アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ4 (1000)

「アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ」
アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1506749807/))
「アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ2」
アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1508996136/))
「アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ3」
アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1511252798/))
の続きです。

このSSは残酷な描写があります。
けものフレンズが好きな方は勿論、アライさんが苦手な方もご不快に感じる方がいらっしゃるかと思われます。
そのような方は無理をせず、プラウザバックを何卒お願いします。
また、所謂R18G描写が苦手な方にも閲覧をお勧めいたしません。

SS初心者の自分には「力加減」が分かりかねるところがありますので転載や拡散はご配慮お願いします。

世界観・設定は原作アニメや他の名作SSを参考にしながら、自分でも埋め合わせ、調整、推測、創作等を行っています。
また、「書き物」の常として自分の主観等が混じり「こんなのけもフレじゃない」と怒られてしまわないかビクビクしています。

どうか不出来な二次創作をご宥恕頂ければ幸いです。

これまでの簡単なあらすじ

サンドスター大噴出現象をきっかけとした人類衰退期。それを打ち破った世界再建戦争から30年が経過した。
人類はフレンズとの『共存・共栄』を基本理念としながら、文明の復興を推し進めている。

日本のとある地方にある蛇張村も40年にわたった避難対象区域指定が解除され、
官民一体となった帰還運動がようやく実現しようとしていた。


しかし、住民が避難している間に蛇張村とその周辺の山林地帯は、
特定有害フレンズ『アライさん』の住処となってしまっていた。


アライさんの追い出しと住民の安全生活圏奪取のため、県兵出動がついに実施され、
ようやく村民の為の『安全生活エリア』が蛇張村村落部の一部に築かれた。

旧村復興を望む村民達の小さな一歩がまさに踏み出されようとしている。

他方でアライさんに厳しい態度をとるTTT会等の『アラ虐』と、保護・共存の道を探ろうとする『アラ信』の対立、
さらにアライさん以外のフレンズと人類中心文明の齟齬もあり、『フレンズが存在する世界』の実情は複雑である。
(なお、『アラ虐』、『アラ信』はどちらかと言うと非難のニュアンスがある他称に近い使われ方をしている。勿論、自称する場合もある)

(あらすじの続き)

そんななか、当初はアライさんに厳しい態度を取っていた蛇張村青年団長達は、
『ある出来事』をきっかけに態度を徐々に変化させ、あくまで『郷土復興』を優先させながらも、
アライさん達や野生動物・野生フレンズの痛みにも思いをはせるようになる。

他方、セルリアンとの戦争から月日が経つにつれ、生活習慣や文化、身体能力・発達傾向の違いなどから
人間・フレンズ間の軋轢も徐々に表面化しつつあった。

フレンズの生殖能力の安定化やその基礎能力を不安視する者。
人間とそれ以外の生物の境目が揺らぐことに憂慮の念を抱く者。
かつての『戦争』の置き土産である社会の不条理。

日本政府によるフレンズの分断統治政策により、中間支配階層と位置図付けられている『ジャパリ組』、
及びそれが指導管理している『公益社団法人日本フレンズ協会』。
彼女らもまた、人間側の思惑とは別に彼女たち自身の『理』により、その身の行方を定めつつある―様でもある。


人間からの根滅圧力・帰還運動によるプレッシャーを背景に、かつて『廃墟アライさん』と呼ばれたアライさんは、
自身を『大母アライさん』、幹部を『姉アライさん』とする『擬制的母系・母権家族集団』を形成。
その上で親衛隊兼家政機関兼幹部養成機関である『恩寵組(『恩寵を有するアライさん』)をお供に『家族』の支配権を確固たるものとする。


付近のアライさんを配下に地盤固めをしつつ、県兵到着直前に村落部居住アライさんの疎開を成功させ、
TTT会の襲撃も退けることで周囲の『けもの』に存在感を示し、複数の県境にまたがる地帯に『版図』を拡大する。

県兵の作戦で追われた野生化した家畜・家禽を捕獲し、『異なるけものの子』タヌキちゃんをも『家族』に加えつつ、彼女達は何処に向かおうとしているのか。



コンコンコン!

控えめなノックの音が部屋の中に響く。

協会職員A「失礼します」

協会職員Aは部屋の中をサッと見回す。

二羽の上司にして―自分の『恩人ならぬ恩鳥』―は、アパート男を見送った後、残った茶菓子を食べながら、
もう一杯お茶を飲んでいる。

子孫博士「時間なのです?」
子孫助手「時間なのですか?このお茶を飲むまでは待つのですよ」

協会職員A「はい。お待ちします。5分前行動をしているので、何とか…」

ズルズルズルゥー
ズズズズズズズゥー

二羽のフレンズは手に持った高級茶を飲み切ると、バサッッと立ち上がる。

子孫博士「それでは行くのですよ。『僚友』達をあんまり待たせるわけにもいかないのです」
子孫助手「協会職員A。今日はお前も来るのですよ。秘書の仕事にだんだん慣れてもらわないといけないのです」

協会職員A「はい」

コツコツコツコツ!!!

二羽と一人は、下りのエレベーターを少し待つ。

移動先の建物は、同じ敷地内の別棟であり、鳥のフレンズなら一息で飛んでいけるのだが、
今日は人間の同伴者が居る。
―地下通路も実はあるのだが、道順を覚えさせるのも大事なのです―

そんな上司の気遣いを少し嬉しく思いながら、協会職員Aは自分より随分背が低い二羽を敬意を持って見つめる。

協会職員Aは、少し前まで―ほんの少し前まで―、一般の会社でサラリーマンをしていた。

他の人間と同じかそれ以上に仕事に励み、普通の日常を生きて
―やがて、普通じゃない女(ひと)と互いに恋に落ちた―

協会職員A「(彼女と―タイリクオオカミさん―との恋は『ご法度』。分かっていたはずなのに…。
まさか自分が『スキャンダルの登場人物』になるなんて、数年前は想像したことさえなかった)」

チーン!

エレベーターがついた。

扉を手で押さえて、上司たちを先に乗せ、自分も同乗させてもらう。

何時も、やや尊大な態度を取っている子孫博士と子孫助手が、
エレベーターに乗る瞬間にピョコ、ピョコっと軽く頭を下げていくのが何だか不釣り合いで可笑しい。
―可愛い、なんて思うのは上司に対して失礼の極みかな…―


グーン―

エレベーターが動き出すとともに、ここ最近の出来事の記憶が、どっと頭の中に流れ込んでくる。

―タイリクオオカミさんとのことが公になり、元居た会社に居場所はなくなった―
勿論、労基法等で粘ると言う道も有ったが、尊敬していた上司にすら『辞めてくれ』と言われ、
会社に行けば同僚たちの目線がどんな嫌がらせよりもはっきりと…。

特に女性社員たちの仕打ちは手痛いものがあった。
何といっても『獣姦野郎』なのだ!
イヌと交わってる写真が垂れ流されている人間を敢えて置いておきたい会社など在るだろうか?

辞表を提出した時、『これは温情だよ』と言い渡され、悔しくて涙があふれた。

心臓が元々弱かった自分の母はショックで、病院に担ぎ込まれ、その先まで嫌がらせは続く。

『勘当』を世間様に公開された上で言い渡されるなんて、自分は世にも稀な体験をした…。


協会職員A「(それよりもタイリクオオカミさん。彼女はもっと酷いことを…。)」

ネットを開けば、自分の裸体が広がり、SNSやメール、電話ではありとあらゆる嫌がらせ。
特に性的脅迫の数々が繰り広げられ、ほとんどの編集から『お断り』『連載中断』を突き付けられてしまった。
経済的にも精神的にも一気に追い込まれて、ガリガリに痩せた彼女を見るのは耐え難いものがあった。


チーン!

一階についたエレベーターの扉が開く。

明るいホールの日差しが薄暗い小箱に注ぎ込む中、先に踏み出した上司―子孫博士―が不思議そうに声を掛ける。

子孫博士「いつまで『開くボタン』を押しているのです?早く進むのですよ」
子孫助手「進むのです。我々はやるべきことがたくさん有るので」

タタッ!

慌てて、協会職員Aは前に進む。

窮地に追い込まれた自分達に救いの手は意外なところから差し伸べられた。

―今期の中途職員採用試験の追加募集があるのですよ。自頭が悪くなければ受けると良いのです―
―奮って受験するですよ。我々は依怙贔屓しないので!タイリクも『機関紙』の仕事、やる気はありますか?―


協会職員A「(ニヒルな言い方をすれば、『コネは身を助ける』と言ったところだが…。
あの時はそれどころじゃなかった!恋人の縁故で身を繋ぐ日が来るなんて学生時分には思いもしなかった…。
『ジャパリ組』はやっぱ強いな)」

体重がやっと戻り始めた恋人、『子孫』タイリクオオカミさんの笑顔を少し思い浮かべながら、
協会職員Aは前を向いて進む。

せっかくの『機会』生かすも殺すも自分次第!

まずは挨拶と机拭き、コピー。この大きな建物・敷地内の全てを頭に叩き込んで、関係者の顔名前を…


子孫博士「あんまり気負うななのです」
子孫助手「少し鬱陶しいのですよ。あ…着いたのです」

相変わらず、ちょっと辛辣な上司である。

協会職員A「ここは…」

一々ショックを受けず、協会職員Aは目の前の建物を見上げる。
日本フレンズ協会の敷地内にある『名義上は』別組織の建物。

『日本フレンズ・人類共同参画社会推進協会』
通称『友愛社(フレンズ社)』

自分の上司である子孫博士と子孫助手はここの重役でもある。

今日はここまでです。

今日はお休みです。

>>10
『自頭』は誤変換でしたね…。『地頭(じあたま)』で正しいです。意味は辞書の通り、『持ち前の頭の良さ』程度の意味で使ってます。

実はこれまでも、ちょくちょく誤字脱字に後で気が付くことが有ったのですが、
人物を間違えるなど、よっぽど大きい間違いでない限りは、『やっちゃった…』で済ませてきました。
それがここまで大きくレスを伸ばすとは…。

sage進行やpixiv移行を勧めてくださる声を拝見し、相当迷ったのですが、もうしばらく様子を見ようと思います。
ご厚意からお勧めして下さった読者の方は、どうかお気を悪くしないで下さい。

また、溜めれ次第書き込みます。

続きを書き込みます。

チーン!

『友愛社(フレンズ社)』建物の中程でエレベーターは止まる。

今日は比較的小規模なミーティング。

コンコン!

ガチャ!
ガバッ!!!

高級木材―のように見せかけた防弾扉―が内側から開かれる。

それまで、中で椅子に座り、会話を楽しんでいた『僚友』達が一斉に立ち上がって、敬意を示す。

『僚友』達「…」

二羽のフレンズの落ち着いた声が静寂を打ち破る。

子孫博士「遠路来た者は久しぶり、近場の者はこんにちは!なのです」
子孫助手「ご苦労なのですよ。我等が『僚友』達!」

そう横柄に声を掛ける子孫博士であるが、その視線がある人物を捕らえた瞬間、
ちょっと遠慮したような表情を浮かべる。

ギィ~

協会職員Aは子孫博士・助手の後ろで扉を閉めながら、テーブルを囲む8人の人間を眺める。

協会職員A「(これが『僚友』…。人類フレンズ融和派の中核幹部。その若手達のほんの一部か…)」


子孫博士「ゴホン!それでは定期ミーティングを始めるのです!」


ガタッ!

子孫博士がそう述べ、着座した瞬間に他の一羽と8人は、円卓を囲んで腰を降ろす。

新入りの協会職員Aは立ったまま、資料の準備や配布を行っている。

協会職員A「(ビックリしたものだな。最初は…。
日本フレンズ協会に登録フレンズの総数をはるかに上回る人間フレンズ(博愛会員)が名を連ねていることも。
この『友愛社(フレンズ社)』のことも…。知らなければ知らないで日々は過ぎていく…)」


『僚友』(りょうゆう)
フレンズの一部にはモデルとした名称そのままに『ノコル』と呼んでいるけものもいるが…。
そう呼ばれているヒトがこの世界の日本(同様の存在は他国にも)には存在する。

当初はフレンズ―のなかでもジャパリ組―と公私にわたって深い友情を育んだ
『人間側の友達(フレンズにとってのフレンズ)』を指す言葉であった。

しかし、世界再建戦争から、戦後復興期を経て、
現在は『(特にジャパリ組の)フレンズと累代にわたって友好関係を結んだ譜代の家門』
『フレンズ・人類共生・融和派の人類側中核階層』程度の意味となっている。

僚友1「大阪で起こっていた『人間・フレンズ住み分け派』デモ隊には、現地の支部の指導の下、
事前調整の通りに同規模のカウンターデモ隊をぶつけておきました。
今回は双方、警察に届けた上での『ガス抜きデモ』です。
特に負傷者・トラブル等も無し。こちらの参加人数は人間2000人。フレンズ100匹…」

子孫博士「大阪支部は良くやってくれているのですよ。福岡の支部はちょっと行きすぎですが…」
子孫助手「行き過ぎなのです。頼むから重傷者は勘弁してほしいのです」


自分の目前では粛々と『いつもの』ミーティングが進められている。
何か自分が全然場違いな所に放り込まれた気分だ。
無論、ここに子孫博士と子孫助手が自分こと協会職員Aを案内したのは、
『これからお前もこの仲間なのです』と言う意味であることは理解している。


協会職員A「(再建戦争の…、いや『人類中心の復興』を選んだ日本政府の置き土産か・・・)」

セルリアンに一度は滅亡寸前に追い込まれた人類。
その元にかばんさん率いるジャパリパークのフレンズ達は渡来してきた。

ヒトのことを―自分達が当時唯一知っていた『かばんさん』のような―
心優しく、温厚で、賢明で、丁寧な『偉大な存在』と信じて。

それが思い違いとは言わないまでも、一面的な評価であったことを後に思い知った時。
彼女たちは愕然とすることになる。

―私達は向こうがその気になれば、すぐにでも執行可能な『死刑宣告書』に自分でサインしてしまったのです!!!―


もっと時間をかけて『人間』というけものを観察してから、約定を結べば…!
いや、どうしても時間が無かったのだ。どの道セルリアンを放置していれば、○○○さん達も…!

協会職員A「(フレンズ達は再建戦争参加時、領土や補償金、鉱山開発権等を得たわけではない。
『フレンズ国家』建設が認められたわけでもない。
流石に一時金の類や、従軍時等の給金は貰っていたようだが…)」

特に日本政府に自治権も省庁新設も突っぱねられたことは、人類と共に新たな歴史を歩み始めようと
胸を膨らませていた『ジャパリ組』の心に深刻な不信感を植え付けるのに充分であった。


そして、フレンズ達―の中でも指導的立場についていた『ジャパリ組』―は有る懸念に取り付かれた。

―私たちはいずれカルタゴ人の轍を踏むことになるかも知れないのです―
―ユダヤ人の…、アルメニア人の轍を。セルリアンが元気なうちはまだ良いのです。
セルリアンには人間の現代兵器が効きにくい、フレンズはセルリアンに打撃を与え易い、
フレンズを含む生物全般が現代兵器に弱い。じゃんけんみたいな関係なのです。
でも、その一角が封じ込められた後は…―


人類VSフレンズの最終決戦なんて言うバカげた未来を目にするかもしれない。

少数派の異常種フレンズが、多数派のヒトに大粛清を受けることになるかも…。
強健な一部の肉食獣・大型草食獣フレンズでさえも、
人間が気紛れを起こし、毒ガスやミサイルとかで殺しにかかってきたら、ひとたまりもない。

コンコン!

誰かがテーブルを叩く音が聞こえる。会議は滞りなく進んで行く。

僚友3「次に野生フレンズ誤殺事件対応について。先日のタヌキさん誤殺事件。
支部の抗議活動も功を奏して、被疑者が保釈願を取り下げました」

子孫博士「結構なことなのです。同様の事件がしばしば起こっていることを理由に
『未必の故意』を主張したいところですが…」
子孫助手「現実的に考えれば、『殺人罪(殺フレンズ罪)』は難しいでしょう。
その代わり、抗議運動・検察のパイプを使って量刑相場ギリギリいっぱいまで、相手を追い詰めるですよ。
裁判員の心証をどこまで味方に付けられるか、大事なのです!」


コンコン!

僚友4「私が理事をお務めしている『フレンズ・人類共学特化学校』に子孫サーバルちゃんを迎える件に関して。
子孫サーバルちゃんは無事編入試験に合格したそうです」

子孫博士「良かったのです!これで子孫サーバルも肩の荷が下りるですよ」
子孫助手「『他のフレンズのことも考えると自分達だけ特別扱いは…』と言うから、
ちゃんと試験で公平に審査する、と説得するのが手間だったのです。全く頑固な旧友にはプンプンなのです」

だから、フレンズ側も頭を使った。
そして、思いついた。『何も人類全体を相手にする必要などない』

そもそもジャパリパークを出た時点で、フレンズ達は『地球文明』の中で生きる選択をしているのだ。
そして、現時点の『地球文明』と『人類文明』は限りなくイコールに近い…。


なら、そこは受け入れよう。
それは文明というゲームに参加するプレイヤーの『土俵』であり『ルールブック』だ。
『土俵』自体を叩き壊されれば、自分達が再建戦争に参加した苦労も水の泡になる。

その代わり、自分達も一度『約定』を結んだからには、『土俵』の上で正々堂々『相撲』をとらせてもらう!
そして、正当な手続きに則って『ルールブック』改定時には遠慮なく『投票権』を行使する!!!

公的な『自治権』や『省庁』の設置を認めてくれないなら
―そのことを逆手にとって―『人間の国家内』で強力な圧力団体を形成するだけのこと。
人間の一部をも抱き込み、彼らの力で自前の『官僚組織』や『将校団』さえ形成しながら。


既に制定されていた『特定有害フレンズ防止法』に友達であり、戦友でもある
『ジャパリパークのアライさん及びその子孫』の例外規定をねじ込んで見せたのは大きな『戦果』だ。

―『大臣』なら負わねばならない、『日本国全体に対する責任』を一圧力団体の長なら、
ある程度無視…は出来ないにしろ、二の次に出来るのです―
―そして、その圧力団体、フレンズの『牙城』を金城湯池と成すのですよ―

コンコン!

僚友5「既にニュースでご存知かと思いますが…。
『日本フレンズ協会』の博愛会員数が600万人の大台を突破しました!
これで国・地方の登録フレンズ数と合わせると国民人口の約8%以上がフレンズかフレンズ融和派の人間と言うことになります」


『僚友』達「「「おおおぉぉぉー」」」

子孫博士「お祖母達もお喜びなのです!!!」
子孫助手「ただ…、その分『敵』達も身構えているのですよ」

子孫博士はいつも慎重に自分をたしなめ続ける相棒に目を向ける。

子孫博士「分かっているですよ。でも、今更なのです。『ジャパリ組』は渡来した時から、
既に公安に目を付けられているのですよ」
子孫助手「恐れ、猫可愛がりし、奉り、阻害し…。人間は反復常ならないのです」

子孫博士「そうなのです…。確かに、縁の薄い『フレ信』や何と無くの『フレンズ同情派』は掌返しも早いのです。
だから!頼りにしているのですよ…。お義兄さん…」

コクリ

子孫博士の右側に座る人間。子孫博士から『お義兄さん』と呼ばれた男は黙って頷く。
右頬にはこの男が自衛隊に所属していた時に負った名誉の傷跡。

協会職員A「(あの顔…。新聞の受勲者速報で見たことが有る。確か、お祖父さんも軍人、自衛官。
その方は戦地で博士に恩義があったとか…。
そのご縁で、子孫博士の母上、つまり博士の子供が孫の『名付け親』になったと。つまり、…)」


元自衛官であり、子孫博士の『義兄』は生真面目に『いもうと』を諫める。

元自衛官「役員。公私混同はお控えください」

その上で、自分の報告を伝える。

元自衛官「『ハイキング隊』の訓練は上々。来月の遠征訓練計画も抜かりは有りません」

子孫助手「はぁぁ~~~。アパート男には一つ嘘を言ってしまったのです。
『日本フレンズ協会は自前の軍事機構を持ちません』なんて」
子孫博士「嘘など言ってないのです!ただ、その姉妹組織に
『寒中水泳や長距離行軍や越冬、登山、市街地踏破が大好きな元自衛官・警察官・消防士及びそれと同格程度の
体力知力を持つ隊員から構成され、フレンズと人間幹部によって指揮指導される愉快な仲間たちが居る』
と言い忘れただけなのです」

協会職員A「(長いですよっ!!!)」

思わず、心の中で突っ込みを入れてしまう!

因みにこの世界では銃刀法は平成時代より緩和されている。
セルリアンとの戦いのために国民全体で『スイスごっこ』した時の名残である。

子孫博士「ありが…、ご苦労なのです」

『名付け親関係』により、義兄妹となっている元自衛官に少し遠慮がちに子孫博士は声を掛ける。
元自衛官は一礼する。

子孫博士「(お兄ちゃん…。勲章まで貰ったのにこっちが忙しいと伝えたら…。本当に感謝しているのです)」

協会職員A「(この元自衛官の場合は典型的な『僚友』例だな。
先祖の縁故と本人達の関係による―いわば御家人!!!)」

ヒトと接触後のジャパリ組は、人間の『友達』を求めた…。

いざ『その時』が来た場合、自分達の同志となってくれる人間を―
気紛れな世論や自称フレンズ融和派ではない、それらを組織し中核となり『人間側のフレンズ幹部』になってくれる者達。

例えるなら、大元ウルスの漢人軍閥や清朝の漢人八旗・漢人科挙官僚のような存在を―

あるものは戦時・復興前後の混迷の時期にフレンズによって、養子(正式ではないが)のように養い育まれ―
あるものは戦地で互いに背中を守り合った関係を戦後も持続し、子孫にも伝え―
また、あるものは恵まれない境遇のなか克己しているところに最後の一押しをフレンズに助けられ―

そうして、フレンズ上層部に擬制的な『子分・娘分』『弟・妹分』として組み込まれ、
その関係を、代を経ても一定程度維持し、持続していくことが期待されている人間達。

協会職員A「(それが『僚友』(ノコル)。どっちかと言うと古代ローマの『クリエンテス』に近い存在かな)」

協会職員Aが思考を整理している間に、最後の報告が終了する。

因みに最後の報告者は女性で、その母親は元交通遺児。
『ジャパリ組』が援助している財団の支援を受けて身を立て、フレンズ融和派の人間と結婚し、子供達を儲けた。
その一人が彼女だ。

名前を出せば、日本人皆が知っているような有名大学を出て、著名な研究機関にも参加している。


その報告が終わり、一つ頷くと子孫博士と子孫助手はサッと立ち上げる。

ガタッ!

その場の人間8人も立ち上がる!
協会職員Aも背筋を伸ばす。

子孫博士「皆、ご苦労なのです。最後にこの者を紹介するのです。
わきが甘かったことは猛省してほしいのですが、以前勤めていた企業では大変優秀な成績を収めていたのですよ」
子孫助手「ただし、スキャンダル前のこと…。本当に猛省なのです!ただし、性格は信頼バッチリなのです。
旧友が頭蕩けそうになるまで『のろけ話』を聞かせてくれたのです」


そう言って、子孫博士は隅の方で後片づけなどをしていた協会職員Aを前の方に手招きする。
それに導かれて彼は前に足を踏み出す。

目線で協会職員Aに促しながら、子孫博士はその場の人間に伝える。

子孫博士「今日からこの者も『僚友』なのです」
子孫助手「仲良くするのです!!!」

バチバチバチ!!!

元自衛官も中にいるせいか、メリハリの利いた大きな拍手に協会職員Aは迎えられる。

協会職員A「ど…、どうかご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!!!」

ペコッ!!!

バチバチバチ!!!

下げた頭に猶も大きな拍手の音は降り注いでいた―

今日はここまでです。

続きを書き込みます。

殺アライP『ホップ・ステップ・ジャンプ!』
野良アライちゃん1『びぎぃぃぃい!!!」ボギィグチャミキィ

熱い絨毯の上に殺アライPの華麗な三段跳びが決まる。

その下では、頭部と腹部に着地をきめられたアライちゃんが息絶えたようだ。
白い羊毛の絨毯はさぞかし高価だったことだろう。

その白地に汚らしい赤い染みが二つ広がっていく。

漂う血臭と糞尿臭い―

殺アライP『はぁぁぁぁぁ!!!あっあっあっあ』

ダン!ダン!ダン!

頑丈な金属板を仕込んだ靴で勢いよく足踏みをする。

息を上げ、目を怒らせ、声を張り上げる。

白い絨毯にはまだ、三つの膨らみが芋虫のように蠢いている。

野良アライちゃん2『おねーしゃん!しんじゃいやなのりゃー!!!』モゾモゾ
野良アライちゃん3『このおと…。おくつで…、いったい、なにをするちょもりなのりゃ!!!』モゾモゾ
野良アライちゃん4『おかーしゃん!おかーしゃん!!!どうしてへんじをしてくれないのりゃー!!!』モゾモゾ


野良アライさん『■■、■■■■。■■■■■■!■■■…』

母親の野良アライさんは我が子の声を聞き、声にならない声を上げる。

殺アライP『うっせぇぇぇっっ!!!』

ボゴッっっっ!!!

スパートを掛けようとしたときに気を散らされた殺アライPは、『ダルマ』のような肉塊を蹴り上げる。

野良アライさん『■■■…』ビクビクビク

ビチャビチャビチャ…

口から、血と胃液を垂れ流しながら、野良アライさんは沈黙する。

殺アライP『人豚ならぬアライ豚。作ってみたものの存外面白くありませんね…』

殺アライPは録画カメラにそう語りかける。

『呂后の人豚』の故事に則り。
鋸で捕まえたアライさんの手足を切り落とし、目を潰し、鼻をそぎ、ケモ耳に熱湯を注ぎ込んだ上で切り取り、
喉を薬品で潰した。

勿論、我が子であるアライちゃん達の見ている前で―

殺アライP『ひぎぃぃぃぃいいい!!!。はあ…はあ…はあ…。おねがいなのだ…。
チビを育てられなくなってしまうのだ…。あしだけはぁぁぁぁぁぎぃぃぃぃぃぃ』

その時のハエガイジの声真似をする。
本物のガイジとは此奴のことか。
仮に足が残ったところで両手無しでどう『可愛いチビ』を育てるつもりなのか。

殺アライP『アライさんはねぇー!生きていたらいけない存在なんだよぉぉぉ。
ヒトに嬲られることでのみ価値を発揮する!
人間様は常にTUEEE存在、対してアライさんは『ピギィ』とか『ジビィ』とか、コミカルな鳴き声を挙げながら、
梱包材のプチプチのようにつぶれてくれなきゃぁぁぁょぉぉぉー!!!!』

ゴッ!
ゲシィィ!!
ドスゥゥゥ!!!

『ヒト耳』を残して、三重苦+五体不満足となった野良アライさんの腹部に殺アライPのキックが何度も炸裂!!!


野良アライさん『…』ビクンビクンビクン

ビチャビチャ……

野良アライちゃん2『おかーしゃん!おかーしゃん!そこにいるのりゃ?』モゾモソヨチヨチ
野良アライちゃん3『いま、たしゅけにいくのりゃー!!!あらいしゃんはちゅよいのりゃー』ヨチヨチモゾモゾ
野良アライちゃん4『ちゅめもきばもありゅのりゃー!わるいにんげん!しぬのりゃー!!!』モゾモゾモゾヨチヨチヨチ


絨毯を膨らませながら、芋虫ガイジ共がダルマアライさんに向かってくる。

―まるで、ゴキブリホイホイに向かってくるGみたいだな―


殺アライP『ふぁぁぁ!はぁぁぁぁ!!!』

ダン!ダン!ダン!

高らかに足踏みをする!!!

殺アライPの脳内をアラ虐衝動が覆いつくす!
脳内物質がドバドバ溢れる!
β‐エンドルフィン……!
チロシン……!エンケファリン……!
バリン…!リジン ロイシン イソロイシン……!

ダン!ダン!

野良アライちゃん2『びぎゃぁぁ!』ボキィ!ビチャァ!
―今のは、頭蓋骨か―


殺アライP『フン!』

ダッッッ!!!

野良アライちゃん3『ぼげぇぇぇ!!!』ボキィ!メキィ!ビチャ!
―今度は両足着地で背骨を逝かせる―


因みに脳内物質は何となく列挙しただけで細かい作用など、殺アライPは知らない。

野良アライちゃん4『あ…あ…。たしゅけ…』

芋虫が絨毯の下を這いながら、逃げ出す。

殺アライP『おやおや!おかーしゃんもおねーしゃんも置き去りにして。
ハエガイジの本性をようやく満天下に示しましたね!!!』

ダン!
ダン!ダン!

靴を殊更に鳴らしながら、殺アライPは絨毯を踏み進める。
―もう少しで逃げられそう、と言う瞬間に『決める』―

録画カメラの視界の範囲なら、この辺か…

絨毯の膨らみ「…」ビクビクビク

殺アライP『(もう少し嬲るか)』
膝から下を切って飼い、幻肢痛に夜ごと苦しむさまを眺めるのも一興。

殺アライP『アライちゃーん!僕は今から優しいご主人様になってあげるよ。
にんげんしゃん、しゅきしゅきなのりゃー!そう言って、尻尾のダンスを見せてごらん』


そう言って、しゃがみプルプル震える絨毯を捲り上げる。


ダァ!
ガブゥゥ!!!

殺アライPの目前が一瞬暗くなり、その次に真っ赤になる!

殺アライP『はぁぁぁぁぁ~~~!!』

声にならない声を上げる殺アライP。

肺腑の中の声を出した瞬間、呼吸が詰まる!


殺アライP『ごいずぅぅぅぅ!!!』

一拍遅れで状況を悟る。
絨毯を捲り上げた瞬間に四肢を使って飛び上がった野良アライちゃん4が殺アライPの鼻に全力で噛みついたのだ。

アライちゃんの小さな歯で鼻腔はズタズタになり、噴出した鼻血は、
当の野良アライちゃん4が鼻の穴を噛み塞いでいるため、喉に逆流してくる。

殺アライP『…』

ガシィィ!!!グゥゥゥ!!!

野良アライちゃん4『…』ギロッ!

殺アライPは野良アライちゃん4の首を締め上げる。

鼻先に齧りついたアライちゃんの憎悪と敵意の籠った視線と、
絶対強者の地位を簡単に覆されてしまった者の視線がぶつかる。

殺アライP『じね!!!がいじ!!!』
野良アライちゃん4『…』キシャァァー

コキィ!
ブチィ!

二つの音がほぼ同時になる。

一つは野良アライちゃん4の首が捻り居られる音であり―

殺アライP『ハァッ!はぁぁ!はなぁあっぁあ!!!』

もう片方は、殺アライPが鼻を食い千切られたときの音である!!!

野良アライちゃん4「」ビックンビックンビタビタビックン

絨毯に転がり落ちた野良アライちゃん4のゴキガイジムーブの音―と言うより振動。

それが最後の位置特定の手がかりなのだ!!!
かつては胸で、背中で確かに聞いていた『チビ』の最後の鼓動の音!!!


『人豚』アライさん『■■■■■■!!!』キシャァァァァァァァァー!!!

ガブリ!!!

殺アライP『!!!』


絨毯の上を音も立てずに、文字通り芋虫のように進んできた野良アライさん改め『人豚』アライさんが
背後から、殺アライPの足首に噛みつく。

丁度、アキレス腱の辺り!!!

けものの顎の力を舐めてはいけない。
仮に殺アライPが虐待の過程で犬歯をドリルで削り潰していたとしても―
前歯を何本も引き抜いていたとしても―

それが何ほどのことなのか!!!

『人豚』アライさん『…』ハァァシャァァァ!!!

残った奥歯と、抜きそこなった残歯、何より顎骨自体を使って、強健な首の筋肉と顎の力で捻じ切るように!!!
『人豚』アライさんは、芋虫のような体をのたうち、ワニがやるようにデスロールをかます!

殺アライP『あぁぁぁっぁぁあ…』

ブチチィィッィィ!!!

アキレス腱がその周りの肉諸共断裂する音が、殺アライPの拷問部屋に響く!!!

殺アライP『ふぅぅぅ!!!ふぉぉぉぉー!!!』

ドス!!!

懐から取り出したアイスピックで未だ足首を離さない『人豚』アライさんの頚髄を串刺しにする殺アライP!

『人豚』アライさん『…』ビクビクビクビクビッタンビクビク

ヌチャ!

殺アライP『はぁ!はぁ!やっはぞ!!!」ビシィィ!

殺アライPは『人豚』アライさんの首から血塗られたアイスピックを抜き取ると
滴る鮮血を拭わず録画カメラに見せつける。

自分は邪悪なドラゴンを倒した聖騎士
これは聖剣エクスカリバー!

と言ったイメージだろうか…。

TTT会員D「相変わらず不細工な動画だ。そんなポーズを決めて悦に入っている位なら、
食い千切られた鼻を拾って整形外科に急行するべきだろうに。いや、足首の治療が先かな…」

ブチン!

そう呟き、参考視聴していたネット動画を消すTTT会員Dなのであった。

今日はここまでです。

続きを書き込みます。

さて、疑問を持っていらっしゃる読者の方に対して一言説明を。

アライちゃんを踏み殺して駆除…という発想自体はさして目新しいものではなく、既に他のSSで登場し、
当SSでもアパート男がドブに潜むアライちゃん(後にジェニファー)にやろうとしていました(その時は失敗)。

ただ、『いづれまた試そう』と思っていたネタを敢えてこの時期に使ったのは、何人かの方がご指摘のようにとある先輩SSの衝撃が大きいです。
世界観の違いはさて置き、こんなにもアライさんは軽い存在なのかぁ~と。勿論、二次創作のキャラ自体に軽重など在るはずもないと言われればそうですが。

まるで、その世界の神が『ヒトのサンドバックとなるように』泥人形から作ったかの如く、
身を守る素振りも抗うことさえ満足に出来ないまま、プチプチ死にゆくアライさんを読んでいると。
こう、ドキリというかグサリときました。

そう言う風に人の心を揺さぶる作品が、ご執筆出来るのは、皮肉でも何でもなく、そのSS作者様のご才能であり、到底自分の及ぶところではありません。

ただ、自分の知り得る範囲では、けものは生きることに懸命な存在です。
罠に掛かっても、時に自分の手足を引き千切ってすら、逃れようと大暴れし。
窮鼠となれば、虎にすら噛みつきに行きます。

『アライさん』『フレンズ』が普通に存在する世界をもし、仮想するなら―

アライさんとヒトが比重に差こそあれ、己が命をチップに向き合うなか、人間だけがまるで神様に守護されたかのように掠り傷一つ負わないわけはないし、
散々、『日本にとって困った存在』と作中で言われているアライさんが、いざと成ったら、飼い猫一匹、カラス一羽、猟犬一頭すら殺せないはずはない。

少なくとも当SSではそう言う姿勢で当面物語が展開されていきます。
ご満足頂けない方がいらっしゃれば、申し訳ありません。


これは、なにも他のSS作者様方に文句を言いたいわけでも、『アライさんを保護するのだー』と言う訳でもありません。
そうではなくて、なんていうか、『自分に内在する嫌な部分』とでも言いましょうか、それを改めて目の当たりにするきっかけとなったとでもいうような…

作中で殺アライPが叫んでいた言葉は、実はアライさん画像を見ながら、かつて自分が心の中で思った気持でもあります。

鏃アライさん「うーん」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー

うんこを垂れ流す鏃アライさん。

子分アライさん1「溜め糞するのだー!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん1「ためふんしゅりゅのりゃー!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん2「うんこいっぱいだすのりゃー!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂1「クルルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂2「クルルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー

子分アライさん2「溜め糞うんん!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん3「のりゃー!!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん4「いっぱでたのりゃー!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂3「クゥルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂4「クゥルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー

子分アライさん3「チビ達!ここなら埋めなくて良いのだ!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん5「てまがないのりゃー!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん6「うんここうげきなのりゃ!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂5「クルルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂6「クルルルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー

子分アライさん4「うーん!うーん!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん7「ひっひふー!ひっひふー!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子分アライちゃん8「のりゃのりゃのりゃ!!!」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂7「クゥゥルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー
子アライグマ♂8「クゥゥルルー」ブリュブリュブユブリブリブリブッブー

タヌキ『アライ』ちゃん「うーん」プップー

タヌキ『アライ』ちゃんも皆に混じって、踏ん張ってみるが、小さなおならが出ただけだ。

ピン!

傍らの鏃アライさんにデコピンされる。
もう鏃アライさんのうんこは済んだらしい。

鏃アライさん「もう!お前はうんこをしに来たんじゃなくて『新入り』として『家族』の勉強をしているのだ。
出ないなら出ないで別にいいのだ!!!」

そう傍らの『同僚(恩寵アライさんとして)』に注意しながら、
鏃アライさんは素早く周辺の護衛子分アライさん達に目線と手合図を送る。

鏃アライさん「(周辺の状況に変化はないのだ?)」ヒュヒュパクパク
護衛子分アライさん「(問題なしなのだ!)」ヒュヒュパクパク

ここは、『家族』アライさん達の宿営地とはやや方向違いの地点。

因みに『宿営地』と人間に分かりやすく表現したが、
『家族』アライさんもいつも全員が一箇所にぎっしり固まっているわけではない。

『儀式』『戦時』『全体教育』等の機会を除けば、基本は各小グループで行動することも多いし、
寝泊まりするのはこれまでの巣穴だ。

もっとも『どの巣穴』を『どのアライさん』が使うかは、大母アライさん達が大まかな割り振りをし、
足りなければ掘らせ、現在の集住エリアにある程度纏まる様にはしてある。

小姉アライさん率いる『チビ達+保母アライさん達』は守りやすい真ん中、ないし一番逃がしやすい場所、
そう決めてある。


鏃アライさん「(『自分で巣穴を作る』なんてビックリなのだ。奪うのが当然だと思ってたのに…。
作る方法さえ分かれば作れるのだ。アライさんは器用なのだし…)」

チラリ

タヌキ『アライ』ちゃん「?」キョトン

大発明をアライさんにもたらした張本獣は割と自然体である。

パンパン!!!

母アライさんは手を打ち鳴らしてチビ達を注目させる。

子分アライさん1「チビ達!今度は駆けっこなのだ。皆で勝負なのだ!」コスリコスリ

子分アライちゃん1「まけないのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん2「せいぞんきょうそうはすでにはじまっているのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂1「クルルルルー」ヨチヨチヨチ
子アライグマ♂2「クルルルルー」ヨチヨチヨチ
子分アライちゃん3「のりゃー!!!!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん4「しゅしゅめ!しゅしゅめ!」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂3「クゥルルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂4「クゥルルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん5「なのりゃー」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん6「はっ!はっ!はっ!」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂5「クルルルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂6「クルルルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん1「ひっひ!ふっふっ!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん2「のりゃ!のりゃ!のりゃ!!!ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂1「クゥゥルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子アライグマ♂「クゥゥルルー」ヨチヨチヨチヨチ

ウジャウジャヨチヨチ湧き出すアライちゃん達の四方を守るように蟹股で歩きながら、
母アライさん達は吊り上がった目を細める。
ますます目つきが悪くなる!

