【モバマス】アンダーザデスク×フォーチュン・ドリーマーズでシンデレラ (35)

昔々、あるところにシンデレラという少女がおりました。

少女は優しい母と頼もしい父に囲まれて幸せに暮らしていました。

しかし、ある時少女の母は病気で亡くなってしまいました。

幼いままに母を亡くしてしまった少女を悲しませないためにも新しい母親が必要だと思い、父親は再婚をすることにしました。

そして、シンデレラには新しい母親と姉ができました。

しばらくは幸せに暮らしていたのですが、父親も病気で亡くなってしまうと継母は本性をあらわしました。

大きな声で叫ぶようになり、シンデレラは植物以下の扱いをさせられるようになってしまいました……

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輝子「――ラ」

朋「すー……」

輝子「――デレラ」

朋「すー……」

輝子「――おい、シンデレラァッ!」

朋「ひゃっ!?」

朋「わっ、な、なに……!?」

輝子「フヒ……や、やっと起きた」

朋「あ……お母さん」

朋「おはよー」

輝子「おう、おはよう……」

輝子「今日も姉の世話を頼むぞ」

朋「はーい」

輝子「じゃあ、私はご飯を作るから……」

朋「ん」

輝子「フヒ……今日の朝飯は何キノコ~……♪」

朋「……ふぅ」

朋「さて、お姉ちゃんのお世話にいかなきゃ」

朋「お姉ちゃーん」

エリンギ「オハヨー、シンデレラ!」

ナメコ「キョウモイイテンキダネ!」

朋「今日もお世話しに来たわよー」

エリンギ「アリガトー!」

ナメコ「サスガトモ!」

エリンギ「サストモ!」

ナメコ「サストモ!」

朋「……」

朋「……姉がキノコって意味わかんないわよね」

輝子「おいシンデレラァッ!」

朋「きゃっ!?」

朋「お母さん……い、いつからそこに……!?」

輝子「ちょうど今だ!」

輝子「お前姉に向かって何てこと言うんだぁ!」

輝子「意味わかんないとか……姉が泣いてるぞォ!」

エリンギ「カナシイ!」

ナメコ「ヒドイ!」

輝子「ほらな!」

朋「う、うん……ごめん」

朋「……ごめんなさい」

エリンギ「ユルス!」

ナメコ「ユルシテヤル!」

輝子「フン、姉たちに感謝しなァ!」

朋「う、うん……」

輝子「……じゃ、じゃあ、そんな感じで……」

輝子「朝ごはん、できたぞ……今日のご飯はなめこ汁……」

朋「なめこ……」

輝子「あ、姉じゃないぞ……?」

朋「あ、そう……」

>>3
修正

朋「お姉ちゃーん」

エリンギ「オハヨー、シンデレラ!」

ナメコ「キョウモイイテンキダネ!」

朋「今日もお世話しに来たわよー」

エリンギ「アリガトー!」

ナメコ「サスガシンデレラ!」

エリンギ「サスシン!」

ナメコ「サスデレラ!」

朋「……」

朋「……姉がキノコって意味わかんないわよね」

輝子「おいシンデレラァッ!」

朋「きゃっ!?」

朋「お母さん……い、いつからそこに……!?」

輝子「ちょうど今だ!」

輝子「お前姉に向かって何てこと言うんだァ!」

輝子「意味わかんないとか……姉が泣いてるぞォ!」

エリンギ「カナシイ!」

ナメコ「ヒドイ!」

輝子「ほらな!」

朋「う、うん……ごめん」

朋「……ごめんなさい」

エリンギ「ユルス!」

ナメコ「ユルシテヤル!」

輝子「フン、姉たちに感謝しなァ!」

輝子「いいか、シンデレラ! お前は一番下なんだから、ちゃんと姉たちを敬えよ!」

朋「……はーい」

輝子「……じゃ、じゃあ、そんな感じで……」

輝子「朝ごはん、できたぞ……今日のご飯はなめこ汁……」

朋「なめこ……」

輝子「あ、姉じゃないぞ……?」

朋「あ、そう……」

朋「いただきまーす」

輝子「いただきます……」

朋「……うん、おいしいっ!」

輝子「フヒ……ありがと……ちょっと照れる」

輝子「……あ、そうだ」

輝子「今日の夜、お城で舞踏会があるんだ」

朋「舞踏会?」

輝子「あ、ああ」

輝子「王子様のお嫁さんを探すため……なんだって」

