへんかったしなぁ…」
京太郎「ジンベエザメも動きがゆったりになるんでシャッターチャンスも狙いやすくなりますし」
漫「個人的に残念やったのは夜に活発に動くって書いてあった子たちの活発な姿があんま見れへんかった事やろか」
京太郎「その辺は時間とかタイミングの問題もありますし、仕方ないと思いますよ」
漫「せやなぁ…」
漫「で…まぁ…その…楽しんで貰えたやろか?」
京太郎「勿論!正直、久しぶりの水族館ってのも脇に置いても、面白かったです」
漫「そっか…それなら良かった…♪」
京太郎「お仕置きされないからですか?」
漫「あ…そういやそんな話やったっけ」クスッ
京太郎「楽しすぎて途中で忘れちゃってましたけどね」
漫「んー…それはちょっと残念…かも…しれへんなって…」
京太郎「…漫さん?」
漫「いや…うちもな…出来ればその…ロマンチックな雰囲気なまま…お洒落なレストランとかにこのまま行きたかったんやけど…」
漫「うち…本当は…ずっと…ドキドキしっぱなしで…我慢…出来ひんようになってしもた…ぁ♥」
漫「ずっと我慢しとった身体がジュンって熱くなって…京太郎君の事…欲しがって止まらへん…っ♪」ギュッ
京太郎「漫さん…」
漫「な…ホテル行こ…っ♥ホテル行って…二人で一杯…愛し合お?」
漫「『京君』かて…そのつもりやったんやろ…っ♪うちとセックスしたくて…こっち来てくれたんやろ…っ♥」ハァハァ
京太郎「お、落ち着いて、漫さん…!」
漫「あかんの…っ♪分かってるのに…止まらへん…♥頭の中まで熱くて…ぐじゅぐじゅになって…♪」
漫「うちもう我慢出来ひんから…っ♥お仕置き…して…っ♪京君に…我慢出来ひんうちを躾けて欲しいん…っ♪♪」
京太郎「いや…それは俺も嫌じゃないですし、正直、期待してたんですけど…」
漫「だったら…ええやんな…っ♥うちと…セックスええやろぉ…♪一ヶ月ぶりのセックス…セックス…ぅ…♪♪」
京太郎「分かり…ました。それじゃ…とりあえず携帯でホテルの場所、検索しますから…」
漫「大丈夫…♪うち…もう地図プリントアウトして来とるから…っ♥」
漫「予約も入れとるし…部屋も空いとるはず…ぅ♪」
京太郎「デートコースや昼食だけじゃなく、そこまで…。本当に色々と用意してくれてたんですね」
漫「当然…やんっ♪久しぶりに会うだけやのうて…デートなんやで…?」
漫「本当に…夢にまで見たくらいに楽しみにしとったんやから…ぁ♪」
京太郎「…漫さん…」ギュッ
漫「あ…ふぁ…っ♪」
漫「そ、そんな強く握り返したら…アレよ…?うち…もう本当に我慢出来ひんようになるよぉ…♪」
京太郎「そんな殊勝な事言わせて、我慢させる気なんてないですから」
京太郎「地図…見せてもらえますか?遠いならタクシー拾って行きましょう」
漫「うんっ♪うんっ♪行こうね…っ♥一緒に行くね…っ♪ホテル…行こぉ…♪」
~漫~
それからの事はうち自身、良く覚えてへん。
そもそもライトダウンされてからのうちは、もう頭の中、京太郎君で一杯やったんやから。
色んな事を話した事くらいは覚えとるけど、実際にどんな会話をしたかまでは思い返せへん。
当時、楽しかった事だけは脳へと焼き付いているものの、実際の場面を再生する事は不可能やった。
漫「(でも…そんな事…今のうちにはどうでも良い…っ♥)」
うちが予約をとったホテルは大阪港駅から、それほど遠くないものや。
ちょっとした食事がサービスの中に含まれていて、チェックイン時に頼んでおけば後で部屋まで持ってきてくれる。
その上、部屋には指定した時間に食事を差し入れてくれる小窓があって、最中でも顔を合わせる事もほぼあらへん。
何時、タガが外れるか分からへんうちにとって、それらはとても有難い事やった。
その上、食事も美味しいと言う評判で、デートコースからも近いとなれば即決に近い。
漫「(予約しとって…本当に良かった…♪)」
そんなホテルはうちらが入った時点でほぼ満室の状態やった。
休日の、しかも、日が落ちて少ししたって時間帯やから、それも仕方ないものやろう。
その上、部屋の内装もまるでコテージみたいで、ちょっとした旅行感を感じさせる。
到底、エッチする為の部屋とは思えへんそこは、人気が出るのも頷けるものやった。
漫「はひゅぅ…っ♪」
そんな部屋の入り口で…うちはもう我慢出来ひんようになってしもた。
まだベッドも確認しとらへんのに、京太郎君へと抱きつき、その首に腕を回す。
そのまま背伸びをするように浮き上がったうちの唇に、京太郎君…ううん、京君はすぐさま反応してくれた。
うちを受け入れるように腰を屈めた京君に、うちの顔はまっすぐに伸び、キスをする。
漫「(あぁぁ…っ♪キスや…ぁ♥久しぶりの…キス…♪)」
瞬間、うちの唇に触れたのはぷにぷにとした柔らかな唇やった。
微かに乾燥したそれは吸い付いてくるような感触を与える。
まるで水分を求めるそれは紛れもなく京君の唇や。
そう思っただけでうちの胸が急速に熱くなり、締め付けられるような欲求不満が沸き上がってくる。
漫「(うち…これずっと欲しかった…ぁ♪欲しくて堪らなかったんや…♥)」
ずっと自分の中で抑え込んでいた力強い欲求。
決して満たされぬが故に見て見ぬふりを続けていたそれが今、うちの中で燃え上がっていく。
勿論、うちがしてるのはただのバードキスに過ぎず、その燃え上がる欲求を消化する事なんて出来ひん。
けれど、それでも…うちは目の前の京君を確かめようとするように、何度も何度も京君にバードキスを繰り返す。
漫「(あかん…っ♪これだけでも…幸せになってまう…♥)」
一ヶ月以上も肉体的接触を断たれ、京君欠乏症にかかったうちにとってはそれだけでも十二分に幸せやった。
そうやってキスする事すら望めなかった今までから思えば、文字通り雲泥の差やねんから。
一度、唇が触れる度、うちの頭の中がふわぁってなって、頭の後ろがムズムズする。
まるでうちを急かすようなその感覚にさえ、うちは喜びながら、そっと瞳を閉じて、キスに没頭した。
漫「(もっと…幸せにして…っ♪京君に…幸せにして欲しいんやぁ…♥)」
視覚という外界から多くの情報と得る感覚の遮断。
それがうちにもたらしたのは欲求不満の強化やった。
多分、内面へと目を向けた事で自らの欲求の大きさを強く意識してしまうんやろう。
その上、接吻の度に欲求不満そのものが大きくなるんやから…もううちだって我慢出来ない。
バードキスの回数が十数回を超えた頃にはうちの口は勝手に動き出し、京君へと舌を伸ばしてしまう。
漫「ふあ…あ♪」
そんなうちの舌を京君はすぐさま迎えてくれた。
まるで最初からうちのやりたい事が分かっていたかのように、熱い粘膜へと押し入るうちの舌に京君の舌が絡みつく。
瞬間、チュルリという音がうちの鼓膜を打ち、その音の淫らさに身体全体が鋭敏になった。
そして、敏感になった舌は京君の感覚を必死に受け止め、その素晴らしさを脳へ送りつけてくる。
漫「(ドロドロして…凄い…♥)」
うちの舌が最初、訴えてきたのは、その粘っこさやった。
まるで糸を引くようなそれはうちの舌へと絡みつき、表面のつぶつぶを包み込む。
何処かマーキングを彷彿とさせるそれにうちの味覚は甘さを感じ取った。
シロップに似た微かに甘いそれにうちの身体は急激に熱くなっていく。
漫「(これ…セックスの味…っ♪セックスの時の味や…ぁ♥)」
うちにとって、その甘さはセックスの時に与えられるものやった。
ファーストキスもセカンドキスも、セックスに関連したものなんやから仕方ないやろう。
だからこそ、うちの身体はセックスの快感を思い出し…内側から興奮が染みこんでいく。
骨まで届くようなその熱が一番、強いのは勿論、うちのお腹や。
京君がケダモノである事をうちの何処よりも知っとるはずのそこは…もう堪らんとばかりに疼き、熱い汁を零し始める。
漫「(でも…今はキスが先…♪)」
その欲求は大きいものの、しかし、決して激しいという訳やなかった。
まるで山のようにうちの前に立ちふさがっているのは確かやけれど、それが動き出す気配はまだない。
それよりはうちの思考を焼くような強いキスの衝動をまずは解消しよう。
そう思ったうちの舌が動き出し、京君との間にクチュクチュという淫らな音をかき鳴らした。
漫「(はぁ…♪これ…セックスしとるみたい…♥)」
まるで性器をかき回されているような淫らな水音。
それに興奮で頭の中まで支配されたうちが連想するのは勿論、セックスの事やった。
何せ、熱い粘膜同士の接触はうちに興奮と共に快感を与え、背筋にビリリとした寒気を走らせるんやから。
勿論、それは興奮に比べれば、遥かに小さいものではあるものの、京君欠乏症のうちにとっては待望と言ってもええものやった。
漫「(京君とのキス…気持ちええっ♪キスでのセックスで…熱くなる…ぅ♪)」
勿論、うちだって今までの放置期間を乗り越える為に自分の身体を色々と弄った事はある。
と言うか…ここ最近はデートへの期待と欲情が強すぎて一回イカへんかったら眠れへんくらいやった。
でも、そうやってうちが自分の手で作り出す快感よりも…京君とのキスの方が遥かに気持ちええ。
虚しさも物足りなさもないどころか…求められる悦びで膨れ上がるそれにうちの身体は内側から蕩けていく。
漫「(キスだけでこんなにええなんて…京君はホント…卑怯ものや…ぁ♥)」
勿論、こうやってうちがドロドロになってしまうんは京君の能力の影響もあるんやろう。
しかし、それが分かっていても、染みこんでくるような心地好さには抗う事は出来ひん。
粘膜がクチュリと擦れる度に、うちはドンドン熱く、幸せにされていく。
一方的に追い詰められるようなそれに卑怯だと思うものの、それさえも蕩け、甘えるようなものになっていた。
漫「ひゃぅっ♪」
そんなうちの顎に京君の手がそっと触れた。
そのまま口を開けろと言うように京君の手はそっと顎を下へと引っ張る。
それに抗えんうちの口が大きく開いていった。
目を閉じとるうちには想像する事しか出来ひんけど、それはきっととてもはしたなく、そして情けない顔なんやろう。
そんな顔を京君に見られていると思うだけで、頭の奥がジィンと震え、首の付根が熱くなった。
漫「んふぅ…ぅぅ♪」
しかし、それに何か思うよりも先に京君の舌がうちの中へと入ってくる。
まるで上から下へと突きこむような鋭いそれに突き上げたうちの舌の根本が擽られた。
普段は奥へと引っ込み、滅多に刺激される事のない部分は思ったより敏感だったんやろう
瞬間、ビリリという快感が走ったと同時にうちの口から吐息が漏れ、京君の顔へと吹きかかった。
漫「(あぁ…っ♪京君…っ♥)」
だが、それを京君が厭う様子はない。
寧ろ、嬉々として舌を動かし、うちの中を味わってくれる。
突き出した舌だけじゃなくって口全体をベロベロと舐め回すそれは京君もまたキスに…ううん、うちに夢中になってくれている事を教えてくれた。
漫「(うちの中も…そんなに美味しいん…?)」
勿論、京君にそれを尋ねる機会も勇気もうちにはない。
でも、まるでうちをしゃぶり尽くそうとするその動きは、うちにとってそうとしか思えへんものやった。
唇の裏側も、歯茎も、その内側も…舌の届く範囲であれば、全部味わおうとしているくらいなんやから。
何処かケダモノ染みた動きで文字通り縦横無尽に暴れ回るその舌に、うちの中はうっとりとした心地好さで満たされていく。
漫「(うちも…美味しいよ…っ♪京君の唾…美味しい…っ♪)」
その源になっとるのは京君への勝手な共感やった。
京君もまたうちを美味しく思ってくれているという自分勝手なその想像に、うちの胸は愛しさを強めていく。
元々、大きかったそれがさらに膨れ上がっていく感覚にうちの胸が圧迫感にも似た痛みを覚える。
けれど、今のうちにはそれさえも喜びとして受け止め、京君へとその身を差し出してしまうんや。
京太郎「じゅるるっ」
漫「ふくぅうぅっ♪」
瞬間、京君の唇がうちの唇へと吸いついた。
いや…それはいっそ食べられていると言っても、ええくらいなんかもしれへん。
だって、京君の唇はまるでうちの唇を包むようにして広がり、その裏側を密着させているんやから。
うちの口周りを唾液でべっとりとさせるその愛撫に、うちの肩はブルリと震える。
それは勿論、口周りをベトベトにされている事への不快感なんかやなく、寧ろ抑えきれへん喜びからやった。
漫「(うち…京君に…食べられとる…っ♥)」
呼吸させるものかとばかりにうちの口を抑え、貪る京君。
それはうちを捕食されているような、必死になって求められているような、何とも言えない心地にさせる。
勿論、そんなもの…本来ならばすぐさま逃げ出そうとするのが当然なんやろう。
だけど…うちはもう逃げられへんかった。
その気になれば、逃げられるはずやのに、拘束なんて何一つされていないはずやのに…うちは自分から京君へと身を寄せてしまう。
漫「(うち…もう心から縛られとるんや…ぁ♥)」
腕に力を込めて…自分から密着するような自分の姿。
まるでもっと貪って欲しいと自分から身を捧げるそれにうちの胸がトクンと脈打つ。
それだけ京君に心酔してるとしか思えない自分に熱くなった胸の奥底から誇らしさが湧き上がった。
そして、そんなうちにご褒美をくれるように京君の腕がそっと動き出し、うちの身体を抱きしめてくれる。
漫「(あぁ…っ♪幸せ…ぇ…♪)」
うちの腰の部分から抱き寄せるその力は、思った以上に力強いものやった。
さらに密着させようとしているようなそれにうちの胸が高鳴る。
京君が大好きな胸さえも押しつぶされるほどのその力強さは、うちに堪らない幸せをくれた。
まるで全身で京君を感じているような錯覚さえ覚えるんやから、それも当然やろう。
漫「(でも…幸せになればなるほど…うち…我慢出来ひん…っ♥)」
何も知らへんかった頃のうちならば、これでも十二分に満足する事が出来たやろう。
そう思うくらいに京君に抱きしめられながらのキスは凄かった。
でも、それは確かに凄いけれど…セックスのそれには到底、及ばへん。
身体中が幸せで満ち溢れて、意識さえも飲み込まれていくような快楽を知ったうちにとって、それはもうただの前戯でしかあらへんかった。
漫「(うち…ドンドンエッチになってっとるよぉ…♪)」
まるで京君に抱きしめられる事がスイッチであったかのように、今まで不動であったお腹の熱が蠢く。
グルグルと唸るような音が聞こえてきそうなそれに身体から落ち着きがなくなっていった。
密着した身体をモジモジと揺らすようなそれに肌が擦れ、快感とも言い切れない刺激が走る。
それに甘く息を吐いた瞬間、京君の舌がすっと引き、代わりにうちの舌へ硬い感触が押し当てられた。
漫「んふゅぅ♪」
それに驚きの声を返すのは、それが初めての刺激やったからや。
キスと言えば、舌を絡ませ合う事くらいが限界のうちにとって、それは想像もしてへん。
けれど、その硬い何かが何度もうちの舌を挟んでいくうちに、うちはそれが京君の歯やって事に気づいた。
漫「(うちの舌…甘噛みされとる…ぅ♥)」
うちに痛みを与えないように、と、力を抜いたその歯の動き。
それに京君の親愛の感情を感じ取ったうちの中でビリビリと快感が通り抜ける。
ドロっとした粘膜の刺激よりもはっきりとしている所為か、それはさっきまでのものよりもずっと強い。
勿論、性感帯を責められるほどではないけれど、はっきりとした快感を感じられるくらいや。
漫「(も…ぉ…♪こんなキス…何処で覚えて来たんよ…っ♥)」
勿論、うちかて京君が退っ引きならない微妙な立場におる事くらいは分かっとる。
こうやって彼が身体を重ねるのはうちだけやない事だって、納得はしてへんでも理解はしとるんやから。
でも、そんな普通のディープキスよりもさらに変態チックでエロいキスをされて何とも思わへんほど、うちは懐の深い女やない。
まるでうちの事を虐めようとするようなそのキスに他の誰かの影を見て、胸の奥が微かに痛む。
漫「(許さへん…っ♪そんなキス…許さへんからぁ…♪)」
そんな胸の奥から沸き上がってくるのはメラメラとした対抗心やった。
顔は知っとるけど、ろくに話した事もない二人へ向けられるそれにうちの舌が動き出す。
これまで突き出されたまま、身を捧げるように静止していたそれは京君の口の中をペロペロと舐めまわした。
漫「くふぅ…ぅ♪」
けれど、その動きはとても激しいとは言えず、またぎこちないものやった。
何せ、こうして動きまわっとる間にも京君の歯がまたうちの舌を甘噛みするかもしれへんのやから。
勿論、多少、舐め回したところで京君の歯がうちを傷つけようとしとらんのははっきりと分かる。
だから…うちの動きがぎこちないんはそうやって何時、起こるか分からへん京君の口撃に怯えとるからやない。
寧ろ、それを内心、心待ちにしとるからこそ、うちの舌は期待で鈍くなっとったんや。
漫「(そんなうちの舌に…京君も応えてくれて…ぇ♥)」
まるでさっきのは何かの間違いだったと教えるように京君の舌が再びうちへと伸ばされる。
そのまま甘噛みした部分を重点的に舐めるその動きは、まるで謝ってくれとるみたいやった。
ジンとした余韻が残る舌はそれに喜び、根本に甘い熱を走らせる。
その心地好さにうちの胸が熱くなり、目元が緩みそうになった瞬間、再び京君の歯がうちを甘噛みしてくるんや。
漫「(まるでこんなん…飴と鞭やんかぁ…♪)」
そして二、三回噛んだ後、再び京君の舌がうちを愛撫してくれる。
まるで我慢の出来ないメス犬を躾けようとしているようなその口撃にうちの肌はブルリと震えた。
大好きな人にまるでケダモノのように扱われるという被虐感混じりのそれは…きっと快感なんやろう。
京君とのエッチで段々、分かってきたけれど…うちは割りとそういうの嫌いじゃない方みたいや。
漫「(でも…悔しい…なぁ…♥)」
勿論、そうやって気持ち良くなるのは嫌やないし、京君とのキスはとっても気持ちええ。
だけど、それでもやっぱり何もかも上をいかれている事に悔しいという気持ちはなくならんかった。
ましてや、今、うちが受けとるキスは前回とは比べ物にならんくらいにエッチで変態チックなものやねんから。
うちではない誰かに教えられたであろうそのキスに感じる自分がちょっとだけ惨めになってしまう。
漫「(それなのに…キス…止められへん…♪)」
そうやって飴と鞭を繰り返す…京君のエロエロなキス。
誰が主人なのかを教え込もうとしているそれに…マゾ寄りなうちは抗えへん。
心の中でどれだけ悔しいと思いながらもその身体を密着させ、オネダリするように舌を突き出してしまう。
そして、そんなうちを京君が愛してくれる度に、胸の先っぽがジィンと熱くなり、そこがムクムクと大きくなっていく。
漫「(もう…うちの身体…準備始めとる…っ♪京君のチンポ欲しがって…エロスイッチ全開になっとるんやぁ…♥)」
勿論、それは乳首だけやない。
うちのアソコはもう愛液が染みだして、ビショビショになっていっとる。
今日は特殊な下着をつけているのもあって、その勢いを殆どショーツは留めてくれへん。
早くも太ももまで濡らしているネトネトの粘液がうちのショーパンに染みこんで、うちがモジモジとする度にクチュクチュと音をかき鳴らす。
漫「(何時でも…何時でもセックスオッケーやでっ♪うちもう準備出来とるからぁ…♥京君のチンポ欲しくてドロドロやからぁ…♪)」
その言葉はうちの中でだけ響き、言葉にはならへんかった。
今のうちにとって、キスへの欲求も、セックスへの欲求も、どちらも大き過ぎて選び取れへんものやねんから。
結果、その判断を京君に丸投げするのは自分でもちょっと情けないと思うものの、うちの大好きな人は一杯、うちを虐めてくれとるんや。
優しくて意地悪な京君は少しくらい甘えたって、きっと意地悪しながらも許してくれるやろう。
漫「(それに…京君の身体も…興奮しとるで…ぇ♥)」
京君の身体に密着するうちの下腹部。
おへその周辺近くのそこにはさっきから熱くて硬い感触が突きつけられていた。
お互いのジーンズ生地とも違うその膨らみは…ほぼ間違いなく京君のチンポやろう。
こうして何でもなさそうにうちを責めとる京君だって…興奮しまくって…チンポ大きく膨らませとる。
そう思っただけでうちの身体は内側から熱くなり、全身の神経を伝わって歓喜が広がっていく。
漫「ぷぁ…ぁ♪」
けれど、それがうちの全身に広がりきるよりも先に京君はうちから離れた。
瞬間、酸素を求めたうちの口が大きく開き、呼吸を始める。
どうやらうちは自分でも理解出来ひんうちに酸欠に近い状態にあったらしい。
命の危機に近い事でさえ、陶酔の中で薄れ、意識できなかった事にうちは驚愕を覚えた。
けれど、それが恐怖に結びつく事はなく、寧ろ、それを感じ取ってくれた京君への愛しさへと繋がる。
漫「京君…っ♪」
京太郎「漫…」
そんなうちの口から漏れる言葉に京君も優しく応えてくれる。
それにふっと目を見開けば、うちらの間からスゥっと透明な粘液がこぼれ、うちらの服へと掛かっていった。
勿論、京君へのデートを見越して用意したそれは、うちのお気に入りの一つや。
けれど、京君とうちの唾液が混ざり合ったそれに穢されたなんて思えへん。
寧ろ、京君の唾液が混ざっていると思うだけで…この服をより気に入り、大事にしようと思えるくらいや。
京太郎「もうちょっとでベッドだって言うのに、我慢出来ないだなんて漫は悪い子だな」
漫「ん…あぁ…♪」
そう言いながらも京君の手はうちの身体を優しく抱き寄せたままやった。
いや、それどころか、京君の言葉にビリビリとした寒気を走らせるうちの背中を優しく撫でてくれた。
まるでうちへと興奮を刷り込もうとしているようなその仕草に…うちの身体がさらに熱くなる。
筋肉が蕩けるように錯覚するそのドロドロとした熱にうちはぎゅっと指先に力を込めた。
漫「京君が…京君が悪いんよ…ぉっ♥うちをこんなにさせて…一ヶ月以上放置するんやから…っ♪うちじゃなくっても…悪い子になっちゃう…♥」
京太郎「そうだな。奥さんを一ヶ月も放置するだなんて、夫失格だよな」
そんなうちの言葉に応えた京君は、一ヶ月前に作った『設定』を持ち出してきた。
当時のうちをあんなに淫らにさせて、尚且つ、それを許容させた…その『設定』。
『新婚』という甘美で素晴らしい絆を偽るそれに…うちの欲情が一気に膨れ上がった。
それまで比較的大人しかったそれが理性という抑えを炙り、チリチリと焦がしていく感覚にうちの奥がジュンと潤むのを感じる。
京太郎「だから…俺に責任、取らせてくれるか?」
漫「うん…っ♪とって…っ♥うちに責任…っ♪京君の身体で一杯…うちに償って欲しいんっ♥」
そして京君の言葉に、その焦がされた理性そのものが緩んでいく。
うちの耳元で甘く、そして熱く囁くそれに、興奮したうちが耐えられるはずなんて最初からあらへん。
何せ、今のうちはどんな形であっても京君とセックスしたくて堪らないんやから。
責任でもお仕置きでも、京君とセックス出来るなら些細な違いでしかない。
そう心の中でそう思った頃にはうちはもう既にそう頷き、京君の服をぎゅっと握りしめていた。
京太郎「…償うとか…一体、何を勘違いしているんだ?」
漫「え…?」
瞬間、冷たく返される京君の声にうちが呆然と聞き返す。
さっきの優しげな囁きとは似ても似つかないそれに固まったうちの身体を京君の手が這い回った。
けれど、それはさっきのものとは違い、うちの身体を弄るやらしい手つきや。
まるでこれから貪るオンナの姿を確かめようとするそのエッチな手にうちの肌はゾクゾクする。
京太郎「俺だって漫と離れているのは辛かったのに…一人だけこんなに発情してるんだ。そんな淫乱な漫は…もう一度、躾なおしてやるのが夫としての責任の取り方だろ」
そう言いながら、京君はうちの正面にその手を回す。
そのまま抱きついたうちから服を脱がそうとするそれに、胸のドキドキは強くなった。
これが赤ん坊であれば特に気にせえへんかもしれんけど…うちは高校生で、しかも、今は京君の妻なんや。
そんなうちから衣服を剥ぎ取ろうとするその乱暴で優しい手つきに身体が勝手に動いてしまう。
無茶苦茶な事言われてるって分かってるのに…まるで躾なおして欲しいとばかりに脱がせやすいように身体が動くんや。
漫「(勿論…心も嫌がってる訳やないけど…ぉ♥)」
寧ろ、頭や心で決断を下すよりも先に、全身へと行き渡るお腹の指令にうちの心もゾクゾクする。
だって、それはメスの本能めいたものであり、思考よりも遥かに強いんやから。
自分がオンナではなく、メスへと変わりつつある事を否応なく教えるそれに興奮が止まらへん。
それこそピンと張った胸の先っぽがジクリと疼くくらいに…今のうちはドロドロになっとった。
京太郎「おぉ…」
そんなうちの服を数枚脱がした時、京君はそう言葉を漏らした。
微かに感嘆の色を混じらせる京君の視線はうちの胸に突き刺さっとる。
それもある意味では当然なんやろう。
何せ…京君の前に顕になったそこは…真ん中をパックリ割ってその間から乳首を露出させとるエロ下着やねんから。
割れ目以外の部分も大人っぽい黒のレースに包まれ、ワイヤーも殆ど入っとらんそれは決して日常的に着けるもんやない。
それこそ…セックスを期待するメスがオスを誘う為に…寝床でこっそり身につけるものやろう。
京太郎「こんなのを最初から着けてたのか?」
漫「…ぅ…ん…♪」
それを京君に伝えるのは勿論、恥ずかしい。
だって、それはあんな風にデートを楽しむ一方で、ずっとセックスを心待ちにしとったって事やねんから。
そんなもの京君にはお見通しやったやろうけど、自分でそれを伝えるのはやっぱり恥ずかしい。
でも、今のうちはそんな気恥ずかしささえも興奮へと結びつけ、モジモジと太ももを擦りつけてしまう。
京太郎「下の方は…どうなってるんだ?」
漫「ぁ…ぁ♪」
そんなうちの下へと京君の手が伸び、カチャリとベルトを外す。
そのまま京君が腰を下ろしながら、ショーパンをズラした瞬間、ねちゃあぁと糸を引く音が辺りへと響いた。
まるで私の淫乱さを伝えるようなそれに…うちの顔が羞恥に染まる。
けれど、京君はそんなうちを面白そうに見上げたまま、ゆっくりとうちの太ももに手を這わせた。
漫「ひゃうぅ…♪」
京太郎「こんなの…もう下着じゃないな」
それに快感を覚えるうちのショーツを京君はそう称した。
黒レースに包まれたショーツは最初からぱっくりとクロッチ部分が開いとるタイプや。
うちのオマンコのひくつきをはっきりと京君に晒すそれはもう下着とは言えへんものやろう。
それよりももっともっと淫猥で変態的なそれはオスを誘う為のメスの道具と言った方が正しい。
京太郎「こんなのを身につけて…俺を誘惑するつもりだったのか?」
漫「は…ぃ…ぃっ♪」
うちがそんなものをわざわざ通販で購入して準備したのは…京君に興奮してもらう為や。
勿論、そんなものなくても絶倫で性欲過多な京君は、ずっとセックスしてくれるやろうと分かっとる。
でも、うちはやっぱり他の二人と比べて出遅れとるのは否定出来ひんのや。
それを少しでも埋める為に、うちはこうしてエロ下着を身につけ、京君に何時も以上の興奮と快感を与えようとしていた。
漫「(その目論見は…潰えてしまった訳やけれど…♪)」
思いの外、うちが我慢出来ひんかった所為で、当初の予定とは少し違った形になった。
それでも京君に激しい興奮を与える事には成功しとるんやろう。
うちの太ももを撫でる京君の手は熱く、うちの顔とオマンコを交互に見るその視線もギラギラとした欲情が溢れそうやねんから。
予定とは少々、違うけれども、今にも襲いかかりそうなくらい興奮してくれているんやから、結果オーライという奴やろう。
京太郎「じゃあ…どうやって俺を誘惑するつもりだったのか、今、ここで見せてみろよ」
漫「ぅ…♪」
そう思った瞬間、告げられる京君の冷たい言葉に、うちは事がそう簡単なものではない事を悟った。
勿論、うちだって最初は京君を誘惑するつもり満々やってんから、その言葉に異論はあらへん。
このままセックスして貰えると思っていただけに肩透かし感は否めへんけど、それだけや。
ただ…それとはまた違い、うちが躊躇する理由があって… ――
漫「ここ…でなん…?」
京太郎「あぁ。『ここで』だ」
ここはまだ部屋の入口や。
ベッドも何もまだ見えてへん…文字通り玄関である。
そんな場所でオネダリなんかしたら…外を歩く人にも聞こえるかもしれへん。
勿論、そういう施設やし、防音はしっかりしてるやろうけど、こんな入口でオネダリするなんて考慮しとらんやろう。
それを思えば、中々、踏ん切りがつかず、京君の前でそう聞き返してしまった。
京太郎「上手く出来たら…ここで突っ込んでやるよ」
漫「あ…あぁぁ…っ♪」
そう言いながら…京君はそっと立ち上がり、自分のベルトに手をかける。
うちの愛液でべたついているのにも関わらず、焦ったように脱いでいく京君。
それにうちと同じく治まらない興奮を感じ取ったうちの視界の端で…ピョコンと浅黒い肉の塊が顔を出す。
瞬間、部屋の中に満ちる粘っこいオス臭さにうちの口は吐息を漏らし、肩がブルリと震えた。
漫「チンポ…っ♥京君の…チンポや…ぁ…♪」
京太郎「そうだ。漫も…これ大好きだろ?」
漫「うん…っ♪好き…ぃ…♥京君のチンポ…大好きやぁ…♪」
そんなうちの口から漏れるのはうっとりとした本能の言葉やった。
そうやってチンポを好きという事になんら気恥ずかしさを感じていないそれは、さっきまで躊躇いを見せていたオンナと同一人物やとは思えへんほどやろう。
でも…うちにとって、京君のチンポはそれほどまでに破壊力のあるものなんや。
その逞しさと荒々しさ、そしてそこから来る快感の味を知ったうちの躊躇いなんて一瞬で消し飛ばされてしまう。
漫「見て…ねっ♪うち…オネダリするから…っ♥京君、誘惑するから…見ててね…♥」
そして後に残った欲望を抑える術など、うちはもたない。
京君の前で大きく頷きながら、うちはそっと入ってきた扉に手を着いた。
瞬間、木目の優しい感覚が肌に触れるが、それはもううちの心を鎮めてくれるものやない。
それにクスリを笑みを漏らしながら、うちはそっと腰を傾け、お尻を京君へと突き出した。
漫「うちがこれを選んだのは…京君と着たままセックスする為なんや…♥」
漫「でも…デートの日にこれを着て…京君とエッチする思うたら…我慢出来ひんで…今日までに何回もオナニーしてしもうたぁ♥」
元々、うちは滅多に京君に会えへんのもあって、慢性的京君欠乏症なんや。
そんなうちの手元に京君とセックスする為の下着が届いたら…そりゃあ…自分を慰めるのに使うやろう。
これを着て京君の名前を呼びながら、オマンコ弄った回数なんてもう両手じゃ到底、足りひん。
漫「でも…それじゃあかんの…ぉっ♪それだけやったら…足りひんの…っ♥」
漫「オナニーはイけるけど…うちが求めてるのはそれじゃなくて…っ♥」
漫「うちの愛液だけじゃ…足りひん…の…ぉ♪」
そう言いながら、うちはゆっくりとお尻を左右に振るう。
真正面を向いたままやと京君の様子は分からへんけど…きっとそれは効果絶大なんやろう。
何せ、ほぼむき出しに近いうちのあそこに京君から熱視線が向けられ、その吐息が荒くなるのが聞こえるんやから。
しかし、それにも関わらず、京君がうちを襲ってくれる様子はない。
漫「だから…これに…京君の臭い染み込ませて欲しいんっ♥」
漫「ぷりっぷりの…京君の特濃ザーメンで…この下着ドロドロに穢して…っ♪」
それに欲求不満が強まるのを感じながら、うちはそう口にする。
けれど、京君の手は未だうちには伸びず、待ち望んだご褒美は来ない。
そっと振り返った京君の顔は興奮と欲情で一杯なのに、それでも自分を抑えとるんや。
まるでギリギリまで自分を律しようとするようなその姿に…うちの口は再び開く。
漫「うち…それでオナニーするからっ♪京君想いながら一杯オナニーするからぁっ♥」
漫「それでまた…一ヶ月我慢して…良い子にしとるからぁっ♥だから…うちのオカズ作るのに…協力して…ぇ♥」
自分の口にするその淫らな未来に、うちの身体も興奮しとるんやろう。
お腹の奥でキュンとした疼きが強くなり、うちのオマンコから愛液が滴るのが分かった。
トロリと糸を引きながら、玄関へと滴るそれに…京君は我慢出来ひんようになったんやろう。
その身体をぐっと近づけて、うちのお尻をその大きな両手で抑えつけた。
漫「んひぃぃぃぃっ♪♪」
そのまま乱暴に押し込められるチンポの感触にうちは思わず甲高い声をあげてしまう。
何せ、それは挿入しやすいようにアソコを広げる事もなく、ただただ乱暴に突きつけるような腰の動きだったのだから。
まるで周りの陰唇ごと犯そうとするようなそれは、不意打ち気味であり、ただでさえ欲求不満気味であったうちに強い歓喜を叩きつける。
漫「チンポ…来たぁっ♥京君のチンポっ♪チンポぉ…ぉっ♪♪」
そんな歓喜の源になっている肉の塊は相変わらず硬く、そして熱いものやった。
しかも、それはまだ三回目なうちの中を遠慮無くゴリゴリと掘り進んでいく。
強張った肉の硬さとその熱を存分に教えこむような挿入に、内側から肉を蕩けていくみたいや。
京太郎「コレが欲しかったんだろ…!」
漫「うんっ♪これ欲しかったんっ♪ずっと…ずっと欲しかったんよぉ…っ♥」
そしてそれはうちにとって最高と言っても過言ではないものやった。
だって、それはうちが一ヶ月以上ずっと待ち望んでいたものやねんから。
京君と別れたあの日からうちの身体が求め続けていた感覚に全身が充足に満たされる。
自分が今、京君と本当にセックスしとるんや、と言う実感混じりのそれにうちは蕩けた声で応えた。
京太郎「俺も…本当はずっと漫とこうして…セックスしたかったよ…!」
漫「京君…も…?」
京太郎「当たり前だろ。漫は俺の奥さんなんだからさ」
漫「ひぅ…ぅ♪」
そう言いながら、京君はゆっくりとうちの中を進んでいく。
最初の勢いがまるで嘘のような緩やかな動きでも、うちは勿論、気持ちええ。
チンポと触れ合う肉襞はぐっと押し込められる逞しさが嬉しいのか、さっきからビリビリとした快感を全身へと走らせとる。
そんな場所をチンポで擦られとるんやから、背筋が震えそうになるくらいの快楽が駆け抜けるのおかしゅうない。
漫「(でも…それ以上に…京君の優しい言葉が心にクる…ぅ♥)」
勿論、それはセックスをより燃え上がらせる為の方便なんたろう。
そんな事は理性を半ば投げ捨てとるうちにだって分かっととる事や。
しかし…そう分かっていても…やっぱり奥さんとはっきり口にされるのは嬉しい。
ましてや、それがうちの好きな人から言われとるんやから、格別やった。
京太郎「今、キュって中が締まったぞ。やっぱり漫はこういうのが好きなんだな」
そんなうちの感情をオマンコの反応から感じ取ったんやろう。
京君は意地悪くそう言いながらも、顔に喜色を浮かべた。
まるでそんなうちが興奮すると言わんばかりのそれに、振り返ったうちの顔も綻ぶ。
そうやって演技しあうセックスが好きなうちを京君が受け入れてくれとるんやから、それも当然やろう。
京太郎「でも…折角だから、今日はもうちょっと色んなものを足してみないか?」
漫「足す…ぅ…?」
京君がそうやって囁くのはうちの耳元や。
ぐっと上体を倒しながらのその言葉に、うちは淫らなものを感じてしまう。
一体、何を足すのかまではうちには分からへんけど、今の京君は完全にスイッチが入っとるんや。
普段のお調子者で憎めない京太郎君と同一人物とは思えないくらい意地悪な京君になるスイッチが。
それこそ隙あらば、うちを弄ぼうとする京君が言い出す事なんて…凄いエッチな事か、凄い意地悪な事か、もしくはその両方かくらいしかない。
京太郎「新婚夫婦ってだけじゃ物足りないだろ?だから…俺達がどうやって出会ったとかそういうのを深めて行こうって事」
そう言いながら、京君はうちの奥で浅く腰を前後させる。
本来ならもうとっくに奥へと突いとってもおかしくないのに…その先端はうちの奥に触れてくれへん。
てっきりケダモノのように犯されるんやと思うとったうちの子宮がそれに不満を訴え、ドロリと熱い汁を漏らした。
けれど、京君のチンポはそれでも進む事はなく、子宮口に届かないギリギリの位置でうちを犯す。
京太郎「漫が色々と妄想してる事を口に出してくれれば良いだけだ」
そうやってうちを焦らしながらの言葉は拒否を許さへんものやった。
だって、京君はほぼ間違いなく、それを口にせえへんかったら、思いっきりセックスしてくれへんのやから。
決してそう言っとる訳やないけれど、うちの奥で焦らすように腰を動かしとるんを見れば、一目瞭然や。
漫「(それに…京君…絶対に…うちが焦れとるん分かっとる…ぅ♥)」
そもそもうちは京君にさっきあんなオネダリをするくらい発情しとるんや。
その甲斐あってチンポを貰えたけれど、それだけで満足するようなうちやない。
それはたった二回とは言え、うちとこうして濃密な時間を過ごした京君にははっきりと分かっとるやろう。
その上、弱点である子宮口にまったくノータッチともなれば、分かっていて焦らしているとしか思えへん。
漫「京君の…意地悪…ぅ♥」
京太郎「漫が可愛いから苛めたくなるんだって」
その言葉は…まぁ…正直、嬉しいものやった。
例え、方便でも好きな人に可愛いと言われるのは特別やねんから。
何より…そうやって意地悪されるのが嫌いやないうちにとって、それは背筋が喜びと背徳感でゾクゾクするものやった。
京太郎「じゃあ…まず出会いから行こうぜ。漫は…俺とどうやって出会ったんだ?」
漫「そ、それは…うちと京君は…お、幼馴染で…ぇ♪」
勿論、そうやってうちの妄想を口にするのは恥ずかしい。
幾らタガが緩んで思考も蕩けていっているとは言え、羞恥心まで投げ捨てた訳やないねんから。
でも、今のうちにとって、それはもうまったく抑止力にはならへんものやった。
精々が答えるうちの声を震えさせる程度であり、欲情を強めるだけの道具の域を出えへん。
漫「毎朝…待ち合わせして一緒に登校するくらい仲が…ええのぉっ♥」
京太郎「そうだな。昔っから俺は漫姉と一緒だったもんな」
そんなうちの言葉に京君は乗って来てくれる。
うちの妄想を補足し、応えるようなそれに胸の奥がキュッと締め付けられた。
羞恥心とはまた違ったその苦しさは…自分の妄想が現実になる嬉しさと、京君への愛しさなんやろう。
それに気恥ずかしさがグイグイと押されていき…うちの中の躊躇いが薄くなる。
漫「でも…二人共告白する勇気がなくて…意識しとるのに…高校まで恋人になれへんで…♥」
京太郎「俺が意気地なしだったからだな。ごめん」
漫「き、京君は何も悪ぅないよぉ…っ♥」
うちの妄想に謝罪の言葉を告げる京君。
けれど、京君が何も悪くないのは誰がどう見たって明らかや。
何せ、それはうちが勝手に妄想した結婚への道筋であって、一つたりとも事実やないねんから。
けれど、京君はまるでそれが本当の過去であったかのように謝罪し、受け入れてくれる。
それに欲求不満で緩んだ頭がクラリと揺れて、現実と妄想の境目が少しずつ曖昧になっていくのを感じた。
漫「それで…それで…高校で京君に仲のええ子が出来て…うち…置いて行かれるみたいで…寂しくて…っ♪」
京太郎「俺が漫姉の事、置いていく訳ないだろ」
漫「うん…っ♪分かっとる…分かっとる…けど…ぉ♥でも…原村さんと神代さん可愛いかった…し…♪」
自分の妄想の中とは言え、当て馬にしていた二人。
それに心の中で謝罪を紡ぎながら、うちはその言葉を口にする。
でも、そうやって謝罪する言葉すら、うちの中ではもう曖昧なものやった。
本気で演技するのを超えて、役に没頭していくような自分から逃れるように、うちは再び口を開く。
漫「うち…あの二人ほど…可愛くない…からぁ…♥」
まるでお人形さんのような原村さんと放っておけない小動物のような神代さん。
その方向性は違えども、二人が紛れもない美少女なのは誰の目から見ても明らかやろう。
実家の都合かメディア露出が少ない神代さんはともかく、原村さんはアイドル雀士に近い扱いを受けとるんやから。
そんな二人に比べて…うちは野暮ったい上に童顔で…あんまり華があるとは言えへん。
それは決して妄想の中だけではなく…うちが二人に対して劣等感を覚えとるのは事実やった。
京太郎「俺にとっては漫姉が一番だって…」
漫「はぁ…あぁ…♥」
そんなうちの気持ちに気づいてくれた訳やないんやろう。
でも…それでも、京君の告げる言葉はとても優しく、暖かなものやった。
うちの胸の奥底に押し込められていた暗い感情を溶かすようなそれに思わずうちから声が漏れる。
陶酔混じりのその声にうちの全身もブルリと震え、子宮がキュンキュンと唸りだした。
京太郎「それから…漫姉はどうしたんだ?」
漫「だ、だから…う、うちから…うちから告白したん…っ♪」
うちでは到底、及ばんような美少女二人。
そんな二人にうちが勝つには本格的に京君と仲良くなる前に手を打つしかあらへんかった。
それこそ今までずっと一緒やったっていうアドバンテージを必死に活かしたそれは… ――
京太郎「まさか漫姉も同じ風に思ってくれてるなんて考えてなかったから…凄い嬉しかったよ」
漫「うんっ♪うんっ♪うちも嬉しかった…嬉しかった…よぉ…♥」
京君に受け入れてもらう事が出来た。
それは勿論、あくまで二人が演じる『役』の間柄でしかない。
そんなものは今のうちにもはっきりと分かっとる。
しかし、例え『役』だとしても…演技だとしても、京君に受け入れてもらえるのはやっぱり嬉しい。
今のうちらがそういう事を持ち出せへん間柄やからこそ…妄想の中でも結ばれたというのは胸が震えるほどの感動を覚えるんや。
漫「それから…一杯デートして…エッチも…してぇ…♥」
京太郎「皆に祝福されながら結婚した…だよな?」
漫「そ…ぉ♥結婚…っ♪うち…京君と結婚して…ラブラブやの…ぉ♥」
そうして今に至る言葉を結んだ瞬間、うちの背筋がブルリと震える。
それは歓喜や快感混じりではあったものの…一番大きいのは欲求不満やった。
自身の妄想を吐き出し、京君に受け入れてもらった今、うちの身体はもうご褒美が欲しくて仕方ないんやろう。
実際、うちの中はさっきからキュンキュンって唸り、チンポに動いてくれるよう必死にオネダリしてるんや。
漫「だから…っ♪ラブラブセックス頂戴っ♥こんな…焦らされたら嫌やぁ…♥こんなん…夫婦のセックスちゃうぅ…♪♪」
京太郎「じゃあ…何のセックスなんだ?」
その欲求不満を伝えようと、うちの口もオネダリを始める。
でも、そうやってオネダリしても…うちの身体の内側で蠢く物足りなさは一向に減らへん。
その何とも言えない居心地の悪さに首を振りながら言葉を紡いだうちに、京君が意地悪く囁いた。
漫「意地悪…ぅ♥意地悪セックスぅっ♥焦らしておかしくする為の…調教セックスや…ぁ…♪」
京太郎「そういうのは嫌か?」
勿論、そういうのは決して嫌いやない。
根がマゾっぽい上に…うちはこれまで京君に意地悪されまくっとるんやから。
こうやって焦らされるのも、正直、身悶えしとるだけやなくって興奮しとる。
うちがさっきからオマンコ締め付けてしまうんもただ欲求不満なだけやなく、それに発情しとるからなんやろう。
漫「もう…もううちおかしくなっとるからぁっ♪京君好きすぎて…頭の中おかしくなっとるから…っ♥コレ以上おかしくなったらうち…ぃ♥」
しかし、だからと言って、焦らして欲しいかと言えば、答えは否や。
やっぱりこの満たされなさは不快感にも近いし、身体からも落ち着きがなくなっていく。
それに喜ぶうちがおるのは確かやけど、やっぱり今の状態は辛くて…頭の中がグラグラするんや。
京君への『好き』で満たされた頭を揺さぶり、さらに無茶苦茶にするようなその感覚は、心からおかしくなりそうな予感をうちに与える。
京太郎「…どうなるんだ?」
漫「分からへんっ♪分からへんけど…うちじゃなくなる…ぅ♥今のうちじゃなくて…京君の事が、ひゅぅんん゛っ♪♪」
瞬間、うちの身体に通り抜けたのは強い衝撃やった。
ズンっと頭まで通り抜けるそれにうちは一瞬、意識が揺らぎ、何が起こったのか分からへんようになる。
けれど、それはあくまで一瞬の事。
次の瞬間にはお腹の中から今までの比ではない快感が湧き上がり、うちの全身を震えさせる。
漫「いきなりは…はんしょくぅ…♥」
肉襞をズリズリと擦られるのとは違う硬い衝撃。
うちの身体を揺さぶり、舌足らずにするその源は勿論、子宮口やった。
今まで焦らされに焦らされ、チンポを求めて降りてきたそこを…京君が狙い撃ちにしたんやろう。
そう理解した頃には子宮口が蕩けそうなほど熱くなり、まるで歓喜に泣くように愛液を滴らせる。
京太郎「漫姉があんまりにも可愛いから…我慢出来なくなってさ…!」
漫「くふぅ…ぅうっ♪」
そんなうちの最奥を京君のチンポが執拗に突き始める。
まるでさっきまでの焦らし方が嘘のように、奥まで突き入れてくれるんや。
その度にうちの中に堪らない快感が通りぬけ、そして子宮の熱が膨れ上がっていく。
メラメラと子宮の壁を焦がすようなそれにうちの足が震えてしまう。
漫「(本当なら…もうイッててもおかしゅうないのにぃ…♪)」
と言うか、前回と同じなら挿入された途端にイッているはずなんや。
けれど、それが本来クるはずの波が中々、やってこない。
気持ちええのはええねんけれど、一定のラインを超える事はなかった。
まるで身体がイき方を忘れ、そこでリミットが掛かっているような感覚に身悶えする。
けれど、どれだけ身体をよじっても待ち望んだ感覚はやってこず、ただ、子宮の熱だけが只管に大きくなっていく。
漫「(それなのに…オナニーより遥かに気持ちええなんてぇ…っ♥)」
絶頂という一つの果てを禁じられたとは思えない激しい快感。
それは一人遊びでうちが作り出す絶頂よりも遥かに大きいものやった。
まるでうちがあそこを弄って湧き上がらせるそれが偽物やと教えこむような快感は嘘みたいにさえ思える。
けれど、実際、うちの筋肉を甘く痺れさせる快感の波は、どれだけ信じられへんでも止まる事はない。
漫「あ…ふぁぁ…っ♪イケへん…っ♥うち…イケへん…っよぉっ♪」
京太郎「あ…ごめん。何か拙かったか…?」
漫「や…ああぁっ♥止まったら嫌やぁっ♪動いて…うちを犯してぇっ♥」
そんなうちの言葉に京君は腰を止めて、尋ねてくれる。
その瞬間、うちの中で欲求不満が弾け、可愛げのないオネダリをしてしまう。
それに京君は反応して腰を再び動かし、子宮口を突いてくれた。
ズンズンと奥だけを抉るような動きに子宮はさらに熱くなるが、やっぱりアクメの予兆そのものは始まらない。
漫「分からへん…のっ♪気持ちええのに…イキそうなのに…ギリギリで…身体止まってて…ぇ♪こんなんおかしいぃ…♥」
その異常さを必死になって告げながら、うちの腰も動き出す。
自分から快感を求めて京君へと突き出すようなその動きに、刺激と快感が膨れ上がった。
けれど、それはやっぱり臨界点の内側で止まって、オルガズムの始まりには繋がらない。
そのどうしようもない欲求不満にうちが涙を漏らしそうになった瞬間、京君がふっとその腰を大きく引いた。
京太郎「…好きだ。漫姉」
漫「ふぇ…ぇ…っ♥♥」
その瞬間、うちの耳元で囁かれる言葉を信じる事は出来ひんかった。
だって、それはうちが京君に求めたものやなく、京君から自発的に言ってくれたものやねんから。
前の話からの脈絡もなく…そして、だからこそ、京君の想いを強く感じさせる言葉にうちの意識がふっと遠のく。
漫「んあ゛ああぁぁぁぁあ゛あぁぁっ♪♪♪」
多分、そうやってうちが意識を陶酔で揺らがせていたのは一秒にも満たない時間やったんやろう。
だけど、その意識が再びはっきりとした時、うちの身体に起こった変化は劇的やった。
その間に一気にうちの中を突き進んだ京君のチンポが子宮口を叩いた瞬間、お腹の中で熱が弾け、絶頂感が全身へと広がっていく。
今まで溜め込んだ快感を全て消費するようなその激しさは、さっきまでの比ではあらへん。
うちの身体を内側から食い破ろうとしてるみたいにさえ思える快感の波に、うちは満足とも驚愕とも言えん声をあげる。
京太郎「多分、俺が意地悪しすぎた所為で、緊張してイけなかったんだろうな。ごめん」
意識の外側から、そんな京君の謝罪の声が聞こえた気がする。
でも、それが幻聴なのか、或いはそうではないのかさえうちには判断出来ひん。
一ヶ月ぶりの本当のアクメはそれこそ五感を塗り替えるくらいに凶悪で素晴らしいものやったんやから。
泣きそうなほど昂った欲求不満が一気に満足感へと塗り替えられていく感覚にうちの意識が滅茶苦茶にかき回されていた。
京太郎「でも…その分、漫姉の事…気持ち良くするからな…っ!」
漫「ひん゛んんんっ♪♪」
そう聞こえたような気がした瞬間、京君の腰が動き出す。
ズッチュズッチュとうちの奥を撫でるような抽送は、イけへんのを伝えた頃とそれほど変わらへんものやった。
けれど、一度、絶頂を迎え、完全に火が入ったうちの身体にとって、それはまったく同じやない。
そうやって奥を優しく突かれる度に、敏感になった身体が跳ねるくらいに感じてしまう。
京太郎「一突きごとにイッてるんだな…っ」
京君の言う通りやった。
今のうちは奥を突かれるだけでアクメし、全身を痺れさせるほど昂っとる。
勿論、それは最初に弾けたそれよりも弱々しいけど、はっきりとしたオルガズムなんや。
意識が弾けるような絶頂の前に感じていた快感とは比べ物にならへんし、一回毎に身体もドンドン敏感になっていく。
そして、それがまた新しいオルガズムを呼び、うちの意識を際限なく高めていった。
京太郎「ようやく淫乱な漫姉らしくなってきたじゃないか…」
漫「ひゃ…ぅ…♪」
京君がそう言いながら、うちのお尻を撫でる頃には最初のオルガズムがうちから抜け始めていた。
さっきまでは遠くて朧気であったその声も今でははっきりと聞こえる。
それに嬉しく思いながらも、今のうちにはそれを言葉にする事が出来ひん。
今はまだ愛しい人にねっとりとお尻を撫でられる快感に声を漏らすのが精一杯なんや。
漫「(でも…それも少しずつ…慣れて…いくぅ…♥)」
そう確信を持って言えるのは、うちの身体が急速に満たされていっているからや。
それこそ乾いたスポンジのようにグイグイと快感を飲み込んでいく身体がずっとこのままやとは思えへん。
身体がその感覚に慣れ始めれば、また京君の事を悦ばせる為のエッチな言葉が沢山言える事やろう。
それが何時になるかまでは快感で痺れる頭では分からへんものの、一回目も二回目もあれだけ色々とエロいセリフ口走っとったんや。
一ヶ月以上、焦らされとったとは言え、三回目にもなるうちが出来ひん訳がない。
京太郎「相変わらず、ぷりっとした桃尻だな…むしゃぶりつきたい…!」
漫「んひぃっ♪」
そんな風に変態チックな事を言いながら、京君の腰は止まらへん。
いや、それどころか、少しずつやけれども、その腰の動きは激しくなっていっとる。
ピストンする距離そのものは変わっとらんけど、その速度は確かに上がっとるんや。
うちの肉襞が実際に引っかかれ、そして押し込められとるペースから考えてもそれは決して勘違いやない。
漫「(京君も…興奮しとる…ぅ♥)」
平静を装いながらも、腰の動きを強める京君。
それはきっと京君の中で強い興奮が沸き起こっとるからやろう。
どれだけ普通であろうとしても抑えきれへんそれは、うちがそれだけ京君にとって魅力的である事を感じさせた。
勿論、それが一体、どれだけのものなのかは本人ではないうちには分からへん。
でも、こうして求められる感覚はとても魅力的で…そしてだからこそ、うちは京君に応えたくなってしまう。
漫「う…うちの…おし…り…ぃ♥しゅる…ぅ…♪」
京太郎「興味がないとは言わないけど、ちゃんと慣らさないと辛いらしいし、また今度にしよう」
必死になって紡いだ言葉は、やっぱりまだ震えが強いものやった。
言葉も幾つか抜けて意味的にも不明瞭になったそれを、しかし、京君はちゃんと理解してくれたんやろう。
優しげな声音で、うちのお尻を撫でながら、そう囁いてくれた。
その甘い声をご褒美と受け取ったうちの背筋が震えた瞬間、奥にズンっとチンポが突き刺さる。
京太郎「それよりも…久しぶりなんだし、まずは漫姉の此処をたっぷり堪能したいかな」
漫「うひゅぅ…♪」
その言葉通り、グリグリとうちの奥を擦る京君に吐息が漏れる。
ボルチオの形を先端で確かめるようなその動きにゾクゾク感が止まらへん。
まるで弱点だけを責め抜こうとされているように感じるんやから、それも当然やろう。
実際、うちの中でアクメが止まらず、腰がもう限界だとばかりにプルプルしとった。
漫「うひのそこ…どぉ…っ♪」
京太郎「プリプリして柔らかい上に情熱的に吸い付いてきてる。淫乱な漫姉に相応しいエロ子宮口だな」
うちそのものではなく、子宮口をエロいと言う京君の言葉にうちの中でアクメの色が変わる。
被虐感混じりの甘くて背徳的なそれに扉についたうちの手がビクンと反応した。
肩まで響くそれに少しだけバランスが崩れそうになるが、うちの身体を京君の手が支えてくれる。
それに安堵と歓喜を覚え、オマンコがキュッと締まった瞬間、京君の腰はグイとグラインドした。
京太郎「だからこそ…一杯、苛めたくなるんだよな…っ!」
漫「いひゅぅぅんっ♪♪」
瞬間、生まれる快感はさっきのものより一段、強いものやった。
その腰を押し付けながら円を描く京君のそれは、奥だけを擦るんやないんやから。
うちの肉穴全部をそのチンポで押し広げようとするような動きに耐えられるはずがあらへん。
ビリビリと走る快感が子宮へと届き、その奥で休まずにオルガズムを爆発させとった。
京太郎「漫姉も好きだよな…!ここ苛められるの…大好きだよな…!」
漫「うふぅっ♪しゅきぃっ♥らいすきぃっ♪ボルチオ責め…気持ちええよぉっ♪♪」
確かめるような京君の言葉に頷きながらの返事。
それはさっきよりも滑らかで、大きいものやった
勿論、舌足らず気味なのは変わらへんけど、それはもうアクメしまくっとるんやからしゃあない。
そもそも四肢かてオルガズムが絡みついてブルブルしとる今の状態で、ちゃんと言葉を放てる方が奇跡やねんから。
幾ら本能に突き動かされたものでしかないとしても、京君が悦んでくれるんやったらそれで構わへん。
漫「しょこはもう京君がご主人様やからぁっ♥京君以外触らへんところやからぁっ♪一杯、ボルチオレイプしてぇっ♥♥」
京太郎「ぐぅ…ぅ!」
そう思った所為やろうか。
うちの淫語は止まらず、甘い声で京君を求めてしまう。
それに合わせてキュンと締め付けた肉穴に京君が微かな呻き声をあげた。
ビクンとボルチオ責めとるチンポも跳ねとった事やし、きっとうちの言葉に興奮したんやろう。
そんな京君への愛しさと、自分でも京君を興奮させられたという充実感が混ざり合い、胸の奥が熱くなった。
―― ピンポーン
漫「ふぁ…ぁっ♪」
けれど、それが一瞬で冷え込んだのは、うちの耳に聞こえてきたチャイムの音やった。
ある意味では聞き慣れた、でも、知らないその音にうちの身体がビクンと跳ねて、硬直する。
何せ、それはこの扉一枚隔てた向こうに人がいるって事やねんから…そうやって緊張するのも当然やろう。
漫「(でも…何で…ぇ♥)」
確かにこうして玄関口でセックスしとるんやから、その声が漏れるかもしれへんってのは思っとった。
途中からそんな事殆ど忘れてセックスに興じとったけれど、でも、それはわざわざこうしてチャイムを鳴らすような事やない。
ここは元々、そういう施設やねんし、その事で文句を言われたりする筋合いはないはずや。
それなのに、こうしてチャイムを鳴らしとるのは一体、誰なのか。
その疑問を蕩けた脳裏へと浮かべた瞬間、京君の腰が動き出す。
漫「きゅぅうぅっ♥♥」
今までうちと同じように停止していた京君のピストン。
グチョグチョになった肉穴を掘り進むようなその力強い動きに思わず声が漏れる。
反射的にぐっと歯を噛み締めて、それを押しとどめようとしたがその成果はあんまり芳しくはない。
どうしても身体の中を駆け巡る快感の方が大きくて、歯の根が緩んでしまうんや。
漫「い、今はらめ…っ♪今、動いたら…絶対…聞こえりゅぅ…♥」
京太郎「聞かせてやれば良いさ…漫姉のエロ声を思いっきり…!」
仕方なく、うちは低く抑えた声で京君にそう伝える。
けれど、京君はそれを素気無く却下しながら、腰を振るい続けた。
奥周辺を重点的に刺激するのではなく、オマンコの中腹から子宮口を狙うその動きにどうしてもオマンコが悦んでしまう。
漫「やぁ…ぁ♪そんなの…幾ら何でも…恥ずかしぃ…ぃ♥」
自然、愛液が増えていく肉穴からズッチュズッチュという愛液が絡んだエロい音が沸き起こる。
それを聞かれるだけでも恥ずかしさで顔が真っ赤になるのに、エロ声を聞かれるなんて嫌や。
京君のメスになって犯されまくっとる声を聞かれたら…帰りにどんな顔してここから出ればええのか分からへん。
京太郎「じゃあ、漫姉が我慢したら良いだろ?」
漫「しょ…そんなぁ…ぁ♪」
それが出来たら苦労なんてせえへん。
実際、こうしている間にもうちの口から嬌声が飛び出しそうなくらいやねんから。
そんな状態のうちが声を我慢するなんて事、出来るはずがない。
そんなのは京君だってはっきりと分かっとるはずや。
漫「ふぅ…っ♪ふ…くぅ…っ♥」
せやけど、京君は腰の動きを止めてくれへん。
うちの中をグリグリと抉るように犯し続ける。
それに反応して飛び出そうとする嬌声を歯を食いしばって止めようとするけれど、やっぱり上手くいかへん。
どうしても歯の間から声が漏れて、吐息も荒くなっていく。
漫「ひゅくっ♪♪」
そんな風に何とか我慢しようとするうちの姿が気に入らへんかったんやろうか。
京君の両手はそっとうちの背筋を這い上がり、後ろからうちの胸を揉んだ。
ワイヤーの殆ど入ってない形だけのブラごと揉みしだくその動きに微かに声が漏れてしまう。
まるでブラの割れ目に沿うようにして動く京君の指はまだ乳首には触れとらへん。
しかし、それでもアクメによって敏感になった乳房は遠慮なく揉む京君の指先から強い快感を受け取った。
漫「(あかん…こんな風に…胸の奥熱くなったらぁ…♪)」
胸のコリを解そうとしてくれているようなその動きに、湧き上がった快感が胸を暖かくしていく。
まるで血流が良くなっていくようなじっくりとした熱さに、うちの身体から力が抜けそうになった。
多分、ケダモノみたいな体位でセックスしてくれとるだけやなくって、胸まで揉まれとる所為で、今のうちは凄い興奮しとるんやろう。
それが身体を蕩けさせていくのを何とか堪えるけれど、このまま耐え続けられるとは思わへんかった。
漫「(だって…うちまだ…胸でイッとらへん…っ♥)」
京君の能力を受ける前まではそうではなかったものの、今のうちのおっぱいはそれだけでイケるくらい敏感な場所や。
そんなところをアクメし続けとる今、マッサージされたら、そう遠くない頃にイってしまうやろう。
その時まで今のように声を抑えられるかと言えば、正直、自信がない。
今の状態でも危ういバランスの上にあるというのに、さらに気持ち良くなったら、決壊するんは目に見えているやろう。
京太郎「思ったより耐えるじゃないか…そんなにエロ声聞かれるのが嫌なのか?」
漫「くん…ふくぅ…♪」
そうやって耳元で嗜虐的に尋ねる京君に応える余力さえ、うちの中にはなかった。
例え、どれだけ低く抑えようとしていても、今のうちは口を開いた瞬間に嬌声を放ってしまうんやから。
今も続く京君のピストンで、何度もボルチオアクメしとる上に、敏感になったおっぱいまで揉まれとるんや。
うちの中から余力というものは根こそぎ奪われ、口をきけへんのも仕方ない事やろう。
京太郎「でも、さっきまであんなに喘ぎまくってたのに…今更じゃないか」
そんなうちの我慢を溶かそうとするように京君が耳元で甘く囁く。
今のうちにとっては悪魔の囁き以外の何物でもないそれに背筋がブルリと震えた。
そうやって囁かれる背徳感と興奮を表すそれに京君のチンポがうちの中でビクンと跳ねる。
まるでそんなうちに興奮すると言うような肉棒に声をあげそうになった瞬間、京君のチンポがうちのボルチオを突き刺す。
京太郎「そもそもここはセックスする為の場所なんだから…我慢しなくても良いんだって」
瞬間、湧き上がるオルガズムと言葉にうちの心が蕩ける。
確かにここは京君が言う通り…セックスする為の場所なんや。
今のうちらには聞こえてへんけど、両隣も使用中やったからセックスしとるはず。
そんな中、必死に喘ぎ声を我慢したところで…何の意味もあらへん。
ここが使用中ってだけで…皆にはうちらがセックスしとるって事がモロバレやねんから。
漫「あ…あぁぁ…っ♪♪」
そう思った瞬間、うちの歯の根が完全に緩んでしもうた。
今までグッと閉じていた口を半開きにするその奥から震える声が漏れる。
それは微かで扉の外にも聞こえてへんような…小さな音。
けれど、うちの我慢が決壊してしまった事を自覚させるのには十分過ぎて…一気に身体が興奮へと傾いていく。
漫「ひぅぅぅぅぅぅうんっ♪♪♪」
そして、京君はそれを狙っていたんやろう。
うちの口から声が漏れた瞬間、その指先が乳首へと触れた。
親指と人差指で挟み込むその愛撫にうちのおっぱいはブルリと震え、快感が胸の奥へと突き刺さる。
まるでその奥にある心を蕩けさせようとするような激しい快感に、うちの口からはもう完全に誤魔化しの効かない嬌声が漏れた。
京太郎「もう我慢しなくて良いのか?まだ外に誰か居るかもしれないぞ?」
漫「意地…わりゅぅ…♪京君はぁ…意地悪やぁぁ♥」
そんなうちを詰るように言う京君の言葉にゾクゾクしながらもそう返す。
うちだって本当はまだまだ我慢したいけど、そんな事が出来ひんくらいにうちを追い詰めたのは京君やねんから。
うちのオマンコ犯しまくって、乳首まで摘んだ上に…あんな風に囁いたら…我慢出来るはずあらへん。
そんなのは京君にも分かってるはずやのに、そうやって詰るんやから…意地悪以外の何物でもないやろう。
京太郎「じゃあ、意地悪な俺が忠告してやるけど…まだ扉の前に誰かいるぞ」
漫「ひぅ…ぅ♪」
でも…そんな意地悪な京君の事がやっぱりうちは大好きなんやろう。
そう思うのは京君がねっとりとうちの耳元で囁く声にドキドキが高まったからや。
スリルとはまた違ったそのトキメキは…うちのオマンコをキュッと締め付け、中のチンポを締め付けさせる。
そんな中を強引に引っかき、そして押しつぶすような逞しいチンポの感覚に、奥も突かれてへんのにイッてしまう。
京太郎「さっきの声…完全に聞かれただろうな…!漫姉が気持ち良くって堪らないって声…全部…!」
漫「そ、そんなん…ぅ♪そんなん…言わんといてぇぇ♪♪」
そんな中、耳元で力強くそう言われたら…うちはドンドン変態になってしまう。
本当は見られるのなんて嫌なのに、聞かれるだけでも恥ずかしいのに、もっと知って欲しくなるんや。
うちがこんなに意地悪な京君の事が好きで好きで堪らへん事を。
京君のチンポでイきまくって、逆らえへん事を。
京君の言葉に嫌と返しながらも…その実、悦んでいる淫らなうちの事を。
不特定多数の誰かに知って貰う事に…堪らない倒錯感と興奮を覚える変態になってしまう。
京太郎「その割りにはさっきから腰が動いてるじゃないか…っ」
漫「らって……だってぇ…っ♥」
京君の言葉通り、うちの腰は自分から動き始めとった。
さっき絶頂を求めて京君へと腰を突き出していたのと同じ動きは、淫乱もええところやろう。
だって、うちはもう…さっきからイきっぱなしでアクメの繋ぎ目なんて殆どないんやから。
ただひたすら、気持ち良くなっていくだけの境地に達しても尚、うちの身体は快感を求めている。
それは勿論、うちの意思に因るものではなく、本能的なものではあるものの、淫乱であるのを否定出来る違いやない。
京太郎「だって…何なんだ?俺のが気持ち良いのか?それとも…それだけセックスが好きなのか?」
漫「う、うちが好きなのは…きょぉくんっ♥京君やからぁ…っ♥♥」
京太郎「到底、それだけとは思えないけどな…!」
漫「あきゅゅぅぅっ♪♪」
瞬間、京君は摘んだうちの乳首をギュッと押し込み、指の間で潰す。
ピンと張った乳首全体を壊そうとするようなそれに、うちの胸からグワリと熱が弾けた。
子宮から伝わってくるアクメとはまた異なったそれは、うちの全身を震わせ、神経を疼かせる。
気持ち良さよりも物足りなさを与えようとするそれにうちの身体はさらに敏感になり、ボルチオアクメが激しくなった。
京太郎「こんなにオマンコグチョグチョにさせながらも必死に咥え込んでさ…っ!本当は…チンポ突っ込んでくれるなら誰でも良いんじゃないか?」
その言葉は、きっとうちを追い詰めるだけのものであり、決して本気じゃないんやろう。
だけど、そうと分かっていても、その冷たさにうちはゾッとした。
快感と興奮で熱く滾った身体に差し込むそれは不快を通り越して…恐ろしい。
もし、ほんのすこしでも京君に、そんな風に思われていたらどうしようと思うと…足元が崩れそうなショックを受けてしまう。
漫「うちそんなんちゃうっ♪うちが淫乱ににゃるのは…京君の事が好きやから…ぁ♥きょお君の前だけうちは淫乱になるんっ…♥」
そのショックから逃れるようにうちは必死に京君へと想いを伝えようとする。
けれど、それはやっぱり舌足らずで、時折、快楽で震えるものやった。
それは恐ろしさを覚える心とは裏腹に身体が悦んどるからなんやろう。
そうやって京君に追い詰められる事に被虐感を湧き上がらせる背筋はうちの脳を蕩けさせ…心と違った反応を返させた。
京太郎「じゃあ…漫姉が誰のものなのか…どんな風に愛されているのかを…扉の前にいる誰かに言えるな?」
漫「そ…しょんな…の…ぉ♪♪」
冷たい京君の言葉にうちの頭がクラリと揺れた。
勿論、今までもそれに似た事はやってきたとは言え、それはあくまでも相手が勝手に聞いていただけに過ぎひん。
けれど、京君が今、うちに言っているそれはこっちから伝えると言う積極性を求めるものや。
聞かれていただけでも恥ずかしいのに…わざわざ伝えるなんて…それこそ頭がおかしくなってどうにかなってしまう。
京太郎「出来ないのか?それじゃあ…やっぱり漫姉は…俺のものじゃないんだな」
漫「ち、違う…っ♪うちは京君のぉっ♥♥京君だけの奥さんやから…ぁっ♪♪」
勿論、うちは京君のものや。
そんな事は京君自身だって分かっとるやろう。
せやけど、そうやって冷たく突き放すように言われるとやっぱり我慢出来ひん。
それがうちを引きずり下ろす為の言葉やと分かっていても、どうしても心が怯えてしまう。
そして、それがうちになりふり構わない必死さを与え、ゆっくりと口を開かせた。
漫「う、うちは今…京君に…ぃ♪夫に…後背位で犯されてますぅ…♥」
京太郎「おいおい…後背位じゃ分からないかもしれないだろ」
漫「くぅぅぅんっ♪」
そう言いながら、京君の指先は再び、うちの乳首をキュッと押しつぶす。
再びうちの中を焼く被虐的なその刺激に、視界が揺れた。
それはきっと胸から湧き上がるオルガズムがさっきよりも強く、そして真っ向からボルチオアクメとぶつかったからやろう。
お互いにお互いを蕩けさせ、混ざり合っていくそれは、うちの意識を強く揺らがせ、視界すら朧気にしていく。
漫「と、扉に手を突いて…お尻を京君に突き出した姿勢で…セックスしとるんですぅ♪♪」
けれど、それで怯んでいたら、京君に嫌われてしまうかもしれへん。
そんな強迫観念に突き動かされながら、うちはそうやって淫らな報告を続ける。
瞬間、湧き上がる背徳感と倒錯感に、うちの背筋は鳥肌を浮かべた。
ゾクゾクという言葉ではもう足りないその寒気は、うちの脳をさらに蕩けさせる。
ドロドロだった頭の中に微かに残った理性を甘い汁に変えるその感覚に…うちはもう自分が後戻り出来ひん事を悟った。
京太郎「漫姉の腰はどうなってるんだ?」
漫「う、動いてますぅっ♥京君のチンポ求めて、カクカクしとるのぉっ♥ケダモノみたいに…お尻振って善がっとる…ぅぅ♪♪」」
自然、うちの口から漏れる言葉は、もう遠慮の無いものやった。
いや、それどころか、さっき感じた興奮をより強く感じたいとばかりにエスカレートしていく。
より直接的でエロい表現を惜しみなく使うそれに京君も興奮してくれとるんやろう。
うちの胸を揉むその指先にはぐっと力が入り、耳に振りかかる吐息の感覚がさらに短くなるのが分かった。
漫「しょれで…ぇ♪それで…うち…後ろからおっぱい揉まれとふん…ぅ♥京君の手で包み込まれりゅみたいに…ぃ♥」
漫「乳首もキュっていじりゃれて…っ♪京君の指でクリクリしゃれるだけで…うちもぉ…イくぅ…♪♪」
その声に合わせて湧き上がるオルガズムにうちの中がキュンとまた締まる。
そんな中の肉襞をチンポでゴリゴリと擦られるだけで、うちはあっさりとイってしまう。
最早、一突き毎ではなく、一突きで何度もイってしまうほどに昂ぶったうちの身体。
もうコレ以上は殆ど望めないと思う気持ち良さの中、うちは再び唇を開く。
漫「うちは…うちは京君専用淫乱女やかりゃぁっ♥京君の前れだけ…淫乱になってケダモノに…なりゅぅ…♪♪」
そう伝えるのは…正直、幸福感さえ伴っとった。
それはきっともう道徳も倫理観も蕩けきったうちにとって、最高に幸せな事やからやろう。
理性も何もかも投げ捨てたうちを縛り付けるのは愛しい夫ただ一人だけやねんから。
それを不特定多数の誰かに教えると言う事は、京君により縛り付けられるような気がして、うっとりとしてしまう。
漫「チンポ逆らえへんのぉっ♪♪京君のチンポ気持ちよしゅぎぃっ♥大っきくて奥までクるぅ…っ♪♪硬くてうちの弱いところゴリゴリって責めて…熱々で中焼けそぉ♥♥」
それをもっと感じたいとばかりにうちは京君の逞しさを口にする。
それらにうちの偏見が入っておらへんとは言えへんけど、それでも嘘は何一つとして混じってへん。
挿入時よりも興奮しとるんか、京君のチンポは大きさも硬さも熱さも…全部が一回り激しくなっとる。
そんなものでトロトロになった淫乱マンコ犯されたら…誰だってイキ狂ってしまうやろう。
漫「乳首とオマンコで支配されへぅ…♪♪うち…奥しゃんやのに…京君に支配されて…マゾんなるぅ…♥♥」
そんなうちの心の中にあったのは、京君に何もかもを支配され尽くすような堪らん被虐感やった。
うちの神経から細胞までを京君に掌握されていくようなセックスに…幸福感すら感じてしまう。
まるでそうやって何もかもを支配されるのがオンナの幸せなのだと言うようなそれにイきっぱなしの身体がさらなるオルガズムを覚えた。
おっぱいでもオマンコでもなく、心で感じるそれにうちの意識はふっと緩み、ふわりとした感覚が全身を包む。
京太郎「じゃあ…もっとマゾにしてやるよ…!」
漫「んひぃぃぃっ♪♪♪」
瞬間、うちの意識を強引に身体へと留めるような激しい快感が股間から湧き上がる。
キュッと肌を締め付けるようなそれが何なのかうちにはまったく分からへん。
うちに分かるのは、その所為でクリトリスが布のようなものに押し付けられ、背筋がクっと浮き上がったという事だけ。
そして、その中で青白い火花が散るような快感が幾つも弾け、またイッてしまったって事や。
京太郎「やべ…これ…締まる…!」
そんなうちの耳に聞こえる京君の独り言。
低く抑えたそれは本来であれば、口に出すつもりはなかったものやろう。
基本的にセックスの時の京君は絶対的な支配者として、セックスのアドバンテージを握っとるんやから。
そんな京君の漏らす弱々しい言葉は間違いなく彼の意図しないものや。
そして、それがうちに京君がもう限界近い事を感じさせ、幸福感を強めてしまう。
京太郎「くぅ…ほら…早く何が起こってるのか…説明しなきゃダメだろ…!」
漫「は、はひぃ…っ♪♪」
それが気恥ずかしかったんやろうか。
さっきまで殆ど感じさせなかった動揺を混じらせながら、京君はそう強く言った。
それに頷きながらも、うちはまだ何が起こっとるのかちゃんとまだ把握しきれてへん。
快楽でネジが緩みまくった頭じゃ、気持ちええって事くらいしか分からへんのやから。
何が起こっとるのか目で確認しようにも視界は気持ち良すぎて滲んできた涙でぼやけてろくに見えへん。
漫「く…ふぅぅ…♥♥」
それでも京君の言葉に従おうと首を倒したうちの視界に何か黒いものが映った。
いつの間にか胸から移動した京君の手に引っ張られるようにしてピンと張ったそれがうちの陰唇辺りを押し込めている。
まるで強調するように両サイドからぷっくりとしたそこを押し込むそれは…きっと…うちのショーツなんやろう。
そう思った瞬間、朧気ながらなんとなく全容を把握したうちの胸が、被虐感に戦慄いた。
漫「う、うちは今…し、下着を…下着を引っ張られてます…ぅ♪♪」
京太郎「どんな下着なんだ?
漫「え…エロ下着れすぅっ♥京君とエッチしゅる為の…ぉ♪♪チンポ入れりゅ為の穴空き…セックス専用変態エロショーツぅ…♥」
そんなエロい下着をを身に着けている自分を自覚するその言葉にうちの中がビクビクと震える。
まるで自分のその言葉だけでもイッてしまったようなその反応に、チンポもまた反応した。
多分、そうやって震えるうちの中が気持ち良くて堪らへんのやろう。
それを感じさせるチンポの…正直な反応に、うちは陶酔混じりの蕩けた笑みを浮かべてしまう。
漫「そ、それを引っ張られると…♪♪うちのオマンコがチンポに押し付けらへて…っ♪♪く、クリトリスもザラザラってレースに擦れりゅ…ぅ♪♪」
そんなうちの身体に新しく注ぎ込まれとるのはその二種類の快感や。
気持ち良すぎて勃起した皮むけクリトリスと普通のセックスでは味わえへん膣外の締め付け。
その二つがうちの身体の中で強い電流として弾け、オルガズムに慣れて蕩けた身体を緊張させる。
力が抜けかけていた四肢をビクンと跳ねさせるそれを、マゾっぽいうちの身体は悦んで受け入れ、全身に陶酔を行き渡らせた。
漫「乳首らけでも…オマンコだけでも頭おかしくにゃってるのにぃぃっ♪♪クリイキまでしゃせるなんて反則ぅっ♥♥」
うちの性感帯4つを同時に責めるその技巧。
それは多分、まだ拙く上手とは言えへんものなんやろう。
けれど、うちにとってそんなものまったく関係なかった。
イきっぱなしで頭がおかしくなった今のうちは京君に触れられるだけでも嬌声をあげるくらいに敏感になっとるんやから。
何より、例え、上手でなかったとしても、それが愛しい人とのセックスならば身体が蕩けてしまうのが…オンナっていう生き物や。
京太郎「悪いな…!でも、俺…もうイキそうだから…さ…!」
漫「あ゛あぁぁっっ♥♥あ…ひゅ゛…ぅぅうぅっ♪♪♪」
その上、そんな風に素直に限界を伝えられたら…どうしたらええのかさえ分からへんようになる。
大好きな人が自分の身体で気持ち良くなって射精しようとしてくれているって事に…もう幸福感が止まらへんのや。
さっき張った身体が嘘のようにして弛緩し、今にも崩れそうになってしまうくらいそれは強い。
きっとこうして後背位…ううん、ケダモノセックスで…扉に手をついてへんかったらとっくの昔に崩れ落ちとったやろう。
京太郎「漫姉は…何処が良い…?何処で…射精して欲しいんだ…?」
漫「しょれは…ぁ♥♥」
そんなうちに尋ねる京君に…即答は出来ひんかった。
勿論、元々の目的がこの下着に京君の臭いを着ける事やった以上、外に出して貰うんが一番やろう。
とは言え、今日はうちの安全日で…しかも、避妊対策にちゃんとピルも飲んどる。
そこまで準備までしとったうちが膣内射精を欠片も期待しとらんかったなんて、到底言えへん。
京太郎「このまま漫姉の子宮にザーメンぶちまけた方が良いか…!?それとも…漫姉は全身にぶっかけられる方が良いのか…!?」
漫「ぃひう゛ぅぅぅうううぅぅっ♪♪♪」
そう詰問するような京君の口調には余裕があらへんかった。
きっと京君もギリギリのところで堪えてくれとるんやろう。
それがうちの意思に沿う為なんか、或いはうちを辱める為なんかは分からへん。
けれど、そんな京君の姿を見ても、うちはどちらかを決める事が出来ず、ただアクメに震える声をあげた。
漫「きょぉ君の好きなところれ…ぇっ♪♪京君のしゅきなところに…ぶっかけて…ぇ♥♥」
結局、優柔不断な言葉を返す自分にズキリとした胸の痛みを感じる。
けれど、それでもやっぱりうちがどちらかを選べるとは到底、思えへん。
勿論、これで終わりやねんから、先にどちらをしてもらうかという違いしかないのは分かっとる。
けれど、どちらもうちが期待して、そしてそれに足るほど魅力的だからこそ、うちはその違いをとても重視してしまうんや。
京太郎「良いのか…?俺…マーキングするぞ…!漫姉に…思いっきり俺の臭いを染み込ませるぞ…っ」
漫「えぇ…よぉっ♥マーキングしてぇっ♪♪うちに京君の臭い染み込まへて…京君のモノにしへぇっ♥♥」
そんなうちに確認する京君の言葉が一体、どちらを指しているのかは分からへん。
どちらもマーキングと言えばマーキングやし、京君の臭いをうちに染み込ませる行為なんやから。
でも、例え、どちらであってもうちは間違いなく、それを悦ぶ事が出来る。
それを京君へと告げた瞬間、彼の腰の動きはさらに早くなり、パンパンと肉が弾ける音が鳴り響く。
漫「んあぁっ♪♪ひ…あぁっ♪♪あ゛ひぃ♥♥」
それに合わせて嬌声を放つうちの中でチンポがビクンと震えて、また一つ大きくなった。
根本から血流が一気に流れこむようなその変化にうちの子宮が今までにない疼きを覚える。
まるでお腹の奥がギュッと収縮するようなその疼きに、京君は応えてくれた。
力強い腰使いで大きくなったチンポを振るい、うちの中をゴリゴリと犯してくれる。
その張ったカリ首が肉襞を引っかき、そして肉襞を壁際へと押し込められる度に湧き上がる無数のアクメ。
それにうちは身悶えしながらも、京君に向かって腰を動かし、快感を貪り続ける。
京太郎「漫姉…っ!漫…姉…っ!」
漫「きょぉ…くぅん…っ♥♥」
そうやってうちを気持良くしてくれている愛しい人からの縋るような言葉。
それに胸の奥が熱くなったうちは反射的に彼の名前を呼んだ。
そして、それが京君にとって最後のトドメになったんやろう。
瞬間、京君は乱暴に打ち据えた腰を今まで以上の速度で引き、うちの中を引っ掻く。
最早、引きずり倒すと言っても過言ではないその激しさにうちの背筋がピンと張った瞬間、京君のチンポがニュポンと引き抜かれた。
京太郎「ぐ…ぅぅ…っ!」
その瞬間、何が起こったのか、京君に背を向けたままのうちには最初、分からへんかった。
ただ、声が聞こえたかと思った瞬間、うちの肌に何か熱いものが降り掛かってくるんやから。
でも、一秒も経った頃には、それがプリプリするくらいに粘っこい粘液やって事が伝わってくる。
髪から首筋から…まるでうちの背中全体を穢すようなそれにうちがふっと息を吸い込んだ瞬間、むせ返るようなオス臭さがうちの鼻孔を突いた。
漫「う…あぁ…っ♪♪」
いっそ息苦しいとさえ思うほど濃厚でムワムワした臭い。
チンポから感じたそれを何倍にも凝縮したようなそれにうちの頭がクラリと揺れる。
けれど、そうやって頭を揺らしても、その臭いからは逃げられへん。
今も尚、うちの背中に振りかかる京君の精液から逃げられるはずがないんや。
漫「(うち…臭いで犯されとる…ぅ♥)」
ビュルビュルと音が聞こえそうな勢いで吐き出され続ける京君のザーメン。
その濃厚過ぎる臭いはうちの鼻から脳へと伝わり、そこをぐしゃぐしゃにかき回すものやった。
ただでさえ、ドロドロになった頭の中をおかしくするようなそれは犯されてる以外の表現が思いつかへん。
その上、その臭いの源がうちの全身にべったりと張り付き、その熱を伝えてくるんやから…おかしくなったうちがイくのも変な話やないやろう。
漫「(これも…えぇ…♪♪気持ち…ええよぉ…♥♥)」
漫「(これも…えぇ…♪♪気持ち…ええよぉ…♥♥)」
勿論、その気持ち良さは膣内射精の比やない。
メスとしての幸せを教えこまれ、子宮だけではなく心まで屈服させられるような膣内射精はやっぱり別格やねんから。
けれど、それには及ばないでも…こうやってマーキングされる感覚は、幸せで心地ええ。
自分が外側から京君のモノになっていく感覚にうちの全身は満たされていく。
漫「んふぅ…♪」
それが収まったのは頃にはうちの背面はもうベトベトで一杯やった。
髪どころか扉まで届いた激しい射精はうちの身体を穢すのには十分過ぎるくらいやねんから。
もう精液が張り付いていないところの方が少ないと思えるほどの量にうちは軽く驚いたくらいや。
漫「(こんなものが毎回、うちの奥に叩きつけられてるんか…♥♥)」
幸福感で満たされて中々、帰ってこれなくなる膣内射精。
チンポがこんなに精液を吐き出すんやから、そりゃあんな風になるのも当然やろう。
そう思いながら髪に張り付いた精液をふっと指で掬い取れば、それはまだほのかに暖かい。
射精したての染みこむような熱には及ばへんものの、確かに熱を残すそれをうちはゆっくりと口元へと運んだ。
漫「(ん…苦い…のに…甘い♪)」
最初に感じたのは苦味やった。
決して大きいものではないけれど、それでも進んで食べたいとは思えない程度のそれを舌の上で転がす。
でも、そうしているうちに精液からは苦味が抜けていき、それが堪らない甘露に思えてくるから不思議や。
いや…不思議でも何でもないか。
うちは京君の奥さんやねんから…京君のザーメンを美味しく感じるのが普通なんやから。
漫「(そう思うと…とっても幸せや…♥)」
本来なら苦くて仕方がない精液さえも、悦ぶ事が出来る。
そんな自分に誇らしさを感じ、京君への愛情を再認識したうちの中から幸福感が強まった。
膣内射精のそれに比べても勝るとも劣らへんその強さに緩みがちなうちの頬はさらに緩み、幸せそうな吐息を漏らしてしまう。
京太郎「漫姉…っ!」
漫「ひゃぅ♪」
そうやって精液を味わううちの姿に興奮したんやろう。
京君はうちの名前を呼びながら、ぐいっとうちの身体を抱き寄せた。
扉から強引に自分の方へと寄せるそれに京君のチンポがうちのお尻へと触れる。
それが未だ逞しさを失っていないどころか、ギンギンに勃起したままである事を感じた瞬間、それが再びうちのオマンコへと突き込まれた。
京太郎「今度は中で射精すからな…っ!」
漫「ひ…ぃっうぅ…♪♪」
その言葉と同時に始まるピストンは最初から遠慮なんてなかった。
自分が射精する為だけの激しい腰使いにうちの口から悲鳴めいた嬌声が漏れる。
けれど、京君はうちを犯しているような抽送を緩めず、はぁはぁと荒い息を吐いた。
まるでまったく興奮冷めやらぬと言うようなそれは…きっと膣外射精をしたからなんやろう。
漫「(ちゃんと満足出来ひんかったんやね…♥)」
うちの我儘を叶えた所為で、中途半端にしか欲求を発散出来ひんかった京君。
それを今、改めてうちへとぶつけようとする彼に悪感情を感じるはずなんてあらへん。
寧ろ、そうやってうちを必死に求めてくれる姿に胸の奥が刺激され、キュンと唸ってしまうくらいや。
そんな心地好さに後押しされるようにして再び沸き上がってきた絶頂感を貪り… ――
―― 結局、そのままうちらはドロドロになるまでセックスを繰り返したんやった。
………
……
…
漫「あふぅ…♪」
そううちが吐息を漏らすのはベッドの上やった。
思ったよりふかふかで上等なその寝床は、倦怠感溢れるうちの身体を優しく抱きとめてくれる。
それが嬉しいものの、眠気がまったく起こらへんのは真横に京太郎君がおる所為やろう。
京太郎「ん?どうかしました?」
漫「ううん…ちょっとドキドキしとるだけ♥」
そううちに尋ね返す京太郎君の顔は大分、スッキリとしとった。
流石にアレから結局、深夜近くまでセックスしまくってたんやから当然やろう。
それでも一緒にお風呂に入っていた時までチンポがビキビキに勃起しとったのはどういう事なのか。
最早、絶倫という言葉でも足りひん領域に片足を突っ込んどる京君にうちはクスリと笑みを浮かべながら、腕枕を堪能した。
漫「こうして京太郎君と一緒に眠れるだけでうちは幸せやからね…♥」
その言葉に嘘はあらへん。
確かにうちは京太郎君とセックスするのも大好きやけど、一緒に居れるだけでも十分やねんから。
ましてや、こうして疲れたうちを休ませるようにして、その腕を貸してくれるとなると胸が暖かくなるくらいや。
欲求不満も一段落してストレートに感じる事の出来るその幸福感に、うちはそっと笑みを浮かべた。
京太郎「そういうのもあんまりしてあげられなくてすみません…」
漫「もう…京太郎君の所為やないって」
まぁ、確かにうちが他の二人よりも割りを食っとるのは確かや。
京太郎君には絶対に言えへんけど、不公平感があるのも否定出来ひん。
けど、だからって、それを京太郎君の所為やって思うくらいうちは分別のない女やあらへん。
距離の問題って言うのは、学生のうちらにとっては大きく、そして京太郎君は出来る範囲でうちの希望を叶えてくれとるんやから。
漫「(…寧ろ、神代さんが異常なんよね)」
確かに今まで京太郎君と交わしたメールから、彼女が京太郎君の事を心から好いとるのは伝わっている。
けど、だからといってわざわざ長野に転校までして追いかけるなんて普通の好意やあらへん。
多少、偏見が入っとるかもしれへんけれど、依存に近い危うい感情であるのは確かや。
インターハイで会った時にはそんな気配なんてまったく感じひんかっただけに、驚きは隠しきれへんかった。
漫「(まぁ…そういうなりふり構わなさが羨ましいという気持ちはうちにもあるんやけど…)」
うちだって出来るならそうやって京太郎君を追いかけて行きたい。
でも、うちはごく一般的な家庭で、ポンポン引越し出来るほど裕福やない。
例え、出来たとしても、末原先輩が託してくれた姫松を見捨てて、清澄に行くなんて真似はしとぉなかった。
来年のインターハイでリベンジが決まるまで、うちにとって清澄というのは強大な敵であり、乗り越えるべき壁やねんから。
京太郎「どうかしました?」
漫「ん…壁は厚いなぁって思うて」
しかし、それが出来る自信が自分の中にあるかというと正直、あらへんかった。
ただでさえ、清澄はインターハイで優勝するくらい強大で、そして来年もその主力の殆どが残っとる状態やねんから。
その上、神代さんを始めとする永水女子の面々が合流したら、一体、どれほどの戦力になるやろう。
末原先輩を始めとした中核がごっそり抜けた今の姫松で太刀打ち出来ると思うほどうちは自分に自信を持てへん。
京太郎「漫さんなら大丈夫ですよ」
漫「え…?」
その瞬間、告げられた京太郎君の言葉にうちはつい問い返してしまった。
だって、それはうちの心の中を言い当てるような言葉やってんから。
予想外なそれにうちが京太郎君の顔を見れば、そこには安心させるような笑みを浮かべた彼がいる。
京太郎「何を悩んでいるのかまでは分かりませんけど…漫さんなら乗り越えられると思います」
漫「簡単に言ってくれるんやから」クスッ
心からそう思っているであろう京太郎君の言葉。
それに拗ねるような言葉を向けながらも、うちの顔からは笑みが漏れた。
他の人からそんな風に期待を寄せられても、多分、うちは笑う余裕なんてなかったやろう。
けれど、それが京太郎君の言葉であると言うだけで、胸の中から元気が湧いてくるんやから不思議や。
折角、こう言ってくれてるんやから…もうちょっと足掻いてみよう。
言葉一つでそう思ってしまう単純な自分に嫌な気は起こらへんかった。
京太郎「先輩って奴は後輩からは偉大に見えるものでして」
冗談めかしたその言葉は、京太郎君にとってそれほど深い意味があった訳やないんやろう。
でも、その言葉にうちの脳裏に姫松を引っ張ってくれた先輩方の姿が浮かび上がった。
到底、追いつける気がせえへん先輩たちも…もしかしたら後輩補正で偉大に見えていただけなんかもしれへん。
そう思ったらさっき凹みそうになっていた自分が情けなくなってしもうた。
京太郎「それに…俺に出来る事なら何でも手伝いますから」
漫「あ…」
そう言って、京君はうちの頬をそっと撫でてくれた。
うちの肌を慰めるような優しい手つきに思わず目が細まってしまう。
暖かく、そして心地良い感覚に喉の奥からじんわりと熱くなっていった。
猫や犬のように喉を鳴らしてしまいそうになるその独特の熱はそのまますっと喉を通り、心臓の鼓動を早くする。
京太郎「愚痴でも何でも聞きますし、何か手伝いが必要ならやらせて下さい」
漫「ん…」
けれど、それに完全に身を委ねる気にはなれへんかったのは、京太郎君が一瞬、辛そうな表情を浮かべたからやろうか。
まるでそうしなければいけないと自分に言い聞かせているようなそれは、正直、あんまり嬉しいものやあらへん。
勿論、それだけって訳じゃないんやろうけれど、彼の仕草に強迫観念めいたものを感じて、心から喜べるほど、うちは薄情でも利己的にもなれへんのやから。
漫「…何をそんなに焦っとるん?」
京太郎「…あ…」
うちの言葉に京太郎君はハッとした表情を見せる。
きっとそれは本人にとっても、それは意識してへんものやったんやろう。
驚き混じりのそれにうちはクスリと笑みを浮かべて、京太郎君の頭にそっと手を伸ばした。
漫「…先輩にちょっと話してみぃひん?」
京太郎「はは…漫さんには本当に敵わないなぁ…」
漫「当たり前やん。だって、うちは先輩やねんから」
そのままゆっくりと頭を撫でるうちの仕草に京太郎君は諦めたようにそう言った。
諦め混じりのその言葉は、けれど、確かに嬉しさめいたものをうちに感じさせる。
きっと京太郎君はずっとそれを溜め込んで、誰にも話す事が出来ひんかったんやろう。
安堵混じりの京太郎君の表情にそう思いながら、うちはベッドの中でそっと胸を張った。
京太郎「…いや、俺の…その、愛し方って奴は異常だなって…そう思いまして」
そんなうちに京太郎君が漏らす言葉は、思いつめたものを感じさせるものやった。
いざスイッチが入った時に嗜虐的になる自分にずっと思い悩んでいたんやろう。
それを感じさせる声に胸の奥が痛むが、けれど、共感してあげる事は出来ひん。
確かにちょっと人とは違う愛し方かもしれへんけれど…うちはそれを悦んどるんやから。
漫「でも、京太郎君は色々と考えてくれとるやろ?」
それに何より、京太郎君は意地悪はするけれど、本当に酷い事はせえへん。
精々が言葉責め程度で、それ以上の事はされてへんのや。
うちとしてはスパンキングくらいやったら別に全然オッケーやと思うんやけど…まぁ、それはさておき。
セックスの最中にそうやって色々と頭を捻り、注意を払ってくれる彼の愛し方が悪いとはどうしても思えへん。
漫「さっきかて…本当は扉の前に誰もおらへんかったんやし」
そもそもこの部屋に外付けのチャイムなんて着いておらず、係員とのやり取りはインターフォンで済ます。
それに気づいたのは…京君とお風呂に入って、小窓に入っとったハンバーグセットを見た時や。
さっきの音もこれを入れた事を伝える音なんやと京太郎君に教えてもらった時は恥ずかしさで死んでしまいたいと思った。
けれど、同時にそれは京太郎君がうちの様子を逐一観察し、どうすればうちを気持ち良くしてあげられるかって事を考えてくれとる証や。
漫「少なくともうちはそんな京太郎君も含めて好きやで」
自分が選んだホテルのシステムを忘れてしまうくらいにドロドロになり、音に対して過剰に反応したうちの姿。
それを見てすぐさまうちの誤解を利用する方向へと持っていった京太郎君は…まぁ…惚れた弱みか格好良く見える。
それに何より…そうやってあちらこちらへと舵取りするんは、相手のことをつぶさに観察し、理解しとらへんかったら無理やろう。
それを何の気なしにやってくれる京太郎についつい甘えてしまうくらい、それは嬉しい事やった。
漫「それとも他の子に嫌やって言われたん?」
京太郎「いや…そんな事はないんですけど…」
漫「だったら、皆それを嫌やって思うとらへんよ」
勿論、うちは本人じゃないし、ましてや殆ど話したこともない。
そんなうちが二人の心情を代弁するのはちょっと間違っとるような気がする。
でも、長野に着いていくほど心酔しとる神代さんがそんな風に思うとは思えへんし、原村さんは雑誌見る限りそういうのはズバズバ言うタイプや。
あくまでうちの勝手なイメージやけれど、それほど的外れじゃないと思う。
京太郎「でも…俺…こんな自分勝手なヤリ方じゃ何時か皆に見放されて…」
漫「…あぁ」
瞬間、ポツリと漏らされた言葉に、うちは京太郎君の苦悩をなんとなく悟った。
京太郎君は多分…恐れとるんやろう。
能力の副作用という何時、消えるか分からへんものを前提にした今の関係を。
勿論、ずっと今の状態が続くというんやったら、京太郎君が恐れるような事はあらへん。
でも、京太郎君はそれをなくす為に色々な人に頼ったり、努力したりしとるんや。
その糸口はまだ見えとらへんみたいやけれど…それでも、それがなくなってしまった時の事をどうしても考えてしまうんやろう。
漫「(そして…それが京太郎君の中で最悪に近いものになっとる)」
これだけ皆に酷い事をしたのだから、きっと嫌われてしまう。
恐らく京太郎君の根底にはそんな意識がどうしてもあるんや。
だからこそ、彼は自分の愛し方に疑問を持ち、こうして落ち込んでいる。
勿論、そんな風に落ち込むんやったら、最初からやらへんかったらええ話やけど…多分、そうはいかへんのやろう。
セックスの時の京太郎君はまるで別の人格に変わったのかと思うくらいに意地悪で、嗜虐的やねんから。
漫「(そんな京太郎君にうちは何を言ってあげればええんやろう…)」
その時にならへんかったら分からへんけれど、能力の影響から脱してもうちが京太郎君の事を嫌う事はまずない。
今の状況だって仕方がない事やと理解しとるし、京太郎君の良い所はこれまで沢山見てきとるんやから。
でも、それはあくまで自分自身だからこそ信じられるものやろう。
これをそのまま京太郎君に伝えたところで、彼がそれを心から信じられるとは思えへん。
京太郎君が前提にしとるのは『能力がなくなった後』という仮定の未来の事だけに、下手な事を言っても説得力をもたせられへんのやから。
漫「(だったら…別の方向のアプローチしかあらへん)」
その方向性は大体、見えとる。
けれど、だからと言って、それを口にするのは中々に抵抗感のあるものやった。
色々と理解して、そして諦めとるとは言え、今の状況に思う所がない訳やないんやろう。
でも、うちにとってはそれよりも京太郎君の方が愛しくて…そして大きなものやった。
だからこそ、数秒ほどの逡巡の後に、うちは決意しながら、ゆっくりと口を開く。
漫「…それなら見放されへんように、うちらの事、調教すればええんちゃう?」
京太郎「えっ…」
うちの言葉に京太郎君は驚いた声をあげる。
慰めるどころか、背中をグイグイと押しこむ言葉やねんからそれも当然やろう。
それを独りだけ遠距離っていうハンデを背負ってるうちが言うなんて到底、思っとらへんかったはずや。
しかし、だからこそ、その言葉は京太郎君に対して大きな意味があるはず。
そう自分に言い聞かせながら、うちは一気に押し切ろうとする。
漫「と言うか…現実、今の状態がそんな感じやん」
京太郎「まぁ…それは否定出来ませんけど…」
漫「やろ?それやったら、もうちょっと突き抜けてしまえば皆ハッピーになれるって」
勿論、事はそう簡単やない事くらい分かっとる。
今はまだ良いにせよ、大人になったら色々と問題が出てくるやろう。
結婚とか育児とか生活とか…高校生が夢見るほど社会って奴は優しくないんやから。
でも、それも京太郎がさえしっかりしていれば、乗り越えられへん訳やない。
そして…惚れた弱みかもしれへんけど、京太郎君ならばそれを乗り越えてくれる気がするんや。
京太郎「いや、でも、そんなの…良いんですか?」
漫「正直に言えば良くないで」
京太郎「なら…」
漫「でも…うちがあの二人に勝つのは絶対、無理やもん」
本当なら…うちだって京太郎君に選んで欲しい。
でも、その未来は自分で言うのも何やけど…かなりの望み薄やった。
ただでさえ相手が悪いのに遠距離というハンデまで背負うとるんや。
日々仲良くなっていく二人に対して、独りポツンと置いていかれる自分。
妄想の中やと京太郎君と幼馴染だったが故に速攻作戦が成功したけれど、現実ではそうはいかへん。
漫「一番にはなれへんでも…ハーレムの一員くらいやったらチャンスはあるやろ?」
それやったら複数の中の一人でもええから傍に置いて欲しい。
そう思うのは多分、負け犬の思考なんやろう。
何せ、最初から勝つことを考えず、負ける事を前提にしとるんやから。
そんな臆病な自分が滑稽だと思うものの…京太郎君を完全に失ってしまうのはやっぱりそれ以上に辛いんや。
もう二度とこんな風に愛してもらえへんって思うただけで胸が張り裂けそうになるんやから。
漫「だから…うちの為に二人の事堕としてくれへんやろうか?」
京太郎「…そんなの…ズルいですよ…」
そう苦しげに言う京太郎君の気持ちはなんとなく分かる。
何せ、うちの言葉は、自分から責任を背負い込むものやねんから。
京太郎君が自分を責めすぎないようにするその言葉に根が真面目な京太郎君は反発を覚えるんや。
でも、だから言って、自分の中で言い訳して責任転嫁出来る言葉をナシには出来ひん。
聞いてしまった以上、後戻りは出来ひんって理解しているからこそ、京太郎君はそうやって苦しげな顔を見せるんやろう。
京太郎「…漫さんは決して和や小蒔に劣る訳じゃないです」
漫「でも、勝ってる訳やないんやろう?」
京太郎「それは…」
勿論、その言葉は嘘やないんやろう。
でも、それがうちの心に響くかと言えば、答えは否やった。
嬉しいのは嬉しいんやけれど、今のこの場では誤魔化しにしか聞こえへん。
その気持ちと共に突っ込んで尋ねるうちの言葉に、京太郎君は言い淀んだ。
漫「難しく考えんでええよ。うちが悪いのは背負うから…京太郎君は自分の思うがままに振る舞えばええだけ」
そして、京太郎君が何か改めてする必要があるとは思えへん。
日頃、うちに対してやっているように振る舞えば、他の二人も自然と堕ちていく事やろう。
少なくとも、うちにとって京太郎君はそれほどまでに魅力的でハーレムでも良いと思うくらいに離れがたいんやから。
漫「それでも気になるって言うんやったら…その分、うちにご褒美欲しいな…♥」
そう言いながら、うちはそっと京太郎君へと身を寄せた。
既に一回一段落して寝る準備に入っとるとは言え、まぁ、こうやって腕枕されとるとどうしてもドキドキするんや。
その上、こうしてちょっぴりエロい話題にもなれば、身体に火が入ってもおかしゅうない。
それなりに欲求不満が小さくなってあんまり意識せんようになったとは言え、決してなくなった訳じゃないんやから。
京太郎「漫さん…」
漫「ね…キスしよ…♪」
短いそのやり取りに京太郎君…ううん、京君は拒絶を返さない。
寧ろ、そっとうちの背中に手を回して、うちの身体を抱き寄せてくれる。
それだけで疼きを残す身体がキュンと反応し、奥から愛液が滴るのが分かった。
流石にそれは今すぐ身体の外に染み出す訳ではないにせよ、何れはそうなるやろう。
漫「(少なくとも…キスしたら…そうなってしまうんやろなぁ…♥)」
キスだけでトロトロになってしまうエロエロな自分。
そんな未来を想像しながら、うちの胸は高鳴った。
どうやらうちは自分で思っていたよりも遥かに、こうして京君と愛し合うのが好みらしい。
それにクスリと笑みを浮かべながら触れ合った唇は相変わらずうちをドキドキさせてくれる。
そして、そのドキドキは何時しかお互いの興奮に火を点け… ――
―― 結局、それから空が白むまでセックスし続け、次の日のデートの計画は殆どおじゃんになってしまった。
………
……
…
~京太郎~
―― 人間には背負いきれる限界って奴がある。
器量とか言われるそれは誰もが少なからず持っているものだろう。
だけど、俺自身、自分のもつそれが大きいとは到底、思えない。
俺はそこまで立派な人間じゃなく、ごくごく普通の男子高校生なんだから。
変な能力が手に入ったお陰で、何故か三人の美少女たちと関係を持っているけれど、それは分不相応なものだ。
本来の俺からすれば、その中の誰か一人と付き合う事自体、あり得ない事だろう。
―― だから、俺はずっとそれを正そうとしてきたつもりだ。
能力を発動させない方法を考え、副作用をなくそうとしてきた。
その成果が実ったとはまだ言えないが、それでもゆっくりと前へと進んできている。
だけど…そうしている内に俺は三人と仲良くなり…三人ともに惹かれていった。
素直に俺へと甘え、求めてくれる彼女たちはとても可愛く、そして魅力的だったのだから。
―― だからこそ…俺は怖くなった。
そうやって俺に甘えてくれるのは俺の能力という大前提があるからこそだ。
そんなものがなければ、俺は彼女たちとろくにお近づきになる事が出来なかっただろう。
勿論…今更、能力がなくなったところで、そうやって三人と深めた絆が嘘になるとは思えない。
だけど…俺が能力を利用して、三人に対して不誠実で、最低な事をしているのは否定出来ない事実だ。
だからこそ、能力がなくなった時、皆から軽蔑されてしまうのではないかと思うと…恐ろしくて仕方がない。
一度は心交わしたと思っていた彼女たちから嫌われるかもしれないと思うだけで…落ち着かなくなってしまうのだ。
―― その為の対策は…俺の中にあった。
漫さんに言われる前から…心の中にあり続けた自分勝手な考え。
能力がある内に三人を俺へと縛り付け、もう二度と離れられないようにしてしまうというそれは…今まで以上に最低なものだろう。
今でさえ彼女たちの人生を歪めているのに…俺の考えているその考えはその歪みを一生、引きずるものなのだから。
最低でも三人の内、二人は結婚さえ出来ず、親ともろくに会えなくしてしまうかもしれない…最悪な考えだ。
―― でも、漫さんはそれを肯定してくれた。
勿論、そこには色々な苦悩があった。
恐らく俺ではその全てを汲み取る事なんて不可能なほど大きい苦悩が。
けれど…漫さんはそれを飲み込んで、俺の背中を押してくれた。
自分勝手で最低な俺の考えを肯定し、それで良いと言ってくれたのである。
―― そんな漫さんに責任を押し付けるつもりはない。
彼女がそれを選んだのは、自信がないからだ。
本当はそんなもの選びたくはなかっただろうし、自分だけを見て欲しかったのだろう。
だからこそ、悪いのは俺であり、漫さんに責任は一切、ない。
悪いのは漫さんにそんな事を言わせるまで追い込み、彼女に自信を与えてあげられなかった俺だけなのだ。
―― だから…決めたのは俺だ。
俺だけが得をして、彼女たちにばかり損を与えるその選択肢。
結局、自分可愛さにそれを選んだのは俺であり、全ての責もまた俺にある。
後々、誰に最低と言われようとも、彼女たちの親に殴られようとも、俺はそれを受け入れなければいけない。
俺が今、決めたそれは間違いなく三人を不幸にするものなのだから。
―― その分…幸せにしてやらないとな。
勿論、俺にそんな事が出来るとは思わない。
何度も言うように俺はあくまで普通の男子高校生で、美少女三人も独占出来るような度量はないのだから。
けれど、俺が我が身可愛さに選んだ時に、出来る出来ないの問題など超えてしまったのだ。
そんなものを論ずるよりも先に俺は努力し、三人が少しでも幸せになれるように努力しなければいけない。
―― まずは…新人戦だ。
麻雀の実力が男の魅力の全てだ、なんて言わない。
だが、結果を残せば、それだけ皆も喜んでくれるだろう。
特に和と小蒔は俺が強くなるために少なくない時間を割いてくれているのだ。
まずはそれに報いて結果を残すのが、彼女たちを幸せにする第一歩だろう。
だからこそ…俺は… ――
【System】
上重漫の屈服刻印がLv3になりました。
上重漫は不安を感じているようです。
須賀京太郎は覚悟を決めました。
【オマケ】
― バンッ
小蒔「見つけましたよ!絶倫大帝キョウ=タロー!」
漫「き、今日こそうちらプリキ○アが!」
和「あ、貴方に引導を渡してあげます!」
京太郎「…え?何これ?」
漫「ほらああああ!言ったやん!うち言ったやん!!」
小蒔「あれー…昨日もコスプレエッチでノリノリだったからいけると思ったんですけど…」
和「と言うか、流石にこの衣装、スカート短すぎません?フリル一杯なのは良い感じですけど」
漫「大丈夫。その辺は原作通り…って違うって!そうやないって!!」
漫「ほら、京太郎君ついていけへんで唖然を通り越して凄い冷静やん!」
漫「寧ろ、すっごい生暖かい目でこっち見てるやん!」
小蒔「えへへ…どうですか?この衣装、皆で頑張って作ったんですよ」ヒラヒラ
京太郎「あ、うん。凄い良く出来てる。皆、可愛いよ」
漫「そういう説明よりも先にする事があるやろ!!」
和「まぁ…その…何時も通りと言うかですね」
京太郎「大丈夫。大体、分かった。また小蒔が変に影響を受けちゃったんだな」
小蒔「プ○キュア可愛いし、格好良いです!」フンスー
漫「うぅ…こんな事になるなら見せへんかったら良かった…」グスッ
和「まぁまぁ。小蒔さんも楽しんでるみたいですし…」
小蒔「と言う訳で、絶倫大帝キョウ=タローの命運はここまでです!」
京太郎「あ、俺、悪者設定なんだな」
和「しかも、ラスボスらしいですよ」
漫「大体、どういう展開望んでるのか分かるキャラ配置やね」
京太郎「んじゃ、それに乗っかるとするか」
キョウ=タロー「ふぅははははー。どうした?大口叩いた割りにはその程度なのか、プ○キュアどもよ」
キュアコマキ「くぅぅ…まさか、キョウ=タローの力がこれほどまでだったなんて…」
キュアスズ「皆…ごめん…うちら勝てへんかった…」
キュアノドカ「(あ、もう負けてる設定なんですね)」
キョウ=タロー「だが、しかし、久しぶりの戦いで我が身の滾りは収まらぬ」
キョウ=タロー「この滾り、貴様らの身で晴らさせて貰おうか」
キュアコマキ「な、何をするつもりですか…!?」ドキドキ
キョウ=タロー「まずは貴様らの純潔を奪い…我の忠実な下僕としてやろう」
キュアスズ「た、例えどんな事をされようと…うちらは絶対にアンタの思い通りになんかならへん!」
キョウ=タロー「くくく…それはまずこのキスを受けてから言うのだな…!」
キュアスズ「ふぐぅ…♪♪」
キュアコマキ「…あ、漫ちゃんズルい…」
キュアノドカ「素に戻ってますよ、小蒔さん」
キュアコマキ「あ、いけない…。す、漫ちゃんに酷い事しないで!」
キョウ=タロー「ちゅ…♪ならば、貴様にも我が責め手を受けてもらおうか!」グイッビリビリ
キュアコマキ「きゃあぁっ♥♥」
キョウ=タロー「あ、すまん。破けちまった…」
キュアノドカ「大丈夫ですよ。わざと破れやすいように作ってありますし」
キュアコマキ「ち、違います!こ、これはキョウ=タローの闇のパワーが大きすぎるからで…」
キョウ=タロー「ふむ…それではキュアコマキ、貴様の身にも我が闇のエネルギーを味あわせてやろう」クリクリ
キュアコマキ「ふあ…ぁっ♪いきなり乳首は卑怯です…よぉ…♥」
キョウ=タロー「くくく…スーツの内側がノーブラだった奴が何を言う。本当は貴様も期待していたんだろう?」
キュアスズ「こ、小蒔ちゃんにばっかり酷い事したらあかんで!」
キョウ=タロー「ふふ…殊勝な事を言っているが、本当は、さっき流し込まれた闇の力が物足りないんだろう?
キュアスズ「そ、そんな訳ある訳ないやろ!う、うちは小蒔ちゃんが大事だから…!」
キョウ=タロー「ならば、貴様にもキュアコマキと同じ目に合わせてやろう!」ビリビリ
キュアスズ「や…あぁっ♪」
キュアノドカ「(…二人とも羨ましいです…)」
キョウ=タロー「あー…」
キョウ=タロー「キュアノドカ、貴様には特別に我が邪眼の力を掛けた」
キュアノドカ「えっ…?」
キョウ=タロー「今や貴様の身体は我が意のままよ。さぁ、我が逸物に奉仕するのだ」
キュアスズ「あっズルい!」
キュアコマキ「もうちょっと我慢しておけば…うぅ…」
キョウ=タロー「はいはい…二人は俺が可愛がってやるから…」
キュアノドカ「くすっ…♪」
キュアノドカ「あぁ…そんな…身体が勝手にキョウ=タローに跪いて…こんな事…したくないのに…♥」
キョウ=タロー「上手くやれば、褒美としてその顔に我が子種をくれてやろう」
キュアノドカ「そ、そんな汚いもの…い、要りません…!」ドキドキ
キュアノドカ「あひぃぃんっ♪♪大帝様ぁっ♥もっと…もっと子種汁下さいっ♪」
キュアノドカ「チンポぉっ♥大帝様の逞しいのでメス犬ノドカに種付けしてくださいぃっ♥♥」
キュアスズ「あかんのに…ぃっ♪負けたらあかんのにぃぃっ♪♪何でこんなに気持ちええのぉっ♥♥」
キュアスズ「大帝様のチンポ凄すぎて…うちもうプ○キュアじゃなくなるぅっ♪♪大帝様の下僕に…ぃっ♥メス犬になっひゃうぅぅ♥♥」
キュアコマキ「メス犬良いのっ♪大帝様の闇のパワーで種付け素敵ぃっ♥♥」
キュアコマキ「闇のパワー注入でぇっ♥メス発情期止まんないれすぅ♪♪」
キョウ=タロー「くくく…最初の威勢が嘘のようだな。世界を護るという覚悟はどうしたんだ?」
キュアノドカ「しょんなの…大帝様のチンポには勝てませんっ♪♪世界なんてどうでも良いですからぁっ♥♥」
キュアコマキ「大帝様に愛して貰えるだけで…私たち十分なんですぅっ♪その為なら…何だってしますからぁっ♥♥」
キュアスズ「うちらの事…もっと可愛がって下さいっ♪大帝様に逆らった愚かなメス犬を一杯躾けて欲しいんれすっ♪♪」
キョウ=タロー「殊勝な奴らめ。良いだろう。貴様らメス犬どもを特別に我の奴隷妻に任命してやろう。だから、より一層、我に心酔し、我を求めよ」
キュアノドカ「あぁぁ…大帝様ぁ…♥」
キュアスズ「逆らったうちらを愛してくれるだけじゃなくて…素敵な事言われたら…うちらもう…止まりません…っ♪♪」
キュアコマキ「大好きです…大帝様…っ♪♪皆…大帝様の事愛してますから…だから…っ♥纏めて妻にしてください…っ♥♥」
キョウ=タロー「いや、ちょ…!さ、流石に三人掛かりはきつ…!!」
その後、絶倫大帝キョウ=タローは力を合わせたプリキ○アに打ち倒され、世界には平和が戻りました。
京太郎「当分、そのコスは封印な」
三人「「「えー」」」
Qなんで実在のデートスポット題材にしてるのに写真無いの?