子分アライさん1「チビ達は本当に可愛いのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん2「最高なのだぁ~。雌の冥利に尽きるのだぁぁ~」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん3「チビ達!!!さっき教えた場所には罠があるから寄っちゃダメなのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん4「フサフサ尻尾がフーリフリ!見てるだけで癒されるのだぁぁぁ~」コスリコスリシッポフリフリ


鏃アライさんは抜け目なく周囲の様子を確認する。
ピクピクピク
ケモ耳を盛んに動かす。

例えば、スコープ越しの視線―
犬笛の音―
猟犬の吠え声―
鉄と火薬の臭い―

周囲の護衛子分アライさん、同伴した恩寵アライさんと一体になり、どんな些細な異常も見落とすつもりはない。

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ピクピク

隣の同輩も一生懸命真似している。

鏃アライさん「…」

―全体の巣穴の数は揃ったのだ。この中から、比較的安全そうな地点周辺にある穴を皆に割り振る!―
―数が少し足りないのだ。巣穴はある程度ばらけて居るし―
―次の一戦をして仕入れるのだ!!!―


鏃アライさん「(そんな時にこの恩寵『タヌキ』アライさんが…。大母さんの義子がふと漏らしたのだ。
『巣穴が足りなければ作ればいいのではないで…ないのだ?!』と」


普段、まるで動じると言うことが無い大母アライさんが、その瞬間だけは目を丸くした。
もっとも、ほんの一瞬のことだから、そのことに気が付いたのは鏃アライさんだけだったが…。

鏃アライさん「大任を受けたのだ…」


大母アライさん『鏃アライさん。お前はさっきの『チビ』の発言を聞いてどう思ったのだ?』

大母アライさん『アライさん達『家族』には実は欠けている処が多いのだ。
それは『アライさん』と言う種族がこの国に置いておかれている立場に起因するのだ…』

大母アライさん『例えば、アライさんの知性は…。『家族』結成後は変わりつつ有るのだけれども、
原則、先祖の口伝と自分の経験・耳学問が頼りなのだ。それは体系的な教育の不足。
つまり、ある分野ではやたらと『物知り』なのに、別の分野場面では急にマヌケになる、
と言う結果を生じているのだ』

大母アライさん『そして、異種族間接触が存在しなかったせいで『外部視点の気付き』というものに
恵まれなかったのだ。まあ、異種族どころか同種とすら、ほぼ群れてなかったのだから、当たり前なのだ…』

―だから―

大母アライさん『新入りの我がチビに『家族』の営みを順次伝えがてら、
それを見たときの『タヌキ』アライちゃんの感想を聞き洩らさずに覚え、大母さんに伝えるのだ』

タヌキ『アライ』ちゃん「あの…、鏃アライさん?!」
鏃アライさん「ふぇ…。何なのだ?」

タヌキ『アライ』ちゃんはさっきから気になっていたことをやっと尋ねる。

タヌキ『アライ』ちゃん「皆さんは何をなさっているのですか?」


子分アライさん1「チビ達!今度は木登りの練習なのだ」コスリコスリ

子分アライちゃん1「うりゅー!」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん2「てっぺんめざすのりゃー!」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂1「クルルルルー」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂2「クルルルルー」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん3「てんかとりゅのりゃ!」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん4「しゅしゅめ!しゅしゅめ!」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂3「クゥルルルー」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂4「クゥルルルー」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん5「なのりゃー」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん6「はっ!はっ!はっ!」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂5「クルルルルー」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂6「クルルルルー」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん1「ひっひ!ふっふっ!」ヨジヨジヨジ
子分アライちゃん2「のりゃ!のりゃ!のりゃ!!!」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂1「クゥゥルルー」ヨジヨジヨジ
子アライグマ♂「クゥゥルルー」ヨジヨジヨジ


鏃アライさん「木登りの練習なのだ」
タヌキ『アライ』ちゃん「そうじゃなくて…」

鏃アライさん「…。この辺りにはアライさん用の罠が10箇所仕掛けられているのだ」ボソッ

タヌキ『アライ』ちゃん「!!!」ビクッ

驚くタヌキ『アライ』ちゃんを安心させるように鏃アライさんは伝える。

鏃アライさん「もう、あそこのアライさん・アライちゃんには伝達してあるのだ。
そして、『家族』にとって幸運なことに…、ここは皆の『宿営地』とは方向違いなのだ!!!」

ポン!

合点がいったタヌキ『アライ』さんは手を打つ。

タヌキ『アライ』ちゃん「それでさっきから、わざと生活痕跡を残しているんですね。
方向違いのポイントにアライさんがたくさん生活していると人間に思い違いをさせるために。
生活習慣を変えてまで止めた『溜め糞』をわざわざし放題にしたのも!!!」

まさに『ブリブリ溜め糞大作戦』

鏃アライさん「それプラス、実母子の大事な家族タイムなのだ。どうしても、『家族』全体の役割があるから、
実の親子で過ごす時間が少なくなってしまうのだけれど…。
アライさんにとって、それは掛け替えのないものなのだ。あと、餌集め・お食事も一部兼ねているのだ。
同じようなことを別動隊が一定間隔で各方向でやっているのだ!!!」

タヌキ『アライ』ちゃん「考えてみれば、突然、アライさんの群体が痕跡も無く蒸発すれば、
人間が不振がりますものね。でも、罠は?いつまでもアライさんが掛からなければ不思議に思われるのでは…」

鏃アライさん「餌は敢えて全ては取り尽くさないようにしているのだ…。勿論、慈悲の為ではない。
『この辺りにアライさんの巣を作るのだ』とか言って、ノコノコやって来る余所者アライさんに入り込む隙を
ワザと空けておくのだ。別に、他のけものでも良いのだ…」

そして、マヌケはやがては罠に掛かるだろう。
『家族』の身代わりに―

もっとも、それを看破し『家族』の元まで至るものが居たら、帰順を認める方針だと大母さんは言っていたのだ!!!

タヌキ『アライ』ちゃん「…」

同種に対して…、勿論、異種族に対しても、『家族に非ずんば』苛烈な姿勢を崩さない義母に改めて戦慄する。

タヌキ『アライ』ちゃん「(二人きりの時や『年下なる姉アライちゃん達』と過ごすときは、
もう少し優しそうなのに…)」


野生を、自然を生きると言うことはこういうことなのか…
いや、生きることそのものが…


タヌキ『アライ』ちゃん「私は…、甘えていたのでしょうか…」ボソッ!

鏃アライさん「…」

鏃アライさんは何も言わない。
自分も大枠での立場的にはタヌキ『アライ』ちゃんと似たり寄ったりだと知っているためだ。

『拾われた命!ただ、大母さんの為に捧げるのみ』

サッ!

鏃アライさんは片手を振り上げて合図を送る。
そろそろ引き上げ時だろう。

子分アライちゃん達「「「なのりゃーーー!!!!」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんのウジャウジャしたヨチラー歩きの音が暗い森に響く。

一旦ここまでです。

コピペ

>荒らし(ん)「アラ虐しないのは作者以上の知能がーのりゃのりゃ!!!」←まるでアラ虐するのが知能高いみたいな思考回路

>住人「それは流石に失礼だろ。嫌ならみるなよ」

>荒らし(ん)「(都合の悪いレスは無視)今度は重箱の隅をつつくのりゃ!!!長文アタックなのりゃのりゃのりゃ!!!」

>作者「熱心な読者ですね(皮肉)」
>住人「うわぁ...頭アライだぜ...」

>末期の荒らイ「ここはアライさんの住処なのりゃ!pixivに行くのりゃ!出てけー!!!」シッポフリフリ

今日はお休みです。

読者の皆さんの2018年における益々のご発展を祈念しています。
原作(アニメ)もそのまた原作(野生動物)についても同様に。

拙い文章に付き合って頂き、誠に嬉しく思っています。
本年はありがとうございました。

また、溜めれた段階で書き込みます。

続きを書き込みます。

カサッ!カサッ!

任務を終えた子分アライさん母子達を安全な方向に護送した後、
鏃・タヌキ『アライ』さんコンビは別の見学場所に向かう。
藪・低木をかき分けながら、鏃アライさんとタヌキ『アライ』さんは進む。

鏃アライさん「どう思ったのだ?」ガサッガサッ

タヌキ『アライ』さん「?」ガサッガサッ

不意に尋ねられタヌキ『アライ』ちゃんは困惑する。

しかし、直ぐに意味する処を理解し、答える。

タヌキ『アライ』ちゃん「私見ですが、『ブリブリ溜め糞大作戦』はある程度、上手くいくと思います。
ただ、人間はとても賢い。
不審な点があれば、それこそDNA検査でも何でもして、生息個体と生活痕跡の主の照合をしてくるでしょう。
普段の狩猟・防除活動ではそこまではしないでしょうけど…」

鏃アライさん「DNA検査?何なのだ?それは…」ガサッガサッ

タヌキ『アライ』ちゃん「私も漠然としかお伝え出来ないのですが…。
人間が犯罪捜査や親子関係調査に利用する方法で、血や汗・唾液、粘液、毛髪などから
その個体の遺伝的特性を掴みます。
そして、本人(本獣)確認、個体間の親族関係割り出しなどに利用するのです」

鏃アライさん「つまり…。身代わりアライさんの死体を使って、
生活痕跡を残させたアライさんとの親族関係を調べられたら…。
生活地域撹乱策が破綻してしまうのだ!!!」ビックリ


少し慌て始める鏃アライさんをタヌキ『アライ』ちゃんは宥める。

タヌキ『アライ』ちゃん「そんなにすぐに、とは言っていません!一度や二度は平気でしょうし。
それに『空き』に入り込むアライさん達が、『家族』アライさんと親族関係を元々持っていた場合は、
そんなに怪しまれることはないでしょう。
アライさん達は子沢山ですので、そう言うことも普通に起こり得るでしょうし…」


コクコク

鏃アライさんは、『恩寵組』に相応しく、直ぐに落ち着きを取り戻すと二度頷き、同輩に賛意を示す。

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ホッ

鏃アライさんは、タヌキ『アライ』ちゃんの言葉。
特に『DNA検査』を頭の記憶スペースに叩き込むと歩調を整え、彼女を先導する。

バサッ!バサッ!バサッ!

向かった先では、中姉アライさんと子分アライさん達が、鶏小屋に落ち葉や枯れ枝を乗せたり、
纏わり付かせたりしている。
屋根や壁に必死にペタペタはっ付けている。

タヌキ『アライ』ちゃん「?」

タヌキ『アライ』ちゃんは傍らの鏃アライさんを見上げる。

鏃アライさん「?」

此方もハテナマークを頭上に出している。

鶏小屋は簡素ながらも意外に良くできている。
きっと人間の書物の『ニワトリの飼い方図鑑(仮)』的な物に掲載されている図や写真を参考にしたのだろう。

中姉アライさん「この小屋には8羽住んでいるのだ!もっと捕まえたのだけど…、
『一箇所に纏めるとリスクが分散できないのだ』と大母さんと大姉さんに言われて、バラしてあるのだ」コスリコスリ

そう話しながら、中姉アライさんは、鏃・タヌキコンビの下に向かってくる。

子分アライさん達の作業はもう少しで終わりそうだ。

タヌキ『アライ』ちゃん「あれは…、ひょっとして上空から見られた時のカモフラージュですか?」

コクリ

中姉アライさんは大きく頷き、胸を張る。

中姉アライさん「この小屋も含めて、捕獲したけものは極力、樹々で見えにくい場所で飼ってはいるのだけど…。
人間はドローンだのなんだのを気紛れに飛ばすのだ…」コスリコスリ

タヌキ『アライ』ちゃん「(そう言えば、この『家族』結成のそもそもの切っ掛けは、ドローンの頻繁な往来に
よって、人間の来襲に当時の公民館アライさん―今の大姉アライさんが気づいたことだったと伺いました)」


タヌキ『アライ』ちゃん「『家族』のアライさんは、人間社会で暮らしていた私が思うより遥かに
『上空からの視線・攻撃』を警戒為されているのですね」

中姉アライさんは、目をパチクリする。

中姉アライさん「そりゃそーなのだ!!!人間以外にも猛禽類にカラスに…。
上空より襲い来るもの、見張るものは多いのだ!アライさん達も備えるのだ!」コスリコスリ

そう言って、中姉アライさんは、自衛隊などが施設・大型兵器をカモフラージュするみたいに、
森に溶け込ませた鶏小屋を誇らしく視線で示す。

タヌキ『アライ』ちゃん「(そう言えば、この地域のアライさんの先祖は、
かなり頻繁に自衛隊の行動を目撃していたと義母さんから…)」

鏃アライさん「それで、卵はどうしたのだ?」

中姉アライさん「今朝は、この小屋からは六個取れたのだ!
大母さんのご指示で2個は大母さん・姉アライさん達で、2個は手柄があったアライさん達で、
もう2個は体が弱っているアライさん達で食べたそうなのだ。
アライさんも大母さんに呼ばれて、一緒にかき混ぜた卵を啜ったのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ

幹部・勲功者・一時的な(回復見込みのある)傷病者に手厚くと言ったところか。

中姉アライさん「他の小屋からの上がりの分配も、だいたい今のような感じなのだ。
獲物は皆で分け合わないとケンカになるのだ!」コスリコスリシッポフリフリ

タヌキ『アライ』ちゃんは頷く。
ケンカも―イジメも―自分は嫌いだ。

中姉アライさんは、他の家畜・家禽の様子を見に行こうとするが、それを呼び止め、
鏃アライさんは大母アライさんの伝言を伝える。

鏃アライさん「大母さんから『イタチに注意するのだ。イノシシと蛇にも。
小屋に最低一匹は寝ずの番を置き、逆にこっちが餌にするぐらいのつもりで備えるのだ』と」

中姉アライさん「大吉なのだ!!!」

今日はここまでです。

鏃アライさん「どう思ったのだ?」ガサッガサッ

タヌキ『アライ』さん「?」ガサッガサッ

不意に尋ねられタヌキ『アライ』ちゃんは困惑する。
しかし、直ぐに意味する処を理解し、答える。

タヌキ『アライ』ちゃん「私見ですが、『ブリブリ溜め糞大作戦』は失敗すると思います。
人間はとても賢い。ため糞の場所を偽装しても本営地から偽装地への移動の痕跡を
追跡される恐れがあります」

鏃アライさん「つまり…。逆に本営地を特定される可能性があるのだ!!!」ビックリ

なぜか親もいないのに『恩寵組』になったうえ中姉アライさんより立場が上になった
鏃アライさんは、無様に慌てだす。


バサッ!バサッ!バサッ!
向かった先では、中姉アライさんと子分アライさん達が、鶏小屋に落ち葉や枯れ枝を乗せたり、
纏わり付かせたりしている。屋根や壁に必死にペタペタはっ付けている。
普通に考えれば設置するための平坦な土地や基礎となるブロック、木材を加工するための鋸、釘や金網など
アライさん達で用意するのは不可能だがそこは なろう小説、鶏小屋は良くできている。

中姉アライさん「この小屋には8羽住んでいるのだ!もっと捕まえたのだけど…、
『一箇所に纏めるとリスクが分散できないのだ』と大母さんと大姉さんに言われて、バラしてあるのだ」コスリコスリ

大母アライさんはただの歴史オタではないので、テレビでリスクマネジメントの勉強もしていたのだ!!!

続きを書き込みます。

カサッ!カサッ!

スタスタッ!

鏃アライさん「回れ~右なのだ!!!」

タヌキ『アライ』ちゃん「はい」

クルリ

縞々芋虫尻尾と可愛いフサフサ尻尾がそろって、向きを変える。

出来るだけ足跡を残さないように、臭いの元を残さないように歩き続ける。
けものの常識であるため、一々それを明示するまでもないが…。

鏃アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんに口頭と視線で『安全な方向』を示す。

他の『家族』アライさんと同じように此奴にも宿営地への帰路・往路を覚えさせないと!!!

本当はさっきの小屋から、宿営地は遠くはなかったのだが…。

人間を含めた他のけものの追尾を撒くため、敢えて遠回りしたり、途中で『消えたり』、木登りしたり、
飛び移ったりと結構複雑なのだ!

先に帰って行った子分アライさん親子も護衛されながら、同じように『撒き道』を通って帰っている。
『安全な方向』を通るとはそう言うことだ。

真直ぐは帰らない。
自然は直線を作らない。

戦時などの緊急時には省くこともあるのだけど―

タヌキ『アライ』ちゃんは特に苦も無く、黙々と歩き、道順を覚えていく。

こういう行動自体は、野生のけものもしばしば行うものであるため、特に疑念も抱かない。
本能のような物だ。

クマなども人間の追跡・探索を先読みして、待ち伏せ、逃走を行うと聞く。

道すがら、タヌキ『アライ』ちゃんはふと、気になった点を尋ねる。


タヌキ『アライ』ちゃん「そう言えば、いかに簡易なものとは言え…。良く鶏小屋を建てられましたね」

鏃アライさん「…」ピタッ

タヌキ『アライ』ちゃん「?」


鏃アライさんはまじまじとタヌキ『アライ』ちゃんの裏表のない可愛い顔を眺める。

タヌキ『アライ』ちゃん「??」ビクビク

タヌキ『アライ』ちゃんは動揺し始める。

タヌキ『アライ』ちゃん「(私は…。もしかして地雷を踏んでしまったのでは…。
これから一緒に生きていくアライさんを…。『家族』をバカにしたように受け取られてしまった?!)」

タヌキ『アライ』ちゃん「ごめんなさい!!!」ペコリ

タヌキ『アライ』ちゃんは、いけないことを言ったと気づいたら直ぐに謝る。

どっかのけものとは大違いだ!


よくよく考えたら、アライさんは―性向は兎も角―人間や他のフレンズと比べて知能が劣っているわけでもない。
双方の関係は最悪どころか、根滅対象とされているが、人間の側で何十年と生き抜いていれば
大工道具を人間が何に使っているかぐらい理解する個体は存在するだろう。
日曜大工の真似事ぐらい出来るアライさんも居るはず…。
と云うか居なかったならば、簡易的な物とは言え、槍を準備できるはずも無いわけだし―


鏃アライさん「ああ…。良いのだ!謝らなくても。
お前のそういう反応を確認することがアライさんの今回の任務なのだし」

タヌキ『アライ』ちゃん「???」

目をまん丸にするタヌキ『アライ』ちゃんは置いておき、鏃アライさんは再び脳内スペースに以下のことを叩き込む。


『人間社会の住人は、生活痕跡の比較的単純な追跡でアライさんの巣に辿り着けると考える節がある』
『人間社会の住人の想像するアライさんの基礎知力・体力は極めて低い。同じ体格のツキノワグマどころか
人間以下と完全に舐めており、道具類の使用方法など学習することさえないと考えている』


鏃アライさん「(まあ、クマと闘うなんて危ないのだ。アライさんより大きい奴に至っては勝ち目が薄いのだし…。
『雄敵』に学べなかったガイジから弾かれてるわけで、ヒトの侮りもさもありなんと言ったところなのだ…。
人間全員がこう舐めてくれたら楽なのだけど。例外も居ると思って備えるべきなのだ!!!)」

鏃アライさんは考えを整理するとタヌキ『アライ』ちゃんに向き直る。

鏃アライさん「別に怒ってないのだ!疑問はドンドン答えてやれと大母さんからも命じられているのだ!!!
綻びを繕うごとに『家族』の力は増すのだと!!!」

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ホッ!

同輩の力強い言葉にタヌキ『アライ』ちゃんは安堵する。

鏃アライさん「それで、さっきのお前の疑問なのだけど、
次向かう場所を仕切る姉アライさんに詳しく聞いた方が良いのだ」

プーン プーン

羽虫の飛び回る嫌な羽音が響く。
山の中なのだから、虫がたくさんいるのは当然なのだが―

タヌキ『アライ』ちゃん「ここは…」
人間の不法投棄場所―

タヌキ『アライ』ちゃん「(これは酷い…。
いや、ヒトの中で暮らしている時にはしばしば耳にしたことだけど…。
産廃や家庭ごみを手間賃を払いたくないばかりに捨ててはいけない場所に投棄する輩が居ると…)」

鏃アライさん「…」パクリ

クチャクチャ!!

タヌキ『アライ』ちゃんは内心憤りを覚えるが、鏃アライさんは特に感慨もなく飛んできた羽虫を食べ始める。

因みに、アライグマの食性について、かつて鎌倉市で行われた調査では、
小さな蛾・アメリカザリガニなどの甲殻類・桑の実などが中心で、食べ物のうち10%に届かないぐらいを
ピーマンなどの畑の作物や残飯としていたと云う。

勿論、これは元種の話であり、その上、アライさん・アライグマは雑食なので地域によって食性は大きく変動する。
しかし、人に迷惑をかけるものだけを中心に食べているとは決して限らない面もある。

プーン プーン

山姉アライさん「…」パクリ

クチャクチャ!!

この場を仕切る姉号持ちは山姉アライさん。
鏃アライさんと同じく羽虫をクチャりながら、投棄されたゴミの中から、『お宝』を見抜くや素早く解体に掛かる。


メキッ!メキッ!

まだ使えそうな木製家具である。

山姉アライさん「ここはお宝の山なのだ!!!」ピカピカガイジガオ

ピカピカガイジスマイルを決めながら、
山姉アライさんはたった今、解体した家具から手に入れた丈夫な板切れと、少し痛みながらも十分使えそうな螺子・釘を得意げに示す。

子分アライさん1「…」パクパクシッポフリフリ

クチャクチャ

メキッ!メキッ!

子分アライさん1は、同じく羽虫を適宜食べながら、鉄パイプやアルミ製品を漁っている。

ふと、手を止める。

子分アライさん1「電池!山姉アライさん!電池なのだ!まだ使えるのだ?」シッポフリフリ

子分アライさん2「…」パクパクシッポフリフリ

ガサゴソッ!

子分アライさん2は紙製品や布製品などのやや軽めの物を―

子分アライさん4は、まんまるピカピカのタイヤを転がしている。
何に使う気なのだろう…

子分アライさん5~12もそれぞれの持ち場で思い思いに『お宝』を漁っている。

何処から、かっぱらって来たのか…、いや、多分、蛇張村の廃村か投棄物の中しか思いつく先はないのだが、
『お宝回収班』は生意気にも軍手を着用している。

感覚が鋭敏な手先を傷つけないように。

そして毒物劇薬を触れないようにクンクンクンクン盛んに鼻を鳴らしながら、
『家族』アライさんの『お宝探し』は続く!

ヒトが『不要』と投棄した物質をかき分けて…。

その有様、正にゴミパンダ!!!

山姉アライさん「ふ~む。お前は鶏小屋の材料・道具を何処から持ってきたか知りたがってるのだ?」コスリコスリ

タヌキ『アライ』ちゃん「はい!」

『お宝』回収が一段落した休憩タイムに、タヌキ『アライ』ちゃんは遠慮がちに山姉アライさんに尋ねたのだ。

山姉アライさん「そりゃ村から持ってきたに決まってるのだ…。そうか、お前はその時、居なかったのだな!
あの時は大変だったのだ!!!大急ぎで皆の疎開先を確保して、村の『お宝』
―利用できそうな道具・資源―持ち出せるものは悉く、引き上げ時に持って行ったのだ」コスリコスリ

当然その中には大工道具もある。
日本は職人の国。
長い年を経ても―仮に元の持ち主が避難先で故郷の空遠く亡くなっても―
きちんと手入れされ密封された道具箱の中身は、なお次の使い手を待っていてくれた。

まさか、次使うのがアライさんとは、元の持ち主は思っていなかっただろうが―

タヌキ『アライ』ちゃん「悉く…とは?」

山姉アライさん「ほんと~に持ち出せるものは悉く。
お前、読めない本さえ必死で持ち出すアライさん達を舐めているのだ?!
大母さんの仰せで『人間の心を傷つけ逆鱗に触れる恐れのある』宗教関連物、家族の思い出の深いもの
―写真とかアルバムとか―はそのままにしたのだけど。ガイジが仏具を持ち出した事件もあったのだ!!!」

『舐めている』
『ガイジ』
語調の強い言葉に思わずタヌキ『アライ』ちゃんは怯えてしまう。

タヌキ『アライ』ちゃん「(このアライさんは…、『儀式』の時、私を奴隷にするべきだと言った姉アライさん…。
私のこと嫌いなのかな―)」ビクビクビク


ジロ~リ!

山姉アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんを見つめる。

山姉アライさん「…」パクリ

山姉アライさんは羽虫を口で捕らえる。

山姉アライさん「あ~んっん」

手を口の中に入れてそれを取り出す。

ヌチャ~

タヌキ『アライ』ちゃん「?」

そして、固まっているタヌキ『アライ』ちゃんの口元にその虫を押し付け、中に入れてやる。

パチクリ!!!

タヌキ『アライ』ちゃん「…」モグモグモグ

上手くも不味くもない。『羽虫』の味だ。

山姉アライさん「そう言う役回りなのだ…」ボソッ

タヌキ『アライ』ちゃん「?」

タヌキ『アライ』ちゃんは首を傾げている。
何とも可愛らしい挙措である。

山姉アライさん「(大母さんは大抵、『儀式』の前に『仕込み』をするのだ。
まあ、あの場で言った言葉自体はアライさん自身の本音でもあったのだけど…。

大母さんもアライさんも他の姉アライさんも『こう言って、こう返して、結論はこうで…』というのは
分かった上での答弁だったのだ…。

此奴も今は『家族』アライさん、そして大母さんの養女。
変に苦手意識を持たれたままでは困るのだ)」コスリコスリシッポフリフリ


タヌキ『アライ』ちゃん「あ…あの!食べ物、ありがとうございます!」ペコリ

『仲直りのサイン』を送るチビに鷹揚に手を振りながら、山姉アライさんは話を続ける。

山姉アライさん「道具類は今言った通り、金網やら何やらは、村の小屋・小道から引っぺがしてきたものを
流用したり、運び出した『お宝』木製家具の一部をバラしたりして材料にしたのだ。
『物知り』な大姉さんと『家族』の中でも特に器用なアライさんが中姉アライさんと作業していたのだ」コスリコスリシッポフリフリ


槍作ったり、罠仕掛けたり、鳴子張ったり、結構『家族』アライさん達はこれまで『物作り』のノウハウを蓄積してきた。


タヌキ『アライ』ちゃん「(正確には『蓄積』というよりはパズルのピースを合わせる作業をしていたというべきなんだろうな。

個々のアライさん、それぞれの血脈が蓄えた凹凸ある能力を『家族』結成で一気に共有・合致させたって感じなのかな。

そう言う意味であの鶏小屋は村を巡る攻防のアライさん陣営の『戦果』!)

タヌキ『アライ』ちゃん「人間の音響作戦を奇貨として…」

山姉アライさん「まあ、奇貨としたのはその通りなのだけど…。
最初から、これは『家族』の方針なのだ!!!」コスリコスリ

タヌキ『アライ』ちゃん「?」

山姉アライさん「これまた、お前の居なかった時のお話なのだけど…。
アライさん達、お山から『家族』に加わったアライさんは、今後のアライさんの在り方について、
大母さん、大姉さん、中姉さん達と、かなり膝を詰めて話し合ったのだ。

『農業をやるのはガイジなのだ!逃げ場がないし、それだけで『家族』を支えようと頑張っても、
収穫目前で人間に全部取り上げられてしまうかもしれないのだ。土地は持ち運びできないのだ。
それに、耕具や工具・刀剣、ラジオや無線、その電池、人間に変装するとき使う服や香水はどうしたって
人里からの奪取が主になるのだ。摩擦を避けるために出来るだけ、廃棄品を流用したいのだけど。
山野に身を忍ばせ、『家族』で狩猟採集をしながら、将来的には菌類やドングリを含む果樹・山菜類の栽培、
小規模な隠し畑の形成を視野に入れつつ―』」


山姉アライさんはかつて、大姉アライさんが口にした言葉を暗唱する。

タヌキ『アライ』ちゃんは目を丸くするが、今生き残っているアライさん達は口伝に慣れている。

この部分は、大母さんも同意しているあの場の核心的な結論だったのだ。

まあ、あの時は、野生化した家禽・家畜はさほど気にかけてはいなかったが、微調整の範囲内―
ある程度、移動が可能という面では『農業は無理』路線に返って合致するかもしれない…。
別に急な思い付きで、出来もしないことに手を出したわけでもない。

縄文人や弥生人と比べて、アライさんがどれほど劣るというのだ?
こっちは現代人の側で虐められながらも、生き延びてきたというのに―

パチクリ!パチクリ!

少しびっくりしているタヌキ『アライ』ちゃん。

人間の中で幼少期を過ごしたタヌキ『アライ』ちゃんにとって、アライさんは単なる害獣。
ヒトから一方的に駆除されるけものに過ぎないという認識だった。

いや、『家族』アライさんがやっていることは紛れもなく害獣行為なのだが、しかし…。

その頭上をキンキン声が飛び越えていく。

子分アライさん5「山姉アライさん。このピカピカも使えそうなのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ

山姉アライさん「ガイジか!!!それはタイルなのだ!『タイル』。人間が床などに使っているやつなのだ。
言葉を覚えるのだ言葉を!!!」チィィ!

山姉アライさんの注意の声が低く響く。

子分アライさん5「ごめんなさいなのだ~~」ションボリ

山姉アライさん「それはそれとして…。使えそうなのだ!
でも、今すぐ使うかは分からないから『留場』に持っていくのだ」


現場のやり取りを見聞きしながら、タヌキ『アライ』ちゃんは、凡その見当をつける。

タヌキ『アライ』ちゃん「今は物資の蓄積・回収作業中なのですね。
『お宝』は使えば何時かは無くなってしまうから…」

山姉アライさん「そうなのだ。『お宝』回収ポイントは『家族』の縄張りの付近にもいくつかあるのだ。
しばしば人間は『お宝』を…、それ以外も…、山に捨てに来る!!!
山姉アライさんは元が山暮らしだから、余計、目にしていたのだ!
彼奴等いい気味なのだ!!!
後は、安全度と回収必要度を見極めながら、タイミングを見計らって集めに行くのだ!」コスリコスリシッポフリフリ

山姉アライさん「そえに、これまでの戦いでも敵方アライさんから没却した道具や食べ物は遠慮なく
『家族』の物にしているのだ」コスリコスリシッポフリフリ

タヌキ『アライ』ちゃん「ほぼ…。…というか、そのものズバリ、山賊なのでは?」

遠慮がちにタヌキ『アライ』ちゃんは指摘する。
自分もすでにその一員であることは承知であるが…。

山姉アライさん「害獣山賊結構!!!清く正しく飢えていたら、人間はアライさんに情けを掛けてくれるのだ?
『弱ったアライさん発見!駆除奨励金ゲット!!!』となるに決まっているのだ!
和議が正式に結ばれるようなことが有れば、その時は止めるのだ!!!」

『家族』アライさん達は、既にアライさんが根滅対象とされてから生を受けた世代。
生まれた瞬間から、ヒトに『お前達は生きていること自体罪なんだ』という政策の対象となってきた。

だから、アライさん側も大して人間に遠慮などしない。

報復が苛烈にならないように、摩擦を最小化するように配慮はするが、それはあくまで『戦法』の問題。

『生きていること自体が罪』つまり、マイナスということは―

山姉アライさん「『何をやっても害獣』ということは、逆に何をやっても良い・同じという選択肢の幅を
人間がアライさん側に放り投げてくれているのだ!!!これは生かさない手はないのだ!
村からの『お宝』の持ち出しも、要は領土明け渡しの―到底釣り合いが取れてない―対価なのだ!!!」

ギョロリ!!!

そう睨まれれば、タヌキ『アライ』ちゃんも頷くしかない。

人間の醜い一面には一部共感できる面もあるし―今は『家族』だ!!!

鏃アライさん「そろそろ…」

スクッ!

鏃アライさんに促されタヌキ『アライ』ちゃんは立ち上がる。

ペコリ!

山姉アライさんに丁寧にお辞儀をするタヌキ『アライ』ちゃん。

山姉アライさん「???」コスリコスリ

山姉アライさんは一瞬戸惑う。
他の『家族』アライさんは、このような丁寧な挙措を大母アライさん以外に示すことはほとんどない。

山姉アライさん「…」プラプラ

手をひらひらさせながら、合図を返す。
コミュニケーション能力に難があるというアライさん種族の欠点。
それを克服する『適応』にはまだ時間を使うことになりそうだ…。

スタスタ

スタスタ

鏃・タヌキコンビは次の場所に向かう。

今日はここまでです。

今日はお休みです。

道すがら、タヌキ『アライ』ちゃんはふと、気になった点を尋ねる。
タヌキ『アライ』ちゃん「そう言えば、いかに簡易なものとは言え…。良く鶏小屋を建てられましたね」
鏃アライさん「??」ビクビク
鏃アライさんは動揺し始める。

よくよく考えたら、アライさんは―知能は兎も角―文字を読むことができない。
テレビを見ただけであらゆる知識を手に入れることが可能ななろう系主人公の大母アライさんはまだしも
一般のアライさんが人間の技術や知識を習得することは不可能。
そもそも大工仕事ができるのなら洞穴を奪ったり屋根裏に住む必要も無いわけだし―

タヌキ『アライ』ちゃん「(私は…。もしかして地雷を踏んでしまったのでは…。
これから一緒に生きていく作者さんを…。『家族』をバカにしたことを悟られてしまった?!)」
タヌキ『アライ』ちゃん「ごめんなさい!!!」ペコリ
タヌキ『アライ』ちゃんは、いけないことを言ったと気づいたら直ぐに謝る。

鏃アライさん「ああ…。良いのだ!謝らなくても。
お前のそういう反応を確認することがアライさんの今回の任務なのだし」
タヌキ『アライ』ちゃん「???」
目をまん丸にするタヌキ『アライ』ちゃんは置いておき、鏃アライさんは再び脳内スペースに以下のことを叩き込む。

作者は命令すれば簡単に痕跡を消せると思っているようだが木の上を歩けば…枝や枝葉が落ちる
数匹なら目立たないかもしれないが、人間の子供サイズとはいえ一般のアライグマより大きなアライさんが
複数活動すればどうしても移動の痕跡は残ってしまう。更に山で食料を得るため、虫や他の動物を採るためには
痕跡を残さないように動くのは不可能である。それに体毛が抜けるのにどうやって臭いを残さないようにするのか…
そもそも毎日痕跡を偽装して生きるのがどれだけ大変なのか考えたことがあるのだろうか―

鏃アライさん「それで、さっきのお前の疑問なのだけど、
次向かう場所を仕切る姉アライさんに詳しく聞いた方が良いのだ」
この場を仕切る姉号持ちは山姉アライさん。投棄されたゴミを素早く解体に掛かる。
メキッ!メキッ!使い物にならない白物家電である。

そもそも不法投棄されるのは処分費用やリサイクル料金がかかる家電製品がほとんどである。
理由はもちろん処分するのにお金がかかるからであり、家具が不法投棄されることもあるが・・・
基本的にはわざわざ山奥に運ぶより素直に処分費用をかかったほうが安いので家具はめったに見られない。

山姉アライさん「ふ~む。お前は鶏小屋の材料・道具を何処から持ってきたか知りたがってるのだ?」コスリコスリ
タヌキ『アライ』ちゃん「はい!」

そもそも文字を読めず、人間の文化を知らないアライさん達が自分達に有用な道具・資源を判別するのは不可能である。
例えば金づちを見つけたとしても先に変なものがついた棒、としか認識できないだろう。
親から使い方を聞いた、にしても文字を使えないアライさんが自分達の使わない道具のことをわざわざ伝承するのか―
ましてやアライさん達が道具の維持をできるか?特に本などは湿気の多い洞窟ではすぐにボロボロになるし、本を食べる虫もいる。

山姉アライさん「(大母さんは大抵、『儀式』の前に『仕込み』をするのだ。
まあ、あの場で言った言葉自体はアライさん自身の本音でもあったのだけど…。
大母アライさんはモンゴルの歴史を例に出してタヌキを養子に加える理由にしたけど
人間の歴史なんて知らない一般アライさんがそれで納得したとは思えないのだ・・・

道すがら、タヌキ『アライ』ちゃんはふと、気になった点を尋ねる。
タヌキ『アライ』ちゃん「そう言えば、いろいろな人から忠告されているのにPixivに移らないのは…。移ったら嵐に屈したと思われるからですか?」
鏃アライさん「??」ビクビク
鏃アライさんは動揺し始める。
鏃アライさん「それもあるけど・・・Pixivだと閲覧者数がわかってしまうから…このSSを誰も呼んでいないことがバレてしまうからなのだ・・・」

続きを書き込みます。

さて、アライさんに付き物な誤解を一つ解いておこう。
アライさんの世評の一つに『やたらと自分の子供を見殺しにする』『また産めばよかろう精神の持ち主』
と言うものがある。


大母アライちゃん1「…」メキィメキィメリグチャグチャ
大母アライちゃん2「…」コリコリクチャクチャクチャ
大母アライちゃん3「…」ギリギリグチャグチャグチャ


確かに野生動物は厳しい環境を生き抜くために、しばしば『子捨て』『子殺し』『共食い』等を行う。
アライさんもその例外ではない。

それは、知能が比較的発達した哺乳類・鳥類にも―そして、人類の長い歴史においても―
広く散見されるところである。
所謂、多産系の動物には特にその傾向が強いとされる。

勿論、『親に殺される』ことを免れた個体も、成獣になるまで常に危険に晒されていることは言うまでもない。

カミツキガメ「」チーン

子分アライちゃん1「…」クチャクチャクチャ
子分アライちゃん2「…」ハムハムクチャクチャ
子分アライちゃん3「…」ハムゴククチャクチャ
子分アライちゃん4「…」ハムメキクチャクチャ
子分アライちゃん5「…」クチャクチャクチャ
子分アライちゃん6「…」ゴリゴリクチャクチャ
子分アライちゃん7「…」ムグムグクチャクチャ
子分アライちゃん8「…」ハムメキクチャクチャ
子分アライちゃん9「…」クチャクチャグチャグチャ
子分アライちゃん10「…」クチャクチャクチャクチャ


そんな中、アライさんの元種であるアライグマの子供は、3~5割の確率で成獣になるという!

