【ミリデレ越境】ウォーカーくん、キメセクでメスイキを仕込まれる (10)

※ミリデレ越境 戦慄のマッドドクター・一ノ瀬志希×名探偵ウォーカー・白石紬
※ウォーカーくんがクスリを盛られてメスイキ搾精されるお話です。


※一ノ瀬志希
https://i.imgur.com/RGAOeOh.jpg


※ウォーカーくん(白石紬)
https://i.imgur.com/EXZpagL.png




親愛なるリリー警部へ。

この手紙をあなたが読んでいるということは、
僕はまだ行方知れずということになっているのでしょう。

ゆえあって、この手紙にも居場所を書くことはできません。
ただ、消息を絶つに至った経緯を記すのみです。



そして先に記しておかねばなりません――
この手紙には、僕が受けた肉体の悪魔的冒涜についての体験が記されています。

あなたの精神をいたずらにかき乱そうとして、
このような汚辱を書き残すのでは、もちろんありません。
筆致は抑えたつもりです。

ただこれが、僕が姿をくらまさなければならなかった――あなたの前からでさえ――理由と不可分であること。

かつ、僕のほうに、
それを「主観的な記憶ではなく、記録として客観化する」必要があった、という事情がありました。

それだけ、僕の神経系に残された傷が深かった、ということは認めねばなりません。
自分ひとりの胸にしまっておくことも、できないぐらいに。






あなたはシキ・イチノセ教授という、
風変わりな名を聞いたことがあるでしょうか?

おそらくないでしょう――それが彼女の、マッドドクターともいうべき狂気の天才性を示しています。
この霧の帝都を、指先一つで混乱に陥れるほどの影響力を持っているにもかかわらず!
それらが彼女を、犯罪史上空前の地位に至らしめています。

彼女からこの帝都を解放するまでは、僕は安楽椅子に腰を下ろしてなどいられません。



彼女の経歴は驚くべきものです。
科学者の父をもち、彼女自身も18歳になるころには、既に薬学についての論文をものし、
アメリカとヨーロッパで大評判となっていました。未来を嘱望された科学者であったのです。

しかし、彼女は極端に悪魔的な精神に向かう傾向を持っていたようです。
その血管には犯罪の資質が流れていて、科学を始めとした知見によってそれが抑えられるどころか、
逆に増強され危険の度合いを深めることとなってしまったのです。

研究室のある黄金の林檎の街で、彼女に黒い噂が流れるようになり、
この霧の都までやってきて、軍人相手の教師として開業しました。
ここまでは一般に知られている情報です。



しかしこれから話すのは、僕が自分で調べ上げた事実です。

この霧の都にある犯罪の巷を這いずり回り続けた結果、
僕は犯罪の後ろにずっと何かの力がはたらいていることに気付きました。

何か闇の組織が警察を妨害し、無数の詐欺師や殺人犯を保護していました。
何年間も、僕はその正体を暴こうと努力してきました。

そして遂に糸口をつかみ、その糸を追っていき、
ついに僕はシキ教授の名前へたどり着きました。

この大都市で起こった悪事の半分は、彼女が黒幕です。
彼女は天才的な犯罪の仕組みを作り上げました。

彼女は巣の中心の蜘蛛のようにじっと座っています。
その巣には無数の放射状の糸があり、一本一本の振動をすべて把握しています。

略奪するべき財貨、取り除くべき人間――そういう情報が、糸を通じて教授の元に届き、
それを教授は脚の一本で糸を震わせ、代理人を使役して組織的に実行させます。
警察は代理人を捕まえるかもしれませんが、そういう場合には保釈か弁護の金が出てきます。

これらの代理人を使う中央の権力は――疑いすらもかけられないままです。



しかし僕は、何年にも渡る捜査を続け――彼女がそれに気づかぬわけもなく、
度重なる妨害も受けましたしたが――ごく小さな彼女の過失から、
彼女一味を追い詰め一網打尽にする手はずを整えました。

