【駅メモ】黄陽レイカ「でんこにも称号を付けられる機械」 (32)

――マスター宅――

ピンポーン……

マスター「はいはーい、今出まーす」ガチャ

配送員「こんにちはー、お荷物でーす。ハンコかサインお願いしますー」

マスター「あ、じゃあサインで……はい」

配送員「はいどうもー。それじゃあこちらお荷物ですねー。では失礼しまーす」バタン

マスター「ご苦労様でーす。……はて、最近なにか通販で買い物したかな?」

マスター「送り主は……奪取er協会。なんだ、またでんこ関係の届け物か」

黄陽レイカ「なに? また何か買ったの? 最近無駄遣いしすぎなんじゃない?」

マスター「違うよレイカ。奪取er協会からの贈り物みたい」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1513554630

レイカ「ふーん。新しいでんこでも送られてきたワケ?」

マスター「いやどうだろ。大体でんこが送られてくる時ってマスターが荷物受け取る前に箱が動いたり飛び出してくるって聞くしなぁ」

レイカ「わたしは飛び出さなかったわよ」

マスター「うん、僕の手に渡るまで飛び出しはしなかったね。説明もなしにいきなり大起動加速度向上薬注入しようとしてきただけで」

レイカ「あ、あれはアンタがあんな配送員に押し負けてるからよ! ていうかいつまで根に持ってんのよ!」

マスター「まぁイムラちゃんのマスターさんは『いきなり飛び出てきたと思ったら刀を振り回して暴れだした。死ぬかと思った』とか言ってたし、レイカは穏便な方なのかな」

レイカ「いちいち引っ掛かる言い方しないでくれない!?」

マスター「ごめんごめん。えーと、中身はっと」ガサゴソ

マスター「……なにこれ、モニターがついてる丸い台? 説明書は……」

説明書『遠い未来からこんにちは、奪取er協会です! 今回、ステーションマスターのみならず、各でんこにも称号を付けられるようにする運びになりました。その為、一部のステーションマスターへ試験運用として、でんこに称号を付けられる『称号ステーション』をお配りしております。使い方はとっても簡単、ステーションの上に乗ってもらうとモニターが起動します。そこに現在でんこが装備できる称号一覧が表示されますので、好きな称号を選んで装備してください』

マスター「……だってさ」

レイカ「ふーん……」

マスター「興味なさそうだね」

レイカ「だって称号を付けて何か役に立つワケでもないでしょ?」

マスター「まぁ……あ、いや、説明書にラッピングと同様にある程度ステータスやスキルなどに変化が出るって書いてあるよ」

レイカ「そうなの? それならまぁ……付けてあげないこともないけど」

マスター「せっかく試験運用に選ばれたんだしね。何事もやってみなきゃもったいない」

レイカ「ステーション……この上に乗るのね」

モニター『……独立志向型駅情報収集ヒューマノイドDENCO(H):No.5 黄陽レイカを確認しました。パーソナルデータのローディングを行います』

マスター「おお、ホントにでんこが乗るだけで起動した。未来の科学ってすごい」

レイカ「今さらなに言ってんのよ」

マスター「いやいつも荷物とかどうやってウチまで届けてるかとかすごい気になってるんだよね。未来から近所の佐〇急便配送センターまで直通の経路でもあるのかなぁ」

レイカ「知らないわよそんなこと。それで、モニターに映る称号を選べばいいワケね。アンタが選ぶ?」

マスター「いんや、レイカが選びなよ。自分で名乗る称号なんだから自分で選びたいでしょ?」

レイカ「その優しさはラッピングフィルムを選ぶ時にも適用しなさいよ! もう随分と長いこと制服のままよわたし!?」

マスター「えぇ、だって制服が一番かわいいし」

レイカ「な、なに言ってんのよこの変態マスター!!」

マスター「ネコミミで年がら年中、強制で語尾に『にゃ』が付くよりマシじゃない?」

レイカ「そんな横暴働くなら出てくわよ!!」

マスター「それは困る。もう(家事全般完璧にこなしてくれる)レイカがいない暮らしなんて考えられない」

レイカ「なっ、なっ、またアンタはそういうことを……っ!! わ、分かったわよ、制服で我慢してあげるわ!! ただ……たまには違うラッピングにもしなさいよねっ……」

マスター「善処します」

レイカ「それはやらない時のセリフじゃない! はぁ、まったく……仕方ないわね……」

マスター(……自分でやっておいてなんだけど、最近レイカはほだされやす過ぎやしないだろうか。罪悪感にかられるからもうちょっと突っかかってきて欲しい……)