これは元来、アライグマには天敵が少ない故と言う面もあるが―
それを割り引いても、彼らは『生命力の強いけもの』であり、また、結構『子育てが上手い』らしい。

そして、サンドスターの影響を受けた動物は元種の特徴を基本的に増幅されている―

アライさんが『強いから』『賢いから』『どんどん増える≒繁殖・子育てが上手いから』―
そうだからこそ、人間にとって厄介な存在となっている、という前提は忘れるべきではないだろう―


因みにアライグマは爬虫類も食うし、ブラックバスも食べる。

アライグマより大きいアライさんやアライちゃんなら―そう言うことだ―

タヌキ『アライ』ちゃん「これは…」

タヌキ『アライ』ちゃんは少し目の前の光景に唖然とする。

アライさんとは異なり、『ヒト化現象』の影響がより大きいタヌキのフレンズは、『肉食忌避』が強い。
その為、『家族』の中では植物系の食べ物を食べたり、『既に原型がなくなっている』肉を貰ったりしているのだが…。


小姉アライさん「見ての通り『狩りごっこ』と云うか狩りの練習なのだ!!!
適度に痛めつけ、弱らせた獲物をチビ達に狩らせて、経験を積ませるのだ!!!」ブンブンブン

野良猫「ニュアーーーーー!!!!」ビクビクピクピク

タヌキ『アライ』ちゃんに目の前の光景の説明をしつつ、
小姉アライさんは野良猫の尻尾の先を掴んで、その体をブンブン振り回し続ける。

良く知られているようにネコの三半規管は大変発達している。
しかし、物には限度があるし―既に数十回大車輪のように振り回された野良猫の頭蓋骨の中には逆流した血液が充満しているだろう。

保母アライさん「さあ!!!さっきのカミツキガメ狩りで手柄を上げ損ねたチビ達は頑張るのだ!!!
雄のチビ達も!!!雌のチビに負けるようなら優秀な子孫を孕ませられないのだ!!!」ビシッ!

子分子アライグマ♂達「「「「「クルルルッル―――!!!」」」

小姉アライさん「良し!その意気なのだ!!!そろそろ尻尾がブチ切れそうなのだ!チビ達!!!
手柄は早い者勝ちなのだ!!!」ブンブンブンブン

野良猫「…」ピクピクピクピクブクブクブクブク

小姉アライさんと保母アライさんは役割分担しながら、その場のアライちゃん達を導く。
このチビ達の班は大母アライさん・姉号持ちアライさんの子供らで構成されており、
将来の『家族』の基幹となることが期待されている。


ガバッ!!!

大母アライちゃん1「…」ヨチヨチヨチヨチ
大母アライちゃん2「…」ヨチヨチヨチヨチ
大母アライちゃん3「…」ヨチヨチヨチヨチ

班付きの保母アライさんの言葉を聞くや、それまで貪っていたカミツキガメの骸から顎を離し―
大母アライちゃん達は無駄口を叩かず、舌なめずりもせず、各々の『落下予想地点』に急行する!

全力のヨチヨチ歩きで!!!

大母子アライグマ♂1「…」ヨチヨチヨチヨチ
大母子アライグマ♂2「…」ヨチヨチヨチヨチ
大母子アライグマ♂3「…」ヨチヨチヨチヨチ

雄のアライグマ達も姉妹に続いて駆けていく!
目鼻先の利き具合はやはり親に似るのか―

他の『チビ達』も続々と後に続く!

子分アライちゃん1「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん2「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん3「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん4「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん5「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん6「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん7「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん8「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん9「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん10「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん11「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん12「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん13「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん14「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん15「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん16「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん17「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん18「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん19「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん20「…」ヨチヨチヨチヨチ

子分子アライグマ♂1「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂2「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂3「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂4「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂5「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂6「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂7「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂8「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂9「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂10「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂11「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂12「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂13「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂14「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂15「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂16「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂17「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂18「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂19「…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂20「…」ヨチヨチヨチヨチ

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ゾクッ

タヌキ『アライ』ちゃんは内心恐怖を覚える。
もっと『あらいしゃんがたべりゅのりゃー』とか、『おいちーおいちーおにくげっとなのりゃー』とか、
言ってくれれば、如何にもアライちゃんという感じで安心できるのに…。

無駄が大嫌いで、命のやり取りの場から、怯懦と油断と躊躇いを徹底的に排除する大母アライさんの姿勢が
『家族』に相当な影響を及ぼしている。

必死のヨチヨチ歩きを続ける『家族』アライちゃん&子アライグマ♂!

タヌキ『アライ』ちゃん「(は…早い!アライちゃんとアライグマの子供が無言で駆け集まり、
既に幾つかの円陣になって獲物を待ち受けている…)」

大きな頭が前にある分、同じく大きくそして長い『じまんのしっぽ』をピンと張ったり、バランスを取ったり、
舵のように使って方向転換に利用しながら進み続ける―あの尻尾に変なダンスをする以外の役割があったなんて!!!

アライちゃんの『鈍間でマヌケ』な外見に惑わされてはいけない!

人間そっくりな外見の下の筋骨は、その不格好を補うための特殊な躍動を見せている。
目の不自由な人の聴覚は研ぎ澄まされ、四肢の欠損した人でも訓練次第でバスケットボールが出来るようになる。

二本足で駆けだせるようになるまで、アライちゃんもそうでなければ―そうでなかったならば―
野生で生きていくことなど、そもそも無理な話だ。


小姉アライさん「…」ブンブンブンブン

野良猫「」ジュウケツシロメピクピク

ブチン!!!

ヒュゥゥゥー――

大母アライちゃん1「…」キシャァァァァ―
大母アライちゃん2「…」キシャァァァァ―
大母アライちゃん3「…」キシャァァァァ―
大母子アライグマ♂1「…」キシャァァァァ―
大母子アライグマ♂2「…」キシャァァァァ―
大母子アライグマ♂3「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん1「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん2「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん3「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん4「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん5「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん6「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん7「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん8「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん9「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん10「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん11「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん12「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん13「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん14「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん15「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん16「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん17「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん18「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん19「…」キシャァァァァ―
子分アライちゃん20「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂1「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂2「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂3「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂4「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂5「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂6「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂7「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂8「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂9「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂10「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂11「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂12「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂13「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂14「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂15「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂16「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂17「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂18「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂19「…」キシャァァァァ―
子分子アライグマ♂20「…」キシャァァァァ―

『家族』アライちゃん達の咢が一斉に開き、鋭い牙が剥き出しになる!!!

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ギュー!
タヌキ『アライ』ちゃんは、『その瞬間』は流石に目を塞ぎ、耳を覆う。

ガツガツ!ムグムグ!ミキミキ!メリメリ!モゴモゴ!

その時間はそう長くはかからない。
すぐに哀れな野良猫は、骨に代わり、その骨からすらチューチューと髄液を吸われ始める。


タヌキ『アライ』ちゃん「(う…う…。『家族』を悪く思っちゃダメだ!これは野生の命のやり取り!
猫だってしばしば狩りの練習に獲物を嬲るし、野良猫は一面ではアライさんと同じ『外来種・害獣』。
特に山に住み着くような野犬・野良猫は生態系を壊す面では困った存在なんだ…。
まして、ここに生きるアライさんにとっては『単なる獲物の一つ』に過ぎない!)」

ギュッと目を瞑りながら、タヌキ『アライ』ちゃんはそう自分に言い聞かす。
必死で考えを整理する!

ポン!

鏃アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんの肩を叩き、励ましつつ、その反応を心に留めておく。

今日はここまでです。

追記

>>276
に挙げたことは、あくまで『体の使い方のコツ・発達』の例であり、身体障碍をお持ちの方を侮辱する意図のないことを明記します。

一口に文章力と言っても描写や書き込み量って点ではこっちの方が上かもしれんが読みやすさや表現力は断然向こうのが上だと思う
地の文の量に差があるから一概には言えないけどこっちはやたらと!を多用したりしつこい位同じ文を繰り返すからちょいちょい見にくいと感じる

続きを書き込みます。

>>356さん
申し訳ありません。読みやすい文章を書きたいとは思うのですが力不足で…。
!の多用は自分も以前から気にしており、最近少しは少なくしたつもりなのですが、表現力の未熟さで…。今回の書き込みでも正直多用してしまいました…
程よい加減を手探りしています。

繰り返し表現は、一応『アライさんが口伝暗記・命令法』を重視した生き方をしているという設定の為、敢えてそうしている面もあります。
ただ、他の場面の文も後から読み返すと『くどいな~我ながら』と思うことが有り、汗顔の至りです。

ご指摘ありがとうございます。

タヌキ『アライ』ちゃんはギュッと閉じていた目を静かに開く。

カミツキガメの甲羅「」チーン
野良猫の残骸「」チーン

大母アライちゃん2「…」クチャクチャクチャ
子分アライちゃん7「…」グチャクチャクチャ
子分アライちゃん8「…」チューチュークチャ
子分アライちゃん9「…」クチャラクチャラ
子分アライちゃん10「…」モグモグクチャクチャ
子分アライちゃん11「…」クチャクチャクチャ
子分アライちゃん12「…」ミキミキグチャグチャ
子分子アライグマ♂7「…」クチャクチャクチャ
子分子アライグマ♂8「…」ピチャピチャピチャ
子分子アライグマ♂9「…」モグモグクチャ
子分子アライグマ♂10「…」クチャクチャクチャ
子分子アライグマ♂11「…」クチャクチャクチャ

投げ出される野良猫を、子分アライちゃん達は、大母アライちゃん3匹を中心に3つに分かれて待ち受けていた。
その中の一隊が、最終的に『獲物』―『手柄』―を手に入れたようだ。
真っ赤に染まった彼女たちの口元がそれを物語っている。

タヌキ『アライ』ちゃん「う…う…う…」

ポタッ。
ポタポタ…

タヌキ『アライ』ちゃんは涙を流す。

スタスタスタ!

やや、離れて皆を監督していた小姉アライさんはそれに気づき、寄ってくる。

小姉アライさん「どうしたのだ?ハッ!お前の分の肉が…。アライさんのうっかりなのだ!」アセアセ

小姉アライさんは、明後日の方向に勘違いをすると余計な気を回し始める。
アライさんは空気を読むのが苦手なのだ―

小姉アライさん「そうだこれ!あんまり美味い箇所じゃないけど…。喰うと良いのだ!」

スッ―

小姉アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんに、さっきまで振り回していた猫の千切れた尻尾を差し出す。

タヌキ『アライ』ちゃん「う…。うわぁぁーーん!うっうっ、うわぁーん」シクシクシクシク

カミツキガメさんと野良猫さんの凄惨な死に様を引き金に、
タヌキ『アライ』ちゃんの胸に様々な思いが海嘯のように押し寄せる。

母の死、新しい母との出会い、ヒトの世界との決別と新しい『家族』への参入、
アライさん界の意外な(?)『地獄』巡り―


小姉アライさん「???」アセアセ

タヌキ『アライ』ちゃんが慟哭するのを見て、小姉アライさんは困り顔をする。

『家族』が…、『大母さんの養女』が、悲しむことは良くない。
しかし、その理由が推し量れない。
この子は肉があんまり好きではなかったはずなのだけど…、『狩りごっこ』にやっぱり参加したかったのだ?
仲間外れにされたように感じてしまったのだ!?

タヌキ『アライ』ちゃん「う…う…」シクシク

タヌキ『アライ』ちゃんの悲しみは、恐らくアライさん達には理解できないだろう…。
理屈ではない。
母の死だけではない!
命あるもの―特に動物が―それを奪られ、痛めつけられる有様を見るのが
只々、悲しく、憤りにすら近い感覚を伴って胸を締め付けてくるのだ…

勿論、ドングリ・木の実にすら命は有るではないか、と問われれば、タヌキ『アライ』ちゃんに返す言葉はない。
アライさんが『獲物』を狩ることも
―人間がアライさんと利害がぶつかり、アライさんを駆除しようとすることも―仕方がないことだと理解している。


今、自分がどちらの陣営に身を置いているのかということも―当然、拾い上げ抱き上げてくれた『家族』の側―

タヌキ『アライ』ちゃん「(それでも私は悲しいし、苦しく思う。
猫は愛玩動物で害獣化しても駆除はまずされない。
カミツキガメは、生態系を乱すから駆除対象―アライさんと同じよう―にこの国の人が持ってきたのに!!!
同じカメでも、イシガメはアライさんやアライグマに喰われるから保護するという…)」

そのイシガメ―幼体はゼニガメと呼ばれ昔は祭りの屋台でも叩き売られていたという。
ゼニガメ、ゼニガメ、ゼニガメ。
やがては、ミシシッピアカミミガメの幼体もその呼び名で叩き売られ、全国の河川湖水に蔓延り、
アライグマやアライさんよりずっとイシガメの首を絞めつけている。

タヌキも…
害獣…、害獣、カチカチ山の害獣。
農家の敵。
そう呼んで、童話でも現実でも嫌って来たくせに、アライグマの害を強調するときだけは、
途端に人間は仲間のような顔をしだす―


タヌキ『アライ』ちゃん「…」

カミツキガメの甲羅「」チーン
野良猫の残骸「」チーン

この場に『益獣』は居ない。

人間との手打ちにより、『擬制的』な…仮初の権利を得た『死に損ない』―
ヒトが可愛がり、慣らす余地ありと見られて、害獣なのに害獣と呼ばれぬけものの骸―
ヒトに―かつて散々ヒトが粗末にしたものを守るという名目で―捨て去られ皆殺されようとしているけものの甲―
そして、この地で生きること自体罪とされている『今日』の『捕食者』―

タヌキ『アライ』ちゃん「(結局全部、『ある一種のけもの』の都合なんだ…。その気紛れ。紙一重…。
客観的基準なんて本当はない…)」

ただ、今はそう言った『理』ではなく気持ちが、『情』が悲鳴を上げている…。

人間が同情と呼び、あるいは共感と呼んで尊ぶ感情。
時に敵対する立場の存在にすら、惻隠の情を抱き、他者の痛みを己が痛みのように感じる感覚をこのけものは
―タヌキ『アライ』ちゃん―は持っている…

小姉アライさん「…」

どう声を掛けたものか?
そんな顔をして、小姉アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんの側で暫し、佇んでいる。

ポンポン!

小姉アライさん「?」

鏃アライさんは小姉アライさんの肩を叩き、取り合えずその野良猫の尻尾を下げさせる。

鏃アライさんもアライさん。
空気を読むのが苦手なのは、他のアライさんと同様だ。
しかし、曲がりなりにも『側仕え』の身。
タヌキ『アライ』ちゃんと束の間とは言え、コンビを組んだ。
多少なりとも、この小さな同輩の心中を想像できる。

鏃アライさん「(後で、小姉アライさんにはアライさんから伝えるのだ…)」

タヌキ『アライ』ちゃん「う…」シクシク

大母アライちゃん3「?!」

大母アライちゃん3「しぇんしぇい!みんな…。あらいしゃんの『としうえなるいもうとあらいしゃん』が…。
しゃんしゃいがないているのりゃ!?」ヨチヨチヨチ

利発さで『家族』に知られている大母アライちゃん3が、タヌキ『アライ』ちゃんとその表情に気づき、
そばに寄って来る。

口元をさっき食い殺したカミツキガメの血で汚したまま…。


大母アライちゃん1「ほ…、ほんとうなのりゃ…。どうしたのりゃ?『としうえなるいもうと』…」ヨジヨジヨジ
大母アライちゃん2「おねーしゃん!『としうえなるいもうと』をきょーいくのばでよぶときは、
しぇんしぇいなのりゃ!しぇんしぇい…。ぽんぽんいたいのりゃ?」ヨチヨチヨチヨチ


『年上なる妹』は、タヌキ『アライ』ちゃんに対する大母アライさんの他の子供達からの呼び名―

大母子アライグマ♂1「キュゥルルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
大母子アライグマ♂2「キュゥルルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
大母子アライグマ♂3「キュゥルルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん1「しぇんしぇいどうちたのりゃー?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん2「ぽんぽんいたたなのりゃー?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん3「あんよなのりゃー?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん4「けつえんのほうのおかーしゃんをおもいだちたのりゃ?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん5「にんげんにかたきうちにいきたいのりゃ?」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん6「かってにかたきうちにいったりゃ、おこられりゅからがまんなのりゃ」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん7「しゅくだいやってきたのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん8「わしゅれたのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん9「おまえはがいじか…あらいしゃんはやったのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん10「おにくのこちてなくてごめんなしゃいなのりゃー」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん11「ごめんなさいなのりゃ」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん12「ごめんなさいなのりゃ」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん13「もしかして、こさんにいじめられたのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん14「『かぞく』をいじめるやつはがいじなのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん15「しぇんしぇいげんきだしゅのりゃ」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん16「しぇんしぇい『なぎょう』までかけりゅようになったのりゃ」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん17「げんきげんきなのりゃー」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん18「しっぽのだんすみりゅのりゃ?」ヨチヨチヨシッポフリフリ
子分アライちゃん19「しぇんしゅえ、だんすみりゅのりゃ」ヨチヨチシッポフリフリ
子分アライちゃん20「ふりふりふーりふり」ヨチヨチヨチヨチフリフリフーリフリ

子分子アライグマ♂1「キュゥルルゥル!」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂2「キュゥルキュルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂3「キルルゥル!」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂4「キュゥルルゥル」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂5「クュゥルルゥル!」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂6「キゥルルゥル…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂7「キュ?クゥルルゥル」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂8「キュゥルルルー」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂9「クゥルルゥル…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂10「クックッキュルキュル」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂11「キュゥルルゥル」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂12「キュゥル!クルゥル!」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂13「クゥゥルルゥルー」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂14「キュルルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂15「キュゥルルゥル…」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂16「クウルルゥル!」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂17「クルルルゥー」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂18「キュゥルルゥル?」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂19「キュゥルクルゥ?」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂20「キュゥルルゥルー!」ヨチヨチヨチヨチ

『しぇんしぇえ・しぇんしぇい=先生』は、文字通りの意味。
タヌキ『アライ』ちゃんは平時に大母アライさんの側、『恩寵組』の中に侍するか、
あるいは、成獣アライさんやアライちゃんに勉強を教えている。

教育の場面では、大母アライさん以外は教育者ならぬ教育獣を『先生』と呼ぶこと―

『家族』の新しい『掟』にアライちゃん達は比較的早く順応していた…

ヨチヨチ歩きで必死に『しぇんしぇい』『しぇんしぇえ』の元に駆け寄って来る『家族』アライちゃん達―

それを目の当たりにして、タヌキ『アライ』ちゃんはハッと顔を上げ自分の教え子と―
さっきから明後日の方角違いとは言え、気を回してくれている小姉アライさん達を見つめる。


大丈夫なのだ?

そう目で問いかける小姉アライさんと鏃アライさんに頷きを返すと、
タヌキ『アライ』ちゃんは、自分もヨチヨチ歩きの大軍団に一歩を踏み出す。


―ヒトとヒトの間には、本当は歩幅の数だけしか距離なんてないんだ―
ずっと昔に読んだことのある本の一節を何とはなしに思い出す。
ヒトとヒトの間がそうなら、けものとけものの間もきっとそうだろう―
ありがたいことに私は話せ、書ける。
世界は広い。
諦めるには―多分、早い!!!

ヨチヨチヨチヨチ

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ダキシメ!

ダキッ!

大母アライちゃん3「しぇんしぇ…」キョトン

タヌキ『アライ』ちゃんの異常に気付いて駆けよって来たヨチラー軍団の先頭。
真っ先に気づいてくれた大母アライちゃん3を代表として、そっと抱き上げる。

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ペロペロペロペロ

タヌキ『アライ』ちゃんは、大母アライちゃん3の汚れた口元を舐め清めてあげる。

ペロペロペロペロ

タヌキ『アライ』ちゃん「ペロペロは?」

大母アライちゃん3「…」パチクリ

大母アライちゃん3「『かぞく』の…、だいしゅきのあかちなのりゃー!!!」コスリコスリシッポフリフリ

スタッ

大母アライちゃん3の口元を清め終わると、タヌキ『アライ』ちゃんは彼女を地面にそっと降ろす。

『家族』アライちゃん達「「「「……」」」」」シーーーン
『家族』アライちゃん達は心配顔で、タヌキ『アライ』ちゃんの周りに円陣を組んでいる。

大母アライちゃん3「…」ヨチヨチヨチヨチ

大母アライちゃん3がその輪に加わるのを見届けた後、タヌキ『アライ』ちゃんは口を開く。

タヌキ『アライ』ちゃん「心配させてごめんなさい。先生は大丈夫です。ちょっとびっくりしただけ…」

『家族』アライちゃん「「「「????」」」」ノリャノリャノリャノリャ

タヌキ『アライ』ちゃん「さて!皆。宿題はやって来たかな?ちゃんと『な行』の復習はした?
『は~わ行』の予習は大丈夫?今日は『いろは歌』まで進むつもりです」

タヌキ『アライ』ちゃんはそこまで話して、
ふと、自分が今回は『授業』の為に来た訳ではないことを思い出して、鏃アライさんに目線を投げる。

鏃アライさん「…」コクリ

構わないのだ!やりなさい―

その意を正しく受け取ると、タヌキ『アライ』ちゃんは木の枝を一本拾い上げる。

ガリガリ
ガリガリガリ

タヌキ『アライ』ちゃんは見本に地面に文字を書く

『いろはにほへと ちりぬるをわかよたれそ つねならむうゐのおくやま
 けふこえてあさきゆめみし ゑひもせす (ん)』
(匂いたつような色の花も散ってしまう。この世で誰が不変でいられよう。
 いま現世を超越し、はかない夢をみたり、酔いにふけったりすまい)


タヌキ『アライ』ちゃん「(日月山河すら形を変え行く。けものは胎より生まれやがては土に還る定め)」


『家族』アライちゃん「「「う~ん。むちゅかしいのりゃ…。でもがんばりゅのりゃ…」」」テノヒラカキカキジメンカリカリ


タヌキ『アライ』ちゃん「(この『家族』と共に…。あるべき場所まで進んで行こう。
『地獄は私たちアライさんにとり、常の住処。ならば…』、堂々と、まるで天下の主のように歩み続けよう!!!)」


小姉アライさん「ほっ」
鏃アライさん「ほっ」

並んで立つ二匹の成獣アライさんは、元気になった『チビ達』を見て、そっと胸をなでおろした。

今日はここまでです。

今日はお休みです。

お休みをすると言っておきながらすみません。

少し欠けたのだ書き込んでおきます。

書けたのででした。

サラサラサラ―

小川のせせらぎの音が聞こえる。

ウォーン!ウォーン!

その畔に一群のアライさんが佇んでいる。

子分アライさん達「「「……」」」ゾロゾロゾロゾロ

15匹の剽悍そうな子分アライさんが一塊になり…。

その目の前には―

大母アライさん「…」ギロリ
釣り姉アライさん「…」オドオド
恩寵アライさん達「「「……」」」ビシッ!

大母アライさんと、現在別命を受けている鏃アライさんタヌキ『アライ』ちゃん以外の恩寵組、
そして釣り姉アライさん。

大母アライさんはクマの毛皮を羽織り、地面にどっしり腰を降ろしている。

釣り姉アライさん「お…、大母さん。一体我らに何の御用なのだ…」

釣り姉アライさんは、この前の戦いで油断から重傷を負うという手落ちを犯した。

それ故に、どうしても遠慮がちな発言となってしまう。

そんな釣り姉アライさんの胸中は特に気にする風を見せず、大母アライさんは尋ねる。

大母アライさん「釣り姉アライさん。怪我の具合はどうなのだ?」

釣り姉アライさん「もう良くなりましたのだ!大母さんと『家族』の御蔭で…」

釣り姉アライさんは急いで答える。

大母アライさん「結構。それで?お前は何を望むのだ?」

釣り姉アライさん「?」

釣り姉アライさんは咄嗟に言葉に詰まる…
しかし、流石にアライさんの中でも優良個体!
直ぐに言葉の意味を解すと元気よく応じる。

釣り姉アライさん「アライさんは…。汚名返上の機会を望んでいるのだ!」

大母アライさんは一つ頷くと、今回の召集の理由を告げる。

大母アライさん「『家族』は大きく成ったのだ。精鋭・幹部候補の増強は急務なのだ。
『恩寵アライさん』の増員を敢行しようと思うのだ」

集められた子分アライさん達「「「……」」」ザワザワザワザワ

サッ!!!

大母アライさんは騒めきだした子分アライさん達を手を一振りさせて黙らせる。

大母アライさん「(この程度で無駄口を叩くとは…。先が思いやられるのだ!)」ギロ!

此奴らは一応、自分や姉号持ちアライさんの近親・血縁から素質の有りそうなアライさんを
厳選した積もりだったのだが…。

大母アライさん「『けものは胎より生じ、やがては土に還る定め』。
それは大母さんも各姉アライさんも例外ではないのだ。
それにチビ達が大きく成れば『暖簾分け』をしなければならない。
その時、『支枝家族』を率いる大母さん、姉アライさん達も要るのだ!」

そう伝えながら、この場の結論を申し伝える。

大母アライさん「あたかも『家族』を『テセウスの船』と成す様に…。
各成員が死に欠け入れ替わっても機能可能にしておく必要があるのだ!!!
自分達の期待されている役割はこれで分かったのだ?」

集められた子分アライさん達「「「……」」」ゴクリブルブル

集められた子分アライさん達は武者震いを始める。
―大母さんはアライさん達を『恩寵を有するアライさん』に加えよう。そう言ってくれているのだ―

恩寵アライさん達「「「あたかも『家族』をテセウスの船の如くなすのだ!
けものの定めを乗り越えて後代にアライさん達の『証』を伝えんがために!!!
恩寵アライさんを増強するのだ!!!」」」

大母アライさんの側の恩寵アライさん達は、長の意図を復唱する。

釣り姉アライさん「(それはもっともな話なのだ…。
臭いからすると大母さんや古参姉アライさんの親戚アライさんだけでなく、アライさん達新規加入組姉号持ち、
そして薄い血縁ながら見込みがありそうなアライさんまでバランスよく集めている…。でも、それなら何で…)」

大母アライさん「何故、ただ任ずるのではなくお前達をここに集めたのか?
それはお前達に試験―というより試練―を与える為なのだ」

ウォーン!ウォーン!

小川の向こうから恐ろし気な野犬の鳴き声が木霊す。

マナーの悪い一部のハンターが、猟期の終わりと共に『余分』となった猟犬を捨て帰る事態は
しばしば報告されている。

捨てられた犬がすぐに野垂れ死ぬとは限らない。
山野の野生動物を喰らい、時に民家に出没することもある。

もっとも、そんなことはアライさんの知ったことではないが―

大母アライさん「この小川の向こうに8頭捨て犬がいるのだ。飼い犬にもけものにもなり切れぬ哀れな道化!
アライさん『家族』の邪魔もの!!!この付近に今、人間が居ないことは斥候アライさんが確認済みなのだ!」

故に―

大母アライさん「お前達を試す!勢子となりこの小川に負け犬を追い詰めるのだ。
現役の恩寵アライさんのうち7匹は槍を構えてアライさんの側に!
残りは恩寵アライさん候補の補佐兼採点をするのだ!」

恩寵アライさん達「「「大吉なのだ!」」」

ザッ!

瞬時に大母アライさんの側に控えていた14匹の恩寵アライさんが二手に分かれ、
片側は候補アライさんの中に加わる。

大母アライさん「釣り姉アライさん!汚名返上の機会なのだ!勢子隊を見事率いて見せるのだ!」

釣り姉アライさん「だ…、大吉なのだ!」ビク!

かつて、『死に損ない』だった鏃アライさんは、大母さんに取り立てられ、
痛む体を押して既に手柄を挙げている。
『拾い子』のタヌキ『アライ』ちゃんも、その学識を『家族』に早速提供し、共に学んでいる。
アライさんも遅れてばかりではダメなのだ!!!

ギロリ!
ジロリ!!

大母アライさんは釣り姉アライさんと『恩寵組』候補アライさん達を睨み据える。

大母アライさん「ああ。それと、勢子隊は今回武器を置いていくのだ。お前らの勇気と力量を計るためなのだ…」

勢子隊アライさん達「「「……」」」ビクビク

武器を置いていけ―つまり、自分の体で元猟犬を川辺まで追い詰めよ―との命令に少なからず動揺が走る。

大母アライさんはそんな不安げな『娘』達に声を掛ける。

大母アライさん「爪と牙と己の身はけものの基本。それに…『頭を使う』のだ!
戦いは淡白に!散文的に!あっさり過ぎるほどに無駄なく!
余計な挙動、無駄口、舌なめずり、怯懦、油断、躊躇一切を排して行うべきなのだ!!!」

危険な試練に臨む『家族』に助言と注意を喚起する。
要は何時もの襲撃・戦闘と同じだ。

血沸き肉躍る闘いなど愚の骨頂。
五分五分の戦いをすれば、『その次』はどうなるのだ?
そう云うのは万難を排して、それでもやむを得ない時に行うものなのだ―

大母アライさん「要件は以上。ここで奴らを悉く滅するのだ」ギロリジロリ

ゴロゴロと喉を鳴らす様に命令を低い声で伝える。

勢子アライさん・待ち伏せ恩寵アライさん達「「「「「大吉なのだ!!!」」」」」

タタタタタッ!

バシャバシャバシャ!!

勢子隊アライさんは『獲物』を追い詰めるべく駆けだしていく。



今日はここまでです。

予定を変更して書き込むことが出来て申し訳ありません。

続きは書き込みます。

因みに今日のエピソードには近頃、読者さん達が熱心に議論中のエピソードが再登場します。
当時、私が有る先輩SSの何に衝撃を受け、あるいは『問題視』したのかご一緒に考えていただく方がいらっしゃれば幸いです。

サッ!

釣り姉アライさんは大母アライさん達の視野から自分達が消えたあたりで、一度皆を集める。

シュタ!シュタタッ!!

恩寵組候補アライさん15匹と補佐の恩寵アライさん7匹、プラス釣り姉アライさん。
計23匹。

釣り姉アライさんはまず組み分けを命じる。
初めに両方から1匹ずつを自分の手元に招いて3匹の組を作り、この勢子隊の『本陣』とする。

残るは14匹と6匹。

釣り姉アライさん「候補アライさんは7組。恩寵アライさんは3組。それぞれ2匹ずつになるのだ!!!」

ザッッ!ザッ!

これで、候補アライさん7組、恩寵アライさん3組、『本陣』1組。
計11組に『家族』アライさんは分かれた。

釣り姉アライさんは皆の機敏な動きに少し圧倒される。

『家族』に加わる前までは、自分は小川の辺で先祖から教わった釣りをし、
それに加えて木の実、虫等を食べたりしながら、その地の『顔役』アライさんをしていた。

暮らしていた山の小川沿いの『けんきょう』付近は、本当に偶に狩人が来る以外はヒトの往来も少ない。
勿論、時に人里に餌を取りに行くこともあったし、そこで出会う面白い事物に目を丸くすることもあった。

『家族』に合流前のアライさんの―釣り姉アライさんの―世界とは詰まる所、そこまでであり、
その中で自足し、可能なら―願わくば―ヒトの駆除・虐待を逃れ自分と子孫が生き延びる望みを明日に託すのみであった。

釣り姉アライさん「(一気に変わったのだ…。望む望まざるに関わらず…。
いや、いずれこの国で生きていく上では―。きっと、その時があの日だったのだ!!!)」

そうチラリと思い返しながら、勢子アライさん達と戦法を確認する。

ウォォーン。ウォォォーン。

静かな山には遥か遠くの音も―勿論、近くの音も―不思議なほどよく響く。

ガタンゴトン!ガタンゴトン!

窓の向こう、暗がりの中に光る街並みがヒュンヒュン後ろに飛んでいく。

アパート男は窓の遥か遠方を見つめる。
東京から帰る列車のなか。
この地平の先に連なる山々のなか、流れる河川の上流に、今もアライさん達は潜み悪事をなしているのだろうか。


アパート男「…」

―まるで『虐めはイジメられる方にも原因がある論』のようなのです―
―お前の言う『じっと耐えて我慢すること』の強制はある種の、と言うか紛れもない暴力なのです。
お前は、今、被害者に泣き寝入りを勧めているのですよ―
―もしそれが片方ばかりに一方的な不利益と忍従を強いることの言い訳なら、
それは『忍耐の美徳』等ではないのです。『一方に対する他方の暴力の肯定』―

アパート男の脳内に今も大きな声で子孫博士・子孫助手の声が響く。

ガタン―ゴトン!!

『日本フレンズ協会訪問インタビュー』は取り合えず成功と言えただろう。

最後の言葉は少し余計であったか―

『ジャパリパーク冒険記』の主題歌の歌詞をわざわざ否定形で引用してしまった。
当のフレンズに対して説教を垂れるような形で…。
『原作』の優しい世界が―それがこの世界にありもしない理想郷だからこそ―好きだった人が聞いたら、
さぞ悲しむことだろう。

しかし、あの怒りの本質はそれではない。
被害者側に忍耐を一方的に強いることを美化している、と捉えられかねない発言が堪えがたく思われたようだ。

世界には『恵まれない方たち』―と一方的に呼ばれている人達―がいらっしゃる。

少数民族・犯罪被害者・障害をお持ちの方・貧困者・(貧困)フレンズ・いじめ被害者等。
挙げ始めればきりがない。

その方達やそうした問題に多少なりとも関心を持っている人が
―今回は研究用のインタビューであったから兎も角―
『公的なスペース』で『あんな発言』をすれば、その方に対するそれまでの敬意さえもさて置き、
猛反発は免れないだろう。

ある種の遊び心や諧謔を踏み越えた『世界や人間・けものの尊厳そのもの』に対する侮辱には、
やはり断固批判がなされるべき。
まあ、そのレッドラインがどこにあると感じるかは人それぞれなのだろうけれど―

今、思うと軽率であった。
そう思う。
今度は、反論する側に立たなくては…。
自分以外の―あるいは―自分を含めた誰かのために―

???「チィ!!!」
???「汚ねーな!!!」

うん?!

何か向こうの方が騒がしい。
どうしたんだろう?

少し気になるがせっかく電車で席に座れたんだ。
不良同士の下らんトラブルは放置放置!

???「おらぁ!席代われよぉ!!!」ゲシッ!
???「席が汚れるだろう!」ツキトバシ!

バタン!!!

???「痛いッスよぉ…」

うん…。何か女の子(?)が突き飛ばされている。

スタッ!

アパート男はせっかく確保した席を立ちあがると渋々、音の方に向かう。
車掌さんか鉄道警察に電話するべきか…。

アパート男「…」ピッピッッピ
知行合一、すぐさま110番をかけ始める辺りは無駄に正義感が強いだけのことはある。

アパート男「はい。お巡りさん。今、○○番線の車内で…」

不良サラリーマン1「おらぁ!害獣!席が汚れただろうが!?」ゲシゲシィ!
不良サラリーマン2「底辺土方務めが一丁前に座席座んなよぉ!現地では害獣のくせによぉ!!!」ボコボコ

アメリカビーバーさん「ご…、ごめんなさいッス!」ドゲザ!

不良サラリーマン3「なあ!その語尾何とかなんないの?!本気で謝ってんの?」カミノケケモミミゲシィッ!!!

アパート男「(うわー。酔っぱらいのリーマンが何かやらかしてるよ。周囲の音ごと警察に通報中だけど…。
列車の座席がらみで絡むとか昔の南アフリカか!?ガンジーもびっくりだな!!!)」

アメリカビーバーさん「ごめんなさいッス!これは元からで…」

土下座したアメリカビーバーさんの髪の毛とケモ耳を掴み、グリグリ揺らしながら、
不良サラリーマン達は猶もなじり続ける。

不良サラリーマン1「だからさぁ!『ッス』ってなんだよ。気持ち悪りーな!
流石、現地で害獣扱いされてる『お獣様』は違うわぁ!恥っていう概念が無いんだな?
日本人が無知でホント良かったなぁ」グリグリ

アパート男「大西洋を渡って、ビーバーとネイティブの屍の上に都市を作れば、
そりゃ『現地のヒト』から見れば害獣にもなるでしょう?」ブルブル

ここでアパート男は声を掛ける。
お前、勝算あるのか!!??

アパート男「(特にない…。勢いで止めたけど…。どうしよう。
こういう時、ドラマでは『この会話は録音されている!警察にも通報中だ!』で犯人は参ったしてくれるはず…)」


不良サラリーマン1「…」スッ

不良サラリーマンはそれまで掴んでいたアメリカビーバーさんの頭を離すとアパート男に向き直る。

ビクビクビク!

荒事に慣れていないアパート男は震えだす。
『電車男』みたいなことするんじゃなかった…。

後悔の念が脳内を駆け巡る。

しかし、三人の不良サラリーマンの隙間から、
アメリカビーバーさんが涙で潤んだ目で心配そうに見上げてくれているのを感じ、自分を鼓舞しながら言い放つ!


アパート男「この会話は…」

ボカァッ!!!

不良サラリーマン1の右ストレートが綺麗に極まり、アパート男は電車の床に転げ落ちる。
様子を窺っていた野次馬がモーセ割りして、騒めきだす。

不良サラリーマン1「うっせえ!俺はお前のような『正義君』が害獣以上に嫌いなんだよぉ!!」キックゲシゲシ

アパート男「うご…うご…」グエッグエッ

不良サラリーマン1は倒れたアパート男の腹部に2回蹴りをぶち込む!

今時不良マンガやヤクザ漫画にもなかなかこんな奴は居ない…、
と思いたいところだが平成時代の現在も日本の電車内暴力事件は意外と少なくない。

この世界では…、まあ、平成以上であることは間違いないだろう。

不良サラリーマン2「お…、おい!相手は人間だぞ!」
不良サラリーマン3「その辺にしないとマジヤバイって…」

今更になって他の2人は止めに入るが、酒が入っている不良サラリーマン1は追加の蹴りをぶち込む。

アパート男「…」ゴフゥ!

ビチャビチャ…

胃袋の中身―フレンズ協会で折角およばれした茶菓子など嘔吐する。

不良サラリーマン1が足を引いて4発目を打ち込む姿勢を取るのと―

不良サラリーマン1「え…」

グチャ!

彼の軸足脹脛付近が真っ赤に弾け飛ぶのとは―ほぼ同時であった。

ゴチン!ゴロン!

