花子「きゃーっ!」男「うわっ!?」ガンッ (43)

花子「び、びっくりしたっ!いきなり入ってこないでよ!こっちにだって準備ってものがあるんだからね!」

男「」

花子「・・・・・・あれ?」

男「」

花子「もしもーし?」

男「」

花子「・・・・・・え、死んでる?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1590151594

花子「え、いや、やばいやばいやばい。まだ呪ってすらないのに死ぬのはヤバイ」

花子「さっきなんかヘンな音した。あれか、頭打ったのか」

花子「え、軽く頭打っただけで死ぬとか脆すぎない?スペランカーですか?」

花子「ってそんなこと言ってる場合じゃない!都市伝説法何条か忘れたけどあれに引っかかる案件だって!」

花子「えーと、血は・・・・・・出てるね。そこまでひどくはないからタオルで圧迫止血」

花子「えーと、心臓は、あ、動いてる。ってことはまだ死んでない、うん。よかった」

花子「えっと次はどうすればいいんだっけ?」

男「げぽっ」

花子「わわっ、吐いた!やばい!身体を横に向けさせてゲロがのどに詰まらないようにさせないと!」

花子「んで、えーと、もしもーし、起きてるー?」

男「」

花子「うん、意識がない。つまりこれ結構ヤバい。救急車ー!」

花子「なにか住所がわかる物!・・・・・・は見つからないから、近くの特徴的な建物を伝える!」

花子「もしもし!救急です!頭に強い衝撃を受けて意識がなくなっています!場所はアパートの一室なんですが、えーと、窓の外にコンビニが見えます!反対側にはスーパー!」

花子「あと、すぐ外に自動販売機が二台!赤と白です!右が赤、左が白!」

花子「アパートの二階です!端っこの部屋で、え、わかりました?え、よく救急車で運ばれてる人?」

花子「・・・・・・よろしくおねがいしますね!」

キャラ紹介

男:よく死ぬ人間。そのたびに蘇生されている。敵に対して容赦がない。女子供2人を余裕で養える財力がある。

メリー:4か月かけても絆を築けない人形。人形の癖して代謝がある。名前はメリーだが国産人形。スリーサイズは52-41-49。

貞子:香水がキツイ死体。死体の癖に体温がある。IT化社会に対応するためにパソコン及びネットの知識を猛勉強した努力家。スリーサイズは92-56-87。

姉:出てこない。31歳独身。スリーサイズは86-59-86。

花子:トイレの花子さん。臭くない。学校じゃなくても出てくる。子ども以外もターゲットにする。身長は140センチぐらい。スリーサイズは72-59-82。

トイレ:洋式。ウォシュレットはついてない。ブルーレットが設置されている。

スマホ:メリーさんのワープゾーン兼貞子のワープゾーン。

モニター:ぶら下げ方が悪かったのか壊れそう。

前回までのお話。こっちから読んだらメリーと貞子のことがわかります。

メリー「もしもし、私メリーさん」男「ひいいぃっ!」バタッ
メリー「もしもし、私メリーさん」男「ひいいぃっ!」バタッ - SSまとめ速報
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貞子「来ーるー♪きっと来るー♪」男「うぐっ」バタッ
貞子「来ーるー♪きっと来るー♪」男「うぐっ」バタッ - SSまとめ速報
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男(・・・・・・知ってる天井だ)

