■前スレ
奈緒「さーて、晶葉から借りたゲームでもやるか……」
奈緒「さーて、晶葉から借りたゲームでもやるか……」 - SSまとめ速報
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――夜、奈緒の部屋
奈緒「22時か。よし、今日もやるかぁ」
奈緒「前回のセーブデータは……えーと、これだ」カチッ
奈緒「昨日はとりあえずロボの顔見せまではやったんだよな。あとは夜にPさんと千秋さんがよろしくやって」
奈緒「ん……ロード中の画面があるのか。通信中とSDサイズのロボのドット絵……中々凝ってるな」
奈緒「おっ、ロードが終わった。さて、今日も進めるか……」
――――
――
――翌日午前、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(格納庫)
P「……」
晶葉「スクリーンに映っているヤツの型番はGUWD-001、機体名タケミカヅチ。ヨーロッパ連合のほうで開発されている可変人型戦闘機をベースに開発したダイオウカーの支援機だ」
P「……」
晶葉「機体本体の腕部、脚部の各所には近接戦闘用の実体剣を装備させている」
晶葉「この実体剣はダイオウカーに採用しているビーム粒子を、超振動を用いて剣本体に定着させて攻撃性能と耐久性の向上が図られている。通常戦闘であれば何度使用しても問題はない」
晶葉「また、破壊者の規模によっては近接戦闘そのものが困難の場合がある。携行武器としてはビームライフル、砲撃用のキャノン、高速戦闘用の機関砲を用意している」
晶葉「出現した破壊者の解析結果に合わせてダイオウカーを支援するための武装オプションを随時選択、出撃することになる。分かったか?」
P「……」
整備士「あの、博士……彼、何か言いたそうですけど」
P「俺、ロボットに乗ったことなんてないんだけど」
晶葉「大丈夫だ。お前、何か免許は持っているか?」
P「普通自動車免許と、普通二輪」
晶葉「なら問題ない。少し訓練すればいけるだろう」
P「免許持ってたところでその少しの時間は軽減されないだろ」
整備士「そりゃそうですよ」
晶葉「ちなみに、タケミカヅチには刻印同調機能はない。法術を仕込んでいないからな」
P「ていうか機械に法術を組み込めるものなのか」
晶葉「面倒なので詳しい話は省略するが、ダイオウカーの出力を上昇させるための刻印同調と思ってもらえればいい」
P「まあ俺は法術は詳しくないし……この機体は純粋に軍用兵器の延長ってことか。まあ、何でもいいや」
整備士「一応マニュアルは用意してますよ。早速シミュレーター動かしてみますか?」
P「あ、いや、ちょっとその前に別件があるんだ。そっちを終わらせてからまた来ようと思ってたけど」
晶葉「なんだ、千秋に何か振られてるのか?」
P「ほら、あれだよ、あれ……桜霞の面倒」
整備士「ああ、それですか。それなら後でまた集まりましょうか。タケミカヅチのシミュレーターは用意しておきますから」
P「すみません……ってことで、また頼むよ」
晶葉「うむ、一応お前用のPCも準備してあるから、後で取りにきてくれ。ついでにマニュアルも入れておく」
……
…………
――ブラックパール城(廊下)
P「とはいえ、この城広すぎだろ……どこのテーマパークだっての……」キョロキョロ
P「地図とか貰っておきゃよかったな。ええと、確かあの子らは城の外にある屋敷にいるんだったか……とりあえず外に出て……」
翠「あら……Pさんではありませんか。このような場所で、どうかなさいましたか?」
P「ん、ああ翠……さんか。いや、ちょっと外に出たいんだが城が広くて」
翠「私のことは気軽に呼んでくださって構いませんよ。外でしたら、桜霞のみなさんのところですね。ご案内しますよ」
P「助かるよ。ありがとう」
……
…………
――数分後
翠「……では、今後は彼女たちと同じ訓練プログラムに参加するつもりですか?」
P「そうしたほうがいいだろうなって思ってさ。ロボットに乗ったことなんてないし」
翠「基礎訓練であれば良いと思います。ダイオウカー専用の訓練であれば、監督して頂くことになるとは思いますが」
P「監督って言っても、ただ見てるだけになりそうだけどな……というか、実際に戦いになったら俺もどうなるかわからない」
翠「私は、Pさんであれば問題ないと思っています。先日、戦闘区域で私の一合を受け止めた胆力も……」
P「ん、どうした?」
翠「……そういえば、まだお詫びをしておりませんでしたね。先日は、大変申し訳ありませんでした。こちらの勝手とはいえ」
P「いや、もう終わったことだし気にしなくてもいいよ。こっちだって事情が分からないわけでもないから、ここに残ることにしたんだし」
翠「ありがとうございます。千秋さんからは、ある程度のお話は頂いているとは思いますが……」
P「……」
……
…………
――昨日、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(書斎)
千秋『彼女たちの刻印の回復……これが最重要よ。貴方の刻印を使い、戦闘で消耗した彼女たちの刻印を回復させる』
千秋『刻印は神から授けられた力、選ばれた者が持つ魔を退ける力……貴方も、法術は見たことがあるでしょう?』
P『……一応』
千秋『そうね。貴方も刻印を持っているもの……貴方自身が、刻印を使うことが出来ないとしても』
P『使い方を教わっていないだけだ。他のことは、教えられたけど……それだけは……』
千秋『貴方の刻印は彼女たちの物……彼女たちは刻印を燃やしてダイオウカーを操り……貴方は彼女達に自らの刻印を捧げるの』
P『それはいい。使いもしない刻印が、戦うあの子たちの助けになるなら……それで、俺はどうすればいいんだ』
千秋『簡単よ。彼女たちと……キスをしなさい』
P『すみません、もう一回言ってくれませんかね』
……
…………
――ブラックパール城(廊下)
P「聞いたには聞いたけど……まあ、意味が分からなかった」
翠「そう……ですよね。城にいる者たちは全員知っていますが……ダイオウカーと、桜霞の件ですよね。みなさんの刻印を回復させるための……その……」
P「消耗した刻印を回復させるためとは言われたけど、アレってそんなに消耗する物なのか?」
翠「通常であれば余程のことにはなりません。私や、千秋さんも刻印は持っておりますし、実際に法術を行使しても大事にはなりません」
翠「ですがダイオウカーを操る際には常に刻印を燃やし続けるため、場合によっては命に関わります。戦闘後は彼女たちの消耗も相当なものでしょうから……」
P「応急処置でも何でも、他人の刻印を使って回復できるなら急いでやったほうがいいってことか……俺はエネルギータンクみたいなもんか」
翠「言ってしまえば、そうかもしれませんね」
P「それはそれで、やることがハッキリしているからいいんだけどな」
P「しかし戦闘の支援と、終わった後のケアもするとなると……俺自身も死なないようにしておかないとなぁ」
翠「ええ、私たちも戦闘の際は出来る限りのサポートをしますので」
P「よろしく頼むよ。その前に俺はロボットの操縦訓練を受けるところからだけど……お、ここが出入り口か」
翠「はい。屋敷まで行きましょうか?」
P「いや、ここまで来れば1人で行けるよ」
翠「そうですか。それなら、私は別件がありますのでこれで。何かありましたら、書斎のほうにいますので」
P「そっか。ありがとう」
翠「桜霞のみなさんのこと、よろしくお願いしますね」
P「……」
翠「どうかしましたか?」
P「いや……桜霞、桜霞か……黒川千秋からも聞かされたが、前の仕事をしていたときにちらっと聞いたことがあったなと思って」
翠「そういえばPさんは以前、タレント事務所でお仕事をなさっていましたね」
P「そこら辺も知られてたのか俺は……まあ、クビになる直前に、ちらっと聞いただけで」
翠「そうですね。桜霞も、表向きは4人のアイドルユニットとして活動している形を取っています」
翠「本来の目的としては、黒川重工に資金提供をして頂いている方々にこちらの情報開示を行う為の合図になります」
翠「彼女たちがメディアに映るときは、所定の場所で有識者会議が開かれることになっていますので」
P「随分と回りくどいお知らせだな」
翠「ふふっ、そうですね。でも、私は嫌いではありませんよ」
P「そうか、桜霞、ね……」
翠「……何か?」
P「いや……ユニットの名前、か……桜霞……」
翠「ええ、そうですが……」
P「うん、まあ……特に何もないよ」
……
…………
――ブラックパールガーデン、屋敷(居間)
P「来てそうそうで悪いんだけど、1つ聞いていい?」
珠美「なんでしょうか?」
P「なんで西洋風の城の横にこんな屋敷があんの? しかも中庭付きで」
珠美「さあ……珠美がここに来たときには既にありましたので……」
P「気にしたら負けか……」
紗枝「……そないなこと言うために、うちらを集めたんどすか?」ハァ……
P「ああいや、まだ全員来てないからちょっと気になったことを聞いただけで……まだ3人だけか」
珠美「3人? 珠美と紗枝ちゃんしか来ていませんが……」
P「上に1人いるぞ」
シュッ!
