奈緒「早く晶葉から借りたゲームもクリアしないとな……」 (62)

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奈緒「さーて、晶葉から借りたゲームでもやるか……」
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【安価】奈緒「そろそろ今日も晶葉から借りたゲームやるかぁ」
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奈緒「よし、今日も晶葉から借りたゲームでもやるか」
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奈緒「晶葉から借りたゲームでもやるかー」
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――夜、奈緒の部屋

奈緒「22時か……よし、やるか」

奈緒「セーブデータをロード……昨日は紗枝が触手プレイされてからの見事なまでの掌返しでPさんに堕ちたんだよなぁ」

奈緒「一番落差が酷いというか、他のメンバーはそうでもなかったのに……あんなことされた後だってのに、紗枝はその気があるってことなのかな。ハハッ!」

奈緒「まあ話も結構進んだし、あともう少しで終わりそうだけど、どうなるのかなぁ」

奈緒「ロードも終わって……さーてと……」


――――
――




[6-1]



……
…………

――早朝、ブラックパールガーデン、屋敷(居間)

歌鈴「おはようございまー……ふわぁ……」ガラッ!


紗枝「おはようさんどす、歌鈴はん」

珠美「おはようございます」

歌鈴「おはよ……あれ? 紗枝ちゃん、今日も朝ご飯作ってくれてるんですか?」

紗枝「作らなあきまへんやろ? Pはんが降りてくる前に準備せな」

歌鈴「そ、そう……」

珠美「この掌返しは未だに慣れませんね……以前までの、P殿にキツく当たっていた紗枝殿は一体……」

紗枝「珠美はん? 何か?」スッ……

珠美「ヒィッ!? い、いえっ! なんでもありません!」

紗枝「うちがPはんに何かしはったとか……そないなこと、ありまへんしなぁ?」

珠美「そうです、そうです……ですから、その、料理の途中で包丁を人に向けるのは危ないと思うのですが……」

紗枝「あら、えろうすいまへんなぁ」


歌鈴(こ、怖い……)

珠美「紗枝殿のあの様子、いつまで続くんでしょうか……」ヒソヒソ


……
…………

――数十分後、屋敷(居間)

P「……」モグモグ

紗枝「Pはん? 朝ご飯しっかり食べて、今日もお仕事よろしゅうお願いしますね」

P「ん……はい……」モグモグ



歌鈴「……なんだかPさん、元気ないね」ヒソヒソ

珠美「何かあったのでしょうか?」

あやめ「どうやら今朝方、P殿が部屋で就寝していたところを紗枝殿が……」

歌鈴「あ……」



P「……あ、そうだ皆」

歌鈴「はい?」

P「ちょっと連絡遅くなったんだが、週末に春霞全員で撮影の仕事入ったから」

珠美「春霞ということは、芳乃殿もですか」

P「芳乃の初めての仕事にもなるし、しっかり頼む」


あやめ「それは構いませんが、お仕事の内容は?」

P「夏だからな。海で水着のグラビア撮影取ってきたんだ」

珠美「え゛っ」

歌鈴「え゛っ」

P「おいおい、アイドルなんだからそれくらいは頑張ってくれよ。あと、今回の仕事取ってきたのは俺じゃなくて翠だから」

珠美「いえ、その……まあ、はい」

P「紗枝も、悪いけど皆のこと頼むよ。仕事もしっかりな」

紗枝「大丈夫どす。うちならちゃあんとお仕事できます」

P「それならいいんだが……まあ、今日は全員学校だから、早く朝飯食べてしまうか」

……
…………

――午後、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(格納庫)

