馬場このみ「同級生はプロデューサー」P「ん?」【ミリマスSS】 (47)


ミリマスSSです。
プロデューサーはP表記。

一応、続き物です。
(前作)
P「同級生はアイドルに」馬場このみ「ん?」
P「同級生はアイドルに」馬場このみ「ん?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1558787721/)

(あらすじ)
地元でクラスメートだったPちゃんと馬場このみさんが数年ぶりに再会し、このみさんはPちゃんが務める765プロのアイドルになりました。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573475151


事務所


P「よーしそれじゃあ、今日の予定言ってくぞー」

P「まず、真と雪歩はBBSで収録」

真「はいっ。今日もバッチリ決めてきますよ!」

雪歩「真ちゃん、一緒に頑張ろうね?」

P「百合子、昴、奈緒はダンスレッスン」

奈緒「はーい、分かりましたー!」

百合子「うう、またレッスン中にコケちゃいそう……」

昴「大丈夫だよ、百合子。少しずつ練習すれば出来るようになるって!」


P「それと宣材写真を今日撮りに行くのは……」

P「莉緒と歌織さんと、あと馬場だ」

このみ「OK。よーし莉緒ちゃん歌織ちゃん、バッチリセクシーに決めていくわよ!」

莉緒「ええ、そうね。みんなを釘付けにしちゃうような写真、撮ってもらわないと」

歌織「……」

P「歌織さん、どうしましたか? 今日の仕事で何か気になることでも?」

歌織「いえ、今日の撮影の件は先日お話を聞いたので、ちゃんと準備してきているのですが……」

P「ですが?」


歌織「……あの、プロデューサーさん。私のこと、呼んでくれませんか?」

P「へっ? いきなり、どうしたんですか?」

歌織「とにかく、お願いします」

P「……えっと、歌織さん」

歌織「はいっ。では、こちらの方は?」

莉緒「えっ、私?」

P「莉緒だな」

歌織「それじゃあ、こちらは?」

このみ「?」

P「馬場」

歌織「それですっ!」ビシィ

Pこのみ「「!?」」ビクッ


P「えっと……何かおかしなところあった?」

奈緒「はーん、分かった。どうしてプロデューサーさんは、このみさんだけ名字で呼ぶんか、っちゅーことやな?」

このみ「あー、そういうことね……」

P「それは、中学校時代から馬場のことは馬場って呼んでたので」

歌織「それは分かってます。でも、このみさん以外のアイドルたちはみんな名前で呼ばれてるから……」

真「確かに、ちょっと違和感がありますね。何だかちょっと、ムズムズするっていうか」

このみ「私はずっとPからそうやって呼ばれてたから、あまり気にしてなかったけど……」

莉緒「そういえば、このみ姉さんもプロデューサー君のこと名字で呼び捨てよね?」

このみ「へっ? ……言われてみたら、そうね」


P「確かにそうだけど、呼び慣れてるし今さら変えるのもなあ」

百合子「それは違いますよ、プロデューサーさんっ!」ニュッ

百合子「言霊という言葉があるように、人の名前には様々なものが詰まってるんです! だからこそ、呼び方が変わるというのはとても大きな意味があって、それから、色んな物語が……い、いふぁい、いふぁい!

昴「おーい百合子、妄想はほどほどになー」ムニー

雪歩「事務所にいるときとかお仕事中だけは、呼び方を変えるって言うのはどうですか?」

奈緒「あっ、それグッドアイデアやな!」

歌織「もちろん、個人間の付き合いのときは、昔の間柄でのやり取りでいいと思いますよ?」

P「……確かに、公私混同っていうのを防ぐためにも、アリかもしれないな」

このみ「ふーん、なるほどねぇ」


このみ「よし、『プロデューサー』!」

P「うおっ!?」

このみ「今から、仕事のときは『プロデューサー』ね。OK?」

P「あ、ああ。分かった」

このみ「というわけだから、貴方も呼び方を変えなさい」フンス

P「うぐっ。こういうときばかりは行動が早いヤツめ……」

P「それに向こうはプロデューサーって呼べばいいだけなのに、こっちは名前を呼ぶことになるわけだし……」

莉緒「あらプロデューサーくん、このみ姉さんのこと名前で呼ぶの、恥ずかしいの?」ニヨニヨ

P「そっ、そういう訳じゃないです!」アタフタ

真(あ、恥ずかしいんだ)

