剛力「あれ、また私だ・・・・・」 (31)


マネージャー「おつかれさま、あやめちゃん!」
剛力「お疲れ様です」
マネ「どうしたの?元気ない?」
剛力「あの・・・・マネージャさん。私は今何人いるんですか?」

マネ「どうしたの?突然」
剛力「最近、記憶にないお仕事が多くって。共演者の方とも正直面識がないので話をあわすのが大変なんです。」
マネ「そうね。あやめちゃんも今は3人いるから、話を合わすためにちゃんとミーティングしなきゃだめね!」
剛力「私を含めて三人ですか・・・お願いします、今度時間をとっていただけますか?」
マネ「もちろんよ!さ、次の撮影場所へ行きましょう」
剛力「はい!」


マネ(そろそろ、彼女もわかってきたようね。今の現状を。・・・・・・・・・社長に話してみるか)

マネ「ありがとうございます、お時間いただいて」
社長「いや、どうしたんだい。改まって」
マネ「あの、剛力のことなんですが」
社長「ああ、最近もがんばっているね」
マネ「しかし、・・・・ドラマは連続出演していますがどれも低視聴率。CMも最近はどんどん契約が終わっています。ロケは苦手で、MCもいまいちで・・・このままだと」
社長「何が言いたい?」
マネ「いまいる剛力は全部で3人。このまま仕事が減っていけば彼女たちは・・・」




社長「ふむ。」
マネ「正直、私は反対だったんです。確かに剛力にはなんとも言えない魅力があります。私には表現できませんが・・・・・・・。
しかし、あまりにも急激なブームだったので育成には追いついていません。」
社長「彼女はがんばっているよ」
マネ「それでも、・・・・・・やはりクローンの作成は早かったのでは」


社長「私も努力している。TV関係者や雑誌、メディアには必ず彼女が絶えず露出できるように圧力をかけているし。現に今だって”剛力彩女”は常にテレビの中にいるじゃないか」
マネ「しかし、露出が多すぎると飽きられるのも早い。あの子たちももう、気づいています。
最近の、仕事の減り具合。ごまかしてはいますが、それでもやはりもう限界です。」
社長「ほかの二人は元気か」
マネ「あやめ2も、3も、素直で元気な良い子です。本物の彩芽と境遇を比べて卑屈になることもなくしんどい仕事をこなしてくれています。」
社長「あやめはどの子も良い子だ。・・・・・・確かに、かおの個性はある。素直すぎて周りが見えないこともある。しかし、あの一生懸命さ。あのまっすぐな目を見たとき私は彼女にすべてをかけようと決めた。」
マネ「社長・・・・・・・・・」
社長「しかし限界かもしれないな」
マネ「・・・・・・・・・・・・・何か対策はありませんか」
社長「世間って言うのは飽きっぽい。特に日本のブームなんて一筋の風のようなものだよ。あやめをその風にしたのは私だが。彼女がそよ風ではなく嵐であると確信していた」


社長「彼女の魅力に日本中が心酔する。あのまっすぐな瞳に引き込まれる。そう信じていたが」
マネ「今の日本には、彼女は早すぎたのかもしれません。」





社長「ハリウッド、という手もあるか」
マネ「現実的ではありませんね」
社長「やはり、もうあやめを一人に戻すしかあるまい」
マネ「!」
社長「あやめ2も、3も、よくがんばってくれているが・・・・・・・彩芽自身のためにも」
マネ「また、・・・・・・・犠牲にするんですか」
社長「わかってくれ、彩のときとは違う」
マネ「上戸彩もかつては2人いた。結婚を機に仕事をスーブするようになり、もう一人の上戸は・・・!」
社長「彩2は。かわいそうなことをしたな」


マネ(彩2ちゃん・・・・・・!)