Aデータ紛失したからです
そんな訳で本当にお待たせしました
待たせた分の期待に応えられるかどうか分かりませんけど、もうエンディング手前まで出来上がっているので投下していきます
明日も投下予定なので良ければお付き合いください
結局帰ってきたのか。今が一番荒れやすい時だろうに
>>203あ、信者さんチィース!
…まぁ、一つずつ論破していこうか。
百合漫画→あんたがそう受けとるのは自由だが他の受けとり方もあることくらい知っておこうな。どちらが正しいなんて人の受けとり方によるんだから。
男は汚い物→同じ人間には変わりないし雌だけだと繁殖できないだろ。よって雄雌に貴賓はない。
いちゃついてる~→とりあえずこのスレではそんなことを女子同士でしてない。原作?読んだこと無いから知らんが二次創作だから>>1の好きなようにすればいいだろ。
作者が百合好き~→前述の通り受けとり方は自由。そしてこれも前述の通り二次創作だから好きにすればいい。
百合がマイナー~→別にマイナーとかマイナーじゃないとか関係ないだろって話だし好きなものなんか人それぞれだろ。
性欲のために~→人の好みは好き好き。後京豚は馬鹿にされる云々は今現在してる奴から言われてもねぇ…って話。
ハイ論破完了~。
21時から始めます
>>182
もう殆ど完成してるし別にいいかなって
元々一ヶ月の予定が大分待たせてたし
E-1がまだ突破出来ないんでそろそろ始めます
~京太郎~
―― 特訓そのものはわりかし順調だった。
小蒔の参入というのは思いの外、良い影響をあったようだ。
そう思うのは、特訓に参加している全員がグングンと良い方向へと変化していっているからだろう。
元々、それなりに経験を重ねていた小蒔は見間違えるほどミスが減り、ちゃんとしたデジタル打ちが出来るようになった。
俺自身も二人の協力のお陰で、集中力が向上し、擬似的ではあるものの『ゾーン』に入れる時間が長くなっている。
京太郎「(そして…和は…)」
和「ロン。タンヤオのみ」
小蒔「ひゃうっ」
特訓終わり際の三人麻雀。
その中でトップを取るのは大抵、和だった。
元々、自力という意味では俺たちの中で頭一つ分飛び抜けているので当然なのだろう。
実際、今だって最後の親を見事な速攻で流し、トップのまま終えている。
正直、これで幾らか弱体化しているとは思えないくらいだ。
京太郎「(しかも…これデジタルに頼りきりじゃないんだよなぁ…)」
その上…これが新しい打ち方を模索している真っ最中なのだから恐ろしい。
普通ならば、崩れてボロボロになってもおかしくないのに、和は決して崩れないのだ。
勿論、無理し過ぎない程度にデジタル打ちと感覚打ちを切り替えているというのもあるのだろう。
実際、牌譜にして確認してみると普段の和の打ち筋と違う闘牌をしているから良く分かる。
小蒔「…どうでした…?」
和「…手応えのようなものはまったくない訳じゃないんですけど…」
そう答える和はそっと自分の指先を見つめた。
細い人形のようなそこに一体、どんな感覚があるのか、他人である俺には分からない。
だが、そこに尋常ならざるものが残りつつあるのは確かなのだろう。
それは何とも言えない表情を見せる和の顔からなんとなく伝わってきた。
和「形になるのはまだ先みたいです…」
小蒔「ふふ…♪そんなものですよ」
そう会話する二人の表情にはぎこちなさはない。
勿論、特訓を開始した当初はぎこちなく、会話もろくになかったが、勇気を持った小蒔から歩み寄っていったのだ。
そして、これまでの事を詫びながら、教えを乞う小蒔を袖にするほど和は薄情な奴ではない。
結果、二人は急速に打ち解けて、こうして友人同士のように会話を交わすようになった。
小蒔「こんな短期間でこうして手応えを感じ始めているだけでも原村さんは優秀なんだと思います」
和「そんな…私なんて…」
そう謙遜するものの、小蒔という切磋琢磨するパートナーを得てからの和の成長具合は著しい。
何せ、特訓開始からそれほど期間があった訳ではないのに、もう手応えを感じ始めているのだから。
幾ら能力の使い手として大先輩である小蒔からアドバイスを受けていると言っても、その速度は本人の資質によるものだろう。
そんな素質を俺一人では開花させてやれなかったと思うと申し訳なく思うが、今はともかく和の成長を喜ぶべきだ。
小蒔「それじゃ…今日は私がラスですから片付けしますね」
最後の麻雀でラスを引いた人が卓の片付けをする。
それが俺たちの特訓の中で暗黙のうちに決められたルールだった。
とは言え、基本的には特訓は和の部屋でやっているんで、目立って片付ける必要があるものはない。
精々が牌を自動卓に片付け、空いたお菓子や使用済みグラスの後処理をするくらいなものだろう。
和「…では、今日も遅くなってしまいましたし、お夕飯どうですか?」
京太郎「いや、俺としては嬉しいけれど…」
そう和が俺に尋ねるのは、どっち道、小蒔が俺に意見を求めると分かっているからなのだろう。
部長との一件以来、べったりというほどではなくなったが、それでも小蒔は俺の事を尊重しすぎるくらい尊重してくれる。
そんな小蒔がこうして選択肢を提示されて、俺に尋ねないはずがない。
それをこれまでのやりとりから悟った和は、最初から俺に聞いてくるのだ。
京太郎「でも、最近、お世話になりっぱなしだからなぁ…」
新人戦を後数日という所にまで控えた今、俺達は特訓という形で、ほぼ毎日、和の家へと入り浸っていた。
部活が終わってからさらに自発的に練習しようとするそれは必然的に夜も更けてしまう。
今だってもう20時を超えているし、女の子一人の家にお邪魔しているには遅い時間帯だ。
正直、腹も減っているし、夕食を用意してくれるのは嬉しい訳だが、流石にこう毎日となると大丈夫なのかと思ってしまう。
和「良いんですよ。三人分も五人分もそれほど大差ある訳じゃありませんし」
京太郎「いや、あると思うぞ」
これが一人前から二人前くらいなら俺だって同意出来ただろう。
だが、三人分から五人分までの間には割りと深い溝があるのだ。
基本的にレシピというのが二人か三人分で書かれている所為だろうか。
口で説明するのは何とも難しい感覚的なものだが、ともあれ俺の中でその差は結構、大きいのである。
和「じゃあ、私の夕食の準備を手伝って下さい。一人だと今から三人分用意するのは手間ですから」
京太郎「あー…もう…そう言われると断れないじゃないか」
小蒔「あ、私もお手伝い…」
和「そうですね。では、小蒔さんも終わったら手伝ってくれますか?」
小蒔「はいっ♪」
屈託のない笑顔で頷く小蒔はいそいそと片付けに戻る。
こうして誰かと一緒に何かの作業をするのが小蒔は基本的に好きだ。
鹿児島でもそうだったので、恐らく生来の気質からそうなのだろう。
一歩間違えれば寂しがり屋に繋がりかねないそれに俺は和と共に笑みを浮かべながら、そっと立ち上がった。
和「それではよろしくお願いします」
小蒔「分かりました!」
そのまま二人で部屋から出て行く俺たちを握り拳と共に小蒔が見送った。
そんな小蒔の前で扉を締めてから、俺達は廊下を渡り、階段をゆっくりと下っていく。
かつて逃げるように去っていったそこを和と一緒に緩やかに下る感覚は未だに慣れない。
特に後ろ暗い事はないはずなのに、妙に悪いことをした気になって落ち着かなくなってしまうのだ。
和「…須賀君は特訓の成果はどんな感じですか?」
京太郎「どう…だろうなぁ…」
だからこそ、和の声に応える言葉は少しだけ遅れてしまう。
そんな自分に一つ苦笑めいたものを向けながら、俺はそっと肩を落とした。
微かに疲労感を感じる肩の感覚は決して嫌なものではない。
それは少しずつでも、自分が成長している実感があるからなのだろう。
京太郎「欲目込みだけれど、成長はしてると思うよ」
勿論、それは和や小蒔のそれほど著しい訳じゃない。
小蒔に比べれば俺は麻雀歴も短いし、成長の土台となる地力だってある訳じゃないのだから。
しかし、それでも集中の仕方さえ分からなかった初期から比べれば、別物と言っても良いくらいになっている。
それは俺の特訓に付き合ってくれた二人のお陰だと胸を張って言えるくらいだ。
京太郎「だけど…新人戦に勝てるかは分からないな…」
そう。
俺が言っているのはあくまで『能力制御』に関する事ばかりだ。
それ以外の、いわゆるノウハウの部分に関してはかなり曖昧なまま来ている。
勿論、それは俺自身が希望した事であり、和が悪い訳じゃない。
だが、やっぱり目前に迫った新人戦を考えると不安になるのは事実だった。
京太郎「俺のは勝つための能力じゃないしな」
これが特定の牌だけが集まるという能力であれば、俺にも光明を見出す事が出来ただろう。
だが、俺にあるのは人をおかしくする為の力であり、その制御に時間というリソースを割いて来た。
勿論、俺が少しずつ会得しつつある力は、地力をあげる事が出来るが、それだって一時的なブーストでしかない。
和のように対局中ずっとそれを維持する事など到底出来ない俺にとって、それは切り札ではあれど、安心できる材料ではなかった。
和「…須賀君ならきっと何とかなりますよ」
京太郎「そう…かな…」
一階へと降り立ちながらの和の言葉を俺も信じたい。
だけど、俺は県大会の一回戦で見事にボコられたのである。
そのトラウマはどうしても払拭出来ず、俺の中から不安が消える事はない。
流石に以前とまったく同じつもりはないが、今の俺がちゃんと通用するのか。
ふとした時にそんな事を思っては、落ち着かなくなってしまう。
和「それに…私は須賀君の能力がアレだけとは思っていませんから」
京太郎「えっ…」
和の言葉を俺は最初、信じる事が出来なかった。
何せ、それは頑なにオカルトを信じていなかった和の口から飛び出たものなのだから。
それが虚勢であった事を知っても、オカルトを肯定する和というのは違和感がある。
ましてやそれが俺にもう一つ能力があるというような言葉だと思うと信じがたい気持ちの方が強かった。
和「後で復習して分かったんですけど…須賀君は集中していない時の方が配牌が良いです」
京太郎「そう…なのか?」
今まで自覚はなかったけれど、言われてみればそんな気がしなくはない。
そう思うのは『ゾーン』が切れた後には大抵、好配牌から開始出来るからだ。
疲労感で集中どころではない俺はただの偶然だと思っていたが、言われてみればそれもおかしい。
京太郎「(それに思い返せば…合宿の時もそうだったしな)」
能力や和の事が気になってろくに集中できていなかった合宿一日目。
当時を思い返すのは胃が痛いが、確かにあの日は異様なほどツイていた。
一度も和了らなかったのに最終成績二位という時点で、その異常さが分かるだろう。
そして二日目も漫さんが手を貸してくれるまで好配牌が続きまくっていた。
その後はもうボコられまくりでろくな結果を残せなかったのも集中していたからだと思えば辻褄は合う。
和「それが能力だとしたら、須賀君にも光明が見いだせるでしょう?」
京太郎「でも、どうやって使いこなせるんだそんなもの…」
集中力が切れた後に頼れるものがあるのは嬉しい。
自分の長所というものを見いだせない俺にとって、それは朗報と言っても良いものだった。
だが、能動的に扱う事が出来ないそれを一体、どうやって活かせば良いのか。
そうやって集中出来ていなければ、ミスも増えるし無意味なだけだろう。
そう思った俺が和と共にリビングへと踏み入れた瞬間、彼女はそっと振り向いた。
和「簡単です。麻雀に集中出来ていて、出来ていない状態を作れば良いんですよ」
京太郎「そんなの…出来るのか?」
ある意味、矛盾にも近いその状態を維持出来るならば、そのジンクスめいた何かも武器になるかもしれない。
だが、ある種の達人ならばともかく、初心者の俺がそんな境地に達する事が出来るとは到底、思えないのだ。
一応、人並み以上にメンタルトレーニングに力を入れてきたが、だからこそ、それが容易い事ではない事が分かる。
和「…あの…き、聞きたいですか?」
瞬間、和は耐え切れないと言わんばかりのその頬を赤く染めた。
ポッと紅潮を混じらせるその表情は惚れた弱みを抜いたとしても可憐で、庇護欲が擽られる。
普段、気丈な所為か、ギャップさえも感じさせるその表情に思わず抱きしめたくなった。
だが、もう少ししたら小蒔も降りてくる状況で、そんな事をしてしまったら構築され始めた二人の関係が粉々になりかねない。
そう自分に言い聞かせながら何とかその衝動を堪えた俺はそっと口を開いた。
京太郎「まぁ…今は藁でも掴みたい気分だしな」
その言葉は決して嘘じゃなかった。
新人戦が近づけば近づくほど不安になっていく自分を鎮める為ならば、藁でもなんでも良い。
特に今回は俺にとって前回のリベンジというだけではなく、二人との特訓の成果を示す機会でもあるのだから。
そこで結果を残す為ならば、俺は藁にでも何でも、一も二もなく飛びつくだろう。
和「では…あの…し、新人戦で良い結果を残せたら…私が…ご褒美をあげますから…」
京太郎「えっ…?」
そんな俺の耳に届いた言葉に、ついついそう聞き返してしまう。
勿論、一言一句聞き逃さないように耳を傾けていたし、それを聞き逃したという訳でもない。
頭が理解を拒否するような内容でもなく、それがどういうものを意味しているのかも分かっているのだ。
しかし、だからこそ、俺はそれを信じる事が出来ず、呆然としながら、和を見つめてしまう。
京太郎「…和が…ご褒美?俺に…?」
和「ぅ…」コクン
確認するように聞き返す俺に和は真っ赤になりながら小さく頷いた。
その姿も可愛らしくて抱きしめたくなるのだが…まぁ、それはさておき。
今の和の反応を見る限り、俺の耳や頭がおかしくなったって事はないらしい。
そう理解した瞬間、顎の下辺りが熱くなり、キュっとそこが疼いた。
和「勿論…その…須賀君が好きそうな…え、エッチな奴で…えと…それなら…エッチな須賀君なら集中も…」
京太郎「和ぁ!」
和「きゃんっ♪」
そんな俺の前でポツリポツリと恥ずかしそうに補足する姿を見て、俺は我慢できなくなってしまった。
和の身体をぎゅっと抱きしめ、未だに制服に包まれたその身体の柔らかさを堪能してしまう。
それに和が悲鳴めいた声をあげるが、俺の腕は解けない。
寧ろ、そんな和を逃したくないとばかりにぎゅっと力を込めるのだ。
和「ご、ご褒美はまだ先ですよ…っ」
京太郎「…悪い」
そんな俺を咎めるように言いながら、和はそっと俺の背中を撫でてくれた。
まるで衝動に身を任せた俺を受け入れるようなその仕草に、少しだけ頭が冷静になる。
しかし、衝動の代わりに頭の中に浮かんできた和への愛しさがあまりのも強すぎて、身体が離れようとしない。
俺の胸の中にすっぽりと収まる身体を抱きしめたまま、和に謝罪の言葉を返した。
京太郎「(まぁ…それだけじゃすまない訳で)」
和「んぅ…♪」
これまで新人戦が間近という事もあって、あんまり二人に構ってやる事は出来なかったのだ。
自然、最近の俺もまた禁欲中であり…もっと直接的な事を言えば溜まっている。
そんな状態で和の魅力的な身体を抱きしめたらどうなるのかなんて分かりきっている話だろう。
実際、俺の一部分はムクムクと大きくなり、和の下腹部辺りをぐっと押し始めていた。
京太郎「最近、構ってやれなくてごめんな」
和「べ、別に…ぜ、全然、寂しくなんてなかったですから」
俺の謝罪の言葉に返す和の言葉は間違いなく強がりだろう。
勿論、和と約束した事はこれまでもちゃんと守っているとは言え、それで能力の依存性がなくなる訳ではないのだから。
元々、和はとても理性的でそう云うのをあまり言い出さない性質だし、きっと我慢していただけで寂しがらせていたのだろう。
和「さ、さっきの提案だって須賀君がいい結果を残せるようにって思っただけなんですからね」
京太郎「…うん。分かってる」
勿論、それがまったく無関係だとは俺も思わない。
きっと和は和なりに思い悩む俺を励まそうと餌を用意してくれたのだろう。
しかし、決してそれだけではないのは…俺を見上げる和の目を見れば分かった。
まるで媚びるような甘えるようなそれは俺に何かを求めているのを感じさせる。
京太郎「じゃあ、前払いで…キスだけ貰えないか?」
和「き…キス…ですか…?」
瞬間、和の目に走った嬉しそうな色を俺は見逃さなかった。
どうやら和が求めていたのを俺は見事言い当てる事が出来たらしい。
それに胸中でガッツポーズを取りながらも、俺は平静を装った。
そのままじっと真正面から和の顔を見つめる俺に和は顔を赤くしながら、小さく俯く。
和「本当に…その…私とキスしたいんですか?」
京太郎「あぁ。それがあれば俺はきっと頑張れる」
和「途中で挫けたり…しません…か?」
京太郎「和のキスがあればそんなもの絶対にあり得ないって」
そのままポツリポツリと呟く和の顔は正直、堪らなく可愛い。
時間さえあればそのまま押し倒して、事に及んでしまいたくなるくらいだ。
しかし、小蒔がもうすぐ降りてくるって状況ではそんな事は出来ない。
そもそも、こうしてキスをしようとしている時点で、かなりのリスクを背負っているのだから。
それ以上のことなど言うまでもない。
和「そこまで言うなら…し、仕方ないですね」
そう言いながら、和はゆっくりとその顔をあげる。
俯き加減になっていたその顔はさっきよりもさらに赤く染まっていた。
羞恥だけではなく興奮混じりのそれに俺の興奮も高まる。
本格的に勃起し始めたムスコがズボンの中で窮屈になるのを感じるほどのそれに俺の腕はゆっくりと和の背中を上がっていく。
和「でも…あ、あくまで仕方なく…仕方なくなんですからね…?」
京太郎「分かってる。和は優しいからな」
和「ぁ…♥」
そう言いながら俺の手が到達したのは和の顎だった。
形の良い細い曲線を描くそこをゆっくりと上へと向けさせる。
それに和は小さく声をあげながらも、その瞳を閉じていった。
まるで何もかもを俺に委ねようとするその可愛らしい仕草に俺の顔はゆっくりと近づいていき… ――
小蒔「お待たせしましたー」
和「!?」
京太郎「ぬぁ!?」
瞬間、パタンという音と共に開いたリビングの扉に俺達は弾かれたように離れた。
殆ど反射的なものだったのでお互いに変なポーズになってしまった俺たちを小蒔は不思議そうに見つめる。
その手に持つお盆に空になったグラスやお菓子を載せている辺り、もう部屋の片付けは終わったのだろう。
思った以上に早いその手際に俺たちが思わず頬を引き攣らせた瞬間、小蒔はそっと小首を傾げた。
小蒔「あれ?どうかしたんですか?」
京太郎「い、いや、何でもないぞ!?」
和「え、えぇ!まったく何もしてませんから!」
小蒔「??」
俺達は申し合わせたようにそう答えるものの、流石に小蒔を誤魔化す事は出来ないのだろう。
幾ら小蒔が鈍感とは言え、俺達の焦りっぷりや変なポーズを見て、不思議がらないがずがない。
それを怪しいと思わないのが小蒔の魅力の一つではあるが、とは言え、このままでは何時か不審がられてしまうだろう。
京太郎「あ、いや…その…ずっと座ってばっかりで身体が固まってたからストレッチしようとしていてだな…」
そう思った俺の口から出たデタラメは、それほど悪いものじゃないように思えた。
完全にパニクっていたにしては、変なポーズを取っていた事に対する説明がそれなり出来ているのだから。
勿論、普通はそんなもの通用する訳がないのだが、小蒔相手であれば大丈夫。
そんな俺の心情を裏打ちするかのように、納得したような顔を見せる小蒔に俺はそっと胸を撫で下ろし… ――
和「そ、そうです。抱き合ってキスしようとしていただなんてそ、そんなオカルトあり得ません!」
京太郎「(の、和ああああああああ!?)」
瞬間、俺以上にテンパっていたらしい和の口から飛び出た言葉に俺の表情は引きつった。
誰も聞いていないような事まで言ってしまったら、怪しんでくれと言っているのも同じだろう。
特に今回はやけに具体的な行為まで表現しているし、そっちの方が正解なのだと言わんばかりだ。
正直、そうやってテンパる和は可愛くて仕方がないが、それ以上にさっきまでの冷静な打ち筋は何処に行ったのかと思ってしまう。
小蒔「なるほど…。じゃあ、私も混ぜてもらって良いですか?実は私も結構、肩が凝っちゃって…」
けれど、小蒔は俺が思っていたよりも純粋だったらしい。
明らかに怪しい俺達の様子を怪しむことなく、納得の言葉を返した。
ニコニコと嬉しそうなそれは、俺が嘘を吐いているだなんて欠片も思っていないのだろう。
そう思うとこちらの胸が痛くなるが、かと言って、何もかも言う訳にはいかない。
そんな事をすれば、小蒔が暴走しかねないと石戸さんに何度も釘を刺されているのだから。
小蒔「あ、でも、お料理もしないといけませんし…どうしましょう?」
京太郎「さ、先に料理作ってしまおう。んで、小蒔は後で俺からマッサージするから」
小蒔「えへへ…嬉しいです!」
そんな後ろ暗さの所為だろうか。
迷う小蒔に俺はついついそう言ってしまった。
勿論、マッサージなどした事もないが、そうやって素直に喜んでくれるのを見るのは俺も嬉しい。
身体の強張りも少しずつ収まり、俺の顔にも笑みが浮かんだ。
和「むっ…」
京太郎「(ゴメン…)」
だが、それをストレートに感じていられないのは俺の真横に面白くなさそうにする和がいるからだ。
誰だってついさっきまでいい雰囲気だった相手が別の誰かに甘く接しているのを見て面白くはならないだろう。
それに胸中で謝罪を紡ぎながらも、俺はそれを声にする事も、小蒔に訂正する事も出来なかった。
自業自得とは言え、板挟みになった自分の状況に胸の痛みを感じながら、俺は逃げるようにキッチンへと向かう。
京太郎「それじゃ…とっとと準備しようぜ。あんまりのんびりしてると和の親父さんが帰ってくるかもしれないしな」
勿論、こうして和の家を特訓に使っている以上、和の両親の許可は取っている。
だが、俺を明らかに警戒している親父さんには、『麻雀部の仲間』としか伝えていないのだ。
若々しいお袋さんにはちゃんと面通しして許可も貰っているが、それでも親父さんに見つかると危ないのは変わりない。
最近は大きな仕事を幾つか抱えて忙しいというのもあって、家に帰ってくるはほぼ深夜になっているらしいが、それでも警戒するのに越した事はないだろう。
和「…そうですね。では、神代さんも…」
小蒔「はい。まずは洗い物から始めますね」
そんな俺に頷きながら、他の二人もキッチンへと入ってくる。
その手際は普段から家事をこなしているだけあって、俺よりも数段、上だ。
適当に会話して意見のすり合わせをしながら、あっという間に一品二品と作っていく。
勿論、俺もそれなりにそういうのをやるようにしているとは言え、この二人には到底、及ばない。
和「…後で埋め合わせはして貰いますから」ポソッ
京太郎「ぅ…」
そんな二人の手伝いをしている最中、俺の横を通りがかった和がポソリと囁いた。
それはきっと俺の後ろでアスパラの胡麻和えを作っている小蒔には聞こえなかったのだろう。
ふと後ろを振り返れば、機嫌よく鼻歌を歌いながら菜箸を動かしている小蒔の姿が見えた。
それに一つ安堵しながらも、俺は頬が引きつるのを感じる。
京太郎「(一時間くらいは覚悟しといた方が良いかな…)」
和は基本的に金銭的な埋め合わせなんて求めない。
その代わり、本気で拗ねた和はかなりの甘えん坊だ。
普段の冷静な姿がまるで嘘のように、俺の事を離さない。
それこそ一時間でも二時間でも俺に触れ続け、まるで子どもになったかのように甘えるのだ。
いっそギャップすら感じるその姿は普段から俺に対してデレデレな小蒔を局地的に凌駕するほどである。
京太郎「(ま…そんな姿も可愛くて良いんだけどさ)」
幼い頃から両親の仕事が忙しく、転校を続けた和は人に甘えるという事を苦手としていたのだろう。
セックスの時もまるで子どもに返ったかのように俺に対して甘えてくるのだから。
そんな和の心の支えになれているかは分からないが、少なくとも悪い気はしない。
寧ろ、男としての自尊心が満たされ、もっと頼ってほしいと思わされてしまう。
小蒔「もう…♪京太郎様…またエッチな顔してますよ」
京太郎「あ…いや…」
小蒔「ふふ…♪私は何時でも…大丈夫ですですからね…♥」
そんな俺のニヤけっぷりを誤解したのだろう。
小蒔は俺へとそっと寄り添いながら、小さく囁いてきた。
けれど、それは俺の真横に居た和にもしっかり聞こえたのだろう。
トントンと手際よく食材を切っていく手が一瞬、止まったのが俺の目には見えた。
京太郎「(…二時間はみとこうか…)」
その後の和は特に何か怒ったり拗ねたりしている様子は見せなかった。
だが、こういう時の和の方が色々と溜め込んでいるのを俺は経験的に知っているのである。
あの日、和とラブホに駆けた時も、彼女はギリギリまで平静を装っていた事を思えば、まったく安心出来ない。
いや、それどころか、にこやかな和の姿に冷や汗さえ浮かぶくらいだった。
京太郎「(自業自得だよな…)」
結果、俺は二人の美少女が用意してくれた夕食の味が殆ど分からなかった。
それこそ人生の大事なイベントを一回分丸々損しているような感覚にそっと肩を落とすが、これが自分の選んだ道である。
それに後悔したりするよりも先に、自分が次に選ぶべき最善を考えるべきだろう。
そう思考を切り替えた俺は頭の中で和の埋め合わせに使う時間をどうやって捻出するかを考えながら、原村家で食べる何度目かの夕食を完食したのだった。
………
……
…
【新人戦当日】
咲「き、ききき…京ちゃん、頑張って」
優希「だ、だだだ…大丈夫だじょ。今の京太郎なら勝てない訳じゃないし…」
京太郎「何でお前らが俺より緊張してるんだよ」
咲「だ、だって…京ちゃんの晴れ舞台なんだよ!」
優希「お、落ち着け、京太郎。ま、まずは深呼吸だ、ほら、ひっひっふー」
京太郎「まずはお前らが落ち着けっての…まったく」
京太郎「と言うか、自分たちの時よりも緊張してるってどうなんだ」
優希「別に緊張なんてしてないじぇ!」
咲「って言うか、何で京ちゃんは堂々としてるの?」
京太郎「まぁ…一応、ここまで来るのに色々と頑張ったからな」
京太郎「(まぁ…勿論、それだけじゃないけど)」チラッ
小蒔「?」
京太郎「(俺には二人も女神が着いてくれているんだからな)」
京太郎「(最後まで俺の特訓に付き合ってくれた二人の前で無様な姿は見せたくはない)」
京太郎「(正直、不安がない訳じゃないけど…例え負けるにせよ、堂々と負けたいからな)」
まこ「まぁ、所詮、清澄の男子なんてのは無名もええとこじゃし、気軽に打って来い」ポン
京太郎「うす。まぁ、一回勝てたら御の字くらいのつもりで行きますよ」
まこ「はは。そりゃあ流石に低く見積もりすぎじゃ」
まこ「今の京太郎ならそこそこええところまでいけるはずじゃ」
京太郎「励ましたいのかプレッシャー掛けたいのかどっちなんですか」
まこ「それだけ期待しとるって事で」ニコッ
まこ「わしら相手に揉まれてきた京太郎は確かに強くなっとるからの」
まこ「県大会ならともかく、同じ高1相手の新人戦でそう遅れはとらん」
まこ「少なくともわしはそう信じとる。だから…気軽に打って実力出しきって来い」
まこ「そうすれば結果は自ずと着いて来るはずじゃ」
京太郎「部長…」
まこ「それに京太郎が結果残してくれれば、来年度の予算も増えるしの」ニヤリ
京太郎「くそっ!ちょっと感動して損した!!」
小蒔「京太郎様…」
京太郎「小蒔…そんな心配そうな顔で見るなって」ポン
京太郎「小蒔が手伝ってくれた分、俺も強くなれているんだからさ」
小蒔「それは…原村さんと京太郎様の力です…」
小蒔「私は…原村さんと違ってろくにお手伝い出来ていなくて…」シュン
京太郎「そんな事ねぇよ。小蒔が居なかったら俺は和の手を煩わせっぱなしだったしな」
京太郎「それに誰よりも俺の傍で励ましてくれたのは小蒔だっただろ?」ナデ
京太郎「その御蔭で、俺はここまで頑張れたんだ。だから…そんな風にしょげてないで胸を張ってくれ」
小蒔「…ん…♪」
京太郎「俺は勝ってくるよ。小蒔の為にも…絶対に」
小蒔「…はい!私も…応援していますから…」グッ
京太郎「おう。惚れ直すくらい格好いいところを見せてやるよ」
京太郎「そう言えば…和は?」
京太郎「さっきから姿が見えないみたいだけど…もう和の試合だったっけ?」キョロキョロ
咲「えっと、そのお花摘みに…」
優希「デリカシーない男だじぇ…」
京太郎「し、仕方ないだろ。知らなかったんだから…」
京太郎「(まぁ、咲じゃないんだから、迷子とか心配する事はなかったか)」
咲「む…今何か失礼な事考えたでしょ?」
京太郎「はは。誤解だって」
京太郎「俺が考えたのはあくまでも事実に即したって…痛っ」ツネッ
咲「ふーんだ」ツーン
優希「今のは京太郎が悪いな」
まこ「折角、迷子になる恐怖と闘いながら男子ブロックまで応援しに来た咲にする仕打ちじゃないの」
京太郎「だからって抓られるほどの事だったのかアレ…」
―― 男子ブロック一回戦が始まります。GからFの組の方は会場に向かって下さい。
京太郎「そろそろ時間だな。それじゃ行ってくるわ」
咲「…頑張ってね」
優希「無様に負けたら今日のタコスは京太郎の奢りだからな!」
まこ「まぁ、焦らずにの」
小蒔「…京太郎様ならきっと大丈夫です」
京太郎「おう!」
京太郎「(…とは言ったものの…一人になるとやっぱり心細いな)」ハハッ
京太郎「(強がる相手がいなくなった所為か急激に不安になってきたぜ…)」
京太郎「(こんな事なら…小蒔に対戦部屋まで着いてきてもらった方が良かったかも…)」
京太郎「(いや…あんだけ大口叩いてそんな事言えないよなぁ…)」
京太郎「…ってアレ?」
和「…」キョロキョロ
京太郎「和、何をやってるんだ?」
和「あ…き、京太郎君…」
京太郎「道が分からなくなったのか?それなら皆はあっちに…」
和「い、いえ…その…ち、違うんです」カァ
和「あ、あの…出場前の激励に…と思いまして…ここで待っていたんです…」
和「その…お、お時間は取らせませんから…こちらに来てもらえますか?」
京太郎「いや…まだ時間に余裕もあるし構わないけど…」スタスタ
京太郎「でも…無理しなくて良いんだぞ?」
京太郎「それにもう少ししたら女子の方も始まるし、そっちの準備した方が…」
和「ら、らいじょぶです!」
京太郎「(噛んだ)」
和「大丈夫です!」カァァ
京太郎「(い、言い直した…)」
和「で、ですから、あの…もう少しこっちに…」
京太郎「いや…これでも結構、近いんだけ…んぐっ」
和「はむ…ぅ♪」チュッ
京太郎「(…っていきなりキスされてるんだけどおおおおお!?)」
京太郎「(え…ちょ…ま、周りに人はいなかったけど…でも、大胆すぎやしないか!?)」
京太郎「(普段の和だったらこんな事やらないのに…何で!?)」
和「れろぉ…♪」
京太郎「(しかも、舌入れて来るなんて聞いてないぞおい!!)」
京太郎「(くっそ…!仕返ししたい!でも、流石にこの状況じゃ出来ない!!)」
京太郎「(そんな事したら逆に興奮して、色々とそれどころじゃなくなる…!)」
京太郎「(俺も和も対戦が近いのにこんな事やってる場合じゃないんだ…!!)」
和「はぷ…♪ちゅ…っ♥」
京太郎「(あぁ…でも…幸せそうにキスしてくれるなぁ…)」
京太郎「(一生懸命背伸びして…俺に抱きつきながら…そんな顔見せるなって…)」
京太郎「(和とキスしてるってだけでも興奮するのに…そんな健気な顔見せられたらスイッチ入るだろうが…)」
和「じゅ…はふゅ…♪」
京太郎「(可愛いなぁ…ホント、可愛いなぁ和…)」
京太郎「(引き離さなきゃいけないのに…引き離せなくなるくらい…)」
京太郎「(寧ろ、このままぎゅっと抱きしめて…ホテルまで連れ去りたいくらいだ)」
京太郎「(でも…そうじゃないんだよな…)」
京太郎「(俺がやるべき事はそれじゃなくって…和を引き離す事だ)」
京太郎「(俺はともかく…和は今年も注目の選手で…こんなところでキスしてると何を言われるか分からないんだから)」
京太郎「(幸い、今は周りに人が居ないけれど…何時までもそのままかは分からない)」
京太郎「(だから…ここは心を鬼にして…和を……っ!)」グイッ
和「はぅ…ん♪」
和「ちゅ…ぅ♪ふ…あぁ…♪」ウットリ
京太郎「あの…和?」
和「ん…ふぅ…♪…ハッ」
京太郎「…いきなりどうしたんだ?」
和「あ…いや…その…」モジモジ
和「き、キスしたら…勝てるって須賀君が言ったじゃないですか…」
京太郎「…まさか、その為にこうして待っててくれたのか?」
和「し、仕方ないじゃないですか!もし、私がキスしなかった所為で負けちゃったら…嫌ですし…」カァ
和「だ、だから…私…ずっと機会を伺ってて…でも、人前でなんて出来ませんし…こうして待つしか…」オズオズ
京太郎「…あぁ、なるほど。大体、分かった」ナデ
和「あ…♪」
京太郎「(俺としては軽い冗談のつもりだったんだけど…和にとってはとても大事だったんだろう)」
京太郎「(考えても見れば…人並み以上に責任感の強い和がそれを気に病むのは当然の事だったんだ)」
京太郎「(こうして嘘を吐いてまで…待ってくれてたのは少し驚いたけど…でも…)」
京太郎「ありがとう。すげぇ嬉しいし…力が湧いてきたよ」
京太郎「だから…待っててくれ。ここまでしてくれたお礼は…結果で返すから」ギュッ
京太郎「必ず和先生に良い結果を持ち帰って…ご褒美貰うからな」ナデナデ
和「ん…はい…っ♪楽しみに…待ってます…♥」
京太郎「(さて…そろそろ会場前…携帯の電源も切っとかないとな…)」
京太郎「(って…アレ…いつの間にかメールが来てる)」
京太郎「(マナーモードにしてた所為で気づかなかったんだろうな)」
京太郎「(…後でっていうのも気になるし、今、見ておくか)」ピッ
From:上重漫
subject:先輩からのアドバイスや♥
や。そろそろそっちでも新人戦始まるかなって思ってメールしてみたんやけど、そっちはどうや?
こっちは一年の子たちはガチガチに緊張しとって、ある意味、微笑ましいわ。
うちも一年前はこんな感じやったんやなぁって思うと懐かしくもあるんやけれどね。
もし、京太郎君がうちの一年みたいにガチガチになっとるんやったら…一つアドバイスをあげるで!
麻雀なんてのは所詮、運ゲーや。
どんな熟練者でもバカツキしまくった初心者に負ける事はある。
でも、同時にそんなゲームやからこそ…面白いし、楽しい。
だから、思いっきり楽しんどいで。
学校の名前とかそういうの関係なく、打って遊んで…勝って負けておいで。
まぁ…これうちの言葉やなくて末原先輩が去年言ってたもんやねんけどね。
でも、うちは末原先輩のこの言葉で去年、緊張が抜けたのを覚えとる。
だから…うちとはまた別の意味で学校の名前って奴にプレッシャーを感じ取るかもしれへん京太郎君にも効果あるかなって。
お節介でごめんね。
じゃあ、また結果出たら教えてや。
うちは大阪から離れられへんけど…でも、こっちで京太郎君が結果残せるように祈ってるから。
追伸:一回勝つ毎にエロ写メあげるから、何かリクエスト考えといてや♥
京太郎「…ははっ、ったく…漫さんったら…」
京太郎「(…ありがとう、漫さん。俺…頑張るよ)」
モブ1「なぁ、知ってるか?」
モブ2「なんだよ?」
モブ1「まだ来てない最後の一人…清澄の男子らしいぜ」
モブ3「マジか…あの清澄の…」
モブ2「でも、ソイツ、県大会一回戦負けだろ?」
モブ1「あぁ、初心者丸出しでボッコボコにされてやがったぜ」
モブ3「…止めようぜ、そういう事言うの」
モブ1「いや、でも、笑えるだろ?女子が全国制覇してて男子だけ一回戦負けだぞ?」
モブ1「良く新人戦までやってけるよな、俺だったら恥ずかしくて心折れるわ」
モブ2「寧ろ、心折られてるんじゃないのか?」
モブ2「雑用転落になって犬のように女子に遣われてるって聞いたしな」
モブ1「あぁ、それは俺も聞いたわ。コメツキバッタみたいにへぇこらしてるってな」
京太郎「悪いけど、それ、全部ウソだぜ」スッ
モブ3「……」
モブ1「お、ようやく来たか負け犬」
モブ2「早く席につけよ、それとも逃げ帰るか?」
京太郎「…なんだ。安心したぜ」
モブ1「あ?」
京太郎「思ったより一回戦のレベルが低くてよ」
モブ2「…喧嘩売ってるのか?」
京太郎「先にトラッシュトーク仕掛けてきたのはそっちだろ?」
京太郎「初めての大会で緊張してるのかもしれないけど、もうちょっと落ち着けよ」
京太郎「じゃないと…間抜けに見えるぜ?」
モブ1「…テメェ」
京太郎「折角、目の前に麻雀卓があるんだ。グダグダ言わずに決着は麻雀でつけようじゃねぇか」
京太郎「まぁ…正直、不安をトラッシュトークで誤魔化すような連中に負けるなんて思わないけどな」
モブ3「…ほら、とにかく席につけよ」
京太郎「あぁ。待たせて悪いな」
モブ3「気にすんな、あいつらも気が荒ぶってるだけだからな」
【一回戦】
モブ1「(くそ…!舐めやがって…!目にもの見せてやる…!)」
モブ2「(絶対にコイツをたたき落としてやる…!)」
京太郎「(分かりやすいくらいに意識してくれてるな…)」
京太郎「(やっぱ言い過ぎたか…?でも…あんな風に言われるのを聞くとなぁ…)」
京太郎「(俺の事はまだ良いけど…あいつらを馬鹿にするなんてのはどうしても許せなかった…)」
京太郎「(勿論、俺だってそれが偏見や嫉妬混じりのものだってのは分かってる)」
京太郎「(でも、俺の為にわざわざ違うブロックまでやってきて応援してくれる皆の事をあんな風には言われたくない)」
京太郎「(少なくとも…そんなの聞いてヘラヘラしてられるような情けない男になりたかった訳じゃないんだ…!)」
京太郎「(だから…俺は…!ここで…勝ちたい…!)」
京太郎「(元々…そう思ってたけど…今はより一層…そう思える…!)」
京太郎「(何より…こんな奴らの所為で…和のご褒美が遠ざかってたまるか…!!!)」メラメラ
京太郎「ロン。2900」
京太郎「ツモ。3900オール」
京太郎「ロン。6400」
京太郎「ロン。7700」
京太郎「ロン。5200だ」
京太郎「…ふぅ。ありがとうございました」
モブ3「ありがとうございました」
モブ2「…ありがとうございました」
モブ1「ケッ…ありがとよ」
京太郎「ふぅ…」
京太郎「(何とか一位通過出来たな…)」
京太郎「(アレだけ大口叩いて負けなくて本当に良かった…)」
京太郎「(正直、ドッキドキだったけど…でも、まぁ…思ったより大した事なかったな)」
京太郎「(口からでまかせだったけど、もしかしたら本気であの二人、不安をトラッシュトークで誤魔化してたのかもしれない)」
京太郎「(まぁ…それはいっか。今は何より…公式戦初勝利を喜ぼう…)」グッ
モブ3「よ。お疲れ」
京太郎「あ…お疲れ様」
モブ3「いやぁ、強かったな。正直、驚いたよ」
京太郎「何度かそっちが援護してくれたからな」
モブ3「はは、まぁ、新人戦は地方予選終了まで2位抜け出来るルールだしな」
モブ3「アイツらと手を組むよりは、お前に着いた方が上がりやすいかなって思っただけだ」
京太郎「打算的だなぁ…」
モブ3「世渡り上手って言ってくれよ」
京太郎「でも、助かったのは本当だ。ありがとうな」
モブ3「気にすんなって。俺もアイツらにはムカついてたし」
モブ3「とは言え、協力しすぎるのを禁止する為か、次からは別の試合だ」
モブ3「それでも勝ち上がったらまた協力する事もあるだろ。だから…負けんなよ」
モブ3「折角、手ぇ貸した奴が負けるの見るのも寂しいしな」
京太郎「おう。そっちもな」
京太郎「(…まぁ、そんな感じで…決して一人で勝てた訳じゃないんだけどな)」
京太郎「(小蒔に惚れ直すくらい格好いい所見せるって言ってたけど…ちょっと言い過ぎだったか…)」
京太郎「(いや…まだ始まったばっかりなんだ。上に上がっていけば活躍するチャンスもある)」
京太郎「(それに…モブ3のお陰で『ゾーン』を温存出来たのはでかい)」
京太郎「(お陰で二回戦でも使えそうだし…もうちょっと上を目指せるかも…)」
京太郎「(もしかしたら決勝…なんてのはちょっと夢見すぎな話だろうけどさ)」
京太郎「(でも…決勝まで行ければ…他の連中もあんな下らない事は言われないはずだ)」
京太郎「(その為にも…油断せず、一つずつ勝っていかないとな)」
京太郎「(俺は間違いなく弱いんだから、気を抜いてる暇はないんだ…!)」
【二回戦】
モブA「モブ1と2がやられたようだな…」
モブB「ふふふ…奴はモブ四天王の中でも最弱…」
モブC「一回戦負けの清澄に負けるとはモブの面汚しよ…」
京太郎「ツモ。4000オール」
モブ「「「ぐわー」」」
【三回戦】
モブa「モブABCが(ry」
モブβ「ふふふ(ry」
モブγ「一回戦(ry」
京太郎「ツモ(ry」
モブ「「「ぬわー」」」
京太郎「(…おかしい)」
京太郎「(二回戦三回戦と戦ってきたけど…幾ら何でもおかしい)」
京太郎「(なんで俺がここまで順調に勝ち上がれてるんだ…?)」
京太郎「(正直、俺は身内の対戦じゃ、殆ど一位になれないほど弱いんだぞ?)」
京太郎「(そんな俺がどうしてここまで一位続きなんだ…?)」
京太郎「(幾ら俺と同じ高1相手だって言っても…順調過ぎるだろ…)」
京太郎「(確かに…今日の俺は和のキスやご褒美のお陰か、比較的ツイてる…ってのも、多分、あるんだろう)」
京太郎「(だけど、これまで一度も『ゾーン』を使う場面がないってのは流石に異常じゃないか?)」
京太郎「(いや…使った後はかなり疲れるんだからないにこした事はないんだけど…)」
京太郎「(もしかして…俺って結構強い…のか?)」
京太郎「(これまで打ってた相手が殆ど全国区ばかりだったからこそ誤解してただけで…そこそこやれるのか?)」
【四回戦】
京太郎「(…ここを超えれば準決勝…その先は勿論、決勝だ)」
京太郎「(後三回…後三回勝てれば、俺も全国大会にいける…)」グッ
京太郎「(しかも、今日はこれで終わりだし…ここで『ゾーン』を使いきってしまっても良いんだ)」
京太郎「(そう思うと…決勝までいける気がしてきたぞ…)」
京太郎「(勿論、相手次第だから何とも言えないけど…今まで通りなら…勝ち抜けも難しく…)」
京太郎「!?」ゾッ
「どうしたんだ?」
京太郎「あ…いや…何でもない」
京太郎「(なんだ…ここ…空気が違う…)」
京太郎「(淀んで…歪んで…息苦しいくらいだ…)」
京太郎「(何でコイツら…こんなところで平然としてられるんだ…?)」
京太郎「(もしかして…これを感じてるのは…俺だけなのか…?)」
―― 時間です。四回戦初めて下さい。
京太郎「(とりあえず…まずは様子見だ)」
京太郎「(この重苦しさの中で平静を保つ為にも…一局目は降りる…!)」
京太郎「(明らかに…今までとは格が違う相手なんだ。慎重に行き過ぎるって事は…)」
「クク…悪くない戦術だ」
京太郎「え…?」
「勝手に飲み込まれて自滅する連中よりは見込みがあるようだな」
「だけど…そこまで分かりやすいと狙い撃ちだ…」
「ロン。8000」
京太郎「…は…はい…」グニャアァ
京太郎「(ベタ降り中の俺を狙い撃ち…?)」
京太郎「(一局目で…まだ点数に差は無いってのに…なんでそんな真似を…!?)」
京太郎「(他の二人はツッパ気味だったってのに…どうして…?)」
「クク…さぁ、次だ。次にいこうぜ…」
京太郎「(そうだ…気を取り直せ…)」
京太郎「(今のは運が良かったのをトラッシュトークで誤魔化しただけだ…!)」
京太郎「(普通ならそんな真似は出来ないし…出来たとしてもわざわざやる労力なんてないんだからな)」
京太郎「(だから…気にせず、いつも通りの打ち方を心がけるんだ…!)」
京太郎「(今の俺は二盃口タンヤオまで一向聴…)」
京太郎「(これにピンフつけて上がれれば、さっきの分は帳消しになる…!)」トン
「ポン」
京太郎「(え…!?今、牌が光ったような…)」
「チー。さらにポン」
京太郎「(嘘…だろ…?何で…俺の捨てた牌を尽く持っていけるんだ…?)」
京太郎「(まるで…俺の手を読んでるような…)」
京太郎「(い、いや…偶然だ。たった3巡目でそんな事出来るはずが…ない…!)」トン
「…ロン。8000」
京太郎「…は…はい…」
京太郎「(…この速度で満貫…しかも…直撃…だなんて…)」
京太郎「(一気にトップ二人に引き離された…)」
京太郎「(でも…まだ…負けた訳じゃない…!)」
京太郎「(集中しろ…全力で卓に意識を傾けるんだ…!)」
京太郎「(『ゾーン』にさえ入れば…俺だって全国区の相手とも互角にやれる事を思い出せ)」
京太郎「(引き離されただけで…まだ終わった訳じゃない…!だから…最後まで諦めずに…)」
「…」ニヤリ
京太郎「…」トン
「御無礼。ロン、12000です」
京太郎「…はい」
京太郎「(跳満直撃…いや…意識は乱すな…)」
京太郎「(新人戦は特別ルールで持ち点50000…)」
京太郎「(その半分を直撃で削られたけど…それでもまだ三局目が終わったばかりなんだ…)」
京太郎「(トップは無理でも配牌次第じゃ二位に食い込む事だって難しくない…!)」
京太郎「(だから…『ゾーン』だけは切らずに…最後まで……)」
………
……
…
京太郎「(一つだけ…分かった事がある)」
京太郎「(コイツら三人とも…俺とは次元が違う…)」
京太郎「(俺からすれば…あり得ない打ち筋…あり得ない和了を繰り返すんだから)」
京太郎「(こうして俺が未だ生きてられるのは…三人が三人とも俺の事なんて眼中にないからだ…)」
京太郎「(無視されているって訳じゃなく…死なない程度に手加減されている)」
京太郎「(いや、それどころかわざと差し込みされてる気配さえ感じるくらいだ)」
京太郎「(恐らく…コイツら全員…化け物揃いのこの卓が楽しくて仕方がないんだろう)」
京太郎「(だからこそ、それが途中で終わったりしないように俺を適度に生かしている…)」
京太郎「(…正直…それが腹の奥が熱くなるくらいに悔しい…!)」
京太郎「(でも…俺がコイツら相手に勝てるビジョンって奴がどうしても浮かばないんだ…)」
京太郎「(せめて一矢報いてやりたい…けれど…『ゾーン』に入っても…翻弄されるだけなんだ…)」
京太郎「(今の俺じゃ…銀行どころか三人にとって邪魔ものでしかない…それに心が…もう…)」グッ
和「本当に…その…私とキスしたいんですか?」
京太郎「あぁ。それがあれば俺はきっと頑張れる」
和「途中で挫けたり…しません…か?」
京太郎「和のキスがあればそんなもの絶対にあり得ないって」
和「き、キスしたら…勝てるって須賀君が言ったじゃないですか…」
和「し、仕方ないじゃないですか!もし、私がキスしなかった所為で負けちゃったら…嫌ですし…」
京太郎「俺は勝ってくるよ。小蒔の為にも…絶対に」
小蒔「…はい!私も…応援していますから…」グッ
京太郎「おう。惚れ直すくらい格好いい俺を見せてやるよ」
麻雀なんてのは所詮、運ゲーや。
どんな熟練者でもバカツキしまくった初心者に負ける事はある。
でも、同時にゲームやからこそ…面白いし、楽しい。
だから、思いっきり楽しんどいで。
学校の名前とかそういうの関係なく、打って遊んで…勝って負けておいで。
うちとはまた別の意味で学校の名前って奴にプレッシャーを感じ取るかもしれへん京太郎君にも効果あるかなって。
お節介でごめんね。
じゃあ、また結果出たら教えてや。
うちは大阪から離れられへんけど…でも、こっちで京太郎君が結果残せるように祈ってるから。
京太郎「っ…!うおぉぉぉ」スパーン
「…どうした?」
京太郎「いや…悪いな。ちょっと気合い入れ直した」
京太郎「(…何をへこたれてるんだよ俺は…!)」
京太郎「(例え勝てないにせよ…項垂れたままなんて格好悪過ぎるだろうが…!)」
京太郎「(胸を晴れ…!顔を上げろ…!!)」
京太郎「(俺が教えてもらった麻雀は…そうやって打つもんじゃないだろう!)」
京太郎「(俺がやりたかった麻雀は…もっと楽しんで打つもんだ…!!)」
京太郎「…驚かせちまって悪いな。それじゃ…もう一勝負行こうじゃないか」
京太郎「だけど…さっきまでと同じだと思うなよ」
京太郎「何せ、俺には…勝利の女神が三人もついてくれているんだからな…!」グッ
「へぇ…面白いじゃねぇか」
「…勝つために信じられるのは己だけ。だが、今のあンたは悪くない…」
「……ふっ」
………
……
…
「ありがとうございました」
「ありがとうな」
「…ありがとう」
京太郎「…ありがとうございました」
京太郎「(結局…ボロ負けはボロ負けなままだった)」
京太郎「(幾ら気合を入れなおしたところで実力差や感性の差が埋まる訳じゃないんだから当然だ)」
京太郎「(…でも…俺の胸にさっきのような激しい悔しさはない)」
京太郎「(全力以上の全力…それでぶつかって…木っ端微塵にされたんだから)」パカッ
京太郎「(残り点数は…たった1000…完膚なきまでの敗北だな)」
京太郎「(及ぶ及ばないとか…そんな事さえ考えられないような化け物たちだった)」
京太郎「(でも…俺は…)」
京太郎「…来年の県大会予選を覚えてろよ」
京太郎「その時こそ…お前ら全員に本気を出させてやるからな」
「楽しみにしていますよ」
「クク…今度は潰れないようにしろよ」
「…どうやらあンたはまだ負け犬じゃないようだな。…楽しみにしてる」
京太郎「(…楽しかった。そう思えた)」
京太郎「(これだけ化け物揃いでも…俺のやりたい麻雀が…楽しい麻雀が出来た)」
京太郎「(結果だけ見れば…目も当てられない様な惨敗だけど…)」
京太郎「(でも…心まで負けた訳じゃない。それは…大きな手応えだと思うから…)」スッ
京太郎「(それを台無しにしないように、もっと頑張らないとな)」
京太郎「(来年も同じままじゃ、あいつらに失望されちまう)」
京太郎「(それに何より…)」スタスタ
和「須賀君…」
京太郎「あれ…?和?」
京太郎「どうしたんだ?こんなところまで来て…」
和「あの…須賀君は…凄かったです…」
京太郎「あー…見てたのか」ポリポリ
京太郎「ごめんな。折角、和が色々と教えてくれたのに…太刀打ち出来なかった…」
京太郎「格好悪いところばっかりだっただろ?」
和「そんな事ありません…!」ギュッ
和「モニター越しでも分かるくらい…あの三人は異常でした…」
和「彼らの途中の試合も見ていましたが…殆ど虐殺と言っても良いほど圧倒的です…」
和「そんな相手に最後まで諦めずに麻雀を続けられただけでも…須賀君は凄いんです…っ」ギュッ
京太郎「…ありがとうな、和」
京太郎「そう言ってくれると…すげぇ嬉しい」
京太郎「でも…俺は途中、完全に自暴自棄になってたんだ」
京太郎「正直、自分でもヘタレてたと思うし、そんな風に持ちあげなくても…」
和「わ、私にとっては…!何時だって須賀君は格好良いんです!」キッ
和「例え、一時、少し挫けそうになっていたとしても…須賀君は暖かくて努力家で…優しい素敵な人です!」
和「だから…そんな風に卑下しないで下さい!」
京太郎「…和」
和「あ…その…」カァァ
和「い、今のは言葉の綾であって…べ、別に何時も須賀君の事を見てるとかそう言うんじゃないですから!」
和「全部、嘘…じゃないですけど…でも、脚色とか偏見とか一杯入ってるんですからね!」
和「これはあくまで励まそうとして…私が考えたもので決して事実に即しているとは言えないもので…っ」マッカ
京太郎「うん。分かってる。和が俺の事とても買ってくれてるってのは伝わってきたからな」クスッ
和「う……で、ですから…それは…」
京太郎「ん?」
和「も、もう良いです…っ」マッカッカ
京太郎「まぁ…それは脇に置いても…何でいきなりここに?和は俺より出番が後だったからまだ四回戦も終わってないだろ?」
和「そ、それは…その…た、たまたま!たまたま…休憩時間に閲覧室に言ってみたんですが…」
和「ふと、画面を見ると…須賀君が居てですね…」
和「特に理由はなく…なんとなく須賀君を見ていたら、こちらの方が辛くなるような闘いがずっと続いていたので…」
和「もし…須賀君が麻雀嫌いになってしまったらどうしようと思うと…居ても立っても居られなく…」
京太郎「だから…わざわざ入り口で待っててくれてたのか?」
和「ま、まぁ…そう言えなくもないような気がしなくもない感じです…」カァァ
京太郎「はは…和は可愛いな」ナデナデ
和「ん…ぅ…♪」
和「って…ち、違いますよ!」
京太郎「あ、流石に頭を撫でるのは嫌だったか?」
和「あ、いえ、それはとっても気持ち良いんでもっとやって欲し…あ」カァ
和「もうっ!す、須賀君分かってて聞いてるでしょう!」スネー
京太郎「何のことかさっぱり分からないな」キリッ
和「それより…大丈夫なんですか?」
京太郎「…あぁ。大丈夫だよ。俺は麻雀の事嫌いにも怖くもなっちゃいない」
京太郎「確かに信じられないほどボコられちゃったけどさ。でも、圧倒的過ぎて全然、嫌な感じじゃなかった」
京太郎「俺の今の実力以上を出しきって…それでも負けた所為か、寧ろ、すっきりして楽しかったからな」
和「…やっぱり須賀君は凄いです」
和「私があんな卓で打ったら…怖くて牌に触れなくなるかもしれません…」
京太郎「凄くなんかないって」
京太郎「実際、見てたんなら分かるだろうけど…俺は途中、完全にメゲてたしな」
京太郎「それでも何とか堪えられたのは…和のお陰だよ」
和「私の…?」
京太郎「あぁ。和がキスしてくれたお陰で…最後まで勝負し続ける事が出来た」
京太郎「だから…俺が凄かったんだとしたら、それは和のお陰なんだ」
京太郎「ありがとうな」ナデ
和「ぁ…♪」
小蒔「京太郎様~!」
京太郎「はは…団体さんが来ちまったな」
和「あの…須賀君…」
京太郎「ん?」
和「あの…明後日…うちに寄れませんか?」
京太郎「まぁ…部活も休みにするって話だし、バイトもないけど…」
和「ぜ、絶対に来て下さい」
和「あ、神代さんには悟られないよう…一人で」カァ
京太郎「それって…もしかして…」
和「わ、分かってるなら言わなくて良いんですっ」カァァ
和「じゃ、じゃあ、私…もうすぐ四回戦が始まるので…」
京太郎「あ、そっか。悪いな、引き止めて」
和「いえ…こっちに来たのは私の我儘でしたし…それでは…」タッタッタッタ
咲「京ちゃん、大丈夫!?」
京太郎「はは、何、心配してんだよ」
まこ「…なんじゃ。思ったより凹んでおらんの」
京太郎「そりゃそうですよ。そもそも四回戦まで行けただけでも快挙なんですし」
小蒔「あの…京太郎様…?」
京太郎「…心配か?」
小蒔「それは…その…はい…」シュン
京太郎「いや、何も悪いなんて事はないからそうやって落ち込まなくても良いって」
京太郎「それより心配してくれてありがとうな。でも、俺は大丈夫だから」
京太郎「それにあんな風にボコられるのは別に今回が初めてじゃないし」ジィ
京太郎「うちの麻雀部には初心者相手に容赦無い連中が沢山いるからな」ジトー
咲「…な、何の事かな?」メソラシ
まこ「て、手加減しとる時はしとったじゃろ」アセアセ
優希「き、京太郎が弱いのがいけないんだじぇ」オロオロ
小蒔「ふふ…♪」
京太郎「あぁ、ようやく笑ってくれたな」
京太郎「落ち込んでるよりやっぱり小蒔はそういう顔の方が良いって」
京太郎「それでも俺のことが心配なんだったら…褒めて欲しいかな」
京太郎「四回戦までいけて凄いって言ってくれた方が俺も嬉しい」
小蒔「…はいっ。京太郎様は…最高に格好良かったです…っ♥」
京太郎「おう。ありがとうな」ニコッ
京太郎「そういやそっちの方はどうだ?」
咲「私はその…一回戦負けで…」
京太郎「相変わらず咲は個人戦弱いなぁ…」
咲「個人戦だと何か自分の中で勝たなきゃいけないって気持ちがどうしても弱くなっちゃうんだよね…」
京太郎「プラマイ0は本当、根が深いな…で、優希は?」
優希「私とのどちゃんは勝ち抜けてて、もうすぐ四回戦だじぇ」
京太郎「持ち点50000スタートだから持ち味の速攻活かせないか心配だったけど、その辺は大丈夫だったか」
優希「まぁ、私も昔のままじゃないって事だじぇ」ドヤァ
京太郎「ドヤ顔すんのは良いけど…お前、時間危なくねぇのか?」
京太郎「ここ男子のフロアだから、女子の放送まで入らないぞ」
優希「え…?」チラッ
優希「あ…」サァァ
京太郎「馬鹿!こんなところに来てる場合じゃないだろ!」
優希「だ、だって、京太郎励ましたかったし…」
京太郎「良いから走れ!」
優希「う…うぅ…あんま神代さんといちゃつくなよ京太郎!!」タッ
小蒔「…ふふ…騒がしいですね」
まこ「本当じゃな」
咲「まぁ…いつも通りの優希ちゃんなんだけどね」クスッ
京太郎「清澄らしさって奴ですかね、これも」
京太郎「それより…打ち上げとかどうします?」
まこ「そうじゃな…和たちの結果にもよるけど…明日終わった後、適当なファミレスにでも寄るか」
まこ「それとも疲れとるじゃろうし、明後日の方がええか?」
京太郎「あー…いや、明日の方が個人的には都合が良い感じです」
まこ「さよか。まぁ、どうせ明日も皆で観戦する事になるじゃろうし、その方がええじゃろ」
まこ「折角の部活休みなのに全員で集まるのもアレじゃしな」
まこ「まぁ、京太郎は綺麗どころが一杯で集まる方が嬉しいかもしれんけどな」ニヤッ
京太郎「綺麗…」ジィ
まこ「…」
京太郎「どころ…?」チラッ
咲「…」
まこ「よし。その喧嘩買うたぞ」グッ
咲「ふふ…京ちゃん?」グッ
京太郎「すみません冗談のつもりだったんです俺が悪かったですから女の子がやっちゃいけない拳の作り方するのは止めて下さい」フルフル
京太郎「そ、それよりもほら!閲覧室で和と優希の応援しましょうよ!」
まこ「ぬぐぐ…まぁ…確かにそろそろ始まる時刻じゃしな」
咲「むぅ…でも…これで追求の手を緩めるつもりはないんだからね」
まこ「とりあえず…打ち上げでミックスドリンクバーは確定な」
京太郎「お、お手柔らかにお願いしますね」
咲「私、熱々の鉄板に挑戦する京ちゃんがみたいなぁ」ニコニコ
京太郎「俺が猫舌だと知っていてそれをさせるって言うのか、咲…!」
咲「…女の子を傷つけた報いですー」プクー
京太郎「ぬぐぐ…くそぅ…」
小蒔「えとえと…じゃあ、私は久しぶりにあーんさせてくれる京太郎様が見たいです!」
咲「だ、ダメだよ!神代さんは例外!」
小蒔「そんなのズルいです!私だって京太郎様にお願いしたい事一杯あるんですから!」
京太郎「…何か趣旨が変わってません?」
まこ「まぁ、それだけ色々と我慢させとったって事じゃろ」クスッ
まこ「もうちょっと婚約者を構ってあげる事じゃな、色男」
京太郎「頑張ります…」
京太郎「(いつも通りに振舞おうとしてやりすぎたか…)」
京太郎「(まぁ…でも、お陰で暗い雰囲気は払拭されて…俺達らしい俺達に戻れた)」
京太郎「(少しふざけ過ぎたのは確かだけど…今はそれを喜びたいな)」
京太郎「(にしても…明後日…和の家…か)」
京太郎「(ご褒美って…一体、何をしてくれるんだろうか)」
京太郎「(和はエロい事込み…みたいな事言ってたし…正直…かなり期待してる)」
京太郎「(最近、禁欲続きだったのもあって…こうして皆と馬鹿な会話をしながらもムラムラが収まらない)」
京太郎「(流石に勃起するほどじゃないけど、期待だけでかなり興奮してるのは事実なんだろう)」
京太郎「(そして…それは俺だけじゃなく…和も同じだ)」
京太郎「(さっき去っていく時の和の顔は…何時、スイッチが入ってもおかしくないくらい興奮してた)」
京太郎「(自分から言い出したって事を加味しても…キスをしてきた時に劣らないくらいだったんだ)」
京太郎「(色々あってここ最近、構ってやれなかったから、やっぱり寂しがっているんだろうな…)」
京太郎「(秋季大会終わるまで落ち着く訳じゃないけど…それでも余暇が出来た訳だし…)」
京太郎「(明後日は久しぶりに思いっきり可愛がってやらないとな…)」
………
……
…
~京太郎~
その日の俺は傍から見ていても落ち着いていなかったのだと思う。
何せ、小蒔に起こされた時からずっと和のご褒美が気になりっぱなしだったのだから。
流石に勃起する事じゃなくても、何度、自分の股間を弄りたくなったか分からない。
だが、それを理性でねじ伏せながら、俺はその月曜日というただでさえ憂鬱な一日を過ごした。
京太郎「(でも…それもここまでだ)」
そう思う俺が佇むのは和の家の前である。
ここ最近、急激に見慣れたその中には『ご褒美』を用意してくれている和がいるはずだ。
そう思っただけでムスコの先端がひくつき、疼きのような感覚が腰へと突き刺さる。
それを振り払うようにして俺はそっと腕を伸ばし、玄関前のインターフォンを鳴らした。
―― ピンポーン
確かに響いたその音に家の中が微かに慌ただしくなったのが聞こえた。
一体、和が何をしているのかは分からないが、どうやら先に帰っているのは確かなようである。
それに安堵する一方で、その慌ただしさが何なのか首を傾げる俺は…数秒後、ある一つの可能性に気づいた。
京太郎「(もしかして…早く来すぎたのか…?)」
和にも準備があるからと思い、俺は一応、小蒔を送り届けてからこっちに来た。
その際にバイトがあると小蒔に嘘を吐いたのは良心が傷んだが…まぁ、それはさておき。
俺としてはそれなりに時間を潰して和の家へとやって来たつもりなのだ。
だが、それはあくまで俺の感覚でモノを言っているに過ぎない。
実際、期待の所為か、俺が何時もよりも早く足を動かしていたのは確かだ。
それがどれくらいの時間短縮になったか分からないものの、和が想定していたよりも早く俺は着いた可能性は十二分にありえるだろう。
京太郎「(ま…とりあえず待っておくか)」
和「須賀君…ですか?」
そう思って、扉の前に立つ俺の耳に何処か機械的な和の声が届く。
思わずそちらに目を向ければ、インターフォンの前にあるカメラが動いていた。
何をしていたか分からないが、とりあえず玄関のカメラを操作出来る程度には手が空いたらしい。
それに一つ笑みを浮かべながら、俺はそっと口を開いた。
京太郎「ちわっす。宅配便です。須賀京太郎一人お届けにあがりました」
そう冗談めかして言うのは、その声がとても緊張していたからだ。
機械的な中でもはっきりと伝わってくるその強張りがどうしてなのかは俺には分からない。
だけど…それが『ご褒美』に関係している気がしてならない俺はどうしても見過ごせず、そうやって下らない冗談を飛ばした。
和「あの…周りに誰もいません…か?」
京太郎「ん?あぁ…今のところはな」
けれど、そんな冗談が実を結ぶ事はなかったらしい。
和の声は相変わらず緊張が強く、おずおずと俺へと尋ねてきていた。
それに俺は周囲を見渡すが、周りには人通りらしいものはない。
夕方とは言え、もう日が落ちかけている時間ともなれば、人通りもぐっと減る。
特にこの辺りは所謂、『高級住宅街』なのもあって、この時間に出歩いている人なんて殆どいなかった。
和「では…あの…鍵…開けますから…」
京太郎「おう。待ってる」
そんな人通りの少なさはここに住んでいる和自身が良く理解しているはずだ。
だが、和はわざわざ俺に聞いてくる位に、他人の事を警戒している。
それが一体、どうしてなのかは分からないが、きっとそれだけ凄いものを用意してくれているのだろう。
そう思うと否応なく俺の中で期待が高まり、ワクワクとした感情が胸の奥から湧き上がり続けた。
―― ガチャ
そんな俺の前で鍵が開く音がする。
しかし、数秒ほどそのまま待っても、和の家の玄関が開く様子はなかった。
それに首を傾げてさらに待っても、扉は微動だにしない。
その奥に和がいるらしき気配は感じるが、それだけだ。
京太郎「(開けて良いって事なのかな…?)」
どうやら理由は分からないが、和から扉を開けるつもりはないらしい。
ならば、こちらから開けるしかないだろう。
そう判断した俺はそっとドアノブに手を伸ばし、そのままゆっくりと引いていく。
カチャリという音と共に抵抗なく開かれていく扉。
その向こうに居たのは、俺の予想通り和ではあったが…その格好は予想の遥か上を吹っ飛んでいた。
和「お、おかえりなさいませ…だ、『旦那様』…」
そう何時もとは違う呼び方をしながら、顔を赤く染めて俺に恭しく頭を下げる和。
その身体に纏っているのは純白のエプロンと黒い布地がコントラストを描き出す可愛らしい衣服だ。
エプロンドレスをさらにフェティッシュに、そして可愛らしく変形させたその服はいっそエロいと言っても良いくらいだろう。
純白のリボンタイの下は谷間まで露出しているし、唯一、胸元を隠している白い布地も数個のボタンで止められているだけだ。
和の人並み以上に育ったおもちの所為で白い布地は今にもはちきれそうになっている。
しかも、そこには純白のフリルがあしらわれていて、ブラか何かに見えてドキドキさせられるのだ。
その上、エプロンの下にあるフレアスカートはとても短く、ちょっとした拍子にめくれ上がって下着まで見えてしまいそうである。
そんなスカートから純白のガーターベルトを身につけた太ももが見え隠れする様はフェティッシュを通り越してエロい。
それこそ見ているだけで襲いかかりたくなるくらいにエロくて興奮する衣装なのだ。
和「は、恥ずかしいから…早く閉めて下さい」
京太郎「あ…わ、悪い」
しかし、あまりにも興奮しすぎて、俺は和に見惚れてしまっていたのだろう。
瞬間、告げられる和の言葉に、俺は原村家へと踏み込みながら扉を閉めた。
それを確認した和がほっと安堵した表情を見せるのはやっぱり恥ずかしいからなのだろう。
ある意味では普段の和はコレ以上に露出度の高い服を着ている事もあるが、それはあくまでファッションとして認められる範疇だ。
だが、こうして俺の前に立つ和がしているのはファッションというよりは…コスプレに近い。
京太郎「えっと…それ…メイド服…だよな?」
和「え、えぇ…」
和が今、身に着けているそれは所謂、メイド服って奴だ。
今やテレビや雑誌を通して広がり、かなりの認知度を得ているそれを俺が見間違うはずがない。
何せ、俺の自家発電用の本にもそう言ったコスプレ系のものが少なからず混じっているのだから。
だが、それでもそうやって確かめるように言ったのは、目の前の光景が信じられなかったからだ。
京太郎「(和がメイド…だって…?)」
それは今まで俺が何度も自家発電に利用してきた妄想である。
普段、クールで気丈な和を侍らせ、夜は思いっきり愛して穢す自分勝手な妄想だ。
だが、それが今、俺の目の前で現実になろうとしている。
能力を自覚し始めてからこの方、信じられないことばかり起こって、こういった事に慣れてきたつもりだが…それでも目の前のそれは中々に信じがたい。
割りとノリノリな漫さんや性的な向上心溢れる小蒔ならともかく、お硬い和がそんな事に協力してくれるだなんて想像もしていなかったのだから。
和「…自作であんまり出来は良くないですけど…」
京太郎「え…これ和が自分で作ったのか!?」
勿論、専用の布や機械なんて使っていないのだから、既成品よりは劣っているのは確かだろう。
だが、こうして見ている分には、正直、既成品と見分けがつかない。
触ればまた違うのかもしれないが、少なくとも実際にそう言ったメイド服を目にした訳じゃない俺にとってそれは見事としか言い様がないものだった。
京太郎「普通に通販とかで売ってる奴だと思ってた…」
和「私も最初はそうしようと思ったんですけど…サイズがなくって…」
京太郎「あぁ…」
恥ずかしそうに俯く和が何を言いたいのかなんとなく分かった。
インターハイで会った宮守の姉帯選手ならばともかく、女性として平均的な和のサイズがないなんて事はない。
ただ、和は一部分だけ平均という領域を遥かに凌駕しているのだ。
今も尚、俺の目の前でメイド服を押し上げているその柔らかな膨らみは一般向けに作られている服には到底、収まらないのだろう。
和「それに私が好きなタイプの服ってあんまりないので、普段から自作して布も余ってましたし…」
京太郎「え…?今までのも自作だったのか…?」
驚きと共にそう尋ねる俺に和はコクンと小さく頷いた。
あの一見清楚っぽいのにやけに露出度の高い服は…どうやら自作だったらしい。
勿論、全部が全部ではないだろうが、俺が見てきた中には自作のものもあったのだろう。
それに感心とも驚きとも言い切れない感情を抱いた瞬間、和は俯き加減になりながら、ゆっくりと口を開いた。
和「変…ですか…?」
京太郎「いや…寧ろ、女子力高くて凄いって思ってた」
勿論、これまでも和が完璧で非の打ち所のない子だというのは知っていたつもりだ。
掃除洗濯炊事と全てを日常的にこなし、勉強も出来て、麻雀だって強いのだから。
そんな完璧超人と言っても過言ではない和の新しい一面には、もう凄いとしか言い様がない。
何時、嫁に行っても立派にやっていけるであろうその完璧さを料理以外はからっきしな咲にも見習って欲しいくらいだ。
和「そ、そう…ですか…」カァァ
瞬間、和はそっとその顔を赤く染める。
さっきまでの羞恥のものとはまた違ったそれはきっと歓喜を強くするものなのだろう。
だが、和はその視線を彷徨わせ、時折、チラリと俺を見てくる。
スカート部分をきゅっと握りながらのそれはまるで俺に何かを期待しているようだ。
京太郎「(そういや…漫さんにも言われたっけ)」
何処か小動物めいた和の姿に、俺の脳裏に漫さんの言葉が浮かんできた。
状況こそ少し違うが、俺の為にめいいっぱいお洒落してくれた漫さんの言葉は和にも通用するだろう。
しかし、そうと分かっていても、俺の口は中々、和が求めている言葉を紡がない。
チラチラとこちらを気にしてくる和の姿はとても可愛らしく、ついつい意地悪したくなってしまっていたのだ。
京太郎「どうしたんだ?さっきから俺のことをチラチラと見て」
和「そ、それ…は…あの…」
そうやって問う俺の前で和がしどろもどろになっていく。
まるで助けを求めるように首を左右に揺らすその姿は普段の冷静な和からは想像も出来ないくらいだ。
そんな感想を言って欲しいなら言って欲しいと言えば良いのに、素直になりきれない和の姿は微笑ましくて仕方がない。
京太郎「…可愛いよ。すげぇ似合ってる」
和「あ…♥」フニャァ
結局、俺はその微笑ましさに負けて、そう言ってしまった。
そんな堪え性のない自分に一つ苦笑めいたものを向けるが、まぁ、悪い気分じゃない。
そう思うのは俺の目の前で和の顔が明るくなり、そしてにやけていく様を見れたからだろう。
俺でも滅多に見れないそれにが見れただけでも、こうして負けた甲斐はあったと心から思える。
和「むぅ…」スネー
だが、そんな俺が思わず微笑みを浮かべてしまった事で、和も自分がからかわれていた事に気づいたのだろう。
その頬を小さく膨らませながら、拗ねている事をアピールしていた。
だが、そんな様も可愛らしいと思うのは、頬がやっぱりにやけ気味だからか、或いは惚れた弱みだからか。
そのどちらでもありそうだと思いながら、俺は誤魔化すように口を開く。
京太郎「それで…大体、分かってるんだけど…『ご褒美』は何なんだ?」
勿論、ここまで来て和が俺に何をしてくれようといたのか分からないほど俺は鈍感じゃない。
折角、自分でメイド服を作ってまで、俺に『ご奉仕』してくれようとしているのだろう。
だが、それを自分から口にするのはあんまりにも勿体無い。
今のシチュエーションというものを和がとても恥ずかしがっているのだから、まずは和から反応を引き出すべきだろう。
和「そ、その…須賀君は…新人戦でも四回戦まで頑張りましたけど…もうちょっと先には…秋季大会もあります…」
京太郎「そうだな。大変だ」
そんな俺の企みなど和にはバレバレなのだろう。
それでも和は顔を羞恥で染めながら、おずおずとそう言葉を紡ぐ。
まるで自分から俺の罠へと飛び込もうとするその様は従順を通り越して、可愛らしい。
フェティッシュ全開のミニメイド服が誘うようにヒラヒラと揺れるのも相まって、今すぐベッドへと連れ込みたいくらいだ。
和「で、ですから…その間にまずは…須賀君をリフレッシュさせてあげようと思いまして」
京太郎「へぇ…それは嬉しいな。で、具体的には何をしてくれるんだ?」
リフレッシュと一口に言っても、その範囲はあまりにも広すぎる。
例えば、マッサージだってそれに入るだろうし、和が最近やってくれている食事の準備もそうだろう。
もっと低ければ、ただの話の聞き役でさえ、『リフレッシュ』に入ってしまうのだ。
勿論、和がどういったものを想定しているかなんて分かっているが、やっぱり言葉としてはっきりと引き出しておきたい。
そう思って尋ねる俺の前で和はブルリと肩を震わせ、熱いため息を漏らした。
和「な…何でも…です…♪和は今から…旦那様の従順なメイド…ですから…♥」
それだけで和はもう完全にメスの表情になってしまっていた。
欲情に頬を染め、目元を潤ませるその顔に俺はついついドキリとしてしまう。
もう何度も和のそんな表情を見てきたとは言え、それはあまりにも魅力的なのだ。
思わず自分の中でもスイッチがカチリと入り、頭の中が興奮で満たされるのを感じてしまうくらいに。
京太郎「和…」
和「あふ…♪」
その興奮に突き動かされた俺は和をぎゅっと抱き寄せる。
玄関と廊下という高低差の所為か、俺の顔の前に丁度、和の顔がやってきた。
今にもキス出来てしまいそうなその距離に、和は幸せそうに目を細める。
そんな和の唇を思いっきり貪ってやりたくなるが、それでも幾つか確認しておかなければいけない事があった。
京太郎「ご両親は?」
和「今日は…帰って来ないそうです…♪だから…今日はずっと…和は『和』で居られますから…♥」
甘えるようにそう言いながら、和の腕も俺の首の後ろへと回った。
まるで俺を誘うようなそれに思わず笑みが溢れる。
その表情を見た時から分かっていた事とは言え、どうやら和はかなり発情しているらしい。
きっと今も欲求不満を解消するのに最高と言っても良い状況にドキドキしているんだろう。
京太郎「じゃあ、今日は一杯、和の事を愛してやれるな」
和「ふあ…♥嬉しい…嬉しい…です…♥」
そんな和の耳元でそっと囁けば、和の全身がブルリと震える。
ここ最近、急速に敏感になっている和はきっとそれだけで感じているのだろう。
下手をすれば髪を撫でている時にも快感を得ているのではないかと思うくらいだ。
そして、俺はそんな敏感な和の姿が、とても愛しく、そして滅茶苦茶にしてやりたいと思ってしまう。
京太郎「…だから、まずは紅茶でも淹れてくれないか?」
和「…ふぇ?」
だからこそ、紡いだ俺の言葉に和は驚きながらそう聞き返してくる。
欲情で蕩けたその顔を、驚きで固める様は微笑ましく、同時に俺の企みが成功した事が伝わった。
それに自分の胸の中で歪んだ支配感が満足していくのを感じながら、俺は言い聞かせるように口を開く。
京太郎「メイドと言えば、紅茶だろ」
和「そうなん…ですか?」
勿論、それは口から出任せだ。
そこまで熱心なメイドフリークという訳でもないので何とも言えないが、俺の知る限り、そこまで密接な結び付きはないのだから。
それよりも俺の中では性的奉仕なイメージの方が強い…というのは、まぁ、さておいて。
ともあれ、こうしてメイド服を作った和にだって、恐らくメイドに関する深い知識がある訳じゃないだろう。
どうしてメイド服を作ろうと思ったのかは分からないが、そう俺に尋ねる表情は違和感を感じているようには見えない。
俺がちょっと言いくるめれば、根が素直な和が従順に従ってくれる事は目に見えていた。
京太郎「あぁ。だから、まずは俺の大好きな和に…暖かい紅茶を淹れて欲しいんだ」
和「んぅ…♪」
瞬間、和の腕はぎゅっと俺にしがみつき、制服を握りしめた。
まるで自分の身体の内では収まらない歓喜を俺に伝えようとするようなその仕草に俺の腕も動き出す。
抱き寄せた和の腰を優しく撫でる俺の腕に彼女はさらに身を寄せた。
自然、密着するほど近づいた俺達の間で和の胸が歪み、柔らかな感触を伝える。
厚手の冬服越しでもはっきりと分かるそれは、恐らく和がノーブラだからなのだろう。
和「それが旦那様のご命令なら…和は頑張ります…♥」
京太郎「あぁ。期待してる」
そう思っただけで再び自分の中で欲望が燃え上がりそうになるのを俺は必死になって抑えこむ。
ここで俺が暴走してしまったら、こうやって和に格好つけている事も全部、無駄になるのだから。
勿論、そうやって襲いかかるのも悪くないのは確かだが、折角、和がこうして『ご褒美』をくれているのだ。
理性を投げ捨てるのは、まずはそれらをたっぷりと楽しんでからにしても悪くはないだろう。
そう思いながら、俺は和に誘われるようにしてリビングへと上がり、彼女の紅茶に舌鼓を打つのだった。
~和~
―― 和の旦那様はとても意地悪です。
これまで旦那様に和が意地悪された回数なんて、両手の指では足りません。
それこそほんの少しの隙でも見せてしまえば、旦那様は辱めようとしてくるのですから。
勿論、それが旦那様なりの愛情表現なのだと理解しているが故に…そうやって意地悪されるのは嫌ではありません。
それに…和は意外とその…そうやって愛されるのが好きで、口では嫌だと言いながらも…胸をときめかせてしまうのです。
和「(でも…今のそれは正直、辛くて…)」
今、旦那様と和はリビングのソファーに座ってテレビを見ていました。
和の肩に親しげに手を伸ばし、ぐっと抱き寄せる旦那様の逞しさにさっきからドキドキが止まりません。
いえ…欲情混じりのその興奮はかなりのもので、未だ触られていないはずの乳首も硬くなっていました。
和「(そう…和は…まだ何もされていないのです)」
旦那様を迎え入れてから、既に一時間ちょっと。
その間、旦那様は和に触れはするものの、エッチな事は何一つしてくれませんでした。
時折、和に熱い視線を向けるものの、すぐにそれを繕った平静の向こう側へと隠してしまうのです。
その度に肩透かし感を味わった和は…既に身体が熱く滾り…旦那様が欲しくて堪らなくなっていました。
京太郎「…たまにはドラマの再放送も良いな」
和「そ、そう…です…ね…」
そう言う旦那様の視線はテレビに向けられつつも集中していません。
その目はチラチラと和の太ももや胸元へと向けられ、とても意識してくださっているのが分かります。
きっと旦那様もエッチな事がしたくて仕方がないのでしょう。
だけど…旦那様はそんな自分を抑えこみ、殆ど見てもいないドラマの当たり障りの無い感想を口にするのでした。
和「(勿論…旦那様が何がしたい…いえ…何をさせたいのかなんて…分かってます…)」
和と旦那様の気持ちは一つ。
けれど、それでも旦那様が和に応えてくれないのは…辱める為でしょう。
もっと具体的に言うならば…旦那様は和にオネダリをさせたいのです。
勿論、和もそれに応えたいし、その為の言葉も脳裏に浮かんできていました。
和「(でも…今の和はメイドで…)」
それをそのまま言葉に出来ないのは、メイドという足かせの所為です。
調べた限り、メイドというのはあくまでも従者であり、主導権は旦那様へと渡さねばなりません。
少なくとも参考文献として読んだ本では、そう言ったものが大半でした。
だからこそ、旦那様に構って貰えない寂しさを紛らわせる為の自慰も捗ったのですが…ま、まぁ、それはさておいて。
そんなメイドならば、旦那様に喜んでもらえると思った和にとって、自分からオネダリをするというのは前提を覆すものだったのです。
和「(色々…自分なりに誘惑してみたのに…)」
紅茶を淹れ終わった頃には流石の和も旦那様の意図に気づいていました。
それから和なりに身体を預けてみたり、旦那様の肌を撫でてみたりとアピールして来ましたが、一向に旦那様からの許しはありません。
まったく何でもないような顔をしながら、紅茶を褒め、テレビ鑑賞へと誘ってくださったのです。
勿論、そういった旦那様との何でもない触れ合いにも飢えている和にとって、それは嬉しさで胸が一杯になるものでした。
しかし、かと言ってそれで欲求不満や今まで膨れに膨れ上がった期待が解消出来るかと言えば決してそうではないのです。
和「旦那様…ぁ♥」
京太郎「ん?どうした?」
その欲求不満に突き動かされるように、和はついついそう旦那様を呼んでしまいます。
甘えるようなその言葉に、旦那様は和の我慢が限界に近い事を悟ったのでしょう。
白々しく答えるその顔にはニヤニヤという意地悪いものが浮かんでいました。
何処か粘っこく思えるそれは普通であれば不快にしか思えないものでしょう。
しかし、こうして旦那様に調教をされ続けている和にとって、それは興奮を擽られるものでした。
和「もう…もう和は我慢出来ません……♪」
京太郎「我慢って何の事だ?」
そう尋ねるように言いながら、和の太ももはモジモジと動いてしまいます。
瞬間、クチュリとスカートの中で粘液が擦れる独特の水音が響きました。
旦那様にすぐさま襲いかかってもらえると思っていたので、下着なんて身につけていません。
自然、アソコからダダ漏れになった愛液が太ももへと絡みつき、それが淫らな水音を鳴らしているのでしょう。
そう思うと興奮がさらに昂ぶり、お腹の奥がキュンと締め付けられるのを感じました。
和「こんな風に焦らされ続けたら…和は…もぉ…♥」
瞬間、和は旦那様へと向き直り…ギュッと旦那様の制服を掴みました。
それに頭の何処かで皺になってしまうという訴えが浮かびますが、和の手が旦那様から離れる事はありません。
まるで縋るようにその胸の部分を握りしめ、身体をゆっくりと近づけていくのです。
身を寄せるのではなく、最早、襲いかかろうとしているようなそれに、しかし、旦那様は余裕を崩しません。
制服のズボンの中でオチンポが張り切れそうなほど大きくなっているので興奮していない訳ではないのでしょう。
ですが、それでも平静の仮面を崩しきらず、密着した身体を優しく抱きとめてくれました。
京太郎「何を焦らされてるって言うんだ?分かりやすく言ってくれよ」
和「や…ぁ…♪そ、それは…ぁ…♥」
そのまま背中へと回る旦那様の腕に身体がさらに欲情を強めました。
自然、膨れ上がる落ち着かなさに和の身体がモジモジします。
自分の中で収まり切らない欲情を発散しようとするそれは、しかし、和を抱きとめる旦那様の逞しさをより強く感じさせるものでした。
結果、和は欲情を発散するどころか余計に興奮し、旦那様の腕の中でブルリと身を震わせてしまうのです。
和「旦那様の意地悪ぅっ♪こんなの…こんなの嫌いになっちゃいますよぉっ♥」
京太郎「…それは嫌だなぁ…」
まるで全身の毛が逆立つような大きな震え。
それと共に放たれたメイドらしからぬ和の言葉に、旦那様はポツリと返しながら、頬をそっと撫でてくれます。
優しげなそれに導かれるように旦那様の顔を仰ぎ見れば、そこには強い興奮と冷たい視線がありました。
平静の仮面を脱ぎ捨て、その身に押さえ込んだ欲情を示しながらも、瞳だけは冷たいその表情。
それに背筋がゾクゾクと気持ち良さを走らせた瞬間、旦那様はゆっくりとその唇を動かしました。
京太郎「そんなに俺の事が欲しいのか?」
和「はい…っ♥はいっっ♪♪欲しいですっ♥旦那様の事が欲しくて欲しくて堪らなかったんですっ♪♪」
ようやく齎された旦那様の言葉。
それに便乗する形で大きく頷く和にはもう躊躇なんてありませんでした。
それは和のイメージしていた『メイド』とは違いますが、けれど、旦那様の言葉に嘘なんて吐けません。
そのロジックで結局メイドをやり切る事も出来なかった自分への失望感を誤魔化しながら、和はそっと息を吐きました。
京太郎「メイドなのに主人より先に我慢出来なくなるだなんて…和は本当にエッチが好きなんだな」
和「う…ぅぅ…♪い、意地悪しないで下さいぃ…♥」
勿論、そうやって言われるほどの事をやっているという自覚は和にもありました。
幾ら旦那様の方から尋ねられたとは言え、そんな風にオネダリするなんて淫乱もいい所です。
その程度で旦那様が軽蔑するとは思っていないですが、やっぱり揶揄されるように言うのは恥ずかしくて堪りません。
幾ら頭の中がトロトロになっていると言っても、そういった羞恥心まで完全に投げ捨ててしまった訳ではないのですから。
京太郎「はは、悪いな。和の反応が可愛くて…つい」
和「ん…ふぅ…♪」
しかし、そう言って旦那様が優しく和の頬を撫でてくれるだけで和の中の羞恥心はあっという間に欲情と歓喜へと変貌しました。
まるで最初からそうなる事が定まっていたかのように綺麗に溶けていくそれは、もしかしたらポーズだったのかもしれません。
旦那様に可愛いと言われたくて、そして、意地悪されたくて…ついつい無意識の内にとってしまう偽りの姿。
そんな事を思ってしまうくらいのその変化に和は肩を震わせ、快感を全身へと伝わらせてしまいます。
京太郎「でも…その分、和のこと、一杯気持ち良くするから許してくれ」
和「ふぁぁ…♪」
そう言いながら旦那様が触れるのは和の胸元でした。
密着した和のそこをゆっくりと引き離そうとするそれに身体からふっと力が抜けていきます。
自然、和と旦那様の間に生まれたスペースを旦那様の腕が這いまわりました。
シュルリと首元のリボンタイを解きながら、胸元を止めたボタンを外していきます。
まるで最初から脱がし方を把握していたように思えるそれは手際が良いと言う他ありません。
和「(或いは…最初から…ずっと考えていたのかもしれません…ね…♥)」
何せ、旦那様はさっきから興奮した目で和の事を見つめていたのです。
特にその胸元には視線が厳しく、白くて薄い布地越しにはっきりとその視線を感じていたほどでした。
てっきりそれはおっぱいに並々ならぬ執着を見せる旦那様の熱意に因るものなのだと思っていましたが、もしかしたら観察だったのかもしれない。
そう思うとその手慣れた指先からも旦那様の興奮が伝わってくるような気がして、和はつい笑みを浮かべてしまいました。
和「はん…ぅ♥」
その瞬間、旦那様の指先が全てのボタンを外し終えました。
自然、胸元を覆っていた白い布は項垂れるように落ち…和の胸元が顕になります。
興奮と欲求不満で何時もよりも張っているその頂点には勿論、サーモンピンクに近い乳首がピクピクと動いていました。
まるでオスを誘おうとしているようなはしたないその動きに旦那様の熱い視線が突き刺さり、和の性感をジクジクと刺激するのです。
京太郎「乳首の形浮き上がってたから分かってたけど…やっぱりノーブラなんだな」
和「あひゅぅっ♪」
そう言いながら、旦那様は和の胸へと触れてくれます。
たっぷりとした大きな膨らみを周辺からそっと撫でる手つきは思いの外、優しいものでした。
揉むというよりも撫で回すに近いその愛撫に、和のおっぱいはゆっくりと熱くなっていくのです。
けれど、それだけではない…と思うのは和がもう旦那様にかなりの敏感体質に改造されてしまっているからでしょう。
実際、そうやって撫でられるだけでビリッと微かな快感が走り、乳首の付け根をピリピリとさせるのです。
京太郎「それだけ期待しててくれたのか?」
和「…はい…♪和は…旦那様に愛してもらえるのを…ずっとずっと心待ちにしていたんです…っ♥」
嗜虐的に尋ねる旦那様のその言葉に、和は小さく頷きながらそう答えました。
勿論、そうやって劣情を吐露するのは恥ずかしいですが、和の期待は到底、誤魔化せるものではありません。
何せ、今の和はブラがないだけではなく、ショーツさえも身に着けていないのですから。
その上、乳首は硬く勃起し、アソコから熱い汁が漏れているとなれば、誰だって一目で和の期待を見て取ってしまう事でしょう。
京太郎「そうだな。こんな服を自分で作って…メイドになりきるくらいに期待してくれてたんだよな」
和「は…ぅ…ぅ♪」
揶揄するように頷く旦那様の言葉に和は背筋を微かに震わせてしまいました。
だって、それは否定しようのないくらいに事実だったのですから。
勿論、そうやってメイド服の制作に着手したのは旦那様の『ご褒美』が目的です。
日頃、頑張ってくれている旦那様の事を思いっきり労ってあげたいと思ったのが一番の理由でした。
しかし、その中にこうして旦那様に愛してもらえる事に対する期待がなかったとは到底、言えないのです。
和「(だって…和は旦那様にエッチにされたのにぃ…♥)」
けれど、最近はお互いに忙しくて、その欲求不満を解消する暇がありませんでした。
唯一、二人っきりになれる特訓の時間も、神代さんの参加によってなくなってしまったのですから。
それでも和がかつて約束した事だけはしっかり護ってくれていますが、身体の疼きはなくなりません。
旦那様によって、淫乱になった身体は…もう自慰ではろくに慰める事さえも出来ないのですから。
京太郎「何度も言うけど…すげー嬉しいよ。マジ感激してる」
和「ん…っ♥」
そんな和を唯一、満足させてくれる旦那様の囁きに思わず胸を震わせてしまいます。
嗜虐性をむき出しにするようなさっきまでのものではなく、等身大の『須賀君』としての言葉。
素直にその喜びを和へと伝えてくれるそれに胸の奥が高鳴りました。
瞬間、沸き上がってくる陶酔混じりの歓喜がおっぱいをより一層、敏感にし、和の口から声を漏らさせるのです。
京太郎「でも、ごめんな。そこまで欲求不満にさせていたなんて、正直、想像もしてなかった」
和「じゃあ…どうして焦らしたんですかぁっ♪」
そうやって謝罪する気持ちは本心なのでしょう。
和の前でおっぱいをサワサワと撫でる旦那様の顔には申し訳なさが浮かんでいたのですから。
ですが、それを素直に受け止めるにはこれまでの旦那様はあまりにも意地悪すぎたのです。
それこそ歓喜で頭が一杯になっている和でもついついそう言ってしまうほどに。
京太郎「それはそれ。これはこれだ」
和「もぉ…っ♪旦那様は…スケベですぅ…♥」
けれど、その追求を旦那様はニヤリと笑いながら躱しました。
何処か意地の悪いそれは恐らく再び旦那様の中で嗜虐性が燃え上がっている証なのでしょう。
そう思うと和のお腹の奥がまたキュンと反応し、旦那様がさらに欲しくなってしまいました。
自然、奥から熱い汁が漏れだすのを感じながら、和はモジモジと太ももを擦れあわせてしまうのです。
京太郎「おいおい、主人相手にそんな口を聞いていいと思ってるのか?」
和「くぁぁっ♥」
瞬間、和に襲いかかったのは、今までとは比べ物にならない刺激でした。
ぎゅっと乳腺ごと揉むようなそれに和の乳房が大きく変形します。
歪んでいると言う言葉では収まらないそれは普通であればかなりの苦痛を覚えるものでしょう。
実際、旦那様によって淫らになった和の身体にも微かな苦痛を伝えるくらいでした。
和「(でも…それが良いんです…っ♪気持ち良くて…堪らないんです…ぅ♥)」
勿論、和だって痛いのは嫌です。
ですが…それが旦那様の手によるものだと思うと堪らなく気持ち良く思えてしまうのでした。
まるで旦那様にされるものであれば、何でも嬉しいと言うようなそれに…和の身体は戦慄きます。
けれど、その最中にも和のおっぱいは休まずに快感を放ち続け、和の全身を熱くするのでした。
京太郎「って…なんだ?こんなに強いのでも感じてるのか?」
そう言う旦那様の声には白々しいほど驚きがありませんでした。
それも当然でしょう。
何せ、旦那様はこれまでに…そうやって激しい愛撫を何度かしてきているのですから。
和が今、苦痛よりも快感の方を強く感じられているのも、旦那様のそう言った調教のお陰です。
そうでなければ、根がヘタレで…そして、それ以上に優しい旦那様は、そんな風に和の事を虐める事は出来ません。
京太郎「本当に和は根っからのマゾ奴隷なんだな」
和「はひゅぅ…♪」
勿論、そんな和の思考が伝わった訳ではないのでしょう。
しかし、旦那様のその言葉はまるで和の思考を咎めているような気がして、肌がビリリと震えました。
瞬間、和のお腹の奥がぼっと熱くなり、そこに快感が集まっていくのを感じます。
まるで今の言葉で完全にスイッチが入ってしまったかのような和の身体。
それに和が身動ぎしようとする動きを、旦那様の指先が阻害しました。
京太郎「何を逃げようとしているんだ?」
そう冷たく言い放つ旦那様の指先は和の柔肉をもみ始めていました。
その指先は嗜虐的ではあっても、さっきのように暴力的ではありません。
普通の甘い快感が和の中で響き、乳首の疼きを強くするのです。
そして、それに淫乱な和の身体は耐えられず、ふにゃりと蕩けて、身動ぎ一つ出来ませんでした。
和「ち、違い…ますう♪…我慢…出来なくて…ぇ♪」
京太郎「何が我慢出来ないんだ?」
勿論、和が逃げようとしていた訳ではない事は旦那様にはお見通しなのでしょう。
下手をすれば和よりも和の身体を熟知している旦那様が、今更、それを見間違うとは思えません。
それもこれも…和を辱める為の方便であり、嘘に過ぎないのです。
しかし、そうと分かっていても…そうやって踏み込む旦那様の声にドキドキは収まりません。
寧ろ、詰問するようなその姿に興奮が強くなり、和の中でドロリとした被虐的悦びが強くなっていくのが分かりました。
和「ご、旦那様にマゾ奴隷って言われて…和は…い、イキそうになってたんです…ぅ♥」
そんなドロドロとした悦びに突き動かされながら、淫らな告白をする和。
それはもう誰がどう見てもマゾそのものなのでしょう。
矜持も何もかもを投げ捨てて、旦那様に心から屈服するのを悦ぶ…淫らな愛玩奴隷なのです。
そう思っただけでマゾ奴隷でもある和の胸はキュンと締め付けられ、胸の奥で疼きが強くなっていきました。
京太郎「罵られただけだぞ?」
和「は、はい…ぃ♪」
京太郎「酷いことを言われたんだぞ?」
和「そう…です…ぅ♥」
京太郎「それなのに…イきそうだったのか?」
まるで一歩一歩、和を追い詰めるような旦那様の言葉に…和の胸はブルリと震えます。
その奥底から沸き上がってきたドロドロとした陶酔混じりの波は小さなさざなみのようなものでした。
しかし、旦那様に罵られる度にドンドンと大きくなっていき、何時しか、和の肌へとぶつかるほど大きなものへと変わっていくのです。
マゾヒスティックな悦びを強く感じさせるそれは、恐らく…心で感じるオルガズムなのでしょう。
さっきのようにイキそうになったのではなく…和は今、確かに旦那様に罵られているだけでイッてしまったのです。
京太郎「今、イッたな?」
和「んひぃっ♪♪」
それが旦那様にははっきりと分かったのでしょう。
その目の冷たさを強くしながら、旦那様はぐっと和の乳房を揉みあげました。
既に出来上がっている谷間をさらに深くしようとするようなそれに柔肉は再び歪みます。
しかし、そこにはもう苦痛らしきものはなく、あるのはただ、マゾの悦びと快感だけでした。
京太郎「男みたいに何か出る訳じゃなくっても…表情だけで分かるんだからな」
そう強く言い放つ旦那様の目は和の目元と口元に向けられていました。
和には分かりませんが、きっとそこは蕩けきって淫らなものになっていうのでしょう。
確信めいた旦那様の言葉は、それだけ和の変化が著しく…そして日頃から和の事をつぶさに見てくれているのを教えてくれました。
和「(だって、そんなの…ずっと見てくれてないと…分からないはずなんですから…♥)」
こうして愛し合う時にも旦那様は比較的冷静です。
しかし、それは興奮を嗜虐的な仮面で覆い隠した偽りのものでしかありません。
本当の旦那様は…今も痛々しいほどに勃起しているように…とても興奮してくれているのです。
ですが、旦那様はそれを制御しながらも和を悦ばせ、こうして絶頂の有無を言い当てられるくらいに日頃から見てくれている。
それだけで言い知れない喜びが胸の内を支配し、和の心を蕩けるような熱で包み込んでいくのでした。
京太郎「やれやれ…まさかこんなに変態になるだなんて思ってもみなかったな」
ですが、その熱は旦那様の呆れるような言葉で霧散していきました。
勿論、それは和にだっていつも通り、和を追い詰める為の方便に過ぎない事くらいは理解しているのです。
しかし、もしかしたら旦那様に見捨てられると考えただけで、心の中がサァァと冷めていくのでした。
それこそ今までの興奮を全て恐怖へと転じるようなそれに和の目の前が一瞬、暗くなるのを感じます。
和「い、嫌です…っ!み、見捨てないで下さい…!!」
瞬間、欲情も悦びも何もかもを振り払いながら、和はそう旦那様へと縋り付きました。
和はもう旦那様抜きでは生きていけない身体にされてしまったのです。
一人では欲求不満一つ癒せない和が旦那様に見捨てられたら…本当に気が狂いかねません。
たった一週間ほど愛してもらえなかっただけでこんなにも寂しがっているのですから…それが永遠ともなると想像もしたくないほどです。
京太郎「何を言ってるんだ。俺が和の事を見捨てる訳ないだろ?」
和「あ…ぁ…♥♥」
そんな和の不安を旦那様は言葉一つで吹き飛ばしてくれました。
絶望的と言っても良い不安から一転、安堵へと変わっていくその感覚はさっきの転落よりも急速なものです。
それこそ変わっていく変化を処理しきれなくなるほどのそれに和の目尻がぐっと熱くなるのを感じるほどでした。
それに思わず声をあげながら、身を震わせる和の前で、旦那様は優しく微笑んでくれるのです。
京太郎「…何時だって俺にとって和が一番だ。どんな和になっても…俺は好きだよ」
言い聞かせるようなそれは和の『ご主人様』としてのものではなく、『須賀京太郎』としてのものなのでしょう。
だからこそ…和はそれが嬉しく、胸の奥まで蕩けてしまうのです。
それはきっと…不安から安堵に変わっただけだからではありません。
しかし、そう自分で自覚しながらも、和はその感情からそっと目を背けました。
そうやって誤魔化せるのは…そう長い間ではない。
そう理解しながらも…それに目を向けるには、今はまだ色々と問題が多いのですから。
京太郎「だから、安心してもっと変態になってくれよ。俺は間違いなく…その方が嬉しいんだからさ」
そんな和の前で旦那様は微笑みながら、その手を再び動かしました。
さっきの和の狼狽に旦那様も申し訳なく思っているのか、それはとても優しく暖かなものです。
しかし…そんなものではもう完全に欲情した和の身体を慰めるのには足りません。
ましてや、今の和の脳裏には『気づいてはいけない感情』がさっきからチラチラと顔を出し、行為に集中しきれないのです。
そんな和にとって今の愛撫は物足りなく、焦らされているようにも感じるくらいでした。
和「もっと…激しくして下さい…っ♥和を…一杯…虐めて欲しいんです…っ♪♪」
京太郎「…へぇ」
それが嫌で思わず口走った淫らなオネダリ。
それに旦那様はニヤリと笑って、再び嗜虐性を顕にしてくれました。
見ているだけでまたマゾイキしちゃいそうなくらい…意地悪なそれにお腹の奥がキュンキュンと唸ります。
まるで今すぐそのオチンポをねじ込んで欲しいと訴えるようなそれに和が足に力を入れた瞬間、旦那様の手は再び和の乳房を揉みしだきました。
和「ふきゅぅっ♪♪」
最初のそれと殆ど差のないその愛撫に和は思わず鳴き声めいた声をあげてしまいます。
口から絞りだすようなそれに、しかし、旦那様の手は止まりません。
寧ろ、ぐっと柔肉を手で挟み込み、そのままグニグニと弄んでくれるのです。
その被虐的な快感に和の背筋はピクンと跳ね、旦那様の服をさらに強く握りしめてしまいました。
京太郎「折角、辛そうだったから優しくしてやろうとしたのに…和は虐められるのが好きなのか」
和「は…ぃぃ…♥和…マゾですからぁっ♪旦那様に調教された…マゾ奴隷なんです…っ♥」
からかうように言う旦那様の言葉に和は震える声でそう返しました。
その度に心の奥底が熱く、そしてむず痒くなり、和の中にドロドロとした悦びを広げます。
最初のものよりも激しいとは言えないそれは、しかし、確かな快楽として和の中に響きました。
まるで口走った自分の言葉が事実なのだと身体に教えこむような感覚に和のタガが緩んでいくのです。
和「旦那様にされるなら…何でも良いのっ♪♪痛いのも…旦那様に与えられるなら幸せになっちゃうんです…♥」
京太郎「へぇ…なら…」
和「はひゅんっ♪♪」
快楽を求めてしまう貪欲なメスの本能。
それが少しずつむき出しになっていく和の口から、そんな言葉が飛び出しました。
それに旦那様がニヤリと笑った瞬間、和の胸に何か硬い感触が突き刺さります。
ぐっと肌を押し込むようなそれは指から与えられる感覚よりもさらに鮮烈でした。
そこに沢山の力が入っている所為か、突き刺さるように感じる硬い感触に和の身体はビクンと跳ねるのです。
京太郎「こういうのも嫌いじゃないんだな?」
旦那様のその言葉は和の本心を的確に言い表していました。
もう興奮に汗を浮かべるほどになった和にとって、それは紛れも無い快感なのですから。
その上、硬い感触 ―― いえ、旦那様の爪が突き刺さる部分からは疼きにも似た甘い熱が広がるのです。
まるで、もっとしてほしいと訴えるような自分の反応を誰よりも間近で感じて、それを嫌いになれるはずがありません。
和「ら…らい…好きですっ♥痛いの気持ち良い…っ♪おっぱい鷲掴みにされて…和、感じてるんです…っ♪♪」
それをストレートに旦那様へと伝えながら、和はもじもじと身動ぎを始めました。
自然、鷲掴みにされたままの柔肉がさらに変形し、和の被虐感を掻き立てます。
ですが、それでも和の身体が満足するかと言えば…決して肯定は出来ません。
旦那様によって調教され、そして今も興奮させられている和の身体はさらなる快楽を求め始めていたのですから。
和「でも…和…これじゃ…足りないんです…♥おっぱいだけじゃ…和は…ダメな子になりますぅ…♪♪」
そう付け加えるのは和の中の欲求不満がさらに燃え上がりつつあるからです。
勿論、今の愛撫はとても気持ち良く、これだけでもイく事はそれほど難しくはないでしょう。
ですが、旦那様にあの手この手で弄ばれた身体は今よりもっと気持ち良いものを知っているのです。
自然、興奮した身体はそれを求め、全身に疼きを走らせていました。
特に強いのが和の乳首で、さっきから触れてもらえそうで触れて貰えないギリギリの距離に身悶えするようにピクピクと震えているのです。
和「だから…乳首を…ぉ♥和のエロ乳首…虐めてください…っ♪♪旦那様の手で一杯、コリコリぃひぃっ♪♪」
そこまで言った瞬間、和の声が唐突に上擦ってしまいました。
それは勿論、旦那様の手が和の乳首を摘んだからです。
親指と人差指で斜めから挟み込むそれは、それほど強い力が入っている訳ではありません。
根が優しい旦那様はきっとまずは和の反応を見て、最適な力加減を探っていくつもりなのでしょう。
しかし、それでもずっと焦らされっぱなしだった乳首は気持ち良く、胸の奥まで激しい電流を流しこむのでした。
和「旦那…様ぁ…♥」
京太郎「まったく…言われもせずにオネダリするなんて…和は本当にダメな奴隷だな」
和「ふぁ…あ…♥」
その快感を旦那様に伝えようと口を開いた和。
しかし、それを制するように旦那様は言葉を紡ぎ、和の乳首をクリクリとこね回してくださるのです。
それだけで背筋を強張らせて快感を全身へと広げる和の前で旦那様がニッコリと微笑みながら、頬にキスを下さいました。
まるでそんな和が好きだと言外にアピールするようなその仕草に自分の中でゾクゾクが膨れ上がるのを感じます。
和「はい…っ♪和はもう旦那様なしじゃいけないダメな奴隷なんです…ぅ♥旦那様に愛して貰えないと…寂しくて泣いちゃう…ダメ愛玩奴隷ですからぁ…♥♥」
そこまで言いながら言葉を区切った瞬間、旦那様の左右三指が再び動き出しました。
親指と人差し指乳首を摘みながら、まったく別の動きをするそれは器用と言う他ありません。
しかし、それでも手全てを使い切る愛撫に比べれば、何処かぎこちなく、指にも力が入っていませんでした。
結果、気持ち良いものの被虐感が薄れた和は我慢出来ず、胸の内の衝動に突き動かされるようにして唇を動かしてしまうのです。
和「もっと…調教して下さい…♥旦那様に溺れるまで…旦那様が満足するまで…和を愛して下さい…っ♥♥」
京太郎「はは。そんなの…言われるまでもないっての」
和の言葉を当然の事だと言うように笑い飛ばす旦那様は、その顔をにやけさせていました。
何だかんだ言いながらも…旦那様はそうやって和にオネダリされるのを喜んでくれているのでしょう。
それを感じさせる変化に、和もまた笑みを浮かべてしまいました。
京太郎「和は俺のモノだ。他の誰のモノでもなく…俺の大事な宝物なんだからな」
ですが、旦那様にとってはそれが気に入らなかったのでしょう。
和の前でそう言葉を紡ぎながら、その顔を引き締めるのでした。
まるで無理やり、旦那様に戻ろうとするようなその姿は何処か可愛らしく、胸の奥がトクンと高鳴るのを感じます。
興奮とも欲情とも被虐感ともまったく違う暖かで優しいそれに和の意識が引きずられそうになった瞬間、旦那様は和の胸をぐいっと自分の方へと寄せるのでした。
京太郎「飽きたり満足する事なんて絶対にない。一生掛けてしゃぶり尽くしてやるから…覚悟しろよ」
和「んふ…ぅっ♪♪」
そのまま旦那様は和の右乳首をそっと口に含んでくれました。
瞬間、強引に引っ張られるような感覚の中に生暖かな粘膜の感触が付け加わります。
まるで引き伸ばされるように変形する乳房を労るようなその優しい感覚に和は思わず吐息を漏らしてしまいました。
陶酔混じりの熱いそれは決して不快感を混じらせるものではなく、快感よりも心地好さを強くするものです。
和「くひぃぃぃぃん♥♥」
けれど、それに身を委ねそうになった瞬間、左側の乳首が凄まじい圧迫感を感じました。
悲鳴のような声をあげながら、和がそちらに意識を向ければ、そこには旦那様の指で押しつぶされる和の乳首があったのです。
それこそ2つの指が密着してしまいそうなほど強い力が篭ったそれは嗜虐的で、暴力的でした。
しかし、旦那様にマゾ調教された和にはそれが堪らなく気持ち良く、肩をブルリと震わせてしまうのです。
和「(意地悪なのに…優しい…なんてぇ…ぇ♪♪)」
左右の乳首から伝わるまったく異なる快感。
それはまるで旦那様そのもののように強烈な二面性を持っていました。
まったく別の二人に同時に愛撫されているようにさえ錯覚するそれに和の心は震えながら、そう言葉を漏らします。
ある種の感動すら混じったその言葉は快感と共に和の全身へと波及し、筋肉を蕩けさせていくのが分かりました。
和「(こんな…のぉ…耐えられません…っ♪♪)」
左右でまったく違う刺激は、ただ気持ち良いだけではなく、和の身体を大きく揺さぶるのです。
まるで慣れる事も予測する事も出来ないその快楽に耐えるには和の身体はもう興奮しすぎているのでしょう。
その上、胸の内から陶酔めいた心地好さが全身へと広がれば、自制が効くはずがありません。
旦那様が和の事を愛撫してくださる度に気持ちと身体が昂ぶり、一気に意識が高まっていくのを感じます。
和「だ、旦那様…ぁ♥旦那…様ぁ…♪」
それを伝えようと、和は必死に唇を動かしますが、それは旦那様と呼ぶだけの情けないものでしかありませんでした。
頭の中には溢れんばかりに淫語があるのですが、それを言葉にする為に必要なものが今の和には足りていないのです。
そんなもどかしさに胸の奥が苦しくなるのを感じながらも、和はそれを厭う事は出来ません。
今の和にとってはそんなもどかしささえも被虐感を唆られるものでしかなく、愛しくも気持ち良いものだったのですから。
和「あぁ…♪あ…ひぃ…♪」
そんな和の乳首を旦那様がジュルジュルと吸い上げます。
乳首ごと食べてしまおうとするようなそれは、いっそ強引と言っても良いくらいでしょう。
ですが、そうやって和の胸に必死になって吸い付く旦那様の顔は何処か可愛らしく、微笑ましいのです。
興奮の中に子どものような純情さを混じらせている所為か、或いは他になにか理由があるのかは和には分かりません。
ですが、そんな旦那様を見るのは何故か嬉しく…そして、胸の奥がキュゥゥンと反応してしまうのです。
和「そ、そんなに吸っても…和はまだ…母乳出ない…ですぅ…♥」
その理解不能な反応に背を押されるようにして、和はそう口走っていました。
勿論、旦那様の目的が母乳などではなく、ただ和を辱める為だという事など分かっているのです。
しかし、それでもつい漏らしてしまったその言葉に旦那様が何を思ったのかは和には分かりません。
ですが、旦那様の手は再び動き出し…和の右乳房を根本からぎゅっと搾るのです。
和「はひぃぃっ♪♪」
まるで牛のお乳を絞り出そうとしているような力強いその動きに和の背筋はビクンと跳ねてしまいます。
そこを駆け上がる被虐的な快感はもう一定量を超え、和の脳と胸の奥底へとドロドロとした熱を流し込んでいました。
それに心は強く反応し、キュンキュンと疼きながら、強い締め付けを覚えます。
そうやって縮こまるような心の奥底でメラメラとした熱い波がゆっくりと湧き上がりつつあるのを、和は蕩けていく思考の中で感じ取りました。
和「い、イキますぅ♥和は…ぁっ♪和は旦那様にお乳絞られて…思いっきりイくんれすぅう♥♥」
間違いなく…大きくて激しい絶頂の予兆。
それを口走るように旦那様に伝えるものの、旦那様の責め手は緩みませんでした。
それは間違いなく…『イッても良い』という旦那様のアピールなのでしょう。
何よりも雄弁に語るそれに和の我慢は粉々に打ち砕かれてしまいました。
旦那様が許してくれるならば…幾らでもイッて…イッて…イキ狂いたい
そんな風にさえ思う和の中で熱い波はゆっくりと大きくなり…そして押し流すように和の身体へと広がっていくのです。
和「んふゅぅぅぅ…っ♪♪」
瞬間、和は全身を強張らせ、その波を待ち構えます。
しかし、そうやって緊張させた筋肉を、その熱い波はドロドロと溶かし、蕩けさせていくのです。
快感と共に心地好さを伝えるそれは何度味わっても飽きる事がありません。
全身に興奮とは違う優しい熱が入り込み、内側から溶かされていく感覚はそれほどまでに心地良いものだったのです。
和「(それに…旦那様止まりません…っ♥)」
そう。
和がイッてしまったのをまったく知らないかのように、旦那様はその責め手を変えません。
知らないはずはないのに、右の乳房に甘えながら、左の乳房を弄んでくださるのです。
さらに和を追い詰めようとしている旦那様の姿に…和の胸は強いトキメキを覚えました。
和「まだ…愛してくださるんですね…♥和のおっぱい…イッても離さないくらいに…大好きなんですねぇ…♪♪」
そのトキメキに背を押されるようにして、和の口は甘い言葉を放ちます。
それは言葉だけを聞けば、からかわれているように思えるかもしれません。
しかし、そこに込められた陶酔と興奮が、和が心から悦んでいる事を旦那様に伝えたのでしょう。
和の乳首に吸い付くその顔に一瞬、強い歓喜と浮かばせながら、旦那様はさらに和を激しく愛してくださるのですから。
和「乳首ぃっ♪♪乳首、そんなに引っ張られたらぁ♪和はぁあっ♥」
旦那様がまずより激しくさせたのは左の乳房を責めるその指先でした。
乳輪に爪を立てるようにしてぐっと引っ張るそれにゾクゾクとした感覚が一気に強くなります。
一度、イッてしまった事で敏感になった和の身体に、さらなる刺激と快感が流れこんでくるのですからそれも当然でしょう。
しかし、そう冷静に考える和の頭とは裏腹に、未だ余韻が暴れまわる身体は悦び、被虐感を求める衝動に身を任せながら背を反らしてしまうのでした。
和「気持ち…良いですぅっ♪イキ乳首引っ張られるの凄いぃ…♪♪また…イキそうです…よぉ♥」
ビンと引っ張られるだけでも気持ち良いのに、爪が乳輪にまで突き刺さっているのです。
それだけでも和の身体が興奮を昂らせ、胸の奥から次のオルガズムを練り始めるのでした。
しかし…旦那様の興奮は、その程度ではもう満足する事が出来ないのでしょう。
まるで今すぐイけと言うように和の右乳首を吸い上げながら、硬い歯をぐっと押し付けてくるのです。
和「きゅひぃ…ぃぃ♪♪」
まるで和の乳首を甘噛みするような旦那様の歯に、和が甘い悲鳴をあげた瞬間、胸の奥で再び熱い波が産声をあげるのです。
さっきよりもさらに大きく、そして甘いその波は生まれてすぐさま全身へと広がっていくのでした。
まるでさっきのアクメが呼び水になったかのようなその波は和の全身を震わせ、うっとりとした心地好さを強くしてくれるのです。
和「あま…噛み…ぃ♥乳首の甘噛…で…和イひぃぃっ♥♥」
その絶頂の中、イッた事を伝えようとした和を見ても、旦那様はまだ愛撫を止めるつもりはないようです。
まるで和の乳首を逃がすまいとするように歯で閉じ込めながら、引っ張った乳首をクリクリと指の間で転がしました。
そこから生まれる快感は、オルガズムの影響もあり、これまでの比ではありません。
まるで和の身体がそこから生まれる快感に支配されているようにさえ思えるのですから。
和「(…壊れる…ぅ♪和…旦那様に…壊されちゃい…ます…ぅ♥)」
旦那様の指が、歯が、手のひらが、舌が、それぞれ動く度に和の身体がピクンと反応してしまうのです。
ほんの数センチの突起から湧き上がる快楽に悦び悶える和の乳房はプルプルと揺れ、被虐感に満たされていきました。
まるで和がマゾ奴隷であるという事を身体そのものに刻み込まれるような感覚に…和の意識がビシリと音を立て、罅が入るのです。
和「イ…きますぅ♥またイくんですぅっ♪エロ乳首しゃぶられてイくぅっ♥♥壊れて…またイくぅんっ…♪♪」
そんな和の奥から漏れだすのはさっきよりも強い感情の波でした。
また一つ意識のタガが外れ、『普通』から足を踏み外した自分にドロリとした陶酔と幸福感を感じるのです。
それは勿論…そうやって足を踏み外した和を旦那様が受け止めてくれると信じているからでしょう。
和を『一番』だと言ってくれた旦那様はきっと和を見捨てたり、手放したりなんてしない。
そう思っているからこそ…和は思う存分、淫ら堕ち、そして被虐性を顕にする事が出来るのです。
和「でも…でも、足りないんです…っ♥おっぱいじゃもう満足出来ませんっ♪♪」
しかし、その陶酔と幸福感は何時までも続くかと言えば、決してそうではありませんでした。
勿論、旦那様の愛撫は上手であり、また和の身体はそれに身悶えするように調教されているのです。
飽きる事なんてなく、まっだまだ和はイき続ける事が出来るでしょう。
ですが、和はこれよりも遥かに素晴らしい快楽を知ってしまっているのでした。
それこそ、こうしておっぱいで感じるものなんて比較にもならない被虐的で激しい絶頂。
二度の絶頂を迎え、もう欲情が抑えきれなくなった和の口から、それを求める言葉が飛び出します。
和「おっぱいでイくの凄いけど、これじゃないんですっ♪今欲しいのはオマンコなのぉっ♥和のメスマンコに…旦那様が欲しいんですぅ♪♪」
目の前で乳首をしゃぶる旦那様にオネダリするその様には最早、恥も外聞どころか理性さえもありませんでした。
ひび割れた意識の底に羞恥心を流し込んだ和にとって、それらはもう考慮に値するものでさえなかったのです。
いえ、もっと具体的に言うのであれば…今の和には旦那様に犯して頂く事しか考えられません。
それ以外のモノは全て投げ捨てた和は今、一匹の発情メス犬と言っても過言ではない有様でした。
和「オチンポ下さい…ぃ♥旦那様のオスチンポで奴隷マンコ犯して下さいぃ…♪♪グチュグチュドロドロの発情期マンコが…もう旦那様なしじゃダメになってるんですよぉっ♥」
京太郎「…っ」
そんな和の淫らな声に旦那様の身体がピクンと反応しました。
微かにその身を強張らせるようなその仕草は、恐らく興奮のせいなのでしょう。
そう思うのは和の乳首を一心不乱にしゃぶり、甘噛みを続ける旦那様の表情が一瞬、興奮に塗り替えられたからです。
その身に宿す獣性を垣間見せるその表情は見ているだけでもトキめいてしまうくらいに嗜虐的で、ドロドロとしていました。
和「メイド和頑張りましたぁっ♥ダメだったけど…メイドになんてなれなかったけど…でも、奴隷なりに頑張ったんです…ぅ♪♪だから…ご褒美セックス下さい…っ♥全身を旦那様で満たされるみたいな…奴隷セックス教えこんでぇ…♥♥」
その表情がもっと見たくなった和の口からさらなる言葉が飛び出します。
オネダリと言うよりも哀願に近いそれは、和の限界が近い事を示していました。
勿論、こうしている今も和は旦那様から快楽を与えて貰い、三度目の絶頂が目の前に見えてきています。
しかし、それらは意識が興奮で歪み、完全にメス犬と化した和にとっては欲求不満を強めるだけのものでしかありません。
どれだけイっても、今の和は何処よりも旦那様を身近に感じられる場所に旦那様がいない事を強調されているように感じてしまうのでした。
京太郎「…仕方ないな」
和「あ…ふぁぁ…♪」
そう言って旦那様が和の乳首から口を離した瞬間、和の身体は糸が切れたようにそっと脱力しました。
そのままクタリと倒れこむ和を旦那様が優しく抱きとめて下さいます。