男「なんか、頭がすごく痛い。なんで俺また病院に・・・・・・」

メリー「ああー!起きたのー!よかったのー!」

貞子「男さん、意識が戻ったんですね!よかった・・・・・・」

男「メリーさん、貞子さん・・・・・・?」

メリー「なんか、自宅のトイレ前で頭打って倒れてたらしいの。頭痛が痛いのはそれが原因なの」

男「馬から落馬するみたいな言い方やめろ」

貞子「とりあえずナースコール押しますね。詳しくお医者様に診てもらった方がいいです」

男「あ、うん。そうするよ」

メリー「じゃあ私たちは一旦家に帰るの。入院が長引くようなら連絡してほしいの」

貞子「何か必要なものがあれば言ってくださいね?持ってきますから」

男「わかった、ありがとう」

メリー「さて、今回の原因は誰だと思うの?」

貞子「トイレの前で失血・・・・・・赤い紙青い紙でしょうか?」

メリー「それならむしろよく生きてたの」

貞子「変ですね。あの人なら確実に仕留めると思うんですが・・・・・・」

メリー「仕留められてなくてよかったの。私らまとめて路頭に迷うのは勘弁なの」

貞子「・・・・・・私は最悪夜のお店で働くという選択肢もとれなくはないですが、メリーさんはそうもいきませんものね」

メリー「それはどういう意味で言ってるの?」

貞子「だって人形じゃないですか。使う穴がないでしょう?」

メリー「私はそんじょそこらの人形とは違うの!血の通った人形なの!全部あるの!じゃなきゃご飯なんか食べられないの!」

貞子「汗もかくしトイレにもいく。あなた本当人形なんですか?」

メリー「死体がよく言うの。言っておくけど私は元の人形時代から進化してるの。身体構造的には人間とほとんど変わらないの」

貞子「髪質とかは人形チックなんですけどねぇ」

メリー「あと100年もしたら人間らしくなるって知り合いの幽霊が言ってたの」

貞子「メリーちゃん、都市伝説になって日が浅いですしね」

メリー「少なくとも携帯電話の普及後って考えると仕方ないの。霊力が足りないの」

貞子「じゃあメリーちゃんはアンティークとして売った方がよさそうですね。私の生活の足しにしますから」

メリー「いーやーなーのー!私はもう物言わぬ人形に戻りたくないのー!てか、私の所有権はおまえにはないの!」

貞子「では誰に?」

メリー「養ってもらってる以上男にあるの。これはどうしようもないの」

貞子「せめて顔を赤らめたりすればもう少し弄りがいがありますのに」

メリー「お前は何を言ってるの」

花子(え、なんでメリーと貞子がここにいるの!?私のターゲットなのに!?)

花子(てかあいつら親交あったんだ。意外。二人ともボッチな所しか見たことなかったのに)

花子(ぶっちゃけ同業他社みたいなもんだし仲良くするメリットないよね?なんでつるんでんの?)

花子(ターゲット被ったら片方が違約金確定なのに・・・・・・・まあターゲットが被ることなんてそうそうないから大丈夫だろうけど。だって単純計算1億の二乗分の1だし。もし三人なら三乗分の1)

花子(・・・・・・もしかして、そのそうそうないが今来てるパターン?)

花子(え、あいつらもしかして下見に来てるの?うわー、そんなに仕事熱心だったんだ。意外。殺り方なんか決まってるからてきとーにやってるもんかと)

花子(ま、声をかける必要はないよね。悟られたら面倒だし)

花子(・・・・・・あの男、病院で死んだりしてないよね?)

男「えーと、退院するまでどれくらいかかりますか?」

ナース「そうですね、頭に強い衝撃を受けたのであと1週間ぐらいは経過観察がひつようですね」

男「わかりました、ありがとうございます」

ナース「今は気分が悪いとかはないですか?眩暈がしたり、視界が歪んだりとか」

男「今のところはないです」

ナース「わかりました。なにか些細なことでもおかしいなと思ったらすぐに呼んでくださいね」

男「はい、わかりました」

男(いままでの入院が全部2日ぐらいで出られてたから新鮮だ)

花子「帰ってこない!どうなってるの!」

花子「くっ、こうなったら面倒だけどあの二人に聞くしかない・・・・・・」

花子(未だ手を出してないってことはあいつらのターゲットじゃないってことよね?多分)

花子「さっさと終わらせて次に行きたい!もっと稼ぎたい!殺りたい!」

花子「なんで積みゲー消化で時間つぶししなくちゃいけないのよ!もう全部終わったわ!」

花子「新しいの買おうにもあいつ殺らないと給料入ってこないし・・・・・・」

花子「これだから歩合制は!ホントにムカつく!日本なんだから固定給にしなさいよ!」

花子「とりあえずあいつの家まで行こう。うん。もしかしたらメリーとか貞子がいるかもだし」

「うー、トイレトイレ」
今トイレを求めて全力疾走している私は専業主婦をしているごく一般的な女の子
強いて違うところをあげるとすればゾンビってことかナー
名前は貞子
そんなわけで居候先の部屋にあるトイレにやって来たのだ
ふと見るとトイレの中に一人の幼い女が座っていた
は?誰コイツ・・・(迷子?)
そう思っていると突然その幼女は私の見ている目の前でトイレの蓋をあけはじめたのだ・・・!

