日本兵「例えこの身が朽ちようとも」(130)

レイテ島 沖
ゴン... ゴン...

大隊長「うーん...これはまたエライ霧ですね...」

航海士「はぁ、何度もこの海域を通ってますがこんな濃霧は初めてですよ、
その上通信機器の故障ときたモンだ」

大隊長「通信機の故障は結構痛手ですね、後続の輸送船は何とか着いて来れてますが...」

航海士「護衛の駆逐艦と巡洋艦に連絡が取れない限り、我々はいい射的の的ですからな...」

ゴン... ゴン...

大隊長「さっきから両舷から何かぶつかる音がしていますが...流木ですかね?」

航海士「はぁ、船員と船長が視察に行ってますからもうじき分かると思うのですがね、
まぁもっとも、ここいらの海域で沈められた味方の艦の残骸でしょう」

大隊長「ほぉ…無事にレイテまで着けるといいのですが...」

航海士「はっはっは、何度も通った道だ嫌と言われてもレイテに揚げてやりますよ」

大隊長「ははは、それは頼もしいお言葉だ、あそうだ、少しばかり兵らの様子を見て参ります」

航海士「船酔いはもう止まってますかねぇ、陸さんの新兵さんらは」

大隊長「はは...どうでしょうか」

航海士「甲板は霧で視界が利きませんからね、足元にお気をつけて」

大隊長「はい」
ーー
ーーー

ーーー
ーー
『船室』
ウオエエ!!

日本兵「...」

「んはぁ...お前よく平気で本読んでられるな...」

日本兵「ん...?あぁ...まぁ俺らは慣れてるだろ」

「新兵の船酔いの嘔吐でこっちまで貰いそうだぜ...ウップ...」

日本兵「仕方ないよ...俺らにもあんな時期があったんだ」

「っても前はココまで酷くなかったぜ?俺らが寝てる所も…まるで死体置き場だ」

「死体置き場のほうが広いかもな」

大隊長「この船も民間のタンカーを徴用した船だ、横になれるだけまだマシだぞ」

日本兵「大隊長?」ノソッ

大隊長「あぁそのままで良いよ、どうだろう新兵たちの様子は」

日本兵「はぁ、大方の兵の酔いは治まりましたが、まぁチラホラと」

大隊長「そうか、陸に上がれば治まるかな...実はな…濃霧の影響で入港が遅れる、その上通信機がイかれてしまってな、護衛していた駆逐艦らとの連絡がつかないんだ」

日本兵「えぇ?そんな…」

大隊長「味方の駆逐艦らに連絡が取れない以上敵の潜水艦や偵察機に見つかれば
一貫の終わりだ、すぐにでも最上甲板へ行けるように警戒しろ、以上」

日本兵「はい、伝えておきます」

大隊長「あまりシナ戦線で活躍するべきではなかったなぁ...」ブツブツ


「大隊長も参ってんだな」

ゴンッ... ゴンッ...

「あーうるせえなぁこなクソ!さっきよりも酷くなってるぜこの音」

あのさぁ…

>>5 すまんこ

「流木なのかなこの音」

「さぁなぁ、まぁ大方ここいらでボカチン喰らった輸送船だろうぜ」

「うへぇ、やだやだ…」

「おい、見張り交代だ、次確かお前だろ?」

日本兵「あぁ、俺だ行ってくるよ」

「霧で何も見えねからなぁ、ボーっとしとってもバレねえぜ」

日本兵「ははっ、それはあり難い」

「気イ付ろやー」

ーー
ーーー

ーーー
ーー
『最上甲板』
日本兵「見張り交代だ」

「うーっす、なんも見えねぇから異常なしっと」

日本兵「はは、確かにこりゃひどい霧だ...なにも見えない、後ろの影は味方の船かな」

「あぁ戦車積んでる船らしいぜ、しかも最新型のでッけぇ砲積んだ戦車積んでるそうだ、これで
アメ公の戦車もいちころだぜ」

日本兵「そりゃ頼もしい限りで…ボカチン喰らわなけりゃ」

「っへっへっへ、ホントホン...あぁ?」

日本兵「ん?どうした?」

「い、今でっかい影が...海面に」

日本兵「敵潜か...?」

「わからねぇ...歪な形してた...」
ゴオオン...ゴオオオン...

日本兵「だ、大隊長に...!!」

ゴオオオオオオオオオオオン!!!!!!!! ドゴオオオオオオオオオンッッ!!!!!

『操舵室』
ジリリリリリリリリリリリリリッッ
『っな!何だこの蛸オ!!っく、来るなぁ!!ウグアアアアアアア!!!!!』

船長「機関室!!機関室応答せよ!!」

「操舵不能!!操舵不能!!面舵にも取り舵にも動きません!!」
『兵器保管室!!見たことねえでっかい蛸が...ウガぁァァァァァァァ!!!』
『浸水!!兵員室から浸水!!!!処置の施しようが...ウグッ!!』

船長「何が起こって...」

大隊長「船長!一旦船員と兵を甲板に!」

船長「っは、はい!!総員最上甲板!!繰り返す!総員最上甲板!!」

「伝声管が壊されてます!!」

船長「くそ!」

船長「スピーカー付けろ!」

「はい!」
ビ~ガガッ!!
『船内にいる者はすべて最上甲板へ!!最上k』
ッバーン!!ビリビリビリ!!
船長「ウガァァァぁぁ!!」ビリビリビリビリッッ!!!

大隊長「船長!!くそ...死んだか...傾斜が酷くなっている、君達も急いで海へ飛び込め!!」

「っは、はい!!」

バキンッッ!!ッゴゴゴゴゴゴゴ...
大隊長「南国の海で海水浴か、っと!」 ヒューン バシャンッ


日本兵「うおおおっ!!」ヒュンッ バシャンッ


???「ブオオオオオオオオオオオン...」


「...あぁ...船が...」

大隊長「早く浮流物に捕まれ!鱶にも気を付けろ!」


ドゴオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!!!
日本兵「うおっ!!」


大隊長「船から離れろ!!爆風にやられるぞ!!」

「カハッ!ゴホッ!!」バシャバシャ!!

大隊長「おい!早く浮いているものに...」

「カハッ...ウゴ」ズボッ!!

大隊長「...」

大隊長「今のは...鱶じゃない...何か違う...」

「おい…沈んだぞ...」

「な...何か足に触った...なんだよ...うおっ」ズボッ

「ヒイッ...!!」

大隊長「みんな!!警戒を怠るな!!浮遊物の上に乗れ!!」

___
__
『グロスター海岸』
ッザザーン...ザザーン...
日本兵「...ん...」

日本兵「...あぁ...砂浜...生きてんのか…」

日本兵「み、みんなは...はぁ…大隊長...うっ...ウオエエッ!!」 ビチャビチャ

日本兵「カハッ...ッペ」

日本兵「ど、どこだここは...?」

日本兵「ひ、ひとまず武器...使える武器は...あ...小銃...」
カシャッ カシャッ
日本兵「よし、まだ使える…隠れないと敵の戦闘機にヤられるな...」ヨロヨロ

「そんなに着いて回らなくても…僕は大丈夫だよ」

「しかし殿下は病み上がりです、そんなに動かれては…」

「はぁ~口うるさい騎士団長の噂はあながち間違ってないかもね~」

「っだ、誰がそのようなことを...?」ヒクヒクッ

「ずっとそんな態度でいたらいつか婚期逃しちゃうかもよ?」

「っま、まだ二十前半です!!」

王子「この海岸に来るのも久々だなぁ」

女騎士「二ヶ月も寝たきりだったのでちゃんと歩けるか心配でしたが...どうやら杞憂のようですね...よかった」

王子「心配してくれてありがとっ...それにしてもやけに漂流物多いね?どこかで嵐でもあったのかな...?」

女騎士「嵐…近辺海域で難破船の情報はありませんでしたが…」

王子「...死体だ」

女騎士「王子、見てはいけません」

王子「うん、大丈夫...かわいそうに...」

王子「見たことない服だね」

女騎士「軍服でしょうか…しかしこのような泥色をした軍服を着ている国は...記憶に無いですね、まぁ大方沖に棲んでいるクラーケンかリヴァイアサンに船を襲われたのでしょう」

王子「いくら海防のためとはいえ...可哀想だね...」

女騎士「わが国に蹂躙しようとした不貞な輩です、この海域を通る船は大体が侵略者です」

王子「うん...使い者を呼んで埋葬してあげよう」

女騎士「え?別によろしいのでは?海に流して海獣のエサにでもしましょう」

王子「え?でも...」


「う...」


王子「?どこかで声が...」

王子「このヤシ林から…あ!」

日本兵「うぅ...カハッ...」

女騎士「この服...浜に打ち上げられていた死体と同じ服ですね」

王子「っだ、大丈夫ですか?」

日本兵「う...ここは...」

王子「大丈夫ですか...?」

日本兵「あっ...あぁ大丈夫…」

女騎士「王子、離れて下さい」チャキン...

