的場梨沙「はぁ!?」 (32)

梨沙「ねえ」

P「どうした、梨沙」

梨沙「アタシはいつになったらトップアイドルになれるのよ」

P「だから、ちゃんとレッスンを重ねていけば・・・」

梨沙「ちゃんとやってるし! アンタが仕事とって来ないのが悪いんでしょ!?」

P「お前の先輩達は・・・いや、学年的には下の仁奈や舞ですらお前よりしっかりレッスンに取り組んでるぞ」

梨沙「アタシは元がいいからそんなに必死にやんなくていいの!」

P「はぁ・・・」

P(素質はある筈なんだけどなぁ)

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携帯『ミミミンミミミンウーサミン♪』

P「おっと、携帯にメールが入った。ちょっとタンマ」

梨沙「早くしなさいよ」

P「ふーん・・・なあ、梨沙」

梨沙「何よ」

P「今からリサパパがここに来るってさ」

梨沙「えっ、パパが!? 何で!? どうして!?」

P「用件は直接話すらしい。あ、お前も同席な」

梨沙「きっとパパが早くアタシをトップアイドルにしろってアンタを叱りに来るのよ」

P「確実に違うな」

梨沙「フフン、パパは優しいからそんなにキツくは言わないと思うけど、アタシが言えばちゃんと叱ってくれるんだからね」

P「はいはい」

・・・

P(そして数時間後にリサパパが来て、簡単な挨拶も終わって本題を告げられたのだが)

梨沙「えっ、パパ・・・何かの冗談だよね?」

P(簡単にまとめると、数日間急な出張が入ったからその間、梨沙をウチで預かって欲しいとの事だった。別にウチに泊める事自体は可能なのだが)

梨沙「い・や・だ! いくらパパの頼みでもパパ以外のオトナの家なんかに泊まりたくないし!」

P(母親は丁度慰安旅行で家におらず、梨沙を一人にしておくのは不安らしい)

梨沙「アタシだってもう12歳だよ? 一人で大丈夫だって」

P「あの・・・もし一人にするのが不安でしたら女子寮に頼めば数日間でしたら何とかなりますし、やはり私より同性のお姉さん達が身近にいた方がいいと思います」

梨沙「ほら、コイツもこう言ってるんだし」


 バンッ

梨沙「・・・パパ?」

P(机を叩いたなり、リサパパの空気がこれまでと変わった)

P(曰く、例え同性であっても自分が認めた人にしか娘を預けたくない。その点、俺は御眼鏡に適っているらしく、安心して梨沙を預けられるとの事)

梨沙「はぁ!?」

P(最初は反論していたものの、なんだかんだで父親には勝てないらしく)

梨沙「うう・・・」

P「・・・熱意に負けました。娘さんの事はお任せ下さい」

梨沙「パ、パパがどうしてもそうしなさいって言うから仕方なくよ! 変なコトしたら承知しないんだからね!」

P「まあ、よろしくな」

P(にしても、相当気に入られているなぁ・・・)

的場梨沙 親愛度 20/100
リサパパ 親愛度 300/300

P(何か余計なものが見えた気がする)

・・・

P(そしてリサパパから梨沙の着替えやら勉強道具やらを受け取ったりして)

P「ただいまーっと、梨沙もあがれよ」

梨沙「へぇ、案外綺麗なのね。オトナの男の人の部屋ってもっと汚いもんじゃないの?」

P「基本、寝に帰るだけだしな」

P(俺が休みの日にはいつも誰かが家事をしに来るからな・・・)

梨沙「アタシはどこで寝ればいいの?」

P「俺のベッドを使え」

梨沙「えー、やだ」

P「かといって他には買ったっきり使ってない寝袋しかないぞ」

梨沙「うー・・・」

P(柔らかいベッドか俺が寝てない寝袋か、天秤にかけてるな)

梨沙「・・・シーツ最後に洗ったのいつ?」

P「えっと」

・・・

3日前

P「ただいまー、って誰もいないけどな。ん、何だこれ」

メモ『Pさんへ。お仕事ご苦労様でした。服とシーツとカーテン洗っておきましたからね。響子』

P「やっぱいつの間にかに合鍵を持たれてるのはまずいかなぁ」

・・・

P「3日前だ」

梨沙「・・・ベッドにする」

P「ああ、分かった」

・・・

P「梨沙、夕食は何か食べたいものあるか」

梨沙「パパの手料理」

P「・・・」

梨沙「流石に冗談よ。とにかく、アタシが食べれそうなものにして」

P「無難にカレーとサラダにするか。飯が出来るまでに宿題やっておけよー」

梨沙「うっ・・・ちゃんとやるし!」

・・・

P「ほい、出来たぞ」

梨沙「遅いわよまったく!」

P「ちゃんと手を洗えよ」

梨沙「はいはい洗うって」

・・・

P「じゃあ、手を合わせていただきまーす」

梨沙「さっきからアタシの事コドモ扱いしすぎ!」

P「実際子供だし・・・憧れられる大人になるにはマナーも大事だぞー」

梨沙「ぐっ・・・オトナのセンパイアイドル見てると反論出来ない・・・」

P「じゃあ、改めていただきまーす」

梨沙「いただきます・・・」

・・・

P「ごちそうさまー」

梨沙「ごちそうさま。まあ、悪くはなかったし合格点にしてあげるから」

P「ああ、ありがとう」

P(麗奈とか美玲とかで鍛えられてるせいか、梨沙の物言いにあまり抵抗を感じないな・・・将来的には直してあげなきゃだめだけどさ)

