青葉「えぇっ、転勤っ!?」父親「あぁ!」 (33)
青葉「転勤だ、なんて・・どうしてっ?」
父親「仕方ないだろ。会社から急に転勤を命じられたんだから・・」
青葉「どこに転勤になったの?」
父親「九州だ」
青葉「九州っ!?」
父親「そう・・だから青葉! 今、勤めてる会社・・・イーグルジャンプだっけ? そこを辞めるんだ!」
青葉「えっ・・・ええええぇぇぇぇっっっっっーーーーーーーーーー!!??」
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母親「ちょっとお父さんっ?! いきなり、それを言うのは青葉にとって酷じゃ…」
父親「仕方がないだろ!」
青葉「ど……どうして……っ」フラフラ
母親「あ、青葉っ!? 落ち着いて、顔色がっ…」
父親「どうしても何も…九州に転勤だぞ? 今の会社があるここ東京から九州までの距離は当たり前だが、遠すぎる! どう考えたってお前が通勤できる訳がない……だったら今の会社を辞めて今度は九州にあるゲーム会社を探して就職する他ない、という事だ」
青葉「……いや…だ」ボソッ
父親「んっ?」
青葉「そんなの嫌だよっーー!!!!」
母親「青葉……」
父親「そりゃあ、お前の気持ちは分からないでもない。お前は昔からフェアリーズストーリーが好きで、フェアリーズストーリーの開発に携わった八神コウさんに憧れ、彼女みたいな立派なキャラクターデザイナーになるって志した事や憧れの人が勤めていて尚且つフェアリーズストーリーを開発したイーグルジャンプへの就職を目指していた事、そのために高校で美術の勉強を一生懸命学んだ事…。そして一発合格した美大と就職が決まったイーグルジャンプ…どちらかを迷った末に美大を蹴ってイーグルジャンプへの就職を選んだ事。お父さんは、全部知っているからな……。」
青葉「じゃあ、無理にイーグルジャンプを辞めろ、なんて言わないでよっ!!」
父親「だが、そうもいかないんだ!」
母親「お父さん。青葉にだって意思があるのだから、そんなに無理に辞めさせなくても…。それに一人暮らしって方法があるんじゃないかしら?」
青葉「そ、そうだよ!? お母さんの言う通り一人暮らし…近くのアパートか何かを借りて一人暮らしをすれば無理に辞めなくてもいいよね?」
父親「ダメだ!!」
母親「お父さんっ!?」
青葉「ど、どうしてっー!?」
父親「なら聞くが…青葉、お前は自炊は出来るのか? 洗濯は、自分で部屋全体の掃除は??」
青葉「えっ?! あっ…その……」
父親「出来ないだろうな。なんせお前は実家暮らしで、休み日はもっぱら家の手伝いはおろか、掃除や自分で料理もしないだろ?」
青葉「うぅ…………」
父親「だったらお父さんは反対だ! 家事が出来るならまだしも、それすらできないお前に一人暮らしは危なっかし過ぎるっ!!!」
青葉「うぅ…うぅぅ………ぐすっ」ポロポロ
父親「泣くな、青葉!! 向こうだっていい所がきっと見つかるさ」
母親「………」
青葉「で…でも、わたじぃ…いーぐりゅじゃんぴゅ……にぃぃ………ぐすっ」ポロポロポロポロ
母親「………」
父親「だから……それは無理だ。頼むから、イーグルジャンプを辞めて一緒に九州に来るんだ!」
母親「………ねぇ、お父さん?」
父親「なんだ?」
母親「青葉だってやれば出来る子よ。私が家事を教えれば何とかなるんじゃないかしら?」
父親「なんだとっ、お前まで何を言っているんだっ!? 転勤と言っても、急だから一週間後にはここを離れないといけないんだぞ? 荷物をまとめたり、引っ越しの手配で忙しくなるのに…青葉に教える暇がどこにあるんだっ!?」