王子「え?」

女騎士「おい男、貴様の所属部隊と指揮官の名前を吐け」

日本兵「し、指揮官…?」

女騎士「その横にあるのは武器か?...見たところ細い剣も持っているようだな、わが国に友好的に近づいた訳ではなさそうだな」

日本兵「ま、まてまて...一気に話さんでくれ…ここはレイテ島じゃぁないのか?」

女騎士「レイテ?漂着している間にボケたか、ここはゼラバンカ王国、ラエ陛下が
わが国を統治しておられる...他国の兵は教育が出来ていないのか」

日本兵「ゼラバンカ王国...聞いた事ねぇ...太平洋の島の小国か...?」

女騎士「小国...?貴様!取り消せ!わが国はは数々の列強国の中でも最強の国力を誇る
国だぞ!」

日本兵「っす、すまん...」

王子「まぁ落ち着いてよ騎士団長、君はどこの国から?」

日本兵「日本だ」

女騎士「日本?っは、それこそ聞いた事の無い国だな」

王子「日本...聞かない国名ですね...」

日本兵(これはどう言う事だ...?夢でも見ているのか...?)

女騎士「殿下ひとまずこの男をを連行しましょう、何か重要な情報を持っているかも知れません」

日本兵「じゅ、重要?ゼラバンカ王国なんか知らねぇから不都合になるような情報は持ってないぞ」

女騎士「っは、どうだか...」

王子「騎士団長、今は話が聞きたい、まずは貴方の話を聞いてもいいですか?」

日本兵「あ、あぁ...」
ーー
ーーー

ーーー
ーー
日本兵「と、いう所だ」

王子「深い霧...」

女騎士「う~ん...おとぎ話的に言うと違う世界へって連れて来られたって事か...俄かには信じがたい...」

日本兵「襲ってくるデッケェ蛸も十分におとぎ話みたいな物だと思うが...」

王子「と言う事は君は兵隊なんだね?」

日本兵「そうだ、階級は伍長、数名の兵の面倒を見ていた」

女騎士「やはり貴様は兵隊か…処分はいかがしましょう」

王子「別の世界…心当たりはあるね」

女騎士「しかしあの話は…」

王子「この手の話は彼らが詳しい、話を聞くまで面倒を見よう」

女騎士「えぇ...いや...もう少し様子を見て判断した方がよろしいのでは...?」

日本兵「あぁ…面倒みるなんてそんな…俺は砂浜で野営するから別に…」

女騎士「殿下、興味本位での発言は控えた方がよろしいかと思われます」

王子「...」

日本兵「俺の身を案じてもらい誠に感謝している、しかしこれは俺の問題だからな…これ以上の迷惑は掛けられない」

王子「...」

日本兵「俺は仲間の遺体を埋葬します、すぐに済ませて出て行きますので、では」

王子「あ...」

女騎士「行きましょう、そろそろ昼食のお時間です」

日本兵「米くらいは貰っとくんだったなぁ...」 ッザ ッザ

日本兵(こいつ...最後まで船酔いが止まらなかった新兵だ...)

日本兵「...認識票取っとくか」 ブチッ

日本兵「この小さい真鍮の板がこいつの遺骨の代わりか...」 ッザ ッザ

『新兵之墓』

日本兵「乾パンか米でも流れてねえかなぁ~...」トボトボ

日本兵「おぉ、弾薬箱」カパッ

日本兵「擲弾筒...擲弾か、こりゃ良い物だ」

日本兵「他にも何か流れてきてないかな...」ウロウロ

そして
日本兵「拳銃と拳銃弾400発に小銃弾500発...多いとは言え無駄使いは出来ないな」

日本兵「まだ何か流れ着くかな...」

そして...
『ナザブ城』
女騎士「殿下、食事に手を付けてないようですが...」

王子「あ、ごめん...」

女騎士「あの男ですか?別に心配するような仲では無いと思われますが...」

王子「でも...気になるんだ...」

女騎士「はぁ~...殿下は如何なされたいのですか?」

王子「彼を...元の世界に帰してあげたい」

女騎士「どうやって?」

王子「...分からない...でも彼も帰りたい筈だから」

女騎士「...はぁ...分かりました、とりあえず帰れる目処が付くまで世話をします」

王子「え?ホント?」

女騎士「しかし、この件に関しては私が担当致します、表沙汰にはしないよう約束できますか?」

王子「うん、彼のためなら」

女騎士「では、腹減らしているでしょうし食料を届けて参ります」

王子「ありがとう、騎士団長」

そして
『グロスター海岸』
女騎士(食料庫を漁っていたら日が暮れてしまった...)

日本兵「...」 ッシャー... ッシャー...

女騎士「おい」

日本兵「ん?あぁアンタか...」

女騎士「ほれ、飯だ」

日本兵「あぁ...すまん、ありがとう」

女騎士「何を磨いでいるんだ?」

日本兵「銃剣だ、こいつの先っちょにつけるやつ」

女騎士「あぁ...なんと貧弱そうな…」

日本兵「ははっ...まぁ細いからな」 ッシャー...ッシャー...

女騎士「なぁ...お前は元の世界に帰りたいのか?」

日本兵「...正直なぁ、帰りたく無い」

女騎士「何故?家族は居ないのか?」

日本兵「家族ねぇ...俺の事をあまりいい目では見て居なかった...父は大佐で兄貴は陸軍大尉で弟は陸軍の士官学校卒...かたや俺は志願からの応募で家族の中での階級もびりケツだよ...」

女騎士「しかし帰りを待っている人は居るん物じゃないか?婚約者とか…妻とか」

日本兵「まだ独り身だ、俺の親族には居ねぇな、士官にもなれない俺は一族の恥だとよ」

女騎士「そうか...変な事を聞いてすまない」

日本兵「俺を慕ってくれるのは兵と戦友位さ...みんないい奴だったよ」

女騎士「戦友か...私にも戦友と呼べるほど仲のいい奴がいたらなぁ」

日本兵「なんだ?部隊内で孤立してんのか?」

女騎士「殿下曰く「君は思ったことをすぐに口にだすから孤立してるの」と」

日本兵「へぇ大変だなぁ」

女騎士「適当だな…所で君の実戦経験は?」

日本兵「経験ねえ、2度だけだな、もっともその二度の間に活躍してしまって移動の前に伍長という位を賜ったのさ」

女騎士「実質名ばかりと言う事か」

日本兵「まぁそうだな」

日本兵「この浜には敵さんはよくあがってくんのか?」

女騎士「あぁ、密輸入に間諜、半年前は敵国の斥候部隊がこの浜から上陸してきた
ので流石に焦ったよ」

日本兵「そ、そりゃ流石に警備が甘すぎじゃないかお前、それともそれがお前の国のやり方なのか?」

女騎士「っわ、私もイケないとは思っている!しかし...如何せん人手不足で...兵の志願率も年々下がってきているし...」イジイジ

日本兵「そりゃ問題だな...それで列強国最大の国力ねぇ」

女騎士「...他の国のレベルが低いだけだ...その国々の中ではまだまともな方なんだと思う...よく分からんが…」

日本兵「...お前はこの国が好きなんだな」

女騎士「うん...」

日本兵「はぁ...まあしゃあねぇよ、悪いところがねぇ国なんかねぇしな」

日本兵「あー...えーと、そうだ、俺の乗っていた輸送艦を沈めたバケモン...ありゃいったい何だ?」

女騎士「あぁ、話していなかったな、あれらは我が国の領海を守護する海獣『クラーケン』...どこの国にもいるぞ」

日本兵「あ、あんな化け物がこの世界にはウヨウヨいんのか?」

女騎士「あぁ、それにな人間以外にも数多くの種族がいるんだ、エルフにードワーフに...あとは獣人やら」

日本兵「...すまねえ、さっぱり分からない」

女騎士「えぇ?...貴様の世界には居ないのか?」

日本兵「うーん...イネぇだろうな」

女騎士「だろうなとは何だ」

日本兵「この世の全てを知っていたら兵隊にはならねえって事だ分かるか?」

女騎士「フンッ...さっさと食え...さてと...逃げるか?」

日本兵「...お前は気づいていると思ったが?」

女騎士「ふん、動きがバレバレだ、輩もつめが甘すぎたな...」

日本兵「どうする?」

女騎士「貴様は棍棒と細剣しか持って居ないだろう?ここで待ってろ」

日本兵「っへ、何度死線を抜けてきたと思っている?それにこいつはただの棍棒じゃあない」

女騎士「じゃあ何だ」

日本兵「小銃さ」 ッダーンッッ!!


「ウギャ?!」


女騎士「...え?」

日本兵「耳、キーンってなってないか?」

女騎士「あ、あぁ...何とか...奴は?」キーン

日本兵「頭を撃ち抜いた...即死だ...」

女騎士「い、今一体何を...?」

日本兵「長い月日を内地と支那大陸で過ごした相棒だ、最も本当の相棒は海の底だが…同じ銃だから扱いには慣れてる」

日本兵「で...こいつは?」

女騎士「あ、あぁこの顔は...国内で指名手配されている間諜だ」

日本兵「お、本当かよ、俺もしかしてお手柄?」

女騎士「悔しいが...大手柄だ、しかし今の大きな音で警備兵が来るだろうな」

日本兵「え、嘘だろ」
ピピッーー!! イタゾ!!
_
__

__
_
「山猿はまだ片付かないのか?」

「手を尽くしてはいるのですが如何せん数が多くて...JAPは地下に立て篭もり、完全掃討するには時間が...」

「はぁ...このクソッタレの丘に何日釘付けにされにゃならないんだ?沖の艦隊からの支援は?」

「はあ、彼我混交しており味方の位置さえ正確につかめず…いっそこの丘はほっておいて首里へ進撃しては…」

ドーンッ... ドーンッ...

