モバP「えっ?海外のトレーナーがやってくる?」マス「……」 (51)

モバP「えっ?トレさん達の部屋に?」マス「招待しよう」
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モバP「え?トレさんを休日に?」マス「誘いたまえ」
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モバP「えっ?ベテさんに届け物を?」マス「届けてくれ」
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※一部、オリジナル設定とオリジナルキャラがありますのでご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372272458

P「あれ? どうしたんですか?」

マス「……何がだ?」

P「いや、いつもだったら『案内したまえ』とかそういう台詞が来ると思ったのに」

マス「……そうか?」

P「どうしたんです? 様子が変ですよ?」

マス「何でもない。気にするな」

P「……」

マス「今回訪れるのは、我々トレーナーの世界では知らないものなどいない著名人だ」

P「そうなんですか?」

マス「アメリカで数々のトップスターを育て上げ、ブロードウェイでは幾つものミュージカルを成功に導いている」

マス「しかも世界トレーナー協会の理事も務めている大物だ。緊張するなという方が無理な話だ」

P「そんな超VIPがなんだってこの事務所に?」

マス「別件で来日する事があるらしい。そのついでに、私の様子を視察しに来るとのことだ」

P「マスさんはそんな人と知り合いなのですか?」

マス「……」

P「マスさん?」

マス「その話は後だ。案内のほどを頼んだぞ」

P「わかりました……」



P(……やっぱ変だよな)