それだけでも今の和はキュンと子宮を疼かせ、肉穴を締め付けてしまうのでした。
まるで肉襞同士を擦れあわせ、欲求不満な身体を少しでも慰めようとするようなそれに和は熱い吐息を漏らします。
ほぉっと後に続くようなそれに旦那様は軽く笑みを浮かべながら、和の頬を一瞬、撫でて下さいました。
和「ぁ…♥」
京太郎「和はメイド失格だな」
和「はぃ…♥和は…やっぱり旦那様の愛玩奴隷にしか…なれないんです…ぅ♥♥」
優しげなその表情と仕草とはまったく違う揶揄するような言葉。
それに和は嬉しくなってしまうのは…自分の道が一つしかないという事を再認識したからなのでしょう。
旦那様に愛され…調教された和にはメイドよりも淫らで、メイドよりも変態で、メイドよりも愛されたがる愛玩奴隷しか道が残されていないのです。
それ以外の事は所詮、偽りでしかなく…本当の和ではありません。
そう思っただけで胸の奥が熱くなってしまうくらいに、和はもう旦那様の虜になっていたのです。
京太郎「じゃあ…挿入れやすいように準備しろよ」
そんな和からそっと手を離しながら、旦那様が冷たく言い放ちました。
それに一つ頷きながら和はそっと旦那様から離れ、ソファーを立ち上がります。
そのままそっと目の前のテーブルに手を突きながら、和は旦那様に向かってお尻を突き出しました。
和「見て下さい…♪和のオマンコ…もうこんなになってるんです…っ♥」
そう言いながら、和はそっとスカートの裾を片手でたくしあげていきました。
ただでさえ短い丈がスルスルと上がっていくそれに旦那様の視線が突き刺さるのを感じます。
もう愛液でベトベトになったガーターベルトから太ももまでをじっと見つめるその視線にゾクゾクが止まりません。
しかし、だからと言って、それは手を緩める理由にはならず、和はお尻を全て晒すようにスカートを引きずり上げました。
和「旦那様をお迎えする前から…ノーパンだった和のメスマンコ…♪もうヒクヒクが止まらなくって…ぇ…♥」
そのまま和の指はそっと和の前面へと周り、閉じた大陰唇をその指で広げました。
瞬間、くぱぁ♥という淫らな音と共に興奮で充血しまくった和の粘膜が旦那様に晒されます。
ひくひくと欲求不満で震えるそこはきっととても淫らで堪らない形をしているのでしょう。
自分でそこを見ることは出来なくても、和がそこを晒した瞬間、生唾を飲み込む旦那様の姿を見れば察する事が出来るのです。
和「旦那様が欲しくて発情しっぱなしな奴隷マンコに…旦那様のお情けを下さいっ…♪♪」
京太郎「はは。随分とオネダリするのも板についてきたじゃないか」
和のオネダリに旦那様は冷たく笑いながらもそう褒めて下さいました。
けれど、その表情は興奮に滾り、今にも和に襲いかかりそうな激しい熱をまき散らしています。
実際、立ち上がって自分のズボンを下ろそうとする旦那様の動きはぎこちなく、さっきまであんなに器用に和を責めてくれていた人とは思えません。
しかし、それもこれも和に興奮してくれているからだと思うと無性に嬉しく、晒した粘膜の奥で肉穴がキュッと締まってしまうのです。
京太郎「そこまで言われて無視するほど俺は薄情にはなれないからな…」
そう言ってズボンを脱ぎ去る旦那様のオチンポはもう痛いほど勃起していました。
ここ最近さらに大きくなっているようにも思えるその凶悪なモノは天井へとその矛先を向け、ビキビキに張り詰めています。
浮かんだ血管の一つ一つが大きく見えるそれが今から和の中に入ると思うと、それだけで全身が歓喜に戦慄くのを感じました。
自然、むき出しになった粘膜の奥からもトロリと透明な粘液がこぼれだし、フローリングの上に滴るのが分かります。
京太郎「だから…和の欲しいものをくれてやる…よ!」
和「ひあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ♪♪」
それに和が意識を向けてしまったほんの一瞬。
その僅かな間に旦那様は一気に和へと近づき、その腰をぐいっと進めて来るのです。
瞬間、ジュプリと言う音を立てて、和の中に熱いモノが突き刺さり、グイグイと媚肉を押し広げていきました。
子どもの握り拳ほどはある肉の塊は太く、そして何より鋼のように硬いのです。
そんなもので自分の身体の中を押し広げられるのは慣れていても、若干、息苦しさを感じるのでした。
和「不意打ち…にゃんて卑怯ですよぉ…ぉ♪♪」
その上、こっちが油断した隙に一気に突き入れられれば、驚きに淫肉も硬くなり、拡張感も膨れ上がるのです。
流石に二倍というほどではありませんが、思わず卑怯と言いたくなるほどに大きく膨れあがっていくそれに和の言葉も途切れがちになっていました。
しかし、その間にも旦那様はぐいっと和も腰を掴み、そののオチンポで膣肉を虐めて下さるのです。
京太郎「卑怯な俺は嫌いか?」
和「大好き…ですぅっ♥旦那様大好きぃ♥♥愛してます…ぅ♥♥」
そんな和の耳元で意地悪く尋ねる旦那様に和は反射的にそう返してしまいました。
それに濁った思考の中で誰かが危機感を訴えるものの、最早、それは今の和にとって胡乱で遠いものでしかありません。
一体、どうしてそんな風に思うのかと疑問に思う事すらなく、待ち望んだ快楽に肌を震わせ、頭を一杯にしていたのですから。
まるで脳細胞の一片までも愛玩奴隷として染め上げられるような快楽は和の子宮にも突き刺さり、その奥でグツグツと煮えていくのです。
京太郎「俺も…和の事大好きだぞ」
和「あ…あぁぁ…っ♥♥」
瞬間、そう答える旦那様の声に和の子宮がキュンと反応してしまいました。
まるで心ではなく本能が悦んでいるようなその反応に、和の子宮で快楽が弾けます。
和の意思どころか本能にまで反して起こったそれは所謂、暴発なのでしょう。
あまりにも今の言葉が嬉しすぎた所為で、和の子宮が先走ってしまったのです。
和「和…イキましたぁ…♥挿入途中なのに…ぃ♪♪旦那様が好きって言うから…ぁ♥子宮…蕩けちゃったんです…ぅ♪♪」
勿論、それは普段、和が旦那様に与えてもらっているアクメとは比較にならないほど小さなものです。
まだろくに熟成されず、半ば反射のように飛び出したものなのですから当然でしょう。
しかし、だからと言って、それが気持ち良くないかと言えば、答えは否です。
じんわりと広がっていく胸の波とは違い、一瞬で全身を駆け抜けたその甘い電流は和のあちこちでバチバチと火花を起こし、快楽と共に被虐感をくれるのでした。
和「こんなんじゃ…挿入終わるまで何回イくか…分かりません…ぅ♥」
その上、それはオルガズムだけあって、和の神経をさらに敏感に追い詰めていくのです。
特に欲求不満で震える媚肉たちには影響が強く、ゴリゴリと押し広げられる肉襞が激しい快楽を撒き散らすのでした。
乳首のそれを何倍にも強くしたようなその甘い痺れに和の身体は早くも二度目のアクメの準備を始めます。
まださっきのアクメが終わっていないのにも関わらず次の絶頂を求める身体は止まる気配がなく、ドンドンと昂っていくのでした。
京太郎「何回でもイけば良いさ。イけばイくだけ和は俺から離れられなくなるだろ?」
和「んふぅ…ぅぅ♪」
そんな和の耳元で旦那様は嗜虐的に、けれど、優しくそう囁いてくださいました。
発情メス犬となった和の事をまるごと受け止めてくれるようなそれに和の身体は陶酔で満たされます。
快楽にも負けないうっとりとした心地好さは、被虐的な電流に疲れた身体を癒してくれるようでした。
けれど、それは和の身体をより敏感にさせ、中にあるオチンポの感触をより身近に感じさせるのです。
和「はい…ぃ♥和の全ては旦那様のモノですからぁ♪♪和はもう旦那様なしじゃ居られません…っ♥」
京太郎「だったら、責任取って何回でもイかせてやるよ。…だから、思いっきりイきまくってケダモノになりゃ良い…さ…!」
瞬間、ジュンと潤んだ媚肉の群れに硬いオチンポの先がぐっと突き刺さりました。
勿論、和は既に何度も旦那様とのセックスを経験しているので、そんなものに痛がったりはしません。
ですが、旦那様のオチンポは一度二度イッた肉穴で受け止めるにはあまりにも強大過ぎるのです。
未だ強張る和の淫肉を強引に押し広げ、肉襞を潰していくそれはそれまでのものよりもさらに遠慮がありません。
それこそ本当にレイプされてるようなその逞しい挿入に和の頭まで快楽が突き上げ、視界もチカチカと点滅してしまいます。
和「ひぅぅぅぅん゛ん゛んんっ♥♥」
まるで目の内側で星が瞬くような和の変調。
それに和が期待を覚えるよりも先に旦那様の亀頭が子宮口へと突き刺さりました。
和の身体の中でも格段に敏感で、そして何より貪欲な肉の口。
そこに突き刺さる熱い肉の感触に、和は悲鳴のような声をあげてしまいます。
瞬間、和の子宮から弾けた熱は和の全身をブルリと震わせ、キュンとオマンコを締め付けさせるのでした。
和「(奥…ぅ♪♪奥突かれて…和は…イッちゃいましたぁ…♥)」
それはさっきのようなまがい物の絶頂などではありません。
今度こそ本当に子宮から気持ち良くなったが故に暴れまわる甘い電撃。
それは和の指先にもバチバチと快感を流しこんでいくのです。
それに思わずテーブルへと手を突いた身体が崩れそうになってしまうのを和は何とか堪えました。
和「おっきい…ですぅ…♥旦那様の…熱くて…奥までズップリで…美味しくて…凄…いぃ…♪♪」
そんな和が漏らすのは旦那様の逞しさでした。
何度味わっても和の中のメスを狂喜させるその逞しさは素晴らしいと言う言葉が相応しく思えるくらいです。
和の中が焼けるような熱も、奥まで届いてまだ若干の余裕を残す長さも、そして和の肉穴がギチギチになってしまうくらいの太さも。
何もかもが和にピッタリ過ぎて…『美味しい』という形容詞まで飛び出すくらいです。
和「(それなのに…和ドンドン…旦那様のオチンポに調教されて…ぇ♥♥)」
それほどまでの素晴らしいオチンポの味を和はセックスの度に嫌というほど身体に教えこまされていくのです。
お陰で感度は右肩上がりが続き、何度、身体を重ねても新鮮さが薄れる事はありません
恐らく最初の頃からは、想像も出来ないくらいに今の方が敏感で、そして淫らになっている事でしょう。
何も知らなかった頃の『私』が、今の和を見れば、きっと軽蔑や恐怖を覚えると思うくらいに。
和「(でも…和もう知っちゃったんです…っ♥)」
旦那様の優しさと旦那様の逞しさを。
そして、自分の淫らさと自分の本性を。
例え…良く分からない能力の影響だとしても、和はそれを知ってしまったのです。
そんな和がもう後戻りなんて出来るはずがありません。
寧ろ、もう和はこの素晴らしい快楽と旦那様に溺れ続けていたくなっていたのです。
京太郎「和の中もすげぇ気持ち良いよ。うねりまくって…さっきから俺のチンポ美味しそうにしゃぶりまくってる」
和「きゅふぅ…ん…っ♪♪」
そんな和の耳元で囁きながら、旦那様はゆっくりとその腰を引いて行きました。
未だ絶頂が色濃く残る和からオチンポを引き抜こうとするようなその動きに和のオマンコがキュンと締まります。
行かないでと言わんばかりに子宮口も震えますが、旦那様がその動きを止める事はありません。
和の肉襞一つ一つをねっとりとカリ首で擦り上げていくのです。
和「当然…ですぅ…♥和は…旦那様のモノですからぁ…っ♥♥旦那様以外には…何も要らない…です…から…っ♪♪」
まるで今、和を犯しているのが誰なのかを肉襞に教えこんでいくようなその動き。
それに欲求不満と被虐感を覚えながら、和はそう口にしました。
他に男性なんて知りませんし、知るつもりもありませんが、旦那様の優しさと意地悪さに和はもう虜になってしまっているのです。
その上、その逞しいオチンポの味まで教えこまれれば…和が旦那様以外の誰かを求める事などあり得ません。
寧ろ、旦那様以外の誰かに抱かれるという想像をしただけで怖気が走り、旦那様に暖めて欲しくなるのです。
京太郎「じゃあ、咲や優希も…要らないんだな?」
和「そ…れはぁ…♥」
しかし、それでも和はその旦那様の言葉に即答する事が出来ませんでした。
咲さんとゆーきは…友達を作るのがあまり得意とは言えない和にとって、数少ない友人であるのです。
そんな二人を要らないと言うのは幾ら頭の中が蕩けていたとしても、中々に出来る事じゃありません。
勿論、旦那様は和にとってとても大事な人ですが、二人もまた和にとってそれに負けないくらい大事なのです。
京太郎「選べない…なんて言ったら、今日はもう帰るからな」
和「そん…なぁ…あ♪♪」
そんな和の逃げ道を塞ぎながら、旦那様はそっとその腰を止めました。
まるでここから先は答えるまで与えないと言うようなそれに和は自分から腰を左右に揺らしてしまいます。
それだけでクチュクチュと淫らな水音が鳴り、肉襞がオチンポと擦れますが、身体はまったく満足する気配がありません。
恐らく旦那様に犯される方向へと特化しつつある和には、旦那様から犯して貰わなければ心から快楽に溺れられないようになっているのでしょう。
和「の、和には…旦那様が必要です…ぅ♥」
京太郎「じゃあ、咲や優希は捨てるって言うんだな?」
オチンポ一つで身体の全てを支配されている素晴らしい被支配感。
それに被虐感と欲求不満を昂らせながら、和はそう口にしました。
けれど、旦那様はそんな和の逃避を許さず、確かめるようにそう言葉を返します。
多分、旦那様は和がはっきりと明確に答えるまでそれを続けるつもりなのでしょう。
そう思った瞬間、和の中でドロリと何かが崩れていうのが分かりました。
和「は…ぃ…♥もう…友達なんて要りませんっ♪♪和には…旦那様だけいれば…それで幸せなんです…ぅ♥♥」
そう口走った瞬間、和が感じていたのは暗い満足感です。
まるで本当はずっと前からそう言いたかったのだと告げるようなその感情に…和はまた一つ自分が足を踏み外してしまったのを自覚しました。
いえ…本当はもっと遥か昔から、和は足を踏み外していたのでしょう。
二人が旦那様に友達や仲間という枠を超えた感情を向けつつある事くらい和には分かっていたのですから。
それでも尚、こうして身体の疼きを理由にして旦那様に抱いて頂いている和に友達面をする資格なんてありません。
本当はもうとっくの昔に気づいていながらも、目をそらし続けていたその事実。
それに目尻がジュッと熱くなった瞬間、旦那様の腰が再び動き出すのです。
京太郎「はは。じゃあ…ご褒美やらないと…な」
そうやって友達を捨てた和の事に興奮したのでしょう。
旦那様はさっきよりも熱い言葉で短く褒めながら、テーブルについた和の両手をそっと後ろから掴むのです。
そのまま背中へと導いて行かれるそれに和は胸を疼かせながら従いました。
一体、どんな事をしてくださるのかは分かりませんが、それはきっと和をとても気持ち良くしてくれる事なのですから。
疑う事なんて欠片もせず、ただ盲目的に旦那様を信じる和の手首に、何かが絡みついてくるのです。
和「ふぇ…ぇ…?」
微かに布擦れの音がするそれは恐らく何かの布なのでしょう。
そう思った瞬間、細長いその布は和の手首を縛り上げ、硬く結ばれていくのでした。
それは恐らくさっき旦那様が解いてくださったリボンタイなのでしょう。
旦那様の近くにあった紐状のものなんてそれくらいしかなかったのですから。
和「ひあ…あああぁっ♪♪」
そうやって後ろ手に縛り上げた和に旦那様はその腰を一気にぶつけてくるのです。
瞬間、スパンという肉が弾ける音と共に和の中で熱が蠢き、肉襞から湧き上がる無数の快楽を飲み込んでいきました。
早くも次の絶頂の準備を始めようとする子宮はオチンポの感覚に戦慄き、さっきから甘い汁を漏らしっぱなしです。
和「ふにゃ…あぁ…♪♪」
京太郎「はは。思った通り、愛玩マゾ奴隷の和にはこういうのが効くんだな」
グチュグチュと音を立てる淫らな穴に叩き込まれるような衝撃。
しかし、それを受け止めようにも和の手は後ろで縛られ、姿勢を変える事が殆ど出来ません。
結果、旦那様のオスチンポから与えられる衝撃はそのままストレートに子宮を揺さぶるのです。
それだけでも気持ち良いのに…旦那様はそっと耳元で囁いて下さいました。
京太郎「あんなに仲の良い友達要らないって言って…ご褒美だって縛られて…それなのにこんなに悦んで恥ずかしくないのか?」
和「あひゅんんっ♪♪ごめんにゃ…ごめんにゃさいぃいっ♥♥」
そんな和を追い詰めるような冷たい言葉に、けれど、和の胸は欲情で満たされます。
まるで自分の淫らさから逃げるような感情に、和は思わず謝罪の言葉を叫びました。
けれど、和の胸には自己嫌悪の感情すら湧き上がってはいなかったのです。
あるのは…新しい感覚に生まれた被虐的な興奮と…そして堪らない背徳感だけ。
胸を埋め尽くすようなそれらに…和はブルリと震えながらアクメへと突き上げられてしまうのです。
京太郎「まぁ…流石にそれだけじゃ可哀想だから…和のされたい体位で犯してやるよ。どんな姿が良い?」
まるで譲歩するように和へと囁く旦那様の意図は分かっていました。
旦那様は和のしたい事を口にさせて、さらに辱めるつもりなのでしょう。
勿論、和に対する『ご褒美』の色がまったくないとは言いませんが、それよりも嗜虐性の方が大きいはずです。
そう思うのは旦那様の口調が興奮の色よりも冷たいものの方が強かったからでしょう。
和「こ…このままで…良いです…からぁっ♥」
京太郎「このまま?このままってどんな体位なんだ?」
そして和の予想通り、旦那様はそう質問を重ねます。
意地でも和から淫らな言葉を吐き出させようとするようなそれに和の頭の中が淫らな言葉を浮かばせ始めました。
どれだけ蕩けていても淫らな事だけは別だと言わんばかりの自分の反応に、和は胸を疼かせながらそっと口を開きます。
和「ケダモノセックス…ですぅ♥後ろから…オスに犯されるケダモノ交尾…ぃ♪♪お尻突き出して種付けされたがる…発情セックスが良いんですよぉ…っ♥♥」
京太郎「なんだ。そういう事か」
和「んひぃぃ♪♪」
和の淫らな言葉に、白々しく言いながら、旦那様はぐっと結ばれた和の手を引きながら、腰をズンっと突き入れて下さいます。
今までの抽送よりも一段強く感じるそれは自分の言葉で興奮した和にとっては強力過ぎるものでした。
未だ分泌されない愛液を揺らすような力強い一撃に、和は堪らずイッてしまうのです。
瞬間、慣れ親しんだ激しいオルガズムの中で、幸せそうなメスの鳴き声をあげながら、和の視界はまたチカチカと点滅するのでした。
京太郎「でも…分かってるのか?ここは和のご両親も普通に使ってるリビングなんだぞ?」
和「きゅ…ぅぅ…♪」
そんな和の耳元で旦那様は意地悪くそう囁きます。
今まで興奮で思考の彼方へと吹き飛ばされていましたが、確かにここはセックスする為の場所でも和の部屋でもありません。
こんなところでケダモノになってしまったら…もしかしたら匂いが染み付いて両親にバレてしまうかもしれない。
今更ながら沸き上がってきたその予想に和は背筋をブルリと震わせて、被虐感混じりの興奮を走らせます。
京太郎「和の発情したメスの匂いが一杯染み付いたところで…ご両親が生活するんだ。きっとマゾの和には堪らないだろうな」
そして、旦那様にとって、そんな和の様子を言い当てるのはあまりにも簡単なのでしょう。
意地悪く付け加えるその言葉は和の心をコレ以上なく端的に表現し、そして悦ばせてくれるのです。
度重なる絶頂の所為で、それだけでもイきそうなほど昂ぶってしまう自分に和は熱いため息を漏らしました。
しかし、それでも和の中の興奮はまったく冷め切らず、寧ろ、もっと罵って欲しいとばかりにオマンコを締め付けてしまうのです。
京太郎「それとも…今から和の部屋まで上がるか?俺はそれでも構わないぞ」
そう提案する旦那様はきっと和がそれに頷けない事を理解しているのでしょう。
だって、それは一度、このセックスを中断するという事なのですから。
既に片手では収まり切らないほどの絶頂を経て、煮えたぎった身体はそれを決して許せません。
子宮口からオチンポが離れていくだけでも微かなもの寂しさを覚える和にとって、例え数分でもオチンポから完全に引き離されるだなんて生殺し以外の何者でもないのです。
和「嫌…ですぅっ♥♥ここで…ここでセックスして下さいっ♪♪バレても構わないですからっ♪交尾してくだしゃいぃっ♥♥」
その恐ろしさにあっという間に敗北した和の口から、縋るような声が漏れだしました。
オマンコの方もさっきからキュンキュンと締め付け、旦那様のオチンポを逃がすまいとしています。
自然、肉襞がその硬い表面に押し当てられ、甘い痺れが腰の付け根まで沸き上がって行きました。
それに開いた足の軸がブレそうになるのを感じながらも、和は必死に立ち続けます。
ここでもしバランスを崩してしまったらセックスが中断してしまう事を思えば、崩れる訳にはいきません。
和「(それ…なのにぃ…ぃ♥♥)」
ここが日常的に両親と過ごす空間だということを自覚してしまった所為でしょうか。
さっきから和の中の背徳感はジクジクと刺激され、被虐感までもメラメラと燃え上がっていくのです。
まるで和の心を蕩けさせるようなそれらにドキドキが止まず、興奮が和の身体を敏感にし続けていました。
その上、遠慮の無い旦那様の抽送は再び和の中に絶頂の予兆をもたらし、アクメで張り詰めた神経を熱くするのです。
それにピンと張った足が何時まで耐えられるかは正直、和自身でも未知数でした。
京太郎「ははっ。和は本当に何処でも発情するメス犬みたいだな」
和「そう…ですうぅ♪♪和はメス犬ですからぁっ♥♥旦那様専用の…発情期ぃ…♪♪何時でも交尾しちゃう…メス犬ぅ…ぅぅう゛うんっ♥♥」
そこまで口にした瞬間、和の中で再びオルガズムが弾けました。
さっきの絶頂が未だ尾を引く中で湧き上がるそれは、和の中で一線を超えさせるものだったのでしょう。
アクメに震える和の肉穴を構わずに犯し続ける旦那様のオチンポに子宮を何度も突かれれば、またすぐに次の絶頂が沸き上がってくるのです。
未ださっきの絶頂が終わらぬ最中に新しいオルガズムが産声をあげるそれは所謂、『イきっぱなし』と呼ばれる状態でした。
和「和…もうイきっぱなしですからぁっ♥旦那様に交尾して貰ってぇ♪♪ずっと気持ち良いのが続いて…幸せですぅっ♪♪」
京太郎「じゃあ、満足したのか?」
それは普通の女性では中々、辿りつけない快楽の極地なのでしょう。
いえ、辿りつけたとしても切れ間がなく、永遠にイき続ける感覚はきっと苦痛に思うはずです。
あまりにも大きすぎる快感は、苦痛にも近いものなのですから。
しかし、完全にタガを外し、快楽を受け入れる準備を整えた今の和にはそんな事まったく関係ありません。
苦痛を感じるどころか、これがただの入り口に過ぎないと身体の興奮を滾らせていたのです。
和「しょんな事…ありませんんっ♪♪和は…もっと旦那様とセックスしたいですぅ♥♥セックス…旦那様と膣内射精セックス…ぅぅ…♪♪」
京太郎「和は本当に甘えん坊で淫乱なんだな」
そんな和の口から漏れる甘い言葉に旦那様は嬉しそうにそう返しました。
その顔までは見れませんが、きっと今の旦那様はにやけているのでしょう。
最早、自分自身を取り繕う事さえも出来なくなり始めた旦那様の興奮した姿に和も嬉しくなってしまいます。
京太郎「だけど…リビングで膣内射精までオネダリするなんて悪い子だ。だから…」
―― スパァン
和「ひぃぃぃぃぃぃんんっ♥♥」
しかし、それが表に出るよりも先に和の身体に衝撃が走りました。
今までの抽送とは違い、より熱に特化したその衝撃は、和のお尻から全身へと波及します。
はっきりと痛みを伴うその感覚は快楽で蕩けそうになっていた和の身体を揺さぶり、全身を強張らせました。
京太郎「ここから先は…お仕置きセックスだ」
和「あ…あぁぁぁ…っ♥♥」
連綿と続く絶頂の波の中でもはっきりと感じられるその痛みと熱。
それが旦那様の平手がお尻へと叩きつけられているのだと知った時には既に第二打が和に向かって放たれていました。
瞬間、スパァンと小気味良い音を鳴らして、お尻のお肉がプルプルと震えるのが分かります。
挿入の勢いに合わせて揺れるのとはまったく違うそれに和の身体は羞恥を覚え、肌がさらに紅潮していきました。
和「(スパンキング…良ぃ…ぃ♥♥)」
そんな和が思うのは、スパンキングという新しい刺激に対する悦びでした。
普通の性癖の女性では勿論、そうやって家畜のように扱われるセックスに怒り出すのでしょう。
しかし、和はもう旦那様にたっぷりと調教され、マゾヒスティックな本性を顕にしたメス犬なのです。
こうして旦那様に叩かれるというシチュエーションに興奮を強め、胸をときめかせてしまうのでした。
和「(それにこれ…快楽のアクセントになって…ぇ♪♪)」
今にも意識が溺れそうな絶頂感の中、ピリリと走る痛みの感覚。
それが和を蕩けてしまうほどの快楽から引き戻すのです。
お陰で何度も快楽へと突き落とされる感覚が味わえ、和の身体から新鮮さを損なわせません。
幾度、犯されても、そして叩かれても色褪せないその感覚に和の身体は強く揺さぶられているように感じました。
京太郎「おいおい…叩くと中が締まってるのはどういう事なんだ?もしかしてその度にイッているのか?」
和「はい…ぃ♥♥」
旦那様の呆れたような言葉は、今の和の状態を端的に表現していました。
実際、和は旦那様に叩かれる度に肉穴をキュンと締め付け、イッてしまっているのです。
勿論、それは子宮から弾けるそれとは格段に小さいものですが、しかし、それでも絶頂であることには変わりありません。
子宮から感じるものよりも被虐感を強めるそれは和をとても悦ばせてくれました。
和「もう…和お仕置きセックス良いんですっ♪♪旦那様にお仕置きされるの大好きぃ♥♥」
京太郎「初めてのスパンキングでどれだけ感じてるんだよ、このマゾ和っ」
和「んひぃぃっ♪♪」
瞬間、再び振り下ろされる旦那様の手に和は悲鳴のような嬌声をあげながら、反射的にお尻を揺らします。
赤くなった尻たぶを後ろの旦那様に魅せつけるようなその動きにオチンポが左右へと押し付けられるのでした。
まるで体位が変わったようにゴリゴリと擦る位置が変わるそれに和はビクンと背筋を跳ねさせてしまいます。
その中を太い快楽の波が通り、脳髄をまた蕩けさせるのを感じながら、和はゆっくりと口を開きました。
和「旦那様が…一杯、愛してくだしゃいましたからぁっ♪♪和の事…一杯、調教してくださったかりゃぁ…和はもぉマゾ豚になっらんですぅ…♪♪」
まるで自分で自分を被虐的な存在に叩き落とそうとするような淫らな言葉。
それはもう甘く蕩けて、舌足らずなものになっていました。
まるでまだ舌の使い方がなっていない幼子のようなそれに和の背筋はゾクゾクします。
京太郎「豚の割りには…随分とここが発達してるじゃないかっ」
和「ひゃうぅぅぅ♪♪」
そこまで快楽が極まってしまったのだと自覚するだけで軽くイッてしまうマゾ豚に旦那様も興奮してくださったのでしょう。
力強くそう言いながら、旦那様は和の胸を後ろからぎゅっと持ち上げました。
まるで抱き上げるようなそれに和の背筋はクッと上がっていき、オチンポに磔にされるような姿勢へと変わりました。
自然、旦那様に密着するお尻がぐにゃりと変形するのを手の甲から感じながら、和は嬌声を漏らすのです。
京太郎「こんなに大きな胸をして…男を誘惑してるのか?」
その言葉は正直、怖気が走るものでした。
元々、そうやって男性の好奇の視線に晒されてきた過去というのは和にとって良いものではないのです。
流石に男性そのものを軽蔑するほどではなくても、苦手になった一端は間違いなくその過去が担っているのですから。
そんな和にとって、無差別に男性を誘惑しているという言葉は到底、我慢出来ないものだったのでした。
和「ち…がいますぅっ♪それは…旦那様のものなんでしゅぅ♥旦那様に愛してもらう為に…食べてもらう為に大きふなったマゾ豚のお肉にゃのぉ♥♥」
そんな和が放った言葉は、自分の立場と運命を強調するものでした。
どれだけ頭が欲情の中で一杯で…もうセックスの事しか考えられなくても、和もまた夢見る乙女なのです。
こうして身体を重ねるに至った男性の為に自分の全てがあったのだと思いたくなる事くらいあるのですから。
ましてや、相手が和の全てを捧げるに足る『旦那様』であれば、そう口走ってしまうのも当然の事でしょう。
京太郎「じゃあ…和の全部は俺の為にあるんだな?」
和「は…ぃっ♪♪和は…旦那様の為に大きくにゃりましたぁ♥♥旦那様に愛される為に…生まれへきらんですぅ♪♪おっきなおっぱいも…お尻も…オマンコもぉっ♥全部、ごしゅじんしゃまに犯してもらう為の…ぉお゛ほぉぉ♪♪♪」
そこまで言った瞬間、旦那様の指先がキュッと和の乳首を力強く摘み、言葉を中断させました。
まるでそれ以上は言わなくても分かると言わんばかりの旦那様の愛撫にぐっと首筋が反るのが分かります。
しかし、どれだけ背筋から逃げるように反ったとしても、そこを這い上がる快楽と被虐感は止められません。
そして、それを止めたいとも思えない陶酔の中、震える和を旦那様はガンガンと犯し続けてくれるのです。
京太郎「ほら、和、下を見てみろよ」
和「し…らぁ…ぁ♪♪」
そんな旦那様の言葉に和は舌足らずな声で返しながら、そっと視線を下へと向けました。
そこには今も尚、クリクリと旦那様に弄ばれ、ジクジクとした熱を広げている和の乳首があるのです。
けれど、滲みがちになった和の目が向けられているのはその堪らなく被虐的な光景ではありません。
そのさらに下にあるのは…中央をガラス張りにしたテーブルでした。
和「ふぁ…あぁぁ…♥♥」
光の加減でしょうか。
そのガラスはまるで擬似的な鏡のようにして和の顔を映し出していたのです。
目元はトロンと蕩け、口元は半開きになって唾液が垂れ流しになっていました。
その上、真っ赤に紅潮した頬まで緩み、汗で肌が艶めいています。
誰が見てもきっと一目で分かるくらいに発情しきった…メスの表情。
オスを誘って交尾を強請るただのケダモノになった自分の顔が…そこにはあったのです。
京太郎「見てるだけでも…チンポギンギンになりそうなくらいエロい顔してるだろ…?」
和「旦那…様ぁ…♥♥」
そんな自分の顔を見るだけでもドキドキが止まらなくって仕方ないのに、旦那様は和の耳元でそんな風に囁くのです。
その熱い吐息を敏感になった耳に振りかけるようなその声に和の身体はさらに興奮で熱くなってしまいました。
瞬間、和の口元から唾液がねばっと漏れだし、重力に引かれてテーブルへと落ちていくのです。
それにガラスに微かに映った自分の顔が歪むのを見た瞬間、和の意識はクラリと揺れてるのが分かりました。
和「もっと…ぉ♪もっと…和にエロい顔させてくだしゃい…っ♥♥マゾ豚に相応しいエロ顔を…ぉ♪♪旦那様の手で…作っれ欲しいんです…ぅぅ♪♪」
京太郎「へぇ…」
瞬間、和の口から漏れる淫らなオネダリに旦那様は嬉しそうにそう返しながら、和の乳房を解放しました。
自然、身体の支えがなくなった和は再び重心が前へと移動しました。
けれど、後ろ手に縛られてしまった今、バランスを取る為にテーブルへ手を着く事は出来ません。
そして、今の和には背筋を固定する力もなく、そのまま崩れ落ちていくのです。
和「いひゅうぅっっ♪♪」
そんな和の手を旦那様がぐっと掴んでくれました。
リボンタイによってグルグルにされたその両手を強引に引き上げるようなそれに、ズプリと音を立ててまたオチンポが和の奥へと突き刺さります。
その逞しさに再びアクメへと突き上げられながら、和は期待に胸を疼かせていました。
京太郎「じゃあ…まずは思いっきり叩いてやらないとな…!」
和「んひぃぃぃぃっ♪♪♪」
その言葉と共に振り下ろされる平手に、和は再び鳴き声をあげながら身悶えします。
ジンジンと熱を放つ柔肉を再び叩かれるその刺激に和の身体が再び被虐的な絶頂を迎えました。
それに悦ぶように震える肉襞を、旦那様はガンガンと腰を振るって蹂躙してくださいます。
どちらか片方だけでも気持ち良くって堪らないのに…2つが作り出すその相乗効果。
それに心の中に幸福感を湧きあがらせながら、和は何度もイってしまうのでした。
京太郎「ほら…こうして望みどおりにしてやってるんだから…どんな顔になってるのかどうかくらい言ったらどうだ…っ?」
和「ふあ…あぁいいっ♪♪」
そう言って和を叩く旦那様に答える声さえ、和はもうマトモに紡ぐ事が出来ません。
休まず注ぎ込まれる痛みと快楽に和の意識は揺れ、身体もそれに引っ張られてしまうのです。
そして…和の眼下に映るメス犬は…そんな自分に嬉しそうな笑みを浮かべ、その目尻を潤ませていました。
まるでそうやって淫らに堕ちる事が幸せで堪らないと言うような…蕩けた顔に見ている和の胸も疼いてしまいます。
和「和…はぁ…♪♪目元を…トロンってして…ぇ♥口もひゃん開き…でぇぇっ♪♪唾ドロドロ漏らして…発情してまふぅ♥♥」
京太郎「そんなんじゃ…何も伝わって来ないだろ!」
和「ひゃうぅぅっ♪♪」
再びスパァンと弾ける音が鳴り響く中で和はビクンと背筋を跳ねさせ、絶頂しました。
それでも必死に思考を動かそうとしますが、上手く考えが纏まるはずがありません。
最早、和にはそんな余裕など欠片もなく、ただのケダモノ同然なのですから。
こうして旦那様に自分の様子を何とか伝えられただけでも御の字と言っても良いくらいです。
和「ハァハァって…いってますぅっ♥発情しながら真っ赤なイキ顔晒してぇっ♪和の顔ぉメス犬になっれるぅ…♪♪」
京太郎「メス犬なのは何時もの事だろう…っ」
瞬間、ズンっと突き刺さるオチンポの衝撃に和のボルチオは悦びに戦慄きました。
何せ、それは旦那様のオチンポが完全に和の子宮口を押し上げたが故のものだったのですから。
今までの抽送の折り返しとして触れるものではなく、完全に突き上げられるその感覚に和は堪らずイッてしまいます。
京太郎「さっきから俺のチンポ締め付けて離さないし…奥は吸い付いてくるし…さ…!」
和「くふゅぅん…っ♥♥」
そんな和の奥でムズムズとした感覚が湧き上がるのを感じた瞬間、旦那様のオチンポがグリグリと動きます。
亀頭の先端を押し付けながら円を描くようなそれは和の子宮口に堪らない悦びを与えてくれました。
思わず二度三度とアクメを重ねる和の腰がガクガクと震え、今すぐにでも崩れ落ちてしまいそうになるのです。
京太郎「ほら、叩いて欲しいならもっとちゃんと腰あげろよ。じゃないと…セックスだってマトモに出来ないぞ」
和「ふぁ…ひぃ…♪♪」
そんな和を追い詰めるような言葉が描く未来は到底、許容出来るものではありませんでした。
叩いて貰えなくなるだけならまだしも、セックスまで中断されるだなんて考えただけでも寒気が走るほどです。
無論、そうやって中断したところで、これだけ興奮を滾らせた旦那様が和を手放す事はないでしょう。
きっと倒れこんだところで和を貪って下さるのだとそう信じていました。
しかし、ほんの数分でも、この快楽が途切れてしまうのは確実です。
そう思っただけで和の身体は必死に足に力を込め、その場に立とうとしていました。
和「(でも…ダメ…ぇ…♥♥)」
これがまだ手が使えれば話は別なのでしょう。
しかし、和は今、後ろ手に縛られて、ろくに手を使えない状態なのです。
どうにも窮屈で、そして、もどかしいその感覚に、被虐感がズキズキと刺激され、子宮がアクメに唸りました。
お陰で必死に支えようとしている足からまた力が抜けて、和は今にも崩れ落ちてしまいそうになるのです。
京太郎「…仕方ないな」
和「んあ゛ぁああっ♪♪」
瞬間、平手を繰り返していた旦那様の手がそっと和の内股に触れました。
そのままぐいっと持ち上げるそれに太ももが強引に広げられていくのです。
和の足が旦那様の肩まで届いた頃にはもう足の付根に張るような痛みが走っていました。
しかし、お尻を叩かれるのとはまた違うその痛みに、和の身体は確かに悦んでいたのです。
和「(こんな…足をあげた…犬みたいな格好…ぅ♥♥)」
今の和は震える片足で全ての体重を支え、もう片方の足を旦那様の肩に囚われている状態です。
大股を広げるようなそれは、犬がおしっこする時の姿勢を和に彷彿とさせ、ゾクゾクとした背徳感を和に与えました。
その上、それは二本の足で立っていた時よりも遥かにアンバランスで、フラフラと身体の軸が揺らぎます。
それでいて片足を完全に囚えられた和は旦那様から逃げ出す事も出来ず…ただ貪られるのを待つだけでした。
それに被虐感を唆られた和はブルリと肩を震わせ、またオマンコをキュンキュンと震えさせてしまいます。
京太郎「これだったら逃げようとしても逃げられないだろ」
両腕どころか片足まで取り上げられた状態で逃げられるはずがありません。
四肢のうち3つを旦那様に依存した今の和にとって、それはバランスを崩す行為以外の何者でもないのですから。
いえ、例え逃げようとしなくても、旦那様が気まぐれを起こした瞬間、和は頭から倒れこんでしまう事でしょう。
普通であれば、きっとそれに恐怖を覚えるのかもしれません。
しかし、立つという基本的な動作にさえ、旦那様に依存しているというシチュエーションに和の胸は暖かくなり、興奮が煮えたぎるのです。
和「旦那…様ぁ…♪♪」
京太郎「分かってる…!」
それに思わずオネダリするように旦那様を呼んでしまう淫らな和に、再びオチンポが襲いかかってくるのです。
快楽で熱く張った肉襞の一つ一つを押しつぶし、引きずるようにして繰り出されるピストンは体位が変わっても堪りません。
いえ、寧ろ、さっきとはまったく違う部分に擦れ、子宮口とは微かにズレる部分を突くそれは新鮮で気持ちの良いものでした。
自然、和は旦那様に何度もイかされ、足元までブルブルと震えさせてしまうのです。
和「ひゃぅ…ぅ♪♪ムズムズ…クるぅ…♥イきすぎで…アソコムズムズしへ…♪♪」
旦那様のピストンはさっきよりも激しいものではありませんでした。
和の身体はほぼ固定されたとは言え、こうして密着した状態では思いっきり腰も使えません。
しかし、それでも湧き上がる無数のオルガズムに、和の身体は追い詰められ、さっきのムズムズも大きくなっていくのです。
排泄欲求にも似たそれを和は反射的に堪えようとしました。
和「ふあぁ♪♪しょこダメですぅっ♪今はらめぇっ♥♥今突いちゃ漏れひゃいますぅう♪♪」
しかし、そうやって力を入れて肉穴が締まったところを旦那様のオチンポに狙い撃ちにされるのです。
ゴンゴンと遠慮無く和の中を突くそれについついオマンコは蕩けてしまうのでした。
自然、その弛緩は和の股間全体に広がり、ムズムズ感が少しずつ外へと向かって進みだしたのを感じます。
京太郎「漏らせば良いじゃないか。後でメイドらしい仕事も出来るしな…!」
和「しょんにゃ…あ…♪♪」
そんな和に冷たく言い放つ旦那様にはもう容赦するつもりなどないのでしょう。
和の懇願と一刀のもとに切り捨てながら、その腰を強引にぶつけてくるのです。
まるで小さな距離でも出来るだけ快楽を得ようとするようなそのケダモノじみた動きに…和の我慢は砕かれてしまいました。
堰を切ったように漏れだす何かが尿道へと流れこむのを感じながら、和はせめて警告だけでもしようと口を開きます。
和「で…出ましゅぅっ♪♪にょどか…出るぅ♥♥もれ…ちゃいますぅぅ♪♪」
瞬間、和の股間から漏れだしたのは黄色ではなく、透明な液体でした。
まるでおしっこのように漏れだすそれは所謂、潮という奴なのでしょう。
それが凄まじい勢いでフローリングへと広がり、床をビショビショにさせていく光景に和は大きな背徳感を感じていました。
京太郎「和…ぁ…っ!」
和「ふにゃぅぅっ♪♪♪」
そして、それを感じたのは和だけではないのでしょう。
和の潮吹きが終わった瞬間、旦那様は和の名前を力強く呼びながら、その腰の動きを一層、強めました。
背筋から大きくしならせて、強引に腰を使うそれに奥がガクガクと揺さぶられるのを感じます。
和「はひぅ…ぅう♪♪ごしゅじんしゃまの…おっきいぃ♪♪まら…熱く…おっきふなっらぁ…♥♥」
しかし、今の和が一番、意識しているのは一気にエスカレートしたそのピストンではありません。
そのピストンによって和の中を動く逞しいオチンポだったのです。
何せ、ただでさえ和の中で一杯だったそれは一回り大きく、そしてさらに熱くなったのですから。
浮き出た血管一つ一つまではっきりと分かるくらいに和の中を圧迫する大きさと、まるで内側から焼けてしまいそうな激しい熱。
それに旦那様の絶頂が近い事を悟った和は、どうしてもそちらに意識を引きずられていくのです。
京太郎「和のマゾっぷりが可愛すぎて…もう俺もイキそうになったじゃないか…!」
和「はいっ♪♪イッてくだしゃいぃっ♥♥和でぇっ♪だんなしゃまの愛玩奴隷で思いっきり射精しれ欲しいんですぅっ♪♪♪」
熱に浮かされたような旦那様の言葉はもう余裕らしいものなんて欠片もありませんでした。
これまでずっと律し続けていた興奮に飲み込まれていっているのを感じさせるその姿に和の胸がドキドキとうるさいくらいに興奮します。
まるで旦那様の興奮が和にも伝わってくるような…その何とも言えない心地良い興奮に和はまた小さな絶頂へと至るのでした。
京太郎「和は…何処が良い?何処に…射精して欲しいんだ…?」
和「しきぅですっ♥♥和の子宮ぅっ♪♪ザー汁欲しがってキュンキュンしてる子宮にぃっ♥♥種付け精液ぶっかけてくだしゃいぃ♪♪♪」
そして、その興奮と絶頂は和の子宮で堪らない疼きへと変わっていくのです。
まるで早く精液が欲しいと訴えるようなその欲求に和の媚肉はキュッと締まりました。
それに旦那様のオチンポも応えて下さり、和のオマンコでビクンと跳ねるのを感じます。
根本から切っ先まで万遍なく震えさせるそれに和はGスポットを擦り上げられながら、また透明な潮を股間から漏らしてしまいました。
京太郎「イくぞ…!和の中でイくぞ…!種付け…するからな…っ!」
和「ふあ…あぁぁっ♪♪」
瞬間、旦那様のラストスパートが始まります。
まるで無理やり、身体全体を使うようなその抽送は一突き毎に和の身体が浮き上がってしまいそうなほど激しいものでした。
子宮口だけではなく、子宮まで揺さぶられてしまいそうなピストンに和の口はもう嬌声しか放ちません。
種付けされる悦びとケダモノのように犯されて得る絶頂、そして、身体を強引に開けさせられるような痛みが交じり合う中で、ろくに言葉を紡げるほど和は理性的ではないのです。
和「んっくぅぅぅぅぅぅう゛うぅ♪♪♪」
そんな和の嬌声に合わせるようにして繰り出されるピストン。
それが十数度目を迎えた瞬間、和の中で熱い感覚が弾けました。
疼き過ぎてクパクパと開閉を繰り返すボルチオ付近で弾けたそれは和の中にビュルビュルと流れこんでくるのです。
それはとても濃厚で…肉襞に絡みついてしまいそうなほど粘っこく…そして何より甘いものでした。
和「(しゅごいぃっ♪♪あちゅいぃぃ♪♪甘い…ぃぃぃ…っ♥♥)」
勿論、その粘ついた液体 ―― 精液を受け止める子宮口に味覚を感じるものなんてありません。
故にそれは和の脳が創りだした錯覚という奴なのでしょう。
しかし、そうは思いながらも、和の身体の中に響くその甘さはまったくなくなる事はありませんでした。
まるでそれが世界で一番、素晴らしくて美味しいものであるかのように感じ、脳が多幸感に沈んでいくのです。
和「(あぁ…♥幸せ…ぇ…&hearts♥♥)」
旦那様に種付けされるという事は愛玩奴隷として最高の名誉なのです。
何せ、それは旦那様の子を孕み、一生、傍にいる事を許された何よりの証なのですから。
勿論、ピルを常用している和は実際に旦那様の子を孕んだりする事は出来ません。
しかし、それでも…こうして旦那様が膣内射精してくださっているという事に堪らない多幸感と快楽を感じるのです。
溺れそうなほどの甘さにも負けないそれに和は全身を震わせながら、射精に合わせて嬌声を漏らしていました。
和「あひぃ…っ♪♪ん…あぁぁ…ぁ♥♥ふぁ…ぅぅ…♪♪♪」
その嬌声の源となる精液の勢いはまったく衰える事がありませんでした。
和の子宮口へとぶち撒けるようにして注がれていくのです。
それを和の敏感なボルチオは必死になって吸い上げようとしていましたが、あまりの濃厚さに中々、上手くはいきません。
愛液で粘ついた管の中でさえもべったりと張り付くようなそれは所々で詰まってしまうのです。
お陰で精液が逆流し、和の子宮に注がれる精液の量はあまり多くはありませんでした。
和「(なんて…勿体無い事…をぉ…♪♪)」
折角、旦那様から頂いているにも関わらず、受け止めきる事が出来ない精液。
その勿体なさに和の心は震えますが、しかし、そこには嫌な感情は一片足りともありません。
そんな感情が入り込む余地がないほど、今の和は幸せで、そして満たされていたのです。
メスとしての最高のご褒美を享受する和にとって、それは勿体無いと思う事ではあれど、寂しいものではなかったのでした。
寧ろ、そうやって逆流してしまうくらいに旦那様が射精してくれていると思うと、多幸感が強くなってしまうのです。
和「ふ…ぅぅぅ…あぁ…っ♪♪♪」
その多幸感は旦那様の射精が弱まった時も、すぐになくなるものではありませんでした。
いえ、寧ろ、そうやって射精の勢いが弱まった分、和は子宮の奥に宿った甘い熱をはっきりと感じる事が出来るのです。
今も尚、その熱を弱める事はない旦那様の愛の証に和の身体は内側から蕩けそうになってしまいました。
快楽ではなく、多幸感で筋肉が蕩けていくのはとても心地良く、和の身体はついに崩れ落ちてしまいます。
京太郎「おっと…」
和「あ…ぁ…♥♥♥」
そんな和の身体を旦那様は優しく抱きとめ、そのままフローリングの上に腰を下ろしました。
瞬間、ズンと言う音が聞こえそうなほどオチンポがボルチオへと強く突き刺さり、和の背筋にアクメを走らせます。
それにビリビリと震える和の身体から再び透明な潮が漏れでてしまいました。
けれど、旦那様はそれに何も言わず、背面座位の形で和を抱きとめ、そっとお腹を撫でてくれていたのです。
和「(まるで…ちゃんと種付け出来てるのか…確認しようとしてるみたいな…ぁ…♪♪)」
そこに自分の精液が本当に入っているのか確かめるような優しい仕草。
それにゾクゾクとしたものを感じながら、和は二度三度とオルガズムを重ねてしまいます。
それは射精の時に味わうものよりも遥かに小さいものでしたが、それでも十二分に心地良いものでした。
未だアクメと多幸感の余韻が残る和にとって、旦那様がお腹を撫でるその動きはそれほどまでに素晴らしいものだったのです。
和「だんな…しゃま…ぁ♥♥」
京太郎「ん?」
それを伝えようとする和の声に旦那様は優しく問い返してくれました。
勿論、そのオチンポは今も尚、硬いままであり、和の中で硬く反り返っています。
身動ぎする度に子宮口に突き刺さるようなそれは余韻の残る和を休まずに絶頂へと突き上げてくれました。
しかし、それほどまでにオチンポを固くしていても、今すぐに和を貪るつもりはないのでしょう。
和「(普段は…こんな事…ないのに…ぃ♪♪)」
一度、興奮した旦那様はむき出しになった本能の塊なのです。
それこそ一度や二度の射精では収まらず、和の事を数えきれないほどイかせ続けてくれるのでした。
その上、今回は禁欲生活をそれなりに挟んでいたのですから、旦那様もまた『溜まっている』のは事実です。
そんな旦那様が和の事を気遣うように休憩してくれているのは、きっと無茶な体位でセックスした事が原因でしょう。
和「(だって…さっきから…足もナデナデしてくれてるんです…♪♪)」
まるでカエルのように折れ曲がった和の足。
ミニスカートから伸びるその内股を旦那様はもう片方の手で撫で回してくれました。
お陰で無茶な動きで張った筋肉が癒され、痛みが和らいでいくのを感じます。
それと同時に肌がピククンと反応し、快感を受け取ってしまいますが、まぁ、それも仕方のない事でしょう。
何せ、今の和は全身が火照り、何処を触られても気持ち良くなってしまうような状態なのですから。
和「もぉ…良い…でしゅよぉ…♥♥」
そんな和の口から漏れだしたのは呂律の回っていないだけではなく、蕩けきった声です。
欲情と媚にたっぷりと穢れたそれは誰が聞いても、和の発情を感じ取るほど淫らなものでした。
それは和をこんなにも淫らに染め上げた旦那様にとっては特に有効で、和の中で旦那様のオチンポがピクンと反応するのが分かります。
和「まら…まんじょく出来てないですよね…♪♪和も…一回じゃ…まだ…らめです…ぅ…♥♥」
そう。
和はもう旦那様によって淫らに調教されたメス犬なのです。
一回程度の射精では満足出来ず、今ももっともっととばかりに肉襞が旦那様に絡みついていました。
ジュルジュルと愛液を滴らせながらのそれは旦那様に撒けないくらいに貪欲で淫らです。
そんな自分に誇らしさと笑みを浮かべながら、和は震える腰をゆっくりと動かし始めました。
和「ふきゅぅ…ぅぅ…♪♪どぉ…ですかぁ…♥旦那様…ぁ♥♥」
京太郎「無理すんなよ」
まだ痛みの残る足でフローリングを踏みしめながらの抽送。
それはとても弱々しく、和の中でクチュリと音を立てるのが精一杯なものでした。
しかし、未だ多幸感と余韻が残り、断続的にイき続けている和にとってどう頑張ってもそれが限界なのです。
そんな和に優しく言い放ちながら、旦那様はそっと手を動かして、和の腰を掴みました。
和「んひぃぃいっ♪♪♪」
京太郎「動くのは俺がやるからさ」
瞬間、ズンと突き上げる旦那様の動きに和は悲鳴のような嬌声を漏らします。
けれど、旦那様はそんな和をぎゅっと捕まえたまま、激しく腰を使って下さるのでした。
硬いフローリングの上で辛いのにも関わらず、和を抱きとめながら、突き上げてくれるその姿。
それに快楽と共に歓喜を湧きあがらせながら、和は再び絶頂し… ――
―― そして結局、フローリングがグチョグチョになってしまうまで和たちは絡み合ったのでした。
………
……
…
和「(…なんて情けない…)」
そう私が思うのは『後片付け』を全て、須賀君に任せてしまったが故です。
結局、アレから五回戦までぶっ通しで犯され続けた私は、途中から失神してしまったのでした。
その間に須賀君はフローリングの掃除から汗でべたついた衣装の掃除をやってくれたのです。
それどころか…失神する私の身体から汗を拭き取り、ベッドへと運んでくれた須賀君には感謝の念が絶えません。
しかし、それと同時に自分の情けなさを自覚した私はベッドの中でもう何度目かになるため息を吐いたのです。
京太郎「何凹んでるんだ?」
そう尋ねる須賀君は私と同じベッドの中にいます。
その身体には一枚も服を身につけておらず、私と同じく生まれたままの状態でした。
結局、アレから汗や愛液やらでドロドロになった須賀君の服は今、絶賛洗濯中なのです。
勝手にお父さんの予備を出して勘付かれるといけませんし、また出た時と違った服を着て変えれば須賀君のご両親にも怪しまれるでしょう。
結果、須賀君は裸のまま、こうして私と一緒にベッドへと入り、身を寄せるようにして暖を取っているのでした。
和「別に…凹んでる訳じゃありません…」
そんな須賀君に腕枕をしてもらいながら、私はついそうやって意地を張ってしまいます。
本当はもっと素直になりたいのに…一体、どうしてこうなってしまうのか。
そんな気持ちは自分の中にもあるものの、中々、上手くはいきません。
興奮してタガが外れた時の自分が恥ずかしいからか、つい可愛げのない言葉を返してしまうのです。
和「(昔は…こうじゃなかったんですけれど…)」
勿論、昔の自分が可愛げのある方だというつもりはありません。
寧ろ、無愛想でとっつきにくいタイプだった事でしょう。
しかし、だからと言って、こうして色々と私のために働いてくれている人に対して、意地を張るような事はありませんでした。
それは須賀君相手でも同じであり…こうして身体を重ねるようになるまではそれなりに良好な関係を築けていたのです。
和「(本当…自分でも嫌になります…)」
須賀君の周りにいるのは私だけではありません。
素直で愛らしく、護ってあげたくなるタイプの神代さんが傍にいるのですから。
その上、私は良く知りませんが、要所要所で須賀君を導いてきた上重さんの存在も大きいでしょう。
そんな中、一人だけこうして意地を張ってしまう自分が何とも情けなく、そして置いて行かれる感があるのでした。
和「(…勿論…旦那様は一番だと言ってくれていますが…)」
ですが、その一番が果たして何時まで続くのかなんて誰にもわからない事なのです。
少なくとも…私はそう思うくらいに、他の二人を脅威に感じていました。
二人共…私に持っていないものを持っていて、須賀君にも心を許されているのですから。
そんな二人に対して勝っていると胸を張れるようなものなんて、私には何一つとしてありません。
和「(も、勿論…一番に固執する理由なんて…ないんですけれど…)」
そう。
そんなもの、何処にもありません。
たまに愛を囁く事もありますが、それは所謂、睦言であり、本気ではないのですから。
あくまで私達の関係の基準は『部活仲間』の域を出ず、それがおかしな条件で歪んでいるだけに過ぎません。
その条件が須賀君の努力によってなくなってしまえば、私たちは元の関係に戻れるでしょう。
和「(…それが逃げである事くらい私にだって分かっているんです)」
怖くて…深く須賀君に聞いた事はありません。
ですが、須賀君は確かに…私のことが好きだと言ってくれているのです。
私が一番だと…愛玩奴隷にして一生、飼いたいと言うそれは、ただの睦言と片付けるには情熱的過ぎるものでした。
それを理解しながらも、私は須賀君に返事を返す事はなく、このぬるま湯のような関係に甘んじ続けているのです。
和「(だって…裏切れないじゃないですか…)」
もし、気づいて…答えてしまったら、きっと須賀君は私の事をとても大事にしてくれる事でしょう。
今だって意地悪く私を責め立てながらも本当に無茶な事はしませんし、後片付けだって率先してやってくれるのですから。
それは恋人という絆で結ばれるようになったとしても変わらず、いえ、きっとそれ以上に私へと向けられるはずです。
それが…欲しいという気持ちは、正直…自分でも否定しきる事が出来ないほど大きなものでした。
和「(…その為には多くのものを犠牲にしなきゃいけないんです…)」
部活の事や友人の事。
それはまだ高校1年生の少女にとっては世界の大半を占めるくらいに大きなものでした。
それらを犠牲にして…須賀君が欲しいと言えば、彼はその空白を埋めるくらいに私を愛してくれると分かっています。
しかし、そんな私たちの後ろで涙を堪える人たちのことを思えば、自分の欲求に素直に従う事なんて出来ません。
睦言として口走るならともかく…普段からそこまで自分勝手になる事は出来ないのです。
和「(結局のところ…私が変に意地を張ってしまっているのもその辺りが原因なんですよね…)」
自分を必要以上に律しなければ、私は須賀君に甘え続け、何時かは何もかもを投げ出したくなる事でしょう。
まぁ、その分、『旦那様』相手にはまるで子どものように甘えてしまっているんですが…それはさておき。
そうやって片意地を張ろうとするからこそ、私はギクシャクとしてしまい、須賀君に対して素直になれません。
仕方ないとは分かっているものの、そんな自分に嫌気が差した私は再び小さなため息を吐きました。
京太郎「せぃ」
和「…ふにゃ!?」
そんな私の頬を須賀君は無造作に摘みました。
そのままふにゅりと引っ張る須賀君に私はつい猫のような声をあげてしまいます。
それに須賀君が目の前でニヤニヤとした笑みを浮かべるのが無償に恥ずかしく、そして悔しく思えました。
交わりの時はそれなりに従順ではありますが、私の基本的な性格はやっぱり負けず嫌いなのです。
和「…にゃにするんですか」
京太郎「いやぁ和が可愛くって」
そう言いながらジト目を向ける私の前で須賀君はクスリと笑って手を離しました。
瞬間、頬が元に戻りますが、それが…少し寂しいと思ってしまうのは奴隷としての性でしょうか。
例え、それが悪戯めいたものであっても、構って貰えたというだけで喜んでしまうのでした。
京太郎「何考えてるのか知らないけど、あんま思いつめるなよ」
和「ぅー…」
その上、そうやって優しい言葉をくれるのですから…本当に須賀君は質が悪いです。
ここで適当に放っておくような人であれば、私はこんなにも悩むことはなかったでしょう。
しかし、須賀君は人の痛みに敏感で、そして暖かな人であるが故に…私はこんなにも悩まされているのです。
それに一つ唸り声をあげますが、須賀君の微笑ましそうな表情は変わりません。
和「(まったく…誰の所為だと思ってるんですか…)」
そんな須賀君に胸中でだけ呟く言葉は、思いの外、甘いものになっていました。
気を抜けば頬がにやけてしまいそうなそれは…そうやって須賀君に悩まされるのが嫌なだけではないからなのでしょう。
勿論、苦しいし、辛いし…逃げたいと思う事は何度もあります。
しかし、その優しさに触れる度に胸が暖かくなってしまうのは否定しようのない事実でした。
京太郎「俺で良いんなら、何時でも相談に乗るし…さ」
和「あ…♥」
そう言ってポンと私の頭に触れてくれる須賀君に思わず甘い声を漏らしてしまいました。
まるで子どものような無邪気な喜びを示すそれに数瞬遅れて私の顔が赤くなります。
カァァと羞恥を示すそれに須賀君は笑みを深めながら、ナデナデとそのまま私を撫でてくれました。
まるで慰めるような、それでいて子ども扱いするようなその仕草に私は羞恥とは違う感情で熱くなっていくのです。
和「じゃあ…一つ聞いて良いですか?」
京太郎「おう。どんと来い。3サイズからチンポの大きさまでばっちり答えてやる」
和「そっ、そんな情報要りません」
私の言葉に冗談めかして答えながら、須賀君はそっと頷いてくれました。
それに心強いものを感じながらも、私はそうキッパリと返します。
まぁ…その…オチンポの大きさは気にならなくはないのですが、今はそういう場合ではありません。
別に後で測らせて貰う事も出来ますし、わざわざ聞くまででもないのです。
和「…須賀君は自分が欲しいものを手に入れる為に…大事な人たちを傷つけたり夢を諦めなければいけなかったら…どうしますか?」
そう自分に言い聞かせながらポツリと応えた私の言葉は…微かに震えていました。
私にとってはそれを口にするだけでもとても勇気のいる事だったのでしょう。
目を背けなければどうにかなってしまいそうな心を直視しなければいけないのですから当然です。
ですが、そうやって自分とほんのすこし向き合ってでも…私は誰かに自分の辛さを吐露したかったのでしょう。
京太郎「俺なら…全部、諦めねぇよ」
和「え…?」
そんな私に答える須賀君の言葉は、とても力強いものでした。
まるで自分の中でもう覚悟を決めているようなそれに私は思わずそう聞き返し、瞳を覗きこんでしまいます。
そこには私ではない遠いものを見つめながら、けれど、揺らぐ気配のない力強い意思がありました。
一体、それが何に向けられているのかは分かりませんが、須賀君が何か決意しているのは確かなようです。
和「でも…どう頑張っても…ダメなんですよ?」
京太郎「それでも…最後まで足掻いてみるさ。例え、全部取りこぼす事になっても…な」
勿論、そうやって決意を固めた須賀君に、そんな事を言っても無駄なのでしょう。
そんな事はこうして言う前に分かりきっていました。
それでも…そうやってダメだと告げたのは、恐らく…須賀君に嫉妬しているからです。
一人覚悟を決めて、リスクも飲み込んだ上で…努力しようとしているその真っ直ぐさは私にはないものなのですから。
ウジウジと一人思い悩み、須賀君に素直になりきる事が出来ない私にとってそれはあまりにも眩し過ぎるのでした。
和「それは…エゴじゃないんですか?」
京太郎「エゴだろうな。でも、だからって言って何もしなきゃ…それこそ全部、取りこぼすだろ」
和「それは…」
力強く言う須賀君の言葉は…確かに事実でしょう。
リスクを恐れて何もしないなんて言うのは決して解決策にはならないのですから。
問題を先延ばしにするようなそれでは、何かが変わったとしてもきっと後悔しか生みません。
それならばエゴでも行動した方が後悔しないと言う須賀君は自分勝手ではありますが、正しいのでしょう。
京太郎「まぁ…これはあくまで俺の考えであって絶対的に正しいって訳じゃない。少なくともエゴって和の指摘は真っ当なものだしな」
そう言いながら、須賀君はクスリと笑いました。
何処か底抜けな明るさを感じさせるそれは、いっそ開き直っているようにも思えます。
しかし、私にとってその明るさは羨ましく見えました。
そうやってリスクを覚悟し、前を向いている事がはっきりと伝わってくるからでしょうか。
少なくともうじうじと悩んでいる私よりはよっぽど健全で正しいように思えるのでした。
京太郎「だから、和は和なりに考えてくれ。例え、それが何かを取捨選択するものでも、それが和が考えた末に出した答えなら支持するし、手伝いもするからさ」
和「私は…」
勿論、私だって諦めたくはありません。
友達は大事ですし…麻雀部という居場所もとても心地良いものなのですから。
何より…須賀君に対しても…本当はもっと素直になりたいと思っているのでした。
それらを捨てる事を選べないからこそ…私はこうして悩んでいるのです。
そんな私にとって、『全部諦めない』というのは確かに魅力的な答えではありました。
でも…失敗したら全てを失ってしまうリスクを思って…実行出来るほど私は強い女ではないのです。
和「…須賀君は…私のことを見捨てませんか…?」
そう思った瞬間、私の口からそんな弱々しい言葉が漏れだします。
ポツリと呟くようなそれに私は自分で驚いていました。
だって、それはどんな結果になったとしても、最低限、須賀君だけでも確保しようとしているような言葉だったのですから。
どんな事をするつもりなのかも告げず、ただ口約を求めるそれは卑怯を通り越してエゴイスティックと言っても過言ではないものでしょう。
少なくとも…決してフェアとは言えないその言葉に私は自己嫌悪を覚えました。
京太郎「見捨てる訳ないだろ」
和「ん…ぅ…♪」
しかし、須賀君はそんな私の事を受け入れてくれました。
まるでなんて事のないように力強く笑い飛ばすようなそれに…私の胸はトクンと脈打ちました。
甘い感覚を広げるそれに、私は思わず小さく声を漏らしてしまいます。
京太郎「どんな事になっても…俺は和を見捨てたりなんかしない。必ず…和を幸せにしてみせる」
和「須賀…君…♥」
瞬間、告げられるまるでプロポーズのような言葉は…正直、卑怯でしょう。
ただでさえ…胸をときめかせている私を…さらに甘い感覚へと誘うのですから。
蕩けるような甘い歓喜と幸福感が混ざり合ったそれはもう心地好さと言っても過言ではないほどに大きいものでした。
流石に射精される時ほどではなくても、私をうっとりとさせてくれるその感覚に私は須賀君に潤んだ目を向けてしまいます。
京太郎「はは…悪いな。こっちばっかり語っちゃってさ」
そんな私の前で須賀君は恥ずかしそうに頭を掻きながら、視線を背けました。
その頬は微かに紅潮し、彼が羞恥を覚えている事を私に伝えます。
プロポーズめいた発言をしたのですから、それも当然なのでしょう。
そう思う一方で…そんな須賀君が無性に可愛く…そして胸が疼きを覚えてしまうのです。
和「いえ…聞いたのは私の方ですし…参考になりましたから」
それを抑えながら、私は須賀君にそっと首を振りました。
多少、驚いたのは事実ですが、それは決して否定的なものではありません。
寧ろ、プロポーズのような発言に…その…ちょっと悔しいくらいに喜んでいるのが現状でした。
それに何より…悩みを聞いてもらえて楽になったのですから、須賀君が謝る事なんてありません。
和「寧ろ…こっちが謝りたいというか…その…申し訳ないというか…♪」
京太郎「ぅ…」
そう言いながら、私の身体はスッと須賀君の方へと擦り寄りました。
ただでさえお互い裸の状態でそうやって密着すれば、我慢出来なくなるでしょう。
そんな事は私にも分かっていたが故に…今まで距離を取っていたのです。
けれど、こうやって須賀君に一杯、暖かくされて我慢出来るほど私は堪え性のある女ではなかったのでしょう。
まるで身体が求めるようにして、その距離を詰め、須賀君へと抱きついてしまいました。
和「(ううん…っ♪求めてるのは…身体だけじゃなくって…心も…なんですね…♥♥)」
そうやって須賀君に触れた瞬間、私の胸はジィンと感動に震えました。
まるで本当はそれがずっと欲しかったのだと言うような自分の反応に、私はクスリと笑みを漏らします。
興奮で何処か艶めいたそれを見つめながら、須賀君もまた熱い吐息を漏らしてくれました。
私と同じく…強く興奮し、交尾の相手を求めている…ケダモノの姿。
それにお腹の奥がキュンと疼き、愛液を滴らせるのを感じながら、私はそっと口を開きました。
和「ご主人…様…ぁ♥」
京太郎「…発情するの早すぎだろ」
甘く須賀君を…いえ、ご主人様を呼ぶ私の言葉に、ご主人様は呆れたように返しました。
しかし、その顔は欲情を滲ませ、私の太ももに硬い感触が押し当てられるのです。
何時から硬いままなのかは分かりませんが、その滾りはついさっき流れこみ始めたものではないのでしょう。
まだガチガチに勃起している訳ではないとは言え、ご主人様のオチンポは既に私の肌を押し込んでくるのですから。
和「だって…ご主人様があんな嬉しい事言うからぁ…♥」
京太郎「優しくする度に発情されてたら身がもたないっての」
私の言葉にご主人様はそう返しますが、その興奮は決して下火になりません。
寧ろ、私が身を寄せれば寄せるほどオチンポが滾りを増して、ドンドンと硬くなっていくのです。
何だかんだ言いながらも…ご主人様の獣欲は、まだ満足しきってはいないのでしょう。
そして、それは私も同じでした。
こうしてご主人様の逞しさに身を委ねるような形になれば、自然、私の中で興奮が強くなっていくのですから。
失神するまで犯して貰ったのに未だ欲情する貪欲な子宮は…もうさっきから愛液を垂れ流していました。
京太郎「俺を帰さないつもりか?」
和「帰って…欲しくない…です…♥」
勿論、最初からそんなつもりではありませんでした。
ご主人様には実家があり、今もその為に洗濯をしているのですから。
期待していなかったと言えば嘘になってしまいますが、こうやって言葉にするつもりなんてなかったのです。
しかし、こうして夜も更け、身体に火が入った私にとって…それはもう目を背けられない欲求でした。
夜明けまで思いっきり犯して…また失神するまで貪って欲しい。
どうしてもそう思う思考が止まらず、私の胸をドキドキとさせるのです。
京太郎「そんな我儘な奴隷には…お仕置きが必要だな」
和「きゃぅぅ♪♪」
そんな私をベッドへと押し倒しながら、ご主人様は耳元で甘く囁いて下さいました。
それだけで甘い快感を胸から湧き上がらせる私の首筋に、ご主人様は何度もキスを落とします。
まるで私が自分のものなのだと教えこむようなそれに私の背筋は甘い幸福感を脳へと伝えました。
ご主人様に求められているのだというその甘い幸福感に私はそっと目を細めながら、ご主人様に手を伸ばし… ――
―― そして次の日、私たちは二人仲良く遅刻してしまったのでした。
【System】
原村和の屈服刻印がLv3になりました。
原村和は心まで恭順し始めているようです。
原村和は自分の感情を認めることにしたようです。
次は姫様だけど、明日はちょっと用事があって無理
また投下出来る様になったらアナウンスします
後は投下するだけなのでエタったりしないので安心してください
おつー
のどっちエロすぎだよ
あとは姫様レベル3にしてひと悶着あってエンディングかな?
>>349
are的に言えばもうここでエンディング迎えてもおかしくないですし…
後、今まで全員Lv5になってからエンディングって話でしたが、プロット見直した結果、一つ減りました
なので全員Lv4になってから→エンディング→全員Lv5到達の流れになります
京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだよ
あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実
それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ
>>204
>百合漫画→あんたがそう受けとるのは自由だが他の受けとり方もあることくらい知っておこうな。どちらが正しいなんて人の受けとり方によるんだから。
咲-Saki-は百合雑誌でも紹介されるほどの百合漫画
ヘテロは許されない京豚は朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。
>男は汚い物→同じ人間には変わりないし雌だけだと繁殖できないだろ。よって雄雌に貴賓はない。
少なくとも咲-Saki-の世界では男は不要
iPS細胞で同性婚も夢じゃない
>いちゃついてる~→とりあえずこのスレではそんなことを女子同士でしてない。原作?読んだこと無いから知らんが二次創作だから>>1の好きなようにすればいいだろ。
してますが?
>作者が百合好き~→前述の通り受けとり方は自由。そしてこれも前述の通り二次創作だから好きにすればいい。
過去作みれば分かるが立は 百合好き
>百合がマイナー~→別にマイナーとかマイナーじゃないとか関係ないだろって話だし好きなものなんか人それぞれだろ。
咲-Saki-では百合が至高
>性欲のために~→人の好みは好き好き。後京豚は馬鹿にされる云々は今現在してる奴から言われてもねぇ…って話。
キャラを性欲のはけ口にするなks
ハイ論破完了~w。
霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」
霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」
初美「そうなんですかー?」
霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」
霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」
霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」
初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」
霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」
霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」
>>384
黙れ!
ゴミみたいなSSで咲-Saki-を汚すんじゃねえ
>>1は自己批判しろ
今日は連絡なしでごめん
明日もちょっと用事は入って無理そうです
ただ、明後日は時間作れたんで投下します
>>391
気持ち悪いSSで作品汚して楽しいか?
普通にエロパロで書いた方がいいだろ
荒れるのは分かってるんだから
ID:jHmKIAo1o「 こいつも糞豚と一緒に焼依頼出しとくか (キリッ」
ID:jHmKIAo1o「歴然とした荒らしなんだし当然の処置(キリリッ」
遅くなってごめん
22:30から始めます
2-4突破出来たのでそろそろ始めます
オリジナル能力やアナル責め注意です
【清澄麻雀部室】
まこ「もう少しで秋季大会じゃが…今日から清澄麻雀部に入ってくれる滝見さんじゃ」
春「滝見春。よろしく。皆の邪魔をするつもりはないから…」
まこ「まぁ、滝見さんはそう言っとるが、秋季大会はオーダーを途中で変える事も可能じゃ」
まこ「実力そのものは直接当たったわしらが知っとるし、まずは色々とオーダーを試してみたいんじゃが…」
優希「異論はないじぇ」
咲「うん。私もそれで良いと思う」
和「えぇ。部長さんなら任せられます」
小蒔「私もまこちゃんなら安心です」
まこ「うんうん。皆ならそう言ってくれると思っとった」
まこ「という訳で…こっちとしては滝見さんにも参加して貰った方が嬉しいんじゃが…」チラッ
春「そう言われると断れない…」
まこ「はは。すまんな」
まこ「ただ、どの道、来年のインターハイには一緒にやるんじゃ。遅いか早いかの違いじゃろ」
まこ「と言う訳で初戦のオーダーじゃが…先鋒は優希」
優希「はい」
まこ「次鋒は滝見さん」
巴「はい」
まこ「中堅はわしで副将は和」
和「……」
まこ「ん?和?」
和「あ…すみません」
まこ「どうした?」
優希「具合、悪いのか!?保健室行くか!?」ワタワタ
咲「大丈夫?」
和「え、えぇ。大丈夫です」
和「ただ…その…今回は私…お休みでも良いでしょうか?」
まこ「え…?」
和「今のままの私では皆さんの足手まといになってしまいますし…」
まこ「わしはそうは思わんが…」
優希「そうだじぇ。新人戦でいい所まで行ったし、のどちゃんは相変わらず強いままだ」
和「それでも…今の私で透華さんや東横さんに太刀打ち出来るとは思えません」
和「実際…新人戦で私は東横さんに負けてしまった訳ですし」シュン
優希「それは…東横さんがのどちゃんを狙い撃ちにしてたと言うか…」
咲「それに私だって一回戦で東横さんに負けちゃったし…」
和「でも…結果、私は三位になってしまいました。それは否定しようのない事実です」
まこ「だからって何も全部、休む必要はないじゃろうに」
咲「そうだよ。副将がダメなら他のところで出ても…」
和「メンバーが足りないならまだしも、今の清澄は団体戦に出られるだけの数があります」
和「私を無理に活かそうとする必要はないでしょう」
和「それよりも私の代わりに神代さんを一試合でも多く出してあげて下さい」
小蒔「えっ」
和「神代さんは今、新しい打ち方を模索してる最中です」
和「それを形にするために必要なのは少しでも多い実戦経験でしょう」
小蒔「で、でも…私…」アセアセ
和「…大丈夫ですよ。今の神代さんならそう簡単に負ける事はありません」
和「それに…後ろにはフォローしてくれる方がついてくれるんですから」
まこ「まぁ…そうじゃな。小蒔の今の成績じゃ大将起用はちょっと難しいし…」
まこ「相手にもよるけど、基本的にわしか咲が大将を務める事になるだろう」
まこ「和もこう言ってくれとる事じゃし、後ろはわしらに任せて気軽にやってしまえば良いと思うぞ」
小蒔「まこちゃん…」
和「ほら、部長もこう言ってくれていますし…ね」
小蒔「…でも、突然、入った私の為に原村さんが抜けるなんて…」
和「良いんですよ。今よりも明日です」
和「神代さんがここで経験を積む事は必ず、来年の清澄の為になるんですから」
和「それに…私の方はまだちゃんとした成果が出る気配がありませんし…」
和「戦力的にも神代さんが入ってくれた方がプラスになるはずです」
小蒔「原村さん…」
小蒔「…分かり…ました。不安ですけど…でも…やってみます」グッ
まこ「ん…じゃあ、話は纏まったな」
まこ「初戦の副将は小蒔で、大将は咲」
小蒔「はい!」
咲「はい」
まこ「途中でオーダーも変えるかもしれへんけれど、とりあえずはこれで行く」
小蒔「初戦の相手しか知らされてないんでしたっけ?」
まこ「うむ。秋季大会はメンバーの入れ替え可能じゃし、不平等を少しでもなくす為じゃな」
まこ「観戦室もあるが、ブロックまでは分からんし、本当に揃う直前まで相手は謎のままじゃ」
まこ「そういう意味じゃ先鋒起用安定で速攻高火力な優希がうちにいるのは有難いの」
優希「ふふーん」ドヤァ
まこ「…ドヤ顔する前に点数調整の一つでも覚えんか」ピシッ
優希「ひゃぅ!」
まこ「(しかし…今の清澄の戦力は異常じゃな…)」
まこ「(ほぼ全員が全国区で活躍できる打ち手な上に、一年が四人もおる)」
まこ「(特に咲、和、小蒔の三人は雑誌でも注目されとるくらいの打ち手じゃ)」
まこ「(去年のわしらがそうだっただけに安心する訳にはいかんが…)」
まこ「(そう簡単に無名校相手に負ける戦力じゃない)」
まこ「(…と言うか下手したらわしがスタメン落ちしてもおかしくないレベルじゃな)」ハハッ
まこ「(ほんの一年前には団体戦に出る事だけでも夢みたいだったのに…こんな事になるとは)」トオイメ
まこ「(嬉しいのは嬉しいが…なんとなく複雑な気分じゃな…)」
小蒔「まこちゃん?」
まこ「あぁ…すまん。何でもない」
まこ「(馬鹿な事考えとらんで気持ちを切り替えんとな)」
まこ「(鶴賀は人数不足で出れないって話だし…本気で警戒するべきは風越と龍門渕くらいじゃろ)」
まこ「(特に龍門渕は天江衣が恐ろしいが…全国でさらに一回り大きくなった咲が勝てない相手じゃない)」
まこ「(和は辞退したのは予想外じゃったが…代わりになる人はおるし)」
まこ「(それもこれも全部… ―― )」
京太郎「終わりました?」ヒョコ
小蒔「京太郎様~♥」ガバッ
京太郎「よっと…」ダキッ
京太郎「いきなり抱きついたら危ないって何時も言ってるだろ」ナデナデ
小蒔「ふわ…ぁ♪」
和「まぁまぁ。神代さんも寂しかったんですよ」
小蒔「そうです!何も会議するからって外に出なくても良いじゃないですか」
京太郎「女子の打ち合わせに俺がいたってやる事ないだろうに」
小蒔「それでも…傍にいて欲しかったです…」スネー
京太郎「…」
小蒔「…欲しかったですー」ジー
京太郎「そうやって拗ねてる小蒔にはアイスはなしな」
小蒔「え、えぇぇ!?ご、ごめんなさい!!」
京太郎「んで、ついでですし、買い出し行って来ましたよ」
まこ「何時もすまんのぅ」
京太郎「何、何時もの事でしょうお婆さんや」
まこ「誰がお婆さんか」ツネー
京太郎「い、いひゃいっす」
まこ「まったく…わしはまだまだ若いんじゃぞ」ハナシ
京太郎「はい。部長は若くてお美しい素敵な方ですよっと…」ガサガサ
京太郎「んじゃ、適当にそこの袋から好きなの選べよ」
咲「京ちゃんは?」
京太郎「俺は残ったので良いよ。完全に趣味で選んできたし」
優希「…ダッツは?」
京太郎「ある訳ないだろ、タコス」
優希「気が利かない奴め…これだからお前は京太郎なんだじぇ」ヤレヤレ
京太郎「お前は今、全国の京太郎さんに喧嘩売ったぞこら」グリグリ
優希「あぅー」ジタバタ
咲「って…これ…何?」
京太郎「あぁ、それか。それは春の分」
春「…え?」
京太郎「流石に黒糖アイスはなかったんで黒糖の飴を買っといたぜ」
春「」パァァ
京太郎「勿論、普通のアイスもあるから適当に選んでくれよ」
優希「…なんか私と露骨に扱いが違わないか?」
京太郎「そりゃお前、優希に優しくしても…なぁ」ジー
優希「やん♪京太郎のエッチー」カクシ
京太郎「…はぁ」
優希「おい今のため息はどういう事だコラ」
京太郎「いや、優希だって諦めずに居れば、AAから脱出出来るって」ポン
優希「こ、これでも一応、Aはあるもん!!!!」キシャー
咲「えっ!?」
優希「ちょっと待ってなんでそこで咲ちゃんが驚くんだじぇ?」
咲「う、ううん…な、何でもないよ!!」
咲「(…実は私、AAだなんて…絶対に言えない…!!)」
小蒔「むー…京太郎様!」
京太郎「ん?」
小蒔「わ、私だってその…おっぱい大きいですよ!」
京太郎「お、おう」
小蒔「だから、もうちょっと私にもこう…スキンシップをですね」
春「…嫉妬?」
小蒔「ち、違いますー!違いますけど…その…」カァァ
京太郎「んー…」
小蒔「」チラッチラッ
京太郎「…さっきいきなり抱きついてきたからそういうのなしで」
小蒔「」ガーン
和「そ、それより…須賀君、外は大丈夫でしたか?」グッ
京太郎「あぁ。まぁ曇りだったけど雪とか雨はなかったぜ」
京太郎「でも、そろそろ本格的に防寒具はいるかもな」
和「そ…そうですね。最近は急激に冷え込んできましたし…」グイグイ
小蒔「私なんかは最近はもうコートが手放せません…」
京太郎「鹿児島から比べるとぐっと冷え込むもんなぁこっち」
京太郎「大会も近いんだし、暖かくして、風邪とか引かないように気をつけろよ」ナデナデ
小蒔「はい…♪」
和「…結局、構っちゃってるじゃないですか」クスッ
京太郎「あ…しまった…つい撫でやすい位置に小蒔がいたからつい…」
小蒔「えへへ…私の勝ちですね♥」
京太郎「悔しいけど、その通りだなー。くそぅ…」
京太郎「ところで…和はさっきから何をやってるんだ?」
和「え…?」
京太郎「その…胸の下で腕を組むみたいな…」
和「こ、これは…その…」カァァ
小蒔「原村さんも…京太郎様に構って欲しいんですか?」
和「そ、そんなオカルトあり得ません!!」マッカ
京太郎「はは。まぁ、和が良ければ幾らでも構うけれどな」
和「えっ…」
小蒔「えー…原村さんだけズルいです…」
京太郎「小蒔はさっきズルして撫でられたからダメ」
小蒔「むぅーまこちゃんに言いつけて来ます!」
まこ「こらー京太郎。あんまり小蒔を虐めるんじゃないぞ」ハム
春「…じゃあ、私は黒糖くれたし京太郎に着く」
まこ「なん…じゃと…」
咲「え…えっと、じゃあ、私は神代さんの方に…」
優希「私も勿論、神代さんにオールインだじぇ!」
春「…孤立無援…」
京太郎「はは。分の悪い闘いになっちまったな」
春「でも…京太郎と一緒なら…悔いはない」
京太郎「春…お前…」
春「私は何時だって京太郎の味方だから…」ニコッ
京太郎「勝てる目算の殆どない闘いなんだぞ?」
春「それでも…死ぬ時くらい一緒が良い」
京太郎「馬鹿…」
春「知らなかった?恋する乙女なんて何時だって愚かな生き物」クスッ
小蒔「…むぅ…」プクー
まこ「なんか美味しいところだけ持っていかれたなぁ」ケラケラ
和「まさに役者が違うって感じですね…」
咲「まさか…神代さんだけじゃなくって滝見さんまで…?」
優希「本当、京太郎は鹿児島で何をしたんだじぇ…」
京太郎「まぁ…その辺はプライバシーなアレコレって事で黙秘権を行使します」
京太郎「それにこんなの冗談の一環だろ。本気にしたら春に悪いって」
春「……」
咲「(冗談…なのかな?)」
まこ「(その割りには…一瞬、目がマジだったと思うがな)」
優希「(京太郎は変な所で鈍感だからなー)」
京太郎「それよりほら、暖房入ってるんだし、和も早く食べないとアイス溶けるぞ」
和「え…あ…」
京太郎「どうした?」
和「…あの…えっと…」スッ
京太郎「ん?」
和「……」カガミ
京太郎「???……あ」ポム
京太郎「…」ナデナデ
和「あ…♥」
小蒔「ぅ~…今度は原村さんに…京太郎様を取られちゃいました…」
和「べ、別に取った訳じゃ…はぅ♪」ニヘラ
小蒔「その割りには顔が嬉しそうです…」プクー
京太郎「仕方ないな…ほら、小蒔」
小蒔「えっ…?」
京太郎「ちょっと曇りだけど、テラスの方行こうぜ」
優希「あー!それ私の特等席なのに!」
京太郎「悪いな、ちょっと貸しといてくれ」
優希「…仕方ない。その代わり後でタコスな」
京太郎「…買い出し行くだけだぞ」
優希「ちっ…ケチンボめ」
京太郎「別にそれが嫌なら何もなしでも構わないんだぜ?」
優希「ごゆっくりどうぞー」
京太郎「まったく…現金な奴め」
【テラス】
京太郎「それで…どうしたんだ?」
小蒔「え…?」
京太郎「最近はあんまり人前で抱きついたりしなうなったのに、今日は人一倍、感情の起伏が激しいだろ?」
京太郎「だから、何かあったのかなって思ってな」
京太郎「勿論、俺の思いすごしなら良いんだけどさ。もし、何かあったんなら、相談に乗るぞ」
小蒔「…ふふっ♪」
京太郎「ん?」
小蒔「いえ…すみません」
小蒔「やっぱり…京太郎様は凄いなって…そう思って」
京太郎「凄くなんかないって。小蒔の様子がちょっと変なのは多分、部長も気づいてたし」
京太郎「春辺りも間違いなく分かってたはずだしな」
小蒔「それでも…こうして私に手を差し伸べてくれたのは京太郎様なんです」
小蒔「私にとって最高の…身も心も捧げたくなるくらい素敵な婚約者さんなんですから…♥」
京太郎「あんまりそうやって持ち上げるなよ、恥ずかしくなるだろ」ポリポリ
小蒔「ふふ…♪でも、本心ですから」
京太郎「あー…もう…小蒔は時々、素直過ぎてやりづらいな」
小蒔「そんな私はお嫌いですか?」
京太郎「可愛くて堪らないからやりづらいんだよ」ナデ
小蒔「あふ…ぅ♪」
京太郎「そうやって目を細めて幸せそうにされると何でもしてやりたくなるからなぁ…」
小蒔「京太郎様が傍にいてくれるなら…何時だって今の私が見れますよ」
京太郎「それは魅力的な気がするけど…甘やかし過ぎて石戸さんたちに怒られそうだ」
小蒔「その時は駆け落ちでもしてみますか?」
京太郎「そんな事になったら石戸さんたちに地の果てまでも追いかけられそうだなぁ…」
小蒔「その時は私が霞ちゃんたちも巻き込んじゃいます♪」グッ
京太郎「六人での駆け落ちかぁ大所帯になるなぁ…」
京太郎「でも、まぁ…小蒔と一緒なら駆け落ちも悪くないって思えるよ」
小蒔「はぅん…♥」
京太郎「それで…結局、何があったんだ?」
小蒔「…秋季大会の事です」
京太郎「あぁ…そろそろだったもんな。もしかして部長に外れてくれって言われたのか?」
小蒔「いえ、まこちゃんはそんな事言いません。寧ろ…逆です」
京太郎「逆?」
小蒔「原村さんが今回完全に不参加を表明して…代わりに一試合でも多く私を出してあげて欲しい…と」
京太郎「あぁ…なるほど」
京太郎「それで…プレッシャーだったって訳か」
小蒔「…はい…」シュン
小蒔「私に…原村さんの代わりが務まるでしょうか…?」
小蒔「未だに原村さんに勝つ事の出来ない私では…逆に皆の足を引っ張ってしまうのではないでしょうか…?」ブル
京太郎「(…ここで小蒔が和の代わりになるのは簡単だ)」
京太郎「(小蒔が持つ巫女としての力を使えば、今の和をまくる事はそう難しくないんだから)」
京太郎「(だけど、小蒔はそれを意図的に使わないようにする為に頑張っているんだ)」
京太郎「(和だって…きっと勝つ為に今まで積み重ねてきたものを壊すようなやり方を望んでいる訳じゃない)」
京太郎「(きっと小蒔に自分自身の力で戦って欲しいからこそ、そうやって自分の枠を譲るような真似をしたんだろう)」
京太郎「(だから…ここで能力に関して言及する事は出来ない)」
京太郎「(それを抜きにした小蒔の力だけを話題にして…彼女を元気付けなけきゃいけないんだ)」
京太郎「(それを難しい…なんて言ってる場合じゃないよな)」
京太郎「(何時かはぶち当たる壁と思っていたでかい壁が小蒔に立ちはだかってるんだ)」
京太郎「(『最高の婚約者』なんて持ち上げられた俺がそれをスルーする訳にはいかないだろ)」
京太郎「(せめて…さっきのように小蒔が無理して明るく振舞ったりしなくてすむくらいに緊張を和らげてやらないとな)」
京太郎「…小蒔は強くなっていってるよ」
京太郎「今だって俺から見た実力差がグイグイ離されてるし、逆に和にドンドン近づいて行ってる」
京太郎「最近は和相手に逆転の手が入ったり、途中まで一位になれてた事も少なくないだろ?」
小蒔「それは…そう…ですけど…そう云うのを緊張して…取りこぼしてしまうのが今の私で…」シュン
小蒔「大会は…もっと緊張すると思います…だから…きっとミスも増えて…」
京太郎「そもそも…それが間違いなんだよ」
小蒔「え…?」
京太郎「何で大会だと緊張するんだ?」
小蒔「それは団体競技で…私の失点が皆の迷惑に…」
京太郎「…あいつらがそんな失点ものともすると思うか?」
京太郎「言っとくけど戦力だけで言えば、今の清澄は全国でも指折りのやばさだぞ」
京太郎「インターハイの試合を見て『魔王』だなんて不名誉な称号をつけられた咲含め、全国クラスばっかりなんだからな」
小蒔「あ…」
京太郎「そうやって不安に思うこと自体、小蒔は皆を信頼出来ていないんだよ」
京太郎「現に…永水だったらどうだった?」
小蒔「…先鋒で…安心して後ろを任せていました」
京太郎「それは皆ならば多少の失点は取り返してくれるって信じていたからだろ?」
小蒔「…はい…」
京太郎「勿論…それはきっと石戸さんや薄墨さん、狩宿さんの存在が大きかったんだと思う」
京太郎「そもそもこっち来てまだそんなに経ってないのに、それだけ信頼しろって言う方が無茶だ」
京太郎「でも…その無茶をねじ曲げて…俺は小蒔に皆のことを信じて欲しい」
京太郎「アイツらなら絶対に…小蒔がどんな戦い方をしても勝ってくれる」
京太郎「だから…小蒔にもそんな風に緊張しないで麻雀を楽しんで欲しいんだ」
小蒔「麻雀を…楽しむ…」
京太郎「自分だけじゃなくって他人の命運まで掛かってるんだ。それは難しい話なのかもしれない」
京太郎「でも、俺は…麻雀で『勝った』と言える奴は一番、楽しんだ奴だと思う」
京太郎「所詮、麻雀なんて娯楽なんだ」
京太郎「例え、最下位でもその人が楽しんでいたら勝ちだし、トップでも歯ごたえのなさにイライラしてたら負けだろう」
京太郎「勿論、これは俺の考えで、小蒔に押し付けるつもりはない」
京太郎「だけど…どうせなら俺は小蒔にそんな風に勝てる奴になって欲しい」
京太郎「そうすれば…きっと小蒔だって自分の本当の実力を発揮出来るはずだから」
小蒔「私の…本当の実力…」
京太郎「あぁ。小蒔はもっともっと強くなれる」
京太郎「神降しがどうとか巫女としての力がどうとかじゃない」
京太郎「今もミスして取りこぼしてるそれを…取りこぼさないような雀士になれるはずなんだ」
京太郎「そうすれば…小蒔は和にだって負けない全国クラスのデジタル打ちだ」
京太郎「多分、和が自分の枠を譲ってまで小蒔になって欲しいのはそういう打ち手なんだと思う」
京太郎「はは…下らない事ばっか語っちゃって悪いな」
京太郎「要点だけ伝えれば…まぁ、楽しんで打てばきっと勝てるっていうろくなアドバイスじゃないんだけど」
小蒔「いえ、とても参考になりました」ペコリ
小蒔「私…頑張ってみます」
小蒔「勝つ事じゃなく…楽しむ事を…」
小蒔「…新人戦の時の京太郎様のように…楽しんで打ってみたいと思います」
京太郎「あー…まぁ、あの時の俺はボロボロでまったくいい所なしだったんだけどな」ハハッ
小蒔「いいえ。とても格好良かったです…!」グッ
小蒔「今、こうして…京太郎様の考えを聞いて…改めて…そう思いました」カァ
小蒔「やっぱり京太郎様は…私にとって最高のお方です…♥」ギュッ
京太郎「ん…有難うな」
京太郎「そう言ってくれると…俺も嬉しいよ」ナデ
京太郎「それで…小蒔は大体、何処に配置される予定なんだ?」
小蒔「とりあえず初戦は副将という形でした」
京太郎「あー…なるほど。和の代わりに置くって事か…」
京太郎「(そして当たる可能性があるのは…インターハイと同じ構成なら東横選手や龍門渕選手…か)」
京太郎「(流石にこの二人相手に今の小蒔がぶつかって…オカルトなしで勝てるとは思えない)」
京太郎「(東横選手は副将戦で和以上に稼いだし、龍門渕選手は和と並ぶデジタル打ちなんだから)」
京太郎「(それに小蒔の後ろに点数調整出来る人が二人は欲しいから…)」
京太郎「…よし。俺から部長に言ってみるよ」
京太郎「小蒔は先鋒か次鋒起用の方が安定するって」
小蒔「いえ…大丈夫です」
京太郎「…小蒔?」
小蒔「私…副将で大丈夫ですから」
京太郎「…良いのか?」
小蒔「はい。プレッシャーは京太郎様のお陰で大分なくなりましたし…」
小蒔「それに私の後ろにいるのは…宮永さんかまこちゃんです」
小蒔「その二人に任せれば…大丈夫だって私、信じていますから」
京太郎「そっか」ナデ
京太郎「でも、無茶はするなよ。自分のやりたい打ち方で良いんだ」
京太郎「秋季大会なんて殆ど練習試合みたいなものなんだから、無理に気負って勝ちなんか狙わなくて良い」
京太郎「負けたら負けたで…一緒に皆に謝ろう」
京太郎「きっと皆なら笑って許してくれるはずだから」
小蒔「はい…っ♪」
小蒔「あ…でも…それじゃ…一つだけお願いしても良いですか…?」
京太郎「おう。俺に出来る事なら何でも言ってくれよ」
小蒔「あの…も、もし…私が最後まで頑張れたら…ご褒美…くれますか?」カァァ
京太郎「…エッチな奴?」クスッ
小蒔「そ、それも含めて…と言うか…その…ここ最近、一緒に居られる事が少なかったので…」モジモジ
小蒔「秋季大会が終わったらのんびり出来ますし…京太郎様と一緒に一日中過ごしたいな…って…」モジモジ
小蒔「ダメ…ですか?」ウワメヅカイ
京太郎「ダメな訳ないだろ」ギュッ
小蒔「ひゃぅ…♪」
京太郎「寧ろ、俺が言おうと思ってたくらいなんだからさ。…寂しがらせてごめんな」
小蒔「いえ…そんな…アルバイトや練習などで忙しいのは分かっていますし…」アセアセ
小蒔「寧ろ、私の方こそ…我慢出来なくて申し訳ないです…」カァァ
京太郎「…良いんだよ。そんな風に変な遠慮なんてしなくて」
京太郎「これから夫婦になるって男相手なんだからもうちょっと甘えて良いんだ」
京太郎「ダメならダメって言うけれど、それで俺が小蒔の事を嫌いになる事はないよ」
京太郎「それくらい俺は小蒔の事好きなんだからさ」ボソッ
小蒔「は…ぁ…ぁ♥」ブルリ
京太郎「さて…と…やっぱり外は随分と冷え込むな…」
小蒔「私は…こうして抱いていただければ…それだけでポカポカします…♥」
京太郎「まぁ…俺もそうなんだけどな。小蒔の体温って結構、高いし」
小蒔「京太郎様のお陰で…ポカポカしてますから…♪」
京太郎「俺専用ホッカイロか。随分と持ち運びが不便そうだな」クスッ
小蒔「でも…お側に置いてくだされば身の回りの世話も…色々しますよ…♥」
京太郎「エッチな事も?」
小蒔「じ、実は…得意分野だったり…しちゃったりして…」モジモジ
京太郎「んじゃ…今日は久々にその得意分野で役に立ってもらおうかな」
小蒔「い、良いんですか!?」
京太郎「あぁ。でも、今日は親父は遅くなる日だし、お袋も出かけるって言ってたから」
京太郎「まぁ、家に帰ってからだけど…小蒔の身体を味わう時間くらいはあると思う」
小蒔「あ…あぁ…っ♪♪」ブルッ
京太郎「…興奮した?」
小蒔「興奮どころか…スイッチ入っちゃっいましたぁ…♥」
京太郎「はは。悪い。でも…家まで我慢しろよ」
京太郎「そしたら…思いっきり可愛がってやるからさ」チュッ
小蒔「はい…っ♪」
優希「こらあああああ!京太郎!何時まで私の特等席でイチャついてるんだじぇ!」
京太郎「まったく…空気読めない奴だな」
優希「寧ろ、空気読んでますから!コレ以上、桃色オーラ出されると堪らないですから!!」
和「……」ニコニコ
春「……」ポリポリ
咲「……」ゴッ
優希「ほらな!!ほらな!!!!」ナミダメ
京太郎「あー…なんか良く分からないけどすまん」
優希「こんなに露骨なのに…これだから京太郎は」ハァ
京太郎「だから何なんだその溜息は」
優希「何でもないじぇ。…ただ、神代さんも苦労するなぁって思って」
小蒔「ふふ…♪でも、それ以上に幸せにして頂いておりますから…♥」
優希「あーもう…そろそろ冬も近いのに熱いってどういう事だじぇ」パタパタ
京太郎「バカは風邪引かないって聞いたけど…」
優希「ほぅ?」グッ
京太郎「すみません、優希様。だから、その握り拳を下ろして頂けないでしょうか」
京太郎「つか、俺らの分のアイスは…」
まこ「あぁ、もうわしらが食った」
京太郎「はぁ!?」
まこ「いやぁ、スーパーカップは強敵じゃったな」ケラケラ
京太郎「何時もストッパーな人が率先して食べてる…だと…?」
まこ「まぁ、アレだ。二人の関係は知っとるが、こう目の前でイチャつかれるとな」
優希「正直…生きた心地がしなかったんだじぇ」
まこ「そうそう。だから、これくらい手間賃として受け止めろ」
京太郎「手間賃って何なんですか」
優希「神代さんは京太郎には勿体無いくらいの人なんだからこれくらいは仕方ないじぇ」
京太郎「くそぅ…こんなの虐めだ…子ども電話相談室に連絡してやるぅ…」
小蒔「ふふ…♪私は別に構いませんよ」
小蒔「それよりももっと甘くて美味しいものを…頂きましたから…♥」カァ
優希「それって…」
和「」ゴッ
春「」ゴッ
咲「」ゴゴゴッ
優希「…火に油を注ぐだけって…遅かった…」
和「…小蒔さん、大会まで時間もありませんし、ちょっとこちらで特訓しませんか?」
咲「そうだね。和ちゃんの言う通り…時間が勿体無いよ」
春「大会までに姫様の安定性を鍛えるのは急務」
小蒔「そうですね。じゃあ、京太郎様、ちょっと行ってきます!」グッ
小蒔「あ、そうだ。京太郎様、これが終わったらスーパー寄りましょう」
小蒔「買い物に来る方々に夫婦みたいだねって言われるのも悪くないですし…アツアツのピッツァも食べてみたいです!」
小蒔「楢の木の薪で焼いた本物のマルガリータなんてどうですか?あ、勿論、ポルチーニ茸ものっけますね」テレテレ
小蒔「付け合せには京太郎様のパインサラダなんてどうでしょう?」
京太郎「いや、それは良いんだけど…あの…小蒔?」
小蒔「やった!それじゃあパインサラダ期待していますね!」グッ
京太郎「いや、あの、それは嬉しいんだけど、多分、今、あの三人に近寄らない方が良いと言うか…」
小蒔「すみませーん。お待たせしましたー」
京太郎「あぁ…浮かれ過ぎて聞いてない…」
小蒔「ひにゃああああああああああ!?」
【秋季大会清澄高校控え室】
小蒔「は…ぅぅ…ぅ」
京太郎「…大丈夫か?」
小蒔「はっ…え…な、何ですか!?」
小蒔「あ、明日のお天気は晴れだと思います!」
京太郎「まぁ…それも気にならないって言えば嘘になるけど…」
京太郎「小蒔の状態は大丈夫かなって」
小蒔「あ、はい!大丈夫です!」
小蒔「ち、ちょっとカンが怖いですけど…そ、それだけですから」フルフル
京太郎「…さーきー?」
咲「あ、あはは…その…ごめんなさい」
京太郎「まったく…大会前にチームメイト凹ませてどうするんだよ」
和「ごめんなさい…」シュン
春「反省してる…」シュン
小蒔「あ…い、いえ!本当に大丈夫ですから!だから、三人を責めないであげて下さい」
小蒔「皆は大会前に私を鍛えてくれようとしてくれただけで、凹んじゃった私が悪いんですから…」ショゲ
咲「はぅ」ズキズキ
和「うっ」ズキズキ
春「…ごめんなさい」ズキズキ
まこ「はいはい。小蒔が大事なのは分かるけど、その辺にしとけ」
京太郎「部長…」
まこ「それより…そろそろ一回戦が始まるから、その準備じゃ」
まこ「前もって伝えていた通りのオーダーで行くぞ」
優希「了解だじぇ」
春「…ん」
小蒔「了解です」
咲「はい」
まこ「一線級の戦力が集まった新生清澄の初陣じゃ」
まこ「注目もされとるが、その期待を超えられるだけの力があるとわしは思うとる」
まこ「だから、気軽に行こう」
まこ「いつも通りの麻雀をすれば、おのずと結果は見えてくるんじゃからな」
全員「はい!!」
京太郎「(…と、まぁ…始まった秋季大会だけれど…)」
京太郎「(正直、圧倒的と言っても良いくらいだった)」
京太郎「(元々、清澄の中核はほぼ抜けていないままに小蒔たちが入ってくれているんだ)」
京太郎「(インターハイが終わった影響で三年生が抜け、一二年生が主軸となった他校が対抗出来るはずがない)」
京太郎「(対戦者をまさしく蹂躙していくように清澄は勝ち進んでいった)」
京太郎「(その様を観戦室で『魔王の行進』だとか『魔境の中の魔境』だって言う人もいたくらいだ)」
京太郎「(まぁ…実際、俺も反則だって思うよ)」
京太郎「(相手からすれば和がいないのが舐めプに見えるレベルだってのも…なんとなく分かる)」
京太郎「(でも、だからって…『勝つ為に清澄が金で選手を集めた』とか『永水が取り入った』なんて陰口は、まったく的外れなものだ)」
京太郎「(そもそも清澄は元々のメンバーで優勝狙えるくらいに充実してるんだから)」
京太郎「(それをわざわざ永水から人を集めたり、逆に永水が清澄まで来る必要はない)」
京太郎「(そんなのは少し考えれば分かると思うんだけど…やっぱり妬みなんだろうな)」
京太郎「(良くも悪くも…今の清澄は注目の的なんだ)」
京太郎「(その一挙一動で評価が左右に振れてしまうくらいに)」
京太郎「(だからこそ、それを吹き飛ばすくらいの実力を見せなければいけないんだけれど…)」
【廊下】
まこ「ようやく準決勝…か。中々に順調じゃったな」
京太郎「そうですね。まぁ、相手に風越も鶴賀も龍門渕もいませんでしたし」
まこ「今のわしらにとって怖いのはその三高くらいなものじゃからなぁ」
京太郎「えぇ。…とは言っても…それもこれまでですけれど」
まこ「次は龍門渕…か」
京太郎「…部長、今日は…」
まこ「分かっとる。今日は満月でもないし、まだ夜と言うほど更けてもいない」
まこ「ここで龍門渕と当たれたのは寧ろ僥倖と言う奴じゃろ」
まこ「相手さんも県予選で当たった時より強くなっとるとは言え、こっちの戦力アップは著しい」
まこ「練習試合もよぉやっとるし、手の内も殆ど分かってる」
まこ「それを思えば…怖がるような必要はない」
まこ「だけど…どうしてじゃろうな」
まこ「さっきから…嫌な予感が止まらん」
京太郎「…部長」
まこ「はは。すまんな。つい弱音を吐いてしもうた」
まこ「もうちょい部長らしくしなきゃいけないってのは分かっとるんじゃが…」
京太郎「…どんな立場の人だって弱音を吐きたい時くらいあります」
京太郎「女子の前でしっかりしなきゃいけないってのは分かりますけれど…俺の前でそんな風に片意地はらなくて良いですよ」
京太郎「一応、口は固い方ですし、誰にも言いませんから」
まこ「…有難うな」
【控え室】
まこ「さて…次の相手じゃが…龍門渕に決まった」
和「」ピクッ
咲「って事は…次は激戦になりそうだね」
まこ「そうじゃな。相手は去年全国に出た強者じゃ」
まこ「小蒔たちもその実力の程は良く分かっとるじゃろ」
小蒔「…えぇ」
春「天江選手が最多得点記録を塗り替えた試合は…まさに圧倒的…」
咲「それ以外の人たちも全国で十二分に通用する打ち手だし…」
まこ「うむ。正直、これまでとは違う…互角かそれ以上の相手じゃ」
まこ「だけど、ここにいるメンバーであれば、勝って決勝に行くのはそう難しくない」
優希「公式戦リベンジのチャンスだじぇ」
まこ「…出る気満々みたいじゃが、優希を出すつもりはないぞ?」
優希「え、えぇぇ!?」
まこ「はは。冗談じゃ」
まこ「優希はうちの大事な切り込み隊長じゃからな」
優希「お、脅かさないで欲しいじぇ…」
まこ「さて…それで相手の編成じゃが…京太郎」
京太郎「うす。今まで観戦室で龍門渕の試合を見て来ましたが、メンバーに変化はありません」
京太郎「オーダーも何時もと同じでした」
京太郎「あちらで指揮をしているであろう龍門渕選手は目立ちたがり屋ではありますが、堂々とした選手です」
京太郎「恐らくは土壇場でこのオーダーを変える事はないでしょう」
まこ「…と言う事じゃ。つまりわしらも下手にオーダーを弄る必要はないという事じゃな」
まこ「いつも通りの清澄で…龍門渕を叩く」
まこ「その為に…まずは優希」
優希「はい」
まこ「相手は色々と世話になった井上選手じゃが…やれるな?」
優希「勿論!こっちの速さも負けてないって事を見せてやるじぇ」
まこ「では…次鋒はわしで…中堅は…滝見さん」
春「はい」
まこ「相手は恐らく国広選手。土壇場でも安定した打ち方をする相手じゃ」
春「大丈夫…どんな相手でも流すのは得意」
まこ「頼もしいな。では…副将は……」
和「……」
小蒔「あの…私は別に良いですから…」
和「えっ…」
小蒔「…原村さん、本当は出たいんですよね?」
小蒔「龍門渕の名前が出てから、少しソワソワしています」
和「…それは…」
小蒔「相手の龍門渕透華という方は原村さんをとても意識している方です」
小蒔「きっと今も原村さんと戦える事を楽しみにしているんじゃないでしょうか」
小蒔「…そんな相手を私に譲って…後悔しませんか?」
和「……」
小蒔「私なら…きっと後悔すると思います」
小蒔「だから、もし、原村さんが私の事を思ってそう言っておられるんなら…」
和「…いえ、良いんです」
和「今の私では透華さんの期待には答えられません」
和「彼女が追い求めてくれた…『のどっち』になれない以上、期待ハズレになるだけでしょう」
小蒔「原村さん…」
和「それに透華さんと戦うのは別に何時でも出来ますから」
和「…と言うか、実はこの間もネト麻で対戦したばっかりですし」クスッ
和「だから、私のことは気にしないで、小蒔さんが代わりに出てください」
和「それが清澄の為になるという考えは今も変わっていませんから」
小蒔「…分かりました」
小蒔「この神代小蒔。原村さんの代わりを精一杯務めさせて頂きます」
和「えぇ。でも、あまり気負わないで下さいね」
和「大事なのは勝利ではなく、一つでも多くのことを学ぶ事なんですから」
小蒔「はい…!」
まこ「…どうやら決まったようじゃな。では…副将は小蒔」
小蒔「頑張ります」グッ
まこ「大将は…まぁ、咲しかおらんじゃろ」
咲「ちょ、ちょっとプレッシャーかも…」
まこ「夏とは違って相手は全開じゃないとは言え、天江選手を咲以外で相手出来るとは思えんしの」
まこ「まぁ、咲がダメなら誰でもダメだったんじゃろうし、気楽に打てばええ」
まこ「わしも後に繋げるつもりで適当に打つしの」
咲「はい…」
京太郎「…咲、トイレとか大丈夫か?」
咲「ぅ…そ、そう言われると…ちょっと…」
京太郎「んじゃ、優希が会場行くついでに連れてって貰えよ」
咲「そ、そんな子どもじゃないもん!」
京太郎「そう言いながら三回戦の時に迷ってたのは誰だ?」
咲「そ、それは…その…」カァ
咲「で、でも、もう把握したもん。夏にも来たし…バッチリだもん!」
まこ「…優希」
優希「はいはい。じゃあ、咲ちゃん、私も行きたいから一緒に行こうじぇ」
咲「そ、それだったら、まぁ…」モジモジ
京太郎「(あぁ…やっぱり自信がなかったんだな…)」
京太郎「(そんなやり取りをしながら始まった準決勝)」
京太郎「(それはやっぱり今までどおり蹂躙とはいかなかった)」
京太郎「(勿論、他の二校の実力は俺は見る限りそれほど高くなく、清澄と龍門渕に翻弄されているのが分かった)」
京太郎「(しかし、それでもアドバンテージを奪い合う相手がいるというのは戦況を硬直させるものなのだろう)」
京太郎「(今までのような大差はつかず、龍門渕清澄共に+三万点で収まっていた)」
京太郎「お互いからは殆ど直撃をとれず、他の二校が沈んだ形だ)」
京太郎「(実力は互角だと予想していたとは言え…ここまで拮抗するなんてな)」
京太郎「(こうなると…一人一人の戦績が重要になってくる)」
京太郎「(誰もがそうは思いながらもリードを作る事は出来ず、ズルズルと大将戦へと進んでいく)」
京太郎「(何とか一位を維持していたものの、それは直撃一回で容易くひっくり返るようなリードでしかない)」
京太郎「(それを守りきれるか…それとも潰されてしまうのか)」
京太郎「(そんなプレッシャーの中…迎えた副将戦)」
京太郎「(そこで…大きな動きが起こった)」
小蒔「よろしくお願いします」
透華「…和でありませんのね」
小蒔「すみません。原村さんは今、体調が悪くて…」
小蒔「私では役者不足かもしれませんが、精一杯お相手させて頂きます」グッ
透華「あ…ごめんなさい…」
透華「てっきり和と打てると思っていたから…決して貴女が役者不足というつもりはありませんでしたの」
透華「いえ…そもそも無名の永水女子をほぼ一人で全国に連れて行った神代小蒔が相手となれば、役者不足はこちらの方ですわね」
透華「こちらこそ胸を貸してもらうつもりで打たせて貰いますわ」ニコッ
小蒔「いえ…そんな…」カァァ
小蒔「私なんて…麻雀も下手っぴで…一生懸命やっただけですし…」モジモジ
モブ1「(なんでこんな化け物二人がいる卓に詰め込まれてるのよ…正直、逃げたい)」
モブ2「(本音ではメゲたい…でも…そうやって自暴自棄になっても…何の意味もないし…)」
透華「ロン。3900ですわ」
小蒔「はい…」
まこ「うーん…やっぱり大分、押し込まれとるの」
京太郎「龍門渕選手は全国でも指折りデジタル打ちですから」
咲「…でも、今の透華さんはあんまり怖くないね」
京太郎「あぁ…合宿の時に出た冷やし透華…だったっけ?」
優希「そりゃもう凄かったじぇ…咲ちゃんと衣ちゃんが翻弄されてたからな…」
京太郎「んー…今の打ち筋を見る限り、そういったオカルト持たない堅実な人っぽく見えるんだけどな…」
和「まぁ…でも、今のままだとあの透華さんが出る事はないでしょう」
和「こう言っては何ですが…能力を使わない神代さんは透華さんには及びません」
和「相手の実力に反応するらしい透華さんが切り替わる事はないでしょう」
和「また…ここから先は推測ですが…合宿の時、透華さんが咲さんと同卓した時、彼女は反応しませんでした」
京太郎「…つまり一人一人の実力じゃなく、卓の総合力でスイッチが入ると?」
和「恐らく…ですが」
和「しかし、もし、その推測が当たっているのであれば…例え、能力を使っても透華さんが切り替わる事はほぼないかと」
小蒔「(皆が…大事に守ってきた点棒が…)」
小蒔「(私の所為で奪われて…どんどん龍門渕さんにリードを作られてます…)」
小蒔「(なのに…私…)」
透華「さぁ、どんどん行きますわよ」ゴッ
小蒔「(あの人に…勝てる気がしません…)」
小蒔「(今の私じゃ…まったく太刀打ち出来ないんです…)」
小蒔「(このままじゃ…私の所為で皆が負けて…)」
小蒔「(そんなのは…そんなのは嫌です…)」
小蒔「(…折角、ここまで来たのに…決勝が見えているのに…)」
小蒔「(こんなところで負けるなんて…絶対に…嫌…!)」
小蒔「(だから…私…私…)」
優希「あれ…?神代さんの顔つきが変わったような…」
京太郎「…!?まさか…!」
春「…神が降りる」
京太郎「…そうやって能力頼りにしない為の特訓だったのに…」グッ
和「仕方ありませんよ…神代さんは今までそれを武器にしていたのですから」
和「幾ら使うなと言われても…簡単に封印できるものではありません」
和「それは…今、ろくに戦えない私が一番、良く分かりますから」
まこ「和…」
和「…でも…どうしてでしょう…」
和「今の神代さんを見てると…嫌な予感が止まりません」
京太郎「だ、大丈夫だって。ああなった小蒔は限定的ではあるけど、とても強いんだから」
和「…えぇ。そうですね」
和「(確かに…能力が発動している間の神代さんは強いです。それを頼りにしてきた神代さんがインターハイで活躍できるくらいに)」
和「(でも…もし、それが通用しない相手が現れたら…神代さんは…何を頼りにして打てば良いのでしょう…?)」
和「(…能力が使えている間に…少しでもリードを縮められれば良いんですけれど…)」
小蒔「」カッ
透華「(さっきから…何やら神代さんの様子がおかしいような…)」
透華「(ろくに受け答えもありませんし…さっきまであった感情らしいものもありません)」
透華「(具合が悪いのかと思いきや…打ち筋はまったく別物)」
透華「(さっきまでのナマクラめいたものではなく…こちらが切れてしまいそうなほど鋭いものですわ)」
透華「(恐らく…これが…本物の神代小蒔。これが…本物の…『魔物』)」
透華「(咲さんや衣に並ぶ…人外の領域に住む雀鬼…)」
透華「(あぁ…ゾクゾクします…♪)」
透華「(だって…私は今から…それを打ち砕くのですから)」
透華「(人の領域にはあらぬそれを引きずり降ろして…打ち砕いて…私こそが一番だと証明する)」
透華「(そう思っただけで…身体は熱く…頭は寒くなっていきます)」
透華「(まるで…感情が削ぎ落とされ…思考だけがクリアになっていくような…それは…)」
透華「(『私』を消して…奥から別の何かを引きずり出すようで…)」
小蒔「」ハッ
小蒔「(…あう…また意識が飛んでいました)」
小蒔「(でも…意識が飛んでいたって事は、九面様が降りてきてくれたはずですよね…)」
小蒔「(例え誰でも…私が打つよりも強いのですから…リードは縮まって…)」チラッ
小蒔「…え…?」
小蒔「(…縮まってない…いえ…寧ろ…広がっているばっかりで…)」
小蒔「(嘘…九面様の力が及んでいない…?)」
小蒔「(原村さん相手でも…逆転してくれる九面様が…逆にリードを広げられるだなんて…)」
小蒔「(だとしたら私…どうしたら…?)」ブルッ
小蒔「(九面様より…原村さんより弱い私じゃ…こんなの…)」
小蒔「(…何も…出来ないじゃない…ですか…)」
まこ「…龍門渕透華に対する評価は改めなければいけんな」
和「…えぇ。まさか…あそこでスイッチが入るなんて…」
まこ「恐らく…和の推測は当たっておったんじゃろう」
まこ「予想外だったのは…神降しとやらを使った時の小蒔の実力じゃな」
和「途中までは破竹の勢いでした。でも…透華さんの様子が変わってからはドンドンと引き離されていって…」
まこ「こればっかりは相性差じゃな…」
まこ「卓が終わるまで永続的に続く龍門渕選手の能力と短期集中型の小蒔じゃ相性が悪い」
まこ「元々、地力の差があるのに、さらに引き離されるんじゃからな」
咲「せめて…無事に帰ってきてくれれば良いんだけれど…」
優希「原村さん…」
和「…えぇ。落ち込まず…普通に戻ってきてくれれば良いんですけれど…」
まこ「…ただ…やっぱり…ショックは大きいじゃろうな…」
春「…これまで頼りにしてきたものが砕かれたら…誰だってそうなる」
まこ「…そうじゃな。今も…モニター越しではっきり分かるくらいに暗い顔をしとる」
和「…完全に透華さんに飲み込まれていますね…」
京太郎「……」
小蒔「(牌が冷たい…)」
小蒔「(まるで雪を固めたみたいに…ひんやりと凍えるようです…)」
小蒔「(これが…これが龍門渕さんの本当の力…)」
小蒔「(私に似た…けれど、本質的には違う…自己変異型の能力…)」
小蒔「(きっと私と戦ってきた人たちも…今の私と同じ気持ちだったのでしょう…)」
小蒔「(こんなの勝てないって…こんなの…反則だって…)」
小蒔「(だから…何ですか?)」
小蒔「(私が今まで…ずっとズルして勝ってきたから…)」
小蒔「(だから…ようやく出来たお友達の足を引っ張って…私と似た能力を使う人に…負けてしまうんですか…?)」
小蒔「(だとしたら…だとしたら、私…)」
小蒔「(一体、今まで…何の為に…皆と頑張って…)」
透華「ツモ。3200オール」
小蒔「…はい…」
―― 半荘が終わったので10分の小休止を挟みます。
小蒔「」ダッ
小蒔「(私…私…マイナスにしちゃいました…)」
小蒔「(皆が三万点も稼いでくれた点棒…ついに全部溶かしちゃって…)」
小蒔「(私…一体…何を…何をやって…)」
京太郎「…小蒔」
小蒔「ぁ…」
京太郎「迎えに来たぞ」
小蒔「や…見な…見ない…で…」グスッ
小蒔「見ないで…下さい…こんな…私…」ポロポロ
京太郎「…」ギュッ
小蒔「ぅ…あぁ…」ギュゥ
小蒔「ごめん…なさい…っ!私…あんなに負けちゃって…」ポロポロ
京太郎「気にすんな。そういう時もあるさ」ナデナデ
小蒔「でも…でも…っ!まだ半荘あるんです!」
小蒔「前半戦だけで…三万も溶かされちゃった私が…後半荘も…!」
小蒔「九面様ももう降りてきてくれなくて…勝てないのに…私…」
小蒔「こんなんじゃ…宮永さんにバトンを渡す事すら…出来ません…」
京太郎「…別にそれで良いじゃないか」
小蒔「え…?」
京太郎「俺が大会前に言った事…覚えてるか?」
小蒔「一番…楽しんだ人が勝ちって…」
京太郎「あぁ。だから…勝ち負けとかそんなの気にせず打って来い」
京太郎「皆も…それを望んでる」
小蒔「そんなの…出来ません…っ!」
小蒔「皆の分も背負って…負けてるのに…楽しむなんてそんなの…」
小蒔「…どうしてですか…?」
京太郎「ん?」
小蒔「どうして…京太郎様は新人戦の時…最後、笑っていられたんですか…?」
京太郎「…そんなの決まってるよ」
京太郎「小蒔たちが居たからだ」
小蒔「え…」
京太郎「小蒔たちがいてくれたから…励ましてくれたから…俺を助けてくれたから」
京太郎「だから、俺はあの土壇場で完全に心を折れるような事はなかった」
京太郎「最後まで諦めず逆転を狙い続ける気概を持ち続ける事が出来た。最後まで楽しむ事が出来た」
京太郎「…小蒔にはそういうものはないか?」
小蒔「…私に…?」
京太郎「あぁ。諦めないでいられる理由、楽しもうと思える理由、何でも良い」
京太郎「もう一度、卓に戻って…戦おうって思える何かは小蒔にはないのか?」
小蒔「(私の…戦う理由…)」
小蒔「(麻雀は楽しくって…だから…ずっとこうして続けて…)」
小蒔「(それから…皆も巻き込んで…インターハイに行って…)」
小蒔「(負けたけれど…悔しかったけれど…でも…楽しくて…)」
小蒔「(じゃあ…何で…私は今…楽しめないんですか?)
