以前投下したSSを一部修正・設定変更したものとなります
よろしくお願いします
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― 市場 ―
ワイワイ… ガヤガヤ…
奴隷商人「いらっしゃい、いらっしゃーい!」
奴隷商人「女の子はいかがですかー!」
奴隷少女「可愛いですよー!」
奴隷商人「よく働きますよー!」
奴隷少女「おいしいですよー!」
奴隷商人「いや、おいしいですよはダメだろ」
奴隷少女「やっぱり?」
奴隷商人「それにしても、お前売れないなぁ……」
奴隷少女「いっそのこと半額シールでも貼ってみる?」
奴隷商人「それもいいかもな」
奴隷商人「“半額”っと……おでこにほれっ!」ペタッ
奴隷少女「うわ!?」
奴隷少女「なによこれ!」ペラペラ
奴隷商人「魔除け札に、“半額”って書いたもんだ。貴重なんだぞ」
奴隷少女「もー、やめてよー!」ペリッ
奴隷少女「ところで、おじさん」
奴隷商人「ん?」
奴隷少女「おじさんはなんで、“奴隷商人”だなんていかにもザ・悪党って感じの商売を選んだの?」
奴隷商人「悪党はひでえ言い草だな」
奴隷商人「いっとくが、“奴隷商人”は俺にとっては憧れの職業だったんだ」
奴隷商人「なんたって、俺の人生を変えてくれたんだからな」
奴隷少女「どゆこと?」
奴隷商人「俺はガキの頃、親に捨てられ、町の隅っこで野垂れ死に寸前になってた」
奴隷商人「そんな時、ある奴隷商が俺を拾ってくれたんだ」
奴隷少女「へえ~、意外な過去が明らかに!」
奴隷商人「俺はその商人に闘技場に売り払われて、オーナーに奴隷剣闘士として育てられた」
奴隷商人「その後、俺は闘技場で活躍し、平民になることを認められた」
奴隷少女「すごいじゃん!」
奴隷商人「平民にしてもらった俺は剣闘士を辞め、憧れだった奴隷商人になったってわけだ」
奴隷商人「もはや死ぬしかない子も、奴隷としてでも人生やり直せば、うまくいくかもしれないからな」
奴隷少女「そうやってあたしのことも拾ってくれたんだっけね」
奴隷少女「それにしても、捨て子、剣闘士、平民、奴隷商人と転々としたわけか。波乱万丈すぎィ!」
奴隷少女「剣闘士から平民になれたってことは、おじさん強かったんだ?」
奴隷商人「ん、まあな」
奴隷少女「突っ込んでいって対戦相手をズバズバ倒しまくってきたわけだ」
奴隷商人「いや、そういうのはあんまり……」
奴隷商人「どちらかというと、防御に徹しつつうまく隙を突いて相手を倒すスタイルだった」
奴隷少女「あんまりパッとしないなぁ」
奴隷商人「うるさい」
奴隷商人「だが、敵の弱点を見つけるのは我ながら本当にうまかったぞ」
奴隷商人「たとえば……あの豪商」
豪商「たったこれっぽっちで指輪を売ってくれだとぉ!?」
豪商「貴様のような貧乏人に売るもんなどないわい! ふん、帰れ帰れ!」ドカッ
客「ひええっ……」
奴隷商人「いけ好かない奴だが、ありゃだいぶ肝臓を悪くしてるな。顔色で分かる」
奴隷商人「長くは持たないだろうな」
奴隷少女「すごいっちゃすごいけど、やっぱり地味~」
奴隷商人「うるさい」
― 奴隷商人の家 ―
奴隷商人「ほれ、メシだ」
奴隷少女「どーも」
奴隷少女「いただきまーす!」パクパク
奴隷少女「うん、パサパサしてておいしー!」
奴隷商人「褒めてないだろそれ」
奴隷少女「結局、あたし売れなかったねー」
奴隷商人「ああ……」
