モバP「輝子は液体」 (29)
輝子のレオロジーについての仮説
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幸子「そこでボクは言ってやったんですよ! Because it's there! Fufu~n!! ってね」
小梅「おおー……」
輝子「す、すごいな幸子ちゃん……。かっこいい……。それに、カワイイ……!」
幸子「そうでしょう、そうでしょう! もっと褒めてくれていいんですよ!」
小梅「よしよし」
輝子「いいこいいこ」
幸子「~~~~♪」
小梅「あ、そう言えば……。仕事熱心といえばね……こんな話を聞いたことがあって」
幸子「聞きましょう……怖い話じゃないですよね?」
輝子「な、なんだろう……?」
小梅「涼さんが、テレビ局の、渡り廊下? だったかな……。を歩いていたとき……。向かいから、頭に赤い洗面器を乗せた男の人が歩いてきて」
輝子「……」
幸子「ゴクリ」
小梅「洗面器の中には、なみなみと水がはっていてね……。男の人は、こぼれないように、そーっと、そーーーっと、歩いていたんだって。涼さんは、どうしても気になっちゃったみたいで……」
輝子(これ、怖い話じゃないかな……)
幸子「ぅぅ……」
小梅「とうとう、訊いちゃったの。『どうして頭に洗面器を乗せてるんですか』って。すると……」
輝子「……」
幸子「……」
ドア「ガチャ」
涼「小梅ー。いるかー?」
幸子「ひぃぃぃいい!」
輝子「ヒャッ!」
涼「なんだ、怖い話してたのか?」
幸子「涼さんでしたか……。いえ、別に怖い話というわけでは」
輝子「う、うん……。演出の力、というか……。小梅ちゃんがそれっぽく語ってただけで」
涼「なるほど」
小梅「えへへへへへ……じゃ、じゃあ、続きはまた今度……。私、これから打ち合わせだから……」
幸子「あ、そう言えばボクもそろそろレッスンでした。それではまた」
輝子「う、うん、みんな、いってらっしゃい」
ガチャ
バタン
輝子「……」
輝子「ぼっちになってしまった……フヒヒヒ」
てくてくてく
うろうろうろ
輝子「うーん……」
うろうろ
輝子「ぼっちなのも楽しいけど、今日はちょっと、誰かといっしょにいたい気分……」
輝子「寒いからかな」
てくてくてく
うろうろ……
輝子「親友の椅子……」
ぽすん
輝子「やっぱり、私にはちょっと大きいかな……フヒヒヒ」
くるくるくるくる
輝子「さ、さすが親友の椅子……。よく回る」
くるくるくる……
輝子「……」
ぴたり
輝子「誰もいない。ヒャッハーするなら、今のうち……」
輝子「……フヒヒ」
輝子「3」
輝子「2」
輝子「1」
輝子「ヒィィャッ――
ガチャ
モバP「お疲れ様でーす」
輝子「おおっと……し、親友か……」
P「輝子だけか」
輝子「う、うん……。ぼっちでした。一人で、おとなしくしてたよ」
P「そうか」
輝子「親友~。私の膝の上、座っていーぞ……」
P「いや、遠慮しときます。体重倍のやつに座られたら危ないでしょ」
輝子「そ、そうか……倍あるのか……」
P「適正体重だよ」
輝子「じゃあ、普通に座ってね……。温めておきました」
P「はい、ありがとう。どっこいしょ」
ぼすん
輝子「じゃ、じゃあ……私が親友の膝に座るから……」
P「はいはい、輝子は甘えん坊だな」
輝子「そ、そうかな……そうかも……」
P「って、こっち向きに座るのかよ」
輝子「え、だめ……?」
P「いいけど」
輝子「しんゆー……今日もまだまだ、お仕事か?」
P「いやー、ちょちょっと資料作ったら終わり。輝子は?」
輝子「フヒ、私は、急にレッスンが無くなって……。退屈してた」
P「そっか」
輝子「邪魔にならない程度に、くっついてるから……」
P「はいはい」
ぎゅー
P「……」
輝子「……」
輝子「じゃ、邪魔じゃない……?」
P「邪魔だけど……まあ作業はできるし」
輝子「そっか、ごめん……べたべたして、うざくないか……?」
P「いいのいいの。ふにゃふにゃの輝子好きだよ」
輝子「ふにゃふにゃ……? 私、そんなにふにゃふにゃしてるか……?」
P「してるしてる」
輝子「ふひぃ……」
P「……」
輝子「……」
P「……猫は液体、っていう話あるじゃん」
輝子「え、知らない……けど、言いたいことは、わかる」
P「今の輝子、そんな感じ。ぐでーっとしてて」
輝子「いや、そこまでじゃ……」
P「本当~?」
なでなでなでなでなで
しょーこ「ひゃぁ~~~~っ……フヒヒヒフヒフヒヒ」
P「ほーれほれほれ」
輝子「ううう、や、やめ……やめろ―っ!」
輝子「だ、だめだぞ、事務所でそんな」
P「は? 他の場所ならいいのか?」
輝子「良くないけど……。わ、私みたいなちっちゃいやつをわちゃわちゃしてても、楽しくないだろ……」
