【都市伝説】姉「ババアうざい」 (41)
男:死なない。童貞臭い。
姉:男の実姉。戦闘力53万。職業はメイド。
メリー:居候中のかわいらしいお人形さん。なの。
貞子:居候中の美人なお姉さん。専業主婦願望アリ。
花子:居候中の幼女。メンタルクソザコメスガキ。
隣人:同居中の成人女性。ストーカー。
社長:懐がマリアナ海溝ぐらいに深くて赤道直下ぐらいに暖かいお方。この人がいなければ今までの話は成り立たなかった。
前回までのお話。今回は男くんが死なないので番外編です。
↓
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【ターボババア】
メリー(えー、隣人との一件があって3日ぐらい。例の社長さんが帰ってくるから彼女の好物を渡してご機嫌取りをするとか言ってたの。そのために県外まで車で行くことになったの)
男「ま車出してもらって助かるよ、姉ちゃん」
姉「今日は暇を持て余していたから。これくらいなら歓迎するわよ」
貞子「車に乗るのは新鮮ですね。普段の移動で使いませんし」
花子「まあ私らワープあるしね」
メリー「電車とかバスとかタクシーつかっても交通費出ないから自分たちの力でやらざるをえないの」
隣人「私は近場の出張とかで持っておいた方が便利ってことで社長に免許は取らされました」
男「うちは駄菓子屋配達業務とかもあるしな。俺は大学在学中にとったけど」
姉「免許は持ってるけど車は持ってないのよね、男」
男「今までは持たなくてよかったからな。一人暮らしだったし。ただ、メリーさんたちのことを考えると車買った方が便利なのかも」
メリー「んな金かかるもの買わなくても移動はできるの。私らに配慮して高い買い物したら痛い目見るのはこの前の一件でわかったはずなの」
隣人「その節は大変ご迷惑をおかけしました。ていうか現在進行形でかけてます。はい」
貞子「メリーさんは相変わらず厳しいのかデレてるのかよくわからない言い回しをしますよね」
花子「いつも通りじゃん」
姉「・・・・・・貞子さんか隣人さん、ちょっと後ろを見てもらっていい?」
貞子「はいはい、どうしまし・・・・・・たぁっ!?」
メリー「え、なにがあったの?」
貞子「う、後ろから、ひ、人が追いかけてきます!」
隣人「あの姿、老人っぽいし・・・・・・ターボババアですかね?」
花子「追い越されたら事故るっていうあれ!?ちょっ、どうすんの!?お姉さん、もっとスピード出して!」
姉「男、シートベルトを外しなさい」
男「え?こ、こう?」
姉「じゃあそのままこっちに手を伸ばしてハンドル持って」
男「うん、持った」
姉「じゃあしばらく運転任せたわ」ガチャッ
男「えっ?」
姉「すぐに席移ってアクセル踏みなさい。それじゃあ」バッ
隣人「!?!?!?!?!?」
花子「ちょっ、お、お姉さんっ!?飛び降りたっ!?」
メリー「今この車100キロ出てるのにっ!?無茶なの!死・・・・・・あれ?」
姉「相変わらずトンネルの中は臭いわね。さっさと戻りたいわ」シュバババババ
ターボババア「うぇっ!?だ、誰じゃ!?」ダダダダダダダ
姉「私一人なら事故程度なんとかなるけど、他はかよわい子たちばっかりだから事故らせるわけにはいかないのよ」シュバババババ
ターボババア「あ、あんた、人間じゃないんかえ!?あたしゃ140キロで走ってるんだよ!?」ダダダダダダダ
姉「メイドたるものお嬢様がお呼びになったら衝撃波がでないギリギリのスピードで側に行かないといけないのよ。つまり音速未満ね」シュバババババ
ターボババア「そんなことできる人間がいるか!」ダダダダダダダ
姉「鍛え方が違うのよ。さて、あんたにこのまま走り続けられると厄介だから」シュバババババガシッ
ターボババア「あぇっ?」
姉「削れろ」ガッ
ターボババア「ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」ガガガガガガガガガガガガガガガ
コンコン
姉「男、そのまま運転してていいから反対側の鍵だけ開けて」
男「お、おう」カチャッ
姉「はい、ただいま。やっぱトンネルは生身で走る場所じゃないわね。臭いが服に着いちゃったわ」
メリー「そういう話じゃないの!生身の人間は車より速く走れないの!」
花子「そこじゃないでしょ!?トンネルじゃなくても車道は生身で走る場所じゃないからね!?」
貞子「た、ターボババアさんが・・・・・・みごとなミンチに・・・・・・」
隣人「わ、私もああなってた可能性が・・・・・・・」ガクガク
花子「お、お姉さんって純粋な人間、だよね?実は魔物とかそういうのじゃないよね?」
姉「私も男も純粋な人間よ」
花子(男が脅しでやるような仕返しを一切のためらいなく物理でやる女・・・・・・・こ、この人が男と別居しててよかった・・・・・・)
【TIPS】
メリーさん:身長は90センチぐらい。ふわふわお人形さんボディ。材料含め国産人形。金髪にキレイな緑色の目をしている。
貞子さん:身長は160センチぐらい。やわらかお姉さんボディ。長い黒髪が特徴だが、美容院で前髪は顔が見える程度にしてもらった。
花子さん:身長は140センチぐらい。ぷにぷに女の子ボディ。黒髪おかっぱぱっつん昭和っ子。髪を染めてみたいと思っている。