「ん?どこの砲兵隊だ、まだ支援は要請してないぞ」

「これは...JAPの砲撃です!!!」
ッドガンッッ!! ボオンッ!!
「くっそ!!JAPどもが!!航空支援だ!サル山をナパームで焼き払わせろ!!」

「な、ナパームはいけません!!まだ山に行方不明の斥候小隊が...」

「なんだ?まだ見つかってないのか?!あぁもういい!構わずに撃ち込め!」

「撃ち込むって...」

「貴様がナパームを嫌うなら榴弾でも散弾でも何でもぶち込めって事だ!!」

「そういう意味ではありません!まだ丘に味方の斥候が!」

「ええいこれは戦争だ腰抜け!!通信手!」

「っは...はぁ...こちらPB、こちらPB砲撃支援を頼む、砲撃座標は0-1-4繰り返す...」
_
__

__
_
軍曹「小隊長、この霧はいつ晴れるんで?」

大尉「さぁてなぁ…」

軍曹「少佐は今頃ストーブの様に焚きあがってるでしょうな」

大尉「っはは...おい米兵の奴は?」

軍曹「水を汲みに行ったきり戻ってきませんぜ」

大尉「水汲みにって…水場までそこまで遠くは無いはずだが…」
ッドーン...ッドーン...
軍曹「あぁ...?」

大尉「日本軍の砲撃か?」

軍曹「この方面で攻撃出来る砲兵陣地は...我が軍だけですぜ...」

数十分後…

大尉「ゲッホ!ゴホッ!」

軍曹「クソッタレェ...ゲホッ!!...砲兵の野朗ひでぇ事しやがる、仲間の斥候を殺す所だったぜ...」

大尉「怪我は?」

軍曹「えぇ、何とか...しっかし米兵の野朗どこへ行ったんですかねぇ?」

大尉「...ッチ...いったん前線指揮所へ戻ろう、ナパームでも撃ち込まれたら堪らない」

軍曹「えぇ...そうしましょう...米兵の野郎見つけたらケツ引っ叩いてやりますよ」

_
__

__
_
米兵「こりゃ参ったな...霧で何も見えやしないや...」
ッダーン...
米兵「この銃声...日本軍か…?」
ピピーッ!!イタゾ!!
米兵「ウヒイ!!...っか、隠れなきゃ…」

米兵(か、甲冑…?中世の…?)


日本兵「おいめんどクセェぞ、説明しろ」

「騎士団長!お怪我は!」

女騎士「 あぁ問題ない、彼も敵ではないよ」

警備兵「砂浜で一体何を?」

女騎士「あぁ、ちょっといろいろあってな...あーっと...槍は別の方向へ」

警備兵「っは」

カチャッ
米兵「Stop!Don’t Move!!」

警備兵「...こいつは知り合いですか?」

女騎士「私は知らないが...彼が知っていそうだな」

日本兵「ファッキンマリーンズ!!ファキンマリーン!!」

米兵「銃を捨てろ!!」

日本兵「てめぇこそ動くな!銃を捨てろアメ公!!」

警備兵「あー...もう捕らえろ」

「っは!」

女騎士「あー…暴れるなってばもう…」

ナザブ城 地下牢
米兵「...」

日本兵「...」

女騎士「殿下に掛け合って早めに釈放して貰うようにする、少しの間待っててくれ」

日本兵「うーっす」

女騎士「喧嘩なんかしたら今以上に面倒になるからな?」

日本兵「りょ、了解」

米兵「...」

日本兵「...」

米兵「あまり殺気立った目で見なくてもいいだろ、今は二人とも丸腰だぞ」

日本兵「戦場で生き残るには、自らが兵器になることだ」

米兵「誰の格言?」

日本兵「死んだ軍曹の口癖」

米兵「それにちょっと待て、何で僕の言葉を理解できるんだ?」

日本兵「知らん」

米兵「それにここはどこだ?僕はレイテのジャングルにいたんだぞ?だのに何で中世の欧州
みたいな所に...?」

日本兵「...俺が知るかよ、何でもかんでも聞かんでくれ、俺もここに飛ばされた日が浅いんだ」

米兵「そうか...なぁ、今だけ協定を結ばないか?」

日本兵「協定ねぇ...協定を結ぶつもりは今のところはねぇな、オメェを殺すつもりもな」

米兵「ふ~ん...話が分かる人で良かった」

日本兵「人?お前らの国じゃぁ俺らはサル扱いじゃなかったのか?」

米兵「はは、僕の隊では気の弱い兵が恐怖を紛らわす為に日本兵を『サル』と言っていたよ」

日本兵「っへ...そりゃ嬉しい情報だ」

米兵「嬉しい?」

日本兵「アメ公は軍民全員が弱虫ってこった」

米兵「...君の国だってプロパガンダは流すだろう」

日本兵「まぁそうカッカするな、煽りに乗せられてどうすんだ」

米兵「フンッ...」

日本兵「...歳は幾つだ?」

米兵「19だ」

日本兵「19か、まだ新兵さんだな、俺は23歳…なぜか伍長の階級を賜っている」

米兵「...」

日本兵「...まぁここじゃぁ歳も、ましてや階級なんて関係ねえよな…」

米兵「…そうだな」

日本兵「しっかしお前は若いのにアレだな、肝が座ってる感じあるよな、いい軍人にならぁ」

米兵「...知らない、偉くなりたいとは思わないから」ゴロン

日本兵「偉くなりたいとは思わない、か…いい選択だ…」ゴロン

米兵「何故?」

日本兵「軍人って何故かなぁ大将に近くなるにつれて不思議と人を人間と見なくなりやがるんだ、ウチに沢山いたよ…」

米兵「トージョーのこと?」

日本兵「東條も、花谷もウチの連隊長もそうだった…今頃海獣の腹ん中で部下シバきまわしてんのかな」

米兵「…大変だね」

日本兵「大変だよほんと…寝よ…」
_
__

__
_
警備兵「待たせたな、釈放だ」

米兵「もう朝か…」

日本兵「Zzz...」

女騎士「おい、起きろ!二人とも殿下がお呼びだ」

日本兵「ん...殿下ぁ…?誰よそれ…」

女騎士「おい寝ぼけるな!お き ろ!」
__
____

____
__
『応接間』

王子「あっ!おはよう!...その人は?」

女騎士「日本兵と同じ境遇の者と思われます、日本兵は明らかな敵意を向けていたので…おそらくは日本兵の敵国兵かと」

米兵「っど、どうも...」

王子「同じ時期の人間が…」

女騎士「殿下、この者達の処遇はいかがしましょうか…そろそろ決めていただかないと…」

王子「あぁ、彼らを...僕の護衛として僕達の目に留まるようにします!」

女騎士「護衛ですか、いい案ですね」

日本兵「えぇ?俺も?」

女騎士「おい分かっているのか?名誉な事だぞ?」

日本兵「名誉かどうかはよう知らんが...ひとまず俺の天幕へ戻りたいんだが…」

女騎士「もう少し休んでいけばいいだろう、寝心地はあそこよりも良いと思うが」

日本兵「まぁいつか世話になるよ、それより小銃返して欲しいんだが」

女騎士「アレか、野営地のテントの中に入れて置いた」

日本兵「すまない」

米兵「ぼ、僕も彼に着いて行っていいですか?」

王子「ちょ、ちょっと待って...まずは君の話を...」
_
__

__
_
『グロスター海岸』
ザザーンッ...ザザーンッ...
日本兵「...」ッザ ッザ ッザ

日本兵「腕だけじゃあ誰か判別出来ないよな...」

『名も無き兵之墓』

日本兵「生存者は...さすがにもう流されてこないか...?」

日本兵「...大隊長?」

大隊長?「」

日本兵「...あぁ、みんな死んじまったんだぁ...ウッ...ウオエエエッッ!!」ビタビタッ


女騎士「...」

米兵「...彼に何が?」

女騎士「この海岸の沖合で海獣に船を襲われ...それで仲間を皆失った」

米兵「...か、海獣?」


日本兵「ウッ...ウウッ...」ッザ ッザ ッザ

日本兵「こんな墓ですいません...ウッ...」

『大隊長之墓』

日本兵「ウッ...ウウッ...はぁ...はぁ」


女騎士「...君は殿下の所へ戻っててくれ、彼と話がしたい」

米兵「あ、あぁ...」

日本兵「あぁ...疲れた」

女騎士「素晴らしい男泣きだったな」

日本兵「見てんじゃねぇ...」

女騎士「その…すまん…」

日本兵「っへ...お前が殺した訳じゃぁない、沖合いにいるタコ野朗共にツケを払わせてやるさ...」

女騎士「...すまん」

日本兵「やめろ」

女騎士「なんと言っていいか分からないが...すまん」

日本兵「やめろ!頼むからやめてくれ...」

女騎士「...」

日本兵「誰のせいでもねぇ…運が悪かったんだ…」

女騎士「...」

日本兵「なぁ...もし元の時代に帰れたら、俺は何を話せばいいと思う?ココで死んだ仲間の遺族になんて話せばいいのか...分からないんだ、この国の詳しい事情も把握できてない...」

女騎士「これから知れば良いんじゃないのか」

日本兵「これから知るねぇ…勉強し直しだな」

女騎士「私もその勉強を手伝おうか?」

日本兵「そうしてくれると助かる…」

日本兵「はぁ...今日の墓掘りはこの位かな」

女騎士「お疲れ様、城に戻るか?」

日本兵「野営地があるからいいよ、でも明日顔出すかもしれない」

女騎士「あぁ、殿下に伝えておくよ」

日本兵「あぁ頼んだ、お休み」

女騎士「あぁ」
_
__

__
_
『戦場で海兵隊員同士が逢引をしている間に故郷の恋人達は別の男と寝ているかも?
今夜位お家へ帰ってあげたらどう?』

「っへ、おい今日の東京ローズは当たりだぜ」

「昨日はばあさんアナウンサーだったもんな」

大尉「すまない、指揮官は?」

「っは、少佐は今通信班の方に...」

大尉「ありがとう」ツカツカ...


