~円堂の自宅~
実況『決まった!決勝ゴールを決めたのは一之瀬です!』
円堂「すげえな一之瀬のやつ、20年前は選手生命どころか、命すら危うかったのに、今とになってはそれが嘘みたいだ……」
実況『一之瀬、今期もキャリアハイ更新なるか!?』
円堂「今年34を迎える体とは思えないくらいバリバリ現役だなぁ。よーし!俺も負けてらんねえ!特訓・・・!」
円堂「・・・なんて、言えたらいいんだけどな(苦笑)」
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円堂(11年前、プロリーグに居た時のことだ。俺は怪我をしてしまった。怪我の治療の間は特訓も禁止され、最初の方は退屈な日々を過ごしていた)
円堂(だけど10年前、転機が訪れた。俺は雷門中の監督になった。そして、サッカーの勝ち負けを支配しようとしたフィフスセクターと戦う激動の日々を送った)
円堂(フィフスセクターに勝利し、そのあとも未来に行ったり宇宙人と戦うための戦力を探したりと10年前までは本当に忙しい日々を送っていた)
円堂(そう。10年前までは……)
円堂(9年前、俺の怪我は完治した。監督やスカウトとして忙しい日々を送っていたのもそれはそれで楽しかったが、やっぱり俺はプレーがしたかった)
円堂(チームに戻った後、俺はフィールドに戻ってきた)
円堂(・・・だが完治した筈の体が、また壊れるかもしれないという恐怖……1年以上のブランク……それらは思った以上に大きくて…………)
円堂(恐怖もブランクも克服できないまま……7年前、戦力外になってしまった…)
円堂(プロは結果の世界だ。実力で俺が弾き飛ばされるのは仕方なかった。それに何より、俺は複数年契約の真っ只中で失態を犯してしまったんだからな)
円堂(1年単位で○0億と貰いながらほとんど活躍できなかったんだ。地元ファンだけじゃない。多くのサッカーファンを裏切ってしまった。何より俺はそれが辛かった)
円堂(そこからはもうやばかった。まるで死刑囚かのような扱いを受けてしまい、俺は逃げるように日本へ帰ることを余儀なくされた)
円堂(それから7年、特に何をする訳でもなく毎日をダラダラとしながら過ごしていた)
円堂(・・・・国内外問わず、プロリーグのサッカーを見ながら……)
一之瀬『ッ!』バシュウウウン!
剣城『ッ!!』ズバーン!!
実況『これが剣城と一之瀬の連係プレー!まずはこの攻撃で同点に追い付きます』
一之瀬『ッ!』ズバーン!!
実況『そしてこれが一之瀬の勝ち越しゴール!いやー、試合終盤に怒濤の追い上げ!見事でしたね!』
解説『そうですね。若い力とベテランの経験が上手く噛み合ってますね~』
円堂(かつて一緒にプレーした同級生と、昔の教え子が大活躍してるのに・・・俺はといえば毎日未練タラタラで、ダラダラと過ごしてる)
円堂(本当、俺は何をやっているんだろうな・・・・・)
円堂「・・・・」
ピッ!
円堂(自分から未練タラタラで付けたテレビなのに、かつての仲間の活躍を見る度に後悔しながらテレビを消す。こんなことばっかりやってる内に、嫁にも愛想を尽かされ今や一人だ)
円堂(今ではすっかり慣れてしまった、この無駄に広い家での生活だが、本当に俺はいつまでこんな生活を続けるんだろうな……)
円堂「・・・・本当、子供の頃に沸き上がったあの熱さ、どこに行っちまったんだろうな・・・」
円堂(誰に問うわけでもない陳腐な嘆き・・・当然それに答えてくれる人なんて誰も居なくて・・・・・)
円堂「・・・今日もただ、惰性で生きてる日々を過ごすだけ」
BAD END
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