奈緒(恥ずかしいんやな)


P「『馬場さん』っていうのは?」

雪歩「だめですっ」

P「ええ…...」

このみ「何でも良いのよ? このみさんとか、このみ様でも。私のセクシーさを崇めるようなものならっ!」フンスフンス

奈緒(あ、これ、このみさんも名前で呼ばれたいパターンや)

P「うーん……」

P「……このみちゃん?」

このみ「くらすわよ」

雪歩(!? 『暮らす』?!)


※結局、Pちゃんは「このみさん」と呼ぶことになりました。

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夜 とある居酒屋にて


莉緒「それじゃあ、今日もお疲れ様ということで……」

「「「「かんぱーい!!!!」」」」

このみ「ングッングッ……あ~、美味しいっ!」

P「ああ~、生き返る……」

莉緒「この最初の一口のために毎日生きてるって感じがするわね!」

このみ「あずさちゃん、急に無理言って誘ってゴメンね? 大丈夫だった?」

あずさ「いえいえ。私も皆さんと仲良くなる機会がほしいなって思っていたんです♪」

莉緒「千鶴ちゃんと麗花ちゃん、それに風花ちゃんの都合がつかなかったのが残念だったわね」

P「また近いうちにこうやって飲み会開くこともあるだろうから、その時に誘ったらいいさ」


小鳥「あの、私も参加してよかったんでしょうか……?」

P「良いんじゃないですか?」

このみ「貴重な大人組の戦力として、重要だし」

莉緒「そうだ。社長も誘えばよかったんじゃないのかしら?」

小鳥「一応訊いてみたら、『今日は若い人たちだけで楽しんできたまえ』って断られちゃいました」

P(小鳥さんが若い……?)

