【艦これ】 我、連装砲也 (15)

地の文有り、不定期更新、お時間宜しければお付き合いください

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その日、俺、男は上機嫌だった。

なぜなら何の気なく入った占いの館にて占い師から、



「あんた、今日、金持ちでゴイスーな美女と衝撃的な出会いをするよ!」



と予言をされたから。

金持ちのゴイスーで美女。

宝くじに当たるより難しい確立の相手と知り合える。

心が躍らない訳も無く、

ドラッグストアでいつも使う日用品を買いスキップして帰り道を歩いていたときにそれは起きたのだ。




男「いやー。衝撃的ってそういう意味かよー。」



男の視線の先に転がるのは男の体。

そう、男は俗に言う幽体離脱状態なのだ。



男「これ、助からねぇよなぁ。」



何が起きたのか?

簡単に言えば道を暴走気味の速度で走ってきた高級外車、フェラーリに跳ねられたのだ。

あわあわと男の体の横で動転してるのは確かに美女。



男「衝撃的すぎんだろ!知り合う前に死んでるよ!」

男「確かに美女で金持ちに衝撃的出会い方してるけど物理じゃねぇか!」




???「確かにねぇ、これじゃねぇ。」



男の横に立ち会話をするのは奇妙な格好をした少女だった。

海軍の水兵の様な格好で頭に猫を載せた少女。



???「おじさんはまだ生きていたい?」

男「まぁ。」

???「そっか!じゃぁ、1名様、異世界へ御案内!」



上機嫌で叫んだかと思うとその少女に頭を殴られ気絶。

バールの様なもの?で殴られたように見えたのは気のせいか。

幽体の状態で気絶というのもよく分からないのだが。

こうして、男は流行の異世界転生というやつを実体験することとなったのだった。



とりあえず、本日はここまで

お読みいただきありがとうございました



「………ん、……ちゃん!」


ジタバタジタバタ


手は動く!


目もはっきり!


音も聞こえる!


よっしゃ!異世界転生だぜ!


俺の時代が来た!これで勝つる!


「もー、連装砲ちゃん、暴れちゃだめだよ!」


ん?なんだか視界がえらく低い位置にあるな。


心なしか足が短い気もする。


手は………。


Oh,ドラえもんよりひでぇぜ……。


「もー、連装砲ちゃん!聞いてるの!?」


視界に急に現われたのは美少女。


兎耳の如き大きなリボンにブラジリアン水着ばりの際どいパンツ。


元いた世界じゃ50mも歩く前に痴女認定喰らうレベルの格好。




なんだってんだこいつぁ。


周囲を見渡せばちまちまと歩く彫像(?)が2体。


「連装砲ちゃん、急ぐよ!お昼がおわっちゃう!」


少女の小脇に抱えられ体が中に浮く。


えっ?


そして、ものすごい速さで移動を始める少女。


例えるならつむじ風。


ロングスカートの女性でもいたらワォ、モーレツゥ!になりそうなんだがなぁ。




サラトガ「キャァ!島風!廊下を走しっては駄目ですよ!」


島風「ごめんなさーい!」バビューン


メニーサンクス!


どの神様に例を言うべきかは分からないが俺は今日ほどあんたに感謝した事はないぜ。


そして、食堂。


島風「はやくはやく!ご飯をとらないとなくなっちゃう!」


抱えたまま食堂の席を探す島風。


地面に置かれ低い目の位置から周囲を見回す。


少なからず多からずって人数の女性、あぁ、そうだな、妙齢と思わしき麗人から小学生っぽい子供まで、


いったい全体なんだってんだこいつぁ。


と、考えていたら視界が固まる。



「こいつぁ?」


???「Chao!呼ばれてないけどじゃじゃじゃーん!」


???「美少女妖精、エラー妖精ちゃんことティターニアだよ!」


「あんたは、俺をバールの様なものでどついた……。」


???「その節は迷惑をかけたね。私は彼女の従者、エラー猫妖精ことケットシーだ。」


ぷにぷにとした肉球のついた可愛らしい手を差し伸べてくる猫の王。


「いいってことよ。ところで、俺に現状を教えてくれるってんだろうな?」


そうだ、異世界転生ものでは神、あるいはそれに準ずる存在って奴が懇切丁寧に助けてくれるってのが世の慣わしだ。


男がそう考えながらエラー妖精の方へ視線を向けると10tと書かれたハンマーをフルスイングする姿が見えた。


あぁ、こりゃ死んだな。


南無三、心の中で念仏を唱える準備をしていたがそれが役に立つことはなかったようだ。


いくつかの星が見え暗転する視界。


しかしながら痛みというものは無い。




そして、大量に流れてくる情報の理解に軽く眩暈を覚え始めた頃に視界が元通りに開けた。


妖精「どう?理解出来た?」


キラキラという表現を身にまとったかのように恍惚とした表情でこちらを見る少女。


「頭の中が混乱しているが、凡そのこの世界の理ってのは分かった。」


「俺は深海棲艦ってぇクリーチャーを倒す兵器になっちまったってわけか。」


ビシッっと効果音がつくようなサムズアップをかます少女。


手が短くなければ殴りたくなるくらいいい笑顔してやがる。


猫王「すまないね、何分人手というものが足りなくてね。」


猫王「かといって誰でもという訳では行かないし。」


「やんごとない理由ってやつか。いいさ、どうせあのままじゃ死んでたんだ。」


「あたらしい人生って奴を楽しむさ。」


妖精「うん!よろしく、敵にも私みたいな妖精が力を与えているから頑張ってね!」


まったく妖精どうし、いや神様か?としあえずその争いに付き合わされるとはなぁ。


異世界でも神様どうしが宗教対立かい。やるせねぇ。


とかくこの世は世知辛く作られているようだ。




妖精「じゃぁね!気が向いたら適当に力を貸してあげるね!」


そういうと妖精は猫王を連れて姿を消した。


「唯で願い事を聞いてくれるのは神様のみって相場は決まっているが……。」


「唯より高い物はないってのもまた真理だな。」


「まったく、困ったもんだぜ。」


男がやれやれと感想を抱いたくらいに再び時は動き出したのだった。


今日はここまで


お読みいただきありがとうございました

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