そしてそれが完遂しようという前の晩。
僕が自宅で最後の確認を行って就寝する寸前――部屋のドアが叩かれました。
立っていたのは、シキ教授その人でした。




彼女の容貌を、僕はよく知っていました。
赤紫がかった黒髪は、左右に腰まで長くウェーブを描いて折り重なっており、
奇妙につややかで、ゴルゴーンを思わせました。

目はトカゲやカエルのごとく丸く、瞳孔も大きく、
ぐりぐりと無遠慮に忙しげに僕の姿を映していました。

「キミは」

彼女は大ぶりの、わずかに兎唇ぎみの口を開きました。

「いちいちあげたりしないけど、ここ数年、ずいぶんあたしに迷惑をかけてくれたね」

声は糖蜜のように甘く糸を引いていました。

「あなたに恨みはありませんけどね」と僕は返しました。

「そう? キミは復讐者のように執拗だったけど……数学者のように緻密でもあったね」
「犯罪への嫌悪と、真実への意思が、僕を探偵として突き動かすのみです」

「真実への意思?」
「真実への意思――わかりませんか? あなたも、科学者だったと聞いていますが」
「ああ、なるほど。大成はしなかったけれど」

探偵と、犯罪組織の長との会見は、おうおうにして、奇妙に親しげとなるのかもしれません。

「僕が言いたいことは、シキ教授、あなたの心に浮かんでいるはずです」
「どうかな? 実験には追試験が必要だよ」
「そうですね――『止める気はないのかな?』――ありません」

僕は彼女に宣言しました。

「あなたとの攻防で、正直、これ以上無いほど多くの知的な歓びを味わえました。
 しかし明日、それも終わり――あなたを止めます。ライヘンバッハの滝に突き落としてでも」
「けれどキミは、バリツでも使って自分だけ窮地から逃れる気かな――さて、あたしの懐には――」

僕は――あらん限りの速さで――引き出しから拳銃を取り出し撃鉄を上げました。

「――動くな!」

僕が銃口を突きつけた瞬間、彼女は両手を水平に芝居がかって広げていました。
右手には、香水瓶一つ。

「動けば撃つ」
「脅しはお止し、キミは撃てない」
「なぜです」
「キミの――美しき、真実への意思ゆえ」

シキ教授はまったく臆さぬ様子で僕へゆったりと歩み寄りました。

「キミが撃てない――ゆえに、あたしはここへ来させられた。
 キミが撃てない――ゆえに、あたしは来たくなった。まったくキミは期待通りだ!」
「ならば教授、僕の期待にも応えていただきましょう――いさぎよく法の裁きを受けなさい」

彼女の言う通り、僕は撃てませんでした。

彼女をこんな私刑の銃弾で傷つけてしまえば、それはそのまま、
僕が彼女を追い詰めるべく組み立てた真理への証明の傷となるのです。

「あたし――科学をやってた頃は、香水を研究してたんだー。
 香水は、今世紀末をもって、あの封建的な職人組合の専制から解き放たれた――香水はお好きかな?」
「いいえ――命知らずもほどほどに、シキ教授」

彼女はさらに僕に近寄り――僕は彼女の頭に銃口を向け――ついに、
彼女の額と銃口が触れ合うかどうかまで近づきます。

思えば、それが僕のもっとも致命的な間違いでした。
撃てば確実に殺してしまう銃口の向け方をした――僕は彼女を殺せないのに、です。

「あたしに最初にたどり着いたキミに、あたしから最初のプレゼントを贈ろう」

目――鼻腔――肺腑――粘膜をつんざく甘さ。
それを最後に、僕の意識は途切れました。





目が覚めると、僕は四肢を拘束されてベッドに寝かされていました。
周りを観察しても、薄暗い中に重たげな布が天蓋から垂らされていて、
そこはまるで小さな密室のようでした。

手足を可動範囲の限りに――それはとても脱出には頼りない範囲でしたが――動かしても、
おそらくそれがかなり弾力性に富む上等な寝台であることしかわかりませんでした。
展翅された蝶はこのような気分なのでしょうか。