朋「へー」

朋「……ま、あたしたちには関係ないわよね」

輝子「い、いや……」

輝子「実は私……行くつもりなんだ」

朋「えっ、そうなの?」

輝子「ああ……」

輝子「お嫁さんになったらお金がいっぱいもらえて……お前の姉がたくさんできる……」

朋「……妹はできないのね」

輝子「お前は永遠の末っ子だ……フヒ」

輝子「それと、もうひとつ狙いがあってな」

朋「そうなの?」

輝子「ああ……お嫁さんになって……この国を裏から牛耳って……」

輝子「全国民の主食をキノコにするんだ」

朋「……えぇ」

輝子「キノコパラダイス……」

輝子「……と、まあ、そんなわけで」

輝子「私……でかけるからよろしくな」

朋「ん、わかった」

朋「……ねぇ、あたしも行っちゃダメ?」

輝子「だ、ダメだ……エリンギとナメコが寂しがるだろ?」

朋「でも、キノコじゃん。寂しがるの?」

輝子「ああ……キノコでも寂しがるんだ」

輝子「部屋にいって本人……いや、本キノコに聞いてみるか?」

朋「……いや、いいわ」

輝子「そうか」

輝子「……とにかく、お前は来るのダメだから……留守番、よろしくな」

朋「……はーい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


輝子「この服……ど、どうだ?」

朋「うん、綺麗よ!」

輝子「そ、そうか……よかった」

輝子「……よし、じゃあ舞踏会に行ってくるな」

朋「ん、いってらっしゃーい」

輝子「ふふ……国中をキノコにしてやるぜ」

輝子「まずは舞踏会にパンデミックキノコ……」

朋「……目的違くない? 大丈夫かしら?」

朋「まあ、別にあたしには関係ないけど……」

朋「……」

朋「……あーあ、行きたかったなぁ」

朋「あたしもお嫁さんになれたらこのわけわかんない家から出て行けるのに」

朋「何よ、キノコが姉って……」

朋「……いっそ黙って行っちゃおうかしら?」

朋「あ、でも服がないもんね……」

朋「綺麗な服着てないと入れないって言ってたし……」

朋「一番綺麗な服はお母さんがきてっちゃって……後は……」

朋「……」

朋「あーあ……行きたかったなぁ」

「むふふ……その願いを叶えましょう……♪」

朋「きゃっ!?」

朋「だ、誰!?」

日菜子「魔女ですよぉ~」

朋「魔女!? えっ、でもどこに……?」

日菜子「むふ……上を見てください」

朋「上……あっ、浮かんでる!」

日菜子「魔女ですから♪」

朋「わぁ……魔女なんていたんだ……」

日菜子「むふふ……♪」

日菜子「……さて、貴女のお願いを叶えましょう」

朋「あ、さっきも言ってたけど……」

朋「なんで?」

日菜子「……なんで?」

朋「いや、なんであたしの願いを叶えてくれるのかなって」

朋「だってあたしとあんたって初対面でしょ?」

日菜子「ですねぇ」

日菜子「はじめまして~」

朋「あ、うん。はじめまして」

朋「じゃなくって!」

朋「いきなりお願いを叶える……なんて言われても怪しいことこの上ないわ」

日菜子「おや……」

日菜子「私は夢見る人たちの味方なだけです~」

日菜子「そんな変なことはしませんから安心してください」

朋「ほんとに?」

日菜子「本当です」

日菜子「……信じてくれませんかぁ~?」

朋「うーん……」

日菜子「……じゃあ、ちょっと魔法を使ってみましょうか」

日菜子「貴女じゃなく……あ、そこにちょうどねずみがいますね」

乃々「ねずくぼですけど……」

日菜子「あのねずみに……ちちんぷいぷいっ♪」

朋「わっ!? ねずみが馬になった!」

乃々「うまくぼになりましたけど!?」

日菜子「むふふ……これが私の魔法です」

朋「変身させる魔法ってこと……?」

日菜子「ちょっとだけ違いますねぇ~」

日菜子「妄想の姿に変身させる魔法です」

朋「妄想の姿に?」

日菜子「はい」

日菜子「なりたい自分を妄想すれば、私の魔法でその自分に変えるんです」

朋「……じゃあ、あのねずみは馬になりたかったってこと」

日菜子「ですよ~」

