クリスタ「リヴァイ兵長が私の兄?」 (50)

クリスタについての原作ネタバレがあります
ここではリヴァイの生まれについてのとある説を使わせていただきました
>>1はその説を信じていませんがifとしては好きです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372060745

訓練兵の部屋

コンコン

クリスタ「はい」

キース「クリスタ・レンズ。教官室まで、今から私について来い」

クリスタ「は、はい!」

ユミル「お前、いい子ちゃんのくせになにかやらかしたのかよ? やるなぁオイ!」

クリスタ「そんなことしてないよ! ユミルのばかぁ!」

キース「早くしろ」

クリスタ「申し訳ありません!」

ガチャ バタン

コツコツコツコツ

キース「貴様に会いたいという人物がいてな」

クリスタ「私にですか? いったい誰が」

クリスタ(まさか家の者が会いにくるわけもないし)

キース「会えばわかる。なぜその人物がお前に会いに来たのかは、私も詳しくは知らん」

教官室
コンコン ガチャ

キース「リヴァイ兵長。クリスタ・レンズを連れて来た」

リヴァイ「ああ……。早かったな。わざわざすまなかった」

クリスタ(えっ!? リヴァイ兵長? もしかしなくても私に会いに来たのって、兵長なの?)

キース「いや。ではこれで失礼する」

ガチャ バタン

リヴァイ「……」

クリスタ「……」

クリスタ(気まずい)

クリスタ(すごく私を睨んでいるような。顔が怖い)

リヴァイ「……クリスタ・レンズ。お前が突っ立ってちゃ話しにくい」

リヴァイ「とりあえず、そこにかけろ」

クリスタ「は、はい」

ガタン

リヴァイ「単刀直入に聞くが」

リヴァイ「『クリスタ・レンズ』、これはお前の本当の名か?」

クリスタ「えっ……」

クリスタ(!? そんな、まさか、なんで)

クリスタ(あれ、でも、なんだろう。こんなやりとりを、私はどこかで知っているような)

クリスタ「仰っている意味が、わかりかねます」

リヴァイ「それならもっと直截的に聞こう」

リヴァイ「この部屋には誰もいないし、俺が帰るまでは人払いを命じている」

リヴァイ「『ヒストリア・レイス』、これがお前の本当の名じゃないのか」

クリスタ(どういうこと!? 私の本当の名前を、兵長が知ってる!)

クリスタ(一見聞いている風だけど、もう確信している声色だ)

クリスタ(どうしよう。兵長はそれを私に確認して、何がしたいのかな?)

クリスタ「……」

リヴァイ「だんまりか? 沈黙は肯定と捉えるぞ」

クリスタ「……」

リヴァイ「別に、それを確認したからといってお前をどうこうするわけじゃない」

リヴァイ「そしてこれを聞くのは俺の個人的な意思であって、兵団も他の何かも関係ない」

クリスタ「個人的な意思? それは、どういうことなのでしょうか」

リヴァイ「それを聞く前に俺の質問に答えろ」

クリスタ(ごまかせる雰囲気じゃないよ……)

クリスタ「……はい、兵長」

クリスタ「私の本当の名前は、ヒストリア。ヒストリア・レイスです」

リヴァイ「……やはりか。答えづらい質問をしたな」

クリスタ「いえ……。でも、一体どうして、それをご存じなのですか?」

クリスタ「それと、先ほど仰っていた、個人的な意思とは……」

リヴァイ「……」

リヴァイ「お前は何も覚えてねぇんだな」

リヴァイ「無理もない、むしろ当たり前のことだが……」

リヴァイ「その問いには今から答える。少し長くなるが、まぁ……我慢しろ」

回想
夜、とある貴族の屋敷

リヴァイ(クソ、まずったな)

リヴァイ(屋敷の構造はそれなりに把握しているはずだったんだが)

リヴァイ(右足が上手く動かねぇ。折れちゃいないだろうが、捻ったか)

警備兵「おい! 近くにいるはずだ、探せ!」

リヴァイ(今見つかったら面倒だ、適当な部屋にでも隠れられれば)

ガチャ バタン

どこかの部屋

リヴァイ(鍵がかかっていなくて助かった)

リヴァイ(布か何かで足首を固定できればいいんだが……)

????「お兄ちゃん、だれ?」

リヴァイ「!」

リヴァイ(こんな屋敷の隅の部屋にガキがいたとはな……これは本格的にまずったか)

リヴァイ(大声で泣かれでもしたら)