隣人:身長は155センチぐらい。キリっとスレンダーボディ。きれいな赤い瞳が特徴的。髪型は男の好み(らしきもの)にしている。現在はポニーテール。
【足売りババア】
貞子(男さんのお姉さんはすごい人です。なんていうかほんとにすごい人です。もはや人間のレベルを超越してるすごい人です)
男「たしかこの辺の店なんだけど・・・・・・」
隣人「先輩、あそこじゃないですかね?」
男「お、そうだそうだ。あれだあれだ」
隣人「えっと、このへんの駐車場は・・・・・・そこを右ですね」
男「あいよ」
メリー「花子、大丈夫なの?」
花子「だ、だいじょばない・・・・・・うっ」
姉「男、とりあえずみんなを先に降ろしてあげましょう。花子ちゃんがそろそろ限界よ」
男「わかった。路肩によせるから降りてくれ」
花子「ごめん・・・・・うぇっ」
姉「はい、水。少しずつ飲むのよ」
花子「ありがと・・・・・車にこんなトラップがあるだなんて・・・・・・」
姉「車酔いは慣れれば大丈夫らしいけど、慣れる機会がないものね」
貞子「車の中でゲームやってるからそんなことになるんですよ」
花子「帰りは絶対しない・・・・・・てかトイレワープで先に帰る・・・・・・」
メリー「別に先に帰ってもいいけど花子の分の晩御飯は無いの」
花子「な、なんでぇ・・・・・・?」
貞子「社長さん用の物買って、そのまま社長さんがご飯連れてってくれるらしいですし。私たちもご挨拶しておきましょうってことになってるんですよ」
花子「わたし、それきいてない・・・・・・」
メリー「その話してたときにお前はヘッドホン付けてゲームしてたの。声かけたけど返事が無かったから放っておいたの」
姉「ダメよ、ちゃんと大事な話は聞かないと」
花子「ごめんなさい・・・・・」
姉「それにしても遅いわね、男」
貞子「駐車場もすぐそこみたいですし・・・・・・あら?」
メリー「・・・・・・なんか、風呂敷を持ったババアに絡まれてるの」
姉「まったく」シュバッ
貞子(助走無しのひとっ飛びで4車線飛び越えて反対側の歩道まで行くのは人間として間違ってると思うんです)
足売りババア「足ィいらんかね?」
男「えーと、これどっちで答えてもアウトだったよな?」
隣人「答えないのが吉ですけど、それだと付きまとってきますし」
姉「何があったの?」シュタッ
隣人(勝ち確演出入りました)
足売りババア「足ィいらんかね?」
男「この婆さんに絡まれてるんだ」
姉「・・・・・・その足っていうのは歩くための足?それとも車とかみたいな遠出するための移動手段としての足?」
足売りババア「もちろん歩くための足だよ」
姉「なるほど。でもいるかいらないかって話は実物を見ないとわからないわよね?商品の機能も見た目もわからないのに買うわけないでしょ?」
足売りババア「なるほど、ごもっともさ。さあ、これを見てみなっ!」バッ
男(なんで俺ババアの御開帳を見させられてるんだろ。なんでババアの褌なんか見せられてるんだろ)
隣人「あの、お姉さん?こっからどうやって」
姉「なるほど。オラァッ!!!!」バキッ
足売りババア「ヘヴンッ!?」
隣人「ローキックっ!?」
姉「この義足は耐久が低いみたいね。ほら、蹴り一発で折れちゃったし」
隣人(お姉さんの足って地上だと時速1000キロ以上越えますよね!?その足で蹴ったらそりゃ折れますよね!?)
足売りババア「へぁ、へぁ・・・・・・あ、あたしの、足が・・・・・・」
姉「大丈夫、もっといい義足を作っているところがあるから紹介してあげるわ」
姉「もしもし、姉友?あんた義足つけて暮らす被験者探してたわよね?いいモルモットを見つけたわよ」
足売りババア「ひぃっ!?」
男「モルモットって。あそこは普通に優良で健全な研究所だろ」
姉「じゃあ今から送るから。ちゃんとキャッチしてね」
隣人「・・・・・・ん?送る?キャッチ?」
姉「さて、神戸まで直行便で送るわよー」ガシッ
隣人「あっ(察し)」
足売りババア「や、やめ・・・・・・」
姉「オゥラアァァァ!!!!!!」ブオン
足売りババア「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」
隣人(頭を鷲掴みにされて投げられるとか都市伝説バリア込みでも耐えられない気がする)
姉「さて、あのお婆さんもこれでもっといい足を付けることができるでしょ」
隣人「ここから神戸までどれくらい離れてますっけ?え、この距離はイチローでも無理じゃない?」
男「イチローを都市伝説扱いするな」
【TIPS】
メリーさん:電話をかけられればその電話口にワープできる。直接ワープ以外にも少しずつワープで近付くこともできる。買い物帰りにコンビニに寄ったりするのに便利。
貞子さん:画面であればどこからでも入れてどこからでも出ることができる。メリーさんと違って画面ごとワープできないため緊急脱出には向いていない。
花子さん:トイレであればどこにでもワープできる。買い物後そのまま自宅にワープもできるが、そのときは靴がネック。
隣人:隣の部屋にワープできる。ただしそこに人がいないときに限る。S県月宮も兼任しているので扉の前やお兄ちゃんの近くにワープもできる。使いどころが限定的すぎて使えない。