P「なにを、なにを今更……」
輝子「しんゆーは、アレなのか……? ろりこんなのか?」
P「いや、15歳はロリじゃないでしょ。合法だって」
輝子「え、そうなのか」
P「そうだよ。いや、わかんないけど……」
輝子「ろり、ろりってなに……? わからなくなってきた」
P「ためらわないことさ……いや違うな」
P「俺はロリコンじゃないので……強いて言うなら――」
輝子「強いて言うなら?」
P「ショウコn……やっぱ今のナシ」
輝子「ほとんど言ってるけど……」
P「……」
輝子「……」
P「仕事めんどくせえな、やってらんねー」
輝子「ちょっと話のそらしかた下手じゃないか?」
P「『アイドル星輝子』のことは俺が一番良くわかってるわけで、輝子を売り出すにはどういう方針でやりゃあいいか俺が一番うまく舵取りできるのに、上に金出してもらうにはお偉方にいろいろ決裁を仰がなきゃならんのね。これはその資料なの」
輝子「そ、そうか……。というか、これ私が見ていいやつなのか……?」
P「ほんとはダメだが……。まあどうせ通ったら輝子がやることになるわけだから、別にいいの」
輝子「そういうものか」
P「輝子の仕事の力になるのなら、なんだってやるつもりなんだけどなあ。これに関しては、もうちょっと俺に権限を与えてくれりゃあやらなくて済む仕事だからさ。どうしてもやる気にならなくて」
輝子「つ、つまり、もっと私が頑張って、親友を偉くしてもらえば……」
P「うーん、どうなんだろう? むしろ、輝子が今すごい人気だからこそ、上の奴らが利益を最大に、損失を最小限に、と躍起になっている感じがある」
輝子「た、大変だな、社会人は……」
P「そうだぞ、輝子は将来労働なんかしてくれるな。労働は悪だ。資本主義は滅ぼせ」
輝子「それはそれで極論では……?」
P「……」
輝子「……」
ぎゅー
P「……」
輝子「……クーデターとか」
P「ん?」
輝子「た、例えばな、この事務所でクーデターとか起こしたら、面白そうじゃないか……?」
P「おっ、いいねいいね」
輝子「なんというか……権力とか、支配構造をぶっ壊して、親友が新しく、"上の奴ら"になるんだ……!」
P「夢が広がるなあ……!」
輝子「ヒャアッ!!」
P「じゃあアレだな、俺なんか普段ちひろさんに詰められてるけど、そうなった暁には俺がちひろさんを詰める側に――
ガチャ
ちひろ「あー忘れ物、忘れ物ー、押し付けられーた生き方に」
P「……」
輝子「……」
ちひろ「おっと、プロデューサーさん、いらっしゃったんですか。お疲れさまです」
P「お疲れさまです。どうかしましたか?」
ちひろ「ええ、ちょっと忘れ物が……」
輝子「ち、ちひろさん、おはようございます」
ちひろ「はい、おはようございます♪ 輝子ちゃん……」
P「……」
ちひろ「……」
輝子「フ、フヒヒヒ……」
ちひろ「プロデューサーさん、ちょっと近くないですか?」
P「何がですか?」
ちひろ「一応、念の為訊いておきますけど……それ挿入ってないですよね?」
P「なんてこと言うんですか!」
ちひろ「いえいえ、違うなら別にいいんですよ。では、ほどほどにしておいてくださいね」
P「はい、ちゃんと仕事はしてます」
輝子「……」
ちひろ「お疲れ様でーす」
ガチャリ
バタン
P「……」
輝子「……ちひろさん、なんだって?」
P「あー、そのー……。あんまりイチャイチャするな、って」
輝子「い、いちゃいちゃなんて……!」
P「してないしてない」
輝子「親友とは親友だから、このくらいふつーだろ……ふつーだよな? いちゃいちゃとかは、こ、恋人同士とかがやるやつだし……」
P「わかった、わかったから」
輝子「ううぅ……」
P「よしよし」
なでなでなで
しょーこ「ふへぇ~~~~~」
P「……」
輝子「……」
P「……」
輝子「……」
P「……」
輝子「親友、ちひろさんによく詰められてるのか……?」
P「ソンナコトナイヨ。ちっひは天使。やさしいよ」
輝子「そ、そうか……」
P「ホントだって」
輝子「わ、わかったから……」
P「実際のところ、ちひろさんが社内でなにやってるのかよくわかってないんだよなあ」
輝子「じ、事務員とか、アシスタントとか、じゃないのか……?」
P「まあ、そうなんだろうけど」
輝子「私からすれば……よくわかんないけどなんかえらい人、というか……。やさしいお姉さん、だな」
P「ああ、あといろいろくれる。ドリンクとか、ジュエルとか」
輝子「ジュエル……? ジュエルって何……?」
P「これだよこれ」
スタージュエル「キラキラキラキラキラキラキラ」
輝子「うぅぅ……輝きが毒々しい……」
P「これもよくわからんな。まあ、この会社のストックオプション的なものだと勝手に解釈してるけど」