奴隷少女「やっぱりおじさん、奴隷商人向いてないんじゃない? 押しが弱い気がする」
奴隷少女「それにさ、奴隷に感情移入しちゃダメだよ。物だと思わなきゃ」
奴隷商人「なかなかなぁ……」
奴隷商人「俺には剣闘士時代の蓄えもある」
奴隷商人「もし売れ残ったら、俺の養子になってもいいんだぞ」
奴隷商人「平民の養子になれば、お前も奴隷身分じゃなくなるし……学校にも通えるし……」
奴隷少女「んー、嬉しい申し出だけど、あたしもう少し頑張ってみる」
奴隷少女「おじさんの負担になりたくないし、それに……」
奴隷商人「それに?」
奴隷少女「どうせだったら、もっと裕福な人のお世話になりたいし!」
奴隷商人「こいつぅ」
奴隷少女「アハハ~」
奴隷商人「ま、今は俺が奴隷だった頃と違って、奴隷にあまりに過酷な環境を強いることは禁止されたし」
奴隷商人「下手な平民より奴隷の方がいいメシ食える、なんてことも起こるようになった」
奴隷商人「お前もそういう人んとこに行ければいいんだがな」
奴隷少女「狙っちゃうよ、玉の輿! 目指せ、三食昼寝付きの奴隷!」
ある日――
― 市場 ―
奴隷少女「ねえ見て、おじさん。あの人」
奴隷商人「なんだありゃ……。全身に宝石つけて、すごい格好だな……」
奴隷少女「……ってこっち来たよ!」
大富豪「これはこれは、可愛い女の子だ」
奴隷少女(む、これはチャンス!)
奴隷少女「どうも、ピチピチの奴隷でっす!」
大富豪「ふむ、健康そうで実によろしい」
大富豪「この子は商品かね?」
奴隷商人「ええ、まあ」
奴隷少女「今なら半額でもいいですよ~」
奴隷商人(余計なことを!)
大富豪「いや、君のような可愛い子を半額で買うなどとんでもない」
大富豪「これでいいかね? 釣りはいらんよ」ジャラッ
奴隷商人「は、はい……」
奴隷商人(だいぶ多いぞ、これ)
奴隷少女「よかったね、おじさん!」
奴隷商人「あ、ああ」
奴隷商人「じゃあな、幸せになれよ」
奴隷少女「おじさんも元気でね!」
大富豪「では、行こうか」
ザッザッザッ…
奴隷商人(売れちまったか……)
奴隷商人(あの大富豪、あれは魔法の心得がある歩き方だな)
奴隷商人(魔法使いってあんなに儲かるもんなんだなぁ……)
― 豪邸 ―
奴隷少女(うわぁ~……すごい豪華なおうち)
奴隷少女(いったいどんな仕事させられるんだろ……)
大富豪「ところで君、体が少々汚れているようだ」
奴隷少女「あっ、ごめんなさい」
大富豪「さっそく、お風呂に入るといい」
奴隷少女「えっ、お風呂!」
奴隷少女(いつも体を洗うのは水だったし、お風呂なんて生まれてはじめて入るわ!)
奴隷少女(気持ちよかったぁ……)ホカホカ
大富豪「入ったら、これらに着替えなさい」
奴隷少女(うわぁ、キレイなお洋服!)
奴隷少女「いいの? あたしなんかがこんなの着て……」
大富豪「もちろんだとも」
奴隷少女「わっ、豪華なお食事!」
大富豪「さ、いっぱい食べなさい」
奴隷少女「どうして、こんなによくしてくれるの?」
大富豪「奴隷を取り巻く環境はだいぶ改善されたとはいえ、まだまだ課題は多い」
大富豪「奴隷というだけで、虐げられている人達は大勢いるんだ」
大富豪「だから、こうやってなるべく救いの手を差し伸べてあげたいと思ってるんだ」
奴隷少女「……ありがとう」
大富豪「ここが君の部屋だ」
奴隷少女(うわぁ~、ここだけでおじさんの家より広い!)