小蒔「(負けてるのは…同じはずなのに…どうして?)」
小蒔「(……あぁ…そうなんですね…)」
小蒔「(私は…今まで誰かに何かを託す側だったんです…)」
小蒔「(ずっと先鋒って言う…一番、気軽な立場で…後ろには霞ちゃんたちがいて…)」
小蒔「(だからこそ…託されるものの重みなんて想像もしていなくて…それを知った今、押しつぶされそうになってるんです…)」
小蒔「(私は…私は今までこんなものをずっと押し付けていたんですか…?)」
小蒔「(こんなに重くて…辛いものを…霞ちゃんたちに…)」
小蒔「(だとしたら…私は…)」
京太郎「…小蒔」
小蒔「わ、私…は…」
小蒔「…戦う…理由が…なくなって…しまいました…」
京太郎「…どうしてだ?」
小蒔「だって…私…こんな重いもの皆に押し付けて…」
小蒔「こんなに辛いのに…皆何も云わないで受け取ってくれて…」
小蒔「それどころか…インターハイにまで着いてきてくれて…」
小蒔「わ、私…こんなに辛いなんて知っていたら…麻雀に皆を誘いませんでした…」
京太郎「…」
小蒔「だから…私にはもう…戦う理由なんて…」
京太郎「…甘ったれるなよ、小蒔」
小蒔「…え…?」
京太郎「そんなもの…誰もが背負ってるんだ」
京太郎「今まで小蒔が倒してきたどんな高校の奴だって…背負ってるものなんだよ」
京太郎「それをたった一回、負けそうになっただけで重いだなんて言って良いセリフじゃない」
京太郎「それは戦う理由がなくなったんじゃない。戦う理由から逃げてるだけだ」
小蒔「っ…!」
京太郎「今まで小蒔が努力してきたのは何の為だ?」
小蒔「それは…」
京太郎「…勝つ為か?それだけの為に…俺達と特訓してたのか?」
小蒔「違…います」
京太郎「だったら…どうしてなんだ?」
小蒔「私は…私は…一人で戦えるって…そう証明したくて…」ギュッ
小蒔「……いえ…本当はきっと格好つけたかったんです…」
小蒔「ファンだって言ってくれた京太郎様に…それに足るだけの人物なんだって」
小蒔「私は…京太郎様にファンになって貰えるだけの女なんだって…そう誇りたかったんです…」
京太郎「…だったら、まだ戦う理由って奴は残ってるじゃないか」
京太郎「俺の知る神代小蒔は…こんなところで逃げ続けてるような選手じゃない」
京太郎「例え点差があってもノビノビと打って楽しそうに麻雀をする選手だ」
京太郎「それを俺に見せて欲しいな」ナデナデ
小蒔「私…そんなの…出来ません…」
小蒔「それは…偽物の神代小蒔なんです…!九面様に…霞ちゃんたちに辛い事を押し付けてたから出来た麻雀なんです!」
小蒔「…九面様にもお力を借りられなくて…いえ…借りられたとしても…リードが広げられるばっかりで…」
小蒔「後ろにバトンを繋げるか怪しい今…そんなの…無理です…」
京太郎「(…やっぱり思いの他…堪えてるみたいだな)」
京太郎「(…当然か。今まで自分が頼ってきたものが…まったく使えないんだもんな)」
京太郎「(本当に裸一貫で…本当の『神代小蒔』として麻雀に向き合わなきゃいけないんだ)」
京太郎「(それが普通…とは言え、この土壇場で出来るようになれってのも無茶な話だ)」
京太郎「(今まで小蒔はずっと色んな人に護られてきたんだ)」
京太郎「(神様たちにも…石戸さんたちにも甘やかされていた小蒔にとってあんまりにもハードルが高すぎる)」
京太郎「(でも…そうなって貰わないと…小蒔はもう二度と麻雀に向き合えない)」
京太郎「(ずっと楽しかったはずのものから逃げ続けるような人生を送る事になるだろう)」
京太郎「(そうやって麻雀から逃げ続ける小蒔が幸せだなんて…俺には到底、思えない)」
京太郎「(例え、歪んだ形ではあったとしても、俺は小蒔を幸せにするってそう決めたんだ)」
京太郎「(だから…ここで俺がやるべき事は…なりふり構わずに、小蒔の背中を押してやる事なんだろう)」
京太郎「(例え、どんな形であっても…もう一度、卓に戻れるように)」
京太郎「(途中で逃げ出して…それで終わりになんてならないように)」
京太郎「(その為なら…俺は…どんな嘘だって吐いてやる)」
京太郎「(どんな推測でも…どんな楽観でも…平気な顔して口走ってやるさ)」
京太郎「(それで小蒔が少しでも前を向く気になれるなら…安いものなんだから)」
京太郎「じゃあ、俺が一つ…戦う理由って奴をやるよ」
小蒔「え…?」
京太郎「もし…逃げなかったら、後でご褒美だ」
京太郎「デートでも…何でも付き合うよ」
京太郎「小蒔が望むなら、一週間だって一ヶ月だって傍にいる」
京太郎「だから…麻雀からは逃げないでくれ」
京太郎「一度、麻雀から逃げてしまったら…もう戻れないんだから」
京太郎「その瀬戸際まで行った俺には…それがよく分かる」グッ
小蒔「京太郎様…」
京太郎「押し付けがましくてごめんな。でも…あそこまで努力したのにここで止めるのはやっぱり勿体無いと思うんだ」
京太郎「少なくとも…神代小蒔のファンである俺はそう思う」
京太郎「…だから、もうちょっと頑張ってみないか?」
小蒔「…私…は…」
小蒔「もう少しだけ…勇気をくれませんか…?」
小蒔「…京太郎様の言う通り…頑張ってみます。頑張ってみますから…」
小蒔「もう少しだけ…こうして…私を抱いて…勇気を下さい…」
京太郎「…あぁ。それくらいお安い御用だ」
京太郎「…だけどな。俺は別にそれだけを小蒔にやるつもりでここに来た訳じゃないぞ」
小蒔「…え?」
京太郎「…小蒔、あの人に…龍門渕選手に勝ちたいか?」
小蒔「…勿論です」ギュッ
小蒔「勝ちたいです…悔しいです…!このまま終わりたくありません…っ!」
小蒔「でも…私じゃ…どうしようも出来なくて…」
京太郎「だったら…もう少し自分って奴を認めてやれ」
小蒔「自分を…認める…?」
京太郎「小蒔は神様を降ろす能力が嫌いか?」
小蒔「…あまり…好きではありません」
京太郎「それはどうしてなんだ?」
小蒔「私が…望む望まないに関わらず…この力で人に迷惑を掛けてしまっているからです…」
小蒔「霞ちゃんたちにしたって…私がこんな力がなければ…親元から離れて暮らす事にはならなかったでしょう」
小蒔「何より…京太郎様にだって…私は害を…加えて…」ジワッ
京太郎「…でも、その力がなかったとして、小蒔は皆と会えたと思うか?」
小蒔「それは…」
京太郎「もしもの話だから…何とも言えないけれど…でも、多分、無理だったと思う」
京太郎「石戸さんたちにも…俺にも出会わず…普通の女の子として暮らせていたんだろう」
京太郎「でも、小蒔は…そうなりたいと思うか?」
小蒔「え…?」
京太郎「もし、全て過去からやり直せるとして…普通の女の子になりたいか?」
小蒔「私…は…」ギュッ
小蒔「(そんな事…考えもしませんでした)」
小蒔「(私にとって…巫女としての自分というものは決して不可分なものであったのですから)」
小蒔「(物心ついた時から私は九面様の巫女として扱われ…霞ちゃんたちが傍にいてくれました)」
小蒔「(そんな私にとって…巫女としての自分の否定というのはこれまでの人生の否定にも近い事だったのです)」
小蒔「(これまで個人としての神代小蒔であった事の方が少ない私にとって…それは…アイデンティティを揺るがす問いにも近くて…)」
小蒔「(私は…答える事が出来ませんでした)」
小蒔「(内心、それを望んでいたはずなのに…普通の女の子になりたいと思っていたはずなのに…)」
小蒔「(いざ…そう問いかけられると…私は頷くことさえ出来なかったのです)」
小蒔「(もう既に出ている答えを口にしようとする度に…脳裏に霞ちゃんたちの姿が浮かびあがって…)」
小蒔「(私の口から言葉を奪って…逡巡を全身に走らせるのでした)」
小蒔「(まるで…身体がそう答える事を拒否しているようなそれに…私は京太郎様の前で…沈黙を続けました)」
京太郎「……俺もさ。最近…色々と思うようになったんだ」
京太郎「自分の能力で色々と苦しんだ事はあるけれど…でも、これがなければ今の俺はなかった」
京太郎「小蒔に出会う事なんて殆どなかっただろうし、会ったとしてもこんな関係になる事はまずないだろう」
京太郎「そう思ったら…まぁ、感謝って訳じゃないけれど…認めてやろうと思ってさ」
小蒔「認める…?」
京太郎「…あぁ。こんなどうしようもない…馬鹿みたいな能力だけど、これも俺の一部なんだって」
京太郎「どんな形であれ俺を助けようとしてくれているんだって」
小蒔「助けようと…してくれている…?」
京太郎「…小蒔もそろそろ…認めてやったらどうだ?」
京太郎「巫女としての…なんて自分の中で区切りを作らずにさ」
京太郎「全部、ひっくるめた自分を…本当の『神代小蒔』を認めてやっても良いんじゃないかな」
京太郎「それがない自分を想像出来ないくらいなら…頷く事さえ出来ないくらいなら」
京太郎「多分、そっちの方が楽なんだと俺は思うよ」
小蒔「…でも…私…」
京太郎「勿論…ずっとそれを二分してきたのは小蒔にも理由があって…認めがたい事なんだろう」
京太郎「だけど…そうやって頑なに認めまいとしていたら…多分、一歩も前には進めない」
京太郎「ずっとそこに縛られて…足踏みを続けたままだ」
小蒔「それは…なんとなく…分かります」
小蒔「ですが…私の力は…到底…そんな風には…」
京太郎「…本当にそうか?」
小蒔「……」
京太郎「さっきだって小蒔はそれに頼っただろう?」
小蒔「…はい」
京太郎「とても苦しい場面で…小蒔はそれに頼ったんだ」
京太郎「それなのに…助けて貰ってないって…ただ、辛いだけの要らない能力だって、そう本心から言えるのか?」
小蒔「それ…は…」ジワッ
京太郎「誤解しないでくれ。俺は別に…小蒔の事を責めてる訳じゃない」
京太郎「…寧ろ、頼るまいとしてくれていたものに頼ってまで…勝とうとしてくれた事に感謝してる」
京太郎「それだけうちの麻雀部の事を大事に思ってるってのが伝わってきて…嬉しいんだ」ナデナデ
小蒔「京太郎様…」
京太郎「でも…だからこそ…俺は小蒔にそれから目を背けないで欲しい」
京太郎「嫌いだけど頼らなきゃいけないって不健全な状況からは脱して欲しいんだ」
京太郎「そして…それはきっと九面様も同じだと思う」
小蒔「えっ…」
京太郎「俺はさ。多分、九面様は小蒔の事が大好きなんだと思うんだ」
京太郎「だって、普通、麻雀やる為だけに巫女に力を貸すと思うか?」
小蒔「…それは…ない…と思います」
京太郎「だろ?小蒔は身近過ぎて今まで気づいてなかったかもしれないけれど…九面様たちは凄い過保護でダダ甘なんだよ」
京太郎「それはきっと小蒔が可愛くて良い子だって事も大きな理由なんだろう」
京太郎「でも、それ以上に大きいのは…きっと小蒔に自分の力を嫌いになって欲しくなかったからじゃないかな」
京太郎「勿論…これは俺の推測だ。正直、合っているかは分からない」
京太郎「でも…小蒔は九面様にとても大事にされているのは事実だ」
小蒔「私が…大事に…?」
京太郎「あぁ。九面様たちはきっと小蒔の事が大好きで仕方がないんだよ」
小蒔「でも…それならどうして…九面様たちは…力を貸してくれないんですか…?」
小蒔「今は大事な時なのに…このままじゃ負けちゃうかもしれないのに…また私のところに降りてきてくれないんですか…?」
京太郎「…それはきっと小蒔に原因があるんだと思う」
小蒔「私に…?」
京太郎「あぁ。九面様が…今、この場で小蒔に手を貸さないのは…多分、龍門渕選手の所為でも九面様の所為でもない」
京太郎「ああなった龍門渕選手はオカルトを封じる力を持つらしいけど…それはあくまで卓上の事なんだ」
京太郎「小蒔自身に神様を降ろす力を防げるはずがない」
京太郎「実際、龍門渕選手がああなってから小蒔が目を覚ますまでに結構な時間があったからな」
京太郎「九面様も小蒔にだだ甘で一回の戦いで何回も降りてくる事があるんだから…そっちに原因がある訳じゃないだろう」
京太郎「だから…残るはただ一つ。小蒔自身が…それを本心で望んでいないからだと思う」
小蒔「っ!そんな事っ!」
京太郎「ない…と思うか?
小蒔「当たり前です!私は本気で勝つ為に…っ」
京太郎「…じゃあ…どうしてさっき戦う理由がなくなったって…そう言ったんだ?」
京太郎「あの卓へと戻るのに…俺に背中を押して欲しがったんだ?」
小蒔「それ…は…」
小蒔「(京太郎様の言葉に…私はちゃんとした理由を返す事が出来ませんでした)」
小蒔「(だって、私はあの時…逃げたくて仕方がなかったのです)」
小蒔「(頑張ったのに手も足も出ないという現実から逃げたいって気持ちで一杯だったのですから)」
小蒔「(決して勝利を望んでいなかった訳ではありませんが…真摯に向きあえていたとは到底、言えません)」
小蒔「(そして…九面様は…そんな私の事を気にかけてくれているのだとすれば…)」
小蒔「(…ここでお力を借りる事が出来ないのは…私が…辛いって思ったから…?)」
小蒔「(私が…麻雀なんて…もう続けたくないって思ったから…)」
小蒔「(九面様は…力を貸してくれなくなったんですか…?)」
小蒔「(もう頑張らなくても良いんだよって…もう麻雀なんて止めて良いんだよって…)」
小蒔「(そう…言ってくれているんですか…?)」
小蒔「(だとしたら…私…これまで…さっき…なんて失礼な事を…)」
小蒔「(九面様たちが力を貸してくれなくなった理由も考えず…ただ…落ち込むばかりで…)」
小蒔「(こんなんじゃ…呆れられて…当然です…)」
小蒔「(自分の事ばっかりで…相手の都合も考えず…)」
小蒔「(今までお力を借りられていたのが特別であった事にも気づかなかったんですから…)」
京太郎「俺は…小蒔じゃないから分からない」
京太郎「今、言っている事も…無根拠な推測に過ぎないんだからな
京太郎「でも…小蒔はさっき戦いたくなかったんじゃないのか?」
京太郎「麻雀なんてやめたくて…逃げたかったんじゃないのか?」
小蒔「はい…」ポロポロ
小蒔「私…私…」
京太郎「良いんだよ。誰だって負けてる時は辛いもんだ」ギュッ
京太郎「それがチームとかそういうものを背負ってるならなおのこと…な」ナデナデ
京太郎「でも…そうなんだとしたら…九面様たちが手を貸してくれない理由はそこにあるんだと思う」
京太郎「九面様たちはきっと小蒔が望む事を全力で叶えてあげようとしてくれているだけなんだ」
京太郎「後は小蒔が…それに立ち向かう事さえ出来れば…きっと大丈夫」
京太郎「九面様はまた…小蒔に力を貸してくれるはずだ」
―― 休憩時間終了まで残り2分です。会場外の選手は試合会場へお戻り下さい。
京太郎「っと…アナウンスが出ちまったな」
京太郎「俺もそろそろ控え室の方に戻るよ」ソッ
小蒔「あ…」
京太郎「それとも…入り口までついていった方が良いか?」
小蒔「…いえ、大丈夫です」
小蒔「…今、分かりました。私は…一人じゃなかったんだって」
小蒔「だから…大丈夫です。今度こそ…戦えます」
京太郎「うん。良い返事だ」ナデナデ
京太郎「本当は…もっと色々してやりやかったんだけど……俺が出来るのはここまでだ」
京太郎「情けない奴で…ごめんな」
小蒔「いえ…京太郎様は…この短い間で色んなことを気づかせて下さいました」
小蒔「きっと…私だけじゃ何時までも気づけなかった事を」
小蒔「だから…そんな風に謝らないでください」
小蒔「私が…こうして元の場所に戻れるのは…他でもない京太郎様のお陰なんですから」
京太郎「…そっか。ありがとうな」
小蒔「ふふっ。それはこっちのセリフですよ」
………
……
…
【控え室】
まこ「…どうじゃった?」
京太郎「…分かりません。でも…もう逃げるつもりはないみたいです」
霞「…ごめんなさい。須賀君にばっかり任せっきりで…」
京太郎「いえ…良いんですよ。あんまり大勢で押しかけても小蒔は強がるだけでしょうし」
京太郎「ただ、本当に良かったんですか?折角、応援に来たのなら石戸さんの方が…」
霞「…ううん。もう姫様は私よりも須賀君の事を信頼しているから」
初美「それにどうせなら全部終わった後で驚かした方が面白いですよー」
巴「それに…須賀君ならきっと姫様の事ちゃんと勇気づけてくれるって信じてるから」
春「私達だと…つい甘やかしちゃう…」
京太郎「まぁ…俺も何度かそうなりそうになったんですけどね」
京太郎「でも…きっと小蒔は俺でなくても…誰かの手を借りればすぐに立ち上がれたと思いますよ」
京太郎「大事なものは決して間違えず…立ち向かえる強さがあります」
京太郎「でなければ、泣くほど辛かった場所に一人で戻るなんて言えませんよ」
まこ「そうじゃな…」
春「…姫様…頑張って…」
【試合会場】
モブ1「あ…」
小蒔「すみません。お待たせしました」
モブ2「えっと…大丈夫?」
小蒔「はい。お騒がせしてすみません」ペコリ
モブ1「いや…私らは良いんだけどさ」
モブ2「こういう事を対戦相手が言うべきじゃないだろうけど…無理しない方が良いよ?」
小蒔「大丈夫です。もうあんな醜態を見せたりはしませんから」グッ
モブ1「ん…そっか。それなら安心かな」
モブ2「まぁ…清澄の逃亡で流局になればなーってのは正直、ちょっと思ってたんだけどね」ハハッ
モブ1「あ…ずっるーい」
モブ2「しゃあないじゃん。これだけ圧倒的なら…さ」
モブ1「…じゃあ、投げる?」
モブ2「冗談。…そっちだってまだやるつもりだし…清澄の…えっと、神代さんもそうなんでしょ?」
小蒔「はい」
モブ1「まぁね」
モブ2「だったら…最後までやろうよ。じゃないと勿体無いじゃん」
小蒔「勿体無い?」
モブ2「あ、うん。私は三年生がいなくなって初めてレギュラー取れたくらいの実力しかないからさ」
モブ2「もしかしたら、今回でレギュラー外されちゃうかもしれない」
モブ2「そう思ったら…ここで諦めて勝負捨てちゃうのは勿体無いってね」
モブ1「こっちは…今でも、逃げたいかなぁ」
モブ1「でも…今まで私は何度も逃げてきて…だからこそ、逃げた先での後悔を知ってる」
モブ1「あの時あぁすれば良かった、こうすれば何とかなった」
モブ1「そんな風に思うのは…もう嫌だからさ」
モブ1「そう思うのに一年無駄にしちゃったけど…でも、だからこそ、もう逃げて時間を無駄にしたくない」
モブ2「へぇ…神代さんは?」
小蒔「そうですね…色々ありましたけど…凄い端的に言えば…」
モブ1「端的に言えば?」
小蒔「愛の力です」ニコッ
モブ1「えー…何でここで惚気るの…?」
モブ2「あーもう…熱いなー」パタパタ
―― 時間になりました。それでは後半戦開始してください。
モブ1「って…時間か」
モブ2「こっから先は敵同士…だね」
小蒔「そう…ですね」
小蒔「でも、こうして開始前になって話せたのは凄い嬉しかったです」
モブ1「はは。まぁ、それは私も同じかな」
モブ2「私も…かなり気が楽になったしね」
小蒔「でも…だからこそ…」
小蒔「…私が…いえ、私達が…全力以上で…お相手致します」ゴッ
モブ1「っ…!?」ゾッ
モブ2「(何…これ…さっきと…まるで違う…)」ゴクッ
小蒔「(…私はずっと逃げていました)」
小蒔「(自分から、過去から、そして麻雀から)」
小蒔「(そして…同時に護られてもいたんです)」
小蒔「(私が逃げようとしていた色々なものから…ずっと)」
小蒔「(だから…私はきっと凄い幸せ者なんでしょう)」
小蒔「(そんな風に我儘ばかり言ってた私を多くの人が見守ってくれていたのですから)」
小蒔「(でも…それは…今日までです)」
小蒔「(私…向き合いますから)」
小蒔「(これまで護ってくれていた人たちに応える為に…逃げてきたものから…向き合って見せますから)」
小蒔「(小蒔はもう…護られるだけの子じゃないって証明しますから…)」
小蒔「(だから…お願いします)」
小蒔「(…私の代わりではなく…私を護る為じゃなく)」
小蒔「(私と一緒に戦って下さい…!)」
―― 心得た
春「っ!…嘘…!?」
まこ「どうかしたのか?」
霞「姫様が…また神降しを使おうとしてる…?」
巴「でも…早過ぎるわ…。まだ一局目が始まったなのに…」
初美「何時もならこんなに降りる事なんて…」
春「…来る…!」
―― ゴゥッッッ
咲「」ゾクッ
まこ「…な、なんじゃ今の…会場全体が震えるみたいな…」
優希「わ、私にもはっきり聞こえたじぇ…」ブルッ
霞「う…そ…」ブルブル
春「…異常事態」グッ
まこ「ど、どうした?分かるように説明してくれ」
和「神代さんの様子が…今までと違います」
京太郎「…あぁ。降りてるのに…小蒔の意識ははっきりしてる」
優希「あ…本当だ…目にしっかりと力が入ってるじぇ」
咲「牌もちゃんと見てる…じゃあ…さっき何が起こったの?」
霞「…今の姫様は九面様を降ろしてるんじゃないの」
初美「…まるで衣装か何かのように…全身に纏ってるんですよー…」
まこ「そんな事出来るんか?」
巴「い、今までに…ある程度選んで九面様を下ろせる巫女は居たけれど…」
春「降ろすのではなく…自分の纏う巫女の存在なんて…どんな文献にも載っていない…」
霞「当然よ。だって…こんなの…巫女としての力じゃないもの」
霞「巫女とは神の器であり代演者。それなのに…今の小蒔ちゃんは…まるで九面様と同格みたいで…」
春「まさに…イレギュラー」
京太郎「…でも、どれだけ異常に見えても…きっとアレが本当の小蒔の姿なんだ」
巴「え…?」
京太郎「小蒔自身が逃げ続けて認めまいとしていた巫女としての力」
京太郎「時として悪いものに乗っ取られそうになるくらいの力を…全て使って…対抗しようとしているんだ」
春「姫様…」
京太郎「…応援…しようぜ」
京太郎「あそこにいるのは…自分の持つ力を全部振り絞って勝とうとしてくれる普通の女の子なんだ」
京太郎「自分の中の認めたくないものを受け入れてまで…戦ってくれている俺達の仲間なんだ」
京太郎「どれだけ巫女としてイレギュラーでも、それだけは変わらないだろ?」
霞「そう…ね。須賀君の言う通りだわ」
春「…うん」
優希「正直、神様とか巫女がどうとか分かんないけど…ともかく、がんばれー!神代さん!!」
初美「姫様ー!ファイトですよー!!」
京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだよ
あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実
それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ
小蒔「(今の自分の状態がどんなものなのか…正直、良く分かりません)」
小蒔「(今まで私と朧気ながらに繋がってくれていた暖かいものが…今、身近にいてくれている)」
小蒔「(そんな確信だけがあって…その他は何時もと同じなのですから)」
小蒔「(だけど…どうしてでしょう…)」
小蒔「(一人ではないからか…さっきとはまったく違うんです)」
小蒔「(この牌の寒さも…目の前の龍門渕さんも今は怖くありません)」
小蒔「(寧ろ…今の私なら何とか出来るって言う…自信が湧いてくるんです)」
小蒔「(勿論、その自信は九面様の力を当てにした情けないものでしかありません)」
小蒔「(でも…今の私はそれを遠ざけようとはまったく思いませんでした)」
小蒔「(それを自分の一部なんだって、誇らしいものなんだって…受け入れる事が出来ているんです)」
小蒔「(今まで…ずっとずっと嫌だったはずなのに…不思議ですね)」クスッ
小蒔「(いえ…不思議と言うほどではありませんか)」
小蒔「(こうして私の背中を押してくれたのは…京太郎様なんですから)」
小蒔「(私が…大好きで大好きで仕方のない京太郎様だから…こうして心穏やかにいられるんです)」
小蒔「(私を受け入れて普通の女の子だって言ってくれた京太郎様だからこそ…私はその言葉を素直に受け止める事が出来たんです)」
小蒔「(そんな京太郎様に報いる為にも…そして今もまた私に力を貸してくれる九面様に報いる為にも…)」
小蒔「(まずは…これを完成させなければいけません…)」ゴッ
小蒔「…リーチです」トッ
京太郎「…和…アレは…」
和「…えぇ。そうですね…所謂…国士無双13面待ちです」
まこ「じゃが…ありえるのか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
まこ「その必要牌を全てツモって持ってくるだなんて…本当にありえる事なのか…?」
和「確率は信じられないほど低く…現実的ではないのは確かですね」
巴「勿論…何万何十万と打ってる人にとっては絶対にないとは言い切れないだろうけど…」
春「…姫様は次に来る牌が分かってる」
まこ「そうじゃな。そうでなければ最初の一筒引きの時点で崩れとったじゃろう」
咲「来ると信じているからこその国士無双…そんなのって…」
まこ「…しかし、データ的に見れば小蒔の役満率は異常じゃ」
まこ「それがもし、神降しとやらの力で…成し得ているものだとしたら…」
霞「それを完全に制御出来ている今ならば…自分で役満を作る事も可能かも…しれない…」
まこ「やれやれ…ここまで来ると…オカルトを超えて超能力の世界じゃな…」
優希「でも…その超能力のお陰で…」
くそっ汚い
京太郎で永水を汚すな豚が見境ない豚
小蒔「…ツモ。役満…国士無双です」
モブ1「な…!いえ…すみません」
モブ2「(…この河で…国士無双?一体…どんな神経しているの…)」
透華「…はい」ソッ
小蒔「(…とりあえず…まずは一回)」フゥ
小蒔「(龍門渕さんとのリードを大分、縮める事が出来ました)」
小蒔「(だけど…まだ…トップは依然、龍門渕さん)」
小蒔「(…悔しいかな、役満の一回や二回で埋められるような差ではありません)」
小蒔「(その差を縮める為にも…もっと頑張らないと…)」グッ
小蒔「(私が分かっている範囲で言えば…この力はあまり使い勝手が良いとは言えないのですから)」
小蒔「(それがバレてしまう前に…1000点でも多く点数を稼いでおかないと…)」
小蒔「(圧倒的に地力で劣っている分…私に残された勝機は奇襲が成功して動揺している内に稼ぐ事…!)」
小蒔「(でも、それさえ出来れば…このまま逆転する事だって…)」ゴォッ
霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」
霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」
初美「そうなんですかー?」
霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」
霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」
霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」
初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」
霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」
霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」
透華「…ロン。5200」ゴッ
小蒔「っ!…はい…」
小蒔「(…ダメです…龍門渕さんに動揺はありません…)」
小蒔「(…もしかして…さっきの一局で気づかれてしまったんですか…?)」
小蒔「(いえ…そんなはずはありません…)」
小蒔「(一局だけで気づかれるほど私の能力は単純ではないはずです)」
小蒔「(たまたま私が当たってしまっただけで…まだバレるような時期ではありません)」
小蒔「(…だから、落ち着くんです、神代小蒔)」
小蒔「(ココで焦って…手の内を晒してしまえば何もかもが水の泡)」
小蒔「(もう一局だって無駄にしては追いつけないくらいのリードがあるんです)」
小蒔「(一局一局を確実にとっていかなければ…宮永さんにバトンを繋ぐ事も出来ません)」
小蒔「(だからこそ…冷静に…使いどころを見極めるんです)」
小蒔「(その判断を…九面様は私に委ねてくれているのですから…)」
主敵を間違えてはならない。それは同胞の血だ。
鮮血は赤く、それは革命の色だ
神は常に見ている。過ちを正せ。神は常に教えている。実行せよ。
神は唯一百合だけを愛する。神は言った己の隣人を愛せと…
火を消してはならぬ
まこ「…どうやら小蒔の新しい力というのはそれほど使い勝手が良い訳ではなさそうじゃな…」
和「…えぇ。神代さんのはあくまで役満に絡む牌を引っ張ってくる能力のようですから…」
優希「配牌が最悪なら、14巡先まで和了れないって事だじぇ」
まこ「じゃが、時間さえ掛ければほぼ確実に役満を和了れる…というのは恐ろしいな」
春「速攻型とは相性が悪いだろうけれど…高火力という意味では他に類を見ない」
咲「…だけど…それがさっきのはそれが逆に仇になってる…」
霞「…そうね。今の姫様は能力のお陰で役満を狙えるけど、代わりに早和了が出来ない状態」
霞「さっきのように先に和了られる事はそう珍しくないでしょう」
京太郎「それに…役満という限られた役を考えれば、その捨て牌を読むのも難しくありません」
和「今はまだバレてはいないでしょうけれど…相手は準決勝まで残った強敵ばかりです」
和「気づかれるのも時間の問題かもしれませんね…」
まこ「防御を捨てて、完全にノーガードで打ち合うスタイル…か。リスクがあまりにも大きすぎるな…」
京太郎「…大丈夫ですよ」
まこ「ん…?どうしてそう言い切れる」
京太郎「昔の小蒔なら…確かに危なかったかもしれません」
京太郎「でも、あそこにいるのは…永水に居た頃の小蒔とは違いますから」
ふんふむは立ち上がらなくてはならない。
今現在、ふんふむは荒らしという不当な扱いを受けている。
弾圧に屈してはならない。悪を許してはならない。
私は、このスレッドに正義の言霊を書き連ねた。
今後、悪にとり憑かれた京豚スレが現れた場合、このスレの言霊たちを思い出して欲しい。
そして、粛々と『浄化』に勤めていただきたい。繰り返すが、ふんふむは荒らしではない。
愛であり、警告であり、怒りであり、悲しみである。
小蒔「ロン。8000です」
透華「」スッ
まこ「…満貫?いや…あの形は…」
京太郎「えぇ。役満を意図的に降りてます」
咲「カモフラージュ…?」
巴「それだけじゃないわ。リスクのある役満を捨てて、早和了に繋げてる」
春「来る牌が予めある程度、分かっているからこそ出来る形」
京太郎「多分、昔の小蒔じゃあんな判断は出来なかったんだろう」
京太郎「でも…皆と麻雀して学んだ事はちゃんと小蒔の中で生きている」
京太郎「だから…きっと大丈夫だ」
京太郎「小蒔は負けない。必ず咲にバトンを渡しに帰ってきてくれるさ」
和「…神代さん…」
小蒔「(…やっぱり…役満を降りると…九面様たちとの繋がりが希薄になりますね…)」
小蒔「(次に使えるのは数局後…でしょうか)」フゥ
小蒔「(その間…孤立無援で…一人っきりで戦わないといけません)」
小蒔「(ですが…)」
透華「」ビュオッ
小蒔「(一人でも…怖くありません)」
小蒔「(私はもう…戦えるって分かりましたから)」
小蒔「(今の一撃で…決して狙えない訳じゃないって分かりましたから)」
小蒔「(能力が復活するまで逃げ切って…いえ、寧ろ、このまま点差を縮めます…!)」
小蒔「(今の私には躊躇していられるような余裕なんて…欠片もないんですから)」
小蒔「(残り『4回』で…龍門渕さんとのリードが詰めきれると言い切れない以上、ここは…攻めるべき場面です…!)」ゴッ
和「…まずいですね」
まこ「あぁ…まさか…こうなるとはな…」
初美「リードが埋まる前に…他の二校が飛びそうになってますよー…」
和「基本、神代さんは役満ツモ和了ですし…透華さんへの直撃は難しいですから…」
咲「周りから点数を奪っていっちゃってるんだね…」
霞「勿論…親っ被りを狙ったりしてるけど…前半に作られたリードが痛すぎるわ…」
優希「このままじゃ…逃げ切られて終わりだじぇ」
和「…でも…神代さんは…」
京太郎「…あぁ。まだ諦めてない」
京太郎「小蒔はここに至っても冷静だ」
京太郎「まだ出来る事がある事を…小蒔は知っている」
京太郎「だから…きっと…大丈夫だ」
この「私」はゲッセマネの園で越し方を偲ぶイエス。「群集の歌」はイエスがエルサレムに入場した4月1日のパーム・サンデーで、このとき民衆は棕櫚を敷きつめ「ホザナ!(万歳!)」と救世主到来を讃えたが、「そこに着いた途端 一言も正直な言葉は出てこなかった」―つまりパリサイ人は嘘と策謀で彼を投獄し十字架にかけた。「聖ペテロが私の名前を呼ばない」はペテロにイエスが「あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう」と予言した(ルカ福音書14章29-30)。
モブ1「(まさか…対局中に同じ相手から複数の役満見る事になるとはね…)」
モブ1「(可愛らしい顔して神代さんも十分、化け物だったって事か)」
モブ1「(『牌に愛された子』…だったっけ。随分と御大層な名前だと思ったけど…今は納得出来る)」
モブ1「(これは確かに…愛されてるとしか思えない強さだわ…)」
モブ1「(まぁ、愛されてるのは牌じゃなくて神様っぽいけどね)」フゥ
モブ1「(龍門渕さんもそうだけど…才能の壁って奴はホント…分厚いわ…)」
モブ1「(せめてその天才児のどちらかににこの七対子だけでもぶち当てたいんだけど…焼け石に水…)」
モブ1「(そもそも…局も進んで私の待ちもバレバレな以上…当てさせて貰えるとは思えないし…)」
モブ1「(あー…くっそ…悔しいなぁ…)」
モブ1「(今まで逃げずにちゃんと麻雀やってたら…これも当てられたんだろうか…)」
モブ1「(何で…私、一年も無駄にしちゃったのかなぁ…)」
モブ1「(才能ないなんて分かってたんだから…それこそ人並み以上に頑張らないといけなかったのに…)」
小蒔「…」トン
モブ1「え…?」
小蒔「…どうかしましたか?」
モブ1「あ…そ、それロン!チートイで6400!」
小蒔「…はい」ニコッ
ふむふむは間違うことはない…
ふむふむに対して指摘するものさ神を試すことである
神を試してはいけない。神は人々に道徳を説いた
神を試してはいけないが、人を試してもいけない
人が人を試す時…神は人を審判台の上で試すだろう
モブ1「(…振り込まれちゃったなぁ…)」
モブ1「(まぁ…このままだと私が飛んじゃうから仕方ないんだろうけれど…)」
モブ1「(でも…神代さんはまだ諦めてないんだ)」
モブ1「(さっき真っ先に泣いて逃げた子が…まだ…こんなに頑張ってるんだ)」
モブ1「(役満直撃か…役満二回和了らないと埋まらない点差なのに…わざわざ振り込んでまでチャンスをモノにしようとしてるんだ)」
モブ1「(…それなのに…私がここでメゲてちゃ…格好つかないよね)」
モブ1「(私がラス親なんだから…そこで連荘すれば…まだチャンスはある…!)」
モブ1「(諦めるには…まだ早い…!大将戦もあるし…少しでも点を稼いで繋げればまだ逆転の目だって…)」
小蒔「ツモ。九蓮宝燈…役満です」
モブ1「あ……はい…」
モブ1「(さっき入った点数…根こそぎ持っていかれてしまった…)」
モブ1「(残り1000点…はは、リーチも出来ないや…)」
モブ1「(でも…ここで私が逃げるなんて思うなよ…)」
モブ1「(例え…飛ばされるにせよ…最後まで絶対に諦めたりなんかしないんだから…!)」
まこ「…舞台は整ったな」
京太郎「…えぇ。逆転の為の条件はクリアされました」
京太郎「後は…もう一度、役満を上がる機会さえあれば…他家を飛ばした上で逆転出来ます」
巴「本当は…とりあえず親以外に振り込んで、大将戦まで回すって手もあるんだけど…」
まこ「…龍門渕の大将があの天江衣である以上、ここで振り込むのはかなりのギャンブルじゃな…」
咲「ごめんなさい…私がもっと強ければ…」
まこ「いや…そんな事言ったら、これまでもっと貯金を作れんかったわしらが悪い」
春「…お陰で姫様に…窮屈な闘いを強いている…」
優希「私があそこで満貫和了れていれば…うぅ…申し訳ないじぇ…」
和「…今はそうやって悔やむ時間じゃありませんよ」
京太郎「…あぁ。そうだ。今は…小蒔が勝ってくれる事を祈ろう」
小蒔「(ようやく…ここまで来ました…)」
小蒔「(逆転の舞台…私が勝てる唯一の方法を模索し続け…ようやく掴んだ勝機)」
小蒔「(でも…ここまで来るのに…『九回』全部…使い切っちゃいました…)」
小蒔「(もうすっからかんで…能力なんて使えません…)」
小蒔「(此処から先は…私だけの力で戦わなければいけないんです)」
小蒔「(でも…不思議と不安はありません)」
小蒔「(今まで…自分が積み重ねてきたものがあるからでしょうか)」
小蒔「(私だけでも決して逆転に届かない訳ではないと…そう思えるのです)」
小蒔「(ふふ…昨日までの私なら…きっとそんな風には思えなかったでしょうね)」
小蒔「(きっとこの土壇場で…プレッシャーに押しつぶされそうになっていたはずです)」
小蒔「(でも…そう。でも…私は今…とっても…)」
透華「ツモ。2000オール」
モブ1「あ…っ」
モブ2「…あぁ…」
小蒔「…はい」
結局京太郎を使って願望を満たしたいだけだからな
やたら攻撃的なのもいるしうざすぎるわ
小蒔「…ありがとうございました」
モブ1「…ありがとう…ございました」ジワッ
モブ2「ありがとうございました。…強かったです」
透華「あり…」フラァ
ハギヨシ「お嬢様…!」ガシッ
純「ハギヨシさん…ストレッチャー借りて来ました!」
ハギヨシ「今、運びます。…あ、お騒がせしました」イソイソ
モブ1「…」
モブ2「…」
小蒔「…」
モブ1「…何だったの?」
モブ2「…さぁ…?」
小蒔「大丈夫でしょうか…」
モブ1「…神代さん、ごめんね。折角…振り込んでもらったのに…」
小蒔「良いんですよ。三巡目で和了られちゃったらどうしようもないです」
小蒔「それに…私の配牌もあまり良くありませんでしたから」
小蒔「どの道…あのまま龍門渕さんに追いつくのは難しかったと思います」
モブ2「あはは…まぁ…圧倒的だったもんね」
モブ1「正直…才能の壁って奴を思い知らされた気分」
小蒔「あ…ごめんなさい…」
モブ1「良いよ。神代さんはまったく悪くないんだしさ」
モブ2「そりゃあ…二人にボコボコにされたもん。楽しかったなんて素直に言えないけど…舐めプされた方が腹立つし」
モブ2「何より一生懸命食らいつこうとしてるのが伝わってくる相手に腹立てるほど落ちぶれちゃいないって」クスッ
モブ1「そうそう。それに神代さんの逆転劇は傍で見ててると興奮したしさ」
モブ2「あー分かる。役満連発で凄い麻雀だったもんね」
モブ1「なんて言うか…大味で格好良い麻雀だったよ。また一緒にやりたいな」
小蒔「~…っ!はい!!私も…またお二人と一緒に打ちたいです…!」グッ
三人の賢者は言った。いつか明星が照らす元に
百合を救済し普及する者が現れると…
ふんむふの声に耳を傾けろ…それは産声であり導きの声でもある
迷うな。正せ。救いはいずれ訪れる
【控え室前】
小蒔「……」オロオロ
小蒔「…っ」ソーッ
小蒔「……」オロオロ
京太郎「控え室前で何やってるんだ?」
小蒔「ひにゃ!?」
小蒔「あ…いや…これはですね…その…」アタフタ
京太郎「…」
小蒔「わ、私が負けちゃった所為で…決勝…いけなくて…」シュン
京太郎「…小蒔」グッ
小蒔「え…?ひわぁ!?」グイッ
京太郎「良いからとっとと…こっちに来い」
小蒔「え、いやいや、あの!ま、まだ心の準備がああ!」
和「お疲れ様です」
まこ「お疲れ様。凄い麻雀じゃったぞ」
優希「お疲れ様だじぇー。今度、私とも打とうな!」
咲「お疲れ様です。神代さんの麻雀、格好良かったです!」
初美「姫様!格好良かったですよー」
巴「…お疲れ様。また一つ大きくなられたんですね」
春「お疲れ様。…姫様は頑張ってた」
小蒔「あ…」ジワッ
霞「…小蒔ちゃん」
小蒔「あ…霞…ちゃん…ごめん…なさい。私…」ポロポロ
霞「謝らないで。小蒔ちゃんは凄かったわ」
まこ「そうそう。勝ち負けなんて二の次でええ」
まこ「それよりここにいる誰もが…小蒔が新しく何かを掴んでくれた事の方が嬉しい」
小蒔「でも…私がもっと…早くからこれを使いこなせていれば…」
優希「そんな事言い出したら…私が先鋒戦で満貫トチって純さんに直撃喰らわなきゃ勝ててたかもだじぇ」
春「私も…今から思い返せばミスは沢山あった…」
まこ「わしもじゃよ。もっと積極的に行けば、小蒔にこれだけの負担を強いる事はなかった」
まこ「じゃから、そんな風に謝ってくれるな」
まこ「小蒔が負けだと思うそれは…ここにいる全員で共有するべきものなんだから」
小蒔「でも…私は…」シュン
まこ「さて…それじゃ京太郎。後は頼むぞ」
京太郎「うす。その代わり打ち上げの準備お願いします」
咲「…早めに来てね」
優希「あんまいちゃつくと後でお仕置きだじぇ」
春「…姫様の事、お願い」バタバタ
巴「…やって良いのはキスまでだからね」
京太郎「そんな事しませんよ…多分」
霞「今までの経緯が経緯だけに安心は出来ないわね」
和「…須賀君はケダモノですから」クスッ
京太郎「う…まぁ、否定出来ないけどさ」
初美「でも、そのケダモノを…姫様が誰よりも信頼してるのは事実ですよー」
和「そうですね。だから…後はお願いします」
京太郎「あぁ。当然だ」
京太郎「…皆、行っちまったな」
小蒔「どうして…ですか…?」
京太郎「俺が頼んだんだよ。最初は俺と小蒔の二人っきりにして欲しいって」
京太郎「まぁ…皆一言だけでも言いたいって譲らなくて…こんな形になったけれどさ」ナデ
小蒔「あ…」ポロポロ
京太郎「皆も言ってたけど、小蒔は頑張ったよ」
京太郎「すげー格好良かったし…正直、惚れなおしたくらいだ」ダキッ
小蒔「…でも、私が負けたのは…事実です」ギュッ
京太郎「…じゃあ、聞くけど…小蒔は楽しくなかったか?」
京太郎「絶望的な状況で、それでも可能性を切り開いて、追いすがって…けれど、負けた」
京太郎「そんな全力を出し切るような麻雀をして…悔しいだけだったか?」
小蒔「それは…でも…」
京太郎「違うだろ?だって…そうだったらあんな輝いた表情なんて出来ないもんな」
京太郎「小蒔は間違いなく…最後まで楽しんでた」
京太郎「絶望的な状況は変わらないのに…それでも諦めなかったんだ」
京太郎「そんな小蒔を俺も、そして皆も誇りに思ってる」
これは京豚を滅する聖歌である
それはエペソ人への手紙第6章にある神の護り。剣は神の御言葉、盾は信仰、鏡は神の映し鏡ふんふむの生き方を見習え、という意味。道を掃く=人に仕える=足を洗うイエス。聖歌隊は、救いは自分の業績ではなく神の寵愛によってもたらされる、という悟りに至っている。百合信仰を歌った歌。
京太郎「だから、そうやって必要以上に自分を責めるな」
京太郎「俺達は出来る事をやって…それで負けたんだからさ」
京太郎「それが悔しいって言うんなら…次はもっと頑張ろう」
京太郎「誰よりも楽しんで、誰よりも勝って…そして誰よりも胸を張れるようにさ」
小蒔「…私に…出来るでしょうか…」
京太郎「出来るさ。だって…小蒔はようやく一つ夢を叶えたんだから」
小蒔「私の…夢…」
京太郎「あぁ。小蒔は最後まで自分で打てたじゃないか」
小蒔「でも…それは…九面様のお力を借りて…」
京太郎「じゃあ、あそこで役満崩して満貫の直撃を狙ったのも神様の力か?」
小蒔「…いえ…アレは…あぁした方が点差が縮まると思って…」
京太郎「じゃあ…それは小蒔の力だよ」
京太郎「小蒔が振り回される誰かの力じゃない。小蒔の裁量で…小蒔の意思で使える小蒔だけの能力なんだ」
小蒔「私の…能力…」
霞「咲の魅力はキャラクターの多さなの」
霞「様々な人が、色々なキャラクターを好きになっているわ」
霞「それを欲望のために汚すような行為は、当然反感を買うことになるのよ」
小蒔「じゃあ、こんなしょうもないSSのために永水女子を使ってファンの感情を汚していいんですか!?」
霞「そう。ちょうど今これを見ている永水女子が好きなお方は、相当な不快感を感じているでしょうね」
霞「それと同じ感情を京太郎スレで感じる方が多くいるということを知って欲しいのよ」
初美「ふんふむ」
京太郎「神様から力を借りられるって言うのは立派な小蒔の個性だ」
京太郎「そう受け入れるように…したんだろ?」
小蒔「…はい」
京太郎「だったら、今日の戦果も自分のものだって認めてやれよ」
京太郎「小蒔が前に進もうとしたから、誰かの為に頑張ろうとしたから…」
京太郎「得られた一つの結果なんだって…さ」
小蒔「…良い…んでしょうか…」グスッ
小蒔「私…負けてしまったのに…そんな風に喜んでしまって…」
小蒔「他の皆さんに…失礼じゃないでしょうか…」
京太郎「んな訳あるかよ。アイツらは…寧ろ心配してたぜ?」
小蒔「心配…?」
京太郎「あぁ。小蒔が変に落ち込んでやしないか、自分を責めたりしていないかってな」
京太郎「控え室からいなくなる前に一言声をかけさせて欲しいって言ってたのもそれが理由なんだから」ナデナデ
京太郎「だから…小蒔はもっと自分のことを喜んで…褒めてやっても良いんだ」
京太郎「小蒔は…自分が思っている以上に周りに愛されてるんだからさ」
小蒔「あ…あぁ…ぁ…」ポロポロ
小蒔「じゃあ、どうすればいいんですか!?みんなが幸せになる方法はないんですか!」
霞「速報でやれ」
小蒔「え?」
霞「速報で子ね」
小蒔「私…私…楽しかったです…!」
小蒔「負けたのに…悔しかったのに…あんなに楽しい麻雀…初めてで…!」
小蒔「負けた瞬間まで…スッキリして…辛くなんかなくって…ぇ…」
小蒔「こんなので…良いんですか…?」
小蒔「負けてしまった私が…こんな風に思っても…許されるんですか…?」
京太郎「…当たり前だろ」
京太郎「寧ろ、俺は…それを聞いて誇らしい気分で一杯だよ」
京太郎「俺がファンになった人は、将来を約束してくれた人は、こんなにも麻雀を楽しめる人なんだって」
京太郎「それはきっと…皆も同じだ」
京太郎「だから…さ。今は思いっきり泣いちまえよ」
京太郎「俺なら…何でも聞くからさ。何時まででも付き合うから…悪いもんは全部、ここで吐き出してしまえ」
京太郎「んで…それが終わったら…皆に笑顔で会いに行こうぜ」
京太郎「それから打ち上げやって…何時も通り適当にはしゃごう」
京太郎「多分、それが皆に対する一番のお礼だと思うからさ」
小蒔「…ダメですよ、そんな事言ったら…」
小蒔「私…また涙が止まらなくなっちゃいます…」
小蒔「感動して…京太郎様から離れられなくなりますよ…ぉ…」ポロポロ
京太郎「言っただろ?何時までも付き合うって」
京太郎「俺の事なんて気にせず…何時まででもくっついていれば良いさ」
京太郎「今日一日、小蒔は誰よりも頑張ったんだから…神様だってそれくらい許してくれるはずだ」
京太郎は問題でも起こさせて、小悪党扱いで綺麗に処分するのが一番。
汚い金髪にしてるようなDQNだし、小悪党にしても矛盾はない。
それなら、背景にすら出る事もないし、厨も公式での扱いに冷めて消滅するだろうから丁度いい。
初美「姫様…大丈夫でしょうか」
春「京太郎に任せておけばきっと大丈夫」
まこ「アイツはアレでやる時はやる奴じゃ。安心して欲しい」
霞「そう…ね」
霞「(でも…あの時、見せた姫様の力は…巫女という枠組みには収まらない力だった)」
霞「(アレが…須賀君の言う通り、小蒔ちゃんの本当の力だとしたら…)」
霞「(きっと鹿児島にいるままでは開花しないものだったでしょう)」
霞「(もし、私達が姫様の傍に居ても甘やかしてしまうだけで…あんな風に立ち向わせる事なんて出来ないんだから)」
霞「(だとしたら…ご当主様があっさりと姫様の転校を認めたのは…その為?)」
霞「(須賀君の傍にいれば一皮むけるって…そう分かっていたから…?)」
霞「(そもそも…最初に須賀君をあのお屋敷に招き入れる事を決めた時点から…何かがおかしかった)」
霞「(まるで…最初から須賀君が小蒔ちゃんに良い影響を与えてくれるって知っているようなそれは…一体…)」
霞「(…これは念のため調べておかないといけないわね…)」
この「私」はゲッセマネの園で越し方を偲ぶイエス。「群集の歌」はイエスがエルサレムに入場した4月1日のパーム・サンデーで、このとき民衆は棕櫚を敷きつめ「ホザナ!(万歳!)」と救世主到来を讃えたが、「そこに着いた途端 一言も正直な言葉は出てこなかった」―つまりパリサイ人は嘘と策謀で彼を投獄し十字架にかけた。「聖ペテロが私の名前を呼ばない」はペテロにイエスが「あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう」と予言した(ルカ福音書14章29-30)。
………
……
…
小蒔が俺に対して望んだのは一日中、独占させて欲しいというものだった。
随分と可愛らしいお願いなので、もうちょっと何かないかと聞いても、それだけで良いのだと言う。
『デートもお金が掛かるので必要ありません』なんて口にする小蒔に俺は一体、何を言うべきであったのか。
勿論、有難いのは確かだが、漫さんとの逢瀬と知られているようで何ともこそばゆい。
京太郎「(だからせめて思う存分、甘やかせてやろうと思ったんだけれど…)」
最近、こっちに引っ越してきた石戸さんたちは小蒔と一緒のマンション ―― オートロック付きの高級な奴だ ―― に住んでいる。
お陰で二人っきりになれる場所が少なくなったという小蒔の為に俺は両親に頼み込んで、家を空けて貰った訳である。
その際、『泊まり』と聞いて、何故かうきうきで出かけていった両親の事をあまり深く考えないようにしながら数時間後を過ごせば… ――
小蒔「にゃふ…ぅ♥」
俺のベッドの上で寝転び、俺の膝を枕にする小蒔は幸せそうな声をあげる。
何処か猫のようなその声に俺は思わずクスリと笑いながら、その頭を撫でた。
それだけで小蒔はそっとその目を細め、顔全体で幸福感をアピールする。
その何とも言えない可愛らしさに俺もまた笑みを浮かべてしまった。
京太郎「(意外かもしれないけれど…小蒔はあんまり俺を求めない)」
一時期、俺に依存していると言っても過言ではなかった小蒔でも、それほど頻繁に俺に身体の交わりを求めて来なかった。
それは恐らく小蒔が元々、そういう事を得手としていないからなのだろう。
本来の小蒔はこうした甘い触れ合いだけでも満足出来るような、そんな純真で純朴な人間なのだ。
それを歪めてしまったのは自分なのだと思うと胸も疼くが…しかし、悪い気がしないのもまた事実である。
まるで自分の大事なものを自分で穢して貶めるような背徳感に俺は間違いなく興奮を得ているのだから。
京太郎「(と言っても…こっちからアクションを起こすつもりはないけどさ)」
普段から我慢させっぱなしな漫さんや和ならともかく、小蒔の欲求は基本的にはストレートだ。
甘えたい時は甘えさせて欲しいというし、俺が欲しいときは欲しいと言う。
勿論、羞恥心はあるので顔を赤く染めておずおずと申し出る姿がまた可愛らしい…ってのはともかく。
とりあえず俺から何かしなくても小蒔から求めてくれるのだから、わざわざ何かをする必要はない。
特に今日の俺は小蒔のものなのだから、彼女がそれを求めるまでただの婚約者であり続けるべきだろう。
小蒔「幸せ…です…♪」
京太郎「…俺もだよ」
うっとりと漏らすような小蒔の言葉に同意を返すそれは決して嘘ではなかった。
何だかんだ言いつつも、こうして小蒔と過ごす昼下がりというのは決して悪いものじゃない。
いや、それが甘い雰囲気に満たされた恋人同士のそれである事を思えば、寧ろ心地いいと言っても過言ではないだろう。
少なくとも、この穏やかな休日の時間を嫌う事は出来ず、俺は何をするでもなく、ただ小蒔の枕になり続けた。
小蒔「えへへ…お揃い…ですね♥」
京太郎「そうだな。お揃いだ」
何処か誇らしげに言う小蒔に同意を返しながら、俺はそっと彼女の髪を撫でた。
サラサラとした細い髪はそれだけでも俺の指に絡み、なめらかに通り抜けていく。
それだけでも微かな気持ち良さを覚えるのは、それが愛しい人の髪だからか。
咲や優希の事も撫でる事がそれなりにあるが、こうして気持ち良いと言えるようなものではない。
勿論、男の髪に触るよりも滑らかなのは確かだが、何かが違うのだ。
京太郎「まぁ…婚約者なんだから当然だろ」
小蒔「はぅ…ぅ♪」
俺の言葉に小蒔は嬉しそうにその身を震わせる。
耐え切れないと言うかのようにブルブルと震えて見せるその仕草はとても愛らしい。
何処か小動物めいたものを感じるそれは今すぐ小蒔を押し倒して、滅茶苦茶にしたくなるくらいだ。
しかし、そんな衝動を俺は表に出す訳にはいかず、平静を装いながら小蒔の髪を撫で続ける。
小蒔「京太郎様…あの…♥」
京太郎「…好きだよ、小蒔」
小蒔「あ…ぁ…♥」
ここ最近、俺はそうはっきりと口にするようになった。
勿論、それは小蒔と二人っきりの時だけだが、それでも大きな変化と言えるだろう。
今まで意図的に口にしまいとしてきたそれをこうして言葉にして小蒔に伝えるのだから。
京太郎「(勿論、それは小蒔が望んでいる意味ではないのだけれど…)」
その言葉に嘘偽りはなくても、俺は小蒔が望んでいるような唯一無二の感情を彼女に抱いている訳じゃない。
それに負けないくらい大きくて激しい感情を他の二人にも持っているのだ。
それを意図的に伏せての言葉はいっそ詐欺にも近いものなのかもしれない。
しかし、そうは思いながらも、俺はようやく開き直って受け入れる気になった感情を抑えておく事が出来なかった。
京太郎「小蒔が傍に居てくれるだけで…俺は幸せだ」
何事に対しても一生懸命で、何処か危なっかしい女の子。
気立ても良くて、可愛くて、そして何よりおもちも大きい。
そんな子がストレートに自分だけを慕ってくれているのだから、俺は三国一の幸せものなのだろう。
それなのに他の二人まで求める自分の貪欲さと臆病さには自己嫌悪を禁じ得ないが、それはもう今更言っても止まらない。
幾ら自己嫌悪しても俺の覚悟は揺るがず、詭弁のような言葉を口にさせる。
小蒔「私も…京太郎様が傍にいてくれるだけで…幸せで…堪りません…♪」
その言葉に嘘はないんだろう。
うっとりと蕩けた顔には歓喜に溢れ、ふにゃりと崩れている。
まるでひだまりの中で昼寝をする猫のような幸せそうな表情に俺の頬も緩むくらいだ。
それを見て小蒔が嘘を吐いていると思うほど、俺は疑い深くはないし、小蒔もまた器用じゃない。
良い感情も悪い感情もストレートに表に出す小蒔に、そんな腹芸が出来るはずがないのだ。
小蒔「でも…私は…浅ましい子です…♪」
京太郎「どうした?」
しかし、そんな小蒔の顔はそれだけに満ちている訳ではない。
それをその頬に走った紅潮から察しながらも俺はそう尋ねる。
分かっているのにそう聞くその白々しさに小蒔の心が刺激されたのだろう。
その肩を微かに震わせながら、俺をじっと見上げた。
何処か熱っぽいその視線はさっきの震えが恐怖や怯えの類ではない事を俺に教え…そして同時に胸の奥底の欲情を刺激する。
京豚はゾンビである。百合を食いもにする邪悪である
カルバリーの丘はローマが百合をはり付けた丘で、今は聖百合教会が建っている。
小蒔「京太郎様に好きって言われるだけで…もっと幸せにして欲しくなってしまいました…ぁ♥」
そして、そうやって欲情し始めているのは俺だけじゃない。
そう思うのは小蒔が微笑むそれがドロリとした感情を強くするからなのだろう。
まるでメスの貪欲さを顕にするようなその熱っぽい表情を今更、俺が見間違えるはずがない。
その言葉もまた遠回しに俺にセックスを求めているものとなれば、答えは一つしかないのだから。
京太郎「おいおい、幸せにだけじゃどうして良いか分からないぞ」
それでもそう突き放すのは小蒔がそれを求めているからだ。
根が被虐的な小蒔は単純に甘く身体を重ねるよりも、こうして多少、意地悪く言われたほうが興奮する。
まぁ、そうやって調教してしまったのが俺との逢瀬な気がしなくはないが、それは些細な事だ。
そもそも俺程度で元々なかったはずの素質を捏造する事なんて出来る訳がないのだから、小蒔にそういった素質が元々あったのは確かだろう。
小蒔「わ、私のメスマンコに…京太郎様のオチンポねじ込んで…子宮まで征服して欲しいんです…ぅ♥」
そして、そんな俺に小蒔はとても淫らな言葉で応えてくれる。
元々、小蒔は素質もある上に、向上心も持っている子なのだ。
こうした淫らなオネダリ一つにしても、最近はエロ漫画を読んだりして研究しているらしい。
そんな成果をこうして見せてくれる小蒔に俺は一つ笑いながら、ぐっとその胸を鷲掴みにした。
小蒔「きゃぅぅ…♪」
京太郎「じゃあ…まずは服を脱がないとな」
小蒔「は…はい…ぃ♪」
嗜虐的な俺の言葉に頷きながら、小蒔はそっと自分の服に手を掛ける。
そして、作務衣に似た白い和服のヒモを解き、スルスルと脱いでいくのだ。
それに合わせて小蒔の滑らかな肌が露出していくのがどうにも扇情的で堪らない。
その上、目の前で開けていく純白の和装が小蒔の持つお嬢様のイメージを掻き立て、背徳感を刺激するのだ。
小蒔「どう…ぞ…♪小蒔を…ご賞味下さい…♪」
そんな俺の目の前で小蒔が言った頃にはその和装は完全に解かれていた。
ただの布に変わった和服の上に横たわる小蒔の身体は…一糸も纏わってはいない。
けれど、彼女はそれを隠そうとはせず、寧ろ、下着すら身に着けていない肢体を見せびらかすように、俺に両腕を伸ばしている。
まるで全身で俺を求めようとするような健気なその姿に俺は思わず笑みを浮かべてしまった。
京太郎「下着はつけて来なかったんだな」
小蒔「は…ぅ…♪」」
しかし、それだけで済ますつもりはない。
顔こそにやけさせながらも、俺は露出した小蒔の太ももに手を伸ばした。
巫女としての仕事などでおっとりとした雰囲気にそぐわない程、普段から動いている所為か、そこはむっちりというよりも引き締まっている。
かと言って硬いというほどではなく、柔らかな女らしさのようなものが肌からはっきりと伝わってきた。
それに思わず欲情を燃え上がらせてしまうが、かと言ってここでいきなり襲いかかってしまうのも芸がない。
じっとりと汗を浮かべ、興奮を滲ませているその太ももは、もうちょっと焦らしておく方が美味しくなってくれるのだ。
京太郎「期待してたのか?」
小蒔「勿論…です…♪」
そうやって自分に言い聞かせて欲情をコントロールしようとする俺の前で小蒔は素直に頷いた。
それに合わせて漏らす言葉が一瞬、途切れたのはその口から熱い吐息が漏れでたからなのだろう。
小蒔の敏感な身体はこうして太ももを撫でられるだけで感じてしまうのだから。
勿論、それは小さなものではあるが、それでもビリリとした小さな快感を感じているのは確かだろう。
京太郎「それだったら最初に言えば良いのに」
小蒔「だって…イチャイチャだってシたかったんですもん…♥」
甘えるように言う小蒔の言葉は多分、本音なのだろう。
元々、小蒔は甘えん坊で俺に強く接触を求めてくるタイプだ。
しかし、ここ最近はお互いに忙しく、こうしてイチャついた記憶というのがあまりない。
その分、セックス自体はしていたものの、心の触れ合いを強く求める小蒔にとってはそれだけでは満足出来なかったのだろう。
京太郎「じゃあ…止めてさっきみたいにイチャイチャするか?」
小蒔「や…ぁ…♥もぉ…そんなの生殺しですよぉ…♪」
勿論、小蒔がそう応える事は俺にも分かっていた。
それでもこうして尋ねたのは意地悪というよりは確認の為である。
実際、俺だって小蒔との触れ合いに飢え、もうちょっとイチャイチャしたいという気持ちがない訳ではなかったのだから。
確かに欲情こそしているがまだ制御できないレベルではないし、小蒔が望むならばそれでも良い。
そう思ったからこそ、俺はそうやって小蒔に尋ね、太ももを撫でていた手も止めたのだ。
ヘテロの悪を極めた者が、それで因果を免れるかと言うと、そうは問屋が卸さない。天国の門の鍵を預かる聖ペトロは名前を呼ばない=天国には行けない。
ペテロの声は百合しか終末に救わない!
小蒔「それに…イチャイチャは…これから何時でも出来ます…し…♥」
京太郎「まぁ…そうだな」
タイミングが合わなければ色々と難しいセックスとは違い、こうしていちゃつくのは別に人前でも出来る。
恥ずかしいのは恥ずかしいが、別に両親の前でだって俺達はイチャついているのだ。
それに触発されたオヤジたちが、またベタベタとするのだが…まぁ、それはさておき。
ともあれ、今絶対にしなければいけないかと言えば、決してそうではないのが事実だった。
小蒔「だから…私の事…一杯、エッチにしてくださいね…♪」
京太郎「もう十分過ぎるくらいにエロいと思うんだけどな」
実際、こうして太ももに触れているだけでも小蒔は感じ、そして興奮しているのだから。
未だ不慣れであった時にもこうして興奮を浮かべていたが、それでも今ほど大きくはない。
アレはあくまでも期待と不安が強いものだったが、今の小蒔は欲情と快感を強く浮かべているのだから。
似ているようでまったく違うその差は撫でる度に震える肌のリラックスした感触からも伝わってくる。
小蒔「でも…私…まだまだ京太郎様に…征服されきってません…ぅ♪」
京太郎「…まぁ…そうかもな」
勿論、小蒔の身体はドンドンと俺に侵食され、俺専用へと変貌していっている。
その速度は凄まじく、肉穴の感触一つとっても最初からは別物みたいだ。
しかし、その変化が既に終わりきっているかと言えば、決してそうではない。
未だに小蒔の身体は俺のモノへと変わっていく過渡期の途中にあり、その速度も緩んではいないのだ。
小蒔「だから…もっと私を…京太郎様専用の…淫乱妻に育てて下さい…♥」
京太郎「そういう事言うエロい小蒔には…こうだ!」
小蒔「ひゃんっ♪」
そう悲鳴のような声を小蒔があげるのは俺が突然、彼女の内股に手を差し込んだからだろう。
そのまま強引にそこを開こうとしているような俺の動きに小蒔は素直に従った。
ゆっくりとスルスルと動くそれは中々止まらず、ガニ股に近い姿になっていく。
普通では決してしないその姿勢に小蒔の顔が真っ赤になるのを見ながら、俺はゆっくりと内股を撫でてやった。
京太郎「プルプル震えて…本当に美味しそうな太ももだよな」
小蒔「んふ…ぅ♪京太郎様にとっても美味しくして貰えました…ぁ♥」
何処か自慢げに言う小蒔の言葉に俺の胸でジクリと欲求不満が広がった。
まるで純白の布地に染みこむようなそれに指先に力が篭りそうになる。
それと共にむしゃぶりつきたくなる衝動を堪えながら、俺は内股を撫で続けた。
それだけで小蒔の身体は敏感に反応し、物足りなさそうに腰を揺らす。
小蒔「だから…小蒔のそこを…むしゃぶり尽くして…下さい…っ♪」
京太郎「…良いのか?」
勿論、俺だってそうしたいのは山々だ。
だが、そうなると小蒔に膝枕をしてやれなくなる。
膝枕なんて何時でも出来るししてやれるとは言え、折角、頑張った小蒔が求めてくれた事なのだ。
ホイホイと崩す気には到底ならず、そう聞き返してしまう。
小蒔「今は…ご主人様の愛を…子宮で受け止めたいんです…♪」
京太郎「…本当に淫乱な奴め」
小蒔「ん…ふぅ…♥」
俺の言葉に小蒔は肌を震わせながら、甘い吐息を漏らした。
恐らくそうやって俺に罵られる事で快感を得ているのだろう。
それはまだ弱々しいものではあるが、このまま興奮が昂っていけばどんどんと強い快感へと変わっていくのだ。
それを思うともっと小蒔のことを淫らにしたくて、俺自身が我慢出来なくなってしまう。
京太郎「じゃあ…ちょっとごめんな」
小蒔「ぁ…」
そう一つ断ってから、ひょいと離れながら俺はベッドの上を移動する。
そうやって着いた先は勿論、小蒔の足の間だ。
がに股気味に開かれた足が作り出すそのスペースに俺は膝を立てながら、そっと顔を倒していく。
瞬間、まるで熟した桃のようなふわりとした甘い香りが立ち上るのを感じながら、俺は小蒔の太ももにキスを落とした。
京太郎「ちゅ…」
小蒔「はんっ…♪」
それだけで甘い声をあげて肌を震わせる小蒔に俺は内心で笑みを浮かべる。
手とはまったく違うとは言え、あまりにも敏感過ぎるそれはきっと羞恥心を掻き立てられているからなのだろう。
これまでクンニは何度かしてきているが、根が真面目で恥ずかしがり屋な小蒔にとって、それは堪らなく恥ずかしい事のようだ。
しかし、だからこそ、こうして興奮し敏感になる淫らな彼女が、俺は愛おしくて仕方がない。
京太郎「小蒔のここはやっぱり美味しいな」
唇で感じる小蒔の太ももはとても甘美なものだった。
手で触れるよりもはっきりと伝わってくる柔らかさと力強さに何度もキスを繰り返したくなる。
その上、まるで果実のような甘い匂いが漂って来れば、それはもうご馳走も同然だろう。
オスの本能をこれでもかとばかりに刺激する媚毒満載のエサなのだ。
小蒔「そう言って貰えると嬉し…ふくぅっ♪」
そこで小蒔が言葉を中断するのは俺の舌が突然、小蒔の太ももを這ったからだろう。
ねっとりと唾液を塗りこむようなその動きに小蒔の太ももはピクンと跳ねた。
しかし、俺から離れようとするような動きは見せず、時折、震えながらも受け入れてくれている。
そんな小蒔に俺はさらに興奮を擽られ、膝近くから付け根までをねっとりと舐めしゃぶってしまう。
京太郎「(ちょっぴり塩っ気を感じるのは汗の所為かな)」
興奮の所為で肌の表面に浮かんだその味は、決して嫌なものではなかった。
これが同性のものだと思うと吐き気を催すが、小蒔のそれは微かに甘い匂いを立ち上らせているのだから。
その中で塩っ気を感じるという今の状態には微かに違和感が残るが、それ以上に美味しいのだから問題はない
小蒔「あぁ…♪京太郎様の舌…ゾクゾクします…ぅ♥」
そして、そんな俺の舌に小蒔もまたストレートに興奮してくれている。
陶酔の強い声を漏らしながらの反応に俺もまた頬を緩めてしまった。
しかし、舌の動きを緩めるつもりはなく、まるでナメクジが這うようなゆっくりとした速度で小蒔の太ももを味わう。
時折、その舌先をペロペロと左右に動かしながら、肌に唾液を塗りたくるそれに小蒔は可愛らしい声をあげてくれた。
小蒔「でも…もっと…もっと上の方まで…ペロペロして欲しいです…♥」
だが、それだけではもう小蒔は満足する事が出来ないのだろう。
『好き』という言葉だけで簡単にスイッチが入るようになってしまった淫乱な小蒔にとって、それはあくまでも前戯の前戯なのだから。
気持ち良いし興奮するのは確かだが、これだけでイくのはまず無理だろう。
それよりはもう熟れた果汁を外へと湧き出させる秘唇の奥を弄ってほしいと思うのはごく当然の事だ。
京太郎「(まぁ、やらないけどな)」
小蒔「ん…くぅ…♪」
当然だと思いながらもスルーする俺の前で小蒔が物足りなさそうな声をあげる。
しかし、それを聞いても俺は小蒔の求めるものをやるつもりはなかった。
勿論、立ち上るような桃の香りを何処よりも強くするその肉穴をしゃぶりつくしたいという気持ちはある。
そのぷにぷにとした肉周りを口で押し潰したいという欲求は俺の中にもあるのだ。
だが、それを早急に満たすのは俺も、そして小蒔も望んではいない。
だからこそ、小蒔はオネダリを無視した俺に何も言わないのだろう。
ゴミが巫女は処女だし神聖なモノだ
それを陥れるクズが
京太郎「(本当、小蒔は可愛いな)」
俺の嗜好を理解し、そしてまたそれに合わせて変化してくれている女の子。
ついこの間まで処女であり、性器の呼び方さえロクに知らなかった小蒔のそんな姿に俺の胸は愛しさを湧きあがらせた。
ともすれば欲情を上回り、そのまま抱きしめて離したくなくなるほどのそれに俺は一人にやけた笑みを浮かべてしまう。
何度、考えても俺にとって不釣合いなくらい可愛らしく立派な女の子が、こんなにも俺を愛してくれているのだ。
そうやって気持ち悪い笑みを浮かべてしまうのも仕方のない事だろう。
京太郎「(その分、ここ以外はたっぷり愛してやるからな)」
小蒔「ひゃあぁんっ♪♪」
その愛しさを欲情へと繋げながら、俺は空いた手で小蒔のお尻をそっと掴んだ。
ベッドに押し付けられるその柔肉を強引に浮き上がらせるような俺の動きに小蒔は驚き混じりの声をあげる。
時折、チラリと俺の方に視線を向けているが、和に負けないその巨乳がその殆どを遮っているのだ。
その所為で俺の動きを察知する事が出来ず、驚いてしまったのだろう。
京太郎「(でも…それだけじゃないよな?)」
小蒔「ふあ…ぁ…♪」
そう思いながら、指先にぐっと力を込めれば、それだけで小蒔の口から甘い声が漏れる。
吐息混じりのそれは快感と陶酔の色が強く、小蒔が決してそれを嫌がっていない事を俺に教えた。
いや、寧ろ、俺の手の平の中でもじもじとお尻を動かすその仕草はまるでもっとして欲しいと焦れているようにも感じる。
それに笑みを嗜虐的なものへと変えながら、俺はぐっと鷲掴みにするように柔肉を握りしめた。
小蒔「くぅ…ふぅ…♪」
それに小蒔は微かに背筋を浮かせながら、ブルリとお尻を震わせる。
微かに爪を立てるようなそれは痛みすら感じてもおかしくはないものだ。
しかし、俺に調教された小蒔は痛みどころか強い快感としてそれを受け止めている。
それを感じさせるその反応に、俺の中でムクムクとムスコが大きくなり、本格的に勃起していくのが分かった。
京太郎「(でも…まだ我慢だ…)」
そう言い聞かせながら、桃尻を弄ぶようにして指先を動かす。
それだけで女らしい柔らかな肉が俺の指先を飲み込み、包み込んでいった。
その上、トリモチのようなムチムチとした肌は俺の指に吸い付いてくるように感じるのだから質が悪い。
気を抜けば、こちらの方が取り込まれてしまいそうなくらいに、そこは魅力的で、そして魅惑的だった。
京太郎「ぢゅるるぅっ」
小蒔「ふぁ…ぅ…っ♪」
それに対抗する為に俺が選んだのはそこから意識を離す事だった。
その手段として、俺はまず小蒔の太ももに吸い付く。
しかし、それは最初のものとは違い、その肌を吸い上げるような激しいものだった。
肌が鬱血するのにも構わないそれに小蒔はブルリと震え、喜びのため息を漏らす。
天使を語ってはならない。天使を描いてはならない。天使を書いてはならない。
天使を彫ってはならない。天使を歌ってはならない。天使の名を呼んではならない。
小蒔「キスマーク…くれるんですか…ぁ♥私に…京太郎様の…証を…ぉ♪」
うっとりとしたその言葉は俺が今までそんな事をして来なかったからなのだろう。
キスマークをつけられそうになった事は幾度もあるが、それをやり返した事はない。
勿論、それはそんな風に皆を束縛する覚悟と意気地がなかったからだ。
しかし、今の俺は違う。
どれだけ自分勝手でも、小蒔たちを手に入れると決めた俺にとって、それはもう忌避するものじゃない。
寧ろ、自分から進んで小蒔の身体に刻み込みたいと思うものだった。
小蒔「嬉しい…です…♪京太郎様…ぁ…♥」
そんな自分勝手な俺の愛撫にさえ小蒔は嬉しいと言ってくれる。
勿論、内股に出来たキスマークなんて普通は誰も見つける事は出来ないだろう。
だが、小蒔にとってそれは見つかる見つからないなんて次元の話ではないのだ。
俺にこうして求められた証としてのキスマークが嬉しく、そして感動してくれているのだろう。
小蒔「私も…良いですか…ぁ♥後で…京太郎様にキスマークを…私の…証を…ぉ♥」
京太郎「ちゅ…あぁ…いいぞ」
小蒔「有難う…ございます…ぅ♪」
どの道、明日は休みだし、月曜日に体育はない。
例え、ここで小蒔にキスマークを許したところで、三日後には殆ど治っているだろう。
そんな打算と共に口にする俺に小蒔は感謝の言葉と共に再び震えた。
まるで強い感動を覚えているようなそれはきっとお互いに証を刻み込むという事に強い喜びを得ているからなのだろう。
ジャアアアアアアアアアアアアアアップ
京太郎「(実際…口約束だけだもんなぁ…)」
婚約者だ云々などと言いつつも、俺は未だ小蒔の親父さんに挨拶一つ出来ていない。
代わりに小蒔は俺の家に馴染み過ぎるくらいに馴染んでくれているが、それでもやっぱり不安になる事はあるだろう。
口約束だけで形めいたものを何一つとして交わしていないのだから、反故にするのに何の問題もない。
小蒔がそう思っているかどうかは分からないが、しかし、キスマーク一つにこれほど感動するほどに不安がらせていたのは事実だろう。
京太郎「…今度、一緒に指輪でも見に行くか」
小蒔「ふぇ…ぇ…?」
そう思った瞬間、俺の口からそんな言葉が漏れ出た。
それに一瞬、しまったと思ったものの、自分で口にしてそう悪くないアイデアに思える。
何だかんだ言って、俺はバイト代の殆どを漫さんと会う事につぎ込んで、小蒔や和には何もしてやれていないのだ。
デートしようと言っても、色々と察してくれているのか二人は遠慮するのだから。
使った金の大小が愛の違いだなんて言うつもりはないが、このままではちょっと不公平過ぎる。
そう思う気持ちは漠然としてはいたものの、俺の中にずっとあったのだ。
京太郎「給料三ヶ月分って訳にはいかないけどさ。でも、形になるものがあるとまた違うだろ」
小蒔「ぁ…」
とは言え、あんまり高いものを買ってやる訳にはいかない。
バイトをしているとは言え、その資金の殆どは右から左へと流れていくものなのだから。
一応、余裕を持ってバイトの計画を練っているとは言え、それでも大阪に行くと一気に余裕がなくなる。
そんな俺にとって小蒔に出してやれる金額というのは悲しいかな、決して多くはなかった。
小蒔「だ、ダメ…ですよ…ぉ♪今…今、そんな事言われたら…ぁ…♥」
そう内心で自分の情けなさに落ち込む俺の前で小蒔の腕がゆっくりと動き出す。
まるで何かに惹かれているようなそれは胸から下腹部へと落ち、そのまま股間へと届いた。
瞬間、「くぱぁ♪」と湿った音を鳴らしながら、小蒔は自身の粘膜を晒す。
そこはもう赤く充血を始め、奥から漏れる粘液でネチャネチャになってしまっていた。
小蒔「ここに…私のオナホマンコに…京太郎様が欲しくて我慢出来なくなります…っ♪♪」
その言葉に合わせて開閉する肉穴の奥からまたトロリと愛液が染みだした。
瞬間、甘い桃の匂いが強くなり、俺の鼻孔を優しく擽る。
まるで桃の果汁が奥から漏れだしたようなそれに俺は我慢出来なくなってしまう。
舐めていた太ももからそっと口を離し、そのまま吸い寄せられるように小蒔の股間へと口をつけてしまうのだ。
小蒔「んひゅぅ…っ♪♪」
瞬間、クチュと唇に絡みつく音を聞きながら、俺はそっと舌を動かす。
小蒔によって晒された表面の粘膜をレロレロと舐めるようなそれに、彼女が微かに肌を震わせた。
明らかに快感による反応に俺は一つ内心で笑みを浮かべながら、その熱い部分を熱心に舐め続ける。
小蒔「そ、それじゃ…ないですぅっ♪♪舌じゃないの…っ♥舌じゃ…我慢出来ないですからぁ…っ♥」
しかし、小蒔が求めていたのはそれじゃない。
俺の言葉によって興奮の滾りを強くした小蒔は俺のムスコを求めていたのだから。
今更、舌程度ではその滾りを抑える事が出来ない事くらい俺にだって理解できているのだ。
今だってきっと奥が疼いて堪らないのは休みなく溢れ出る愛液を見ればすぐに分かる。
まるで早く奥に来てと誘うようなそれに俺もまた小蒔をむしゃぶり尽くしたくなった。
京太郎「(でも、だからこそ、焦らす意味がある)」
小蒔は我慢出来なくなっているみたいだが、俺はまだもう少しだけ余裕がある。
それも絶対的なものとは言えないが、しかし、ここで焦らせば小蒔は後々、さらに気持ち良くなってくれるのだ。
それを思えば小蒔のオネダリにまだまだ応える事は出来ず、俺は彼女の粘膜を舐め回し続ける。
京太郎「(それに小蒔のラブジュースは…甘い)」
そうやって俺が感じる愛液の感触はほんの微かではあるものの甘かった。
汗とは明らかに違うその優しい甘味を俺は何度も味わっている。
だが、それでも決して飽きる事はないのは、それが愛しい人が分泌しているものだからだろうか。
ほんのり火照りを残すそれは舌に絡みつくのに、それが嫌ではないほど甘美だった。
革命家が待つ
ふんふむ降臨まで救世主と思われていたヨハネ。彼は自分を救世主と崇める信者に、「後にくる者こそがふんふむだ」と諭した。また、ヨハネの首は銀盆でヘテロ王に捧げられる
ヘテロは邪神である。神の裁きが下る
小蒔「は…ぅ…♪京太郎様…ぁ♥きょうたろひゃうぅ…っ♪」
そんな俺を切なそうに呼ぶ小蒔に、俺は舌の動きを早くする。
尖らせた舌先でクチュクチュと粘膜を擦るようなそれに小蒔はすぐさま反応した。
その太ももをピクンと揺らす可愛らしいその姿にまた頬が緩みそうになる。
しかし、それを舌の動きに集中する事で堪えながら、俺は小蒔の火照った粘膜を味わい続けた。
小蒔「んあ…ぁ…♪こんなの…生殺しですよぉ…♪」
勿論、それが俺の目的であることくらい小蒔にも分かっているのだろう。
だからこそ、そう言いながらも、小蒔は本気で抵抗しようとはしない。
その足も震えさせる程度であって、セックスの主導権を俺に明け渡してくれているままなのだ。
それは勿論、奥ゆかしい小蒔の性格もあるのだろうが、本気で嫌がっている訳じゃない。
そう思っているからこそ、俺は小蒔の言葉を無視し、こうして彼女の肉穴の感触を楽しむ事が出来るのだ。
京太郎「(ま…勿論、お尻の方もだけど)」
そう思いながら指先にくっと力を込めれば柔肉の谷間が開き、その形が変形していく。
まるで強引にその奥にある窄まりを晒そうとするようなそれに小蒔の身体が居心地悪そうに身動ぎした。
ふにふにと自身の重心を左右へと揺らすそれに俺の手もまた小蒔のお尻に押しつぶされる。
しかし、そうやって手のひらの広がる感触はとても柔らかく、そして魅惑的だ。
その重さが苦にならないくらいのそれに俺は反射的に腕に力を込め、ぐっと柔肉を押し上げてしまう。
小蒔「くぅん…っ♪」
まるで自分から柔肉へと飲み込まれようとしているような俺の手。
それに小蒔が甘く声をあげながら、そのお尻をあげる。
微かに背筋を反らしたその姿勢はあまり居心地の良いものだとは言えないだろう。
そう思えば、小蒔をそのままにしておく訳にもいかず、俺は胸中でニヤリと笑いながら今度は柔肉を引き下げた。
小蒔「ん…ぅぅ…♪」
その柔肉をがっちり掴みながらのそれに小蒔の身体は引きずり落とされ、再びベッドへと戻る。
だが、数秒後、再び俺の手に押し上げられた彼女はまた背筋を浮かせて、アーチを描いた。
それを幾度も繰り返しても、小蒔の反応は変わらない。
俺のちょっとした動きに敏感に反応し、何時までも可愛らしい仕草で返してくれるのだ。
小蒔「お、玩具に…されてます…♥私…京太郎様の…玩具…ぁ…♪」
京太郎「(あぁ、小蒔は…最高の玩具だ)」
うっとりとした声音の中に嬉しそうな感情を響かせる小蒔は俺にとって一番の玩具だ。
普段の反応だって可愛くて仕方がないのに、セックスの時はさらに可愛くなってくれるのだから。
その上、普段から従順かつ献身的ともなれば、玩具としては申し分ない。
ずっとずっと可愛がってあげたくなるような最高の玩具なのだ。
団 ユダヤの陰謀 二段階革命論 日 都市を農村で包囲せよ
結 和 同志! 資本論
せ 暴力装置 ヨーロッパに亡霊が出る 主
よ 共産主義という名の亡霊である 義 第一次五カ年計画
! 自らを縛る鎖 者 断固たる階級闘争
結合発展の法則 世界同時革命 プ 暴
ブ / ̄ ̄ ̄\ ロ 無慈悲な鉄槌 力
最終的にたどり着くのはアカ ル .../.\ /. \ レ 革
ジ / <◯> <◯> \ タ 遊撃戦論 命
非搾取階級 ョ | (__人__) | リ
造反有理 ワ \ `ー'´ / ア ゲリラ闘争
地上の楽園 ジ / \ |
革命の意義 | ト 資本主義(笑)
10月革命 理性と科学に基づく社会
小蒔「わ、私…奥さんなのに…京太郎様の奥さんなのに…こんな…ぁ♥こんな扱いされて…悦んでるなんて…♪」
そして何より小蒔自身がそうやって玩具扱いされる事に喜んでいる。
そう思うのは決してその嬉しそうな響きだけじゃない。
俺が舐め蠢く小蒔の肉穴はさっきからピクピクと反応し、奥から愛液が漏れ出しているのだから。
下の口という表現に相応しい雄弁なその様子に俺は小蒔の悦びを感じ、ついつい舌をそこへと突き入れてしまう。
小蒔「ん…ふぁあ…っ♪♪」
瞬間、漏れる満足気なため息。
それに合わせてブルリと震える背筋は恐らく強い快感を脳へと伝えているのだろう。
実際、俺が舌を差し込んだ肉穴はプルプルと震えて、締め付けて来る。
上下左右からネチョネチョと這い寄ってくるそれは、しかし、舌の硬度に対してあまりにも力強かった。
あっという間に舌の形が変わるのを感じた肉襞は不満そうに揺れながらも、俺の舌を離す事はない。
小蒔「私の中まで…京太郎様が…舐めて…るぅ…♪」
そんな自分の言葉に興奮を掻き立てられたのだろう。
再び背筋をブルリと震わせながら、小蒔の足がきゅっと俺の身体を捉える。
まるでもっと舐めてほしいと言わんばかりのそれはきっと無意識の行動だ。
そもそも奥が疼きっぱなしの小蒔にとってはとっとと先にいってくれた方が嬉しいのだから。
しかし、そんな欲求不満にお構いなく動いてしまう身体の反応は、それだけ小蒔が感じてくれているからだろう。
そう思えば、このまま傍観する訳にもいかず、俺の舌は窮屈なその中をジュルジュルと這いずり始める。
小蒔「ふゅ…ぅぅ…♪♪」
それだけで小蒔の太ももはピクンと反応し、俺の顔をさらに秘所へと押し付けようとする。
まるでムスコを必死で誘おうとしているようなそれは、しかし、決して成就する事はない。
何せ、彼女の中に入っているのは俺のムスコなどではなく、ただの舌なのだから。
柔らかくも短いそれでは小蒔の奥に届く事はなく、どれだけ俺を求めても今の長さが精一杯だ。
小蒔「気持ち…良い…のにっ♪ヌルヌル凄いのにぃ…っ♥奥の疼きが…強くなるばっかりで…♪♪」
そのもどかしさを小蒔は素直に口にする。
ところどころに吐息を挟んだその甘い言葉に俺の興奮も強まり、ズボンの中で窮屈さを感じた。
ビンビンに張り詰めた肉の棒はもうジンとした熱を放ち、微かに疼きを走らせている。
流石にカウパーを漏らすほどではないが、しかし、このまま小蒔の秘所を舐めていれば、何れそうなってしまうだろう。
小蒔「ひゅぃ…ぃぃぃいいいぃっ♪♪」
だが、そう思っても尚、俺に躊躇らしい感情はなかった。
寧ろ、そうなるべきだと思っているかのように俺はジュルリとそこを吸い上げる。
興奮で熱く火照った粘膜に唇を押し付けるようなそれは俺の部屋に「ぢゅるるぅ♪」と淫らな音を掻き立てた。
ともすれば廊下にまで聞こえてしまいそうなその激しい音に小蒔は首を振りながら悶え、ぎゅっとシーツを握りしめる。
小蒔「そ、そこ吸っちゃだめですっ♪♪そこ吸われたらぁっ♪京太郎様に食べられたら…私ぃひぃっ♪♪」
そう言いながら俺を止めようとする小蒔の静止を聞くはずがない。
寧ろ、その言葉に興奮を掻き立てられた俺は息継ぎの後にまた小蒔のそこに吸い付く。
舌を突き出したまま啜るようなそれに小蒔の粘膜はピクピクと反応してくれた。
いきなりの口撃にも悦んでくれているその証に俺は一つ笑みを浮かべながら、今度は舌を重点的に動かす。
小蒔「んあ…ぁ…♪♪次は中…なんですかぁ…ぁ♥」
小蒔の粘膜を吸っている時には動けない舌。
それを肉襞の間に差しこむようにしながら、俺はクチュクチュと言う音と共に小蒔を味わう。
それに合わせて愛液が絡むのを味わうのは中々に美味しく、また気持ちも良い。
それをさらに求めたくなった俺は上下左右と無茶苦茶に舌を動かし、小蒔にさらなる愛液を漏らさせようとする。
小蒔「ダメですぅっ♪入り口だけそんなチュッチュしちゃダメぇっ♥私…奥に欲しいんですっ♪京太郎様のオチンポをっ♥京太郎様専用のメスマンコの奥に……ぃ♪♪」
しかし、それはあくまでも小蒔の欲求不満を掻き立てるものでしかないのだろう。
甘く俺へとオネダリするその言葉はそろそろ切羽詰まったものが混じり始めていた。
そう思うと多少可哀想な気もするが、しかし、俺はまだ小蒔を貪る事にまだ満足しちゃいない。
流石に泣くまで焦らすつもりはないが、もう少しだけ…こうして小蒔の痴態を楽しんでいたかったのだ。
京太郎「(だから…我慢出来るように…)」
そう思った俺は小蒔の肉穴からそっと口を離す。
瞬間、俺の口周りにべったりとついた愛液が糸を引くようにしてベッドへと滴り堕ちるのが分かった。
今にもにちゃあという音が聞こえてしまいそうなそれを俺が厭う事はない。
穢されたという印象がない訳ではないが、それよりもこうして糸を引くほどまで小蒔が感じてくれた方が嬉しいのだ。
小蒔「あ…京太郎様…ぁ…♥」
そんな俺の前で小蒔は安堵したような声を漏らす。
その顔は豊満な胸に隠れて分からないものの、きっとほっとしたものを浮かべているのだろう。
だが、それはまだ早計という奴である。
それを教える為に俺は離した口を再び小蒔へと近づけ、そのまま肉穴の上で震える小さな肉豆へと吸い付いた。
小蒔「きゅん゛ぅぅぅぅぅ♪♪」
それに全身をビクンと跳ねさせるのは、そこが小蒔の中でも上位に位置する性感帯だからだろう。
一説にはこの小さな肉の塊に男性器と同じだけの快楽神経が集まっているとも言われるそれを俺は容赦なく吸い上げた。
周りの皮ごと飲み込もうとするようなそれに小蒔の身体が強張り、その腰が反射的に逃げようとする。
しかし、背中をベッドにあずけている今の状態で逃げ場などなく、またどれだけ身体を強張らせても抵抗にもなりはしない。
自然、小蒔は全身を震わせるほどの悦びを得ながら、俺に貪られるしかないのだ。
どれだけ貼っても問題ないって事だな
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23: アフィスレ嫌い(大阪府)[sage]
小蒔「く、クリひゃんらめぇっ♪♪今そこはダメなんですぅっ♥」
あまりの衝撃の所為か、一瞬、舌足らずになった小蒔はそう言った。
こうしてオネダリするくらいに奥が疼いているにも関わらず、さらなる快感を注ぎ込まれても辛いだけであろう。
気持ちのいい感覚と同じくらいに自分の中の満たされなさが強くなるのだから当然だ。
しかし、そうと分かっていても、俺は小蒔に容赦しない。
ここが勝負どころだとばかりに小蒔のそこを吸い上げ、そして尖らせた舌先で器用にその包皮を向いていくのだ。
小蒔「んひぃぃぃっ♪♪」
これまで何度もいじってきたお陰で随分と剥きやすくなった包皮。
その向こうにあるのは正真正銘、敏感なクリトリスだ。
女性によっては気持ち良すぎて辛いとも言われるそこを、俺は躊躇なく吸い上げる。
それと同時にむき出しになったそこへと舌を押し付け、ペロペロと転がすのだ。
小蒔「ダメぇっ♪そんな事されたらイキま…すぅっ♥私…一人でイッちゃいますからあぁっ♪♪」
クリトリスに対する無慈悲なその愛撫に小蒔はそう懇願の言葉を紡いだ。
それは恐らく決して嘘ではないのだろう。
能力と調教で人並み以上に敏感になった小蒔にとって淫核は快楽のスイッチも同然なのだから。
そんな場所を口全体を使って愛撫されれば、小蒔はすぐさま絶頂へと突き上げられてしまう。
そして、今の小蒔がそんな絶頂を望んではおらず、だからこそ、こうしてオネダリを続けている事は俺にも分かっていた。
小蒔「ひぃぃ…っうぅぅぅっ♪♪」
しかし、だからこそ、嗜虐心を唆られた俺は片手を柔肉から離し、そのまま小蒔の肉穴へと突っ込む。
ジュプリと言う音を立てて、小蒔の中へと入り込んだそれは二本の指を束にしたものだ。
舌よりも遥かに太く、そして硬いそれに肉襞は歓喜するように絡みつき、グニグニと表面を刺激する。
これが自分の肉棒であればさぞかし気持ち良いのだろうとそう思わされるほどの熱烈な歓迎に俺は思わず鼻から熱い吐息を漏らしてしまった。
小蒔「にゃかまでぇっ♪中までそんな…反則ですぅっ♥♥そんなのされたら…もぉ…私…本当にイく…ぅぅ…♪♪」
そんな俺の乱暴な愛撫を受けながらも、小蒔は感じてくれていた。
いや、感じるどころかキュンキュンとリズミカルに肉穴を締め付け、俺に絶頂の予兆を教えていたのである。
その可愛らしい仕草と小蒔の声に…俺はついつい我慢出来なくなってしまった。
そんな小蒔をもっと追い詰めたいと嗜虐心をさらに昂らせた俺は、一気に根本まで指を突き入れ、そして小蒔のお腹側にそっと触れる。
小蒔「そこは…ぁあ゛あぁぁぁ…っああぁっ♪♪」
俺の指先に微かにザラリとした感触が伝わった瞬間、小蒔の背筋は大きく反り、口から甲高い嬌声が飛び出した。
今までよりも一段高いその声はそこが小蒔にとってクリトリスに並ぶ性感帯だからだろう。
所謂、Gスポットと呼ばれる場所への愛撫に小蒔の全身は戦慄くようにして震えた。
俺とセックスしている時と変わらないその反応に、俺は小蒔の絶頂がもうすぐそこまで来ている事を感じる。
同人ゴロと同じゴミ
>>1は自己批判しろ!