不良サラリーマン1「え…え…。うあぁあああああぁぁぁぁぁ!!!」

不良サラリーマン2「…」
不良サラリーマン3「…」

さっきまでやけに威勢が良かった不良サラリーマンは、
床を転げまわる一人を除いてまるで氷のように固まっている。

野次馬達・社内の乗客「「「……」」」

車内の乗客も同様だ。

不良サラリーマン1「あああぁぁぁぁぁ…。足がぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

一体何が…。

ともあれ、今、一先ず自分の意思で動いているのは、たった一匹のみ。

アメリカビーバーさん「大丈夫ッスか…。親切な人」ユサユサ

土下座体勢から一気に不良サラリーマン1の脹脛に噛みついたアメリカビーバーの口元は、真っ赤に濡れている。

余談ながら、ビーバーは元来警戒心の強い野生動物で、不用意に近づくと襲われることがある。
木をも噛み切るその歯と顎は、ヒトの動脈を傷つけ、死に至らしめることも可能だ。
正当防衛的状況である今回はそこまではしていないだろうが…。

やたらと『現地では害獣』を強調されていた彼女―
アメリカビーバーは心配そうに倒れ伏した『親切な人』を覗き込む。

アパート男「…」ブクブクブク

アメリカビーバーさん「しっかりするッスよ!親切な人!!」

アメリカビーバーさんはアパート男の気道を確保してやりながら、周囲に必死に声を掛ける。

アメリカビーバーさん「誰か!!!車掌さんを呼んでくるッスよ。お願いであります!!
この人を助けて欲しいッス!!!」

ガタンゴトン―ガタンゴトン―

無関心を貫くように電車は走り続ける―

今日はここまでです。

念のために書き添えておきますと、私は先輩SSに大変な感銘と影響を受けていますし、
それらを生み出し続けている作者様方に並々ならぬ敬意を持っているつもりです。
誰かにあれを書くなとかこう書けとか言いたいわけではありません。

ただ、自分の一応の姿勢として、社会の差別や不正義を助長したり正当化したりすることはしたくない。
大本の原作ともいえる『野生・非野生の動物』に
―と言っても擬人化というジャンルで互いの相克を描いている以上加減が分からなくなることがありますが―
一定の敬意を持って居たいという気持ちはあります。

そして、一SSではありますが、もし誰かの言論に『反論』が有るなら、作品で世にその是非を問うていきたいとも。

まあ、その為に描き始めたものではありませんし、
読者様と自分が楽しめることが一番大事であるとは承知しています。

今晩もありがとうございます。

「アライさんは群れないけもの」とか偉そうに言ってたわりに犬狩りに行くのに他人同士で軍隊の如くな統率がとれるんだな、本家アライグマも集団の狩りはしないしごく稀にやってもスタンドプレーでチームワークなんて皆無なのに
まぁこんなこと言ったら次辺りで補足が入るんだろうけど


>>誰かにあれを書くなとかこう書けとか言いたいわけではありません。
>>そして、一SSではありますが、もし誰かの言論に『反論』が有るなら、作品で世にその是非を問うていきたいとも。

じゃあこっちもあれ書くなとかこう書けとか言わない(言ってない)から内容ややってることがおかしいと感じたら非難してもいいよな

>>459
そもそも論としてアライさんが群れたり学習したりを容易にできる種族なら
どういう経緯で野山に暮らすようになったのかが謎だよな
人間の社会に適合するのが嫌だったとしてもタヌキみたいに
文明を捨てずに暮らす方法もあるわけだし



それから気になったんだけど

―まるで『虐めはイジメられる方にも原因がある論』のようなのです―
―お前の言う『じっと耐えて我慢すること』の強制はある種の、と言うか紛れもない暴力なのです。
お前は、今、被害者に泣き寝入りを勧めているのですよ―
―もしそれが片方ばかりに一方的な不利益と忍従を強いることの言い訳なら、
それは『忍耐の美徳』等ではないのです。『一方に対する他方の暴力の肯定』―

これもしかして作者本人が虐められていて誰かに相談したら
「虐められるほうも悪い」って言われたとかじゃないよね?ww

>>451
>>そして、一SSではありますが、もし誰かの言論に『反論』が有るなら、作品で世にその是非を問うていきたいとも。

作者さんよお
じゃあフレンズの中でアライさんだけ文明を捨てて
山の中で暮らすようになった説明してくれや
他のフレンズと同等の知恵を持つアライさんが
無節操に子供作りまくって害獣扱いされた経緯もな

>>477
文明を捨てた理由は確か唯一アライさんだけ戦争から逃げた事だった気がするぞ
ただでさえやばい状況なのに仕事はせず飯を食らう(盗む)ニート種族なのを大母ガイジ含めて「先祖は偉大なのだぁコスコス」って美化してるからもうどうしようもないガイジよ

無節操にガイジ生産工場になってるのは大母ガイジでさえ我慢出来ない発情期の性欲だったな
都合のいい「フレンズと人との争い」だとか余計な知恵は仕入れている癖に自分達が増え続けたらどうなるかは見て見ぬ振りをしてるぜ!

流石に「実は先祖は何も悪い事をしていなかった」とか「発情期は我慢出来るのだ!」とか後出し情報出したら俺も怒るけどな

続きを書き込みます。

社内の乗客「「「……」」」

シーン―

アメリカビーバーさん「誰か!!!車掌さんを呼んでくるッスよ。お願いであります!!
この人を助けて欲しいッス!!!」


車内に戸惑いと気まずさが充満するなか、素早く動き出す影が一つ。

シュタタタ!!!

ある乗客の男性。
ここでは、仮に旅好き男とでも呼んでおこう。

この旅好き男。
親友に大の鉄オタが居り、そいつの付き合いで彼方此方に連れまわされるうちに、
自分も旅行好きとなった経緯がある。

そんなわけでこの日は東京の名所巡りに行った帰り。
さっきまでうるさい物音にも負けず熟睡を決め込んでいたのだが―

シュババババ!!!

チョプモクレイ!オシワケ―
チョプモクレイ!オシワケ―

片手で合掌しつつ黙礼しながら、立ち乗客を押し分けていく。

さっきまで旅疲れで、ぐ~すか寝ていた旅好き男。
不良サラリーマン1の悲鳴で安眠を叩き起こされ―その15秒後。
自分が心中憧れていたシチュエーションに遭遇していることに気づいたのだ!

助けを求める可憐な女性。
倒れ伏す被害者。
何か転げまわる悪人に、未だ裁きを受けていないそのお仲間2人。
電車の車内―

ババババッ!

完璧だ!!!
これを上回るのは、『学校にテロリスト突入』位しかないぞ!!!
男の子はこういう危難に勇気を示したくなる願望があるのだ!!!

旅好き男「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

旅好き男は渾身の気合を込めて―



ボチン!!!

車内非常通報装置のボタンを押した…

不良サラリーマン2「…」サァー
不良サラリーマン3「…」サァー

今更になって事態の深刻さに気付いた不良サラリーマン達。

しかし、こうなってはもうお終いである。

車内乗客達「「……」」ノシノシノシ

恰幅の良い男性乗客二三人が逃走を許すまいと寄って来る。

不良サラリーマン1「あぁぁ…。う…う…」ゴロンゴロン

空気が変わった車内で、不良サラリーマン等は瞬く間に『弱者の立場』に転落する。

そんな!
さっきまでお前達も面倒臭そうに見て見ぬふりをしていたじゃないか…
フレンズ、フレンズと調子に乗っているが、此奴等は『ノイジ―マイノリティ』。
アライさんよりは―ひょっとしたら人間よりも―性格は善良かもしれないが、
たびたび人間社会との不適応から摩擦を生んで、税金泥棒で…、みんな本当はそう思っているだろう!!!
元種が現地で害獣ということも本当のことではないか!!??


そんな不良サラリーマンの心中など、アメリカビーバーさんにはどうでも良い。

アパート男「…」ブクブク

ギュッ!

アメリカビーバーさんは名も知らぬ『親切な人』の手を握りしめる。

車内非常通報装置を通じて、車掌と旅好き男が話す声がケモ耳に何と無く聞こえてくる。

旅好き男『暴力事件発生です。
どうやら酔った乗客が、フレンズさん一匹と止めに入った男性一人に無礼を働いたようです!!!
怪我人が二名!怪我人が二名!!!』


アメリカビーバーさん「(まるで、ずっと遠くの世界の音のようッス。何時もの仕事帰りだったのに…)」

ポタッ!ポタポタ…

涙が溢れて来る。

今は、この『親切な人』が大事ないのを祈ることしかできない…。

キィィィィーー――――

甲高い不協和音を発しながら、列車は次の駅で止まった。

一旦ここまでです。

なんかもうまともに読めないからわしも全部終わったらまとめて読むことにしよっと
作者さんも少しづつ毎日書かないでもっと書き溜めてから一気に投稿とかもストレス溜めない感じでやり方としてはありだと思いますよ
まあ今日も更新ありがとです
好きなんで出来れば完結するのを影ながら祈ってるよ

>>498さん

どうもありがとうございます。

更新頻度、記入量は自分の生活、体調に合わせて、これから少し滞るかもしれませんが、何とか完結を目指します。

また、気が向いたら、こちらも是非覗いて頂ければ幸いに存じます。

一応少し続きが駆けたので書き込みます。

クルゥゥゥゥー

クルルゥゥゥゥ――!

クルルルルゥゥゥゥゥ―!!

山奥に勢子アライさん達の鳴き声が反響していく―

時にヒトの耳では感知できないほどに高く!
あるいは逆にヒトの耳では音を拾えないほどに時に低く―

『家族』で連携、連絡を取り合い、あるいは『音自体』で獲物を追い込むためだ。
丁度この前、県兵が自分達アライさんに行った作戦と似ている―
そのことを、参加して改めて候補アライさん等は実感する。

ウォォォォーン!
ワン!ワン!ワン!
オォォーン!

鶴翼のように広がった勢子アライさんの包囲陣に追い立てられ、
逃げ回り、反撃を試みながら、捨て犬たちの行き場が少しずつ狭められていく。

大母アライさん「…」ピクピクピク

小川の辺で、どっしり腰を降ろして胡坐をかいている大母アライさん。

盛んにケモ耳を動かし、皆の様子を―きちんと『敵』を追えているのか、
怠けているもの・手落ちを犯したもの・怪我を負ったものが居ないか―確認している。

その前で川沿いに一列になり、投げ槍・突き槍の準備に余念のない7匹の恩寵アライさん達。


ジャリ、ジャリ…

そんな中、大母アライさんの後ろから迫る三匹のけもの。

タヌキ『アライ』ちゃん「お義母さん…」
鏃アライさん「大母さん。只今戻りましたのだ…」

『新入り見学』を終えたタヌキ『アライ』ちゃん・鏃アライさんと―

大姉アライさん「大母さん。試験の調子は…」

途中から合流した大姉アライさんである。

ブン!

大母アライさんはぞんざいに手を振って3匹を黙らせる。

―そんなことは見ればわかるのだ。今は『戦闘中』。無駄口を叩くな!『敵』を利する―
―試験の調子が気になるなら、自分のケモ耳で確認するのだ。取り合えず、お前らはそこで控えているのだ!!!―


そう、手で示す。

スゥッ!

鏃アライさん・大姉アライさん「「……」」サッ!

鏃アライさんと大姉アライさんは大母アライさんの両脇に武器を構えて侍し。

ヒョコ―

タヌキ『アライ』ちゃんは己が義母のやや左後ろに控える。

タヌキ『アライ』ちゃん「(これが試験…試練。私はまた、けものが死ぬのを見るんだ…)」

ニギッ!

タヌキ『アライ』ちゃんはグッと掌を握って堪える。

ソッ―

タヌキ『アライ』ちゃん「?」

大母アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんの握り拳に手を添えると―

ぎゅぅぅー。ぎゅぅぅー。

一本ずつ指を解いていく。

タヌキ『アライ』ちゃん「おか…」

大母アライさん「…」ギロリ

また、目線で黙らされてしまった。
強い感情の籠った視線。

タヌキ『アライ』ちゃん「(励まされたのかな…)」

大母アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんの掌をプラプラさせ、緊張を解すと再び視線を前に向ける。

釣り姉アライさん「クルルルルゥぅゥゥ―!!」

釣り姉アライさんは、聴覚が発達したけもの同士の駆け引きに用いる、独特の音帯の鳴き声を張り上げる。

元猟犬に『こっちには敵がいる。逃げ道はないぞ』と知らしめるため。
そして、味方への指示の為。

釣り姉アライさんの立てた作戦自体はごくシンプルで平凡なもの。
勢子隊を率いて、まずは大母アライさん達と犬共を挟んだ対角線上の方向に大回りをする。

そして、練度の高い恩寵アライさん3組ずつを左右両翼から駆けさせ、
自分の『本陣』を中心に候補アライさんを緩やかな半月形の横陣にしながら、
大母さんが待ち受ける川辺に『敵』を追い立てる。

勿論、元猟犬どももバカではない。

元猟犬1「…」ウー!ウッウッー―!!!

ガリガリガリッ!と地を蹴る音―

ダッダダダダッー!!!

ウッー!!!ワンワン!ワンワンワンワンワン!

かつて、飼い主と共に山野を駆け巡った時の経験を生かして『吠え止め』を敢行しようとする犬もいる。

クルルルルゥ―
頭上から方向を指示する『本陣』勢子アライさんの鳴き声。
入れ替わり立ち代わり必ず一匹は『物見』に木に登らせている。

木登り勢子アライさん「…」ユサッ!ユサッ!バッ!

木登り勢子アライさんはまるでサルのように樹から樹へと立体的な軌道を描いて進む。

ヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュン―

地面では包囲突破を図った犬に向け、石飛礫が降り注ぐ音がする。

元猟犬1「…」ボコッガコッボコッボゴッ!!!

候補アライさん達「「「「キシャァァァァァ―!!!」」」タタタタタタッ!!!

それと共に犬の前面に居た4匹の候補アライさんは体を最大限に大きく見せながら、爪と牙を剝き出しにし、
肩と肩がひっつこほどに密着しながら、元猟犬1の方にフェイントとして駆け寄って見せる。

元猟犬1「ハァ…ハァ…ハァ…」タタタタッ!

元猟犬1は勝ち目の薄さを悟って逃げ出す。

こうした一進一退ならぬ一進一進の攻防を『鶴の翼』全体で繰り広げ、かつ『鳴き声の網』を張りながら、
『敵』を遅滞なく追いやっていく。

勢子アライさん達「「「…・…」タッタタタタッガサガサ!

『石飛礫』という道具を使っていいのか?

良いのだ!!!
大母さんはわざわざ『頭を使え』と指示を出していた。
肉体の強健さと度胸だけが採点ポイントなら、そんなことは言わない―少なくとも大母さんの性格上―

なら…、禁止されたのはあくまで『事前に用意した』道具の使用のみ。
そう判断した釣り姉アライさんは全アライさんに飛礫の利用を命じ、
あるいは木の枝で簡易的な戟棒を構えさせている。


勢子アライさん達「「「クルルルルゥ―。キュルルルルルゥゥゥー!!!」」」

鳴き声の網が狭まっていく。

あたかも勢子船に追われる鯨の如く、かつての良狗に年貢の納め時が近づいてくる。

元猟犬達「「「「「ワンワンワン…ウ―――」」」」」

やがてまた訪れる猟期。
彼らの元飼い主たちは蔵にしまった良弓・良銃を開け放ち、
自分の育て上げたけものと共に地を駆けることが有るのかも知れない。

だが―それは残念ながら彼らではないようだ…。


元猟犬1~8「「「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」」」ペキペキガサガサ!

―そっちに…。森から抜けた先の川辺に『嫌なもの』が居る。
此奴等と同じ…しかも此奴等より強いけものの臭いがする。行っちゃいけない!!!―


元猟犬1~8「…」クルリ!

―群れの力を示して、危地を脱するんだ!!!こいつらの向こう側に退路がある―

ヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン―

ザザザァァッッッ!!!

既に閉じかかった『鶴の翼』から23個の石飛礫が雨のように捨て犬に容赦なく降り注ぐ―

元猟犬1~8「「「「キュイン…キャイン…クーン」」」」ボコッガコッボコッボゴッ!!!

ジャリ!ジャリジャリ!!

ヨロヨロタッタタッ!

ジャリジャリジャリ…。

遂にかつての名狩人達は、看破したはずの死地に追い突き出された。

元猟犬1~8「「「「キュイン…キャイン…クーン」」」」ジャリジャリジャリ…

森から遂に追い出された元猟犬達を目にし、タヌキ『アライ』ちゃんは複雑な気分になる。
また、殺戮を目の当たりにしなければいけないこと。
義母がふとした時に示す配慮への感謝。
『家族』が―自分達が勝ったことへの安堵。

だが、今回はそれに加えて―

タヌキ『アライ』ちゃん「(本来、群れないけもののアライさんが…。思いのほか連携して狩りをしている…)」

無論、タヌキ『アライ』ちゃんとて、
この『家族』アライさん達が小規模な社会集団を形成していることは知っている。
その組織力を生かして幾度かの『戦い』を乗り切り、疎開を完遂したことも…。

タヌキ『アライ』ちゃん「(でも…。見ると聞くのでは大違いだ…)」

ピトッ!

そんなタヌキ『アライ』ちゃんを落ち着かせるため、大姉アライさんは軽く肩を当てる。
両手は武器を持っているから無理なのだ…。

一般的にアライさんは―アライさんの元種のアライグマは―群れないと人間には認識されている。
『家族』形成前のアライさん自身すらそう思っていた。
一時的に同一の獲物を狙うことは有っても、オオカミのようなチームワークを示すことは余り確認されていない。

では、大母アライさんの『擬制的な母権家族集団』結成は、アライグマの元来の生態に全く逆らった
『不適合な適応』であったのか?

実はそうとも言い切れない面もある。

アライさんの元種のアライグマは、70日程の授乳期間の後、10ヶ月から1年程で独立しする。
雌は1年、雄は2年程で生成熟する。そして、雌は母親の行動圏の近くに留まるが、雄は遠くへ離れていく。

そう、『同一家系の雌同士』は独立後も比較的側に暮らしているケースが多いのだ。
勿論それは『暮らしている』だけで、所謂群れとは異なるが…。

また、野外では基本的に単独のアライグマであるが、動物園では多頭飼育されているケースもままあり、
その生態はかなり柔軟な節もある。

そして、人間が心しなければいけないのは、動物は一旦、動物図鑑に写真と説明文が載れば、
其処で『適応』を止める―という存在ではないということ。

アフリカゾウは、象牙の長い個体が人間に狩られ続けた。
進化の結果手にした長い牙が今度は生存に不利に働くようになったのだ。
それ故―近年では牙がより短くなる方向に、形態が変化しつつある―という説もある。

また、人間の活動による生息地の減少、捕殺圧力により、
『旧来は基本、群れないけもの』と見なされていた動物が、何らかの協調行動を取り始めた例をしばしば耳にする。


動物が―それを進化と呼ぶのか、適応と呼ぶのかはさて置き―環境に順応する速度は
時に人間の予想を遥かに上回るほどに早い。

そして、『家族』結成時・加入時にその速さに付いて来られないアライさんは、悉く…


故に―

大母アライさん「…」

サッ!

大母アライさんは右手を振り上げる。

ヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン―

ザッッッ!!!
ゴロンゴロンゴロン!!!

無数の飛礫が降り注ぎ、『彼ら』は川に追い立てられる。

元猟犬達「「「ハ…ハァ…ハァ…」」」ジャリジャリジャリ

前門のアライさんに追われ、後門のアライさん達は―

ヒュンヒュンヒュン―
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン―

一斉に投げ槍を放った。

ザクッ!ザクザク!グサグザ!ザクグサッ!!!

元猟犬達「「「キャイン…クーン…ハ…ハ…」」」バシャバシャバシャ

体のあちこちに木槍が突き刺さった状態で、元猟犬達は小川の渡河を敢行する。
この害獣共に一矢報いたいのか、突破して逃走を完遂したいのか…。

そんなことは考える必要などない。

大母アライさんの側に侍していたアライさんは、近接戦用に取って置いた次の槍を手に、
まるで銛を打つように良狗の成れの果てに駆け寄る。

恩寵アライさん・大姉アライさん「「「「キシャァァァァ!!!!」」」」ダッ!

ドスドス!ドスドス!!ドススメキ!!!

元猟犬1~8「「「「……」」」」」チーンピクピクピクビク

捨て犬たち、ヒトの都合により『友』から『野良の害獣』に格下げされたけもの等は、
前足を対岸に掛けることすら許されずに…。

川を赤く染める染料へと変わっていった―。

今日はここまでです。

今後少し更新のペースをゆっくりにすることが有るかもしれません。

その時はどうか気長にお待ちください。

まぁ>>1も最初に言ってるからな

>>SS初心者の自分には「力加減」が分かりかねるところがありますので転載や拡散はご配慮お願いします。
→力加減が分からないからやり過ぎるかも(でも何を言われても直す気は無いよ、加減が分からないからね)

世界観・設定は原作アニメや他の名作SSを参考にしながら、自分でも埋め合わせ、調整、推測、創作等を行っています。
また、「書き物」の常として自分の主観等が混じり「こんなのけもフレじゃない」と怒られてしまわないかビクビクしています。
→余所のSSを参考に穴埋めするからけもフレの二次創作じゃなくて余所のけもフレ(アラ虐)SSの三次創作だよ、だから引用は仕方ないんだよ

どうか不出来な二次創作をご宥恕頂ければ幸いです。
→三次創作なんだからパクリとか言わないで大目にみてよ、中身の指摘には全力で反応するけどね

作者の考えをまとめると

・カリスマのあるトップがいて
・擬似的な家族を形成して
・反発する奴は皆殺しにすれば

それまで単独行動しかしたことなくて
就学はおろか文字すら読めない人?でも
軍隊並みに統率のとれた行動ができると思っているってこと?
こいつ働いたことはおろか
友達がいたことがあるかすら怪しいな…

>>535
そこは大母で爆発的に成長しただけで人の営みや軍の動きなんかは親世代から代々伝わって来てたってことだからそれまでの蓄積があったと考えればある程度はおかしくないかと

まぁそうやって伝わってた割に大母姉妹は毒餌やら罠に引っかかったりして死んだりしてて大母一代で築いてる感が凄いけど
それにそうじゃないと大母はちゃん~初発情期の僅かな間に百科事典やラジオを始めとした道具の収集や使い方をマスターして様々な知識まで蓄えるっていう化物になっちゃうし

今日はお休みです。

まぁ>>1が自分で言ってる通り元マジキチレベルのアラアンチで、それが価値観だけ入れ替わっただけならこうなるわな。
アライさんをディスパッチする俺TUEEE害獣だから殺してもOK!から
アライさん虐待を否定する俺TUEEE社会不適合者だから盗作しようが全否定しようがOK!になっただけ

どういう論理を辿れば>>542に行きつくのかが気になる

>>546
指導者批判する時にヒトラーと同一視するのは論戦の定石だからね。

生態系滅茶苦茶にするって意見は恐らく>>1的には
大母が殺してるのは外来種だけ!それをやったのは人間!つまり全て人間が悪いのだ!っていう論理で封[ピーーー]るよ。
カミツキガメや、「捨てられた」猟犬にしたのはそういう面もあるだろうね。
まぁにしても「なんか減ったな」って違和感は普通抱くだろうし、それだけ狙って大母が何がしたいのかいまいちわからん。
外来種だけ[ピーーー]から殺さないで欲しいのだなんて作者の主観たっぷりの一般人(ドン引き)に通じるはずないし、その気もないみたいだし。

大母的(作者的)ハッピーエンドは人間屈服させて生存権と地位の獲得だろうし、
最終的にはアラ虐反対派になった選ばられた聖戦士(大爆笑)達や『元別のフレンズ』アライさん達が人間側の兵器を無力化もしくは鹵獲して利用して、
一億総土下座社会従わない者は[ピーーー]か強制収容所行きっていうオチなんかな。あれヒトラーっぽくなった

続きを書き込みます。

サラサラサラ―

ドクッ!ドクドクッ!!

元猟犬達「「……」」ピクピク

冷たい小川の水を赤く染めながら、捨て犬たちはそれぞれの断末魔を迎える。

朧げな記憶の中の優しい母イヌの温もり。

やんちゃな兄弟姉妹との追い駆けっこ、じゃれ合い。

そして、明るい日差しの中『彼』に…、『ご主人様』に出会ったこと!!!

大好きだと言ってくれた!大好きだったご主人様に!!

バシャ!バシャシャ!!!


鏃アライさん「(うん?)」

傷つき穿たれ、川の中に一度は伏した一頭の犬が震えながら立ち上がる。

―一緒にお散歩をしたこと、他の『友達』と駆けっこをしたこと―
―訓練を上手くこなせたら褒めてくれたこと―
―倒した獲物の前で、一緒に並んでポーズを取った事―

寒さや飢え、病気を我慢しながら『お迎え』を信じて、ずっと
―同じように置いてかれた子たちと―頑張ってきたこと。

元猟犬「う…ウォォォォー!!!」バシャバシャ!!!

なら、ここでお寝んねしてちゃダメだ!
こんな川ぐらい何度も超えて来たんだ!!
目の前の●●●●●を倒して、傷を癒して…ご主人様をお待ちしないと!!!
敵の群れのボスを狙う!!

鏃アライさん「大母さん!!!危ないのだ!!!」


木槍に貫かれた『死に損ない』
もうどう見ても致命傷だ。

しかし…関係ない!!!

一度は倒れた体を引きずりながら、『あの日の陽だまり』に向かっていく。

鏃アライさんは大母アライさんの前に飛び出す。

鏃アライさん「たあぁぁぁぁ!!!」ダッ!ガブリ!
元猟犬「ウゥゥゥ!!!」ガブリ!

元猟犬は最期にかつての目の光を取り戻す。
『捨て犬』となる前の自分を。
自身の半身―『最良の友』と信じていた相方―と共に在った頃の自分を。

ゴロゴロゴロ!!

鏃アライさんと最後に生き残った元猟犬は噛み合い組み合い、転げまわる。

元猟犬「…」ウーフゥー!!
鏃アライさん「…」ガブガブガブ!!

犬には人の事情の全てを知ることは出来ない。
この犬の飼い主がどんな事情があったのか―この場の誰も推し量ることは出来ないだろう。
ただ、犬は最初の飼い主に身も心も捧げるという強い習性がある。
この犬はずっと―

大姉アライさん「鏃アライさん!!!」タッ!

大姉アライさんは『家族』の援護に廻ろうとするが、それよりもさらに一瞬の半分より早く!

大母アライさんが腰のマタギ刀を抜き放った。

ダッ!

シュバッ!!

ゴブシャァァァー!!!

ビクビク…

頸椎を両断と言うよりは叩き潰された元猟犬はゆっくりと力尽きていく。
その咢を最後まで鏃アライさんに食い込ませながら―

鏃アライさん「はぁ…。はぁ…。大母さん。とんだお手間を。許して欲しいのだ」

グイ~―グイ~―

ゴロン!

腕に食い込んだ元猟犬の顎を外しながら、鏃アライさんは詫びる。

恩寵アライさん達「「「不手際をお許しくださいなのだ!!!」」」ぺタペタ

周囲の恩寵アライさんも一斉に、地に両手をつきに詫びるが、大母アライさんはそれを一顧だにせず呟く。

大母アライさん「フン…。キツネ犬か。さもありなんなのだ…」

やや黄色が混じった褐色の毛並みをした『獲物』に、ほんの少しの敬意が混じった視線を送った後、
大母アライさんは自分に顔を向けている恩寵アライさんと大慌ててでこちらに駆けて来る勢子アライさん達に向き直る。

はぁぁぁぁぁ~~~

大母アライさん「お前ら!!!ガイジか!!!」

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン………

大母アライさんは『子分』アライさん達を叱り飛ばす。

釣り姉アライさん「ご…ごめんなさいなのだ~」
勢子アライさん達「「「ごめんなさいなのだ~~~」」」

大母アライさんにビンタを喰らって勢子隊のアライさんは涙目になる。

大母アライさん「はぁー。ふぅー」コスコス

ビンタし過ぎてちょっと痛くなってきた掌をコスコスして回復する大母アライさん。

鏃アライさん「…」コスリコスリコスリ

傍らでは、さっきの格闘で軽傷を負った鏃アライさんが傷をコスコスして治している。
付き添っているタヌキ『アライ』ちゃんは心配顔だ。

大母アライさん「『ごめんなさいなのだ~』はもう良いのだ…。お前達。何について謝っているのだ?」

ドシリ!

地面に胡坐をかきながら、大母アライさんは問う。

釣り姉アライさん「大母さんを危機に陥れてしまうところだったのだ…」
候補アライさん達「「「鏃アライさんに怪我を負わせてしまったのだ」」」

大母アライさん「はあぁぁぁ~~」

一般『家族』アライさんならそれで良いかも知れないが、幹部と幹部候補がそれではあんまりにもガイジだろう。


大母アライさん「チィィ!」クイッ!

大母アライさんは、大姉アライさんに向かって顎をしゃくる。
―おい。解説してやるのだ!あと、今回の試験の総評を…―

大姉アライさんは頷くと勢子アライさんに向き直る。

大姉アライさん「一言で言うと『お前達、弱い相手で良かったのだな!
なのに何でこんなに手こずっているのだ!?』と大母さんは言いたいのだ!!!」

釣り姉アライさん「???」
勢子アライさん達「「「???」」」


クィ!

キョトンとした顔をしている『子分』アライさん達に、大母アライさんは顎で改めて元猟犬達の屍を指し示す。

その痩せやつれた体を。

一般的に人間に品種改良され飼いならされた家畜が、再び野生で生き長らえることは容易ではない。
勿論、逃げ出した家畜が侵略的外来種となる例は多いし、『家族』アライさんもそうしたけものを
再び捉えて何とか利用しようとしていることは、これまで描いてきた通りだが…。

高速を誇るグレーハウンド、闘いに強いブルドック系の犬やマスティフ。
あるいは日本犬種でも良いが、無人の荒野で、彼らはヒトのケアなしに半年も生きられるだろうか。
オーストラリアの野犬、ディンゴのような例もあるにしろ…。

最期まで勇戦した『キツネ犬』。
こいつは混血を何度も繰り返した雑種だ。
こういう犬は比較的体も強いが…。

大姉アライさん「『紛々紜々(ふんぷううんうん)、闘乱するも乱る可からず。
渾々沌々(こんこんとんとん)、形円(かたちめぐる)も、敗る可からず。
乱は治より生じ、怯は勇より生じ、弱は強より生ず。治乱は数なり。勇怯は勢なり。強弱は形なり』なのだ」

他の『家族』アライさん達「「「「「??????」」」」」」コスリコスリ

大姉アライさんはタヌキ『アライ』ちゃんの尽力により、最近になってやっと読めた『孫子』の一節を唱える。

大意は『軍の統制、兵士の戦意、軍の戦力などは決して固定的・永続的なものではなく条件次第で変化流動する。
したがって将軍はこれら三者が条件によりどのようにも変化する不安定さを持つことを深く自覚しなければならず、
軍がいつまでも統制を保ち、兵士の戦意が常に高く、軍の戦力が今後も強大であると錯覚し、
これらは既に確保された条件であると安心したりしてはならない』ということである。

大姉アライさんの解説が終わった段階で、大母アライさんはもう一度勢子アライさん達に視線を向ける。

さあ、なぜ今回『捨て犬共』は屍になったのだ?
なぜ、大母さんは怒っているのだ?
そこから導き出される教訓は?

大母アライさん「答えるのだ!『頭』が悪い奴は幹部に要らないのだ!!!」ギロリ

釣り姉アライさん「あ…あ…、分かったのだ!!!」

大母アライさん「フン!」
言ってみるのだ。

釣り姉アライさん「こいつ等は…。元猟犬は…。弱くなっていたのだ。猟犬であった時より…」

それに続いて候補アライさん達も続々と口を開く。
少しでも得点を増やさないと『不合格』になってしまうかも…。

候補アライさん1「猟犬は狩人―飼い主との信頼関係が大事なのだ!
もっとも、それは飼い犬全般に言えることなのだけれども…。ちゃんとしたご飯や…。
え~と、『よぼうせっしゅ?』―アライさんのチビ達にとっての『おっぱい免疫』の代わり?―」

候補アライさん2「それに定期的な訓練。適切な運動。何より飼い主の愛情と狩りの時の連携が有って
初めて猟犬は猟犬たり得るのだ」

候補アライさん3「今回の負け犬たちは、ヒトの気紛れで捨て去られ、捨て犬同士で仮初の群れを作って、
寒さと病と飢えに耐えていたのだ。見るのだ!この薄汚れた身体つき。かつての精気はないのだ」

候補アライさん4「負け犬の群れにボスが居たとしても、
それはこいつ等がかつて心を寄せていた各々の飼い主ではないのだ。
『噛み付け』『放せ』等の指示を出せる者もいないし…、
何より愛情を持っていた主に捨てられて心が弱っていたはずなのだ」

大母アライさんは一つ頷く。
まあ、良いだろう。
本当は犬の側も、もっと勇戦することを期待していたのだが…。
アライさんには共感不能だが、『捨てられた』と言う分離トラウマは犬を時に凶暴化させ、
あるいは積年のトレーニングを無意味なものにすることもあるらしい。

大母アライさん「それで…」

ギロリ!

睨みつけながら続きを待つ。

候補アライさん5「つ…、つまり今回の試練は…。最初から完勝が当たり前。
アライさんがチビに弱った獲物を与えて狩りの練習をさせるのと原理は同じなのだ…」ビクビクビク

候補アライさん6「なのに…。アライさん達は何度も犬に飛礫を当てながら…、弱体化に時間がかかったのだ。
幾ら『河原に追い出せ』と言われたとはいえ…」ブルブルブル

候補アライさん7「『爪も牙も使え』と言われていたのに…。もしこれが本番だったら…。
訓練や日頃のケアが行き届き、信頼する人間と一緒に行動する猟犬が相手だったら…」ビクビクビク

候補アライさん8「アライさん達の…。『家族』の危機なのだ!
幹部候補・精鋭部隊のはずの『恩寵アライさん』がそんな体たらくでは、
この先の困難を乗り越えるなんて土台無理なのだ…」ブルブルブル


大母アライさん「はぁ~」
まあ、良いだろう。
順序を追って伝えれば流石に此奴等の頭でも分かるのだ…

候補アライさん9「だ…、だから。教訓としては…。アライさん達も訓練…経験値を溜めないといけないのだ。
飛礫を無駄にするようではダメなのだ」

候補アライさん10「体や爪や牙の使い方も研究、修練しないと…。ただ本能のままに使うだけじゃダメなのだ」

候補アライさん11「この負け犬たちの姿は、明日のアライさん『家族』の姿かもしれないのだ。
さっき大姉さんが言っていた通りなのだ。
『軍の統制、兵士の戦意、軍の戦力などは決して固定的・永続的なものではなく条件次第で変化流動する』。
此奴等は弱くなったから負けた。アライさん達『家族』も弱く成ったら負けるのだ…」

候補アライさん12「と云うか、人間勢力と比べたらアライさん『家族』は今もちり芥の如しなのだ。
こそこそ必死に目を掻い潜り、せいぜい自分達が勝てる相手に強者面しているにすぎないのだ…」

候補アライさん14「でも今はそうするしかないのだ。そうやって勝てる相手に勝つべくして勝ちながら
経験値を溜め、万が一に備えるとともに、身の周りの脅威を除かないと…。
この野犬共も放って置いたらアライさんのチビが危ないし、『家族』の餌とも競合しかねなかったのだ!!!」

候補アライさん15「軍・集団の『勢』が条件次第で変化流動するものなら、
弱体化ではなく強大化することも出来るはずなのだ。

アライさん達『恩寵アライさん候補』はその流れを仕向ける基幹とならなければいけないのだ!!!」

コキッ!コキッ!

大母アライさんは首を左右に振って、解す。

そして、チラリと傍らの鏃アライさんを見つめる。
傷はもう塞がりつつある。
そばに付いている『チビ』は無駄に悲しげな顔をしている。
何か言いたいことが有るのだ?

まあ、それは後の話なのだ。

大母アライさん「補習終了なのだ。ちょっと、不安も残るのだけど。何とか課題はクリアしたのだし…。
候補アライさん達!!!今日から恩寵アライさんに加わるのだ!!!」

シーン

候補アライさん達は一度互いの顔を見つめ合った後―

候補アライさん達改め恩寵アライさん達
「「「「「のだぁぁ!!!大吉なのだぁぁぁぁ!!!」」」」」コスリコスリシッポフリフリ


静かな歓声を張り上げる。
嬉しさを表明するに十分足り、無駄に大きすぎることはない様に…

大母アライさん「釣り姉アライさん!!!」

釣り姉アライさん「のだ??!!」ハッ!

汚名返上が中途半端に終わり、少しションボリしていた釣り姉アライさんに声が掛かる。

大母アライさん「魚を!!!こいつ等の恩寵組昇格祝いなのだ!それでチャラなのだ!!!」

釣り姉アライさん「大吉なのだ!!!」

ビシャビシャタタタッ!!!

自分が得意な分野で、挽回の機会を与えられ、釣り姉アライさんは今度こそ張り切って持ち場に駆け出す。


キツネ犬「」

大母アライさん「…」ジロリ!

シュコシュコメリメリ…

大母アライさんはキツネ犬の腹を裂いて生肝を抜き出す。
血の滴るその臓物を天に突き出す。

タヌキ『アライ』ちゃん「…」ヒィ!

タヌキ『アライ』ちゃんは口を抑えて悲鳴を押し殺す。

大母アライさん「この肝を見るのだ。我が子らよ。勇者の肝なのだ!!!此奴は最後まで闘った!
けものたるものはかくの如くあるべきなのだ!!!」

恩寵アライさん達・大姉アライさん
「「「「けものはかくの如く!最後まで闘うべきなのだ!!!
このけものは敬意に値するのだ!!!」」」」コスリコスリシッポフリフリ


そう言った後、大母アライさんはその肝を3分し、一つを自分、一つを大姉アライさん、
もう一つを勇気を示した鏃アライさんに引き渡す。

大母アライさん「…」クチャクチャクチャクチャ
大姉アライさん「…」クチャクチャクチャクチャ
鏃アライさん「…」クチャクチャクチャクチャ

ゴックン!!!

大母アライさん「今、この『勇気あるけもの』は『家族』の血肉に変じたのだ!」

サッ!

そう言うが早いか大母アライさんは片手を振り、素早く撤収を指示する。
―開けた場所に長居は無用―
―獲物と回収できる限りの武器を持って、本拠に戻るのだ―

恩寵アライさん達「「「「……」」」(わっせわっせ)

30匹に増えた恩寵アライさん(タヌキ『アライ』ちゃんも入れれば31匹)は、
無駄口を叩かず、静々と作業に戻って行った。

ピーポーピーポーピーポーピーポー

チュンチュンチュン!

アパート男「知らない天井だ…」
つい言ってしまった。
いや、まあ知らない病室の天井ではあるのだが…。

ジーーン

体の彼方此方が痛い…
顔、頭、胸、腹。

自分はどうしたのか。

えーと、確か『日本フレンズ協会』をご訪問して、
アライさん問題やフレンズ差別について議論やインタビューをして、帰りの電車で…。


アパート男「痛ぇぇぇぇ!!!」

ポチ!

我慢できずナースコールをする!