晶葉「ようやくブロッサムディーヴァ全機体の同期作業が完了したな。あとはツクヨミヒメだけか」

P「前回の戦闘のおかげで作業やり直しになって、物凄く時間掛かったな……」

晶葉「破壊者の対処が優先だから仕方がない。とはいえ、最後の問題はツクヨミヒメか」

麗奈「ヤタノカガミ、地上に降ろすの?」

晶葉「月に置いてあるヤタノカガミを降ろすと破壊者の観測が出来ないからな……むしろツクヨミヒメと交換でもいいんじゃないかと思っているが」

P「ツクヨミヒメを宇宙に上げても仕方ないんじゃないか?」

晶葉「まあ、ヤタノカガミとして機能させるにしても、ツクヨミヒメのフィールドジェネレーターじゃ出力が足りないからな」

麗奈「それじゃ地道にシステムデータ吸いだして同期取らせるしかないでしょ。あと機体の換装と」

晶葉「そこら辺の話は千秋に相談だろうな。来週にある出資者たちへの報告会で方針も提示しておかなければならんだろうし」

P「そうだなぁ……それにしても、ブロッサムディーヴァとツクヨミヒメの換装……新しいダイオウカーで、どこまでやれるもんなんだろうか」

晶葉「……P、お前には一応話しておく。桜霞……じゃなかった、春霞の4人には話していないが」

P「なんだ?」

晶葉「乗り換え後の新しいダイオウカーはこれまでのダイオウカーとは全く異なる……いや、完全に別物だ。生まれた経緯と、その目的までもが」

P「元々作っていたヤタノカガミを利用して、ダイオウカーの上位機を作ったわけじゃないのか?」

麗奈「……そうね。違うわ」

晶葉「新しいダイオウカーの力の根源は法術とは似て非なる物、それは遥か昔、この世界に――」




芳乃「破壊の力とー、誕生の力とー、再生の力がありましてー」



P「芳乃? あれ、そういえば学校……」

芳乃「……わたくしはー、自ら通学し、帰って来ているのでしてー」ムスッ

P「あ、そう……まあいいや。んで、今話してくれたのは、ダイオウカーの力の根源ってやつか?」

晶葉「芳乃の言う通りだ。遥か昔……この世界では大きな争いが起きた」

晶葉「破壊の力を振るう存在と、それに抗う英雄たち……英雄たちは、破壊の力に対抗する為に、誕生の力と再生の力を手に入れた」

晶葉「ヤタノカガミは、そのうちの誕生の力の一端を使用して作られた物……誕生の力の本質は、無限に生み出されるエネルギーだ」

晶葉「そのエネルギーを法術として変換し、ダイオウカーの力にする。その力は絶大であり、あらゆる力を凌駕する」

P「んー、よくわからんが破壊の力ってのは破壊者みたいなやつってことか? んでそれに対抗して、出自はよく分からないけどその誕生の力だとかを使うと」

晶葉「これまでのダイオウカーは、言うなれば誕生の力を使う器として、新しいダイオウカーが耐え得るのに必要なデータを収集する為に運用していたと言ってもいい」

晶葉「必要なデータも、機体も用意できた。後はそれを使い、破壊者を打ち倒すだけだ」

P「ふうん……無限のエネルギーって何か凄いな。ていうかそんなメチャクチャに強い力なら、破壊者との戦闘で色んな物もぶっ壊したり吹っ飛ばしたりしそうだけど」


P「あ、でもそういう時は再生の力? っていうのは使えばいいのか? 再生ってことは元に戻すことが出来る力ってことだろうし――」

麗奈「……英雄たちは……そうね、どっかのバカの言葉を借りるなら、そいつらは偶像の象徴とでも言えばいいのかしらね」

麗奈「英雄たちは、誕生の力と、再生の力を手に入れた。破壊の力に抗う為に……だけど、それは不完全な物だったのよ」

P「不完全?」

麗奈「誕生の力を得ることが出来た。再生の力は……ダメだったのよ」

麗奈「ただ結果として、英雄たちは誕生の力と、不完全だけど何となく手に入れた再生の力を使って、破壊の力を退かせたってことよ」

P「なるほど。つまりぶっ壊したものは直せないと。まあ破壊者を倒すのが仕事だからいいんだろうけど……あ、もしかして草薙剣って」

晶葉「そうだ。ヤタノカガミを格納している月から落としている剣……誕生の力を使い、莫大なエネルギーを生み出している必殺の力だ」

晶葉「現行のダイオウカーそのものには誕生の力は無く、武装として標準搭載出来ないから戦闘時に適時月から下ろしている」

P「歌鈴も草薙剣を使うのは辛そうにしてたからな……それだけ凄い力を持った武器ってことか」

晶葉「現行機では草薙剣を一振りするのが限界だ。それ以上使用すれば一瞬でフィールドジェネレーターが崩壊、機体もバラバラになるほどだ」

晶葉「だがようやく、誕生の力を受け止めれるだけの機体を作ることが出来た」

晶葉「ヤタノカガミが使えなかったとしても、新しいダイオウカーならば草薙剣を存分に振るうことが出来る」

麗奈「そうなれば破壊者との戦いも、まずアタシたちが負けることはない。それで、この世界は助かるのよ」

P「ん? いやまあ確かにそういう力を好きに使えるなら、破壊者との戦闘も楽勝っていう話は分かるんだけど、物凄い強さの破壊者が来るかもしれないし……」

麗奈「それは無いわ」

P「え?」

麗奈「それは無い、それだけは……無いわ。この世界はその局面にいない。誕生の力が使えるなら、それでこの世界は勝てるのよ」

P「そ、そうなのか……まあ、それだけ凄い力なら、早く新しいダイオウカーを使えるようにしないとな」

晶葉「そうだな。それじゃ早いところヤタノカガミについて千秋に相談しに行くか……ほら、善は急げだ、行くぞ」

……
…………

――夜、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(レッスン場)

「「「ええー!!」」」

歌鈴「Pしゃっ、一緒に海に行かないんでしゅか!?」

P「どんだけ噛むんだ」

珠美「珠美たちを羞恥に晒すだけではなく、ご自分は安全なところに避難するということですか!!」

紗枝「あんさん……さっきのお話、よう聞こえへんかったので、もう一度お願いしますえ?」

P「いやだから撮影の仕事は俺じゃなくて翠が伝手で取ってきたって朝話したろ……」

紗枝「……」ギロッ!

翠「いえ、その……何処から薙刀を出したのかは分かりませんが、刃をこちらに向けないでください……」

芳乃「……」ハァ、ハァ……

あやめ「練習お疲れ様です、芳乃殿。今のうちに水を飲んで落ち着きましょう」

芳乃「むー……」

歌鈴「せっかくみんなで海に遊びに行けると思ってたのに……」

P「いや仕事だからねキミたち。まぁ、俺は元々行く予定はなかったんだが、さらに別件が入ってな……」

翠「私が同伴する予定だったのですが、次の報告会に向けて別の準備をする必要が出来て……申し訳ありませんが」

珠美「翠殿も海へ行けないということですか?」

紗枝「……せやったら、Pはんも翠はんもおらんのに、うちらだけでどないすればええんどすか?」

翠「一応、撮影の件については美優さんに引き継いでいますので」

P「春霞の仕事については問題ないとは思ってる。あと、俺と翠の仕事は出張だから2日ほど帰れないからな」

あやめ「それはP殿と翠殿、お2人は同じお仕事ということでしょうか?」

翠「報告会の件で、ダイオウカーの運用について変更される内容が大きいので……事前のすり合わせを慎重に行う為に2人で行くことになりました」

歌鈴「ダイオウカーの?」

あやめ「もしやそれは、開発室で作業をしている……」

P「まあ、新型の話だ。だから皆にとっても重要なことだし、今回の付き添いは楓さんと美優さんの2人だけになるが、我慢してくれ」

珠美「それを言われてしまうと……仕方がないですね」

……
…………

――週末、静岡県、熱海市、熱海サンビーチ(海岸)

歌鈴「海だー!」

珠美「なんだかんだと、海に来ると幾らかは楽しい気分になりますね」

紗枝「お天道様も昇って、ええ撮影日和やわぁ」

芳乃「ほほー……」

あやめ「楓殿、わたくしたちはどうしていればよいでしょうか?」

楓「スタッフのみなさんにご挨拶しておきましょうか。美優さんは監督の人と撮影のお話をしているところですし」

歌鈴「はぁい。はぁ……Pさんも一緒に来てくれたらなぁ」


……
…………

――東京都、某所(車内)

P「よし終わり……次は飛行機か」バタンッ!

翠「今から空港に向かって飛行機に乗って……現地での打合せが終わる頃にはもう夜になってそうですね」

P「まあ北のほうには黒川千秋が行ってるからいいけど……それにしても体が足りないな」

翠「仕方がありません。疲れを残さないようにしませんと……」ペラッ、ペラッ

P「何見てんの?」

翠「これですか? 今日宿泊予定の旅館の案内ですが……読みますか?」

P「いや俺運転してるから……ってあれ、ホテルじゃないの?」

翠「はい」

P「まあビジホよりはのんびりできるし……気になる場所でもあったのか?」

翠「いえ、Pさんと外泊するのでしたら、なるべく良さそうなところがいいかと思いまして」

P「……俺は突っ込まないからな」

翠「えっ? い、いえ……その、ここでするよりは、旅館に到着してからで……」

P「いやそういう話じゃなくてだな……」

……
…………

――静岡県、熱海市、熱海サンビーチ(海岸)

「この後は人数分けて別々に撮影しますので、組み合わせなんですけど」

美優「えええ……えっと、それじゃあ、私たちのほうで付き添うのは……」



歌鈴「美優さん、大変そうですね……」

あやめ「普段はP殿や翠殿が、わたくしたちのお仕事の段取りを整えてくれていますからね」

珠美「というよりも、来るとき一緒だった楓殿は一体どこに……」

紗枝「ほんまや……うちらが水着に着替えとるときはおったのに」

芳乃「……」ピクッ



「……導かれてここまで来たけれど、どうやら行き詰まっているみたいね。三船美優」




美優「えっ?」

歌鈴「へ?」

あやめ「何者……」

紗枝「あの服装……お城のめいどはんの衣装や」

珠美「いえ、というか、あの女性が担いでいるのは……」

「楓はそこの海の家で堂々と酒を煽っていたわ。必要であれば叩き起こして使うのよ」ポイッ!