あたりは、少し焦げ臭い匂いが漂っていました。
しかし火の気や煙さは鼻腔で拾えず――おそらく、焚き火を模した香水が振りまかれているとあたりをつけました。



「やぁ、お目覚めだね? 囚われの王子様♪」

そこで声をかけてきたのは、シキ教授――彼女が布をたくし上げて姿を見せると、
彼女は科学実験用の白衣一枚を羽織っただけで、ほかは一糸まとわぬ姿でした。

「なっ――なんの趣向です。売春婦の、マネですか」
「にゃはは、手厳しい」

奇妙な笑い声とともに、彼女は野良猫が餌をねだるように、僕に体を擦り寄せて来ました。
その肌や粘膜は、感冒でも患ったように熱っぽく、瞳孔は開き気味で、彼女はほのかな興奮状態にあるようでした。

「僕を、殺すつもりですか」

おそらく否定される、と思いながら聞きました。
本当に僕の命を絶つつもりなら、僕が意識を失っている間に事を済ませればよかったのです。
また僕の調べていた限りでは、彼女は無用な拷問をしたことがありませんでした。

「とんでもない。父なし子は、産みたくないからね」
「……父なし子……?」

僕は当惑を隠せませんでした。
僕は彼女とそのような行為に及んだことは、当然ながらありません。
なにせ、顔を合わせたのも昨夜――僕が眠っていたのが一晩であるとすれば――が初めてだったのです。

「真実への執念……それを欠いたがゆえに、あたしは、ギフテッドとまで呼ばれながら、
 科学者として大成できずに、気づけば犯罪集団の首領としてくすぶっている」

彼女の犯罪は、金や名誉のためではなかった――だから、彼女はずっと隠れていられたのでしょう。
おそらく動機は退屈しのぎで、だから彼女はどこまでいっても生きている限り犯罪を重ねてしまうのでしょう。

「……それは、霧の都にとって大層な不幸ですね」

彼女は僕の言葉で笑いましたが、僕は冗談のつもりではありませんでした。

「だから、真実への執念を持ち続けるキミが、にくい……うらやましい……っ」

彼女は、僕の首に両手をかけてきました。
生まれて初めて、死を覚悟しました――ただ、彼女を止められない無念さで、
体が手足の先から急激に冷えていって、抵抗する気力も湧きませんでした。



「だけどさ」

彼女は、頬と頬が触れ合いそうなほど顔を寄せて、僕に囁きかけてきます。

「もし、あたしの知性と、キミの執念とを、もち合わせた子供が、作れれば……」

彼女の囁きは、僕の無念を驚愕で塗り替えました。

「おっしゃる意味がよくわからないのですが。シキ教授」
「いいや、わかるはずだウォーカーくん……あたしの考えていることが」
「……正気ですか?」

僕は、マッドドクターにとぼけた質問を返してしまいました。
彼女は無言で笑みを浮かべてきました。





「あなたは、犯罪を重ねて市民的権利を侵害することに飽き足らず……
 とうとう、生まれる前の人間から基本的権利を剥奪しようというのですか」

ふざけた話でした。
たとえシキ教授の子供であろうと、シキ教授の勝手な目的を押し付けることは許されません。

「しかし、これを裁く法はないよ」
「人道というものをご存じないのですか」
「あたしはあなたの唇に口付けをするよ――もっとも、首を刎ねたりはしないけど!」

オスカー・ワイルドの『サロメ』のマネをして、シキ教授は接吻を迫ってきました。
僕は抵抗しませんでした。口蓋に舌を差し入れられるがままにしました。
彼女の舌と唾液は奇妙に甘く――おそらく何かの薬品が塗り込まれていたのでしょう。

「ウォーカーくん、ここでは諦めがいいんだね?」
「……無駄なことはしない主義です」
「おーおー、やっぱりあたしと気が合う」

彼女は悪い冗談を飛ばしてきました。

「あなたと僕が子供をもうけることに、意味があるとは思えませんが」
「失敗を恐れては、実験は覚束ないよ」
「人の命をなんだと思ってるのですか?」

またしても愚問をぶつけてしまいました。
もし彼女が嘘をついていないとすれば、彼女は僕の精子を入手して、それを用いて妊娠するつもりです。
彼女の体もかなりのリスクを負うことになります。