医師「いや。災難でしたね…」

アパート男「はい…」

医師「肋骨にヒビが入っています。あと、顔面や腹部などに打撲。歯牙脱臼等はなし。
脳のMRI検査もしましたが、問題ないでしょう」

アパート男「…」

医師「ただ、首がむち打ちのようになっているので、当面ギブスが必要ですね。
こちらはそんなに長期間かかるということはないでしょう」

医師「痛み止めは一日2錠まで。どうしても痛みが強ければ3錠飲んでも差し支えありません。
明日までは念のため病院でお過ごしください」

アパート男「はい…」

ゴロ…

アパート男「ひどい目にあった…」
どうやら、自分が失神している間に大体の片は付いたらしい。

親切な方が列車の非常通報装置を押してくださり、次の駅に緊急停車が行われ―
自分は病院に搬送。
不良サラリーマン3人は御用。

ここまでは良い…。


問題は―

アパート男「アメリカビーバーさんまで警察に連れていかれてしまうなんて…」

仕方がないことだとは理解している。
正当防衛的状況とは言え、ヒトに怪我をさせたのだ。
フレンズの力は時に武器になる。

ボクサーが人助けの為にパンチをして、結果相手に怪我を負わせたら、裁判の判決がどうなるかはともかく、
やはり警察に一度は事情聴取をされることだろう。
要はそれと同じことだ。

アパート男「悪い事をしてしまったかも…。俺が余計なことをしたばかりにご迷惑を…」

非常通報ボタンを押してくださった方にお礼が言いたい。
アメリカビーバーさんに大事にしてしまったお詫びをお伝えしたい。
あの三人にはきっちり罪を償って貰いたい。
民事訴訟も準備しないといけないかな…


???「そんなこと無いッス。とっても嬉しかったッスよ」

アパート男「…」ビク!

アメリカビーバーさん「本当にありがとうございました」ペコリ

深々とお辞儀をするアメリカビーバーさん。
その隣には看護師さんの姿。

どうやらノックの音を聞き逃していたらしい―

アパート男「あ…あ…」ポロポロ

アパート男の頬を涙が伝う。
アメリカビーバーさんは慌て始める。

アメリカビーバーさん「どうしたッス!?本当に…感謝しているッスよ!!!」


アパート男「そうですか。『フレンズ協会』から弁護士が…」

少し落ち着いたアパート男はお見舞いに来てくれたアメリカビーバーさんとお話している。

アメリカビーバーさん「そうッス。裁判になるかは検察の判断待ちッスけど…。
『協会側』は典型的なフレンズに対するヘイトクライムとして、今回の事件を認識しているとお伝えされたッス」

アパート男「弁護士さんがついているなら心強いですね」


『日本フレンズ協会』は合法闘争路線。
インタビューの通りだ。
悪口や嫌なことにあった時、何も自分で言い返したり殴り返す必要はない。
そうしなくても、それ以外の方法で反撃する手段がこの国には整っているのだから…。
利用しない手はないわけだ。
きちんと機能すれば、という条件付きだが、この国では不法行為は絶対に割に合わないように定められている。

ついでに、3人の不良サラリーマンの勤め先には、
これまた合法的な方法で『懲戒解雇処分』が下されるようガンガン圧力が駆けられているが、
流石にそこまでのことはアパート男もアメリカビーバーさんも知らない。

アメリカビーバーさん「でも、ビックリしたッスよ!」

アパート男「まあ、突然、難癖を付けられて、土下座を強要されれば…」
ビックリもするだろう。

アメリカビーバーさん「いえ、そちらではなくて…。
『先住民とビーバーの屍の上に都市を作れば、現地のヒトにとって害獣にもなるでしょう』」

少し潤んだ目でアメリカビーバーさんはあの時のアパート男の言葉の要旨を復唱する。

アメリカビーバーさん「嬉しかったッス!本当に…」


アパート男は、アメリカビーバーさんの真直ぐな感謝に、罪悪感にも似た苦しい気持ちを覚える。

あの場で自分は大したことは出来なかった。
寧ろ、アメリカビーバーさんに迷惑をかけてしまった。
裁判は何とかなったとしても、勤め先や生活に影響が生じたらどうしよう。

それにあの言葉は『言い過ぎだった』と反省している。
どの国も『恥ずべき歴史』というものを抱えている。
アメリカはともあれ先住民に過去の過ちを詫びているし、
やや独善的な感は否めないが彼らなりに自国の野生動物保護にも熱心だ。

アメリカビーバーもかつてほどは現地で狩られているわけではなく、
『害獣』の側面と生態系を豊かにする『益獣』の両面を評価し直されている。

他方、日本もタヌキや二ホンツキノワグマ・シカ・カモシカ・イノシシ・ニホンザルなどを保護しながらも、
一方では害獣として、あるいは狩猟対象として頭数制限を設けながらも捕殺している。

別に『害獣=外来種』ではないし『害獣=根滅対象』とも限らない。

外来種でも現地の生態系に有益な働きをしていることが判明して、根滅政策を取りやめた例も少なからずあるし、
原産地でほぼ絶滅するなか、外来生物になったからこそ後世に系譜を繋げた生物も存在する。

人間の活動がグローバル化し、地球環境の変動も深刻化するなか、生物もそれに伴って拡散・移動する。
『ある生物の生息圏はここからここまで』と規定することの意義がどこまであるのか、
生物倫理・動物科学・経済・政治問題等を孕んで意外に一筋縄ではいかない面も多い。


アパート男「(紙一重なんだ。益獣も害獣も。狩られる側も狩る側も。強者も弱者も。
あの電車の中の自分達のように。『特定外来種は困りもの、日本から出てけ!』とそれでも俺は感じるが…。
じゃあ、タヌキさんから『人間は困りもの。後から列島に来たくせに。出てけ!』と言われたら、
少なくとも論理的に返す言葉はない)」


そのタヌキ。毛皮目当てで輸入した国で繁殖し、今度はそっちで『外来種』『害獣』になっていると言う。

答えがなかなか見つからない問題を考察することも大事だが、今は―

アパート男「こちらこそ。助けて下さりありがとうございます。貴女は…、本当に強い方なのですね」

その言葉にアメリカビーバーさんは、はにかみ手を振りながら答える。

アメリカビーバーさん「そんなぁ。おれっちなんてダメダメッスよ。この口の利き方も…ちっとも治せないし。
文字を使うのが下手糞で、高卒だし。心配性で何度も確認しすぎて、仕事が出来ないやつって…」

アパート男「あ…いや。丁寧なだけですって…」アセアセアセ

アパート男は地雷を踏んでしまったのかと焦りだす。
性格がどんなに良くても、力やスキルが有っても…。
一度、人間―平均的な人間―に合わせて形成された文明社会の中で居場所を作り、生きていくと言うのは、
フレンズにとっては大変なことの様だ。

アパート男「(フレンズに合わせた学習法などの研究も進みつつあるとは聞くが…。
人間の障害者問題や性別格差等の是正が困難なのと同じように。
いや、それ以上にフレンズとの共生は課題が多い…)」

アメリカビーバーさん「でも!!!強い方って褒めらせてとっても嬉しいッス。
何かおれっち、今日は嬉しいって言ってばっかッス」

アパート男「自分も、喜ばしいです。大したことは何にもできなかったのに…」

ささやかな共感と友情の芽生えを実感する。

暫し、談笑した後、アメリカビーバーさんはアパート男と連絡先を交換して帰って行った。



アパート男「(自分も何か、お力に成れれば良いのだが…)」

そう思いながら、病室のベッドの上、『フレンズ 発達 学習 就労支援』と検索したりしてみるが、
パっと妙案が浮かぶ話でもない。

―気分転換も必要か―

そう思い、いつも通りpi●ivやニ●ニコ静画を見るうちに、やがて『美化ガイジ』の画が目に入る。

アパート男「アライさんマジうぜぇぇぇぇー!!!ちょー駆除してぇー!!!」

これはこれで彼の地なのである。

別に法を犯そうと言う訳でもない。

外来生物全般がどうとか、アライさん・アライグマが他の生物と比べて、客観的にどの位有害度が高いのか、
という問題はさて置き。
あの顔つきと尻尾は見る者を苛立たせる不思議な魔力がある。


アパート男「そうだ!アライさんと言えば蛇張村。県兵さんの作戦は終了したから…。
青年団さん達の所にも顔を出して、研究を続けないと…」

無駄な時間を使いかけたところで思い直し、早速メールでアポイントメントをはかるのであった。

今日はここまでです。

よし、小説書くのが下手糞な>>1に俺様がアドバイスしてやる
ちゃんと礼は言えよ

今日の投稿に点数をつけるなら6点
もちろん10点満点じゃなくて100点満点な

不満点だらけだが目立ったところでいえば
元猟犬が致命傷を追った後に回想シーンを入れたところ
戦闘中に回想シーンを入れ、元猟犬に感情移入させれば
「元猟犬助かるのかな?」と読者をハラハラさせることができた
>>1のは例えるなら42.19km地点までバイクで移動して
残り5mを全力ダッシュして「どう?ボクがんばってるでしょ?」
と言っているようなもの

そもそも登場時点で結末が見えている「用途の書かれたキャラ」ばかりでつまらない
例えば「後で助かる用のアライさん」、「アライさんに狩られる用の元猟犬」など
読み始めてすぐ結末が見えている
例えば、ここまで読んだ読者なら作者が物理法則を無視してでも
アライさんを勝たせるのはわかりきっているのだから元猟犬は
逃走する、という選択肢を取って読者に「このまま逃げ切れるか?」と思わせるべきだった

こう書くと>>1は「作中逃げる試行を行い失敗してますよ」などと言うだろうが
>>1が書いているのはコマンド選択…例えるなら

「アライさんたちが現れた!コマンド?」→「にげる」→「元猟犬は逃げ出した!しかし回り込まれてしまった!」

というのをダラダラ書いているだけであり、面白くするためには
そのシーンをアライさん達と元猟犬との駆け引きとして書くべきだった

>>1は歴史の勉強は好きなようだが小説はラノベしか読んでないようだな
もっと別の小説も読めよ
俺のオススメは星バーーーローーの短編集
ショートショートの神様と言われるだけあって短い文章で要点をまとめている
まずはダラダラ面白くない内容を整理してまとめるところから始めると良いぞ

盗むのは?

マナー違反かどうかはさておき、>>595の言うことも一理ある
>>1は確かな知識量もあり、それに基づいて興味をもたせるような設定を作ることには成功している
だが話の組み立て方はまだ工夫の余地があるだろう
盗作(笑)だろうがなんだろうがどうでもいいので、その辺り頑張ったらどうだろう

金払ってるわけでもないたかが二次SSにあれこれ言うのもなんだけど節とか章とか話の区切りのいいごとにまとめ投下した方がいいと思うわ
無料で毎日投下してる作者さんには全くもって勝手な言い分で申し訳ないが
個人的には別に文章小出しでも問題ないんだけどね

つまらなくなったら読むの止めるけど、熱心な読者が多くて驚き。ここはいつもコメントが多いのね

今日はお休みです。

様々なご助言・コメントを頂き大変感謝しています。

>>600さん
一回の書き込み量をどうすれば良いか、自分も時折心配します。
節目ごとに書き込んだ方が良いのかと思う反面、間が空くと自分の書き込み続ける気持ちが折れてしまいそうで…。
少し気長に見守っと下さると嬉しく思います。

>>595さん
実は私、星新一先生の本。全集を紐解くぐらいハマっていました。しかし、読むのと書くのとでは大違いですね。
ただ、あまり長いコメントをされるとちょっと困ります。『荒らし』かどうか斟酌するのも大変ですし。
作者である自分は丁寧な言葉遣いを心掛けているのに、あまり乱暴な書き込み方を成されると些かビックリして、感謝の念も相殺されてしまいそうになります。

>>602さん
不徳の致すところです。精進を続けるのでまた面白いと思えるようになったときは是非お願いします。

>>597さん
『盗む』がどのことを指しているのかは不明ですが…。アライさんの二次創作は結構立場を超えて相互参考、SS越しの交流が盛んであるように感じています。
以前少し話題になった某SS先輩をご参考にした部分に関しては、その書かれた日のうちに『二次創作を書きたい人が居れば構わない』旨の書き込みを確認した後、自分なりの『アンサー』をこの物語に書いて示したつもりです。時に肯定的にあるいは批判的に互いから作者様同士で影響を受け、止揚することが出来れば幸いに思います。

>>598さん
ご助言ありがとうございます。最近、冗長な文章が増え、活劇が減ったことを自分もさみしく思っていました。
ただ、カミツキガメや猫や捨て犬、ビーバーさんとアパート男のエピソードはどうしても書いておかなければと…。
『外来種・在来種・害獣・益獣・強者・弱者、その紙一重具合』は、もし読者の方が、気が向けば自分と一緒に考えて欲しいこのSSのテーマの一つでもあったので…

話の組み立て方は、さらに工夫をこらせるようにできればいいなぁと思っています。

良いこと教えてあげよう
君の尊敬する先輩SS書きのレス返しと自分のを見比べるといい、いやマジで

>>606さん
『荒らし』のスルーが出来ていないと言うことでしょうか…。
コメントを真剣に書いてくださっている方とそうじゃない(?)方の見分けに失敗することが
前にもありましたね…。

誰かの地雷を踏んでしまったのだとしたら申し訳ありません。

アライさんの二次創作とかいう時自分にとっての都合の良い言葉選び最高っすね!反吐が出るわ

>>607
違う、そういう事言ってるんじゃない

そうだな…まず>>606でも書いたが他人のレス返しと自分のレス返しをみて「あっ、なんか違うな」って考えるか?
一応、言っとくがレス返しってコメントへの返信のことな
そんでどうしても分からんかったらヒント出す

>>610って完全に>>1の自演じゃないの?
こんな空気読めない奴が何人もいるとか怖すぎるんだが

>>616
あなたも端末2つで自演してるアンチなんでしょ
>>608と同一人物っぽいし

違うなら証明してみな

>>617
つまり>>1自身が証明しなきゃ>>1も自演してることに間違いないってことだな

>>622
>>1と信者が全て同一人物の可能性があるなら、
アンチと荒らしが全て同一人物の可能性もあるよね

それとも前者だけ正しくて、後者だけあり得ないっている根拠でも挙げられる?

間違えた、「あり得ないっている根拠」じゃなくて「あり得ないって言える根拠」な

>>624
何言ってんだコイツ?
お前の論だとそうなりえるだろって言ってるだけで誰も片方だけが同一人物だなんて言ってないだろ……色々と大丈夫か?

>>626
このスレのアンチさん達は、>>1と信者が同一人物の自演だって言ってるけど

>>624
じゃあ逆にお前は前者だけありえなくて後者だけ正しいって根拠を挙げられるのか?
馬鹿も休み休み言えよホントに

>>628
絶対無理
挙げられない

信者達を>>1の自演認定してるアンチさん達だって同じでしょ?

>>627
ふーん、で?言ってるからそれが何だって言うんだ?

>>629
同じだけどそのアンチさん達は「>>1と自演が同一じゃないっていうなら証拠を出せ」なんて超絶に頭の悪いこと言って無いけどな
何でお前がツッコミされて馬鹿扱いされてるかわからないのか?

>>630
>>626の発言をした君が色々と大丈夫じゃないってことだよ

>>631
信者達を>>1の自演扱いしたい人にとって都合悪いから、馬鹿のレッテル貼りしてるんでしょ

そもそも、俺自身がアンチを同一人物だって証拠出せないのに、
同じことを本気で人にさせようとする分ないじゃん

俺が言いたいのは、「>>1と信者を同一人物の自演扱いしてるアンチ達の発言は、
お前らが馬鹿だといってる俺と同レベルだぞ」ってこと

くだらねぇ事でレス消費するなよ

小悪党の癖に多少自覚がある奴は真っ先に自分が1番指摘されたくない事を攻撃に使うんだな
つまりアンチが言った「>>1が自演しているのりゃ!」って言葉は言い換えれば自分が自演しているのに多少の後ろめたさがあるって事だ


アンチは何が気に食わんのかは分からんが繁殖抑制出来ない時点でこの世界のアライさんは根絶確定だよ
自分達は抑制する努力(やるとは言っていない)するから人間は数を抑えろとか1番賢い大母ガイジですらこのレベルよ

>>632
いや……だからさ……悪魔の証明を持ち出したことを馬鹿にしてるんであってアンチを単独犯扱いしてることについては誰も何も非難して無いだろ……
ってか「本気で人にさせようとする分ないじゃん」ってじゃあなんでそんなアホの極みみたいなこと言いだしたんだよ

>>634
アンチどもが根拠もないのに自演だー自演だーって
アホの極みみたいに決めつけて連呼してのが
馬鹿らしかったから

あいつらよく根拠もない事を堂々と言い張れるもんだなーと
まるで大母みたいだ

バーカバーカアーホアーホの感情丸出し人格否定発言も
十分格落とすから気を付けた方がいいよ

最後に一つだけ言わせてくれ


アンチも!
信者も!
どっちも自演!!

根拠はないけど、みんなこれからも俺に賛同してくれ!!
一緒に>>1を自演認定し続けようぜ!!

じゃ、これ以上変なレス増やしたくないんで消えるわ

続きを書き込みます。

>>614さん。
もしできれば、ヒントではなくご自身のお言葉で、お叱りなりご助言なりを述べて頂けると幸いです。

643さん。
これは実は相当迷っていまして…。
一応、『アライ』号(称号、『家族』への参加資格)を持った異なるけもの、という意味合いで使っているのですが、今後どうしようかと…。
取り合えず、少し『』は待って頂いてもよろしいでしょうか?
それに関連したエピソードの構想も有るので…。
まだまだ、へっぽこな文章ですが、お付き合い頂ければとっても嬉しいです。

キコキコ…

ギコギコギコ…

少しぎこちない鋸の音。

昔話ではお爺さんが簡単そうに切っている竹。

いざ切ろうとするとこんなに固いものとは…。

ギコギコギコギコ…

隣の子に負けないように、『私』も鋸を急いで動かそうとする。

???「こら!危ない!!!指を切ったらどうする!!!」

それを見咎めたお姉さんが、男の人のような口調で注意しながら近寄って来る。

綺麗なお顔に似合わない固そうなヘルメット。
機能的なアウトドア装束。
短い髪の毛、お母さんみたいに伸ばせばいいのに…。

環境保全アウトドアサークル会員4「良いか。鋸は急いで動かしちゃいけない。根気よく引き続ければ、
そのうち切れるんだ」

白くてきれいな―その割にグローブみたいに大きな―お手々が『私』の手に添えられる。

ギコギコギコギコ…

一緒になって、根気よく竹に鋸を入れ続ける。

半分を過ぎた頃からなんだか楽しくなってきた。

かぐや姫様が出てくる竹はこんな感じだったのかな…。

環境保全アウトドアサークル会員4「もうすぐだよ。竹が倒れるから注意しなさい」

『私』「はい!」

学校で先生にするように元気よくお返事をすると、お姉さんはコクンと頷く。

『私』「(先生みたいに笑ってくれない…。綺麗なお顔なのにずっと同じ顔…)」
鋸を急いで動かしたこと、怒っているのかな。

少し視線を動かすと、他の男の人達は笑顔で友達に教えてくれている。

環境保全アウトドアサークル会員1「よーし!よーし!その調子だぞ!」
男の子「ふん!ふん!ふん!」

ギコギコギコ…

環境保全アウトドアサークル会員2「がんっばれ!がんっばれ!!」
女の子「はあ…はあ…」

ギコギコギコ…

環境保全アウトドアサークル会員3「危ないからここからは…」
男の子「え~!!最後までやりたい~~~!!!」

キコキコキコ…

『私』「(みんな楽しそう…)」

少し冷たそうなお姉さんのお顔を見上げると、そのお目目と『私』のお目目がぶつかる。
お母さんや学校の先生のような―優しい女の人の―お目目と違う…
男の人のような―怖くて、表情の伺えない瞳―
ちょっと怖い…

環境保全アウトドアサークル隊隊長「お~い!サークル会員4!!!一旦手を止めろ…」

一番偉いお兄さんがお声を掛ける。
お姉さんは少しキョトンとしたお顔になりながら、鋸を止め、切りかかった竹を危なくないように支え続ける。


環境保全アウトドアサークル隊隊長「え・が・お!え・が・お!!!ごめんよ~。お嬢ちゃん。
こいつ、いつもこんな顔だから…。怒っている訳じゃないんだよ~」

がっしりした身体つきに似合わない優しそうな表情を浮かべながら、隊長さんは『私』の方に向かって来てくれる。

環境保全アウトドアサークル会員4「…。こういう顔なので」

そう言いながら、お姉さんは『私』にお顔を向けると、チョット頑張って頬っぺを上げてくれる。

『私』「あ…、ありがとう…ございます」

『大人の人と話すときは丁寧に』
この『里山教室』に参加する前にお母さんに注意されたことを思い出す。

環境保全アウトドアサークル会員4「どういたしまして」

悪びれずにお返事したお姉さんの頬っぺはさっきより気持ち上がっていて、何だか可笑しいような、嬉しいような…。

環境保全アウトドアサークル隊隊長「みなさん。こんにちはー!!!」

子供達「「「「こーんーにーちーはー!!!」」」」

少し風通しの悪く薄暗い林に不釣り合いな明るい声が響く。

今日は楽しいハイキング…、もとい『里山教室』。

子供達に『地域の身近な自然』と触れ合ってもらうため、小学校や公民館で希望者を募り、
地元の有志の人達が引率しているのだ。


環境保全アウトドアサークル隊隊長「元気なお返事だねー!今日はお兄さんたちと一緒に
里山についてお勉強しよう」

子供達「「「「はーい!!!」」」」

10名ほどの元気なちっびこ達の声を聞き、隊長は嬉しそうだ。

後ろ暗い活動などより、この人には『こういう義挙』の方が向いているのでは…。

サークル会員4は、ふとそんな印象を受ける。
もっとも―自分にはどこかこの場は―似合わないように感じてしまう。
完璧な優しい世界に異物が紛れ込んでしまったような、靴の中の小石に自分が成り下がったような違和感。


環境保全アウトドアサークル会員1「じゃあ復習だよ。『日本の森林率は何パーセントでしょうか?』。
皆は社会の時間にお勉強したかなー。分かった人は手を挙げて!!!」

サークル会員1は子供たちに見本を示す様に自分の腕をピンッと挙手しながら、一人一人の瞳を覗き込む。

恥ずかしがっていた子も、やがてちょっとずつ勇気を出して、学校のお勉強を思い出し始める。

男の子1「はい!」

環境保全アウトドアサークル会員1「どうぞ!!!」

男の子1「約70パーセントです!!!」

環境保全アウトドアサークル会員1「デデデン!!!ファイナルアンサー?!」

ゴクリ…

男の子「ふぁ…、ファイナルアンサー!!!」

環境保全アウトドアサークル会員1「デデデデデデ…」

良く分からない効果音を唱えながら、サークル会員4は足踏みをし始める。

チリーン…チリーン…

子供達を飽きさせないための懸命なステップに合わせて、腰に付けたクマよけの鈴が小さな音を立てる。

この辺りは一応、事前調査で大型のけものが居ないとされているエリアではあるが…。
用心だ!!!

リーダーもとい隊長が周囲の警戒をしてくれている。
自分は『里山クイズ』に専念だ。
日本の森林率は68.5。
世界の平均は31.0.
麗しい国は世界に誇る森林大国。

しかし、その半分近く(定義・データにより諸説あり)は人工林であり
定期的な手入れが無いと荒れて行ってしまう。
特に身近な里山の保全、整備は大切であり、子供たちに親しんでもらいながら、そのことを感じてもらいたい!

クイズの後は竹の刈り取り体験。
手早く、要点をまとめて皆に伝えないと!!!

チリーン…チリーン…

チリーン…チリーン…

竹林と林の間を通り抜ける鈴の音―

ヨチヨチヨチ

???「きれいなねいろなのりゃ…。だれかきているのりゃ?おたからがあるのりゃ?」

ヨチヨチヨチヨチ

吊り上がった醜い目をぎらつかせながら―
(好奇心旺盛そうな瞳をクリクリ輝かせながら―)

『それ』は四足で歩み寄っていく。

『おかーしゃん』の言いつけに背いて…

ヨチヨチシッポフリフリ…
ヨチヨチシッポフリフリフリ…

チリーン…チリーン…
チリーン…チリーン…

???「のりゃ?!」ヒョコ

『それ』はコッソリ影から、そいつらを窺う


環境保全アウトドアサークル会員1「正解!!!より正しくは68.5パーセント!!!」
男の子「やったー!!!」

環境保全アウトドアサークル会員2「記念に里山バッチだよ!!!」

サークル会員2は周りの子の羨ましそうな視線のなか、記念品を最初に手を挙げた子に着けてあげる。

大丈夫。まだクイズは有る。
バッチも余分がある…と云うか参加してくれた子全員に渡すつもりだし―

ハッ!!!

里山アライちゃん「ぴ…、ぴっかぴかの…。おたからなのりゃー!!!」コスリコスリシッポフリフリ

『それ』の瞳が禍々しい色に変わる。

祖先譲りの『あくなき好奇心、破壊的な性質、移り気』
そんな邪悪な(可愛らしい悪戯好きの)精神を表層化したような光を相眼に湛えながら、
里山アライちゃんは意味不明なことを呟く。

里山アライちゃん「うぬぬ~。ほちいのりゃ~~。でも、おとこ、ごにんと…。こどもじゅうにん。
あらいしゃんでも、ちょっとかなわないのりゃ~~」

里山アライちゃんは悔し気に顔を歪める。
それにしても、此奴等は『あらいしゃんのおにわ』で何をして居るのか…

里山アライちゃん「(すぱいしゅりゅのりゃ!そして、おかーしゃんにほうこくしゅりゅのりゃ!!!)」

頼まれてもいないことをウキウキと実行する害獣。

そして、わざわざ鈴を鳴らしているのに、『けものの側から』寄って来るとは思っていない人間達。

里山教室はまだ始まったばかりだ。

今日はここまでです。

OK、ストレートに言うわ

表現がくどい、自分語りが「無駄に」多すぎ

こう言えば文句っぽいがアンタ情報を整理して人に伝えるの下手だって言われないか?

他のSS書き、アラ虐どころかけフレ以外…魔王勇者ssでも男女でもなんでもいい、
他の奴と見比べてどうだった?もうちょい読みやすかったろう

一々「環境保全アウトドアサークル会員」って表記してるのスゲークドイわ

>>666
もし1箇所気に入らなくて10点中9点だったら読むの止めるの?
随分と生きにくい人だな

どうでも良い細かい話なんだけど


>>646
???と環境保全アウトドアサークル会員4が
同一人物なのがわかりづらい
そもそもサークルの説明を入れないのであれば
名前を最初から~会員4にして良かったのでは?


>>648
短い髪の毛、お母さんみたいに伸ばせばいいのに…。

自分のお母さんと比較しているのか、女性の母親を知ってて比較しているのかわかりづらい


>>650
『私』「(先生みたいに笑ってくれない…。綺麗なお顔なのにずっと同じ顔…)」

なぜ(学校の?)先生と比較しているのか意味不明
多分大人かつ教えてくれる人だからだろうけど
それなら直前に比較していた母親と比較するのが妥当なのでは?


>>951
お母さんや学校の先生のような―優しい女の人の―お目目と違う…

ここまでで全く優しいと思える描写が無い


この辺他の作者なら普通に流すけど タヌキ『アライ』ちゃん みたいに
妙に言葉にこだわりにある作者だから混乱してしまう
この辺作者の脳内にはあるけど読者が知らない(本編で描写されていない)
情報を端折っているからとは思うが
この作者って全体的に説明不足な部分が多いよね

>>673
>>???と環境保全アウトドアサークル会員4が同一人物なのがわかりづらい
直後の登場だから流石に分かる、どっちかというと1じゃなくていきなり4なのが違和感あるかな

>>自分のお母さんと比較しているのか、女性の母親を知ってて比較しているのかわかりづらい
自分の母親と比較してるであろうことは普通に分かる、むしろ影も形も無い女性の母親が出てくる方が意味不明

>>なぜ(学校の?)先生と比較しているのか意味不明
直前に「学校で先生にするように元気よくお返事をすると、お姉さんはコクンと頷く。」と述べられている以上先生と比較するのは当たり前
「学校で先生にするように返事をしたけど先生と違って笑ってくれなかった」ってことだろ

>>ここまでで全く優しいと思える描写が無い
『私』の心の中で比較してることだから描写は別に必要ない

色々指摘してるようだけどはっきり言ってトンチンカンだぞ……頭っから否定しようとして斜め読みしてないか?

あえて文章の不備を指摘するなら>>658で???の正体が明かされてるのに『それ』って使ってることかな、2行目と3行目が逆なら問題無かったけど
後「吊り上がった醜い目をぎらつかせながら―(好奇心旺盛そうな瞳をクリクリ輝かせながら―)」、「邪悪な(可愛らしい悪戯好きの)精神」みたいな表記をし始めたけど散々地の文について言われた結果の対応ならズレてるとしか言いようが無いしこんなことをしてる意味が分からない

>>647
>>直後の登場だから流石に分かる
直後だから同一人物とは限らないし直後でもサークルの説明なく名前変えるなんて思わないだろ
会員4なのはTTTの裏の顔(表の顔?)だから、その数値と対応させてるんじゃね?そこもわかりづらいけど

>>自分の母親と比較してるであろうことは普通に分かる、むしろ影も形も無い女性の母親が出てくる方が意味不明
深読みすれば『私』と会員4は家族ぐるみの付き合いで、会員4の母親は優しいのにその娘(会員4)は怖い、って意味とも取れる

>>『私』の心の中で比較してることだから描写は別に必要ない
いや、「この人は優しいけど顔が怖い」みたいな心情説明を>>951以前に入れるべきだろ…

先生と会員4の比較については、そう読めなくも無いから反論しないでおく

レス番無茶苦茶だぞ……人の文見る前にまず自分の文を見直せ

???の声かけ→「お姉さんが近づいてくる」という情報の後に姿形の描写→名前が出てくる
この流れを見たら他のが入ってくる余地とか普通は無い、「サークルの説明なく名前変えるなんて思わないだろ」ってのは言ってる意味が分からない
会員がTTTっぽいのは匂わせてるしそうっぽいけど

>>深読みすれば『私』と会員4は家族ぐるみの付き合いで、会員4の母親は優しいのにその娘(会員4)は怖い、って意味とも取れる
それは深く読んでるんじゃなくて穿って読んでるっていうんだよ、何処をどう読めば>>648の時点まででそんな家族ぐるみの付き合いしてるように読み取れるんだよ

>>いや、「この人は優しいけど顔が怖い」みたいな心情説明を>>951以前に入れるべきだろ…
根本的に勘違いしてない?会員4を優しいなんて『私』は一言も言って無いぞ?
「この人は綺麗だけど母親のような優しい目と違って冷たい」って言ってるんだから

続きを書き込みます。

>>663さん
やっとご本心を知ることが出来ました。ありがとうございます。何分、誤解を受けやすいテーマのSSですのでどうしても言葉数は多くなってしまいます。
以後、気を付けようと思います。

>>672さん
10点中9点なんて恐れ多いです。満点目指して頑張ろうと思います。

前回の書き込みは、幼い『私』の視線で世界を一度覗いてみると言う試みだったので、混乱されたかも知れません…。

里山アライちゃん「…」ヒョコヒョコ

木陰に隠れながら山里アライちゃんは人間の群れに視線を送り続ける。

毒々しい(高貴な)紫色の毛皮は、必ずしも隠れ潜むうえで有利には働かない。

流石にそこは弁えているのか、さっきから声を潜めて、姿勢を低く、
木の葉・泥土・小枝を体や頭の上に被っている。


視線の先からは野太い男の熱っぽいお話が続く。
『環境保全アウトドアサークル』は流石に長いので、以下は特に断りがない場合、
環境保全サークルと記しておこう。

環境保全サークル会員1「正解!!!里山は、野生生物の暮らすお家として、
また、私たち人間に食料や木材などを与え、綺麗な景色や、ご先祖様の文化伝統の源でもある大事な場所なんだよ」


環境保全サークル会員2「はい!!!バッチだよー」

環境保全サークル隊長「わーい!すっごーい」パチパチパチパチ

子供達・『私』パチパチパチパチ

厳めしいお顔の隊長さんが凄く真面目な表情でお手々を叩き続けているのが、何だか可笑しい。

正解した子供「が…、頑張って覚え…ました」

環境保全サークル会員1・2・3「「「偉いぞー!!!日本の未来は君たちに託した!!!」」」パチパチパチパチ

大人が『ちょっと無理をして子供を褒める』場合、子供の側も多かれ少なかれそのことを察知する。

ただ、それでも褒めてもらうのは嬉しいし、記念バッチは綺麗。

『私』はさっき貰ったけど…。

環境保全サークル会員4「…」パチパチ

ふと、隅で里山クイズのお手伝いをしていたお姉さんと目が合う。
最初は言葉使いや身なりから、『お兄さん』かと思ったけど…。
よく見れば流石に分かる。色白で整った顔立ちをした美人さんだ。

他の男の人達が大げさなぐらい破顔して見せる中、一人無表情に淡々と手を叩いている。

『私』「(子供が嫌いな人なのかな…)」

身の回りにいる女の大人―お母さんや学校の先生、近所のおばさん―は皆、
私達のことを好きと言ってくれるから…、こういうお顔をされるとどうして良いのか分からない。


ツ―――

止む無く視線を逸らす…

ツ――――シッポフリフリ!

『私』「(うん?!)」

何かが木陰で動いた!

キツネさん?
タヌキさん?

???「…」フリフリフリ

頭隠して尻尾隠さず。
縞々模様の可愛い大きな尻尾!

『私』「(タヌキさんだ!近寄って見てみたい…。でも、驚いて逃げちゃうかも…)」

???「…」フサフサフリフリ

キラッ!

『私』「(あ…、お目目。こっちを見ている)」

恐がらせたら逃げてしまう。

里山教室が終わればお別れしなければいけないけれど…。

『私』「(もうちょっと一緒に居たいなぁ…)」

皆には黙って置こう。
前にお母さんに読んでもらった新見南吉の童話を何処か思い出しながら、
『私』は静かに振り子のように揺れる尻尾を見つめ続けた。

芋虫のようなゴワゴワ尻尾が露出していることに気づかず、
里山アライちゃんはスパイごっこを続ける。

里山アライちゃん「(にんげんが、わがものがおでしゃべっているのりゃ)」シッポフリフリ


人間「しかし、そう言った豊かな里山は人が定期的に利用し、手入れをしていないと
藪や低木が隙間なく這えてしまい、お日様の光が十分届かないヒョロヒョロした森に変わってしまいます。
そして、そう言った森は力がないので、一度の大雨・台風などで土砂崩れを起こしやすくなり、
野生のけものにも十分な恵みを齎すことが出来なくなります」


里山アライちゃん「???」シッポフリフリ


人間「特に竹害。竹の害が全国で大変になっているんだよー」

人間の子供「竹が害になるの?何でーー??」

人間「竹は強い植物だから…。放っておくと根っこや茎をどんどん伸ばして、
周りの森や畑まで竹やぶに変えて行ってしまうんだ!」


里山アライちゃん「(そうなのりゃ!!??)」シッポフリフリ


人間の子供「筍のうちに食べればいいのに!」

人間「勿論、それも一つの手だよ!みんなも好き嫌いせず筍食べよう!国産地元の物を地産地消!」


里山アライさん「(あらいしゃんもたけのこすきなのりゃ!にんげんにとられるまえにたべるのりゃ!!)」


人間「でも、今日はもう一つの方法―皆で、鋸で竹の代伐をしましょう!!
本当は地域にもよるけど春にやるのが良いんだよ!」

人間「この地域では、最近色々バタバタしていて、いつもより遅くなってしまったらしいんだ。
今日はお兄さんたちが、他の大人から頼まれているから安心してね。さあ、一人一本ずつ鋸を取りに来てーー!!」


人間の子供「はーい!!!」ワクワクワク


ギラギラギザギザ―鋸の鮫の牙のような刀身が里山アライちゃんの目に映る。


里山アライちゃん「(う~~~。あらいしゃん、あれ、いや~なかんじなのりゃ…)」コスリコスリシッポフリフリ

>>688

✖里山アライさん「(あらいしゃんもたけのこすきなのりゃ!にんげんにとられるまえにたべるのりゃ!!)」

〇里山アライちゃん「(あらいしゃんもたけのこすきなのりゃ!にんげんにとられるまえにたべるのりゃ!!)」

です。

コスリコスリシッポフリフリ

『私』「(あれ…。今、手を擦った!タヌキさんじゃない…。もしかして、アライさん?!)」


フサフサフリフリ…

『私』「(アライさん…。アライさんだ!!!ラスカルやジャパリパーク冒険記の!
『アライさんなのだー!う~がおぉ~~!!』)」

『私』はお母さんと良く一緒に見ているジャパリパーク冒険記のアライさんを思い出す。

覚えやすくて癖になる語尾に元気いっぱいな姿。
毎回、落ちがつく、ちょっと可笑しい振る舞い。
アライさんは子供たちの人気者だ。

動物園で見たアライグマはお昼寝中だったけど…、今日はちゃんと起きれたんだ!

環境保全サークル1「『私』ちゃん!『私』ちゃん!!」

『私』「ハッ!」

お兄さんが鋸を手に話しかける。

環境保全サークル1「大丈夫?気分が悪いの?」

『私』は首を振る。

『私』「大丈夫です!」

鋸を受け取ると、隊長さんが示した青竹に刃を当て図工の時間で習ったように引いていく。

ギコギコギコ

変だな…。かぐや姫では確か斧で切っていたはずなのに…。

ギコギコギコギコ
ギコギコギコギコ…

バサバサバサバサッ…

竹は次々と切り倒されて行く。

里山アライちゃん「(に…にんげんが…。あらいしゃんのおにわで、へんなことやっているのりゃ…。
かぞくのききなのりゃ!!!)」

里山アライちゃんも先程、人間の説明を『スパイしていた』筈なのだが…。
『周りが竹林に変わることを防ぐ=森の手入れに人間が来た』とは流石に理解できなかったらしい。


里山アライちゃん「(ひびくのりゃ!あらいしゃんのこうぐんらっぱ!!!)」

クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

人間に気取られないよう、ヒトの可聴域外の鳴き声をその喉から張り上げる!!!

里山アライちゃん「(おかーしゃん…。かぞくのみんな…。ききをさっしてほちいのりゃ…)」

里山アライさん「ち…チビが居ないのだぁぁっぁあ!!!」
里山アライちゃん2「おねーしゃーん!!どこいったのりゃー!!!」ビェェェーン!ビェェェーン!
里山子アライグマ♂1「クルルルゥ!クルルルッル?!」ヨチヨチヨチ
里山子アライグマ♂2「キュルキュル?!クルルルッ!!」ヨチヨチヨチヨチ

久しぶりの『親子大しゅきお寝んね』。
貴重な『実親子』タイム。
まだ、チビが生まれて間もない頃のように親子水入らずで…。
ぎゅぎゅっと温もりを感じながら、仲良くお眠りしていたのに…。

里山アライさん「何でなのだぁぁぁぁ!!!」ウッウッウ…


ダシュッ!!