????「お兄ちゃん、いたそうだよ……」

リヴァイ「あぁ?」

????「足のところがすごく赤いもん。そうだ! まってて」

パタパタパタ

リヴァイ「オイ……」

リヴァイ(ん? 待て、この年頃で、この屋敷にいるガキってのはまさか……)

パタパタパタ

????「いいものもってきたよ!」

リヴァイ「いいもの?」

リヴァイ(大きな白いハンカチと、小さな青い水差し)

????「こうやって、ハンカチにお水をかけてひやしてね」

ピチャピチャ

????「しぼってね」

ぎゅう

????「これをね、足にまくといいんだよ! だからわたしがまいてあげるね」

リヴァイ「……よく知ってるな、ガキ」

????「えへへ。わたしご本をよむのがすきだから、いろいろしってるんだよ」

リヴァイ「礼を言おう。だが巻くのは俺が自分でやる」

????「ええー?」

リヴァイ「ガキの力じゃすぐ緩んじまうだろうが」

ぐるぐるぐる ぎゅっ

リヴァイ「よし」

????「だいじょうぶ? もういたくないの?」

リヴァイ「バカか。痛みが消えるわけじゃねぇよ」

リヴァイ「だが助かった、これで……」

コンコン

リヴァイ「!」

警備兵「お嬢さま、開けてもよろしいでしょうか?」

リヴァイ(まずい、こうなりゃ窓でもぶち破って)

????「きがえてるから、あけちゃだめ!」

リヴァイ「!」

????「ぜったいだめ!」

警備兵「は、はあ。申し訳ありません」

警備兵「ではお嬢さま、念のためお聞きしますが、この部屋に誰か知らない男の人が入っては来ませんでしたか?」

????「そんな人、こなかったよ」

警備兵「そうでしたか。そうですよね、失礼致しました」

コツコツコツコツ

リヴァイ(お嬢さま、か。やはりこいつは)

リヴァイ「おいガキ、なぜ俺を庇った」

????「だって男の人は、ケガをしてるところをあんまりだれかに見られたくないんだよね?」

リヴァイ「はぁ? なんだそりゃ」

????「このまえよんだご本に出てきたしゅじんこうがね、そう言ってたの」

????「お兄ちゃんも男の人だから、そうかなって思ったんだよ。ちがった?」

リヴァイ(よくわからん)

リヴァイ(だが、否定するのも面倒だ)

リヴァイ「……そんなところだ。ありがとな、ガキ」

????「えへへ。よかった! ねぇ、お兄ちゃんのなまえはなんていうの?」

リヴァイ「あぁ?」

リヴァイ(うかつに名乗って、後でこいつが俺の名を口走りでもしたら面倒だ)

リヴァイ「教えねぇよ」

????「なんで!」

リヴァイ「うるせぇ、喚くなクソガキ」

????「ガキじゃないよ! わたしには、なまえがあるもん!」

リヴァイ「なんて名前だ」

????「だめ、お兄ちゃんからさきに言ってほしいな」

リヴァイ「じゃあいい」

????「そんなぁ」

リヴァイ(まぁこいつの名前は多分……いやきっと)

????「じゃあ、わたしのなまえは、クリスタ!」

リヴァイ「……は?」

リヴァイ「もういっぺん言ってみろ」

クリスタ「わたしのなまえは、クリスタ!」

リヴァイ(クリスタだと?)

リヴァイ(まさか。こいつの名前は違うはずだろ、年齢的にもこのガキは……)

リヴァイ「『クリスタ』、これはお前の本当の名か?」

クリスタ「えっ。えっと……」

リヴァイ「『ヒストリア』、これがお前の本当の名じゃないのか」

クリスタ「え、な、なんで? なんでお兄ちゃんが、わたしのなまえをしってるの?」

リヴァイ「やはりな」

リヴァイ(やはり、こいつがヒストリア)

リヴァイ(こいつが、このガキが、俺の)

ヒストリア「ねぇ、すごい! お兄ちゃん、どうしてわたしのなまえを」

リヴァイ「それより、クリスタってのはなんだ。どっから出てきたんだその名前は」

ヒストリア「えっと、えっと……」

パタパタパタ
パタパタパタ

ヒストリア「あのね、このご本にね、出てくるなまえなの。いまよんでるんだよ」

リヴァイ「何で嘘の名前なんか言うんだ、生意気なクソガキだな」

ヒストリア「だってお兄ちゃんがなまえをおしえてくれないからだよ!」

リヴァイ「どういう理屈だ」

リヴァイ(それにしても、また本の話か)