小鳥「プロデューサーさん、今、良からぬこと考えてました?」ジトー

P「い、いえ?」

あずさ「とにかく、今回集まれたみんなで今夜は盛り上がりましょう♪」

莉緒「うふふっ、そうね♪」


歌織「……」ズーン

このみ「ほらほら。ということだから、歌織ちゃんも元気出して」

小鳥「歌織さん、何かあったんですか?」

莉緒「実は今日、宣材写真の撮影があったの。でも歌織ちゃん、宣材写真をグラビア写真のようなものと勘違いしてて、水着を服の下に身に付けてて……」

歌織「わわっ、み、皆まで言わないでください~!」

あずさ「あ、あらあら…...」

P「俺も、もう少しちゃんとお伝えしておくべきでした。すみません」

歌織「うう、穴があったら入りたい……」ズーン


P「でも、その後の撮影はバッチリでしたよ」

歌織「ほ、本当ですか?」

P「はい。カメラマンさんも『いい画が撮れた』って言ってましたし。俺自身もそう思います」

歌織「そう言ってくださると、私も嬉しいです」ニコ

あずさ「お二人も宣材を?」

莉緒「ええ、そうよ」



このみ「私はそこにいるプロデューサーから、セーラー服とランドセルの格好させられそうになったけどね」

P「あれは歌織さんが落ち込んでたから、ちょっと場の雰囲気を良くしようと思って」

このみ「その割にはアンタあのとき着せる気満々な目してたわよ」ジトー

あずさ「このみちゃんだったら、セーラー服もきっとお似合いだと思いますよ?」

このみ「あずさちゃん!?」

あずさ「うふふ、冗談です♪」

このみ「本当に冗談よね? さっき、私がビール頼むときに一瞬止めようとしてたの私見逃さなかったのよ?」

P「でも学生服着るようなグラビアの仕事が入ってきたら、馬場……じゃなかった、このみさんにまず頼むことにするよ」

このみ「おい」


莉緒「ふふっ、撮影のときもそうだったけど、プロデューサー君ずっとこのみ姉さんの名前を何度も言い直してるわね?」

P「ずっと苗字で呼んでたからなあ。いやあ、正直慣れないよ」アハハ

このみ「私もぶっちゃけると、名前を呼ばれることもプロデューサーって呼ぶことも違和感アリアリね」

歌織「私が提案した手前ですけど、今は一応プライベートな時間ですし、もう普段通りに呼び合ってもいいと思いますよ?」

P「確かに戻してもいいんですけど、折角だしこの飲み会の間も呼び方変えたままにしようって先程このみさんと話をしまして」

このみ「私もプロデューサーも早く慣れた方が良いかなと思ってね」


あずさ「でも、本当にお二人って幼馴染なんですね?」

P「幼馴染というよりは、中学時代からの腐れ縁って感じですよ」アハハ

歌織「そうだ、このみさん。プロデューサーさんが学生だった頃って、どんな感じだったんですか?」

莉緒「あ、それ私も気になるかも!」

P「ええっ? 別に俺の学生時代の話だなんて、面白くも何ともないですよ?」

あずさ「そんなことはありませんっ。プロデューサーさんがどんな学生時代だったのか、私は知りたいですよ?」

このみ「私も結構訊かれたわよ? プロデューサーってどんな学生だったのーって」

P「そういうものなのかなあ?」

あずさ「そういうものです♪」


莉緒「ねえプロデューサー君、このみ姉さんが高校生だった頃も知りたい!」

このみ「えっ、私のことも?」

歌織「私も聞きたいです♪」

あずさ「折角ですから、お二人が仲良くなったいきさつから......」

P「そこから遡るんですか!?」

莉緒「あら、いいじゃないの♪ この際、洗いざらい話してしまいましょ♪」

P「はぁ......分かったよ」

P「最初会った時って、どんなんだったっけ? 中学は同じだったけど、クラス違ったからあまり絡む機会無かったんだよな」

このみ「そうそう。ちゃんと話したり遊んだりするようになったのは高1から。そのとき初めて同じクラスになったの」

P「それからしばらくして、席替えがあって、それでこのみさんと席が隣になったんですよ」

あずさ「まあ♪」


P「それから......あれって確か、フィールドワークだったっけ?」

このみ「そうそう」

歌織「フィールドワーク?」

P「はい。歴史の授業の一貫で課題が出されたんです」

このみ「身の回りにある施設とか街の歴史を調べようって」

P「それで、二人一組になったんですけど、そのペアの相手が俺の隣だったこのみさんだったんです」


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高1の春 


キーンコーンカーンコーン

このみ(フィールドワークねー...... 調べたものを方眼紙にまとめて、2週間後の授業で発表か)

このみ(ぶっちゃけ、ちょっと面倒くさい......)ハァ

P「なあ、馬場」

このみ「どうしたの?」

P「フィールドワークなんやけどさ」

このみ(私この人とペアだったわね。名前は確か......Pだったっけ)