ズカズカズカ…

???「やかましいのだ!!!」

里山アライさん「…」ビクッ!

里山アライさんの巣の出入り口外側から無遠慮な声が響く。

スゥ―グィィィイ!!!

里山アライさん「い…痛い!痛いイタイイタイ痛いのだぁぁっぁぁ!!!!」ギリギリギリ

入口から伸びて来た他のアライさんの腕―里山アライさんのそれより、見るからに逞しそうな手―が、
子を思う母アライさんのケモ耳を引き千切れそうなほどに引っ張り上げる。

保母アライさん「『家族』に迷惑を掛けたらダメなのだ!!!一体何の騒ぎなのだ!!!」

通常のアライさんより優先して食べ物を与えられているためだろう。
保母アライさんは強い力を出して、里山アライさん改め子分アライさんを巣から引っ張り出す!

グィィィィ!!!

保母アライさん「お前…。いい加減にするのだ!!!このチビ班は昼間寝る番なのだ!
この宿営地は一番人里に近いのに!!!もし、気づかれたら…。お前の一家皆殺しでも済まないのだ!!!」


大母アライさんが率いる『家族』の宿営地は幾つかに分散している。
チビ隊(保母アライさん+アライちゃん達+親子タイムの実母アライさん)も何組かに分かれて
―守りが固い宿営地の中心か、逃げやすい人の出入りが少ない場所―に巣づくりしている。

ここは後者。
最近、人の出入り―臭いや足跡―が途絶えていた場所。
宿営地の南端である。

グィィィィ!!!

子分アライさん「ご…ごめんなさいなのだ…。そして、もう一つごめんなさいなのだぁぁ。
アライさんのチビが一匹居なくなってしまったのだぁ~~!!!」

保母アライさん「はぁぁぁぁ~~~」

グィィィィィ―――

子分アライさん「イタイイタイ痛いのだぁぁぁっぁ!!!お耳とれちゃうのだぁぁぁ!!!」ウ…ウ…シクシク

子分アライちゃん2「やめて~なのりゃぁぁ~。おかーしゃんをいじめないでぇぇぇー!!」ヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂1「クルルル!クルル!」ヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂2「キュルキュルル!クルルルッ!!」ヨチヨチヨチヨチ

子分アライさん「う…う…。どうかチビを…。臭いを追わせてほしいのだ!」

保母アライさん「…。ふん!」

ゲシッ!

ガイジのチビなど知るか!
大母さんに迷惑をかけるようなことをするとは!
幾ら自分も子育てで関わったことが有るチビとは言え…。
勝手に『家族』から離れて、皆を危険に晒すような奴などイタチの餌にでもなれば良い!!!
そんなマヌケは、どの道長くはない!
それが偶々、今日だっただけのことなのだ!!!


子分アライさん「お耳痛いのだ。耳鳴りがするのだぁ…」シクシクシク

保母アライさん「うん…??」

鬱陶しいガイジアライさんを突き飛ばした所で、保母アライさんは森の空気の異変に気付く。

保母アライさん「…」ピクピクピクピク

チリーン…チリーン…
チリーン…チリーン…

保母アライさん「(これは…、もしかして―。危機なのだ!!!)」

ムンズ!!!

保母アライさんはマヌケの胸ぐらの毛皮を捻り上げて身を持ち上げる。

保母アライさん「ガイジ!!!この班のチビ隊全員を叩き起こすのだ!」

子分アライさん「むごぅ…。でも!アライさんのチビが!!!」
保母アライさん「お前のチビは死んだのだ!以上終わり。さっさとしないとみんな死ぬのだ。
貴様は八つ裂きにされたいのだ!!??」

クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

荒れた里山に響く『チビの声』。
死んでなどいないのだ!

『おかーしゃん』を、『家族』を待っているのだ!!!

保母アライさん「これは…。ちょっと、洒落では済まなくなってきたのだ…」

我が子の無事を悟って顔色が戻り始める母アライさんと―
スゥーと青ざめ始める保母アライさん。

里山教室は佳境に入りつつあった。

今日はここまでです。

調べても出てこなくて分からなかったんだけどアライグマってヒトの可聴域外の鳴き声を出して会話できるの?
まぁ確かな知識()を持ってる>>1のことだから間違いないんだろうけど

後こいつら基本夜行性とか言ってる割には昼間もガンガン活動してるし視力があまり良くない割にはテレビを始め覗き見したり狩りしたりそれらを感じさせるような要素が全くないよな
そのくせ聴覚嗅覚は優れてるってのはよく書かれるし身体スペックが単純に人間の上位互換になってね?

一を聞いて十を知るどころか千ぐらい知ってしまうからな
アライさん達危険すぎるわ

今日はお休みです。


>>714
でもそれって幸せなのかな?
俺たち人間はバカだからこそ泣いて学習する。愚かだからこそ何度でも繰り返して前に進む。孤独だからこそ笑い合える友を求め誰かを愛せる
今まで人間の『技術的な』模倣ばかり続けていたアライさんに幸せはあるのだろうか?

ジャパリパークには本当の『愛』があったらしいが大母ガイジの言うところの『未来』は果たしてどこにあるのだろうか...?

>>711さんのご質問を見て皆さんに伝え忘れがあったことを思い出しました。

本作品でアライさん(アライグマ)は人間の可聴域外の鳴き声を使っていますが…、
これは限りなくフィクション色が強いです。

『アライグマが耳の良い動物であること』『滅多に鳴かないが、子供が親を呼ぶときなどに特徴的な声を出すこと』
『収斂進化の結果、ネコ科特有の喉鳴らしと云うヒトの可聴域ギリギリの鳴き声が出せること』を拡大解釈して設定しています。

けもフレ考察を拝見していた際、ある方が『フレンズの耳はケモ耳とヒト耳をどう使い分けているのか?』という問いに
『ケモ耳は動物の可聴域の音を拾っているのでは』とお考えを披露されていて、なるほど!と思いこうした描写になりました…。

当作品では、アライさんに限らず、元種が耳が良いフレンズは、ヒト化後も耳が良い、ヒトに伏せて内緒話が可能、
というノリで行こうと思っているのですが、少しご不評でしょうか…。


また、環境省の資料によるとアライグマは、色覚は低いものの、視覚は決して単純に悪いわけではなく、他の夜行生物と同程度発達しているとありました。
従って、ネコ科やイヌ科の夜行動物のフレンズと同等ぐらいなのかな…、と考えつつ書いています。

続きを書き込みます。

チリーン…チリーン…
チリーン…チリーン…

保母アライさん「(どうする…。どうするのだ?!)」
保母アライさんの脳天は沸騰している。

取り合えず、ヘマをやらかした『ガイジ母アライさん』を叱り付け、チビ隊の皆を起こさせる。

副保母アライさん「一体どうしたのだ…」コスリコスリ

グィィィィ―

まだ現状認識が間に合っていない副保母アライさんの首を、保母アライさんは締め上げる。

副保母アライさん「…」ゲェピィィー!
保母アライさん「お前…。見張りの筈なのに何なのだ!その寝ぼけた顔は!!
人間がすぐ側まで来ているのだ!!!」

ゲシィ!

副保母アライさん「カァッ…ゲホォ…」

今回の事態を招いたガイジその2を蹴り飛ばすが、これ以上の責任追及は後回しなのだ!

保母アライさんは口の前に人差し指を立てて、他のチビ隊の声を抑えさせる。

実母子分アライさん2~4「「「「(何かあったのだ?チビ達がまだお眠なのだ…)」」」」」コスリコスリ

子分アライちゃん達「「「(おかーしゃん。どーちたのりゃ?)」」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライちゃん達「「「(おもしろいおとがきこえるのりゃーー)」」」ヨチヨチヨチヨチ
子分アライちゃん達「「「(おともだちのなきごえが、とおくからしゅりゅのりゃーー)」」」ヨチヨチヨチヨチ
子分子アライグマ♂達「「「(クルルルルッ!)」」」ヨチヨチヨチヨチ


未だ事態を掴み切れていないチビ隊のなか、保母アライさんは必死に考えを纏めようとする。
傍らの母子分アライさんはすぐにでもチビの下に駆けて行きそうだ!

保母アライさん「(考えるのだ…、考えるのだ!!!)」

大母アライさんは、お供の恩寵アライさんと共に怖い野犬退治兼新規恩寵アライさん選抜試験を行いに
西に赴いている。
副採点官として、途中から大姉アライさんも一緒…。

『家族』のナンバー1、2が同時に抜けるのは不味いため、大姉アライさんは試験の見届け役として、
本当に少し顔を出すだけだった筈なのだが…。


保母アライさん「(どっちにしても、間に合わないのだ。他の姉アライさんも…)」
小姉アライさんは、複数のチビ隊を一日ごとに廻っている。
中姉アライさんは家畜の世話があるし…、他の姉アライさんも『家族』を率いて何かしらの役割をこなしている。


クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

また何度目かの『チビの呼び声』

母子分アライさん「チビィ…」グッ!

グゥゥゥー!!!

飛び出そうとするガイジを必死に押さえつける。

この宿営地は『家族の巣』の一番南端やや東より。

本営から、最も距離がある。
近頃人間が放置気味の森で…、しかも民家が程よく近い。
正に『灯台下暗し』な立地。
『家族』の都市側の脱出口に最適と思われていたのだ―

保母姉アライさん「(タイミング悪過ぎなのだ…)」

アライさん達『家族』は、規模の急拡大のせいで深刻な幹部・準幹部不足になっていたのだ。
それを解消するために、試験をしていて…、大母さんが不在で…、その時によりにもよって…。

このチビ隊の班に今いる成獣アライさんは6匹。
自分こと保母アライさん、副保母アライさん、ガイジ、ガイジ以外の実母子分アライさん2~4。

保母アライさんは手をヒラヒラさせ、口をパクパクさせながら指示を出す。

保母アライさん「子分アライさん2。『家族』に今回のことを伝令するのだ!」
子分アライさん2「自分のチビが心配なのだ…」コスリコスリ

子分アライさん2は狼狽え躊躇う。
大母アライさん相手にはそんな素振りは見せないのに…。
あれだけ注意されていた緊急時の無駄なコスコスまで焦ってやりだす始末。

ここには大事なチビが居るのだ。置いて行ったら心配なのだ…。


保母アライさん「(アライさんの言うことは効けないのだ…。大母さん程の『威』がないからなのだ…)」


個々の個体の独立性が元来強かったアライさんを『家族』として統御する為、
大母アライさんは極端なほど権力・権威を集権化していた。

流石に『初めの3匹』は別格としていたし、随時、幹部の処遇・補充には気を配っていたようだが…。

保母アライさん「(他の幹部は、席次は有っても実質ドングリの背比べ。
その下の平子分アライさんもドングリの背比べ。
指揮系統は有っても…、痛みの伴う決断を背負い期待される立場にはないのだ…)」


だが、それでもこの場では自分、保母アライさんが決断を下さないと…。
その判断が仮に『最良』ではなく、『妥協(モアベター)』な選択であっても!


保母アライさん「お前のチビは必ず連れて行くのだ。すぐに!副保母アライさんが!
だから伝令に行くのだぁ!!!」

命令というよりは、ほとんど懇願するかのように声を出す。

コスリコスリ

両手を拝むように擦りながら頼み込む。

母子分アライさん2「…」
止むを得ないのだ。信じるしかない。
他の宿営地から離れている以上、この場はこのアライさんを…。
『家族』への伝令も誰かがやらないといけないのだ―

コクリ…

タタタタタッ!

保母アライさんの目を一度見つめ返し、頷くと子分アライさん2は駆け出す。

保母アライさんが異常に気が付いてから、ものの数分と立って居ないが―
彼女にとっては余りに時が長く感じられる。

時間が粘つく―
瞬きをするごとにあらゆる考え、悪い予感が脳内を駆けまわる。
世界の明度が変わり、あらゆる音がガンガン鳴り続ける。

チリーン…チリーン…
クルルルルルゥ…

保母アライさん「副保母アライさん!子分アライさん3、4とチビ達を連れて、明後日の方向に向かうのだ!
うんこおしっこを垂れ流し、ドカドカ足跡を付け、枝樹をガリガリ傷つけながら、進むのだ。
『群個体が慌てて逃げた』みたいに…。
お前の判断で、ここらで良いと感じたら、今度は密やかに『家族』の下に向かうのだ!」

ビシッ!
方向を指で示す!

副保母アライさんは、心配顔だ。
上手くいくのか…。
しかし、今は…。

副保母アライさん「大吉なのだ…」

ヨチヨチヨチヨチ
ヨチヨチヨチジョロジョロヨチヨチ
ヨチヨチヨチブリュブリュブリブリブリブリーヨチヨチ

それを合図に、チビ達の高速ヨチヨチ歩きが始まる。
保母アライさんの指し示した方向に…。

サササッ!

保母アライさんは手と目線で子分アライさん1、2
―要は例の『ガイジ』の実母と貧乏籤を引かされたアライさんを側に集め囁く。

保母アライさん「二度とは帰れぬ覚悟なのだ…。こうなったのも全部お前のせいなのだ!!!」


仕方なしに『ガイジ救出』を敢行する。

これが保母アライさんが下した『次善』の決断。
痛みを強いる『最善』、『チビの見殺し』を実母アライさんに強制することはアライさんには無理なのだ…。
大母アライさんの直接の命令や委任を受けた状況なら兎も角…。

止めてもこのガイジは飛び出す。
飛び出したとして…。

ちゃんとチビを助けるか―若しくは親子仲良くさっさと死んでくれればまだ良い―
一番の最悪は、ペラペラペラペラ『家族』について吐かれてから、人間に駆除されることなのだ!

それを避けるためには、一応、救出作戦を実行し、もし失敗が確定した瞬間は『介錯』を行うこと!

保母アライさん「(アライさんのチビは別のチビ隊。アライさんがヘマをすればチビが…。
もうやってしまったのだけど…。
『名誉の戦死』をすれば、大きく成った時、姉アライさんか恩寵アライさんにして貰えるかも…)」

ニギニギ!
ニギニギニギ!!

3匹は木槍を握りしめ直す。感触を確かめながら決意を固める。

人間は怖いのだ…
近寄りたくないのだ!!


アライグマは、特に発情期や大型の個体の気性が激しいため誤解されるが、基本的に憶病で警戒心が強い生き物。
好んで人を襲うことは原則無いとされる。
ヒトへの咬害等は、突発的な遭遇等により『我が身、子供を守るため』、
あるいは『獲物』を狩っている途中に割り込まれ、はずみで生じる稀な出来事だ。
あくまでアライグマ目線では…。

人間からすれば、出会い頭等に噛みつかれては堪らないし、『獲物』が家族の一員―ペット等―の場合もある。
困った奴らであることは変わらないのだが―


それらの性質はアライさんになってからも基本的に引き継がれている。
アライさんは好んで人は襲わない。大母アライさんですら現時点では、ヒトとの交戦は避ける。

何も趣旨変えして『アライさん無罪説』を唱えたいわけでも、
『アライさんはお花が好きな可憐なフレンズ』と言いたいわけでもない。


ヒョイヒョイヒョイ

飛礫を毛皮の懐に押し込んでいく。


保母アライさん「(普通なのだ!!!それがけものの常識。
けものは自分より大きいけもの・強いけものをまず襲わないもの。
クマもオオカミも人を好んでは襲わないと聞くし…、ライオンだってゾウに喰いつくことは稀な筈なのだ!)」

クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

しかし、そうとも言っていられなくなった。
事態は切迫しているのだ!

保母アライさん「(準備は良いのだ?)」
子分アライさん1「…」コクンコクン
子分アライさん2「…」シブシブコクン

命令は―指示は―間に合わない!
アライさんが出さないと!自分と『家族』を守るために!!
行くのか?!行くのだ!!


タタタタタッ!
ガサガサガサッ!

鈴の音の下へ急ぎ足の害獣が進み、忍び寄り始める。

今日はここまでです。

今日はお休みです。

毎日そうやって言うくらいなら「次は何日にやります」って言った方がよくね

凄い細かい事だけど、投下しない時もわざわざあげるから狙われやすくなるんじゃないの?
貼り付いてる人も一定数いるだろうけど、投下しないのに前線まで持ってこようとした結果、目に入ったから叩くって人はいるはずでしょ?
お知らせとかだったらsage sagaの二重でもいいんじゃない?

続きを書き込みます。

>>754さん、>>761さん
ごもっともです。ありがとうございます。『何日まで』、と区切って予想できそうなときはそのようにします。sage sageの二重も今度試してみますね。

ギコギコギコギコ
ギコギコギコギコ…

バサバサバサバサッ…

竹は次々と切り倒されて行く。

里山アライちゃん「(あらいしゃんのおにわが…。にんげんにしゅきかってにされていくのりゃ…)」

クルルルルルゥゥゥゥ!
クルルルルルルゥゥゥゥゥ!!!

もう何度目かの呼び声を上げる。
何時もならすぐお返事が来るはずなのに…。
『迎えに来るのだ』なり『戻ってくるのだ』なり…。

里山アライさん「(にんげんにきかれにくいなきごえを、だしゅのはつかれるのりゃ。
喉が限界なのりゃ…)」ゼエゼエハアハア

人間「切り倒した竹は町に運んで色んな事に使います。竹は昔から様々な素材として暮らしに使われてきました。
例えば、キャンプでよくやる流しそうめんの管。皆も見たことが有るでしょう。
他には切ったり潰したりしてロープや竹ひごにしたり、切った後乾かしたりあぶったりして、
お家の材料にしたり、お米を炊く器にしたり、楽器にしたり、
水筒にしたり籠を作ったりと本当にいろいろな使われ方をしてきました。
お家に帰ったら身の周りでどんなものがあるか、お父さんお母さんに聞いてみようね!?」

人間「次の教室では今日切った竹を使って、竹細工づくりに挑戦だよ!」

人間の子供「はーーい!!!」

人間「でもその前に…。今日の仕上げ!切った竹はこのままにしておくわけには行きません。
この鉄の棒で!中の節を壊して抜きます!」

ゴリゴリ…スポスポ…ゴリゴリ…スポスポ…

人間は、竹の切り株に鉄の棒を突っ込んで説明しつつ中の節を抜く。

人間の子供「わー」パチパチパチパチパチ

人間「皆もやってみよう。こうすると竹の空洞の中に雨が溜まって自然と竹は枯れて、
1年後には根元から簡単に取れるようになるんだよ」

人間の子供たちは人間の大人から、竹の節を抜くための鉄棒を受け取りに来る。


『私』「…」

アライさん。さっきより尻尾のお元気がない。
やっぱり、お昼はお眠なのかな…。

カサカサッ!

保母アライさん「(よし!この距離・角度なら…)」
保母アライさんの視線の先には人間の大人と子供の群れが見える。距離、およそ30メートル。
地に身を伏せ、枝葉泥土を被って少しでも周囲の景色に溶け込む。
保母アライさんは、自分達の忍び寄った位置が『家族』の本営、逃がしたチビ隊の避難経路
いずれとも方向が違っていることを確認した後、『ガイジ』の母に合図をする。

実母子分アライさんは頷き、鳴き声を上げる。

実母子分アライさん「クルルルルルゥゥゥゥ(チビ戻ってくるのだ!!)」
実母子分アライさん「(チビ!どうか無事に…)」

人間の可聴域外の特殊な鳴き声。耳の良いけもののみが拾える親子の絆。

しかし、その『鳴き声』を上げることを保母アライさんは、この瞬間まで抑え続けた。
状況が分からない中、チビを呼び戻し、その後を人間達に付けられたら一貫の終わりなのだ!
せめて、皆を逃がし、本隊の方向違いの地点に自分達が赴いてからでないと!

貧乏籤子分アライさん「…」ニギニギニギ
もう一方の子分アライさんは飛礫を握ってスタンバっている。

クルルルルルゥゥゥゥ!!
クルルルルルゥゥゥゥ!!!

母アライさんの呼び声と共に森の空気がゆっくりと寒度を増していく。

最初に変調に気づいたのは環境保全サークル隊長だった。
彼は―『こちら側でない方の』―活動で、曲がりなりにも修羅場を経験している。
何処がどうとは言えないが、視線と―何者かの戦意を―感じる。


環境保全サークル隊長「皆…。何か居るぞ!クマかイノシシか…」

声を張り上げ、大人と子供に注意を呼び掛ける。
そして、その場で軽くジャンプしてクマよけの鈴を意図的に振り鳴らす。

チリーンチリーンチリーン!!!

(ガサゴソ…ガサゴソ…)

『私』「クマさん…?」
子供たち「「「クマさんがいるのーー!!すっごーい!!!」」」

ゴリゴリ…スポスポ…ゴリゴリ…スポスポ…

子供たちは竹の節抜きに夢中になっている。

(シッポフリフリ…ヨチヨチヨチ…)

『私』「(あ…、アライさん。お母さんの所に帰るのかな。ちょっと寂しい…)」

環境保全サークル会員1「みんな!!!こっちに!!背中を森の奥に向けないようにゆっくりお兄さんの方へ…」

携帯電話で110番通報を始めながら、サークル会員1は子供たちに声を掛ける。

傍らのサークル会員2は、クマよけスプレーを腰から外して構えつつ子供たちを庇うように前に出る。
今日は猟銃を持ってない!
子供たちと行う活動だし…、何より民家近くの制限地域だ。

子供たちは大人たちの態度の急変にキョトンとしている。
『森に入ったら、大人の言うことをよく聞きなさい』
『クマさんやイノシシさんは本当は恐い動物なんだよ』

確かにそうお母さんや先生から聞かされはしたし、テレビのニュースで山での事故のニュースも聞くことはある。


でも、それはテレビの向こうのお話。
突然、そんな怖い顔で言われても…。

環境保全サークル会員3「気のせいかも!!!
役場の方は確かにこの辺りには大型獣は近年、確認されていないと!!」

そう言いながらも、サークル会員3は子供たちを民家側―往来で使った小道―に背中で庇い押しながら、
ナップサックから、お菓子・食べ物を取り出し次々と森に投げていく。けものの気を逸らすためだ。

偶々、最後尾にいたサークル会員4は持ち込んだシャベルを大きく振り上げて、
森の奥に潜む『何か』を威圧し続ける。

ガサガサッ!
チリーン…チリーン…

人間の群れはひと固まりになって、里山の外側にゆっくり後退していく。
背中を見せないように気を配りながら―

クルルルルゥ―

里山アライちゃん「(おかーしゃんのこえなのりゃ。いま、あらいしゃんはもどりゅのりゃ…)」ヨチヨチヨチ

(ガサゴソ…ガサゴソ…)
(シッポフリフリ…ヨチヨチヨチ…)

里山アライちゃん改め『家族』アライちゃんはゆっくり森の奥へ。

このまま…
このまま…

しかし―

シマシマシッポフリフリ

男の子「あ…、アライちゃん発見!!!」

10人の子供のうち一人が、遂にモゾモゾ地面を蠢いていたアライちゃんを見つける。
女の子「えー!!アライちゃん!どこどこ?!」
男の子「アライさんなのだー!天下取るのだ―!」
女の子「本当に『なのだ』って言うのかな?!」
男の子「アライさんは害獣なんだぞ!テレビでやってた!見つけたら必ず殺さなきゃいけないんだぞ!」
『私』「そんな…。酷いよ…。友達に…」

一度は大人の剣幕に押されていた子供たちが再び賑やかになる。

子分アライちゃん「のりゃーー!!みつかってしまったのりゃー!!!」ヨチヨチヨチヨチ

環境保全サークル隊長「(不味い!子供がいると言うことは…。親が近くにいる!!!)」
環境保全サークル隊長「みんな!!このまま下がって!!!大きな声を出してアライさんを刺激しないで!!!」

大人たちは必死に注意するが、子供にとっては森のクマさんでさえ『可愛いお歌や縫い包み』のイメージである。
まして、アライグマ。アライさんでは…。

『可愛い生き物』『ジャパリパーク冒険記の面白いお友達』。

そして、こそこそ畑のお野菜を盗み食いするマヌケな―

マヌケな害獣!!!

腕白な一人の男の子が大人たちの目を掻い潜って、足下の石を拾い上げる。

子分アライちゃん「…」ヨチヨチヨチヨチシッポフリフリフリ

必死のヨチヨチ歩きで遠ざかっていくアライちゃんに部活で鍛えた剛速球を叩き付けてやる!!!

男の子「お野菜どろぼーめ!!!テレビで見たぞー!!!」ブン!

環境保全サークル会員1「ちょっと待って!!!」

ゴチン!

子分アライちゃん「げぴぃー!」ヨロヨロヨロ

大人の制止も間に合わず、腕白坊やの投げた石はアライちゃんに直撃!

小さな悲鳴が上がる!

サークル会員1は慌てて男の子の側に駆け寄り、手を握って後ろに引きずっていく。


ダッ!

『待ちなさい!!』

後ろから声がしたけど、『私』は止まらない。

お友達に成れたかもしれないのに…。
可愛いフサフサ尻尾が如何にも痛そうに震えている。
怪我をしてないかな。

私がフェネック役になって、二人を仲直りさせないと―

『私』「アライさーん。待って。ごめんねー!!!」

ヒュ!!!

視界に黒いものが映る。

『私』「(何これ!)」

ガクン!

後ろから白い大きな手が『私』の頭を押し倒した。

ボコッ!

一拍遅れで何かが肉にぶつかる鈍い音がする。

『黒いもの』が固そうな石飛礫であったこと。
そして、鈍い音は、私の身代わりになって、『その人』が飛礫を身に受けたものだと分かるまで、
『私』には猶少しの間が必要であった。

何を思ったか飛び出した女の子を追って、頭を押さえつけ飛礫を躱させる。
代わりに自分の右胸に握り拳大の石がぶつかり、痛みと共に息が一瞬詰まる。


???「おかーしゃーん!!!おかーしゃーん!!!」ヨチヨチヨチヨチ


ジンワリ…、服の下から血が流れ出るのを感じるが、まあ問題ないだろう。

手にしたシャベルを盾代わりにし、傍らの女の子の前に、庇うように身を進める。

ガコン!
ゴツン!

早速、シャベルに飛来した飛礫が弾かれる。

チラリ、後ろを振り返る。
子供たちを必死に庇いながら、リーダーたちはジリジリジリ登山道を下がりつつある。
さっきまで、ヨチラーガイジを見つけて賑やかになっていた子供たちも流石に事態の深刻さに気付いたようだ。

ガァァン!!!

キ―――――ン

今のは痛かった。
ヘルメット越しとは言え頭に…、耳鳴りがする。

チラ!

後ろの女の子を見つめると、何か信じられないようなものを見た顔をしている。
何に驚いているのか、私にはあまり興味がない。

ズリッ!
ガバッ!
ドサッ!!

彼女の側まで一時ずれると、背中に手を回して地面に伏せさせる。
自分も同時に伏せる。
このままでは飛礫の良い的だ。

ヒュン―

ヒュン―

ドコッ!

私の頭上を掠める様に飛礫が飛び、あるいは至近の地面にめり込む。
これではリーダーたちも助けには来られないだろう。
他の子供たちも守らなければいけない。

アライちゃん「おかしゃーん」ヨチヨチヨチヨチ

環境保全サークル会員4「3匹ぐらいかな…」
『私』「え…」

飛礫の数や飛んできた方向でそう判断する。

多分、あのアライちゃんの母アライさんと…仲間?
近親個体群かな…。

珍しい。

メシッ!メシッ!

ヒュン―

ヒュン―

ヨチヨチヨチヨチ……

メシッ!メシッ!

ヨチラーは高速ヨチヨチ歩きで森の奥に向かい続ける。

援護の飛礫は猶も二方向から飛び続けている。

そして―

『私』「お…、お姉さん…」ブルブルブル

殿担当なのだろう―一匹のアライさんがサルのように枝伝いに私達の方に向かっている。
人間の撤退と無力化を確認しに来たのか、あるいは止めを刺しに来たのか。

どちらにしろ、猛獣が―私を殺し得る存在が―こちらに向かってくる!

時間が限界まで濃縮されて行く。
世界が普段の色を捨て去り、けものの視界にチャンネルが切り替わる。
遠い父祖が狩場の瞬間、戦場の瞬間に目の当たりにした視覚。
あらゆる音が、触感が、予感が、予想が、痛みが、視覚情報が、
ただ生きる、それだけの為に脳内を普段の何百倍もの速度で駆け回り続ける。

こんなに『生』を実感したことなどこれまであっただろうか―
普段のちゃちな『拷問ごっこ』『処刑ごっこ』など、この実感の前では…、ゴミだ!!!

グバッ!!!

全身のばねを使って前につんのめる様に飛び出すと、
両手で持っていたシャベルをしごきながら飛び上がる様に片手で突き出す!

アライさん「へ…?」

ザクッ!!!ブシュゥゥゥゥー!!!

手入れの行き届いていない里山の樹々はどうしても低木が多くなる。
人間の背丈+シャベルの柄の長さで下から突き上げれば―

アライさん「はぁぁぁあっぁああぁぁ!!!」

人間で言う『太もも』辺りを突き刺すことも可能になる。

ガツン!!!
ボコン!!!

飛び出した瞬間に飛礫が体にめり込み、あるいはヘルメットに跳ね返る。

バサァァ!!!
ゴロゴロ!!!

シュ―――ブシャァァァァ!

木から転げ落ちながらアライさんが突き出した木槍が右肩から右肘までを切り裂くが、まあ、合格点だろう。
もう少し内側に当たれば危なかった。

???「おかーしゃん!!!」ヨチヨチヨチヨチ
環境保全サークル会員達「サークル会員4」ジリジリ
傍らの女の子「お姉さん!!!」

外野がそれぞれ声を張り上げる。
しかし、この場ではどうでも良い。

アライさん「チビぃぃ!お母さんに構わず、進むのだぁぁぁ!」

タタタタタタッ!!!

世界が不思議なほどゆっくりしている。
音が止まったように感じる。
妙に冷静に左腰に差していたサバイバルナイフを逆手で引き抜く。

後は―
太ももから大出血しながら驚いた顔で地面に転がり落ちていくアライさんの―鳩尾付近に―それを差し込み…
反時計回りに捻じり切る!!!


アライさん「があっぁぁぁぁあぁ!!!」キシャァァァァァ―

ガブッ!

世界が痛覚と音を取り戻す。

私がアライさんの鳩尾にナイフを突き刺し捻った瞬間、アライさんも上体を起こすと一気に噛みつき
牙をねじ込んでくる。

アライさん「…」グルルルガブガブキシャァァァァァ!!!

左鎖骨付近に噛みつかれ、ナイフを握る手の力が抜けそうになる。

環境保全サークル会員4「…」ギュゥゥゥ

掌が血で滑りそうになるのを我慢して、ナイフを更に回転させ、この猛獣の内臓を完全に潰そうとするが―
上手く回らない!―怪我のせいか?―アライさんの筋肉が強靭だからか?

アライさん「…」アァァアアア!!

環境保全サークル会員4「…」ゴハァッ!

アライさんのほっそりとした気持ち悪い指がサークル会員4の首を絞め上げに掛かる。

グッ!

メリッ!ドバッ!

ツ―――

かぎ爪が皮膚にめり込み血が流れ始める。


子分アライさん「…」キシャァァァァァ

あと少しで、この人間の首を掻きむしり切ってやるのだ…

グラッ!

バタン!!!

環境保全サークル会員4は片足を一気に引き、アライさんごと地面に前のめりに倒れる。

タタタタタタッ!!!

環境保全サークル隊長「おーい!!!しっかりしろ!!!」
クマよけスプレーと鎌を振りかざしながら、隊長…リーダーが駆けつける足音。

環境保全サークル会員4「…」
アライさん「…」グフゥ!ビクビクビクンバッタンバッタンビクビク

サークル会員4は、ゴキガイジムーブするアライさんから身を起こす。
アライさんの心臓の直上にはアイスピック。
切り裂かれた右手では握力が足りない為、倒れながらサークル会員4自身の体重で押し込んだのだ。

環境保全サークル会員4「(しょーもない動画もたまには役に立つ…)」

ボトボトボトボト…、右腕と左鎖骨付近を中心にかなりの出血をしながら、
サークル会員4は、良く分からない総括をする。

気が付けば飛礫の飛来も止まっている。アライさんの群個体は逃げて行ったようだ。

女の子「おねーさん!ごめんなさい!ごめんなさい!!ごべんなざい!!!」

傍らの女の子は泣きながら謝り続けるが、さっさと人里に下がってから言うべきだろう。

環境保全サークル隊長「大丈夫だ…。助かるぞ…。大丈夫だ!!!」
リーダーは傷口を隠しながら、圧迫止血法を行いつつ、肩を貸そうとする。

環境保全サークル会員4「歩けます。スゥーハァー。新鮮な気分です」
環境保全サークル隊長「おう…。そうか…」

ピーポーピーポー
ムーンムーンムーン

パトカーと救急車の駆けつけるけたたましい音が森の奥まで響き渡る。

環境保全サークル隊長「ここまでくれば…。無理に歩かず。横になろう」
サークル会員4は意外に聞き分け良く、今度は横になる。

『私』はそんな二人を見つめることしかできない。
『私』が駆けだしたりしなければ…。

『私』「お姉さん…」
白いお顔がもっと白くなっていたが、さっきと変わらない口調でお姉さんは答える。

環境保全サークル会員4「私自身の報いによるものだ。気にしてない」

そう素っ気なく許しを伝えると、軽く目を閉じる。
せっかく、この上なく強烈な『生』を感じたんだ。
忘れる前にこの感触の余韻をもっと楽しんでおきたい。

今日はここまでです。

貧乏籤子分アライさんとか明らかに必要が無い奴まで出てきていい加減アライさんの名前が増えすぎで訳が分からなくなってきた……作者自体も途中表記ゴチャってないかこれ?

結局何をしても文句言うよね

>>793
だって指摘されたところ全く直さないんだもん
それと>>789-790
キャラ増えすぎてる割に人格持ったアライさん少なすぎ
「ゆるさねぇ」の『俺』みたいに主人公ならともかく
数多いキャラの一人なのに『私』って名前はないわ

そもそも「指摘した所を直せ」がおかしくない?
ここは>>1のスレであって見ている人達のは読者でしかない
ある程度意見とか受け入れる人もいるけど、上から目線はおかしい。

>>801
匿名掲示板のスレッドは誰のものでもない
私物化したいならそれこそPixivni移るか>>1
「このスレでは>>1>>1にマンセーする意見以外書き込まないでください」
ってちゃんと書いとけ

ま、別に>>1が改めたくないなら改めなくても良いよ
ただ、>>1が改めなければこれからも叩き続けるし
それを止めることはできんよ

今日はお休みです。二三日以内には続きを書き込む予定です。

>>802さん
『叩き続ける』は穏当ではありませんね。良くご自分を振り返られることをお勧めします。
様々な方が感想を述べて下さるので、貴方が、どのポイントを『改めて欲しい』のかは良く分かりませんが。
『ちゃんと書いとけ』と言えば、私は『余りにも長い感想はご遠慮してほしい』『議論が長引くようなら雑談スレを利用してほしい』とちゃんと書いていた筈ですが。

最近、すっかりそのことをお忘れの方がいらっしゃるようなので、更新のお知らせと共に、お伝えしておく次第です。

実際にアラ虐雑談スレに愚痴書き込んで荒らしまわってたのはここの住人。あの頃はまだアラ虐「かもしれない」ってみんな勝手に勘違いしてたからしょうがないかもしれないけど。
Rの話題を通常でやるような常識外れなことは高潔なここの住人には似合わないだろうし、やるなら新しくスレ立ててみたら?

622: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]
粘着の発言が気持ち悪すぎるからアラ罪はSSまとめ速報で読むわ
あわないから読まないが出来ないのってかなり可哀想
2018/01/06(土) 21:49:33.58ID: ur6NT5aa0 (3)
623: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]
だから、ここにはウンコしていくのだ
2018/01/06(土) 21:53:01.67ID: ur6NT5aa0 (3)
624: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]
のだあああああああああああ
ブリリリリリリブリュリュリュリュウウウウウウウウウウブビビッ
2018/01/06(土) 21:53:53.15ID: ur6NT5aa0 (3)

こういうことしておいて何言ってんだか。
完全荒らし扱いでスルーされてたけど

投稿します。

間違っていた。
何もかもが間違っていたのだ。
幼き頃より英雄の片鱗を見せていたアライさんを恐れ、むやみに巣穴から出ないようにしつこく言ってきた平凡な両親。
家族の掟だなんだとこざかしいことを述べてアライさんから自由を奪おうとする無能な大母アライさん-。
こんなにも可愛いおちびちゃんを間引けなどと極悪非道な提案をしてきた保母アライさん。
卑怯な手を使って恩寵組に入った鏃アライさんとタヌキアライちゃん。

何もかもが間違っていた。

そして何よりも間違っているのは、万物の頂に立つアライさんを差し置いて、大きなおうち、沢山のごはん、ふかふかのおふとん、
ありとあらゆるものを独占し、決して分け合おうとしない人間。
群れは分け合い助けあうものというおちびちゃんでもわかる理屈を全く理解しようとせず、暴力に訴える下等な存在。

臆病な大母アライさんは絶対に人間に関わるななどと情弱極まる戯言を垂れ流していたが、群れから抜けた今、そんな小言はもう関係ない。

愛するハニー(アライグマ)と、可愛い天子のようなおちびちゃんのため、人間への宣戦布告の手始めとして、
まずはこの目の前のおうちを奪い返し、アライさん帝国への礎とするのだ!

「わははははー!きょう!このしゅんかんから!まちがったよのなかはかわるのだ!」

「キュキュー!」

「のわぁー!おかーしゃ、かっこよすぎるのだ・・・」

大切な家族。愛する夫、天使のようなアライちゃん。みんなが付いている限り敗北は万に一つもあり得ない。さあ、天下を取るのだ!