あやめ「むっ……気配を殺したはずのわたくしを察知するとは……」
P「え?」
あやめ「む?」
P「……ああいや、うん。ほら、忍者って天井とかに張り付いてそうじゃん。それに見た目忍者っぽいし」
紗枝「あとは歌鈴はんやけど……」
ダダダダダダッ!!
ガラッ!
歌鈴「すっ、すみませえええあああああああっ!?」ズシャアアアアアアッ!!
P「おうふっ!?」ドゴォッ!
あやめ「歌鈴殿の頭がP殿の鳩尾に直撃したでござるな」
P「い、いきなり何すんだ……」ゲホッ!
歌鈴「あ、あいたたたた……す、すみません……急いできたんですけど、足が滑って……」
P「んなお笑いやってんじゃないんだから……ほら立ってくれ……」
歌鈴「は、はいぃっ……」
P「まあ……これで全員揃ったか」
珠美「はい! それで、今日は何のお話ですか?」
P「とりあえず俺の挨拶と、このメンバーの今後の活動内容の話だ。順番に言うぞ」
P「まず、昨日顔くらいは見てもらったと思うが、俺が今日から皆のダイオウカーでの戦闘、アイドルユニットとしての活動、その他全般の支援をするPだ。よろしく頼む」
あやめ「なるほど……つまりわたくしたちの主となる方と」
歌鈴「よっ、よろしくお願いしますっ!」
紗枝「戦闘も、あいどる活動も……ほんまに出来るんどすか?」
P「戦闘は何ともいえないが、アイドル活動の支援であれば前職の経験があるから何とかなると思っている。ということで次だ」
P「今後、このメンバーの活動の基本は破壊者との戦闘が発生するまでは原則として、学業、ユニット活動、ダイオウカーの操縦訓練の3つになる」
P「ユニット活動……桜霞、については原則4人で行動する。破壊者の存在が明確になったため、今後黒川主体の会合も多くなるとのことだ」
紗枝「……桜霞、に何か気になることでも?」
P「いや……特にないかな、うん」
珠美「アイドル……そ、そっちのお仕事も増えるんですか……珠美、あまりそちらのほうは……」
P「これも必要なことだから我慢してくれ。あまり負担にならないようにこちらでも調整はする。直近の活動については後で資料を渡す」
P「あとは、ダイオウカーの操縦訓練については俺も少し参加させてもらう」
P「一緒に訓練をするのは基礎部分のところまでだが、こっちも支援機で戦闘に駆り出されることになっているから、戦闘ではよろしく頼むよ」
紗枝「ろぼっとに乗ったこともあらへんのに?」
珠美「た、珠美たちも素人からパイロットになりましたけどね……大丈夫なんですか?」
P「仕事と言われたらそれまでだから、俺も覚えるしかないからな。足手まといにはならないようにする」
紗枝「……うちらの邪魔だけは、せんといてほしいわぁ」
P「まあ、努力はするよ」
歌鈴「い、一緒に頑張りましょう! 私も、ツクヨミヒメの操縦……まだ慣れてなくて……」
P「そうか。じゃあ、これからよろしく」
あやめ「承知致しました」
珠美「はいっ!」
紗枝「大丈夫やろか……」ハァ……
P「……あと、1つ聞いていいか? 昨日の戦闘、確か5機のロボットが出てきてたと思うんだが……後の1人は?」
歌鈴「……さ、さぁ……誰なんでしょう?」
P「え?」
あやめ「少なくとも、わたくしは存じません。先の戦闘であのブロッサムディーヴァを見たのも初めてで……」
珠美「たしか、楓さんはブロッサムウイングと言ってたような……?」
紗枝「……うちもよう知らへん。ただ千秋はんは、だいおうかーは5人のぱいろっとが必要や言うてました」
P「……そっか。わかった、それなら後で知ってそうな人に聞くよ。ありがとう」
……
…………
――午後、ブラックパール城(Pの部屋)
P「……」カタカタカタッ!
P「PCと端末の同期を取って……あとは池袋博士と整備士から送られてきたロボットのマニュアルは入れておくか」ピッ!
P「……部屋が広くて落ち着かないな。ホテルに泊まっているみたいだ」
P「しかしここにある資料も凄い量だな。確かに、国外では地球外生命体との戦闘がいくつか起きている話は報道されたことはあるが……」カタカタカタッ!
ピピッ!
P「今回出現した破壊者は過去の例のどれにも当てはまらない、全く新しいタイプの侵略者ってことか……」
P「あとは……観測された次元振動の規模……次元断層による空間歪曲現象、修復結果……ダメだ、まるで意味が分からん」カチッ、カチッ……
P「ここら辺は博士とか、そこら辺の人たちの領分か……」
P「……ん、もうこんな時間か。しばらく部屋に引き篭もったけど」
P「誰かの様子でも見に行くか、それとも他に何か……」
安価選択(会いに行くアイドルを下記から選択してください)
1.歌鈴
2.紗枝
3.珠美
4.あやめ
5.その他
↓1
1
>>19
1.歌鈴
P「……歌鈴、そういえばあの子だけは違うロボットに乗っていたな」
P「他のメンバーと違って、合体した後のダイオウカーの核になる人型……操縦する負担も大きいのかもしれないな」カタカタカタッ!
ピピッ!
P「刻印の最低同調率、ツクヨミヒメの機体出力……細かい数字は分からないけど、やっぱり、他のパーツに該当するヤツよりも難しいものなのか」
P「……少し、様子を見に行ってみるか」
……
…………
――ブラックパール城(廊下)
P「とはいえ、あの子らは普段は何をしてるんだろうか。とりあえず、また屋敷のほうでも……」
ドドドドドドッ!
P「ん?」クルッ
歌鈴「ど、ど、どいてくださあああああああい!!」ズザアアアアアアッ!
P「へぶっ!?」ドゴォッ!
歌鈴「ひゃあああああっ!?」ドサッ!
P「いって……な、何だ、どうしたんだよ……」
歌鈴「はっ!? P、Pさん!? す、すみません私……あ、あのっ、お城のお手伝いさんたちのお手伝いをしてて、その……」
P「お手伝いさんのお手伝い……ああ、ここにいるメイドの人たちの手伝いってことね……で」
歌鈴「はい……?」
P「とりあえず、ぶちまけた洗濯物は片付けようか」
歌鈴「えっ!? あ、あああああ私、またやっちゃったぁ……」
P「どんな歩きかたすれば、あんな転び方するんだか……」
……
…………
――数十分後、ブラックパール城(中庭)
歌鈴「すみません……お洗濯物干すの、Pさんにもお手伝いしてもらっちゃって……」
P「いや、別に気にしなくていいよ。俺も今は手が空いていたし」
歌鈴「えへへ、でもよかったです。Pさんにお手伝いしてもらって、いつもより早く終わりそうですし」
P「いつも手伝いやってるのか?」
歌鈴「はい。私、ここに住まわせてもらっていますし、出来ることならお手伝いしようって思っていますから」
P「家には帰らないのか?」
歌鈴「……うーん、まだ帰らないです。多分、ちゃんとやることが終わってからじゃないと、帰れないと思います」
P「そうなのか?」
歌鈴「はいっ! でも大丈夫です。昨日の戦闘も、初めてでしたけど……ちゃんとツクヨミヒメを動かすことも出来ましたから」
P「ツクヨミヒメ……そうだ、聞きたかったんだ。戦闘で刻印を消耗していると思うけど、大丈夫か?」
歌鈴「え? う、うーん……大丈夫だと思います。初めてで、まだちょっと疲れてるかなって気がしますけど……」
P「それなら無理をしないで休んだほうがいい。いつまた破壊者が来るかも分からないんだ、自然治癒で賄えるうちは、ゆっくり休まないと」
歌鈴「だ、大丈夫ですよぉ……いまも、こうしてお洗濯物もしっかり干せてますし」
P「……大事になったら、俺のほうで何とかしないといけないんだぞ」
歌鈴「ふぇ?」
P「……あれ、黒川千秋からはこの城にいる人は皆、俺のやることを知っていると聞いてたけど」
歌鈴「えっ、あ……あああああ……!」プルプルプル……!
P「あ、忘れてたってことね……まあ、いいけど」
歌鈴「い、いえっ!? あの、わ、私大丈夫ですっ、大丈夫ですから!」
P「分かったわかった、そんな叫ばなくても聞こえるから」
歌鈴「ほっ、本当ですよ! ほんとうに、私……」
フラッ……
P「おい!」ガシッ!
歌鈴「ぁ……あれ……? わたし……」ハァ……ハァ……
P「やっぱり疲れているじゃないか。刻印の消耗か……」
歌鈴「へ、変、かも……私、大丈夫だって、思ってたのに……」
P「昨日が初めての戦闘なのに、そんなにすぐ体が慣れるわけがないだろ。ほら、無理に動こうとしなくていい」
P(城の中にメディカルルームがあるんだったか、昨日もそこに連れていかれたみたいだし……いや、だけどこの状態で動かすのも……)
歌鈴「ご、ごめんなさい……私、昨日ちゃんと休んだから、大丈夫って……」ハァ、ハァ、ハァ……
P(とはいえ、これが刻印の消耗による症状かは分からん……日差しに当てられたわけではなさそうだけど……どうするか)
1.メディカルルームに連れて行く
2.日陰に移動する
↓1
2
>>25
2.日陰に移動する
P「あまり動かすのもダメか……少し我慢してくれ」グイッ!
