男「……マンションの最上階にトラックが突っ込んで来たと思ったら、何だここ?」
転生邪神「こんばんは~! どうも、私は転生を司る邪神のゼウスと申します~!」
転生邪神「実は手違いで先ほどあなたを死なせてしまいまして、今回は特別にあなたをあなたの希望のままに転生させてあげようと思います!」
男「え? え??」
転生邪神「転生ってわかる?」
男「生まれ変わる……みたいな」
転生邪神「それ! 昔は神殿でセックスしてたカップルを獅子に転生させたりしてたんですが、今回は事故のもとに発生した事なので希望があればそれを叶えてあげようと思ってるんですよ」
男「……」
転生邪神「あー、ストップ」スッ
男「?」
転生邪神「はい。記憶消しました」
転生邪神「あなたが悲観に暮れるような過去を消したので、だいぶ今気持ちが軽くなったでしょう?」
男「何か、飼ってたペットを置き去りにして来たような感覚があるんですけど……」
転生邪神「少なくともあなたは動物を飼ってないので気にしない気にしない、だってもうあなた死んでますし振り返るだけ無駄でしょう」
転生邪神「それで。転生にあたってご希望はありますか?」
男「ええっと……そうね、やっぱ異世界で生まれたいかな……」
【異世界選択あんこ】
【00……自分の世界】
【01~20……剣と魔法の世界】
【21~40……優しい世界】
【41~80……男の自宅にあるラノベ】
【81~98……超能力学園モノ】
【99……勇者と魔王の世界】
転生邪神「剣と魔法、ね~」
男「だめかな」
転生邪神「まぁ君の思考を読むに大体理解したから大丈夫、剣と魔法があればいいもんね」
転生邪神「ただ、先に言っておきますけど生まれは選べませんからね」
男「えっ、それはなぜに」
転生邪神「あちらの世界に干渉する事が出来ないので、偶々あなたの条件に合致した子供が生まれる際にその子供の魂と意識を上書きする事で転生してるわけです」
男「おー(半分しか分かってない)」
転生邪神「まぁ、その辺は気にしないと思いますが。とりあえず本題のあなたの希望を聞きましょうか」
男「俺を最強のモテ美人にしてくれ」
転生邪神「りょ」
男「あ、待って!!」
男(他にも欲しいな……せっかくの異世界だ)
【ステータスあんこ】
【00……完全無欠のエルフ】
【二桁のどちらかに1……魅了付与】
【二桁のどちらかに2……攻撃を反射】
【二桁のどちらかに3……マッスル】
【二桁のどちらかに4……精力絶倫・無限スタミナ】
【二桁のどちらかに5……再生能力】
【二桁のどちらかに6……金銭に困らない】
【二桁のどちらかに7……衣食住完備】
【二桁のどちらかに8……王族に生まれたい】
【二桁のどちらか一方に9……騎士は徒手にて死せず】
【99……銃器生成能力】
男「とにかく筋肉を盛って欲しい」
転生邪神「美人がいいんじゃなかったの?」
男「やっぱり男は筋肉かなって」
転生邪神「へぇ、まぁ、そうなんだ」
男「どう?」
転生邪神「まあ最強のモテ美人ってのは叶えてあげるよ、ついでに筋肉も……育ちやすいでしょう」
転生邪神「それじゃあそろそろ行こうか?」
男「ありがとうございます」
転生邪神「こちらこそ」
男「あ……でも、やっぱりこういうのって赤ん坊の時からスタートするんですかね」
転生邪神「しないよ。上書きするのは『中身』の話で、器の成熟度に関しては君の記憶や能力、意識を書き込むのに適した容量がないといけないんだ」
男「SDカードのメモリみたいな……?」
転生邪神「ちょっと違うけど、そのニュアンスで伝わってるならそうなんだろうね」
転生邪神「おっと言い忘れてた。今後、君は今の私とした会話みたいなすれ違いが多くなるから、気をつけてね?」
男「何故か聞いても?」
転生邪神「君の言葉は君が行く新しい世界の中で適した言語に修正されるが、同時にそれは君の使う言葉とはまったく違う言葉と意味を持つ事もある」
転生邪神「だから、実際の言葉の意味はキチンと伝わらない事の方が多いと思ってくれ」
男「外国で暮らすようなもんなのにそれって致命的な様な……」
転生邪神「そんなこと想像もしてないくせにね」
転生邪神「さぁ、これから君という器を失った中身を別の場所に移すよ」
男「うわっ、視界が青く……!?」
転生邪神「これは私の意思に依る所になるけど、最後だから確認をしておくよ」
転生邪神「君の名はもう無い。そして君はこれから別世界、剣と魔法がある世界の器に転生する」
