リヴァイ「人類最強の駆逐師」(154)
ネタバレあるかもしれないので注意
~旧調査兵団本部・休憩室~
リヴァイ「おいエレン……お前は駆逐という言葉が好きらしいな」
エレン「え!?いえ、別に好きというわけではありませんが…」
リヴァイ「かまわん。ほら」ドサッ
エレン「!?」
エレン「あの…これは?」
リヴァイ「…スズメバチを駆逐する装備だ」
エレン「え!?」
エレン「…」
エレン「え!?」
―
―――
―――――
~外~
リヴァイ「全員着替えてきたようだな」(全身白いテカテカした服)
ぺトラ「兵長、お似合いです!」
エレン「あの…リヴァイ兵長、これはどういうことですか?」
オルオ「ふん……やっぱり新兵は何もわかっていないようだな」
エルド「無理もないさ、エレンは毎晩地下室で寝てるんだからな」
リヴァイ「エルド」
エルド「はっ」
エルド「今から俺たちはこの古城に巣食うスズメバチを一匹残らず駆逐する作戦を行う」
エレン「スズメバチを……一匹残らず……駆逐?」
リヴァイ(やっぱりコイツ殺すとか駆逐って言葉大好きだな)
エレン「けど巣食うってことは巣があるってことですよね、俺は見かけたことないですが一体どこに?」
グンタ「エレン、城の塔部分、窓を見てみろ」
エレン「塔…窓……」ジイー
エレン「うーん…」
エレン「巣はおろか、窓も見当たりありませんが」
グンタ「そうだ、窓がない…」
オルオ「チッ察しの悪いガキだな」
エレン「!」
エレン「まさか窓ごと巣で埋まっているっていうことですか!?」
グンタ「そう、塔の最上階の部屋に巣を作ったらしい」
リヴァイ「ガラスがないからやつらは難なく出入りしてきやがる、そうして訓練中など、気付かないうちに巣を巨大にしていった。だから塔の最上階の部屋には現在入れないようにしてある」
エルド「開けたらそこにはたくさんのハチが待ち構えていますからね」
リヴァイ「もともとハチは雨風をしのげる土中や軒下に巣を作るからな…あの場所は最適だったんだろう」
エレン(詳しいな…)
ぺトラ「巨人はいつだって人類の脅威だけど、スズメバチだって体が小さい分かなりやっかいな相手ですね」
エルド「そうだな。もしハチの目的が子孫を残すことではなく人類を殺戮することになったとしたら間違いなく巨人よりも脅威だ」
ぺトラ「え、さすがにそれは…」
グンタ「この時期だと警戒心がさらに増してより人を襲いやすくなる。ここからかなり離れた市街地でもハチの被害が出ている」
※本編の時期はよくわからないのでこじつけで、日本では夏から秋にかけて
エレン「それは見過ごせません…!」
グンタ「こうしている今も被害が拡大して…………」
ぺトラ「ふせて!!」バッ
リヴァイ「!」サッ
オルオ「!」サッ ガブッ
オルオ「~~~~~~!!」ダラダラ
グンタ「(オルオのやつ…しゃがんだ動作で舌噛んでやがる…)」
エルド「(リヴァイ兵長の次に反応できたのはよかったんだけどな…)」
ブ―――――――ン
エレン「あいつらが……街のみんなを…!」ギリッ
リヴァイ「行ったか……」
ぺトラ「危なかったですね兵長」
リヴァイ「問題ない、全員帽子をかぶれ。やつがここを通ったということはここはもう相手のルートだ」
エレン「あの、こんな網のついただけの帽子で大丈夫なんでしょうか?」
リヴァイ「お前……俺が用意した装備に文句をつける気か…?」
エレン「いえ、そんなことは…!」
リヴァイ「ならさっさとかぶれ。それにお前は再生するんだろ」
エレン「再生関係ないですよ、それに痛いものは痛いですから」
リヴァイ「ごちゃごちゃうるせぇな……」
エルド「安心しろエレン、網があれば顔を刺される可能性は…その……少ないだろう」
エレン「0ではないんですね」
リヴァイ「これ以上文句は受け付けん。早急に作戦に移る」
一同「はっ!!」
リヴァイ「まず現場の指揮は俺がとる、お前らは二組にわかれてくれればいい」
リヴァイ「一組は立体機動装置のアンカーを塔に固定し、外側から捕虫網を使って捕まえる、もう一組は塔の中から入り、ハエ叩きを使って外に追い出せ」
一同「はっ!!」
エルド「じゃあ今捕虫網を持ってる俺とグンタで外を、中はエレンとぺトラとオルオで頼む」
エレン「わかりました、リヴァイ兵長は?」
リヴァイ「俺は現場の指揮だと言っただろう、何を聞いてたんだグズ野郎が」
エレン「すいません。リヴァイ兵長がハエ叩きを二本持ちしたらもっと早く終わるかなと思ったものですから」
オルオ「おいエレン、察しろ…」
ぺトラ「ヒントは綺麗好きだよ」ボソッ
エレン「ん………?」
エレン「!」
エレン「兵長はハチが苦手なんですね!」
シーン
エレン「え?」
オルオ「このクソガキが……ッ!」
ぺトラ「せっかく濁したのに…」
エルド「じゃ、じゃあ俺たちは早速ベルトを装備しに行きます…」
グンタ「そうだな、が、頑張れよ三人とも、内側は頼んだ…」
リヴァイ「…」
リヴァイ「別に苦手ってわけじゃない、ごちゃごちゃしてるのを見るとイラつくだけだ。あの塔の中で蠢いているハチを見て、俺がおかしくなりでもしたら困るだろ?」
リヴァイ「それこそ、バカ正直なガキを全裸であの塔に放ったりする奇行に走るかもしれない」
エレン「すいませんでした…」
リヴァイ「わかったらさっさと行け」ガスッ
エレン「うぐっ、はい…!」
グンタ「蹴られてるぞ」カチャカチャ
エルド「エレンも大変だな…」ギュッ
―
―――
―――――
~旧調査兵団本部・塔の部屋前~
※塔の内部はウトガルド城みたいな感じ
形は5巻の第20話参照(円柱の塔)
ぺトラ「外側は準備が整ったようです」
リヴァイ「そうか。今からこの扉を開ける、すると目の前には無数のスズメバチが犇めき合っているわけだ」
三人「」ゴクリ
リヴァイ「お前たちの目的は外にハチを追い出すこと、そうすれば外にいる二人がハチを捕まえて後でまとめて殺すことができる」
リヴァイ「近くに来たハチは容赦なく叩き潰せ。だが気をつけろ、スズメバチはたまに毒液を標的に噴射することがある」
エレン「なに…毒を…!?」
リヴァイ「その毒液が目に入ったら最悪な場合、失明することもあるそうだ。俺は責任を取れない、あまりハチと目を合わせないことだな」
三人「気をつけます!」
―――もう何匹か捕まえたぞ!
―――調査兵団精鋭部隊の力を見せてやる!
リヴァイ「向こうは順調なようだ、お前らも行け」
エレン「はい!じゃあ、開けますよ………!」
ぺトラ・オルオ「…」
エレン「せーっの!」
ガチャ
エレン「駆逐してやる!!この部屋から……一匹残らず!!」ダッ
オルオ「エレンに続け!」
ぺトラ「覚悟しなさい!」
バタン
リヴァイ(俺は外の様子でも見に行くか…)
ガチャ
リヴァイ「…」
ブ―――――ン ブ―――――ン
リヴァイ(二人が捕まえ損ねたハチが何匹かうろちょろしてやがるな)
リヴァイ(こいつらは俺が仕留めるか…)スッ
リヴァイ「」ハエ叩き二本持ち
ブブブブ――ン
リヴァイ「どうした?かかって来い」
スズメバチ「カチカチカチカチ」
リヴァイ「まだ警戒してるつもりか?もう中で仲間がどんどん殺されて…」
――うわああああああああ!!
――ぎゃああああああああ!!
リヴァイ「…」
リヴァイ「ちっ、小心なやつらだ」
ブ―――――ン ブ―――――ン
リヴァイ「おっと、巣に戻るな、おとなしくしてろ」
リヴァイ「そうしないとお前らをまとめて…」
リヴァイ「叩き潰せねぇだろうが…」スパパパパパパパアン!