歌鈴「んっ……」
P「そこで少し休もう。洗濯物は俺のほうで片付ける」
歌鈴「す、すみま……せん……」
P(刻印の消耗で、戦闘が終わってしばらくは無理をさせれないか……とはいえ、どれほど消耗しているのかが分からないな)
P「ほら、運んでやるから、じっとして」
歌鈴「は、はい……」
……
…………
――数分後
歌鈴「……」
P「どうだ、気分は大丈夫か?」
歌鈴「は、はい……すみません。あの、足、痛くないですか?」
P「まあ、女の子の頭1つくらい膝に乗せる程度なら何とも」
歌鈴「く、訓練のときは、ちょっと疲れてただけなんですよ。ほ、ホントなんです……」
P「そうか。だけど、本番は違うからな……無理しないで、歌鈴が動けなくなったら皆が困る」
歌鈴「そう……ですよね。私、いきなりPさんに迷惑掛けちゃって……」
P「気にしなくていいよ。皆に何かあったときのために俺がいるんだから」
歌鈴「……はい。ありがとう、ございます」
歌鈴「……」モゾモゾ
P「ん、どうした? やっぱり居心地が悪いか?」
歌鈴「い、いえっ、そ……そういうわけじゃ……ただ、その……ちょっと、恥ずかしくて……」
P「……まあ、それじゃあ俺も少し休むついでに一眠りするかな。歌鈴、気分が良くなったら起こしてくれ」
歌鈴「は、はい……」
[2-2]
……
…………
今日はこれで終わります。
スレタイに安価の文字が入るときは1スレ分を3分割くらいで投下、無い場合は2分割くらいの投下になります。
1スレの処理が終わった後に[]はまとめて処理するつもりです。
――数時間後、ブラックパールガーデン、屋敷(中庭)
P「おーい、誰かいるか?」
珠美「おや? P殿、何か御用で?」
P「そろそろダイオウカーの操縦訓練の時間だろう? 一応声掛けておこうと思って」
珠美「そうでしたか。珠美は後少し素振りをしてから向かおうと思っていましたが……紗枝ちゃんとあやめ殿はもう格納庫に行っているかと」
P「竹刀……剣道の練習か」
珠美「はい! 珠美はこれでも剣士の端くれですから」
P「この時代に剣士……いやまあ、無くはないか。あとは歌鈴か……」
珠美「歌鈴ちゃんなら屋敷の掃除をしていたはず――」
<ドンッ! ガラガラガラッ!!
P「えっ!?」ビクッ!
<キャー!?
<ダレカー!!
P「……」
珠美「……はい、まだ掃除中だったみたいですね」
P「今の音、どう聞いても何か崩れた音なんだけど」
珠美「歌鈴ちゃんは少しうっかり屋なところがありますからね。珠美も最初は驚きましたが」
P「ああそう……」
珠美「ま、まあ、屋敷の掃除はみんなで交代でやってますし、今日はたまたま歌鈴ちゃんが当番の日だったので……」
P「とりあえず珠美はそろそろ格納庫に行ってくれ。俺は歌鈴を連れて行くから」
珠美「り、了解です」
……
…………
――屋敷、寝室(歌鈴の部屋)
ガラッ!
P「おーい、無事かー?」
歌鈴「んー! んー!!」バタバタッ!
P「布団の山の下敷きになっとる……おい、大丈夫か?」バサッ!
歌鈴「ぷはっ! はぁ、はぁ……た、助かった……」ハァ、ハァ、ハァ……
P「何やってるんだ……」
歌鈴「はっ!? い、いえっ、押入れの整理をしようと思って……」
P「どうやったら押入れの中の物を全部床にぶちまけることが出来るんだよ」
歌鈴「普通にお布団を出そうとしてただけですよー……」
P「そう……まあいいや、ほら、そろそろ訓練の時間だ」
歌鈴「えっ、あっ!? も、もうこんな時間だったんですか!?」
P「他の皆は格納庫に行ってるから、俺たちも早く行こう。遅くなるのはダメだろう?」
歌鈴「そ、そうですね、それじゃ行きましょうか。よっこいしょっ……わぁっ!?」ズルッ!
ドサドサッ!
歌鈴「い……ったぁい……うう、また転んじゃった……すみません、Pさん……」
P「……すまないと思うなら、早く尻を俺の顔から避けてくれないか」
歌鈴「ひゃあっ!? す、すみません! 私、うっかりしてて……」
P「白か……いや、もう何でもいいや。ほら、早く行こう」
歌鈴「はいぃ……訓練かぁ、はぁ……」
……
…………
――数十分後、ブラックパール城(格納庫)
歌鈴「お、遅くなりましたー!」タタタタッ!
あやめ「むっ、歌鈴殿、そう走ると……」
グギッ!
歌鈴「ひゃあああああっ!?」ズザザザザァッ!
P「おいおい……転ぶどころかヘッドスライディングかよ」
珠美「だ、大丈夫ですか?」
歌鈴「ううううう……」
紗枝「もう、歌鈴はんもしゃあないわぁ。大丈夫どすか?」
歌鈴「ご、ごめんなさいぃ……」
P「皆はもう専用のパイロットスーツに着替えているな」
珠美「はい!」
紗枝「……あまり、うちらの姿見んといておくれやす」
P「いや、そりゃ無理だろ。操縦の基礎訓練までは俺も一緒にやる側だけど、後の訓練は監督役だし」
紗枝「あんさんが色目使こうて、うちら見てるのがいややわ」
P「いや確かにそのレオタードというか、パイロットスーツのハイレグ具合とか、体のラインが見えるくらいピチピチしてるなとは思うけど、お前らそもそもまだ子供だろ……」
珠美「なっ! 子供扱いは失礼ですよ!」
P「あれ、皆はまだ学生じゃないのか?」
あやめ「いえ、そういう意味で珠美殿は怒っているわけではないかと……」
晶葉「ほらほらお前たち、無駄話をしていないでさっさと訓練始めるぞ」
歌鈴「あ、博士」
晶葉「とりあえずはいつも通り、ブロッサムディーヴァでの通常戦闘のシミュレーターを回すぞ。終わったらダイオウカーに移るが」
晶葉「それと、Pはタケミカヅチのシミュレーターは初めてだからな。今日は個別でやろうか」
P「なんだ別なのか」
晶葉「そりゃそうだろう。彼女たちもある程度訓練を積んでいるし、いきなり素人が入っても邪魔にしかならんだろ」
紗枝「うちらの邪魔だけはせんといてや」
あやめ「何事も初めが肝心です。P殿であれば問題ないとは思っておりますが」
P「お世辞をありがとう。まあ、そう言われたら何も言えないか」
歌鈴「Pさん、頑張ってくださいね!」
……
…………
――ブラックパール城(書斎)
ガチャッ!
翠「失礼します」
千秋「あら翠さん、どうしたのかしら?」
翠「少し調べ物を……千秋さんはどうなされたのですか?」
千秋「昨日、池袋博士から貰った資料の確認よ。破壊者が現れたもの、もう一度目を通しておこうかと思って」
翠「そうでしたか。ヨーロッパのほうに連絡はしたんですか?」
千秋「まだ入れてないわ。日本の政府軍はあまり当てにならないし、早いうちに向こうと協力ができればと思っているけれど……」
千秋「その前に、私たちのほうで成果を出す必要があるわ。ダイオウカーが破壊者を断つ剣であることを証明するのが先よ」
翠「後は、私たちの……いえ、この世界の猶予ですか」
千秋「……そうね。池袋博士と、周子さんたちの話が本当であれば、ね」
翠「先に、あの人だけでも戻ってきて頂けるようにお話しておきましょうか?」
千秋「それについては向こうから連絡があったわ。ダイオウカーが動いたのなら戻ってくると言っていたわ」
翠「であれば、後は……」
千秋「そうね。あの子もそろそろ、みんなに紹介してもいいかもしれないわね……彼は?」
翠「今は桜霞のみなさんと訓練中です。後でお話は聞こうと思っていましたが」
千秋「そう……ふふっ、上手くやってくれるといいけれど」
翠「……ずいぶんとご機嫌ですね。昨日、Pさんとはどんなお話をしたんですか?」
千秋「えっ……あ、いえ、彼の協力を得るために私たちのこととダイオウカーのこと、破壊者のことを理解してもらったわ」
翠「そうでしたか。よく納得して頂けましたね」
千秋「そうね……彼については仕込みもあった分、それが良い方向になったと思うわ」
翠「……まあ、私たちもPさんのことについては納得していますから」
千秋「ごめんなさいね。翠さんだけじゃなくて、楓さんや美優さんにも同じように無理をさせてしまって」
翠「いえ、私は……それに、以前緊急時とはいえ、Pさんには大変失礼なことをしてしまったこともありますので」
千秋「そう。まあ、彼とは上手くやっていきましょう。少なくとも、即戦力であることは間違いないもの」
……
…………
――ブラックパール城(格納庫)
パシュンッ!