ドシャッ!!

楓「……」


美優「か、楓さん!? 楓さーん!!」

珠美「いやあの、楓殿は間違いなく意識がないと思うのですが……」

「酔った楓を連れてくるには、腹部に一撃を叩き込むのが一番効率的……」

あやめ「いえそれは誰に対しても同じかと」

「ところで、貴方たちは……春霞のメンバーということかしら?」

歌鈴「は、はい……」

「楓は動かず、美優もまだ不慣れでいるところ……ここからは私が、美優の代わりとなるわ」

美優「えっ? ええと……あの、すみません、お名前は……」

「……挨拶が遅れたわね」


のあ「私は……高峯のあよ」


……
…………

――夕方、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(格納庫)

整備士「はい、シミュレーターの準備終わりましたよ」

歌鈴「昼はお仕事、夜はダイオウカーの訓練かぁ……」ハァ……

紗枝「仕方があらへんやろ? Pはんがいなくても、うちらでしっかり訓練しておきまへんと」

珠美「珠美はこちらのほうが性に合ってますから、今からでも飛ばしていけますよ!」

芳乃「ほー……」

歌鈴「あ、芳乃ちゃんと一緒に訓練するのって初めてですよね」

あやめ「芳乃殿、シミュレーターでの訓練は?」

芳乃「動かしたことであればー」


のあ「春霞……今回の訓練では、これまでの破壊者との戦闘データを使用した疑似戦闘を行いなさい」


あやめ「おや……貴方は」

のあ「貴方達の担当が不在という話を聞いた……代わりに、昼間と同じように私が監視役となるわ」

紗枝「……だいおうかーの訓練、あいどるのお仕事と違うんやけど」

のあ「問題ないわ。貴方達がどれほどの技術、精神を持っているのか……私に見せてみなさい」


麗奈「んー……あ、のあじゃないの」


歌鈴「麗奈ちゃん? のあさんとお知り合いだったんですか?」

麗奈「連合にいたときに一緒に仕事してたのよ。まあ……腐れ縁?」

のあ「その表現……適切ではないわね。言うなれば私は分かれた身……言うほど貴方と長い時間を共にしてはいないわ」

麗奈「何でもいいけど……アンタたち、訓練やるならしっかりやんなさいよ。のあは連合で特務隊の教官やってたんだから、指導ならそれなりよ」

珠美「よくわかりませんが、つまり指導者ということですね。よろしくお願いします!」

のあ「貴方達が私についてこれるかが問題……さあ、訓練を始めるわよ」

……
…………

――数時間後

珠美「……」ハァ、ハァ……

あやめ「これは……まったく……」

歌鈴「……」

紗枝「うっぷ……」

芳乃「ほほー……」ボリボリ

のあ「10分の休憩時間の終了……次のシミュレーターを起動させるわ。め……依田芳乃も、煎餅は片付けなさい」

芳乃「むー」ゴソゴソ

珠美「も、もう少し待ってください……か、歌鈴殿が……」

歌鈴「……」

あやめ「完全にダウンしていますね。歌鈴殿、起きられますか?」

歌鈴「う……」

紗枝「こないな訓練、今までやっとらんし……もう少し休まんと……」

のあ「……ダイオウカーのパイロットであれば、もう少し出来るものかと思っていたけれど……どうやら、私の認識が誤っていたということかしら」

珠美「え?」

のあ「これまでの戦闘は、機体性能に頼っていただけ、ということ……まさか、この程度の訓練が限界とは、思わなかったわ」

紗枝「そんなこと……」

のあ「貴方達の指導者が、余程甘いだけなのか……もしくは、貴方達の不出来の尻拭いを自らしているのか……」

歌鈴「P……Pさんは、しゃんと私たちに、色々教えてくれてます……!」グググッ!

珠美「そ、そうです! 確かに技術的なことは不得手な方ではありますが……精神の在り方や、心構えについて説いてくれました!」

紗枝「あんさん、うちのPはんのことなんて、なんも知らへんで好き勝手ばかり……!」キッ!

あやめ「み、みなさん落ち着きましょう。のあ殿も、わたくしたちがこれまでやってきた訓練は、連合のそれとはまた異なりますので……」

芳乃「……」

のあ「……そうね。今の発言については私にも非がある……最後の部分については謝罪をするわ」

のあ「ただし、訓練の不足については別……もうしばらく続けるわよ」

歌鈴「う、うええええ……」


……
…………

――ブラックパールガーデン、屋敷(居間)

歌鈴「体痛い……」

珠美「いやしかし、とても厳しい方でした……」

紗枝「なんやあの人! うちのPはんのこと好き勝手言って!」

歌鈴「そうですよね。私もちょっとムッと来ちゃいました……」

あやめ「まあまあ、確かに訓練中ののあ殿の発言には思うところもありましたが……P殿がアイドルの指導はともかく、戦闘の指導について不慣れなのは事実ですし」

歌鈴「でも……私たち、Pさんに教えてもらったから、これまで戦ってこれたのに……」

珠美「とはいえ、戦闘中もP殿自ら出撃し、お力を借りているのもまた事実」

紗枝「はぁ……Pはん、はよ帰ってきぃへんかなぁ……こないないときに、翠はんと2人でお泊りなんで……」ゴゴゴゴゴ……!!

珠美「お、落ち着いてください紗枝殿……ま、まあ遅くなったので、晩御飯の用意をしましょうか」

……
…………

――ブラックパールガーン、ブラックパール城(客間)