————————————トレーナー室

マス「……」

ベテ「姉さん、聞いたぞ。ヤツが来るというのは本当か?」

マス「……本当だ。松永、向井、木村のレッスン風景を見ていただく」

ベテ「悪いことは言わない。適当な理由をつけて断るんだ」

マス「それは出来ない」

ベテ「何故だ! ヤツがアメリカで姉さんに行った仕打ちを忘れたのか?!」

マス「……」

ルキ「私もあの人きらーい」

ベテ「姉さんが言わないなら私が直接断るまでだ。ここの敷居は跨がせない」

マス「やめろ。すでに社長もP殿も了解している」

ベテ「……だが」

マス「お前たちがどう思っているかは関係ない。彼がいなかったら今の私が無いのは確かだ」

ベテ「しかし!」

マス「くどい」

ベテ「!!……見損なったよ、姉さん……行くぞ、ルキ」

ルキ「今のマス姉さん……私、好きじゃない……じゃあね」


ばたん

マス「……」

トレ「姉さん……」

マス「……なんだ?」

トレ「私は、あまり人のことを悪く言うのは好きではありません。姉さんの考えは支持します」

マス「……そうか」

トレ「確かに彼がトレーナーとして優秀なのは私も認めます……でも」

トレ「人として尊敬に値する人物とは思っていません」

マス「……」

トレ「それだけは心に留めておいてください」

マス「……」

こんこん


トレ「どうぞ」


がちゃ


涼「あ、あのー……」

トレ「あら? 松永さんどうしたの?」

涼「え、えと……レッスン室の鍵を返しに来ました」

トレ「ありがとう。今日はこれで終わりよね?」

涼「は、はい……失礼しました」

マス「……」


ばたん




涼「こりゃ、やべーこと聞いちまったな……」

————————————更衣室

涼「おい! 大変だ!」

拓海「おせーぞ、涼」

夏樹「鍵返しに行くだけで、随分時間かかったな?」

涼「んなこたどうでもいい! それよりビッグニュースだ!」

夏樹「ビッグニュース?」

拓海「どうせ、みくが隠れて寿司食ってたとか、菜々が伊勢崎線乗ってウサミン星に帰ってたとかそんなんだろ?」

涼「ちげーよ! それこそ、どうだっていいだろ!」

夏樹「嫌な予感しかしねーな……」

涼「実はさ、海外のトレーナーがアタシらを視察に来るんだって」

拓海「なんだそりゃ? だからどうだってんだよ?」

涼「その海外トレーナー、どうやらマスさん過去にとなんかあったみたいでさ」

夏樹「なんかって?」

涼「これはアタシの勘なんだけど、多分元カレだね。あれは」

拓海「は? あの鬼のマストレに彼氏? んなバカな……どこの物好きだよ?」

夏樹「拓海……お前、言い過ぎだぞ」

涼「純情可憐なおこちゃま拓海ちゃんにはわからないかもね」

拓海「てめえ、ケンカ売ってんのか?」

夏樹「ああ、もう……やめろってお前ら」

涼「つまり、その元カレが復縁したくて海を渡ってくるってことよ。いいじゃん」

拓海「けっ、他人のノロケなんざ付き合ってられっか」

涼「アンタさ、少しは頭使えって。これはアタシらにも関わることなんだからさ」

拓海「??……どういう意味だよ?」

涼「もしさ、その海外トレーナーとマスさんが復縁したらどうなると思う?」

拓海「どうなるって……どうなるんだよ?」

涼「恋は女を変えるんだよ。つまり、あのマスさんも少しは丸くなるってこと」

夏樹「恋を経験してきたみたいな言い草だな」

涼「うっさい!……とにかく、女らしくありたいって思うじゃん?」

拓海「丸くなるつーことは……あの地獄のスペシャルメニューも改善されるのか?」

涼「改善どころか女らしくなったなら、あんな鬼にはならないだろうね」

拓海「マジかよ! もうあの地獄の股裂きをしなくていいのか?」

涼「当然」

拓海「殺人級にマズいスペシャルドリンクの実験台も……」

涼「カレシが代理だろうね」

拓海「うおおおおおっ! そりゃいいや!」

涼「だから、ここはアタシらで元サヤを手伝ってやれば」

拓海「名案だそりゃ!」


夏樹「……なーんか、腑に落ちねえなぁ」

今回はここまでです
残りは夜にでも投下します

————————————後日、事務所

P「今日ですよね? 海外のトレーナーさんは」

マス「そうだ。もうそろ来る予定らしい」

P「あの……マスさん?」

マス「なんだね?」

P「以前にその海外のトレーナーの方と…」

マス「無駄口は終わりだ。来たぞ」


がちゃ


海外トレーナー(以下、海外T)「……」

P「え、あ、はろーないすちゅ…」

海外T「必要ない。日本語で十分だ」

P「え? あ、はい。初めまして。ここのプロデューサーのPと言います」

P(意外に若いんだな。40代くらいかな?)

海外T「君がプロデューサー?……ふうん」

P「いかがしました?」

海外T「いや。人材不足はアメリカも日本も同じなのだなと思ってな」

P「……」

海外T「それにして随分と狭苦しいところだな。養鶏場かと思って通りすぎてしまったぞ」

P「す、すいません。それにしても日本語お上手なんですね」

海外T「祖父母が日本人でな。日常会話程度なら問題ない」

P「日系の方なんですね」

海外T「ああ、恥ずかしいことにな」

P「……えっ?」

海外T「久しぶりだな、マス」

マス「ご無沙汰しております」

海外T「ニューヨークを追い出されたと思ったら、祖国に尻尾を巻いて逃げ帰っていたか」

マス「……」

海外T「さて、時間が惜しい。君の育てたアイドルとやらを見せてくれたまえ」

マス「わかりました。こちらへ……」

P「……」

————————————レッスン室

マス「こちらになります」

海外T「こんな所でレッスンを? 私のオフィスの物置のほうがまだ広いぞ?」

マス「申し訳ありません」

海外T「やれやれ……程度が知れるな……おや?」

ベテ「……」

ルキ「……」

海外T「これは君の妹だったな。相変わらず反抗的な目つきだ」

マス「お気に触ったのなら申し訳ありません」

海外T「日本人とは礼儀正しいと聞いていたんだがな。所詮は小さな島国でのことだな」

ベテ「……貴様」

マス「やめろ。ベテ、ルキ、お前たちは下がっていろ」

ベテ「ちっ……」

ルキ「べーっ」


ばたんっ


マス「あとで叱っておきますので、非礼をお許し下さい」

海外T「もう会うこともないだろう。別に構わん」

マス「彼女たちが今回のレッスン生です」

涼「はじめまして! 松永涼です!」

拓海「む、む、向井拓海です」

夏樹「木村夏樹です……」

涼(いい? いい印象を与えるようにすんだぞ?)

拓海(わ、わーってるよ)

海外T「名前など必要ない。覚えるつもりもないのでな」

マス「……」

拓海(やなヤローだな、おい)

涼(とにかく、外面だけでもあわせなって)

夏樹(やれやれ……)

マス「それでは始めるぞ」

 〜♪〜

マス「いかがですか?」

海外T「これは驚いたな……」

マス「と、申しますと?」

海外T「私は13時間もかけて日本に来たつもりなのだがな。いつフロリダの幼稚園に来たのだ?」

マス「……」

海外T「君が教えてこの程度か? それともアジアではこのレベルでもやっていけるのか?」

拓海(……野郎)

涼(拓海、落ち着けって! スマイルスマイル!)