P「あー……しんど、何だこれ」ガタッ!
晶葉「……」
P「こりゃ戦闘機動かすのは相当しんどいな……やっぱ自動車免許持ってるからって何もならないだろ」ハァ……
晶葉「……」
P「空飛んでるし、セスナの操縦資格でも持ってたらまた違ったのかもしれないけど……そうだ博士、どうだった?」
晶葉「初回搭乗でこの記録か……いや、こいつに関しての話はそれなりに聞いていたが、仕込みの結果か? いや、それにしても……」
P「博士?」
晶葉「ん……ああ」ピクッ!
P「とりあえず最初のプログラムはやれたけど……いやこれ難しいってやっぱり……」
晶葉「そうか……いや、素人にしては随分と良かったぞ。多分、センスはある」
P「それならいいけど……次はどうすればいい?」
晶葉「いや、今日はこれくらいにしよう。いきなり飛ばすと体にも悪い」
P「そっか……それじゃあ桜霞の訓練でも見てるかな」
晶葉「そうしておけ。私は今回のシミュレーターの結果をフィードバックしておくよ。後でデータは渡してやる」
P「ありがとう。それじゃ、向こうはどうなってるかな……」
……
…………
――仮想空間内
珠美『地上歩行型の無人機が接近しています! 数は3つですよ!』
あやめ『わたくしのストライカーで空から牽制します。紗枝殿は地上から敵の足場を崩してください!』ギュンッ!
紗枝『ほならいきますえ! ぶろっさむきゃのんや!』ズドォンッ!
ドガァンッ!
無人機「!?」ピピピッ!
あやめ『珠美殿!』ドガガガガッ!
珠美『いきますよ! ドリルアターック!』ギュルルルルッ!
ガガガガガガッ!!
無人機「……!」ガガガガガッ!
珠美『よしっ、あやめ殿と珠美で3機を抑えましたよ!』
紗枝『今のうちに……!』ズドォンッ!
珠美『歌鈴ちゃん、今です! 周りのビルにぶつからないように気をつけてください!』
歌鈴「は、はいっ! ツクヨミヒメ、いきますっ!」グッ!
ガションッ! ガションッ!
歌鈴「ターゲットロック……パンチ一発で――」ズルッ!
歌鈴「きゃあああああっ!?」ズザザザザザッ!!
あやめ『むう……また転んでしまわれて……』
珠美『い、いま援護を……』
無人機「……」ズドォンッ! ズドォンッ!
歌鈴「ひっ、ひいいいいいいっ!?」ビビビビビッ! ビビビビビッ!
ビーッ!!
紗枝『あきまへんなぁ……』
……
…………
――ブラックパール城(格納庫)
パシュンッ!
歌鈴「うううう……」グスッ
珠美「今日は何回目でしたっけ?」
あやめ「5回シミュレーターを回して4回転倒してツクヨミヒメが爆散しておりますな」
紗枝「記録更新やろか?」
歌鈴「せっ、せっかく本番は上手く出来たのに……」
あやめ「実戦で上手く戦えたのは……火事場の馬鹿力というか、なんといいますか……」
紗枝「偶然やろなぁ」
歌鈴「」ガーン……
珠美「おや? P殿、珠美たちの訓練を見ていらしたのですか?」
歌鈴「えっ!?」
P「ん、ああ……俺のほうは早く終わったから、そっちはどうなのかなって思って」
紗枝「あんさん、うちらに近寄らんといてもらえるやろか」サササッ!
P「何だよ……別にこんなところで取って食うわけじゃないんだから」
紗枝「信用できまへん」フイッ
P「……で、歌鈴は大丈夫か? 大分すっ転んでいたみたいだけど」
歌鈴「う、うううう……わ、私、その……訓練やっても、いつも転んでばっかりで……」
珠美「歌鈴ちゃんのツクヨミヒメは、珠美たちと操縦方法が違いますからね。やっぱり難しいのかと」
P「そうなのか?」
珠美「ブロッサムディーヴァは椅子に座って操縦桿を握りますけど、ツクヨミヒメは人型なので歌鈴ちゃんの体の動きに合わせて動く仕組みなんですよ」
P「はー、モーショントレースみたいなシステムが入っているってことか」
あやめ「というわけで、ツクヨミヒメが転ぶのは歌鈴殿の前方不注意ということですね」
歌鈴「うう……」
P「うーん、どうしたもんか……」
……
…………
――数時間後、夜、ブラックパール城(廊下)
P「ふぅ……」
歌鈴『う、うううう……わ、私、その……訓練やっても、いつも転んでばっかりで……』
P「……今日の訓練、一通り見たが……確かにあの子はこういうの、得意じゃあなさそうだな」
P「……」
『これはいつか、貴方の力となるわ……P、貴方の運命として……』
P「そうだよな、戦いとか、そういうのって普通は軍がやるもんだよな。母さん、どうして俺は……」
P「……もうこんな時間か。俺は早くに終わったが、桜霞の訓練は長かったな」
安価選択(会いに行くアイドルを下記から選択してください)
1.紗枝
2.珠美
3.あやめ
4.その他
↓1
1
>>47
1.紗枝
――ブラックパール城(食堂)
P「しかしここも、いつ行っても食堂で飯食えるのはいいなぁ……しかも定食はタダで食えるのか」
P「まあ、メイドの人たちや開発部は夜勤も多いだろうし、ここはずっと開いてなきゃダメだろうが……」
P「ん?」
紗枝「……」
P(テーブルに座ってるのは……あの子か。何だかあの子は俺の印象が良くないみたいなんだよなぁ)
P(というか、1人で飯食ってるのか。一応指導担当だから何か話しておいたほうがいいのか……いや、でもなぁ)
P(訓練とかで疲れているだろうし、ゆっくりさせてあげたほうがいいのかもしれんし)
1.紗枝のテーブルに座る
2.静かに食堂を出る
↓1
1
>>49
1.紗枝のテーブルに座る
P「お疲れさん。紗枝、今日は1日大変だったか?」ガタッ!
紗枝「変態や」
P「すみません、開口一番にそんなこと言われると私も心が痛むのでやめてくれませんかね……」
紗枝「事実やし」モグモグ
P「事実て……いや、間違っても事実じゃないんだが……やっぱりみんな、黒川千秋から聞かされてるよなぁ」
P『それはいい。使いもしない刻印が、戦うあの子たちの助けになるなら……それで、俺はどうすればいいんだ』
千秋『簡単よ。彼女たちと……キスをしなさい』
P「俺の名誉のために言っておくけど、俺は協力するって話をした後に聞かされたからな。決してやましいことは何もないからな」
紗枝「せやけど、千秋はんからお話聞いてから、下心もおるんやないの?」
P「いや俺、どっちかっていうと同年代くらいの女性が好みだから……」
紗枝「変態」ボソッ
P「い、言わせたのはそっちだろ……」
紗枝「はぁ……うちらは命かけてこん戦いに来てるのに、あんさんみたいな人が飛び入りで入ってきはるなんて……」ハァ……
P「……なあ、聞いていいか?」
紗枝「なんや?」
P「俺はさ、この城のことや、破壊者のことは昨日今日って知ったばかりなんだけど……紗枝、どうして戦っているんだ?」
紗枝「……」
P「紗枝だってまだ学校に通って、遊んだりするだろう? 本当はこういうことは、政府軍とかがやることじゃないか」
P「ダイオウカーが政府軍以上の戦力があるのは俺もわかったけど、それにしたって……」
紗枝「……うちがせなあかんことやから」
P「紗枝が? どうして?」
紗枝「ずうっと昔から、そうやって教えられたさかい。だいおうかーのお話がうちのところに来たのも、ずうっと昔から決まっとったことや」
P「……そうなのか」
P「まあ、紗枝だけが戦うわけじゃないからな。皆いるし、俺もいるし」
紗枝「あんさんがうちらの力になれるとは思えへんけど」モグモグ
P「ばっさり切り捨てないでくれませんかね……確かに俺は戦闘機とか触ったこともなかったけどさ」
紗枝「千秋はんも翠はんも、なしてこんな人連れてきたんやろか……」
P「……」
1.P「例え戦闘で力になれなかったとしても、他で力になれることはあるはずだ」
2.P「それでも、戦闘で皆の盾になるくらいは出来るさ」
↓1
2
>>53
2.P「それでも、戦闘で皆の盾になるくらいは出来るさ」
P「それでも、戦闘で皆の盾になるくらいは出来るさ」
紗枝「……」ピクッ
P「まー支援機って言っても、何するかまだよく分からないけどさ。とりあえずダイオウカーが戦いやすいように――」
紗枝「……あきまへん」
P「ん?」
紗枝「うちらが戦うのは、みんなを助けるためや」
紗枝「いくらあんさんでも……うちらの盾になるなんて、そんなことしはったら……」
P「……まあ、大丈夫だよ」
紗枝「え?」
P「確かに盾役って難しいだろうし、死ぬ可能性も高そうだけどさ」
P「こう言っちゃなんだけど、あの支援機ってダイオウカーと比べるとそもそも小さいから身代わりなんて出来そうにもないし」
P「使う装備だって、ほとんどが他所の国で作った普通の武器が多いみたいだし……多分、敵の気を逸らすことくらいしか出来ないんじゃないかなって」
P「まあそれでも、紗枝みたいな子たちだけに戦わせるなんて、大人としては良しとは出来ないし、とはいえ俺も死にたくはないし」
P「俺は俺で、無理しない程度に皆の力になれればいいと思ってるよ」
紗枝「……変な人」
P「そうか? まあ、ダイオウカーに任せるのが賢いって話なら、そうかもしれないけどな」
P「とはいえ女の子だけ戦わせるほど俺も腐っちゃいないからな。最後はダイオウカー頼りになるだろうけど、俺に出来る範囲で皆のことは守れるだけ守ってみるよ」ガタッ!