「殺らないか」

貞子「・・・・・・」バタンッ

花子『あ、ちょっと!扉閉めないで!話聞いて!』

貞子「ごめんなさい、あまりにも突然で。あとトイレしたいのでどいてください」

花子「あ、うん。わかった」

花子(私が言うのもなんだけどなんでこいつ死体のくせにトイレするんだろ)

メリー「花子、なにやってるの?」

花子「あ、メリー。ちょうどよかった、聞きたいことがあって」

メリー「なんなの?」

花子「ここに男ってやつが住んでるでしょ?あいつなんで帰ってこないの?」

メリー「え、あー・・・・・・なるほど、おまえかなの」

花子「え?」

メリー「教えるわけないの!男は私のターゲットなの!お前に殺られたら私に罰金と懲役が課せられるの!」

花子「は?え?は?」

ジャー

貞子「私にも課せられます!あなたには殺らせませんよ!」

花子「は?おまえらなに言ってんの?え、やっぱりお前らも狙ってんの?」

メリー「そうなの。私が一番早かったの」

花子「いつから?」

メリー「4か月前から」

花子「・・・・・・無能にもほどがあるんじゃね?」

メリー「貞子、こいつ窓から捨てるの」

貞子「賛成です」

花子「くっ、緊急避難!」フッ

メリー「あっ!トイレに入られたの!」

貞子「トイレワープが使える花子さんを相手取るのにトイレ前で話すのはよくありませんでしたね」

メリー「えーと、とりあえず犯人が分かったから男に伝えに行くの」

貞子「わかりました。私は夕飯の準備をしておきますね」

メリー「よろしくなの」

メリー「というわけで男はトイレの花子さんに狙われてるの」

男「そうだったのか。トイレの花子さん・・・・・・あれって学校に出てきてしかもターゲット子供じゃなかったっけ?しかも何番目の扉とか指定あったような」

メリー「今の時代んなもんにこだわってたら一人も殺れないの。私だってスマホ対応してるし貞子もビデオテープを捨てて動画ファイルに紛れ込んでるの」

男「お、おう。時代の変化についていくのは大変そうだな」

メリー「一応その辺は講習を受けてなんとかやってるの。でも講習受けるのにもお金がかかるの」

男「マジで都市伝説がよくわからなくなってきた」

メリー「一応言っておくと男は別に誰の恨みも買ってないの」

男「じゃあなんでこんな2ヶ月おきに狙われてるんだ・・・・・・」

メリー「それはわからないの。私たちは上から言われた相手を自分のやりかたで殺りにいくだけなの」

男「マジでただの下請けじゃねーか」

メリー「都市伝説も楽じゃないの」

男「まあ割と法律でがんじがらめにされてるの聞いたら大変だとは思う」

メリー「そう思うなら大人しく殺されてほしいの」

男「貞子さんに言ってスマホ窓の外にぶらさげてもらうか」

メリー「ちゃんと老衰で死ぬまで生きてなの」

男「言い直すのはいいんだけどやっぱり死ぬ前提で話すのはどうなんだ」

メリー「そりゃそうなの。都市伝説法28条が唯一適応されないのが寿命による自然死もしくは病死なの。自然の摂理には逆らえないの」

男「そのあたりは融通利かせてくれるのか」

メリー「じゃないとターゲットが後期高齢者になったやつらが悲惨すぎるの。あいつら意識がもともとなかったりして問いかけ系は全滅するの」

男「なるほど、それは確かに。都市伝説で殺しに行ってる人たちって大体問いかけから始まってるの多いし」

メリー「都市伝説法14条で宣言なしの完全不意打ちで殺すのは禁止されてるの」

男「そこも法律で縛られてたのかよ」

メリー「そうじゃなかったらワープ使ってはいおしまいなの。世の中そんなに甘くないの。もっと甘くしてくれてもいいと思うの」

男「まあ、がんばれ」

メリー「そう思うなら以下略なの」

男「メリーさん来月のお小遣いは何割カットがいい?」

メリー「ごめんなさいなの。私が悪かったの」

花子「はあ~あ、上も適当な仕事してくれるなぁ~」

花子「こっちだって慈善事業じゃないってーの。ったく」

花子「さて、あれから1ヶ月ぐらい。もう帰ってるみたいだし、あいつらに気取られないうちにさっさと殺らなきゃねっと」

花子「・・・・・・まだあいつらにやられてたりしないよね?してたら罰金とかの話が来るだろうし、うん」

花子「んじゃ、ワープワープ。さーて、これが終わったら六本木あたりでおいしいもの食べよーっと」

花子(さて、家の中に人の気配は・・・・・するわね。ってことはちゃんといる)

花子(次にトイレに来た時、それがお前の最期よ!)

花子(メリーも貞子も所詮は電子機器なんていう家具に頼らなきゃいけない二流!)