レイカ「? なに急に黄昏てんのよ」

マスター「気にしない気にしない。それじゃあ、好きな称号を選んでね。僕は次の遠征の計画でも考えてるから」

レイカ「了解よ。……さて、わたしが付けられる称号ってどんなものがあるのかしら」

モニター『ローディング完了しました』

モニター『装備可能の称号は3つあります』

モニター『1.【マスターいつもありがとう】』

レイカ「!?」

モニター『2.【マスターの一番になりたい】』

レイカ「は!?」

モニター『3.【マスター大好き】』

レイカ「」

モニター『どの称号を装備しますか?』

レイカ「……こんなの装備出来るワケないでしょ!!」

マスター「わっ、どうしたの、レイカ。いきなり大声だして」

レイカ「なんでもないからこっち来ないでっ!!」

マスター「あ、うん」

レイカ(なによ、なんなのよこの称号は……!? どういう基準でコレが装備可能になるのよ!!)

モニター『【マスターいつもありがとう】 取得条件:お仕事回数5000回以上』

モニター『【マスターの1番になりたい】 取得条件:レベル80になる』

モニター『【マスター大好き】 取得条件:マイレージクラス10になる』

モニター『試験運用期間につき、現在はこの3つのみの実装となっています』

レイカ(これ以外ないの!?)

レイカ「……ううううう」

マスター「レイカ、ホントに大丈夫? さっきから急に大声出したり唸ったりしてるけど……」

レイカ「大丈夫だからっ!! 絶対こっちに来ないでっ!!」

マスター「あ、うん」

レイカ(効果……効果は!? せめてAPHPスキル効果上昇値が高ければそれを言い訳に……!)

モニター『【マスターいつもありがとう】 効果:いつもよりほんのちょっと素直になれます』

モニター『【マスターの1番になりたい】 効果:いつもよりけっこう素直になれます』

モニター『【マスター大好き】 効果:いつもよりすっげぇ素直になれます』

レイカ「実用性皆無じゃないの!!」

モニター『試験運用期間ですので能力値の変動は原則禁止されています』

レイカ「それがよりにもよってなんでわたしのところに……!!」ガンガンガン

マスター(……なんかモニターにパンチしてる。来るなって言われたけど止めないとヤバくないかな……?)

マスター「あー、レイカ? あんまり叩くと壊れるんじゃ……」

レイカ「いっそ壊れればいいのよこんな機械!! 今だけセリアの機械音痴が羨ましいくらいよっ!! あとこっちに来ない(ポチ)……で……」

モニター『【マスターの1番になりたい】 が選択されました。独立志向型駅情報収集ヒューマノイドDENCO(H):No.5 黄陽レイカの称号を【マスターの1番になりたい】に変更します』

レイカ「ちょ、ちょっと待って、今のは違――あああ!」

マスター(モニターから強烈な光が漏れたかと思うと、それがレイカを包み込んだ。その際にちょっと悲鳴じみたものが聞こえた)

マスター(え、これ大丈夫なの?)

モニター『称号セット、完了しました』

レイカ「…………」

マスター(光が収まると、少し俯いたレイカが台の上に佇んでいた。なんだか元気がなさそうな様子だ)

マスター「レイカ? その、大丈夫……?」

レイカ「……うん、大丈夫」

マスター「そ、そっか、それなら良かった。いきなり光に包まれるから何事かと思ったよ」

レイカ「……ねぇ、マスター」

マスター「う、うん? レイカが僕をマスター呼びするなんて珍しいね」

レイカ「そう……そうよね。いっつもわたし、マスターのことを『アンタ』とか『変態』とか……そう呼んでたわね」

マスター「ああうん、今さらだけどね。それがどうか――」

レイカ「ごめんなさい!」

マスター「え」

レイカ「いつも変な呼び方をしてごめんなさい!」

マスター「ええ!?」

マスター(レイカからの謝罪の言葉に非常に驚いてしまう。態度では申し訳なさそうにしている時があったけど、正面切って謝られたことなんて今まで一度もなかったから)

