ミリP「同級生とお出掛け」馬場このみ「……デート?」【ミリマスSS】 (26)


ミリマスSSです。
プロデューサーはP表記。

続きものです。
過去作はこちら。
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馬場このみ「同級生は好きな人」ミリP「へ?」
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これまでのあらすじ:
高校の頃からの昔馴染みであるPちゃんとこのみさんは、今も両想いで、でもお互いそのことに気付いてないようです。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1589897827


高校2年の学年末 帰宅中の列車内


ガタンゴトン

P『最果てまで行ってみたいんよな』

このみ『……は?』

P『馬場、聞いちょる?』

このみ『聞いちょるけど。……急にどうしたん? 学年末テストのせいで熱でも出た?』

P『いや、今日のテストで、南極の話があったやろ』

このみ『うん、あったわね』

P『南極って、最果てっぽさあるやん?』

このみ『……まあ、分からなくもないけど』

P『問題文見ながら、最果てってどんな景色なんかなあ、って思ったんよ』

このみ『テスト中にそんなこと考えてたんかい』


P『ってことで馬場、今日行かんか?』

このみ『唐突やなあ……。って南極!?』

P『いや、流石に南極は無理だろ。近くの最果てっぽい感じの場所まで行ってみるってことだよ』

このみ『アンタ今、明らかに馬鹿にしたような顔したわね』

P『テストのおかげで、今日は早く学校終わったし』

このみ『どこに行くつもりなん? その、最果てっぽい場所の目星はあるわけ?』

P『んー、そうだな……』

このみ(あ、こんにゃろう、全然考えてなかったな)


