～視点①　辻野あかり～

控室・11:28

ｶﾞﾁｬｯ

あかり「終わったんごー！」

あきら「お。あかりちゃん、お疲れ」

りあむ「……」ﾀｽﾀｽ

あかり「ありがとー、あきらちゃん♪　初めての撮影緊張しちゃった」

あきら「そう？　今日はただの宣材撮影でしょ」

あかり「んごごご……『ただの』って言える辺り、やっぱりあきらちゃんはクールだなー！」

りあむ「……」ﾀｽﾀｽ

あきら「──りあむさん。さっきから熱心に何見てるんデスか？」

りあむ「……」ﾀｽﾀｽ

あかり「り、りあむさん……？」

りあむ「うわぁぁぁぁん！　なんて書けば良いか分かんないよぉーっ！」

あかり「んごぉー！？」

りあむ「もうほんとむーりぃーっ！　初投稿炎上したらめっちゃやむ！！」

あきら「な、なんの話デスか？」

りあむ「デレぽだよデレぽ！　それ以外ないだろ！！」

あかり「あ……今日から利用して良いって言われてたよね」

あきら「あー、そんな話もしてたっけ」

りあむ「二人とも緊張しないの！？　初投稿だぞ！」

あきら「緊張って言ったって……適当に挨拶して、適当に愛想良くしとけばいいんじゃないデスか？」

りあむ「それが出来たら苦労しないよぉーっ、うわぁぁぁぁん！！」

あかり「そういえば私、初投稿は12時にしてって言われてたんだった」

りあむ「うへぇー、もう30分もないじゃん。ぼくだったらプレッシャーで吐血するな……」

あきら「参考にりあむさんの投稿予定の文章、見せてもらえます？」

りあむ「えー。し、仕方ないなぁ……ふふふ、パクるんじゃないぞお前らー」ﾆﾏﾆﾏ

あきら「監視の意味も含んでいるんデスが」

あかり「えーっと、何々……」


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【夢見りあむ】

総選挙3位のりあむだよー
ちょろいオタクどもにちやほやされるために、
今日は宣材撮影してるよ！
総選挙3位のりあむをすこれ、よ！！
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あかり「」

あきら「正気かこいつ……？」

りあむ「えっえっ！　何でそんな顔してるの！？」

あきら「プレミが過ぎるのでは？」

りあむ「なんでだよ！　あかりちゃんっ、あかりちゃんはぼくの味方だよねっ！？」

あかり「これは……そういうボケではなくて？」

りあむ「ボケじゃないわーーーっ！」

あきら「ボケじゃなくこれを出せるのは、ある意味感心しますけど」

りあむ「どこが不味いのさー！　ぼくが傷付かないような優しい言い方で指導してくれ、よ！！」

あかり「ここまで、その……パンチを効かせなくても良いんじゃないですか？」

あきら「同意。もうちょいマイルドにいきましょうよ」

りあむ「バッカヤロー！　ひよってたら有象無象のアイドルの一人になっちゃうんだぞっ！」

あきら「りあむさん……他の場所で絶対『有象無象』とか言わないで下さいね……大炎上しますよ」

りあむ「ぐぬぬぬぬ。あれ、あかりちゃん。そろそろ投稿しなきゃまずいんじゃない？」

あかり「あ、本当んご！　えっと、どうしようかなー」ﾀｽﾀｽ

あかり「ふ、二人ともー。ちょっと不安だから私のも見て欲しいんごー……」

あきら「もちろん」

りあむ「ふっへっへー。お姉さんが採点してやんよー」ﾆﾔﾆﾔ


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【辻野あかり】
はじめまして！
山形からきた辻野あかりです！
これから、どうぞよろしくお願いします♪
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あきら「おー。これデスよ、これ」

