【アイマス ×鬼滅】しのぶ「多分よくある血鬼術」 (55)

最初に言っておくと私は頭が悪い人間なので
好き×好き=大好きになると思っている人間です
細かい設定とか時系列なんかは完全に無視しているので悪しからず
そして勝手にぎゆしの要素も入れています
理由は私が好きだからです

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おそらく私たちは未熟にも血鬼術にかかってしまったんです。それも柱全員が。
 気がついたら、私たちはとてもハイカラな街に立っていたのですから。

「それ本当なの?」
「本当ですよ…」

 亜美ちゃんが信じられないのも無理はありません。聞くところによるとこの世界は私たちの生きていた世界から約百年後と言うではありませんか。

「タイショー時代だって!」
「マグロ!カンパチ!サーモン!」
「えんがわ!かんぴょう!ツブ貝!」
「…あんたたち…寿司屋の"大将"だと思ってるでしょ?」
「うふふ…」

 水瀬さんのツッコミに思わず笑みがこぼれます。

 突然のことで、行くあてもなかった私たち。持ち合わせのお金もここでは使えないと知り、途方に暮れていた時。

「うん?…ティンときた!」

この一言に救われました。

「丁度我が社のプロデューサーが海外に研修を受けに行ったところでね…人手が足りないんだよ」
「はぁ…」

 こうして私たちは真っ黒な紳士(これも何かの血鬼術でしょうか?)に誘われて、『あいどるぷろでゅうさぁ』になることにしました。

「諸君!紹介しよう!彼らが新しいプロデューサーだ!」

「え?新しいプロデューサーさん?」
「ちょっと!?何よぞろぞろと!」
「ひぃぃい!?お、男の人ぉぉぉお!?」
「ゆ、雪歩!?落ち着いて!もっとツッコミどころたくさんあるから!」
「…そういう問題?」

 賑やかで騒がしい中、見た目麗しいお嬢さんたちがたくさんいました。
 なるほど、『あいどる』というのは銀幕スタァのようなものなのでしょう。

「!亜美、このお姉ちゃんがいい!」
「真美も!」
「へ?」

 そんな一瞬で私の担当あいどるは決まってしまいました。双海亜美ちゃん、双海真美ちゃん。双子の可愛い女の子です。

「ほら、2人とも息があがっていますよ?」
「はぁ…はぁ…」
「ぜぇ…ぜぇ…」
「はーい、止まらずに歩いてくださいねー」
「うぇぇえ!?」
「こんなに全力でダンスレッスンした上に座らせてももらえないの!?」
「しのぶお姉ちゃんキメツ過ぎっしょ!」
「それを言うなら鬼畜ですし…その言い間違いはちょっと…ややこしいですね、メタ的に…」
「「?」」

 今はダンスレッスンの最中。ダンスにしても、鬼滅にしても一番大切なのは呼吸法です。だって激しく運動することに変わりはないでしょう?

「こほん!それはそうと、私は嫌がらせのつとりで言っているのではありませんよ?」
「えー?」
「本当にぃ?」
「はい、運動をして心拍数が上がったままの状況で休むのは体によくありません。だから歩いて心拍数を下げる必要があるんです」
「へー!」
「確かに!学校の体育でもそうかも…」
「でしょう?必要な行為なんですよ?」
「すごい!すごい!」
「しのぶお姉ちゃんは美人なだけじゃなくて物知りだ!」
「ふふふ、ありがとうございます」

 二人は私にとても懐いてくれました。私も小さい子(…では本来ないんですが)のお世話には慣れていましたので、2人のことをまるで妹のように可愛がってしまいました。

「はい、亜美ちゃん、真美ちゃんテスト出してくださーい」
「うげっ!?」
「きょ、今日は返されてないっぽいよ?」
「嘘をついてはいけませんよ?高槻さんは今日テストが返ってくると言っていましたよ?」
「な、なに!?やよいっちめ…裏切ったな…」
「しのしのはやよいっちと自分の担当アイドルどっちを信じるの!?」
「今回に関しては高槻さんですね」
「即答!?」