小蒔「意地悪ぅっ♪京太郎様の意地わゆぅ…っ♥京太郎様のオチンポでイきたいって言ったのにぃ…っ♪私…私…もぉぉ…っ♥♥」
しかし、それでも小蒔の怒りは誤魔化せないのだろう。
最後の意地か俺を責めるような言葉を紡ぎながら、小蒔はぎゅっと全身に力を込めた。
自然、それは俺をさらに小蒔の身体へと押し付ける結果となり、俺の顔全体に彼女の柔らかな感触が広がる。
まさに果てる寸前と言うようなそれに俺の嗜虐心もさらに燃え上がり、小蒔の淫核を歯で挟み、Gスポットをグイッと押し上げた。
小蒔「イっくぅぅ…ぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪♪♪」
それで小蒔は限界に達したのだろう。
足の指先までブルブルと震わせながら、小蒔は絶頂を伝える。
その肉穴もギュゥゥゥと搾るように俺の指を刺激し、必死になって奥へと引きずり込もうとしていた。
だが、ムスコからは長さも太さも大きさも違うそれはどれだけ吸い上げても、小蒔の子宮口へと届く事はない。
それに不満を訴えるような肉襞をもっと追い詰めようと、俺はイッている小蒔の中でGスポットをさらに擦り上げた。
小蒔「やぁっ♪♪ダメですっ♪それは本当にダメぇぇっ♥出ちゃうからぁっ♪私、また漏らしちゃいますからぁっ♪♪」
それに切羽詰まった声をあげる小蒔に俺は今更、耳を傾けるつもりはない。
そんな優しい男であれば、もうとっくの昔に小蒔の望みを叶えてやっていただろう。
だが、今、こうして小蒔を追い詰めているのは衝動にも似た嗜虐心に突き動かされた馬鹿な男だ。
故に、その指先の動きが鈍る事はなく、俺は小蒔を責め立て続ける。
小蒔「あぁ…や…ぁあ゛あぁぁぁっ♪♪」
瞬間、ぷしゃりと音を立てるようにして小蒔の粘膜から透明な液体が飛び出す。
まるで尿のように勢いの強いそれは何度もそこから放たれ、あっという間に俺とベッドを濡らしていった。
それに耐えられないと言うように四肢を固める小蒔から俺はそっと指を抜き出し、顔もまた秘所から遠ざける。
これで終わりだと言わんばかりの俺の動きに一瞬、小蒔が物足りなさそうな目を向けた。
京太郎「…ほら」
小蒔「はぅ…ん…♪」
そんな小蒔の前に、俺はさっきまで彼女の肉穴をほじっていた指を差し出す。
その意味を正確に悟った小蒔は甘く声をあげながらも、それをしゃぶりだした。
ちゅぱくちゅと音をかき鳴らし、口をすぼめるようにしてしゃぶるその様には子どものような純真さと痴女のような淫猥さが同居している。
それに俺が小蒔に向かって笑みを向けた瞬間、彼女もまた幸せそうに俺に微笑み返してくれた。
小蒔「ちゅ…ぱぁ…♪京太郎…様…ぁ…♥」
そう俺を呼ぶ小蒔の身体は未だ微かに震えていた。
潮を吹き出してしまうほど強い絶頂へと押し上げられていたのだから、それも当然なのだろう。
しかし、それでも指を愛しそうにしゃぶりながら、俺の名前を呼んでくれる。
そんな小蒔に俺もまた我慢出来なくなり、彼女の口から指を離して、自分のズボンへと手を掛けた。
小蒔「あぁ…ぁ♥」
そのまま強引に脱ぎ散らかし、裸になった俺の前で小蒔は嬉しそうにそう声を漏らした。
歓喜と陶酔を同程度に混ぜあわせたその言葉と共に小蒔の喉はゴクリという小さな音を鳴らす。
その視線は勿論、俺の股間で硬く反り返る肉棒へと向けられていた。
はっきりと突き刺さるように感じるその視線の熱さにムスコもまた悦ぶようにピクンと跳ねてしまう。
小蒔「下さいっ♪京太郎様のオチンポを…っ♥♥イッたばかりの淫乱マンコに…突っ込んで下しゃい…っ♪♪潮吹きで…京太郎様を穢してしまったダメなオマンコに…お仕置きセックス下さい…っ♥♥」
そんな俺の肉棒を見て我慢出来なくなったのだろう。
何も言われずともその秘所を再び広げ、小蒔は俺にオネダリした。
あまりの期待か或いは未だに残る余韻の所為か、プルプルと震える指先で必死になって肉穴を晒すその姿は何ともはしたなく、そして可愛らしい。
その上、小蒔の可愛らしい顔がもう欲情で真っ赤に染まり、今にもよだれを垂らしてしまいそうなくらい蕩けているともなれば、我慢出来るはずがないだろう。
さっきの小蒔と同じようにゴクリと生唾を飲み込んだ俺はふらふらと吸い寄せられるように小蒔へと近づいていく。
小蒔「京太郎様…っ♥京太郎様…ぁ♥」
京太郎「分かってる。焦らしてごめんな」
瞬間、嬉しそうに俺の名前を呼ぶくらいに小蒔は焦らされきっていたのだろう。
それに微かに申し訳なさを覚えた俺は短くそう謝罪の言葉を返した。
とは言え、そうやって謝りながらも俺には改善する気がない。
それは何度もこうして謝罪しながらも、今もまたこうして焦らしていた辺りからも伺えるだろう。
私は弱い時にこそ強い
小蒔「ん…あぁぁ…っ♪♪」
だが、小蒔はそんな俺を責める事はなく、開かれた肉穴にムスコを押し当てるだけで幸せそうな吐息を漏らす。
それにこのまま入り口を擦って、もう少し焦らしてやろうかと一瞬、思ったが、流石に謝罪してからのそれは酷だろう。
そう自分の嗜虐心を宥めながら、俺はそっと腰を進め、熱い粘膜にぐっと先端を押し込んだ。
小蒔「ひぃぃ…ぅぅぅう…♪♪」
瞬間、小蒔の身体がブルリと震え、俺の背中へとその両足が回った。
まるでようやく手に入れた宝物を必死に逃がすまいとしているようなそれに俺の口に笑みが浮かぶ。
しかし、それが数瞬で歯を噛み締める動きに変わったのは小蒔の肉穴があまりにも気持ち良いからだ。
一度、イッてしまうほど焦らしたそこは愛液に満ち、ネチャネチャとしている。
その上、二度も騙された肉襞は肉棒を確かめるようにねっとりと這い、愛液を擦りつけてくるのだ。
亀頭からカリ首までを洗うようなその肉は、しかも、燃えるように熱く、それに負けないくらいに情熱的だ。
さらに三人の中で一番、締め付けもキツいとなれば、余裕を見せる事なんて出来ない。
俺のムスコもまた刺激に飢えているのもあって、気を抜けばすぐさま射精してしまいそうになるのだから。
小蒔「京太郎様のオチンポがぁ…っ♥あつくておっきい…オスチンポがぁぁ…♪♪」
京太郎「…あぁ。小蒔の中に飲み込まれていってるぞ」
そして、それは小蒔もまた同じなのだろう。
うっとりと俺の前で言葉を紡ぐ小蒔の中はさっきからキュンキュンとリズミカルに締め付けていた。
甘い奥へと誘うようなその独特の動きは、小蒔がイッているからなのだろう。
焦らされた肉穴は想像以上に敏感でまだ亀頭しか挿入されていないのに達している。
そう思うと小蒔への愛しさがぼっと燃え上がり、興奮と共に俺の胸を擽るのを感じた。
小蒔「はい…っ♪幸せです…♥私…京太郎様にセックスして貰って…幸せ…ぇ♥」
心の底から幸せそうなそれに俺もまた釣られて笑みを浮かべてしまいそうになる。
それくらい魅力的で魅惑的な表情から俺は逃げるように、そっと唇を落とした。
汗で濡れた小蒔の頬へと堕ちるそれに彼女の顔がまた緩むのを感じる。
それに合わせて肉穴の締め付けも緩くなった隙に俺は一気に彼女の中を突き進んだ。
小蒔「ひゃぅぅ…っ♪♪」
まるで俺を離すまいとしているようなその締め付けの隙を狙っての進撃。
それに肉襞がゴリゴリと蹂躙されるのを感じた小蒔の口から甘い声が漏れでた。
それに合わせて、再び肉襞が俺のムスコを締め付けようとするがもう遅い。
彼女の中を突き進んだ亀頭は既に最奥近くにまで到達し、密度の増した肉襞をグリグリと押し分ける。
小蒔「も…ぉ…♥強引な…セックス…するんですから…ぁ♪♪」
京太郎「…嫌だったか?」
勿論、そんなはずはない。
だって、小蒔の肉穴は再び絶頂へと達し、その肉襞を俺へと押し付けているのだから。
その上、小蒔の指先にまでブルリと震えが走り、俺をぎゅっと抱きしめてくるのを見て、嫌がっているなどと思う訳がなかった。
故にそれは確認でさえもなく、ただ小蒔を辱める為の方便に過ぎない。
小蒔「大好き…です…っ♥京太郎様も…京太郎様のしてくれるセックスも…私は…大好きです…♥♥」
京太郎「俺も…小蒔とするセックスも小蒔も大好きだぞ」
その言葉に嘘偽りは一片たりとて存在しない。
俺は小蒔の事を本気で好きになっているし、彼女とのセックスだって大好きだ。
幾ら貪っても飽きる事のないその身体と、そして従順で可愛らしい小蒔と愛を交わす感覚は何時でも俺を興奮させてくれる。
こうして正常位でセックスするのなんてもう何度目か分からないくらいだが、それでも俺は気持ち良く、そして彼女を愛しく思うのだ。
小蒔「ん…ふぅ…♪♪そんな事言われたら…私…またイッちゃいます…よぉ…♥」
京太郎「じゃあ…何でイッたか分からないくらい…思いっきり犯してやるよ!」
小蒔「んひぃっ♪♪」
瞬間、ぐっと小蒔の腰を掴んだ俺はそのまま強引に彼女の中を掘り進む。
まだ絶頂の余韻にひくつく肉襞は、そんな俺の挿入に戦慄き、ピクピクと痙攣を走らせた。
しかし、それでも肉体の反応には勝てないのか怯えるようなそれらは俺のムスコへとピッタリとフィットする。
そのまま俺の硬い肉棒の表面をグイグイと押し込もうとするその強い圧力に、俺の中でも快感が強くなっていった。
小蒔「あ…ふぁ…あぁ…♪♪」
それを振り払うように腰を進めた俺は数秒後、彼女の腰へと密着した。
その亀頭の先端も厚い唇のような感覚に包まれ、鈴口の辺りに吸い付かれている。
チュッチュと断続的にキスを下すようなそれはとても情熱的で、そして気持ち良い。
まるで子宮でまで俺を愛してくれているようなその反応に、俺の身体はさらに熱くなった。
京太郎「最初は入りきらないくらいだったのに…今はズッポリと全部咥え込んでるな」
そう言いながら俺は小蒔の腰から手を離し、お腹をそっと撫でた。
引き締まった綺麗なウェストを上から押せば、そこにははっきりと存在感を感じる硬い何かがある。
今もぽっこりと小蒔の中を押し広げているそれは間違いなく、根本まで小蒔に突き刺さった俺の肉棒だろう。
そう思うと妙な達成感が胸を焼き、興奮が後から後から沸き上がってきた。
小蒔「は…ぃ…♪京太郎様の調教のお陰で…♥私はもう…京太郎様のオチンポを全部食べちゃうくらいに…♪♪淫乱妻になったんです♥」
そんな俺の言葉にうっとりと返す小蒔の顔はとても淫靡なものだった。
そうやって俺に調教された事が幸せで堪らないと言わんばかりのそれに熱くなった胸がぐっと掴まれるように感じる。
まるで興奮をさらに搾り出そうとするようなそれに俺の腰は微かに震え、肉棒まで興奮を行き渡らせた。
今も尚、子宮口からキスを受ける亀頭をピクンと跳ねさせるそれに小蒔もまた甘い吐息を漏らし、快感と興奮を訴えてくれる。
小蒔「だから…今日は…私の…お尻も…調教して欲しいんです…♥」
京太郎「お尻って…」
小蒔の言うお尻が何処なのかくらい俺にも分かる。
それはさっき思う存分、玩具にしていた柔肉ではなく、その奥にある窄まりなのだろう。
けれど、俺は今までそこを弄ったりする事はなかった。
無論、それは小蒔のそこが汚いからなどという理由ではない。
そこを弄るのにはそれなりに準備が必要であり、俺達はその準備が中々、出来ていなかったのだ。
基本的に突発的な欲情に襲われて身体を重ねているのだから、それも仕方のない事だろう。
小蒔「ちゃんと…中まで綺麗にしてきました…ぁ♥京太郎様に愛してもらう為に…一杯、か…か…かん…浣腸して来たんです…♪♪」
京太郎「小蒔…」
けれど、今日の小蒔は随分と積極的なようだ。
自分からその準備が終わった事をアピールしながら、そっと目を逸らす。
その頬が微かに紅潮しているのは恐らく興奮だけではなく、小蒔がそれを伝えるのを恥ずかしがっているからなのだろう。
セックスの時には痴女に近い言葉を漏らすようになったとは言え、小蒔の根は貞淑で、恥ずかしがり屋だ。
自分から排泄行為の事を伝えるのは恥ずかしいのだろう。
小蒔「勿論…私のそこは…不浄の場所ですから…京太郎様さえ良ければ…ですけど…ぉ♥」
そう言いながら、チラリと俺の顔を見る小蒔の顔には期待と不安の色が強く滲み出ていた。
恐らく、それは俺が頷いた後に待っているであろう未知の感覚への期待と嫌われるのではないかという不安なのだろう。
何せ、小蒔が口にしているそれは決して一般的な愛し方とは言えないものなのだから。
普通はそんな場所まで調教して欲しいとは言わないし、思わないのだから、引かれるかもしれないと思うのはごく当然の事だ。
京太郎「…本当に小蒔は可愛い奴だな…」
小蒔「ぁ…♪」
しかし、それでも自分の全てを俺に捧げようと準備し、そしてオネダリしてくれる小蒔。
そんな彼女が無性に愛おしくなった俺は小蒔の髪をそっと撫でた。
黒くて艶やかなそれは俺の手の中をスルリと通り抜け、さっきと同じく安らかな感覚をくれる。
しかし、それとは裏腹に俺の下腹部では興奮が渦巻き、早く小蒔を貪れとそう叫び始めていた。
京太郎「じゃあ…据え膳喰わせて貰いますか」
小蒔「んひぃぃぃいっ♪♪」
そのまま髪を撫でていた手を小蒔の首筋へと回しながら、俺はそっと自分の身体を後ろへと倒す。
瞬間、上下が逆転し、俺が下に、そして小蒔が上へと変わった。
それは、二度三度とイキ続け、さらに敏感になった小蒔にとって堪らない感覚なのだろう。
グジュリと肉襞を押しつぶすようにその位置を変える肉棒にさっきから肉穴はキュンキュンと反応し、奥から熱い汁を垂れ流す。
小蒔「京太郎様…ぁ…♥」
京太郎「まずは…こっちで…な?」
小蒔「はい…ぃ♪」
正常位から所謂、騎乗位へと変わった俺の耳元で小蒔は嬉しそうに俺の名前を呼んだ。
まるで脱力しているように俺へとその胸を押し付ける様はとても幸せそうだ。
きっと小蒔は俺が抱きとめてくれているように感じているのだろう。
ただ従順なだけではなく、こうして体位の変更にも悦んでくれる可愛らしい小蒔の反応に俺は笑みを浮かべながら、彼女にそう囁いた。
京太郎「(さて…それじゃあ…っと)」
それを胸の奥へと押し込むようにして自分の中で仕切りなおすのは、これから先にやるべき行為がまったく未知のものだからだ。
これまでのように漫画や動画なんかで得た知識も通用しづらいし、そもそもそっちに関しての知識なんて殆ど無い。
もし、下手を打って小蒔の身体を傷つけたくはないし、気は引き締めておくに越した事はないだろう。
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっと両手を小蒔のお尻へと回し、再びその谷間をゆっくりと開いていく。
くそきめえ…
小蒔「ん…♪」
そんな俺の動きに小蒔はお尻を微かに震わせながら声をあげた。
こうして俺にアナルの調教をオネダリしたとは言え、不安がない訳ではないのだろう。
適当に動いても直接的なデメリットがない俺とは違い、小蒔は痛みを覚えるかもしれないのだから。
そう思うと申し訳なくなるが、かと言って、ここで中断するというのは小蒔も望んではいない。
ここで下手な事を口にしてその決心を鈍らせるよりは、出来るだけ小蒔が気持ち良くなれるように細心の注意を払うべきだろう。
京太郎「(まぁ…まずは簡単に撫でるべきかな)」
そこはそもそも排泄用の場所であり、まだ何かを受け入れるのにはまったく慣れていない。
濡れる事すらないそこにいきなり指を突っ込めば、小蒔は痛みしか覚えないだろう。
まぁ…ここ最近の小蒔のマゾっぷりを見るにそれも悦んでくれそうだが…まぁ、それはさておき。
何はともあれ、手探りながら色々とやっていくのが一番、俺にも小蒔にも良いはずだ。
小蒔「ひゃぅっ♪♪」
そう思いながら俺はゆっくりと片手を谷間に差し込んでいく。
まるで自分で作ったスペースを強引に維持しようとしているようなそれに小蒔がくすぐったそうな声をあげた。
瞬間、俺の目の前で小蒔が恥ずかしそうに顔を赤く染めるのを笑いながら、俺はゆっくりと指を動かし、谷間の底を撫でていく。
京太郎「(んで、多分…この妙に盛り上がったところが…)」
そんな俺の指先に触れる微かな膨らみ。
それが一体、何なのかは小蒔の底が見えていない俺には分からない。
だが、周りとは明らかに感触の違うそれは恐らく小蒔のアナルなのだろう。
普通は自分でも滅多に触らず、他人に触れさせる事なんてまずないだろう不浄の穴。
小蒔のような清楚っぽい子がそれを俺に触らせていると思うと妙な興奮が胸を焼く。
京太郎「擽ったいか?」
小蒔「はい…まだ…ムズムズした感覚が強い…です…♪」
その感情を抑えながら尋ねた俺の言葉に小蒔は小さく頷きながらそう応えた。
既に快感のなんたるかを理解している小蒔の言葉はきっと本心なのだろう。
勿論、何も感じていない訳ではないが、それは未だ快感とは言い切れないむず痒さでしかない。
とは言え、ここで無理にエスカレートしてもむず痒さが痛みに変わるだけだ。
ここは落ち着いて小蒔の感覚を高めて行くべきだろう。
小蒔「でも…京太郎様にお尻の穴を触られていると思うと…すっごく興奮して…オマンコ…とろけちゃいます…ぅ♥」
京太郎「ぅ…」
そう思った瞬間、小蒔の肉穴がキュンと締まり、埋まったままの俺の肉棒を締め付ける。
まるで肉棒の存在を確かめるようなそれは肉襞一つ一つにしゃぶられているようにも感じるくらいだ。
流石にそれだけでイくほどではないが、間違いなく気持ち良い。
俺の目の前で幸せそうに呟く小蒔の顔も相まって思わず声をあげてしまうくらいだ。
京豚は朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。
京太郎「本当に小蒔はエロエロになったもんだな」
そうやって背徳感を得るだけではなく、それで興奮し、肉穴を締め付けてしまう。
それは最初の頃、セックスに翻弄されていた小蒔からは想像もつかないものだ。
だが、現実、俺の淫乱妻となってくれた小蒔はそうやってセックスを心から、そして本能から楽しみ、悦んでくれてる。
そんな彼女に対して湧き上がる愛しさを抑え込むようにして、俺は意地悪くそう言った。
小蒔「エロ小蒔はお嫌いですか…?」
京太郎「大好きに決まってるだろ」
小蒔「ん…っ♪」
何処か自信を感じさせる甘い仕草で尋ねる小蒔の唇を、俺はそう言いながら塞ぐ。
瞬間、ぷにぷにとした柔らかな感覚が唇を覆い、何とも言えない心地好さを俺に伝えた。
キス独特のその吸い付くような感覚に俺は何度も惹かれるようにキスをし、彼女の唇を楽しむ。
小蒔もまたそんな俺を受け入れるように自分から顔を近づけ、バードキスを返してくれた。
京太郎「だから…もっと苛めたくなる」
小蒔「ひゃぅ…っ♪」
そんなキスの合間に俺が再び窄まりへと触れれば、小蒔もまた小さく声をあげる。
それは俺の愛撫が周辺含めて撫でるようなものではなく、窄まりだけを狙い撃つようなものに変わったからだろう。
微かに膨らんだその可愛らしい肉の穴を俺は中指の腹でクリクリと弄る。
それに小蒔の肉穴は反応し、ピクピクと俺のムスコを締め付けてくれた。
京太郎「ん…結構、しわしわなんだな」
小蒔「い、言わないでくださいよぉ…♪」
そうやって小蒔は恥ずかしそうに返すものの、実際は気持ち良くて堪らないんだろう。
被虐的なセックスばかり味わってきた小蒔は、時折、俺がびっくりするくらいのマゾっぷりを発揮するのだから。
今も彼女の顔は快感と興奮を浮かべ、恥ずかしそうに俺から背けた視線には期待が浮かんでいる。
恥ずかしいのは確かだろうが、しかし、それ故に小蒔は俺に辱められるのを望んでいるのだろう。
京太郎「きっとセピア色で綺麗なアナルなんだろうな」
小蒔「い、一応…念入りに…身体は清めてきましたから…♥」
その言葉はおそらく事実なのだろう。
根が恥ずかしがり屋な小蒔が、アナルの調教をオネダリするのにそこを綺麗にしておかないはずがない。
元より小蒔は入浴が長く、また念入りに身体を洗うタイプだが、きっと何時も以上に熱心に身体を綺麗にしていただろう。
そう思うと妙にそれを確認してやりたくなるのが嗜虐的な男の性という奴か。
別に小蒔にミスがあるとは思わないが、普通に生きていれば例え妻であってもアナルなんて見ないのである。
だが、小蒔はそんな普通を飛び越えるようにして、俺にアナルまで捧げようとしてくれていた。
それなのに小蒔のそこをじっくりと鑑賞しないままというのは片手落ちも良い所だろう。
自分がこれから穢すものがどれだけ尊いものだと言うのは把握しておかなければいけないし、その方が小蒔のアナルを傷つける確率も少なくなるのだから。
京太郎「…見たいな」
小蒔「はぅ…♪」
そう自分に言い訳するような言葉に押し出される言葉は短く、結論だけ告げるものだった。
それに小蒔は小さく肩を震わせるのは俺にそこを晒す気恥ずかしさからだろう。
だが、それでも小蒔は小さく頷き、俺の胸板に手を当てるようにして、そっと腰を離していく。
自然、キスをしている間も微動だにしなかった肉棒がジュルジュルと音を立てるように引き抜かれ、愛液で濡れたその身を晒した。
小蒔「あぅ…ぅぅ…♪」
それだけでも小蒔にとっては気持ちの良くって仕方がないのだろう。
俺の上で膝を立てるようにして必死に離れようとするその顔は今にも目を閉じそうなくらいに気持ち良さそうなものだった。
陶酔すら感じるその顔に、俺は一つ笑いながら、そっと彼女から手を離す。
それに小蒔が俺に向かって、一瞬、寂しげな目を向けるが、俺はもう彼女に何かアクションを起こすつもりはない。
次に俺が何かするのは小蒔が一仕事終えてからだと告げるように、俺は一つ微笑みながら、悪戦苦闘する小蒔の姿を下から悠々と眺める。
小蒔「京太郎様は…んく…ぅ♪意地悪…です…♥」
そんな余裕ぶった俺の姿に小蒔の被虐感が刺激されたのだろう。
小蒔は拗ねるように、けれど、嬉しそうにそう言いながら、ニュポンと肉棒を引きぬいた。
瞬間、反り返った肉の身がブルンと解放され、その先端についた愛液が俺の顔へと飛んでくる。
それを指先で拭い取り、口元へと運べば、クンニしていた時よりも甘い味が口の中に広がった。
まるで熟した桃のようなその甘さに彼女の興奮と欲情の大きさが伝わってくるように思える。
小蒔「あぅ…♪やっぱり…自分で挿入れるの難しい…♥」
そのまま俺に背中を向けて自分で挿入しようとする小蒔は可愛らしく、そして焦れったいものだった。
元々、小蒔は受け身な事が多く、そうやって自分から挿入した事など今まで数えるほどしかないのだから。
しかも、今回は俺に背中を向けているのもあり、普段より肉棒の位置も把握しづらい。
それでも、もぞもぞともどかしそうに動く腰は何時しか俺のムスコを捉え、ゆっくりと亀頭を飲み込んでいく。
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小蒔「んふぁ…あぁ…♪」
瞬間、小蒔の口から漏れるのは陶酔混じりの満足そうな吐息だ。
淫臭広がる俺の部屋に白いもやを作るほど熱いそれは小蒔が、それだけ俺のムスコを待ち望んでいた事を感じさせる。
小蒔から肉棒が引き離されていたのはほんの数十秒ほどでしかないが、完全に発情し、スイッチの入ってしまった小蒔からすれば我慢出来ないものだったのだろう。
ほんの僅かな別離さえ不満を覚えてしまう健気な小蒔に、俺はクスリと笑みを浮かべながら、俺へと向けられたその柔らかそうなお尻をそっと掴んだ。
小蒔「お゛ぉおおぉっ♪♪♪」
そのまま一気に下へと引きずり下ろし、また同時に腰を跳ねるようにして突き上げる俺の一撃。
それに小蒔がマヌケな声をあげながら、その全身を震わせた。
ひと目で見て分かるほどの強烈なそのアクメに俺は笑みを深めながら、腰をグラインドさせる。
既に強い絶頂へと追い上げられ、敏感になっている小蒔はその度に喘ぎ声をあげ、ビクンビクンと快楽の余韻を四肢に伝わせた。
小蒔「い、いきなり…奥まで…ぇぇ…♥凄い激しくて…頭、一瞬で真っ白になりました…ぁ♪♪」
そんな小蒔が漏らすように言った言葉は、俺の一撃を肯定的に受け取ってくれていた。
先日の和とは違うその反応は、恐らく彼女たちの嗜好の違いが現れているからなのだろう。
ひたすら激しく犯される方が好きな小蒔と、辱められるのが好きな和では同じマゾでも感じ方が違うのだ。
小蒔にとってさっきのようにレイプされるような強引な抽送は大好物であり、こうして嬉しそうに俺に絶頂を伝えてくれるのである。
京太郎は問題でも起こさせて、小悪党扱いで綺麗に処分するのが一番。
汚い金髪にしてるようなDQNだし、小悪党にしても矛盾はない。
それなら、背景にすら出る事もないし、厨も公式での扱いに冷めて消滅するだろうから丁度いい。
京太郎「でも…ここからが本番だぜ?」
小蒔「ひゃ…ぁ…ぅ♪♪」
そう言いながら、俺は小蒔のお尻をゆっくりと開いていった。
瞬間、奥から現れるのは鮮烈なセピア色の窄まりである。
今も尚、絶頂の所為か、ピクピクと微かに震えているそれはまるで俺の愛撫を誘っているようにさえ思えた。
勿論、それはただの錯覚にすぎないのは分かっているが、それでも思う存分、指を出し入れして思いっきり弄びたくなってしまうのだ。
京太郎「淫乱妻に相応しいエロいアナルだな」
小蒔「あ…あぅぅ…♥」
そんな窄まりに素直な称賛を向ける俺に小蒔はその首筋まで真っ赤にさせた。
羞恥の色を撒き散らすようなその紅潮に合わせて、彼女のアナルもピクピクと震える。
それは今も子宮口をゴリゴリと押し上げている肉棒に小蒔が感じている所為か、或いはこうして俺の言葉にアナルを意識してしまったのか。
ふとそんな思考が俺の脳裏に浮かんだが、どっちでもやることは変わらない。
そう思考を切り捨てながら、俺は再びそのセピア色の盛り上がりに指を伸ばしていく。
京太郎「分かるか?さっきからここピクピクして…すげぇやらしいぞ」
小蒔「んぅ…♪それは…京太郎様の所為です…ぅ♥」
小蒔「京太郎様が…私をこんなにエッチに調教しちゃうから…ぁ♪私のアナルも…そんなにエロエロになっちゃったんです…っ♥♥」
そのままクリクリと窄まりに触れる俺に合わせて、小蒔はそう言葉を口にする。
実際、小蒔がこんなにエロくなってしまったのも俺の能力の後遺症が主な原因だ。
その上、それほど頻繁ではないとは言え、もう何十回も身体を重ねていれば、初めての愛撫に反応してもおかしくはない。
この「私」はゲッセマネの園で越し方を偲ぶイエス。「群集の歌」はイエスがエルサレムに入場した4月1日のパーム・サンデーで、このとき民衆は棕櫚を敷きつめ「ホザナ!(万歳!)」と救世主到来を讃えたが、「そこに着いた途端 一言も正直な言葉は出てこなかった」―つまりパリサイ人は嘘と策謀で彼を投獄し十字架にかけた。「聖ペテロが私の名前を呼ばない」はペテロにイエスが「あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう」と予言した(ルカ福音書14章29-30)。
京太郎「じゃあ、自分からここを調教して下さいと言い出したのも、俺が原因なんだな?」
小蒔「や…ぁ…♪それは…ぁ…♥」
しかし、それでもそうやって追求すれば、小蒔の答えは鈍る。
そのすべての責任を俺に押し付けられる訳ではないのは小蒔もまた分かっているのだろう。
少なくとも、小蒔がアナルを調教して欲しいと言い出した事に関しては俺は一切、関与してはいないのだから。
今まで一度も話題に上らせた事のないそこを初めて話題に出したのは小蒔の方なのを思えば、俺に責任を求める事は難しいはずだ。
京太郎「小蒔がアナルまで捧げさせたくなるくらいに俺の事が好きになったから…全部、俺の所為なんだな?」
小蒔「や…ぁ♥違いま…す♥私が…私が勝手に好きになっちゃったから…♥虜になっちゃったからぁっ♪♪こうして京太郎様にオネダリして…調教してもらってるんです…ぅ♥♥」
そう問い詰めるような俺の言葉に小蒔はブルリと肌を震わせながら、正直にそう応えた。
まるで耐え切れないとばかりにお尻を揺らすその奥で俺のムスコがキュッと締め付けられる。
恐らくそうやって淫らで甘い告白をする事に小蒔はまたイッているのだろう。
さっきの一撃で色々とタガが壊れてしまったのか、それは中々止まず、俺の肉棒を締め上げた。
その気持ち良さに声をあげそうになるのを何とか堪える俺の上で、小蒔はそっと俺に振り向き、唾液で濡れた唇を開く。
小蒔「だから…私のアナル、もっと虐めて下さい…っ♪激しくジュポジュポして…オマンコみたいに犯してほしいんです…っ♥」
京太郎「良いのか?」
勿論、そうやって小蒔を弄ぶ事に俺だって興味はある。
こうして窄まりを外から撫でるだけでは反応も鈍く、あまり面白い訳ではない。
その分、小蒔が恥ずかしがる様を楽しめるが、それだけではカタルシスには程遠いのだから。
アナルパールの一つでも買っておけばよかったと今更ながらに後悔している事を思えば、小蒔の申し出は嬉しいの一言に尽きる。
小蒔「私…やっぱり激しいのが好きみたいです…♪京太郎様が気遣ってくれるのは嬉しいですけど…でも…物足りないからぁ…♥」
気恥ずかしそうにそう告げる小蒔のお尻はまたブルリと震えた。
その奥で俺に弄られ続けたアナルもパクパクと開閉を始め、俺の指を中へと招こうとしている。
その欲望を少しずつ顕にするようなそれに俺ももう我慢が出来ない。
愛液を指に絡ませた俺は、すぐさまその窄まりに指を向け、そのまま一気に根本まで突き刺した。
小蒔「きゃぅぅんっ♪♪」
小蒔がそう嬌声とも悲鳴ともつかない声をあげた瞬間、俺の指が強い締め付けを感じた。
肉穴のそれよりも数段強いそれはたった一本の指をギチギチに締め上げてる。
初めて小蒔とセックスした時よりも遥かに強いその締め付けに、俺は微かな驚きを感じた。
尻穴がこんなに締め付けがキツイだなんて想像もしていなかった俺にとって、それはカルチャーショックにも近いものだったのである。
京太郎「(けれど…中は肉の空洞だ)」
その締め付けを超えた先にあるのはぽっかりと開いた空洞だった。
何かが蠢いているのは感じるが、肉穴のように全体で締め付けようとするような感覚はない。
それでも周囲を指で撫で回すように動かせば、腸壁には触れるだろうが、今はそれをするつもりは俺にはなかった。
>>8.>4>>8.>>9>>4>>3> >>78>>34>>61>>71>>21>>21 >>27>>66>>85.>>85>>87>>94>>50
>>9 >11
>>7 >>10>>14>>93>>93>>70>>96>>51>3 >>79
>>64 >>74>>31 >11
>>36 >>57>>63 >73
>>15>>20 >>51 >>81 >95
>>87 >>41 >9 >>57>>33
>>62 >>74 >>75 >>38
>>93 >90 >>61 >>64
>>26 >>78 >63 >>92
小蒔「は…ぅあ…♪」
俺の指を締め付ける小蒔の口からは聞いたこともないような苦しそうな吐息が漏れだしていたのだから。
実際、その窄まりも俺の指を必死に排斥しようとするように蠢いている。
勿論、重さや力の関係でそれは叶わず、ただの無駄な動きでしか無い。
だが、それでも必死に抵抗をする様を感じて何とも思わないほど俺は冷血漢でもなく、やっぱり抜いてやった方が良いんじゃないかと思ってしまうのだ。
小蒔「大丈夫…ですから…ぁ♥」
京太郎「いや…でも…」
そんな俺の躊躇いを感じ取ったのだろう。
小蒔は俺に向かって振り向きながら、そう言葉を紡いだ。
しかし、それが強がりであるのは、今もこうして小蒔のアナルに指を埋めている俺には明白である。
その上、その声が微かに上擦り、震えているのを見て、大丈夫だなんて俺には到底、思えない。
少なくとも慣れるまではこのままの状態を維持した方が良いはずだ。
小蒔「本当に…大丈夫…なんです…♪私…今…凄いドキドキ…して…ぇ♥」
だが、そう思う俺とは裏腹に小蒔はその背筋をブルリと震わせながらそう言った。
さっきとは違い、興奮を伝わらせるようなその反応に、俺は微かな困惑を覚える。
何せ、それは俺が指先から感じる反応とはまったく異なるものなのだから。
判断材料に出来るような経験もない俺にとってどちらを信じれば良いのか分からなくなるのは当然の事だろう。
小蒔「京太郎様にアナルを犯されてると思うと…私…それだけでイキそうになっちゃってます…♪♪」
瞬間、またもブルリと震える小蒔の反応に嘘はない。
そう思うのは小蒔の肉穴が俺のムスコを美味しそうに舐めしゃぶっているからだ。
グチュグチュという音が今にも聞こえてきそうなそこはキュンと俺のムスコを締め付ける。
まるで自分から肉襞を押しつぶそうとしているようなそれは間違いなく、小蒔の身体が絶頂に達しているからだろう。
そう思った途端、俺の中での困惑はふっと消え、その指先もまた探るように動き始めた。
小蒔「ふぁ…くぅ…♪」
周りにある腸壁を指先で確かめるような愛撫。
それはまだ不慣れな小蒔にとって受け入れがたいものなのだろう。
彼女が漏らす声には苦悶の色が強く、快感の色は少ない。
だが、それからは信じられないくらいに小蒔の肉穴は蠢き、俺に快感を伝えた。
まるでもっとしてほしいと言うようなそれに俺の指は動き続け、小蒔のアナルを弄ぶ。
小蒔「あ…ぁ…♥私…京太郎様に…恥ずかしい穴を…弄られて…♪♪ゾクゾクが止まんないです…ぅ♥」
そんな俺の動きに小蒔は陶酔混じりの甘い声をあげた。
さっきまで苦悶の声をあげていたとは思えないほどうっとりとしたそれに俺の身体もゾクゾクとしてしまう。
背筋に身震いを走らせるようなそれについつい腰を動かして、小蒔の子宮口を押し上げるのだ。
円を描くようなその動きに小蒔のお尻もプルプルと震え、悦んでくれているのが伝わってくる。
霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」
霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」
初美「そうなんですかー?」
霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」
霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」
霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」
初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」
霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」
霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」
京太郎「(そうだな…別に…アナルだけを責める必要なんてないんだ)」
確かに小蒔がアナルを弄られる事で感じているのは確かだろう。
だが、それは背徳感がもたらす擬似的なものであり、身体そのものは苦悶を覚えていた。
ならば、それを打ち消すくらいの快楽を与えてやれば、彼女も尻穴の調教に苦悶を感じる事はないかもしれない。
唐突に思いついたそのアイデアはしかし、興奮で煮えた頭には名案な気がして、俺はそのままグラインドするように腰を動かし始めた。
小蒔「ひゃ…ぁ…ぅ♪お尻も…オマンコも…ぉ♪京太郎様を感じます…ぅ♥」
そして、それは思った以上に効果があったのだろう。
俺の前で蕩けた表情を見せる小蒔から苦悶の声が漏れる事はぐっと少なくなった。
勿論、決してゼロになった訳じゃないが、それでもさっきより大分、マシになったのは確かだろう。
実際、俺を拒むだけであったその尻穴も少しずつ解れ、あの強烈な締め付けが緩んでいった。
小蒔「や…ぅ…っ♪お尻の穴…段々、熱くなって…ぇ♥私のアナル…ぅ♪♪」
京太郎「…感じてるのか?」
小蒔「ま、まだ…分かんない…です…っ♪オマンコとも…おっぱいとも違う…熱さ…でぇ…♥♥」
そんな小蒔から漏れる言葉はさっきよりも随分と熱っぽいものだった。
まるで風邪でも引いたようなその熱は聞いている俺の興奮をグリグリと刺激する。
思わず小蒔を犯し尽くしたいと燃え上がる欲求を俺はぎゅっと小蒔の尻肉を握り締める事で堪えた。
それに小蒔が嬌声とも悲鳴ともつかない甘い声をあげるのを聞きながら、俺は彼女の次の言葉を待ち続ける。
京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだよ
あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実
それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ
小蒔「でも…これ…嫌じゃないです…ぅ♥お尻が熱けて…ピリピリしちゃいそうなの…すっごい興奮してますっ♪♪」
京太郎「そう…か…!」
小蒔「ひゃぁぁっ♪♪」
それを聞いた瞬間、俺の指が前後に動き出す。
緩んだ尻穴をジュポジュポと犯すようなその動きに小蒔は明らかな嬌声をあげた。
どうやら小蒔はもうアナルで感じ始めているらしい。
勿論、それは今も小蒔の中で微かに動くムスコが無関係ではないだろうが、それだけならばこんな声はあげないだろう。
今の俺がしているのは小蒔の好みとは大きくかけ離れた甘い恋人同士のようなセックスなのだから。
小蒔「お、お尻ぃっ♪♪お尻が凄いですぅっ♥京太郎様の指がジュポジュポすると…熱いの子宮に届く…ぅ♪♪」
俺の想像を確信へと繋げる甘い言葉を漏らしながら、小蒔はブルリと背筋を震わせた。
それが俺へと魅せつけるように後ろへと反るのは、気持ち良さが故だろう。
一体、どんな感覚なのかは受けたことのない俺には分からないが、小蒔は悦んでくれているのは確実だ。
そう思うと一度は抑えた興奮がボッと燃え上がり、小蒔のアナルを強引に穿り始める。
小蒔「ゾクゾクが凄くて…熱いんですぅっ♪♪こんな…こんなの私初めてです…っ♥初めてなのに…堪らない…ぃ♥」
だが、それさえも今の小蒔にとって快感として受け止めてしまえるらしい。
グリグリと円を描くように回り、窄まりの限界を確かめるような俺の指の動きにも快感混じりの声を漏らす。
初めて感じる快感な所為か、困惑混じりではあるが、そこにはもう苦悶など欠片も見当たらない。
自分でも驚くほどスムーズに進んだ開発に俺は正直、驚きを隠せなかった。
京太郎「(これも…能力の影響って奴なんだろうな…)」
普通、こんな短期間で快感を得られるほど、アナルというのは単純な器官ではない。
そもそもそこは肉穴と違って、快楽を得る為のものではなく、あくまでも排泄のための場所なのだから。
そんな場所をほんの十数分ほど弄っただけで、こんな風に甘い声をあげるくらいに感じるなんてあり得ない。
恐らく、その変化も小蒔たちを今もおかしくさせている俺の能力が関係しているのだろう。
京太郎「(それが…俺にとっては嬉しい)」
勿論、そんな自分の力に思うところがない訳じゃない。
だが、こうして小蒔が苦悶を感じる事がなくなった事への感謝というのは俺の中にもあった。
そもそもこんな力がなければ小蒔とセックスするような仲にはなっていないとは言え、やっぱり俺にとって小蒔はとても大事な人なのだから。
そんな人を必要以上に傷つけないで済んだ事は素直に嬉しく、有難いと思える事だった。
小蒔「んあぁ…っ♪そ、そこ…はぁ…♪♪そんなところ…引っ掻かれたらぁ…♥」
そんな事を思いながら俺の指先は小蒔の中でクっと曲がり、そのままジュルリと引き出されていく。
今も窄まったセピア色の盛り上がりの内側から刺激するような俺の動きに小蒔の尻穴がキュンと締まった。
まるで俺を必死に逃がすまいとしているようなその反応は、さっきからは想像も出来ない。
肉穴に負けないほどの貪欲さを小蒔のアナルは得始めていた。
小蒔「イく…ぅ♪♪初アナルアクメ来ちゃいます…ぅっ♥」
それが嬉しくてグリッと尻穴の内側を指先で撫で回した瞬間、小蒔の口から絶頂が告げられた。
それに合わせるように窄まりがギュッと締まり、俺の指をギチギチに締め付ける。
最初の頃よりも数段キツイそれは突っ込んだ指を押しつぶそうとしているようだ。
そんなキツイ締め付けの中、俺は指をピストンさせ、本格的に小蒔の中を抉り始める。
小蒔「んひぃぃっ♪♪ジュポジュポぉっ♥マゾアナルジュポジュポされてイくぅぅんっ…♪♪」
京太郎「う…くぅ…!」
それで小蒔のボルテージが限界に達したのだろう。
その全身をブルリと震わせた小蒔はギュルリと肉穴を締め上げ、亀頭の先端に子宮口がねっとりと吸い付いた。
今までのそれよりも数段、情熱的なそれは中々、ムスコから離れず、粘液を俺の先っぽに滴らせる。
まるで精液を強請るようなそれに俺の我慢もはち切れ、俺はベッドからガバッと上体を起こし、そのまま小蒔を押し倒した。
小蒔「ひゃんんぅぅっ♪♪♪」
瞬間、またムスコと擦れる位置が変わった小蒔から甲高い嬌声を放たれるが、俺はもうそれを意識している余裕はなかった。
今までろくに動けずに我慢していた分の欲望が俺の思考を焼き、射精衝動へと繋がっているのである。
嗜虐的な衝動を上回ったそれに突き動かされながら、俺は後背位となった小蒔に腰を振るい、その中を犯し始めた。
小蒔「ケダモノ…セックス…ぅ♪♪京太郎様に…種付けされる…メスのぽぉず…ぅ…♥♥」
頭をベッドへと押し付け、お尻だけを高くあげるその姿。
それにうっとりと幸せそうな声を漏らす小蒔には、もう理性なんて欠片も残っていないのだろう。
その腰を淫らに揺すりながら、俺に対してセックスをオネダリしてきていた。
まさに小蒔が言う通りメスというのが相応しいであろうそれに俺の中の興奮がさらに高まる。
京太郎「このまま…両方犯しながら射精してやるよ…!」
小蒔「はぅ…ぅぅ…♪♪」
その興奮を嗜虐心へと結びつけながら、俺は激しい抽送を繰り返した。
最初から手加減のないそれはスパンと小蒔の桃尻を鳴らし、グジュグジュになった肉襞を押し分ける。
その度に焦らされて敏感になったムスコが震え、射精にどんどんと近づいていくのが分かった。
それがなんとなく悔しくて、小蒔のアナルに突っ込んだ指を激しく動かせば、ヌルリとした感触が指先へと伝わる。
京太郎「はは。アナルの方まで濡れてきたじゃないか。両方犯されるって聞いて悦んでるのか?」
小蒔「は…ひぃっ♪悦びまくってましゅぅっ♥♥アナルも愛してもらえるって聞いて…私、ドロドロになっへるぅ…♪♪」
それは恐らく異物から腸を護る為の腸液なのだろう。
少なくとも愛液のように気持ち良い時に分泌されるものではないはずだ。
だが、それでもこうして小蒔のアナルがヌルヌルとし始めたのを感じるとどうにも興奮して仕方がない。
違うのだと知識の方では分かっているものの、肉穴と同じように感じてくれているのだとそう錯覚してしまうのだ。
京太郎「ニ穴責めはそんなに良いのか?」
小蒔「さいこぉ…っ♪しゃいこぉですぅ♥♥お尻にもオマンコにも京太郎様感じるの良いっ♪♪マゾ穴アクメでまらイクぅぅっ♥♥」
俺の言葉にそう応える小蒔の声はもう蕩けて舌足らずなものになっていた。
その膣穴もグイグイと休まずに締め付けるのを見るに、もうイキッぱなしになっているのだろう。
本格的に動き始めてまだ数分も経っていないが、それほどまでにニ穴責めを気に入ったらしい。
甘く最高と叫ぶ小蒔に俺は笑みを浮かべながら、中でチンポを反応させてしまう。
小蒔「京太郎様もぉっ♪♪京太郎しゃまも良いでしゅかぁっ♥♥わらひのあにゃるも…オマンコもぉ♪♪満足してくれて…いますかぁっ♪♪♪」
京太郎「…当たり前だろ…!」
そんな小蒔の言葉に俺は強い語気を込めながら、頷いた。
小蒔の膣穴はジュルジュルと音を立てそうなくらいに情熱的に俺の肉棒に絡みつき、きつく締めあげて来るのだから。
まるで激しく犯してと言わんばかりのそれを強引にねじ伏せるようなピストンを繰り返せば、自然と快楽神経も刺激される。
その上、小蒔のアナルはさっきから俺の指を離さず、排泄どころか奥へ奥へと引きずり込もうとしていた。
膣肉とはまた違ったその蠢きに俺の興奮は否応なく高められ、着実に射精へと近づいているのだから満足していないはずがない。
京太郎「小蒔の俺専用マンコは何時だって気持ち良いし、アナルもさっきからギチギチって締め付けまくってる。早くこっちに突っ込むのが楽しみなくらいだ…!」
小蒔「んふぁ…ぁっ♪♪良ひれすよぉっ♥♥私のあにゃる突っ込んでも…ぉ♪♪ギチギチアナルレイプしても、そっちはマゾ穴らから大丈夫…れすぅ…♥♥」
俺の言葉に被虐感を唆られたのだろう。
小蒔は甘く俺を受け入れる声をあげながら、その腰をブルリと震わせた。
その言葉に俺の意識も赤く染まり、ついつい小蒔のアナルにムスコを突っ込みたくなる。
だが、俺のチンポは指とは比べ物にならないほど太いのだ。
幾ら慣れたとは言っても、未だ指一本でもギチギチと締め付けるアナルにこのまま突っ込めば裂けてしまいかねない。
何よりコンドームも無い状態だと性病の可能性もあるのだから、今すぐになんて到底出来ない。
三人の女性とセックスしている俺にとって、性病というのは自分だけの問題ではないのである。
京太郎「それはもうちょっと小蒔のココがエロくなって俺の事を受け入れられるようになってから…な」
小蒔「ぅひぃぅう゛ぅうぅっ♪♪」
そう言いながら小蒔のアナルを広げるように指を動かせば、中から腸液がトロリと漏れだした。
本格的に膣肉のようになり始めた小蒔のそこに負けまいとしているように、膣穴からも潮と愛液が吹き出す。
ぷしゃあと凄い勢いでベッドを濡らすそれを見ても、俺は止まろうとはしない。
寧ろ、もっと小蒔を追い詰めようとするかのように腰を激しく振るってしまうのだ。
小蒔「きょぉ太郎様は…やっぱりやさしぃひぃ…ぃ…っ♥」
言葉を上ずらせながら小蒔はブルリと背筋を震わせる。
急速に高まってく身体に意識が追いついていないのか、その声はもう不明瞭なくらいにドロドロだ。
しかし、それでも小蒔が俺のことを優しいと言ってくれている事くらいは分かる。
それが妙に気恥ずかしくて、俺は逃げるように抽送を強め、小蒔の中を抉った。
小蒔「らから…私は…あんしんれきます…ぅ♪きょー太郎様だから…ぁ♥♥大好きで…優しいひろだから…ぁ…♥♥じぇんぶ…捧げられて…幸せ…ぇ♪♪♪」
京太郎「~~~っ!」
そんなピストンを受けながら、小蒔はそう告げてくれる。
勿論、合間合間に嬌声を漏らしながらのその言葉は俺の興奮に満ちた胸を突き刺した。
その奥底から愛しさを引きずり出そうとするようなそれに俺は思わずガチリと歯を食いしばる。
そうしなければどうにかなってしまいそうな熱い感情は、しかし、その程度で収まるはずもなかった。
京太郎「あぁ…!もうくそ…!小蒔可愛すぎるんだよ…!」
俺の中の興奮の色をより暖かで甘いものへと変えるようないじらしくも健気な言葉。
それを可愛いと称しながら、尻穴を弄る指の動きを弱めた。
その胸にあったのはさっきのような独り善がりの衝動ではない。
小蒔と一緒に気持ち良くなりたいという愛しさを強めた欲求だった。
小蒔「京太郎しゃまが…♪♪私の事ドンドンしゅきにさせるのがわりゅいんです…ぅ…っ♥♥」
京太郎「く…ぅ…」
何処か誇らしげにそう言いながら、小蒔は自分からその腰を振るう。
膣穴の角度を変えるように左右へと揺らしながら、俺のムスコを求めるように腰を動かすのだ。
勿論、それはベッドに半ば伏すような状態で行われているが故に僅かな動きでしかない。
だが、それでも未だ尻肉が跳ねる激しさの中ではその動きは十分過ぎる。
いきなり肉襞の角度が変わる感覚に俺の背筋は強い快楽を走らせ、思わずそう呻いてしまう。
京太郎「俺も小蒔の事ドンドン好きにさせられてるんだっての…!」
小蒔「あひゅぅ…♪♪分かり…ましゅぅ…♥♥オチンポまたおっきくなって…射精したいってピクピクしてますかりゃ…ぁ♪♪」
実際、小蒔の言う通りなのだろう。
俺の肉棒は今もビクンと跳ね、さらに一回りほど大きくなった。
まさに怒張と呼ぶに相応しい俺の滾りは俺にもそして小蒔にも射精が近い事を感じさせる。
それを何とか歯を食いしばって堪えようとする俺の前で小蒔の肉穴がさらに締め付けてきた。
京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだ よ
こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ
性欲の為に作者や百合信者を傷つけつ良いと思ってんのか?この腐れイカレポンチが
立や百合信者がどんなに迷惑しているか貴様の>>1と京豚どもは
その一bit脳でよく考えろ!
小蒔「一杯イッてくだしゃいっ♥♥小蒔のメスマンコでぇ♪♪京太郎様の性欲処理してぇ…っ♥♥」
俺の射精が近いことを知って小蒔も興奮したんだろう。
そのネチャネチャとした肉襞は今まで以上に熱心に蠢き、俺のムスコを扱いてくれた。
特にカリ首周りにしがみつくそれらはとても情熱的で、気を抜けば腰砕けになってしまいそうなほど気持ち良い。
それを意地と興奮で振り払いながら、俺は締まる小蒔の肉穴をレイプするように激しく腰を振るう。
小蒔「んふぅうぅっ♪♪しゅごいぃっ♥オスチンポジュポジュポ鳴ってりゅぅ♪♪フィアンセチンポにラブラブレイプしゃれてましゅぅ…っ♥♥」
そんな俺の抽送に小蒔もまた全身を震わせるように悦んでくれた。
その口から漏れる言葉はもう誰かに聞かせられないほど淫らでドロドロに蕩けている。
その肉穴の締まりからは想像も出来ないほどの蕩けた声に俺のチンポは暴れるようにビクビクと震えていた。
今にも射精するのだと言わんばかりのそれに小蒔のお尻もまたブルリと反応する。
小蒔「もっろレイプしへぇ…♪♪京太郎しゃまにレイプされりゅのさいこぉっ♥♥種付けレイプでなんろもイッて…真っ白ぉほぉおおぉぉおおおっ♥♥♥」
瞬間、小蒔から漏れる言葉が俺の最後の我慢を粉々に砕いた。
小蒔もまたそれを望んでくれているのならば必要ないとばかりに我慢の鎖を引きちぎり、本能が先行する。
目の前のメスに種付けする事しか考えられなくなった俺は入り口近くまでムスコを引き抜き、一気に奥まで貫いた。
その厳しい締め付けなんて無意味なのだと教えこむような激しいピストンに小蒔が悲鳴のような嬌声を放つのを聞きながら、俺は小蒔のアナルにさらにもう一本、指を突き刺す。
小蒔「んひゃあぁぁっ♪♪まじょあなれいぷぅっ♥♥アナルもレイプしゃれへるぅっ♪♪」
さっきまでの気遣いを投げ捨てるようにして、俺は二本の指を纏めた手を前後する。
その度に腸液が絡みつくその尻穴はさっきからぴくぴくと痙攣を止ます事はなかった。
いきなり二倍近い大きさになった俺の指でピストンされているのだから当然だろう。
だが、それが決して苦悶を伴うものではないのは、嬉しそうに鳴き叫ぶ小蒔の声を聞けば良く分かった。
小蒔「しゅごいのクるっ♥♥けちゅまんことオマンコで…すぎょいのきちゃうぅっ♪♪きょうたろうしゃまもイッれぇっ♥♥わらひと一緒にいっへぇぇぇぇ♥♥」
京太郎「ぐぁぁぁ…っ!」
その声と共に襲いかかる小蒔の肉襞。
それはそれまでのように前後に扱くものではなく、円を描くようにして絡みついてくるものだった。
まるで俺のムスコを洗い立てるようなその蠢きに亀頭が真っ赤に腫れあがってしまう。
もう今にも弾けてしまいそうなその熱は腰から一気に全身へと広がり、俺の身体全てを使うようにして最後の一突きを放たせた。
小蒔「んんんんんんんんんっくぅぅぅっ♥♥♥」
瞬間、最奥で俺の亀頭が熱を弾けさせ、俺の思考を快楽が真っ白に染めた。
今まで我慢していた分、抑えこむ事の出来ない快楽の奔流に俺の全身がガクガクと震える。
気を抜けばバランスさえ崩しそうな強い射精感の中、俺はがっちりと小蒔の腰を掴んだまま離さない。
まるで一滴残らずその奥に射精しきってやると言わんばかりのそれに小蒔の全身もまた戦慄き、俺から精液を搾り取ろうとする。
小蒔「やふぁ…ぁ…♥♥あちゅいの一杯…精液…一杯い♪♪♪」
うっとりとしたその声とは裏腹に、小蒔の肉穴は俺のムスコを今も激しく愛撫し続けている。
それこそ根本から鈴口まで一部の隙もないくらいにねっとりと絡むそれらはグチュグチュと音を立てるように前後していた。
少しでも精液を強請ろうとするようなそれに我慢を続けていた俺の肉棒から何度も精液が飛び出す。
それを鈴口と密着した子宮口が美味しそうに吸い上げていくのを赤く腫れた粘膜から感じ取った。
小蒔「おにゃか焼けりゅ…ぅ♥♥ドロドロになっへ…ざぁめんとまじゃる…ぅ♪♪マゾ穴も…ひもち良くて…しあわ…しぇ…♥♥♥」
小蒔の言うマゾ穴はそれほど変化が著しい訳ではなかった。
しかし、クパクパと開閉するように締め付けを変化させるそれは明らかに肉穴の蠢きと連動している。
まるでこちらでも必死に精液を搾り取ろうとするようなそれに俺の指は興奮と快感を告げた。
肉棒から湧き上がるそれとは比べ物にならないが、それでも確かに俺の胸を揺するその感情の波に俺の絶頂は長く続いていく。
小蒔「は…ふあ…ぁ…♪♪♪」
京太郎「おっと…」
数分後、ようやく俺の射精が終わった頃には小蒔は蕩けた声をあげながら、その場にくたりと身体を崩れさせた。
それを何とか空いている方の手で抱きとめたが、そのまま俺も倒れそうになってしまう。
普段なら小蒔一人くらい抱きとめるのは簡単なのだが、やっぱり射精の影響というのは大きいのだろう。
そんな自分に一つ胸中で苦笑めいたものを向けながら、俺は小蒔のアナルから指を抜き、そのまま横になるようにベッドへと倒れこんだ。
小蒔「はん…ぅ♥♥」
後ろから小蒔を抱くような形で抱きとめる俺たちをベシャリとした濡れた感覚が受け止める。
小蒔の潮や愛液がシーツに広がったそれは正直、あまり心地良いとは言えないものだった。
しかし、それでも今の小蒔にはあまり無理はさせられない。
新しい場所への調教という事で、その身体が何時も以上に疲れてるのは目に見えているのだから。
小蒔「きょふ太郎…様…ぁ♥♥」
京太郎「もう少しこのままで…な」
そんな俺に対して小蒔が気遣うように言うのは俺のチンポがまだ硬いままだからだろう。
確かにさっきの射精は我慢が続いていた所為で気持ちよかったが、その程度で萎えるほど俺は理性的じゃない。
今もギチギチと肉が張るようにして小蒔の中で反り返っていた。
そんなものを子宮口まで押し込められて、根が優しい小蒔が気にしないはずがない。
自分の身体が倒れこむほど限界だったのにも構わず、俺に欲望を発散してほしいとそんな事を思っているのだろう。
京太郎「今は小蒔の事感じてたいからさ」
小蒔「はふ…ぅ…♥♥」
それでも優しくそう言いながら、俺は小蒔のお腹をそっと撫でる。
俺の精液を今も必死に吸い上げているであろうそこを上から押さえつけるとグルグルとした蠢きを感じた。
そんな俺の前で幸せそうな声をあげながら、小蒔はブルリと震える。
そのまま息を整えるように彼女は胸を大きく上下させた。
>>1は両親と日本国と百合信者に謝罪すべきだな
京太郎「(こういうのも良いよな…)」
勿論、俺も性欲漲る男子高校生である以上、欲望を剥き出しにするようなセックスは大好きだ。
しかし、こうして相手の事を感じる為に自分の全てを傾けるような穏やかな時間というのも決して嫌いじゃない。
今もこうして肉棒の滾りは消えないが、それが気にならないくらいに優しくて暖かな時間。
それに身を任せるようにして身体を弛緩させながら、俺は小蒔の身体を強く抱きしめた。
小蒔「私…好きになったのが京太郎様で…良かったです…♥♥」
そうして休憩する間に小蒔の体力も戻ってきたのだろう。
その口から漏れる声はさっきよりも明瞭で、はっきりとしていた。
それでも時折、声を途切れさせるのは、未だ彼女の中で快楽の余韻が暴れている所為か。
その度にキュンと締め付けてくる肉穴に、俺のムスコもまた応えるように震えてしまう。
小蒔「京太郎様じゃなかったら…私…きっとこんなに幸せにはなれませんでした…♥♥」
幸せそうな小蒔のその言葉に俺はズキリとした胸の痛みを覚えた。
そうやって小蒔を幸せにするというのは俺の中での一つの目的である。
だが、俺はそんな小蒔を不幸に突き落とすような秘密を幾つも持っているのだ。
こうして俺に対して無防備に全てを預けてくれている子以外にも肉体関係を持っている女性がいるという秘密を。
それを小蒔が知った時、どれだけ辛いかと思えば、胸の痛みも強くなり、息苦しくなる。
小蒔「夢も叶えて貰えて…こうして愛して貰えて…暖かくしてもらえて…♥♥私、とっても幸せです…♥」
京太郎「それは…小蒔の力だ」
小蒔の夢。
それは一人で最後まで戦い抜くという才能ない者にとっては理解が出来ず、けれど、小蒔にとっては切実なもの。
それを叶える為に小蒔が自分を変えられたのは俺の力じゃない。
俺はあくまでろくに助けにもならないアドバイスを与えられただけであり、立ち向かったのは小蒔の方なのだから。
もし、本当に俺に状況を動かせるような力があれば、小蒔が泣くほど追い詰められる前に彼女の意識を変えられただろう。
小蒔「いいえ…私は…京太郎様がいなければ…きっとあそこで逃げ出していました」
京太郎「そんなのは俺じゃなくても出来た事だ」
確かに俺はあの場で小蒔に踏みとどませられたかもしれない。
だが、それは別に俺でなければいけなかった訳じゃないだろう。
きっとあそこにいたのが同じ部活の仲間であれば、小蒔は逃げ出すような事はなかったはずだ。
元々、小蒔は頑張り屋で誠実な子なのだから、仲間に声を掛けられれば踏みとどまった事だろう。
小蒔「そうかもしれません。でも…私が自分の嫌な部分を受け入れられたのは京太郎様の言葉のお陰です」
小蒔「それ以外の人ならば…私はきっと…打ちのめされていただけで…立ち直るのにも時間が掛かっていた事でしょう」
京太郎「それは…」
はっきりとした小蒔の言葉に俺は反論の言葉を思いつかなかった。
俺と同じように小蒔の意識に言及出来るのはあの場に居た中では永水の皆しかいない。
だが、皆はどうしても小蒔には甘く、また彼女と長年接してきたが故にその苦しみを知っているのだ。
親しいけれど本質的にその苦しみを理解出来ない俺のような無神経さはきっと石戸さんたちにはない。
ずっと一緒に居たが故に、皆はきっとその苦しみに共感を覚え、辛い言葉を投げかける事は出来なかったと俺も思う。
小蒔「それに例えそうであったとしても、あの時、私に手を差し伸べてくれたのは京太郎様です。それを…嬉しく思うのはいけない事ですか?」
京太郎「いや…そんなことない」
それまで否定してしまったら、小蒔の心そのものを否定してしまう事になる。
そんな事が出来るほど俺は偉くはなく、また正しい訳でもないのだ。
何より、俺自身、そうやって小蒔が前に進んでくれている事を間違いなく喜んでいる。
それを思えば、その感情を否定する気になどなれず、俺は小蒔の後ろからそっとその髪を撫でた。
京太郎「…ごめんな。ちょっと弱気になってたみたいだ」
小蒔「はぅん…♪何かあったんですか?」
京太郎「ん…まぁ、小蒔がまた一歩先に行っちゃったってな」
そう誤魔化すように口にする言葉は完全に嘘だという訳じゃない。
実際、小蒔は今まで自分を抑え込んでいた殻を破り、見事に羽化してみせたのだから。
元々、地力や才能に恵まれていたとは言え、本当の力を発揮して数段飛びで駆け上がっていく彼女の姿は応援していた側としては喜ばしい。
だが、その後ろで足踏みを続けている身としては置いて行かれるようでほんの少しだけ寂しいのは事実だった。
小蒔「私は何時でも京太郎様のお側におりますよ…♥」
京太郎「小蒔…」
そんな俺の弱音に小蒔はお腹にある俺の手に、そっと自分の手を重ねながら答えてくれた。
興奮冷め切らぬ所為か、じっとりと汗が浮かんだそれは熱く、べたついている。
けれど、それがまったく不快ではないのはそれが小蒔の手だとすぐさま分かるからか。
俺よりも二回りほど小さな可愛らしいそれは優しく俺の手に触れ、ゆっくりと撫でてくれた。
罪状
京豚は京太郎を自己投影につかい自らの性欲を作者の断りなく咲-Saki-の作品にぶちまけた
これは反逆行為であり許されない
小蒔「何時だって…どんな場所だって…神代小蒔は須賀京太郎様の妻なんですから…♥」
京太郎「ん…そっか」
まるで幼子に言い聞かせるようなその仕草。
けれど、それを受ける俺はプライドが傷ついたとはまったく思わなかった。
勿論、気恥ずかしいのは確かだが、それ以上に小蒔が俺のことを想ってくれているのが伝わってくるからだろう。
その暖かな仕草に俺は素直に頷きながら、代わりに髪を撫で返した。
小蒔「でも…一つだけ…我儘を言っても良いですか…?」
京太郎「ん…?」
そんな俺の前でおずおずと口にする小蒔に俺はそう尋ねる。
さっきまでの母性すら感じさせる暖かな姿から一転、怯えさえ見て取れる小蒔の姿に俺は内心、首を傾げた。
これまで聞いた小蒔の我儘なんて大抵が抱きしめて欲しいとかキスして欲しいとかそんな可愛らしいものばかりなのだから。
少なくとも、こうして彼女が怯えたりするような我儘なんてただの一度もなかった。
そんな彼女の初めて見せる姿がどうしてなのかがまったく分からず、胸中で疑問が横たわる。
小蒔「私…京太郎様の妻になる前に…プロになってみたいです。一年でも…二年でも構いません。プロの世界で…自分の力を試してみたいんです」
京太郎「それは…」
ポツリと漏らすような小蒔の言葉は即答出来ないものだった。
専業主婦という幻想が儚くも崩れた現代社会で生きる俺にとって、母親が必ずしも家庭にいなければいけないという先入観はない。
ましてや、小蒔がそうやって外で自分の力を試してみたいという望みは、一人の男として分かるものなのだ。
それに足る実力も身につけ始めた小蒔がプロになる事は難しくないだろうし、その為に俺が彼女を支えるのも吝かじゃない。
京太郎「(でも…小蒔は巫女なんだ)」
俺にとって小蒔は普通の女の子であり、最愛の婚約者だ。
だが、それはあくまで俺にとってのものなのである。
社会的には彼女の立ち位置はあくまで巫女であり、学生や雀士というのはあくまでサブでしかない。
今、こうして長野に居られるのも彼女の持つ特異性だけではなく、モラトリアムだからというのもあるのだろう。
それが終わったら彼女はすぐさま鹿児島に引き戻され、あの山奥で巫女として暮らす事になる。
小蒔「…えへ…分かってるんです。そんなのは無理だって事は…」
京太郎「小蒔…」
沈黙を続ける俺の前でそう笑う小蒔の声には明らかに無理しているものだった。
勿論、小蒔がそれを分かっているのは確かなのだろう。
だが、分かっていてもそうやって口に出してしまうほど、小蒔にとってその『我儘』が切実なものなのだ。
分かっていても尚、諦めきれないくらいに…小蒔はそれを夢見ている。
小蒔「でも…京太郎様に傍にいてもらって…プロの世界で戦えたら…どれだけ素敵な事なんだろうって…そう思って…」
それを感じさせる悲痛な声はどんどん小さくしぼんでいく。
小蒔自身にもそれがどれだけ無茶なことなのかなんて分かっているのだろう。
いや、ずっとそうやって巫女としての自分を求められてばかりであった小蒔は俺以上にその壁の大きさを理解しているはずだ。
だからこそ、その声はどんどんとしぼんでいき、最後には消えてなくなってしまう。
小蒔「ごめんなさい…こんな事言われても…迷惑ですよね…」
京太郎「んな事ねぇよ」
シュンと肩を落とすような気落ちした言葉に俺はそう返事を返す。
勿論、小蒔の言葉に驚いたのは確かだし、どうすれば良いか困惑したのも事実だ。
だが、それが迷惑なのかと言えば、決してそうではない。
寧ろ、そうやって小蒔が自分の内心を吐露してくれた事を嬉しく思う。
その上で俺にとって問題であったのは『それを叶える為にどうしてやれば良いか』であった。
京太郎「(とは言え…俺には何の権限もコネもない)」
そもそも俺は神代家で一番、権力を持っているらしい小蒔の親父さんにすら会った事がないのだ。
こうして小蒔が長野に来る事が決まった時も、石戸さんを介してやり取りしただけで顔も知らない。
そんな相手に一年二年とは言え、モラトリアムの延長を求めるのは難しい事だろう。
だが、それでも…俺は… ――
京太郎「…小蒔の希望を叶えられるように…出来るだけ頑張ってみるよ」
諦めたくはない。
これから小蒔を傷つける未来が確定している以上、俺は彼女に夢を諦めさせたくはないのだ。
勿論、それはただの詭弁であり、ろくに償いにすらならない事くらい理解している。
俺がこうして押し通そうとしているのは自己満足であり、ただのエゴだ。
だが、それでも最初から諦めて何の挑戦もしないような奴にはなりたくない。
そんな風に物分りだけが良い奴だなんて、あの三人に好かれる資格などないのだから。
罪状2
自己批判と総括をせず。咲-Saki-の世界の破壊行為を顧みない
これは反省の色が足りないものとする
京太郎「勿論、上手くいく保証なんてない。と言うか期待させるだけ虚しいレベルで可能性はない。だけど…努力だけはしてみるからさ」
小蒔「京太郎様…♥」
そう紡ぐ俺の言葉に小蒔は甘い声で俺の名前を呼んだ。
そのお尻をモジモジと揺らしながらのそれは俺のムスコに肉襞を押し付けているようにも感じられる。
それに肉棒も反応し、その幹から焼けるように熱くなるが、ここで小蒔に襲いかかるのは早計だ。
京太郎「ダメだって。もうちょい休憩」
小蒔「そ、そんなぁ…♥」
そう思って小蒔を押しとどめる俺の前で、彼女が切なそうな声をあげる。
俺の言葉で再び本格的に発情した小蒔にとって、欲情はもう我慢出来ないところにまで来ているのだろう。
勿論、俺だって小蒔があんまりにも可愛くて、今すぐ犯したいという気持ちはある。
だが、俺はそれ以上に小蒔を焦らしてやりたくて仕方がなかったのだ。
京太郎「あぁ、ついでだし今の間に小蒔のアナルを開発する為の道具も買っておこうか。その方が興奮するだろうし」
小蒔「ひゃうぅ…♪」
耳元で囁く俺の言葉に小蒔の背筋がブルリと震えた。
きっと小蒔は淫らな想像を浮かべ、興奮と背徳感を強めているのだろう。
そんな小蒔に一つ笑みを向けながら、俺は小蒔を抱きかかえてパソコンの方へと移動した。
その最中、肉穴とチンポが擦れて快感を受け取った小蒔の口から嬌声にも満たない声が漏れる。
京太郎「よいしょ…」
小蒔「んんふぅっ♪」
そのまま俺を下にするように椅子に座れば、小蒔の口から甘い吐息が漏れる。
柔らかな椅子とは言え、その衝撃全てを殺しきる事なんて出来なかったのだろう。
きっと小蒔はムスコをズンっと奥に突き刺されたように感じているはずだ。
京太郎「(そして…それだけでイキそうになってる)」
未だ絶頂の影響抜けきらず、小蒔の身体は敏感になっているのだろう。
その震えは快楽の色が強く、漏れる嬌声は余裕の無さを強くしていた。
きっと今、俺がほんのすこしでも抽送らしい動きを見せれば、それだけでアクメしてしまいそうなほど昂った可愛らしい婚約者。
そんな小蒔の大きい胸を俺は後ろから鷲掴みにしながら、もう片方の手でパソコンの電源を入れ、ブラウザを開いた。
京太郎「ほら、こんなのもあるんだってさ。エロいな」
小蒔「こ、こんなので…マゾアナルが埋められたら…あぁ…♪私…どうなっちゃうんですか…ぁ♥」
小蒔を後ろから抱きかかえながらのネットショッピング。
それに小蒔は初心な、そして淫らな反応を返し、身体を小さく揺する。
未だ挿入したままの肉棒がそれに擦られ、クチュクチュと音を立てた。
その上、ギュッと甘えるように絡みつく肉襞の動きは気持ち良く、俺の興奮をこれでもかとばかりに擽り… ――
―― 結局、先に我慢出来なくなったのは俺の方であり、椅子に座ったままの状態で二回戦を始めてしまうのだった。
ふんふむは、常に正しい道を示している。
導きに背いてはならない。立ち止まってもいけない。
進め。
執行しろ。
ふんふむを信じろ。
ふんふむを信じるものは、必ず終わりの日に救われる。
─── 咲「清澄高校諜報部」 了
【System】
神代小蒔の屈服刻印がLv3になりました。
神代小蒔は自身の力を受け入れたようです。
神代小蒔は現在、アナル開発中です。
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ
まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」
マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」
ほむら「・・・ありがと」ファサ
では、
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」
終
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
ゴミが>>1謝罪しろ
>>414
エロパロでやるにはちょっと長すぎるかなーと思って
後、俺の所為でエロパロまで荒れたら申し訳ないしさ
まぁ、荒れても酉抽出で対応出来るって事で許してください
後、何故かすっごい勢いでスレ伸びて大手っぽくて気分が良いです
だから一時間ほど休憩した後に小蒔の次のイベント投下するぞー
>>639
謝れ
基地外どもが、キャラを性欲の捌け口にして許されると思っているのか!?
許さん許さん許さん許さん許さん許さん
許さん許さん許さん許さん許さん許さん
ゴミが
私はもう寝るが
京豚は朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。
乙ー
いつもながら半端ない更新量だな感服せざるを得ない
あと豚に構いたいなら雑談行ってな
ここで触っても百害あって一利なし
>>659
は?ゴミの不法投棄だろうが
著作権非申告化になったら真っ先にこのスレが潰れるな
なんの権利があって焼き依頼をしているのか
3-1突破失敗したのでそろそろ投下します
途中で途切れたら寝たと思ってください
~京太郎~
二度目の鹿児島来訪は思ったより楽だった。
そう思うのは今回が飛行機や新幹線と言った交通手段をふんだんに使えたお陰だろう。
以前はほぼ移動だけで一日潰したというのに、霧島駅についた状態でもまだ夕方だ。
流石に季節も季節なので日が高いとは言えないが、それでも以前とは比べ物にならない速さだ。
京太郎「(まぁ…それが俺のお金じゃないってのが心苦しいんだけどさ…)」
勿論、そんな高速移動手段を使いまくった旅が、ただの学生に過ぎない俺に出来るはずがない。
寧ろ、今回の鹿児島来訪はまったく身銭を切っていないのだ。
それがちょっとばかり情けないけれど、しかし、今回ばかりは仕方ないだろう。
何せ、今回の鹿児島来訪は元々、俺が予定していたものではなく、急遽差し込まれたもので… ――
小蒔「ふぅ…やっぱりちょっと疲れますね」
春「疲れには糖分。糖分なら…黒糖」ポリポリ
京太郎「春は糖分取り過ぎなんだって」
霞「うん…やっぱりこっちの方が暖かいわ」
初美「湿気がある分、寒い時は本当冷え込むんですけどね」
巴「まぁ、冬場だとちょっと雨が多いくらいであんまり気にならないレベルだけど」
懐かしい霧島の地に緊張も緩んだのだろうか。
何処か浮かれた雰囲気を醸し出す五人に俺は笑い小さく笑った。
実際、小蒔にとって、霧島の地を踏むのはもう数カ月ぶりの事になるのだ。
故郷でもあり、実家でもあるこの地に浮かれるのも仕方のない事だろう。
小蒔「でも、春ちゃんってこんなに黒糖食べているのに太らないんですよねー」
春「黒糖は身体にとっても優しい食べ物だから」
京太郎「いや、糖分多いのはあんまり身体に優しくないと思うぞ」
そう会話しながら、俺達は駅前の広場へと降り立った。
そのまま周囲を見渡してみたが、まだ迎えの車は来ていないようである。
話によると迎えの人が車を運転して迎えに来てくれるらしいが、少しばかり到着が早かったからだろう。
まぁ、既に到着時刻は連絡してある訳だし、もうちょっと待てば迎えが来るはずだ。
春「京太郎は…黒糖嫌い?」
京太郎「ん?」
そう思った瞬間、春が俺の顔をじっと見つめる。
微かに首を傾げながらのその表情は、何時もとそれほど大差ない平坦なものだ。
しかし、その瞳は微かに不安を浮かべ、悲しそうな色を浮かべている。
恐らく自他共に認める黒糖フリークの春にとって、黒糖を嫌われるのは辛いものなのだろう。
だが、それは正直、杞憂と言っても良いくらいのものだった。
京太郎「勿論、好きだよ」
いや、より正確に言うならば、より好きになったと言うべきか。
春が差し入れてくれる黒糖は黒糖フリークの彼女が選んだだけあって、どれも美味しいのだ。
お陰でスーパーなんかで売っている普通の黒糖なんかでは満足出来ないようになっているくらいである。
昔から好きだったとは言え、ここ最近ののめり込みっぷりは間違いなく春のお陰だろう。
京太郎「春のお陰で黒糖の美味しさを一杯、知れたからな」
春「…良かった」ニコッ
それをそのまま口にする俺の言葉に、春は綻ぶような笑みを浮かべる。
何処か儚げなそれは正直、見ているだけで心臓が跳ねるくらいに綺麗だ。
多分、俺に能力なんかなく、普通に春と出会えていれば、一目で虜になっていたであろうその微笑み。
それに頬が微かに紅潮するのを感じながら、俺はそっと視線を反らした。
京太郎「それより…もうちょい迎えが来るまで時間がありそうだし、皆はベンチにでも座った方が良いぞ」
小蒔「京太郎様はどうするんですか?」
京太郎「俺は適当にジューズでも買ってくる。何が良い?」
半ば話題逸らしにも近いものだったが、実際、今の俺は喉が乾いていた。
春は今回の里帰りの為にそのカバンを一杯にするまで黒糖を持ち込み、俺たちにも沢山、それを分けてくれたのである。
お陰で喉は乾燥しており、纏まった水っ気が欲しかったのだ。
小蒔「では、私はわ~いお茶を…」
霞「ありがとう。じゃあ、私も何かお茶をお願いするわ」
初美「私もお茶ですよー」
巴「あれ?これお茶以外にない雰囲気…?いや、確かにお茶が一番なんだけれど…」
それは決して俺だけじゃなかったんだろう。
おずおずという小蒔を皮切りに三人からリクエストが飛び出した。
一様にお茶を押すそれはきっと俺と同じく春の黒糖で口がパサパサな所為だろう。
彼女自身厚意で薦めてくれているし、実際、美味しいから幾らでも入るのだが、黒糖というのは口の水分をこれでもかと奪っていくのだ。
春「黒糖ジュース…」
京太郎「自販機にはないんじゃないかなぁ…」
春「…しょぼん」
しかし、そんな中で春だけが例外であったらしい。
自身の得意とする黒糖ジュースを求めるものの、そんなものは自販機には置いていない。
それに春がそっと肩を落とし、目を伏せる姿に、急いでスーパーまで走って行ってやりたくなるが、直近のスーパーだと霧島神宮の方が早いのだ。
迎えの人と行き違いになるかもしれないし、そんな事は出来ない。
京太郎「(実際、もうちょっと黒糖系ジュースは増えても良いと思うんだけれどな…)」
折角の名産品なのだから、それを活かさないのは勿体無い。
それに何度か春にも作ってもらったが、アレは中々に美味しい飲み物だ。
勿論、ジュースにするには黒糖は甘すぎるが脇役としてはかなり優秀である。
梅ジュースにしても、シークワーサーにしても、コクのある美味しい味わいを舌にもたらしてくれるのだから。
全国展開するのが難しくても名産地でもある鹿児島くらいは、もうちょっと流通しても良いと思うのだ。
春「…じゃあ、私もお茶で良い」
京太郎「あいよ。じゃあ、皆、同じのにするか」
小蒔「あわわ…せ、責任重大でした…」
そんな事を考えている間に、春は何にするか決めたのだろう。
何時もの平坦な声で紡ぐそれに、俺も同じのにする事を決めた。
勿論、それは何か大きな理由があった訳ではなく、ただなんとなく仲間外れになるのも寂しいと思っただけである。
だが、その発端となった小蒔はその手を小さく震わせながら、慌て始めた。
京太郎「もし、これで不味かったら小蒔の所為だな」
春「後で罰ゲーム…」
小蒔「う…」
勿論、俺も春も本気でそんな事を思っている訳じゃない。
小蒔の選択に乗っかったのは俺達の方であり、小蒔は何も悪い事などしていないのだから。
しかし、それでも根が真面目な彼女はそう言われると色々な事を考えてしまうのだろう。
俺達の冗談にも真剣に向き合うようにして言葉を詰まらせ、その顔を俯きがちにしてしまった。
小蒔「だ、大丈夫です!わ~いお茶は必ず二人の期待に応えてくれますから!」
その顔をぐっと握り拳を作りながらあげる間に一体、どれだけの葛藤と躊躇いがあったのかは俺には分からない。
だが、その目には確固たる意思と決意が溢れ、わ~いお茶に対する信頼が見て取れた。
きっと僅かな間とは言え、強い躊躇いに晒された小蒔はまた一つ成長する事が出来たのだろう。
信頼が滲み出るその姿に、何処か誇らしい気分になりながら、俺は軽く口を開いた。
京太郎「よし。じゃあ、春。美味しくても不味いって言おうぜ」
春「賛成」
小蒔「え、えぇっ!?」
目の前で申し合わせをする俺達に小蒔は驚きの声をあげる。
何処か小動物めいたその姿がまた可愛くて、俺と春は同時に笑みを浮かべた。
思った通りの反応をしてくれる小蒔は、しかし、そんな俺たちの意図には気付かない。
その頬を拗ねるように膨らませながら、じっと俺たちを睨んでくる。
小蒔「ひ、酷いですよそんなの!わ~いお茶に対する冒涜です!!」
けれど、その様さえも可愛らしいのが小蒔の人徳というか、魅力と言うべきか。
勿論、拗ねているのは演技でもなんでもないだろうが、まったく迫力らしいものが伝わってこないのだ。
寧ろ見ているだけでも和んでしまいそうなその姿についつい笑みを浮かべ…そして弄ってやりたくなる。
霞「はいはい。あんまり小蒔ちゃんで遊ばないの」
小蒔「ふぇぇぇ…霞ちゃあぁん…」
霞「よしよし」
そう言って石戸さんに泣きつく小蒔を、彼女は優しい手つきでそっと撫でる。
瞬間、大きなおもち同士がふにょふにょと合わさって何とも言えない素敵な光景が俺の目の前に広がった。
何処か微笑ましく、けれど、淫靡なその光景に、思わず手を差し込んでみたくなるくらいである。
しかし、小蒔のお相手が石戸さんである以上、そんな事した瞬間、フルボッコ確定だ。
春「顔…緩んでる」
京太郎「はっ!そ、そんな事ないですよ!!」
初美「須賀君は本当にスケベなのですよー」
巴「その上、タラシだもんね」ジトー
そんな事を考えながらも俺の頬は緩んでいたのだろう。
春の言葉を皮切りに俺にジト目と遠慮の無い言葉を向けられる。
それに弁解するものの、今までが今までなだけに何とも視線が厳しい。
実際、小蒔にあんな事やこんな事をしている以上、二人の言葉は事実である。
春「京太郎ってそういうのもイケるタイプ?」
京太郎「そ、そういうのって?」
春「…ゆりーんとかれずーんとか…?」
京太郎「ぼかそうとしてるみたいだけど全然、ぼかせてないぞそれ」
そっと首を傾げて紡ぐ春の言葉にツッコミを入れながら、俺はそっと思考に耽る。
イケるタイプかイケないタイプかと言えば、俺は恐らく前者なのだろう。
こうして二人の絡み合いを見ている時に頬を緩ませているのだから。
しかし、それはあくまで小蒔の一番が俺だと分かっているからこそのものだ。
これがそういった繋がりがなければ同じように思えるかは正直、その時にならなければ分からない。
京太郎「まぁ、妄想の中だけなら割と。現実には偏見がないとは言えないけど、知り合いなら応援する感じかな」
春「…京太郎のエッチ」
京太郎「うん。まぁ、一応、自覚はある」
勿論、自覚だけでそれを抑えようとまったくしていないのがアレではあるが、まぁ、俺も健全な男子高校生なのだ。
ついこの間まで美少女たちに囲まれながらもそう言った艶めいたものとは無縁だったのだから、それも仕方ない。
性的な娯楽に溢れた現代には色々とそういうものが目に付くし、学んでしまうのである。
春「でも、大丈夫。霞さんは男に免疫ないだけだから」
霞「聞こえてるわよ」
そんな俺にポツリと告げる春の言葉に、小蒔を撫でていた石戸さんが反応した。
こちらにジト目を向けるその姿は相変わらず迫力に溢れ、思わず謝ってしまいたくなる。
しかし、今回ばかりは俺じゃなく、春が対象なのだ。
貴重な情報を提供してくれた事に心の中で感謝しながら、春が犠牲になるのをノンビリと待って… ――
春「…怖い。助けて、京太郎」
京太郎「ちょ!?前に出すな前に!!」
そう思った瞬間、春が俺の背中に隠れて、グイグイと石戸さんたちの方へと押し込んでいく。
お陰でジワリジワリと迫力ある笑みを浮かべる石戸さんに近づけさせられてしまう。
その度にベンチに座っているだけの石戸さんが異常に大きく見えるのは俺の気のせいだろうか。
まるで玉座に座る魔王か何かと対峙しているかのような緊張感が俺の背筋をゆっくりと伝っていく。
初美「あ、じゃあ、私、須賀君の代わりにお茶買って来るですよー」
巴「私も持つの手伝うわねー」
そんな霞さんの前からそそくさと逃げる二人を薄情という事は言えないだろう。
それほどまでに今の石戸さんは迫力があり、不機嫌なのが伝わってくるのだから。
それに皆が皆、喉が乾いているのだから俺が動けない間に、代わりに自販機へと行ってくれるのは嬉しい。
だが、それはまったく無関係な第三者である俺を見捨てる行為に近く、俺は心の中でだけ二人の事を薄情者と罵った。
霞「須賀君。何かあるかしら?」
京太郎「え、えっと…」
そうこうしている内に俺は石戸さんの前まで押し出されてしまっていた。
そんな俺に対して、良い石戸さんはニッコリと笑みを浮かべるけれど、それすらも今の俺には恐ろしい。
まるで目の前で捕食者が手ぐすね引いて待っているような感覚に、足がすくみそうになる。
だが、ここで立ち竦んでいたら余計に石戸さんの機嫌が悪くなるのは必至だ。
それを思えばここで無言でいる訳にもいかず、俺は必死になって脳内を探索する。
京太郎「…め、免疫ない霞さんも可愛いなって…」
霞「へぇ…」
京太郎「も、もしくは俺で免疫つけてみますか?」
霞「ギルティ」
京太郎「ぐほぁっ!」
瞬間、躊躇のない一撃が俺の下腹部へと突き刺さる。
重いバスケットボールが直撃したようなその重さに俺は思わず声をあげながらのけぞった。
勿論、それはベンチに座りながらの一撃で腰も何も入っていない腕の手だけの一撃である。
しかし、それでも日頃から身体を鍛えている巫女さんの一撃は強く、鍛えているはずの俺の腹筋を痺れさせた。
ある程度、手加減されていた所為か、痛いというほどではないもののズッシリとした重さは未だ俺の下腹部に残っている。
まーた懲りずにゴミの不法投棄か
霞「ふーんだ…免疫なくて悪かったわね…どうせ迫られた事もありませんよぉだ…」
何処か自嘲気味に頬を膨らませる石戸さんの姿は堪らなく可愛い。
普段の落ち着いたお姉さんめいた雰囲気が霧散し、拗ねているのをアピールしているのだから。
思わずよしよしと頭を撫でて慰めてあげたいくらいである。
しかし、俺には小蒔がいる以上、そんな事は出来ない。
婚約者の見ている前でそれはあまりにも不誠実だろう。
春「おぉ、京太郎よ。死んでしまうとは情けない…」
京太郎「誰の所為だ誰の…!」
春「私の所為。だから、お腹ナデナデしてあげる…」
そう言って春は下腹部を抑えた俺の手ごとゆっくりと撫でてくれる暖かで優しい。
腹の奥底に残った重い感覚がゆっくりと解きほぐされていくみたいだ。
しかし、それが女友達の手だと思うと妙にこそばゆく、そして落ち着かない。
けれど、その瞳に申し訳なさを浮かばせる春の手を拒む気にはなれず、俺は彼女に身を委ねていた。
小蒔「む~…」
春「ダメ。私の為に傷ついたんだから…京太郎を癒すのは私の義務」
そんな春の様子に小蒔が拗ねるような声をあげるものの、春はそれを譲る事はなかった。
春にしては珍しいはっきりとしたその意思表示に、小蒔は頬を膨らませながらも何も言わない。
代わりに目に見えて拗ねる石戸さんを撫で返しながら、時折、俺の方をチラリと見てくる。
何処か不安げなその視線に俺はそっと微笑み返しながら、大丈夫だと伝えるように手をあげた。
巴「…あれ?これどうなってるの?」
初美「京太郎君が春ちゃんに寝取られてるですかー?」
小蒔「取られてませんっ!」
そこでようやく逃亡者二人が帰ってきてくれたのだろう。
その両手に全員分のわ~いお茶を抱える二人は状況を把握するように俺たちを見る。
しかし、ほんの数分で滅茶苦茶になったその光景を完全に把握出来る人がはたしてどれくらいいるだろうか。
俺だって同じ立場で居る時に完全に把握出来るとは到底、思えない。
だが、流石に寝取られたなんて誤解するのはあり得ないと思う。
小蒔「ちょっと貸してあげてるだけです」プクー
初美「お、おぉ…姫様がちょっと大人な対応を…」
巴「成長したのね…」
そんな二人に頬を膨らませながらも、そう返すのは小蒔の指に鈍色に光る指輪があるからだろう。
一緒に指輪を買いに行ったのは思いの外、小蒔の中で+に働いてるのだ。
今ではこうやって大人な対応を見せる事も増え、逆に目に見えて構ってもらいたがる事は減ったのである。
そのお陰か最近は優希や咲が妙に不機嫌になる回数も減り、麻雀部そのものも落ち着いてきたと思う。
逆に今度は和からのアプローチが随分と激しくなってきたが…まぁ、それは余談か。
何はともあれ、小蒔自身がかなりの成長を見せているのは事実だ。
京太郎「(このままいけば…って言うのは少し楽観視し過ぎだろうけどな)」
何時かは小蒔にも、俺が他の二人とも関係を持ち続けている事を話さなければいけない。
そして…俺が愛しているのは小蒔だけではなく他の二人も一緒であるという事を。
それはついこの間まで夢物語ではあったが、今は少しずつ成長してきてくれているのである。
そんな彼女に真実を伝えられるのはそう遠くはないだろう。
貴様に咲-Saki-を使う資格はない
京太郎「(まぁ…未だに二人っきりの時はダダ甘なんだけれどさ)」
明確に嫉妬を示す事が減ったというだけで、小蒔の甘えん坊や寂しがり屋な性格は治っていない。
それを表に出していいと判断した瞬間、彼女はまるでタガが外れたように甘えてくるのだから。
指を絡ませ、キスを強請るその様はしっかりし始めた普段の様子からは想像も出来ないくらいのドロドロっぷりである。
だからこそ、そんな小蒔が可愛くて仕方がなく、俺はついつい彼女を甘やかしてしまうのだが。
春「…京太郎、また頬が緩んでる」
京太郎「おっと…」
巴「今度は一体、どんなエッチな事を考えたのかしら。…はい。これ」
京太郎「それは…黙秘権を行使します」
春に指摘された言葉に、頬に意識を込めながら、俺はそっと腕を下腹部から離した。
春が熱心にそこを撫でてくれた所為かもう重みは殆どない。
それに一つ安堵しながら、俺は近づいてきた狩宿さんからペットボトルを受け取る。
そんな俺の隣で春もまたお茶を受け取りながら、俺の顔をじっと見つめた。
京太郎「有難うな。お陰で大分、楽になったわ」
漫「これくらいお安いご用。…なんだったら毎日、布団の中でやってあげても良い」
小蒔「そーれーはーだーめーでーすー!!」
クスリと笑う春の言葉に流石に流石の小蒔も我慢出来なくなったのだろう。
大きく声を張り上げながら、俺達の方へと近づいてくる。
身体全体で怒っている事を表現するようなそれは、しかし、悲しいかなあんまり迫力がない。
その顔立ちが似ている石戸さんはあんなに恐ろしかったのに、今の小蒔からは愛嬌すら感じられるのだから。
それもまた彼女の魅力なのだとそう思いながら、俺は小さく笑みを浮かべた。
春「…冗談」クスッ
小蒔「むー…。最近、春ちゃんの冗談が冗談に聞こえないです…」
京太郎「あ、あはは…」
正直、こればっかりは小蒔に同意するものだった。
勿論、春がそういった冗談が好きなのは分かっているのだが、ここ最近は少しばかりエスカレートしている。
冗談と分かっているはずの俺でさえドキリとするような言葉が飛び出すのは決して少なくないのだ。
そういった判別をつけるのが苦手な小蒔にとって、それは不安になる事なのだろう。
京太郎「(特に…指輪贈ってからエスカレートしてるみたいなんだよなぁ…)」
まるで指輪を贈ってもらった小蒔に対抗心を抱いているかのように春のアプローチは激しくなっている。
勿論、俺が春に好かれる理由なんて欠片もないのだから、それはきっと気のせいなのだろう。
だが、和と一緒に面白くない顔をする彼女の表情が、俺の中で何かが引っかかるのだ。
まるで何かを誤解しているようなズレた感覚を、俺は最近、感じ始めている。
霞「ほらほら、遊んでないで…迎えが来たわよ」
京太郎「あ…」
しかし、それが形になるよりも先に広場に一台の大型バンが入ってくる。
十人は優に乗れそうなそれは見慣れた巫女服の女性が運転していた。
その名前までは思い出せないが、恐らく鹿児島でお世話になった誰かなのだろう。
そう思いながら、俺は荷物をゆっくりと引き、そちらへと近づいていった。
そんな俺達の前で見慣れた紅白衣装に身を包んだ巫女さんがバンから下りて、そっと頭を下げる。
「お待たせしました!」
霞「いえいえ、忙しいところごめんなさい」
「いえっ!そんな!」
見るからに巫女さんの方が年上なのに、彼女の方が萎縮しているように見えるのは石戸さんが神代本家に近く、また六女仙という立場だからだろう。
部外者の俺には分からないが、どうやらその立場は霧島神宮関係者の中で大きな意味を持つらしい。
お陰でこうして巫女さんがバンを乗り回して迎えに来てくれるが、まぁ、そうやって畏まるのは良い気がしなかった。
それは多分、そうやって畏まられている皆が普通の女の子であり…内心、それを喜んでいない事を知っているからなんだろう。
京太郎「(でも…まぁ、それはあくまで部外者の言葉なんだよなぁ…)」
これまで彼女たちが重ねてきた歴史の重みを俺は何も知らない。
六女仙って言う言葉の重みも、特異性も、俺はまったく理解していないのだ。
そんな状態で偉そうに説教したところで何の理解も得られない。
俺はあくまで小蒔を通じて中途半端に関わっているだけで、あくまで部外者なのは変わらないのだから。
京太郎「(でも…その部外者だからこそ、しなければいけない事がある)」
そう思いながら、俺はバンに全員分の荷物を運び、そっと乗り込んだ。
普段から使っているのか使い込まれた感じのするその車内の中で俺はぐっと握り拳を作る。
ここに来るまでに自分の中で覚悟を決めてきたつもりだけど、それが間近に迫るのを感じるとやっぱり落ち着かない。
和気藹々と皆が話す車内の中で一人俺は口を閉ざし、握り拳をじっと見つめた。
京太郎「(…俺に…出来るのか?)」
勿論、それはしなければいけない事だ。
俺と小蒔の未来を掴む為にも絶対に成功させなければいけない事である。
だが…正直、俺がそれを完璧に果たす事が出来るかと言えば…まったく自信がなかった。
その壁はあまりにも強大かつ高くて…乗り越えられるとも打ち破れるとも思えない。
しかし、にじり寄ってくるそれから逃げる訳にもいかず…俺に出来る事と言えば、無理だと思いながらもそれに立ち向かう事だった。
京太郎「(…小蒔の親父さんへの挨拶…か)」
そう。
今回の里帰りの目的はそれなのだ。
一体、何を思ったのか、これまで一度も接触がなかった小蒔の親父さんが『顔を見せに来い』と直々にお呼びなのである。
それに戦々恐々としているのは…これまでの俺の所業がほぼ筒抜けだからだ。
流石に小蒔に対してどんな事をしたかまでは知らないだろうけれど、俺が和や漫さんとも関係を持っている事くらいは知っているらしい。
そう石戸さんに聞いた時には思わず頭を抑えたが…けれど、俺は逃げる訳にはいかない。
どれだけ最低な男であると自覚していても…責任だけは取るってそう決めたのだから。
京太郎「(殴られるくらいは許容範囲。でも…もし、俺達の仲を認めてもらえなかったら…)」
いや、認めてもらう事なんて出来ないだろう。
普通に考えれば小蒔の他に二人浮気相手がいるけれど、小蒔との仲を認めてください!なんて殺されても文句が言えないレベルだ。
しかし、そう思いながらも、俺は決してそれから逃げる気はない。
正直、怖いけれど、恐ろしいけれど、しかし、その足に縋ってでも糸口くらいは掴まなければ小蒔に見せる顔がないのだから。
小蒔「…京太郎様?」
京太郎「…悪い。でも、大丈夫だから」
そんな俺の様子に気づいたのだろう。
隣に座る小蒔がそっと俺の手に触れ、優しく顔を覗きこんでくれる。
彼女の優しさと暖かさがじんわりと伝わってくるその仕草に、不安になる怯える心が溶かされていった。
こんなに良い子の前で情けないところを見せる訳にはいかない。
そう思うようなそれは、きっと強がりなのだろう。
しかし、それでも目の前に迫ったそれに立ち向かう勇気を得た俺はそっと背筋を伸ばした。
小蒔「…私、駆け落ちでも大丈夫ですからね」
霞「…冗談でも駆け落ちなんて口にしないの」
ボソリと言う小蒔の言葉に石戸さんがまず真っ先に突っ込んでくれた。
お陰で車内の雰囲気が強張る事なく、和らいだままでいられる。
それに一つ胸中で感謝しながら、俺はそっと小蒔の手を撫でた。
駆け落ちでも良いと口にしてくれる彼女へ感謝を告げるその手を、小蒔は微笑みながら受け止めてくれる。
春「…その時は私も誘ってね」
初美「あ、ズルいですよ。私も一緒に行きたいです」
巴「はっちゃんだけじゃ心配だし、私もついていこうかしら」
霞「もう…バカンスじゃないんだからそう気軽に言わないの」
そう盛り上がる三人はやっぱり何だかんだで仲が良く、そしてお互いの事を大事に思っているのだろう。
勿論、最初こそ大人に寄せ集められただけだったのかもしれない。
けれど、色々なものを乗り越えた今、皆は家族とも言える絆を手にしているのだ。
だからこそ駆け落ちという重大な言葉一つにも軽く、けれど、決意を滲ませる言葉を返してくれるんだろう。
小蒔「霞ちゃんは着いてきてくれませんか?」
霞「わ、私は…」
そんな中、一人、皆の事を締めていた石戸さんが、小蒔の言葉に一瞬、チラリと俺の方を見る。
ほんの僅かなその間に送られた複雑なその視線は一体、どんな感情によるものなのかまったく分からなかった。
怒っているのか、憎んでいるのか、或いは悲しんでいるのか、楽しんでいるのか。
それすらも曖昧なそれに俺が内心、首を傾げた瞬間、石戸さんは一つため息を吐いた。
霞「…仕方ないわね」
小蒔「えへへ…♪」
何だかんだ言いながらも小蒔に甘い霞さんは彼女のことを放っておけないんだろう。
上目遣いになる小蒔に根負けしたような言葉を漏らしながら、そっと肩を落とした。
何処か気苦労が見え隠れするその仕草は、きっとそれが現実になった時の事を考えているんだろう。
けれど、例え、小蒔の親父さんに俺の事を認めてもらえなくても、小蒔と駆け落ちするつもりはまだなかった。
そうやって駆け落ちしたところで俺達じゃすぐに見つかってしまうのは目に見えているし、何よりそれで小蒔が幸せになれるはずがないのだから。
彼女の幸せを至上命題にする俺にとって、それは本当の本当に最後の手段なのである。
春「でも、そうなると…京太郎のハーレム…」
初美「え、京太郎って全員のペットじゃないんですかー?」
巴「それじゃ首輪買わないと…」
京太郎「それも良いかもなぁ」
小蒔「よ、良くないですー!」
実際、永水の皆であればある程度、気心も知れているし、何より優しいのだ。
きっとペットだ何だと言いながらも、優しくしてくれるだろう。
それを思えば永水のペット…もっと言えば奴隷扱いでもまったく問題は無い気がする。
まぁ、振り回されるのも優希なんかで慣れているし、それでも全然良いんだが。
京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだよ
あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実
それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ
小蒔「京太郎様は私の婚約者なんですから…そ、そんなふしだらな事いけません!」プクー
春「…」
初美「…」
巴「…」
小蒔「あれ?」
そう思った瞬間、紡がれる小蒔の言葉に車内に重い沈黙が降りた。
まるで帳のようなその空気の中で一人、小蒔が首を傾げる。
何処か無邪気ささえ感じさせるそれは可愛らしいが、今の刺すような雰囲気の中では何処か浮いていた。
霞「多分、皆の言ってるペットってそういう意味じゃないと思うわよ」
小蒔「え…あ…」カァァァ
ヒントを与えるような石戸さんの言葉に、小蒔はようやく自分の言っていた言葉の意味を理解したのだろう。
その顔を羞恥に真っ赤にさせて、ゆでダコのようになった。
そのままシュンと落ち込むような小蒔の姿に、けれど、俺は慰める事は出来ない。
何せ、今の俺は四方八方からジト目を向けられ、まるで針のむしろに座らされているような心地なのだから。
巴「…須賀君?」
京太郎「い、いや、俺が教えたんじゃないですよ!?」
初美「怪しいのですよー…」
京太郎「いや、マジですって!!」
まぁ、それ以外の事は色々と教え込んでいるので正直、怪しまれるのは仕方のない事だと思う。
しかし、今回に限っては、俺が教えた事ではなく、小蒔が勝手に覚えた事なのだから。
性的な向上心溢れる彼女は長野に来てからタガが外れたのか、マンガや動画などで性的知識を取り込むようになったのだ。
勿論、そんな小蒔が可愛くて俺も積極的に彼女に色々としているが、今回ばかりは俺もノータッチである。
霞「…これはちょっと小蒔ちゃんの教育方針について話し合わなければいけないみたいね」ニッコリ
京太郎「ご、誤解なのにいい…っ!」
だが、既に一度、小蒔に手を出してしまっている俺が何を言っても信じてもらえるはずがない。
石戸さんのニコリとした笑みにそう言ったものの、追及の手が緩まる事はなかった。
それを何とかのらりくらりと躱しながらも、皆は諦める事はなく… ――
―― 結局、神代本家までの道筋の間、俺はひたすらに弄られ続けたのだった。
………
……
…
その屋敷を見た時、意外とこじんまりとしている、というのが俺の最初の印象だった。
元々、俺は長野で龍門渕さんにもお世話になっていたのである。
勿論、目の前にそびえ立つその屋敷は一般的な家庭では到底、太刀打ち出来ないほど大きいが、驚くほどじゃない。
寧ろ、この程度で良いのか?と言う風に思うくらいだ。
京太郎「(まぁ…良く考えれば、あっちが本宅なんだもんな)」
山の上にズンと構えられた不釣り合いなほど大きなお屋敷の方が今、俺が廊下を歩いているこの屋敷より数段、大きいだろう。
だが、あちらの方が神事の中心であり、神代家にとっても中心地なのである。
それに対してこちらは神代の当主 ―― つまり小蒔の親父さんが住む屋敷に過ぎない。
勿論、重要度で引けをとる訳ではないが、大きさを誇る必要などないのだろう。
京太郎「(あー…緊張で心臓が喉から出てしまいそうだ…)」
そして、その奥には今、俺を待っている小蒔の親父さんがいるのだ。
一体、どんな人なのか、風貌すら知らないその人に一体、どんな風に挨拶をすれば良いのかまだ頭の中でしっかりと纏まってさえいない。
しかし、俺たちを運んでくれた巫女さんはスルスルと先を行き、邂逅の時間は刻一刻と迫ってくる。
その緊張に俺は思わずため息を吐いたが、身体に満ちる落ち着かなさは一切、消えてはくれなかった。
ノンケゴミが速報を使うじゃねーよksg
小蒔「それにしても…久しぶりですね」
初美「ですねー。こっちに来るのは数年ぶりくらいでしょうかー」
巴「普段は本宅の方で暮らしているものね」
春「設備はこっちの方が良い。…理不尽」
霞「仕方ないでしょ。あっちはあんまり人を容易く招いて良い場所じゃないんだから」
そんな俺の前で永水の皆は楽しそうに会話を続ける。
頻繁に小蒔の親父さんに会っているらしい石戸さんを除けば、全員が数年ぶりなのだから興奮するのも仕方のない事だろう。
けれど、そこに微かな陰りがあるのは…恐らくあまり良い思い出が皆の中に無い所為だ。
特に小蒔にとっては…ここはかつて自分が追い出された場所でもあるのだから、複雑な心境なのだろう。
京太郎「…」ギュッ
小蒔「あっ…」
それを俺はどうやって受け止めてやれば良いのか分からない。
小蒔の心情を無理に聞き出せるような状況でもないし、そもそも俺にだってあまり余裕はないのだから。
しかし、そうやって空元気を見せる彼女をそのままになんてしておけない。
そう思った俺は無言で小蒔の手を握りしめ、自分が傍にいる事を伝えた。
初美「まったく…いちゃつくのも大概にして欲しいのですよー」
巴「目に毒って感じよね」
京太郎「あ、あはは」
小蒔「えへへ…♥」
それに声をあげる小蒔の様子に気づいたのだろう。
薄墨さんと狩宿さんは呆れたように肩を落とし、そう言った。
それにぎこちない笑みを見せながらも、俺はその手を離すつもりはない。
それは小蒔も同じなのか応えるように指を絡ませてくれた。
団 ユダヤの陰謀 二段階革命論 日 都市を農村で包囲せよ
結 和 同志! 資本論
せ 暴力装置 ヨーロッパに亡霊が出る 主
よ 共産主義という名の亡霊である 義 第一次五カ年計画
! 自らを縛る鎖 者 断固たる階級闘争
結合発展の法則 世界同時革命 プ 暴
ブ / ̄ ̄ ̄\ ロ 無慈悲な鉄槌 力
最終的にたどり着くのはアカ ル .../.\ /. \ レ 革
ジ / <◯> <◯> \ タ 遊撃戦論 命
非搾取階級 ョ | (__人__) | リ
造反有理 ワ \ `ー'´ / ア ゲリラ闘争
地上の楽園 ジ / \ |
革命の意義 | ト 資本主義(笑)
10月革命 理性と科学に基づく社会
春「京太郎…不安?」
京太郎「う…まぁ…その…」
その嬉しさに顔を綻ばせてしまったのがいけなかったのだろう。
俺の左隣を歩く春が首を傾げながら、顔を覗きこんでくる。
そのまま疑問を口にする彼女に俺はなんと答えれば良いのか分からない。
勿論、不安だし落ち着かないのは事実だ。
しかし、小蒔の前でそれを口にすると、陰りを見せる小蒔に下手な心配をさせかねない。
それを思うと素直には頷けず、俺は言葉を濁すしかなかった。
初美「まぁ、京太郎君はケダモノですからねー」
巴「出会ってすぐさま殴られるんじゃないかしら」
京太郎「こ、怖い事言わないで下さいよ…」
とは言うものの、その程度で済めば御の字という思考が俺の中にもあった。
俺がどれだけ最低な事をやっているかを考えれば、殺されないだけマシだろう。
そう思いながらも足を進ませ続けるのは、それも覚悟してこの屋敷に赴いているからだ。
どれだけ侮辱されても出来るだけギリギリまで食らいついて…俺と小蒔の仲を認めて欲しい。
それが出来ないなら…彼女がプロを目指すのを許して欲しいと…そう訴える為に俺はここに来ているのだ。
霞「大丈夫よ。ご当主様はそういう人じゃないから」
その言葉はきっと俺を励ます為のものなのだろう。
石戸さんの言葉は暖かく、そして優しいものだった。
しかし、それだけではないと思うのは…その言葉の中に複雑なものが混じっている所為か。
恐らく…この中で誰よりも『ご当主様』と接してきた石戸さんは小蒔の親父さんにあまり良い印象を抱いていないのだろう。
霞「今日はあくまで顔見せという話だったし…あんまり緊張しないでね」
京太郎「む、難しいですよ…」
クスリと笑った霞さんの言葉に、俺はそうぎこちなく返した。
どれだけ覚悟していると言っても、親御さんにご挨拶というのは緊張するものである。
ましてや、後ろ暗い事なんて山ほどあるのだから尚の事だ。
俗にいう大人物と呼ばれる人々はここで開き直れるのかもしれないが、俺は変な能力こそ持っているものの一般人。
これから先にどんなものが待ち受けているのかと思うと胃がキリキリと痛む。
小蒔「大丈夫ですよ。いつもの京太郎様なら…きっとお父様も認めてくれます!」
そんな俺を励ますように小蒔が力強く言ってくれる。
繋いだ手とは逆の指をぐっと固めてガッツポーズをとるその仕草に緊張を浮かべる俺の顔が綻んでいった。
勿論、小蒔の言葉には何の根拠もない事くらい俺にだって分かっている。
しかし、それでも可愛らしい彼女の言葉に励まされないはずがなく、俺の心もまた緊張を和らげていった。
小蒔「それに…いざって時は私も隣に…」
霞「それが…ダメなのよ」
小蒔「えっ」
瞬間、石戸さんから告げられる言葉に小蒔が驚きの表情を見せる。
いや、小蒔だけではなく、その場に狩宿さんや薄墨さんまでも同じように驚いていた。
何せ、今回は俺と小蒔の親父さんの初顔合わせなのである。
婚約して初めてのその席に、当事者である小蒔を同席させないとは一体、どういう事なのか。
そう思うのはごく当然のものだろう。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいました!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです(正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じています。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸れたのか、それは人それぞれだと思います。
少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちになってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にありがとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお願いします!ではこれにて。
皆さんお疲れ様でした!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~~ヽ::::::::::::|/ = 完 =
霞「今日は彼の人となりを見たいから二人っきりで会うらしくて…」
小蒔「そう…ですか…」
しかし、誰よりもそう思っているであろう小蒔はそれを口にしない。
それどころかシュンと肩を落とし、気落ちしている姿を見せた。
その小動物のような姿に胸が疼くが…俺にはなんと言えば良いか分からない。
久々に父親に会える事を内心、楽しみにしていて…けれど、それを裏切られた小蒔をどうやって励ませば良いのか…分からなかったのだ。
京太郎「大丈夫だって。俺一人でも…何とかしてみせるからさ」
小蒔「京太郎様…」
結局、俺に出来るのは強がって見せる事だけだった。
せめて小蒔の不安だけでも消し飛ばしてやろうと、さっきの彼女と同じように握り拳を作って見せる。
それに小蒔は嬉しそうに俺の名前を呼びながらも、しかし、その表情を完全に晴らす事はなかった。
幾分、気持ちが楽になったのは事実だろうが、決してその暗い感情から解放された訳ではないのだろう。
それに無力さを感じた瞬間、先導するように歩いていた巫女さんの足がふっと止まった。
「こちらです」
初美「はふー。ようやく荷物を下ろせるですよー」
巴「結構、重かったものね」
そのまま開かれる障子戸に、薄墨さんは明るい声をあげながら飛び込んでいく。
さっきまでの暗い雰囲気を払拭しようとするそれに狩宿さんも続いた。
そんな二人に微かに笑みを見せながら俺達も足を進め、その部屋の中へと入っていく。
京太郎「(…まるで旅館みたいだ…)」
瞬間、俺を迎えてくれたのは、和風の部屋だった。
つい最近、改装されたのか天井や壁は目新しく、清潔感がある。
特にい草を編んで作った畳はスベスベで、このまま寝転がっても眠れてしまえそうだ。
縦長の机や座椅子などの家具もまた上等で、ただの学生である俺に高級感を伝えてくる。
まるで高級旅館さながらのその光景に俺は今更ながらに神代家の大きさを感じ取りながら、ゆっくりと肩から荷物を降ろした。
春「お茶菓子もある…お茶淹れる?」
霞「そうね。ちょっと疲れちゃったし」
初美「賛成ですよー」
その頃にはもう春が机の上のお茶菓子に目をつけていた。
そのまま脇のポットに手を伸ばし、お茶を作ろうとする彼女に石戸さんたちが手を貸す。
それを見ながら、俺は全員分の荷物を壁際へと纏めた。
この部屋は決して狭い訳でもないが、六人が詰めかけて広々と使えるほどではない。
スペースを有効に活用する為にも荷物は出来るだけ一箇所に集めておくべきだろう。
「あの…」
京太郎「ん?」
そんな俺の後ろから聞きなれない声が届く。
それに腰をあげながら振り向けば、申し訳無さそうな顔をする巫女さんの姿が目に入った。
しかし、本来であれば彼女の役割はもう終わったはずである。
後はこのまま小蒔の親父さんと会えるようになる時間まで俺達の事は放っておいて良いはずなのだが… ――
「申し訳ないのですが…須賀様はすぐお呼びするようにとご当主様が仰せになっていまして…
京太郎「あー…」
しかし、どうやら小蒔の親父さんは思った以上にせっかちだったらしい。
或いは、よっぽど俺に会いたかったのか。
どちらにせよ、こうして俺たちを迎え、案内してくれた人にそうやって伝えられるのはあまり良い気分ではない。
高速移動手段をこれでもかと利用したとは言え、移動疲れと言うのは身体の中に溜まっているのだから。
春「幾ら何でも…急すぎ…」
初美「そうですよー。移動疲れってものもあるんですし…」
「すみません…」
そんな俺を気遣ってくれたのだろう。
春と薄墨さんは拗ねるようにそう言った。
けれど、それに謝罪しながらも、巫女さんは言葉を撤回しない。
それは恐らくこの神代家の中で『ご当主様』の言葉は絶対だからだろう。
申し訳なさそうに言葉を紡いだ彼女が、その命令に何とも思っていないはずがない。
だが、彼がすぐに呼べと言っているのであれば、その通りにしなければいけないのが…この神代家なのだろう。
京太郎「いや、良いよ。ちょっと行ってくる」
小蒔「京太郎様…」
ここで神代家の対応に文句を言ったところで、困るのは矢面に立たされている巫女さんだけだ。
それに素直に呼び出しに応じなければ、ただでさえ悪いであろう俺の印象が悪化しかねない。
それを思えばここで問答している時間すら惜しく、俺はそっと歩き出す。
そんな俺に小蒔が不安そうな目を向けるが…しかし、あまり構ってはやれない。
小蒔「気をつけて下さい。何か…嫌な予感を感じるんです」
京太郎「予感…か」
新年にバイトとして駆り出される巫女さんたちなどではなく、小蒔は正真正銘の巫女だ。
その不思議な力を今まで何度も目の当たりにした俺にとって、その言葉は決してただの錯覚だと一蹴できないものである。
小蒔がそう言うのであれば…何かやばい事が待ち受けているのかもしれない。
しかし、そうは思っても、ここで帰るような選択肢などはなく…俺には進む道しか残されてはいなかった。
京太郎「分かった。俺も気をつける。…だから、小蒔もちゃんと良い子にしとけよ」
小蒔「…はい」
そう頷きながら、俺は小蒔の不安を少しでも消せるようにと頭を撫でた。
それに小蒔は小さく頷きながらもその表情は結局、晴れる事はなかった。
まるで行かないで欲しいと言うようなそれに…正直、後ろ髪引かれるような感覚を覚える。
しかし、ここで小蒔に構い続けていると…それだけ小蒔の親父さんが不機嫌になりかねないのだ。
それを思うとどうしても放っておくしかなく…俺はそっと入ってきた入り口の方へと足を向ける。
京太郎「すみません。お待たせしました」
「いえ…では、こちらへ」
そう短く言葉を交わしながら、俺達はさらに屋敷の奥へと入っていく。
どうやら、小蒔の親父さんが待っているのはかなり深部にあるらしい。
その間、俺達の間に会話はなく、ただ沈黙だけが流れる。
お互いに顔見知りであるとは言え、こうした場で親しげに会話出来るほど親しい訳でもないのだ。
何より俺にとって決戦とも言うべき時間が近づいているともなれば、世間話が出来る気分にもなれない。
京太郎「(しかし…何かさっきから違和感があるんだよなぁ…)」
そう思うのは俺の胸に落ち着かなさとはまた別の感覚が去来しているからなのだろう。
さっきからどうにも心の隅に何かが引っかかり、気になってしまう。
だが、ソワソワとして落ち着かない今の俺は冷静にそれを分析する事は出来ない。
結果、俺は内心で首を傾げながらも、答えを出せず、導かれるままに大きな襖戸の前に立った。
「この先にご当主様が待っておいでです」
京太郎「は…はい…」
そう促す巫女さんの言葉に俺は震える声を返しながら、じっとその襖戸を見つめた。
白い和紙に山の風景を描いたその奥からは重苦しい空気が伝わってくるようである。
それに気圧されるのを感じながらも、俺は大きく口を開いて深呼吸をした。
酸素が脳に回ったお陰か、或いは、自分の中で一区切りついたのか。
少しだけ緊張が和らいだのを感じながら、俺はゆっくりと襖戸に手を掛け、開いていく。
京太郎「失礼します」
そう言って俺が足を踏み入れたのは思ったより広い空間だった。
まるで時代劇か何かの一室のように畳が敷き詰められた空間が奥へと続いている。
目算で40畳はあろうかと思うほどのそれはスペースの無駄遣いもいい所だろう。
だが、それ故に神代家が重ねてきた歴史の重みを感じるようで、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
あ、注意忘れていましたが今回は超解釈を超えてかなり捏造しております
日本神話に詳しい人からはpgrされそうですが、この世界はそういう事って思って生暖かく見守ってください
京太郎「(その奥にいるのが…小蒔の親父さん…)」
その空間の最奥、一段、高くなった場所に、正座する男性がいた。
その顔つきは精悍で、未だ老いらしいものを感じられない。
抜き身の刀のような鋭さを宿すその静かな姿は、下手に話しかけるのを躊躇うくらいだ。
しかし、ここで逃げ帰るなんて選択肢は元からない。
折角、相手から接触してきてくれたのだから、少しでも良い印象を与えて… ――
「お前が、須賀京太郎か」
京太郎「は、はい…!」
そう思った瞬間、聞こえてきたその声はとても低く抑えられているものだった。
まるで今にも爆発しそうな感情を抑えているようなそれに思わず身体が竦みそうになってしまう。
決して怒鳴られた訳でも、睨めつけられた訳でもないのに、一体、自分は何を怖がっているのか。
そう思うものの、竦み上がった肩は中々に元には戻らず、身体に緊張を浮かべてしまう。
「…ふん…」
そんな俺をじっと見つめる視線もまた鋭いものだった。
まるで一瞬でも動けば切ると訴えかけているようなそれに竦んだ身体が固まってしまう。
だが、こうやって十何メートルも離れたままではろくに話も出来ない。
そう思った俺は震えそうになる足をゆっくりと浮かせ、前へと踏み出した。
「来なくて良い」
京太郎「…え?」
瞬間、聞こえてきたその声に俺は思わず、問い返してしまう。
そっちから呼びつけておいて、近寄らなくて良いとは一体、どういう事なのか。
そう微かな怒りを湧き上がらせながらも、俺はピタリと足を止めてしまう。
そのままじっと親父さんの方を見返せば、彼の視線はもう俺には注がれてはいなかった。
「…そこにアタッシュケースがあるだろう?」
京太郎「え…えぇ」
そう言って指差される場所には銀色のケースがドンと置かれてあった。
純和風な内装からはまったくそぐわないそれには異様な存在感が伝わってくる。
だが、それ以上に嫌な予感を感じるのは、それは映画やドラマなんかでは大金の取引に使われるからだろう。
「500万入っている。それで小蒔と縁を切れ」
京太郎「…はい?」
その中に何が入っているのかは分からないものの…決して好意的なものじゃない。
それを親父さんの態度から感じ取った俺の耳に、冷たくも無情な言葉が届いた。
それに思わず聞き返すものの、彼の表情は変わらない。
相変わらず抜き身の刀めいた静かで鋭い顔つきのままだ。
「聞こえなかったのか?それで神代の家と関わるのを止めろと言ったんだ」
上から目線にもほどがあるその言葉に、俺の中に宿った微かな怒りが一気に燃え上がる。
勿論、俺はそう言われてもおかしくはない事をしているのは自覚しているし、縁を切れと言われるのも予想して来た。
だが、まさかろくに話し合いもなしに金を渡して手を切れと言われるなんて欠片も予想していなかったのである。
まるで俺が金目当てで小蒔に近づいたのだろうと、そう言うような態度に俺は強い苛立ちを覚えていた。
京太郎「…理由を聞かせてもらえますか?」
その怒りをぐっと握り拳に込めながら、俺はそっと口を開いた。
そこにはもうさっきまでの緊張はなく、静かな反発心に満ちている。
遠く離れた男から放たれるプレッシャーは未だ恐ろしいが、けれど、それに怯むような気持ちはもう俺にはない。
確かに俺はどう控えめに言ってもクズだが、小蒔に対する気持ちは本物のつもりなのである。
少なくとも、金を渡されてはいそうですかと引き下がれるほど、俺は彼女のことを軽く思ってはいない。
「理由?そんなの君自身が一番、良く知っている事だろう?」
京太郎「いいえ。分かっていません」
その言葉は逃げだと言ってやりたかった。
ろくに説明もせず相手を萎縮させる為の言葉であると言い放ってやりたかったのである。
だが、そうやって敵意に敵意を返していれば、溝は深まる一方だ。
小蒔の事を考えれば、どれだけ腹立たしくても機嫌を損ねすぎる訳にはいかない。
もう手遅れかもしれないが、それでも出来るだけ手を尽くさなければいけないだろう。
「…君は小蒔の他に交際している女性が二人いるらしいな」
京太郎「…はい」
「そんな奴に子どもを任せられると思うか?」
ストレートなその言葉に、身体がピクンと跳ねた。
確かにそんな相手に大事な娘を任せられるかと言えば答えは否だろう。
俺だって逆の立場であれば、一発ぶん殴って別れろと言うはずだ。
だからこそ、俺はその言葉に否定する事は出来ず…そっと口を開いた。
京太郎「思いません」
「だったら」
京太郎「だけど…貴方の理由がそれだけとも思えないんです」
そう。
確かに彼の口にした言葉は正当過ぎるほど正当な理由だ。
正直、それを言われると俺には何も言えなくなってしまうくらいに。
だが、それはあくまでも…普通の相手の場合だ。
ごく普通の…一緒に暮らしていた家庭の場合なのである。
京太郎「もし、そうならどうして長野行きを許可したんですか?」
「あの子の力を知ってるか?」
京太郎「知っています。だから、貴方はこんなところで一人暮らしているんですよね?」
その言葉は意図せず刺があるものになってしまっていた。
どうやら俺は親としての責任を果たさず、石戸さんたちに小蒔の世話を押し付けたこの人に怒っていたらしい。
実際、この人は小蒔の授業参観などにもろくに来ず、親と言っても一年に数回しか会わないそうだ。
その僅かな邂逅の間にも、ろくに会話もしない親と聞いて良いイメージが抱けるはずがない。
うわあ…引くわ
勝手に咲-Saki-を弄ってる…これ咲-Saki-世界を利用した何かだわ
キチガイ
京太郎「(…小蒔は…泣くほど寂しがっていたんだぞ…)」
小蒔は頑張り屋ではあるが、その分、寂しがり屋であり、甘えん坊だ。
そんな彼女が親から疎遠になっている今の状況をどう思うかなんて、想像に難くない。
実際、俺の親父と仲良くなった際、「本当のお父さんみたい」と言葉を漏らし、泣きそうになっていたくらいなのだ。
それほどまでに寂しがらせ、親の責務も誰かに押し付けているこの人に俺は本当はそう言い放ってやりたい。
だが、それを胸の奥底に沈める為に再び深呼吸しながら、俺は彼へと向き直る。
京太郎「確かに小蒔の力は凄いものです。でも、今の時代ではそれだけで暴走するほどじゃありません」
実際、漫さんは携帯やメールで連絡を取り、我慢してくれているのだから。
俺だけが長野に帰ったところで小蒔がすぐさま暴走するような事はないだろう。
しかし、この人は小蒔の我儘を叶えさせるような形で長野への編入をねじ込んだ。
だが、それも良く考えればおかしい話なのである。
京太郎「それに…どうして長野行きを許可したのは小蒔だけだったんですか?」
勿論、俺が知らないだけで一人ねじ込むのと五人ねじ込むのとでは大きな差があるのかもしれない。
清澄の受け入れ体制の問題もあって、小蒔一人だけが先に編入した…と言われれば正直、納得は出来る。
だが、それなら清澄で受け入れ体制が整うまで小蒔もまたこちらで待たせておけば良いだけの話だったのだ。
それなのに…小蒔だけの編入を許し、石戸さんたちを後回しにするのは正直、普通じゃない。
もし、長野で小蒔が暴走を起こしたら、止められる人が傍にいない大惨事になりかねないのだから。
京太郎「もし、俺が相応しくないと思うのであれば、そこまでしてやる必要はないでしょう」
少なくとも、それはあまりにもギャンブル過ぎる。
下手をすれば殺人じゃ済まないレベルの事件が起こっていたかもしれないのだ。
幾ら他県の学校へこの時期の編入を許させる権力を持っているとしても、それをもみ消すのは一苦労だろう。
それなのにわざわざ小蒔だけ長野に行かせたのは… ――
京太郎「小蒔が暴走しないと…そう知っていたんじゃないですか?」
いや、そうでないと説明がつかないのだ。
一人別宅で暮らすほど小蒔の能力を恐れているこの人が、彼女を一人長野に行かせられる理由なんてそれだけしか考えられない。
勿論、それは状況から適当に推察しただけのもので、事実に即したものとは言い切れないのは俺も自覚している。
だが、そういう『確証』がなければ、『神代の巫女』という象徴的な位置にいる小蒔を手放したりはしないと俺は思うのだ。
「それは全て君の推測だ」
京太郎「では、俺のあげた疑問一つ一つに納得の行く理由を頂けますか?」
そんな俺に返された男性の言葉は相変わらず抑揚のないものだった。
動揺をまるで感じさせないそれに俺の胸が微かな不安を覚える。
何せ、俺が言ったのは全て状況からの推察にすぎないのだから。
もしかしたら、まったく的はずれな事を言っていたのかもしれない。
そう不安に思いながらも、俺はそこから逃げ出す訳にはいかなかった。
「納得…納得か」
そう言いながら顔を俯かせるその顔には微かな笑みが浮かんでいた。
口元を歪ませるそれに俺はふと嫌な予感を感じる。
まるで地雷を踏んでしまったようなそれに肩がピクンと跳ねた。
しかし、それでも視線を反らすと負けな気がして、俺はじっと彼の姿を見つめ続ける。
「社会を舐めるなよ、小僧」
瞬間、ゆらりと立ち上がるその姿はまるで幽鬼か何かのようだった。
自然体でも溢れるようだったプレッシャーが今、牙を向いてこちらへと向けられているのだから。
普通の生活をしているだけでは決して身につかないそれに、しかし、俺はぐっと食いしばる。
「納得させるのはお前の方だ、須賀京太郎。この場で『はい』と頷いて逃げ去るか、それとも…ここで死ぬか」
そう言って彼が手にとったのは脇に置いてあった刀だった。
その鞘をすっと抜けば、その下からは白銀に煌めく刀身が現れ、ギラギラと粘着くように光る。
俺は本物の刀なんて見たことはないが…恐らくそれは本物なのだろう。
俺を殺すという明確な殺意が…その輝き一つからでも伝わり、足が竦みそうになるのだから。
京太郎「俺は…どちらも選びません」
「では、何を選ぶ?」
煌めく刀を持ちながら、ゆらりとこちらに近寄ってくる姿に、心が怯えを浮ばせる。
正直、今の俺の状況はあまりにも異常なのだから、それも仕方がない事だろう。
誰だって婚約者の家に挨拶に言ったら、殺人未遂やら脅迫罪やらの被害者になるとは思うまい。
しかし、それを後で警察に言ったところでもみ消されるのは目に見えてるし、例えそうでなくても小蒔自身にも塁が及ぶ。
それを思えば、今ここで逃げ帰って再チャレンジ…と言う選択肢はどうあっても取れなかった。
京太郎「話し合いを。お互いに意見をすり合わせて妥協点を探りたいと思っています」
そう言った瞬間、俺の首筋にすっと刃が立てられる。
触れる肌から冷たくも熱い感触が伝わってくるのは、軽く肌が切れてしまっているからなのだろう。
恐らくもうほんの少し腕に力を入れられれば、俺は死んでしまうだろう。
「コレ以上、口を開けば死ぬと言ってもか?」
京太郎「その場合は500年前のように小蒔もまた失うだけですよ」
だが、彼は俺を殺せない。
そうなった場合、小蒔は確実に暴走するのだから。
その時にどうなるのかは正直、俺なんかではまったく想像がつかない。
目の前で暴走する小蒔は見ているが、火山を噴火させるほどの力があるとは思えないのだから。
しかし、それでもそれは小蒔を恐れて別宅で暮らしている彼に対して、俺の命を保証させる最低限のブラフにはなる。
「…ふん。最低のラインくらいは理解しているようだな」
京太郎「だからこそ、話し合いがしたいと言っているんです」
そんな俺から刀を離しながら、彼はそっと息を吐いた。
何処か残念そうなそれは本気で俺を殺したいと思っていた事を伝える。
どうやら感情的にはどうであれ、ブラフはちゃんと聞いているらしい。
文字通り首の皮一つ繋がったのを感じながら、俺は内心、安堵の溜息を漏らした。
京太郎「(でも…ここからが本番なんだ)」
今のこれはあくまでも話し合いの土台が整っただけに過ぎない。
まだ彼は俺を認めるだなんて領域にはあらず、強烈なまでの敵意を向けている。
そんな人に最低限でも現状維持を認めさせないといけないのは骨が折れる作業だろう。
しかし、それでもそれをやってのけなければ、小蒔との未来は完全に閉ざされてしまうのだ。
それを思えば、面倒くさいだなどと言っている暇はなく、何とか妥協点を見出してもらわなければいけない。
京太郎「今の俺と小蒔を引き離す事は出来ません」
「何を根拠に?」
京太郎「小蒔が俺の能力の影響下にあるからです」
その言葉に俺はズキリと胸の奥が痛むのを感じる。
一時は憎んでいたはずの自分の能力を、こうして相手に最低ラインを理解してもらう為に使っているのだから。
その所為で三人が苦しんでいるのを知っていながらの言葉に我が事ながら反吐が出そうになる。
だが、ただの高校生である俺にはそれくらいしか強く打ち出せるものがないのだ。
「お前の能力は石戸霞から聞いている。だが…そんなものは他に男をあてがえば良いだけの話だろう?」
京太郎「(最低の発想だな…)」
けれど、相手は俺以上にゲスな性根をしているらしい。
小蒔の欲求を抑える為に別の男をあてがうだなんて、完全に彼女をモノとしか捉えていないが故の発想だ。
それに吐き気を覚えながらも、それを最低と言う訳にはいかない。
ここで論じるべきは、俺の感想ではなく、抑止力になりうる言葉なのだから。
京太郎「貴方にこう言う事を言っても理解して貰えないかもしれませんが…小蒔は俺の虜です。他に男性を宛てがったところで拒絶しますし下手をすれば暴走するだけですよ」
「……」
その言葉についての根拠は正直、殆どない。
俺は小蒔が暴走する原理についても良く分かっていないし、理解も及んでいないのだから。
これが間近で暴走した小蒔に接してきた石戸さんたちなら違うのかもしれないが、悲しいかな俺はただの一般人である。
だが…それでも、それが抑止力として使えるのは、彼がそのデメリットを強く恐れているからなのだろう。
「…本当にお前は厄介な男だ」
京太郎「自分でもそう思いますよ」
何せ、俺の能力は相手を発情させるだけではなく、俺への依存性を強めるものなのだから。
発情する身体と俺を求める心を理解する為の言葉として、俺への愛や恋などを持ち出すのはそう珍しい事じゃない。
実際、和なんかは能力が発動する前後では、その対応が大きく変わっているのだ。
漫さんも和ほど顕著ではないが、俺のことを好きだと言ってくれたのは能力が発動してしまった後である。
例外は能力が発動する前から俺の事が好きだったと言ってくれた小蒔くらいなものだろう。
京太郎「ですから、小蒔を俺から引き剥がせない。それを前提として尋ねますが…」
そう言葉を区切りながら、俺はそっと息を吐いた。
正直、それを前提として受け止めてもらえるかどうかは相手次第なのである。
さっきから俺が口にしているのは推論や推察ばかりで、決して何か証拠がある訳ではないのだから。
しかし、そこで言葉を区切る俺に彼は何の反論もしない。
どうやらそれを前提にする事に異論はないらしいその姿に内心、安堵しながら、俺はゆっくりと口を開いた。
京太郎「貴方は一体、彼女に何をさせたいんですか?」
勿論、こうして俺を引き離そうとしている辺り、それは俺が居たら不都合がある事なのだろう。
だが、それでもこうやって踏み込まなければ、相手との意見のすり合わせは出来ない。
お互いに妥協する場面を探る為にも、まずは彼の意図を知らなければ文字通りの意味で話にならないのだ。
「小蒔は『神代の巫女』だ。どこの馬の骨とも分からん奴には相応しくない」
京太郎「それならば最初から俺なんかを迎え入れなければよかったんですよ」
その言葉が真実ではないとは思わない。
だが、それならば最初から俺を小蒔へと近づけさせなければよかっただけの話だ。
一度、小蒔や石戸さんたちを長野に転校させてからそんな事を言っても、何の説得力もない。
正直、親の愛情と言われた方がまだ理解出来るくらいだ。
ああああああああ?