母親「だけど、転勤だからって会社を辞めろ、一人暮らしも危ないからダメで、一緒に九州で暮らせだなんて…いくら何でも青葉が不憫すぎるわよっ!!」
青葉「お母さん……」ポロポロ
父親「じゃあ、お前は青葉をどうしたいんだっ?」
母親「もちろん、青葉には一人暮らしをさせてイーグルジャンプでの仕事を続けさせるべきよ。青葉はキャラクターデザイナーになる為にイーグルジャンプで一生懸命頑張っているんだもの…それを応援するのが親の役目なんじゃないかしら?」
青葉「お母さんっ…////」ジ~ン
父親「甘いな。たった一週間で何が出来るというんだ?」
青葉「出来るよ…」
父親「なにっ?」
青葉「私はやる!! 一週間で家事を覚えてみせるよ!」
父親「本気か?!」
青葉「本気も本気、大本気だよ!!! お母さんに教わりながら家事を覚えて一人暮らしが出来るようになりたい! だって転勤でお父さんとお母さんがここを離れても…私だけはここに残ってイーグルジャンプで、八神さんの近くでずっと頑張りたいから!!!」
母親「青葉、良く言ったわ!!」
父親「……分かった。だったら、テストしようか!」
青葉「テスト?」
父親「あぁ。青葉、お前がちゃんと一人暮らしが出来るかのテストだ! ルールは簡単だ……少しだけ家事を覚える為の時間をあげるから、その間にお母さんに教わって家事を覚えるんだ! そして後でそれに関するテストをするから言われた通りにこなすんだ! もし、クリア出来たらお父さんはお前の一人暮らしを認めよう。もちろん、ここに残れるから仕事を辞めなくてもいい!」
青葉「ほんとっ!?」
父親「けど、一週間だと転勤に間に合わないし、色々と都合もあるからな。期間をたった3日にしようか!」
母親「3日っ!? いくら何でも3日じゃ…」
父親「仕方がない…時間がないしな! せいぜい期間を3日にして、4日目にはテストをしないと間に合わないんだ!!」
青葉「確かにそうだよね。あまり長くはいられないんだよね…」
父親「ただし、クリア出来なかったらその時は分かっているだろうな?」
青葉「……うん。翌日、イーグルジャンプを辞めて、転勤の時には一緒に九州に来る事……だよね」
父親「そうだ!!」
母親「青葉。一応、確認するけど、本当にそれでいいのよね…3日で覚えるのは大変よ? それに仕事もあるだろうし、教えてあげられるのは夜だけ! 仕事を終えて疲れたままで、今度は家事を教わって覚える…いわば両立になるのよ??」
青葉「もちろん!! だってそれぐらい苦労して乗り越えないと、社会人と言えないしね!」
母親「そうね。本当に良く言ったわ。それでこそ、進学じゃなくて就職を選んだだけあるわ♪」
青葉「うん♪」
父親「なんなら、今日からでもいいんだぞ? 日曜の夜だが、まだ時間はあるしな?」
母親「そうね。どう、青葉?」
青葉「うん。今からでもお願い、お母さん!」
母親「分かったわ」
父親「まっ、無理だと思うけど、せいぜい頑張れ。お父さんは日曜出勤で疲れたから、もう寝るよ! おやすみ!」
青葉・母親「「おやすみなさい!」」
母親「さて、青葉ー、お母さんの教えては厳しいから、ちゃんとついてきて覚えなさいよ?」
青葉「はい。本当にします、お母さん!!」
~翌日 イーグルジャンプ~
青葉「ふわぁ~。(昨日は、一部分の家事を教わった後にずっと部屋で振り返りをしてたから寝るのが遅くなって、今は眠くてしょうがない…)」カタカタ