輝子「そんなんでいいのか……?」
P「あ、あと食べると甘くて美味しかった」
輝子「体に悪そう……」
P「ちひろさん、割と俺には良くしてくれてる方だと思うから、本気でこの事務所と"コト"を起こそうとしたときには、もしかしたら味方になってくれる、かも」
輝子「おおっ、それは、心強い」
P「くれるといいなあ」
輝子「うーん……?」
P「まあ、しないけどな。輝子のプロデュースで手一杯だし」
輝子「そっか……」
P「……」
輝子「……」
P「……」
輝子「フヒヒヒ……」
P「別にさ、この事務所に不満があるとか、そういうことじゃなくて」
輝子「……」
P「夢が、あるんだよ」
輝子「夢……?」
P「いつか、自分の城を持ちたい。小さくていい。誰に使われることもなく、俺が全部決められる、俺のための城がほしい。そして、その城には……」
輝子「……」
P「……」
輝子「その城には、何……?」
P「……資料でーきたっと。今日のお仕事終わり」
輝子「もう……」
P「神谷さん、緒方さんといっしょに温泉だ。これは数字取れるよ。間違いない」
輝子「おおっ、久しぶりに、シャイニングゴッドチェリーのお仕事か……フヒヒッ、なんか、いいな……」
P「これに関連して、おニューの衣装でライブしたり、いろいろと打って出るつもりなのでな、ヨロシク」
輝子「も、もちろんだ、親友……フヒヒっ、新しい衣装、楽しみだ」
P「今回はもう露骨にきのこモチーフにしよう、ってなってるからな、絶対かわいいぞ」
輝子「そ、それはすごい……! ありがとう、親友……。大親友……」
P「大親友……いいね」
輝子「ふひぃ……」
ぎゅうっ
P「あーっもう、そんなにくっつくとさ、こう、アレだろ」
輝子「あれ?」
P「いや、別に……」
P「……俺のこと、親友なんて言ってくれるのは輝子だけだよ」
輝子「そ、そうなのか……? トモダチ多くてなんか陽キャっぽいけど……」
P「社会人だからな、取り繕うくらいはできる。輝子の他に友達なんていないよ。数少ない友達も、みーんな死ぬか疎遠になった」
輝子「死って……」
P「輝子も、友達は大事にしろよ」
輝子「う、うん……。トモダチ、きのこしかいなかったけど、最近は動くトモダチも、いっぱいだ。フヒヒ……」
P「そうだなあ、輝子はモテモテだからなあ」
輝子「モテっ……そ、そうかな……」
P「そうそう」
輝子「……」
P「……」
輝子「しんゆー……。親友が、どこに行くことになっても、私は、ついていくからな」
P「……俺は、輝子がしたいことをしてくれたら、それでいいんだけどな」
輝子「じゃ、じゃあ、親友がしたいことが、私のしたいことだ……。私たちは、一心同体……。同じ原木に生えた、シイタケみたいな……」
P「……………………」
輝子「……」
P「……そっか。ありがとう、輝子。そうだな、ずっと一緒だ」
輝子「親友は、寂しがりやだからな。私よりも、ずっと……。だから、私がついていてあげないと」
P「寂しがりや、か……。そうなのかもな」
輝子「そうだぞ……フヒヒヒっ」
P「今日は久々に定時退社しちゃおっかなーっと。夕飯奢るわ、何食う」
輝子「そ、そんな急に言われても……。じゃ、じゃあ……きのこハンバーグとか」
P「じゃあそれで」
ガチャリ
バタン
おしまいたけ
付録:輝子の三態について
固体
https://i.imgur.com/OQNiL32.jpg
液体
https://i.imgur.com/NKub0Bi.jpg
気体
https://i.imgur.com/8oAdjJR.jpg
しょーこ、猫適性あると思う
全ての真核生物はツインテしょーこを引け
**
輝子「……」
P「……」
輝子「し、親友は、どちらかというと固体、か?」
P「固体? なんでまた」
輝子「なんというか、こう……ピシッとしてる感じ……?」
P「まあ、それは……。そうだな、寄る辺がないだけ、とも言える。気を張ってるんだよ、いつも」
輝子「そ、そうか……。私じゃ、だめか……? 頼りにならない?」
P「いくら輝子が親友だからって、年下の女の子に寄りかかるのは、俺も気が引ける。輝子が頼りになる女の子だから、なおさらな。カッコつけたいんだよ、少しは」
輝子「そ、そういうもの、なのか……。親友は、ちゃんと立派だと思う、ぞ」
P「ありがとう。かっこ悪いところもたくさん見せてるけど、カッコつけられてるなら、良かった」
輝子「……。じゃあ、私がもうちょっと大人になって、もっと立派になったら……液体の親友も見られる、かな」
P「ん? そういうことなのか? あれ?」
輝子「フヒ、楽しみができたな……」
P「うーん……?」
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