レイカ「いつも偉そうにして、不遜な態度をとって……本当にごめんなさい」

マスター「レ、レ、レイカ!? ホントにどうしたの!? どっか具合悪くない!? 大丈夫!?」

レイカ「大丈夫、なんともないわ。……マスターはいつもそうやってわたしに優しく接してくれるのよね。それなのにわたしはいっつも憎まれ口しか叩けなくて……どうして素直になれなかったのかしら」

マスター「――――」

マスター(開いた口が塞がらないという状況に人生で初めて遭遇した。ヤバいこれは重症だ。きっとでんこの称号システムに何か致命的な欠陥があったに違いない)

マスター「どどどどうすれば、協会に電話? いやでも番号知らないし……どうすればレイカが元通りになるんだ……」

レイカ「どうしたの?」

マスター「それは僕がレイカに今一番言いたいセリフだよ!?」

レイカ「? わたしはどうもしてないわよ」

マスター「自覚症状がない……!? 超重症だよこれ!」

レイカ「それよりマスター、さっきはこっちに来ないで、なんて言った口で言うのもなんだけど、もっと傍に行ってもいい……?」

マスター「え」

レイカ「あ、ごめんなさい……嫌、よね。いつも嫌味なことしかわたし言えないし……ごめんなさい、今のは聞かなかったことにしてくれない……?」

マスター「」

レイカ「ごめんなさい、今さら身勝手よね。本当にごめんなさい」

マスター(……いつもの天邪鬼でからかい甲斐があって世話好きでなんだかんだ相手のことを思いやって放っておけないけど素直になれなくてちょっとそっけない態度になるプライド高めの正統派ツンデレなレイカさんはどこへ……?)

レイカ「マスターは嫌かもしれないけど、それでもわたしはマスターのために――あなたのために生まれたでんこだから……その、今まで通り思い出集めの仕事はしてくれると助かるわ」

マスター(ていうかもしかしてレイカっていつもこんなこと考えてたの!? え、ちょ、レイカへの対応僕も考えなおさなきゃじゃん!? もっと素直にならなきゃじゃん!!)

マスター(ああいや、今はそれよりも目の前の、多分いつもより素直になってるっぽいレイカの対応が先だった! ちょっと泣きそうな顔してるし! 可愛いからそういう顔見せるのやめて!)

レイカ「……やっぱり、ダメ……?」

マスター「ダメなワケないよっ、むしろレイカじゃないと嫌だよ僕は!」

マスター(我ながら何を口走っているのだろうという気持ちがないワケじゃない。けどレイカもシステムエラー的なので素直モードなんだろうし僕もいつもより素直にならなくてはならない)

マスター(それがステーションマスターの“宿命(さだめ)”)

レイカ「ほ、本当?」

マスター「本当も本当! 僕みたいな朴念仁にはレイカみたいなしっかりした子じゃないと駄目なんだ!」

マスター「また毎日コンビニレトルトな食生活なんて耐えられないし、休日だって起こされなきゃお昼までぐっすり、衝動買いで無駄遣いもするし部屋の掃除だってテキトーにやっちゃうし!」

マスター「でもレイカがいれば毎日美味しくてあったかいご飯作ってくれるし僕の生活リズム正してくれるしネット通販の無駄遣いだってグッと減った!」

マスター「それになによりレイカとちっちゃなことでちょっとした言い合いをする毎日が楽しいんだ! だから僕の方こそ思い出集めを一緒にして下さいって土下座してお願いするレベルなんだよ!」

レイカ「マ、マスター……そんなにわたしのことを……嬉しい」

マスター(あああああレイカにそういう反応されるとすごいむず痒い!! いつもみたく『ばっ、バカなこと言ってんじゃないわよっ!』って言われたい! そして恥ずかしそうにそっぽ向いてもらいたい!!)