「はーい、まずは数学から…」
「やめてぇ!?」

 可愛がるだけではなく、時には厳しく。この2人は善逸君に似ていますね。褒めて褒めて伸ばして、鼻が伸びたらキュキュッと絞める。一捻りです。

「…亜美ちゃん…真美ちゃん…?」
「「ひぃぃい!?」」
「しばらく『げぇむ』は禁止ですね」
「そ、そんな…」
「それだけは…」
「あら?捨てる方が良かったですか?」
「「喜んで勉強します!」」

 うふふ、けれど、このままではダメですね。やらされているうちは力になりません。

「はい、こんなこともあろうかと数学の問題も用意しているんですよ?」
「あ、あはは…」
「や、やったぁ…」

 おかしいですね?この二人、演技は得意なはずなのに。嫌だと言う気持ちが隠し切れていません。どれだけ勉強が嫌いなんでしょうか?

「はぁ…何々…ん!?な、何これ!?」
「こ、これは…」

『あなたは悪い鬼を倒すために、刀と薬草を合わせて8つ調達しました。刀は一本20ゴールド薬草は一つ2ゴールドです。代金は88ゴールドになりました。さて、刀を何本、薬草をいくつ購入したのでしょう?』

「「ゲームだぁぁぁあ!?」」
「うふふ、少しでも好きなものが入っていると楽しめるでしょう?」

「最高だよ…最高だよ!しのしの!」
「しのしの?」
「真美たちの好みをここまで把握しているなんて…」
「これなら楽しく勉強できる!」
「刀が四本!薬草が四つだ!」

 そうです。この二人、おバカさんではないのです。ちゃんと教えてあげればできる子
たちですから。

「最高だよ!のぶのぶ!のぶのぶは物知りなだけじゃなくて、教えるのも上手なんだね!」
「まぁこれでも人にものを教える立場だったので…のぶのぶ?」
「凄い凄い!こちょこちょ凄いや!」
「ありがとうござい…こちょこちょ?」
「あ、これからしのぶお姉ちゃんのことはあだ名で呼ぶから!」
「よろしくね!」

 これも高槻さんから教えてもらったのですが、亜美ちゃんと真美ちゃんは仲良しの人にあだ名をつけるんだとか。二人の中の『親しみやすさぽいんと』なるものが基準のようですが、詳しいことはわからないそうです。

「初めて会った時から、可愛くって、ちっちゃくて、お目目が大きい、のぶりんのことだーいすきだったけど…」
「…そんな理由で私を選んだんですか?」
「後、おっぱいも大き…」
「こら!」
「えへへ、けど今日まででもっともーっと好きになっちゃった!」
「これからもよろしくね!しのりん!」
「…せめてあだ名は統一してくれませんか?」

 彼女たちの真っ直ぐなおねがいに、私は応えることができません。私たちはいつまでもここにはいられない。早く元の時代に戻って鬼を…鬼舞辻無惨を倒さなければ…。

 とは言え、仲良くするのは悪いことではありません。寧ろ私を慕ってくれる2人が嬉しくもありました。けれど…


「ほら!ノブノブ!Aボタンだよ!」
「えーぼたん?」
「うわぁ!?逃げて!ノブナリィ!」
「逃げるって…どうやって…」
「あーあ、やられちった」
「ほら、ノブカツ。スタートボタン押して!もう一回やるよ!」
「すたーとぼ…って、さっきからそれ私のあだ名と見せかけて織田家の武将の名前ですよね!?」

 二人はよく私と遊びたがりましたが、私は『遊ぶ』のが苦手でした。だって両親が殺されてから、今までずっと、鬼を[ピーーー]こと以外考えたこともしたこともなかったんですから…

「うーん、中々上手にならないねー」
「まさかノブナリがゲーム苦手だなんてね!」
「人をどこかの末裔みたいに言わないでくださいね?」

 加えてこの『げえむ』というのは殊更に苦手でした。まだお手玉やおはじきなら自信があったのですが…こんなに早く指を動かさないといけないなんて…それも、何ヶ所あるんですかこれ?

 二人はよく私と遊びたがりましたが、私は『遊ぶ』のが苦手でした。だって両親が殺されてから、今までずっと、鬼を殺すこと以外考えたこともしたこともなかったんですから…

「うーん、中々上手にならないねー」
「まさかノブナリがゲーム苦手だなんてね!」
「人をどこかの末裔みたいに言わないでくださいね?」

 加えてこの『げえむ』というのは殊更に苦手でした。まだお手玉やおはじきなら自信があったのですが…こんなに早く指を動かさないといけないなんて…それも、何ヶ所あるんですかこれ?