花子(こちとらこの世のありとあらゆる人間が使うトイレが仕事場!格が違うのよ、格が!)

花子(無能二人は罰金と懲役に苦しむがいいわ!)

花子(・・・・・・)

花子(アイツらと違って待つしかないのは辛いけど)

トットットッ

花子(お、来た来た。さてさて、いつものやつを)

『赤い紙が欲しいか?青い紙が欲しいか?』

花子(・・・・・・え?)

『どうした、紙がないのだろう?』

花子(え、あ、確かに。紙がない。ストックもない)

『さあ、赤い紙が欲しいか?青い紙が欲しいか?』

花子「あー、えーと、来るとこ間違えてません?私は別に――」

『この家の人間は一人暮らしだろう。間違えるもなにもない』

花子(そうだけどーーーーー!!!!ヤバいヤバいヤバイ!赤い紙青い紙は私より古参の大先輩よ!私の霊力じゃ勝てないって!)

花子(こ、答えたら死ぬ。別の色を答えたら冥界に引きずり込まれる。ええっと、なんて答えたらいいんだっけ?ヤバいヤバいヤバイ。同業他社の上位互換に勘違いで狙われるのは本当にヤバイ)

花子「あ、え、えーと、その、えーと、あの、その」

『どうした?』

花子(何もいらないっていえばいいんだっけ?でもそんなこと言ったら命もいらないとかそんな認定されて殺られそうだし!)

花子「あ、わ、わた、わたし」

花子「花子ですっ!私、トイレの花子ですっ!知ってますよね!?あなたのターゲットじゃないですっ!」

『・・・・・・』

花子「ね?わかったでしょ?だったらね?」

『知らんな。赤い紙が欲しいか?青い紙が欲しいか?』

花子(ひぃーっ!)

花子「だ、だから違うってばー!」バタンッ!

男「お、出てきた」

花子「え・・・・・・?」

男「・・・・・・なるほど、君が花子さんか」

花子「あ、あれ?赤紙青紙じゃない?」

男「ああ、あれ俺が言ってたんだ」

花子「・・・・・・・え?つまり、私騙されてたってこと?」

男「そうなるな」

花子「・・・・・・い、今に見てなさい!次こそは殺ってやるんだから!」バタンッ!

男「あんまり勢いよく扉を閉めないでくれ。壊れるから。ここ賃貸なんだぞ」

メリー「まさか都市伝説に都市伝説で対抗するとは思わなかったの」

貞子「花子さんからすれば大先輩ですものね」

男「トイレの都市伝説って言ったらこっちの方を思い出してさ。とりあえずこれで当面の危機は去った」

メリー「私たちは無事養ってもらえるわけなの」

貞子「生きていけるってすばらしいですね。まともな生活を送れるだけで幸せです」

男「おまえ死んでるだろうが」

貞子「これぞ文字通り第二の人生ですよ!レイプされて井戸に突き落とされて死んだときはまさかこんな生活ができるだなんて思っても居ませんでした」

メリー「まあ私もゴミ捨て場に捨てられたときは燃えるゴミになる覚悟しかなかったの。まさか普通に外を出歩くなんて考えてもみなかったの」

男「やめろ。都市伝説らしい悲惨な過去を話すのはやめろ。同情するからやめろ」

メリー「同情するなら死んでくれなの」

男「メリーってサイズ的に粗大ごみじゃなくてもいけるか?」

メリー「ごめんなさいなの」

貞子「すぐにそうやって欲望をもらすから・・・・・・ところで男さん、そろそろ私もベッドで寝たいのですが」

男「この部屋にベッドふたつも置くスペースが無いのは見りゃわかるだろ」

貞子「だ・か・ら、同じベッドでいいじゃないですか。ね?」

男「ナマズの泥抜きって1週間ぐらい水道水を垂れ流しにしてやるらしいな。お湯と冷水どっちがいい?」

貞子「私が悪かったですから水死体にするのはやめてください。あれほんと苦しいんです」

メリー「男は相変わらず容赦がないの」

―1か月後―

花子(今回で決めないと貯金がヤバイ!もー!家賃払えないじゃん!どうしてくれんのよ!)

花子(確実に殺ってやる!殺ってやるんだから!)