P「さて、飯も食ったし……俺まだ仕事残ってるから、また明日な」
紗枝「……」
紗枝「……ほんま、変な人やわ」
……
…………
――ブラックパール城(Pの部屋)
P「しっかし本当に覚えること多いなこれ……戦闘機の機器チェックとか……」カタカタカタッ!
P「マニュアル見ても全然分からん……いいや、とりあえず次」ピッ!
P「……次はこれか、桜霞の活動スケジュール」
P「……桜、ねえ……霞」
コンコンコンコンッ!
P「ん……はい!」
ガチャッ……
美優「し、失礼します……」
P「三船さん、どうしたんですか?」
美優「いえ、Pさんに……司令室の、コンソール操作マニュアルをお渡し使用かと思って……」
P「ああ、次はそっちの手順か……すみません、わざわざ持ってきてもらって。ありがとうございます」
美優「い、いえ……大変ですよね。その……ここに来て、覚えることがたくさんあって……」
P「前の仕事の経験が全然役に立ちませんからね。まあ、黒川千秋の話だとそれはそれで、桜霞絡みで使う機会はあるんだろうけど」カタカタカタッ!
美優「すみません、私も……千秋ちゃんから、Pさんのお世話をするように言われているんですけれど……私も、楓さんも、まだ忙しくて……」
P「気にしないでください。とりあえず自分で出来そうなところは自分で潰しておきますから。何かあったら声掛けます」
美優「すみません……」
P「俺も前線に出るし、司令室の仕事はあまりなさそうだけど……まあ使う画面操作は覚えておかないとダメか」カタカタカタッ!
美優「……あ、あの」
P「はい?」
美優「その、みなさんと……どうですか? 仲良く、できそう……ですか?」
P「んー……そうですね。まだここに来て間もないですけど、上手くやっていけると思いますよ。というか、上手くやっていくしかないっていうか」
P「ただ、なあ……」
美優「何か……?」
P「いや、今日は皆の訓練を見てて……歌鈴がどうにも上手く行ってないようで、どうしたらいいかなって」
美優「歌鈴ちゃん、ですか……そうですね、いつも訓練、大変そうにしていますし」
P「俺はロボットに乗ったことなんて無いから、アドバイスも出来ないしどうしたもんか……」
美優「そう、ですね……私も、戦闘機に乗ることはありませんから……ですけど」
P「ん?」
美優「その、ダイオウカーの操縦の、アドバイスができなくても……歌鈴ちゃんを助けてあげられることって、あると思うんです」
P「……んー、ダイオウカーの操縦以外で、か」
美優「あっ……す、すみません、私……」
P「いえ、すみません、気を遣ってもらって。ありがとうございます」
美優「は、はい……」
P「俺のほうも、技術を教えるのは無理だとしても、何か皆の力になれることをもう少し考えてみますよ」
美優「そうですか……あの、頑張って……くださいね」
P「ええ」
[2-10]
……
…………
今日はこれで終わります。
22時頃から続きを投下
――翌日早朝、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(中庭)
P「ふわぁ……やっぱりベッドが変わったから中々寝付けなかったな……にしても、もう夏になるってのに今日はやけに涼しいな……」
P「夜間作業の人たちのために食堂はずっと開いてるみたいだし、少し周りを散歩してから飯でも……」
「でしてー」
P「ん?」ピクッ!
P「……」
P「……」
P「……いま、何か聞こえたような――」
「でしてー」
P「……気配、こっちか」
……
…………
――数分後、ブラックパールガーデン、屋敷(中庭)
「でしてー……」
「……」
P「……声が聞こえなくなった。この時間に屋敷で起きている子がいるのか?」
タッタッタッタ……
P「ん?」
歌鈴「よいしょっ、よいしょっ……」タッタッタッタ……
P「縁側を雑巾掛けしてるあの子……歌鈴」
歌鈴「えっ? あ、ひゃああああああっ!?」ズザザザザザザッ!!
P「ええええええ……」
……
…………
――数分後
歌鈴「す、すみませぇん……」
P「いや……縁側から足滑られて顔から落ちたような気がするけど……まあ、怪我が無くてよかったよ」
歌鈴「あ、あはは……私、ドジでいつも転んじゃって……実家の神社の中では転んだことないんですけど」
P「実家が神社なのか」
歌鈴「はい。小さい頃からお手伝いさせられて、ここに来る前も……慣れてるから転ばなかったのかなって思うんです」
P「神社の中で転んで、ご利益のありそうな物とか壊したら大変だもんな。そうなったら、こっ酷く叱られそうだが」
歌鈴「そっ、それは無いですよぉ! 私だって、ちゃんと気をつけてるんですから……あ、でもお母さんにはいつも注意されてたかも……」
P「ご両親もそこら辺は気をつけてたってことか……まあ、良いお母さんじゃないか」
歌鈴「は、はい……あ、そうだ。Pさんはどうなんですか? 私みたいに、お父さんやお母さんから注意されることとか……」
P「俺か? 俺は……そうだな、注意されたことはないな。父さんとも母さんとも、話したことないし」
歌鈴「……えっ?」
P「俺の親、俺が生まれてすぐに死んだんだ。仕事で海外に出張した先の事故らしいんだけどさ」
歌鈴「あっ、あの……私……」
P「ん? ああ悪い、別に俺は気にしてないんだ。施設に預けられた俺を引き取って育ててくれた人がいてさ、その人が母親っていうか……」
歌鈴「そうだったんですか……」
P「優しい人なんだ。あんまり口数は多くなかったけど、俺がやんちゃしたら叱ってくれて、頑張ったことは褒めてくれて」
P「まあその人も、もう長いこと会ってないんだけどな。俺が中学校に上がる前くらいかな……ある日家から出て行ってさ」
P「仕事で海外に行くって言われて、海外のドコに住んでいるのかも聞いてないし、連絡先も教えてくれなかったから分からないし……だけど、生活費は毎月送られてきて」
歌鈴「そう、なんですか……Pさん、寂しくありませんか? その、お母さんとずっと離れたままなんて」
P「んー、そうだな。まあ寂しかった。友達呼ばないと晩飯食べるのも1人だったし、遠いとこに遊びに行くのも難しかったし……」
P「でもずっと頼ってばかりじゃいられないし、俺は俺で、自分の足でしっかり立ってやっていくしかなかったから」
歌鈴「自分の、足で……」
P「歌鈴だってそうだろう? 理由は聞かないけどさ、ここでロボットに乗って戦うのは自分なんだからさ」
P「自分がやるしかないなら、しんどくても足踏ん張って堪えて、やれるだけやらないと」
P「それでもダメなときは……そうだな、歌鈴の場合は皆いるからな。誰かが助けてくれるよ」
歌鈴「……そう、でしょうか。私、戦闘の練習でもみんなの足引っ張ってばかりなのに」
P「大丈夫だよ。歌鈴が頑張っているのは皆分かっているはずだ。だから昨日も、最後まで訓練に付き合ってくれたんじゃないか?」
安価選択
1.P「自分のため、皆のため……歌鈴ならきっと上手くやれるよ」
2.P「それに……少なくとも俺は、歌鈴が困っているときには必ず助ける」
↓1
1
>>70
1.P「自分のため、皆のため……歌鈴ならきっと上手くやれるよ」
P「自分のため、皆のため……歌鈴ならきっと上手くやれるよ」
P「歌鈴は、破壊者から世界……皆のために戦っているんだから、一緒に戦う桜霞の皆のためにも戦えるはずだ。俺はそう思っているよ」
歌鈴「……」
P「だから、大変だとは思うけれど……ん?」
歌鈴「……」
P「どうした?」
歌鈴「ふぇぁっ!? あっ、やぁっ……わ、わたし、のこと……しょんなふうに言ってくれて……あ、ありがとう、ございましゅ……」
P「ははは……まあ、俺もここに来たばかりのぺーぺーだしな。俺のほうも何かあったら――」
ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!
歌鈴「ふぇっ!?」ビクッ!