「ありゃ...行方不明だった斥候隊の隊長さんだぜ」

「おもいッきし砲撃食らってたが...生きてたんだな」

『通信班』
大尉「失礼します!」

少佐「はい...はい...っはっはっは、よろしく頼みます!はい、はいどうも!...おぉ、帰ってきたか!で?JAPの棲家は?」

大尉「っは、人工的な洞穴と竹製のトーチカを発見しました...しかし先刻の砲撃で目標もすべて消し飛びました」

少佐「っはっはっは、それはすまない!君達に当たらなくて良かったよ!」
ブオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!
大尉「...この音は」

少佐「ナパーム弾だ!ぺリリューでJAPを相手に航空隊が使っていたのでな!俺も使いたくなったのさ!」

大尉「っしょ、少佐!あの山に兵が一人行方不明中で...」

少佐「おぉ...それは一足遅かったな、もう山はハゲ山になっているぞ」

大尉「...私達が戻らなくてもナパームを?」

少佐「ん?そんなこたぁないぞ、っはっはっは!!いやご苦労さん!前線へ戻ってもいいぞ!」

大尉「...っ、失礼しました」
_
__

__
_
ッザザーン...ッザザーン...
日本兵「ん...朝か...」


米兵「オーイ...」

日本兵「んあ?どうした?」

米兵「スパム、食べる?」

日本兵「スパム?なんだそのけったいな名前は」

米兵「はいっ、食べなよ」

日本兵「ん、おう...?」パクッ

日本兵(まずっ...)

米兵「どう?」

日本兵(弟くらいの歳の奴に文句は言えないしなぁ...)

日本兵「あぁ、美味いよ、うん」

米兵「へぇ~美味しいって言う人初めてだ!」

日本兵「...そうなのか?」

女騎士「おーいってあれ?飯もう食ってるのか」

日本兵「おう、美味いぜ。食うか?」ヒョイ

女騎士「おう...」パクッ

女騎士「あ、いけるかも」

日本兵「だとよ」

米兵「え~?美味いかなぁ~?」パクパク

日本兵(俺の味覚がおかしいのかな)

女騎士「城へ行かないか?いろいろと会わせたい人たちが居るんだ」

米兵「行く?」

日本兵「あぁ、昨日行くって言ったしな」

女騎士「今日は会わせたい人がいるんだ」

日本兵「会わせたい?」

女騎士「日本兵達が飛んできた原因を聞きにな」

日本兵「その人らは知ってるのか?」

女騎士「わからん…ただ列強国一の博識揃いだ」

日本兵「へー…」
_
__

__
_
女騎士「と、言う事だ」

エルフ「ほう、それはまた難儀な事だな」

賢者「君の世界から別世界へ来てしまったって事か...」

日本兵「何か知っているか?」

エルフ「原因は分からないが過去にも僕らの世界...まぁ所謂「異世界」へ飛ばされた、と言っていた者は何人か見たことがある」

米兵「その人たちは...?」

エルフ「みなこの世界で亡くなったよ、普通に仕事を見つけ普通に暮らして大往生さ」

日本兵「ふ~ん」

賢者「でも君は...見た所あまり混乱しているように見えないね、きて日が浅いのに初めて見るよその落ち着きぶり」

日本兵「んまー俺が元いた所も異世界みてえな所だったしな」

賢者「ふむ...申し訳ないが僕らに出来る事は無さそうだ」

日本兵(この二人明らか迷惑そうな顔してるぜ)ヒソヒソ

女騎士(お、気づいたか...この二人はこの研究室に人を入れる事を嫌うんだ...私は
入っても良いと言われているが)ヒソヒソ

日本兵(日本人舐めんなよ?空気を読むことに関しては他の国の追随をゆるさねえぜ)

女騎士(なんだそりゃ)

賢者「もういいかな?そろそろ危険な実験をするので出て欲しいのだけど...」

日本兵「実験?」

エルフ「うむ、投擲して3秒後、周辺に爆炎と金属片を散らし敵を切り裂く...と言う兵器を開発しているのだが...火薬と言う物を使用するにあたって火薬の作製に手こずってな…やっとそれらしいものが出来たところだ」

日本兵(それ手投げ弾じゃね?)ヒソヒソ

米兵(多分手榴弾の事だね...)ヒソヒソ

エルフ「ではそろそろ出てくれないかな、危険な実験だからね」

女騎士「あぁすまん、もう出るよ」

バタン...

米兵「ふぅ~二人とも綺麗な人だったね」

女騎士「二人ともか」

女騎士(賢者の奴は男なんだが…黙っておこう)

日本兵「いや~あの二人のなんで来たのみたいな空気はキツイやな」

女騎士「っつーか殿下はどこへ」

ガチャ

賢者「危ないから退室してください!」ポイ

王子「うひゃっ」

女騎士「何しているんですか...」

王子「えへへ...実験場って広いから好きなんだ」
バンッ…
日本兵「お、実験大成功かな?」
ガチャ モクモク...
賢者「煙しか出ないじゃないか...ゴホッゴホッ」

日本兵「おう、発煙筒の開発か?」

賢者「違う...手で投げられる爆弾の開発...ゴホッ!」

女騎士「まぁ今回はまだ被害は少ない方だ、前は城全体が煙に覆われたからな」

賢者「またやり直しだ...」

日本兵「おや、耳の長い姉さんは?」

賢者「ん?...あれ?!ゴホッゴホッ!!」

女騎士「まさか...中にいるんじゃ...」

米兵「った、助けなきゃ!」

日本兵「防毒面は?」

米兵「あ...ガスマスク…テントの中だ…」

日本兵「ったく、兵士たるもの一つくらい持っときなさいよ...」ガサゴソ

日本兵「入ってくる」スチャ

女騎士「うわ...禍々しい被り物だな...」

日本兵「モゴモゴモゴモゴ…」『煙吸うよかマシだ、二人はこの人を頼む。こいつ煙吸ってるぞ』

女騎士「え?なんだって?」

賢者「っぼ、僕も行...ゴホッ!」

日本兵(マスク装着中)『モゴモゴ...』ッタッタッタ

賢者「な、何言ってるのか分からない...ゴホッ」

女騎士「分からんが…日本兵がなんとかしてくれそうだな」

シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ.....
日本兵『ウーイ...!』

「エホッ!!ゴホッ!!」

日本兵『...ッ』

エルフ「ゴホッ!!ゴホッ!!」

日本兵『ウイ!!』

エルフ「っだ...誰...?ゴホッ!!ウエッ!!」

日本兵『ッチ...』スチャ

エルフ「ッハア...ゴホッお、お前はさっきの…」

日本兵「おい!これ着けろ!ゴホッ!くっさ!」

エルフ「っき、君は良いのか...ゴホッ!」

日本兵「ええい!さっさつけろゴホッ!!」

エルフ「んむ?!んぐっ!?」スチャ

エルフ(ガスマスク装着中)『ッハア...ハアハア...』

日本兵「担ぐぞ!」

エルフ『アア...』

日本兵(早めにでねえとな…)

エルフ『ゴホッ...!』
_
__

__
_
『医療室』

エルフ「スー...スー...」

医師「今回の事故は少々危険だったぞ、あと少しでも救助が遅れていれば…」

賢者「全く持って...申し訳ない...」

王子「日本兵に感謝しないとね」

賢者「彼は...?」

女騎士「彼も少し煙を吸ったそうだ、今は寝ているよ」

賢者「そうか...」


日本兵「Zzz...」


「どこの馬の骨とも分からん奴を殿下専用の医療室にだと?」

「あぁ、殿下直々の命令だ...っへ、また殿下の発作さ…困ったもんだぜ」

女騎士「陰口なら人のいないところで...兵卒の頃に隊長に教わらなかったかな?」

「っき、騎士団長?!いっ...あーっと...見回りに行ってまいります!」ッダダ

「っじ、自分も!」ダダッ

女騎士「フンッ...」

日本兵「...あまり敵を作ると味方から流れ弾が飛んでくるぞ?」

女騎士「殿下からも注意をうけたよ」

日本兵「そりゃ結構だ...」

女騎士「もう平気か?」

日本兵「あぁ、ちょっと喉がイガイガすっが…まぁ大丈夫だろ」

女騎士「後日お礼に行くそうだ」

日本兵「そうか...無理するなって伝えといてくれ、俺は浜に戻るから」

女騎士「あぁ」

日本兵「ゴホッ...ふう、無茶はする物ではないなぁ」
_
__

__
_
『グロスター海岸』
日本兵「...」


「上陸が済んだら本部へ打電しろ」

「っへ、列強だからってお高く止まった国も俺らモルトケ特殊部隊が潜入したが最期だぜ...」

「いいか、人は見つけ次第始末せよ、軍人兵士、民間人でもだ」

「っへ、了解しました...」


日本兵(重要な作戦ならもっと目立たず動けよな…) ッタン! ッタン!

