メイド「AIロボットが普及して失業した」 (8)

~東京 全日本 メイド協会本部~

社長「えー皆さん」

社長「今日のai技術は非常に発達し、今では一家に一台aiロボットがある時代になりまし
た。」

社長「その影響もあり我が社のメイド派遣業の需要は激減しました。」

社長「大変残念なことですが、資金が続かなくなったので本日で我が社は事業を続けることができなくなりました。」

社長「この会社は今日で倒産します。本当に申し訳ないです。」

メイド(あぁ、私もついに失業者か)

20xx年、日本はai(人工知能)の技術において世界の最先端を走っていた。
少子高齢化は食い止められず人口は激減し街には業務用のaiロボットが溢れかえっている。

現在のaiロボットは性能は勿論のこと容姿まで人間と区別がつかない。
「不気味の谷現象」という言葉がある。人間はロボットの外観や動作が人間ににているほど好感を持つが、
ある時点で突然強い嫌悪感に変わる。その嫌悪感を持つ範囲のことを「不気味の谷」と呼ぶ。
その点で現在のaiロボットは不気味の谷を越えた水準で人間に似ている。

ここ数十年のうちに日本では失業者が大きく増えた。
企業にしてみれば社員1人を雇うよりaiロボットを一台購入するほうが遥かに安上がりなのだ。
aiは瞬く間にこの国の雇用を食い尽くした。

そして今日、私も失業者の1人となってしまった。

夕方

メイド(あとは私物を纏めて…)

社長「あ、ちょっといいかしら」

メイド「えっ、私ですか?」

社長「ええ、ちょっと後で話があるの」




片付けが終わった後、私は殺風景な社長室に呼ばれた。

社長「ごめんなさいね…」

社長「貴方まだ入社して一年も経ってないのに」

メイド「いえ、私もお力になれず…申し訳ないです」

社長「いいのよ、貴方は十分に頑張ってくれた。」

社長「時代の流れに逆らうのは中々に難しいのよね」

社長は少し微笑みを浮かべたが、その目は何処か遠くを見ている。
しばらくの沈黙が続いたと社長の口が開いた。

社長「ねぇ、貴方寒いのは苦手?」

メイド「えっ?」

社長「仕事の依頼、いや私からのお願いがあるの」

メイド「何ですか?」

社長「北海道に住んでる私の親戚が、メイドを雇いたいって言ってるの」

社長「どう、やってみない?」

メイド「でも、私以外にもっと優秀な先輩方がいるのにどうして…」

社長「今は社長としてじゃないわ、個人として貴方というメイドさんを信頼して仕事を頼んでいるの。」

1週間後、私は羽田空港から新千歳空港に向かう飛行機の中にいた。
結局私が失業者になったのはほんの数日間で済んだ。次の雇い主は社長の姪っ子。
会社は既に倒産したので社員としてではなく社長の紹介でフリーランスのメイドとして仕事をする訳だ。彼女は北海道千歳市の郊外で一人暮らしをしていて私はそのに住み込みで働く
ことになった。私は北海道には一度も行ったことが無いため期待と不安が入り混じった心境
でいた。冬場は寒さが尋常ではないらしいので昨日し◯むらで厚手のコートを買っておいた。


ふと、機内のcaを見ると全員全く同じ容姿をしていることに気がついた。
おそらく彼女たちは業務用のaiロボットだろう。
現在日本に流通しているaiロボットのほとんどが大手ロボットメーカーが開発したものを雛形に作られている。
つまり成功例のaiをコピーし量産されている訳だ。
将来的には既存のaiからのコピーではなく、人間の脳そのものをaiとしてコピーすることがメーカーの目標とも言われている。

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