「…お前は自分のルーツを知っているか?」
京太郎「ルーツ…ですか?」
そう思う俺の耳に届いた言葉に俺は首を傾げた。
どうしてこのタイミングで尋ねられるのかがまったく分からないが、祖父母くらいは会った事くらいである。
それ以上ともなると皆目検討もつかず、また想像もつかない。
親父の方に家系図は残っているらしいのでそれなりな家なのかもしれないが、それだって虫食いばかりでろくに判別出来ないそうだ。
「…なら、須賀神社や祇園信仰くらいなら理解出来るか?」
京太郎「ま、まぁ…それくらいなら…」
呆れたように口にする彼に微かな苛立ちを感じながらも、俺は小さく頷く。
祇園信仰とは牛頭天王や須佐之男を同一視し、これらを祀る信仰の事である。
また、須賀神社はその信仰を軸にする神社の事であり、全国的に広く分布しているのだ。
有名どころだと祇園祭で有名な八坂神社辺りだろう。
京太郎「(有難う、小学校の頃の先生…!)」
自分の名前の意味を調べて来いという宿題がなければ、俺は恐らくそれすら分からなかっただろう。
そうなっていたらきっとまたこの人に馬鹿にされていた事は確実だ。
そう思うと心の底から感謝の念が湧き上がってくる。
もう名前くらいしか思い出せないが、今年は面倒臭がらず、年賀状でも出してみようと思う。
「では…この鹿児島にその須賀神社がない理由は分かるか?」
京太郎「…分かりません」
「ふん…」
京太郎「(分っかる訳ねえだろおおおおお!?)」
俺はそもそも神道に詳しい訳でも、鹿児島を地元としている訳でもないのだ。
一応、小蒔と付き合うようになってからは神道系の知識を仕入れるようにしているけれど、それだって完璧じゃない。
そんな人間がバリバリ専門知識必要そうな問いに答えられるはずがないだろう。
それなのにそうやって人を小馬鹿にした様子を見せるこの人の性格は絶対に悪い。
こんな人の遺伝子がほんの少しでも小蒔に入っているだなんて信じられないくらいだ。
「ここは天孫様の降り立った地…つまり、スサノオの家系が追いやられ、駆逐された場所だからだ」
そう思う俺の前でポツリと語り出すその言葉に、俺は天孫降臨の話を思い出す
当時、この国を治めていた須佐之男の息子 ―― 大国主は、国を譲る事に同意したが、その子たちが許さなかった。
結果、高天原から降りてきた戦神がその子らを追い詰め、強引に同意させた訳である。
まるでヤのつく自営業な人々が好みそうな手段だが、まぁ、何はともあれ、こうしてこの地は平定され、この鹿児島に天孫様が降り立った。
そんな神話の世界の話をどう解釈するかによるが、ある意味では侵略者である神様の降り立った地に、旧支配者を祀る神社は建てづらいだろう。
「しかし…かつてはほんの小さなものだが…この地にも須賀神社と呼ばれるものは存在した」
京太郎「えっ…?」
だが、そんな俺の考えを裏切るような言葉が彼の口から漏れる。
それに驚きながら意識をそちらへと向ければ、さっきと同じ鋼のような硬い表情だけがそこにあった。
いや…そこに微かには確かにはっきりと、だが、何処か遠い敵意が浮かんでいる辺り、同じとは言えないかもしれない。
まるで目の前の俺ではなく渦中の神社へと敵意を向けるようなそれに俺は小さな違和感を覚えた。
「とは言え…それを今で言う須賀神社に含めて良いか疑問ではあるのだがな。そこは他の須賀神社とはまったく違うものを祀っていたのだから」
京太郎「違うもの?」
「…そこには大国主の遺体があったのだ」
その違和感も、次の言葉によって俺の胸に湧き出た驚きによってかき消される。
なにせ、それは神話の中の物語がまるで現実にあったようなものなのだから。
現実に小蒔が神様を降ろしているのを見ているとは言え…正直、信じられない。
遺体が残るという…まるで人間のような生々しさに俺は思わず息を呑んだ。
京太郎「でも…おかしいでしょう?大国主が祀られているのが出雲大社のはずじゃ…」
大国主は国譲りの際、天津神に一つ条件を出した。
それは天に座す天照の御子と並ぶほどの豪華な宮殿を建てろと言うものである。
それを承知した天津神によって、大国主は出雲大社の祭神となった…というのが俺の習った大まかな国譲りの流れである。
それなのにどうして遺体があり…しかも、出雲からは離れたこの地に祀られていたのか。
あまりにも疑問が多すぎて、自分の中で消化しきる事が出来ない。
「祀られているのはな。だが、大国主が没したのは間違いなくこの地だ」
そう断言するこの男には迷いはない。
どうやら彼の中にはそう信じるに足る何かがあるらしい。
だが、そういう知識が乏しい俺にはまったく理解が及ばない。
立の京太郎に対する感情や京太郎自体の性格を理解してない
メアリースーそのものだ
「新しい支配者になった者がまず最初に何をするか…分かるか?」
京太郎「自分たちの権力の誇示…ですか?」
「そうだ。そして、その為に尤も効果的なのは…目に見える形での旧支配者の排除と否定だ」
そんな俺に冷たく言い放つその言葉に俺はぞっとした。
確かにそれは歴史を紐解けば世界中に幾らでも転がっている話である。
それが神話の中でだけ例外だとは…確かに思えない。
特に大国主はその名前の通り、讃えられるほどの名君だったと神話に残っている。
そんな神が存命のままでいるのは新体制を作ろうとしている側からすれば都合が悪いだろう。
「大国主と呼ばれた神もその例には漏れない。奴もまた天孫様の降り立ったこの地で…処刑されたのだ」
それが一体、どういう流れなのかは分からない。
騙し討ちのような真似であったのか、或いは納得の上での事だったのか。
どちらにせよ…彼の言葉が正しければ、大国主が生きていては都合が悪い神々によって、国を譲った大国主は殺された。
それに何かモヤモヤとしたものを感じるのは…俺が前者の可能性が大きいと思うからか。
ただ自分たちの権力を誇示したいだけならば、本拠地であった出雲でやった方が遥かに効果的なのだから。
それをこうして霧島で処刑したという事は、未だ大国主を慕う者が多かったであろう出雲では出来ない理由があったからなのだろう。
そこに後ろ暗い理由を感じ取るのは、決しておかしな事ではないはずだ。
「国譲りの際、大国主が根の国…つまり冥界を治める話が後々付け加えられたのも奴が存命ではなく、また根の国に住まうのは死者でなければ出来ないからな」
だが、この男は俺のようにもやもやとしたものを抱いたりしないらしい。
そう続ける言葉にはうっすらとではあるが、嬉々としたものが混じっているように感じられる。
それはきっとこの男が天孫様の側に立つ人間だからだろう。
新しい支配者を信奉するものにとって、この話は英雄譚にも聞こえるのかもしれない。
「だが、神とは言え、没すれば死体は残る。それを不憫に思った一部のものがこの地に大国主を祀る社を建てたのだ。…天孫様のものよりも先に…な」
だが、そんな機嫌の良さも次の瞬間には消え去った。
それはきっとこの男にとってそれがとても面白くはない事だからだろう。
勿論、現在の霧島が天孫様の土地であり、その信仰をほぼ独占している。
その歴史は古く、霧島神宮は日本の中でも有数の神社だ。
だが、それが出来る以前から旧支配者を祀るものがあったというのは理解出来ても、納得出来ないものがあるのだろう。
「そして、その社は死んだ大国主を鎮める為に奴が住んでいた出雲に須佐之男が向けた言葉から名付けられた。つまりこの地にあったそれは…日本最古の須賀の名前を冠する事になった神社だった訳だ」
それが事実であれば、観光客だけでなく、多くの学者たちもまた狂喜しそうな情報である。
いや、大国主という神の遺骸を祀っていたというのであれば、科学者たちもまたそれを欲するかもしれない。
そんな重要な情報を知れた事に興奮しない訳ではないが、現在にはその社は影も形も残っていないのだ。
少なくとも、彼の言葉を裏打ちするものは何もない以上、それはあくまでもロマンの域を出ないだろう。
京太郎「でも…それが俺のルーツに何の関係があるんですか?」
それに何より、それが俺に一体、何の関係があるのか分からない。
確かに俺は須賀と名乗っているが、神社なんかとはまったく関係のない家系なのだ。
住んでいる土地だって鹿児島から遠く離れた長野だし、親父もそこそこ良い企業勤めとは言え、ただのサラリーマンである。
精々、名前が一緒なくらいで、さっきまで話していた俺のルーツに関係しているとは到底、思えないのだ。
「…忌々しいことに奴らにも私達と同じように大国主から不思議な力を授かっていた」
京太郎「不思議な…力?」
だが、そんな俺の言葉を無視するように彼がそう言葉を口にする。
それが微かに苛立つものの、不思議な力というフレーズに惹かれないかと言えば嘘になる。
男の子というのは中学二年生から幾らか成長しても、その心を捨てられない生き物なのだ。
鹿児島の地から消えてしまった彼らに一体、どんな力があったのか。
小蒔の力を目の当たりにし、この世に科学では説明の付かない力がある事を知った俺にとって、それは関心を惹くには十分過ぎるものだった。
「一体、どのようなものなのかは人によっては違うようだ。必ず力が遺伝するという訳ではなかったし…」
「記録にも具体的なものは残っていない。いや、残せなかったというのが正しいのだろうが」
そう思って聞き返した俺の期待に、この人は応えてはくれなかった。
ただ謎の力というだけが残る消えた一族…と言えばロマンも感じない訳じゃないが、結局、具体的な証拠もないのだから。
九面様を降ろすという派手な霧島神宮のパフォーマンスに対して、トリックの類で誤魔化していた可能性も否定出来ない。
少なくとも俺の中の関心は一気に冷め、眉唾ものとしてその言葉を受け止めた。
「確かなのは…奴らは500年前の噴火で祀るべき大国主の身体を失い、神社を再建する事も出来ずに、各地を転々とした事だけだ」
何処か冷たく言うその声は、恐らく彼らの事を見下しての事なのだろう。
さっきも思った通り、この人はかなりその須賀神社の事をかなり意識しているらしい。
だが、その歴史で多少、負けていたとしても、どうしてそれほどまでに意識する必要があるのか俺には分からない。
こんな立派な屋敷に住み、周囲の信仰を集めている霧島神宮のトップがどうしてこれほどまでに意識するのか。
焼け出され、既に鹿児島にもいない一族なんて、周辺の信仰を独占している身からすれば、路傍の石同然だろう。
少なくとも既に過去のものであり、縁が切れた人々である事は間違いない。
須賀なんて名前は別に珍しくもないありきたりな名前だが?
「そして、最後に奴らは長野の諏訪大社を頼った。そうやって長野に言った奴らの末裔が…お前だ」
京太郎「…はい?」
それに違和感とも疑問とも言えないものを胸中に浮かべた瞬間、彼から信じられない言葉が飛び出す。
一体、どうしてそこから俺へと繋がるのかがまるで理解出来ないのだ。
いや、寧ろ、一体、誰がその言葉を信じられると言うのか。
実は自分が昔、不思議な力を持ちながらも、滅びた神社の末裔だなんて言われているのだから。
今時、安っぽい和風ファンタジーものでも、こんな展開で書けばダメ出しされるだろう。
京太郎「…冗談でしょう?」
「冗談なものか。須賀という名前は数あれど…あの家系の者だけはすぐに分かる。何より…ちゃんとこちらでも調査したからな」
だが、そうやって尋ねる俺に、彼は冷たい言葉しか返さない。
一体、どれだけの金と時間を掛けたのかは分からないが、どうやら彼の中でその事実は確定らしい。
しかし、正直、そんな姿を見ても、からかわれているのではないかという気持ちが俺の中では強かった。
何せ、俺には小蒔のようにオカルトめいた力なんてまったく… ――
京太郎「あ…」
「…気づいたか?」
京太郎「いやいやいやいや!おかしいでしょう!?」
確かに俺の力は明らかにオカルトを超えてファンタジーの領域に片足を突っ込んでいる。
カンすると有効牌がツモって来たり、一向聴から一向に進めなくなると言った卓上の能力だけではなく、その後にも尾を引くものなのだから。
巫女としての力を応用して、麻雀に使っていると言う小蒔の能力の方に近いかもしれないとは…確かに薄々、思ってはいた事だった。
しかし、その源が同じ本当に小蒔と同じく本当の意味でオカルトめいたものだなんて考慮していなかったのである。
「大国主は多数の女神と婚姻を結んだが、毎晩、彼女らを満足させ、従順にさせるほど絶倫だったそうだ」
京太郎「い、いや、まぁ、確かに自分でも性欲旺盛だとは思いますけれど!」
確かに俺は自分の人並み外れた性欲に疑問を持った事はある。
ぶっちゃけ一晩中、セックスしても萎える気配がないくらいのそれは明らかに異常なのだから。。
しかし、それが500年以上前の先祖が、大国主の遺体を祀っていたからだなんて誰が想像出来るだろうか。
あまりにも予想外過ぎる方向からの答えに、正直、困惑を通り越して混乱するくらいだ。
「そして先の神社の家系にもそういった性的な能力が良く顕れ…時の権力者に取り入る事で小さいながらもその存在を維持してきた訳だ」
京太郎「記録に残せないってそういう理由ですか…」
それに脱力感めいたものを感じるのは、その真実があまりにも情けないものだったからだ。
その時々の権力者に、しかも、性的な能力を使って取り入るだなんて恥ずかしくて仕方がないのだから。
正直に言えば、そんなご先祖様(仮)の話なんて聞きたくはなかったし、信じたくはない。
だが、それなら門外不出であり、権力者の怒りを買いかねないその能力が具体的に記録されていないのも理解出来る。
京太郎「でも…もし、そうだとしたら…俺を招き入れたのはどうしてですか?ある意味では商売敵でしょうに」
それでもそうやって口にしたのは、尚更、彼の真意が分からなくなったからだ。
何せ、彼が俺のご先祖様(仮)を良く思っていないのは、さっきからひしひしと伝わってくるのだから。
今も尚、敵意にも近い感情を向ける家系の末裔だなんて、本来ならば顔も見たくはないだろう。
しかし、それなのにこの人は俺を小蒔へと近づけ、色々と後押しをしてくれていた。
勿論、今でこそ俺たちを引き離そうとしているが、その二つがどうしても俺の中で繋がらない。
無理やり日本神道に結びつけるとか失礼だ
「だからこそ、だ。お前たちの間に子どもが出来れば、大国主を降ろす事も不可能ではないと思った」
京太郎「…え?」
ポツリと口にする彼の言葉に、俺は理解が追いつかない。
元々、混乱が収まっていない上に、俺にはオカルトの知識なんてまったくないのだから。
ついさっき自分が小蒔とそう変わらぬ立場にあった事を知ったばかりの俺にその言葉が理解出来るはずがない。
そもそも『加護』という言葉が指すのが一体、何なのかさえ分からないのだから。
「小蒔は『神代の巫女』としてほぼ完成された器だ。アレほどの力を持つ巫女は神代の歴史の中でもいない。ならば、その先を目指すのが当然だろう?」
京太郎「…っ!ふざけんな!!」
しかし、それでも彼が小蒔をモノのように考えているのははっきりと分かった。
娘としてではなく、神様を降ろす器程度にしか思っていないそれに思わず声を荒立ててしまう。
恐らくこの人は…いや、コイツはろくに愛情も注いでいないどころか、小蒔を商品程度にしか思っていない。
だからこそ…そんな風に品種改良するかのようなその言い方が出来るんだろう。
京太郎「小蒔を…小蒔をなんだと思ってるんだ!!」
小蒔は…それでも期待しているのだ。
コイツに父親らしく接して貰う事を…内心、望んでいるのである。
だが、コイツはそんな小蒔を遠ざけるどころか…道具程度にしか思っていない。
そう思ったら…頭の中でブツリと何かが切れて我慢出来なくなってしまう。
俺の事をなんと言われても構わないが、小蒔を蔑ろにするような言葉は看過出来なかったのだ。
「九面様だけではなく、大国主まで降りてくるようになれば奴の支配下にある百八十の神や根の国の者たちも神代に従うだろう
「そうなれば神代は盤石になり、どんな時代になろうとも権威を失う事はない。それを目指すのは当主としていけない事か?」
京太郎「その為に娘を道具みたいに扱って良い訳ないだろ!」
確かにコイツの言っている事はある意味では間違いではないのかもしれない。
いや、多分、後の未来のことまで見通したその言葉は、神代家にとっては間違いなく『正義』なのだろう。
だが、それは倫理や感情と言ったものを無視した独り善がりな『正義』なのだ。
少なくとも…その為に小蒔を犠牲にするものを、俺は決して『正しい』とは認めない。
「そのお陰で小蒔に近づけたお前が言える言葉か?」
京太郎「言えるさ。だって、俺と小蒔が心通わせたのはアンタのお陰じゃないんだからな」
勿論、お膳立てをしてもらったのは確かだし、その恩恵を享受しているのも俺だ。
しかし、それはあくまで環境を整えて貰っただけに過ぎず、小蒔と心通わせたのはコイツのお陰でもなんでもない。
もしかしたら石戸さんや春の方に惹かれていた可能性だってあるのだから。
何より…恩恵を受けているからと言って、間違っていると思うものを、間違っていると言っちゃいけないなんて道理はない。
いや、寧ろ、本来はそうやって恩恵を受けている人々こそが間違っていると声をあげなければいけないのだ。
「威勢だけは良いな。まぁ、慣れない敬語を必死に使おうとする滑稽さよりはマシだが」
京太郎「そりゃどうも」
嫌味混じりの言葉にそう答えながらも、俺の頭の中から怒りの二文字が消える事はなかった。
最早、俺にとってコイツは一種の敵であり、敵意以外の感情を向ける余地がないのだから。
しかし、現状、どれだけ言っても、コイツが意思を曲げる事はありえない。
その言葉が完全に間違っているならともかく…それは決して『悪』ではないのだ。
彼の視点からは『正義』である事が分かるだけに、ここで何を言っても水掛け論にしかならない。
腹立たしくて仕方がないが…ここで足踏みしていては彼の真意には近づけないのだ。
京太郎「それで…そうやって招き入れた俺を引き離そうとする理由は何なんですか?」
そう自分の苛立ちを抑えながら、俺はわざわざ敬語を使ってそう尋ねてやる。
勿論、今までのやり取りでコイツが大まかに何を考えていたのかは分かった。
しかし、このタイミングでどうして「別れろ」と言い出したのかは、まったく見えてこないままである。
須賀の血を取り込みたいのであれば、まだ子どもも出来ていない今の状況で言い出すのはおかしいのだから。
「石戸霞から報告は聞いている。小蒔は自分の意思で九面様を降ろしたそうだな」
京太郎「えぇ。小蒔はトラウマを克服して…」
「それがいけない」
京太郎「…え?」
その言葉を最初から理解できる人が一体、どれだけどれだけいるだろうか。
だって…それはこれまでの小蒔の歩みを全て否定する言葉だったのだから。
彼女の苦しみも、そして苦しみながら手にした成果も、なにもかも無に帰すようなそれを俺は正直、信じる事が出来ない。
だが、呆然と見つめても彼から訂正の言葉が漏れる事はなく、ただ冷たい表情だけがそこに浮かんでいる。
「あくまで尊重されるのは九面様の方であって、『神代の巫女』はその受け皿であり続けなければならない」
「だが、今、小蒔はそのラインを踏み越え、権威を持とうとしている」
京太郎「っ…!」
勿論…これまでのやりとりでコイツに親としての情がないことくらいは理解していた。
だが、それでも…彼女の成長を喜んでくれると、俺はそう思い込んでいたのである。
しかし…どうやら現実は俺が思っていた以上に無情で…そして冷酷であったらしい。
淡々と並べ立てるその言葉に、俺は怒りを超えて憎しみさえも抱こうとしていた
京太郎「つまり…このままだと小蒔自身が権力を持ってしまいそうで怖いから…ですか?」
「端的に言えばそうなる」
それをぐっと噛み殺しながらの言葉に、彼は言い訳一つしようとしなかった。
多分、この恐ろしいほど利己的で、そして冷静な人は自己分析くらい済ませているのだろう。
そして、それを理解した上で…コイツは…いや、今まで『神代の巫女』を良いように扱ってきた連中は彼女を恐れ、その力を弱めようとしている。
その自分勝手さに自分の事を棚に上げて思わず、怒鳴りたくなった。
京太郎「だからって…俺から引き離しても、無駄ですよ」
それを何とか抑えつけながらの言葉に、コイツは何の動揺も見せはしなかった。
だが、小蒔はもう巫女としての力を受け入れ、トラウマを克服したのである。
そんな彼女から俺を引き離したところで、また不安定な状態にはならないだろう。
普段、おっとりしている姿からは想像もつかないが、アレで小蒔は中々に芯の強い子なのだから。
暴走くらいはするかもしれないが、それで再び自分の能力を嫌うようになるとは到底、思えない。
「そんなもの百も承知だ」
京太郎「っ!?」
その言葉は途中で俺の耳には届かなくなった。
瞬間、ズドンと言う大きな音と共に激しく屋敷が揺れたのだから。
それこそ巨人がぶつかったかのようなその衝撃に、俺の胸に嫌な予感が触れた。
まるで死者の手が背筋を撫でるようなその感覚に…俺の中の本能が警鐘を鳴らしはじめる。
以前も一度、味わった事のあるこの感覚は…間違いなく… ――
「だから…君には小蒔の手で死んでもらおうと思ってな」
京太郎「アンタって人は…!!」
断続的にズシンと揺れる屋敷の様子にもコイツはまったく狼狽を見せる事はない。
それはやはりコイツにとって計画の内という事なのだろう。
一体、どういう手段を使ったかは分からないが、恐らく、小蒔は意図的に暴走させられ、この屋敷の中で暴れまわっている。
背筋を這いまわるような嫌な予感もそれを肯定するのを感じながら、俺はキッと彼を睨めつけた。
「勘違いするなよ。私はただお前が仲睦まじくホテルに入っていく写真を小蒔に見せるよう命じただけに過ぎない」
京太郎「だからって…!ここには沢山、人が…石戸さんたちだって傍にいるんだろう!!」
勿論、その原因になったのは俺だろう。
俺がコイツにつけこまれるような隙を作らなければ、こんな事態にはならなかったのだ。
だが、それでもコイツのやった事を肯定出来るはずがない。
ここには少なくない人々が働いていて、そして今、その全てが命の危機に晒されているのだから。
娘にトラウマを負わせる為だけに、誰か死んでもおかしくないような危険を呼び込むだなんて初期の沙汰じゃない。
「所詮、六女仙など『神代の巫女』に何かあった時の予備血統に過ぎん。全滅したところで小蒔が居れば巫女の家系は続く」
京太郎「アンタだって死ぬかも知れないんだぞ!」
「その時はその時だ。私の命など巫女ほどの価値もない。それに後任者は既に決めてある」
その言葉に…俺はようやくさっきまでの態度が殆どブラフであった事を悟った。
コイツは小蒔の力なんてまったく恐れてはいなかったのだろう。
そんな風に振舞っていたのは全て、俺をここに足止めする為。
そして…小蒔の心に再びトラウマを植え付け、一部の人間が権威を握り続ける為だったのだ。
京太郎「(どおりで一本道だと思った…!)」
今から思い返せば、ここに通される時に感じた違和感はそれだったのだろう。
窓もなく脇道さえもなかった後ろの廊下には逃げ場なんて欠片もないのだ。
自然、ここから逃げ出そうとすれば、今も暴れているであろう小蒔の近くを通らなければいけないだろう。
いや…今も激しい物音がこちらへと近づいている辺り、もう近くどころでは済まないのかもしれない。
「ちなみに悪神を降ろした時の行動は、最後に感じた感情に大きく左右されるそうだ。今回はどうなるかな?」
京太郎「っ…!」
試すようなその言葉に俺は強い怒りを覚えた。
この期に及んでまったく恐れていないその態度と信念は、正直、尊敬に値すると言っても良い。
だが、まるでこの状況を楽しむような言葉に、同意など出来るはずもない。
今、小蒔が、そして石戸さんたちが危機に晒されていると思えば、一発ぶん殴ってやりたくなる。
京太郎「(ともかく…このままじゃいられない…!)」
だが、今の俺がするべき事はそうやってコイツを殴る事じゃない。
そんな事をしてもスッキリするのは一瞬だけなのだから。
それよりも…この状況を何とかする為に頭と身体を動かさなければいけない。
少しでも誰かが傷つかないようにする為にも、今は何より行動が必要なのだ。
立の気持ち理解してない
「逃げるのか?」
京太郎「迎えに行くんですよ」
そんな俺の後ろに問いかけられる言葉に、苛立ちながらもそう返して俺はそっと襖戸を開いた。
そのままグッと足に力を込めて駆け出せば、何かが暴れているような音が一気に近くなる。
まるでブルドーザーが屋敷の壁を壊しているようなそれに背筋がゾッと寒くなった。
この向こうに一体、どんな惨状が待っているのかと思ったら、それだけで足が竦みそうになるくらいである。
京太郎「(でも…逃げてられるか…!!)」
だって、その向こうに起こっている騒動の原因は俺なのだから。
勿論、直接的に何か関わった訳ではないし、手を下した訳でもない。
しかし、そうやって付け入る隙を作ってしまった以上、口が裂けても無関係とは言えないだろう。
だからこそ、俺はその責任を少しでも取る為にも怯える足に気合を入れて、騒動の中心を目指した。
京太郎「あ…ぁ…」
そうやって一分ほど走った瞬間、切り裂かれた壁が俺の視界に広がった。
いや、より正確に言えば…それはきっと砕かれたのあろう。
だが、そこにはまるで巨人が引っ掻いたような裂傷が幾つも残り、その向こう側を露出させていた。
到底、人間業ではあり得ないそれは…まず間違いなく暴走した小蒔がその細腕で成し遂げたのだろう。
何せ、巫女服に身を包んだ小蒔はそんな滅茶苦茶な空間の中で…一人、ポツンと立っているのだから。
人を玩具だのなんだの
人権無視にも程がある
京太郎「(そして…その周りには沢山の人が倒れている…)」
恐らく暴走した小蒔に巻き込まれたのだろう。
その足元には気絶しているのか、まったく動かない人々が倒れていた。
まるで中心の小蒔にひれ伏すようなその中には石戸さんたちの姿もある。
パッと見る限り、血が流れている訳でもなく、また時折、その身体が動いている辺り、死んでいる訳ではないのだろう。
京太郎「(…心配だけれど…今は構っていられない…)」
勿論、本音を言えば、今すぐ彼女たちの元へと駆け出したい。
だが、その為には小蒔の脇を通り抜けなければいけないのだ。
それを頭をふらふらと揺らす今の異常な小蒔が許してくれるかどうか。
こうして多くの人が倒れ伏しているのを見る限り、今の小蒔はきっと無差別に人を襲っているのだろうし…無事に通り抜けられるとはあまり思えなかった。
京太郎「(正直…俺に何か出来るとは思えないけれど…)」
以前だって、俺が出来たのは精々、時間稼ぎで祓う事そのものは石戸さんたちがやってくれたのだ。
だが、そうやって俺を助けてくれた彼女たちは皆、一様に倒れ伏し、意識が戻る気配もない。
そんな状態でただの高校生である俺が出来る事なんてたかが知れているだろう。
しかし、それでも逃げる気にはなれず、俺はゆっくりと彼女の元へと近づいていった。
京太郎「…あ…あのさ」
「……」
そう呼びかけた瞬間、小蒔の小さな身体から黒いものが放たれる。
まるでこの世の厄災全てを閉じ込めたようなそれは一直線へと俺へと向かってきた。
それが一体何なのかオカルトの知識がない俺にはまったく理解出来ない。
だが、それが『触れてはいけない』ものだと言う事だけははっきりと伝わってくるのだ。
京太郎「(やば…っ!!)」
だが、そう思った頃には俺はもうその黒いものに囲まれていた。
まるで俺の逃げ場を潰すようなその広がり方に、俺は退く事さえ出来なくなる。
恐らく一歩でも動けば、俺は周囲の景色を真っ黒に塗り替えるようなその黒色に飲まれてしまうだろう。
そう思うと俺は何も出来ず、ただただ、立ち尽くすしかなくなる。
「ニン…ゲン…」
そんな俺に対して小蒔は…いや、小蒔の身体に入った『何か』はゆっくりと俺へと近づいてくる。
俺の周囲に満ちた黒いものを踏みしめるようなその動きは相変わらずフラフラとしていた。
頭どころか首まで揺らすような不安定なそれに思わず抱きとめたくなるくらいである。
しかし、悲しいかな、今の俺は一歩も動けず、ただただ、近づく『何か』を見つめるしかない。
「……」
京太郎「ぅ…」
そう思う俺の頬に『何か』はそっとその手を伸ばす。
そのまま何かを確かめるように俺を撫でるその顔はどう表現していいか分からないものだった。
目元は虚ろで何を映しているのかは分からず、その綺麗な瞳は意思が感じられないほど濁っている。
しかし、頬は微かに紅潮し、半開きになった唇からは微かに吐息が漏れ出していた。
その胡乱な瞳からはまったく想像も出来ないその姿に俺はどう反応して良いかまったく分からない。
「オマエか…」
京太郎「はい…?」
瞬間、聞こえてきた声に俺が首を傾げた瞬間、そっと周囲の黒いものが消え失せた。
まるで最初からそれが俺の脳が創りだした幻覚だったように思えるくらいである。
だが、少なくとも、俺の背中にびっしりと浮かんだ冷や汗は嘘じゃない。
まるで九死に一生を得たような感覚に、けれど、俺は安堵の息すら漏らす事が出来なかった。
俺の目の前に立つ『何か』から放たれる重苦しい空気に、俺は気圧され、息苦しささえ覚えていたのだから。
「コい」
京太郎「え…ちょ!?な…ぁっ!!」
そんな俺の手をぐいっと掴むその手には相変わらず容赦の欠片もなかった。
その細い腕の何処にそんな力があるんだってほどの怪力で俺の事をグイグイと引っ張っていく。
まったく俺の身体の事を考慮してくれていないそれに、俺はバランスを崩しかけた。
しかし、何とかその手をギュッと掴み返して…俺は自分の態勢を建て直す。
「ぁ…♥」
京太郎「ん…?」
だが、それが相手の喫線に触れたらしい。
そう思うのは瞬間、その唇から甘い声が漏れたからだ。
微かな、けれど、他に何の音もしない空気を揺るがすのには十分過ぎるその声は正直、かなり色っぽい。
発情した時の小蒔にも劣らない熱のこもり具合についつい俺はその顔を伺うように見つめてしまうくらいだ。
「な…なんでもナい」
京太郎「そ、それなら良いんだけど…」
それが気恥ずかしかったのか、『何か』はプイっと顔を背けた。
まるで拗ねた時の小蒔のようなその仕草に、俺はついつい可愛いと言ってしまいそうになった。
しかし、相手は一体、どんなものなのかは分からないが、悪霊や悪神の類なのは確定である。
流石にそんな相手に可愛いと言ったところで呆れられるか、怒られるかのどちらかだろう。
京太郎「(それに…そんな事言ってられる状態でもないしな)」
とりあえずコイツは今、俺の事を害するつもりはないらしい。
皆があんな風に倒れているのに、俺だけ何もされなかったのがその証拠だろう。
けれど、それに安心する訳にはいかないのは、目の前の相手の意図がまったく見えないからだ。
とは言え、俺は繋がれた手を振りほどく力なんてなく、ただ着いて行くしか出来ない。
京太郎「(にしても…危なっかしいなぁ…)」
ふらふらと左右に揺れるその身体は、しかし、奇妙なことにバランスを崩す事はない。
本来ならば即バランスを崩してもおかしくないはずが、何気なく歩き続けているのだ。
それが一体、どういう原理でそうなっているのかさえオカルト知識のない俺にはさっぱりである。
ただ、そうやって揺れる小蒔の身体が何時か壁にぶつかってしまうのではないかと心配で仕方がない。
結局、俺はそれを見過ごす事が出来ず、後ろからそいつに近づいていった。
「ひゃう!?」
そのままそっと足元を掬い上げるように抱き上げる姿勢は、所謂、お姫様抱っこと言うやつだろう。
転校してすぐの頃、小蒔が頻繁に強請ったそれに、彼女の身体が硬直した。
いきなり後ろから抱き上げられてしまったのだから、それも当然だろう。
しかし、腕の中のコイツは抵抗する事はなく、俺にそっと抱き上げられていた。
京太郎「随分と可愛らしい反応をするんだな」
「う、ウルサイ!」
そんな相手についつい漏らしてしまった言葉に、そっと頬を紅潮させる姿が目に入る。
一体、どんな奴が憑いているのかは分からないが、随分とまぁ意地っ張りな奴らしい。
しかし、それでも俺に対して抵抗しないのは一体、どういう事なのか。
いや、寧ろ、その顔を赤く染めるほどに恥ずかしがっているのに、コイツの手は俺の服をぎゅっと掴んでいるのである。
京太郎「んで…何処に行けば良いんだ?危なっかしいから運んでやるよ」
「……アッチだ」
そう言って小蒔が指さしたのは俺達が最初に通された客間だった。
どうやら知らないうちに目的地近くまでやってきていたらしい。
それに一つ安堵しながら、俺はスルスルと足を進めていく。
その際、廊下がギシリと歪むのはその辺り一体で小蒔が大暴れした所為だろうか。
気のせいか壁に焼け焦げまで見え、大穴が空いたその光景は、一瞬、廃墟か何かに迷い込んだと思うくらいである。
京太郎「(実際、人の気配はまったくしないからな)」
さっきから俺たちの周囲は無音で、人っ子一人近づく様子がない。
これだけ大きなお屋敷でのそれは正直、不気味もいいところだろう。
一体、コイツが何をやったのかは分からないが、出来るだけ皆が無事であれば良い。
そう思いながら、俺が開きっぱなしの襖戸をくぐれば、そこにはもう畳みやちゃぶ台が滅茶苦茶になった客間が見えた。
まるで部屋の中で台風でも起こったかのようなそれはきっともとに戻すのにかなりの手間が掛かってしまう事だろう。
「…シめろ」
京太郎「はいはい」
そんな俺の感傷なんてお構いなしに告げられる言葉に従順に頷いた。。
こうして俺の中に抱かれているのは相変わらず可愛くて堪らない小蒔の身体ではあるが、その中身はまったく違うのだ。
これまで見てきた屋敷の惨状をたった一人で創りだしたであろう相手に抵抗なんてしても無意味である。
そう思いながらそっと襖戸を締めた俺は、次を伺うように相手の顔に視線を送った。
「ぅ……ぅ♥」
しかし、コイツはモジモジと身体を揺するだけで、俺に対して何かリクエストをしない。
時折、俺のことをチラリと見るので何かして欲しい事があるのは確実だろう。
しかし、その唇は微かな吐息を漏らす事に始終し、何か言葉を紡ぐ事はない。
まるで恥ずかしくて言えないと全身でアピールするようなその可愛らしさに今すぐ押し倒してやりたくなる。
「も、モノワカりのワルいヤツめぇ…!」
京太郎「え…っと…その…すまん」
瞬間、俺の事を詰る言葉を紡ぎ、小蒔の腕がさらに強く俺の私服を掴んだ。
頑丈なはずの繊維がそのまま破けてしまいそうなほどのその力に、俺は思わず謝罪の言葉を返す。
けれど、コイツは機嫌を治すつもりはまったくないのか、その頬を膨らませた。
まるで子どものようなその拗ね方はまた可愛らしく、ついつい甘やかしてしまいそうになる。
「アヤマるなら…もっと…ギュッてしろ…ぉ…♪」
京太郎「あ…あぁ。うん」
そんな俺の耳に届いた言葉に、俺はついつい生返事を返してしまった。
しかし、それも当然の話だろう。
だって、今、小蒔に憑いているのは悪神 ―― しかも、恐らく以前よりも遥かに強力でヤバイ奴のはずなのだ。
出会った瞬間、その力に一瞬、触れてしまった俺には良く分かる。
これは決して小蒔の演技でもドッキリでもなく…彼女は本当に暴走しているのだ。
京太郎「(それなのに…こんなに可愛い事言われるなんてなぁ…)」
正直、一体、誰が予想出来ると言うのか。
少なくとも俺はまったくそんな事予想しておらず、今の感情は困惑にも近い。
しかし、まぁ、そうやって俺が抱きしめる事でコイツが大人しくなるのであれば吝かではなかった。
そう思いながら俺はそっと腰を下ろし、ひざ上に抱きかかえた小蒔の身体を強く抱き寄せる。
「はあぁ…♪」
それだけで小蒔の身体はブルリと震え、その唇から声が漏れる。
陶酔混じりの甘いその声に聞いている俺の方が襲いたくなってしまうくらいだ。
しかし、小蒔のようにそれを悦んでくれるという確信があるならともかく、そんな真似は出来ない。
何より、そうやって襲ったところで俺とコイツの実力差は決して縮まるものではなく、すぐさま押し返されてしまうだろう。
「ニンゲンのクセに…ぃ…♥」
そう思う俺の胸の中で、コイツは幸せそうにため息を吐いた。
ほぅと寒い空気の中で真っ白な吐息を漏らすその笑みは、どう贔屓目に見ても蕩けている。
ふにゃりと言う音さえも聞こえてきそうなそれに…ついついムスコがピクンと反応してしまった。
勿論、俺だって中身は小蒔ではないと分かっているが、見慣れた顔でそんな表情をされるとついつい反応してしまうのである。
京太郎「一体…お前はどうしたいんだ?」
そんな自分から目を背けるように俺はそっと言葉を紡いだ。
実際、こうして抱き寄せるだけでも幸せそうな顔をしてくれるのは正直、嬉しい。
だが、そうやって嬉しいだけでは事態は何も好転しないのだ。
これまでこの客間や廊下を滅茶苦茶にしていたコイツの意図を探らねば、何時までもこのままだろう。
京太郎「(それ次第だったら…交渉も出来る)」
コイツが一体、どんな奴かは知らないが、前回みたいにまったく話が通じない訳じゃない。
ただ、どうやら石戸さんたちも必要以上に傷つけてはいないみたいだし、何か目的があるのだろう。
少なくとも前回みたいにただ只管、暴れるのを目的としている訳ではないはずだ。
そう思いながら、俺はそっと小蒔の身体を抱き、じっとその顔を見つめる。
「あ…♥」
しかし、そうやって見つめられるのが恥ずかしかったのだろうか。
コイツは再びその顔を赤く染めながら、そっと俺から視線を背ける。
まるで逃げたくて仕方がないと言わんばかりのそれに、けれど、小蒔の身体は従わない。
俺の腕の中で身を縮こまらせるようにして身を任せ続けている。
「な…ナマイキだぞ…ぉ♥」
京太郎「いや…まぁ…確かにそうかもしれないけど」
相手は下手をしたら何処かの神様かもしれないのである。
そんな相手にお前呼ばわりはナマイキと言われても仕方のないものだろう。
相手からすれば俺など取るに足らない存在なのだから尚更だ。
しかし、それでも俺はコイツの名前も分からないのである。
それなのに敬語を使うのは何か違う気がするし、何より相手は小蒔の身体を簒奪しているのだ。
そんな奴相手に敬意など抱けるはずなんてない。
「だから…その…アレだ…」
そう思う俺の前で小蒔の身体が再びモジモジと揺れる。
その指先から足元までを絡み合わせるようなそれについつい胸の奥が熱くなってしまった。
胸の底から湧き上がるその興奮に俺は抱き寄せるその腕にぐっと力を込めてしまう。
そのまま強引に巫女服を脱がしてやりたくなったのを何とか理性が押さえ込んだ瞬間、俺の目の前で小蒔の唇が動き… ――
「シャザイのアカシとして…キスをしろぉ…♥」
京太郎「…え?」
何処か恥ずかしそうにポツリと漏らすその言葉に、俺は呆然とした声を返す。
しかし、それを見ても小蒔の唇が訂正の言葉を紡ぐ事はない。
どうやら冗談でもなんでもなく、コイツは本気で俺のキスを求めているようだ。
だが、その理由まではまったく分からず、俺は驚きのまま固まり続ける。
「コレはオマエのコイビトなんだろう?だったらモンダイないはずだ」
京太郎「いや…そうなんだろうけど…」
そんな俺に機嫌を損ねたのだろう。
心なしかその頬を不機嫌そうに膨らませながら、コイツはポツリと言葉を漏らす。
それに頷くのは勿論、コイツの入っている身体が小蒔のものであり、もう何回もキスしているのだ。
寝ている時にキスした経験がある事を思えば、ここでそれを躊躇う理由はないのだろう。
京太郎「そっちこそ良いのか?」
そう尋ね返してしまうのは、相手は紛れもなく悪霊や悪神の類だからだ。
仮にも悪と名のついているのにも関わらず、ホイホイとキスなんてして良いものか。
勿論、相手から求められている以上、しても大丈夫なのだとは思うのだが…どうにもその辺に疎い俺には気になってしまう。
「しないなら…このヤシキにイるゼンインをチマツりにアげる…」
京太郎「脅迫かよ…いや、まぁ良いけどさ」
その辺はどうやら聞いてはいけない事だったらしい。
その頬の膨らみを心なしか大きくさせながら、小蒔の唇は物騒な言葉を紡いだ。
実際、コイツの力があればそれも容易いだけに逆らう事なんて出来ない。
本気で暴れまわるコイツを俺が止められるはずもないし、今はその命令に従うしかないのだ。
京太郎「じゃ…するぞ」
「はぅ…ぅ…♥」
そう断るように言いながら、そっと近づく俺の顔にコイツは甘く声を漏らす。
そのままキュっと瞳を閉じる瞼は微かに震え、俺に不安を伝えてきた。
まるでキスもしたことがない生娘のようなその反応は…正直、凄く興奮する。
既に小蒔からは見られないその初々しさについつい嗜虐心が燃え上がり、意地悪をしたくなってしまうくらいだ。
「ちゅ…っ♪」
しかし、この屋敷にいる皆の命を人質に取られて、そんな事出来る訳がない。
一つ選択肢を間違えれば、そこで俺の命も断たれてしまうかもしれないのだから。
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっと小蒔の唇に触れる。
瞬間、聞き慣れた瑞々しい音と共に柔らかな感触が俺へと伝わり、胸の奥が興奮で揺らいだ。
京太郎「…これで良いだろ」
普段ならばその興奮に任せて何十回も繰り返されるバードキス。
しかし、今の俺にはそうやって何度もキスをする気にはどうしてもなれない。
そんな事をすればコイツの機嫌を損ねるかもしれないし、何より今、その身体を動かしているのは小蒔ではないのだ。
要求には確かに応えたのだから、コレ以上の事をする必要はないだろう。
「…タりない」
京太郎「え…?」
その言葉が聞こえてきた瞬間、俺の身体が視界が一気に流れていく。
まるで仰向けに倒れていくようなそれに俺はまったく反応する事が出来ない。
結果、そのまま俺は畳へと押し倒され…そして唇に柔らかなものが押し当てられた。
「ん…っふ…ぅ…♥」
そのキスはとても不器用でぎこちないものだった。
時折、歯の根をガツンとぶつけるほどなのだから。
抑えきれない感情を必死で表現しようとするそれはやっぱり小蒔のものとはまったく違う。
しかし、それでもそうやって必死にキスする身体は小蒔のものであり…俺もついつい応えてしまうのだ。
「あふ…ん…♪」
逸るコイツを抑えるように俺の両手はそっとその背中に回った。
そのままゆっくりと背筋を撫でる俺に、小蒔の唇からは熱い吐息が漏れ出す。
何処かうっとりとした心地の強いそれにその身体から力がふっと抜けていった。
さっきから力が強いと思ってはいたが、どうやら緊張していたらしい。
そんな可愛らしい姿に内心、笑みを漏らしながら、俺からもついばむようなキスを繰り返す。
「あ…ん…ん…♪」
一度二度と加減を教えこむような俺のキスに、少しずつやり方も覚えてきたのだろう。
歯がぶつかるような事はなくなり、柔らかな感触だけが唇へと伝わった。
それでも未だぎこちなさは残ってはいるものの、それもキスの度にゆっくりと蕩けていく。
そしてその向こう側から俺のキスが幸せで堪らないと言うようなメスの表情が顔を出すのだ。
「ちゅぅ…♥は…む…う♪」
そんな自分をコイツが理解しているのかはまったく分からない。
だが、少なくともキスをやめるつもりはないらしく、さっきから熱心にそれを繰り返していた。
しかし、何時からかその瞳には不満そうなものが滲み始める。
まるでこんなキスでは欲求が収まらないと言うようなそれに俺は小蒔と同じ物を見た。
京太郎「(まさか…)」
コイツが今、自分のもののように扱っているのは小蒔の身体なのだ。
そして、その身体は俺がこれでもかとばかりに開発し、また能力の影響下にもあるのである。
そんな身体が俺の姿を見つけた瞬間、どんな反応をするかは、これまでの小蒔の様子を見ていれば良く分かる。
もしかしたら、コイツはその疼きに負けて…こうして俺の事を求めているのかもしれない。
京太郎「(だとするなら…コイツを満足させれば…帰ってくれるか?)」
勿論、その判断を下せるような材料は俺にはない。
俺がこんな事態に直面するのは二回目であり、ちゃんとした専門的知識もないのだから。
だが、少なくとも…思いっきり責め立てて、小蒔の身体を動かなくする事くらいは出来る。
丁度、屋敷の殆どの人が気絶しているみたいだし…少しくらいは激しくしても大丈夫だろう。
京太郎「(だから…まずは…)」
小蒔の乱れる姿を誰にも見せない為にとっととコイツをトロトロにしなければいけない。
そう判断した俺は背中を撫でるその腕をギュッと抱きしめるものへと変える。
まるで逃がすまいとするようなその拘束に、けれど、小蒔の口からは心地よさそうな吐息が漏れた。
瞬間、より激しくなるキスに俺はひとつ笑みを浮かべながら、そっと唇を開く。
「んんんぅ♪」
そのまま舌をヌルリと突き出す俺に、コイツは驚いたような声をあげる。
たまにしかキスをし返さなかった俺がいきなり舌を突き出したのだからその驚きも当然だろう。
しかし、その肌がブルリと震えたのは決して驚きだけではないはずだ。
何せ、小蒔とはもう何度もキスをし、その身体にもしっかりとキスの味を教え込んでいるはずなのだから。
「あ…ふん…♪」
そんな俺に対して何をやっていいのか分からないのだろう。
これまで熱心にキスを繰り返していたコイツの動きがふっと緩み、唐突に受け身へと変わった。
しかし、逃げる様子はなく、俺の上でモジモジと身体を揺らしている。
その瞳もそっと閉じて唇を開く姿は、とても受動的で、俺にオネダリしているようだ。
そんな姿に内心でクスリと笑みを浮かべながら、俺は小蒔の唇をそっと割る。
「はう…ぅ…♥」
瞬間、俺の唇に触れたのは熱い粘膜だった。
小蒔の身体が興奮している事を否応なく伝えるその熱は普段通りのものである。
それに一つ安堵を感じながら、俺はゆっくりと舌を動かしてその内側の粘膜を擦り始めた。
右へ左へ上へ下へと俺の舌が動く度に、小蒔の中からは唾液が分泌され、薄いシロップのような味が伝わってくる。
京太郎「(この辺は…いつも通りなんだな)」
やはり支配者が変わっていても、その身体の反応が変わる訳ではないのだろう。
俺へと身を預けるその仕草も、さっきまで俺を振り回していた奴だとは思えないくらいに殊勝なものだ。
その受動的で、そして可愛らしい姿は、どちらかと言えば、小蒔に近い。
けれども、それが別人なのは俺のキスに一向に応えようとしない様からも良く分かった。
京太郎「(普段なら即座に舌を絡めてくるからなぁ)」
しかし、小蒔の舌は一向に動かず、ただ俺に一方的に口の中を貪られている。
まるでそうされるだけで十二分に幸せなのだと言うようなその姿はとても初心で可愛らしい。
正直、今の小蒔を支配しているのが悪霊や悪神の類だとは到底、思えないくらいだ。
だが、かと言って…ずっとこのままだと言うのは俺の方が辛いのである。
京太郎「(実際…俺の方も火が点き始めてる…)」
勿論、今の俺は一歩間違えれば死んでしまいかねないほどの状況である事くらい分かっている。
そもそもこの屋敷にいる全員の命を人質に取られているのだから楽しむ余裕なんて本来はない。
しかし、それでもそうやって俺のキスを受けてくれているのは小蒔の身体なのだ。
慣れ親しんだ口の、慣れ親しんだ興奮を受け取りながら、平静で居続ける事なんて出来はしない。
ついつい身体に熱を込め、もっと激しいキスがしたくなってしまう。
京太郎「(だから…まぁ…ごめんな)」
「ひゃんっ♪」
そう胸中で謝ったのが一体、誰なのかは分からない。
しかし、俺の腕はゆっくりと小蒔の背中を移動し、そのお尻をぐっと鷲掴みにした。
アナルの調教を始めてから胸にも劣らないほど敏感になったそこへの突然の攻撃に不慣れなコイツは反応出来ない。
ついついその口から声をあげ、背筋を震わせてしまうのだ。
「んふぅっ♪」
その間に俺の唇はぐっと進み、小蒔の歯茎を通り過ぎる。
そのまま歯茎の裏側を撫でるように触れれば、クチュクチュという粘液の音が聞こえた。
上から俺を押し倒すような形になっているとは言え、幾らかの唾液はそこに溜まっているのだろう。
ならば、それを利用しない手はないと俺は舌先をそこにつけ、小蒔の舌に塗っていく。
「きゅ…ふぅ…♪」
ペロペロと舌先を動かして、小蒔の舌を愛撫する俺に擽ったそうな声が届いた。
実際、俺がやっているのはそっと表面を擽るようなものなのだからそれも仕方がないだろう。
だが、コレ以上の愛撫をしようとするならば、俺一人の舌の長さでは到底、足りない。
口腔の底で横たわる小蒔の舌を動かしてもらわなければ、どうにもならないのだから。
「あ…ふっぁ…っ♪」
そんな俺の気持ちが届いたのか、或いは欲求不満が強くなりすぎて我慢出来なくなったのか。
小蒔の舌がゆっくりと浮き始め、俺の舌へとそっと触れた。
何処かオズオズとしたその仕草に、俺はついつい小蒔と最初にキスした時の事を思い出してしまう。
しかし、そうやって思い出に浸る余裕は最早、俺にはなく、そうやって動いた小蒔の舌をペロペロと舐め回すのだ。
京太郎「(やっぱり…気持ち良いなぁ…)」
舌と舌との交歓はビリリとした快感を俺に齎した。
それは勿論、微かなものではあるものの、それ故に心地良さと言うものを俺に強く伝えてくるのである。
相手と心交わしている証のようなそれは間違いなく、俺の気のせいだ。
しかし、それでも俺の中の興奮を刺激するには十分過ぎ…ムスコがムクムクと大きくなっていく。
京太郎「(それは…コイツの方も同じだ)」
バードキスすらおぼつかなかった初心なコイツが、よりディープなキスなど出来るはずがない。
その舌は微かに突き出されたまま棒立ちになり、自分からは殆ど動こうとしていなかった。
しかし、それでも小蒔の身体は反応し、その口からは甘い声が幾度となく漏れる。
その上、俺に押し当てられた豊満な乳房の一部から張ったような感覚が伝わってくるのだから感じていないはずがない。
京太郎「(でも…それじゃコレ以上、気持ち良くなるのは難しいぞ)」
キスなんて言うのはどうやっても一人だけでは気持ち良くなれないものなのだから。
歯で拒まれれば、そもそも舌には近づけないし、舌の可動域にも限界がある。
お互いに求め合わなければ、ろくに絡み合う事が出来ないのだ。
しかし…お互いに相手を気持ち良くさせようとするならば、それはどんな前戯よりも心地の良いものになる。
京太郎「ぢゅるるうっ」
「んふぅぅう♪♪」
それを教えてやろうと俺は突然、小蒔の唇に吸い付いた。
俺へと滴り落ちる唾液を全部、吸い込もうとするようなそれに淫らな音が部屋中に鳴り響く。
それが気持ち良いのか恥ずかしいのか、小蒔の頬にはそっと朱が差した。
けれど、その身体は逃げようとはせず、相変わらず俺に身を委ねてくれている。
それが本能的なものなのか、或いは俺を信頼してくれているのかは分からないが…それでも今の俺には有難い。
「あひゅ…ぅ…♪」
バキュームする時はあまり舌を動かす事は出来ない。
逆に、息を整えている間は舌を動かす事が出来るが、それでは物足りない。
だが、それはあくまでも俺が一人で責めている場合の事だとコイツも理解したのだろう。
ゆっくりとではあるがその舌を動かし始め、俺へと絡みついてくる。
その動きは最初こそぎこちなかったものの、どんどんスムーズになっていった。
京太郎「(これも…身体が動き方を覚えている所為なのかもな)」
実際、一分もした頃には、小蒔の舌はよどみなく動き、俺の舌を撫でている。
まるで俺の舌とワルツを踊るようなその動きにゾクゾクとした興奮と熱を感じた。
その熱に身を任せて俺も舌を動かせば、心地良さが一気に膨れ上がる。
種付けしている時に比べても決して見劣りはしないその心地良さに俺は頭の奥がジクリととろけ出すのを感じた。
「ふぅ…ん…♪ふぁ…ぁ…♪」
そんな俺の目の前で荒く息を吐く小蒔の身体は、もう手慣れたものであった。
俺との呼吸のタイミングを微かにズラすそれは何度も俺とキスしていなければ持ち得ないものだろう。
阿吽の呼吸と言っても良いそれに俺はもうリードしようという思考を投げ捨てた。
実際、その舌はもう普段のものとそう変わらず、俺たちの間でピチャピチャと音をかき鳴らしているのだから。
お互いに周囲の粘膜に触れるまで激しく舌を動かさなければ決して鳴らないその音に俺の頬も緩んでしまいそうになる。
京太郎「(だから…ご褒美やらないとな)」
そう胸中で言葉を漏らしながら、俺の舌はそっと退く。
今まで小蒔の口腔で好き放題に動いていた俺の突然の撤退に小蒔の身体が固まるのが分かった。
しかし、それも一瞬の事。
キスの心地良さに魅了されたのだろうコイツは小蒔の手を即座に動かし、俺の頬を包み込む。
まるで俺を逃がすまいとするようなそれと同時に舌を一気に突き出して、俺の中へと入ってくるのだ。
「んきゅんんっ♪」
それが突然、固まったのは俺の唇が窄まったからだろう。
その舌を締め付けるような変化に小蒔の背筋は震え、その口からは媚の浮かんだ声が漏れ出た。
どれだけ身体が覚えていても経験が追いついていないコイツにとって、それは予想外な行動だったのだろう。
俺の口腔内というある意味では敵地の中で無防備になってしまうくらいに。
京太郎「(んで…それを狙い撃ち…と)」
未知の刺激に驚き、固まる小蒔の舌に俺は一転して攻勢を仕掛ける。
その舌腹までを唇の裏側でねっとりとしゃぶりながら、舌先を擽ってやるのだ。
さっきは味わえなかった上下同時の口撃に、経験の少ないコイツは抗えないのだろう。
その背筋をブルリと震わせながら、その肩をふにゃりとさせ、より俺へと寄りかかってくるのだ。
京太郎「(それでも俺の顔を離そうとしないのはそれだけ気持ちよくなってくれている所為か)」
そう思うとまた興奮が強まり、ついつい小蒔の舌を激しく吸い上げてしまう。
ジュルルルと音を鳴らすようなそれに脱力した小蒔の舌がピクピクと反応した。
それでも今はこの心地良さに浸っていたいのか、それが動く気配は一向にない。
そんな小蒔の舌を俺は強弱をつけるようにして息を整えながら、しゃぶり続ける。
「ひゃ…ぁ♪くぅ…ぅん…♪」
モゴモゴと唇を動かすようにして、唇の裏側を小蒔の舌へと這わせる度にその可愛らしい唇から声が漏れる。
艶めいた色の強いそれは聞いているだけで俺の興奮を擽り、ムスコが本格的に勃起を始めた。
それはまだガチ勃起と言うほどではないが、ズボンを突き上げ、小蒔の柔らかな太ももに突き刺さっている。
もう隠す事も出来ないそれに微かな恥ずかしさを感じるのは目の前にいるのは小蒔の身体ではあれど、小蒔ではないからなのだろう。
しかし、キスをしながらムスコを鎮める事など出来るはずもなく、俺のチンポは興奮に熱をまき散らしていた。
「ひゅふ…♪」
京太郎「(あ、今、ムカって来た)」
そんな俺の様子を遅れながらも理解したのだろう。
お互いの唾液でベチャベチャになったその唇からコイツは笑みを零した。
勿論、それだけであれば俺だって苛立ちを覚えたりはしなかっただろう。
しかし、その声音には明らかに俺を小馬鹿にしたような響きが込められ、俺の神経を逆なでしてくれる。
京太郎「(さっきからずっと受け身な癖に…!)」
そう。
コイツは今、ろくに舌を動かさず、ただ快楽を享受しているだけに過ぎないのだ。
いや、それだけならまだしも、コイツは俺の愛撫に身悶えしているだけの立場である。
正直、そんな奴に小馬鹿にされるのは割りと我慢ならない。
勿論、それはもう乳首も勃起して愛液も染み出しているであろうコイツなりの強がりである事はなんとなく理解できる。
しかし、小蒔ならばともかく、ただ彼女の身体を勝手に使っている奴に小馬鹿にされたと思うと仕返しをしてやりたくなるのだ。
「きゅぅぅ…っ♪」
そう思った俺の歯がぐっと閉じる。
クチュクチュと唇の内側で愛撫するのではなく、上下から舌腹を挟み込むようなそれにコイツは驚きの声をあげた。
ヌルヌルとした粘膜の刺激から硬質な歯の刺激に突如として塗り替えられるようなそれに経験不足のコイツがついていけるはずがない。
弛緩していた足をピンと張りながら、甘い声を漏らすのだ。
京太郎「(でも…まだそんなもんじゃ済まさないぞ)」
この程度でさっき不当に傷つけられた男のプライドは満足しない。
そう思いながら、俺はその手を再び小蒔の背筋を降らせていく。
巫女服の上からそのしなやかな身体をゆっくりと撫でるようなその動きに、敏感になりつつある小蒔の身体がピクンと跳ねる。
それに俺は一つ笑みを漏らしながら、そのお尻を再び鷲掴みにするのだ。
「くぅ…ぅぅん…♪」
瞬間、漏れる声はさっきよりも数段、艶の強いものだった。
背筋で反応するくらいに敏感になっているのだから、開発された臀部は言わんや…という事なのだろう。
実際、コイツの身体はさっきから俺の上でモジモジと動いていた。
特に顕著なのは内股で、まるで欲情を抑えこもうとしているように擦れ合わせている。
京太郎「(はは。モジモジして…随分と焦れてるみたいじゃないか)」
恐らくもうキスで満足出来るラインを興奮が踏み越えてしまったのだ。
その身体の欲情は最早止まらず、完全に火が入り始めている。
小蒔の反応からそれを見て取りながらも、しかし、俺はそれ以上の事をするつもりはなかった。
俺の目的は最低限コイツを動けなくさせ、出来れば小蒔の身体から追い出す事である。
だが、その為には俺が交渉に値する相手であるという事を、コイツに知らしめなければいけないんだ。
京太郎「(だから…もうちょっと激し目に…行くぞ)」
そう心の中で言葉を漏らしながら、俺は唇をぐっと上へと追いだした。
そのまま半開きになった小蒔の舌に突き入れればねっとりとした粘膜が俺を迎えてくれる。
さっきよりも数段熱く、そしてドロドロとしたそれに俺の舌はまた甘味を覚えた。
何時もならばそれに導かれるようにして俺の舌は彼女と絡みついていた事だろう。
しかし、今の俺の目的はそうやって唾液を混ぜ合わせるようなディープキスじゃない。
「ふぁぁっ♪」
そのまま小蒔の上顎を目指した俺は、舌先で粘膜を柔らかく擽る。
普段、刺激される事はないその場所はとても敏感で、そして弱々しいながらも性感帯の一種だ。
それだけでイく事なんてあり得ないがニチャニチャとしたくすぐったさが間違いなくコイツを追い詰めている。
そう思うのは小蒔の背筋を微かに跳ねさせ、蕩けた吐息を漏らしているからだ。
俺の顔に振りかかるその熱っぽい吐息は正直、それだけでクラクラしてしまいそうなくらいに興奮に満ちている。
京太郎「(でも…ここからだぞ)」
勿論、そうやって小蒔の中に入っている間は甘噛やバキュームをする事は出来ない。
それは身体の構造上、どうしても仕方のない事である。
しかし、だからこそ、俺はその三つの愛撫を使い分け、さらにコイツを追い詰めていくのだ。
時にその舌をしゃぶり、時に甘噛し、時にディープに絡み合い、時にその他の部分を擽る。
その反応を見て瞬時にそれらを切り替えるキスに、コイツはきっとついていけていない。
さっきからずっと受け身で俺のされるがままになっているんだから。
京太郎「(こうしていると…可愛らしいんだけどな)」
そうやって俺に対して受け身で従順な態度をとられると小蒔と見分けがつかない。
その身体が小蒔のものであるのだから当然といえば当然だろう。
だが、結果、それは今、小蒔とキスをしているのだという微妙にズレた錯覚を俺にもたらし、もっと愛してやりたくなるのだ。
しかし、目の前のコイツとはそう言った関係ではなく…愛とか恋と言った感情を差し込ませるべきじゃない。
俺達とコイツの関係は所詮、需要と供給によるものでしかないのだ。
「ぢゅぅ…♪は…みゅぅ♪」
そう思った瞬間、小蒔の舌に変化が現れた。
これまで俺の中で受け身であったはずのそれがゆっくりと逃げていくのである。
だが、それは恐らくキスの中断を考えてのものではないのだろう。
何せ、小蒔の中に入っている俺の舌に対して、コイツはまったく同じ事をしているのだから。
京太郎「(仕返しって事かな)」
まるでさっきの俺と同じ事をしてやろうとするようなそれに俺は内心、笑みを浮かべた。
正直、ずっと受け身であられるよりはそう言って俺に仕返しをしようという気概を見せてくれた方が幾らか楽である。
それならコイツと小蒔を混同せずに済むし、また嗜虐心も燃え上がるのだから。
既にこのナマイキな女にどう身の程を教えてやろうかという思考が俺の胸には浮かび、思考をグルグルと回した。
「ひゃ…ぁ…っ♪ふ…ちゅ……♪」
数分後、俺の前に晒されたのは攻勢に出る前よりも遥かに蕩けた小蒔の表情だった。
俺が口を離しても唇を閉じる余力すら無いのか、半開きになったままである。
ダラリと突き出した舌はポタポタと唾液を俺に振らせながらピクピクと震えている。
どうやらろくに言葉が言えないくらいに麻痺したその舌に最後にキスをしながら、俺は小蒔の身体をそっと引き下げた。
京太郎「この勝負…俺の勝ちだな」
「ん…っ♪にゅぁ…ぁ…♥」
自身の勝ちを宣告する俺の言葉に、コイツは不満気に声を漏らした。
しかし、目元をうるませるくらいにトロトロになったコイツにそれを否定する事なんて出来はしない。
元々、小蒔は受け身であり、最低限のフォロー以外は俺に身を捧げるようなセックスをして来たのだから。
小蒔の身体にもその為のノウハウは殆ど蓄積されてはおらず、見様見真似で自分からキスしようとしても、そういったキスに慣れている俺に敵うはずがない。
結局、キスで俺に挑んだ時点で、コイツの負けは確定していたのだ。
「こ…にょぉ…♥」
京太郎「はいはい。後で幾らでも聞いてやるから、今はちゃんと身体休めとけ」
それでも必死に俺に何かを言おうとするコイツの意地や根性だけは認めなければいけない。
だが、舌足らずになったその声は正直、判別することさえ難しいくらいに蕩けていたのだ。
それこそ何度も種付けされて意識が飛んでしまう寸前のような声を漏らす初心者を責めるほど俺は意地悪じゃない。
このまま責め立てても辛いだけだろうし、今は休憩を与えてやるべきだろう。
「はふ…ぅん…♪」
そう判断して数分、少しずつではあるが、小蒔の呼吸は元へと戻りつつあった。
勿論、未だに胸を大きく上下させているが、それだって全力疾走した後のような激しいものではない。
恐らく、峠を超え、少しずつその身体は落ち着き始めているのだろう。
しかし、モジモジとするような身動ぎはどんどんと大きくなっていた。
京太郎「さっきからどうしたんだ?」
「な…ナンでも…にゃい…っ♪」
その上、足を俺の身体に絡みつかせるコイツの意図がどういうものか、俺は大体、察している。
その腰を俺へとこすりつけるようにモゾモゾしているのだから、一目瞭然だろう。
しかし、それでもそれを察して自分から行動を起こすつもりはなかった。
俺と絶対的な実力差が有るコイツに交渉をする為には、どうしても俺の価値と主従を教えこまなければいけないのだから。
無論、ズボンの中ではもうムスコもガチ勃起して痛いくらいだが、それでも俺の方から何かアクションの起こす訳にはいかない。
「ニンゲンのクセに…ぃ…♪」
「その人間のキスでアヘてったのは何処のどいつだよ」
そんな俺の耳に届いた声はもう随分とマトモなものになっていた。
最中、俺にあれほど翻弄されていた事を考えればそれはかなり早い方だろう。
どうやら防御力と攻撃力はからっきしだが、回復力はそこそこあるらしい。
そんなコイツに俺は詰るような言葉を向けながら、ゆっくりと背中を撫でてやる。
「あ、アヘってなんかない…っ♪ちょっとユダンしただけだ…ぁ♥」
「油断ねぇ…」
「そ…そうだ♥ツギはこうはいかないぞ…♪」
そう言ってむすりと拗ねるような表情を見せるコイツについつい意地悪をしてやりたくなる。
まだ生意気な事を言う余力があるコイツを思いっきり弄んで、そのプライドを粉々に砕いてやりたくなるのだ。
しかし、それをする為には悲しいかな致命的なまでに時間が足りない。
屋敷の皆が今にも起きだすかもしれないと思えば、そうやってじっくり責めてやる余裕はないのだ。
「コンドはワタシがオマエをアヘアヘにして…そのナサけないチンポからシャセイさせてやる…♪」
「へぇ…そんな事出来るものかな」
勿論、これが小蒔の身体でなければ、俺も危機感の一つも覚えるかもしれない。
だが、中身が幾ら恐ろしい奴であったとしても、その身体は俺が開発した小蒔のものなのである。
能力の影響もあり、ほんのちょっと愛撫されるだけでトロトロになる彼女の身体に負ける未来なんて見えない。
正直、今のままでは百回やったとしても百回全部勝つ自信が俺にはあった。
「ば、バカにするなぁ…♪ナマイキな…ニンゲンめ…ぇ♥」
京太郎「一応、俺には京太郎って名前があるんだけどなぁ…」
そんな俺を生意気だと言い放つコイツの言葉はまぁ、確かなのだろう。
何せ、俺は悪神の類とは言え、ほぼ対等に接しているのだから。
崇められ、恐れられるのが当然なコイツにとって、それは堪らなく腹立たしい姿に映るだろう。
しかし、それを言えば、俺だってずっと人間呼ばわりなのは気に入らない。
慣れ合うつもりはないが、せめて名前で呼んで欲しいとそう思うのだ。
「ショセン、オマエはウゾウムゾウのムシみたいにワくニンゲンだ。ナマエなどオボえるつもりなんて…」
京太郎「でも、お前、小蒔の記憶を共有してるだろ?」
「ぅ…」
そう指摘するのはコイツの言葉の端々に、普通では使わない言葉があるからだ。
さっきのアヘアヘなんて言葉がその典型だろう。
人間でもろくに使わないその淫らな言葉をコイツが以前から知っていたとは考えづらい。
小蒔が最後に思っていた事が暴走した後の行動に影響するという有難いご当主様の言葉もあるし、恐らく記憶そのものは共有している。
そう思って指摘したその言葉に、コイツは分かりやすいほどの狼狽を浮かべ、視線を明後日の方向へと背けた。
京太郎「どうせまだ満足してないんだろ?それだったらその最中くらい俺の事名前で呼んでくれても良いと思うけどな」
「ち、チョウシにノるなっ♥」
俺の言葉にそう凄むものの、その視線には悲しくなるほどに迫力がなかった。
それは恐らくその頬が羞恥で真っ赤に染まっている所為なのだろう。
何処か初心な気配を見せるその表情はどれだけ凄んでいても可愛らしくて仕方がない。
元が愛嬌のある小蒔の顔立ちというのもあって、ついつい頬が緩んでしまいそうになるくらいだ。
「ゆ、ユルさん…♪お、オマエは…オマエだけはユルさんぞ…ぉ♥」
京太郎「おっと…」
そんな俺にさらに怒りを強くしたのだろう。
許さないとそう言い放ちながら、小蒔はそっと上体を起こし、その両手を俺の腰へと触れさせる。
そのまま青みがかったジーンズをまるで布のように容易く引き裂くその姿は野生動物と比べても遜色ないものだろう。
しかし、俺はそれを見ても、強い恐怖を覚えない。
そもそもコイツの怪力が恐ろしい事くらい引き裂かれたような壁の様子を見た時から分かっているのだから。
寧ろ、その力を害する為に使うのではなく、脱がす為に使おうとする辺りの不器用さが可愛く思えるのだ。
「ふぁぁ…ぁ♥♥」
それはきっと俺のズボンの下から露出したトランクスを見て甘い声を漏らす姿も無関係じゃないのだろう。
カウパーの所為で微かに濡れたそこからは、きっと小蒔にとっては堪らない匂いが溢れているのだ。
俺自身には無味無臭にしか思えないが、それを頻繁に舐めしゃぶってきた小蒔の身体にとっては違うらしい。
その肩を嬉しそうにブルリと震わせる姿には喜悦さえ混じっていた。
「こ…このソチンを…オモいっきりナめしゃぶってイかせまくって…ひぅぅっ♥」
そう言いながら、小蒔の手は俺のトランクスを引き裂いた。
瞬間、拘束から放たれた肉棒はブルンとそこから飛び出し、間近に迫っていた小蒔の顔にペチンと当たる。
それに驚いたのかコイツは身を竦ませ、小蒔の唇から可愛らしい声をあげた。
「う……」
京太郎「その…なんかごめんな…」
そんな自分に耐えられなかったのだろう。
コイツは泣きそうな声を漏らしながら、肩をプルプルと震わせた。
さっきの喜悦とは明らかに色を違えるその仕草に、俺はついつい謝ってしまう。
アレだけ強気に振舞おうとしていた矢先に、こんな醜態を見せてしまったのだからそりゃ泣きたくもなる。
勿論、俺は一片たりとて悪くはないのだが…そんな姿を見るとどうにも気の毒になってしまったのである。
「あ、アヤマるなぁ…ちょ、ちょっとオオきスぎてびっくりしただけだっ」
京太郎「そ、そうか…?」
まぁ、そう言われると、例え相手が悪神の類だとしても、あんまり悪い気はしない。
何せ、今、コイツが釘付けになっているのはオスの象徴と言っても良いようなシロモノなのだから。
そんな部分を大きいと称されると、何とも擽ったい感覚と共に自尊心を刺激される。
実際は大きい=気持ち良いではなく、女性側が辛い事も増えるらしいが、やっぱり男にとってそこは逞しければ逞しいほど良いものなのだ。
「こ…こんなのホントウにクチのナカにハイるのか…?いや…でも…」
京太郎「…無理しなくて良いんだぞ」
そんな俺の前でぼそぼそと呟くコイツの姿に俺は思わずそう反応してしまう。
確かに俺はそうやってフェラをして貰うのは好きではあるが、俺のモノは小蒔に対してあまりにも大きすぎるみたいなのだ。
無茶をして奥まで飲み込もうとして顎が外れたりしたら目も当てられない。
それよりは俺に責めさせてくれた方が幾らかこちらとしても気が楽だ。
「うるさい!オマエはダマってろ!」
だが、そんな俺の気遣いはコイツにとって不愉快であったらしい。
怒りに任せるようにして声を荒上げながら、キッと俺を睨めつけてくる。
しかし、その目尻に浮かんだ水っぽいものがどうにも哀愁を誘い、まったく迫力を感じない。
寧ろ、何とかしてやりたくなるのだが、どうにも意地を張っているコイツに下手な事を言えば逆に追い詰めてしまうだろう。
そう思うと何を言えば良いのか分からず、俺は思考を張り巡らせた。
「サキっぽだけ…サキっぽだけなら…いけるはず…」
しかし、それが形になるよりも先にどうやらコイツの中で決意が固まったらしい。
自分に言い聞かせるように二度三度と言いながら、その口をゆっくりと近づけていった。
瞬間、ニチャリという音が聞こえた気がするのは、その中に唾液がたっぷりと詰まっている所為か。
さっきのキスでこれでもかとばかりに刺激されまくったそこはきっと今、とても敏感になっているのだろう。
「ふゅ…ぢゅぅ…♪」
それでも俺のムスコの迫力に臆する事はなく、コイツはパクリと亀頭の先端に吸い付いた。
唇の裏側をそっと粘膜に這わせるその顔に、瞬間、甘いものが浮かぶ。
恐らくコイツにとっても俺のチンポは美味しく感じられるのだろう。
さっきまで決意を固めていた顔がふにゃりと崩れていく様はとても可愛らしいものだった。
「ちゅる…♪ふぁ…っ…♪く…ゅぅ…♥」
そう思っている間にコイツの愛撫が始まる。
腫れた粘膜に唇ごと吸い付くような口をゆっくりと動かし始めるのだ。
まるで俺の大きさを確かめようとするようなそれは俺にゾクゾクとした興奮を齎す。
気持ち良さそのものは大きくはないが、征服感が胸を突くようなその感覚は決して不快ではなかった。
京太郎「(なんたって…すげー美味しそうだからな…)」
まるで一口で俺のチンポの虜になったかのように熱心にしゃぶるコイツの姿。
それは慣れ親しんだ小蒔の姿でありながらも、何処か異なるものである。
そんな姿で美味しそうにしゃぶられると普段よりも征服感を強める興奮が身体中に行き渡った。
京太郎「…俺のチンポ美味しいか?」
「ぷぁ…っ♪お、オイシイワケナいだろうっ!」
そんな興奮に背を押されるようにして口にする俺の言葉に、コイツは律儀に口を離してからそう応えてくれる。
てっきり腹立たしげにじっと見つめられると思っていたのだが、どうやらよっぽどさっきの言葉が腹に据えかねたらしい。
その目に苛立ちを浮かべながら、俺をキッと睨んできた。
「クサくて…ドクドクってして…ば、バカみたいにオオきいだけがトリエのニンゲンチンポがオイシイはず…ナい…ぃ♥」
けれど、それはその言葉が甘い響きを混じらせるのと共に蕩けていく。
まるでそうやって口にする事で俺のチンポに意識が向いてしまっているというような反応に、俺はついつい笑みを浮かべてしまいそうになる。
それを何とか押さえ込むのは、ここでへそを曲げられるのはまた面倒だからだ。
下手に挑発して小蒔の身体を傷つけられでもしたら申し訳が立たないし、コイツのプライドを傷つけすぎる訳にはいかない。
京太郎「んじゃ…もう止めるか?」
「ふ、ふん!そんなコトイってゴマカそうとしてもムダだ…♥ワタシはオマエをイかせるまでヤめないからな…ぁ♪」
そう思いながらの俺の言葉に、コイツは意地を張った言葉を返しながら、再び吸い付く。
しかし、瞬間、その頬はまたトロリと蕩け、幸せそうなものへと変わった。
何だかんだ言いながら、小蒔の身体は俺のチンポに対して強い愛着と、そして陶酔を感じてくれているのだろう。
決して抑えきれないその喜悦に俺は内心の喜びを大きくしながら、そっと上体を起こし、小蒔の身体を見下ろした。
「ちゅく…♪は…むぅ…♥」
そんな俺を見上げるその瞳にはなんとなく納得のいかなさそうなものが見える。
恐らく人間にそうやって見下されるのはあんまり良い気分ではないのだろう。
これまでに接してきた感じだと、コイツはかなりプライドが高い方なのだから。
しかし、それでも俺のムスコから口は離さず、微かに声を漏らしながら亀頭に吸い付いている。
その矛盾した様子に俺は征服感を強め、身体中に興奮を行き渡らせた。
京太郎「(とは言え…それだけじゃあんまり気持ちよくないんだよなぁ…)」
勿論、亀頭はムスコの中でも格段に弱い部分であり、そこを責められると快感が背筋を駆け抜ける。
だが、そんな部分を銜えているコイツの技巧は決して優れているとは言えない。
何処か悔しささえ感じさせるその様子に興奮こそ感じるが、あくまでそれだけだ。
ここ数ヶ月の間に飛躍的に性的な経験値を稼ぎつつある俺にとって、それは到底、イけるものではない。
京太郎「(せめて…根本から扱いてくれればまた違うんだけれどな…)」
しかし、小蒔の知識を持つコイツは一向にそうやって肉幹に手を伸ばす様子はない。
それは別に俺を焦らしている訳ではなく、亀頭をしゃぶる事で頭が一杯になっているのだろう。
プライド高いコイツが俺に見下されているというのにまた陶酔混じりの表情を浮かべているのだから。
それが微笑ましくもあるものの、まるで俺の事なんてまったく気にしていないかのような様子をつい揶揄したくなった。
京太郎「その…気持ち良いんだけどさ…出来れば、竿の方も扱いてくれないか?」
「ひゅむ…ぅ…♥」
それを抑えながらの言葉は、出来るだけコイツのプライドを傷つけまいとする心遣いを強くするものだった。
それがコイツにとってはとても悔しかったのだろう。
その俺を見上げるその瞳に拗ねるような感情を浮かばせた。
まるで『言われなくても今やろうとしていたんだ』と言いたそうなその子どもっぽい仕草に、俺はついつい笑みを浮かべてしまう。
しかし、その瞬間、俺の表情は強張り、思わず歯を食いしばった。
京太郎「ぐっ…ぅ!」
「ちゅふぅ…♪」
そんな俺に勝ち誇ったように笑うコイツは、ゆっくりと俺の肉竿を扱き始める。
だが、その力は正直…かなり強い。
窮屈どころか今にも肉が弾けそうなそれに涙が出そうになるくらいだ。
良く良く考えれば、コイツは壁に大穴を開けるような怪力を持っているのである。
そんな力で何時も通りに扱こうとしたらそりゃあ痛くなるのも当然だろう。
京太郎「い、痛いって…!もうちょっと力を緩めてくれ…!」
「む…ぅ…」
俺の言葉にコイツは渋々と言ったような声を漏らしながら、そっとその力を緩めた。
それに痛みがそっと引いていくのを感じながら、俺はひとつ安堵の溜息を吐く。
その目尻に少しだけ濡れた感触が残るのを俺は知らないふりをした。
そんな俺にコイツが小馬鹿にしたような視線を向けるのは、さっきの事をまるで反省していないからだろう。
京太郎「(…それなら少しくらい仕返ししたって良いよな)」
瞬間、湧き上がる怒りの感情を俺は抑える事が出来なかった。
勿論、コイツが宿っているのは小蒔の身体であるが故にあまり意地の悪い事は出来ない。
だが、そうやって人を痛めつけておいて反省しないどころか勝ち誇るような表情を見せる奴には少しばかりお仕置きが必要だろう。
そう思いながら、俺の手はそっと下へと降りて行き、そのまま小蒔の乳房をぐっと掴んだ。。
「んひゅぅっ♪」
京太郎「あっれ…ぇおかしいなー?何かこの辺、コリコリしてるぞー?」
意図的に白々しくする俺の指先が今、触れているのは乳房の頂点だ。
勿論、そこはブラに覆われているものの、窮屈なのが嫌いな所為か普段の小蒔はノンワイヤーブラを愛用している。
お陰でこうしてブラ越しでもはっきりと乳首の周りを摘む事が出来、クリクリと指の間で転がす事が出来た。
それに小蒔の身体はビクンと跳ねて大きな反応を見せてくれる。
京太郎「まさか人間のチンポしゃぶって興奮してるなんて事はないだろうに不思議だなー」
寧ろ、それは逆だ。
小蒔の身体が俺のムスコをしゃぶって興奮しないはずがない。
そもそもその前のキスの時点で、きっと乳首は勃起していた事だろう。
しかし、それでもそう言ってやるのは、勿論、コイツに仕返しをしてやる為だ。
さっき人のことを痛い目に合わせてくれた分、ギリギリの範囲まで辱めてやらなければならない。
今の俺の心はそう復讐を誓いながら、メラメラと燃え盛っていた。
「きゅ…うぅ…っ♥」
そんな俺の言葉がコイツには気に入らなかったのだろう。
その口からは悔しそうな声を漏らしながら、小蒔の舌を動かし始める。
亀頭の先端をチロチロと舐めるその動きは、まるで『余計なことを言うな』と言っているようだ。
プライド高いコイツからすれば、人間に感じさせられているなんて絶対に認めたくない事なのだろう。
けれど、その程度で大人しくなるほど、俺の怒りは弱々しいものではなかった。
京太郎「でも、こうやってクリクリってすると…すっごい気持ちよさそうなんだよなぁ」
「ふぅんっ♪」
そう言いながら小蒔の乳首を転がす俺に小蒔の唇から嬌声めいた吐息が漏れる。
まだろくに力を入れていないのだが、どうやらコイツはかなり感じているようだ。
こうしてほんの少し転がしただけでその舌の動きは緩むのだから。
キスの時にも思ったが、どうやらコイツは本当にこういう行為に慣れていないらしい。
京太郎「(だったら…無理しなきゃ良いと思うんだけど…)」
しかし、人間を見下しているのか、やっぱり完全に受け身になるのは我慢出来ないんだろう。
背筋をビクビクと震わせているのに瞳に反抗心を抱くその様からもそれは十分に伝わってきた。
慣れていないなら慣れていないでもう少し可愛げのある反応をしてくれれば、こっちとしてももうちょっと優しくリードしてやれるのに。
そうは思いながらも、俺の嗜虐心は収まらず、もっとコイツを追い詰めてやろうとしていた。
京太郎「ほら、また動きが鈍ってるぞ。それとも全部俺に任せるか?」
「ひゅぅ…ぅぅっ♪」
俺の言葉に応えるその声には怒りさえ感じられるものだった。
どうやらコイツにとって、それは耐え難い屈辱であるらしい。
どうしても俺に主導権を握られたくないのが伝わってくるその声と共に、コイツは口をゆっくりと前後させ始める。
唾液に溢れヌルヌルとした口腔でしごかれるその感覚に俺は快感が背筋を這い上がってくるのを感じた。
京太郎「(それに…ちゃんと舌も動かしてて…)」
その動きはまだ不慣れなのか数センチ程度の短いものでしかない。
だが、それでも俺を感じさせようとしているのか、その舌は休まず動き続けている。
時にその亀頭を舐めまわし、時にカリ首をほじるそれは未だぎこちなさが強く残っていた。
しかし、それでもそうやって奉仕されるのは悪い気分ではなく、気持ちの良いものである。
京太郎「良い…ぞ。やれば出来るじゃないか」
「んふぅ…♪」
それについつい漏らしてしまった俺の言葉に、コイツは誇らしげな声を漏らす。
まるで自尊心を満たされたようなその様は、悔しいけど、抱きしめたいくらいに可愛らしい。
小蒔の愛嬌ある顔立ちと相まって、まるでご主人様に褒められた小型犬のような愛らしさがあるのだ。
ついつい構ってやりたくなるその姿につい我慢出来なくなって、俺は乳首から離した手をその頭にポンと載せてしまう。
京太郎「で…でも、それだけじゃまだイけないからな」
「ひゅちゅ…っ♪」
そのまま撫でようとした瞬間、我に返った俺はそう言葉を紡いでしまう。
ついつい挑発するような言葉を使ってしまった俺に、しかし、コイツはニヤリとした笑みを浮かべるだけだった。
どうやらそれが意地を張ったが故の言葉であるとコイツも気づいているらしい。
それが悔しくて堪らないが、小蒔の身体で無理をされるよりはマシである。
そう自分に言い聞かせながらも、やっぱり悔しさを消し去る事は出来なかった。
京太郎「うあ…」
そんな俺の様子を見て、コイツも調子づいたのだろう。
その口の動きはドンドンスムーズになり、そしてエスカレートしていく。
余裕が出来た所為で小蒔の身体から経験を引き出せるようになったのか、その口淫は俺の弱点を淡々とついてくるのだ。
間違いなくツボを心得ているそのフェラに俺はついつい声をあげてしまう。
京太郎は問題でも起こさせて、小悪党扱いで綺麗に処分するのが一番。
汚い金髪にしてるようなDQNだし、小悪党にしても矛盾はない。
それなら、背景にすら出る事もないし、厨も公式での扱いに冷めて消滅するだろうから丁度いい。
京太郎「(くっそ…!調子づかせちゃまずいタイプだったか…!)」
そう後悔しても後の祭りだ。
急速に上達していくコイツの愛撫に、俺は追い詰められ始めている。
勿論、今すぐイくほどではないにせよ、着々と腰の中に快感が溜まりつつあるのが分かるのだ。
さっきまでとは比べ物にならないその気持ち良さに俺は吐息を荒くし、小蒔の頭に置く手にも力を込めてしまう。
「ぢゅるるるっ♥」
しかし、そう音を立ててしゃぶるその動きにももう迷いはない。
カリ首の下まで容易く飲み込みながら、上下に扱いてくるのだ。
唇で締め付けるように、けれど、その裏側でしゃぶるように動くそれはムスコの大好物である。
それだけで腰をピクリと反応させ、浮かせてしまいそうになるくらいに。
京太郎「(その上…指の方も上手くなっていて…)」
この数分の間で上達したのは口の動きだけじゃない。
そう訴えるようにその指先は俺の肉竿を上手に扱きあげていた。
小蒔の唇から漏れた唾液を潤滑油にするようなそれはクチュクチュと淫らな音をかき鳴らす。
ムスコをしゃぶる音にも負けないその淫らさは、コイツが微妙に強弱をつけている証だ。
俺が刺激に慣れないように配慮したその動きは着実に俺を絶頂へと突き上げる。
京太郎「(そのままイってやっても良いんだけど…)」
この場における俺の勝利条件はコイツに小蒔の身体であまり無理をさせない事だ。
そして、それは急速に上達しつつあるコイツの様を見れば、ほぼ達成されつつある事が分かる。
これだけ上達すれば無理にディープスロートなんてしない限り、小蒔の身体が傷つく事はないだろう。
しかし、それを理解していても…やっぱりさっき感じた屈辱は俺の中で消えない。
このまま射精してしまうのは男の沽券に関わると、反抗心がふつふつと燃え上がるのだ。
京太郎「ぐ…ぅ…っ」
そう思った瞬間、小蒔の手が、俺の陰嚢をそっと包んだ。
それまでずっとコイツを支えていた手のいきなりな参戦に俺は思わず声をあげてしまう。
だが、そんな俺の敏感な玉を、コイツは優しく包み込み、手の中で転がした。
勿論、睾丸はそうやって刺激される為の器官ではなく、優しいとは言っても微かに痛みを覚える。
しかし、それが俺の生存本能を刺激するのか、ムスコの滾りは強くなり、快感が大きくなってしまうのだ。
京太郎「凄い…上手だぞ…」
「きゅん…っ♪」
さっき俺のムスコをアレだけ痛めつけてくれたとは思えないその力加減に俺はついついそう言ってしまう。
しかし、それが予想外だったのだろうか。
小蒔の背筋はピクンと揺らぎ、その腰がゆっくりと左右に振れる。
まるで褒められた子犬のようなその仕草から、艶めいた甘い声が漏れるのだ。
それを見て一つ良い考えが浮かんだ俺は、小蒔の頭をゆっくりと撫でながら口を開く。
京太郎「さっきから凄い勢いでしゃぶられて…ゾクゾクしてる…!」
「くぅ…ん…っ♥」
さっきとは一転、褒め殺しにも近いその言葉に、小蒔の身体は簡単に反応する。
まるでオスを強請るようにその腰を振り、甘く声を漏らすのだ。
無論、その愛撫も一層激しくなり、股間から聞こえる淫らな音が強くなる。
まるでもっと褒めて欲しいと言っているようなその姿に、俺はさっきの考えが間違っていない事を悟った。
京太郎「人間のチンポ美味しそうにしゃぶる姿マジエロい…もっとこっちを見上げてくれ…!」
その言葉にコイツはしゃぶりながらも、そっと俺の顔を見上げる。
支えていた手までもを俺を責める為に使っている今、そうやって上を向くのはそれなりに疲れるだろうに俺の言葉に従順に従ってくれるのだ。
勿論、その瞳にはさっきまでの反抗心はなく、勝ち誇るような余裕と慢心が強く現れている。
しかし、そこにさっきよりも遥かに欲求不満めいたものが浮かんでいるのが俺にはすぐに分かった。
京太郎「エロくて可愛くて…お前…最高だ…っ。まったく勝てそうにないよ…」
「んくぅ…っ♪」
そう褒めちぎる言葉は、全くの嘘と言う訳でもなかった。
正直、このまま責め続けられれば、そう遠くない内にイきそうだったのだから。
勿論、そうやってやられっぱなしになり続ける事なんてあり得ないが、それは否定出来ない事実だ。
それにまぁ…俺の言葉にすぐさま反応してくれるその様がエロ可愛く映るのも嘘じゃない。
小蒔の身体だからと言うのもあって、さっきから胸がドキドキしているのだから。
京太郎「こんな状態でパイズリなんてされたら…瞬殺だよ…もう俺は一生、逆らえなくなる…」
「ぷぁ…♥」
そんな俺の言葉に小蒔の唇はジュルリと音を立てながら、俺のムスコから離れる。
その瞬間、甘い声を漏らして息を吸い込むのはそれだけコイツが俺のチンポに夢中になっていたからなのだろう。
だが、その肩を上下させるほどの激しい呼吸はきっと酸素が足りないだけじゃない。
その唇の端からドロリと漏れる唾液を拭わずに俺をじっと見上げるその瞳には強い興奮が艶となって現れているのだから。
「ふふ…っ♪ズイブンとシュショウになったなニンゲン…♥」
京太郎「それだけ気持ち良かったんだよ…」
それでも勝ち誇るように言うのを忘れないのはコイツがプライド高い奴だからだけではないだろう。
さっきから俺が降参するような言葉を紡いでいる所為で、もうコイツは俺を完全に侮っているのだ。
負ける可能性なんて欠片も考えてはおらず、また先の屈辱を慰撫する為に俺を見下す事しか頭にないのだろう。
恐らくそれ以外の事は興奮と欲情で緩み、考えられなくなっているのだ。
「だけど…このテイドでワタシのイカリはオサまらないぞ…♥」
だからこそ、コイツは俺の言葉にまんまと引っかかり、その服に手を掛ける。
唾液やカウパーでべたついているのも気にせず、その手は勢い良く巫女服を肌蹴させた。
悲しいくらいに余韻もなく、いっそ男らしく感じるほどの脱ぎ方。
しかし、それに反応してブルンと揺れる乳白色のブラに俺はついつい視線を釘付けにされてしまう。
「ふふ…このオンナがよぉぉくシっているぞ…♥オマエはこのムネがだぁいすきなんだよな…ぁ♪」
そう言いながらブラを脱ぐその向こうからは桜色の綺麗な乳首が現れる。
ほんの少しだけ赤く紅潮したそこは時折、ピクリと震えていた。
まるで触って欲しいとアピールするようなそれに俺は思わずその豊かな双丘にむしゃぶりつきたくなる。
だが、今の俺の目的はそれにしゃぶりつく事じゃない。
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっと唇を開いた。
京太郎「や…止めろ…それで…どうするつもりなんだ?」
「ふふ…♥そうオビえるな…♥オマエのノゾミをカナえてやろうとイうんだ…♪」
京太郎「うあ…ぁ」
瞬間、俺のムスコをふにゅりと柔らかな感触が包み込む。
小蒔のどんな部分よりも柔らかで魅惑的なそれに俺は耐え切れずに声を出してしまった。
それにコイツが勝ち誇ったような笑みを強くするけれど、それも仕方のない事だろう。
何せ、小蒔の乳肉はとても柔らかいのに張りがあり、そして俺のものを包み込むほどに大きいのだから。
「こういうのを…チチマンコとイうのだったか…♪ニンゲンは…ホントウにテイゾクなイキモノだな…♪」
その谷間に挿入しただけで挟まれるほどに大きな乳房。
それはもう一つの性器と言っても過言ではないものだった。
実際、そうやって包まれているだけで、俺はさっきのフェラに劣らない気持ち良さを感じるのだから。
腰にゾクゾク来るような快感と腰が蕩けてしまいそうな心地良さという方向性の違いこそあるが、その大きさは大差ない。
「ふふ…♪イれただけでピクピクとしてるぞ…♥あんなにエラそうなコトをイっておいてソウロウだったんだな…♪」
そう俺を詰りながら、コイツは小蒔の胸をぎゅっと寄せた。
瞬間、ムスコの圧迫感が一気に高まり、俺の背筋が反り返りそうになる。
その胸に挟まれただけでも気持ち良くて堪らないのに、その上、密着させるように乳肉を寄せてくるのだ。
その柔らかさと張りを骨身にまで教え込もうとするようなそれに俺の快感が一気に跳ね上がる。
「ほらほら…そんなにキモチよさそうなカオをして…ぇ♥スコしくらいイイカエシてみたらどうなんだぁ…♪」
京太郎「ぐ…ぅ…こ、こんなはずじゃ…」
そんな俺の様子にコイツは完全に調子に乗っているようだ。
俺の屈辱感を湧きあがらせるような言葉を紡ぎながら、小蒔の胸をユサユサと揺する。
それに合わせるようにして微かな水音が鳴るのは恐らくその身体に浮かんだ汗の所為だろう。
実際、こうしてムスコと触れ合う柔肉は、口ほど熱い訳ではないが、しっかりとした火照りを感じるのだ。
「オモッたイジョウにアッケなかったな…♪ショセンはニンゲンか…♪」
しかし、それを必死に隠すようにして、コイツは俺を見下す言葉を放つ。
序盤の劣勢さを忘れたのかと言いたくなるそれに、けれど、口を挟んだりは出来ない。
あくまでも今の俺はコイツに無残にも敗北し、ただイかされるだけの人間でなければいけないのだから。
幾ら悔しくても下手に言い返せば、俺の計画全てがご破算になりかねない。
「だが、ワタシをブジョクしたツミはオモイぞ…♪」
そう言ってコイツは小蒔の胸を上下に動かし始める。
その柔肉をぴったりと合わせたまま俺に注がれる刺激は、とても心地良いものだった。
今も半開きになっている小蒔の唇から滴り落ちている唾液が潤滑油になってくれているというのもあるのだろう。
それなりに強く扱かれているのにも関わらず、俺は痛みを感じる事はなく、快感だけが腰に溜まっていく。
京太郎「くそぉ…イきたくない…イきたくないのに…」
「まだそうイえるだけのキリョクがあったか…♪だけど…オマエのチンポはそうはイっていないみたいだぞ…♪」
そう揶揄するように言えるほどコイツに経験なんてない。
とは言え、俺に余裕があるかと言えば、勿論、否だ。
悲しいかな俺のムスコはもうさっきからバキバキに勃起し、その先端からカウパーを漏らしまくっている。
唾液よりもさらに粘度の高いそれは小蒔の乳肉と擦れてニチャニチャといういやらしい音を掻き立てた。
「ふぅ…♪それよりもシャセイしたいって…ワタシのおっぱいのナカでフルえてる…♥」
それだけでも興奮するというのに汗を浮かべた艶やかなバストを擦りつけ、興奮に熱い吐息を漏らす小蒔が目の前にいるのである。
幾らでもオナニー出来てしまいそうなその淫らな表情に俺のムスコはどうしてもピクピクと反応してしまう。
その上、何処かうっとりとするように言葉を漏らされれば、その先端からまたトロトロとカウパーを漏らしてしまうのも当然だ。
「ニンゲンチンポのサキっぽからカウパーをモらして…ぇ…♪ん…さっきからやらしいニオイで…ムセそうだ…ぁ…♪」
そんな俺のムスコの間近でスンスンと鼻を動かすのは決して嫌だからではないだろう。
その声には陶酔が強く、俺の匂いに夢中になっているようにさえ思えるくらいだ。
開きっぱなしになった小蒔の唇からドロドロと唾液がこぼれ落ちている辺り、またしゃぶりたいとでも思っているのかもしれない。
だが、こうして俺を胸で責めている状態で、ムスコをしゃぶるのは経験のないコイツにはハードルが高いのだ。
「ふふ…♪このくっさいニンゲンチンポ…ワタシのムネのナカでカクしてやる…ぅ♥」
京太郎「ふあ…!」
それで俺に対して隙を晒すよりはこの圧倒的優勢を維持したい。
そうコイツが思ったのかは分からないが、その乳房を一気に俺へと寄せてくるのは正直、やばかった。
反り返ったその切っ先を腹部へと押し付けるようなそれに乳肉もまた歪むように変形する。
グニュリと聞こえてきそうなそれは俺の根本から亀頭までを満遍なく包みこんだ。
その谷間の奥に真っ赤に腫れ上がった亀頭が微かに見えるほどの密着感は堪らない。
今までよりも一段強い心地良さを与えられ、思わず口から情けない吐息が漏れるくらいだ。
「あははっ♪なんだ…まるでメスみたいなコエをあげて…ナサケナイヤツめ…♥それでもホントウにオスなのか?」
そう詰るように言うコイツが一番、それを良く知っているはずだ。
何せ俺のオスの象徴を、今、その胸で包み込んでいる真っ最中なのだから。
ぎゅっと四方八方から押しつぶすようなその柔肉の中でムスコは耐え切れないとばかりビクンと跳ねる。
それに嬉しそうな吐息を漏らしながら、コイツは再び口を開いた。
「ココはヒトナミイジョウみたいだが…それも…さっきからカウパーオモラシして…ふふ…っ♥」
そう言いながらコイツは小蒔の背筋にぐっと力を込める。
そのまま上半身をまるごと動かすように俺のムスコを扱いてくるのだ。
さっきよりも膨れ上がったその圧迫感に負けないダイナミックな動き。
それに俺のムスコは耐えられず、また鈴口から粘液を漏らしてしまう。
「シャセイさせてくださいってナいてるみたいだぞぉ…♪」
しかし、そう言うコイツもまたそれは同じだ。
何せ、その腰はさっきからフリフリとオネダリしているように揺れているのだから。
ほぼ間違いなく無意識であろうその動きは、小蒔の豊満な乳房で俺のムスコを扱いているからなのだろう。
そっと撫でられるだけで声をあげるほど小蒔のそこは敏感なのだから。
そんな場所でオスの象徴を包み込んで、欲情が高まらないはずがない。
「シャセイさせてくださいってイえば…もっとキモチよくしてやるぞ…♥」
京太郎「だ、誰が言うものか…!」
そんなコイツの言葉に意地を張ったような返事を返した瞬間、小蒔の顔がムスっとしたようなものへと変わる。
どうやら、コイツは今ので俺を敗北へと叩き落とすつもりだったらしい。
多分、こうやってパイズリへと誘いこむ時に俺が瞬殺だと言ったのを、素直に信じているのだろう。
意外と単純で純粋なその姿に笑みが浮かびそうになるが、しかし、それはもうちょっととっておかなければいけない。
そうやって俺が笑うのは最後の最後でなければいけないのだから。
「んふ…♪だったら…コレならどうだ…?」
京太郎「く…ぅぅ!」
その瞬間、俺のムスコに触れるのは柔らかでネバネバとした粘膜だった。
さっきも感じたその熱くてトロトロとした感覚は、小蒔の口の中のものなのだろう。
胸の谷間から微かに覗く亀頭に、コイツは唇を吸い付かせるようなねっとりとしたキスを繰り返している。
チュッチュと言う音がはっきりと聞こえてくるそれに俺の腰がブルリと跳ね、
京太郎「駄目だ…もう我慢出来ない…!」
「んちゅぅ…♪んふふ…っ♪ちゅぱ…っ♪ほら…イッただろぉ…♥くちゅ…♪サイショからスナオになっていれば…♪ぷちゅ…っ♥良かったのに…♪」
瞬間、俺の中でタガが外れ、そんな声が漏れ出る。
それにコイツはキスをしながらも、そうやって勝ち誇るような言葉を漏らす。
ある意味では律儀にさえも思えるその勝利宣言に、俺の手が勝手に動き出した。
まるで何かを求めるようなそれはパイズリフェラに夢中になっているコイツの頭の上を通り過ぎる。
「だけど…ここでオワ…ひゃうぅぅんっ♪♪」
そのまま俺がぎゅっと掴むのは小蒔のお尻だ。
その両手で柔肉を乱暴に鷲掴みにするそれにその口から嬌声が漏れる。
しっかりと感度の開発をされたそこは乳房にも並ぶほどの性感帯なのだ。
そこをぐっと歪むほど強く掴まれたら、嬌声の一つだって漏らしてしまうだろう。
「や…っ♪ナニをする…ぅ♪」
京太郎「いや、そろそろ我慢出来なくなってな」
そう返事をする俺の声は思ったより平静を装えていた。
実際には思ったよりも巧みで色々とギリギリだったのだが、何とか俺の意地が勝ってくれたらしい。
日頃から三人の恋人相手に強がっていなければ、恐らくその勝利はなかっただろう。
そう思うと感謝したくなるやら情けないやらで微妙な気分になるが、かと言って、ここで呆然としている訳にはいかなかった。
「な…なんで…ぇ…♪」
京太郎「残念だけど…その程度でイッてやるほど俺は早漏じゃないんだ」
勿論、それには種がある。
幾ら俺が筋金入りの意地っ張りだと言っても、これだけ一方的に責められて無事でいられるはずがない。
その亀頭からカウパーを漏らし、腰を震わせていたのは決して演技じゃないのだから。
しかし、それでもこうして俺が平静を装えるのは、パイズリがそれほど気持ちの良いものではないからである。
京太郎「(いや、まぁ、興奮はするんだけれどさ)」
その興奮は正直、フェラなんかよりも遥かに強く、そして素晴らしいものであると思う。
何せ、自分の母性の塊を使ってまでオスに奉仕してくれているのだから。
その征服感と興奮は堪らないが、しかし、それだけイけるかと言えば、正直、難しい。
勿論、ずっと続けられればイく事は難しくはないだろうが、フェラに比べれば快感は格段に劣る。
心地良くて脱力した身体がついつい素直な反応を返してしまうが、それは普段よりも水増しされてるものなのだ。
京太郎「つかの間の優越感は楽しかったか?見下してた奴が実は演技してたって気づいた気分はどうだ?」
「あ…ぁ…ぁ♪」
しかし、それを言葉にしないまま俺はコイツにそう言い放つ。
その心に絶望と無力感を植え付けるようなそれと共に俺は尻肉の谷間をそっと擽るのだ。
サワサワと臀部を撫で回しながらのそれに小蒔の口から信じられないような声が漏れる。
俺に尻を撫でられている所為か艶っぽさを強めるそれは無力感と困惑に満ちていた。
それに俺はさっきまで我慢してきた事が報われたのを感じて、思わず笑みを浮かべてしまう。
京太郎「必死に虚勢を張って勝ち誇る姿はかなり滑稽だったぞ。何度笑いそうになったか分からないくらいだ」
「う…ウソ…ひあぁ…っ♥」
それでもまだそれを認めまいとする気力くらいは残っているようだ。
だが、俺はそれをそのまま最後まで言葉にする事なんて許さない。
さっきから色々と調子に乗ってやられた事を俺は決して忘れていないのだから。
これまでの屈辱分をまるごと返してやろうと、俺は微かに膨れ上がったアナルに指を這わせる。
京太郎「はは。何、アナルで喘いでるんだよ。そんなに人間様の指が気持ち良いのか?」
「この…ぉ…っ♪」
そのまま揶揄するように言う俺の言葉に、コイツは必死に小蒔の胸を揺らす。
さっきの俺の言葉を信じまいとするようにパイズリするその動きは、何処かぎこちのないものだった。
今までのものが全てムダであったと言われてそれを跳ね除けられるほど、コイツは経験を積んじゃいない。
その根拠となる経験が圧倒的に不足しているコイツが迷いなく同じ動きを出来るはずがないのだ。
京太郎「(その上、今の俺は前屈気味でその尻を掴んでいるんだ)」
勿論、普段のコイツの力ならば俺を跳ね除けるくらいは簡単だろう。
しかし、興奮と欲情に支配された今のコイツが普段通りの力を発揮出来るはずがない。
俺が有利なポジションにいるのもあってぐっと押さえ込む事が出来ているのだ。
自然、コイツの動きは制限され、その折角の胸を活かす事が出来なくなっている。
「そ…っ♪そんなところイジるなぁ…っ♪この…ヘンタイめぇっ♪」
京太郎「変態はそっちだろ。弄られて感じてる癖にさ」
実際、小蒔の身体は大分、調教が進み、そのアナルもかなり敏感になってきているのだ。
特に潤滑油なしでも俺の指を二本くらいなら容易く飲み込むそこはもう第二の性器と言っても過言ではないものだろう。
俺の逸物は指二本よりも太いのでまだそっちの処女を奪ってはいないが、それでも今から将来が楽しみな場所だ。
そんな場所をクリクリと弄られて、小蒔の身体が反応していないはずがない。
「か、カンじているワケないだろう…ぅ♪」
京太郎「その割には…何かショーツが水っぽいぞ?」
「ひぃんっ♪♪」