バタンッ

花子「あっ」

男「お、来てたか」スマホカマエ

花子「あ、いや、これはね、ちょっとね」

男「そおい!」ブンッ

花子「!?」

花子「え、なに!?今いったいなにが・・・・・あれ?ここ、どこ?」

花子(なんかすっごい泥臭いところに来た。周りは藪?近くには井戸とブラウン管テレビ)

花子「・・・・・・ここ、もしかして貞子の仕事場?」

花子「いったいなんでこんなところに・・・・・・」

花子(もしかしたらあれか。貞子も同じ日に狙いをつけてて画面をつなげてる時にあいつが私をぶち込んだ感じか。ということは貞子ってスマホ対応してるんだ。意外)

花子「ちょっとー!貞子ー!いるんでしょー!私よー!花子よー!」

花子「ちょっと手違いで入っちゃったのよー!出してー!」

花子(・・・・・・返事が無い。耳に泥でもつまってるの?)

花子「ちょっとー?」

花子(井戸の底まで見えないからいるかいないかわかんない。てか臭いからあんまり覗き込みたくない)

花子「はぁ、しばらく待つか」

―2時間後―

花子「おかしい。一向に出てこない。ちょっと貞子ー!」

貞子『はーい』

花子「あれ、なんでモニターの向こうに・・・・・・え、も、もう殺っちゃったの?」

貞子『ごめんなさいね、男さんを殺されるわけにはいかないから。花子さんにはそこに入ってもらったんです』

花子「はあ!?なんであいつの味方してんのよ!それでも都市伝説か!」

貞子『だってぇ、男さんが花子さんに殺されちゃったら私罰金と懲役刑じゃないですか。嫌ですよ』

花子「知るかそんなもん!さっさと出せ!」

男『出すわけないだろ。自分が殺されるかもしれないのに』

花子「はっ!?な、なんであんたが!?さ、貞子!どういうこと!?」

貞子『ごめんなさい、私はもう身も心も彼のもので・・・・・・』ポッ

男『頬を赤らめるな』

花子「は、はあああっ!?」

貞子『そういうわけですから、男さんを諦めるまでそこにいてくださいね』

花子「ちょ、ま」

プツン

花子「き、切りやがった・・・・・・あいつ・・・・・・」

花子「はあ、仕方ない。次繋がるのを待つか」

―1時間後―

貞子「どうです、思い直しましたか?」

花子『ひっぐ、ぐすっ・・・・・・・うぇぇぇぇぇぇぇん、ここから出してよぉ・・・・・・うぇぇぇぇぇぇぇん』

貞子「ああっ、男さん、花子さんが泣いちゃいましたよ」

メリー「まああんな場所に3時間も放置されたら誰だって泣くの」

花子(ふっ、チョロイもんよ。女で子供の私が泣いてたら誰にだって要求は通るのよ。これが女の武器ってやつ)

花子(さあ、私を外に出しなさい!いまなら苦しまないように殺してあげるわ!)

男「すぐ泣く女は信用できない。放置続行」

花子『えっ!?』

貞子「あ、はい」

花子『うぇぇぇぇぇぇぇん!まっt』

プツン

花子「あ、あいつら・・・・・マジで消しやがった!こっちは泣いてんのよ!?女児が泣いてるのに無視ってどういうことよ!?」

花子「ああもう!もっかい泣くしかないか。めんどくさいなー、もー」

花子「はぁ、せめてここにトイレがあればなぁ。脱出できたのに」

花子「・・・・・・待てよ、もしかして貞子の仕事場だからあるかも」

花子「・・・・・・でも、あの井戸の中に入るのはな。やだな」

花子「・・・・・・待と」

―2時間後―

花子『ひっぐ、ぐすっ、ひっぐ、うぇぇぇぇぇぇぇん!』

貞子「ね、ねえ、男さん?」

メリー「流石に見てられなくなってきたの」

男「知ってるか。泣くっていうのは結構エネルギーを使うんだ。2時間も泣き続けるのは無理だ」

貞子「えっと、つまり?」

男「こいつ、こっちがつなげるタイミングを見計らって泣いてる。つまり演技だ」

メリー「ああー、なるほどー」

花子『そんなぁ、ひどいよ、おにいちゃぁん・・・・・』

男「このまま3日ぐらい放置するか」

花子『え、は、はあっ!?こんなところに3日もっ!?ふざけんじゃないわよ!』

男「ほらな」

花子『あ・・・』

貞子「男さんは演技も達者ですね」

メリー(いや、こいつはガチでやる気なの。その辺容赦のない奴だって知ってるの)