乃々「憧れてた姿になれたんですけど!」

乃々「やる気が満ち溢れてく……やるうまくぼですけど!」

日菜子「ほら~」

朋「ふーん……」

日菜子「この魔法を使って、貴女の願いを叶えましょう」

日菜子「いかがですか~?」

朋「……大丈夫なのよね?」

日菜子「はい♪」

日菜子「私は夢見る人たちの味方ですから」

朋「じゃあ……お願い」

日菜子「わかりました~」

日菜子「それでは……ちちんぷいぷいっ♪」

朋「きゃっ!」

日菜子「……完成♪」

朋「わ、本当にドレスになってる……」

日菜子「むふふ……綺麗なドレスですねぇ」

朋「そ、そう?」

日菜子「ええ、本当に」

日菜子「ガラスの靴も似合ってますよ~♪」

朋「……あ、本当にガラスの靴だ……」

日菜子「むふふ、これなら舞踏会にだって簡単に入れますねぇ~」

朋「そっか……」

朋「……疑ってごめんなさい、ありがとう!」

日菜子「いえいえ~」

朋「よしっ! それじゃあお城に――」

日菜子「あ、待ってください。せっかくだからお城まで連れて行ってあげますよぉ」

朋「えっ、ほんと!」

日菜子「むふふ……せっかくの綺麗なドレスが汚れちゃうかもしれませんからね」

日菜子「それじゃあ……乗り物になりたがってるものを探しますのでちょっと待っててくださいねぇ」

朋「……そんなのあるの?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


日菜子「馬車になりたがってるかぼちゃがいてよかったですねぇ」

朋「そんなのがいるのにびっくりよ」

日菜子「むふふ……どんなものでも夢を持っているものですよぉ」

日菜子「お馬さんも手伝ってくれましたし」

乃々「夢を叶えてくれたお礼ですけど……」

乃々「ねずみのころとは違って大きいものも運べます……ふふ」

乃々「いっぱい早く走れます……ふふふ」

日菜子「あんまり早く走ると揺れちゃうので抑え目でお願いしますねぇ~」

乃々「あ、はい」

朋「ふふっ、がんばってね」

乃々「あ、どうも。ありがとうございます」

朋「……こんなことになるなんて夢にも思わなかったわ」

朋「ふふっ、今日のあたしは運がいいのかも!」

日菜子「むふ……♪」

日菜子「……あ、そうそう。ひとつだけ注意してください」

朋「注意?」

日菜子「はい」

日菜子「……12時の鐘が鳴り終わると魔法が解けちゃいますから、気をつけてくださいね」

朋「あ、そうなんだ」

日菜子「そしてその魔法が解ける瞬間を見られると……」

朋「見られると?」

日菜子「……むふふ」

朋「ちゃ、ちゃんと言ってよ!」

日菜子「わかってますよぉ」

日菜子「むふふ……焦らしちゃいました」

朋「……意地悪ね」

日菜子「これでも魔女ですから~」

日菜子「魔法が解ける瞬間を見られると、それを見た人たちが同じ魔法にかかるんです」

朋「同じ……って、妄想の姿に変われるんだっけ」

日菜子「そうです~」

日菜子「……解ける瞬間をちらっとでも見ちゃうと、みんななりたい自分になっちゃいます」

朋「……良いことじゃないの?」

日菜子「みんながみんな、貴女のように綺麗な妄想をするわけではありませんから」

日菜子「人に迷惑をかけるような妄想をする人だっています」

朋「あー……」

日菜子「……特に舞踏会は人がたくさんいますから、綺麗じゃない人もきっといるでしょう」

日菜子「だから、そういう人たちの妄想を叶えないように、12時までには戻るように」

日菜子「……それか、誰もいないところで12時を迎えてくださいね~」

朋「はーい」

朋「……忘れないようにしなくっちゃ」

日菜子「むふ……さて、そろそろつきますよ」

朋「うん」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


日菜子「むふ、到着しました~」

朋「ありがとねっ、魔女さん!」

日菜子「いえいえ~」

日菜子「私はここで待ってますから。約束、忘れないでくださいね~」

朋「うん、わかった!」

朋「じゃ、いってきま~す!」