「アッ!」

「」

日本兵「...こちらの世界に来ても...俺のする事は変わらないのか...」

「アア...アア...」

日本兵「...まぁ悪いことではねえやな?」ッパン!!

「」


賢者「...ッ」

エルフ「一体何を...?」

女騎士「また手柄を立てたな...」

日本兵「手柄ったってこんな事ガキでもできらぁ、モルトケ何とか部隊だとよ、そりゃ一体なんだ?」

賢者「今のは一体何を?」

日本兵「小銃弾を奴らにぶち込んだのさ、それとこれ、お前らが開発していた手榴弾だ」

エルフ「ちょ、ちょっと触ってみても...」

日本兵「いいが、この麻紐外すなよ」

エルフ「あぁ...」ニギニギ

日本(ちょっと触り方いやらしくないすか)

女騎士「モルトケ...ドライゼ第3帝國の部隊か」

賢者「ドライゼ...ちょっと厄介な事になるかもね...」

エルフ「ちょっとで済めばいいな...」

日本兵「ほぉ、因縁の相手と言う奴か?」

女騎士「我が国の敵ではない...が、相手にするとなると結構な戦費と人員を
動かさないといけなくなる...」

日本兵「どの戦争もそんな物じゃねえか?」

エルフ「周辺国はみな弱小国家が多いからな、あまり苦労はしていないさ」

日本兵「ほ~ん」

賢者「ドライゼ帝國は兵の訓練は疎かではあるが...武器や兵器の性能は
我が国の兵器の性能を超えているんだ」

米兵「地味に脅威になる国って結構面倒だよね~」

日本兵「あ?やるか?」

米兵「お?」

女騎士「喧嘩をするな、まずは国王に報告だ」

日本兵「国王って...」

女騎士「わが国の国王に決まっているだろう、ゼラバンカ王国国王 ラエ陛下、陛下もお前に興味を
持っている」

日本兵「いや...興味ったって」

女騎士「いいから行くぞ」
_
__

__
_
日本兵「っても礼服なんて海の底だしなぁ」

米兵「パヴヴに置いて来ちゃった...」

女騎士「大丈夫だ、ラエ陛下はそこらへんはあまり...それにそこまで
汚れてないだろう。では扉開けるぞ」

日本兵「...」

米兵「...」

女騎士「陛下!入ります!」

「どうぞ」

ガチャコンッッ ゴゴゴゴ...

日本兵(おぉ、引き戸)

ラエ「うむ、謁見の間の扉はやはり引き戸に限る」ウンウン

女騎士「何を仰られていますか、工事費用五千万を使う程の物ではありませんよ?」

ラエ「っで、でも趣があって...それに瀟洒で良いではないか?」

女騎士「よくないです」

日本兵(おい陛下ってまだ子供じゃねえか?)ヒソヒソ

米兵(お父さんの代理かな?)ヒソヒソ

女騎士「ご紹介が遅れました、この二名は昨晩申した『大日本帝国』と...君はどこから来たか聞いてなかったな」

米兵「はい、僕は『アメリカ合衆国』、生まれはアーカンソーのコンウェイと言う町です」

ラエ「大に?アメ?」アタマノナカグルグル

日本兵「あー...とても遠い所から飛ばされたと解釈して頂きたい」

ラエ「ええっと...飛ばされたと言うのは?」

女騎士「それは私が説明します」

ラエ「うむ、さっぱり分からん」

女騎士「そうだったぁ...私もまだ良く分からないのに説明なんか出来ないよ...」

日本兵「あ~...端的に言うと、自分ら2人は別の世界から飛ばされて来た」

ラエ「ふぅむ...その手の話は賢者たちに聞いた、で...君達は同じ世界の、同じ時代の人間であるのか?」

日本兵「あぁ、互いに敵さんだがな」

米兵「と、言う事です」

ラエ「益々君達に興味が湧いてきたぞ!うん、君達は今日から騎士団の隊員だ!」

日本兵(オイどういう事だ貴様!)

女騎士(陛下に興味を持たれた以上は、逃げられんぞ)

日本兵「自転車には乗れるが馬は乗った事無いぞ」

米兵「僕はハーレー...」

ラエ「大丈夫!騎士団の中にも馬乗れない奴いるから!!」

日本兵「いやそれ大丈夫なのかよ」

女騎士「私は乗れるぞ?」

王子「姉上!やりましたね!」

ラエ「当たり前よ!こんな貴重な人材を手放す筈が無いわ!」フンヌッ

日本兵(いつの間に)

女騎士「はぁ...また黙ってこんな事を...」

ラエ「ごめんねー、でも喋ったら絶対止めるでしょ?」

女騎士「当たり前じゃないですか」


米兵「衣食住は揃ったね」ヒソヒソ

日本兵「俺は野営地の方が...」ヒソヒソ

女騎士「話はついた、あとは自由にしていいぞ」

日本兵「なぁ世界地図貸してくれないか?」

女騎士「お?いいぞ、後でテントに届けるよ」
_
__

_____
___
日本兵(世界地図を見た所この世界はゼラバンカ王国を含め3つの列強国がある。西にドライゼ第3帝國、北にエンフィールド大帝国
だ。列強の周りに小国が多数、南にはでかい島も書いてある、その島はコクンボナ公国という国が納めている様だ)

日本兵(東の海域には大小の島々が無数にあり、とても小さな島にも王国がある様だ)

日本兵(仏さんになった彼らはドライゼ第3帝國の特殊部隊で、あのくっちゃべりようから見ると兵一人一人の練度はあまり高く無いのかも)

日本兵「うーん...今の所この国の脅威はドライゼ...奴らが持ってた武器は...石弓か」

日本兵(我が世界ではどこの弱小国でも銃はあったが...この世界は火器は無いのか)

日本兵「また地理の勉強が必要かなこりゃ...」ポリポリ


「入るぞ」

エルフ「勉強の邪魔だったかな?」

日本兵「いんや、丁度訳わかんなくなったトコだ」

エルフ「わからない?どこがだ?」

日本兵「この世界は広いなぁ、この真っ白なのは...」

エルフ「未開の地だ、その世界地図も来年には役に立たなくなるかもな」

日本兵「マジ?まぁいいか...で、どうかしたか?手榴弾は適当に持ってってイイぞ?」

エルフ「あぁ、君にお礼も兼ねて手料理を振舞おうと思ってね。調理場を借りるよ」

日本兵「え?いいのぉ?すまねぇな」

エルフ「料理は嫌いじゃないし、今の私に出来る事はこの程度のものさ」

女騎士「よ、日本兵、邪魔するぞ…お。エルフ、もう来てたのか?」

エルフ「やぁ、遅かったね」

日本兵「ん?なんか約束でもしてたのか?」

エルフ「うん、女騎士に君に夕飯を作ってあげたいと相談したんだ、それで女騎士も調理を手伝うと」

日本兵「えーいいのぉ?」

女騎士「な、なんだその喋り方は...まぁいい、私も加勢するか」

エルフ「焦げないよう混ぜててくれ」
女騎士「あぁ」


日本兵(何か…春が来た気分だなぁ)

女騎士「ん?どうした?」

エルフ「もうちょっと待ってくれ、じきに出来る」

日本兵「あ、何でもない…水汲んでくるわ」

女騎士「あぁ」

エルフ「気を付けてな」
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___
日本兵「いやー…何だこの胸の鼓動は…」

日本兵(昔、近所に住んでた八百屋の姉さんに会った時と同じ感覚だなぁ…)

日本兵(ちょっと…頭冷やそう)

ビ-!!ビ--!!

『甲板にいる兵に告ぐ!砂浜にいるJAPを狩れ!!繰り返す!!』

日本兵「?!く、駆逐艦?!アメ公の?!」
ダンッ!! パァン!
ヒュンッ! シュッ!

日本兵「やっば!やっば!!」

ヒュンッ チュインッ
日本兵「イテッ...!!クッソが!!」ッタッタッタ


女騎士「っな、何だ?!何かあったのか!?」

エルフ「おい怪我しているぞ?!何が...」

日本兵「いいから逃げるんだ!!」ヒョイッ ヒョイ

女騎士「っちょ///!降ろせ///!!」
エルフ「わ、ワイルドだね...///」
ッドン! ッドン! ッドン!
日本兵「駆逐艦まで来てるとか聞いてねえぞぉ!!」 ズドンッ ッドオン!!


賢者「जादुई विस्फोट!!」

ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!

ドゴオオオオオンッ!!バシャーンッッ!!ドゴオオンッッ!!!

 ビーッ!!! ッビッー!!