花子『お、おねがい!もうなにもしないから!大人しく帰るから!ねえ、出して、出して、ね?n』プツン

貞子「せめて言い終わるまでとか・・・・・・」

男「ああいうタイプはちょっとでも要求を呑んだら調子づくタイプだから」

メリー(にしても鬼畜すぎるの)

―8時間後―

花子「はぁ・・・・・・おなかすいた・・・・・・喉乾いた・・・・・・」

花子「こんな腐った井戸の水なんか飲めやしないし。食べ物もない」

花子「はぁ、なんでこんなことに・・・・・・」

花子「それもこれも全部あいつのせいよ!あの男!あいつさえ普通に殺されてればこんなことにはならなかったのに!」

花子「なんで私があんな男のためにこんな目に合わないといけないのよ!こちとらかわいそうな幽霊なのよ!?」

男「・・・・・・」

花子「あいつ絶対童貞!じゃなきゃこんなにかわいい女の子にこんなひどいことしないし!」

花子「絶対ここを出たぶっ殺して・・・・・・」

男「そうかそうか、未だに反省の余地なしか」

花子「あ、あれ?や、やだなぁ、いったいいつから?もー、いたのならいってくれればいいのに」

花子(ヤバいヤバいヤバイ!メリーとか貞子の反応を見る限りこいつはモラル云々がぶっ飛んでる!そんなやつに機嫌を損ねるような発言聞かれたら・・・・・・)

男「ここを出たら殺すって宣言されたわけだし、もう容赦はいらないよな」

花子「あ、あれですよ!ほら、人間お腹が空いたらイライラするじゃないですか!ね?だから愚痴の1つでもいいたくなりますよね?」

花子(もともと容赦ないだろうが!と、とりあえず今はこの場を誤魔化さないと!)

男「ところでさ、貞子さんから聞いたんだけど溺死ってめちゃくちゃ苦しいらしいな」

花子「な、何の話ですか?」

男「最初は息が苦しいだけだけど、最終的に水が肺の中に入ってきてめちゃくちゃ痛みがあるらしい。意識がもうろうとしながらも激痛に襲われながら死ぬらしいよ」

花子「あ、あの、も、もしかして、え?」

男「ちなみに人間は水にいれても浮力で浮き続けられるわけじゃないんだ。淡水なんかよけいに浮きにくいし。さらに水に浸かってると体温が奪われ続けて低体温症で心臓が止まったりもするらしい」

花子「も、もう狙いませんから。男さんを殺そうだなんて考えませんから」

男「井戸に落ちた人は大概助からないんだよね。で、だ。花子さん?」

花子「ひぃっ!」

男「あそこに井戸があるね?そしてここに重そうな石と縄がある。都市伝説バリアは人間からの外傷は防げるけどそれ以外は無理らしいし・・・・・・」

花子(よ、よくみたらあそこにスマホと草履が・・・・・・あ、あれってもしかして、メリーと貞子の!?な、なんで一人でここにいるのかって思ったら、え、そ、そういうこと、なの?)