日菜子「いってらっしゃ~い」

日菜子「……さて」

乃々「……もしかしてうまくぼ、残ってないとダメですか?」

日菜子「いえ~、好きなところに行っていいですよ~」

日菜子「あっ、でも――」

乃々「――あ、わかってます」

乃々「ちゃんと12時前までには戻ってきます、はい」

日菜子「むふふ、ありがとうございます~」

日菜子「それでは、お馬さんもいってらっしゃ~い」

乃々「行ってきますけど……!」

乃々「おぉ! 走るの気持ちいいんですけど! 爽快ですけど!」

日菜子「……むふふ」

朋「……さて! 城内に入れたけど」

朋「王子様は……んー」

朋「……」

朋「……あ、お母さんだ」

朋「バレたら怒られるし……気づかれないように……」

輝子「フヒ……キノコどう……?」

輝子「あ、いらない……そ、そうか」

輝子「……」

輝子「キノコのパラダイスへの道は遠い……」

輝子「……」

輝子「……勝手に料理に入れても怒られない、かな」

輝子「……」キョロキョロ

輝子「まずはスープに……」ボトボト

朋「……」

朋「……お母さんの前で変身とけたら大変なことになりそうね」

朋「気をつけないと……」

朋「さて……こっちのほうが人がいっぱいいるからたぶんこっちだと思うんだけど……」

朋「……あ、いた」

「王子様、次は私と踊りましょう!」

「いえ、私と!」

「私が先です!」

朋「……わぁー、やっぱりみんな並んでるわね」

朋「いや並んでるって言うより群がってる……かしら」

まゆ「皆さん、落ち着いて、ね?」

朋「……ああ、あの子が王子様なんだ」

まゆ「ちゃんと皆さんと踊りますから」

「だから、私が先だってば!」

「うるさいわね、どきなさいっ!」ドンッ

まゆ「……っ」

朋「……」

「ちょっと、どきなさいよ!」

「あんたこそ押さないでよ!」

まゆ「……ふぅ」

まゆ「……皆さん、押さないで、押さないでください」

朋「……」

朋「……はぁ」

朋「……ちょっと、あんたたち、王子様が困ってるでしょ!」ズイッ

まゆ「!」

朋「ちょっとは王子様のこと考えられないの!?」

朋「あんたたちが馬鹿みたいなことしてるからすっごい疲れてるじゃない!」

「早くアピールしないと取られるじゃない!」

「そうよ! だから私が先に踊るの!」

「私が先だってば!」

朋「あーもうっ! そんなの知らないわよ!」

朋「行きましょ、王子様!」ガシッ

まゆ「きゃっ!?」

「ちょっとあんた! 抜け駆けする気!?」

朋「心配しなくても、あんたたちみたいな自分勝手なやつなんて最初から選ばれないわよ!」

「何ですって……!?」

朋「ふんっ!」

まゆ「……ごめんなさい、皆さん。後で皆さんともちゃんと踊りますから……ね?」

朋「……ふぅ」

朋「ここまで来れば大丈夫でしょ」

まゆ「……あの」

朋「……あ、ごめんね王子様。痛かった?」パッ

まゆ「いえ……」

まゆ「でも、びっくりしました」

朋「ごめんなさい……でも、なんかあいつら見てたらムカムカしてきちゃって」

朋「自分のことしか見てなくって……王子様にぶつかったりしても謝りもしないし……」

朋「あーもう! 思い出しただけでも腹立つ!」

まゆ「ふふ……」

朋「それに、王子様もちょっと疲れてそうだったし」

朋「だから、人ごみから離れて休憩した方がいいんじゃないかなって思ったの」

まゆ「……そうかもしれませんね」

まゆ「ふぅ……空気が気持ちいいです」

朋「でしょ?」

まゆ「でも貴女、これって一歩間違えば誘拐犯ですよ?」

朋「へ?」

まゆ「王子を誘拐するなんて……一級犯罪者ですね」

朋「え、う、うそ!? あたし捕まっちゃうの!?」

まゆ「……なんて、冗談です」

朋「そっか、よかったぁ……」

まゆ「ふふ。そんなことになっても、私がちゃんと助けます」

まゆ「あなたが私を助けてくれたように」

まゆ「ふぅ……」

まゆ「……これから言うことは、内緒にしてくださいね」

朋「あ、うん」

まゆ「貴女が連れ出してくれて、すっきりしました」