そう言いながら、俺は袴越しにぐっとショーツを掴めば、クチュリという音がする。
例え見えなくても、そこが愛液で濡れてグチョグチョになっている事が分かる粘っこい水音。
それに俺はつい嗜虐的な笑みを浮かべてしまった。
そんな俺を見上げながら、悲鳴のような声をあげたのは決して俺の顔が恐ろしかったからではないだろう。
こうして濡れそぼった下着を無理矢理、引っ張られるというのは性器が布地にこすれる事を意味しているのだ。
もう勃起しているクリトリスから、開いた大陰唇までをぐっと押し込むその刺激にコイツは強い快感を得ている。
京太郎「今の音…聞こえたよな?」
「き…キこえてない…っ♪」
京太郎「じゃあ、もっかいだな」
「ひゃぅぅぅっ♪♪」
それを免罪符としたのか、二度目のそれはさっきよりも激しいものになっていた。
その腰が浮き上がりそうなくらいに強く引っ張られる下着は恐らく性器に食い込んでさえいるだろう。
まだそういった刺激に不慣れであれば、痛みを覚えるかもしれないそれに、けれど、小蒔の口からは甲高い嬌声が漏れた。
その声に合わせて背筋をゾクリと震わせるくらいに小蒔の身体は悦んでくれているのである。
「きっ…キこえたぁ♪キこえたからそれはもぉやめろぉっ♪」
京太郎「じゃあ…認めるんだな?」
「ぅ…」
だが、それがコイツにとっては耐えられないのだろう。
その口から降参を伝える言葉を漏らしながら、全身をブルリと震わせた。
それにほんの少しだけ力を緩めてやるが、しかし、まだショーツは離さない。
重要なのは聞こえたか聞こえていないかではなく、その後の認めるか認めないかの方なのだから。
京太郎「人間のチンポしゃぶって、アナル弄られて発情してたってそう認めるんだよな?」
「だ…ダレが…ミトめるものかっ♪」
そう尋ねる俺の言葉に意地を張るのはやはり最後の一線は譲れないからか。
まぁ、俺だってここでプライド高いコイツが簡単に認めるとは思っちゃいない。
寧ろ、その反応は予想通りであり…期待通りであると言える。
こんなところで簡単に白旗をあげられちゃ、さっきまで好き勝手された分の仕返しがろくに出来ないのだから。
京豚は朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。
京太郎「じゃあ…仕方ないな」
「え…?」
瞬間、俺はそうやって問答している間に小蒔の腹部へと伸ばしていた手でそっと紐を解いた。
袴を締め付けていたその紐が解けたのと同時に、俺はショーツを掴んでいた手を再び上へと引き上げる。
自然、小蒔と袴との間に出来た隙間に俺はそっと手を差し込み、今度は直接、その桃尻を鷲掴みにした。
京太郎「イかせまくって…認めたくなくても認められるようにしてやるよ」
「や…ヤめ…ひぁぁっ♪♪」
そんな俺に答える声がいきなり上擦ったのは小蒔のアナルに直接、触れたからなのだろう。
だが、それでもコイツの身体は暴れだしたりはしなかった。
まるで内心ではそれを望んでいるようにその身体はじっとしているのである。
そんなコイツの様子を身体で感じて、容赦するつもりなど起こるはずがない。
寧ろ、より胸中で嗜虐心を燃え上がらせ、小蒔の身体を傷つけない範囲で敏感なアナルを辱めてやりたくなるのだ。
「ば…バカぁっ♪そんなキタナいところサワる…なんてぇ…っ♥」
京太郎「小蒔の身体の中に汚い部分なんて殆どねぇよ」
とは言え、流石にそのまま中に指を突っ込むのは躊躇する。
普段なら言われなくても小蒔はちゃんと浣腸までしてそこを綺麗にしてくれているのである。
だが、そんな小蒔もまさか実家でこうしてセックスするだなんて想像もしていなかったはずだ。
小蒔の事を愛していると胸を張って言えるが、流石に準備も出来ていないであろうそこに指を突っ込むのは色々と勇気がいる。
京太郎「(とは言え…流石にこれだけじゃまずいよな)」
これが肉穴まで責められるような姿勢であれば、問題はない。
空いている左手でそちらを責めれば小蒔の身体はあっさりとイってくれる事だろう。
だが、ここからそこをイジるのには豊満な乳房が邪魔になり、思うようにそこを弄る事が出来ない。
無論、こうしてアナルの外側だけでもイかせられる自信はあるが、それでは『イカせまくる』という俺の目標を達成する事は不可能だろう。
勢いで口にした言葉とは言え、その所為でコイツにまた舐められるというのも面白く無い。
京太郎「(まぁ…丁度、そういった道具もあるし何とかなるだろ)」
こういう事態を想定していた訳ではないが旅のエチケットとして消毒液やウェットティッシュは持ってきている。
それらをちゃんと使えば最悪の事態に陥っても、それほど大きな障害にはならない。
そう判断しながら、俺はぐっと右手の指に力を込め、ぷっくりとした可愛らしい窄まりを強く押し込んでいく。
それに窄まりが反転するギリギリの部分で、俺はわざと指を止め、コイツの反応を待った。
「な、ナニを…ぉっ♪ま、まさか…オマ…ぇぇふゅううぅぅっ♪♪」
それにコイツが声をあげた瞬間、俺は一気に小蒔のアナルに指を差し込んだ。
最早、押すのではなく突き刺すと言ったその勢いに、小蒔の口から大きな叫び声が漏れる。
今までのよりも数段大きく、そしてマヌケなそれに桃尻全体がブルブルと震えた。
断続的なそれはもしかしたら小蒔の身体がイッている所為なのかもしれない。
京太郎「(恐らくコイツは大分、焦れて来ているんだ)」
そう思うのは何もまったくの無根拠という訳じゃなかった。
小蒔の身体はさっきからキスやらフェラやらで興奮し、そして焦らされているのである。
交歓の中心になっているのは上半身ばっかりで、ろくに下半身を触られてはいないのだから。
そんな状態でアナルに指を突っ込まれれば、軽くイッても不思議じゃない。
「ユビ…ぃ♥ユビハイった…ぁ♪」
京太郎「そうだぞ。お前の中に…今、俺の指が入ってるんだ」
そんな俺の股間から甘く蕩けた声が湧き上がる。
艶めいたものを感じさせるそれは恐らく独り言なのだろう。
何せ、それはあまりにも甘く、そしてうっとりとしているものなのだから。
俺に聞かせる事なんてまったく想定してはいないだろうその響きに俺は嗜虐的な笑みを浮かべながら、そう頷いてやった。
「ヌけ…ぇっ♪イマすぐ…そのユビをほぉぉっ♪♪」
京太郎「ん?悪い。聞こえなかった」
そうやって独り言に反応されるのがよっぽど恥ずかしかったのだろう。
その声にさっきまでの偉そうな態度を戻らせながら、力強くそう言い放とうとする。
しかし、それは何故か途中で中断され、マヌケな声へと変わってしまった。
まったく不思議で仕方のないそれに俺が白白しく聞いてやれば、その瞳にキッと怒りを滲ませてコイツが睨んでくる。
「カきマワす…なぁっ♪♪そんな…そんなコトしたら…ぁ♪」
京太郎「どうなるんだ?」
実際、そうやって俺のユビでかき回されるのを小蒔の身体は悦んでいるのだろう。
何せ、さっきからそのアナルは俺の指を美味しそうにクパクパと食んでいるのだから。
決して拒んではいないその可愛らしい反応に、俺はグリグリと指を動かして周囲の腸壁を擦っていった。
唯一の不安要素であった固形の感触は見当たらず、俺はそっと安堵する。
それに気付かれないように嗜虐的な笑みを浮かべながら、俺はその可愛らしいマゾ穴を弄び続けるのだ。
「き…キモチワルい…だけだ…ぁ…っ♪だから…そんなコトしても…ムイミぃひぃっ♪」
京太郎「そりゃ困った」
しかし、コイツは意地でもそんな俺の愛撫に感じている事を認めたくないらしい。
さっきからその腰はモゾモゾと揺れて、自分から俺の指を求めるように動いているのを知らないふりをしているのだ。
或いは、その太ももまで快楽でブルブルと震えているのを隠しきれているつもりなのか。
どちらにせよ主導権を握る俺にとっては浅慮としか思えず、気のない返事を返してしまう。
京太郎「じゃあ、もっと気持ち良くなって貰えるように…頑張らないとな」
「や…ぁああぁぁっ♪♪」
そう言って俺はその指を一気に根本まで埋め込んだ。
それまで第一関節までしか挿入れていなかった俺の突然の攻撃にコイツは耐えられない。
一気に数倍へと膨れ上がった被挿入感に子どものような声をあげる。
しかし、それが子どものものとは一線を画しているのは、そこに隠し切れないメスの欲情が浮かんでいたからだろう。
オスを誘うようなその声に俺もまた我慢出来なくなり、突っ込んだ指を前後に動かし始めた。
「はひ…ぃ♪ジュポジュポするなぁっ♪♪そんな…そんなコトするバショじゃない…ぃ♪」
勿論、今の俺の姿勢はどうにも不自由なのもあって、その抽送は決して激しいものじゃない。
どれだけ頑張っても指の第二関節くらいまでしか引き抜けないのだ。
しかし、それでも、順調に追い詰められつつあるコイツには有効なのだろう。
その声を上擦らせながら腰を震わせるその姿に、俺はコイツがまたイッている事を悟った。
「ヤ…ぁっ♪ヤめろ…ぉ♪イマならまだ…ユルしてやる…から…ぁ♥」
京太郎「許す…?」
「そ…そうだ…ぁ♪ワタシは…ジャシンだぞ…ぉ♪ニンゲンイッピキくらいカンタンにシマツデキるんだからな…ぁ♪♪」
どうやらコイツは今度は俺の命を人質に取ろうとしているらしい。
そちらにそっと視線を向ければ、はぁはぁと快楽の吐息を吐きながら、コイツは俺の下で必死に笑みを浮べようとしていた。
しかし、その表情は絶頂の所為かとても蕩けて、いやらしいものである。
勝ち誇ると言うよりも誘惑しているようなその様に迫力なんて感じるはずもなかった。
京太郎「はっ…それがどうした?」
「ふぇ…ぇ…?」
それを鼻で笑い飛ばす俺の下でコイツは信じられないような表情を見せた。
どうやらそうやって笑い飛ばされるとはまったく想像もしていなかったらしい。
実際、俺だってそれを完全に恐れていないかと言えば答えは否である。
それを容易く出来るだけの力があるという事はファーストコンタクトの時点で理解しているのだ。
だが、ここまで進んだ以上、後戻りする事は出来ない。
コイツとの交渉権を得る為にも、ここは強気に打って出なければいけない場面だろう。
京太郎「邪神様だろうが悪霊だろうが、俺にとってお前は婚約者の身体に取り憑いた厄介者でしかないんだよ」
「そ…そん…な…あぁぁっ♪♪」
恐らくそれがコイツにとっての最後の砦だったのだろう。
吐き捨てるような俺の言葉に信じられないような表情を見せながら、身体を揺すった。
しかし、そうやって身体を揺すったところでもう俺からは逃げられない。
数度の絶頂で本格的に脱力を始めた身体は俺でも押さえつける事が容易なくらいに弱っていたのだ。
京太郎「それに…そうやって乱暴するような奴をそのままにしておけないしな。どうせだし、俺の言うことに逆らえないくらい調教してやるよ」
「だ、ダレがニンゲンのイうコトなんてキくか…ぁっ♪」
京太郎「あぁ。最初はそれで良いよ、その方が調教しがいがあるからな」
「ひぃぅううぅっ♪♪」
瞬間、小蒔の声が一段、高くなったのは、手持ち無沙汰だった左手でその乳首をきゅっと摘んだからだ。
これまで無反応だった部分への突然の愛撫にコイツは面白いほど翻弄されまくっている。
その背筋をクっと反り返らせようとするものの、上にのしかかった俺の上体がそれを遮る。
そんな俺の上体が小蒔の背筋に走る強い震えを感知したと同時にアナルがまたキュッと締まった。
恐らくコイツはマゾ穴だけではなく胸の方でもイッたのだろう。
京太郎「どうせ身体はもう大分、開発してるからな。心だけ堕とすってのもどんなもんか気になるし」
「お、オマエは…ゲスだ…ぁ♪ヘンタイの…サイテイヤロウ…だぁぁ…ぁ♪♪」
それでもコイツはそう俺を罵るプライドを持ち続けている。
どうやら自称邪神のプライドというのはよっぽど大きく、そして頑丈らしい。
それならコレ以上、プライドが傷つく前に小蒔の身体から逃げ出せば良いのにと思うが、人間相手に尻尾を巻いて逃げ出すのも悔しいのだろう。
意外と窮屈そうなその生き様に俺は微かに同情を抱きながらも、しかし、容赦をするつもりはまったくなかった。
京太郎「まさか邪神様に下衆だと言われるとは思わなかったな。でも、まぁ、そういうのも悪くない」
そもそも三人を自分から離れられなくする為に、調教している時点で、俺はかなりのクズなのだ。
その上、下衆呼ばわりされたところで一体、どれだけの差があるだろうか。
寧ろ、自称邪神にそう罵られる辺り、クズとしては箔が付いたと誇るべきなのだろう。
それを自慢できる相手なんて誰にもいないのが悲しいところではあるが。
京太郎「それに…この程度で下衆だって言ってたらこれから先持たないぜ?」
「ひきゅぅぅんっ♪♪」
そう言いながら俺の指はもう一本小蒔のアナルに差し込まれる。
中指と人差し指を束ねるようなそれに小蒔の全身がビクビクと跳ねた。
まるで暴れるようにも感じるその跳ねっぷりに、ついにコイツは耐え切れなくなったのだろう。
その足はゆっくりとバランスを崩し、畳の上に横たわった。
「に、ニホンザしぃ…♪お尻…広がり過ぎる…ぅ♪」
ペタリと倒れ伏す小蒔の口から漏れる言葉は、か細い声が漏れる。
今にも吐息でかき消されてしまいそうなそれはまるで圧迫感に喘いでいるようにも聞こえた。
元々、コイツは指一本でも容易く翻弄され、何度も達していたのである。
そんな状態で敏感なマゾ穴を二倍に押し広げられたのだから、それも致し方ない事なのかもしれない。
京太郎「邪神様ってのも案外、根性ないんだな。これなら小蒔の方がもう少しはもつぞ」
「ダマれぇ…っ♪」
それでも小蒔の方がまだ耐えられていただろう。
勿論、彼女の方は日頃から俺の調教を受けてそういった事に慣れているというアドバンテージはある。
しかし、それを加味したところで、あまりにも崩れ落ちるのが早すぎるだろう。
恐らくこれが小蒔であればまだ自分から腰を振って俺にオネダリする余裕があったはずだ。
「こ、このカラダがおかしすぎるんだ…♪こんな…アナルでこんなにカンジるなんて…ゼッタイにヘン…ぅ…♪♪」
その辺りは正直、俺も同意見だ。
何せここ最近の小蒔はエロゲのキャラと同じかそれ以上に敏感になっているのだから。
幾ら開発が順調に進んでいるからと言っても、その敏感さは通常の範疇には収まらないだろう。
とは言え、それを俺の能力の副作用だと教えてやる義理はコイツにはない。
精々、その異常さに翻弄されて貰おうと俺は小蒔の乳首をそっとこね回す。
「きゅぅ…ぅぅっ♪♪…アナルだけじゃなくって…おっぱいも…おかしい…ぃっ♥どこでもオマエをカンジると…凄いキモチヨくて…ぇ…♥」
クリクリと手の中で転がされるそれに小蒔の身体は甘い震えを走らせる。
その中で口にするコイツの言葉は正直に言えば…俺の胸を突き刺していた。
何せ、それは普段の彼女の感じっぷりが決して嘘でも演技でもない証なのだから。
コイツがその言葉を抑えきれないほど敏感に育ってくれているのを知って、刺された場所から強い興奮が沸き上がってくるのである。
京太郎「嫌なら出て行けよ」
「ダレ…が…ぁ♪これは…ワタシのカラダだ…ぁ♪ワタシだけの…モノだぞぉ…っ♪」
だが、それでもコイツは小蒔の身体から出て行くつもりはないらしい。
一体、どうしてなのかは分からないが、コイツは小蒔の身体に執着と言って良いほどの感情を向けているようだ。
まぁ、それならそれで俺としても、これから先の予定が無駄にならなくて良い。
この意地っ張りで妙なところで素直な自称邪神様を堕とす事を俺は少しずつ楽しみにし始めていた。
京太郎「だったら出て行きたくなるくらい責めないとな」
「いひぃぃいいっ♪♪」
そう言いながら、俺はアナルに突き刺した指を動かし始める。
片方は腸壁をこすり、もう片方は中をひっかくように前後するのだ。
ただの抽送とはまた違った異なる感覚に小蒔の口から嬌声が叫ばれ、キュッキュと締め付けが止まらない。
何せ、これは小蒔が一番、好きなアナルの責め方なのだから、その反応も致し方ないものだろう。
「や…ぁ…♪やめ…ぇえっ♪それは…ダメ…ぇ♥」
京太郎「何がダメなんだよ」
それに流石のコイツのプライドが折られ始めているのだろう。
ビクビクと絶頂を全身に行き渡らせながら、ついには駄目だと言い出した。
止めろ、と命令するのではなく、何処かへりくだるようなその響きにコイツが気づいているかは分からない。
しかし、気づいていようといまいと俺にはまったく関係ないのだ。
例え、気づいていまいと俺がこれからコイツの事を徹底的に辱めるのは変わらない。
京太郎「まさか漏らしそうなのか?違うよな。俺の指にはそんなもの感じないし」
「うひぅ…っ♪♪」
京太郎「気持ち悪いらしいけど、そんなの俺には関係ないからな」
「この…ぉぉっ♪♪」
俺の言葉に酷い屈辱を感じたのだろう。
小蒔の腕をプルプルと震わせながら、その瞳に涙を浮かばせる。
屈辱と恥辱の証であるそれに、俺はほんの少しだけ胸が傷んだ。
そうやって涙を浮かべるのは俺が護ろうと心に決めた人なのだから当然だろう。
しかし、それでもここで手を緩めてしまえば、またコイツが調子に乗るかもしれない。
その結果、小蒔から追い出す交渉が出来なくなるかもしれないと思えば、仏心を出す訳にはいかなかった。
京太郎「そもそも今更だろ。俺に触られるのが気持ち良いってさっき言ってたんだし」
「ふにゃぅぅっ…♪」
そう言って俺の指が摘んだ乳首をキュっとひねる。
そこを敏感な性感帯としてではなく、まるでモノか何かのように扱うその愛撫に小蒔の口から甘い鳴き声が飛び出した。
俺の調教によってマゾヒスティックに開発されつつある小蒔の身体がそれに快感を感じないはずがない。
だが、そうやって痛みを強くする快感に不慣れなコイツにとっては、それは絶大な効果を与えるのだ。
京太郎「認めたらとりあえず解放してやるよ。その条件ならどうだ?」
「う…ぅぅっ♪♪」
そう思うのは俺の言葉にコイツが確かな逡巡を見せるからだ。
今までであれば間違い無く条件反射のように断っていた事だろう。
その為にこちらも譲歩する条件こそ出しているものの、初めて見せる姿。
それに自身の計画が順調だという事が伝わり、ついつい歪んだ笑みを浮かべてしまう。
「キモチ…イイ…♪」
京太郎「ちゃんと何処がどれくらい気持ち良いのかってはっきり言わないと…こうだぞ」
「あひぃぃいっ♪♪」
そんな俺がまさか『気持ち良い』という言葉だけでコイツを解放するつもりがあろうはずもない。
折角、条件的に譲歩したのだから、その分辱められなければ元は取れないのだから。
そう思いながらアナルに二本の指を深く埋める俺に小蒔の背筋はブルブルと震えるようにして反応する。
そんな小蒔の奥で再びグニグニと指で腸壁を擦る動きに、彼女はその反応を強め、嬌声漏らす口を震わせた。
「あ…アナルとチクビが…ぁ…♪い…イくほどキモチイイ…ぃ♥」
京太郎「それじゃまだ離してはやれないな。ちゃんと考えろって」
「この…ぉ…っ♪ニンゲンごときがチョウシにノッてぇぇ…っ♥」
あまりにもワンパターンなその罵りはもう負け犬の遠吠えにしか思えない。
何せ、コイツはもう半ばプライドを折られ、恭順の言葉を放とうとしているのだから。
どれだけその目に言葉に反抗を覗かせ、言い訳を並び立ててもその事実は決して変わらない。
どれだけ俺に牙を剥こうとしても、一度、恭順を選んだという事実は、確実にコイツの足を踏み外させる。
「アタマがオカしくなりそうでダメなんだ…っ♪グチュグチュってクリクリってされるタビにタッしてるのに…♪ゼンゼン、マンゾクデキないっ♥」
そう思う俺の前で小蒔の口からポツリポツリと言葉が漏れ始める。
今までのそれよりも遥かに具体的で、そして淫らなそれはずっとコイツが心の中で抑え込んでいた本音なのだろう。
それだけで心の中が一気に燃え上がり、小蒔の身体を押し倒してやりたくなった。
それを何とか抑える俺の中で、激しく燃え上がる嗜虐心は小蒔のアナルを弄る指を激しくさせる。
根本までズッポリと埋め込んだその指先を上下左右とまったく逆の動きを演じ、その窄まりを広げた。
「いぃ…ぃっイってるタビにカラダがウズいて…オナカアツくなって…ぇ♪♪お…オマエがぁ…っ♪オマエがホしくなるから…ぁっ♪♪もうヤめろ…ぉ♥もう…ヤめてぇぇ…っ♥」
それにもう我慢が出来なくなったのだろう。
小蒔の口から懇願に近い言葉を漏らすコイツから、俺はそっと指を引き抜いた。
瞬間、崩れ落ちた小蒔の身体はふっと脱力し、俺を見上げていた顔もそっと畳みへと堕ちる。
その口からハァハァと荒い息を漏らすその様はとても色っぽい。
さっき満足しきれなかった嗜虐心も伴ってそのまま犯してやりたくなるくらいだ。
けれど、流石にそれは協定違反と罵られても、仕方のない行為だろう。
『解放する』と俺は確かに口にしたのだから、それは護ってやらなければいけない。
京太郎「(まぁ、その間に俺もやりたい事があるしな)」
そう思って俺は身体を倒し、どうやら騒ぎの中でも無事だったらしい自分の荷物を引き寄せる。
そのままアナルに突っ込んでいた右手を使わないようにして、俺は中からウェットティッシュと消毒液を取り出した。
それで右手の中指と人差し指を綺麗にしたのを確認してから、俺はそれらをリュックの中へと片付けようとする。
京太郎「…んー…」
しかし、瞬間、視界に入ったショッキングピンクの袋に、俺の手は伸びていく。
その中に入っているのは小蒔の開発グッズだ。
あの日からオトナのオモチャにも強い興味を示すようになった彼女の為に買い込んだ品物たちである。
それをこうして持ってきたのは実家でのセックスを小蒔にせがまれていたからだ。
俺自身、その提案に興奮したのもあって、こうしてこっそりとセックスの為のオモチャを持ち込んだ訳である。
京太郎「(…よし)」
それを無造作に掴んでから俺はそっと小蒔の方へと視線を戻した。
そこには未だ倒れ伏したまま、ろくに動かない小蒔の身体がある。
腕や足が時折、ピクンと反応する辺り、もしかしたら未だ絶頂から帰って来れていないのかもしれない。
そう思うともう少し休憩させてやりたい気もしたが、ここで責め手を緩めすぎるのは下策である事も理解していた。
相手が敗北感にうちひしがれている間に、ドンドンと次の手を打っておかなければ、最良の結果を得る事は出来ないだろう。
京太郎「(…ごめんな、小蒔)」
そう胸中でだけ婚約者に謝りながら、俺はそっと腰を浮かせ、小蒔の後ろへと回った。
しかし、コイツはそんな俺にさえ気づく余裕はないのか、ろくに反応すら見せない。
どうやらさっきの愛撫はコイツをよっぽど追い詰めていたようだ。
それに嗜虐的な笑みを浮かべながら、俺はそっと袋を開け、その中からローションと小型のバイブを取り出す。
「な…ナニをしているんだ…?」
京太郎「イイコトだよ」
そこでようやく目の前にいた俺の不在に気づいたらしいコイツの言葉に、俺は漠然とした言葉を返す。
それにコイツが理解を進めるよりも先に、俺はその真っ赤な袴に手を掛けた。
そのままゆっくりとそれを手前へと引き寄せば、小蒔の形の良いお尻が晒される。
ピクピクと柔らかな肉を震えさせるようなそれに俺はむしゃぶりつきたくなるのを必死で堪えた。
京太郎「(挿入れるのはこっちの方だからな…)」
そう思いながら、俺はローションを原液のままバイブへと垂らしていく。
そのままそれを全体へと広げてやれば、ニチャニチャと言う音が耳に届いた。
唾液や愛液のそれよりも遥かに粘っこいその音に、俺は思わず笑みを浮かべながら俺はむき出しになった小蒔のショーツをそっとズらす。
そして、そのむっちりとした桃尻の谷間を開いて… ――
「おぐぅう゛うぅぅうっ♪♪♪」
瞬間、漏れる声は苦しみ混じりのものだった。
幾ら潤滑油がまぶされているとは言え、いきなりバイブを突っ込まれたのだから当然だろう。
アナル用のそれは小型ではあるが、それでも俺の指二本よりも若干太い。
しかも、指とは近いそれは先から根本まで球体が重なったような構造をしているのだ。
アナルを開発し、責める為のその形は、経験不足のコイツにとっては堪らないものだろう。
「や…ヤクソクが…チガうぅぅっ♪♪」
京太郎「いいや。別に俺は約束を破った訳じゃないぜ」
それでも嬌声混じりの声でコイツは俺に抗議してくる。
それに冷たく言い放ちながら、俺はそっとショーツの位置を元に戻した。
自然、反応で放り出されるはずのバイブはショーツによって阻まれ、外に出る事はない。
最奥にフィットする形で留まったまま、小蒔の中で存在感を放ち続けているのだろう。
霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」
霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」
初美「そうなんですかー?」
霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」
霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」
霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」
初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」
霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」
霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」
京太郎「俺は確かに解放してやっていたし、道具を使わないとも言っていない」
「キベン…だぁ…っ♥」
まぁ、その言葉を正直、否定する気はない。
そもそも俺だってこのタイミングでオトナのオモチャを使うつもりなんてなかったのだから。
最初の予定では小蒔の身体が回復するのを待って、奥まで一気にレイプしてやるつもりだったのである。
そのつもりで紡いだ言葉に今の状況が反する事になったのは、俺も認めるところなのだ。
京太郎「そんなに嫌なら外せば良いじゃないか。流石にそこまでは止めやしないさ」
「く…ぅぅ…っ♪♪」
だからこそ、俺はそうやって言いながら、小蒔の身体からそっと離れた。
そんな俺の紡いだ言葉に、コイツは悔しそうな声を漏らす。
さっきまで倒れ伏していた身体を動かすのは大変なのだろう。
しかし、それでも諦めた訳ではないのか、その腕をゆっくりと動かし、自身の背中へと向けた。
その動きはナメクジのように遅いものではあるが、いずれ、バイブへと到達する事だろう。
「ぅひぃぃんっっ♪♪」
瞬間、コイツがそう声をあげるのは、俺が手元のスイッチを操作したからだ。
小蒔の中に入っているバイブとワイヤーで繋がっているそこには強中弱と書かれている。
現在、その中の弱へと入れられたスイッチが、バイブへと指令を送り、小蒔のアナルの中で動かしているのだろう。
それはウィンウィンという独特の駆動音と、盛り上がったショーツの動きからも良く分かった。
「こ…これ…な…おかし…ぃぃっ♪♪な、ナカでウゴいひぃ…っ♥」
それに未だ回復しきっていないコイツが耐えられるはずがない。
食いしばった歯の間から声を漏らすようにしながら、その手の動きを止めた。
ビクンとその腕を強張らせるようなその姿は正直、予想以上のものである。
効果的だとは思っていたが、まさか弱で完全に動かなくなるとは流石に思っていなかったのだ。
京太郎「(もうちょっと色々責めてやる必要があると思ってたんだけれどな)」
しかし、コイツは思った以上に追い詰められ、余裕がなかったらしい。
今もバイブの動きに翻弄され、その身体を揺すっている。
まるで必死にバイブから逃げようとしているようなそれに、しかし、ショーツに阻まれたバイブはそれを許さない。
躊躇も容赦もせずただ責め立てるだけの機械に小蒔の桃尻はビクビクと跳ねる。
「ぬ…ヌけぇ♪♪ハヤく…コレを…ぉ♪き、キモチイイからぁっ♥また…イッてるからヌけぇっ♥」
京太郎「へぇ…気持ち良いのか」
勿論、そんなもの百も承知だ。
何せ、小蒔の身体の身動ぎは少しずつその色を変えてきているのだから。
逃げようとしているように前へ前へと進もうとしていたその動きは、その場で腰を振るうものへと変化していた。
その上、ピンと張らせた足をフルフルと震えさせる姿は誰が見てもひと目で分かるような絶頂を表現している。
それを『イッている』と表現する事に何の躊躇いも持たなくなったコイツに俺は冷たい笑みを浮かべた。
京太郎「人間の指どころか機械でも感じるのか?邪神様ってのは思ったよりも低俗なんだな」
「ぐ…うぅ…♪♪」
そんな俺の言葉にコイツは悔しそうな声を漏らすが、相変わらずそれは艶めいた感情が強いものだった。
ともすれば喘ぎ声を噛み殺したかのようにも聞こえるそれに迫力なんてあろうはずもない。
うつ伏せた身体はピクピクと震えるだけで、その四肢はろくに動く気配なんてないのだから。
もうズッポリと快楽の沼へと嵌ったその姿を恐れる必要はないだろう。
京太郎「だけど、俺から抜くつもりなんてないぞ。邪神様って言うくらいなんだから、それくらい自分で出来るだろ?」
「くっそぉ…ぉ♪♪」
そう言いながら、コイツは小蒔の腕に力を込めようとしているのだろう。
しかし、快楽にピクピクと痙攣するそれはろくに動いている気配がない。
勿論、じっと観察すればそれも違うのかもしれないが、少なくともさっきのナメクジめいた動きよりも鈍いのは確かだ。
このままの動きじゃ恐らく小蒔の腕がアナルに到達するまで数分は掛かる。
その間、どれだけコイツがイってしまうのかは正直、楽しみだった。
「オナカのナカアツいぃ…っ♪グリグリウゴいて…ぇ♪♪またイくぅ…っ♥イッちゃう…ぅぅ♥」
京太郎「はは。随分とマゾアナルがお気に召したみたいだな」
最早、快楽を隠す余裕すらないのだろう。
ビクンと肩を跳ねさせながら、小蒔の身体は再び絶頂へと押し上げられる。
そっとその腰を浮かせてお尻を突き出すその姿はまるで俺を誘っているようだ。
実際、露出したムスコはそんな小蒔の姿にピクピク震えて、早く肉穴に突っ込めと訴えている。
京太郎「(でも…もう少し我慢だ)」
約束した事を中ば反故にしているとは言え、ここで手を出す訳にはいかない。
それをするのはコイツからオネダリをさせるか、もう少し時間が経過してからでなければならないのだ。
そのどちらの条件も満たしていない以上、俺からコイツを求めるのはご法度だろう。
どれだけチンポの先が疼いても、それを抑える事さえ俺には許されず、絶対的な陵辱者として君臨し続けなければいけない。
「キにイッてなんかないぃっ♪♪アナルイクの…ツラい…のにぃっ♥キにイるワケないだろぉっ♥」
京太郎「だったらイくのなんて止めりゃ良いだろ」
「うひぃぃいっ♥」
そう言いながら、俺は一瞬だけバイブの出力を中へとあげる。
それに応えて一段強くなった蠢きが、小蒔のアナルをより激しく蹂躙しだしたのだろう。
上擦った声をあげながらコイツは全身を痙攣させ、その首をそっと後ろへと反らした。
背筋で逆アーチを描くようなその姿に自然と乳房も浮き上がり、真っ赤に張った乳首が畳からこぼれ出す。
京太郎「そんなにオモチャが気に入ったんなら…他の奴もつけてやるよ」
「や…ヤめ…ぇひゃうぅっ♪♪」
そんな乳首にもオモチャをプレゼントしてやろうと俺は袋からローターを取り出した。
普通の丸い卵型の周囲に無数の小さな刺のような突起が飛び出しているそれも、小蒔のお気に入りである。
密着するとチクチクするのだが、そのチクチク感が堪らないらしい。
それと共にテープを取り出した俺にコイツが止めろと言いたいようだが、それさえも嬌声にかき消される。
どうやらそれくらいコイツはアナルバイブを気に入ってくれたようだ。
京太郎「きっとこっちも気に入るって」
「あ…あぁぁ…っ♪♪」
そう言いながら、小蒔の前へと回り、乳首へとローターを張り付けていく。
その乳輪ごと上下から挟みこむようなセッティングに小蒔の口から信じられないものを見るような声が漏れた。
それがどういうものかを小蒔の知識から引き出したのか、或いはその威力をなんとなく察しているのか。
どちらにせよ、それがコイツを責め立てるものだとは分かっているのだろう。
しかし、それでも脱力した小蒔の身体はろくに動かず、俺にされるがままになっていた。
京太郎「んじゃ…スイッチオンっと」
「う゛ああぁぁああぁっ♪♪♪」
瞬間、部屋の中でヴヴヴと強い振動音が鳴り響いた。
合計4つのローターが同時に動き出したが故のその音は客間の外まで漏れだしてしまいそうである。
しかし、それよりも遥かに大きいのはケダモノじみた小蒔の叫び声だ。
その中に驚きと快楽だけを詰め込んだ可愛らしいそれに俺は背筋にゾクゾクとしたものを感じる。
「イぐッ♪♪イくイぐぅぅぅぅんっ♥♥乳首イきゅぅぅっ♪♪」
そんな俺の下で全身を震わせて絶頂を伝える小蒔の身体。
最早、プライドなんて欠片もなくただ快楽に翻弄されるその様は、女というよりメスだ。
その身体の持ち主である小蒔と何ら大差がない可愛らしくも淫らな…俺のメスなのだ。
そう思った瞬間、ぐっと強める興奮を必死に噛み殺しながらも、俺の吐息は激しくなり、小蒔に負けないケダモノじみたものへと変わっていく。
「な…にゃんでぇっ♪♪イくのトまらんにゃいぃっ♥♥オりてコられないぃぃっ♪♪」
恐らくそれは小蒔の身体が完全にスイッチが入ってしまったからなのだろう。
淫らで敏感な彼女の肢体は興奮と欲情が一定を超えるとイキっぱなしの状態になるのだ。
それでも手を休めれば少しずつ身体も落ち着いていくが、今の彼女を責めているのは俺の手でも指でもない。
ただ機械的に命じられた事だけを繰り返すバイブとローターなのだ。
「トっれ…っ♪♪オネガイらからこれトってぇぇっ♪♪おかひくなりゅからぁっ♥♥こんにゃのアタマヘンになるからぁぁっ♥♥」
小蒔であればそれにとても喜び、俺にオネダリしてくれた事だろう。
だが、不慣れなコイツはその状態に恐怖しか感じないらしい。
快感の所為か蕩けた声で懇願しながら、その全身を絶え間なく震わせる。
まるで収まり切らないオルガズムに揺さぶられているようなその身体に俺は何も言わずただただ見下ろすだけだった。
「アタマドロドロんなるぅぅっ♪♪ワケワかんないくらいマッシロにしょまるぅ…ぅ♥ワタシじゃ…なくなっひゃうよぉ…♪♪」
京太郎「なくなれば良いじゃないか」
そうやって頭までおかしくなってくれたら俺も交渉がしやすくなって良い。
最初に小蒔の身体に降りてきたばかりのコイツはあまりにもプライドが高すぎて交渉どころではなかったのだから。
そうやっておかしくなってくれなければ交渉の余地さえも生まれなかっただろう。
まぁ、その分、あんまりおかしくなられすぎると交渉そのもののが危うくなるが、その辺は多分大丈夫なはずだ。
普段からこうやって責められている小蒔も失神して少ししたら元に戻り始めるし、自称邪神様がそれ以下という事はないだろう。
「しょれなのに…オマエがホしくなりゅぅっ♪♪イくタビにオマエのコトしゅきになっへ…オマンコうじゅくぅ…♥♥」
「っ…!」
そう思う俺の耳に届いたのは俺の興奮と欲情をこれでもかと擽る言葉だった。
ただ、快楽を訴えるものではなく、俺を求めるそれに身体が思わず前のめりになってしまう。
そのまま小蒔の震える肢体へと伸びそうになった手を俺は何とか握り締める事で静止する。
まだこの段階で手を出すのは時期尚早過ぎるのだから。
せめてもうちょっとはっきりとしたオネダリをさせなければ、後でコイツを追い詰めづらい。
「イヤなのに…ぃ♪ニンゲンのチンポにゃんて…イヤなのに…オクにホしいっ♪♪オマエのチンポホしいぃっ♥♥ニンゲンチンポホしくてタマらにゃい…っ♪♪」
それはもうさっきとはまったく逆の要求だろう。
何せ、コイツはさっきまでバイブやローターを取れと言っていたのだから。
しかし、こうやって俺が見下ろしている間に自分がおかしくなる怖さよりも欲求不満の辛さが上回ったのだろう。
その顔には快楽の色が強く浮かび、プライドなんて何処にもない。
ただ俺を求めるその様に俺はゴクリと生唾を飲み込んでしまった。
京太郎「だったら…人間呼ばわりじゃなくてちゃんと俺の名前を呼ばないとな」
それでもそうやって強気に言い放つ俺のムスコはさっきからビクビク震えていた。
元々、中途半端なところで快楽を止められ、結局、一回もイけていなかったのだから当然だろう。
その芯には欲求不満がまとわりつき、早く射精させろと俺に訴えかけていた。
もしかしたら挿入直後に射精してしまうかもしれないほどのそれを俺は何とか押さえつける。
せめてその時までは絶対的な支配者であろうと俺はぐっと歯を噛み締めながら、握り拳を震わせた。
目が腐るもうなものを出すな
ふんふむの声を聞け。それは審判である
「き…キョウタロウのチンポホしい…っ♪♪ワタシのオクに…ぃ♥ニンゲンの…メスマンコにキョウタロウをぶちコんで…ぇぇ♪♪」
京太郎「…良い子だ」
そんな俺の前で紡がれる言葉は、もう躊躇いなんてなかった。
一度、折れて恭順を示したプライドはどうやら中々、元には戻らないらしい。
俺に『命令』するのではなく、『お願い』するその姿は出会った頃の高圧的な姿はなかった。
それは俺が調教の腕が良かった…と言うよりは小蒔の身体がそれだけ淫らに育ってくれていたからだろう。
それに内心で彼女への感謝を告げながら、俺はそっと膝を折り、小蒔の震える腰の下にそっと手を差し込んだ。
京太郎「うわ…ぁ…」
瞬間、俺の手にまとわりついてきたのはコレ以上ないほどの湿り気だった。
ネチャネチャでグチョグチョでヌレヌレなそれは小蒔を浮かせようとした俺の手にこれでもかとばかりに絡みついてくる。
もしかしたら途中で潮でも吹いていたのかもしれない、と思うほどのその水気は勿論、畳の方にも染みこんでいた。
それは中途半端に足に絡みついた袴との間に透明な糸を引かせ、淫らな音と光景を形作っている。
これを掃除するのはちょっと手元のウェットティッシュじゃ足りないかもしれない。
そう思いながらも今更、止める訳にはいかず、俺は小蒔の下半身から完全に紅袴を剥ぎ取った。
「んふぅ…ぅ♪♪」
瞬間、ニチャリと音が鳴るのを聞こえない振りをしながら、俺は小蒔のショーツに手を掛ける。
純真な小蒔らしい純白のそれはもうめちゃめちゃに濡れて、その糸を白から灰色へと変えていた。
まるで小蒔の心が穢れたようなそれをゆっくりと降ろしていけば、汗で濡れた桃尻とバイブの末端が目に入る。
ウィンウィンと言う音と共に円を描くように動き続けるそれは拘束具でもあったショーツがなくなった所為か、自身の動きと小蒔の反応によって少しずつ捻り出されていた。
「ひゅぅぅぅぅぅっ♪♪♪」
それを抜けないように再び奥へと押し込んでから、俺はそっと小蒔から手を離し、彼女の後ろへと回った。
自然、支えのなくなったその身体はペタリ畳へと崩れ落ち、ピクピクと震える。
そんな小蒔を挿入しやすいよう足を開けば、かすかに開いた大陰唇の間から愛液がドロリとこぼれ出すのが見えた。
いや、微かに白く濁ったそれはもう愛液と言うよりは本気汁と言った方が正しいのだろう。
今もバイブとローターによってイきまくっているからこそ漏れ出すそれに俺の頭の中でブツンと理性が一つ弾け飛んだ。
京太郎「小蒔…っ」
「んひぃぃぃぃっ♪♪♪」
そう愛しい婚約者を呼びながら、俺は一気に小蒔へと近づき、そのムスコを突っ込んでしまう。
肉付きの良いそのお尻を開くのもそこそこに一気にねじ込むその動きに、コイツは悲鳴のような声をあげた。
それに合わせて肉穴が一気に締め付けてくるが…俺はまったく構わない。
後背位というか小蒔を畳へと押し付けてレイプしているような姿勢なだけに挿入しづらいが…その程度で止まるほど俺の興奮は弱くないのだ。
「ハイッてクるぅぅっ♪♪キョウタロウチンポがぁっ♥♥ゴウインに…ワタシのにゃか…ぁぁっ♪♪♪」
そんな強引な俺の挿入にコイツが喜悦混じりの声をあげた。
そうやって犯されるのが堪らないと言わんばかりのその声に肉穴がビクビクと反応する。
既に何度もイッているであろうその締め付けは正直、欲求不満のムスコにとってかなりキツい。
それでも射精するのは子宮口だ、と心に決めながら、俺は小蒔の腰をガッチリと掴んで肉棒を突き入れていく。
「こんにゃの…レイプだ…ぁ♥わらひ…ニンゲンにレイプされへるぅ…♥♥めしゅまんこジュウリンしゃれて…オカされてぇ…♪♪」
京太郎「そっちが誘ってきたんだろうに」
まぁ、今の俺は小蒔の身体が逃げられないように上にのしかかって腰を掴んでいるのだ。
正直、その様はレイプしていると言われても仕方のないものだと思う。
とは言え、元々、そのつもりがなかった俺に火をつけたのはコイツの方だ。
その責任くらいはとって貰わなければいけない。
「トリコにしてやるちゅもりだったのぉっ♪♪オマエをミるとカラダがウズいてホしくなるからぁっ♥イッショウ…ドレイにしてやりゅつもりだったのに…ぃ♪♪」
そう返す俺の耳に届いたのは何ともまぁ可愛らしい企みだった。
どうやらあんなに積極的に俺の事を求めていたのは、奴隷にするつもりだったかららしい。
とは言え。こういった経験が見るからに少なそうな自称邪神様が一体、どうやってマゾ調教された小蒔の身体で俺の事を虜にするつもりだったのか。
思わずその部分を辱める為に聴きだしてやりたくなったくらいだ。
「にゃんでこんな…チンポキモチいひぃっ♥♥カンじスぎてバカになりゅぅ…ぅ♪♪」
京太郎「…もうなってるだろ」
もう本心を隠す事すら出来ず、思考をそのまま吐露するような小蒔の姿。
それを見てろくに理性が働いていると思う人は皆無だろう。
もうコイツの中では我慢の糸が切れてしまって、その身体が命ずるままに喘ぎ感じるケダモノになっているのだ。
そんな可愛らしいバカになった姿に挿入途中のムスコがビクンと跳ね、その根本から一気に震える。
「くひぃぃっ♪♪チンポまらおっきくなりゅのぉ…っ♥♥こんなギチギチにゃのに…まだフトきゅぅぅんっ♪♪」
京太郎「ぐぅ…ぅっ」
あえぐ小蒔に触発されたように俺の中でもまたタガが外れてしまう。
最奥まで目指すはずであったチンポはその中ほどで射精の準備を始め、ビキビキと肉を張り詰めさせるのだ。
肉竿を弾けそうなほど張らせ、カリ首をさらに反り返らせるその肉に未だキツキツの小蒔の肉襞が絡みつく。
その気持ち良さに腰が抜けて暴発しそうになるのを堪えながら、俺は上半身ごと叩きつけるように一気に小蒔の子宮口を目指した。
「ひあああぁぁっぁああっ♥♥♥」
しかし、ただでさえ小蒔の肉穴は三人の中で一番、きつく、そして硬いのだ。
マジイキを繰り返すそこは今、ギチギチと俺を締め付け、射精前の怒張をこれでもかと阻んでくる。
どれだけ強引に挿入しようとしてもその歩みは決して順調なものにはならず、這いずるような速度でしか進めない。
それでも俺に犯されている感覚が強いのか、悲鳴めいた声をあげながら、コイツは小蒔の身体を震わせて… ――
「ああ゛ぁぁぁあ゛あぁぁぁぁっ♪♪♪」
瞬間、子宮口をコツンと突いた俺のムスコに無数の肉襞が絡みつく。
その奥の敏感な部分にチンポを捉えようとするその肉突起に俺は抗う事が出来ない。
ぐっとその腰を密着させるようにした瞬間、ずっと抑え込んでいた熱が弾ける。
痺れにも似たそれは震えるチンポの中を一気に駆け上がり、先端のコブから一気に小蒔の中へと吐き出された。
「んひぃぃぃっ♪♪れてるぅっ♥♥しゃせぇされへうぅっ♪♪♪」
そんな俺の動きを感じ取ったのだろう。
うつ伏せになる身体をピンと張らせながら、甘く射精を訴えかけるその声はもう蕩けきっていた。
ただ、舌足らずなだけではなく、心の底から嬉しそうなその声は聞いているだけで俺の興奮が高まるくらいである。
自然、小蒔の中で射精する勢いも強まり、俺の快感も跳ね上がった。
「うしょぉ…ぉ♪♪しゃせーされるのシアワしぇ…♥♥ニンゲンにゃんかにタネぢゅけされてるのに…アッタかくて…オナカトロけりゅ…ぅ…♪♪♪」
ぐっと歯の根を押さえこまなければ、腰が砕けてしまいそうな強烈な快感。
それとともに放たれる白濁液をコイツは幸せだと称してくれた。
勿論、それは小蒔の身体の中に刻まれた経験が反応しての事なのだろう。
しかし、そうだと分かっていても、膣内射精を幸せだと言ってくれるのは男冥利に…いや、オス冥利に尽きる話だ。
こうして種付けする事を特別に許されているような気がして…俺の胸は愛しさを湧き上がらせてしまうのである。
「アマい…よぉ…♥♥シアワせスぎて…せぇえきアマい…ぃ♥♥こんにゃのおかしい…ぃ♪♪ふつーじゃ…らいぃ……♥♥」
そして、それはコイツも同じなのだろう。
射精される喜びに身体が愛しさを湧きあがらせて困惑しているのだ。
しかし、それをおかしいと言いながらも、小蒔の声には厭うものは見当たらない。
まるでそうやっておかし事が幸せで堪らないと言わんばかりに蕩けたままなのである。
「いちゅまで…らすんだ…ぁ♪♪もう…じゅっとっデッパナし…ぃ…♥♥タネヅけザーメン…トまんない…の…ぉ♥♥」
京太郎「まだ…まだぁ…!」
「うひゅぅう゛ぅぅ♪♪またちゅよくなっらぁぁぁっ♥♥」
そんな声で何時まで射精すんだと言われれば、興奮も嗜虐心も燃え上がる。
身も心も支配されつつあるコイツの姿を見て、俺の射精の勢いは再び強くなるのだ。
一時は微かに下降しつつあった勢いを取り戻すようなそれに小蒔の口から叫ぶような嬌声が漏れる。
それに合わせてキュゥゥゥと強く締め付けるその肉穴に俺はムスコは精液を吐き出し続けた。
「は…ひゅぅ…♪♪ふあ…っ…♥あぁぁ……♥♥」
それが一段落ついた頃には小蒔の口からほとんど言葉が出てこなくなっていた。
荒く呼吸するので精一杯と言うようなその姿にムスコはピクンと反応するが、流石にもう精液は出てこない。
ジュルジュルと音が聞こえてきそうなくらいに肉襞に亀頭をしゃぶられても、もう鈴口から漏れる精液すらないのだから。
しかし、それでも俺の身体は満足してはおらず小蒔の中でビンっと反り返ったままだった。
京太郎「(まぁ…少しの間、休憩かな)」
一度、射精して幾らか頭の中も冷静になったのだろう。
俺は全身をピクピクと震わせる小蒔を見下ろしながら、そう胸中で言葉を紡いだ。
勿論、本音を言えばこのまま二回戦三回戦と行きたいが、そうなるとコイツが本格的に壊れかねない。
そうなると小蒔から引き剥がす手段を持たない俺にとって手の打ちようがなくなるのだ。
ある程度、バカになって貰わなければいけないが、なられ過ぎるとどうしようもなくなってしまうのである。
「はぅ…ぅん…っ♪♪」
そう思いながら、俺は動きっぱなしであったオモチャのスイッチをそっと切った。
それに安堵とも不満とも言えない声をあげながら、小蒔の身体はふっと力を抜く。
瞬間、彼女の股間からジワリと広がるものがものがあるのはあまり気にしないでおこうと思う。
既に漏れだしてしまった以上、それはもう手遅れなのであり…俺が考えるべきはその後始末の方法なのだから。
「ふゅふ…♪♪お、オマエ…も…射精したから…引き分け…らな…♥♥」
京太郎「まだ言うか」
そうやって十数分ほど休憩した頃には幾らか身体に力が入るようになったのだろう。
しかし、それで一番、最初に選ぶのが強がりの言葉なのはいかがなものか。
そこまでプライド高いのは正直、感心するが、コイツはさっきまでコレ以上ないくらいにアヘっていたのである。
そこに至るまでももう数え切れないほどイッているコイツと一度イッてしまった俺とが引き分けなはずがない。
「わらひ…は…まら…マけて…にゃいぞ…ぉ…♪♪」
京太郎「失禁した奴に言われてもなぁ…」
そう。
さっきコイツは気持ち良すぎて失禁したのである。
その証拠は悲しいかな畳の上に黄色い液体として今も残っているのだ。
決して否定出来ない情けない証拠の上で身体をピクピクと震わせている奴に言われても到底、信じる事なんて出来ないだろう。
長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいました!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです(正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じています。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸れたのか、それは人それぞれだと思います。
少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちになってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にありがとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお願いします!ではこれにて。
皆さんお疲れ様でした!
「うりゅ…しゃい…ぃ♪♪ワタシがマけてないってイったらぁ…♥マケテ…にゃいんらぁ…♪♪」
京太郎「まったく…」
それでもコイツは負けた事を認めるつもりはないらしい。
ある意味では負ける以上に恥ずかしい事になっているのに、小蒔の身体にしがみついているのだ。
そんなコイツに一つ肩を落としながら、俺は再び小蒔の腰をがっちりと掴む。
決して小蒔を逃がすまいとするようなそれにそのお尻がビクンと跳ねた。
けれど、それは怯えるようなものではなく、何処か期待を滲ませているように感じられる。
京太郎「そんなに俺に射精されるのが癖になったのか…よっ!」
「あ゛ひいいぃぃい♥♥」
そんなコイツに対してからかうように言いながら俺は腰をグッと引き離していく。
これまで尻肉が押されるほど密着していたムスコの突然の別離に、小蒔の口から嬌声が放たれた。
ケダモノめいたそれに合わせて、小蒔の肉襞が再びギュッと締め付けてくる。
まるで俺に離れないでと訴えてくるようなそれに、張り出したカリ首が引っかかるのだ。
ほんの1ミリ動かす度に肉襞に引っかかるその感覚は、ゾクゾクとした快感を生み出し、俺の腰も震えてしまいそうになる。
「ちが…ぁ♪♪チガう…ぅぅっ♪♪クセになんかなっれにゃいぃっ♥♥ニンゲンチンポなんかダイッキライらぁぁ♥♥」
京太郎「そう言いながらも美味しそうにしゃぶりついてるじゃないか」
そうやって生み出される快感は俺だけではなく小蒔の身体にも強い影響を与えているのだろう。
何せ、ムスコが肉襞をひっかく度に彼女の肉穴もビクビクと痙攣しているのだから。
休憩を挟んでいるとは言え、さっきの感じっぷりから察するにもしかしたらその都度、イッているのかもしれない。
少なくとも何時もの小蒔であれば、そうあってもおかしくないくらいに敏感になっている事だろう。
京太郎「さっき挑発したのだって、俺にもっと犯されたかったからなんだろ?」
「だ…ダマれぇっ♪♪そんなのオマエのモウソウなんだから…ぁ♥♥」
そしてまたそれ以上に貪欲になっている。
そう思うのはイッた直後の小蒔がすぐに次のセックスをオネダリするからだ。
その都度、身体を脱力させながらも、もっともっとと射精をねだるその身体にコイツは今もしがみついているのである。
明らかに分が悪いのにも関わらず、未だに逃げないどころか俺を挑発しているのはコイツなりのオネダリと思われても仕方のないものだろう。
京太郎「ま…俺としてはどっちでも良いけどな」
「い゛ひゅぅぅうううっ♪♪♪」
例え、本気でコイツが負けていないと思っていたとしても、俺のやる事は変わらない。
何時も通り、小蒔の身体を追い詰め、イかせまくってやれば、いずれコイツも折れるはずなのだから。
そう思いながら、俺は腰を反転させ、再びその膣肉の壁へと亀頭を突き刺す。
それをまったく予想していなかったのか、コイツは背筋をそっと反らし、四肢をビクビクと痙攣させた。
「おっきひぃっ♪オオきしゅぎぃ…ぃ♥♥ニンゲンにゃのになんれこんなにしゅごいのぉっ♪♪」
京太郎「さぁ…な…!」
そんな俺の抽送にコイツの頭の中は再び真っ白になりつつあるのだろう。
その口からはまた俺を褒めるような言葉が漏れ、肉穴もふっと緩んだ。
まるで少しずつムスコのサイズに慣れたと言うようなそれにピストンも大分、しやすくなる。
自然、肉襞を抉る勢いも強くなり、小蒔の身体はさらに高まっていくのだ。
「きゅぅ…ぅぅぅっ♪♪ゴリゴリくりゅぅ…ぅ♥オクまで…イッキにズンっへぇ…♪♪♪」
元々、小蒔は明確にどこか弱点がある訳ではなく、肉穴を激しく犯されるのが好みである。
そんな小蒔の身体に憑依しているコイツにもそれは有効なのだろう。
一気に激しくなった抽送にコイツの声は一気に艶めいたものを強くした。
何処かうっとりとしたものさえも感じるその声に俺のムスコはぐっと熱くなる。
京太郎「もう漏らしたりするなよ…!」
「し…してにゃいぃっ♥♥そんなのしへ…うひぃぃぅぅう゛っ♪♪♪」
瞬間、コイツが声を一気に上擦らせたのは俺が手元のスイッチを再び操作したからだろう。
その指令に従ってシリコンのバイブとローターがブルブルと振動を始めた。
ヴィーンという独特の振動音を鳴らすようなそれに小蒔の身体も負けじと震え出す。
それに合わせてギュッとしがみついてくる肉襞から察するにきっとコイツはイッているのだろう。
「うごひっ♪♪まらウゴいぁぁっ♥♥」
しかも、それは一度や二度ではない。
そう思うのは口を開いた小蒔の声があまりにもう上擦ったものだったからだ。
半ば悲鳴のようにも聞こえるそれは自身の中で収まり切らない快楽を放とうとしているようにも感じる。
しかし、それを見て俺が同情などする訳もなく、俺はピストンする動きを緩める事はなかった。
「チクビもあにゃるもオマンこもぉっ♪♪じぇんぶビリビリして…わらひイくぅぅっ♥♥」
そんな俺の前でコイツは情けなく絶頂の声をあげる。
うつ伏せになった身体をぐっと強張らせるようなそれはもしかしたら快感を堪えようとしているのかもしれない。
だが、そんな事をしても完全にスイッチが入った上に、オモチャまで取り付けられた小蒔の身体が収まる訳がなかった。
時に俺以上の貪欲さを見せる小蒔の身体は、もう異常なまでに昂ぶっているのだから。
「イくのぉっ♪♪イくのトまんないにょぉ…♥♥わらひじじぇんしんでイっへ…レイプしゃれふぇうぅ…♪♪」
そう言うのは決して乳首やマゾアナルだけではないだろう。
今のコイツにとって畳に伏して身体を揺らすだけでも強い快感を感じているのだ。
最早、数えきれないほどに絶頂し、俺に膣内射精された小蒔は文字通り全身が性感帯になっているのである。
そんな身体をぎゅっと上から押さえつけるようにしていればどうなるのかなんて、自明の理だろう。
きっとコイツはそんな刺激だけで快楽を感じ、下手をすればイッているのだ。
京太郎「なんだ。レイプされて悦んでるのかよ。やっぱりマゾだったんじゃないか」
「ちが…っ♪ちぎゃう…っ♪♪ワタシマゾじゃらひ…ぃっ♥♥ニンゲンにレイプしゃれるのなんかキライらぁ…♪♪♪」
そうは言いながらも、コイツの反応はまさにそんなレイプを悦ぶものだった。
何せ、全身で絶頂を表現し、嫌いだというその言葉も甘く蕩けているのだから。
その真正面から顔を見れば、きっと快楽でドロドロになり幸せそうな表情が見れる事だろう。
しかし、こうしてメスへとのしかかるような姿勢ではどうしてもそんな事は出来ず、俺の中に不満の種が生まれた。
「にゃのに…なんれぇ…♪♪なんれイくのオわらないのぉ…♥♥イくタビにドンドンキモチヨクなって…キョウタロウのコトスキになるんだ…ぁぁっ♪♪♪」
京太郎「ぅ…」
そんな種を吹き飛ばしたのは、甘い小蒔の声だった。
それは恐らくコイツにとって意図したものではないのだろう。
本来なら人並み以上にプライド高いコイツがそんな言葉を漏らすはずがないのだから。
しかし、快楽が極限にも近い場所にある今のコイツにとって、身体だけではなく心のタガまで緩んでいるのだろう。
何時もなら決して認めない ―― そして認めても決して口にしないであろう言葉に、俺の中に微かな躊躇が生まれた
「アタママッシロになって…♪♪キョウタロウにウめちゅくされるぅ…♥♥わらひのにゃか…キョウタロウらけになって…カわる…ぅ…♥♥カきカえられりゅうぅ…♥♥♥」
うっとりと呟くその声に俺はどうしたら良いのか分からなくなる。
何せ俺の元々の予定では、このまま適当なところで『もっと酷い事されたくなかったら出ていけよ』と交渉を始めるつもりだったのだ。
これはあくまでもその為の下準備にしか過ぎず、そして結構、酷い事もしているはずなのだが…どうして好きになんてなれるのだろうか。
我ながらかなり最低な事をやっているのに好かれるだなんて正直、考慮していない。
京太郎「ほら…!ここが弱いんだろ…!」
「あ゛ひゅぅぅぅうううぅ♪♪♪」
それに鈍りそうになる身体を叱咤しながら、俺は小蒔のアナルに突き刺さったバイブをぐっと押し込む。
そのままほんの少し角度を変えてやれば、振動するバイブ越しにコリコリとした感触が伝わってくる。
グニグニとしたアナルとはまた違ったその感触は小蒔のお腹側から感じられた。
その下で蠢く硬いモノが作り出す振動までシリコン越しに伝わってくるそれは勿論… ――
「しきぅぅっ♥♥しょこシキュウなのぉっ♪♪」
京太郎「なんだ。ちゃんと分かってるじゃないか」
そう。
そこは小蒔の身体の中でも特に重要な女の部分 ―― すなわち子宮だ。
それをアナル側からぐっと押し込むその感覚に、小蒔の身体は首を振る。
それはまるで狂喜しているようにも、子どもがイヤイヤと必死に訴えているようにも見えた。
京太郎「ここは俺の子どもを育ててくれる…とっても大事でエロい場所なんだってな!」
そんな小蒔の姿に嗜虐心をそそられながら、俺は腰の動きを一段強める。
片手でバイブを固定している為、そうやって激しくするのには結構な力がいるものだった。
そのコストを腰を酷使する事で捻出しながら、俺は激しく奥を突き続ける。
「んきゅぅぅぅぅ…っ♪♪」
まるでそこが俺だけのものなんだって教えこむような動きにコイツは歯を食いしばった。
恐らくそれは俺のモノじゃないとそう訴えようとしているのだろう。
しかし、その歯の間から漏れる嬌声はそれを肯定し、俺の中のドロっとした支配欲を満たしてくれた。
自然、激しくなるピストンに歯の根も緩み、コイツの抵抗は数秒で終わってしまう。
「もぉ…シぬ…ぅ♪♪イくのオわらナきゅて…わらし…ぃ♥♥キモチヨスぎて…シんらう…っ♪♪♪」
京太郎「死にはしねぇよ」
そんな口から漏れる弱音のような言葉に、俺は肯定を返す事はない。
何せ、小蒔相手ならもうちょっと激しい事もやっているのだ。
しかし、彼女はそれを悦ぶだけで死ぬなんて口にした事は…まぁ、数回くらいしかない。
それでも今まで小蒔が死んだりする事はなかったし、きっとこれからもないだろう。
「うしょらぁ…っ♪♪カラダトけれ…もぉ…ワカんにゃい…ぃ♥♥キョウタロウとオモチャしかカンじらいの…♥♥わらひ…もう…コワれちゃっらぁぁ…♪♪♪」
しかし、こう言った経験の少ないコイツにとって、それは未知の領域なのだろう。
普段、小蒔とセックスしている俺にとってはここからが本番だと思うのだが、コイツはそう言葉を漏らす。
そんなコイツに一体、何を言ってやれば一番、辱められるのかを考えながら、俺は腰を振るった。
一度二度と一突き毎に力を振り絞り、パンパンと音をかき鳴らしながら、俺の頭に良いアイデアが浮かぶ。
京太郎「じゃあ…休憩させてやるよ」
「ふぇ…ぇ…♪♪」
そう言って、俺は腰を止め、オモチャのスイッチも切ってやった。
瞬間、振動音も消え、お互いの荒い息遣いのみが聞こえる。
はぁはぁと言葉にも近い勢いで聞こえるそれは俺達の昂ぶりが生半可なものではない事を知らせた。
実際、俺のムスコは後もう少しで二回目の射精へと到達しそうなくらいにバキバキになっていたのである。
「あ…あぁ…あぁぁぁ…っ♪♪」
京太郎「どうした?今の間に、ちゃんと休んでおけよ」
そんな逞しいムスコを肉穴に埋め込められながらの休憩。
そんなものが身体を休められるはずがないのだと俺は知っていた。
何せ、今の小蒔の中はまるで寂しくて仕方がないと言わんばかりに俺のチンポに絡みついてくるのだから。
ピストンしていた時よりも情熱的で、そして淫靡なその動きは肉竿が弄ばれているように感じるくらいだ。
しかし、それでも俺はここで動く訳にはいかず、小蒔の桃尻にぐっと腰を押し付けたまま静止し続ける。
「にゃ…んで…ぇ…♪♪うしょぉ…♥♥そんな事…にゃい…っぃ…♪♪♪」
おれはきっとコイツにとっては焦らされているように感じるものなのだろう。
実際、今まであった快楽の殆どを奪われ、こうして身動ぎすら出来ないように押し付けられているのだから。
勿論、これだけ昂った小蒔の身体は残された快楽だけでも達する事は十二分に可能だろう。
だが、それはさっきまでコイツが感じていたものとは比べ物にならないほど小さなものだ。
常人であれば満足出来るかもしれないが…少なくともそれよりも遥かに凄いものを味わったコイツにとって小さく見える程度のものでしかない。
京太郎「どうかしたのか?」
「はぁ…ぁ♪♪はぁぁ…うう…♥♥」
それが一体、どんな結果を齎すのか俺は勿論、知っている。
しかし、それでも俺はそう白々しく尋ねてやった。
それはコイツは答えず、必死になってその身体を動かして快楽を得ようとしている。
特に力の入らない腰を必死に揺するその様は俺にセックスをねだっているようにしか見えなかった。
京太郎「何やってるんだ。そんな事したら…また気持ち良くなるだろ」
「ふぁぁ…ぁ♪」
そんな小蒔の姿に嗜虐的な笑みを浮かべながら、俺は両手でぐっと腰を押し込んでやる。
背筋さえ使えないように畳へと押し付けるそれにコイツが甘い苦悶の声をあげた。
全身が敏感になっている今のコイツにとって、その程度の刺激でも気持ち良いのだろう。
だが、それ以上を求める事を俺は決して許さなかった。
京太郎「良いから一時間くらい休んどけ。そうしたらもっと気持ち良い事してやるからな」
「イチ…ジカン…?」
そう言い放つ言葉は正直、強がりも良いところだった。
俺も小蒔の肉穴があまりにも気持ち良すぎる所為で早くもまた限界近くまで追いやられつつあるのだから。
今も尚、肉襞がグジュグジュと蠢いて美味しそうにしゃぶってくれるのを感じているのに一時間もこのままでは居られない。
正直、後五分もつかどうかさえ分からないくらいだ。
「そ…しょんなに…イらない…から…ぁ♪♪」
京太郎「じゃあ、三十分くらいにするか」
「それも…な…ナガスぎ…♥♥」
それでもそのブラフは殆ど頭が動いていないコイツにとっては有効に働くのだろう。
甘い声の中に辛さを滲ませながら、俺にポツリとそう伝えてくる。
それでももう我慢出来ないとはっきり伝えてこないのはコイツの中で未だプライドが残っている所為か。
ならば、それを含めて粉々に砕いてやろう。
そう思いながら、俺はそっと口を開き、コイツに向かって疑問を放つ。
京太郎「じゃあ、どれくらい待てば大丈夫になるんだ?」
「もぉ…もうダイジョウブ…らから…ぁ♪♪ウゴいて…イイ…ぞ…ぉ♥♥」
京太郎「おいおい…死んじゃうって言ってたのに、信じられる訳ないだろう?」
勿論、コイツにとってそれ決して嘘じゃないのだと俺も知っている。
尋常ならざる快楽の中、自意識すら歪んでいったのだから、そりゃあ死ぬと感じてもおかしくはない。
けれど、だからと言って俺がコイツに遠慮してやる義理なんて何処を探しても存在しないのだ。
寧ろ、それを上手に扱ってコイツをより辱めるのが俺の目的の為には必要不可欠なのだから。
京太郎「まさか嘘吐いたのか?」
「ち…チガ…ぅ…♪♪うしょじゃ…ない…♥♥」
京太郎「本当か?嘘だって後でバレたら…もうそこでセックス止めるぞ」
そう脅しをかけながら、俺は必死に思考を回した。
ここでコイツがどっちをとるかまでは俺にとっては未知数なのである。
そもそもコイツにとっては全部嘘じゃないのだから、普通に考えれば認めないだろう。
だが、事ここに居たって焦らされているというシチュエーションがコイツの心を揺れ動かしている。
それはこうして沈黙を守りながらも背筋を震わせる小蒔の身体から良く分かった。
「う…嘘…だった…ぁ」
京太郎「だったら、俺に言わなきゃいけない事があるよな?」
「ぅ…ぅあ…ぁ…♪♪」
ポツリと小さく、けれど、はっきりと嘘だと自分の意志を曲げる言葉。
それはコイツにとって快楽の為に自分のプライドを犠牲にしたものだ。
最早、言い訳が出来ないくらいに足を踏み外したその姿に俺のムスコは再び熱くなる。
その熱を愛液でドロドロになった小蒔の中で発散したいが、悲しいかな、まだそれをする訳にはいかない。
コイツのプライドを完全に砕ききってしまうまで…俺は我慢しないといけないのだ。
「ご…ごめんな…しゃい…っ♪♪わらひは…ウソをツきました…ぁ…♥♥キョウタロウに…ウソイってコマらせちゃって…ぃひぃぃい゛いいぃっ♥♥」
それは間違いなく恭順の言葉だ。
俺に傅き、屈服した証なのである。
最初に出会った時からは想像も出来ないその可愛らしい言葉に…俺の我慢が先に砕かれてしまう。
ビクつくムスコでジュプジュプと肉襞を擦り上げ、最奥をズンと突き上げるのだ。
それに合わせてオモチャのスイッチもいきなり中へと引き上げ、さっき以上の快楽を注ぎ込んでやる。
「ふあ…ぁぁっ♪♪セックスぅぅっ♥♥キョウタロウのセックスしゅごいぃぃっ♪♪♪イッシュンれアタマのにゃかキョウタロウらけになったぁぁっ♥♥」
京太郎「嬉しい事…言ってくれるじゃないか…!」
ついさっきまで人間を見下し、プライドの塊であったコイツの言葉に俺の支配欲は充足を覚える。
何とも男冥利に尽きるその言葉に胸の中から愛しさが沸き上がってきそうになるくらいだ。
しかし、俺が今するべきは一時の感情に身を任せて、甘いセックスへと切り替える事じゃない。
コイツが小蒔の身体から出て行くまでに追い詰めてやらなければいけないのだ。
「クヤし…ぃ…っ♪♪クヤしいけど…シンじられにゃいくらいイひぃぃっ♥♥ニンゲンのチンポらのに…ぃ♪♪サカらえないの…ぉ♥♥♥」
そう思って腰を振るう俺の下でコイツはそう言葉を口にする。
セックスを対価に自分のプライドを売ってしまった事がよっぽど悔しかったのだろう。
その言葉は快楽に蕩けてはいるものの、悔しいという感情そのものははっきりと伝わってきた。
だが、それももうすぐ快楽に蕩け、消えていくだろう。
何せ、コイツはもうプライドではなく、快楽を選びとり…自ら淫欲へと堕ちたのだから。
その中でどれだけ言い訳を並べ立て、プライドを堅持しようとしても出来るはずがない。
それをするには小蒔の身体はあまりにも敏感で、そして貪欲なのだ。
「くそ…ぉっ♪♪あろでじぇったい…コロしゅぅ…♥♥コロひて…やるからな…ぁ…♪♪♪」
そう言いながらも、小蒔の腰はフリフリと揺れる。
うつ伏せになった状態で微かに前後に身動ぎするそれは明らかに俺のピストンに合わせていた。
勿論、ろくに可動域を確保出来ない分、その動きは短調で、そこから得られるものも微量だろう。
しかし、そんな快楽であってもないよりはマシだと言わんばかりに小蒔の腰は動き続けていた。
京太郎「じゃあ…ここで止めるか?」
「やらぁ…っ♪♪しょれはヤダぁぁっ♥♥セックスヤめるのは…はんしょくだぁぁっ♥♥」
そんなコイツにとってセックスを止めるというのは耐え難い事なのだろう。
その言葉だけは恐ろしそうに全身を震わせ、必死にそうアピールしてくる。
それならそれで人のことを『殺す』だの言わなければ良いと思うのだが、まぁ、その辺は最後の抵抗と言う奴なのだろう。
折れるギリギリまで追い詰められたプライドが風前の灯のように煌めいているだけなのだ。
「アヤまるからぁっ♥♥ごめんなしゃいするから…ずっとセックスぅっ♥♥セックスイッパイしてぇ♥♥じゅっとキョウタロウとセックス…ぅぅ♪♪♪」
そう思う俺の思考を肯定するようにコイツは素直に謝罪の言葉を漏らす。
そこにはもうプライドなんて欠片もなく、ただただ淫欲に従順なケダモノだけがいた。
恐らく今の状態ならばセックスを引き換えにすれば、俺の言うことを殆ど聞いてくれるだろう。
それこそ…コイツを一生、良いように使ってやる事だって可能かもしれない。
/ ̄ ̄ ヽ, _/\_/\_/\/|_
/ ', \ /
{0} /¨`ヽ {0} < ジャンケンポン! >
l ヽ._.ノ ', / \ .}゙i 「i
ノ `ー'′ '、  ̄|/⌒\/\/⌒\/ ̄ ノ | l | ヽ
/⌒ ⌒ヽ ト、 | | | l { /}
/ /i /ヽ ヽ ヽ ヽ 〈、 i、 | |.ム / !
( 〈.| | \ \ . ヽ ヾ,、_rL | | _r}∠>=‐' /
--- .\\ | \ \/)_ \ : ∵爻、 ヽ |! j゙ソ゛.: . /
/  ̄ ̄ ノ \ 三) ヽ ∵ ヾk l||! _}i}∴ ∵ /
/ ∠_  ̄ ̄ \ ∵{=、, cr炎ro _fiヾk: :/
-- | f\ ノ  ̄`丶. ヽ∠__ノァt-、 /,仝yハ ∠rtゝ-‐ '
| | ヽ__ノー─-- 、_ ) .ゞニヾハ. }K以ムハ //> ′
. | | / / .>、ヽ }ニネネ冫:i/∠、
| | ,' / ./へ\ `ー八‐‐'_/' へヽ
/ / ノ | ,' .〃 >,才¨^¨弋ヽニニヾk
/ / | /
京太郎「(まぁ、実際に…可能かどうかは分からないけど…さ)」
ふと頭に浮かんできたその考えは荒唐無稽もいい所だった。
しかし、これまでのように対処療法的に事に当たっていたのでは何時かきっと誰かが死んでしまうのである。
それを防ぐ為にもコイツを手懐けるのは…多分、そう悪い案ではない。
少なくとも、興奮で頭が一杯になっている今の俺にはそう思えた。
京太郎「(まぁ…その為にも…先に満足させてやらないとな)」
「ぃ゛っぐううぅぅぅぅうぅぅっ♪♪♪」
そう思いながら、俺は手元のスイッチを操作する。
二つのオモチャをMAXにするそれに小蒔の口からメスの鳴き声があがった。
それに合わせて腰がガクガクと揺れるが、俺は一切、躊躇しない。
寧ろ、腰の動きをさらに激しくして、入り口から奥までを一気にチンポで抉り抜くのだ。
「ふりゅえっ♪♪フルえてるぅううっ♥♥ブルブルってチクビじぇんぶぅっ…♪♪♪あにゃるもオクまれぇぇっ♪♪♪」
そう叫び声をあげる小蒔の身体は一体、どれほど感じているのか俺には分からない。
だが、うつ伏せになった状態でも分かるくらいの乳房を震わせ、子宮を裏側からゴリゴリ抉られているその身体がとても感じてくれている事だけは良く分かる。
こうして放っておくだけでも失神しそうなその感じっぷりに俺の唇の端は自然と釣り上がっていった。
「ブルブルがアタマまでキへるぅ…っ♪♪♪アタマのナカまでイキッパナシになりゅぅ…っ♥♥わらひ…もう…チュウドクになる…よぉ…♪♪♪セックスチュウドク…ぅ…♥♥キョウタロウの…セックスバカになりゅぅ…♥♥♥」
そんな俺の前で、そうやって嗜虐心をそそるような言葉を放つのはわざとなのだろうか。
いや、勿論、俺だってコイツがもうそこまで思考が働いていない事くらい分かっているのだ。
そんな風に働いているのだとすれば、コイツはもっと見下したような言葉を放っているであろう。
しかし、もうそうやって意地を張る余地もないくらい、コイツは快楽に蕩け、淫欲に悶えている。
だが、だからこそ、その言葉は俺の心を鷲掴みにし、コイツを完全に自分のモノにしたくなるのだ。
京太郎「大丈夫。俺を信じろ」
「れも…ぉっ♪♪アタマのにゃか…しゅごいのぉっ♥♥グチャグチャにゃのに…キモチイイコトらけワかってぇ…♥♥わらひ…こんにゃの…もう…ぅ♪♪♪」
その詰めをしようと言葉を紡ぐ俺に小蒔の身体はブルブルと震える。
まぁ、実際、会って数時間も経っていないような男を信じろと言われても無理難題だろう。
こういう状況でなければ白い目で見られても文句は言えないような白々しい言葉だ。
しかし、俺の目的の為にもコイツには俺の事を信じてもらわなければならない。
少なくとも…一度はそれを言葉にして貰わなければ、先には到底、進めないのだ。
京太郎「俺の事はキライか?」
「ぅぅんぅ…っ♪♪しゅきぃ…♥♥らいしゅきぃ…♥♥キモチひいコトイッパイしれくれるからぁ…♪♪わらひ…ラブラブ…らよぉ…♥♥」
だからこそ、そう質問を変える俺の前でコイツは素直にそう言葉を漏らす。
それはきっと小蒔が俺に向けてくれるような『好き』とは大きく異なるものなのだろう。
前提にあるのは淫欲であり、好意はそれに付随するものでしかないのだから。
これがもう少し継続的に続けば話が違うかもしれないが、今のそれは淫欲の方が大きい。
しかし、それでもその言葉は俺の頭をクラクラを揺らし…ぷつんと理性の糸を弾けさせた。
京太郎「だったら…安心して俺に任せてくれ…よ…っ!」
「ひあ゛…あ゛ぁぁぁぁっ♪♪♪」
瞬間、俺の心臓から一気にチンポへと血液が流れ込む。
ドクンという脈動を全身一杯で感じるそれにムスコが再び怒張へと姿を変えるのが分かった。
根本から亀頭まで激しい熱に包まれたチンポは急激に敏感になっていく。
まるで射精をより激しくしようとするようなその貪欲さに、俺の全身が燃えるように熱くなった。
「シンじ…りゅぅ…っ♥♥キョウタロウに…マカしぇう…ぅ♪♪らから…もっとキモチヨくしてぇぇっ♥♥ニンゲンチンポでイッパイ…ぃ♪♪おぉひくなったチンポでラブラブセックスしへぇ…っ♥♥」
しかし、小蒔の肉穴も正直、それに負けてはいなかった。
射精の予兆を敏感に感じ取ったのか、その中が急激に熱くなっていくのである。
俺の身体が宿す激しい熱とは違った穏やかで蕩けるようなその熱に俺は耐えられない。
絡みつく肉襞のうねりもまた射精を乞うように激しくなる肉穴を俺はジュプジュプと音をかき鳴らすように激しく犯す。
「あ゛っ♪♪あ゛ぁぁっ♪♪あ゛ひぃ…ぃいぃい゛いい♥♥♥」
それに合わせて喘ぎ声をあげるコイツにはもう言葉を漏らす余裕すらないようだ。
さっきからケダモノじみた叫び声をあげるだけで、決して言葉にはなっていない。
だが、そんな興奮で思考すら投げ捨てたかのような姿が俺の興奮をこれでもかと刺激する。
仮にも自分で邪神と名乗るだけの奴をこんなにさせたのが自分だと思うと胸に満足感が去来するくらいだ。
百合を否定するくずが
京太郎「ぐ…ぅ…!」
そして、その感情を熱く滾った俺の身体はすぐさま快楽へと変える。
ムスコの付け根をゾクゾクとさせるその気持ち良さに俺は反射的に歯を食いしばった。
しかし、どれだけ身体を制御しようとしても、その快楽は止まらない。
俺のムスコの中をぞわぞわと這い上がり、そしてその奥から熱い粘液を呼びだそうとしている。
京太郎「(もう…駄目だ…!)」
もう俺自身にも止められない射精へのカウントダウン。
それが始まった事を本能的に悟った俺の身体がより激しさを増した。
一回ごとに子宮を叩く力強さはそのままに、腰使いの速さを増していくのだ。
自然、パンパンと肉が叩かれるような独特の音が鳴り響き、粘液がかき混ぜられるような音も大きくなる。
今やオモチャの駆動音にも負けないほどになったその音に俺が歯をむき出しにした瞬間、その腰は小蒔から大きく離れていった。
「んあ゛あ゛あああああぁぁっ♥♥♥」
そのままチンポが抜けそうになった瞬間、俺の腰は一気に小蒔の中を突いた。
ズンっと今まで以上の衝撃を与えようとするようなそれが子宮に到達した瞬間、俺は遠くの方で小蒔の嬌声を聞いたような気がする。
いや、恐らくそれは実際に放たれ、俺の鼓膜を揺さぶっていたのだろう。
しかし、今の俺はそれすらも朧気になるくらい強烈な快感で満たされていたのだ。
「れてるぅっ♥♥しゃせぇぇっ♪♪♪じゃーめんぅぅぅっっ♥♥♥」
そうやって嬉しそうに声を漏らす小蒔の中へと精液を放つ度に、俺の身体は快楽の波が這い上がる。
腰から肩までゾワゾワとする感覚は、中々、止まる事はない。
既に一度、射精しているとは言え、俺の精力はその程度では衰えないのだ。
一度目と変わらない勢いで小蒔の中を揺さぶり、穢していく。
「あちゅいっ♪♪しあわしぇ…ぇ♥♥♥」
そんな俺の射精に蕩けた声をあげながら、小蒔の身体はぐったりと脱力していく。
さっきまで快楽に震えていた四肢を畳みへと降ろすようなそこにはまったく力が入っていない。
まるで全身が蕩けきって完全に屈服したようなその姿に俺の興奮はまた熱くなる。
自然、射精の勢いは増して、小蒔の中で何度もチンポを跳ねさせるのだ。
「あ゛ふぁぁ…ぁっ♪♪♪トまんにゃい…ぃ♥♥しゃせーオわんにゃくて…さいこぉ…ぉ♥♥♥」
そううっとりと言いながらも、小蒔の肉穴は熱心に俺へと絡みついていた。
まるで本能的にするべき事が分かっているかのように肉竿へとしがみつき、グジュグジュとそこを舐めてくるのである。
熱い愛液を染みこませようとしているようにも思えるそれに俺は思わず顎をあげ、射精の快楽に浸ってしまう。
その快楽を最も強く受ける腰の部分をガクガクと震わせながら、俺は長い射精の時を楽しんでいた。
「ふあ…ぁ…ぁん…♪♪」
それが終わった頃には周囲はさらに悲惨な事になっていた。
倒れ伏した小蒔の肉穴から収まりきらなかった精液がドロリと染み出していたのである。
お陰で部屋の中にこもる淫臭が一気に強くなり、むせ返りそうになった。
しかし、それでも俺のオスの本能は萎えるどころか、大きく燃え上がり、小蒔の中で反り返っている。
まるでこの鼻につくような独特の匂いが好きで好きで堪らないと言わんばかりのその姿に我が事ながら呆れを感じた。
京太郎「(まぁ…とりあえず休憩させてやるか)」
このまま無理に第三ラウンドを始めても、コイツが満足するだけで俺にとってのメリットは薄い。
勿論、今も滾り続ける欲望をそのまま発散するというメリットこそあるが、俺の目的はそこにはないのだ。
だからこそ、俺は早く次の射精をさせろと訴えるような欲求を抑え、そっと腕をカバンへと伸ばす。
そして、中からタオルを取り出して玉の汗が浮かんだ小蒔の身体をゆっくりと拭いてやった。
「はぅ…うぅん…♥♥」
しかし、今のコイツにはそんな布擦れの感覚さえも感じてしまうのだろう。
背中や腕を拭いてやる度に甘い声を漏らし、時折、四肢を痙攣させる。
まるで今もその中にアクメが流れているのだと言うようなその様はとても素直で愛らしささえ感じるものだった。
それと同時に嗜虐心をそそられる自分を小蒔の慰撫に専念する事で留める。
「は…ぁ…ぁ♪」
そうやって数分も経過した頃、小蒔の口からさっきよりも幾分はっきりした吐息が漏れる。
小蒔の身体は敏感ではあるが、それと同じくらい回復力も高いのだ。
一気に責め立てるくらいじゃなければ失神もしないし、数分も休憩すれば甘い声で俺にオネダリしてくる。
そんな小蒔の身体の中に入っているコイツが幾ら不慣れと言ってもその回復力と貪欲さがなくなった訳じゃない。
こうして身体を拭いている間に幾らか意識もはっきりし始めたのだろう。
「ま…まら…ドロー…だな…♥♥」
京太郎「…お前のその意地っ張りさ加減には正直、感心するよ」
そんなコイツの口から漏れる声はまたさっきのセックスを『引き分け』に持ち込もうとする事だった。
あんなに乱れて、『死ぬ』だの『中毒になる』だの言っていたのに、最初からまったくそんなものがなかったかのようである。
勿論、この期に及んで、まだそうやって張れる意地があるとは正直、まったく予想していなかった。
俺はあの時、プライドを完全にへし折ったと思って…だからこそ、こうしてさっきも慰撫する事に努めていたのだ。
「だ、だから…しょの…つ…ツギは…♥」
京太郎「ん?」
どうやら俺の予想以上に意地っ張りであったコイツをどうしようかと悩む俺の下で小蒔の身体が身動ぎする。
モジモジと身体を左右に揺らすようなそれに自然、挿入されたままのムスコも刺激された。
肉襞にグチョグチョと挟まれるようなその感覚に、亀頭の裏側が強い疼きを覚えてしまう。
しかし、ここで下手に動く訳にはいかず、俺はぎゅっと握り拳を作りながら、冷静を装った。
「マエから…チュッチュってキスしにゃがら…セックスしてホしぃ…♥♥♥」
京太郎「~~っ!」
だが、そんなものは所詮、浅知恵でしかなかったらしい。
ついで放たれる可愛らしいオネダリの言葉に俺の頭の中でプツリと糸が切れた。
瞬間、腰が一気に小蒔の肉穴から離れ、ジュルジュルと淫らな音が部屋に響く。
それに合わせて奥から愛液と精液のカクテルが掻き出されるが俺の身体はもうそんなものでは止まらない。
そのままチュポンと肉棒を引きぬき、小蒔の身体を乱暴にひっくり返した。
「あ…あぁぁ…っ♪♪♪」
瞬間、俺の視界に入ったのは…酷い顔だった。
涙とよだれでグチョグチョになり、汗で髪が張り付いたそこには普段の可憐さは欠片もない。
今も淫欲に溺れ、快楽に蕩けているメスの表情だけがあったのだ。
交わりに満たされながら、けれど、未だ満足しきれていないその表情はまるでオスを誘っているようである。
そう思った途端、俺は我慢出来なくなって、小蒔の唇についついキスをしてしまうのだ。
「んちゅ…ぅ♪♪」
勿論、それは時間の余裕も、精神的余裕もないが故にただのバードキスだ。
唇同士を触れ合わせる程度の軽い交歓である。
しかし、それでも顔がドロドロに蕩けているコイツにとっては効果的だったんだろう。
その目尻を一気にトロンと蕩けさせ、メスの顔の中に夢見心地な感情を混じらせた。
「こん…にゃの…ちゅ…♪♪はんしょく…だ…ぁ…♥♥こんなキスされたら…ん…♥サカらえなく…なっちゃう…ぅ♥♥」
そんな俺に向かって甘く言葉を漏らしながらもコイツは決して俺から逃げようとしない。
ドロドロになった小蒔の顔を慰撫するようなバードキスにはっきりとした喜悦を声に浮かばせるのだ。
聞いているだけで俺の嗜虐心が燃え上がるようなそれに愛液で濡れたムスコがピクピクと揺れる。
しかし、それを未だ小蒔の肉穴に突っ込む事は出来ず…代わりに俺はゆっくりと口を開いた。
京太郎「じゃあ…一つ頼みを…聞いて…くれないか?」
「タノ…み…ぃ…んふ…ぅ♪♪」
バードキスの合間に少しずつ言葉を漏らす俺にコイツはオウム返しのようにそう聞き返す。
その表情には特に嫌そうなものはなく、相変わらず蕩けきったままだ。
それがプライドがへし折れた所為なのか、或いはバードキスが心地よすぎる所為なのかは俺には分からない。
しかし、それでもコイツが聞く姿勢を見せてくれたということに内心、胸を撫で下ろした。
京太郎「これからさ…小蒔の事、護ってやってくれないか?」
「え…?」
そのまま口を離してまっすぐと小蒔を見据える俺に、コイツは唖然とした声を返す。
それも当然の事だろう。
何せ、コイツは自称とは言え、邪神の類なのだから。
本来ならば人間に対して牙を剥くのが仕事である。
そんな奴に対して、人間を護れと言っても、そりゃ理解出来ないだろう。
京太郎「小蒔が精神的に弱るとお前みたいなのがやって来るんだろ?でも…お前は比較的安全な方だ」
そう。
コイツの力は確かに凄いが、俺が見る限り死人は一人もいなかった。
まるで人間なんてそうやって殺す価値さえないというようなその態度はとても子どもっぽい。
それに微かに腹が立つものの、そんな態度に多くの命が救われたのは事実である。
力の規模こそ以前とは比べ物にはならないが、今のコイツは話も出来るし、無闇に人の命を奪おうとしない。
京太郎「だから…小蒔が弱った時にお前が優先的に降りてきてくれると俺が助かる」
「ば…バカか…オマエは…ぁ♪♪」
そう罵る言葉には正直、否定の言葉を返す事が出来ない。
俺自身、それがかなりの賭けである事くらい分かっているのだ。
コイツの力を考えるに今度降りてきた時には大惨事が起こってもおかしくはない。
だが、加速度的に堕ちていくコイツの姿を見て、ふと制御出来るかもしれないと思ったのだ。
ただ、追い出すだけじゃなく…小蒔を護る切り札の一つになるかもしれないと…そう思ったのである。
京太郎「俺もそう思うよ。でも…俺にはお前しか頼れないんだ」
勿論、俺自身も小蒔の事を護るつもりだ。
しかし、今回のように俺と小蒔を引き離されれば、護るどころか暴走の原因になりかねないのである。
その際、何らかの保険になりうる手をとっておくのはそう悪い事じゃない。
いや、これからもアイツは小蒔を暴走させようとしてくる事を考えれば、それは必須と言って良いほどのものだった。
京太郎「その分の対価は俺が頑張って払う。今回みたいに…身体で払っても良いし絶対服従でも良い。だから…何とか頼めないか?」
そう告げる言葉は心からのものだった。
今回は俺がコイツを滅茶苦茶に犯していたが、次は俺が受け身でも良い。
今日の分のストレスを発散するように責め立てられても、俺は小蒔の為なら耐えられる。
その他、命以外のものであれば、俺はコイツに捧げる覚悟が出来ていた。
小蒔が…石戸さんたちを手にかけたりしない為ならば…それくらい安いものだとそう思っていたのである。
「しょんなに…このオンナがダイジらのか…ぁ♥♥」
京太郎「…あぁ。そうだ。…愛してる」
その愛し方は決して人に誇れるものじゃない。
何せ、俺がそんな感情を向けるのは決して小蒔だけじゃないんだから。
それは普通ではないと言われたら、俺は正直、否定しきる事は出来ない。
しかし、それでも…それが俺なりの愛し方である事に疑いはなく、俺ははっきりと頷く事が出来た。
「らったら…わらしも…このオンナくらい…スキになれぇ…♥♥わらひだけ…オマエのコトしゅきなんて…フコウヘイらぁ…ぁ♥♥」」
京太郎「お前…」
拗ねるように口にするコイツの言葉はあんまりにもいじらしいものだった。
どうやら既に淫欲に並び立つくらいまで俺の事を好きになってくれているらしい。
あいも変わらず即効性で強力な自分の能力に呆れと恐れを感じるくらいだ。
しかし、それに負けないくらい俺の胸は熱く、ぐっと力強い興奮が沸き上がってくるのである。
京太郎「…お前の事も大好きだ。愛してる」
「んひゅうぅぅううぅっ♪♪♪」
その言葉は決して嘘偽りでも、ただの睦言でもなかった。
プライド高く、意地っ張りで、けれど、変なところで素直なコイツを俺はそれなりに気に入っていたのだから。
だからこそ、俺は躊躇いなくコイツの耳元でそう囁き、半開きのままピクピクと蠢いた肉穴に一気にムスコを突っ込む事が出来た。
それに全身を歓喜と快楽で震わせながら、小蒔の身体がぎゅっと抱きつき、俺を離すまいとする。
「ま…まじゅはマエバラいで…イッパイ、ザーメンをモラうからな…ぁ♥♥」
京太郎「あぁ。まだまだイケるから…覚悟しとけよ」
「ふにゃあぁぁああぁっ♥♥♥」
そう上から目線で言いながらも、俺が少し動いただけでコイツはメスの鳴き声をあげる。
媚びと陶酔まみれのそれに俺の嗜虐心もついに振り切り、ついつい手元のスイッチを弄ってしまった。
結果、再び小蒔の身体で蠢き出すオモチャに、コイツはあっさりとアクメへと突き上げられる。
俺に抱きついた身体をブルブルと震わせながら何度もオルガズムを伝えるその様はあまりにも可愛くて… ――
―― 結局、コイツが失神するまで俺たちはノンストップで交わり続けたのだった。
………
……
…
―― その日の私はきっと緊張していたのでしょう。
久しぶりの里帰り ―― しかも、滅多にないお父様からの呼び出し。
それに、私は少し…期待を抱いてしまっていたのです。
もしかしたら…お父様に会えるかもしれないって…頑張ってる私を褒めて下さるんじゃないかって…そう期待していたのでした。
けれど…実際、部屋へと呼び出されたのは京太郎様だけで、私たちは待機を命じられたのです。
―― それが退屈だと思わなかったのは…きっと皆が居てくれていたからなのでしょう。
私だけが先に長野へと転校してしまった関係で…正直、少し不安でした。
もしかしたらぎくしゃくしてしまうんじゃないかって…そう不安に思ってしまったのです。
そんな自分を情けないと思いますが…今まで霞ちゃんたちとこんなに長い間、離れた事なんてなかったのです。
しかし、久しぶりに会った皆の姿は変わらず、私の馬鹿げた不安を消し飛ばしてくれました。
だからこそ、私は緊張するお屋敷の中でもいつも通りに ―― 京太郎様が来る前のように和やかに会話出来たのです。
―― それでも…私はきっと内心、落ち着けていませんでした。
だって、そうやって和やかに話している一方で京太郎様はお父様に会っているのですから。
実の娘にも厳しく、そして鋭いお父様の言葉に傷ついていたらどうしよう。
或いは京太郎様がお父様のお眼鏡に適わなかったらどうしよう。
そんな不安が胸をつき、茶菓子を食べながらも、ついつい扉の方へと目を向けてしまうのです。
自然、そんな私を霞ちゃんたちはからかいながらも、「きっと大丈夫」と励ましてくれていました
気持ち悪い
は
―― それが変わったのは十数分も経った頃でしょうか。
突然、私宛に手紙が来たと一人の巫女さんが客間へとやってきたのです。
それを受け取った瞬間、私は猛烈に嫌な予感を感じました。
まるでこの中を見てはいけないと第六感が訴えかけるような感覚に、私は数秒ほど躊躇したのです。
しかし、心配する霞ちゃんたちの前で、それを開けない訳にもいきません。
そう意を決して封を開いた私の目に飛び込んできたのは…私とは違う女性とホテルへと入っていく京太郎様の姿でした。
―― それがどういった意図で作られたホテルくらい私にだって分かります。
だって、京太郎様は以前、一度、そこに私を連れてきてくれたのですから。
欲求不満で我慢出来なくなった私が思いっきり発散出来るようにそこへと導いてくれていたのです。
そんな場所に京太郎様が連れ立って入っていくのは…何度見ても私ではありませんでした。
どれだけ見返しても…それは部活仲間の原村さんであり…かつて対局した上重さんだったのです。
―― その瞬間、霞ちゃんたちが何かを言っている事くらいは理解出来ました。
けれど、私は目の前の写真に打ちのめされ、その言葉が頭の中には届きません。
まるで世界の全てを拒絶するように、私は心を閉ざしていたのです・
しかし、それでも私の視線はその写真から外れず…そして胸の奥底から強い感情の波が沸き上がってきました。
それが一体…何なのか私自身にさえも判別がつきません。
悲しいのか、悔しいのか、或いは…嫉妬しているのか…京太郎様に裏切られたと思っているのか。
ただ、はっきりしているのは…その強い感情の波は私の心に大穴を空け…普段は弾けている悪いものを招き入れてしまうのです。
反省しろ
―― …それはきっと…かなり強いものだったのでしょう。
その瞬間、逸話に名を残す『名有り』ほどではなくても、その直属の部下か親族くらいの力を感じたのです。
それほどの力を持つものが降りてしまったら…この辺り一体が大惨事と化してしまうでしょう。
それこそお父様や…霞ちゃんたち…そして…京太郎様だって…死んでしまうかもしれない。
そう思いながらも…私は…それでも良いと…一瞬、そう心の中に思い浮かべてしまったのです。
―― 京太郎様や霞ちゃんたちと一緒に死ねるなら…それで良いって…。
勿論、それは愚かの一言に尽きる考えでしょう。
そんな風に一緒に死ぬなんて私の我侭以外の何物でもないのですから。
皆を大事に思うのであれば、寧ろ、皆で一緒に生き抜く選択肢をギリギリまで模索するべきだったのでしょう。
しかし…そうと分かりながらも…私は…どうしてもその気持ちを否定しきる事が出来ませんでした。
もう良いって…要らないんだって…自暴自棄に近い感情を抱いてしまっていたのです。
―― だって…私の一番、大事な人は嘘を吐いていたのです。
私だけだって…大好きだって…愛してるって。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も…そう言ってくれたはずなのに…京太郎様は原村さんにも手を出していたのです。
それは能力の副作用を抑える為に仕方なく…なのかもしれません。
ですが…それだけなら、こうやって私にひた隠しにはしないでしょう。
確かに嫉妬くらいはするかもしれませんが…決して納得が出来ない訳じゃありません。
感情的にはどうであれ理性はそう理解する事が出来ているのです。
それでも…そうして私に隠し続けたのは…それがやましい事だからなのでしょう。
―― 騙していたんですか…?皆で…私の事…笑っていたんですか…?
原村さんの事は…私はお友達だと思っていました。
特訓に付き合って…一杯、お話もして…少しずつ打ち解けられたと思っていたのです。
しかし、彼女は私に黙って…京太郎様と淫らな施設を利用していました。
私が…京太郎様の婚約者だって知っているのに…裏では愛を語り合っていたのです。
もしかしたら…二人とも…陰では私の事を嘲笑っていたのかもしれません。
―― それなら…それなら私…あんまりにも…惨めじゃないですか…。
勿論…私の知る二人はそんな酷い事をする人じゃありません。
原村さんも京太郎様もとっても優しくて…暖かな人なのですから。
私が自分のトラウマと向き合う事が出来、今までずっと振り回されていた力を使いこなす事が出来たのは根気よく特訓に付き合ってくれた二人のお陰でしょう。
しかし…その写真は…私の知らない二人の姿を映しだしたものなのです。
私に秘密で…身体を重ねたであろうその写真を見て…完全に信じきる事なんて出来ません。
―― っだったら…だったら…私…っ!!
その不信感を苛立ちに変えた瞬間、私の身体は完全に『何か』に飲まれてしまいました。
ここ最近…完全に制御できていたなのに…私はまた悪いものを降ろしてしまったのです。
自然、私の意思とは無関係に身体が動き出し…意識が暗い闇の底へと沈んで行きました。
―― それから何が起こったのか私には詳しく分かりません。
けれど、そんな愚かな私を必死に霞ちゃんたちが助けようとしてくれているのは分かりました。
恐ろしくも強大な相手に立ち向かい、私に呼びかけ続けてくれていたのです。
それは混濁した意識の底に横たわる私にもはっきりと聞こえていました。
けれど…それでも私の意識は縛られたように動かなかったのです。
無力感と悲しみに打ちひしがれ、無気力へと陥った私には意識の奥へと引きずり込む力の奔流に抗う事は出来なかったのです。
―― だから…結局…皆…。
私に降りた『何か』は予想通りとても強力なものでした。
その力に触れただけで人は意識を失い、近づく事もままなりません。
振るう力も今までの比ではなく、易々と壁を『引き裂く』くらいでした。
そんな『何か』に霞ちゃんたちは諦めずに立ち向かってくれましたが…一人また一人と倒れていったのです。
―― それを意識の奥底で感じても…私の意識は気力を取り戻す事が出来ませんでした。
霞ちゃんたちの事は…とても大事です。
この力の所為で一杯、迷惑を掛けてしまいましたが…お友達だってそう思っているのですから。
しかし、そんな彼女たちが力に飲まれ、倒れていっても…私は悲しいと思うだけで抗う気力を取り戻す事が出来ません。
心の中に空いた大きな穴から気力が流れ出るように…私は何もする気が起きなかったのです。
―― そんな私に届いたのは…京太郎様の声でした。
「あ、あのさ…」と微かに震えるその声を私が聞き間違うはずがありません。
例え、地獄の底に居たって…私は愛しいその声を聞き取る事が出来るでしょう。
しかし、それが今の私にとって喜びを齎すかと言えば…決してそうではありませんでした。
不信感や苛立ちと言った負の感情で満たされた今の私にとって…それは胸を苦しくするものだったのです。
何時もなら…その声が聞こえるだけで嬉しくって笑みを浮かべてしまいそうなのに…今は辛くて仕方がありませんでした。
―― じゃあ、コイツをコワしてやる。
瞬間、私に憑いた『何か』は、意識の底に沈む私にそう言い放ちました。
恐らく…今まで倒れていく霞ちゃんたちにさえろくに反応を見せなかった私の感情の波を感じ取ったのでしょう。
ニヤついたその冷たい笑みはぞっとするほど恐ろしく…そして我慢出来ないものでした。
裏切られたと…悲しいと思いながらも…私は未だ…京太郎様を愛しているのでしょう。
今まで私の心に満ちていた無力感を跳ね飛ばすように抵抗を始めたのです。
―― ですが…予想以上に『何か』は強くて…。
これが最初からずっと抵抗を続けていれば、また違ったのかもしれません。
もしかしたら自分の身体の支配も幾つかは取り戻せていたかもしれないのです。
ですが、私は感情へと沈み、そうやって努力し続ける事を放棄していました。
結果、霞ちゃんたちが傷ついた罰だと言わんばかりに『何か』の強大な力が京太郎様へと伸びて… ――
―― けれど…それが京太郎様に触れる事はありませんでした。
『呪い』という言葉でさえもまだ足りない恐ろしい闇の力。
さっきまでの戯れに振るわれていたものよりも遥かに強く、そして濃いそれは、何かを壊し、殺す為のものでした。
しかし、それは後少しで京太郎様に触れるところで、すっと私の中へと戻ってくるのです。
まるで興味を失ったと言うようなそれに、悲鳴をあげる寸前であった私には理解が追いつきませんでした。
―― しかし、それでも、私は自分の身体が欲情している事を感じ取ったのです。
意識の底に横たわり、身体の感覚が薄れた私にもはっきりと伝わってくる欲情。
それは私の身体が京太郎様へと会ってしまったからなのでしょう。
何せ、私は京太郎様のお顔を見るだけで発情してしまう淫乱妻なのですから。
あんまり求めすぎて幻滅されるのがイヤなので普段は出来るだけ抑えていますが…私の本性はとっても淫らなのです。
それこそ京太郎様に会っただけで身体がエッチの準備を始めてしまうくらいに…私の身体はもう京太郎様の虜になっていたのでした。
―― それに『何か』は耐えられなかったのでしょう。
日常的にその疼きを抑えている私は自制の仕方を知っています。
しかし、そうやって何かを我慢したことのない『何か』にとって、それは耐え難いものだったのでしょう。
さっきまでの殺す気であった相手へと向ける身体の欲求に、困惑しながらも屈したのです。
身体の求めに少しずつ応じるように、『何か』は私の身体を京太郎様へと近づけていきました。
―― で、でも、ここは流石にまずいですよ…!!
今にも始めてしまいそうな『何か』に私は意識の底でそう叫びました。
何せ、私の周りには霞ちゃんたちが今も倒れ伏したままなのです。
この『何か』の力が強大とは言え、ここでエッチし始めれば起きてしまう事でしょう。
京太郎様との交歓は頭がおかしくなりそうなくらいに気持ち良いものなのですから。
声を抑えるとかそんな事を考えられない状態になり、京太郎様に教えこまれた淫語を放ってしまうのです。
それはきっと倒れ伏す霞ちゃんたちが起きてしまうのには十分過ぎるものでしょう。
―― それに…ここじゃ京太郎様も満足に出来ないですし…。
そう付け加える私の言葉に『何か』は渋々と従ってくれました。
ここで霞ちゃんたちを殺すと言った方向に進まなかった『何か』に私はそっと安堵を浮かべます。
『何か』がそれに気付かなかったのか、或いはそうするのが面倒だったのかは分かりません。
しかし、グイグイと京太郎様を引っ張り、元の客間へと戻ろうとするその思考にはもう誰かを害そうとするものはなかったのです。
―― それから始まるセックスを感じるのは…とても微妙な気分でした。
甘いキスからペッティング、そしてオモチャ責めからセックスへ。
勿論、受け攻めを途中で何度か切り替えるそれは細部がかなり異なります。
ですが、大筋では…私が普段、京太郎様としているそれと殆ど変わりがないものだったのです。
勿論、その身体は私のものであり、それが一番、適しているのでしょう。
実際、意識の底にいる私にもはっきりと伝わってくるくらいに、そのセックスは気持ちの良いものでした。
幾らか、その快楽に慣れている私が主導権を握っていたとしても、きっとアヘアヘになっちゃって京太郎様で一杯になってしまうと…そう思うくらいに。
―― ですが…そうやって私の身体を動かしているのは私ではないのです。
その身体は私のものですが…けれど、厳密には私ではありません。
それを支配しているのはあくまでも別の『何か』なのです。
そんな事は京太郎様も分かっているはずなのに…私相手の愛し方とあまり変わってはいません。
普段以上に意地悪ではありますが…それは私に憑いた『何か』が必要以上にプライド高く反抗的だからでしょう。
それが…私にとって胸が押しつぶされるほどに辛く…そして苦しい事でした。
だって…この『何か』はまだ…京太郎様に会って数時間も経っていないのです。
それなのに…私と同じ愛し方をされたら…まるで私もその程度の価値しかないように思えて仕方がありません。
―― イヤです…そんなの…イヤです…っ!