【ジャンピングババア】
花子(男のお姉さんマジでヤバいね。普通ババアとはいえ人間一人を遠く離れた町まで放り投げるとかできないよ?いや実際に届いたのかとかわかんないけど)
男「うん、まあこんなもんか」
姉「イクラの醤油漬け、エイヒレのみりん干し、ホタテの貝柱の干物。見事に海産物ばかりね」
隣人「ウチの社長、生まれが北方の漁師の家だとかで海産物大好きなんですよね」
男「故郷の味がするとか言ってたな。あとあの人の海鮮料理めちゃくちゃうまい」
隣人「やばいですよね。アレ食べたらもう居酒屋とかの海鮮系食べれませんもんね」
メリー「なんで社長が作った料理食べてるの?」
隣人「社長、社員旅行に行ったら必ず全員に料理を振る舞うんです。旅行に来てる社員全員分一人で作るからマジで化け物です」
姉「数百人数千人分ぐらい慣れればできるわよ」
貞子「その口ぶりだとお姉さんもできるってことですか。・・・・・・え、盛ってません?」
姉「お嬢様含む姉妹がよく食べますから。特に末っ子の双子姉妹はホントにもう・・・・・・」
男(姉ちゃんが遠い目をしている。こんな姉ちゃんはじめて・・・・・・いや、一昨年の年末に見たわ)
男「んじゃ、貞子さん悪いけど一旦家の冷蔵庫に一部しまっておいてくれ」
貞子「あいさいさです」
メリー「もしかしてそのためにわざわざもう一台のスマホを冷蔵庫の中に入れてきたの?」
男「楽だろ?」
メリー「便利に使い過ぎなの。まあ仕事を辞めた今となっては無用の長物ではあるけどなの」
花子「ついにメリーも仕事辞めたって認めたんだ」
メリー「もはやこの状態になって意地を張る意味が無いの」
男「まあ、正直あのやりとり好きだったんだけどな。あんな風な売り言葉に買い言葉っていうか?ああいう感じのお互い冗談ってわかっていながら言う軽口」
メリー「私も嫌いじゃないの。ただ今の状況でやったらまた原液コーラを向けられそうだからできないだけなの」
隣人「しませんってば!」
メリー「あ、そうなの?じゃあ男さくっと殺っていい?」
男「そうか、残念だな。メリーさんは一人車の中でコンビニ弁当を夕飯にしたいらしい」
メリー「ごめんなさいなの。私もおしゃれなレストランに行きたいの」
隣人「芽利ー三と線ぱイってス愚そうイ宇槍鳥でキますよネ。浦疚しイdeath」
メリー「ほらなの!やっぱりだめなの!おかしくなってるの!」
隣人「冗談でスよ」
花子「直ってないよ」
男「んじゃ、待ち合わせ場所に行くか」
隣人「先輩、運転任せていいんですか?疲れてたら私がやりますけど」
男「いや、大丈夫だ」
姉「体力はあるものね」
男「誰かさんのおかげでな」
メリー「花子ー、酔い止め飲んどけなのー」
花子「マジ助かる」
貞子「由緒正しい都市伝説の弱点が車酔いっていうのもちょっと笑えますね」
花子「うっせぇ」
男「えっと、ここから結構戻らないとだから・・・・・・時間にあんまり余裕ないし、高速使うか」
姉「ETCだから後でちゃんと高速代返してね」
男「けち臭いな。稼いでるんだから出してくれよ」
姉「この車も私のだってわかって言ってる?」
男「弟だから許されると思ってる」
隣人「あ、あの、それだったら私が・・・・・・」
姉「はぁ・・・・・・まあいいわ。他の子に払わせるのも嫌だし。今回はツケにしておいてあげる」
男「あざっす!んじゃ行くぜー」
男「・・・・・・なあ、なんか変な気配がするんだが」
メリー「奇遇なの。後ろの方からするの」
貞子「しかもだんだん近づいてきていますね」
花子「今日一日で三件目?いやー多いね」
隣人「いやー、もはや達観するしかないですね」
姉「ここまで来たらもはや才能ね。えっと、今回は・・・・・・飛び跳ねてるわね」カチャッ
メリー「そして当然のように走行中の車のカギを開けてるの」
貞子「もうなにがあっても驚きません」
花子「慣れた」
姉「それじゃ、ちょっと片付けてくるわ」バッ
男「頼むわー・・・・・・・この状況に慣れてきた自分が恐い」
ジャンピングババア「ふぇっふぇっふぇ、儂から逃げられるとでもおもっておるのかい?バカな奴め!」ピョインピョイン
姉「いえ、逃げるんじゃなくて始末するのよ」タタタタタタタタタタ
ジャンピングババア「あえっ!?く、空中に浮いてる!?」ピョインピョイン
姉「右足が落ちる前に左足を上げて左足が落ちる前に右足を上げる。これで落ちない。基本でしょ?」タタタタタタタタタタ
ジャンピングババア「そんな物理法則を無視した基本があってたまるか!」ピョインピョイン
姉「いえ、理論上できるらしいのよ。空気抵抗があるから。マッハ3ぐらいで毎秒100回ぐらい足を動かし続ければね」
ジャンピングババア「人間がそんなことできるか!」ピョインピョイン
姉「そうね。これ結構疲れるから2時間ぐらいで足が止まりそうだし、さっさと片付けるわ」タタタタタタタタタタガシッ
ジャンピングババア「えっ」
姉「オゥルァアアアア!!」バキッ
ジャンピングババア「グピャッ」
花子「GAME SET!」
隣人「いやー、スマブラのメテオみたいなこと現実でできるんですねー。リアルガノンドロフですねー」
貞子「空中浮遊ができるぐらいの人の足で思いっきり下に向かって蹴りつけられたらそりゃそうなりますよねー」
