【モバマス】よだかの星輝子 (24)
宮沢賢治の童話を、アイドルマスターシンデレラガールズ風に
ちょこちょこ書き換えただけです
作品中に登場する鷹が、そんなに意地悪じゃなくなってると思います
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414661236
よだかの星輝子は、実にみにくいアイドル鳥です。
目は、いつも下を向き、力なく虚ろで、髪は、ぼさぼさに伸びています。
陰った、じめじめした所を好んで、性格も、うっそうと茂った昼の光も届かない、深い森のように暗いものでした。
輝子「フフフ…ここは暗くてジメジメしてて、居心地がいい…。」
ほかのアイドル鳥は、もう、輝子の顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。
たとえば、アイドル見習いのひばりも、あまり美しいアイドル鳥ではありませんが、
輝子よりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、輝子にあうと、さもさもいやそうに、
しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方へ向けるのでした。
もっとちいさなおしゃべりのアイドル鳥などは、いつでも輝子のまっこうから悪口をしました。
鳥A「ヘン。又出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、アイドル鳥の仲間のつらよごしだよ。」
鳥B「ね、まあ、あの特訓後の変化の大きいことさ。きっと、悪魔の親類か何かなんだよ。」
こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさいアイドル鳥は、
もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、女子寮にでもかくれたでしょう。
ところが夜だかの輝子は、ほんとうは鷹のきらりの姉妹でも親類でもありませんでした。かえって、輝子は、同じ身長である、
あの美しいかわせみの白坂小梅や、鳥の中の宝石のような、蜂すずめの輿水幸子の姉さんでした。
幸子は花の蜜をたべ、小梅はお魚を食べ、輝子はキノコをとってたべるのでした。
それに輝子には、するどい爪も人を悪く言うくちもありませんでしたから、誰も輝子をこわがる筈はなかったのです。
輝子「ジャック・オ・キノコー!エリンギプレゼントー!」
美由紀「ギャー!!おばけー!!」
輝子「…エリンギよりしいたけのほうがよかったかな…?」
それなら、たかという名のついたことは不思議なようですが、これは、一つは輝子のはねが無暗に強くて、
風を切って翔けるときなどは、まるで鷹のように見えたことと、も一つはシャウトがするどくて、やはりどこか鷹に似ていた為です。
もちろん、鷹のきらりは、これをひじょうに気にかけていて、輝子の顔さえ見ると、甘いお菓子をはんぶんこでもしながら、
早く名前をあらためるにぃ、名前をあらためるにぃと、いうのでした。
ある夕方、とうとう、きらりが輝子のうちへやって参りました。
きらり「にゃっほーい!きらりだよ☆輝子ちゃん、お名前変える気になったかにぃ?
きらりと輝子ちゃん、”星”の字がお揃いなのー!うぇへへ☆
でもでも!鳥としては、ぜーんぜん違ってりゅ!たとえばきらりは、お日さまがハピハピしてる青いそらを、
ごーごー!ってどこまででも飛んで行くの!輝子ちゃんは、お日さまのお疲れな、曇ってうすぐらい日か、
お月さまのおしとやかな夜でなくちゃ、出て来ないにぃ☆それから、見て見て!きらりの身体と、はねと、爪!
はぐはぐしたら、違いがわかるでしょー?はぐはぐ☆よーく輝子ちゃんのとくらべて見るにぃ☆」
輝子「きらりさん、それはあんまり無理だと思う…。わ、私の名前、私が勝手につけたのじゃないし。
神さまから下さったものだから…。」
改行ミス
もう一度>>6を書き込みます。すみません
きらり「にゃっほーい!きらりだよ☆輝子ちゃん、お名前変える気になったかにぃ?
きらりと輝子ちゃん、”星”の字がお揃いなのー!うぇへへ☆
でもでも!鳥としては、ぜーんぜん違ってりゅ!たとえばきらりは、お日さまがハピハピしてる青いそらを、
ごーごー!ってどこまででも飛んで行くの!輝子ちゃんは、お日さまのお疲れな、曇ってうすぐらい日か、
お月さまのおしとやかな夜でなくちゃ、出て来ないにぃ☆それから、見て見て!きらりの身体と、はねと、爪!
はぐはぐしたら、違いがわかるでしょー?はぐはぐ☆よーく輝子ちゃんのとくらべて見るにぃ☆」
輝子「きらりさん、それはあんまり無理だと思う…。わ、私の名前、私が勝手につけたのじゃないし。
神さまから下さったものだから…。」
きらり「みゅーん…。でも、"たか"の字も、"星"の字もお揃いだから、
どっちがどっちか、ファンのみんながあれあれ~って困っちゃうにぃ!