「そんなら次はー」
「三人で楽しめるってなるとー」

 亜美ちゃんと真美ちゃんは、別のげえむを探し始めました。私が一緒にできるものを探してくれているようです。

「…もう辞めましょう」
「「へ?」」

 思わず声に出てしまいました。けれど後悔はありません。二人はとってもいい子ですから、このままいつまでも私と遊んでくれるでしょう。つまらなくても、退屈でも。けれど、私はいつかは元の時代に戻る…いえ、戻らないといけない。そんな、いつ消えてしまうかもわからない人間に無駄な時間をさく必要はないじゃないですか。

「亜美ちゃん、真美ちゃん。私より、歳の近いお友達と遊びましょう?その方がきっと楽しいですよ」

「ど、どうしちゃったのさ…しのしの!」
「そーだYO!亜美たちと遊ぶの嫌になっちゃったの!?」
「そういうわけではないですけれど…ほら、私と遊んでも楽しくないでしょう?2人の好きな『げえむ』も私は得意ではありませんし…」
「…」
「…」

そう言うと、二人は顔を見合わせました。こう言う時に二人が姉妹なのだと実感します。何も言わなくても目を見ただけで言いたいことがわかってしまう。…私もそうでしたから。

「…いや、あのね、のぶのぶ違うんだよ」
「しのしのはね、そっくりなんだぁ…」
「そっくり?誰にでしょう?」
「亜美の…」
「真美の…」
「「大好きな人」」

 寸分違わずに同じ台詞を言う2人。きっと思い浮かべているのも同じ人なのでしょう。

「その人は怒るとめーっちゃ怖いけど…」
「本当は誰より真美たちに優しいんだ!」
「けどね、甘えるのがとっても苦手なんだYO!」

 いますね、そんな人。個人的に柱の皆さんはそんな人ばかりだと思います。特に不死川さんあたりがそうでしょうか…なんて思っていると。

「しのりんはね、似てるんだ…その人に」
「真面目なところも…真面目すぎて無理しちゃうところも…その人に…」

 私のことだったんですね…。でも、そう言われると、誰かわからないその人に凄く親近感が湧いてしまいます。きっとその人も、亜美ちゃんと真美ちゃんのことが大好きなんでしょうね。だから無理してしまうんでしょうね。

「真美たち、のぶりんのこと大好きだから…少しでもフレックスできたらなぁ…って」
「それを言うならリフレッシュですね」

 相変わらず、あだ名は適当でしたけれど、その言葉から、表情から、声色から、私のことを思ってくれているのが伝わりました。優しい子たち。きっと、二人をこんなにも優しくしたのは、彼女たちが大好きだというその人なのでしょうね。

「亜美たちは、しのぶんの本当の笑顔を引き出したいんだけどさ…」
「いやはや、うまくいきませんなぁ…」
「本当の…笑顔…」

 それは元の時代でも度々言われていたことでした。…主に肝心なことには全く気づかない朴念仁のくせに、余計なことばかりに気付いて口にする水柱の方とか…。けれど間違ってはいません。この笑顔は姉の笑顔。私の笑顔でなくたって、それが一番美しい。二人もきっと事情を知ればわかってくれるはず…。そう思って口を開こうとしたその時でした。

「胡蝶…」
「…なんでしょうか?」

 噂をすればなんとやら、そこに居たのは某水柱こと冨岡さんでした。噂とは言いますが、私心の中で考えただけですよ?地獄耳にもほどがあります。どうしてこの人は、いつもいつもこんなタイミングでやってくるのでしょう…。

「…いや、やはりいい。すまなかった」
「いやいやいやいや、勝手に自己解決しないでくださいよ!気になるじゃないですか!」
「しかし…胡蝶も忙しいだろう…」

 日頃から歳下のくせにからかってくる私に助けを求めるほど困っているのに、結局は私のことを考えて相談するのを躊躇する。そういう不器用な人なんです。大方今回もその不器用さでトラブルになっているんでしょう。