~回想~


上戸彩2「マネちゃ~ん!」
マネ「こら!今は本物の上戸彩が生放送中だから、あんまり目立っちゃだめなの!」
彩2「はぁーい」
マネ「ごめんね、最近ずっとおうちだったからつまんなかったね」
彩2「ううん!マネちゃん遊んでくれるし!彩、楽しかったよ☆」
マネ「あやちゃん・・・・」
彩2「今日はおでかけ嬉しい!お仕事じゃないけど、嬉しい!」
マネ「お仕事のほうがいいの?」
彩2「だってあやがお仕事したら本物の「ウエトアヤ」の役に立つでしょ!嬉しい!」
マネ「あやちゃん・・・・・・・・・ごめんね、ごめんね」
彩2「どうしたの?まねちゃんおなか痛いの?」
マネ「ううん。大丈夫。・・・・・・今日のおでかけはあやちゃんの行きたいところ、全部行こう!」
彩2「やったぁ~!!!!」

マネ(あの日で彩2ちゃんとはお別れ。私がふがいないばっかりに。あなたはただのウエトアヤのレプリカとして生きてしまった。ごめんね。ごめんね・・・・・・)



マネ「うう・・・・・・・・あやちゃん・・・・・」
社長「マネージャー。わかってくれ。」
マネ「何か、何か方法はないんですか!彼女たちに、ちゃんと、人生を、、生きる場所をあげたい!!!」
社長「しかし、」
マネ「ただのクローンとして彼女たちを処分することなんて私にはもうできません」

社長「・・・・・・・君は、あやめのマネージャーから退いてもらう。」
マネ「しゃちょう・・・・?」
社長「これから二人のあやめとともにいてくれ。彼女たちのために何ができるか。私も考えてみる」
マネ「社長!」
社長「しんどい仕事だが、頼む。あやめのマネージャーはサブマネージャーの後輩へ託してくれ」
マネ「はい」

マネ(彩芽たちの処分は正式に決まった。処分の方法は私しだいってことね。絶対に彼女たちを不幸にはしない・・・・・・同じ過ちはおかさないわ!)


あやめ2「あ、まねじゃー!」
あやめ3「マネージャー、お疲れ様です」
マネ「お疲れ様。今日は何をしていたの?」
あやめ2「あやめはねー、お勉強してたよ!ゴウリキアヤメが出てたあんびりばぼー見てたよ!バナナナンが出てる!」
マネ「バナナマンさんね。」
あやめ2「バナナナンサン!」

あやめ3「マネージャー。顔色が悪いですが、大丈夫ですか?」
マネ「え、ええ。大丈夫よ。ありがとう」よしよし
あやめ3「こ、子ども扱いです><」
マネ「あら、ごめんね」


マネ(この子のために、私には何ができるのかしら)

誰も見てないかな。ちょっと離れます


後輩「せんぱ~い!」
マネ「後輩、悪いわね。今回は」
後輩「いいえ、社長から全部聞きました・・・・先輩こそ、その、つらい立場で」
マネ「男の子がなんて顔するのよ」
後輩「だって、あやめちゃん達、みんな良い子ですよ。このままどうなっちゃうですか!」
マネ「私が絶対、なんとかするから」
後輩「先輩・・・・・信じてます!」
マネ「でも、こういう問題は芸能界でもタブーだからね」
後輩「視聴者たちにはわからないように細工して、メディア全体で隠蔽してるんですよね」
マネ「ほかにも大物たちは何人かクローンを使ってるしね。女優とか俳優さんはやっぱり嫌悪感でクローンを作る人はいないけど。」
後輩「芸人さんとかに多いって聞きます。」
マネ「そうね。芸人さんはほんとにブームがくると移動するのが大変だし、天秤にかけるとクローンを作ったほうがもとがとれるしね」
後輩「そういえば僕の友達に芸人事務所のマネージャーをやってるやつがいます」

マネ「芸人さんがクローンの処分をどうしているか?」
後輩「はい」
マネ「企業秘密よ。教えてくれるかしら」
後輩「会社に聞いてもむだでしょう」
マネ「まさか」
後輩「芸人本人に聞きます」
マネ「一緒よ。企業秘密だし口止めされてるわ」
後輩「一時期大ブームをおこした芸人の末路、先輩が知らないわけないですよね」
マネ「みんな露出が減ってほとんど3年で姿を消すわ」
後輩「お金もないはずです。週刊誌には売れないネタですが僕らは同業者だ。協力してくれるはず」
マネ「お金なら、社長がなんとかしてくれるわ。」
後輩「友達に連絡します、そいつ杉ちゃんのマネージャーでした!」
マネ「でかした!後輩!!」
後輩「へへっ。待っててくださいね!」