メリー「あんなもんに都市伝説バリアとか効くわけないの。そりゃぶち割りながら攻撃できるの」
隣人「・・・・・・・私よく生きてましたね」
男「隣人が俺の知り合いってことはわかってたから、加減してくれたんだと思う」
メリー「お姉さんの口ぶりから以前から男は定期的に都市伝説に命を狙われてたっぽいの。バリアを割りつつ気を失わせるギリギリの調節をしてたんだと思うの」
貞子「どこぞのサイヤ人みたいに強くなりすぎて軽くたたいたつもりが壁を貫通させるぐらいの威力だったとかないわけですね」
花子「人間ってこんなに強くなれるものなのね」
姉「ただいま。これくらいはメイドたるもの当然の嗜みよ」
男「姉ちゃんは全世界のメイドさんを過大評価しすぎだと思う」
姉「私がちょっと戦闘に特化しているだけで、うちのメイド長もヒグマ程度なら抑え込めるし平メイドたちもテロリスト程度なら鎮圧できるわよ」
男「マジかよメイドすげえな」
姉「本家のお嬢様の専属メイドは時間を止めたり空間を熱で満たしたり絶対零度にしたりできるし。私なんかまだまだよ」
男「それはもはや人間じゃない」
姉「あの子はれっきとした人間のはずなんだけど」
メリー「・・・・・・・この世界は私が思ってるよりヤバい世界なのかもしれないの」
【TIPS】
メリーさん:人形なのに食事も排泄も代謝も行う。生理はないけど子供は作れるらしい。出産に耐えれるかは不明。人形は使われてなんぼなので全員Mらしい。
貞子さん:死体でも血は通っているし体温もある。日光を浴びて暖かくなったので発情期に入ったと言われている。生前からMらしい。
花子さん:分類的には幽霊になりそうだが21グラム以上の体重がある。死ぬ前に性教育はちゃんと受けたので知識はある。普通にM。
隣人:死んでもなければ無機物でもないまともな生物。身体スペックはほとんど人間。すぐに病む。好きな人になら何をされてもいい系のM。
【一寸ババア】
メリー「ご、豪華なレストランなの・・・・・・ここが待ち合わせ場所なの?」
男「そうだよ」
貞子「は、花子さん!私ドレスコードなんてある店初めて入りましたよ!?」ヒソヒソ
花子「私もだって!基本スーパーのお惣菜かコンビニ弁当生活だったのよ!?」ヒソヒソ
隣人「やばいですよ。ここのごはん食べたら社長についていきたくなりますから」ヒソヒソ
貞子「一杯食わされたんですね」ヒソヒソ
花子「うまいこと言ったつもり?」ヒソヒソ
男「こら、そこ。さっさと座れ」
姉「落ち着きがないわね。やっぱり慣れてないからかしら?」
メリー「仕方ないの。あいつらも普段着ないドレスとか着てテンション上がってるの。てか、2人はやけに落ち着いてるの」
男「姉ちゃんの職場のパーティーとかたまに参加してるし」
姉「うちのお嬢様が経営しているお店にならなんども連れて行ってもらってるものね。旦那様や奥様が呼んでくれるから」
メリー「やっぱり男ってただものじゃなかったの」
姉「んで、メリーちゃんの分のドレスは?」
男「それが、社長がメリーさんの分は用意してくるって言っててさ。身長と体形だけ伝えておいたけど」
メリー「なにそれ聞いてないの。女子の個人情報を勝手に贈るとか何様なの?」
男「家主様だが?」
メリー「ご主人様ごめんなさいなの」
姉「・・・・・・・来たみたいね」
メリー「えっ?」
姉「足音がこっちに向かってきているから」
男「なんで絨毯の上を歩く足音を聞き取れるんだよ」
社長「お待たせしました、みなさんおそろいですね」
隣人(本当に来てた)
男「どうも、今日はありがとうございます」
社長「いえいえ。男くんには迷惑がかかっちゃったみたいですし、お姉さんや他のみなさんにもね」
隣人「その節は大変申し訳ありませんでした。深く反省しております」
社長「隣人ちゃんをウチの会社に入れる判断をしたのは私ですから、私が取れる範囲でとりあえず責任をとらせてもらっています。ですので、皆さん気負わないでくださいね」
貞子「は、はい!」ガチガチ
花子「ヨロシクオネガイシマス」ガチガチ
メリー「ありがとうございますなのなの」ガチガチ
男「緊張しすぎだ」
社長「そうそう、メリーさんにはちょっとこのドレスを着て欲しくてですね」
メリー「はい、なんでも着ますのなの」
男「口調がおかしいぞ」
社長「ちょっとこっちの更衣室まで。一人で着るの難しいと思いますから」
メリー「は、はいなの」
隣人「・・・・・・メリーさんにわざわざ着て欲しいドレスがあるってことは、新しいビジネス始めるんですかね?」
男「アパレル関係?製菓会社とはかけはなれすぎてるだろ」
貞子「しゃ、社長さんお若いですね」
花子「もっと貫禄のある人かと思ってた。こう、エリザベス女王みたいな」
姉「次期社長の姉が私の幼馴染だから、その関係で何度か会ってるけれど貫禄という言葉からは程遠い人ね」
男「会社でなんかやらかしたらあの人に迷惑がかかるって思うと、結構気が引き締まるんだ。そういう意味では部下をまとめるのがうまい人だと思うよ」
隣人「そうですね。ウチの社員で社長とコミュニケーション取ったことない人多分いないですし。出張も基本そのために行ってるんでしたっけ?」
男「視察も込みでな。社員に対して扱いの優劣をつけるわけにはいかない!って言って全国全世界の工場とか事業所とかを自分で回るから」