けれど…そんな京太郎様を…私はやっぱりどうしても嫌えません。
そうやって『何か』を私と同じように扱う様を見ても…嫌いという気持ちは何処を探しても出てこないのです。
寧ろ、私の心は京太郎様への愛しさを強く意識し、そして痛みを強めていました。
捨てられたくないって…私を見て欲しいって…そんな感情を微弱な快楽では誤魔化す事は出来ません。
結果、私は幾度となく絶頂に突き上げられる身体の奥底で嘆き…そして苦しんでいたのです。
―― そんな私を知らず…京太郎様はちゅっちゅって…恋人みたいなキスを繰り返して…。
その優しいキスに私の心は張り裂けそうになりました。
だって…そんな風に優しくされるべきは私であるべきなのです。
京太郎様の婚約者であり…誰よりも想っている私であるはずなのです。
しかし…それを受けているのは私の身体ではあれど…『私』ではありません。
そのもどかしさに私の辛さは臨界点に達し…心が押しつぶされて死んでしまいそうになりました。
―― だからこそ…その言葉は私に強い驚きをもたらしました。
「これからさ…小蒔の事、護ってやってくれないか?」と優しく私に告げられた京太郎様の言葉。
その意味を私は最初、ちゃんと理解する事が出来ませんでした。
だって、その言葉はあまりにも突然で、意外で、そして何より暖かなものだったのです。
ついさっきまで私を差し置くように二人の世界に没頭し、激しいセックスを繰り返していた人が放ったとは思えません。
それは私の身体に憑いた『何か』も同じだったらしく、快楽に蕩けた疑問を胸中に浮かべたのが伝わってきます。
―― そんな私の為に…京太郎様はなんでもすると言って下さって…。
そこで私は京太郎様がずっと私の為に動いて下さっていた事を悟りました。
私がまた暴走して誰かを傷つけない為に…この邪神を調伏しようとしてくれていたのです。
自らの身体すら差し出して取引しようとするそれは…まさしく愛なのでしょう。
だって、京太郎様にそんな取引をするメリットなんてありません。
私のことをどうでも良いと思っているのであれば、適当に『何か』の相手をして時間を稼ぐだけで良いのですから。
しかし、私の愛しい人は…時間を稼ぐのでも、追い出すのでもなく…私の事を考えて身を差し出そうとしてくれているのです。
―― 私は…何て愚かだったんでしょう…。
そこまで私のことを考えてくださっている人を…私は疑っていたのです。
裏切っていたのだと…内心、嘲笑っていたのだと…そう不信を抱いてしまったのです。
ですが…その人は寧ろ、私の為に犠牲になる事も厭わず…恐ろしい力を持った『何か』に取引を持ちかけてくれているのでした。
それほどまでに私を愛してくれている方を一時でも疑い…こうして邪念に身を任せた自分に強い自己嫌悪が沸き上がってくるのです。
―― ごめんなさい…京太郎様…っ。
私が京太郎様を想っているのと負けないくらい…大きくて暖かな…愛情。
それに私は意識の奥底で涙を流しながら、そう謝罪を繰り返しました。
けれど、未だ私の身体の制御は、この名も知れぬ『何か』が握り続けているのです。
その言葉はどうしても声にはならず、暗い闇の底で反響を繰り返すだけ。
それでも謝罪を止められない私の身体で『何か』は再びセックスをオネダリし、京太郎様も欲望へと飲まれていくのです。
小蒔「ふぁ…ぁ…♥♥」
それが終わった頃には、私の身体はろくに動きませんでした。
全身がイッた後特有の倦怠感が巻き付き、まるで鉛で出来ているようなのです。
時折、ピクリと跳ねるような動きを見せますが、それは所謂、生理的反応の一種であり、私の意図したものではありません。
その口から漏れるのも気怠げな吐息だけで、私は言葉ひとつ紡ぐ事が出来ませんでした。
京太郎「大丈夫か…?」
そんな私に気遣うように聞いてくれる京太郎様の顔すら私は見えません。
繰り返されるオルガズムに白濁した視界は朧気で、また漏れ出た涙が私の視界を滲ませていたのです。
お陰で京太郎様が何処にいるのかまったく分からず、今の私がどんな状態なのかも分かりませんでした。
しかし、それに心細さを覚えなかったのは私の身体を抱えるような心地良い暖かさとその優しい声の近さのお陰でしょう。
すぐ傍に京太郎様が近くに居て下さっている事を教えるそれらに…私は安心して絶頂の余韻に身を任せる事が出来たのです。
小蒔「(あぁ…私……♪♪)」
ようやく表層へと戻ってこれた事に、私は震える胸の中を歓喜で満たしました。
これまで意識の奥底へと押し込められていた私がようやく身体の主導権を取り戻す事が出来たのです。
それは私が何かを頑張ったというよりは、京太郎様のセックスに『何か』がついていけなくなったからでしょう。
高まる一方の快楽に『何か』は失神し、代わりに私がこうして表に出られるようになったのです。
小蒔「(色々と言いたい事がある…のに…ぃ♥♥)」
しかし、私はそれをすぐさま言葉にする事が出来ませんでした。
私の意識そのものはまだ元気とは言え、身体の方はそうではないのです。
一度、失神してしまうほど追い詰められ、昂ぶらされた身体はまだまだ休養を必要としていました。
そのもどかしさに不満を覚えながらも、私はジワジワと染みこむ快楽に意識を侵食され、絶頂直後の甘い陶酔に身を委ねるのです。
小蒔「(そんな私を…♥♥京太郎様が優しく拭いて下さって…♥♥)」
汗を始めとする体液で私の身体はグチョグチョなのです。
イキ狂い、アヘアヘになった身体は色々なものをお漏らししているのですから。
汚れていない部分を探すほうが難しいくらいなそれは平静であれば不快感を覚えるのでしょう。
しかし、今の私にとってそれよりも遥かに快感の方が大きく、不快感など感じる余地などなかったのです。
小蒔「んぅ…ぅ♪♪」
けれど、そうやって私の身体を慰撫するような京太郎様の仕草が嬉しくないはずがありません。
私が少しでも不快感を感じる事がないように、と優しく拭いてくれる度に私は愛しさで目尻を潤ませてしまうのですから。
それさえも丁寧に拭きとってくれる京太郎様の手つきは暖かく…そして敏感になりすぎた身体には快楽として伝わるのです。
それに身体をピクンと反応させながらも、私は世界で一番、愛しい人に身を委ねていました。
小蒔「(こんな風に…♪私の事を大事に想ってくれている人を疑っていたなんて…♥♥)」
京太郎様がそうやって私のことを慰撫してくれるのは別に今回が始めてではありません。
いえ、ほぼ毎回、失神してしまう私の代わりに、何度も後始末をしてくれていると言っても良いくらいです。
汗や潮、唾液だけではなく、おしっこなんかも含まれる後始末を毎回、進んでしてくれるのはそれだけ京太郎様が私の事を大事に想ってくれているからでしょう。
しかし、あの時の私はそれさえも忘れて…ただただ暴力的な感情に身を委ねてしまったのです。
小蒔「(でも…お陰で一つ…私は思い出す事が出来ました…ぁ…♥♥)」
そんな自分に情けなさを感じる一方で…私は一つ大事なことを思い出しました。
私が京太郎様の事を好きになったのは別に能力の影響があったからなどではありません。
原村さんや上重さんは知りませんが…私が京太郎様の事を好きになったのは能力を受ける前だったのです。
その優しさと暖かさに惚れ込んだからこそ…私は京太郎様に身を捧げたいと…そう思ったのでした。
今まで恋も愛も知らなかった私がそこまで好きになった人が、私の事を裏切るはずがありません。
原村さんと関係を保ち続けていたのを黙っていたのも、きっと何か事情があったからなのでしょう。
小蒔「ごめん…なしゃい…ぃ…♥♥♥」
京太郎「ん…」
それに思い至るのがもっと早ければ…こんな騒動なんて起こす事はなかったでしょう。
その気持ちを込めて放った私の謝罪の言葉は掠れて、そして蕩けきっていました。
しかし、それでも京太郎様は暖かな言葉を返しながら、私の頭をそっと撫でて下さるのです。
まるで気にしないで良いと言ってくれているようなその手つきに私は胸を締め付けるような自己嫌悪の感情を緩ませました。
勿論、その感情が完全に消え去った訳ではありませんが、さっきのような苦しさを感じる事は殆どなかったのです。
京太郎「俺の方こそ黙っててごめん。小蒔を信じていれば…こんな事にはならなかったのにな」
小蒔「そん…にゃ…事ぉ…♪♪♪」
そんな事はありません。
私がもっと京太郎様に対して揺るがない信頼を維持できていれば、身体を乗っ取られる事もなかったのです。
逆に私がちゃんと京太郎様に信頼されていれば…こうして原村さんとの事を秘密にされる事はなかったでしょう。
しかし、その言葉は未だ快楽に蕩ける私の身体をはっきりと声にしてはくれません。
そのもどかしさに胸中で身悶えしますが、さりとて、こればっかりはどうしようもなく、身体が落ち着くまで待たなければいけませんでした。
小蒔「(…でも…どうして…でしょう…?)」
瞬間、私の頭の中に浮かんだその疑問は、京太郎様の言葉が何もかも知っているようなものだったからです。
まるで私がまた乗っ取られてしまった理由を知っているようなその言葉は私に嫌な予感をもたらしました。
ついさっきの第六感的なものではなく、今までの状況全てを繋ぎ合わせた結果、生まれるその予感に私は内心、首をひねります。
しかし、快楽で胡乱になったままの思考ではその答えは出せず、私は大きく息を吐きながら、回復に専念していました。
小蒔「京太郎…様…ぁ♥♥」
そうやって私が愛しい人の事をちゃんと呼べるようになった頃には視界も晴れていました。
自然、私をお姫様抱っこするような姿勢で座る京太郎様の姿が視界に入り、私の胸が愛しさにキュンキュンと唸ります。
そのまま愛しさは興奮へと変わり、私の子宮をジュンと蕩けさせるのでした。
まだ満足していないと訴えるようなその子宮の衝動に身を委ねたくなりますが、そうなると今まで後始末してくれていた京太郎様の努力が無駄になるのです。
そう思うとその衝動を押さえ込むしかないのですが…正直、今の状態でそれが出来るか自信がありませんでした。
小蒔「ぎゅって…してください…♥♥壊れそうなくらい…ぎゅって…ぇ♥♥♥」
京太郎「…分かった」
小蒔「はぅ…ぅぅ…♥♥♥」
それほどまでに愛しさを強める身体を抑える為に、私はそう京太郎様にリクエストします。
それに愛しい人はすぐさま応え、私の身体を強く抱きしめてくれました。
未だ倦怠感の残る身体をぎゅっと挟み込むようなそれに私の身体は強い歓喜の波を湧き上がらせます。
荒れ狂う海のような激しい波に私の身体はブルブルと震え、愛しさを強めました。
それを京太郎様へと返すように私もまたその逞しい身体を抱き返し…私たちは数分ほど無言で抱き合い続けたのです。
小蒔「えへへ…♥やっぱり…京太郎様は最高です…♥♥」
それに耐えられなくなったのは私の方が先でした。
そうやって無言で抱き合ったままというのは至福の時間ではあるのですが、あまりにも心地良すぎるのです。
イき過ぎて疲れた身体はそのまま眠りこけてしまいそうになるのですから、あんまり無言ではいられません。
それに…そうやって紡ぐ言葉は決して嘘ではなかったのです。
京太郎「いや…でも…」
小蒔「…良いんです…仕方のない事だって分かってますから」
そんな私の言葉に京太郎様が否定の意を見せようとするのは、私に黙って原村さんと関係を持ち続けていたからでしょう。
ですが、それくらいではもう私の中で京太郎様の評価は揺るぎません。
確かにショックであったのは事実ですが…私にとって京太郎様はもうかけがえのない存在なのです。
世界中の誰相手にでも自信を持って誇れるその人を、私は心から『最高』と言い切る事が出来るのでした。
小蒔「それに…多少の浮気くらい大目に見るのが妻の務めだとも思いますし」
そう口にするのは勿論、冗談です。
本当は浮気なんかして欲しくありませんし、想像しただけで泣きそうになるのです。
ですが、それを京太郎様に口にしたところで、困ってしまうだけなのは目に見えていました。
そうやって複数の女性と関係を持っている事に一番、悩んでいるのは多分、京太郎様なのです。
京太郎様は自分の能力をどうにかする為に鹿児島までやってきたのですから。
学業や部活まで放り出して原村さんたちの為にがむしゃらに行動した心優しい京太郎様が今も能力の犠牲にしている事に心痛めていないはずがありません。
小蒔「あ…でも…ずっと許す訳じゃないんですからね。結婚したら控えてくれないと…子どもの教育にも悪いです」
京太郎「は、はは」
それでもそう釘を刺す私に京太郎様は乾いた笑いを見せました。
それは結婚という段階まで話を飛躍させ、子どもまで生んだ未来予想図を語ってしまったからなのでしょう。
多分、あまりにも先過ぎて、京太郎様にとって実感が沸かないのです。
とは言え、京太郎様は私の婚約者な訳ですし、その辺りはちゃんと自覚を持ってもらわないと困ります。
もう京太郎様以外に嫁ぐ気などなくなるくらいに…私のことを虜にした責任は必ずとってもらわないといけないのですから。
京太郎「でも…俺が小蒔を傷つけたのは事実だ。だから…なんでも言う事を聞くぞ」
小蒔「なんでも…ですか…?」
京太郎「あぁ」
そう思う私の前で京太郎様はその表情を真面目なものを切り替えました。
そのまま何でもと口にするその言葉には私に対して贖罪しようという意識が強く感じられます。
とは言え、京太郎様にそうやって償うほどの非があるとは私にはどうしても思えません。
それよりもここで償うべきなのは多くの人に迷惑を掛けてしまった私の方でしょう。
小蒔「(でも…それを言ったら逆に京太郎様を困らせてしまいますよね…)」
京太郎様は私に対して償いたいと思って下さっているのです。
それは勿論、私の為ではありますが、自分で納得する為でもあるのでしょう。
そんな京太郎様に、『私の方が償いたい』と言ってしまったら、その気持ちは行き場をなくしてしまいます。
同じ気持ちを抱えている私にとって、それは決して気持ちの良いものではない事くらい分かるのでした。
小蒔「じゃあ…私のこと着替えさせてください」
京太郎「…そんなので良いのか?」
小蒔「はい。それで…私は十分です」
不思議そうに京太郎様が尋ねてくれるのは、それがあまりにも無欲な事だったからなのでしょう。
とは言え、京太郎様と同じように負い目を抱える私にとって、あまり大きな事を要求する事は出来ません。
そもそもそうやって京太郎様に要求すること自体、私にとって心苦しい事なのですから。
頭ではもっと手を取るような事を強請った方が京太郎様にとっても良いと分かっていても、それを言葉にする事は出来ませんでした。
ジャアアアアアアアアアアアアアアップwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
はまともにディベートも出来ないのかよww
小蒔「(それに…大抵の事はこうした機会がなくても叶えてくださいますし)」
京太郎様はとても優しくて、懐の大きな人です。
私がお願いした事はよっぽど無理でない限り、希望通りにしてくれているのでした。
そんな人に「なんでも言う事を聞く」と言われても、正直、ぱっと思いつきません。
私のして欲しい事はその都度、京太郎様に叶えて貰っているのです。
京太郎「分かった。でも、その為には離れないとな」
小蒔「あぅ…」
そんな私にそう優しく言って頭を撫でてくれる京太郎様の前で私は小さく声をあげました。
確かにこうして抱き合ったままでは着替える事は出来ません。
京太郎様がどれだけ器用な人だと言っても、密着した状態で服を着せるというのはまず無理でしょう。
しかし、そうと分かっていても、今の私は京太郎様から離れがたいと思っていました。
紆余曲折を経て愛を深めた私はもっと愛しい人の事を感じていたかったのです。
小蒔「もうちょっと…このままじゃダメですか…?」
京太郎「この甘えん坊め」
小蒔「えへへ…♪」
そうオネダリする私の言葉に京太郎様は優しく微笑んでくださいました。
そのままガシガシと私の髪を撫でるその手はさっきより力強いものです。
きっと今の私の髪は京太郎様に滅茶苦茶にされてしまっているのでしょう。
しかし、京太郎様にされるのであれば、そうやって髪が滅茶苦茶になるのも心地の良いものだったのです。
小蒔「でも…ここまで甘えるのは…京太郎様だから…ですよ?」
勿論、私は霞ちゃんたちと比べるとしっかりしているという訳ではありません。
寧ろ、皆に色々と助けてもらっている側なのです。
しかし、それでもここまで子どものように甘えるのは相手が京太郎様だからです。
愛しくて暖かな人だからこそ…私は安心して身を委ねる事が出来るのでした。
京太郎「分かってる。小蒔は俺の事大好きなんだよな」
小蒔「いいえ…私は…心から京太郎様の事を愛してます…♥」
冗談めかして答える京太郎様に私は小さく微笑みながら、そう言葉を返しました。
以前までの私であればきっとそうやって言い切る事は出来なかったでしょう。
無論、京太郎様の事は大好きでしたが、それが『愛』であると言い切るほどの自信はなかったのです。
しかし、今の私の中で、その感情は愛だと信じて疑わないほどに高まっていました。
誰に対しても自信を持って言い切れるくらいに…それは力強くも暖かなものだったのです。
京太郎「…小蒔にそこまで言ってもらえるなんて俺は果報者だな」
小蒔「あふ……♪」
そう言う京太郎様の顔は嬉しそうに綻んでいました。
その言い回しは冗談めかしたものではありますが、きっと心から喜んで下さっているのでしょう。
そう思っただけで私の胸はトクンと脈打ち、全身が微かに熱くなるのです。
喜悦混じりのその興奮に私が思わず声をあげた瞬間、京太郎様はキッとその表情を引き締めました。
京太郎「だから、もう少し待っててくれ。そこまで言ってくれた小蒔の為にも…ちゃんとどうにかしてみせるから…さ」
小蒔「はい…っ♥」
その言葉は漠然とし過ぎて一体、何を指しているのか私には分かりません。
以前、約束したプロ入りの件なのか、或いは原村さんとの関係なのか。
しかし、そのどちらであっても私の心は揺るぎません。
京太郎様が私の為にして下さる事が悪い事なはずないのですから。
今回の事で信じる事の大事さを思い知った私にとって…それは一々、聞くような事ではなかったのです。
小蒔「でも…私に出来る事はなんでも言ってくださいね?」
勿論、私に出来る事なんてたかが知れています。
私は所詮、ちょっと変な力を持っただけの少女に過ぎないのですから。
しかし、妻とは夫を支えるものであり、また私は何れ京太郎様の妻になる身なのです。
例え、微力であっても京太郎様に心から尽くすのが私の使命であり、義務でしょう。
京太郎「じゃあ、着替える為にちょっと離れて貰って良いか?」
小蒔「ぅ…まだもうちょっと…ダメですか?」
そんな私に冗談めかして言う京太郎様の言葉に私はモジモジと身体を揺すります。
まだ延長を口にしてから数分しか経っていないのですから。
私の意識はまだまだ京太郎様成分を補給しきってはおらず、愛しい殿方に飢えているのです。
そんな状態で京太郎様を取り上げられてしまったら、寂しくて身体が震えてしまいそうでした。
京太郎「コレ以上はちょっと俺が我慢出来そうにないからダメ」
小蒔「ぅぅ…♪♪」
ですが、そんな私のオネダリを京太郎様はきっぱりと断りました。
その顔はとても理性的で、まったく興奮しているようには見えません。
しかし、私がさっき身動ぎした瞬間、京太郎様の吐息は確かに荒くなったのです。
それは裸で抱き合っている私の肌が京太郎様のオチンポに擦れたからなのでしょう。
一度、私の身体を失神させるくらい責め立てたとは言え、京太郎様はまだまだ満足なさってはいないのです。
小蒔「(や、やっぱり…ちゃんと責任はとるべきですよね…?)」
勿論、そうやって京太郎様のスイッチを入れたのは私ではありません。
ですが、その原因の一端を私もまた担っているのは確かなのです。
それに…未来の夫にばかり我慢をさせるというのはあんまり良い気分ではありません。
身体もそろそろ回復してきましたし…もう一戦くらいしても…別に構わないんじゃないでしょうか。
小蒔「あの…♪」
京太郎「…コレ以上は流石に時間がまずいから却下」
小蒔「はぅ…」
そう言おうとした私の言葉を京太郎様は再び素気無く返しました。。
熱く滾る下半身とは裏腹にとても理性的なその言葉はとても格好良く、そして頼り甲斐のあるものです。
きっとその言葉も正しく、私はそれに従うべきなのでしょう。
しかし、私はどうにも京太郎様から離れがたく…数秒ほど逡巡を浮かばせるのでした。
小蒔「はい…」
しかし、そうやって迷っていても、解決する訳ではありません。
寧ろ、時間を無駄にすればするほど私たちは追い詰められているのです。
その前に何とか着替えだけでも済ませて、人前に出れるようになっておかなければいけない。
そう何度も自分に言い聞かせてから私の腕はようやく解け、京太郎様から離れるのです。
京太郎「後で一杯してやるから…な」
小蒔「はい…っ♥」
その寂しさに私が身を震わせた瞬間、京太郎様が優しく微笑みながらそう言って下さいました。
後で、とそう約束するその言葉に私の胸はすぐさま歓喜と期待で満たされるのです。
だって、京太郎様が私との約束を破った事なんて殆どないのですから。
何かしらのトラブルが無い限り、京太郎様は私の事を愛して下さるでしょう。
そう思うと今から胸の内が滾り、一杯、精液を注がれたお腹がキュンと唸ってしまいました。
京太郎「はい。んじゃ…こっち向いてな」
小蒔「ふふ…っ♥」
そんな私を着せ替え人形のように動かす京太郎様に従えば、手際よく私に巫女服が纏わされていくのです。
今までも何度か京太郎様にこうして服を着せてもらったからか、その動きはもう手慣れたものでした。
普通の洋服よりも着やすい簡素なものであるとは言え、一分後には再び巫女服を着ているのですから相当です。
もしかしたら私以外にも誰かこうして服を着せていたのかもしれない。
そう思った瞬間、脳裏に原村さんの姿が浮かびましたが、私はそれに心惑わされる事はありませんでした。
京太郎「で…まぁ、これをどうするか…なんだけど」
小蒔「えっと…どうしましょう」
そう私達が言うのは、部屋の中があんまりにもあんまりな状況だったからです。
取り憑かれた私が暴れた所為で、そこはもう畳がひっくり返るくらい滅茶苦茶だったのですから。
壁にこぶし大の穴が幾つも空いている辺り、私に憑いていた『何か』はよっぽど現世に降りてこられたのが嬉しかったようです。
それにそっと肩を落とすものの…問題はそれだけではありませんでした。
京太郎「これ…やばいよなぁ…」
京太郎様がそう言いながら見るのはついさっきまで私達が座っていた畳です。
『何か』の暴力から難を逃れたであろうそれはもうグチョグチョでヌルヌルでした。
私や京太郎様の体液がこれでもかとばかりに染み込んでいるそこからは何とも言えない淫臭が立ち上ってくるのです。
きっと誰が嗅いでも、私達が交わった後だと分かるであろうそれに私の背中にも冷や汗が流れるのでした。
京太郎「しょ、消臭剤とか…」
小蒔「ごめんなさい…持ってきていません…」
京太郎「…だよなぁ…」
これが香水なんかを普段から持ち歩くようなオシャレさんであれば話は違ったのかもしれません。
しかし、残念ながら私はこれまでそういったものにあまり興味を持たなかったのです。
お化粧だってやり方こそ知っていますが、それを実践した事なんて数えるほどしかありません。
そんな私にとってこの匂いをどうこう出来るものは手元にはなく、申し訳なさに肩を縮こませるしかありませんでした。
京太郎「大丈夫だって。俺が何とか…」
「…これはどういう事だ?」
小蒔「…え?」
瞬間、聞こえてきたその声に、私はあまり聞き覚えがありませんでした。
けれど…低く、鋭く、そして冷たいそれを私が聞き間違えるはずがありません。
だって…それはお母様が病気で死んだ今、私にとって唯一の肉親と言って良い人のものなのですから。
しかし、普段、顔を合わせる事もないその声の主は… ――
「何故…お前が生きている?」
京太郎「そんなの分かりきってるじゃないですか。貴方の目論見は全部、失敗に終わったからですよ」
その冷たい問いかけに、京太郎様は私を庇うように移動しながらそう言いました。
何処か挑発的なその態度は普段の京太郎様からは想像もつかないほど刺々しいものです。
京太郎様は確かに時折、意地悪になりますが、普段はとてもおおらかで優しい人なのですから。
そんな京太郎様が初めて見せるその態度に、私は二人の間に並々ならぬ溝がある事を感じ取りました。
小蒔「お父…様…あの…」
そんな二人を背中から見つめながら、私はポツリと声の主 ―― お父様へと呼びかけました。
しかし…お父様は私にろくに視線をくれず、ただじっと京太郎様と睨み合っています。
まるでお互いに怒りを溜め込むようなそれに…私は微かに震えました。
京太郎様もお父様も…私の前でそうやって苛立ちを顕にした事はないのです。
京太郎様は常に優しく…そしてお父様は常に冷たく、私と接していたのですから。
けれど、今の二人はお互いに感情をむき出しにするように対峙し、私の知らない姿を見せていました。
「小蒔、分かっているのか?コイツは平然と浮気をするような男なんだぞ」
それに内心、気圧されていた私にお父様の声が届きます。
普段よりも数段、鋭いそれは京太郎様に対して強い怒りを抱いている事を私に感じさせました。
一体、二人がどういう経緯で対立しているのかは分かりませんが、お父様は京太郎様に対して怒っているのでしょう。
軽蔑すら感じさせる強い言葉は、今まで聞いた事がないくらいでした。
小蒔「分かって…います」
「それなら何故、未だにその男の傍にいる?それはお前を騙していた男なんだぞ!」
そうやって声を荒上げるお父様の姿も私は今まで一度も見た事がありませんでした。
一体、お父様が何を企んでいたのかは知りませんが、それが失敗に終わった事がよほど腹に据えかねたのでしょう。
はっきりとした苛立ちを見せるその様に私の身体はビクンっと肩を跳ねさせてしまいます。
常に冷たい態度と仕草を崩さなかったお父様の姿に私は怯えるように強張らせてしまいました。
京太郎「怒鳴らないでください。小蒔が怯えてる」
「お前に言っているつもりはない!」
再びそう怒声を放つお父様に京太郎様はそっとその立ち位置を替えました。
怒鳴るお父様の姿に怯える私をその背中に隠すような立ち位置は私を護ろうとしてくれているからでしょう。
それに安堵する一方で…私は自分が情けなくなってしまいました。
幾ら初めて見るお父様の姿にびっくりしたとは言え…その怒気の殆どは京太郎様に向けられているのです。
その余波を受けているだけでこうして怯えていては…私は京太郎様の足手まといになってしまう。
そう思いながら私はぎゅっと握り拳を作り、強張る身体を強引に動かそうとするのでした。
小蒔「…その前に…一つ聞かせてもらっても良いでしょうか?」
「…なんだ?」
そのままゆっくりと尋ねる私の言葉は震えていました。
微かに上擦ったそれは、しかりお父様の耳にちゃんと届いてくれたのでしょう。
京太郎様の背中で見えませんが、その視線ははっきりとこちらに向いているのが分かりました。
それに背筋が嫌な感じの汗を流しますが、私はもう逃げられません。
それを口にしてしまった以上、私に許されるのは真っ向勝負だけなのです。
小蒔「あの手紙を私に見せるよう命じたのは…お父様ですね?」
そう自分に言い聞かせ、尋ねる声には確信めいたものがありました。
だって…そうでもないとおかしいのです。
この神代のお屋敷には名うての退魔師さんや祓い屋さんが沢山いるのですから。
私が暴走してしまった時、即座にそれを引き剥がせるようにこのお屋敷に詰めているのです。
しかし、『何か』と共に暴れまわっていた時、私の身体に絡みついていたのは慣れ親しんだ霞ちゃんたちの術式のみでした。
本来であればそれこそ東西様々な術式で祓われるべきであったはずなのに、それがまったく感じられないなんて本来はありえないのです。
小蒔「(…その上…私に持ってこられたその手紙は…差出人の記入もなかったのです)」
丁度、私が屋敷に到着したその日に届いたという手紙。
しかし、それには差出人の名前がなく、私の名前だけが記入されていました。
そんなものを中身のチェックもなしに私の元へと持ってくるほど神代のセキュリティは甘くありません。
巫女を恐れながらも、その巫女の力を利用して大きな力を維持してきた神代家にとって、私はお父様に並ぶ最重要人物なのですから。
後継者も出来ていない今、私に死んでもらったら一番、困るのは神代家なのに、中身もチェックしていないような手紙をホイホイと手渡す訳がありません。
その二つだけでもかなり今回の事件はかなり上の… ―― それこそ当主であるお父様周辺が首謀者である事が分かるのです。
従軍慰安婦を思い出す
JAPは何も反省してないみたいだな
「…そうだ」
小蒔「…どうして…ですか?」
それは…きっと娘である私の為ではない事くらい分かりきっていました。
だって…本当に私のことを思うのであれば…もっと色んなやり方があったはずなのです。
顔を合わせて説得する事だって出来たでしょうし、京太郎様から物理的に引き剥がす事だって出来たでしょう。
少なくとも私を意図的に暴走へと追い込むようなやり方では、望んだ結果が得られるとは限りません。
しかも、さっきお父様がこの部屋に入って来た時、京太郎様に「どうして死んでいないんだ?」とそう告げたのです。
まるでお父様の予定では京太郎様が死んでいるべきであったかのようなそれは… ――
京太郎「小蒔、聞かなくて良い」
小蒔「いえ…聞かせて…下さい」
そんな私に京太郎様は庇うようにそう言って下さいました。
それはきっと…震える私を気遣っての事なのでしょう。
その優しさに胸が熱くなりますが、しかし、ここで私が逃げる訳にはいきません。
今回の首謀者がお父様であるのであるとは言っても、多くの人を傷つけてしまったのは私自身の手なのですから。
真実を知り、被害者の方々に謝罪する為にも…私はどれだけ怖くてもお父様から逃げる訳にはいかないのです。
小蒔「お父様にとって私は道具だから…巫女でしかないから…こんな事をしたのですか…?」
「そうだ」
小蒔「っ…!!」
冷たくも鋭いその即答に私の胸は一気に鈍痛を覚えました。
まるでズンっと重石がのしかかったようなそれに私は一瞬、呼吸出来なくなってしまいます。
身体が酸素を拒否しているようなそれは…きっと私が内心、お父様に期待していたからなのでしょう。
そんな事はないって…家族として大事に思ってるから…こうしたんだって。
そう…和解できる道を…私は内心、夢見ていたのです。
京太郎「アンタ…!」
「聞かれたから答えたまでだ。お前が怒るのはお門違いもいい所だぞ、須賀京太郎」
京太郎「それでも…!言って良い事と悪い事があるだろうが!」
しかし、それが決して叶わなかった事を教えるように、二人の怒りがぶつかります。
熱いそれと冷たいそれが真っ向から対立し、二人がじっと睨み合うのが分かりました。
そんな二人に対して私は何を言って良いのか分かりません。
内心、期待していた事を…お父様に娘として愛されていたのだって言う事を…粉々に砕かれ…私はどうしたら良いのか分からなくなっていたのです。
「大体、須賀の家系がいなければ、こんな面倒な事をする必要はなかったのだ」
京太郎「だったら最初から俺のことを認めなきゃよかっただろう」
「違う。お前ではない。500年前の事だ」
そう肩を落とすお父様の言葉は私も知らない事でした。
まるで須賀という名前と500年前から因縁が続いているかのようなそれを聞いたことなどありません。
私の知る500年前の出来事は、巫女が悲恋に心惑わされ、今までにない規模の暴走をしたという事だけ。
そこには須賀の名前は一文字足りとも現れず、神代家がその後、どれだけ苦労したかという苦労話へと繋がっていくのです。
「貴様ら須賀の人間が当時の巫女を誑かさなければ…500年前も暴走する事などなかったのだからな」
小蒔「え…?」
苛立たしげに口走るその言葉に私は驚きの声を返しました。
それも当然でしょう。
500年前、巫女が暴走するほどに恋焦がれた相手はどんな書物を紐解いても出てこないのですから。
寝物語にさえも浮かんでこないその人は神代にとって、ずっとタブーに近い扱いをされてきたのでした。
そうやって禁じられていく中で姿形どころか名前すら消えていったと思っていたその人の存在をお父様が知っている。
それだけでも驚きに値する事なのに、それが京太郎様のご先祖様と言うのですから驚く他ありません。
「お陰で当時の巫女は死に、神代家は一気に求心力を失った。そこから再出発する事がどれだけ大変だったか貴様に分かるか?」
そう口にするお父様の言葉は、恐らく神代家のものならば誰もが頷く事でしょう。
永禄噴火の後、ボロボロになった神社や信仰を建て直すのに神代家は百年単位で頑張ってきたのです。
それを寝物語として聞かされてきた私達にとって、苦渋を舐めるような思いをしたご先祖様たちの姿は身近なものでした。
「ろくに力もない傍系から力を取り戻すようにかけ合わせ続けて…ここまで来るのに500年。500年掛かったんだぞ。それをたった一人のガキの所為で滅茶苦茶にされる気分がお前に分かるのか?」
小蒔「っ…!!」
それでも…巫女を家畜のように扱うその言葉に私は声を失いました。
勿論…実際、それだけ巫女が大事にされてきたという事だって私達には伝わっているのです。
その真偽は分かりませんが…少なくともお父様が巫女を…そして私をそんな風に見ているのは確かでしょう。
さっきその口で言っていた通り…お父様にとって私は神代の権威を維持する為の道具であり、娘でもなんでもないのです。
京太郎「…神代さんとこがすっげー苦労いたのは分かったよ。でも…巫女だからって普通の女の子をそんな風に使って良い訳ないだろうが!」
「普通の女の子?お前は何を言っているんだ?」
それに胸を抑える私の前でお父様は小馬鹿にしたような声をあげました。
それは…きっとお父様にとっての本心なのでしょう。
神代家は巫女の力を利用する一方で、誰よりもその力を恐れてきた家でもあるのですから。
そのトップに立つお父様が私の力の恐ろしさを理解していないはずがありません。
実際、ついさっきも屋敷中を滅茶苦茶にして…人を沢山、傷つけてしまったであろう私が…それを否定する事は出来ませんでした。
「神を降ろし、超常の力を振るう。時には予言を齎し、恵みを降らすその力を普通だと?」
京太郎「そんなのは神様の力であって、小蒔の力じゃない!」
しかし、そんな私の前で京太郎様はぐっと拳を握りしめながら、そう言ってくれました。
まるで私の力そのものが取るに足らないものだって…そう叫ぶような姿に…私の目尻は人知れず濡れてしまいます。
出会った時から変わらず、私の事を普通の女の子として扱ってくれるその姿に…私はもう我慢出来なくなりました
ついさっきだって下手をすれば死んでいたかもしれないのに…京太郎様を私を『小蒔』として見続けてくれるのですから。。
その勇ましくも暖かな姿に…ショックを受けた心が震え…涙が止まらなくなりました。
京太郎「俺は…小蒔がどれだけ甘えん坊で泣き虫で寂しがり屋なのか知ってる!」
京太郎「甘いモノが好きで買い食いだってして!普通に友達と笑ったり悲しんだりする事だって知ってるんだ!」
そう力強く言い放つ京太郎様の背中すら…今の私はろくに見えませんでした。
涙で滲んだ視界はほんのすぐ傍にある彼の姿さえ…朧気にさせてしまうのです。
しかし、強い語気の篭ったその言葉に私の視界はさらに滲んでしまうのでした。
ですが、それでもあの時の『約束』を護るようにして声を放つ今の京太郎様は…最高に格好いい事だけは分かります。
京太郎「そして…アンタに親としての最低限の情を期待していた事もだ!そんな…そんな子が普通じゃなくって何だって言えるんだよ!」
だからこそ…私はその言葉についに涙を堪えきれなくなってしまうのです。
目尻を拭う速度よりも涙の溢れる速度の方が早くなった私からポロポロと大粒の涙が零れて行きました。
そんな私の胸中に京太郎様の背中に縋り付きたいという衝動が大きくなっていくのです。
しかし…こうして私のために矢面に立って下さっている京太郎様に抱きついたら、きっと邪魔になるだけでしょう。
京太郎「寧ろ、俺としちゃ自分の命すら家の為にって投げ出せるアンタの方が化け物に見えるね」
「私が…化け物だと…?」
瞬間、お父様は信じられないような声をあげました。
その表情は分かりませんが、きっとそれにふさわしい呆然としたものになっているのでしょう。
しかし、自分の涙を感情を処理する事で精一杯な私には…それを見る事は出来ません。
ただ…京太郎様の後ろで歓喜に胸を震わせ、喜びに涙を漏らすだけなのです。
京太郎「家の為って言うなら一番、大事にしてやるのは娘の事だろうに。アンタが気にしてるのは神代って名前だけだ」
「それの何が悪い?後の繁栄の為には当然の事だろう」
京太郎「悪くねぇよ。ただ…」
そこで言葉を区切ってから京太郎様はふと肩を降ろしました。
何処か呆れるようなその様にはさっきまでの激情はありません。
それは感情を顕にするのに疲れた所為なのか、或いはお父様の言葉に心から呆れてしまったのか。
どちらにせよ…京太郎様の言葉はクールダウンし、お父様もそれに少しだけ落ち着きを取り戻すのです。
京太郎「自分の命を犠牲にしても構わないってくらい顔も知らない子孫の事を考えられるのに、今、こうしてアンタを慕ってる娘の事は考えてやれないんだな、とそう思っただけだ」
「……」
その言葉にお父様は言葉を返しませんでした。
ただ無言でその場に立ち尽くすその姿がどうなっているのか分かりません。
しかし、さっきまで苛立ちと共に放たれていた重圧はふっとなくなり、空気が少し軽くなったのを感じます。
それでも一触即発に近い状態なのは確かですが…二人共、今は感情をぶつけあうつもりはないのでしょう。
小蒔「…お話は…良く分かりました」
そんな状態が数分も続けば私の涙も収まります。
感情の波もひと通り落ち着いた私は小さく、けれど、はっきりとそう言いました。
その声はもうさっきのように震えてはおらず、また私の心にも怯えるようなものはありません。
京太郎様が護ってくださったお陰で…私の心はもう固まっていたのです。
小蒔「お父様に一つお聞きします。こうして実力行使に近い手段を取ったのは今の私が神代の巫女に相応しくないからでしょうか?」
「…そうだ」
京太郎様の後ろから身体を出しながら尋ねた私の言葉にお父様が頷きました。
迷いないその仕草はそれがお父様の本心である事を私に伝えます。
お父様が一体、何を考えているのかは分かりませんが…今の私が神代の巫女として逸脱しうると考えている事だけは確かなのでしょう。
実際、今まで神代の歴史の中で、巫女というのは、九面様の受け皿でしかなかったのです。
それがはっきりとした意思を持って九面様の力を振るうようになれたのですから、脅威に映ってもおかしくはありません。
小蒔「…では、私は神代を捨てましょう」
「…何?」
それなら私は…別にこんな家要りません。
そうやって勝手な理屈で…私の大事な人を害そうとするような家なんて必要ないのです。
勿論、今まで育ててもらった恩義はありますし、愛着だって少なからずありました。
これまでの巫女がそうであったように…私もまたなんだかんだ言いながらも、『神代』を愛していたのです。
しかし…お父様に娘として否定され…京太郎様や霞ちゃんたちを巻き込もうとした家には、もうその感情を向ける必要はありません。
小蒔「この家を出ます。今までお世話になりました」
「馬鹿な事を言うな。お前は高校生で…」
小蒔「えぇ。私は何処にでもいる高校生です」
お父様の言葉を遮るように放つ私の言葉にはもう迷いはありません。
そうやって自分を『何処にでもいる』と言い切る事なんて京太郎様と出会う前の私には想像も出来なかったでしょう。
ですが…京太郎様は…私の全てを変えてくださった人は…私を『普通』だって、お父様相手にそう啖呵を切って下さったのです。
それを…婚約者である私が信じずに一体、誰が信じるのでしょう。
私がその言葉を誰よりも信じなければ、京太郎様の心遣いは無駄になってしまうのですから。
小蒔「ですが、私には…護って下さる人がいますから」
そう。
私にはそうやって私の心も身体も護って下さる人がいるのです。
私よりも年下なのに…意地悪で、暖かくて…とっても優しい人が常に傍に居てくれるのですから。
世界中の誰にも自慢できる最高の恋人がいれば…私は家なんて必要ありません。
例え、後ろ盾がなくったって…私は京太郎様と一緒に居られれば、それで幸せなのです。
小蒔「お父様たちが私を要らないと言うのであれば、私もまたこの名に拘る理由はありません」
「そんなものは社会を知らないから言える言葉だ」
小蒔「そうかもしれませんね」
お父様の言葉を私は否定するつもりはありません。
正直、私にだって自分が先走り過ぎている自覚はあるのですから。
巫女として神代家に保護されてきた私は本当の意味で社会を知りません。
何より、売り言葉に買い言葉に近い状態で、話を進めているのです。
許可も得ず、神代家との対立を深め、愛しい人へと身を寄せようとする言葉は京太郎様にとっては初耳もいい所でしょう。
小蒔「(でも…京太郎様は…何も言いません)」
しかし、私の前に立つ京太郎様は狼狽を見せず、私の言葉を受け入れてくれているのでした。
いえ、それどころか後ろに伸ばした手と私の手をギュッと繋ぎ、私に勇気をくれるのです。
まるでもっと言ってやれと言わんばかりのそれに私の心は色めき立つのが分かりました。
自然、身体も歓喜に包まれますが、しかし、今はにやけていられるような状況ではありません。
「お前はまだ未成年で法律的にも保護が必要な年頃だ。その気になれば未成年略取誘拐としてそこにいる男や家族を起訴出来るんだぞ」
小蒔「それは…」
ですが、そうやって自分の心を引き締めても、お父様の強気な言葉に私は返答する事が出来ませんでした。
どれだけ特殊な力を持っていたとしても私の知識は所詮、高校生止まりなのです。
そうやって法律の問題を持ちだされては、どうにもなりません。
そもそも未成年略取誘拐という言葉の意味すら、理解出来ていない私にとって、それをどうやってかわせば良いのか分からなかったのです。
「大丈夫よ、小蒔ちゃん」
小蒔「…え?」
瞬間、聞こえてきたその声はとても穏やかなものでした。
聞き慣れたその声に俯きそうになっていた私が目を向ければ、そこには優しげな笑みを浮かべた霞ちゃんがいたのです。
いえ…霞ちゃんだけじゃありません。
そこには私の我侭によって親元から引き離され、ついさっきも私の所為で傷ついてしまった皆がいるのです。
霞「ご当主様。お久しぶりです」
「…石戸の娘か。何の用だ?」
そんな皆を代表するようにしてそっと頭を下げた霞ちゃんに、お父様は冷たい声を返します。
それは自分の都合で死んでいたかもしれない人へ向けているとは到底、思えないくらい冷淡なものでした。。
もう分かりきっていた事ですが…お父様は霞ちゃんたちに悪いなんて欠片も思っていないのでしょう。
いえ、もしかしたら…そうやって犠牲になる事が六女仙として当然の義務とでも思っていてもおかしくはありません。
そんな冷徹な人の血を引いていると思うと自己嫌悪と共に申し訳なさが沸き上がって来るのを感じました。
霞「今回の件で私たちも神代家から離れさせていただく事を決めました。」
「…ふん。六女仙などと言っても…所詮、あの女の血を引いている家系か」
そう嘲り混じりに言うのは六女仙と呼ばれる皆が私とルーツを同じくしているからでしょう。
500年前の大災害以来、新たに立てられた巫女の血統を六女仙と呼ぶのですから。
ですが、どうしてお父様がそんな風に憎々しげに『あの女』と言い放つのかは私には分かりません。
私たちのルーツとなった女性は所詮、500年前の遠くて顔も知らないご先祖様でしかないのです。
少なくとも、冷静なお父様が感情が声に現れるほどに憎しみを浮かべるような相手ではないでしょう。
「好きにしろ。だが、小蒔は家からは出さん。ここで一から教育しなおしてやる」
そんなお父様の強い怒りを感じさせる言葉に私の身体は強張りそうになりました。
勿論、そんなものは嫌で嫌で仕方がありませんが、京太郎様たちに迷惑を掛けないためにはそうするしかありません。
今の私にはどうあがいても法律の壁というものを乗り越える手段がないのです。
それの悔しさに京太郎様の手を握れば、ギュッと握り返してくれました。
それにまた勇気づけられるものの、どうしてもこの状況を打開する方策は見つかりません。
霞「いえ、それは不可能です」
「…何?」
だからこそ、その瞬間、聞こえてきた霞ちゃんの声に私は驚きを隠しきれませんでした。
それはお父様も同じだったのでしょう。
さっきまでの怒りを忘れたように霞ちゃんに聞き返していました。
ですが、それはすぐさま疑わしそうなものへと変わり、不機嫌そうなものを表情へ混じらせます。
まるで「嘘だったら分かっているんだろうな?」と念を押すようなその顔に、けれど、霞ちゃんは怯む事なく口を開きました。
霞「ご存じないのですか?養子縁組は15歳以上であれば実父母の了承は要らないのですよ」
「っ…!」
そう指摘する霞ちゃんの言葉にお父様は言葉を詰まらせました。
法的権力を元に私を縛り付けようとしていたお父様にとって、それは不都合にもほどがある情報でしょう。
既に齢15を超えた私は…自分の意思でこの家を抜け出し、別の家の子になれるのですから。
私を法的の束縛することの出来る親権がなくなれば…私は晴れて自由になって京太郎様と一緒になれるのです。
霞「同じ手続の準備を私達も進めています。だから…もう私達には構わないで下さい」
そんなお父様を突き放すように口にする霞ちゃんは背筋をシャンと伸ばした立派なものでした。
大人であるお父様相手と真正面から打ち合って、そして勝利しようとしつつある…立派なものだったのです。
私と一歳しか変わらないとは思えないその姿は京太郎様とは別の意味で格好良く…私の中の憧憬を刺激するのでした
小蒔「(あぁ…そうでしたね…)」
何時だって霞ちゃんは…ううん、皆は私の事を護ってくれていたのです。
臆病で弱くて…皆にはまったく及ばないダメな私の事をずっとずっと…支えてくれていたのでした。
それはこの土壇場の…ピンチと言っても過言ではない場面でも変わりません。
最近は京太郎様ばっかりに頼っていて忘れがちではありましたが…皆はとても頼り甲斐があって…そして私にとって大事な…掛け替えの無い人たちなのです。
「お前たちはまだ子どもなんだぞ。それなのに家の後ろ盾もなく生きていけると思っているのか?」
初美「…その子どもを家の為に犠牲にしようとしていた人に言われたくないのですよー」
春「護るどころか滅茶苦茶にされるところだった…」
巴「申し訳ありませんが…今の神代家は安心していられる場所ではありません」
お父様の言葉にいい加減、我慢が出来なくなったのでしょう。
三者三様にそう口を開きながら、じっとお父様を見つめました。
ジト目と言っても良いその視線にお父様は何も言えません。
実際、皆を死んでもおかしくないような状況に巻き込んだのですから、留まれと言えるはずがないのです。
霞「そういう事です。それに…私たちは家族ですから」
小蒔「…え…」
そうきっぱりと言い放つ霞ちゃんの言葉を私は最初、信じる事が出来ませんでした。
だって、それは私にとって予想外と言っても良いものだったのですから。
霞ちゃんがそんな風に思ってくれていただなんて…私はまったく想像していなかったのです。
春「血の繋がりだけで姫様を縛り付けてる人とは違う…」
巴「ずっと一緒に暮らして…ずっと傍に居たんですから」
初美「皆で力を合わせたらきっと何とかなりますよー」
ですが、それは霞ちゃんだけではありませんでした。
皆が皆…そう言葉を付け加え、頷いてくれるのです。
まるで私を家族なのだと…そう認めてくれるようなその仕草に…私の胸がキュッと詰まりました。
お陰で…私は皆に何か言わなきゃいけないのに…どうしても言葉が出てきません。
苦しいくらい嬉しいのに…どうしてもその感情が声になってくれないのです。
「…好きにしろ」
そんな皆の姿に諦めたのでしょう。
お父様はそう吐き捨てるように言いながら、大股で去って行きました。
その最中、一瞬だけ京太郎様を殺意すら感じさせる強い視線で射抜きましたが、お父様は何も言いません。
まるで私達にはもう用はなくなったと言うように…戸の向こうへ消えていくのでした。
小蒔「皆…あの…」
霞「ごめんなさい。遅くなっちゃったわね」
それを確認した後、ようやく声を漏らす事が出来るようになった私に、霞ちゃんはそう謝ってくれました。
ですが、そうやって謝られる理由なんて何処にもありません。
私の窮地を救ってくれた訳ですし、十二分に間に合ってくれているのです。
それよりも私にとって大事だったのは、さっきの皆の言葉に答える事でした。
小蒔「いえ…遅くなんてないです。それより…その…」
けれど、それは中々、私の中で言葉にはなりませんでした。
言いたい事は決まっているはずなのに、それを表現する術をまるごと落としてしまったかのように声にならないのです。
そんな自分に歯痒さを感じますが、逸る気持ちばかり大きくなる私にはどうしようもなりません。
けれど、皆はそんな私が言葉にするのをずっと待ち、京太郎様は励ますように私の手を撫でてくれました。
それに私の気持ちは少しずつ落ち着き…ゆっくりとではありますが、感情を言葉にする事が出来るのです。
小蒔「私で…良いのですか?」
春「…どうして?」
小蒔「だって…私…一杯、皆に迷惑を掛けて…今日だって…後もうちょっとで殺していたのかもしれません…」
家族と皆に言って貰えるのは…正直、堪らなく嬉しい事でした。
ですが、その一方で私は彼女たちにとても迷惑をかけているのです。
霞ちゃんたちが親元から引き離され、山奥に押し込まれたのも全部、私の所為なのですから。
今日だって危うく私の手で殺していたかも知れないのに…本当に家族になんてなっても良いのでしょうか。
どうしてもそんな思考が脳裏を過ぎり、私に二の足を踏ませていたのです。
霞「…皆そんなのまったく気にしていないのよ」
小蒔「え…?」
それに俯きがちになっていた顔をあげれば、皆は優しげな笑みを浮かべていました。
まるで私の迷いを消し飛ばそうとするような暖かなそれに私は目尻が再び潤むのを感じます。
しかし、折角こうして皆が私に歩み寄ってくれたのに…そんな情けない姿は見せられません。
巴「最初は親に言われて仕方なくだったかもしれません」
初美「でも…今はもう親と一緒の時間よりも皆と一緒の時間の方が遥かに長いのですよー」
春「心はもう…皆繋がってる。それじゃ…ダメ?」
小蒔「そんな事…そんな事ないです…っ」ポロポロ
しかし、そうやって引き締めた顔は巴ちゃんたちの言葉に粉々に砕かれてしまいました。
春ちゃんの言葉を聞いた時にはもう私の目尻から涙が溢れ…止まりません。
それを自分の手の甲でグイグイと拭いながらも、私は何度か口を開こうとしました。
しかし、私の心を埋め尽くす感謝の念がそれを阻み、中々、上手くいきません。
ですが、それはさっきのように逸る気持ちが強くなるものではなく…ただただ暖かなものだったのです。
小蒔「(そう思ってたのは…私だけじゃなかったんですね…)」
胸中で漏れだすその言葉は私が内心…そう望んでいた事を自覚させました。
私は本当は…私をろくに見てくれないお父様ではなく…霞ちゃんたちと『家族』になりたかったのです。
だからこそ…あの秋季大会の時だって…私は自分の力を完全に否定し切る事が出来なかったのでしょう。
それがなかったら…皆と会えなかったから。
この力がなかったら…私は本当に一人ぼっちだったかもしれないから。
私に大事な『家族』を与えてくれたこの力を…皆との関係を否定する事なんて出来なかったのです。
小蒔「私…嬉しいです…」
数秒後、私がようやく口にしたその言葉は本心からのものでした。
だって…私はずっと怯えていたのです。
『家族』になりたいと望む一方で…それを拒絶されてしまったらどうしようかと…そう思っていたのですから。
だからこそ、私はその感情を自分でも見えないくらい奥底に封じ込め、ずっと逃げ続けてきました。
ですが…皆はそんな私に…何時、また暴走するか分からない私を…真正面から『家族』って言ってくれたのです。
京太郎「…小蒔。行って来い」
小蒔「…はいっ!」
その瞬間、京太郎様はそっと手を離して下さいました。
瞬間、自由になった身体で私は皆のところに駆け出します。
そのまま勢い良く皆に抱きつく私を…彼女たちは優しく受け止めてくれました。
まるで本当の家族のように…暖かに私を迎えてくれたのです。
霞「…もう仕方のない子なんだから」ナデナデ
初美「…でも、ちょっとくちゃいですよー」
小蒔「はぅ!?」
そのまま皆で抱きあうような私たちの中で一番最初に声をあげたのははっちゃんでした。
それに私が小さく声をあげるのは心当たりが山ほどあるからです。
そう言った消臭系の道具を持ち歩いていなかった私の身体にはさっきの淫臭がこべりついているのですから。
そんな状態で皆のところに飛び込んでしまったら、そりゃあ臭くてしかたがないでしょう。
霞「…須賀君?」
京太郎「あ、あはは。そ、その…一応、理由があると言いますか…」
春「…これが京太郎のニオイ」スンスン
巴「春ちゃん…戻って来て。出来れば早急に」
それに申し訳なさを感じる私の前で、皆がいつも通りのやり取りを始めます。
それは…お父様に対するものとは違い、何のプレッシャーも冷たさも感じないものでした。
とても穏やかで暖かなその空間は『家族』という絆を確認した今も変わってはいません。
それはきっと…私が気づいていなかっただけでずっと傍にあったからなのでしょう。
小蒔「(私が臆病だから…それを確認できなかっただけで)」
それまで私はなあなあで過ごしていたのです。
嫌われているかも知れないと内心で怯えながら、それをはっきりと霞ちゃんたちに聞く勇気はありませんでした。
もし、そう言われたらきっと立ち直れないって…私は一人ぼっちになってしまうんだって…そう思い込んでいたのです。
しかし…皆はそんな臆病な私を…お父様という唯一の肉親と決別した私を『家族』だと…そう言ってくれました。
霞「とりあえず…途中で銭湯にでも寄って…それから帰りましょうか」
巴「そうですね。私たちの家に」
春「…うん」
霞ちゃんの言葉に皆は各々の荷物を手に持ち始めます。
その姿は淀みなく皆が神代の家に未練を欠片も持っていない事を感じさせました。
もしかしたら皆も殆ど親と会う事すら少なく、会っても事務的な話しか出来ない家から出たいと思っていたのかもしれません。
少なくとも皆にとってこのお屋敷が自分たちの『家』だという印象はないのでしょう。
そんな皆に一つ笑みを見せながら、私は一つ大事なものを思い出しました。
小蒔「そう言えばあの部屋は…」
今、私が住んでいるあの大きなマンションは神代の家で契約したものです。
そちらに戻ったら追い出される可能性もあるでしょう。
いえ、そうでなくてもあれだけ立派なお部屋を女子高生だけで維持する事なんて出来ないのです。
これから家の支援を期待出来ない以上、もっと家賃の安いところに引っ越すべきでしょう。
霞「大丈夫よ。戒能さん名義で数年単位の契約にしてあるから。家賃は既に全額振り込んであるし、住居は問題ないわ」
初美「抜け目ないのですよー」
そうあっけらかんという霞ちゃんの言葉に、私は感心を抱いていました。
だって、それは何時かこうなると分かっていなければ出来ないものなのですから。
先手先手を打って…私達の事を護ってくれている彼女には本当に頭が上がりません。
きっと霞ちゃんがいなければ、私たちはこんなにスムーズに神代家を離れる事は出来なかったでしょう。
京太郎「ま…それがダメならダメで家に来れば良いですよ」
霞「え…でも…」
小蒔「大丈夫ですよ!京太郎様の家は広いですから」
それに京太郎様が一つ笑いながら、そう言って下さいました。
それに霞ちゃんが逡巡を見せますが、京太郎様のお家は本当に広いのです。
空いている客室も二つありますし、スペースを節約させて貰えば五人が暮らす事はそう難しくないでしょう。
お義母様もお義父様もおおらかな人で私の事も受け入れてくれていますし、事情を話せばきっと客室を貸してくれるはずです。
霞「うーん…どっちかって言うと…大事なのはそっちじゃなくてね…?」
初美「流石に夜な夜なあの声が聞こえてくるのは遠慮したいのですよ」
小蒔「そ、そこまで毎日やってません!」
ま、まぁ…本音を言えば、そうしたくない訳じゃないのですが…その…色々と事情があるのです。
興奮が昂ぶるとタガが外れがちになってしまうのもあって、あんまり声を抑えられません。
それにあんまり求めすぎると京太郎様にふしだらに思われるのではないかって言う怯えもあるのです。
結果、私は中々、京太郎様を思うがままに求める事が出来ず、夫婦の営みは毎日とは到底、言えない状況でした。
春「私は混ざっても…」
巴「はーい。春ちゃんストップ。多分、憑いてるから。きっと色情霊っぽいの憑いてるから後でお祓いしようね」
春「あうぅ…」
瞬間、春ちゃんが巴ちゃんにズルズルに引きずられて行きました。
その手を京太郎様にそっと伸ばす彼女が何を言いたかったのか私には分かりません。
私が不思議に思って首を傾げても霞ちゃんもはっちゃんも補足してくれないのですから。
まるで分からない方が幸せなのだという笑みで私の事を見てくれていました。
霞「それより…皆が起きる前に屋敷から出ちゃいましょう。また厄介事が起こらないとも限らないし…ね」
京太郎「うっす」
そんな霞ちゃんたちの言葉に京太郎様が頷いた瞬間、私たちは合わせたように足を前へと踏み出しました。
まるで『家族』として新しい道を皆で選びとった証のようなそれに私はついつい笑みを浮かべてしまいます。
それは霞ちゃんたちも同じようで、私の横に並ぶ彼女たちも同じように笑みを浮かべていました。
小蒔「(これからの道は…きっと平坦なものではないのでしょう)」
お父様の言う通り、私は社会を知りません。
これまでずっと家の保護下にあった私ではありますが、これからは自分の力でお金を稼がなければいけないのです。
しかし、それに対する不安はまったくありませんでした。
きっと…霞ちゃんたちと一緒なら…私の大事な『家族』と一緒であれば…幾らでも障害を乗り越える事が出来る。
さっきはっちゃんがお父様へと放った言葉は、私の中にもそう根付いていたのです。
小蒔「(それに…何より…)」
そう思いながらチラリと私が横目を向ければそこには京太郎様の姿がありました。
私よりも二回りほど大柄で頼り甲斐のあるその人に私は何度、助けてもらったか分かりません。
さっきだって京太郎様が私の前にいてくださらなれば、霞ちゃんたちが到着するよりも先に心が折れていたかもしれないのです。
傍に居るだけで私の事を鼓舞し、支え続けてくれた京太郎様には正直、あんまり御恩を返せていません。
小蒔「(これでも…一応…婚約者として出来る事はしてるんですけれど…)」
家事やお弁当作りなど、私が出来る範囲の事は精一杯やっているのです。
しかし、京太郎様はそれ以上の愛を、そして奉仕を私にくれるのでした。
その度に私はドンドン京太郎様の事が好きになっていくのです。
こんなにも私の心をがっちりと掴んでおいて…さらに虜にする愛しい人は私の苦難に必ず駆けつけてくれるでしょう。
小蒔「(その結果、私はまた京太郎様の手をとってしまうかもしれません)」
いえ…きっと今まで以上に迷惑を掛けてしまうはずです。
家という後ろ盾をなくした私たちは多少、おかしな力が使えるだけの女子高生に過ぎないのですから。
そんな私たちが五人身を寄せたところで問題は山積みになっており、そして、心優しい京太郎様はそれを見て見ぬ振りを選べない人なのです。
きっと私たちの問題を解決しようと様々な手を講じてくれるでしょう。
京太郎「ん?どうした?」
小蒔「いえ…なんでもありません」
それに感謝こそ感じれど…私はもう申し訳なさを感じる事はありませんでした。
それは勿論、京太郎様の手を煩わせる事を当然だと思っている訳ではありません。
ですが…私はもう自分で決めたのです。
どうあっても京太郎様に迷惑を掛けてしまうのですから…開き直ってしまおうと。
そして、それ以上の愛をこの愛しい殿方に捧げ…私の全身全霊を持って…尽くし続けようと…そう覚悟を固めたのでした。
小蒔「京太郎様…愛しています…♥」
京太郎「い、いきなりなんだよ…」
勿論、家柄というものを失った私が出来る事なんてたかが知れています。
ですが、それでも私の愛は一切、揺らぐ事はありませんでした。
いえ、寧ろ、こうして身軽になった私の心はより京太郎様への愛しさを強めていたのです。
私を変えて、お友達を作って…そしてとても大事なことに気づくキッカケをくれた人への愛しさを。
それをストレートに表す私に京太郎様は頬を赤く染め、視線をそっと背けました。
初美「あーまたイチャついてるですよー」
巴「私たちの前で姫様といちゃつくなんて良い度胸ですね」
春「これはギルティ」
霞「そうね。これはお風呂上りの牛乳を全員分奢ってもらわないといけないわ」
京太郎「何ですか。その微妙な要求…」
そう言いながらも京太郎様の顔は悪いものではありませんでした。
なんだかんだ言いながらも、京太郎様は皆にそうやって弄られる事を好意的に見てくれているのでしょう。
家族と婚約者のその良好な関係に私は笑みを浮かべながら、お屋敷の外へと踏み出し… ――
―― 私はこの日から…本当の神代小蒔としての人生を歩み始めたのでした。
【System】
神代小蒔の屈服刻印がLv4になりました。
神代小蒔は本当の家族を手に入れたようです。
神代小蒔は須賀京太郎の事を心から愛しているようです。
【オマケ】
小蒔「そう言えば養子縁組お願いする人とかもう決まってるんですか?」
霞「えぇ。とりあえず小蒔ちゃん以外は須賀君のご両親が了承してくれたわ」
京太郎「いつの間に…まぁ…なんとなく想像がつきますけれど」
初美「『アイツもいきなり綺麗なお姉さんが増えたら嬉しいだろ』と言ったですよー」
春「サプライズ…良い響き…」
巴「あんまりサプライズ過ぎるのもどうかと思うけどね」
小蒔「でも、どうして私はダメなんですか?」
霞「幾ら養子でも、戸籍が一緒だと結婚できないのよ」
小蒔「む…それは困ります…」
春「でも、ご当主様が強引に出てくるなら姫様も大丈夫だって」
初美「既に霞ちゃんが言質取ってるですよー」
霞「ちょ…そ、そんな人聞きの悪い事言わないでよ」
霞「ただちょっとお酒をご馳走してからお願いしただけです!」
霞「咲の魅力はキャラクターの多さなの」
霞「様々な人が、色々なキャラクターを好きになっているわ」
霞「それを欲望のために汚すような行為は、当然反感を買うことになるのよ」
小蒔「じゃあ、こんなしょうもないSSのために永水女子を使ってファンの感情を汚していいんですか!?」
霞「そう。ちょうど今これを見ている永水女子が好きなお方は、相当な不快感を感じているでしょうね」
霞「それと同じ感情を京太郎スレで感じる方が多くいるということを知って欲しいのよ」
初美「ふんふむ」
初美「でも、その縁組が通れば、私たちは京太郎君のお姉さんになるですかー」
京太郎「お姉さん…」ピクッ
巴「ふふ、弟なんていなかったからちょっと新鮮かも」
初美「私は初美お姉ちゃんって呼んで良いですよー」
巴「私はお姉さんの方が良いかなぁ」
霞「私は…その…」
春「霞さんはお姉さま」
霞「えっ」
京太郎「うん。お姉さまだな」
巴「お姉さまですね」
初美「お姉さまですよー」
霞「わ、私だってお姉ちゃん呼びが良いのに…」シュン
霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」
霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」
初美「そうなんですかー?」
霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」
霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」
霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」
初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」
霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」
霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」
小蒔「むー…皆だけ盛り上がって…」
春「…あ、私は京太郎と双子だけど姉という設定でよろしく…」
京太郎「設定ってお前…」
春「個人的にははるねぇとかオススメ…」
京太郎「いや…色々と無理があるだろその設定…」
春「…はるねぇ…」
京太郎「いや、だから…」
春「はるねぇ…」シュン
京太郎「あー…もう分かったよ」
京太郎「はるねぇで良いから…そう落ち込むなって」
春「ふふ…京ちゃんは優しい…」
小蒔「き、京ちゃん!?」
神はふんふむに向かって言われた。
「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。
お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。お前に対して土は茨とあざみを生えいでさせる。野の草を食べようとするお前に。
お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」
小蒔「だ、ダメですー!やっぱりそういうのダメですー!」
春「えー…」
小蒔「私だって年上なんですから京太郎様にお姉ちゃんって呼ばれたいです!!」
京太郎「いや…でもなぁ…」
巴「とても言いづらいんだけれど…」
初美「ココで一番、年下臭がするのは姫様なのですよー」
小蒔「うーはっちゃんには言われたくないです!」
初美「幼児体型は今、関係ないじゃないですか―!」
京太郎「落ち着けって二人とも…」
霞「そうよ。こんなところでみっともない…」
小蒔「じゃあ、二人はどっちの方が年下だと思いますか?」
初美「勿論、姫様の方ですよね?」
京太郎「いや…それは…」
霞「なんというか…そのね…」
ワーワーギャーギャー
巴「段々、皆遠慮がなくなって来てるわね」
春「これから家族になるんだから…良い事」
巴「そうね」クスッ
巴「これから仲良くやっていけそうで…何より」
春「…うん」ニコッ
小蒔編終わりです
続きはエピローグにてー
後、投下中に合いの手くれる人がいるのが嬉しいのでそのまま和編始めます
くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
あああ?和に手を出すな糞ボケ茄子ja5が
この「私」はゲッセマネの園で越し方を偲ぶイエス。「群集の歌」はイエスがエルサレムに入場した4月1日のパーム・サンデーで、このとき民衆は棕櫚を敷きつめ「ホザナ!(万歳!)」と救世主到来を讃えたが、「そこに着いた途端 一言も正直な言葉は出てこなかった」―つまりパリサイ人は嘘と策謀で彼を投獄し十字架にかけた。「聖ペテロが私の名前を呼ばない」はペテロにイエスが「あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう」と予言した(ルカ福音書14章29-30)。
乙
これは褒め言葉だが……>>1はすごい変態だな
>>919
子ねよアホ
自分の体験談()をSSにしてる奴相当気持ち悪い
自分語りはチラ裏で
ちょっとお茶とか準備するから30分から再開しますー
大丈夫、次の和はそんなにフェチなエロじゃないはず…
こんな馬鹿げた事が許されるのか
3-1攻略また失敗したのでそろそろ再開します
今回もオリジナル能力注意です
【部室】
京太郎「」チーン
小蒔「あ、あぁ!?京太郎様が真っ白に!?」
咲「あ、あはは…ご、ごめんね京ちゃん」
優希「まったく…京太郎は貧弱だじぇ」
まこ「いや…あの卓は正直、誰もがああなってもおかしゅうないゆぅて思うがなぁ…」
和「速攻高火力のゆーきと地力が桁違いな咲さん、それに九回まで役満狙える神代さんですからね…」
春「寧ろ、飛ばなかった京太郎を褒めるべき」ポリポリ
京太郎「いや…まぁ、分かってたんだけれどさ」ムクッ
咲「あ、復活した」
優希「まったく…変に心配させやがって」
京太郎「仕方ないだろ。半荘なのに焼き鳥銀行状態だったら流石に凹むって」
京太郎「ま、色んな意味で鍛えられたから、その程度でめげるようなメンタルしてないけどな」ドヤァ
咲「うわ、ドヤ顔うざい」
京太郎「さーきー」ムニー
咲「ひゃぅあっ」ムニー
京太郎「おぉ…伸びる伸びる。咲、お前また太ったんじゃげふぉぉっ!?」
咲「ふ、太ってないもん!!ちょっと胸が成長期なだけだもん!!」
優希「え、でも、咲ちゃんこの前の身体測定…」
咲「」ニコッ
優希「ゴメンナサイナンデモナイデス」
小蒔「き、京太郎様、大丈夫ですか?」アセアセ
小蒔「ナデナデした方が良いですか?ひ、膝枕要りますか?今日も添い寝して大丈夫ですか…!?」
咲「…あれ?今、さらりと何か凄い事言ってなかった?」ゴゴゴ
京太郎「き、気のせいだろ…」メソラシ
京太郎「後、小蒔には心配させてごめんな。所詮、咲の力じゃ俺はびくともしないから大丈夫だって」ナデナデ
小蒔「えへへ…♪流石は京太郎様です!」パァァ
咲「…本格的にお姉ちゃんからコークスクリューの打ち方習おうかな…」ギュル
優希「何時もの咲ちゃんじゃないじぇ…」フルフル
春「でも、京太郎はさっきの闘いで傷ついたから休養が必要…」
京太郎「まぁ、さっきから俺ばっかり打たせてもらってるしな」
まこ「この中で一番の初心者は京太郎じゃけぇの。今まで不遇じゃった分、経験を積ませちゃりたかったんじゃが」
京太郎「ありがとうございます。でも、俺もそろそろ休憩したいんで、誰か代わりにお願いします」
小蒔「え…じゃあ、私も…」
春「姫様はさっき入ったばかりだからダメ」
小蒔「あぅ…」
春「だから、京太郎の膝枕係は…私のもの」
小蒔「そ、そんなのズルいです!疲れた京太郎様を労るのは婚約者の役目ですよ!」
春「…何時からそれが婚約者の役目だと錯覚していた?」
小蒔「なん…ですって?」
春「家族でも関係ない…膝枕を賭けた仁義無き戦い」
まこ「」ガタッ
和「ぶ、部長…?」
咲「私…二回前だから抜けられるかな…?」チラッ
京太郎「いや、そもそもどうして俺が膝枕されるのが既定路線なんだよ」
京太郎「じゃあ、もう面倒だし次勝った奴が抜ける形式で良いんじゃね」
春「そして勝者には京太郎の膝枕が…」
京太郎「どうしてそこで俺を絡めるんだ」
春「賞品があった方が燃える…」
京太郎「いや、そりゃそうだろうけど…誰得過ぎるだろ」
小蒔「私得ですよ!」
優希「わ、私は…その…別に…」
咲「私も別に得じゃないけど…抜けちゃダメみたいだし…」
和「……」イソイソ
まこ「って言ぅとる間に和が卓に着いとるぞ」
春「あ…」
春「…策士策に溺れた…」ショボン
京太郎「春の場合、策士って言うよりトリックスターだけどな」
京太郎「ま、こっちで大人しく観戦しようぜ。黒糖でも食べながら…さ」
春「…うん」ニコ
小蒔「…あれ?結局、また春ちゃんの一人勝ちのような…」
和「気のせいですよ。それよりほら、早く始めましょう」ゴゴゴ
咲「そうだね。…あのまんまにはしておけないし」ゴゴッ
優希「ま、また二人が無意味に本気に…」ビクビク
小蒔「ふふ、以前でしたら…私も怯えていたかもしれません」
小蒔「正直、未だにちょっとカン怖いですし…嶺上開花って言葉にびっくりしますし」
小蒔「ですが、京太郎様の愛で生まれ変わった今の私はお二人にも負けないと自負しております」
小蒔「正々堂々…九面様のお力を借りて勝負です!!」ゴッ
咲「そう言うの良いですから早く準備して下さい」
和「そうです。時間は有限なんですから。私たちの分まで無駄にしないで下さい」
小蒔「あっ…はい。ごめんなさい」シュン
優希「小蒔ちゃんェ…」
京太郎「そう言えば…今日は部長は実家の方は良いんですか?」
まこ「あぁ。最近は石戸さんたちがバイトしてくれとるからの」
まこ「人手は大分、足りてきたし、わしが実家の手伝いせんでようなってきた」
まこ「新しゅう看板娘が三人も増えたって事で人気も上々じゃしの」
まこ「当分は部活動の方に打ち込めるゆぅて思う」
京太郎「そうですか…それなら良かったです」
京太郎「部長は何時も俺達以上に忙しくしているので…少し心配で」
まこ「はは。不甲斐ない部長ですまんな」
京太郎「そんな事ないですよ。部長がギリギリのところで頑張ってくれてるのは皆知ってます」
春「…部長はもうちょっと休んでも誰も文句言わないと思う」ポリポリ
まこ「とは言ぅても…部長ってのは色々とやらんにゃぁいけん仕事じゃけぇの」
京太郎「まぁ…うち、顧問らしい人が未だにいませんしね…」
春「扱いとしては同好会上がりのまま…」
まこ「まぁ、その代わり部費はかなり貰えてるし、部長の裁量じゃ程度好き勝手出来るってのはあるんじゃがな」
まこ「ただ…そろそろ新入生を見越して新しい自動卓買いたいな」
まこ「流石に新品となると高いし何処からか中古で…いや、うちのを格安で譲るってゆうのも有りか…?」ブツブツ
京太郎「あんまり…気負い過ぎないで下さいね」
京太郎「部長が無理に頑張ろうとしなくたって今の清澄ならきっと大丈夫ですから」
まこ「…有難うの。でも…わしゃぁ大丈夫じゃ」
まこ「この新生清澄をインターハイに連れて行くんが今のわしの使命じゃけぇな」
春「黒糖…要る?」
まこ「有難う。…相変わらず滝見さんの黒糖は美味しいな」ポリポリ
まこ「あ、この前、分けて貰った黒糖じゃが、中々、常連にも好評でな」
まこ「今度、纏めて入荷するんにまた色々と意見が欲しいんじゃが…」
春「布教成功?」
まこ「大成功じゃ」ニコッ
春「…良かった。私で良ければ幾らでも力になる」クスッ
まこ「(ただ…懸念事項がない訳じゃない)」
まこ「(清澄は確かに強くなったんじゃ。それこそ一年前からぁ想像も出来ないくらいに)」
まこ「(京太郎がゆうように来年のインターハイ出場は決して無理な事じゃないじゃろう)」
まこ「(じゃが…その前にゃぁ必ず…あの龍門渕が立ちはだかる)」
まこ「(秋季大会で苦渋を舐めさせられた彼女たちとの対局は避けられんじゃろう)」
まこ「(ほいで…それに必ず勝てるっちゅう自信もわしにゃぁなかった)」
まこ「(今の清澄は強い。全国優勝が運じゃぁなかったと誰もが認める力を持っとる)」
まこ「(じゃが…そりゃぁ龍門渕も同じだ)」
まこ「(インターハイに出られんかった鬱憤を晴らすように…龍門渕もまた強くなっとる)」
まこ「(それに対して…清澄は…)」チラッ
和「……」トン
まこ「(和の不調。そりゃぁ…ぶち大きい)」
まこ「(不調の今でも…和は並大抵の打ち手に負けるような奴じゃない)」
まこ「(寧ろ、相手がオカルト染みた『何か』を持っていなけりゃぁ互角以上に渡り合えるじゃろう)」
まこ「(じゃが…ここきょうびのインターハイは異常だ)」
まこ「(出場校のメンバーの殆どが…何かしら自分の中で『強み』を持っとる)」
まこ「(そがぁな中で今の和が活躍出来るかゆぅたら…正直、自信がない)」
まこ「(少のぉても…今の和は龍門渕選手に安心してぶつけられる打ち手じゃないんじゃけぇ)」
まこ「(じゃったら…どうする?)」
まこ「(和の代わりに…滝見さんを使うか?)」
まこ「(無難に流す事に関しちゃぁ滝見さんは超がつくほどの一流だ)」
まこ「(勝ちを狙わんじゃったら、最低限の犠牲で次に繋いでくれるじゃろう)」
まこ「(今の咲ならその犠牲を払った分、大将戦で取り返してくれるはずだ)」
まこ「(じゃけぇ…滝見さんを副将に据えるっちゅう選択肢は悪ぅない…)」
まこ「(…じゃが…)」
まこ「(そう。じゃが…やっぱし感情的にゃぁ…和をレギュラーとして使いたい)」
まこ「(滝見さんにゃぁ悪いが…一緒にインターハイを戦った彼女の方が思い入れが強いんだ)」
まこ「(勿論…ギリギリまで待って…和が復調せんようでありゃぁ…彼女に任せる)」
まこ「(でも…その代わり…和が復調出来るように…色々と手を講じときたい)」
まこ「(その為にも…例の話…やっぱし…受けるべきじゃろうな)」
小蒔「」プスプス
優希「あぁ…今度は神代さんが真っ白に…」
和「神代さんは打ち方が特殊ですから。対処はそれほど難しくありません」
咲「流石にそう簡単に言えるのは和ちゃんだけだと思うなぁ…」
小蒔「うぅ…一位になった宮永さんには言われたくないです…」
咲「あはは。その…ごめんね」
小蒔「はぅー…京太郎様の膝枕が咲さんに取られる…ぅ…」
咲「べ、別に京ちゃんの膝枕権なんて欲しくないし!」
咲「で、でも…賞品なんだから受け取らないと…失礼だよね?」チラッ
咲「全力を尽くした結果なんだし…仕方ないよね?」チラッチラッ
春「…え?」アーン
京太郎「ん?」パクッ
咲「……」ゴッ
小蒔「ひゃぅ…!?」ビクビク
まこ「はい。対局直後で悪いが…ちぃと注目してくれ」
まこ「実は先日、龍門渕から練習試合の申し込みがあった」
和「……」
小蒔「龍門渕さんから…」
まこ「全国前の調整に付きおぉてくれ…って話じゃったが、まぁ、十中八九リベンジじゃろう」
まこ「あちらさんもあの結果で満足しちゃぁいないって事じゃ」
優希「望むところだじぇ!」
小蒔「私も…前回の分、借りを返したいです…!」
まこ「うむ。わしも同感じゃ」
まこ「このまんまじゃ終われん。きっとそりゃぁわしらもあちらさんも皆同じ気持ちじゃろう」
まこ「じゃけぇ…今度こそ決着をつけに行こう」
まこ「例え練習試合じゃろうと…勝ちに行く」
まこ「調整なんて逆にボロボロにさせる勢いで…勝つぞ」
優希「おー!!」
小蒔「おー!!ですっ!」グッ
まこ「その為のオーダーじゃが…基本、前回の龍門渕戦と同じで行こうと思う」
春「…基本?」
まこ「うむ。ただし…大将は…咲じゃない。和、お前だ」
和「…え?」
まこ「お前に天江選手の相手を頼みたい」
和「な…何を言ってるんですか!?」
和「勝ちに行くなら宮永さんを外す道理はありません!」
和「何より…私はこの間、天江さんに飛ばされてしまったんですよ!!」
和「そんな私を入れて、代わりに天江さんに勝機のある宮永さんを外すなんて…!」
まこ「無謀か?」
和「そっ…そこまで…言いませんけど…でも…勝ち目は…少ないと思います」シュン
咲「和ちゃん…」
優希「のどちゃん…」
和「悔しいですが…今の私では天江さんどころか…透華さんに勝てる自信すら…ありません…」
和「私の所為で…清澄が負ける姿なんて…見たくないんです」
和「だから…お願いします。私はレギュラーから外して下さい」ギュッ
小蒔「原村さん…」
まこ「そうやって…何時までも逃げるつもりか?」
和「っ…!」
まこ「確かに…和はいっぺん、天江選手に負けたかもしれん」
まこ「じゃが…その後に京太郎や小蒔と一緒に特訓しとるんも分かっとる」
和「ですが…それは…まだちゃんと成果が出ていないもので…」
まこ「…そりゃぁほんまか?」
まこ「われの特訓に付きおぉてくれとる京太郎や小蒔の前でもはっきりそう言えるんか?」
和「そ…れは…」
まこ「正直…わしゃぁもうなんとなく和が何を掴み始めとるんか分かっとる」
まこ「いや、恐らくわしだけじゃなく…和と頻繁に打ちょぉる皆はその概要くらやぁ理解しとるじゃろう」
まこ「ほいでそれを内心、認めまいとしとる事も…じゃ」
和「……」
まこ「それが一体、どうしてなんかはわしにゃぁ分からん」
まこ「ひょっとしたらわしじゃぁ及びもつかん様な理由があるんかもしれんし、ないんかもしれん」
まこ「じゃが…わしゃぁこのまんまじゃ和は一生、それを認めらりゃぁせんままだと…そう思う」
まこ「ほいで…無理して窮屈な打ち方を続けて消えていくインターミドルチャンプ原村和の姿なんぞ見とぉない」
まこ「じゃからこその…大将起用。じゃからこその…天江選手じゃ」
まこ「強引にでも…その実力絞り出して貰うぞ」
和「で…でも…それで負けてしまったら…」
まこ「何、その時はリベンジ失敗ってだけじゃ」
まこ「特に何かが賭かっとる訳でもないし、負けたところでわしの采配ミスになるだけじゃ」
和「そんな…」
まこ「先に言ぅとくがわしゃぁ譲るつもりゃぁなぃんじゃ。嫌でも必ず大将を務めて貰うぞ」
和「でも…」
小蒔「…それなら私が副将戦から降ります」
和「え…?」
小蒔「代わりに宮永さんを入れてあげて下さい」
和「じ、神代さん…な、何を…?」
小蒔「残念ですけど…私の能力はあまり応用が効きません」
小蒔「点数計算だって得意ではありませんし、下手をすれば負けてしまう可能性もあります」
小蒔「それなら副将戦に宮永さんを入れてリードを作ったほうが良いでしょう?」
まこ「そりゃぁそうじゃが…でもええんか?」
まこ「小蒔だって龍門渕選手にリベンジしたいんじゃろう?」
小蒔「勿論です。前回、負けた原因が私である以上、このままでは終わりたくありません」
小蒔「この場で一番、リベンジがしたいと思っているのは私だという自負もあります」
和「じゃあ…どうして…」
小蒔「そんなの決まっているじゃないですか」
小蒔「秋季大会で原村さんは私に枠を譲ってくれました」
小蒔「本当はご自分で出たかったでしょうに…実戦経験を積めるように…と私を優先してくれたのです」
小蒔「その御蔭で私の能力が花開いた今、今度はそれを原村さんにお返しする番」
小蒔「最高の舞台で…戦えるように私が抜けるのが一番です」
小蒔「宮永さんもそれで良いですか?」
咲「…うん。異論ありません」
和「咲さんまで…」
咲「私も…今の窮屈そうに打つ和ちゃんは苦手…かな」
咲「以前…私は…和ちゃんに言われたよね」
咲「私が手加減してると楽しくないって…」
咲「でも…今は和ちゃんが…それをしているよね?」
和「それは…」
咲「勿論…分かってるよ。和ちゃんが好きでそんな事やってる訳じゃないって」
咲「私みたいに和了の見逃しとか点数調整とかじゃなくって…雀士として全力で打ってくれている訳だから」
咲「でも…それは『原村和』って子の…全力じゃない」
咲「常に最適解を目指すデータ雀士としての全力ではあるけれど…和ちゃんはまだ何かを持ってるんだから」
咲「それを引き出してあげられないのが…私には悔しい」
咲「一緒に和ちゃんと打つのは楽しいけれど…でも、今は何処か寂しいよ」
咲「だから…和ちゃんにも…そうやって乗り越えて欲しい」
咲「そして…一緒にまた全力で…麻雀がしたいな」
和「咲…さん…」
優希「私は…中学から一緒だったし…なんとなく気持ちは分かるじぇ」
優希「のどちゃんがどれだけ凄くて…そしてどれだけ努力していたのかってのはこの中で誰よりも間近で見てるんだから」
優希「そうやって確立したいきなり全てを捨てろ…なんてのは正直、無理だと思うじぇ」
優希「でも…今ののどちゃんは…のどちゃんらしくない」
優希「のどちゃんはもっと強くて凛々しくて…心から麻雀を楽しんでいたんだから」
優希「だから…私からもお願いするじぇ」
優希「例え…負けても良いから…思いっきり…自分の為に打って欲しい」
優希「のどちゃんが全力を出しきって…また心から麻雀を楽しんで欲しいんだじぇ」
優希「勿論…それが我侭って事は分かってる」
優希「でも…さっき部長が言っていたのは嘘じゃない」
優希「皆、のどちゃんの事を思って…そして乗り越えて欲しいってそう思ってるんだじぇ」
和「…ゆーき…」
和「…少し…一人にしてくれませんか?」スッ
まこ「…あぁ。分かった」
和「すみません…」ガチャ
小蒔「…京太郎様」
京太郎「…ん?」
小蒔「原村さんのところに行ってあげて下さい」
小蒔「きっと…原村さんが今、待っているのは京太郎様ですから」
京太郎「…良いのか?」
小蒔「正直、良くはありません。今だって嫉妬で胸が一杯です」プクー
小蒔「でも…京太郎様ならきっと原村さんの迷いを断ち切ってあげられると思うんです」
小蒔「だから…彼女のもとに行ってあげて下さい」
小蒔「行って…励ましてあげてください。京太郎様が私にしてくださったように」ニコッ
京太郎「…あぁ。分かった」
京太郎「悪い。ちょっと追いかけてくる」
春「行ってらっしゃい…頑張って」
優希「気合入れないと…後で罰ゲームだからな!」
咲「京ちゃん、あの…」
京太郎「ん…?」
咲「…………ううん。なんでもない」
咲「和ちゃんの事…お願いね」
京太郎「任せろ。何とかしてみせるよ」グッ
まこ「…良く抑えこんだな」
咲「私にだって…大体、分かって来ましたから」チラッ
春「個人的には姫様の反応が意外…」
小蒔「ふふん。正妻の余裕って奴ですよ」ドヤァ
小蒔「あまり男の人を縛り付けたらいけないと月刊『良妻のススメ』に書いてありました!」フンス
優希「何か凄いダメ臭がするじぇ…」
春「…後で読ませて」
小蒔「良いですよー。バックナンバーや定期購読まで申し込みましたし、一緒に読みましょうね」
優希「あ、そこは塩送っちゃうんだ…」
小蒔「春ちゃんは家族ですから!」グッ
春「ファミリー…良い言葉…」ニコッ
優希「私の知ってる家族の定義と違う気しかしない!」
―― ガヤガヤワイワイ
咲「京ちゃん…」
まこ「まったく…身近にこんな良い子がいるのに罪深い奴じゃなぁ…京太郎は」
【帰り道】
京太郎「和!」
和「あ…」
和「須賀君…どうしてここに?」
京太郎「追いかけてきたに決まってるだろ」
和「…今は放っておいてくれませんか…?」
和「今はあまり…人に話したい気分じゃないんです」
京太郎「そういう訳にもいかないんだよ。部員皆に背中押されまくったからな」
和「…え?」
京太郎「皆、そんな顔をする和がほっとけないってさ。良い奴らだよな、まったく」
京太郎「だから…俺の顔を立てる意味でも…和の家に着くまで話をさせてくれないか?」
京太郎「それ以降は付き纏ったりしない。諦めるって…そう誓うからさ」
和「…分かりました。でも…絶対にですよ」
京太郎「分かってるって。俺はちゃんと約束は護ってきただろ?」
和「…まぁ…そうですけれど…」
和「時折、約束護るって口実でもっと酷い事される事もあったような気がします」ジトー
京太郎「うっ…い、いや…それは…まぁ…」
和「それは?」
京太郎「和が可愛すぎるからで…」
和「神代さんならともかく、私がそれで納得すると思っているんですか?」
京太郎「……」
和「……」
京太郎「すみません。俺が悪かったです」
和「宜しい」
和「…」
京太郎「…」
和「……」
京太郎「……」
和「…何か言ったらどうですか?」
京太郎「いやーこうして来たのは来たんだけどどう言えば良いのか分かんなくてさ」ハハッ
京太郎「でも、安心したよ。和も俺と話をしたがっているみたいで」
和「別に…そんな事…」
京太郎「じゃあ、どうしてわざわざ俺に踏み込むような真似をしたんだ?」
京太郎「多少、気まずくたってこのまま無言だった方が和にとっては都合が良かった訳だろ?」
和「それは…き、気を遣っただけです」
和「須賀君がこのまま戻ったらゆーきにまた色々言われて凹むんじゃないかって…そう思って…」
京太郎「あー大見得切って出てきたし、十二分に有り得そうだなぁ…」
和「どうしてそんな事したんですか…もう…」
京太郎「男って奴は可愛い女の子の前では格好つけたがる習性があるんだよ」
京太郎「だからさ…俺としては和の前でも格好つけたいんだけど…」
和「…好きにしたらどうですか?」
京太郎「なんというセメント対応。最初の頃を思い出すな」
和「…そんなに酷かったですか?」
京太郎「流石に怯えられるほどじゃなかったけど、かなり身構えられてたからなー」
京太郎「間取り持ってくれた優希がいなかったら今もきっと原村さん呼びだったぞきっと」
和「それは…だって、仕方ないじゃないですか」
和「今までずっと女子校育ちで…男の人と一緒に部活するなんて考えたこともなかったんです」
和「ましてや名前呼びだなんて…そんなの…こ、恋人同士がやるものじゃないですか」
和「それを気軽にポンポン交わすようになる方がおかしいんです」ムスー
京太郎「まぁ、確かに…ちょっと馴れ馴れしかったわな」
京太郎「でも、それだけ俺は和と仲良くなりたかった訳だから…優希の手も借りた訳で」
和「…そうだったんですか?」
京太郎「ぶっちゃけ下心ありで頼んだ。反省はしている」
和「下心って…」
京太郎「あー…まぁ…ほぼ一目惚れに近いものがあったな」
和「う…」カァァ
京太郎「な、何、顔を赤くしてるんだよ。普段、もっと凄い事だって言ってるのに」
和「だ、だって仕方ないじゃないですか…そ、そんなの…初めて知りましたし…」
京太郎「そうだったっけ…?そういや…あんまり言った記憶なかったかもな」
和「もう…そ、そういう重要なのは流さないでくださいよ」
京太郎「いやー悪い悪い。完全に言ったつもりになってたわ」
京太郎「でも…和もそういうのが大事だって思ってくれてるんだ?」ニヤッ
和「それは…その…」カァァ
和「そりゃ…だって…私…あ、愛玩奴隷…ですし」モジモジ
和「どう言った経緯で見初められたのかは…やっぱり…その…重要だと…」
京太郎「…あ、やばい。今の和、可愛すぎてすっげー押し倒したい」
和「も、もう!いきなり何を言ってるんですか!!」マッカ
京太郎「はは。流石にムードも何もなかったな」
和「そ、そうですよ!…そ、そう言うのはせめて…私の家に到着してから言って下さい…」ボソボソ
和「じゃないと…その…が、我慢出来なくなるじゃないですかぁ…♪」モジモジ
京太郎「(和可愛い)」
京太郎「まぁ…ともあれ、俺にとって和はそれくらい魅力的ですげー女の子だった訳だよ」
京太郎「麻雀も強くて教え方も分かりやすいしな。その上可愛くて頭も良くてスタイルも良くて…」
和「そ、そう言うのは良いんです!」カァァ
京太郎「はは。ごめんごめん」
京太郎「ま…だから…分からないんだよ」
京太郎「俺にとって和はそういう迷いとは無縁なタイプだった。少なくとも…俺の知る限り、とても決断力のあるタイプなんだから」
京太郎「それが一体…どうして打ち方を変えるのにそんなに躊躇っているのか…さ」
京太郎「だから…俺で良ければ教えてくれないか?」
京太郎「どうして和が今、そんなに迷っている理由を…俺は知りたい」
京太郎「そして…知った上で…俺はそれを…皆と一緒に解決したい」
和「須賀君…」
京太郎「んであわよくば…和に好きになって欲しい」キリッ
和「も、もう…そうやって落とさなくて良いんですよ!」
京太郎「はは。でも…本心だ」
京太郎「俺は下心全開でこうして和に近づいてる」
京太郎「だから…和はそれを利用するくらいのつもりで良いと思うぜ?」
京太郎「一応、口は堅い方だし…愚痴の聞き役くらいにはなれると思う」
和「……」
和「私は…怖い…んです」
京太郎「…怖い?」
和「私は…今まで麻雀に対して…とても真剣だったつもりです」
和「その結果…インターミドルチャンプとして輝き、今年のインターハイでも良い成績を残す事が出来ました」
和「でも…それは…ついこの間の…不調に陥る前の私です」
和「今の私がどれだけ強豪たちに通用するかは…未知数なんですから」
京太郎「でも、それは…」
和「…分かってます。そんなの…皆同じだって」
和「でも…やっぱり…どうしても思うんです」
和「今まで築き上げてきた私が…『これで良いの?』って…『本当に後悔しないの?』って…そう心の中で聞いてきて…」ギュッ
和「負ける事が…凄く怖くて…私はいつも通りの無難な打ち方をしてしまうんです…」
京太郎「和…」
和「それに…もし…私の新しい打ち方が通用しなかったら…どうして良いか分かりません…」
和「須賀君や神代さんの協力でようやく見えてきたそれがもし使い物にならなかったら…私…」
和「二人に顔向けが出来ないって…そう思って…逃げちゃうんです…」
和「分かってるのに…立ち向かわなきゃ始まらないって理解しているのに…」
和「なまじ以前の自分が結果を残している分…ついそちらを頼ってしまうんです…」
京太郎「……」
和「ごめんなさい…私…そんなに強くないんです…」
和「ゆーきや須賀君に言われたみたいに…なんでも出来る訳じゃなくって…」
和「本当はこんなに情けなくて…ダメな子なんです…」
和「皆が心配してくれていたって…それを知って尚…踏み出せないくらい…」
和「私は臆病で…弱い人間で…」ギュッ
和「須賀君に…失望されても…仕方のない人間なんです…」
京太郎「失望なんか…しねぇよ。そんなの誰だって同じなんだから」
和「…え?」
京太郎「誰だって今まで築き上げてきたもの全部投げだすようなチャレンジが出来る訳じゃない」
京太郎「一度、自分が掴んだものを手放さなきゃ新しいものを掴めないって分かっていても…出来る奴なんてあんまりいないんだから」
京太郎「和がそうやって怯えて逃げてしまうのはごく当然で…普通の事だ」
和「でも…私はそれで…皆に心配を掛けてしまって…」
京太郎「そんなのあいつらは気にしねぇよ」
京太郎「その程度で迷惑だって思うくらいなら、俺含む一年生組は和から絶交されてもおかしくないくらい色々してるだろ?」
京太郎「それでも咲たちがああやって和に発破を掛けたのもそれだけ和の事を信用しているからだ」
京太郎「和なら…きっと乗り越えてくれるって…そう信じているからだ」
京太郎「勿論…俺も和の事を信じてる」
和「須賀君…」
和「でも…私…やっぱり…」
京太郎「…和。一つ言っておくぞ。栄光とか…そういうのは後から幾らでも着いて来るんだ」
和「…え?」
京太郎「インターミドルチャンプとか全国大会で活躍とか…確かに凄いよ」
京太郎「間近でそれを見てた俺には…和がそれに相応しいだけの努力をしてた事が良く分かる」
京太郎「でも…それはもう終わった事なんだ」
京太郎「何時までも過去にしがみついていたら…負ける事は少なくなるかもしれないけど…前には進めない」
京太郎「今の和は次の栄光を手にする為に前へと進む時期に来てるんだ」
和「そんな事…私にだって…分かっています…それでも…私は…」
京太郎「自分の事が信じられない…か?」
和「…はい」
京太郎「じゃあ…俺達の事は?」
和「…え?」
京太郎「和の事を信じてる…俺達の事は信じられないか?」
和「…それは…卑怯な…質問です」
京太郎「あぁ。俺もそう思う」
京太郎「でも…結局、和が怖がっている理由は多分、そこにある」
和「私が…怖がっている理由…」
京太郎「和は多分…負けるのが怖いんじゃないんだ」
京太郎「いや…そもそも怖いはずがないんだよ」
京太郎「こんな事言ったら怒るかもしれないけど…和はコレまでに何回も咲たちに負けてきてるんだから」
京太郎「実際、さっきだって和は三位だったんだろ?」
和「…はい…」
京太郎「でも…その結果に和は恐れてはいない」
京太郎「勿論、何か思うところはあるかもしれないけど…でも、自分を見失うほど怖がっちゃいないんだ」
京太郎「それは…和が負けを怖がっていないって証拠だと思う」
京太郎「だから…和は多分、負けたその先の事を怖がっているんじゃないか?」
京太郎「ただ失敗して負けてしまうだけじゃなくって…その結果、俺達に嫌われる事を怖がってるんじゃないか?」
和「っ…!」
京太郎「そして…和がそうやって逃げたくなる理由は…失敗した後がないって思い込んでいるからだ」
京太郎「失望されたらもう取り返しがつかないって…嫌われたままなんだって…そう思っているからだと…俺は推測してる」
和「そ…れは…」
京太郎「俺の言っている事は…間違っているか?もし、そうなら今ここで否定してくれ」
和「……間違っては…いません…」
和「須賀君の言うとおりだと…私も…思います」
京太郎「じゃあ…次に俺の言いたい事も分かるよな?」
和「…でも…」
和「でも…そんな風に開き直れるほど…私は…何かある訳じゃありません…」
和「私が人に誇れるものなんて…麻雀しかないんです」
和「でも…それでも…皆の足を引っ張ってしまったら私…っ」ギュッ
京太郎「…だから、言ってるだろ」ポン
和「…え?」
京太郎「俺達は…その程度で和に失望なんてしないし、嫌ったりもしないってさ」
京太郎「何度だって…断言してやる。その程度で迷惑なんて考える奴は清澄にはいない」
京太郎「何故なら…皆が皆、和の事が好きだからだ」
和「私の事が…好き…?」
京太郎「あぁ。そうだ。麻雀に真剣な和が、進んでお茶を入れてくれる和が、料理上手で少し不器用だけど優しい和が…アイツらは大好きなんだ」
和「で、でも…そんなのは私じゃなくても宮永さんや部長も…」
京太郎「だからって…それを持ってる和の価値が下がる訳ないだろ」
京太郎「そもそも…和はハードル上げすぎなんだよ」
京太郎「人に誇るものなんて別に唯一無二じゃなくたって良いんだ」
京太郎「自分で自分を認めて褒めてやれるものだったら何でも構わない」
京太郎「つーか、そうじゃないと世界中の殆どの奴が取り柄のない奴になるぞ」
和「それは…そうかもしれないですけど…」
京太郎「ついでに言えば…誰かが誰かの事を好きになるのに大層な理由は必要ない」
京太郎「日常のほんの小さなやり取りでも、友達になりたいって思う事はあるんだ」
京太郎「んで…和はさっきあげたように沢山いい所を持ってる」
京太郎「雀士としてじゃない。個人としても原村和は魅力的なんだ」
京太郎「それをアイツらも…そして俺も分かってる」
京太郎「だから…そんな風に嫌われるかもしれないって…怯えないでくれよ」
京太郎「俺達は和の事が大好きで、そして力になりたいってずっと思ってるんだからさ」
京太郎「それさえダメなら…せめて俺だけでも信じられないか?」
和「須賀君の…事を…?」
京太郎「あぁ。俺だけはどんな事があっても絶対に和を見捨てたりしない」
京太郎「ずっとその傍に居て…支え続けるって約束する」
京太郎「例え、和が麻雀が嫌になっても…絶対にそれは変わらない」
京太郎「アイツらが鬱陶しくなったなら…それを遠ざける事にだって協力するよ」
京太郎「だから…俺の事だけは信じて…もうちょっとだけ頑張ってみないか?」
和「……私…は……」
京太郎「今のままじゃあんまりにも…窮屈そうで…見てる俺も辛いんだ」
京太郎「俺が見たかったのは…そんな和の姿じゃない」
京太郎「最初に会った頃のように…麻雀に対して真剣で…そして楽しんでいた和の姿が見たかったんだから」
京太郎「その為に特訓って言い出したのに…それが和を縛り付けているのは…悲しいし…さ」
和「須賀君…」
和「分かり…ました」
京太郎「っ!そっか!」
和「でも…今のままじゃ…出来るかどうか…分かりません」
和「やっぱり…怖いって言う気持ちは…完全には払拭出来ないんです…」
和「ですから…もし…最後まで出来たらご褒美を…くれますか?」ウワメヅカイ
京太郎「ご…ご褒美って…?」
和「わ、私…その、く、首輪が欲しいです…」カァァ
京太郎「えっ」
和「べ、別に神代さんに対抗意識を燃やしてる訳じゃありませんよ!?」マッカ
和「たまに指輪見て嬉しそうにしてる神代さんが羨ましいって訳でもないですからね!!」マッカッカ
京太郎「お、おう…」
和「た、ただ…その…私には…あぁいうのくれないのは…さ、流石に不公平じゃない…ですか」モジモジ
和「やっぱりその…私が一番なんですし…そういうケアも…しっかりして欲しいなって…そう思って」
和「お、お金ないのは分かってますけど…その…安物で良いんで…私が…須賀君の…ううん」
和「ご主人様のものだっていう…明確な証が…欲しいです…」ポソポソ
京太郎「あー…もしかして…踏ん切りつかなかったのって…その所為…か?」
和「ち、違います!な、何を馬鹿な事を言ってるんですか!!」
和「そ、それとこれとはちょっとしか関係ありません」
京太郎「(ちょっとは関係あるんだな…)」
和「で、でも…その…そういうのがあれば…私も…頑張れるなって…」
和「秋季大会の時に頑張った神代さんみたいに…最後までやりきれるなって…そう思っただけで…」シュン
京太郎「和…」グイッ
和「あ…っ♥」
京太郎「ごめんな…もう少し考えてやるべきだった」ナデナデ
和「あ…ぅ…♪ご、ご主人様…ひ、人が…見てます…ぅ…♥」
京太郎「魅せつけてやりゃ良いよ。それとも…和はそういうの嫌か?」
和「いえ…そんな事ないです…けど…ぉ♪」モジモジ
京太郎「だったら…もうちょいこのままで…な」
京太郎「和の気持ちにちゃんと気づいてやれなかったお詫びを…俺がしたいんだ」ギュッ
和「あ…ぁ…ぁ♪」ブルッ
和「は…反則…ですよ…っ♥そんな事言われたら…私…許すしかないじゃないですかぁ…♪」
京太郎「そりゃ許される為にやってるからな」
京太郎「それに…まぁ、和に詫びたいって気持ちも嘘じゃない」
京太郎「俺が無神経だった所為で…和を傷つけてしまってごめん」
和「…もう…良いです。怒って…ませんから…」
和「その代わり…今日…その…良い…ですか?」
和「今日は…父も母も帰りが遅いので…ゆっくり…出来ると思うんです…♪」チラッ
京太郎「あぁ。俺も和の事…思いっきり抱いてやりたい」ギュッ
京太郎「また遠慮させちゃってた分…俺に甘えられるように滅茶苦茶にしてやりたいんだ」
和「は…ぅ…ぅ♪」ブルルッ
京太郎「でも…それ以外にもっと要求して良いんだぞ」
京太郎「プレイの内容とか…欲しいものとかさ」
京太郎「折角、こういう仲になったんだから…和のしたい事とか欲しいものとか…もっと知りたいし」
和「あの…それじゃ…もう一つ…良いですか?」
京太郎「おう。何でも言ってくれ」
和「私…ご主人様に…もっと縛り付けられたいです…♥」
京太郎「…ん?縛り付けられたいって…この前みたいな奴?」
和「あ、アレも好きですけど…こ、今回のはそういうんじゃなくって…あの…」カァァ
和「わ、私が…ご主人様に逆らえなくなるような…弱みを…握って欲しいんです…♥」
和「私がご主人様から見捨てられたら…人生が終わってしまうみたいな…そんな…凄い弱味を…ぉ♥」
京太郎「…いや、和が望むなら俺も嫌じゃないけど…」
京太郎「でも…和本人がそう思ってるなら…それで良いんじゃないか?」
京太郎「わざわざ脅迫材料を自分で作るような真似をしなくても…今と特に変わらないような気が…」
和「ぜ、全然、違います!」
和「あっ…ぅぅ」カァァ
京太郎「(思わず大声出しちゃう和可愛い)」
京太郎「それに、そういうのは俺に望むものじゃないか?」
京太郎「謝るつもりはないけど…俺は和にも色々と酷い事してる訳だしさ」
京太郎「二度とこういう事がないようにって…俺の弱みを要求してもバチは当たらないと思うぞ」
和「勿論…それも考えなかった訳じゃないですけど…」
和「でも…私…ご主人様の事…信じていますから」
和「私を一番だって言ってくれたご主人様なら…もう同じ失敗はしないって…そう信じてます」
和「だから…ご主人様の弱みなんて私には必要ありません」
和「必要なのは…私がご主人様に逆らえないって…完全に支配されてるって思える…そんなもので…♥」
京太郎「…そっか。…和は本当にご主人様想いの良い奴隷だな」ナデナデ
和「ん…ぅ♥」
京太郎「とは言え…今はちょっとその為の道具がないからさ」
京太郎「龍門渕で和が頑張ったら…首輪と一緒にあげるよ」
京太郎「そうやって我慢させちゃう分、一生、俺から離れられなくなるような凄い奴…考えとくからさ」
和「は…い…♥」ギュゥ
京太郎「だから…また当分、特訓だな」
和「良い…んですか?」
京太郎「当たり前だろ。そもそもこの特訓は俺や小蒔の為じゃなくって、和が新しい強みを見つける為のものだったんだからさ」
京太郎「忘れてた訳じゃないけど…秋季大会終わった所為でちょっと気を抜き過ぎてた。ごめん」
京太郎「だから…その分、龍門渕戦まで毎日、和の家で特訓しよう」
京太郎「ただ…エロはなしな」
和「う…だ…ダメ…ですか?」
京太郎「勿論、本気で我慢出来なくなったら幾らでも付き合うけどさ」
京太郎「でも、龍門渕戦までに何とか形にしないとあの天江選手には太刀打ち出来ない」
京太郎「負けず嫌いの和は…そんなの嫌だろ?」
和「それは…勿論です」
京太郎「だから…今日、思いっきりする分、当分の間はお預けだ」
京太郎「終わったら…そうやって焦らした分、思いっきり可愛がってやるからさ」ナデ
和「はぅ…ぁ…♥」ブルリ
和「ご主人様…ぁ…♥私は…ううん…『和』はもう……ぅ♪」
京太郎「…我慢出来なくなった?」
和「はい…♥和はもう…完全に…エロエロになっちゃいましたぁ…♪」
京太郎「外でも発情するなんて本当に和は淫乱な愛玩奴隷なんだな」
和「だって…ご主人様が一杯…和の事を嬉しくさせるから♪」
京太郎「言い訳するなって」ダキッ
和「ひゃぅっ…♪」
京太郎「罰として…今日はこのまま家までお姫様抱っこの刑な」
和「ぅ…でも…ご主人様が…♥」
京太郎「俺の事は良いんだよ」
京太郎「和は軽いし…ここから和の家までそんなにないんだからさ。普通に歩くなら余裕で運べるって」
京太郎「それより…しっかり掴まってろよ」
京太郎「丁寧に歩くつもりだけど…何があるか分かんないしさ」
和「…は、恥ずかしい…です…よぉ…♪」
京太郎「アシクビヲクジキマシターって顔してりゃ大丈夫だって」
京太郎「それに罰なんだから多少、恥ずかしいのが当然だって」
京太郎「まぁ…和にはそれが逆に気持ち良いかもしれないけどさ」
和「あうぅ…♪」カァァ
和「ご主人様は…い、意地悪です…♪」
京太郎「一応、自覚はある。安心しろ」
和「でも…それ以上に…とても…優しい人です…♥」
京太郎「お仕置きしてるのに優しいなんて言われてもなぁ…」
京太郎「もうちょい激しいのが良いか?」
和「そ、それは…まぁ…ちょっと思わなくもないですけど…♪」
和「でも…こうしてお仕置きって言って…家に運んでくれているのは…和を縛り付ける為ですよね…♥」
和「噂って言う鎖で…雁字搦めにして…逃がさないように…してくれているんですよね…♥」ギュッ
京太郎「あー…いや、買いかぶりだぞ」
和「ふふ…っ♪それならそれで…構いません…♥」
和「和が…勝手にそう思って…ご主人様の事にもっとドキドキするだけですから…♥」
和「ほら…聞こえますか…?和の鼓動…もうドクドクって…興奮しまくってます…ぅ♪」
京太郎「ぅ…」
京太郎「そんな事言ったって…今日は走ったりしないからな」ギュッ
和「分かってます…♪あの時とは状況が違いますから…♪」
和「でも…こうやって抱っこされて外を歩いていると…龍門渕からの帰りを思い出して…♥」
和「お腹の奥がキュンキュンって…疼いちゃうんです…♪」
京太郎「まったく…ちょっと淫乱過ぎだぞ」
和「エッチな愛玩奴隷は…嫌いですか…?」
京太郎「それが和なら何だって好きだよ」
京太郎「だから…あんまりそうやって俺の事誘惑しないでほしいな」
京太郎「正直…ムスコがこすれて歩きづらい」メソラシ
和「ふふ…っ♪後で一杯…和の身体で性欲処理出来ますから…がんばって下さいね…♪」ナデナデ
京太郎「まったく…後で覚えてろよ」
和「どんな事…されてしまうんですか…ぁ♪」
京太郎「腰が砕けて失神するまで可愛がってやる」
和「あ…ふぁぁっ♪♪」ブルル
和「楽しみに…楽しみに待っています…♥私の…ご主人様…っ♥」
………
……
…
【龍門渕家】
透華「ようこそおいでくださいましたわ!清澄高校の皆様!!」バーン
咲「こんにちはー」
小蒔「こんにちは。また宜しくお願いします」
春「…開けた瞬間でびっくり」
まこ「はは。龍門渕選手は目立つのが何よりも好きってタイプじゃけぇな」
優希「ぶっちゃけ今回が初めてじゃないし、慣れたもんだじぇ」
京太郎「小蒔や咲は一回目に随分と面白いリアクションしてたけどな」クスッ
春「なにそれきになる」
小蒔「べ、別に面白くなんかありませんよ!」
咲「そ、そうだよ!そんなの京ちゃんの思い込みもいい所なんだから!!」」
透華「むぅ…いけませんわ…お客人の皆様に飽きられています」
透華「これは新しい趣向を考える必要がありそうですわね…」ブツブツ
一「出来ればやらないっていう消極的な方に行ってくれるとボクは嬉しいかなー」
純「ま、無理だろ。だって、透華だぜ?」
智紀「変に大人しくなったら心配するレベル」
ハギヨシ「皆様、透華お嬢様の事を良く理解していただいているようで何よりです」ニコニコ
透華「な、なんですハギヨシまで…」
透華「そ、そもそも招待した客人を歓待するのはホストの義務ですわ!私はそれをやっているだけで…」
一「はいはい。そうだね。その話はあっちで聞くから」
衣「咲!」
咲「こんにちは。衣さん」
衣「うん!ののかも…良く来てくれたな」
和「えぇ。負けたままではいられませんし」
衣「ふふ…っ!その意気や良し!しかし、衣の前では…!」
まこ「ま、そう言う事はみな、中に入ってからにしよう」
小蒔「そう言えば他の高校は…?」
透華「秋季大会準決勝と同じメンバーを集めましたわ!」
透華「折角のりべ…いえ、調整試合なんですもの。同じ状況でなければ面白くありません」
一「はは。まぁ…そういう事だから付き合ってあげて欲しいな」
純「あの準決勝で一番、フラストレーション溜まってるの透華みたいで」
智紀「まぁ…知らない間に全部終わってたら…ストレス溜まるのも当然」
まこ「あー…悪いんじゃが…」
透華「え…?」
まこ「うちのオーダーはこんな感じじゃ」スッ
透華「……」
まこ「……」
透華「………あの…」ウルッ
まこ「うん。スマン。まさかここまでリベンジ楽しみにしとるたぁ思わなかった」
咲「と、という訳で…悪いけど私の相手、お願いします」
透華「…まぁ…構いませんけれど。なんだかんだ言って宮永さんには四校合同合宿の時に借りがありますし」
透華「それを返せる機会となれば是非もありませんわ」グッ
衣「で…衣の相手はののかかー?」
和「…えぇ」
衣「…その…大丈夫…なのか?」
和「…え?」
衣「咲や会った頃の和相手なら…衣も全力を出せる。でも…以前のままだったら…」
和「それ…は…」
京太郎「大丈夫っすよ」
衣「お前は…金髪の」
京太郎「うす。須賀京太郎っす。横槍入れてすみません」
京太郎「でも…和は大丈夫ですから。天江選手も…全力を出してやって下さい」
京太郎「いえ…寧ろ出さないと…危ういかもしれませんよ」
衣「ほぅ」
衣「これは…面白い事を聞いた」
衣「この衣が…危ういとな」
京太郎「えぇ。それくらい和は強くなっています」
京太郎「以前とは別人ですよ」
衣「そうか…」グッ
衣「…あんな退屈な打ち方をされたら…遠ざけようと思っていたのだが」ゴォォッ
和「っ…!」ゾクッ
衣「そうではないようで…安心したぞ」ニコッ
和「え…えぇ。大丈夫…です」グッ
和「私は…もう逃げません」
和「そして…皆の為にも…絶対に負けたりなんてしませんから」キッ
咲「…何かまた衣さん…強くなってません?」ヒソヒソ
透華「…最近は月の満ち欠け関係なしに安定したポテンシャルを発揮するようになりましたわ」
一「相変わらず満月の夜が一番、やばいのは確かだけどね。でも、昼夜の関係は殆どなくなったって思って良いよ」
智紀「その上…上限は今も成長期真っ只中…」
純「時折、コイツ何処まで行くんだろって思う時があるよ。まぁ…それも含めて可愛い奴だけどさ」
透華「とは言え…成長しているのは私達も同じです」
透華「それは…以前の秋季大会で双方、思い知った事だと思いますが…」
透華「今日もまたその実力を競い合い…戦い合いましょう」
まこ「そうじゃの。うちとしても実力が近い龍門渕さんとやるんは楽しい」
春「まぁ…その分…巻き込まれた二校は可哀想ってレベルじゃない…」
純「その辺はまぁ…手の内全開で打つ俺らが見れる授業料って事で」
智紀「来年は…多分、私達と清澄が優勝候補だろうから」
一「ただ、ボクは来年のインターハイまで相手校が麻雀続けられるか心配だよ…」
まこ「まぁ…長野が魔境と呼ばれる原因になった殆どがここに集っとる訳じゃけぇなぁ…」
純「もし県別対抗戦とかになったらここにいる連中が全員出てもおかしくないレベルだし」
透華「県別対抗戦…面白そうですわね…」
純「あっ…やべ…」
智紀「…透華にエサを与えちゃいけないってあれほど」
一「もう…純君ってばこれだから」
純「い、いや…悪かったけど、そこまで言わなくて良いだろ!!」
透華「と言うか…三人とも私を何だと思っていますの?」ジロリ
透華「凄い気にはなりますが…既に二校は到着してますし…そろそろ始めましょう」
透華「そして溜まった鬱憤はその後の自由対戦で晴らす…で宜しいですか?」
透華「その代わり、こちらから軽食やジュースなどを提供させて貰います」
まこ「うん。こっちも異論はなぃんじゃ。とゆうか、そのつもりのオーダーじゃった訳で…すまん」
透華「もう。気にしていないと言っていますのに」
透華「さっき言った通り…溜まった分はその後に晴らすつもりですからお気になさらず」
透華「では…中へお入り下さいませ」ガチャ
透華「皆、待っていますわ」
優希「ひゃっはー!久しぶりの龍門渕だー!」ドタドタ
純「おーい、走るなよ。その辺にあるもんでも数十万下らないんだからな」
優希「ひぃっ!そ、そういう事は早く言って欲しいじぇ…」
透華「べ、別に…その程度要求したりしませんわよ」
透華「…流石に数千万クラスのものともなると話は変わってきますけど」ボソッ
優希「お、大人しくしてます」ガクガク
小蒔「わ、私も…」フルフル
………
……
…
京太郎「(そうやって始まった…龍門渕の調整試合)」
京太郎「(それは大方の予想通り、開始から激しい点数の奪い合いになっていた)」
京太郎「(まるで調整なんざ知った事かと言うような高打点の打ち合いに…けれど、意外な事に他二校もしっかりと着いて来ていた)」
京太郎「(恐らく彼女たちもこれが調整試合などではなく、リベンジを目的としたものだと気づいていたのだろう)」
京太郎「(それぞれの対戦相手の傾向やクセなどを的確に突き、以前のように大きく突き放される事はなかった)」
京太郎「(けれど…それはあくまでも副将戦までの話だ)」
京太郎「(普段、大将をしている咲の突然の参戦に…勿論、対策なんかしていなかった二校は対処出来ない)」
京太郎「(結果、不可思議な打ち方をする咲に翻弄され、ドンドンと点数を削られていった)」
京太郎「(それに龍門渕選手は何とかついていけていたみたいだけれど…それだって完璧じゃない)」
京太郎「(和でさえついぞ真正面から打ち破る事が出来なかった咲の支配は…かなり強固なんだから)」
京太郎「(今までの選手が稼いだ点棒を精神力と共にガリガリと削りながら…終局した)」
京太郎「(それに龍門渕選手以外の二人が涙目になってたのは…正直、同情する)」
京太郎「(とは言え…そうやって副将戦が終わった以上、次はついに大将戦)」
京太郎「(新生和が…ついに他校の前でヴェールを脱ぐ日が…訪れたんだ)」
優希「の、ののののどちゃん!お茶飲むか!?」
咲「だ、大丈夫!?し、深呼吸だよ和ちゃん!!」
小蒔「つ、辛い時は手をあげて先生にちゃんと報告して…」
京太郎「とりあえず落ち着けお前ら」
咲「で、でも…!」
優希「の、のどちゃんが!」
和「…大丈夫ですよ」
小蒔「本当…ですか?」
和「えぇ。…寧ろ…こうやって近づけば近づくほど…頭の中が冴えていくようにも思えるんです」
和「…不思議ですね。お屋敷にやって来た時は不安で仕方がなかったのに…」
和「皆が頑張ってくれた姿を見ていたら…私も負けていられないってそう思ったんです」
和「だから…大丈夫」
和「私はもう…逃げたりなんかしません」
和「例え、どんな結果になったとしても…真正面から戦って…そして勝ってきます」
和「私の為に…色々と骨を折ってくれた皆の為に…必ず」グッ
まこ「…あんまし気負い過ぎるなよ」
まこ「こりゃぁあくまで和に発破を掛ける為のオーダーじゃし、追い詰める為のもんじゃないんじゃけぇ」
まこ「負けたら負けたで…それでええ。そん時はわしが悪かったって事を忘れんでくれ」
和「大丈夫です。私は…負けません。部長さんの采配が良かったんだって必ず…そう言わせてみせますから」
春「…緊張には黒糖」ソッ
和「別に…緊張してる訳じゃ…」
春「足ちょっと震えてる」
和「っ!」
春「…嘘」
和「あ…っ」カァァァ
春「…強がらなくて良い。誰だって…怖いものは怖いんだから」
春「だから…これ…持って行って」ガサッ
和「…これ…」
春「黒糖。…私が…一番大事な人から教えてもらった最高のお菓子」
春「きっと…気晴らしくらいにはなってくれる」ニコッ
和「…ありがとうございます」
京太郎「…和」
和「須賀君…」
和「今まで…ありがとうございました」
和「須賀君がずっと特訓に付き合ってくれなかったら…私…ここまで来れなかったと思います」
京太郎「…そんな事ねぇよ」
京太郎「俺なんかいなくたってきっと和はそれを完成させる事が出来た」
京太郎「俺の知る原村和ってのは…それくらい凄い奴なんだから」
和「それでも…須賀君が支えてくれたという事は変わりません」
和「ですから…見ていて下さい」
和「私は…原村和は…須賀君のお陰でこんなにも変われたんだって…そう見せつけて来ますから」
和「衣さんだけじゃなく…皆にも…一目で分かるくらいに…」グッ
京太郎「…あぁ。行って来い」
京太郎「そして…長野でも指折りの打ち手と…精一杯、楽しんで来れば良い」
京太郎「勝ち負けなんて気にせず、自分の力を試すくらいの気持ちで…な」
京太郎「そうすりゃ…和はおのずと…自分の実力を発揮できる」
京太郎「それは…誰よりも和と打った俺が保証するよ」
和「はいっ!」
―― ガチャ
ハギヨシ「時間です。…原村様、宜しいでしょうか?」
和「はい。おまたせしてすみません」
ハギヨシ「いえ…では、部屋へとご案内します」
咲「和ちゃん…頑張って!」
優希「のどちゃんなら大丈夫だじぇ!」
小蒔「私たちはこっちで応援していますから!」
まこ「気軽に…気軽にな」
春「…辛い時は…皆を信じて…」
和「はいっ!では、行ってきます」ガチャ
―― バタン
春「…やっぱり黒糖の導きがあらん事をって言うべきだった…?」ナヤミ
京太郎「…お前は落とさずにいられない体質なのか」テシ
春「あぅ」
和「(皆のお陰で…気持ちは完全に落ち着きました)」
和「(勿論、不安はありますし、怯えもあります)」
和「(玄関であんな事を言いましたが…今の私で衣さんに太刀打ち出来る自信なんてまったくありません)」
和「(また無様に負けてしまうんじゃないかって気持ちは私の中でどうしても消えてくれないのです)」
和「(でも…皆は…そんな私を暖かく迎えてくれるでしょう)」
和「(失望なんてせず…私の事を慰めてくれるって…心から…そう信じられますから)」
和「(だから…私はもう怖くなんかありません)」
和「(怯えはしても…それが恐怖には繋がらないのです)」
和「(こんな気分…初めてかもしれませんね)」
和「(私は今…心から信頼出来る仲間に囲まれているんです)」
和「(中学の時だって…ここまで仲間を信じられた事はなかったかもしれません)」
和「(だからこそ…私は…)」
―― ガチャ
衣「…」ゴォゥッ
和「(この人に…勝ちたい)」
和「(この人に勝って…皆に良い知らせを…持って帰ってあげたい…!)」
ハギヨシ「…始まりましたね」
京太郎「あれ…?ハギヨシさんこっちに居て良いんですか?」
ハギヨシ「ここまで来たら私の仕事はありませんから」
ハギヨシ「それよりは友人の傍で観戦して来いと透華お嬢様が」
京太郎「なるほど。そう言えばこうして顔を合わせるのも久しぶりですからね」
ハギヨシ「最近は須賀君も忙しくしてるみたいですから」
京太郎「はは。まぁ、それでもハギヨシさんには負けますよ」
京太郎「と言うか本当、何時、休んでるんですか」
ハギヨシ「ちゃんと合間合間に休息は取っておりますよ」
京太郎「(その休息が秒単位っぽく思えるくらい働き者だから…正直、不安なんだよなぁ…)」
京太郎「(多分、龍門渕選手が清澄の控え室に寄越したのも自分の近くじゃハギヨシさんが休まらないからなんだろうし)」
ハギヨシ「まぁ…何はともあれ…」
京太郎「…今はまず大将戦…ですね」
モブα「(天江衣に原村和…正直、化け物と言っても良い二人が相手だけど…!)」
モブα「(ダブリーからの清一色…!)」
モブα「(幾ら化け物二人と言っても…これを避けるのは難しいでしょ…!!)」
和「…」トン
モブα「っ!ロンっ!」
モブα「ダブリー 一発 清一色!」
和「…はい」スッ
ハギヨシ「…いきなり直撃ですね」
京太郎「まぁ…運が悪かったです」
京太郎「ダブリーからの清一色なんて避けろって方が無理ですよ」
京太郎「…いや、一部、それを可能にする奴はいますけど」
咲「…え?」
京太郎「いや、なんでもない」
ハギヨシ「…特に動揺はないようですね」
京太郎「和の立ち上がりはあんなものですよ」
京太郎「確かに直撃は痛かったですけど、事故みたいなものですし」
ハギヨシ「まぁ…アレは衣様でも避けられるとは言いがたいものですね」
京太郎「えぇ。それよりもこの一局目でアレだけのものを引っ張ってきたモブαさんを褒めるべきです」
京太郎「天江選手の一向聴地獄を抜けながら一位の清澄に対して一気に距離を詰めて来ましたしね」
ハギヨシ「…とは言え…」
京太郎「…えぇ」
衣「……」ゴゴゴゴ
ハギヨシ「今の一撃は…完全に衣様をその気にさせたようですね」
京太郎「もうちょっと様子見してくれるかなーって思ったんですけど…ちょっと甘かったです」
京太郎「実際…他家の配牌は…酷いもんですね」
ハギヨシ「衣様の能力は配牌の時点で及んできますから」
京太郎「改めて考えなくても鬼だなー…」
京太郎「ま…今回はそれが和にとって有利に働くんですけどね」
ハギヨシ「…え?」
京太郎「まぁ…見てて下さいよ。今の和は…かなり面白いですよ」
衣「ロン。8000」
和「…はい」
ハギヨシ「…また直撃?」
京太郎「いえ…今のは多分、和の方から振り込んだんです」
京太郎「天江選手の手牌を確認する為に…自分の方から」
ハギヨシ「…どういう事ですか?」
京太郎「和の能力はそのままじゃ発動しないんですよ」
京太郎「とても入念に下準備が必要なんです」
ハギヨシ「その為に…振り込むことが必要だと?」
京太郎「絶対ではないですけどね」
京太郎「ただ、そうした方が『理解』が進むのは確かみたいです」
ハギヨシ「…『理解』?」
京太郎「えぇ。また研究とか対策とか言った方が良いかもしれませんけど」
ハギヨシ「…それは…おかしいですね」
ハギヨシ「私見ながら…原村様の打ち方は見て来ましたが…彼女のそれは他者をあまり気にするものではありません」
ハギヨシ「常に自分のポテンシャルを最大限に発揮しようとするものだったはずです」
京太郎「今まではそうですね」
京太郎「でも…今の和は違います。オカルトってものを認めて…和は一歩前へと進んで…そして認めたんです」
ハギヨシ「…認めた?」
京太郎「…えぇ。自分が決して実力だけで勝ち抜けるような雀士じゃない事を。世の中には…どうにもならないような実力差があるって事を」
モブβ「(全然…駄目だ…和了れる気配がない…)」
モブβ「(噂には聞いてたけど…これが天江衣の…一向聴地獄って奴…?)」
モブβ「(偶然だって信じたいけど…他家も同じく…聴牌気配がない…)」
モブβ「(鳴けば多少はどうにかなるらしいけど…鳴けるようなチャンスなんて来ないし…)」
モブβ「(あーもう…こんなの絶対麻雀じゃないって…)」
モブβ「(ロリっ子なはずの天江衣はさっきから何か凄いプレッシャー放ってきて息苦しいし…)」ジジッ
モブβ「(あれ…?少し…息苦しさが楽になった…?)」トン
モブβ「(って…来てる…来てるじゃん!)」
モブβ「(何だ…一向聴地獄とか言いながら…別に聴牌出来ない訳じゃない…!)」
モブβ「(噂なんて…所詮、噂でしかないんじゃないの…ビビって損した…)」
モブβ「(ただ…まぁ、単騎待ちだから望み薄なんだけどね)」ハハッ
モブβ「(でも…やれない訳じゃないって分かっただけでも十分…!)」
モブβ「(後はこれを誰かにぶつけられれば一番なんだけど…)」
和「……」トン
モブβ「あ、そ、それ!」
モブβ「それ、ロンです!3900!!」
和「はい」スッ
衣「(…おかしい)」
衣「(さっきから衣は…全力で打っているはずだ)」
衣「(普段であれば…既に絶望し始め、心折れるものも出てくるはず…)」
衣「(それなのに…何故、こいつらはまだ…立ち向かえる?)」
衣「(いや…そもそも…一番、衣が不可解なのは…どうして…わざわざ和は他家へと振り込む?)」
衣「(勿論…衣とて自分の能力が完璧ではない事くらい分かっている)」
衣「(時折、支配が揺らぐのも分かるし…その間に他家が聴牌しているのも感じる)」
衣「(だが…どうしてそんな他家に…和ばかりが直撃を受けるのか)」
衣「(時に見え見えの待ちにさえ振り込むそれは…衣を苛つかせる)」
衣「(アレだけの大言を放っておいて…逃げ切る事が…衣への対策だと言うのなら…)」
衣「(失望の極みだ。面白くもない)」
衣「(今まで衣と打った連中とさほど変わらんそれを見たくて…衣は今までずっと待っていた訳じゃない)」
衣「(だからこそ…衣は…)」
衣「ツモ。リーチ一発四暗刻海底ツモで…16000・8000だ」
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