このみ「ああ、はいはい。私は正直パパッと適当に調べて......」

P「俺は、クラスで一番いい発表を作りたい」

このみ「......はい?」



P「ちゃんと下調べして、がっつり準備して、んで報告したい」

このみ「えー......、正直面倒くさいし、そんなん真面目にやったって意味なくない? 大体、何でPはそんなにやる気なん?」

P「最優秀者に貰える図書券が欲しい」

このみ「アレ、たかだか500円でしょ?」

P「500円あったらジャンプ買えるぞ? しかも2週間分」

このみ「2週間の労力の対価がジャンプ2冊かい!」


※現在は500円でジャンプ2冊買えません。


このみ「そもそも、何か勝算はあるん? どっか調べるのにいい場所とかさ」

P「特にない」

このみ「」ガクッ

P「いや、アイデアはある。馬場も確か○○中やろ?」

このみ「うん、そうだけど」

P「あの辺住んでるやつ、このクラスは俺たちしかおらんやろ? っねことは、あの辺りにある歴史的なもんを調べたらええ」

このみ「みんなが街中でよろしくやっとる間に、私たちは他にない場所を題材にするってわけやね?」

P「それそれ」


P「それでさ、題材として馬場はどこがええと思う?」

このみ「へ? いやいや、私まだやるって決めてないし。私にそんなメリットないし」

P「ええから。地元で何か気になっちょることがあったら、何でも良いほ。この建物いつからあるんやろとか、この場所は昔どんな感じやったんかーとか。」

このみ「はぁ、そうね......。あっ、楊貴妃伝説とか?」

P「楊貴妃?」

このみ「ほら、油谷の方で言い伝えになっちょるやつあるやん? あ、でも、あれは長門やけ私たちの所からも遠いか......」

P「いや、ええんやないか? よし、それにしよう」

このみ「ち、ちょっと、そんな軽い感じで決めて大丈夫なん?」

P「興味を持つきっかけって些細なもんでも何でも良いやん? 俺は、地元のことを調べてみたい。馬場は俺に訊かれて、楊貴妃伝説に興味を持った。後は動くだけやろ?」


このみ「でも、Pが一番やる気なんだし、私なんかよりPが思いついた場所を調べた方がPも張り合いあるやろ?」

P「大丈夫。俺も色々思いついとったけど決めきれんかったけ、馬場に決めてもらって丁度ええほ」

このみ「そういうもの?」

P「そういうもんだよ」

P「それに、メリットならあるぞ?」

このみ「どんな?」

P「ジャンプが読める」

このみ「」ズルッ

P「馬場も読んでいいけ」

このみ「……何よ、それ」プッ


このみ「......分かった。やるからには私もちゃんと手伝う」

P「本当か!」

このみ「でも、一コ条件があるんやけど......」

P「何?」

このみ「ジャンプ買ったら、まず私に読ませてよ」

P「............」

このみ「えっ、そんなに悩むこと!?」

P「......仕方ない。先に読ませちゃるけど、内容絶対バラすなよ?」

このみ「......なるべく善処するわ」クスッ


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このみ「あー、そんな下らないやり取りだったわねぇ、懐かしい......」

