奈緒「晶葉がタブレット見つめてる」 (8)

独自の設定となっております。
短いです。


だいぶ前ですが続きものです。

奈緒「晶葉がぼんやりしてる」
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奈緒「晶葉がコーヒー飲んでる」
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奈緒「晶葉がシャーペン片手に悩んでる」
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奈緒「晶葉が本とにらめっこしてる」
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奈緒「晶葉がポニーテールにしてる」
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よろしくお願いします。

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奈緒「どうしたんだ、そんな真剣な顔で。調べものか?」

晶葉「ああ、奈緒さん。ちょっと動画サイトで参考資料をね」

奈緒「参考資料?」

晶葉「MVとかPVとかそういったものだよ。あらためて観てみるとどれもなかなかどうしてよくできている」

奈緒「お、もしかしてあたしは喜んでいいやつか? そういうの参考にするってことはさ」

晶葉「出来がいいものと接したらやる気が出るのは自然じゃないか」

奈緒「なあ晶葉、あたしはいま猛烈に感動しているぞ」

晶葉「奈緒さんの中で私はそんなにアイドルをしてるイメージがないのかな」

奈緒「いやほら、実際にはきちんと活動してるけど日常を知ってると、な」

晶葉「ちょくちょく発明したりイタズラで怒られてるくらいだろう」

奈緒「そこにアイドル要素はないって話だからな。あとそっちのイメージが強すぎる」

晶葉「まあそれはそれとしてだ、奈緒さんもこういう動画は観たりするのか?」

奈緒「けっこう観るかな、晶葉の言うように参考になるし」

晶葉「ふむ、本格的にプロデュース業にも手を出してる人が言うと重みが違う」

奈緒「いやこういうのって撮る側じゃなくて撮られる側としても勉強になるんだよ」

晶葉「なるほど」

奈緒「それにいろんな音楽に触れておくのも大切だろ。楽しいのを差し置いても時間を割く価値はあると思うぞ」

晶葉「たまに驚くほど意識の高いところ見せてくるよな、奈緒さんは」

奈緒「別にそういうのじゃねえから」

晶葉「そういうのだろう。とくに見栄を張ろうとせずにそのセリフがすっと出てくるんだから」

奈緒「あーもうそれはいいから、晶葉はなにか身になるものあったか?」

晶葉「うむ、やはりこういったものの撮影にはプロの手が必要だということがわかったよ」

奈緒「そりゃまあそうだけどさ、え、まさか自主的に撮影しようとか考えてたのか?」

晶葉「可能であれば、だがね」


奈緒「それは普通にプロデューサーさん通して頼めばいいんじゃないか」

晶葉「いや実はちょっと大きめのプロジェクトを企画していてね」

奈緒「……もしやとは思うけど?」

晶葉「お察しのとおりイタズラ組だ」

奈緒「はあ、わかった。聞こう」

晶葉「先に着地点を言ってしまえば、某有名動画サイトでチャンネル開設をしようかと考えているんだ」

奈緒「是非はまだ置いといて、なんでまた急に」

晶葉「我々イタズラ組は世界征服を目論む悪の組織だからな、その関係だよ」

奈緒「そういえばあったなそんな設定」

晶葉「まあ悪の組織としての活動にも先立つものは必要だということで目をつけたのが動画サイトというわけだ」

奈緒「そこはアイドルとしての人気で世界征服、とかにしておこう、な?」

晶葉「ああいや、わかりづらいんだがプライベートのほうのイタズラ組の活動なんだ」

奈緒「本当に社内でイタズラしてるほうの?」

晶葉「そっちそっち」

奈緒「あいさんと亜希さんが加わってんのホント信じらんねえよ」

晶葉「正直言って二人が当たり前のように一員として活動してる理由は麗奈もほたるもわかってないぞ」

奈緒「こう言っちゃなんだけど二人ともプロデューサーさんと話し合ったほうがいいような」

晶葉「話を戻そう。ま、まとめてしまえばそのチャンネル収益を活動資金に回していこうということなんだがね」

奈緒「にしても突然な感じがあるな、何があったんだ?」

晶葉「さすがは我らが黒幕の奈緒さんだな、たしかに収益とかそういうのは副次的なものでしかない」

奈緒「その扱いはやめなさい」


晶葉「このあいだ新曲の発表があったろう、うちのレーベルから」

奈緒「ああ、“THE VILLAIN'S NIGHT” か。いい曲だよな、あたしあれ好きだぜ」

晶葉「私もコンセプティブで実によくできていると思う」

奈緒「あれがどうかしたのか」

晶葉「うちのリーダーがご立腹なんだ。“ヴィランならアタシたちでしょーがッ!” ってね」

奈緒「麗奈ァ……」

晶葉「いったん麗奈の意見を無視しても、あのMVはかわいいし踊ってみたいのは私とほたるも一致したんだ」

奈緒「なるほど」

晶葉「さてそうなるといくつか問題が出てきた」

奈緒「そりゃそうだ、あの曲はそもそもイタズラ組のもんじゃないし」

晶葉「ユニットとしての我々は三人しかいない」

奈緒「それでその解決策は?」

晶葉「それならいっそそういう企画として押し通してしまおう、という話になってね」

奈緒「規模」

晶葉「自分たちのチャンネルでMVを撮ってみた、みたいな感じにすれば摩擦も起きにくいだろうし」

奈緒「あれ意外と計算高い」

晶葉「それにレーベルは同じだから許可も取りやすいという読みもある」

奈緒「13、14歳の考えることじゃないぞそれ」

晶葉「あとはプライベートイタズラ組の企画ということにしてしまえばあいも亜希も巻き込める。人数問題も解決だ」

奈緒「……あれ、でもバランスいいな構成的に」

晶葉「じゃあせっかくなら収益化を狙ってもよくないか、という流れが出来上がった」

奈緒「テンポがよろしい」

晶葉「そういうわけで動画を見漁っていたんだ」

奈緒「あー、それで撮影にはプロの手がいるみたいなこと言ってたんだな」


晶葉「まったく。こう考えるとスタッフの方々に頭が上がらない」

奈緒「道筋あれだけどそういう感謝は大事だな」

晶葉「とりあえず自力での撮影、編集もか、無理とわかったのは収穫だね」

奈緒「待て。つまり専門会社に依頼するのか? 元手の資金がないだろ」

晶葉「そこは問題ないぞ」

奈緒「へ?」

晶葉「もともとユニットとしてのイタズラ組の給料は四等分で、余った一人分がプールされるようになってるんだ」

奈緒「もしかしてそれって」

晶葉「言わずもがな、活動資金さ」

奈緒「マジかよ」

晶葉「マジも何も我々はプライベートでの発足が先じゃないか」

奈緒「そういやそうだった」

晶葉「というわけで最初に動くための資金はそこから捻出することになっている」

奈緒「はあ、大したもんだ。それで、そのチャンネルではMV投稿を中心にやってくわけだ」

晶葉「そのあたりはもう少し詰めていく必要があるが、そうはならないだろう」

奈緒「あれ、そうなんだ」

晶葉「たとえば週に一回とかの頻度でイタズラ組の誰かが配信や動画を投稿するのが基本線になるイメージだろうか」

奈緒「いやまあふつうに面白そうだけども」

晶葉「あいも亜希にも入ってもらう予定だし飽きさせない作りに関しては心配していないぞ」

奈緒「ああ、うん、コラボとか考えても広がるな、アリだ」

晶葉「さっき言ったMV、やるなら力を入れていきたいからメンバー限定動画でやろうと考えているんだが奈緒さんはどう思う?」

奈緒「売り方がガチすぎやしないか」

晶葉「麗奈発案なんだが」

奈緒「あいつホント何やってもうまくいくと思うよ」

晶葉「じゃあ、奈緒さん的にも高評価、と」


奈緒「で、活動開始はいつごろになりそうなんだ?」

晶葉「いま麗奈が部長に話を通しにいってるからそれ次第だが」

奈緒「早えよ! え、あいつ一人で部長相手に売り込んでんの!?」

晶葉「あいもいるぞ?」

奈緒「いやそりゃ安心だけども!」

晶葉「というか奈緒さんだってわりと企画会議出てるじゃないか」

奈緒「あたしはいいんだよ、なんか逆らえない流れがあったんだよ」

晶葉「奈緒さんときおり目が濁るよな」

奈緒「うん」

晶葉「まあとにかく、うまくいけば近日中に “THE VILLAIN'S NIGHT” の我々バージョンとともにチャンネル開設かな」

奈緒「お、それだけは一般公開するのか」

晶葉「もちろん。とっかかりの役割があるからね」

奈緒「まあ身内びいきもあるけど、成功すると思うわ。頑張れよ」

晶葉「はっはっは、奈緒さんにそう言われたら俄然自信が湧いてくるな、もっと楽しみになってきた」

奈緒「ん、じゃそろそろ行こうかな」

晶葉「あ、待ってくれ奈緒さん、ひとつ頼みがあるんだが」

奈緒「おう、なんだ?」

晶葉「チャンネルの紹介欄のところに黒幕って入れていいかい?」

奈緒「だめ」

おしまい。

実際センターレイナサマがハマり役だと思いました。

読んでくださった方、ありがとうございました。
また何か思いついたら書くと思います。

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