咲「酷いよ、お姉ちゃん。プライバシーの侵害だよ」

照「ふむふむ、なるほど。そういうこと」

咲「・・・ううー」

照「だけど、咲。大丈夫。私も協力するから」ニコッ

咲「えっ、本当に協力してくれるの！？」

照「お姉ちゃんに任せなさい」ふんす

咲「うん、じゃあ、お姉ちゃん。まずは照魔鏡を使って私の中を覗くのは止めて」

照「それは約束できな」

咲「お、ね、え、ちゃ、ん？」

照「わ、わかった。善処する」

照「それで私は何をすればいいの？」

咲「えーっ、照魔鏡を使って覗いたから全部わかってるんじゃないの？」

照「照魔鏡は万能のモノじゃない。見えたのは宮永姉妹が仲良くすることで雀力が著しく上昇するという情報だけ」

咲（それだけなんだ・・・）

咲「うーん、それじゃあお姉ちゃんには・・・」

咲（ちょっと無理難題を言っーーー）

照「咲、遠慮しないでいい。強くなれるなら私は何でもする覚悟がある」

咲「ん？ 今何でもするって言ったよね」

咲「うん、わかったよ、お姉ちゃん。そこまでの覚悟があるなら遠慮なんかせずに言うね」

照「どーんとお姉ちゃんに言ってみなさ」

咲「新婚さんごっこでお姉ちゃんともっともっともっーと仲良くなりたいな」

照「・・・え？」

照「こ、この歳でおままごとは流石に恥ずかしいんだけど」

咲「ただのおままごとじゃないよ、お姉ちゃん。より現実味を追及した大人のおままごとだよ」

照「・・・大人のおままごと？」

咲「実際にお姉ちゃんが新婦さん、私が新郎さん役で日常を生活してみるの。それこそが真のリアルおままごと。子供の遊戯なんかと一緒にしちゃダメだよ、お姉ちゃん」

照「でも、なんで私が新婦さん役なの？ 年齢的にも、スキル的にも、か、体つき的にも咲のほうが・・・女の子っぽい」ズーン

咲（かわいい）

咲「それでも別に良いんだけど、私は見てみたいの」

照「？」

咲「お姉ちゃんの裸エプロン」

照「しないよ」

咲「えーっ、さっき何でもするって言ったよね」

照「それは単なる言葉の綾みたいなもの」

咲「お姉ちゃん、嘘はいけないんだよ？」

照「・・・」ぷいっ

咲「はぁ、仕方ないなぁ。わかったよ、お姉ちゃん。ここは私が大人になるよ」

照「むっ」カチン

咲「エプロンの下に水着つけていいよ。あ、先に言っておくけど、これ以上の譲歩はないからね」

照「・・・わかった。それでいいよ」

咲「それじゃあ、そろそろ始めよう。期限は今から始めて来週の今日までね」

照「わかった。絶対に負けないから」

咲（何の勝負なの？）

翌朝。

咲「すぅ・・・すぅ・・・」

照「咲、起きて」ゆさゆさ

咲「んー、むにゃむにゃ、後5分」

照「お、起きないと・・・キスするよ？///」

咲「是非！」がばっ

照「あ、起きた」

咲「あ、あれ、夢？」

照「多分、夢だよ」

咲「・・・」

咲「ね、ねぇ、お姉ちゃ」

照「嫌」

咲（まだ何も言ってないんだけど）

ここまでです

照「どうせおはようのキスとか言うんでしょ？」

咲「そんなこと言うわけないよ、お姉ちゃん」

照「そうなの？」

咲「うん、ただ、ちょっとお姉ちゃんと裸で体を重ね合わるだけだよ！」

照「余計タチが悪い」

咲「お姉ちゃんはネコだよね？」

照「えっ」

咲「えっ」

咲「それはそうとお姉ちゃん」

照「なに？」

咲「なんで裸エプロンじゃないの？」

照「そんな恥ずかしいことするわけないでしょ？」

照「はい、咲。ベーコンエッグとトースト」

咲「お姉ちゃん、料理できるようになったんだ。てっきり黒焦げの卵焼きでも出てくるのかと思ったよ」

照「流石にそれはない」

咲（その時、私は見逃さなかった。キッチンに散乱する無数の黒い塊を・・・）

咲「モキュモキュ・・・ごっくん。そういえば、お姉ちゃん。いつまで長野に居られるの？」

照「さぁ」

咲「そんな曖昧な。それとお姉ちゃん」

照「なに？」

咲「なんでこのベーコンエッグは甘いの？」

照「卵焼きは普通甘いものだよね？」

咲「えぇー・・・」

照「咲、そろそろ時間だけど、そんなにゆっくりとしていていいの？」

咲「えっ、あっ！ もうこんな時間？ そろそろ部活行かないと」

照「咲、はいこれ」

咲「お姉ちゃん、なにそれ」

照「ネクタイ」

咲「・・・」

照「うんしょ・・・おいしょ」

咲「お、お姉ちゃん。ネクタイなんていらな」

照「動かないで、咲。えっと、ここをこうして、えっと次は」

咲（一生懸命なお姉ちゃん可愛いけど、流石にネクタイ付けて学校に行くのは恥ずかしいよ）




その頃

灼「くしゅん！ 誰か噂してるのかな？」

咲「じゃ、お姉ちゃん。行ってきます」

照「いってらっしゃい、咲」

咲「・・・」

照「どうしたの、咲」

咲「いってらっしゃいのキスは？」

照「ない」

ここまでです

通学路。

咲「和ちゃん、おはよう」

和「咲さん、おはようございま……」

和「えっと、咲さん？ なんでネクタイなんか付けて」

咲「うーん、気分かな」