リヴァイ「お前、よっぽど本が好きみてぇだな」

ヒストリア「え?」

リヴァイ「さっきからどの本で読んだとか、そんなのばっかりじゃねぇか」

ヒストリア「うん、ご本をよむのはすきだよ。まだむずかしいご本はよめないけど、でもたくさんよんでるの」

リヴァイ「そりゃお偉いことだな」

ヒストリア「それにね、それしかすることがないの」

リヴァイ「あぁ?」

ヒストリア「わたしにはお友だちもいないし、お外にもあんまり出してもらえないから」

ヒストリア「だいたいずっとね、このおへやにいなきゃいけないから」

ヒストリア「ご本をよんでるしかないの」

リヴァイ「……」

リヴァイ(そういえばこの部屋は、屋敷のずいぶん隅にあるんだった)

リヴァイ(あまり誰も来ねぇような、そんな位置だ)

ヒストリア「でもね、ご本をよむのはすき」

ヒストリア「いろいろなことが書いてあって、まるでわたしがお外をぼうけんしているみたい」

ヒストリア「それにね、ご本をよんでいたおかげで、さっきだってお兄ちゃんのやくに立てたよね?」

リヴァイ「……ああ、あれは助かった」

ヒストリア「ご本をたくさんよんでいれば、そんなふうにだれかのやくに立てるんだね」

ヒストリア「だからとってもうれしかったの。ありがとう、お兄ちゃん」

リヴァイ「……」

わしわし がしがし

ヒストリア「わぁ!」

リヴァイ「生意気言うな、クソガキ」

ヒストリア「ちょっといたいよぅ」

リヴァイ「……」

なでなで さらさら

ヒストリア「……えへへ」

ヒストリア「ねぇ、だから、お兄ちゃんのなまえは?」

リヴァイ「それは言わん」

ヒストリア「ずるい! わたしのなまえは、おしえたもん」

リヴァイ「お前が教えたんじゃなくて俺が当てたんだろうが。お前は嘘をついただけだろ」

ヒストリア「ずるい!」

リヴァイ「それよりも。……俺はそろそろここを出る」

ヒストリア「え! お兄ちゃん、どこかに行っちゃうの?」

リヴァイ「当たり前だろ」

リヴァイ「……俺はこの屋敷の住人じゃ、ない」

ヒストリア「もう行っちゃうの……」

リヴァイ「……だがその前にだ」

リヴァイ「おいガキ。何か俺にしてほしいことはあるか?」

ヒストリア「え?」

リヴァイ「癪だがお前には借りができた」

リヴァイ「お前はクソガキだが、借りを返さずにいるのは気分が悪い」

リヴァイ「ただ後日礼の品を渡しに、なんてわけにはいかねぇからな」

リヴァイ「今この場で、俺にできることをしてやる」

リヴァイ「何かあれば、だが……」

ヒストリア「じゃあ、お兄ちゃんのなまえ」

リヴァイ「それは言わんと言っただろ。何度も言わせるな」

ヒストリア「ええー」

リヴァイ「物事には例外ってもんがある」

ヒストリア「大人ってずるい」

リヴァイ「そうだ。一つ賢くなっただろ」

ヒストリア「えーと……じゃあ」

ヒストリア「このご本をよんでほしいな」

リヴァイ「本? また本か」

ヒストリア「うん。このご本、まだとちゅうなの」

リヴァイ(さっき持ってきた、クリスタとかいうのが出る本か)

パラパラ

リヴァイ(俺は簡単な文字しか読めねぇが、見た限りガキ向けで大丈夫そうだ)

リヴァイ「それでいいんだな?」

ヒストリア「よんでくれるの?」

リヴァイ「お前がそうしろと言ったんだろうが」

リヴァイ(そういや、もうずいぶん夜中だ)

リヴァイ「おいガキ、ベッドに入れ。その横で読んでやる」

ヒストリア「うん!」

パタパタパタ

ヒストリア「ここまでじぶんでよんだよ」

リヴァイ「そうか、じゃあ続きから」

ヒストリア「ねぇお兄ちゃん」

リヴァイ「あぁ? 黙って聞いてろ」

ヒストリア「もうここにはこないの?」

リヴァイ「ああ、そうだ」

ヒストリア「……さみしいな」

ヒストリア「……またきてくれればいいのに」

リヴァイ「……」

ヒストリア「……わがまま言ってごめんなさい」

リヴァイ「……じゃあ、読むぞ」

ヒストリア「うん、うん……」

すやすや

リヴァイ(読める程度の文字でよかった)

リヴァイ(ずいぶんすぐ寝た)

リヴァイ(まぁ、夜も遅いしな)

リヴァイ(この部屋が一階なのは好都合だ。窓もそれなりの大きさがある、開けて庭に出ればいい)

リヴァイ「……」

リヴァイ(全く似てねぇな。そりゃそうか)

リヴァイ(腹違いの上に、男女の兄妹ってのは同じ腹でさえ似づらいらしい)

リヴァイ(こいつの母親も、こいつも、いつかは……?)