それに輝子ちゃん、"夜"の字まで、真っ暗な夜と被っちゃってりゅ。
ちゃーんとお空に返した方がいいゆ☆」
輝子「きらりさん、それは無理…。」
きらり「んふふふー☆だーいじょーぶ!きらり、代わりに新しいお名前考えてきたの!どやぁ☆
輝子ちゃんをハピハピさせちゃうお名前、こちらじゃじゃーんっ!
干輝子(ほしきのこ)!うきゃー!かわうぃー☆でもでも、お名前を急に変えちゃったら、みんなびっくりしちゃうにぃ。
まずは、改名の披露をしなきゃよね!みんなのおうちを回って、おにゃーしゃー☆って伝えればばっちし!
輝子ちゃん、きらりの背中に乗ってくにぃ☆きらりんぱわーでどこへでもひとっ飛び☆」
輝子「そ、そんな!名前を変えるなんて、出来ない…。」
きらり「輝子ちゃんならきっとできゆ☆もしあさっての朝までに、輝子ちゃんがそうしなかったら、
もうすぐ、きらりんルームにつれてっちゃうにぃ☆つれてっちゃうから、準備してくれるとうれすぃなー☆
きらりはあさっての朝早く、みんなのおうちを一軒ずつコンコンってして、輝子ちゃんが来たかどうかを聞いてうぉーきんするゆ☆
一軒でもしらなーい!っておうちがあったら、すぐ輝子ちゃんをお迎えに飛んでくにぃ☆
おっつおっつおいでやすぅ☆」
輝子「だ、だってそれは、あんまり無理じゃないか…。
そんなことをする位なら、私はもうきらりんルームで暮らすよ。今すぐつれてって。」
きらり「にょわー!きらりだって今すぐ、輝子ちゃんをお持ち帰りしたいにぃ!
そしたら、ちっちゃくて、かわうぃー輝子ちゃんを、いーっぱいはぐはぐできるのー☆はぐはぐ☆
でも、よーくあとで考えたほうがいいゆ!干輝子ってお名前も、かわゆくってきゅんきゅんすぅう☆
きっと悪くないにぃ☆」
きらりは大きなはねを一杯にひろげて、自分の巣の方へ飛んで帰って行きました。
輝子は、じっと目をつぶって考えました。
輝子(一たい私は、なんでこうみんなにいやがられるのかな…。ぼっちだし、誰かと話すの、苦手だからかな…。
今まで、なんにも悪いことをしたことないのに。他の鳥がお腹を空かせて食べ物を探していたときは、
おいしいキノコを分けてあげた。そしたらまた別の鳥が来て、お前は毒キノコでも平気で食べそうだから、
なんのあてにもならない。キノコを捨てろって言ったんだよね…。それで、ひどく私を笑ったっけ…。
それにしても、今度は干輝子ですって、みんなの家を回るなんて、つらいはなしだなあ…。)
あたりは、もううすくらくなっていました。輝子は巣から飛び出しました。雲が意地悪く光って、低くたれています。
輝子はまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。
それから輝子は、はねをまっすぐに張って、まるで矢のようにそらをよこぎりました。
木々の間を縫いながら、生えているキノコを器用についばみました。
からだがつちにつくかつかないうちに、輝子はひらりとまたそらへはねあがりました。
もう雲は鼠色になり、向うの山には山焼けの火がまっ赤です。
輝子が思い切って飛ぶときは、そらがまるで二つに切れたように思われます。
一本のキノコが、輝子の咽喉にひっかかって、ひどくむせました。
輝子はすぐそれを呑みこみましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思いました。
雲はもうまっくろく、東の方だけ山やけの火が赤くうつって、恐ろしいようです。
輝子はむねがつかえたように思いながら、又そらへのぼりました。
また一本のキノコが、輝子ののどに、はいりました。そしてまるで輝子の咽喉にひっついたようにぱさぱさしました。
輝子はそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、輝子は大声をあげて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
輝子(ああ、たくさんのキノコが、毎晩私に殺される。
そしたら、そのただ一つの私がこんどはきらりさんにお持ち帰りされる。
それがこんなにつらいなんて…。ああ、つらい、つらい…。
私はもう、キノコをたべないで餓えて横になろう。
いやその前に、きらりさんが私をたくさん愛でるんだろうな…。いや、その前に、私は遠くの遠くの空の向うに行っちゃおう…。)
山焼けの火は、だんだん水のように流れてひろがり、雲も赤く燃えているようです。
よだかはまっすぐに、妹の川せみの小梅の所へ飛んで行きました。
きれいな小梅は、丁度起きてホラー映画を見ていた所でした。そして輝子の降りて来たのを見て云いました。
小梅「わぁ、ね、姉さん…。今晩は、どうしたの急に…?」
輝子「うん…じ、実は私、今度遠い所へ行くんだ。その前に少しだけ、小梅に遭いに来たんだ…。」