マス「彼女たちはレッスンを受けて間もないのです。レベルが達していないのは私の責任です」

海外T「とにかく続けたまえ、これで終わりではないだろ? 私がやめろと言うまで止めるな」

————————————一時間後

涼(こ、これは……しんどいな……)

拓海(ふざけんなよ……いつまでやらせんだ?)

マス「そろそろ休憩を取りましょう。パフォーマンスも落ちるだけです」

海外T「この程度か……これでよくアイドルなど名乗れるものだな」

拓海「ンの野郎……」

夏樹「拓海、やめろって」

P「あの……もうよろしいのでは? これ以上はさすがに……」

海外T「素人は黙っていたまえ」

P「……」

マス「彼女たちにはあまり負荷を与えるトレーニングはやっていません。ここで休憩をお願いします」

海外T「ふん……素人プロデューサーに甘ったれのトレーナーでは、育つアイドルもたかが知れてるな」

海外T「君らのようなゴミがいるから、アジアのエンターテイメントは低レベルなのだよ。自覚したまえ」

P「……」

マス「……」

拓海「野郎……もう、我慢できねえ! ぶん殴ってやる!」

夏樹「おいっ! 拓海、よせって!!」


ばんっ


涼「いい加減にしろよ、クソ親父……黙って聞いてりゃいい気になりやがって」

海外T「……なんだと?」

マス「松永、やめろ」

涼「アタシらがレベル低いのは認めるよ……」

涼「でも、Pやマスさんまでコケにされる筋合いはねえ!」

海外T「寝言は寝て言え、小娘が。無能に無能といって何が悪い?」

涼「アメリカだかなんだかしらねーけど、アタシらはPとマスさんは一番信用してんだ」

涼「いくら経歴がすごかろうが、アンタみてーな威張り腐った親父に教えてもらうなんて死んでもゴメンだ」

海外T「貴様……誰に向かって言ってるのか、わかってるのか?」

涼「わかってるよ。人を馬鹿にするしか能がないクソ野郎だよ!」

海外T「調子に乗るなよ! ジャップの小娘!!」

マス「松永っ!」


ぱあんっ


マス「っつ!!」

海外T「……ほう、自ら盾になって平手を受けるとはな、マス」

涼「マスさんっ!」

マス「松永、怪我はないか?」

涼「アタシは大丈夫だけど……血が……」

マス「彼女は私の大事なレッスン生だ。手を出すのは控えていただきたい」

海外T「恩師に向かって口ごたえか? 誰のお陰で今の地位がある?」

マス「確かに私はあなたの教えを受けた。しかし、体罰までは学んだつもりはない」

海外T「愚かな奴だ。ライオンや猿も鞭で打てばそれなりの芸はする。もっとも効率的な指導だ」

マス「彼女たちは動物ではない。私と同じ人間だ。互いにわかりあうことでもっといいパフォーマンスができる」

海外T「理想論だな。だからお前はいつまでも3流なのだ」

マス「それが一流の指導であるなら、私はもっと違う方法で高みを目指すまでだ」

海外T「……生意気な奴だな。日本で調子に乗った猿は拳でわからせる必要があるな」

マス「!!」



がしっ


P「そろそろ勘弁して下さい」

海外T「手を離せ、素人。私の指導に文句があるのか?」

P「あります。マスさんは私たちの大事な仲間です。家族みたいなものです」

P「家族を傷つけられて黙っているほどお人好しじゃありません」

海外T「私を誰だと……」

P「だからですね……」


P「チョーシこいてんじゃねえよ、クソ野郎。てめえのケツをぶっ飛ばしてハドソン湾に叩きこんでやろうか?」


海外T「なんだと!!」

P「今日のところはお引取りください。あとでいかなる罰も受けます」

海外T「不愉快だ!! こんな事務所など潰してやるからな!!」

P「それでは、そこまでお見送りします」


ばたん


マス「ふうう……」

涼「マスさん、大丈夫!?」

マス「心配ない……」




マス「これで……終わったな」

————————————トレーナー室

ベテ「姉さんは?」

トレ「……今は社長室で事情を説明しています」

ルキ「お姉ちゃんは……悪くないよね?」

ベテ「さあな……奴が協会にどう報告しているかだろうな」


こんこん


トレ「どうぞ」

夏樹「失礼します」

拓海「……」

涼「……」

ベテ「どうした? お前たち?」