P「あれから、結構みっちり調べたりしたよな?」

このみ「そうそう。私もいざ調べ始めたら楽しくなっちゃって」

P「街の図書館行ったり、地元の資料館も行ったなあ」

このみ「資料館で遅くまで調べ物してたら閉館時間になったけど、学芸員さんが気を利かせてくれて、少し待ってくれたりとか」

P「二人でワーワー言いながら資料作って......」

莉緒「わあ、何かちょっと青春の1ページっぽい!」

あずさ「結局、発表の結果はどうでしたか?」

このみ「上には上がいてね、最優秀賞は取れなかったのよ」

P「でも、2位だったって先生に後で教えてもらいました。やっぱり、モーニング目当ての連中は覚悟が違いました」アハハ


このみ「んで、Pとは学校でも色々と話すようになり始めて、乗る列車も同じだったから通学のときにも話したりするうちに、仲良くなってね」

P「列車の中でジャンプ読みながら帰ったりしたよな」

このみ「ああ、やったやった。そうだったわね」

P「しかも、家もかなり近かったんですよ。2、3ブロックくらいしか離れてなくて」

あずさ「そうだったんですか?」

このみ「歩いて2、3分ってとこかな。地区は違ったけどね。だから小学校も別々だったわけだし」

小鳥「それだけ近かったら、お互いの家に行ったり、なんてことは無かったんですか?」

P「へっ? ......確かに、時々家を行き来してましたよ」

歌織「まあ♪」

莉緒「ねえねえ、どんなことしてたの?」

P「どんなって、普通ですよ? ゲームしたりマンガ読んだり」

莉緒「えー、もっとカップルがしそうなこととか、しなかったの?」

このみ「莉緒ちゃんの言うことがどういうことか分かんないけど、そんな大層なことしてないわよ。全然」


P「ともかく、高校時代の馬場はどんな感じだったかといわれたら、今とそう大して変わらないって感じです」

このみ「そんなに変わらないかしら?」

P「自分で変わったって思うところある?」

このみ「確かにそう言われるとあんまり変わった気はしないわね」アハハ

あずさ「ところで、プロデューサーさんのここが変わったな、って感じたところはあります?」

このみ「プロデューサーの変わったところ、そうね......」

このみ「あ、今日もそうだったけど、仕事先だとキリッとするわよね」

P「こんな感じ?」キリッ

小鳥「フゥー! プロデューサーさん決まってるー!」

このみ「こうしてすぐ調子に乗るところは変わんないけど」

P「そりゃあ仕事先だから真面目に応対するのは当たり前だろ」

このみ「まあ、そうなんだけどさ。ああいう真面目な表情とか雰囲気は全然見なかったからビックリしたというか、『ああ、Pも本当に大人になったんだなあ』って」ホロリ


このみ「だって、休み時間に男ども集まって、消しピンとかいって机にある消しゴムを指で弾きあうゲームばっかやってたし」

P「よくそんなこと覚えてるな?」

このみ「一度、プロデューサーの弾いた消しゴムが勢い余って窓から中庭に落ちて、下に降りて探してたら授業に遅刻して先生に怒られたりとか」

P「本当によく覚えてるなあ!?」

このみ「ふふん、人の恥ずかしいエピソードは取っておくものよ。まだ色々あるわよ?」

P「いや、もういいです。ごめんなさい」



Prrrrr

P「おっと、電話だ。すみません、ちょっと席外しますね」

このみ「お酒のグラス空きそうだけど、何か頼んどこうか?」

P「同じもので」

このみ「OK」

小鳥「ついでに私たちの分も頼んじゃいましょうか」

あずさ「そうですね。あと、何か食べるものも......」

このみ「いいわね、まだまだ夜は長いわけだし! すみませーん!」

ヘーイ! イマイキヤース!!


オーダーハイリヤシター!! ヘーイ!

莉緒「でも、このみ姉さんとプロデューサーくん、ホントに仲良しだったのね?」

このみ「クラスもずっと同じだったからねー。帰りも大体一緒だったし」

あずさ「それじゃあ、高校時代はプロデューサーさんとずっと一緒だったって感じですか?」

このみ「んー、そういうわけでもないよ? 普段はプロデューサーも男友達とつるんでたし、私も私で友達と一緒だったからね」

このみ「あ、でも、学校の行事があるときはよくプロデューサーと一緒だったかも」

歌織「というと?」

このみ「文化祭とか修学旅行の自由時間とか。グループで私だけはぐれちゃって、プロデューサーも集合場所を違うところ教えられてて、仕方ないから2人で行動するかーっていうのは結構あったわね」

小鳥(それって、クラスメートが2人をくっ付けようとしてたんじゃ......)


歌織「あの、このみさん」

このみ「なあに?」

歌織「このみさんとプロデューサーさんって、お付き合いはしなかったんですか?」

このみ「」ブフッ

莉緒「きゃっ!?」

このみ「ご、ごめん。歌織ちゃん、不意に大胆なこと訊いてきたから......」

あずさ「実際、どうだったのですか?」ズイッ

このみ「やけにグイグイ来るわね、あずさちゃん......」

このみ「悪いけど恋人とか、そういう関係だったことは無かったわよ」


莉緒「でもでも、プロデューサーくんのこと好きだったとか、そういう想いは無かったの?」

このみ「へっ?」

このみ「......いやー、ないない。なかったわよそんなこと、ええ」

小鳥(あ、なんだかデジャヴ)