スズメバチズ「」
リヴァイ「ふん……」
エレン「ぺトラさんしっかりしてください!」
ぺトラ「私……やっぱり無理!こんなにいっぱいいたら誰だって気持ち悪いじゃない!」
エレン「なんで巨人を倒せてハチを倒せないんですか!!」
ぺトラ「ごめんねエレン…私ってビクビクしてて間抜けで失望したでしょ…?」シクシク
エレン「前にも聞きましたよそれ!というより作戦を放棄したら死罪に値すると教わったはずです!?」
ぺトラ「ここにいるよりマシだから!」ダッ
ガチャ バタン
エレン「ああー!ぺトラさん!」
エレン「ぺトラさんが作戦を放棄してしまいました!どうします、オルオさん!?」バッ
オルオ「」ダラーン
エレン「えぇーー…」
エレン「口から血を流して倒れてる…やっぱり二度目はきつかったのか…」
エレン「リヴァイ班って巨人殺しの達人集団だったんじゃないのか…!?もうなんなんだよ…」
~外~
グンタ「帽子にくっつきやがった!離れろ!」ブンブン
エルド「おいグンタ!網を振り回すな!」
グンタ「そうは言っても……うお!」ガクン
エルド「あっ…アンカーがはずれて…やばい、落ちるぞ!」ドシュッ
ガシッ
エルド「ったく、世話が焼けるな」
グンタ「すまねぇエルド…」
ボコッ
エルド・グンタ「!?」ガクン
グンタ「おい!ちゃんと固定したのか!」
エルド「ああ!ちゃんとな……」チラッ
エルド「」
エルド「すまん……巣に刺してたみたいだ………」
グンタ「ばかやろうが」
エルド・グンタ「うわあああああああ!!」
\ドシィィィン/
エレン「!?外で何が………」
ガチャリ
リヴァイ「おい、エレン。一旦戻れ」
エレン「え?はい、わかりました」
エレン「オルオさん運ばないと」ズルズル
オルオ「」
―
―――
―――――
~休憩所~
バタン
エレン「よいしょ…っと」
リヴァイ「エルドとグンタが塔から落ちて気を失った」
エレン(じゃあさっきの音はその衝撃の音だったのか…)
リヴァイ「このまま作戦を続行するのは困難を極める」
ぺトラ・オルオ・エルド・グンタ「」ダラーン
エレン「はあ、そうみたいですね」
リヴァイ「それに何があったかわからないが巣が一部壊れてハチどもが混乱している。被害を拡大させないために、さらに迅速な処置が必要になりやがった」
エレン「じゃあ今こそ兵長の力が発揮される時ですね!」
リヴァイ「は?そんなわけねぇだろ」
エレン「!?」
リヴァイ「今からお前を調査兵団本部に向かわせる」
エレン「え、なぜ…」
リヴァイ「お前の同期がそこで寝泊りしてるはずだ、なんでもお前の顔の利くやつらはみんな成績上位者だと聞く。そいつらを呼んで来い」
リヴァイ「どうせ陣形訓練ばかりやらされていて体はあまり動かしてないはずだ」
エレン「わかりました、じゃあ早速…!!」
―
―――
―――――
~数十分後・調査兵団本部~
エレン「おーーい!!」パカラッパカラッ
アルミン「あれは………もしかしてエレン?」
アルミン「え、でもなんであんな白い服を着てるんだ!?」
ミカサ「間違いない、エレンが私の白馬の王子様だから」
アルミン「白いのは馬じゃなくてエレンだよ」
ミカサ「…」
エレン「よっこらせっと」スタン
ミカサ「エレン…あのチビに何かひどいことはされなかった?」
エレン「またそれかよ、されてねぇから安心しろ。あとリヴァイ兵長のことチビって言うな」
ライナー「お、なんだなんだ」
サシャ「誰ですかその白い人…」
コニー「まさかエレンか…?」
ジャン「お前…なんだってそんな恰好してるんだ?ふざけてるのか?」
エレン「ふざけてねぇよ、俺たちの暮らしてる古城にハチの巣ができてそれを駆逐してたんだ」
クリスタ「あ、さっき馬の手入れ中にスズメバチが通ったの見たよ!」
エレン「たぶんそれと同じだな、巣の大きさも尋常じゃないから人手がいるんだ。お前らも手伝ってくれないか?」
ミカサ「エレンの頼みというなら」キリッ
アルミン「じゃあ僕も行くよ」
サシャ「私も行きます!終わったらみんなで蜂の子食べましょう!」
コニー「お、いいなぁ。懐かしい響きだ、俺も行くぜ」
エレン「お前らはどうだ?陣形訓練ばかりで体とかなまってないか?」
ライナー「まあそうだな。今日は装備や馬の手入れしかすることないから行ってみるか」
ベルトルト「ライナーが行くなら僕も」
クリスタ「ちょっと怖いけど私も行ってみようかな…」
ユミル「クリスタが行くってんなら私も」
ジャン「はあ?お前らもうすぐ壁外調査だってのに…仕方ねぇ、俺も行く」
コニー「お、なんだ1人は寂しいってか?」
ジャン「そんなわけないだろ、現場には指揮官が必要だ」
エレン「指揮ならリヴァイ兵長がやってるぞ」
アルミン「あ、そうかリヴァイ兵長がいるのか…それなら僕たちが行くより早く終わりそうなのにね、なぜだろう」
エレン「アルミン、それ本人に聞いてみるといいぞ」ニコッ
アルミン「…(え、なんだこの笑顔)」
アルミン「いや遠慮しておくよ…で、ジャンは結局来るのかい?」
ジャン「ああ、一度行くって言ったからな」
サシャ「ジャンって昔に比べて素直になりましたよね」
ジャン「バカ言え、俺はもとから正直者だ」
ユミル「自分で正直者って言っちゃう辺り、まだガキだよな」
ジャン「あのなお前ら…」
エレン「決まったんなら行くぞ、急がないと兵長に怒られる」
ミカサ「エレン、やっぱり何かされたんじゃ…」
エレン「別に、今日はせいぜい腹蹴られたくらいだ。いいから馬乗れよ」
ミカサ「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
―
―――
―――――
~休憩所~
リヴァイ「」ズズズ
ガチャリ
エレン「リヴァイ兵長、同期を連れてきました」
サシャ「ここがエレンの暮らしてるお城ですかー」ヒソヒソ
コニー「なんか紅茶の匂いしねぇか?」ヒソヒソ
リヴァイ「そんなにいたのか」カタッ
一同「」ビクッ
リヴァイ「なに人のことジロジロ見てんだ?」ギロッ
アルミン(人類最強の兵士…こんな間近で見るのは初めてだ…)
サシャ(並みの人間には出せない覇気…)
コニー(怖えぇ…)
ジャン(何か変なことでも言ったら蹴られそうだな…)
クリスタ(けど、背はそこまで大きくな……)
ミカサ「チビ…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
クリスタ「えぇ!!」ドキッ
ユミル「どうしたクリスタ?」
クリスタ「なんでもない…」
今日はここまで
あまり長くせずに終わらせるつもり
リヴァイ「そんなにいたんじゃ全員に装備を貸せねぇな。生憎だがここにあるのは全部で6着だけだ」
エレン「じゃあ倒れてる先輩の4着分を借りましょう」
ミカサ「ちょっと待ってエレン」
アルミン(あーあぁ…)
エレン「なんだよ」
ミカサ「なんでいきなりこの女性を脱がそうとしたの?」
エレン「いや、一番近くにいたから。あとこの人はぺトラさんって言うんだ」
ミカサ「そんなことはどうでもいい。女性の服を脱がすということにためらいは感じないの?」
エレン「どうでもいいってお前なぁ。それより考えすぎだろ、ぺトラさんとは普通に一緒に暮らしてるし…防護服の下は兵団着だから別に問題はないだろ」
ミカサ「やはりエレンは私と一緒にいないとダメ」
エレン「なんでだよ」
リヴァイ「おいお前ら、夫婦漫才なんてやってんじゃねぇ」
エレン「いや、こいつが…」
ミカサ(夫婦…今のは悪くない)
ヌギヌギ
ジャン「で、誰が着るんだ?」
アルミン「エレンの着ているのと、この4着で合計5着、僕らは10人いるからちょうど半分に分けられる」
ジャン「じゃあ前半と後半で分かれるか。時間計って交替する、これでいいな?」
エレン「おう」
リヴァイ「おいガキ共、こんなときのためにくじを作っておいた」スッ
エレン「あ、ありがとうございます、引かせていただきます(俺がいない間に作ってたのか…)」
~数分後~
ジャン「前半は俺、ライナー、ベルトルト、クリスタ、ユミルだな」
アルミン「いい感じにわかれたね」
エレン「今ハエ叩きを持ってるライナーとベルトルトとクリスタが中を頼む、ジャンとユミルは外側から立体機動で塔に上って外に出そうなハチを捕まえてくれ」
ライナー「わかった(クリスタと一緒か)」
リヴァイ「決まったらさっさと行けグズども…」ジッ
ベルトルト「!」ビクッ
ベルトルト(僕を睨んでいる…なぜだ!?)