男「さて、じゃあ・・・・・・」

花子「あ、や、やだ・・・・・・」







男「つ ぎ は お ま え だ」





花子「あ、や・・・・・・」ジョワ

男「・・・・・・ん?」

花子「やだぁ、やだぁ・・・・・」ジョワァァァァァ

男「あ、やべ・・・・・・」

花子「やだ、やだ、や・・・・・・」ガクッ

男「・・・・・・さすがにやりすぎたか。まさか失禁と失神のダブルコンボを決めるとは、うん」

男「とりあえず部屋まで連れ帰って貞子さんあたりに着替えさせてもらって風呂にぶち込んで?」

男「・・・・・・冷静に考えたら俺がそこまでする義理なくないか?」

メリー「いいから早く戻ってこいなの」

花子「えぐっ、ぐすっ、えぐっ」

貞子「はい、洗濯終わりましたよー」

花子「えぐっ、あ、ありがとう・・・・・・」

男「ごめんなさい、やりすぎました」

メリー「私のときもそうだったけどホラーに対してホラーで返すその胆力がすごいと思うの。ハンムラビ法典かなの」

男「いや、やるからにはやられる側の気持ちも知っておいてほしいなって言うのがね」

花子「えぐっ、えぐっ、わたし、もうおしごとしたくない・・・・・・」

メリー「ほらー!トラウマになってるの!ホラーだけに!」

男「むしろ後の被害者を減らせたと考えると人間社会では褒められる行為なのでは?」

花子「でも、おしごとしないとおうちかえれない・・・・・・やちんはらえないぃぃぃ!うぇぇぇぇぇぇぇん!」

貞子「大丈夫です、貯金が底をついて家賃が払えなくなったのは私もメリーさんも同じですよ」

花子「ふぇ?」

メリー「さすがに死活問題なの。家賃が払えなくて野垂れ死ぬのは勘弁なの」

花子「じゃあ、どうやって生活してるの?」

貞子「男さんに養ってもらってるんです」

メリー「要は居候なの」

花子「・・・・・・」

男「・・・・・・」

花子「養ってくださいおねがいします」ドゲザッ

男「いや、さすがにもう寝れる場所がないから無理」

花子「おねがいしますおねがいします!頼れる人がいないんです!ベッドだなんて贅沢言いませんから!」

メリー「床は私と貞子で埋まってるの。二人でもきついのに三人とか無理なの」

貞子「敷布団も一つしかないですしね。二人で一つを共有してる状態です」

花子「おねがいします!男さんが望むなら私、トイレの花子さん(意味深)になってもいいですから!」

男「幼女に興奮する性癖じゃないので結構です」

花子「おねがいします!どんなプレイも受け入れますからぁ!」

男「だから都市伝説はすぐそうやって身体を売ろうとする」

メリー「生きるために必死なの」

貞子「外でホームレスしながら野垂れ死ぬよかマシですし」

花子「わたしなんでもやるからぁ!家にさえおいてくれたらどんな要求も飲みますからぁ!」

男「じゃあ出て行ってくれれば」

花子「やだぁ!死ぬのと出て行くのはやだぁ!もう死にたくないのぉ!」

貞子「男さん、死ぬのって辛いし苦しいんですよ。それを二回も体験させようとするなんてひどいと思いませんか?」

男「なるほど、ちなみに貞子さんがこの家で一番スペースとってるんだけど」

貞子「諦めてください花子さん。大丈夫、お墓参りはしてあげますよ」

花子「薄情者ぉ!」

メリー「だいたい、花子の見た目だったら孤児院にでも行けば保護してもらえるの」

貞子「それもそうですよね。よく考えれば人形のメリーちゃんや戸籍なし成人女性の私と違って受け入れ先があるじゃないですか」

花子「無理だよぉ!こどもたちって霊感強いから幽霊だってバレるのぉ!」

男「そうなのか?」

貞子「そうですね、人型は人間だという偏見を持ってないのでバレることはあると思います」

メリー「外で大人と一緒にいるのならまだいいけど、子供だけの集団に絡まれると本当にやっかいなの。あんなのと生活してらんないの」

男「その集団に勧めといて何を言うか」

メリー「自分が出て行くよかマシなの。生きていけるだけありがたいと思えなの。死んでるけど」

貞子「私、他人よりも自分のことのほうが大切なんです」

花子「うぇぇぇぇぇぇぇん!」

男「だから諦め――」

ドンッッッ!!!

男「うわっ、騒ぎ過ぎたか!隣部屋の人がキレてる!」

花子「うぇぇぇぇぇぇぇん!」

男「わかった、わかったから!ウチにいていいから!泣き止んでくれ!」

花子「ほ、ほんと?ほんとに?」

男「ああ、もういいよ。だからもう騒がないで」

花子「よがっだぁぁぁぁぁぁぁ!わらししななくてすむぅぅぅぅ!!!!うぇぇぇぇぇぇぇん!」

男「だから――」

ドンドンッッッッ!!!!

メリー「さっさと泣き止むの!じゃないとこの家を追い出されるの!」

貞子「ほらほら、花子さん?いったん落ち着きましょう?ね?とりあえず家を引き払ったりしないといけないんですからね?」

花子「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!よがっだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

男「ああー・・・・・・」

男(メリーさんが我が家を訪ねてきてから早半年ほど)

メリー「男ー、この荷物はどこに置くのー?」

男「それはそっちの端の方で」

男(花子さんが増えて狭くなった我が家は・・・・・)

貞子「よい、しょっと。冷蔵庫はこれでオッケーです」

男「ありがとう。じゃあ次は洗濯機を頼む」

貞子「任せてください!」

男(騒音で大家さんに怒られたのもあって引っ越しました)