このみ「確かに仲良かったしかなり一緒に高校生活を過ごしてたけどさ、あくまで友達って感じだったし? 別に初恋の人とか、そういうんじゃなかったわよ?」

このみ「だって、アレよ? 皆は今のPを見てそんなこと言ってるのかもしれないけど、それこそさっき言ったみたいに、消しピンやって大盛り上がりしてたヤツなんだからね?」

このみ「それに、仲良くなればなるほど私に対する扱い方がぞんざいになるし、ちっちゃいだ何だってからかってくるから、『絶対こんなヤツと恋人になるもんか』ってずっと思ってたワケだし」シドロモドロ

歌織「へえ~」ニヨニヨ

あずさ「そうなんですね~」ニヨニヨ

このみ「な、何? みんな変な顔して」

小鳥「でも面接で久々に会ったときは嬉しかったんじゃないですか?」

このみ「そりゃあ、もちろん......ハッ!」

莉緒「もう、このみ姉さんも乙女なんだから! かわいい~っ!」

このみ「うう......。なんなのよ、もーっ!」//////


小鳥(この前のプロデューサーさんとのやり取りを考えたら、やっぱりこの二人......)

小鳥(このみさんについては今この場の皆が知ったわけだけど、プロデューサーさんがこのみさんのことをどう思っているのかを知っているのは、今のところ私だけ......)

小鳥(何だかみなぎってきた......うふふふふ)ピヨピヨ

P「いやあ、すみません。ちょっと電話が長引いちゃいました」

このみ「!」

莉緒「プロデューサーくんがいない間にも結構盛り上がってたわよ?」

P「一体、どういった話をしてたんだ?」

歌織「このみさんがプロ「うおっほん!」

このみ「私たちミリオンスターズが入る前にPはどんなプロデューサーだったのか訊いてたのよ」

このみ「ねっ、あずさちゃん? ね?」ズイッ

あずさ「は、はい」

歌織(圧がすごい......!)

このみ「ほらほら、まだまだ夜はこれからなんだから! じゃんじゃん飲むわよ、じゃんじゃん!」

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某駅 改札


歌織「プロデューサーさん、このみさん、それじゃあまた明日」

このみ「うん、また明日ね。みんなも気を付けて帰ってね?」

P「小鳥さん、くれぐれもあずささんから目を離さないよう……」

小鳥「勿論分かって……ち、ちょっとあずささん! 言ってるそばから!」

莉緒「プロデューサーくん、このみ姉さんと二人きりで帰るからって、送り狼になったらいけんのじゃけんね?」

P「ばっ……しませんよ!」

莉緒「ふふっ、冗談よ。それじゃまたねー♪」フリフリ


P「ったく……いらんこと言いおって」

このみ「私たちの方面の電車、7分後だって」

P「そっか。じゃあ俺達も早いうちホームで待っとこうか、このみさん」

このみ「......もう呼び方をもとに戻しても良いんじゃない?」

P「そうだな。よし、今からは馬場だ」

このみ「それじゃあ私も。よしっ。P、早くホームに行きましょ」フフッ


『〇〇行き、発車します』

このみ「んー、楽しかったー!」

P「そうだな。あんなに盛り上がった飲み会も久々かもしれないな」

このみ「いつもはもっと静かなの?」

P「そういうワケでもないけど、単純にアイドルが増えて飲む人が増えたからかな」

P「あずささんも、同年代とか年上のアイドルが増えて喜んでたよ。「お姉さんができた」って」

このみ「なるほどね」クスッ


P「でも、もう馬場も既にみんなと打ち解けてるようで安心したよ」

このみ「私も正直、最初はドキドキしてたんだけどね。みんないい子だから、ホッとしちゃった」

P「莉緒とは早くから仲良くなったみたいだな?」

このみ「やっぱり、地元が近いっていうのが一番だったからね」

P「まあ、そうだよな。俺も親近感沸いたし」

このみ「莉緒ちゃんも今日は最後らへん広島弁出てたよね」

P「確かに」アハハ


P「仕事は楽しい?」

このみ「まだレッスンばかりだけど、楽しいよ。事務続けてたら絶対経験できなかったことばっかで、毎日新鮮だわ」

P「そっか」

このみ「Pこそ、大丈夫なの? アイドルが何倍も増えたんだから、仕事量も一層増えたでしょ?」

P「増えたのは増えたけど、今のところ何とかなる感じかな。シアター組の仕事が増えだしたら、どうなるか分からんけど。その時は律子もプロデュース業手伝うって言ってくれてるし、大丈夫」