ベルトルト(人類最強だからってまさか正体がバレたなんてことはないはず…)チラッ
リヴァイ「」ジッ
ベルトルト(ひっ…やっぱり睨んでる…僕がなにをしたって言うんだ)
リヴァイ「」ジッ
ベルトルト(だ、だめだ、これ以上は何か危険すら感じる……。早く行ってしまおう)
ベルトルト「」クルッ
\ゴッ/
ベルトルト「おひょぅ!!」
一同「!?」ビクッ
ベルトルト「」ダラーン
ライナー「どうしたベルトルト!!」
アルミン「ベルトルトが奇声発しながら……」
ジャン「ドアの上枠に頭ぶつけやがった……!」
ミカサ「違う。あれは頭をぶつけたから奇声を発した」
アルミン「あっそうか」
ユミル「ダハハハハ!なんだおひょうって…ッ!あの無口なベルトルさんが…おひょぅって!…くく」ゲラゲラ
クリスタ「ねぇ…笑いすぎだよ、大丈夫かな」
ユミル「大丈夫なもんか、ありゃ気絶ものだ」ゲラゲラ
コニー「よっぽどびっくりしたんだな……」
サシャ「私もだいぶびっくりしましたけど、意外な一面が見れましたね」
エレン「まぁなんというか…たまにあるよな、ああいうこと」
アルミン「無意識に振り返ったりして頭ぶつけるとかね…あと一瞬の油断で階段踏み外して脛ぶつけたり」
エレン「アルミンも意外とおっちょこちょいなんだな」
ライナー「ベルトルトー!!」ダッ
ライナー「おい、ベルトルト!しっかりしろ!………だめだ、完全に伸びてる」
ライナー「入口が低すぎたんだ……!」
リヴァイ「あぁ?おいそこのでかいの、今のは俺に対する嫌味か?俺にとってはちょうどいい大きさなんだが」ゴゴゴゴゴゴゴ
ライナー「はっ、いえ、そういうことでは…」
リヴァイ「ちっ、全然作業が進んでねぇぞ」
ジャン「い、今行きます!」
アルミン「いってらっしゃい、作業中に外に出たら危険だから僕たちはここで待機してるよ」
エレン「がんばれよ!」
―
―――
―――――
~塔の中~
――――聞こえるかー!?こっちは準備が整ったぞ!
クリスタ「だって、じゃあライナー…お願いね」
ライナー「わかった、開けるぞ?」
クリスタ「」ゴクリ
ライナー「おら!」
ガチャリ
ライナー「突入だ!」ダッ
クリスタ「うん!」ダッ
ブブブブブブブブブブブブーーーン
ライナー「うおっ、なんだこれ……気味悪いな」
ライナー「ハチの量もさることながら、巣の色合いも不気味だ」
スズメバチ「カチカチカチカチカチカチカチ」
ライナー「警戒してるのか?クリスタ、気をつけろ!」
クリスタ「」
ライナー「おい、クリスタ?」
クリスタ「」
ライナー「まさか立ったまま気を失ってる!?」ダッ
ライナー「おい、大丈夫かクリスタ!」ユサユサユサ
クリスタ「……ぃ」
クリスタ「いや……」
クリスタ「来ないで――――!!」ペチペチペチペチペチペチ
ライナー「!?」
クリスタ「あっちいって―――――!!」ペチペチペチペチペチ
ライナー「い、いたっ、ちょ、く、クリスタ、やめ」
クリスタ「きゃああああああああああ!」ペチペチペチペチペチペチ
ライナー(これはこれでありなのか!?)
―――きゃああああああああああ!
ユミル「!?」
ユミル「クリスタの悲鳴だ!なにしやがったライナーさんよ……」バコォン
ジャン「おいバカ!なんで巣を壊してんだ!」
ブブブブブブ―――ン
ジャン「ほら!言わんこっちゃねぇ!」
ユミル「ジャン、後は頼んだ。私はクリスタを助けに行く」
ジャン「は?おいユミル!」
ブブブブブブブブブブーン
スズメバチ「カチカチカチカチ」
ジャン「ふざけんな…こんなやつら俺一人でどうにかなるかよ…!」
スズメバチ「」ピュッピュッ
ジャン「うわ!毒液飛ばしてきやがった、危ねぇ!」
ジャン「くそっ、一旦引かねぇと!こんなとこで死ぬのはごめんだ!」
ジャン「」カチャカチャ
ジャン「!?」
ジャン「また故障かよ!!どうしてトリガーがこんなに固ぇんだ!!」ガクン
ジャン「うわあああああああ!」
\ドシィィィン/
ジャン「なにが立体機動が得意だ…くそ…」
ジャン「」ダラーン
ユミル「おいクリスタ!何やってんぶはっ!!!」
ユミル「!?」
クリスタ「」ブンブンブンブン
ユミル「目瞑ったまま無心でハエ叩きをひたすらふり続けてやがる…!可愛さのかけらもねぇ!」
ブブーン ブーン ブーーーーーン
ユミル(このままだと私もクリスタも何故かぶっ倒れてるライナーも危ない)
ユミル(早くこの部屋から出たほうが身のためだな…)
クリスタ「」ブンブンブンブン
ユミル「悪いなクリスタ」ドゴッ
クリスタ「ごほっ」
ユミル「よし…二人まとめて運ぶか」ズルズル
クリスタ「」ズルズル
ライナー「」ズルズル
ユミル「くそっライナーが重い…」ズルズル
ユミル「もうちょっと……」
ガチャリ バタン
ユミル「ふぅ、なんとか出られたな……」
ユミル「感謝しろよライナー」ゲシッ
ユミル「」ズルッ
ユミル「はっ!?」
ゴロンゴロンゴロン
\ゴツン/
ユミル(い、痛っつ……!)
ユミル(は…?なんでバナナの皮が……それも階段に……)
ユミル(ライナーの仕業か………ちくしょう、こんなやつ助けるんじゃなかった……)
ユミル(だめだ、意識が朦朧として……)
ユミル「」ダラーン
―
―――
―――――
~休憩所~
コニー「なぁ、遅くねえかあいつら」
アルミン「ホントだね、何かあったのかな」
エレン「誰か様子を見に行った方が良いんじゃないか?なんなら俺が行くぞ」
ミカサ「エレン一人は危ない。私も一緒に行く」
アルミン「そうは言っても、ベルトルトの防護服が1着しかないよ」
サシャ「それにミカサは黒髪で瞳も黒色なので危険です。スズメバチに限らず、ハチは黒色に興奮して襲ってきますから。これはハチの天敵であるクマの体色のせいだと言われています」
ミカサ「そう…(山育ちなのに知らなかった)」
エレン「さすがサシャだな」
サシャ「なのでここは私が行きますよ。たぶんこの中で一番ハチの生態に詳しいはずですから」
コニー「それなら…俺だって!」
リヴァイ「ならお前ら二人で行け。ハチが多い塔の部屋に行く方が防護服を着ろ」
アルミン「それで大丈夫?二人とも」
サシャ「大丈夫、私が外側に行きますよ。兵団着を頭にかぶってしゃがみながら行けば刺される心配はないと思いますから」
コニー「いやダメだ、女の子を危険な目に合わせるなって母ちゃんに言われたんだ。外に行くのは俺だ」
コニー「サシャは防護服着て中の様子を見てこい」
今更だけど進撃の巨人の世界にバナナってあるのかな…
ザクロはあったようだけど
リヴァイ「ほう、いかしてるじゃねぇか坊主頭。ここはそいつの勇気に免じて、お前は中に行ってやれ」
サシャ「は、はい!ありがとうございますコニー」
コニー「気にすんな、行くぞ!」テレッ
アルミン「前から思ってたけどコニーってすごい仲間思いで勇敢なんだよなぁ」
エレン「バカじゃなければもっといいのにな」
アルミン「うん、それエレンが言えたことじゃないからね?」
エレン「そうか?ごめん」
―
―――
―――――
~外~
コニー(ジャンとクソ女…なにやってんだ、手間取らせやがって…)
コニー(だけどまぁ…こうやってしゃがんでゆっくり歩けばハチを刺激することもねぇからまず刺されない)
コニー(近づいてきても慌てず、身をよじったりしなければ襲われる心配もないぜ)
コニー(やっぱり俺は天才だったな!)