のあ「……いくら破壊者が、あの時の存在だったとはいえ……彼女たちの戦闘力は低すぎるわね」

麗奈「ま、レイナサマが直接やれば指1本で全部燃やし尽くせるけど……そうねえ、あんなもんに乗らないと戦えないなんて、面倒くさいったらありゃしないわ」

のあ「とはいえ、それは小関麗奈が生きていた世界での話……この世界ではこうして戦うのが道理……」

麗奈「法術なんてしょぼくれたモンは残ってるってのに。せめて島村やガキんちょたちくらい戦えれば何も問題ないんだケド」

のあ「……レイナ、貴方はなぜ私を呼んだのかしら?」

麗奈「ん?」

のあ「いえ、正確には私の複製品を選んだ……事態の解決を優先するのであれば、南条光や安部菜々、島村卯月、シンデレラガールのほうが余程……」

麗奈「バカね、それじゃ意味ないでしょ。この世界のことはこの世界の人間に何とかさせないと」

麗奈「アタシや他のバカたちが無理に出張って片付けても仕方がないのよ」

のあ「……そう。私はてっきり、南条光や安部菜々と顔を合わせることに抵抗があるのかと思っていたわ」

麗奈「んなわけないでしょ! ま、まあ……あいつらとまた顔合わせるのもね……アンタは口は堅そうだし、小間使い程度なら丁度良いって思っただけよ」

のあ「素直じゃないのね。南条光から受け取ったその指輪……まだ残しているというのに」

麗奈「これはいいのよ。義理っていうか、最後の約束っていうか……」

のあ「そう、野暮なことを聞いたわ。この世界の争いの果てが、楽園へと続いてしまうのならば話が変わってくるのも事実」

のあ「女神の2人が産み落とされているとしても、その力は無い……」

麗奈「そういうことよ。てか、この世界は何とかしておかないと、この前行ってた蜂が飛び回る世界も危ないのよ。次元が隣接してるし」

のあ「分離した他の世界の話、かしら?」

麗奈「色んなところ行ってきた中で、あそこは一番ヤバかったところね。他の世界とも近づいてるし……アタシは途中で帰ったけど、その後はどうなってることやら」

麗奈「ま、あれだけお膳立てしてやって結局滅ぶなら、それまでの世界だったってことだけど」

のあ「そう……私たちの世界とは無縁の話だけれど、思うところがあるわね」

麗奈「アンタたちはアンタたちでしんどかったでしょ。まあ、ここでこんな話しても仕方ないし、連合から持ってきたデータの照合、さっさとやっちゃうわよ」

のあ「ええ、そうね」


……
…………

----------------ここから関係ない話----------------


千佳「マジカルガールズのコーナー!」

舞「今日の魔法少女を紹介しますね。今日の魔法少女は……この子です」


https://i.imgur.com/s1K3mxz.jpg


由愛「マジカルガールフレイム。炎を操る最強の魔法少女です。その炎はあらゆるすべてを燃やし尽くすと言われています」

由愛「得意な魔法は……えっと、炎の渦のマジカルフレイム・ストーム、ジャスティス・フレイム・トラップ」

由愛「このスレ的には他の魔法も使ってますね」

舞「モバマス版のほうでは消防法を気にしていたり、実はとっても良い魔法使いさんなんですよ」

千佳「それじゃあ今日はここまで! これからもマジカルテット・マジカルガールズをよろしくね!」



――(デレステに来てくれて)めっちゃ嬉しい


----------------ここまで関係ない話----------------

今回はちょっと大変でしたね

――翌日、夕方、ブラックパール城(格納庫)

周子「……」モソモソ

のあ「妖……塩見周子、何を食べているのかしら」

周子「八ツ橋。食べる?」

のあ「八ツ橋……頂くわ」

周子「で、どーなの? あの子たち訓練させて」

のあ「何とか形になる……いえ、させるしかない。新しいダイオウカーがこうして最後の戦いに間に合うのであれば、後は彼女たち次第よ」

周子「ふーん……最後なんだ」

晶葉「これまで麗奈がのあに横流ししていたダイオウカーの戦闘記録、そこで計測した破壊者たちのデータを照合したが……間違いないだろう。恐らく破壊者も完成される」

周子「大魔王、出てきちゃったり?」

のあ「その欠片……とはいえ絶大な力であることには変わりはない」

麗奈「あーもう……考えるだけで腹立ってくるわね。レイナサマやナナがどれだけ……」

麗奈「っと……あっちのシミュレーターも終わったみたいね」

パシュンッ!

歌鈴「あううう……」ドサッ!

紗枝「朝からずっと訓練続きで……もう、あきまへん……」ハァ、ハァ、ハァ……

珠美「流石に……少々苦しいですね」

あやめ「芳乃殿は全然平気そうでありますが……」

芳乃「大変でしてー」ボリボリ


のあ「煎餅を食べている暇はないわ。依田芳乃……いえ、全員ね」

珠美「いえあの、珠美たちは食べていないのですが……」

のあ「シミュレーターの記録も……そうね、現状では満足な結果ではない」カタカタカタッ!

のあ「これまでの訓練の成果も芳しくない、か……いえ、むしろ指導者側の責任のほうが大きいのかしら……」

歌鈴「むっ……Pさんは悪くありましぇん!」

紗枝「そうや! 昨日からうちのPはんに好き勝手言いはって……あんさん、何様のつもりや!」

のあ「当然の評価よ」

珠美「珠美たちに至らないところがあるのは百も承知です! そしてP殿のご指導があるおかげで、これまで戦ってこられたのも事実です!」

あやめ「お、おやめくだされ……みなさん、何も言い争うことは……」

芳乃「むむ……茶の湯が欲しいのでしてー……」ササササッ

麗奈「アイツらも元気ね……」

周子「いやー、若い若い♪ あたしたちなんて騒ぐ元気もないのにねー?」

晶葉「私も巻き込むなよ……む? おお千秋に翠にP、もう戻ってきたのか?」


「「「「えっ!?」」」」ビクッ!


P「おー、ただいま」

翠「現地での予定が早めに終わってしまったので、前倒しで戻ってきました」

千秋「私のほうは元々今日帰ってくる予定だったけど……翠さんから連絡があったから空港で合流したのよ」

P「美優さんに聞いたら、みんな格納庫にいるって言うからさ。おみやげもほら」

ダダダダダッ!!

珠美「P殿!」

P「ん、なんだ? みんなしてそんな険しい顔して」

歌鈴「違うんです、あの人が!」

紗枝「うちらのことだけやなくて、Pはんのことまで好き勝手言いはって……!」

P「あの人?」チラッ

のあ「……」

P「……え」



のあ「……P」

P「……うん」

のあ「……今日の夕食は、お願いするわ」

P「母ちゃん……久しぶりに息子に会って最初に言うセリフがそれかよ……てか何でこんなとこにいんの?」


「「「「はあ!?」」」」


P「え、何?」

歌鈴「え……へ……?」

紗枝「P、はんの……」

珠美「お母上殿……ですか」

あやめ「なんと」

芳乃「……」ズズーッ!

のあ「……言ってなかったかしら?」


……
…………

――夜、ブラックパールガーデン、屋敷(居間)

歌鈴「あ、あのあのっ! Pしゃんのお母しゃ……へぶっ!ドガッ!

珠美「P殿のお母上! 日頃からP殿にはご指導頂いている身で……ごふっ!」バキッ!