日本兵「...」

賢者「沈んだよ、後は沖の海獣が食ってくれると思うよ」

日本兵「っす、すげえな...」

賢者「爆発魔法は簡単だよ、君も学んでみるかい?」

日本兵「いや…やめとく」

賢者「つれないなぁ」

日本兵「俺が俺じゃなくなるようで怖いんだよ...しかし駆逐艦の野郎しっちゃかめっちゃかに撃ちやがって…こりゃここでじゃあ
寝られんかなぁ」

女騎士「そっ、そろそろ降ろしてくれるとありがたいのだが…///」

エルフ「右に同じく///」

日本兵「おっと、すまねぇ」ヨイショ 

女騎士「ふぅ…///どうも」キリッ 

エルフ「と、とてもワイルドだったね…///」

賢者「どうやらまた命を救われたらしいね」

日本兵「いや、今回は俺が原因だ…アメ公がまだいやがったとは...」

エルフ「いや、私達を真っ先に助けてくれた事にはかわりないよ、ありがとう」

女騎士「あぁ、感謝するぞ」

日本兵「あぁ…」

日本兵(駆逐艦まで飛ばされてきやがったか…敵の主力艦隊が飛ばされて来た日にゃ
この国はどうなるのか…)

日本兵「今日は野宿だなぁ」

女騎士「城に来れば良いじゃないか、部屋なんてたっくさん空いてるぞ?」

日本兵「部外者を泊まらせていいのか?」

女騎士「お前はもう部外者ではない、それにわざわざテントなんか張らずにずっと城で過ごした方がイイだろう?」

日本兵「それもそうだが…天幕暮らしも好きなんでね」

日本兵「それに…前見たく間諜が上陸して来たらこの国にとっても面倒だろう?」

女騎士「まぁ...それは我々の仕事なんだが...」
___
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『太平洋艦隊総司令部』

ニミッツ大将「...行方不明 駆逐艦1隻 輸送艦3...護衛空母もか...」

「はい、護衛空母はギルバート諸島攻略の後で行方不明となりました。気になる事は…行方不明艦は全艦通信が途絶える前に、「とても深い霧が出てきた」
と周辺の基地に打電していました」

ニミッツ「ハルゼーはなんて言ってる?」

「ハルゼー大将は「見つけ次第艦長のケツを蹴り上げる」と」

ニミッツ「つまりいつも通り…まだ戦力的には大した損害は無いが、これが続くとちょっと厄介だな」

「大統領も原因の返答を急いでおります」

ニミッツ「こちらでも原因解明に戸惑っているのに無茶を言うな」

「大統領は無傷の状態での艦の損失はありえん事なのに大将は何を...と激怒しているようで...」

ニミッツ「そりゃそうだ、ホワイトハウスの連中に指図されんでも分かる...もうちょっと待てと打電しとけ
あぁ、後大統領直通の電話の線も切っとけ」

「はっ、了解」

ニミッツ「っはぁ...ホントに切って欲しいな…」

ニミッツ(深い霧…か、確か噂じゃあ海兵隊の方でも行方不明の話があったな…)

ニミッツ(太平洋は広いが...すべて我々が掌握済みだ)

ニミッツ「これは…真珠湾以上の大問題になりそうだぞ…」
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米兵「え?!駆逐艦が?!」

日本兵「あぁ、一隻だけだったがな…」

米兵「そっか…」

日本兵「まぁ…良い気持ちでは無いよなぁ…仲間が死んじまったんだから」

米兵「うーん…まぁ攻撃してきたのはあちらからだからねぇ、戦争だし
仕方ないっちゃあ仕方ないんじゃないかな?」

日本兵「そうか…しかしえらく達観してるのな」

米兵「だって日本兵も撃たれたんでしょ?駆逐艦の兵も撃たれる覚悟があって
撃ってきたと思うよ」

日本兵(いや…あれは狩猟してる気分だったろうが…)

日本兵「そう言ってくれると気が楽だ」

米兵「でも見事に野営地やられちゃったね」

日本兵「あぁ、建て直すまでは城で世話になるよ」

米兵「最初からそうしなよ」

日本兵「まぁそうなんだけどさぁ、あまり世話になっても…この国に思い入れないし…世話になりまくったらなんかなぁ…」

米兵「まぁ…確かにそうだけど」

日本兵「そいえば、城には図書館はあるか?」

米兵「図書館…あぁ確か王室の近くに書庫があったよ、まぁ僕らが入れるかどうかは
分からないんだけどね...」

日本兵「成る程、いっちょ行ってみっか」
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__
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日本兵「ふ~ん...」

日本兵(ここゼラバンカ王国は九百年もの歴史があり初代国王が今の領土を統治して以来、この国は大規模な領土の拡大も縮小も無くおおよそ平和に暮らしている...しかし、隣国では紛争や内乱、そして小国同士の併合や戦争で他国の領土は目まぐるしく変わっており、今日現在の地図の国境の線はほぼ書き直さないといけない位に意味を成さないようだ...)


米兵「へぇ~この国ってそんなに歴史あるんだ~凄いな~」

日本兵「アメリカだって歴史はまだ短いが、結構ゴチャゴチャしてるだろ」

米兵「うん」

日本兵「んなこたぁどうでもいいんだ...異世界への転生?神隠し?の類の本はどれだ...」

米兵「そんなマニアックな本あるかなぁ~...奥探してみるね」トコトコ

日本兵「おうよ」


女騎士「私達に黙って勉強会かな?」

日本兵「うおっとぉ?!いきなり出てこないでくれよ...」

女騎士「いきなり出てくるも何も、勝手に書庫へ入られては困るぞ?重要書類もあるんだからな」

エルフ「まぁまぁ、この国の歴史を学んでくれるってことは悪い事ではない」

女騎士「私は勝手に書庫へ入った事の問題を指摘しているのであってだな…」

日本兵「あぁすまねぇ、ちょっと暇だったもんでよ…」

女騎士「べ、別に…次は一声掛けてくれたら一緒に…」モシモジ

エルフ「女騎士よりも私の方が知識は豊富だぞ?」

女騎士「な、何を?!」

日本兵「わ、わかった!わかったから!次は二人に声かけるから!」

女騎士「フン…まぁそれでもいい…」

日本兵「な、拗ねる事はないだろ…」

米兵「口下手な男ですこと」

日本兵「…」

米兵「じゃあ許しも得た事ですから改めて奥の方見てくるね~」

日本兵「しっかしまぁ...随分と国境の移り変わりが激しい時代なんだな」

女騎士「あぁ、各国では民衆が決起だのなんだので…まぁ国の統治の仕方にも問題はあったのだがな」

日本兵「大変な時代だな、まさに歴史の転換点的な」

女騎士「そうだな、歴史の移り変わりだ…私達もうかうかしてられない…」

日本兵「…?」
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__
_

米兵「う~ん...書庫っても結構広いなぁ…ん?この…肉が腐ったような臭い...霧…?」

ッパシュンッッ!! ッパシュウウウン!!

米兵「う、うあ!!?」

「射撃用意!!」

「ま!待て!!ありゃ味方だ!!」

「あぁ?!おいお前バカか?!んなとこいたら重機関銃の餌食になっちまうぞぉ!こっち来い!!!」

米兵「え?え?」

曹長「頭イカれるにはまだ早いぜ!!こっちこい!!日本兵がこっち来るぞ!!」

米兵「え...?っは、はあ...?」

中尉「今はネコの手も借りたいんだ!!バズーカ使えるか?照準は細かくやらなくて良い、日本兵は密集してくるから適当に撃っても当る!!」

曹長「中尉!敵が来た...!」ジャキンッッ

米兵「ここは...一体...」

中尉「はぁ?!もうイカれちまったのか?まぁいいさ!いいか!!ここはこの世の地獄...オキナワだ!」

曹長「ようこそ新兵さん!」ッドドドド!!!ッドドドドドド!!!!

テンノウヘイカバンザイ!!! バンザーイ!!!! ウオオオオオオオオオ!!!!!!
米兵「オ、オキナワ...?」

ッダン!! ッドオオン!!

バシュウウウウウウウウウウンン... バシュウウウウウウウウウウウウンン...
「きゅっ!!臼砲!!!化け物臼砲だぁ!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオンンンンンッッッ!!!!!! ゴオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!
米兵「...今何年?」

曹長「1945年だ新兵!!JAPの芸者ガールは目の前だぜ!!」ズドドドドドッッ!! ズドドドドドッッ!!
ドオオンッッ!! ズドオオンッッ!!
_
__

__
_
ッターン...  ドオン...
中尉「さぁてと...被害は?」

曹長「さっきの臼砲で第一防衛線の重機関銃中隊が全滅、迫撃砲の陣地も兵ごと吹っ飛ばされました」

中尉「そうか、ご苦労…お前しかしよくやったなぁ」

米兵「っど、どうも...」

曹長「あのバズーカ捌きはすごかった」

中尉「日本軍の小隊がまとめて吹っ飛んで行ったのは壮大な光景だった」

曹長「お陰で戦利品が粉々だぜ、カタナもナンブも価値がなくなっちまったぜ!はっはっは!」

米兵「…」

中尉「?どうした」

米兵「あ、何でも無いです...」

米兵(...ずっと日本兵といたからなんか複雑だなぁ...)

ウウッ... アー...アアー...
ッタン!! ッタンッタン!!
「おい衛生兵!JAPに包帯は要らねえぞ!7.62mm弾で事足りるぜ!」ッタンタン!!