姉「それはそれとして経営もちゃんとする。最近新しい工場ができてたわよね?」
男「なんか海外の名前も聞いたこともない国連にもはいってないマイナー国にな。王族の人から直接話を持ち掛けられたらしい」
貞子「・・・・・・社長さんヤバくないですか?ちょっと設定盛りすぎてません?」
花子「いくらSSだからって限度があると思うよ?」
男「しかたねーだろ実際にそうなんだから!」
姉「なんでもできる系の人物が一人いると問題解決がしやすいのよね。コメディを作る時の基本よ」
男「そういうことは思っても言わないでくれ」
姉「・・・・・・男、二歩後ろに下がりなさい」
男「え、こうか?」
一寸ババア「しゃしゃしゃしゃしゃ!死にさら・・・・・・あれ?」
ベキャッ
一寸ババア「ぎゃああああああああっ!!!!!!」
貞子「こ、この小人のお婆さんは・・・・・・一寸ババアですね」
花子「え、ど、どこから来たの!?」
隣人「落ちてきたとこ・・・・・・あの天井の排気口ですかね」
花子「それでなんで来るのを察知できたのよ」
姉「足音が聞こえたから」
男「小人の足音を聞き取れてたまるか」
姉「聞き取れたんだからしかたないじゃない。さて」ガシッ
一寸ババア「わ、わしをどうするつもりじゃ!?おい、いったいどこに」
姉「少しお花を摘みに行ってくるわね」
男「あ、はい」
花子「・・・・・・マジかー」
貞子「これは、さすがにちょっと同情しますね」
隣人「先輩に仇なすものに容赦はいりません!お姉さん、かっこいいです!」
男「頼むからあれに憧れるのだけはやめてくれ」
【TIPS】
メリーさん:男への好感度は100点満点中150点。いざとなれば身を捧げて死んでもいいと思ってるレベル。
貞子さん:男への好感度は100点満点中98点。エロイことに反応してくれないのが不満点。
花子さん:男への好感度は85点ぐらい。未だにちょっと怖い。
隣人:男への好感度は100点満点中65535点。全てを捧げる覚悟がある。受け取ってはもらえない。
【紫ババア】
社長「おまたせしましたー。さ、メリーさんどうぞこっちに」
メリー「わ、わかったの・・・・・」
貞子「・・・・・・おおー!」
花子「かわいいー・・・・・・うん、マジかわいい」
隣人「メリーさんにぴったりですね!」
姉「すばらしいわね。男も何か言ってあげなさい」
男「え、俺も?」
メリー「ど、どうなの?変じゃないの?」
男「えー、あー、うん。似合ってるよ。きれいだ」
貞子「聞きました、聞きましたか奥さん!あの男さんがメリーさんに向かって「きれいだ」ですって!」
花子「ええ、ええ。聞きましたとも!基本会話のドッジボールをする二人の内片方があんなに素直に褒めるなんてねぇ!」
男「うっせぇ!俺だって褒める時は褒めるっての!」
隣人「むぅ・・・・・・社長!」
社長「ごめんなさい、今回は隣人ちゃんの分はないんです。これはちょっと頼まれごとの一環でして・・・・・・」
男「頼まれごとですか?」
社長「はい。私の姉が仕立屋兼デザイナーをしているんですけれども、小さい子向けのドレスを試着してくれるモデルさんを探してたんです。それで、今回メリーさんに白羽の矢が立ちまして」
メリー「でも、こんな綺麗なドレス本当に私がもらっていいの?」
社長「はい。あくまでも試供品ですから。皆さんからも好評ですし、さっき写真も撮らせてもらってお姉ちゃんにデータを送っておいたので。お仕事の報酬だと思ってくださいな」
花子「いいなー、私もきれいなドレス欲しいなー。ねえ、男ー?」
姉「やめておきなさい。この服、少なくとも7桁は下らないわよ」
貞子「えっと、一十百千・・・・・・百万っ!?」
社長「着心地はどうですか?」
メリー「すっごく軽くて肌触りもいいし着やすいの。特別暑かったり寒かったりもしないし」
社長「ということはかなりいい素材を使ってますね。あの人デザイナーも兼ねてますし、お試しとはいえ多分普通に売ったら二百万ぐらいするんじゃないでしょうか?」
メリー「あわわわわわわわわ」
男「もらっても保存できる気がしない・・・・・・専用の箱とかありますか?」
社長「もちろんですよ。後で渡しますね」
男「ありがとうございます。っと、すいません、ちょっとお手洗いに」
男「・・・・・・服ってすげぇな」
男(いや、だって俺正直ちょっとドキッとしたもん。相手は人形だぜ?それがわかってるのにだぜ?)
男「・・・・・・人形ってだけあって見た目はメチャクチャ整ってるんだよな」
男(お人形さんみたいを地で行くタイプ。ってか本物のお人形さんだけど)
男「はー、一回落ち着け。てか社長、あれドレス着せるついでに化粧もやらせてたな。あきらかに普段のメリーさんとは違った」
男(ドレスも気軽に出せるもんじゃないし、これが終わったらいつものメリーさんに戻る。まあ着飾ってるのは貞子さんや花子さん、隣人も一緒だしな)
男「さて、さっさともど」
紫ババア「・・・・・・」
男「・・・・・・」
男(鏡の俺の後ろには紫色の巨大なババアが佇んでいる。つまり、だ。俺は今こいつに襲われかけている)
男(頼みの綱の姉ちゃんも男子トイレには入ってこないだろうし、え、俺詰んだ?)
