マスター「いらっしゃいませ」 グラサン「……」 (16)


-エンジェル珈琲-


マスター「……」




マスター(今日は静かだねぇ……)




マスター(お客さんは誰も来ないし、天真くんのシフトもない……)




マスター(なんだかちょっと寂しいけど……それでも私のやることはただひとつ)




マスター(ここに訪れたお客様に、最高のコーヒーを振る舞うことだ)

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カランコロン…




マスター(おや、噂をすればお客様が1人……)






グラサン「……」ゴゴゴ…






マスター「」






マスター「!」ハッ

マスター「い、いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」スッ

グラサン「……」スタスタ



グラサン「……」ドスン

マスター「こちら、メニュー表です。御注文が決まりましたらお呼びください」

グラサン「……」コクッ


マスター「……」スタスタ













マスター(怖ぃぃぃいいいい!!怖すぎる!!誰なのあれ!?)ヒィィ

マスター(ヤクザ?ヤクザなの!?何かただならぬオーラを感じるんだけど!!)

マスター(ま、まさかこんなとてつもないお客様が来るなんて……天真君が休みで本当に良かった!)


マスター(……)

マスター(だ、大丈夫。いざとなったら私がこの店を守って……)チラッ





グラサン「……」ゴゴゴ…





マスター(無理無理無理無理!!あんなの絶対に勝てる訳がない!)

マスター(手を出した瞬間に跡形も無く消されちゃうよ!)

マスター(あ、あわわわ……私の店が……!)






グラサン「マスター」ゴゴゴ…

マスター「は、はいっ!?」











グラサン「……ブレンドコーヒーをひとつ」

マスター「えっ」

グラサン「……」

マスター「……あ、はい!ただいまお持ちします!」




コポポ……




マスター「……どうぞ。当店自慢のブレンドコーヒーです」スッ

グラサン「……」カチャ…



グラサン「……」ズズッ




グラサン「……」

マスター「……い、いかがでしょうか?」













グラサン「……美味い」

マスター「!!」


マスター「あ、ありがとうございます」ペコリ

グラサン「……」ズズッ








マスター(なんということだ……私は大変な勘違いをしていた)

マスター(この男性は決してヤクザなどではない。この店のブレンドコーヒーを味わうためにやって来た、歴としたお客様なのだ)

マスター(彼はコーヒーを楽しむ心も、コーヒーを愛しむ心も持っている、素晴らしい男性に違いない)

マスター(それに気付かず、よもや外見だけで全てを判断しようとは……なんと恥ずかしいことだろうか)





グラサン「……」ズズッ

マスター「ブレンドコーヒー、気に入って頂けたようで何よりです」

グラサン「……ああ」


マスター「私、このブレンドコーヒーにはこだわりがありましてね。実は昔、ブラジルに行ったとき……」












マスター「ありがとうございました。またお越しください」

グラサン「……」コクッ




カランコロン…




マスター(……)





マスター(……ああ、今日はなんと素晴らしい日だろうか)




マスター(私のコーヒーを美味しいと言ってくれるお客様がまた一人、増えてくれた)




マスター(喫茶店のマスターとして、これ以上に嬉しいことはない……)




マスター(ふふふ……彼がまた来てくれる日が楽しみだ)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




マスター(あれから、彼は毎週決まった曜日に私の店へ訪れるようになった)



マスター(最初の頃は無口だった彼も、だんだんと私に世間話をしてくれるようになってきた)



マスター(どうやら彼は、高校の教師をしているそうだ。どこの高校かまでは流石に教えて貰えなかったが……)



マスター(彼に教えて貰える生徒達は、きっと幸せものだろう。……何故なら)





マスター(コーヒーが好きな人に、悪い人は居ないのだから)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



マスター「……♪」フンフン

ガヴ「マスター、最近ご機嫌っすね」

マスター「ん?そう見えるかな」

ガヴ「いや、見るからに上機嫌じゃないっすか。そりゃ分かりますよ」

マスター「ふふふ……私としたことが、つい顔に出てしまっていたようだね」

ガヴ「何か良いことでもあったんすか?」

マスター「実はね……明日は彼が来る日なんだ」

ガヴ「彼?誰っすかそれ」


マスター「私のブレンドコーヒーを美味しいと言ってくれる人だ」

ガヴ「はあ……あのコーヒーを」

マスター「どうだい、天真君。久しぶりに、私のブレンドコーヒーを飲んでみるかい?」

ガヴ「いや、いいっすよ別に」

マスター「もしかしたら、今の天真君なら美味しく感じるかもしれないよ?」

ガヴ「……じゃあ、一杯だけ」

マスター「よし。少し待ってて貰えるかな」




コポポ……




マスター「どうぞ、天真君」スッ

ガヴ「あざっす」カチャッ…


ガヴ「……」ズズッ

マスター「どうだい?美味しいかい?」

ガヴ「んー……」









ガヴ「いや、やっぱよく分かんないっすね」

マスター「は、ははは……だよねぇ」


-おしまい-

グラサンはきっと、ブラックがお好き

ガヴリール×ヴィーネやラフィエル×サターニャなどのSSは沢山あるのに、マスター×グラサンのSSが無いのはどう考えてもおかしいと思い、書いてみました

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