青葉「ふわぁ~~。(でも、覚える事はメモしたし、休憩時間でもイメージトレーニングをしないと)」カタカタ
青葉「ふわぁ~~~。(大変だけど、家事が出来るようにならないと一人暮らしが…。それにイーグルジャンプを辞めない為にも何とか!)」カタカタ
コウ「おーい青葉ー、どうしたんだ? さっきからあくびがひどいぞ??」
青葉「あっ、すみません!? 大丈夫です…ふわぁ~」
コウ「ほらっ、また!? 大丈夫だって言ったそばからまたあくびだよ!!」
りん「大丈夫? 昨日は眠れなかったの??」
青葉「いえ、別にそういう訳では…ふわぁ~」
りん「あらっ、またあくびね?」
はじめ「青葉ちゃん、大丈夫!?」
ゆん「やっぱり眠れなかったとちゃうの? それで今眠くて、あくびを?」
ひふみ「横になった……方が……いいか…も」
青葉「あ、あのう皆さん! 私はだ、大丈夫ですから…ふわ、おっと!?」ガバッ
はじめ「あっ、今度は出そうになったあくびを慌てて止めたね!」
コウ「青葉、ひふみんの言った通り横になるか?」
青葉「本当に大丈夫ですから!? さて、仕事、仕事…ふわ、おっとまたっ!?」ガバッ
ゆん「青葉ちゃん、無理はいかんよ!」
ひふみ「うん…。ゆんちゃんの……言う通り…だよ」
コウ「それに眠そうな時に仕事をされても捗らなさそうだし、あくびばかりしてたら私らまで集中できないしさ?」
りん「そうね。一人でもつらそうな感じだと気になるわ」
青葉「本当に大丈夫ですから、本当にっ!?」
はじめ「青葉ちゃん、仕事の事は気にしなくてもいいんだよ? だから遠慮せずに一休みしてよ! それから仕事しても遅くないしさ?」
一同「そうそう!!」
青葉「……分かりました。では、申し訳ありませんが、一休みさせて頂きます!」スッ
(クマさん寝袋をしたままの)青葉「ZZZZZ~~~」
はじめ「寝るの早っ!?」
りん「やっぱり相当眠かったのね…」
コウ「でも、青葉のヤツ、どうして眠れなかったんだろう?」
ゆん「確かにそうですね。ウチもあくびばっかする青葉ちゃん見て、疑問に思いましたわ」
ひふみ「今までの青葉ちゃん…こんな事なかった……のに。いつも…元気に仕事してた……はず…なのに」
青葉「ZZZZZ~~~~」
~その夜~
母親「それでね…ここはこうすればいいのよ!」
青葉「成る程・・」
―――――――――――――――――――――――――――――
青葉「あっ、少し失敗しちゃった!?」
母親「焦らないで。ゆっくりやるのよ!」
青葉「うん。」
~自分の部屋~
青葉「ここはこうやって~と…」
青葉「あっ、もう12時回ってる!? 早く寝ないと?!」
~翌日(火曜日) イーグルジャンプ~
コウ「おい、青葉はまだなのか!?」
りん「今、連絡があってもうすぐ着くそうよ!」
はじめ「青葉ちゃんが遅刻なんて珍しいね…」
ゆん「そうやな。ウチやひふみ先輩と一緒に遅刻した時以来やな」
ひふみ「青葉ちゃん……何があったの…かな?」
りん「そうね。真面目な青葉ちゃんにしては少しおかしいわね?」
コウ「確かに。なんだか、青葉らしくないぞ! 昨日のあくびしたってそうだ!」
ゆん「あくびに今日の遅刻…接点は睡眠ですねー」
ひふみ「もしかして…夜更かし……?」
コウ「夜更かしなんて残業や泊まり込みの時ならまだしも、その日に帰宅してる青葉が自宅で夜更かしなんておかしいだろ!」
はじめ「夜更かしで寝不足になる程なんて、何か悪い事でもあったんでしょうか?」
りん「とにかく心配ね……」
ガチャッ!