P『あ。角島』

このみ『角島? ……ああ、確かに端っこって感じはするわね』

P『よし、じゃあ決まりやな』

このみ『ん? ねえP、角島までどうやって行くつもり?』

P『チャリ』

このみ『……マジ?』

P『マジ』

このみ『ええ……』

ピンポーン
ツギハー、コグシ、コグシ

P『んじゃあ、2時半に駅に集合な』

このみ『ええーっ、バタバタ準備せんといけんやん。3時じゃダメなの?』

P『3時だとちょっと遅いかもしれん』

このみ『何に?』

P『……ま、とにかく2時半ってことで』


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事務所


P「……ってことで、帰宅して早々に自転車で角島って場所に行くことになったんだ」

あずさ「角島って、聞いたことあるような……」

莉緒「海が綺麗で有名な場所なの。橋が架かってて、車のCMでもよく使われてるのよ。……ほらっ」

真「あっ、確かに見たことある気がします!」

春香「それにしても、本当に海が綺麗ですね」

小鳥「莉緒さんも知ってるんですね?」

莉緒「ええ。私も学生の頃に友達と行ったことあるの」

P「今じゃあ山口県随一の観光スポットですもんね」


このみ「まーた、ずいぶん懐かしい話をしてるわね?」ヒョコッ

P「このみさん、戻ってたんですね」

このみ「さっきね。……それで、一体どういう風の吹き回しでそんな話になったの?」

P「いや、何か昔話をしろってせがまれちゃって」

このみ「アンタは孫に囲まれた爺さんか」

莉緒「何でもいいから、イチャイチャしてた話してほしいってお願いしたのよ」ムフフ

このみ「もうっ、そもそもイチャイチャしてないってば!」プンスコ

P「コホン。……ところでこのみさん、あのときのこと覚えてます?」

このみ「忘れもしないわよ。自転車漕いでも漕いでも着かないし、相当きつかったんだから」


真「そんなに遠いんですか?」

P「調べてみるか。……えっと、大体、30キロだな」

春香「30キロ……? ってことは、ここから大体どこまでかなあ……」

P「事務所からだと、大体横浜までかな」

春香「横浜まで自転車ですか!?」

真「……」

P「真、『案外行けそうかも』って思っただろ。でも、ギア無しのママチャリだからな?」

このみ「おまけに道はアップダウン激しいし、海風も向かい風で強いのよ」

真「それはちょっとキツそうですね」アハハ

春香「大変というか、かなり冒険心が強い気もしますが……」

このみ「ほんっと、大変な目に付き合わされたと思ったものよ。……でも、楽しかったわね」クスッ


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14時30分 最寄りの駅


P『おっ、来たな』

このみ『そりゃ来いって言われたら来るわよ』

このみ『そもそも、道分かるん?』

P『ああ、前に行ったことあるし。国道ずっと進んで、リゾートホテルのレンガでできた看板のところ左に曲がって、それからまた道なり進んだら橋のところに着く』

このみ『よく覚えてるわね。私も前に一度、親と車に乗って行ったけど、全然道覚えてないわ』

P『ともかく、そろそろ行こう。万一、間に合わんかったらいけんし』

このみ『何に?』

P『行けば分かる。多分』

このみ『?』


このみ『ゼエッ、ゼエッ……』

P『大丈夫か?』

このみ『めっちゃキツいんやけど。この道って、こんな、坂があったっけ……』

P『うん、俺もあんまし気付かんかったなあ』

このみ『ねえ、P。あと、どんくらい?』

P『まだ夫婦岩も通ってないし、まだ1/5も進んでないんじゃないか?』

このみ『ウソでしょ!? ……もう、家の近くの稲荷神社でええやん? あそこでも十分見晴らしええし!』

P『いけんいけん。角島だからいいほ』

このみ『むぇー……』


このみ『あ! 海!』

P『天気もいいから、綺麗に見えるな!』

このみ『でも、風がめちゃくちゃ強い!』

P『めっちゃ寒っ! ダウンジャケット着てるのに、全然寒いんやけど!』

このみ『そうね! ……きゃっ!』

P『どうした!?』

このみ『風にかなり体持っていかれる!』

P『結構車も多いし、気をつけろよー!』

このみ『Pこそね!』


ビョオオォォ!

P『あははは! 風のせいで全然チャリ進まん!』

このみ『誰が自転車で角島行くとか言い出したのよ!』

P『俺だー!』

このみ『あははは! バーカ、バーカ!!』

P『寒すぎて鼻水も出てきた!』

このみ『そんなん実況すんな! 汚い!』


このみ『……ゼェ、ゼェ。…やっと海沿いの道から抜け出せたぁ』

P『吹きさらしだから、マジで寒かったな。さすがに俺も堪えた』

このみ『ねえ、この辺はコンビニとかないの? 寒いし、ちょっとお腹も空いたけ、休憩したいんだけど……』

P『確かこの辺一帯はないぞ。コンビニもスーパーも』

このみ『』

P『特牛の港まで行けばスーパーがあるけ、それまでの辛抱やな。それか自販機』

このみ『うん、自販機でええ。とにかく温い飲み物……』


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P「ホント寒かったよなあ。あの時よく風邪引かなかったと思うよ」

このみ「若さって恐ろしいわ」アハハ

真「でも、憧れちゃいます! 何だかこう、ときめいちゃうっていうか!」

春香「何だか多難な道のりですけど、目的地には着いたんですか?」

このみ「何とかね。海沿いの道抜けてすぐの自販機で休憩して、それからもう一度休憩して、ようやく島に渡る橋の前まで行ったわ」

P「橋の前の道もこれまたアップダウンが険しくてな。あれは堪えたなあ」

このみ「もう日も傾き始めててさ、確か5時半くらいだったかな? 橋も海も夕焼けで綺麗に染まってて、私はそれでもう十分お腹一杯だったんだけど、プロデューサーが島まで行くって聞かなくて」