コニー「ん!?」
コニー「ジャン!ぶっ倒れてやがる……塔から落ちたのか?」
コニー「おいジャン、しっかりしろ!」
ジャン「」
コニー「くそ反応しねぇな、けど呼吸は安定してるし、変な症状も出てないから刺されてはいないみたいだ」
コニー「とりあえず部屋まで運ぶか」ヨイショ
ブーン
コニー「うわぁ!なんでこんな時に来るんだよ!」
―
―――
―――――
~塔の階段~
サシャ「あれは!」
サシャ「ユミル!大丈夫ですか!?」
ユミル「」
サシャ「返事がないですね……む?この匂いは!」
サシャ「バナナ!」
サシャ「なぜこんなところにバナナの皮が……」
サシャ「けど皮には用はありません」ポイッ
サシャ「あ、そういえばここって昔の調査兵団が使っていたお城なんですよね」
サシャ「それなら隠された食糧とかあってもおかしくないですね……」ニマァ
サシャ「えへへ………おっと、その前にみなさんの安否を確認しておきましょう」
サシャ「ユミルもクリスタも気を失ってるだけのようですね、なら大丈夫です」
サシャ「早速食糧調達に行きましょう!」ダッ
―
―――
―――――
~休憩所~
リヴァイ「おい、あいつらはまだか」
エレン「遅いですね、様子見に行っただけのはずなんですけど」
アルミン「また何かあったのかな?」
ガチャリ
アルミン「こ、コニー!」
コニー「ジャンが…外でぶっ倒れてたから…運んできたぜ…」
ジャン「」ドサッ
エレン「おいコニー、お前…すごい汗だぞ!」
コニー「悪いなエレン…やられたぜ……」
アルミン「刺されたのか!」
コニー「ああ、ジャンを運んでる最中にな。けどよ…腕に一か所刺されただけだからさ」
エレン「大丈夫なのか!?」
コニー「俺は今まで何度かハチに刺されたことはあるが、一度もショック症状とかが起こったことはないんだ。
毒も厩舎の水汲み借りて洗い流したから大丈夫だ。今はたぶん熱と痛みで具合悪くなってるだけだから少し休めば良くなると思うぜ……」
アルミン「わ、わかった!ハチに詳しい君が言うなら信じるよ、今はゆっくり休んでくれ」
コニー「おう、ありがとな…」
※ハチの毒は水に溶けやすいと言われています。しかし実際に放っておくと大変危険なので応急処置として洗い流すのは良いですが、その後は必ず病院で診てもらいましょう
エレン「ほっ、無事そうならよかった…だけど狩猟民のコニーでも刺されるのか…」
エレン「父さんからよくハチは二度目が危険って言われたな」
アルミン「エレンのお父さんはお医者さんだもんね。それは僕もおじいちゃんに言われたなぁ」
エレン「ああ、なんか抗体ができるって言ってたな」
アルミン「一度ハチに刺されると、その毒に反応する抗体ができてしまって、一度目は何ともなくても二度目以後にアレルギー反応を引き起こすと言われているね」
エレン「それってコニーは本当に大丈夫なのか?」
アルミン「稀に、ハチに刺されても抗体が程なくして消える人もいるそうだよ。コニーが例外なだけで、一般的には残るものらしい」
ミカサ「二人とも……ハチの話はいいけれど、部屋に様子を見に行っただけのサシャが異常に遅いことについては…」
アルミン「そういえば変だね、外側はジャンとユミルが担当していたはずなのに倒れていたのはジャンだけ……ジャンが倒れていたのを知っていたらユミルたちの誰かが知らせに来てもいいはずだ」
アルミン「きっとユミルたちと、それにサシャにも何かあったのかもしれない」
エレン「どうするんだ…」
アルミン「今度は僕が…様子を見に行ってくるよ!」
アルミン「大丈夫、幸いコニーがジャンを運んできてくれたおかげで防護服を着ることができる」
エレン「だけどアルミン…お前にも何かあったら大変だろ」
アルミン「もうそんなこと言ってる場合じゃないんだ、彼らに限って防護服を着ていながらハチに襲われることなんてないと思うけど、万が一のこともある」
エレン「わかった。なら俺も行く」
ミカサ「エレン!それは危険!お願いだから無茶なことはしないで」
アルミン「ミカサの言う通りだよ…防護服も着ないでハチの巣に近づくなんてそれこそ死に急ぎ野郎だ」
エレン「いや防護服なら…………ある!」
アルミン「え!?どこに……!」
エレン「それはな…………」
エレン「」ジィ
リヴァイ「なに見てんだ」
エレン「リヴァイ兵長!もう指揮を取るだけならその服脱いでください!」
アルミン「ちょっと、エレン……しつれ(あ、でもこの人くじ作る以外何もしてない気がする)」
リヴァイ「あ?なに言ってんだクソガキ。立場をわきまえろ」
リヴァイ「……と言いたいところだがいいだろう」
エレン「!」
リヴァイ「さっさとハチの巣を潰してこい」
エレン「はい!ありがとうございます」パァ
イソイソ
エレン「よし!行くぞアルミン!」
アルミン「うん!」
ガチャリ
リヴァイ「お前は行かないのか」
ミカサ「それは遠まわしに死ねと言ってるのでしょうか」ゴゴゴゴゴゴゴ
リヴァイ「可愛げのねぇ女だ」ケッ
ミカサ「…」
ミカサ「」シュン
一時間ほど離れます
正直誰得ssなんだ…
―
―――
―――――
~塔の部屋前~
ライナー「う~~ん」パチ
ライナー「あれ、ここはどこだ?」ムクリ
ライナー「古い扉がある…そうだ…俺たちはスズメバチ駆除に参加したんだっけな……」
ライナー「痛てっ!頬が腫れてる、確かクリスタにぶたれて…………クリスタ!!」
クリスタ「」
ライナー「まだ気を失ってるのか……?」
ライナー(ん?)
ライナー(一旦状況を整理しよう)
ライナー(俺は男だ。そして目の前にはとてつもなく可愛い女の子がいる)
ライナー「ふむ…」
ライナー「」ソ~
ライナー(いや待てライナー)パシッ
ライナー(俺は戦士であり兵士でもありながら1人の紳士だ)
ライナー(無防備な女の子に手を出すほど落ちぶれてはいない)
ライナー(よし、いいぞ。よく踏みとどまった)
ライナー「ひとまず戻るか、悪いがクリスタ、担がせてもらうぞ。こればかりは触っても文句は言われないだろう」ヒョイ
ライナー「軽いな、こんなんで本当に巨人と戦えるのか…………ん?」
ライナー「踊り場に……あれはユミルか?」
ライナー「おい、しっかりしろユミル」
ユミル「」
ライナー「こいつも気を失っているのか、仕方ない担ごう」ヒョイ
ライナー「ぐ…さすがに二人を抱えるとなるときついな」
ライナー「」ズルッ
ライナー「は!?」スッテーン
ライナー「な、なんでバナナの皮が……!!うわああああああああ!!」
ゴロゴロゴロゴロ
アルミン「リヴァイ兵長って変わった人だね」
エレン「兵長に限らずリヴァイ班はみんな変人揃いだぞ」
アルミン「そうなんだ…大変だね」
エレン「そうでもねぇよ、みんないい人だ。一度いろいろあったんだけどな、その後から俺のことを信頼してくれるようになったんだ」
アルミン「へぇ、もし機会があったらいろいろ聞かせてよ」
エレン「おう、いいぜ」
―――うわあああああああああ!!