朋「!」

まゆ「みんな我先にって押して、押して……本当に疲れちゃって」

まゆ「暑苦しいし……誰も私を見ませんし……」

まゆ「……だから、ありがとうございます」

朋「どういたしまして」

朋「でも、そんなこと言っちゃっていいの?」

まゆ「だから、黙っててくださいね」

まゆ「話したらやっぱり誘拐犯にしちゃうかもしれません」

朋「わ、わかった! 絶対話さないわ!」

まゆ「ふふ……♪」

朋「……あっ、そうだ。なんか飲み物持ってこよっか?」

まゆ「いえ……一人になるとまたいっぱい来るかもしれませんから」

朋「あー、そっか」

まゆ「……もう少し一緒にいてください」

朋「わかった」

朋「……それにしても王子様も大変よね」

朋「あんなにいっぱいの人を相手にしなくちゃいけないなんて」

まゆ「そのうち国を相手にしないといけませんからね」

まゆ「これくらいはあしらえなきゃ……なんですが」

まゆ「私……あまり強く言えない人間なので」

朋「そうなの?」

まゆ「言えてたら、あんなに囲まれてません」

朋「あ、そっか」

まゆ「自分の意見を言うより、自分の言葉を押し込めて……」

まゆ「私が我慢すればいい……そう思ってしまうんです」

朋「……難儀な生き方ねぇ」

まゆ「はい」

まゆ「だから……貴女みたいな強く言える人が傍にいてくれるとうれしいです」

朋「へ、あ、あたし……!?」

まゆ「はい」

まゆ「力強く私を引っ張る手……ドキドキしてしまいました」

まゆ「みんな私を壊れ物を扱うように取り扱いますから……」

まゆ「あんな風にされたの……初めてで」

まゆ「私が困っていたら、あんな風にまた助けて欲しいんです」

朋「王子様……本気?」

まゆ「本物の気持ちですよ」

まゆ「はは、情けないかもしれませんけどね」

まゆ「でも……私の手を引いてくれた貴女に惹かれたんです」

まゆ「ええと……以前本で読んだ言葉を借りると……」

まゆ「一目惚れ……と言うんでしょうか?」

朋「……」

朋「……ま、待って、待って王子様!」

朋「あたし、そんなに賢くないし! 身分も高くないわよ!」

まゆ「そういう人が欲しかったら、わざわざこんな舞踏会を開きません」

朋「それにっ! あたし、今日ここに来たのって家から出たかっただけなの!」

まゆ「!」

朋「わけわかんない家から飛び出したくって!」

朋「運が良かったらお嫁さんになって出てけないかなって思っただけなの!」

朋「だから、あたしだってあの人たちと同じ、自分のことしか考えてなかったのよ!」

まゆ「……」

朋「だから、そんな……あたしを選ぶなんて……」

まゆ「……貴女はどうしてそれを言っちゃったんですか?」

朋「へっ?」

まゆ「言わなければ、私は貴女の心を知らないままでいれたのに」

まゆ「簡単に将来のお姫様になれたのに」

朋「それは……」

まゆ「そのために貴女はここに来たんでしょう?」

朋「そうだけど……」

朋「……でも」

朋「……」

朋「……それを言わないのは、不公平かな。って」

まゆ「不公平?」

朋「うん……あたし以外の候補の人たちに」

まゆ「……」

朋「だから、ちゃんと他の子たちも見てあげて!」

朋「その上で……あたしを選んでくれたら……」

朋「……嬉しいな」

まゆ「……」

まゆ「……貴女は優しい人ですね」

まゆ「余計好きになってしまいます」

朋「……あ、ありがとう」

まゆ「では、私はそろそろ戻りますね」

朋「うん……」

まゆ「……あっ、そうだ」

まゆ「最後に貴女の――」

ゴーン

まゆ「――あ、鐘」

朋「鐘……?」

朋「あ、あーっ!」

まゆ「!?」ビクッ

朋(忘れてた! 鳴り終わる前に……えーっと、えーっと!)

朋(とっ、とにかく走って帰らなきゃ!)

朋「ごめんなさい、王子様!」

朋「あたしすぐ帰らなくっちゃ!」

まゆ「えっ!?」

ゴーン

朋「さようなら、王子様!」

まゆ「ま、待ってくださいっ!」ダッ

朋(えーっと、この鐘はあと何回鳴るんだっけ!?)

朋(早く外にでなきゃ……!)