大富豪「今日はもう疲れただろう。ゆっくりおやすみ」
奴隷少女「おやすみなさい!」
大富豪「それと、屋敷内は広いからうろつかないようにね。迷子になってしまうから」
奴隷少女「は~い!」
奴隷少女(たしかに、一度迷ったら、ここに戻ってこれる自信ないわ)
奴隷少女「わっ、ベッドもふかふか~!」ボフッ
奴隷少女「すぅ……すぅ……」
― 市場 ―
奴隷商人「…………」
商人「おう、奴隷商が奴隷も引き連れず、なにボーっとしてんだ?」
奴隷商人「あ、いや……」
商人「商売の世界は早さが命! どんどん動かねえと、置いてきぼりになっちまうぜ!」
奴隷商人「ああ、分かってる……」
商人「変な野郎だ」スタスタ
奴隷商人(あいつ、元気にしてるかな……)ボーッ…
……
― 豪邸 ―
奴隷少女「なにかお手伝いすることない?」
大富豪「いや、大丈夫だよ」
大富豪「君はここでのんびり暮らしていればいいんだ。ケガでもしたら大変だからね」
奴隷少女「うん、だけど退屈なの……」
大富豪「だったら遊具を集めた部屋もある。そこにいって遊ぶといい。よく遊ぶことは健康につながる」
奴隷少女「は~い!」
……
大富豪「さ、今日はプールで遊ぼう!」
奴隷少女「プール!? わーいっ、楽しみ!」
大富豪「今まで辛かったろう。だけど私がいれば心配いらないよ。ここにはなんの不自由もないんだ」
奴隷少女「うん……」
奴隷少女(辛かった、か)
奴隷少女(おじさんいい人だったし、そうでもなかったけど……)
奴隷少女(また会いたいな、なんて思ったり……それはワガママか)
― 市場 ―
豪商「どけっ!」ドンッ
奴隷商人「あ、すみません」
豪商「まったく奴隷商人風情が……」ブツブツ
奴隷商人「…………」
商人「これはこれは豪商様! この間はありがとうございました」モミモミ
豪商「うむ、礼はきっちりしろよ」
商人「もちろんでございます。そういえば、ずいぶん顔色がよくなりましたねえ!」モミモミ
豪商「む、分かるかね?」
奴隷商人(たしかに……こないだまで死相が漂ってたのにすっかり消えている……)
豪商「今の魔法医学というのは素晴らしいものだよ」
商人「ほぉう!」
豪商「私の肝臓をきれいさっぱり治してくれたんだから! ま、金も相応にかかったが……」
商人「へぇ~!」
奴隷商人「…………?」
奴隷商人(バカな……いくら魔法でも、あんな状態から完治させるなんてできるわけが……)
奴隷商人「!」ハッ
奴隷商人「おい!」
豪商「なんだキサマ? その口のきき方は――」
奴隷商人「いいから、俺の質問に答えろ!」ガシッ
豪商「ひっ!」
奴隷商人「お前を治したのは……誰だ!? 誰なんだ!?」
豪商「そ、それは……口止めされてて……」
奴隷商人「いえ! いわなきゃ殺す!」ギロッ
豪商「ひいいっ! あれはたしか……」
……
情報屋「おお、お前か。久しぶりだな。なんの用だ?」
奴隷商人「今すぐあることを調べて欲しいんだ」
情報屋「あることってのは?」
奴隷商人「ある男が、今までにどれだけ奴隷を購入しているか、だ」
情報屋「なんだそりゃ? まあかまわないが……」
……
― 豪邸 ―
モゾ…
奴隷少女「変な時間に目がさめちゃった……」
奴隷少女(ここでの生活は快適だけど、ちょっと窮屈なのよね)
奴隷少女(すぐあっちいっちゃダメ、こっちいっちゃダメっていわれるし)
奴隷少女(大富豪さんはいい人だけど、もうちょいあたしの自主性も尊重して欲しいわ)
奴隷少女(そうだ! ちょっと探検してみよう!)
スタスタ…
奴隷少女(こっちの区画は来るの、はじめてだな……特に入っちゃダメだっていわれてるし)
奴隷少女「……ん」
奴隷少女(地下に続く階段……)
奴隷少女(うーん、あたしの冒険心がうずうずしてきたわ! 面白い遊び場があるかも!)
奴隷少女(行ってみよう!)