「もちろん、今までの犯罪のようなただの暇つぶしじゃないから……
 子育て、という肉体的かつ知的な営為のために、これは妥当なリスクと考えているよ」

彼女は接吻を繰り返しつつ、
ふくよかな胸と、下腹部と、太腿とを僕の体にしきりにこすりつけ、
サキュバスのように誘惑を重ねてきました。

なかでも接吻は気に入ったのか、徐々にエスカレートしていき、
僕の歯列をこじ開け、唾液を注ぎ込み、
僕はまるで頭蓋骨まで舌で舐められている――と錯覚するほど深くまで、彼女の侵入を許してしまいました。

彼女との触れ合いは、僕にとって肉体的な快楽を伴っていました。
それが僕の屈辱を煽りました。また螺旋のように、屈辱が快楽を煽りました。
僕はある種の精神倒錯の奈落へ引きずり込まれていったのです。



「ぷは……っ♪ はぁ、あっ……キミも、強情、だね……♪」

強いて反応を抑え続けていると、シキ教授は慈母のように僕を優しげな目つきで見下ろしてきます。
気の早い母性の発露でしょうか。

「……でも、カラダは……あたしを孕ませたい、って言ってるよ……?」

そうして彼女は、僕のペニスに自分の陰部を軽く擦り付けました。

「今ならまだ間に合います――狂気の沙汰はおよしなさい」

僕にできることは、彼女を言葉で制止することだけでした。

「あなたは、人間をエンドウ豆やサラブレッドのように繁殖させようとしているのですか?
 人間がそんな単純に形成されるものではない、というのは、あなたもおわかりでしょう」
「環境優位説と成熟優位説について論争――キミとなら面白そうだけど、それはあとにしようよ。
 それより、どうせ科学的な知見をぶつけ合うなら……こっちにしてみない?」

そうして彼女は、あろうことか僕の菊座に指をかけてきたのです。




「あたしはね……娼婦じゃないから、おちんちんの扱いはわからないや。
 そのかわり、解剖学なら、薬学のついでにかじってたから、そちらで責めさせてもらうよ?」

シキ教授は、挑発――あるいは、その確信に満ちた笑みは処刑宣告にも見えました――のように、
中指をゆったりと曲げ伸ばししつつ、彼女の声と同じぐらいどろりとした糖蜜状の薬品を指に絡ませ、
僕の肛門にずぶずぶと挿入してきました。

肛門の粘膜から焼け付くような刺激が走り、僕は不随意に括約筋を締めてしまいます。

「このようすだと、ウォーカーくんは、ソドミーのケはなかったみたいだね。
 だいじょーぶ……じーっくり、トロトロの気持ちよくなれるアナに仕上げてあげる……♪」

僕は、肛門を弄ばれる屈辱感と、粘膜から広がる異常な刺激に、声を噛み殺すだけでせいいっぱいでした。

「サムソンの髪を刈り取るように、キミの理性をじょりじょり刈り取ってあげる」

入ってきたかと思ったら、ゆっくりと出ていき、執拗に往復し、
そのたびに異常な感覚は燃え広がっていって、僕を追い詰めていきました。

「この奥には、前立腺があるね……♪ ウォーカーくん、キミ、射精はするのかな?」
「……なぜそんなことを教えなければならないのです」
「もし不能だったら、シキ教授謹製のおクスリでなんとか――」
「しゃ、射精ぐらいできますっ!」

無様な告白は僕自身の心に深くぎざぎざに突き刺さりました。
これ以上シキ教授の怪しいクスリを摂取することへの嫌悪――それと引き換えにするにしても、痛々しく響きました。

「この奥をコリコリってやると、そりゃーもう病みつきになるんだって……オンナのあたしには想像できないや。
 ……あれれ、おちんちん――つれない割に――おっきくなってる……想像だけでも、興奮しちゃった?」
「くっ……」