紗枝「お義母はん? うち、小早川紗枝いいます。Pはんとはうち――」

のあ「知っているわ。小関麗奈からの話で、Pに風当りの強いパイロットがいる、と聞いていたわ」

紗枝「」

千秋「そろそろ戻ってくる頃だと思っていました。ダイオウカーについてのお話も伝わっていると思っていたので」

のあ「私がこの場にいることで、貴方達の役には立つことは出来ないけれども……私には、見届ける責任がある」

のあ「その為に、長い間こうしていたもの」

あやめ「ということは、欧州に行く前から既に……」


P「飯出来たぞー……賑やかだな」

翠「テーブルを空けてください。お皿を並べますから」

歌鈴「は、はいぃっ!」


のあ「悪いわね。P、貴方も疲れているでしょうけれど」

P「そう思うなら食堂で食べてくれると嬉しかったんだけど……ほら、麻婆豆腐」

珠美「麻婆豆腐ですか! P殿の作る麻婆豆腐はとても美味しいですからね」

のあ「そう……この子の作る麻婆豆腐は価値のあるもの。この子は麻婆豆腐が作れるからこそ価値があるの」スッ……

P「まるで俺が麻婆豆腐以外に価値がないみたいだな……」

のあ「いえ、そういうわけではないわ。ただ私は、貴方の作る麻婆豆腐を食べたかっただけ」モグッ……

珠美「そういえばP殿がお話していましたね。お母上殿は麻婆豆腐がお好きだったと」

のあ「そう、私が……えふっ! 食に……えふっ! 関心が、持てたのも……えふっ! この麻婆豆腐の……えっふえっふ!」

P「咽ながら喋るなよ」

芳乃「少々辛いのでして……あちち」

翠「どうぞのあさん、お水です」

のあ「ありがとう……」

P「んっとに……まさか母さんがこの仕事してたなんて」

のあ「話していなかったもの」

P「そりゃな……いやまあ、ヨーロッパにいたとは思わなかったけど」

のあ「……」

P「ん、どうした?」

のあ「……いえ、何でもないわ」ハムッ、ハフッ


……
…………

――翌日、ブラックパール城(指令室)

楓「こっちの端末情報は月に転送完了……美優さん、そっちはどうですか?」

美優「こちらも、もう少しです……それにしても、ここのデータを全部転送するのも……大変です」

晶葉「すまんな。開発室もブロッサムディーヴァの調整で人手が足りなくてな」

美優「それにしても……月に行くことになるなんて……」

晶葉「悩んではいたんだがな。ツクヨミヒメの同期作業が、こちらにいたままでは進捗が悪くてな」

楓「それじゃあ、ヤタノカガミを使うことにしたんですね」

晶葉「そのほうが手っ取り早くて済むからな。ただ、月の観測機能の大部分が低下してしまうが……ツクヨミヒメを置いていくつもりだから、無いよりはマシ程度だが」

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

晶葉「む、どうした?」

美優「ちょっと待ってください……ヤタノカガミからの観測結果が……!」


……
…………

――ブラックパール城(格納庫)

あやめ「ダイオウカーのパワーアップ、ですか」

P「そうだ。ここしばらくの間、開発室のほうで行っていたブロッサムディーヴァの換装作業、データ同期が完了した」

P「換装したブロッサムディーヴァについての操作性についてはこれまで通り変更はない。武装面についても大幅に強化されている」

歌鈴「……あれ、ツクヨミヒメってなにもないんですか?」

翠「ツクヨミヒメについても同様に作業を行っていたのですが……ブロッサムディーヴァと異なり換装作業が非常に困難ということになりました」

珠美「そのまま、ということですか?」

翠「いえ、あくまでダイオウカーにとってブロッサムディーヴァは装備の1つです。ツクヨミヒメについては乗り換えとなります」

歌鈴「乗り換え……新しいツクヨミヒメがあるってことですか?」

P「まあ正確には新しいってわけじゃないが……月にヤタノカガミがあるだろ?」

紗枝「破壊者がいつ地球にやってくるか、観測しとる機械やね」

P「それが、ツクヨミヒメの元になったもんらしい」

あやめ「なんと、ヤタノカガミはツクヨミヒメと同様にロボットだったのですか」

P「いや俺も聞かされたときはビックリしたんだけどね、ホント」

翠「ヤタノカガミの本来の名前は、アマテラスといいます。元々ツクヨミヒメは、旧ブロッサムディーヴァではアマテラスを制御できなかった為にスケールダウンをして再設計した機体になっていました」

歌鈴「つまり……ツクヨミヒメよりとっても強いってことですか?」

珠美「それは素晴らしいですね! ダイオウカーが強くなるということであれば、これで向かうところ敵なしです!」

P「まあ、結果的にそうなるらしいんだけどね。てわけで、みんなで月に行くから」

珠美「は?」

芳乃「ほほー」

P「ヤタノカガミを使うってことは破壊者の観測が出来なくなるわけだ。月からここに降ろすのも物凄い手間で大変らしいし、それならいっそのこと月まで行って取りにいけばいいということでな」

のあ「……ダイオウカーであれば、宇宙に出ることも出来るわ」

のあ「作業班はシャトル、パイロットはダイオウカーでそれぞれ宇宙へ上がり……月に到着次第ツクヨミヒメはアマテラスと乗り換えを行う」

のあ「もし、途中で破壊者が来ることになっても……そのままダイオウカーで破壊してしまえばいいわ」

P「まあ、宇宙に上がるのも大変だろうけど、降ろす作業やるよりは楽ってことみたいだな」

翠「というわけで、作業中はダイオウカーの稼働時間がそれなりに伸びることが予想されますので、ブロッサムキャリアーに設置した負荷軽減装置をツクヨミヒメに移動させます」

紗枝「な、なんでや……?」

P「前にキャリアーに置いたのは、紗枝がいなかった分をフォローする必要があったからで、全員が出撃できる状態なら各機と接続しているツクヨミヒメに置いて全員の負荷を軽減したほうが効率がいいからな」

歌鈴「Pしゃんと一緒……や、やった……うへへ」

紗枝「……歌鈴はん?」ギロッ!

歌鈴「ひっ、ひええええっ!? な、なんでしゅか……」

あやめ「まあわたくしたちは細かいお話までは分かりませんが、とりあえず月に行って、歌鈴殿がヤタノカガミ……アマテラスに乗り換えれば良いということですね」

P「まあそういうこと。てわけで、スケジュールなんだが――」

ピピピッ!

P「ん?」

翠「はい、私です……博士ですか?」

晶葉『ああ。格納庫にパイロットは全員いるか?』

翠「はい、ダイオウカーについての話は大体終わりましたが……」

晶葉『ならば丁度良い。つい先ほどヤタノカガミが起動した。破壊者の存在が観測されている状況だ』

歌鈴「破壊者……!」

晶葉『初期解析については既に開発室に回している。だが今回については、これまでとは少し状況が異なる。奴らの移動先は地球ではない』

あやめ「ここではないと?」

晶葉『そうだ。敵も何かしら学習していることは分かっていたが……今回の敵の狙いは、月だ』

のあ「ヤタノカガミ……いや、アマテラスの破壊が目的、ということね」

晶葉『恐らく前の破壊者、クラーケンがダイオウカーを通じてデータを得たのか……とにかく、月を直接狙われるのはマズイ。急いで出撃してくれ』

P「作業班のほうはどうなる?」

千秋『そちらについても、最低限の作業メンバーを確保次第シャトルで向かうわ。ダイオウカーは先行して月に向かいなさい』

翠「千秋さん……分かりました。それではPさん」

P「ああ、俺も歌鈴と一緒にツクヨミヒメに乗る。翠たちも急いでくれよ」

珠美「わかりました。くっ……こんなときに……!」

芳乃「……」

歌鈴「……どうしたんですか、芳乃ちゃん?」

芳乃「……いえー。やはり、こうなってしまうのかと思いましてー」

歌鈴「なんの話ですか?」

芳乃「……」タタタタッ!