夏樹「今回の件はアタシらに責任があるんでそれを謝ろうと思って……」

涼「ゴメン……我慢してたんだけど……カッとなっちゃって……」

拓海「アタシもさ、涼が行ってなかったらぶん殴ってたから」

ベテ「お前たちが気に病むことではない。誰でも同じ状況になるだろう」

ルキ「そうだよ、涼ちゃんカッコ良かったよ」

トレ「ルキ!」

夏樹「マスさんは……これからどうなるんですか?」

ベテ「姉さん次第だ……また早まらないといいがな」

夏樹「また?」

ベテ「いい機会だ。お前たちにこれまでのことを話してやろう」

トレ「……姉さん!」

ベテ「彼女たちももはや無関係ではないだろう? マス姉さんには私から伝えておく」

トレ「……」

拓海「これまでって?」

ベテ「姉さんは卒業後、すぐにアメリカに渡り、本場のトレーニングを学びに行った」

ベテ「そこで受け入れてくれたのが奴だった。姉さんは奴のスタジオのトレーナーとして働くことになった」

ベテ「奴は若いとはいえ、天性の指導力や演出力から注目を受けており、多くのスター候補生が集っていた」

ベテ「そんな中、姉さんは1人の黒人少女と出会う」

ベテ「姉さんが初めて担当したアイドル候補生だ」

ベテ「彼女は裕福ではなかったため、奴が姉さんに押し付けたんだろうな」

ベテ「姉さんは親身になってその子の指導にあたったのだが、まさしく天性の才能の持ち主だったよ」

ベテ「歌を歌えば人の心を打ち、ダンスをすれば多くの人間が魅入ってしまう」

ベテ「やがてメキメキと頭角を現した彼女は、ある大きなミュージカルのオーディションに挑むことが決まった」

ベテ「姉さんもそれに向けてメニューを考えていたのだが、急遽担当を降ろされた」

ベテ「代わりに担当についたのが奴だった。奴は常識はずれの過酷なトレーニングを少女に課した」

ベテ「そして、その少女は結果的に潰れてしまう」

ベテ「姉さんが彼女のアキレス腱断裂の報を知ったのはオーディション三日前だ」

拓海「ひでえ……なんで同じ事務所の人間を潰すんだよ?」

ベテ「お前たちも気づいていると思うが奴は極度のレイシスト、つまり人種差別主義者だ」

ベテ「元々担当していた白人少女を合格させるために、わざと黒人少女を潰したんだろうな」

涼「……そこまでやるか?……異常だよ」

ベテ「そして、奴はあろうことかその子が潰れたことを姉さんの指導力不足と罵り解雇した」

ベテ「大事に育ててきた少女を守れなかったことを悔いたまま姉さんは日本に帰国した」

ベテ「そして、新たな決心のもとに今に至るわけだ」

夏樹「なるほど……マスさんがオーバーワークに厳しいのはそのためか」

涼「マスさんは……これからどうなるんです?」

ベテ「わからん。ただ、最悪のシナリオも覚悟しておいたほうがいい」

涼「……」

————————————夜、屋上

マス「……」


がちゃ


P「ここにおられたのですか」

マス「P殿か……」

P「何をしてらしたんです?」

マス「ん? 星をな……ちょっと」

P「ああ、ここならよく見えますね」

マス「マンハッタンで見る星も東京で見る星も同じだな……まあ、当然だが」

P「ですね」

マス「星の輝きは変わらない……だが、人間は違う」

マス「私は……」

P「どうしました?」

マス「何でもない……それより、P殿はどうなった? 社長からなにか言われたか?」

P「その件ですが、まずご報告があります」

P「世界トレーナー協会の本部に連絡したところ、例の海外トレーナーさんは本国へ更迭されました」

マス「……」

P「元より過激な指導法や法外な報酬の請求に、協会の方にも多く苦情が寄せられていたそうです」

P「今回の一件が決め手となって彼は更迭、協会理事のポストも剥奪されました」

P「もちろん、マスさんには協会から特にお咎めはないそうです。むしろ感謝しているとか」

マス「……」

P「ただ、僕の方は別です。とりあえず社長から口頭での厳重注意と3ヶ月の減俸処分を課せられました」

マス「何故だ? 君も悪くはないだろう?」

P「いいえ、相手に非があるとはいえVIPへの暴言は許されないことです」

マス「……だがな」

P「あと、もう一点、社長よりこれを預っています」

マス「……それは、私の辞表ではないか? 何故君が?」