青葉「お、おはよう……ございま…す」フラフラ
コウ「青葉っー!?」
青葉「お、遅くなって……も…申し訳……ありません」フラフラ
りん「遅くなったことに関しては別にいいけれど。それより大丈夫なの、青葉ちゃん…目に凄いクマがっ?!」
青葉「クマ…? 私のクマさん寝袋が…どうかしたんですかっ……?」フラフラ
はじめ「いや、そのくまじゃなくて目の周りに出来る黒いクマのことだよ!?」
青葉「あぁ…。これは何でもありません…よ」フラフラ
ゆん「何でもないこと訳ないやろっ?!」
青葉「それよりも皆さん、私遅れた分…しっかりと仕事を……」フラ
ひふみ「青葉ちゃん……危ない……!?」
コウ「よっと!!」
青葉「あっ、八神さん。すみません…」
コウ「すみません、じゃないよ! いきなり倒れそうになって……。青葉、何があったんだ?」
青葉「えっ?(ヤバいっ!? 転勤に関する事がバレそう)」
りん「青葉ちゃん、事情を聞かせてくれないかしら?」
青葉「事情?(事情はあるけど、話したら皆の気を余計使いそう)」
はじめ「青葉ちゃんの様子がおかしいってことだよ? 昨日と今日でいつもの青葉ちゃんと違うし、らしくないって皆で話してた所で」
青葉「別におかしく、なんて…(本当にヤバいっ! このまま隠し通さなきゃ)」
ゆん「昨日の寝不足といい、今日は遅刻及びクマが出来る程のまた寝不足といい……どう見たっておかしいやん!」
青葉「そうですか(さりげない相槌でごまかさないと)」
ひふみ「青葉ちゃん……私達で…相談に乗る…から」
青葉「あ、あのぅ…別に(相談以前の問題なんですけど!?)」
一同「「「「「青葉っ!(青葉ちゃん!!!!)」」」」」
青葉「あ、あぁ…(ヤバいっ! 皆さんには申し訳ありませんが、ひとまずここは……)」
青葉「遅刻した上に遅れて来たばかりなのにすみませんが、私やっぱり早退しますっーーー!!!!!」スタタタタタタタタタ
コウ「おいっ、青葉ーーっ!!??」
りん「行っちゃったわね……」
ゆん「様子が変やったわ…。」
はじめ「やっぱり何かあったんだよ、青葉ちゃん!?」
ひふみ「どうする…?」
コウ「遅刻して来たばかりなのに早退だなんて…。いくら何でも勝手な上におかしすぎる……これは連れ戻して無理にでも話を聞かないとな!」
りん「そうね。流石に放っておけないわ」
はじめ「とにかく青葉ちゃんをおいかけましょう!」
ゆん「そうや。ウチもいてもたってもいられまへんわ!」
ひふみ「私も……。あんな……青葉ちゃん、見て…いられない…よ」
~廊下~
青葉「はぁはぁ。急いで早退って言っちゃったけど、もう社会人らしくない行動を…。うぅ~、恥ずかしい///」
一同「「「「「青葉ーーー、どこだー?(青葉ちゃん~~~!!!!)」」」」」
青葉「!?……ヤバい! 皆さん、追いかけてきました! 急いで隠れなきゃ!?」スタタタ
~トイレ~
青葉(ちょっとだけ外を覗いて様子を…)チラッ
~廊下~
コウ「はぁはぁ。エレベーターや階段を使った気配がないから、まだ青葉はこの辺りにいるはずだな」キョロキョロ
りん「私はこっちを探すわね」スタタタ
ゆん「ウチは階段を見張りますね!」スタタタ
はじめ「じゃあ、私はエレベーターを見張るよ」スタタタ
ひふみ「え、えぇと……私は…!?」オドオド
コウ「ひふみんはそっちを探して。私はこの辺を探すから!」
ひふみ「うん…。分かった……。」スタタタ
コウ「さぁて、青葉ー、どこに隠れているんだ?」キョロキョロ
~トイレ~
青葉(わぁっ、どうしようっ!? 完全に出られなくなっちゃった…)
?「んっ、涼風くん?」
青葉「あっ、葉月さん!」
