キャンディアイランドと毒薬 (17)


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



-----事務所----

かな子「事務所に来たら……」

智絵里「テーブルの上に毒薬みたいなものが……」

杏「置いてあるんだけど……」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1522508961

智絵里「どっ、どうしようかな子ちゃんっ!?」アワアワ

かな子「そ、そう言われても……どうしよう、智絵里ちゃんっ!?」アワアワ

杏「……って、なんでやねーん!」ビシィ

智絵里「ひゃうっ」

かな子「きゃぁ」

智絵里「ど、どうしたの、杏ちゃん……?」

杏「どうしたもこうしたも無いよ。常識で考えよう?」

杏「毒薬なんて物騒なものが、こんな無造作に放置されてるわけないじゃん」

かな子「で、でも変わった形のビンに入ってるし……」

智絵里「中の液体も真っ黒で、不気味な色ですし……」

杏「いや、確かにそうなんだけどさ。だからといって……」

かな子「しかもだよ! ほら、見てここ!」

智絵里「ど、ドクロのシールが貼ってあります……!」

杏「それに関してはもう、あからさま過ぎて逆に安全じゃない?」

智絵里「あ、杏ちゃん……どうしてそんなに冷静なの……?」

かな子「もし、アイドルの誰かを狙ってここに置かれたんだとしたら……!?」

智絵里「ひっ! じゃ、じゃあ不審者がここへ忍び込んで……!?」キョロキョロ

杏「だとしたら、うちのセキュリティ甘すぎるでしょ。かな子ちゃんの作るケーキぐらい甘いよ」

かな子「け、けど昨日作ってきた洋梨のタルトは、甘さ控えめにしてあったし……」

智絵里「で、でもかな子ちゃん。あれ、とっても美味しかったよっ」

かな子「ありがとう、智絵里ちゃん……えへへっ」

杏「……二人とも、話が逸れてる逸れてる」

智絵里「はっ。そ、そうでした」

かな子「えぇと、どうしたら……とりあえず、プロデューサーさんに相談、かなぁ?」

杏「相談されても困るだけだと思うけどなぁ」

智絵里「で、でも毒なんて危険なもの……」

杏「だから、本物の毒なワケ無いって。ご丁寧にドクロのシールなんて、犯罪目的ならわざわざそんなことしないでしょ?」

かな子「それは……確かに、誰かに飲ませたいのなら、もっと分かりにくくするよね」

杏「そ。だから心配しなくてもだいじょーぶ」

智絵里「でも、だとしたらこれ、一体何なんだろう……?」

杏「……いや、それは杏も知らないけどさ」

かな子「あ、そういえば」

智絵里「どうしたの? かな子ちゃん」

かな子「うん。今思い出したんだけど……」




かな子「ここに来る途中、廊下で志希ちゃんとすれ違ったよね」


杏「……」

智絵里「……」

かな子「……」

杏「いやいやいや! だからってそんな、さすがに……」

かな子「でもでも! 確かにこの部屋の方向から歩いてきてたよ!?」

杏「それはほら、偶然だよ偶然。どうせいつもみたく、フラっと失踪してたんだよ……たぶん」

かな子「志希ちゃんって、趣味が怪しい科学実験、なんだよね……」

智絵里「怪しい実験……!?」

智絵里「ま、まさかこの毒薬を口にした瞬間意識を失って、気が付いたら怖い機械に繋がれてたり……?」ブルブル

かな子「ううん、口にしなくても、匂いを嗅いだだけで大変なことになるかも……!」ブルブル

杏「そんな漫画じゃあるまいし。私達に危害を加えるようなマネはさすがにしないでしょ」

杏「……まぁ危害じゃなくて、イタズラレベルならあり得そうで怖いけど」

智絵里「だ、だったら他のみんなが来る前に、この毒薬をなんとかしたほうがいいのかな……!?」

かな子「で、でもどうやって……!?」

杏「杏が試しに飲んでみようか?」

かな子「だっ、ダメだよ杏ちゃんっ!」ガバッ

智絵里「早まっちゃダメですっ!」ガバッ

杏「うわっとと……二人とも、近いって」

杏「……ん?」

智絵里「……杏ちゃん?」

杏「ねえ。杏、気づいちゃったんだけど……よくよく見たらこれ、ただのコーラじゃない?」

かな子「……えっ?」

杏「ほら、そんな感じの色だし。ちょっぴり炭酸で泡が立ってるし。普段からよく飲んでる杏が言うんだもん、間違いないよ」

智絵里「……言われてみると、だんだんそんな気がしてきたかも」

かな子「じゃあ、ビンが変わった形なのは……?」

杏「きっとそういうパーティグッズなんだよ。どうせあの、間抜けな顔したペンギンが立ってるディスカウントストアにでも売ってるんじゃない?」

かな子「そっか。あそこなら、いろいろ売ってるもんね」

智絵里「コスプレの衣装とか、おヒゲの付いたメガネとか……?」

杏「そうそう。いつだったか、李衣菜達がパーティ用にしこたまグッズ買い込んできたこともあったし」

かな子「あの時使わなかったクラッカー、まだ棚の中に残ってるよね」

智絵里「ふふ。またみんなでやりたいね、パーティ」

杏「ふわ~ぁ。なんだか喋り過ぎて疲れたよ。喉も渇いたし、このコーラもーらいっと」キュポン