P「なんだ……警報か!?」ガタッ!
……タッタッタッタッタッ!
ガラッ!
紗枝「歌鈴はん、今……ひゃああっ!?」ビクッ!
歌鈴「あ、紗枝ちゃん! お、おはようございます!」
P「起きてたか。他の皆は?」
紗枝「な……なしてあんさんがおるんどすか! こっち見んといておくれやす!」
P「あーはいはい……寝巻き姿がよう可愛いことで」
あやめ「ニンッ!」シュッ!
P「んでキミはどうして屋根の上から飛び降りてくるんですかね」
あやめ「いえ、P殿が歌鈴殿に不埒な行為に及ばないかと監視を……」
P「それやってるくらいなら縁側の掃除手伝ってやりゃいいのに……あれ、後1人は?」
歌鈴「た、珠美ちゃんならまだ寝てるのかも……起こしてきますねっ!」
ピピピッ!
P「端末に通信……もしもし」ピッ!
翠『Pさん、起きていましたか?』
P「翠……偶然起きてた。いま聞こえてる警報みたいな音はなんだ、奴らが出たのか?」
翠『はい、月に配置してある観測機、ヤタノカガミが起動しました。宇宙から新たな破壊者が地球に降下してきます』
P「月とかまたスケールのデカイ話だことで……破壊者はどこに落ちるんだ?」
翠『降下予測ポイントは開発室で割り出し作業を行っています。Pさんは桜霞に出撃準備の指示をお願いします』
P「了解。今向かわせる」ピッ!
歌鈴「た、珠美ちゃん連れてきましたぁー!」ズルッ、ズルッ……
珠美「……」スー、スー……
あやめ「珠美殿ー、起きなければお尻にクナイで急所突きの刑ですぞー」
P「ま、まあいいや……桜霞の皆、パイロットスーツに着替えて格納庫に集合だ。俺は先に格納庫に向かう」
紗枝「歌鈴はんあやめはん、行きますえ!」
あやめ「いざ出陣!」シュッ!
歌鈴「い、いきまーす!」ズルッ、ズルッ……
珠美「……」スヤスヤ
……
…………
――十数分後、ブラックパール城(司令室)
晶葉『初期解析の結果が出た。暫定コード名はオケアノス、図体は前回のティターンのような人型に近い……だが映像解析ではティターンと違い、頭頂部に当たる部分に大きな穴が見つかっている』
楓「穴ですか? 何か入れるんですか?」
晶葉『分からん、何かを排出する機能が備わっている可能性もある』
パシュンッ!
美優「お、遅くなりました……」タタタタッ!
千秋「状況は!」
翠「破壊者オケアノス、現在地球に向けて降下中です。初期解析の結果は晶葉さんから転送されてきています」
千秋「ほとんど間を置かずに次の破壊者が……まさか連続してくるなんて」ピピッ!
ピピピッ!
楓「格納庫から通信が来ましたね」カタカタカタッ!
ピッ!
P『司令室――』ピッ!
美優「ひゃっ!?」
翠「いきなり通信切りましたね」
ピピピッ!
楓「あ、また通信来ました」ピッ!
P『……なんで全員寝巻き姿なんですか』
楓「まだ朝の5時ですよ……ふわぁ、私もまだ眠くて……」
千秋「あら、そんなに私たちの姿が刺激的だったのかしら?」
P『スケスケのネグリジェ姿の女3人と安物パジャマの女1人がいる司令室なんて絵的に驚くわ』
楓「このパジャマ、この前ユ○クロで買ったんですよ。1480円だったんです」
P『破壊者についてのデータは無いのか?』
楓「あの……無視しないでください……」
翠「開発室から初期解析の結果がきています。ブロッサムディーヴァ及びタケミカヅチに解析結果を転送しておきます」
美優「Pさんも戦闘に出るんですか……?」
P『そりゃあそれが仕事ですから……昨日の今日で何が出来るかは知らんけど』
晶葉『ま、タケミカヅチを動かすことは出来てたし、何とかなるだろう。死ぬのだけは勘弁してくれよ』
P『分かってるって』
千秋「分かったわ。それなら……桜霞、ブロッサムディーヴァ出撃よ!」
……
…………
――ブラックパール城、カタパルト(機体内)
P「システム起動チェック完了、ブロッサムディーヴァ各機のモニタリングデータ取得確認……」カタカタカタッ!
ピピピッ!
晶葉『おいP、タケミカヅチについてだが、武装はある程度ブロッサムディーヴァの装備仕様を流用している』
晶葉『とはいえ、機体本体の剛性については連合の仕様とあまり変わらん』
晶葉『破壊者の攻撃にはくれぐれも当たるなよ。命の保障はできん』
P「そこら辺は整備士から聞いてるしマニュアルも読んでるから大丈夫だ。死ぬ前には下がる」
整備士『ちゃんと逃げてくださいよ?』
P「分かってるって。とはいえ、あの子たちだけ戦わせるわけにもいかないだろ。やるだけやってから帰る……よし整備士、装備の換装は?」ピピッ!
整備士『ビームライフルと、おまけにミサイルポットの装備完了です。人型から航空機に変形するときはビームライフルをマウントしてからお願いしますね』
P「よし分かった、俺も行くぞ! GUWD-001、タケミカヅチで出撃する!」
……
…………
――東京、戦闘区域
歌鈴「こ、この前と違って刻印同調するときに苦しくなかった……よかったぁ」
珠美『体が慣れたのでしょうか?』
あやめ『そうだと良いですね……さすがに、同調するたびにあのような事態になるのは……』
ピピピッ!
紗枝『みなはん、お喋りもおしまいや』
P『皆、上空3000からオケアノスが来る。ブロッサムディーヴァは戦闘配置についてくれ』
歌鈴「あっ、Pさん!?」
あやめ『P殿の初陣でありますか……些か早いとは思いますが……』
P『俺のことは気にしなくていい。それより戦闘に集中してくれ、今の俺にあんまり作戦とか戦術とかの話は期待しないでくれよ』
紗枝『言われなくても、最初から当てにしておりまへん』
ピピピッ!
楓『桜霞、Pさん、そろそろオケアノスが降下してきます。1000……500……』
ズドォォォォォォンッ!!!!
オケアノス「……」
珠美『この前の人型と同じような相手……』
P『皆、開発室から追加で解析データが転送されている。ヤツの両肩、下腹部には砲門のような部位がある。気をつけてくれよ』
歌鈴「うっ、うえええ……」
あやめ『では……先手必勝!』ギュンッ!
紗枝『うちも行きますえ!』
歌鈴「あっ、わ、私は……!」
あやめ『あやめたちが奴の隙を作ります! 歌鈴殿はあわせて攻撃を!』
歌鈴「は、はいぃっ!」
紗枝『ぶろっさむびーむや!』ズドォンッ!
珠美『あやめ殿! 珠美たちはコンビネーションで行きましょう!』
あやめ『ニンッ! ミサイルでのかく乱!』ボシュシュシュシュッ!!
ドドドドドドドッ!!
オケアノス「……!!」グググッ!
珠美『奴の姿勢が崩れた……今です! ドリル――』
ピピッ!
P『高密度のエネルギー測定……なんだ……っ!? ダメだ珠美、離れろ!』
珠美『えっ!?』ギュンッ!
オケアノス「……!!」ズドォンッ!
珠美『わわわっ!?』ギュンッ!
歌鈴「なっ、なんでしゅかいまの!? 白い水が……!」
P『肩の砲門から砲撃……いや、ビームじゃない……あれは……』
……
…………
――ブラックパールガーデン、ブラックパール城(司令室)
翠「オケアノスの攻撃データの解析を!」
美優「開発室にデータを送っています。今解析を……」
楓「あっ、見てください。またあの白い水鉄砲みたいなの、ドピュッて撃ってますよ。両肩と……あっ、下腹部からも……まるで射せ――」
ピピピッ!
晶葉『解析結果が出た。奴の放っている水の塊だが、法術の酷似している力を持っている。当たるとブロッサムディーヴァでも致命的だぞ』
千秋「……であれば、単体での戦闘は難しいわね」
晶葉『ああ、ダメージを抑えるにはフィールドジェネレーターを起動して法陣を組む必要がある』
千秋「そう……それなら桜霞、月下転身よ!」
……
…………
――戦闘区域
ピーッ!
歌鈴『合体指示……! で、でもっ、敵の攻撃が……!』
オケアノス「!!」ズドォンッ! ズドォンッ!
あやめ『くっ、なんという攻めの早さ……まるで隙が無い……!』
ギュンッ!
ドガガガガガガッ!!
オケアノス「!?」ドガアアアアンッ!
P「いまの攻撃は……!」
???『……でしてー』ギュンッ!
紗枝『ぶろっさむういんぐ……いつの間に……』
P「……今の攻撃で奴が怯んだか!」ガションッ!
ドシュウウウウンッ!!
歌鈴『Pさんっ!』
珠美『これは……P殿が持たせてくれているうちに!』
あやめ『歌鈴殿!』
歌鈴『は、はいっ! フィールドジェネレーター起動!』バッ!