紫ババア「・・・・・・」グラッ
男「・・・・・・えっ?」
紫ババア「」バタンッ
男「・・・・・・たお、れた?え、なんで?え?」
社長『男くん、聞こえますかー』
男「え、社長?どこから?」
社長『トイレの外です。テレパシーで話しかけてます。そこの厄介なのは片付けておくので、とりあえず出てきてくださーい』
男「え、あ、はい」
姉「不覚だったわ。まさかトイレに現れるだなんて」
男「まあまあ、無事助かったからいい・・・・・・んだけど、社長?」
社長「あ、大丈夫ですよ。あのお婆さんはとりあえずお友だちに頼んで引き取ってもらったんで」
男「いや、そういう心配じゃなくて。なにをしたんですか?」
社長「企業秘密です」
隣人「えーと?男子トイレに現れた紫ババアを?社長が外から?音も気配もなく気絶させた?」
花子「だから設定盛りすぎだって言ってるじゃん!SSにも限度があるのよ!?チートなろう小説じゃないんだからね!?」
貞子「なんですかこの世界。私こんな世界で呪いを生業として生きようとしてたんですか。あのまま続けてたら死んでましたね」
メリー「本当に男が一人暮らししてて助かったの・・・・・・じゃないと私は確実に燃えるゴミだったの・・・・・・」
花子「会社のトイレとかに行かなくてよかった。マジで」
隣人「・・・・・・こうも人外じみた人たちばかりだと、私ら都市伝説の存在意義ってなんなんですかね」
社長「ああっ、落ち込まないでください!私も皆さんと同じく人外の魔物ですから!パスポートにもほら、生年月日がおかしいことになってるでしょう?」
メリー「せ、千五百年代なのっ!?」
男「・・・・・・あの、それって俺とか姉ちゃんに言ってよかったんですか」
姉「私は知ってたし。私の幼馴染の片方が魔物のクォーターでもう片方がサキュバスよ?そして社長さんはクォーターの方の大叔母」
男「え、あの人らが!?」
姉「そうよ」
男「マジか・・・・・・なんかめちゃくちゃ身近なんだな」
姉「気付いてないだけでね」
【TIPS】
メリーさん:男からの好感度100点満点中93点。気はめちゃくちゃ合う。家事も完璧。趣味にも理解がある。人形じゃなかったらプロポーズしてたかもしれない。
貞子さん:男からの好感度100点満点中70点。押しが強すぎて引く。献身的なところは嫌いじゃない。
花子さん:男からの好感度100点満点中70点。距離感を保ってくれるのはいいところ。煽りがうっとうしい。こっちが煽ると泣くので厄介。
隣人:男からの好感度100点満点中88点。かわいい後輩。好いてくれてるのは嫌じゃない。少し褒めると高ぶるのはやめてほしい。
【お節介ババア】
社長「さて、まずは隣人ちゃんの話ですね」
隣人「は、はい。先輩の家を盛大に損壊させたので弁償したいんですが、お金が手持ちにないので貸していただけないかな~・・・・・・と」
社長「えっと、扉が全損、壁紙及び壁に穴、床とベッドの一部が溶解。これを全部直すとなると、保険適用分を差し引いても20万ぐらいかかっちゃいますね」
隣人「え、保険効くんですか!?」
社長「我が社の福利厚生の中に住居保険があるんですよ。これは一応全社員から一律で毎月1000円ずつもらってるやつですけど、地震や台風、火事とか洪水とか本人の責任に因らない損壊については適応されますね」
男「月1000円の保険で半額ぐらい出てるってことですよね?」
社長「そうですね。そこは保険会社との独自締結を結んでますんで。社員が多いのでこれでも向こうとしては大儲けなんですよ?」
貞子「住居保険ですって」
メリー「私たちには縁のない世界なの」
花子「非正規って辛いよねー」
社長「隣人ちゃんを教育してウチの会社に入れて男くんに面倒をお願いして住所とか流しちゃったのは私の責任ですし、残り分は私が払ってもいいですけど・・・・・・どうします?」
隣人「えっ?えーっと、ダメです!私だってもう一人の自立した社会人です!自分でやったことのけじめはせめて自分でつけないと!社長にばかり頼ってはいけません!じゃないと社会人として教育をしてくれた先輩にも社長にも面目が立ちません!」
社長「なるほど、わかりました。男くんはどう思います?」
男「俺も同じく隣人自身に払わせて、決着をつけてもらうべきだと思ってます。じゃないと、きっとこれから一生彼女の心残りになってしまいますから」
社長「よろしい!では隣人ちゃんには会社の共済からお金を借りれるよう資料を渡しておきます」
隣人「えっ?社長からは・・・・・・」
社長「だめですよー、私にばっか頼らないって言ったばかりじゃないですか。そもそもこういう事態も想定していろいろ用意してあるんですから。使えるものは使ってください」
隣人「うっ、そうでした。ってことで先輩、お部屋すぐには直せないかもです」
男「ん、まあいいさ。そこで追い立てるほど心が狭いつもりもない」
姉(男も立派になったわね。まあ大企業に勤めるだけの能力があるんだから当然か)
社長「次に、メリーさんと貞子さん、花子さんの戸籍についてですが」
メリー「割と棚から牡丹餅な話だけど本当にとれるの?」
社長「ええ。ていうか、もうとってきました」
貞子「えっ」
花子「えっ」
社長「魔物や妖怪とかの中には突然発生する系の方たちもいますから、そういう方々が路頭に迷わないようにサポートしてる機関があるんです。あとは国と地方自治体には姪っ子の夫のコネでなんとかしてもらいました」
姉「あそこの親族は相変わらずコネオバケね」
男「社長も含めてな」
社長「本籍は今男くんの住所と同じにしています。後日マイナンバーとかの案内も届くと思うので、わからないことがあったら男くんを通して聞いてください」
メリー「えっと、今この場で連絡先を聞いたりとかはだめですかなの?」
社長「それも考えたんですけれども、一応みなさん男くんの扶養内の枠組みに入れているんです。実状がそうだと聞きましたので、被扶養者である以上扶養者がある程度責任を持たないといけません」
男「それで俺を通してってわけですか」
社長「はい。これで男くんには一応扶養分の追加給も入りますから、そこはちゃんとしてくださいね」
男「マジですか。もっと早く言えばよかった」
社長「大丈夫ですよ、実績を遡って支給させてもらいますから。証人としておあつらえ向きな子もいますし」チラッ
隣人「へ?私ですか?いや、確かにずっと見てましたけど・・・・・・」
男「そんなことまでしてもらえるなんて。ありがたいんですけど、いいんですか?」
社長「都市伝説という存在を養っている以上、言いにくいのは仕方ないと思います。一般の人なら精神病院をお勧めされると思いますしね。そんな事情を考慮してのことですよ」
隣人「私、今思うと凄い会社に勤めてたんですね。福利厚生がやばすぎです」