葉月「トイレの入口でコソコソと何をしているのかね? ハッ、さては…私を誘っているのかなっ?/////」チラッ
青葉「違いますよっ!?」
葉月「と、まぁ冗談おいといて♪ 君がここにいるって事は何か訳ありなのだろう?」
青葉「は、はい。ちょっと外を覗いて貰えませんか? もちろん、見つからないようにコッソリと」
葉月「見つからないように、というのは誰にかね?」
青葉「その、とりあえず覗いて頂ければ分かります……」
葉月「んっ……あぁっ、成る程! つまり、君は八神から逃げてるんだね!!」チラッ
青葉「はい……」
~トイレ 奥の個室~
葉月「トイレの個室で女同士二人っきりっとは…涼風くんも大胆だね~っ//////」
青葉「ご、誤解ですよっ!?/// 私はそんなつもりで!?」
葉月「大丈夫♪ それも冗談だよ、冗談っ♪♪」ニコリッ
青葉(普段の葉月さんを考えると、冗談に聞こえない……)
葉月「さて、君はなんで八神…いや、他にいたみたいだから八神たちと言うべきかな! それで八神たちから逃げていたのかね?」
青葉「そ、その……(転勤の事…。一番上の上司である葉月さんになら訳を話せば、何とか八神さん達に知られないように配慮してくれるかも……)
葉月「オドオドしてる所から見ると、何か悪い事をしたのかな? 正直に言ってごらん…そうすれば、許してもらえるように八神と話してみるがね?」
青葉「あの、ですね…実は……カクカクシカジカ(青葉は転勤を含めてさっきの事も全て話した)」
葉月「何だってぇ~、転勤っ!!??」
青葉「わぁ、葉月さん…声が大きいですよっ?!」
葉月「うむ、済まないね…私としたことが取り乱してしまって。」
青葉「いえ、大丈夫ですよ!」
葉月「……そうか。涼風くんの父上の仕事の都合で九州に転勤とは…。確かに寂しくなるねぇ……」
青葉「……」
葉月「でも、一人暮らしをすればこっちに残って我が社でも働けるチャンスはある。しかし、父上が認めてくれないため、条件として三日だけ家事の練習をし、四日目にてテスト…無事にクリア出来たら一人暮らしを認められる、という訳か…」
青葉「はい。それで、私は父が出した条件をクリアできるように頑張っていますが、その反面もしダメだったら皆さんとお別れ…。それを考えると八神さんたちに転勤の話をするのが嫌で、嫌で…」
葉月「色々と複雑だが、まぁ…八神だけでなく遠山くんに滝本くん、篠田くんに飯島くんを悲しませたくない、という気持ちは痛い程分かるよ!」
青葉「葉月さん…」
葉月「確かに私だけが把握し、尚且つ八神たちに知られないように配慮する事も可能だ」
青葉「じゃあっ!?」
葉月「だが、それだと君の為にはならないと思うんだがね?」
青葉「えっ?」
葉月「考えてみたまえ。私だけ知っていて、逆に八神たちが君の転勤の事を知らないまま一週間を過ごす。そして後々君がここにいようが…九州に移り住もうが、そこで君の転勤を八神たちが知った場合…彼女たちはきっと落ち込むと思うんだ! もちろん、「なんで私らに一言言ってくれなかったんだ」って…ね?」
青葉「……」
葉月「人は恥ずかしい事、どうしても言えない事を隠したがり、時にはそれを知った他人に口止めをする場合もある。そして、今回の涼風くんのように悲しい事があっても、それを仲の良い人が知ったら悲しむと思い、言えずに必死に隠し続けるというのもある。だが、それは気を遣うのではなくただ単にその相手と向き合うのが怖い。それが嫌だと思って逃げてるだけだと私は思うね…」
青葉「あっ、あぁっ…!?」
葉月「人間は誰だって何かと向き合う事が怖いと思う時もある。しかし、その怖いと思う時を乗り越えるのを止めたら、最後には何が残ると思う? ……答えは後悔だよ! あの時、こうすれば良かったなぁ…もっと向き合うべきだったと絶対に後悔するだろう!」