りあむ「なんだよー！　無難オブ無難じゃんかぁ。あかりちゃんも気軽に挨拶できる陽の者なのかー、やむやむやむ……」

あかり「っ！！」

あきら「あかりちゃん？」

あかり「ぶ、無難……！　そう言われてみれば、そうかも！」

あきら「いや、無難でいいんじゃない？」

あかり「こんなんじゃ、有象無象のアイドルの一人になっちゃう……！！」

あきら「あかりちゃん！？　絶対『有象無象』とか使わないで!?」

りあむ「もっとさ、こう個性を？　出していく感じでいこうずぇー」

あかり「個性……私の個性……りんご！！！」

あきら「#迷走　#予想されるオチ　#まともなのは自分だけか」

あかり「むむむむむ……こ、これでどうですか！」

あきら・りあむ「どれどれー」


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【辻野あかり】
はじめまして！
山形からきた辻野あかりです！
これから、どうぞよろりんご♪
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あきら「よろりんご？」

りあむ「よろりんご？」

あかり「ど、どうでしょう！！」

りあむ「なんだ、最後の文章変わっただけじゃ──」

あきら「い、良いんじゃないカナっ！！　あかりちゃんらしさが出てて、素晴らしいと思うよっ！」

あきら(このまま暴走するくらいなら、ここで妥協しとくべきでしょ……！)

あかり「ほ、本当ー？　えへへ、そんなに誉められると照れるんごー♪」

りあむ「あ、可愛い」

あきら「う、可愛い」

あかり「わ！　もう12時だっ、投稿するね！」


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【辻野あかり】
はじめまして！
山形からきた辻野あかりです！
これから、どうぞよろりんご♪
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05-01　12:00

～視点②　前川みく～

レッスン室・12:01

ベテトレ「よし、今日のレッスンはここまでだ」

みく・七海「ありがとうございました(にゃ)ー」

七海「ふぅー。みくさん、お疲れ様れす～」

みく「七海ちゃん、お疲れ様にゃー！　レッスン順調だねっ」

七海「はいれす～。ライブ楽しみれすねぇ……あ」

みく「うん？　どうしたにゃ？」

七海「でれぽが更新されてますぅ♪　ほら、新人の子れすよ～」

みく「あかりちゃんだ。この前一緒にお仕事したんだよねー」

七海「羨ましいれす～」

みく「えーと、にゃににゃに……」

みく・七海「……」

みく「よろりんご？」

七海「よろりんご？」

みく「あかりちゃん、りんごをお勧めしたいみたいだから、それで書いたのかにゃ？」

七海「へぇ、そうなんれすね～」

みく「ここは先輩として、温かく迎えてあげるにゃ♪」ﾀｽﾀｽ


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【前川みく】
あかりチャン、デレぽデビュー
おめでとうにゃ！
いっしょにラーメン食べにいくにゃ～♪
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05-01　12:04

七海「よろりんごには一切触れないんれすね～」

みく「こ、細かいことは良いのにゃっ！」

七海「ノリに合わせるべきか、スルーするかの見極め……流石関西人れす」

みく「解説するにゃーーーっ！！」

七海「冗談れすよぉ～♪　さ、お昼食べに行くれすよー！」

みく「もぉー、七海ちゃーん！？」

七海「焼き魚かお刺身か、煮魚が食べたい気分れすねー♪」

みく「ぎにゃぁぁっ！　わざと言ってるでしょ！！」

～視点③　工藤忍～

事務所・12:03

忍「……」ｶﾘｶﾘ

ちひろ「忍ちゃん、お疲れ様です♪」

忍「あ、ちひろさん。お疲れ様です」

ちひろ「お勉強ですか？　偉いですねぇ」

忍「連休は嬉しいんだけど、宿題の量が凄くて」ｱﾊﾊ

ちひろ「あらあら、大変」

忍「午後のレッスンまでに、終わらせないと……！」

ちひろ「ふふ……頑張る忍ちゃんに、コーヒーとおやつ持ってきますねー」ﾃｸﾃｸ

忍「やったー、ありがとうございます」

忍「……ん？」

忍「デレぽが更新されてる」

忍(あっ、辻野あかりちゃんの初投稿だ！)