レイカ「わたしもマスター……あなたのでんこになれて幸せよ。何にでも一番になりたいってずっと考えてたわたしに色々な考え方を教えてくれてありがとう」

レイカ「ラッピングの件もさっきはあんなこと言っちゃったけど、本当はすごく嬉しい。新しいラッピングフィルムが出るたびにすぐわたしのフィルムを用意してくれるし、なによりマスターに『可愛い』って思ってもらえるのが一番嬉しいの」

レイカ「マスターはあんまり争いごとを好まない性格で、最初は正直頼りない人だって思ってたけど、こうして一緒に生活してみると、すごく優しくていつも気にかけてくれる」

レイカ「だから私もあなたのために色々してあげたいって、そう思うんだけど、いっつも思ってることと裏腹な態度になるのよ」

マスター(そのツンツンした態度がいい、とは口が裂けても言えない状況です)

レイカ「その度に不安になるわ。これでマスターに嫌われたらどうしよう、傷つけてたらどうしようって……」

マスター(そのちょっと申し訳なさそうな、でもやっぱり素直になれないっていう雰囲気が大好物です、とは天地がひっくり返っても言えない状況です)

レイカ「でも、よかった。マスターはわたしのことを嫌ってないって、そういう言い合いを楽しんでくれてるって分かったから」

レイカ「ありがとうマスター。やっぱりわたしはあなたのでんこになれて、一番の幸せ者よ……!」

マスター「……そう言ってもらえるなら僕も嬉しいよ」

マスター(でも出来ればそろそろいつもレイカに戻ってほしいの。僕もこんな素直モードでいるともう恥ずかしくて死にそうなの。誰か助けて)

レイカ「それで……マスター」

マスター「うん?」

レイカ「マスターはわたしの中で一番の存在なんだけど」

マスター「うん……!?」

レイカ「その……わたしは、マスターの中で一番になれるかしら……?」

マスター(えええーと、なんだろうこれなんて言えばいいんだろうね本当にね、レイカの中で一番だってさ僕の存在やったねマスターあははははは……)

マスター「…………」

マスター(などと笑っていられる状況ではない。ものすごく大胆に告白された気がする)

マスター(ええー、そりゃ一番かどうかって聞かれたらぶっちぎりのトップだけどそれを口にするのは素面じゃ無理かなぁーって思うんだよね、流石に)

レイカ「……ご、ごめんなさい、おかしなことを聞いたわね。今のは忘れて」

マスター(ああ、無言の空間に耐えきれずにレイカが謝りだした! その申し訳なさと後悔と悲しさと寂しさが同居した顔やめて! キュンキュンするからホントにやめて!!)

マスター「……いや、僕はレイカのことが一番好きだよ?」

レイカ「えっ……」

マスター「さっきも言った通り、レイカなしの生活が考えられないくらいには」

レイカ「…………」パァーッ

マスター(だからホントにやめて、絶望からのその、世界は光に満ち溢れてるって言いたげな満面の笑みは! 刺さる! 心にグサッと刺さって消えない思い出になるから!!)

レイカ「生まれてきてから一番嬉しいのは今かもしれないわ……ありがとう、マスター」

マスター(禁止! そういう恥ずかしいセリフ禁止だから!!)

マスター(もう誰か僕をころしてほしい! さもなくば自決する! そのレベルの恥ずかしさコレ!!)

――pipipipipi……

マスター「はっ、電話か!?」

マスター(ナイスだ天の助け! このままだと確実におかしくなるとこだった)

レイカ「…………」シュン

マスター(そしてレイカさんはその残念そうな顔を止めましょうか!)

マスター「も、もしもし?」

黄陽セリア『あ、どうもーレイカがお世話になってます。レイカの姉のセリアです』

マスター「あ、これはどうも、お世話様です」

セリア『あの、届きました? でんこに称号を付ける機械は……?』

マスター「あ、はいそれでしたらさっき……」

レイカ「…………」チョンチョン

マスター(レイカさんお願いします、後生だから、手持無沙汰だからって僕の袖をちょんちょんつまんでこないで下さい。キュンとするんでホント勘弁してください)

セリア『あ、よかったぁー。実はですね、協会の方にかけあって、レイカのだけ特別試用にしてもらったんです』

マスター「はい? 特別仕様?」

レイカ「んー……」スリスリ

マスター(僕の肩に身を寄せてすりすりのはもっとやめてください。構ってほしくてやってるんだと思うけどホントにそれすごく危険な部類の行動です)