・・・

梨沙「アタシのシャワー覗いたらケーサツに言うからね!」

P「俺は小学生の裸を見るほど落ちぶれていない」

梨沙「その発言自体がキモいし」

P「・・・。あ、それがシャンプーでそっちがボディーソープな」

梨沙「ちょっと。トリートメントはどこなの?」

P「今ちょうど切れててな。俺はあまり気にしないから補充も思い出した時しかしないからなぁ」

梨沙「買ってきなさい」

P「おう?」

梨沙「今すぐトリートメント買ってき・な・さ・い」

P(まさか小学生からパシリにされるとは・・・今度アイドル達の家事項目にシャンプーの換えの項目でも追加しとくか)

梨沙「買ってこないなら、あることないこと言いふらすからね!」

P「はいはい。確かにアイドルの髪の管理は大事だしな」

梨沙「分かればいいのよ。フフン、まったくオトナってだらしないんだから」

P「20分くらいで戻るからなー」

・・・

梨沙「じゃ、アタシ寝るから」

P「明日は俺が学校に送るけど、何時に起こせばいい?」

梨沙「普段は6時に起きてるんだけど・・・明日は7時半に起こしなさい」

P「6時ってかなり早くないか?」

梨沙「パパは6時半に起きるから、アタシが起こすにはそのくらいの時間に起きなきゃいけないのよ」

P「なるほどな。まあ、おやすみ」

梨沙「おやすみ」

 バタン

P「なんかどっと疲れたな・・・」

・・・

 翌朝

時計『PiPiPi...』

P「ふぁ~、やっぱ寝袋は違和感あるな・・・さて、梨沙が起きる前にやるべき事をやっとくか」

・・・

P「とはいっても洗濯くらいか。パパのと一緒に洗濯しないでという格言通り、梨沙のは単独で洗っとこう」

P(梨沙の事だから、むしろパパのと一緒に洗ってとか普段から言ってるんだろうけどな・・・)

P「昨日の服は脱衣所に放置かよ・・・そこらへんは気にしないのか、単にツメが甘いのか・・・ん」

 下着 in Pハンド

P「何とも感じない・・・よかった、俺はロリコンじゃないみたいだ、うん」

・・・

P「梨沙ー、そろそろ起きろー」

梨沙「とっくに起きてるから」

P「うおっ!?」

梨沙「何驚いているのよ」

P「予想外というか、定時になっても起きないヤツを昔から相手にしてるからというか」

梨沙「いつもより寝ようと思っても、結局普段の時間に起きちゃうものね」

P「杏に聞かせてやりたいぜ・・・」

・・・

梨沙「で、朝ごはんは何よ」

P「カップ麺」

梨沙「さっき何か料理の音が聞こえたし!」

P「すまない、あの朝食は一人用だ」

梨沙「怒るわよ」

P「冗談、ベーコンと目玉焼きだ」

梨沙「朝からびっくりさせないでよ・・・」

P「とりあえず顔を洗ってこい」

梨沙「いちいち当たり前の事を言わないでよね!」

P(まあ、梨沙用に作ったから、一人用ってのは間違っていないんだけどな)

・・・

P(梨沙を送って出勤して、昼を過ぎて午後のデスクワークなわけで)

携帯『ミミミンミミミンウーサミン♪』

P「お、リサパパからメール」

P(明日の夕方に戻る、か。ならば明日の朝まで預かっていればいいんだな)

橘ありす「また梨沙さんのお父さんとメールですか」

P「よう、ありす。またって・・・そんなにしてるように見えるか」

ありす「はい。少なくとも、私よりは」

P「まあ・・・いつの間にかアドレス帳の区分も保護者グループから友人グループになっていたけどさ」

ありす「それにしても、梨沙さんってホント子供ですよね」

P「お前がそれを言うか」

ありす「はい。私と違ってあまり深く物事を考えませんし、Pさんの言う事も素直に聞かないじゃありませんか」

P「スカウトしたてのありすだって似たようなもんだったぞ」

ありす「っ! あ、あれは」

P「あんなにそっけなかったありすが、今ではこんなだもんなー」

ありす「恥ずかしい事を思い出させないで下さい」

P「だったら、梨沙の事を悪く言わずに仲良くしてくれよ」

ありす「それは私が同い年だからですか」

P「それもあるけど、俺から見ると結構似た者同士で仲良くなれると思うんだよなぁ」

ありす「・・・はぁ、納得はしてませんが、Pさんがそう言うなら努力はしてみます」

P「ありすが素直な娘で俺は幸せ者だよ」

 バンッ

梨沙「さあ、今日こそトップアイドルの仕事はもってきたかしら!」

P「ほら、噂をすれば何とやらだぞ、ありすGO」

ありす「は、はい・・・」

P(その後、なかなか意見が合わず口喧嘩――ありす曰く自分のは論破――していたが、完全に互いの事を嫌っている様子ではなく、ちょっと距離が近づいたようだった)