花子「男ー!このダンボールはー?」

男「それは衣類が入ってるからその辺に放置でいい。さて、俺はベッドを運ぶか」

貞子「よい、しょっと」

プルルルルルル

メリー『もしもし、私メリーさん。今からベッドを持っていくの』フッ

メリー「持って来たの」

男「ありがとう。しかし、ワープ系の能力が引越しにここまで役立つとはな」

花子「私もまさか仕事以外でこんな使い方すると思ってなかったけどね」

メリー「私もスマホ二台持ちとか贅沢なこと言ってられなかったから使えなかったの」

貞子「私も買い物はネット通販で済ますがほとんどでしたので」

男「とりあえず荷物はこんなもんか」

花子「そうね。全部運び込んだはず」

メリー「男も思い切ったことしたの。12畳間のワンルームに引っ越すなんて」

男「まあ4人暮らしってなるとどうしてもな。折角だから自分の家ぐらい広々と使いたいし」

貞子「・・・・・・思ったんですが、さらっと3人養えるぐらいの財力はあるんですよね?」

花子「しかも急な引っ越しもできるし」

メリー「男って仕事なにやってるの?」

男「俺?製菓会社だよ。アザラシ製菓ってとこ」

メリー「・・・・・・えっ!?」

花子「だ、大企業じゃないですか!日本の氷菓子のシェア率70%とかいうあの会社ですよね!?」

貞子「世界中に支社と工場があるって言われてるあのアザラシ製菓ですか!?」

男「そうそう、そこそこ。あそこめちゃくちゃ待遇良くてさぁ、ホワイトすぎて逆にブラックって言われるぐらいに」

メリー「い、意外な一面なの・・・・・・じゃああんなに渋らずに養ってくれてよかったと思うの!」

花子「そうだそうだー!」

男「稼ぎ云々はともかくとしていきなりおしかけてきた自分を殺そうとしてるやつと一つ屋根の下で暮らしたいと思うか?」

貞子「至極まっとうな反論はやめていただきたいです」

メリー「言い返す余地もない反論されると黙るしかないの」

花子「びびってんのー?だっさー」

男「花子さんの寝室は風呂場ね」

花子「流石男!甲斐性がある!堅実!冷静で的確な判断力!」

メリー「見事なまでの手のひら返し」

貞子「仕方ないです。我々の手首はモーター付きですから」

メリー「それを自分で言うななの」

メリー「とりあえず私たちは養ってもらってる以上家主に従うしかないの。お小遣いまでもらってて本当にいいのかってちょっと思ってるの」

男「そう思うなら内職なりなんなりで自分で稼げばいいのに」

メリー「あんなちまちましたのやってられないの」

貞子「私は専業主婦ですから・・・・・・ね、あなた♡」

花子「わたしこどもだからないしょくとかわからない」

男「居候の癖して文句ばっかりつけやがって。あと貞子さんは勝手に主婦を名乗るな」

貞子「ダッチワイフと肉便器と嫁で完璧じゃないですか。ね?」

メリー「ダッチワイフってもしかしなくても私の事なの?てめぇぶっ殺してやるの」

花子「誰が肉便器だおら。表出ろ」

男「人形と死体と幼女には興奮しないっての」

貞子「なんでですか!脱げばいいんですか!?脱いでやろうじゃないですか!」

男「普段風呂上りを全裸でうろつく癖になに言ってるんだ」

メリー「一人暮らしの癖が抜けきれないの」

花子「まあ襲われてもそれはそれでね。優位になるし。責任取ってもらうし」

男「その気は全くないから安心してくれ」

貞子「安心とかそういう話じゃないんです!」

男(こうして新居に移動してさらに騒がしくなった我が家)

男(住所変更とか会社に提出するのだけはめんどくさい)

男(あと、女の子三人侍らせてるこの状況姉ちゃんに見られたらなんて言われるのやら。それも怖い)

男(・・・・・・どうか新居では穏やかに過ごせますように)

壁「・・・・・・」ジーッ

To be continued...?

元々メリーさんの出オチで終わる予定だったスレがなぜかここまで続きました。
キャラが増えると掛け合いが増えるので話がどうしても長くなってしまう。
冷静に考えたら何の準備も無しにさらっと3人養える男くんすごいなって思った。
2ヶ月ペースで入院してるのに何も言ってこない会社もすごいなって思った。
そうなるとホワイトな大企業勤めじゃないとこの話成り立たないなって思った。
ふと思ったけど洒落怖って都市伝説扱いして良いのかな?八尺様とかアケミちゃんとか。
「怪談として世間に広まっている」っていう点でみれば都市伝説の一種なんだろうけど。
くねくねとか性別的にはどっちで扱うべきか。そして下半身がないテケテケはヒロインたり得るのか。
真夜中にそんな感じで都市伝説系を調べてたら夜が恐くなってきました。メリーちゃんたすけて。

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