セリア『そうなんです~。ほら、レイカって素直じゃないところがあるじゃないですか? だから称号をセットするとちょっとだけ素直になれるようにしてもらったんです~』

マスター「……は?」

セリア『やっぱり円滑に思い出集めをするってお互いの素直な気持ちが大事じゃないですか。レイカ、けっこう溜め込んじゃうタイプなので……。マスターさん、あの子のガス抜きに付き合ってもらってもいいですか?』

マスター「……こ、この状況は……」

セリア『はい?』

マスター「あなたのせいですかあぁぁぁ――――!!!」

――――――――――
―――――――
――――
……

マスター「はい、称号外し完了っと……」

レイカ「…………」

マスター(セリアからの電話を切った後、レイカにはまた称号ステーションに乗ってもらった。ちょっと渋るかな、と思ったけど素直にレイカは台の上に乗り、自分に付けた称号を外してくれた)

マスター(モニターの称号一覧をその時に見せてもらったけど、あれで『けっこう素直』なのが末恐ろしい。一番下の『すっげぇ素直』になっていたらと思うと背筋が凍る思いだった)

マスター(とにかく、レイカに付けた称号は外された。これでいつものツンデレなレイカさんが帰って来てくれると思う)

マスター(あと出来たら素直状態の時の記憶が消えているととても嬉しい。きっと僕にとってもレイカにとっても)

マスター「……レイカ?」

レイカ「…………」

マスター(モニターの前から俯いて微動だにしないレイカ。嫌な予感しかしない)

レイカ「……――ぬ」

マスター「うん?」

レイカ「もう無理、生きていけない、死ぬしかない」プルプル

マスター(ですよね、ちょっとだけ期待したけどしっかり記憶残ってますよね)

マスター「レイカ、ちょっと落ち着こう、ね?」

レイカ「無理よ!! 無理に決まってるじゃない!! なんなのよホントにもう!!」

マスター(そう怒鳴るレイカの顔は今まで見たことがないレベルで真っ赤である。僕も顔が熱いので多分真っ赤である)

マスター「その、レイカ、今回は痛み分けにしない?」

レイカ「何をどう痛み分けるのよ!! 恥ずかしくて死にそうなんだけど!?」

マスター「いや僕も非常に恥ずかしい思いをしたから……それに素面な分僕のが多分ダメージでかい……」

レイカ「それくらい男なんだから我慢しなさいよ!!」

マスター「人には我慢できる痛みと我慢できない痛みがあるんだ」

レイカ「でんこにもあるわよ!! 何がわたしの一番で、あ、アンタの一番がわたしで……」

マスター「いけない、それ以上いけない、思い出したらその分だけダメージが来るから!」

レイカ「フルブラストしてるコタンにアクセスされるくらいの苛烈なダメージ、たまにはアンタも味わいなさいよ!!」

マスター「それ以上のものに襲われるのはレイカの方じゃ!? ほら、『一番』とかそういうのは今月は言わないようにしよう!?」

レイカ「…………」

レイカ(『一番』……わたしの中の一番がマスターでマスターの中のわたしが一番……)

レイカ「あああああ思い出すだけで寒気がする!! もう無理!! 中央線止めてくる!!!」

マスター「ま、待って待って待って! 中央線止めたら賠償額とか半端なくなるから!! それ絶対鉄道の未来にもダメージ行くやつだからあぁ!!」

レイカ「……じゃあ、責任とりなさいよ」

マスター「…………」

レイカ「…………」

マスター(相変わらず真っ赤な顔をふいと逸らし、まるで蚊の鳴くような声でポツリとこぼされる言葉)

マスター(ああー、やっぱりこういうのがレイカだよなぁ……素直なレイカも好きだけど、やっぱりこういうレイカの方がずっと好きだなぁ)

マスター「いやレイカさん、ここでそのセリフはちょっとすごい胸に来るので止めてくれませんか……?」

マスター(……なんてことを口に出せるほど僕は強心臓ではないのでした)

レイカ「う、うううるさいわよっ!! やっぱり中央線止めてくるっ!!!」

マスター「だからそれはやめてえぇぇ!!」


それからしばらくの間、マスターとレイカの間で『一番』というワードは禁止になるのでしたとさ



おわり

お目汚しすみませんでした。

どこに需要があるのかと聞かれれば自分にあります。

誰か駅メモSS書いてくださいお願いします。


ではHTML依頼出してきます。

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