転生邪神「君の器は君の希望に基づいた結果、ある程度自由に動ける時期から『君』になる。最強の、モテモテなマッスル×マッスルな美人にね!」
男「っ、うぇ……おご、ッ!?」ゲボォッ
転生邪神「解けよ。溶けよ。融けよ」
転生邪神「もしも君がその世界で天命を全うできたなら、私は君を迎えに行こう――強い器は大歓迎だよ」
男「た、たすけて……ッ! カラダが!」ドロォ
転生邪神「それにしても君は実に物事を気にする事をしない人間だったね、私との会話でもまるで私の様子を気にもしないその姿はそそるよ」
転生邪神「惜しむらくは今の君は私と同性だったことかな。まあ、それこそ次の機会を待つとも」
転生邪神「ああ、そうそう……まだ私の声は聴こえてるかな? 聴こえているなら聞くといい」
転生邪神「言っておくが、『私達』以外に祈る神が居るなどとは思わない事だ」
――――ポチャンッ
転生邪神「……おやすみ」
▼【転生の成功度】
【00……大失敗】
【01~20……失敗】
【21~40……成功】
【41~60……失敗】
【61~80……成功】
【81~98……大成功】
【99……成功+失敗】
▼【失敗時】
【奇数……転生(モンスター認定済)】
【偶数……転生(転生前と同性)】
▼【大失敗時】
【素数……転生(瀕死状態・転生前と同性)】
【偶数……転生(即死判定付戦闘開始)】
【奇数……転生(シナリオラストバトル開始)】
▼【成功時】
【奇数……転生(英雄認定済)】
【偶数……転生(コンマ数値の日数分ダメージ無効)】
▼【大成功時】
【素数……転生(コンマ数値の日数の間物理無効・【ステータスあんこ】での内容で能力を追加する※)】
※『気づき判定』で判明するまで主人公は能動的な能力の使用は不可。
【偶数……転生(ボーナス判定付戦闘開始)】
【奇数……転生(名声ボーナス発生イベントバトル開始)】
――曇天。
喉の奥がドロドロした物で詰まってるのを、自分は咳き込みと同時に吐き出した。
「ゲホッ、ご……っふ!」
「……ここって」
喉奥から吐き出されたそれは、胃液とも異なる白濁としたゲル状の何かだった。
一瞬、それを目の当たりにして嫌な想像を巡らせるものの。しかしそれが無臭である事からまったく違うモノを吐いたのだと思い直した。
吐き出す際に顔を横に向けた事で視界が変わる。
自分は地面に倒れていたのだと、青々とした草原が続く地平線を目にして転生者は気づいた。
「……む」
「いや……あー、そういえば。美人とは言ったけどイケメンとは言ってなかったなぁ」
体を起こそうと手を地面に着いて屈伸する。
どうにも視界が少し高めだと思い、足下を見下ろそうとした転生者は自らの胸元が恐ろしく膨れている事に気付いて呼吸が止まった。
触れる。揺れる。
少しだけ指先で撫でてからその感触が普段から自分に触れている時と変わらぬ感覚を返してきたのに安堵して、遠慮なくそれを揉もうと鷲掴みにして手を押し込んでみた。
柔らかいと思ったのは指の腹が少しだけ沈んだ時のみで。それ以上は明確にそれが大胸筋であると分かる程に硬さを増して、指の骨にまで押し返して来たモノに残念な気持ちを懐いた。
「うっわぁ」
利き手の手首を掴んで少しだけバルクを張ってみる。
自身の胸元を覆う、硬く重い素材らしき黒布がはち切れそうなほどに押し上げられ、そこで思わず力を抜いて転生者は大胸筋をストンと落とした。
「……ムッキムキ、だな」
美女をオナホさながらに抱いて犯す野望が秒で潰えた転生者は、青々と繁る丘陵を見据えながら首を傾げるしかなかった。
「どこへ……行けばいいんだろうな」
【進行方向】
【奇数……北】
【偶数……南】
【副行動】
【ゾロ目……周囲の地形把握】
【10番台……周囲探索】
【20番台……発見】
【3、40番台……装備点検】
【5、60番台……体ならし】
【7、80番台……ひらめき】
【90番台……戦闘(先手先取)】
【進行先に見えたモノ】
【ゾロ目……装甲車】
【10番台……土煙】
【20番台……黒煙】
【30番台……白煙】
【40番台……都市】
【50番台……瓦礫の山】
【60番台……草原】
【70番台……荒野】
【80番台……馬車】
【90番台……廃ビル群】
【99……ならず者(接触イベント発生)】
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