米兵「...ッ」

中尉「あぁ、あんま難しい事は考えるな、あいつの弟は日本軍に殺されたんだ」

曹長「刀ねえなぁ...っお、んだ写真かよ...」

中尉「ゲイシャか?」

曹長「いえ、家族の写真です。この日本軍将校良いとこの生まれですよ多分」ッポイ

米兵「...?」ヒョイ

米兵(...右端の人の顔...日本兵に似てるなぁ)

中尉「マスカワ...」

米兵「え?」

中尉「その死んだ将校の名前はマスカワ、下の漢字はわかんねえ」

米兵「え…分かるんですか?」

中尉「こう見えても俺は大学の講師だったんだ、今じゃ見る影もないがな」

米兵「マスカワ...」

中尉「お前...そのワッペン第一騎兵師団だろ?どうしてココに居るんだ?」

米兵「あ...えーっと...」

中尉「...話してみろ」

米兵「...はい...」
_
__

__
_
ッザザーン... ザザーン...
日本兵「...」

女騎士「...見つからなかったな、米兵」

日本兵「あぁ、元の時代に戻れてたらいいがな…いや…でも戦闘はしたくねぇか…」

女騎士「だな...」

日本兵「...」ッス

女騎士「?なんだそれは」

日本兵「俺の家族の写真だよ...兄が配属される前の日に撮ったんだ」

女騎士「...ふーん、右端が日本兵か?」

日本兵「あぁ、唯一俺の事を可愛がってくれた兄だ、一緒に写ろうって言ってくれてな、右端に追いやられたが...まぁ俺も一緒に写りたかったしいいかな」

女騎士「兄はどこへ送られたんだ?」

日本兵「言ってもわかるのかぁ?...確か最初はハルビンってとこで何年か国境警備してて...その後...なんかどっかに移動するみたいな話があったが…」

女騎士「ほお...さっぱりだな」

日本兵「当たり前だ、俺もさっぱりなんだから」

女騎士「っははは...」

日本兵「っはは...でも...イキナリどこかに飛ばされるのは怖いな」

女騎士「...お前も行くのか?どこかへ」

日本兵「んなもん知らんがな」

女騎士「..お前だけにはどこにも行って欲しくない...」

日本兵「え?な、なんで?」

女騎士「お、お前...私の口から言わせるのか...///」

日本兵「え?え?」

女騎士「ったっく...///」

日本兵「ん、んだよ…やっぱ俺テントで寝てて良いかな」

女騎士「駄目だ、もう部屋を用意したんだぞ」
_
__

__
_
リーン.. リーン...
日本兵「...ンッ...ウウッ...」

日本兵「...布団...あぁ、城かぁ...ここ」

日本兵「...便所」ノソッ

日本兵「...場所聞いてねえや...」


日本兵「...」チョロロロロ...

日本兵「...裏庭で立ションしてんのバレたら怒られるかな」


「おい、例の漂流者が城にいんだって?」

「あぁ、騎士団長様の別室に寝てるらしいぜ」

「へ?あの鬼騎士の騎士団長ぉ?何でまた今更になって色気付いてんのかねえ」

「さあな、もう一人の奴はどっかに姿くらませやがったし、もっぱらどこぞの国のスパイだって噂もあるぜ」

「っへ、間抜けそうなツラしてたがな...」


日本兵「...まぁ普通に考えていい顔はしねえやな...」

_
__

__
_
『城下町』
ヤスイヨー!! トレタテダヨー!! 
日本兵「...城下町は広いなぁ」

女騎士「あぁ、この国で一番デカイ町だ、国中の産物から外国の特産物も安く買えるんだ」

エルフ「まぁ関税かかちゃって割高なのもあるけどね」

日本兵「ふーん、さすが首都」

「おっ!兄さん外国人かい?今日朝方砂浜で拾ったもんだ!古の貨幣かもしれねぇ!」ッス

『歩2-9-3 大川 清』

日本兵「...」

エルフ「ん?これは?」

日本兵「認識票、死んだ俺の戦友だ…おやっさん、コレ幾ら?」

エルフ「え…」

「30Gってとこさね」

日本兵「30...」ガサゴソ

女騎士「そ、その位金額なら私が出そう」チャリン

エルフ「わ、私も出すよ」

「お!金を女性に出させるたぁ憎い男だねぇ!まいど!」

日本兵「どうも」

女騎士「日本兵、いいのか?アレは君の仲間の者だろう?他にも沢山…」

エルフ「ここら辺の出店にも出回ってるんじゃないか?商人にこれを死者の物と説明すればこちらに引き渡してくれる筈だ」

日本兵「商人も生きてくにゃ金が必要だろうしな、仕方ないよ」

女騎士「しかしな...」

日本兵「こんなことでクヨクヨしてたって仲間が生き返る訳じゃねぇし、なにより大川の認識票を取り返せたんだから満足だよ」

女騎士「...出来る事があるなら手伝うよ、ずっと」

エルフ「あぁ、私もそのつもりだ」

日本兵「...ありがとう」
_
__

_
中尉「その日本兵とやらはどんな奴だ?」

米兵「階級は確か...伍長でした...頼りがいがあって...とてもいい人でした」

中尉「...そっか、実はなココ最近兵の失踪が相次いで発生しているんだ」

米兵「兵の失踪?」

中尉「あぁ、兵だけじゃなく、噂では護衛空母と駆逐艦もだな」

米兵(駆逐艦...そう言えば...)

中尉「何か知ってるか?」

米兵「駆逐艦が一隻、沈められるのを見ました」

中尉「な、何だって?!」

中尉「駆逐艦が...日本軍か?」

米兵「いえ...アレはなんと言うか...魔法?」

中尉「...」

米兵「海軍の方が先に撃ってきたらしいです、日本兵めがけて...」

中尉「駆逐艦がやられた所は…」

米兵「遠巻きからだったので最初はわかりませんでしたが、あとから日本兵に...」

中尉「クッソ...何てこった...」

米兵「...」

中尉「いや...仕方ない事だ...うん...」

中尉「よし、一緒に司令部へ来い、大将さんにお前の事を話すんだ」

米兵「はい...行きます」

中尉「よし...」
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『カミンボ海域』

「駄目です、オアフにもポートモレスビーにも連絡してみましたが...通じません」

「そうか...何か動きがあるまで続けろ」

「了解」バタン...

ブゥゥゥン!! ブゥゥゥン!!
「おっと…まーたホークの奴か…」

『リスカム・ベイ』飛行甲板
ブルルルルルルッッッ...
整備士「ホーク少尉!!また飛ぶんです?!」

ホーク「あぁ、海図と母艦の位置が合わないんじゃ飛んで確かめるしかないからね!!」
ブルンッ!! ブルンッ!!
整備士「お気を着けて!」

ホーク「あぁ!!」
ヴウウウウウウウウウウッッ!!!! ブウウウン...

「どうせ位置なんか分かりっこねえさ」

整備士「はは...航空機の燃料の燃料も無限にあるわけじゃないからいい加減飛ぶのは控えて欲しいな…」

ゼラバンカ王国上空

ホーク(やはりどこの海図にも載ってない地形...ニューギニアでもないしフィリピンでもない...我々が見た事も無い島、いや...島と言うより大陸だな)

ホーク(高度を下げて海岸線を飛んでみるか)
ブウウウウウン.....

日本兵「おーおーアメ公の物が沢山流れて着てやがる」

女騎士「前に攻撃してきた奴らか...どうする?」

日本兵「う~ん...ほっとく訳にもイカンしな、病気とか怖いし」

女騎士「そうだな」


ブウウウウウウン...


女騎士「ん?何だこの音...?」

日本兵「いやーな音だな...こりゃ」

ブウウウンッッッ!!!!!

日本兵「ア、アメ公!!!?」

ブウウウウウウンッ...

ホーク(ん?あれは...日本軍兵士か?ならば中国大陸...いや...んん?!)

ブウウンッッ

ホーク「...中世騎士の...鎧?」

ブウンッ!!

日本兵「ヤベェ...敵さんの飛行機が...」ガクガク

女騎士「いっ今のは?!空を飛んでたぞ?!凄い速さで!?」

日本兵「米兵のお仲間さ...また来た!!」
ブウウウウンッッ!!!!!

ブウウンンッッ
ホーク「ありえない...」
ブウウンッッ...


日本兵「...ふう」

女騎士「お前は一体どんな国と戦争していたんだ...?」

日本兵「あぁ?さぁな、多分化け者じゃねえか?」

女騎士「はぁ...怖かった...」

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『リスカム・ベイ』 司令室

ウィルトジー「...終わりか?」

ホーク「はい」

ウィルトジー「...中世の騎士...ねぇ、中国大陸だったとしたらそこに住むブルジョアの変態趣味じゃないか?」

ホーク「であるならば良いのですが」

ウィルトジー「だが、まさかとは思うが...君にこの情報を喋るのは初めてだったかな」

ホーク「?」

ウィルトジー「ココ最近太平洋方面で、艦船の行方不明が相次いでいるんだ」

ホーク「...潜水艦で沈没させられたのでは」

ウィルトジー「俺も最初はそう思ったよ、詳細はこうだ『突如深い霧が現れ、船団を包み込んだと思うと輸送艦が何隻か姿を消した』だ」

ホーク「...」

ウィルトジー「そして、俺らも霧に呑み込まれ…現在地不明、行方不明艦の一隻になったんじゃないかってのが俺の考えだ」

ホーク「そんな...有り得ない」

ウィルトジー「まぁ有り得んって思うよな...普通は」

ホーク「だったら」

ウィルトジー「その中世の騎士様も...変態趣味であれば良いが、もしかしたら、俺らはそう言う世界へ着ちまったのかもしれん」

ホーク「ではあの日本兵は...」

ウィルトジー「そいつも同類かもな、一人で流されたか、部隊が丸ごと流されてきたか...それを解明させるぞ、いいな」

ホーク「了解」
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日本兵「...ッチ」

日本兵(駆逐艦まで来てんだから...敵さんの空母もいるわなぁ...)