歌鈴「あっ……芳乃ちゃん!」

P「歌鈴、話はあとだ。春霞、出撃するぞ!」

……
…………

――ブラックパール城(指令室)

楓「ダイオウカー、出撃しました。フィールドジェネレーターの展開状況、スクリーンに出します」カタカタカタッ!

千秋「やっぱり、彼の搭乗によってパイロット全員のバイタルが安定しているのね。フィールドジェネレーターの展開状況も良いわ」

ピピピッ!

歌鈴『ダ、ダイオウカー、いまから宇宙に行ってきます!』

紗枝『空気、大丈夫やろか』

晶葉「その点については心配しなくていい。こんなこともあろうかと、宇宙での戦闘も想定したうえで開発したからな」

P『ならいいけど……それじゃあ芳乃、飛行については任せたぞ』

芳乃『わかりましたー』

ピピピッ!

のあ「……小関麗奈」

麗奈「ん、何よ?」

のあ「流石に、貴方も今回は宇宙に上がるのでしょう?」

麗奈「……ま、それくらいはしてもいいかしらね。狐はどうすんの」

周子「あたしいかなーい。大変そうやし、ここでテキトーにしながら見てるよ」

ピピピッ!

整備士『指令室、聞こえますか? シャトルとスタッフの準備が出来ました。そちらの準備が完了次第、発進できます!』

麗奈「それじゃ行こうかしらね。ちょっとアンタ、アタシたちが来るまでにタケミカヅチ、2機共シャトルに積んでおきなさい」

整備士「は、はい。スペースはあるから大丈夫ですけど……分かりました」

ピッ!

千秋「さて……それじゃあ私たちも向かいましょう。彼女たちだけに任せるわけにはいかないわ」

美優「必要最低限のデータは……こちらから月に転送完了しました。全員移動できます」

楓「それじゃあ……ちょっと月まで旅行に行きましょうか」

……
…………

――宇宙

P「まさか人生で大気圏を抜ける日が来ることになるとは……」

歌鈴「Pさん、大丈夫ですか? みんなの負荷軽減が続いてますけど」

P「ん? まあ搾り取られるよりはマシだし……俺はいいとして、全員大丈夫か?」

珠美『こちらは大丈夫です』

あやめ『問題ありません』

芳乃『でしてー』

紗枝『歌鈴はんのところに行くなんて、いけずな人やわ……』

P「みんな全然平気じゃん。さてと、破壊者の位置と月までの……」ピクッ

歌鈴「Pさん?」

P「あ、いや……なんていうかね、この席、後ろに置いてるからね、歌鈴のパイロットスーツのレオタードの具合が……」

歌鈴「どっ、どこ見てるんでしゅか!?」

P「いや視界に入るんだよ……っと、無駄話は終わりだ」ピピッ!

P「破壊者の移動速度が速い……こっちが月に到着するのとほとんど同じタイミングで向こうも来るな」

あやめ『武装面が先行して強化されているのであれば、アマテラスでなくとも戦えるとは思いますが……』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

紗枝『れーだーに反応……Pはん、破壊者きておりますえ』

P「こっちのレーダーでも補足できたか……博士、聞こえるか?」

ピピピッ!

晶葉『今はシャトルの中だ。状況は確認している。そのまま迎撃に入ってくれ』

P「てことはそっちも遅くならないうちには俺たちに追いつくか……」

晶葉『あと初期解析の結果も出ている。破壊者の暫定コードはドラグーン、今回の敵の特性は……四肢全てに強力な法術の力が確認されている』

晶葉『これまで戦闘を行った破壊者の力の長所をすべてを併せ持っている敵だ。気をつけろよ』

P「やっぱりそうくるか……みんな、頼むぞ」

歌鈴「はい!」


……
…………

――宇宙、月面

ドラグーン「……!」ギュオオオオオッ!

歌鈴「間に合いました! 破壊者も同じタイミングで……」

珠美『敵もこちらと同様の人型……しかも機動性が高い……!』

紗枝『あやめはん!』

あやめ『先手を打って敵の動きを制限します。ブロッサムミサイル!!』

紗枝『ぶろっさむびーむや!』

ズドォンッ!!

ドラグーン「!?」

歌鈴「効いてる……やっぱり、ブロッサムディーヴァがパワーアップしてるから……!」

P「いや、だが想定している出力よりは全然低い状況だ。決定打にはならないだろうが……」

ドラグーン「!!」ヒュカカカッ!

珠美『速い!? 歌鈴殿!』

歌鈴「ええいっ!!」ビュッ!

ガゴォォォォンッ!!

ドラグーン「……!」

歌鈴「うっ……こ、この……!!」ググググッ!

P「敵の出力のほうが高い……ダメだ歌鈴、取っ組み合いは分が悪いぞ!」

歌鈴「は、はい……でも……」ググググッ!

珠美『歌鈴殿、こちらで敵の隙を作りますのでその間に! ドリル……シュート!』ギュルルルルルッ!!

ドガガガガガガッ!!

ドラグーン「……!」

珠美『なっ、物ともしていないとは……』

ドラグーン「!」ググググッ!

歌鈴「う……ああああああっ!」ガゴォンッ!!

ビビビビビッ!

紗枝『あ、あきまへん……相手ん力が強すぎて、立つことも……!』

P「ダイオウカーの腕部関節に高負荷……このままだと駆動系がイかれるか……!」

あやめ『まさか、これほどまでにパワーの違いがあるとは!』

ピピピッ!

晶葉『おいダイオウカー! こちらも月に到着した。アマテラスは月面施設に置いている。来れるか!』

歌鈴「む、無理ですー!!」ググググッ!

あやめ『敵にこちらの動きを封じられています。この状態では……!』

P「……博士、出来るか?」

晶葉『……前回の戦闘でオートパイロット機能を導入したついでに入れている』

P「よし分かった。春霞は全員戦闘から離れて月面施設に行け。歌鈴はアマテラスに乗り換えだ」

珠美『なんですと!?』

紗枝『Pはん! そないなこと……』

P「歌鈴はここからブロッサムウイングに直接移動して芳乃に連れて行ってもらえ。芳乃、頼むぞ」

芳乃『わかりましたのでー』

あやめ『確かに、ダイオウカーが分離すればブロッサムディーヴァ移動できますが……!』

P「博士に頼んで、刻印同調しなくても動かすだけなら出来るようにしてくれたんだ。出力は全く出ないだろうけど」

歌鈴「で、でも……」

P「俺はいいから、みんな早く行け。というか、このままだとコイツに勝てるかもわからないし、みんなが早く戻って来てくれれば俺も助かるんだけど」

紗枝『せやけど……』

P「よーし……それならお前たち、命令だ! ブロッサムディーヴァは全機月面施設に移動、歌鈴はアマテラスに搭乗してこい!」

歌鈴「Pさん……」

P「命令するのってカッコいいけどちょっと恥ずかしいな……ほれ、早く行ってこい。麗奈、悪いけど皆戻ってくるまで助けて」

ピピピッ!