エレン・アルミン「!?」
アルミン「野獣の鳴き声だ!」
エレン「違う!あれはライナーだ!」
ライナー「お前ら!止めてくれええええええ!」ゴロンゴロンゴロン
アルミン「ライナーがクリスタとユミルを抱えながら転がり落ちてる!」
エレン「ライナー、大丈夫か!?俺たちが止めてやる!!」グッ
アルミン「ええ!?無理だよ!」
ライナー「頼むぞお前らぁ!!」ゴロンゴロンゴロン
―
―――
―――――
~休憩所~
ぺトラ・オルオ・エルド・グンタ「」ダラーン
ベルトルト・ジャン「」ダラーン
コニー「」zzzzz
リヴァイ「…」
ミカサ「…」
リヴァイ「…」
ミカサ「…」
リヴァイ「…」
ミカサ「…」
リヴァイ「……お前はあの時のエレンのなじみか」
ミカサ「馴染み……それは長年つれ添った妻という意味でしょうか」
リヴァイ「知らん」
ミカサ「…」
リヴァイ「名前は確かミカサと言ったな」
ミカサ「はい」
リヴァイ「腕がいいと聞くが、トロスト区防衛戦と奪還戦の時の巨人討伐数は合わせていくつだ」
ミカサ「7体です」
リヴァイ「ほう…今の段階でグンタと同じ討伐数か。防衛戦が初陣か?」
ミカサ「はい」
リヴァイ「なかなかやるじゃねぇか」
ミカサ「ありがとうございます」
リヴァイ「…」
ミカサ「…」
リヴァイ「…」
ミカサ「…」
リヴァイ「お前俺のこと嫌いだろ」
ミカサ「…」
リヴァイ「…」
そのまま十分ほど沈黙が続いた
―
―――
―――――
リヴァイ「それにしても遅せぇな」
ミカサ「はい」
ミカサ「もしかしたら二人にも何かあったのかもしれません」
リヴァイ「心配か?」
ミカサ「当然…」
リヴァイ「…」
リヴァイ「俺もそろそろ待ちくたびれた。俺が直接手を汚さずに済むと思ったが見当違いだったようだ」
ミカサ「では…?」
リヴァイ「防護服はねぇが……やる」
ミカサ「いくらあなたでもそれは無理がある。防護服もなしにハチに立ち向かうなど、立体機動装置なしで巨人に立ち向かうようなもの」
リヴァイ「それはどうだかな…」
ミカサ「?」
リヴァイ「ちっ、あまり言いたくはなかったが、お前には言っても大丈夫そうだな」
ミカサ「??」
リヴァイ「俺は人類最強の兵士と謳われているようだが、同時に陰でこう呼ばれている」
リヴァイ「人類最強の駆逐師……とな」
ミカサ「!?」
リヴァイ「さっさと片付けるぞ」
―
―――
―――――
~塔の中~
ミカサ「エレン!アルミン!」
シーン
リヴァイ「…なんで塔に様子を見に行った奴らが一人もいねぇんだ」
リヴァイ「まあいい、行くぞ」
ミカサ「はい…」
ブーン
リヴァイ「!」
リヴァイ「」スパァン!
スズメバチ「」グチャ
リヴァイ「ちっ、部屋から出たハチが何匹かいるのか…」
ミカサ(は、速い…!私の目でも追うことはできなかった…)
ミカサ(そして一撃でしとめる正確性…)
リヴァイ「おいミカサ、お前はここのハチを叩け。数はそう多くないから殲滅できるだろ」
ミカサ「は、はい」
リヴァイ「俺は部屋に行く、頼んだぞ」
リヴァイ「…」スゥ
ガチャリ
ブブブブブブブーーーン
スズメバチ「カチカチカチカチカチ」
スズメバチ「カチカチカチカチカチ」
スズメバチ「カチカチカチカチカチ」
リヴァイ「ちっ、本当に気味が悪いな…」
リヴァイ「潰れろ…」スパァン!
リヴァイ「」スパァン!!
リヴァイ「」スパァン!!
リヴァイ「」スパァン!!
サシャ「」 パァン!!
リヴァイ「」スパァン!!
リヴァイ「誰だ今の」
―
―――
―――――
~塔の中~
エレン「いてて…」
エレン「はっ!なに寝てんだ俺は!」ガバッ
エレン「…そうだ、ライナーを受け止めようとしたけど、あまりの衝撃に床が崩れて…」
エレン「ここって…俺の寝てる部屋につながる廊下だよな…」
クリスタ「う~ん」ムクリ
エレン「クリスタ!怪我してねぇか?」
クリスタ「あ、エレン…うん大丈夫……」
エレン「そうか、よかった…」
クリスタ「それよりなんで私たちはこんなところにいるんだろう」
エレン「ちょっと説明しづらいことがあってな…」
アルミン「あれ、エレン…」ムクリ
エレン「アルミンも目を覚ましたか」
アルミン「いたた…確か僕たち、塔の様子を見に行ったんだよね…」
エレン「あっ、そうだった!」
エレン「お前らやばいぞ…兵長は時間に厳しいんだ…こんなところで時間つぶしてたことがバレたら何されるかわかったもんじゃない!!」ゾオッ
クリスタ「えぇ!!」
エレン「とにかくアルミンとクリスタはユミルを運んでくれ!俺はライナーを運ぶ!」
クリスタ「うん!」
アルミン「了解!」
―
―――
―――――
バタン
エレン「兵長!遅れてすみません!」
エレン「あれ?」
アルミン「いないね……それにミカサも」
エレン「よかった…ひとまず怒られずに済んだな」
クリスタ「どこに行ったんだろうね、防護服着てるの私たちで5人なのに」
エレン「そうだ…リヴァイ兵長かミカサのどっちか1人が防護服を着ないでここから出て行ったことになる」
アルミン「待って!サシャは!?サシャだって防護服を着て行ったはずだ…!」
クリスタ「じゃあ…リヴァイ兵長とミカサは二人とも防護服を着ていないってこと?」
エレン「そういうことになるよな!こうしちゃいられない…行くぞ!」
アルミン「うん。クリスタ、できれば君はここの人たちを見ていてくれないかな?特にコニーは一度刺されちゃったから」
クリスタ「えぇ!?わかった、気を付けてね…」女神オーラ
アルミン「は、はい…!」
―
―――
―――――
ブーン
ミカサ(来た…!)ペチィン!
スズメバチ「」グチャ
ミカサ(何度やってもリヴァイ兵長のような音にならない…)
スズメバチ「」ブーン
ミカサ「ふっ!」ベチィン!
ミカサ(いや、もう少し……もう少し力の入れ具合や振る方向を考えれば……)
ミカサ(え……)
ミカサ(私は何を考えているんだろう)
※危険なので絶対にハエ叩きなどで叩くなどということはしないでください
エレン「ミカサ!!」タッタッタ
アルミン「無事かい!?」
ミカサ「エレン!アルミン!」
エレン「おい!なんで防護服を着ないで外出るんだ!危ねぇだろ」ゴツン
ミカサ「うっ」
ミカサ「私はただ、エレンを心配して……」
アルミン「エレン、一応気を失っていた僕たちにも非はあるんだからミカサを責めないで」
エレン「え?ああ、わかったよ、それでリヴァイ兵長は?」
ミカサ「一人で部屋の中に入ってしまった」
アルミン「ええ!?本当に自殺行為じゃないか!」
エレン「急ぐぞ!」
ミカサ「私は与えられた任務を全うする…先に行って」
アルミン「わかった!」
―
―――
―――――
ブーン ブーン ブーン
リヴァイ(キリがねぇな…)スパァン!!
リヴァイ(いちいち叩きつけるのが面倒だ…ここは邪道だが、刃を使わせてもらうぞ)チャキ
スズメバチ「」ブーン
リヴァイ「」ズバズバ
リヴァイ「ちっ、体液が飛び散りやがる…だから嫌なんだよ」ズバズバ
スズメバチ「」
スズメバチ「」
リヴァイ「これで少しは減ったか……?」ズバズバ
ブ―――ン
リヴァイ(右から…!)
バタン!
エレン「死ね!」ベチン!
エレン「やった!!討伐数1!!」
アルミン「リヴァイ兵長、救援に来ました!」
リヴァイ「遅せぇぞお前ら…何やってたんだ。だが一応礼は言っておく」ズバズバ
アルミン「すごい……スズメバチの残骸がこんなに……」
エレン「俺たちも加勢します!」
リヴァイ「お前らは外に周れ、ハチどもが逃げださないように捕虫網で捕まえろ」ズバズバ
エレン「そんな…せっかく来たのに」
アルミン「エレン、言われた通りにしよう」
エレン「ああ…だけど直接駆逐できないのが残念だ…!」
バタン
ブーン ブーン ブーン
リヴァイ「ちっ、まだこんなにいやがったか…」ズバズバ
ガチャリ
ミカサ「アッカーマン、戻りました!」
ミカサ「はっ!」スパァン!
ミカサ(そう、今の感じ………!)
ミカサ(いけない…また余計なことを考えている…)
リヴァイ「ほう…お前、スズメバチ駆除の素質があるぞ」ズバズバ
ミカサ「い、いりません」スパァン!
リヴァイ「」ジィ
ミカサ「……」
リヴァイ「ふん、お前がいると刃は危険だな…ちょうどいい、俺がハエ叩きで本当のスズメバチ駆除を教えてやる」
ミカサ「(本当のスズメバチ駆除…!?)」スパァン!!
リヴァイ「」スゥ…
リヴァイ「ッ!!」ズバァン!ズバァン!