智絵里「あっ……い、いいのかなぁ?」

杏「……う……」

かな子「杏ちゃん? どうかした?」

杏「」パタリ

智絵里・かな子「……っ!?」

杏「」

かな子「杏ちゃん!? しっかりして、杏ちゃんっ!」ユサユサ

智絵里「たっ、大変……! やっぱり本当の毒薬だったんだ……!!」

かな子「はっ! とにかく、もう一度フタしなきゃ!」キュッキュ

智絵里「えぇと、救急車……それとも、プロデューサーさんかちひろさんを呼んだほうが……!?」オロオロ

かな子「あとは……か、換気もしなきゃダメかな……!?」

智絵里「うぅぅ……神様、どうか、どうか杏ちゃんを助けてください……っ!」クローバーニギリシメ

杏「……うぅ」ムクリ

かな子・智絵里「杏ちゃんっ!!」

杏「……あれ。ごめん、一瞬寝てた……」ボリボリ

杏「いやあ、実は昨日夜遅くまで撮り溜めしてたアニメ見てて……なかなかの寝不足なんだよね」アハハ

かな子「もう、杏ちゃんったら! 心配させないでよぉ!」ギュー

智絵里「私、私……あ、杏ちゃんが、毒で倒れちゃったのかと思って……っ!」グスン

杏「ご、ごめんごめん……って、重いよ二人とも」




ガチャ
莉嘉「やっほー☆ おつかれさまでーす!」



莉嘉「……って、みんなくっついて何してるの?」

智絵里「わわっ。な、何でもない、ですっ///」

杏「二人の愛の重さを噛みしめてたとこだよ」

かな子「あ、杏ちゃんっ」

莉嘉「ふーん? ……って、あーーーっ!!」パシッ

かな子「わわっ、莉嘉ちゃん!? それは……」

莉嘉「これ、アタシのー! ダメだよ、勝手に飲んじゃ!」プンスコ

智絵里「え……莉嘉ちゃんの、だったの……?」

莉嘉「ほら、目印だって付いてるじゃん!」

杏「目印って……そのドクロのこと?」

莉嘉「そうだよ? ちょうど飲もうとした時にPくんに呼ばれちゃったから、シール貼って置いといたの」

莉嘉「えへへー☆ いいでしょ。このドクロシール、小梅ちゃんに貰ったんだ♪」

かな子「な、なるほど……」

杏「まったく、人騒がせなんだから」

智絵里「人騒がせなのは、さっきの杏ちゃんも、だよ。えいっ」チョップ

杏「いて。……ごめんってば」

かな子「とにかく、よかったね。危ないことは無かったし、ちゃんとコーラの持ち主も分かったし」

莉嘉「え? これ、コーラじゃないよ?」

杏「……はい?」

莉嘉「ふっふっふ……実はコレ、志希ちゃんが特別に作ってくれた、『セクシーになれるおクスリ』なんだー☆」

三人「」

莉嘉「これを飲んだらねー、みるみるうちにお姉ちゃんみたいなセクシーでカッコいい感じになれるんだってー!」

莉嘉「なんか、『ヒケンシャ』? とか、『フクサヨー』? とか、志希ちゃん他にもいろいろ言ってたけど……よくわかんなかった!」エヘヘ

かな子「……こ、これって」

杏「前言撤回。これダメなやつだ」

智絵里「そ、そんな……」

莉嘉「……どうしたの? 三人とも、ヘンテコな顔して」

杏「……莉嘉ちゃん? 悪いこと言わないから、そのビン、ちょーっと杏に貸してみて?」

莉嘉「あ! ダメだよ杏ちゃん! そんな手には乗りませんよーだ☆」

莉嘉「……ははーん。分かった! 杏ちゃん達も、実はセクシーボデーになりたいんでしょー!」ニヤニヤ

杏「いやいや、それはないから」

かな子「確かに、美嘉ちゃんみたいなスタイルには、憧れるけど……」

智絵里「私はその、えぇと……」モジモジ

杏「ちょっと二人とも」

莉嘉「うんうん。気持ちは分かるよ。お姉ちゃんちょーカッコいいもんね」

莉嘉「でも、これはアタシが最初に試すんだもん☆ あ、そーだ! どこか別の場所でおクスリ飲んで、それから戻ってくるね! カリスマセクシーギャルに大変身して、びっくりさせてあげるっ!」

智絵里「ちょ、ちょっと待って……」

莉嘉「えへへ。じゃー、また後でねー☆」タタタ バタン



かな子「い、行っちゃった……」

智絵里「ど、どうしよう……止めたほうがいい、よね……?」

杏「トンデモ効果の怪しいクスリって、ある意味毒薬みたいなもんだしねぇ。……飲まなくてよかった」

かな子「じゃ、じゃあ早く追いかけなきゃ。手遅れになる前に……!」

杏「あーもう、めんどくさいなぁ……!」

智絵里「行こう、二人ともっ」




ガチャ
卯月「お疲れ様ですっ!」



杏「あ、丁度いいや。卯月ちゃんも莉嘉ちゃん捕まえるの手伝って!」

卯月「はい? あ、みんなで鬼ごっこですか?」

かな子「そ、そうじゃないのっ」

智絵里「早くしなきゃ……莉嘉ちゃん、毒薬を持ってるんですっ!」

卯月「えええぇっ!?」



おわり


エイプリルフール用の小ネタのつもりが、むしろ普段の毒薬シリーズよりも長くなるという謎現象。
以上、お付き合いありがとうございました。

前作
高森藍子「歌鈴ちゃん会議」

普段の毒薬シリーズ
キャンディアイランドの意外と毒にも薬にもならないおしゃべり

も、よろしければどうぞ。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom