和久井留美「言“わんこ”っちゃない」 (15)

和久井留美さんのSSを期待した方、申し訳ありません。
当SSは水木聖來の誕生日をお祝いするSSです


4月27日 昼 事務所内

P「オーダーメイドのドッグフード、わんこさん用のケーキ、そして、ハーネス(※)!」

P「これだけ有ればセイラも大喜びだろうなあ」

P「喜ぶ顔が目に浮かぶ……留美さんもそう思いますよね!?」

留美「……聖來さんの誕生日プレゼントなのよね?」

P「そうですよ。この日のために試食にも参加させてもらったんですから」

留美「聖來さんへのプレゼントは?」

P「……?」

留美「このプレゼントは全部わんこちゃん用に見えるのだけど」

P「そんなこと……犬のごはん、犬用ケーキ……ほ、ほら!ハーネスはセイラにも意義がある」

留美「“も”?」

P「…………」

P「るみさぁ~ん……」


(※ハーネスとは首輪の代わりに付ける胴輪で、首や喉を締めないのでわんちゃんに優しい犬具だ)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493267097

留美「そんな声を出されても、どうしようもないわよ」

P「頑張ったのに……どのお肉がいいかとか、どのくらいの柔らかさがいいかとか、アッキーにも手伝ってもらったのに」

留美「プレゼントは喜んでくれるわよ……え、試食したのはもしかしてドッグフードの方?」

P「ええ。中々美味しくて最近朝晩はドッグフードですよ」

留美「…………」

P「どうしました? 頭なんて抱えて」

留美「あまりの衝撃に頭が痛くて」

P「大丈夫ですか、横になります? 仮眠室なら開いてますよ」

留美「大丈夫、一過性のものだから」

P「無理しないでくださいね」

留美「ええ……。そんなことより、聖來さんの件どうするの?」

P「うーん……俺が犬になってセイラのペットになるとか」

留美「その発想はどこから来るのかしらね」

P「他に今から準備できるものは……」

留美「しょうがないわね、私も一肌脱ぐわ」

P「脱ぐ!? もしかして、留美さんがセイラのペットに!?」

留美「…………」

P「ごめんなさい。そんなスカウトする前みたいな目で見ないでください死んでしまいます」

留美「マジメな話をしましょう。聖來さんが来るまであとどれくらいかしら?」

P「トラブルが無ければあと7~8分後ですね」

留美「…………………人生諦めが肝心、とも言うから」

P「るみさぁぁぁぁん!」

留美「結局何も出来ないまま時間が過ぎたわね」

P「大丈夫心配いらない大丈夫心配ない」ブツブツ

留美「Pさん、私から言っておいてなんだけど、聖來さんはそんなこと気にする子じゃないわ」

P「そ、そうですよね。」

留美「ええ、気持ちはちゃんと通じるわよ。……もしも、どうしても気になると言うなら…その」

P「?」

留美「私からのプレゼントを、Pさんからの物として渡せばいいわ」

P「それは駄目です。ちゃんと留美さんの手から渡してください」

留美「――――うん、そうするわ。それと」


留美「今日くらいはわんこちゃんばかり構うのは止しなさいね」


P「わかってますよ。あ、そういえば」

ガチャ

*「おはようございまーっす」

わんこ「わんわんわんっ!」

P「わんこさん!あぁ~、わんこさんよくきてくれた!わんこさん!わんこさん!」

わんこ「わんわん!」

留美「犬同士がじゃれ合ってるみたいね……おはよう、聖來さん」

聖來「留美さんおはようございます。Pさん、わんこばっかり構ってないでアタシアタシ」

P「わんこさ…おはようセイラ、主役の登場だな」

聖來「主役、ね。うん」

P「0時にメッセージは送ったけど改めて、誕生日おめでとう」

聖來「ありがとう」

留美「聖來さん、おめでとう」

聖來「留美さんも、ありがと!」

P「いやーわんこさんいつにも増して元気そうでなによりだ」

わんこ「わんっ!」

P「ん? ああ、ありがとうわんこさん。さて、わざわざ2人を事務所に呼び出したのは他でもない、聖來の誕生日ぷちパーティ0次会を行うためだ!」

聖來「ありがとう…? ぷち? 0次会?」

P「本当の0次会はこの後のイベント会場に着いたときにスタッフさんと、1次会はイベントだ。その後もちろん2次会3次会と」

聖來「イベントはともかく、0次会ってのは初耳だし、サプライズだったんじゃないの?」

P「あ」

留美「あ、じゃないわよ。実は、この会は私からPさんにお願いしたのよ、聖來さんの誕生日を直接祝いたくて」

聖來「ありがとう、すっごく嬉しい! そっか、今夜もレギュラーのお仕事でしたっけ、美優さんと」

留美「ええ、だから簡単なものだけどお祝いをね。じきに美優さんも来るわ」

わんこ「わんわんっ!」

P「このアロマの香り……噂をすれば」

留美「嗅覚も犬みたいね」

ガチャ

美優「すみません、遅くなりました」

聖來「おはようございます、美優さん」

美優「あっ…聖來さん、おはようございます。……お誕生日おめでとうございます」

聖來「ありがとう」

わんこ「わん!」

美優「わんこちゃん、おはようございます。ふふっ」ナデナデ

P「あぁ^~わんこさんと美優さんの絡み素晴らしい。早く映像化して流通させてくれ」

美優「そうだ、Pさん、頼まれていたもの受け取って来ましたよ」

P「あの子といい泳ぎといい鎌倉アイプロのエピソード忘れられてるような気もしないでもな……ありがとうございます」

留美「……全員揃ったのだし、始めましょう」

P「そうですね、では早速」


聖 來 の 誕 生 日 ぷ ち パ ー テ ィ 0 次 会 始めるよ!!!

わんこ「パーティの様子はダイジェストでお送りします」



聖來「――――この料理、留美さんが作ったんですか? すっごく美味しい」

留美「気に入ってもらえて良かったわ。これは聖來さんのお陰で作れるようになったのよ」

聖來「アタシのおかげですか?」

留美「ええ、前に休日の過ごし方教わったじゃない。とりあえず外に出てから考えるって」

聖來「たしか、わんこの向かう先に着いていくって」

留美「ええ、出先で見つけた猫ちゃんの向かう先に着いていったら面白いお肉屋さんを見つけてね――――」



聖來「――――なんか、美優さんと居るとすっかり大人しくなってわんこがわんこじゃないみたい」

美優「そうなんですか? いつも大人しくていい子だなと思ってましたが」

聖來「いつもなんかすぐ他の犬とか子供のところに走っていこうとするし、餌に釣られるし!」

美優「ふふふっ、元気でいい子ですね」ナデナデ

聖來「……なんか、わんこの気持ちがわかった気がする」



P「食事も終えたところでケーキの登場です!」

聖來「凄い、ケーキにわんこが描いてある」

留美「美優さんが受け取ったって言ったのはこれだったのね」

美優「はい。お店で見た時はびっくりしました」

P「そして、わんこさんにはこれ!」

聖來「わー、わんこの分のケーキも用意してくれたの? じゃ、みんなで食べよっか♪」

わんこ「わんっ♪」

P「宴もたけなわでございますが、スケジュール的にもアレなのでプレゼントお渡し会に移ります。まず俺からはこれ」

聖來「あ、ハーネス!ちょうど欲しかったんだ。ありがと! この見たこともないパッケージの缶詰は?」

P「わんこさんのお食事だ、味見もしたし品質は保証するよ」

聖來「やったね、わんこ」

わんこ「わん」

留美「味見の部分には突っ込まないのね」

聖來「ドッグフードの味見はやってる人もいるって聞きますし、Pさんは普段からドッグフード食べてるから」

美優「ドッグフードを……大丈夫なんでしょうか?」

P「ペット用とはいえ食品ですからね、もう半年食べてますが今のところ体に異常はないですよ」

留美「大丈夫なのはきっと貴方だけよ」

P「ダンボール1箱分あるから今日は事務所に置いといてまた今度持って帰ってくれ」

聖來「わかった。ありがとうPさん」

P「次は……留美さんがプレゼントを取りに行ってる間に、美優さんお願いします」

美優「はい」

留美「すぐに戻るわ」

美優「お誕生日……おめでとうございます」

聖來「ありがとうございます。包み開けてないのに、いい匂いがする。アロマオイル?」

美優「はい。シアバターをベースにしたアロマクリームです。市販のものよりも低刺激なのでわんこちゃんも嫌がらないと思います」

聖來「もしかして手作りですか!?すごい……」

美優「そんな大したものでは……その、肌に合わないかもしれないのでまずは少量を目立たない場所に使ってください」

聖來「わかりました、大事に使います♪ うん、いい香り」

美優「万一もありますから、わんこちゃんが舐めないように気をつけてくださいね」

聖來「はいっ」

留美「私も欲しいわね……」

美優「あっおかえりなさい、留美さんの分も作りましょうか?」

留美「その、もし良ければ一緒に作りたいわ」

美優「わかりました」

留美「最後は私ね、開けてみてくれるかしら」ゴソゴソ

聖來「大きいですね。早速中身を……わぁ…!」

わんこ「わんわんっ!」

P「わんこさんがプリントされてるクッションじゃないですか!!!!!」

P「いや、プリントじゃない。織られている。わんこさんが織られているぞこのクッション」

P「すごい!これなら色落ちもしないし丈夫だ!!!すごい!!!」

聖來「Pさんアタシとわんこよりもうるさい!」

P「す、すまん……」シュン

聖來「ホントにすごい、こんなに良い物もらっていいんですか?」

留美「ええ、遠慮しないで。聖來さん頻繁にアメリカとか遠くへ行くでしょ、その間わんこちゃんに会えない寂しさを紛らわせるかなと思ってね」

聖來「ありがとう!すっごく嬉しい。留美さん大好き」ダキッ

留美「こ、こんなに喜んでもらえるなら私も嬉しいわ」

聖來「ほらわんこー、沙理奈のとこばっかり行ってたらこっちのわんこに浮気しちゃうぞー」

わんこ「わんっわんっ」

聖來「ふふっ、冗談だよ。わんこはわんこだけだから」

わんこ「わん!」

聖來「それにしても、こんなクッションがあるなんて何処で知ったんですか?」

留美「ほら、私って猫アレルギーじゃない? 極限までリアルな猫のぬいぐるみを探してたらこれに行き着いてね」

聖來「な、なるほど」

留美「触れたいけど触れられない悲しみは私もよく分かるから」

聖來「留美さん…! そうだ、留美さん猫アレルギーならいっそのこと犬派になりま「それはないはね」

聖來「せめて一瞬でも悩んでほしかったです」

留美「別に犬が嫌というわけではないのよ、猫が好きなだけで。わんこちゃんだって可愛いし」ナデナデ

わんこ「わん!」

聖來「ところで、そっちの2人はなにやってるの?」

美優「これは、その」

P「そのクッションを三船さんの写真で作れば世界平和に一歩近づくと思って協力してもらってるんだ」パシャパシャ

聖來「……」

P「いいですよー、次は女豹のポーズいきましょうか」

美優「こ、こうですか?」

P「あー平和になる、どんどん平和になりますよ。いま何処かで兵士が銃を置きました」パシャパシャ

留美「……」チラ

聖來「…………」

わんこ「わんわん!」

P「わんこさんまで協力してくれるなんて、これじゃ美女と野獣だ」パシャ

美優「あの……Pさん」チラ

P「その表情いいですねー、戦争のなくならない世界に困惑する女神と聖獣みたいで」パシャパシャ

聖來「…………」プルプル…!

留美「聖來さん、Pさんも悪気があるわけじゃないから(だからこそ質が悪いのだけれど)」

美優「Pさん」チラッ

P「はい?」

聖來「そんなにわんこが良いならわんこのプロデューサーになればいいでしょ!」

P「!!!!!!!!!!」ポロッ


留美(ほら、言わんこっちゃない)


P「その手が有ったか!!!!!」

聖來「えっ!?」

美優「はい?」

留美「え」

わんこ「わんっ!」

P「飼い主からの許可も得たし、動物アイドルで1つ企画を練ってみるよ」

P「そうすれば聖來もわんこと一緒に仕事出来る機会も増えるだろう」

聖來「えっ、そうなれば嬉しいけど」

P「ウチの事務所はそっち方面は未着手だし詰めなきゃいけない事も多いかもなー」

P「ブリッツェンとかヒョウくんやアッキーも居るからメンツとしては十分だし」

聖來「あははっ」

P「ん? なんか変なこと言ったか?」

聖來「ううん、ホント、Pさんってわんこみたいだね」

留美「そうね、犬みたいね」

美優「…………そろそろ、このポーズ解いても大丈夫でしょうか?」



その後、聖來はバースデーイベントで小松伊吹や神谷奈緒、ナターリアと言った面々とダンスバトルをしたり

沙理奈のサイン入りグラビアを大量に掴まされたり、酒飲み四天王、高垣・高橋・片桐・柊にしこたま飲まされたりと、充実した誕生日を過ごした。


☆ お わ り ☆

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