まゆ「待って! 待ってください!」

ゴーン

朋「ごめんなさい、王子様! 来ないで!」

まゆ「でも、私はまだ貴女の名前を……!」

ゴーン

朋「……あっ、服がっ! 戻っちゃうっ!」

まゆ「!?」

朋「……っ」ダッ

まゆ「あっ!」

まゆ「……」

まゆ「……行ってしまいました」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……あれ?」

まゆ「この靴は……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「はぁっ……はぁっ……!」

朋「で、出てこれた……」

日菜子「……」

朋「……あ」

朋「……ごめんなさい、魔女さん」

日菜子「魔女との約束を破ったら……それはそれは恐ろしい罰を与えないといけないんですが……」

朋「ひっ……!」

日菜子「……むふふ。面白いことになったので、良しとしましょう……♪」

朋「へ……?」

日菜子「あまり人のいないところで解除できたみたいですからね」

日菜子「魔法にかかっちゃった人も一人しかいないみたいです」

朋「一人……あっ、王子様……」

朋「大丈夫なのかな……?」

日菜子「むふふ……ぜんぜん、大丈夫ですよぉ♪」

朋「……?」

朋「……あれ、そういえばお馬さんは?」

日菜子「もうねずみに戻っちゃいました」

乃々「ねずくぼです……」

乃々「もっと馬になりたかったんですけど……」

朋「……じゃあ、帰りは?」

日菜子「もう一回このねずみを馬にしちゃいますねぇ……ちちんぷいぷいっ♪」

乃々「うまくぼ復活ですけど!」

日菜子「後はこのかぼちゃが元に戻らないうちに帰るましょう」

朋「まだ大丈夫なの?」

日菜子「貴女たちよりは後に変身させましたから、大丈夫なはずです~」

朋「……ちょっと不安だけど、わかった」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「……」

「あっ、王子様が戻ってきたわ!」

「大丈夫でしたか!? 変なことされませんでしたか!?」

「まったく……野蛮な人でしたね」

まゆ「……」

「さあ、今度こそ私と踊りましょう!」

「いいえ、私と!」

まゆ「……はぁ」

まゆ「……貴女達、邪魔」

「!?」ビクッ

「お、王子様……?」

まゆ「申し訳ないですが、貴女達と踊るつもりはありません、それでは」

まゆ「……」スタスタ

まゆ「やっぱり……あの人が私の運命の人なんでしょう……」

まゆ「魔法のように姿が変えてしまったけど……それでも、この胸から離れません」

まゆ「あの力強い手の感触が……」

まゆ「……名前はわかりませんが」

まゆ「でも、このガラスの靴がきっと私とあの方を結んでくれる……」

まゆ「……」

まゆ「……あ、お父様」

まゆ「お願いがあります。国中からこの靴の合う女性を探してください」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「おはよー」