・・・

P「ただいまー」

梨沙「明日の今頃にはパパが帰ってきてるのね・・・明日の夜はいっぱい甘えるんだから!」

P「はいはい」

梨沙「今日の夕ごはんは?」

P「昨日のカレーを使ってカレードリアを作る」

梨沙「またカレーなの?」

P「流石に昨日一日で消費出来る量じゃないからな、勘弁してくれ」

P(俺も朝飯と昼飯にカレーの残りを食べたしな・・・)

梨沙「はぁ・・・まあ、全く同じ料理じゃないなら勘弁してあげるわ」

P「じゃ、ちゃっちゃと作るからな」

・・・

梨沙「シャワーあがったわ」

P「よし、髪を乾かしたところでちょっと二者面談な」

梨沙「何でそんなのしなきゃいけないのよ」

P「いいから、ほら座れ」

梨沙「・・・」

・・・

P「改めて聞くが、お前の目標はトップアイドルでいいんだよな」

梨沙「もちろん、トップアイドルになってパパに喜んでもらうのが夢なんだから!」

P「アイドルになりたての頃も同じ事を聞いたな。そこでだ、梨沙」

梨沙「何よ」

P「ちょっとお前のパパの話が聞きたい」

梨沙「パパの?」

P「お仕事は何してるー、どういう所が自慢ー、とか」

梨沙「パパとのアタシのろけ話って事なら好きなだけしゃべるから!」

・・・

梨沙「とまあ、こんなところかしら」

P「梨沙はパパの事が本当に大好きなんだな」

梨沙「当たり前でしょ!」

P「ところでだ、梨沙。俺もお前の事が好きだ」

梨沙「うわっ、ヘンタイ」

P「違う違う、そういう意味じゃない。俺は、自分がスカウトしたアイドルが皆大好きって事だ」

梨沙「つまりどういう事よ」

P「やっぱり皆には自分の目標を実現できるように頑張ってほしいからな。その手伝いのために俺はこの仕事をやっている」

P「でも、今の梨沙は目標ばかり見て、足元を見てないんだ」

梨沙「足元?」

P「そう。今自分がどこに立ってるか。目標に向かうにはどういう道を辿ればいいか。そういう基礎的な事をおろそかにしてると、いつまで経っても目標には近づけない」

梨沙「何よ、お説教?」

P「かもしれない。でも梨沙、お前ならちゃんと訓練を積み重ねればいつか必ず花開く。俺が保障する」

P「だから、俺を信じて、焦って結果を出そうとせずに少しずつ自分の出来る事を確実にやっていく所から始めよう」

梨沙「だって、パパが喜ぶ顔が早く見たいし・・・」

P「初めての仕事を無事に終えた時、パパは喜んでくれなかったのか?」

梨沙「それは・・・」

P「そりゃ、トップアイドルになったなら特別嬉しいだろうが、梨沙が活躍するだけでも嬉しいんだよ。俺だって、どんなに小さな仕事だって担当アイドルが成功したら嬉しい」

梨沙「・・・」

P「だから、一つ一つ確実に積み重ねていこう」

梨沙「・・・確かにパパがどうしたら喜ぶか、それをあまり深く考えなかったのかもしれない。ちょっぴりスッキリしたかも」

P「そうか」

梨沙「アンタの事、ちょっとだけ・・・信用する。あ、ホントにちょっとだけだからね!」

P「ああ、こちらこそ改めてよろしくな、梨沙」

・・・

P(翌日、梨沙を学校に送って短いお泊り期間は終了した)

P(そして数日後)

・・・

梨沙「今日はパパに喜んでもらえそうな仕事はあるかしら」

P(ちょっとだけ、アイドル活動に対する認識が改まったようだ)

P「すまないな、予定はレッスンだけだ」

梨沙「ま、構わないわ。アタシがちゃんと頑張れば、その分早くパパに立派な姿を見せれるしね!」

ありす「梨沙さん、ここしばらくで見違えましたね」

P「ありすも気を抜くと追い越されるぞ」

ありす「それはありえません。梨沙さんが100努力するなら私は101努力するだけですから」

P「ははっ、二人とも若いし、これからが楽しみだな」

梨沙「ほら、早くレッスン場まで送りなさいよ!」

ありす「私もお願いします」

P「はいはい」

P(ある秋の日の出来事だった)


おわり

先日、柑奈ちゃんや梨沙ちゃんのSSってあるの? って話題を見た時に思いついた話
空気が途中で変わっちゃったのがまだまだ経験不足だな、と実感
読んでくれた方、ありがとうございました

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