ギシ… ギシ… ギシ…
奴隷少女「きゃっ……!」
奴隷少女「なにこれ……骨がいっぱい!」
奴隷少女「なんで……? なんなのこれ……?」
「コラ、こんなところに入り込んで……いけない子だ」
奴隷少女「!?」ビクッ
奴隷少女「ひっ……」
大富豪「どうしたんだい?」
大富豪「さあ、子供はもう寝ている時間だよ……私と一緒にベッドに戻ろう……」
奴隷少女「いやぁぁぁぁぁっ!」バッ
タタタッ…
大富豪「…………」
……
情報屋「……以上だ」
奴隷商人「…………!」
情報屋「奴はかなりの数の奴隷を購入してる。その末路は……全て不明だ」
情報屋「あれだけ羽振りがよくなったのも、奴隷を購入し始めてからのことだ」
奴隷商人「やはり……!」
情報屋「急ぐんだろ? この代金はツケにしといてやるよ」
奴隷商人「ありがとう!」
奴隷商人(久々に……剣を握ることになりそうだ……!)
― 豪邸 ―
ガチャガチャ
奴隷少女「どこも開かない! どうして!?」ガチャガチャ
大富豪「外に出る扉は、全部魔法で施錠してあるからね。開けられないよ」
奴隷少女「ひっ!」
大富豪「さあ、部屋に戻るんだ」
大富豪「君にはもうちょっと成長してもらわないと、いい商品にならないからねえ……」
奴隷少女「いやぁぁぁぁぁっ……!」
ズバンッ!
奴隷少女「!」
大富豪「扉が……!」
奴隷商人「…………!」
奴隷商人「ここにいたか!」
奴隷少女「おじさん!」
大富豪「君は……たしか奴隷商人……」
大富豪「こんな時間に不法侵入とは、なんの用だね?」
奴隷商人「お前の正体はもう分かってる」
奴隷商人「お前は自分の魔法を使って、臓器移植をすることでここまでの富を築き上げたんだろ?」
奴隷少女「臓器移植……?」
奴隷商人「簡単にいや、健康な人の臓器を、病気の人に移して病気を治すことだ」
奴隷商人「そして、その“健康な人”ってのはもちろん奴隷のことだ!」
奴隷少女「…………!」
奴隷商人「こいつは奴隷を買って、手厚く世話して健康にしてやり」
奴隷商人「その臓器を使って、世の金持ちどもの病気を治していたんだ!」
奴隷商人「違うか!?」
大富豪「その通りだが?」
奴隷商人「開き直りやがって……」
奴隷商人「今は、奴隷を粗末に扱う、まして殺すなんてご法度になったってのはお前も知ってるだろ」
大富豪「まったく窮屈な世の中になったものだよ」
大富豪「死んでも誰も困らぬクズどもの命を使って、救われる価値のある人々の命を救う」
大富豪「それのどこが悪い?」
大富豪「私のやっていることは、社会の浄化と活性化に他ならないのだよ」
奴隷商人「許せねえ……」
奴隷商人「日々を懸命に生き、いつの日か這い上がることを夢見る奴隷たちを、そんな風に利用するなんて……」
奴隷商人「お前だけは許さねえっ!!!」
大富豪「奴隷で商売している人間が、なかなか面白いことをいう」
大富豪「許さないならどうするというのかね?」
奴隷商人「ぶった斬る!」チャキッ
奴隷商人「だあああああっ!」
大富豪「バカが」バリバリッ
ズガガァァァァァンッ!
奴隷商人「ぐはぁっ!」
奴隷少女「おじさん!」
大富豪「剣の心得があるようだが……たかが一介の剣士が、この私の相手になるとでも?」
奴隷商人(そうだ……こいつは魔法が使えたんだった……!)ブスブス…
大富豪「予言しよう。君は私に一太刀も入れられず黒焦げになると」バリバリッ
ドゴォォォォォンッ!
奴隷商人「ぐっ!」
大富豪「急にウサギみたいに縮こまってしまって、さっきまでの威勢はどうした?」
奴隷商人(一度、遮蔽物に身を隠して……)サッ
大富豪「そんなところに隠れても無駄だ」バリバリッ
ドォォォンッ!