リヴァイ(……どうなろうと俺には関係ない話だ)

リヴァイ(そろそろ本当にここを出るか)

リヴァイ「……じゃあな、ヒストリア」

リヴァイ(名前でしか知らなかった、俺の妹)

回想終了
教官室

リヴァイ「……俺もほんの一時期、あの屋敷で暮らしていた」

リヴァイ「だから屋敷の構造も大体は把握していた」

リヴァイ「そこで盗みに入った。結局は下手を打ったが」

リヴァイ「お前のことは、名前でしか知らなかった」

リヴァイ「お前が生まれてすぐに俺の母親はくたばって、俺もすぐに追い出されたから、姿を見たことはなかった」

リヴァイ「あの時出会うまでは、存在すら忘れていた」

クリスタ「……」

クリスタ(この感情を、どう整理すればいいんだろう)

クリスタ(兵長の話は、きっと本当だ。この人がこんな嘘をつく意味がないもん)

クリスタ(でも、こんな話を急に聞かされて)

クリスタ(私は今、すごく混乱してるんだろうな)

クリスタ(よくわからないよ。変に冷静なのに、何にも考えがまとまらない)

クリスタ(何か、言わなきゃ……)

リヴァイ「悪かった」

クリスタ「!」

リヴァイ「こんな話を聞かせて。混乱してるだろ」

クリスタ「正直に言えば、すごく……。申し訳ありません」

リヴァイ「当たり前だ。謝るな」

リヴァイ「それからずっと、だからといって何かをするわけでもなかった」

リヴァイ「その後すぐ、俺は調査兵団に入ったしな」

リヴァイ「だが、たまたま用向きがあってここを訪ねたときだ。お前たち訓練兵を見かけた」

リヴァイ「数人いた。誰かがクリスタ、と名前を呼んだのが聞こえた」

リヴァイ「クソほどいるってわけじゃないが、別に珍しいって程の名前でもない」

リヴァイ「だが、そこで急にあのガキのことを思い出した」

リヴァイ「生きてりゃこの訓練兵くらいの年齢になっているはずだと思って、そちらを向いた」

リヴァイ「何も確証はなかった。会ったのはガキの頃だ。目立つ痣や傷があるってわけでもない」

リヴァイ「そもそもクリスタってのはあのガキの本当の名前じゃない」

リヴァイ「だが、そのクリスタと呼ばれた女はあのときのガキだと、なぜかすぐにわかった」

リヴァイ「俺の、妹だと」

ライナー「クリスタがリヴァイ兵長の妹だって……!?」

ベルベルト(やった。これでライナーの妄想も少しは軽く……)

ライナー「でもクリスタと結婚しよ」

ベルトルト「( ゜Д゜)」

クリスタ「……」

リヴァイ「まぁだからって、こうして会いにくる必要はなかった」

リヴァイ「何があったかは知らんが、お前はこうして名前を変えて生きているみてぇだしな……」

リヴァイ「本当のところを言っちまえば、俺もなぜ会いにきたかわからない……」

リヴァイ「……俺の話はここで終いだ」

リヴァイ「ずいぶん喋った。元々よく喋る方だが、さすがに疲れた……」

リヴァイ「……もう帰るか。俺がこのことを公にするとか、そういったことはないから安心していい」

リヴァイ「クソ長い、それも意味もねぇ無駄話に付き合わせて、そしてお前を混乱させた。悪かった」

クリスタ「……無駄話じゃ、ないです」

リヴァイ「なんだと?」

クリスタ「無駄話なんかじゃ、なかったです」

クリスタ「まだ、私、混乱してますけど」

クリスタ「でも、聞いてよかった、そう思います」

クリスタ(そうだ。まだ私はすごく混乱してる)

クリスタ(でも、嬉しい。そう思い始めてるんだ)