姉「世界に名だたる大企業なんだから当然といえば当然でしょう」
男「むしろここまでしてもらっていいのかという思いはあります」
社長「いいんですよ。社員の生活が第一です。それに、個人を大事にしない法人は長続きしませんから。会社を人、社員を細胞として考えると長生きするためには身体を大事にして病気やケガに気を付けないといけませんし」
社長「と、まあここまでが社長としての私の意見です。私個人としては、私の仲間にはできるだけ幸せになってもらいたいんです。それが、私自身が家族や友達に教えられて来たことですから」
メリー「すごいの。都市伝説のとことは大違いなの。あいつら私たちの事は使い捨てなの」
貞子「お給料はいいんですけどねー。その他福利厚生ゼロですからねー」
花子「ここまで人間ができてると嫉妬とか羨望とか通り越して尊敬しかないよね」
男「だから社員全員がついていくんだよ、この人に」
社長「さて、あとはお婆さんらしく老婆心を出して終わりにしますか」
姉「というと?」
社長「メリーさん、貞子さん、花子さんは戸籍を得たということで、働き口を紹介しようかと思いまして」
メリー「・・・・・・えっ!?」
貞子「お、お仕事ですか!?私も大企業で働けるんですか!?」
社長「あ、ウチではちょっと。ごめんなさい、食品を扱っている会社なのでアンデッドの方はお断りしているんです」
花子「私も対象か!死人じゃなければ!」
メリー「あとは私も人形だし小さすぎてまともに働けないの」
社長「はい、ですから順にですね。まずは貞子さん」
貞子「はい!」
社長「は、お姉さんの方からおねがいします」
姉「はい」
貞子「えっ!?そっちですか!?」
姉「貞子さんは専業主婦希望とのことでしたので、家事には自信があると思います。ですから、私と同じ職場で働きませんか?」
貞子「つまり、えーと、メイドさん?」
姉「そういうことです。うちのお屋敷ですと少なくとも20代のうちに普通車を一括で買える程度のお給料はもらえますよ」
貞子「ああっ、ええーと、ちょ、ちょっと待ってください。花子さん、ちょっとほっぺひっぱってもらっていいですか?」
花子「はい」ギュー
貞子「いだいいだいいだい!つまり、夢じゃない!そんな、でも私、死体ですけどいいんですか!?不衛生だとか臭いとか変な菌が繁殖してたりするかもしれませんよ!?」
姉「ええ。貞子さんが人一倍清潔に気を遣っているのは弟から聞いていますから。ね」
貞子「え、お、男さん、まさかこの話って・・・・・・」
男「いやー、なんのことかなー?」
姉「以前から相談はされていたのよ。仕事が無くなって生活に困っている友達がいるんだってね。この前もその話をするためにわざわざ私を外に呼び出したのよ」
メリー「ええっと、じゃあ男が言ってたお姉さんに呼び出されたって言うのは・・・・・・」
姉「私に相談をもちかけてきてたのね。実態がわからない以上難しいとは伝えていたんだけど」
花子(そういや男って私らの事自立させようとしてたわよね。自分を殺そうとした相手の面倒普通そこまで見る?聖人過ぎない?)
姉「その相手があなたたちってわかってからは職についてそこの社長さんとか幼馴染たちと話をしてたのよ。特に幼馴染の片方はコネオバケだから」
男「姉ちゃん、そこは言わないでくれよ・・・・・・」
姉「あら、姉が弟を自慢するのは当然の事よ」
男「ったく・・・・・・これだから」
姉「姉だから許されるわよね」
男「さっきの意趣返しかよ、まあいいよ。悪いことされたわけじゃないし」
社長「はい。ということで次は花子さんですね。貞子さんは心の準備をしたりだとかまだいろいろとあると思いますので、しばらく話を聞いていてください」
貞子「は、はい」
社長「花子さんもさっきの通り食品会社という都合上、我が社で働かせるわけにはいきません」
花子「まあトイレ関連の都市伝説が働いてるとか噂が流れただけでイメージ悪いしね」
社長「また、見た目がかなり若いので普通のお店で働くのもちょっと厳しいです」
花子「うん、実際肉体年齢は小学生だし」
社長「そこでなんですけど、花子さんは確かゲームが得意なんですよね?」
花子「あ、はい。一応」
社長「ですから、とある芸能事務所がゲーム配信者として入らないかというお誘いをしてくれています」
花子「・・・・・・げ、芸能人!?」
社長「これが、えーと大甥のお友だちが所属しているところですね。隣人ちゃんは知ってると思いますけど、我が社の色んなアナウンスの声のあの子ですよ」
隣人「あー、あの・・・・・・あれもコネですか!」
社長「私のコネじゃなくて社員の紹介ですけどね。実際私もまさか大甥のお友だちだなんて知りませんでしたし」
花子「ゲーム配信者・・・・・・えっと、それってあの実況とかする?」
社長「そのあたりは事務所の方に聞いた方がいいとは思いますけど、まあこれが私が花子さんにできる提案です」
花子「げ、芸能人か・・・・・・トイレの日陰者の私が、あんな華やかな世界に・・・・・・」
社長「さて、最後はメリーさん」
メリー「は、はいなの。でも、人形が働ける職場なんて・・・・・・」
社長「さっき言いましたように、ウチのお姉ちゃんが児童用の服を着るモデルを探しているんです」
メリー「え、も、もしかして・・・・・・?」
社長「はい。で、さっきドレスを着た写真を送ったんですけれど、ぜひとも今後もモデルになってくれないかというお返事がきました」
メリー「ふ、服のモデル、なの?」
社長「そうですね。幼児服だけじゃなくて、ドール用の服とかもいろいろ着せたいけれど身内の子は成長してきるし人形新しく作ったら動き出しちゃうしで困ってたそうなんです」
男「後半の動き出すあたりが気になるんですけど」
社長「お姉ちゃんの作るものって思いがこもりすぎてて人型のものはすぐ付喪神になるとかなんとか・・・・・・まあそういうわけでちょうどいい人材がメリーさんだったというわけです」
メリー「な、なるほどなの。理解はしたの」
社長「あ、追記きました。とりあえず年棒2千万出すそうです」
メリー「二千万!?」
姉「野球選手並ね」
社長「まあお姉ちゃんの服、すごい売れてますし。それくらいポンと出せるってことでしょう」
メリー「ええっと、一年でにせんまんえん?一ヶ月だと?あれ?あれ?」
男「あまりの金額にメリーさんがバグってる・・・・・・」
社長「まあこれも突然の話ですし、そういう話はちゃんと顔合わせしてからがいいと思いますから。後日都合がいい日にセッティングはできますので、ちょっと考えておいてください」
メリー「は、はいですなの」
メリー(えっと、今まで戸籍もなく非正規で一殺ごとに30万の生活をしてたのが?いきなり年収二千万?)