青葉「うぅ……」
葉月「だからこそ、君は八神たちが後になって落ち込む前に…決して嫌がらずに彼女らと向き合って、自分が後悔しないように正直に本当の事や自分の気持ちを伝えるべきだ! それこそ君の為になる…と、そう思わないかね?」ニコリッ♪
青葉「ハッ!? た、確かにそうです…。葉月さんの言った通り、私は八神さん達から気持ちとして逃げていました!!」
葉月「うむ。」
青葉「だけど、私は伝えないといけないんですね! 正直に転勤の事も自分の気持ちも!!」
葉月「そうそう!」
青葉「葉月さん、私…自分の口からしっかりと伝えます! 包み隠さずに全てを!!!」
葉月「その意気だ、涼風くん♪ さて、そろそろ八神たちの元に行きたまえ。」
青葉「はい! ありがとうございます、葉月さん!!」
葉月「うん。どう致しまして♪ 頑張ってきたまえ、涼風くん!」
~廊下~
青葉「八神さん!!」
コウ「あっ、青葉ー!? 皆ー、青葉がいたぞーー!!」
青葉「待ってください。私はもう逃げも隠れもしませんので、大丈夫ですよ?!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
~キャラ班ブース~
コウ「さて…青葉、訳を聞かせてもらおうか?」
青葉「はい!」
りん「昨日、今日とどうして寝不足なのかしら?」
はじめ「何が悪い事でもあった?」
ゆん「もしや、家庭で何が良くないことが起きたとちゃうのっ!?」
ひふみ「え、えぇっ……?!」
青葉「あっ、いやっ!? いっぺんに聞かなくてもしっかりと話しますので?!?!」
青葉「実は…………カクカクシカジカ(青葉は全て包み隠さずに話した)」
青葉「……と、言う訳です!」
コウ「へぇ~。転勤か…って、えぇっーーーー!? て、てんきんだとぉーーーーーーーーーーーーーっ!!!!????」
青葉「はい…」
りん「青葉ちゃん、それは本当なのっ!?」
青葉「本当です…」
はじめ「えっ、青葉ちゃんいなくなるのっ?!」
ゆん「信じられへんわっ!!」
ひふみ「あわわっ!? あ、青葉ちゃん……がぁ…!?」
青葉「皆さん、落ち着いてください!?」
りん「でも、一人暮らしを認めてもらえれば、辞めなくてもいいのよね?」
青葉「そうです。そのために夜遅く母に教わりながら、自分もつい、夜遅くまでイメージトレーニングで振り返りを!」
はじめ「そっかぁ。それで昨日、今日と寝不足だったんだね」
ゆん「大変やな、青葉ちゃん……。仕事もあるのに」
ひふみ「……青葉ちゃん」
青葉「はい?」
ひふみ「私も……力を貸す…から、頑張ろう……ね。」
青葉「えっ?」
コウ「そうだな。青葉に会社を辞められたら私はコンペでの張り合いが無くなって困るからな!」
りん「青葉ちゃんのおかげで私たちの職場は明るくなったもの…もっと居て貰わないと私も困るわ! だから私も協力するわね。」
青葉「そ、そんなっ?! 悪いですよっ!?」
ゆん「何を言うとるや! 青葉ちゃんがいのうなったらウチはめっちゃ悲しいんよ! せやから協力させてくれや、な?」
はじめ「そうそう。私だって青葉ちゃんがいなくなったら趣味の話も盛り上がらなくなるしね!」
ひふみ「私も…。コミュ症……克服しようって決意…出来たのも…少しずつ表情が…柔らかくなれた……のも青葉ちゃんの…おかげっ/// だから…青葉ちゃんには……ずっとここにいて…ほしい。青葉ちゃんが……いてこそ、私は変わるって……思える…からっ///」
青葉「皆さんっ……/////」ジ~ン
はじめ「でも、八神さんは協力できるんですかっ?」
コウ「はじめっ、それはどういう意味だっ!?」