パアアアアアアアッ!!!!
紗枝『月読命姫のとこに行かんと……!』
???『でしてー』
歌鈴「月下……転身!!」
……
…………
――戦闘区域
P「タケミカヅチ……航空機形態から再変形……」カタカタカタカタッ!
ガションッ!
P「オートメーション機能とかいう補助機能のおかげで俺でも動かせるか……ライフル照準、ミサイル展開!」ピピッ! ピピッ! ピピッ!
ドシュゥンッ!
オケアノス「!?」ドガガガガガァンッ!
P「なるべく俺のほうに注意を逸らして……!」
オケアノス「……!」グググッ……!
ズドォンッ!
P「奴の攻撃が……!?」ギュンッ!
ドガァァンッ!
P「ぐおおおおおおっ!? ちっ、右腕部破損……ライフル使用不可……この状態は……!」ビーッ! ビーッ!
オケアノス「……!」ズドォンッ!
P「しまっ――」
ドガアアアアアアアンッ!!
P「……俺は」ハッ!
歌鈴『ま、間に合ったぁ……!』
P「皆……!」
歌鈴『はいっ!』
あやめ『ブロッサムシールド……P殿、間一髪でしたね』
紗枝『……まあ、足止め程度、してもらわんと』
珠美『後は珠美たちにお任せください!』
P「……ああすまん、頼む!」
『『『『降臨! ダイオウカー!!』』』』
……
…………
――ブラックパールガーデン、ブラックパール城(司令室)
美優「ダイオウカー……合体確認しました」カタカタカタッ!
楓「フィールドジェネレーター起動安定してます。次元振動、次元断層情報のリアルタイム取得を開始しますね」カタカタカタッ!
晶葉『おい司令室、Pを下がらせろ。初陣にしてはよくやっているがタケミカヅチのダメージが大きい。このままだと落ちるぞ』
翠「分かりました。Pさん、後の戦闘はダイオウカーに任せて帰還してください。機体状況を見ても戦闘続行は困難です」
ピピピッ!
P『ああ分かってる。俺が無理に居座っても皆の邪魔になるだけだしな』
ピッ!
千秋「聞き分けがいいわね。さっきのダイオウカーの合体支援のタイミングも的確……初陣でも冷静ね」
楓「場慣れしてる感じですね」
美優「でもPさん……戦闘機に乗ったのは初めてって……」
千秋「……そうね。まあ、適性が良かったということでしょう」
……
…………
――戦闘区域
歌鈴「ダイオウカー……えええいっ!」ガションッ!!
ガゴォンッ!!
オケアノス「……!」グッ、ググググ!
珠美『取っ組み合い……ダイオウカーのパワーのほうが勝っているみたいです!』
歌鈴「こっ、このまま……押し倒して……!!」
ピピピッ!
P『ダイオウカー! あまり組み付くな、敵が何をしてくるか分からないぞ!』
歌鈴「は、はいっ! 大丈夫です……あとちょっと……!」ググググッ!!
ピピッ! ピピッ! ピピッ!
歌鈴「えっ!?」ビクッ!
紗枝『高密度の法術反応……歌鈴はん!』
オケアノス「……!!」ガゴォンッ!
あやめ『なっ……奴の頭が動いて……』
オケアノス「……」ゴポッ!
P『なにっ!? 奴の開いている頭頂部からもあの液体が……ダイオウカー!』
バシャアアアアンッ!!!!
歌鈴「きっ、きゃああああっ!? こ、コックピットの中に……」
ドドドドドドッ……
珠美『歌鈴ちゃん! 大丈夫ですか!』
歌鈴「て、敵がダイオウカーに掛けてきてる水が……わ、私の……コックピットの中に……ごほっ!!」ザブンッ!
紗枝『歌鈴はん!』
……
…………
――ブラックパールガーデン、ブラックパール城(司令室)
千秋「ツクヨミヒメのコックピット内の映像をスクリーンに映して!」
美優「は、はいっ!」カタカタカタッ!
ピッ!
歌鈴『ごほっ……あっぷっ……うぇっ……はっ、はぁっ……』
翠「敵の放出している液体がツクヨミヒメのコックピット内部に浸水している……!」
楓「わぁ……あんなにドロドロした白い液体がコックピットの中に……まるでお風呂みたいですね。あんなお風呂に浸かったらにんし――」
ピピピッ!
晶葉『おい司令室! 急いで外部からの制御でツクヨミヒメのコックピットからあの液体を排出させろ! 歌鈴の刻印の力が弱まっている!』
美優「えっ、えええっ……!?」
晶葉『それに歌鈴があの状態ではダイオウカーも動けないぞ! 急げ!』
千秋「法術と酷似した力の液体のせい……!? コックピットの排水を急いで!」
美優「わ、分かりました!」カタカタカタッ!
……
…………
――戦闘区域
歌鈴「ごほっ……こ、この液体のせいで……か、体が……あ、熱い……体が、疼いて……」ハァッ、ハァッ、ハァッ……
歌鈴「わ、私が……動かないと、ダイオウカー……が……」ハァ……ハァ……
歌鈴「うっ……」ゴポッ!
歌鈴(頭が、ぼうっとして……体が……熱い……私、また上手くできなくて……)
歌鈴(やっぱり、私……)
歌鈴(……)
『……鈴、歌鈴!!』
歌鈴(この、声……)
……
…………
――戦闘区域
P「うおおおおおおおっ!!」ギュンッ!
ズドドドドドドッ!!
オケアノス「……」ググググッ!
P「ちっ、ミサイルの残弾が……!」
ピピピッ!
晶葉『何をやっているP! タケミカヅチは損傷している、早く下がるんだ!』
P「ちょっと後にしてくれ!」
晶葉『おいま――』ピッ!
P「ドリラー、ストライカー、キャリアー聞こえるか! ダイオウカーは奴と取っ組み合いをして至近距離になっているが、何か撃てる物は無いか!」
ピピピッ!
紗枝『う、うちのびーむなら足から直接……』
あやめ『ストライカーのミサイルは発射できますが、この距離だと爆風でダイオウカーにも……』
珠美『ビームと一緒に珠美のドリルも撃てれば奴を引き離すことが出来ると思いますけど……今は組み合ってる状態で腕が……』
P「ドリル、右腕か……それなら!」ガションッ!!
珠美『P殿!?』
P「まだコイツは腕1本と足が2つ残っている……コイツに装備している剣で!」ガションッ!
あやめ『いけません! 損傷した状態で斬鉄をしてしまうと機体が!』
P「うおおおおおおおおっ!!」ギュオオオオオオッ!!
ヒュカカカカッ!!
オケアノス「!?」シュパアアアアンッ!!
ドガアアアアアンッ!!
P「ぐうっ!?」バチバチバチッ!
ドガァンッ!
あやめ『P殿ぉ!』
紗枝『建御雷が敵の右腕を……珠美はん!』
珠美『はいっ! ブロッサムドリル……ストライク!!』ギュルルルルルッ!!
ドガガガガガガガガッ!!!!
オケアノス「!?」ガガガガガガッ!!
紗枝『ぶろっさむびーむ!』ズドォンッ!!
珠美『敵を引き離しましたよ!』
紗枝『歌鈴はん! 歌鈴はん!』
歌鈴『……うっ、うう……だ、大丈夫……です』
……
…………
――ブラックパールガーデン、ブラックパール城(司令室)
楓「ダイオウカー、ツクヨミヒメのコックピットの排水完了しました」カタカタカタッ!
美優「ダイオウカーがオケアノスと距離を取りました……。オケアノスの右腕を落としたことにより……こちらが有利になりました……」
翠「何とか間に合いましたか……Pさん……」
晶葉『あの男、なんて無茶を……いや、ていうか連絡が取れんぞ……大丈夫かなあいつ……』
千秋「今よダイオウカー! 悪しき力を……今こそ断ち斬りなさい!!」
……
…………
――戦闘区域
歌鈴「はっ、はぁっ……はぁ……た、助かった……」ゴホッ、ゴホッ!
歌鈴「Pさん……」
ピピピッ!
あやめ『歌鈴殿! まだ戦いは終わってはおりません!』
珠美『珠美のドリルで敵に隙が出来ています。今が好機ですよ!』
紗枝『いまどす! 歌鈴はん!』
歌鈴「みんな……」
歌鈴(そうだ、私……Pさんだけじゃなくて、またみんなにも助けてもらって……刻印もほとんど燃えて……でも!!)
歌鈴「みんながくれた、チャンス、だけは……絶対に……!」グググッ!
歌鈴「……草薙剣!!」
パアアアアアアッ!!!!
ヒュカッ!!
オケアノス「……!」
ズドォォォォンッ!!!!
歌鈴「私たちの、刻印……最後まで燃やして……!」
歌鈴「ブロッサム……ストーム!!」
???『でしてー』
ビュオオオオオオオオッ!!!!
オケアノス「……! ……!!」ググググッ!!
ピピピッ!
P『今だ、歌鈴!』
歌鈴「Pさん!? は……はいっ! やあああああっ!!」ギュンッ!