小梅「ね、姉さん、行っちゃだめ…。イジワルな鳥の話なんか、き、聞かないで。
みんな、姉さんがすごく優しいって、知らないの。」
輝子「フヒ、仕方ない…。もう今日は何も云わないで…。
あ、あと、どうしてもとらなきゃならない時のほかは、いたずらにお魚を取ったりしないようにね。それじゃあ…。」
小梅「姉さん、ま、待って…。そうだ。今日ね、またDVD借りてきたの。い、いっしょに見ようよ…。」
輝子「ううん、やめておくよ。それじゃ、さよなら…。もう142'sは解散だよ、さよなら…。」
小梅「そ、そんなの嫌だよ!姉さん!」
輝子は、振り返りたい気持ちを抑えて、またまっすぐに飛び立ちました。そうして、今度は妹の蜂すずめの幸子の所へ飛んで行きました。
きれいな幸子は、丁度復習の為にノートの清書をしていた所でした。そして輝子の降りて来たのを見て云いました。
幸子「あ!姉さん!今晩は、どうしたんですか急に?」
輝子「うん…じ、実は私、今度遠い所へ行くんだ。その前に少しだけ、幸子に遭いに来たんだ…。」
幸子「何を云ってるんですか!イジワルな鳥の話なんか、無視しちゃえばいいんです!みなさん、姉さんの優しさを知らないだけです!」
輝子「フヒ、仕方ない…。もう今日は何も云わないで…。
あ、あと、どうしてもとらなきゃならない時のほかは、いたずらに花の蜜を取ったりしないようにね。それじゃあ…。」
幸子「ちょ、ちょっと待ってください!そうだ、今日はボクの家で食べていきませんか?おいしい蜜が取れたんですよ!」
輝子「ううん、やめておくよ。それじゃ、さよなら…。もう142'sは解散だよ、さよなら…。」
幸子「いけません!姉さん!」
よだかは泣きながら自分のお家へ帰って参りました。みじかい夏の夜はもうあけかかっていました。
羊歯の葉は、よあけの霧を吸って、青くつめたくゆれました。輝子は息をふぅっと吐きました。
そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また巣から飛び出しました。
育てていたキノコの原木も、森に返してしまいました。
輝子「今までありがと。元気でね…」
霧がはれて、お日さまが丁度東からのぼりました。輝子はぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んで行きました。
輝子「お日さん、お日さん。わ、私をあなたの所へ連れてって…。灼けて死んだっていいよ…。
私みたいなみにくいからだでも、灼けるときには小さなひかりを出すと思うんだ。お願い、私を連れてって…。」
行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。かえってだんだん小さく遠くなりながらお日さまが云いました。
鈴帆「よだかの輝子ちゃんやね!なるほど、ずいぶんつらそーな顔ばしとる。んなら、今夜空ば飛んで、
星にそー頼んだらどげんね?楽にしてあげたいばってん、輝子ちゃんは昼ん鳥やないけんね!」
輝子はおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。
そしてまるで夢を見ているようでした。からだがずうっと赤や黄や青の星のあいだをのぼって行ったり、
どこまでも風に飛ばされたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。
つめたいものがにわかに顔に落ちました。輝子は眼をひらきました。一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。
もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。輝子はそらへ飛びあがりました。
今夜も山やけの火はまっかです。輝子はその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。
それからもう一ぺん飛びめぐりました。そして思い切って西のそらのあの美しいDeNAの星の方に、まっすぐに飛びながら叫びました。
輝子「お星さん。西の青じろいお星さん。私をあなたのところへ連れてって…。灼けて死んだっていいよ…。」
ちひろは月末の収支を数えつづけながら、輝子などはてんで相手にしませんでした。
輝子は泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺんとびめぐりました。
それから、南の961プロダクションの方へまっすぐに飛びながら叫びました。
用事のため、一旦ここで区切ります
ありがとうございました
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