はじめ「いっつもパンツ姿で過ごす人に家事はちょっと……て、思いまして」
コウ「なんだとっーーー!」
はじめ「わぁっ、止めてくださいよ、八神さんっ!? イタッ、イタタタタタッ!!」グリグリグリグリ
りん「クスッ♪ 確かにはじめちゃんの言う事も一理あるわね♪」
コウ「おい、りんまでっー?!」
りん「あらっ、休みの日はほとんど寝てて体を動かさず、朝昼晩私に食事を作りに来させる人は、誰かしら~?」ニコッ
コウ「うぅっ、それはっ……」
ゆん(八神さん、休日はそんな風に過ごしてたんですね……)ジィィィィ
ひふみ「コウちゃん……」ジィィィィ
コウ「ゆん、ひふみんっ……そんな目で私を見るなぁ~っ!!??」
青葉「ぷっ、あはははははーーっ♪」
コウ「青葉?」
ひふみ「青葉ちゃん……?」
青葉「いえ、皆さんがふざけ合う姿があまりにも可笑しくて! でも、こうやってふざけ合いつつも笑って過ごせる日々、皆さんと一緒に笑顔で仕事が出来る事が私にとっての一番の幸せであり、本当にこの会社に入って良かったと思いました! 後、皆さんは私に優しく、いつも私に仕事の厳しさと楽しさを教えてくれました……私はそんなキャラ班の皆さんが大好きです♪」ニコッ
青葉「そして、私は転勤でイーグルジャンプを辞めたくはありません……頑張って父に一人暮らしを認めて貰い、ここに残ってずっと皆さんと一緒に厳しくも楽しく仕事がしたいです!!!(これが私の正直な今の気持ちだ!)」キリッ
りん「青葉ちゃんっ/////」テレテレ
はじめ「うぅ~、嬉しいよ! 私たちの事をそんなにも良く思ってくれていたなんて…」ウルウル
ゆん「こんなんええ後輩を持ってウチらは幸せものやっ/////」テレテレ
ひふみ「青葉ちゃん……///// …ありがとうっ//」テレテレ
コウ「青葉~、嬉しい事言ってくれるねぇ!! 流石は私が見込んだ期待の後輩だよ!」グゥッ
それから…………
青葉「えぇと、ここは・・・」
りん「青葉ちゃん、ここはこうするのよ!」
青葉「あぁ、成る程! ありがとうございます、遠山さん」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青葉「う~ん、難しいなぁ」
ひふみ「青葉ちゃん……教えてあげる」
青葉「あっ、ひふみ先輩! お願いします!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青葉「あれっ、ここはどうするんだっけ?」
ゆん「ここはこうするんよ、青葉ちゃん!」
青葉「分かりやすくて助かります、ゆんさん!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青葉「ちょっと休憩~。喉が渇いたなぁ~」
はじめ「はい、青葉ちゃん♪ オレンジジュース!」
青葉「あっ、すみません、はじめさん」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青葉「さて、時間だ。すみません、お先に失礼します」
コウ「おぅ、青葉、お疲れ!」
青葉「八神さん、お疲れ様です!」
そして…………。
~一人暮らしの為のテスト 当日~
青葉「後はこうして……。お父さん、終わったよ、どう?」
父親「おぉ、良く出来たな! いいだろう、合格だ!」
母親「おぉ~やったわね、青葉ー!!」
青葉「ありがとう、お母さん♪(それと八神さん達もありがとうございます♪) これで一人暮らしが出来てここに残れるし、イーグルジャンプを辞めなくてもいいよね!!」
母親「もちろんよ。お母さんの教えた通りしっかりと出来るようになったわね。もう申し分ないし、教える事は一つもないわよー♪」