忍(東北出身同士だし、どっちもりんごに縁があるから気になってるんだよねー)


忍「えっと……」

忍「……」

忍「よろりんご？」


忍(──よろりんごって何！　そんなりんごのアピールの仕方ある！？)

忍(ま、まぁとにかく、何か返信しとこっかな。初投稿で反応ないと不安だもんね)


忍「あ。みくちゃんが反応した」

忍「……」

忍「よろりんごに一切触れてないよ」

忍(えー！　これアタシはなんて返事しよう！？)

忍(これでアタシまで『よろりんご』をスルーしたら、何かボケを流したみたいにならないかな？)

忍(いや、ボケなのか分かんないけど！！)

忍(とりあえずアタシも、よろりんごって返して、それと何か付け加えて……)

ちひろ「持ってきましたよー」ｶﾞﾁｬｯ

忍「うひゃぁっ！」ﾎﾟﾁｯ

ちひろ「ごめんなさい。驚かせちゃいましたか？」

忍「あ、いや。ちょっと考え事してたから……」

ちひろ「カップここに置いておきますねー」

忍「ありがとう、ちひろさん」

ちひろ「いえいえ、頑張って下さいね♪」ﾃｸﾃｸ

忍「あー、びっくりした」

忍「あ"っ！」

忍「……書いてる途中のまま、送っちゃった」


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【工藤忍】
よろりんご！
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05-01　12:12

～視点①　辻野あかり～

控室・12:03

あかり「んごごごご……お弁当美味しいんご！　これがロケ弁ってやつなのかな！？」

りあむ「初めてのお仕事ってことで、ちょっと奮発してくれたらしいよ！　Pサマまじで神！！」

あきら「はい、二人ともお茶」

あかり・りあむ「ありがとうあきらちゃん！！」

あきら「保母さんしてる気分だなあ」

\ﾋﾟｺﾝｯ/

りあむ「っ！　あかりちゃんっ！　返事来た、よ！！」

あきら「おー」

あかり「ほ、本当！？」


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【前川みく】
あかりチャン、デレぽデビュー
おめでとうにゃ！
いっしょにラーメン食べにいくにゃ～♪
────────────────────
05-01　12:04

あかり「あは♪　嬉しいなぁーっ！」

あきら「gg」

りあむ「なんだよぉー、あかりちゃんばかりチヤホヤされてー！　ぼくの時も返事来るかな……来なかったら二人とも何か送ってよな！！」

あきら「fuck U noobって送りますね」

りあむ「アメリカ語だけど煽られてるのは分かる！　はー、やむ！！」

あかり「あ、お返事しとかなきゃ！」


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【辻野あかり】
わぁ、ありがとうございます！
都会のラーメン、楽しみにしてます！
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05-01　12:10


あきら「うーん流石、模範的回答」

りあむ「何だよいちゃこらしやがってー、百合営業かよー！　羨ましいっ！」

あかり「えへへ、楽しみんごー♪」

ｺﾝｺﾝ

スタッフ「すいませーん。お食事中失礼しますー」

3人「お疲れ様でーす」

スタッフ「編集終わったんで内容の確認、皆さんにもお願いして良いですかー？」

あかり「わー、ありがとうございます！」

あきら「#仕事が早い」

りあむ「風俗の写真レベルで修正されてたらどうしよう……やむやむやむ」

スタッフ「それじゃあ編集室までお願いしまーす」

3人「はーい！」

ｶﾞﾁｬｯ、ﾊﾞﾀﾝ




\ﾋﾟｺﾝｯ/

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【工藤忍】
よろりんご！
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05-01　12:12

～視点③　工藤忍～

事務所・12:28

忍「……」ｶﾘｶﾘ

忍「……」

忍「……」ﾁﾗｯ

忍(……返事来ないよぉーーー！！)