クリスタ「私、兵長から聞いたこと、昔私たちが出会ったときのこと、覚えているわけではないです」

クリスタ「それが今、とっても悔しいです」

クリスタ「私が、兵長の、あなたの役に立てたんだってことを」

クリスタ「……私の、兄の役に立てたんだってことを、忘れてしまっているのが」

リヴァイ「!」

クリスタ「でも、兵長が、兄が、それを私の代わりに覚えていてくれて」

クリスタ「会いに来てくれて、こうして話してくれて、とっても嬉しくもあるんです」

クリスタ「私があなたの役に立てて、そしてあなたが、なりゆきでも私に優しくしてくれた」

クリスタ「その事実の存在が、とても嬉しい」

クリスタ「……すみません、やっぱり混乱してて。上手く言えないんです」

クリスタ「とにかく、会いに来て下さって、話して下さって、ありがとうございます」

クリスタ「それを、伝えたいんです」

リヴァイ「……」

リヴァイ「……お前の言いたいことはよくわかった」

リヴァイ「ヒストリアよ。俺も、そうだな。……この話をして、よかった」

リヴァイ「お前が、妹が、そう言ってくれるのなら」

クリスタ(この人が、私の兄)

クリスタ(そういえばこの人のこと、全然知らないんだな)

クリスタ(当たり前だけど。でも、そんなのさみしいな)

クリスタ「兵長」

リヴァイ「なんだ」

クリスタ「私は、兵長のこと、全然知りません」

リヴァイ「そりゃそうだろ。俺もお前のことはほとんど知らん」

クリスタ「だから、知りたいです。これから、知っていきたいです」

クリスタ「だって私たち、本当の、兄妹ですよね」

リヴァイ「ああ、そうだ。半分だが、そうだ」

クリスタ「だから……もっと」

クリスタ「仲良くなるべきだと思います!」

リヴァイ「仲良く?」

クリスタ(あれ、だめなのかな)

クリスタ「だめ、でしたか……」

リヴァイ「……誰もそんなことは言ってない」

リヴァイ「全く俺には似てないと、そう思っただけだ」

リヴァイ「俺にはない語彙だ、仲良くなんてのは」

リヴァイ「だがまぁ、悪くない……」

クリスタ(悪くないっていうのは、いいってことかな?)

クリスタ「それは、いいってことですか?」

リヴァイ「だからそう言ってる。二度も言わせるな」

クリスタ(よかった)

クリスタ「じゃあ、一緒に、お出かけしませんか!」

リヴァイ「お出かけ?」

クリスタ「だめ、でしたか……」

リヴァイ「だからそうは言ってない。いちいちしょげるな。なんでそうなるのか聞きたいだけだ」

クリスタ(この人、全体的に言葉が足りない気がする。逆に言えば、それだけで、そこまで怖くないのかなぁ)

クリスタ「理解を深め合うためには、それが一番いいと思ったんです」

クリスタ「手紙だと検閲されてしまいますよね」

リヴァイ「そうだな」

クリスタ「だから、一緒にお出かけを、と思いました」

リヴァイ「……」

リヴァイ「わかった。お前の判断に任せよう」

クリスタ「!」

リヴァイ「次の休暇はいつだ」

クリスタ「ええと、カレンダーは……。あ、ここです」

リヴァイ「わかった。外出許可をもらっておけ。俺も合わせる」

クリスタ「は、はい!」

リヴァイ「ガキが喜びそうなところなんざ知らねぇから、行き先はお前に任せる。時間もそれほどとれねぇだろう」

リヴァイ「それでもいいか?」

クリスタ「はい! じゃあ、待ち合わせ場所と、時間はこれでいいですか?」

めもめも

リヴァイ「ああ」

リヴァイ「俺はそろそろ帰る」

クリスタ「そうですか。わかりました、お見送りは……」

リヴァイ「いらん。そう言ってある。お前もさっさと部屋に帰ってクソして寝ろ、ヒストリア」

リヴァイ「……いや、クリスタ」

リヴァイ「お前がここでそう名乗る事情は聞かんが、そうしている以上、俺もその名前で呼んだ方がいいんだろ」

クリスタ「……はい。ありがとうございます」

リヴァイ「じゃあな」

クリスタ「兵長、お気をつけて」

リヴァイ「ああ。……またな」

クリスタ「! はい!」

ガチャ バタン

クリスタ(またな、か……)

クリスタ(私の、兄)

クリスタ「お兄さま……なんてね」

クリスタ(でも、私と兵長って全然似てないなぁ)

クリスタ(あえて言えば小柄ってことくらいかな。これ言ったら怒られちゃいそう)

クリスタ「ふふ」

クリスタ「あ、ユミルにどうやって呼び出された言い訳しようかなぁ……」

終わり
ありがとうございました


面白かったが、お出かけの話がないのは残念
ので、>>1は書くべき書いてくださいお願いします

どうでもいいが、飛影と雪菜を思い出した

>>46
ああ。そんな感じだよな

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