◆◆◆

「ぐは・・・ふぐ・・・ぐげ・・・」

少し開いたベランダの扉から人間の家に揚々と入り込み、家捜しを始めてからたったの五分、自信に満ち溢れた姿はどこへやら。
アライさんはボロボロになっていた。

突入をした後にやってきた男に渾身のパンチを繰り出した瞬間、キックをもろに食らい、ドスッ!と乾いた音とともに壁に叩きつけられた。

たった一撃でアライさんの心は折れた。人間で例えるなら電信柱が急にぶつかってきたかのような衝撃。
「あ、これ絶対にこっちが負ける奴や」と即座に実感させる硬さと重さ。

半数以上のアライさんが蹴られてもなお実力差を理解しないことを踏まえると、これでもアライさんは平均より優秀だったようだ。

頭に乗せていたアライちゃんも一緒に吹き飛び、完全に気を失ってしまった。何が起きたかの現状把握すらままならないが、アライさんの心は
『セルリアンだよ!逃げて!』で満たされていた。

傍らで見ていただけのアライグマが威嚇をしているが、アライさんは全身に響く痛みにピクピクと糞尿を垂れ流すだけで、
男に挑もうなんて危害は皆無だった。

「おーおー、威勢のいいこった。ちょいと身の程ってやつを教えてやるよ。」

非常にさわやかな表情で男はアライグマに死刑宣告をした。
そこからはひどいものだった。アライさんの目の前で、一生を共にしようと誓い合った伴侶がズタズタになっていく。
男は手馴れた様子で、鼻歌交じりにアライグマを解体していく。
耳を引きちぎり、足を切断し、顔の皮をずるりと剥がし、歯をペンチで抜いた。全くよどみのない作業から、
男が何百回とこの作業を繰り返してきたことが分かる。
アラクィグマの悲鳴はどんどんとか細くなっていく。威勢が良かったのは最初だけで、あっという間に威嚇は命乞いに変わり、
命乞いは死を願う声に変わっていった。

どんどんと削られていくアライグマを前に、アライさんはがたがたと歯を鳴らし、ぶるぶると震えていることしかできなかった。

男がアライグマに手をだしてから1時間ほどだろうか。アライグマは息絶えた。墨の塊に変えられたその姿からは、
元がアライグマだとイメージするのも難しいほどであった。

「ん~、今回はあまり手を掛けずにサクッと済ませたけど、これはこれで原点回帰って感じでいいねー。」

・・・あれで手をかけていないというのか。これ以上震えることはないと思っていたアライさんの震えがより一層激しくなっていく。

歯のぶつかる音が大きくなっていく。考えても考えてもどうすればこの状況を脱し、巣に帰ることができるのか、とんと見当がつかない。
戦おうなんて気は起きない。勝てるわけがない。
逃げたって無駄だ、追いつかれるにきまってる。
説得?出来るはずもない。

脂汗をだらだらと流し、顔面蒼白になりながらアライさんは考える。
ここで考えることができているだけこのアライさんは優秀なのだ。中の上といったところだろうか。
下の下であれば、諸悪の根源云々抜かして負けを認めない。
下の上であれば「困難はわけあうものなのだ」などと通じるはずもない理論を展開する。
中の下であれば「アライさんは偉大なのだー!」などとほざいて出来るはずもない逃亡劇に身を投じる。
中の中であれば何をしていいか分からずフェネックに助けを求める。
考えてどうにかしようというだけマシな個体である。もっとも、まともな個体であれば人間の家で泥棒など絶対しない。
死を目前にして多少なりとも現実を見据えほんの少しばかりマシいなったたけに過ぎない。

「あ、あうー・・・」

呼吸が激しくなり過呼吸に陥りそうになったタイミングで、薄ら笑いとともに男が声をかけた。

「お、絶対勝てないってことを理解できたのかな?上等上等。分を弁えたアライさんは嫌いじゃないよー、お兄さんは。」


へらへらとしているが目は全く笑っていない。

「よっしゃ。そんなおりこうなアライさんにチャンスをあげようじゃないか。」

「のだ?・・・ちゃんす?」

「お前らさあ・・・なんでこんなことになったんだと思う?何が間違ってたんだと思う?
正解できたらそこで気絶しているアライちゃんと一緒に、生かして帰らせてやるよ。」


◆◆◆

今日はここまでです。続きは明日以降に投稿します。

続きを書き込みます。

ああそれと、>>827>>832の書き込みは別人さんですので、お気になさらず。

書き込みを成された方。
素晴らしい文才をお持ちのようなので、どうかご自分でスレをお立てになってはいかがでしょうか。

母親「この度は娘が大変なご迷惑を…」

片手に女の子の手を引き、もう片方に菓子折りを下げた上品そうな女性が病室に入って来るなり頭を下げ始める。

綺麗なシルバーブロンドの髪が、うなじを覆い肩から背中に少しかかっている。
親子お揃いのセミロングのボブカットヘア。

『私』「お姉さん。本当にごめんなさい。助けてくれて…」

娘と声を合わせる様に母親も声を押し出す。

母親「先日―里山教室の際、娘をお助け下さり、本当にありがとうございます」

ペコリ
ペコリ

大きなお耳の親子が病院の結構な個室で、二つの頭を再び下げる。

『お姉さん』『環境保全サークル会員4』ことTTT会員Dは、少し感心しながら親子を見つめる。

TTT会員D「(なるほど。ヘルメットの下はこうなっていたのか)」
自分の観察眼もまだまだだ。
里山教室中は、大人も子供もヘルメットにアウトドア装束だったから…。


TTT会員D「どうかお顔をお上げください」

こういうのは本当に困る。
まるで自分が『善人』みたいじゃないか…。


親子は頭を上げてくれない。
どうしても気がかりなことが有るためだ。

母親「それで…。お体の具合は…」

他人の体がそんなに気がかりなのか。
なら、そのションボリした耳にありのままにお伝えするだけだ。


TTT会員D「大過なく。感染症等も。このまま養生すれば、手・指に麻痺が残ることもなさそうです」

この言葉を聞かんがために、心配性のリーダーは、結果が出るまで不眠症になっていたらしいが…。
本当に『不向き』な方だ…。


TTT会員D「どうか、お上げください」

もう一度、親子に声を掛ける。

ヒョコ
ヒョコ

親子は頭を上げるタイミングまで仲好しだ。二つの金髪が揺れる。
二人とも潤んだ瞳をし、今にも泣きだしそうだ。
―自分が、これまでして来たことの全貌を知って猶、そんな顔が出来るだろうか―


TTT会員D「(そんなことは無理に決まっているな…)」
何より自分がそんなことを望まない。

TTT会員D「どうかそのような扱いはお止め下さい。私はそれに値しない者ですので…」

そう親子に伝えながら目線で来客用の椅子を勧める。
―右腕、左肩は治療中だ―


フェネックさん・フェネックちゃん「「……」」

親子はその言葉に少し戸惑い、ちょっと迷ったのち、静かに腰を降ろした。

『私』はお母さんの隣に腰掛ける。
ツンとした病室の臭い。
人間もこの臭いは苦手なのだろうけれど、私達はもっと苦手…。
でも、何時も人前に出るときは香水を付けるから、正直鼻が鈍っている。

『獣臭い』『おしっこの臭いがする』と皆から言われないために…。
そのお陰で何とか我慢できているのだとしたら―ちょっと嫌な感じだ。

お母さん「そうですか。大学院に通いながら地域活動を…。素晴らしいことです」
お姉さん「いえ…。自慢できるようなことは何もしていません」

お姉さん「失礼かもしれませんが、その…、フェネックさんは…」
お母さん「この近くに支部があるNPO法人で働いています。その…『アライさん保護実施隊』で…。
この子は職場から近い学校に通っていて…。それで…」

お母さんはとても気まずそうに、勤め先を告げる。
『あの日』までは胸を張って、お仕事の話をしてくれていたのに…。
『私』のせいで、お母さんにこんな顔をさせるなんて…。

頭がジンジンして、目頭がどんどん熱くなってくる。



お姉さんとお母さんは、お話を続けている。
『私』の大きなケモ耳は、この病室の扉を超え、大小さまざまな音を筒抜けにする。

???『アラ信だ…』
???『へ~。例のあの子。変な所ばっかり先祖に似るんだな』
???『アニメと現実の区別もつけられないのか。巻き込まれた方もお気の毒に…』

『私』「(嫌!聞きたくない!)」

ご先祖さまから譲られた大きなお耳を前にペタンと倒し、両手で上から抑える。

お姉さん「ねえ…」

こうすれば、けものの無駄に敏感な聴覚を封じられる。『あの日』偶々、そうだったように…。

お姉さん「聞こえている?!」

聞こえない。聞きたくない…。

ツン…ツン…

『私』「???」

涙目で横を向くと、お母さんが心配そうに私の両目を覗き込んでいる。

塞いでいないヒト耳から、静かな声が頭に入ってくる。

お母さん「フェネックちゃん…。お姉さんが2人で少しお話したいそうなのだけど…。大丈夫?」

『私』「!!!」

『私』は心配顔のお母さんと
―何故か、ちょっと面白そうな顔をしている―お姉さんのお顔を交互に見つめて―

コクン

一度だけ頷く。

悪い事をしたんだから、しっかり怒られないといけないんだ…。

スゥ――――

静かに病室の扉が閉まり、『お母さん』こと子孫フェネックさんが中座する。

未成年者と二人きりで話すことを許可してくれるなんて、太っ腹だ。
まあ、親子ともども罪悪感からだろうが…。

TTT会員D「しかし、見事に化かされたな。流石はキツネの一種だけのことはある!」

フェネックちゃん「…」

傍らの少女にそう声を掛ける。
手を添えて、竹まで一緒に切ったのに、病院に担ぎ込まれて、後で事情を聴くまで、自分は気づいていなかった。
少し、夢見がちな良くいる子供だと…。


フェネックちゃん「に…、ヒトの中には…。私達を良く思わない方もいらっしゃるので…。
服装とか、帽子とか、体臭とか…。気を付けています」


成程。名簿も日本名表記だったのはそういう事情か…。

フェネックちゃんは必死に声を絞り出す。


フェネックちゃん「だ…騙すつもりはなかったんです。それに、あの日は…」

『危険防止のためヘルメットを被り、動きやすい服装でご参加下さい』
事前に配られたシオリに書いてあった格好で行っただけだったのに…。

TTT会員Dは、そこでちょっと頬を吊り上げる。作り笑いは苦手だ…。

TTT会員D「別に怒ってない。そのことも怪我をしたことも含めて。まあ、私も何かと紛らわしいと言われるし」

そう言いながら、フェネックちゃんに視線を投げ、ちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべる。

柔和と言う印象からは、ちょっと離れた、犬歯を見せつけるような笑み。


ただ、それでも笑顔は笑顔だ!

フェネックちゃんは少し安心して答える。

フェネックちゃん「はい!最初はお兄さんだとばかり…」

TTT会員D「良く言われる」

そう素っ気なく応じつつ、言葉を続ける。
フェネックちゃんを何処か試すような顔をしながら…。

TTT会員D「おばあ様の―『ジャパリパークのフェネック役』―の代わりはちょっと荷が重かったかな?
そもそも御面識は?」

フェネックちゃん「…。おばあ様もジャパリパークのアライさんも忙しい方なので、ほとんどありません。
二人の楽しい冒険は、アニメで…」


それは困ったものだ。まあ、孫の代になればそんなものだろう。

さて、この辛気臭い顔をしたけものに言いたいことを伝え、母子共々早々に追っ払おう。
ちょっと鬱陶しい。

TTT会員D「どれ。本題だ。罪悪感を減じてあげよう!私の怪我は正に報いというべきもの。
自分の衝動・どす黒い欲求の捌け口を求め続けた故だ。
あの日も…、本当は貴女の生死安否はどうでも良かった。
ただ、『それが許され、正当化される場面』を奇貨としただけだ」

フェネックちゃんの驚く顔を眺めながら、そう言い放つ。

スッキリした。
善人ごっこは疲れる。
そう云うのにふさわしい人々はこの世界にいっぱい居る。

自分は―そう願っても―成り切れない不適合者だ。
気が付いたら、そう成り果てていた。
多分、生まれ落ちた時からの『性』なのだろう―

『私』はお姉さんの言葉を聞き、今、どんな表情を浮かべているのだろう。

胸がとても痛い。
辛く悲しい。

何かを言わないと…。
何を言えばいいのだろう。


『私』「お母さんが言っていたんです。この世界は万華鏡。『私』ごとに映るものが違うと…」

お姉さん「???」

『私』「た…、例えば…。私達、フェネックの色覚聴覚とヒトの色覚聴覚は違います。
『私』とお姉さんはすぐ側で別の世界を感じている…、とも言える。お母さんはそんなことを言っていました」

TTT会員Dは一つ頷く。

TTT会員D「確かに。フレンズ各種とヒトは勿論、けものとホモ・サピエンス。
あるいは人同士・けもの同士でも…。
云わば、外界を把握する五感の働きに応じて、同じようで異なる世界を見ている、とは言えるかもしれないな」

しかし、それがどうしたと言うのか。


フェネックちゃんは震える声で言葉を続ける。

フェネックちゃん「人同士でも、お話する言葉や習俗・考え方が違うと…。
物事の感じ方が変わったり、細かいニュアンスの誤解が生まれることが有ると…」

TTT会員D「???」

この子は何が言いたいのだろう。
混乱しているのか…。

勿論、TTT会員Dにもフェネックちゃんの云わんとすることは理解できる。
要は母親から、聞きかじったコミュニケーション論のお話をしているのだ。

俗に『モンゴル語には花という単語がない。イヌイットには雪と言う単語が何種類もある』という。

人間は―人間と『言葉』を手に入れたフレンズは―それを用いて『この世の理』を自らのものにする。
『初めに言葉が在った』

身振り手振り目使いと言ったノンバーバルなコミュニケーションまで勘定に入れたら、
それはそれは大変なことになるだろう。


日本人とモンゴル人、イヌイットが同じ地点に立って居たとしても、
三者が『把握する』世界は異なり得るだろうし、言葉使いどころか五感まで異なる各フレンズ・ヒト間なら―
その差は本当に大きいはず。

普段気にすることはあまりないが…。

『私』「私はアライちゃんの―アライさんのお目目が好きです…。好きでした。
とっても元気が良くてクリクリいつも輝いていて。それに柔らかそうなほっぺ、フサフサの尻尾。
アニメや昔語りで聞いたお祖母様も、きっとそんな『お友達』の後を付けて行ったんだろうって」


TTT会員D「(奇形児みたいな―ご障害をお持ちのお子様を何所か思わせる―醜い吊り上がった目付き、
ふくれっ面の顔面。芋虫みたいな気持ち悪いゴワゴワの尻尾。私にはそうとしか感じられないが…。
そうか。これがこの子の本題か…)」


『私達』は各々、各自の五感や言葉や主義心情や、何か色々な『色眼鏡』『フィルター』を通してしか世の中を
把握できない。

特に言葉は、時にあからさまなほどにはっきり、その者の本性や性質、考え方を暴露する。


TTT会員D「別に悪い事ではない。貴女に『奴ら』がそう見えるなら。それは貴女や―母君の―足場なのだろう。
世界を捉えるための。結構なことだ」


本当の意味で『中立の言葉』は存在しない。

『私(TTT会員D)』は『私の足場』で世界を把握して語るしかないし、
この子(フェネックちゃんにとっての『私』)にも、先祖から引き継ぎ守りたい大事な見方があるのだろう。

TTT会員D「それが、あの日飛び出してしまった理由?」

コクリ

フェネックちゃんは頷く。

『私』「お母さんが、自分のお仕事は『橋渡し』みたいなものだと言っていたんです。
『私達は人間の世界・けものの世界。両方を少しづつ感じられる素敵な存在なんだよー』と。
だから!はし…ヒック…、橋渡ししようと…。う…う…。
アライさんや…、色んな人間や…、色んな立場のフレンズの間を…。
グスン…グスン…、そんなふうに…何時か」シクシクシク


シクシクシク…グスングスン…ヒックヒック…


病室に嗚咽の音が響く。

TTT会員D「(実に病院らしくて結構なことだ)」

顔を真っ赤にして、涙を流し続けるフェネックちゃんに視線を遣る。

―実に愛おしい―

TTT会員D「志に体や頭がまだ追いついて居なかっただけのこと。生き残ったのだから、また、機会はあるだろう」

フェネックちゃん「???」キョトン

意外なことを言われた、そんな顔を向けられる…。
そんなに変なことを言ったか?

TTT会員Dは、奇妙なことに善意・善人を愛している。
執着していると言っても良い。
自分が決してそうなり得ない。
理解はしても『体感』することはないと分かっているからこそ…。


TTT会員D「貴女はあの場で最も善良な存在だった。文字通り『皆』を助けようとしていたのだから。
あの日の出来事で、猶、心変わりしていないなら…、したい様にすればいい」

フェネックちゃんは、少し迷ったようなお顔をしながら、TTT会員Dの言葉を斟酌し―


『私』「はい!!!」

『私』の意思で舌を動かし、精一杯のお返事をする。

何時か…。

おばあ様達のように―かばんさんのように―『志に体と頭が追いついたら』
ヒトとフレンズとけものと、色んな世界を持った『私同士』の橋渡しになれるような存在に―

テクテクテク…
テクテクテク…

ギュゥゥゥ

『私』とお母さんはやがて病室を辞し、病棟を出口に向け歩いていく。

ヒソヒソヒソヒソ…
コトコトコトコト…

ピンと立てたお耳には様々な喧騒がまた流れ込んでくる。

『私』「お母さん!」
お母さん「何?」

ギュゥゥ―
手を強く握りながら、気持ちを伝える。

『私』「今のお仕事…。アライさん保護隊…辞めないで。お願い…」

お母さん「…」

テクテクテク…

お母さん「やめないよー。ヒトとフレンズが仲良く暮らしていける世の中は、
一族の悲願みたいなものだからねー」

お母さんは、敢えて、フェネックらしくマイペースそうに『私』に返事を返す。

『私』「…」


ツ――――と、幼いフェネックの頬に一筋の涙がまた流れた。

今日はここまでです。

どうか、感想・合いの手なら兎も角、勝手な乗っ取り行為はご遠慮いただけますよう。

そこは変更したのでしょう。設定を
昭和の漫画だとよくあるある

この作品ってやたらと中国とかモンゴル付近の例えばかり出てくるけど
>>1は日本の歴史は詳しくなさそう
というか作者が中国近辺にしか興味ないのは別に良いのだが
登場人物全員にそれを反映させるのって
単に自分の思想をキャラに語らせたいだけじゃん
登場人物全員の思想が偏ってるって
テコンダー朴見ているような感じがする

>>859
648で「綺麗なお顔に似合わない固そうなヘルメット」と会員4の特徴として書いてある
わざわざ『私』視点で描写しているということは個人の特徴なんだろうけど
他の人は柔らかいヘルメットでも被ってたのかな?ww
『ヘルメットに石が当たる』、って展開を考えていて後から『実はへねっくでした』
って設定を追加したんだろうけど本当行き当たりばったりだな

>>852
>>どうか、感想・合いの手なら兎も角、勝手な乗っ取り行為はご遠慮いただけますよう。
つまり感想や合いの手も本来はダメで自分が目溢しをしてあげている感覚なんだな
勝手な乗っ取り・・・って掲示板は誰が書き込んでも良いだろうに
嫌ならPixiv移れよ

>>860
自分で言ってるように「綺麗な顔」って特徴を際立たせるように対比として表現してるんであって別におかしな書き方では無いぞ
まぁ「固そうなヘルメット」じゃなくて「固いヘルメット」にするべきではあったと思うがそこまで言うほどでもない

ついでに速報には乗っ取り禁止のルールがあるから>>852については至極当然の主張だボケ
言葉の受け取り方も穿ったクレーマーレベルだし

途中送信してしまった
>>861
「綺麗な顔」の人がヘルメット被ったらいかんのか?
「ヘルメット」と比較するなら
「ビーチサンダル」とでも比較したら

それから『乗っ取り禁止のルール』ってどこに書いてあるよ?
SS-Wikiにならそれっぽい記述があったが
「乗っ取りの是非については賛否両論あります。」って書いてあるぞ
作者さんは在日だから日本語苦手なのかな?

>>864
乗っ取り禁止を知らないとかマジで言ってんの……?初心者スレ見てこいよ

逆に何で竹林でビーチサンダル履いてるの?そもそも比較対象がヘルメットが駄目でビーチサンダルならいい理由は?
ヘルメットは頭にあるから顔と比べやすいし、メット被るってのは工事現場等の作業者のイメージが強く出るから「綺麗な顔(女の人)」との差が湧きやすいだろ?そういうことだよ
ツッコミは時々俺もするけどこれはただのイチャモンだぞ……ってか何処から「ヘルメット被ったらいけない」なんて出てきたの?一体何が見えてるの?

今日はお休みです。

二三日ほどで続きを書き込む予定です。

続きを書き込みます。

ザァァァァァ―

保母アライさん「(わっせわっせわっせわっせ…)」カサカサカサカサカサ
貧乏籤アライさん「(わっせわっせわっせわっせ…)」ヒシッ!カサカサカサカサ
子分アライちゃん「…」

二匹の成獣アライさんが林を駆け上がる。
片方のアライさんは『チビ』を抱きかかえている。
つい先程、我が親を失ったばかりのアライちゃんを…。

保母アライさん「…」スッ

保母アライさんは片側のアライさんに目線で促す。
―少しでも、痕跡・臭い・足跡を減らしたいのだ。ここからは枝伝いなのだ―

スッスス―メシッ―メシッ―メシッ―

元種のアライグマや―体格的なイメージとしてはチンパンジーのような要領で―
保母アライさんは樹木伝いに進み始める。

貧乏籤アライさん「…」コクリ

貧乏籤アライさんは頷くと、大事そうに抱きかかえていたアライちゃんを抱っこからおんぶに切り替え、
同じように進み方を切り替える。

スッスス―メシッ―メシッ―メシッ―

子分アライちゃん「…」

目の前で母親を殺されたアライちゃんは、まだ、無言のままだ。

スッスス―メシッ―メシッ―メシッ―
樹木伝いに進み続ける貧乏籤アライさん。

トクトクトクトク…

背中の『チビ』の心音が体に響く。
自分の『チビ』と変わらない音。
籤運が悪くても…、助けて良かったのだ…。


貧乏籤アライさん「(悪夢だったのだ―)」

遠回りに本営に向かう途中の貧乏籤アライさんの脳内に、ついさっきの光景が甦る。

人間「お野菜どろぼーめ!!!テレビで見たぞー!!!」ブン!

人間の子供から投擲される石飛礫…。

『チビ』の呼び声と人間の接近音が至近距離から聞こえる以上、
状況が切迫していることは予想しては居たのだけど…。

ゴチン!
子分アライちゃん「げぴぃー!」ヨロヨロヨロ

悪い予想ほど当たってしまうものなのだ―

???「■■■■■―!!!」

飛礫の投擲と共に追撃の敵手が何かを叫びながら、飛び出してくる。

何を叫んでいるのだ?
―それを確認して居る暇すらなく―

ヒュ!!!

今は亡き母アライさんが反射的に投げた石飛礫が、敵に叩き込まれる。

―その後は…―

貧乏籤アライさん「(退路の確保のために、念押しに『追い出し』を掛けた母親アライさんがあんなことに…。
結果論なのだけど、あれは余計だったのだ。もしかしたら、皆が生還できたかもしれないのに…)」

トクトクトクトク…

負ぶった『チビ』の心音。

この子は―保母アライさんから真っ先に『ガイジ』呼ばわりされていたのだ―
『家族』の下に帰ったらどうなるのだ?

いや、人間とトラブルを起こし、成獣アライさんをむざむざ死なせ、
大事な宿営地を一つ丸ごと失う結果を招いたアライさん達はどう処断されるのだ…

スッスス―メシッ―メシッ―メシッ―

貧乏籤アライさん「(とは言え、帰るしかないのだ…。
先に撤収したチビ隊も、もう合流しているのだろうか…)」

お昼間に起こった喧騒は森の静けさにかき消され、空の色は暗がりに飲まれつつある。

バシャバシャバシャ―

大母アライさん「…」カサカサ
恩寵アライさん達「…」カサカサ

南端の宿営地の変事を伝令から聞いた大母アライさんは、すぐさま西から本営に向かって引き返した。

拡充した恩寵隊から、斥候・伝令を選ぶと斥候アライさんを本営の北東・真北・北西に派遣し、
伝令アライさんを各宿営地・各姉アライさんの下に急ぎ向かわせる。
各宿営地の警戒・見回りの強化等と召集できる姉アライさんを幹部会議に向かわせなければ―

残りは大母アライさん・大姉アライさんと共に急ぎ足で本営へ。

タタタタタタッ!!!

タヌキ『アライ』ちゃん「(アライさんは足が特別遅いけものと言う訳ではないけど…。流石に距離がある…)」

今は『家族』の無事を祈るだけだ。

どの道ここからでは―どんなにけものの耳が良いとは言っても限度というものがある―


ドシッ!

本営に着いたところで、大母アライさんは地面に胡坐をかく。

大母アライさん「さて、そろそろマヌケ共が帰り着く頃なのだ?」
大姉アライさん「…」

バサッ!

大母アライさんの傍らの恩寵アライさんは
その肩にクマの毛皮を羽織らせる。

現地に間に合わないなら、各宿営地の中継地点でもある本営で、情報を集め態勢を立て直す―
そんなつもりなのだろうか。

鏃アライさん「…」
タヌキ『アライ』ちゃん「…」

周囲に気まずい空気が流れる。

大姉アライさん「(少し急激に『家族』が大きく成り過ぎたのかも知れないのだ…。
具体的な状況はアライさんもまだ分からないのだけど…。
母数が増えれば、そりゃケアレスミスが起きる可能性も増えるのだ!)」


現在、『家族』の成獣アライさんは全部で300匹を超え、
それプラス各自の『チビ(アライちゃん・雄のアライグマの子供)』が居る。


大姉アライさん「(ただ、それらのアライさんは一箇所に固まっていると言う訳ではないのだ…)」


固まり過ぎれば、人間に一網打尽にされるリスクがより高くなるし、餌の確保にも支障をきたす。

『動物性のものから植物性のものまで、環境に合わせて、凡そ口に入るものなら何でも食べる』
動物図鑑にまで、そう書かれてしまうほど食性に幅があるアライグマ。

その生態をもろに受け継いでいるアライさんは、フレンズの中でも間違いなく
野生環境下に適応しやすい存在と言えるだろう。

ただ、それでもある程度は分散しないと自滅してしまう。

『家族』が大規模に結集するのは、戦時・疎開等の移動時・『儀式』の時。

平定戦が終了した後は、多少の調整・調停・手直しをしたうえで元の巣などを利用しながら、
頑張って確保した県境・市町村境に沿う様に各宿営地・チビ隊ごとに分住している。

各宿営地は、『緩やかな円陣』を形成しながら配置されるように、一応意識され、
その他に、いざという時の『脱出カプセル』として突端部にもチビ隊が置かれている。

大姉アライさん「(今回の出来事は正にその突端部で起こってしまったのだ…。
仕方がないことなのだけど、広く分散しているとこういう時不便なのだ。
伝令・斥候アライさんである程度補っているのだけど…)」


元々、アライグマは環境に応じて柔軟に行動を適応させる。
夜行性と言われるが、昼間でも活動し、
食物の確保のため、時に複数の巣を確保し比較的長距離の移動をするケースも多い。

平均直径1~3㎞の行動圏とは言われるが―その範囲は生息環境や雌雄などによっても大きく異なり、
開けた草原などの雄の行動範囲は7~50k㎡、雌では2~16k㎡とも言われている。
また移動距離では一夜に14kmとの報告がある。

『家族』のアライさんも、食べ物や『お宝』の収集、仲間同士の交流・教育の為、
巣や宿営地から長距離を移動することも稀ではない。


大姉アライさん「(とは言え…、言いつけを破ってフラフラ巣から離れてハイハイするなんて、
マヌケの極みなのだ。あのあたりの森は依然調べたときはヒトの出入りがなかったはずなのだけど…)」

別に不思議なことではない。
ヒトの出入りが最近少なかったから―『家族』が宿営地を設けた―
人間は、最近手入れが行き届いていないと心配して―里山教室を兼ねて間伐に来た―

アライさんはクマやイノシシなどの大型獣を恐れる。
人間も大型獣は警戒する。

両者が、それぞれの動機に基づいて同じ地点を目指すことが有れば―鉢合わせするのも道理であろう。

大姉アライさん「…」

大母アライさんら初期メンバーが『家族』を―要は『群れ』『アライさんによる原始的部族国家』―
を形成した当初の動機は、まずもって人間の襲来から『疎開』を敢行する為。

そして、更なる人間の侵攻に備え『家族』間の結束を固め、
成員アライさんの『知恵』を(人間からの略奪品等からも)結集し、云わば『アライさん文明』の基礎を固める。

―『人間中心文明』に勝敗ないし和議が確定するまで、呑み込まれないために―

そして、地域のアライさん同士の抗争・統合に勝利し、『縄張り』の調整を実行し―

『チビ達』を育てながら、来るべき『暖簾分け』を心待ちにする。


大姉アライさん「(平アライさんは兎も角、大母さんや姉アライさんは一応、そう言った方針に基づき
ここまで来た…、積もりなのだ…)」

何処かが間違っていたのだ?

大姉アライさんは不安に取りつかれる。

おねえ…大母さんはどうお考えなのだ!

チラリ!

ジロリ!

大母アライさんと大姉アライさんの目がかち合う。

大母アライさん「フン!」

いつも通り―本当にいつも通りに―傲岸不遜に鼻を鳴らす大母さん―

ふっとその場の空気が解れる―固まり・冷え込み・縮こまったアライさん達の悩み・迷いの霧が晴れ始める。

大母アライさん「いつも言っているのだ。けものは土に還る定め、ただそこに順番があるに過ぎないのだと。
アライさん達は『元より』この地の根滅対象。元からならば、何でもやってみるのだ!
その先にイナゴのように力尽きることが仮にあったとして、それが何ほどのものなのだ?!」コスリコスリ

周囲に見せつける様に手をコスコスして見せる。

安堵の輪が周囲に静かに広がっていく。
やがては本営全体に―そして樹々を超えて各宿営地までゆっくりと…。

大姉アライさん「…」コクリ

一つ頷き、大姉アライさんは空回りし始めた思考を再整理する。
今後の―今、目の前の―今日を生きる為の対策に焦点を絞らねば!!!

沈思黙考を始める大姉アライさんとは対照的に大母アライさんはやや軽い口調で、
お側に控えるタヌキ『アライ』ちゃんに声を掛ける。

大母アライさん「そう言えば、チビ!お前、何か言いたそうにしていたのだ。
『家族』巡りをして何か感想があるのだ?」

タヌキ『アライ』ちゃん「!!??」

今聞くのか…、いや、この間でないと聞けないか!?

何を伝えればいいのだろう…。
余りにも色んなことが有り過ぎて…。

タヌキ『アライ』ちゃん「お義母さん…。私頑張る!」
大母アライさん「フン!けものが頑張るのは当たり前なのだ」

素っ気ない反応を返す義母にタヌキ『アライ』ちゃんは言い添える。

タヌキ『アライ』ちゃん「それと…。『家族』同士でガイジって言い合うのは心が苦しい…です。
お義母さん達は知らないかも知れないけど、その言葉は人間が同胞の障害者を
―特に精神・知的障害を持った方を―侮蔑して言う言葉です」

大母アライさん「ほう!何となく覚えていたから、気づかなかったのだ!!
その割に人間は同族同士でよく言い合っているのだ。
それと何故かご先祖の頃からアライさんにもよく言うのだ」コスリコスリ

そう言って、あからさまに手をコスコスして見せる。

大母アライさん「これは『ハエガイジムーブ』」ニッタリ

タヌキ『アライ』ちゃん「!!??」

大母アライさん「ちゃんと知っているのだ。それで?」

タヌキ『アライ』ちゃんは戸惑いながら言葉を続ける。

タヌキ『アライ』ちゃん「に…、人間は。障害者差別の長い歴史が有って…。
あ…アライさんはヒトにとって害獣のイメージが強くて…。
あと、『なのだ』っていう語尾や忙しない挙動や、
アライさんのこう…吊り上がった目付きやぷっくらした頬が…、
多分、知的障害や精神・発達障害の方のイメージとダブって見えるんだと思います。―勿論、人間同士の間で…。
それから、アライさんの共感性やコミュニケーション能力が低く見えるのかも…」


ザワザワザワ……
ザワザワザワ……

大母アライさん「フン!」

大母アライさんは一笑に付す。

大母アライさん「人間同士の蹴落とし合いは好きにさせれば良いのだ!
『害獣?』まあ、人間から見ればそうなのだ。それで?

『なのだ』は、要は『アライ語』。バカにしたいなら勝手にさせれば良い。
と云うか吊り上がった目付きはこの島の住人も似た者同士なのだ。
忙しなく動くのは野生で生きるけものの性。手を擦るのは触感を大事にするが故。

野生で生きる上で無駄に共感性が高いと難儀するのだ。
アライさんはアライさん同士でコミュニケーションを取っているのだが、
ヒトとはその方法・間の取り方・挙措が違う。それで『能力がない』と勝手に感じているのだ。
無知なモノはかくの如し」

タヌキ『アライ』ちゃんは困惑する。

そんな我が子を見つめ、大母アライさんは続きを話す。

大母アライさん「だが、忠言大義なのだ!!!
まあ、『家族』同士でガイジ、ガイジ言い合っても確かにつまらない。
今後、『家族』の間では、『ガイジ』は失態を犯したアライさんを訓戒するときのみ口にし、濫りに使わない。
ただし、敵対勢力を指すとき等は遠慮なく…。といった具合でどうなのだ?」

最期の言葉は、やや心配そうに成り行きを見守っていた大姉アライさんに向けてのものだ。

大姉アライさんは、タヌキ『アライ』ちゃんと大母さんの言葉をゆっくり脳内で繰り返し、ややあって頷く。

大姉アライさん「良いご方針なのだ!アライさんはまだまだ、組織に不慣れ。
要らぬ摩擦や感情的な衝突の可能性は低めるべきなのだ!
『家族』の間柄を断金の如くするよう注力するべきなのだ!!!」

鏃アライさんが大姉アライさんの言葉が終わるや唱和し始める。

鏃アライさん「『ガイジ』は不具者を罵る人間の野蛮な言葉。
『家族』の間柄を断金とする為、濫りに使うべからず。
以後、大母さんの訓戒処分、敵対勢力について語るときのみ口にすべきなのだ!!!」

それを受けて周囲の恩寵アライさんも輪唱を始める。

恩寵アライさん達
「「「『ガイジ』は不具者を罵る人間の野蛮な言葉。『家族』の間柄を断金とする為、濫りに使うべからず。
以後、大母さんの訓戒処分、敵対勢力について語るときのみ口にすべきなのだ!!!」」」

それを聞き、タヌキ『アライ』ちゃんは胸がジーンとしてくる。
―自分の言葉が届いたんだ!お義母さんだけでなく、アライさんに―

恩寵アライさん「…」ダッ!

恩寵アライさんが一匹駆けだす。
『儀式』で本格的に布告する前の先触れなのだろう。

ヒョイ!

大母アライさんは、鏃アライさんにも視線を向ける。

大母アライさん「後、ほんのちょっと時間があるのだ。
マヌケ共がヌケヌケここに顔を出しに来るか―新たな報告が入るまで―、
『例の件』について報告するのだ」コスリコスリ

大母アライさんはハエガイジムーブを止めない。
無駄なことが嫌いなのに続けているのは―多分、皆の過度な緊張を解くためなのだろう。
気張り過ぎては戦でヘマをする!
ほどほどが一番だ!!!

鏃アライさん「大吉なのだ!!!」

元気良い返事の後、鏃アライさんはコンビを組んでいる間に感じたことを大母アライさんに話し出す。

タヌキ『アライ』ちゃんは、ちょっと気恥しそうにお顔を染めている。

今日はここまでです。

また、二三日以内に書き込む予定です。

>>891、893で普通に仲間の子供の心配したり安堵してるあたりもうアライさんの根本が崩れて無い?そこはもっと醜く憤慨するべきでは?

ガイジ発言の言及に対して「何となく覚えていたから、気づかなかった」って元から殆どのアライさんが普通に使って無い?単純に生まれた時から知ってた言葉でよかったんじゃね?

あとやっぱり勝手に出て行った子供を間抜け扱いしてるけど複数いるべきである見張りや見回りが見落としをしてる方がよっぽど間抜けだろ、自分が作った体制の不備を嘆くべきじゃね?

大母のカリスマ()と将来的なビジョン()に酔ってるんだろ
後は姉だの恩寵だのの支配階級的なのができてるから甘い汁を吸いたいって野心があるんだろう(忠誠心があるとは言って無い)

そもそも「従わない奴らは皆殺し」ってスタンスだから仲間になってるってのもいるだろうよ、悪手過ぎだけど

報酬なんか関係無い、家族や母親の為に頑張るのは当然だし困難も喜びも分け合うのは当たり前なんだから不満なんか起こるわけないんだよ
それに「けもの」であることに誇りを持ってるんだから地位や名誉にだって拘る訳がないだろ

ここなアライさんの設定から根本的に矛盾してる気がするけど気のせいだから

続きを書き込みます。

>>920さん
私も専門家ではないのですが、『けもの(野性味を残した哺乳動物等)』であることと、
『地位や名誉』の原型―要は集団内(群れ・家族)の立場や報酬・親愛・承認等―を求める心理を持つことはさほど矛盾したこととは考えていません。

ちょっと、熱心に批判的に読み込まれ過ぎではありませんか?

私達のご先祖が、『けもの』からホモ・サピエンスに分岐した瞬間にそれらの欲求が突然湧いて来たのか、
あるいは、その原点が『けもの』のうちから宿っていたのか。

『けものフレンズは、けものを描くことで人間を描いた作品である』とファンの間で評されたことを覚えています。
私もその見方に賛成です。
このSSを書きながら、皆さんのご感想を拝読しながら、『人間とは何ぞや』『人間とはこういうものか』といつも考えます。
どうか、『アライさん』を覗きつつ人間を考える旅に今暫く付き合って頂ければ幸いに思います。

野良猫「…」フシャー!!!

薄暗がりの山中、野良猫は目の前の闇に向かって鋭い唸り声を上げる。

???「…」フシャー!!!

闇の中の『敵』も負けじと唸る。

野良猫「…」ニジリニジリ

野良猫は毛を逆立てながら、慎重に態勢を変化させる。
―相手はどうやら、腹を空かせているようだ。飢えた獣の体臭が鼻に衝く―

しかし、飢えているのは猫も同じこと。
元居たお家から、ある日遠くに連れ出され―
昨日まで『可愛い可愛い』と言っていた『大きな奴』から放り出された。訳など知らない。

???「…」フシャー!!!ヨチヨチ

相手も釣られて動き出した…。
もうちょっと―もうちょっと!!!

適当に野ネズミなどを喰らって、飢えを凌いできたが―今度は、騒々しい音に悩まされこの山中に。
付いてないことばかりだが、今日は…当たりだ!!!

ビュッ!!!ダッ!!!

野良猫「…」フシャー!!!

目の前の不格好なけものに野良猫は飛びかかる。

???「びぎょぉぉぉぉぉ!!!いだいのりゃぁぁぁっぁ!!!」ビッェェェ―ン!!!ビッェェェ―ン!!!

ヨチヨチヨチ…
トテトテトテ…
鋭い爪に引っ掛かれ、ダブつく毛皮に噛みつかれた???は、無様に退散し始める。

無駄に大きな尻尾をフリフリしながら―


ダダダダダダダダッ!!!