「えぇ、とーっても忙しいです。けれど聞いてしまったら気になって夜も寝られません」
「えぇ!?こちょぴょん三日徹夜してたのに!?」
「義勇お兄ちゃんのせいで今日も眠れないの!?」
「うっ…」

 横から亜美ちゃん、真美ちゃんの援護射撃が入ります。いえ、寝ていますよ。けれど私の意図を汲み取って嘘をついてくれました。真摯に向き合っていると思いというのは通じるものなのですね。

「ほら、観念して話してください。何があったんです?」

 と冨岡さんに聞く。まぁ、この時点でもう候補はいくつかに絞られているんですが…

「如月を怒らせてしまった…」
「…またですか?」

 はい、予感は概ね的中でした。冨岡さんの担当あいどるは如月千早さん。髪の毛が綺麗で歌が上手なお嬢さんです。スレンダーで美しく、亜美ちゃんと真美ちゃんは『くうるびゅうてぃ』だと言っていました。

「まぁ、千早お姉ちゃんは気むづかしいとこあるかんね」
「亜美ちゃん、それを言うなら『きむずかしい』ですよ」

 我ながらよく気付いたものです。これも信頼関係のなせる技でしょうか。

「それに関係ありません。多分悪いのは冨岡さんです」
「おぉ…」
「容赦ない…」

 にっこり笑顔でそう言ってあげました。そもそもが日頃からコミュニケーションをこちらに委ねすぎなんですよ、冨岡さんは。

「それが…理由が全くわからない…」
「え?そんなことある?」
「千早お姉ちゃんはたしかに気難しいかもだけど、最近は滅多に怒らないし…」

 二人とも、冨岡さんの言葉を真に受けすぎですね。おそらくですが、この後の言葉を聞いたらひっくり返るのではないでしょうか。

「…いつから怒ってるんですか?」
「衣装合わせをしていて…胸回りをもう少し細くした方がいいと言ってからだ…」

ドンガラガッシャーン

 何事かというような音が響き渡りました。いえ、単に亜美ちゃんと真美ちゃんがずっこけただけなんですけどね…本当お転婆な子たちです。

「それじゃん!」
「千早お姉ちゃんにそんな話題はタブーだYO!」
「そうなのか?…いや、しかし、サイズが合っていないのは…」
「そんなの後でこっそり直してもらうとか!いくらでもやり方あるっしょ!?」
「そーだYO!義勇お兄ちゃん、そんなんじゃ嫌われちゃうよ?」
「俺は嫌われていない…」
「あっ…」

 何かを察した真美ちゃん。いえ、違いますよ、本当に優しい人なんです。優しさの出し方が乱暴なだけで…

「ほら、謝りにいきますよ?」
「しかし…俺は今…怒られて…」
「だから私が一緒に行くんです」
「!?い、いいのか?」

 途端に無表情だった冨岡さんの目が輝きだします。

「えぇ、しょうがないですから、本当に本当に忙しいんですけれど、このままでは冨岡さんがとてつもなくかわいそうなので、今回は助けてあげます」
「恩にきる」

 嫌味を言っているのに一つも通じずにお礼を言われてしまいました。そんなことされたら、子供みたいに嫌味を言っていた私がバカみたいじゃないですか。

「本当にしょうがないですねぇ、冨岡さんは…私がいないと何にもできないんですから…」

 余りにも反応がないので、ついつい嫌味もエスカレートしていきます。全く、これも全部全部冨岡さんのせいです。

「確かに…胡蝶がいないと俺は生きていけないかもしれない…」
「いや、ちょっ…」

 何言ってるんですかこの人!?いえ、わかりますよ、わかってますよ!他意は一切無いんですよ!でも…でも…そんな言い方したら

「『告白されたみたい』って思った?」
「あああああ亜美ちゃん!?」

 今まで珍しく黙って聞いていただけの亜美ちゃんに、急に耳元で囁かれ、変な声が出てしまいました。そう、あくまでも急に話しかけられたからです。

「しのぴょん気付いてる?ぎゆぎゆからかってる時からずーっと恋する乙女の顔してるよ?」
「ひゃい!?そ、そんなわけないじゃないですか!」

 あり得ません!あり得ません!確かに私はよく冨岡さんをからかいますが!それは冨岡さんがからかいやすいからだけであって…

「前々からおかしいと思ってたんだー、ぎゆぎゆなんて無表情すぎてからかっても面白くもなんともないのに…」
「こちょぴょんったら、ずーっとツンツンしてるんだもん」

 嘘!?見られてた!?いつ!?どこで!?いやいやいやいやいや、そもそも見られても何も問題はない…はずですよね?