父親「…………あ、あのなぁ、青葉。それとかあさん」
青葉・母親「「んっ?」」
父親「実は転勤のことなんだが、なぁ……」
青葉「えっ、なに?!」
母親「なに、もしかしてまだ青葉の一人暮らしを認められないのかしら?」
青葉「えぇっー!?」
父親「ち、違う!? 実はな……」
父親「転勤……取りやめになったんだ!」
青葉・母親「「えっ・・・えええええぇぇぇぇっっっっーーーーーーーーー!!!???」」
父親「いやあ、実は今日また急に会社から「転勤は取りやめになったんだよ!」って言われちゃってさぁ……。だから、青葉! イーグルジャンプを辞めろって言った事はもちろん無しだ! むしろ、辞めろって言ってすまないな! あっ、母さんも転勤って言って振り回してすまないな!!」
青葉「なあんだぁ~。ハラハラして損したなぁ!!」
母親「はははっ、そうね。一人暮らしの為にって教えたけど、青葉も寝不足になってまでやったのに損をしたって言っちゃあ損をしたわね…」
父親「でも、辞めなくて良かったなぁ、青葉! もう少し早く辞めていたら、絶対に後悔してたしなぁ!」
青葉「って、お父さん!? 辞めるわけないよ! だって、イーグルジャンプは私にとって憧れで、良い居場所なんだから~!!」
父親「はははっ、ごめんごめん!!」
母親「まったくもう~、お父さんは!」
一家「あはははははっーーー♪♪」
父親「転勤……取りやめになったんだ!」
青葉・母親「「えっ・・・えええええぇぇぇぇっっっっーーーーーーーーー!!!???」」
父親「いやあ、実は今日また急に会社から「転勤は取りやめになったんだよ!」って言われちゃってさぁ……。だから、青葉! イーグルジャンプを辞めろって言った事はもちろん無しだ! むしろ、辞めろって言ってすまないな! あっ、母さんも転勤って言って振り回してすまないな!!」
青葉「なあんだぁ~。ハラハラして損したなぁ!!」
母親「はははっ、そうね。一人暮らしの為にって教えたけど、青葉も寝不足になってまでやったのに損をしたって言っちゃあ損をしたわね…」
父親「でも、辞めなくて良かったなぁ、青葉! もう少し早く辞めていたら、絶対に後悔してたしなぁ!」
青葉「って、お父さん!? 辞めるわけないよ! だって、イーグルジャンプは私にとって憧れで、良い居場所なんだから~!!」
父親「はははっ、ごめんごめん!!」
母親「まったくもう~、お父さんは!」
一家「あはははははっーーー♪♪」
~翌日 イーグルジャンプ~
青葉「という訳で、転勤は取りやめになりまして……」
コウ「なあんだぁ~。まったくヒヤヒヤさせやがって!」
りん「でも、良かったわ♪ これでまた青葉ちゃんと一緒に仕事ができるものね!」
はじめ「青葉ちゃん、改めてよろしくね!」
ゆん「ウチからもや!」
ひふみ「青葉ちゃん……が、いなく…ならなくて……良かったぁっ///」
青葉「すみません、人騒がせしましたが、改めましてよろしくお願いします!」
一同「よろしく!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
コウ「おい、青葉ー。さっそくだけど、これ頼むよ!」
りん「青葉ちゃん、葉月さんが後で話したい事があるそうよ。頼むわね?」
ひふみ(社内メッセ)『青葉ちゃん、分からない事があったら聞いてね!(^^)!』
はじめ「青葉ちゃん、このフィギュアなんだけど、さぁ?」
ゆん「青葉ちゃん、ちょいといい?」
青葉「はい、分かりました!! 涼風青葉…今日も頑張る、ぞい♪」
おしまい
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