P「せっかくここまで来たからには、やっぱり渡らないと損だろ?」

真「気持ちはちょっと分かります」

このみ「ってことで島に渡ったけど、橋も風強かったよねぇ」

P「それから島に渡って、灯台のある広場に向かったんだ。そこがまた綺麗って評判でな」


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P『やっと着いたぞ! ……おおっ』

このみ『わあ、キレイ……!』

このみ『ねえねえ! 夕日もそろそろ沈むんじゃない?』

P『まったく雲もないし、水平線に夕日が綺麗に沈みそうだ』

このみ『しっかし、見渡す限り水平線ね』

P『うちの近くだと男島とかがあるけど、ここからだと他の島が全く見えんな』

このみ『どこまで先を見ても何もないし、Pが最初に言ってたまさに「最果て」って感じやね』

P『おっ、確かに!』

このみ『アンタ、そういう光景見にわざわざここまで来たんやろ?』

P『お、おう。そうだったな』アセアセ

このみ『?』


P『いよいよ日没やな』

このみ『ええ』

このみ『夕日に海が照らされて、光の道を作ってるみたい……』

P『向こうにあるのは、鳥かな?』

このみ『そうみたい。カモメじゃないかしら?』

P『……おおっ』

このみ『今の、すっごく絵になったわね』

P『そうだな。ちょうど夕日が作った光の道をカモメが横切って……』


このみ『もう半分近く太陽が沈んじょる』

P『こうしてずっと見てたら、本当に地球は動いてるって実感するなあ』

このみ『ふふっ、そうね』

P『そんなこと言ってるうちに、もうほとんど沈んでしまってるし』

このみ『日が沈むときって、不思議と早く感じるのよね』


このみ『……ああ、沈んじゃった。……ねえ、空も海もすごいわよ。夕焼けに染まってて』

P『うん』

このみ『本当にキレイ……』

P『……』チラ

このみ『……♪』

P『……綺麗やな』

このみ『……えっ? 何て?』

P『あっ、いやいや。……ほら、向こうの灯台は光んないのかなーって』

このみ『本当ね。でも、灯台も夕焼けに染まってて、キレイやね』


ピカッ

P『うおっ、灯台が光った!』

このみ『わぁ……!』

このみ『すごい、すごい!』ピョンピョン

P『これは……本当に綺麗だ』

このみ『この光景見たら、道中のキツさも吹っ飛んじゃうわね』

P『あの風は心折れそうだったもんな。……でも、来てよかったよ』

このみ『うん』クスッ


このみ『ねえP、どうする? そろそろ家に戻る?』

P『うーん、せっかくこんな遠くまで来たし、もう少し眺めていたいかなーって』

このみ『それじゃあ、もうしばらくここに居て……』

ビョオオォォ!

P『寒っ!』

このみ『こ、凍えそうわね……日が沈んだから、なおさら風も冷たくなってるし』ガチガチ

P『やっぱり、飲み物買って飲んで、それから帰るか……』

このみ『う、うん。そうしましょ……ハクション!』


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P「……んで、それからまた3時間近くかけて家まで帰ったんだ」

このみ「途中、街灯も少なくて怖かったよねえ。帰りも風も馬鹿にならないくらい強くて寒かったし」

P「腹も減ったし、帰り遅くなって親から怒られたり、結構散々だったよな」

このみ「次の日は脚が筋肉痛で大変なことになったわ」

あずさ「でも、なんだかとっても素敵ですね? お二人で一緒にお出かけしたり、まさに青春時代、って感じがして」

P「いやあ、単に無鉄砲だっただけですよ。行ったことない場所に自転車だけで遠出なんて」アハハ

このみ「えっ? プロデューサー、前にも行ったことあるって言ってなかった?」

P「へっ? ……あっ、えっと、そのな?」アタフタ


春香「っていうか、二人でお出かけして綺麗な海を見に行くって、これただのデートですよね?」ジトー

P「」ギクッ

真「行ったことない場所だったのに、道をあらかじめ調べておいて、おまけにコンビニとスーパーの場所もチェックしてたようにも見えますね?」

春香「『最果て』がどうとか言って、一緒に行く口実こじつけて」

P「」ギクギクッ

真(あ、図星なんだ)

小鳥「駅への集合時間も、島に到着したらちょうど夕日が沈むくらいの時間帯になるよう合わせてた感じですし」

莉緒「おまけにあの島、今じゃあ西日本を代表するデートスポットって言われてる場所だからねぇ」

P「」


莉緒「デートだったらしいわよ? このみ姉さんっ」ニヨニヨ

あずさ「うふふっ。当時のプロデューサーさんが色々と考えて誘ったって思えば、何だか初々しいですね?」

莉緒「ほら、このみ姉さんもプロデューサーくんに何か言ってあげたら……あれ?」

このみ「」

真「……このみさん?」

このみ「デ、デート……」ボフン

小鳥(わお、顔が真っ赤っかね)ピヨピヨ


このみ「ね、ねえ、P。あの時のって、デートだったの……?」

P「……デートだったら、悪かったか」

このみ「ううん。悪く、ないけど……」フルフル

P「お、おう……」

このみ「……」モジモジ

P「……」モジモジ

春香(なんだこの空気)

あずさ(みんなからもバレバレなんですけどね)

小鳥(両想いってこと、ほんと、そろそろ認めてくれますかね……)



……つづく?

夏の日本海はとても静かですし、長門や角島のあたりは海がとても綺麗なので、ぜひ一度おいでませ。
今はコロナで大変な時期ですが……。

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