元ネタ
『進撃の巨人』
重大なネタバレ有り。
原作84話ないしTVシリーズ3期18話を知ってる人向け。
凄い短い。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1596201491
かつてウォールマリアを破壊し、人類の2割が失われる原因となった超大型巨人。
エレンとアルミンはその超大型巨人を倒すことに成功したが、その代償としてアルミンは全身に大火傷を負ってしまう。
一方、囮として獣の巨人に特攻を仕掛けたエルヴィンもまた、返り討ちに遭い重症を負った。
そしてリヴァイは人を巨人化させる注射を持っていた。
(1)巨人化する薬を注射することで人を無知性巨人に変えることが出来る。
(2)そして無知性巨人が知性巨人になれる人間を捕食するとその力が引き継がれる。
(1)と(2)の組み合わせで、普通の人間に知性巨人化の能力を持たせることが出来る。
特筆すべきはその過程において注射を打たれた人間が巨人化する際に、怪我が治ることである。手足を失うといった瀕死の重症を負った人間ですら欠損した箇所が再生されるのだ。
知性巨人になれる人間は確保している。
後は怪我人に注射を打てばその怪我を治せる。
問題は、助けたい人間が2人いるのに対し注射が1人分しか無いことであった。
そして注射をエルヴィンに使おうとしたリヴァイに対し、エレンは反駁した。
エレン 「兵長、黒人って知ってますか?」
エレン 「壁の外には黒人っていう褐色の肌をした人間がいて」
エレン 「とても運動神経がいいんです。足が速くて、ジャンプ力もあって」
エレン 「もし黒人が兵団にいれば、兵団はもっと成果を挙げてた筈です」
エレン 「でも、壁の中に黒人はいない」
エレン 「アルミンが言ってたんです。『壁の中に人間を避難させる時に、黒人は不当な差別を受けて壁の中に入れなかったんじゃないか。そんなのおかしい』って」
エレン 「『黒人の存在自体を初めから無かったことにするなんて間違っている』アルミンはそう言ったんです!」
エレン 「アルミンは戦うだけじゃない。夢を見ている!」
エレン 「『I Have a Dream』って」
リヴァイ 「黒人ってのは見たことも聞いたこともないが……褐色の肌って言ったよな?」
エレン 「はい」
リヴァイ 「じゃあ、そこで黒焦げになってるアルミンみたいな感じか?」
一同 (リヴァイ除く) シーン……
フロック 「悪魔だ……」
ジャン 「このレイシスト野郎!」
サシャ 「早よ謝らんかいっ!」
ハンジ 「レイシズムは無知と無理解から生まれる。よく分かるよ」
コニー 「俺より頭悪いんじゃないか?」
ミカサ 「最低。アッカーマンを名乗らないで欲しい」
アルミン (石○慎太○でもそこまで言わないよ、多分)
エレン 「駆逐してやる……!」
ミカサ 「エレン?」
エレン 「駆逐してやる……差別主義者を……」
アルミン (まずい、エレンが暴走しようとしてる)
アルミン (止めないと……)
アルミン (でも、全身火傷で身体が動かない……。叫ぶこともままならない)
アルミン (息をするのも苦しい……)
アルミン (!)
アルミン 「ア……ア………」
エレン 「どうしたアルミン!」
アルミン 「I can't breathe……」
エレン 「!」
エレン 「兵長、今の聞きましたか?」
リヴァイ 「?」
エレン 「『I can't breathe』……差別主義者に強引に取り押さえられた黒人が殺される間際に口にした言葉です」
エレン 「俺達は皆生まれた時から自由なのに、黒人は理不尽に差別を受け続けて最期には息をする自由すら奪われたんです」
エレン 「『I can't breathe』」
エレン 「この言葉を口にする人間を、俺達は絶対に見捨ててはならない!」
エレン 「Black Lives Matter!」
ミカサ 「Black Lives Matter!」
ハンジ 「Black Lives Matter!」
ジャン 「Black Lives Matter!」
コニー 「Black Lives Matter!」
サシャ 「Black Lives Matter!」
フロック 「Black Lives Matter!」
リヴァイ 「全員ここから離れろ! ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる!」
エレン、ミカサ、ハンジ、ジャン、コニー、サシャ、フロック、誰もが汚い物を見るような目でリヴァイに一瞥をくれた後、その場を離れた。
残ったのは瀕死のエルヴィンとアルミン、喰わせる予定のベルトルト、そして注射を持ったリヴァイである。
リヴァイ 「全くどいつもこいつも……ガキみたいに喚き散らしやがって」
リヴァイ (そもそもアルミンは黒人ってのじゃねえだろ)
悪態をつきながらリヴァイはエルヴィンの左手の袖を捲りその腕に注射を打とうとする。
突如、エルヴィンが左手を上げた。まるでリヴァイの手を払い除けるような動きだった。
リヴァイ 「エルヴィン!?」
出血多量で内臓も損傷しており、朦朧とした意識の中での反射的な動きと考えなければ説明がつかない。しかし一瞬ながらもその力強い動きは意思を感じさせるものであり、片手を挙げた後の姿はまるでこれから宣誓をするかのようだった。
そして本当に宣誓した。
エルヴィン 「宣誓……Black…… Lives…… Matter……」
リヴァイ 「……」
リヴァイは注射をアルミンに使った。
リヴァイはハンジと共に屋根の上に腰掛けていた。その傍らには既に事切れたエルヴィンが横たわっている。
蘇生と呼ぶべきか、再生と呼ぶべきか、全身の火傷が嘘のように消えたアルミンを囲んでエレン達は歓喜の涙を流していた。
リヴァイ 「ハンジ」
ハンジ 「何だい?」
リヴァイ 「お前はトランスジェンダーか?」
ハンジ 「懲りないなあ。確認してみる?」
リヴァイ 「そのうちな」
最後まで読んで頂きありがとうございました。
今回二番煎じでしたがこれで終わりです。三作目は書きません。
最初に書いたのはこれです。今回のより長めで内容も大分マシです。
駆逐イ級「Black Lives Matter」
駆逐イ級「Black Lives Matter」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1594467815/)
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