マネ(後輩の友達は、杉ちゃんの今後を心配していた。お金が少しでもはいるならと杉ちゃんとのアポをとってくれた。)


杉ちゃん「どうも」
マネ「およびたてしてすみません」
杉ちゃん「いいえ」
マネ(テレビの印象と違ってなんか暗いなぁ)
マネ「あの、単刀直入にお伺いします。あなたのクローンは今どうしていますか?」
杉ちゃん「その前に、いくらもらえるんですか」
マネ「おいくら必要ですか」
杉ちゃん「・・・・・・300万」
マネ「う、・・・・・・・・・・出しましょう、300万」
杉ちゃん「・・・・・・・・・」
マネ「どうしても、どうしても今いるタレントのクローンを助けてあげたいんです!お金には返られない、彼女たちは命なんです。・・・・お願いします、あなたのクローンは3人いたと聞きました。しかし処分はされていない。なら、なら今はどこに?」
杉ちゃん「・・・・・・・・・」
マネ「お金が、足りないなら・・・・いくらでも出します!お願いです、・・・・・・」


杉ちゃん「負けたよ」
マネ「え?」
杉ちゃん「金なんていりません。カマかけただけです。クローンのこと聞かれるのは初めてではなかったですが、みんな興味本位やクローンへの嫌がらせをしたり。俺も自分のクローンを守る義務があるのでそう簡単に話したくなかった」
杉ちゃん「あなた、良い人ですね。本気でクローンを想っている」
マネ「あの、」
杉ちゃん「はい?」
マネ「お金は、いらないんですか?今、あなたお仕事ないでしょう」
杉ちゃん「あっはっは。確かに今は働いていませんが、あの時いくら稼いだと想っているんですか。一生働かないですむくらいは稼いでます。もうお金はいりません。」


杉ちゃん「俺のクローンはみんな、一般人として生きています。」
マネ「えっ」
杉ちゃん「一人ひとりに裏から手を回して戸籍と経歴と、人生を作り上げて」
マネ「しかし、杉ちゃんさんと同じ顔のはず・・・・すぐ世間でばれるのでは」
杉ちゃん「悲しいかな、俺は普通のおっさんです。別にすっごいイケメンでもすっごいブサイクでもないんでね。みーんな普通に生きていますよ」
マネ「何も支障はない、と」
杉ちゃん「たまに杉ちゃんに似てるね!って言われるみたいですけどね!」
杉ちゃん「俺より先に結婚したやつもいるんですよ。まいっちゃいました」

マネ(一般人に・・・・彩芽を。彼女たちはまだ若い。今から人生を作ることだって可能だ)

杉ちゃん「マネージャーさん。何か困ったことがあればいつでも相談してください。芸能界の人でクローンをそんな風に大切に想ってくれている人はいたとは。正直嬉しいです。」
マネ「杉ちゃんさん」
杉ちゃん「俺のクローンも、殺される予定でした。でも、そんなこと許せなかった」
マネ「杉ちゃんさん」
杉ちゃん「だから仕事もやめてクローンを助けたんです。・・・・・クローンの一人はまだ杉ちゃんを続けていますがね」
マネ「え?」
杉ちゃん「ま、とにかくがんばってくださいね!」

マネ「杉ちゃん、あなたって本当は」
杉ちゃん「ワイルドだろ~」

社長「一般人に、か」
マネ「彼女はまだ若いです。今からなら新しい人生をやり直せるはずです」
社長「しかし」
マネ「戸籍を作るなり、なんなり、なんでもやります!」
社長「あやめの顔が・・・・・・・」
マネ「!?」
社長「よく考えてみろよ。あやめの顔はもう全国区だ」
マネ「でも杉ちゃんだって!似てる程度で問題ないって」
社長「杉ちゃんの顔は平均的だ。中年男の顔なんて見分けがつかない。しかし、あやめはあまりにも・・・・・・・」