「へ…は…え…?」

 私の脳内はいっぱいいっぱいで、口からは変な声しか出てきません。この分だと、顔は真っ赤になっているのでしょう、心なしか暑いです。

「あーぁ、なんか悔しいなぁ…」
「本当だよ、亜美たちが引き出せなかった本物の笑顔を簡単に引き出しちゃうんだもん」

 勝手にどんどん話が進んでいく…どうにかしないと…

「いやぁ、でもしのしのが実はウブウブだったとは…」
「いやぁん、乙女~」
「くっ…」

 とうとう二人にからかわれだしました。からかうのは私の十八番。このままでは私の沽券に関わります。

「わわわわ、私は…冨岡さんのことは…別に…」
「え?そうなの?」
「ぎゆぎゆは?」
「俺は胡蝶のことは好きだぞ?」
「もう黙っててください!」

 この二人…いつのまにか冨岡さんのことを随分理解したようです…

「ほら、行きますよ!謝るんでしょう!」
「ん…」

 私はとにかくその場から逃れたくて、冨岡さんの手を掴み、如月さんのもとへと向かいました。途中で亜美ちゃんと真美ちゃんが囃し立てるような声を出していましたが、それには目もくれずに走りました。

「もう!冨岡さんのせいですよ!」
「…すまなかった」
「…どうせわかってないんでしょう?」
「…いや、しかし…」
「はぁ…いいですよ、もう…慣れましたし。ほら、如月さんのところへ行きましょ…」
「胡蝶」
「へ?」

 言葉を遮られ、冨岡さんが真っ直ぐに私の目を見てきました。

「その…本当にすまない…俺は…話があまり上手くない…」
「…知ってますよ」
「他人の気持ちも…わからないことの方が多い」
「…それも知っています」
「だから…その…胡蝶に…友人を辞められてしまうのは…とても嫌だ」
「…」

 八歳児並みの国語力で、冨岡さんは私に自分の想いをぶつけてきました。なんですか、これ。亜美ちゃんと真美ちゃんでももう少し洒落た言い回ししますよ。

「胡蝶…すまない…」

 あぁ、もう!雨に濡れた子犬みたいに謝らないでください!大人でしょう貴方!

「…いいですよ、もう気にしていませんから」

 我ながら本当に甘い。いつもいつもこんな絆され方をしている気がする。

「…本当か!」
「えぇ、本当です。もう怒っていません」
「ありがとう…これからも友人でいてくれるんだな…」

 この人どれだけ友達居ないんですか…いえ、別にわかってはいましたよ?でも、『友人』ですか…

「…やっぱり許しません」
「なっ…」

 心底『何故だ…?』という顔ですね。うふふ、亜美ちゃん、真美ちゃん、見てください。ほらね?冨岡さんは面白いでしょう?

「うふふ…嘘ですよ、からかっただけです」
「…」

 冨岡さんは、少し怒ったような顔をして、けれどもホッと小さく安心したようなため息をついた。
 わかっていますよ。私も貴方も、そんなことをしている暇はないことぐらい。姉の仇を討つまでは、例えそんな日が来なくても色恋に現を抜かす時間はありませんよね。
 でもね、冨岡さん?今みたいに、もしもこの先、世界が平和になったなら…鬼なんていない世界にできたなら…その時も私は、貴方の隣でからかうようにツンツンできたらいいなって思うんですよ。

「んっふっふっ~、亜美たちから逃げたつもりだろうけど、甘いねのぶのぶ!」
「ぎゆぎゆとのイチャイチャはばーっちり録画中だよん!」
「大好きなプロデューサーの恋は応援しないとね!」
「だけどさぁ…」
「ん?」
「あの二人…いつまで手繋いでんのかな?」
「さぁ?面白いからこのまま黙っておこうよ!」

終わり

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