奴隷商人「ぐおおっ……!」ドサッ
奴隷少女「おじさぁん!」
奴隷商人「またいたのか! お前は……早く逃げろ!」
奴隷少女「おじさん置いて逃げれるわけないでしょ!」
大富豪「というか、逃がすつもりもないしなぁ。クックック……」
奴隷少女「おじさんは弱点見つけるのが得意なんでしょ? あいつの弱点、何かないの!?」
奴隷商人「……一つだけ」
奴隷少女「なに?」
奴隷商人「奴は魔法使いだ。接近さえすれば……こっちのもんだ」
奴隷少女「それができないからこうなってるんじゃない! そんなの弱点っていわないよぉ!」
奴隷商人「うぐっ……」
奴隷少女「ん、ちょっと待って……」
奴隷少女「だったら一瞬でもスキができればチャンスはあるってこと?」
奴隷商人「ああ、奴の攻撃を一回だけでも完璧にかわせれば――」
奴隷少女「だったら一つだけ手があるよ!」
奴隷商人「え? どんな手だ?」
奴隷少女「それはね……こうするのよ!」ダッ
奴隷商人「な!?」
奴隷少女「あたしがあいつにつかみかかれば――」
大富豪「奴隷(クズ)が私に触れようとするなどおこがましい!」バチバチッ
ズガガァァァァァンッ!!!
奴隷少女「きゃああああああああっ……!」
ドサッ…
大富豪「いかんいかん。大事な臓器が焼けていなければいいが――」
大富豪「――――!」ハッ
奴隷商人「おかげで……接近できた」
大富豪「あっ……!」
奴隷商人「あの世で奴隷たちに詫びろッ!!!」ビュオッ
ズバァァァッ!
大富豪「ぐぶっ……!」
大富豪「こ、こんな……クズ、どもに……ぐ、ぐぞっ……」ゲボッ…
ドザァッ…
奴隷商人「……大丈夫か!」
奴隷少女「う、うん……平気……」
奴隷商人「平気って、もろに直撃を受けたのに――」
奴隷少女「これを……盾にしたから……」ボロッ…
奴隷商人(なんだこの黒い消し炭は……? こ、これは!)
奴隷商人「半額シールか!」
奴隷少女「うん……おじさん、これを“魔除け札”っていってたでしょ?」
奴隷少女「だから一発ぐらいなら……あいつの魔法、防げるかなって思ったんだ……」
奴隷商人「確証はなかったろうに、なんて危ない賭けを!」
奴隷少女「へへへ……だけどおじさんにもらったシールなら絶対イケるって思ったよ」
奴隷商人「…………」ギュッ…
奴隷少女「おじさんこそ、あいつ斬っちゃって大丈夫だったの?」
奴隷商人「まあ、いくら奴隷といえど臓器売買なんて許されることじゃないからな」
奴隷商人「その辺を説明できれば、なんとかなるだろ」
奴隷少女「だったら、あっちに骨の山があるから、憲兵にはそれを見せれば……」
奴隷商人「骨の山……今までの犠牲者か」
奴隷商人「後始末が終わったら、犠牲になった奴隷たちも手厚く弔わなきゃな」
――
――――
奴隷少女「朝になったね……」
奴隷商人「ああ、キレイな朝日だ」
奴隷商人「なぁ」
奴隷少女「ねぇ」
奴隷少女「お先にどうぞ」
奴隷商人「お前……俺の養子にならないか」
奴隷商人「その危なっかしさ、やっぱりほっとくことはできない」
奴隷少女「奇遇! あたしもそれお願いしようと思ってたところなの!」
奴隷商人「そうか、フフフ」
奴隷少女「アハハッ」
奴隷商人「奴隷商も辞めることにするよ……憧れの職業だったけど、やっぱり俺には向いてない」
奴隷少女「だよね~。で、どうすんの?」
奴隷商人「今日剣を振るってみて、案外勘が鈍ってなかったし」
奴隷商人「もう一度こっち方面の仕事をやってみるのもいいかもな」
奴隷少女「だったら自警団とか憲兵隊とか向いてるんじゃない? ビシバシ悪い奴を取り締まるの!」
奴隷商人「かもしれないな」
奴隷少女「それじゃあ改めまして……」
奴隷商人「?」
奴隷少女「お父さん、よろしくお願いします」ペコッ
奴隷商人「あ、こちらこそ……」
奴隷少女「アハハ、娘にかしこまってどうすんの!」
奴隷商人「こりゃ慣れるのに時間かかるな……」
おわり
ありがとうございました
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