マネ「個性的過ぎる・・・・・!」
社長「すまない、すまない、マネージャー。あやめの顔のせいで」
マネ「・・・・・・どうすれば」
社長「整形するか」
マネ「あの顔がなくなれば、あやめたちは一般人になれる。同時に・・・・彼女たちにアイデンティティは失われる」
社長「ふぅ・・・・・どうしたものか」

あやめ「話は聞かせていただきました。」


社長・マネ「!?」
あやめ「社長、マネージャーさん。ごめんなさい」
マネ「あやめちゃん・・・?」
あやめ「私が、もっと、がんばれば・・・・」
マネ「な、泣かないで」
あやめ「私が、おしごともっとがんばって・・・・もっと、もっとにほんじゅうのひとに好きになってもらえれば、よかったのにぃ・・・・・」
マネ「あやめちゃんはがんばってるわ!一生懸命勉強して、いつも寝不足なのにみんなに笑顔を振りま
いて!あなたの笑顔で、幸せになってる人がいるの!あなたのせいじゃないわ・・・・」
あやめ「わたし、わたしの顔がぁ、こせいてきだから、ねっとでもたたかれて、嫌われて、そのせいで、あ、あやめが、ほかのあやめがぁ・・・・」

社長「くっ・・・・・・」
マネ「あやめちゃん、あやめちゃん」
あやめ「うう・・・・・・・もっとがんばるからぁ、もっと、もっと勉強して、いい子になるからぁああ・・・・・」

マネ(私はあやめちゃんを一人のタレントとして今後も全力で支えることに決めた。彼女の思いを絶対に裏切らないと決めたのだ。そして、もう二人のあやめは整形をし、一般人としての生活を始めた。あんなにもゴウリキアヤメだった彼女たちは私の提案をすんなり受け入れ整形手術は成功し、まったく別人が生まれた。)




あやめ「はぁ~!今日もお仕事楽しかったー!!」
あやめ「あやめちゃん!」
あやめ「久しぶり!」
あやめ「わぁ~!二人とも元気ぃ?今は大学生だっけ?いいなぁ」
あやめ「何言ってるのよ、自分で決めたことでしょ!仕事がしたいっていったの、あやめちゃんじゃない」
あやめ「えへ☆そうだった☆」
あやめ「ありがとうね、あやめちゃん。私を解放してくれて。」


あやめ2「あやめちゃんの気持ちはあたしたちが一番よくわかってるよん☆」
あやめ3「あやめちゃん、私はあなたの友達としてこれから別の人生を歩むことをすごく嬉しく想っているの。顔が変わったのは悲しいけど・・・・・」
あやめ「ありがとう、ありがとう。・・・・・・・私はもう疲れていたの。ゴウリキアヤメを生きることが、つらかったの、。あの時二人が私を助けてくれた。私の顔はもう、あやめ2ちゃんのもの。私はやっと解放された。」
あやめ2「いいんだよん☆あたしはお仕事大好きだし、あやめちゃんが嫌いだって言ってたこの顔も大好きだもん☆」
あやめ「あやめ2ちゃん・・・・」
あやめ3「さ、あやめちゃん。マネージャーのところへ行きましょう。たまには顔出さないとね。」
あやめ「うん、・・・・・・マネージャーには悪いことしたけど。私は今、すごい幸せだよ。」


マネ「みんな~」
あやめ2「マネージャー☆」
マネ「今日はひさしぶりに勢ぞろいね!」
あやめ3「お久しぶりです、マネージャー」
マネ「二人とも、学校は楽しんでる!?」
あやめ「はい!」
あやめ2「マネージャー!みんなでご飯行こうよ~☆」
マネ「そうね!今日は私がおごっちゃう!!!」
「やったぁ~!!」



社長(あやめが幸せなら、それで。それでいいんだ。)




武井咲「あれ?また私が出てるー」




終わり

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