スズ/メバチ
ミカサ「!!」
ミカサ(ハエ叩きで……叩くのではなく、斬っている!?胸部と腹部が真っ二つに……)
ミカサ(そうすることで叩きつけるという動作を省くことができる…)
ミカサ(もう人間にこなせる次元じゃない……これが人類最強の駆逐師…!)
リヴァイ「おい、ぼうっとするな、刺されるぞ」ズバァン!ズバァン!
ミカサ「はい!」スパァン!
ミカサ(正直なめていた……まさかこの人がこんなにすごい人だったなんて…)
ミカサ(…人間は鋭い鉤爪もなければ相手を死に至らしめる毒もなく、また、獣の肉を噛み千切る牙もない)
ミカサ(この残酷な世界で、人間は知恵を振り絞らないと生きていくことさえ難しい)
ミカサ(そんな自然界では弱い人間が今、目の前で、ただ軽いだけの二本の棒であのスズメバチと命を懸けて闘っている)
ミカサ(いや、本当に命を懸けて闘っているのはハチだけかもしれない)
ミカサ(当の本人は、おそらく何の恐怖も感じずに、ひたすら迫りくる物体を斬りつづけているだけ)
ミカサ(強者が弱者を圧倒するその光景はまさに弱肉強食という言葉が相応しいだろう…)
ミカサ(同時に私の培ってきたものは小さかったものなのだと思い知らされた)
ミカサ(私にはこの人を超えることなどできはしない………)
―――うわあああああああ!刺された!!助けてくれアルミン!!
―――そんな!無茶だよ!!!
ミカサ「」ピクッ
リヴァイ「エレンが刺されたか……まああいつなら大丈夫だろ」ズバァン!
リヴァイ「なんせエレンは一度死にかけたんだろう?」ズバァン!
ミカサ「」ゴゴゴコ
リヴァイ「おい、人が聞いてるのに無視しやg…」
ミカサ「………………さない」ゴゴゴゴゴ
リヴァイ「なんだと?」
ミカサ「エレンを傷つけるのなら、どんなものでも許さない」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ミカサ「たとえそれが巨人でも人間でも…………ハチでも!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ブ――――――ン
ミカサ「」スッ
ス/ズ/メ/バ/チ
リヴァイ「!?」
ブーン ブーン ブーン
ミカサ「」スッ スッ スッ
ス/ズ/メ/バ/チ ス/ズ/メ/バ/チ ス/ズ/メ/バ/チ
リヴァイ「何が起こっている…!?」
ミカサ「スズメバチたちに教えよう………この世界は残酷だ。ので、あなたたちは今すぐ死ぬ」
ミカサ「覚悟したほうがいい……」
ミカサ「」スッ
こうして覚醒したミカサと人類最強の駆逐師リヴァイによってほとんどのハチは駆逐された
他のss作者さんに迷惑をかけてしまったので今日はこの辺りで終わりにします
すみませんでした
あと少しで終わりです、それにしてもどうしてこうなった…
―
―――
―――――
リヴァイ「これでもう終わりだな、ちっ、お前がスズメバチどもを微塵切りにしたせいでマントが体液だらけだ」
ミカサ「すみません」
リヴァイ「エレンのもとへ行かないのか」
ミカサ「足が疲労で動かないので…」
リヴァイ「バカか、一度に力を使いすぎだ。下手をすればお前が蜂の巣になっていたぞ」
ミカサ「あなたの言う通り…私は冷静じゃなかった…」
リヴァイ「まあいい。おかげで俺も楽ができた」
リヴァイ「おいガキども!作戦は成功だ、撤収するぞ」
アルミン「本当に防護服なしでスズメバチを全滅させたのか…!」
エレン「さすがリヴァイ兵長!お疲れ様です!怪我はありませんか!?」
リヴァイ「あまり俺をなめるな、こんなやつら俺にとってはただの汚い飛ぶだけの物体だ」
リヴァイ「それよりお前らの馴染みがぶっ倒れそうだぞ」
エレン「ミカサ!?大丈夫か、今そっち行くぞ!!」ムクリ
アルミン「あぁ!まだ動いちゃだめだ!」
エレン「いや、なんかもう治ったみたいだ。巨人の体質的に毒が回らないのかもな」
アルミン「全く君は都合がいいね、心配して損したよ」
リヴァイ「エレンが迎えに来るぞ」
ミカサ「エレン…無事で良かった」
スッ
ミカサ「え?」
リヴァイ「歩けないなら途中まで運んでやる、手をだせ」
ミカサ「ありがとう…ございます、あなたは見た目ほど悪い人ではなさそう」グッ
リヴァイ「どういう意味だそれは」グッ
リヴァイ「ちっ、重いな……一体何キロあるんだ」
ミカサ「女性に対してその質問はどうかと思う」
リヴァイ「ああ、そういえばお前女だったな…」
ミカサ「!?」
ミカサ「どうやら削がれたい様子……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
リヴァイ「お前には無理だ」
ミカサ「忘れてはいないはず、あなたがエレンを痛めつけたこと」
ミカサ「ので、私はいつかあなたに然るべき報いを与えなければならない」ゴゴゴゴゴゴ
リヴァイ「お前…それはおぶられている相手に言うことか?」
ミカサ「…」
リヴァイ「タイミングを考えろ。残念だが迫力が0に等しい」
ミカサ「…」
ミカサ「…やはりあなたは一筋縄にはいかない」
リヴァイ「口を閉じろ、お前と話すのは疲れる」
ミカサ「…」
ミカサ「」シュン
エレン「ミカサ―!」タッタッタ
ミカサ「エレン!!」バッ
リヴァイ「…」
リヴァイ「ちっ、クソ野郎が…全然動けるじゃねぇか」
エレン「あんまり無茶すんなよお前」
ミカサ「エレンこそ、でも無事で安心した」
エレン「さあ戻ろうぜ、みんなの体調が心配だ」
ミカサ「わかった」
タッタッタ
リヴァイ「」ポツーン
リヴァイ「…」
アルミン「あ、あの…」
リヴァイ「…お前も大変だな」
アルミン「あはは……」
―
―――
―――――
~休憩所~
ジャン「いって……あぁ、何やってたんだ俺は……」ムクリ
ジャン「そうか、俺は塔から落ちたんだっけな」
ジャン「おいコニー、起きろ」ユサユサ
コニー「んあ?ああ、ジャンか」ムクリ
コニー「感謝しろよジャン、お前が倒れていたところをここまで運んでやったのはこの俺なんだぜ」
ジャン「そうだったか、まさかコニーに助けられるとはな、世話かけて悪かった」
コニー「で、なんで俺は寝てたんだっけ……まあいいや」
クリスタ「あ、二人とも目が覚めたんだね、おはよう」キラキラ
ジャン「うおっ!」
コニー「なんだ?まぶしい!」
クリスタ「?他の人も起こしてあげようか」
ジャン「そうだな」
ジャン「おいベルトルト、いつまで寝てんだ」
ベルトルト「う、う~ん。ジャンか」
ベルトルト「なんだか頭が痛いな…」
ジャン「盛大にぶつけたからな、ほら、濡れたタオル当てとけ」ポイッ
ベルトルト「お、ありがとう」
ベルトルト「ジャンは気が利くね」
ジャン「俺が?まさか」
コニー「ライナー、起きろー」
コニー「ああもう、こいつ全然目覚まさねぇ」
コニー「ライナァァァァー!!」
ライナー「」
コニー「本当に起きねぇな、まさか死んでるんじゃないだろうな」
クリスタ「そんなはずないよ、ほら、ライナー起きて?」
ライナー「はっ!」バッ
クリスタ「ね?」
コニー「はいはい…」
クリスタ「ユミルも起きて」
ユミル「やっと声かけてくれたか…」ムクリ
コニー「起きてたのかお前、いちいちやることがせこいな」
ユミル「なんだやんのかチビ」
コニー「望むところだぜクソ女」
ジャン「やめとけお前ら、俺たちの目的を忘れたか?」
クリスタ「ハチ退治だよね……私結局何もしてないや」
ライナー「今は後半組が駆除してくれてるのか」
ユミル「もうあいつらに全部任せて私らはここで休憩してようぜ」
コニー「あれ…そういえば……」
コニー「いけねぇ、俺も後半組だったぜ!急がねぇと!」
ガチャリ
リヴァイ「その必要はない」
ジャン「り、リヴァイ兵士長!」ガタッ
エレン「お前らが寝ている間に俺たちでもう終わらせたよ」
アルミン「実際に駆除したのはほとんどリヴァイ兵長とミカサだけどね」
ジャン「じゃあ、作戦は…!」
リヴァイ「終わりだ」
ユミル「よぉし…これで帰れる」
クリスタ「よかったね」
リヴァイ「まだだ、お前らはハチの死骸を始末しろ」
ユミル「げっ、まじかよ…」
ジャン「まあそれくらいなら…」
リヴァイ「いや、そうだな……。」
リヴァイ「せっかくこれだけの人数がいる、どうせならこの古城すべての掃除をしてもらうか」
一同「えぇ――!」
リヴァイ「俺たちの班じゃ少ないから掃除にも限度があったが、体力の有り余ったお前らならできるだろ、俺が完璧だと言うまで綺麗にしろ」
ライナー「かなり大きい城だってのに…」
コニー「それを完璧になるまでって……!」
リヴァイ「オラ、さっさと行けよグズども…」
エレン「へ、兵長もたしか綺麗好きでしたよね……一緒に掃除しないんですか?」アセアセ
アルミン「リヴァイ兵長が加わったらもっと早く終わりますよ!!」アセアセ
リヴァイ「ああ、ぜひそうしたいところだがな…俺はこいつらを叩きおこさねぇとならない」
ぺトラ・オルオ・エルド・グンタ「」ダラーン
ジャン「先輩たちまだ倒れてるのかよ…」
アルミン「じ、実に良い連携ですね…!」
リヴァイ「おいガキ…俺の機嫌を取ろうとしても無駄だぞ?さっさと行け」ギロッ
エレン「は、はい!」ビクッ
エレン「み、、みんな兵長に蹴られたくなかったら急いだ方がいいぞ…」ダッ
コニー「そうみたいだな…!」ダッ
ユミル「付き合ってられねえよ…」ダッ
アルミン「はあ…」ダッ
リヴァイ「さて、俺はこいつらを起こさないとな」スッ
リヴァイ「ハエ叩き……これはただ虫を叩くだけの道具じゃない」
リヴァイ「俺がこれでケツを叩けば一撃で相手の目を覚めさせることも可能だ。ハエ叩きを持った時の俺のもう一つの異名…」
リヴァイ「…………人類最強の目覚ま師」ボソッ
リヴァイ「悪く思うなよお前ら…」
リヴァイ「ふん!」スパァン!