輝子「おう、おはよう」

輝子「フヒ……今日は早いな」

朋「なんか目が覚めちゃって」

朋「そういうお母さんは眠そうね」

輝子「昨日は夜遅くまで舞踏会にいたからな……ふわぁ」

朋「ふふ……じゃ、あたしはお姉さんたちの世話をしてくるわ」

輝子「わかった」

朋「……ふぅ」

日菜子「朝早くから大変ですねぇ」

朋「わっ!?」

日菜子「しーっ」

日菜子「今の私は妄想で透明人間になってますから」

日菜子「叫ぶと変な目で見られますよぉ?」

朋「……やりたい放題ね」

日菜子「妄想の力は無限大です」

朋「ところでなんでこんなところにいるの?」

日菜子「いえ、今日は面白いものが見れそうだったので~」

朋「面白いもの?」

朋「……もしかして、お姉さんのお世話のこと?」

日菜子「……お姉さんのお世話?」

朋「うん」

朋「あ、来たわよー」

エリンギ「アリガト! アリガト!」

ナメコ「シンデレラスキ!」

朋「はいはい、ちょっと待っててねー」

朋「……これのことでしょ?」

日菜子「いえ、ぜんぜん違います」

朋「あれ、じゃあなんなの?」

日菜子「むふふ……すぐにわかりますよ~」

朋「よい、しょっと……」

輝子「シンデレラ、ご飯できたぞ」

朋「あ、うん。わかった!」

輝子「今日の朝飯はたけのこご飯だ」

朋「昨日の残りモノね」

輝子「疲れてるからな……すまん」

朋「んーん、別に大丈夫よ」

朋「……本当に見えてないのね」ボソッ

日菜子「透明人間ですから~」

朋「魔女さんは朝ごはん食べてきたの?」

日菜子「勝手につまみ食いするから大丈夫ですよ~」

朋「いや、それは大丈夫じゃないわよ」

輝子「いただきます」

朋「いただきまーす」

輝子「フヒ……今日もいいでき……」

朋「そうね、美味しいわ」

朋「……そうだ、昨日はお城どうだった?」

輝子「ん、そうだなぁ」

輝子「……料理に勝手にキノコを入れたら……好きって言ってる奴らがいて……」

輝子「……ガッツポーズ」

朋「……それ大丈夫なの?」

輝子「何も言われてないから……セーフ」

朋「……そう」

朋「ちなみに、王子様とは?」

輝子「……あっ」

朋「お母さん……」

コンコン

朋「ん、だれか来たみたいね」

朋「はーい!」

「こんにちは」

朋「わっ、兵隊さん!」

輝子「!?」ビクッ

朋「どうしたんですか?」

輝子「わ、私は何も悪いことはしてないぞ……?」

輝子「本当に……本当に何もしてないからな……!」

朋「お母さん……」

>>27 修正


輝子「いただきます」

朋「いただきまーす」

朋「……そうだ、昨日はお城どうだった?」

輝子「ん、そうだなぁ」

輝子「……料理に勝手にキノコを入れたら……好きって言ってる奴らがいて……」

輝子「……ガッツポーズ」

朋「……それ大丈夫なの?」

輝子「何も言われてないから……セーフ」

朋「……そう」

朋「ちなみに、王子様とは何かなかったの?」

輝子「……あっ」

輝子「布教に夢中で……忘れてた」

朋「お母さん……」

コンコン

朋「ん、だれか来たみたいね」

朋「はーい!」

「こんにちは」

朋「わっ、兵隊さん!」

輝子「!?」ビクッ

朋「どうしたんですか?」

輝子「わ、私は何も悪いことはしてないぞ……?」

輝子「本当に……本当に何もしてないからな……!」

朋「お母さん……」

「本日は皆さんにお願いがありまして」

「この靴を履いていただけませんか?」

朋「この靴……あっ!」

日菜子「むふふ……昨日貴女がはいていた靴ですねぇ」

輝子「お、おう……よくわからないけど……」

輝子「……」

輝子「……ぶかぶかだ」

「そうですか」

朋「魔女さん、魔女さん! あの靴って消えちゃったんじゃないの!?」

日菜子「そうですねぇ……消えちゃいました」

日菜子「貴女の夢でできたあの靴は消えて……」

日菜子「誰かの夢であの靴は生まれました」

朋「それって……」

「……そちらの貴女もお願いしていいですか?」

朋「あ、うん」

朋「……」

朋「……ぴったり」

「!」

「急いで連絡しろ!」

「はっ!」

輝子「な、なぁ……これは何なんだ?」

「……この靴の持ち主を探すよう、王子様から命令があったのです」

輝子「フヒ!?」

朋「じゃあ、やっぱりこの靴って……!」

日菜子「王子様の夢から生まれたものですよぉ」

朋「王子様の……!」

輝子「で、でも……そんな靴……うちには無いはずだけど」

輝子「なぁ?」

朋「あ、いや……このまえ知り合いからもらったの」

輝子「あ、そうなんだ……」

輝子「じゃあ、王子様はシンデレラを探してるのか?」

朋「……」

輝子「この前の舞踏会に行ってないのに?」

朋「……」

朋「……ごめんなさい」

輝子「……そうか」

朋「……あれ、怒らないの?」

輝子「私との約束を破ったのは怒ってる……が」

輝子「結果オーライになるかもしれないから……まだ、怒らない」

朋「……?」

まゆ「お待たせしました」

朋「あっ、王子様!」

輝子「おぉ……本当の王子様だ」

まゆ「……やっと見つけました」

まゆ「私のお姫様……」ギュッ

朋「きゃっ!」