忍(そうだよね！　あんなの返事しにくいもんね！　そんな気がしてたよぉーーっ！)

忍(……うわ、駄目だ。何か恥ずかしくなってきた。なんでデレぽって削除機能とかないのかな)

忍(画面の向こうであかりちゃんが苦笑いしてるの、思い浮かぶなぁ……)

忍「う"ぅぅぅー……！！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

忍(忘れたい忘れたい忘れろーーー！！///)

ｶﾞﾁｬｯ

柚「お。忍チャンおはよー。相変わらず早いねー」

忍「柚ちゃん！　おはよー！！」

柚「ん……？　何でそんなに顔赤いの」

忍「うぇっ！　いや、何でもないよ」

柚「ふーん……まぁいいや」

忍「そろそろレッスンの準備しなきゃだねっ」


柚「あ、そうそう忍チャン」

忍「んー？　どうしたの？」

柚「──今日のレッスンも、『よろりんご』ね♪」ﾆﾔﾆﾔ

忍「」ﾋﾟｼｬｧｧｯ‼

忍「ゆ、ゆゆ柚ちゃんっ！！？」

柚「アタシも頑張るんごから、よろりんごっ！」

忍「きゃーっ！　やめてやめてやめてっ！///」

柚「いやぁ、忍チャンにしては良く乗ってあげたと思いますなぁー♪」

忍「忘れて、もしくは忘れさせる！！」

柚「こわっ！　何する気なの忍チャンっ!?」

ｶﾞﾁｬｯ

P「お、揃ってるなー。そろそろレッスン行くぞー」

柚「あれ、あずきチャンと穂乃香チャンは？」

P「二人は午前中仕事だったから、もうレッスン室いるはず」

柚「そっかそっか」

忍「ほら柚ちゃん！　いこ、もう早く行こう！」ｱｾｱｾ

柚「急かされても記憶は消えないんだけどなー」

P「今日のレッスンも、よろりんごな！」

忍「ぎゃぁぁーっ！！」

忍「Pさん！！？」

P「あははは、いやすまんな。何かあの呟き面白くて」

忍「うわぁーー、もう恥ずかしくて死にそうだよぉ……」

P「良いじゃないか。忍の先輩としての優しさ感じられたぞ？」

柚「そーそー。忍ちゃんは面倒見良いなぁ、って思ったよ」

忍「ならいじらないで欲しいんだけど！！」

忍「こんなに動揺しててレッスンこなせるかな……」ﾃｸﾃｸ

柚「どれだけダメージあったの！　あははは」ﾃｸﾃｸ

P「よし、着いた。レッスン頑張れよ二人とも」

忍・柚「はーい」


ｶﾞﾁｬｯ

あずき「あ、忍ちゃん！　よろりんご！」

穂乃香「よろりんご」

忍「ぐはぁぁっ！！　……もぉぉ、二人ともっ！」

ベテトレ「おう工藤。よろりんご」

忍「聖さんまで！？　地獄だよもう！！！」



P(──しばらくの間、事務所でよろりんごが流行った)

～蛇足～

控室・14:08

ｶﾞﾁｬｯ

あかり「いやー、今日は何だか凄くアイドルっぽいことしたねー♪」

あきら「それはまぁ、確かに」

りあむ「ここのところ、レッスンばっかりだったもんね。クーパー靭帯切れるっつーの」


あかり「……」

あかり「んごぉぉぉっ！！」

あかり「し、忍ちゃんから返事来てた！　しかも2時間近く前に！！」

あかり「どどどどうしよう、これ今更返事するのもあれだよね……？」

あかり「ねぇねぇ！　二人とも、これどうしたら……」ｸﾙｯ


あきら「うわっ……自分の投稿、何故か姉さんズに囲まれてるんデスけど……こわ」

りあむ「これなんて読むの！！　『顕現』って何！？　ぼく何を言われてるの！？　怖い！　やむ！！」


あかり「……じ、地獄んご」



【終わり】