ぺトラ「い゙っ!?」
オルオ「お゙ぅっ!?」
エルド「だっ!?」
グンタ「ぐぁっ!?」
リヴァイ「いつまで寝てる気だ……?あまり手をかけさせるな」ゴゴゴゴゴ
ぺトラ「兵長!?私は今まで何を…」
オルオ「なにも思い出せない…」
リヴァイ「今エレンとその同期がこの城を掃除している、お前らも加われ」
エルド「そ、掃除…?」
リヴァイ「手を抜かずにやれよ、さもねぇと……おしおきだ」スッ
4人「」ビクッ
4人「行ってきます!」ダッ
こうして新兵10人と後から血相を変えてやってきたリヴァイ班の4人とで古城の掃除が行われた
リヴァイ(これでやっとゆっくりできるな…)
リヴァイ(ん?まだ紅茶が飲みかけだったか)
リヴァイ「」カタッ
ゴキブリ「」ヒョコッ
リヴァイ「…」
ゴキブリ「…」
リヴァイ「」スパァン!
完
続いておまけのようなもの
おまけ
キラキラ ピカピカ
リヴァイ「…」
リヴァイ「ふん、まぁ良いだろう」
一同「や、やったー!」
ジャン「お、終わった……」ヘナヘナ
ジャン「俺は掃除するために調査兵団志望したわけじゃないのに…」
ライナー「まぁたまにはこういうことをしてもいいな」
ライナー「それにほら見ろよベルトルト、手がこんなに震えてやがる」
ベルトルト「どうでもいいこといちいち報告しないで」
ユミル「死ぬほど疲れた…クリスター、タオル借りるぞ」
クリスタ「あ、それ雑巾…」
ユミル「げっ、先に言えよ!顔拭いちまっただろ!」
コニー「ぎゃははは!お前にぴったりだぜ!!」
ユミル「は!?言ってくれるなバカ…」
コニー「雑巾で顔拭くお前もバカだろ!」
ギャーギャー
ぺトラ「なんで少ししか歳違わないのにあんなに元気なの……」
オルオ「俺もまだ全然疲れてないぜ?でもな…そこはあえて本気を出さなかった。お前らにはそれがなぜだかわかるか?」
ぺトラ「…なんで?」
オルオ「はぁ……なんだ?わからないのか?まあお前ら程度じゃわからないだろうな。なぜお前らにはわからないと思う?」
オルオ「それはお前らが俺の域に達していないからだ」
ぺトラ「なにそれわけわかんない、リヴァイ兵長の真似をしているつもりならハチに刺されて舌噛み切って死ねばよかったのに」
エルド「相変わらず仲良いな」
グンタ「ああ、うらやましい」
ぺトラ「ちょっと…冗談でもやめてよ」
オルオ「ふっ、顔を赤らめても俺を誘惑することはできないぜ?」
ぺトラ「死ね」ガッ
エルド「ほら、今の死ねっていうのオルオとそっくりだ!」
グンタ「よっ、お似合い夫婦!」
ギャーギャー
エレン(本当にいいチームワークだな…)
ミカサ「エレン、疲れてない?」
エレン「いや、見ての通りへばってるよ」
ミカサ「体ほぐしてあげる」
エレン「いいよ、ガキじゃあるまいし」
アルミン「ねぇ、掃除に必死で気付かなかったけどサシャがいないよね」
エレン「サシャ?そういえば見てねぇな」
コニー「どうせお腹空いたーとか言って何か食べてるんだろ」
ユミル「あ…そういえば食べ物で思い出したんだがライナーさんよ……」
ライナー「なんだ?」
ユミル「階段にバナナの皮捨てるなよ、おかげで階段から転げ落ちて頭ぶつけて気を失ったぞ」
ライナー「バナナ!?違う!俺じゃない!」
ユミル「いや、どう見てもお前だろ、その焦り様」
ライナー「本当に違うんだ、俺だってそれで足を滑らせた」
ユミル「じゃあ誰が…」
ガチャリ
サシャ「あ、皆さん!お目覚めのようで良かったです」
ジャン「サシャ!てめぇ今までどこに!」
サシャ「え?このお城に食べ物がないか探し回ってたんです」
クリスタ「サシャ…それ完全に作戦放棄…」
ユミル「あっ!さてはバナナの皮捨てたのもお前だろ!!」
ライナー「そうなのか!?特に理由のない罪が俺に科せられるとこだったんだぞ!」
サシャ「バナナの皮……?(あ、でも確かにポイッて捨てましたね、そのことでしょうか)」
サシャ「すみません…食べられないものには興味ないので……」
ユミル「やっぱりお前かよ、これから気をつけろ」
リヴァイ「」グイッ
アルミン(!?今リヴァイ兵長が口を拭った?そういえばサシャはユミルたちが作戦中の間に塔へ一度も行ってないはず……だとしたらサシャがバナナの皮を捨てることはできない)
アルミン(でもまさか…エレン曰く綺麗好きらしいリヴァイ兵長がバナナの皮を捨てるなんてありえない)
リヴァイ「…」
リヴァイ(エレンが帰ってくる間、バナナを食べながら塔の見回りをしていた。バナナを食べ終えた瞬間にハチが襲ってきたから忘れていたが、思い出してみれば落としたのは俺だったな)
リヴァイ(まああの女の作戦放棄を咎めないことと引き換えに、あいつのせいにしておくか)
リヴァイ(幸い誰も気付いていないようだしな)
アルミン(だけど消去法的にリヴァイ兵長しか残っていない…)
アルミン(たとえばたまたまバナナを食べながら塔を歩いていた時にハチが襲ってきたらどうだろう、あのリヴァイ兵長なら即座に対応してハチを倒すはず。その時にバナナの皮を落としてたなんてことはありそうだ)
アルミン(でもこんなこと気にしても仕方ないね、なんでも考えちゃう僕の悪い癖が出ちゃった)
アルミン(もうこのことは忘れよう)
サシャ「ですが見てくださいこれ!」
エレン「なんだそれ、酒か…?」
サシャ「そうです!これを使ってスズメバチ酒とハチの子料理をふるまってあげます!疲労回復にとてもいいんですよ」
サシャ「それと酵母とともにパンなども置いてあったので腐らずに済んでいたようです。これも使わせていただきます」
リヴァイ「あの時の叫び声はお前か」
ぺトラ「え、なになに?料理?」
エルド「ちょうどお腹も空いていたから最適だな」
グンタ「どうせ気付かないところにあったんだし別にいいか」
オルオ「当然俺たちも食べていいんだろうな?」
サシャ「はい!みなさんで食べるとより美味しく感じますから!」
アルミン「僕食べたことないんだけどそんなにおいしいの?」
サシャ「見た目は少しグロテスクですが味は最高に美味しいです、とにかく楽しみにしててください」
ライナー「ほう、そこまで言うならぜひ食べてみたいものだ」
ジャン「グロテスクって言ってももう慣れたからな」
ユミル「クリスタ、お前は無理して食べなくてもいいんだぞ、スズメバチ見ただけで気絶しちゃうくらいだからな」
クリスタ「でも最近美味しいと思えるもの口にしてなかったし、頑張って食べるよ…!」
エレン「ミカサ、ハチの子ってどんな味なんだ?」
ミカサ「私も食べたことないからわからない」
エレン「山育ちなのに知らなかったのかよ」
ミカサ「私は野菜作ってただけだから」
エレン「ああそうか」
ジャン(野菜を必死に育ててるミカサか………可愛いと思うのは俺だけか)
~待つこと小一時間~
サシャ「できましたー!」
エレン「待ちくたびれたぞ」
サシャ「どうぞ召し上がってください」
ジャン「うおっと…これは確かにグロテスクだ…」