麗奈『締まんない奴……っとに、ちょっと待ってなさい』

P「ほれ、麗奈が来てくれるし何とかなるだろ。頼んだぞ」

歌鈴「……はい!」

珠美『P殿、少しだけお待ちください!』

紗枝『あんさん、うちが戻ってくるまで死なんといて!』

あやめ『芳乃殿、歌鈴殿を頼みます!』

歌鈴「Pさん、行ってきます!」バッ!

パシュンッ!

芳乃『ほほー、歌鈴殿が来られて、こちらも狭いのでしてー』

歌鈴『ご、ごめんなしゃい……』

P「よし、それじゃお前たち、フィールドジェネレーターの解除はこっちで……」

芳乃『ブロッサムブラスターでしてー』

ズドドドドドドドドッ!!

ドラグーン「!?」ドガガガガガッ!

P「ウイングのビーム攻撃か……奴が離れた今のうちに!」カタカタカタッ!

ブッピガンッ!

P「フィールドジェネレーター停止、ツクヨミヒメとブロッサムディーヴァの合体を解除!」

歌鈴『Pさん……待っててくださいね!』

P「なるべく早くしてくれよ……」

……
…………

――月面施設(指令室)

楓「待機状態にしていた全システムの起動確認しました。転送済みのデータ、反映チェック終わりましたよ」ピピッ!

美優「ダイオウカー……ツクヨミヒメとブロッサムディーヴァが分離しています……ブロッサムディーヴァ全機、こちらに戻ってきています」

翠「ヤタノカガミの機能を停止、アマテラスとして再起動を掛けてください」

楓「はーい。格納庫に行ったスタッフにも連絡しておきますね」

美優「タケミカヅチ……2機共戦闘宙域に向かいました。間もなくツクヨミヒメに合流します」

千秋「あとは……そうね、剣も本来の持ち主に戻しておきましょうか」

翠「分かりました。そちらについても射出準備をさせます」

ピピッ!

美優「Pさん! ツ、ツクヨミヒメ……右腕部破損、出力低下……このままだと……!」

ピピピッ!

P『いやしんどいわコレ……俺が死んだら後はよろしく……』

千秋「少しくらいは粘りなさい!」

P『粘ってるだろ! ていうか動かしてるだけでも大したもんだと思ってくれよ! うおおおおっ!?』

美優「ツクヨミヒメの装甲……耐久度が低下しています。これ以上は……」

麗奈『んっとにアンタは……ホント手間が掛かるわね』

のあ『とはいえ、仕方がないこと……私たちでフォローするしかないわね』

P『おー来てくれたか麗奈……と母ちゃん!? 何しに来てんの!』

のあ『義理とはいえ、息子を助けない母親はいないわ』

P『そういや教官やってたって言ってましたねあんた……』

楓「あ、ブロッサムディーヴァ、全機格納庫に戻ったみたいです。歌鈴ちゃんがウイングから降りてますね」

千秋「頼んだわよ、春霞……!」

……
…………

――月面施設(格納庫)

歌鈴「これが……アマテラス。私の、新しい……」

整備士「機体の再起動は済ませてるから、歌鈴ちゃんは乗り込んでそのまま出撃してください!」

歌鈴「は、はい! それじゃあ――」


キィィィィンッ!


『よろしくお願いしますね♪』


歌鈴「はぁい!? え……?」キョロキョロ

歌鈴「……今、誰か私に話掛けて……気のせい?」

歌鈴「ううん……今はそんなこと気にしてる場合じゃないから……早く、Pさんを助けないと……!」バサッ!


……
…………

――月面施設、格納庫(機体内)

歌鈴「パイロットスーツとダイレクトリンク……アマテラスとの刻印同調……!!」グッ!

パアアアアアッ!!

歌鈴「この感覚……なんだか、ツクヨミヒメと違う……もっと、別の――」

ピピピッ!

歌鈴「……同調、完了しました。凄い……なんだか、アマテラスから、大きな力を感じます」

千秋『そう、アマテラスが内包する強大な誕生の力……それが、本来のダイオウカーの力よ』

歌鈴「本当の……ダイオウカーの……?」

千秋『行きなさい。そして……世界を守る剣を取るのよ!』

歌鈴「……はい! アマテラス、発進します!」


……
…………

――月面

P「ぐおおおおおっ!?」ズガガガガガッ!

麗奈『チッ! こっちの斬鉄も通らないわね!』ガキィィィンッ!!

のあ『タケミカヅチ……改良を加えた良い機体ね……この戦いにおいてはあまり役には立たないけれど』ギュンッ!

P「腕部破損状況……動かすのはもう無理か。後は動き回るくらいしか……!」ググググッ!

ドラグーン「!!」ズドォンッ!!

P「コイツ腹からビーム撃ってくるのかよ! くそっ!」ガションッ!

ドガアアアアアンッ!!

P「あっぶね……アレに当たったら流石に……」ハァ、ハァ……


紗枝『ぶろっさむびーむ!』ズドォンッ!!

ドラグーン「!?」ドガァン!

珠美『P殿! ご無事ですか!』

あやめ『ただいま戻りました!』

芳乃『でしてー』

P「皆! いや、もう流石に今回はダメかと……」

歌鈴『Pさん! お待たせしました!』

麗奈『遅いわよアンタたち』

のあ『これで、私たちの仕事は終わりね。帰るわよ』

麗奈『はー疲れた』

P「え、ちょっ、俺置いてかれるの!?」

麗奈『タケミカヅチでツクヨミヒメ運べないでしょ』ギュンッ!

のあ『己の力で……何とかしなさい』

P「ええええ……あの2人、本当に帰りやがった……」

歌鈴『みなさん、いきましょう!』



千秋『ブロッサムディーヴァ、そしてアマテラス、すべてが揃った……春霞、今こそ太陽の力を目覚めさせなさい!』



歌鈴「はいっ! フィールドジェネレーター、起動!」バッ!

パアアアアアアアッ!!!!

珠美「フィールドジェネレーターを確認! ブロッサムドリラー、腕部パーツに変形します!」

ブッピガンッ!

あやめ「ストライカー変形! アマテラスの左腕に接続!」

ブッピガンッ!

紗枝「ぶろっさむきゃりあー分離、天照に再接続……!」

ブッピガンッ!

芳乃「ブロッサムウイングでしてー」

ブッピガンッ!

歌鈴「ブロッサムウイング、装甲展開……アマテラスの胸部への接続確認、完成です!」

パシュウウウウウンッ!!