日本兵「それが一つか二つか...まぁ分かったって俺に勝ち目はねえが...どうやって過ごすか...移動するしかねえかな...」ブツブツ

エルフ「なに独り言言ってるんだ?」

日本兵「あ...あぁ、ちょっとのっぴきならねえ事態になっちまってさ...」

エルフ「例のヒコウキって奴か?」

日本兵「あぁ、味方のなら良いんだが、敵の航空機でなぁ...どうしよ」

エルフ「お前が怯えるなんて...そんなに強いのか?」

日本兵「怯えるなんてって、俺を何だと思ってんだ...ただの歩兵だぞ」

エルフ「だ、だっていつものお前は強いから...」

日本兵「...」

日本兵「...いや...大丈夫だ、心配ねえよ」

エルフ「ッホ、ホントか?」

日本兵(アイツらの目的は...おそらく我が軍の部隊の有無...こいつらに直接影響は無い筈...俺が居なければ、だが...)

日本兵「移動するしかねえか...」

エルフ「え?」

日本兵「いいか、女騎士達に伝えてくれ」

エルフ「...?」

日本兵「あのヒコウキは俺が居なければお前達に危害は加えない、だから俺はこれから移動する」

エルフ「い、移動って...どこへ?」

日本兵「どこへでもだ、この国に危害が加わらないトコ」ガサゴソ

エルフ「え…いきなり過ぎるだろ」

日本兵「伝言伝えたいんだが、エルフから頼めるか?」

エルフ「なぁ考え直せ、殿下も陛下も日本兵の事を大層気に入っておられる...」

日本兵「それは嬉しいが...この国に危害が加えられては遅い」ガサゴソ

エルフ「...勝手すぎるぞ...」

日本兵「...」

エルフ「いきなり現れていきなり消えるのか...?」

日本兵「いいだろ、俺は別にこの国に思い入れはねえし」


女騎士「...どこへ行こうと言うんだ?」

日本兵「うおっ...」

女騎士「話は大体聞いた、あのヒコウキがこの国を攻撃するかも知れないから...か」

日本兵「そこを聞いていたなら安心だ、じゃぁな」

女騎士「...行くのか...」

日本兵「あぁ行く」

女騎士「逃げるのか...?私達を置いて」

日本兵「あぁ逃げるね、あの飛行機にやられたくねぇんだ、俺がいなけりゃあいつらも手は出さねぇ」

女騎士「もし戦争をふっかけられたら…」

日本兵「米兵のいた国だぞ?大丈夫だろ」

女騎士「あいつらは知らんがお前は信用できる、お前の国は知らないが...お前は信用できるんだ」

日本兵「おい、その安易に信用する癖はどうにかした方がいいぞ、悪い癖だ」

女騎士「...ッ」パアンッッ!!!

日本兵「ッツ...ってぇなぁ…!」

日本兵「...じゃぁな」

女騎士「...ッフグゥ...ウグッ...ヒッグ...」


日本兵「...」ッザッザッザ
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__

__
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日本兵「っはぁ…っはぁ…ここの山傾斜きっつ!」

日本兵「…」チラッ

日本兵「結構離れたな…一休みすっか…」

日本兵(女騎士…なんで泣いてたんだろう、そこまで深い間になった覚えは無い…この国に必要?ポッと出の俺が必要ってんなら多分俺じゃなくても平気な奴だ)

日本兵「…あークッソ…行くか」

日本兵「山を越えたら大休止だ…っと」

数時間後…

日本兵「っはぁ……頂上だ…」

日本兵「今日はここで野営だな…ちょっち風強いが…もう無理、動けん」

日本兵「…城下町があんな遠くになぁ、よく歩いたもんだな…っと…?」


ザッ....ザッ... ウウッ...

日本兵「…」ッサ

日本兵(…)


兵長「あと少しで頂上じゃあ…!気張れぇ…!」

「っはぁっはぁ…」

日本兵(み、味方…?)

日本兵「お、おい」

兵長「え…もう味方が…?」

「み、味方でありますか…?」

日本兵「おまえら…ガリッガリに痩せてっが…どこの部隊だ?」

兵長「は、はぁ…?歩兵第144連隊所属 山砲中隊の第2小隊であります…ご、伍長殿は…どちらの?」

日本兵「歩144…南海支隊か?」

兵長「は、はぁ?伍長殿も144連隊じゃ…」

日本兵「俺の所属部隊はレイテに運ばれる途中に沈められちまった…」

兵長「レ、レイテでありますか?では生き残っているのは…」

日本兵「俺だけさ…で、お前ら無事にサワラケットを越えられたように見えるが…何か気付かないか?」

兵長「…可笑しいとは思いました、ついさっきまで山砲中隊は寒風吹き荒ぶ山を越えていたのですが…」

日本兵「霧が晴れたらお前らだけだったと…」

兵長「はい、中隊長も小隊長もどこかに消えて…滑落したのではと思ったのですが…」

上等兵「他の中隊も全部どこかに行ったんですよ、元からいなかったように」

日本兵「…分かった、兵長以上の階級を持つ者は…?」

兵長「おりません…正直どうしたらいいか…」

日本兵「ではこの中隊は自分が指揮を取る、大丈夫か?」

兵長「は、はぁ…」

上等兵「飯が食えればなんでもいいですよ…なぁ?」

「はい、もうヘトヘトだ…」

日本兵「じゃあ先ずは飯だ、火起こすから薪を持って来てくれ」

「へい…」
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__
_
兵長「肉なんて久しぶりに食いましたよ…」

日本兵「干し肉で悪いが、腹を膨らますには丁度いいだろ…さて、お前らに話す事がある」

上等兵「?」

日本兵「ここはもうニューギニアでは無い、別の場所だ」

兵長「…仰っている意味がよく」

日本兵「眼下に見える街の光…そこはポートモレスビーじゃないんだ」

上等「…」

兵長「変なこと言わんで下さい…ここがサワラケットじゃなくて…あの街の光がポートモレスビーじゃなきゃ我々は何の為に…」

日本兵「何のためかなんて聞かれても、お前らは必死こいて登った頂上はサワラケットじゃねえってことだ…残念な話だが」

兵長「…」

日本兵「はっきり言おう、お前らは別の世界にた飛ばされて来た…ここゼラバンカ王国にな」

「ゼ、ゼラバンカ王国?」

「聞いたことねぇ…」

兵長「…つまり自分たちは…仲間を見捨てて安全な場所に来てしまったと…」

日本兵「お前らは誰も見捨ててなんかいない、これだけははっきり言える、今は戦う必要はない」

兵長「戦う…必要はない…」

「上にバレたら…自分らは…どうなるのですか?」

日本兵「…分からない、軍法会議かも知れないが…今は俺もそれは考えたくない」

兵長「…自分らは何をすれば良いのですか?」

日本兵「いいか、先ず俺のこれからの行動を話す、指揮を取ると言ったが…まぁ俺の行動如何で抜けたいと思ったら抜けていい」

日本兵「ここにゃ多分だがアメ公の空母も来てる、昨日飛行機に追っかけられた」

兵長「く、空母?!」

日本兵「俺はあのゼラバンカ王国に恩があってな…俺が見つかっちまった事によってアメ公があの国にちょっかいかけるかも知れねぇから、最悪の事態にならねぇように昨日抜けて来たって訳だ」

兵長「あ、あの距離を一晩で?」

日本兵「ニューギニア歩いてたお前らに比べりゃみそっかすだ」

日本兵「

兵長「先ほど恩があると言われてましたが…そのゼラバ…?王国で伍長殿は何をなされていたのですか?」

日本兵「輸送船が沖でやられてな、砂浜で寝っ転がってたトコを助けて貰ったんだ」

「正直にわかには…」

日本兵「まぁ言いたいことはわかる、いきなり過ぎるしな…だが現実の事で、俺たちはこの世界で生きなきゃならんのだ」

兵長「行く当てなどは…」

日本兵「ないな、兎に角あの国に危害が及ばない場所とか…とにかく山を下って行くつもりだが」

兵長「下る…ですか?」

「確かに傾斜は緩くなってますが…頂上まできた自分らにこの山砲をまた…」

日本兵「大丈夫だ無理強いはさせん、兎に角いまは飯を食って休め」

日本兵「...」

突拍子もない話にこの山砲小隊の連中が信じきったとは到底思えない、だが指揮官のいない
統率の取れない隊の行く末は破滅以外有り得ない...山賊と化した彼らがゼラバンカ王国に命を狙われ、無駄に
命を散らしてしまうなんて事も考えられる。
だから今は彼らに指揮官が必要なのだ...

兵長「伍長殿はどちらからレイテに?」

日本兵「北シナ方面から、レイテ島に敵さんが来るって情報があったらしくてな...休暇が終わったようなもんだよ」

兵長「そうでありますか...もうレイテにまで...」

日本兵「...わかってたのか」

兵長「はい、なんの補給もない...上から出された指示で撤退すればもう敵が回りこんでいる...後手後手の現状をみて...
到底勝てる戦とは...」

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