歌鈴「桜! 花! 斬!」ヒュカッ!!
ズバアアアアアアアッ!!
オケアノス「……」
ドガアアアアアアアンッ!!!!
歌鈴「悪鬼、滅殺……!」
……
…………
――数十分後、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(格納庫)
パシュンッ! ギギギギ……!
ガコンッ!
P「うへぇ……さすがに死ぬかと思った……機体のハッチ歪んでるし……」ハァ、ハァ……
整備士「Pさん!」タタタタッ!
P「整備士……いやゴメン、機体結構壊しちゃった。これ直る?」
整備士「直る? じゃないですよ! こんなに無茶をして……機体の右腕は吹き飛んでるし、実体剣を無理やり使った反動で他の間接もガタガタじゃないですか!」
P「いやあ……俺、こういうのセンスないかも……」
晶葉「いやお前、それだけ無茶して帰ってこれたのなら逆にセンスはあるぞ、多分……」
P「博士……破壊者は?」
晶葉「オケアノスの消滅は確認した。新たな破壊者の観測もされていないし、今回の戦闘はこれで終了だ」
P「そっか……おわったぁ……」ドサッ!
晶葉「うむ、初陣ながらもよくやったな。というかお前、タケミカヅチがあれだけ破損して怪我1つないとか運がいいな……」
P「……ってそうだ、皆は!」ガバッ!
晶葉「倒れたり飛び起きたりと忙しい奴だな……紗枝、珠美、あやめの3人は医務室に連れて行った。歌鈴は消耗が激しいのもあって集中治療室に移している」
P「歌鈴が……」
晶葉「敵の攻撃を受けて刻印の消耗が激しかったからな。行ってやれ」
P「……分かった」
……
…………
――ブラックパール城(集中治療室)
ピッ、ピッ、ピッ……
歌鈴「……」
ガチャッ!
P「歌鈴」
歌鈴「ぁ……Pさん……」
P「大丈夫か? 敵の攻撃を受けて相当消耗したって聞いているけど」
歌鈴「はい……だけど私、ちゃんとできました……最初、失敗しちゃったけど……」
P「ああ、ちゃんと出来てた。頑張ったな」
歌鈴「えへへ……私、もうダメかもって、思ったとき……Pさんの声が、聞こえた気がして……」
歌鈴「何かあったら、Pさんが助けてくれる……だから、私も、もっと頑張らないとって思ったから……」
P「そうか……」
ピッ、ピッ、ピッ……
P(計器に表示されている数値……刻印の状態か。やっぱり敵の攻撃で、相当消耗しているのか……)
歌鈴「……Pさん」
P「なんだ?」
歌鈴「私……頭が、ぼうっとして……体が熱くて……私の中の刻印が、きっと……だ、だから……その……」
歌鈴「私と、き、き……きしゅ、してください……き、キス……」
P「……ああ、よく頑張った、歌鈴」スッ
歌鈴「ん……ちゅっ、はぁっ……んちゅっ、んんっ……」
ピッ、ピッ、ピッ……ピピッ、ピピッ……
P(……計器の数値が上がった。俺の体も、内側から熱くなってきている……これが、刻印を吸われるってことなのか)
P(だけど……)
歌鈴「んっ、んん……ぷはっ! ちゅっ……」ハァッ、ハァッ……!
P(この子たちが皆のために戦っている……こんなことで、歌鈴の助けになるのなら……)
歌鈴「……はぁ……P、さん」ハァ……ハァ……
P「大丈夫か?」
歌鈴「はい……あの……嫌、でしたか……その、こういうこと……?」ハァ……ハァ……
P「嫌なもんか。歌鈴なら……俺は良いと思っている」
歌鈴「Pさん……ありがとうございます」
[2-11]
……
…………
――翌日、ブラックパールガーデン、屋敷(居間)
ガラッ!
歌鈴「た、ただいま戻りま……!」
あやめ「おおっ、歌鈴殿」
珠美「歌鈴殿!」ガバッ!
歌鈴「えっ、わあっ!?」ドサッ!
紗枝「あらまあ……ふふっ、珠美はん、歌鈴はんは病み上がりなんやから」
珠美「あ、す、すみません……だ、大丈夫ですか?」
歌鈴「いっ、いたたた……へ、平気……」
あやめ「歌鈴殿、もう体のほうは?」
歌鈴「あっ!? そ、そうだ……み、みなさん、私……」
珠美「歌鈴殿! 珠美、感服しました!」
歌鈴「え、えええっ……!?」
珠美「敵の攻撃をあれだけ浴びて、なお立ち上がる不屈の精神! その状態で放った敵を断つ一閃!!」
紗枝「かっこよかったー、いうて、珠美はん朝からずっと歌鈴はんのお話ばかりしてたんよ?」
あやめ「ええ、あやめも正直、歌鈴殿を見くびっていました。なんとも見事な戦いでした」
歌鈴「で、でも……元々は私が失敗しちゃったから……」
紗枝「歌鈴はん、うちらみんなで戦ってるんよ? せやから……今回うちらが勝てたのも、歌鈴はんのおかげ……それじゃあきまへんか?」
歌鈴「紗枝ちゃん……」
珠美「珠美も技術だけではなく、歌鈴殿のように精神を鍛えねばと思いました! これからもっと鍛錬を重ねなければ!」スリスリ
ガラッ!
P「おーっす……なんだお前たち、楽しそうにしてるな」
あやめ「P殿もお戻りになりましたか。お体のほうは?」
P「いや、俺は怪我もなかったし……皆も大丈夫か?」
珠美「はい!」
紗枝「ま……あんさんの仕事は、うちらを守ることやし。すぐ怪我なんてされても……」
P「へいへい、皆の盾になるのが俺の仕事ですよっと……まあ、皆無事でよかった。次も頑張ろう」
歌鈴「はいっ!」
P「歌鈴もその様子だと大丈夫そうだな」
歌鈴「大丈夫ですっ! その……昨日、Pさんからたくさんもらいましたから」
あやめ「むっ?」
珠美「ん?」
紗枝「……」ピクッ!
歌鈴「えへへ……また戦闘が終わったら、その……アレ、お願いしてもいいですか? その、してもらうの……凄くよかったから……」
P「え……あ、ああ……」チラッ
あやめ「……ほう、P殿、ついに本業を果たした、ということですか」
珠美「あ、あわわわわ……い、いつか珠美たちも……」
紗枝「……変態」
P「え、いや、ちょっとキミ達、誤解だよ誤解……いや、事実だから誤解でも何でもないんだけど……いや、俺の仕事だからな! 分かってる!?」
歌鈴「えへへっ、これからもよろしくお願いします、Pさん♪」ギュウウウウッ!
P「ちょっと歌鈴、よろしくはいいけどあいつらの誤解を解かないと……ちょっと、放して! ちょっと!!」
――――
――
……………………
………………
…………
……
――同時刻、ドイツ、フランクフルト国際空港(ロビー)
???「んっとに……ここは人が多くてホントめんどくさいわね……」
???「あ、ちょっとアンタ! 次の日本行きの便、どこから乗ればいいのよ」
???「え? 向こう? はぁ!? 反対側!? ちょっとまたあっちまで歩かなきゃなんないワケ!?」
???「あーもう……飛行機なんて乗らないで勝手に飛んでいこうかしら……いやいや……」
ピピピッ! ピピピッ!
???「ん、誰よアタシの端末に……はい何!?」ピッ!
???「……何、戦闘? もしかしてこっちにも破壊者が来たの?」
???「……そう、違うのね。ならいいわ。え、戻ってきなさいって? 今から!?」
???「アタシいま空港なんだけど……そっちで何とかしなさいよ……」
???「ああもう、分かったわよ……んっとに、いつまで経ってもこっちはへっぴり腰しかいないわね。年寄りを何だと思ってんのよ」
???「まあいいわ、今から戻るから。どうせ後処理もあるんでしょ? 戻るまでに戦闘は終わらせておきなさいよ」
ピッ!
???「まったく……」
麗奈「ホント……どこにいてもレイナサマは忙しいわね……」
……
…………
………………
……………………
――早朝、奈緒の部屋
奈緒「……やべっ、もうそろそろで5時か。キリがいいし、そろそろ終わるか」カチカチッ
奈緒「……」
奈緒「Pさんと歌鈴が……そ、そうか、そうなのか……特定の誰かと致したらゴールというわけじゃなかったのか、このゲームは……」
奈緒「い、いや、でもさほら、やっぱり歌鈴がこう白いドロドロした液体の風呂にドボンした絵面はもう何か直球というかこう……!!」プルプルプル……
奈緒「あ、あああ……ま、まあ……歌鈴の体は何ともなさそうだし、結局は助かったからいいんだけどさ、いいんだけどさぁ……やっぱり、その後とか……」
奈緒「まさか、これ全員分やるんだろうか……いや、そうとも限らないか……そうだよな」
奈緒「……まあいいや、もう5時だ……明日も8時から仕事だし、少し寝よ」
……
…………
終わり。HTML化依頼出して終了
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