まゆ「……やはり、貴女のことが忘れられませんでした」

まゆ「他の人を見ても邪魔……としか思えなくて」

まゆ「ただなにより会いたくて……お父様に……兵士たちにお願いまでしました」

まゆ「……人にお願いするのなて本当に久しぶりでした」

まゆ「きっと貴女に会いたい思いで……こんな勇気が出たのかもしれません」

日菜子「むふ……♪」

まゆ「さあ、私と一緒に来てくれますか?」

朋「……ほ、本当にあたしでいいの?」

朋「あたし……魔法まで使って、嘘の格好で王子様に会いに行ったのに」

まゆ「えぇ。私は貴女の魔法が解ける瞬間を見てしまった」

まゆ「それでも、貴女は私の中から消えなかったのです」

まゆ「それに、姿が変わっていたとしても、貴女の中身は本物でしょう?」

朋「……」チラッ

日菜子「むふふ……貴女は内面を変える妄想はしてませんんでしたねぇ」

日菜子「していたのはこちらの王子様……♪」

朋「……」

まゆ「……貴女と約束したとおり、他の子も見ました」

まゆ「それでも私は、貴女を選ぶんです」

まゆ「貴女しか、私の中に残らなかったんです」

まゆ「ですから、私と共に暮らしましょう?」

朋「……うん」

まゆ「ありがとう、本当に嬉しいです」

まゆ「……ああ、そうだ、結局まだ聞けていませんでしたね」

まゆ「貴女の名前を、教えてください」

朋「あたしは……シンデレラっていうの」

朋「これからよろしくね、王子様!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そして、シンデレラは王子に連れられお姫様として過ごすようになりました。

結局シンデレラの家族もついてくることになりました。

お母さんはお城の調理場に立ち、まず城の人間の主食をキノコにするよう目論んでいるようです。

お姉さんはメイドさんがお世話してくれることになったので、すくすくと育っているそうです。

そうそう、シンデレラに力を貸した魔女はというと、まだシンデレラの傍に透明人間としています。

夢を叶えた人間の傍にいるのは気持ちいい、と言って幸せそうに過ごすシンデレラと王子様のことを見ているそうです。

さて、その後のシンデレラはというと……


まゆ「シンデレラっ」

朋「きゃっ、王子様!」

まゆ「……王子様じゃなくて、名前で呼んで欲しいな」

朋「あ……ごめんなさい」

まゆ「ふふ……大丈夫」

まゆ「これからはずっと一緒にいるんだから、すぐに慣れていけばいいんだよ」

朋「……そうね」

朋「ところで、何の用事?」

まゆ「用事なんてないよ」

まゆ「ただ、シンデレラと話したかっただけ」

朋「ふふ、そっか」

朋「じゃ、今日は何のお話をする?」

まゆ「そうだね……ああ、そういえば昔にこんなことがあったんだ――」


そんな他愛の無い幸せな日々を、王子様と一緒に過ごしていったとさ。


めでたしめでたし

==========================


乃々「以上ですけど……」

朋「どう? 今度の舞台でやるシンデレラ」

日菜子「バージョン『机の下の夢』……♪」

モバP「ああ、みんながみんならしさを出していて良かったよ」

モバP「みんな意外な配役だったな」

モバP「魔女の日菜子、王子様のまゆ、母親の輝子、シンデレラの朋、馬の乃々」

まゆ「そうですねぇ……初めての経験でした」

輝子「うん……私も『お母さん』って言われて……ちょっと照れた」

朋「……あたしが意外って言われるの侵害なんだけど」

モバP「ああ、いや。悪い意味じゃなくて日菜子がやると思ってたからさ」

朋「それなら……まあ」

モバP「でも、日菜子の魔女も似合ってたな」

日菜子「ありがとうございます~」

日菜子「むふふ……日菜子も妄想を現実にする魔法が使いたいですねぇ」

まゆ「あ、まゆも使いたいです」

朋「あたしも!」

輝子「じゃあ……私も」

乃々「え……じゃ、じゃあ、もりくぼも……」

モバP「ははっ!」

モバP「……ああ、そうだ。一個だけ気になったんだ」

朋「何?」

モバP「……なんで姉がキノコだったんだ?」

まゆ「あー……」

モバP「ナレーションやってたとはいえ、乃々の出番少なかったし、乃々がやってもよかったんじゃないか?」

乃々「あんまり舞台に立つのはむーりぃー……ですし」

輝子「……」

輝子「……トモダチも一緒に舞台に立ちたかったんだ」

輝子「……だ、ダメか?」

モバP「いや、それもまた5人らしくていいんじゃないか?」

輝子「そ、そうか……!」

輝子「よかった……トモダチもボッチにされない……」

朋「ふふっ」

朋「……さて! じゃ、プロデューサーにも大丈夫って行ってもらったし!」

朋「本番までの練習もがんばりましょう!」

『おーっ!』



おしまい

なんかふと思い浮かんだので。いろいろ見たいものを混ぜた感じがあるけど、一番見たかったのは男装まゆ。

総選挙も中盤ですが、どうか藤居朋ちゃんに投票よろしくお願いします。


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。

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