野良猫「…」フシャー!!!

逃がすか!!!
何日食べてないと思っているのか!『デカい奴』が姿を消してから本当に…

???「いだいのりゃぁぁぁっぁ!!!いだいのりゃぁぁぁっぁ!!!」ビッェェェ―ン!!!ビッェェェ―ン!!!

ヨジヨジヨジ…

不格好なけものは慌てて木に登ろうとしている。

バカが!!!

木登りが自分達の特権だとでも思っているのか?

ヨジヨジヨジ

野良猫も???を追って木にしがみ付き駆け上がり―

ヨジヨジヨジシッポフリフリ

野良猫「…」ガブッ!!!

???「のりゃー!!!」

捉えた!!!
奴のでっかい尾っぽを!!!
このまま木の下に引きずり下ろし、頚部を締め上げれば…

ガブッ!!!ガブッ!!!ガブッ!!!

野良猫「!!!」ビクッ!
尻尾と両後ろ足に電撃のように走る激痛!!!
下を向く猫の目に映る、ギラギラ光る吊り上がった六つの瞳―

アライちゃん2「(とらえたのりゃー!!!)」
アライちゃん3「(とらえたのりゃー!!!)」
アライちゃん4「(とらえたのりゃー!!!)」

驚愕と―そこから生じた一瞬の隙―

アライちゃん1「えいや!なのりゃ!!!」パッ!!!

猫に追われ、尾を噛まれ、今まさに引き摺り下ろされんとしていたアライちゃん1。
奴は突然、しがみ付いていた両手足の力を抜く。

野良猫「…」!!!

ズルズルゴチン!ズザザザザー

滑り降りて来るアライちゃんの質量のある体が猫の頭部に圧し掛かる。
上からは突然の重量…
下からは―

アライちゃん2「…」ガブッ!!!ガブッ!!!ガブッ!!!
アライちゃん3「…」ガブッ!!!ガブッ!!!ガブッ!!!
アライちゃん4「…」ガブッ!!!ガブッ!!!ガブッ!!!
ギュゥゥゥゥー!ギュゥゥゥゥー!!ギュゥゥゥゥー!!!

今なお、自分を離さず、引きずり続けるけもの達…。
ああ本当に…

野良猫「…」ズルズルズル

『大きい奴』に放り出されてからの自分は――――


ガブ!ギリギリ!!ブヂィ! モグモグ…
ガブ!ギリギリ!!ブヂィ! モグモグ…

アライちゃん1~4「「「「………」」」」モグモグハグハグ

捨て猫をまんまと罠にかけたアライちゃん達。
姉妹だろうか―黙々とその屍を貪り続ける。

如何に未熟とは言え、這い出し、動き回り、言葉まで交わすけものを相手にこの猫は少々不用心過ぎた。
ヒトに飼われているうちに勘が鈍ったのだろうか―実際そういう猫も多いらしいが…。

この猫―だったもの―は知る由もない事だろうが、アライさんの元種アライグマは、
かなり知能が高いことで知られる。
一説では、それは猫や犬などを上回り、カラスや一部の霊長類にも匹敵するのだとか…。

『アライグマは問題解決能力に優れた動物として知られています。彼らは複雑な社会関係を形成し、
問題の解決のために複雑な道具を作ることが出来る能力があるのです』とまで特記される動物が、
サンドスターによりその知能等を嵩上げされたらどうなるのか…。

アライちゃん1「……」モグモグバクバク
アライちゃん2「……」モグモグバクバク
アライちゃん3「……」モグモグバクバク
アライちゃん4「……」モグモグバクバク

少なくとも、元種未満な訳がないであろう―
神様がよっぽどアライさん以外の存在に、都合よく下駄を履かせてくれない限りは…

アライちゃん達「…」ペロペロコスリコスリ

静けさを取り戻した森の中、アライちゃん達は真っ赤なお口を拭う。
よく目を凝らすと――4匹揃って胸元の毛皮に……

ザワザワザワ……。
ザワザワザワ……。

今日の『家族』の本営は何時もよりも賑やかである。
先程までのメンバーに加え――――

大姉アライさん・中姉アライさん・小姉アライさん・山姉アライさん・洞姉アライさん・
ドングリ姉アライさん・釣り姉アライさん・酒造姉アライさん
「「「「「………」」」」

『儀式』以外で姉号持ちアライさんが、こんなに一堂に会するのは珍しい。
皆、今回の変事を受け、持ち場を次席のアライさんに任せ飛んできたのだ。


ザワザワザワ……。
ザワザワザワ……。

釣り姉アライさん「お…、大母さん。これ。言われていた魚なのだ。まだ、一匹だけど…」

大母アライさん「あの後、急な呼び出しがかかるまでの間にもう釣り上げていたのだ!
お前は、本当に釣りが上手なのだな!!!」

鏃アライさん「…」

鏃アライさんは、大母アライさんに代わり、釣り姉アライさんが献上した川魚を受け取るとそれを一旦、
大きめの葉っぱで包む。

釣り姉アライさんは、大母アライさんの言葉を聞きほっとした顔を浮かべる。
―取り合えず、アライさんの『禊』は済んだのだ…―

釣り姉アライさん「(お次は…)」チラリ

釣り姉アライさんは末席に控える3匹のアライさんと1匹のアライちゃんに視線を向ける。

保母アライさん「……」ガクガクブルブル
副保母アライさん「……」ガクガクブルブル
貧乏籤アライさん「……」ガクガクブルブル
子分アライちゃん「……」ボーゼンジシツ

―大母さん、此奴等をどうするお積もりなのだ…。アライさん達はこれからどうするのだ―

大母アライさん「…。事情は大体理解したのだ。
ともあれ、宿営地から撤収した『チビ隊』の合流も済んだことは幸運だったのだ」

副保母アライさん「……」

大母アライさん・姉アライさん達へ、現場のアライさんから事情説明がなされた。

シ――――ン

本営を緊張した沈黙が覆いつくす。

とても薄く、今にも破られそうな―――

大母アライさん「さて。お前達…、姉号持ちアライさんは今回のこと、どう思うのだ?論ずるのだ!」

姉号持ちアライさん達「「「「?!…………」」」」
―論ずる!?何を論ずればいいのだ?アライさんは大母さんの決定を伺いに…―

ハァァァァァァ――

大母アライさん「お前達…。今回の功罪賞罰教訓等々、何か思うところはないのだ?
幹部なのだから、『家族』の姉なのだから…。
決定可否の権は大母さんに有るとしても、何か上申したいことはないのか!!!」

チラリ―

大母アライさんは大姉アライさんに視線を送る。
―まだ待て。お前の出番は少し先なのだ―

大姉アライさん「…」コクリ

山姉アライさん「…」キョロキョロ

山姉アライさんは少し周囲の様子を伺い、ちょっと躊躇った末に声を上げる。
こういう時、口火を切るのが恐らく…、自分の役回りなのだ…。

山姉アライさん「それでは申し上げますのだ!今回の失態誠に大事!!!
大切な宿営地を一つ失ったのみならず、人間を無駄に傷つけ、『家族』の安全を損ねましたのだ…。
それもこれも、さっきからそこで震えている『ガイジ共』のせいなのだ!!!」

大母アライさん「ほう!!!」

保母アライさん「…」ガクガクブルブル
副保母アライさん「…」ガクガクブルブル
貧乏籤アライさん「…」ガクガクブルブル
子分アライちゃん「…」ボーゼンジシツ

山姉アライさん「此奴等を厳罰に処し、以って家族への戒めとするべきなのだ!!!」


スクッ!

山姉アライさんが話終わるや大母アライさんは立ち上がる。

一同アライさん「「「……」」」ビクッ!!!

大母アライさんは皆を睥睨する。
―そんなことより、先にすることが有るだろう!―

大母アライさん「アライさんは今日『チビ』を亡くしたのだ…」


ザワザワザワ…ザワザワザワ…

―『チビ』?『チビ』って!?ああ、人間に殺された子分アライさんのことなのだ?―


大母アライさん「フン!!!ヌッ!!!」ブチィ!

一同アライさん「「「……」」」!!!

大母アライさんは言い終わるや自分の十指のかぎ爪をその膨れっ面にめり込ませ―

ギリギリ…メリメリ…ジクジクボトボト…

自ら顔面に傷をつけ、両頬を血に染めていく…

一同アライさん「「「……」」」ゴクン

大母アライさん「…」ガクン

顔に傷をつけ終わるや、膝を屈し地面に座り込み地を叩いて慟哭して見せる。

ガンガンガン…
ドンドンドン…

大母アライさん「ああああああああ!大事な我が子を失ってしまったのだ!!!
胸が引き裂かれるほど辛いのだ!!!」ウォォォォン

ジロリ!!!

一通り嘆きの所作を終えた大母アライさんの視線が姉アライさん達に向けられる。

山姉アライさん「(そうか!)」

山姉アライさん「フン!!!ヌッ!!!」ブチィ!

一同アライさん「「「……」」」!!!

山姉アライさんも大母アライさんに倣い、自分の十指のかぎ爪をその膨れっ面にめり込ませ、
顔面を傷つけて見せる。

ギリギリ…メリメリ…ジクジクボトボト…

山姉アライさん「(い…痛いのだ!!でも、この痛みが肝心。
アライさんは正直、他のアライさんの死を余り辛く感じないのだ。自分のチビなら兎も角…。
いや、チビの死さえ、そうグズグズ引きずったりしない…)」

一同アライさん「「「……」」」ゴクン


アライさんは―いや、けものは―人間とは異なる『理(ことわり)』で動く。
『利』に聡くなければ生き延びられない。
自分とその血縁を第一とし、一々他者の身を不必要に案じたりする暇はない。

それは―ヒトにとってさえ、多くの時代において当て嵌まり得る心境であったはず―


しかし―

山姉アライさん「…」ガクン

顔に傷をつけ終わり、膝を屈し、地を叩きながら悲しみの吠え声を上げる。

ガンガンガン…
ドンドンドン…

山姉アライさん「ああああああああ!大事な妹を失ってしまったのだ!!!胸が引き裂かれるほど辛いのだ!!!」ウォォォォン

これからは、『家族』で―疑似的な同族集団で―痛みを分かち合う『フリ』だけでもしなければいけない。

『家族』で―『群れ』で―生きることを自分達は選択したのだから。
『家族』で―『群れ』で生きると言うことはつまり―

まず、アライさん同士で、分業や協調行動をすると言うこと。それで餌の獲得・備蓄が容易になる。
一時的に弱った個体も持ち直せるかもしれない。
現に、鏃アライさん・釣り姉アライさんなど両方の立場を経験している。

そして、『家族』で共に『敵』に備えることで、アライさん一匹ずつの負荷を減らすことが出来る。
互いに背中を守れるし―言い方は悪いが、それぞれがそれぞれにとっての『弾避け』にもなる。
監視行動に費やす時間も短く出来る。
まあ、今回はそれが上手く行かなかったのだが…。
それでも、一応皆を逃がし、反撃さえ行って『チビ』と共に帰還した!

ただ一匹を除いて…。

そして何より、アライさん『家族』は『母子の集団』。
共に子育てをする仲間が増えると言うことは、決して軽視できない重要な利点なのである。
困ったことにオスは子育てに参加しないのだから…。

『代わり番こ』が出来るアライさんが居て、
その指揮を執ってくれるアライさんも要ると言うことは掛け替えのない事。

今回、死んだアライさんのチビの面倒も…。


それらの利点を本当に生かすためには―

山姉アライさん「うああああああああ!大事な妹…。アライさんの可愛い妹…。
悲しいのだぁぁぁぁ!!!」ウォォォォンウォォォン

悲しくなくても、悲しまなくては!!!
『家族』とアライさん自身が一応、一体の存在だと!!!
悲しくないなら、自ら体に痛みを走らせ、無理やりでも悲痛な顔を作る!
遺族アライさんと痛みを共有する『ポーズ』を示し、その出来事を痛覚と共に記憶に焼き付ける!!

大母アライさんと山姉アライさんの行動を目にした各姉アライさんも右に倣えと自分の顔を傷つけ、
地に吠え掛かる。

一同姉アライさん「フン!!!ヌッ!!!」ブチィ!

ギリギリ…メリメリ…ジクジクボトボト…

ガンガンガン…
ドンドンドン…

一同姉アライさん「ああああああああ!大事な妹を失ってしまったのだ!!!
胸が引き裂かれるほど辛いのだ!!!」ウォォォォンウォォォン


鏃アライさん「(タヌキ『アライ』ちゃん。お前はコスコス回復できないのだから、軽くで良いのだ)」ボソッ!

タヌキ『アライ』ちゃん「…」コクリ

恩寵アライさん達「フン!!!ヌッ!!!」ブチィ!

ギリギリ…メリメリ…ジクジクボトボト…

ガンガンガン…
ドンドンドン…

恩寵アライさん達「うああああああああ!大事な姉妹を失ってしまったのだ!!!
胸が引き裂かれるほど辛いのだ!!!」ウォォォォンウォォォン


大母アライさん「…」ジロリ!ドクドク…

保母アライさん等「「「………」」」

恐ろしい狂熱の中、まだ頬から血を流し続ける大母アライさんが、逃げ帰って来た『マヌケ共』も睨む。
―お前らの親・近親・隣人アライさんが亡くなったのだ。お前らはまず如何すべきなのだ!
これまでは…ではなく、これからは?!家族の間柄を断金(断ち切れないほど強い絆)とする為には!!!―

保母アライさん「…」ギリギリギリ
副保母アライさん「…」ギリギリギリ
貧乏籤アライさん「…」ギリギリギリ
子分アライちゃん「…」ギリギリギリ

ポタポタポタ…

大母アライさんに促され、保母アライさん等も顔を傷つけ、『家族』を失った痛みを体に刻み付ける。
極度の緊張と恐れのあまり、哭すことは出来ないようだが…、まあ、良いだろう。

大母アライさん「…」サッ!

恩寵アライさん数匹「「「……」」」ダッ!!!

大母アライさんの合図で、顔から血を吹き出させたまま、恩寵アライさんが駆けだして行く。

生き残りの報告から、現地の状況が分かったのだから―
『家族』から初めて人間との闘いで死亡アライさんが出てしまったのだから…。

『家族』に訃報を伝え、結束を同じ痛みと共に呼びかけ、なお一層の警戒に努めさせなければ!!!

今日はここまでです。

続きは二三日以内の予定です。

どいつもこいつも「フン!!!ヌッ!!!」ブチィ! のワンパターンなのが傷付けるのも悲しむのもポーズで本心ではないっていう胡散臭さと白々しさに拍車をかけてるな

ついでに罠をかけた猫の意趣返しで無駄に別シーン作ってまで猫を罠にかけてるの本当に笑うわ、一体何と戦っているのか

それと『アライグマは問題解決能力に優れた動物として知られています。彼らは複雑な社会関係を形成し、問題の解決のために複雑な道具を作ることが出来る能力があるのです』なんてあるけど野生における問題解決力って何があるの?複雑な道具って例えば何作るの?群れを作らないのに「複雑な社会関係」って何?

>>928
>>920>>914>>919に対するレスだったんだけど、>>1自らそうでは無いって言うならアライさんの集団生活には問題点が多々あるし欠陥があるって認めてるってことなんだな
分かりました

ここのSSに感銘を受けてぼくもSSを書いてみました
つたない文章ですがよろしければ読んでください

主人公「ワイはどこにでもいるオタクや!今日はエロゲ買いに外出したで!」

トラック「ちょっと通るで」

キキーッ!!ブチブチブチィツ!!

主人公「気づいたら神聖な雰囲気の場所におったで」

神様「お前死んだから異世界でアライさんに転生な。可愛そうだから1個特殊能力やるわ」

主人公→義妹アライさん「生き返ったで」



そんなこんなでアライさんとして面白おかしく暮らして1ヶ月・・・
ワイは大母アライさんの家に向かっていた
大母アライさんも元人間からの転生組みや

義妹アライさん「姉貴ィ!こないだ町へ遊びに行ったらDQNにボコられたんや。人間に復讐するから手伝ってくれ」

大母アライさん「ええで」

義妹アライさん「二人だけじゃ心もとないからMOBアライさん達を騙して手下にするで
 その辺に放置されていたのに錆も刃こぼれも全くない鉈を拾ったからこれで熊倒してきてくれや」

言い忘れたが大母アライさんは『不死身』の能力持ちなんや。殺し合いで勝てる相手はおらん

熊「なんやワイ?」

大母アライさん「死ねや」ザクッ!!ブシャー!!

熊「・・・」チーン

大母アライさん「熊を倒したで」

低知能MOBアライさん「はえー熊を倒すなんてすごいンゴ!」

義妹アライさん「人間倒して天下とるでー!ついて来るんや!」

一般MOBアライさん「アライさんが人間に勝てるわけないやろ。冗談も大概にせいや」

義妹アライさん「(ビキィ!!)ま、嫌ならついてこなくて良いで」


~~その夜~~


義妹アライさん「やっぱワイに従わなかった奴らムカつくから殺すで」

ワイの能力は『全世界のアライさん達と五感を共有できる能力』や
ワイを舐め腐ったアライさんが寝たのを確認して不意打ちするで

一般MOBアライさん「ZZZ・・・」

義妹アライさん「やれぇ!」

低知能MOBアライさん「うおおおぉぉぉ!!」ザクザク!!ブシャー!!

一般MOBアライさん「・・・」チーン

義妹アライさん「これでワイらに働きアリのように忠実に従うアライさん以外全滅したで」

そんなこんなで更に1ヶ月くらい経って・・・
ワイの前世の記憶を使って畜産や農耕も行って群れも発展した
アライさんだけで300匹の大所帯や
群れが大きくなれば目立つようになる
そしてとうとう人間達に追い詰められてしまったんや

自衛隊員「ここがお前達の墓場になるんやで」

義妹アライさん「くそーもうお終いや」

ピンポンパンポーン 『蛇張村がー♪午後5時をお知らせしまーす♪』

自衛隊員「勤務時間終わったから帰るで。お前ら命拾いしたな」

義妹アライさん「あ、よろしければこれから一緒に焼肉食べに行きません?ワイ奢りますよ」


~~焼肉屋~~


ジュージュウー!! ヒョイ! パクパク

自衛隊員「旨いやん!良い店知っとるな」

義妹アライさん「へい、ここワイの行きつけの店なんですわ」

義妹アライさん「(良い感じに酔っ払ったみたいなので弱点聞き出すで)」

義妹アライさん「あのぅ、自衛隊さんって弱点とかないんですか?」

自衛隊員「弱点はないけどこの世界の自衛隊は県ごとにナワバリが分かれていて県境を越えることができんのや
 昔、目の前で生き埋めになっているお婆さんを救助できなかった時は歯痒かったで」ガハハハハ!!

義妹アライさん「県境が分かるようなものってないんでっしゃろか?」

自衛隊員「あるで。この地図や」

義妹アライさん「あ、ちょっとコピーとらせてもらいますわ」ガーピピピー

義妹アライさん「これで自衛隊から100%逃げられるようになったで!!」

義妹アライさん「MOBキャラばっかりで味気ないからバックグラウンドのある魅力的なキャラ仲間にしようか
 『五感共有』で手ごろなアライさんを探すで」

鏃アライさん「うわー虐待人間に捕まって母親を殺されて自分も銃で撃たれて死にそうだー助けてくれー」

義妹アライさん「助けにいくで」


~~現場~~


虐待人間達「アライさん虐待の動画を取りたいけど警察が来るかもしれないから1時間くらいこのまま待っていよう」

熊の毛皮を被った大母アライさん「ガオー!!」

虐待人間達「うわー小学生くらいの身長でも熊が怖いから皆で逃げよう」

鏃アライさん「助けてくれてありがとうございます…でも撃たれた傷で死にそうです…」

義妹アライさん「ちょうどさっき仲間にした僧侶アライさんの出番や。たのんます」

僧侶アライさん「ヒール!!」

僧侶アライさんはヒールを唱えた!鏃アライさんのHPが30回復した!

鏃アライさん「サンキューガッツ!!ワイも仲間に入れてくれや」

義妹アライさん「ええで」

大母アライさんは中国やらモンゴルやらの偉い人をリスペクトして動いとる
それは言わば偉人の魂を降臨させているのと同じ事や
よって大母アライさんのユニットに加わったアライさん達は能力が底上げされるんや

鏃アライさん「うおおおおぉぉぉ!!みwなwぎwってwきwたwww」モリモリモリィィ!!

鏃アライさんのステータス
ちから   10 →  60

すばやさ  20 →  70
たいりょく  9 →   59
かしこさ   7 →  57

うんのよさ 3 →  203

最大HP   31 → 531
最大MP   0 →  300

参考までに平均的な人間のステータスと各ユニットに加入した際に底上げされる能力の一覧を書いておくで

平凡な成人男性のステータス
ちから    10
すばやさ  10

たいりょく  10
かしこさ   10
うんのよさ 10

最大HP   50
最大MP   10

所属ユニット/ちから/すばやさ/たいりょく/かしこさ/うんのよさ/最大HP/最大MP
大母アライさん/+50/+50/+50/+50/+200/+500/+300
陸上自衛隊/+5/+5/+10/-5/-5/+30/-5
虐待人間/+2/-7/-3/-50/-255/-10/+5
愛護人間/-2/-1/-2/+10/+5/-7/+10

義妹アライさん「アライさんばっかだと画面に花がないからアライさん以外の種族も仲間にしようか」

低知能MOBアライさん「なんか自殺しそうなタヌキを見つけました」

義妹アライさん「よし、案内せえ」


~~現場~~


タヌキアライさん「人間に学校で虐められて、母親も殺されてたけど中国の教えに従い恨まずに感謝しながら自殺します」

義妹アライさん「お、ワイも中国の歴史好きなんや。友達になろうで!」

タヌキアライさん「わあぃ!ありがとうございます。お近づきのしるしに学校で習ったハッキングを使って銀行から奪った5000万円を差し上げます」

義妹アライさん「サンキューガッツ!!この金を使ってAmazonで核爆弾を買って日本政府を脅すわ」

タヌキアライさん「人間ムカつくから川越市に落としちゃいましょう」

義妹アライさん「そういやワイを虐めたDQNも川越市に住んどったな」ポチッ!

チュドーーーーーン!!

内閣総理大臣「アライさん達に無条件全面降伏して日本をアライさん国と改めます」

義妹アライさん「やったぁ!大勝利や!」


--第1部 完--

このSSをリスペクトした良い作品だったよ!
だから、次からは自分でスレ建ててそっちで投稿してね

続きを書き込みます。

嵐の様に現れ、去って行った>>958さんにお伝えしたいことは、>>964さんが既に仰っていました。
その文才を生かして、是非、新しいアライさん・けもフレの二次創作をお書きください。
ただし、乗っ取り行為はなしで。

さて、今日は本編SSではなく、其処では触れきれないかも知れない小話を一つ。

前回の『アライグマは問題解決能力に優れた動物として知られています。彼らは複雑な社会関係を形成し、
問題の解決のために複雑な道具を作ることが出来る能力があるのです』という部分に関して、
多くのコメントを頂きました。

実は、自分も引用元の動物サイトからこの部分を用いる際、
内心『どう云う意味なんだろう』と頭を捻っていました。

このSSを書くにあたり、アライグマについて、複数の動物図鑑、ホームページ、論文に目を通したところ、
微妙に各記述に食い違いがある…。

『資料により、アライグマは縄張りが有る、とも無い、とも書かれている』
『基本単独行動と記載される一方で、『集団行動・群れ』と云う記述も散見される』
『知能が高いのは兎も角、社会関係とは何だろう?道具を使う、とは?』

そこで、追加で調べた部分について、分かる範囲、知り得る範囲で、読者の皆さんにご報告します。
一応、本編SSとは切り離した上で、ご覧ください。

縄張りの有無・社会関係・集団(群れ)について

『交尾期にメスとオスは一時的に同居する。交尾後は雌雄が協同しない。交尾は一妻多夫的、乱婚的である』
『交尾期に、オスは頻繁に行動圏を拡大する』
『性成熟しても、母親の巣の近くに留まることがしばしばある』
『基本的に単独性で、唯一の社会単位は母子である。
ときには、1頭のオスが繁殖前の1ヵ月間、メスとともに留まり、出産後も留まる』
『行動圏は排他的に配置されていない。しかし、いくらかの縄張り制が報告されている西部プレーリーでは、
食物資源量を反映して生息密度が低い』
http://www.kansaiwildlife.com/pdf/racoon2009/2009-1.pdf

『社会構造は,一夫多妻性であり,一般に雄の行動圏は雌の行動圏よりも広い。
雄同士の行動圏は排他的であり,その中に複数の雌の行動圏を含んでいる。
雌同士の行動圏は重複することが多く,同じ行動圏に同居する個体もみられるが,
これらは血縁関係にあると考えられている。』
『雌においては餌条件さえ良好であれば血縁関係個体が複数で同居するという習性』
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/33734/1/47%284%29_PL149-175.pdf


絶句…。つまり、どういうこと?

動物学の素人なりにまとめると、
『アライグマは一夫多妻性ないし、一妻多夫的・乱交的。
雄同士の行動圏は排他的(縄張りが有る)、雌同士は餌事情が許す限り、血縁関係個体が同居(一種の群れ)。
地域の特性により、縄張り制が確認されることもある』

『基本的に単独性。社会単位は母子であるが、ときに雄がパートナーとして比較的長く連れ添うこともある
(シートン動物記『キルダー川のアライグマ』も父親アライグマが子育てに参加する描写が有り)』
『子供は、巣立った後も母親の側で暮らすことがしばしばある』

➡母子と、ときに夫婦で共同生活を営む。
成獣になってからも血縁で共に暮らしたり、暮らさなかったりするらしい…。


他には調べた限りでは、
『1~7頭ほどで、同じ場所で、ため糞を行い、同種間で情報を発信し合っている』
『一夜のうちに、同種間で頻繁に接近、接触し、時に餌場を共有する。
その密度が高くなるに連れ、より他の個体に許容的になる』
『一家の絆は強固で、親子姉妹で協力して壁を乗り越える行動なども目撃されている。
また、血縁関係は不明であるが、複数の個体が協力して高所の餌を獲得する等のケースも観察されている』
『道具(石等)を使う個体が報告されている。人間による知能実験のケースの他、
野生個体でもゴミ箱に大きな石をぶつけて倒す。転倒防止ゴミ箱には、勢いを付けて倒す等』

という事らしい…です!!!

おそらく、そう云ったアライグマの生態を総合的に捉えて、件の個所は記載されていたのだろうと思います。

本SSを書くうえで、様々な資料に出来るだけ目を通す様にしていますが、
ときに『えっ!』『書いてあること違う…』と云う事態も少なくありません。

ただ、ほとんどの参考元で『アライグマは周囲の環境に合わせ柔軟に食性・行動・生活を適応させる』旨、
記述されているため、―まあ、『そういう知能が高く、柔軟な生き物なんだろう』と思っています。

何分、素人が調べながら、偶に勘違いもしながら書くSSの為、時に不完全な記述が有ろうかと思います。
そのことを反省しつつ、力を抜いて楽しみながら書くように心がけますので、
どうか、読者の皆様も肩の力を抜いてお付き合い頂ければと思います。

もし、この本作が少しでも『アライグマ』ないし、『アライグマや各種動物・人間』について、
皆さんの興味関心の契機となれば、『動物が原作』という、けもフレ二次創作の冥利に尽きると感じています。

自分もあれやこれやと手探りしながら、完結を目指しますので…。

本編の続きはただいま、書いている途中なのでもう少しお待ちいただきたいと思います。

一旦以上です。

乙。ここの作者さんは勉強熱心ですね。今後もSS期待してます!

ローカルルールを設定してみては?

続きを書き込みます。

>>977さん
ご提案ありがとうございます。
ローカルルール…設定しないとダメですかね。常識さえ守って下されば、良いかと自分は思っていたのですが…。
乗っ取り禁止とか、過剰な暴言を慎むとか、結構当たり前の注意事項をわざわざ書かないといけないものなのかどうか…。

次のスレを立てるとき、ちょっと考えますね。

ウォォォォン―ウォォォン!!!

『家族』を弔う哭き声が山野に木霊する。

アライさん『家族』の本営から、分住している各小グループ・宿営地の子分アライさんに嘆きの波が伝わっていく
――多分に『儀礼的な嘆き』ではあるのだが――

各宿営地子分アライさん達「「「のああああああああ!大事な姉妹を失ってしまったのだ!!!
胸が引き裂かれるほど辛いのだ!!!」」」ウォォォォンウォォォン


大母アライさん「…」ピクピク―ピクピク
―恩寵アライさんの伝令はちゃんと伝わったのだ―

今頃、各アライさんが顔を傷つけながら一連の所作を行っていることを確信して、大母アライさんは一息をつく。

山姉アライさんは別の心配を始め、隣の洞姉アライさんに耳打ちする。

山姉アライさん「(このことの意義は分かるのだけど…。
哭き声が人間に聞かれたら、ちょっとまずいのだ)」ゴニョゴニョ
洞姉アライさん「(流石に恩寵アライさんも馬鹿じゃないから、民家の近くの宿営地に伝えるときは
声を殺す様に命じるはずなのだ。あと、人間は遭難を恐れて、基本、夜間に山野に分け入らないと聞くのだ…)」

山姉アライさん「(なるほどなのだ)」コクン

山姉アライさんは一つ頷くと、再び視線を前に―大母アライさんの方に戻す。

ジロリ―

大母アライさんは、山姉アライさんの視線と周囲の―闇の向こうの『家族』の様子を見極め―

コスリコスリコスリコスリ…

ようやく痛む頬を擦って回復し始める。
暗がりの中、頬を擦った瞬間に虹色の光がチラついた―様に見えた。

一同アライさん「「「……」」」ホッ!コスリコスリコスリ

大母アライさんの行動に倣い、周囲のアライさんも痛みを癒していく。

安堵の空気がゆっくり本営に漂う。

中姉アライさん「次の『儀式』までに、今後、『家族』が死んだときの『哭するアライさんの範囲』を決めて、
布告するべきなのだ。今回は初めてで特別だったけど…、毎回全員でやるわけにもいかないのだ」コスリコスリコスリ

少し痛そうに頬をコスコス擦り回復しながら、中姉アライさんは大母アライさんに進言する。

大母アライさんはそれを受けて答える。

大母アライさん「良い進言なのだ!『ガイジの禁』と併せて、次の『儀式』で布告するのだ!」コスリコスリ

山姉アライさん「のだぁぁ?『ガイジの禁』って?」

ちょっと驚く山姉アライさん。移動中だった彼女の下には先の方針が届いていなかったらしい。

大母アライさん「ああ。まだ布告前だったから仕方ないのだ…。
要は『ガイジ』という言葉を『家族』内で濫りに使うことを禁じようと言う方針なのだ!」

スクッ―

大母アライさんはそう言いながら立ち上がり―

スタスタ…

保母アライさん「…」コスリコスリ
副保母アライさん「…」コスリコスリ
貧乏籤アライさん「…」コスリコスリ
子分アライちゃん「…」コスリコスリ

蟹股歩きで、四匹の同族に歩み寄る。

大母アライさん「『ガイジ』と呼んでいいのは『家族』外の敵対勢力と…、
大母さんが直々に訓戒処分にするときのみ――」

ス―――ッ――

目線をゆっくりスライドさせていく。

大母アライさん「例えば―お前のようなガイジを叱るときなのだ!!!」ピタッ!ギロリ!!!
子分アライちゃん「…」ビクッ!!!

保母アライさん達「「「!!!!」」」ビクッ!!!コスリコスリ

小姉アライさん「お…大母さん!!!さっき悲しみを分かち合ったばかりなのだ?!何でなのだ!!!」

『家族』の『代母』である小姉アライさんは、庇うように声を掛ける。
―分かっているのだ。『悲しみを共有すると言う儀礼を行う事』と賞罰は別。そういうことなのだ。でも…―

小姉アライさん「アライさんは!!!今回の件…。
この宿営地アライさんの咎は、さほど大きくないと思っているのだ!!!」

大母アライさん「ほう!」

一声上げると大母アライさんは小姉アライさんに視線を合わせる。

一同アライさん「「「………」」」ジィ―

周りのアライさんも小姉アライさんに注目する。

タラ――

小姉アライさんの背を冷や汗が流れるが―声を励まし、言葉を続ける。
『家族』を無用な痛みから、守らねば!!!

小姉アライさん「そもそも今回の件は、人間が突然、
長年放置していた森に手を入れたことで起きた突発的なこと。アライさん達には予知不可能な事態なのだ。
人間があの場所に手を入れ始めた時点で、どの道、宿営地は放棄せざるを得なかったのだ。
この騒ぎが落ち着いた頃に、また、戻るなり―一時的な餌場なり、通路として、あの森は使えば良いのだ!!!」

大母アライさん「…」ギロリ

ハァハァ…
息が上がる。
皆の前で話すのは大変なのだ…。アライさんは―自分はやっぱりリーダー向きでは無い様なのだ―。



でも…

小姉アライさん「宿営地のアライさんも、今回死んだ子分アライさんも、
人間を『無駄に傷つけて』はいないのだ!!!チビを守ろうとするのは、けものの本能!
クマもサルもイノシシもシカもタヌキも―勿論、アライグマも。
凡そ、山野に伏せるけものは、皆そうするのだ!
ヒトが濫りに我が子に近寄り、あるいは攻撃されれば―余程、無理な状況なら兎も角…。
アライさんは野生のけもの。
けものがけものらしく行動しただけで、『急に安全が損なわれる』とは、考えにくいのだ。
既に付近の森からは『家族』は撤収済みなのだ…」

チラリ―
保母アライさん達「「「……」」」ブルブルブル

震える四匹を少し見つめ、最後に要旨を大母さんに伝える。

小姉アライさん「保母アライさんには宿営地―『チビ隊』全体への監督責任が有り、
副保母アライさんは見張りに手を抜いてしまったのだ。
チビは『家族』の言いつけに背いてノコノコ危地に向かってしまった…。

でも、その後、チビは無謀な行動は控えて、『家族』に危険を伝え、
保母アライさんは失態を隠し立てせずきちんと伝令を本営に向かわせ、
副保母アライさんは皆を率いて撹乱行動の後に合流したのだ!
そして―死んだ子分アライさんは、子を持つけものなら当然する行いをして…」


大母アライさん「長い!つまり!!!」
―そろそろまとめるのだ!!!―

一同アライさん「……」ハラハラジッ――!

小姉アライさん「つまり――、各アライさんが一功一罪が有るのだ!
どうか、片側だけを見て重い処分をすることだけは止めて欲しいのだ!」

大母アライさん「保母アライさん!副保母アライさん!!!」

保母アライさん「…」ビクッ!
副保母アライさん「…」ビクッ!

大母アライさんは、小姉アライさんの話に被せる様に声を上げる。

大母アライさん「責任を取って、保母・副保母の称号・役は取り上げなのだ!!!
それから次の戦いでは先鋒を務めるのだ!!!」

元保母アライさん・元副保母アライさん「「大吉なのだ!!!」」ズリズリズリ

二匹のアライさんは土下座ポーズを取り、頭を地面に擦り付ける。

元保母アライさん・元副保母アライさん
「「(せ…セーフなのだ!小姉アライさん!取り成し感謝なのだ!!)」」ズリズリズリ

大母アライさんはそんな二匹を見下ろし言葉を続ける。

大母アライさん「手柄次第では、また処遇も考えるのだ。それと…、よく復命したのだ!!!」

元保母アライさん・元副保母アライさん「「のだ??」」

ギロリギロリ…

大母アライさんは周囲のアライさんを睥睨する。

大母アライさん「事態の報告・連絡を図った事。そして復命したこと自体が此奴等の一番の手柄なのだ」
恩寵アライさん達「「「情報の伝達・復命こそ、このアライさんを許す由縁なのだ!!!」」」

恩寵アライさんに意図を唱えさせると大母アライさんはシッシッと手を振って、まず二匹を下がらせる。

そして―

ガシッ!

子分アライちゃん「のりゃ!おおははさん!しっぽつかんじゃ、いやなの…」

大母アライさん「この大ガイジがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ブルンブルンブルン

大母アライさんは周囲が息をのむ中、子分アライちゃんの尻尾を掴むやその体を勢い良く振り回し始める。
―今回の事態を悪化させた張本獣だけは、軽く済ますことは出来ないのだ―

子分アライちゃん「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!おかーしゃーん!!!」ブルンブルン
大母アライさん「ガイジか!お前の母アライさんはお前のせいで死んだのだ!!!」

ヒョォォォォイ!!!

適度に―障害が残らない程度に―『チビ』を振り回すと、落ち葉が丁度、重なった辺りを狙って手を離し、
放り投げる!

子分アライちゃん「ひぃぃいっぃぃぃ!!!げぇぴぃぃぃ!!!」ヒュゥゥゥドサァッ!!!

クッションが効いた落下音が暗闇に響く中、その音源に向け大母アライさんは一喝する!

大母アライさん「良いのだ!?ガイジ!!!三日なのだ!
三日以内に何でもいいから『手柄』を上げてくるのだ!!!それで、許すのだ。
でなければ、この『家族』にお前の居場所はないのだ!!!」

子分アライちゃん「う…う…いたいのりゃ…。しょんなの…ムグゥ」

子分アライちゃんは、冷厳な(子分アライちゃん視点)大母アライさんの宣告に泣き言を吐きそうになるが、
その口をまだ近くにいた元保母アライさんが塞ぐ。
―とばっちりで、軽く済んだ自分達に火の粉が来るのは御免なのだ―

大母アライさん「下がるのだ!!!」
元保母アライさん「大吉なのだ!」

尻尾と体を痛そうに丸め、涙目で呻くアライちゃんを持ち上げ、元保母アライさんは暗闇に姿を消していった。

キョロキョロ

貧乏籤アライさん「え~~と…。アライさんも下がって良いのだ…」

大母アライさん「お前にはまだ用があるから残るのだ!」

貧乏籤アライさん「…」ビクッ!

貧乏籤アライさんは身を振るわせ、再び地面に腰を降ろす大母さんと―
それを取り囲む恩寵アライさん・姉アライさん達に視線を向ける。

貧乏籤アライさん「(これで賞罰は済んだはずなのだ…。他に何を話すのだ?)」
―害獣駆除に森に乗り込んで来るであろう人間への対策?一応、避難は済んだはずなのだけど…―

目を白黒させる貧乏籤アライさんを他所に『家族』の幹部会議は第二ラウンドに移行していく。

今日はここまでです。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年01月06日 (土) 21:46:31   ID: Wt5HcLwR

応援してますよ

2 :  SS好きの774さん   2018年01月19日 (金) 03:43:49   ID: vFaByljL

好きです

3 :  SS好きの774さん   2018年05月01日 (火) 11:19:50   ID: G4q3u9in

どうでもいい論争の部分は非表示にしたい
せっかくの良ssが楽しめないよ

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