このみ「本当に大丈夫?」

P「何とかなる、安心せ」

このみ「アンタのそういう所、変わらんね」ハァ


このみ「でも、本当にキツかったら言ってよ? 私だって事務作業なら手伝えるし」

P「でも、馬場だってもうアイドルなんだから……」

このみ「あら、律子ちゃんだってプロデュースの手伝いしてんだし、私も事務したっていいでしょ?」

P「うぐっ。そりゃそうだけど」

このみ「得意分野を生かせるんだから、私にとっても万々歳よ」

P「......分かった。それなら是非お願いするよ」

このみ「本当っ?」

P「正直、本当に忙しいときは猫の手も借りたい時もあるから、小鳥さんも喜ぶと思う。それに、俺も」

このみ「任せて頂戴。ばっちし役立って見せるから♪」


P「でも、一番はアイドル活動やからな?」

このみ「もちろん、分かってるわよ」

P「まずは、アイドルとして、みんなのお姉さんとして、39プロジェクトの成功を手助けしてくれ」

このみ「あら、嬉しいこと言ってくれるやん♪」フフン

『間もなく△△、△△です。電車とホームの間離れている場合ございます。ご注意して......』

ガタン プシュー

P「俺ここだから、降りるわ」

このみ「えっ、私もここなんやけど」

P「えっ」


P「......改札出たけどさ、右? 左?」

このみ「家は右の方よ」

P「んじゃあ同じ方向だ」

このみ「Pは昔からここ住んどったん?」

P「ああ。765プロ入った時からな。馬場も前からここに?」

このみ「ううん、765プロ入ったの機に、引っ越したの。ここなら765プロも近いし、買い物に出かけるのも丁度いいかなって」

P「そうそう。結構この辺り便利なんだよ。それに飲み屋街もすぐ近くだし、いい居酒屋も結構あるぞ?」

このみ「そうなん? それ、楽しみかも!」

このみ「ねえ、折角だし今度Pのおススメのお店に連れてってよ」

P「もちろん、良いぞ。時間があったら行こう」

このみ「約束よ? ふふっ♪」


このみ「あ、私ここ右」

P「そうなんだ。俺はここもう少し真っ直ぐ行った所に家あるぞ」

このみ「どこどこ?」

P「ほら、あのマンション」

このみ「かなり近いやん。私の家、そこにある建物よ」

P「本当に近いな」

このみ「ね。何か、地元にいたときと同じみたい」

P「実家はここまで大きな建物が周りにないけどな」

このみ「確かに」クスッ



P「明日も早いし、そろそろ帰るか」

このみ「そうね。よしっ、明日も頑張るわよ!」

P「ああ、そうだな!」

このみ「それじゃあP、お休み。また明日ね」フリフリ

P「うん、また明日」フリフリ


テクテク

このみ「......うう、大分寒くなって来たわね」

このみ「でも、『また明日』か......。」

このみ「またあんな風にやり取りすることになるなんて、思わんかったなぁ......」

このみ「何だか本当に、高校の頃に戻ったみたい...... ふふっ♪」




間もなく、Pちゃんとこのみさんの家が近いということがバレ、事務所の皆がキャーキャーとはやし立てるのは、また別のお話。



……つづく?



 このみさんとグダグダ他愛もないこと話しながら登下校したい人生でした。続きを書くときは、もう少し糖分増やしていきたいですね。頑張ります。

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