貞子(井戸の底をはいずるだけだった私が、お屋敷のメイドに・・・・・・)
花子(トイレの個室でただひたすら話しかけられるのを待っていただけだった私が、芸能人として活動?世界のみんなに見てもらえるようになるの?)
メリー(ただの廃棄物の私が)
貞子(水死体の私が)
花子(子供で死人の私が)
(人間と同じように、生きていけるの?)
【TIPS】
メリーさん:気丈に振る舞ってはいるが、寂しがりや。捨てられた人形だけあって捨てられることを何よりも恐れている。
貞子さん:誘惑をしてくるのは愛されたいから。井戸の中で冷え切って死んだのでぬくもりを求めている。
花子さん:生意気だが、子供らしい怖がり屋。成長する前に死んだので、自分を守って受け入れてくれる人を求めている。
隣人:性格が軽そうに見えて重い女。自分の事が嫌いだったので、自分を褒めて認めてくれる人に依存してしまう。
【ヨジババア】
姉「とてもおいしかったわ」
男「ありがとうございます、社長」
隣人「本当にありがとうございます」
社長「いえいえ。これくらいは当然です。社長ですからね」
男「・・・・・・この三人は後半味なんてわかってなさそうだったけど」
メリー「あのドレス、すごいきれいだったし・・・・・・あんなのをいっぱい・・・・・・」
貞子「お屋敷でメイドをして・・・・・・お姉さんみたいにいずれは専属を・・・・・・男さんの・・・・・・」
花子「ゲーム配信で有名実況者とかになって、みんなにちやほやされて・・・・・・」
姉「心ここにあらず、ね」
男「あ、そうだ。社長、これ今日のお礼です。簡単なものですけど」
社長「あら、なんですか?・・・・・・わーっ!ありがとうございます!わざわざ好物を揃えてくれるだなんて!」
男「本当に、何から何まで話を付けてくれて・・・・・・助かりました。本当はこれだけじゃ足りないぐらいですよ」
隣人「そうですよ!あ、イクラは冷蔵庫の中ですよね?」
男「あ、そうだったそうだった。貞子さーん、ちょっと冷蔵庫のイクラ取ってくれー」
貞子「え、あ、はいっ!ただいまっ!」
社長「もう、そんなものまで・・・・・・もう、本当はこんな賄賂みたいなことしちゃいけないんですよ!受けとりますけど!食べ物に罪は無いですし!」
男「今後ともがんばって働きますんで、よろしくおねがいします」
隣人「私も、おねがいします」
社長「はい、今後ともよろしくお願いしますね、お二人とも」
姉(・・・・・・いつのまにか、こんなに立派になって)
姉(一人暮らしを始めてから全然連絡をくれないから心配していたけど、杞憂だったみたいね)
姉(ま、それもそうか。いつまでも子供じゃないんだし)
姉(しっかりやっていけるわよね。少し寂しいけど、これが成長というもの)
姉(・・・・・・なんだか感傷に浸りたくなってきたわ。あの二人を誘って今夜は飲みましょうか)
姉(あ、でも片方は子供もいるし、もう片方は居酒屋やってる方だしで難しいかしら?)
姉(ふぅ。弟に先を越されないうちに、私も相手を探すべきね)
姉(・・・・・・まあ、そういうのは)
ヨジババア「うぼぁっ」
姉(こういう手合いを片付けてからにしないとね)
姉(・・・・・・はあ、彼氏ほしいなぁ)
To be continued...
番外編終了。番外編というか設定吐出しというか。次スレで完結編をやって終了かな。
紫ババアとかヨジババアがほぼ出番無くやられたのは仕方ないと思ってる。さすがにババアフェチはいない・・・・・・よね?
メイドや執事の戦闘力は高いという風潮。どの漫画でもあいつら人外じみた動きするからうちのメイドさんも普通なはず。
年棒2千万とか福利厚生が異様にそろってる会社で私も働きたいです。花子さんの仕事だけどうするか一番迷ってた。JSができる仕事って芸能関係ぐらいしかないよね・・・・・・?
次回のネタバレ。メリーちゃんが泣く。
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