コニー「んじゃいっただっきまーす」パクッ
ライナー「ためらいなくいったな」
アルミン「ど、どう…?」
コニー「おう、やっぱりうまいぜ!!」
サシャ「ほっ、それは良かったです」
コニー「調味料はなにか使えたのか?」
サシャ「ちょうどお酒と一緒にお醤油もあったので一緒に煮込みました。ハチの子自体甘いと感じる人も多いそうなので醤油だけで十分なんです」
エレン「へぇー、じゃあ俺もいただきます」パクッ
エレン「うわ!なんだこれ、美味いな!!」モグモグ
アルミン「本当だ!甘くて少し芳ばしい!」モグモグ
ミカサ「懐かしい味……焼きトウモロコシをさらにおいしくしたよう…」
ミカサ「ありがとうサシャ、温かい気持ちになった」モグモグ
サシャ「喜んでもらえたなら私もうれしいです」
ジャン「ただの芋女じゃなかったんだな…見直した」
ライナー「ホント何杯でもいけるなこれ」ムシャムシャ
ベルトルト「口に含みながら喋らないで」
クリスタ「…」ブルブル
ユミル「…」
ユミル「なぁクリスタ」
クリスタ「な、なに!?」
ユミル「それ!」
クリスタ「んんー!?」モグモグ
ユミル「見て食わなきゃ平気だろ?」
クリスタ「ほ、本当だ…おいしい!」モグモグ
オルオ「なんだこれ、気持ち悪いな」
ぺトラ「オルオほど気持ち悪くないから」パクッ
ぺトラ「あ、おいしい!」モグモグ
エルド「調査兵団の飯とはわけが違うな」モグモグ
グンタ「いやぁ美味い」モグモグ
オルオ「へ……まぁ確かに味はいいな」
ぺトラ「兵長もいかがですか?」
リヴァイ「そうだな、一口もらおう」
ぺトラ「はい、どうぞ」
リヴァイ「気持ち悪い見た目だな…いただきます」パクッ
リヴァイ「…」モグモグ
リヴァイ「ほう…味は悪くない、いや、美味い」
サシャ「そうですか!お口に合って良かったです」
エルド「この材料だけでこんな美味しい料理を作れるなんて君はいい嫁さんになれそうだ」
サシャ「え!?いえ、別にそんな…//」
エレン「それは無理ですよエルドさん。なんたってこいつの食欲は巨人以上ですから」
コニー「そうそう、食費がバカにならないですよ」
ミカサ「それに、エレンの将来のお嫁さんは私…」
エレン「はぁ?何言ってんだよ」
ぺトラ「えぇー!そうなんだ、お似合いだよ」
エレン「ぺトラさん!?こいつの言うことなんて本気にしなくていいですから」
オルオ「ふん、小便くさいガキンチョの戯言だぜぺトラ…」
ミカサ「…?」ゴゴゴゴゴゴ
オルオ「」ビクッ
グンタ「バカ言ってんなよオルオ、小便くさいのはお前だろ?」
ぺトラ「」ピクッ
オルオ「は!?なに言ってんだお前!言っていいことと悪いことがあるだろ、それくらい考えろ!さてはバカか!?バカなんだな!バーカバーカ!」
エレン(あのオルオさんがすげぇ必死になってる…)
オルオ「それを言うならぺトラだって…」
ぺトラ「ぎゃああああああああああああ!!!」ゴスッ
オルオ「へぶっ!!」
エレン「!?」
アルミン「ねぇエレン、先輩たちすごい賑やかだけどどうしたの…?」
エレン「いや、俺にもさっぱり…」
ライナー「それとサシャ、スズメバチ酒ってのはなんだ?」
サシャ「あ、それはですね、焼酎などの蒸留酒に生きたスズメバチを入れたものなんです」
エレン「生きたハチ?」
サシャ「はい、生きたままお酒に入れることによってもがきながら毒針から毒を出すんです。この毒は分解されるので危険はありません、むしろ疲労回復や美肌効果などの効果があるんです」
サシャ「それにスズメバチは一日に平均して100㎞も飛ぶことができるらしいです、そのハチの体内にある成分が疲労回復に役立っているのではないかと」
※この成分はスポーツ飲料などに多く含まれているアミノ酸、実際はハチの幼虫が分泌するものです
エレン「100km……」
アルミン「ウォール・マリアとローゼの間の距離だね」
ユミル「へぇ…すげぇんだなハチって」
クリスタ「でも生きたスズメバチはいないよ?」
サシャ「そうですね…今回は残念ながら作れません」
コニー「そうかー、まああんまり美味しいもんでもないしな」
サシャ「そうですね、それと完全にできあがるまでおよそ3年はかかりますから」
ライナー「そんなにかかるのか!?」
ジャン「……」
ジャン「3年か…この中で何人生き残ってるんだろうな……」
一同「……。」
エレン「おいジャン。お前のせいで急に湿っぽくなっちゃったじゃねぇか」
ジャン「すまんな、正直なのは俺の悪い癖だ」
ミカサ「大丈夫、きっとみんな生き残ってる」
コニー「きっとじゃねぇよ、絶対だ」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
ユミル「そうだといいな」
クリスタ「が、頑張ろうね…!」
ジャン「俺だって死ぬために調査兵団に入ったわけじゃないからな」
アルミン「そうさ、僕たちはいつか外の世界を探検するんだ、ねぇエレン?」
エレン「あぁ!絶対に死んでたまるか!」
エレン「あと、今日ハチと戦って思ったんだけど、ハチってあんなに小さいのに俺たちにとっては十分な脅威だろ」
ジャン「なにが言いたいんだ?」
エレン「だから大きさなんて関係ないってことだよ、俺たちが強くなれば巨人だって全然怖くなんかなくなる」
リヴァイ「威勢だけでどうなるもんでもないぞ。まずはお前が巨人化する力を掌握できるようにならないと話にならん」
エレン「はい!」
エルド「まぁ…今回の新兵はみんな芯があって強い子ばかりだからな」
グンタ「あぁ期待してもよさそうだ」
ぺトラ「私たち以上に頑張ってね」
オルオ「ふん…まあせいぜい俺の域に達することだな。そうすれば死なないだろう」
リヴァイ「…」
ぺトラ「はい!湿っぽいのはこれで終わり!もうすぐ壁外調査なんだから楽しめるうちに楽しんだ方がいいよ」
アルミン「そうですね」
コニー「よっしゃぁ!もっと食べて力をつけてやる!」バクバク
アルミン「僕も!」バクバク
サシャ「私ももう我慢の限界です!いただきます!」バクバク
ミカサ「…」モグモグ
ライナー「お、俺だって…!」
ジャン「おい飛ばすな汚ねぇぞライナー!」
ユミル「ほら、お前ももっとたくさん食べろ」
クリスタ「うん!」
エレン「よし、俺も…」
エレン「完食してやる!!この皿から…一匹残らず!!」バクバク
完食
終わりです、結局何がしたかったのか自分でもわかりませんが完結できてよかったです
この時期になるとハチの被害が増えるので気を付けてください
読んでくれた方、ありがとうございました
過去のss
アルミン「ミカサとクリスタの体が入れ替わった!?」
ジャン「オレたちは絶対に死なない」
アルミン「クリスタ・レンズ……?」
コニー「街でタバスコっていうものを買ってきたぜ」
アルミン「周りがカップルだらけでうんざりだ」
ミカサ「非日常的な日常」
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