このような勃起は、必然的な生理現象ではあります――ではありますが、
それを利用されてしまった時点で、僕はシキ教授に対する敗北感に打ちのめされます。

「おちんちんすごくおっきくなってる……嬉しいっ♪ もっと気持ち良くしてあげるから」

そう言うと、彼女はもう片方の手でゆっくりとペニスを包み込み、
先走りを鈴口から徐々に塗り伸ばしていきました。

かつてない肉辱の響き、狂おしい神経の撹乱に、僕はうめき声を漏らしてしまい、
それが彼女の嗜虐精神の拍車をかけてしまって、恐るべき感覚は僕を占領していきました。

「気持ちよさそうな顔に、声に、匂い……♪
 ああ、ウォーカーくんっ、あれほどあたしに執着した知性の持ち主であるキミが、
 こんな冒涜的な手管で蹂躙されてるなんて!」

彼女はまるで舞台女優のように、空々しいほど克明に僕や彼女自身の反応を歌い上げています。

「もっと見せて、聞かせて、嗅がせて……」

彼女が手を早める。もっと奥――しこりはじめた前立腺を当てられたか、
僕は洪水のような性的興奮に翻弄され、あえなく射精してしまう。

「……あ! もったいない! あたしの、せーしっ!」
「き――キミのじゃ、ないっ……! ぐうぅううっ……うぁああああぁぅあっ……!」

精液が尿道をどうと溢れ出し、大量の白濁となって、シキ教授の髪や肌を汚しました。
僕の汚濁を浴びて、彼女は怒るどころか恍惚として、目や頬を緩ませています。

僕は心臓と肺腑まで肉辱に呑まれ、喘ぎ喘ぎ抗議することしかできませんでした。




「キミのアナ、すっかりトロトロになってきたね……♪
 あたしがもしオトコだったら、入れられるのになぁ。
 まぁ、そしたら代わりに子供が産めなくなるけど」

シキ教授は、体に張り付いた僕の精液を興味深げに、
オモチャでも弄ぶように嗅いだり舐めたりしていました。

「あたしは今、オンナに生まれた大いなる歓びに、感動しているよ!」

僕からは、反論する気力が失われつつありました。

100万の人が渦巻く霧の都――それをまたにかける犯罪組織にも屈しなかった僕が、
その首領であるただの一人のオンナと、一騎打ちでもろくも膝をつこうとしていました。

そうすれば、楽になる――なってしまう、探偵としての、男としての、すべての矜持と引き換えに。

いや、もう彼女は、僕の膝を折りにかかっていました。



そこからの淫行は、僕と彼女を神がご覧じていたら、百回は塩の柱にされるであろう所業でした。
そのすべてをあなたに知らせるのは、忍びないことです。

それでも僕は最後の一線を守っていました。彼女と僕の間に、一つの葛藤がありました。
すなわち彼女は、僕の意思でもって、僕の男性器を彼女の膣内に挿入し、射精させようとしていたのです。

彼女は繰り返し肛門壁や前立腺を責め立て、僕に膣内射精を強要しました。
僕は神経の惑乱がついに顔や脳にまで達し、白痴のように唸り声や涎を垂らし、
それを彼女は言葉で煽り、さんざ弄んで、

ついに僕の尊厳は踏みにじられました。



彼女は、精魂尽き果てた僕を解放し、
「子育てのために悪党を引退するにゃ♪」と勝手に言い残して去っていきました。

僕は彼女の行方を探しています。

その理由として挙げられるものは、

――彼女を、しかるべき裁きの場へ送り込むべきだ、という遵法精神か。
――もし子供ができていたとしたら、父親として、とても彼女だけに任せておけないという人道精神か。
――あるいはそれらを言い訳として、僕が、あの肉体の悪魔的冒涜を求めて堕落しまっているのか。

包み隠さず言えば、再び彼女に会うまでは、それらのうちどれかと断定できません。
僕は、その心身の不甲斐なさを恥じるほかありません。


(おしまい)

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