「「「「「降臨! ダイオウカー・アマテラス!!」」」」」


……
…………


――月面施設(指令室)

楓「ダイオウカー・アマテラス……長いのでダイオウカーでいいですよね。合体完了しました」カタカタカタッ!

麗奈『太陽ねぇ……ま、この世界の太陽ならアイツらでいいんじゃないの』

のあ『不満そうね』

麗奈『別に? ま、レイナサマはそれくらいは寛容なのよ』

美優「す、凄いですね……今までのダイオウカーからは計測できなかったほどの出力が……」

翠「これが……これほどの力があったんですね。ダイオウカーに……」

千秋「さあ、いきなさい!」


……
…………

――月面

歌鈴「草薙剣!」ジャキンッ!

ドラグーン「!」ギュンッ!

歌鈴「珠美ちゃん!」

珠美『見切った!』ガキィィィンッ!!

ドラグーン「!?」ググググッ……

珠美『凄まじい力です……先ほどまでは、あれだけ抑え込まれていたのに……!』

歌鈴「これが、ダイオウカーの本当の力……」

あやめ『歌鈴殿、今はP殿がいません、早々に幕引きとしましょう!』

紗枝『芳乃はん、行きますえ!』

芳乃『全砲門を開放して、ブロッサムバーストでしてー!』

ズドドドドドドドドッ!!

ドラグーン「!!!!」ドガアアアアンッ!!

紗枝『今や、歌鈴はん!』

歌鈴「はい! 私たちの刻印の力、今こそ……!」

歌鈴「やあああああっ!!」ギュンッ!

歌鈴「桜! 花! 斬!」ヒュカッ!!

ズバアアアアアアアッ!!


ドラグーン「……」

ドガアアアアアアアンッ!!!!


歌鈴「悪鬼、滅殺……!」



……
…………

――月面施設(格納庫)

P「これが新しいダイオウカーか……確かに、博士たちが言ってた通りの凄い機体だな」

あやめ「そうですね。先ほどの戦闘も、あれだけ苦戦した破壊者をいとも容易く……」

歌鈴「あ、私教えてもらいましたよ。なんだったかなぁ……確か、誕生の力っていうのがあって……」

芳乃「……」

紗枝「誕生の……力……」

珠美「おや、お2人ともどうかなさいましたか?」

芳乃「……なんでもないのでしてー」

紗枝「なんやろ……何か、聞いたことあるような、ないような……」

晶葉「お前たち、いつまでもここにいないで、少しは休んだらどうだ」

歌鈴「あ、晶葉ちゃん」

晶葉「いまはツクヨミヒメに積んでいた負荷軽減装置をアマテラスに移設している最中だ。ツクヨミヒメも損傷が激しいが、ヤタノカガミの代替装置として再設定も完了している」

P「もうヤタノカガミの代わりにしたのか」

晶葉「そうしておかないと困るだろう? 幸い生きていた機能部分でヤタノカガミとしては動作できたから、そこだけ引っこ抜いた」

P「にしても手が早いな……やっぱり現地で作業できると違うのか」

晶葉「まあな。それほど時間はかからないし、こっちの作業が終わるまではお前たちの出番も無いぞ」

歌鈴「それじゃあまたPさんと一緒ですね!」

P「そうだなぁ……いやしかし、1人でツクヨミヒメにいたときは流石に死んだかと思ったわ」

晶葉「だから言ったろ……麗奈とのあがいなかったら一瞬で終わってただろうな」

ピピピッ!

P「ん、通信? はい、Pです」ピッ!

翠『Pさん、そちらに春霞は全員いますか?』

P「ああ、いま戻ろうと思っていたけど……」

翠『至急、全員指令室に集まってください』

晶葉「……どうした、何があった」

翠『ヤタノカガミの観測結果が出ました。新しい破壊者が出現……それも、今までとは比べ物にならない程のエネルギーです』


――――
――

――早朝、奈緒の部屋

奈緒「おっと、5時か。ちょっと中途半端かもしれないけど、今日はこれで終わりかな」カチカチッ

奈緒「うーん、乗り換えイベントが来たけど……のあさんが何か絡むと思ったけど何もなかったな」

奈緒「なんの為にのあさん来たんだろ。事情通っぽいようには見えるけど……何かよくわからない話もしてたし」

奈緒「まあ、空気的にそろそろ最後みたいだし、明日には全部終わりそうかなぁ」

奈緒「とりあえずまあ、上手いことエンディングまで行ければいいけど……」

奈緒「さて、5時になったんだしそろそろ寝るか……今晩で終わらせないとな」


……
…………

おわり

寝過ごしてしまったんですが最後に宣伝だけしておきます

--------------ここから関係ない話-------------------

――事務所

奈緒「……」シャンシャンシャン

奈緒「……」シャンシャンシャン

奈緒「……ん、ああ……全国のプロデューサーのみんな、おはよう」

奈緒「いや、なんだって……眠いんだよ。何でこんなイベントが……ああいや、宣伝宣伝」

奈緒「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージでトライアドプリムスのイベントが開催されているからな」

奈緒「今回のイベントは新曲のTrinity Fieldがプレイできるぞ。上位報酬は……そうだよ、加蓮だよ、加蓮」

奈緒「加蓮なんだよ……なんだよこのイベントは」


https://i.imgur.com/gtryysF.jpg


奈緒「なんかさ、あたしもアイドルの仕事とかやってるしさ、イベントやる時間も確保しなきゃならないしさ」

奈緒「ゲームで仕事休むことなんて出来ないし、家に帰る時間も勿体無いから近場のホテルで暮らしたりさ」

奈緒「あーあ……でも、加蓮が上位ならあたしは走り続けるしかないんだよなぁ……あ、ポイント報酬でも加蓮はもらえるからな」

奈緒「あと、下位報酬のSRは……あ、あたし、とか……恥ずかしいんだけどさ……」

奈緒「だからさ、プロデューサーも……イベント、走ってくれよ。む、無理しない程度でいいからな!?」

奈緒「あたしとしては、プロデューサーに無理して倒れられるほうが困るっていうか……いやホントシャレにならないっていうか」

奈緒「ああそうだ、あと11月27日から復刻ガチャが開催されるからな」


https://i.imgur.com/2l7bGUG.jpg


奈緒「復刻するSSRはこの4人だけど……偶然だけど4人ともこのスレで主要なメンバーだったりするから、無理しない程度にガチャ回してくれると嬉しい、かな」


ガチャッ!

晶葉「おい奈緒、奈緒はいるか!?」

奈緒「ん、晶葉? なんかあったか? あたし眠いんだけど……」

晶葉「そんなこと言ってる場合じゃない。たった今、開発室に置いている端末にSOSが届いた」

奈緒「SOS?」

晶葉「ああ……あそこからだ。長いこと通信出来ていなかったが……まさか……」

奈緒「……!」ガタッ!!


――いつか担当が上位のイベントが来たら思い切り走ってみたいですね。


--------------ここまで関係ない話-------------------

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