P「僕に処分を委ねるそうです。なので……」


びりっ びりっ


マス「何をする!」

P「辞表は受け入れられません。こんなのマスさんらしくありません」

マス「君が罰を受け入れたように、私も罰を受けねばならん」

P「でしたら最高の罰があります」

マス「??」

P「ド素人のプロデューサーに付き従って、トップアイドルを育てるんです。こんな罰はないですよ」

マス「……」

P「そう簡単には逃しませんからね」

マス「……やれやれ……わかったよ」

P「分かってくれましたか」

マス「P殿……一つ頼みがある」

P「なんでしょう?」

マス「今から見ること聞くことは、すべて他言無用にできるか?」

P「??……ええ、まあ……」


とんっ


P「えっ?!」

P(マスさんが僕の胸に寄りかかってる……)

マス「私は無力だ……どこにいても……何も出来ない」

P「そんなことはありませんよ」

マス「彼の言うとおり私は日本に逃げたのかもしれない……環境が変われば私も変えられると思った」

P「……」

マス「しかし、同じだ……何も変わっていない……アイドルすらも守ってやれなかった」

P「……」

P(意外だ……あんなに大きな存在だと思ってたマスさんが、小さく震えている)


マス「……くやしい……くやしい……」


P「……マスさん」


ぎゅっ


マス「!……P殿……何を?」

P「大丈夫です。僕が守ります……アイドルもマスさんも」

マス「……えっ?」

P「だから、ずっとそばで指導してください。お願いします」

マス「……P殿」

P(マスさんが潤んだ瞳で僕を見ている……)

P(ヤバい……唇に引き寄せられそうだ……)


むにっ


P「いたたたたたたた! ほっぺが痛いです!!」

マス「呆れた奴だな、君は。弱っている女の唇を奪うつもりかね?」

P「そ、そんなつもりは……」

マス「甘く見られたものだ。100億とんで2年早い」

P「長い! そんなに差があるんですか?」

マス「まあ、トップアイドルが出れば100億年くらいは埋まるかもな」

P「あっ、じゃあ不可能な差じゃないですね。残りの2年は?」



マス「これからの君次第だよ、P殿……ふふふ」

————————————後日、レッスン室

マス「よし、揃ったな。では、今日のレッスンを始めるぞ」

涼「……」

拓海「……」

夏樹「……ほら、二人とも」

マス「??……なんだ?」

涼「あ、あのさ……ゴメン! マスさん!」

拓海「その……ゴメン……」

マス「なんだ、またそのことか? もういい」

涼「だけど、これでマスさんの復縁が……」

マス「復縁?……なんのことだ?」

拓海「だって、あいつはアメリカの時に同棲してた元カレなんだろ?」

マス「確かに私は彼のスタジオに住まわせてもらっていたが、屋根裏の一室を借りていただけだ」

拓海「え?」

マス「それを同棲と呼ぶには無理がある。それに彼と男女の関係はない……なりようがない」

涼「どういうこと?」


マス「彼はゲイだ」


涼「え」

拓海「え」

夏樹「そんなことだろうと思った」

マス「そうか……お前たちの様子が変だと思ったら、そんなことを考えていたのか」

拓海「涼! てめえ……」

涼「アンタもノリノリだったじゃん!」

マス「まあ、過ぎたことだ……別に構わん。それよりこれを飲め」

涼「これは……まさか?」

マス「新たなスペシャルドリンクを考案した。黒酢にバター、青汁、ハチミツ。あと隠し味にカレー粉を加えてみた」

涼「」

拓海「」

夏樹「なんでアタシまで……」

マス「立ち止まってる暇はないぞ。一気にトップアイドルの階段を駆け登るまでだ」



マス「ここからが、始まりなんだ」



おわり

これで終わりです
オリ設定が多くて不快に思う人もいるかもしれません
ごめんなさい

呼称については最初のセリフ部分はマストレ、ベテトレとするべきでしたね
指摘ありがとうございます

これで予定していたトレ姉妹シリーズはすべて終わりです
また思いついたら書くかもしれません

長い間ありがとうございました

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